運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2002-11-05 第155回国会 参議院 国土交通委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年十一月五日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  十月三十日     辞任         補欠選任      池口 修次君     勝木 健司君  十月三十一日     辞任         補欠選任      勝木 健司君     池口 修次君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         藤井 俊男君     理 事                 鈴木 政二君                 脇  雅史君                 山下八洲夫君                 森本 晃司君                 大江 康弘君     委 員                 荒井 正吾君                 岩城 光英君                 木村  仁君                 沓掛 哲男君                 田村 公平君                 鶴保 庸介君                 野上浩太郎君                 松谷蒼一郎君                 吉田 博美君                 吉村剛太郎君                 池口 修次君                 北澤 俊美君                 佐藤 雄平君                 谷林 正昭君                 続  訓弘君                 大沢 辰美君                 富樫 練三君                 田名部匡省君                 渕上 貞雄君    国務大臣        国土交通大臣   扇  千景君    副大臣        内閣府副大臣   伊藤 達也君        国土交通大臣  中馬 弘毅君        国土交通大臣  吉村剛太郎君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       岩城 光英君        国土交通大臣政        務官       鶴保 庸介君    事務局側        常任委員会専門        員        杉谷 洸大君    政府参考人        総務省行政管理        局長       松田 隆利君        財務省主計局次        長        牧野 治郎君        文部科学大臣官        房審議官     加茂川幸夫君        文部科学大臣官        房文教施設部長  萩原 久和君        厚生労働大臣官        房審議官     青木  豊君        農林水産省農村        振興局整備部長  中條 康朗君        中小企業庁次長  青木 宏道君        国土交通省総合        政策局長     三沢  真君        国土交通省都市        ・地域整備局長  澤井 英一君        国土交通省道路        局長       佐藤 信秋君        国土交通省住宅        局長       松野  仁君        国土交通省鉄道        局長       石川 裕己君        国土交通省海事        局長       徳留 健二君        国土交通省航空        局長       洞   駿君        海上保安庁長官  深谷 憲一君    参考人        日本道路公団総        裁        藤井 治芳君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○国土整備交通政策推進等に関する調査  (道路特定財源の使途及び税率に関する件)  (公共事業の入札・契約の在り方に関する件)  (地域の特色をいかした地域振興方策に関する  件)  (将来の日本交通体系に関する件)  (我が国観光振興策に関する件)  (高速道路料金在り方に関する件)  (ETCの普及促進策に関する件)  (中小建設業者資金繰り対策に関する件)  (旧国鉄職員のJR採用問題に係るILO勧告  の取扱いに関する件)  (海上保安庁不審船対策に関する件)     ─────────────
  2. 藤井俊男

  3. 藤井俊男

    委員長藤井俊男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 藤井俊男

    委員長藤井俊男君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国土整備交通政策推進等に関する調査のため、本日の委員会日本道路公団総裁藤井治芳君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 藤井俊男

    委員長藤井俊男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 藤井俊男

    委員長藤井俊男君) 国土整備交通政策推進等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 脇雅史

    脇雅史君 おはようございます。自由民主党の脇雅史でございます。  目下、我が国はかつてない本当に大変な事態にあるわけでございますし、その中で国土交通省も大変大きな様々な課題を抱えていると思っております。そんな中で、扇大臣を先頭にして、皆様方日夜本当に御努力いただいておりますことに、国民の一人として感謝を申し上げたいと思いますし、また心から敬意を表する次第でございます。  ただ、私、非常に最近危惧しておることがございまして、世相といいましょうか、世の中の動きといいましょうか、どうも非常に近視眼的に目先のことばかりとらえているような気がしてなりません。これは私どもも反省しなければいけないんですが、政治家もそうだと思いますし、行政もそうですし、あるいはマスコミの皆さん国民皆さんも非常に目先の問題ばかり考えているという、そういう傾向があるように思います。非常に単純化した議論が多いんですね。これはテレビの影響もあると思うんですが、イエスかノーか、右か左かすぐに言えと。ぱっと言わないと気に食わないという世相でございまして、善か悪かということになるんですね。目下、我が国の親分もそういう傾向が非常に強いんで、ちょっと困ったことだなというふうに思うわけでありますが。  例えば小選挙区導入、直接それには深くは触れませんけれども、当時、政治改革でこれを導入すれば良くなると。結果的に何が起こったかというと、我が国政治に本当に良かったのかどうか、私はかなり怪しいと思っているんです。そのときばかりわあっと燃えて、賛成する人は正義、反対する人は悪者と。今も、何かに賛成すればいいけれども、反対するやつはろくなやつでないという、すぐそういうふうな格好で物事が判断をされてしまう。非常に困った傾向にあるなというふうに思うわけであります。  そこで、多くの問題の中で、国民皆さん方が常識的にこうだと思っていることで本当はおかしいんじゃないかということが国土交通行政に絡んでもかなりあると思うんで、そんな問題を幾つか取り上げさせてもらって、私の考えも述べさせていただきますし、国土交通省のお考えもお聞きしておきたい、そんな趣旨で今日は質問させていただきたいと思っております。  そこで、最初に、今、公共事業不要論ということがございます。考えてみれば誠におかしな話で、公共事業というのは国民皆さんのためにある仕事で、我が国の安全のため、国民の安全のため、利便のため、そしてより良い環境を作るための仕事でありますから、本来、公共事業が要らないはずがないんですね。ところが、今、国民皆さんに、例えば投票したら、もう公共事業は要らないんじゃないかという人の方が場合によると多いかもしれない。こんなばかな風潮がなぜ出てきたんだろう。  我が国の、では公共事業実態はどうなんだと、整備実態はどうなんだというと、これまた国土交通省が一生懸命宣伝されていることを私もよく存じておりますし、こういうペーパー、「公共事業NOW」というペーパーをどこかの、公共投資推進協議会という、よく私は中身は知りませんが、ところが出しているものがございます。こういうペーパーを見てみますと、我が国整備水準というのは、別に外国と比べてどうこう言う必要はないんですけれども、いろんな先進国と言われる国と比べると二分の一とか三分の一とか、かなり悪いんですね。そして、そんな段階なのに、もうやることはないんだと、公共事業やめるべしと。目下、財政事情が非常に悪い、正に貧すれば鈍すで、金がないからすべてやめればいいんだという発想ですね。私、これ、こんな時代がいつかあったのかなと。  私は直接知っているわけではありませんが、物の本等を見ますと、欲しがりません勝つまではとか、そんなような時代があって、ぜいたくは敵だと。どうも今の財政貧困の中で、昔のぜいたくは敵だと、スカートなんかはいちゃ駄目だと、そんなようなたぐいのことまでやっているんじゃないかなという気がしてならないわけでありますが。  そこで、個別にどこの道路がどうとか河川がどうとか申しませんが、我が国公共事業の現在の状況について一体どういう認識をされて、これからどうすべきなのか、お考えをお聞きしたいと思います。
  8. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 脇議員に冒頭に、国土交通行政に対して大変御理解をいただき、国土交通省にエールを送っていただいて、我々も元気一杯また頑張ろうという気になっておりますけれども、あえてお尋ねでございますので。  私は、昨今の公共工事無駄というのは、確かに無駄もあったかもしれませんけれども、では、振り返って日本社会資本整備はどうなのかということを考えますと、欧米先進国に百年後れているというのはもう既に皆さん御存じなんですね。たまたま今年は赤穂浪士討ち入りの、十二月近くなりましたけれども、これ、討ち入ってから三百年たつんです。けれども赤穂浪士が討ち入った三百年前にはパリの地下の下水道は完備しておりました。そういう意味からしますと、三百年後れてなおかつ日本は完備していないということから見ても、私は欧米先進国社会資本整備が後れているというのはよくお分かりいただけるところだろうと思います。  じゃ、公共事業が無駄だと言うけれども、どこに無駄があったかということを私は戦後だけ振り返ってみても、大変な私は今の日本状況を見たら、私は大したものだと思います。それはもう皆さんお認めいただける、もう済んだことですから、今、数字を挙げれば皆さん理解いただけると思いますけれども。  私たちは、少なくとも、新幹線というものを作りました。これは、新幹線、昭和三十九年ですけれども、今日まで少なくとも三十年間これは無事故なんですね。しかも、新幹線は三十年間で七十億人を輸送し続けております。じゃ、どうかと。  一方、それじゃ飛行機はどうかと。少なくとも私は、民間航空会社というものが動き出してから少なくとも今日まで、これ、二十七年に民間が開業してちょうど五十年になるわけですね。五十年になって、この間、少なくとも、最初は一日十便だった日本飛行機というものが今は一日八百便なんです。そして、年間では九千万人を輸送している。  ということも含めて、私たちは、今日の日本を支えるために、これ全部言っていると時間がなくなりますから失礼しましてやめますけれども、陸海空あらゆる面で私ども公共工事、これを集中したおかげで今日の日本があり、経済大国日本と言われるようにまでなったと言われているんですけれども、はてさて、そこで無駄がなかったかというと、やっぱり無駄があったのではないかという反省の上に立って二十一世紀型の公共工事にしようと。今までは一生懸命トンカントンカンやってきたけれども一つ考えれば、二十一世紀は少なくとも百歳以上が、今や日本は世界一の長寿国で、一万八千人近い百歳以上がいる、だったらあらゆる公共交通に関してもバリアフリーが必要ではないか、おうちもバリアフリーが必要ではないかと。あらゆる面で二十一世紀型ということを考えなければならないということで、ただ公共工事で物を造ればいいというのではなくて、二十一世紀環境バリアフリーを大事にした公共工事転換していかなければならないんではないかという大きな分かれ目に来ているのが今だと思います。  そういう意味で、国土交通省、本来のトンカチトンカチ物を造ればいいということではなくて、二十一世紀型の公共工事で、改めて方向転換もしながら、正に日本に合った公共工事をするべきであるということで転換をするために、脇議員がおっしゃいましたように、我々は木を見て森を見ずではなくて、二十一世紀グランドデザインを、二十一世紀の終わりには国土はこうなるよ、国際空港幾つ必要だ、新幹線はどこまで必要だというグランドデザインを作っていこうというのが国土交通省としての大きな森を見た話を今考えているところでございますので、御理解をいただき、また御示唆もいただきたいと思います。
  9. 脇雅史

    脇雅史君 ありがとうございました。  そういう方向で進めなければいけないと私も思いますが、一つ苦言、あえて申し上げると、例えばダムが要らない、脱ダム宣言なんというのが出ますと、非常に何か物分かりが良く、やっぱり我々もすべて正しいことをやってきたわけではないから改めるところは改めようということを非常に素直に言うんですね。非常に素直に言うことは私は本当はいいことだと思うんですけれども、今の世相で、余り役所側があっさり認めて、じゃ、あれもやめよう、これもやめようと言うと、やっぱり要らなかったのかなという国民はそういう目で見るんですね。  やはり私は、要るべきものは要るんだということをいろんな場面できっちり言わないと、非常に謙虚に物をお考えになって、一部確かに反省すべき点もあったかもしれないから、そういうところはもうできる限り変えていきますよと、これは正に行政の本道だとは思うんですけれども、そればかり言っていると国民の目には不信を増幅するように映ってしまうということもお考えいただいて、政治的には要るものは要るんだということをきちっと言ってほしい。  そしてまた、悪いことがあったからといって決して萎縮することないんです。例えば、日本人で一人殺人者がいたら日本人殺人者だと言うのと一緒なんですね。公共事業幾つか悪いことがあったって、それは多くの人間が計画し携わってやることですから間違いもあるでしょう。間違ったときにはきちっと改めることが大事でありますが、だからみんなが反省しますとすぐに言わない方がいいんです。日本人でだれか殺人者が出たからみんな我々一人一人反省しようと。それは反省しても構いませんけれども、そういう問題では本質的にないはずなんですから、それはきちっと言うべきところで言ってほしい。  扇大臣は、そういう意味では日ごろからそういうことは極めて敏感に感じて言っていただいていると思いますが、あえて更に御活躍をお願い、期待したい次第でございます。  それから、次に移ります。  今の議論の、公共工事が要らないんだということに基づいて、財政問題。財政悪化公共工事お金をばらまいたせいだという、これまた間違った論がありまして、これまた世論調査したらそうだという方が多分多いと思うんです、今、困ったことに。  本当に、では公共事業にばらまいたせいなのかというと、過去の建設国債発行状況を三十年ぐらいずっと追ってみればすぐ分かりますし、赤字国債がどれだけ増えてきたかということも分かりますし、赤字国債まで建設投資公共投資のせいにされたんではこれはとんでもない話ですし、また直接建設国債にもかかわりのない道路特定財源にかかわる部分でも、道路をやっているから国の財政が破綻したんだという全く関係ない話まで出てくる始末なんですね。これは本当にだれが仕組んだ話か知りませんけれども、本当に困った話なんです。  事実を事実としてきちっと認識した上で、本当のことはどうなのかということを言っていかなければいけないわけでありますから、この公共投資財政赤字を招いたんだという間違った議論はきちっと消しておかなければいけないと私は思うんでありますが、その件について御意見を伺いたいと思います。
  10. 中馬弘毅

    ○副大臣中馬弘毅君) 今、脇委員おっしゃるとおり、かなり誤解に基づいた議論が横行いたしております。  財政悪化の原因が公共事業の過度の実施だといったようなことでございますけれども、そのことをちょっと御説明申し上げますと、確かに、現在の景気が非常に悪くて、公債残高が三百九十五兆円に達していることは御承知のとおりでございます。しかし、そのうち建設国債、これの残高は昨年度末で二百十六兆円、五五%にしかすぎないとは言いませんが、それだけでございます。  御承知のとおり、あのバブルがはじけて以降、相当な追加の緊急経済対策等補正予算を組んできたことは御承知のとおりでございます。その累計は、平成四年から平成十三年度末までで百三十七兆円の補正予算を組んでおりますけれども公共事業はそのうちの八十兆円でございます。しかも、公共事業といいますか、建設国債赤字国債とは全然違うことは御承知のとおりでございまして、財政法発行が認められておる建設国債でこのような形の公共投資をしているわけでございます。  しかも、今問題になっておりますこの平成十四年度の三十兆円の国債でございますが、そのうちの二十三兆円が赤字国債でございまして、建設国債は六・八兆円にしかすぎなくなっております。これはもう既に平成初期水準にまで低下しており、逆にこれが一つ景気を、何といいましょうか、悪くしている要因にもなっているかと思います。  こういったことで、かなりの誤解もございますから、現下の厳しい状況の中では、二十一世紀我が国が必要な事業については無駄なくスピーディーに実施するため、費用対効果分析等を通じまして事業重点化コスト縮減等により、事業効率化、効果的な実施、これは今、大臣がおっしゃったとおりでございまして、無駄なもののあったこともゼロとは申しませんが、これを見直すと同時に、やはり効率的なところに、都市の再生とか、一つ波及効果が大きいところに重点的にやっていくことは当然だと私は認識いたしております。
  11. 脇雅史

    脇雅史君 だれが悪いとか、余りそういう議論をする気はないんですけれども建設国債というのは、例えば家を建てようと個人が思ったときに、お金をためてから、家の代金がたまってから家を建てようと思うと、一生懸命ためて七十になって三千万円たまったから家を建てよう、建てたら死んじゃったという話になるわけで、やっぱりあらかじめ自分の人生の中で使えるときに借りて、それを返していく、返せる範囲で借りるということは、そういう長い使用期間を持った大きなものを造るときには当たり前なんですね。  ですから、国の資産も、お金が全部たまってから河川整備をやろう、道路をやろうと言っていたんじゃできないわけですから、あらかじめお金を借りて、リーズナブルな範囲で借りて、返していける範囲でやっていくということですから、そういう意味では建設国債がそののりを決して越えてはいないと思うわけでありまして、借金が悪いんだ、とにかく借りることが悪いんだと。今、デフレですから確かにそうなんですよ。デフレ時代借金したら、これはパンクするのは決まっているんですから。インフレだからこそ、穏やかな成長があるからこそお金を借りるということが正当化されるといいましょうか、事業をやっていく上でいいわけですけれどもデフレ時代は、確かに、お金を借りて先に仕事をしたらいいかどうか、これは怪しいものですから、そういう常識も変わってくるわけで、そういう意味デフレは怖いんですけれども。決して、国が建設国債借金をすることが悪いんだ、即、悪だという、これもまた間違ったイメージだと思うんで、これは是非いろんな場面でみんなで払拭をしていかなければいけない話だと思っております。  それからもう一つ景気の悪いときだからこそ、金がないから公共事業は縮小してもいいんだと、こういう話がよくありますよね。これもおかしな話で、公共事業というのは計画に基づいて着実に推進するということが一番いいことなんですけれども経済全体を見れば、景気のいいときに、何も労働者がいないときに一生懸命出すことはないんで、景気のいいときには少し落として、景気の悪いときにこそ膨らまして公共工事は出すということが、経済全体の運営を見たときに、また受注者仕事をする人の立場に立ったときに必要なことなんですね。  そういう意味で、単年度予算というのは少しうまくできていないので、むしろ少しバッファーを作りながら、景気のいいときには金をちょっと置いておいて、景気の悪いときに出すといったような仕掛けも要るのではないかなと私は思っているんですけれども景気が悪いから、とにかく金がないから仕事をしなけりゃいいんだと。今、デフレの時期にそういうことをやればますますデフレが悪くなるのは目に見えているわけで、デフレでない時期でも経済のマクロの視点から見ればそういうことがあるということは申し上げておきたいと思います。  何か御意見がありましたら──ないようでございますので、それでは──いいですか。
  12. 扇千景

    国務大臣扇千景君) デフレであることは間違いないんですけれども、要するにデフレスパイラルにならないようにというのが原点でございます。ですから、私たちデフレであるものをデフレスパイラルに陥らないために、今、脇委員がおっしゃったような公共工事デフレのときにこそ皆さん仕事があるように、元気が出るようにと、必要なところは、必要でないところはやめますけれども、必要なところには集中投資をしてコスト削減をして、スピードアップをすることによってコスト削減になる、これは当然の話なので。  今、一つ私は脇委員がおっしゃったことで気になっていますことは、長期計画をするということ自体が私はむしろおかしいんであって、五年の長期計画を三年に前倒しすることによって、集中投資をしてコスト削減をして、二年早く上がれば次の仕事に掛かれるという、不況のときにこそ私はそういう方策を取るべきであると。予算を取るためだけの長期計画ということではなくて、私は、景気を回復させるための短期集中型、そしてコスト削減を図るということも私は一つ方策だと思っておりますので、方法は違いますけれども意図するところは同じだと思っております。
  13. 脇雅史

    脇雅史君 一つ気になるところと言われて言われたことが気になるわけでありまして、長期計画というものを予算獲得のすべで今まで使ってきたかといえば、昔の大蔵省、今の財政当局は、景気が悪くなったけれども長期計画でこれだけ決まったから金やるぞなんて言ったことはないんですね。そういうこととはほとんど無関係に決まっておりまして、実務的には長期計画というのは、法定計画でやっている部分は税制の特別な税率を、暫定税率を決めるとか、そんな意味での計画でありまして、本質的にそれが予算を左右してきたとは実態的に思っておりません。多分そうだと思います。  大事なことは、国の単年度予算の中で行き当たりばったりで仕事をするのではなくて、長期計画と言わなくてもいいです、長期的視点、長いスパンで物を考えるということを国土整備の上では考えていかないと、毎年毎年、金があるときは一杯やれ、なければ少ないという、そういうものではないという、そういう意味で私は長期計画という言葉を使っているわけで、その意味では大臣とも多分一致すると思うので、次に行かせていただきますが、よろしいでございましょうか。  それでは、道路の話に移らせていただきます。  道路、いろんなホットな話題がございます。そこで、道路の話に入る大前提として、今の日本道路というのは一体どういう財源で造られているのかということを考えたいんですが、私は基本的には利用者が負担する受益者負担という精神が非常に色濃いと思うんです。  隣の沓掛先生の方がこの道では専門家でございますが、ちょっと言わせていただきますが、ほとんどが揮発油税とか重量税とか、車を使う人、ガソリンを使う人、そういう人が負担をしている。非常に日本道路整備が遅れておりましたから、そういう特定財源を作って、それで整備が進んできた。もっとも、政令市でありますとか県でありますとか市町村でありますとか、最近ではかなり一般財源も入っておりますから、完全に受益者負担とは申しませんが、かなりそういう色が濃い。  さらに、有料道路制度というのは何かということになるわけでありますが、これはまた更に、更に更に受益者負担ですね。完全に乗った人の料金で造った金まで全部回収しようということでありますから、利用者にとってはガソリンを払いながらなおかつ高速道路に乗るときは全部負担しろという誠に重たい重たい受益者負担制度になっているわけです。  ところが、それでもいいよと、完璧にそういう理解をしていただいたかどうか分かりませんが、国民皆さんはそれでも今まで支払っていただいていたわけですね。そういうことが可能だったのは、やはりどんどんどんどん車の需要が増えてきますし、台数も増えてきますし、いわゆるそういう車社会が到来してきたという世の中の動きがあって、また社会も右肩上がりの時代であったからこそそれが許されたわけだと私は思うわけでありますが。  最近になって、どうも、いわゆる有料道路制度という利用者からお金をいただいてでも、全部いただいてでも早くできる道路はそれでやろうよという、非常に道路整備を促進するという意味での有料道路制度がなかなかうまく機能しなくなってきたと。それは当然の動きなんですね。特に最近のデフレ下では当たり前の話なんですけれども。元々、道路整備というのがそういう受益者負担の精神で行われ、そして特に高速道路、有料道路がその上に更に完璧なる受益者負担で行われてきたと、そういう構図があると思うんです。  今はいわゆる有料道路については少しそれが崩れつつあって、ほかのことを考えなければいけないわけですけれども、元々の受益者負担という精神は変わっていないんじゃないかなというふうに私は思うんですけれども。だれがこの国の道路整備を負担するのかということの基本的な構図といいましょうか、今後も余り大きく変わらないんじゃないかと私は思うんですけれども、いかがでございましょうか。
  14. 中馬弘毅

    ○副大臣中馬弘毅君) 道路というのは正に国家の基礎的なインフラでございまして、これは国民がひとしく税金で負担するものだと私は思っております。  しかし、今お話がございましたように、高速道路という非常にこれは当時としましては特定の方が特定の目的を持って通る、そのためには少し特定の方々から料金を徴収してもいいじゃないかということも一つは基本的にあったかと思います。そういう形で、高速道路が今言いましたように有料で運営される形になってきたわけでございますけれども、しかし現在ではほとんど大方の人がこれを利用するわけでございまして、税金を取られた上になおかつ高速料金を払うというのはいかがなものかと私は思っているわけでもございます。  しかし、一つの公団の在り方に対する批判も出てまいりまして、その効率的な運営の仕方、大きく抱えてしまった借金の処理のこと等で民営化論議が出ていることは御承知のとおりでございます。  そういうことで、民営化後の、民営化を一応認めるといたしましても、その後のことにつきましてはまだまだこれから議論があるところでございます。民営化推進委員会の方で精力的に審議されているところでありますが、民営化後の有料道路制度につきましては、その最終意見を踏まえて適切に処理してまいりたいと考えております。
  15. 脇雅史

    脇雅史君 ちょっと民営化の話はまた後で話をしたいんですけれども、基本的に、極めて我が国では受益者負担的な精神で道路の財源が持たれてきたという歴史があって、今後とも多分その流れは変わっていかないだろうというふうに思います。  そこで、オーバーフローという話があるわけで、これは一般の国民の方には分かりにくいんですけれども予算要求をするときに、一・〇とかいわゆるシーリングということで頭打ちにするわけですね。そうすると、道路を造るよと言って税金を取ったんだけれども、その金を全部道路に回すと道路だけ例えば一・二の伸びでほかの事業から飛び出すと。これはおかしいんじゃないかというのが財政当局考え方で、これはかなり役人の範囲内で、事務的なセンスで、閣議決定はするにしても、そういう部分で法律で決められた徴収したお金を使うべきではないんだと、頭打ちにするんだと、これがかつて昔あって、そのオーバーフロー分をどうするかという議論があったんですけれども、私も極めて変な話だなとは思いながらも、しようがないのかなと。今の役人の皆さんも何となくしようがないのかなという思いがあるいはあるかもしれませんけれども、これは極めておかしな話で、そもそも法律で決めて道路に使いますよと言って集めて、何でほかに使えるんだと、だれがやるんだと。法律違反でしょう。それを勝手に行政の裁量で決めていいのかと。  予算という格好では国会にも上がってきますけれども、これは本当は、税金というのは、財産権、憲法に保障されているわけで、税制法定主義、税金というのは極めて重い話なんですね。個人の財産を国の権力で取るわけですから、その使い道については極めて慎重な検討が法治国家は要るはずなんです。だから、オーバーフローなんて、道路に使うために集めた金を何でよそに使えるんだと。不思議なんですけれども、いかがでございましょうか。
  16. 中馬弘毅

    ○副大臣中馬弘毅君) このオーバーフロー問題でございますが、平成十四年度で二千二百四十七億円が道路整備以外に充当されてしまったわけでございます。しかし、これも自動車重量税という特定の財源、使途が明示されていないところからの分だということで、ひとつ何か法律的なことをクリアしているようでございますが、しかしそれ以外の道路財源につきましては、これは受益者の方が一つの御理解を得てこうして納税されているものでございますから、その方々の御理解なしにはこれを他に流用することは私はこれは法律違反だと、脇先生おっしゃるとおりだと思います。  ところで、その使途のことでございますけれども、ただ道路という狭い範囲のことではなくて、今までにもやっておりますけれども、開かずの踏切対策だとか、あるいは最近では環境の保護に使うこともいいではないかと。渋滞で非常に炭酸ガスが発生される、これを解消するための一つの施策であるとか、あるいはまた都市交通の駅前の整備だとか、こういったことまではひとつ許されるんではないかということでございますが、これもあくまで利用者の御理解の上でそういったことにまで若干使途を広げながら、しかし決して、これが一般財源に使われることは私は問題だと思っております。
  17. 脇雅史

    脇雅史君 かなり私の意見に近いお答えをいただいたんで、いいんですけれども。  重量税というのがあって、これが幸か不幸か法律で使途を決めていない、いわゆる本当の特定財源ではないんだという、何かうやむやな昔の決着の話がまた出てくるわけでありますが、しかし、そうはいっても非常に高い暫定税率を掛けているわけでありますから、これはもう大臣もあちこちで言っていただいている話で、私は頑張っていただいていると思うんでありますが、道路で使わないのであれば暫定税率なんて必要がないわけでありますから、そういう意味ではやっぱりかなり怪しいんじゃないかなと私は思うので、少し財政当局が自由勝手にやり過ぎたと言っていいのかどうか分かりませんけれども国土交通省がおとなしく従う必要はないのではないか。むしろきちんと、その財源がある以上、道路のために払うといって払っているわけですから道路に使っていただきたい。道路でもうやることがないというのであれば、それは税率を下げてほしいと、それが物の趣旨だと思います。何かあれば。
  18. 中馬弘毅

    ○副大臣中馬弘毅君) 今、自動車重量税の話が出ましたけれども、先生おっしゃるとおりに、暫定税率の分は、これは道路に使うことが前提になっておりますから、その分までも食い込んだ形ということに今度はなります。しかし、私たちがそういうことでこれを認めたのじゃなくて、財政当局はそのような説明をしておりますけれども、しかし、これは暫定税率の分まで食い込んだ分は、明らかにこれは今おっしゃいましたように利用者に対しての一つの説明が付かない形で流用されてしまったんではないかと私は認識いたしております。
  19. 脇雅史

    脇雅史君 そういう意味で、道路、まだまだやらなければいけない話がありますし、特に地方では、国がなくたって、地方に対する特定財源の配分は十分じゃないんだから、わしらの方によこせばいいじゃないかという声もかなり強いわけですし、いろんな意味で、本来の制度の趣旨にのっとってきちっとしたことをやっていかなければいけないと思いますので、国土交通省御当局の更なる御活躍に御期待を申し上げたいと思います。我々も頑張りたいと思います。  それから次に、いわゆる民営化ということにちょっと話を進めたいわけでありますが、民営化というと、いかにも非常にいいことだと。今、国民皆さん道路公団を民営化することについて賛否を問うというと、またまた大賛成で、八割ぐらいが賛成しちゃうんじゃないかと思うんですが、本当なのかなと、民営化って何なんだろうかと。  民営化ということは、だれかがお金を出資して、その資本家といいましょうか、お金を出した人に対して最大限もうけてお返しをすると、株主に対して。そういう制度を構築するということでありますから、我々から、これだけ一杯ガソリン税も払い、重量税も払い、通行料まで払っている我々から金をもうけて、さらにだれかにそのもうけた金を渡すというのはどういうことなんだと。そもそも今の道路は我々が金出して造ってきた道路じゃないか、むしろ株主は我々だ、我々に還元してほしいと。何でどこかから急に、お金持った人か何か知りませんが、民営化と言って、株主、買って、その株主に利益を還元しなくちゃいけないのか、そんな利益は出してほしくないと。そもそも道路なんかで金もうけしてほしくないと。だれが民営化と言い出したんだと、それは分かっておりますけれども、基本的におかしいんじゃないかと。  鉄道専門家もおられますが、国鉄がJRになったときを考えてみてください。そのときに私鉄が何社ありましたか、世の中に。私鉄は十分にペイするんです。それは運賃だけじゃないんです。私鉄は様々な土地利用、いろんなことをやりながら、運賃を適切な部分で取りながら、営業が可能で、しかも黒字が出ると。では、道路公団ほか三公団ありますけれども、今までどこかで道路の民営会社ありましたか。そんなものは初めからないんです。  だれかが何とかして規制を撤廃してほしいと。規制を撤廃したら、わしらが金出して道路造ってもうけられるんだ、ばかな制度はやめろと言ってきている人が一杯いればいいですよ。宅急便じゃありませんが、わしらがやっているから、規制があるから伸びないんだ、規制撤廃しろと。郵便事業じゃなくたって、宅配事業でできるじゃないかと。そういう下地があるならいいですよ。道路には何もない。いきなり民営化とは何だと。  民営化ということの趣旨は、私はこう理解しております。道路公団をもっと国民にとって良い組織にしなさい、効率的な組織にしなさいと。それは間違いなく正しいんです。今までこの組織が完璧であったかというと、私はそうでもないと思う。反省すべき点もあるし、もっとスリム化できるかもしれない。国民のためになる組織にもっと努力をしてほしい。それを仮に民営化と呼ぶんであれば、民間的なセンスを持って公団を改革してほしいというなら分かる。だけれども、何で道路が民営化なんだと。道路で金もうけなんかしてほしくないなというのが一国民としての私の率直な認識なのでございますが、いかがでございましょうか。
  20. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 脇議員がおっしゃるように、我々は日本国として本来の公共工事は那辺にあるかという私は原則だと思うんですね。それであれば、私は少なくとも、道路でありますとか、あるいは空港、港湾、特に国際と名の付くものは、すべて国民からいただいた税金で国際的に対応し得るものを造るというのは私は基本だと思います。  ですから、公共工事といっても、少なくとも私は、皆さん方がおっしゃるように、少なくとも日本の発展的な、世界的に欠くべからざるものというのは、本来はそのために税金いただいているんですから、道路もただ、空港もただ、全部でき上げてから、でき上がったところで民間に渡すと。私は、基本的なものを造ろうとするのは、それが公共工事だと、国として必然なことだと思っていますよ。けれども、ある時期、日本が敗戦というあの痛手の中で何とかして交通網を達成するためには受益者負担という知恵を出したことで今日までできたという、あの状況の中ではやっぱりいい制度であったなと、だから今日があるということは私は大いに多とするべきだと思いますけれども、じゃ二十一世紀になってもあのままでいいのかということが今問われているわけでございます。  そして、御存じのとおり、先日も中国へ行きましたけれども、一九八二年、二十年前に中国は高速道路ゼロです。二十年の間に、今一万九千キロ、約二万キロに迫っています。日本は延々と受益者負担をいただきながらも七千キロという状況で、果たしてこれが国際化と言えるかどうかということですけれども。  私は、民営化というお話となれば、私は道路公団一つ取ってみても、今第三者委員会作って御論議いただいておりますけれども道路公団一つ取ってみても、果たして国民皆さん方に透明に、胸を張ってこれは間違いないものですと言えるかどうか。それは、先日の阪神公団の不正等々も含めて、基本的な道路公団というものに対する国民の信頼が得られるかどうか。あるいは管理業務一つ取ってみても、四業務の中で子会社を一杯作って天下りをして、そこの役員に天下りが行って、そこが九〇%以上の受注率をしているというような数字。  そして、我々は、有料道路はやがてただになると言われて高速道路を使い始めた。ところが、今日、少なくとも道路公団の多くの路線の中で果たして、償還できているのは二路線だと言われておりますけれども、それだって一銭も下がっていない。有料道路の金額は上がり続けている。これも国民に納得得られない。ですから、道路公団のコスト高ということもこの大きな課題になっていると。今の現状を何とか改革しなきゃいけないということで、もっと効率良く、もっと国民に透明にするために民営化ということも必要ではないかと言われ始めたのが私は大きな原因だと。本当に国民に愛される道路であるかと、有料道路を造る上の条件がある。それは少なくとも民間皆さん方に、民間になるという私はポイントは幾つもあると思いますけれども、少なくとも私は利権からの脱却ということを国民皆さんは公団に求めていると思います。利権があるのではないかという疑いを持たれている、これは大事なことだと思います。  そして二つ目には、自主的あるいは効率的な経営がなされているかどうか。これも国民の目から見て果たしてそうなんだろうか、天下りばっかりじゃないかと言われているのもそこでございます。  そして最後は、私は、公団としてあるいは道路というものの国の責任というものをどこまで国が負うのかということも、私は民営化と国民皆さん方の信頼を受ける国の役割、道路に対する、それも私は大きな課題だと思っておりますけれども、少なくとも我々は、今日道路公団を含めて皆さん方が御論議されておりますけれども、私はこの議論の中で管理費の削減等々言われておりますけれども、ETC等々を使って少なくとも受益者の皆さん方に、お金を払って渋滞しているなんということを解消しなければ何のために金を払っているのか分からないと言われることで、私たちは完成をさせていきたいと、そのための見直しをしていきたいと思っております。  ただ、一つ私は懸念しておりますことは、どういう答申が出るか分かりませんけれども、この御論議を見守っておりますけれども、私は皆さん方が、日本道路公団を六分割にするとか七分割にするとか世上では、あれ公開しているものですからいろいろ書いてくれるんですけれども、私は果たして分割していいのかどうかということもクエスチョンマークの一つだと思っております。  それは旧国鉄というものをごらんになったら分かると思います。あれだけ民営、民営ということで国鉄を大改革いたしました。この中にも関係した方もたくさんいらっしゃいます。けれども、あの当時の国鉄の役員というのは、旧国鉄は十八名でございました。ところが、今民営化してこれだけ分けて、そして今民営化しましたけれども、十八名だった旧国鉄の役員は、現在は少なくとも百六十名の役員がおります。JR東海一つ取ってみても三十一名の役員です。そういう意味では、分割すれば分割するほど役人が増えて、また役人に給料を払うという、こういう矛盾も出てまいりますので、私はきちんとこの答申を待って、国土交通省としては的確な判断をしていく大きな材料になると思って皆さんの御議論を期待しているところでございます。
  21. 脇雅史

    脇雅史君 ありがとうございました。  いろいろな問題点があることは事実でございますし、問題点をいかに解消するかということは大事なことでありますが、本質論から外れてはいけないのであって、やはり道路は何かということをきちっと国民皆さん理解していただいた上で新しい方向性を出していただきたい。  そこで、一つ問題だなと思っておりますのは、今まで造った道路だけで収支を取れば、今プール制で将来造ることを前提に料金を設定しているわけですから、今の料金で今まで造ったところだけやればもう経営ができるのは当たり前なんですよ。そんな議論するまでもない。そして、その議論はもうかるところだけやればいい。もうかるところだけやるということは、道路交通量の多いところだけやるということですから、地方は切り捨てることになるんですね、民間会社からは。つまり、日本全体をいかに有機的にネットワークを持って発展させていくかという視点は欠落しちゃうんですね。この国土の根幹を成す道路のネットワークという意味において、そういう民間的な視点でもうかるところだけやるなんということがもし行われればこれは大変なことになるわけです。ですからこそ、知事さん始め皆さんが今反対しているんですね。この動きをきちっと、しかと見詰めて対応していただきたいということを御注文しておきます。  それから、今ネットワークと申し上げましたけれども、このネットワークをどう整備するかということは、仮に民間会社になったとしても、そこがやらないとしても、別途、有料道路でなくてもやはり高速のネットワークというのは日本にとって必要だと思うんですね。それはそれで、やはり新たな精神、新たな哲学を持ってどういうネットワークがこの国に将来必要か。今、一万一千五百二十キロと言っておりますけれども、それでいいのか、もっと多くするのか減らすのか、そこまでひっくるめて、それは正に国民からそれを考えることを負託されているのが国土交通省でありますから、第三者機関じゃないんですよ、そういうことを決めなくちゃいけないのは。国民のためにきちっとしたネットワークの構想をお示しいただいて、そしてその財源をだれがどう負担して、どういう組織が造っていくのかということをきちっとこれまた将来に向けて、仮に民営化問題を議論されているにいたしましても、それと並行してきちっと進めていただきたいということを御注文させていただきます。  ちょっと、余り時間がないんで少し次に移ります。  次に河川関係で、これはちょっと民主党に物を申したいわけでありますが、緑のダム、緑のダムというのがあって、ダムを緑色に塗るのかと思ったら、山に木を植えるんだそうでありますが、既に山は木で一杯でありますが、山に木が一杯植わっているとダムは要らないんだということのようでありますが、これが極めてばかげた話であることは、ばかげたと言っては若干言葉が失礼でありますが、いろんな意味で、例えば「土木學會誌」で九月号に「森が水を養う」という、中村太士さんという方の論文があります。ここでも、例えば「多くの議論が本来すべき科学論や技術論から逸脱して、政治的道具に使われていることを危惧している。」、政治的道具になっちゃうおそれがある。それから日本学術会議で、これは十三年十一月に「地球環境・人間生活にかかわる農業及び森林の多面的な機能の評価について」、この中でもいろいろ触れておりますが、要するに、そういうことは無理なんですよ。夢物語、おとぎ話に近いんですね、失礼ですけれども。  ですから、きっちりとした政党がそういうことを言っちゃいけないんですよ。事実に基づいてきちっと裏打ちされたことで国民に対して言っていかないと、民主党もやはり非常に今後の国民生活に対して良くしてくれるんじゃないかという期待感を担った政党ですから、そういうことを言うと本当かなとだまされちゃうおそれ、だまされるというのもおかしな話ですけれども、正にデマゴーグですね。脱ダム宣言を言っている人と一緒で、そういうことを言ったら世間は喜ぶんですが、誠に問題が多いと私は思っておるんでございますが、国土交通省はこの件についてどうお考えなんでしょうか。
  22. 中馬弘毅

    ○副大臣中馬弘毅君) この森林の大事さ、これはもう脇委員御指摘のとおりでございまして、ただ、それと洪水との関係であえて申しますならば、いろいろと問題が別の観点で議論になろうかと思います。  その前提、まずですけれども、森林が日本国土の六七%を占めております。しかも、これがどんどん減ってきているかというと、そうじゃなくて、百年間ほとんど変わっていないですね。そしてまた、と同時に、この緑の大事さということで特に環境問題等から、これが酸素を供給し、炭酸ガスを吸収し、また、先ほど言いました心のいやしにもなるし、同時に治水にも役に立つではないかということでございますが、日本の森林はちょっと、戦後植えました杉がほとんどでございまして、これは大きな雨が降りますとざっと崩れてしまいます。保水力の面につきましても、いわゆる何といいましょうか、落葉樹のこととはちょっと違いましてかなり問題が多いわけでございます。そういう森林であるということが一つの前提になろうかと思います。  そうしますと、保水力にしましてもこれは余り期待できないわけでございまして、ある一定量以上の雨が降りますと、それはオーバーフローしてしまいまして、これは洪水を起こしてしまいます。その洪水を起こす可能性のところにダム計画しているわけでございまして、現時点においてその危険性がなくなったところはそれは見直していいかもしれませんけれども、しかしその危険性があるところが森を増やせば洪水が防げるということに私はつながらないと思います。そういうことで、場合によっては見直すこともありましょうけれども計画どおりにダムを進めることの方が日本国土の保全のために私はどうしても必要だと、このように認識をいたしております。  ただ、皆様方のそうした世論もございますから、こういったことに対しましての我が国土交通省としてのPR等も含めて努力してまいりたいと思いますので、先生方の御理解もよろしくお願い申し上げる次第でございます。
  23. 脇雅史

    脇雅史君 国土にとって、我が国は非常に森林の多い国でありますが、それでもなおかつ森林を整備していくということは大事なことでありますし、それを決して否定するわけではありません。だけれども、森林が持っている機能というのをやはり余り過大に評価してもいけないわけですし、しっかりとした情報を国民皆さんに流していただきたい。我々もその方向で努力をしたいと思っております。  次に、最近の入札・契約問題に移りたいと思うのでありますが、私、この十月に全国各地十五か所ぐらい歩きまして、本当に多くの方々と意見交換をしてまいりました。  ある場所では、大臣、こういうふうに言われました。日本は一九四五年以降戦争はしていない国だと、なるほど戦争はしていない、だけれども、私たちは今戦争をしているような感じがする、毎年三万人死んでいる、これは大変な戦争だと、ちょっとした戦争よりも戦死者多いですよと。三万人というのは御案内の自殺者の数なんです。何もそれは建設業ばっかりじゃありません。本当に今の時代、建設業で仕事をしていくという人はそういう思いで仕事をしているということに胸を打たれるとともに、非常に厳しいんだなとますます思ったわけでありますが。  昔、百姓は生かさぬように殺さぬようにという言葉がありました。今の発注者の親分、総理大臣は、某建設会社が破綻したときに、改革が進んでいる証拠だ、結構な話だと。これは、要するに会社は死んでもいい、生かさぬように殺さぬようにどころか、死んでもいい、安く仕事をすりゃいいんだと。塩川財務大臣は何と言ったか。あるところでは五〇%で入札しているんだから予定価高過ぎる、五〇%にすればいい。そんなことができるはずがない。一か所だけ見りゃそういうことはあるかもしれないけれども、国の責任者がそういうことを言っている政府なんです。建設業は一体どうなるんだという思いで私は非常に申し訳ない思いもいたしましたし、腹立たしい思いも同時にしたわけであります。  そこで、今の市場といいましょうか、公共事業がどんな発注のされ方をしているかということをちょっと考えてみたい。  今、大方の世論の、皆さんもいい発注とは何かと。できるだけ多くの会社を指名に入れて競争させて、競争すればするほどいい、安い価格で落ちればそれが最善だと。一切発注者と受注者はネゴもしないし、話もしない。完全な壁を作っておいて、こういう工事をやりますよという広報だけして、後は電子入札でも何でも数多く入ってきて、やみ鍋に札をぶち込んで、かき混ぜて、一番安いところを見付けて、これと契約したらいい仕事ができる、そんなことをやっているんですね。それがいい仕事だと今思っている節がある。それが市場原理だと、市場の競争原理を使っているんだというわけですよ。  なるほど買手側の受注者、建設会社はもう大変な競争を強いられる。数多く入れるということは数多くに札入れに行くわけですから、三十社指名したら、取れない会社が二十九社、一生懸命積算しなくちゃいけない。そんなことできるわけないでしょう。百社指名したら百社に札を入れに行かなくちゃいけない。入れに行く手間だけでも大変ですけれども、それをまじめに積算なんかできますか。できるはずがない。できるはずがないけれども、それがいいことだというのが今の世論。  つまり、売手と買手があって、買手側にだけ完全なひどい競争を強いる。売手側はどこにいるかというと、売手は市場にはいない。役所という安全な岸の上に立って、競争だけさせているという悪代官以上の構図なんですよ。  市場原理って本来何かというと、普通の市場を考えれば分かるんですけれども、売手と市場の間に本来の市場原理があるんです。買手側だけにも市場原理はあります、売手と買手にもあるのが市場原理だと。売手と買手の間の市場原理というと何かというと、例えば私が家を建てたいときに、業者は信頼できそうな業者を呼んで、こんな家建てたいんだけれども何ぼでやってもらえますかといろんなことを交渉しながら、じゃ、こっちはこうだけれどもこっちはまけてやるとか、いろんなアイデアも出してもらいながら二、三社やってみて、じゃ、あんたに頼むなということをやるんです。つまり、売手と買手の間にコミュニケーションが存在しないと健全な市場にはならないんですね。  今、公共事業でやっている話は、不祥事が起こっちゃいけないから一切遮断しましょうと。話しちゃいけません、官製談合もあるかもしれません、いろんなことがあるからとにかく遮断しましょうと。一切譲歩しません。変なところでは、最近は現場さえ見せない。これから物を造るのに現場さえ見ないでいい設計できるわけない。そういうことをやっているわけですから。  そして、業者の目から見たら、いつ仕事が取れるか全く分からない。業者同士で話をしてはいけない、発注者と話をしてはいけない。営業努力も認められないんですよ。営業努力のしようがない。どうやって会社経営するんですか。くじ引でやっていて自慢している市長さんがいますよ。悪いけれども、今回もくじ外れたからあんたら給料ないよって、どうやって会社経営できるか。  だから、大臣、会社の身になってください。今のような経営、発注の形態で会社経営できると思いますか、健全な市場が築かれると思いますか。このまま行ったら、それで悪い業者はどんどん減ればいい、業者は数が多いんだからと。こんな悪い行政はあり得ないですよ。信じられない世界だと。  今までは役所の皆さんもいろんな改革をしながらどんどんどんどん改革されていると思い込んでやってきています。だけれども、結果的に何が良くなったかというと、何にも良くなっていないんです。大変な思いをしているんです、発注者も今。もう物すごい忙しいものだから、現場なんか見る暇もない。受注者もあっちこっち呼ばれて大変な思いをしているけれども、いつ仕事が取れるかも分からない。じゃ、肝心の、税金を使って良いものを未来に残すのが公共事業の精神ですから、究極の目的ですから、それが少しでも達成されていりゃまだ救いがあるけれども、それすら怪しいという。余計に怪しいんですよ、いい仕事をしているかどうか。  ですから、今は正に安値受注、ダンピング対策もしなければいけない、いろんなことをしなければいけないんですが、今やっている我が国公共事業の発注の仕方が本当にいいのか、発注者だけの都合じゃないかと。安けりゃいいんだ、税金使うんだから安けりゃいいんだと。その安けりゃいいんだという精神がまた問題なんであって、その安い分はどっかから業者は使うわけですよ、ほかでもうけた金を。ということは、公共事業の発注者でありながら人様の上がりをかすめ取るような話なんですね、ダンピング受注を認めているというのは。  公共事業の発注者というのは全体を見なければいけない。さっき大臣は木を見て森を見ずということはしないと言ったけれども、今の発注行政に一番欠けていることは、個別の契約は、契約したんだからその契約に基づいていい仕事をしてもらおうという精神だけは極めて強いけれども、全体の業界がうまくいっているかどうか、市場全体を見る目がない。正に森を見ていないんです。市場全体をだれが見ているかというと、だれも見ていない。本来、公正取引委員会なりなんなりがきちっと見るべきです。ところが、独禁法の世界も、個別の談合は捕まえるけれども、市場が適正であるかどうかということではなかなか話が外へ出てこない。そういう意味で、我が国においては市場を見る人がだれもいない。  本当にこの建設業においては大変な事態にあるというのが、その十月を通じて私の基本的な認識なんでございますが、余り時間がないので全部まとめて話を申し上げましたけれども、まとめてどなたか御意見をいただければ。
  24. 岩城光英

    大臣政務官岩城光英君) 今、脇委員から、売手と買手の話も含めまして、もっと発注者側が踏み込んで企業とコミュニケーションを図っていってほしいと、こういったお話がございました。  これまでの公共事業実施に当たりましては、発注者が必要な調査、設計に基づきまして工事内容を定め、そしてその上で施工能力のある企業を選定して、価格のみの競争入札により落札者を決定しております。したがいまして、企業とのコミュニケーションと言われるものは入札後の工事施工段階に限られておりました。  ただ、脇委員から御指摘がありましたとおり、民間の様々な創意工夫あるいは技術力の積極的な活用、こういったものを生かしていくことも極めて大事だと思っておりまして、私どもは様々な入札手法の試行をしております。例えば、入札前に企業からの技術提案を求める入札時VE方式や、落札者決定に当たって価格のみならず企業からの提案についても性能評価を行う総合評価方式、こういった導入を図っております。  これからもこういったものを生かしながら、企業側とのコミュニケーション等を発注者が図れる、そういった体制を取っていきたいと思っておりますし、今一番心配されておりますダンピング受注、これらに対しても、いろいろな規制を掛けながらこれらに適切に対応していきたいと考えておりますので、御理解いただきたいと思います。
  25. 脇雅史

    脇雅史君 非常にすぐにどうということを、難しい問題、私もよく認識しておりますが、基本的にどういう発注をすれば本当に業界も良くなり、発注者も楽になり、いい仕事が残せるかという視点で、今までのいきさつにとらわれずに、いろんな意味で新しい視点も入れて御検討をお願いしておきたいと思います。今日は時間もありませんので、ここで。  最後に、本当は夢のある話を実はしたかったわけでありまして、ちょっと時間が一、二分過ぎるかもしれませんが、お許しいただいてお話をさせてもらいたいんですが、今の我が国の住まい方、一九〇〇年と二〇〇〇年、百年前と比べたらどう変わったかと。昔は各戸個別で全部できたんですね。水道は井戸だったし、し尿処理は畑にまいたり、すべてその一家、一つの家で全部できた、大家族でできたわけですね。それがどんどんどんどん、電力も供給しなければ、ガスも供給しなければ、みんな全体のシステムになってしまったわけでありますが、これはある意味では弱いんですね。  今日、ちょうど朝、テレビでやっておりましたけれども、燃料電池の家庭版というのが来年ぐらいできそうだと。この燃料電池は正に画期的でして、電力供給がなくて済むんです。各戸どういう単位でやるかということはありますけれども、これから先は独立してエネルギー供給ができる。それから、下水も何も全部流して、最後にまとめて処理しなくても、各戸だけで完璧な処理できる技術がこれからはできるはずなんです。上水も、もう一回、二度使い三度使い、いろんな使い方をすれば、それまた違う世界ができると。そうすると、今あるいろんな、系統的な送電線なんかもなくせるかもしれないし、もしかしたら原子力発電所もなくせるかもしれないし、河口堰なんかなくてもいい世界ができるかもしれない。  もう一回新たな発想でこの日本の住まい方を、二十一世紀公共事業とおっしゃいますが、二十一世紀の私はゼロエミッションハウス、そのモデルと言いたいわけですが、あらゆることが一家でできる。これは核家族は駄目なんです。私は人間の住まい方は夫婦だけでは駄目だと思っておりまして、一人病気になったら子供の世話もできない。大家族制度に戻すことを前提にそういうゼロエミッションハウスといったようなことを技術的に作って、今ある仕掛けを、公共事業の仕掛けも根底から作り直すぐらいの発想で試験研究をしてほしい。日本はすごいなあという、あっと驚かせるような住まい方ができるかもしれない。是非そういう発想で若い人に、改革、改革と言いますけれども、構造改革というのは後ろを向いているんです、今ある仕組みを変えるだけなんだから。前向いて、いかにいい世界ができるかということを、とらわれずに、ノーベル賞も一杯出るような頭脳もあるんですから、私が知る範囲でも国土交通省には優れた方が一杯いますから、是非前向きの仕事を、大臣、させていただきたいと思います。  以上で終わります。ありがとうございました。
  26. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 佐藤雄平でございます。質問も一年ぶりかと思いますけれども大臣のお顔を拝見しながら一年前のことをまた改めて思い出しておりますけれども。  冒頭、これ余りいい話じゃありませんけれども、せっかく今公団の民営化で、ある意味では政府も政治行政も含めて国民の信頼を取り戻さなきゃいけないというやさきに、阪神公団のあの不祥事については誠に情けない、残念至極でございます。先ほども大臣がお話がありましたけれども、これについて猛省を是非促していただきたいという御要望を冒頭申し上げておきます。  それと、先ほど脇さんの緑のダムの話でありますけれども、私は緑のダム自身を承知しておりません。無所属、緑風会ということで、今の民主党の建設行政と若干違う考え方でございますが、しかしながら、今日は河川局長も、河川局長もおられましたけれども、私のいろいろつたない政治経歴の中でも、私はやっぱり治水の問題よりもまず治山の問題であろうと、先ほど副大臣が申し上げましたけれども、治山と治水というのを、これはやっぱり一体でないとこの水の行政というのは成っていかないのかなと。ややもすればまだまだ、私は縦割り行政、後でも質問の一項に入っておりますけれども、縦割り行政を本当に連携を取った、ある意味では一元化というのも必要でないかなと、そんなことを冒頭申し上げさせていただきたいと思います。  どうも最近の一つの風物とも申しますか、私は今のこの国土交通委員会でも道路行政とか住宅政策、また都市政策はそれぞれ議論されておりますけれども国土全体の二十一世紀のあるべき姿というのはややもすると余り議論されてないような気がしてなりません。  昨年、小泉内閣が発足をしたときに、私は大臣に、特色ある地域都市の再生、これはどうも納得できませんと、やっぱり均衡ある日本の発展が二十一世紀の新たな進むべき道であろうと。  国のグランドデザイン、小渕内閣の最後でありましたけれども、四極を作ってそれぞれの地域のバランスを取っていくというのがありましたけれども、私はこれに大賛成でございまして、それは最近つとに感ずることでありますけれども、地元に週に一回帰っております。そうすると、農村をずっと歩くと、帰るたびに空き家が実は増えておりまして、またこれ農家がいなくなってしまったなと。私自身、選挙運動に行くわけですから、また一票減っちゃったかなと思うところもありますけれども。  しかしながら、一方では今度東京に来るともう建設ラッシュでございまして、この三年間で東京は実は十六万人人口が増えております。この十年間の東京圏の人口の増減を考えますと、百六十万人実は増えているんです。増えたところで一生懸命都市の再生、都市計画、いろいろやっておりますけれども、何かそれは突貫工事のような気がしてなりません。日本全体の本当の国土政策の中での都市政策を遂行しているのかなと、そんなことを思ったときに、私は、この所信の中でも個性のある地域都市の再生というふうなことでうたっておりましたけれども、これはやっぱりいずれ考え直す時期が来るんじゃないだろうかと。  しかも、更にまた申し上げますと、日本の人口一億二千万人のうち三大都市圏には六千万人住んでおる。しかも最近は、そのグラフをずっと調べてみますと、もう十年過ぎるとこれ逆転するんじゃないかと、そういうふうな中での都市政策、都市の再生なんというのは、私はもう限界がどうしても生じてしまう。  政治行政国民の生活を守る、財産を守るという前提からすると、もう一度そこは再考しなきゃいけないんじゃないだろうかと、そんな思いもしますけれども、その点についての大臣の所信をお伺いしたいと思います。
  27. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 久しぶりに佐藤議員と論議できるので喜んでおります。  今おっしゃいましたように、かつて、今日まで二十世紀我が国があの苦しい時代から少なくとも人間らしい生活ができるように、衣食住足りるようにということで均衡ある国土の発展という目標を掲げて我々は努力し、また我々の先輩が努力していただいて今日の日本を作ったというのは紛れもない事実ですから、それは私はそれで良かったと思います。  じゃ、均衡ある国土の発展といって、それだけの全部予算があるならともかくも、二十一世紀の今日、二十世紀を振り返ってみますと、我々の、先ほども脇議員にちらっと申しました、道路一つ取ってみても遅々として進まず、あるいは今まで物流が大変大事だということで港湾がございました。そして、神戸港という港が世界の中で四番目の物流の荷降ろしをしていました。荷出しもしていました。ところが、阪神・淡路大震災があったというもの、今は世界の二十四位に成り下がっています。  また、あらゆる面で日本は、今日の現状が二十世紀経済大国と言われただけの地位を保ち得るかどうかというのが今我々が問われている大事なところでございます。それは、すべからく均衡ある国土の発展を図ってきたけれども、いったん、国際的に見れば落ちているところがたくさんある、競争力がない。じゃ、何が競争力がないか。それは今言った物流コストなり、あらゆる面で、社会資本整備も全部には行き渡っているけれども、特色がない。そして、国際空港一つ取ってみても、二十五年間一本の滑走路しかない、そういうのは世界にないわけです。途上国でも二本以上がある。そして、欧米先進国は空港あるいは港から十分以内に高速道路に乗って荷物がさばける。ところが、港湾一つ取ってみても、日本は三日から四日掛かった、少なくとも二日から三日掛かった、欧米先進国は二十四時間で船から荷さばきをする、これでは国際的に勝ち得るわけがないんです。そこへ来てしまったと。だから、我々は個性ある地域の発展ということで、ここは物流コストで確実に港湾と道路と空港が一致しましたよ、さあ、いらっしゃいと言えるだけの力を持たなければ、すべてがどこを切っても金太郎あめで何の特色もないのでは世界からお客さん来ません。  そういう意味では、観光も二十一世紀は第三次産業の主幹産業として私は成長しなければならない。そのためには、観光一つ取っても、例えば福島にはこういう特徴がある、福島へ来るにはこういうルートを使ってくださいよとか、そういうこともすべからく私は個性ある地域を作って初めてお客様も来てくれる。また、世界に対抗し得る地域を作らなければ、私は日本は二十一世紀末には本当に、沈没するという言葉は使いたくないんですけれども、全部日本の空を通り過ぎてだれも日本には客が来ないという時代に作ってしまったのでは仕方がない。  だから、私は、少なくとも今申しましたように、韓国よりGDPでは大きかった九州地方だって、今見てください、既に韓国に大きく水を空けられてしまったと。それは、九州というところに集中的に何があるかということを持っていかなければいけないんで、どこ切っても何々銀座という金太郎あめの銀座通りができるというのはおかしいんで、福島にも何とか銀座、どこへ行っても何とか、なぜ銀座があるんですかというふうに、やっぱり福島は福島の、これが福島だというものを持ってくだすって初めて客も呼べるということで、個性ある地域の発展をしてこそ私は栄えていく。国に頼り過ぎないで地域の独自の特色を出していただきたいというのが、我々、二十一世紀の国づくりの大きな希望と、そして望みを持って頑張っていただきたいというのが国土交通省の願いであります。
  28. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 私が言っているのはちょっと違うんです。  今日の過疎というのは、今まで、昭和三十年代、四十年代の、それこそ守屋浩の歌である、僕の恋人東京に行っちっちの都市部に人口の若年層の流出の時代と違って、これは過疎でも集落がまずなくなっちゃう、部落がなくなっちゃう、村がなくなってしまうんです。それぐらい本当に切実な問題でございまして、これは私は、部落がなくなる、集落がなくなる、村がなくなるというと、先ほどの治山治水の問題じゃありませんけれども、またCO2の問題も含めて日本環境保全が維持できなくなると、そんな思いをしておりますので、国土政策の中でも私はある程度人口の分布があってよかろうかなと、そんな思いがするんです。  それで、出生率を一つ大臣、見ても、出生率は東京はたしか人口、若い者が一番いるわけですけれども、一・一なんですね。それで……
  29. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 働いているの。
  30. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 働いているというんじゃないです、来ちゃっているんです、地方からみんな。本当にこのままでいいのかというふうなことを考えると、私はもう次の時代のためにも、人口分布をも含めてひとつ国土形成政策を進めていただきたいという要望をしておきます。  次に、先ほど脇議員の方からも話がありましたけれども道路特定財源についてお伺いいたします。  公共事業のマイナス一〇%ということに連動しながら、約二千三百億ほど一般財源に特定財源が行ってしまったと。これは重量税の中で法律的に何もはめられているわけじゃないということで一般財源にも行っているのかなと思いますけれども、ただ、道路特定財源のできた趣旨、今日まで一つの慣行として充当されてきたわけでございますが、これについての国土交通省と大蔵省の所見。さらにまた、これも先ほど、脇さん、もう一つ踏み込んでいただければよかったんですけれども、暫定税率というのは道路財源が必要だからということで二・五倍になっていると思うんですけれども、それがオーバーフローになったというふうなことであれば、当然のことながらそれは元に戻さなきゃいけないという法律的な私は理解ができると思うんですけれども、この二件について、後方の方は財務省の方から答弁を願いたい。
  31. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今、佐藤議員がおっしゃいました地方分布の話も一言お答えしておかなきゃいけないと思います。  私は、少なくとも我々は自由主義社会、自ら職業を選び、自ら学業を選び、自ら宗教を選び、自由主義社会で生きております。佐藤先生のようにこの地域は何だと。私は、それは社会主義社会で、ここから出ちゃいけませんよというようなことを私たちは言えるわけありませんけれども、その地方はその地方に合った私たちは政策というものが、各都道府県と一緒になって、特色ある地域皆さんがそこから出ないように、しかも有り難いことに北海道、九州は、大学の卒業生が一番就職するようになったのは北海道と九州なんです。それは、コンピューター等々で北海道にいても仕事ができるよというような時代になったから私は北海道と九州が一番地元に定着してくれるようになったと思いますので、私は、国土政策の中で、それぞれの地域が特色ある地域を作ることによってその地域皆さんがいてくださるという、これも私たちの大きなねらいの一つであるということも御理解いただきたいということをちょっと付言させていただいて、今の道路財源の話でございますけれども、今、先生がおっしゃいました一般財源化したという言葉は違います。一般財源化しておりません。  それは、私が総理ときちんと昨年の暮れに塩川財務大臣と一緒になって話をして、一般財源化はしません。それは総理がきちんと、医療や学校に使うわけではありませんという言葉もあって、昨年度の補正に関しましてはこれは立体交差等々、立体交差をすることによって道路幅も広げなきゃいけない。そういう渋滞緩和のために使ったということで、道路特定財源の使用幅を広げたというのが正確な考え方でございまして、国土交通省としては、一般財源化したのではないということだけは是非御理解賜りたいし、今年の予算に関しても一般財源化という総理のお言葉はありません。  そういう意味では、私は道路関連の拡大をしていくと。今回もCO2の判決が下りましたけれども、そういうことにも、先ほど申しましたように、バリアフリー環境を含めた新たな使い方をするということで、私は一般財源化はいたしていないということだけは是非御理解賜りたいと思います。  あとは財務省から。
  32. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 そうなったら大臣、やっぱり際限なくなりますよ、道路財源、道路に関連するものに使っていくというふうなことであれば。だとすれば、二千三百億円、これはどういうふうに使われました。全く分からないでしょう。細目分かりますか。細目分からないということは、これはもう一般財源ですよ。
  33. 牧野治郎

    政府参考人牧野治郎君) お答えいたします。  平成十四年度予算におきましては、公共投資全体を一割削減という厳しい抑制を図りまして、その中で、道路予算につきましても、その抑制を図った結果、自動車重量税を含む道路特定財源の額が道路歳出の額を先生御指摘のとおり二千二百四十七億円上回ることになったと、これは事実でございます。ただ、この十四年度は現在の五か年計画の最終年度でございまして、この五か年を通してみますと、道路特定財源の総額と、それから道路予算の額を比べてみますと、道路予算の方が上回っているという、そういう事情もございまして、それに加えて厳しい財政事情もあるということでそういう取扱いをお願いしたわけでございまして、是非御理解を賜りたいと思います。  十五年度につきましては、今後、経済財政諮問会議等の御議論もございますので、そういったものを踏まえながら、予算編成過程の中で結論を得てまいりたいというように考えております。
  34. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 じゃ、先ほどの所見について、前後になっちゃったんですよ。道路特定財源のオーバーした分についての話で建設省と財務省のそれぞれの見解を。
  35. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) お答え申し上げます。  平成十四年度分の二千二百億の使途と、こういうお話でございましたが、ただいま財務省からも御説明申し上げましたように、今の五か年計画の国費としての総額が現時点で二十一兆五千億円いただいております。これに対しまして、特定財源税収として十七兆円、四・五兆円の一般財源が、まあ一般財源が入れていただいているといいますか、特定財源以外のですね。平成十四年度につきましては、十三年度の補正もあって十五か月予算と、こういう考え方もございましたので、合計いたしますと、平成十四年度も、十四年度限りの措置として、十四年度分だけを見ますと二千二百億ほど充てられていないと、こういう形でございますが、十三年度の補正も含めて総額が十分充てられていると、こういう理解をさせていただいて、十四年度限りの措置としてのことであったと、こういうふうに理解申し上げております。
  36. 牧野治郎

    政府参考人牧野治郎君) 今、道路局長から御答弁あったとおりでございますが、いずれにいたしましても、そういうことで、現行の五か年では道路財源を上回る道路予算があったということで、この二千二百四十七億については一般財源として活用させていただいたわけでございますが、五年間トータルで見ますと、その一部が、道路特定財源の一部が一般財源化されたわけではないということでございます。
  37. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 分かりましたとも言えませんけれども、まあ説明はよく受けました。  ところで、道路局長、この十三年、十四年で直轄国道を除いた補助国道、県道、それから市町村道の、これ要望が箇所も金額も少なくなっていますよね。これは、私は、オーバーフローしたというのは決して道路事業が少なくなったというふうなことじゃないんです。これ、地方をずっと歩いてみると、県も市町村も道路事業の裏負担で一般財源から約三割拠出しているんです。この三割拠出しているというふうなことは、決してこのオーバーフローの話と全体とは理解が違うというふうなことから踏まえて、道路財源というふうな一つの縛りをすると、これは陳情というか要望でございますけれども、これを地方の自治体に配分するというようなことはできないんでしょうか。
  38. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) お答え申し上げます。  新しい道路整備の五か年間の見込みと申しますか、十五年度以降、一般道路事業と有料道路事業と、国が関与しながら整備するという部分につきまして約四十兆円、四十兆円の投資の整備要望を出させていただいているところでございます。これに要します国費が、おおむねで申し上げますと二十兆円。先ほど申し上げましたように、現在の五か年計画、これまで特定財源の税収実績といたしましては国分として十七兆円でございました。これからの五か年間の見込みで大体十八兆円だろうと。そうしますと、それだけで二兆円、残念ながらほかの財源をいろいろ手当てしていただく必要がある、こういうことになっております。  なお、事業費で申し上げますと、今の五か年計画の実績が四十四兆円でございました。これに対しまして、これからの五か年間、四十兆円ということで、かなり控え目な事業費の要望で、効率的、効果的に事業を執行させていただく、この大前提で国費が二十兆円、暫定税率を延長していただいても十八兆円と、こういうことでございますので、国分として、既に国費分がなかなか不足すると、こういう状況でございますので、地方も大変いろいろ厳しいという状況は十分承知の上ではございますが、力を合わせながら、いろいろ厳しさをくぐり抜けていくような努力をお互いにしていこうと、そんなふうに思っているところでございます。
  39. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 あれなんですよね、ですから、オーバーフローになってしまうと道路の要望が少なくなったんじゃないかという理解をされちゃうんです。ですから、ここはきちっと、地方財政が非常に困窮しているんだ、裏負担がもうできないんだと、こういうふうな理解をして、きちっと財務省の方にもお話をしておかないと、ああ、これは要らないんだなという話になっちゃって、それこそ暫定税率も前の税率に直しちゃおうというふうなことにもなりはしないかなと思っております。ありがとうございました。  では次に、費用対効果についてお伺いいたします。  費用対効果というのは、もう当然経済的な効率、それからまた、この間、仙台で民営化推進委員会で福島県の相馬の市長が医療というふうな点からもこれは要望しました。  さて、今、福島県の浜通りというのは東京電力の発電の、総発電量の実は二〇%を生産しております。この前の改ざんと隠ぺいの問題があってから、もう本当に福島県挙げて、これは東京電力にも、ある意味では政府にも信頼を置けないと、そんな状況に実はなっております。  ややもすれば、こういうふうな中で費用対効果が、経済的な効果というのが重点になっているようなことを考えたときに、私は、今、福島県の最大の問題というのが常磐高速道路を早く造ってくれということで、これ経済効率からいうとなかなか後位になってしまうかなと思いますけれども、これ冷静に考えると、エネルギーの大部分は電気だと、しかも電気のその三五%近くが今度原子力だと、しかも東京電力の二〇%が福島県だと。エネルギーがあって初めて経済が動いているというふうなことを考えると、間接的には大変なこれは費用対効果の経済的なメリットもあると。  そんなことを考え、この常磐高速道路、それから東西に国道があるんですけれども、万々万が一何かあったときに逃げるところが実はないんです。そういうふうなことを考えると、これはもうセーフティーネットとしての、これは日本経済のためにもこの高速道路は一日も早く通さないと、ある意味では、地元の人がそれこそ送電線を切ってしまうぞということになったら、この国会の審議も何もできない、東京の冷蔵庫も全部これ腐ってしまうわけですから。  そんなことを考えたとき、大臣、これは閣議の中で、この今の東京電力の問題を踏まえて、そして住民の皆さんにせめて今できることは高速道路を造ること、そしてまた東西の国道を整備すること、こういうふうなことだと思いますけれども、これ是非、閣議の中でも発言していただけませんでしょうか。まず局長の答弁から、それから大臣の答弁。
  40. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 先生御指摘の常磐自動車道は、川口市を起点としまして仙台市に至ります全長で三百五十二キロ、現在、二百四十四キロを供用中でございまして、百八キロにつきまして事業をしている最中と、こういうことであります。  先生のお話のように、高速自動車国道の整備に当たりましては、費用対効果という観点のみならず、災害時の避難路であるとか救急医療の問題であるとか、あるいは土地利用の高度化、多様な効果を十分に考慮する必要があると考えております。  そういう観点から、現在実施中の常磐道の沿線には大熊とか双葉とか、福島の原子力発電所、あるいは第一、第二の発電所、稼働中でありまして、関東地方、東北地方のエネルギー供給地として重要な地域であると、こう認識しておりまして、そういった意味での災害時の地域の安全の確保のためにも常磐自動車道の整備というものは必要なものと、こういうふうに認識しているところでございます。
  41. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 全国で知事さんが全部私のところへ陳情にいらして、道路が要らないと言う人、一人もいません。すべては、有料道路もしてください、ただ一般になって地方が負担するのは嫌ですと皆さん声をそろえておっしゃいます。  そして、限られた予算の中で、先ほど財務省も言いましたように、どこまで何をどうしていくかという効率性を考えれば、一番経済効果の大きい、また、道路を造る費用だけで費用対効果ではなくて、道路を造ったことによって周りの地域経済効果も計算に入れるべきだと、私はそう思っています。  ですから、ただ、これを造っているんだから、これをよこせというような態度ではなくて、少なくとも私はその地域の発展のために利するような道路があるべきだと思っております。
  42. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 ですから、地方の要望は全国の知事会の話のとおりなんです。ただ、地方も今度は負担しますかというふうなことになりますと、これはもう本当に脆弱な財政ですから負担できない。だから、私は、さっき言ったように、特定財源の先ほどのオーバーの分は、これは道路事業が大事だというからこそ地方に分配できないだろうかという話を申し上げたわけでございます。  次に、またこれ道路行政でありますけれども、先ほどのいろんな質疑の中でも道路の問題が、やっぱり必要のない道路とか、何かそういうふうな発言が時々出るんですけれども、私は必要のない道路というのはない。これはある意味では効率の悪い道路はあっても、必要のない道路は全国に私はないと思います。  しかしながら、これは例えば東京の人が福島県のいわき行ったり、それから会津行ったりする。そうすると、東京の感覚でいって、人口が少ないところに何でこんな立派な道路があるのかなと思いきや、また並走しながら、場合によっては建設省以外の道路が走っていることもある。それは、東京の皆さんというのは道路行政というのは不得意だと思うんで、何で同じ道路がここに二本もあるのかなというふうなことがあると思うんです。  小泉さんの構造改革、いろいろ改革をしておりますけれども、私は、これを冷静に考えると、建設省の道路も農林省の道路もある意味ではこれを一本にしたらどうだろう、これこそ小泉内閣のすぐ目の前にできることじゃないかなと、そんな思いしますけれども、これもかつて私は質問をさせていただきましたが、遅々として進んでいない結果が道路の、要するに無駄とか、効率の悪いというような結果になっているんじゃないかなと思うわけでありますけれども、この件についての御所見をお伺いしたい。
  43. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 先生の御指摘は、道路法上の道路といいますか、高速自動車国道から市町村道までの道路法上の道路と農道等そのほかの各種の道路と、この事業の調整あるいは計画の調整の問題かと思います。  そういう意味では、道路事業と農道事業は多少整備の目的が異なるといいますか、という観点から、適切に役割分担しながら効果的な投資が行われるように国土交通省と農林水産省の間でルールを定めまして計画段階で調整を図ってきたところでございまして、具体的には、都道府県におきまして道路部局と農道担当部局が連絡調整会議を設置して地域の幹線道路及び広域農道等により構成される地域道路整備計画というものを策定、公表しまして、この計画に基づきまして調整しながら事業実施する、こういうことでやっているところでございます。この連絡調整会議の設置以降は円滑に協議は進められておりまして、それぞれの事業によって地域の課題解決が図られてきているところと、こう認識しております。  今までの問題として、既にでき上がったもので並行しているではないかというような御指摘をいただいている部分があるのも事実でございます。これからも一層、計画段階からの調整を一緒にやりながら、事業調整も進めて、円滑な役割分担をやってまいりたい、そのように思っております。
  44. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 農林省、どうでしょう。
  45. 中條康朗

    政府参考人中條康朗君) 農道につきましてお答えを申し上げたいと思います。  農道整備事業は、農業の振興を図る地域におきまして、農業生産性の向上ですとか農産物流通の合理化を図るとともに、農村地域の生活環境の改善に資するものとしまして、農地や農業用施設の状況整備計画、それから農業機械の通行、圃場への出入り等を踏まえた事業計画に基づきまして、地方公共団体が土地改良法に基づく事業として実施しておるものでございます。  また、今ほど御説明ありましたように、一般道につきましては、道路法に基づきまして、それぞれ都市都市都市と地方、都市と公共地点、交通地点を結ぶものとしまして整備されているものと理解をしております。  このように、農道とそれから一般道といいますのは、申し上げるまでもなく、それぞれの目的に沿った計画の下で整備されておりまして、目的の異なるものでございます。  ただ、畑のあります丘陵地での標高差、標高差がございます、や、地域を縦断する河川などの地形条件等によりまして農作物の輸送等に支障が生じますために、一部に並行に走る区間が生じてもおります。場合によってはやむを得ないことというふうに存じております。  なお、これも今ほど御説明ありましたように、このような条件を考慮に入れまして、農道と一般道路の間での効果的、効率的な事業執行を行うために、基幹的な農道の路線配置等につきまして、国、県の段階で農業担当部局と道路担当部局が協議調整を行いまして、道路と農道の調整を図りました地域道路整備計画、これを設けまして各都道府県で公表しているところでございます。
  46. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 それは当然、農免農道も目的があって造っていると、それはもう当たり前なんです。  ところが、農業政策がどんどん今、何というのかな、変わってきちゃっているんでしょう、米だってもう三割減反なわけですから。最初、あれは耕運機でいったわけだ、それからトラクターになった。そのために揮発油税の一部の中からということも踏まえながら道路を造ったと思うんだけれども、農免農道を造ったと思うんだけれども、現実問題として、今、三割減反とか農業政策がどんどんどんどん変わってきている中で、相も変わらず農免農道というのも、私は何か合っていかないなと、それを含めて、行政管理局長
  47. 松田隆利

    政府参考人松田隆利君) お答え申し上げます。  今、国土交通省及び農林水産省の方から御答弁ございましたように、道路事業と農道事業、それぞれ固有の整備目的がございます。したがいまして、私どもとしましては、国土交通省と農林水産省との間で適切に役割分担をしていただきながら、全体として効果的な投資が行われていく必要があろうと考えておるわけでございます。  先生今御指摘のような昨今の事情等も踏まえまして、そういう調整協議が進められていくことが望ましいと考えているところでありまして、私どもといたしましては、これまで両省間におきまして連絡調整会議というようなものを開催していただき、効果的な投資が行われるようにお願いしてきているところでございます。  今後におきましても、これらの調整の仕組みを通じまして、効率的な道路整備が進められることを期待いたしているところでございます。
  48. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 是非、そういうふうな意味からも進めていただきたいと、かように存じます。  次に、日本の次の時代交通体系全体の中で、特に陸上交通について大臣に御所見をお伺いしたいと思います。  陸上交通を大きく分けると、鉄道と自動車かなと。しかも、そういうふうな中で、今、京都議定書からくるCO2の削減等を含めると、今の交通体系というのも、その量的な輸送の中でも鉄道それからまた自動車というのは改めて見直さなきゃいけない時期も来ているのかなと。  以前にも質問をさせていただきましたけれども、これは陸海空三位一体ということはもう十分分かりますけれども、具体的にそのアクションプログラムというか、比率的に、将来三十年後、五十年後、日本交通体系というのはこういうふうなことにならなきゃいかぬと、それはもう地球温暖化も含めた中で、資源の限界というふうなことも含めた中で、そんな中での将来の交通体系についての御所見をお伺いしたい。
  49. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 大変難しい私たちは分かれ目を迎えていると思っています。それは、今までの少なくとも利便性と、そして先ほども申しました二十一世紀環境を加味するということから考えれば、利便性と環境のどうあるべきかという私は基本になってくると思うんですね。  今、佐藤議員がおっしゃいましたように、少なくとも交通体系というもの、日本の場合は御存じのとおり機関別の分担率というのがこれは大事なところだろうと思いますけれども、少なくとも私たちは、貨物の場合を含めましても、自動車の輸送というものが五四%、例えば貨物が。そして、自動車が五四%ですけれども、鉄道は四%、そして内航海運に至っては四二%ということで、一方で二酸化炭素の排出量というのは、営業用の普通トラック、これが鉄道に比べて九分の一の効率であると、そして内航海運は四分の一となっているということで、営業用の普通トラックに比べて鉄道と内航海運が良質であるというのは、この面から見ればいいに決まっているんですけれども、少なくとも鉄道、内航海運の大量輸送機関というものが大変優れた特性を有しているというんですけれども、今は、先ほど数字申しましたように、トラック用の自動車等々が五四%に及んでいるという現状からすれば、どうしても今申しました環境対策上あるいは低公害車等々の研究が大事であると。  そして、私も、先日、幕張のモーターショーを見てまいりました。これは商業用の低公害車ということで、あらゆる研究が各社進んでおります。今私が乗っておりますもの、乗用車でも排出量が少ないというシーマ、何でしたか、エスティマ、エスティマでもそうですけれども、あらゆる商業車もやっぱり各社がこぞって京都議定書に則するようにCO2の排出量を少なくしようということで、私はこの間幕張のモーターショーを見て本当にすばらしいことをしているんだと。世界で一番公害に対する関心を、商業用トラック、特にディーゼルに関して研究が進んでいると。  私はむしろその感想として、各社がこぞって研究している研究費用を一か所にまとめて、世界一に、研究すればどうだというぐらい私は進んでいると思いますので、そういう意味では、商売と、あるいは公害、この両方の兼ね合いというものをいかに我々は重要視して、そこに研究投資も、先ほどおっしゃった道路特定財源も新たな環境に配慮してというのは、そういう意味も含めて、二十一世紀型の交通行政というものを私たちは指導し、また補助を出していくということを今やっておりますので、商業用トラック等々のディーゼルに関してはDPFということで補助金も来年は高額にしようということで、両面の対策、両方が両立できるように知恵を絞っていきたいと思っています。
  50. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 森林吸収というのも認められるようになっているわけですから、これもまた先ほどの日本国土形成にも関係してくると。吸収源がどれぐらいあるか。ですから、これも都市政策の中で私はもう危惧するのは、この一極集中が、幾らイノベーションをしても、これは発生源が多ければ、吸収源がなければ、これはもうどうしても二酸化炭素がたくさんになってしまうわけですから、そんなことも含めて、本当に私は国土交通省の役割というのはもう日本の盛衰に正にかかわる役割だと思いますので、多岐にわたる政策の中でひとつ立派な、扇大臣が今日の日本を作ったんだと後世の史家が言われるようなひとつ行政を進めてもらいたいと思います。  時間が実はなくなってきまして、最後のちょっと質問、先ほども大臣の方から触れましたが、観光。  私も観光の経済的なファクターというのは余りよく承知していなかったんですけれども、今年の九月の家計の出費が実は五%増えたと。これはよかったなと。景気に喚起、多少しているかなと。それは何かというものをひもといてみましたら、これは観光で出費が増えているという現実になっておりまして、非常にこれからの観光というのは景気状況を左右するなと、そんな思いの中で次の質問をさせていただきたい。  一つは、観光の中でも最近つとに多いのは、私どもも地元に帰るとき、いつも電車に乗ると高齢者の方が非常に楽しんでおられる風景を見て何となく、高齢者も観光ということに、旅行というふうなことに目が覚めて、今豊かな生活を送っているんだなと。高齢者対策。  それともう一つは、観光の国内対策としてはどういうふうなことを考えているかというふうなことと、それからさらに、日本の、海外と外国から来る人、海外に行く人と外国から来る人で、これはもう雲泥の差が実はあって、国際的な日本は観光地がたくさんあると言いながらも、残念ながら外国からは世界で三十三番目、外国に行っているのは世界で三位と、この実態を見ると、何かどんどんどんどん円が外で使われているなと。ですから、景気対策の中でもやっぱり、これから海外からのお客さんも含めた、観光を含めた景気対策というのも大きな経済の対策であるなと、そんな思いをします。  国内的な対策と、海外の、いわゆる外国からのお客さんの観光の対策、これについてどのようにお考えになっているか、御所見をお伺いします。
  51. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 私は、先ほども申しましたように、近隣諸国も見ましても、少なくとも韓国の仁川国際空港、四千メートル級二本、二〇〇七年には四本、そして香港あるいは上海、シンガポール、日本の周りはすべて国際空港がダブルの数で四千メートル級を完備して、そして韓国の大臣に聞いたんです、四千メートル級四本にしてどうするんですかと。一年間に一億人の観光客を迎え入れる体制を作っているんだと、国策だと、こうおっしゃるんです。そういう意味で、今、佐藤議員がおっしゃったように、観光というものが、二十一世紀、第三次産業の基幹産業として各国がとらえているということは私は大変大事なことで、我々も観光行政を是非振興するためのあらゆる手だてをしなければいけないと思っております。  そのためには、私は、玄関口がやっと、国際空港といっても二十五年間一本しか滑走路がなかったということも私たちは恥ずべきことであると。ODAを出している国、その国でさえ国際空港は二本の滑走路を持っていると。こういうことも、国策として私たちは果たして観光客を迎え入れている条件が整っているか。今くしくも佐藤議員がおっしゃいましたように、外国へ出て行く人は年間約千七百万人、日本へ来る人は四分の一の四百万人、どこに原因があるのか、私たちはそれも考えなきゃならない。しかも、成田空港が二本目の滑走路を二十五年ぶりに造っても、これも暫定滑走路という、暫定を付けなければいけない情けなさ。しかも、今二十三か国がウエーティングしています。今はウエーティング者がいるからいいけれども、そのうちに全部外国に取られて、だれも日本にウエーティングする人がないと、降り立つ会社もない、国もないというような現象になってはならないことが、国策として私は大事なことだと思います。  また一方、我々は、空港とアクセスの問題です。空港に降りて、あるいは都心に来るのに、例えば、例を挙げれば、成田空港一つ取ってみても、少なくとも成田から東京都心のホテルに来るまでに、外国人は最初日本お金を払うのにどんな気がしているか。少なくとも一万五千円、約二万円掛かるんですね、成田から東京までタクシーに乗ると。初めて払う日本お金が、外国で二万円というお金というのはすごい金額です。それを最初に取られて、なおかつプラスアルファ高速料金、これでは外国のお客様が日本を不快に思うのは当然なんです。  どこの国へ行っても、国際線から国内線に乗り継ぐのに改めてタクシー代を払って乗り継ぐところも少ないと、こういうことも、我々は外国からのお客様に、今申しました国策として、この少なくとも国際線と国内線、あるいは空港と港湾、そういう物流は物だけではなくて人の流れを作っていく、これも私は大事なことだと思っておりますので、そういう意味では、国土交通省はせっかく陸海空が一緒になった四省庁統合ですから、今までのマイナス面を逆にメリットにする、デメリットをなくすという政策を二十一世紀は取っていきたいと思っています。
  52. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 ちょっとまだ時間がありますので、もう一問だけさせていただきます。  二十一世紀の私は国内の問題というのは、都市と地方の、いかに共生するか、この一言に尽きるかなと、そんな思いしますけれども、その中で一つ住宅政策なんです。  景気浮揚には住宅、住宅ということで、この委員会でも何回か住宅政策の推進を述べられましたけれども、私は今、先ほどからも都市と地方の話の中で、東京でアンケートを取って、その東京の皆さん方が事あれば地方に住んでみたいなと、それが約五四%、さらにまた、退職したら何か地方に住んでみたいなというのが二〇%近くおられると、これは非常に私はいいことだと思います。  しかしながら、現実問題として、住宅を造ったり住宅を保持するというのは大変なことであると思いますけれども、しかし二〇〇六年を期して日本の人口はどんどん今度は減っていく、さらにそういうふうなことを考えたときに、私は住宅政策の中で一世帯二軒持つと、しかもそれも東京だけじゃなくて、東京と福島とか、東京と山形とか秋田とか、そういうふうな住宅推進でもしてもらえれば、これはもう本当に日本が、先ほどの均衡ある話じゃありませんけれども、いろんな意味でいい形になっていくかなと、そんな思いをしますけれども、その住宅政策の私の考え方について何かありましたらお伺いしたい。
  53. 松野仁

    政府参考人松野仁君) お答えいたします。  委員のおっしゃいましたとおり、大都市、地方、それぞれ良さがございます。また、年齢、世帯構成等、ライフステージに応じまして、それぞれにゆとりある豊かな住生活を送れるようにするということが必要だと思います。そのためには、地方での豊かな居住を提供するということが大変大事なことだと思います。したがいまして、例えば週末等に住む郊外型住宅の取得促進、セカンドハウスと言われますけれども、こういったものを我が国でも少しずつ増やしていく、住宅ニーズの多様化に対応するという必要があると思います。  そのために、住宅金融公庫につきましても二戸目の住宅取得に対する融資を全国を対象に行っております。また、住宅団地の整備につきましても、優良田園住宅法というのがございますが、これに基づきまして、関連する公共施設の整備を補助する際に通常の要件を緩和するというようなことを進めております。また、税制面におきましても、セカンドハウスについて固定資産税の減額措置あるいは不動産取得税の特例措置を既に対象としております。また、住宅団地型の整備の際に、Uターン、Jターン、Iターンと、こういった方々の地域交流を促進するための様々な施設の整備を補助対象とするというような事業も進めております。  今後とも、このような政策を通じまして、セカンドハウス等の国民のニーズに応じた豊かな居住が実現されますよう取り組んでまいりたいと考えております。
  54. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 局長、農家に空き家がたくさんありますから、そんなところも農林省とよく連携取りながらお願いしたい。  ありがとうございました。終わります。
  55. 藤井俊男

    委員長藤井俊男君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十五分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  56. 藤井俊男

    委員長藤井俊男君) ただいまから国土交通委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国土整備交通政策推進等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次発言を願います。
  57. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 民主党・新緑風会の山下八洲夫でございます。  今日午前中も、また過去もそうでございますが、扇大臣の答弁をお聞きしておりますと、歯切れも良く、そしてきちっと言うべきところはきちっと押さえて前向きのいつも答弁いただいておりまして、敬意を表している次第でございます。  去る二十九日に国土交通大臣のごあいさつを承りまして、この中で、時間の関係ございますので簡潔に三点ばかりちょっとお尋ねしたいなというふうに思います。  一つ目は、前段の方に、我が国全体として構造改革の推進が進められる中、制度、政策の抜本的な改革を推進し、地方の知恵と工夫により自立を目指す個性ある地域の発展を政策の基本方針として取り組んでまいりますと。今日、佐藤議員の質問に対しても、とにかく地域の個性をしっかり出せというような答弁もございました。  私、昨今、この世の中というのは、二〇〇一年度を見てみましても、名目成長率がマイナス二・八%まで落ち込んでいるんですね。そして、経済活動はどんどん縮小して、倒産だ、失業だ、リストラだというのが高水準でずっと推移していまして、その上、先ほどデフレというお言葉ありましたけれどもデフレスパイラルとはおっしゃられませんでしたが、そこまで行かなくても私はもう悪性のデフレだと思っているんです。もういよいよ公務員の給料も下がるようでございますし、年金もまた下がるようでございますし、ますますデフレスパイラルだなというような気もしております。  そういう中で、私は岐阜県でございますけれども、岐阜県見ていてもなかなか活性化できないんですね。かなり個性のある県だと私は自負しております。なぜかといいますと、飛騨高山ございますね。最近では、ノーベル賞を受賞されました小柴さんのカミオカンデもございますね。あるいは、下呂温泉なんかは小さいんですよ。合掌村の世界遺産もありますよ。合掌村の世界遺産もね。それから郡上踊りもございますし、あるいはそれこそ皇居も大変大事にしております長良川のウ飼いもあるんですよ。あるいは産業でいいますと美濃焼も大変有名でございますし、関の刃物も大変なんです。  岐阜というのはそういう大変個性があると思うんです。個性があるけれども、なかなかそれぞれ、岐阜県というのはなかなか活性化しないんですよ。だから、大臣もなかなかいいことをおっしゃっていまして、個性ある地域の発展、地方の知恵と工夫をやれと。随分知恵と工夫でやっているんですが、なかなかこういう状態がもう一つ良くならない。  そこで、せっかくでございますから、国土交通省もある程度頑張っているところにはいい意味での知恵の支援もしていただいていいと思うんですが、そのような支援ということはお考えになっているんでしょうか。
  58. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 山下議員には大変国土行政にも、また私の答弁にも御協力をいただきまして恐縮の至りでございますし、まだまだ足らざるところは多々ありますので、今後も引き続き御指導をいただきたいと思っております。  ただ、今、御地元の岐阜の話が出ましたけれども、私は、今、山下議員がそれぞれの岐阜の特徴をおっしゃいまして、本当に他の県にないいいものをたくさん持っていらっしゃる、なぜそれがもっと熟知されないんだろうと。また、世界じゅうからウ飼いに行きたいとかあるいは高山飛騨祭りに行きたいとか、そういうことでもっと世界的に有名にならないかなというのも、私も岐阜県と一緒になって、宣伝不足のこともこれありということで、今後も大いに岐阜の宣伝をしていただくことにも私たちも協力していきたいと思っておりますけれども、まず私が個性ある地域の発展と言いましたけれども、少なくともそれぞれが、国会議員全部顔かたちが違うように、質問も、同じ質問でも皆さん個性ある質問をしてくださる。それと同じことが四十七都道府県でなければならないと思っております。  そういう意味では、私たち、具体的に何があるかという議員のお尋ねでございますけれども、まず全国一律の画一的な施設の整備、あるいはそれの規格、基準というものを、私はこれはいけないと、ローカルルールに転換すべきであると、まず基準を。それが私はローカルの知恵が出る、またローカルの形が出る大きなことだと思っていますので、まず第一には今の画一的な基準、そういうものを、施設というものをローカル基準に変える、これが第一点でございます。  それから第二は、これまで少なくとも、私たちもあれですけれども、官が主導してまいりました事業計画の策定のプロセス、これは私は住民参加型の計画の策定に転換していくべきだと。地元の皆さん意見を勘案して、私はそのプロセスを大事にしていくべきだというのが二つ目でございます。  そして三つ目には、少なくとも地方それぞれの事業をばらばらに行っている、所管官庁が全部違うからばらばらだと。そうではなくて、私は、全国十のブロックに分けて、その地域ブロックでの物の考え方をしてくださいというのを去年一月からかけて全国回りました。その地域のブロックで、岐阜県だけではなくて中部地区全体でのブロック構想をするということが私は限られた予算の中で大変大きな成果を出してくると。  ですから、岐阜県だけではなくて中部ブロックで、例えば今回の、遅きに失したかもしれませんけれども、私は個人的な構想を言わせていただくと、名古屋で造る博覧会なんというのは、岐阜県も含めたブロックで私は一つの万博なんというのは構想してほしかったと。そして、お城一つも、私はこれは一つの形にするべきだと。万博だからといって一定の地域だけにいろんなモニュメントを造っても、すぐ万博は、そんなのなくなっちゃうんです。そういうことも、私は、例えて言えばですけれども、そういう意味で各ブロックごとに懇談会を立ち上げていますので大きな目で、さっきも木を見て森を見ずという話がございましたけれども、そうではなくて、ブロックで全体のことを考えるということも私は大きな問題の第三点目だろうと思います。  四つ目には、少なくとも、先生も御存じのとおり、国土計画あるいは国土体系そのものも地方の主体性を主にした体系にしていかなければならないという意味で、今の広域ブロックの整備というものを生かしながら私は国土づくりの体系というものを、そういうブロックの目で見るという、ブロックからの発信も受け取るという形に今後は変えていかなければならないというのが、余り長くなってもいけませんので、そういう少なくとも四つの事例を挙げましたけれども、多くの地域からの声を重視して、そして尊重していきたいと思っています。
  59. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 愛知の先生がいつの間にか見えなくなったから、かえって見えないときに申し上げるのは恐縮なんですが、愛知や名古屋とブロックになりますといいことないんですよ。あそこは何をやったって失敗するところでございまして、オリンピックも来ません、デザイン博も駄目です、今度の万博もどんどんどんどん変形していく、ああいうところは。それは、岐阜県はもっと立派にやりますから御安心いただきたいと思うんです。  ただ、例えば飛騨高山にいたしましても、年間三百万人ぐらい観光客が見えるんです。白川村は世界遺産でもう大変な観光客なんです。皆さん利口になったんですね。幾らたくさん来てくださってもお金を使ってくださらないんですよ。これは利口だけじゃないと思うんですよね。懐はやっぱり寂しいんですよ。やっぱりこのデフレ、この失業、こういうものが底辺で大きく影響しているということですね。努力以上にお金を使わなくなっているというところがありますから、それはやっぱり世の中を、景気良くしないといけないということが一番やっぱり地域の活性化のためにもなりますし、地域の特徴あるまちづくりをするのにも、最後は、究極はお金が要るんですから、そういうところで自力でやっていける、そういうことをしないといけないということでございますから、そのようなことを申し上げた次第でございます。  そういう中で、先ほどからそれぞれ道路特定財源質疑がございましたのでもう多くは申し上げません、この問題は。ただ、大臣はなかなか歯切れがいい割には、これでは物すごい慎重なんですよね。「道路特定財源につきましては、今後の道路整備の必要性や受益者負担という性格等を踏まえ、関係機関と十分な調整を行い、」、どこの機関かはよく分かりませんが、「来年度予算編成過程を通じて検討」を進めますとなっているんですね。道路特定財源はちゃんと道路へ使いますと言って、あれだけ歯切れのいい大臣ですから当然おっしゃると思うんですが、そうでなくて、検討を進めますと。どういう検討をお進めになられるんでしょうか。
  60. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 私が言っておりますのは、先ほども少し話が出ましたけれども道路特定財源が少なくとも暫定税率で言われている重量税の分、これをどうするかと。あとは全部法律ですから、あとは法律を直さないと使えませんから、これは皆さん方の、国会の同意がなければ法律なんて改正できませんから。今、一番言われているのは重量税です。重量税は法改正しないで使えるということ。だから、これを一般財源化しようという目を付けられたのは、私は小泉総理にだれが知恵を入れたのか知りませんけれども、私は小泉総理自身がお考えになったのかどうか分かりませんけれども、法律を改正しないで使えるというのはこの重量税の部分でございます。この重量税の部分が今言われたように暫定税率になっております。ですから、私はむしろユーザー側に立った物の言い方をしているんです。  そして、私は、少なくともこの暫定税率なかりせばということで、一般のユーザーの皆さん方が少なくとも二年ごとに車検を受けている。車検を受けているときに皆さん方がお払いになっているのは、大体暫定税率が、少なくとも自動車の重量税が三万七千八百円払っていらっしゃるんですね。その三万七千八百円の中で、暫定税率部分というのが二万二千八百円なんです。そうすると、この暫定税率なかりせば、二年ごとの車検では一万五千円で済むわけですね。ですから、これを道路に使わないんだったら一般のユーザーの皆さんは一万五千円しか払わないよという、これは運動が起きて当たり前じゃないですか。  私は、だからその部分を、こうなって国民運動が起きて、重量税の分が一万五千円でぽっきりよと、今まで払っている二倍の暫定税率二万二千八百円を払いませんよなんて言われたら、余計道路ができなくなるという、その観念から、私はユーザー側に立って、それぞれの皆さんの御意見を聞きながら、私は、道路に関連するところに使わせてくださいというのが私の本心でございます。  ですから、全く違うところに、先ほど私が言いましたように、去年、総理に、医療費だ、これは学費に使うんだなんということはしませんという言葉をおっしゃって、あとの使い方は財務大臣と話をしてくださいと総理がおっしゃったから、今、一般財源化したとさっき佐藤雄平先生もおっしゃいましたけれども、私はそうではなくて、補正予算道路関係予算ということで、その分以上のものをいただいて、国民皆さん方道路行政の利便性に資したというのが現実でございますので、そういう意味で、私はユーザーの皆さんの気持ちが分かるから慎重に対応しているという、役所側に立って慎重に対応しているのではありません。
  61. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 それで、多少先ほどから心配出ておりますのは、道路関連が、先ほど御答弁ございましたとおり、例えば開かずの踏切をそれこそ高架にしてもっと交通がスムーズにいくようにとか、あるいは駅前を整備する。整備する整備の中の大部分が公園だったというのでは、これはいかがかなというようなこともございますし、この間、それこそCO2ですか、あれで裁判、敗訴いたしましたけれども環境問題、あそこも渋滞しないでさっと走ればああいう環境問題も起きない可能性あるんですから。これは、そういうことを考えていきますと、確かに環境問題というのは大変重要ですけれども、だから、それがだんだんだんだん広がっていかないように、しっかりと歯止めをしていただきたいということだけ要望しておきたいと思います。  続きまして、またもう一つこれをお尋ねしていきたいと思いますが、「我が国経済環境が厳しさを増している中、デフレを解消し、民需の自律的拡大を実現することが緊急かつ重要な課題」ですと、このため、「土地の流動化・有効利用、都市の魅力向上により、地価下落に歯止めを掛けることを目指します。」と。大変すばらしいことだと思うんですが、私は、政府がそれこそ総合デフレ対策を発表いたしました。あるいはまた、今日のある新聞には、世論調査で、このデフレ対策が期待できない国民が七五%。幾らデフレ対策を発表しても国民はもう期待していないということは、このデフレは止まらぬだろうという見方をされておるんではないかなというような気がいたしております。  地価が何で流動化しないか。一部分では特別土地保有税をもう廃止すればいいではないかというような声も出ております。これも遊休地を流動化させるためにわざわざできた特別の土地保有税なんですね。これをやっても土地の流動化はしない。何で流動化しないかというと、買ったときよりどんどんどんどん下がっているからだと思うんですね。少々税対策をしても私は流動化すると思いませんし、土地の下落に歯止めが掛かると思っていません。  一番大事なのは、私は、それこそ今正直言って、日本の為替レートは適正なんだろうかな、これを一番心配しております。やはりどちらかというと、緩やかでも右肩上がりのこういう政策でない限り土地の流動化もしませんし、あるいは土地の下落も抑えることはできないと私は判断しています。  よく、アメリカが八〇年代に三つ子の赤字といってひいひい言っていました。このころ、もう政策的にどんどんどんどんドル安したんですね。とうとう一ドルに対して円が八十円を切ったんですね。こういう時期まであったんです。そのことを見ますと、今、日本のこの体力を見ていきますと本当に、アメリカも景気は良くありませんけれども、決して、悪いと言った方が正しいかも分かりませんが、アメリカの一ドルに対して百二十二、三円のこういう力を持っているだろうか。私はそうでないと思う。下手をすると百五十円の価値もないと思う。ひょっとしたら百七、八十円じゃないかなというような気がするんですね。ですから、そういう意味でインフレ政策を取っている。これがやっぱり政府を挙げて行えば、ここで大臣がおっしゃっていますように、土地の流動化も出てきますし、地価の下落も歯止めが掛かると思うんですが、その辺について、いかがでしょうか。
  62. 扇千景

    国務大臣扇千景君) これは経済財政諮問会議というところでもいつも論議をしていることなんですけれども、今、山下議員がおっしゃいますように、少なくとも私は、バブル当時のあの地価の高騰の、私は、何らかの形でそれがあるのではないかなということと、今現実が下げ止まりしていない、地価がどんどんどんどん、十一年連続で下落している、そういうギャップというものをどこで埋めるか。しかも、私が言っているのは、固定資産税、これがバブルのときに、バブルの地価の高騰によって固定資産税を課税したと。そしてそれを、今段階的に固定資産税を下げています。  けれども一方、この税収という面から見ますと、流通課税とかあるいは固定資産税というものは、どんどんどんどん地価が下がるに従ってこれを下げていったといいますけれども、現在、少なくとも今日まで、消費税の一〇%に相当いたします二兆六千億というものが今増えているんですね、税収が。ということは、まだ高止まりしていると。地価が下がっているのに固定資産税等々が高いということが、消費税の一%に相当する分、税収は増えているんですね、固定資産税等々。だから、地価が下がっているのに税収が増えているというのは不思議な話なんですよ。  ですから私は、まだ高止まりしているということも私は地価の流動化しない大きな要因になっているというふうに考えておりますので、私は少なくとも、例えば東京を一つ含めても、都市計画というものを作りながら少なくとも五五%しか達成できていないと。都市計画さえまだ四五%達成できていないという現実から見ましたら、私たちは少なくともそれを達成することによって、私は少なくとも都市のあるいは再生という、今度新たな都市再生というものを作りますけれども、それとても、私は改めて皆さん方に、この都市の魅力という、あるいはどこに欠陥があって土地が動かないのかということも含めて私たちはそれを課題にし、改めて土地の証券化ということも、あるいは今おっしゃった税制も、私は総理にお願いしたのは、年末にするのではなくて、少なくとも税制は十五年度の国会でというふうにおっしゃいましたから、私は少なくともこれを出しても、法案が通ったら一月にさかのぼっても適用するよというぐらいなコメントを発しなければ土地は動きませんということを申し上げているんで、あるいは税制面、それから土地の証券化、そして流動税等々、あらゆる税制も含めた土地の流動化への試案を今実行しているところですし、また税制も、経済財政諮問会議だけではなくて、政府税調、自民党税調にも改めてそのことはしていただきたいということをお願いしておりますので、私たちは個人の、今老齢社会に向かっての、今までは新築だけしか認めなかったこの税制という、生前贈与も含めて私は千四百兆の個人預貯金を流動化さすことも、家屋も含めた、土地が動かなければ家屋が動かない、家屋が動かなければ消費が上がらないというこの循環をしていこうというのも大きな政策の一つであると御認識賜りたいと思います。
  63. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 余り税制の議論はしたくありませんが、固定資産税にしましても、バブルのころは急激に固定資産税が高くなるから相当減免措置をしているんです。そして、特に遊休地については、特別保有税ですか、一・四%を余分に上乗せしたんです、これは。これは少しでも遊休地を放してもらいたいと。遊休地を逆に早く流動化したいということなら、税金を高くすれば、もう税金を払うの大変だから売りますよ。だけれども、今買う人がいないんですね、買う人が。何で買う人がいないか。その土地を今慌てて買わなくたって、もうちょっと待って、もっと下がるわと、こう思っているから買わないんですよ。そこに問題があるんです。  だから、先ほど言いましたように、もうこれ以上議論しませんが、緩やかでもいいから地価も上がっていく、給料も上がっていく、物価も緩やかに上がっていくと、こういうインフレ政策を取らない限り日本は沈没してしまう。今はもうその逆でしょう。年金は来年から下がる、公務員の給料も下がる、民間の給料はもうどんどん下がっている。こういう状態で何で土地だけ底を打たそうという、これは不可能ですよ。土地も当然下がるんです、それに関連いたしまして。そうでない政策をすることが今一番国民から求められているということで、これはもう議論やめまして、次に移らせていただきたいと思います。  今日はちょっと道路公団の方からもお越しいただきましたので、少しばかり有料道路といいますか、高速道路問題について質問をさせていただきたいと思います。  先ほどから少しずつ出ているんですが、私もいわゆる道路は有料なのか無料なのかということを分からなくなってきたんですね。特に、高速道路は有料なのか無料なのか。道路整備特別措置法との関係はどうなっているのかなと。これは償還主義になっていますよね。そういうことで、道路というのは有料のものなんですか、無料のものなんでしょうか。道路局長で結構でございます。
  64. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) お答え申し上げます。  道路国民が生活する上で欠くことができない最も基礎的、根幹的な社会資本でありますので、本来無料で一般交通の用に供する無料公開が原則であります。  高速自動車国道などの有料道路につきましても、本来であれば無料公開が原則であります。が、財政的な制約の中で早期に整備を進めるために、道路整備特別措置法に基づき借入金をもって建設し、利用者から料金を徴収して、これを償還する有料道路制度を活用してまいりました。償還期間の終了後は無料公開ということになるのが原則でございます。
  65. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 償還主義で無料公開という答弁ございましたので、ちょっと前向きな議論に入りたいと思いますが、特に高速道路ですけれども、本当に早急に投資をしなくてはいけない、早く建設をしなくてはいけない、そういうところに積極的に投資をするんではなくて、どうも場合によれば腕力の強いところとかあるいは投資をしやすいようなところに投資をしている嫌いもあるんではないかなというような気がするんです。  私は、第二東名というのは直接的には余り関係がございませんが、第二東名なんかは大変重要な基幹道路だと私は個人的には思うんです。もし今の東名に何か起きましたら、それに代わる道路にもなりますし。ただ、今日の新聞見ましたら、何か読売新聞、さんざん冷やかしておりましたけれども、既存のより五倍も掛かるとか無駄だとか、いろいろ書いてございましたが、ああいう記事は別にしまして、私はああいう道路こそ積極的に政府を挙げて建設すべきではないかなと。あるいは、大臣が時々言っていますあの外環道路ですね、ああいうものにしましてももっと早く造っておけば、コストも安く、交通渋滞も起きず、よかったんですね。  そういうところは余り熱心じゃなくて、どうも反対運動が起きていれば、国土交通省も面倒くさいと、じゃ反対運動の起きていない、造ってくれ、造ってくれと言う方を先に造ろうかと、こういう嫌いもあるんではないかなというような疑問持っております。  それについて、道路局長、どのようなお考えですか。
  66. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 昭和六十二年に現在の高規格幹線道路網一万四千キロメートルの計画を第四次全国総合開発計画で御策定いただきました。そのときの考え方は、全国各地から一時間以内でインターチェンジに到達し、利用できるとか、あるいは大都市圏の環状道路等について、必要性を訴えた上で一万四千キロメートルの計画を策定されました。その中で、中枢的な部分として一万一千五百二十キロメートルの高速自動車国道の予定路線を御策定いただいた、こういう経緯がございます。  いずれにしましても、日本の場合、現在で高速自動車国道約七千キロ余り、こういう形でございますが、他国に比べましても、あるいはまた一万四千キロメートル、一万一千五百二十キロメートルのそれぞれの計画を立てたときの物の考え方、必要性、こういう面から申し上げましても、その必要性は大変高いものがあるだろう、こういうふうに考えております。  その中で、どういう順番で整備を進めるかということでございますが、調査を進めながら、費用対効果等も考慮した上で、それぞれごとの、国幹審、今までは国土開発幹線道路網審議会で御審議いただいて、新たな整備計画の路線、基本計画の路線を策定してきていただいておる、こういう状態でございます。  そういう意味では、全国のバランスの取れた多極分散型、あるいは多軸連携型の国土構造というものを達成する上で必要なものを、費用対効果だけではなくて国土政策、こういう観点からも含めてバランスの取れた整備計画を策定し、事業を進めさせていただいている、こんなふうに理解しております。
  67. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 費用対効果、あるいはバランス、そうおっしゃいますと、本四架橋なんか一本あれば十分なんですよ。あれが三本もあるものだから、いまだにあそこは苦労しておるんじゃないでしょうかね。ですから、私は先ほど申し上げたんです。もう時間もありませんので申し上げませんが、本当にそういう意味では、必要なところ、費用対効果以上にどうしても必要なところを優先すべきだということが私は大事だと思うんです。  それから、要するに、先ほど道路は有料か無料かというお尋ねで原則無料だというお話がございましたね。そのことからいきますと、日本の高速料金はめちゃめちゃ高いんじゃないかと思うんですね。世界でも突出しておりますし、フランスの三倍ですか、イタリアの四・五倍、経済産業省のホームページで見ますと、日本を一〇〇としてフランスが三三、イタリアが二二です、こんなふうになっています。米英ドイツは原則無料でございますね。  それからもう一つ、今、随分一般道、国道含めて一般道も整備されました。良くなりました。ですから、高速道路が高いものですから、夜中なんか国道をもう大型トラックが八十キロぐらいでばんばん飛ばしているんですね。あれなんかは私、正直言いまして、高速道路を高い料金支払って走るメリットがないから私は一般国道へ来て走っていると思うんですね。  そういうようなことを考えますと、思い切って高速料金をもう値下げすべきじゃないかと。何か基本的にございますね、一キロ当たり二四・六円でございます。プラス百五十円、乗用車でいいますとね。こういうものはもっと、償還主義でも五十年の償還だったらもう百年にしちゃえばいいじゃないですか。今、どっちみち五十年償還できてないんですから。そうやって、思い切って政策を変えて、そして大いに国道を利用していただくと。それこそ環境にも優しくなってくるわけでございますし、そういうお考えというのはございませんでしょうか。
  68. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 高速自動車国道料金の高過ぎるではないかと、こういう御指摘でございました。利用者から強い要望があるということについては認識しているところであります。  現在、平成十三年度における例えば高速自動車国道の収支状況を見てみますと、総収入が一兆九千億円で、金利及び管理費約九千億円を除く約一兆円を借入金の返済に充当していると、こういう状態でございます。しかしながら、依然として総額二十四兆を超える借入金残高がありまして、これを利用者からの料金収入によって金利、管理費を賄いながら返済していく必要があると、こういう問題がございます。  そこで、料金水準を一律に引き下げる、こういう場合には採算性をどのように確保するか、これが非常に重要な課題となっているということでございます。利用者ニーズに対応した多様で弾力的な料金設定を導入する、こういうことが必要かと考えておりまして、このためにはETCの活用が有効な手段であろうということで、これを活用した高速自動車国道等の利用促進に資する弾力的な料金施策に係る社会実験を行うべく、来年度予算で要求しているところであります。その成果を踏まえて今後の料金の在り方について検討してまいりたいと、そのように考えております。
  69. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 検討してまいりたいではなくて、本当に前向きに真剣に考えていただきたいと思うんですよね。  それから、付加して高くなっているところがあるんですよね。例えば恵那山特別区、これは恵那山トンネルですよ、これは三十九・三六円ですね、一キロ当たり。それから、関門特別区、六十四・一四円と、めちゃくちゃ高いんですよ。こういうのはもうわざわざ付加して余分に高くする必要ないじゃないですか、同じ道路なんですから。あそこがなければ、もっと死んじゃうんですよ、あの道路。それより、少しでも努力をして安くしてあげて、そして少しでも多くのユーザーの皆さんが喜んで利用していただく、こういう環境作りだと思うんですね。  それがいい例が、何ですか、僕は余り知らないけれども、東京湾の、あれなんて言うんですか、アクアライン、あれ、四千円が三千円になったそうですね。そうしたら、三割ユーザーが増えたそうですね。あれはひょっとして二千円にすれば五割以上増えるかも分からないです。ただにすればもっと増えますよ、本当。そうやって、ユーザーの喜ぶことをしないといけないですね。それが道路行政だと思うんです。それはまた環境にも優しくなるじゃないですか、渋滞も減るんですし、CO2の出方も減るんですし。だから、そういうことを是非、検討ぐらいじゃなくて、もう積極的に検討をしてもらいたいというふうに思うんです。  そういう中で、ETCのことがちょっと触れられました。ETCというのはなかなか便利なんですね。便利だけど、これぐらいユーザーにとってひどいものはないんですよ。ETC、ノンストップ料金システム導入について。多分、これは道路公団の方がいいのかな。四公団を利用できますね。  それから、ETCの専用レーンができましたので、特に最近、何というんですか、ETCが付いていなくったって高速道路入口はもう無人化になっていまして、自分でチケットを取るようになっていますけれども、ETCが付いておりますと今度はお金を徴収されます徴収出口で人が要らなくなるんですね。人が要らなくなるんです。  そうしますと、日本道路公団ですね、あれでいきますと、一時間当たり交通量が二百台までの場合は一車線で料金所と、その場合は料金収受業務一名、料金収受機械監視業務一名、料金集計・お客様対応業務一名ということで三名なんですよね。これが、四百台未満になってきますと、今度は二つゲートを開けて四名になって、六百台以下になってきますと三つゲートが開いて五名と、一人ずつ増えてくるんですね。確かに、料金収受機械監視業務の人とか、そういう方は一人でいいものですから、ゲート一つ開くことに対して一人ずつ増えてくるんです。  だけれども、随分ETCのゲートはできたんですね。何か聞くところによりますと、一千六百億円ぐらいですか、投資したとか、そういうことも聞いておりますが、その投資によってレーンが設置をされて、何人収受員が削減されたんでしょうか。
  70. 藤井治芳

    参考人藤井治芳君) 今、道路公団のETCの御質問がございましたのでお答えいたします。  いわゆる私どものETCのレーンは、現在、だんだん普及してまいりまして、全体の約六割がETCのレーンができるようになりました。  収受員につきましては、まだ、今年の四月から本格的に始まったこともありまして、慣れもございます。そこで、一気に減らせるわけにはいきません。いろんなお客様が来て、詰まっちゃって、そこでトラブルが起きるというようなこともございますので、大幅に減らすわけにいきませんが、現在のところは二百六十名減員されておりまして、約十四億円の削減が行われております。五〇%ぐらいもし達成すれば、私どもはこれを早く達成したいと思っておりますが、約二千三百人の収受員が削減されるものと思っております。  いずれにいたしましても、ETCは時間的に何時に乗って何時に出たということが分かりますので、先ほど先生からお話しの、料金政策をいろいろと小まめにやるのにこの実はETCのシステムが非常にいいんです。例えば、夜間割引といったって、夜間って一体いつからなんだというのは分かりません。ところが、ETCを利用すれば、何時何分から乗った人で何時何分に出た人は割り引くということもできるわけで、私どもはいろんな割引体制がございます。しかし、今、今年、今月の十九日でございますけれども、経営改善委員会というところで料金問題について集中的に議論していただき、できれば今年じゅう、あるいは遅くも一月とか、そういうふうな、なるべく早く、料金についていろんなことがあるけれども、問題点を整理していただいて、それを私どもにいろいろと御指導いただく、そういう準備もいたしております。そういう中で、先生のいろんな御質問等々は対処してまいりたいと思っております。
  71. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 それでは、これは五万円のハイウエーカードなんですね。これは、それこそ裏に何月何日に乗って幾らと、こうなっているんです。これ、五万円のハイウエーカードで五万八千円分乗ることができます。これを買いますと、領収書ももらえるんですね。当然、品物を買って領収書を出すのは当たり前だと思うんです。  それで、ETCなんですよね、ETC。これ、最初、三公団で出されたチラシなんです。(資料を示す)  「期間限定特別割引」「通行料金二〇%割引」「ハイカ(最高約一四%割引)よりも更にお得」と。これが大体一四%割引なんです、五万円で買って五万八千円乗れますから。それより更にお得、「通行料金二〇%割引」となっていますね。ただし、割引適用期間、十三年十一月三十日から十六年六月三十日、これでもいいと思うんです。  ここに、三公団で最大三万円割り引きしますよと、こういう意味不明の、一つの公団で上限一万円割引となっていますね。だから、そして、これですけれども、要するに五万円乗ったらもう一万円割り引いて、あとはもう割り引きしませんよということを言っているんです、これ。  ですから、例えば、平成十三年十一月三十日から割引をしていただいて、一か月五万円使ったら後はもうずっと一銭も割り引きしないということなんです、これ、このビラは。誇大広告も甚だしいと思いませんか。大臣、いかがでしょう。
  72. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) ETCの期間限定の特別割引が問題ではないか、こういう御指摘かと思います。  期間限定特別割引は、昨年十一月の全国展開に合わせまして、当時の車載器価格が低廉なもので三万円、セットアップ料を含めますと四万円以上の費用を要し、日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団におきまして、各公団で一万円まで有料道路料金の二〇%を割り引くと、こういうことにしたものでございますが、ETCは普及が進むにつれて効果が発現することから、早期の普及促進、こういう観点から措置させていただいたところであります。車載器購入の負担感を減らして導入初期のETC利用のインセンティブを高める必要があった。それから、一方で公団の採算性を考慮する必要があった。こういうことから、実施の期間を限定して各公団の割引額の上限を設定した上で、ハイウエーカードの割引率を超える割引制度として実施させていただいたところであります。  ETC期間限定特別割引に引き続きまして、本年七月より現行のハイウエーカードの割引率と同等のETC前払割引を導入するなど、更なる利用者の負担感の軽減に努めているところでございます。
  73. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 これは一四%割引のハイカよりお得と書いてあるんですね。だって、車載器を付けたりしますと、先行投資四万円前後要るんですよ、四万円前後。四万円のうち一万円割引で、まだ三万円先行投資どこからも割引ないんですよね。少なくとも、こういうことをおっしゃるのなら、このサービス期間、平成十六年六月三十日までは年二〇%オフでいかないと駄目なんですよ、これは。五万円頭打ちさせて、五万円頭打ちですと書いてないんです、最初の。  それで、はたと気が付いたんですよ。途中からこんなの出したんですね、途中からこんなの。(資料を示す)これは何かといいますと、今度は、一万円に達した場合はもう割引終了しますよと、そして今度は、二〇パーのところのハイカよりお得ですというのが消えちゃっているんです。これ、今度はハイカよりお得ですというのはなくなちゃって、一万円頭打ちですよとなっている。こんな魂の入っていないようなことをやっていただいて、それこそETCが増えるとは思いませんよ。  私も付けていますけれども、友人から便利ですかと聞かれて、いや、これは高く付くからやめなさいと私は言っているんです。付けると損しますよと。投資料金は要る。それから、今おっしゃったように、前払金で一四%割引になりましたよ。細かいことを言いますと、あの手続は面倒くさいですし、今度は明細書を欲しいと言えば千二百円先取りですよね、千二百円。明細書の必要な方は、ドコモなんかはそうじゃないんですよ、ドコモを宣伝するわけじゃないですけれども、ドコモでもほかのNTTでも、ほかのどこにしたって領収書というのは自然にくれるものでしょう。これ要求しますと千二百円先取りして毎月明細書を送りますよと。こちらの方は、もう領収書もらえますし、出口でちゃんと別の領収書も全部取れるんですよ。よっぽどこちらの方がユーザーにすれば得なんですね。  ですから、せっかく期間限定であっても、どんどんどんどん普及率を高めるのであるならば、せめてこの二〇%の実行ぐらいは、期間中ぐらいは、今からでも遅くはございませんので、ユーザーは喜びますので、是非、こういうポスターももう何万枚以上だと思いますよ、一杯配られたんでしょうから、やっぱり有言実行ですよ、せめて。それぐらいやってもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
  74. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) ETCの普及のために、実は、この平成十四年八月に社会資本整備審議会から中間答申をいただき、あるいは有料道路政策研究会でも中間取りまとめをいただきました。そこにおきましては、ETCを活用した多様な料金施策の展開と、ETC普及促進策実施、それからハイウエーカードあるいは回数券などにつきまして偽造が社会問題化しているということもありまして、ETCに機能を集約していく方向であるべきであると、こんなふうな御提言をいただいているところでございます。  そういう意味で、先生が今お話しのように、多様な割引といういろんな試みの中で、例えば都市高速でいえば、ある短い区間を使う場合にはETCなら割引ができるとかいうようなことも含めて、いろいろ多様な割引の社会実験というものを実行しようというふうに思っております。  そういう中で、今、割引率も含めまして、先生のお話しのように、よりETCが普及するようにそうした政策を、そうした実験を通じてしっかりと確認しながら大いに大急ぎで検討してまいりたい、そんなふうに思っております。
  75. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 時間になりましたからもう置きたいと思いますが、道路公団と大臣にも要望しておきたいと思います。  ETCが普及、五〇%以上普及すれば二千三百人の人が削減できると。ハローワークで、収受員の人件費幾らかなと教えてもらえないものか調べましたら、大体十六万五千円ぐらいなんですね、一か月、給料が。ただ勤務時間が、例えばAMの九時からAMの八時五十八分とか、こうやって二十四時間体制みたいな勤務状況で、休憩時間もちろんございます。そういう格好で、十六万五千円ぐらいなんです。二千三百人といったら大変な、退職金その他を含めますと大変な金額になると思うんですね。この分がETCだと削減できるんですが、ハイウエーカードだとこれ全然そういうのは削減できないんですよね。そういうことを考えてもコストダウンできるんですから、当然ETCの割引はもっともっとしてもいい、普及させるためにもした方がいいというふうに思いますので、その辺だけは是非しっかりと持ち帰っていただきたいということをお願いを公団にしておきたいと思います。  大臣、そういう状況でございますので、大臣も、これ認可は、道路公団が申請して、そして国土交通省が認可なんで、国土交通省がノーと言ったら駄目なんです。だから、大臣、もっともっと割引できるように。それから、全体的にもう有料道路も全部下げちゃっていいんですから、そしてもう五十年じゃなくて百年でいいじゃないですか。それぐらい考えて、大いにユーザーが喜ぶことを考えていただきたいということをお願いしまして、質問を終わります。
  76. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 道路交通の、高速道路、特に渋滞の三割は料金所です。それをなくすためにETCを導入するとハッパを掛けているのは私です。そして、このETCを導入することによって少なくとも経済効果は三千億円あります。そして、CO2の排出量も少なくともこれ二割は削減できると。  そしてもう一つ、山下議員に理解していただきたいことは、私も今度ETCを導入するのに初めて分かりました。全国の道路公団でもぎりの収受業務をしているのは二十五社です。その二十五社に一年間にどれだけ払っているか。八百二十五億払っているんです。これでは私は、こんなばかなことはないじゃないかと。そして、あの収受と今簡単におっしゃいましたけれども、料金所の収受をだれがしているか。都銀、地銀、信金、第二地銀、あらゆるもので、少なくとももぎりは全国で百六十三社があの料金を取りに行って、それで利益を持っているという、これも事実です。  ですから、私は、ETCを導入する限りはハイカをやめてしまうぐらいの割り引きしなきゃ駄目だということを指導していますので、是非、御協力をいただきたい。
  77. 森本晃司

    ○森本晃司君 大臣始め皆さん、大変御苦労さまでございます。  国土建設のために全力を注いでくださっておりまして、敬意を表するものでございます。同時にまた、政府として、このデフレ対策も含めまして、不良債権処理の問題等々含めて今大変な瀬戸際に立っているんではないかと思います。殊に、中小企業の皆さんが今大変つらい思いをされているところが数多くございまして、私は、この年末に中小企業の皆さんが越せるかどうかということを考えておられる方が非常に多いわけです。  不良債権処理を進めていく中で、やっぱり中小企業問題をきちんと併せてセーフティーネットをやらなければならないということを私も主張しておりますし、私の党内に今年の七月に中小企業活性化対策本部なるものを設けまして、前向きの中小企業政策を行っていかなければならないということで、私もそのいろんな知恵はどこにあるんだろうかと思って全国各地、東京の大田あるいは東大阪あるいは群馬等々、七県にわたって現地へ視察に寄せていただいて生の声を聞かせていただきました。特に、中小企業の皆さんでは今の金融の貸し渋り等々の問題が一番大きな問題となっておりまして、右手でピストル、左手でかまを持ってやってくるんですかとか、あるいは別れ際に中小企業経営者の皆さんにどうぞ頑張ってくださいとお言葉を差し上げたら、わしらは頑張っとるわ、頑張らんとあかんのはあんたら政治家やないかと、こういう中小企業の皆さんの声も率直に聞かせていただいてまいりました。  三十日に金融庁が、今日は副大臣もお見えいただいておりますが、発表した金融再生プログラムにおいても、「中小企業貸出に対する十分な配慮」ということと、それから「不良債権処理によって、日本企業の大宗を占める中小企業の金融環境が著しく悪化することのないよう」にセーフティーネットを講じると、このように書いてあります。大臣の所信表明の中にも「中小企業や雇用のセーフティーネットの充実を進めます。」と、このように書いてあるわけでございますが、私は、中小企業、どの中小企業も今厳しい状況ではございますが、ここは国土交通委員会でございますので、中でも建設業は大変厳しい状況に今至っているんではないかと思うんです。  建設業はGDPの約一三%を占めているし、業者数は今五十八万六千業者。その五十八万六千業者のうちに三億以下のいわゆる中小零細企業と言われるのが九九・五%、五十八万二千九百七十二社あるわけです。それにまた、建設業に就業されている方が六百三十二万人、約一〇%の方が就業されているわけでございます。したがって、私は、この中小企業の建設業の皆さんが今大変困っておられることにきちんと政府としてもなすべきことはなさなければならないと思っております。  建設業者の皆さん、どこと一番かかわりが多いかといいますと、公共工事にかかわっておられるのが非常に多いわけです。朝、脇さんも公共工事の必要性について述べられました。私も公共工事というのは、無駄は省かなければならないけれども公共工事全部悪いという考え方ではなしに、むしろ公共工事は生かして社会資本の整備をしなければならないという考え方に立っております。  そこで、その公共工事の代金が一応現金で元請業者に支払われているわけでございますが、この元請業者が今度はその下請へ代金を払うときには極めて長い手形になっています。百二十日以上は極力ないようにということでございますが、国土交通省が関係のところを立入検査した結果、二十数%、百二十日以上の手形をもらっているんです。百二十日以上を二割から三割もらっているということになれば、非常に私は大変な状況になっているかと思っておりまして、発注者の中心的立場にあります国土交通省、これが直轄工事において、例えば現場説明書の指導要綱の中に下請契約における代金支払の適正化に関する事項を盛り込むなど、模範を国土交通省が示していくべきではないだろうかと、このように思っております。  また同時に、建設業では、元請企業の出した手形が金融機関に割り引いてもらえずに下請企業が資金繰りに苦労している例がよく見られるわけでございます。下請業者を含む中堅建設業者の資金繰りの改善にどのような対策を講じているのか、お伺いしたいと思います。
  78. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今、森本議員がおっしゃいましたように、元請業者から下請業者、そこへの代金の支払が適正に行われるということは本当に重要なことでございますし、今、中小企業、零細企業を含めて本当に死活問題だと。先ほども三万人の自殺者がいるじゃないかという話ですけれども、これが全部建設業関係の人ではないですけれども、そういう苦しい状況の中で元請業者から下請業者への支払がどのように適正に行われるかと。  そして、今、森本議員がおっしゃいましたように、少なくとも建設産業の下請業者への適正な代金については建設産業における生産システムの合理化指針というものを作っておりまして、今も議員から御説明がございましたように、請負代金の支払をできる限り早くする、またその手形に関しては、今おっしゃいましたように、百二十日間の中でできる限り短い期間とすると、そういう指針だけはできているんですけれども、そうしたら現状はどうなのかということになってくれば、我々もこの直轄工事、そういうものの中から、今、森本議員がおっしゃいましたように、直轄工事に係りましては、少なくとも現場の説明書、これは御存じのとおり、入札加入者に対しての現場の状況でございますとか、あるいは少なくとも参加者への指導とかあるいは注意事項、留意事項、そういうものを明記してございますので、そういう指針を遵守するということが私は一番大事なことであるし、また中小企業の皆さん方もその指針によって、それを遵守することによって自分たちもああ安心できるなと、そういう安心感を持っていただけると思っておりますので、少なくとも現場の説明書の指導の事項に関しては、今の代金の支払の適正に関する少なくとも事項については遵守するようにという指導をまずすることが安心感を持っていただける大事な第一歩であると考えております。
  79. 森本晃司

    ○森本晃司君 伊藤副大臣、お忙しい中お見えいただいて恐縮でございます。私の質問が終わりましたら、どうぞ後のスケジュール詰まっているようでございますので、もうお帰りいただいて結構でございますが、副大臣にお伺いしたいんですが、金融庁のいろいろ中小企業に対するセーフティーネットを打ち出した、あるいはまた金融の貸し渋りあるいは貸しはがしを今度の新しい制度でなくすんだという意気込みでございます。是非そのようにしていかなければならないと思うんですが、同時に、私は別の貸し渋りの形があるのではないかと思っております。  それは今どういう状況が来ているかというと、優良企業が手形を振り出します、優良企業が。その持った手形を割り引いてもらう、割り引くといっても、実際はその手形を担保に金を借りるという形になるわけでございますけれども、持っていった中小企業が体力が不足だという判断に立つと、その割引すら、いわゆる手形を担保に貸出しすら銀行はしないという状況が最近起きてきているんです。これは掌握されているのか。  そういう状況であれば、中小企業がそこで今度倒れてしまえば、新たなるまた不良債権が発生するわけです。不良債権処理をどころか、優良な企業まで不良債権を発してしまうという形になってしまいます。私はこれは一種の銀行の貸し渋りだと思っておりますが、伊藤副大臣の認識と、そしてこういう問題に対してどう対処されるのか、金融庁の考え方をお聞きします。
  80. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) お答えをさせていただきたいと思います。  森本先生はもう中小企業問題の第一人者として大変御活躍をされておられ、また、先ほどお話がございましたように、貸し渋り、貸しはがしが中小企業のもう命運を決めることだと大変強い問題意識を提示をされているわけであります。私も全く同じ問題意識を持って一生懸命この仕事をさせていただきたいというふうに考えております。  今お尋ねがございましたように、その手形というものを舞台にして新たな貸し渋り、貸しはがしがあるのではないかというお尋ねがございました。これは一般的に手形割引に応じるかどうかは手形振出人や割引依頼者の信用リスク等に基づく管理上の経営判断によるものと考えられておりますが、私どもは、いずれにいたしましても、我が国経済の再生を図る上で、経済の基盤を支える中小企業に対して、今お話がございましたように、円滑な金融を確保することが極めて重要だというふうに考えております。したがって、特段の配慮をしていかなければならないというふうに思っております。  したがって、金融庁といたしましては、中小企業を含む健全な取引先に対する資金供給の一層の円滑化に努めることや、不良債権の早期処理等を理由に貸し渋りや貸しはがしを行わないなどについて、金融機関に対し繰り返し要請を行っているところでございます。さらに、中小企業貸出しの重要性にかんがみ、先ほど先生がお触れをいただきましたように、先月三十日に発表した金融再生プログラムにおいては、主要行の不良債権処理によって日本企業の根幹を占める中小企業の金融環境が著しく悪化することがないように、各種のセーフティーネットを講じることとしたところであり、これに基づき、より一層積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。  また、先月二十五日には、貸し渋り・貸しはがしホットラインというものを設けて、私どもの人員に大変限りがありますけれども、広く関連情報を電子メール、そしてファクスで受け付けているところでございます。  こうしたものを十分に活用して検査、監督の実施に当たり、一生懸命こうした貸し渋り、貸しはがしがないように努力をしていきたいと考えております。
  81. 森本晃司

    ○森本晃司君 是非、副大臣、こういった問題にも取り組んでいただきたいと思います。  現場では大変困っているようです。優良な手形でも、中小企業が体力がない、担保が不足だということで割り引いてもらえないという状況でございます。年末が大変心配でございますから、早急に手を打っていただくことをお願い申し上げまして、副大臣、後、PTの方の行事がありますから、どうぞお引き取りいただいて結構です。  そこで、今日は経済産業省も来ていただいておるわけでございますが、今このような状況をお話しさせていただきました。そこで、政府系金融機関あるいは保証協会はこういう状況が起きたとき大事な役割を持っていると思うんです。そういう場合は、例えば保証協会の保証を付けるということをすれば、するのも一つ、あるいは政府系金融機関でもっともっとそういったものを手形を担保として、そして貸出しをやるということを進めていく必要があると思いますが、この点について、どのような考え方と、どのような政策を講じておられるのか、お伺いします。
  82. 青木宏道

    政府参考人青木宏道君) お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、中小企業を取り巻く金融経済環境、大変厳しゅうございます。私どもといたしましても、政府系金融機関あるいは全国各地の五十二の信用保証協会を通じ、円滑な資金供給の確保に万全を期していく必要があると考えております。  委員御指摘の手形につきましては、政府系金融機関の中でも短期金融を扱うことができます商工中金におきましては、手形の割引あるいは手形を担保とした貸付けを積極的に行っているところでございます。また、信用保証協会におきましては、民間金融機関が手形を割り引く際、信用保証を付する手形割引保証という制度がございます。現在、利用実績の三分の二は中小建設業者が御利用をいただいているところでございます。  また、昨年の十二月に創設をいたしましたいわゆる売り掛け債権を担保に融資を行う際に信用保証を付すことができます売り掛け債権担保融資保証制度という制度を発足いたしました。この制度におきましても手形を担保とすることができるようになっておりまして、私どもといたしましては、本制度の一層の充実、その普及に今後努力をしてまいりたいと思います。  また、委員が先ほど御指摘のありましたように、今後不良債権の処理が進展します中で、中小企業への円滑な資金供給を確保することがますます重要となってまいります。このため、通常の保証額の倍額の保証が可能となりますいわゆるセーフティーネット保証、この対象を拡充すべく今臨時国会に中小企業信用保険法の改正法案を提出をさせていただいております。  本法案におきましては、金融機関の経営合理化などによりまして信用供与額が減少し、貸出しの減少に直面している中小企業をセーフティーネット保証の対象とすることとしております。  そのような金融機関から仮に手形割引を拒絶され、資金繰りに窮している建設関係の中小企業者につきましても、本法案が成立いたしましたらこの制度を御利用いただけるものと考えております。  いずれにいたしましても、中小企業庁といたしましては、今後とも中小企業に対する金融のセーフティーネット対策の充実及びその的確な運用を通じまして、中小建設業を含めた中小企業の資金繰りについて万全を期してまいりたいと考えております。
  83. 森本晃司

    ○森本晃司君 この間、金融庁の方々にも申し上げておったんですが、金融庁もこういったことのファクスを受け付けるとか、そういうことを始めたようでございます、貸し渋りに対して。そういう場合もよく中小企業庁と連携を取って、双方でしっかりとこういった問題を、そういう関係の中小企業の皆さんに通達していくようにということをお願いしておきました。売掛金を担保にしてという問題についても、やはり私はPRが必要ではないだろうかと。その点について、今の手形割引の件についてもよくここ一番浸透さすように努力を願いまして、結構でございます、ありがとうございました。  次に、観光についてお伺いしたいと思います。  私は奈良県に住んでおりますので、観光という問題に絶えず関心を持っております。先ほど山下議員が岐阜のすばらしいお話をたくさんおっしゃっていまして、世界遺産のこともおっしゃっていましたが、岐阜に負けない以上の歴史と伝統を持っておる県でございます。  そこで、やっぱり観光というのはゆとりと潤いをもたらしますし、同時に地域の活性化にも尽くしていくわけであります。同時に、大きな経済効果をもたらすと同時に国際理解という問題にも連なっていくかと思っております。  我が国の観光の状況を見ますと、日本人の海外旅行者は千六百二十二万人、世界で第十位。それから一方、訪日外国人旅行者はわずかに四百七十七万人、世界第三十五位。行く人と、そしてお客さんが見える、四分の一です。確かに我々が海外へ旅しますと絶えず日本人皆さんとやあやあといってお会いする機会がある。しかし、やはりそれほど、じゃ国内に海外のお客さんが見えているのかということ、最近中国や台湾からのお客さんも多いようではございます、これはビザの問題とかいろいろ弊害があるのでまた後日やりたいと思いますけれども、このような状況でございます。  で、国際旅行収益、収支は三・六兆円の赤字ということでございます。政府の目標年間八百万人、八百万人を達した場合、この場合に我が国経済波及効果は一体どれほどあるのか、この点についてお伺いします。
  84. 三沢真

    政府参考人三沢真君) 訪日外国人旅行者数が八百万人に達した場合の経済波及効果でございますが、いわゆる生産波及効果、これが約六兆六千六百億円、それから雇用効果として約三十万六千人という高い経済波及効果が見込まれております。
  85. 森本晃司

    ○森本晃司君 すごいですね。生産効果が六兆六千億、雇用効果が三十万六千人。ですから、こういう状況であれば、もっともっと、これだけの経済波及効果をもたらすものでありますから、観光行政についてもっと強力に行うべきではないだろうかと。私は、これはいろいろ政府にも戦略会議がたくさんございます。それで、これはひとつ観光立国戦略会議なるものを設けて、どうすれば海外のお客さんをもっと呼ぶことができるんだろうかということに力を入れるべきではないだろうかと思っております。  韓国では、御承知のように、金大中大統領が自らコマーシャルに登場されました。韓国の国家予算十兆円に対して観光予算百十九億円。すごいですね、十兆に対して。イギリスも六十二兆に対して百一億円。オーストラリア、国家予算十六兆に対して百億円。我が国、約八十一兆円の国家予算に対して三十四億円という、この観光予算額、余りにも私は、その予算といい、組織整備もまだまだ不十分ではないだろうかと。  外国では観光大臣なるものを設けておられるわけでございます。言うならば扇大臣は観光担当大臣であります。是非、大臣、世界に向かって大臣がコマーシャルに出演されて、そしてPRをされたらいかがでしょうか。  私は、会社名は申し上げることはできないんですが、会社名を除きまして、昔、大変強い印象を持っているコマーシャルがあるんです。これは昭和コマーシャルフィルムベスト百に選ばれているんです、これは。「写ルンです」というやつなんです。大臣の、いつのときとは申し上げませんが、大臣の、これでございます。(資料掲示)大臣が政界へ恐らく進出される前のことではないかと思います。  委員長、回してという要望がございまして、ちょうど二枚ありますので、両わきに回してよろしゅうございますか。
  86. 藤井俊男

    委員長藤井俊男君) はい。
  87. 森本晃司

    ○森本晃司君 これはベスト百に選ばれているんですね。是非、大臣、せっかくのそういったすばらしい昭和のベスト百に選ばれているんですから、今度、平成のベスト百に、大臣ひとつ、日本のこれは大事な産業ですから、コマーシャルに出られたらどうかなと思うんですよ。小泉総理をわき役にして、それでそのとき私は観光人、通行Aでおるとか、何かそういうことをひとつ考えていただいてはいかがかと思います。大臣にやめてよと言われながらももう回してしまいましたが、またそちらへも届くかと思いますが、お伺いいたします。
  88. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今日は午前から委員会で御論議いただきまして、私は二十一世紀は第三次産業の主幹産業として観光というものを私たち考えなければならないということを既に申し上げました。それよりもまず、PRも大事ですけれども日本へ行くことが楽しいという、そういう私は行政をしていかなければならない。幸い今年はワールドカップサッカーということで五十万人近い外国のお客様を迎えました。けれども、来た人たちが帰って、日本へ楽しいから家族も連れていこう、お父さん、お母さんも、いや、自分の子供も友達も日本へ行きなさいと言ってもらえるような果たして日本であるかどうかということを我々は行政の中で大きく考えなきゃいけないと思っております。  それは、森本議員がコマーシャルベースの宣伝量が足りないんじゃないかとおっしゃいました。それもそうでしょう。けれども、私は、そのことよりも、少なくとも成田から東京へ来るのに、さっきも言いました、東京に来るだけで二万四千円近く、しかもそれで、プラスアルファ高速料金が千六百五十円。外国で国際線と国内線に乗り換えるのにこれだけ時間とお金を要する国はありません。そういう政策一つ取ってみても、我々は外国のお客様をどう受け入れるかということも真剣に考えなければいけないし、この連携を考えないで国際空港を造ること自体が私は今は二十一世紀型ではないと。反省もしきり。  それから、先ほど力のあるところは道路造るんですかという山下議員のお話ありました。私はそれもいけないと思います。少なくとも、私はいつも言うんです。肩とひじと腕とある、この手とひじと肩をつなぐのは何かと。これつながなければ物つかめないんです。部分的にあってもこれは役に立たない。ですから、私は、日本国土グランドデザインというものは、どこに国際空港があり、どこに港湾があり、その連携を全部作って初めて外国のお客様に来てくださいと。日本はいいですよ、奈良はすばらしいですよと言っても、奈良へ行くまでにお金が掛かり過ぎるということも事実でございます。関空から奈良へ行くまでにどれだけお金が掛かるか、私はそのことも含めて、行政全体で国家のあるべき観光像というものを新たに作らなければ、これは陸海空一緒ですから、国土交通省が観光を所管するというのは正に私は利があると思いますので、その利を生かせるような政策をもってしなければ世界じゅうからお客様を呼ぶことができない。  しかも、少なくとも韓国から成田まで二時間です。そして、成田から東京まで一時間半タクシーで掛かっていたんじゃ何のことはないという、こういう感覚もあるわけですから、現在、成田から東京駅まで普通に走っていただいても五十数分、これを今度は三十数分にしようではないかと。これも政策の一つでございますので、まず観光客を受け入れる国内体制の行政在り方も、改めて皆さん方の御意見を聞きながら、基本的に二十一世紀型にするというのが私たち国土交通省の施策の一環でございますので、御協力賜りたいし、またそれが今おっしゃったようなすばらしい経済効果を生むということに私たちは持っていきたいと思っております。
  89. 森本晃司

    ○森本晃司君 大臣、空港の問題とそれから高速道路の問題にお触れになりました。順番に私も、先ほど成田のお話いただきました。それを三十分にするというお考え方も伺いました。  まず、空港の問題から聞いていきたいんですが、お伺いしたいんですが、成田、今日はもう出てくるのは、例に挙がるのは二度目ですかね。成田もそうだけれども、観光立国という形で国際的な人たちを呼ぶというのは、私は羽田空港をもう少し利用してはどうなのかと。これは、羽田空港の利用の仕方がいろいろあります。千葉県の人たち考え方もいろいろそれはそれなりにあるでしょう。だけれども、私は羽田空港の活用を、是非この点について申し上げたいんです。今年の六月に、「羽田空港を再拡張し、二〇〇〇年代後半までに国際定期便の就航を図る。」、こういうことが閣議決定されておりますが、現在、深夜とかあるいは早朝のチャーター便等の運航が認められております。しかし、実際、交通機関との連携が悪くて、その枠の五分の一程度しか活用されていないと、このように聞いているわけでございます。  羽田空港の本格的な国際化を四本目の滑走路整備後とされてきましたが、その再拡張を待たずに、景気回復、国際観光振興の観点から、即時に実質的な対策を講ずる必要があるんではないかと思っております。  それは、特定時間枠、二十時三十分から二十三時までの出発枠と朝の六時から八時三十分の到着枠、こういうのをもっと活用して、工夫をして、そしてそれを早期に進めることができると、これは私も伺ったんですが、一日八便から十便の国際定期便の運航が可能になり、運用だけで資金手当てなしに五千億の経済効果が得られるんだということも伺いました。この点についてどのようなお考えか、お伺いいたします。
  90. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 森本議員がおっしゃるとおりで、私は、今申し上げておりますのは、ワールドカップサッカーで昼間も十便国際便を、チャーター便ですけれども、羽田に降ろしました。昼間でも十便できるという実績は既にワールドカップで経験しているんです。ですから、私は、そういう意味では、この経済情勢の中であるものはすべからく利用するというのが当たり前の話ですから、私は、こっちは国際でこっちは国内だと分けている方がおかしいので、そういう意味では、私は、でき得る限り、利用する人が一番利便性があって、一番時間を効果的に使えて、なおかつ効率良くという、この三拍子そろったものを利用しないという方がおかしいんであって、今、航空局長は手を挙げていますから答えたいと思いますので、航空局長の頭もそういうふうに切り替えてくれと私は言っております。
  91. 洞駿

    政府参考人(洞駿君) お答え申し上げます。  おかげさまで、羽田国際旅客チャーター便が昨年の一月から開始されて徐々に増えてきておりまして、今まで四百二十便ほどが就航してきております。週七十便まで可能になっておりますけれども、おっしゃるとおり、今四分の一ぐらいが活用されているという状況になってきております。  これは、先生御指摘のとおり、二十三時から六時までという時間帯ですから、どうしてもこの時間帯で行って帰ってくるということになると行き先等も限られてくる。韓国とか近いところになるわけですけれども、そういうところは逆に定期便がたくさん飛んでいますから、特にチャーター便なんかを飛ばさなくてもお客がちゃんと行けるという事情等があります。したがいまして、時間帯をできるだけ広くしていって使いやすくするということは、正しくこの国際チャーター便の活用という意味では大きな役に立つものだと我々も認識しております。  それで、先ほど森本先生が御指摘されましたとおり、この特定時間帯の枠まで活用して国際チャーター便を飛ばすということについては、正直申し上げまして千葉県側のいろいろ違う御意見がございまして、二十三時から六時までの間千葉県上空を飛行しない経路に限るということで、それ以外は飛ばしちゃいかぬという申入れを行われております。  そういう意味で、今後、千葉県側の理解を得るということが本問題を打開していく上では是非とも必要でございまして、おっしゃるとおり、先生御指摘のとおり、直ちに特定時間帯を全部広げるということは無理だとしても、少しずつ今の二十三時から六時までの間を広げていくということについて、また騒音問題等々につきまして、空港問題について自治体等と話す機会もこれからも多々ございますので、そういう機会をとらえて理解を得るべく今後とも努力していきたいと考えております。
  92. 森本晃司

    ○森本晃司君 千葉県の皆さん理解を得る努力は極めて大事だと思います。それはそれでやってください。その上空を通らぬと飛行機は羽田に入ってこれないの。千葉県の上空を通らなくたって入ってこれるんだったら上を飛ばなくてもいいじゃないですか。それから、上を飛んでいる飛行機を、あれは国際線だ、国内線だって千葉の人が下から見て分かるわけ。そんなの分からないでしょう、そんなもの。だから、それはもう理解を求めるということで、だけれども、前を向いて進めるべきだと僕は思うんだけれども。もう一度。
  93. 洞駿

    政府参考人(洞駿君) 千葉県の上空を飛ばない、東京湾の上空だけを飛ぶということになりますと、実は管制上夜出ていくということは、逆に国内線が入ってくるという時間帯になって、正しくそこで正面衝突するという、極端に言うとそういうことになるわけでございまして、なかなかその辺の管制上の問題、それから空域の問題もございます。そういった点を解決しないとなかなか抜本的な、そこに空に道を空けるということは難しいということはございます。
  94. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今の局長の答弁で、私は皆さんに大変な不安を与えると思いますので、訂正しておきます。管制塔がある以上、正面衝突するなんてことはあり得ません。そのために管制しているんですから。  ですから、我々はその中で何ができるかということを今探っている。先ほど私が申しました、お昼でもワールドカップで十便降ろすことができるという経験もあるわけですから、私は工夫のしようだと思います。しかも、森本先生が御質問ですから、関空も二十四時間オープンにして、二十四時間が生かされているかどうかということも、我々は行政的に指導していかなければならないと思っていますので、正面衝突なんていうことはあり得ないということだけは訂正させていただきます。
  95. 森本晃司

    ○森本晃司君 その点については、局長、ちょっと言葉についてはよく注意してもらいたい。  いろいろ考えればできることなんです。だけれども、何となく成田、羽田というけれども、もっと大きく日本という流れ、あるいは世界と日本という流れの中から、どうすればできるのかということを目を向けてやってもらいたいと思います。  それから、大臣からお話ありましたように、関空、この間私は和歌山へ日帰りしました。ちょうど行きも帰りも二階先生と一緒だったんですが、十時五分の飛行機に乗るために行ったら、もうからんとしています。二階先生と二人で、夜間をもっと使えば、夜間の着陸料を半額にするとかいうぐらいにすればもっと関空も利用できるんじゃないか。それから橋も高い、とにかく。千七百三十円、行って帰ってくると。行って帰らぬと、向こうに行ってそのまま海へというわけにいかぬから、往復ですから千七百三十円。時間割りがあって、夜に行ったら千五百円であれですが、そういうこともいろいろと私は工夫をしていく必要があるのではないかと思っております。  それから、最後になりました。  これは、またETCの問題についてはいろいろと議論をさせていただきたいと思います。今日も随分いろいろ出てまいりました。ETCをもっと普及さすことに力を入れるべきであります。今、まだ三・五%か、いろいろ弊害があるようでございます。その料金所の数をもっと増やす。田舎に行けばETCが使えないというのでは困る。料金所の数を増やすとか、いろいろある。あるいは観光のためにも道路の標識をいろいろとする。そういうところに私は道路特定財源をしっかりと使っていって、まだまだ使うところはあるんです、道路特定財源、一般財源化しなくても。まだまだやらなきゃならない問題があります。道路特定財源にしっかりと使うということをいかがということを申し上げて、時間ですので終わります。
  96. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 森本先生は建設大臣経験者ですから、日本国土在り方をよく御指導いただいていることだと思っています。  ですから、私は、今おっしゃったETC等々一つ取ってみても、高速道路、例えば第二名神、第二京阪、東名ですか、すべて私は、ETCを利用したら今の計画が、あのインターチェンジのトランペット状のすごい土地というものは、ETCだとストレートに行けるんです。ダイヤモンドでいいんです。ですから、私は今の計画でETCを全線導入したら、その余ったところへは全部防音装置で、少なくとも木を植えるとか、あるいは公園にするとか、避難地でもあり騒音公害の予防にもなるし、私はそういう意味でETCを今導入するということに関してはあらゆる面で大きな効果があるということを今指導しておりますけれども、既にある今の第二東名等々のインターチェンジのトランペット状を私はETCで全部ダイヤモンド式に変えなさいと今言っていますけれども、それも含めてコスト削減ということが大事な計画になっておりますので、改めて二十一世紀型の国土づくりというもののやっぱりグランドデザインがないからこういうふうになったということも反省をしながら、それを一歩前進させたいと思っております。
  97. 森本晃司

    ○森本晃司君 終わります。
  98. 富樫練三

    ○富樫練三君 日本共産党の富樫練三でございます。  私、四十分の時間でございますけれども、二つの問題について質問をさせていただきます。一つは、一千四十七名に対するJRの採用差別問題、もう一つは、公共施設や小中学校などの耐震診断・改修問題についてそれぞれ質問をさせていただきます。  最初に、千四十七名に対するJRの採用差別問題でありますけれども、この問題は未解決のまま既に十六年目に入りました。国策として行った旧国鉄の分割・民営化に伴って、旧国鉄職員をJRに採用する際に組合間の差別を行ったところに最初の原因があります。その後、地労委や中労委の裁定があり、更に裁判が続いて、そしてILOの勧告及び報告が既に出されています。ILOは採用差別事件に関する政府の責任を重視して、四回にわたって勧告及び報告を行っています。  これらに共通する基本点は、日本政府に対して、当該労働者が公正に補償されることを確保し、当事者に満足のいく解決に早急に到達するよう、JRと申立て組合間の交渉を積極的に奨励するよう強く主張するというものであります。ILOが繰り返し日本政府に勧告し、強く要請しているこの核心部分に対して、これを誠実に遵守し、実行することが求められています。  ILOのこの勧告を誠実に実行する責任についての大臣の認識をまず伺います。
  99. 扇千景

    国務大臣扇千景君) この問題に関しては、私も党首時代に当事者と何度も、渕上先生でしたか、私のところへ当事者を連れて御相談に見えまして、私は実情も、皆さん方の声を聞かせていただきました。  けれども、少なくとも私は、今日まで旧国鉄のこの雇用対策、今おっしゃいました少なくとも昭和六十二年に国鉄清算事業団ができて、そのときにさかのぼって私どもは、今、富樫議員がおっしゃったような問題が今日までも四十七名という数字をおっしゃいましたけれども、千四十七名ということで、この千四十七名の問題ということは私は対処できているというふうに考えております。  そのできていると言った根源は何かというのは、人道的な観点から政治の場にこの問題が持ち上がって、平成十二年の五月、御存じの四党合意事項というのがございます。私もこの四党合意事項というものを見ておりますけれども、このときに四党合意事項ということで関係者同士で合意が行われ、調整が行われた。合意は別としても、調整は少なくとも行われたわけですね。  今回も政府としては、この四党合意の枠組みで納得されたんですから、じゃ普通のように、旧国鉄と同じように従業員になるとかあるいは事務をするとか、あるいは勤務状況等々、同じ状況で対応してくださいと言ったら、いや、それは嫌だとおっしゃるということも漏れ承っておりますので、私はそれ以後当事者とお会いしておりませんけれども、やっぱり十二年の五月の四党合意事項に照らして、お互いに合意したというものは私は認めていただいて、少なくとも政府としてもこの四党合意事項というものがある以上は皆さん方にも御納得いただけるものではないかと思っておりますので、そのように皆さん方に努力していただきたい。もっともっと、多くの人たちが国鉄の職を離れてあるいはうどん屋さんになり、パン屋さんになり、多くの人が努力したんですから、それも私は同じ同僚でしょうということも申し上げました。  ですから、今の時代、少なくとももっと私たちは広範囲なお考えを持って、この四党合意で同じように乗務員勤務するとか、あるいはそういうことも皆さん方が納得いただければ、四党合意で私は政府として依頼を受けて皆さん方の御要望にこたえることができるのではないかというふうに考えております。
  100. 富樫練三

    ○富樫練三君 今の大臣の答弁は、政府としてはもう対処はできていると。四党合意に基づいて解決すればいいではないかと。その四党合意の結論を待っているというかですね、そういう意向のようです。  はっきりしているのは、ILOの勧告は四党合意をすべての問題解決の前提にしているということではないと。前提ではないんですね。ここのところをきちんとしておかなくちゃいけないと思うんです。問題の核心は、日本政府が公正な補償と当事者間の交渉の場を設定する、これをILOは求めているんです、政府に対して求めているんですね。四党合意を待ちなさいとか、そういうことはILOでは言っていないんですね。  ただ、ILOの勧告の中で四党合意に関する部分もあります。その部分はこういうふうに言っているんですね。四党合意を問題解決の可能性を提供するものというふうには位置付けているんです。しかしながら、これは前提にしたものではないと、こういうことがILOの勧告の内容だと思うんですね。  ですから、今必要なのは、四党合意待ちだとかそういうことではなくて、政府が自らの責任においてILOの勧告に基づいて当事者間の交渉の場を設定すること、すなわち、JRと国労であるとかあるいはJRと建交労の鉄道本部の交渉であるとか、そういう当事者間のきちんとした話合いの場をセットする、このことがILOが求めているものなんですね。  ここのところは、大臣、きちんとそれに対応するようにする意思があるのかどうか、大臣考えを伺います。大臣考えです。後ろで手を挙げている人には聞いていません。
  101. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 富樫議員がおっしゃることも私はよく分かっておりますけれども、少なくとも今まで政府が講じてきた施策というもの、また対応というものを改めて私はそれだったら申し上げざるを得なくなります。  ですから私は、ILOの勧告は勧告としてですけれども、国内対策として今まで国鉄のそれらの人々に政府として何をしてきたかと。少なくとも私は、政府が講じた今までの国鉄の改善前後あるいは清算事業団とのこの間に通じて全体をすべて対策として講じてきたものは、具体的には、まず国鉄がなくなるまでの昭和六十二年三月の末までには国家公務員としての採用、又は地方公共団体あるいは特殊法人及び民間企業の御協力をいただいて、少なくとも再就職先の確保には尽力をしてきたということも、これは富樫議員もお認めになるであろうと思っております。  ただ、そのときに約五万三千人の方々が国鉄を去られました。断腸の思いもあったと思いますけれども、私は、これらの人々が、国鉄が清算事業団とした昭和六十二年四月でございますけれども、三年間にわたって雇用対策支援を百四十八か所なお設置して、この三年間にわたって再就職の対策を取られたということ。また、専修学校等の部外教育機関に関する職業訓練教育、これも行って、一人当たり平均で就職相談を延べ七十四回行ったということで、私は、職業あっせんを延べて三十四回実施してきたと。  そして、更にJRに追加採用も五回行ったということも含めて、私は、あらゆる努力をし、ほかの職業で路頭に迷って、今日も三万人の自殺者ができたという話も出ましたけれども、それに比べて私は、あらゆる面で対応してきたという事実、そして少なくとも、JRに対しての追加の採用も五回もしたということも含めて、それに協力をするということが、少なくとも私は、全国の皆さん方の平均的な国民の今の状況から考えれば、御協力いただいて、門戸を閉ざしていなかったということだけは私は理解していただきたいと思います。
  102. 富樫練三

    ○富樫練三君 そういう上でILOは勧告を出しているんですよ。問題が解決していないから勧告を出し、更にその後二回にわたって報告が出されている、こういう問題なんですね。  ですから、現時点で、今の時点で何が必要なのか、こういうことをきちんと考えなければならないと思うんです。四党合意というのは、これは労働組合で言えば国労と建交労ありますけれども、はっきりしているのは、建交労の鉄道本部は四党合意は受け入れていないわけなんですね。これは大臣も百も承知のことだと思うんです。ですから、四党合意を大前提にして問題解決しようとすれば、これは全面的な問題の解決にならないということは、その事実をもってもお分かりいただけるだろうと思うんですね。  この点に関して、ILOの報告、これは二〇〇二年の三月、今年の三月ですけれども日本政府に対して、二〇〇二年二月一日付けの書簡に含まれている建交労鉄道本部の見解に回答するように要請すると、日本政府に要請しているんですよ、ILOの方が。建交労に対してちゃんと回答しなさいと、誠意を持って対応しなさいと、こういうふうに要請されているわけなんですね。これについてどういう対応をしましたか。
  103. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今、四党合意は認められないというか、四党合意の上でILOの勧告が出ているんですよとおっしゃったことは、私は、事実、またそのとおりです。けれども、今おっしゃったILOの最終勧告が十二年の十一月、これ出されたのも御存じのとおりでございます。その勧告のフォローアップとして、少なくとも、ILOが十四年の二月、今おっしゃった、富樫議員がおっしゃった、二月に報告がなされたという事実もそのとおりでございます。  けれども、我々は、ILOの最終勧告というものはすべての関係者に対して四党合意の受入れを強く要請するということがポイントになっているというのも、これはもう富樫議員御存じのとおりでございます。  ですから、私は、少なくとも政府に対しては、このような問題解決に対します進展等のILOへの情報提供というものを要請する内容になっておりますので、私は、四党合意は、この件については人道的な観点から少なくとも政治的な解決を図ろうとするもので、政府の役割は私は与党の依頼を受けて対応するものであると思っておりますし、少なくとも平成十四年三月の今おっしゃったILOの報告書というのは、そのような四党合意の枠組みの中で政府に必要な役割を果たしなさいよというものを求めたものであることだけは事実でございまして、政府としては、私は、四党合意の枠組みの中でこれまでも与党の依頼を受けて対応してきたところでございますし、今後とも、私は、与党の依頼を受けて対処するというのが私はお互いに納得済みのことであろうと思っております。
  104. 富樫練三

    ○富樫練三君 大臣にもう一度、ILOの中間勧告と最終勧告、その後二回にわたって出された理事会の報告、これについてきちんと正確に理解をしていただきたいというふうに思います。  それは、公正な補償と話合いの場を、きちんと交渉の場をセットすると、それが政府の責任だということなんですね。それの前提として四党合意があるのではないと。先ほど大臣は四党合意に基づいてILOの勧告が出されたというふうに私が言ったというふうなニュアンスのことを言いましたが、それは違います。ILOの勧告というのは四党合意を前提としたものではないということはまずはっきりしておきたいと思います。  その上で、四党合意を受け入れてもらいたいという意見はあるけれども、しかし受け入れられないという組合がある以上、四党合意では問題の全面解決ができないというのは、これはもう当たり前のことですよね。  したがって、今年の三月のILOの報告の中では、その四党合意とは別途、別の形できちんと建交労には回答しなさいと、政府が責任を持って回答しなさいと、こういうふうに出したのもそういう点では当たり前のことであって、これにきちんと政府が答えることが大事なんだということであります。  その上で、そのILOの勧告というのは、結論から言うと、裁判のいかんにかかわらず、政府にはILOをちゃんと尊重する義務がある、責任があるという点についてもこの勧告は言っているわけなんですね。  ILOの諸条約というのは日本政府が自由意思で批准したものであって、司法機関を含むすべての国家機関が尊重しなければならないものであること、結社の自由に関するILOの諸条約を実行する責任は日本政府にあること、これを勧告の中で明らかにしています。  ここで言う、司法機関を含むすべての国家機関というふうに言っていますけれども、裁判所の判決がILOの第九十八号条約に合致したものになることを確信しているとまで言っているんですね。まさか日本の裁判所や日本の政府がILOの条約に反するような結論を出すはずはない、こういうふうに言っているわけでありますから、これは国際条約としてきちんと守らなければならない、こういうものだというふうに思います。  この点について、昨年の五月、衆議院の委員会で高須さんという政府参考人は、日本政府が締結いたしました条約に基づく義務というものは誠実に実施するということが、当然のことながら、日本の政府の責任であり義務である、こういうふうに衆議院の方で答弁しています。これは、司法機関を含むすべての国家機関が尊重しなければならないというこのILOの報告を、勧告を踏まえての答弁だなというふうに私は理解しているんですけれども、この点について大臣も当然このように理解しておりますね、確認をしておきたいと思います。
  105. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 私は、四党合意事項とILOの勧告は、私も今ILOの勧告手に持っております。ですから、私、富樫議員がおっしゃるように、それぞれの方々のそれぞれの言い分もあるし、また勧告もあるし、政府は政府として四党合意という、こういうものを皆さん方にこれを受け入れてくださいねということで、そのときは皆さん方もいいですよというお話も合意もありますが、私もお会いしましたから、四党合意を守ってくださいねと、四党合意を、これを受け入れなかったらもう二度とチャンスはありませんよと、そこまで私も失礼ですけれども申し上げさせていただいて、今の日本状況では四党合意をせめて受け入れてくださいよと、これだけ努力できているんですからという、当事者と私、話合いもいたしました。  その後で、今おっしゃった十四年の三月十五日、ここに私も手元に持っておりますILOの報告というものが出て、そして政府として今の、これ以上の遅延なく、真摯かつ意味のある交渉を開始するように再度強く要請すると書いてあります。  ですから、私は、その要請する中で、政府としては今、今まで決めたこの四党合意というものを皆さん方受け入れてくださいと、今までと同じように乗務員になり事務仕事をしてくださいと言ったら、その仕事は嫌だという。こういう、それは幾ら職業の選択の自由があるといっても、そういう受入れの手を差し伸べたことも受け入れられないと言われるのでは私は困るので、是非、富樫議員もその道のベテランでいらっしゃいますから、千四十七人の皆さん方に四党合意の事項をせめて私は受け入れてくださいということを御協力賜りたいと思います。政府としては、四党合意事項が私は基本的に合意できているものだと思って政府として対応します。
  106. 富樫練三

    ○富樫練三君 それはさっきもう言ったんです。  それで、私が聞いたのは、ILOの勧告では、司法機関を含むすべての国家機関が尊重しなければならないというふうにこの勧告の中で言っているでしょう。これについて、衆議院で政府参考人は、それは当然のことだと、こういうふうに答弁しているんだけれども大臣も同じ認識ですねと、こういうふうに聞いているんですよ。大臣が今言ったことは全然違うこと言っているんだからね。質問にちゃんと答えてくださいよ。
  107. 扇千景

    国務大臣扇千景君) そうではないです。それは一方的な参考人のお話を取り上げられる。私は、もっと政府としてお話を申し上げている。それは、ここに書いてあるように、「委員会は」と書いてあるんです。同じILOの勧告ですから、ILOの報告ですから、同じものを見ているんですから。私は、その中で、委員会は、更に交渉の開始が遅れると四党合意がその価値を失いかねないことに同意をして、これを、これ以上の遅延をなくしなさいよと、真摯かつ意味のある交渉を開始するように強く要請すると書いてあるんですから、そのために四党合意事項を私は推進して、皆さん理解を求めると申し上げている。
  108. 富樫練三

    ○富樫練三君 質問したことに答えてください。
  109. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 答えています。
  110. 富樫練三

    ○富樫練三君 司法機関の問題については答えていない。
  111. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 司法機関は私じゃないです。
  112. 富樫練三

    ○富樫練三君 これは政府に対する勧告なんですよ。司法機関に私は聞いているんじゃないですよ。私は政府に聞いているんですよ。政府として答えてくださいよ。
  113. 扇千景

    国務大臣扇千景君) だから、政府として、今ILOの勧告を申し上げたように、これ以上遅延したら四党合意が無効になりますよということで、四党合意事項を皆さん方理解してくださいとお話をしているということです。
  114. 富樫練三

    ○富樫練三君 四党合意については話合いの前提ではないということはもうはっきりしているわけですから、その次の問題について私は聞いているんです。もう話は次の段階に行っているんですよ。  それで、衆議院の方で政府参考人が答えた答弁について、そのとおりですねと、こういうふうに言っているわけですよ。司法機関も含めてすべての国家機関が、ILOの勧告は国際条約なんだから、これを守らなくちゃいけないんですよというふうに勧告は政府に対して出したんだから、政府はそういう理解でいいですねと、ここのところを確認をしましょうと、こう言っているんです。
  115. 扇千景

    国務大臣扇千景君) その同じILOの報告を私たちは尊重して四党合意を進めましょうと言っているんです。
  116. 富樫練三

    ○富樫練三君 やっぱり質問に答えていないんですよ。  すべての国家機関、司法機関を含んで、これはILOを尊重しますね。どうですか。
  117. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 批准しているんですから当然のことです。
  118. 富樫練三

    ○富樫練三君 すべての国家機関が、もちろん司法機関も含めて尊重するんだということになった上で、その上で改めてまた伺いましょう。  それは、今裁判をやっていますよね。裁判とILOの勧告とがずれるということも、これは普通はあり得ないわけですけれどもね。もちろん裁判も国際条約を尊重した形で裁判の判決は出るわけですから。しかし、そうじゃない場合ももしかするとあり得るかもしれない。その場合、大臣はどういうふうに判断しますか。
  119. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 判決が下ってみなければお答えできません。
  120. 富樫練三

    ○富樫練三君 そういうことではないんです。  大臣、政府は憲法に基づいて判断するという基準を外しちゃいけないと思うんです、どういう判決が出ようともね。これは憲法上、国際条約と国内法がどういうふうに位置付けられているか、大臣、どういう認識ですか。
  121. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 私は、日本の裁判所が国際法を無視して判決をすることもあり得ないと思いますし、国際法を見ないで私は判決することもあり得ないであろうと思っております。
  122. 富樫練三

    ○富樫練三君 国際法を無視して判決が出るということは通常はあり得ないと思うんですね。  大臣にここのところを確認しておきたいんですよ。憲法の九十八条の第二項では、「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。」となっています。これは学説上も考えてみれば当たり前のことなんですね。したがって、ここを基準にして考えればあり得ないだろうと思われるような判決だって、最近は出ることもありますよ。しかし、その場合に、この憲法に基づいて、大臣、判断しますね。
  123. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 法律というものを遵守するのは当たり前のことですけれども、即遵守できるか、あるいは国内の状況等々で時間が掛かるか、これはそれぞれの国で、基本的なものは変わらないにしても、その猶予期間というものもあるのは当然です。
  124. 富樫練三

    ○富樫練三君 大臣は、最終的にはもちろん守ると。多少時間掛かる、調整も必要だということはあるかもしれないけれども、最終的にはもちろん憲法に基づいて判断するということになれば、ILOのこの勧告の立場でこれからも対応すると、こういうことだろうと思うんです。  私は、この問題、ちょっと時間がもう半分過ぎましたので、既に十六年目に入ったわけなんですね、解決されないまま。この問題をこれ以上長引かせないということが大事だと思いますし、問題を一層複雑にしないということが大事だというふうに思います。  そういう点からいえば、裁判の結果待ちとか、あるいは四党合意の結果待ちとか、こういう方針ではなくて、これを根本から改めて、既にもう出されていて問題の方向ははっきりしているんですよ、ILOではっきりしたわけですから。その立場に立って、国労とそれから建交労の鉄道本部ですね、それぞれがJRと話合いをする、協議をする、交渉する、そしてILOが求めている公正な補償、これをきちんとできるような、これを政府にやりなさいと言っているわけだから、そういう場を設けること、これが今の政府に求められている、これがILOの勧告の中身なんですよ。  ですから、もう一回そこの原点に立ち返って、担当する大臣がそれにどれだけ真剣に取り組むか、ここが問われているということだと思うんです。そういうふうにILOの勧告を基本に据えた問題解決の積極的な努力を是非とも大臣に要請をしたいと思うんです。  この点について改めて大臣の見解を伺って、次の質問に入ります。
  125. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 私は、千四十七名の皆さん方は御家族もあろうと思います。まして、お子さんもいらっしゃると思います。今日まであらゆる手だてを何回となく差し伸べて、これではいかがでしょう、これではいかがでしょう、JRのときも四回、五回でしたか、就職もあっせんしました。あらゆることでノーと言われて今日まで長引いたことを、私は御本人たちも御家族もお子さんも望んでいらっしゃらないと思います。同じ同僚の皆さん方がこの苦しい中で転職して、しかも努力して、しかもJRというものに、民間になって、これほど国民に受け入れられて、旧国鉄と違うなと思われて歓迎されているということも、私は千四十七名の皆さん方の感覚というものもこれだけの年代を経て変わってきたと思います。  ですから、私は、ただただ自分の要求が通らないからということだけではなくて、お互いの社会情勢で、お互いの家族あるいは子供を持ちながら、皆さんが努力してみんなで改革していこうということに御賛同いただくために私は四党合意というものをお示ししたという、この基本原則だけは私は御理解いただいてもしかるべきではないかと思っております。
  126. 富樫練三

    ○富樫練三君 政府はやったやったと言っていますけれども、実はまだ問題解決しないわけですからね。これは政府の責任を果たしたということにはならないというふうに思いますので、改めてILO勧告に基づいた解決を求めたいと思います。  その上で、ちょっと時間がありませんので、公共施設、学校関係の耐震診断、耐震改修、この問題について伺いたいと思います。  一九九五年の阪神・淡路大震災から既に七年十か月が経過しました。たくさんの死傷者を出したわけでありますけれども、決してこういうことを繰り返してはならないということで、その年に新しい法律が制定されました。建築物の耐震化の促進に関する法律というわけであります。これは、特に昭和五十六年以前に建築された現行の耐震基準を満たさない建築物の被害が顕著であるということが調査の結果明らかになったわけで、これについてきちんと耐震改修を行おうと、こういう趣旨の法律であります。  この中では特定建築物というのが指定されておりますけれども、実は七月の一日に地震防災施設の整備状況に関する調査の中間報告というのが出されました。その中では、防災上重要な施設として学校とか体育館などが、医療施設やあるいは高齢者の施設なども出されていますけれども、この防災上重要な施設の耐震化率、これは現状で、この間の調査ではどういうふうになっているか、かいつまんで御報告をいただきたいと思います。
  127. 松野仁

    政府参考人松野仁君) お答えいたします。  公共建築物の耐震化の状況に対するお尋ねでございますが、内閣府中央防災会議の報告によりますと、公共建築物の耐震化率は、医療機関で五六・七%、社会福祉施設で六七%、小中学校等で四五・七%、小中学校等体育館で四八・四%、公民館等の公的建造物で五二・八%などとなっております。
  128. 富樫練三

    ○富樫練三君 ちょっと大臣に基本的な認識を伺っておきたいと思うんですけれども、今の報告の中で、小中学校などについては四五・七%で、体育館などについて四八・四%ということは、教育関係の方が半分以下になっていると。それ以外でも五〇%から六〇%ぐらいと。新しい法律ができて七年、あの大震災からは七年十か月たって、現在まだ半分程度だということなんですけれども、中央防災会議でもこの点についてはかなり重視しているだろうというふうに思いますが、こういう現状について大臣はどのような認識でしょうか。
  129. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 特に、私も神戸出身ですから、阪神・淡路大震災以来、あらゆる公共工事の中で、特に病院とかあるいは学校とか、弱者の皆さん方、少なくとも子供たちがあれだけ被害を負ったということで、私はまず学校なり医療機関なり等々、そういう皆さんのところに耐震性を重視するということは大事なことだと基本的には認識をしておりますので、どの程度補助ができるかということも含めて私は重要視しなければならないと思っています。
  130. 富樫練三

    ○富樫練三君 大変事態は私は深刻だというふうに思うんですね。  そこで、二つ提案があるんです。  現在の耐震改修法について言えば、これはこういう公共施設や特定建築物、あるいは防災上重要な施設、学校とか公民館とか病院とか、こういうところが耐震補強することが義務化されていないんですね。努力義務になっているんですよ。だから、できるだけやりなさいと、こうなっているんですね。これがやっぱり遅れている一つの原因だろうと思うんですね。  そこで、第一は、法改正をしてこれはきちんと義務化をする、こういう公共的なものについては、これが必要だろうと。二つ目は、義務化すれば地方自治体はお金掛かりますよ、やっぱり。だから、義務化するんだったらちゃんとお金の手当てもやってくれというのは当たり前のことであって、したがって国としての、義務化した上で、第二番目として財政的な支援を強化すると。そのことによって緊急にこれらの耐震化率を高めるということが、今度の法律の基本にもある国民の命や財産を守る、この法律の趣旨を実行することになるのではないかと。この点について是非御検討いただきたいと思うんですけれども大臣、いかがでしょうか。
  131. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 本当に大事なことだと思いますけれども、少なくともこういう公共建造物、こういうものに対する耐震性というものは、私はそれぞれの、今おっしゃったように、国が義務付けをする、そういうことによって少なくとも私は各地方公共団体、これに行くわけですから、その地方公共団体に国としてそれをどういうふうにして支援していくかということが私は問題になってきて、国と地方公共団体の関係になってくると思うんですね。  少なくとも私は急がなきゃいけないと思いますのは、各公共施設というものを所管する地方自治体、またその所管する省庁、こういうところで私は少なくとも、補助制度の活用も含めてですけれども、まず第一には耐震の診断、どの程度これが耐え得るのかという耐震診断と耐震改修のマニュアル作り、これが私は一番初歩的な第一歩だと思っております。それが第一。  二つ目には、少なくとも国土交通省所管の補助制度というものを活用した支援、それが地方と国との私は連携だと思いますので、まず診断をしていただいて、こういうマニュアルなら幾ら掛かるということも私は地方公共団体、地方自治体、そして所管の省庁と連携をして作っていただいて、そして国と地方の在り方に私は第二段階として持っていくべきだと思っております。
  132. 富樫練三

    ○富樫練三君 皆さんのお手元に資料をお配りしてあります。(資料を示す)  この一枚紙なんですけれども、この資料を見ていただきたいんですけれども、これは、ちょうどこの資料の真ん中のところにグラフがあります。グラフといっても丸がたくさん打ってあるグラフなんですけれども。これは阪神大震災のときに、被害状況について当時の文部省が日本建築学会に委嘱して行った文教施設の被害度調査であります。これは校舎を中心として鉄筋コンクリートの建物、いつごろ建てた建物が被害が一番大きいかというのがこれによって分かると、こういう仕組みになっています。  一番右側の縦の線が一九八一年、いわゆる昭和五十六年の建築基準法の耐震基準が改正された年です、これは。右から二番目の縦の線が七一年、昭和四十六年、これは旧耐震法が作られた年ということになります。それから、真ん中の横の点線がありますけれども、ちょうど五〇というところ、これより上の方が大破、倒壊、下の方が中破ということになっています。このグラフで明らかなように、一九八一年の縦の線よりも左側のところに実は大破も中破も集中していると。したがって、新耐震基準以前に建てられた建物、これが危ないということが言えるということだと思うんです。  今まで文部省も文部科学省も調査をしてまいりましたけれども、今までの調査の結果で、全国の小中学校などで危ないと思われる、すなわち五十六年新耐震以前に建てられた建物というのはどのくらい残っているのか、耐震基準に合格していないだろうと推測されるもの、詳しい資料というのは恐らくないでしょうから、大体どのぐらいの数があるのか、これを明らかにしていただきたいと思います。今日は文部科学省からもおいでいただいていると思いますけれども
  133. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) お答えをいたします。  公立学校施設につきましては、児童生徒等の安全を確保するとともに、非常災害時における地域住民の応急避難場所としての役割を果たすことが期待されておりますことから、耐震性能の向上を図ることは大変重要な課題であると私ども考えておるところでございます。  お尋ねの件につきましては、本年五月に私どもとして調査をいたしましたが、その調査結果によりますと、公立小中学校の校舎等の約五七%に当たる七万六千五百棟に耐震性があり、五万七千棟、約四三%に耐震性に問題があると私どもは推計をいたしておるところでございます。また、昭和五十六年以前の新耐震基準で設計されていない建物の耐震診断の実施率は全国平均で約三割程度にとどまっております。各県でその実施状況に大きな差があること等もこの調査で私どもが判明できたところでございます。
  134. 富樫練三

    ○富樫練三君 そうすると、大体全国で五万七千棟、五万七千棟が地震が来たら危ないという校舎があると、こういうことですね。これは体育館は除いているわけですよね、四三%だと。  私は埼玉県に住んでいるわけです。埼玉全体で見ますとこれは大変な状況で、校舎と体育館を合わせまして二千七百棟、全体の八七%ぐらいが耐震上問題があると。今回合併しまして百万都市になったさいたま市の場合でいいますと、これは校舎、体育館全体で三百八十七棟、九四%が耐震上問題があるということなんですね。埼玉県の場合は七〇年代に人口が急増して学校がどんどん造られました。この学校がちょうど今古くなって建て替えの時期に来ていると。これらが五十六年の新耐震基準の以前の建物になっているというところからこういう実態になっているということが言えると思うんです。財政上一番大変な状況だというふうに思います。  そこで、改めて文部科学省に伺いますけれども、この五万七千棟を、実は今度の概算要求では三百億円耐震関連を増やして、それで約一千二百億円の予算を付けた要求をしたと、こういうふうに言われているわけなんですけれども、その五万七千棟を毎年来年度並みの一千二百億円の予算で改修をしていった場合に、概算で何年掛かりますか。
  135. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 先生お話しのございましたように、十五年度の概算要求におきましては私ども公立学校施設整備費について一千七百円を要求いたしまして、このうち耐震化・老朽対策につきましては──千七百億円でございます、失礼いたしました。対前年比約三百億増で、耐震化・老朽化対策につきましては一千二百二十八億円を計上しておるところでございます。  現在、我が省では各学校の設置者に対しまして耐震診断の実施計画の策定を依頼しておるところでございまして、まずはこの耐震診断の結果等を踏まえまして、各設置者、これは市町村等になりますけれども、決定される耐震改修を含めた学校施設に関する整備計画に支障を来すことのないように、必要な予算額を今後とも確保すべく最大限の努力をしてまいりたいと思っております。
  136. 富樫練三

    ○富樫練三君 私はあと何年掛かるんですかと聞いたんですよ。毎年来年度予算と同じように一千二百億円ずつでやっていった場合に、ここでいう五万七千棟をこれ改修しなくちゃいけないんでしょう。耐震上問題があるというんだから。それをやっていったら、毎年毎年一千二百億円ずつつぎ込んでやっていけばあと何年掛かりますかと。答えてくださいよ。
  137. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 先ほどお話をいたしましたように、耐震性に問題があると推計された公立学校の建物が約五万七千棟あるわけでございますが、この五万七千棟につきましてはあくまでも数字上の推計でございます。これから児童生徒の数が減ってまいりまして、学校の統廃合も進んでまいります。一方では市町村の合併という話もございまして、この五万七千棟のすべてが耐震化を図るべき対象となるかという不確定の要素があるわけでございます。  ですから、先生おっしゃいますように、今回概算要求で一千二百二十億円余の耐震化のための対策を計上させていただきましたけれども、これを前提に推計をするのはなかなか難しいわけでございます。可変要素があって難しいわけでございますけれども、相当の年数が掛かるということは言えようかと思います。
  138. 富樫練三

    ○富樫練三君 何、結論は。
  139. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 相当の年数が掛かるということは言えようかと思います。
  140. 富樫練三

    ○富樫練三君 ちょっと時間なので、私が文部科学省に言って計算してもらった数字を言いますよ。七十五年掛かるというんです。七十五年ですよ。そうしたら、今造った学校、二回目の改修に入らなくちゃいけない、そういう時期ですよ。  ここで、閣僚であります、これは直接文部科学省を担当しているわけではありませんけれども、地震関係については担当の大臣でも、関連もありますので。七十五年掛かるんじゃ、これはもう耐震対策とは言えないと。当たり前のことだと思うんですね。したがって、財政問題ももちろん必要なんだけれども、緊急整備計画というものを作って、公共的な建物等、学校を含めて、特に法律で言っている特定建築物、これについての緊急整備計画を立てて短い時間の年次計画でやっていく、抜本的な対策をここで打たなければ私は手後れになるだろうというふうに思いますけれども大臣の最後に所見を伺います。
  141. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 先ほども申しましたように、耐震性の建築物にするというのは基本的なことですけれども、私は、全国、日本列島、地震列島だと言っても差し支えない。しかも、国土交通省として気象庁と協力して断層図というものも全国張り巡らして全部発表いたしました、阪神・淡路大震災の後。それぞれの学校が断層面の上にあるのかないのかということでも補強の私は強弱があってしかるべき。  今、文部科学省からお返事がありましたように、各学校によっては少し手を入れるだけでいいものと、あるいは安全なところへ合併しようというものもあるし、私は、いろんな手だてが、地方自治体で知恵があると思いますけれども、緊急性を要するものは当然しなければいけないと。それでなければ子供たちが安心して学校に通えない、親も気が気でないと。親の家が駄目でも学校があったら学校へ逃れようという、学校が避難場所になっているところもあるんですから。その学校が一番危ないというんじゃ、これはもう逃げようがないので。  そういう意味では、私は、耐震性の強弱はあるものも、強という診断が出た以上は、先ほども申しましたように、まず診断することが大事だと私は申しました。その診断によっては、私は、あらゆる手だて、補助金を使うのもしかり、あるいは地方団体と、これだけ要るんだという、これも出していただくのもしかり。ですから、その断層の上にあるかないか、あるいは耐震性が新しい耐震建築法に適しているかどうか、それも含めて、私は、まず診断をしていただいて届けていただくことによってできる限りの協力をし、できる限り早く耐震性を施すというのは当然のことだと思っております。
  142. 富樫練三

    ○富樫練三君 終わります。
  143. 田名部匡省

    田名部匡省君 大分最後になってきますといろいろ質問されたこともありますので、それを省いて質問をしていきたいと、こう思います。  最初に、海上保安庁長官、おいでになっていますね。いいですか。  あの不審船を引き揚げて、断片的にはマスコミを通じて分かるんですけれども、一体全体どういう意図で、どういうことがあの不審船を引き揚げて分かったか、これからまだまだ調査をしなきゃならぬのか、その辺をひとつ簡明にお答えいただきたいと思います。
  144. 深谷憲一

    政府参考人深谷憲一君) お答え申し上げます。  昨年十二月の二十二日に発生しました事件につきましては、既に御案内のとおりでございますが、その当該船舶につきましては、現地での引揚げ作業を鋭意進めて、その結果、十月の六日に陸揚げが完了いたしました。現在、その船体の構造ですとか性能等にかかわる詳細な検分を行っている最中でございます。  いわゆるその際に私どもといたしましては北朝鮮の工作船であるというふうに断定を証拠物からいたしたわけでございますけれども、この当該船舶がどういう行動、活動をしていたか、これにつきましては、いろいろ薬物等のことも指摘されますけれども、現時点ではまだ具体的な解明までには至っておりません。  なお、先ほど申し上げましたように、陸揚げ後、その船体の構造あるいは船内からの種々の揚収物、こういったものを含めまして、その証拠に基づきましてこれらの鑑定を進め、引き続き捜査を現在継続中でございます。
  145. 田名部匡省

    田名部匡省君 全部解明しなくても、北朝鮮のもので、大体こういうふうに使われたなというのはもう分かっているでしょう。何で向こうに聞かないんですか、解明するまで。だから、私はそこがおかしいと思うんです。これは、拉致問題で今こんなに騒いでいるときに、こんなこと全部分かるまでやっている必要があるんだろうかと、そういうふうに思うんですね。何でその交渉のときに併せてこれをやらないんだろうなと、こう思って不思議でしようがないんです。  それからもう一つ、私は前にも言ったんですよ。海上保安庁がその不審船を追い掛けて銃撃されると、それで私は前にも大臣に言ったと思うんですが、アメリカでもカナダでもどこでもロシアでもコーストガードなんですね。だから、海上保安庁は諸外国のコーストガードみたいなことが日本ができるのかどうか。海上自衛隊ならもうそれはいろんな装備を持ってやれるけれども、それじゃあれだというので、私は、コーストガードを日本でもやっぱり作って、そういうときにはもう機能的にぼんぼん行けるということをやったらどうでしょうかと前にも申し上げたんですが、これについてはどうお考えですか。
  146. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 何しろ、田名部議員御存じのとおり、戦後初の銃撃戦というものを経験した。今まで、戦後、今日まで一度も銃撃戦という経験はありません。しかも、国土の十一倍の面積を海上保安庁が所管するということだけでも私は、この国土の十一倍をいかにして海上保安庁が限られた船隻、限られた空港で監視するかということは私は大変なことであると思っております。  今おっしゃったように、外国のようにコーストガードというものできちんとしたらどうかということでありますけれども、我々は、戦後、今日まで他国に脅威を与えないということで最小必要限の整備をして、そしてもしも何かあるときにはまず海の警察隊である海上保安庁が出ていってそれに対処をするというのが、ここに前海上保安庁長官もいらっしゃいますけれども、今、新たな長官も答えましたように、我々としては、他国に脅威を与えないけれども日本国民の安全と安心の確保のために最小最低限の武器で最小最低限の労力で人数でこの国土の十一倍の海面を守っているというのが現実でございまして、私は、今おっしゃったように、コーストガード的なドンドン、パンパン、パチパチ何とかとすぐやってはいけないということで、まず、海上保安庁は海の警察隊であるというその認識の下に、他国に脅威を与えないように努力し、最大限に国民の安全、安心のために協力して、しかもなおかつ働いているというこの苦しさを是非御理解をいただいて、私は今後も支援していただきたい。  今回のように、初めて百数十発の銃弾を受けて、三名の海上保安庁職員が負傷するという事態を初めて経験したわけですから、私は、少なくとも来年度予算で、操縦席には防弾ガラスの一枚も入れるぐらいなことは当然今までしておくべきだった、遅きに失したけれども、少なくとも、今回の「あまみ」のような銃弾を受けても少なくとも防弾ガラスぐらいは整備するのが当然であるという、その立場に立って、来年度予算も組み、海上保安庁職員が安心して働けるように我々は最大限の努力をしていきたいと思っております。
  147. 田名部匡省

    田名部匡省君 何もドンパチをやりに行けというんではないんですよ。領海侵犯をされたときにどう対処するかという話でしょう。それで、防弾ガラスを付けてなんと言うけれども、乗っていく人の身になって、私はアフガンのときも申し上げましたよ、あの集中審議のときに。行く海上自衛隊員の身になって、すべての装備を持たせてやったらどうですかと。行く人の身になって物を考えなきゃ。そこへ行く人は、それは防弾ガラス付けただけで行け行けと言ったって、相手は何を持っているか分からぬわけですから。  どうもその考えというのが私はよく分からないけれども、何もこっちから行って、先に領海外のところへ行って機関銃撃て、ミサイルぶち込めという話でないですよ。そういうときにやっぱりきちっと対応できる、それが海上保安庁でできるんですかと。もしあのときに何人か殺されておったら、これは大騒ぎになったですよ。  だから、そういう基本というのを僕は何でも、もう政治でもそれから教育でも事業でもスポーツでも基本が大事なんですよ。この国は基本というのをしっかりしていない。だから、その都度、基本があっちへ行ったりこっちへ行ったりする。基本というのは、スポーツで例えて申し上げますと、頭の中であったって使えないですよ。その基本練習を毎日訓練して、どうにでも動くように基本というものを身に付けさすんです。今のいろんなことを見ておって、頭の中には基本はあるけれども行動するときにはその基本が使えない、こういうことでは私はいかぬのではないかと。  これにばかりあれしてもいられませんから、もうちょっと検討してみたらどうですか。専守防衛だ、専守防衛だと言いながら、何でアフガンの方にまで行くんですか。あれじゃ専守防衛にならぬですよということもあのときに申し上げましたよね。ですから、そういうことをきちっとしないと、専守防衛というのはこの辺で守っているのが専守防衛で、それはいろんな手伝いに行ったかもしれぬけれども。この問題、どうぞ、もう結構です。  それから、私はいつもこの委員会で申し上げるんですけれども、少子高齢化時代というものはもうこれは待ったなしに来るわけです。その時代にどういう対応をするかということが頭にないと、もう何作ったって、あなた、少子化になって高齢化時代に対応できるようなことをやっているのかというと、私はやっていないと思うんです。  一体このことをどう考えておられるのか。これ、大臣にもう簡単にひとつお答えいただけませんか。
  148. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今の不審船のことに関してはきちんと私は答えを言っておきたいと思います。  それは、日朝交渉の中で今月の半ばごろに安全保障協議をするということになっております。ですから、そこできちんと、向こうが、北のトップがきちんと工作船であると明言したわけですから、二度とこういうことを起こさせないと言っているわけですから、安全保障協議会で私はきちんと両国で話し合うということだけは田名部議員にも是非御協力を賜り、御認識賜りたいということを一点だけ申し添えます。  少子高齢化社会に対してどうするかというお話ですけれども、まず、私は少なくともこれから、今、税制も含めて景気対策を練っています。そのときに、それぞれが一軒の世帯を持っているのではなくて、このデフレ時代に千四百兆と言われる、少なくとも六十歳以上が五〇%を持っているという預貯金をいかに動かすかということ、そして歯抜けになっている仮死状態の土地をいかに生かしていくかと、これが私は少なくとも大きな問題だと思って、今回、税制改革で我々が言っておりますことは、老齢化社会に老夫婦二人だけは子供たちに面倒を見てもらえないから不安だということで預貯金をするわけです。老後の安心のために預貯金をしているわけです。ですから、それをどうか二世帯同居、今までは住宅に関しては新築だけしか私は免除されませんでしたけれども、今回は中古でも建て増しでもあるいは増築でも、この枠というものを広げようと。生前贈与という形でも、五百五十万というのを少なくとも二千万か三千万まで枠を広げていただいたら、おじいちゃん、おばあちゃん二人だけで老後が心配だから、子供に見られないかもしれないからと言っている預貯金を、子供たちと同居をすることによって建て増しも中古の建て替えも、そして全部それだけの枠を広げてもらおうということで、今後の税制にかかわることですけれども、これが景気浮揚にもなるし、今動かない資産というものの千四百兆を動かすことにもなり、なおかつ経済効果も上がるということで、老齢社会に対してまず住宅面から我々は手を差し伸べていこうということを考えておりますので、その一端だけ取りあえず申し上げます。
  149. 田名部匡省

    田名部匡省君 これは何日か前の新聞ですけれども、二〇五〇年には、もう皆さん新聞ごらんになったと思うんですが、中位の推計で一億人、大体、それから低位の推計で九千万、二一〇〇年にはもう五千万人を割ると。これは推計ですから分かりませんよ。分かりませんが、こういう時代日本をどうあるべきかというこの基本がしっかりしていないと私は思うんです。  ですから、大臣もしきりに答弁される、無駄とかでたらめな運営とか天下り、子会社、孫会社、いろんなことを答弁の中で言われますけれども、それもその一つだと思うんです。こんなでたらめをやられたら、私は宮澤大蔵大臣にバランスシートの話しましたよね、本会議場で。それで、やってくれました。それだって、連結決算なんかやらないと駄目ですよと。いつも言うようだけれども、災害で橋が流れると新しい橋を架けると、古い橋まで資産になっているんですから。そういうことを、償却、除却というものを企業会計のようにきちっとやってみて、それで八百三十九兆円ですか、何かこの間新聞に出ておったが、それをやってみたらこうなったというのが出ておるでしょう。  しかも、これだけじゃないですよ、もう毎日、新聞に出てくるのは。道路公団もそれできちっとやってみたら七兆円の債務だと。あるいは、塩漬けの土地が、都市公団ニュータウンで塩漬けが一兆一千七百億だと、こんなことばかりマスコミを通じて出てくるんです。都市再開発だって、これはもう地価が下がっちゃって、二千七百五十一億目減りだと。というのばかりでしょう。一体どうするんです。  それで、私のところにも、前にもこれは委員会でやりましたが、地域整備公団だとか、昭和五十一年に六戸町に金矢工業団地というのを造ったんですよ。一割売れたっきり、いまだに一割ですよ。何十年たちます、五十一年に造ったの。むつ小川原だってそうでしょう。あれだけ広大なのを買収して何にもできていない。それから、三内の遺跡出た丸山ですね。これにはもう青森中核工業団地で百億近い事業費を掛けて、さっぱり入っていないんですよ。それから、八戸にも今、中核工業団地がありますが、入っていない。それで、どうするのかと言ったら、地域整備公団が四千億ぐらい掛けて貸し工場をやるというんですから。貸し工場を建てなきゃならぬほど工業団地はがらがらなんです。  これは一遍詳しく、どこの所管ですか、担当は、一遍出してみてくださいよ。日本じゅうの工業団地が、国ばかりでない、いろんなところあるでしょうから、どうなっているのかというのを。どうですか、これ。
  150. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今、田名部議員がおっしゃっているのは経済産業省だと思います。地域振興計画というものが当時ございまして、バブルのときにはあらゆるところでいろんな計画があって、私は手を出したと思って、今そういうものが、バブルが崩壊したとともに政策的にも随分無駄になって、空き家同然というのもあります。  また、大きなところで、リゾート法というものをすぐに活用して、そこらじゅうリゾート、リゾートといって、これも効果が発揮できないで赤字の垂れ流しというものもございますけれども、これは経済産業省のときに是非お呼びいただいて数字をお聞きいただくと有り難いと思います。
  151. 田名部匡省

    田名部匡省君 じゃ、国土交通省にはないのかなと思うんですが、どうなんですか。国土交通省所管でやっているものというのはないんですか。
  152. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) 地域振興整備公団につきましては、地方都市整備業務を旧建設省、現在の国土交通省が主に担当しておりまして、工業再配置部門については経済産業省の担当ということでございます。地方都市整備事業、全国で十数か所やっておりまして、それぞれの場所で事情は、いろんな事情はございますが、よくやっているところ、あるいはまだ少し売れていないところ、いろいろございます。
  153. 田名部匡省

    田名部匡省君 一遍全部出してみてくださいよ。これはもう各省ばらばらだから、行政監視委員会でやるしかないと思うんですが。  ただ、中国のことを僕はもうしょっちゅう言うんですが、低価格の製品ができて競争になるんです。それと、コピーがもうはんらんしていますから。で、みんな企業がやっぱり逃げていっちゃうというようなこと等を考えて、今言った少子高齢化の中で一体労働力をどう確保するのか。いろんな問題ありますよ。これは大き過ぎるからここだけでやれぬのは分かりますけれどもね。だから、大臣、それは閣議というものがあるんですから、そういうときによく主張していただきたいと、こう思います。  そこで、大臣、この間のこれを、私もずっと大臣発言を読んで分からぬことが多過ぎるんですよね。何をやろうとしてこういう発言をされたのかということで若干お聞きをしたいんですが、自立した個人の暮らしの実現ということで、これは具体的にはどういうことでしょうか。
  154. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今、個々のことでいきなり言われてどれだったっけなと思っているんですけれども。  私は、改めて均衡ある国土の発展というよりも、個性ある地域の発展といった中にも私はそれは適合すると思いますし、少なくとも自立したというのは、地方自治体がそれぞれ特性を生かしていただきたいと。さっきも私申し上げましたけれども佐藤議員のときにも申し上げました。各県だけではなくて、ブロックの個性を生かしてほしいということを申し上げましたので、私はそういう意味に取っていただきたいと思いますし、そして、今申しましたように、少子高齢社会だとおっしゃいました。そのとおりです。けれども、我々はあらゆる面で、デフレのときになって、その個人の自主、自立、そしてこれは防災のときにも言えるんですけれども、まず私は自分で自助、そして自助、公助、お互いに助ける。そして互助、そして最後が公助なんです。  ですから、そういう意味でまず自分が老齢化社会にはきちんとしたものを持っていただきたいというのが基本であると。これは防災に関しても長い間お答えしておりましたので今ちょっとあれしましたけれども、そういう意味で、我々は個人的な、まず老齢社会に対しては、すべてのものが何もかも受けられるということではなくて、まず自助が一番大事であるということは国土交通行政にも言えることですし、個人の防災にも言えることですし、まず老後の安定ということにも適用できると思っております。
  155. 田名部匡省

    田名部匡省君 これ見ただけでは老後のことが思い浮かばなかったんですが、いずれにしても自立していないと思われるから自立したというふうに言われたんだなと、こう思って聞いておりました。  これ、自立していないという、できていないと、国民が。これはなぜかというと、法律や規則で縛って、個々の創意工夫の中でそういうことが生かされていない国だから、何か困れば国がしてくれると思うから、何にも考えることもないし、することもない。だから、やっぱり私はあの地方分権で、財源を渡したら、地域の人が考えてみんなでどれをやるかやめるか、そういうふうにしない限りはこの国民は自立できないと思っているんですよ。何かやろうと思うともうがんじがらめになるということだろうと思うんです。  こればかりやっておれませんから、次に、「競争力のある経済社会」、「多様性のある地域の形成を目標に推進」と。これ具体的にどういうことなのかなと。この内容は、この意味はどういうことですか。
  156. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 何ページか分かりませんけれども、私が申し上げましたことは、少なくとも我々は今まで、この構造特区とか、あるいは今度特区を作るとか、いろんなことを言っておりますけれども、まず構造改革をする原点というのは、私は今おっしゃった地域の特性を生かすことだと思っています。そういう意味では、今、田名部議員がおっしゃったように、先ほども私お答えしましたけれども、それぞれの地域の特性を生かしたものを出してくださいと。そして、これだけ決めた特区の中であらゆる基準を全部撤廃して、そして民間皆さん方が努力しています。  例えば、近くでいえば、あそこの、個人的なことを言っちゃいけないのかな、いや、でも一番分かりいいですから。国会から一番近いところで、全日空ホテルのあの一帯が改革しましたね。そして、今、六本木六丁目の旧テレビ朝日の跡もこれ改革しています。今度は防衛庁の跡の十ヘクタールもやります。表参道の同潤会も、これも十ヘクタールある。そのようにあらゆるところで民間があれ全部やっているんです。  ですから、民間の活力を生かすということに、それはその地域の個性を民間がやっていらっしゃるんですから、それを我々も取り入れて一体的にやっていこうと。ですから、構造改革も特区もあらゆる規制を撤廃して、地域がおっしゃる希望どおりに、今回も四百数十出ています。ですから、それをやっていこうということであります。
  157. 田名部匡省

    田名部匡省君 通告していないから答えにくいんだろうと思うんですが、競争力のある経済社会というのは、あるいは多様性のある地域の形成を目標に進めるんだと、こう言うから、それはどういうことですかと申し上げたので、私は。公益法人を作ったり、みんな横並びで競争しない、そんな業界を作って支援してきたんでしょう、今まで。分かりますか、意味。  だから、例えば理容業だってそうですよ。浴場組合とかいろんな、その中でもう規制だらけで。私はよく理容へ行って、新しく開店した店に、何時から何時までだと、月曜日は休みだと、こういうことをやられるんですよね。古い店は借金済んじゃっているからいいけれども、新しくやったところはそんな時間に関係なくもっと働きたいと思っているわけですね。しかし、それはもうがんじがらめにされると、一つ言ってみればね。おふろも距離のあれがある、サウナは別ですとか近くてもいいんだとか、何でこんなことをするのかなと思うことが一杯あるんです。  だから、競争力のあるといったって、競争しない仕組みをこれ作っているんですから、そういうことを撤廃しない限りはうまくいかないだろう。中には組合に加盟しないで、アウトサイダーで勝手にやっている人たちがあるんですよ、理容だって。だから、そういうことを言っているのかなと、こう思ったからそう質問したんです。  それから次に、我が国全体として、これ大臣のあれでしょう、構造改革が求められている中、制度、政策を抜本的に改革と、こう言われているんですが、大体構造改革のことは分かりましたよ、さっきの説明で。地方の知恵とか工夫によって、そして全部やってくださいということのようですから、地域のことは地域に任せるというのは一番いいことだと思うんです。  私は、農林大臣のときに、地域の実情ということを法律に入れろというので大げんかした。それは、北東北、北海道は雪が降りますから、沖縄の方は雪は降りませんし、企業的感覚を入れろと、入れたんですよ、あのとき。それは猛反対されて、あれを法律の中に書き込んだんだ。今になると、株式会社、僕はあのとき参入させろと言うのに、今ごろになって、十年もたってからだんだん参入させる話が出てきている。そういうことだと思うんです。このことはもう答弁求めませんが。  もう一つ事業分野別の計画から社会資本整備重点化、集中化へ計画転換するというのは、これどういうふうに理解したらよろしいですか。
  158. 扇千景

    国務大臣扇千景君) これは、小泉総理からこれも厳命をされております。  それは、厳命されなくても、少なくとも田名部議員御存じだと思いますけれども国土交通省、旧建設、旧運輸、北海道開発庁、国土庁一緒になって、四省庁統合して長期計画というものが十本ございます。その中で八本までは十四年度で切れるんです。そして、十五年度一つ入れたら九本になる。十本のうち九本、来年度の治水も入れれば、これは農林水産省と共管でございますけれども、これを入れて九本を、旧運輸、旧建設で立てた長期計画ですけれども、今度は国土交通省に変わったんですから、四省庁統合したんですから、長期計画もすべて見直してこれを一本にしようというところまで私たちは努力しております。  そうすることによって、道路もあるいは治水も全部一体となった案を作ることによってコストダウンとそして効率化を図れるということでこのことを申し上げているのでありまして、私は、旧建設、旧運輸というものが一緒になったという、その効率を目に見えて見せるのがこの長期計画の見直しであると思っております。
  159. 田名部匡省

    田名部匡省君 この中にコスト構造の改革と事業評価の実施というのがあるんですが、これは、コスト構造というのは大体こんなことかなというのは分かるんですが、よく、これもやっぱり地方に任してもらわぬといかぬのは一杯あるんですね。  例えば、採石場が幾つかあるんですね。積算するときは一番近いところから設計しているんです。そこらはもう買えない、そこは。そうすると遠くから買ってこなきゃならない。そうすると運賃が掛かるんですね。そこを見ておっても、そこで買えないということになると、業者がこれ負担してやらなきゃならない。  それから、冬季工事、私の方は雪が降りますから本当は暦年制にしてやってくれるといいんだけれども、春先五月ごろ入札が出て、工事を始めて、学校なんかだと十一月、十二月ごろにコンクリートを打つんですよ。そうすると、もう冬になるから外を覆っちゃって、それで今度は、仕上げのためにはヒーター掛けて教室ごとに乾かさなきゃならない。そんなものは設計に見てないんですね。  ですから、同じことを、沖縄や九州と北海道や青森の方を同じことでやられても、これはできないということになる。ですから、こんなコスト構造というんならば、そういうことも、できないところもみんな基準が同じでやるというのは問題じゃないかなと、こう思っているんですが、これについてはどうですか。
  160. 扇千景

    国務大臣扇千景君) それも、先ほど私が申し上げたのは、全国統一した基準で、統一した国土の、均衡ある国土の発展という基準を作ってきたからそういう問題も起きてくるので、私は個性ある地域の発展というのは、今おっしゃった正にそのとおりで、九州は九州、沖縄は沖縄、北海道は北海道なりの私は、地域の個性を出していただいて、それぞれの予算の使い方はブロックで決めてくださいと、私、全国そう言って回って、懇談会を十ブロックに分けて作ってあるわけですから、そういう意味で私は、今後そういうことを。ただ、問題は、その地域も受皿を確実に作っていただきたいということで、それぞれの規制を外したときに、それぞれの地域がそれを受皿として作るかと。  だから私は、規制を撤廃するだけではなくて、金額もそこへ乗せて地域で割り振ってくださいと。そこまで私は、懇談会を立ち上げてありますので、青森も私は行って、皆さん方に、青森だけではなくて東北ブロックということでやっておりますので、そこで私は受皿を作っていただいて、個性ある地域の発展と個性ある予算の使い方なりあるいは計画を、公共工事計画を出してくださることが一番私は地域に準じたいい案だと思って、それでコスト削減も図れればなお有り難いという意味でございます。
  161. 田名部匡省

    田名部匡省君 この中にデフレ解消のため民需の自律的拡大ということを言われているんですが、このため、土地流動化でありますとか有効利用、地価下落に私は歯止め掛かるのかなと、こう思うんですね。  例えば、私の青森県の企業倒産、一月から九月まで、これ一千万以上ですけれども、負債の累計で六百八十三億なんです。もうピーク時の売上高が三割から五割減っちゃっているんですね。地域の大手企業の倒産がどんどん増えてきている。有効求人倍率は青森県では〇・二八です。もう二か月連続全国最下位です。加えて政府は、不良債権処理について、銀行の資産査定を今度はぴしっといくということになると、危なそうなところへ貸しませんよ、不良債権が増えちゃうんですから。  だから、そういうことをもうちょっと、どうも皆さん事業を経験されたことあるかどうか分かりませんが、役所の皆さんもないでしょう、事業経験が。だから、使うことは熱心だが、こういう実態というのをよく分かっていただいていないと景気は良くなりませんよ。私は、デフレ解消なんと言うけれども、それは消費が伸びないところに景気が良くなるわけがないんです、こんなに倒産して。  だから私は、青森県で今、四、五十代の男性が毎日一人自殺している、毎日。それはローンで車を買った、ローンで住宅建てた、払えなくなって、おかしなところへ金借りに行ったものだから、毎日脅かされるものだから自殺しちゃう。四、五十代というと、残された子供というのはまだ大人じゃありませんからね。一体どうするんだろうと、これを。毎日一人自殺している。これ、日本全体で見たって大変なものでしょう。  だから、いずれにしても、この不況を簡単にやるというのは難しいですよ。だとすれば、無駄なのに使わない、今。さっきも高速道路の話あったけれども、私はもう地方に財政渡して、財源渡して、道路をやる、どうしてもやりたい、やれば良くなるというところは造ればいい。いや、介護施設の方が必要だと。地域の人の意向でやっぱりやって、責任も持たせるようにしないと、だからあの大会、この大会とやって、じゃ、どこか私のところ減らして道路やれという役所ありますか、局ありますか。下水道といえば下水道の決起大会やる、道路はやる、あれはやると。皆、大会。そうすると、結局みんなやれということになってもう借金するしかないんですよ。こういうやり方をしていると、私はなかなかこれはこの日本というのは重症だなと思う。  まあ時間が、これ五十三分だというからもう終わりますけれども、いずれにしても、構造特区の問題にしても、これはまた地方でこういうことやると過疎と一局集中は始まるんですよ。こういういいことだけではないから、これやったらどうなるかということをもうちょっと真剣に考えていただきたいと、こう思います。  時間ありませんから今日は終わりますけれども、特にマンションなんかも、この間ちょっと聞いたら、二百万の収入あると。百五十万が積立金とそれから管理費だというんです。やってられませんと、あほらしくて。だから、そういうことも、大きなビルは別としても、普通のマンションやって、個人でやっている程度のところは、あんな資格もうちの人が簡単に取れるようにしてあげるとか、いろんなことをやってあげたらどうか。  特に、あの四国の国体行ってきましたが、この間私は団長で行進したんですけれども。四国の方は交差点は、交差点行くと四車線になっている。で、信号も余り激しくないところは点滅なんですよ。何にも来ないのに赤信号で止まって待ってるんですから、こういう創意と工夫の中で相当混雑を防げるところは全国見たら一杯ありますよ。そういう研究等もやっていただきたい、こう思います。  時間ですから終わりますけれども、何かありましたら、最後に大臣
  162. 扇千景

    国務大臣扇千景君) デフレ対策から交通政策まで多岐にわたって御説明がございましたので、どれをお答えしていいか迷うところでございますけれども、少なくとも私はデフレ対策に関しては平成十六年度末までに不良債権処理をするというこの決定によって一番大きなデメリットが出てくるのは国土交通省関係の、あるいはゼネコン建設業界だと思っております。  その意味で、我々は、今回の不良債権処理のときに少なくともセーフティーネットが両輪でなければ、不良債権処理だけでは駄目だと。その両輪の一つとして、中小企業対策あるいは産業再生対策が両輪でなければならないということで頑張って私たちもやってまいりました。このセーフティーネットの中味に関しては、今おっしゃった中の、たくさんございますけれども、もう時間が来ておりますので長々と言うことはやめますけれども、我々は国土交通省関係として不良債権処理とセーフティーネットというものが両輪であるということを強く主張いたしまして、この中の対策であらゆる面で中に加味していただいたものもございますけれども、今回は産業再生機構という新たな機構をRCCと別に作ってこれを活用していこうという政策になった中で、セーフティーネットも国土交通省関係たくさん盛り込んでいただきましたので、不良債権処理は十年来不良債権処理と言われ続けておりますけれども、世界からもこの不良債権処理をしなければ銀行の貸し渋りがあると、貸しはがしもあるということで、中小企業等々が倒産の憂き目に遭っていることも、我々はこのデフレ対策の処理の中でセーフティーネットをきちんと考えなければならないということを留意しながら、不良債権処理に協力しながら、セーフティーネットも十分に対策を練っていきたいと思っております。
  163. 藤井俊男

    委員長藤井俊男君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時五十四分散会