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2002-11-12 第155回国会 参議院 外交防衛委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年十一月十二日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十一月十一日     辞任         補欠選任      海野  徹君     福山 哲郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         松村 龍二君     理 事                 山下 善彦君                 山本 一太君                 広中和歌子君                 高野 博師君                 小泉 親司君     委 員                 河本 英典君                 佐藤 昭郎君                 桜井  新君                 月原 茂皓君                 日出 英輔君                 舛添 要一君                 矢野 哲朗君                 佐藤 道夫君                 齋藤  勁君                 榛葉賀津也君                 福山 哲郎君                 遠山 清彦君                 吉岡 吉典君                 田村 秀昭君                 大田 昌秀君    国務大臣        外務大臣     川口 順子君        国務大臣        (防衛庁長官)  石破  茂君    副大臣        防衛庁長官   赤城 徳彦君        外務大臣    矢野 哲朗君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        佐藤 昭郎君        外務大臣政務官  日出 英輔君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 信明君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       村田 保史君        防衛庁防衛参事        官        野津 研二君        防衛庁防衛局長  守屋 武昌君        防衛施設庁施設        部長       大古 和雄君        外務大臣官房長  北島 信一君        外務省総合外交        政策局長     西田 恒夫君        外務省総合外交        政策局軍備管理        ・科学審議官   天野 之弥君        外務省アジア大        洋州局長     田中  均君        外務省北米局長  海老原 紳君        外務省中東アフ        リカ局長     安藤 裕康君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○外交防衛等に関する調査  (外務省改革に関する件)  (ODAに関する件)  (イラク情勢に関する件)  (朝鮮半島エネルギー開発機構KEDO)に  関する件)  (テロ対策特措法に基づく協力支援活動等に関  する件)  (防衛庁不祥事に関する件)  (日本人拉致問題に関する件)  (日・EU関係に関する件)  (在日米軍基地問題に関する件) ○防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 松村龍二

    委員長松村龍二君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨十一日、海野徹君が委員を辞任され、その補欠として福山哲郎君が選任されました。     ─────────────
  3. 松村龍二

  4. 松村龍二

    委員長松村龍二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 松村龍二

    委員長松村龍二君) 外交防衛等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 河本英典

    河本英典君 自由民主党の河本でございます。  今日は、ちょっと時間をいただきまして、私が少し質問なり意見を申し上げさせていただいて、またお話を聞かせていただきたいというふうに思うわけでございます。  外務省、この二、三年間というのは大変いろんなことがあったなというのが感想でございまして、今は大変、拉致問題が言われておりますけれども、私の記憶に残っておるところからいいますと、北朝鮮のミサイルが日本列島を飛び越えていったとか、それからえひめ丸の問題があったとか、それから省内不祥事が続きまして、とにかくだれも外務省に味方しないような状態で、よくぼろかすに言われたなという印象を持っておるわけでありますけれども、本当にこれからそういったことをばねにしてしっかりやっていただきたいということでございます。  今日お聞きしたいこと、簡単に外務省改革とそれからODAについてということでお話を少し聞かせていただきたいと思います。  我々の仲間であります矢野先生が副大臣に入られたということで、今日は矢野大臣中心お話しさせていただきたいと思います。外務大臣防衛庁長官、少し休憩していただいて、後ほどの質問に準備していただいたら結構ですので、最後に感想だけ伺いますけれども、そんなことで、余り時間がございませんけれども、簡単に少し聞きたいというふうに思います。  まず、今、川口大臣、しっかりやっていただいたわけでありますけれども、その前の大臣が非常に極端なことでありまして、有名な言葉で伏魔殿というような言葉、大体私知らんかったんですけれども、言われたんですけれども、そういう役所なのかなということで、今回外務省に行かれて、矢野大臣外務省に行った印象というのはどうなのかなということをまず最初に。  これはどういうことかというと、障りがあったらいけませんけれども、とんでもない役所であるとか、効率が悪い役所であるとか、海外に出先がたくさんあるから意思伝達の悪い役所であるとか、いろんな感想があると思うんですけれども、障りのない程度で結構ですから、印象を少し聞かせていただきたいなというふうに思うわけであります。
  7. 矢野哲朗

    ○副大臣矢野哲朗君) まだ一か月余の在籍でありますから、十分全体像を把握したとまでは行っていないと思います。しかしながら、外から見ているときと中に入ってということで一番私も感じたことは、昨年来の不祥事等々でもって組織的な一つ在り方が非常に問題があるなというふうな思いはいたしております。と同時に、大変気位の高い方々の集まりだというふうに私も外から見ていましたから、中に入ってみて逆にそのプライドが今ああいった一連の出来事ですっかりなくなってしまったような感じがいたします。  ですから、一つにまとまってさあやっていこうという組織在り方、なおかつ個人個人のそういうような思い、私は、どこまでできるか分かりませんけれども、川口大臣共々、ひとつそれぞれに自信と誇りを取り戻してもらいたいなと。そして、正に島国日本でありますから、外交まず第一義というふうな思いをそれぞれが持って、そしてその使命を果たしてもらいたいなというふうな今感じがいたしております。  是非とも、そういうふうな意味において、各先生方の御支援をお願いしたいと思います。
  8. 河本英典

    河本英典君 外務省改革をしなきゃいけないということで、変える会、それから変えようという内部の会であるとか、それから与党自民党といたしまして自民党改革案を作らせていただいた。それぞれいろんなことが盛り込まれておるわけであります。細かいことはいいんでありますけれども、特に組織を変えなきゃいかぬとかいろんな話があるわけでありまして、既に行動計画を作っていただいて実行していただいておるわけでありますけれども、その進捗状況を伺いたいということと、それから、本当に変われるのかなというところをしっかりやらないといけないというふうに思うわけであります。  後ほどお話聞かせていただくODAに絡んででもありますけれども、ODAというのは、これは施策であり、その仕事そのもの機能であるわけでありますから、組織機能両面からやっぱり変わっていかなきゃいかぬのかなというような気がするわけでありまして、組織を変えるのは、例えば条約局を廃止せよとか、いろいろな話があるわけでありますけれども、組織図を幾ら書き換えても、やる人の気持ちがきっちり変わらない限りまた同じことを繰り返すんじゃないかなというふうに思うわけであります。  外交というのは、特に近年は大変重要な政治の課題、大きな課題でありまして、昔の歴代内閣は、どちらかというと外交日米を基軸に、国内問題、特に経済問題の運営をうまくやっていれば何とかやれたという時代から、今は非常に激しく動く世界情勢の中で、世界の中の日本、特に貿易立国である日本でありましたし、そんな中で、外交ということが非常に重要な意味を持ってきたと。  それから、交通機関といいますか、航空機の高速化による移動が楽になったということ、それから、情報通信の発達によって本当にリアルタイムに、戦争までが中継で見られるような時代でありますので、それが東の鉄のカーテンが崩れていった原因になったわけでありますけれども、それほど激動する国際社会であるわけであります。  だからこそ、昔のままの外務省組織であり考え方であり、機能であり体制ではもううまくいかなくなっていることは既にみんなが承知しておるところでございますけれども、なかなか渦中というのは、先ほど言いましたように、攻撃ばかり受けて悪いところばかり言われるので、うまくできるのかなと。とにかくしのいだらいいという考え方じゃなしに、これは一皮二皮むけてやっていただきたいという意味を込めて、外務省改革進捗状況についてどのようになっているかということを、副大臣からでも結構ですし、事務方からでも結構ですし、ひとつよろしく御報告いただきたいというふうに思います。
  9. 矢野哲朗

    ○副大臣矢野哲朗君) 昨年のあの不祥事以来、各般にわたって外務省改革についていろんな提案やら、なおかつ外務省内部でもそれに対するひとつの行動計画等々あるべき姿の取りまとめもさせていただきました。  まず、去年の四月なんでありますけれども、外務省機能改革会議から御提案をいただき、六月にそれを受けて外務省改革要綱を発表させていただきました。その中身の主たる点も申し上げたいとは思いますけれども、報償費をひとつ改革していこうということで、一定限度を超える使用については副大臣までの決裁を受けるというふうな透明性を確保する。なおかつ、競争原理に基づく人事制度改革ということで、省内、一例でありますけれども、アフリカ課長そして原子力課長ですか、等々、本省在外五十のポストについて応募制を取り、それに対応させてもいただきました。その後、自民党から外務省改革に関する小委員会の提言もいただきました。  なお、川口大臣大臣就任後、開かれた外務省のための十の改革ということで外務省に徹底を図られたわけでありますけれども、まず、競争原理に基づく有能な人材積極的起用研修制度抜本的強化という思いで、本省在外の幹部のポストについて、十四人の外部の人材の登用をさせていただきました。また、昨年の冒頭問題になりましたNGOとの関係、これも十分連携を保とうということで、今までそれぞれの部署でもってNGO対応していたんでありますけれども、それを一元化しまして、NGO担当大使を作らせていただきました。また、ODAにおいても、十五の具体的な施策について発表させていただきました。また、危機管理体制の整備ということも含めて、官房長危機管理官に任命して、速やかに危機対応するというふうな体制も整えさせていただきました。  以上、るる改革は緒に就いているとは思いますけれども、まだまだ冒頭申し上げたようにこれからの部分もあろうと思います。いずれにせよ、国民目線から大変非難を受けた外務省行政だったということは事実でありますので、国民目線を十分受けて、国民の皆さんに理解をいただくというふうな思いの中での行政展開を心掛けていきたい、今後努力目標だと思います。
  10. 河本英典

    河本英典君 矢野大臣は、なられたところで随分聞いてきていただいて、報告受けて、今報告していただいたわけでありますけれども、実際、北島官房長、うまくいっているんですか。
  11. 北島信一

    政府参考人北島信一君) 昨年来……
  12. 河本英典

    河本英典君 簡単でいいですよ。
  13. 北島信一

    政府参考人北島信一君) はい。鋭意、昨年来、それから今年の八月に外務大臣外務省改革についての行動計画を発表されたわけですけれども、その実施に鋭意努めております。
  14. 河本英典

    河本英典君 そうしたら、先ほど言いましたようにODAについて伺いたいんですけれども、ODAというのは何か分かりやすくて分かりにくい部分がありまして、日本平和外交にとっては非常に大事なツールであるという言い方もありますし、一見何か無駄なお金をばらまいているような印象を与えたりして、非常に賛否両論入り交じって、特に国内景気が悪いと、外国になぜそんなに金を出さないかんのやという話があるわけでありますけれども、これ全体の予算規模からいいますとわずかな金額であるわけでありますから、特に去年のテロ以来、欧米の諸国はこれは貧困原因であるとかいうことで増やさないかぬという方向を打ち出しておるわけでありますけれども、日本は減らせ減らせの大合唱で、減らしてみたらもう随分減っているというような状況であるわけでありますけれども、それのODAについてでありますけれども、まずODA大綱というのがあるらしいですね。  その辺で、ちょっと時間余りないのでもうこっち側から言いますけれども、やはり戦略性の重視ということとか、これはやっぱり国家の外交戦略を考えた場合、どこにどういう使い方をするかというのは、お金使い方でありますから、これはODA非常に大事でありますし、それから新しい概念を導入していただきたい。これは、人間の安全保障というようなことが言われてきておるわけでありますし、平和構築分野におけるODAの活用ということが非常に大事であるわけでありますから、そういったこと。そしてまた、よく言われておりました要請主義という、こだわってやってこられたわけであります。これも見直してもらわないかぬなということでありまして、いろんな意味ODA在り方、やり方を変えていくということは、私は、外務省改革の別の側から非常に有効な手段じゃないかなというふうに思っておるわけでありますけれども、その辺について伺いたいと思っておりましたけれども、何か余り時間がなくなってしまって、長話になって申し訳ないですけれども、副大臣、簡単にちょっと答えていただいて、お願いいたします。
  15. 矢野哲朗

    ○副大臣矢野哲朗君) 御指摘のとおり、昨年の九月十一日の米国同時多発テロ、あれ以来、貧困テロの温床だというふうな一つの認識が広まっております。ですから、貧困を撲滅しようというふうな思いからそれぞれ、米国EU等々、かなりそういった意味でのODA予算措置が増額されているというふうな状況があろうと思います。  しかし、残念ながら、我が国としては既に五年間で二〇%以上ODA予算が削られているというような状況で、我が方としても、今御指摘のとおり、ODAというのは非常に外交戦略の一環だ、これを有効に活用し日本国際化の中でのステータスを明確にするというふうな一つの私は手段であるというふうに理解していまして、先般も川口大臣経済財政諮問会議におかれてその趣旨説明をさせていただきました。  従来は、ややもすると、すぐ減額予算の標的にされまして逐一減額されたという、過去この五年間だったと思いますけれども。川口大臣説明に際して一様にODA必要性というものを御理解いただき、単なる減額だけが一つ考え方ではないな、全体の総予算に占めるODA予算が二%にすぎないと、そういうこともあって、今後しっかりとしたODA展開は必要だというふうな中での合意形成がされたと聞いておりますから、是非そういう意味で、来年度の予算もありますけれども、しっかりとしたODA予算を確保して、透明性を確保し、なおかつしかるべき手順を踏みながら十分な成果が生まれるようなひとつ体制を取っていきたいと思いますので、応援方もよろしくお願いを申し上げたいと思います。
  16. 河本英典

    河本英典君 もうちょっといろいろお話ししたかったんですけれども、ちょっと時間の関係で終わらせていただきます。  一番大事なことは、外務省改革という組織改革と同時に、ODAという機能を高めていくことで外務省改革に非常に有効な手段になるんじゃないかなというのを言いたかったわけでありまして、そのことをひとつ外務大臣聞いていただいて、話は十分じゃなかったと思うんですけれども、もうちょっとやるつもりでしたんですけれども、しっぽを切られましたので、これで終わります。
  17. 月原茂皓

    月原茂皓君 それでは、外務大臣にお尋ねします。  八日に全会一致国連安保理が対イラク決議を行ったわけであります。これについてはフランスが、新聞情報によれば、もう一回決議せいというようなことを言っておったんだが、それが削られておるわけですね。そういうことからいって、このものの解釈についていろいろ議論があると思います。米国はもう議会で圧倒的な支持を得て、国連関係とも関係なくやれという、自衛権発動オーケーだというぐらいの議会支持を得ておるわけです。  そういうことからいって、今度の決議について、最終的にどういうふうな手続を必要とするかということの日本立場と、米国日本に伝えてきておる立場というものがあれば御説明願いたいと、このように思います。
  18. 西田恒夫

    政府参考人西田恒夫君) 今、委員指摘のとおり、本件のいわゆる新しい決議なるものは、約八週間における安保理における大変に緊密な議論の上にでき上がったものというふうに理解をしております。  御案内のように、内容につきましては、イラクによる本決議の不履行により、同国のもろもろの義務の更なる重大な違反があったときというふうにみなされる場合には安保理が即時に招集されるというのがその根幹であるというふうに理解をしております。  同時に、ただ、今、委員から御指摘ございましたけれども、投票理由をするに当たって、例えばアメリカの代表は、この決議には武力行使に関するいわゆる隠された引き金あるいは自動性というものはありませんということを言うと同時に、同じく代表は、いかなる加盟国も、安保理イラクによる更なる違反という事態に断固たる対応を取れないという場合には、この決議をもっていかなる加盟国イラク脅威から自らを守る、あるいは関連の安保理決議履行を確保することを妨げるものではないということも言っております。
  19. 月原茂皓

    月原茂皓君 そこで、重ねてお伺いしますが、日本として、残された期間というとちょっと大げさですが、どういう努力をされようとしておるか。
  20. 西田恒夫

    政府参考人西田恒夫君) 委員案内のとおり、これまでも日本政府としましては、外務大臣がニューヨークにおいてイラクの外相に対して直接物を申す等々、いろいろなG8メンバーを中心に働き掛けを行ってきております。その根幹は、新しい決議をもってイラクが無条件大量破壊兵器を、即座にこれを廃棄せよということが重要だというメッセージを言ってきたわけでございます。  そのような努力を、今般新しい決議もできましたものですから、引き続き行っていくということであろうというふうに理解をしております。
  21. 月原茂皓

    月原茂皓君 その場合に、私は思うんですが、非常に厳しい条件イラクに課せられておる、それは当然のことかも分かりません。しかし、米国に対しても、国際社会の安定のために十分な説得というかコンタクトを取ってもらいたいと、このように思います。  次に、時間が限られておるので簡単に質問しますが、今回のイラク決議による行動テロ特措法の適用の対象になるのか。要するに、九月十一日の延長線上で対イラク戦への協力日本はできるのか。これは福田官房長官が昨日答弁はされておりますが、重ねて、どういう条件の場合にそれが適用されるのか。そして、国会に対して、これは要するにアルカイダとの関係、九・一一テロアルカイダと非常に密接な関係にあるんだという証拠が出てきた場合でありますが、ライス補佐官等もいろいろなことを言っておられますが、だれが判断して、そして国会に対してどのような手続を踏まれるつもりなのか、そのことをお尋ねしたいと思います。
  22. 西田恒夫

    政府参考人西田恒夫君) 今般の決議は、委員案内のように、基本的には、イラク大量破壊兵器を持っている疑惑があると、それを廃棄せよというのが根幹でございます。そういう意味で、日本政府としましては、現時点で、あくまでもイラクの問題はこの大量破壊兵器の問題が主たる問題というふうに考えております。  昨日の官房長官の御答弁は、ある意味では、あくまでも理論的な一般的な御質問に対して一般的な対応についてお答えされたものと思っておりまして、九月十一日を踏まえましてできましたテロ特措法法目的に合致するという事態が仮に出てきたときに、そのような特措法に従って政府としてしかるべき措置を取るということが一般論としてはもちろん排除されないという趣旨以上のことではないというふうに考えております。
  23. 月原茂皓

    月原茂皓君 次に、私が通告した質問一つ飛ばしますが、外務大臣にお尋ねいたします。  昨日は、テレビで見たのでは韓国外務大臣、パウエルさんが来られなくて非常に残念だったと思いますが、いろいろ議論されたと。そのことについて一部新聞紙上には、今じゃないですよ、昔ですね、少し前は、もう合意された枠組みは破棄だと、こういうふうな言葉も流れたわけですね。そういう意味で、この合意はあくまでもそれは米朝でやっている合意であって、日本が、あるいは韓国が、それは意見は言えるけれども、当事者じゃなかったことは間違いないんですが、このことがなくても、あるいはNPTの問題とか、それから南北宣言とか、そういうのでなし得るわけですね、理屈から言えばですよ。  そこで、あえてこの枠組みというものが大切なんだというのはどういうところにあるのか、そこを説明していただきたいと思います。
  24. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 合意された枠組みの中の大きな要素といいますのは、一つKEDOであり、そして重油を五十万トン供給をするという話でありますけれども、このKEDOというのは、プルトニウム型の核の開発を阻止をするという大きな役割を果たしているということでございます。  それで、今、国際社会が、そして近くにある我が国はもっと強い脅威感じているわけですけれども、北朝鮮の行っている濃縮ウランを経由する核開発計画、これについて大きな懸念を持っているわけでして、NPTにせよ、それから北朝鮮朝鮮半島南北非核化共同宣言にしても、それからIAEAの査察にしても、すべてのことについてこれを守らせなければいけない。そのときに、核の開発を阻止するという意味で今KEDOが果たしている役割、プルトニウム型の開発を止めているということは非常に大きな意味を持っているということでございまして、これを大事にする必要がある、そういうことでございます。
  25. 月原茂皓

    月原茂皓君 大切なことは分かりました。  そこで、この十一月の石油、重油ですか、四万三千、年間五十万トンの約束をしておるわけですが、米議会で来年、議会の年度はちょっと分かりませんけれども、駄目だということになると、その枠組みで五十万トン約束しておるわけですね。日本とかあるいは韓国が代わって出すわけにはいかないわけですね。これは、二つの米朝枠組みで、条約じゃなくてあえて枠組みにしたわけですが、枠組みということでできておるわけですね。この点、どういうふうに外務大臣は手を打とうと考えられていますか。
  26. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 米国が、今の時点で重油の供給をやめるということを決定したわけではまだないということです。  十四日にKEDOの理事会が開かれることになっていまして、日本韓国、アメリカはこの重要なメンバーであるわけでして、ここでこの話、重油の供給をどうするかということについては議論をされるということになると思います。北朝鮮に対して核の開発をやめるということを強く働き掛けていくということが必要でございまして、日米韓が連携をすることが重要です。したがいまして、KEDOの理事会では、三か国で協調をし、調整をして、その過程で態度が決まっていくと、そういうことだと思います。
  27. 月原茂皓

    月原茂皓君 KEDOというものは、その他ヨーロッパも含めて多くの国が関与して北朝鮮に対する要請をしているわけですから、外務大臣の言われるように非常に有力な手段である。ただ、私が憂慮するのは、今申し上げたように、米議会が、ずっとだまされ続けておったものを何で守らぬといかぬのだということの立場に立って重油の問題が課題になってくる、議会がチェックするのは、重油の問題でチェックできるわけですからね。だから、そういう点、必要性を十分私は分かりましたから、強く働き掛け、このものが維持されることを強く望んで、外務大臣に対する質問を終わります。  続きまして、もう時間が限られておるので、防衛庁長官にお尋ねいたします。  これは、今は北朝鮮の問題を中心に、ノドンとかテポドンとか、大変ミサイルの話がなされているわけでありますが、中国がやはり軍事力の増強を続けているわけであります。その点で、特に中国の長距離ミサイル、ICBMとかSLBMの開発状況等、これはどういう戦略思想に基づいて、どのように力を入れておるのかということを防衛庁長官にお尋ねしたいと思うんですが。
  28. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 先生御案内のとおり、中国は軍事力の増強というのか、非常に近代化を急いでいるだろうと、こういう認識でおります。量から質へと、こういう話なんだろうと思っています。ですから、大陸間弾道弾ということでいえば、今、CSS4というのを二十基持っている。これを、アメリカの国防省年次報告で見れば、今の二十基から二〇〇五年には三十基、二〇一〇年には六十基、ここまで増やしていくんだという報告がなされております。  じゃ、アジアについてはどうなのかねということを申しますと、これは大陸間弾道弾である必要はないわけで、中距離弾道ミサイルということになろうかと思います。これは、日本を含むアジア地域を射程に収めるわけですが、これも近代化を図っておりまして、従来の一九七〇年から配備されたDF3というものから新型のDF21というものへ切替えが進んでいる。これは、新型は一九八七年から配備をされているわけですが、これは燃料が固体になったということ、それから命中精度が格段に上がったということ、これが特徴なんだろうというふうに理解をいたしております。  そういたしますと、脅威というのは、私はやはり意図と能力の掛け算、積なんだろうというふうに思っておりまして、その意図があるとは思いません。その意図がないようにするのが外交だと思っています。ただ、能力としては、そのような形で大陸間弾道弾にしろ、中距離ミサイルにしても、この精度、能力等々は格段に近代化が図られているという認識ではおります。  また、SLBMは、これはシャーク級という潜水艦でございますが、これを一隻今保有をしておるわけでございまして、この後に、これは今二千五百キロの射程のミサイルを積んでおるわけですが、これにICBM並みの能力を持つミサイルを搭載するという計画が進んでおるというふうにも承知をいたしております。
  29. 月原茂皓

    月原茂皓君 防衛庁としても、今、大臣お話しのように、意図と能力との積であるということはもう十分分かっておるんですが、やはりしかし、意図というのはなかなか変わり得るし、これはまたお互いの交渉の大切なことだと思う。しかし、能力がアップするということは注目しておかぬといかぬ、意図が変わり得るわけですから。それが着実に伸びておるという点については今後も、また日本を射程圏に入れている部分もあるわけですから、十分注意していただきたい。  そのことをお尋ねして、私の質問を終わります。時間が限られておるようですから。
  30. 松村龍二

    委員長松村龍二君) 答えはよろしいんですね。
  31. 月原茂皓

    月原茂皓君 はい。
  32. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 民主党・新緑風会の齋藤勁です。  最初に、川口外務大臣にお尋ねいたします。昨日、東京地裁で鈴木宗男衆議院議員の初公判がございました。鈴木議員は起訴事実を全面的に否認をしているということについてが報道、明らかになっておりますが、川口外務大臣としての見解はいかがでしょうか。
  33. 矢野哲朗

    ○副大臣矢野哲朗君) 御指摘の点でありますけれども、現在、正に公判中ということでありますから、見解を述べることは差し控えさせていただきたいと存じます。
  34. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 防衛庁長官、衆議院議員としての同僚議員であったというか、あるわけでしょうけれども、衆議院としては辞職勧告決議を多数で決められているわけなんですが、衆議院議員としてのお立場もあるでしょうし、同僚議員としてのお立場もあるでしょうし、国政を今預かる国務大臣としても含めて、国務大臣としての所感はいかがでしょうか。
  35. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは今の外務大臣と同じでございますが、現在、公判が始まったばかりであります。その推移というもの、司法による判断というものを見極めていくことが必要であろうというふうに考えております。
  36. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 川口外務大臣は、今、矢野大臣からお答えいただきましたけれども、同じ内容でしょうか。
  37. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 全く同じでございます。
  38. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 引き続き公判を見守るということになるんではなかろうかと思いますが、この外交防衛委員会や参議院でも、北方支援事業にかかわる鈴木宗男議員のそれぞれかかわった問題が議論をされました。胸に秘める様々な気持ちがあろうかと思いますが、法的、今司法の場で争われていますので、それ以上はコメントは無理なのかなという気はしながらも、改めてお尋ねさせていただいた次第です。  さて次に、質問通告をしてございませんが、李登輝氏の訪日問題、ビザ申請。これ今ビザ申請は既にされていて、今外務省として取扱いについて検討中とか、もうビザ申請を受理して発行したとか、どういうふうな事実関係でしょうか。
  39. 川口順子

    国務大臣川口順子君) このビザの申請は昨日なされました。そして、それを受けまして、これは通常の査証の審査のときに行う手続を行うことですけれども、慶応大学とそれから慶応大学の三田祭実行委員会、これが招待をするということでしたので事実関係の確認をいたしましたら、慶応側からは李登輝氏の講演は三田祭の行事としては行われないという旨の回答がございました。それで、こうした点を踏まえまして、現在李登輝氏の側に対しまして慶応大学がそう言っているということを伝えまして、事実関係を確認をしているところでございます。
  40. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 このことで十一日に中国外務省の孔泉報道局長が、李登輝氏の訪日に反対する談話、いかなる名目であれ訪日して活動することに一貫して反対しているという談話が出されておりますが、中国外務省から我が国外務省に対し、何らかのコメントとか要請とかあるんでしょうか。
  41. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 中国側からは、先ほど委員がおっしゃった立場についてはもう従来から我が国に対して伝えられてきているところでございまして、この今回の件に関しましても中国側からこうした立場についての表明は行われているということでございます。
  42. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 先ほどの大臣答弁ですと、慶応大学での講演、いわゆる慶応大学で、三田祭が主催する実行委員会として講演が予定されるということで李登輝氏が来られるということであったけれども、私も報道の範囲ですけれども、いわゆるこの実行委員会主催ではないと。実行委員会主催ではなくて、そういうことだということで、今外務省はそういうことを慶応大学から聞いているんで、そのことを今、李登輝氏の方に問い掛けているということですね。  そこは、もうある意味では慶応大学も、この慶応大学の実行委員会主催でないというのが明確になっているということで、今回の訪日はそういったようなことが、事実が今ある意味では明らかになっているわけですけれども、これから李登輝氏側の方がどういうふうに対応するかというようなことは別です。事実上不可能である、もう。李登輝氏が言う講演というのは慶応大学三田祭主催ではないわけですから、もう事実上これはビザが発給されないというそういうことに立つんではないんですか。
  43. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 先ほど申しましたように、李登輝氏側に対して事実関係の確認を行っているということでございまして、その確認が行われるまでは今回の申請のあった内容に基づいて査証の手続をするということは困難と、そういうことでございます。
  44. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 いずれにしましても見守りたいと思いますが、一昨年だったでしょうか、大分外務省とこの李登輝氏側のやり取りで相当往復時間が掛かったというのがあると思うんですね。これは、中国が新しい新執行部、指導部が選ばれるという中で、そういう前段の中で中国からの一つのメッセージも、これ中国と我が国外務省との外交もあろうと思いますが、我が国としての我が国外交はある意味では基本、基軸を持ちながら、きちんとしたものを持ちながら、是非スピーディーな対応をお願いしたいというふうに思います。  さて、先ほどイラク決議の問題についてやり取りがございましたので、私もこの点について中心的に伺いたいと思います。  最初に外務大臣、過日の中間選挙、アメリカの中間選挙でございました。共和党が勝利をするということになったわけですけれども、このこととこのイラクの今後の対応等について、どういうふうに連動をするんだろうかということについての点も含めまして、この辺の中間選挙の結果等についての評価、対イラク問題とのかかわり等についての見解をお示しいただきたいと思います。
  45. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 中間選挙がありまして、その結果、上院では共和党が五十一議席を占め、そして下院でも多数を確保したということでございまして、新聞等ではその信任が確保されたという言い方がされているわけです。それで、両院、アメリカの両方の議院の、議会の勢力を見ますと、五十一ということではありますけれども、基本的に勢力は伯仲をしているというレベルの話であるわけです。  そういったことにかんがみまして、それから元々アメリカにおいて外交政策、特に外交政策においては党派別の投票行動があるわけでは必ずしもないということもありまして、今回のその選挙の結果、基本的にブッシュ大統領のあるいはブッシュ政権のイラク政策に対する態度が変わったと、そういうことではない、余りその結果変化があったということではないと、そういうことだと思います。
  46. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 対イラク決議ですけれども、初めの米国案と比較いたしまして、今回の決議はいかなる修正が行われたのか、改めてその概要と我が国の見解についてお示しいただきたいと思います。
  47. 西田恒夫

    政府参考人西田恒夫君) 先ほど申し上げましたように、十月二十五日に米英の言わば当初案が出てまいりまして、先般八日に最終的な形で決議ができたということでございます。その間、P5を中心にしましていろいろなやり取りがありましたのは委員案内のとおりでございます。  あえてまとめて、その十月二十五日の時点と今回の最終の内容とを比較しますと、主として次のような点であろうかと思います。  一番目は、イラクによる安保理決議に基づく諸義務の違反に関しましては、当初案と同様にイラクが重大な違反を犯しているということに言及をしておりますが、新たに今回の決議というものがイラクに対し武装解除という義務を遵守する最後の機会を与えるものだということをあえて付け加えているという点は新しいところでございます。  また、本決議におきましては、今後の更なる重大な違反となり得る申告における虚偽あるいは決議の不履行が、評価をするための安保理に、するために安保理に報告される、安保理に報告されるということが明示的に追加をされております。また、その文脈で、本決議では安保理イラクは既に継続的な義務違反というものをやった結果として深刻な結果に直面するとこれまでも警告してきたということを想起しております。  もう一つの大きな柱でありました査察の強化につきましては、当初の案と大きな差異があるというふうには理解をしておりません。
  48. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 最後の機会を与えたんだと、その上で更なる重大な違反があったときには安保理で再協議をしようということで、その必要な措置を取ろう、こういうことが最大の特徴だということで再確認したいと思います。よろしいですね。
  49. 西田恒夫

    政府参考人西田恒夫君) そのとおりでございます。
  50. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そうすると、イラクの方に更なる重大な違反があった場合にも、そのことによって直ちにイラクに対する武力行使が認められるものではないんだということに受け止めるわけですけれども、そういうことでよろしいですね。
  51. 西田恒夫

    政府参考人西田恒夫君) 先ほども、繰り返しになりますけれども、違反が行われた場合には直ちに安保理を開くというところが根幹でございます。
  52. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 したがって、あくまでも更なる重大な違反があった場合にも外交努力の余地を残すということです。そういうふうに受け止めますが、これは、外務大臣、そういうことでよろしいですね。
  53. 川口順子

    国務大臣川口順子君) この決議採択後、米代表が、この決議一四四一においては武力行使に関する隠された引き金も自動性も含まれていないということを言っているわけです。  もし、イラクの更なる違反がUNMOVIC、IAEA、そして安保理の理事国によって報告をされるという場合には、この件は安保理において再び審議をされるということになるということを言っています。そしてさらに、アメリカの代表は、安保理イラクによって更なる違反という事態に対して断固たる対応が取れない場合には、この決議はいかなる加盟国イラク脅威から身を守ること又は関連安保理決議履行を確保することを妨げる、履行を確保することを妨げるものではないと、そういう発言をしているということです。
  54. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 外務大臣からそういう答弁いただいているんですが、ここ一両日の報道、これもテレビ通して出てきていますが、イラクに更なる重大な違反があった場合、米国安保理の新たな決議がなくても、協議をして新たな決議がなくても、武力行使に踏み切る可能性が高いというより、そういうもう行動に入っているんではないですか。もう米国政府の高官はそういうふうに発言をしている。  仮に、米国が新たな決議がないまま武力行使に踏み切った場合、日本政府我が国はどういう対応をされるんでしょうか、お示しいただきたいと思います。
  55. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 委員の御質問は、これは米国武力行使をするということを前提に今御質問をしていらっしゃるわけで、仮定の御質問でございますので、今の時点ではイラクに対してこれを、核廃棄をする、大量破壊兵器の廃棄をするということを、国際社会が正に求める、このための外交努力を引き続きやっている、そういう過程でございますので、そういう過程というのはプロセスでございますので、仮定の質問についてのお答えは控えさせていただきたいと思います。
  56. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 防衛庁長官、今、このイラクの攻撃を前提に湾岸地域での軍備を、米政府そしてまたイギリス政府も準備に入ったという報道もありますけれども、防衛庁として米軍の対イラク攻撃準備の状況をどのように把握をされておりますか。
  57. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 対イラク攻撃でこのような準備をしておるというような具体的な事実につきましては、現在承知をいたしておりません。
  58. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 外務大臣、先ほど私はくどいような指摘の仕方をしましたけれども、更なる重大な違反があった場合にも外交努力の余地を残すと。これが国際社会外交努力ということで、我が国我が国としてのスタンスがあるということで先ほど外務大臣としても御答弁いただいていますが、今本当に我々は、アメリカのあの発言というのは、いや、何だ、もう議会を招集しているけれども何かポーズにすぎないんではないかというような発言とか、ともかくもう、今、防衛庁長官からイラク攻撃への準備に入っていないということですが、それはイラク攻撃ということでの、イラク攻撃の準備に入るなんていうこと、それはだれも言っていないのかも分かりませんけれども、少なくとも我々全世界が報道を見る限り、事実問題の認識はそれなりに一致をしているというふうに思うんですが、外交努力の余地という言葉外交努力を、やはり踏み切らせないと、外交努力我が国政府として積極的にしていくということが、今、外務大臣としてこういうことを、要するに例えば一つ一つアメリカの政府の高官が言ったらそのたびに何か答えるということは別にして、絶えずやっぱりメッセージをアメリカ側に出していくということが大切ではないかと思うんですが。  何か仮定のお話はお答えできないというんですが、仮定じゃなくて今現実に進行しているじゃないですか、今不安でしようがないんじゃないですか、今、国際社会は。そのメッセージを出すことが外交努力じゃないんですか。仮定じゃないですよ。いかがですか。
  59. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今大事なことは、国際社会が一致してメッセージをイラクに出していく、そういうことであるわけです。メッセージをイラクに対して、大量破壊兵器を、これが問題の根源ですから、今までの決議違反をしている、決議違反をしているということは、今回の一四四一の決議でまた確認を、決定をされているわけですから、イラクがそれを決議に従う、これをやっていく、このために最大限の圧力を国際社会としてイラクに掛けていく、これが必要なことであると私は考えています。
  60. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 大臣、そこはもう当然なんです。イラクに遵守させるというのがもう当然であると思います。  外務大臣は、歴代、どうなんでしょうか外務大臣の中でもとりわけ中東外交を推進、積極的にされているというふうに私は受け止めさせていただいていますよ。やっぱり、中東アラブ諸国の安定というのは中東和平の実現と切り離して解決はできないわけですね。  ちょっと、じゃ視点を変えてお尋ねいたしますけれども、周辺諸国の安定、アフガニスタンの建設、そしてまたイランの改革路線支援、総選挙後のトルコにおける政教分離と民主主義の維持とイスラム色が強まらないように積極的なやっぱり支援と対話を進めるべきだと思うんですが、これはそれぞれお答えすると大変な時間を要するかも分かりませんが、できれば個別的に、一言ずつでもいいんですが、この中東のやはり安定、中東和平の実現、それぞれ外務大臣の見解を伺いたいと思います。
  61. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 中東地域の平和と安定というのは非常に重要なことだと私は考えております。我が国の原油の供給の八割以上、これが中東から来ているわけですから、このために中東諸国との関係を密接にしていくということは大事であると思います。  それで、それぞれの国についていろいろございますけれども、簡単に申し上げれば、アフガニスタンについては、これは引き続き国際社会の関与が重要で、この間アブドラ外務大臣ともお話をいたしましたけれども、アフガニスタンで国際社会が失敗をする、アフガニスタンが失敗をするということがあったらば、こういったいわゆるフェールドステートと言われる国に対する国際社会支援についての信頼が失われるという意味で非常に大事で、日本としてもこの間、第二弾といいますか、一年で二億五千万ドルといったものを超える、合計して超える支援を約束したということです。  それから、パレスチナについて、特にイスラエルに、総選挙が行われるということになっていますけれども、基本的には、引き続きこの悪の循環が継続をしているという認識を持っていまして、パレスチナ側に対してもそれからイスラエルに対しても暴力をやめることが大事だという働き掛けは、これはもう随時行っておりますし、有馬特使がつい最近イスラエルにも行ったということでございまして、働き掛けはコンスタントにやっています。  トルコについては、これは委員がおっしゃるように、選挙があり、今、一応一つの結果が出ているわけですけれども、この国が安定をしていく、我が国とトルコは非常に近い関係を歴史的にも持っているということですので、引き続き関心を持って見ていきたいというふうに思います。  あと、イラクについて言えば、国際社会として決議ができたということを日本としては評価をいたしておりますし、これは最近においても、つい最近は新藤政務官がイラクに対して働き掛けを行ったということでございます。こういう外交努力を、引き続き努力をしていきたいと考えています。
  62. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 今、川口外務大臣からお答えいただきましたように、そういった外交努力を積み重ねてきているわけですね。結果としてやっぱり和平、安定を実現していくためにも、このイラク周辺の国々をいかにこうやって目配りしながら対応していくかというようなことが大切なわけですね。フセイン政権がいわゆる手を出せないようにさせなきゃならないわけですよ。  イラク攻撃というのはアラブ諸国を一層不安定にするんじゃないんでしょうか、と私は思うんですね。我が国の積み重ねてきた中東政策をこれは水泡に帰す、そういうやはりおそれも私はあると思うんですね。こういうことをやっぱり私は申し上げたいと思いますから、イラクが国連の安保理決議を遵守する、無条件で査察を受け入れていくということについての実効性を求めていくという外交努力は当然必要。  しかし、今回の先ほどの決議というのは、重大な決議、しかしそのことについて、あったら更なるまた安保理で協議をしましょうということになっていくわけですから、そういうことと併せて今何をしているかといったら、アメリカあるいは幾つかが今攻撃をそれなりに準備をしていくということになると、仮定の話ということではなくて、私は外務大臣として、イラクが遵守をするというのはそれはそれで当然そうだと思うんですが、一方で私は、外務大臣としてのメッセージというのはアメリカに対してもすべきだというふうに思うんですね。そのことを私は先ほどから言ったんですが、再度いかがでしょうか。
  63. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 我が国にとってといいますか、国際社会にとって重要な問題というのは、大量破壊兵器の危険性にどう対応するかということであると思います。  このイラクの問題というのは正に、その大量破壊兵器の問題だけではありませんけれども、大量破壊兵器開発をしている可能性、これを廃棄してもらう、見える形で無条件に即時に、それから無制限に査察を受け入れて廃棄をしてもらう、これが大事なことであるわけです。このための努力を今、国際社会が一生懸命になってやっている。国連決議もそういうことであるということでございますので、我が国としても引き続きこのための、この大量破壊兵器の問題は我が国の問題であるわけですから、これを国際社会共々イラクに対して働き掛けていく、それが大事なことだと思っています。
  64. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 安保理決議に基づいて平和裏に外交努力を積み重ねていくという過程の中では、武力行使に踏み切ってはならないというメッセージを外務大臣がすべきだというふうに私は言っているんですよ。そのことに対してお答えいただきたい。
  65. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 繰り返しになりますけれども、米国武力行使をすると言っているわけではないんですね。何も決めていないわけです。正にイラクが、今、国際社会が一丸となってイラクに最大限の圧力を掛けてイラク行動を取る、これが大事なことであると考えます。
  66. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 外務大臣、昨日の衆議院の事態特で福田官房長官が、テロ特措法の適用、イラクへのテロ特措法というのも検討によってあるんだということを答弁をしているんですけれども、この再延長はたしか十九日になるんですが、そういうのは閣内で議論して、そういった見解については外務大臣としても、ああ、そのとおりですというふうに思っているんですか。
  67. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 私、ちょっと昨日日本にいなかったものですから、官房長官答弁は直接には承知をいたしておりませんけれども、テロ特措法のこの計画の延長というのは十一月十九日ということで、検討を今政府の中で行っているところでございます。  これをイラクとの関係でどうかということについては、このテロ特措法というのは正に法律の目的に照らして法律が施行される、実施されるということでございます。したがって、イラクとの関係では、恐らく官房長官はそれの、イラクの問題にせよほかの問題にせよ、テロ特措法趣旨に照らしてそれが使えるかどうかということをおっしゃられたということではないかと推測をいたします。
  68. 西田恒夫

    政府参考人西田恒夫君) 先ほど月原委員の御質問に答えましたけれども、昨日の官房長官の御答弁は、あくまでも一般論として、イラクにおける事態というものが要するにテロ特措法の目的に一致するような場合になったときには、そのテロ特措法をもって政府として適切な対応をすることがあり得べしということを申し上げたというふうに理解をしておりまして、それ以上のものではないというふうに考えております。
  69. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 一般論を今言うときじゃないじゃないですか。十九日が延長の期限切れですよ。それで今、再延長をしようかしまいか与党三党の幹事長さんはどうも報道によりますと決めたんでしょう、再延長を。合意をしたということだそうですよ。そういうときに一般論で言うなんておかしいし、それから九・一一によって、ずっと長い、これはもうあのテロ特措法ですよ。あの質疑のときにはいろんな、真剣、様々な角度からしましたけれども、昨日辺り、官房長官イラクへのテロ特措法の適用もなんということは、拡大解釈も甚だしいじゃないですか。国会議論を何だと思っているんですか。一般論で言うなんというのはとんでもないですよ。  今日は、官房長官に来てほしいと言ったけれども、これは、うちの外交防衛委員会には来れないと。内閣官房からどなたか見えているでしょう。撤回すべきじゃないの、こんなこと。
  70. 村田保史

    政府参考人村田保史君) 今のお尋ねの点につきましては、あくまでもテロ特措法趣旨にのっとって、また関係国のニーズを踏まえながら、我が国としては主体的にまた積極的に判断し、行動すべきものという立場であります。
  71. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 済みません。ちょっと最後、何と言ったの。もう一回言ってください。
  72. 村田保史

    政府参考人村田保史君) テロ特措法趣旨にのっとり、関係国のニーズを踏まえて、我が国として主体的にまた積極的に判断し、行動すべきものということでございます。
  73. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そうすると、今は、関係国のニーズというのは、そういうことは検討中ということですか。検討中なの今、そういう対象として。
  74. 村田保史

    政府参考人村田保史君) 現在行っております行動は、あくまでも昨年のアメリカにおけるテロによりもたらされた脅威の除去に向けた各国の活動、これに対して我が国として寄与していくという観点から行っている行動でありまして、そういう各国の活動からくるニーズを踏まえて対処しているということでございます。
  75. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 残念ですけれども、僕は、日朝問題とかいろいろ、BMD問題等、質問、整理したんですが、またの機会にさせていただきます。  それで、是非、これはもう答弁する時間ないんですが、このテロ特措法の再延長問題、閣内できちんとやってくださいよ。イラクのこの安保理決議の問題については国際的にはっきりしているでしょう、何でこれ決議をしたんだということについて。そのことを、我が国官房長官イラクへのテロ特措法の適用もなんということについて、もう何というんでしょうかね、国際感覚というんだか何だか甚だしいと。こんなすぐ、何でそんな発言したんだということを総理大臣とか何かがこれすぐ私は言うべきことだと思うんですが、今なお独り歩きしているということについては非常に不満です。  是非、外務大臣防衛庁長官もいらっしゃいますけれども、閣内できちんとした議論と見解を国民に示していただきたい、そのことを申し上げて、終わります。
  76. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 続いて、私から外務大臣防衛庁長官にお尋ねしたいと思います。  いずれも基本的なことでございますので、率直な忌憚のない御所見をいただければ有り難いと、こう思っております。  最初に外務大臣にお尋ねいたしますけれども、外務省というのは、率直に言いますと、これは不祥事のデパートなのかあるいは総合商社なのかとも言いたくなるわけでありまして、あの松尾事件をきっかけとしてもう次から次といろんな事件が起きる、機密費をどうしたこうした、いやもうタクシー代をごまかしたとか。そして、そういうことを受け止めて外務省自身が改革しようということで改革委、内部にいろんな改革の集まりを作って議論をしていることだろうと思いますが、国民からは全く見えてこない。一体、何をやっているんだろうかというのが国民の率直な感想だろうと思います。  やはり是非とも外務大臣として、外務省改革するために今こんな努力をしておりまして、もう絶対今後はこういう不祥事は起こさせませんと、こういうことを機会を見て言明すべきであろうと私は思っております。この不祥事の中には、もう半分以上が大体、刑事事件に発展しまして、対象者が捕まって起訴されて有罪にもなっていると。もう恥ずかしい限りだと思います。いや、外交は大変重要な問題だ、我々が預かってこれをやっているんだと威張るかもしれませんけれども、その足下を見てみろ、不祥事だらけじゃないかと、こういう疑問を国民はやっぱり持っておるわけですからね。  外務大臣、いかがでしょうか。この場でもいいですから、きちっと、不祥事がこう打ち続く原因はこういうことにあります、対応としてこういうことを考えて実行しておりますということをはっきり宣明してもらいたいと思うんですがね。
  77. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 私が今年の二月に外務大臣に任命をいただいたときに、私の第一の課題外務省改革であるということを申しました。そして、その後、変える会、あるいは外務省の中でできた変えよう!変わろう!外務省、あるいは自民党を始めとするいろいろな方の外務省改革についての御意見、そういったものをきちんと踏まえましてこの八月に行動計画というのを作らせていただきました。  この行動計画では、何をいつまでにやるということをきちんといたしまして、それを現在、着々と実施をしております。そして、そのやったということについて透明性を持って御説明ができるということが大事だと私は考えておりますので、変える会には引き続きお願いをして、たしか今朝もあったわけですけれども、これを、変える会に何をやったかということを御報告をして、そして議論をいただくということも引き続きやっております。  それから、先ほど、別な委員の方の御質問にお答えして矢野大臣から御説明をしましたけれども、既に、特に人事、会計について、これは河野大臣を始めとする過去からの御努力がいろいろ実を結んでおります。例えば、報償費について、十万円以上については副大臣以上で決裁をするということもそうでございますし、一元化をした調達をするということもそういうことですし、矢野大臣もおっしゃったように、人事については公募をするとか、いろいろなことを実施をしているということです。そういったことについては、やるたびにお話を、発表を外務省としてはさせていただいています。  不祥事について私はかなりはっきりした態度を持っておりまして、不祥事が明らかになった場合に、これは決して隠さない、そしてそれを発表し、処分を適正に行うということを中で徹底をさせております。そういった努力を積み重ねて、やはりこれは国民の方に見ていただくと、そういうことだと思います。効果は着実に今、上がってきているというのが私の認識でございます。
  78. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 お気持ちは分かりますけれども、それが具体的事実となって全然表れてきていないのではないかということなんですよ。  具体的な例を挙げますけれども、二、三日前、私が友人たちと何人か集まってテレビを見ておりましたら、NHKが外務省の問題を取り上げて報道しておりました。これは、在外公館で大使館を新営しようということで、土地を購入して、それがもう何十か所も放置、購入して放置したままになっていると。そこで会計検査院が入って、十か所ぐらいについて検査をやった、近々その結果が報道されると。全部で何か六万平米とか言っていましたから、相当膨大な敷地が遊んでいるんだろうと思います。  そうして、外務省のコメントをNHKが求めたんでしょう。それは会計検査院のやっていることで、連絡がないから何も分からぬと、これがコメントで、一緒に見ていた友人たち皆、腹を抱えて笑っていましたよ。自分たちの省の問題だろう、自分たちがこれだけ非難されている、それに対して、会計検査院が責任があって我々は答える問題ではないと言わんばかりのことなんでね。  こういう一言一言にもやっぱり改革が全然浸透していないということが表れているのではないかと、こう思うわけですよ。みんな笑っていましたよ。もう怒るのを通り越して笑ったというのが現実でありまして、これいずれ会計検査院が何か国会にも報告をする、この問題、というから、そのときにもまた改めて議論をしたいと思いますけれどもね。  予算というのはそんなものじゃないことは、あなた、よく御存じでしょう。きちっと土地なら土地ということを、これを購入したい、原価はこれぐらい、今これで購入したい、そしてこれは一年以内に新営するとか、そういうことで大蔵省、現在は財務省と折衝をして予算を付けてもらっているというのが役所のしきたりですけれども、どうもそんなこともやっていないみたいな、何なんだろうか、この話はということで、いずれ会計検査院にきちっと聞いてみたいと思いますけれども、大臣もやっぱり疑問を持たれて、こういうことはすぐ調べさせたでしょう。いかがなんですか、この問題は。
  79. 川口順子

    国務大臣川口順子君) この土地の問題、あるいはそのほかの会計検査院の御指摘については、これは会計検査院の御報告をいただいたときにきちんとその事実関係については調査をしたいというふうに思いますけれども、いずれにしても、土地の問題については、例えば建て替える、大使館を建て替えるというようなときに、土地をまず買う予算をいただいて、そして建物を建てる予算をいただけない状態になっていると、そういったこともあるようでございます。  いずれにしても、これはやはり会計検査院の御指摘についてはきちんと受け止めなければいけないと私は考えておりますので、それが明らかに最終的な形で私どものところに提示されたときに、外務省の政務層で話をきちんと聞いてみたいと思います。
  80. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 何か第三者がお答えしているみたいで、外務省の問題をやっているわけですよ。そうしたら、それが耳に入ったらすぐ担当者を呼んで、こういうことをNHKが報道していたと。会計検査院から聞いて答えるとか、そんな問題じゃないわけですから。自分のひざ元で起きている問題ですから、一体どうなっているんだと聞くのが当たり前だと思いますけれども、そう思わないんですか。いずれ会計検査院から報告があるだろうから、それを待ってと。  何か第三者みたいなふうに聞こえてしようがないんですけれども、どうでしょうか。
  81. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 第三者の問題として申し上げているつもりはなくて、したがいまして、政務層で、要するに私や副大臣や政務官でこの話についてはきちんと聞くということを申し上げているわけです。会計検査院の報告がきちんとなったところでというのは、やっぱり最終的に会計検査院の報告としてまとまった段階でそれを踏まえて聞くと、そういうことを申し上げていると、そういうことです。
  82. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 もうこれでこの件は終わりますけれども、電話一本ですぐ分かるんですよ。その問題になっている在外公館に、おまえのところの土地、これが今、購入してそのままほったらかしになっているという話なんか一体どうなっているんだと。電話十本も掛けりゃ全世界の問題皆分かるわけですからね。そういうことをやらずして、いずれ報告があるだろうからそのとき考えましょうと。無責任としか言いようがないと思うんですけれども、まあ結構です。  それから次に、防衛庁長官にお尋ねしますけれども、防衛庁もこれまた不祥事のオンパレード、総合商社か総合デパートか知りませんけれども、もう嫌になるぐらい事件が起きていますよね。  もうお調べになっていると思いますけれども、調達実施本部の本部長と副本部長が水増し請求を見逃してやって代わりにお金をもらったということで、三年ほど前に起訴されて、本部長の方は懲役三年と、それから副本部長の方は懲役六年の求刑で、近々判決があろうと思います。六年なんというのは、公務員の職務に関連する犯罪とすれば、もう驚くべき重さなんですよね。よほど悪いことをやったんだろうと。  しかし、その後も、例えば日本電気、NECの三百億近くの水増し請求、これをNECから返させたと。こんなことは返させればいいという問題でもないんで、やっておればすぐ分かるわけですよ。あそこで水増し許容、認めているなと分かるわけですから、全員が、うまいことやっているな、おれもやってみようかなんというふうな感じで、そういうことが庁内にびまんしているんじゃないかと。  それから、船舶修理の際の入札調整事件とか燃料談合事件とか、最後が、この前問題になりました情報開示請求者のリストを組織的にみんなでお互いに通知し合ったということなので、ああいう場合も、これはいかぬということを気が付いたら内部の者がまず取り上げて問題にして、お互い議論をしてやめようと。これが国を守る防衛庁の職員の考えだろうと思うんです。法律も守れない者に国を守る資格は私ないと思いますよ、いかな偉そうなこと言ってみましても。  まず地固めをする、自分の周りを固める、これが先決で、それから世界の情勢とか防衛問題とかの高い議論をしていく、これが当たり前の話で、それをさておいて、はてさてということ自身が大変おかしいと思う。  それから、現役の自衛官たちもなかなか負けていない。射撃事件というのがありましたね。あれ、一等陸佐か何かが友達が来たときに射撃場に連れていって自衛隊の銃を使って射撃をさせたとか、それから、これは研究所のやっぱり一等海佐か何かがロシアの大使館付き武官に情報提供をしてお金をもらったと。これは刑事事件にもなっておりますね。  その他、あれやこれやで、今まで防衛庁内部職員もそれから現場の自衛官も、恐らくこんなことは十年に一回あったって、みんなが、国民が大騒ぎをして一体何をやっているんだと、こういうふうな案件だろうと思いますが、そういうことじゃなしに、どうもだらだらだらだらと、一体いつになればこういうことが日本から一掃されるのかと、こう思わざるを得ないんですけれども。  やはり長官も、防衛庁に入られて、まず、こういう問題を、新聞その他でこんなふうにたくさん報道されているけれども、なぜこんなことが起きるのかと、どうやれば防げるのかと内部議論しているだろうからといって責任者を呼んで、長官もひざを交えて議論されたことだろうと思います。そのときの印象を簡単に話をしていただければ有り難いと思います。
  83. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 法も守れない者が国を守る資格はないという御指摘はそのとおりだろうと思っています。  ですから、本当に法の趣旨というのをどれぐらいきちんと理解をしているのということは私は大事なことなんだろうなというふうに実は思っていまして、そうでないと犯罪抑止機能働かないということはあるんだろう。やはり、自衛隊員たる者、私大臣になりましたときに総理大臣から国民の信頼回復に努めるようにと特に御指示をいただきました。法の趣旨をきちんと理解をしなきゃいかぬということと、国民が一番最後に頼りにする者は自衛官であるがゆえに、自衛隊員であるがゆえに、ですから自衛隊は最も信頼される組織でなければいけないということはもう度重ねて申しております。  ただ、そういう精神論みたいなことを言っても、これ、仕方がないことというか、本当の解決になるとは思っておりませんで、これは、犯罪というものが、それでは一体どのクラスの人たち、どの職種の人たち、どの犯罪が多いのかということをきちんと傾向を見て分析をしていかなければいかぬことだろうと思っております。ですから、平成二年をピークにいたしまして犯罪というものは減りつつあったのですが、最近また増えてきたと。これはなぜだろうかということをきちんと分析をして対策を立てると。もうたらたら、あんた方いかぬのだというふうな、しかってばっかりいたってこれは決して良くなるものではありません。だから、そこを、傾向と対策というのかな、そういうものをきちんとすることを私は今厳命をいたしておるところであります。それは、私が納得をしない限りはそれでいいという話にはならない。  そしてまたもう一つ、先生御案内のことですが、平時、平時のこういう実力組織にどうやって規律を保っていくかという問題はあるだろうと思っているんです。高い使命感と申しましても、本当、ずっと平時が五十何年続いてきているわけです。それじゃ、本当に私どもの社会においてどういうふうにして規律というのを高めていくか、あるいは片一方において誇りとか名誉とかそういうものをどうやって与えていくか。こういうふうに国民から信頼され、期待をされている、そういう自分たちがそんなことをやっちゃいかぬのだという面も私は一面においてあるのだろうというふうに思っています。  いずれにいたしましても、事今度について、先生御指摘のように、きちんとした答えを出したいということで今取り組んでおるところでございます。
  84. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 確かに、海上自衛官が覚せい剤を使ったとか、沖縄で婦女暴行をやったとか、最近の例ですよ、これ。それから、自衛艦の上で、艦船上で窃盗や放火が相次いだという報道もなされておりまして、現にこの面で逮捕されたり懲戒免になったりした者もいると。最後は、元自衛官が何かコンピューターシステムを、どうやって入手したのか分かりませんけれども、それでもって富士通を恐喝しようとしたということで、今、検挙されて司直の取調べにかかっていると。これだって現役がやったのと同じような問題ですから、決して放置できることではないわけで。  どうか、長官の厳格な姿勢でもって、目線でもって庁内全体を見渡して、やっぱりこれ、上に立つ者がしっかりしている、それが徐々に幹部に伝わって、幹部がまた長官を見習えということで部下たちを叱咤激励すると、分かったと。部下たちがまたそれに応じて頑張ると。そういうことが大切なんで、余計なことかもしれませんけれども。上に立つ者や幹部が日ごろ酒ばっかり飲んで遊び歩っている、当然、我々もやろうやと、こういうふうなムード。これが原因だとは決して言っていませんけれども、よくよく心して、この綱紀の粛正ということに取り組んでもらいたいと、こう思います。  それから今度は、拉致問題について一言、二言させてください。  クアラルンプールの国交回復の会議がどうも中途半端で終わっちゃって、得るものは余りなかったとしか思えないんですけれども、私、あの問題をずっと追い掛けておりまして、これは首脳会談を、九月十七日ですか、開いた際になぜもっともっと時間を掛けて、小泉総理が金正日氏としっかり議論をすべきだったと思うんですよ。たかだか二時間か三時間で事務当局のまとめた宣言書かなんかに共同サインしておしまいと、あとは事務に任せようやと。こんなことではらちが明かないのは当然なんです。  日本とアメリカの首脳会談ならば、基本的なことで合意をする、うん、これでいいと、じゃ、あとはもう事務に任せようと、これでいい。大体図られるわけです。日本北朝鮮、そんなことではないわけですよ。大体、北朝鮮はすべてが上御一人が決めているわけですから、一番偉い人がね。彼が、意向を聞かないで、下の方が何をも決めかねているわけですよ。今の問題は皆そうでしょう。大変おかしいとしか思いようがないんです。  やはり、小泉氏が、せっかくの機会ですから金正日氏と、まあせめて一日、ぜいたくを言えば丸二日ぐらいはいろんな問題について話し合うと。核の問題だってアメリカから情報提供を受けていたんでしょう。それについてどれだけ話し合ったのか。我々には何も知らされていません。ほとんど話し合っていないんじゃないですか。  それから、生存者が五名ぐらいいますよと言われたら、すぐ我が国の総理大臣は、それは近いうちに帰してくださいよと、あなた方拉致していったんだから、それを認めた以上はすぐ帰してくださいと、当たり前のことなんです。その際、家族も多分いると思います。その子供たちをどうするのか。考えておられると思うけれども、本人だけ帰して子供は帰さないと、そんなことは許されるわけはないんですからと言って話し合えば、案外にあの金正日という人は分からず屋ではなさそうですよ。今度も、金も欲しいけれども、とにかく拉致した事実は事実なんだから認めようやということで認めたわけでしょう。  なぜそういう議論をしっかりやらないのか。彼とは会う機会なんてまずないわけですから、世界じゅうのリーダーでも彼と会ったのは中国とロシアと韓国だけでしょう。本当に何とも言えぬ、絶好のチャンスだったわけですから、十時間でも二十時間でもしっかりと見据えて議論をして、問題を解決しておくべきではなかったのかと。そうでないと、下の連中は何も解決する能力を持っていませんから。そういえば、おれのおやじも日本人に拉致されたとかなんとか、余計な関係ないことを言ったりして何か問題を紛糾させているようなこともあるわけで、できたらもう一回、どうでしょうか、首脳会談を提案して開いて、そして今の問題、それから死亡者とされた人たちの問題もあるでしょう。本当に死んだんだろうかと、それならあの死亡診断書が本当にインチキ臭いのは一体何なんだろうかと。あれ、事務レベルで今までもう十回、二十回やっているでしょう。何の進展もないまま九月十七日の首脳会談までもつれ込んできたわけですから、あの段階できちっとやはり、私、話をしておくべきだったと、こう思います。  それともう一つは、クアラルンプールでのあの会議に、あれ、私は当然のこととして、政治家である副大臣代表として加わって話を、政治的な発想からいろんなことをやるんだろうと思っておったら、相変わらず事務当局が行って、どこかの大使か何かが代表となって行って、そうしてうやむやのうちに終わってしまっている。矢野大臣代表になればよかったと私思っているんですよ。そして、多少大きい声を上げましてきちっと問題を協議をすると、そういう考えはなかったんでしょうかね。その辺のところをちょっと教えてください。
  85. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 一つの交渉の始めから終わりまでの過程をどのようにとらえるか、どこの段階でどういう人が出ていって何をするかということについては、いろいろな考え方はあると思いますけれども、今回の総理の訪朝の目的というのは、正に局面を打開をして国交正常化の再開をすることが適切かどうかということの判断にいらしたということでございます。  そして、いらして、金正日総書記と話をした結果、先方は、例えば委員がおっしゃった拉致の問題については謝罪をするという、いろいろな細かいことは申しませんが、ございまして、そして再開をするということを総理が総括的に考えられて、全体として考えられて決定をなさった。それが今回の総理の訪朝の目的であって、その段階で全部のディテールまで全部交渉ができるようなことに交渉というのは通常ならない、それが目的ではないということです。そして、その再開の決定を得て、大使レベルでいろいろな細かい問題がたくさんあるわけですから、そういうことを相手方の大使と一緒に話を始めたというのがクアラルンプールでの交渉であったわけです。  我々が拉致の問題について求めていたこと、それは、北朝鮮に残された拉致の被害者の家族の人たちが、子供たちが帰ってくることについての進展が見られなかったことは本当に残念だったと、私は残念ですけれども、これは交渉の第一回目でございまして、今後引き続き、我々が求めていることについては強く先方に要求をしていくということであると思います。  それから、さっき拉致のことについて、今回総理がいらっしゃったときに先方は謝罪をしたということでございますし、処罰、そして再びこのようなことが起こらないように適切な措置を取るということを言い、また家族との面会及び帰国への便宜を保障すると、そういうことは言っているわけでございまして、今、正にそれに基づいてディテールといいますか、細部を話をしている、そういう段階にあるわけです。  それから、副大臣、政務官が代表として行っていただくというお話について、今、正に大使のレベルで細かい詰めの段階の交渉をやっているわけですけれども、将来的にもう少しその局面の違う状況になったときに、矢野大臣に行っていただいて大きな声でやっていただくという局面も十分にあり得ると私は思います。
  86. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 矢野大臣、頑張ってくださいよ、その際は。
  87. 矢野哲朗

    ○副大臣矢野哲朗君) はい。
  88. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 それはそれとして、もろもろの細かいことはそちらの方に下ろしたという言い方、決して細かくないでしょう。拉致された者が帰国してくる、それで自由な自分の意思で自由に向こうと往復をする、その家族をどうするんだと、これだけでもう大変な問題になっている。決して細かくないですよ。何か認識が違うんじゃないでしょうか。  先ほども言いましたでしょう。アメリカやイギリスと交渉するんじゃないんだと。アメリカやイギリスと首脳会談をするときは、本当に大ざっぱな枠を決めて、あとはもう下に下ろせばそれで話は通ずるわけですけれども、特別な国ですからね。しかも初めてやる。今まで事務折衝でいろいろやっているけれども、拉致なんかやっていないと言って怒ったふりをして席をけ立てて帰ったとか、いろいろあるでしょう。それが金正日氏が一言言ったら、みんな拉致問題は認めて、さあどうしましょうかと。  多分、その帰国を保障するなんということはまだ指示が下りていなかったんでしょう。それで、どうしていいか分からないから、一回帰したやつはすぐこちらに帰すようにしろと、約束違反じゃないかとか、そんなことも言い出しているわけですからね。やっぱりあの段階で、総理、多少の時間を割いてもろもろの細かいことまで話し合うべきだったと。話し合えば必ず分かる男だと私は思っていますよ、あの金正日というのは。男と言っちゃ失礼かどうか分かりませんけれども、何でもいいですけれども。  そういう感覚でもう少し真剣に日朝交渉を取り組んでください。お願いします。国民が今本当に関心を持って見守っているわけですから、そして、やっぱり口々に何をやっているんだと、かわいそうなことだよなというのが国民の偽らざる感想だと思いますからね。よろしくお願いします。  最後に、時間が余りなくなりましたけれども、別に慌てるわけじゃないんですけれども、イラク問題をちょっと取り上げてみたいと思います。  先ほどもいろいろ議論されておりますので、付け加えることもありませんけれども、私、歴史を踏まえての話になりますけれども、アメリカ人というのは、自分たちが正義だと、それを実現するために力を行使する、これは当然のことだと、西部劇以来、そう考えている民族であるわけです。  分かりやすい例を挙げますと、太平洋戦争末期に広島、長崎に原爆を落としたでしょう。そして、非戦闘員、一般人が二十何万人も死んでしまう、殺されたわけですよ。あれは、アメリカに言わせれば正義の実現なんですよ。早く、一日も早くこんな戦争をやめにしようと。そのためにはどうすればいいかと。日本政府は当時中立だったソ連を介してアメリカに和睦の折衝でも始めようか、あるいは始めたとも言われていますけれども、そんなものは手間暇掛かってしようがないと。早く、一日も早く戦争を終わらせようと。沖縄でアメリカの兵士が二万人も死んだんですからね。とてもこんなことをもう二度と繰り返せないと。どうすればいいか。ああ、原爆使え使え、相手はどうせ東洋の野蛮人だと。そんな発想で使われたんですね。そして、彼らの考える正義が実現して世界に平和が来たと、こういうこと。  それからもう一つイラクの問題で、今、アメリカのさる有力者の言として、日本占領のことを、参考になるんだと、こう談話が大きく新聞にも出ておりまして、ごらんになったでしょう。日本を占領をして、占領軍が統治をして、そうして新憲法を作って、日本の政治体制を軍国主義から民主主義に切り替えたわけです。あれが参考になると、そうだと。  幾らイラク大量破壊兵器を処分したとしても、フセインが大統領である限り、またスーダンに攻め入ったりなんなりするに違いないと。あの政治体制を一日も早く変更する必要があるんだ、それが今回のイラク問題の根幹だと。そして、何か二十五万人の軍隊を用意して、もうあらゆる、大量破壊兵器は別かもしれませんけれども、イギリスの協力を得る、そのうち日本も参加してくれるだろうと。イラクに攻め入って、占領をして、占領統治下で日本にやったようにイラクの政治体制を変更しようと。それがどうも真剣に考えているみたいですよ、アメリカ人は。それが彼らにとっては正義の実現なんですよ。ですから、そのときどうしよう、こうしようなんて言ってみたって、もう大体決まっているんじゃないですか……
  89. 松村龍二

    委員長松村龍二君) 佐藤君、質疑時間が超過しておりますので、御意見は簡潔におまとめくださいますか。
  90. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 間もなくそういうことがあろうかと思います。  以上で終わります。いや、もうやめますから。
  91. 高野博師

    ○高野博師君 まず外務大臣に、最初に対EU外交について所見をお伺いしたいと思います。  大臣の所信のあいさつの中にEUという言葉一つも書かれておりませんで、私は、日本外交の中に対EU外交というのが非常に弱いというか薄いというか、あるいは欠落しているのかなと。この辺はどういう御認識でしょうか。
  92. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 確かに、先般私が申し上げたごあいさつの中にはEUについての言及はなかったということでございますけれども、これは、先般のごあいさつを極力、今、国際社会で緊急な対応を必要としている問題を中心に行いましたのでEUについては触れなかったということですけれども、EUとの外交が重要でないということは全くございませんで、現に例えば私は、イラクの問題にしてもあるいはほかの問題にしても、EUの私のカウンターパートとは電話をかなりしていますし、それから日本EUの二国間、二国間というのも変ですけれども、その二つの関係を取りましても、例えば日欧協力の十年ということを昨年EUとの間で開始をしております。それから、昨年の十二月には行動計画というものも発表いたしておりまして、日本にとってEU国際社会日本外交をやっていくときの重要なパートナーであるということは全くそのとおりであると私は考えております。
  93. 高野博師

    ○高野博師君 言葉は非常にいいんですが、そのとおりだと思いますが、私はもっとダイナミックにやる必要があるんではないかというふうに思っておりまして、日米関係、これが日本外交の基軸だと言うんですが、基軸以外に余りないんじゃないかという私は印象を持っていまして、EUについては、今十五か国で人口三億七千万、二〇〇四年にはあと十か国加わって五億を超えるという、そして共通の通貨を持っていると。ユナイテッド・ステーツ・オブ・ヨーロッパという、そういう考え方もあるし、EU憲法草案というようなことももう出されているわけですが、このEUが何よりも成熟した民主主義、あるいは政治、外交の歴史的な経験も豊富であるし、欧州防衛構想という考え方もある、あるいは顔の見える市場原理という、こういうことも言っているわけですが、アメリカの圧倒的な軍事力あるいは経済力を背景にした一国主義に対しても、良い意味で抑制とバランスを取ろうとしているんではないかと思います。  歴史的に見ると、我が国というのはヨーロッパとの関係はもっと深かったんではないか、今よりもはるかに日本外交というのはグローバルでダイナミックではなかったかなという印象を持っていまして、日英同盟なんというのもありましたし、あるいは日独伊三国同盟、これはいいか悪いかは別にして、非常にこういうダイナミックな外交をやっていたと。  したがって、もっと総合的な外交ということであればもっともっと強化して、対米関係も、EUとの関係の中で意見を調整しながら、あるいは意見を交換しながら対米関係というのをやっていくともっと日本というのは外交の幅が広がるんではないかなというふうに思っておりまして、そういう意味で、もっとEU外交に力を入れていただきたいというふうに思っております。  大体、大臣の考えは分かりましたので、特にコメントがあれば。じゃ、副大臣どうぞ。
  94. 矢野哲朗

    ○副大臣矢野哲朗君) 昨日、昨年の日欧協力の十年を開始したということで、第二回目の会議を東京で開催をさせていただいて、参加者二百名ぐらいいらっしゃいましたか、かなり活発な意見が出られたと聞いておりました。  しかしながら、私も冒頭、基調講演をさせていただいて、残念ながら、国会の運営上、そのままその会場を去らざるを得ないというような状況でもありました。ですから、そういった意味では、大変重要な会議にもかかわらず、なかなかその会議出席できかねるというような状況が一部あることも御認識いただきたいんです。  なおかつ申し添えるならば、先週の七日、八日、やはり同じような形で、創造的パートナーシップのための日豪会議日本と豪州の会議を開催させていただきました。これまた大変関心を呼んだことでありまして、広中先生も午後の部に御出席をいただいたというような経緯もあったようでもあります。先方からは、ダウナー、豪州の外務大臣出席されて基調講演をされました。我が方は、残念ながら、国会運営上、川口大臣は欠席、私が代理ということで、その会議の位置付けたるや、残念ながら、私が代理という立場でそこまでの位置付けが明確になったかどうかというと、非常に私自身も疑問を持ちました。  できますならば、私は、国会開会中とはいえ、せっかく東京で行われる国際会議、しかも豪州からは外務大臣出席される、できますればパートナーとして川口大臣がそこに出席をされて、しっかりとした会議の位置付けを明確にするというふうなことが必要だと思うんであります。  是非とも、そういったことで、今後、そういうような会議が多々開催される予定でありまして、当委員会においてもそういうふうな対応について前広な対応を是非ともお願いしたいなと、あえて申し添えさせていただきたいと存じます。
  95. 高野博師

    ○高野博師君 よく分かりましたが、私の頭の中にオーストラリアは全くありませんでしたが、ありがとうございました。  イラクの問題について、同僚議員が同じような質問をされているので私は割愛したいと思いますが、イラクに対する強固なアメリカの姿勢というその本当のねらい、目的というのはどこにあるのか、背景はどこにあるのか、その辺について外務大臣の考えをお伺いしたいと思います。
  96. 川口順子

    国務大臣川口順子君) イラクの問題について重要なことは、大量破壊兵器に対して国際社会としてどう対応するか。これがアメリカも含み日本も含む国際社会の問題意識、目的であるということでございます。それだけではなくて、イラクは今までの国連決議違反をしているということがあるわけでございまして、違反をしているということ自体、今回の一四四一の決議でも国際社会によって決定をされているということでございます。含まれたほかの、例えば少数民族の問題ですとか、そういった問題についてもイラクがきちんと対応するということが重要であると考えています。
  97. 高野博師

    ○高野博師君 そこはみんな共通の認識を持っていると思うんですが、本当の目的というのは大量破壊兵器云々じゃなくて、やっぱりアメリカにとっては、イスラエルの安全保障あるいは石油資源を安定的に確保するとか、あるいはアメリカ的な世界秩序の確立、そういうものにあるんじゃないかと。例えば、自由とか民主とか人権とか、あるいはそういうアメリカ的な価値観、そういう秩序を打ち立てたいというのがその背景に僕はあるんではないかと思うんですが、それを圧倒的な軍事力と経済力を背景にこういう戦略を推し進めるというのが国際社会の平和と安定にとって果たして適当かどうかというのは私は若干疑問を持っております。  イラクの攻撃について、恐らくやるんだろうと思いますが、そもそも国連決議があろうがなかろうが、アメリカは自分の国益を守るためには単独で武力攻撃も辞さないというのは、これはもう国の方針としてあるわけですから、したがって、国際社会の反発があるかどうかは別にしまして、したがって私はかなりの確率で攻撃をしていくだろうと。攻撃の計画ももうできているわけですが。イラク攻撃は二週間とかあるいは一か月ぐらいで早期に終結するだろうと当事者は予測しているようでありますが、万一これが長期化した場合に、これは大変いろんな問題が起きてくるんではないか。特に、民間人の死傷者が出てくるとか、こういう状態になると国際世論も変化してくるんではないか。そして、金融経済問題あるいはテロが多発するとか、石油エネルギーの問題あるいはイスラム圏の反発といろんな問題が出てくるおそれがあると。  私がある要人とお話をしたときに、イラク攻撃をすればこれはパンドラの箱を開けたことになるぞというような見方をしておりました。私はそうではないかと思うんですが、その辺について大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  98. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これは戦争にかかわる話でございますので、私ではなくて石破大臣にお答えをいただいた方がよろしいんではないかと思いますが、いずれにしても米国が今の時点でイラクに対して攻撃をするということを決めたということは全くないということでございます。したがいまして、それを前提にしてお答えをするということは差し控えさせていただきたいと思います。
  99. 高野博師

    ○高野博師君 今の現時点以外は、もうすべて仮定なんですね。これはもう、仮定の問題についてどう対応するかというのが政治の使命なわけで、これはそういうことについて意見をやっぱり述べないと全く議論にならないと思いますね。正にもう、仮定の問題はお答えできませんなんと言ったら、もうこれは議論に全くならない、成り立たないと思うんですが。  そこで、今度は防衛庁長官にお伺いしたいと思いますが、万一イラクの攻撃が行われた場合には、東アジアにおける軍事的な空白とはいかないまでも手薄になるだろうと。そういう状況の中で、アメリカは去年の防衛戦略見直しの中で二正面作戦は取らないということを認めたわけですが、そういうことになると、そのタイミングにもよりますが、北朝鮮が相当追い詰められ、日朝交渉もうまくいかない、食糧、エネルギーの不足も極限状況になっているとか、いろんな問題があったときに、得意の瀬戸際外交で何らかの軍事的な行動に出ることがあるんではないか、あるいは核実験をやるとかミサイルの発射とかというようなことも起こり得るんではないか。  これまた仮定の問題でありますが、これは是非、石破長官にはその辺の軍事状況についてどう見ておられるのか、お伺いしたいと思います。
  100. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 恐縮ですが、アメリカがイラクを攻撃するということは全く決まっておりませんので、そのことを想定して物事を申し上げることはお許しをいただきたい。  ただ、一般論として申し上げましたときに、昨年の十月一日に議会に提出されたQDRは何を言っているかというと、こういうことを言っているわけですね。生起する二つの大規模戦域戦争のうち一つで決定的に敵を打破するということを言っている。これを二正面作戦を取らないというふうに理解をするかどうかということですが、併せてこのQDRの中で言われているのは、同時に二つの大規模戦域戦争で迅速に侵攻を打破するということも言っている、直訳調で恐縮ですが、そういうことを言っているわけですね。そうしますと、これがどことどこということではありませんが、地球上の中の二つの地域でそういうことがあったとしてもその能力は維持するということがQDRでもキープされているのだろうと私は思っています。  しかしながら、ある地域に力の空白が生ずる、そこから、それでは乾坤一てきやってみようかという誘惑、そういうものを誘発するような、そういうようなことがあると誤ったメッセージを送ることになるだろうというふうには思っています。これが、地域がどこどこという特定ではなくて、すべからくそういうものなのであろうと。それはもうメッセージの問題であり、どういうふうにその兵力を配備するかということですが、間違ってもそういうような誘惑を引き起こすような行動というものは取るべきではないし、そのことについて我が国とアメリカというのは当然連携を取っていく、意見交換をしていく。特定の地域を念頭に申し上げているわけではございませんが、そういうことは申し上げられるだろうと思います。
  101. 高野博師

    ○高野博師君 イラクの核開発というのは疑惑の段階でありますが、恐らく持っているだろうと私は思いますが、北朝鮮というのはもう明らかに核開発をやっていましたと、こう言っているわけですが、イラクよりは北の方がはるかに脅威は大きいわけですが。  これも何年か前に私もここで取り上げたことがあるんですが、北朝鮮の核・ミサイル開発というのは、冷戦の崩壊後、旧ソ連の科学者、技術者が相当入ってきた、そしてこの開発協力したと、こう言われている。したがって、相当質の高い核、そしてミサイル両方とも持っているんではないかと、そう思われますが、中国からも技術が入っていると、これはもうここで昔取り上げました。テポドン二号というのは中国の射程距離六千キロある東風三号の技術だと、こういうことも言われておりますし、それから既に射程距離一万一千のテポドン三号も完成しているかもしれないと、そういうことも言われておりますが。  そこで、ケリー国務次官補が北朝鮮の姜第一外務次官に核開発の動かぬ証拠を突き付けたと、こう言われているんですが、その突き付けた証拠の中身については日本政府説明を受けているんでしょうか。
  102. 田中均

    政府参考人田中均君) ケリー国務次官補がピョンヤンを訪問して、その後、日本にも訪日をいたしまして、種々の説明を受けております。特に、ケリー次官補が行った際には、正に大量破壊兵器、ミサイル、通常兵器、人権問題、人道状況、相当広範な課題について北朝鮮側に懸念を伝えたということでございます。  お尋ねの点につきましては、核開発のための濃縮ウランプログラムということでございまして、これについて米国側が問題提起をして北朝鮮側がこの存在を認めたということでございます。それで、具体的な情報の内容につきましては、当然のことながら日本米国の間で種々の情報交換をいたしておりますけれども、インテリジェンスの情報という性格上、その内容についてお話を申し上げるのは差し控えさせていただきたいと、かように考えるわけでございます。
  103. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、北朝鮮イラク関係なんですが、これも前からいろんな情報がありまして、北朝鮮のミサイルがパキスタンに行っている、またパキスタンを通じてイラクにも輸出されている、密輸されている可能性もある、そういうことも言われておりますし、よど号事件の犯人あるいは日本赤軍、これも北との関係があり、中東にも相当浸透している、拉致事件等も起こしていると。こういうことを考えますと、北朝鮮イラクとのある意味での連携というのも可能性としては排除できないんではないかと思うんですが、その辺はどういう見方をされていますか。
  104. 田中均

    政府参考人田中均君) これは米国日本もそうでございますけれども、北朝鮮のミサイル技術の拡散ということに対しては、私ども相当深刻な認識を持っているわけでございます。  従来、米朝の間でミサイル協議というのを行われていまして、その中で、少なくとも北朝鮮側がそういうミサイルの技術を輸出をするということを止めようということでございましたけれども、その後、政権も交代をし、現在のところ状況が変わっていないということでございます。  委員が御指摘になったような種々の情報というのは、一般論として申し上げればいろんな情報はございますが、確認されている情報ということではございません。  私どもとしても、日朝の正常化交渉あるいは安保、安全保障協議の中でミサイルの問題は取り上げてまいりたいと、かように考えているわけでございます。
  105. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、万一にイラクの攻撃が行われた場合には日本支援はどうするのかという点ですが、攻撃が行われないにしてもテロ特措法はこれは延期をすると。そして、イラクに備えてアメリカがアフガンからかなりイラクの方に重点を移してくるといったときに、そのアフガンに対応する、それに代わって、米軍に代わって日本対応するということが求められていると思うんですが、アフガンに対しては、このテロ特措法に基づいて日本がやった協力は、お金にしたらもう既に百四十九億円を超えているという状況でありますが、余りここのところも国民にも認識されていないんではないかと思うんですが。このイラクの問題について、憲法の範囲内で日本はできるだけのことをやると、これはもう当然だと思うんですが、その中に、海上自衛隊の派遣等については、防衛庁、どういうお考えでしょうか。
  106. 赤城徳彦

    ○副長官(赤城徳彦君) 度々のお尋ねで、アメリカがイラクを攻撃した場合の対応と、こういうことでございましたが、先ほども外務大臣また防衛庁長官からお答えしましたように、現時点でアメリカは外交努力を行っているというところでございますので、イラクに対する軍事行動を決定していないと。こういう状況で、イラクに対して軍事攻撃を取ることを予断した質問に対してお答えするというのは適当ではないかと思います。  一般論として申し上げますと、テロ特措法に基づいてどういう行動ができるのか、支援ができるのかということにつきましては、同法の趣旨、昨年九月十一日のテロ攻撃によってもたらされた脅威の除去に努めることにより国連憲章の目的の達成に寄与する諸外国の軍隊等の活動を支援するためのものと、こういう趣旨に照らして、具体的な状況を勘案しながら我が国として主体的に判断していくと、こういうことになろうかと思います。
  107. 高野博師

    ○高野博師君 全く面白くない答弁でありますが、それでは、イラクに対して外交的な圧力を掛けるといった場合、日本は何か玉を持っているんでしょうか。どうでしょうか、外務大臣
  108. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 日本は、外交的にイラクに対して今まで働き掛けているわけです。それをずっと働き掛け続ける。つい最近も、新藤政務官や安藤中東局長から働き掛けたということをやっておりますし、それから、イラク外務省の職員が行く場合に、イラク政府との間でもそういうことをやっているということです。  その圧力を効果あらしめるためにどういう玉が必要かということは、これは日本イラクとはずっと今までいろいろな関係があるわけでございまして、そういった日本イラク関係の中において日本としては外交努力を続けるということであると思います。
  109. 高野博師

    ○高野博師君 時間がないのでやめますが、経済協力の方も今ストップしているということもあり、石油も輸入していないと。要するに、圧力を掛ける手段というか、余り持っていないと思うんですね。言い続けるのは結構ですが、それだけで果たして効くのかというと、ほとんど効かないんじゃないか。もっと側面的にいろんなやり方がないのかどうかなと、その辺聞きたかったんですが、時間ですからもう結構です。  最後に、北朝鮮の問題の、脱北者の件について、これは余り触れたくはないんですが、新聞にも報道されていますので、脱北者の中に日本人が含まれている、それが日本に帰ってきていると、その辺については、報道では政治問題云々と、こう言っていますが、政治問題以前に私は人道的な問題だということだと思いまして、政府は公表しないという判断は私は正しいと思います。  そこで、問題は、日本に帰ってきて、北朝鮮でも悲惨な生活をしてきたんですが、日本でもまた生活に苦しんでいるという現状があると聞いておりますが、この辺について、例えば、実際には六千何百人もいるわけですが、その実態について余りよく分かっていないと。九五年、六年には百万とか二百万とか餓死者が出たと。そういう餓死者の中に日本人は入っていないのかどうか。そういう情報もなかなかつかめていないと思いますが、これはもう是非、どういう状況になっているのかというのは国交正常化の交渉の中できちんと実態調査を主張していただきたいのと、中国残留孤児と同じように、この北朝鮮にいる日本人の帰国の問題については手厚い対応をするべきではないかと思いますし、帰ってからの生活支援体制、生活保護、こういうこともきちんと検討しておくべきだと思うんですが、大臣はいかがお考えでしょうか。
  110. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 北朝鮮にいる日本人の配偶者の問題については、これは既に北朝鮮側に対してはこの問題について提起をしておりますし、今後ともこれはやり続けるつもりです。  それから、帰ってきた、仮に大勢の日本人配偶者が日本に帰ってくるというようなことがあったとして、その場合の扱いですけれども、これは政府全体として考えるべき話でありますけれども、その段階では、当然に政府として適切に対応をしていく必要があると私は思います。
  111. 高野博師

    ○高野博師君 終わります。
  112. 小泉親司

    ○小泉親司君 引き続き、イラクの問題について質問をさせていただきたいと思います。  繰り返しになりますが、八日に国連の安保理イラクに対して大量破壊兵器の査察の受入れの決議を行いました。私たちは、イラクは、この大量破壊兵器の査察を受け入れて、国際社会の疑惑を晴らすべきだというふうに思います。同時に、この大量破壊兵器、核兵器、化学兵器、生物兵器の拡散問題は、私は軍事攻撃、つまり戦争の手段において解決するという方向ではなくて、平和的に解決されるべきだというふうに思います。  そこで、昨日の衆議院の事態特別委員会でも、福田官房長官は、今回の国連決議は、アメリカの、ないしはアメリカを始めとする国々の自動的な武力行使を排除しているというふうなことを官房長官の認識として答弁をされております。私も、ここに中国とフランスとロシアの共同声明を持ってきておりますが、この共同声明でも、国連安保理によって採決された一四四一決議は、武力行使に対するいかなる自動性も排除しているということを明確にしております。  その点で、私は、外務大臣にお尋ねしたいのは、この福田官房長官答弁された今回の国連決議は自動的な武力行使を排除していると、この点は外務大臣も同様の見解なのか、まずお尋ねしたいと思います。
  113. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 私、昨日、日本にいなくて、官房長官が具体的に何をおっしゃったかということについて把握はしておりませんけれども、今度の一四四一について言いますと、この後で、採択後、投票理由説明において、アメリカ代表は、この決議一四四一には武力行使に関する隠された引き金も自動性も含まれていないと、そういうふうに述べていると承知しています。
  114. 小泉親司

    ○小泉親司君 要するに、外務大臣としても今回の決議は自動的な武力行使を排除しているというふうに答えられたというふうに考えますが、これは日本政府全体の認識がそういうことなんですか。
  115. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 決議自体が言っていることは、今後イラクによる同国の諸義務に関する更なる重大な違反がある場合には、すべての関連する安保理決議の完全な履行必要性を審議するため安保理は即時招集されると、そういうことが書かれているわけです。
  116. 小泉親司

    ○小泉親司君 私がお聞きしているのは、防衛庁長官は昨日の事態特の、官房長官のお隣におられたから、官房長官がそのように答弁されたことは防衛庁長官の、お隣に聞いていただけりゃ分かることでありますので、官房長官外務大臣も今回の決議は自動的な武力行使については排除しているんだというふうにおっしゃるのであれば、当然政府全体の認識というふうには受け取れないということなんですか。日本政府立場なんですか、それは。
  117. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これは、安保理決議の解釈ということをお聞きになっていらっしゃるわけですけれども、安保理決議の解釈自体を、これを有権的にできるというのは安保理ということでありまして、日本政府として安保理に代わってこれを解釈するということはできないということをまず申し上げたいと思いますが、この安保理決議において言っていることは、イラクが更なる重大な違反をした場合に安保理は即時に招集をされるということが書いている。それで、アメリカ代表はその後で、この決議には武力行使に関する隠された引き金も自動性も含まれていないと、そういうことを言っていると、そういうことを申し上げているわけです。
  118. 小泉親司

    ○小泉親司君 この決議がありますが、この決議が採決をされた後でも、アメリカ政府は、イラクが応じない場合については直ちに武力行使に打って出ると、新たな決議がなくても攻撃するということを明言をしている。特に、外務省の資料でも、いただいた資料によりますと、ブッシュ大統領は八日の演説でも、アメリカは重大な違反について安保理議論することについては合意したが、自国の防衛のための行動を取る自由に対しての制約を受け入れてはいないんだというふうに言っております。パウエル国務長官も昨日のCNNのインタビューで、若干の時差はありますが、昨日のCNNのインタビューで、イラク決議に従わない場合は米国はすべての手段を使える権限を国連に求めるが、国連が渋るようであれば米国は同じ考えに立つ国と一緒に力ずくでフセインを武装解除するというふうに言っております。  このようなアメリカの見解というのは国連決議立場とは相入れないものだというふうに思いますが、外務大臣はどのような認識をお持ちでございますか。
  119. 川口順子

    国務大臣川口順子君) アメリカの代表の発言として、これはもしイラクが、イラクの更なる違反がUNMOVICやIAEAやあるいは安保理の理事国によって報告をされる場合には、本件は安保理において再び審議をされることになるという発言を行っています。そして、さらにアメリカ代表は、この投票理由説明においてですけれども、安保理イラクによる更なる違反という事態に断固たる対応が取れない場合には、この決議はいかなる加盟国イラク脅威から身を守ること、又は関連安保理決議履行を確保することを妨げるものではないと発言をしているということでございます。
  120. 小泉親司

    ○小泉親司君 いや、私が言っているのは、外務省からいただいた十一月十一日の中東二課がまとめられた安保理決議一四四一採択に関する主要国の反応の中に、アメリカの八日のブッシュ大統領の発言として、先ほど読み上げたように、安保理議論することについては合意しているけれども、自国防衛のための行動を取る自由に対する制約は受け入れていないと。つまり、安保理議論するけれども、実際にアメリカが単独で起こす行動については今度の国連決議では制約を受けないんだということを、アメリカの代表じゃなくてブッシュ大統領自身が明確に言っているというふうにこれ資料で言っているわけで、その点については、これは国連決議と見解が違うでしょう、国連決議立場と違うだろうという点について私はお聞きしているんです。
  121. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 先ほど申しましたように、安保理決議自体を解釈するというのは安保理であって、日本が有権的にこれができるわけではないということが一つです。それから、先ほど来申し上げていますように、米国が今イラクに対して武力の行使をするということは何ら決めていないということであるということでございますので、それを前提にしてはお答えができないということですけれども、米国自身は、先ほど私が米国代表の発言として御紹介をしましたけれども、ブッシュ大統領が言ったというお話は正にそれと同じ、軌道を一にした話であると私は理解をしています。
  122. 小泉親司

    ○小泉親司君 一昨日にはカード大統領補佐官が、国連は集まって議論することはできるが米国は国連の許可を必要としないと、新たな行動に対しては必要としないと、こういうふうなことを繰り返しアメリカが言っているということは、やはり何が何でも国連決議による平和的な解決という立場よりは軍事攻撃、戦争によって解決しようとしていると、こういう点については、私たちはアメリカのこうした見解はやはり国連決議立場でないと。その点をなぜ外務大臣が言えないのか。  これは、別に安保理決議の有権解釈の問題について議論しているわけじゃなくて、アメリカが、国連決議を採択した後についても国連には従わない場合も存在するんだというふうなことを言っているという問題について、外務大臣はどういうふうに考えるのかということをお聞きしているんです。
  123. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 米国が言っていることは米国が言っていることであるわけでございます。どういう状況が、まずは安保理決議によって今、国際社会が確保しようとしていることは、イラクが今までの決議あるいは今度の一四四一に従うということでございまして、それが一番大事なことであろうと思います。それの後どういうような状況が生じるかというのは、正にこれは仮定の話であって、具体的に何があるかということは今の時点ではそこは分からないことでありますし、とにかくイラク決議に従うということをやれば問題は解決をすると、そういうことだと思います。
  124. 小泉親司

    ○小泉親司君 私が繰り返し言っているのは、アメリカが、国連決議が採択された後においても国連決議にとらわれないで行動することができるんだよということを、大統領や大統領補佐官やアメリカの政府高官が次々と言っているという問題については、これは明らかにアメリカの勝手過ぎる行動であると、こういうふうに私は思いますが、その点、外務大臣はそうは思わないんですか。
  125. 海老原紳

    政府参考人海老原紳君) 私の方から一つ事実関係を補足させていただきたいと思いますけれども、今、小泉委員がおっしゃいました八日のブッシュ大統領の演説でございますけれども、米国が判断するのはイラク安保理決議に従っているか否かの一点であるということを言っておりますし、また、米国イラクがすべての安保理決議に従うことを期待するというふうにはっきり述べておりまして、この安保理決議に基づきまして平和的にこの問題が解決されるということを望むという姿勢が非常に明らかになっているわけでございます。確かに、委員がおっしゃるようなくだりもございますけれども、これは一般的に、この安保理決議イラクに守らせるということについての米国政府としての強い決意というものを強調したものというふうに受け止めております。
  126. 小泉親司

    ○小泉親司君 私の言っていることを、国連の許可は要らないで勝手にやれるというふうなことをアメリカ高官が言っているということについては今、北米局長がお認めになりましたので、そのことについて外務大臣は、これは余りにもアメリカの勝手過ぎる行動だというふうに私は思いますが、外務大臣はどうなんですか。いや、外務大臣。今、事実関係だけはお聞きしましたので。外務大臣、どうですか。
  127. 海老原紳

    政府参考人海老原紳君) ちょっと私から。
  128. 小泉親司

    ○小泉親司君 時間がないのでね。
  129. 松村龍二

    委員長松村龍二君) それじゃ事実関係だけ。
  130. 海老原紳

    政府参考人海老原紳君) 申し訳ありませんが、一言だけ。私が言ったことについてだけ正確に言わせていただきますと、私は、米国政府関係者が、この安保理決議を離れて勝手な行動をすることを認めているということを述べたことではございませんで、むしろ、ブッシュの演説に典型的に現れているように、アメリカ政府としては、むしろこの安保理決議に沿った形で問題が解決されるということを非常に強調していることでございます、ということを申し上げたわけでございまして、この安保理決議に離れた形で勝手な行動を取るというようなことはアメリカ自身も言っておりませんし、そのようなことを予断する何の発言もないというふうに思っております。
  131. 小泉親司

    ○小泉親司君 私は、ブッシュ大統領の演説、それからカード大統領補佐官の演説、それからパウエル国務長官の演説、この点については、自動的な武力行使については今度の国連決議には配慮しているということは認めながら、今度の決議については実際にはとらわれないでアメリカが行動できる自由は存在しているんだと言っているわけだから、これは、国連決議が採択された後についてもアメリカ政府はそういうことを言っているということは、この点については明確なんです。その点についてあなたはお認めになったんだから、先ほどの答弁で。  だから、その点、私は外務大臣に、これは明らかに、アメリカ政府としては、大変国連決議に従わない無法な点だということを私はアメリカ政府指摘すべきだと思いますが、その点、外務大臣、どうですか。
  132. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 繰り返しになりますけれども、アメリカは武力行使をするということは何ら決めてないですね。そればかりでなく、米国は、今度の決議をやるに当たって中心となって、もう大変な多くの時間を使って国連の決議の成立にこぎ着けているということがあるわけです。  具体的に、どういうような状況でアメリカが武力を行使をするかというのは正に仮定の御質問ですから、それについてはちょっとお答えできませんけれども、今、正にやろうとしていることは、この国連決議に従って国際社会イラクに問題な、決議を守らせる、問題なというか問題をなくさせる、過去の決議をこの一四四一も含めて守らせる、そのために一致をして努力をしていると、そういうことであると思います。
  133. 小泉親司

    ○小泉親司君 仮定の問題、仮定の問題ということを繰り返しているわけですが、私自身は、やはりこのイラクの問題というのは、あくまでもこれは戦争の手段によって解決すべき問題じゃないんだということは基本的な立場として私は明確にすべきだと思いますが。  じゃ、その点は、外務大臣は、一般的にこれは戦争の手段によって訴えるべき問題ではないという見解ですか。
  134. 川口順子

    国務大臣川口順子君) イラク大量破壊兵器の問題をイラク国際社会に分かるような形で認めさせる、その疑惑がないということを認めさせる、あるいはその疑惑が実際にあるならば、それをやめるということは非常にイラクとして今やらなければいけないことであるわけで、そこを国際社会はそれをやるべく国連の決議合意をしたということであるわけです。  ですから、まずイラクがそれを、イラクの責任としてそれを行動でやる、これを確保することが国際社会の問題であり、我が国にとっても我が国の問題であると、そういうことだと思います。
  135. 小泉親司

    ○小泉親司君 いや、私は、あなたが仮定の問題とおっしゃるから、一般論として、あなたは戦争の手段に訴えることなく、これは平和的に解決すべき問題なんだよと、これは様々な手段があるでしょう、そういう方策を取るんだよというふうな立場なんですかというふうにお聞きしているんです。そのことについてはあなたはお答えになっていない。
  136. 川口順子

    国務大臣川口順子君) いかなる問題であれ、国際社会として平和裏に問題が解決をした方がいいわけですから、そのための努力を行うということは重要であると私は考えております。
  137. 小泉親司

    ○小泉親司君 外務大臣は、仮定の問題だとこの問題についておっしゃるけれども、例えばこれは、世界の多くの国々やアメリカの国内でもこれについては、もうイラク攻撃は反対だという世論が高まっていることは、私は外務大臣はよく御存じなんだろうと思います。それはアメリカ国内ばかりじゃなくて、NATO諸国、ヨーロッパの国々で国民的に様々な、イラク攻撃は反対だというふうな見解が、仮定の問題ではなくて現実の問題だとして皆さん方が、多くの国民が声を上げている。私は、この点では世界の諸国民日本外務大臣よりも更に一歩進んだ優れた立場を取っているというふうに私は思いますが。  私も、ちょっとこれ持ってきたのは、例えばニューヨーク・タイムズで、外務大臣が好きだというふうに思われるアメリカの財界の方々が広告を出して、これ、ブッシュとラムズフェルドとチェイニーのアメリカの国防、副、大統領、三人出して、彼らは戦争を売ろうとしている、しかし、我々は買わないと。これは川口さんが好きな財界人が言っておるわけですね。財界人でもこういう意見広告を出していると。  この中で言っているのは、例えば警告、戦争は経済を疲弊させる、テロリズムを、テロリストを繁殖させる、しかもアメリカの信用を失墜させる、人間社会に大変テリブルな、悲惨な状況を生み出そうとしていると。だから、これは戦争反対ということを、我々は買っちゃいけないんだということを訴えている。これは、私は単なるあなたが言うような仮定の問題じゃないと。  これ、日本外務大臣として、この点については明確に戦争の手段に訴えちゃいけないんだと。当然イラクの、私たちは受入れを国際社会が強く要求するということが大変大事だというふうに思いますが、このイラク攻撃は、軍事攻撃によって解決しちゃいけないという立場を私は外務大臣が明確にすべきだと思いますが、その点、もう一回お聞きをしたいと思います。
  138. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今、国際社会にとって最大と言ってもいい課題は、大量破壊兵器の問題に対応するということであります。これが人類にとって脅威とならないようにするということであるわけです。それを行うために、平和的に解決が、それができるように最大限の努力をするということが重要だと私は考えています。
  139. 小泉親司

    ○小泉親司君 いや、私がお聞きしているのは、平和的にというのは分かりますよ。あなたがこの前も、さっきの議論の中でも外交努力と言うと。しかし、それは、その手段はどういう意味かといったら、戦争による解決というのは駄目なんだという意味なんですね。
  140. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 国際社会にとっての課題は、この大量破壊兵器が人類にとって脅威にならないそのための対応であると私は考えています。当然のことながら、平和的にこの問題を解決する努力を現在国際社会がやっているわけですし、そのための努力我が国としても引き続き行っていく、それが重要であるということを申し上げているわけです。
  141. 小泉親司

    ○小泉親司君 私、もう一つ質問させていただきたいのは、このイラクの問題に関する国連安保理決議の採択と同時に、ファイス・アメリカの国防次官が来日をして、テロ組織アルカイダイラク関係について外務大臣防衛庁長官お話をしたということが伝えられております。  この前の委員会においても、川口外務大臣イラクの問題と今度のテロという問題は関係がないというふうに答弁をされております。私もそう思いますが、まず初めにお尋ねしたいのは、今回の国連安保理決議では、イラク大量破壊兵器開発テロ組織関係については何にも、私は、明確なところが、明確なところどころか何らのことも述べられていないというふうに考えておりますが、その点の事実の確認は、外務大臣、いかがでございますか。
  142. 海老原紳

    政府参考人海老原紳君) 今のお尋ねの件でございますけれども、前文のところでちょっと読ませていただきますと、テロに関しては決議六八七、イラク市民の抑圧を終了し、イラクで援助を必要としているすべての人々への国際的な人道機関によるアクセスを付与することについては決議六八八、並びにイラクにより不当に勾留されたクウェート及び第三国民を帰還させる、若しくは行方の判明に協力するため、又はイラクにより不当に奪われたクウェートの財産を返還することについては決議六八六、六八七及び決議一二八四に基づくコミットメントをイラク政府が遵守しなかったことを憂慮するということがございます。
  143. 小泉親司

    ○小泉親司君 ちょっとちょっと、質問に答えてくださいよ。幾ら読んだってだれも分かりませんよ。
  144. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今度の決議、かなり長く、それからたくさん前の決議を引用している部分がありますので、御質問に正確にお答えするためには、その過去の決議にさかのぼって、そこで何も言っていないということを確認をしないといけないということでございまして、ちょっと今の時点では、この点についての御質問が、お聞きになるということが分かりませんでしたので、調べておりませんので、それはまた後刻お答えさせていただきたいと思います。
  145. 小泉親司

    ○小泉親司君 私は質問通告をしておりますので。一体どうなっているのか。この問題については私は極めて、日本の対米支援、つまりテロ特措法との関係で大変重要だと思いますよ。  今度の国連決議については、テロの問題については文言がありませんよ。それ、なぜ認めないんですか。長いと言ったって、あなたこれ、日本語になって、全部外務省からいただきましたよ。そこにどこにテロの文言があるんですか。もう日本語になっていますよ。
  146. 川口順子

    国務大臣川口順子君) テロに関しては前文で幾つかの過去の決議を引いて触れていますが、そして、それに基づく、それらの決議に基づくコミットメントをイラク政府が遵守しなかったことを憂慮しという文章がございます。
  147. 小泉親司

    ○小泉親司君 全然私は、それは答弁になっていないですよ。私が通告していることに対して答弁まとめておられないから、それは幾つ幾つ幾つといって前文に決議の文言が出ておりますよ、六八七から始まりまして六八八、様々出ていますよ。じゃ、どれがテロ決議なんですか。今、そうとおっしゃるんなら、どこがテロ決議
  148. 海老原紳

    政府参考人海老原紳君) 申し訳ございません。先ほど私が答弁した関係で補足させていただきますと、確かに小泉委員の方から事前の通告はいただきましたけれども、私どもがいただきましたのはイラクとアルカイーダを結び付ける証拠についての御質問ということでございましたので、今回の安保理決議一四四一との関連において、このイラクとアルカイーダの関係、あるいはイラクテロとの関係を述べている部分があるかということにつきましては、今、正に大臣からも御説明いたしましたように、過去の決議をかなり引いている部分がございますので、それの一つ一つを見てみないと確たることを申し上げられないという意味で、今ここの場でお答えができない、正確にはお答えができないということを申し上げている次第でございます。
  149. 小泉親司

    ○小泉親司君 ちょっとこれはおかしいですよ。現実問題として極めて重要な点ですから、これ、今はっきりさせてくれませんか。だって、テロ特措法関係するんですから。  つまり、私が言いたいのは、テロ特措法というのはいわゆるテロ脅威の除去ということがありますが、国連決議という問題が当然のこととしてそれに担保されてくるわけで、これは、今度の国連安保理決議テロ関係ないということが明確になるかならないかというのは、イラク問題とテロ関係では大変重要なんです。だから、今度の国連安保理決議テロを含んでいるか含んでいないかということが明確にならないと、それは議論にならないじゃないですか。
  150. 海老原紳

    政府参考人海老原紳君) 先ほど私が読ませていただきましたあのパラは、テロに関しては決議六八七という例えば部分がございます。  そこで、決議の六八七、これは一九九一年に通った決議安保理決議でございますけれども、この関連部分を読ませていただきますと、イラクに対し、いかなる国際的テロリズム活動の実施又は支援も行わないこと、このような活動の実施を志向するいかなる組織に対しても自国の領域内において活動することを許さないこと並びにあらゆるテロリズムの行為、方法及び実施を明確に非難し放棄することを安保理に通報するよう要求するという部分がございまして、これは今のお尋ねとの関係でいえば、イラクテロとの関係に言及した部分ということであると思います。
  151. 小泉親司

    ○小泉親司君 いや、私がお聞きしているのはテロ特措法関係で、テロ特措法というのはどういうふうにできているかというと、九・一一の同時多発テロに関連するテロ脅威の除去及び国連決議に基づいてこれは実施されるということになっているんですよ。今お話しになっているのは、湾岸戦争時の停戦決議について北米局長説明しているだけなんです。  そんなこんな、この前も防衛庁長官が、一般的に、今度のテロ特措法に基づくものは一般的なテロに対しての援助だと言ったけれども、それは間違いなんです。一般的なテロについてなんてテロ特措法は言っていないんですよ。九・一一の同時多発テロに関するテロの除去について言っているんです。いや、あの、不正確な点というんじゃなくて、あなたがこの前の委員会で言っていることについて言っているわけですよ。  だから、テロの除去という問題については、今度の国連決議については、九・一一の同時多発テロについてはこれは明確に述べられていない、よって、この国連決議に基づく支援というのは私は現行法のテロ特措法ではできないということを申し上げておきますが、ちょっとこれ、通告しているのにきちんとしたやはり答弁をいただかないというのは、私は非常に重大な問題だというふうに思います。  その点を指摘して、ちょっと時間が参りましたので、質問を終わります。
  152. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 一年ほど前にもそういうことあったと思うんですが、元、総理大臣をやられたような方が政治のサイドでイージス艦を派遣すべきだというようなことも言われ、今回も何か政治家の方がイージス艦を派遣すべきだと。このイラクの問題で派遣すると言っているのかどうか知りませんが。  こういうことは防衛庁が決めることであって、政治は、どこどこと戦争しろとかどこどこに軍を派遣しろとか、そういうことだけ言えばいいんで、その任務を効果的に実施するために防衛庁は専門家としていろいろな、装備品をどうするかということを考えるんであって、イージス艦だけ取り上げて、どんな船だと思っているのか知らないけれども、そういうことを言うというのは私は非常に不見識だと思いますが、防衛庁長官、そういうふうにお思いになりませんか。
  153. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 自衛隊の最高指揮官としての内閣総理大臣が、いろいろな情勢を勘案しながら御判断になるものだというふうに考えております。  田村先生御指摘のように、防衛庁としては専門的知見に基づきまして、イージスというものがどういう船であるのか、あるいはどういう状況においてその持っている能力が生かされるのかということを申し上げるのが防衛庁立場だというふうに考えております。
  154. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 今回は内閣総理大臣が言われたんですか。内閣総理大臣がそういう指示を出されたわけですか、今の答弁だと。
  155. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 済みません。指示というのはどういうことか、ちょっと私の理解が不正確かもしれませんが、これは防衛庁が決めることだというふうな御指摘でございますので、それは、政府全体としてというのは、先生御案内のとおり、自衛隊の最高指揮官は内閣総理大臣でいらっしゃいますから、それが政府全体の判断という言い方をしてもよろしいでしょうし、自衛隊の最高指揮官としての御判断と言ってもいいのだろうと思います。  ですから、私ども防衛庁の役割といたしましては、その船の能力、今置かれている状況、そういうことを専門的な知見に基づきまして内閣総理大臣に対してあるいは政府に対して、あるいはこのテロに対して責任を持ちます内閣官房を始めといたしまして、そういう部署に対して申し上げる、そういうような立場かと理解をしておる次第でございます。
  156. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 私は基本的には、任務を内閣官房は与えて、それで防衛庁、専門の自衛隊がどういう装備品を持っていったら効果的だとかそういうことを考えるんで、自分の考えるべきことをもっとちゃんとしないで人のことまでやるというのは、どうも昔、軍が政治に口を出したような、そういう間違ったこともかつて起きたので、そういう点に私は強く、きちっとけじめを付けないといけないんじゃないかということで申し上げているんです。
  157. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 逆の意味で、先生がおっしゃるのは多分逆の意味だと思いますが、実力組織、軍という言葉は使いませんので実力組織という言い方をお許しをいただきたいと思いますが、としてそういうような価値判断を交えてはいけないということだろうと思います。  それは、私どもはそういうことを申し上げるつもりは全くございませんで、例えば、今置かれている状況でありますとか、あるいはイージスについて、能力についてあるいは誤解があるのかもしれない、イージスは危険な船であるとかいろんな御議論があることを承知をいたしておりますが、その持っておる能力というものはきちんと御説明をいたしまして政治の御判断というものを仰ぐということであります。私どもがそれを出すべきであるとか出さざるべきであるとか、そういう価値判断をすべきだとは思っておりません。状況を御説明し、能力を御説明し、最終的な御判断をいただく、これは内閣総理大臣の御判断であるというふうに認識をしております。繰り返しになりましたが申し訳ございません。
  158. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 そういう装備品の派遣について、政治のサイドでいろいろな指示があると、実際の専門の自衛官とか防衛庁対応というものが、だれが言ったとかそういうようなことで、本来の、イージス艦ならイージス艦を派遣するということについて、出すべきかどうかの評価について、余分な、余分なというか、専門分野の人たちがそういう、圧力と言ったらおかしいけれども、そういうものを感じて正当な評価ができなくなるんじゃないかというふうに私は思うんですが、いかがですか。
  159. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) そういうことがないようにしていかなければいけないと心しておるところでございます。  私どもは、本当に法律に定められた目的、そのために行動しておる自衛隊、その行動がいかにきちんと行われ法律の目的達成に資するかということを念頭に置きながら、そのためにどういう装備品がどのような能力を持っておるか、そしてまた現場の任務がいかにして安全に確実に行われるかということは考えてまいります。  ただ、そのときに、先生御指摘のように、いろいろなサジェストがあって、私どもがそれにとらわれて物事の判断を変えるとか言い方を抑制するとかあるいは過度に申し上げるとか、そのようなことは厳にしてはならないというふうに考えております。
  160. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 どうぞよろしくお願いしたいと思います。  これは通告はしておりませんけれども、イラクの問題で同僚議員からいろいろ質疑がございまして、外務大臣、先のことについては答えられないみたいなことを言われましたけれども、みんな先のことについていろいろ議論するのが当たり前で、過去のことを一生懸命言ってみてもこれは歴史の認識の問題になっちゃうんで、これからの問題、仮定の問題について議論するのが、それに答えられないと言われると外交防衛委員会議論というのは非常に局限されてしまいますが、先ほどの御答弁、私は非常に同僚議員として不満を感じておりますので、どのようにお考えなのか。仮定の問題は、全部将来は仮定の問題でありまして、将来の問題が、アメリカがイラクを攻撃した場合にというのは将来起こる確率が非常に高いと私は思っておりますので、そういう問題は仮定の問題だと言われるとちょっとおかしいんじゃないかと私は思いますけれども、いかがですか。
  161. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これは非常に難しい問題だと思います。  いろいろな、外交防衛委員会としてあるいは外務省として、いろいろ先に起こることについて国民の皆様に対していろいろな可能性をお話をして御理解をいただくということは非常に重要なことであるということですけれども、他方で、可能性の話として議論をしていることが可能性の話にとどまらなくなってしまう。また、あくまで可能性の議論ですから、実際はいろいろなことが起こるわけですね、違うことが起こり得る。そういうことについて、それへの対応をするときに、可能性の一つとして挙げたことについての議論がかかわり合いを持ってくる。いろんなことがあり得るわけで、そういった問題が、これは非常に重要な問題であればあるほど広く可能性を議論をするということが重要であると私は思いますけれども、他方で現実問題として、重要な問題であればあるほど先に可能性を議論をし、それを可能性のままとして独り歩きをさせないで議論ができるという土壌を持つということが難しくなってくる、非常に矛盾をしたことでありますけれども、難しい問題だと私は思っています。
  162. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 もう時間がありませんので、最後の質問になりますけれども、私は、アメリカがイラクを攻撃したときというのが日本が一番困る、どうしていいか分からないときだと思うんですよね。  一般的に、どうしていいか分からない、やることもない、イージス艦でも派遣するか程度の話であって、テロのときにははっきりしていますけれども、イラクの場合に一番困るんじゃないかなと私は前から思って、イラクのときにはどうするのかなというふうに思っていたんですが、一番日本としてどうしていいか困るんじゃないかなと私は思うんですが。  私は、日米安保条約を結んでいる限りアメリカと行動をともにすべきだというふうに思っていますけれども、そういうようなことを余り言えない政治情勢だと非常に困る、だけれども何かしなきゃいけない、余りすることもないということで、外務大臣もお困りになるんじゃないかと思って同情をしているわけであります。まあ、そういうことで是非頑張って、きちっとした日本の顔を見せてほしいなというふうに思います。
  163. 松村龍二

    委員長松村龍二君) 答弁は要りませんか。
  164. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 お困りですから、いいです。
  165. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 国内問題について、まず最初に防衛庁長官にお伺いいたします。  去る十月十六日、横浜地裁で第三次厚木爆音訴訟についての判決がありました。今回の判決は、国には日米合同委員会での協議、交渉という手段があり被害の発生回避ができなかったわけではないと、国の不作為の責任を指摘しています。しかし、被告の国側は、同月二十九日、控訴なさっていますけれども、この問題について防衛庁長官はどのように認識しておられますか。
  166. 赤城徳彦

    ○副長官(赤城徳彦君) 私からお答えをさせていただきたいと思います。  この厚木基地の騒音問題につきましては、防衛庁といたしましても、基地周辺の騒音対策をしっかりやらなければいけない、周辺の住民の方に対してきちっと対応していきたいという基本は変わりませんであります。  ただ、本件判決につきましては、前回の第二次厚木基地騒音訴訟判決ではうるささ指数八〇の地域までしか認められていなかったにもかかわらず、この指数が七五の区域まで範囲が拡大されているとか、基地周辺の騒音問題が社会的に知られるようになった後、危険に対し接近したという、転入したことを理由にした減額が認められていないと、こういうふうにこれまでの判決と食い違うところがございますので、これは上級審の判断を仰ぐ必要がある、こういうことで十月の二十九日に横浜地方裁判所へ控訴状を提出したと、こういうことでございまして、国としてはこのような理由から控訴したものでありますけれども、国の責任については真摯に受け止めていることにいささかも変わりはございませんで、騒音対策には万全を期してまいりたいと、こういうふうに考えてございます。
  167. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 関連しますけれども、去る十月二十九日、普天間基地周辺の住民二百人が原告となって、国と普天間の基地司令官を相手取って、同基地の爆音の違法性と被害の補償を求めて那覇地裁に提訴をしておりますが、米軍の基地司令官を相手取って裁判を起こすことの当否についてどのように認識しておられますか。
  168. 赤城徳彦

    ○副長官(赤城徳彦君) 普天間基地爆音訴訟につきましては、御質問の件については承知しておりますけれども、当庁としては、まだ訴状の送達を受けておりませんで、訴状の送達を受けた段階でその内容を検討し、関係機関とも協議、調整の上対応してまいりたいと、こう考えておりますので、現段階でのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
  169. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 外務大臣にお伺いします。  普天間飛行場の代替施設問題との関連で、沖縄県知事や名護市長は、十五年使用期限問題が解決しない限り代替基地の建設の着工を認めるわけにはいかないという趣旨の発言をしています。  この十五年期限問題について、外務省はこれまで米国政府とどのような交渉をなされたのか。もしなされたとすれば、いつ、どこで、どなたと折衝され、アメリカ側の回答はどういう回答であったか教えていただきたいと思います。
  170. 川口順子

    国務大臣川口順子君) まず、普天間飛行場の代替施設の使用期限の問題については、これは従来からも申し上げておりますように、平成十一年の閣議決定にあるとおり、政府としては、国際情勢もありますけれども、沖縄県知事や名護市長の御要望を重く受け止めて、これについて米国政府との話合いの中で今まで何回も取り上げてきたところでございます。  最近の例ですと、九月十七日に私はパウエル国務長官とワシントンで話をする機会がございました。このときは全体で二十分間ぐらいの、パウエル国務長官が正にこの間決議が、でき上がった決議についてニューヨークで非常にいろいろな調整をやってワシントンに戻ってきた直後に、この調整の状況について大統領に報告をする前の非常に短い時間を日本のために割いていただいて北朝鮮の話等をしたわけですけれども、そのときも私からこの問題については取り上げております。  そこで私から申し上げたことは、沖縄県民の負担軽減、事件事故の防止を図ることが重要であって、使用期限問題について日米双方の立場はあるけれども、引き続き普天間飛行場の移設・返還を含むSACOの着実な実施に向け協力をしたいということを言いました。そして、これに対しましてパウエル長官から、そのとおりであって、普天間飛行場の移設・返還を含めたSACOの最終報告の着実な実施に向けて協力をしたいと、そういうやり取りがございました。
  171. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 米国防総省はSACOの最終報告で合意された普天間の代替施設について詳細な報告書を出しています。その中で、新設される基地施設についての運用年数と耐用年数を明記しておりますけれども、御存じでいらっしゃいますか。もし御存じでしたら、どういう内容になっておりますか。
  172. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 私は存じておりません。
  173. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 今の十五年の期限問題と関連するわけですが、米国防総省は、新しく造られる基地は運用年数四十年、耐用年数二百年となるようにすべての構造物を設計して造るということが明記されてございます。その点を是非御理解いただきたいと思います。  それから次に、防衛施設庁にお伺いしますけれども、SACOの最終報告では普天間基地を含め十一の施設の返還が合意されておりますけれども、普天間基地以外の施設の進捗状況について簡潔にお願いいたします。
  174. 大古和雄

    政府参考人大古和雄君) 普天間以外の土地の返還の問題でございますが、全部で十事案ございますけれども、この八事案につきまして着実な進展を見ているところでございます。  まず、那覇港湾施設の返還でございますが、昨年十一月に設置されました那覇港湾移設に関する協議会等におきまして、沖縄県、浦添市、那覇市等との間で協議を行っているところでございます。残りの七事案につきましては、安波訓練場の返還、これは既に平成十年十二月に実現しております。それから、残る六事案につきましても、地元の了解が得られ、その一部につきましては既に着工しているところでございます。
  175. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 今年に入って、在沖米軍基地及び基地外で、基地の外で米軍機の事故が増えておりまして、県民に大変大きな不安を与えております。県の基地対策室の集計によりますと、九月三十日現在、三十九件の事故が起こっておりますが、その後、去る十月二十五日に伊江島で重量物資の落下事故が米軍の基地外で起こっております。そのため、伊江村議会は十一月三日に、そして県議会は昨日、臨時議会を開いて、人命にかかわる重大な事故につながりかねず、地域住民、県民に大きな衝撃と不安を与えたとして、重量物資投下訓練の廃止を求める決議を採択しておりますけれども、今朝になりまして、米軍の方は、事故の原因調査も終えないままに、再びパラシュートの降下訓練を再開するということを言っておりますけれども、こういう事態について外務大臣はどのようにお考えですか。
  176. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今朝の時点で、人員の降下訓練の再開については米軍内で最終調整中であるということを聞いておりまして、再開が決定されたという事実はないと承知をいたしております。  重量物の降下訓練については、アメリカ側から、水タンクの先ほどおっしゃった落下事故、これについての徹底した原因究明と再発防止策が取られるまでの間、これを中止するという連絡を受けているということでございます。  いずれにいたしましても、アメリカ軍については、訓練は必要であると思いますけれども、訓練を行うに当たりまして、安全を十分に確保して、我が国の公共の安全に適切な配慮を払うべきであるというふうに思います。
  177. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 事件事故が起こるたびに、外務省は、米側に二度とこういう事件を起こさないように申入れをしたということをおっしゃって、今もまた全く同じようなお答えでございますけれども、事件がひっきりなしに起こっていて、先ほど申し上げましたように、今年に入ってからでも三十九件、四十件の事件事故が起こっているわけですよね。万が一、人命にかかわるような事件が起こったら、一体どう対応するかということは非常に頭の痛い問題なんですが、この問題を根本的に解決しない限り、やはり基地に対する反発がますます強まっていって非常に厄介な状態に陥る可能性がありますので、是非そこは真剣にお考えいただきたいと思います。  それから最後に、防衛庁長官にお伺いいたしますけれども、政府はこれまで基地問題について、県民の頭ごなしにはしないということをしばしばおっしゃっておりますけれども、最近の沖縄における県民のこの普天間の代替施設に関する世論とでも申しますか県民意識とでも申しますか、それは御存じでございますか。
  178. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 委員がどのことを指しておっしゃっておられるのかよく分かりませんが、意識というのは、いずれにしてもSACOを着実に実施をしてもらいたい、普天間基地というものは移設をしてもらいたい、そういうことだと理解をいたしております。
  179. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 ここに新聞記事持ってきておりますけれども、今朝の新聞ですが、六六%が反対ということを明確にしておりますので、この辺りも是非御理解いただきたいと思います。  以上で終わります。
  180. 松村龍二

    委員長松村龍二君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  181. 松村龍二

    委員長松村龍二君) 防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。石破防衛庁長官
  182. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。  この法律案は、このたび提出された一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案の例に準じて防衛庁職員の給与の改定を行うものであります。  すなわち、第一点は、一般職の職員の例に準じて防衛参事官等及び自衛官の俸給並びに防衛大学校及び防衛医科大学校の学生の学生手当の改定を行うとともに、営外手当についても改定いたすことといたしております。  第二点は、自衛官俸給表の陸将、海将及び空将の欄又は陸将補、海将補及び空将補の(一)欄の適用を受ける自衛官以外の自衛官に対する調整手当制度につきまして、その充実を図っていくために、当該自衛官に係る調整手当の支給割合を改定することといたしております。  以上のほか、附則において、施行期日、適用日、俸給表の改定に伴う所要の切替え措置等について規定をいたしております。  なお、事務官等の俸給並びに扶養手当、期末手当及び期末特別手当の支給割合等につきましては、一般職の職員の給与に関する法律の改正によって、一般職の職員と同様の改定が防衛庁職員についても行われることとなります。  以上が、防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案趣旨でございます。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  183. 松村龍二

    委員長松村龍二君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十一分散会