○武見敬三君 大変興味深く御
報告を聞かせていただきました。勉強になりました。
フランスにおける
賢者の院、そして
ベルギーにおける
熟慮の院といったいずれも権威と重みというものを感じさせるイメージで、こうした一院、
二院の
在り方というものが御
報告をいただけたわけであります。そこには常にこの
二つの院との間で適切な
相互補完という機能が確保されることが求められ、その上での第
二院の
賢者及び
熟慮というものが強く意識されていたように思います。
こうした形で
考えたときに、我が国のこの
参議院の
在り方というものを申し上げるとすれば、いまだ引き続き衆議院のカーボンコピーと言われている
現状は変わりがないわけであります。こうした
憲法調査会を通じてこうした
二院制の
在り方を制度として
議論するということは、中長期的に極めて必要なことでありますけれども、
現状の制度の中で実際にどのような運営を通じてむしろ
賢者の院、そして
熟慮の院となり得るかということを現実的に
考える必要があるように思います。
その中で特に、この
報告の中では余り語られませんでしたけれども、むしろ制度や
組織というものがどのような
民主主義的な
価値観によって運営されているのかという点についても、私自身は大変興味があります。私自身は、実際にこの
参議院の中で外交
防衛委員長等もやらせていただきましたけれども、実際、
条約というのは衆議院で
審議、採決をされますと、
参議院ではこれはもう三十日以内に実際に
審議、採決をしなければ自然成立ということになる。そこで、実際には与野党が様々に駆け引きをするわけでありますけれども、その自然成立間近ということになりますと、与野党ともに自然成立を避けなければ
参議院の
意義が損なわれるということで手打ちとなり、最終的にはそれが滞りなく
審議、採決されると、こういうことの繰り返しでありました。私自身は誠にこのようなことでいいのかということをつくづく思いました。
すなわち、もし与野党ともに支持し得るそういう
条約、協定等の批准案件であるとすれば、こういうものは早く
審議、採決してしまうか、もしまたほかにもっと重要な
課題を独自に選定するということであれば、そちらの方の
審議に時間をむしろ集中をし、自然成立したって私なんかは一向に構わないというふうに思っておったわけでありますけれども、この点について、やはり
参議院における現在の制度下における運用の仕方を通じて、むしろこの
熟慮や
賢者としての立場を再確立するための改めて
考え方が求められるように思いました。
また、決議などをする際においても、これは少数
意見を尊重することは当然でありますけれども、決議を提示するということについておおよそ全会一致を原則としている。おおよそその決議においてでも、何人が賛成をし、何人が反対したかということを
国民が知ることが私は大事だと思うんです。
ところが、決議を出す前段階で事前に全会一致を原則とするというような形でやっておりますと、実際に出された決議そのものは常に全会一致で採択をされてしまうわけであります。これは本来
国民の目から見たら分かりにくいことでありまして、様々に
意見が相違するとしても、そういう決議の賛成票、反対票の多さを通じて
国民がそれを理解するということも同時に必要なことではないかと思います。このような運営
方法というものについても改めて現在の制度の中でしっかりと
議論をして、
独自性を確保する努力が必要だと思います。
その上で、制度としても、中長期的に
日本の
参議院が本当に
賢者・
熟慮の院となるためには、やはり私は定員の大幅な縮小が必要だと思います。
今
国民は、二百四十七名いる
参議院の
議員の数、明らかに多過ぎだと思っていると思います。私は百名ぐらいにしてちょうどいいだろうと思っているわけでありまして、
かなり大幅にこの
議員の数を縮小しない限り、
賢者の院あるいは
熟慮の院としての権威を
国民がこの
参議院に認めることはほとんどないだろうというふうに思っております。相当ここは、我々自身が覚悟をしてこうした決意を固める必要が私はあるように思います。
また、行
政府との
関係においても、そのような権威を最終的にしっかりと確立をするということであれば、むしろ
参議院から閣僚等を
政府にこれを出すということはむしろ控えるべきであって、独自のそうした立場というものを三権分立の中でもしっかりと確保するということが私は大切であるように思います。
こうしたことを今日の御
報告を聞き、様々に
考えさせていただくことができましたことを改めて感謝を申し上げて、私の
発言とさせていただきます。
ありがとうございました。