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福島啓史郎君 自由民主党の
福島啓史郎であります。
今回の
公務員制度改革につきまして、私自身、
国家公務員三十二年やりまして、国内、内外、外国にも勤務しておりましたので、それらの経験を踏まえて個人的見解も含めながら
意見を言いたいと思います。
私は、
公務員制度改革につきましては、短期的なものと中長期的なものを分けて考えなければならないと思います。今回の
改革はどちらかといえば短期的なものが中心ではないかと思います。したがって、中長期的なものを更に
検討し実施していかなければならないと思うわけでございます。
その際の大きな
論点でございますが、四つあるんではないかと思います。
一つは、効率性をどうやって
行政で確保するかということでございます。その場合の効率性とは何かといいますと、
一つは意思決定及び執行の的確・迅速性、それが
一つですね。それから二番目は、
行政コストをどうやって削減していくかと、これは効率性だと思います。二番目は
セクショナリズムの打破だと思います。よく言われるように省益あって国益なしという、この明治百三十五年の病弊をどうやって脱却するかということでございます。それから三番目は、政と官の関係をどう考えるかということでございます。
基本的には、政は
政策を決定し官はそれを実施するというのが
基本的にあるべきだと思います。それから四番目は、
労働基本権の
制約の問題をどう考えるかということでございます。
以下、四点について申し上げますと、まず効率性につきましては、今の
公務員制度改革におきましては
キャリア制度を改善しながら維持するということだと思います。短期的にはやむを得ないのかなという気もいたしますけれ
ども、一回の
試験ではなくて、ある年齢でもって同一の条件、
競争条件を探す、結構だと思います。また、能力等級、実施はいろいろ難しい問題あるかと思いますが、
考え方としてはいいと思います。
ただ、問題は、
天下りの是正と関連して早期退職
制度を見直すということが
議論、総理の指示もあるようでございますが、言われております。私は、結局そうするとどういうことになるかといいますと、早期退職をずらす以外、
天下りを禁止すれば早期退職をずらす以外にない。要するに、
退職年齢をずらす、その間は現役で出向するということなんですね。そうすると、
行政コストとしては何らプラスマイナス、意味がないわけですね。そういうことでいいのかどうかという点が
一つ。
それから二番目には、私は、今これだけ世の中の動きが早いときにいつまでも六十まで、トップが六十というのは私は間違いだと思います。早く五十代そこそこで実際の要するに局長、次官クラスで権限を行使するような
立場にならないと
日本の
国際競争力は落ちると思います。
したがって、どういうことを考えればいいのかということでございますが、私は
一つは、先ほど田名部
委員も言われましたけれ
ども、公共工事に、
天下りの
人材を引き受けると公共工事が来るというのはやめなければならないと思います。その
一つは、要するにゼネコンの供給過剰という問題が背景にあるわけですね。したがって、その供給過剰対策をしていくと同時に、一定年間は直接そういう工事会社に行くのではなくて、シンクタンク等に
人材を供給して、そこで留保し、そこで過去の
行政経験を踏まえた
調査研究等を行うということであります。
それから、中長期的には、私はリボルビングドア方式を考えるべきだと思います。回転ドアですね。要するに、官とそれから民とを回転ドアのように移行する、政権交代も含めてそれを行ったり来たりするという関係を
日本も作るべきだと思います。その際にキーになるのは、人生設計上重要な将来の人生の保障という面もありますから、シンクタンクを多く作っていくということではないかと思います。
セクショナリズムにつきましては、
内閣の関与を強めていくということでございますが、中長期的には
内閣の一括
採用、一括管理を行うべきであると思います。また同時に、
省庁間配転あるいは
人事交流を進めるべきだと思います。
それから、政と官の関係につきましては、私はもっと政の方が官の方に
人材を供給すべきだと思います。イギリスのように大体一
省庁十名
程度の
政治家を官の方に派遣するような
仕組みを作り、そこでもって
政策決定していくべきだと思います。
また、
行政コストの削減につきましては、
定員削減を進めると同時に、その
定員削減に際しましては各省の持っている定員の相互流用をしていくことが必要だと思います。
最後に、
労働基本権の問題につきましては、三木
内閣のときに
政治的課題になったわけでございますけれ
ども、私はあのようなコストを掛けて
議論する実益があるかどうかということが問題だと思います。それだけのコストを掛けるよりも、今の、
現行の中で
労働基本権の
制約に対して
人事院制度という中立的な機関が
労働条件を決めていく、賃金を決めていく、そうしたシステムを守っていく方がいいのではないかと。これは一種の
社会的混乱に対する保険という意味を含めてもその方がベターではないかと思います。
以上でございます。