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2002-11-19 第155回国会 衆議院 環境委員会 第5号
公式Web版
会議録情報
0
平成
十四年十一月十九日(火曜日) 午前九時三十分
開議
出席委員
委員長
松本
龍君
理事
稲葉 大和君
理事
田村
憲久
君
理事
西野あき
ら君
理事
柳本
卓治
君
理事
奥田 建君
理事
牧
義夫
君
理事
田端 正広君
理事
高橋 嘉信君 小渕 優子君 木村 太郎君
佐藤
勉君 阪上
善秀
君 鈴木 恒夫君 鳩山 邦夫君 菱田 嘉明君 松浪 健太君 三
ッ林隆志
君 水野 賢一君
望月
義夫
君 山本 公一君 大石 正光君 小林 守君 近藤 昭一君
城島
正光君 西 博義君 中井 洽君
藤木
洋子
君
金子
哲夫
君 星野 行男君 …………………………………
議員
谷津
義男
君
環境大臣政務官
望月
義夫
君
環境委員会専門員
藤井 忠義君
—————————————
委員
の異動 十一月十九日
辞任
補欠選任
川崎
二郎
君
佐藤
勉君
鮫島
宗明
君
城島
正光君 同日
辞任
補欠選任
佐藤
勉君
川崎
二郎
君
城島
正光君
鮫島
宗明
君
—————————————
十一月十八日
化粧品開発
における
動物実験禁止
を
動物
の愛護及び管理に関する
法律
の中に明記することに関する請願(
保坂展人君紹介
)(第二五三号) 同(
中川智子
君
紹介
)(第二九〇号) は本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
自然再生推進法案
(
谷津義男
君外六名
提出
、第百五十四回
国会衆法
第四六号) ————◇—————
松本龍
1
○
松本委員長
これより
会議
を開きます。 第百五十四回
国会
、
谷津義男
君外六名
提出
、
自然再生推進法案
を
議題
といたします。
本案
については、これにて質疑を終局いたしました。
—————————————
松本龍
2
○
松本委員長
この際、
本案
に対し、
柳本卓治
君外三名及び
藤木洋子
さんから、それぞれ
修正案
が
提出
されております。
提出者
より順次
趣旨
の
説明
を聴取いたします。
柳本卓治
君。
—————————————
自然再生推進法案
に対する
修正案
〔
本号末尾
に
掲載
〕
—————————————
柳本卓治
3
○
柳本
委員
ただいま
議題
となりました
自然再生推進法案
に対する
修正案
につきまして、
自由民主党
、
民主党
・
無所属クラブ
、
公明党
及び
自由党
を代表いたしまして、その
趣旨
を御
説明
申し上げます。 本
修正案
は、これまでの当
委員会
における審議を踏まえ、
法案提出会派
であります
自由民主党
、
公明党
、保守党及び
民主党
・
無所属クラブ
の四党並びに
自由党
の
協議
の結果、合意が得られたものであります。
修正案
は、お
手元
に配付したとおりでございます。 以下、その
内容
を御
説明
申し上げます。 第一に、
自然再生事業
の
実施者
に対し
自然再生事業実施計画
に関する
助言
をする場合において、
主務大臣
が
自然再生専門家会議
の
意見
を「聴くことができる」とあるところを「聴くものとする」に改めること。 第二に、
法律
の
施行期日
を
平成
十四年十二月一日から
平成
十五年一月一日に改めること。 第三に、
法律
の
施行
後五年を経過するまでの間は、
自然再生事業
については、
環境影響評価法
の
施行状況
その他
土地
の形状の
変更
、
工作物
の
新設等
の
事業
に係る
自然環境
の
保全
上の支障を防止するための
措置
の
実施状況等
に留意して、適正な配慮がなされるものとする旨の規定を追加すること。 以上であります。 何とぞ
委員各位
の御
賛同
をお願い申し上げます。(拍手)
松本龍
4
○
松本委員長
次に、
藤木洋子
さん。
—————————————
自然再生推進法案
に対する
修正案
〔
本号末尾
に
掲載
〕
—————————————
藤木洋子
5
○
藤木委員
私は、
日本共産党
を代表して、
議題
となっています
自然再生推進法案
に対する
修正案
の
趣旨
を
説明
いたします。
修正案
は、既にお
手元
に配付されておりますので、詳細な
説明
は省かせていただきます。
議員提案
による
自然再生推進法案
は、肝心の
事業箇所
の
選定
が
国土交通省
や
農林水産省
など
事業実施者
に任されていて、
自然再生事業
の
必要性
を第三者的に判定する
仕組み
がありません。また、
国民
が
自然再生
が必要と思われる
箇所
について
再生事業
の
実施
を求める
仕組み
などがないなど、これまでの
自然破壊
の
反省
もないまま、新たな装いのもとに
自然破壊
の
公共事業
が
推進
される危険が強いものです。 そこで、
修正案
は、過去の
公共事業
などによる
自然破壊
の
反省
に立って、
中央自然環境調査委員会
の
設置
などにより
自然環境
の
復元
を図ろうとするものです。 以下、
基本点
を述べます。 第一に、過去に
公共事業
その他の人の活動により貴重な
生態系
その他の
自然環境
が損なわれてきたことにかんがみ、新たな
自然破壊
の
危険性
がある
再生
や
創出
を排して、損なわれた
生態系
その他の
自然環境
を原状に回復するものです。 第二に、
独立性
、
専門性
、
客観性
を有した
中央自然環境調査委員会
を
設置
して、
公共事業
などが
生態系
その他の
自然環境
に及ぼした
影響
を
調査
し、
自然環境復元
の
必要性
についての判定を行い、
環境大臣
に
最小限度
の
復元事業
を求めるものです。 第三に、
環境大臣
は、
地域住民
、
自然保護団体
、
専門家
などで構成する
自然環境復元協議会
を組織して、
自然環境復元協議会
がその
地域
において
実施
する
自然環境復元事業
を
実施
する者を決定するものとし、
事業官庁
などの恣意的な
事業計画
を防ぐものです。 第四に、何人も、
公共事業
などにより
生態系
その他の
自然環境
が損なわれたと思料するときは、その旨を
中央自然環境調査委員会
に
申し出
ることができ、
自然環境復元協議会
への
地域住民
、
自然保護団体
、
専門家
などの参加を
公募
によって保障するものです。 第五に、
環境大臣
は、
中央自然環境調査委員会
の
意見
を聞き、
事業実施者
に対し、
自然環境復元事業実施計画
の
変更
を命ずることができるなどの
措置
を規定し、
都道府県段階
でもこの
法律
に基づく国の施策に準じて必要な
措置
を講ずるものです。 第六に、
中央自然環境調査委員会
は、別の
法律
で定めることで、現在及び将来に
実施
される
公共事業
に関し、その
公共事業
が
生態系
その他の
自然環境
に及ぼす
影響
について、
自然環境
の
保全
の
観点
から
調査
を行うことができるものとします。 以上、
委員
の皆様の御
賛同
をお願いして、
趣旨
の
説明
を終わります。
松本龍
6
○
松本委員長
以上で
趣旨
の
説明
は終わりました。
—————————————
松本龍
7
○
松本委員長
これより
原案
及びこれに対する両
修正案
を一括して
討論
に入ります。
討論
の
申し出
がありますので、順次これを許します。
藤木洋子
さん。
藤木洋子
8
○
藤木委員
私は、
日本共産党
を代表して、
自然再生推進法案
に
反対
の
討論
を行います。 今最も大事なことは、過去に
自然環境
を
破壊
した
公共事業
の
反省
に立って、
法案
の理念として、残されている
自然環境
の
破壊
を極力防止することです。また、
自然環境
の
復元
は、自然の
復元
の障害となっている
施設等
を取り除き、自然の
復元力
にゆだねることにすべきです。そして、新たな
工作物
の
設置等
は、
自然環境
の
復元
または
国民
の生命や安全の確保に
不可欠最小限
のものにとどめるべきです。 しかし、この
法案
では、
長良川河口堰
や
諫早湾干拓
など、これまで
自然環境
を
破壊
してきた
国土交通省
や
農林水産省
が
事業実施者
となるわけですから、これらみずからの
事業
で
破壊
してきた自然の
再生
を行うはずはありません。
公共事業
による
再生
、
創出
が
自然環境
の
破壊
をしない保証は全くありません。
自然再生
という名目で新たな
公共事業
を
実施
する道具となる
危険性
が極めて強いものです。これが
法案
に
反対
する第一の
理由
です。 次に、
提案者
は、この
法案
では、
主務大臣
が
自然再生事業実施計画
に
助言
を行う際に、
自然再生専門家会議
の
意見
を聞くこととするとされているので問題はないかのように答弁をしていますが、
独立性
、
専門性
、
客観性
を有した
第三者機関
を
設置
して、全体
構想
や
事業実施計画
を審査する
仕組み
は必要不可欠です。しかし、この
法案
は、これまで
実施
してきた
公共事業
が
自然環境
に与えた
影響
や、これからの
自然環境復元
の
必要性
について、客観的、科学的に
評価
する
仕組み
が全くないことです。 さらに、
提案者
は、この
法案
は
地域
の
主体
性を尊重した
ボトムアップ
の
仕組み
により
自然再生
の
推進
を期待するもので、
行政側
が
事業
を
選定
することにはならないと答弁しています。それならば、
住民
などが、
特定
の
公共事業
または
地域
や
施設
について、
自然環境
への
影響
や
自然環境復元
の
必要性等
についての
評価
を
申し出
る
仕組み
が必要ですが、その担保がありません。 同時に、この
法案
は、
関係行政機関
や自治体、
地域住民
、
NPO
などが参加する
自然再生協議会
で全体
構想
や
事業実施計画
の
協議
を行うことになっていますが、この
協議会
は
事業実施者
が
事業
を
実施
するための組織です。
構成員
の
選定
も
実施者
任せで、公正な
選定
を担保する
仕組み
がありません。したがって、三番瀬の
円卓会議
では、
自然保護
を称する
団体
から新たな埋め立てを求める要求さえ出されています。これでは、従来型の
公共事業推進
の隠れみのとされる危険があります。 また、
提案者
は、
協議会
には
地域
の多様な
主体
が参加することが必須であり、
NPO
についても、その
地域
の
自然再生
に積極的に参画する
NPO
であれば広く参加できると答弁しています。それなら、
協議会
の
構成員
は
公募
によるものとする、
地域住民
や
環境保護団体
からの
申し出
があった場合は
協議会
を
設置
しなければならない等の
仕組み
が必要不可欠ですが、そうした
仕組み
も全く整備されておりません。 この
法案
の主題であるべき
自然再生
を
推進
する上での整備がことごとく欠落しており、
自然環境
の
保全
に資するものと
評価
することはできません。これが
反対
の
理由
です。
日本共産党
は、
公共事業等
により損なわれた
自然環境
の
復元
の
推進
を図るとともに、残された
自然環境
の
破壊
を防止し、
自然環境
の
保全
に全力を尽くすことを表明し、
反対討論
を終わります。
松本龍
9
○
松本委員長
金子哲夫
君。
金子哲夫
10
○
金子
(哲)
委員
私は、社会
民主党
・
市民連合
を代表し、提案されている
自然再生推進法案
に
反対
する立場で
討論
を行います。 私は、自然を
再生
すること自体に何ら
異議
を差し挟むものではありません。むしろ積極的に自然の
再生
を進めるべきであり、自然を保護するという
観点
からすべての
公共事業
を見直すべきだとも考えています。一方で
環境
に大きな負荷を与える大
規模公共事業
が進められながら、他方では自然の
再生
を図ると言っても、何の
説得力
もありません。 この
法案
の論議の中では、この
法案
が、大
規模
な
公共事業
をチェックし、自然を
再生
していくための第一歩だという
説明
も行われましたが、本当にそうなるのか、疑問なしとはしません。 例えば、
環境省
が典型的な例として挙げる
釧路湿原
の
自然再生事業
ですが、
蛇行事業
が行われているすぐ
上流
では、
農地防災事業
が
計画
されています。
湿原
を
再生
すると言いながら、すぐ
上流
では
湿原
の
乾燥化
を招く
開発
が進められている。明らかに矛盾した
事態
です。 それでは、この
法案
で言う
自然再生
とはそもそもどのような
内容
を指しているのか、だれしもが疑問に感ずるところです。しかし、
法案
では
自然再生
の定義も明確ではありません。また、第六条では公益との調整がうたわれていますが、最も必要とされる場所での
自然再生事業
が阻害されることになる
危険性
を指摘せざるを得ません。失われた自然の
再生
を図る、自然の回復を望むというのであれば、私
たち
は、このことを含め、もっと根本のところから論議する必要があると考えております。 次に、この
法案
では、
事業
を
実施
する
NPO
が
計画
の
段階
から参加できることが強調されていますが、果たしてどのような
NPO
でも参加できるのか、このままでは疑問が残ります。 この
法案
によると、
自然再生事業
を行おうとする
実施者
は、
地域住民
、
NPO
、
自然環境
の
専門家
、
土地
の
所有者
、
地方公共団体
、
関係行政機関
などから成る
自然再生協議会
を組織することになっています。しかし、このような大きな
規模
の
協議会
を一体どういう
人たち
が組織できるでしょうか。このことを考えると、
提案者
や
政府
から
ボトムアップ方式
だと
説明
されても、実際には
政府主導
であって、対象となる
NPO
も
政府
などによって想定されていると考えざるを得ません。 事実、
霞ケ浦
の
自然再生
に努力してきた
アサザ基金
が、
環境省
が作成した
協議会
の全体
構想どおり
に
円卓会議
を呼びかけたところ、茨城県と
国土交通省
の
現地事務所
はこれを拒否するという
事態
が起きています。そればかりか、県の第四期
霞ケ浦水質保全計画
においては、
自然再生
には全く実績のない、
国土交通省
の
事業
を請け負っていた
建設業
が
主体
の
市民団体
を育成、支援していくことが方針として掲げられているのであります。 こうした
事態
は
法案
では想定していないという弁明もありますが、では、こうした
事態
を防ぐ手だてがこの
法案
で
措置
されているかというと、全くありません。したがって、この
法案
が運用されるに当たっては、
特定
の
NPO
が排除されるという危惧が常につきまとうのであります。 さらに、この
法案
では、
自然再生事業
についての
環境影響評価措置
もなく、また、何をもってだれが
自然再生
したと
評価
するのかもわかりません。
第三者機関
による
科学的検証
は不可欠のことです。それが保証されない限り、
自然再生
とは到底考えられないような
事業
が
自然再生事業
として進められてしまうことも懸念されます。 以上、この
法案
に
反対
する
理由
を申し述べ、私の
反対討論
を終わります。ありがとうございました。
松本龍
11
○
松本委員長
これにて
討論
は終局いたしました。
—————————————
松本龍
12
○
松本委員長
これより採決に入ります。 第百五十四回
国会
、
谷津義男
君外六名
提出
、
自然再生推進法案
及びこれに対する両
修正案
について採決いたします。 まず、
藤木洋子
さん
提出
の
修正案
について採決いたします。 本
修正案
に
賛成
の
諸君
の
起立
を求めます。 〔
賛成者起立
〕
松本龍
13
○
松本委員長
起立少数
。よって、
藤木洋子
さん
提出
の
修正案
は否決されました。 次に、
柳本卓治
君外三名
提出
の
修正案
について採決いたします。 本
修正案
に
賛成
の
諸君
の
起立
を求めます。 〔
賛成者起立
〕
松本龍
14
○
松本委員長
起立
多数。よって、
柳本卓治
君外三名
提出
の
修正案
は可決いたしました。 次に、ただいま可決いたしました
修正部分
を除いて
原案
について採決いたします。 これに
賛成
の
諸君
の
起立
を求めます。 〔
賛成者起立
〕
松本龍
15
○
松本委員長
起立
多数。よって、
本案
は修正議決すべきものと決まりました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました
法律案
に関する
委員会報告書
の作成につきましては、
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
松本龍
16
○
松本委員長
御
異議
なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。
—————————————
〔
報告書
は附録に
掲載
〕
—————————————
松本龍
17
○
松本委員長
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午前九時四十六分散会