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2002-12-04 第155回国会 参議院 国際問題に関する調査会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年十二月四日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員の異動  十一月二十六日     辞任         補欠選任      藤原 正司君     神本美恵子君  十一月二十七日     辞任         補欠選任      神本美恵子君     藤原 正司君     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         関谷 勝嗣君     理 事                 加納 時男君                 世耕 弘成君                 山本 一太君                 今泉  昭君                 沢 たまき君                 緒方 靖夫君                 田村 秀昭君     委 員                 入澤  肇君                 小林  温君                 桜井  新君                 西銘順志郎君                 野上浩太郎君                 舛添 要一君                 森元 恒雄君                 吉田 博美君                 大塚 耕平君                 佐藤 雄平君                 榛葉賀津也君                 藤原 正司君                 藁科 滿治君                 大田 昌秀君    副大臣        総務大臣    加藤 紀文君        財務大臣    小林 興起君    大臣政務官        外務大臣政務官  日出 英輔君        経済産業大臣政        務官       桜田 義孝君    事務局側        第一特別調査室        長        渋川 文隆君    政府参考人        総務省総務審議        官        月尾 嘉男君        外務大臣官房審        議官       吉川 元偉君        外務大臣官房参        事官       鈴木 庸一君        財務省国際局長  溝口善兵衛君        経済産業大臣官        房審議官     松井 英生君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○国際問題に関する調査  (「新しい共存時代における日本役割」の  うち、東アジア経済現状展望について)     ─────────────
  2. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) ただいまから国際問題に関する調査会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国際問題に関する調査のため、本日の調査会総務省総務審議官月尾嘉男君、外務大臣官房審議官吉川元偉君、外務大臣官房参事官鈴木庸一君、財務省国際局長溝口善兵衛君及び経済産業大臣官房審議官松井英生君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) 国際問題に関する調査を議題といたします。  本日は、本調査会調査テーマである「新しい共存時代における日本役割」のうち、東アジア経済現状展望に関し、東アジアにおける通貨金融危機教訓再発防止及び情報化の進展と東アジアITについて政府から報告を聴取した後、午後四時ごろまでを目途に質疑を行います。  それでは、まず政府から報告を聴取いたします。  報告は、着席のままで結構でございます。小林財務大臣
  5. 小林興起

    ○副大臣小林興起君) 小林でございます。それでは、着席のまま発言させていただきます。  今、お話ございました東アジアにおける通貨金融危機教訓再発防止と題しまして、私の方から、お配りいたしました資料等を皆様に見ていただきながら御説明をさせていただきたいと存じます。  お手元にレジュメを配付もいたしておるかと思いますけれども、主な内容といたしまして、アジア通貨危機原因、それから危機に見舞われた国の対応我が国等による支援概要、そして通貨金融危機再発防止のための方策、そして最後に円の国際化への取組、この五つの項目について説明させていただきたいと思います。先ほど申し上げましたとおり、図表参考資料としてお配りしてございます。これを適宜参照しながら御説明させていただきます。  最初に、通貨金融危機原因でございます。まずこれから御説明いたします。  お手元に、この資料1を見ていただきたいと思うんですが、「アジア各国実質GDP成長率推移」、資料1でございます。お手元資料は一九九七年以降のアジア各国GDP成長率推移を表したものです。  東アジアの奇跡とも言われた高い経済成長を維持していたアジア各国は、九七年七月のタイバーツの暴落を契機として相次いで通貨金融危機に陥り、大幅なマイナス成長を記録いたしました。この図表のとおりでございます。  その次に、資料を二枚めくりますと、「アジア各国為替レート推移」、資料2がございます。資料2は為替レート推移を表したものです。九七年四月一日の為替相場を基準に、その後の各国為替相場推移を表したものです。九七年七月以降、アジア各国為替は相次いで急落している様子がこの表からお分かりいただけると思います。  この通貨金融危機原因を総括すると、資本勘定を通じた急激な流動性危機国内金融システム危機が複合した双子の危機であったと言えます。また、この通貨危機については、幾つか共通する要因を見出すことができます。  以下、五つの点について少し詳しく申し上げます。  第一の原因は、経済、特に金融取引グローバル化する中で、大規模かつ急激な国際資本移動にさらされたことでございます。危機に見舞われたいずれの国においても、危機に至る数年間に膨大な短期資本外国から国内金融機関企業部門流入し、市場の見方が変わるとその資本が一挙に今度は流出し、国際流動性危機につながったというものです。さらに、資本流出に伴う通貨下落により、現地通貨建てで換算した外貨建て債務が増大し、金融機関企業部門のバランスシートを悪化させ、これが通貨金融危機を一層深刻にしました。  次のこの資料3、「新興市場への純民間資本流入」。資料3は新興市場国地域への民間資本流入状況を示した表です。アジア五か国に対するネットベースでの民間資本流入額を枠で囲んでおります。これが、九六年にかけて著しく増大していたものが、危機が起こった九七年及び九八年はマイナス、すなわち資本流出が起こっていることがこの表からお分かりいただけると思います。  第二の原因は、金融企業セクターの構造的な脆弱性、すなわち不動産部門への過剰投資企業の高い債務資本比率と低い資本収益性金融機関不良債権増加等金融システム不安を醸成したことです。海外からの短期資本流入によりもたらされた国内過剰流動性もこうした脆弱性を拡大いたしました。  第三は、ドルに実質的にペッグした為替制度です。東アジア国々輸出の伸びが九六年に急激に低下した要因として、九五年春以降のドル高推移の中で、ドルとペッグした各国通貨為替レートが上昇したことが対外的な競争力を低下させたことも指摘されています。更に付言しますと、ドルペッグ最初に申し上げた短期資本流入にも関係しています。アジア諸国国内金利ドル金利よりもかなり高く、ドルペッグにより為替レート変動リスクも軽視されたため、国内企業銀行外貨借入れを積極化し、海外投資家も利ざやをねらった投資を拡大いたしました。  第四は、東アジア域内における貿易投資を通じた経済相互依存関係の高さです。金融グローバル化相互依存関係の高まりから、各国市場間の連動が強まり、通貨危機他国に伝染させるとともに、経済危機の深化の過程でスパイラル的に各国経済活動を収縮させることとなりました。  そして五つ目要因として、危機発生前に存在したアジア諸国に対する過度の楽観論が挙げられます。この楽観論が大規模国際資本流入金融セクター脆弱性と相まって、タイ等においてバブルを発生させ、危機を一層深刻なものにしたと考えられています。  次に、通貨金融危機への各国対応我が国支援について申し上げます。  まず、各国対応です。  では、東アジア各国はどのような経路で危機に陥り、そしてどのように対応したのかを個別、国ごとに見てまいります。  まず、一、タイタイから御説明いたします。  冒頭に述べましたように、九七年七月にタイバーツ切下げを余儀なくされたことが通貨金融危機の発端でした。しかし、バーツに対する売り圧力は九六年の時点で既に強まっていました。その原因としては、バーツが事実上のドルとペッグしている状況で、ドル高円安局面輸出競争力が低下して経常収支が悪化し、また短期外貨資本流入による不動産バブルとその崩壊が挙げられます。バーツ切下げ後も外国資本引揚げが加速したため、タイ政府IMF支援を要請し、IMFプログラムの下で財政金融政策金融機関への公的資本注入不良債権処理及びインフレターゲット導入等措置を取りました。  次にインドネシアです。  インドネシアでは、九七年七月のタイバーツ下落を受けてルピアが大幅に下落した結果、現地通貨建てで換算した民間外貨建て債務が増大し、それが対外債務返済能力に対する市場の不安を招き、ルピアの更なる下落をもたらしました。このため、インドネシア当局は、IMF支援を要請し、IMFプログラムの下で緊縮的な財政金融政策金融セクター改革推進等に取り組みました。  三番目は、韓国についてお話しします。  タイで起こった通貨危機は、九七年十月以降、韓国にも波及しましたが、韓国においてはその前から金融セクター及び産業構造に関する諸問題が顕在化していました。九七年一月以降、財閥経営行き詰まりが表面化すると、これを資金面で支えていた金融機関不良債権が増加し、このような状況韓国経済対外的信認を低下させ、外国資本が急速に流出するという事態に陥りました。  韓国当局は、為替市場への介入や金融セクターへの支援、更にウォンの対ドル為替変動幅を拡大する措置を取ったものの、資本逃避を食い止めることはできず、IMFとの間で融資プログラムを締結するに至りました。このIMFプログラムの下、韓国当局は、緊縮的な財政金融政策を行う一方、不良債権処理等のための公的資金注入ウォン完全変動相場制移行財閥の解体、再編等を進めました。  次に、IMF政策問題点についてお話しいたします。  なぜなら、これらの国はいずれもIMFとの間で合意された政策の下で危機への対応を図りましたが、極めて急激な経済の収縮が起こり、IMFが当初求めた緊縮的な財政金融政策危機時における構造改革措置が果たした危機への対応として適切だったのか、また資本自由化の進め方に問題はなかったのか、我が国としても問題点を指摘し、国際的にも大きな議論になりました。  その結果、IMF融資する際の条件設定の在り方を見直すことや、IMF自身透明性向上を図る等、IMF改革も進んでおります。また、IMFが主導していました資本自由化についても、金融面受入れ体制が重要であることが広く認識されるようになっています。さらには、後に述べますような危機予防解決へ向けた取組もなされております。  さて、IMFに面倒を見てもらうことなく対処した国として、マレーシアについて御説明いたします。  危機影響を受けながらもIMFに頼ることなく独自の政策対応したのがマレーシアでした。マレーシアは、東アジアの国の中でも年率一〇%の高い成長率を維持しておりましたが、アジア危機影響により、九八年にはマイナス成長となりました。しかし、マレーシア当局は、資本取引規制固定相場制導入企業銀行不良資産整理金融機関経営基盤強化資本市場育成政策等を実施しました。マレーシア当局が取った資本規制については、固定相場制度と相まって、外部環境からの危機の伝播を制限し、経済回復のための時間を与えたと一定評価を得ています。資本規制については、一般的には、長期的には資源配分をゆがめるおそれがあり、発達した金融資本市場を有する国においては実効性を確保することが困難なため常に適切な政策とは言えない面もありますが、マレーシアの経験は、政策手段としての資本規制役割を再考させるきっかけになったと言えます。  以上の各国対応の成果について申し上げます。  危機後の状況ですが、各国とも、政策面での対応と国際的な支援の結果、先ほどの資料1でも見られますように、比較的実は短期間で最悪期を脱しております。その後、二〇〇〇年から二〇〇一年にかけて米国の景気後退影響を受け、落ち込んでいますが、特に韓国経済はほぼ完全に正常化し、力強い成長を見せております。ただし、インドネシアは、政治的な不安定さもあって、他国に比べその回復は遅れております。  こういうアジア危機に対しまして、我が国対応について御説明いたします。  まず国際機関を通じた支援策、次に危機に見舞われた国に対する国際機関我が国との対応について概説します。  IMFについては既に述べましたが、世界銀行アジア開発銀行、また危機貧困層社会的弱者への影響緩和や、危機により打撃を受けた金融部門再建等の分野を中心に迅速かつ大規模支援を実施しました。我が国はこうした支援の策定に積極的に関与し、その実現に尽力いたしました。国際機関支援というものは我が国支援なくしては動かなかったということであります。  我が国独自の支援としましては、いわゆる新宮澤構想がございます。このような国際機関を通じた支援のほかに、我が国通貨危機に見舞われたアジア諸国経済困難の克服を支援し、国際金融資本市場安定化を図るため、九八年十月にアジア通貨危機支援に関する新構想、いわゆる新宮澤構想を表明いたしました。この構想概要について詳しくはこの資料4に添付してございますので、お読みいただきたいと思います。  この新宮澤構想は、資本流出により困難に直面しているアジア諸国実体経済回復のための中長期の資金支援として百五十億ドル、これらの諸国経済改革を推進していく過程短期資金需要が生じた場合の備えとして百五十億ドル、合わせて全体で三百億ドル資金支援スキームを用意したものでございます。  具体的な支援方法としては、輸銀融資円借款等を用いた直接的な資金協力とともに、アジア諸国ソブリン債への保証の付与等資金調達支援を用意しました。新宮澤構想においては、現在までに二百十億ドル資金支援を表明し、着実に実施しております。  こうした大規模資金支援を機動的に提供できたことはアジア諸国危機を克服するのに大いに役立ったものと考えておりますし、これらの国々からのありがとうという感謝の言葉も届いております。  それでは次に、通貨金融危機再発防止のための方策について御説明いたします。  まず最初に、域内取組資料5をごらんいただきたいと思いますが、資料5に危機再発防止に向けた域内取組時系列整理をしております。一九九七年七月二日、タイバーツフロート制移行と、こういうところからずっと書いてございます。  まず、チェンマイイニシアチブ合意、これが重要であります。通貨危機以降、アジアでは地域金融安定のための協調が重要であるとの認識が高まり、地域金融協力強化に向けた取組が行われました。そして、二〇〇〇年五月にタイチェンマイで開催されたASEANプラス3、この3というのは日本中国韓国ですね、三蔵相会議においてチェンマイイニシアチブとして結実しました。チェンマイイニシアチブは、ASEANプラス各国の間で通貨危機に陥った際に資金支援を行うための仕組みとして二国間通貨スワップ取決めのネットワークを構築するものであります。  次に、この資料6にチェンマイイニシアチブ進捗状況を示してございます。  資料の中で、国名の、国の名前の間が太い実線で次に結ばれているのがその次の資料6の二枚目にあると思います、チェンマイイニシアチブに基づく通貨スワップ取決めの現状資料の中で国名の間が太い実線で結ばれているのは、これまでに締結された今申し上げました二国間の取決めです。  我が国はこれまでに、韓国タイ、フィリピン、マレーシア及び中国の五か国との間で二国間通貨スワップ取決めを締結したほか、現在インドネシアとの交渉が最終段階に入っております。これまでにチェンマイイニシアチブの下で締結されたスワップ合意の総額は、韓国中国が締結したものも含め二百八十五億ドルにも上っています。  政策対話の開始。チェンマイイニシアチブに基づく二国間通貨スワップ取決めの実効的かつ円滑な運用を図るためには、各国が緊密な政策対話を通じて、日ごろから地域経済情勢を的確に把握しておくことが必要であります。この観点から、政策対話に重点を置いたASEANプラス3の非公式代理会議を年二回開催することになり、本年四月のヤンゴンにおける第一回会合に続き、十一月には東京で第二回会合を開催しました。  我が国としては、今後とも引き続き通貨スワップ取決め締結に向けた努力を続けていくほか、政策対話強化等地域通貨金融の安定に向けた協力に一層積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  以上、アジア域内での危機対応について御説明いたしましたが、G7中心に国際的にも通貨危機予防解決に関する議論が実は活発に行われております。東アジア諸国通貨危機からまだ完全に立ち直らないうちに、御承知のとおり、ロシアやブラジルでも経済危機が相次いで起こりました。これらの現象は、経済グローバル化によってこれまで以上に急激かつ大規模国際資本移動が容易になり、流入資本の今度は急激な反転によってマクロ経済国際金融システムの安定が攪乱されることを示すことになりました。こうした従来とは違う、言わば二十一世紀型の通貨危機対応するため、危機予防解決について議論を行ってきております。  危機予防に関しては、IMFが行う加盟国政策評価、監視の一層の充実、特に為替制度の選択と債務管理等における各国の適切な政策が重要という点については、G7合意が見られ、具体策につき種々議論が行われています。その際には、IMFアジア通貨危機等における対応後の反省も踏まえた見直しが行われております。  また、危機解決策としては、IMF等による適正かつ有効な公的融資IMF融資に際して設定する条件のほか、民間セクターの関与、すなわち、IMF等公的融資による解決のみではなく、民間債権者にも危機解決について必要に応じて一定の負担を求めることが重要と考えております。  最後に、今後の円の国際化への取組について申し上げます。  このまず経緯からでございますが、最後に円の国際化についての取組について説明します。  円の国際化は、一九八〇年代の金融自由化の流れの中でも議論されてきましたが、アジア通貨危機や欧州でのユーロ導入等契機に再びクローズアップされております。アジア通貨危機では、アジア各国通貨が過度にドルに依存していた弊害が強く認識されました。  資料7というのが付けておりますけれども、「円及びアジア通貨(対ドル)の為替変動比較」ですね。  資料7は、円及びアジア通貨為替変動比較を表したものです。通貨危機以前は、円を除きドルと各通貨との相関関係が強い状況でした。しかし、九八年以降は各通貨ドルに対する変動幅が広がるとともに、円の変動と形状が似通ってきています。  このように、円と各通貨相関が高まる局面も出てきており、円の国際通貨としての役割強化アジアにおける為替市場の安定、ひいてはアジア諸国経済安定に資するものであると考えられております。さらに、国際的な取引における決済通貨としての円の使用が高まれば、アジア域内でのクロスボーダー為替取引決済において、決済時間のずれから生じるリスクの低減にも資することになります。  このような観点から、財務省では円の利便性を高めるためのインフラ整備を行ってきました。具体的には、非居住者にとっての円での資金運用調達利便性を高めるための国債市場整備として、非居住者外国法人が受け取る一括登録国債の利子に対する非課税措置等の実施や、金融資本市場インフラとしての重要な決済システムの改善を図るため、CP、社債、国債等についての統一的な決済法制整備振替決済システム創設等を行いました。  こういう経緯の下で、これからの今後の円の国際化への取組について申し上げます。  資料8を付け加えてございますが、資料8、「我が国貿易取引における円建て比率推移」です。  資料8は我が国貿易取引における円建て比率推移を示したものです。我が国円建て輸出比率は、三五%前後で推移する一方、円建て輸入比率は緩やかな上昇傾向にあるものの、二五%足らずにとどまっております。  円が国際通貨として広く受け入れられていくためには、まず何よりもその前提条件として日本経済金融システムを再生させ、内外信認回復及び向上を図ることや、貿易資本取引における円利用のニーズを増大させることが重要で、このためには構造改革規制緩和等を通じて内需の拡大を図り、円建て輸出入を増やし、対内直接投資活性化を図る必要があります。さらに、金融資本市場決済システム整備を引き続き着実に進めていくことも重要と考えております。  また、こうした環境整備に加えて、国債取引についての通貨建て選定の慣行を見直していくことも必要であると考えます。一方、企業現場においては、円の国際化必要性やそれがもたらす中長期的なメリットに対する理解が必ずしも広がっておらず、現場での判断はデファクトスタンダードとしてのドル建て化に向かう傾向があるとの指摘も聞いています。  したがって、今後円の国際化を一層推進するためには、企業現場において経営方針として内外環境変化を踏まえ、建値通貨に伴うリスクとコストを再評価し、これまでの貿易取引における通貨建て見直し、個々の取引円建て化を進めることが期待されます。これまで政府産業界金融界も含めた全体的な形で円の国際化を図るということがなかった感があり、財務省としては円の国際化必要性やこれまでの議論を踏まえ、引き続き円の国際化を推進するため、九月から円の国際化推進研究会を立ち上げ、更に検討を進めているところでございます。  財務省としての私からの報告は以上のとおりでございます。
  6. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) ありがとうございました。  次に、桜田経済産業大臣政務官
  7. 桜田義孝

    大臣政務官桜田義孝君) 資料に基づきながら御説明させていただきたいと思います。  本日は、ITによるアジア経済の発展の可能性東アジアにおけるITビジネス現状という課題をいただいておりますので、私から東アジアにおけるIT産業の特徴と、経済産業省アジア諸国に対して実施している協力内容について御説明したいと思っております。  二ページの方に開けていただきたいと思います。資料是非目を通していただきたいと思います。「東アジアにおけるITビジネス現状」、これでございます。二ページを開けていただきたいと思います。まずは東アジアということですが、韓国中国、台湾のIT産業が急成長していることを数字で御紹介したいと思います。  これら地域のハードウエア及びソフトウエアの生産高の推移をごらんいただきますと、年を経るごとに成長していることがお分かりいただけると思います。必ずしも各地域の統計上の定義が一致しておりませんので、地域ごとの数字を厳密に比較はできませんが、日本の生産高は必ずしも伸びていないことと反して、他の地域が伸びていることが特徴でございます。例えば、韓国の二〇〇一年におけるハードウエアの生産高は八百十二億米ドル、約九兆円となっております。  続きましては三ページを開いていただきたいと思います。市場規模の数字についても一部統計上の不備はありますが、各地域とも急激な伸びとなっていることがお分かりいただけると思います。  続きましては四ページの方に行きまして、海外からの直接投資についても、電子、電気などIT産業投資が全世界から増えていることがお分かりいただけます。後ほど触れますが、世界の生産拠点としての中国に対して大きな投資が行われているところでございます。  五ページをお開きいただきたいと思います。これら東アジア地域の主力製品は半導体、PC、液晶ディスプレーです。  左の円グラフをごらんいただきたいと思います。ノートパソコンの世界シェアを示しているところでありますが、この円グラフには台湾という名称は表れておりませんが、実はこれら米国企業の製品は台湾企業のOEM生産によるものがかなりあると思われます。台湾における全生産の八〇%がOEM供給であると言われているところでございます。  中央の円グラフは半導体の世界シェアを表しているところであります。韓国のサムスン、ハイニックスの競争率が極めて高く、日本勢はNECと日立が作ったエルピーダメモリ社が九%のシェアを持っているにすぎません。  右のグラフは液晶の世界シェアでございます。シャープなどの日本企業に対してサムスン、LGといった韓国企業が対抗しているのが分かります。  次に、六ページをお開きいただきたいと思います。東アジア地域ITビジネスの特徴を御説明させていただきたいと思います。  韓国には非常に高いインターネット普及率、ブロードバンド広帯域普及率、携帯電話普及率となっており、アジア屈指のIT国家に成長しているところでございます。韓国におきましては、若者がブロードバンドを使ったオンラインゲームに興じるなどの社会現象が現れているところであります。  産業といたしましては、先ほど触れたように半導体、液晶についてはサムスン、時価株価でいいますとソニーより既に大企業になっているところでございます。LG電子という世界的な企業を抱えております。また、ソウル市内のテヘラン通り、テヘランと姉妹都市を結んでいるところでございます、には、IT企業の本社やマーケティングに強いベンチャー企業が集積しており、テジョンにある大徳テクノバレーでは、研究所など技術系ベンチャーが集積しております。  このように、韓国の発展は、大統領のイニシアチブの下で、サイバーコリア二〇〇一の策定や政府によるベンチャー支援策が功を奏しているのではないかと思われるところでございます。  続きまして、七ページに行っていただきたいと思います。  中国につきましては、ソフト、ハードとも世界の生産拠点としての地位を確立しているところでございます。各地域ごとに経済特区を設置し、中央、地方政府が研究開発支援や税制面での優遇など手厚い施策を講じることで、各地域IT産業の誘致の競争を行うまでになっているところでございます。  代表的なものとしては深センを代表とする珠江デルタ地区では、香港に近い地理的特性を生かして世界から五万の企業が進出をし、パソコン、プリンター、携帯電話など、中小企業を含めて物づくり工場が数多くあります。また、上海や蘇州を代表とする長江デルタ地域では、欧米、台湾、日本の外資企業が多く進出しており、半導体、ノートパソコン、携帯電話などの工場があります。  ソフトウエア産業の中心は北京にある中関村であります。北京大学や清華大学など中国の有数の大学を核として、現在では八千三百社のIT関連企業や研究所が集積しております。アメリカのマイクロソフトはこの中関村にアジアの研究拠点を設けております。  また、ソフトウエア分野では大連の発展が注目されます。歴史的な背景の下、日本語が話せる人材を数多く抱えるこの地域では、日本へのソフト輸出拠点として成長しているところでございます。中国政府からもソフトウエア産業国際化建設モデル都市として指定されているところでございます。  次に、八ページの方に行っていただきたいと思います。  台湾は、前に触れましたように、パソコンと半導体の生産拠点となっております。パソコンは欧米、日本企業向けのOEM供給が多くあります。例えば、企業統合した米国コンパックとHPの数字を合計しますと、二〇〇〇年には百五十億ドル程度の供給を台湾から受けておるところでございます。また、最近では、台湾企業中国の長江デルタ地域にパソコンの拠点を移行しつつあります。半導体についても、TSMCなど受託生産を行う企業成長しているところでございます。  台湾は、一九八〇年から台北から七十キロ離れた場所に新竹科学工業園区を整備し、五か年にわたり営利事業所得税を免除するなどの優遇策を講じることで数多くのIT企業を誘致しているところでございます。  続きまして、九ページに移っていただきたいと思います。  以上のように、東アジアにおけるITビジネスは急成長を遂げております。経済低迷にあえぐ日本企業競争力を高めるためにも、日本企業のビジネスが国内だけでなく他のアジア地域でも展開できるような環境整備を行う必要があります。このような観点から、経済産業省では数々の対アジア協力を行っております。  幾つか御紹介しますと、中国については、国家発展計画委員会との間で物流や遠隔教育などの分野について先進的マルチメディアモデルプロジェクトや次世代のインターネット技術であるIPv6に関する協力を展開しているところでございます。また、アジアの人材育成に役立てるため、我が国の情報処理技術試験と同様の試験制度を保有している国との間の相互認証を行っているところでございます。また、ベトナムのハノイ工科大学や慶応大学などとの間では、IT技術を活用したe—ラーニングの実証試験を展開しております。  さらに、IT技術を活用してアジア地域で健全な経済取引が普及するには、セキュリティーについての情報交換や認証技術であるPKIについての相互運用、電子商取引についてのルールの普及も必要であります。特に、中国においては模造品、海賊版が横行していることから、知的財産保護についての当局への働き掛けも今週ミッションを派遣して行っております。西川太一郎副大臣を代表として派遣されたところでございます。  最後に、更に拡大することが予想されるアジア市場を念頭に置いて、我が国ITビジネス東アジアとともに栄える関係作りを今後とも行っていくことが肝要と考えます。  以上でございます。
  8. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) ありがとうございました。  次に、加藤総務大臣、お願いします。
  9. 加藤紀文

    ○副大臣(加藤紀文君) 総務大臣の加藤でございます。それでは、座ったまま説明させていただきます。  本日は、情報化の進展と東アジアITというテーマの下、東アジアにおけるITインフラ整備状況我が国ITに関する国際貢献策及びアジア・ブロードバンド計画の策定等について御説明させていただきます。  まず最初に、我が国現状であります。  情報通信技術、すなわちITの発展は今日の社会経済活動情報化という大きな変化をもたらしております。ITのもたらす便益を最大限活用し、またすべての人々がその便益を享受できるような社会、情報社会を実現するため各国が互いに努力をしているところであります。  御承知のように、我が国では世界最先端のIT国家になることを目標に、IT戦略本部における二〇〇一年一月のe—Japan戦略の策定、その行動計画としてのe—Japan重点計画の策定を始めとして各種施策に着実に取り組んでまいりました。さらに先般、IT戦略本部の下に専門調査会が設置され、e—Japan戦略の見直しに着手しているところであります。その中で総務省としても積極的に貢献してまいる所存であります。  これらの取組の成果と申しましょうか、ブロードバンドのインターネット人口が急激に増加しておりますので、その状況等につきまして、お手元に配付させていただいております資料に基づいて御紹介させていただきます。  まず、二ページのインターネットの人口普及状況でありますが、我が国のインターネット利用者数はここ数年で急速に増加を続けており、平成十三年末には我が国のインターネット利用者数は五千五百九十三万人、人口普及率は四四%に上がっております。過去五年間でインターネット利用者数は約四倍の伸びを示していることになり、平成十七年、西暦二〇〇五年にはインターネット利用者数は八千七百二十万人に達するものと見込まれております。このインターネット利用者数の増加の主な理由といたしましては、料金水準の低廉化等によるブロードバンドインターネット加入者数の増加が挙げられます。  次に三ページ、ブロードバンドインターネット加入者数の推移であります。  高速通信回線であるブロードバンド回線加入数は平成十四年十月末現在で六百六十六万加入に達し、この一年間で約三倍以上となりました。中でも既存の電話回線を利用するDSLの加入数は四百六十四万加入となり、この一年間で約五倍の伸びを示しており、正にブロードバンド普及の牽引役となっております。  次に、ブロードバンド接続料金の国際比較であります。従来、我が国のインターネット接続に関する通信料金は欧米に比べて割高でありましたが、現在では世界で最も低廉な水準になったと言えます。  続きまして、東アジアにおけるITインフラ整備状況と課題について御説明申し上げます。我が国ITインフラにつきましてはこのように加速度的に整備が進んでいる状況でありますが、それでは東アジア全体としてはどうでしょうか。  七ページと八ページの表は、日本中国韓国及びASEAN十か国のITインフラ整備状況を固定電話加入数、携帯電話加入数、インターネットユーザー数及びパソコン台数について比較してみたものであります。  近年、経済成長の著しい中国が圧倒的人口の多さを背景に絶対数で高い数値となっておりますが、普及率においては日本韓国、シンガポールが際立っております。このほか、大くくりに申しまして、都市部では比較的進んでいるが、ルーラル地域で普及していないため数値が伸び悩んでいる中国マレーシアタイインドネシア、フィリピン、そして電話回線すら十分に敷設されておらず基本的な情報通信インフラ敷設が喫緊の課題となっているベトナム、ラオス、カンボジア、ミャンマーといった国々となっております。  日本韓国などITインフラ整備の進んだ国々についてはコンテンツの充実等ブロードバンドの利用促進等の問題が、マレーシアタイなどについてはルーラル地域を含む均衡の取れたITインフラ整備の課題が、そしてベトナム、ラオスなどについては基本的情報通信インフラの敷設が課題となっており、東アジア全体を俯瞰的に見ますと、正に様々な段階でデジタルデバイドの是正が課題となっていると言えます。  それでは次に、携帯電話及びインターネットの状況をお示しいたしましたのが九ページと十ページの図でございます。  本年三月末現在での携帯電話加入者数の上位十か国は、十三億の人口を誇る中国がアメリカをしのいで一位となっており、それに日本、ドイツが続いております。ここで日本中国韓国の三か国に注目してみますと、三か国の加入者数の合計は約二億五千万人であり、世界全体の約四分の一を占めております。  次に、インターネット利用者数につきましては十ページにあるとおりでありまして、インターネット先進国のアメリカが圧倒的に他国を引き離して一位となっており、それに日本中国、イギリスが続いております。ここでも日中韓の三か国に注目してみますと、三か国のインターネット利用者数の合計は約一億二千万人であり、世界の利用者数の約五分の一と高い割合を占めております。  次に、諸外国のブロードバンドの普及状況については十一ページにありますとおりDSL、CATV等においてアメリカと韓国の加入者数が際立っており、アメリカは昨年末時点において約一千二百三十万加入となり、韓国もこの十月に一千万加入を突破したところであります。日本も急速に普及が進んでおりますが、現在のところ第三位で約六百六十六万加入となっております。  それでは続きまして、我が国IT分野に関してどのような国際貢献を実施してまいったかということについて御紹介いたします。  十三ページでありますが、まずODAによる協力。  従来から総務省は外務省、国際協力事業団、国際協力銀行とともに連携いたしまして、研修員受入れや専門家派遣等の技術協力円借款等資金協力について、総務省としての専門的及び技術的知見から協力してまいりました。  次は十四ページでありますが、人材育成、人材交流等であります。  また、開発途上国の人材育成支援といたしましては、ここに示すような政府関係職員、研究者や技術者等との交流を深めてまいりました。さらに、アジア太平洋地域の電気通信に関する地域国際機関であるアジア・太平洋電気通信共同体、APTへ特別拠出を行い、APTが実施する研修員の受入れ、専門家の派遣、セミナーの開催や研究者、技術者の育成プログラムを積極的に支援しております。  次に、十五ページのデジタルデバイド是正であります。  我が国においては、二〇〇〇年七月の九州・沖縄サミットにおいて、いわゆるIT憲章や、また同年十一月のアジア太平洋情報社会サミットの東京宣言及び行動計画等を受けて、国際的デジタルデバイドを解消するための取組をも進めてまいりました。その一環として、近年、定期協議や政策対話等における対等な立場での政策協議や国際共同実験等、相互の協力を通じた国際貢献、新しい国際協力の在り方も現れてきています。  まず、定期協議につきましては、中国韓国とは毎年定期的に実施しており、IT分野の協力について協議してまいりました。この定期協議を通じて協力が深まり、本年九月に日中韓三か国の情報通信大臣による初めての会合が開催され、更なる協力の体制が整いつつございます。この三か国の協力につきましては後ほど月尾総務議官からお話しさせていただきます。  そのほか、アジア諸国とも政策対話を実施し、政策、制度作りについての協力を行ってまいりました。また、アジア諸国の技術力の向上を背景に、アジア国々と共同して情報基盤整備のための国際共同実験等を推進しています。今後は、我が国が世界をリードしている分野、例えばモバイルインターネット、IPv6、情報家電といった分野においてアジアを始めとする諸外国協力し、世界の発展に貢献していくことも必要と認識しております。  そして十六ページ、IT分野への人的貢献であります。  我が国は、このほか国際機関への人的貢献も果たしております。本年十月、国際電気通信連合、ITUの事務総局長として内海善雄氏が再選され、二〇〇三年一月から再度四年間の任期を果たす予定であります。ユネスコと並んで数少ない日本人の国際機関への人的貢献として大きな意義を有するものであります。  以上、我が国現状東アジアにおけるITインフラ整備状況と課題及び我が国ITに関する国際貢献について御紹介させていただきました。  この後、アジア・ブロードバンド計画の策定については月尾総務議官から御説明をいたします。
  10. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) ありがとうございました。  それでは、引き続きまして、月尾総務議官、お願いします。
  11. 月尾嘉男

    政府参考人月尾嘉男君) ここまで加藤副大臣から、東アジアIT現状並びにそのような地域に対して総務省がどのようなこれまで取組をしているかということを御紹介させていただきましたけれども、新たに現在アジア・ブロードバンド計画を策定しておりますので、それを御紹介させていただきます。  二十ページの図をごらんいただきたいと思いますが、これは、世界の主要な五つ地域について、それぞれ国境を越えるインターネット回線がどの程度あるかということを示したものでありますが、アジア地域は、人口では世界のほぼ半分がこの地域にいるにもかかわらず非常に狭い帯域と、つまり量的には不足しているというのがお分かりいただけるかと思います。  次に、二十一ページをごらんいただきますと、その影響が出ておりまして、右下は北米、欧州、アジアの三地域貿易の金額を示したものですが、ほぼバランスが取れた貿易を行っております。  ところが、左下をごらんいただきますと、これはその三つの地域を結ぶインターネット回線の太さを表したものでありますが、北米—欧州間に比べましてアジア—北米間、アジア—欧州間というのは大変狭い、不足しているということがお分かりいただけるかと思います。これを、右上にありますように、物の移動と同じような形で、均衡取れた情報通信の交流に持っていきたいということがこのアジア・ブロードバンド計画を策定しております大きな目標になっております。  二十二ページをごらんいただきますと、右側の欧州の主要先進国と言われるところとアジア諸国とのインターネット普及率を示したものがあります。アジアでは、シンガポール、韓国日本マレーシアがやや普及が進んでおりますが、以下、それ以外の国は大変普及が遅れております。もちろんこれは残念なことではありますが、これがもし欧州の主要国並みに上がれば大変な力を発揮するという意味では非常にポテンシャルがあるだろうというふうに考えられます。  そのポテンシャルを発揮するためにアジア・ブロードバンド計画を策定しようということでありますが、二十四ページをごらんいただきますとその経緯説明してあります。  本年六月十八日、e—Japan重点計画—二〇〇二におきましてアジア・ブロードバンド計画を策定するということが書き込まれました。それから、六月二十五日の経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇二の閣議決定におきましてもアジア・ブロードバンド計画を策定するということが書き込まれました。それを受けまして、七月から片山総務大臣主宰のアジア・ブロードバンド戦略会議、それから、私が主宰させていただいておりますが、アジア・ブロードバンド計画研究会というものを開いておりまして、今年度中に計画を策定したいというふうに思っております。その成果の反映は後で御説明させていただきますので省略させていただきますが、成果を反映させたいというふうに考えております。  じゃ、どのような方針でこのアジア地域のブロードバンド導入、普及を推進していくかということでありますけれども、まず、基盤整備はもちろん重要でありますが、それを多くの人々が利用するような利用分野、アプリケーションであるとかコンテンツというものの開発が必要である。それから、それを推進するのは、現在、世界規模でブロードバンドの基盤整備、それからその応用というのは民間主導でやっておりますけれども、政府、NPOなども政策、規制緩和その他様々な役割があります。そういう民間政府、NPOなどが相互に密接な連携を取って推進していくということも重要であるというふうに考えております。  それから、最後の五番目に飛ばさせていただきますが、このアジア諸国には実は世界の三分の一の言語が集中しておりまして、大変多様性を持った国々が集まっております。当然、経済の水準も、日本韓国のように高い水準のところから、そうではない国々もあります。そういう多様な国々がうまく協力しながら推進できる政策を立てるということも重要だというふうに考えております。  一歩ずつ進んでおりますが、まず第一歩は二十六ページにございます日中韓の協力であります。  本年一月、片山総務大臣中国韓国両国を訪問した際に日中韓情報通信大臣会合を開催するということを提案しまして、両国から受諾され、今年の九月にモロッコのマラケシュでITU全権委員会議が開かれた機会に第一回の日中韓情報通信大臣会合が開かれました。そこで、以下にありますような七つの項目が合意を得ており、共同宣言が発表されております。  幾つか御紹介させていただきますが、この豊富な文化を持った東アジア文化圏で協力して情報通信研究を行っていこうということ、それからIPv6に対して非常に先進的な地域になるべく共同実験をしていく、第三世代携帯電話の協力をしていく、それから二〇〇八年に北京でオリンピックが行われますが、それに関して協力するなどでございます。  それから次に、日中韓から更に拡大してASEAN諸国との協力体制でありますが、本年八月にASEANプラス1の電気通信高級事務レベル会合が開かれまして、ASEAN以外に日本が参加し、新たにASEAN電気通信大臣会合日本が参加するということの合意を受けました。それから、現在ASEANプラス3の枠組みを事務レベルで協議しておりまして、拡大するということの準備をしております。  最後、二十八ページでありますが、このような計画をどのように反映していくかという一つの重要な行事でございますが、来年十二月にジュネーブで世界情報社会サミットが開催されます。続いて、二〇〇五年にはチュニジアでその第二回目の世界情報社会サミットが開かれます。  右下の枠の中にありますように、この二〇〇三年十二月の世界情報社会サミットを開くために、現在、各地域で準備会合が開かれております。アジア地域では、来年の一月十三日から十五日まで日本でこの準備会合が開かれますので、ここにアジア・ブロードバンド計画の内容を反映させるということによって、最初に御説明させていただきましたように、相対的に北米、欧州との関係が希薄である今の状況を改善していくようにして、大きな三極がバランスの取れた情報通信交流ができるような体制を作っていくということを検討しております。  以上でございます。
  12. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) ありがとうございました。  次に、日出外務大臣政務官、お願いします。
  13. 日出英輔

    大臣政務官(日出英輔君) 外務大臣政務官の日出でございます。  最後でございますが、我が国外交における情報通信技術につきまして御説明申し上げたいと思っております。  外務省の資料の二ページをごらんをいただきたいと思っております。  まず、ITが持つ意味でありますけれども、このITの普及によりまして世界的規模で大きな社会構造の変化が生じているわけであります。  私どもが外交という観点から東アジアにおけるIT貢献策を考えますときに、ITの普及が経済効率の上昇を通じて持続可能な経済成長の実現に寄与し、かつまたアジア地域におけるITの発展が我が国経済活性化にもつながるという経済的な側面、そのほかに、ここにございますように、政治的側面あるいは安全保障の側面がございます。すなわち、情報発信伝達の手段として、政府の情報公開の促進や市民の政治参加を推進し、民主主義の強化透明性の確保、あるいは人権の促進といったような政治面での改革に貢献をいたします。また、ITの普及は、情報及び知識の自由な流れを促進し、相互の寛容性、多様性の尊重といった精神を涵養し、もって国際社会の安定性を増進することに寄与すると考えているわけであります。  そこで、二番目に、我が国外交におけるIT分野における取組でありますが、このITは、世界じゅうすべての人々が情報社会の利益に参加することを可能にする手段であります。  ところが、先ほど総務大臣からもお話しのように、実は先進国と途上国のITの普及の格差、つまりデジタルデバイドの話がございます。本日は、私は、この東アジアにおけるIT貢献策につきましては、主にこのデジタルデバイドの解消の取組についてお話を申し上げたいと思っておる次第でございます。  資料として、三ページをお開きをいただきたいと思います。  我が国は、二〇〇〇年の九州・沖縄サミット、日本政府が主催しましたこの九州・沖縄サミットにおきまして、主体的に国際的な情報格差問題に対する包括的協力策というものを取りまとめておりまして、この中で、デジタルデバイドの解消に向けまして、ODAあるいは非ODAの公的資金によりまして五年間で百五十億ドル程度を目途に協力を行う、それからその際、四つの分野におきまして重点を置いて支援を実施していくということを発表いたしました。  その四つが以下にございます。  まず、二国間協力、四つの分野におきます二国間協力の問題でございますが、三ページ目から四ページにかけてでございます。  第一番目は、政策あるいは制度作りへの知的貢献であります。  我が国といたしましては、途上国側の主体性を重視して支援を進める方針でありますが、単に途上国側の要請をそのまま受け入れるのではなく、よりよい発展のために、対話を通じて適切な計画が策定されるよう、政策アドバイスを行っております。こうした観点から、専門家派遣による政策アドバイス、開発調査による個別分野の計画策定、セミナー開催による意識向上と知見の共有等の支援を実施しております。  それから二番目が、人づくりであります。  ITを有効に活用するためには、政策立案者やソフト開発者を育成する高等教育、専門家や技術者を育成する専門教育、一般のIT利用者の幅広い意識と知識の向上といったような様々な人づくりの取組が必要となっております。また、資格認定制度の導入、相互認証など、産業人材の育成とその社会的活用のための制度整備も重要であります。このような目的を達成するため、専門家派遣や研修員受入れ、第三国研修等の技術協力、研究・訓練センター設置や教育研修機関への機材供与等の無償資金協力などの支援を実施しております。  四ページ目に、三番目でございますが、情報通信基盤の整備、ネットワーク化の整備であります。  この分野では、通信技術、メディアといったインフラ整備や技術の供与だけじゃなくて、これらの維持管理のための整備主体や資金確保の制度などを効果的に組み合わせる必要があります。また、保健・衛生指導あるいは防災情報などに取り組んでおるわけであります。  四番目が、援助実施に際しますIT利用の促進であります。  これは、我が国の援助実施に際しまして、遠隔研修、遠隔教育の面でIT利用の促進を図ることを目的としているわけであります。具体的には、東京、沖縄に設置するITコア・センターとアジア中心とした途上国に設置するITサテライト・センターを国際回線で結びまして、技術協力を遠隔講義の形で実施をいたしております。このネットワークは、世銀の開発教育ネットワークと連携を図ることによりまして、世界の広範な地域に対して我が国の技術協力を提供することを目指しておるわけであります。  次は域内協力であります。  域内協力につきましては、我が国は、前に申し上げましたようなITの持つ意味を念頭に置きながら、グローバルな情報社会の構築を目指しまして、先進国あるいは多国間での協議においては、国際的な枠組み作りや制度・政策面での協調に取り組んでおるわけであります。  具体的には、APECには電気通信情報作業部会、電子商取引運営グループ、e—APECタスクフォース等の作業グループがありまして、デジタルデバイドの解消、制度及びインフラ整備、人材育成などについて協議を行っております。このほか、ASEANに対する協力国際機関を通じたアジア地域への協力も行っております。  私どもといたしましては、二国間協力を縦糸にし、そして域内協力の枠組みを横糸にいたしまして、途上国における情報社会への移行を促進することにより、地域の安定と経済的・社会的発展を進めていく所存であります。  五ページ目をちょっとお開きをいただきたいと思います。  最後のページでありますが、包括的協力策におきます協力目標といたしまして、東アジアにおけるIT関係の経済協力実績を載せてございます。  先ほど、包括的協力策におきましては、ODAあるいは非ODAの公的資金によりまして五年間で百五十億ドル程度を目途に協力を行うということを表明したことを申し上げました。このペーパーでは、我が国協力策を発表いたしましてから二年間に行った協力がここにございますが、政府開発援助以外の公的資金、OOF、これで約十六・五億ドル、それからODAで約七・一億ドル、合わせて二十三・六億ドルということでございます。このうち、東アジアにおける協力につきましては、この五ページに書いてございますが、OOF、この(2)でありますけれども、十一・五億ドル、ODAで四・七億ドル、合わせて十六・二億ドルということであります。先ほど申し上げました目標数に比べまして実績が少ないことがございます。  次のような原因が考えられると思います。  IT分野が、民間イニシアチブ、すなわち投資貿易により発展する分野であり、公的部門の役割は専ら民間の積極的な取組に対して政策及び人材育成等を補完的に協力するという役割を担うべきであるという点。あるいは、我が国、世界の景気が回復の動きを示しているというものの勢いは弱く、我が国経済を取り巻く環境は厳しさを増しており、IT分野においても民間の活動は低調であったこと。あるいは、昨年九月十一月のテロ事件以降、国際社会においてITに対する関心が相対的に低下しているといったことの事情が挙げられると思います。  こうした状況の下、IT分野における公的部門における協力についても、当初予測に比して低調であったことは率直に認めざるを得ないわけであります。  政府といたしましては、IT分野における協力推進に向けまして、積極的に案件の発掘、形成を図るため、これまでも被援助国との間で政策対話、プロジェクト形成のための調査団の派遣等を行ってきたところでありまして、今後とも、このような努力を継続し、関心を有する被援助国との間で協力推進に向けた努力を進めていきたいと考えておる次第でございます。ありがとうございました。
  14. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) ありがとうございました。  以上で報告の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  本日も、あらかじめ質疑者を定めず質疑応答を行いたいと思います。  質疑を希望される方は、挙手の上、私の指名を待って質疑を行っていただきたいと存じます。  できるだけ多くの委員の方々が質疑を行うことができますよう、一回の発言時間は五分程度でお願いをいたします。  また、質疑及び答弁とも御発言は着席のままで結構でございます。  なお、理事会協議の結果ではございますが、まず大会派順に各会派一人一巡するよう指名いたしたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。  それでは、早速、西銘順志郎君。
  15. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 いや、突然の指名で、前回僕はさせていただいたので今回は遠慮しようかと思っていたんですが、あえてお聞きをさせていただきたいというふうに思います。  今、構造改革特区のことで私どもも勉強させていただいておるところでございますが、規制の緩和といいますか、そういうもので日本地域経済の発展をさせようということでございます。そういう関連の中で、私は沖縄県の出身でございますから、沖縄の今、情報産業通信特区というようなものが沖縄振興特別措置法の中で制定をされているわけでございまして、これは税制面あるいは補助金等の本当に優遇された特区でございます。  まず、構造改革特区とこの沖縄の特区とは違うんですが、これからITに関して、それぞれ経済産業省あるいは総務省等の沖縄に対するそういう特区についてどういう政策をお持ちなのかをお聞かせいただければ大変有り難いなというふうに思います。
  16. 加藤紀文

    ○副大臣(加藤紀文君) 先生お尋ねの、沖縄国際情報特区というのを総務省は推進しておりまして、その内容、具体的には情報通信関連産業の集積、振興、人材の育成、確保と研究開発の促進、そして情報通信基盤の整備というものに取り組みまして、その結果、平成十四年八月現在、八十三社の企業進出、約四千二百人の雇用創出に結び付いているところであります。  さらには、沖縄における情報通信産業の集積、中枢機能の整備を図ることを目的としまして、沖縄振興特別措置法の施行により、各種税制の創設等を実施しているところでありますが、今後とも、沖縄国際情報特区構想を推進することにより、アジア太平洋地域における情報通信関連産業の集積地として国際的な情報通信ハブを目指してまいりたいと考えております。
  17. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 経済産業省、何かありますか。
  18. 桜田義孝

    大臣政務官桜田義孝君) 特区は特に中国で発達をしているところでありまして、地方、中国は意外に分権が非常に進んでいて、分権ごとにその特区が浸透しているということでございますので、細かいものはこちらでもそんなに掌握しておりません。  先ほどお話ししたように、台湾等では、五年間、進出企業に対しては企業の法人税を無料にするとかいって企業の誘致をしていると、そういうようなことでありまして、要は国を挙げてやっているということでありますので。
  19. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 こういう、今、日本の産業の空洞化というのがよく話題になっているわけですけれども、例えば今の沖縄の中に、中城湾の中にそういう税制面で非常に優遇された自由貿易地域がございます。そういう中で、多いか少ないか分かりませんけれども、企業が十社ほどこの三年間ぐらいで進出していらして、その中で、特にオートバイを組み立てる、部品を持ってきて沖縄で製造するというような形の中で、どうして、例えばもっと、中国本土が安いんだろうけれども、税金の面でも優遇されているんだろうけれども、なぜ、中国よりは高い税金のところで、わざわざ沖縄まで来てオートバイを組み立てるのかというと、メード・イン・ジャパンというブランドがやはり東南アジア、あるいはそういうところに向けて大変意義を持つんだというようなこともあるわけでございまして、そういう点で、それぞれ経済産業省あるいは総務省、外務省辺りのお考えもお聞かせいただければ大変有り難いなというふうに思っています。
  20. 松井英生

    政府参考人松井英生君) 今、先生御指摘のとおり、私、つい二週間ほど前、アジアをずっと回ってまいりました。今、オートバイの件が御指摘でございましたけれども、やっぱりベトナム辺りで大変な今オートバイブームになっております。偽物が出たりして大変な問題になっておるんですけれども、日本のブランドのオートバイは値段が高くてもやはり売れるということで、アジア各国におきましてもやっぱりブランドに対するあこがれというか評価というのが物すごく高うなってまいりますので、したがって、これからそういう労働コストが安い中国アジア日本企業が競争していく上で、やはり高性能の付加価値の高い製品を国内で作って、高ブランドを、良いブランドを日本側が維持して、それでアジア諸国とのすみ分けをしていくということが必要なんではないかなと、こういうふうに思っております。  そういう観点から、沖縄等々、日本のしかるべき地域におきまして特別な措置を講じて、日本の製造業を高付加価値型に強化していくという対策がやはり重要ではないかなというふうに存じております。
  21. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 ありがとうございました。
  22. 関谷勝嗣

  23. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 民主党・新緑風会の榛葉賀津也でございます。大変貴重な御報告をちょうだいいたしまして、心からお礼を申し上げたいと思います。数点、基本的なことについてお伺いしたいと思います。  まず、小林大臣、そして桜田務官にお尋ねしたいんですけれども、前回のこの調査会で、同僚議員の大塚耕平委員が経済産業副大臣の高市早苗先生にアジアの共通通貨について質問をさせていただきました。そのとき副大臣は、長期的にはアジアの共通通貨というものが理想的なんだろうが、現実的にはアジア通貨として円の国際化、キーカレンシーとしての円というものを日本としては戦略的に考えていくんだという趣旨の御発言をされました。  ただ、私考えますに、この円の国際化、キーカレンシーとしての円を考えていく場合には、情報であるとか、軍事であるとか、外交であるとか、極めてそういった対外政治がアグレッシブに展開されないと、この円がキーカレンシーになってくるというのは非常に厳しいんじゃないかと。とりわけ、我が国アジアで持っている歴史であるとか今日までの痕跡をたどりますと、私は現実的ではないんじゃないかなというふうに思うんですけれども、その点、基本的認識についてお二人の先生にお伺いしたいというふうに思います。  そして、加藤総務大臣にお伺いしますけれども、先ほど御説明いただきましたとおり、発展途上国において情報通信分野におけるODAであるとかOOFでの貢献というものが非常に重要になってくるんだろうなというふうに思います。とりわけ、アジアにおいてのITインフラ整備促進というものが、予防外交の面でもまた経済戦略の面でも非常に重要になってくるというふうに思います。  そして、その中で、二つの国についてどのような取組をされているかお伺いしたいと思うんです。それは、アフガニスタンと東チモール、これは今、非常に新しく国をつくろうとしているエリアでございます。アフガニスタンが東アジアに属さないということは承知ですけれども、日本がこの新しく国をつくろうとしているアジア国々に対してどのようなIT戦略、もしくはITインフラ整備促進に対する貢献というものを予防外交、経済戦略の面から行おうとされているのか、お伺いをしたいというふうに思います。  そして最後に、経済産業政務官桜田先生にお伺いしたいんですけれども、中国におけるITビジネスの特徴というものは、正に産官学のこの三つの連携というものが非常に強固にされている、とりわけ北京とか大連において、清華大学であるとか北京大学といったところでは、こういった高等教育機関において非常に重点的にインキュベートシステムも含めた産官学の連携が非常に強力的になされていると。中東においては、イスラエルのようなところは非常にインキュベートセンターというものを強固にいたしまして、学の部分で研究したものをいかにその産業で利用していくかというものを官が、政治が全面的にバックアップしていくという体制を取っているんですけれども。  日本がこの点において、その産官学の連携が私は多少弱いんじゃないか、とりわけ学における研究のバックアップというものを経済産業の立場からもう少し強固に推進するべきじゃないかというふうに思うんですけれども、この辺の取組についてお伺いをしたいと思います。
  24. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) では、質問の内容の順番で御答弁をいただきたいと思います。  したがいまして、最初の問題につきまして小林財務大臣桜田経済産業大臣政務官、そして最後の質問はまた桜田さんに戻しますから、まず第一問を二人から答弁をいただきます。
  25. 小林興起

    ○副大臣小林興起君) アジアの何か特別な通貨といっても、共通通貨というところを考えるのは難しいものがあろうかと思いまして、現実的にはやはり円で、円をアジアの共通通貨的なものにしていくことが一番近道だろうと思うんですけれども、今おっしゃったとおり、円については背後に確かに軍事的なものはないわけでありますから、そういうものがありますけれども、しかし、特にアジア地域が平和であり続けるだろうと、そういう努力とも相まって、そういうことになりますと、円については、やはり円というものが信頼でどこまでできるのか。それは、ついこの間まで、経済大国日本というときはかなり円に対する信頼も高まったと思うんですけれども、今日は御承知のとおり不良債権処理にもたもたしているぐらいでございますから、明日の日本は、明日の経済はどうなるかという、国内では非常な心配が漂っているんですね。  ただ、情けないところもあるんですけれども、しかしアジア諸国を回ってみますと、総体的には今なお日本経済は強いというふうに幸いなことに思っていただいている面もありまして、そういうことであるならば、やはり自国の経済の立て直しも図りながら、もう少し円の国際化を進めていけるバックグラウンドがあるのかなと思いますし、特にドルは、アジアはもうそれを経験したわけですけれども、何か勝手に一方的に入ってくるんですけれども、すぐに出てしまう。つまり利益追求型の、何といいますか、価値観がドルの背後にはあって、売ったり買ったり、入ったり出たりすると。日本というのは、円を使う人が、日本人かどうかは別として、そういう円的な価値観といいますのは、アジアに例えば出ていっても、日本はかつてバブルのときアメリカへも出ていきましたけれども、入ったらなかなか出ていかないんですね。もうしっかりとそこで所有して居着いてしまうと。売り抜けてすぐに逃げると、こういう逃げ足は速くない通貨でございますから、したがって、そういう意味ではアジアからも非常に信頼性が高いわけでありまして、そういうときに、彼らは、ドルとだけでリンクしているよりも、やっぱり円ともう少しリンクしていた方が、自国の経済を考えたとき、危機的な状況は良かったなという、そういう思いもあるわけでございます。  したがって、そういうアジアの方々から、国々から期待されているという面を込めて、我が国としても、そういうアジア経済危機に、アジアドルとのみリンクしているんではなくて、まず円と少しリンクする部分によってリスクを分散する。あるいは、日本にとって、自国の通貨ということもありますけれども、経済協力のウエートも高い、あるいは輸出入の非常に額も大きいということで、私は、まず円の国際化を図っていくことがアジア経済の安定にとって役立つのではないかと、そういう考え方を持っております。
  26. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) 経済産業省、何かありますか、今の問題。
  27. 桜田義孝

    大臣政務官桜田義孝君) 私も、おっしゃるとおりで、円の国際化というものは進めていくべきだと思いますし、絶対必要だなと。ただ、それには今現在の、小林先生からお話ありましたように、日本経済力をやはり回復させないことには進まないんではないかなというふうに思っております。特には、自由民主党の中では、相沢先生を筆頭に円の国際化に関する小委員会というのを設けられて、円を是非国際通貨にしたいという研究が党内で進められているところでありますし、私自身もそのメンバーであり、円の国際化には熱心な議員の一人でございます。  それで、やはり経済グローバル化する中で、やはり日本の産業、いわゆる言葉は悪いですけれどもハゲタカファンドみたいなことで日本経済というものが混乱に陥らないようにするためにも、世界の中の円の存在というものがより多く認知されるような国内体制あるいは国際体制が必要なんではないだろうかというふうに思っておりますので、是非進めるべきであるというふうに思っております。  ともかく、経済力の回復あっての円の国際化だと、世界の人間が日本経済の将来を心配しているような状況から一日も解放されることが急務であるように思われます。
  28. 加藤紀文

    ○副大臣(加藤紀文君) お尋ねの、アフガンの復興に関して総務省としては何を協力するべきかというお尋ねでありますが、具体的には放送ネットワークの復興ということで、今年の五月に調査団を送りまして放送機材の無償提供を決めました。通信はこれからでございます。  東チモールに関しましては、まだ先方の方から御要望が来ておりませんので、御要望があり次第、できる限り、可能な限り協力させていただきたいということでありますが、東チモールに関しましては外務省の方から説明させていただきたいと思います。
  29. 吉川元偉

    政府参考人吉川元偉君) ありがとうございます。ODAの観点から、アフガニスタンと東チモールにつきまして簡単に補足させていただきたいと思います。  まず、アフガニスタンですが、私も今年の一月にアフガニスタン、カブールとヘラートに行ってまいりました。そのときに、今御説明ございましたが、カブールにある放送局、これは一九七〇年代に日本が施設を建て技術者を送り込んだ、そういうところですが、これがまだ古い機械のまま保存されておりました。  タリバーン時代というのは放送が禁止されておりましたから、新しい政権になってそれを始めようということで、日本はそのためにNHKの協力も得て機材と技術協力を始めております。六月にはロヤ・ジルガというあそこの部族の会議があって、憲法が決まりました。この際も、カブールで行われたこのロヤ・ジルガの模様を日本協力によりまして地方都市でテレビの画像で見れる、そういうことをやりました。  これは、いずれも先生が御指摘になった予防外交という観点では大変大きな成果を上げたものだと思いますし、先ほど政務官の冒頭の発言にありましたように、ODAというものを地域の安定に使っていこうという観点であります。  東チモールにおいては、人口が八十万という大変狭い地域ですし、電話回線は破壊され、電話が戻る前に携帯電話の普及が非常な勢いで動いております。ですから、そういう意味ではITインフラはアフガン以上には進んでおります。  いずれも、これからポテンシャルの非常に高い国だと思いますので、先方政府の要望を聞きながら、この面では日本協力というものが先方政府に直接目立ついい援助だと思いますので、積極的に進めていきたいというふうに考えております。
  30. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) それでは、産官学に関しまして、桜田さん、もう一度戻りましょう、どうぞ。
  31. 桜田義孝

    大臣政務官桜田義孝君) これは、当委員会でも度々御質問の話題になったわけですが、政と産の場合はうまく、産業と官はうまくいっているんですけれども、どうも学の方がちょっといまいち欠落しているというようなところでございますけれども、それでも大学の中に、研究開発の特許を、技術の特許を取ったら、その特許を販売できるような、いわゆるTLOの制度が確立しておりますし、全国の大学の中で、十一年度だけでも相当強まっておりまして、今現在、二十二のTLOが設置されているところであります。  それで、特にこれが独立法人化に大学がなったならば、それはかなり進むんではないだろうかなというふうに思っておりまして、大学の中、その中に、いわゆる特許庁に行かなくても特許を申請、いろいろ特許、手続が面倒くさかったり金掛かりますよね。ですから、大学の中で研究開発したものを大学の中で特許を事業化できるような、そういう制度でありますので、かなり進んでおります。  そして、平沼プランが、三年間で大学発のベンチャー新規産業を千社立ち上げようというようなプランが発表されておりますし、それで、現在のところまでは、そんなに超順調というわけではありませんけれども確実に進んでいるところでございますので、私も地元、柏でございますので、東京大学があったりテクノプラザがあったりして、この産官学というのは確実に進んでいくというふうに私自身は思っておりますし、具体的な成果よりも、方向性は間違いなく進んでいるというふうに自信を持ってそれは言えると思います。
  32. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) それでは、続きまして、沢たまき君。
  33. 沢たまき

    ○沢たまき君 よろしくお願いします。  総務省にちょっとお伺いします。  デジタルデバイドについて御説明いただきましたが、六ページですが、その格差がアジアの場合激しいとありました。それからまた、御説明の後半で、二十三ページですけれども、アジア・ブロードバンド計画がありましたが、この国際的デジタルデバイドの格差の激しいことが、地域全体として世界の情報発信拠点、ハブを目指すという目標にとって大きな障害になるのではないかと心配しております。この共通目標が設定されるとのことですけれども、ハブになるためには、例えばヨーロッパを上回るスピードでインターネットが普及しないといけないんじゃないかなと考えておりますが、この点についてどのように対応されるのか、総務省に伺いたいと思います。加藤先生、よろしくお願いします。それが一つ。  それから、このごろ家電ショップへ行きますと、日本の製品だけではなくて中国、台湾とか韓国製のパソコンとか電気器具が一杯多く置いてありますが、これも情報化が急速に進展している表れだとは思いますけれども、そこでもう一つのデジタルデバイドについて伺いたいと思います。  確かに情報化が進展しているんですが、このことが高齢者あるいは障害者にとってのアクセスの障害になるんじゃないかなと思っています。こうしたいわゆる情報弱者に対する国の取組、また国際的な取組がありましたらお教え願いたいと思います。  もう一つは、情報化の進展と言語と文化について伺いたいんですが、後ろの方でありましたけれども、どうも情報が英語に偏っているような気がしてなりません。近ごろは日本の映画番組とか映像の番組とか、アジア諸国や欧米で放映されるようになってまいりましたので、先ほどの御説明の中にありましたように、アジア経済的、社会的、文化的多様性を尊重というのがありましたけれども、日本も含めて、アジアのそれぞれの国は自国の言語とか文化を積極的に伝えていく必要があるんではないかと私は思っているんです。そのために、我が国として何か施策がおありでしたらお聞かせをいただきたいと。  最後に、円のことが出ましたけれども、財務省として伺いますが、その国際化を進めるとおっしゃっていましたけれども、もう少し具体的に、どういう方向をお考えでしょうか。  一つは、なるべく東アジア地域での決済を円でする。そのためには、例えば、ドルとかユーロと円をうまくミックスして円の価値を保っていくという、これはある国際金融の先生に伺ったんですが、ミックスして円の価値を保っていくというものでした。しかし、これは実際にはなかなか難しいとのことですが。  もう一つ、今、先生がおっしゃったように、まずは国内経済の実態を反映するようにしなきゃいけないし、それによって円の価値は決まるものだから、順序が逆であって、日本経済を再生させることが先決であるという、こういうような御意見もありましたけれども、円の国際化というものは、財務省としてはどのような方向をお考えか、もう一回具体的に教えていただきたいと思います。  以上四点、お願いします。
  34. 加藤紀文

    ○副大臣(加藤紀文君) 最初の質問は、月尾議官の方からお答えさせていただきます。
  35. 月尾嘉男

    政府参考人月尾嘉男君) デジタルデバイドをどうするかということにつきましては大きく二点ございますが、一つは、国内の情報通信基盤の整備に対してのいろいろな支援をする必要があると思います。つまり、アジア諸国の中には電話もまだ十分に普及していないような国がありまして、インターネット以前という国がたくさんございます。そういうところに対しましては、もちろんいろいろな電話、インターネットなどの協力もあるんですが、一気に衛星通信でカバーをするとか、それから携帯電話のような無線を使ったものでカバーするというようなことに対して、アジア・ブロードバンド計画の中で検討していきたいというふうに考えております。  特に、アジア諸国の中には島嶼国家という、島が非常にたくさんで構成されている国とか、それから、山岳地帯がありましてなかなか有線などがうまくできない国もありますので、そういうところも考えますと、衛星通信、それから携帯電話などの無線通信というものでいろいろ協力を検討したいというふうに考えております。  それからもう一つは、その国々が国外へ発信するということに対しても重要なことでありまして、これについては、一つはこのアジア・ブロードバンド計画の中で最初に、私の方の説明でさせていただきましたように、アジア全体でまだ国際的なインターネット網の整備が遅れておりますので、それを整備していく段階で、そのような国々をカバーするというようなことも考えていくというように今考えております。
  36. 加藤紀文

    ○副大臣(加藤紀文君) お尋ねの、正にデジタルデバイド、特に高齢者とか障害者の方々、いわゆる弱者の方々に対する取組でありますが、正にこういう方々こそお悩みになっておられるわけでありますから、こういう方々が使いやすいような環境を作る、正にこれがデジタルデバイドの解消の一つではないのかなということで、総務省といたしましては、高齢者また障害者を含むだれでもが使いやすい機械の開発に関する助成、また、だれもが使いやすい機器等を設置したバリアフリー型のIT利用拠点の整備、また、障害者等に使いやすい機械の開発を促進するための指針の策定等を行って、その対策に取り組んでいるところであります。
  37. 沢たまき

    ○沢たまき君 国内だけでなくて国際的にはどういうふうにお考えでしょうか。国内だけでなく国際的な取組はいかがでしょう、弱者。
  38. 加藤紀文

    ○副大臣(加藤紀文君) やっぱりそれ、いろいろな機会をとらえながら我が国は提唱して、共同で研究開発していこうという態度ではあります。
  39. 月尾嘉男

    政府参考人月尾嘉男君) お答えさせていただきます。  沢理事が御指摘されましたように、今その言語の問題、非常に大きな問題になっております。最初説明のときにもさせていただきましたが、今アジア地域には約二千二百の言語が存在しております。これはほぼ世界の三分の一でありまして、大変多様な文化を持った国であります。  ところが、インターネット、現在五億六千万人使っていると言われておりますが、その人々の母国語は何語かと調べてみますと、圧倒的に英語が多くて、四〇%が今英語圏の方々でありまして、二番が中国語の約一〇%、次が日本語の九%程度でありまして、圧倒的に英語になっております。それから、インターネットの内部にウエブサイトという、普通にホームページがございますが、あれがどの言語で記載されているかということを調べた統計ございますが、英語が圧倒的に多くて六八%という比率であります。  そういう意味では、正に御指摘のように、世界で標準的に使われている言葉ではないところが、この新しい情報世界の中では非常に小さなシェアしか持たないということが現実に起こっております。  これをどうするかということで、今政策としましては、一つは、まず第一にやらなければいけないことは、アジアのかなり多くの国の言葉がデジタル化するための文字コードを持っておりません。ちょっと専門的になりますが、コンピューターで扱うためには、漢字にしろアルファベットにしろタイの文字にしろ、それぞれある数字を割り振ってコンピューターが扱えるようにしなければいけないんですが、それがなされていない言語がまだたくさんあります。そういうことに対して、これから日本協力をしていきたいというふうに考えております。  そうしますと、例えばミャンマーの言葉でもコンピューターの上に載せることができるようになるというようなことになりまして、まず第一歩、そこが開かれます。  それから次に、それが世界のいろいろな国々から参照されるためには、自動翻訳の技術が必要ではないかと考えております。そのミャンマーの文字そのものではなかなか、例えば日本人が見ても分かりませんし、アメリカの方がそれを見ようと思っても分かりませんので、それを自動翻訳できるようにして、世界のいろいろな国々が見れるということをするということも今検討しております。  それからもう一つは、それをインターネットの中に載せるということをしなければいけないということですが、現在の技術でいえばHTMLという言葉を使ってインターネットの中へ書き込むということですが、この辺りについては技術者の教育その他をするとか専門家を派遣するということをしまして、それぞれの国々の方たちが自分の国の文化を自分の国の言葉でインターネットの中に記入できるということを協力していくということを考えておりまして、ODAもそういう分野にこれから一部シフトしていくというようなことも検討できたらというふうに考えております。
  40. 小林興起

    ○副大臣小林興起君) 最後のあれですか、円の国際化の御質問。
  41. 沢たまき

    ○沢たまき君 はい。
  42. 小林興起

    ○副大臣小林興起君) 最初に申し上げましたとおり、この前に申し上げましたとおり、ドルだけにリンクして考えていることが安全なのかどうかという、そういう基本論が多分あると思うんですけれども、まず、アジアの方々がああいう経済危機の経験を生かして、やはりドルだけでリンクしているということについてはちょっと危ないなと、いざというときは日本の方が頼りになるんじゃないかと、少しそう思うことによって、向こうから円との関係を強化していくという、そういうふうに考えていただくことによって、向こうの国からスタートする円の国際化というのがあろうかと思いますし、日本側から見れば、日本輸出や輸入、こういう貿易関係の業者がもっと円建てでやっていった方がいいんじゃないかと、中長期的にはメリットがあっても、どうなんですかね。そういう日本の直接貿易に当たっている方々がドルでやっていれば、いざというときにはドルで、ドルが動いたのは仕方ありませんとか、何かそれで説明が付くけれども、なまじドル建てになっていたものを円建てに替えてその為替の差損が出たときに、何で円なんかに替えたんだと、前からドルでやったらよかったじゃないかというふうに言われたときに、いや損することもあるけれども、得することもあるんだと、こう言い切れるか。  それとも、やっぱり長い物に巻かれて、ドルでやっていれば仕方がないと言われるわけですから、その仕方がないという道を選ぶかという、まずは、日本自身の心の持ち方も私はあろうかと思うわけでありまして、この辺がいま一つ、円の国際化を実は阻害しているのは、そういうアジアの方々の見方だけではなくて、我が国の中にあるということもある程度言えるんじゃないかと思うわけでありまして、自国の通貨をやはり大事にする、自国の通貨をまず自国民が信頼して、この自国通貨とともに歩むというような気持ちでもうちょっと頑張る精神があると徐々に円の国際化も進みますし、そういう精神力だけじゃどうしようもないんで、それをバックアップするために国として、先ほども出ました円の信認性を高めるために経済をきちっとしたものに政府としてもしていくとか、あるいは円が流通するときに流通しやすいようないろんな規制緩和に努めていくとか、そういう環境整備も大事でありますけれども、環境整備と並んで、やはり円がどこでも使えたら便利だなという、非常にシンプルな考えが大事じゃないかなと。  アジアに旅行されれば分かりますけれども、日本料理屋なんというのは、ベトナム辺りにもあるんですけれども日本人が売っているんですね、とんかつなんかも。ただ、そこにとんかつに何ドルと書いているんですね。我々見て、なぜ何円と書かないんだと言ったら、いや、そういうこと、ここには日本人のお客は来ないのかと言ったら、毎日日本人ばかりだと言うんですね。日本人ばかり来て、日本人の客からどうして何ドルと書いてあって文句言わないんだと、何円と書くべきじゃないかと言わないんだと言ったら、いや、そういう話初めて聞きましたなんてね。そういう日本料理屋で、日本人が集まる店がドルでもって払うのがハイカラだなんて思っているのじゃちょっと問題だなと。  やっぱりその辺まず日本人もアジアに行って、ドルと書いてあってもこれ円ならどうだと。そこで円のお金を、円でやれるというようなそういうシンプルなところからやっていくのも、円の国際化に結果としては役立つんじゃないかなと、個人的にはそう思っています。
  43. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) 次に、緒方靖夫君。
  44. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。  九九年の通貨危機の克服とIMFの処方についてお伺いしたいと思います。  実は私、党の代表団として九九年の九月にマレーシアを訪問しました。そのときに、ちょうど一年間の措置が明けた直後に行って、首相府の局長からちょうど説明を受けて、これがIMF方式だ、これがマレーシア方式だというパネルで示していただいて、その中でどういう方式を取ったかということを非常に詳しく伺いました。固定相場制それからIMFの力をかりないで独自にこれを切り抜けたという、そういう話を聞きました。特に最初の半年間IMF方式を受け入れて、このまま行ったら大変なことになると、途中で切り替えたと、そういう話を聞いてなるほどと思ったんですね。  先ほど小林大臣がおっしゃられた、IMFに頼らず独自の方法で対処したというのは、正にそのとおりで、それによって非常に大きな国際論争を生んだと思うんですね。アメリカ、イギリスの政権があるいはまたロンドン・エコノミストが、雑誌ですけれども、このやり方を鎖国主義と言って非難しました。擁護したのはわずかで、ビル・ゲイツとかあるいは未来学者のアルビン・トフラーとかあるいはクルーグマン教授とか、そういう方々は擁護したと。しかし、結果が出てIMFが自己批判したというそういう経過があって、そういうことでアジアのこの辺の問題の考え方がかなり動いていると感じたんですね。  というのは、私、先月タイのバンコクで開かれた会議に出て、そこで今のタイのタクシン政権がこの問題にどういう対応をしているかということを詳しく聞いてまいりました。結局、その当時IMFの方式を受け入れた政権が選挙で大敗した。それだけじゃなくて、その後遺症が地方で大変だと。今それを取り戻すのでどんな苦労をしているかという、そんな話を聞いたわけですけれども。そういう中でつくづく今のIMF方式でいいのかということが、またそういう議論IMF方式を受け入れた国々にも生まれていて、その教訓ということがかなり言われていた。ですから、タイのタクシン政権は、やはり当時タイ政府が取った方式は誤っていたと、今それで苦労しているという、そういうことをはっきり述べておりました。  そういうことから一つ私がお伺いしたいのは、九八年にはアメリカのジョージ・シュルツがIMF改革が必要だと、IMF融資の有効性、これが今問題にされているということをわざわざ言ったことがありましたけれども、IMF廃止を含めて改革の方向について今どういう見解を政府がお持ちか、それが第一点です。  二番目に、東アジアにおける資本移動と金融取引の規制等の域内協力の問題ですけれども、これは詳しく説明がありましたけれども、アジア通貨危機は、実体経済に基づく資本取引と投機資金の移動をいかに判別して察知するかと、そのことが非常に重要だということを示したと思うんですね。これは学問的にも実践的にも非常に奥深い問題だと思うんです。  先ほど話があったおととし五月ですか、チェンマイ合意で締結されたスワップの取決め、これはやはり東アジア域内貿易が密接になる中で、アメリカの反対というか抵抗というかそれを撤回させて、ASEAN域内通貨防衛協力の枠組みを決めたもので、これはとても大事なものだと思うんですね。その中で巨額の外貨準備を持っている日本イニシアチブが非常に問われていると思います。その点で、ASEAN加盟国というのは本当に進んだ国から最貧国を含めて幅広くあるわけですけれども、そういう実態を考慮しながら、日本はASEAN諸国が納得するようなマイルドな域内通貨政策を打ち出す必要が求められていると思うんですけれども、その点で何を目標にして、いかなる政策メニューを用意しているのか、その点が二点目です。  それから最後、三点目ですけれども、日本IT化発展の見通しなんですけれども、私はこの八月に中国の中関村に行ってつぶさに見てきて、その急速な発展に改めて驚きました、聞いてはいたんですがね。わずか十数年の歴史の中で、しかもこの数年、わずかの期間に大変な発展を遂げているということを見たわけですね。ですから、マイクロソフトがそこを拠点にするという、日本ではなくて、残念ながらですね。そういうことも改めて感じました。  そしてもう一つ、中国で大事なことは台湾の役割だと思うんですね。政治的にはいろいろありますけれども、経済的には本当にもう融合がどんどん進んで、パソコンのマザーボードなんかは台湾でもう九十何%作られている。そのパーツのほとんどは対岸の中国側で作られて、台湾のディレクターの下にそれが作られていると、それが実態なわけですね。  最近、私、工学系の学生と話していて、英語は圧倒的に大事な言葉なんだけれども、次に何を勉強するかというと、その辺の勉強している学生は中国語だと言うんですね。何で中国語をわざわざ勉強するのかと聞いたら、いや、実は必要なんだということで、話を聞きましてある種のショックを受けたんですけれども。そういうことでいうと、中国では確かに数字は余り出ません、人口が大きいから。あるいは同じくインドもITの進展は目覚ましいんだけれども、あそこは平均値が取れない国ですから、また取りようもない国ですから。そういう平均値だけ見ると誤ると思うんですけれども、実態はすごい発展を遂げていると思うんです。  そうすると、このような状況の中で日本支援する、これは非常に大事なことですけれども、支援した国に近いうちにあるいはいつかは抜かれるということも目に見えているような気もするんですね。ですから、その辺について、この見通しですね。  ちょっと加えますと、八〇年代の初めにフランスでミッテラン政権が生まれたときに、ミッテランは日本の通産省に非常に注目したわけですよ。貿易と産業を一緒にやる、これが効率よく日本の発展を助けているはずだと、あるいは科学技術を非常に重視して、訪問したときには筑波に行きたいなんと言ってね。しかし、筑波へ行って何にもなかったんでびっくりしたという、そういう話があるわけですよね。  ですから、そういうことを考えていたときに、これから日本がどうなっちゃうのか、支援するのは大賛成ですけれども、しかし私は、今のままだったら早晩追い付かれることは間違いないと、インドからも中国からも。そういう感じがするんですけれども、その点についての見通し、どうお考えかをお伺いします。  以上です。
  45. 小林興起

    ○副大臣小林興起君) 今、IMFの問題、マレーシア危機とを比較しながらお話がございましたけれども、もちろんIMFによる金融支援によってもちろん助かった部分が非常に大きかった点があるのは否めない事実であろうかと思うわけでありますが、しかし、その際に、マレーシアのお話が引き合いに出されながら、IMF自身のやり方、プログラムに問題がなかったかということは、その後、議論がされているところであります。  特に言われておりますのは、何といいますか、IMFはやはり今ふうのグローバリゼーションというんですかね、世界が一つのマーケットを中心に、マーケット至上主義というんですか、そういうことの中に経済が世界的な、国境なき形で動いている中にあって、どちらかといいますとやはり自然にそれは多分アメリカ流の価値観でもって、こうすれば経済は良くなる、こうすれば問題だというような、そういったことを勉強した人たちが大体中心にいるんでしょうから、そういうものでアジアに乗り込んできて見ると。そうしますと、そういう人たちの目から見ると、アジア経済の、各国の運営の仕方等々について非常に問題が多分あるように見える中に、だからこの問題を直していけば国の経済が立ち直るんだという、当然そういうプログラムが出てくるわけでありますけれども。  しかし、金融危機であるからといって、引締めを過度に行うのが一概にいいのかどうかと、これは非常に難しいわけでありまして、何かやはり締め過ぎて、必要以上に経済を収縮させてその後の立ち直りを遅らしてしまったんじゃないかと。そういう主導についても問題だという話もありますし、金融についてああだこうだと言うのはいいんだけれども、そこから及んで経済全般についてIMFプログラムはいろいろと言うわけでありますけれども、特にこの企業構造というか、そういうことについての提言というのは、各国の社会状況とか経済状況とか文化とか伝統とかいろいろあるわけですから、そこに今のアメリカふうの経営学的なものを持ってきて言われるアドバイスが適切であるかどうかと、こういうこともいろいろとあろうかと思うんですね。  いずれにいたしましても、IMF危機国への対応の在り方についていろんな意見が出てきたものですから、本年九月に加盟国政策調整を内容とするIMF融資条件、コンディショナリティーに関するガイドラインというのがIMFの理事会で採択されて、このガイドラインで各加盟国特有の状況や構造に配慮しつつ重点的な分野に絞りより限定的にコンディショナリティーが設けられるべきであることが規定されたと。つまり、金融であれば、金融危機について問題のところだけ言ってもらって、あとあれもこれもと言うのはちょっと言い過ぎではないかということでありますし、それからIMFの活動のやっぱり事後評価をすることは必要だと、うまくいったかどうか。うまくいくのももちろんあるわけですから。  そういう意味で、事後評価を行う機関として設立された独立評価機関IEO、こういうのにおいて、来年四月を目途に、韓国インドネシア、ブラジルで発生した短期資本流出に端を発する危機についての事後評価プロジェクトを今進行しておりますけれども。  いずれにいたしましても、この間、私、G20、世界、G7は知られていますけれどもG20というのはほとんど知られていないんですけれども、知られていなくても一応G20なものですから、世界各国から蔵相来るわけで、日本財務大臣が国会で行けなかったものですから、私が代わりに行きました。そういうところでも必ず出てくるのは、アジアの国がたくさんおりますので、金融の国際危機予防、それから対策という中で、やっぱりIMF問題が後進国から提起されまして、それで、みんなやっぱり反省するところは反省しようということになっております。  結局、今言った、どういう条件IMFプログラムの下にIMFが金を出すかということ、それから条件について、やっぱり結論的に言いますと、細かくいろいろあるんでしょうけれども、ああだこうだ言い過ぎないようにしようと。それについては透明性を確保して、なぜそうするかというようなことも明らかにしてやっていくことが必要だというようなことが今、全体の流れでございます。  それから、マレーシアのああいう話、もちろん勇断を持ってこれ遮断をしたわけでありますけれども、確かに世界の大きな流れからいいますと、ぴたっとIMF等、あるいは世界の資本を止めてやるというのは、大きな規模になっていったり複雑にもう本当に国際資本と深く企業が絡まっていた場合はそれを遮断するのは難しいかもしれませんが、たまたまマレーシアという国の経済状況の中でうまくいったというものがあると思うんですけれども。  しかし、さはさりながら、やっぱりぴしっと外からは遮断して、資本取引を規制するとか逆にぴしっと固定相場制にあえて戻るとかいうことでうまくいったということは、非常にやっぱりマレーシア政府首脳の判断にすばらしさがあったと思いますし、逆に言いますと、この日本だって、昔、私が通産省に入ったころは、資本自由化だとか何か言われる中に、日本はどうしたかといいますと、やがてやらなきゃいけないけれども、もうちょっと待ってくれと。日本国内の体制を整備するから、整備したら必ず資本自由化やりますけれども、体制が整備するまで待ってくれ、待ってくれ、待ってくれと、待ちながら、時間を稼ぎながら、その間に日本経済強化していったんですね。  そういうことなしに、いきなりばあっと外国と自由にしてしまって、それでというのはもたない国もあったと思うんですね。だから、逆に日本のあの戦後しっかりもちながら頑張ったように、時間を稼ぎながら国内強化して、そしてやがて世界の中に力を付けてから出ていくということも、これは非常に、国際化国際化といいますけれども、国際化の前にまず国内経済強化ありきという時期があっていいんじゃないかなと。そういうことをマレーシアがまた改めて昔の日本を見せるような形で見せてくれたかなと、私はこの問題についてはそんなふうに思っております。
  46. 加藤紀文

    ○副大臣(加藤紀文君) 中国に対する我が国総務省における取組でありますが、御承知のように、中国も急速な経済成長を遂げまして、昨年WTOに加入したということから、情報通信分野においても競争原理の導入を一層推進するなど、今後とも更なる発展が期待されているところでありますが、総務省といたしましては、中国の情報通信主管庁である情報産業部との間で、これまでにも大臣会合とか官民フォーラム、ワークショップの開催等を通じまして良好かつ緊密な関係にございます。  そういった中で、今年の一月、日中情報通信大臣会合におきまして日中ICTパートナーシップを締結いたしまして、当面協力すべき分野といたしまして、IPv6、第三世代移動通信、そして規制競争政策と、この三分野を定めまして、官民一体となった協力関係の発展強化を図ろうということで今後とも取り組んでまいりたいと考えております。
  47. 桜田義孝

    大臣政務官桜田義孝君) 先ほど三点目に、IT分野において中国に追い付かれるんではないだろうかというような御質問があったんですが、必ず追い付かれてしまうというのが結論でございます。それと、東アジアにおいて、要は、非常に中国は急成長をしておりますのでいつの日か追い付かれちゃうだろうと、その中で、日本が孤立しないように、東アジア地域の人たちと一緒にスクラムを組んで、日本中心となって中国と仲良く繁栄し続けると、そういうような友好関係を取っておくことが必要なんではないだろうかというふうに考えているところでございます。  特に経済産業省の売りの一つに、この前、先ほど説明したんですけれども、九ページに情報処理技術者試験のアジア展開というのがありますけれども、当省でやっていることに、IT人材の育成を目指して、情報処理技術者試験、いわゆるIT技術者試験のアジアへの展開ということで、具体的には、試験制度のないような国に対して我が国の試験問題や試験実施ノウハウを供与いたしまして各国における試験制度創設に協力をしていると。それと、二番目に、試験問題出題の基となっているスキル基準についても、相互に同じ範囲レベルであることを検証、確認することができる両国試験のスキル評価レベルが同程度であることを確認する相互認証を行うと。  三点目には、相互認証をしました相手国の試験合格者に対しては、入国規制緩和措置、いわゆる当試験の合格者には在留資格認定書を交付するという、を実施するという内容になっております。ですから、この試験制度というものを日本のレベルにアジア諸国が合わせていただくというようなことで、日本アジアの中でITにおいて孤立しないで日本中心に技術レベルを維持する、日本の水準にアジアが合わせるというような形の施策を取りたいということで、もう既に日本は、インド、シンガポール、韓国中国、フィリピン、タイ、ミャンマー、マレーシアということで、八か国結んでいるところでございます。  それと、中国ITに関しては日本中国ではレベルの差が余りなくて、一応日本の方が今のところ上なんですけれども、よほど引き離すような施策がなければ、どんどんどんどんその差が縮まっているので、四、五年たったら同程度に近い、これから日本政策によって先行きは分からない部分がありますけれども、今の状況で行くと追い付かれる可能性が多いということで。  それと、人材におきましても、中国には日本も行っていますし、アメリカも行っている、ヨーロッパも行っている、韓国も行っているということで、世界の人材が中国には集まっておりますけれども、日本にはITに関する世界の人材が中国と比べると集中的に来て存在していないということ、その水準の違いもあるんではないだろうかなと。その違いなんかを合わせると、永久的に中国を引き離すということは確信が持てないというところでございます。
  48. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 ありがとうございました。よく分かりました。
  49. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) 次に、大田昌秀君。
  50. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 三点ばかり簡単な質問をさせていただきます。  まず、財務大臣の方にお伺いしますが、先ほど円の国際化というお話がございましたけれども、去る十一月九日付けの朝日新聞に、元大蔵省の財務官の榊原氏がこの問題についてインタビューを受けておりまして、我が国は製造業の競争力があるだけで、政治、軍事、外交、メディア、情報、金融などが弱い、そういう国の通貨国際化するはずがないということを言われて、さらに通貨政策については、円の国際化ではなくてアジア共通の通貨圏作りに取り組むことがいいんじゃないかという趣旨の発言をなさっておりますが、円の国際化の見通しについてはどうお考えですか。  それから次に、今ITの技術者の人材のお話がございましたけれども、シンガポールの場合、IT技術者の二七%が外国人になっているということが報じられております。それから、アメリカの場合は二〇〇六年には約百三十八万人のITの技術者が不足するということで、毎年特別のビザをIT技術者向けに年間二十万人分発給するということが言われておりますが、我が国外国人の技術者というのは一体どれくらいいるのか、それからまた、ビザの面で優遇措置を講じておられるのかどうか、それらについて教えてください。  それと、我が国の通信事業の自由化の現状はどうなっているか教えてください。  それから、あと一点だけ、簡単な質問ですが、先ほどITの振興のためには民間主導で、政府、国家というのはむしろ補完的なこれをした方がいいという趣旨のお話があったと思いますが、東アジア諸国IT関係を見てみますと、国家計画というのが極めて明確に打ち出されておりまして、その辺は国家が主体性を取るという、政府が主体性を取ってIT振興を図るということはどういうデメリットがあるか教えていただきたいと思います。  関連しまして、マレーシアはマルチメディア・スーパーコリドー計画を持っておりましたが、その実情がどうなっているか、どなたでも結構ですので教えていただきたいと思います。  以上です。
  51. 小林興起

    ○副大臣小林興起君) 今、榊原さんが何か共通通貨を新たに作り出した方がいいと、円についてはいろいろ問題があるからというふうに新聞に書いてあるというお話ございましたが、その新聞は読んでおりませんけれども、ヨーロッパのユーロなんかを見ても、やはりまずユーロを使うようなヨーロッパの国々の中で統合が始まっていくという、何かそれのバックグラウンドには、やっぱり一つは、国々の間の経済力やそういうものが非常に似通っているというのがあろうかと思うんですけれども、まだアジアの中にあっては、経済の発展といいますか、そういうレベルにいろいろな国々が混じっておりますから、何か共通に作っていくという機運がすぐに醸成されるようには、ユーロのような状況にはないんじゃないかなと思う中に、まずしかし、じゃそれまで待つのかといいますと、これは円の国際化といいますその論者は、やはりアメリカ、そしてヨーロッパ、そしてもう一つの極としてアジアということの中に、現実的な案として、アジアの中でまあまあ共通に使えるものとして円というものの存在があるんじゃないかと。  それは、一つは日本経済力がその中では安定的に強いということがありましょうし、日本の別に軍事力を背景にはしておりませんけれども、そういうものを背景にするような時代ではなくなってきているという中に、国としての安定感は日本はいろんな意味で強くあるだろうと。そういう国の通貨ならばいいんじゃないかということの中に、各国との貿易量も日本は多い、そしてまた何よりも日本は世界の中でも際立って経済援助ということをしているという、そういう経済援助大国としてアジアから頼りにもされていると。そういうようなことの中から、まず円でもって、円がアジアの中の共通の通貨として相当程度信認される、評価される見込みがあるんじゃないかというところで、まず円の国際化というものをやれるだけやっておくことがそのアジア経済の発展、安定に役立つのではないかという大義名分の下に、やはりまず円で、現実的な円があるわけですから円でいこうというのが円の国際化論者の大きな主張ではないかなと、そう思っております。
  52. 桜田義孝

    大臣政務官桜田義孝君) 先ほどの私が話をした入国規制緩和措置で、外国の人から、外国から技術者区分でビザを申請するときに在留資格認定書がもらえるということで、今、韓国から五、六名の実績があるというふうに確認されております。  それと、IT貿易の自由化ということでございますが、これは日本は積極的にもう完全に自由化しておりますし、WTOのような公の組織の中でも世界に自由化を進めるべしというふうな主張をさせていただいているところでございます。
  53. 日出英輔

    大臣政務官(日出英輔君) 私が申し上げたのは、沖縄のときに出しました協力策で目標を明示したわけでありますが、これに対して実績が少ないという理由の中で、IT分野というのは、日本協力という分野の話でありますけれども、民間イニシアチブ投資とか貿易とかによって発展していく分野だと一般論を申し上げたわけであります。  IT振興策について主導的に民がやっていくべきなのか国がやっていくべきなのかという話は総務省の方からお答えをいただきたいというふうに思っております。  なお、先生のお話の中で、例えばIT技術者が不足しているので、日本ではビザについて特別枠を決めているのかというような御質問があったように思いましたが、これは今のところないということでございます。
  54. 加藤紀文

    ○副大臣(加藤紀文君) お尋ねのIT振興に関して、やはり民間主導が原則であります。しかし、お話しのように、国家戦略とか法整備とか行政としてのサービス提供とか、こういったものは当然公的主導といいますか、頼らざるを得ないということと、もう一つは、既に発展というか発達している地域においては当然民間主導が多いでしょうが、これからのところはなかなかそうもいかないのかなという気がいたします。  そして、通信の自由化についてでありますが、これは日本はもう世界でも最も進んでいる、自由化している国の一つであります。  そして、最後にお尋ねのマレーシアに関しましては、二〇二〇年までに先進国入りを目標とするお話しのビジョン二〇二〇計画の、一応国のプロジェクトとしてマルチメディア・スーパーコリドー構想というのを策定いたしまして、クアラルンプール周辺地域におきまして、マルチメディア、IT分野の先端企業、研究機関の誘致、また実用的アプリケーションの開発による需要創出、インテリジェント都市開発、この三つの手法を用いて、この地域において情報通信産業の一大拠点を建設しようということを目標にしている計画であります。
  55. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) ありがとうございました。  以上で各会派一人一巡いたしましたので、これより自由に質疑を行っていただきます。  それでは、質疑のある方は挙手をお願いします。
  56. 森元恒雄

    ○森元恒雄君 ありがとうございます。  まず、財務省の方にお聞きしたいと思いますが、遅きに失した感があるように私は思いますが、九月に円の国際化の研究会を財務省内に立ち上げられたと、大変結構なことだし、心強く思っております。  それで、どういうふうに円の国際化を進めていくかということについて三点お聞きしたいと思いますが、まず、貿易決済でできるだけ円を使うということが第一の手段だと思いますが、先ほどの議論の中で、日本側、日本の業者の側に円に切り替えるのにちゅうちょ、ためらう空気があるんじゃないかというようなお話があったかと思いますが、ドルから日本側が円に切り替えたことによって、例えば為替差損を受けるというようなことは考えられないように私は思うんですけれども、むしろ円建てで決済できないということになれば、相手方の円に対する信認の問題あるいは為替リスクのヘッジの問題がむしろ多いんじゃないかなという気がいたしますが、改めてそこら辺の、貿易決済手段としてなぜ余り円が使われないのかという点について御説明をいただければと思います。    〔会長退席、理事山本一太君着席〕  二つ目は、日本は世界最大の債権国でありますが、その債権国が債務国であるアメリカの国債を買うときに円建てでなくてドル建て債を買っていると、こういうことは歴史的に見ても異常じゃないかというふうにも言う人がおるわけでありますが、なぜアメリカに資金を供与する、供与するというか債券を引き受けるときに円建てにならないのかと。それは、一つは日本の起債市場がいろいろ制約があって不備なことに原因があるんじゃないかとも言われておりますが、この辺の真相、あるいは、これから財務省としてはどういうふうにその辺を持っていこうと考えておられるのかということについてお聞きしたい。  それから、三つ目は、円の影響を広げるのはできるだけ、二国間のスワップもそうですし、もう一つODAなんかを通じて、これを円でどんどん提供するということが望ましいんだろうと思いますが、これは現状ODAなんかの場合にはどういう通貨で相手国に供与しておるのかと、これは事実だけ教えていただければと思います。  次に、経済産業省の方にお聞きしたいと思いますが、日本は今、二〇〇五年までには世界最高水準のIT国家を国を挙げて実現しようということで目指しておるわけですが、私は今のe—Japan計画の柱の一つにITの関連産業の振興というのが入っていないのが非常にもう寂しい思いがして、何で入っていないんだろうかなとかねがね思っております。  今、桜田務官から、中国との関係でも追い付かれますよという率直な本音のお話ございましたけれども、私は大変それは、事実はそうかもしれませんが、それじゃ、この最高水準を目指している政府の意気込みは一体何だろうかという気もいたしますし、追い付かれても更に引き離すんだというぐらいの強い決意でこの産業振興をやっぱり経済産業省としては是非やってもらいたいなと。  今なぜ日本IT関連産業がこんなに元気がないのかということを考えますと、やっぱり一つは、いろいろな要素があると思いますが、一つはインターネットというものがアメリカの発の技術で、これが世界を全くもう制覇したということにかなり影響されている部分があるんじゃないか。しかし、技術は日進月歩なわけでありますから、ハード、ソフト両面からやっぱりこれを更に改良、改善、パワーアップしていくという中で、いったん後れは取りましたけれども、これを取り戻す可能性は十分残されているんじゃないかと。元気をやっぱりもう一度取り戻して、日本の産業の旗振り役として、これは経済産業省には大いに頑張っていただきたいなというふうに思います。その辺のお考えをお聞きしたいと思います。  それから、三番目に、総務省にお聞きしたいのは、携帯電話とかブロードバンドにつきまして、今後やっぱり日本が世界のデファクトスタンダードを取れるかどうかということが、日本ITが発展するかどうかということと極めて大きな関係があるんじゃないかと思うんですね。それで、携帯電話なんかの場合には、中国市場にはほとんど日本企業は入り込めていない。これはやっぱり何か戦略、戦術にまずい点があったんではないかなという気がいたしますが、そういう点、事実が実際はどうだったのかと。  それからまた、携帯も、先ほど経産省に対して申し上げましたように、今は第二世代と言われていますが、これは次、第三世代がもう目の前に来ておるわけでありまして、これもどんどん技術が変化していきますし、ブロードバンドに至ってはこれからだという分野であります。この辺、世界の中でのデファクトを取るためには、まず近くのアジアを固めていくというのがやっぱり日本の戦術としては一番現実的ではなかろうかというふうに思います。その辺、どういうふうに、具体的な方策としてどういうような手順を取ろうとしているのか、その辺のお考えをお聞かせいただければと思います。
  57. 吉川元偉

    政府参考人吉川元偉君) ODAの為替の話が御質問ございました。日本のODAの供与は原則すべて円建てで供与しております。円借款については、したがって借り手の方が為替リスクを負うという格好になっております。  唯一の例外があるとすれば、国際会議などで各国が、人道援助が典型ですが、ドルの金額で幾ら幾ら我が国は供与しましょうということを約束する例はよくありますが、その場合には、日本政府がその約束した額を為替リスクは我々が負いながら将来出すということです。
  58. 溝口善兵衛

    政府参考人溝口善兵衛君) 森元委員からございました円の決済の話が一つございます。それからあと、ドル建ての債券をなぜ買うのかとかいう二つございました。それから、ODAの話は、先ほど外務省からお答えになったとおりでございます。  貿易決済の関連を申しますと、どういうことが起こっているかといいますと、例えば日本からアメリカに自動車を輸出しますね。日本の本社からアメリカの子会社にまず売りまして、子会社はそれを現地のディーラーに売る、ディーラーはそれをアメリカの消費者の市場で売るわけでございます。結局どこかで、円で生産したものはドルに、消費者には最終的にはドルで売られるわけですから、どこかに為替リスクが発生するのは、これはしようがないわけでございまして、世界全体でドルを使う地域、あるいはユーロを使う地域、円を使う地域というのがあるわけですが、これはやはりいかんせん経済規模によるわけでございます。アメリカの市場を見ると、消費者はドルで買うわけですから、どこかでドルに転化しなきゃいかぬ、したがってだれが為替リスクを持つかということになるわけですね。それは売手と買手の交渉によるわけでございます。  通常の場合、マーケットに一番近いディーラーは中小でもありますし、余り為替リスクは持たないわけでございます。ドルで売るわけですからドルで買うということになる。そうすると、アメリカで輸入した日本の子会社が円で本社から買ってそいつをドルで売るという為替リスクを負うかということにもなるわけですが、海外にある子会社が必ずしも十分力がないとか、あるいはそういうことに対応する力がない、あるいはそういう為替管理のために人を割く余裕がない、あるいは自動車会社でいえば世界じゅうでそういうことをやっているわけですからどこかでまとめてやった方がいいということになると、結局、日本なり、日本の本社がやるか、あるいはロンドンに為替リスクを集中してやるということを取るわけでございます。したがって、ドル輸出しても円で輸出しても、結局グループ内でどこかに為替リスクが生じますから、多くの場合は円で輸出してそのリスクは本社が管理をするということになっているわけです。  それから、大きい会社の場合は、輸出と同時に輸入があるわけでございます。輸入をドルでいたしますと、その分は、ドルで受け取っても、マリーと言いますけれども、受取と支払がほぼ一致しますから、そこで為替リスクは大体キャンセルできるわけですね。  それで、結局なぜなかなか進まないかといいますと、結局のところは、相手がドルなりユーロを使っているところが多いということでございます。しかし、経済力に見て、相対的に見て、日本経済力から見て、もう少しそういうことが増やせるんじゃないかという努力をしているということでございます。  例えば、アジアなどで日本から物を輸出して、それを日本に持ってくるような場合があります。そういう場合でもドルが使われたりするわけでございまして、そういうものを円建て化することがその企業自身にとってプラスであるわけでございますから、そういうことができないかなということをやっているわけでございますが、そういう問題は言わば企業の経営の仕方、販売の仕方にかかわるわけでございまして、なかなか政府が強制するわけにもいかないし、企業がそれが最適だと思えばそれでやむを得ないわけでございます。  しかし、もう少しやりようがあるのではないかということが私どもの考えでございまして、副大臣から申し上げましたが、もう少し現場サイドでそういうことを見直すことによって変えられる部分があるのではないかというのが一つです。これは民間の努力です。しかし、ちょっと長くなって恐縮でございますが、政府としてはもう少し円が使いやすくなるように日本の制度、円に資産が回るように非居住者に対する免税措置を取るとか、いろいろな努力を続けているということでございます。  それから、二番目の外貨建ての債券、円建ての債券ということがございましたが、二つ問題があるように思います。  外貨建ての債券を債権国である日本が買うというのは、経常収支なりが黒字になるわけでございますから、黒字になるということは外貨が日本にたまるわけでございまして、その外貨で円を買ってはますます円が強くなるわけでございまして、できないわけでございまして、ドルの現金が日本にたまりますと、それはドル資産を買うということになるわけでございます。これは取引上、そういうことになるわけでございますね。  それから、もう一つの問題は、企業なり外国政府なりあるいは外国企業なりが国際市場資金調達をするときに、ドル建てじゃなくて円建てでやれないかということがあると思います。森元先生おっしゃったのはその面もあると思うんですけれども、それはかなりロンドンとかで円建ての債券も増えておりますが、ただ、実際に円を使って商売をするというよりも、その円をドルにスワップするとかユーロにスワップするというようなことで、最終的に使う通貨に替えられますものですから円の割合が低うございますが、しばらく前は日本に大量の貯蓄があり、日本から外債に投資をするという人が多うございましたから、円建ての部分が非常に多かった時期がございますが、最近ちょっと減っておりますということが現状でございます。  長くなりまして大変恐縮で失礼しました。
  59. 桜田義孝

    大臣政務官桜田義孝君) 森元先生おっしゃるとおり、IT関連産業の振興が極めて重要だということは分かっております。ただ、現在の日本経済成長率だとプラス・マイナス・ゼロ程度の経済成長率で、中国は七、八%の経済成長率が成っていて、既に我々が主張しているんですけれども、研究開発費についても、だんだんだんだん研究開発に対する投資が少なくなっておるんで、研究開発に対する税制も優遇的なものが十分機能をしていないということで、今回の税制でも、研究開発に対する税制の在り方を再考してほしいというようなことをお願いをしているところでございますし、また、IT導入することによってあらゆる産業を支援するためには、IT投資促進税制、これは研究開発と別枠でIT専門の投資促進税制ということで一〇%の税額控除を今お願いしているところでございまして、私が先ほど言ったのは、現在の税制とか現在のような政府支援体制、税制の支援体制では追い付かれてしまうのではないかということでありますので、皆様の御支援を得て、当経済産業省の税制のお願いが聞いていただけるならば、私は先ほどの発言は撤回させていただきたいということでございますので。  更に加えて、ITの産業振興に抜本的に強化するためには、e—Japan、五年以内に世界一のITにしようということがありましたけれども、e—Japanの見直しIT本部でも行われているところでございまして、来年の五月から十月を目途に競争力強化観点の一つに加えて見直しをしているところだというふうに伺っておりますし、我が経済産業省におきましても審議会を設けて、情報技術と経営戦略会議を開催しているところでございますので、是非税制の問題について皆さんの御協力がいただければ必ず勝てると思います。
  60. 月尾嘉男

    政府参考人月尾嘉男君) 携帯電話、ブロードバンドなどで日本が優位に立てるか、それからそのためにはアジアを固めるという御指摘ありました。  まず、携帯電話、現在、中国のマーケットでは日本は非常にわずかなシェアでありまして、モトローラ、ノキア、エリクソン、サムソンなど北欧、アメリカ、韓国企業中心でありますけれども──よろしゅうございますか。どうしましょうか。
  61. 山本一太

    ○理事(山本一太君) いや、これはそのまま続けてください。ちょっと委員会採決に行くので、申し訳ありません。
  62. 月尾嘉男

    政府参考人月尾嘉男君) はい、分かりました。申し訳ありません。じゃ、一応お答えさせていただきます。  今、日本のメーカーのシェアは、携帯電話の端末のシェアは一けた台であります。理由は三つほどありますが、一つは中国が採用した方式がGSMというヨーロッパ始め世界の主要国で採用されている方式でありまして、日本の方式とは違うということで、日本のメーカーは非常に対応が遅れたということであります。    〔理事山本一太君退席、会長着席〕  それから第二は、先ほど申し上げましたような北欧の諸国、アメリカ、韓国などは早い時期から中国に研究所を設けまして、中国の学生をどんどん高給で雇って地歩を築いてきたわけでありますが、日本はそのころほとんど中国対策をしなかったということでありまして、一言で言えば出遅れたということですが、そういう点があります。  それから三番目は、NHKの「クローズアップ現代」で放送しておりましたけれども、日本の製品が悪かったということです。デザインが悪いとか非常にまだ厚い、韓国などが薄いものを作っている段階に厚いものを提供していたというようなこともありました。そういう点では、第二世代の携帯電話はもうなかなか取り返しは付かない状況だと思いますが、今、第三世代で日本は積極的に協力などして頑張っております。  これも問題は、今世界には大きく第三世代の方式が二つありますけれども、普通に言えばスウェーデンの方式とアメリカの方式ということになりますが、中国がどちらを採用するか。場合によってはほかの第三の方式を中国独自に採用するということもありますので、それによっていろいろ影響を受けますが、少なくとも日本としては今ドコモが提供しております、FOMAという名前で提供しておる第三世代の方式を積極的に中国協力しながら普及させたいということをやっております。  それから、ブロードバンドについては、これは正にIPv6でありまして、これは日本が非常に早い時期から技術開発をしましたので、進んでおります。既に今年、中国と実実験もやっております。中国日本の技術者が行きまして、向こうで実実験をしておりまして、IPv6でインターネットを使うような時代になれば日本の展開も有利かと思います。  それから最後に、先ほど桜田務官が、多少修正されましたが、追い付かないんではないかということ、追い抜かれてしまうのではないかということを申されましたが、これは考えようでありまして、例えばアメリカは今テレビジョンを作る会社は一社もありませんけれども、じゃアメリカのテレビジョンは後れてしまったかというと決してそんなことはなくて、すばらしい番組を作って、それで大変な力を持っているということであります。  それから、次のデジタル時代の放送機器についても、作っているメーカーは松下とソニーでありますが、じゃアメリカはそれで駄目かというと決してそんなことはありません。それから、これからデジタルシネマというものが恐らく重要な手段になります。これも松下とソニーが主要な製品を作っております。それから、主要な部分の特許もテキサス・インスツルメンツなどと並んで日本企業が持っておるんですが、じゃそれでアメリカは心配しておるかというと、そこでの競争ではほとんど心配しておらないんですね。それは安いものを買えばいいんだという発想でありまして、それを使って更に競争力を増すものは何かというと、結局どこの国の人もが見たい映画を作ればいいんだというような発想で今やっております。  そういう点で、物だけで競争しようとするとどんどん価格競争になって、中国のような日本の十分の一程度の人件費の国と競争するのはなかなか厳しいわけですが、もっと高付加価値の分野に進展するというような戦略を考えれば全体としては悲観的にならなくてもいいのではないかと、個人的な見解ですが、思っております。
  63. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) ありがとうございました。  先ほど森元委員が離席いたしましたが、ほかの委員会の質問の時間が参りましたので、やむを得ず離席をしましたので御理解を──採決でございますか、大変失礼をいたしました。  それでは、次に、大塚耕平君。
  64. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 民主党の大塚でございます。  三点お伺いをしたいんですけれども、総務省から御説明いただいた資料の十ページとか十一ページを見ると、日本韓国と並んで、あるいはインターネットの利用者ですと中国と並んで大変この分野の先進国だという御説明だったわけですけれども、御承知かと思いますけれども、暗号化の技術というのは、これはアメリカが一番ビット数の長い暗号キーの技術は独占していますので、インターネットをこれだけ使うということはすべての情報がアメリカに筒抜けだということなんですね。それはもう月尾議官なんかはよく御存じだと思いますけれども。したがって、暗号技術について今アメリカが独占している技術は何なのかということについて、これは総務省か経済産業省、どちらでも結構ですからお答えいただきたいと思います。  二点目は、今の話とも関係があるんですけれども、経済産業省の九ページとか外務省の三ページでデジタルデバイド解消に取り組んでいるとか、アジアIT分野で協力しているとかと御説明があったんですけれども、確かにシナジー効果で日本が発展するという面もありますが、しかし日本はかなりお人よしなところがあって、やはり協力はするけれども、ITの分野で常に先行していなければいけない、この分野だけは他国に追随させないというそういう国家戦略がないんですね。例えば今申し上げた暗号なんかはもう完全にアメリカに牛耳られちゃっているわけで、経済産業省とか総務省は、外務省もどういうお気持ちでやっておられるか聞いてみたいですけれども、どういう分野は日本比較優位な分野として温存しようとしてやっておられるのか、これが二点目です。  最後に、先ほど円の国際化ということでODAは全部円でやっているというお話がありましたが、本当にそこは私も是非改善していただきたいなと思っているんですが、もう一つ、円の資産を持ってもらうという意味では日本の国債をいかに海外投資家に持ってもらうかという意味で、日本国債市場の利用しやすさ、利便性を高めるということがもう長年課題になっているわけですが、この面で財務省がどういう御努力をしておられるのかと。  以上、三点をお伺いしたいと思います。
  65. 月尾嘉男

    政府参考人月尾嘉男君) 暗号について。暗号のまず技術的な側面から申しますと、必ずしもすべてアメリカが進んでいるということではありません。現に昨年、アメリカ連邦政府が公式な暗号として採用したAESという、アドバンスト・エンクリプション・スタンダードというものがありますが、これは世界の二十一の暗号を三段階の審査をしまして、最終的に選んだものがベルギーの技術でありまして、ラインドールという技術であります。それが現時点で最も優れているということで、アメリカの連邦政府が公式な暗号として採用しました。そういう点では、アメリカが必ずしも優位ではないということです。  日本は、例えば最近も新聞記事になりましたが、三菱電機が量子暗号の実験に成功したりしておりまして、従来の公開かぎの暗号では確かにアメリカ人が最初のアイデアを出しましたので進んでおりますが、更に進んだ暗号では日本も技術的には優位にあります。  それから、バイオメトリックスといいますが、指紋は今古くなって駄目ですけれども、例えば虹彩でその人を識別するというような形の暗号がありますけれども、この辺りになりますと、今、世界ではもう互角の競争でありまして、技術としてどうかというと、これは必ずしも日本が後れているというわけではありません。  それから、既に御存じかと思いますが、今、日本政府としましては、つい一週間前に総務省と経済産業省共同のクリプトレックという研究会が発表しましたが、七十六種類の世界じゅうのすべての暗号をチェックして、ちょっと途中ですが、暗号は御存じだと思いますが時間とともにどんどん弱くなっていきますので、数年間は十分使うのに足るという暗号を二十八選びまして、これを政府、公的機関は使うということを方針を出しました。そういう点で、暗号政策、一応日本もあります。  それから、御指摘のように、じゃそういうものが世界でどのように使われるかというところにつきましては、少なくともこれまではアメリカの連邦政府がいち早くデスという、DESという暗号を採用し、それから今、昨年から新たにAESという名前の暗号を採用し、非常にデファクトスタンダード化をねらっておりますので、確かに広く普及するかどうかという点では必ずしも予断を許さない側面があります。  それから、おっしゃったように、そういうことによってアメリカがすべての情報を見ているかどうかということはなかなか微妙な問題でありまして、EU議会がそれについてアメリカに抗議をしましたが、アメリカは一切答えておりませんので、公式には、おっしゃったようなことが行われているかどうかということはだれもはっきり証明はできませんので、正確に申し上げられませんが、少なくとも暗号ということだけに関しますと、繰り返しになりますが、技術的には日本は必ずしも後れておりません。ただ、それをいかにデファクトスタンダード的なものに持っていくかということについては予断を許さない状況にあるというのが今の状況だと思います。
  66. 小林興起

    ○副大臣小林興起君) 日本の国債について外国の方々からどうかということでございますけれども、とにかく日本の国債を買いやすくするための規制緩和ということについては大分、特に税の面ですけれども進めてきたところでございまして、TBとかFBの償還差益に係る源泉徴収を免除するとか、非居住者外国法人が受け取る国債の利子について非課税措置を実施するとかということで、税制面等についてはかなりやってきまして、今、余り障害があるとは思えないわけでありますから、あとは国債を買われる人が日本の将来の経済の問題だとか、あるいは自分が資金を運用するわけですから、バランスを持って、いろんな国の中に日本の国債をこのくらい持っていた方がいいという、ポートフォリオの中で選ぶとか、そういう外国の方々から見た買手の側の評価であって、買いたいけれどもこんなふうに税金取られちゃうからやめたということでは今なくなってきているというふうに認識しております。
  67. 桜田義孝

    大臣政務官桜田義孝君) 大変難しい問題ですけれども、中国の技術移転によって技術レベルの使い分けは必要だというふうに考えておって、中国に教えたりなんかしなくて日本だけが独自で持ち続ける分野というのはなかなか難しいとは思うんですけれども、日本では有機ELディスプレー、デジタルテレビとか、そういったものについては日本で優位的に残したいという希望を持っているというだけでありまして、それが一つと、半導体の製造装置は日米で共同でやっていて、ほかには移転させないというふうなことで、そういう方針でやっております。
  68. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 簡単に済ませますけれども、この後、回答は結構ですから、日本が個別にどの分野、今、力を入れて先行メリットを持つ分野として残そうとしておるのか、これを要するに政府、霞が関、よくお考えいただきたいなということなんですよね。ハードなのかソフトなのか。例えば、OSのリナックスというようなものに対抗するものを作ろうということなのか、あるいはアメリカのように、まさしく実際に見るソフトの分ですね、ビデオとか、そういうことなのかとか。ちょっと、だからそういう国家戦略がないというのは、この分野に限らず日本の産業政策の根本問題なわけですから、そういう観点で是非御検討いただきたいということだけ申し上げて、特に回答は結構ですから。
  69. 桜田義孝

    大臣政務官桜田義孝君) ちょっとこちらの方で回答させていただきたいと思います。
  70. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) それでは、松井議官
  71. 松井英生

    政府参考人松井英生君) 今、先生御指摘のとおり、中国に追い付かれないためにも我々は高付加価値型の産業に移転しなくてはいけないということで、技術開発を一生懸命やっているところでございます。  そういう中で、先ほど大臣政務官から申し上げましたように、とある技術については是非残したいと、こういうふうに思っているわけでございます。ただ、当然のことながら、韓国、台湾、欧米の企業もどんどん中国等々に参入してきておりまして、どういう技術が本当に日本として残していけるのか、現在正に検討をしているところでございます。  さらに加えまして、OSにつきましては御案内のとおりアメリカのマイクロソフトが独占をしており、それによってすべての情報がアメリカの方に流れてしまうと、こういう危険もございますので、日本で独自にOSを開発できないかというような考え方もございます。  さらには、つい最近でございますけれども、ソフトウエアのアジア・パシフィックの国際会議の場で、中国韓国の方からそういうものを共同で開発しないかと、こういう提案も来ております。  そういう状況を踏まえながら、どういう形で日本の優位性を維持できるのか、十分に検討をしてまいりたいと、こういうふうに思っております。
  72. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) ありがとうございました。  四時を目途にいたしておりますので、あとお一人。小林温君。  それでは、答弁の方も四時までに終わっていただきますように、よろしくお願いします。
  73. 小林温

    小林温君 今の大塚委員の質問とも関係しますが、やはり国際標準、標準化の問題をどう考えていくかということが日本にとってこのITの分野で大変大きな問題だろうというふうに思います。  マイクロソフトに言及がありましたが、特にアメリカはデファクトとデジュールを使い分けて、デジュールが優位性を保てるような分野については、まず最初に国際規格を作ってそこで市場を広げていくと。逆に、マイクロソフトに代表されるデファクトで、先に技術を、技術というか製品自体をデファクト化させて、結果的に市場占有していくと。ある意味でいうと、この部分が今、日本にとって一番欠けている部分だと思うわけです。  今お話にありました、じゃ、どの分野を戦略的に今後日本のその標準化の中で位置付けていくかという、先ほど来お話出ていますが、携帯電話と情報家電と、例えばIPv6ということはよく言われるわけですが、この点について、特にIPv6についてどのような戦略をお持ちで、これからどう展開していこうとされているのかということについて、総務省、経済産業省に是非お聞きをしたいと、こういうふうに思います。  何でIPv6が重要かといいますと、一つには、まずアメリカが興味を持っていないと。アドレスの枯渇ということで、日本中国が同じ環境下に置かれていて手を握れる可能性のある分野であると。かつ、日本が今技術的な優位性を持っているわけですね。ただ、例えばルーターのメーカー、シスコシステムズ始め、最近IPv6用のルーターの開発でかなり追っ掛けてきているというのも事実だと思いますが、こんなところにも御言及いただければ。  今日は財務省、外務省もいらっしゃいますので、中国に対するODAですが、いろいろ批判があるわけでございます。今後、戦略的にODAを考えていく中で、このIPv6に関する技術供与を含めた様々なことを特別に、今の枠組みの中で実は難しいということも役所の方からお聞きしていますが、位置付けて、IPv6に関して中国とのODAの中で積極的なお取組をいただけないかと。外務省の方ですね。  財務省におかれましては、是非、このODAだけに限らず、予算措置においても、やっぱりIPv6、日本の今かなり負けそうな部分をひっくり返す一発逆転の数少ない弾であると思いますので、関連予算については最大限の是非御配慮をいただきたいと、こういうふうにお願いを申し上げるところでございます。
  74. 月尾嘉男

    政府参考人月尾嘉男君) まず、標準のことについて少し補足させていただきますけれども、従来、今御質問ございましたデファクトスタンダードとデジュールスタンダードでありますが、最近フォーラムスタンダードという方式が非常に強い力を持つようになっております。分かりやすく言えば、業界が一種の相談しながら決めるというものです。それで、日本も今、少なくとも総務省としてはデファクトスタンダードをやるのはなかなか難しい状況なので、フォーラムスタンダードを支援していくということをやりたいというふうに考えております。  IPv6については、そういう点で、もう重要性は御指摘いただきましたので説明しませんが、大変重要なことですが、今、一つは、プラットフォームをコンピューターから情報家電に変えるということがIPv6を推進するのに有利ではないかというふうに考えております。コンピューターでやりますと、どうしても、CPUがインテルであるとかソフトウエアの基幹部分がマイクロソフトであるとかということになりまして、アメリカの影響力が非常に強いと。情報家電に移しまして、先ほど経済産業省からも少し説明がありましたが、新しいOSを組み込み、なおかつそれの通信方式をIPv6にするということで、従来と少し、断絶とは申し上げられませんが、少し違う路線で新しい技術開発ができるだろうということで、それを今検討しております。  それからもう一点は、なるべく早く国際的にスタンダードになるということを目指して、今、二国間でいろいろな協力をしておりまして、先ほども申し上げましたが、中国とはこのIPv6について既に実験レベルまで進んでおります。それから、韓国ともやるというようなことになっておりまして、先ほど森元委員が御指摘されましたような、近いところから固めろという方針で今IPv6を何とか逆転の手段にできないかという政策を検討しておるところでございます。
  75. 桜田義孝

    大臣政務官桜田義孝君) 財務省と一緒に、松井議官の方からお話しさせていただきます。
  76. 松井英生

    政府参考人松井英生君) IPv6で、アメリカは確かにアドレスが現在のバージョン4で十分に足りているということで、従来は関心がなかったわけでございますけれども、つい先日、大統領補佐官が私のところにいらっしゃいまして、やはりアメリカ最大の関心はセキュリティーでございます。このセキュリティーの観点でバージョン6の方が極めてセキュリティーレベルが高いということで、アメリカ政府もバージョン4とバージョン6を並列させようと。つまり、セキュリティーが必要なところについてはIPv6にするというようなことを検討し始めたという話がございました。  我が国のIPv6につきましては、今、先生御指摘のとおり、中国との間で共同研究開発を実施すると、こういうことになっておりまして、二〇〇二年度から三年間計画で北京、上海、広州の三都市を結ぶ試験網を構築して、そこで技術研究を共同して実施をし日本の試験網と接続すると、こういうことで今進んでおります。  予算につきましては、一応財務省の方に十四年度予算は六億五千万円いただいております。十五年度要求につきましては今要求中で、やはり十四年度と同額程度のものは是非お願いしたいと、こういうことで今鋭意お願いをしているところでございます。  いずれにせよ、我が国といたしましても、ここの新しいIPv6ができますれば、NEC、富士通、日立等々が関係のルーター等々の設備開発並びに設備の販売増と、こういうことにもつながりますので、我が国としても今積極的に中国との協力を進めておるところでございます。  以上でございます。
  77. 日出英輔

    大臣政務官(日出英輔君) ちょっとよろしいでしょうか。  今のIPv6に関する日中協力の話で、総務省の方からも、また経済産業省の方からも共同研究開発の話が出ました。これから先の話について小林先生の方からODAの話にお触れになったんだろうと思います。どうもすぐにこれをODAで更に裏打ちし推進していくということは、今のところ考えられていないという話でございます。そういう意味でいえば、この共同研究開発の成果をそれぞれの国がどう利用していくか、どう普及していくかというところで、とどまるべきものではないかというふうに考えているようであります。
  78. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) ありがとうございました。  予定の時刻も参りましたので、本日の質疑はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十三分散会