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鉢呂委員 私は、民主党・無所属クラブを代表して、
農薬取締法の一部を
改正する
法律案に対する修正案の趣旨を御説明申し上げます。
今回の
農薬取締法の
改正案は、
輸入代行業者を介した個人
輸入の増大、
輸入業者による違法
輸入等により、無
登録農薬の
流通、
使用の
実態が明らかとなり、国民の食に対する
信頼が大きく損なわれたことから、これを回復すべく急遽提出されたものであります。
改正案では、無
登録農薬の
製造、
輸入の
禁止、無
登録農薬の
使用規制の創設、
農薬使用基準の設定、違反に対する
罰則の
強化等がなされておりますが、全く不十分な措置であると言わざるを得ません。
まず、農政や食品安全
行政の視点から見ると、
食料・
農業・農村基本法において、自然循環機能の維持増進ということがうたわれているにもかかわらず、その視点が欠けていること、また、さきのBSE問題に関する
調査検討委員会報告においては、食品の安全にかかわる個別法で
消費者の保護や
安全性の確保を明文化することとしていますが、この点についても何ら措置が行われていないことであります。
これらの点について、前
大臣の
一言により緊急に提出されることになったという経緯はあると考えますが、しかし、
農薬が食品の
安全性に与える影響を考慮すると、
改正案には幾つかの大きな
問題点があると言わざるを得ません。
それは、
販売禁止農薬等の
回収義務や
使用者の記録作成義務、
農薬情報の提供等、法の
規制を担保する措置が抜け落ちているため、実効性の確保が甚だ困難であるということであります。
また、
改正案においては、
販売業者について事前届出制に改められ、防除業者については規定が削除されておりますが、今回の無
登録農薬事件に見られるように、一部の
販売業者において
農薬登録制度に対する遵法意識が低いこと、また、業として
農薬散布を行う防除業者については、周辺の環境へ与える影響が大きいことから、これらを
登録に係らしめることが必要と考えられます。
さらに、現在の国内食用
登録農薬のうち半分程度しか
残留農薬基準が設定されていないという点については、国民の関心も高く、一刻も早く基準の整合性をとる必要があります。
政府は、
次期通常国会において食の安全のための関係法を整備すべく、これらの点について
見直しを
検討しているとのことですが、省庁間のあつれき等から実のある
改正が行われるのか、甚だ疑問であります。
こうしたことから、
法改正の実効性を確保し、安全で安心な
農産物の供給を確保し、国民の食に対する
信頼を回復するため修正案を提出した次第でございます。
修正案は、お手元に配付してありますけれ
ども、以下、その概要だけを申し上げます。
第一点は、
農薬の
登録保留基準に関し、環境
大臣が定めることとされる
残留農薬に関する部分については、食品衛生法に基づく
残留農薬基準によることとしたことであります。これは、いわゆる
農薬登録と
残留農薬基準の同時設定ということを担保しておるのであります。
第二点は、
販売者及び防除業者は、
農林水産大臣または
都道府県知事の
登録を受けなければならないこととしたことであります。
第三点は、
農薬の
使用者は、
農薬の
使用状況等に関する記録を作成、保存しなければならないこととしたことであります。
第四点は、
農林水産大臣等が指定する
農薬を
使用する者は、
都道府県知事が認定する講習を受講しなければならないこととしたことであります。
第五点は、
農薬の
製造者、
輸入者、
販売者及び防除業者は、
農薬管理指導士を置かなければならないこととしたことであります。
第六点は、
農林水産大臣は、無
登録農薬または
販売禁止農薬について、
販売者に対し
回収を命ずることができることとし、命令に違反した者については
罰則を科すこととしたことであります。
第七点は、
農林水産大臣等は、無
登録農薬及び
販売禁止農薬に関する
情報を積極的に公表しなければならないこととしたことであります。
以上であります。
何とぞ
委員各位の御賛同を賜りますよう、国民の代表たる国会で、ぜひ、
委員各位が、国民の安全を守るために我が修正案に全員賛成いただくことを心からお願い申し上げまして、修正案の説明とさせていただきます。
以上でございます。(拍手)