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2002-11-07 第155回国会 参議院 環境委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年十一月七日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小宮山洋子君     理 事                 大島 慶久君                 清水嘉与子君                 山下 英利君                 小川 勝也君                 高橋紀世子君     委 員                 井上 吉夫君                 小泉 顕雄君                 山東 昭子君                 段本 幸男君                 真鍋 賢二君                 小林  元君             ツルネン マルテイ君                 福山 哲郎君                 加藤 修一君                 弘友 和夫君                 福本 潤一君                 岩佐 恵美君    国務大臣        環境大臣     鈴木 俊一君    副大臣        環境大臣    弘友 和夫君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       岩城 光英君        環境大臣政務官  望月 義夫君    事務局側        常任委員会専門        員        大場 敏彦君    政府参考人        資源エネルギー        庁省エネルギー        ・新エネルギー        部長       伊藤 隆一君        国土交通省都市        ・地域整備局長  澤井 英一君        国土交通省河川        局長       鈴木藤一郎君        国土交通省道路        局長       佐藤 信秋君        環境大臣官房廃        棄物・リサイク        ル対策部長    飯島  孝君        環境省総合環境        政策局長     炭谷  茂君        環境省総合環境        政策局環境保健        部長       南川 秀樹君        環境省地球環境        局長       岡澤 和好君        環境省環境管理        局長       西尾 哲茂君        環境省環境管理        局水環境部長   石原 一郎君    参考人        国際協力銀行理        事        志賀  櫻君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○環境及び公害問題に関する調査  (環境問題に対する環境大臣基本的認識に関  する件)  (京都議定書目標達成に向けての環境経済  との両立策に関する件)  (地球温暖化防止対策環境税導入に関する  件)  (環境教育推進策に関する件)  (産業廃棄物処理の現状と産業廃棄物処理税の  導入に関する件)  (東京大気汚染公害訴訟第一審判決をめぐる諸  問題に関する件)  (合併処理浄化槽の推進等健全な水循環の在り  方に関する件)  (国際協力銀行環境社会配慮ガイドラインに  基づく異議申立てに関する件)     ─────────────
  2. 小宮山洋子

  3. 小宮山洋子

    委員長小宮山洋子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 小宮山洋子

    委員長小宮山洋子君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  環境及び公害問題に関する調査のため、本日の委員会国際協力銀行理事志賀櫻さんを参考人として出席を求めたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小宮山洋子

    委員長小宮山洋子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 小宮山洋子

    委員長小宮山洋子君) 環境及び公害問題に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 山下英利

    山下英利君 おはようございます。自由民主党の山下でございます。  この臨時国会環境委員会一般質問、まずトップバッターとして大変光栄に存じております。大きな話題からだんだん中へ絞っていって御回答いただくというような形で進めさせていただきたいと、そのように思っている次第です。  まずもって、鈴木大臣、それから弘友大臣望月政務官、このたびの御新任、誠に御苦労さまでございます。環境の問題は本当に幅が広くて大きい問題でもあり、とらえどころのないという中でリーダーシップを発揮していただいて、かくある方向というのを進めていただきたい、そのように私は思っておる次第です。お三方の御奮闘を心から御期待を申し上げる次第であります。  最初のまず私の質問でございますけれども、一昨日、ごあいさつ大臣からいただきましたその中身について、再度私の方から改めてお考えをお聞かせいただきたいというところから始めたいと思います。  まず、環境問題に対する基本的な考え方についてでございますけれども、ごあいさつの中に、あるいは循環型と申しますか、持続可能な社会づくりというのが環境の大きな命題であり、かつ全体を見通した幅広い視点に立って取り組んでいくというごあいさつがございました。それを本日の質問最初といたしまして、できましたら、もうちょっと具体的に分かりやすく御説明を賜りたいと思います。よろしくお願いします。
  8. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) おはようございます。  環境問題取り組むに当たって幅広い対応が必要であるということを申し上げたわけであります。これは、環境問題いろいろ出てまいりますが、そうした課題に対症療法的に対応するのではなしに、その根本に根差しているものが何かということを考えながら物事を進める必要があるということを申し上げたかったわけであります。  私たちの取り巻く環境でありますけれども、これは、大気、土、水、生態系、こういうものが相互に関連し合っているものでありまして、その一部に影響が与えますと、それがまた別のところに現れてくるということでございまして、そういう微妙なバランスの中で成り立っていると、そういう認識を持っております。  例えば汚染物質などの問題があろうかと思いますが、そういうものが出てきたときに、ただそれを除去すればいいとか、それにただ対症療法的に対応すればいいということではなしに、なぜそういうものが出てきたのか、社会経済仕組みの中でそういうものがどう生産されて出てきたのか、そういうことまで踏み込んで考える必要があるのではないかと、そういうふうに思っているわけであります。  したがいまして、これからも、一つの、いろいろな事象が出てくると思いますが、目の前の事象だけにとらわれることなしに、その裏にあります発生原因でありますとか、社会経済仕組みでありますとか、そういう根本問題にも目を向けて取り組んでまいりたいと、そういうふうに思っているところであります。
  9. 山下英利

    山下英利君 どうもありがとうございました。  その基本的な考え方に基づいて環境行政を引っ張っていっていただくということでありますけれども、直面する大きな話題としまして、京都議定書の問題がございます。  日本温室効果ガス排出というのは、もう既に八%に増加してしまっていると、そのように言われておりますけれども、京都議定書の六%の削減約束を、これは環境を引っ張っていく、リードしていく日本ということからも、何としてもこれは達成しないといけないという大変な重い責任があると、私はそのように感じているわけでありますけれども、削減約束達成に向けまして、大臣の御決意、これをお聞かせいただくと同時に、日本発射台はもうかなり既に高い状況の中でこの六%を達成しなきゃいけないという大変厳しい環境にあるというところに軸足を置いて、その御決意と、それからこれからの方向性についてちょっとお述べをいただきたいと思います。
  10. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 京都議定書でありますが、京都議定書COP3で日本議長国となって、これを出発点に深くかかわったし、それからその後の経緯におきましても、日本がイニシアチブを持って作ってきた一つの重要な枠組みであると、そういうふうに思っております。  地球温暖化防止の問題と申しますのは、正に人類の生存基盤そのものにかかわる問題でありますから、是非日本としてもこの京都議定書約束したことをきちんと守っていかなければならないと、そういうふうな強い決意を持っているところであります。  ただいま山下先生から発射台お話がございましたが、現在、一九九〇年よりもう既に八%増加をしているということでありまして、京都議定書の六%削減を実現するためには合わせて一四%の削減をしていかなければならないということであります。これは決して容易なことではないわけでありますけれども、是非これは国民皆様方の御協力も得ながら、是非実現をしなければならないと思っております。こうした取組というのは、遅れれば遅れるほど後々の対応がより厳しくなるわけでありますから、今からできるところをしっかりと取り組んでいくということが重要であると思います。  国内対策につきましては、もう既に先生方御承知のとおり、地球温暖化対策推進大綱というものを本年の三月に策定をしているわけでありまして、その中で、国民挙げて取り組むべきいろいろな課題、細かい対応というものを、百種類を超える具体的な対策のパッケージを作っているわけであります。私は、この大綱に盛られていることを一つ一つ確実に実行していくということが極めて大切なことであると考えておりまして、こうした大綱の実行を進めながら、確かにこれは生易しいことではございませんけれども、この六%削減という国際約束を達成してまいりたいと思っているところであります。
  11. 山下英利

    山下英利君 ありがとうございました。  まず、御決意の方、お聞きしたわけなんですけれども、これは本当に生易しいことではないと思います。しかも、最終的にこの数字が達成できなかったといったときのことを思いますと、もうこれは国際間でも何が何でもやるんだという強い決意の下に、各産業、各事業、日本国内はともかく、国内だけでなく、海外においても引っ張っていっていただきたいと、そのように熱望するわけであります。その際に、大分大きな荒療治というのももちろん出てくるかと思いますけれども、それに対して我々一生懸命頑張って大臣をお支えしてこの環境行政を守り立てていきたいと、そのように思う次第であります。  そこで、温室効果ガスなどに伴います温暖化防止についての取組ということで御質問をさせていただきたいと思います。  まずもって、先般のニューデリーでのCOP8の御出席大変御苦労さまでございました。  その折の内容についてはるる報道がなされているわけでありますけれども、世界的な取組という中にあって、この京都議定書については米国は未締結という状況もありますし、それから、今後排出量の激増が予想されている途上国削減義務はないわけでございまして、未締結国削減義務を負っていない途上国に対してどういうふうにこれから働き掛けていくのかというところは大変大事な点ではなかろうかと、そのように思っているわけであります。  そしてまた、先般のニューデリーでの様子を伺いますと、先進国途上国の間に問題意識ずれと申しますか、言ってみれば、この温暖化ガスについてはこれは先進国責任であるというふうな発言もあったやに聞こえてきておりまして、また、特に中国とかインドのような途上国とはいっても非常に目覚ましい経済成長を遂げている国が今後の世界的な環境面では大変私は脅威であると、そのように思うわけです。先進国で起こってしまった環境の問題を発展途上国で起こさせないということは、これは私たちも十分に考えて行動していかなきゃいけないと、そのように思うわけであります。  まず、これからの議定書の発効に向けての状況、それから、今後こういった途上国に対しても日本がするべきことについて大臣のお考えをお聞かせください。
  12. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) COP8に参加をさせていただきまして、改めて、先進国途上国間の間の問題意識ずれでありますとか、その前提になっていると言っていいのか、信頼感の欠如と申しますか、そういうものを強く感じてきたところであります。  しかし、考えてみますと、この地球温暖化防止の問題といいますものはこれはもう地球規模で取り組まなければならない、先進国だけが取り組めばいい、あるいは途上国だけが取り組めばいいという問題ではないわけでありまして、したがいまして、世界的規模での参加というものがこれは重要であると思っております。  私も、初日の閣僚円卓会議でこの旨についても強く訴えをさせていただきまして、デリー宣言に盛り込むよう発言をしたところであります。デリー宣言におきましては、結果として京都議定書締結国に対する締結働き掛けでありますとか、途上国も含めた地球規模での温室効果ガス削減必要性、こういったようなこの点についての前向きなメッセージも盛り込まれたところだと、そういうふうに評価をしております。  また一方、先進国の方を見ましても、アメリカあるいはオーストラリア、こういう国々は参加をしないと、こういうことを表明をしているわけであります。しかし、アメリカなどは全体の二四%近くの排出量があるわけでありまして、やはりアメリカにも参加をしていただくということが重要であると、そういうふうに認識しております。  COP8の場におきましても、アメリカオーストラリアとの間で二国間会談をいたしまして、私もその先進国の主要であるアメリカオーストラリアにも是非、いろいろ経緯があるけれども、京都議定書参加をしてもらいたいということを強く申し入れたわけでありまして、今後ともいろいろなチャンネルを通じましてそうした働き掛けをしてまいりたいと思っております。  途上国との間の問題でありますが、やはり信頼感といいますものを、これをこれから作っていかなければならない、そのためにはやはり日本として約束したこと、そういうことを着実に履行していくということがそういった信頼感の醸成、不信感の払拭につながるものと思っております。日本としてはこれからも積極的に、技術移転でありますとか、またODAを通じたいろいろな資金協力等もしてまいりたいと思っておりますし、環境省として、技術移転途上国における人材育成、セミナーの開催なども実施しているわけでありますが、こうしたものも継続して実施してまいりたいと、そのように考えております。
  13. 山下英利

    山下英利君 ありがとうございました。  途上国に対して、そのように環境面での技術移転であるとか教育といったものについて前向きに取り組んでいただきたいと、そう思うんであります。  そして、加えて言いますと、例えば日本であるとかあるいは欧米の先進国企業が、やっぱり企業責任として途上国環境を脅かすような活動に対してどのような対応をするかというところも一つはあると思います。これは質問という形ではないんですけれども、やはり日本空洞化が進んでいると。要するに、日本での環境基準を満たさないような形での途上国における生産というものは、やはりこれは日本としてどのように考えていくのかと、その辺のところは大きな問題ではないかと思っております。  特に、貿易面考えますと、やはり同じものができたと。同じものができたけれども、非常に価格は日本で作るよりも大分安いというようなものが発展途上国の方から輸入をされますという状況の中にあって、やはりそれを作っている環境自体がその途上国環境に対してやはり将来の不安をもたらすような環境で作っているということに対して、やはり我々は責任を持たなければいけないんじゃないかなと、そういうふうに思います。企業のこれは倫理という面からの側面ですけれども。  それから、海外支援におきましても更に広げて、そういったところまで途上国環境配慮をするという思いは必要だと思いますので、またそれについても是非前向きに取り組んでいただきたいと、そのように思うわけであります。  そして、次の質問なんですが、ただいま私が申し上げたように、日本での生産空洞化が起こっているといった側面というのは、一つ要因として、やはり今の日本デフレ経済の中で大きな要因になっていると言わざるを得ないと思います。この今のデフレ経済の中で、環境が要するに経済を引っ張っていく体制というようなものが一つはあっても、望まれるのではないかなと、そういうふうに思うわけであります。  環境の問題といいますと非常に極めて長期的視野に基づいた対応ということも言われますけれども、じゃ、今、例えば日本がこのデフレ経済の中で経済的にも短期的に効果が上がってくるということがあれば、これは経済環境に対して非常にプラスといいますか、資するものであると、そのような私は理解をしているわけであります。  例えば、昨今言われておりますナノテクノロジー等の新技術の開拓、これももちろん、どちらかというと中長期的な視野に基づいてというような部門と、やはり新技術環境に即した開発をしていくことによってそれを産業発展に生かしていくという意味では、時間的にも短期的に何とかならないかという思いも私はしているわけであります。  そしてさらに、国土開発の利用と廃棄物の問題、これは非常に深刻になっておりますけれども、規制を進める中で国民の消費、雇用を同時に促進をさせていくという考え方二兎を追う者とよく言いますけれども、この際、この二兎を追える者は何なんだということもあろうかと思うんです。その辺について、ちょっと大臣の御所見をお聞かせください。
  14. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 今日の厳しい経済状況下にあるわけでありますけれども、しかし、環境問題、それに環境を守るためのいろいろな制約、そういうものを経済活動に対する制約と見るのではなしに、むしろそれを一つの新しい成長要因としてとらえるべきだと、前向きにとらえるべきだと、私も山下先生の御意見のとおり、そういうふうに思うわけであります。  例えば、日本では、現実の話といたしまして世界で最も厳しい自動車の排出ガス規制がございました。これは産業界大変だということでありましたけれども、結果においてそこに技術革新が生まれて、そして新たなマーケット、新たな雇用というものが生まれてきたわけであります。また、太陽光発電などについても同様のことが言える。いずれの低公害車太陽光発電にしても、日本技術といいますものはこれまで世界でも一、二を争う、そういう環境制約の中で逆に技術革新と新たな産業発展が生まれたという、そういう実例もあるわけでありまして、そういう面を育てていく努力というものが必要であると思います。  山下先生から特にナノテクノロジーお話がございましたが、こうしたナノテクノロジーを始めとする技術革新促進等を今後とも環境省としても努力をして、これは環境省だけででき得ないものもございますので、関係省庁とも連携しつつ、環境省リーダーシップを持つ努力をしながらこうした環境技術開発にも努めてまいりたいと考えております。
  15. 山下英利

    山下英利君 ありがとうございました。  今の大臣の御説明で、その先へこれからいろいろな質疑という形も取らせていただけるのかなと、そのように思っておるんですけれども。  一昨日のごあいさつの中で、経済制約要因じゃなくて新たな成長要因であると、私はここのところに非常に重点を置いた施策というのも望まれるんではないかなと。そして、環境配慮することにインセンティブというのが働く経済社会ということは、やはり環境というものが一つ経済の大きな構成要素になるというふうな確立を目指さなければいけないと、私はそのように思っておる次第であります。そして、デフレ圧力にならない環境対策というのもありますけれども、デフレを阻止する環境対策、これを何とか、今デフレ対策いろいろ言われておりますけれども、あの中にも大きく踏み込んでいただきたいなと、そのように思うわけであります。  それで、次の質問なんでございますけれども、実は私、滋賀県の、琵琶湖のある滋賀県の選出であります。滋賀県では最近、県条例として琵琶湖水質保全のために一つ条例を制定をいたしました。内容を大まかに言いますと、水質汚染を止めるための、いわゆるレジャーボートですね、レジャーボートの規格を決めると。要するに、排出ガス規制をするために、例えばツーサイクルエンジンの場合には燃費効率も良くないということで四サイクルにしなさいとか、もう一つは、元々琵琶湖にいたフナとかアユ、タナゴ、モロコといった在来種がやはり随分減ってきていると。それの大きな要因と言われているのがブラックバス、それからブルーギルといった外来魚、これによって稚魚が駆逐をされてしまうと、そういうようなところから条例を定めたものであります。  定めたものでありますけれども、滋賀県というのはやはり琵琶湖というのが大きな財産であり、かつ近畿圏の水がめということでの責任もありますけれども、一方では、やはりレジャーという一つ観光産業、こういった側面からもやっぱり人に来てほしいと。その中で、要するにブラックバスは釣りという側面からすると大変、いわゆる他県から来ていただく方が多いと。ですから、この条例を決める場合でも、やはりそこは環境対策とそれからやっぱり経済的な側面というものの両方をやっぱり考えながら進めていかなければいけないということを正に現場で感じていたというところが県の状況でございまして、私もそこに、その話を聞いて本当に環境経済を両立させていく、これの難しさといいますかその困難にやはりもう一回立ち向かっていかなければいけないんだなと、そういうふうに痛感をしている次第であります。  実は、こういった環境の問題を、対策を進めていく上では、先ほど大臣がおっしゃったように、他省庁との連携が大変大事になってくると。その連携を取って河川、それから土地、それから水と、そういったところへ総合的な対策を講じていくという中にありまして、行政の組織として、先ほど環境リーダーシップというお話もございましたけれども、具体的に環境省がこれから行っていく役割、これをお示しいただけますでしょうか。
  16. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 環境行政を進める上で各関係省庁とのかかわりのある分野というものはたくさんございます。そういうことに対して環境省としてやはり言うべきことをしっかりと言っていくという姿勢が常に必要ではないかと、そういうふうに思っているところであります。  先般、沖縄の泡瀬干潟工事について、これは内閣府が行うものでありますけれども、海上工事が始まったという一つの節目をとらまえまして、これは異例だという評価もあるわけでございますけれども、環境省として内閣府に対して環境アセスメントで守るべき環境保全の措置ということが示されているんで、それをきちっと守るように、例えばそれを守るためには具体的な計画をきちっと示してほしいとか、そういうことを言わせてもらったことがございます。  そういうような、他省庁に対して、他省庁の事業でも環境省として言うべきことは言っていくという姿勢を持ちながらこれからも努力してまいりたいと思います。
  17. 山下英利

    山下英利君 どうもありがとうございました。  今回、この環境委員会においてそういった、一つでも前に進める施策を実現させていただきますように心からお願いを申し上げまして私の質問を終わらせていただきます。  本日はありがとうございました。
  18. 段本幸男

    段本幸男君 自民党の段本でございます。  私の方からは、主として各論部分についていろいろお尋ねしてまいりたいと思いますが、その各論に入る前に、大臣環境に対する取組の姿勢につきまして一つだけ御質問させていただきたいと思います。  大臣は、今、山下議員の質問にもお答えになっていました。また、先ごろの大臣発言の中でもおっしゃっていますように、自然連鎖の中で大きい視点から環境をとらえていかなきゃいけない、したがって一つ一つ環境を大事にすることによって大きくつながっていくんだというふうなことをおっしゃっていました。私も全く同感で、大変大切なことではないかと思って、そのことをおっしゃった大臣の姿勢に大変敬意を表したいというふうに思っております。  ただ、状況は、山下議員もおっしゃっていましたが、現在、大変不況下、不景気の下にあって環境対策がいろんな意味で推進しにくい状況にあるのではないかというふうに思っています。がしかし、あえてこんなときにこそ、今、小泉構造改革が進められておりますけれども、正に二十一世紀の社会に合ったような社会システム作りというんですかね、こういうことが必要だと、こういうことになっていて、そのためには痛みはあっても改革を進めなきゃいけない、こんなふうに言われておりますけれども、正にそういうことを進めることが日本の、先ほど山下議員の質問にも大臣お答えになっていましたが、足腰の強い科学立国日本産業というのを作るんではないかと思うんですね。その例は、車が排ガス規制対応するもの一生懸命やって、非常に力強い車の製造社会を作った、こんなことに見られるんじゃないかと思います。  そこで、あえて一歩突っ込んで、更にこの際、鈴木大臣環境行政を更にレベルアップをするためには、環境税とか産廃税とか、環境の質をもう一つ上げるため、これはもう産業界にとっては非常にパッシングなりブーイングが起こるかもしれませんが、あえてそういうことを憎まれ役としておやりになることが必要ではないかと思うんですが、その点についての御意見をお聞かせ願います。
  19. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 二十一世紀の日本産業の在り方ということを考えますと、やはりこれからは環境というものを無視して、環境に負荷を大きく与えるような産業構造というものは、これは許されない時代になっていると思います。そういうことを繰り返せば、正に人類の存立基盤を失うことになるわけでありまして、そんな発展の仕方というものはもうあり得ない、そういうふうに思います。これからは、やはり経済環境保全というものを両立して、より環境負荷の少ない産業構造に転換していくというのは段本先生の御指摘のとおりであると思います。  その中で、環境税それから産廃税についてのお話がございました。そのうち環境税につきましては、環境省といたしましても、地球温暖化防止のためのこれは大変大きな効果のある一つのツールである、そういうふうに考えているわけでありまして、先ほど申し上げました地球温暖化対策推進大綱の中でもこれは触れているところであります。  御承知のように、推進大綱はそれぞれ年限を切ってステップごとに進める、こういうことになっているわけでありますけれども、第一ステップが終了する、第一ステップは二〇〇四年まででありますけれども、そのときに、十分そのときのガスの排出状況等も勘案をし、第二ステップの早い段階においては環境税導入するという方針を持っているわけでありまして、今そのための環境税の研究等も進めさせていただいているということであります。  また、幾つかの県において導入が進んでおります産廃税でありますけれども、これは廃棄物の発生抑制とか減量化につながる効果があると思います。しかし、また一方において、幾つかの県でやっておりますのでその県だけに廃棄物が入ってくるのを排除するというような、そういった一方の働きというものもこれは留意すべき点として考えなければならない、そういうふうに思っております。  いずれにしましても、この産廃税につきましては、全国的な視点に立って、産業廃棄物行政を担当する立場から検討してまいりたいと思っております。
  20. 段本幸男

    段本幸男君 いろいろ難しい問題あろうかと思いますが、恐らくこの環境委員会の皆さんは、そういうことについて皆さん応援団だろうと思います。早目に情報を出していただいて、我々にもいろいろ、応援団、議論する機会を与えていただきたい、こんなふうなことをお願いしておきたいと思います。  続いて、地球温暖化防止、特に森林整備の部分についてお伺いしたいと思います。  温暖化防止の柱として、森林整備が三・九%というふうな数字も挙げて、その柱として挙げられております。しかし、単に森林整備は森林を整備すればいい、予算をこれだけ確保すればいい、こんなことではなくて、せっかく整備を進めていても、切った木をその辺で朽ちさせて炭酸ガスを発生させたら何にもならないので、あくまで切った木もきちっと木のストックとしてこの日本の木の文化の中で生かしていく、そういうものがあってこそ初めてきちんとした効果ある、実効性のある温暖化防止につながっていくんじゃないかと思うんですが。  そういう面について、特に木のストックの面は林野庁というところがおやりなんだろうと思いますが、ただ単にそれは林野庁のことだから各省に預けてしまうんではなくて、やはり地球温暖化については環境省がやるんだという視点を持つならば、あえて自ら踏み込んでいってどんどん言うようなそういうものがないと、先ほど山下議員からもありましたように、この温暖化防止というのは非常に難しいと思うんですね。嫌がられる役をだれかが先導してやっていかないと進まない、こんなふうに思うんです。  是非そういう面の取組をしっかりやるべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  21. 岡澤和好

    政府参考人岡澤和好君) 地球温暖化防止のための吸収源対策として、森林整備と合わせまして伐採した木材を住宅や公共施設として積極的に利用すること、あるいはそういうストックではございませんけれども、伐採後に放置された木材をバイオマスエネルギーとして利用するというようなことが大変重要だということは先生御指摘のとおりだというふうに考えております。また、今年の三月定めました地球温暖化推進大綱におきましても、こうした施策を推進するというふうに述べているところでございます。  環境省としてどうしているかということですが、こうした木材利用の推進を図るために、環境省の所管事業であります自然公園等における施設整備に際しまして、木材利用を積極的に進めるということがございます。それからまた、これは政府全体の重点的な調達すべき物品を定めるグリーン調達という枠組みがございますけれども、そのグリーン購入法におきましても間伐材を使用した製品を重点的に調達すべき製品というふうに位置付けておりまして、こうした間伐材の利用を促進するための施策を進めているところでございます。  いずれにしても、今後とも林野庁等と、あるいは学校建築などの場合には文部科学省もございますし、公共事業の場合には国土交通省もございます。こうした関係省庁連携を進めまして、木材製品の利用、活用というものを拡充してまいりたいというふうに考えております。
  22. 段本幸男

    段本幸男君 先ごろも、千葉で間伐材を利用して、そういう視点で頑張っておられる人に会いました。是非そういう人たち環境省もしっかりサポートしていってあげてほしいと思います。  次に、先ごろ環境省と林野庁の方から地球環境保全と森林に関する懇談会報告なるものが出されましたが、これについてお伺いしたいと思いますが、この中に森林保全についてはNPOとかボランティア、そういう民間の力を大いにかりてやることがいいんじゃないかというふうに記述されておりました。私も全く賛成で、できるだけ民の力を活用しながら環境を進めていくということが大事だと思うんですが、しかしこれまでの政府の対応を見ていると、ややもすると自分たちがどうも都合が悪いところにいくとNPOだ、民間の力だ、こういうふうな面が非常に強いような、そんな感じもするんです。  これから大事なことは、やっぱりただ単に文字面でNPOの力をかりなきゃいけないというんではなくて、そういうNPOの人たちが本当に入りやすいような支援、また必要に応じて、ただ単にもうでき上がった計画の実行部隊として手先で使うんではなくて、計画の段階からそういう人の知恵を入れていくことが大事だと思うんですが、そういうことに対する環境省取組をお伺いしたいと思います。
  23. 炭谷茂

    政府参考人炭谷茂君) ただいま先生が御指摘されましたように、環境問題に取り組む場合は住民の方々、NPOの方々、たくさんの方々の御協力の下に進めなければいけない、それらの連携を深めていかなければいけないとも考えております。中でも、NPOにつきましては、柔軟かつ迅速に多様な活動ができる、地域密着型の実施ができるんではないかということで期待をしているわけでございます。  例えば、里山の保全を行っている民間団体、これは既に千を超えておりますし、また、NPO法人を取得している団体で環境保全活動を目的の一つにしているという団体は今年の六月現在で二千五十四という多くに上っているわけでございます。このために環境省では、今年の四月から、環境保全活動の活性化方策について中央環境審議会に諮問をし、支援の拠点作りや人材の育成など、NPO等の活動を支援していくための方策について検討をいただいていたり、また、各地でNPOの方々の御意見を伺うために説明会などを開催いたしております。年内にもこの中間答申を取りまとめていただく予定にいたしております。  いずれにいたしましても、この答申におきましては、あくまでNPOの自発性、また政策又は計画段階からNPOの方々が十分にいろいろな意見を、参画していただくというようなことを基本にいたしまして、このような方策がまとめられるんじゃないかというふうに考えているわけでございます。
  24. 段本幸男

    段本幸男君 昨日も、自民党の方では、都市と農村の交流の関係でNPOの人たちの意見を聞かしていただく機会がありました。そのときに、都市側のNPOとそれから農村側の迎える側、例えば森林整備に関する迎える側のNPOと、そのコーディネーター役がいろんな意味でないとミスマッチが非常に多いというふうに言っておりました。例えばそういうところも含めて、是非今のような姿勢で環境省も応援してやっていただければ有り難いというふうに思っています。  次に、産業廃棄物の処理についての取組についてお伺いしたいと思います。  私は、去る九月に、自分自身の住んでいる千葉県の四街道というところで産廃の不法投棄の現場を市会議員の皆さんとか地元の人たちと一緒になって見てきました。見たところはすべて自社処分地でございました。最近、特に千葉県では、それまでの産廃処理の大どころであった市原市であるとか旭市であるとか、そういうところが非常に規制が厳しくなってきた。それがおかげで、どうも近場で、四街道市というのは千葉市のすぐ隣町なんですけれども、近場でちょろちょろと、自社処分地で済ます、こんなふうなケースが非常に多くなってきたんだと、こんなふうなことを地元の方々は言っておられました。  千葉県では、こういう小口化、巧妙化、悪質化した、そういうものに対応するために、新たに十月から自社処分についても規制すべきということで条例を定められたと聞いております。残念ながら、環境省の幹部の方は、これは法律の罰則を超えるようなことをやって問題じゃないかとコメントがあったと伺っていますけれども、私はむしろ、そんなことよりも、法律が後れている、法律がきちんと自社処分に対してもっとやっぱり千葉県に追い付くようなことをやっていかないかぬのではないか、そういう意識を持つ必要があると思うんですが、この辺についての環境省取組をお聞かせ願いたいと思います。
  25. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) 委員御指摘のように、千葉県などにおきまして、自社処分と称して産業廃棄物が不法投棄されている事案が多発していることは私ども承知しております。  千葉県などの実態によりますと、自社処分と称して不法投棄される産業廃棄物の多くは建設解体工事に伴う廃棄物でございます。廃棄物処理法では、自社処分であっても当然適正処理が義務付けられますし、また、自社処分と称して他人の産業廃棄物を処理すれば、これは禁止され、罰則が掛かります。  また、建設解体廃棄物については、これまで不法投棄対策を徹底する上で、解体工事の現場とかそれから解体工事の業者の把握ができないといった、そういった問題がございましたけれども、今年の五月三十日に施行されました建設リサイクル法によりまして、解体工事業者の登録制度あるいは解体工事の届出、こういったことが行われることになりましたので、解体工事に伴い発生する建設廃棄物については対策が一層取りやすくなっております。この新しい建設リサイクル法の制度及び廃棄物処理法によりまして解体工事業者あるいは元請業者の処理責任、これを徹底させることによりまして、今後不適正処理が減少していくものと期待しております。  また、現在、中央環境審議会で御審議いただいておりますが、廃棄物リサイクル制度の基本問題の中におきまして、今の問題でございます自社処分と称する不適正処理行為に対します取締り強化の方策を検討していただいているところでございます。  いずれにいたしましても、国と地方公共団体が一体となりまして、この不適正処理の温床となっている自社処分行為につきまして、不法投棄撲滅に向けて団結して取り組んでまいりたいと思っております。
  26. 段本幸男

    段本幸男君 法律上は今おっしゃったようなことではないかと思うんですが、実態、現地に行くと、その法律どおりにはなかなか、そう適用しようったってできない部分もある、こういう難しいところがあるということを是非環境省も御承知おきいただいて、今検討されているという中に、頭に置いていただければ有り難いというふうに思います。  次に、そういう不法投棄がされたものの原状回復について、私が見て回ったところでもみんなもう頭を悩ましておりました。原状回復、法律では原因者にさせることになっておりますから、当然皆さんも一生懸命原因者探しながらやらなきゃいけないと思うんですが、えてして、そういう業者群は行為が終わったらすぐ会社を倒産していなくなってしまうとか、いろんな意味でなかなか原状回復ができない。そうこうしているうちに、例えば、四街道の場合なんかは水道水の半分くらいを地下水に頼っているらしいんですけれども、地下水汚染は進んでいく、こういうふうなことになっていくんじゃないかと。  やはりこの原状回復については、いろんな環境考える場合には速やかに対応することが非常に大事なんではないかと思うんですが、そういう意味からすれば、行政環境省も含めてあらゆる行政が、これは汚れの部分として、長い間ちょっと横に置いてできるだけ見ぬふりしてやってきた、そういう面もあるんだから、むしろ行政責任でこれはもう、すぐ回復する、こういうふうな姿勢が必要なんではないか。また、そういう放置しておけば行政に返ってくるという痛みを行政が自ら知ることによって、今後、これあかん、とにかく見付けたらすぐそれを防止するような、即対応できるような行政の気分、機運、そういうものを醸成するためにも、やはりこの際、今問題あることは自分らで痛み感じながらやるべきではないかと思いますが、大臣、この辺は御意見、是非お聞かせ願いたいと思います。
  27. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 不法投棄された産業廃棄物でありますけれども、段本先生御承知のとおり、今は原因者、行為者でありますとか排出事業者、あるいは関係者がその責任を負うということでございます。これを行政が原状回復したらいいんではないかというお話でございますが、これを安易に行政に任せますと、何かそうした方々の捨て得につながるのではないかと、そういうような懸念を持つわけであります。  しかし、現実としてそういう状況が目の前に出来しているわけでありますから、どうしてそういうようなことが、事態が起こったのかという、そういうことについての十分なる検証は、これは大前提として各都道府県にもしていただかなければならないと、そういうふうに思っているところであります。  現状も、御指摘のとおり、そうは言っても、例えば処理業者というものが倒産してしまったりいなくなってしまっているということが、これが多いわけでありまして、そういう弁済能力がないということで、結果として今でも地域の環境を守るという、そういう責任を有する都道府県が行政代執行を行っているというのが現実の姿だろうかと思いますし、そういう代執行を行うということは、いろいろ今ある行政ニーズのどこかを犠牲にしてそこにお金や人を回すわけでございますので、先生の言われる痛みというのも、これは感じてないわけではなくて、やはり今でも痛みというものは十分感じているのではないかと、そういうふうに思います。
  28. 段本幸男

    段本幸男君 大臣おっしゃるように、大変難しいところがあると思いますが、環境の問題、風吹いたらもうその辺散らばって困っているのもまた事実だろうと思いますので、できるだけ早い対応、どうすればいいかというのを御検討願いたいと思います。  ただ、そういう中で平成十二年に廃棄物処理法改正されて、やはりそういうことを防止するために排出事業者まで責任を問うというふうなことをして非常に効果が上がったというふうに伺っておりますが、その辺の効果状況と、なお今、それでもこういった問題があるんだという課題があれば、その点についてもお教え願いたいと思います。
  29. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) 排出事業者にとりましては、廃棄物は不用なものということでございますので、適正な処理費用を負担しようとする動機付けがこれまで働いておりません。安価で不適正な処理が行われがちで、正直申し上げまして、これまでの産業廃棄物処理世界というのは悪貨が良貨を駆逐するという、こういった構造にあったと認識しております。  こうした状況を打開するために、委員御指摘の十二年の廃掃法改正におきまして、自らの排出した産業廃棄物について最終処分がなされるまで確認をしなければならないと、こういった義務を新たに追加いたしまして、排出事業者責任の徹底強化を図ったところでございます。あわせまして、これまでの廃棄物行政というのは言わば指導中心の行政だったわけですが、法律に基づいて厳正かつ迅速な行政処分を実施する行政への転換を図ろうということで、法律違反行為に対します行政処分につきまして、地方自治法に基づく事務処理基準を環境省から地方自治体あてに昨年の五月に発出したところでございます。  こうした取組によりまして、平成十一年度時点で許可取消しなどの行政処分が約七十件ございましたが、十二年度にはそれが百件強、さらに平成十三年度には百八十件を超えるまでに至っておりまして、ある意味でこの産業廃棄物処理世界の構造改革が着実に進行し始めているという認識をしております。  環境省といたしましては、都道府県や関係機関、警察等の関係機関と連携しながら排出事業者責任の一層の徹底を図り、先ほど申し上げました構造改革を進めていきたいと思っておりますし、確実で適正な処理を実施できる優良業者がこの市場の中で優位に立てるようにしていくことが大事であると思っておりまして、産廃処理に対する国民の信頼を回復できるように努力してまいりたいと思っています。
  30. 段本幸男

    段本幸男君 是非しっかりやっていただきたいと思います。  この産廃処理についてなんですけれども、これはややもすると、今までやはりどうしても、言葉は良くないかもしれませんが汚れの部分、日本産業の汚れの部分として、行政もそして企業も、あるいは国民すらも目をそらせてきた、こんな面が決してなかったわけではないというふうに思います。  現に、私が四街道で現地を見ていたときも、現場代理人の方と対応するのもなかなかこれは少数では手ごわいであろうなという方もおられましたし、また付いてきてくれた市会議員の人に言うと、真夜中に嫌がらせの電話が一杯入ってくる、死ねというようなことまで入ってくるというふうに言っておりました。何で私がその四街道の産廃のあるところに呼ばれたんだと聞いたら、いや、あんたも来てくれた、国会議員もいた方が安心だからと、こんなふうなことも言っていた。大変な中でみんな頑張っているんだということを痛切に感じました。  やはりそういうものに対応していくためには、みんなが力を合わせてやっぱり総合面から監視していく、これが抑止力につながるんではないかと、こんなふうに思っています。是非、そういう総合監視体制みたいなもの、既に取り組んでおられると思いますが、本当に実効あるものにするためには、ただ警察に任すということではなくて、そういう支援策を大いにやっていくべきと思いますが、現在、環境省の取っておられる支援策についてお伺いします。
  31. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) 産業廃棄物の不法投棄をなくすため、不法投棄を早期に発見して、規模が小さなうちに迅速な対応を図ることが大変重要だと思います。  都道府県におきましても、委員御指摘のように、監視体制の充実が図られてきておりますが、そのの増強には限界がございますので、住民と一体となった総合的な監視が有効であると承知しております。  環境省では、都道府県に対しまして費用の援助を行っておりまして、例えばボランティアによります監視体制の整備、あるいは警備会社に頼んで夜間の監視を委託する、こういったものに対して財政支援を行っているところでございます。  また、環境省、国におきましても、技術開発や普及が近年著しいIT機器を活用して、不法投棄の位置情報とか画像情報を迅速に伝達する監視システムの開発を終えたところでございまして、地方の環境対策調査官事務所などに配備、活用して、都道府県にも今後進めていこうと思いますが、都道府県行政、住民、そして国が一体となった総合的な監視体制の整備に努めてまいりたいと思います。
  32. 段本幸男

    段本幸男君 是非、実効性の上がる、ただお金を付ければ終わるということではなくて、実効性の上がる対策を講じてもらいたいと思います。  もう一つ、産廃処理に関しては、大事なことは、その情報がきちんと住民に伝わって、やはり住民自身が意識を持ち、また監視者の一人になる、こういうことが大事なのではないかと思います。既にこれらの情報公開については環境省の方もいろんな形で指導されているんだと思いますが、その実績。また、これからはむしろそれを強めるためには環境省が毅然たる態度でやっぱり対処していくんだというリードする姿勢が非常に大事だと思うんですが、今後の方針についてお伺いさせていただきます。
  33. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) 産廃の不法投棄をなくすためには、法を遵守しない違法行為者に対して速やかに行政処分を行うということ、それから措置命令の対象者につきましては、不法投棄を実行した者だけでなく排出事業者などの氏名も積極的に公表することが適切だと考えております。  違法な処理業者や違法な排出事業者の情報を公開いたしますと、排出事業者が優良な処理業者に委託するというインセンティブが働きます。優良でない処理業者に委託すると排出事業者の責任が追及されるということになりますので、優良な処理業者に委託するというインセンティブが働くことになると思います。  違法行為者に関する情報公開が不法投棄の未然防止に役立つことが期待されるため、都道府県に対しても迅速な情報公開を促していきたいと思っておりますし、環境省におきましても、現在、産業廃棄物処理業者の情報をインターネットで国民が見れるような形にしていることをやっているところでございますが、これを充実させていきたいと思っております。
  34. 段本幸男

    段本幸男君 是非、産廃問題が少しでも良くなるように前向きな姿勢でやっていただきたいと思います。  次に、先ごろ判決の出ました東京大気汚染公害訴訟についてお伺いさせていただきたいと思います。  公害訴訟の判決出ました。大臣発言の中にもこのことが書いてありました。ただ、これは単に、主として自動車の排ガス規制とか規制強化とか、そんなふうなことが書いてありましたが、私の感覚では、そういう技術的な一問題に矮小化するんではなくて、むしろ国民生活の中で一体どういうふうにやっていってそういう問題が起こらないようにするのか。  尼崎訴訟でも、たしか公害等調整委員会にあっせん申請がなされているようですけれども、やはりこれからみんなで、安易に車を使わないとか、通勤システムについてもっと公共交通を作ろうとか、やっぱりソフトの対策をきちんとやって、かつハードの対策と一体的になることによってそういうものの再発が防止される。しかし、ややもするとそれぞれが、今言われているように縦割りというんですか、もちろん連携されているんだと思いますが、まだまだうまくいっていないから尼崎でも再びそういうあっせん申請がなされる、こんなふうなことではないかと思います。  あえて環境省が、この際関係省庁に、国土交通省にもう憎まれ役と言われるようになるかもしれないけれども、そういう形のものを発揮していかないと、どうも前向きにこの大気汚染訴訟については進まないのではないかと思うんですが、環境省の取り組もうとしておられる姿勢について大臣にお伺いしたいと思います。
  35. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 道路交通環境対策でありますけれども、御指摘のとおり、これはもう排出ガス規制だけに限ることなく、総合的な観点から進めなければならないと思っております。  しかし、一方において、そういう中で排出ガス規制といいますものもこれは一つの大きな柱でございまして、この間の発言の中でもそのことについて触れさせていただいたわけであります。排出ガス規制は、発言でも述べましたけれども、自動車の単体規制の強化でありますとか、NOx・PM法の円滑な実施、低公害車の普及というものを進めてまいりますが、御指摘のように、これだけに矮小化させるのではなしに、やはり総合的な対応というものが必要であると、そういうふうに思っております。  環境省といたしましても、従来より、関係省庁の連絡調整の場といたしまして道路交通環境対策関係省庁連絡会議というものを設けておりまして、全国あるいは国道四十三号線沿線や名古屋南部地区における具体的な対策を取りまとめてきたところであります。  そして、先般、東京大気汚染公害訴訟が東京地裁の判決が出たところでございますが、それを受けまして局長会議を開きまして、東京都における大気汚染の軽減のための具体的な方策についても着手をしたところであります。  その中で、今御指摘がございましたような、交通需要の調整、低減、あるいは公共交通機関の整備、利用促進、交通流の分散、円滑化等、国民生活様式にも深くかかわる各種の方策についても検討を進めてまいりたいと思っているところであります。
  36. 段本幸男

    段本幸男君 是非、ぜんそくで本当に困っておられる人がおられる、そういう人たちをどうしていかなければいけないのか、そんな視点で実効性のある対策をお願いしたいと思います。  そのほかいろいろ、クリーンエネルギー等もお尋ねしたかったんですが、時間の関係でまた次回にさせていただきたいと思いますが、最後に、環境の問題は、人間は一度便利さを味わうとなかなか後戻りできない、こんなふうな面があるんじゃないか、それが非常に環境対策をやっていく上で難しさを持っているんじゃないかというふうに感じているんですが、ただ、今年の夏の異常な暑さなんか見ていると、地球温暖化がもはやゆるがせにできない、これ自分たちが動かなきゃいけない、こんなことも一方ではすごく国民は意識し始めたんではないか、私はそんなふうに思っております。  その中で、大臣は、今こそ社会の在り方そのものを持続可能なものに変革していかなきゃいけないと発言の中でも述べておられます。全くそういうふうに思います。是非、そういうときこそ、冒頭にも申し上げました、小泉総理は構造改革をもう是が非も今やっていかなきゃいけないと進めておられます。是非、今までのように、いやいや景気対策企業の論理でということではなくて、国民の視点に立って、やはり国民が何を感じて何を議論しようとしているのか、こんなことをあえて求め、そして場合によっては、総理おっしゃっているように、国民にも痛みを伴ってもこれはやってもらわないかぬということを強い姿勢でやっていく必要があるんではないかというふうに思っております。  是非、そういう点を留意しながら、大変難しいときだけれども、これからのやっぱり二十一世紀社会作っていく上において、環境省のリードしようとしている姿勢が非常に大事だと思いますので、そのことを要望申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  37. 小川勝也

    ○小川勝也君 民主党・新緑風会の小川勝也でございます。  環境委員会質問をさせていただくのは大変久しぶりでございます。その私が環境委員会を離れていた間も、地球も日本も私たちのふるさとも様々な変化を遂げています。  人には、楽観的な考え方をする人とか悲観的な考え方をする人とかいろいろいるかと思いますが、私はどちらかというと、この地球とか私たちのこの生活とか非常に憂えている者の一人であります。そんな観点から幾つかの質問をぶつけさせていただき、大臣には、答弁というよりも御自身の言葉で感じたこととか思っていることとか述べていただければ有り難いなというふうに思っています。  衆議院の方ではまだ一般質疑やられていないということで、参議院が先になりました。小泉総理から環境大臣を指名を受けたわけでありますけれども、そのときに総理からはどんなお話を受けて御就任になられたか、そのお話をまずお伺いしたいと思います。
  38. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 総理からは、環境大臣を担ってこれから環境行政を進めるに当たって、まず環境の保全と経済発展、こういうものは両立をするんだと、そういう前提でこれから政策を仕組むようにという趣旨の御指示がございました。
  39. 小川勝也

    ○小川勝也君 私たちの大きなテーマだろうというふうに思います。  今も段本委員の方の最後のお話から、人間というのは便利さを知ってしまったらなかなか後戻りできないと、これが強く大きな命題だろうというふうに思っています。何とかこの経済発展を維持しながら、あるいは成長も続けながら環境を守ったりあるいは取り戻したりできないだろうか、これが私たち思いだったろうというふうに思います。正に、この環境省の前、環境庁ができたいきさつもそんな観点だったのかなというふうに思っています。この環境委員会の様々なペーパーにも、環境及び公害問題に関する調査、これは二十一世紀になってもこの問題があるいは文言が躍っています。  環境庁が設置されたときというのは、高度経済成長、工業、工場から様々なそのマイナス要因が出てきて、それをクリアにしていかないと物質的な豊かさや経済成長発展が遂げられないだろうと、これを何とか解決する役所として環境庁に担ってもらいたいと、そんな思いだったろうというふうに思います。  ということは、成長するために、工業を繁栄させるために環境の役割があるんだというのが設置の理由だったろうというふうに思うわけでありますが、私が考えるには、今、地球環境の問題あるいは一国にとどまらない問題というのが多々あります。地球というキャパシティーが決まっている星にみんなが暮らしているということを考え合わせると、与えられた条件の中で我々は経済活動をしなきゃいけない。経済あるいは発展ということに、もうそこに特権階級としての要因はないんではないかと私は思うわけであります。その与えられた条件の中でできる活動をする、それが二十一世紀の経済に求められている、そんなことを私は考えるわけであります。  そして、あたかも、環境庁から環境省になりました。これはいろんな方々の様々な思いがあったと思います。ここにも歴代の長官がおられますけれども、やはり省になった方がいいなというふうな思いをずっと持っておられたんじゃないかなというふうに思います。  ですから、これは私だけが考えていることかもしれませんけれども、環境庁が環境省になったということはその環境行政の役割というのが大きく転換を遂げなければいけない、その証左だろうというふうに私は考えるわけでありますけれども、環境大臣としてのその辺のお考えをお伺いをしたいと思います。
  40. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 小川先生が御指摘になられた点、大変私も共感をするものであります。  かつて、日本が大変な高度成長を遂げる中で公害という問題が起こりました。その後も、経済発展をする中でいわゆる負の遺産というか、負の副産物と申しますか、そういうものが出てきて、環境行政というものはそういう経済発展の過程で出てきたものに言わば対応していくというような形であったのかなと、そんなような印象も思います。  しかし、御指摘のとおり、地球の資源あるいは環境という限られた中でどういう、そういう経済活動産業形態があったらいいかということをまず考えていくということは重要であると思います。まだ不十分と先生から御指摘いただいたかもしれませんけれども、平成五年にできました環境基本法にはそうした考えが出ているわけでございまして、経済環境保全というものを一体的なものとしてとらえて持続可能な社会を構築していくということがうたわれているわけでありまして、その方針に沿って頑張っていかなければいけないと思っております。
  41. 小川勝也

    ○小川勝也君 御就任をされてから、いろいろ省内からレクを受けたり、あるいは様々な方々からいろんな意見を受けたりして、大臣御自身も多分勉強を非常にされたんだろうというふうに思います。  そんな中で私たちが思っているのは、せっかく省にはなったんだけれども、その行政のシステムの中では人も予算もまだ足りないんじゃないかなと僕は思います。そんな中で、ちょっと答えにくい質問かもしれませんけれども、この分野にはもっと予算を取りたいな、この分野にはもっと人を増やしたいなという強い思いがあったらお聞かせ願いたいと思います。
  42. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 大変に、環境庁発足当初はやはり公害ということに対する対応から出発してきたと思いますが、今や国内の問題のみならず、世界規模の問題も対応していかなければいけない、大変に幅広い分野に広がっておりますし、また、国民皆様方からのいろいろな期待というものも大きいと思っております。それに対する環境省の今の体制でありますけれども、職員も千名を切っておるというようなことで大変にこれは少ない人数で、ある意味じゃ濃密の濃い仕事をさせられていると、こういうふうに思います。  そういう中で、私といたしましても、これからいろいろ日本の国の行政全体見ると、やはりこの行政ニーズというものが時代とともに少なくなってきている部分もある。一方、行政ニーズが上がってきている部分、環境問題などはそうだと思いますが、やはりそういうところにシフトをする努力をして体制も整えていかなければならないと思っております。環境省の中でどの部分に特にということは、それぞれ重要な部分がございますが、例えば地方との出先みたいなものがやはり他の省庁については多少十分じゃないのではないかと、そんなような思いがしております。
  43. 小川勝也

    ○小川勝也君 世界的な幾つかの課題について私も懸念をしているという立場から、大臣の御感想をお伺いをしたいと思います。  冒頭の大臣からの御発言の中でも、やはりこの持続とか循環というのがキーワードになっているんだろうというふうに思いますが、その持続と循環を阻むような要因がこの地球の中には大変ある、あるいは進行していると考えざるを得ないと思います。  一例を申し上げますと、世界の森林面積が減少している。これは様々な観点からそのことが言えると思います。いわゆる木材産業あるいは農業への転換、あるいは自然発火など様々なことで森林面積が減少している。あるいは、それと相まって砂漠の面積が増えている。これは、地球の自然ということを考えますと、大変大きな問題だろうというふうに思います。このことに関しましての大臣の御見解をお伺いをしたいと思います。
  44. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 地球温暖化の問題、それから砂漠化の問題についてお話がございました。認識を問うということでございますが、大変深刻にとらえております。  特にも、その原因が自然現象によるものも御指摘のとおりあるわけでございますけれども、やはり人為的な、人間の営みの中からそういうような原因が出ていると、そういうようなものもあるわけでありまして、例えば砂漠化を防止をする問題、地球温暖化を防止する問題として、これは本当に人類の存在基盤を揺るがすものでありますから、しかも人為的なものによって原因が出ているものが多いわけでありますから、そういうものに対する対応が急がれる。日本としてもやらなければなりませんし、全世界的な取組が必要であると、大変憂慮をしていると申しますか、重い認識を持っております。
  45. 小川勝也

    ○小川勝也君 箇条書みたいな質問で大変恐縮なんですが、もう一つは生物の多様性をどう維持していくのかという問題だろうというふうに思います。  私たちが生活していく中で、動物や昆虫にも我々の側から好き嫌いをしています。例えば、カブトムシはいいけれども、血を吸う蚊は嫌いだと。ハエは嫌いだし、ゴキブリも嫌いだけれども、テントウムシはいいと。  ただし、これは宗教的な観点から言葉を発するつもりは毛頭ありませんけれども、動物も哺乳類も昆虫も爬虫類も、あるいは微生物もバクテリアも、その存在理由があってこの地球上に存在しているんだろうと私は思うわけであります。人間の思いが強かったり弱かったりして、それをコントロールしてまいりました。そして、様々な生物の多様性というか、あるいは種の保存に赤信号が点滅しているという情報に接することがあります。  この生物の多様性とか種の大事さについての大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  46. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 先般の発言の中でも、種の多様性の大切さ、そういうものにも触れさせていただいたところであります。これはちょっと数字を読ませていただきますけれども、今、地球上には三千万種を超える生物種があるそうでありますけれども、そのうち一万一千種が絶滅の危機に瀕していると。国内を見てみましても、九万種以上の多様な動植物が生息しておりますが、そのうち二千七百種もの多くの種が絶滅の危機に瀕しているということで、この問題についても大変憂慮をしているところであります。  環境省、御承知のとおり新生物多様性国家戦略というものを作ったわけでありまして、それを踏まえて、絶滅のおそれのある種の保護、増殖あるいは生息地の保全を進めるということをやっていかなければならないと思いますし、それだけではなしに、積極的な自然再生、そういうものを通じて、この種の多様性を守る努力をしていく必要があると、そのように考えております。
  47. 小川勝也

    ○小川勝也君 あと、私たちの生活の中に多種多様な化学物質があふれています。この委員会の中でも、例えばかつてはPCBとかDDTとかダイオキシンとか環境ホルモンの議論も何度となく交わされています。この化学物質が我々の生活に深くはびこっているということ、そして自然界にも処理できずに残っているものがたくさんあるということ、あるいは農業関係で、肥料や農薬という観点で、今もなお世界じゅうでそれが生産をされ、自然界に放出されているということ。  この辺についての御認識をお伺いをしたいと思います。
  48. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 今日いろいろな種類、多種多様な化学物質というものが御指摘のようにございまして、人間に対します健康被害、影響というものが大変懸念をされるわけでありまして、その未然防止を図るということは環境行政にとっても大変重要であると思っております。  今までの取組、これはもう先生も御承知で答弁の必要もないかもしれませんけれども、例えば化学物質審査規制法による化学物質の製造、使用の規制を行ったり、農薬取締法による農薬の販売等の規制、それからPRTR法による環境排出量の把握等を行っているところでありますが、こうしたものを今後とも着実に進めていく。そして、国民の皆さんがこういうものに対する不安感を持っている、そういうものを払拭するように万全の対応をしてまいりたいと思っております。
  49. 小川勝也

    ○小川勝也君 様々な施策をお伺いしたかったわけじゃなくて、例えば、持続と循環ということを考えるといたしましょう。いつの時代かということは、これ明確に申すわけにいかないですけれども、我々の国はよく稲作の国だと言われていました。持続と循環、これは毎年同じ暮らしができるということに言葉を置き換えることができるんじゃないかなというふうに思います。春になればもみをまいて苗を育てて田植をする、秋になったら刈取りをして冬に備える。毎年毎年この暮らしをしてきたのが、特にこの瑞穂の国と呼ばれる私たちの国の歴史の一部分でありました。  私たちの国の例えば稲作にしても、今大きく形を変えました。限りある化石燃料を使わなければ農産物を生産できないことになってしまったし、化学物質由来という土に返らないものを生産をして、その手をかりなければ我々は農産物を生産できないところまで来てしまった。これは大きく変わったというふうに言わざるを得ないわけであります。そして、循環ということが脅かされているのではないでしょうか。  そんな哲学とか、あるいは禅問答かというふうな思いかもしれませんけれども、私たちの暮らしが大きく変わったということと、持続と循環からほど遠いところまで来てしまっているということについての御認識を問いたいと思います。
  50. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 循環型社会を構築していく、また持続可能な社会を作っていくということは、これはもう重要な目指すべき方向であると思います。一方、現実のところに目を転ずると、例えば今、小川先生がおっしゃったような農産物、第一次産業においてもそうした現実があるということだと思います。  我々としては、循環型社会を目指すという観点から、これから規制すべきものはしっかり規制をしていくと。先生のおっしゃったそういう哲学と申しますか、思いをしっかりと持っていく必要があると私もそのように思います。
  51. 小川勝也

    ○小川勝也君 あと、国際会議地球温暖化防止の枠組みの中でも様々議論されていることだろうというふうに思います。それは言葉で言うと、先進国途上国の関係だろうというふうに思います。  例えば、私たちの国も、一九四五年の戦争が終わって以来、経済成長を遂げてまいりました。日々の食生活を豊かにしたい、何とかまともな暮らしをしたいということで、みんな一生懸命働いて物質的に豊かな国を築き上げてまいりました。あるいは、世界レベルで見ると、アメリカ合衆国や私たちの国やヨーロッパの先進国に見られるような、そういう豊かな、物質的に豊かな暮らしが地球の様々な国や人たちの目標になっていることも否めないと思います。  限りある地球資源、化石燃料もそうでありますし、あるいはオゾン層の破壊の仕方もそうであります。あるいは自然にどれだけ手を加えていいのかということも、これは具体的な数値で表せるわけにはいかないけれども、我々は相当この自然に傷を付けながら、環境にメスを入れながら我々は生きているんだということを認識しなきゃならないときに、この先進国以外と呼ばれている国で日本アメリカのような自動車社会を目指したり、大量生産、大量廃棄社会を目指したりしているということもこれは否定できないんだろうというふうに思います。しかしながら、だれが計算してもこれは分かることであります。地球にそれだけのキャパシティーはありません。農地も化石燃料も、そして自然の許容力もそんなにはないんだろうというふうに思います。  ということは、ありていに言うと、自分たちは、日本アメリカはいい暮らしを続けるけれども、あなたたちはやめなさいよというのか、あるいは我々も我慢するところは我慢するんでみんなで仲良くしていこうというのか、二者択一というわけではありませんけれども、何らかの考え方をする必要がある。その辺についての御感想もお聞かせ願いたいと思います。
  52. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) およそ人類というものが存在する限り、人類は成長というものを目指していくんだと思うんです。しかし、もはや今の時点で人類の生存基盤を壊すような成長というものはこれはもう望むべくもないし、してはならないことであると、そういうふうに思います。そういう中で、循環型社会、持続可能な社会の必要性というものが出てくると思います。明確なお答えにはならないわけでありますけれども、そういうような現状認識というのをしっかり持っていかなければならないと思います。  こういう考え方が出てきたのはまだそう前ではない。先ほどもCOP8の話をいたしましたが、ああいう場に参りますと、途上国とまた先進国で全く違う溝がございます。日本においてできることは、まず自らの国の中でそうした循環型社会を目指す努力をすること、あるいはいろいろな場において世界に向かってその必要性を強く訴えていくこと、そういうことが大切ではないかと認識しております。
  53. 小川勝也

    ○小川勝也君 私が申し上げたいのは、日本こそが資源のない国でありましたし、工業というのを大切にしてまいりました。だから、経済成長の牽引として工業に依存してきた国であります。  しかしながら、豊かになったということを言い返すと、先ほど段本委員から産廃の処分場の話もありました。大変、この地球を傷付けたり後の世代に悪いなと思うようなことも繰り返してきたわけであります。今こそ、経済成長するために環境の問題をクリアにするんだということではなくて、こういうことを守った中でしか経済活動はできないんだという強力なリーダーシップ環境省が果たしていかなきゃならないし、環境大臣の役割は非常に大きくなったと思います。  新しく省に生まれ変わったこの環境大臣には、今までの日本の政治行政においての環境セクションとほかのセクションとの力関係を変える努力をしてもらいたい。この強い要求、要望に対しての力強い御発言をいただけたらと思います。
  54. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 環境省の抱えております課題地球温暖化防止の問題にしましても、御指摘の産業廃棄物の問題、ごみの問題にいたしましても、これはもう我々の日々の活動の中に出ている、産業活動あるいは日々の我々の一人一人の暮らしの中にその根っこがあるわけでありまして、環境行政の行く末には、これは日本経済産業の形を、構造を変えていく、あるいは一人一人のライフスタイルを変更していただくというような本当に大きなものがあると、そういうふうに思っております。  それだけ大きな責任があると思っておりますが、そういう責任をしっかり踏まえて、それから、御指摘のように関係省庁との関係もございます。そういうものについても万全を期してやってまいりたい、そういう決意を持って臨んでまいりたいと思います。
  55. 小川勝也

    ○小川勝也君 さはさりながら、これ、先ほど申し上げた、やっぱり後戻りできないということが非常に現実として強く横たわっているんだろうというふうに思います。  例えば、経済発展経済成長を阻害するような政策というのはなかなか取り得ないわけでありますし、議論をするに当たっても、それは無理だよと頭の固い人たちは議論の入口であきらめるということもなきにしもあらずだろうというふうに思います。やっぱり後の世代にもしっかり託していかなきゃいけないだろうし、あるいは、そんな未来を見据えた地球の中においての私たちの国ということを考えますと、このまだ合理と打算に染まっていない世代にしっかりとした二十一世紀未来型の環境の概念というのを持ってもらうことが重要だろうというふうに思います。  環境教育という概念についての大臣思いを、お言葉をいただければと思います。
  56. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 環境という問題については、本当に国民一人一人がこれに携わっていかなければならない、だれかがやってくれるというのではなしに身近なところからやっていくという、その積み重ねが大切であると思います。そういう意味において、これはもう幼児期から、あるいはもう高齢者の方に至るまでこうした環境教育というものをやる、その環境教育の重要性というものも私も感じているところでありまして、環境省としても、いろいろな多様な場、多様な機会をとらえてこの重要な環境教育というものを進める努力を続けていきたいと思います。
  57. 小川勝也

    ○小川勝也君 今、大臣お話しになられましたように、やはり一人一人が自分の生活やライフスタイルに気を遣っていくという社会がこれは望まれているんだろうというふうに思います。  さりながら、現在の経済というのは、やはりアメリカ型の最新型の資本主義経済の影響もこれ受けてなかなか難しいわけでありますので、その補完といいますか、個人個人の思いをどう変えていくのかということと、もう一つは、やはり社会全体を環境配慮した、インセンティブを与えるような施策が望まれるんだろうというふうに思います。それは一言で言うならば、環境に負荷を与えることに対して税を導入するという環境税考え方。そうしますと、経済活動と相まって、税というのは大変大きなインセンティブのある政策だろうというふうに思います。ですから、環境に優しいものには税を少なく、環境に重い影響を与えることについては重い税をという、それが二十一世紀型の税の理想的な姿だろうと私は思うわけであります。  議論はずっとやってきているわけでありますけれども、なかなか思い切った転換が図れなかったのが今までであります。思い切って二十一世紀、環境省も誕生したことでありますし、御就任になられたばかりでありますけれども、鈴木大臣の、環境配慮した税、環境税導入に関しての思いを述べていただければと思います。
  58. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 環境税に対しましては私も大変に前向きに考えております。地球温暖化の問題にとりましても、環境税というものが排出ガス抑制にこれはつながるもので効果的なものであると思っておりますし、そういうインセンティブを与えるという面と、もう一つ環境税によるその税収というものが、環境にもいろいろ財源が必要であるわけでありますから、そういう財源の面におきましても極めて大切であると思っております。  具体的なお話は先ほどさせていただきましたが、地球温暖化防止推進大綱の中でも述べておりますとおり、第二ステップ、二〇〇五年以降の早い時期に具体的に導入の検討ができるように今から準備を進めているという状況であります。
  59. 小川勝也

    ○小川勝也君 様々なこの環境委員会でも議論を重ねさせていただくことになろうかと思いますし、個別課題についてもいろんなテーマで議論をさせていただきたいと思います。  冒頭述べましたとおり、私の立場は、地球環境や地球の自然の在り方、あるいは我々のライフスタイル、生活、消費、様々なものに疑問を持ちながらも、やはり持続と循環、こういうキーワードを本来のものにできますように議員の一人として努力をしてまいりたいというふうに思いますので、今後とも実りある議論ができますようにお願いを申し上げて、同僚の福山委員にマイクを渡したいと思います。  ありがとうございました。
  60. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 おはようございます。民主党・新緑風会の福山でございます。小川委員に引き続きまして質問をさせていただきます。  まず冒頭、鈴木大臣弘友大臣望月政務官、御就任おめでとうございます。大変厳しい状況の中で環境行政に携わるということで、御健闘と更なる御努力を心より御祈念というか激励をさせていただきます。どうかよろしくお願いします。  小川委員が非常に大所高所から立たれた質問をされました。私は、少し各論でお話を伺いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  正に十月の二十九日、東京大気汚染訴訟の判決が出されました。大変厳しい国にとっても判決だったというふうに思いますが、実は大臣がこのとき海外御出張でいらっしゃいませんでした。普通ですと大臣のコメントが、談話が出るはずなのですが、この日は環境管理局長の談話ということで出されました。私は、海外に御出張中ですから、そのことについてとやかく言うつもりはございません。ただし、国会で初めて訴訟後でございますので、あの当時はまだ判決の詳細が分かっていないというようなこともあると思いますし、余り具体的なコメントは環境省から出ておられないんですが、是非、訴訟後初めての国会の場で環境大臣にあの判決に対するコメントをいただきたいというふうに思います。
  61. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 判決につきましては、これを重く受け止めておるところであります。  十月二十九日の判決でございますけれども、主に道路設置管理の瑕疵があるということで、七名の方々に損害賠償を認める判決が言い渡されたわけであります。裁判という法的手続でございますから、これからそれに対応をしていかなければならないわけでありますが、現在この判決に対する、国としてどうするのか、今、関係省庁と協議を進めているところでございます。  いずれにしても、環境省としては、この都市部におきます、特に都市部におきます大気環境汚染、これの対策というものを、今までも取り得る限りの努力はしてきたつもりでございますけれども、今後一層大気環境の改善のための総合的な対策を推進してまいりたいと、そういうふうに思っております。
  62. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 余り局長のコメントからは前には出ていないんですが、検討中だということで、是非早急に結論を出していただきたいと思いますが、今日は国交省も呼ばしていただいています。国交省からも判決に対するコメントをいただければと思います。
  63. 岩城光英

    大臣政務官(岩城光英君) 私どもも今回の判決、大変重く受け止めております。今回の判決では、道路交通環境対策において、道路管理者が健康被害を常に予見して、これを防止するためのあらゆる手段を講じることを求めております。このことは、今後の道路整備に重大な影響を及ぼしますことから、厳しい内容のものと受け止めております。  国土交通省としましては、道路交通環境の改善、このことは喫緊の課題だと認識しておりまして、その改善に向けまして今後とも関係省庁連携して取り組んでまいりたいと考えております。  第一に、発生源である自動車単体の対策、これは低公害車開発普及等が例に挙げられるものと思っております。  二番目に、環境負荷の小さい交通体系の構築であります。例えば、パーク・アンド・ライド方式等を利用して、バスとかそれからモノレール、さらには新しいタイプの路面電車、こういった公共交通機関をより利用促進していく。さらには、健康に良いとされております自転車、これの利活用を図っていくための自転車道の整備を図る。また、海運とか鉄道の活用等が挙げられます。  第三は、環状道路あるいはバイパスなどの道路ネットワークの整備、そして交差点立体化等、ボトルネック対策等の交通流対策、こういったものを総合的に実施する必要があると認識をしております。  引き続き、本件訴訟の背景となっております大気環境の現状を踏まえまして、道路交通の環境対策について一層の推進を図ってまいりたいと、このように考えております。
  64. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 大分具体的にお答えをいただきましてありがとうございます。  そして、この判決が出ましたその日でございますが、東京都、やはり被告でありました東京都石原都知事が会見をされています。  国の対応を見ていると原告の怒りはもっとも、国がほったらかして済むことじゃない、解決の手っ取り早い手だては国が排ガス規制を強化し被害者救済を考えること、事の重大さが分かっていないのは政府の役人だけと、大変言葉きつく政府の対応を批判をした後に、控訴をしないということをいち早く発表されました。  さらには、国による被害者救済制度の創設や、三環状道路等を早急に整備をすること、不正軽油撲滅・脱税摘発、低硫黄軽油の供給拡大、さらにはNOx・PM法の規制開始時期を当初予定どおりに実施するという等について今後国に対して求めていく旨の発言があって、さらには会見資料としても配られております。  このことに対して、環境省並びに国交省はどのように受け止められているのか、お答えいただけますか。
  65. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 先ほど申し上げましたとおり、裁判という法的な手続がなされているわけでございまして、今、国といたしましてはどのように対応するのか、その判決内容を十分に検討しながら、関係機関とも協議をし対応を決定することといたしております。  東京都の対応に対する私の考えということでございますが、これは東京都としての一つの判断を示されたということでありまして、私がその判断をされたことに対してコメントするのは差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、先ほど申し上げましたとおり、環境省といたしましては、これからも大気汚染防止の対策を進めていくわけでございますので、その中で東京都の提案と申しますか、述べられたことにつきまして適切に考慮をしてまいりたいと、そういうふうに思っているところでございます。
  66. 岩城光英

    大臣政務官(岩城光英君) 国土交通省といたしましては、東京都知事が判決後の記者会見の中で控訴しない旨発言されたことは承知しておりますけれども、これはあくまでも都知事としての判断でなされたことと、このように受け止めております。  その中で、例えば国への要求事項、幾つかございましたが、例えば三環状道路等の早急な整備、こういったものも要望されているわけでございます。  東京二十三区内の平均走行速度、これは現在時速約十八キロなんですね。これを例えば仮に十キロ向上させることになりますと、排出される窒素酸化物を約二割削減することが可能になります。このように、渋滞解消により走行速度を向上させることが特に大気汚染の解消に大きく資するものになると、このように考えております。  例えば、東京二十三区を通過する交通量でございますが、内々交通、二十三区内での交通、あるいは内外交通、二十三区内とほかの地域との交通、あるいは二十三区内をただ通過するだけの交通、三つに分けてみますと、難しいというか、詳しい数字については触れませんが、内々交通が四九%、内外交通が三七%、そして通過交通が一四%と、こういう数字が出ております。  したがいまして、この都心部での通過交通一四%、これが走行速度の低下につながっており、また渋滞の原因になっていると、このように考えておりますことから、三環状道路等の道路ネットワークの整備が最も基本的かつ根幹的な施策であると、このように考えておりまして、今後こういった道路の整備につきまして道路交通環境対策の一層の推進を図ってまいりたいと考えております。
  67. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 大変申し訳ありませんが、御丁寧に御答弁いただいたことに関しては感謝申し上げますが、そうやって国交省の利益にかなうところだけピックアップをして議論をされると、やっぱり非常にこれは議論としてはまずいと思います。  要は、今回大気汚染の、僕、別にこれ質問する気はなかったんですが、公害訴訟の中では被告の道路は国道や首都高速道路や都道で十三路線、十九路線、七十二路線、これが網の目のように合わさってそこから被害が増え続けているわけです。国交省がずっと議論をしてきた、渋滞解消のために道路を整備するといった結果が逆に交通量を増やし、そして国としては、結果としては裁判で判決で五連敗している状況なわけです。  ところが、今私が聞いたことに対したときに、三環状道路の早急に整備をすることだけ取り上げて早々に渋滞解消が必要だという議論を組み立てること自体、判決どうやって重く受け止めているんですか。政務官でしたっけ、政務官お答えください。
  68. 岩城光英

    大臣政務官(岩城光英君) おただしでございますけれども、国への要求事項のうち幾つかの指摘がありまして、それで私どもの考えをということでございましたので、この三環状道路等についてお答えをいたしたわけでありますので御理解いただきたいと思います。
  69. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 昨日、レクで政府委員の方が来られたときに、正式な申入れはないというふうに言われたんです。じゃ、正式な申入れがなくて答えられないのであったら答えなくて結構ですと、そういうふうに正直に言ってくださいと私は申し上げました。ところが、今、政務官がそうやって正直にお答えいただいたことに対して、私は先ほど申し上げました、真摯に受け止めているけれども、それだったら残りの四つの項目についてお答えください。  例えば、被害者救済制度、規制開始時期の当初予定どおりの実施、不正軽油撲滅・脱税摘発、低硫黄軽油の供給拡大、こういったことに対しても真摯にお答えください。一つだけとらえて答えるというのは僕はけしからぬと思うな。
  70. 岩城光英

    大臣政務官(岩城光英君) そうですね、私どもそこまで打合せしていなかったものですから。例えば、国によるこの被害者救済制度、この創設につきましては、これはあくまでも被害者に治療費等を補償する制度として公害健康被害の補償等に関する法律がありまして、この制度につきましては環境省の所管でありますので、国土交通省としてはこれはお答えする立場にはないと、このように考えております。
  71. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 つまり、こういう議論が積み重なってきたから、実はNOxについてもSPMについても減らなくて、患者の被害が減っていないんじゃないですか。NOx法の改正のときも議論はありました。もう蒸し返しませんが、旧建設省と環境省の間で覚書が交わされて、道路行政については環境省は文句を言わないという覚書が事前にあって、それは破棄をされました。  いまだに今の国交省の話と環境省の話というのはずれているわけです。国交省は、相も変わらず渋滞が解消するために道路整備しますといっているわけです。その結果が、実はこれだけ東京で網の目のように道路が、もう言ってもしようがないですが、でもそこのスタンスは変えてもらわないといつまでたっても患者は減りませんよ。  大臣、どう思われます。今の国交省の議論を聞いて。鈴木大臣
  72. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 国交省政務官から三環状道路等の早期整備というところに特に力を入れてというと変ですが、特にそこに御発言があったわけでありますけれども、環境省といたしましては、いずれ環境アセスメント等をしっかり行って、そうした面での得失というものをまず考えなければいけないと。初めに道路建設整備ありきではなしに、しっかりした環境アセスメントをするということが大切であると思っております。
  73. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 大臣、大変勇気のある答弁、ありがとうございました。  ちょっと根本的なことをお伺いします。  済みません、国交省がああいうお答えだったので全然予期しない発言をしまして。  東京大気汚染訴訟、その判決が出されましたけれども、この東京大気汚染というのはそもそも公害ですか。
  74. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 東京におきます大気汚染状況でございますが、これは人の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準であります環境基準の達成率というものを見ましても非常に低い状況にございます。  そういう意味では、一般的な意味では公害に係る事象であると思っておりますが、公害ですかということで、厳密に環境基本法の公害に相当するかということでございますのであれば、環境基本法では、これは大気汚染などによって人の健康に係る被害が生ずることという定義になっておりますので、被害が生じるというところまで確認する知見は、現在のところまだそこまではないと思っておりますけれども、いずれにしてもこれを手をこまねいている事態ではございません。公害の防止を行うべき対象事象であるというふうに思っております。
  75. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 環境基本法の二条三項、公害の概念があるんですが、今正に局長言われたみたいに公害の定義は、「人の健康又は生活環境に係る被害が生ずることをいう。」と、状況なんですが、これ判決で七人の方が損害賠償請求認められているということは、これは被害が生じているということにはならないんですか、局長。今、被害が生じているという知見がないとおっしゃいましたが、そこはいかがなんでしょうか。
  76. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 判決におきましては、幾つかの知見の中からこれを究極的に判断、裁判においていずれかに判断するということでございまして、この七名の方については沿道の大気汚染との因果関係を認められておりますので、判決の考え方は被害が生じているということであろうと思っておりますが、この点につきましては私どもの政府の今までの主張してきた点と異なっております。  したがいまして、この判決の対応につきましての検討の中では、この点も検討すべき対象だというふうに考えております。
  77. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 何かよく分かりませんが、済みません、これはもう本当につまんない話で恐縮です。単に言葉じりをつかまえているだけなんですが、環境省が出した談話の発表のところにはちゃんと東京大気汚染公害訴訟判決に対する環境省の談話って書いてあるということは、この公害と今言われた環境基本法における公害とは別の言葉の公害ですか。  これは、本当に済みません、こんな言葉じりつかまえるようなこと言いたくなかったんですけれども、今の答弁を聞いたので。これ、環境省が出している談話です。談話には公害という言葉が入っています。今は局長は、判決では被害が出たという話になりましたが、環境基本法の言う公害とは違うとおっしゃいました。  この公害訴訟というのを、環境省が談話で出しているこの文言とは公害の概念、違うんでしょうか。
  78. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 談話におきまして、その裁判の名称につきましての通称を用いましたのでさようなことになったというふうに思っています。  ただ、ここで争われましたことにつきましては、例えば環境省規制をする責任があるんではないか、公害防止という面も争われている訴訟でございますので、この訴訟につきまして通称を公害訴訟と言うことについては問題がないものというふうに考えております。
  79. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 よく分かったような分からないような話なんですが。基本的には、そうしたらその次お伺いします、公健法における被害者認定を八八年にやめられましたが、やめられた理由は何ですか。
  80. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) 昭和三十年代から四十年代にかけまして、工場を中心としまして激甚な健康被害起きました。それに対応するために公健法を制定しまして、著しい大気汚染によるぜんそくが多発している地域を第一種地域として指定して、そこに一定期間居住あるいは勤務、通勤しているとしてそのぜんそくなどの症状をお持ちの方に対して、因果関係を割り切った上で汚染原因者でございます工場などの負担により補償を行っておりました。  しかしながら、ぜんそくというのは大気汚染のみならず、ハウスダスト、ダニ、花粉、たばこなど様々な要因がございます。その後の大気汚染の改善の状況の下、大気汚染がぜんそくの主たる原因とは言えないと、これまでの制度的割り切りを続けるということについての合理性が失われているということで、中環審答申を踏まえまして法律を変え、改正し、地域を解除したわけでございます。
  81. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 そのときに想定をされていた当該原因物質は、部長かな、何でしょうか。
  82. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) 主に硫黄酸化物、窒素酸化物などでございます。
  83. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 八八年のその公健法の改正で認定をしなくなったときの議事録ありまして、当時の堀内環境庁長官が、やはりこういうことを言われています。硫黄酸化物による大気汚染という問題がほとんど解決されてきたわけでございますと。御指摘のように窒素酸化物のものは、ほとんどずっと統計を見ても横ばいでございますと。つまり、むしろ硫黄酸化物の大気汚染はもう七、八年前にほとんどなくなってきている状態でありましたからということが書かれています。  これは、今の南川さんが言われたことと合致をします。合致をしますが、しかしその後です。中央公害対策審議会でも、現在の状態では補償制度というものよりも、むしろ積極的に環境を良くする方法あるいは病気になられる方々を予防する方法を取るべきではないかという御意見が多数を占め、と。その後です。そしてこの一番もとにある、今度、次、新しい物質が出てきます。窒素酸化物の環境基準を下げるよう我々は全力を挙げていきたいと考えていると。つまり、硫黄酸化物は減ったと。これ、大気汚染は今のところ横ばいですが、今後、大気汚染の原因である窒素酸化物については全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに言われているわけです。その窒素酸化物が実は今回争点となったわけです。  この窒素酸化物とSPMについては、御案内のようにNOx法の中で全く二〇〇〇年まで環境基準を達成できないで、今回、つい一年か二年ほど前、NOx法の改正という議論があったわけですね。つまり、公健法の打切りの元々の原因物質である硫黄酸化物は減っているけれども、新たなぜんそくのもとになる窒素酸化物やSPMについては全力を挙げて減らしていくから補償をなくします、認定をなくしますという議論の組立てが八八年だったわけです。  ところが、現実には、八八年から二〇〇〇年まで全くNOxについてもSPMについても減らないで、被害者は出続けたわけです。こういう状況の中で、判決で、先ほど申し上げたように国は五回連続負けている。国の責任は問われている。そうなったら、やはりこの公健法の見直しなり、被害者認定制度の見直しなりに踏み込んでいかないと、これはやっぱり不作為だと言われても仕方ないと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  84. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 今の経緯お話がございましたが、やはり基本的なことを申し上げますけれども、大変ぜんそくで苦しんでおられる方がいらっしゃいます。大変、私もそういう方に対してはお気の毒であると、そういうふうに思うんでありますが、お気の毒であるからお金を差し上げるという具合にはこれはなかなか国の制度としてはならない。そこにやはり因果関係、科学的な因果関係というものが明確にされなければいけないというふうに思っております。  いろいろ私も専門的な話は、十分これは理解をし得ない部分もございますが、専門家の皆様方の話を間接的にお伺いをいたしますと、今のいろいろな調査をしておりますけれども、今まで得られた知見の中では、そうした物質の今の濃度の状況と、それからぜんそく、疾病の発生との因果関係といいますものが科学的に結び付くことができないと、そういう話でございますので、まずは、私としてはそうした調査を、科学的な知見を求められる、因果関係について求められるそういう調査を今後更に急いで進めることが重要であると、そういうふうに思っております。
  85. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 東京都は、国の公健法の認定以外に条例を作っています。十八歳未満で、これはもう有名な数字なのでもう何回も言いませんが、一九八八年、一万八千八百二十二人、二〇〇〇年度は五万一千百二十二人、東京都の条例で言うと実は三万人も新たな患者が増えています。  それと、今、大臣は、基本的には知見がないから調査をしたいとおっしゃいました。ところが、今回の判決で重要な点が一点あります。それは、御案内のように、この判決では未認定者に国の損害賠償が求められました。つまり、国は大気汚染の因果関係は認められないから八八年から認定はしませんよと言ってずっと認定してこなかった。認定してこなかった間に東京都の条例では実は三万人認定者が増えている。  さらに言えば、今回、たった一人とは言いながら未認定者に損害賠償の請求を求められるということは、この十二年間の間に大気汚染がずっと継続してあったということの私は証左ではないかというふうに思っているわけです。未認定ということは、国の理論でいえば大気汚染はないんだというのが国の理論です。大気汚染と被害者の間の因果関係はまだ明らかでないというのが国の議論ですが、その前提を覆す未認定の人が国に対して責任を求めることを認められたわけですから、これは、この十四年間ぐらいですか、八八年から含めて大気汚染があって、そこに被害者が出ているというそこは証拠ではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  86. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) ぜんそくなどの呼吸器系の疾患につきましては、医学的に原因が特定できないと、非特異的な疾患でございます。  今回の判決で認められた方につきましては、ぜんそく患者であって、交通量がお昼の十二時間で四万台以上、大型車の混入率が相当に高い沿道の両側五十メートル以内に居住又は通勤していることという外形的な判断基準を示しまして、これに該当する原告について、大気汚染を原因とする健康被害とみなして認めております。  しかしながら、法的な救済制度につきましては、どの汚染物質にどんなレベルでどれぐらいの期間暴露すればどういう疾病が発症するか、他の要因を考慮しないまでの強い因果関係があるかどうか、また原因者をどう特定するかなど、十分な根拠が必要でございます。  もちろん、私ども、今回の判決に示された五十メートルなどの考え方につきましては十分参考にした上で調査も進めていきたいと考えております。
  87. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 南川さん、御丁寧にお答えいただいたんですが、私の聞いたこととはちょっと違っていて、認定終了後も大気汚染は結局継続したということの証左にならないのですかとお伺いしたんです。未認定患者が今回損害賠償を認められたということはそういうことにはならないのですかとお伺いしています。
  88. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) 大気汚染があるかないかと言われると難しいんですが、少なくとも、一キロメッシュで大気汚染、NO2なりSPMの汚染状況を取りまして、それとぜんそくあるいは喘鳴、のど鳴りですが、そういった因果関係は調べておりますけれども、そこからは特段の相関関係は出てこないということでございまして、現状では明確な大気汚染による被害というものが把握できないということでございます。
  89. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 先ほどからこんな話ばかりして嫌なんですが、大臣調査をしなければいけない、知見が不十分だとおっしゃいました。それは誠意をいただいているんだと思うんですが、先ほど私が八八年の議事録を御紹介をいたしました。  その八八年の議事録の中に窒素酸化物の環境基準を下げるように我々は全力を挙げていきたいと考えていると。この八八年の公健法の改正のときの実は附帯決議にこういう附帯決議があります。  主要幹線道路沿道等の局地的汚染については、局地的汚染です、その健康影響に関する科学的知見が十分でない現状にかんがみ、調査研究を積極的に推進するとともに、その結果に基づいて、必要に応じ、被害救済の方途を検討すること。今、南川さんと大臣が言われたことと同じことが実は八八年の附帯決議にこれ書かれているわけです。  さらには、複合大気汚染による健康影響について、環境保健サーベイランス・システムを早急に構築し、地域住民の健康を観察して、必要に応じ、適切な措置を講ずることということも書いてあるわけです。  これは、八八年公健法改正して認定をやめた時点で、要は、窒素酸化物の問題については現存するから、早々に調査をして、知見をためて、なおかつ窒素酸化物を軽減に努めるから、だから、認定はやめましょうと。元々の認定の原因であった硫黄酸化物については軽減してきたから、そこは理解をしてくださいと。ただし、SPMや窒素酸化物については調査をして知見をためて減らすようにしますから、認定やめましょうと言われているわけです。これ附帯決議もあるわけです。  ところが、今これだけ判決で負けて、十四年たって、そして未認定者にまで損害賠償請求を求められた上で、今、大臣の御答弁は、知見が足りないから調査します。南川さんの話も、実はまだ十分ではないので、被害救済については検討しますと。同じことを言っているんじゃないですか、十四年たって、大臣。その間に患者の方が、さっき言ったように、十八歳未満だけで三万人も増えているんですよ。  今回の訴訟だけでも何人の原告団がいらっしゃるか、もう大臣御案内でしょうけれども、一次から四次訴訟まで入れると、原告の数は五百五人、未認定者は百八十四人もいるんです。みんな途中で生活ができなくなったり、急に夜中に入院なったり、私も患者の方にお会いしました。いつ発作が起こるか分からないからいつも吸入器を横に置いていると。救急車で発作が起これば運ばれる、勤めていても途中で退職をせざるを得なくなる、結婚もできない、生活もできない。そういう状況の人がこの十四年間増えている状況で、今、環境省の答弁は、十四年前に想定していたことを全く、まあしていないとは言いませんが、同じ答弁をされているわけです。  大臣、ここはやっぱりちょっと考えていただきたいと思うんですが、いかがですか。
  90. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 一九八八年から十四年たっているわけでありまして、私もこの話を聞いたときに、十七年から新たな調査をまたやるということで、どうしてこんなに時間が掛かっているのかと私自身も不思議に思いました。  私も科学専門的なことは分かりませんが、お話によりますと、対象として、悪玉と、こう思っていたものがその後変わってきた、そういうこともありますし、それから調査をするといっても、これはもう世界のどこの国でもまだ始めていない調査でありますから、まず調査方法を、どういうような調査したらいいのか、その評価方法を一体どう評価したらいいのか。それから、いろいろやるための、例えば胸の辺りにバッジのようなものを付けたり、肩からいろいろそういう影響を把握する器械を付けたりして調査するんだそうでありますが、そういうものの開発をしなければいけなかった、何かもうそういう様々、言わば技術的な問題があったということを聞いております。  しかし、一方において、患者の皆様方からとれば、十四年間大変そうした調査が、なかなか知見というものが出ないということについての思いというものは、大変これは大きなものがあろうかと思います。私といたしましても、この調査が早く進みますように努力をさせたいと思っております。
  91. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 政治家としての御答弁ですから、私は重く受け止めたいと思います。  弘友大臣、ずっと私、環境委員会にいて、公明党の副大臣がずっと続いています。公明党の副大臣の皆さんは、逆に言うと、こういう訴訟には本当に積極的にこれまでも参加をされてこられました。それで、なおかついつもこういう場では副大臣にも御答弁をいただきたいと思っています。  これだけ患者が増えて苦しんでいます。今回、七人の方に損害賠償を認められましたが、認められない方の方が圧倒的に多いんです。その人たちは、自分らが認められなかった時点で人生先も真っ暗やみ、そんな状況で、また、これから始めて調査しますというようなことが環境省からも国交省からも、ましてや国交省はまだ道路を造るとか言っているわけです。これ、副大臣、今、鈴木大臣が非常に前向きな御答弁をいただきましたから、是非大臣としてのコメントもいただきたいと思います。
  92. 弘友和夫

    ○副大臣弘友和夫君) 今、大臣御答弁のとおり、本当に症状を発症された皆様方に対して大変そのお苦しみといいますか、胸の痛む思いがあるわけですけれども。ただ、国としてそういう補償制度にしても、そういう制度を設けるということは非常に、先ほど来の議論にありますように、やはり何らかの科学的知見がないと、一番あれなのは、例えば東京都で、その症状がありますよと手を挙げられた方を、じゃ全部認めますよというような、そういうことでよければ科学的知見もないんでしょうけれども。国がやるからにはやはり科学的なそういう知見がなければ、判断するものがなければ、やはり何でもというわけにはいきませんので、今、大臣の御答弁のように、是非そこを進めて、調査研究をもう是非早急に進めて、一日も早くそういうことができるようにというふうに私自身も考えております。
  93. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 しつこいようですが、もう一度言います。  十四年前に、科学的知見が十分でない現状にかんがみ、調査研究を積極的に推進するとともに、その結果に基づいて、必要に応じ、被害救済の方途を検討することということがあったという事実ですからね。今、当たり前のように、被害者がいらっしゃるから、調査をこれから早急に進めたいとおっしゃっても、実は十四年前にも同じことを言っているということだけは御認識をいただきたいと思います。  その後、原告団が各自動車メーカーや道路公団、首都道路公団等に確認書をいただきに上がって、私のところにもその確認書の現物があります。ここには、各メーカー、トヨタさんとか三菱自動車さんとか日野自動車さんとか、さらには、これはびっくりしたんですが、首都高速道路公団が確認書を出されていまして、これは判こを押されています。その中では、「行政が新たな救済制度を制定する場合、社会的要請も踏まえて総合的に対応」すると。「当社は、行政が新たな被害者救済制度を制定する場合には、社会的要請も踏まえて総合的に判断して対応」すると。首都高速道路公団に至っては、「公団は、関係機関と被害救済制度の可能性について真しに協議する。」というようなことを確認書として出されました。  これは、環境大臣並びに国交省はごらんをいただいていますか。
  94. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) コピーを拝見しました。
  95. 岩城光英

    大臣政務官(岩城光英君) 私どももコピーは拝見しております。
  96. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 どのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。
  97. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 原告弁護団と自動車メーカーのしかるべき担当者の方の話合いの中で結ばれたということは、それは理解を、承知をしているわけでありますが、どういう趣旨、どういう経緯で結ばれたか、当事者間ではございませんので、その内容について直接申し上げるのは適当でないと思います。
  98. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 国交省はいかがですか。
  99. 岩城光英

    大臣政務官(岩城光英君) 国土交通省といたしまして、自動車メーカーの確認書につきましては、自動車メーカーとして今後の取組の方針等について原告の方々にお示ししたものと伺っております。  それから、首都高速道路公団の確認書につきましてですが、これは、原告団の申入れについてお話を伺う中で、そのやり取りの一部を原告代理人が整理したものに対し、公団出席者の一部が署名したものであると、このように聞いております。
  100. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 その公団出席者の一部がというのはどういう意味なんでしょうか。
  101. 岩城光英

    大臣政務官(岩城光英君) 公団出席者の中の方がということです。
  102. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 首都高速道路公団、一応国交省管轄ですよね。
  103. 岩城光英

    大臣政務官(岩城光英君) はい。
  104. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 そこについてはどのように御認識されていますか。
  105. 岩城光英

    大臣政務官(岩城光英君) 認識といいますとどういうことでしょうか。
  106. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 いや、ですから、一部といっても、逆質問をしていいのかな、まあいいや……。
  107. 小宮山洋子

    委員長小宮山洋子君) 福山さん、手を挙げてください。
  108. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 首都高速道路公団、総務部調査役、企画調整室調査役等の方がサインをされているわけですが、真摯に協議をするということは、それはもう国交省としても、それは一部の人がやったけれども、そこは真摯に協議をするんだなという認識でいいわけですね。
  109. 岩城光英

    大臣政務官(岩城光英君) その間のやり取りにつきましては、昨日の衆議院の方の国土交通委員会ではいろいろ論議があったようでありますけれども、私はその件について承知しておりませんので、今はお答えしかねます。
  110. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 昨日、私、事前通告しましたけれども。
  111. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) お答え申し上げます。  首都高速道路公団の理事長からは、内容について、内容についてですね、首都高速道路公団としてはできるだけ誠実に努力はしたいというふうにお返事をさしていただいたところではあります、公式な文書かメモかと、こういう御議論もありましたが、そういう意味では、公式な文書ではないけれども、内容については努力はしたいと、こういうふうな御回答があったということでございます。
  112. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 公式な文書かどうかというのは議論の余地があると思いますが、こんな状況で、メーカーも真摯に対応するという状況の中で、今までの議論全部ひっくるめて、先ほど私は公健法の改正について見直す気はないですかというふうに鈴木大臣に聞いたかな、もう一度聞かしていただきます。公健法の、要は被害者認定制度の見直しについて、大臣、見直されるようなおつもりはありませんか。調査をするとおっしゃったのはよく分かるんですが。
  113. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 繰り返しの御答弁で恐縮でございますが、そうした因果関係についての当否というものが明らかになった段階で判断すべきものであると思っております。
  114. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 そうすると、今議論が出ている被害者救済制度ということ自身は必要であるか必要ではないかということについて、環境大臣それから国交省、よろしくお願いいたします。
  115. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 今、とにかくその調査をして早く結果を、因果関係についてを考えるという段階でありまして、今私も、申し訳ないですが、ここでその当否を明らかにする段階と申しますか、私自身まだ確定的な考えを持っておりません。
  116. 岩城光英

    大臣政務官(岩城光英君) この話につきましては、先ほども私の方からお答えいたしましたが、国土交通省としましてお答えするものではないと、このように思っております。
  117. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 いや、都知事の話についてではないです。被害者救済制度というものについてどうお考えになられますかということです。
  118. 岩城光英

    大臣政務官(岩城光英君) 繰り返して、じゃ、お答えをいたします。  被害者に治療等を補償する制度としまして公害健康被害の補償等に関する法律、これがあるわけでございますが、環境省の所管でありますので、この新たな制度の創設につきまして国土交通省としてお答えする立場にないということを申し上げたわけであります。
  119. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 同じことの繰り返しになりますが、済みません、大臣お答えください。被害者救済制度を作る上で、知見が足りないから調査を進めると、そこで判断するんだというふうにおっしゃいます。それはもうよく分かりました。ただ、そこで、現実に作る上ではどんなことが障害になるんでしょうか。それは知見が足りないと言われればそれはもう障害としては一番大きいものなんでしょう、今までの答弁から伺っていると。ただ、これだけ現実には被害者がいらっしゃって、で、調査をしている間もずっと実は苦しまれている方がいらっしゃる状況の中で、どういったことが被害者救済制度を作る上で障害となっているのか、もし言っていただける余地があれば御答弁いただきたい。
  120. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) いろいろあるとは思うのであります。ただ、まだ具体的にそういう制度を創設するのか、しないのか、するとすればどういう規模になるのか、どういう範囲にするのか、これがもうまだ全く、何と申しますか、具体的な検討をされていない段階でございますので、何が障害になるかということも、したがって申し上げられないわけであります。  今の時点では、やはり制度を創設するかどうか、その基本はそうしたぜんそくの疾病とこうした環境汚染大気汚染の関係、科学的関係が、科学的に知見が得られるかどうかということに一に掛かっていると思っております。
  121. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 少し視点を変えます。  東京二十三区のNO2の年平均濃度というのはどの程度でしょうか。
  122. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 平成十三年度におきます東京二十三区内の測定局での二酸化窒素濃度の年平均値の、それぞれの局の平均でございます。  一般環境大気測定局は二十七局ございますが、それらの平均は〇・〇三一ppmでございます。それから、自動車排出ガス測定局二十七局で平均いたしますと、これは〇・〇四二ppmでございます。
  123. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 これももう何というか、さっきからの議論の続きなんですが、今の平成十三年度の、大臣お伺いして、いただきたいんですけれども、やっぱり〇・〇三一ppmと〇・〇四二ppmという平均が東京全体で出ています。東京全体ということは、汚染の薄いところもあり、もちろん濃いところもあるんですが、その平均が〇・〇四二、これはいわゆる沿道地域です。  環境省は平成九年に、このNO2の平均濃度が実は〇・〇三〇、〇・〇三ですね、〇・〇三を超える地域のぜんそくの有症率、有症率というのはぜんそくにかかる率です、有症率がそれ以下の地域の有症率より高い傾向が認められると実は環境省自身が報告しているんです、〇・〇三で。今言われた沿道地域、一番道路から近いところは実は東京都の平均でもう既に〇・〇四二あるわけです。環境省は、平成九年に〇・〇三だと実はぜんそくの発症率というのは、それ以上だと大分上がるんですよということを環境省は実は認めていまして、これを報告をしています。  つまり、先ほど言われている話とつながるんですけれども、平成十三年で既に平均で〇・〇四二ですから、濃度の高いところはもっとなわけです。で、環境省自身は〇・〇三でぜんそくの有症率は上がるんだよと実は報告されているんですね。さっき科学的知見が足りない、調査をしなきゃいけないとおっしゃっているんですが、環境省自身の報告書の中に実はこういう結果があるんです。で、二十三区域でぜんそくの方が年々増加をしているという実態もあるわけです。  つまり、国は訴訟の側の、被告側ですから、判決等があってやっぱり立場があるのは僕も理解をしないわけではないのですが、先ほどから何回も同じ議論を繰り返しています。やると言った調査が十四年やっていない。さらには、環境省が平成九年に出した〇・〇三以上だとぜんそくは増えるんですよという報告に、優にそれよりも上の数値が出ている。さらには、NOxの環境基準を達成、二〇〇〇年までできていないという実態も考えて、是非この問題については大臣リーダーシップで早急に作業を進めていただきたいというのをほんまに思うわけです。  患者にちょっと直接に会うと本当にいたたまれなくなりますので、いつまでたっても物が前へ進まないのはちょっと余りにもお気の毒だというふうに思いますし、まだまだ訴訟も続きますし、そういう点で大臣、もう一言だけ御決意をいただいて、ちょっと早いんですが、ほかの質問もあったんですが、ほかへ行くとまた長くなりますので、大臣に御決意をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  124. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) いずれにいたしましても、東京都二十三区内を含む都市部の大気汚染状況というものはいまだに改善が見られない。これについて裁判という形での法的な手続が取られておりますが、これについてはこれとして対応しなければいけませんが、今日、委員会で御指摘の様々なことも含めてこうした大気汚染防止のために更に努力をしてまいりたいと思っております。
  125. 小宮山洋子

    委員長小宮山洋子君) 午前の質疑はここまでとし、午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時十八分休憩      ─────・─────    午後一時二十分開会
  126. 小宮山洋子

    委員長小宮山洋子君) ただいまから環境委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、環境及び公害問題に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  127. 福本潤一

    ○福本潤一君 公明党の福本潤一でございます。  鈴木大臣の所信に対する質問をさせていただきます。  今年八月にヨハネスブルグでリオ・プラス10の地球環境サミットございましたし、十月には大臣参加されてCOP8行われたと。そういう中で、政府としましても、ヨハネスブルグでは持続可能な開発のための教育の十年というものが採択になりましたし、政府のみならず、民間団体としましても、例えばSGIの展示がNGOとして表彰されたり、自治体の方では北九州市の北九州イニシアティブというのが表彰を受けたところでございます。こういう環境に先進的な取組に対する顕彰、これから日本国内でも大事な問題になっていくと思います。  大臣最初にお伺いしたいのは、具体的に、循環型社会形成推進基本法通りまして、地球温暖化また地球環境問題のための個々の自治体また民間の人たちの様々な環境取組というのが前進していくと思いますが、この基本計画策定へ向けて、これから国民がエコライフ運動のような形で運動を進める、また自然共生社会へ向かって進んでいけれるような方向性を打ち出していただければというふうに思いますので、そういう取組についてお伺いしたいと思います。
  128. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 今、我が国が抱えております環境問題、地球温暖化防止の問題にいたしましても、あるいは廃棄物の問題にいたしましても、いずれも我々の日常の経済活動でありますとかあるいはライフスタイル、そこから根差している問題であると、そういうふうに考えております。そういう中で循環型社会を形成をしていくということでありますから、これはもう国民一人一人のライフスタイルを変えていかなければならない、また産業の構造といいますものも環境に負荷の少ないものに変えていかなければならない、これはもう先生の御指摘のとおりであります。  いかに、こうした環境配慮したエコライフといいますか、そういうライフスタイルに変えていくかということは、これはもうなかなか、そう簡単にすぐ変わるというものではもちろんないわけでありますが、そのための啓発活動ということを環境省として着実に進めていく必要があると認識しております。  具体的でありますけれども、環境省では、六月五日の環境の日を中心に、環境月間におけるエコライフ・フェア等の各種行事を開催をいたしておりますし、また、ごみを減らす暮らし方であるリ・スタイルの提唱や、地球温暖化防止に向けた暮らしを提唱する環の国くらし会議の開催などの国民運動を展開をしております。また、広く国民の理解と協力を得るためのパンフレットやポスター、ホームページ等を通じた国民各層を対象とした広報活動、こういうものを通じましてこのライフスタイルを変えていくための啓蒙活動をしておるところであります。  さらに、来年の三月までに、従来の予定を半年間前倒しをいたしまして循環型社会形成推進基本計画というものを策定をいたしまして、そしてこの計画に沿っての循環型社会の形成に向けての努力を進めてまいりたいと思っているところであります。
  129. 福本潤一

    ○福本潤一君 大臣とともに副大臣にもやはり、先ほど北九州イニシアティブがヨハネスブルグで顕彰、表彰されたということでありました。先駆的な自治体としての取組、こういうところにも支援策、環境省としてしていく必要があるだろうと思いますので、環境大臣の方から、具体的に自治体に対する支援策を含めてお伺いできればと思います。
  130. 弘友和夫

    ○副大臣弘友和夫君) 今、北九州イニシアティブのお話がございましたけれども、北九州、たまたま私の地元でございまして、本当に、あの公害華やかなりしころ、海は七色の海という、大変、絵の具を流したような海、また降下ばいじんも時間当たりトラック何台分も落ちてきた。そういう大変な公害の町でありましたけれども、それを克服して、それで環境省からも、星空の見える町だとか、アユの帰ってくるような、そういう町になりました。  ただ単に公害を克服しただけじゃなくて、それを、そうした技術、人材、そういうものを生かして成長の方に持っていこうと、こういう取組をしまして、先日のヨハネスブルグ・サミットでも、実施計画の中に北九州イニシアティブというのが、都市の名前が入った、固有名詞が入った実施計画これだけなんですけれども、取り入れられるような形になりまして、正に、この間、小泉総理もヨハネスブルグに行って、今からは経済環境だと、これ両輪なんだと、こう言われておりましたけれども、そういう先駆的な今取組をしている町だというふうに考えている。  それを、今回、北九州はPCBの処理施設の建設を全国に先駆けて受け入れたり、いろいろやっておりまして、また、資源循環型社会の構築を目指すエコタウン事業もやっております。そういう問題に対しまして、環境省といたしましても経済産業省と一緒になってこれを、その事業の進捗を図っていきたいと。そしてまた、北九州イニシアティブを通しましてアジア大洋州の諸国の都市環境再生のためにそういう手法の提供だとか、そしてまたワークショップの開催など、これらの事業に対しましても環境省といたしましては財政的また技術的な支援を行っていると。  そしてまた、北九州だけではございません、持続可能な社会の構築に向けて、自治体の役割というのは非常に大きいわけでございますので、北九州を含む多くの自治体に対しまして持続可能な地域作りというものが積極的に進められますように、引き続いて各種施策の推進を図ってまいりたい、このように考えております。
  131. 福本潤一

    ○福本潤一君 国、また自治体、さらに民間企業等々に関しましても、具体的に地球温暖化対策含めて取り組んでいく必要があると思いますが、民間企業がよく取っているのにISO14000というのがございます。企業環境規格の一つでございますが、これ、経済環境の自立ができるということで大いに推進しているところでございます。と同時に、こういう規格を取ったために、認定当初数百万円要って、さらには更新のときにまた数百万円二、三年後に要るというようなことで、最初更新したけれども、二回目はもう無理だとか、さらにはこの規格を取ったはいいんだけれども会社がつぶれたというところも具体的に出てきております。  ですので、こういう意味では、自治体が環境運動取り組む、経済環境の自立という中で、環境規格を厳しくしたら環境技術が発達するというのは間違いないところでございますが、運動している団体に対しても対応考える必要があるんじゃないかということで、環境省は今、ISO14000に対する現状認識と、環境省が現状で若干取り組んでおられる、こういう環境を推進する自治体に対する顕彰者認定施策、そういったものに対してどう考えておられるか、これをお伺いしたいと思います。
  132. 炭谷茂

    政府参考人炭谷茂君) ただいま先生御指摘になりました、言わば環境マネジメントシステムの国際規格でございますISO14001の審査登録件数、我が国、大変多くて、世界の四分の一を占めているということで、既に一万件を超えております。  しかし、先生御指摘のように、この登録を受けますためには、中小企業などが取得するためには、費用又は時間等が掛かり過ぎるという指摘があるわけでございます。このために、ISO14001とは別に、中小企業などを対象にした環境マネジメントシステムを推進していく必要があるというふうに考えているわけでございます。  このために、環境省といたしましては、中小企業等を対象としまして、簡易な環境マネジメントシステムとして平成四年に、私どもエコアクション21と称しておりますけれども、環境活動評価プログラムを作成し、地方公共団体と連携しながら地域セミナー等の開催によりその普及に努めているところでございます。
  133. 福本潤一

    ○福本潤一君 今言われた環境活動評価プログラム、エコアクション21、私もこの資料を見させていただきましたけれども、余り取ろうというイニシアチブというかインセンティブが働いていないところがございます。  民間の企業を回られて、また様々な形で環境運動に熱心に取り組んでいますよということをアピールするところまで出てきておるわけでございますので、この機会に、私から見ますと、環境省がこういうエコアクション21というような名前のものからもう一歩進めて、国民環境問題に取り組む動機付けになるようなものをむしろ作ったらいいんじゃないかというふうに私は思っていまして、例えば簡単な名前でJAS、JISというのがあります。商品に対する通産省とか農水省の規格ですけれども、例えばJESとか、そういった物すごくなじみの深いようになるような、そういったものを作ってみられたらどうかとか。  これは労働省が昔、スキューバダイビングをするときに、日本は潜水士試験というものを持っていましたけれども、今は潜水士試験を取る人は一人もおりませんで、免許証でないPADIとかNAUIというような形で、国際的な認定証を持って初めて潜れるような、これは免許証でもないのに取らないといけないというような状況が生まれてきたりして、ヨーロッパまたアメリカの戦略に乗せられているんじゃないかという言い方をこのISO14001に対してもする人がおられますので、そういったものに対する取組、姿勢をお伺いしたいと思います。
  134. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 最近、御指摘のように、中小企業でも環境マネジメントに取り組むそういう企業がございます。そういう中小企業に対して、それを明確にするためのエコアクション21という制度を作っているわけでありますけれども、残念ながら、御指摘にように、ISO14001というものがもう約一万件あるという中で、こちらのエコアクションの方はまだ三百六十件余りにとどまっているということであります。  環境省といたしましてもこれを是非普及促進をする必要があると思っておりますので、今御指摘になりました分かりやすい名称でありますとかあるいは認定マークでありますとか、そういうものにつきましてその取組が必要である、そういうふうに考えております。  具体的に、有識者、地方公共団体、企業の方々の参加を得まして、今、検討会を設置をしておりまして、このエコアクション21を改定をして、中小企業等の環境マネジメントシステムの促進が図られますように、その検討会で検討しながら、また、御指摘の認定制度の是非につきましても併せてこの中で検討してまいりたいと思っております。
  135. 福本潤一

    ○福本潤一君 エコライフ運動が各自治体また民間でも進むように取り組んでいただければと思います。  個別の問題、若干箇条的に、質問時間余りありませんので流させていただきますので、簡潔にお答えいただければと思います。  合併浄化槽の話を若干させていただきますと、今、公共土木事業費用が低減化できないかとか、様々な形で無駄のないようにということで進んでおるわけですけれども、環境省がやっている合併浄化槽、具体的にまだまだ枠が小さい。国土交通省のもう三兆円規模に上がるものから比べますと、二百三十億円ぐらいの小規模ではございますが、この合併浄化槽を例えば推進するための方策を考えていただいて、例えば私有地設置型でなくて、また公有地を使った市町村管理型等も進めていって、この比率を公共下水道の中で高めたらどうかということで、それの価値と、そういう民間のみならず、公有地を使ったような市町村管理型の推進についての御意見を環境省にまずお伺いしたいと思います。
  136. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) 合併処理浄化槽の設置事業につきましては昭和六十二年から国庫補助を行っているところでございますけれども、平成六年からは市町村が設置して維持管理を行う事業、特定地域生活排水処理事業と呼んでおりますが、この市町村設置管理事業を推進しているところでございます。この事業は個人に任せるのでなく市町村が主体になって整備を行うことから、面的整備の促進効果がございます。  また、公有地に設置したらどうかというお尋ねもございましたが、現在、浄化槽の小型化による対応も進んでおります。また、集合的に、道路の下の活用もできるということで、敷地が狭くても対応が進んでいるんですが、その敷地のない家庭からの汚水を集めて集合処理する、公有地で集合処理するような、そういう小規模な処理につきましては、総務省におきまして小規模集合排水処理施設整備事業ということで地方財政措置が講じられている事業のメニューがございます。
  137. 福本潤一

    ○福本潤一君 総務省も入ってやっていただければと思いますし、さらに農水省の農村集落排水、漁村集落排水等々を入れますと四省庁にまたがってこれは進められておりますので、この事業、どういう形で公共土木事業、環境にも適切に対応できる進め方をしていったらいいだろうかということで、公明党、かなり合併浄化槽に比重を置いた形で進めたらどうかという提案を第四回の党大会でも決めさせていただいておりますけれども。  国土交通省、合併浄化槽は担当ではございませんけれども、そういう四省庁にまたがるこの下水道問題、私も農水省と国土庁又は建設省呼んだときに、この関連どういうふうに考えておるかというのを質問したことがあるんですけれども、現状で、合併浄化槽も進んでいる中でこの比重を高める方向性というものに関する考え方、これは環境省を通して聞こうかなと思いましたが、直接国土交通省にお伺いしたいと思います。
  138. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) 下水道のような集合処理と合併浄化槽による個別処理、この役割分担の考え方については先生既に御承知のことと存じますが、簡単に申しますと、建設費と維持管理費のトータルのコストのより安い方ということを基本的な考え方にいたしまして、現在、役割分担を図っております。  このために、関係省庁連携をいたしまして各都道府県がその分担を考える際の統一的な物差しも作りまして、これを踏まえて各都道府県で都道府県構想というものを作って、集合処理、個別処理の地域別の分担を決めているというのが現状でございます。  なお、こうした分担につきましては、いったん決めたらこれを動かさないという硬直的な運用ではなくて、人口密度の変化とか技術開発によるコストの低減などの状況に応じて弾力的に対応してほしいということ、それから特に、平成十二年、十三年にはこの個別処理、集合処理の費用比較をするための統一的な考え方や基礎数値を共同でお示ししたところでありますので、特に現在、入念な見直しをお願いしております。基本的には弾力的にやってまいりたいというふうに考えております。  その上で、下水道につきましては、こうした言わば暮らしの快適性を確保するというための生活汚水の処理という役割、基本的に非常に重要だと考えておりますが、加えまして、これからの重要な課題として高度処理ということがございます。おいしく安全な飲み水を確保する、あるいは閉鎖性水域の水質保全を図る、さらには環境ホルモンの問題への対応も展望いたしまして、今後、高度処理ということを言わば標準処理にするぐらいの気持ちでやっていかなければいけないというようなこともありますし、また他方で、河川を補完いたしまして、雨水の排除によりまして浸水防除を図る、こういった、言ってみますと下水道でなければ果たせないいろんな役割も別途有しております。  また、特に昭和四十年代以前に着手した下水道に多く見られますところの合流式下水道、これを改善していくということも急務であります。  こうした様々な課題対応するために、大変厳しい予算状況の中、全力で取り組んでおりますが、ちなみに本年度予算は、十三年度、対前年度で比べますと一三%減ということになっておりまして、一方で、そうした中で公共団体からの要望の声は一段と強まっているという状況にございます。こうした状況の下、今後とも事業費を確保しながら推進を図っていきたいということで、御理解を賜りたいと思います。
  139. 福本潤一

    ○福本潤一君 これから水環境の問題、様々質問させていただこうと思いますが、来年、地球水フォーラムが関西で開かれますし、そういう意味では水の基本法、水質の面から環境省にも作っていただきたいという質問もさせていただきたかったわけでございますが、さらには水質保全のための水基本法のような法律を環境省の方から提案していただくような方向性考えられないかと。国土交通省も来ておられますので、水利系の問題、様々な問題ありますので簡単ではないと思いますけれども、そういう水行政全般の基本的な今後の取組考え方についてお話しいただければと思います。
  140. 石原一郎

    政府参考人石原一郎君) 環境省といたしましては、水質の保全という観点から、水質の汚濁、水質汚濁防止法に基づきます排水規制等を実施しております。また今後、水環境行政といたしましては、単に水質だけではなく、水質、水量あるいは水生生物等を総合的にとらえた取組を推進していくことが必要であろうかと思っております。  治水、利水、水をめぐります関係行政分野とも連携しつつ、全体として整合、総合性を確保していくことが重要であろうというふうに考えております。
  141. 鈴木藤一郎

    政府参考人鈴木藤一郎君) 私の方からもちょっと。  河川を取り巻きます治水、利水、環境上の様々な問題を解決するためには、川の中でだけで解決するのではなくて、流域的視点に立って解決することが必要だと認識しております。これまで総合治水対策というような形でもって流域対策を展開してまいりました。それから、あるいは水質保全という点でもやってまいりました。  これからは、そういった治水、利水、治水とか水質ばかりではなくて、環境面まで含めて流域的な展開が必要だと考えておりまして、そういったことで今後ともいろいろ取り組んでまいりたいと考えております。
  142. 加藤修一

    ○加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。  まず最初に、環境大臣にお聞きしたいわけですけれども、WSSDに私も参加してまいりました。最終段階で予防原則あるいは再生可能エネルギーに対して相当の議論があったようでありますし、さらには日本政府が提案いたしました持続的開発のための教育の十年、これも実施文書の中に採択されたということでございます。  そういった意味では、国際的な枠組みを作っていくことも今後必要であると思います。そういった意味では、環境教育促進条約、そういったものを日本から発信するということも一つ考え方ではないか。それに対応した形で、国内対策として環境教育・学習推進法、そういったものも考えていくことがこれからの時代にふさわしいであろうということで、やはり私は、環境教育環境に対しての意識改革を更に進めていく必要があるんではないかと思います。  そういった点を踏まえて考えていきますと、地球憲章ということについても啓発を更に進めていくことが必要でないかな、こう思います。  以上の件について、大臣の御見解を是非お伺いしたいと思います。
  143. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) ただいまの加藤先生から環境教育の重要性について御指摘がございました。具体的に環境教育・学習推進法というものも考えたらいいんではないかという、そういうお話であります。  もとより、これから一人一人のライフスタイルを変えていかなければならない、身近のところから環境対応国民一人一人が取り組んでいただかなければならないということでございますので、環境省としてもこの環境教育、大変重要なものと考えておりまして、これは幼児期から御高齢まであらゆる機会、いろいろな立場を利用してこうしたものを推進してまいりたいと思っております。  御指摘の地球憲章、これも環境教育の素材となり得る地球環境保全のための行動原則が示されたものと、こういうふうに存じているところであります。  今後とも、例えば文部科学省とも連携をしながら、あるいは民間団体とも連携しながら、そうした環境教育の推進に環境省としても努力してまいりたいと思っております。
  144. 加藤修一

    ○加藤修一君 環境教育というとエネルギーがちょっと抜け落ちているような感覚がどうもあるように思いますので、是非エネルギーを含めた上での環境教育ということについて積極的なアプローチを是非お願いしたいと思います。  それで次に、多少重なってしまいましたが、私も実は合併浄化槽、いわゆる健全な水循環ということで、やはりこれもWSSDでかなり議論になったところでございます。  汚水処理の施設については、下水道、農業集落排水施設、合併処理浄化槽と、こういった大きく言えば三つあるわけでありますけれども、公明党も実は山梨県の牧丘町まで現場の視察をしてまいりまして、現場第一主義、現場に知恵があると、そういう考え方をしているものですから、まず見てこなければいけないということで、実際にその合併浄化槽を見て非常に印象を深くしたわけでありますけれども、この最近の性能面やあるいは現在特に力を入れている事業内容、これについて御説明をお願いしたいと思います。
  145. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) 委員御指摘になりましたように、合併処理浄化槽は幾つかの長所を持っておりまして、まず、管渠が不要でございますので、人口密度の小さい地域では設置の費用が安くなりまして経済的な整備が可能であると。それから、設置工事の期間が一週間から十日という短いわけでございまして、投資効果が早く現れる。さらに、汚水の排出源で処理を行いますので、身近な川などの水量が維持でき生活環境保全に効果があると、こういった特徴を持っております。また、処理能力についても、現在はもう下水道と同等の処理能力を持っておりますし、富栄養化の原因となる窒素や燐を除去する浄化槽も実用化されているところでございます。  環境省では、平成六年から市町村が合併処理浄化槽の設置や維持管理を行う特定地域生活排水処理事業に対し補助を行っているところでございまして、この事業は市町村が維持管理を行いますので、処理機能が着実に発揮され住民の負担も小さいといった利点がございます。この市町村設置管理事業につきまして、これを推進することによって汚水処理施設の効率的な整備が図られるよう努めているところでございます。
  146. 加藤修一

    ○加藤修一君 合併浄化槽の推進と下水道の財政評価比較についてもお尋ねしようと思いましたが、先ほど国土交通省の方からただいまやっているという話でしたので、是非積極的に推進をしていただきたいと思います。  それで、中小のいわゆる市町村の汚水衛生処理の整備の遅れについてでありますけれども、やはり下水道だけだという考え方がどうも一方にあるように思いますので、こういう合併浄化槽というものについてもやっぱり積極的に導入していくことを考えていく必要があるんではないか。整備の遅れに対して合併浄化槽の果たす役割、そういった点を含めて是非弘友大臣にお願いしたいと思いますけれども。
  147. 弘友和夫

    ○副大臣弘友和夫君) 先ほど来、福本議員からも御質問ございましたけれども、汚水処理、要するに公共下水道とそれから農業集落排水事業、そして合併処理浄化槽、それぞれ国土交通、農水、そして環境省と、こう分かれているんです。下水道は、先ほどお話がありましたように、予算が一兆円ぐらい、公共事業費の大体一二%ぐらいを占めて、総事業費三、四兆円を大体今までずっと使ってきたと。農村集落が一千百億ぐらい、そしてまた合併浄化槽が百数十億ということで。  ただ、やはりそれぞれの利点はあるわけですけれども、今、中小の、例えば人口五万人以下等の町村、これはいまだにまだ計画の見直しがなされずに下水道でやろうと。数百メートル管を引くだけで七千万、八千万掛けて三軒か四軒しかないようなところを引いている実態というのはまだあるわけなんですよ。  ですから、本当にやはり経済的評価というのはきちっとやって、環境省もまだ宣伝の足りない部分があるんじゃないかと思いますけれども、やはりこの合併浄化槽、処理能力ももう五ppm以下でできる機種がたくさんございますし、設置コストも断然安いと、九十万ぐらいでできるわけです。そしてまた、何よりも短時間でできる、一週間でできる。下水道をずっと引いていくのに五十年掛かってやっても、これはその間は垂れ流しになるわけですから、生活排水が。ですから、そういうすぐできるというメリット、地形の影響も受けないと。また何よりも、今、ある私の地元では下水道でやって、ずっとそれをいったん下まで持ってきて、また川の水量が足りないのでまた元に戻しているようなところもある。大変なこれは無駄なというか、ことをやっている状態でございますので。  本当に私は、それぞれのメリットはありますけれども、点在するようなそういう町村においては、やっぱりこの合併浄化槽、本当に普及をしていかなければならないんじゃないのかと。一刻も、やっぱり時間という感じが、考え方がやはり大事ですから、何十年間もそのままじゃなくて、早急にこれは処理をしていくという概念が大事じゃないかなというふうに考えております。
  148. 加藤修一

    ○加藤修一君 アジェンダ21でも統合的な水管理という話がされているわけでありまして、これは政府もかなり積極的に検討の段階に入っていると思いますけれども、今の大臣の答弁も含めて、本当に水汚染が進まない、浄化が進むという、そういう施設を、人で言えば適材適所なんでしょうけれども、そういう方式をきちっととらまえてやっていただきたいと、そう思います。  それで、実は大臣発言を読ませていただいて、「持続可能な」という言葉がそう多くはないページの中に実は六か所ございました。やはり、持続可能な社会、持続可能な地球をどうやって作っていくか、地球の再生ということも考えていくならば、どういう開発の在り方が大事だかということについてはやはりもっと積極的に考え方を詰めていかなければいけないと、そう思います。  大臣発言の中にも、国内取組と同時に国際協力という、そういう視点もございました。今日は、JBIC、国際協力銀行に来ていただいております。お手元に配付資料が回っていると思いますし、それから、国際協力銀行が総力を尽くして作ったというふうに言って私はいいと思いますけれども、環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドラインということで、これ極めて評価できる国際的にも評価の高いガイドラインになっていると私は認識しております。さきのWSSDの会合で、サイドイベントの関係でございますが、グローブ・インターナショナルでもこのセッションを持ちまして、各国から来ている方々が非常に高く評価をしていただきました。  ただし、私は画竜点睛にはなってはいけないなと思っていますけれども、これについて、例えば異議申立て制度というのが当然あるわけでありますけれども、この異議申立て制度をどういうふうに作るかによってはこのガイドラインの中身が担保されるされないという話にもなりかねないなと、そういうふうに思っております。  私は、まず第一点目は、契約をする前の段階でこの異議申立てを受け入れるような、そういう制度が望ましいと、こういうふうに思っているわけなんですけれども、JBICは、それについては契約後にやるべきでなかろうかと、そういうスタンスを取っているわけですけれども、なぜこれ契約前で異議申立てを受けたら駄目なのかということが私の非常に質問を強く言いたいところなわけでありまして、これは財務省も外務省もやはり契約前にやることが望ましいという方向を打ち出しておりますし、私もやはり様々な難点があるならば契約の前にその難点を解消させておくことが大切であると。  ですから、異議があるならば契約の前に異議を出してもらって、その異議を解消させるということが極めて私は合理的な判断だと思いますけれども、この辺について、JBICの担当の方、よろしくお願いします。
  149. 志賀櫻

    参考人志賀櫻君) 紛争解決の制度の設計といたしまして一つのモデルとして考えておりますのは、行政事件訴訟法と行政不服審査法の関係でございます。行政事件訴訟法は第三者機関たる裁判、司法権による解決ということでありまして、行政不服審査法はインハウス、自分たちの機関の中での異議申立て、不服申立て、これに対する審査をするわけでありますところ、不服審査制度そのものはやはり行政処分という形で意思決定がなされたことに対して行われる仕組みという制度設計になっておるわけでございます。  我々もこれにならったインハウスの紛争解決の手段としての異議申立て制度を設計しておるわけでございますけれども、契約の調印という形で意思決定がなされた段階でその仕組みが働き出すということが制度の設計として通念なのかなという理解でございます。  ただ、御指摘の、その前からでも意見が通るようにしたらいかがかという御指摘につきましては、なるほどということ等がございまして、パブリックコンサルテーションでもそういう皆様方の御意見ございました。  それで、現在の段階では少し、調印前に異議申立て受付担当部門に意見が示された場合、この場合には担当部門は当該意見を投融資部門に移送する、それからさらに総裁にも報告できるということにしていこうという形で、総裁が意思決定をする際に当該意見に対する投融資部門の対応が適切か否かを確認できる仕組みというものを導入しようかと思って、また案を進めているところでございます。
  150. 加藤修一

    ○加藤修一君 シンプルに言ってしまいますと、要は契約前に異議申立てを受け入れると、そういう制度として理解して差し支えないということでよろしいですか。
  151. 志賀櫻

    参考人志賀櫻君) 異議申立てという不服審査、行政不服審査に類似するがっちりした制度、仕組みには乗せないにしても、受け取った側からはその異議申立てがあったことが投融資部門及び総裁に伝達されるという仕組みにするということでございます。
  152. 加藤修一

    ○加藤修一君 明確にちょっと分からないんですけれども、要するに、ガイドラインは法的な拘束力を伴わないわけですね。ですから、ガイドラインというふうに表現していると思うんですよ。  やはり異議がある場合について、これは非常に開発の行為をやっていく場合に環境汚染環境保全が損なわれると、またおそれがあるという場合については、やはり事前にそういう異議がある場合については契約前であっても公的な国際の金融機関がやっているのはごく当然というふうに私は理解しておりまして、実際そういう事実があるわけでありますから、私は、国際協力銀行という極めて年間何兆円にも相当する融資等の業務をやっているわけでありますから、ましてやODA業務もやっているわけで、国民の税金がそういうところに使われているわけでありますから、やはり異議があるならばそれは契約前においてもやはり異議を認めるような、それを導入できるような制度をきちっと作るべきだと思います。がっちりという言い方がございましたけれども、私は、そういった意味ではがっちりとしたものを是非制度として作っていくべきでないかなと、積極的にそういった面については検討をしていただきたいと思いますが。
  153. 志賀櫻

    参考人志賀櫻君) この点につきましては、今後もパブリックコンサルテーションで議論していく予定でございますので、引き続き議論を踏まえて検討していくこととさせていただきたいと思っております。
  154. 加藤修一

    ○加藤修一君 我々にとって積極的な意味ということで理解していきたいと思います。制度としてきちっと含まれると、そういうふうになっていくことを切に希望しておきたいと思います。  それから、この関連で、申立書の関係でありますけれども、いわゆる情報公開の対象となる文書の手続の関係でありますけれども、これは配付資料の②の方になります。  それで、ODA業務とやはり国際金融等の業務、企業がかかわってくるものについては、やはりその企業の秘密の問題、商業上のすぐには出せないような情報の関係もございますから、申立てが訴権の乱用的なことでない限りはそういうことも認めておいて、予備の審査の段階で乱用防止の審査があるわけでありますから、乱用でないという段階になったときには全面的な情報公開ということにすべきであると思いますので、もう時間がございませんので、簡単に御答弁をお願いします。
  155. 志賀櫻

    参考人志賀櫻君) 三点、手短にお答え申させていただきますが、まず、制度設計の問題、先ほど詳細に御説明申し上げたところでありますが、範としております不服審査というシステムにおいても、結果がきちんとするまでは単純には公開しないという形になっておることが一つでございます。それから第二点といたしましては、現在の情報公開制度のシステムの設計そのものに照らしましても、そのラインに沿った形に制度設計をしている所存でございます。あと、第三、申し上げますが、第三点は、借入人の競争上の地位とかその他の正当な利益、それから借入人との信頼関係の阻害という問題がある可能性があるということで、今のような制度設計をさせていただいております。  三点、御説明申し上げました。
  156. 加藤修一

    ○加藤修一君 終わります。
  157. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 私は、午前中も議論がありました東京大気汚染公害訴訟の判決にかかわって伺いたいと思います。  判決では、自動車排ガスと気管支ぜんそくの健康被害との因果関係を認めています。そして、国、東京都、首都高に対して被害者への賠償を命じました。道路公害裁判は、御承知のように、大阪地裁の判決以来、川崎、尼崎、名古屋南部訴訟に続いて五回連続して国が敗訴をしています。今日まで深刻な被害を長い間放置してきた国の責任、私は非常に重大だと思います。  そこで、大臣に伺いたいのですが、判決をきちんと受け止めて国の責任を認めるべきだと思いますが、その点、いかがでしょうか。
  158. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 十月二十九日の東京地裁の判決につきましては、私としてもこれを重く受け止めているところでございます。そういう中で、裁判という法的な手段で今争っているわけでございまして、今、大臣として、その判決を受け、国の責任を認めろと、こういうことでございますが、今、正にその判決を受けてどのような対応をするかということを関係省庁として今協議をしているところでございますので、是非そういう、今、法的な手続のまだ過程であるということをひとつ御理解を賜りたいと思います。  ただ、一方において、東京二十三区を始めとする大都市圏内において大気汚染状況というものがいまだ深刻なものがあるということは、これは大変重大なことでありまして、今までその時折時折、環境省としても最善の努力をしてきたつもりでございますが、今後とも大気汚染防止のために一層努力をしなければと、そういう思いを今強くいたしておるところでございます。
  159. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 環境省として一生懸命取り組んできたというお話ですが、私はそこのところは全く違うというふうに思っているんですね。結局、だから患者さんが増えているし、被害者の方々が苦しめられてきているんですね。本来だったら、私は本当に、環境省として被害者にごめんなさいと謝るべきだと思っているんです。五回も国の責任が断罪されたのですから。ところが、環境管理局長の談話では、国の排ガス規制責任と差止め請求は認められなかったと、全く国の責任を感じていない、そういう内容だったわけですね。だから、原告と被害者の皆さんは怒っておられる。私、当然だと思うんですね。  東京の大気汚染ですけれども、ますますひどくなっています。二〇〇一年度の東京の自動車排ガス局の環境基準達成率、これはNO2で三二%、前年度の達成率四三%よりも一一%下がっています。特にSPMはひどいんですね。環境基準を達成した自排局は、二〇〇〇年度は二九%、二〇〇一年度はゼロになってしまいました。国は、東京の裁判で、東京の大気環境の改善が進んでいると主張しているんですね。私、ちょっと驚いたんですけれども、これは全く事実に反するわけです。東京の大気汚染について環境省は一体どういう認識を持っておられるんでしょうか。
  160. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 窒素酸化物とそれから粒子状物質の全国的な大気汚染状況でございますが、実は二酸化窒素については、全国的には十一年度以降、比較的環境基準の達成率が高い状況が続いていると思っています。それから、粒子状物質については、十一年度に比較的高い年が、十一年、十二年、比較的良い年がございましたが、十三年度は全体に低下しています。  東京ということに限りますれば、今、十三年度は確かに先生御指摘のような数字でございまして、二酸化窒素につきましてまだやはり、特に自動車排ガス測定局におきましての達成率は低うございますし、粒子状物質も同じく低い状態でございます。  しかしながら、これをより長期に眺めるというような作業もいたしておりまして、窒素酸化物につきましては、平成元年ごろは、例えば東京都で平均しますと七〇ppbを超えていたのが、全体には六〇pp、平均値で六〇pp台の高いところに来ている。あるいは、粒子状物質につきましても、平成元年ごろは〇・一九というようなぐらいの高い平均でございましたのが、平成十一年度以降は〇・一ミリグラムというようなことにございますので、長期的には低下の兆しもあると思っています。  ただしながら、これはそれぞれのところを見ていく必要がございまして、幾つかの局、特定の局を眺めてみましたら、例えば大和町でございますとかにつきましてはやはりNO2について最近少し悪い数字が出てくるとか、あるいは松原橋ではSPMについて最近悪化の数字が出てくるということもございます。やはりそれぞれの地点につきまして、よくよくこれからも注意をして眺めていかなきゃいけない。全体として達成状況は低い状況であるというふうには認識しております。
  161. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 今の話でも、例えば全国的にはいいとか、あるいは九九年当時の数値は良かったとかいろいろ言うんですね。私は全国の話をしているわけじゃない、東京の話をしている。そして、九九年にいいデータが出たときに、私は説明を受けたのは、風が吹いた日に測定したからで大気環境が改善したわけではない、そういう説明を受けているんですよね。ですから実際二〇〇一年度になれば悪くなっちゃう。だから東京都知事も、大気汚染の根本的な原因は国の自動車排出ガス規制の怠慢にある、判決が国の自動車排ガス規制責任を認めなかったことは承服できないと言っているわけですね。  判決は、大気汚染患者、大気汚染の被害者と道路との因果関係について、継続的に発生する多量の自動車排ガスにより生命に危険を及ぼす可能性のある気管支ぜんそくを発症させたものであると認めているわけですね。そして、侵害の程度は極めて深刻で継続的であると強調した上で、違法な権利侵害行為と認めて、国は加害者だと言っているわけですね。  だから、今、局地的なところは悪いと承知しているけれども、全体として良くなっているんだからいいんだという話をされますけれども、裁判の中でいろいろやり取りをしていて、患者の実態をよく調べて、そしてそうではない、因果関係についてもあるんだということを言っている、そういうことと今の答弁というのは本当に私、懸け離れている、認識がもうずれている、そう思うんですね。  さらに、ディーゼル車から出る微粒子のDEPについて、肺がんを引き起こす可能性があるという環境省のディーゼル排気微粒子リスク評価検討会の報告が今年出ているんですね。ですから、そういう点でいうと、今、西尾局長の答弁を伺っていて、こんなことで本当に環境省国民の健康を預かることができるのか、本当に不安に思います。  食べ物であれば厚生労働省が管轄をするということになっていますね。大気とか水というのは、今環境省なんですね。みんな、もう患者の皆さんはおいしい空気を吸いたい、食べ物と同じなんですよ。そういうおいしい空気をちゃんと保障しなければならない、その仕事をしょっているのがこの環境省なんですね。私はそこのところを本当にしっかりと踏まえて仕事をしてほしい、そう思うんですけれども、管理局長、いかがですか。
  162. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 大気環境を改善するということについてもっと必死の思いでやれという御指摘でございます。それはそのとおりと受け止めたいと思っております。  先生御指摘のリスク評価の検討会、これは非発がん影響につきましてはなかなかはっきりした答えを出せておりませんが、発がん影響につきましてはDEP、ディーゼル排気微粒子が関与していることを強く示唆をしている。ですから、今回の裁判で争っている症状の件とはちょっとは違いますけれども、ただ、これらの大気汚染を改善していかなきゃいけないということにつきましてはそのとおりでございますので、また思いを新たにいたしまして大気汚染の改善に取り組んでいきたいと思っております。
  163. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 実は、国は二十四年前に、一九七八年に環境基準を緩和をしたんですね。これはもう有名な話です。〇・〇二から〇・〇四を〇・〇四から〇・〇六ppmに緩和をしました。そのとき、緩和するから、だから環境基準は達成しますよ、そういう約束をしたんです。ところが、それは守られていないんです。その上に、昨年のNOx・PM法の改正では更に達成目標を十年後に先送りをしてしまったんです。私は本当にひどいと思っています。  日本のディーゼル車のPM規制ですが、先ほどまでいろいろ、最も日本は厳しい規制だという話があるんですけれども、よく調べてみると、九七年度まではキロワット時当たり〇・七グラム。EUの四・七倍、アメリカの五・四倍も緩かったんですね。現在の規制アメリカの二倍、EUの二・五倍。じゃ、二〇〇五年から厳しくなるよというんですけれども、そういうところで見てみても、EUやアメリカはその段階になればもっと厳しい規制になるんですね。これは新車だけなんです。  NOx・PM法による使用車の車の規制、これは車種に応じて八年から十二年先送りしてもいい、八年、十二年も適用を猶予していいですよということで緩めてしまっている。だから、これじゃ汚染車は走り続けるわけですね。緊急課題である大気汚染は改善されない、これも当たり前なんですよね。だから、東京都を始め千葉、埼玉、神奈川の一都三県で来年十月から一斉にSPMの基準を満たさないディーゼルトラックの走行規制に踏み切ったわけです。  私は、国は大気汚染の被害患者、これ以上苦しめない、そのために直ちに環境基準の達成目標の期限を前倒しをして、とにかく達成をするための対策を根本的に取るべきだというふうに思うんですけれども、大臣、その点いかがでしょうか。
  164. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) アメリカ、ヨーロッパとの比較のお話もございましたが、我が国といたしましては、まず自動車NOx・PM法に基づいて着実な対策を進めていくということが基本であろうと認識しております。  先生御承知の上かとも思いますけれども、大都市において、二酸化窒素については大気環境基準を平成二十二度までにおおむね達成するということを目標としておりますし、浮遊粒子状物質につきましても、二十二年度までに自動車排出粒子状物質の総量が相当程度削減されることによって大気環境基準はおおむね達成できると。その目標に向けて着実に進めていかなければならないと、そういうふうに思っております。  いろいろ達成基準が延びてきたではないかと、こういう御指摘もございましたけれども、今回は、中間年であります平成十七年度に点検をして、必要に応じて対応というものを強化をする、見直しをするということも考えているわけでありまして、以上のような考え方の中で、できる限り早期に目標を達成すべく最大限の努力をしてまいりたいと思っております。
  165. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 しっかりやっていただきたいと思います。  今回の判決は、先ほども話ありましたけれども、初めて公害健康被害補償法の未認定患者に対する損害賠償を認めました。国は、一九八八年に、もう大気汚染公害はなくなったといって公害指定地域を廃止をして、新たな公害患者の認定を打ち切りました。しかし、その国の主張は結局、今度の判決で見ると間違いだったということが確認されたということになります。私は被害者救済は急務だと思います。  そこで、公害健康被害補償法の見直しなり、あるいは新たな制度を作るなり、とにかく未認定患者を救済する、そのためのきちんとした制度、体制を取るべきだと思いますが、その点いかがですか。
  166. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 今の岩佐先生の御質問、午前中、福山先生からも同趣旨の御質問がございまして、お答えをしたところでございます。  繰り返しになりまして恐縮でございますが、今回の裁判で七名の方が認められた。この裁判の結果は非常に重いものとして受け止めておりますし、また、ぜんそくで苦しんでおられます方につきましては、大変にお気の毒であるというふうに思っております。しかし、国として制度を仕組むからにおきましては、お気の毒であるからお金を差し上げると、そういうことにはならないわけでありまして、やはり現状の大気汚染状況といいますものがぜんそくの疾病に与える科学的な根拠、因果関係、そういうものが明らかにならなければならないわけであります。  午前中の御質問、福山先生の御質問にもございました。一九八八年から調査研究が時間掛かっているじゃないかと、こういうことでございますが、最大限の努力をしながら、今なおそうした知見が得られないというのが現状でございます。  今後とも、そうした因果関係について科学的な知見が得られるように、今後更にその調査研究を一層急いで努力をさせていただきたいと思っております。
  167. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 国は、そのぜんそくと大気汚染との因果関係を証明する科学的データはないと言い続けているんですけれども、今度の判決では、御存じのように、自動車排ガスで発症する仕組みが医学的に十分解明されなくても、総合的に検討して自動車排ガスによって病気になったと是認できる高度の蓋然性があれば因果関係があると認めるのが相当だとして、判断基準を具体的に示しているわけですね。  先ほども議論がありました。昼間十二時間の自動車交通量が四万台以上で、大型車の混入率が相当高い道路から五十メーター以内に居住している、そこに住んでいる間かその直後に気管支ぜんそくが発症したり症状がひどくなったという、そういうことから七人について因果関係があると判断をしているわけですね。大阪地裁、神戸地裁、横浜地裁の判決も、幹線道路から五十メーターという同じ判断基準を示しています。  私は、その自動車道路から五十メーターの範囲内に限るというのは承服できないんですけれども、とにかく裁判所が認めた条件に該当する患者さん、これはもう自動車排ガスによる公害患者だと言わざるを得ないんですね。ですから、国は直ちにやるべきだというのは、これはもうだれもがそう思うんじゃないですか。  それで、先ほどの調査の件ですけれども、これは実は八六年の中央公害対策審議会の専門委員会報告では、一般環境大気汚染レベルによる健康被害の因果関係を否定しているんですけれども、それでも局地的汚染などの場合は除外をしているんですね。十六年も前から局地的汚染による健康被害の可能性が指摘されていたにもかかわらず、いまだに調査手法がないというのは全くおかしいんです。  大臣もさっき、先ほど率直に、なぜ今までこのような調査が行われなかったのかということで疑問に思われたと言われましたけれども、正にそうなんですよ、おかしいんですよ。結局、国は問題を先送りをする、因果関係が出ないようにいろいろ調査をあれこれいじくっていると言われても私は仕方がないというふうに思うんですね。  で、判決では、千葉大学の、都市部の幹線道路近くに住む児童は道路から遠い児童や田園部の児童よりぜんそくになる危険が数倍高いという調査結果を採用しています。ところが、国はそれを確認するような調査やっていないんですね、やろうともしないんです。また判決では、千葉大調査では、各調査地点でのSPMやDEP、NO2などの濃度測定をしていないということや、自排局のデータが少ないなどのために排ガス中のどの物質が原因かは特定できないとしているんですね。  であるならば、そういう本当に必要な調査だとか、あるいは自動車排ガス測定局の増設をするなど、やる気さえあれば私は、これまでに幾らでもやれたはずなんですね。国は被害者救済をまともにしようとしない、時間ばっかり稼いできた、だからこうなったのではありませんか。  大臣、役所の説明はそうかもしれない。役所の皆さんは、とにかく今どうしのげるかということでずっと環境省も苦労してきたと思います、庁の時代からですね。だけれども、それでは済まないんです。もうそれでは済まないときに来ているんですよ。だから、こういう役所の皆さんの説明もあるけれども、歴史的にやっぱりやるべきことをやらないで来た、そういう側面もきっちり見て、それで対応していただきたいと、そう思うんです。  政治家として本当に、大臣、大変な時期に、私は鈴木大臣の所信なり、あるいは今日、所信に対するお答えで、対症療法的な対応じゃなくて社会経済仕組みの中でなぜ出てきたかを考えていく必要があると、根本問題に目を向けていく必要があるんだと、この答弁は本当に私はそうだなと思いました。だからこそ期待したいんです。是非大臣、そういう全体を見て判断していただきたい。いかがでしょう。
  168. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 先ほど福山先生の御質問にも答えたところでありまして、私も率直に申し上げまして、どうしてこんなに調査に結論が出るまで時間が掛かっているのかということをまず最初に問い返したものであります。しかし、よく話を聞いてみますと、繰り返しになりますが、まず調査対象にしようとしておりました物質、言わばこれが健康に悪さをするんではないかと思った、そういう悪玉の物質が変わりましたり、それからそもそも世界でどこでもやっていない調査、どういうまず調査の設計をするのか、そして出てきたものをどういうふうに評価するのか、その評価をどう決めるか、あるいはそれをいろいろ人体に暴露するのを調査する、例えばいろいろ器械のようなものをどう開発するかと。そういうことで、これは本当に話を聞いて技術的ないろいろなクリアすべきものがたくさんあって、もう遺憾ながら今日まで来てしまったと、そういう思いを率直にいたしました。  したがって、何か時間稼ぎをしてきたとか、あるいは怠慢を決め込んでいたとか、そういうことではないということを是非御理解をいただきたいと思います。しかし、一方において、大変ぜんそくで苦しんでおられる方もおられるわけでありまして、いろいろ技術的なもので予算が足りないからとか、そういうので遅れているものじゃないものでありますから、いろいろ先クリアすべきものはあろうかと思いますが、一日も早くこうしたものの因果関係が分かる結論が出るよう、担当者を更に督励をして急いでまいりたいと思っております。
  169. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 判決では、自動車からの排ガスが大気汚染の一端を担って、そして健康被害に何らかの影響を与えている蓋然性があるんだと。だから、因果関係を認めているわけですね。そして、それを受けて今言ったような文書を患者の皆さんと自動車会社、トヨタ自動車とかあるいは日野自動車がこういう確認書を交わしているわけですよ。もう認めているわけですよ、自動車会社は。現に苦しんでいる人がいるし、自分たちの排ガスによるものだということで認めている。  環境省調査は、二〇〇四年までにぜんそくと大気汚染との因果関係の調査方法を確立をして二〇〇五年から調査をするというものなんですね。調査の着手までに三年掛かる、いつ結論が出るか分からない、それまでに未認定の公害患者は医者にも掛かれない、苦しみながら亡くなっていく。私、そういうこと放置するのは許されないと思うんですね。  先ほどもありました、東京都内の公害認定患者は二万二千四百四十六人です。そのほかに都条例による十八歳未満の公害認定患者はその倍以上の五万一千五十八人です。合わせて七万三千五百四人おられます。都条例の認定患者は、公健法の新たな認定患者が打ち切られた八八年から二・七倍に急増しているんですね。  今回、その損害賠償が認められた未認定患者さんですが、この方は都条例の認定を受けていますが、条例措置は十八歳で打ち切られてしまうんですね。十八歳以上のたくさんの未認定患者が命の危険にさらされる。公害ぜんそくで苦しめられる。私は、未認定の患者さんの救済というのは急務だと思うんです。  それと同時に、今、未認定患者の皆さんがどんなにか大変な思いをしておられるか。これは十月の三十日に東京地裁の判決を受けて原告弁護団と環境省との交渉が行われました。私も同席をして本当に涙が止まりませんでした。未認定の患者さんは激しいぜんそくに襲われて命の危険にさらされている上に、仕事は続けられなくなって収入の道を閉ざされてしまう。で、生活保護を受けようと思っても貯金があれば駄目ですね。自分が元気なうちにいろんな人生楽しみたいと思って貯金してきたものを、全部それを公害のために、医療費だとか生活費だとか、それで使わなければならない。自分には何の罪もないんだ、そういう状態の中でお金がどんどん減っていく。それで、しかも家庭も崩壊してしまう。独り暮らしですから、激しい発作に見舞われたときにはどうしようもなくなる。私は、本当にこういう方々を放置することは許されないと思うんですね。  八八年以降に発症したからということでこういう方々が今放置されていることについて、真剣に、深刻に大臣として受け止めていくべきだと思います。大臣、どうでしょうかね、一回患者の皆さんの生の声を聞いていただく、そういう機会を持っていただいたらいかがでしょうか。ちょうど判決のときには大臣はおられませんでした。ですから、やっぱり皆さんから生の声を、役所の皆さんの意見もあるでしょうけれども、やっぱり被害者の皆さん、公害患者の皆さんの生の声を伺う、そういう機会を是非作っていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  170. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 岩佐先生から、裁判におきましては、判決におきましては今の大気汚染と健康被害との間の蓋然性があるというお話がございました。また、それにメーカーのいろいろな覚書の話もあったわけでありまして、国の何らかの救済措置はどうかというお話であったと思います。  国といたしましては、先ほど来申し上げていますとおり、今のところ残念ながらそうしたぜんそくの疾病と今の大気汚染が原因であるという、そういう科学的な裏付けが取れないということであります。裁判の対応はこれから決めるわけでありますけれども、そこは裁判の判決、国の立場と異なっている点であると、そういうふうに思っております。  いずれ、ぜんそくで大変苦しんでおられる皆様方、今なかなか収入の道もいろいろ制限がされている、お仕事の就職についても制限がされているというようないろいろなお話をお伺いして、本当にお気の毒だという思いは、もうそれで一杯でございますが、早く結論が出るような調査の推進というものをとにかく急いでやらせるということが今一番大切なことであると、そのように思っております。
  171. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 もうちょっと、鈴木大臣、きちっとした前向きの対応の答弁があるのかなと思ったんですけれども。  一九八八年に公健法の改正がされてから十四年間たっているわけですね。いまだに調査手法がない、そして知見がない。そのこと自身もう許されないことなんですよ。本当に環境省責任が問われることなんですよね。今、もうどんどんどんどん患者が増えている、悪化している、それをこのまま、いや知見がありません、とにかく調査が出てから判断します。これは一体何なんですか。その改革というのは何なんでしょうか。私は、本当に情けない思いですね。裁判で五回もこういう判決が出ているわけですから、大臣、しっかりやっていただきたい。  それから、患者さんの直接意見を聞くという点についてはどうですか。
  172. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 必要に応じて検討をさせていただきたいと思います。
  173. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 終わります。
  174. 高橋紀世子

    高橋紀世子君 高橋紀世子でございます。  私は、いつも考えていることを最初に申し上げます。公害に、環境に優しいことをしたケースで、やはりそれが何とか恩恵を得られる。例えば、主婦の方たち廃棄物を一生懸命仕分するって、それが悪いとは思わないんですけれども、私は、何か環境に優しいことをしたらどういう形でもいいから恩恵が得られるようなシステムを構築しなければならないと思うんですね。ペナルティーのシステム、環境に悪いことをしたら罰が来るというのでは、どうしても逃げ道を考えてしまうので、何らかの形で恩恵が来られて、競争で環境にいいことをするというようにしていかなければいけないように私はいつも思っております。  では、質問を始めます。  京都議定書で許されるCO2の吸収量の算定方法が少しおかしいと思いますのは、十余年前の炭酸ガスをゼロとして計算しているんですね。森林の増加分のみを算定するという方法にやはり本当に変えないと、どうしても値が甘くなるのでいけないと思うんですけれども、どうでございましょうか。
  175. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) ただいまは、いわゆる京都議定書のCO2の固定化のこの計算の仕方にかかわるお話であると、そういうふうに思います。  この取扱いにつきましては、COP7のマラケシュ合意のときに、各国の協議の中でこれが決められたと。言わば、何と申しますか、今年もCOP8で様々な技術的なこと、積み残しのところが各国の協議の中で決められたわけでありますけれども、この点につきましてはもう既にCOP7の段階で決められて一つのルールが国際的に成立をしていると、こういうことをひとつ御理解をいただきたいと思います。  その上で、この中身についてでございますが、いろいろな見方があるかと思います。高橋先生から今御指摘のような見方があるわけでありますが、しかし、一方、見てみますと、随分前からいろいろ森林整備等施策を、この努力をしてきた国とほったらかしにしていた国とがあるわけでありまして、このマラケシュ合意での決め方というのは、言わば歴史的にいろいろ森林整備の努力をしてきた国に対する配慮というものがなされているものと理解をしておりまして、これはこれで合理性があるのではないかと、私はそのように判断しているところであります。
  176. 高橋紀世子

    高橋紀世子君 大臣はそうおっしゃいますけれども、どう考えても、それを、計算方法があいまいになっているというのは私は疑問を感じます。  それから、原子力発電についてのことなんですけれども、地球の環境保全という側面から考えて原発には多くの問題があると思うんですね。チェルノブイリでもあんなに大きな死傷起きました。原発依存型のエネルギー政策をやはりどう考えても転換しなければいけないと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  177. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 地球温暖化防止のためにいろいろな手だてを講じていかなければならないと、そういうふうに思っております。その中で、いろいろな御見解はあるわけでありますが、環境省といたしましては、安全性というものを大前提として原子力発電というものが二酸化炭素をその発電過程で排出をしないという点、地球温暖化対策として重要な電源であると、そういうふうに評価をしているわけであります。  三月に取りまとめました地球温暖化対策推進大綱におきましても、安全性確保を大前提として原子力を引き続き着実に推進していくといたしたところでございます。  いろいろ昨今の、何と申しますか、いろいろな点検整備の際の不正報告というようなこともあって、大変国民皆様方にも原子力行政あるいは原子力発電そのものに対する不信感があるということは誠に残念でございますけれども、今いろいろ保安院でも今回の事案について真相を明らかにしているところでありまして、こういうことを通じて国民皆様方信頼感を、払拭をして、そしてやはり、地球温暖化防止という観点から考えまして、安全性を大前提とした原子力発電の推進ということはこの大綱の方針に沿って進めてまいりたいと思っております。
  178. 高橋紀世子

    高橋紀世子君 それは分かるんですけれども、やっぱり廃棄物の問題、原子力の場合はいろんな問題があると思いますので、御検討いただきたいと思います。  CO2の排出削減を可能にするような新しいテクノロジー開発への投資、それが大変だと思うんですね。削減のポイントとして加算される仕組みを京都メカニズムの中に導入すべきだというふうに考えるんです。つまり、もし、CO2排出削減を可能にする新しいテクノロジーを開発した場合に、京都メカニズムの中に、それが削減したというふうなポイントとして考えられるようなシステムはどうかと思うんですけれども、いかがでございましょうか。
  179. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 先ほどのCO2の固定化の森林についての御質問とやや趣旨を同じくすると思いますが、先ほどもCO2のシンクのところでお話をさせていただきましたように、いろいろ、こうした京都メカニズムのいろいろな技術的な取決めということにつきましては、既にCOPの場で各国の議論が行われて、一つの形というものができ上がっているということであります。  そういう中で、先生がおっしゃるように、排出削減を可能とする新しいテクノロジーを開発していくということは、これは大変重要なことでありまして、こうしたものに対する投資というものが促進をされるべきであると、そういうふうに思います。  しかし、京都メカニズムの中では、残念ながらそうした技術開発へ投資された段階ではカウントされない。その投資をされてでき上がった技術が実際に例えば途上国で使われれば、その分がそのCDMのカウントとなると、こういうふうになっているわけであります。  したがって、今、一度決めたそうした国際取決めを変えていくということは、これは実際のところ、これはなかなかそう簡単なことではないというふうに思いますが、ただ、先生のおっしゃっている本質は、こうした新しいテクノロジーの開発への投資というものをどんどん進めて、新しいそういうものを作り出すべきだと、そういう御趣旨であると思います。  今後、実際にCDMというものが始まって、これが、日本などは特に途上国においてそういうことをやっていかないと六%は達成できないわけでありますから、必ず新しい技術はそこに使われてくる。CDMが進めばそうした新しい技術に対する引き合いというものが出るわけでありますから、今の京都議定書の枠組みでも、CDMが進めば必ず新しい技術というものが求められ、そこに対する投資のインセンティブというものは働くものと、そういうふうに考えております。
  180. 高橋紀世子

    高橋紀世子君 新しい開発は必要だと思うんですけれども、やはりそれを成したら恩恵を得られるというようなシステム化が私は大切だと思うんですね。環境というのはいろんな意味で基本的に経済と相反する面もありますけれども、やはりそのことをすることによって何らかの形で恩恵が得られるというようなシステムが、どうしても作らなければいけないと思います。  それから最後に、私はいつも思うんですけれども、戦争ということほど環境に悪いことはないと思っておりますけれども、戦争行為とCO2の排出量など環境破壊との関係性、現在進行中の戦争行為によってどれほどの環境が廃止されているか調査していただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。また、日本アメリカの所有する一つ一つの兵器が使用された場合に想定される環境破壊の規模についても調査していただきたいと思います。  本当に戦争というのは、地雷のことについても何のことでもそうですけれども、人を殺すというそういう悪い面もありますけれども、環境破壊という意味でもこれ以上のことはないと思うんですけれども、御意見を伺いたいと思います。
  181. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 環境省といたしましても、戦争という行為が、これが環境に対する破壊要因であるという認識を持っております。  一九九二年に環境開発に関するリオ宣言というのが出されたわけでありますが、その第二十四原則に、戦争は、元来、持続可能な開発を破壊する性格を有する。そのため、各国は、武力紛争時における環境保護に関する国際法を尊重し、必要に応じ、その一層の発展のために協力しなければならないという宣言文がございますが、これは日本の提言によって盛り込まれたものであります。  戦争という行為そのものが大変に環境に悪影響を与えると。元来、一義的には人道的理由からも戦争というものは否定されるべきであると思いますが、環境面からもそういうものがあるということを強く認識をいたしております。  ただ、先生からただいま、戦争によって環境がいかほど破壊されているか調査できないか、あるいは日本アメリカが所有する一つ一つの兵器が使用された場合に、その反響、環境破壊の規模というものの調査をしたらどうかというお話がございましたが、なかなかこれは調査の手法が難しい。率直に言って、戦争をしているところに行って調査するということも難しい。様々、調査をするという具体的な問題については、率直に言ってその難しさを感ずるわけでございますが、しかし戦争は環境に対する破壊要因一つであるという思いは持ちながら環境行政を進めてまいりたいと思います。
  182. 高橋紀世子

    高橋紀世子君 これで終わりでございます。
  183. 小宮山洋子

    委員長小宮山洋子君) 本日の調査はここまでとし、これで散会いたします。    午後二時四十四分散会