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2002-12-05 第155回国会 参議院 財政金融委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年十二月五日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十二月四日     辞任         補欠選任      辻  泰弘君     大塚 耕平君      山本  保君     福本 潤一君  十二月五日     辞任         補欠選任      大塚 耕平君     松井 孝治君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         柳田  稔君     理 事                 入澤  肇君                 尾辻 秀久君                 林  芳正君                 峰崎 直樹君                 浜田卓二郎君     委 員                 佐藤 泰三君                 清水 達雄君                 田村耕太郎君                 中島 啓雄君                 溝手 顕正君                 森山  裕君                 若林 正俊君                 大塚 耕平君                 勝木 健司君                 櫻井  充君                 松井 孝治君                 円 より子君                 福本 潤一君                 池田 幹幸君                 大門実紀史君                 平野 達男君                 大渕 絹子君                 椎名 素夫君    国務大臣        財務大臣     塩川正十郎君        国務大臣        (金融担当大臣)        (経済財政政策        担当大臣)    竹中 平蔵君    副大臣        内閣府副大臣   伊藤 達也君        財務大臣    小林 興起君    事務局側        常任委員会専門        員        石田 祐幸君    政府参考人        内閣法制局第三        部長       梶田信一郎君        内閣産業再生        機構仮称)設        立準備室次長   小手川大助君        金融庁総務企画        局長       藤原  隆君        金融庁検査局長  佐藤 隆文君        金融庁監督局長  五味 廣文君        郵政事業庁次長  有冨寛一郎君        財務省主計局次        長        勝 栄二郎君        財務省理財局長  寺澤 辰麿君        農林水産大臣官        房審議官     林  建之君        経済産業大臣官        房審議官     中嶋  誠君    参考人        日本銀行総裁   速水  優君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○預金保険法及び金融機関等更生手続特例等  に関する法律の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○金融機関等組織再編成の促進に関する特別措  置法案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 柳田稔

    委員長柳田稔君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨四日、辻泰弘君及び山本保君が委員辞任され、その補欠として大塚耕平君及び福本潤一君が選任されました。     ─────────────
  3. 柳田稔

  4. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  預金保険法及び金融機関等更生手続特例等に関する法律の一部を改正する法律案及び金融機関等組織再編成の促進に関する特別措置法案審査のため、本日の委員会参考人として日本銀行総裁速水優君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 預金保険法及び金融機関等更生手続特例等に関する法律の一部を改正する法律案及び金融機関等組織再編成の促進に関する特別措置法案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 入澤肇

    入澤肇君 法律審査でありますので、制度論に絡めて御質問申し上げたいと思います。  今回、まず金融組織再編特別措置法が提案されましたけれども、この金融機関組織再編につきましては、従来、昭和四十三年に制定されました金融機関合併及び転換に関する法律、いわゆる合併転換法でございます、それから去年ですか、制定されました産業活力再生特別措置法、これに基づいても組織再編がなされています。このように既存の法律二つもあるのにかかわらず、なぜ改めて新しい法律を作ることにしたのか、その背景なり理由をまず御説明願いたいと思います。
  9. 藤原隆

    政府参考人藤原隆君) 御説明申し上げます。  まず、合併転換法と今回の法律関係でございますが、いわゆる合併転換法は、銀行法などの各業法に規定されていない異種金融機関間、金融機関の間の合併を可能にするための手続を規定しておりまして、法令上の手続簡素化資本増強あるいはその支援といったことについては、円滑化の方策については盛り込まれておらないところでございます。  それに対しまして、今般の特措法案につきましては、同種、異種を問わず、金融機関間の合併等組織再編等について自主的な経営判断がなされた場合に、法令上の手続簡素化を図るとともに、資本増強支援等支援策を五年間の時限措置として講じようとするものでございます。  また、産業活力再生法との関係で申し上げますと、産業活力再生特別措置法は、生産性相当程度の向上を図るために事業構築計画を提出しまして、認定を受けた事業者に対しまして税制上の措置等支援措置を講ずるものでございます。産業活力再生法は全産業対象とした施策でございまして、組織再編を伴わないような施設の廃棄等様々な形態の事業構築念頭に置いておるものでございます。  それに対しまして、今般の法案につきましては、金融機関等合併等組織再編成に際して障壁となり得る金融機関の固有の事情、こういうことに着目いたしまして各種の政策支援を講ずるものである、こういう点でより金融機関の実情に即した内容となったものでございます。
  10. 入澤肇

    入澤肇君 今、与党の方でも、行財政協議会で、政府の持っている法律、これ今、大体千七百五、六十本あるんですけれども、これを整理統合しようということが提案されまして、林先生事務局長で進めようとしているんです。これは佐藤内閣のときに昔二回にわたって各省庁一割法律削減ということをやったんですけれども、それに次ぐ第二回目の法律の大整理統合なんです。  このように、似たものが幾つ幾つも並んでいて、そしてこのケースにはこの法律だとか、適用関係をそれぞれ選ばなくちゃいけないと。これは、国民の目から見れば、あるいは法案を援用しようという側から見れば非常に不都合。今のような話であれば、手続簡素化とか資本増強なんていうのは、これは臨時特例的な措置じゃなくて恒久的な措置ですよね。正に規制緩和の流れの中で手続簡素化というのは当たり前のことだし、それから、このような金融状況の下で資本増強というのは、増強支援、これは恒久的な措置として入れておいていい話。とすれば、合併転換法の一部改正で対応すべきものだし、あるいは金融機関といっても銀行だけじゃなくて、証券会社とか保険会社等、これは今回の組織編成特別措置法対象になっていないわけでしょう。相変わらず産業再生特別措置法対象になるわけですね。  あれこれまたがって適用されなくちゃいけないということなので、今の答弁で一応納得しておきますけれども、できるだけ一本の法律、少ない法律で、その一部改正で対応したらいいんじゃないかと思うんですね。今後、是非そのように、そのようなことを念頭に置いて行政を進めていただきたいと思うんです。それが一つ。  二つ目は、預金保険法です。  これは本当は大臣に聞きたいんですけれども、事務局で結構です。新しく決済債務について保護対象にするというか凍結をして、未来永劫にわたってとにかくペイオフ解禁対象にしないということがこの法律で決められるわけですけれども、この法律読んで、非常に分かりにくい。  まず、六十九条の二、決済債務保護、「為替取引その他の金融機関が行う資金決済に係る取引として政令で定める取引に関し金融機関負担する債務であつて、かつ、支払対象決済用預金の払戻しを行う場合に消滅するもの以外のもの」と。この以外のものというのは特定決済債務と。一体、決済債務特定決済債務とはどう違うのか、これ、局長、ちょっと説明してください。
  11. 藤原隆

    政府参考人藤原隆君) 決済債務と申しますのは、今回のこの法律によりまして全額保護とされる決済債務でございまして、特定決済債務というのは、その中で支払対象となる部分でございます。
  12. 入澤肇

    入澤肇君 いやいや、あなた方の要するに説明によれば、まず、政令規定見込み事項も出していないから分からないんですよ、何が書いてあるか。  この特定決済債務のところは何が問題になったかというと、いわゆる別段預金が問題になったというわけですね、別段預金。この別段預金は非常に中身が複雑でして、金融機関に帰属するもの、それから利用者に帰属するものとか、いろんな判定をしなくちゃいけないと。そういうことから、その経理勘定が、勘定区分が、別段預金でも特定決済債務以外のものとして経理されるものと、それから仮受金等で特定決済債務として経理されるものと。しかも、その法律条文を、これ読んでもよく分からないんですが、皆さん方説明によれば、特定決済債務以外のものは決済用預金として全額保護する、それから特定決済債務については決済用預金とみなして全額保護すると。  要するに、言っていることは、別段預金全額預金として保護するんだと言っているわけですね。だけれども、なぜこういうふうに分けて書かなくちゃいけないかというと、これも説明によれば、金融機関預金は本来預保の対象にしていないんで、保険料率が違ってくるというふうな説明なんですね。だから、法律としては別段預金については保護対象にするとはっきり書いて、そして別に政令で定めるかどうか分かりませんけれども、その内容について、保険料については別に定めると書けば簡単なんだけれども、六十九条の二のような書き方をすると、幾ら読んだってパズルを解くような気持ちで、読めないんですよ。どうですか。
  13. 藤原隆

    政府参考人藤原隆君) ちょっと先ほど説明があれでございましたが、特定決済債務と申しますのは、今、先生おっしゃいましたように、別段預金等とは別に仮受金勘定として保護されるべきものとして考えておるものでございまして、そういうわけで、先ほど説明はちょっと訂正させていただきたいと思っております。  なぜ六十九条の二のように複雑な書き方になっておるかということでございますが、私どももなるべく法律というのは正確性を確保しつつ、かつ簡素で分かりやすいということを心掛けてやっておるわけでございますが、先生指摘の六十九条の二と申しますのは、別段預金とか、今申し上げました仮受金勘定、ここに経理されております仕掛かり途中の決済資金決済債務として保護して、決済を円滑に完了させるための措置を規定したものでございます。  ところが、銀行実務におきましては、別段預金の中に決済用預金として保護されるものや、あるいは預金として保護されないもの、様々なものが含まれているという実態がございまして、これを今回の決済債務あるいは決済用預金の概念に合わせて保護するために銀行実務を変更するということになりますと、これはまた大変な作業とかコスト、手間暇になりますので、実際、そこの銀行実務をなるべく変更しなくて済むように、かつ正確性を期すということになりますと、非常に分かりにくい今回の条文書き方になっているわけでございますけれども、そういう別段預金に関します銀行実務実態を前提としまして、保険料重複徴収でありますとか保護重複、こういうものを避けるというようなことで、今回こういう複雑な書き方になっているわけでございます。  したがいまして、我々としても、こういうことは本意ではございませんで、今後、法律作成に当たりましては、もう少し分かりやすく、かつ実務との調和が図れるようにということに努力していきたいと思っております。
  14. 入澤肇

    入澤肇君 一つのことを法律にどう表すかということで、全く発想を変えて規定すれば、例えば今のような話であれば、別段預金全額保護対象にするんですよ、しかし別段預金の中でも種類はいろいろとある、それについては預金保険制度の中で保険料率等について違った扱いをしますよと言えばいいだけの話で、こんなに複雑に裏から裏から書くようなことをしなくたっていいんじゃないかと。  そこで、これは本質論一つあると思うんですけれども、実は与党ペイオフ検討プロジェクトチーム等でさんざん議論したところなんですけれども、決済用預金について全額保護措置を設けるということが突然浮上してきたわけですね。それまでは一切そういうことないんだよと言っていたんだけれども、いろんな要求を踏まえて、普通預金の中から決済用預金、別段預金等も含みますけれども、そういう中から決済用預金という新しいジャンルを設けて全額保護措置をすると。そのようなのが入りますと、預金保険制度性格そのものが基本的に変わるんではないかというふうなことが指摘されているわけです。現に私はそう思うんです。  決済用預金制度は、これは郵便貯金と同じようになるわけですね。要するに、未来永劫にわたって全額保護するんであれば、これは保険料率を取ってやるんじゃなくて、その部分政府国家意思として公的資金で面倒見るべきであって、保険料率を積み立てて面倒見る話じゃないんじゃないか。少なくとも、決済用預金全額保護制度を設けることによって預金保険制度性格が変わるという考え方に対してどのような認識を持っているか、お聞きしたい。
  15. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 入澤委員の御指摘は、預保の性格がこれによって基本的に変わるのではないかと、恐らく、それに関連して、そもそもこういうことをすると保険になじむのかという、その二点の御指摘ではないかと思います。  まず、預保の制度でありますけれども、申すまでもありませんけれども、その財源金融機関から徴収する保険料に求めて、その保険料水準預金保険機構財政が長期的に均衡するように定められると、これが原則になっております。信用秩序維持に、したがって重大な支障が生ずるような場合に限って時限的かつ例外的に公的負担を求める、そういう仕組みになっていると。  そもそも預保が果たしてきた役割、そもそも論になるわけでありますけれども、これまで預金保険制度少額預金者保護を目的とするものであると同時に、もう一つ決済用資金一定水準まで保護することを通じて決済機能安定確保にもそれなりの役割を果たしてきたという点があるのだと思います。そうした点を踏まえながら、更に決済機能安定確保のために必要な措置を講ずるというのが今回の措置でありまして、したがいまして預金保険制度性格役割に基本的な変更を生ずるものではないというふうに我々は考えるわけでございます。  もう一つ、二番目のそもそも保険になじむのかという御指摘でありますが、この預金保険制度というのは多数者にリスクを分散するという意味において保険制度を取り入れていると。危険の発生率を、しかし金融機関の破綻というのはなかなか大数の法則が働きにくいということもあって、危険の発生率を算定することが困難という意味で、これはリスク分散という意味では保険ではあるわけですけれども、いわゆる典型的な、いわゆる厳密な意味での保険数理考え方に沿ったものにはなりにくいと、そういう性格のものではあろうかと思います。  その意味で、冒頭に申し上げましたように、保険料財源を求める、その上で、その水準預金保険料財政が長期的に均衡するよう定められることを原則とする、そうした枠組みの中でこれまでもやってきたわけでございますし、今後も、今回の措置の後もこのような考え方の下に運営されるべきであろうかというふうに思っております。
  16. 入澤肇

    入澤肇君 決済用預金だけ別にして、それ以外のペイオフ解禁対象となる預金だけを中心にして預保制度を作り直すという考え方は、じゃ一切ないですね、これからも。
  17. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 先ほども申し上げましたように、今の預保というのは、少額預金者保護であると同時に、決済用資金一定水準まで保護することを通じて決済機能安定確保にも役割を果たすという、そのトータルの役割を担うものであるというふうに認識しておりますので、今想定しているような制度を継続するべきであるというふうに考えております。
  18. 入澤肇

    入澤肇君 そうしますと、いろんな資料に出ているんですけれども、全金融機関の総預金の五〇%近くが、例の定期性預金ペイオフ解禁対象になっちゃったものですから、流動性預金にシフトしたと。この今ある流動性預金のうち決済性預金にシフトする預金はどのぐらいというふうに見込んでおりますか。このことによって、どのくらいシフトするかによってまた保険料率は変わってきますよね。今のように、私は本当は、未来永劫に凍結するんであれば、それは外に出して公的資金で面倒を見る、郵便貯金と同じような扱いをするということがいいんだと思うんですけれども、それがないとすれば逆に決済性預金については保険料率をうんと高くしなくちゃいかぬですね。  まず、流動性預金のうちどのくらいが決済性預金にシフトすると考えているか、それからその場合の保険料率水準決済性預金についてはどう考えているかについて考え方を聞きたいと思います。
  19. 藤原隆

    政府参考人藤原隆君) お答え申し上げます。  流動性預金のうちの全預金残高の五%に相当する当座預金、これは当然すべて決済用預金に当たることとなると思っておりますが、普通預金のうちどの程度決済用預金にシフトするかにつきましては、預金者の行動が様々な要因で決まるものでございますから、今ここで確たることを申し上げることができないことをお許しいただきたいと思っております。  決済用預金保険料につきましては、預金保険機構運営委員会の議決を経まして、さらに内閣総理大臣及び財務大臣の認可を受けて定められるため、現時点で具体的な水準を申し上げることは困難でございますが、決済用預金全額保護であることを踏まえて、その他の預金に係る保険料率と格差を設けるということが適当であるということは考えております。  また、一般勘定累積欠損金状況、十三年度末で約三兆六百億でございますが、こういう状況金融機関負担に配慮いたしまして、長期的な機構財政の均衡という預金保険法の要請を踏まえましたならば、現行の預金保険料、これ十四年度で約五千億でございますが、と同程度水準は確保できるような料率設定が行われることが基本であると考えております。
  20. 入澤肇

    入澤肇君 じゃ、保険料率が変わってくる、そのレベルについてはまだこれからだということで、一応納得しておきます。  それから、決済性預金の定義なんですけれども、三つありますね。要求払いであること、それから通常必要な決済サービスを提供できること、それから金利を付さないこと。この特に二番目の通常必要な決済サービスを提供できることという条件が入っていることによって、個人とか自営業者中小企業者とで金額が異なってくるのか。要するに、決済性預金を各人が申告して、銀行が認定して、そしてそれに応じて保険料が定まるのか。あるいは、金額が異ならないことによって保険料の代わりに口座維持費として、これはその預金者に転嫁させることになるのか。これについてはいかがでしょうか。
  21. 藤原隆

    政府参考人藤原隆君) 決済性預金につきましては、先生指摘のとおり、法律上三つの要件がございまして、一つ決済サービスを提供できること、それから要求払いであること、それから利息が付されていないということの三点でございます。こういう三点を満たしますものが預金商品であることが要件とされておりまして、預金口座の具体的な用途が何であるかということについては要件とはいたしておりません。  個々の預金商品決済用預金に当たるか否かにつきましては、預金保険法の三十七条に基づきまして、各金融機関預金保険機構に対しまして決済用預金に該当する預金商品の届出を行いまして、機構がその内容を確認することとなっております。なお、預金者にとりましては、当座預金であれば当然に決済用預金に該当するために特段の手続は必要ございません。  それから、普通預金につきましては、利息の付かないもののみが決済用預金に該当するため、金融機関がこのような普通預金商品を提供すれば、預金者は必要に応じてそうした利息の付かない普通預金口座新規開設口座切替えの手続を行うこととなると思います。  ただ、先ほど先生もう一つ指摘がありました口座管理料、これにつきましては、正しく預金者との関係を勘案しながら銀行経営者経営判断として判断していくべきものと思っております。
  22. 入澤肇

    入澤肇君 要するに、個人自営業者中小企業者だとかいうことで金額の区別はないということでよろしいんですね。だけれども、口座維持費は別途変わるかもしれないということですか。
  23. 藤原隆

    政府参考人藤原隆君) これは金融審議会の中でもいろいろと御議論ございまして、決済性預金というのは、やはり決済サービスを提供するということから極めて金利としては低い、あるいは場合によっては口座管理手数料というのも考え得るというような議論もあったところでございますが、ただ、現下の状況にかんがみるとなかなかそういうことは難しいのではないかという意見が多かったわけでございます。ただ、最終的にはこれは経営者判断ではなかろうかということになっております。
  24. 入澤肇

    入澤肇君 私は、そもそも、非常に知恵を絞って決済性預金ということを導入して、そしてペイオフ全面廃止とそれから二年延長の中に一つの目玉を入れたということで、評価はしないわけじゃないんだけれども、そもそもそんな工夫が、特別な工夫を凝らすことがよかったのかという疑問を持っているんです。  この決済性預金制度を導入するに当たって、預金者口座というのは約九億口座あるらしいですね。一人一人に通知するわけでしょう。切手を張って通知すると、一回だけでもう七百二十億ですか、八十円だから。往復でまた掛かりますわね。前回のこの委員会の質問でも出ていましたけれども、コンピューターソフトを変えるのにどのくらい金が掛かるかというのを参考人先生方に質問しましたよね。そういうことのほかにこの決済性預金制度を導入する直接経費として相当な金が掛かりますよね。そのコストはどう見ていますか。
  25. 藤原隆

    政府参考人藤原隆君) 今回の決済用預金当座預金はそのままなわけでございますけれども、金利の付かない普通預金というのを新たに提供する場合、それに伴うシステム変更、あるいは場合によってはその通知というような様々なコストが掛かるわけでございます。これにつきましては、その各業態のやり方あるいは経営方針によって様々ばらつきがあると思っております。  例えば、今御指摘ありました預金者への通知ということ一つ取ってみましても、これにつきましても、新しい預金商品を提供するということと同じでございますので、告知義務はないわけでございますが、私ども各業態からいろいろ聞いておりますと、対応は区々でございまして、すべての預金者に通知するというところから原則としてしないというようなところまで、店頭での表示にとどめるというところもございまして、そういうことを総合的に勘案いたしますと、かなりばらつきがあるものだと思っております。
  26. 入澤肇

    入澤肇君 それはおかしいんじゃないですか。やっぱり決済性預金で、今金利が非常に低いから、ゼロに限りなく近いから問題は起きないかもしれませんけれども、もし金利が高くなってきて、普通預金とそれから決済性預金との間に相当差が出てくるということになったら、どちらを選ぶかというのは各預金者全員に通知しなくちゃいけない。相当なコストが掛かるんですよね。それを各銀行の裁量に任せるというのは行政指導としてはおかしいんじゃないかと思うんですね。どうですか。
  27. 藤原隆

    政府参考人藤原隆君) 先ほども申し上げましたが、新たな預金商品の提供と同じことでございますので、そこの辺につきましては私どもが強制的にこうせよと言うことはできないわけでございますが、この法律が成立いたしました暁には、政府といたしましても十分な広報を心掛けていきたいというふうに思っております。
  28. 入澤肇

    入澤肇君 是非きちんとした行政指導をやっていただきたいと思うんです。  これはまあ念のためなんですけれども、こんなに複雑な制度を導入する前に、いっそのこと定期性預金も入れて全預金を二年間のペイオフ解禁を延長するというような選択は取れなかったんだろうか。いかがでしょうか。
  29. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) お答えをさせていただきたいと思います。  定期性預金全額保護措置については、本年の四月に終了して以来、預金者による金融機関の選別とそれを意識した金融機関の経営基盤の強化に向けた努力が進んでいるところであります。全額保護に戻すことは、金融機関の緊張感ある経営姿勢を確立するという流れに逆行するものになるんではないかというふうに思っております。  また、本年三月までのすべての預金全額保護措置の際は、ペイオフコストを超える部分保護財源は特別保険料収入に加え国民負担にもよっているところでございますので、こうした負担を再び求めることがいいのかどうかという問題が出てくるわけであります。  以上のことから、定期性預金も含めた全預金全額保護措置を取らなかったものでございます。
  30. 入澤肇

    入澤肇君 次に、先ごろ発表されました金融工程表の中で二、三問題があると思いますので、御質問申し上げたいと思います。  早期是正措置の厳格化というので、従来の三年を一年に短縮したと。これは、短縮されて実際に作業をする金融機関の側にとってみると非常に厳しいんじゃないかなというような感じがするんです。なぜかというと、早期是正措置というのは、不良債権の償却だけでなくて、公的資金を入れないと頑張っている金融機関にとっては、増資をもって対応しようというところがあるわけですね。現に今、一部の金融機関では増資で対応するというふうなことを言っていますね。しかし、増資というのは、増資にはいろんな実務的な手続が必要ですから、非常に時間が掛かるわけですね。一年以内を強行するとなると、私は、極端な資産の圧縮が進んで、実体経済に極端な信用収縮が発生するんじゃないかということを恐れるわけです。  なぜ三年というのを一年に短縮してやるのか。何か追い立てるように追い立てるようにやっているんですね。しかも、金融工程表のあの一連の説明を見ますと、絞って絞って絞り抜くというような感じがするんですよね。非常に実務者、実際の適用を受ける金融機関にとっては私は厳しいんじゃないかと思うんです。この三年を一年に短縮するというのは、行政上の、あるいは政府の意思として、もう一回三年に戻すというふうなことは考えられないでしょうか。
  31. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) 先生指摘のように、今回、公表させていただきました作業工程表において、「早期是正措置に係る命令を受けた金融機関の自己資本比率改善までの期間を三年から一年へ短縮等。」とすることとし、事務ガイドラインを年内に改正することとしたところであり、作業工程表に従い年内に着実に実施をしていきたいと私どもは考えております。  お尋ねの点でございますが、やはり早期是正措置に係る命令を受けた金融機関は、その預金者等の信認を早期に回復する、そして維持をしていく、そういう観点が非常に重要であり求められているところでございますので、今回の金融機関の自己資本比率改善までの期間の短縮は、私どもとしては必要なものであり、また事実上も適切なものではないかというふうに考えております。  現行の事務ガイドラインにおいても、事務ガイドラインに定められた自己資本比率の改善期間は目途でありまして、その中にも大幅に縮減する必要がある旨規定されているところでございますので、そうした考え方からこうした形を取らさせていただきたいというふうに考えております。
  32. 入澤肇

    入澤肇君 生きて健全な経営をやっていこうという金融機関が、公的資金は要らないよ、増資でもって対応するよ、しかし増資には時間が掛かるよと。仮に一年をちょっと超えてもそれは容認するというふうに理解してよろしゅうございますか。
  33. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) 今、検討中でございますので、その中でしっかり検討を進めていきたいというふうに思っております。
  34. 入澤肇

    入澤肇君 ほかにたくさんありますけれども、時間が来ましたので終わります。
  35. 大塚耕平

    大塚耕平君 民主党・新緑風会の大塚でございます。  今日は法律について質問をさせていただきたいと思いますが、衆議院での議事録等々は拝読しておりますので、なるべく重複のないように質問をさせていただきたいと思います。  まず、先に金融機関組織再編特措法の方からお伺いしたいんですけれども、これは手続簡素化とか資本増強等の特例措置を講じるということなわけですが、こういう法律が必要になったということは、今まで何が問題だったということなんでしょうか。まずそこからお伺いしたいんですけれども、答弁者はどなたでも結構です。
  36. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 日本の金融システムが抱えている解決を要する問題というのはある意味で多方面にわたっているのだと思います。しかし、その根底にあるのは、個々の金融機関の経営基盤の問題、やはり経営基盤を強化する必要があるというのがいろんな問題を考える上での重要な出発点なのではないかというふうに思っているわけでございます。  しからば、経営基盤を強化するためにはどうしたらいいか、これは難しい問題だと思います。幾つかのことを重ねてやらなければいけない問題だと思います。しかしながら、その中で組織の再編成というのは、やはりまず高い優先順位といいますか、プライオリティーを持って考えられるべき政策であるというふうに思います。現実にアンケート調査等々によってそういうことを希望している金融機関がある、しかしそれに対して障壁を感じている、やりたいんだけれどもできないと思っている幾つかの障壁があると。  そういう意味での経営基盤の強化という目的と、そういうニーズがあるという実態と、それを阻む障壁があるという現実、そうした中で我々は金融機関組織再編の特措法のような枠組みを準備しようというふうに考えたわけでございます。
  37. 大塚耕平

    大塚耕平君 こういう金融環境ですからニーズがあるというのは分かるんですけれども、今、大臣がおっしゃったように、障壁を感じているというお答えだったわけですが、アンケートの結果ということであったんですが、具体的にどういう点が障壁だというふうに金融機関側は言っているんでしょうか。
  38. 藤原隆

    政府参考人藤原隆君) 今、先生指摘のように、私ども昨年から各業態に、仮に合併を希望したときにどういうことがネックになっておるのか、どういうことを希望するかということを、財務局を通じたりいろんなところを通じまして照会いたしました。  その結果上がってきましたのが、全部ではありませんが、今回御提案させていただいております手続の、例のあの事業譲渡の際の登録免許税の話とか、これは法律には入っていませんが、そういう話とか、公告の話、催告の話、こういうもの、あるいは、合併に際しまして、ここで合併した際に、例えば信用金庫とか信用組合なんかですね、もう脱退したいといったときに、出資の控除の問題、出資をほかの人になかなか譲り渡すわけにいかない、そこを何とか個別にできないかというような話とか、様々な今回出ている話はすべてそういうアンケート、ヒアリング、そういうことから、アンケートといいますかヒアリングなんですけれども、そういうことからすべて出てきたことでございます。
  39. 大塚耕平

    大塚耕平君 そのアンケートとかヒアリングというのは何か公開されているんですか、結果は。
  40. 藤原隆

    政府参考人藤原隆君) これは、私どもが全国の財務局を通じましてお願いしました、あるいは私ども直接やったわけでございますが、それは別に、記録とか内部のメモみたいなのはあるかもしれませんけれども、そこは残っておりません。残っておりませんというか、公開しておりません。
  41. 大塚耕平

    大塚耕平君 最近の行政の流れとして、もしそういうプロセスで今回のこの法律が出てきたんであるとすれば、いろいろアンケートを取った結果、登録免許税が高いと言っておられるとか、あるいは協同組織に対するおっしゃるように出資権の移転が難しいとか、そういう声があった、だからこういう点を見直すというような、何か途中のプロセスがあってもよさそうな気がするんですけれども、金融庁さんも最近随分パブリックコメントとかいろんなことをやっておられるわけですから。  これ、いつごろからこのヒアリングとかアンケートされたんですか。
  42. 藤原隆

    政府参考人藤原隆君) これを実施いたしましたのは本年の春でございます。
  43. 大塚耕平

    大塚耕平君 本年の春ということは、まだ柳澤大臣がおられたころで、柳澤大臣金融機関は大丈夫だとずっと言っておられたわけですが、なぜそんなアンケートやヒアリングをする必要があったんですか。
  44. 藤原隆

    政府参考人藤原隆君) 金融機関が健全であることは委員指摘のとおりでございますが、ただ、中長期的に見ましてだんだん、現下の経済状況から見まして必ずしも中長期的に今の状態を維持できるかということに対してはかなり不安を持っている金融機関もあると。これはまたヒアリングから聞いた話でございますけれども、我々もそう思っております。したがいまして、そういう状況の下で金融機関財務体質を中長期的に強化していくということは、金融機関の側にとっても必要だと思いますし、我々としてもそういうことが望ましいというふうに考えております。
  45. 大塚耕平

    大塚耕平君 今のこの一連の質問は通告はしていないわけですが、別にいじめているわけではなくて、素朴な疑問として聞かせていただいているんですが。  もし春先からそういう調査なりをしていたというならば、その結果出てきたのが登録免許税だ、出資権の移転だとかというんであるならば、例えば、先ほど入澤委員が御質問になられたように、個別のいろんな法律がある中で、例えば登録免許税を下げるとか、そういう幾つか出てきたニーズに対する局地的な対応で十分できたんではないか。今、局長幾つか例示された障壁だけであれば、何かもうこんな大きな法律を作る必要は全然ないような気がするんですが。  柳澤大臣が大丈夫だと言っておられた金融環境並びに、そことの矛盾はあるけれども、しかし、春先からいろいろ調査をされた結果出てきた局地的な再編に絡む障壁、しかし、さらに結果として出てきたこの大きな法律との間には随分大きな断絶を感じざるを得ないんですけれども、どういう意図で今回のこの再編特措法を提案されたのか、もう一度お伺いできますか。
  46. 藤原隆

    政府参考人藤原隆君) 金融機関の中長期的な財務の健全性を図るということは先ほど述べたとおりでございますが、もう少し具体的にこの経緯を申し上げますと、本年の四月の十二日に「より強固な金融システムの構築に向けた施策」というのを金融庁として発表させていただいております。  その中で、金融機関合併促進というところも一つ項目がございまして、「今後の我が国金融システムをより強固なものとするため、その担い手である金融機関について、収益性の改善等により経営基盤を一層強化するとともに中小企業金融円滑化を図るため、主として地域金融機関念頭において、合併促進を中心とした施策を早急に検討する。」というのが発表されたわけでございます。  それから、六月の二十五日でございますが、これは、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇二」、この中でも、金融機関の競争力・収益力の向上等を促す観点から地域金融機関合併促進等を図るとともに、本年四月のペイオフ解禁を踏まえ、引き続き、適切な監督等を行うことを通じ、預金者に信頼される金融システムの安定の確保に万全を期すということでございまして、こういうことを踏まえまして、七月十日に金融庁といたしまして、「地域金融機関を中心とした合併等促進する施策について」というのを公表させていただいております。それから、八月二十九日にはそれより具体化いたしました金融機関等合併促進策についてというのを公表させていただいております。こういう経緯をたどっております。
  47. 大塚耕平

    大塚耕平君 分かりました。そういう経緯であったということなんですが、今、局長の御答弁の中に中小企業金融円滑化とか地域金融がいかにあるべきかということを念頭に置いてというくだりが何か所かございましたけれども、そこでお伺いしたいんですが、金融機関がこうやって再編されていくと、当然数が減っていくわけでありますが、これは金融庁と、それから今日は農水省、総務省にもおいでいただいていますので、それぞれにお伺いしたいんですが、五年後、十年後に日本の金融産業を今政府はどういうふうにしたいとお考えなのか。  特にそれは金融機関の数、店舗数について、ちょっとお伺いをしたいんですが、例えば人口比、一店舗当たり単純平均で取りあえず結構なんですけれども、一店舗当たり何人ぐらいの単位に金融機関の店舗があるといいのか、あるいは人口何人に対して一店舗と言ってもいいかもしれませんが、それぞれ所管の範囲で、日本は今どうであって、海外と比べて多いのか少ないのかというような観点でもし何か参考になる数字があれば、金融機関についてと、それから農協、信用事業をやっている農協の店舗についてと、それから郵便局について、それぞれ数字を教えていただけますか。
  48. 五味廣文

    政府参考人五味廣文君) お尋ねの数字についてのお答えを申し上げます。  平成十四年三月末で申し上げますと、全国の銀行、この機関数は百三十三、信用金庫が三百四十三、信用組合が二百四となっております。この数字は、既に破綻が公表されておってまだ破綻処理が終了していないというような金融機関ございますけれども、これは除いた数字でございます。  対応する店舗数でございますが、銀行は全国で一万四千八百四十四、信用金庫が八千三百一、信用組合が千九百三十一。一店舗当たりの人口でございますが、銀行の一店舗当たりは八千六百人、同じく信用金庫一万五千三百人、同じく信用組合六万五千九百人、少し丸めてありますが、こういう数字です。  なお、御参考にこれ業態別でなくて金融機関合計でいいますと、合計六百八十の金融機関、店舗数が二万五千七十六、一店舗当たりの人口が約五千百人ということです。  諸外国との比較ですが、店舗数のデータが取れるのがアメリカだけなものですから、これで御紹介をいたしますと、先ほど申しましたように、金融機関数、日本が六百八十に対してアメリカは九千六百十三、店舗数は先ほどの日本が二万五千七十六に対しまして米国が七万七千四百五十二ということになります。一店舗当たりの人口数は、日本が約五千百人、米国が約三千六百人ということになっております。米国と日本では国土の広さも人口密度、随分違いますので単純比較はできないと思いますが、数字だけで申しますとこういうようなことになっております。
  49. 林建之

    政府参考人(林建之君) お答えいたします。  信用事業を行っております農協の店舗数でございますけれども、平成十三年度末の数字で申し上げますと、信用事業を行っております農協数は千百八十一ございます。店舗数で申しますと一万三千八百三十六でございます。一店舗当たりの人口数でございますが、一応その店舗数で、日本の人口を店舗数で割った数字ということで申し上げますと、一店舗当たりおおむね九千人程度ということに数字上なります。  なお、外国の例との比較でございます。十分な資料がなくて恐縮でございますけれども、フランスとドイツについて若干の資料がございましたので、その数字を申し上げます。  二〇〇〇年末の数字でございますが、フランスの系統組織、クレディアグリコールと申しますけれども、組織の数が四十八ございまして、店舗数が七千七百二十七ございます。一店舗当たりの人口数は八千人程度と承知しております。それからドイツの系統組織、これは協同組合銀行グループというふうに申しておりますけれども、千七百九十四が組織の数でございます。店舗数で一万九千三百六十五ございまして、一店舗当たりの人口数は四千人程度ということで、日本の農協の方が一店舗当たりの人口数は若干多くなっておるところでございます。  以上でございます。
  50. 有冨寛一郎

    政府参考人有冨寛一郎君) 郵便局数の関係でございます。平成十四年の三月末現在で、簡易局を含めての郵便局数でございますが、二万四千七百七十三局になっております。そのうち郵便貯金を取り扱っておる郵便局数は二万四千百七十六でございますので、単純に計算しますと一局当たりの人口およそ五千三百ということになります。  それから、諸外国の状況でございますが、同じように郵便貯金を取り扱っておる郵便局、この数についてイギリス、フランス、ドイツ、イタリアについて見ました。イギリスは二〇〇一年三月末の数字でございますが、郵便局数が一万八千四百で、一局当たり三千二百人程度、それからフランスは二〇〇〇年末の数字でございますが、一万七千百局で、およそ三千四百人程度、ドイツがこれも二〇〇〇年末でございますが、一万三千五百で、一局当たり約六千百人程度、イタリアは一万三千八百局で、約四千二百人程度ということでございますので、イギリス、フランス、イタリアに比べれば日本の方が人数が多い、逆に言いますと、ヨーロッパの方が若干きめが細かいというようなことかと思います。
  51. 大塚耕平

    大塚耕平君 ありがとうございます。  今お伺いした限りでは、金融庁さんは諸外国との比較では米国を挙げられ、農水省さんと総務省さんはヨーロッパを挙げられたわけでありますが、やはりこれからの金融業界、金融産業をどうしていくかという議論を今しているわけですから、もちろん固定的に幾つということは言えないですけれども、大体、日本は、農協や郵便局も含めて、住民に対して、国民に対してどのぐらいの金融インフラを提供していけばいいのかという、そういう何か全体的な議論があってしかるべきではないか。これは、郵貯の民営化の問題とか、果たして農協に信用事業が必要かとか、そういういろんな問題に波及しますので、もちろん金融庁さんの所管だけではないわけですけれども、そういう横断的な議論がされていないところに何か大変、また余り先行きに明るい展望を感じられないんですね、私は。  だから、是非、これは政府金融機関も入ってくるかもしれませんが、一体、日本として五年後ぐらいにどういう金融産業の構造を作ろうとしているのかということをきちっと整理していただくためにも、一度、金融庁さん、それから農水省さん、総務省さんには、どういうデータで比較するのがいいかということも含めて御検討いただいて、当委員会に諸外国との比較をした資料を御提出いただきたいなと。とりわけ霞が関の皆さんは、何か事あるごとにこれまで諸外国ではと言ってそれを根拠にやってこられたわけですが、今回の日本の金融構造を大きく変えるという大作業をするに当たっては、意外にそういうことがきちっと行われていないという気がいたしますので、海外における、郵政事業における信用事業、あるいは農協的な組織における信用事業の分析も含めてきちっとした資料を御提出いただくことをお願いしたいと思いますが、委員長、よろしくお取り計らいください。
  52. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 聞かなくてもいいですか。  では、後刻、理事会で諮らせていただきます。
  53. 大塚耕平

    大塚耕平君 あと、金融機関組織再編特措法に関して若干技術的に気になる点をお伺いしたいんですが、根抵当権の譲渡に係る特例として、異議ある根抵当権設定者が異議を申し述べる旨を公告又は催告することができるというふうに書いてありますが、これはどのようなケースを具体的に想定しておられるんでしょうか。
  54. 藤原隆

    政府参考人藤原隆君) お答え申し上げます。  金融機関が営業譲渡を行う場合には貸出し債権が移転されるわけでございますが、これを担保する根抵当権につきましては、当該債権の元本確定前においては債権とともに当然に移転するわけではございません。債権の譲渡とは別に根抵当権設定者の承諾を得て根抵当権の譲渡をすることが必要でございます。金融機関が有します債権及び根抵当権が膨大な数に上ることからいたしますと、こういった手続に多大なコストを要することになりまして、合併等組織再編を行う際の一つの障壁になり得るというふうに承知いたしております。  この点を踏まえまして、本法による経営基盤強化計画の認定を受けて組織再編成を行う金融機関等につきましては、個別の承諾取付けに代えまして公告又は催告を行いまして、これに対して根抵当権設定者の異議がなければ、根抵当権の譲渡について根抵当権設定者の承諾があったものとみなす、こういう特例措置を認めることとしたものでございます。
  55. 大塚耕平

    大塚耕平君 総務省さんと農水省さん、もう結構でございますので。  今の局長のお話は枠組みとしては分かるんですけれども、具体的にちょっとお伺いしたいんですけれども、例えば、ある貸出し担保に金融機関五行が根抵当権を設定していて、抵当順位がありますわね、一番目と三番目のところが合併をしましたと、仮に合併をしましたと。ところが、地価の下落等があって抵当順位の二番目までしか実際はカバーされていないというときに、一番目と三番目が合併したときに、この三番目の根抵当権というのは一番目に繰り上がるんですか。
  56. 藤原隆

    政府参考人藤原隆君) この根抵当権の件に関しましては、合併の場合は、合併による債権の移転に応じまして根抵当権が移転する随伴性が民法上認められておりますので、特段の手当てを行う必要はございません。これはあくまでも事業譲渡の場合でございます。
  57. 大塚耕平

    大塚耕平君 済みません、ちょっと頭が悪いのでよく分からないんですが。  特段の手当てを行わないのは分かるんですが、一番目と三番目が合併したときに、二番目のところまでしか今の地価ではカバーできていないときに、合併によって三番目の抵当順位の人の優先順位は一番に上がるんですか。
  58. 藤原隆

    政府参考人藤原隆君) そのようなことはございません。あくまでも別個の問題でございます。
  59. 大塚耕平

    大塚耕平君 そう断言できるなら、これは大変重要な話で、いいですね、それで。これはすごく気になるんですよ。合併しない金融機関側から見たら、よそが、競争相手が合併したら、今までは自分のところは担保でカバーされていると思っていたのが、何か優先順位が変わって持っていかれちゃったらいきなり不良債権になっちゃうわけですよ、その貸出しが。局長が今ここで御答弁されたことに間違いがなければ、これは全国の金融機関の人に対して、もうこれは一つこの委員会で決まったということになりますので、よろしいですか。
  60. 藤原隆

    政府参考人藤原隆君) 突然の御質問であれだったんですが、名義人は同じですが、別の根抵当権だというふうに認識しておりますが、ちょっとなおもう一回精査させていただきたいと思っております。
  61. 大塚耕平

    大塚耕平君 こんな重要な話がこれから精査するというのはちょっと大問題ですね、これは。大問題。これ、金融機関、困っちゃいますよ、これ。これ、明日の新聞にも報道されますよ、きっと。ちゃんと答弁してください。
  62. 藤原隆

    政府参考人藤原隆君) お答え申し上げます。  順位は変わりません。
  63. 大塚耕平

    大塚耕平君 ありがとうございます。  今日はメディアの方もいらっしゃるかもしれませんが、是非これを報道してください。その順位が変わらないということのメッセージが伝わればみんな安心しますけれども、これが、いや順位が変わるかもしれないということになったら、担保順位をもうみんな総ざらいでこれからチェックをし始めて、どういう組合せで合併が起きたら自分たちの担保がパアになるかということを至急精査をしなくてはいけなくなりますので、今の局長の御答弁は非常に重大な御答弁をここでしていただいたということで、感謝申し上げたいと思います。  それでは、金融機関組織再編特措法についてはこのぐらいにさせていただきまして、今度は預金保険法及び金融機関等更生手続特例法の方に移らせていただきますが、そもそも、このペイオフ再延期等に絡んで、平成十六年度には不良債権問題を終結させるというふうに公式の文書にも何度も出ていますし、大臣も答弁をしておられるんですが、この終息させるということの定義を是非お伺いしたいんですが。
  64. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 問題を終結させるという、その問題であります。  これまで不良債権の償却に向けて銀行自身非常に努力をしてきたと思いますし、それに対する法的行政の枠組みも政府は提供をしてきた。にもかかわらず、何か期末ごとに何月危機が来るのではないかというようなことがささやかれ、やはり金融システム全体に対する一種の懸念というのがずっと継続してきたという、そういう経緯があったのだと思います。  ここで言う政策的な観点から見た不良債権問題の終結というのは、正にそういった意味での市場に対する、金融システムに対するそういう不安が起こらないような、信頼できるような状況を作り出すということにその意味では尽きているのだと思います。政策問題としての不良債権問題が終結する。これは決して不良債権そのものがゼロになるという意味では、これはもう言うまでもなくございません。しかし、そういう解決を要する政策的な問題というのがなくなる、その意味では、かねてから申し上げておりますけれども、やはり信頼が回復できるような状況にするというのが基本的に我々が目指すところでございます。  しかし、その議論の過程で、これは委員会においてもいろいろ御指摘をいただきましたけれども、しかし政策である以上何らかのメルクマールが必要なのではないだろうかと。そのメルクマールとしてここで掲げたのが不良債権比率を半減させるという考え方であります。  これについてもいろいろな、決してこれは一つの指標だけで達成できるものではありませんから、あくまでも一つのメルクマールということでございますけれども、これは、これまでの諸外国での経験等々を踏まえて、さらには、日本が今までいろんな問題を経験してきた中で、余り不良債権比率そのものを出した経験というのが、新しいものですからそんなにたくさんのサンプルはありませんですけれども、例えば九八年とか、あのころは六%とか七%とかぐらいであったというようなことも考えますと、やはり四%を目指すというのはそれなりにリーズナブルな目標なのではないかと。半減ということを目指すということをメルクマールにして、不良債権問題の終結を進める一つのめどにしたわけでございます。
  65. 大塚耕平

    大塚耕平君 不良債権比率が四%と、大体四%というふうにおっしゃったわけですね。もちろん、私もその不良債権比率だけで判断できるものではないというのは分かりますので、そこは非常に明確に御定義をいただいたとは思います。  そうすると、じゃ、あとは不良債権をいかにきちっと抽出できるかということに懸かってくるわけですから、それはまさしく今、大臣が熱心にやってくださっていることを進めていただければと思うんですが、そうすると、一つ積み残している問題として、以前のこの委員会でも取り上げた問題なんですが、実は邦銀の海外の支店における貸出し資産の査定というのは自己査定をしたのと海外の現地の金融監督当局が査定をしたものと随分乖離があるというふうに言われているんですけれども、その辺についての御認識をまずお伺いしたいんですが。これは大臣か副大臣にお願いします。
  66. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 邦銀の海外支店、現地当局による検査における引き当て基準はどうかという御質問だと思います。  国際業務を営む金融機関においては、これは基本的には国の中、外、国内外ともに共通の自己査定基準を用いているというふうに承知をしております。このような自己査定に対して海外当局の検査が行われている、その場合に、海外当局の引き当て基準について詳しく我々は承知しているわけではございません。ただ、いずれにしても自己査定そのものは国内外を問わず同一の基準で邦銀は行っているというふうに認識をしております。
  67. 大塚耕平

    大塚耕平君 ただ、大臣が今お進めになっている方向というのは、その自己査定の基準というものが海外から見て日本は自己査定の仕方が甘いんじゃないかというふうに言われないように今一生懸命ルールを見直されておられるわけですね。私はその方向は正しいと思うんですよ。  そういう観点でちょっと見てみますと、例えば延滞三か月未満の貸出し資産というのは、日本の場合、自己査定だと恐らく一%ぐらいの引当金を積めばいいということになっているように思うんですが、アメリカの例えば監督当局なんかですと、三か月未満であってもそれは企業の格付に合わせてかなり高い引き当て率で引当金を積ませるはずなんですが、そこについてのもし御認識なり情報があれば教えていただきたいんですが。
  68. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 委員の今の御指摘は、日本では例えば三か月未満の延滞債権であれば引き当て率は低く済むけれども、アメリカはもっと厳しいのではないのかという御指摘だと思います。  日本の場合でも、元利の支払が遅延していない、あるいは延滞が三か月未満という支払、そういった支払状況だけで債務者区分を決めているということではこれは決してございません。これは、金融検査マニュアルに定められていますように、債務者の財務状況事業の継続性、収益の見通し、キャッシュフロー等々による債務償還能力等、極めてこれは総合的に正に勘案して債務者区分を行うことになっていると。したがって、例えばその債務者が実質債務超過の状態に陥っていて、業況が著しく低調で、合理的な再建計画もなく、融資の回収に重大な懸念があって、今後、経営破綻に陥るような可能性が大きいと認められる場合には、破綻懸念先に区分されることになる。その意味で、単純に、何かその他要注意先とか、そういうふうになっているということではございません。  委員の恐らく問題意識は、いわゆる横ぐしという言葉がありますが、ある債務者に対して国内の銀行でちょっと違った評価をしている場合、横ぐしを通すと、こういうことは金融再生プログラムで我々は考えている。それと同じような考え方が実は、監督当局同士で横ぐしといいますか、そういうことができないだろうかというような御指摘につながっているのかなというふうに拝聴をしております。しかし、これは現実、実務の問題としてはなかなか困難であろうかというふうに思います。  まず、我々が目指すべきは、マーク・ツー・マーケットという言葉がありますけれども、とにかく市場の評価に近づけていく、そういう努力を他国の当局もしているのだと思います。そうすることによって、結果的にそういった大きな開きがなくなるというふうにこれは予想されるわけです。正にマーク・ツー・マーケットでありますから、市場の裁定が国を越えて行われるということになりますと、そういうことが結果としてメカニズムとして働いてくるのではないかと。我々は、その意味で、国内の銀行に対して市場の評価に堪えるようなきちっとした資産査定を求める、それがまず我々がなすべきことではないかというふうに思っております。
  69. 大塚耕平

    大塚耕平君 竹中大臣の話を聞いていると、何となくいつも丸め込まれちゃうんですけれども。  マーク・ツー・マーケットというのはそれはそのとおりなんですけれども、アメリカと何でも一緒になるとは私も思いませんけれども、しかし今やっておられることは、確かに貸出し企業ごとの横ぐしももちろんありますけれども、海外から見てグローバルスタンダード的な金融監督行政、金融機関の資産査定の基準に照らして余り日本がアブノーマルな姿じゃないものを作ろうとしておられるわけですから、監督機関同士の横ぐしも目指しておられるんですよ。  だから、監督機関同士の横ぐしを目指しているわけではないというふうに今のような御答弁をされると、そうすると繰延税金資産の話でも大手銀行の皆さんが言っておられることの方に利が出てきますので、そこは私、ちょっと大臣の御答弁、今のはやや論理矛盾があるなという気がするんですが。  もう一つ、ついでに今の問題に絡めてお伺いしたいんですけれども、これは政府参考人の方でも結構ですが、要注意資産の中に入る企業というのは、例えば日本では貸付けがシングルBクラスの企業でも要注意資産に入るんですよね。それは資産の、まさしく貸出し資産の内容によってはシングルBでも要注意資産になるわけですよね。そこはいかがでしょうか。事実関係をちょっと聞かせていただきたいんですが。
  70. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 先ほど申し上げたことと同じなんですけれども、外部の格付と内部の評価というのはこれは当然に違うわけであります。その内部の査定に当たっては、金融検査マニュアル等々に定められていますように、これは先ほど申し上げましたように、総合的に勘案するということでありますから、そういった意味での委員懸念のような問題は私はないというふうに思っております。  それで、前半御指摘になった横ぐし論、私は決して横ぐしを否定したということではなくて、何か統一の基準を見付けて、お互いの情報、内部情報を交換して、当局同士が、それで査定ないしは、何といいますか、検査当局の査定を統一させるというのは、これは実務的に少し無理があるだろうということを申し上げたわけで、しかしマーク・ツー・マーケットの努力をしていくと結果的にそれは横ぐしになる、当局同士の横ぐしになるはずである、その努力をしていると、そういうことを申し上げたつもりでございます。
  71. 大塚耕平

    大塚耕平君 最後の御答弁が非常に重要で、結果的に監督当局同士も横ぐしになるわけですから、したがって、これは資料請求なんということは言いませんので、金融庁に是非一度レクをしていただきたいんですが、延滞三か月未満の資産についての評価の仕方が今の日本のやり方とアメリカとどのぐらい違うのかということ、それから私の知り得る限りでは、アメリカの場合ですと、ダブルBより下に下がるとそんなに先行きに、業績に問題がなくても、そもそも企業の信用としてグレードが低くなるわけですから引き当て率は相当高くなるはずなんですけれども、日本の場合は、シングルBぐらいであっても要注意資産の中で先行き一定の見通しが持てれば大した引き当て率にならないような査定が行われているように思いますので、今の二点について一度きっちりレクチャーをしていただきたいということをお願い申し上げまして、ここの部分は終わらせていただきます。  それで、そもそも今回の預金保険法改正ですけれども、この法案の目的なんですけれども、これはだから金融機関の行う資金決済が果たす役割の重要性にかんがみて、資金決済の確保を図ると、こういうことをうたっておられるわけですが、この法案の目的というのは、これ金融機関を守ることですか、それとも決済を守ることですか。どちらでしょうか。
  72. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 非常に直接のお答えから言うと、金融機関を守るということではございません。これは、やはり金融システムを守って、結果的にそれによってそこに参加している国民一人一人、預金者、健全な借り手、投資家を守ると、そういうことを目的にしているわけであります。
  73. 大塚耕平

    大塚耕平君 今、健全な借り手というお話が出てきましたが、今回この決済性預金の話のところだけ見ていると、何か一般の個人預金者、公共料金なんかは少ないですから、どちらにしろ一千万の範囲内で収まりますので定期預金でもカバーされるわけですが、そういう方々を中心についついイメージしちゃうんですけれども、これは企業の決済ですよね、一番重要なのは。  企業の決済として、大臣どこかで答弁しておられましたけれども、三百万円の決済が三回か四回か来たらもう一千万円を超えちゃうから、だからこそこういうものが必要だと。私も全くそのとおりだと思うんですけれども、企業の決済というのは、そういう普通預金的なところで行われているものよりは、統計を見たわけではないですが、手形とかの決済が非常にウエートが高いと思うんですけれども、手形の決済について今後の金融情勢の中でどうやって守っていくかということについて何か御定見はございますでしょうか。
  74. 藤原隆

    政府参考人藤原隆君) 手形、小切手等の決済につきましては、今回の決済用預金の中で、当座預金、これが決済用預金の中に当たるということになっておりますので、そちらの方で保護されることになっております。
  75. 大塚耕平

    大塚耕平君 手形の決済資金当座預金に入っていればそうなんですけれども、私がお伺いしたいのは、仕掛かり中の決済を守るということを法律でうたっておられるわけですから、例えばまだ当座預金には移していない、例えば手形の振出し先が自分の預金、定期預金から、あるいは何かほかの銀行内のアセット、自分のアセットから当座預金に移していない状態で金融機関が破綻したとします。そうすると、手形の受取手としてはこれは仕掛かり中の決済なわけですよ。その場合、発行企業が、当座預金資金はまだ置いていないけれども発行企業の定期預金とかにお金はあるというときに、その手形は決済できるんですか。
  76. 藤原隆

    政府参考人藤原隆君) 相手方もその当座預金の中に資金を入れておればそれは保護されるわけでございますが、そうではなくて、定期預金の方に一千万を超えてその資金を置いておいてその直前に当座預金に入れるという形であれば、そこは保護されないことになります。
  77. 大塚耕平

    大塚耕平君 そこのところなんですけれども、だから今回のこの法律というのが、これから金融再編が行われていく、あるいは金融機関が破綻するかもしれないというときに、企業の皆さんが自分たちの決済がどうなるんだということを懸念しておられて、それが結果として、金融機関の経営について風評が立つと、いやもう決済資金がパアになったら大変だといって資金が右往左往するわけですね。  そう考えると、今回の皆さんのお考えになった政策の目的に照らして言えば、例えば破綻前に発行されて流通している仕掛かり中の手形に関しては、その発行企業が破綻した金融機関に定期預金としてある一定の金額を持っていればその弁済の優先順位を上げるとか、そういう何か手当てをされるということも一案ではないかなとは思うんですけれども、そこについてのお考えをお伺いしたいんですけれども。
  78. 藤原隆

    政府参考人藤原隆君) 今回の法案の趣旨は、現金以外に確実な決済手段をセーフティーネットとして最低限提供するということでございまして、やはり決済ということに重きを置く事業をやっておられる方であれば、当座預金とか決済性預金のところに、そこにしかるべき額を入れていただくというようなことを想定してやっておりまして、定期預金の方にずっと積んでおいて、それでまた決済保護ということも兼ねるというのはなかなか両立し難いところがございまして、今回はそういう意味で、決済機能のセーフティーネットを提供するという観点からこういう仕組みを取らせていただいたところでございます。
  79. 大塚耕平

    大塚耕平君 今の枠組みとしてそういう御答弁になるのはよく分かるんです。  ただ、アメリカの連邦預金保険法の千八百二十一条には、例えば破綻した金融機関の清算における資産の優先順位として、管財人の管理費用の次に当該金融機関預金債務ということで、実は預金全額保護する的な、そういう管財人の判断によってそれができるということがあるわけです。  だから、私が申し上げたいのは、本当に決済を守りたいということであるならば、例えば米国における預金優先制度のように、管財人の裁量というか判断の範囲で管財人の管理費用の次には預金債務があって、その次には、例えば仕掛かり中の手形については、その手形金額をカバーできるだけの資産をその発行企業が破綻金融機関の中に有していればそれを優先するとか、そういう措置をされるということが決済を守るための今回の御提案ということであって、何かその辺が穴が空いちゃっていると、やっぱりこれは金融機関を守るためにやっているのかなというふうに思えちゃうんですよね。  だから、いや、御答弁はいいです。だから、急いで作られているのはよく分かるんですけれども、先ほどの根抵当権の話にしても、あれはよくよく考えてみれば、一個一個別の順位だというふうに思えば順位は変わるはずはないわけであって、ただ、そういう重要なポイントとか今の手形をどうするんだとか、何というんですかね、破綻金融機関以外の皆さんに対する配慮がどうも足りない、思いが足りない御提案をされているような気がするんです。  だから、是非もう一回きちっと中身を見ていただいて、これは反対しても、こんなことを言っちゃなんですけれども、反対しても通るわけですから、その後の運用についてきちっともう一度精査をしていただきたいなということをお願いしておきますが、もし何か御答弁があれば。
  80. 藤原隆

    政府参考人藤原隆君) お答え申し上げます。  今、委員のお話のございました米国におきましての預金者の優先権ということについてでございますが、預金債権につきまして優先権を付与するというのも一つのお考えかと思いますが、そうしますと、預金以外の債権が預金債権に対して劣後する結果をもたらすことになるわけでございます。こうした預金以外の債権者がより多くの負担を被る、こういうことを回避するためにリスクプレミアムとして高い金利要求したり、あるいは破綻前の早い時期に回収を確保する等の行動に出る、こういう可能性が指摘されております。このため、御指摘のような預金債権の優先権を付与しているアメリカでも破綻処理に要する費用がかえって増加しているのではないかというような指摘もあるところでございます。  他方、我が国におきまして、こういう優先権を法律上認めるかどうかに関しましては、優先弁済権を付与する債権について、破綻時にその債権の確実な履行が可能となるように保護することに伴う公益、それと、他方、その他の債権が劣後することによってその他の債権者が不利益を被ることに伴う社会的損失、こういうことを総合的に勘案した上で慎重に判断することが必要だと思っております。  現在、ちなみに先取特権としては、我が国で認められておりますのは、労働債権でありますとか国税債権等、相当限られたものに限られておるわけでございます。
  81. 大塚耕平

    大塚耕平君 ありがとうございます。  それで、ペイオフを再延期したり決済性預金を作るということは取りも直さず信用秩序維持ということなわけでありますが、金融機関といった場合に、いわゆる銀行だけではなくて生損保とか証券とかいろいろあるわけなんですが、恐らく、これから景気が回復して金融機関の信用問題がなくなればいいですけれども、もしなくならない場合には生保にかなり大きな影響が及ぶと思うんですが、銀行と生保の間の資産と負債のブッキングの状況について、もし数字が分かれば教えていただきたいんですが。それと、資料の方、お配りいただけますでしょうか。
  82. 五味廣文

    政府参考人五味廣文君) 大手生命保険会社十社におきまして、先般の平成十四年度上半期報告で銀行からの資本などの拠出、それから銀行への資本などの拠出状況を公表しております。この公表内容を集計したもので御説明をさせていただきます。  十四年九月末、大手生命保険会社十社が銀行から調達している基金及び劣後ローンなど、この額は基金においては八千二百八十億円、劣後ローンなどにおいては一兆百十億円となっております。他方、大手生命保険会社十社が保有をしている銀行株式の額及び銀行に対する劣後ローンの額、これはそれぞれ銀行株式が二兆六千四十六億円、銀行に対する劣後ローンが五兆六千九十三億円。銀行の定義が生命保険会社によって多少違うようでございますが、公表されているものを集計いたしますと、九月末でこうした状況でございます。
  83. 大塚耕平

    大塚耕平君 ありがとうございます。  いずれにしても、大変大きな金額で、金融機関、大手銀行が仮に不測の事態があれば生保さんにも影響が及ぶということかと思うんですが、生保の経営状況判断するためには、そうするとどのような経営指標をこれから見ておけばよろしいでしょうか。これは大臣か副大臣にお願いします。
  84. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) 保険事業が今後とも保険契約者の信頼を確保し我が国の国民経済の中で重要な役割を果たしていくためには、保険会社の財務状況に関するディスクロージャーの充実というのは極めて重要であるというふうに思っております。  こうした観点から、金融庁としては、保険業法に基づき、収益状況、資産、負債の状況、ソルベンシーマージン比率及びその内訳、契約の状況等について保険会社に対してディスクロージャーを求めているところでございます。  さらに、十四年一月二十五日には金融審議会第二部会に行政当局から報告された生命保険をめぐる対応策を受けて、十四年三月期決算により各社のディスクロージャー誌の冒頭で代表的な経営指標等を分かりやすく解説するよう統一を図るなど、保険業界においてディスクロージャー充実の取組がなされているものと承知をいたしております。  私どもとしましては、このようにして開示された各種の経営指標を保険契約者が総合的に活用していただくことを期待をいたしております。
  85. 大塚耕平

    大塚耕平君 おっしゃるように、総合的に活用と、今、副大臣お話しくださったんですが、生保についてはどの経営指標を見たらみんなが共通の認識を持てるかというきちっとした指標がまだないんですよね。  そういう中で、基礎利益というものがこの三月期から公表されるようになったわけですけれども、この基礎利益というものを公表している先は今どのぐらいありますでしょうか。
  86. 五味廣文

    政府参考人五味廣文君) 基礎利益のディスクロージャー、平成十二年度決算時に創設されました。現在、生命保険会社すべての会社、四十二社でございますが、それが公表しております。
  87. 大塚耕平

    大塚耕平君 ありがとうございます。  この基礎利益がちゃんと上がっているうちはいいんですけれども、この基礎利益が少なくなってくると、また保険業法を改正して生保の経営安定のために予定利率引下げをしようというような話も出てくるかもしれないなと思っているんですが、生保の予定利率引下げはあり得ますか。金融環境いかんによってはということですけれども、あり得ると考えてよろしいでしょうか。
  88. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 現状のような超低金利の中でいわゆる生保の逆ざや問題がある、非常に大きな問題であるということは十分に我々も承知をしております。今、金融庁としては生保をめぐる諸問題について最初から項目を絞ることなく幅広く勉強しているというところであります。  お尋ねの予定利率の問題については、まだ我々として何らかの具体的な方向性を決めたというわけではございませんが、今申し上げましたような問題意識の下で幅広く勉強したいというふうに思っておるところです。
  89. 大塚耕平

    大塚耕平君 よく勉強したいということで、是非勉強していただきたいポイントの一つは、本当にこれやることになった場合に憲法上の国民の財産権の侵害になるんではないかという気がするわけですが、これについては憲法解釈として法制局にお伺いをしたいんですが。
  90. 梶田信一郎

    政府参考人梶田信一郎君) 御質問にございました生命保険の予定利率の引下げの問題でございますが、現時点におきましてはどのような法案が具体的に検討されているか、その内容を承知しておりませんので、お尋ねの点につきまして具体的にコメントをすることは差し控えさせていただきたいと思います。
  91. 大塚耕平

    大塚耕平君 じゃ、ちょっと質問の組立てを変えますけれども、仮に生保の予定利率が引き下げられるという事態になった場合に、それは憲法上の財産権にかかわる問題だと思われますか、全くかかわらない問題だと思われますか。
  92. 梶田信一郎

    政府参考人梶田信一郎君) ただいまお答え申し上げましたとおり、予定利率の引下げの問題につきましては具体的に申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として憲法と財産権の内容を変更する法律との関係について申し上げますと、財産権につきましては御承知のとおり憲法二十九条に規定がございます。その第一項では、「財産権は、これを侵してはならない。」というふうに規定されておりますが、その第二項では、「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」というふうに規定されております。  この第二十九条につきましては幾つかの判決が出されておりますが、例えば昭和五十三年七月十二日の最高裁の判決がございます。この判決におきましては、法律でいったん定められた財産権の内容を事後の法律で変更しても、それが公共の福祉に適合するようにされたものである限り、これをもって違憲の立法ということができないというふうにされております。  また、この場合、その財産権の変更が許容されるかどうかという点につきましては、この判決では、いったん定められた法律に基づく財産権の性質、それからその内容を変更する程度、その変更に保護される公益の性質などを総合的に勘案し、その変更が当該財産権に対する合理的な制約として容認されるべきものであるかどうかによって判断すべきものであるというふうにされております。  それで、仮に既存の生命保険契約の予定利率の引下げにつきまして何らかの法案政府が提出することになる場合には、法制局といたしましても、こうした点などを踏まえまして慎重に検討してまいりたいと考えております。
  93. 大塚耕平

    大塚耕平君 ありがとうございます。  非常に明快な御答弁だったと思います。憲法上の規定にあるような公共の福祉に適合するかどうか、そして今、後段でおっしゃったように公益の性質による、守られるべき公益の性質によるということのわけですが、そこで、今お手元にお配りした一枚の紙をごらんいただきたいんですが。  先ほど、生保の基礎利益については全四十二社、私の資料では四十三社になっていますが、公表されているということになっているわけですが、実はこの基礎利益の中には、低金利でロスが出ている利差益と言われるものと、それから実際に営業活動をやるに当たってどのぐらいの経費が掛かったかという経費の見通しと実績の差である費差益というものと、それから特に生命保険ですから予定死亡率と実際に死亡された方、発生の確率によって出る死差益というもの、この三つで構成されているわけなんですが、再三出てくる予定利率の引下げの話はこの逆ざやで、運用利回りが逆ざやで、この利差益がマイナスだからやっていけないから予定利率引き下げさせてくれという話なわけですね。  ただ、やはり信用秩序維持のためには、本当に生保の多くがぐらぐらし始めたらそれはひょっとしたら憲法上の守るべき公益に値するかもしれないので、私は現時点でそれが、予定利率引下げは絶対間違っているというふうに言うつもりはないんですけれども、仮にそういう事態になった場合には、少なくともこの基礎利益の中身である、ほかに費差益とか死差益というもので相当カバーできているではないかという議論をきちっとした上でなければその判断はできないわけでありまして、この利差益の部分だけに引っ掛けて予定利率の引下げの議論をするべきではないと私は思っています。  そういう観点で申し上げると、JA共済とか簡保がこの間初めてこの生保の三利源と言われるものを公表したわけですが、彼らはどちらかというと、利差益はマイナスなんだけれども、この費差益、死差益はこんなにプラスだから、我々の経営は安泰なんですよということを主張したかったわけですね。同様に、大手の生保さんも、これは、そういうことを数字をお示しいただければ、生保の経営はまだこの部分でカバーできるから安泰なんだという国民に対するメッセージにもなりますし、仮に、本当に予定利率引下げという話になった場合に、つまり保険業法改正になった場合には、なる場合と言った方がいいかもしれませんが、当然、それが公共の福祉に適合するかどうか、守るべき公益に値するかどうかを判断する上では、この三利源が全部公表されていなければいけないと思いますので、生保の業界の皆さんの御意見としては、これは車の製造コストのようなものだというふうに時々おっしゃるわけですけれども、しかし費差益というのは、言ってみれば、今の金融業界、銀行業界でいえば経費削減に当たる部分ですし、それから死差益の部分は、言ってみれば信用コストがどのぐらい掛かっているかという概念にも近いわけでありまして、もはや車の製造原価の中身だというふうには言えない事態になってきておりますので、私が御答弁いただきたいことは一つだけですが、保険業法を改正する場合には、その改正の前提条件としてこの三利源を公表するということをお約束いただけますでしょうか。個社別の三利源ですね。
  94. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) 今、様々なことについて勉強させていただいている段階でございますので、更に私どもとしては検討を深めていきたいというふうに考えておりますが、今御指摘のその三利源の問題でありますが、これはやっぱり各社の競争戦略にもかかわる内部管理指標であるということがございます。そういう意味から各社は公表しておりませんので、当局としては、この公表については現在大変慎重な考え方を持っております。
  95. 大塚耕平

    大塚耕平君 現時点での御答弁はそれでいいと思います。  だから、私が申し上げたいのは、仮に、そんなことは私は望んでいないですけれども、万が一、予定利率の引下げという議論になってきた場合には、そのための保険業法改正議論する前提条件としてこの三利源を個社別に公表するというのは、今、銀行業界が様々な経営データを公表していることと全く同じでございますので、そういう事態になった場合にはそうするということをお約束いただけるかどうかということを聞いているわけです。
  96. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) 今、ある前提の下に明言をするということは、私どもの立場では今できないところでございまして、先ほど大臣がお話をさせていただいたように、幅広く、ある前提を設けずに今検討をさせていただいているところでございますので、その点について御理解をいただきたいと思います。
  97. 大塚耕平

    大塚耕平君 御理解はできませんが、今後引き続き議論をさせていただきたいと思います。  時間もあと少しになってきましたので、最後に、また日銀の話に移らせていただきたいんですが、今日は日銀には来ていただいておりませんが、速水総裁が来るとすぐ私、部下モードになってしまいますので、今日は総裁抜きで、監督官庁である財務省にお伺いをしたいんですが、いよいよ日銀の株買取りが二十九日から始まったわけですけれども、日銀は、買い取った金額について営業毎旬報告という、旬ごとの営業報告の中で金額は公表するというふうに言っておりますけれども、私はこれ、どういう銘柄をやはり取得したのかということについて、少なくとも年度末には公表していただく必要があるんではないかと思っておるんですが、これについて監督官庁である財務省の御意見をお伺いしたいんですが。
  98. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) お答えいたします。  日銀の株式買取りスキームにおきまして、ディスクロージャーを図りまして、透明性を持って実施されるということは非常に重要なことだと考えておりますが、一方、株式の買取りという事柄の性格上、個別銘柄の価格形成又は対象企業へ対する影響等、ディスクロージャーに伴うデメリットも十分考慮されるべきものであると考えております。  このような観点から、日銀は買入れ銘柄の公表は行わないということにしておりますけれども、先ほど先生指摘のような、十日に一回発表いたします営業毎旬報告において保有株式総額及び買入れ累計額を公表する、また、半期決算ごとに発表いたします財務諸表におきまして含み損の状況を公表する、また、年一回発表いたします業務概況書において株式買入れ業務の概況を発表するということにしたと承知しておるわけでございます。  いずれにいたしましても、財務省といたしましては、株式買入れスキームが適切に運営されるように見守ってまいりたいと考えております。
  99. 大塚耕平

    大塚耕平君 今までの御答弁の域を出ていないわけですが、一昨日メガバンクの皆さんにおいでいただいたときに、同僚の櫻井議員の方から、仮に日銀に株を売った場合、その株の発行企業に対する貸出しをその後金融機関が回収するようなことがあり得るのかという質問をしましたところ、みずほの前田社長はそのようなことをするつもりは全くございませんと、それから、東京三菱の三木さんもそのような考えは全くございませんとお答えになられて、寺西さんはお答えしますと冒頭おっしゃりながら一切中身はお答えにならなかったと。そして、西川さんははっきりと、株式を売却するということと融資ということは全く切り離して考えるべきものでございまして、これを混同するということはございませんと。ということは、これはあり得るということをおっしゃったということだと私は理解しています。  寺澤さんにお伺いしたいんですけれども、仮にある銀行が、ここの企業はもう財務指標を見る限り先々ちょっと難しいと判断していて、それで日銀にその株を売却したとします。その後、しかるべき後に、すぐやると余りにも露骨なので、一年後とか二年後に、そこから言ってみれば融資を徐々に引き揚げていって、もう支援体制を緩めていくというような事態も私は想定できると思うんですけれども、そういうことに対するチェックというのは、これは、日銀が株を買うことに関しては財務省、そして金融機関がそういう行動を取ることに関しては金融庁、それぞれやはりきちっとモニターするべきだと思われませんか。
  100. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) 突然の御質問でお答えする自信がありませんが、今回の株式買取りスキームにおきましては、日銀が個別企業に対する影響力を行使しないように信託を通じて業務を行っております。したがって、信託がそういった取引について個別株式の管理者として物を見ていくのではないかなというふうに私は今思っております。
  101. 大塚耕平

    大塚耕平君 竹中大臣、どうですか。
  102. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今の寺澤局長の答弁のとおりであろうと思います。  これは基本的には、今回、信用秩序維持のためにこういう措置を取ったということと、それと銀行銀行で常に様々な情報に基づいて融資の判断を行っていくわけでございますから、それを直接結び付けるということにはならないのだと思います。基本的には今の局長の答弁のとおりだと思っております。
  103. 大塚耕平

    大塚耕平君 日銀は年度末に決算をするわけですが、そうすると、個別の銘柄を公表しないということは、個別の銘柄ごとの含み損をきちっと処理したかどうかというのはだれが確認するんですか。
  104. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) お答えいたします。  先ほど御答弁いたしましたように、半期決算ごとに発表いたします財務諸表におきまして含み損の状況を公表するということにしているところでございます。
  105. 大塚耕平

    大塚耕平君 いや、私がお伺いしているのは、含み損のグロスの金額が分かっても、個別の銘柄が分からなければ、きちっとそれが処理されているかどうか、だれがそれを管理するんですかということを聞いているんです。財務省としては銘柄を報告させる気はあるんですよね、外に公表するかどうかは別にして。
  106. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) 買い取った株式の管理は信託銀行が行うわけでございますが、日銀におきましては、恐らく監事がそれをきちっと監督をするということになると存じます。
  107. 大塚耕平

    大塚耕平君 堂々巡りですから、問題点を整理して申し上げさせていただきますけれども。  まず、これは、信託銀行の現場の皆さんは、業務管理部門というのはこれ銘柄知っちゃうわけですね、仕事柄。それから、日銀の現場の方々も知ってしまうと。それから、一番問題なのは、発行企業側は分かるわけですよ、日銀が株主になったなというのが分かるわけですよね。そうすると、知らないのは、日銀の経営陣は、私たちは銘柄見ないことにしていますから知りませんという構図になっているわけですけれども、その一部の方々にしてみたら、日銀に株がかなり長い期間ホールドされると思えば、市場への株の供給量が減るという、そういうインサイダー情報にもなりますし、どのぐらいの量が売られるかによるので、そんなに価格に影響を与えるとは思いませんけれども、私は、むしろ銘柄を公開することによって、そういうことに関して、何といいますか、牽制効果が働くとも思いますし、それから、きちっと決算のときに含み損が処理されているかどうかということについてのチェックも働くと。  更に申し上げると、こういうふうに申し上げると、金融庁の方は、それは株式取得機構の銘柄も公開しろということになるから嫌だなと思われるかもしれませんが、株式取得機構の場合は、最後の機構の損益は金融機関がある程度かぶりますから、例えば、先ほど申し上げましたように、発行企業の融資を回収してもしその発行企業がつぶれちゃったりしても、その結果の損益というのは機構を通じてある程度自分たちがかぶりますから、自己責任なんですよ。  ところが、日銀に売った株というのは、売りっ放しで、仮にその発行企業がつぶれても一切痛くもかゆくもないですし、この間の日銀の理事の答弁にありますように、買取りのときの基準であるトリプルBよりランクが下に下がってもずっと持ち続けると言っているわけですから、やはり私は、これは、機構の銘柄は公開しなくても日銀の持った銘柄は公開させるべきだという、組織の性質上の違いがあると思いますが。  もう一度、銘柄を監督当局として、公開するかどうかは別問題として、監督当局としては銘柄を報告させるおつもりはありますか。
  108. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) 監督当局においてそれを個別にチェックをするということではなくて、日銀の監事がきちっとチェックをするというシステムの中で適正に行われる必要があると考えております。
  109. 大塚耕平

    大塚耕平君 今、緊急事態、異常事態なわけですから、しからば日銀の監事は日銀のプロパーではない人たちを充てるということでよろしいですか。日銀のOBばかりですよ、監事は。いや、いいです。OBじゃない人もいるというふうにおっしゃると思うので、もういいですけれども。  もう最後、時間がないので、私が申し上げたいのは、やはりいろいろ議論がありましたが、機構も議員立法で改正されましたし、日銀の株保有については、ある一定の役割を果たしたというならば、これは正常な姿にどこかの段階で戻すべきではないかと。戻さないならば、少なくともおかしなことが起きないように銘柄ぐらい公表したっていいのではないかということを申し上げているわけです。ここで別に結論が出ると思っていませんから、引き続き通常国会に向けて御議論いただきたいですが。それをやりませんと、私はインフレターゲティングには反対なんですけれども、現時点では。今日は恐らく浜田先生がこの後、鋭い御議論をされると思うんですが。  日銀が株、しかも個別銘柄を取得しましたということになると、もうこれは、例えばREITとかETFを取得することを拒否する理由が相対的にすごく低下してきていますし、それから、インフレターゲティングについて拒否している理由として、過去にやったことのないことはできないと言っていたわけですけれども、もうその論理も崩壊しちゃっていますし、過去にやったことないことを今やっているわけですから。それに加えて、あとは、最後のハードルは個別の土地ぐらいですね。個別の土地を日銀が買うのはいかがなものかということですけれども、でもこれも、日銀が買って国庫にどんどんどんどん、国有地にするということであれば、別に特に問題がないような議論にもなっていくかもしれませんし。  私が申し上げたいのは、どんどんそういうふうにしていくと、この間の議論ですけれども、日銀が財政ファイナンスをするということにどんどんどんどん近づいていってしまって、ただ、この状況下では政府、日銀が一体となって財政運営をしていくということは必要だと思うんですが、その場合に財政ファイナンスを日銀がしても、財政の歳出の部分できちっと正しい使い方がされていればいいんですけれども、その部分にメスが入らない状態で日銀がどんどんどんどん財政ファイナンスをしていくことになると、結果として中央銀行を作り直すような、そういう重大な事態にもなる可能性があるなと。そういう可能性を極小化しておくためには、もうある一定の役割を果たした以上は、なるべくノーマルな姿に戻しておくか、少なくとも銘柄をチェックできるぐらいの体制にしておくべきではないかということを私の意見として申し上げているわけでございますので。  最後に、塩川大臣に、私、何度も何度もこの問題言っていてしつこいなと思われるかもしれませんが、塩川大臣と、できれば竹中大臣の御意見もお伺いして、最後にしたいと思います。この問題についての所感で結構です。
  110. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 日銀が今回株を買い取る行為に出ましたことは、要するに金融機関の言わば信用補完を十分にしたいという趣旨でございますので、決して財政ファイナンス、そういうものと結び付いたものではないということだけは御認識していただきたい。  それから、公開の問題でございますけれども、これは非常に複雑な問題を含んでおると思いますので、私は日銀の判断を尊重したいと思っております。
  111. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 恐らく、日本のみならず中央銀行が世界的なデフレの中でどのような役割を果たしていくかと。従来とは違う役割を担わなければいけないというふうな側面も出てくるだろうし、しかし中央銀行としての正に独立性と健全性をいかに担保するかというぎりぎりの議論がなされ始めているのだというふうに思っております。そうした少し長いスパンの議論を私自身はさせていただきたいと思っております。
  112. 大塚耕平

    大塚耕平君 終わります。
  113. 櫻井充

    ○櫻井充君 この委員会でも随分金融システムが安定しているのかどうかということについて議論してきたんですが、考えてみると、客観的な指標というものを取り上げないで、割と、何というか、漠然と議論をしてきている。ですから、感覚的なものがすごく多かったんじゃないだろうかという気がします。  そこで、金融システムが今、危機的状況ではないけれども、一応は安定とも言えないけれどというような竹中大臣に前に御答弁いただいたんですが、不安定でないとする客観的な評価というのはどのことをもって評価されているんでしょうか。
  114. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 委員の御指摘は恐らく、非常に多様な指標等々でしっかりと客観的に金融システムの現状を把握する必要があるだろうと、それがちゃんとできているのかという御指摘であろうかと思います。  非常に、何といいますか、異常とは言わないまでも、尋常ならざる事態ではないかという御指摘は確かにございます。そういう方々の御意見の中心になっているのは、例えば、ベースマネーが増えているのにマネーサプライが増えない、つまり信用乗数が著しく低下している、これは非常にもはや危機と呼んでもよいのではないだろうかと。これは、民主党の先生方の中にもそういう御意見の方がいらっしゃるということは承知をしております。  しかしながら、危機と言う場合には、やはり、これは言わば未曾有の状況でアンコントローラブルなことが起こっていると。パニックのような状況、アンコントローラブルな状況になっているというのが、これがやはり危機の一つのとらえ方なのだと私は理解をしております。  そういう状況でいうならば、例えば一つの例で言いますと、金融システムにとって最も、ある意味で致命的といいますか、最も深刻な問題というのは、言わば預金の流出等々が起こって、取付け騒ぎ等々が起こって、一種の連鎖的反応、チェーンドリアクションで金融システムが崩壊していくというような状況。これは、今申し上げたのは非常に極端な状況ではありますけれども、預金の流出等々は、株価が下落している中においても幸いにしてそういった流出、顕著な流出は見られていないと。これはやはり私は危機とは言うべきではないという大変大きな根拠になろうかと思っております。  もう一つ言うならば、やはり金融だけが危機で、経済が健全で金融が危機だということは実はあり得ないわけで、金融というのは経済の非常に重要な一部を成しますから、経済全体がどうであるかという点もやはり考慮すべき重要なポイントであろうかと思います。  その点でいいますと、これは実感は違うという御指摘は常に受けるかもしれませんが、今年の第二・四半期が年率で四%の成長、今年の第三・四半期が年率で三%の成長、潜在成長力を上回るような経済の成長が少なくともこの半年間には見られているわけでございまして、そういう点を総合的に勘案しても、やはり金融システムについては解決すべき多くの問題はあるが、しかしやはり危機ではないというような認識を持っているわけであります。
  115. 櫻井充

    ○櫻井充君 ペイオフ解禁する解禁しないというまず前提は、金融システムを安定させる、安定させた上でペイオフ解禁するという話だったんじゃないだろうかと、そう思います。ですから、どういう指標をもってして金融システムが安定したと判断するのかというのは極めて重要なことなんです。  ですから、どの指標をもって金融システムが安定したと大臣は御判断されるんですか。
  116. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) これは先ほど大塚委員からの冒頭の御質問と少し関連している部分があるかというふうに思いますが、基本的にはどの指標でこうだということを申し上げるのは大変難しいというふうに思っております。正にそれは市場の、国民の金融システム全体に対する信頼を回復して、もって解決を要する政策問題、深刻な政策問題がそこにはもうないなというふうに安心してもらえる状況ということなのではないかと思っております。  その一つのメルクマールとして不良債権比率を半減させるということを申し上げておりますが、想定されますのは、そういう状況下では信用乗数もそれなりに回復して、日本銀行の政策を反映する形でマネーサプライが健全に増加して経済全体が安定的に推移している、そういう状況を想定しているわけです。
  117. 櫻井充

    ○櫻井充君 先ほど預金の流出というお話がございました。四月から定期預金ペイオフ解禁されました。その際に相当額、定期預金から預金は流出しているんじゃないですか。そのことを考えてくると、決して安定しているとは思えないんじゃないでしょうか。
  118. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 私はしたがって、安定しているとか健全であるとか、そういうふうにももちろん考えてはおりません。繰り返し申し上げていますように、解決を要する多くの問題があるというふうに思っております。しかし、銀行システム全体から大幅な預金が流出したというふうには必ずしも認識しておりませんし、ポートフォリオの組替えというのは確かにあったわけでございますけれども、特に直近に関してそのような問題は起こっていないというふうに認識をしております。
  119. 櫻井充

    ○櫻井充君 大臣は、目標としているのはそうすると、不良債権比率の話は今されました。その不良債権比率だけが、だけがといいますか、あとはどこを目標にされているんですか。
  120. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) これはまず、金融行政の中でどういう目標を立てるかと。今回、特に主要行を想定しているわけでありますから、主要行に対して、これは不良債権をなくす当事者はあくまで銀行でありますから、当局と銀行でこういう問題意識、メルクマールをシェアしてほしいという意味でこれは不良債権比率というのを掲げているわけでございます。  しかし同時に、政策全体として考えるならば、先ほど申し上げましたように、不良債権の償却が進むことによって結果的に金融システム全体に対して安心感が出て、それがマネーサプライの増加、信用乗数の上昇等々、全体的な形に現われてくる。それをトータルの意味では目標にしているわけでございます。  したがって、政策が目標として掲げている究極的な姿と、それと一つのめど、メルクマールとしての不良債権比率の低下、そのそれぞれの役割分担についてといいますか、位置付けについて御認識を賜りたいと思います。
  121. 櫻井充

    ○櫻井充君 銀行の不良債権の整理というのは、進んでいるんですか、進んでいないんですか。
  122. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 銀行の不良債権の整理と言う場合には、まず不良債権を洗い出す、資産査定をしっかりと強化するというのが出発点になろうかと思います。その上で、再生させるものは再生させる、そうでないものも含めてそのオフバランス化をしっかりと進めていく、そういう手続になると。その過程で、自らの収益力を高めて、自己資本も増強していってもらって、しっかりとした金融仲介機能を果たしてもらいたい。これが全体として求めていることでございます。  今、その意味では、昨年来の特別検査によって不良債権の洗い出しというのはかなりの程度進みつつあるというふうに思っております。今回、それに加えて、資産査定の基準を更に厳格化することによって、そういうものが来年の三月期までには徹底的に洗い出されるということを期待をしております。  オフバランス化等々もその意味では進んでおりまして、今年の三月期から今年の九月期にかけましては、結果的に不良債権比率はわずかでありますが減少したと。八・四%から八・一%になったと、そういう結果が得られております。
  123. 櫻井充

    ○櫻井充君 もう一度端的にお伺いしたいんですが、進んでいるんですか、進んでいないという認識なんですか。
  124. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 進んでいると認識をしております。進んでいるものと認識をしております。更にそれを加速させたいというふうに思っております。
  125. 櫻井充

    ○櫻井充君 塩川大臣にお伺いしたいんですが、十一月二十一日の財政金融委員会の中で、大臣は、金融機関の不良債権の整理は進んでいないと御発言されております。これは閣内不一致ではないですか。
  126. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私は、直接所管事項じゃございませんけれども、進んでいないということは国会の議論でも非常に強く主張されておりますので、私はそうだと思っております。
  127. 櫻井充

    ○櫻井充君 というふうに塩川大臣はおっしゃっています。これは大事なことなんですが、この間は運が悪かったとかいろんな発言がございました。この委員会の中での御発言というのは、省庁を代表してなのか、若しくは国務大臣として内閣を構成される立場で御発言されているものと思います。つまり、ここは主管外であると今塩川大臣がおっしゃるのであれば、これは国務大臣として内閣を構成される方としての御発言だと私は思います。  もう一度、今度は竹中大臣にお伺いしますが、塩川大臣は不良債権の整理は進んでいないとこの委員会で述べられておられます。竹中大臣の御認識はいかがですか。
  128. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 進んでいるかいないかというのは、何を基準にしているかということだと思います。私が申し上げましたのは、不良債権比率が今年の三月期から六月期に低下しているという意味で、三月期に比べたら今日の方がオフバランス化は明らかに進んだと。その意味で進んでいるというふうに申し上げました。  しかしながら、一方で、当初期待していた、例えば我々が一年ぐらい前に期待していた一種のめどというのがあります。それに比べて進捗しているかというふうに聞かれましたら、私も、残念だけれども、やはりもう少し進んでいてほしかったなと。その意味では期待値よりも進んでいないなというふうに、進捗していないというふうに思っております。恐らく、今、塩川大臣がおっしゃったのはそのような意味であろうかというふうに思います。
  129. 櫻井充

    ○櫻井充君 答弁がいい加減過ぎると思います。ここらで休憩にしてください。
  130. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  131. 柳田稔

    委員長柳田稔君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  預金保険法及び金融機関等更生手続特例等に関する法律の一部を改正する法律案及び金融機関等組織再編成の促進に関する特別措置法案審査のため、本日の委員会財務省主計局次長勝栄二郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  133. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 休憩前に引き続き、預金保険法及び金融機関等更生手続特例等に関する法律の一部を改正する法律案及び金融機関等組織再編成の促進に関する特別措置法案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  134. 櫻井充

    ○櫻井充君 不良債権の整理の閣内の統一見解を求めます。
  135. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 不良債権処理につきましては、不良債権残高、不良債権比率が今年の三月期から九月期にかけて若干ではありますが低下するなど進捗が見られつつありますが、今後、更にそれを加速する必要があると考えておりまして、その施策の充実に向けて努力をしたいというふうに思います。
  136. 櫻井充

    ○櫻井充君 進んでいるか進んでいないかという質問です。どちらなんですか。
  137. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今申し上げましたとおり、不良債権残高、比率がわずかでありますが今年の三月から半年間で低下を示し始めたなど、進みつつある状況であると認識をしております。  今後、資産査定の厳格化、ガバナンスの強化、自己資本の充実などを通して更にそれを着実なものとすることによって、平成十六年度にはこの問題の解決を、この問題を終結させるように努力したいと思っております。
  138. 櫻井充

    ○櫻井充君 そうしますと、塩川財務大臣の意見とは違いますね。ですから、閣内での意見を一致させてから御答弁願いたいと思います。これ以上質問できません。
  139. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 竹中大臣と同様であります。
  140. 櫻井充

    ○櫻井充君 そうしますと、塩川財務大臣の十一月二十一日の御発言は撤回されるということですね。
  141. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) どういう答弁であったか私は定かに記憶しておりませんけれども、確かに不良債権の整理はこれからまだ進めなけりゃならぬということを言ったと思っておりますが、それはそのとおりであります。
  142. 櫻井充

    ○櫻井充君 「だって、銀行が、金融機関が合理化をして不良債権整理が進んでいないということは事実じゃないですか。」、こうおっしゃっています。
  143. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 進みつつあるけれども、やっぱり進んではおらないという状況です。
  144. 櫻井充

    ○櫻井充君 進んではいるけれども進んでいないというのはどういうことですか。もう少し具体的に説明いただけますか。
  145. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 徐々に進んでおりますけれども、また次々と新しいものも増えてきておりますので、なかなか完全に解消し切れておらないという状況であるということであります。
  146. 櫻井充

    ○櫻井充君 もう一つ、それでは、竹中大臣、不良債権処理が進んでいないんですね、結局は。進みつつあるけれども十分は進んでいないということですね。そうすると、その原因はどこにあるんですか。
  147. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) もちろん問題は終結しておりません。そのために十六年度までにはということで、それなりに我々にとっては大変厳しい時間的制約でありますが、二年半の時間の中でこの問題を解決したいというふうに思っているわけでございます。  委員お尋ねの、どこに問題があるかということでありますが、これはやはり非常に総合的なことをやっていかなければいけないと思っております。  まず、金融機関には、先ほどから申し上げておりますように、資産査定、ガバナンス、自己資本等々で相応の努力をしていただく必要、相当厳しい努力をしていただく必要があると思っております。同時に、不良債権の新規発生の一つの要因でありますやはりデフレの問題に関しては、これは政府を挙げて総合的な対応策を取ることによってその手当てをしていきたいというふうに思っております。そういった手当てをすることによって問題の解決を図りたい、図れるというふうに思っているわけであります。
  148. 櫻井充

    ○櫻井充君 竹中大臣にお伺いしますが、銀行内の派閥争いが不良債権処理を遅らせている原因の一つですか。
  149. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 個別の金融機関の内情について、私、まだ担当になって新しいものですからそんなに熟知しているわけではございません。経営の合理化に向けて、経営の立て直しに向けて各銀行大変努力をしているというふうに思っていますが、その中では、まだ解決すべき問題もたくさんあるというふうに思っております。  繰り返しますが、個別の事情について特にこの場で申し上げる立場にはございませんが、金融機関、さらに多くの経営改善に向けての努力をしていただきたいと思っております。
  150. 櫻井充

    ○櫻井充君 塩川大臣は明確にそうおっしゃっていますよ、十一月の二十一日に。この発言を閣内の、閣僚の一人である、しかも担当大臣である竹中大臣はどうお考えですか。
  151. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 塩川大臣は私よりも非常に幅広い人脈をお持ちで、いろんな情報をお持ちであるというふうに存じ上げております。いろいろ話を伺って参考にさせていただきたいと思っております。
  152. 櫻井充

    ○櫻井充君 そうすると、竹中大臣は派閥争いも原因の一つだとお考えなんですね。
  153. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) その辺は私にはよく分かりません。いろんな方のお話を伺いたいと思っております。
  154. 櫻井充

    ○櫻井充君 そのことを、いろんな方の意見をお伺いしてという、その後でそうすると結論をいただけるんですね。
  155. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 結論とは何か、それぞれの事情について私がどのように認識するかということは、これは私自身の認識の問題だと思います。それを踏まえてどのような政策を取るべきか、政策を取る必要があるということでございましたら、これはお示しして、この場でもお諮りをしたいと思います。
  156. 櫻井充

    ○櫻井充君 竹中大臣のお立場は、現在の立場はどういう立場にあるんですか。
  157. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 立場でございますか。ちょっと哲学的な問い掛けのようにも思えますが、厳しい立場にあるというふうに思いますが、様々な情報を収集し、それを着実に政策に生かしていきたいと思っております。
  158. 櫻井充

    ○櫻井充君 銀行の不良債権問題は銀行の信頼を得るためには極めて重要な問題だと大臣はおっしゃいました、先ほど。その上で、小泉内閣の一閣僚が、その原因は「銀行内における派閥争いが深刻だから」とこの委員会の場ではっきり言われているわけですよ。その発言に対して、担当大臣としてどうお考えなのかということですよ。
  159. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 閣僚各人、それぞれ様々な問題について様々な御見解、御認識があるというふうに認識をしております。  この場で私が申し上げることは担当の大臣として政策的にどのように考えるかということでございましょうから、そういうことも踏まえていろんな方の御意見はしっかりとお伺いをしたい、その上で必要な政策措置、行政上の措置があるのであるならば、それはまたしっかりと議論をして、この場で提出をして御審議をいただきたいというふうに思います。
  160. 櫻井充

    ○櫻井充君 派閥争いが不良債権処理を進められない原因だとすれば、これは極めて政策的に大事なことじゃないですか。  そして、もう一つ言いますと、合併促進法を今ここの委員会で審議しているわけです。合併によるデメリットかもしれないわけですよね。そうすると、そんな悠長なことは言っていられないんじゃないですか。
  161. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 繰り返しますが、個別の金融機関の経営について私自身詳細に存じ上げません。しかし、もしそのような問題があったとして、じゃ、行政として一体何ができるかと。それは、そのもめているところへ入っていってまあまあまあというふうに言うのが行政の役割なのか。私はこれはやはりガバナンスの問題そのものであろうかと思います。もしも仮にそんなことをしていたら、それはガバナンスが発揮できなくて企業の収益力そのものは著しく弱っていくはずでありますから、そういうことにならないように、コーポレートガバナンスが発揮できるような仕組みを行政としてはしっかり作っていきたい。その上で、やっぱり結果を問うべきときは結果を問わなければいけないというふうに思います。
  162. 櫻井充

    ○櫻井充君 塩川大臣にお伺いしますが、一昨日の参考人質疑の際に、メガバンクの四人の参考人の方々は一様に、派閥争いはしていないと、そうおっしゃっておられましたが、大臣、いかがですか。
  163. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) それは直接首脳者に聞けば、派閥争いはないと言うて、それは当然だと思います。ありますとは言わないと思いますね。
  164. 櫻井充

    ○櫻井充君 それでは、そこの場でお二人の頭取の方は、塩川大臣がそのような発言をされたことに対して、「派閥のために遅れているのではないかという御発言については、これは、そういうことは全くございませんで、適当でないと思います。」と。それからもう一つは、「塩川大臣、何かのお聞き間違いではないかという気がいたします。考えられない御発言だと思います。」と、こうもおっしゃられております。  塩川大臣、どちらからそういう情報を得られたんですか。どこから話をそうやって聞いてきて派閥争いだということをおっしゃっているんですか。
  165. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) それはもう単純な話でございまして、皆さんも御存じだと思うんですね。大きい駅に行きますと、ターミナルの駅前に行きますと同じ銀行二つも三つも同じ支店を並べておるということは、これは合併してもう二年も三年もたつのにまだ整理できないのかなと、これは皆さんお思いになると思うんですが。  そこで、何でだということで聞いてみると、そこの職員らが、いや、なかなか我々もそう思うんですけれども上の方で決めてくれませんのでと、こういうことを言っております。上の方で決めるといったら、何だってやっぱり銀行の系列があってと、系列というか人脈があるんだろうと、そう思いますが、そこらにやっぱり派閥の問題があるんだろうなと、私はそう思って話を聞いておるわけです。
  166. 櫻井充

    ○櫻井充君 それでは、竹中大臣にお願いがございます。金融監督という立場に、今、監督しなければいけない立場にあるわけですから、本当に不良債権処理が進んでいないのが銀行内の派閥争いなのかどうかということを私はきちんと調べるこれは役割があると思っております。その点において、きちんとこのことについて調査していただけるかどうか、このことをお約束いただけるか御答弁いただけますか。
  167. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 我々は、金融に関する検査・監督の仕事というのは、まず本当に不良債権処理が、これは資産査定を行った上できちっと進んでいるかどうかをきちっと見極めることにあると思っております。  今、委員のお尋ねは、進んでいないとならば、その原因として云々ということでありますけれども、我々としてはまず進捗がどのような状況になっていくのかということをしっかりと見定めたいと思います。進捗していないということになりましたら、その場合に、じゃ、原因は何なのかと。これは当然のことながらしっかりと銀行に考えて改善策等々を出していただかなければいけない問題でありますけれども、我々としてはまずその進捗をしっかりと見極めるということが仕事であると思っております。
  168. 櫻井充

    ○櫻井充君 それではもう一点。大きな駅のところに同じ金融機関二つも三つもあると。このことについては大臣としてはどうお考えですか。
  169. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 私の認識では、そういった状況はかなりの程度改善をされてきているというふうに思いますが、しかしまだ完全に解消されていないということも事実なのだと思います。  しかし、そうした点は、正に非効率な店舗分布が残っているということは、これは必ずその収益力等々に反映されてくるはずでございましょうから、そこはまずやはりコーポレートガバナンスを発揮してしっかりとやっていただきたい。その上で、企業の収益力、不良債権の処理等々がどのように進捗しているかということをきっちりと監督をしていきたいと思います。
  170. 櫻井充

    ○櫻井充君 同じ金融機関が大きな駅に二つも三つもあると。この原因は、派閥争いだから二つとか三つ同じ銀行が残っているとお考えですか。
  171. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) これは個別にいろんな事情があるのだと思います。  私もあるところに預金を持っておりましたけれども、そこが急速に店舗統合をしていると。そこの店がなくなって次の店のここに口座に変わりましたというふうに言われて、それからまたしばらくたつと、その店も結局統合されることになりました。そういうふうに非常に店舗の統廃合が急速に進んでいるという事実もございます。  お尋ねは、その原因はどういうところにあろうかということだと思いますが、それは私は、銀行なりに店舗の効率的な配分というのを進めつつあるというふうに思っておりますが、その残った問題については、極めて人的な問題であるのか、ないしはやはりそこに優良な取引先が集中しているのか、これはなかなか一概にはちょっと判断のできない問題である。  いずれにしても、それはガバナンスを発揮していただいて、その上で、収益力、不良債権処理、どのような結果が現れているかということを我々はしっかりと監督していくということだと思っております。
  172. 櫻井充

    ○櫻井充君 もう一点。竹中大臣、総合デフレ対策を出されました。そこの中で、今の日本のデフレというのはリッチなデフレだとお考えですか。
  173. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) デフレ、物価が下落することによってどういうインパクトがそれぞれ家計や企業、政府、経済主体に及んでいるかということについては、それは極めて多面的であるというふうに思います。  例えばですけれども、賃金が固定されているような、賃金の硬直性が非常に高いような業種、少し前までの公務員というのはひょっとしたらそれに近かったかもしれませんけれども、そういう業種にとっては、自分の賃金は余り影響を受けないで物価が下がっていくというのは、実質賃金を高めるという意味で、結果的にリッチな状況を少なくとも短期的には作り出してきたと、間違いなくそういう状況はあったのだと思います。しかし、賃金が非常に柔軟に変動するような業種にとっては、物の値段も下がるかもしれないが賃金も下がる、場合によっては賃金の方がもっと下がる。それは決してリッチな状況ではない。そこはやはり経済主体によって様々な影響が出ているのだと思います。同じことはインフレにも言えます。インフレによっても相対的に、いわゆる相対的なゲインを得る主体とロスを得た主体というのはあったわけであります。  私たちが問題にしているのは、しかし、すべてのものが物価にインデックスされるわけではなくて、どうしてもインデックスされないものがある。それは過去に借りた借金であり、過去に投資した簿価である。これはどんなことが起こってもインデックスされないわけでありますから、そのやはり問題点というのはデフレ下で非常に深刻になりつつあるのではないか。不良債権問題がその典型でございますから。であるからこそ、デフレというのは、これを何とか修正していかなければいけない政策上の問題であるというふうに考えているわけでございます。  リッチかそうじゃないかというのは、その経済主体によって非常に様々な形があり得るというふうに思っております。
  174. 櫻井充

    ○櫻井充君 塩川大臣は、こういう判断に関して、極めて大事なんだというお話をされた上で、リッチなデフレなんだと。財政再建のときの問題、財政構造改革に関して取り上げた際にそうおっしゃっているわけですよ。そうすると、竹中大臣が出されたデフレ対策というのはリッチなデフレに対しての対策なんですね。
  175. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) これは私が言っていることでございまして、竹中さんが言ったんじゃございません。
  176. 櫻井充

    ○櫻井充君 閣内が普通は一致しているはずです。しかも、ここの場で、この委員会の場で発言されているのは、そうするとこれは、リッチなデフレとおっしゃったのは、国務大臣としてですか、それとも財務省のトップとして御発言なされたんですか、塩川大臣
  177. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) これはどない言うたらいいんですかね。ちょうど靖国神社に行くのに、閣僚としてですか、個人ですかというのと同じような問題でございまして、閣僚である塩川正十郎のことであります。
  178. 櫻井充

    ○櫻井充君 そうしますと、閣僚ということは、内閣でそういう認識なんだろうと、そう我々は委員会で答弁されればそう取るのは当然のことなんだと思うんです。ですから……
  179. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) それは違います。閣内の統一意見というものは、さっきおっしゃったように閣内の統一意見として求めるということでおっしゃることであって、私は担当大臣として話をしております。
  180. 櫻井充

    ○櫻井充君 担当大臣としてなんですね。そうすると、財務省の方々は皆そのような認識ですね。
  181. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 人の心は全部割り切れませんけれども、認識としてはデフレであるという認識をしております。それをリッチで見るか、あるいは普通で見るか、あるいはプアで見るかということはいろいろ見方があるだろうけれども、私は、デフレの上に修飾を付けるとするならばリッチなデフレであると私は信じております。
  182. 櫻井充

    ○櫻井充君 今、大臣、省の代表としてということだと思いますが、認識だというお話をされましたけれども、しかし省と、大臣はデフレに対しての認識が間違っていたら政策的な判断もできなくて大変ですよというお話もこの間されているじゃないですか。  小林副大臣にお伺いしたいんですけれども、小林副大臣も同じようにリッチなデフレだとお考えですか。
  183. 小林興起

    ○副大臣(小林興起君) 大臣は庶民的な言葉で問題の本質をつくおつもりで発言をされておられると思います。デフレでありますから、デフレが起こすマイナス面すべて御承知で、デフレは大変だ、デフレから脱却しなきゃいけないということを言われつつも、しかしこのデフレの中に一面そういうふうに、先ほど竹中大臣が御説明もされましたけれども、一部ある人にとっては逆にリッチなというふうに考えられるような部分があると。したがって、いろんな意味での危機感とかそういうことの中に、政策を展開していくときに難しいことがあるんだよということを示唆しているわけでありまして、そういう面を踏まえながら、しかしどちらに大きく考えるかと言えば、最後はデフレのマイナスの方が大きいわけですから、したがって政府としてはデフレ脱却対策を取っているわけですから、そういう対策を取るとき、対策の中にそういう現象を踏まえないとこの対策が進まないという私は本質をついた言葉だと理解をしております。
  184. 櫻井充

    ○櫻井充君 そうしますと、確認ですが、小林副大臣も全く同じ見解だということなんですね。
  185. 小林興起

    ○副大臣(小林興起君) 同じというか、私は塩川大臣の言葉を今私が申し上げたように解釈しつつ、非常に難しい状況にあるけれども、しかし結論としては我が省挙げてデフレのマイナス面を克服するために大きな政策を取らなければいけない、そういう認識で危機感、我々としては危機感を持ってやっているつもりでございます。
  186. 櫻井充

    ○櫻井充君 日銀にお伺いしますが、今の景気の状況というのは深刻な状況にあるんでしょうか、それともそれほど深刻ではないというふうに考えられるんでしょうか。
  187. 速水優

    参考人速水優君) 私どもの判断では、景気は全体としては下げ止まっておりますけれども、このところ回復へ向けての不透明感というのはむしろ強まってきているように思っています。先行き、米国を始めとして海外経済動向がどうなっていくか、そしてまた不良債権処理加速の実体経済に及ぼす影響がどうなっていくか、その辺はこれからもう少し注視していく必要があるというふうに思っております。  こういった景気の状況について、私どもの方でアンケートを、生活者のアンケートを取ってみたんですけれども、生活者の景況感というのは半年前の前回調査時に比べて若干改善しております。しかし、一年前と比べてどうかといいますと、やはりまだ悪くなっているという回答が過半を占めておりました。景気の受け止め方につきましては、約六割が景気はこれまで経験したことがないくらい深刻だというふうに回答しております。こういった生活者の厳しい景気認識というのはアンケートに表れておりました。  日本銀行としましても、経済をできるだけ早期に持続的な成長軌道に乗せるために、国民が景気回復を実感できるように、中央銀行の立場から最大限の努力を続けてまいりたいと思っております。
  188. 櫻井充

    ○櫻井充君 日銀が調査されたこのレポートによると、景気の受け止め方、「不景気はこれまで経験したことがないくらい深刻であり、企業の自助努力等では対応に限界があると思う」と、六一・九%の方がそのように受け止められています。そして、現在を一年前と比べるとどうですかというと、五四・三%の人が「悪くなっている」、若しくは「変わっていない」という方が四四・七%ですから、大多数の方は変わっていないか悪くなっていると、むしろ悪くなっていると感じられていると。それから、生活に関してはどうですかというと、「苦しくなってきたと思う」という人が四九・九%、「どちらとも言えない」という方が四五・三%ですが、少なくとも国民の皆さんの半分はこのような意見をお持ちです。収入に対しては、「減った」という方が五〇・七%もいらっしゃるというような状況でございます。  内閣府の景気の調査によると、どのようなことになっているんでしょうか。
  189. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 内閣府の調査といいますか月例の経済の報告、経済の判断について御報告をさせていただきますけれども、我々は様々なマクロの経済指標、ミクロのアンケート調査等々に基づいて総合的な経済状況判断を行っております。  それによりますと、景気は依然厳しい状況にあるという、全体水準として厳しい状況にある、それについて持ち直しの動きが広がってきてはいたわけでありますけれども、その持ち直しの動きが先月辺りからそれが緩やかになってきているというのが現状でございます。輸出が増加して、この春先辺りから輸出が増加してそれによって生産が拡大をしてきた、それをもって持ち直しの動きというふうに判断をしてきました。それが一部、投資等々の下げ止まり等々に広がりつつはあるんだけれども、輸出、生産が明らかにその持ち直しの動きが続いているけれどもそれが緩やかな動きになってきている、加えて環境全般に対する不確実性が高まってきたと、それが月例経済報告で我々が述べている判断でございます。
  190. 櫻井充

    ○櫻井充君 しかし、この景気ウオッチャー調査というものを見ますと、景気、現状の判断DIを見ると「横ばいを示す五〇を二十七か月連続で下回っている。」と、こういう報告があるわけでして、それは大臣の御認識と景気ウオッチャーの方々の認識というのはちょっと違っているんじゃないですか。  つまり、もう一度申しますが、日銀のアンケートでも、それから景気ウオッチャーの調査でもほとんど同じような意見になっております。つまり、国民の皆さんからしてみると、景気はどんどん悪くなっているかむしろ変わらないかぐらいで、ほとんど良くなっていると感じられている方はいらっしゃらないというような状況かと思うんです。  そのことに関して改めてお伺いいたしますが、国民の皆さんはそう思っていると、これだけの調査の結果があるわけですから、大臣としてはそう分析されますね。
  191. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) まず、そのDI等々、その水準判断をするのか変化で判断をするのかと、これは両方必要なわけであります。我々は、水準は依然として厳しいということを申し上げた上で、持ち直しの動きという言葉を使ってきたわけでございますから、その意味ではその認識に関して大きな格差があるというふうには思っておりません。  もう一つは、そこは先ほども少し申し上げましたけれども、第二・四半期、第三・四半期等々を見ますと、これは消費が比較的堅調であって、GDPの伸びというのは実は正直言いまして我々の予想より高いものでございました。それと今の厳しいアンケート調査をどのように整合的に解釈するのかというのは、これはこれでまた重要な問題であろうかと思います。  一つの解釈は、やはり経済主体の間での格差が物すごく広がってきていると。格差が広がってきている中で、総合値というか総合値ないしは平均値だけで経済の動向を的確に判断することはなかなか難しくなっている。平均値、総合値で見ますとその持ち直しの動きとなるのだと思いますが、格差が広がる中で各経済主体が直面している困難というのはやはり厳しいものがあると、そのように認識をしています。
  192. 櫻井充

    ○櫻井充君 そうしますと、十一月二十八日の財政金融委員会で塩川大臣というのは、「普通のデフレというのはもっと深刻な生活の圧迫を受けて、」と、こういう御発言をされているわけですよ。しかし、国民の皆さんは、先ほどの日銀のアンケートのところでもありましたけれども、これまで経験したことがないぐらい深刻だと、この人たちが六一・九%もいらっしゃるんですよ。ですから、僕は塩川大臣の認識は違っているんじゃないのかなと、そう思っているんですけれども、塩川大臣、いかがですか。
  193. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私もデフレは深刻であるということは認識しておりますけれども、程度の、これだけかこれだけかという程度のことにつきましてはなかなか表現がしにくいので、一般の方が厳しいとしておられるのは、やっぱりそれはそれなりの統計が出てきておるのだと思っております。
  194. 櫻井充

    ○櫻井充君 この間はそうおっしゃっていなかったじゃないですか。貯蓄もあるし、みんな豊かで何でこんな苦しいんですかと、そういう感じの御発言だったんじゃないですか。
  195. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) それはどこの、いつの発言でございますやろ。
  196. 櫻井充

    ○櫻井充君 済みません、ちょっとお待ちください。たしか、済みません、私のときではなくて円さんが質問された予算委員会のときではないのかなと思っておりますが、済みません、じゃ、これは改めて質問させていただきます。申し訳ございません。ちょっと準備が悪かったと思います。  しかし、生活の水準がそれほど下がっていないとか、とにかく大臣、この間は少なくともここは言っているわけです。生活水準をうんと下げなきゃならなくなるけれども、今生活水準が下がっているか、見方によっては下がっている部分もあるかもしれないが、非常に生活が向上している部分もありと。そこのところで、「向上している部分もあり、」とはおっしゃっていますけれども、結果的には、もっと深刻であって、認識からすればです、大臣はそれほど深刻ではないと、こういうふうにおっしゃっていると私は思うんですよ、この発言からすると。ですから、国民の皆さんがおっしゃっているところと乖離がある、考えているところと乖離があるんではないかと、そう申し上げているんです。
  197. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 今、日本の全体を見ましたら、こういうことじゃないんでしょうか。  公務員とか一般サラリーマン、大企業のサラリーマンというような現在に職に就いておる人は生活水準はそんなに落ちていないと思うんですね、少しはそれはベースアップ下がったかもしれませんけれども。しかし、そこから落ちこぼれていってリストラに掛かったような人が、これは非常に苦しいと。これはもうだからセーフティーネットしなきゃならぬ。  もう一つは、経営者の認識は非常に厳しいんです。これはやはり経営者は経営を維持しようと思って一生懸命やっておりまして、これはやっぱり不景気といいましょうか、やっぱりデフレの影響があって価格破壊が世界的に起こったものですから、それに伴ったところの営業利益の確保ということが非常に難しい。  だから、経営者である人たち、層ですね、経営者層の意識というものが非常に深刻なデフレ、不景気感覚ですけれども、一般に、庶民の方々はデフレであることの認識においては共通しておりますけれども、生活の実態はそんなに落ちていないという、そこらが非常に二重層に世間の中では出ておる。  我々は、それを、どうして対策を、重点をどこに置くかということになりましたら、やっぱり失業を出さないように雇用者をしっかりと確保するということがやっぱり一番現実的な経済政策だろうと思って、私はそういう意味において雇用対策に結び付くものは何でも一生懸命やっていかざるを得ない、またそうすべきであると思っておりますし、またそれによって失業をされた方々に対するセーフティーネットというものというか、保険の、生活保障の面については十分な措置を講じていかなきゃならぬと、そういう対策を私は考えておるということであります。
  198. 櫻井充

    ○櫻井充君 日銀の生活意識アンケートは、これは四千人、全国二十歳以上の方、個人四千人ですから、これはすべて企業の方ではございません。  それから、ここにありました、十一月二十八日の財政金融委員会の中で、「しかしながら生活の水準はそんなに変わっておりません。第一、賃金もそんなに変わっておるということは、私は、一〇%ぐらいは下がっているかも分からぬけれども、そんなに極端に悪くなっているものじゃない。ちゃんと一定の昼飯も晩飯も食っているじゃありませんか。それから、外貨準備にしてもだんだんと外貨準備増えていっておるし、それから個人貯金も、個人金融資産も増えておるじゃありませんか。」と、このように述べておられるんですよ。  ですが、一〇%も下がっていないから生活が苦しくなっていないとか、そこにはつながってこないんだと思うんですよ。  実を言いますと、一昨日、うちの母親の、杉並に住んでいるんですが、空き巣に入られまして、六軒ほどその地区荒らされたそうなんですけれども、こういう犯罪が増えてきているわけですよ。そして、ましてや経済苦、経済を苦にして自殺している人たちも増えてきているわけです、大臣。そうすると、大臣から見れば一〇%も賃金が下がらなければ庶民の生活は苦しくならないとお考えなのかもしれませんけれども、しかしほかの方々は決してそうじゃないんだと思うんですよ。  ですから、その意味において、確かにその意味において、要するにリッチなデフレとか、それから平成九年の財政再建失敗した理由に対して運が悪かったとか、そのような、何といったらいいか、言葉だけで遊んでいるというか答弁を煙に巻くといいますか、そういう御発言をされることはふさわしくないんではないかと。  そして、大臣はこの間私にこうおっしゃったわけですよ、認識を間違うと大変なことになりますよと。一国の財政を預かってこられて、そしてその閣僚であるわけですから、そこの認識を間違ってくると対策は大きく違ってくるんではないかと、そう思っております。  その意味で、大臣、もう少しきちんとこういう指標を見ていただいて、その上で、大変申し訳ないんですが、責任を持った御発言をしていただきたいと、そう思います。
  199. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私は大体自分の考え方を言っておりまして、それに対して、もう本当にどういう点がこういう間違いであるというのならば私も改めますけれども、櫻井さんのおっしゃるのと同じことを言えと言われたって、これ言えませんので、その点は勘弁していただきたいと思います。
  200. 櫻井充

    ○櫻井充君 私は同じことを言ってくださいとは一言も今要求しておりません。  では、財務省の事務方にお伺いしますが、平成九年の財政再建、財政構造改革、あれを中止した理由というのはどういう理由によって中止されたんですか。
  201. 勝栄二郎

    政府参考人(勝栄二郎君) お答えいたします。  我が国経済は、平成七年度、平成七年度はたしか二・五%の実質成長、平成八年度は三・四%の実質成長ということで、比較的高い成長を達成しましたが、他方、財政事情の厳しさは変わらず、むしろ国債発行残高が累増した時期でございまして、それを受けまして平成九年十一月に財政構造改革法を制定いたしました。  その後ですけれども、その平成九年夏以降にアジアの通貨危機が発生しまして、また、御存じのように、平成九年の十一月ですか、山一、北拓、三洋証券、金融機関の経営破綻が相次ぎまして、そういうもろもろの影響が出まして、平成十年度の実質GDP成長率はマイナス〇・八%ということになりました。  このような厳しい経済状況に対応するため、財政構造改革を推進するという基本的考え方は守りつつ、まずは景気回復に全力を尽くすため、平成十年十二月に財政構造改革法を凍結することとなりました。
  202. 櫻井充

    ○櫻井充君 このことは運が悪かったという言葉で総括できることですか。
  203. 勝栄二郎

    政府参考人(勝栄二郎君) 運が悪いといいますか、今申し上げましたのは経済情勢の変化ということを申し上げました。
  204. 櫻井充

    ○櫻井充君 この間、大臣は、このことに関して運が悪かったと御答弁されているんですが、そのことに関してどう思われますか。
  205. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私は、これは経済の趨勢がそう動いたのでございますけれども、あの当時ずっと考えますと、アジア通貨危機というのは、これは日本が想像もしない、いわゆる外資のファンドが東南アジアにおいて、特にバンコクにおいて起こってきた、これは我々想像しなかった事態が起こってきたと。そのあおりを受けまして日本でも北拓が閉鎖するというようなことが起こってくるし、そして、引き続いてアメリカを中心としてIT産業が見込み違いの増産が起こってまいりまして、突然の不況が押し寄せてきたと。そういうところがやっぱり八年、九年、十年と重なってまいりましたことは、要するに世界の流れが我々の想像以上のものが起こってきたということでございまして、そういうことを私は運が悪いということで表現したようなことでございます。
  206. 櫻井充

    ○櫻井充君 じゃ、塩川大臣にお伺いしますが、その運が悪かったという総括は、これは適切な御発言だとお思いですか。
  207. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 一言で言うたら、運が悪かったというのが一番適切だと思っております。
  208. 櫻井充

    ○櫻井充君 これは、財務大臣、つまり財務省のトップとしての御発言ですか、国務大臣としての総括ですか。
  209. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 国務大臣として塩川正十郎としての発言でございます。
  210. 櫻井充

    ○櫻井充君 それでは、竹中大臣にお伺いしますけれども、担当外かもしれませんけれども、財政構造改革に失敗していった、そこの中で、いろんな状況があったかもしれないけれども、閣僚から見たときに運が悪かったという表現をされることは適切だとお考えですか。
  211. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 九七年から九八年にかけてのマクロ経済及び経済運営をどのように総括するかということに関しては、専門家の間でもまだ十分な議論がなされていないというふうに思っております。そういう議論を待たなきゃいけない部分が多々あると思いますが、基本的には、やはりこのとき三つぐらいの要因が同時に重なって起こっていたということであろうかと思います。  一つは、国内の経済運営において、前年、前々年、経済成長率が比較的高かった、一方で、財政赤字が非常に深刻になっていたということを受けて財政の構造改革に本格的に乗り出すということを判断したということ。これは実は、私の認識する限り、かなり多くの国民がそのことを支持していた状況にあったというふうに思います。そういう方向に政策が向かっていたということ。  もう一つは、我々が国内の金融情勢について、今にして思えば本当に残念ながら、やっぱり十分な認識を持っていなかったということ。不良債権の比率、この間、先般、浜田委員からお尋ねがございましたけれども、そういうことが実はこの九七年十一月の事件をきっかけにして始まるわけでありますから、我々は、不良債権がどういうことなのか、資産デフレの影響がどういうことなのかということについて社会全体としてほとんど見地を持っていなかった状況であると。それが実は一気にこの時期に、九七年の十一月に三洋証券、北拓、山一、全部出てくるわけでございますから、そういう状況にあったということ。  第三番目が、九七年にやはりアジアで一種のバブル崩壊があった、それがアジア通貨危機という形になって現れた、それが金融のネットワークを通じて国内にもやはり影を落としてきた。  そのような意味では、三つのことが、それ一つ一つについては原因があることながら、それの三つについて同時にこれが起こったということに関しては、やはり不運であったというか、非常に厳しいことが同時に起こってしまったと。これはやはり財務大臣がおっしゃったとおりなのだろうというふうに思っております。  繰り返しますが、それぞれについて原因はありました。それぞれについて私たちの、これは政府ももちろん反省すべきところたくさんありますが、社会全体としてそういう見地を持っていなかったという点も反省しなければいけない。それが同時に起こったという不運もあったということではないかと思います。
  212. 櫻井充

    ○櫻井充君 改めて塩川大臣にお伺いしますが、運が悪かったということを一言でおっしゃると責任放棄でしかないと私は思っているんですよ。  その意味で、取りあえずそうであったと、まあそうでないとするのであれば、大臣としては、その平成九年の財政構造改革、運が悪かったのかもしれません。しかし、そこで構造改革を一度断念せざるを得なくなりました。このときに行政としてどの点について反省すべきだと、そうお考えですか。
  213. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私は、就任いたしましたのは去年の七月で、いや四月でございますけれども、そのときからこの職務に就いた責任といたしまして、財政の規律を立て直すということが一つと、それから、やはり日本の景気対策といいましょうか、産業構造の転換を図っていかなければやっぱり本当の持続的な経済成長は確保できないということと、それからもう一つは、やっぱり規制緩和をして自由濶達な社会をつくっていくことが景気回復につながるという、そういうことを自分で意識して、それに一生懸命やってまいりました。それがためには、やっぱり国債の発行額を抑えるということが財政秩序を保つ一つのシンボル的なことであろうと思いまして、それを強く主張してきたということでございまして、今後ともその方針に基づいてやっていきたいと。  要するに、平成九年、このときには物価も比較的上昇しておりましたし、プラス二%ぐらいの状況だったと思っておりますが、それが十年になりましてがたんと物価が落ちた。そのことはやっぱり、九年に先ほど私が言いましたようなアジア危機だとか、それから、IT産業の行き過ぎであった、過剰生産であった、過剰設備であったとかいうことが一挙に噴き出してきたことでございますが、この反省をするならば、やっぱり着実に経済構造の改正等を通じてあるいは規制緩和を通じて経済の再建を図らなきゃ駄目だという信念にあるということであります。
  214. 櫻井充

    ○櫻井充君 そうしますと、経済構造の改革をまずやらなければ財政再建はうまくいかないと、一言で言えばそういうことでございますか、中心になるところは。
  215. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) それは当然一つ要件で、大きい要件であります。
  216. 櫻井充

    ○櫻井充君 そうしますと、大臣、お伺いしたいのは、財政再建と産業の構造変換と、これは同時にできるものですか。
  217. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 同時進行は私は可能だと思っております。
  218. 櫻井充

    ○櫻井充君 そうしますと、今回、小泉内閣財政再建に取り組んでいるわけですね。まず、一つお伺いしたいのは、小渕内閣では景気が優先であってと、そういうことだったかと思いますけれども、小泉内閣に替わってからは財政構造改革を目標としているということですね、公約として掲げているということですね。
  219. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) まず、どちらかといえば、優先順位を言うと、構造改革を通じて景気を刺激していくということでございます。
  220. 櫻井充

    ○櫻井充君 財政再建についてお伺いしているんですが。  財政再建は、これは小泉政権の公約ですね。
  221. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) それは歴代内閣財政再建といいましょうか、財政の健全化ということは歴代内閣ですよ。私のところの、小泉内閣だけじゃありません。
  222. 櫻井充

    ○櫻井充君 それは念頭に皆さん置かれているのは、それはそのとおりだと思います。しかし、そこのところでどちらに主眼を置いていくかということなんだろうと思うんですけれども、そうすると、もう一度お伺いしたいのは、この時期に財政再建、平成九年の反省を踏まえた上で今の時点で財政再建を行えると御判断されているんですか。
  223. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 財政再建に向かって歩んでおることは事実でございます。
  224. 櫻井充

    ○櫻井充君 努力されているのは分かります。しかし、それが本当に実現可能なのかどうかということだろうと思います。  要するに、政策というのはいつでも打てばいいというものではなくて、打つタイミングを間違ってしまえばむしろ悪くなってしまうということも、これは当然のことながらあるんだろうと思います。その意味において、今が財政再建にふさわしい時期だと大臣はお考えなんですね。
  225. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) いつのときでも財政再建はふさわしい時期であります。
  226. 櫻井充

    ○櫻井充君 それでは、なぜ財政構造改革を、改革法を凍結したんですか。
  227. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 凍結というのはどういうことですか。
  228. 櫻井充

    ○櫻井充君 平成九年に財政構造改革法を成立させて、翌年にその法律を凍結したんじゃないですか。
  229. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) それは私のときですか。  えらい昔の話でございまして、昔の話でちょっと私も判断間違えましたが、このときは、先ほど言いましたように、世界情勢が変わってきたことと、それから日本の情勢も非常に深刻な、そのあふりを受けて深刻になったから、一応、財政構造改革の推進に関する特別措置法を提出したということであります。
  230. 櫻井充

    ○櫻井充君 ですから、大臣、その時期は財政構造改革は一応、一時やめましょうということで、ふさわしい時期ではないからやめましょうと、そう決めたんじゃないですか。違いますか。ですから、時期によってやれる時期とやれない時期があるんじゃないかと私は申しているんです。
  231. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) それは当然でございますけれども、基本的にはやはりいつの時代でも財政再建というものは財政担当者の頭には消えるものじゃないと思います。
  232. 櫻井充

    ○櫻井充君 それでは、平成十年の判断は正しかったとお思いですか。凍結したことに関して。
  233. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) これは、このときの情勢で、第三者的に見ても当然こういうことをやらざるを得なかったんだろうと思います。この当時の政権の担当者はこれが正当だと思ってやったんだから、私はそれで結構だと思います。
  234. 櫻井充

    ○櫻井充君 再度お伺いしますが、そうすると、今は財政再建をやることに関して可能な時期だとお思いですか。
  235. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 今はやっぱりやるべきだと思います。
  236. 櫻井充

    ○櫻井充君 そうしますと、まず最初に、財政構造改革法を出されている、あれを凍結させているわけですから、それをむしろ解除して、それで政策を打ち出されていった方がいいんじゃないですか。
  237. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) それはどういうことなんでしょうかね。私、今の質問の趣旨がちょっと分からないんですが。
  238. 櫻井充

    ○櫻井充君 平成九年には財政再建をやらなきゃいけない、財政構造改革をしなきゃいけないということで法律を作ったわけですよ。  その法律を作った上で、いろんな問題があって、今止まっているわけですよ。今止まっているわけですけれども、もし財政再建をやっていく、財政構造改革をやっていくんだとすれば、その当時のその法律をもう一度生かすなりなんなりするように、凍結を解除するとか、そういうことをされた方がいいんじゃないかということです。(発言する者あり)
  239. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 竹中大臣。(「ちょっと待ってくださいよ。それはちょっと待ってください」と呼ぶ者あり)
  240. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 経済財政政策担当大臣の立場でお答えをさせていただきますが、小泉内閣ができまして、最初の施政方針演説で総理は財政の健全化を二段階で行うということをその施政方針の中で明言しておられます。基本的にはプライマリーバランスの回復を目指していくわけでありますけれども、そこに行くまでまず歳出の抑制等々あらゆる努力をしていく、その上で第二段階ではプライマリーバランスの回復を目指してやっていくんだということを明言しておられます。  お尋ねの法律等の関係でありますけれども、小泉内閣になってからどういう形でこの財政の健全化を目指しているかということに関しては、正しく「改革と展望」という中期のビジョンを出して、この中期のビジョンは閣議決定をしております。その中で、今四%から五%GDP比でありますプライマリーバランスの赤字を約十年程度で解消をしていこう、そういう努力を続けていこうということにしているわけです。当面は、その中で、具体的には「改革と展望」の中に書かれておりますのは、約十年後にその目標を達成するということと、それを実現するために歳出全体に緩やかなキャップをはめていくということを書いているわけで、基本的に財政健全化を目指した動きというのは、この「改革と展望」によって我々はコントロールしている、管理しているというふうに理解をしております。  委員お尋ねの、財政再建を今やるべき時期かどうかということに関しては、私はこれも総理のいろんな答弁の中でもう明言されていると思います。  つまり、正にアンコントローラブルになってパニックになるようなときには、これはなりふり構わず政府はマーケットの中にお金を注ぎ込むしかありません。九八年から九九年にかけては正にそういう状況で、財政も拡大して、信用保証も付けて、どんどんどんどんお金を入れていった。そのときには、財政を健全化するというのは、幾ら中長期な目標であってもこれはやっぱり棚上げせざるを得ないのだと思います。  しかし、そういうパニックの、アンコントローラブルな状況でない限りは、これは塩川大臣おっしゃったように、やはり政府は常にこの中長期の目標に向けて努力を積み重ねていかなければいけない。でないと、この目標達成は永遠の目標になってしまって、いつまでも達成できないのではないかというふうに思います。景気が良い悪いというのはその時々であります。しかし、景気が悪いというだけでその中長期の目標を放棄してしまうということは、これはあり得ないのだと思います。  具体的には、繰り返しになりますが、危機的な状況になった場合は、これはその中長期の目標を棚上げせざるを得ないのだと思いますが、そうでない限りは、常に経済は良いときも悪いときもあるわけでありますから、その中で、中期の、約十年の目標に向かって、緩やかな歳出キャップをはめる中で財政の健全化を目指していくというのが現在の立場だというふうに認識をしています。
  241. 櫻井充

    ○櫻井充君 経済学者にお任せしますというその発言は適切ではないと私は思います。取消しを求めます。
  242. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 何か御質問で。
  243. 櫻井充

    ○櫻井充君 そうしますと、大臣席に、答弁席にお座りの方はやじを飛ばしても構わないものなんでしょうか、委員長
  244. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 通常でありますと不規則発言につきましては御遠慮願っていますけれども、正式な速記録に残る発言ではございませんので、それを対象として取り扱うというのはこの場合難しいのではないかと私は思っていますけれども、櫻井議員からの申入れでございますので、後刻、理事会の方で取り上げさせていただきたいと思います。
  245. 櫻井充

    ○櫻井充君 今、本当に財政再建、僕は、いずれそれは、財政再建やらなきゃいけない、これはだれしも思っていることです。これは間違いないことです。しかし、その財政再建をやる時期を間違えば、また景気が悪くなったりとかいろんなことがあって、赤字国債の発行額が増えていったりするようなことがあるわけですから、ですから、本当にこの時期なのかどうか。前の委員会でも申しましたけれども、社会実験はできないわけですから、基本的には。  ですから、その平成九年なら平成九年のときに、運が悪かったとか、そういう総括だけでいいのかどうか。そこの議論をきちんとした上で、今財政再建がやれる時期なのかどうかということを改めて検討する必要があるんじゃないか。この間申しましたが、税収だってここ二年間で六兆円ほど下がっているわけです。そういう中で本当にやれるのかどうかということを真剣に議論する必要がある、そう考えています。  済みません、かなり法案のことについての質問を用意してきたんですが、全然できなくなってしまいまして、一点、まずお伺いしたいのは、今回の合併促進法の中で、地域における金融の円滑が阻害されないようにという一文がございますけれども、これはどういうことを指して金融の円滑が阻害されないと、どのような指標をもって調査されるんでしょうか。
  246. 藤原隆

    政府参考人藤原隆君) お答え申し上げます。  地域における金融の円滑が阻害されないということについての御質問でございますが、当該要件につきましては、経営基盤強化計画に当該金融機関の地域における融資の円滑を確保するための融資方針及びそのための体制整備等の記載を求めまして、その方針の内容、体制整備の状況等をチェックすることといたしておるところでございます。
  247. 櫻井充

    ○櫻井充君 もう少し具体的に教えていただけないですか。体制整備とか、あとは何についてなんですか。
  248. 藤原隆

    政府参考人藤原隆君) お答え申し上げます。  今回の法案の目的は、金融機関において経営基盤強化計画の円滑、確実な実施によりまして中長期的な収益性の向上等が図られ、もって経営基盤の強化を実現することにあり、金融システム不安の下で金融機関の信頼回復とともに貸し渋り問題への早急な対応が要請されていた早期健全化計画とは趣旨、目的が全く異なるものでございます。  当庁としましては、合併等は、金融機関の経営基盤強化を通じまして融資の円滑化を可能とするものでありまして、健全な中小企業融資の拡大に資するものと考えております。このため、金融機関の経営の自主性を尊重する観点からも、貸出しについて量的な目標をコミットすることを求めることは考えておりませんが、もとより、中小企業貸出し等資金供給の円滑を図ることの重要性につきましては、あらゆる機会を通じまして金融機関に要請をしているところでありまして、今後とも要請をしていきたいと思っております。
  249. 櫻井充

    ○櫻井充君 ですから、どうやってそういうことをやられているかどうかチェックするんですか。どういうことをもってして、地域金融の円滑が阻害されないと判断されるんですか。そのことについて具体的にお答えいただきたいんです。
  250. 藤原隆

    政府参考人藤原隆君) お答え申し上げます。  具体的には、中小企業でありますとかあるいは個人事業向けの融資あるいは個人ローンにつきまして、既存融資の円滑な継承に係る事項や新規融資体制に係る事項等を当局において確認することにいたしております。
  251. 櫻井充

    ○櫻井充君 これを見ていると、先ほどお話ありましたけれども、結局、収益性の強化をという話になってきています。これ、合併して収益性は上がるんですか。
  252. 藤原隆

    政府参考人藤原隆君) 今回の法案におきましては、主として地域金融機関念頭に置いての施策を講ずることといたしております。  私ども考えておりますところによりますと、少なくとも地域金融機関におきましては、スケールメリットでありますとかメリット・オブ・スコープとか、こういうことが考えられまして、大手とは異なりまして、合併の質は上がるというふうに考えております。
  253. 櫻井充

    ○櫻井充君 済みません。これちょっと通告していないんですけれども、大手は、メガバンクできまして、合併して収益性は上がっているんですか、全体として。
  254. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今、計数等々が準備できるわけではありませんが、基本的には、合併利益を出すために努力をしているところであるということであると思います。  以前、これは委員に御答弁をさせていただいたかと思いますが、ある専門家の分析では、少なくとも短期的な意味での、間接部門をなくすという意味での合併のメリットというのはある程度はこれはある、認められると。しかし、それ以上に本来的な合併の利益が出るかどうかは、正にそのガバナンスをいかに発揮して戦略性を持たせるかという点にあると思いますので、この点についてはやはり今後の結果の中で是非努力をしていただいて数字を出してもらいたいというふうに思っております。
  255. 櫻井充

    ○櫻井充君 柳澤大臣の時代から合併の話が随分出ておりました。そのときに柳澤大臣は、これは決して金融庁が主導でやっているわけではなくて、要望があればこのことについて考えたいんだということを繰り返しおっしゃっていたんですが、おとといの参考人質疑の際に、地銀協会、第二地銀協会、信金、信組の各関係者が来られて、だれ一人として合併促進法を要請していないと、そうおっしゃっているわけですよ。そうしてきますと、従来の柳澤大臣が御発言されていることとちょっと違うんじゃないだろうかと、そういう気がしますけれども。
  256. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 先般、いろんな御発言があったというふうにお伺いしておりますけれども、その参考人質疑の中で、御趣旨は、私の理解では、例えば地銀協として、第二地銀協として正式の要請はしていないと、そういう御発言であったというふうに認識をしております。これは、金融実務の中で、先ほどヒアリング等々の話もさせていただきましたが、そういう中ではやはり要望というのは個別にはしっかりと出ておりまして、そういう要望に基づいて政策の枠組みを作る、かつ自主的な判断に基づいてこの合併促進していこうという、そういうふうに考えているわけであります。
  257. 櫻井充

    ○櫻井充君 済みません。時間が来たので終わります。
  258. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 私は、デフレ阻止政策全般について各大臣の所見をお伺いしたいと思います。  まず、日銀総裁、御苦労さまでございます。日銀総裁の方に最初の御質問申し上げたいと思います。  十二月二日付けのフィナンシャル・タイムズに、日本の財務官黒田東彦氏と副財務官河合正弘氏の署名入りの論文が掲載をされております。私は、大変見識のある内容であり、かつ勇気ある発言であるというふうに大変前向きに受け止めさせていただいておりまして、これを材料にして日銀総裁に最初にお伺いをしたいと思うんです。  黒田財務官に御出席をいただくことも考えたんですが、余り財務官は国会には出席をしないで世界を飛び回るということでありますので、この掲載記事を翻訳をしたものを紹介させていただきますと、グローバルリフレーションへの転換のときであると題する論文でありまして、骨子は、デフレスパイラルを、これ世界的なデフレスパイラルを避けるためには世界的なグローバルリフレーションへの方針転換が必要であるということでありまして、日本の日銀の政策に触れた部分をちょっと御紹介させていただきますと、日本銀行は昨年、短期金利が事実上ゼロの状態にあることを踏まえて、金利政策を放棄し、市中銀行当座預金残高をターゲットとした量的金融緩和へと方針転換したと。日本銀行は市場へ流動性を供給したものの、物価の下落を阻止し得なかった。日銀の金融政策遂行能力は、金融セクターの機能不全によっても阻害されてきた。不良債権と不十分な自己資本という問題を抱えた市中銀行は、豊富な流動性を持っていたにもかかわらず与信を拡大できなかった、あるいはしようとしなかったという、こういう経験を踏まえて、こう結論しているんですね。この日本の経験は、伝統的な金融政策はデフレ的な状況では効力を失うことを示している。名目金利はゼロ以下にならないため、中央銀行は価格期待を劇的に変える以外に金融政策上の刺激を与えることはできないと、こう書いてあります。  私も、日銀総裁を中心とされる日銀の政策は評価をしてきた一人であります。大胆な金利引下げ、そしてもう金利は長い間ゼロ金利になっているわけでありまして、ゼロ金利になって以降は、金融政策を放棄したということではなくて、段階的に量的緩和を実施なさってこられました。これはひいき目に言ったわけでありまして、段階的にというのはなし崩し的にというふうに言い換えることもできるわけですが、あえて段階的にと申し上げます。  しかし、評価をいたしてまいりましたし、かつまた、株式の銀行保有株の購入についても、私もいろいろ考えたんですけれども、あえて見識ある御決断という評価を私なりにさせていただきました。しかし、これでデフレが阻止できていないということは事実でありまして、私もいろいろ考えておったときにこの黒田論文にぶつかったわけでありまして、なるほどと。やっぱり私も、もう一段踏み込んだ金融政策をお願いしていかなければならないのかということでありまして、今日は私自身にとっても金融政策転換の質問ということになるわけであります。  ちょっと前置きになりましたが、続きを読ませていただきますと、結論として、多くの中央銀行にとって低く安定したインフレ率を目指すことは理にかなった政策である。間がありますけれども、ヨーロッパ中央銀行にとってのインフレターゲットは年二、三%が妥当であろうと、日本銀行にとってのインフレターゲットはより高い水準であるべきだと思うということも彼は提言をしているわけです。  具体的に、日本銀行は独創的かつ非伝統的な反デフレ対策を取るべきだ。こうした政策には、段階的に三%を達成する明示的なインフレターゲット政策、例えば一年以内に一%、それに引き続く二年間に二、三%の実現を含むべきであると。あわせて、日本銀行は長期国債やその他の金融商品の購入を通じて市場に流動性を供給し、ベースマネーを継続的に増加させることが明らかに必要であると、こう結論を述べているわけであります。  財務官というのは我が国の官僚機構の中で金融財政政策を代表する事務方のトップでありまして、彼が自らの署名入りで今日微妙に問われている金融政策の在り方について発言をしているということは、私はそれなりに重く受け止めたいなと思っているわけでありますが、この件に関して速水総裁の御見解を伺いたいと思います。
  259. 速水優

    参考人速水優君) 黒田財務官、私大変尊敬しております。今おっしゃったフィナンシャル・タイムズへの寄稿というのは、私は個人的にお書きになったものだというふうに理解しております。今おっしゃいました論旨につきまして、ちょっと私の意見を言わしていただきたいと思います。  日本経済の再生、そしてデフレ脱却ということにつきましては、私ども決意は政府との間で全く共有されていると思っております。その上で、日本銀行は今、極めて踏み込んだ金融緩和を行っております。去る十月の末でございます、末の日でございましたけれども、日銀当座預金の目標値を一段と引き上げまして、更に十一月になってまた枠の中で増えて、二十兆円すれすれのところまで来ております。それと同時に、長期国債の買入れもそのときに増額いたしました。こうしたことで、金利は広範にほぼゼロまで低下しております。  それから、大量の流動性を供給しまして、ベースマネーが大きく拡大して、前年比、今二一%アップぐらいのところへ来ております。さらに、国債の買入れ、今、新規財源債約三十兆と見ますと、年間十四兆四千億これから買っていくことになりますから、約半分を長期国債買い入れることになると思います。市場から買い入れることになると思います。  日本銀行は、現在、インフレターゲティングを採用していないということでございますけれども、これは物価下落の問題を軽視しているからではなくて、その効果やリスクについて真摯に検討を重ねた結果の判断でありまして、今私どもは、量的緩和をやりましたときに、インフレ率が安定してゼロ%以上となるまで現在の思い切った金融緩和の枠組みを続けていくということを宣言しております。これは一つのターゲットであります。デフレから一挙にインフレ三%に飛ぶといったようなことは、私どもは、非常に現実的なものでもないし、いろいろ逆に副作用を生む可能性のあることだというふうに思っております。インフレターゲティングというのは、数字を掲げてそれでインフレ予想が高まっていくということなんだろうと思いますけれども、これを達成する手段がなければいけませんし、メカニズムが決まっていないと、とても自信を持ってやる気持ちはございません。  現在、金利はゼロに達しておりますし、様々な構造問題が政策効果の波及を制約しております。そうした中でインフレターゲティングを採用するとなりますと、政策への信頼とか市場への悪影響といったようなものがむしろ弊害となって、これが大きくなるおそれもあります。例えば、需要が高まらないままに長期金利だけが上昇するとすればどういうことになるか。企業の収益や銀行の体力、長期金利が上がって国債価格よりも下がるようなことになりますと、これは大変なことになります。財政バランスにも悪影響を及ぼすリスクがあります。  物価というのは経済の体温であるということを私はいつも、ここでも言わしていただいているんですけれども、とにかく経済自体が成長過程に入らない限り、すなわち需要が増えていかない限り物価は上がっていきません。各国の例を見ても、先に経済の成長が起こって、それをフォローして物価が上がっていくというのが普通の物価の動きでございます。  日本銀行は、今後とも、経済をできるだけ早期にかつ持続的に成長軌道に復帰させて、物価がマイナス基調から脱却できる状況を実現していくことの方が大事だと思っております。中央銀行として、それを支持するという意味で最大限の努力を続けてまいりたいというふうに考えております。
  260. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 今の御答弁は私も三度ぐらい同じ趣旨で伺っておりまして、決してその答弁が正しくないとは思っていないんです。でも、総裁、私も前に、その量的緩和政策に踏み込まれるときにここで申し上げたんです。物価上昇率がゼロないしプラスで安定的になるまでは量的緩和を続けますとおっしゃいました、そう書いてありました。ですから、私は、これは実質的にインフレターゲット政策に近づいていますねと、いや、もう踏み込みつつありますねとここで申し上げた記憶があるんです。ですから、私も期待しておったんですけれども、やっぱり効果ないですよね。デフレは更に私は深刻な様相になりつつあるというふうに思えてならないんです。ですから、黒田財務官は、ここで劇的な、価格期待を劇的に変える以外に金融政策の実効性がないという言い方をしているんだと思うんですね。  私は、お隣の財務大臣にも申し上げたいんですけれども、いわゆるフィスカルポリシーを放棄されましたかという私は質問をかつてしてまいりました。公共事業の垂れ流しで経済が良くなるんじゃないんですね。公共事業もやるよ、金融政策もやるよ、そういうアナウンスメントエフェクトですよね。つまり、市場心理に劇的にどうやったら変化を与えられるかということだと思うんですね。ですから、これは小出しでもなければ、今度の補正は小出しですよ、小出しでもなければなし崩しでもないはずなんです。それでは景気刺激という効果は出てこないんだと思うんですね。  ですから私も、日銀総裁の答弁をいつも伺いながら、ああ、それでマーケットがどう取り、受け止めてくれるのかなという期待を持って聞いておりましたけれども、やっぱりゼロないしそれ以上の安定的水準とおっしゃっても、また役所が難しいことを言っているよということで、刺激がないんだろうと思うんですよ。  ですから、やっぱり今、総裁の言われたことにもう二つ付け加える。それは、一つは目標です。正にそれがターゲットですね。それは、ゼロないし安定的なプラスじゃなくて、三ないし四。そこは非常に難しい議論があるでしょう。でも、そこまで行かなかったらもう頭の切替えができない。頭の切替えができれば、これだけ豊かな国民なんですから、さっきの櫻井さんの議論を聞いておりまして、まあリッチなデフレというのはあるのかなあと私も思っておりましたけれども。要は、国民に商品に向かわせる、この頭の切替えをどうしたらやるかというのが私は景気対策というものの大きな中身だと思うんですね。ちょっと議論が横に行きましたけれども。  ですから、総裁、一つは目標の設定ですよ。それからもう一つは期間の設定です。だからこれは、その黒田論文は、一年と、それから、その間の二年間と、三年間で目標達成ということをスケジュール的に出しているわけだと思うんですね。ですから、私は、財政担当大臣が余り景気対策に踏み切られないのを、業を煮やして日銀総裁はよく決断をしてこられているというふうに今でも評価をしておりますけれども、もう一歩踏み込んで、世界的なデフレを日本から発信してはいけない。かつて金融不安のときに我々は言っておりました、日本発の金融不安は避けようと言って思い切った政策に踏み切ってきたわけですから、どうか日銀総裁、ひとつ金融政策の大使命を担ってもう一段踏み込んでいただきたいと思いますが、お考えを伺います。
  261. 速水優

    参考人速水優君) やはり日本はここ十年経済が暗いということでございまして、今ここへ来て世界的なディスインフレ、デフレ現象が見られてきております。  しかし、日本の場合、前々から申し上げておりますように、各国が皆構造改革をやりましたときに、日本はむしろデフレ対策というか金融をどんどん緩め財政を緩めるということをやって九〇年代を過ごしてきて、結果としてデフレが続いているということなのでございます。  これを克服するためには、やはり構造改革というのをやって民間の需要を引き出してこなきゃ駄目なんです。公共投資だけでは私駄目だと思います。どうやって民間の需要を引き出すかというと、やはり規制の緩和・撤廃、そしてまた税制を、収入だけを考えるんではなくて、効率的な税制というのはどこをどういじっていけばいいのか、それぞれの、証券なら証券、いろいろやるべきことがあると私は思っております。そういうことをやって民間需要が引き出されてくれば、そのために私どもは必要な資金は十分出しております、民間の設備投資が起こり、そしてまた民間の新しい消費が起こってくる、そういうふうになってくれば、これはもうそれこそ経済の成長が始まってくるわけで、物価もおのずから上がっていくと思っております。それを待つのが私どもの筋であるというふうに思っております。
  262. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 本来の需要創出策、これは構造改革も当然入ると思います。ただ、構造改革は、短期的にはなかなか需要創出につながらないといううらみがある。  例えば、最近はおっしゃいませんけれども、構造改革で景気を良くするという、一番最初に不良債権処理を小泉内閣は掲げておられた。しかし、私どもが言ってきたのは、不良債権処理は必要だけれども、当面の効果はよりデフレ促進的ですよと、ですから需要拡大も併せてやらなければもちませんよということを言い続けてきて、私は実際そうなってきていると思っているわけです。  ですから、日銀総裁にはひとつ、財政が本来やるべき部門、それも含めて日銀にしわを寄せているような気が私はどうしてもするんですけれども、それでも、今税で景気を良くするなんと言ったって、そんな税制ですか。私はここで申し上げました。世界の先進国の中でこれだけ小さくなった税構造を、これ以上いじめてどうするんですか、税制は下方硬直性じゃなくて上方硬直性があるんですよ、いったん下げたら上がらないじゃないですかと。  ですから、私は塩川さんに申し上げたいのは、財政がやるんならば、税よりも予算ですよ。優先順位はそうだと思う。しかし、それも含めてやらないんですから、足らないんですから、日銀総裁にはあえて踏み込んでいただきたいということをもう一度申し上げておきます。  それと、時あたかも、グリーンスパンさんがデフレ的な状況への対応ということでこう発言しているそうですね。これは新聞の記事ですけれども、我々は無制限に資金供給すると、デフレ対策としてはですね。ですから、段階的、なし崩し的な量的緩和ではなくて、この際、その面においてももう一段踏み込んでいただきたいと希望を申し上げておきます。答弁は結構でございます。  今のやり取りについて、竹中金融担当大臣から御感想を一言承りたいと思います。
  263. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 私自身は、世界じゅうにデフレ圧力が掛かる中で、今後五年とかそのぐらいの間に金融政策の在り方そのものに関して世界的なイノベーションが起こるのではないだろうか、そういうものが求められるのではないだろうかというふうに実は思っております。  ともすれば非常に混乱があるのは、これは金融の専門家の間でも議論が分かれるところではありますが、私は、金融政策の効果というのは、二つの違ったルートを通じて物価水準に影響を与えるということを、どのようにウエート付けして理解するかということだと思います。  伝統的には、金融政策はまず金利に影響を与えて、その金利を通して消費や投資に影響を与えて、つまり実物経済に影響を与えることによって、それで物価に影響を与える、その範囲で日銀は懸命の努力をしているということであろうかと思います。もう一つ考えるべき問題は、日銀というのは、つまりマネーというのは、それそのものが貨幣、失礼、マネーというものは、物価そのものに直接影響を与えるというルートをどのように見るかということなのだと思います。  このルートに関しては、実はこれはもう伝統的には、銀行主義か通貨主義かとか、中央銀行役割をどのように認めるかという非常に伝統的な議論のあるところであると思っております。私は、その後者の議論を認めるのであるならば、これは、インフレターゲットのようなものに対してやはりもっと積極的になってもよいのではないだろうかという議論が比較的出てきやすいのだと思います。しかしそこは、なかなか考えなけりゃいけない多くの問題があると。日銀のお立場はお立場で理解できる面があります。  したがって私は、しかし、世界的に金融行政のイノベーションが求められている中で、そういうインフレターゲットについて議論をする必要があるだろうということを申し上げているつもりでございまして、今のその意味でもやり取りは大変重要なやり取りであるというふうに思っております。
  264. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 非常時ですから、もう日本には後ろがない、後がないという決意で取り組んでいただきたいわけで、そのためには、余り理解しないで、お互いに信ずるところを主張し合って、必要な政策を私は取っていただきたいと思います。  最後に、塩川大臣にちょっと角度を変えて御質問申し上げますが、私は、大臣はすばらしい部下を持っていらっしゃると思っておりまして、こういう官僚の発言を私はもっと政治は大事にすべきだ、常にそう言っております。官僚はたたかれ過ぎて発言しなくなった。やっぱり日本がうまくいってきたとき、やってきたときというのは、官僚が発言をして、政治がうまくそれをくみ上げて、かみ合ったときにうまくいっているんだと思いますので、生意気な言い方ですけれども、そういうことをあえて申し上げたいと思います。  その黒田財務官が次にこういうことを言っているんですよ。要するに、世界的なリフレーション、金融のリフレーションを展開すべきだと。この対象に、当然、高成長を記録しながら物価下落が進行している中国も含まれるべきである、中国はデフレを輸出しており、その影響は隣接する香港、台湾にとどまらない、少し飛びますけれども、中国は、拡張的金融政策により国内物価の下落を反転させるか、通貨の切上げを容認しなくてはならないと言っております。  これは我が意を得たりでありまして、大臣、御記憶かどうか分かりませんが、私は、日本の中小企業の、製造業における中小企業中心の空洞化をこのまま放置すべきではない、そのためには、十倍、二十倍違う人件費を、中小企業の企業努力で克服させるのは無理がある、それは、中国経済と日本経済の間に大きな基礎的不均衡が存在をするというとらえ方をして、元のレート改定を求めるべきである、そういうことをかなり前にこの場で申し上げました。塩川大臣は得たりやおうというお答えをそのときはしてくださったんですね。  今、少し角度を変えて申し上げますけれども、正に中国が世界にデフレを輸出している、そういうことだろうと思いますよ。ですから、それは日本だけの問題、この前、私は日本と中国との関係で申し上げたのですけれども、世界のデフレ阻止という観点からも中国の通貨レートをこのまま放置するのは好ましくないというふうに思います。ですから、日本だけが主張するのではなくて、世界の金融の中で、世界の金融界の中で中国にそういう通貨レートの改定を求めていく、そういう包囲網を私は塩川大臣が御提案なすって作っていったらどうかということを申し上げたいと思います。お答えを伺って、私の質問を終わります。
  265. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) なかなかいい御提案をいただきまして、ありがとうございました。  実は、黒田財務官が、この九月ごろからヨーロッパ、中南米、アメリカと世界をずっと回りまして、財務担当官といろんな意見の交換を激しくやってまいりましたし、国際会議にも出席してまいりました。それの集約したものが河合さんと一緒に一つの報告としてまとめたものでございまして、彼が世界を回りました結論として、デフレ問題というのは日本の問題だけで解決付かない、どうしてもグローバリゼーションの時代であるからグローバル経済の中で解決しようという、そういうことを非常に強く主張しておるのでございまして、それと同時に、日本に対しまして世界各国が、やはり物価水準を引き上げる方法として、あるいはの話でございますが、あるいはインフレターゲットを作るということも一つの方法ではないだろうかという意見が非常に強いということを、彼はやっぱりそれを意識しておることでございまして、しかしながら、これはそれぞれの国によって政策が違いますしいたしますので、あえてそこに限定する必要はないと思っておりますけれども、しかし、物価の水準を上げざるを得ないということ、これはもう当然のことでございます。  ついては、それをやる一つの方法として私たちは為替の問題があると思っておりますけれども、しかし、この問題は、政府自身が介入したり、あるいはこれに対して政策的なてこ入れをするとか、そういうことは一切やはり禁じられるというか、そういうことは慎むべき問題だと思っておりまして、そうはならない。やっぱり市場に決定するという方向で基本方針を持っておるところでございますが、それにしても、さっきおっしゃるように、各国の間で通貨のバランスが非常に崩れておるということはこれは事実でございまして、私はあえて中国の問題だけを取り上げているのじゃございませんけれども、中国の問題の一つの表現として、バランスが崩れておるんじゃないかということは私はG7の会議場でも言っておるんです。今回また近くございますので、来年、来月でございますか、その席でも私はこれは提案してみたいと思っております。  これは各国ともそうは思っておるけれども、それでは直接どうするかということの問題はない。私は今アメリカ等々に話しておりますのは、やっぱり中国もおっしゃるようにデフレで苦しんでおるのでございますから、ですから、やっぱりもう少し元を切り上げていく方が得なんじゃないかと、中国の国としてはその方がいいんではないかということが、国民全体あるいは政府と当事者がそれを認識してくれるような方向に行くということが一番望ましい。これはお互いに政策論議をやるべきじゃ絶対ないと思っておりまして、そのことは申しませんけれども、バランス論を私は展開したいと。  その一つとして、私は、購買力平価論というものをお互いの国でどうなっておるかという実情の報告は、これはしてもいいんじゃないかと思っております。そして、その結果として今、中国の問題も、自分の国の通貨はどの程度維持をしたらいいかということの認識をとにかくしてもらいたいと思って、そのことの問題は何かの機会があれば議論として展開いたしたいと思っております。
  266. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 日本共産党の池田幹幸です。  最初に預金保険法改正について伺います。  ペイオフの実施を二年間延長するということになるわけですけれども、この延長する理由、延長しなかったら一体どういった不都合が起こるというふうに考えておられるのか、まず竹中大臣に伺います。
  267. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ペイオフそのものは、健全な競争環境を金融機関に求める、もって健全な経営、健全な金融システムを作るために本来的には大変重要な一つ制度であるというふうに思っております。諸外国に現にそういうシステムが存在し、きちっと稼働しておりますし、日本もかつてそういうシステムの中にありました。しかし、今回、御承知のように、平成十六年度までに不良債権問題を終結させるようにという指示に基づいて、不良債権処理の加速策を包括的な形で準備をいたしました。  そうした中で我々が判断しましたのは、こうした中で、例えば査定の強化、自己資本の充実、ガバナンスの強化、非常に包括的なものでありますので、その中で国民・預金者にいたずらに不安が広がってはいけない、かつ、中小企業の金融に支障が生じるようなことは避けなければいけない、そういう観点から、平成十六年度に不良債権問題を終結させるまではペイオフ解禁を延期しようというふうに決めたものでございます。  直接のお尋ねは、もしそれなかりせばどうであったのかというお尋ねでございますが、これはちょっと仮定の問題でありますので、なかなかお答えするのは困難な性格であるということを是非御理解賜りたいと思います。
  268. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 今の経済情勢下でペイオフを実施するということは、こんなことは、そんな状況にはないということは我々も申し上げてきたところなんですね。  問題は、この二年間の延長なんですけれども、今お答えになったように、ペイオフは、十六年度の不良債権の処理の終結、それと併せてやるんだということですね。いわゆる不良債権処理の条件作り、環境作りしていこうと、こういうことだったんです。そうなりますと、私は非常な危惧を感じるんです。  といいますのは、今年の四月のペイオフ解禁に向けて金融庁がやってこられたことを、これはもう私から言うまでもないんですけれども、要するに、昨年一年間で信金・信組が五十六つぶれた、地方銀行二つつぶれました。その原因は何といっても、金融庁自身が査定を厳しくして、大銀行並みのマニュアルを適用して中小金融機関の査定をやっていったというところに問題があった。何度もこの場でも取り上げてきたことなんですけれども、そういうことになりますと、いわゆる金融再生プログラムと一体のものとして二年後を目指してやっていくとなると、今までやってきた、健全銀行だけを残していくのだということを目的として、ペイオフをてこに中小金融機関をつぶしてきたという、そういったことが繰り返されないという保証はないんじゃないか、そこを非常に危惧するんですが、そういったことは繰り返さないという担保はありますか。
  269. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) まず、委員が例として出されましたのは、これは中小の金融機関でございます。今回の再生プログラムは主要行を対象にしたものでありますので、直接の類似というかアナロジーは必ずしも適切ではないような面があるというふうに思うんですが、まず、これはやはり、市場メカニズムというものをどのように我々が理解し、位置付けていくのかという問題であろうかと思います。  例えば、査定を厳しくしたことによって金融機関が破綻したという御指摘がありましたけれども、もし、じゃ、そういう査定を厳しくしなかったらその金融機関は一体どうなったのであろうかと。これはちょっと究極的なといいますか、やや極端な議論であるという側面はありますが、やはり本当にしっかりと査定をしていない金融機関は、これはやはりマーケットの中で淘汰されていくというリスクを負うんだと思うんですね。  我々が行政の中で一番考えなければいけませんのは、市場の圧力に押されて淘汰されていくというような状況、これはやはり一種の混乱を招くということなのだと思います。そういうことではなくて、きちっと査定をすることによって、一種の秩序ある中で、残念だけれども経営力のないところについてはしかるべき資産の引取り手を見付けていくとか、そういうことをやはり政策、政府一つの秩序の中でやっていくことの方がはるかにコストが小さくて済む。コストというのは社会的な痛みという意味でありますけれども、そういう観点から、資産の査定を強化して必要な措置を取ってきたというふうに思っておりますし、今回もまた、不良債権の、その資産の査定を厳しくもちろんしていかなきゃいけないわけですけれども、もしそれをしなかったらどうなるであろうかと。それをしなかったら、これはまた、何月危機とかいろんなことが言われる中で、非常に経済がますます混乱していくリスクを負っていく。そういうことがないように、これはルールを決めて、金融機関自身にしっかりとしていただいて、必要な支えは政府も行う、そうすることによって問題を解決していくというのが最も社会的に見て混乱のない政策の道筋であるというふうに考えるわけでございます。
  270. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 金融再生プログラムが主要銀行向けのものだということは私も承知しています。そのことを知った上で今申し上げたのですが、竹中さん自身も、今、少し混同した形で答弁しておられるんじゃないかと思うんですが。そうしますと、今の答弁だと、中小金融機関向けの査定基準も厳しくしていくということなんでしょうか、そうじゃないでしょう。金融再生プログラムではそういう方向は書いてなかったはずです。ところが、私なぜ、先ほど言った、同じことを繰り返さない担保はありますかと言ったのは、言葉では書いてあるけれども、具体的に中小の金融機関に対してどうするかという手だてはないんですよ。中小企業対策云々かんぬんは書いてありますけれどもね。私、何度もこの委員会で取り上げてきたんですけれども、中小の金融機関に対しては別のマニュアル、ダブルスタンダードでいくべきだ、大銀行と中小金融機関に対しては、ということを何度も申し上げてきました。金融庁も、柳澤さんのときですけれども、若干、別冊というものを作って、中小企業向けの特別の方向を考えようということは出されたんですけれども、しかしそれは、法律の運用面での改善であって、法律そのものできちんとした基準を作る、マニュアルを作るということには進んでいないわけです。私はやっぱり、この際、そういった中小企業向けのマニュアル、これに踏み切るべきだと思うんですが、いかがでしょう。
  271. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 委員は今、一種の一国二制度的な考え方はいかがかということを冒頭におっしゃいましたが、実は、その最終的な姿、思い描く姿はともかくとして、私自身も、就任当初から、グローバルバンキングとリレーションシップバンキングは違うルールであるというふうに認識しているということを重ね重ね申し上げてまいりました。であるからこそ、今回の措置とは別に、リレーションシップバンキングのそもそものビジョン、在り方について是非とも包括的な議論、包括的な政策の枠組みを用意したいというふうに思っているところでございます。それが具体的にマニュアルの問題に帰するのかどうかということについては、リレーションシップバンキングの問題を包括的に議論する中でこれはしっかりと位置付けていきたいというふうに思います。もう少し違う、監督の基準の問題なのか、マニュアルの問題なのか。私は、今のマニュアルの別冊そのものは、それなりに非常に中小企業の状況を配慮するようにリーズナブルにかなり書かれているというふうな認識を持っております。それをどのように運用するかという問題ももちろんございますでしょう。監督にどう反映するかという問題もございますでしょう。そういうところに関しては、包括的に、予断を持たずに、このリレーションシップバンキングの議論の中で深めていきたいというふうに思います。
  272. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 要するに、ペイオフ実施延期を中小金融機関つぶしのてこにするといったようなことはないようにしていただきたいということを申し上げておきたいというふうに思います。それじゃ、その金融再生プログラムの問題について伺っていきたいと思うんですが、こう書いてあるんですね、平成十六年度には主要行の不良債権比率を現状の半分程度に低下させるというんですね。この不良債権比率が、四%程度ですか、四・二%程度ですか、その程度まで低下しさえすれば金融は正常化したと、つまり、構造改革を支えるより強固な金融システムが構築されたというふうに考えるんですか。
  273. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 逆だと思っております。そういうふうには考えておりません。これも何度か御答弁をさせていただきましたけれども、国民、預金者、投資家、健全な借り手企業から、金融システムそのものは健全になったというその信頼感を回復する、信頼性が回復された状態を作り出すことが問題の終結であるというふうに思っております。したがって、その判断は極めて包括的、トータルなものでなければいけないと思います。むしろ、そういう議論をしてきた段階で、しかし政策である以上、それにしても何らかのメルクマールが要るではないかという幾つかの御指摘をいただきまして、その一つのめどとして、これは同時に、金融機関に対してこういう努力をしてくれという一つの目標にもなるという意味で不良債権比率を半減するということを掲げたわけでございまして、主従の関係からいいますと、決して先生指摘のようにこれさえやればいいというものではないというふうに思っております。
  274. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 その不良債権ですけれども、処理しても処理しても増え続けてきたと、本会議でも私申し上げたんですが、今日の午前中の論議を聞いていると、三月とこの九月を比べると不良債権残高は減りましたと。確かに減っていますね。主要行で見ても、約十五・四兆円から十二・三兆円ですから、三・一兆円減っている。しかし、不良債権比率は八・四から八・一ですか、まあ減り方は非常に少ないということですね。ということは、結局、分母にある与信がその分減ったということなんですね。そういうことでしょう、不良債権残高は三・一兆円減ったのに比率は減らないということですから。決して、確かに額が減ったことはいいけれども健全な状態にはない、むしろ信用収縮していっているわけですね。そういう状況にあるんだということでしょう。結局、不良債権を処理しても残高がそういった状況にあるということは、結局は、デフレ不況、この対策なしには新たな不良債権はやっぱり発生してくるということ。今度の金融再生プログラムでも、当然のことながら産業再生ということを言っているわけです。もちろん、これ今言い出したことでないことも承知しておりますけれども、産業再生をこういう形で同時並行してやっていかなけりゃいかぬと言い出したことについては、一定の認識の発展があったんだろうと私は思っています。そこで、この際、更に一歩進んで、やっぱり景気対策をきちんと打たなければ不良債権は減らないんだと。要するに、中小企業を中心として銀行に金返せる状態、そういったものを作っていく、もう不良債権だと言われているのが正常債権に変わるという、そういう状況を作っていくのが本筋だという方向に進むべきじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  275. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 池田委員、今、重要なポイントを幾つか御指摘になられました。確かに、信用残高、銀行の貸出し残高というのは、これは傾向的に縮小をしております。あえて言えば、不良債権処理を我々が加速するという以前に、一つのトレンドとしてかなり厳しい縮小トレンドを持ってしまっているという点、これはやはり別途、企業が間接金融に代わる別の金融手段を準備するとか、そういう形で対応をしていく必要がある性格の問題であるというふうに思っております。それで、結局、産業を再生させることが重要である、その意味産業再生機構のようなものも分からなくはないが、やはり景気対策ではないかという御指摘であります。問題は、経済全体が良くなるという手法があるならば、これはもうだれも拒むものはないわけでありまして、そういう手法によって経済が良くなれば、確かに業績も良くなって不良債権の出方も違ってくると、これはもう明らかであると思います。しからば、景気対策として何か本当に景気を良くできるような手段というのは存在しているのかということなのだと思います。どうしても、すぐ出てくるのは短期的な意味での財政の拡大でありますけれども、本当に今そういうことができるのかと。朝からも、財政の健全化についていろいろ御議論がございましたですけれども、来年度の予算は、下手をすると歳出に対して税収というのが半分ぐらいになってしまう可能性もあると。そういう状況下で本当に更にここで財政を拡大するということが賢明な選択になり得るんだろうかということに関しては、これは私は、やはり大いに疑問があると思います。そこがやはり一つ判断の私は分かれ目であろうかと思っておりますが、経済の変化というのは、大変怖いと思うのは、常にこういう変化というのは非連続に来るわけですね。今、国債の金利は上がっておりません。しかし、経済、財政が、財政赤字がそれこそコントロールできないような状況になるというふうにマーケットが見れば、これは非連続な形でジャンプすることがあり得るわけで、そうなったときの金融経済へのダメージというのは計り知れないものがある。やはりそういうリスクを回避しながら経済を運営する責任を我々は負っているわけでありまして、その意味では、例えば特区とか構造規制改革とかでできること、それによって需要を刺激するということは大いにやりたい。そういう改革を小泉改革は進めているつもりであります。しかし、財政の急激な拡大については、これはやはり慎重でなければならないと思います。
  276. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 ちょっと誤解して受け取られたと思うんですが、産業再生よりも景気対策が先だというふうなことを私言ったんじゃなしに、産業再生を言われたのは非常に結構ですと、そこまで言われたのなら景気対策という形で進んでいくべきだろうということを言ったんです。  それからもう一つ、私が景気対策と言ったのが財政の飛躍的な拡大というふうに取られたわけですけれども、決してそうじゃありません。私たち日本共産党は、今の公共事業の使い方、これは無駄遣いが多過ぎる、その内容を変えることによって大きく需要、民間需要を引き起こしていくことができるんだということとか、それから雇用対策ですね、これは別に予算要らぬわけです。大変なこのリストラ、大企業のリストラ強化、こういったものに対して一定の規制を掛けていくことによって雇用を守っていくとか、そういったことを提案しておりますけれども、今それやり出したら時間ありませんからここではやりません。  この金融再生プログラムの内容について伺っていきたいというふうに思います。  そこで、一つ紹介しておきたいんですけれども、この火曜日、参考人質疑やりました。そこで私は、地銀、第二地銀並びに信金、信組に伺ったんですけれども、異口同音に言っておられたのは、やはり不良債権処理、これは景気を回復しなければできない、ひとえに景気回復、景気対策をお願いしますと、正にもうみんな言っておられた。そのことが今私が先ほど言ったことと全く一致することだということを紹介しておきたいというふうに思うんですね。  そこで、安心できる金融システムを構築するために、金融庁は金融庁内に金融問題タスクフォースを新設するということがこの金融再生プログラムの中に書かれております。この金融問題タスクフォース、これは一体どういった性格の機関でしょうか。金融庁の中に置かれるということですが。
  277. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) どのような構成にするか等々、工程表に基づいて、できれば今月中に立ち上げたいと思っておりますので、詳細を今詰めているところでございます。  しかし、委員のお尋ねの、その基本的な性格ということでございますれば、これは基本的には、大臣に対する様々な助言を中心にする機関であるというふうにお考えいただければよろしいかと思います。  機能は幾つかございます。一つはモニタリングの話があります。これは、どの国でも、いろいろ調べてみますと、一体この不良債権の処理等々がどのような状況に進んでいるかというマクロプルデンシャルポリシーを担っている機関がある、それが気が付いてみると日本にはない、これは大臣に直接そういうことを踏まえて助言するような機関があるのが好ましいのではないかというふうに判断しているわけであります。もう一つは、特別支援金融機関に対して、これは個別の金融機関のことでありますから、やはり専門家、民間人等々を踏まえた様々なアドバイスをいただくというのは大変有益なことではないかというふうに思っております。  今申し上げた二つの機能が大きな機能になってくると思っておりますが、いずれにしても、これは金融担当大臣に対して適切な助言を行う機関であるということであります。
  278. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 そうすると、大臣の私的諮問機関というふうに解していいですね。
  279. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) これから具体的な制度設計をやりますけれども、基本的には、そういう極めて何か大きな何条委員会とかというものではないというふうに認識をしています。
  280. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 結局、民間人を大臣が選んできて、その助言を求めると、こういうことですよね、簡単に言えば。そういう組織を作ると。そのやることは、今言われたようにモニタリング並びに特別支援金融機関についてウオッチして、そしてまずいところがあったらああすべきだこうすべきだという提言をすると。相当大きな仕事をするわけですね。かなり大きな権限があるわけですよね。  そこで、今話の出た特別支援金融機関というやつについてはまずはっきりさせておかないかぬわけですけれども、特別支援金融機関というものについて言えば、これ定義はきちんとしているんですか、定義。
  281. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 定義に関しては、これはちょっと少し説明が長くなるかもしれませんが、基本的には、我々の金融問題から経済の底割れを起こさせないという一つの我々の決意を示す形で、今の枠組みの中でこういうことをしっかりとやって、たとえ悪い経営内容金融機関が生じても問題を生じさせないようにしますと、そういうことに対する我々なりの宣言をしているわけでございます。  したがって、その中で、ここに書いていますように、経営等々が悪化して、何らかの形で政府のサポートが必要になるような場合、これを特別の支援の機関というふうに考えているわけであります。その中身は、ここに書いておりますように、日銀の特融であり、必要な場合には公的資本の注入であり、ガバナンスを強化するための様々な施策であるということでございます。
  282. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 そういうことだと、要するに、預金保険法に基づく公的資金を受け入れることになるその直前の金融といいますか、預金保険法による公的資金導入は、これは明確に破綻金融機関ですよね。破綻直前に至っているようなそういう金融機関というふうに解してその質問を続けたいと思うんですが、それでいいですよね。
  283. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 破綻というのは、公的資金注入は、破綻している云々ということでは必ずしもないと思いますので、まあ破綻直前といいますか、少なくとも何らかの政府のサポートを必要としている状態にある金融機関であるということでございます。
  284. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 そうしますと、このタスクフォースというのは、そういう特別支援金融機関に対して、先ほど言ったように、ともかく事業計画等々をチェックして、それがきちんとやられているかどうか見て、これはもう、すぐ措置を取らないといけないよということを大臣に進言してということで、金融庁の総務企画局と検査局、これがやる仕事をばっと集めてそれをやるという、そういう形になるんですよ。その総務企画局と検査局のトップクラスを集めたような組織をそこへ作って、そこから、もう頭から指示をしていくというふうな、大臣にこうやるべき、ああやるべき、こうやっていくというふうな、非常な権限をこれは持っているというふうに思っているんですけれども。  そうなりますと、一体金融庁の職員というのは何なんだと、官僚というのは何なんだと。特に大臣が、恣意的と言えば言葉は悪いかも分かりませんけれども、大臣自身がやりたいと思っている方向に沿った進言を出す人を集めてくるわけでしょう。その人たちに意見を言わせればもう大体方向は決まったみたいなものですよ。それをさあやれと、こういうようなタスクフォースを作るということの意味はどこにあるんですか。
  285. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 委員は権限を持っているというふうに言われるわけでございますけれども、これは大臣に対する助言でありますから、それそのものが何かを行使するという権限という観点からいうと、そこは少し違うのではないかというふうに思っております。  いずれにしても、これは、非常に危機的な状況の中で一種の危機管理として様々な形の助言をもらいたいというのは、これはもしでありますけれども、私の在任中にそういうようなことになったら、私自身としてはやはりこれは大変大きな決定をして、その決定に私自身が責任を負わなければいけないわけでございますから、やはり金融庁の職員と力を合わせて、かつその有益なアドバイスをいただきながら、やはり自分の責任において決定をしていかなければならないということなのではないかと思っております。  繰り返しますが、その意味での助言の機関であるということでございます。
  286. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 助言を聞くだけですよということだけれども、しかし、まず、特別支援金融機関の話ばかり今強調されましたけれども、その前に、危機的状況でない平時、平時においてもちゃんと不良債権処理の目標、状況チェックという仕事もあるんですよね。それは一つ一つ銀行について情報を全部取り寄せるわけですよ。そうじゃないとチェックできませんからね。  しかも民間人とおっしゃった。そして民間人にそれだけの権限を与えるためにはどうすればいいのかということで、これは事前に金融庁に伺ったら、皆さん顧問になっていただくということのようですね。相当これ権限を持つんですよ。あなた自身が選べばもう集められるんですからね。どんな人がそれをやっているのかって我々国会でもチェックする、そんな機会もないんですよ。
  287. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) まず、顧問になっていただくというのは一つの方法だと、方法かなというふうに私も思います。それは守秘義務とかあるからですね、そういう方法かなというふうに思いますが、そういうことも含めて、制度設計をまだしているわけではございません。一つ考え方、可能性としてそのようなお話を職員がさせていただいたのだと思います。  具体的にモニタリングというのは、これは例えば、十六年度に不良債権比率を半減するに当たって、今、進捗状況がどうであるかどうか、その場合には、例えばちょっと遅いんじゃないかと、もっと大臣しっかりやれと、そういうようなことはこれは助言機関から私は言っていただきたいと思いますし、先ほど申し上げたマクロプルデンシャルポリシーというのは、正にそういうことを担う機関なわけであります。  先ほど申し上げましたように、これは危機管理として行うわけであって、そのための制度設計はこれからいたします。いずれにしても、例えば国会でのチェックというお話がございましたが、これはまさしく、その問題に責任を負う担当大臣が、責任を担ってこの場でまた御議論をさせていただいて、御報告、答弁をさせていただくと、そのような性格のものではないかというふうに思っております。
  288. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 ともかく、金融庁というのはあるわけですね。それで、今このタスクフォースがやろうとすることは金融庁の役人がやらなけりゃいかぬ仕事なんですよ。それをこんな頭を持ってきて、そこから指令するような、こんなやり方というのはこれ非常にまずい、本当にまずい。  正式の審議会でもない、もう大臣が勝手に、勝手にと言ったら言葉はかなり悪いけれども、集めてきた人たちにやらせていくというふうな、金融庁の職員だったら、すべてがあなたの気に入った人たちばかりでもないかも分からぬけれども、それはきちんとした形でそれはやるべきだろうと私は思いますね。  さらに、本当にとんでもないことがまた言われるんですけれども、新しい公的資金制度を創設するというんですね、新しい公的資金制度。これ要するに、預金保険法に基づく公的資金の投入という仕組みがあります。それとは別に作るというんです。これどう違うんですか、今度の新しい公的資金導入は。
  289. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 金融機関に対する公的資金の投入というのは、金融機関が他の業種とは非常に異なる決済機能という一種の社会インフラを担っていると。その社会インフラがもし崩れたら、結局のところ、国民、企業全員が大きなその損を負うと。そういうことを防ぐために、あえてその金融機関が危機的な状況にある場合は公的なお金を使うこともやむを得ないのではないだろうかと。それが世界的な、ある意味で世界的な合意に近いような形で政策の中に組み入れられているわけでございます。  翻って、日本の今の状況は、これはもう委員よく御承知のように、危機的な状況があって、危機対応の宣言をして、総理がですね、その場合に公的資金がその要請に基づいて投入されるという仕組みになっております。それに対して専門家の間からはかねてから、この枠組みだけで本当に十分なのかどうかと様々な意見があるというふうに承知をしております。これは私自身予見を持っておりません。しかし、専門家の間から、このままで本当に、今の枠組みだけで十分かということに関しては、幾つかの議論があるのを踏まえまして、その必要性について、必要性から始まって、もし必要であるならばどうするのかということを予見、予断を持たずに検討をしていただきたいというふうに思っているわけでございまして、そういう形で、先般、工程表も発表しておりますので、これは少し時間を掛けてじっくりと専門家に議論をしていただきたいと思っているところでございます。
  290. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 そこでも専門家での討議なんですが、まあそれはいいでしょう。  それで、要するに、金融が危機的状態にない段階で公的資金を投入することができるかどうか検討する、これは一つですね。それからもう一つは、このプログラムの中に書かれているのは、「金融システムの安定に万全を期しつつ、不良債権問題を終結させるため、迅速に公的資金を投入することを可能にする新たな制度の創設」となっております。  つまり、不良債権問題を終結させるためということですから、これは、その終結は二〇〇四年度ですね、平成十六年度までとなっていますから。これは時限的な公的資金導入の新しい制度を創設しようと、こういうことですか。
  291. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 基本的に、公的資金を投入するというようなことがそんなにしょっちゅう起こってもらっては困るわけで、しかし、これはいざというときのために持っておかなければいけない。その意味では、この公的資金投入の制度というのは言わばセーフティーネットであるということだと思います。  セーフティーネットというのは、やはりこれは常に持っていなければいけないことであると。セーフティーネットを完備するということが問題の終結に役立つ、これ、使う使わないではなくて、セーフティーネットがあるということ自体が問題の終結に役立つという側面も実はあり得るわけでございます。  その意味では、これは必ずしも時限ということではないのではないかと。セーフティーネットとして準備しておくということであるならば、これは恒久的なものになるであろうし、しかし、そもそもそういうものが必要かどうかについて、そもそも論から議論をしていただこうということになっておりますので、これは予見を与えず、幅広く議論をしていただきたいと思っております。
  292. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 この預金保険法改正公的資金導入制度ができたとき、私はここで宮澤当時の大蔵大臣議論したんですけれども、今、竹中大臣がおっしゃったと同じように、こんなことが起こっちゃ困るんだ、何十年に一度起きるか起きないか、そういったことに対応するためのそういった制度なんだということで説明されましたよ。そういう、正に今おっしゃったセーフティーネットなんでしょう。  今度は、さらにそれを超えて、それはもう作りましたと、そういうことで。さらに、金融危機になる前に、金融危機が起こる前に公的資金を投入できる制度を作ろうと。今これ、ここには「不良債権問題を終結させるため」と書いてあるけれども、時限的なものでもない、未来永劫ずっと続く制度だと、こうなりますと、もう正に公的資金を投入する、もう融通無碍、投入できるということでしょう、危機的でなくても。そういうものになるじゃありませんか。これは私、とんでもない制度だと思いますよ。こんなの、お金を掛けて、また人を集めて、何も検討する必要ないですよ。こんなことはやめてもらいたいということを申し上げておきたいと思うんです。何かおっしゃりたいことありますか。
  293. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 是非とも御納得、できればいただきたいというふうに思うんでありますけれども。  本当に、お金を出しますよ、政府がお金を出しますよ、出しますよというシステムだけを準備するのであるならば、これは、一種の社会的なモラルハザードも含めまして問題はあるのかもしれません。しかし、今回、繰り返し申し上げていますのは、これはガバナンスも強化しますと。ガバナンスの強化ということは、しっかりと責任も取っていただけるような体制にしますと。資産査定もしっかりとやりますと。自己資本の充実の一環として、必要があればこういうものも考える必要があるのではないかということでありますので、やはり総合的なパッケージといいますか、枠組みの中でその必要性なり位置付けを是非とも賜りたいというふうに思います。
  294. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 全然納得いきませんね。  そんなもの、あなた、今まで言ってきたことを次から次からと変えていっているんですよね。もうともかく、危機対応会議をやって、ちゃんと導入できる仕組みがあるわけですよ。その前に、危機的状況がある前、もうどう言い訳しようが危機的状況になる前に公的資金導入できる仕組みを作ろうということじゃないですか。それを検討しようということなんですからね。そんな検討は要らぬということを重ねて申し上げておきたいと思います。  さてそこで、産業再生機構の問題について伺いたいと思うんです。  これは改革促進プログラムですね、そういう名前になっておりますけれども、改革加速のための総合対策ですね。そこではこう書いてあるんですね。「金融及び産業の早期再生を図る」、こう言っているんです。産業再生先ほどもちょっとあったんですけれども、それについて言い出したのは非常にいいことですよね。だけれども、これまでの実態を見てみますと、不良債権処理は確かにどんどんどんどん何度もやってきたんです。十年で九十兆円ぐらいですか、やってきた。ところが、じゃ産業再生の方はどうかと。これは一個も進んでいないんです。もちろん、小渕内閣のときに産業再生活性化法というのができました。それでもって公的資金、税金、つぎ込んできた。  しかし、実態は一体どうなっているのかということなんですが、まず、これは経済産業省、これ全部経済産業省の所管じゃないんですけれども、分かれているものですから、ちょっとまとめて経済産業省にお答えいただきたいと思うんですけれども、この産業再生活性化法、これ認定した件数並びに登録免許税、これの減税額をちょっとまとめて教えていただけますか、トータルでどうなっているのか。
  295. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) 今のお尋ねにつきまして御説明申し上げます。  産業再生法の現在までの認定の実績でございますけれども、三年ほど前、平成十一年の施行以来、各省を合わせまして現在までに百六十九件の認定が行われております。  それから、登録免許税についての減免額のお尋ねでございますけれども、最終的に登記がどのように行われたかによるため、正確な数字はちょっと現在まだ明らかでございませんけれども、当方で、経済産業省で認定いたしました計画の内容から推計をいたしました。平成十一年の施行以来、当時の通商産業省及び経済産業省が認定した事業者の計画上記載された商業登記に対する登録免許税の減免の推計額は合計で約八十億円程度でございます。したがいまして、これは通商産業省と経済産業省が認定いたしました計画に関係するものでございます。
  296. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 ちょっとそれ、全部まとめて財務関係も言っていただけるのかなと思っておったんですが、ちょっとこれ財務省には言っていなかったので仕方ないですね。  それは私の方から申し上げるしかなくなったんですが、資料をごらんください。これはトータル、ともかくやってみたんですけれども、トータルではないんです。百六十九件と今言われました。それの中の主なところをずっと上位から拾ってみたんです。そうしますと、この二十六件の合計が登録免許税では三百九十四億円になっているんです。先ほどの経済産業省八十億と言われた。これはえらい少ないなと思ったのは当たり前で、このほとんどが、みずほフィナンシャルグループとか三菱東京、UFJ、りそな、これはトップは全部銀行金融機関が占めているんですね。これは持ち株会社化とかあるいは増資とか、そういったことによる登録免許税の減税ですから、非常に金融機関が大きいです。これ、一億円以上のところで縛りますと大体二十六件になるんです、一億円以上の減税を受けたところですね。  そういう形になっておりまして、大変な減税を受けておりますが、これはいわゆる産業再生法に基づいて、ガイドラインに基づいてきちんと認定を受けてやったところです、もちろん。そういったところがそれじゃどうなっているのかということなんですが、私、このうちの大体、この中の百八十六事案が大体拾えたものですから、それについて調査してみたんです。そうしましたら、株価が分かる企業、それについて認定した月の株価と最近の株価、これを比較してみました。その結果どうなったか。これ、竹中大臣、想像付きますか。
  297. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ちょっとなかなか株価を当てるのは難しいのでありますけれども、一般的には相場全体が下がる中で、かつ、ここに金融機関が挙がっておりますけれども、金融機関の最近の厳しい状況から判断するに、かなり低下しているのかなというふうに推察いたします。
  298. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 そうですよね。経済全体が悪いからそうだろうとだれしも想像するわけですが、経済産業省はこれをウオッチしていますか。
  299. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) 私ども実は、再生法の認定をいたしますときに三年間の計画ということでやっております。したがいまして、その計画の達成状況という意味で、例えばその会社の生産性でございますとかROEでございますとか、幾つかの指標をフォローしております。株価については別に認定基準上のフォローすべき項目には入ってございませんけれども、もちろん関心を持って見守っているところでございます。
  300. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 そうですよね。株価だけをもって判断するなんて私もそう思っておりません。しかし、何で私この株価ということを言いますと、これはもうあなた方政府自身が言ってきたことなんですよね。要するに株価というのは市場の評価の一つなんだということを盛んに言ってこられた。だからこれを取り上げてみたんですけれども、株価が分かった件数が百二件あるんです。その百二件を比べていってみますと、これが大変なことになっているんで、これ、今朝やっとまとまったんで資料にして提出することができなかったんですけれども、大体五十六件分を拾い集めてきたんですけれども、大変なことですね。これ、認定を受けて、認定というのは、認定基準というのは、御存じかも分かりませんけれども、要するに、今さっき中嶋審議官がおっしゃったように、自己資本当期純利益率、ROEというんですか、ROEが二以上上昇するということを計画の中に盛り込んでいなければ認定しないとなっているわけです。だから、二以上上昇するということが一つの、どうなったかということを見るメルクマールになると思うんですね。  それで見ていきますと、ほとんど駄目ですね。達成しているといいますか、計画を上回っているところといったら、この五十六件の中の一、二、三、四、わずか五件ですね。キタムラとか日本スピンドル製造、宇部日東化成、日野自動車、トヨタ自動車、これぐらいですよ。そのほかはみんな落っこちている。落っこち方もすごいですよ。認定の第一号である住友金属、これは、最初の時点が一九九九年三月、これがマイナス四・二、それが二〇〇二年三月はマイナス三一・五ですから、どんどんどんどん悪くなっているわけですね。三菱自動車もマイナス二〇・二になっています。それから、これは悪いところ、大きな悪いところを拾っているんですが、三菱化学がマイナス二七・〇で、ともかく、どれ取ってみてもあとは全部落っこちているんです。つまり、産業再生法というのを作ってやってきたけれども、何にも成功していない。  何か感想ありませんか、竹中さん。
  301. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) マイナスになっているというのは、これはROEがマイナスということですか、リターンそのものがマイナスという意味ですね……
  302. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 ROE。
  303. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ですね。リターン。  恐らく業種によっていろいろ違いはあるんだと思いますが、金融機関の場合は、今特に特別検査等々で一生懸命不良債権を吐き出しておりますので、いわゆる損を出すプロセスにおいて非常に一時的に悪い状況が重なっているという面もあるのだと思います。  それ以外に、ROEでありますから、エクイティそのものにどういう変化があったのか、リターンそのものに変化があったのか、大変貴重な御指摘でありますので、我々なりに勉強をしたいと思います。
  304. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 今、これをごらんになっていただいたように、三百九十四億円、大変な税金をまけてやっているんですよね。それで再生だ何だ言ってきたけれども、これほとんどは大企業ですよ、日本を代表するような企業がそういう形で認定を受けると。その認定の内容というのは、結局リストラだ、人減らしなんですよね。リストラ、人減らしをやる。三百九十億円の税金まけてやって、その企業が人減らしをやって景気を悪くしている。これはもう国民から見たら踏んだりけったりじゃないですか。税金使って景気を悪くしている。最初と最後をつなげばね。そういうことになっているわけですよ。そう言われても仕方がない。そういうことをやってきたわけですね。  そこで、私、なぜこれを言いたいかというと、もう大いにこれは反省してもらわなけりゃいかぬことなんです。ところが、そういった反省もなしにまたまた今度は新しい機構を作るというんです。産業再生機構を作るというわけですね。まず、やってきたことを反省して、それでどうせないかぬかということを考えるのが筋でしょう。今度のプログラムだとか総合対応策を見ても、そういった反省なんてそこにはどこにもないんですね。これがまずとんでもないことだと思いますね。  そこで、そういうことを一つ申し上げた上でお聞きしたいと思うんですけれども、今度の産業再生機構、ほんの一年前にRCCに再生機能を持たせたんですよね。ここでいろいろ論議やりました。そんなことできるのか、できるんだと。そんな人材あるのか、ちゃんと集めてくるんだと。まあもう何ともかんとも自信たっぷりの答弁したけれども、結局何にもできなかったじゃないですか。これもまた、たった一年前の反省もこの中には入っていないんです。それで産業再生機構を作ろうというわけですね。  そこで、これは担当は、この機構作りは谷垣大臣になっているわけですね。そこで、これは内閣官房に伺いたいと思いますが、これ、一体この機構は何するんでしょうか。
  305. 小手川大助

    政府参考人小手川大助君) 産業再生機構につきましては、金融機関におきまして要管理先等に分類されております企業のうちで、メーンバンクと企業の間で再建計画が合意されつつある等によりまして再生機構が再生可能と判断する企業の債権を、企業の再生を念頭に置いた、しかも適正な時価というもので、原則としまして非メーンの金融機関から債権を買い取るという内容でございます。
  306. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 預金保険機構の下にRCCと並んで設置すると、まずそういうことですね。  非メーンの銀行から債権を買い取るということなんですが、再生の可能性ですね、再生の可能性のあるやつしか取り扱わないわけです。その再生の可能性のある判断、これはだれがやるかということも問題なんですが、その判断、診断を受ける企業、これはどこが再生機構に持ち込むんですか。
  307. 小手川大助

    政府参考人小手川大助君) 今申し上げましたように、今回の機構の一番のポイントは、再建計画というものが合意されているか、あるいは合意されつつあるというところが一番のポイントでございます。  通常の場合、そのような再建計画といいますのは、いわゆる一般に言われておりますメーンバンクと債務者の間でこれを策定するというものだと思いますので、当然、そういうような場合であれば、メーンバンクが持ち込むのが通常であると思われます。
  308. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 再建計画があるか、それが合意されつつあるということならば、再生が可能だというふうにメーンバンクが判断している案件なら、メーンバンクは持ち込まないじゃありませんか。私はそう思いますよ。持ち込むというのは、相当困難なやつを持ち込むことになるだろうと。持ち込むのがメーンバンクであって、タスクフォースでなかったことを私ちょっと安心しましたけれども。タスクフォースがこれやり出すんじゃないかなんてことを思っておったんですけれども、それはメーンバンクがやるということで安心しました。  しかし、私言いましたように、メーンバンクは、再建計画、合意しつつある、できそうだと、それなら自分のところでやりますよ、あなた。わざわざ持ち込みませんわね。だから、かなり困難なやつがそこに持ち込まれるしかないだろうというふうに私は思います。  そこで、その際の、もうそのことについてはいいです、判断基準なんですよね、再生可能かどうかの。判断基準というのは一体どうなっているんでしょうか。
  309. 小手川大助

    政府参考人小手川大助君) この場合、一つは、当然、今申し上げたような仕組みでございますので、この計画の内容及びその計画に基づきました価格の適正性について、これが合理的であるかどうかということについて相当厳しい審査になってくると思います。  もう一点申し上げますと、この機構は時限的な組織として作るという頭になってございますので、当然、いわゆる出口の問題としまして、これは債権を引き取る相手が出てくるというのがポイントだと思っております。したがって、そのときには、この当初の買取りの価格、それから出口のときの買取りの価格、この問題。それからさらに、数字の話だけではなくて、債権を引き取りたいと思う言わばスポンサーというものが、それを当然前提にしますので……
  310. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 再建可能性の判断基準です。
  311. 小手川大助

    政府参考人小手川大助君) はい。  したがって、当然、その債権を買い取って、債権者の地位でこの企業をきれいなものにした後にそういうようなスポンサーが出てくるかというところがポイントでございますから、そうすると、そのスポンサーから見て当該債務者企業がどこか魅力のあるものがあるかどうか、その企業の内容というのが一つのまたポイントになってくると考えております。
  312. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 そうすると、もう持ち込まれた段階でスポンサーも先探して、その上で再生可能かどうかと決めるんですか。そんなばかなことないでしょう。  私がまず聞きたいのは、ここに、このプログラムに書いてある、それから総合対応策に書いてある中で読んでみますと、要するに、業界内での再編なくして再生不能と考えられる企業について、機構内に蓄積されたノウハウ等々でもって判断すると、こうなっているわけです。こうなっているんですけれども、じゃ、その蓄積されたノウハウというのはどこから持ってくるかというと、結局は国を挙げての、各省庁の総力を挙げた協力を要請してそれをやるというふうに書いてあるんですよ。  どういう形で協力を要請するのかなというふうに思って見ていきますと、金融再生プログラムの中に今度はそれが登場してくるわけですよね。  金融再生プログラムでは、「企業再生のための環境整備」ということの中にありまして、金融庁から関係省庁にもう既にこれはタスクフォースを見ると要請したことになっているようですけれども、「過剰供給問題や過剰債務問題に正面から取り組むべく、産業事業分野が供給過剰になっているかどうか等について政府としての指針・考え方をまとめるとともに、安易な企業再生に政府の「お墨付き」を与えることのないよう適正な基準を定めること」とあるんですね。  だから、各省庁で指針を定めて、基準を定めるということになっておるわけですね。そういうことに基づいて再生可能かどうかということを判断するんでしょう。それをやるのは再生委員会ですよね。その再生委員会というのは産業再生機構の中の何に当たるのか、それを含めて、今ちょっと余り時間がないので簡単に説明願えますか。
  313. 小手川大助

    政府参考人小手川大助君) 現在、今の指針に基づきましてといいますか、十月三十日のその対策に基づきまして、法案の骨格それからその内容を来年の通常国会に間に合わせるようにやっておりますので、今詳細は詰めておりますが、今の先生の御質問の点につきましては、産業再生委員会というのは産業再生機構の内部に設ける予定でございます。
  314. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 それでは、そこで経済産業省に伺いたいんですが、これ全部、産業事業分野が経済産業省の所管ということではないけれども、ほとんどが経済産業省の所管になってくるだろうと思うんですが、過剰供給のことなんです。  今さっき読み上げましたように、プログラムでは、「安易な企業再生に政府の「お墨付き」を与えることのないよう適正な基準を定める」とあるんです。私は、こう書いてある以上は、これは、大体自動車は今供給過剰だなと、そんなことじゃ駄目なんですよね。きちんとした数値基準が当然示されなけりゃいかぬと思うんです。一体、経済産業省でそんなことができるんですか。私は非常に疑問です。それだけの物すごい力があるんでしょうか。
  315. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) 実は、これは先週、十一月の二十八日でございますけれども、開催されました政府産業再生・雇用対策戦略本部の第二回でございますが、そこで平沼経済産業大臣から企業・産業再生に関する基本指針の素案の骨格という形で御報告をさせていただきました。  その際お示ししたのでありますけれども、供給過剰構造問題に対応するためには、まず、産業活力再生特別措置法、いわゆる産業再生法の抜本改正を現在考えております。  今申し述べました基本指針におきましては、改正後の産業再生法による政策的な支援対象になる過剰供給構造にある事業分野の特定、これに関する考え方を明らかにしていこうと思っております。現在、政府部内において関係省庁と鋭意検討中でございます。
  316. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 そうですか。  それはできれば大変なことだなと思いますよ。だけれども、もう経済は国際化しているわけですよ、自動車にしても鉄鋼にしてもあらゆる分野で。まず、供給過剰かどうかといったら世界的な分野で、スケールで見ないかぬでしょう。世界的なスケールで見て供給過剰、どの程度供給過剰になっているかと。自動車業界ではどうだ、鉄鋼ではどうだ、自動車では何百万台過剰だとか鉄鋼では何億トン過剰、何億トンはオーバーか、何千トン過剰だとか、そういうことを決めるわけでしょう。  それがもし判定できたとします。じゃ、世界でこれだけ過剰だと分かっても、そのうち日本の分担はどの程度かとどうやって決めるんですか、そんなこと。あなた方、自由競争だ、市場原理だと言っているんでしょう。どうやって決めるんですか、それ。また、日本で日本の分担はこうだと決まったとしましょう、仮定しましょう。そのうちAという企業の過剰分はどうだ、どうやって決めるんですか、これ。ちょっと教えてください。
  317. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) どういう指標でその業種の過剰供給であるか否かを判断するかという点がまず問題になると思うのでございますけれども、例えば設備の稼働率とか、一体どういう指標を参考にして考えるのかという点について今現在検討しております。  それから、もちろん、先生指摘のように、今、世界全体が市場経済で動いておるわけでございますから、私ども、決して統制経済的に何か政府が将来の需給見通しを定めるとか、あるいは、まして各企業ごとの割り振りをするとかというようなことは一切考えておりません。
  318. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 それはそうでしょう。そんなことできっこないでしょうね。そんな、一つ一つの商品について量はどれぐらいなんて、こんなことできるはずないですよ。ソ連が失敗したんだ、これで見事に。そうでしょう。  このできないこと、できそうもないことをこんな法律に書き込んで、あたかもできるかのように言うこと、そこに私問題あると思うんですよ。こんな数値基準なんか示すことできないでしょうが。できますかね。どうなんですか。
  319. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) やはり、例えば製造業の場合が一番分かりやすいと思うんでございますけれども、特に、典型的に言えば、いわゆる装置産業などの場合に、どういうような指標で供給過剰にあるか否かというようなことを考えられるのかと。よりどころになる指標というのは幾つかのものが考えられております。まず、そういう点についての政府部内の意見の調整を今しているところでございます。
  320. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 私はもう全然そんなの理解できませんが。  ただ、これを各省庁にその基準を作ってくださいといって要請したのは竹中大臣でしょう。あなた、どういうつもりでそれ要請したんですか。
  321. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 市場経済の中で、産業の調整について政府がどのような役割を果たすべきか、非常に大きなチャレンジであるというふうに思います。もちろん、かつてのように、かつての通産省が産業構造ビジョンを作って、そうした下の中で何らかの割当てを行うと、そんなことは全く想定をしておりません。  しかし、決して、実は、それにしても、例えば業界の中で供給過剰があるというふうに思われている業界が存在しているという事実がございます。そういうものはなぜなのかと。それは、私から池田委員にこういうことを申し上げるのはなんでありますが、時として市場メカニズムがうまく働かない場合があるということにこれは尽きるのだと思います。これは特に、今、不良債権を抱えている特殊な三つ、四つの業種というのは、非常にこれ、どちらかというとやはりグローバルな製造業ではなくて、国内にベースを持っている、流通にしても不動産にしても建設にしても、そういう業種であります。  そういうところは、やはりこれは一般的なオブザベーションでありますが、一種の囚人のジレンマ状態というか、とにかく悪いと、みんな業界が多過ぎるというふうに分かっていると、しかし、自分のところがやめたら、自分のところ損するけれども残ったところだけが得すると、だからなかなか自分からはやめられないと。こういうのを、全体としては間違っていることが分かっていても自分だけが動けない、これは囚人のジレンマ状況であるわけですけれども、そういうものに対してやはり行政が何か役割を担うべきではないのかというところから一つの今回のチャレンジが出てきているのだと思います。  それに対してどのような答えが出せるか。これは、今、三つ、四つの業種を申し上げましたけれども、それだけ取ってもやり方はかなり異なってくるように思います。しかし、そこは長年の経産省、国土交通省等々の英知を結集して、何らかのやはり一種の行動的な役割を担っていただきたいと、そういうチャレンジを今各省がしようとしているというところではないかと思います。
  322. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 我々がずっと言ってきたことについて、今、竹中大臣が言われたことと一致する部分も大分あったんです。ともかく競争社会だということで、一社だけが賃上げをやったり、あるいは大幅な労働時間短縮やったり、これはできないよと、用意ドンでやらないとと、それをアレンジするのが政治だと。そのとおりなんですよ。そのことを我々言ってきた。今、そこで一致した点は非常に大事だと思うんですが。  ただ、問題は、私の言ったことにお答えになっていないということもありますが、これ、産業再生機構預金保険機構の下に作られます。担当大臣はあなたなんです。金融庁、預金保険機構を所管するわけです。そうでしょう。  これ、預金保険機構金融以外のこと、つまり産業再生機構というのは、正に今さっきいろいろ、過剰供給の分析までして数値基準まで決めるようなことをやって、それでもって判定していくという、そういうことを何であなたのところで担当できるのかと。私はもうとんでもないことだというふうに思います。若干時間いただいて、答弁ください。
  323. 小手川大助

    政府参考人小手川大助君) 今回、産業再生機構の具体的な仕組みにつきましては、先ほど申し上げましたように、現在法律の作業をやっておりまして、当然その中に、具体的な所管等についてもどのようにするかということも検討対象の中に入ってございますので、現段階では具体的な所管官庁はまだ決定していないところでございます。
  324. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 基本的に、組織の仕組みをどのようにするか、主務大臣がどうなるかということを含めて今検討しているところでございます。
  325. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 それならそれでいいですけれども、ともかく、さっき言ったことについては指摘しておきたいと思うんですね。金融庁が所管できないだろうということは私もそう思いますよ、全然そんな、所管外になりますからね。そうだとすると、預金保険機構の下に作ったこと自身がまたおかしくなるというジレンマがありますけれども。  そこで、今日るるやってきたんですけれども、結局、不良債権の処理の加速策ということで、金融再生プログラムだ構造改革だと、こうやってきているわけですけれども、まとめたいと思うんですが、要するに、不良債権の処理ということで、中小金融機関の場合には間違った物差し当ててつぶしてきたというふうなこともありました。  私たちは、不良債権処理をやれば景気が良くなるという竹中大臣の、それは間違いだということも言ってきました。とにかく景気を良くしなければ駄目なんだということを、本当に実体経済を正常に戻していかなければ、とてもじゃないけれども不良債権の真の処理なんということは進んでいかないんだということを申し上げたいと思うんです。そのことを申し上げて、質問を終わります。
  326. 平野達男

    ○平野達男君 国会改革連絡会の平野達男であります。  今まで、二十分とか三十分とかといって、どちらかというと短距離走ばっかりやってきましたので、今回、一時間という時間をいただきまして、初めて中距離競走にちょっと挑戦させてもらいます。途中でペース配分間違えて失速するかもしれませんが、よろしくお願いしたいと思います。  まず、金融再生プログラムについてお伺いをしたいと思います。  お手元に参考資料を配らせていただきました。一枚目に、抜粋をここに用意してあります。2の「新しい企業再生の枠組み」という中で、「「特別支援」を介した企業再生」ということで、特別支援金融機関に関しての項目がア、イ、ウと書いてありまして、アは「貸出債権のオフバランス化推進」。ここで気になるのは、「RCCによる買取に関しては、必要に応じ財政措置についても検討する。」と書いてあります。それから、「時価の参考情報としての自己査定の活用」、「DIPファイナンスへの保証制度」、「再生可能な部分を甦生させるための信用保証制度について検討する。」ということでありますが、この以下の三つが特別支援金融機関にだけ限定される理由をまず御説明願いたいんですが。
  327. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) ここに書かれていることについて、まず貸出債権のオフバランス化の推進ということについては、これは特別支援金融機関に限定するということではございません。  ただ、この金融再生プログラムの中に書かさせていただいているように、個別金融機関が経営難や資本不足に陥った場合に、特別支援という枠組みを適用して、政府、日銀が一体となって経済の底割れを起こさせない万全の対応を取っていきたいというふうに考えております。  そういう意味で、この特別支援金融機関というのは、ある意味で傷付いた金融機関でございますから、その傷付いた金融機関を早期に経営を改革し、そして健全化をしていかなければいけない。そして、この金融機関が新しい経営陣の下で知恵と工夫を生かして企業再生に取り組んでいくために、破綻懸念先以下の貸出債権のオフバランス化を推進をしていく、そのための経営努力を傾注をしていただくということでございます。  それから、価格のところでございますが、これは先生御承知のとおり、RCCによる不良債権の買取り価格については、改正金融再生法において時価によるものとする旨規定されているところであり、当該規定に基づき、RCCは時価による買取りを積極的に行っているところでございます。  今般の金融再生プログラムにおいては、RCCによるこうした時価買取りについて、より一層的確な時価というものを設定する観点から、特別支援の枠組みの下で十分な引き当てを積んだ自己査定であることを前提に、当該の自己査定を一つの参考情報として採用することを検討することとしているものでありまして、時価の考え方自体を特別支援金融機関とそれ以外の場合で変えるといった趣旨ではございません。
  328. 平野達男

    ○平野達男君 DIPファイナンスはどうですか。これ、限定されていますか、限定されていないかだけでいいです。
  329. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) これは、ここに書かさせていただいているように、法的な整理手続に入った企業について、当該特別支援金融機関がDIPファイナンスを担う場合ということでございますので、そのときに再生可能な部分を蘇生させるための信用保証制度について検討をしていきたいということでございます。
  330. 平野達男

    ○平野達男君 そうすると、この保証制度については特別支援金融機関に限定しているという理解でいいんですか。答え簡単でいいですよ、イエスかノーだけで。
  331. 五味廣文

    政府参考人五味廣文君) これは、中小企業庁が今国会に法案を提出いたしまして既に成立をしておりまして、いわゆる特別整理に限定しない形で適用されます。
  332. 平野達男

    ○平野達男君 今の答えをまとめますと、アは限定しない、イは限定する、ウは限定しない。この文章の構成でそういうふうに読めますか、これ。  だから、アは限定しない、イは限定、これもしないんですか、ウも限定しない。文章の構成上でこれ、限定しないように読めますか。
  333. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) 今お話をさせていただいたように、限定をしていないということでお話をさせていただいているところでございます。  ただ、私どもがお話をさせていただきたいのは、その傷付いた、特別支援に入っている金融機関の早期の経営の再生ということを考えた場合にこうした手だてが必要だということで、そういう意味でここの中に記載をさせていただいたということでございます。
  334. 平野達男

    ○平野達男君 私が議論しているのは、どちらかというと重箱の隅をつっつくような議論をしているんです。文章の構成で、これは特別支援金融機関はと書いてあるんです。以下の点に関してということで、ア、イ、ウと書いてあるんですね、これ。これを読みますと、ア、イ、ウは特別支援金融機関に限定する措置になっちゃうんですよ。何でこういう構成になっているかということがまず一つあります。  それから、もっと言いますと、時価の参考情報として自己査定の活用というのは、だれがやるという話ですか、これは。だれがやるかだけでいいです。
  335. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) これは、RCCが買うときに参考するということでございます。
  336. 平野達男

    ○平野達男君 ところが、これ、文章を読みますと、破綻懸念先以下債権をRCCに売却する場合にはと、主語になっている、これ銀行になっているんですよ。そして、銀行がと、RCCじゃないんですね、これ。それで、判断する際の一つの参考情報として採用することを検討すると書いてあります。これ、RCCが主語と読めないですよ。
  337. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) これは、一番最初のところに特別支援金融機関はということで書かさせていただいておりますので、そうした前提の中で私どもとして考えてきたということでございます。
  338. 平野達男

    ○平野達男君 だから、今の答弁だと、特別支援金融機関が自己査定の活用をするという答弁になっちゃうでしょう。だけれども、今先ほどの副大臣の話は、RCCがと答えたでしょう。RCCでなければおかしいんですよ、これは。当たり前なんです。だけれども、文章がそういうふうになってないでしょうと言っているんです。  要するに、ここの部分については何を構成したのかよく分からないんですよ、これ。頭の部分では特別支援金融機関というふうに限定しているんです。話を聞けば、ア、イ、ウについては特別支援金融機関に限定していないというお話でしたね。だけれども、文章上まずひとつ読めないんじゃないかという、先ほど言いましたように重箱の隅をつっつく議論かもしれません。だけれども、構成上は非常にまずい、これは。本当に推敲して作った文章かということを言いたいわけです。  それからもう一つは、時価の参考情報としての自己査定の活用、これは繰り返しますけれども、副大臣が言っていることと書いていることは全然逆ですよ、これ。よく読んでみてください。
  339. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) これは特別支援金融機関のことについて書かさせていただいて、それでRCCの買取り価格である時価を判断する際の一つの参考情報としてそれをRCCが採用することを検討するという意味で書かさせていただいております。
  340. 平野達男

    ○平野達男君 曲げて、あえてそういうふうに読むことにしましょう。ただ、文言的には、これは非常にまずい文章だと思いますよ。これを素直に読みましても、RCCがというふうに読めないんですよ。だけれども、私は頭の中で、当然時価の判断ですからRCCだと思っているから読んでいますけれどもね。文言的には非常におかしいと思います。  そこで、今度は時価の参考情報としてのこの時価の問題でありますけれども、ここで言っていることは、いわゆる新聞報道等の話を総合しますと、引当金を除いた部分の、その部分をもって価格にするというような意味合いでこれ書かれているかと思うんですが、具体的にどういうことなんでしょうか、ここの時価ということの意味合いは。
  341. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) 一般に時価とは、その時点において一般にその物が取引されている実際の価格と考える価格というものを考えております。  今般の改正案の下で、その時価についても基本的に同じ考えに立ち、合理的な方法により算出した価格が時価であり、不良債権については、証券会社、投資ファンド、民間サービサー等、民間の買手と同様な手法で設定された価格であるというふうに考えております。
  342. 平野達男

    ○平野達男君 RCCは、買取りの中で去年の時価というものを導入した場合には、DCFを導入すると言っているんですよね、RCCは。それとこれとの関係はどうなりますか。
  343. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) 特別支援ということでより厳格化されているわけでありますので、そうした中で合理的な時価というものが決まってくるということでございます。
  344. 平野達男

    ○平野達男君 特別支援がより合理化されていて、ほかの銀行がより合理化されていないというのは、それは答弁としておかしくないですか。なぜ特別支援銀行だと引き当てがしっかりして、ほかの銀行がしっかりしてないんですか。
  345. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) 特別支援の下でその引き当ては、これ、十分しっかりしてくるということでございますので、そこで時価というものがより合理的なことになっていくというふうに考えております。
  346. 平野達男

    ○平野達男君 じゃ、ほかの銀行の引き当てというのはしっかりしないということですか。
  347. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) ここに書かさせていただいているように、参考情報として活用をしていくということでございますので。
  348. 平野達男

    ○平野達男君 まだまだ私の問いは続きますけれども。  また元に戻りますけれども、参考情報として活用するときに、もう一回繰り返しますが、これはなぜ特別支援金融機関だというふうに限定するかとお聞きしているわけです。それに対して、特別支援金融機関はしっかりとした引き当てがやってありますからというお答えですよね、そうですね。私の問いは、なぜ特別支援金融機関だけがしっかりした引き当てで、ほかの金融機関はしっかりとした引き当てではないのかと判断できるんですかとお聞きしているわけです。そのために、いいですか、特別支援金融機関は、ただ公的資本注入あるいは日銀から特融を受けたという銀行に限定されていますね。その資産査定をどうするかというのは、特別支援金融機関であろうが普通の金融機関であろうが、金融庁が責任を持ってやるわけでしょう。それが、責任を持ってやるやつが特別支援金融機関とそうでない銀行と何で差を付けられるんですかという、そういう質問なんです。
  349. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) 差を付けるということではなくて、繰り返しになりますが、特別支援金融機関の傷付いた金融機関というものを早期に健全化していく、経営革新をしていくと。その流れの中で、企業の再生を充実していくために破綻懸念先以下の債権というものをオフバランス化していくということが極めて重要であって、それをしていくに当たって当然ガバナンスというものをより強く働かせる形になっているわけでありますから、引き当てを十分にして、そしてそれを参考価格としてRCCの買取り価格のところの判断する材料の一つとして採用していくことを検討していると、そういうことでこの中に書かさせていただいているわけであります。
  350. 平野達男

    ○平野達男君 もう論理的に全く私おかしいと思いますよ。  あのね、特別支援金融機関がまず仮にしっかりとした引き当てをやっているという、仮にこれはいいとしましょう。そうしたら、これだけを参考情報にもらったら、RCCはこれを、その引き当てを除いた部分のやつを価格として、要するに買上げ価格として採用するときの参考と言っていますけれども、この価格にしなさいと押し付けることになりますよね、まず。  それからもう一つ、繰り返しになりますけれども、もし参考情報であれば、特別支援金融機関であろうがほかの銀行であろうが、多少そこは正確でないかもしれない。私は、これ正確でないということについて納得していませんけれどもね。参考情報でやる場合については、特別支援金融機関であろうが普通の銀行であろうがこれ公表したらいいじゃないですか。なぜ特別支援金融機関に限定するんですかというまたこちらの問いに戻ってきますけれども。
  351. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) 繰り返しになりますが、特別支援金融機関金融機関としての経営を早期に改善をしていくために、今お話をさせていただいたように、RCCというものを一つの活用する手段、つまり破綻懸念先以下の債権をオフバランス化していくに当たって考えていると。その場合に、RCCが買取り価格というものを判断していく場合に、時価の判断をする一つの材料としてこうしたことを採用していくということを考えているんであって、そして、RCCの方では預金保険機構の買取価格審査会の場を活用してそして判断をしていくということでありますので、そうした今までの実績とこの参考価格というものを考えながらRCCとしての適正な時価設定というものを考えていくということだと思います。
  352. 平野達男

    ○平野達男君 そうすると、もう一回同じことを聞きます。特別支援金融機関の引き当てはほかの銀行よりしっかりしていると、それを金融庁は認めると、そういうことでいいんですね。
  353. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) 認めるかどうかというよりも、繰り返しになりますが、特別支援金融機関に入るというのはもう傷付いた金融機関なわけですね。それを早期にその経営を改革をして、そして健全化をさせていかなければいけない。そして、そういう意味で、この金融機関に対してはガバナンスを強化をして、そしてしっかりとした形で引き当てを付けていくということが求められていくわけでありますから、そうした前提の中で、今お話をさせていただいたように、十分引き当てを積んだという前提で、RCCの側が買取り価格である時価というものを判断する材料として参考情報として採用していくということでございます。
  354. 平野達男

    ○平野達男君 私の問いに答えていませんよね。  金融庁さんは、特別支援金融機関であろうが普通の銀行であろうが引き当てをしっかり積んでいるということをこれ検査する義務がありますよね。そうでしょう。それでいて、特別支援金融機関はこれはしっかりした引き当てでやる、そうでないところはしっかりとした引き当てがないということでないと、これだけを参考情報として活用できる根拠がなくなってしまうんですよ、これは。これは、ですから説明の論理的に非常に矛盾していると思いますよ、ここは。  私は、これ参考情報としてやるんであれば、RCCはどういう価格を決定するかというのは自由ですから、特別支援金融機関であろうが普通の銀行であろうが公表すべきだと思いますよ、ここは。それは、引き当てというのは個々の銀行が自分の考え方できっちり引き当てをやっているわけですから、それでそれを採用するかどうかはRCCの自由ですよね、まず。これははっきりしていますよね。ちょっとここで確認しますけれども。
  355. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) それはRCCの判断ということになります。
  356. 平野達男

    ○平野達男君 そうしますと、この工程表に行きますけれども、工程表の中に時価の在り方について検討するというふうに言っているわけです。これは、去年の議論から行きますと、DCF法でやりますという一つの方法としてそれで一応決着していると思うんです。  竹中大臣にちょっとお伺いしますが、竹中大臣は時価の定義というのはどのように考えておられますか。
  357. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 市場での価格でありますから、実際には売買される取引事例があれば一番分かりやすいわけですけれども、そういうものは普通はないわけですね。これからどういうふうにやるかと。  そのときにはケース・バイ・ケースでやりますけれども、分かりやすい例としては、これは将来のキャッシュフローを現在価値に割り引くというディスカウント・キャッシュ・フローのようなものがあるでありましょうし、類似の取引事例を参考にするということもあるでありましょうし、いずれにしても、しかし事務上それを何らか積算しなければいけないという場合には、ディスカウント・キャッシュ・フロー等々に基づいて市場価格に近いものを想定していくということになろうかと思います。
  358. 平野達男

    ○平野達男君 ですから、それを私なりに解釈しますと、DCF法は買取り側が買取り価格を決めるときの一つの手法ですよね。手法にすぎないんですよ。それで、売る側は自分でこれだけの価格で売りたいという一種の予定価格を持ちますよね。予定価格を持って、競争入札するか相対でやるかは分かりませんけれども、それと買う側との要するに交渉の中で、DCF法をやってくるか、えいやでやってくるか何か分かりませんが、その中で双方の思惑が一致したところが、これが時価でしょう。ということですよね。ですから、今回の場合は参考情報としてこれを提供するというのは、一種のこちら側、売る側についての一つの要するに予定価格というか希望価格なわけですよ。そうなわけなんです。  そのときに、また私、結局戻ってしまいますけれども、特別支援金融機関が、自分たちの引き当ては、これは健全だから、これは自分たちの希望価格ですよと情報公開できて、ほかの銀行が、情報提供するのがいいか悪いかは別として、できないというのは、これは理屈からいってやっぱりこれもおかしいと思います、私は。ここは十分詰めてこういう言い方されていますか。
  359. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 委員の御質問全般に関するお答えになると思いますが、この金融再生プログラムというのは、見方によってはちょっと分かりにくいんじゃないかという御指摘を私もいただいております。  そのときに私自身が御説明を申し上げるのは、ここの中にはちょっと性格の異なる三つのものを同時に書かせていただいているということだと思っております。  一つは、一種の我々にとってのマニフェストというか決意というか、こういうふうにやっていくんだと。この部分に関すると、正にこの特別支援金融機関の話というのは、金融問題から絶対底割れを起こさせないように、緊急時にはこういうやり方でひとつやりたいと思っているという一つの我々なりの宣言、一種のガイドライン的に示している部分があります。  もう一つは、資産査定を強化するとか、非常に金融行政の方向を議論している部分があります。  さらに加えて、これまで専門家の間で議論のあったDCFでありますとか繰延税金資産とか、ピンポイント的に重要な部分を取り上げて少し詳しく議論をしている部分がございます。  その意味では、少し異質の三つのものが混じっているというふうに私自身も感じております。  ここで書いておりますのは、先ほどから副大臣が答弁しておりますように、こういう場合は、緊急を要する場合、一種の非常事態のような場合については、一種のこういうあらゆる手段を動員してやっていくことを一つのガイドライン的なものにしたいという我々の意思を書いているわけでございまして、詰めなければいけない問題は御指摘のようにたくさんあろうかというふうに思います。  この点も先ほどから副大臣が御答弁させていただきましたように、時価の在り方等々については、今の考え方そのものを変える必要はありませんけれども、在り方について検討しているところでございますので、御趣旨のような点は十分に受け止めて仕組みをしっかりと作っていきたいと思います。
  360. 平野達男

    ○平野達男君 私がここで非常に心配していますのは、どうも時価といいながら、売る側が価格を決めてしまうという、いや、そういう方向に動いているんじゃないかという感じが非常にしています。  それで、こういうものを参考情報として採用することを検討するなんというのは、こんなのRCCに任せておけばいいんです、こんなのは、実は。私、先ほど、情報を、これを出すのならば買った方も出すべきだと言ったんですが、根本的には、情報を出すことなんというのは全部任せておけばいいんです。買う側と売る側がどういう思惑でやるかというのは、要するにこれは市場で決まる話ですから、ここにああだ、どうだこうだと言うこと自体がやはり基本的におかしいと思いますよ。  ということで、この時価の参考情報についてはこれからどんどん詰めるみたいですから、これからもしつこくいろいろ聞いていきたいと思います。特に、特別支援金融機関とそうでないところの金融機関を分けたということについてはよく考えてみてください、これが本当にそのままでいいかどうか。  それからもう一つ、(2)の「RCCの一層の活用と企業再生」があります。ここで気になるのは、「購入して短期間で回収できない案件については、原則として、売却する方向で早急に検討する。」というふうに書いていますが、この趣旨であります。  この間、時間がもう三十分もたってしまいましたから、一気にしゃべってしまいますが、鬼追社長にいろいろお聞きしました。そして、債権の回収にどれだけ掛かりますかと言ったら、半年掛かるものもある、一年掛かるものもある、場合によったら五年、十年も掛かるものもある、そういうものを見極めながら私どもは回収を行っていますという話でした。かつ、これは私が何週間前かにこの委員会でも言ったんですけれども、RCCというのは、回収の作業というか回収の能力においては恐らく日本で一番、あるいは二番、二番かどうか分かりませんが、トップクラスだろうと思いますし、鬼追社長も大変僣越ながらということでそういうことを言っておられました。  そうしますと、「購入して短期間で回収できない案件については、」ということは、これは何を意味して言っているのか。これは具体的に、RCCが要するに回収に入ったときに、期間が三年、四年、五年たって、三年か四年か五年か分かりませんけれども、二年か三年たったらどんどんどんどん売却しなさいというふうにしか読めないんですが、ここの趣旨はどういう趣旨でしょうか。
  361. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 委員指摘のように、RCCというのは、今非常に高い能力を蓄積しつつあると思います。サービサーとしてとらえるならば日本で一、二を争うところに来ているという評判もよく我々は耳にします。これは大変私たちにとってもうれしいことであるというふうに思います。  しかしながら、債権の回収というのは極めてスペシフィックというか、個別のものであると思います。RCCがたとえ日本一であっても、この分野については実はもっと優れたところがあるかもしれない、RCCにとってうまく回収できない、うまく再生の道が開けないという場合でも、別の人にとってはそれをうまく活用する道を見いだすことができるかもしれない、それが再建、回収、売却の非常に難しいところであろうかと思います。  特に、我々にとってやっぱり一番気を付けなければいけないのは、そういった債権が一か所に長期間塩漬けにされてしまうということであろうかと思います。特にRCCの場合は、民間のサービサーと違って、言わば公的な機関でありますから、それをできるだけ早く回転させようというようなインセンティブが働かない可能性も民間よりは私はあるのだと思います。その意味では、回収極大化といいますか、回収極大化を常に課していくと。  繰り返しますが、RCCでは駄目だけれども、ほかのところに渡してうまく回収できる、うまく再生できるという可能性はあるわけでございますから、その意味では、時間のある程度の制約を課した中でRCCにできることを精一杯やっていただく、できないところはそのマーケットの中で更にそれを活用していただく、そういう方針は私はやはり適切に求められるべきではないかなと思います。
  362. 平野達男

    ○平野達男君 今、竹中大臣が言われたのは、RCCはいわゆる国民負担の最小化の原則で動かなくちゃならないということだろうと思います。これは当たり前の話だと思います。買った債権を企業再建ファンドに売るのがいいか、自分で回収するのがいいか、これは当然RCCは判断しているはずであります。  で、これは回収に向かうといったときに、これは回収した方がいいんだというふうに判断したときに、五年、六年、七年というふうにRCCは判断するはずなんです。そういったことで回収行動に出ると思います。それを、そういうことが分かっていながら、「購入して短期間で回収できない案件については、原則として、売却する方向で早急に検討する。」と、わざわざここでこういうことを言わなくちゃならないというのが意味が分からないということなんですが。
  363. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 基本的には、処分を行う、どのようなことをするかということをやっぱり早く決めてもらいたいということなのだと思います。その上で、そのためには、彼らができることとできないことというのをはっきりと識別してもらう。繰り返し言いますが、そうしないと、特に公的な部門の場合は、それを民間に比べてやはり持っていてもいいのではないだろうかというディスインセンティブのようなものが働くのではないかということを懸念するわけであります。  繰り返し言いますが、これは委員もお認めくださっていますけれども、回収極大化が重要である、その中でRCCにできることをとにかく早くやっていただく、できないことについてはマーケットの中の他のプレーヤーにそれを担っていただく、そういう仕分は必要なのではないかというふうに思うわけであります。
  364. 平野達男

    ○平野達男君 私は、RCCは、RCCの肩を持つわけじゃありませんが、竹中大臣の今おっしゃっていることは全部やっていると思いますよ。その上で、なぜこういう文章を書くのかというのが分からないと言っているんです。  ここからは多少推理めきますけれども、無理くり出させているというような感じがするんですよね、RCCの持っている債権を、その先に何があるか分かりませんが。という意味で、非常にこれは誤解を招く文章ではないかという印象を持ちましたということを一言、まずここで申し上げておきたいと思います。  RCCは、これ費用最小化で動くということをはっきりと鬼追社長も言っているわけですし、当然そういうことを頭に、念頭に入れながら動いているという前提だと思いますので、これを要するに信用しないような書き方とも取れるので、ちょっといかがなものかなという感じがしました。  それから、次に行きます。  「企業再生のための環境整備」、日銀に対する期待をすると書いてあります。これは何で株式保有機構を一言も書かなかったんですか、ここに。
  365. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 株式買取機構は今年一月に設立され、既にその業務を行っているわけであります。この金融再生プログラムにおいては、今後業務が開始される、その時点ではですね、今後業務が開始される日銀による株式買取機構について言及したところでありまして、現存する制度であって、既に業務が開始されている機構については特に言及しなかったという、実はそういうこと、それが事情でございます。  ここに書いていないといって、その機構役割を、ないしは重要性について評価していないとか、我々が関心を持っていないということでは全くない、これから展開すべき政策について言及したと、したがって日銀について言及したということであります。
  366. 平野達男

    ○平野達男君 これは書き手がどういう意思で書いたかという問題がありますから、意思の問題でしょうけれども、少なくともこれは金融庁の出されたペーパーなんですよね。それで、株式取得機構については買取りが進んでいなかったんです、これは予定のとおり。そういう実態があるときに、株式取得機構に一言も触れない、改善の方向も何も触れない、これは金融庁のペーパーとして私は非常におかしいと思います。  これは日銀だけ触れていて、自分たちの作った法律でこれ設置したやつですよ、株式保有機構。所管の大臣としてこれはおかしいと思いませんか。これ、だれが書いたのかよく分かりませんけれども、少なくとも役人は書いていないですよね、このペーパーは。私が今までずっと言ったようなことは、多分役人は構成とか何かについてはびちっと詰めますから。これを、株式取得機構を何も書かなかったというのは外部の人間、まあいいですよ、これは、ここまで言うと答えられない答えというか、質問にならない質問になるかもしれませんから。  ここを入れなかったというのはやっぱり一つの私は大きな落ち度だと思いますし、取りようによっては、もうあれはいい、日銀が全部買いなさいと、二兆円については、というふうにも取られかねない文章だということをちょっと一言申し上げておいて、金融再生プログラムの質問については後ほど機会を改めてしつこくまた聞きたいと思います。特に、さっきの時価の問題については直接いろいろ言いたいこともありましたけれども、今日はちょっと時間がないので、次の質問に移らせていただきます。  それから、今日はもうこれ本当に二十分ぐらいで終わらせる予定だったんですが、大変時間の無駄を、ロスをしてしまいました。  そこで、竹中大臣にお伺いします。  不良債権についてなんですが、最近発生している不良債権は、日銀も言っているんですが、かつて発生したいわゆるバブルのころの不良債権と違う。構造改革、構造調整その他に伴う不良債権だというようなことを言っています。それからまた、各銀行も、キャッシュフローの低下、景気の悪化に伴うキャッシュフローの低下あるいは資産デフレに伴うバランスシートの悪化、こういったことに伴って不良債権が新たに発生しているというようなことを言っていますが、竹中大臣はこういった見解に同意されますか。
  367. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 不良債権を償却しても償却しても新たな不良債権が出てくる、結果的に不良債権の残高を減らすことがなかなか難しいような状況、その原因を一体何と考えるかと、基本的にはそういうお問い掛けであろうかと思います。ここは本当に難しい問題であり、しかし、今後の不良債権の動向を考える上で極めて本質的なといいますか、重要な問題であるというふうに私も認識をしております。  不良債権の増加、特に今年の三月期の増加に関しましては、これはやはり何といっても、貸出し条件緩和債権の判定基準の厳格化でありますとか特別検査の実施、いわゆる洗い出した分ですね、今まで結果的に見ると隠されていた分が洗い出されたという面が、これはもう圧倒的に多かったというふうに思います。  しかし、一方でデフレが進む中で、新規にそれとは別の独立した要因で発生している部分ももちろんあるわけだと思います。その割合をどのように見るか。私は、少なくとも今年の三月期に関してはかなり大きな部分がこの洗い出しの部分であったというふうに思っておりますが、これはこの九月期の数字をもう少し精査して、また来年の三月期の数字を更に精査して、これは注意深く見ていく必要があるというふうに思っています。
  368. 平野達男

    ○平野達男君 割合がどの程度にあるか分からないというお答えでしたけれども、少なくとも、今公表されている不良債権の中には景気の悪化に伴うものもあるという理解でよろしいわけですね。  そうしますと、洗い出しで出てきた不良債権の処理といわゆる景気悪化で出てきた不良債権の処理、これは同じ扱いでよろしいんでしょうか。ちょっとこれは通知していませんでした。通告していませんでした。
  369. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) これは基本的には、理由が何であれ、そうした不良な資産の存在が今日の金融仲介機能を妨げているという、それを政策的に解消していこうというのが我々の目標でございますから、発生理由はともかくとして、これをしっかりとオフバランス化していくということは必要であろうかと思います。
  370. 平野達男

    ○平野達男君 私は、後者の、後者というか、前者か後者か忘れましたけれども、景気の悪化あるいは資産デフレの進行に伴って出てきている不良債権というのは、ある意味においては、景気が良くなれば破綻懸念先以下がまた要管理先に戻るという可能性のある債権じゃないかと思います。いわゆる洗い出しで出てきたやつは、これは今まで先送りされたものですから、これは迅速な処理ということが必要かと思うんですが、こういった二つの概念で対応することが必要じゃないかなと思うんですが、大臣はどう思われますか。
  371. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) それは、極端に言ってしまえば、フローを問題にするのかストックを問題にするのかという問題であろうかと思います。理由はともあれ、ストックとして出てきたものについては、これはやっぱりそれなりの期間でオフバランス化、処理をしていくということは必要なのではないかと思います。  むしろ委員のお尋ねは、どのぐらい出てくるかということに対しては、総合的な政策を組み合わせることによって、できるだけ新規のものは少ない方がいいわけでありますから、そういう政策が必要だという点をもし御指摘でしたら、それは私も全くそのとおりであろうかというふうに思いますが、ストックの問題としては、対応していかなければいけないのではないでしょうか。
  372. 平野達男

    ○平野達男君 そうしますと、新規の不良債権、特に景気の悪化、資産デフレの進行に伴う不良債権については、やっぱりその見方をちょっと変えてもいいんじゃないかというニュアンスではなかったかと思うんですが、私は、よく言われるところのデフレ対策が先かあるいは不良債権処理が先かという、また結局その議論に戻るわけですが、やはりこの不良債権処理の、不良債権の性格の変化に伴って、やっぱり今回金融再生プログラムを出すときに、併せて相当のやはりデフレ対策を出すべきではなかったかというふうに思っています。  総合デフレ対策を見ますと、ほかの税制改正とかいろんな、あとセーフティーネットなんかありますが、どうも今までの政策の羅列にすぎなくて、金融再生プログラムとか何かについては今までなかったやつをどかんと出したんですけれども、デフレ対策については随分踏み込みが少なくなったんじゃないかという意味において、ちょっと肩の力の入れ方が足りなかったんではないかというふうに思いますが、答弁を求めていると時間がなくなりますので、次の質問に移ります。  それで、参考資料にもう一枚、これはこの間、田村委員が出された主要行における自己査定と検査結果との格差という資料と同じ資料なんですが、自己査定と当局検査という数字がありまして、この当局検査の数字なんですが、これは、検査をやって、銀行と一緒に話をしながら、ああだこうだとやりながら出てきた数字なのか、あるいは金融庁さんがマニュアルを画一的に、かどうかは分かりませんが、当てはめて、その中で出した数字なのか、これをちょっと、まず冒頭お伺いしたいと思うんですが。
  373. 佐藤隆文

    政府参考人佐藤隆文君) お示しいただきました資料の当局検査という欄の数字でございますけれども、これは私どもがやっております検査を受けた金融機関に対して通知をした検査結果、これに基づくものでございます。  この検査でございますけれども、立入検査を行いましたときには、担当検査官と金融機関との間で十分な議論を行うというのが当然でございまして、そういう議論を経まして、金融機関の側である程度納得が得られたものというのが検査結果に反映されていくというのが基本でございます。
  374. 平野達男

    ○平野達男君 そうすると、この当局検査というのは、言わば当局検査となっていますけれども、金融庁と各銀行が合意した数字であるという理解でよろしいわけですね。
  375. 佐藤隆文

    政府参考人佐藤隆文君) 基本的にそういう御理解でよろしいかと思いますけれども、検査官は、金融機関の側では気が付いていないような点を指摘し、それらについて金融機関の納得を求めるというプロセスがあるわけでございます。  仮に、金融機関の側でどうしても納得がいかないというようなケースも考えられるわけでございまして、そういう場合に備えまして、意見申出制度金融機関の側でどうも承服がいかないという場合には意見申出制度というものを設けておりまして、これでフォローアップすると、こういうことでございまして、その結果も検査結果に反映されるということでございます。
  376. 平野達男

    ○平野達男君 これは私は非常に誤解していまして、この数値が出てきたときに、自己査定ということで、銀行の査定だけが非常に甘いというニュースが流れてしまいましたね。当局検査が出てきて、これとの差で、銀行が隠していた、隠していたみたいな、そんな報道もなされました。だけれども、実際には、当局検査をやりながら、銀行も、一部納得できない面もあるようですけれども、やはり貸出金分類額についてはこの額だというふうに了解しているわけですね。そうすると、今銀行が何をやろうとしているかというと、この数字を基にして、もう一回、債権の分類、それから引当金の見直しをやっているという、こういう理解でよろしいですね。
  377. 佐藤隆文

    政府参考人佐藤隆文君) 現在の検査の仕組みは、自己査定を前提といたしまして、言ってみれば、既に決算としてまとめられたものを対象として私ども検査をいたしまして、それについて指摘をすると、こういう形でございます。  したがいまして、言ってみれば、既に決算としてまとめられたものについての指摘でございまして、それに基づいて、銀行の側はこの検査結果を言わば次の決算なり自己査定なりに反映させていくということで使われているということかと思います。
  378. 平野達男

    ○平野達男君 ということでありますと、今回の公表というのは、この数字の公表というのはどういう目的でやったんでしょうか。
  379. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 基本的には、甘いか甘くないかというのはちょっと解釈論かもしれませんが、少なくとも第一巡目について見ますと、これはマニュアルの適用の最初であり、なかなか徹底していなかったということもあるのでありますが、結果的に見ますと、自己査定というのは、やっぱりここに三六%乖離がありますように十分ではなかったということなのだと思います。  これがしかし、金融機関も納得した上で次の決算には反映されていくと。そういうものが続いていくことによって、そういうものを公表していくことによって、一巡目と二巡目は確かに格差は縮まっているわけでありますけれども、その自己査定の精度が上がっていく、金融庁の検査結果に近い数字にある意味で引き上げていくような、そういう効果を我々は期待していると。そういうことを促すために、しっかりと自己査定してくださいということを促すためにこの数値を発表したわけであります。
  380. 平野達男

    ○平野達男君 私は、公表したことによって、随分曲解というか、私の理解が悪かったかもしれませんが、銀行だけが随分悪者になってしまったようなイメージがちょっとあります。今のお話を置き換えますと、銀行はきちっとした努力をしようとしているということなんですよね。  ここの部分につきましては、この紙を一枚だけ公表されまして、ほとんど説明がないんですよね、今のようなお話は。何かこの数字の乖離だけが妙にデフォルメされてしまいまして、銀行が要するに自己査定甘い甘いという状況のところだけ報道されてしまっている。  金融検査マニュアルというのは平成十一年七月にできたんですよね。これがまず定着しているかどうかというのがまたこれは問題なんですが、今それは定着する過程にあるんだろうと思うんです。そういったことの中で、この一枚紙をぼんと出してしまったことについて、受け方が、先ほどから繰り返していますけれども、銀行悪者論に拍車を掛けてしまった嫌いがあるということについては、私は非常にちょっとおかしいなという感じを持っています。もう少しこれは説明をすべきであったというふうに思います。  何でこんなことを言うかといいますと、木村さんという方がいますね、PTに。この方が先週か先々週か「ニュースステーション」に出まして、これを出したんですね、自己査定と検査結果。ここから何を言ったかというと、テレビのをぱっと見ただけですからはっきり覚えていませんが、過去にずっとさかのぼって、銀行の試算があって不良債権はぼかんとあったんだと。それを隠して隠して隠してきて、それで、その隠したやつが今出ているんだということを言ったんです。  この一枚の結果からそこまで言えるのかなという感じはしたんですが、もうあれはあくまで、もう完全に銀行を悪者にしようという発言にも取れました。そのPTにいる人が、少なくともテクノクラートだと思うんですけれども、この一枚の紙からあそこまで類推してテレビの前で言えるというのは、意図的に非常に悪いものを私は感じましたけれども、竹中大臣、テレビ見ておられないと思いますが、これ木村さんに是非意図を確認をして、どういう趣旨で言ったかというのを確認した方がいいと思います。そんなこと、この一枚からあそこまでのことをテレビの前で言うというのは、何らかの要するに作為があるとしか思えない。そんな人をPTに置くというのはちょっと良くないんではないかと思いますので、これは確認をしていただきたいというふうに思います。  それで、まだまだちょっと自己査定についてお聞きしたいことがあったんですが、時間がどんどんなくなってまいりました。  預金保険機構についてちょっとお伺いします。  お手元のペーパーに三枚目あります。これは預金保険機構の年度別収支状況を記したものでありまして、平成八年度以降は、これはペイオフ凍結してあります。これで保険料は、これは一般保険料と特別保険料ということで、一千万以下については一般保険料、それから一千万円以上については特別保険料ということで、利率が一般保険料は〇・〇四八、特別保険料については〇・〇三六という保険料を設定して、この保険料で徴収されてきたのがこの一番左側です。真ん中にあるのが特例業務基金ということで、これは、一千万以上に係る、保険料で支払えない部分について国費を投入するという交付国債ですね。それで、ずっといきますと責任準備金がありますが、今マイナス三・八兆円になっています。  こういう状況の中で、保険という状況で今度はこれ保険料を徴収していますが、この三・八兆円を保険料だけで今支払をしようとしていますが、これは保険という概念からちょっと逸脱しているのではないかと。つまり、保険というのは、金融機関が偶発的というか、一斉に倒産をするというあれじゃなくて、景気の変動の中で倒産する金融機関が何行か出てくる、そういう前提でやっていると思うんですが、平成八年度以降は、これは先ほどの池田議員の指摘にもありますけれども、相当な金融機関が破綻しているんですよね。これを、一部交付国債を入れましたけれども、三・八兆円というこの責任準備金を保険料で払うということについては、保険料の仕組みの概念からはちょっと出ているんではないかという感じがするんですが、そこに対してのまず見解をちょっとお伺いしたいと思います。
  381. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) 預金保険機構の責任準備金は、破綻金融機関預金保護のための資金援助等の費用が増加したことから、十四年三月末で一般勘定と特例業務勘定合わせて三兆七千九百八十二億円の繰越欠損金を計上していることは先生の御指摘のとおりでございます。  当該繰越欠損金のうち、特例業務勘定の繰越欠損金七千四百二十八億円については、今年度末に特例業務勘定を廃止する際に、累積欠損金として残存する金額を基本的に交付国債を用いて処理することとなります。そして、一般勘定の繰越欠損金三兆五百五十三億円については、これまでに実施した資金援助のうち、ペイオフコスト内で発生した費用負担が累積したものであるから、長期的に機構財政が均衡するよう、保険料収入により回収をしていくことになります。
  382. 平野達男

    ○平野達男君 私の趣旨は、まず、一般保険料は平成八年度以前はどうだったかと言いますと、〇・〇一二だったんですね。今は〇・〇九四、あるいは〇・〇八というのもありますけれども、六倍、六倍というか七倍ぐらいの水準になっているわけです。これは強制加入でありますから、各銀行は、預金として入ってきた段階で、その部分の一定部分預金保険機構保険料として支払うという状況になっていますね。  そうすると、健全な銀行とそうでない銀行があるわけです。これだけ倒産した銀行が、結果として責任準備金がこれだけのマイナスになったということですね。それを保険料という形で強制徴収して、しかも健全な銀行からも強制徴収をする、それでそれを負担させるというのは、これは仕組みとしておかしいじゃないかと。むしろ、こうなりますと、一種の外形標準課税的な感じになってくるんですね。  元来でありますと、保険は、これは加入するかしないかという自由が認められるべきなんですが、これは繰り返しますけれども、強制加入になっている。これ個人の人間に例えますと、こんなものにおれ保険料払いたくないという人は必ず出てくるはずなんです。しかし、銀行は今のところ整然と払っていますよね。これは預金保険の仕組みからいきますと、ちょっとこの段階でもう逸脱しているんじゃないかと。  じゃ、だれが払うかということに対しては、もう結局あとは国費で払うかどうかという議論になるわけですが、金融庁として、今の預金保険制度という仕組みからいって、そういう仕組みが本当に、今の保険料で徴収するということがいわゆる保険制度という仕組みになじむかどうか、これをもう一度ちょっとお聞きしたいと思うんですが。
  383. 藤原隆

    政府参考人藤原隆君) お答え申し上げます。  先生が今いみじくも御指摘ありましたように、それではだれが払うのかというのは二つしかないわけでありまして、金融機関、すなわち預金者が払うか、あるいは納税者が払うかということでございます。  現在、一般勘定に累積の欠損金があるのは事実でございますが、これは、従来の少額預金保護ペイオフコスト内の資金手当てをして、それが足らなかった場合に借入れをして、それが累積したものでございます。したがいまして、そこのペイオフコスト内のものにつきましては一般勘定、すなわち金融機関預金者負担していくというのが今の考え方の整理でございます。
  384. 平野達男

    ○平野達男君 これは、ちょっと質問の角度を変えますけれども、平成十四年度以降は交付国債を使いませんね、これはなくなりましたね。それで、ペイオフは完全実施は見送られました。ですから、定期性以外については、一千万超の部分についても、破綻した場合についてはこれを保証しなくちゃならない。ここに交付国債を使わなかった理由というのは何でしょうか。
  385. 藤原隆

    政府参考人藤原隆君) おっしゃるように、流動性預金全額保護、今保護しておるわけでございますが、この全額保護財源につきましては、一千万超の部分も含めて預金保険料によって賄うこととしておりまして、すなわち金融機関預金者負担するといたしております。  預金保険制度財源をそれではそのほかの、といいますと納税者ということでございますが、納税者に求めることにつきましては、これまでも信用秩序全体の維持に重要な支障が生ずるおそれがある場合等の例外的な措置として求めております。平成十二年の改正後の現行預金保険法におきましても、納税者に負担を求める場合は百二条の金融危機への対応のための措置に限定されているところでございます。
  386. 平野達男

    ○平野達男君 これは、保険制度というのは一体何かという根幹にかかわる問題だと思いますけれども、ここの問題を余り議論しないまま、取れるところからお金を取ろうということで保険料を上げるというふうに見えてしまうんですよね。  私は、繰り返しますけれども、平成八年度から平成十三年度までの期間は異常に倒産していますから、これを保険料で取るというのは保険の概念からはもう逸脱していると思います。  ということで、これは私の意見だということでここはちょっと申し述べさせておきますけれども、更に時間になってしまいまして、出した資料のことだけは全部使ってしまわなくちゃならないので、四枚目の「預金保険機構の各勘定の政府保証及び借入金等の状況」なんですが、平成十四年九月末で二十兆九千、まあ二十一兆の借入金の残高があります。その下に交付国債がありまして、九兆六千億使っている。もうこれは完全に使ってしまったやつですから、ある意味では今回の破綻金融機関の処理に係る行政コストの一部かと言ってもいいかと思いますが、この二十一兆につきましてのこれからの収支見通しについて御説明いただければ有り難いんですが。
  387. 五味廣文

    政府参考人五味廣文君) ただいまお話のありました二十一兆円のうち、まず、主にペイオフコストの範囲内の一般資金援助の業務を経理いたします一般勘定の借入金残高約三・九兆円、これはただいまも話題になっておりましたが、今後、金融機関から徴収をいたします保険料収入により返済が行われるということになります。平成十四年度の保険料収入額は、十四年度認可予算のベースで五千百三十九兆円が見込まれております。  次に、主に破綻金融機関からの資産買取りに係りますRCCへの貸付けなどの業務を経理しております特例業務勘定、この借入金残高が約三・四兆円ございます。これは、今後、買取り資産からの回収により返済が行われるということになります。特例業務勘定は平成十四年度末で廃止をされまして、資産、負債は一般勘定へ引き継がれるということになっております。  三番目、健全金融機関からの資産の買取り、いわゆる五十三条買取りに係りますRCCへの貸付け、あるいは既に管理を終了いたしました特別公的管理銀行に係る業務を経理しております金融再生勘定、この勘定の借入金残高が約五・五兆円でございます。これにつきましては、今後、買取り資産からの回収、それから特別公的管理銀行から買い取りました適資産、株式でございます、この処分などにより返済が行われるということになります。  最後に、早期健全化勘定、金融機能早期健全化法に基づく資本増強に係りますRCCへの貸付け等の業務を経理しておりますが、この借入金等残高約八・二兆円、これにつきましては、今後、資本増強に当たり引き受けた優先株式などの配当あるいは処分収入により返済が行われるということになっております。  これら借入金は、そういうことで回収の財源というものが明示されておりますので、必ずしも国民負担となるものではございません。
  388. 平野達男

    ○平野達男君 この二十一兆については、将来的にきちっとした財源手当てというか、見通しはあるということでよろしいんでしょうか。
  389. 五味廣文

    政府参考人五味廣文君) 回収あるいは株式の処分による収入あるいは配当といったものでございますので、いわゆる予算措置が取られるといったような性格のものではございませんけれども、こうした回収なりあるいは株式の処分なりで回収、回収といいますか、その財源が確保できるという見通しの下に経理をされておるということでございます。
  390. 平野達男

    ○平野達男君 いずれ、この借入金残高の推移につきましては、私も注意深くちょっと見ていきたいと思いますけれども、二十一兆というのは半端な数字じゃないです。これが全部賄えるというんならいいんですが、ここからまた国民負担がとにかく出てこないようにしっかりやってもらいたいというふうに思います。  産業再生機構の話もちょっと聞こうと思ったんですが、最後に、ペイオフの延期が政策強化だといったことについて、ちょっと最後にもう一回やりたいと思います。  ペイオフの実施延期につきましては、なぜ政策強化なのかということについてはこれ本会議でいろいろ述べさせて、述べさせてというか、疑問という形で述べさせていただきました。あれを政策強化と言うのであれば、来年の四月以降ペイオフの完全実施というのは言わばこれ公約でありましたから、今の経済情勢の中では、ペイオフの完全実施ができたという、私に言わせれば一つの挙証がなされていなければならないと思います。  ところが、そこに不良債権処理の加速という新たな処理が出てきて金融のシステムが不安定になりますから、意図的にというか政策的にペイオフの実施を延期しましたというなら、これは政策強化かもしれません。しかし実際には、ここ一年の状況を見ていますと、銀行の業態別の預金残高を見てみますと、定期性から流動性へ、それから地方から大手へという資金流動が起きていましたですね。そういった状況を見ますと、まず、来年の四月のペイオフの実施というのは非常に難しかったんじゃないかと。これについてのまず検証と説明をやっぱりすべきではなかったかと思います。  竹中大臣の政策強化だというのは、その説明を一切抜きにして、不良債権処理の加速というのが入ってきたから、これに乗っけてペイオフの実施を延期しましたと、これを政策強化だと言っているんですが、実際には今の状況ではペイオフの実施なんかできない。だからこそ不良債権の処理を加速して金融システムをもう一回安定させる、金融全体を安定させる、その状況の中でペイオフの実施をするというのが筋ではないんですか。  とすれば、時間がありませんからまた一方的にしゃべってしまいますけれども、これは目的と結果、手段と目的、それから原因と結果、これをやっぱり意図的に入れ違えていることになるのではないかと思いますが、これをちょっと見解としてお伺いしておきます。
  391. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) この点は平野委員には何度か御説明をさせていただいたつもりではございますが、まだ御納得いただけていないということであろうかと思います。  政策を強化する云々、その政策とは何かというと、やはり金融システムを強化するというのが政策であろうかと思います。金融システムが強化されれば、ペイオフというのはその後の問題として、ある種、自動的に付随してくる問題であろうかというふうに思うわけです。ですから、ペイオフの延期を政策強化だというふうに私申し上げたつもりはありません。金融システムを強化する、不良債権処理を加速するということが政策の強化であって、その結果としてペイオフを二年間延期させていただくと、そういう言い方を常にしてきたつもりでございます。  直接のお尋ねの、もしそういう政策強化といいますか、不良債権処理の加速なかりせばどうであったのか、その検証やいかにということでありますが、これははっきり申し上げまして、これは仮定の、仮定的にどうかということでありますので、この辺について、今、金融担当大臣の立場で何か確定的なことを申し上げるのは難しいかというふうに思います。  いずれにしても、我々としては、単に金融危機を回避するという政策に追われることなく、金融システムを真に強化したいと。そのために、無用な混乱を避けるためにペイオフを二年延期させるけれども、その政策を正に強化して金融システムを強いものにしていきたい、そのために努力をしたいというふうに思っております。
  392. 平野達男

    ○平野達男君 まとめます。  私が言いたかったのは、公約として言ったものについて実行できたかどうかについては、やっぱりこれは政府としてきっちり検証する必要があると思います。ということだけ申し述べて、私の質問を終わります。     ─────────────
  393. 柳田稔

    委員長柳田稔君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、大塚耕平君が委員辞任され、その補欠として松井孝治君が選任されました。     ─────────────
  394. 椎名素夫

    ○椎名素夫君 長いことお疲れさまです。今日は三十分あるんですけれども、この当面の二つ法案についてごくごく限定された大ざっぱな質問で、お互いくたびれますから、やめておこうと思っております。  今もお話がありましたけれども、ペイオフの実施延期ということになった、二年間延ばすと。それで、この二つ法案ですが、預金保険法及び何々と、こういう法案ですね。ただ延ばすということじゃなしに、いろいろ厄介なことがたくさん書いてあってはっきりしませんけれども、このいきさつを見ると、要するに、ペイオフはやるということを総理はずっと極めて最近に至るまでおっしゃっていたわけですね。  やるとなるとどうなるか。危なくなるというような表現をお使いになりたくなかったんでしょうけれども、とにかく延ばそうやという話になったのは極めて最近である。だから、もしやるとすればいろいろな問題が出てくる。よく取り上げられているのは、決済機能決済のメカニズムがおかしくなったら困るとかなんとか、まあいろいろ理由はあるようですが、それでお役所などが、私の表現で言えば、ばたばたといろいろな工夫をなさったというのが、でき上がったのがこの法案だというふうに思っております。  しかし、実施は延ばしたよと、こういう話になった。けれども、話によれば、竹中大臣もこれ分かりにくいねとおっしゃったようなものがここにどんと残っている。どうしてそれまで一緒にしてこれ今やらなきゃいけないのか、ちょっと私よく分からないんですね。大変に時間を使って、しかも急いで働かれた金融庁の役人諸君はこれは御苦労だったと思うし、また金融審議会でもこれやって、そういう答申も出しちゃったということなので。  それからもう一つこれは勘ぐれば、前の大臣が一生懸命やっていたことでもあるし、これ全部なしにしちゃうと方々顔がつぶれるねというようなことで、訳の分からないようなところが皆くっ付いているというのは、どうも要らないんじゃないか。ただ延ばしたとおっしゃればそれでいいんじゃないかと私は思っておりますが、いかがでしょう。
  395. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 来年の四月のペイオフ解禁に備えて、椎名委員指摘のように、いろんな準備がなされてきたというその経緯は私も存じ上げております。しかしながら、決済の問題というのは、言わばこれはセーフティーネットの問題でありますから、来年の四月ペイオフするから流動性預金ということでは決してなかったというふうに認識をしております。  この議論そのものは、御承知かと存じますが、蝋山昌一先生が総理にお会いになったときに、決済手段、流動性預金の話等々出たというふうに聞いております。蝋山先生は、これは来年の四月ペイオフ解禁関係なく、かねてから言わばそうしたことの必要性を主張してこられた先生でいらっしゃいますので、我々としては、ペイオフは今申し上げたような理由で解禁を延期させていただきたい、しかし同時に、このセーフティーネットとしての流動性預金は、日本の現状にかんがみ、すなわち銀行預金による決済に非常に大きく依存している特殊な状況下にあるということにかんがみ、やはりこれはセーフティーネットとして定着させるべきであるというふうに考えたわけでございます。  なぜ今この時期にということに関しては、これはセーフティーネットでありますから、これそのものに若干、導入、定着に時間が掛かるということもありますので、やはり早めにやっていただきたいということ。  もう一つ、今回の法案の中には、決済仕掛かり中のものをどうするかという大変重要なものが含まれております。やはりこれは実現が急がれるのではないかなというふうに思っております。  今申し上げましたような経緯で、私自身、これは前大臣の下で着々と準備をしてこられたこのセーフティーネットとしての流動性預金、さらにはそれに関連する仕掛かり中のもの等々、やはり国会でお認めをいただいて、この社会に定着させていく必要があるというふうに判断をしまして、法案の審議をお願いした次第でございます。
  396. 椎名素夫

    ○椎名素夫君 おっしゃることは分かりました。  それで、もう一つの方ですが、組織再編ですか、これも似たような性格ででき上がったんじゃないかという気がするんですね。これ、解釈いろいろありますが、やはりペイオフ流動性預金まで含めて実施するということで、これは相当大変だという感じが出てきたということに対応したところがあるんじゃないかと思うんですけれども、しかし、今週でしたっけ、地銀、第二地銀、それから信金・信組の協会の会長さんがここへ来られて、その前私どもが聞かされたところによると、やっぱり合併したくてもいろいろと難しいところがあるから、そういうような環境整備に、そういう要望にもこたえてこれを作ったものだとおっしゃったんですけれども、そういう要望なさったことはありますかと言ったら、四人とも、これは相当即座に、皆さん、そんな覚えありませんということをたたたっと、これ十秒ぐらいの間におっしゃった。これ、本当だろうと思うんですね。  いろいろその前後の事情を考えて、横を見ながら言ったという感じじゃなかったんですが、そうしましたら、今日の御説明では、それにかかわらず、かゆいところに手を届かせて、あるいはかゆくないところにまで手を突っ込んで、いろいろ難しいところがあるんでしょうと聞いて回ってそれをまとめたんだと、こうおっしゃるんですが、今朝ですか、入澤委員の御質問の中にもありましたけれども、こんなもの、今までの枠内で個別に障害があるというふうになったら取り扱えるようなものばかりじゃないかと思うけれどもというようなことをおっしゃいましたね。  なぜ、また屋上屋みたいな法律体系をやたらに複雑にするんだと、私も全くそういう気がするわけです。似たようなことをやるのにどんどんどんどん法律ができて、どれはどの法律とか、非常に難しいことになってしまう。なるべく簡単な方がいいと思うんですけれども、しかし、これも同じいきさつでとにかく二年延びたということになったわけですから。  それから、あの法律のスキームの絵を見ても、根本はみんな自主判断というところから始まるわけですね。それがなければ何も始まらないような絵がかいてあります。そういうことがあって、私も事実そのとおりだと思いますので、しかし、二年先にはもう待ったなしだという覚悟さえあれば、余り余計なことをごたごた法律にする必要もない。こっちの方は、この法律、当面要らないんじゃないかという私は気がいたしますが、いかがでしょう。
  397. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今、委員、十二月三日の参考人招致のときのお話を御紹介くださいました。私はちょっとそのときの様子は存じ上げないのでありますが、後で報告を受けたところによりますと、確かに、地銀協、第二地方銀行協会等々、協会として正式な要請はしていない。しかし、例えばですけれども、そのときの議事録によりますと、地銀協の平澤会長は、現在審議していただいているこの法律は、経営者合併に対する判断ですね、そういう経営者判断する、その結果、合併がスムーズにいくという意味でプラスの面が大変あるというふうに、やはり私は当事者としては歓迎をしてくださっているのではないかと思います。正式の、協会としての正式な要請は確かになかったが、個別のヒアリングでもやはりニーズはあったと、これは午前中申し上げたとおりでございます。  あと、後半委員が御指摘になった、これは他の法律等々でもカバーできる問題ではないのかという点に関しましては、実は今回お願いしております法律は、これによって自己資本比率が下がる、合併によって自己資本比率が下がるということを防止する、それによって合併をちゅうちょする銀行があるといけないということでこの資本と公的資金の投入の枠組みを決めておりますし、それによって預金者が今度そのペイオフ解禁になった場合に急激に預金を移さなければいけない、そういうことに関しても一年の特例を設ける等、やはりこの金融機関を、地域金融機関を主として念頭に置いた今回の法律でなければ対応し切れない重要な面が幾つか織り込まれているのではないのかなというふうに思っております。  そうした点について是非とも御理解をいただいて、この法律意味付けについて御評価いただければというふうに思っております。
  398. 椎名素夫

    ○椎名素夫君 金融関係とは直接関係ないかもしれないけれども、ちょっと関連して伺っておきたいんですが、先ほど池田委員からの御質問で、再生法で随分大変なことまで決められるようなお話がありましたね、過剰状態がどうのこうのというような話だとか。あれ伺っていて、あれあれこの国は社会主義の経済体制に転換するのかなと私は実は思ったんです。共産党の方にああいう話を言われるというのは一体どういうことかと思うんですが。  それをちょっと広げて考えてみると、金融システム全体の話も、小泉さん以下構造改革で官から民へとおっしゃるけれども、民にやらせておくとどうせろくなことをやらないか間違うかするんで、やっぱり手を出さないとどうにもならぬねという思想は、何かどこか根本的にお役所の方も、あるいはどこまでか知らないけれども内閣府の方も偏見をお持ちなんじゃないかという気がして、これ大変気になりますので。  例えば、ある分野で過剰があるというのは、確かにそうだと思うんですね。バブルの時期に作ってしまった様々な過剰があって、その中に悲しいかな人間まで入っちゃっていると。だからリストラだというような話になるんだけれども。  自由主義経済というのは、過剰はどうやって解消されるかというのは、要するに、過剰状態は、負けたところが退出して、それで収まるということがそもそもの原理だと思うんですね。お役所や政府が決めるというと、もう大体歴史上実証されたような話をもう一度うちのお役所が一生懸命考えておられるというのは、私はちょっと慄然としたんですが、これは私の感想を申し上げるだけで、別に問いただすつもりもありませんけれども、こういう懸念をさっき抱いたんですけれども、どうお思いになるか、もし御感想があれば伺いたい。
  399. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 恐らく椎名委員はブルッキングス研究所のバリー・ボスワースというエコノミストをよく御存じであろうかと思いますが、彼がよく言っていることでありますけれども、日本の経済は完全なデュアルエコノミーである、二重の経済であると。  今、官が、政府が民間に介入するのかという御指摘がありましたが、例えば、我々は、自動車産業に、電気機械産業に、そういうところに対して政府が何かするとは全く思っていないわけでございます。  デュアルの意味は、そういった非常にグローバルな競争にさらされて、民間の非常に健全なプレッシャーの下で生産性を上げてきた部門と、一方で、民間とはいいながら、非常に強い政府の規制の下で、本来の民間の経済のメカニズムを発揮できてこなかった部門が厳然として二重に存在しているということだと思います。結果的に見ると、前者は競争の中で非常に高い生産性と競争力を持っている。後者は非常に低い生産性と、競争力は持っていない。残念だけれども、日本の銀行部門というのは、やはり護送船団の中で、長年、民間企業でありながらある意味で役所以上に役所的だというふうに言われてきた部門であったのだと思います。  これはいろいろ評価が分かれるところかもしれませんが、考えてみると、今、過剰供給の代名詞と言われる建設業については、これは公共事業の発注という形で非常に官がこれまた大きくかかわってきた分野であると。民間でできることは民間にというのは、やはり健全な民間にということであって、そうではない民間部門については、まず健全な民間部門になっていただかなければいけない。そのためには、政策の枠組みの変更も必要だし、場合によっては政府がかなりやらなければいけない場合もあるのではないか。そういうやはり一つの大きな問題に直面しているのではないかというふうに思っております。  我々は、基本的には、そういった市場のメカニズム、民間のメカニズムを活用することによって自助自立の経済を作ること、もうこれしかないと思っておりますが、日本の場合、その前提となる民間部門がやはり歴史的に見て二重構造になって特殊な形態になっていたという、この事実はやはり今踏まえて行動しなければいけないのではないかというふうに思っております。
  400. 椎名素夫

    ○椎名素夫君 質問することはもう終わってしまったんですが、もう一言この問題について申し上げておきたいんですが、そういうデュアルの二重構造ができてしまったというのは、天然自然にできたわけでもないですね。やはりこれは、必要ではあったかもしれませんが、国の政策でそういうふうに誘導されてしまったというところが非常に私は強いと思うんですね。  これはいつに始まったことだとも言えませんが、私の父が昔の商工省から軍事省というのにいて、それで統制経済というのを自分で経験したんですが、あれはとにかく、戦後になってから言っておりましたけれども、絶対に手を付けちゃいけないよと。あれをやり始めると、最初は重点的な物資だけやっているつもりなのが、例えば値段を決めるということも、おしまいはつながってきて植木鉢までやらなきゃならなくなっちゃうと、そういうものなんだということを言っておりました。  それを、戦後のひどいときは必要だったかもしれないけれども、どこかで切っていかなきゃいけなかった。それが今まで続いてきたし、今でも続いているようなところがありますね。だから、面倒見てやらなきゃいけないというと成長しないんですよ、ほうり出さないと。自転車のけいこみたいなもので、補助輪付けていつまでも走らせておくと、補助輪外した途端に転ぶんです。だけれども、おまえとにかく乗ってみろといったら、三十遍ぐらい転ぶと、どうしておれは前にあんなに転んだんだろうと思うほど一生乗れるようになっちゃう。それを是非続けないでいただきたい。  それから、今おっしゃった悪い方の部分に入っていると思われている人たちの中に、これじゃいけないと思っている人は大分現れてきているということは、私は実感している。しかし、その人たちが何を思うかというと、周りを見るとみんな依存心が強い人たちで、何かというと政府だ、何かしてくれとかなんとか言って、たまには自分自身でやろうと思う人たちよりもいい目を見ているということで、だんだんモラルハザードみたいなものがうつっていくんです。  ですから、下手をすると、みんな助けようというのはいいんですけれども、それを余りやりますと、何か延命治療をやっている病人だけ満員の病院みたいになっちゃう。健全な人も間違ってそういう病院に行って診療を受けた途端に院内感染でまた病人になっちゃうというようなことは、これは起こりますよ、下手すると。  ですから、頭のいい方々が、やっぱりあの人たちはまだ目覚めていないと思われるのはいいけれども、目覚めるというのは、自分で目覚めないと駄目なんです。いつまでも二重構造というのは残っちゃうんです、これ。そこのところだけは大臣及び官僚の諸君も本当によくよく考えてやっていただきたいと思いますね、これはこの問題に限らず。  終わります。
  401. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。  次回は来る十日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時散会