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五島委員 現実においては、そういう今の
大臣の御
説明で何となく理解できる話であるわけですね。ただ、その話というのは、少しは詰めて整理をしておかないといけない
部分があります。
従来、なぜ国が直営の
医療機関を持たなければならなかったか。これは、言うまでもなく、
一つは
国民病と言われた結核対策、これが非常に終戦直後においても大きな問題であって、これの整備が
国民の健康にとって重大な
課題であったということで、大規模に方々に国立
療養所がつくられたという歴史的経過があったと思います。もう
一つは、皆保険
制度ができた。そして、健康保険
制度ができたけれ
ども医療供給というものが極めて偏っていた、皆保険
制度に
対応できるような
医療の提供の体制が整っていなかった。
これは、決して国だけの仕事ではなかったと思います。地方自治体もその問題に努力をしましたし、社会保険庁等もそういう問題に取り組んで、それぞれの
医療機関をつくってきたと思います。
すなわち、まさに
国民の健康という
観点からの政策的
対応としてこれらの
国立病院がつくられてきて、そして、そうしたものの一定の医学上の高度の水準を持っているものを、総合病院として
国立病院をつくってきたという歴史的経過があったと思うんですね。これは、坂口
大臣もお認めいただけるだろうと思うんです。
今回、国がなぜ直営の
医療機関を持たなければならないのか、その根拠は何かというふうに言った場合に、過去において国が直営の
医療機関を持ってきたような、
国民の健康上に直ちにかかわるそういう政策的
課題ではなくて、今
大臣おっしゃったように、
医療の
高度化であったり高度の
医療であったり、あるいは研究であったり、その話になるなら、本来なら、
文科省との間に、一体その辺は
大学でやるのか、それとも
国立病院でやるのがいいのかという
議論もやってもいいような
課題ですが、そういう
お話が一般的になっています。しかし、私は、国が直営の
医療機関を持つといった場合に、今日的な
政策医療は何なのか、本当に政策の立場からの
医療は何なのかということをやはりきちっとしていく必要があるだろうと思います。
私は、
医療の
高度化を否定するものでもありませんし、そして、医学の研究について
実施する病院ができることも否定しません。そして、それを
国立病院でやられることも一定合意します。しかし、それを、やはり政策という
一つの明確な枠の中でつくられないとだめなんだろうと思っています。
そういう
意味でいいますと、私は、今回残される国立の病院の中で、
一つ根本的に欠けているのは、やはり危機管理に対してどのように体制を持つのか。
危機管理といった場合は、今はすぐに有事法制との関連でお考えになられるわけですが、必ずしもそうでもない。さまざまな
災害のときに起こってくるであろう
感染症に対する問題、あるいは、今日のように非常に人の移動が盛んになってくる中において、極めて迅速な感染源の特定、あるいは外国から入ってくる
感染症、もちろん今、国立
感染症センターがあるわけですが、そういうものを超えて、アメリカのCDC的な
機能を持つような
医療機関というものが
一つは要るんではないか。
それからもう
一つは、そういうものと関連いたしまして、今日の
政策医療というのは、その病院の中で自己完結をするのではなくて、
全国的な
ネットワークの中で
政策医療というものに
対応していかざるを得ない。そういうふうなダイナミックな
国立病院と、それから今回提案されております
独法法人の
医療機関、あるいはその他の自治体病院や民間の病院との
ネットワークのシステム、そういうふうなものがこれからの
政策医療だろう。
それの基幹になれるような形でこの
国立病院というものをきちっと位置づけて提案していただかないと、たまたま、がんセンターというのは、日本におけるがん
医療において極めて先駆的であると私も認めます。大阪の循環器センターも、循環器
医療に関しては極めて先駆的な
役割を果たしておられる。だけれ
ども、それがそこにとどまっている限りは、東京や大阪にはいい病院があっていいわねということに終わってしまうんじゃないでしょうか。
その辺の
政策医療についてはどのようにお考えなのか、私は、
大臣の率直な御意見をお聞きしたいと思います。