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2002-04-04 第154回国会 参議院 予算委員会 第19号
公式Web版
会議録情報
0
平成十四年四月四日(木曜日) 午後一時三十分開会 ─────────────
委員
の異動 三月二十九日
辞任
補欠選任
若林
秀樹
君
大塚
耕平
君 四月一日
辞任
補欠選任
大塚
耕平
君
若林
秀樹
君 四月三日
辞任
補欠選任
段本
幸男君
愛知
治郎
君
松村
龍二
君
藤井
基之
君 宮崎
秀樹
君
加治屋義人
君 山崎 力君
松山
政司
君 山下 英利君 小
斉平敏文
君
峰崎
直樹君
羽田雄一郎
君
若林
秀樹
君
池口
修次
君 宮本 岳志君
八田ひろ子
君 四月四日
辞任
補欠選任
市川 一朗君
松村
龍二
君 柳田 稔君
郡司
彰君 ─────────────
出席者
は左のとおり。
委員長
真鍋
賢二
君 理 事 金田 勝年君 野沢 太三君 日出 英輔君
松谷蒼一郎
君 齋藤 勁君 高嶋 良充君
魚住裕一郎
君 小池 晃君
平野
貞夫君 委 員
愛知
治郎
君 有馬 朗人君 入澤 肇君
加治屋義人
君 木村 仁君 国井 正幸君 小
斉平敏文
君
佐藤
昭郎君 山東 昭子君
世耕
弘成君
田中 直紀君 伊達 忠一君 谷川 秀善君 仲道 俊哉君
藤井
基之
君
松村
龍二
君
松山
政司
君
浅尾慶一郎
君
池口
修次
君 江田 五月君
郡司
彰君
小宮山洋子
君
佐藤
道夫君 内藤 正光君
羽田雄一郎
君 藤原 正司君 草川 昭三君 福本 潤一君 渡辺 孝男君 紙 智子君
大門実紀史
君
八田ひろ子
君
高橋紀世子
君
平野
達男君 大脇 雅子君
国務大臣
財務大臣
塩川正十郎
君
厚生労働大臣
坂口
力君
農林水産大臣
武部
勤君
国務大臣
(
内閣官房長官
) (
男女共同参画
担当大臣
) 福田 康夫君
内閣官房
副
長官
内閣官房
副
長官
上野
公成君
副
大臣
厚生労働
副
大臣
宮路
和明
君
農林水産
副
大臣
野間 赳君
大臣政務官
農林水産大臣政
務官
岩永 浩美君
事務局側
常任委員会専門
員 吉田
成宣
君
政府参考人
厚生労働省健康
局長
下田 智久君
農林水産大臣官
房長
田原 文夫君
農林水産省生産
局長
須賀田菊仁
君
参考人
BSE
問題に関 する
調査検討委
員会委員長
女子栄養大学大
学院客員教授
高橋
正郎
君
BSE
問題に関 する
調査検討委
員会委員長代理
財団法人日本生
物科学研究所理
事
山内
一也
君 ───────────── 本日の
会議
に付した案件 ○
政府参考人
の
出席要求
に関する件 ○
参考人
の
出席要求
に関する件 ○
予算
の
執行状況
に関する
調査
─────────────
真鍋賢二
1
○
委員長
(
真鍋賢二
君) ただいまから
予算委員会
を開会いたします。
政府参考人
の
出席要求
に関する件についてお諮りいたします。
予算
の
執行状況
に関する
調査
のため、必要に応じ
政府参考人
の
出席
を求めることとし、その手続につきましては、これを
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
真鍋賢二
2
○
委員長
(
真鍋賢二
君) 御
異議
ないと認め、さよう取り計らいます。 ─────────────
真鍋賢二
3
○
委員長
(
真鍋賢二
君)
参考人
の
出席要求
に関する件についてお諮りいたします。
予算
の
執行状況
に関する
調査
のため、本日の
委員会
に
BSE
問題に関する
調査検討委員会委員長
・
女子栄養大学大学院客員教授高橋正郎
君及び
BSE
問題に関する
調査検討委員会委員長代理
・
財団法人日本生物科学研究所理事山内一也
君を
参考人
として
出席
を求めたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
真鍋賢二
4
○
委員長
(
真鍋賢二
君) 御
異議
ないと認め、さよう
決定
いたします。 ─────────────
真鍋賢二
5
○
委員長
(
真鍋賢二
君)
予算
の
執行状況
に関する
調査
についての
理事会決定事項
について御
報告
いたします。 本日は
質疑
を四十三分行うこととし、各会派への割当て時間は、民主党・新緑風会二十分、公明党七分、
日本共産党
七分、
国会改革連絡会
六分、社会民主党・
護憲連合
三分とすること、
質疑順位
につきましてはお
手元
の
質疑通告表
のとおりでございます。 ─────────────
真鍋賢二
6
○
委員長
(
真鍋賢二
君)
予算
の
執行状況
に関する
調査
を議題といたします。 この際、
高橋参考人
より
BSE
問題に関する
調査検討委員会
の
報告
を聴取いたします。
高橋参考人
。
高橋正郎
7
○
参考人
(
高橋正郎
君) 先ほど紹介いただきました、
BSE
問題に関する
調査検討委員会
の
委員長
を務めておりました
高橋
でございます。 去る四月二日、ようやく
報告書
がまとまりまして、
厚生労働大臣
、
農林水産大臣
にその
報告書
を提出いたしました。今日、ここでその概要をお話しして、
あと
、
質疑等
において詳しく御説明できればというふうに思っております。 お
手元
にございますかと思いますが、
BSE
問題に関する
調査検討委員会報告
、これに沿って
報告
をさしていただきます。 まず、「はじめに」というところでございますが、これは
委員長
である私の
署名入り
で書かしていただきました。一ページの下から三分の一ぐらいのところから説明して、いただきたいと思いますが、昨年の十一月六日に
武部農林水産大臣
及び
坂口厚生労働大臣
の
私的諮問機関
として
BSE
問題に関する
調査検討委員会
が発足し、私
ども
十名がその
委員
に委嘱されました。 そこでの
検討課題
は、一番に、
BSE
に関するこれまでの
行政対応
上の
問題点
の
検証
ということでございます。それから二番目の
課題
は、今後の
畜産
・
食品衛生行政
の在り方についてでございます。
委員
は、
両省
から五名ずつの指名、推薦を受けた十名で構成されております。その名簿はその
冊子
の四十二ページに書いてございますが、
獣医学者
が三名、ジャーナリスト三名、
消費者団体
二名、その他二名でございます。その他の一人は私でございますが、農業問題あるいは
農林水産省
の
行政評価
をずっと担当しておりました。それからもう一人の方はお医者さんで、
感染症
の
専門家
でございます。 そういうことで、
産業界
、
農業関係者
、
政府関係者
を含まない第三者的な
委員会
であったということをまず御理解いただきたいと思います。
委員会
は、四十三ページに書いてありますように、十一回、延べ三十時間を費やして行いました。その間、そうですね、重ねますと一メートルぐらいになるような
資料
を
事務局
から提出していただきまして、それを逐一
検証
しながら
検討
を進めてまいりました。ただ、その
委員会
の特徴が大きく従来の
委員会
あるいは
審議会
と違う
性格
を持っておりますので、それを理解していただくために説明させていただきたいと思います。
一つ
は、
会議
はすべて
公開
とし、
傍聴者
は別途準備した別室で
モニターテレビ
を通じて傍聴していただきました。
マスコミ関係者
を除いて毎回七十人の
傍聴者
がいたというふうに聞いておりますが、関心の高さを計り知ることができるかと思います。それから、
会議資料
はすべて
公開
で、八百部刷って
傍聴者
、
マスコミ関係者
、それから
関係機関
に配付しております。それから、その
資料
並びにその
会議
の
速記録
が
発言者
の名前を入れた
議事録
として
両省
のホームページで
公開
しております。いずれにしましても、すべて
公開
で行ったという
会議
で、
透明性
を尊重したということが第一でございます。 第二は、
報告書
を作成するに当たって、
通常
の
委員会
ですと
事務局
が準備していただくものに対していろいろコメントをするという形でございますが、私
ども
の
委員会
は、
性格
が
性格
と、それから国民に大きく負託されているというような気持ちがありまして、
最初
のスケルトンをまず私が作りました。それを
皆さん
で、
委員
の
皆さん
で討議していただいて承認していただき、それから三人の
起草委員
を決めて、その
起草委員
が執筆したものが
素原稿
になっております。
報告書
の
素原稿
になっております。その場合に、ふだんですと打合せをしながら、
委員同士
の
意見
を調整しながら原案が出るのが
通常
ですが、今回はその調整もオープンな席でやろうじゃないかということで、その三人の
起草委員
は、オリジナルなものを出していただきました。そして、それを
委員同士
でかなり修正する
意見
やあるいは更に追加するような
意見
があって、いろいろの曲折を経ながらこの
報告書
ができたという点でございます。 さて、
報告書
の内容に移りますが、大きく分けて
三つ
の部に分かれております。 四ページから、まず「
BSE
問題にかかわるこれまでの
行政対応
の
検証
」、これが第一部でございます。第二部は二十一ページ、「
BSE
問題にかかわる
行政対応
の
問題点
・改善すべき点」、それから第三部は二十六ページですね、「今後の
食品安全行政
のあり方」というその三部構成でございます。 時間の
関係
で、どちらかといえば第二部、第三部を
重点
を置いてお話ししたいと思いますが、簡単にそういう意味で第一部を紹介しますと、大きく時代を区分しながらそのときそのときにどのような
行政対応
があったのか、あるいは
行政機関
はどのような
情報
を得てどういう
判断
をしたのか、それを、事実を確認しながらそれを
委員
で
評価
をしたというのが第一部でございます。 時期区分に従いますと、まず四ページにありますように、
英国
において
BSE発生
した時期から一九九五年までの間でございます。 それから二番目が、六ページにありますように、
BSE
の人への伝達の
可能性
に関する
英国政府諮問機関
の
発表
、これは一九九六年三月二十日に行われましたが、その
発表並び
に
EU委員会
の
決定
及びよく問題になります
WHO
の
専門家会議
の
勧告
、これは四六年四月二日から三日、この
会議
が開かれていますが、九六年ですね、四月二日から三日の間に開かれた
会議
に
対応
する
行政施策
についての
検証
。 三番目は、これは八ページの一番下になっておりますが、
EU
が
BSE
の
ステータス
、
国別
の
ステータス評価
をいたしました。それに対して
我が国
の
農林水産省
がどういうふうな
対応
をしたのか、あるいはそのときに
厚生労働省
とどういう
連携
を取ったのかという点を
検証
しております。 それから、十一ページ、四番目、
変異型クロイツフェルト・ヤコブ病
の
感染防止
のために取られた
一連
の
評価
でございます。 それから、五番目は、その次のページの、
英国
以外の
EU諸国
での
BSE発生
が急増した時期、特に二〇〇一年、
我が国
に
BSE
が発生したときの
対応
について
検証
しました。 さらに、十九ページになりますが、その間の
一連
の
厚生労働省
と
農林水産省
との
連携
について、
二つ
の項目で
検証
しております。 最後に、
我が国
における
プリオン研究
、それは非常に困難な中で
研究
を続けてきていただいた、その成果が実は全
頭検査
を非常に早い時期、短期間で確立したというような
状況
などについて、これはプラスの面での
評価
をしております。 さて、第一部については簡単に以上で後の質問に代えさせていただきますが、そういうような時期別の非常に詳しい、いわゆる科学的な
検証
、この上に立ってそれぞれの時期の
評価
をやっておりますが、第二部ではそれを総括して、
行政評価
にどういう
問題点
があったのかということを幾つかに分けて説明してございます。 まず
最初
に、
危機意識
がなかったこと、それから
危機管理体制
ができていなかったこと、これがまあそもそも
最初
から、それから発生した後から
一連
の中で問題になってくるということでございます。それで、ここで
三つ
の時期に分けてそれぞれの
行政評価
を厳しく
評価
してございます。 まず、一番大きく
評価
していますのは、
二つ目
のパラグラフにあります一九九六年四月に
WHO
から
肉骨粉禁止
の
勧告
を受けながら
課長通達
、これは
流通飼料課長
の
通達
によって
行政指導
で済ませた。この時期は、またいろんな
資料
がありますし、またいろんな
委員会
も、
諮問委員会
、
審議会
も開かれております。その
審議会
の中で、まあ全員ではないんですが、
指導
ではなくて
禁止
をすべきだと、
法的禁止
をすべきだという
意見
も出されております。しかし、それは取り上げられずに
行政指導
を長いこと続けたというところ、このことは重大な失政であったと言わざるを得ないというふうに私
ども
は断定いたしました。 それから、これが最も大きな時期だと私
ども
は考えておりますが、しかし既に第一号、第二号、第三号が、
BSE
の患牛が発見されているんですが、いずれも一九九六年生まれでございますね。ですから、この時期に
禁止
しておれば防げたんではないのかというふうに考えられますが、実はそうではなくて、その前に輸入していたものが
流通
していたわけですので、もう少しやはり一九九〇年前後の
対応
、ここも非常に重要な時期があったんではないのか。
イギリス
の
獣医局長
から
文書
が来まして、
イギリス
ではこういうふうな
対応
をしていますよと。
肉骨粉
の
反すう動物
への
禁止
をしたのが一九八八年なんですね、
イギリス
の場合。そういうことをやっていますよというのが九〇年のたしか二月ぐらいに
文書
で来ているわけですね。それから、九〇年の六月には
農林水産省
の
担当者
が
イギリス
に
調査
に行って、そこで詳細な
報告
をしております。そこでは、
イギリス
で
肉骨粉
が
原因
であるということから、それを
禁止
したということが明瞭に出ております。その
資料
は
冊子
になって、たしか二千部か何か配付されたというふうに聞いております。 したがって、二〇〇〇年の
段階
でかなり知っていたはずなんです。そのときに
それなり
の
対応
をしております。例えば、輸入する
肉骨粉
については
イギリス政府
の
基準
、要するに、百三十六度だったですか、三十分というその
基準
に従ったものだけを輸入するというふうな、その
輸入条件
を強化するということでの
対応
はやっておりますが、
輸入禁止
ということはやらなかったということ、それから
反すう動物
への使用を
禁止
しなかったというようなことが
評価
、問題にされたわけですが、しかし、そのときの
条件
から考えまして、
EU
でそういった
禁止令
を出したのは一九九四年だったと聞いておりますので、九〇年
段階
ではまだまだ国際的に広がりはなかったというようなことで、
判断
が甘かったというような
評価
をさしていただきました。 それからもう
一つ
、
EU
の
ステータス評価
では
日本
は下から二番目のかなり厳しい
評価
を受けました。それに対して断ったわけでございますが、もしかその
評価
を受けておればもう少し
対応
もスムーズにいったんではないかというふうな
判断
がございますが、しかし、そのときの
判断
は、
EU
の
判断
とそれから
日本
が加盟している
OIE
の
評価
の
システム
が違っていて、
OIE
の
基準
に従えば
日本
は
清浄国
というふうに
判断
されると。選択肢があったわけですね。そういうことから、経緯はともかく
政策判断
が間違いだったというふうな
評価
をさしていただきました。 いずれにしましても、そういった
危機管理意識
がなかったことは大きな問題で、第一号が発生した後の不処理も、そういった
危機管理体制
、マニュアルを作っていなかったというところに大きな問題を感じる次第でございます。 第二番目は、その背景にあるものは何かといいますと、
生産者優先
、
消費者保護
の、
消費者保護軽視
の
行政
がずっと続いてきたんだと。 これは、例えば
風評被害
という言葉がよく使われます。これは第一号が発生する前から
農林水産省
の
文書
の中に出てきております。これは、とにかくそういう
風評被害
、例えば、恐らくそういうものが
日本
でも発生するというような、
風評被害
が発生すると
畜産農家
あるいは
食肉需要
に影響するだろうということの懸念があったということが推測されます。これは
検証
しておりませんが、推測されますが、いずれにしろそういうことは、
生産者保護
の姿勢がずっと一貫していたんだと、
軸足
を、
生産指導
、
産業育成
というところに
軸足
を置いていて、もう一方の
軸足
の
消費者保護
というところに
余り重点
を置いていなかったということが
一つ
大きな
原因
ではなかったか。諸
外国
の例をいろいろ書きまして、そういうふうに説明しております。 三番目は、
政策決定過程
の
不透明性
の問題でございます。 実は
いろいろ話
を聞いて、例えば
肉骨粉
を
行政指導
にするというようなこと、これは
局長レベル
の
決定
なのか
大臣レベル
の
決定
なのか
課長レベル
の
決定
だったのか、これ、いろいろ聞いてみたんですが、はっきりしないわけなんですね。恐らくその
通達
が
課長名
で出ているというようなことを考え、あるいは、後ほどの
アンケート
で調べてみますと、このときの
意思決定
はだれがやったのかという
アンケート
がございます。
局長レベル
の
アンケート
では、
大臣
というふうに言っている人は一人もいません。しかし、
課長レベル
の
アンケート
では、七人のうち三人は
大臣
だろうというふうに言っていたわけで、そういうような
状況
で、その重要な
意思決定
についてのプロセスが不明瞭であったと。
行政機関
の常として、いわゆる
起案
をして、下の方で
起案
を、
課長補佐クラス
が
起案
をしてだんだん上に上げていくという
システム
、これはいわゆるボトムアップの
システム
ということで
それなり
の効果があるんですが、
危機状況
に至った場合にはやっぱりトップに
情報
を集めて、それでトップダウンの
システム
を取る必要があるはずでございますが、そういうようなことが取られなかったということが三番目の問題でございます。 四番目の問題は、
農林水産省
と
厚生労働省
との
連携不足
でございます。 これはいろいろございます。もちろん制度的には、
行政改革
のときに相互の
連携
をこのようにやるというような書いたものもございますが、やはりお互いに遠慮をしていたのか、ずばり、
連携
を取りながらこの
危機状況
を克服しようというようなことにはならなかったということを痛感します。 それから、五番目の
問題点
は、
専門家
、
科学者
の
意見
が適切に反映しなかったということでございます。 いろんな
専門家
の
審議会
がございますが、
最初
に
行政
がこういうことをやろうということを承認してもらうための
審議会
でして、そこでいろんな
意見
を持ち寄って、そこで
科学者
、
専門家
の
意思決定
に基づいてそれを
行政
に反映しようというような形でなかったということも、これは非常に大きな問題だろうと思います。
あと
、
情報公開
についてもいろいろ問題がございます。
マスコミ
の問題もあります。それから、
行政機関
の
情報提供
の仕方が、プロの
情報提供者
が
日本
の
官庁組織
の中にはいないということもございまして、いろいろ問題が起こりました。それから、
消費者
の受け止め方にもやや過剰な反応があったということで書いております。 七番目は、第三部につながる、その
法制度
と、それからそれに対する
組織体制
がなかったということで、第三部につないでございます。 第三部では、二十七ページ辺りから主要な論点を書いておりますが、
一つ
は、まず
理念
として、
消費者
の
健康保護
、これを最優先するような
食品衛生行政
あるいは
食品行政
、
食品安全行政
を仕組む必要があるだろう、まず
理念
としてここを確立する必要があるだろうと。 それから、具体的には、
コーデックス
が提唱しており、既に
グローバルスタンダード
になっている
リスク分析
の
手法
を導入すべきだろうと。
リスク分析
の
手法
というのは、二十七ページの下から三行目に書いてありますように、
リスク評価
、
リスク管理
、
リスクコミュニケーション
、これをしっかりやることなんだと。
リスクコミュニケーション
は
リスク評価
の
機関
、
リスク管理
の
機関
がそれぞれやるものでございますが、この
最初
の
リスク評価
をする
機関
と
リスク管理
をする
機関
、これを明瞭に分けることが必要であるということが
コーデックス
で主張されているわけです。 それ以降では、この
リスク評価
をどういう形で行うのか、
リスク管理
をどういうふうに行うのかということを提唱しておりますが、
リスク管理
に関連しまして、二十八ページに、真ん中辺に書いてありますように、
トレーサビリティー
という、えさの
段階
から家畜の飼育、それから屠場、それから
流通
、それも
卸売流通
、
小売流通
というふうに
一連
の流れ、それを
フードチェーン
というふうにヨーロッパでは言っているようですが、ここでもその
フードチェーン
全体を通した
食品
の
トレーサビリティー
を実現するようにということを提唱しております。 さて、
リスク評価
と
リスク管理
、これを行う場合に最も重要なのは、それを機能的に明確に分離することなんだと。更に言えば、組織的にも分離する必要があるだろうと。
リスク評価
の方は専ら
科学者
が行う。これは
EU
の
食品白書
などに見ますと、
三つ
の
原則
が必要であるというふうに言われております。
一つ
は
独立性
である、もう
一つ
は
卓越性
である、もう
一つ
は
透明性
である。その
三つ
の
原則
を持った
リスク評価委員会
、これには
二つ
の
委員会
があるわけですが、
リスク評価
をする
管理委員会
と
リスク評価
を行う
科学委員会
。
科学委員会
にはいろいろな、例えば
BSE
なら
BSE
の
専門家
が集まる、あるいは
遺伝子組換え
なら
遺伝子組換え
の連中が集まる
科学委員会
ができると。そういう
科学委員会
がたくさんあって、その
科学委員会
は、そのメンバーは
EU
、いや、
ドイツ辺り
では
公募
をしているようですね。
公募
も
外国
、例えば
EU
ではアメリカからもその
専門家
を呼んでいる。先ほどの
三つ
の
原則
の
卓越性
というのは、その
権威
の、
最高権威
の
人たち
に集まってもらうということです。 ただ、それは何も
行政
的な
権限
を持っているところじゃないんです。ただ、科学的な
権限
を持っていますから、
権威
性を持っていますから、それを受けて
リスク管理
、リスクマネジメントをする
機関
が具体的にそれに
対応
策を練っていくわけです。 三十ページに、私
ども
の
委員
の中には法学者もあるいは、何といいますか、政治学者もいなかったわけでございますので、具体的にどういう組織がいいというところまでは突っ込んでおりません。ただ、三十ページの一番下に書いてありますように、
食品行政
の機能的分担を再
検討
する必要があるだろうというようなことは指摘しております。 さて、そういうようなことで、最後に提言をさせていただいております。三十五ページに飛ばさせていただきたいんですが、そこでは、新しい
消費者
の保護を基本とした包括的な
食品
の安全を確保するための法律、これを新たに作ってほしいと。それから二番目は、括弧の二ですが、
リスク評価
を中心として、
独立性
・一貫性を持ち、各省庁との機能調整を持つ新たな
食品安全行政
機関
を設置すること、この
二つ
を、上の方で書いてありますが、政府は六か月をめどに成案を得て、必要な措置を講ずべきであるというふうに提言しております。 さて、答申を終わりまして、私
ども
の気持ちを若干お話ししてみますと、私たちはこの
BSE
問題のこれまでの政府の
対応
を事実に基づきながらクールに客観的に
検証
し、それを
評価
し、今後の
食品安全行政
の在り方について
検討
してまいりましたが、
検討
を重ねるにつれて、
食品
の安全を求める
消費者
、苦悩を続ける
畜産農家
や食肉・外食産業者を始めとした国民全体から熱いまなざしを背中に受けながら審議を続けてまいりました。要するに、国民、全国民に負託された重大な任務を痛感しながら議論を進めてきたわけでございます。
委員会
は
透明性
を持たせ
公開
とし、
委員
主導の
報告書
案を作成し、その調整過程もまた国民の
皆さん
の見ているところで進めてきたつもりでございます。そのことは、傍聴席から、あるいはインターネットで
公開
される
議事録
を見ていただくと明らかであろうと思います。
委員
一同、その国民から負託された
課題
に対して十分こたえることができる答申ができたものと確信している次第でございます。 以上でございます。
真鍋賢二
8
○
委員長
(
真鍋賢二
君) 以上で
報告
の聴取は終了いたしました。 ─────────────
真鍋賢二
9
○
委員長
(
真鍋賢二
君) それでは、これより
質疑
を行います。
郡司
彰君。
郡司彰
10
○
郡司
彰君 民主党の
郡司
でございます。
BSE
に関連した
質疑
をさせていただきたいと思いますが、まず、官
房長
官、大変、時間をやりくりをしていただきまして、ありがとうございました。 今、
報告
をお聞きをしたわけでございますけれ
ども
、お聞きをしてどのような受け止め方をなさっていらっしゃいますか、官
房長
官、そして
厚生労働大臣
、農水
大臣
の方からお聞かせをいただきたいと思います。
福田康夫
11
○
国務大臣
(福田康夫君) ただいま
BSE
問題に関する
調査検討委員会
の
高橋
委員長
から
報告
をお聞きいたしました。大変的確な、また厳しくもある
報告
また御指摘があったわけでございますが、政府としてもこれらの指摘を厳粛に受け止めているところでございます。 また、今後の
食品行政
につきまして、御指摘のありました
食品
安全性の確保のための
法制度
の整備、また新たな
食品安全行政
機関
の構築等について提言がなされたのでございまして、これらにつきましては、総理からの御指示も踏まえまして、私や
厚生労働大臣
、
農林水産大臣
を始めとした
関係
閣僚が十分協議、
検討
を行い、平成十五年度
予算
に反映できるよう、本年夏ごろをめどに具体案の作成に取り組んでまいりたいと存じておるところでございます。
坂口力
12
○
国務大臣
(
坂口
力君) ただいま
高橋
委員長
から
BSE
に関します
調査検討委員会
の
報告
をお聞かせをいただきました。非常に多角的に御議論をいただきまして、今日に至りますまでの
問題点
を見事に整理をしていただいたというふうに思っている次第でございます。 とりわけ、その中で、
WHO
の
勧告
がございました一九九六年の取扱いの問題、そして二〇〇一年におきます
EU
ステータス
におきます
問題点
等々、非常に厳しくも、また我々に対しましても厳しくひとつ御指摘をいただいたというふうに思っておりまして、これらの点を十分にわきまえまして、今後のひとつ対策に万全を期していきたいと考えているところでございます。
武部勤
13
○
国務大臣
(
武部
勤君) 大変、
高橋
委員長
始め
委員
の
皆さん
方に、お忙しいところ十一回もの回を重ねて、しかも
公開
で、相当数の
資料
を丁寧にお調べいただきまして
報告
をいただいたわけでございますが、実は、私が、
BSE発生
時、どうしてこういうことが起こったのかと、
危機管理意識
の希薄さということに大きな問題を感じました。 そして、
行政
上に構造的な問題があるのではないかと、これは役人任せにせず政治主導で徹底究明しなければならない、しかし、その前提として客観的な
検証
、科学的な知見に基づく
検討
が必要だということで、この第三者による
調査検討委員会
の設置を
私的諮問機関
として設けることに私は非常に固執したわけでございますが、今その
報告
をいただきまして、中身については極めて厳しい御
報告
でございますが、この
調査検討委員会
を設置したということ、そしてその
報告
が、極めて厳しいけれ
ども
、今後の
食品
の安全にかかわる問題、とりわけ
農林水産省
にとりましては大きな反省をしなければなりません。生まれ変わって出直すようなそういう改革が必要だと思っておりますし、
農林水産
政策につきましても、生産者サイドから
消費者
サイドに大きく
軸足
を移して取り組んでいかなきゃならぬという御指摘でございます。 私は、そういう意味で、この
調査
委員会
の設置、そして
検討
された結果を得て、これらを体して真剣に取り組んでいかなければならないという決意を新たにさせていただいた次第でございます。
郡司彰
14
○
郡司
彰君
報告
の受け止めについてお聞かせをいただきましたが、農水
大臣
に重ねてお伺いをしたいと思います。 今現在、自分のお考えの中で、この
報告
は
報告
として、役所なり役人に対して何か言いたいことがございましたら、この場でお聞かせいただきたい。
武部勤
15
○
国務大臣
(
武部
勤君) 言いたいことはもう既に何度も私は役所で徹底指示いたしております。 つまり、私
ども
の
農林水産省
として感じておりますことは、グローバル化した国際化の時代に起こり得ないことが起こり得るという、そういう問題意識というものを持って、あらゆる
情報
を科学的に正確に
公開
をして、そして今、
高橋
委員長
から御指摘ありましたように、どんな危機に直面しても、この危機をどのように
評価
するか、これは、
リスク評価
というものは、やはり第三者といいますか、
専門家
にやっていただくような、独立した
機関
でやってもらうようなそういうこと、つまり
行政
の縄張争いなどというようなことは断じてやってはいけないということ、その上で、
リスク管理
ということについてあらゆる
情報
を基にしてしっかりした体制を作ること、さらには、ゼロリスクということはなかなかあり得ないんでしょうから、この
リスクコミュニケーション
といいますか、
情報
を開示することによって
消費者
の
皆さん
方や生産者の
皆さん
方、あるいは
マスコミ
関係
の
皆さん
方も含めて、いろんな
関係
者の方々でそうしたリスクにどのように賢く
対応
していくかというような
リスクコミュニケーション
が非常に大事である。 私は、
農林水産省
に申し上げたいことは、これからの
行政
は
消費者
サイドに
軸足
を大きく移してかじ取りをしていくということが結果として食糧の自給率の向上や生産者のためでもあると、このことをしっかり認識して出直すということを役所には強く要求したいと、そのことを既に指示して
対応
している次第でございます。
郡司彰
16
○
郡司
彰君 この
報告
の中に、「果断に対策を講じなければ
行政
の不作為を問われかねない。」というふうな文言がございまして、これは現在進行形の書き方になっているわけですね。今まで、そして現在の対策について万全だというお考えでしょうか。
武部勤
17
○
国務大臣
(
武部
勤君) 私は、万全ということは、どれだけの手だてをしても万全ということを言い切れると思っておりません。 いずれにいたしましても、
BSE発生
当時の混乱、このことについては大きな反省点であり、改めて国民の
皆さん
方におわびをしなければならないと、このように思っております。また、
農林水産大臣
として、
農林水産省
の最高責任者として、仮に一九九六年当時の問題であったとしてもその責任は重いと、そういった責任感を感じつつ、やはりしっかりした食と農の再生プランというものの作成にもう既に取り組んでおります。 この
委員会
というのは、今、
委員長
から御
報告
のとおり十一回やりましたが、すべて
公開
です。私は本当にかつてないような取組方だと思っておりますし、同時に
公開
でありますから、私
ども
農林水産省
といたしましても、一回目からの
会議
の模様を承知しているわけです。 その上で、直ちにこの
委員会
の御議論と並行して我々が取り組まなきゃならない
課題
は何か、どういう方向を目指していくべきかというようなことで、既に今、これもうお示しいたしますが、食と農の再生プラン、安全で安心なフード
システム
の構築を目指して、
消費者
に
軸足
を置いた
農林水産
政策の転換について、これを来週中には取りまとめを
発表
できるんじゃないかと、このように思っておりますので、今後、様々な改革案というものを具体化いたしまして、
発表
いたしまして、実行してまいりたいと。今、正にその途上にあるということで、その責任を感じてしっかりしたリーダーシップを発揮してまいりたいと、このように思っているわけでございます。
郡司彰
18
○
郡司
彰君 官
房長
官にお尋ねをしたいと思います。 国民生活に大変大きな影響を与えているんだろうというふうに思いますが、内閣として、今回の
BSE
に関連をしました倒産でありますとか、あるいは被害額、そしてどのような産業、どの程度の
人たち
にまで影響が及んでいるか、分かっている限りでお話をいただければと思います。
武部勤
19
○
国務大臣
(
武部
勤君)
BSE
問題の発生は、国民の食と農に対する信頼を大きく揺るがすことになったものと認識しておりますが、生産・
流通
現場の方々の御
意見
を聞きながら必要な対策を可及的速やかに講じてきたところでございます。 今、被害額というふうにおっしゃいましたですか。細かい数字は今用意いたしておりませんけれ
ども
、生産者、また関連する卸売等の中小企業の
皆さん
、そういった方々を含めますと大変大きな被害といいますか損失を与えたと、このように考えております。 しかし、これらに対しましては、
BSE
マル緊等の経営安定対策に加えまして、廃用牛の
流通
円滑化のための支援対策、
BSE発生
農家のための経営再建対策、あるいはまた生産、
流通
等諸般の対策を講じているところでございますし、今後とも万全を尽くしてまいりたいと思います。
郡司彰
20
○
郡司
彰君 民間の
調査
機関
の数字な
ども
あるわけでありますが、ここ何か月間かは、この
調査
機関
の冒頭、
最初
の倒産件数の大きなくくりでいうと
BSE
ということになっておりまして、十月からで四十六件、負債総額三百四十三万とか、全体では二千万を超える国民の生活における被害が出ているんではないか、そういうような数字がございます。 これ、前々から私、農水省、あるいは内閣のところでもそうだったかと思いますが、こういうものについて調べていないんですかということになると、いつも調べていないということなんですが、これはそういうところに対する関心を持たずに来たということなんでしょうか。
須賀田菊仁
21
○
政府参考人
(
須賀田菊仁
君) 各
段階
の影響額でございます。 明確に
BSE
の影響ということで正確に把握することは困難でございますけれ
ども
、いろいろな統計数値を基に大胆に推計をいたしますと、まず農家
段階
でございますけれ
ども
、肉用牛経営におきましては、子牛価格が低落をしている、あるいは枝肉価格が低落をしているということで、昨年九月から今年の二月までの価格を前年同期と比較いたしますと、収入の減少額が一千三百十億円程度でございます。これに対して対策費が一千億ほど取られましたので、実際の影響額は三百億程度だというふうに推測をしております。 それから、食肉販売業でございます。牛肉のみの影響を把握することはなかなか困難でございます。多種多様な
段階
を取りますので、牛肉の枝肉価格の低落というのが仕入価格の減にも結び付いているわけでございますけれ
ども
、食肉販売業の昨年九月から今年一月の売上げの落ち込みというものを
BSE
に起因するものとして推定をいたしますと、前年同期に比較いたしまして約一千六百億円程度の収入減でございます。この一方で、豚とか鶏の消費は伸びておりますし、仕入れ原価である卸売価格も低下しているというような面もございますので、一定の所得は確保できているとは考えております。 それから、焼き肉業界でございます。焼き肉業界も、提供しているメニューが牛肉には限られていない、あるいは仕入れ原価である卸売価格が低下をしているというような事情がございますけれ
ども
、昨年九月から今年の二月までの全国焼肉協会の売上高の動向
調査
というものを参考に売上減少額を比較いたしますと、昨年同期に比較いたしまして七百四十億から九百億円程度のマイナスというふうに見込んでいるところでございます。
郡司彰
22
○
郡司
彰君 実際の損害ということと補てんをしているもの等がございますから、ありますけれ
ども
、かなり大きな数字になってきているわけですね。この辺のところをやはりきちんとつかむということの作業もやっていただきたいなというふうに思っております。 今、農家あるいは
消費者
のところを回りまして
いろいろ話
を伺っておりますが、生産者の
段階
では今、特に融資つなぎの
関係
とかマル緊の
関係
については一定、落ち着いてまいったように思っております。廃用牛の
関係
がまだ大変生産者のところにとっては大きな問題になっているというふうに思いますが、手取りとして乳牛で四万、肉牛で五万というのは、これは保障されるということでよろしゅうございますか。
須賀田菊仁
23
○
政府参考人
(
須賀田菊仁
君) 廃用牛対策、二月一日から適用をしております。農家から乳用牛四万、肉用牛五万で買い上げる経費のほかに、出荷経費だとかあるいは輸送経費だとか食肉加工処理経費だとかが助成の対象になっております。
通常
の出荷が行われるという前提に立ちまして、農家
段階
で乳用牛四万円、肉用牛五万円の手取りが保障される事業でございます。
郡司彰
24
○
郡司
彰君 それで、この事業ですけれ
ども
、お配りをしました「廃用牛対策の仕組み」というのを、これは農水省の
資料
でございますが、農家の方にお金が渡る手順としては、どこから渡るということになるんでしょうか。
須賀田菊仁
25
○
政府参考人
(
須賀田菊仁
君) 確かに、配付されましたこの図、私
ども
が農家向けに分かりやすく作った
資料
でございます。 正確にお金の流れを申し上げますと、農
畜産
業振興事業団がございまして、ここに肉用牛、肉用子牛等対策費、これは国から輸入牛肉関税相当額の交付を受けるわけでございますけれ
ども
、そこへお金が少したまっております。その農
畜産
業振興事業団から全国連、全国を区域とする農協でございますとか家畜商協会が直接の補助事業者になりまして、そこから傘下の農協、家畜商組合へ間接事業者になりまして、ここへお金が流れて、ここから農家へお金が流れる、こういう仕組みになっているところでございます。 そこの今言いました二
段階
を入れますとなかなか分かりにくくなるということで、その
段階
は省略をさせていただいた図にしたわけでございます。
郡司彰
26
○
郡司
彰君 せんだって
大臣
にお尋ねをしましたところ、法律がまだできないなという話をして、
大臣
の方からは、法律が制定されなくても対策、やるべきことはきちんとやると、そういうふうな答弁がございました。この廃用牛対策もそのような流れなのかと思いますが、今お話がありました農
畜産
業振興事業団が行うというのは、何に基づいて行われているんですか。
須賀田菊仁
27
○
政府参考人
(
須賀田菊仁
君) 法律の根拠といたしましては、農
畜産
事業団法と肉用子牛等特別措置法と、二本の法律の根拠に基づいて行っております。
郡司彰
28
○
郡司
彰君 事業団法の何条の幾つになりますか。
須賀田菊仁
29
○
政府参考人
(
須賀田菊仁
君) この事業、農
畜産
事業団法の二十八条の第一項第三号に「
畜産
の振興に資するための事業で
農林水産省
令で定めるもの」、いわゆる指定助成対象事業の
一つ
として実施をしているわけでございます。 ただ、この財源が先ほど申し上げましたように肉用子牛等対策費の財源に充てるために管理しております調整資金を活用して実施しておりまして、本調整資金は、今申し上げました指定助成対象事業のうちの食肉及びその家畜に関する指定助成対象事業に充当できるというふうに規定をしておりまして、食肉資源として滞留している廃用牛の
流通
の合理化を図るということで、食肉及びその家畜の
流通
の合理化のための処理、保管等の事業に当たるものとして実施をしているところでございます。
郡司彰
30
○
郡司
彰君 この事業団法の総則第一条では、その生産
条件
、需給
状況
等からかんがみて適正な水準における価格の安定に必要な事業を行う、業務を行うというようなことが書いてあって、今の二十八の三があるんだと思いますが、この新しい
BSE
に関連をした、そしてこの廃用牛の対策というのが私はこの文面からはどうも事業として成り立つとは思えないんですが、いかがですか。
須賀田菊仁
31
○
政府参考人
(
須賀田菊仁
君) 先生今申された下のところに、「
畜産
の振興に資するための事業に対する助成、」に必要な業務を行うというふうに目的規定のところに書いておりまして、「主要な
畜産
物について、その生産
条件
、需給事情等からみて適正な水準における価格の安定に必要な業務を行うとともに、」今の事業を行うというふうに書いておりますので、ここで読めるというふうに思っております。
郡司彰
32
○
郡司
彰君 私
ども
のところには、大体この事業が必要かどうかという問題ではなくて、こういう対策が決まりましたということで紙が参ります。この農
畜産
業振興事業団、保管事業の方もやっていて、そちらも同じく二百億ぐらいですね。こちらも二百億ぐらいのものが決まりましたよ、しかしながらこれ以降理屈は後ろに付いていますよというような形でやっておりますが、私はこのやり方は非常に芳しくないなというふうに思いますが、そうはお思いになりません──これは
大臣
の方にちょっとお聞きをしたいと思いますが、こういうやり方はいかがなんですか。
須賀田菊仁
33
○
政府参考人
(
須賀田菊仁
君) まず、事務的なことでございますので。 実は
BSE
対策事業、機動的に柔軟に打つ必要がございまして、年度の途中からも機動的に事業を実施する必要があると。この事業も二月一日以降適用をしているわけでございます。それを一々予備費でございますだとか補正
予算
でございますだとかという手続よりも、今私申し上げました、農
畜産
業振興事業団の中にその肉用子牛等対策を打つためのお金、財源がございますので、それをその指定対象事業として活用するというのが現実に一番即しているということで事業を打たしていただいているわけでございます。
郡司彰
34
○
郡司
彰君 そのような形でおやりになって、保管事業についてはいろいろ大変問題が出てきたわけですね。こちらも同じように二百億ぐらいのお金を使う。国会の中で議論をすることなく対策が決められて、対策を行う中で
問題点
がいろいろ出てくる。そして、そのときに、私
ども
が議論をしないで決まってくるという、しかしその中に、その中間に実は議論をしているんですね。農水省の方々と自民党の部会とはこれは話をしているわけですよ。そういう
関係
だけでこういうものを作って、二百億、今どちらに対してもやって、こういうこと自体がよろしいんですかと聞いている。
大臣
、どうなんですか。
武部勤
35
○
国務大臣
(
武部
勤君)
委員
御指摘のとおり、いろいろ議論しております。与党との議論も、与党内での議論もありましょうし、国会においても
農林水産
委員会
等で、この廃用牛対策についてはとにかく直ちにやれという、急いでやれという、そういう強い要望がございました。 私
ども
、こういう緊急に急がなきゃならないようなことについて、野党の
皆さん
からも強いお勧めがあってこういう対策を講じている次第でございますので、御理解をいただきたいと思います。
郡司彰
36
○
郡司
彰君
大臣
は、この廃用牛対策事業はどういう目的ですかという質問に対しまして、このように答えておりますね、廃用牛の円滑な出荷、
流通
を促進することが目的であります。これはそのとおりでしょうか。
武部勤
37
○
国務大臣
(
武部
勤君) 廃用牛対策は今、
委員
がお話しされたことも
一つ
の目的です。 それからもう
一つ
は、やはり将来の酪農業全体を考えた場合に、私は、乳牛の更新を進めないと、これが滞留したままになっている、あるいは牛舎の中にそのまま滞っているということでは将来酪農業が大変になると。そういう意味で、積極的にこの廃用牛の出荷が進められるようにというようなことも
一つ
の大きな目的でございます。
郡司彰
38
○
郡司
彰君 そのことは
大臣
の今の答弁でよく分かりましたが、販売、
流通
に供するということが元々の目的だったんですか。この
流通
させるということが目的。
武部勤
39
○
国務大臣
(
武部
勤君) 販売、
流通
という、そういうことを広く考えますと、やっぱり出荷を円滑化させて、酪農業に遅滞なく将来に向かって更新できるような、そういうことが
一つ
の大きな目的でございます。 これは、廃用牛、老経産牛肉も貴重な肉資源でございますから、しかし、この貴重な肉資源でありますけれ
ども
、なかなか実際には円滑な
流通
は消費の低迷によって進まないということもあります。したがいまして、滞っている場合にこれもどういう処理するかということについては、いろいろな考え方を念頭に置いて進めているわけでございます。
郡司彰
40
○
郡司
彰君 今、
大臣
がおっしゃったのは、屠畜場までは何とか早急にやらなくちゃいけない、その後は大事なものだから
流通
させるようにしようというようなお考えだろうと思うんですね。 ちょっと
局長
にお聞きをしますが、これは屠畜場以降、
流通
をしているものと一時保管と、今どのような比率になっていますか。
須賀田菊仁
41
○
政府参考人
(
須賀田菊仁
君) まだ焼却した実績がございません。 私
ども
は、今、
大臣
が申し上げました酪農経営の更新を進めていくと、そのために老廃牛を出荷すると。そして、
原則
は貴重な肉資源でございますので、販売、
流通
、できれば販売、
流通
すると。しかし、そこが詰まっているという場合にはやはりそこは焼却に持っていくと、こういう二本柱で元々の目的を考えているところでございます。 この事業実施要綱上は、販売、
流通
の方へ幾ら、保管、焼却の方へ幾らということはございませんで、実情に応じて
判断
をしていただくということでございます。
郡司彰
42
○
郡司
彰君
大臣
、廃用牛の対策の答弁の中でもう
一つ
言っておりますが、この中で、業者がもうけるようなことはもう厳に慎むように言っているということでございましたですね。それは多分そのとおりだと思うんですが、現状、この形でいくとしますと全国団体が四つ、そのほかにもう
一つ
、組合等というのがありますが、この組合等というのはどういう形で農家から買い上げて、所有を経て最終的に
流通
になったときには、このところのもうけというのはどこのものになるんですか。
須賀田菊仁
43
○
政府参考人
(
須賀田菊仁
君) 四万、五万買い上げまして、この農協、家畜商組合が、肉で売れたとしたときに差益が生ずるわけでございますけれ
ども
、その差益は必要な経費は除きまして返還していただくというふうにしているところでございます。
郡司彰
44
○
郡司
彰君 どこに返還するんですか。
須賀田菊仁
45
○
政府参考人
(
須賀田菊仁
君) 全国団体を通じまして農
畜産
業振興事業団の方へ返還をしていただくということでございます。
郡司彰
46
○
郡司
彰君 これ、各
段階
で契約が必要になってきますね。その契約はどの
段階
ごとに、全部やっていらっしゃるんですか。それはどこが担当してやっておられます。
須賀田菊仁
47
○
政府参考人
(
須賀田菊仁
君) この農
畜産
業振興事業団から全国連、さらに単協と家畜商組合、これは実施要領、実施要綱に基づきまして補助金の流れ
関係
をきちっと決めておるところでございます。 契約は、事業の適正を期すために、この流れの図でいきますと、事業を実施する農協等が廃用牛の出荷を家畜商に委託するというような場合の委託契約でございますとか、農協等が販売が不可能な食肉について焼却等を行う場合に、焼却処分事業者あるいはレンダリング業者との間で委託契約を締結するとか、そういう場合に生ずるものでございまして、その契約例等は事業実施要領等で示しているところでございます。
郡司彰
48
○
郡司
彰君 事業団法との兼ね合いがもちろんあるんだろうと思いますが、非常に、先ほど
局長
がおっしゃったように、これは簡便な形に改めたものだけれ
ども
、もうちょっと複雑だと。これ、実際かなり複雑ですよね。 そういう形の中で、私
ども
からすると、この農
畜産
振興事業団の方で買上げも含めて一括してできるんではないかと。それは委託という形で、事業団法の流れからいくと問題が出てくるのかもしれぬ。私は、だから、新法をきちんと作れというふうな意味も含めてでありますが、なぜこういう複雑な仕組みにしたんですか。
須賀田菊仁
49
○
政府参考人
(
須賀田菊仁
君) 事業の実施を考えました場合に、日ごろ酪農家等と接触をしておりますのはこの単協でございますとか家畜商組合でございます。そして、例えば一時保管施設でございますとか、そういうものを所有しているのも現地の単協でございますとか家畜商組合でございまして、またその酪農家自体が、同じ農協系統といいましても、全畜連系統、全酪連系統、全開連系統というふうにございますので、事業のそういう実施上の利便、効率化というものを勘案いたしまして、こういう仕組みにさしていただいたわけでございます。
郡司彰
50
○
郡司
彰君 そういう仕組みにさしていただいたということですが、例えば焼却の場合でも、業者の方と団体とで契約を結ぶことになりますね。その結んだ契約というのはどこがチェックをしてお金を出すことになるんですか。
須賀田菊仁
51
○
政府参考人
(
須賀田菊仁
君) 最終的には農
畜産
事業団まで来ましてチェックが行われるということになっております。 また、このお金の流れについては、当然のことながら、補助金適化法等の適用があるわけでございます。
郡司彰
52
○
郡司
彰君 最終的には農
畜産
業振興事業団がお払いになるんだろうと思いますが、それに至るまでのチェックというものの機能というものが本当に生かされているかというと、私も説明聞いて納得ができないような形であります。 それから、家畜商組合等の買い上げたものが最終的に利益が出たらば戻すという今説明、
局長
されましたが、私、何回も農水省から来ていただいて説明を聞いておりますが、昨日の夕方の
段階
までの説明ともこれまた全然違うんですね。毎回こういうふうに説明が変わるような仕組みなんですか、これ。
須賀田菊仁
53
○
政府参考人
(
須賀田菊仁
君) 舌足らずでございましたけれ
ども
、精算の方法というのは、例えば一万円で売れたと、で、農家には三万円足して渡す。これなら、その一万円の部分は差益は生じないというようなことがあるわけでございまして、その差益を生じさせずにきちっとやる方法についてはいろいろな
手法
があろうかというふうに思っております。 そして、その今言ったような
手法
が現実の農家からは非常に不満が出ておりまして、一万円しか来ないじゃないかというような不満も出ております。それは、まだ解体処理されずに肉代が入っていないものですから、そういうふうな不満になって出てきているんではないかというふうに思われるわけでございまして、更に現実的な方法について
検討
を加える必要があろうかというふうに思っております。
郡司彰
54
○
郡司
彰君
大臣
、これ私何回も聞いているんですが、その都度違うんですよ、説明が。 私は、心配をしておりますのは、これは省全体の責任ですから最後には
大臣
のところにという話があるかもしれません。しかし、私は、これ聞いていると、
大臣
もこの流れを本当に理解をしているのかなと、説明どこまで受けているのかという感じがするんですが、
大臣
はこの流れ詳しく御理解をいただいているということになるんですか。
武部勤
55
○
国務大臣
(
武部
勤君) 基本的な流れについては私も聞いておりまして、きちっと問題が起こらないようにやるようにというふうに指示しております。 ただ、私のところにも、まだ二万円しか入っていないとか、いろんなことを耳にいたします。一体どうなっているんだということで事務当局にただしているわけでございますが、これはそれぞれのところで、これはとにかく緊急に
対応
しなきゃならない事業でございますので、きちっと精算して、お金が入ったら出しているところもありますし、逆に、団体によってはきちっと生産者に全額払って、そしてそちらの方で最後の精算をするというふうなやり方もあるようでございますし、このことについては先般も、分かりやすくしないと、いろいろな検品の問題その他、どうも急いで
対応
する、より現実的な
対応
をするようにということが勢いいろいろな
対応
の在り方を認めざるを得ないということから、何かまたどこかで不当な利得を得ているのがいるのではないかとか、不正をやっているのではないかと、そういう誤解を持つ人々がいるのではないかということで、このことについては厳正に、分かりやすくやるようにと。そして、これはルールとしていろんなやり方あるというのは分かるけれ
ども
、それをもっと
透明性
の高い、もっと整理された、簡素化されたものにするように、至急するようにということを私は指示しているのでございます。
郡司彰
56
○
郡司
彰君 先ほど言いましたように、これ二百億という事業が、例えば農水省の中ではそう大きな事業というふうに取られないかもしれませんが、これは省庁によっても違うでありましょうけれ
ども
、私は税金として大きな額だろうと思うんですよね。この二百億に上るような事業が、今ほど言ったようにその都度説明が違うような中身でもって実際に始まっている。しかも、そういうものが毎回毎回重なって、
大臣
がこれいろんなところで答弁をしておりますけれ
ども
、役人が本当に税金を使うんだというその重さを感じてやっているのかという発言されました。私はそのことをただしたいんですね。 だから、このような形で、法律ができないまでに、しかしながら、きちんとそういうものを手助けをしながら、私
ども
で審議をしたような形でもってこういうものを作るということがやっぱり必要なんだろうと思うんですよ。それをいつもないがしろにしてやってきたということの結果がこのような対策に現れていると思うんですが、どうですか。
武部勤
57
○
国務大臣
(
武部
勤君) 法律はともかくといたしまして、きちっとしたルール化をしてやることは私は非常に大事なことだと、かように思います。
郡司彰
58
○
郡司
彰君 では、そのように始まっている対策が、もうちょっと細かいところでお聞きをしたいと思いますが、死亡牛が大変問題になるわけであります。受け入れてくれないとか、焼却場を使わせたくないとか、あるいは自分から、自ら自粛をして出したくないとかいろんなことがありますが、この死亡牛が出た場合のマニュアルというのはでき上がっておりますか。
須賀田菊仁
59
○
政府参考人
(
須賀田菊仁
君) 死亡牛の
BSE
検査体制の強化に当たりまして、死亡牛の検査及び処理の在り方についても
一連
の
検討
を行う必要があると考えておりまして、二十四か月齢以上の死亡牛の全
頭検査
ということを目指しまして、現在、
予算
、人員を含めた体制作りを整えているところでございます。今、死亡牛の
BSE
検査に必要な機材の整備、それから死亡牛の確認検査
システム
、具体的なサーベイランスの実施方法等につきまして、今、都道府県と調整を行っているところでございます。 家畜、このサーベイランス
対応
マニュアルについてお聞きでございますけれ
ども
、これにつきましては、
BSE
検査、これは死亡牛に限りませず、
BSE
検査で感染牛が確認された場合には、家畜伝染病予防法あるいは去年の十月に策定をいたしました
BSE
検査
対応
マニュアルに基づきまして、まず
一つ
は都道府県知事による発生の告示、それから
二つ目
に、その感染牛との同居牛につきまして疑似患畜とされている範囲を特定して殺処分をいたしまして
BSE
検査を行う、こういうことをするということとしておりまして、屠畜場における発見の場合と同様に確定診断がなされた場合で公表すると、こういうマニュアルはできているところでございます。 全
頭検査
まではまだいま少し体制整備が掛かるという
状況
になっているところでございまして、先月から副
大臣
、
大臣政務官
が各都道府県知事を訪問して死亡牛の検査の推進についても協力をお願いしていると、こういう
状況
にあるところでございます。
郡司彰
60
○
郡司
彰君 滞留しているのが五万八千頭という数字もありますが、これ死亡牛は出るわけですね。それに対して、実際には、今いろいろ言われたけれ
ども
、現在のところまだ対策ができていないということになるんですね。これは簡単に言ってください。まだできていないんですね。
須賀田菊仁
61
○
政府参考人
(
須賀田菊仁
君) 端的に言いますと、化製場焼却施設等の準備がまだでございます。
郡司彰
62
○
郡司
彰君 先ほど話の中にちょっと触れておりましたが、出た場合の同居牛についてはマニュアルができ上がっておりますか。
須賀田菊仁
63
○
政府参考人
(
須賀田菊仁
君) 現在、家畜伝染病予防法の中で疑似患畜とされている範囲の牛については、
BSE
は今のところ殺処分をしないと検査ができないわけでございますんで、殺処分をさせていただくということになっているところでございます。
郡司彰
64
○
郡司
彰君 その殺処分そのものに対してもいろんな
意見
があることはお分かりだと思いますが、その方法を続けるということで決まっているということなんですか、それとも見直しも含めて今まだ
検討
中だということなんですか。
須賀田菊仁
65
○
政府参考人
(
須賀田菊仁
君) 農家の皆様方からなぜ同居牛まで殺処分しないといけないのかという不満が寄せられているのは事実でございます。 ただ、私
ども
、今の技術では、先ほど言いましたように、
BSE
検査というのは死亡させないと検査できないという現状の科学的水準にありますし、それからやっぱり蔓延は、
BSE
の蔓延は防止しないといけないというようなことで、これも
OIE
の
基準
によりまして同居牛等につきまして疑似患畜として殺処分をさせていただいておるわけでございます。これが、例えば生前検査、生体のまま検査ができるというような技術が開発されれば、今のような
状況
に変更が加えられるというふうに思っておりますけれ
ども
、まだその水準に達していないという
状況
でございますんで、御理解を賜りたいというふうに思っております。
郡司彰
66
○
郡司
彰君 難しい問題だろうと思っております。ドイツでこの殺処分をするということができるといいますか、
日本
と同じだという言い方をされますが、向こうはできるということで大変な議論をした、民主主義とは何かというようなところまでの議論をやっぱりしたそうですね。ですから、どういう方法があるのか相当
検討
していただきたいというふうに思いますが、いずれにしても、基本は、犯人の方は人間で、牛の方は被害者なんですから、被害者だけ殺処分するという方法を安易に取らないで、そこのところはきちんとこれから科学的見地も含めてやっていただきたいなと。 もう
一つ
お聞きしますが、公表、公表をするということが大変
風評被害
とつながってくるということで、そのやり方を含めてもう十分
検討
をして新しい
システム
を考えなさいと再三言ってきておりますが、これはでき上がっていますか。
須賀田菊仁
67
○
政府参考人
(
須賀田菊仁
君) 今、家畜伝染病予防法の中で告示するということになっておりまして、それによりまして、やっぱり確定診断がなされた
段階
では公表ということにならざるを得ません。 実は発生農家、それから発生の地域から、このことについて何とかしてほしいという要望は来ているわけでございますけれ
ども
、今の根幹はなかなか崩せませんので、発生農家の皆様方に死亡した牛の手当金でございますとか、そういう経済
評価
のお金はお支払をし、かつ互助
システム
で、新たに経営再建をされる場合の導入牛一頭当たり五十万円プラス経営補てん十万円といったようなものを補てんする互助
システム
でございますとか、さらには、
大臣
の指示にございまして、発生地域に対して何らかのことをしてやれないかということで、そういういわゆる
風評被害
みたいなものを絶って、思い切って今の
システム
の中で
BSE
検査を受けていただくという体制作りというものに、
検討
しているところでございます。
郡司彰
68
○
郡司
彰君
大臣
、実はもっと、国が四万、五万で買いたたきをしているというような実態にもなる
可能性
があります。それも含めて、契約の問題も含めて、かなりアバウトな
予算
の決め方、使い方になる
可能性
が非常に強い事業だということで懸念をしております。 もう時間がございませんので
大臣
にお聞きをしたいと思いますが、処分の
発表
が行われました。この処分の中身で国民が納得をするというお考えでしょうか。
武部勤
69
○
国務大臣
(
武部
勤君) 私
ども
、このたびの
調査検討委員会
の
報告
を厳粛に受け止め、そして、ここで指摘されましたことは
農林水産省
全体の問題としてしっかり受け止めなければならないと、さようなことで先般、あのような処分を行ったわけでございます。 さらに、今なお国民の皆様方の間に不信感を払拭できない
状況
がございます。私も
農林水産省
のトップとして大きな責任を感じているわけでございますので、さような意味で事務方のトップである事務次官以下の処分も行った次第でございます。 しかし、このことで国民の
皆さん
方が納得するとか
評価
するとかというような、そういう認識は持っておりません。我々は
農林水産省
としてのけじめを付けたということでございまして、大事なことは、やはり食の安全、安心の問題について、法整備を始め
行政
組織、
システム
の在り方、今取り組んでいる食と農の再生プランといったものを
一つ
一つ
実行し、実を上げていくという過程で、少しずつ、一歩ずつ理解や
評価
がいただけるのではないかと、そういうことを胸に秘めて、しっかり職責を全うしていくんだと。
農林水産省
が生まれ変わって、みんなで一致協力して努力していくんだと。そういうことから、国民の
皆さん
方の信頼回復を一日も早く取り戻すように努力していきたいと、こういう思いでありますので、御理解いただきたいと思います。
郡司彰
70
○
郡司
彰君 私は、納得を
皆さん
はしていないというふうに考えておりますし、けじめが付いたのかなということについては付いていないというふうにも思っております。特に、職責を全うするというお話を何度か聞かされてまいりましたが、
一つ
一つ
の、ただいまの廃用牛の対策についても非常にずさんな計画、内容だというようなことを感じておりまして、こうした対策そのものが、正しくこれは、農水省ということもありましょうし、
大臣
の責任だなというふうな思いをしております。 ここで関連で、羽田議員の方にお譲りをしたいと思います。
真鍋賢二
71
○
委員長
(
真鍋賢二
君) 関連
質疑
を許します。
羽田雄一郎
君。
羽田雄一郎
72
○
羽田雄一郎
君 民主党・新緑風会の
羽田雄一郎
でございます。 関連質問をさせていただきます。
参考人
のお答えは、基本的に
高橋
委員長
にお聞きをいたしますが、せっかく
山内
代理も来られております。思うところがありましたら続けてお答えいただければと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。 まず第一点です。 一九九六年、
WHO
専門家会議
が開かれ、
勧告
を受けたにもかかわらず、中途半端な
行政指導
しか行われず約五年間ほったらかしになっていたと
報告書
でも読み取れるわけですが、この時期、
畜産
局長
だった熊澤前事務次官がこの場にいない、このことでは
原因
究明ができないと考えますが、先ほど、一番、最も大切な時期だと
委員長
も言っておられました。是非お答えいただきたいと思います。
原因
究明にならない。
高橋正郎
73
○
参考人
(
高橋正郎
君) 御質問の、
原因
究明にならないということで、ここの席にいないことはというふうにおっしゃいましたが、そのことについて
参考人
は何の発言もできません。
羽田雄一郎
74
○
羽田雄一郎
君 それでは、この
諮問委員会
の中で熊澤さんを呼んで解明に努めたかどうかということをお聞きしたいと思います。
高橋正郎
75
○
参考人
(
高橋正郎
君) お答えします。 残念ながら、私
ども
の
調査検討委員会
には
調査
権というものがございません。したがいまして、我々が要求する
資料
、これは
行政
当局が準備していただく
資料
に基づいてだけしか
判断
できませんでした。これは、
委員会
としてのそもそもの
性格
からやむを得ないと。正直、私
ども
もそこまでの
調査
権があればもっといろんなことをやりたかったな、もちろん時間の問題もございますが、そういう制約がございました。
羽田雄一郎
76
○
羽田雄一郎
君
EU
の
BSE
ステータス評価
に対して
評価
中断を要請した論拠は明らかではなく、推測で
報告書
は終わっておりますね。当時、このことをよく知っております、
畜産
局長
であった熊澤前事務次官を呼んで明らかにすべきではなかったかと私も考えております。 私
ども
民主党は、この場にも
参考人
として熊澤前事務次官をお呼びしております。しかし、それがかなっていない。我々は再三呼んでいるにもかかわらず、出てこれない。どこにこんなことが、きちんと解明ができないような
状況
になっているのかということを強く感じます。 私
ども
としては、是非、
委員長
、証人喚問を要求をさせていただきたいと思います。これは正式にお願いをさせていただきたいと思いますが、
委員長
、いかがでしょうか。
真鍋賢二
77
○
委員長
(
真鍋賢二
君) この件に関しましては、理事会でいろいろ論議を深めていったところであります。 ただいまの羽田議員の申入れに対しましては、後刻理事会で御相談をさせていただきます。
羽田雄一郎
78
○
羽田雄一郎
君 今までの話を聞いていただいても、やはりその当時、一番大切な時期を
畜産
局長
、そして最後は事務次官で終わっている熊澤前事務次官を是非国会の場においてきちんと呼んで、そして説明をしていただきたいと私は考えております。 今までの流れを聞いて、福田官
房長
官、いかが思いますか。また、
農林水産大臣
にもお聞きしたいと思います。
真鍋賢二
79
○
委員長
(
真鍋賢二
君) ちょっと、
意見
、具体的に話してください。
羽田雄一郎
80
○
羽田雄一郎
君 熊澤前事務次官を呼ばないと
原因
究明、またこれまでの流れが諮問
機関
でもはっきりしなかったわけです。やはりきちんとこの場に呼んで追及する、また、しっかりとこの
原因
究明をしなければならないと考えますが、いかがお考えになりますかということです。
福田康夫
81
○
国務大臣
(福田康夫君)
委員会
でお決めいただきたいと思います。
武部勤
82
○
国務大臣
(
武部
勤君)
参考人
等のことについては
委員会
がお決めになることだろうと、かように思います。
羽田雄一郎
83
○
羽田雄一郎
君 農水
大臣
は一月に熊澤前次官を退職をさせています。退職をさせて、早く、早期退職したものですから、その分も余計退職金を払ってお辞めをいただいていると。 お辞めいただいて
原因
究明ができないということでは、
大臣
のやはり
指導
力、これを問われると思いますが、
大臣
、もう一度きちんとこの国会に呼んで、
大臣
のお力で呼んで、きちんと説明をしてもらう。また農水
委員会
で呼んだ方がいいかどうか、
原因
究明に必要かどうかということをお答えください。
武部勤
84
○
国務大臣
(
武部
勤君) これは
委員会
で、また農水
委員会
も
予算委員会
も
委員会
でお決めいただくことでございますので、このことについてはいかんともお答えし難いと思いますが、
原因
究明というお話でございますが、私はこれは大事なことだと思いますので、
農林水産省
は
農林水産省
でいろいろ努力しておりますし、このたびの
調査検討委員会
におきましても、膨大な
資料
に基づいていろいろ
検討
いただいた、その
報告
が今般の
報告
だと、私はこのように思いまして、それを厳粛に受け止めて、今後の
対応
にそれを尊重してしっかりやっていきたいと、こう思っている次第でございます。
羽田雄一郎
85
○
羽田雄一郎
君 その諮問
機関
の
報告
の中でも論拠は明らかにできないと。そして、推測で
報告
は終わっているんです。そのとき
畜産
局長
だったわけですから、すべてを知っている人なんですね。最後の
EU
の
ステータス評価
、これを中断したのも間違いなく熊澤前事務次官であると思っております。きちんとこちらに呼んで説明を受けなければ、諮問
機関
でも無理だったわけですから、
大臣
、是非そのことを踏まえて、呼んだ方がいいかどうかだけでもお答えいただきたいと思いますが。
武部勤
86
○
国務大臣
(
武部
勤君) 私は今国
会議
員ではありますが、政府の一員でございまして、そのことについて、いいかどうかということも含めて、お答えは差し控えるべきだろうと、このように思います。
羽田雄一郎
87
○
羽田雄一郎
君
参考人
に今までの話を聞いていただいて、やはり熊澤前事務次官の話は聞いた方がいいかどうか、それだけはっきりお答えいただければと思いますが。
高橋正郎
88
○
参考人
(
高橋正郎
君) 先ほ
ども
申し上げましたように、
参考人
としてはそのことについてお答えする資格はないというふうに
判断
しております。
山内一也
89
○
参考人
(
山内
一也
君) 私も今のことにはっきりお答えする立場ではないと思います。 ただ、この原稿というか文章を考えた者として言いますと、やはり実際に示されたすべての
資料
に基づいて整理をしていった結果、ああいうふうな文章になってしまって、それで、具体的には
OIE
の
基準
の方に変えていくということで
EU
の
ステータス評価
を断ったのであるということは理解ができたわけですが、それ以上細かいことを聞く立場ではなかったと、聞くことが非常に難しい、恐らく、多分あれが限度であったと思います。そういうことが、いきさつだけを一応申し上げます。
羽田雄一郎
90
○
羽田雄一郎
君 先日の集中審議の中でも、小泉総理は、どんどんそういう方は呼んだ方がいいと、
原因
究明のためになるんだったらという発言もございましたので、是非そのことも踏まえて、
委員長
、お考えいただければと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。 それでは、次に行きたいと思います。 一頭目の狂牛病が発見され、十月十八日の全
頭検査
が開始される前に牛肉パフォーマンスをし、こんなにおいしい肉、安心だから
皆さん
もどんどん食べてくださいとブラウン管の前でお茶の間に語り掛けた
武部
大臣
の
対応
というのは適切であったと思いますか、お思いになられますか。
真鍋賢二
91
○
委員長
(
真鍋賢二
君) それはだれ、だれに質問ですか。
羽田雄一郎
92
○
羽田雄一郎
君 いや、もう、
参考人
、手を挙げたじゃないですか。
高橋正郎
93
○
参考人
(
高橋正郎
君)
資料
の二十五ページを読んでいただければと思います。そこにそのことが記載されてあります。
評価
そのものは我々の
調査検討委員会
の対象外でございます。ただ、そこに書いてありますように、安全宣言というものが報道され、二例目発生の際にかえって不信が高まったというようなことが問題だったと。しかし、それは
マスコミ
の伝え方にも問題があったし、
課題
を残したが、
行政
も国民にどう伝わるかについて注意を払う必要があったというふうに我々は
判断
しました。
羽田雄一郎
94
○
羽田雄一郎
君 先ほど
危機管理意識
の希薄さということを
大臣
は改めて述べられましたが、このことこそが
危機管理意識
の希薄さにつながっていると私は考えております。 全
頭検査
が開始されてから、全
頭検査
が始まったから食卓には安心なものしか上らないと。じゃ、今までのはどうだったんだと。おいしいからどんどん食べてくださいと言った、そのときはどうなんだという。これはもう危機管理ないですよね。私はそう考えております。
農林水産省
の政策
決定
に当たって、原案では自民党農林族議員、政と官の癒着等の表現がされていたのに、
報告書
では農林
関係
議員、政と官の
関係
等、表現が弱められておりますが、ここに圧力があったと我々を含めて多くの国民の
皆さん
が思っております。これについて、どうしてこういうことになったのか、お答えいただければと思います。
高橋正郎
95
○
参考人
(
高橋正郎
君) 先ほ
ども
申しましたように、我々の
調査検討委員会
はすべてオープンでございます。しかも、草案は
起草委員
がオリジナルで書いたということでございます。したがって、それがそのまま
委員会
の意思では
最初
の
段階
ではございません。その議論を踏まえて最終
段階
になったものが
委員会
の結論でございます。したがって、途中でどういうのが出てくるかということも国民の
皆さん
にちゃんと見てもらっています。 それで、圧力があったかどうかということですが、一切ございません。もしかあれば、正にオープンな席ですから、こういうことがありましたよということを言います。そういうことで、ございませんでした。
羽田雄一郎
96
○
羽田雄一郎
君 三人の
起草委員
のお一人の岩渕
委員
は、このことに対して、族議員の圧力があったことを四月三日の昨日、衆議院の農水
委員会
でも説明をされております。このことだけはきっちりと言わせていただきたいと思います。
報告書
を提出してから与党、特に自民党の
皆さん
に何回も説明をされているようですが、そのときにもいろんな恫喝、圧力はなかったと言えますか。
高橋正郎
97
○
参考人
(
高橋正郎
君) 自由民主党、それから公明党の会合に私、今まで三回ぐらい出ております。いろいろ
意見
がございました。確かに、その当初の原案についての話だとか、それから、そういうものが変わっていったいきさつだとか、そういう質問はございました。しかし、私は残念ながらどんな発言でもプレッシャー、圧力というふうに考えない性分でございまして、圧力と感じたことはございません。
羽田雄一郎
98
○
羽田雄一郎
君 昨日、小泉総理は、公明党、自民党の参議院青木大幹事長の忠告にも耳を傾けず、
武部
大臣
の続投を決めたようですが、狂牛病の一頭目が確認されるまで
行政
任せであった、希薄であったということ、また
武部
大臣
のその責任ですね、
行政
任せであった
武部
大臣
の責任は重いと思いますが、田中眞紀子前外務
大臣
にこの内閣は福田内閣だと言わせるような、福田官
房長
官、このことについてどう考えますか。
福田康夫
99
○
国務大臣
(福田康夫君) ちょっと質問の趣旨がよく分からなかったんですけれ
ども
、
武部農林水産大臣
に責任があったのかどうなのかと、こういうことかもしれませんね。それは、
農林水産大臣
御自身が何度も責任があると、こういうふうに申しているわけですね。しかし、こういうことが起こって、そしてこの
対応
、措置をする、そしてまた一番大事なことは、今までのそういう食とそれから安全とかいうようなことについて、食の安全というようなことについて、今まで
農林水産
行政
が本当に正しかったのかどうかと、こういう
検証
を行い、そしてもしそうでなければ、そういう食の安全と安心の確保と、このことに、
食品行政
を、農林
行政
を改めていかなければいけないということではないかと思います。 そういうことで、先ほど来、
調査検討委員会
の御
報告
をいただいたわけでございます。そういう御
報告
を踏まえまして、御
報告
の内容を踏まえて、これから正に
農林水産
行政
を大きく転換させていかなければいけない、この責任の方が、もちろん責任の方がと言うのは適当でないかもしれぬけれ
ども
、責任が極めて大きなことではないかと思います。 私
ども
は、これは
武部農林水産大臣
にこの責任を十分に果たしてもらいたい、そして時間的な問題もあります。もう一刻も早くその新しい体制を構築してもらわなければ困るということでありますので、このことに最大限これから力を発揮していただきたい、これが
武部農林水産大臣
の取るべき責任、一番大きな責任だというように心得ております。
羽田雄一郎
100
○
羽田雄一郎
君 小泉総理は政治主導で構造改革を行うと言い、一内閣一閣僚をうたって、それをほかから言われて変えることなどできないと、任命権者の意地と変なプライドだけで続投を決めたとしか言いようがないと私は思っております。 国民の食の安全、安心、信頼回復への裏切りであり、もはや小泉総理の任命権者としての責任問題とも言わざるを得ないと私は考えております。
報告書
が出され、懲戒処分が
決定
されました。事務次官以下、減給等、部下にだけ責任を取らせ、農水省のトップは私だといつも豪語している
武部
大臣
は自主返納と。自分のことを自分で決めて責任を全うしない、内閣として責任を取らせないというのは国民が納得する
判断
とは思えませんが、福田官
房長
官、いかが思いますか。
福田康夫
101
○
国務大臣
(福田康夫君) これは、一昨日、
農林水産省
において
一連
のこの責任に対する処分の
発表
を行ったところであります。そこで、
武部農林水産大臣
も自らの給与の自主返納を行うという厳正な措置を自らに科したわけでございます。 この
武部農林水産大臣
の責任だけというように考えているわけではありません。それは内閣の責任として、小泉総理も責任は痛感をしておるところでございます。 ただ、この処分について自主返納というような形を取りましたけれ
ども
、これは、
国務大臣
につきましては一般職の職員と異なりまして懲戒の制度がルールとしてございません。ですから、減給処分等を行うことはできないんでありますけれ
ども
、今回の給与返納の措置につきましては、総理とも相談をして、そして
決定
をしたところでございます。そして、
農林水産大臣
自らの意思として返納いたしたところでございます。
羽田雄一郎
102
○
羽田雄一郎
君 ますます任命権者である小泉総理の責任というものは重いと私は考えております。 我々は、国民に大きな不安を与え、莫大な税金をつぎ込まなければならなくなった責任者、この
武部
大臣
には即刻辞めていただきたいと。我々野党四党は、国民の
皆さん
と一緒に、本日、
日本
青年館で国民集会を行います。つるされっ放しになっております
BSE
緊急措置法案、この早期成立と
武部
大臣
の責任をあくまで求めていくことを宣言し、そして、この三月二十六日に、集中審議の中で小泉総理が、「だれであろうと、
調査
に必要だったらば、
委員会
でしかるべき人を呼んでいただいて結構だと思います。」ということ、このことをしっかりと、この
議事録
にも書かれておりますので、そのことも踏まえて
委員長
に最後に御
検討
いただくことをお願いして、私の関連質問を終わらせていただきます。
真鍋賢二
103
○
委員長
(
真鍋賢二
君) 以上で
郡司
彰君の
質疑
は終了いたしました。(拍手) ─────────────
真鍋賢二
104
○
委員長
(
真鍋賢二
君) 次に、渡辺孝男君の
質疑
を行います。渡辺孝男君。
渡辺孝男
105
○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男でございます。
BSE
問題に関する
調査検討委員会報告
書に関して質問をさせていただきます。
委員長
である
高橋参考人
にまず質問をしたいと思います。 短期間に莫大な
資料
を
調査
され、そして
公開
の下に立派な
報告書
をまとめられました。大変御苦労さまでございます。早速質問に入らせていただきます。
BSE
の問題でのこれまでの
農林水産
行政
を三時期に分けまして
検証
し、重大な失政、
判断
が甘かった、
政策判断
の間違いと、その三
段階
の
評価
を行っておりますけれ
ども
、このような
判断
となった理由についてお伺いをしたいと思います。
高橋正郎
106
○
参考人
(
高橋正郎
君)
風評被害
のこと、違いますか。ごめんなさい。
三つ
の違いですね。──はい、失礼いたしました。ちょっと違ったことを考えていまして。 〔
委員長
退席、理事野沢太三君着席〕 それは、ページ数にしては、第二部の冒頭でございます、二十一ページに、重大な失政と、それから
判断
が甘かったと、それから
政策判断
の間違いであるということの違いの論拠は何かということでございます。 残念ながら、私
ども
は裁判官でもあるいは法学者でもないので、そういった法的な基礎に基づいているものではございません。ニュアンスで、多少どれが重いかということはお分かりいただけると思いますが、何といっても、
専門家
を集めて、そして
審議会
をやっていろんな
意見
が出て、それで
法的禁止
をすべきだというふうな人もいたということと、それからまた、そのときには非常に
情報
がたくさん集まっていたわけですね。具体的な
WHO
からの
勧告
、
最初
はプレスリリースだったものだから、何となく、これは本物が来てからやりましょうということになって先延ばしにしていたわけですよね。そのときの
審議会
では結論を出さなかった。じゃ、実際にその本文が来たときに再開したかといったら再開していないんですね。 いろいろ当時の、当時といいますか現在の事務当局の人に聞いてみますと、内容が同じであったからということなんですが、しかし内容は、
最初
の
段階
で変わるかもしれぬという
判断
をしていたわけですね。それで、本物が来てからもう一回やりましょうということで会を閉じているんですが、本物が来ても開かなかったというようなことは、これは具体的な形で大きな失政であったというふうに考えます。 それに対して、一九九〇年代の場合には、国際環境からしても、
イギリス
だけは
肉骨粉
の
禁止
をやっておりますが、まだ
EU
はやっていない
段階
ですね。ましてや、アメリカなんかにもやっていないという
段階
で、
日本
だけが突出してできるという
状況
はやはり無理だったのかなというふうに考えるので、
判断
が甘かったと。もしかそこのところで思い切った
判断
をしてくれていたらなというような希望的なニュアンスがございます。 それから、最後の、
政策判断
の間違いであったと。これは先ほど申し上げましたように、選択肢があったわけですよね、
EU
の方式を取るのか
OIE
の方式を取るのか。それで、しかも
EU
はこれから後
OIE
の方式を採用するというような
情報
も入っていたということから、じゃ、その時期まで待とうじゃないかというような選択肢があったということでありますが、しかし私
ども
が問題にしたのは、そのときにいろいろ、こうやれああやれという
情報
が入ってきているわけですね、そういった
情報
に対して、もしか一頭目が入ってくる、出てくるかもしれぬぞという気持ちにならなかったことがやや
政策判断
の誤りではないかというふうに
判断
した次第でございます。
渡辺孝男
107
○渡辺孝男君 次の質問に入らせていただきます。
高橋参考人
にもう一度お願いをしたいと思います。
農林水産省
が
肉骨粉
等の牛への給与を
行政指導
にとどめたことの
一つ
の背景として、
報告書
では、九七年の家畜伝染病予防法改正のとき、改正時の衆参
農林水産
委員会
の、今後とも
指導
することとの附帯決議が全会一致でなされた経緯もありと記されておりますけれ
ども
、このようなことは国
会議
員にも責任の一端があるということを表現したものかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
高橋正郎
108
○
参考人
(
高橋正郎
君) 何ページかに書いてございますが、ちょっとそれを探すのが、附せんは付けてありますが、これかな。(「二十二ページです」と呼ぶ者あり)二十二ページですかな。二十二ページ、政策
決定
の
不透明性
。
風評被害
。ちょっと待ってください。ちょっと探すのが、後でまた見付けたら何ページかということを指示します、お話ししますが。
最初
の原案の
段階
では、衆参両院の附帯決議があったから延びた、続けたんだという論理的なつながりの文案でございました。しかし、討議をしているうちに、いろんな
委員
から、それは論理的帰結ではないだろうと。衆参両院がしっかり
指導
すべきだという附帯決議をしても、情勢の変化からして、例えばその後、その翌年にはアメリカ、オーストラリアが、要するに欧州諸国ではない、
イギリス
からずっと離れている国で
肉骨粉
の
禁止
をしているわけですよね。そういう
情報
が入ってきた
段階
では当然これは変えてもしかるべきだというふうに私
ども
は
判断
しました。 したがって、その附帯決議をやったからずっとその
指導
で、
指導
が長く続いたとは私
ども
は考えておりませんし、
行政
当局も考えていないというふうに
判断
しております。
渡辺孝男
109
○渡辺孝男君 この件に関して、
武部農林水産大臣
に質問いたします。 この
農林水産
委員会
の附帯決議によって農水省の重大な失政は一部減免されると考えておられますかどうか。
武部勤
110
○
国務大臣
(
武部
勤君) 全くそのようには思っておりません。
渡辺孝男
111
○渡辺孝男君 次も
武部
大臣
に質問いたします。 この附帯決議が行われる前の農水省の
行政指導
の
状況
と、この附帯決議が行われたことによって
行政指導
がその後どのように強化されたのか、この点を伺いたいと思います。
武部勤
112
○
国務大臣
(
武部
勤君) これも事務方からいろいろ説明を受けて承知したことでございますが、九六年の
指導
通達
を農業団体、都道府県に発出し、農家、農協、飼料製造業者等へ
指導
通達
を周知徹底したと、こう説明しております。
指導
通達
の発出を受け、国の補助事業の一環として、都道府県による地区講習会の開催を通じた啓発
指導
や、
畜産農家
への巡回
指導
、肥飼料検査所による立入検査により
指導
を実施したという説明も受けておりますが、附帯決議後も同様の
指導
を更にしたということでございますが、しかし、あえて申し上げますと、結果として
BSE発生
後、全国で百六十五戸、五千百二十九頭、全頭、全飼養頭数の〇・一一%相当の飼料の不正、不適正使用の事例が確認されたことにかんがみまして、
指導
通達
のフォローアップが万全でなかったということを私
ども
率直に認めなければならないと、かように思っております。
渡辺孝男
113
○渡辺孝男君 引き続いて
武部
大臣
に質問いたします。 一九九六年の農業資材
審議会
飼料部会で
肉骨粉
の使用
禁止
の法制化を主張しました、二人の
委員
が。その
意見
が何ゆえその後再審議されなかったのか、その理由と責任の所在についてお伺いをしたいと思います。
武部勤
114
○
国務大臣
(
武部
勤君) その当時のことを私は絶対的に承知しているわけではありませんが、これも事務方の説明ということで御了承いただきたいと思いますけれ
ども
、
WHO
の
勧告
内容が正式に
決定
された後、その内容及び各国の
対応
状況
を踏まえた上で改めて審議されることとされたものであるということは、今、
委員長
も御説明しておりました
行政指導
で実効が確保されていると考えられていたことから、
肉骨粉
の使用
禁止
審議は再開されなかったということでございますが、私も今度の問題は
行政
の、
行政
上に構造的な問題があるというふうに考え、また
危機意識
の希薄さということに驚いたと何度もこういった場で発言してまいりましたが、それは私
ども
の常識ではそんなことで
審議会
が再開されないなどというふうに思いません。 また同時に、二名の
委員
が全体の中の十三人の二名だ、十三分の二だということで、このような問題で多数決で決める話じゃありません。こういった問題は
報告書
にもありますように、科学的に、専門的にそういった造詣の深い方の
意見
というものが、仮に一人であってもこれは傾聴しなければならないことだと、このように感ずるわけでございます。 そういう意味では、
農林水産省
という組織全体の問題として厳粛に受け止め、私
ども
も
農林水産
政策というものを生産者サイドから
消費者
サイドに
軸足
を大きく移さなきゃならぬ。言ってみれば当時は、その危険、危機感とかなんとかというものを生産者サイドに
軸足
を置いていたから頭にきちっと私は入らなかったんじゃないのかなという私個人の印象を持っております。 そういう意味で大胆な見直し、改革を積極果敢にしなければならないと、私はかように思っているわけでございます。
渡辺孝男
115
○渡辺孝男君 責任の所在についてはどのようにお考えですか。
武部勤
116
○
国務大臣
(
武部
勤君) それは、
農林水産省
全体として
危機管理意識
の欠落、更には生産者サイドに
軸足
を置いていたというそういう
行政
の在り方、あるいは
情報
開示の在り方と、政策
決定
の不透明さというものは一に掛かって
農林水産省
全体として私は受け止めなければならないと、このように思っております。 したがいまして、私は、このことについては、今
農林水産省
の最高責任者でございますので、国民の
皆さん
方に、厳粛に
報告書
を受け止め、御指摘の大きな重大な失政ということについてもこれもそれも率直に受け止め、国民の
皆さん
方に対しておわびを申し上げ、その上に立って新しい
消費者保護
第一、
消費者
サイドに
軸足
を移した
農林水産
政策の大胆な見直し、
農林水産省
改革を積極果敢に行っていくということで、それを全うすることで責任を果たしていきたいと、このように考えている次第でございます。
渡辺孝男
117
○渡辺孝男君 次の質問に入らせていただきます。
報告書
には、一九九六年に家畜伝染病予防法に
BSE
が取り入れられた際に、伝達性海綿状脳症という学術名を家畜伝染病予防法の名称にそぐわないとして伝染性海綿状脳症に変えた、このことが
BSE
、さらにクロイツフェルト・ヤコブ病も伝染病と誤解を招く点は考慮されなかったと、このように記されておりますけれ
ども
、ここで
高橋参考人
に質問をします。 この部分は、当初、
専門家
には相談することなく
行政
判断
で伝染性海綿状脳症に変えたとあったものが、
専門家
には相談することなくという部分が削られました。この理由についてお伺いをしたいと思います。
高橋正郎
118
○
参考人
(
高橋正郎
君) この点は獣医の
専門家
であられる
委員長
代理に回答していただきたいと思います。
山内一也
119
○
参考人
(
山内
一也
君) あの当時は、私もプリオン病の
専門家
の一人としてずっと農水省のこの問題にかかわっておりまして、私のところにも相談がなくてそれで変わってしまっていて、
専門家
には聞いていなかったというふうに
判断
しておりました。でも、後で
委員会
の席で、実際に農水省の、国の
研究
所の
専門家
に
意見
を聞いていたと。その
専門家
は、羊のスクレイピーも伝達性海綿状脳症の
一つ
で、これはうつる、感染する病気であるから、それを考えて伝染性でもいいだろうという回答をしております。ただ、その際に
BSE
のことまでは考えていなかったと、そういういきさつがありましたので、少なくとも
専門家
の
意見
は聞いておりました。そこで、削除した次第です。
渡辺孝男
120
○渡辺孝男君 この点で
武部
大臣
に質問をいたします。
報告書
では、この
報告書
では、
専門家
の
意見
を適切に反映しない
行政
、
科学者
を
行政
が政策立案の客観性を装う隠れみのに使っているとの批判が強かったと記されております。私は、それが
一つ
の失政の
原因
につながったのではないかと、そのように思っているわけです。この点、
武部
大臣
どう考えておられるか、お聞きしたいと思います。
武部勤
121
○
国務大臣
(
武部
勤君) 私は、そのことは極めて重要だと思います。したがいまして、
報告書
の、今後の在り方につきましても、やはり
リスク分析
といいますか、リスクアナリシスということをしっかり考えて
対応
しなきゃならないと、このように思っております。 〔理事野沢太三君退席、
委員長
着席〕 したがいまして、リスクの
評価
ということについては専門性の高い方々の集団による私は独立した組織で
対応
するというのが個人的にはやっぱりベターなのではないかと、まあ最近、多少勉強しましてそんな感じは持っておりますが、同時に、
リスク評価
、
リスクコミュニケーション
というようなことの組合せということを、当時からそういう
手法
を取っていれば、やっぱり
専門家
や
科学者
の
意見
というものをしっかり尊重して、もっとリスクを低下させたり、あるいは危機
対応
マニュアルということについてもしっかりしたものが
厚生労働省
や都道府県と取れたのではないか。さらには、
消費者
の
皆さん
方も対等にパートナーの一人として加えて
関係
者の
リスクコミュニケーション
というものを取っていれば、今般のような混乱は避けられたのではないかと。そういうふうなことは極めて大事な反省点で、今後どう改革していくかということについては最も重要なポイントではないかと、このように認識しております。
渡辺孝男
122
○渡辺孝男君 これらの
科学者
の
意見
を十分に取り入れなかったということが
一つ
あります。そして、基本的には、やはり
リスク分析
という考え方が欠落していたということが指摘されておりますので、この点は今後改善を求めていきたいと思います。 次に、予防
原則
に関して質問をいたしたいと思います。
報告書
には、二〇〇〇年十二月に厚生省は、
我が国
の
BSE発生
が確認される前ではあったが、ヨーロッパの
BSE
の広がりに
対応
して、
外国
由来の
BSE
リスクの高いものを医薬品などに使用することを
禁止
したと、一部省略しておりますけれ
ども
。これに対して、
BSE
の医薬品などを介して人への感染が現実に起きていない
段階
でコストを度外視した厳しいものという
意見
も出されたが、理論的リスクに対する予防
原則
に従った措置であり
評価
するとの内容の記述があります。 そこで、
坂口厚生労働大臣
に質問をいたします。コスト負担を度外視して、
EU
や米国より厳しいこのような予防
原則
に従った措置を取るようになった理由についてお伺いをしたいと思います。
坂口力
123
○
国務大臣
(
坂口
力君) 二〇〇〇年の十二月でございますが、この医薬品それから化粧品につきましての問題につきまして我々議論をしたわけでございますが、そのときに、医薬品とかそれから化粧品といいますのは、多くの牛の内臓等を寄せ集めて、そしてそれを非常に濃縮をして使うと。だから、
一つ
の医薬品とか化粧品の中には一頭ではなくて多くの牛のものが入っている、しかも濃縮されている。中にはそれを注射液として、ただ飲むだけではなくて注射なんかで使うことも薬としてはあり得ると。そういうことを考えますと、非常に危険性というのは、これは高いのではないかというふうに
判断
をいたしました。 前回もお答えをしたかも分かりませんが、この化粧品等につきましては、これは皮膚に塗るわけでございますから、皮膚から感染するかどうかということは今のところ分かっていないわけでございますけれ
ども
、粘膜から吸収されるものが皮膚から吸収されないという根拠はどこにもない、それが我々の最終
判断
でございまして、それで化粧品業界の
皆さん
方にも大変御無理をお願いをいたしました。 我々のその主張に対しましてよくお聞きをいただいたというふうに思っておりますが、そうした意味で、医薬品及び化粧品の材料といたしましては、
一つ
は
BSE
の伝播のリスクが比較的高い牛等の部位の使用を
禁止
する。それからもう
一つ
は、
BSE発生
国又は発生リスクが高い国を原産とする原料の使用を
禁止
する。この
二つ
を徹底して取り入れさせていただいたということでございます。 予防的
原則
というふうに言われておりますが、そのことに対しましては学問的にも私はいろいろと御批判はあるだろうというふうに思っておりますが、あえて取り入れさせていただいたところでございます。
渡辺孝男
124
○渡辺孝男君 予防
原則
に従って
食品行政
を行っていくというのは非常に大事であるということで、その面は私も
評価
をしたいと思います。 次に、
高橋参考人
にお伺いをしたいと思います。
報告書
では、
農林水産省
は「予防
原則
の意識がほとんどなかった。」と批判をされております。その
原因
として、「
風評被害
を過剰に警戒して
BSE
対策の遅れを招いたという指摘もある。」と記載されておりますけれ
ども
、この点に関して
委員
の
皆さん
の
意見
はどのようなものであったか、お教えいただきたいと思います。
高橋正郎
125
○
参考人
(
高橋正郎
君)
報告書
に用語集は付けました。これは、こういう
報告書
では珍しいかもしれませんが、一般の国民に読んでいただくという意味におきまして、何ページ以降ですか、用語集を付けました。しかし、索引は付けておりません。索引を付けて、恐らく
風評被害
というのを拾えば、六か所か何か所、数か所出てくるんではないかと思います。 例えば、十ページの真ん中辺、(2)の前の二行でございます。これはどういう事態であったのかというと、
EU
の
ステータス評価
に対する
対応
の
評価
、
委員会
としての
評価
なんですが、当面の
風評被害
が起きても、今回の発生時に起きた大きな社会混乱は防げた
可能性
があると。
風評被害
を恐れて、何といいますか、シュリンクしてしまうというか後ろへ下がってしまうんじゃなくて、あえて
風評被害
は
それなり
に一時は起こるにしても、しかしその後のしっかりした
対応
をするというようなことが必要ではなかったのかというようなことが非常に重要な論点として我々の
委員
の中で発言がございました。 それから十二ページ。実は
日本
で
BSE
が発生したのは極めて偶然が重なっております。といいますのは、サーベイランスを
農林水産省
と
厚生労働省
が別個にやっておりました。
最初
に牛が屠殺場に入って検査するのは、
厚生労働省
の傘下の食肉衛生検査所でございます。そこではサーベイランスの対象に掛かりませんでした。しかし、その牛を、
農林水産省
でもサーベイランスをやっていたわけなんで、敗血症という、敗血病という形で診断された牛について、脳の部分をもらって
農林水産省
の系列の千葉県の家畜衛生試験場で検査した、そこで発見したわけですね。 そういう意味で、サーベイランスがあったこと、それで、しかもその
二つ
の違いがなぜ出てきたのかと申しますと、
厚生労働省
のサーベイランスの
基準
は、神経障害がある牛という形にしたわけです。
農林水産省
の場合も
最初
はそうやっていたんですが、
OIE
の
基準
で、百頭、年間やらなきゃいかぬという規定がございまして、
基準
がございまして、それをやろうと。それをクリアするにはもう少し広げようということで、起立不能の牛も対象にしたわけですね。それで第一頭がめっかったわけです。第二頭、第三頭は症状が出ていないわけですので、全
頭検査
の結果、発見されたわけでございます。したがって、このサーベイランスで、
農林水産省
のサーベイランスで掛からなければ
日本
は今もって
清浄国
になっていたわけです。 これを不幸と見るか幸いと見るか。私は幸いだと思っております。正にこれがいい踏み台になって新しい飛躍が出てくると思うんですが、それに関連しまして、十二ページ下から五行目ぐらいに、その
農林水産省
が行おうとしたサーベイランスの目的ではございませんが、その趣意書が付いて県に回されております。括弧のところを読みますと、「わが国が清浄であることを、国内外に明らかにし、いたずらに
風評被害
を生じないよう」という文言が入っていたわけですが、
日本
は清浄であるということを論証しようと思ってサーベイランスをやったわけですが、まさかという事態が起きてしまってこういう事態になった。 そういう意味で、
風評被害
についての考え方、これは
委員
でも大いに議論したわけですが、それだけを考えてほかのことに手を打たなかったということは、これはやはり
危機意識
が薄かったんではないかというふうに
判断
しております。
渡辺孝男
126
○渡辺孝男君
武部
大臣
にお伺いします。 今、厚生省は予防
原則
に立って
対応
したと、農水省の方は予防
原則
を取り入れなかったという指摘がされておりますけれ
ども
、この点どのようにお考えか、お聞きしたいと思います。
武部勤
127
○
国務大臣
(
武部
勤君) 今、
高橋
委員長
からもお話ありましたように、私も
BSE発生
した当時、サーベイランス、これ
農林水産省
のサーベイランスのおかげと言ったら変ですけれ
ども
、そのことによっていずれにしても初発牛というのが出たわけでございます。私もこれは本当に良かったとこう思っております。 しかし、その中身は、今御説明あったように、何度言っても
清浄国
、
清浄国
と言うんですね。全くもう常識というのか、考え方が信じられないぐらいに違うんです。 私は、そういう意味で、これは
農林水産省
としては過去から現在に至るまでやっぱり生産者サイドに
軸足
を置いていたと。やはり
農林水産省
の仕事は人の生命と健康を守るという、そういう意識に立てば、まず危機、人の生命に影響を与えたらどうしよう、人の健康に影響を与えたらどうしよう、そこからスタートするものなんだろうと、こう思うんです。 そういう意味で、やはり今後このリスクを少しでも小さくしていく、万が一のときに危険を防止していくという予防
原則
というのがこれから私
ども
が前面に立てて取り組んでいかなきゃならない
行政
の基本だと、このように認識いたしております。
渡辺孝男
128
○渡辺孝男君 時間がなくなってきましたので、質問を一部省略いたします。 今回の処分の取り方と、処分と責任の取り方についてお伺いをしたいと思います。今回の
BSE
問題に関して、農水省と
厚生労働省
両省
は処分を行っていますけれ
ども
、その理由と処分の内容について、
武部
、
坂口
両
大臣
にお伺いをしたいと思います。
武部勤
129
○
国務大臣
(
武部
勤君)
調査検討委員会
の
報告
を厳粛に受け止めまして、
農林水産省
全体でしっかりしたけじめを付けなければならないと。 これは国民に対する償いという意味じゃありません。私
ども
全体の厳正な
対応
と、
行政対応
に対する問題に対する
一つ
のけじめだとこう思っているわけでございまして、一九九〇年から今日に至るまで
行政対応
の任にあり組織の管理監督責任者であった者を処分いたしたものでございます。現在においても国民の不安感や不信感が払拭されていない
状況
を踏まえまして、組織としてのこれまでの
一連
の
行政対応
の
問題点
について、省として姿勢を正す観点からの処分でございます。 このことによって国民の
皆さん
方に納得していただけるというようなそういうつもりは、認識はございません。これからどういう
農林水産省
改革を進めていくか、あるいは
農林水産
政策を見直していくか、そのことによって一歩ずつでも国民の理解を、また
評価
を得られるように努力していかなければならないとこのように思っております。
坂口力
130
○
国務大臣
(
坂口
力君)
検討
委員会
の
報告書
の中におきましては、
農林水産省
との
連携不足
など、食の安全確保に責任を持っております
厚生労働省
に対しましても反省すべき点が厳しく指摘されているところでございまして、これらの点を率直に、そして重く受け止めまして、省内の各部局を監督する立場にあります事務次官それから
食品衛生行政
の責任であります
食品
保健部長、この二人に対しまして
文書
で厳しく厳重注意をしたところでございます。 あわせまして、私自身も厳しくそれに併せて自らを戒めるためにも二か月間の
大臣
報酬のカットを行った、こういうことでございます。
渡辺孝男
131
○渡辺孝男君
EU
の責任の取り方と比較しまして軽いんじゃないかという思いがありますけれ
ども
、この点に対して両
大臣
の見解を伺いたいと思います。
坂口力
132
○
国務大臣
(
坂口
力君) ドイツにおきますこの厚生
大臣
それから農林
大臣
が引責処分になっておりますが、この二人がなぜそういうふうになったのかということを見てみますと、このドイツの農林
大臣
の方は、いわゆる農業省が
発表
しました
BSE
対策につきまして、これは農業省が
BSE
対策を
発表
しているんですが、しかしそれは必要ないと、現在の農業方法の維持で結構だということを主張されて連邦政府内で孤立をしていたということも
一つ
ございまして、それで、狂牛病の心配はないというふうに、ほかの
人たち
がいろいろ指摘をしているにもかかわらずそれに従わなかったということが
原因
になっています。 それから、
英国
におきます、保健
大臣
、厚生
大臣
の方でございますが、これは
英国
からの牛肉の輸入を今まで
禁止
をしていたわけでございますが、この平成十二年に牛肉の輸入の解禁法案を提案した、一遍
禁止
をしていたのをもう一遍入れてよろしいということにしたと、その責任を問われた、こういうことになっておりまして、若干、
日本
とは内容が違うのではないかというふうに私は思っております。
武部勤
133
○
国務大臣
(
武部
勤君) 私
ども
は、このたびの
BSE
問題への
対応
について、当初から、
危機管理意識
の希薄さ、
行政
、縦割り
行政
の弊害、
行政
上に構造的な問題があるのではないか。したがって、役人任せにせず政治主導で徹底究明していこうと、それが私自身の使命だと、こう思って、
調査検討委員会
を
私的諮問機関
として設置することに私は執着したのでございまして、このたび、その
報告
をいただきました。 大変厳しい御指摘をいただいたわけでございまして、重大な責任を感じております。同時に、一方で、
BSE
問題を契機として、
大臣
を始め
農林水産省
内に改革を目指す動きが出てきたことについては
評価
することができるというような記述もいただいております。 私といたしましては、既に、
消費者保護
第一ということで
軸足
を
消費者
サイドに置いて、
農林水産
行政
への改革に着手し、その途上にあると、このように認識をしているわけでございまして、今後、大胆な見直し、断固たる改革を行っていく所存でございまして、既に、食と農の再生プランも来週中には
発表
できると、このように思っております。 いろいろ厳しい御批判をいただき、私自身は針のむしろと言っても過言でございませんが、今、投げ出すわけにはいかない、逃げ出すわけにはいかない、やり抜かなければいけないと、こういう決意で、国民の皆様の信頼と安心を取り戻すために全力を尽くしていくことが
一つ
の大きな責任の取り方と、このように考えております。
渡辺孝男
134
○渡辺孝男君 先ほど質問の、私の前に、質問の中で、
BSE
問題が発生してからいろんな分野の方々に多くの損失といいますか被害が生じたということが数値上明らかになってまいりました。それに対して、政府の方も、いろんな意味で財政支援をし、助成をしているわけですけれ
ども
、これも間接的にやはり国民が負担をしているということになるわけです。そういう意味で、二重に国民が大きな負担を強いられたと。 そのほかに、やはり国民が食の安心、安全という、そういう大事なところを信頼を失ってしまったと、不安に陥ってしまったということがありますので、これも大きな問題ではなかったかと思います。 そのほかに、
変異型クロイツフェルト・ヤコブ病
という、
英国
でこういう病気が、これ
BSE
と
関係
しているんじゃないかという疑いがありまして、これがもし
日本
で発生すれば大変なことになると、そういう国民に健康不安を与えたということも、これが大きな問題ではないかと思います。 そういう意味で、こういういろいろな問題を反省しながら、これから
清浄国
に向かって頑張っていただきたいと思いますけれ
ども
、責任の重大さは十分認識をしていただきたいと思います。 以上で質問を終わります。
真鍋賢二
135
○
委員長
(
真鍋賢二
君) 以上で渡辺孝男君の
質疑
は終了いたしました。(拍手) ─────────────
真鍋賢二
136
○
委員長
(
真鍋賢二
君) 次に、紙智子君の
質疑
を行います。紙智子君。
紙智子
137
○紙智子君
日本共産党
の紙智子でございます。
高橋参考人
、
山内
参考人
、このたびは本当に御苦労さまでした。
最初
にお聞きします。
高橋参考人
、
EU
の
ステータス評価
を拒否をした問題で、なぜ
政策判断
の間違いだったということになったんでしょうか。できれば簡潔にお願いいたします。
高橋正郎
138
○
参考人
(
高橋正郎
君) また二十一ページの件でございますが、
EU
の
ステータス評価
について
政策判断
に間違いがあったという点でございますが、繰り返し申し上げていますように、ここでは選択肢があったと。
EU
の
基準
を取るのか
OIE
の
基準
を取るのかというところの選択肢があって、
行政
当局は
OIE
の
基準
を取ろうと。それから、
EU
自身も
OIE
の
基準
に変えていこうという動きがございました。そういうことで、選択肢がある中で
対応
したと。 ただ、そのときに、
EU
がいろんな
情報
を出してくれています。その
情報
で
日本
はこういうふうに危険な
状況
ですよということを適切に言ってくれていたわけなんですが、その
情報
をもっと素直に見て、受けて、そして、もしか、ここで起きるかもしれぬと、起きた場合にどうするかというような
対応
がなぜできなかったのかというようなことについて問題視をした次第でございます。
紙智子
139
○紙智子君
大臣
、この
EU
の
ステータス評価
を断ったのは、あなたが
大臣
に就任した、就任中のことですね。
武部勤
140
○
国務大臣
(
武部
勤君) そのとおりです。
紙智子
141
○紙智子君
EU
の
評価
を断った責任者は、
武部
大臣
、あなたです。──まだ質問終わっていません。それが
調査検討委員会
の
報告
でも
政策判断
の間違いというふうに指摘されているわけです。 あなたは問題の解決に全力を尽くすことで責任を果たすんだというふうに言っていますけれ
ども
、間違いを起こした本人が問題の解決を言う資格があるんでしょうか。責任の重大性を認めているのであれば、これ以上
大臣
の職にとどまるべきではないと、やはりお辞めになることが最も最良の責任の取り方ではないでしょうか。
武部勤
142
○
国務大臣
(
武部
勤君) 職責を全うすることも責任の取り方だと思っております。
紙智子
143
○紙智子君
大臣
の責任については議論の余地がないと、明確だと思うんです。問われているのはやはり小泉内閣の責任の取り方と。 それで、官
房長
官が残念ながらいなくなりましたので副官
房長
官にお尋ねしますが、小泉内閣としては、この
調査
報告
が指摘した
問題点
は過去の問題で、
武部
農水
大臣
には責任はないということなんでしょうか。
上野公成
144
○
内閣官房
副
長官
(上野
公成君
) 官
房長
官がおりませんので、代わってお答えさせていただきます。 この本
報告
では、
農林水産省
の体質そのもの、それから
農林水産
行政
に対して大変厳しい御指摘を受けているわけでございます。 小泉総理からも両
大臣
に、しっかりと法律の整備でありますとかそれから組織について取り組むような指示もされているわけでございまして、今後、やはり政府としましては、内閣としましては、本
報告
の指摘を厳粛に受け止めてこの問題に当たっていくということ、そのために
武部
大臣
に引き続き職にとどまってしっかりとこの仕事をやり遂げていただく、責任、それが責任を全うするということだというふうに考えております。
紙智子
145
○紙智子君 この
報告書
が
政策判断
の間違いとしたのは、言わば小泉内閣の下での
対応
です。総理
大臣
自身がやはり
武部
大臣
をかばって、内閣としての誤りを明らかにすることを避け続けるということ自身、小泉首相そのものの責任を問われる問題です。小泉総理が農水
大臣
の
辞任
を受け入れないというのは、これは結局政権運営の求心力を失いかねない危機感からじゃないですか。国民の命や健康あるいは
食品
の安全ということよりも、政権の延命を優先させるということじゃありませんか。こういうことに対して、国民は決して納得をしませんよ。 さらに、
大臣
にお聞きしますが、
EU
の指摘というのは正確なものでした。そして、それにもかかわらず
大臣
は、その内容も見ずに、
EU
の指摘していた意味も分からずに、
事務局
の言うままに、事務方の言うままに
ステータス評価
を断った。食の安全や命の、生命にかかわる問題だという自覚も危機感もなく、間違った
政策判断
を行った
大臣
に、どうして食の安全の抜本的な見直しができるんですか。
武部勤
146
○
国務大臣
(
武部
勤君)
EU
の
ステータス評価
については、
委員長
の御
報告
のとおり、この
ステータス評価
を中断したから
BSE
が侵入したということではございません。
EU
から様々な
情報
を与えられていて、それを
公開
して、それに基づいて危機
対応
マニュアルを作っていなかったということが私は一番大きな問題だと思います。 私が就任して、六月に事務方から話を聞いたときには、
EU
も
OIE
の
基準
に照らした新しい
評価
を行うと、
基準
を作ると。現に、七月には
EU
は
OIE
の新しい
基準
に準拠した
評価
を行っている、
基準
を作っているわけですね。そのことを確認したわけでございまして、私がそれを最終的に了といたしましたが、一番大きいことは、二〇〇〇年十一月からいろいろ指摘されたことについて、しっかりそれを受け止めた
対応
をしていなかったということが問題だと、このように思っております。 いろいろ厳しい御指摘がございましたが、それを謙虚に受け止めたいと思います。そして、しっかり
対応
したいと思います。大変僣越な言い方でございますが、私も就任時と違いまして、この半年余り
BSE
の問題についてはかなりの知恵の蓄積もございます。問題意識もございます。それに対する対策についてももう既に
対応
に努めている次第でございまして、これをしっかりやり抜くということが結果的に国民の
皆さん
方の信頼をいずれ確立できる、こういうことを信じて頑張りたいと思っております。
紙智子
147
○紙智子君 真摯に受け止めて反省すると言われますけれ
ども
、しかしながら、確かに言われるように、
EU
の
ステータス評価
の問題でそのことが
BSE
の侵入を許したわけじゃないというふうに言われていますけれ
ども
、そうかもしれません。しかしながら、この
ステータス
の
評価
をちゃんと受け止めて、その時点でマニュアルを作るとか
対応
策をしていたら、やっぱりあれだけの混乱は避けられたわけじゃないですか。しかも、二千億とか三千億とか大変な損害を与えるような事態は避けられたわけじゃないですか。そのこと自体が本当に重大だし、罷免に値すると私は思うんですよ。 続けて聞きますけれ
ども
、
調査検討委員会
で重大な失政と断罪をした、九六年の当時の
畜産
局長
でありました、そして
EU
の
ステータス評価
を断った、その両方の当事者の事務次官だった熊澤氏についても、これ罷免していないと。そして、私たちが繰り返し繰り返し、当時のことをよく知っているわけですから、何度も
委員会
に来ていただいてそして事実経過を話してもらおうということを要求しました。ところが、一貫して与党はこれを拒否してきたと。今日もそうですよ。今日だって要求したのに来ていないですよ。 そこで
武部
大臣
、こういう形で国会で呼ぶことができないということであれば、
大臣
の責任で直接熊澤さんに話を聞いて、その事態について国民に明らかにすべきじゃありませんか。それはやるんですか。
武部勤
148
○
国務大臣
(
武部
勤君) 私も、熊澤前次官が在任中に厳しく叱正もしましたし、いろいろと過去のことも尋ねました。しかし、法令に照らして不祥事という、刑事事件等という、そういうことでありませんので、私はあのような措置を取ったわけでございます。 そして、結論として申し上げますと、とにかくだれか特定の個人が責任者としてすべての責任を取るという根拠ということについては、私の
手元
ではそういう
判断
はでき得ませんでした。したがいまして、第三者である
調査検討委員会
によって、そこで客観的に科学的に御
検討
いただくということにも
一つ
の私
ども
の関心があったわけでございます。 この
調査検討委員会
の御
報告
におきましても、そういう特定のことを、
調査
権がありませんから、
委員長
のお話ですと、そういったことはでき得ないという、そういうお話もございましたが、私
ども
やはり今度の
報告書
を見て感ずるのは、
農林水産省
全体の責任だと、組織全体に
危機管理意識
の希薄さがあったと、こう考えて、さような、それに
対応
した措置を取った次第でございます。
紙智子
149
○紙智子君 結局、最も真相究明に対しても大事なかぎを握る人物ですよ。そういう人に対して、やはり本当にこの真相を明らかにするということでは、そのことすらやっぱりできないと、追及する姿勢ではないというあなたが本当に今
行政
の組織の見直しを図ると言っているわけですけれ
ども
、それができるのかというふうに思うんですね。 私は、やはり多くの国民が見守っている中で、今回の事態というのは、結局早く辞めさせてしまって、そしてそういう真相の解明もできない状態にしてしまっていると、そういうふうに見ていますよ、目は。ですから、私は、そういうことでは決して、これから先頑張って
行政
の改革もするんだと、見直しをするんだと言っていますけれ
ども
、これは結局できないと思いますよ。 さらに、もう
一つ
言いたいのは、やはり
BSE
の発生によって、責任が全くない生産者や業者、本当に大きな打撃を受けていますよ。本来は、重大な失政と指摘されているわけですから、政府は当然その被害補償をすべきだ。それを拒否し続けているじゃありませんか。そういう姿勢でこの先、
大臣
を続けても、本当に窮地に追いやられた方々の経営を立て直すことができるんですか。
武部勤
150
○
国務大臣
(
武部
勤君) もう、紙先生にも何回となく同じような御質問をいただきまして、その都度、つらい、厳しい、そういう思いでございます。しかし、私はただ辞めるだけが責任を果たすことだとは、そのように思っておりません。それは今後の
対応
、今後の我々の努力を見ていただきたいと思います。私は、全責任を持って職責を全うし、改革に全力を尽くしたいと思います。 いろいろ関連する
皆さん
方、数々痛手を受けていることは十二分に承知しております。それだけにしっかりした
対応
に努めたいと、このように決意を新たにしている次第でございます。
紙智子
151
○紙智子君 補償はやるんですか。直ちにやるべきだと思いますけれ
ども
、いかがですか。
武部勤
152
○
国務大臣
(
武部
勤君) 私
ども
は、今度の問題に対して、真摯に受け止め、しっかり
対応
することによって国民の
皆さん
、
関係
ある方々の御理解を求めていこうと、このように考えているわけでございます。
紙智子
153
○紙智子君 結局、おやりになるということをはっきり言わないと、そのことが失政が今も続いているということですよ。 もう
一つ
言います。
日本
農業新聞の
アンケート
で、どうして牛肉を食べないんですかという質問に対して、第一位は農水省の
対応
が信じられない、これ四割ですよ。国民の信頼回復のためにも、やっぱり重大な責任を持っている農水
大臣
がやっぱりここはお辞めになるということが回復のためにも大きな力になると思います。いかがですか。
武部勤
154
○
国務大臣
(
武部
勤君) しっかりやり抜くことが私の責任だと、こう思っております。
紙智子
155
○紙智子君 信頼回復ということでは、政府の
対応
、政府の責任の取り方もよく見ているということでもあります。 私は、紹介したい手紙があるんですね。これは猿払の
BSE
の発生農家のお父さんの手紙です。今、この発生農家の若夫婦は営農を続けられなくなって、残念ながらふるさとを出ました。途中、省略して言います。 私たちの大切な生活の糧である六十二頭の牛に代わって申し上げます。殺された牛は、一日二日で築き上げたのではなく、こつこつと三代前の亡き父母の汗と涙と知恵で育て上げたものです。ミルクが
原因
なのか、配合飼料が
原因
なのか、一日も早く調べて解決していただきたい。私
ども
は、もう愛する牛も、かわいい孫、大切な心の宝もみんな国に奪われました。こんな仕打ちに泣き寝入りするだけでは気が狂いますと、こう言っているんです。 国会の、国の責任で被害を受けて、大きな傷を負って、それだけじゃありません。今、不安を抱えている生産者がたくさんいて、このままでは離農が増えます。政府に求められるのは、まず、
武部
農水
大臣
を罷免する、そして生産者を始め
消費者
への信頼を取り戻す第一歩である、きちんと法的にも国の責任と補償を位置付けている野党四党の
BSE
の緊急措置法案を成立させることだ、そのことを申し上げまして、私の質問を終わります。
真鍋賢二
156
○
委員長
(
真鍋賢二
君) 以上で紙智子君の
質疑
は終了いたしました。(拍手) ─────────────
真鍋賢二
157
○
委員長
(
真鍋賢二
君) 次に、
平野
達男君の
質疑
を行います。
平野
達男君。
平野達男
158
○
平野
達男君 国改連絡会の
平野
達男でございます。
武部
大臣
にお伺いします。 一九八六年に
英国
で
BSE
が発生しました。以来、ヨーロッパであちこち拡大をしました。そうした
状況
の中で、
日本
農林水産省
は、この
BSE
の
日本
の上陸を断固として阻止しなくちゃならなかった、それが責務であったというふうに私は認識しておりますが、
大臣
はどのように考えておられるでしょうか。
武部勤
159
○
国務大臣
(
武部
勤君) 私もそのように思っております。
平野達男
160
○
平野
達男君 私は、そういう責務がある中で、
BSE
の上陸を許してしまった、それ自体が私は、いかなる弁明があろうと重大なる失政だというふうに認識しておりますが、
大臣
はどのように考えておられるでしょうか。
武部勤
161
○
国務大臣
(
武部
勤君) 私は、ゼロリスクということが今日のような非常に多様な国際化の時代にあり得るのかということについては非常に難しい問題だなと、このように思っておりますが、
危機管理意識
をしっかり持って、
リスク評価
、
リスク管理
、
リスクコミュニケーション
というものをしっかり組み合わせた予防
原則
というものを取っておかなかったということは非常に大きな問題であり、今後の改革の、食の安全ですね、に向けての大事な諸点だと、このように思います。
平野達男
162
○
平野
達男君 結果責任として責務を果たせなかったということは重大な失政だということにならないというお答えでしょうか。
武部勤
163
○
国務大臣
(
武部
勤君) 結果責任については、私
ども
は感じているからこそ何とかこれを、新しい
農林水産
政策、大胆に見直し、
農林水産省
の大改革をやっていこうと。 今、紙さんからもいろいろお話がありました。私は猿払の池田さんとは度々電話で話などをしております。年末に猿払にも行ったし、宮城村も行ったし、発生農家全部訪ねて、そして何とかしなきゃならぬという思いは人後に落ちないつもりでありますので、そういうつもりで今努力していると。 結果責任というのは、そういったことにしっかり
対応
していくということも結果責任だと、このように思っております。
平野達男
164
○
平野
達男君 ちょっと議論がかみ合わないみたいですが、今回の
一連
の処分は
報告書
を受けてのことでありましょうか。今の処分が今回されましたけれ
ども
、それは
報告書
の内容を受けてということでありましょうか。
武部勤
165
○
国務大臣
(
武部
勤君) 今回の処分は
報告書
を受けてということが基本になります。しかし、今なお国民の間にこの不信も払拭し得ない
状況
にございます。さような意味では、監督責任者である私を始め事務次官等の処分ということもさような意味で行った背景がそこにあるわけでございます。
平野達男
166
○
平野
達男君 これは
大臣
が行った処分ですから
大臣
に引き続きお伺いしますけれ
ども
、今回の処分の内容には二通りあるように思います。この二通りの内容をちょっと御説明願えるでしょうか。
武部勤
167
○
国務大臣
(
武部
勤君) どのような二通りでございましょうか。
平野達男
168
○
平野
達男君 これは
行政対応
の任にあった者に対する処分、それから
農林水産省
としての姿勢を正すというこの
二つ
の処分があるように思いますが、どうでしょうか。
武部勤
169
○
国務大臣
(
武部
勤君) そのどちらでも、どちらにもかかわっていると、私はかように思います。
平野達男
170
○
平野
達男君 今私が申し上げたことは、これは
大臣
の記者会見の要旨であります。こういった観点から処分を行ったというふうに私は、
大臣
は説明しておるということです。 それで、この
農林水産省
の姿勢を正すということですが、これは
報告書
の結果を待たなければならなかった、待ってやらなければならなかった処分でありましょうか。
武部勤
171
○
国務大臣
(
武部
勤君) 私は、
BSE発生
時から
危機管理意識
の希薄さというものを痛感しました。しかし、それだけに、政治主導で徹底した究明をしようと、そのためには客観的な、科学的な
検証
が必要だということで
調査検討委員会
を設置したわけでございますので、その結果をしっかり受け止めるということが基本だと、こう思っておりました。
平野達男
172
○
平野
達男君 私は、今、処分の仕方、けじめの取り方について今お聞きしているつもりであります。 この中の
行政
の任にある者に対して処分をしたということは、恐らく
流通
課長の、歴代の
流通
課長さんあるいは
畜産
局長
さん、そういった方々が処分の対象になったんではないかと思います。
畜産
局長
さんは退職しておりますから処分ができないと、こういう形だったと思います。これは、
報告書
の結果を待って処分をしたというのは、これは私は正しい
判断
だと思います。しかし、
農林水産省
の姿勢を正すという処分は、これは
大臣
が、この今回の
BSE
の発生をしてこれだけの被害を拡大したというこの事態を踏まえれば、
大臣
の
判断
でいつでもできた処分です。これをなぜ今まで延ばしたんでしょうか。
武部勤
173
○
国務大臣
(
武部
勤君) 先生も
農林水産省
の元職員だと思います。 昨年は、WTOの問題あるいはセーフガードの問題、米政策の見直し等々、大変大きなエポックといいますか転換点でございました。加えて
BSE
の大発生、
BSE
の発生でございます。これに対しては
農林水産省
挙げて、(発言する者あり)言葉じりをつかまえて言わないでください、
BSE発生
という大問題が起こったということでございます。それにもうとにかく
対応
することが大変なエネルギーでございました。 したがいまして、一定の節目を迎えた一月に人事の刷新を行ったわけでございます。
平野達男
174
○
平野
達男君 その一月の人事も定期人事というふうな御説明でした。処分という話はしておりません。なぜしなかったんでしょうか。
武部勤
175
○
国務大臣
(
武部
勤君) どういうことを想定して処分とおっしゃっているのかよく分かりませんが、懲戒処分等をやる根拠はなかったんじゃないでしょうか。 それから、私
ども
は人事の刷新というのは、
BSE
対策を始め
農林水産省
の大改革に踏み込む端緒であり第一歩であったと、ここで
農林水産省
の大改革に踏み出していこうと、
BSE
対策に心機一転やっていこうということでございます。
平野達男
176
○
平野
達男君
大臣
の今後に対する意気込みは分かります。私が申し上げているのは、今回の処分の取扱いであります。 繰り返しになりますけれ
ども
、一月の
段階
ではこれは定期人事というふうに
大臣
おっしゃっていました。その一方で、この時期に至るまでだれも
農林水産省
の職員が責任を取っていないと、そういった声がずっと上がっておりました。そして、現在、この
報告書
が出てきまして、
農林水産省
の姿勢を正します、それから、
行政対応
の任にある者に対しての職責を全うしなかったということで処分を出しました。 繰り返しになりますけれ
ども
、
行政対応
の任にあった人の処分というのは妥当だったと思います、この時期にやるのは。しかし、
農林水産省
の姿勢を正すというのは一月にできたんじゃないでしょうか。それをなぜやらなかったのかというのが、
大臣
、明確に説明をしてください。
武部勤
177
○
国務大臣
(
武部
勤君) それは、私
ども
は
BSE
の問題に対する対策について真剣に取り組みつつあったわけでございます。一方において、
調査検討委員会
の
報告
というものを受け止めてしっかりした
対応
をする、そういう時期は
報告
を受けてからと、こう考えていたわけでございます。その前に人事の刷新をやっているということで、
一つ
の一月からの我々の新たなる決意、新たなるスタートということも御理解いただけるのではないかと思います。
平野達男
178
○
平野
達男君 この間、衆参の各
委員会
あるいは
予算委員会
でもそうですけれ
ども
、けじめけじめという問題が何回も何回も言われました。
マスコミ
でも言われました。国民の声でも言われました。そして、それが今回
報告書
という形で出てきて、それを受けた形で処分をしたと。
大臣
は、国会の議論と今回の
報告書
と、国会での
一連
の議論、あるいはいろんなこれまでの議論を踏まえ、経過と今回の
報告書
というのはどっちが重要だというふうに考えておられるんですか。
武部勤
179
○
国務大臣
(
武部
勤君) どちらも大事だと思っております。
平野達男
180
○
平野
達男君 それであれば一月一日に、私は
大臣
があのときに事務方の処分をしなかったというのは、それ自体本当に
判断
のミスだというふうに思っていますが、どのように……
武部勤
181
○
国務大臣
(
武部
勤君) 何ですか、それは。
平野達男
182
○
平野
達男君 一月の定期人事の
段階
、あるいはその以前にしっかりとした処分、姿勢を正すという意味での処分、自身の減俸の処分を含めて、あるいは
辞任
という形になったのかそれは分かりません。処分というそのものの行為です、内容ではなくて。それを一月の
段階
で、あるいはそれ以前にやらなかったというのは本当に
判断
ミスではなかったかと思いますが、
大臣
どのように思われますか。
武部勤
183
○
国務大臣
(
武部
勤君) もう少しどういう根拠か御説明いただければ適切なお答えができるかと思いますが、過去の
行政対応
上の
問題点
というものを客観的に
検証
するということが私は非常に大事だと思います。 処分と言いますが、これは個人にありましてもあるいは組織にありましても非常に重要な問題でございます。
平野達男
184
○
平野
達男君 ですから、
農林水産省
の姿勢を正すというその処分は早ければ早いほど良かったんです。それは、そういうことにやることによって、私に言わせれば、農
行政
と政治に対する信頼を取り戻すための効果があったはずです。これをなぜずっとずっとずるずる引きずってここまで来たのでしょうかということに対する質問であります。
武部勤
185
○
国務大臣
(
武部
勤君) 処分して信頼が回復されるという考え方も
一つ
あるでしょう。しかし、私は、
調査検討委員会
というのは
公開
で行っているわけでございます。私
ども
、とにかくこの
公開
の議論を踏まえて、やるべきことは何かということを並行して我々も省内で真剣に考え、その
対応
についていろいろ議論してまいりました。そして、食と農の再生プランというものにまとめ上げて、来週中にも
発表
できる
段階
になっているわけです。これを実行していくという、直ちに
対応
できるという、そういう準備もしているわけでございます。 そういった、一日一日の我々の改革志向での仕事、
消費者
サイドに
軸足
を置いて
農林水産省
の大改革に踏み出していくという、そういうことも処分よりもむしろ大事な大事な我々の責任だと、務めだと、こう思って取り組んでいるわけでございまして、大変失礼な言い方かもしれませんが、
平野
先生と私の見解の相違かもしれません。
平野達男
186
○
平野
達男君 私は、農水省の姿勢を正すということに関連しての処分というのは普通の処分と違うと思います。国民に対するメッセージだというふうに思っています。そのメッセージを私はもっともっと早くやるべきであったと。それをずるずるずるずる延ばしたというのは、
大臣
のやはり
判断
の私は間違いであったと思います。それを今になって出したということは、せっかくの
農林水産省
出すというこの処分、この処分の中で、今の事務次官、前事務次官もそういう流れだと思うんですが、その効果のほどがあいまいになってしまっている。これは早ければ、早ければよかったというふうに私は確信しております。ここは私、
大臣
として反省しなければならないことだというふうに強く申し上げておきます。 それから、次の質問に移ります。 今回の
報告書
の中で、生産者重視から
消費者
重視だというふうなことがうたわれていました。しかし、翻って考えますと、先ほど
大臣
が言いましたように、私も昨年の三月まで
農林水産省
におりました。私が在職時代に食料・農業・農村基本法というのを制定しまして、あの中でも
軸足
を農業従事者から国民に移すんだという視点を高らかにうたっておりました。 これは、私も自戒の念を込めて言わなくちゃならないことでありますが、こういった今回の
報告書
の内容を踏まえまして、食料・農業・農村基本法の制定ということの意義は生かされていなかったということについての
大臣
の所見をお伺いします。
武部勤
187
○
国務大臣
(
武部
勤君) それは、
委員
御指摘のとおりだと思いますが、私もそういった食料・農業・農村基本法に基づいて就任時、安心、安全な食料供給
システム
を構築して、
消費者
の信頼を確保するということを
重点
十プランの
二つ目
に掲げて取り組んでいるわけでございますが、基本法は
理念
です。これに対しての具体的な施策、実効の伴う改革案、これが今般の我々の今取り組んでいる食と農の再生プランでございます。
平野達男
188
○
平野
達男君 今後の対策を、しっかりとした体制を作るということも大事ですけれ
ども
、今までの
一連
の流れを踏まえて、しっかりとしたけじめを付けるということも非常に重要だということを申し上げまして、私の質問を終わります。御声援、ありがとうございました。
真鍋賢二
189
○
委員長
(
真鍋賢二
君) 以上で
平野
達男君の
質疑
は終了いたしました。(拍手) ─────────────
真鍋賢二
190
○
委員長
(
真鍋賢二
君) 次に、大脇雅子君の
質疑
を行います。大脇雅子君。
大脇雅子
191
○大脇雅子君 今回の
BSE
問題に関する
調査検討委員会
の
報告書
は、透明度の高い
報告書
として非常に核心を突いているという点で敬意を表したいと思います。 しかし、なぜ
BSE
が
日本
に上陸したのかという点の
検証
は非常に不十分だと思いますが、なぜこのような点が解明されていないのか、
参考人
の方にお尋ねをいたします。
山内一也
192
○
参考人
(
山内
一也
君)
BSE
がいずれの国においてもどうして入ってきたのか、これは大変難しい問題だと思います。 やっぱり私は、一番大事なのは一九九〇年までであったと思っています。実際に一九八九年から九〇年に掛けて
肉骨粉
を
反すう動物
に与えるのを
禁止
したヨーロッパの国々、これも現在
BSE
が出ています。もう現在アクティブサーベイランスといいますか、要するに脳についての検査を行っているヨーロッパ諸国で
BSE
が出ていない国はスウェーデンだけになりました。検査をすれば見つかってきているということに、それだけもう私はグローバルリスクとしてもう九〇年以前からひそかに進んでいたんだと思っています。 一体、
日本
でそれじゃいつ入ったのかという、そこまでの
検証
というのは恐らく私はもう不可能に近いだろうと、世界の情勢を見ればそういうふうに思います。したがって、
日本
に入ったものがどれだけどう広がったか、それに対してどう
対応
していったか、そういった方の問題であって、なぜ、どこで、どう入ったかということまではまず答えられないというふうに思います。
大脇雅子
193
○大脇雅子君 そういたしますと、
日本
の政策、それを水際で止めることができず、なおかつどういう施策が必要であったかという点についての真相究明というもので、まだ十分な
資料
が出されていないために
調査
ができなかったところがあるというふうに聞いておりますが、これは、どのような
資料
が
農林水産省
として出されなかったのかという点についてお尋ねをしたいと思います。
高橋正郎
194
○
参考人
(
高橋正郎
君) 私
ども
は、
農林水産省
並びに
厚生労働省
が提供していただいた
資料
、それで、ただ提供されたものだけではなくて、
委員
の側から、国際的な
機関
から、いつ、こういう
資料
が来ているはずだというようなことで、大分新たな
資料
の提供をいただきました。その意味で、少なくとも大筋でここに書いてある
報告書
を論拠付けるには十分だったと思います。 ただ、先ほど申しましたように
調査
権がございません。したがって、
いろいろ話
題になるような人をインタビューをするというようなことは私
ども
に許されていなかったというところは制約がございましたが、しかし、少なくともこれだけのことが、何といいますか、みんなの見る前ででき上がったということについては自負心を持っております。
大脇雅子
195
○大脇雅子君 国会におけるこの審議を見てまいりますと、一九九六年に
行政
通達
が行われて、一九九七年に家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案の審議が行われております。その際、中須政府
委員
が答弁に立ちまして、
我が国
においての牛用飼料の原料に
肉骨粉
はほとんど用いられていなくて、各メーカーの
調査
によると使用実績は完全にゼロという答弁がなされています。 これは間違いであったと今にして思うのですが、この点について
農林水産省
の
担当者
はどのように考えておられるのでしょうか。
須賀田菊仁
196
○
政府参考人
(
須賀田菊仁
君) 確かに先生言われますように、九六年の
行政指導
を担保するために飼料工場に対して肥飼料検査所が立入検査を実施をしている、また農家に対しても都道府県職員が巡回
指導
等をしている、こういう事実がございまして、それを踏まえまして当時の
畜産
局長
が、牛飼料への
肉骨粉
の使用がない、肥飼料検査所の立入検査によって
肉骨粉
が牛用飼料の原料として使用されていないことを確認したというような答弁をしております。 しかしながら、昨年の全戸全頭
調査
で判明しましたように、五千頭を超える牛に
肉骨粉
が使用されていたという事実が判明をいたしまして、当時の
判断
が誤りであったということが判明したわけでございました。そのことは
報告書
にも厳しく指摘をされているところでございます。
大脇雅子
197
○大脇雅子君 そのような官庁の誤りがあるわけでございまして、これまで責任の取り方について様々の質問がなされました。農林
大臣
は六か月の減給といいますか自主返納ということですが、この責任はどことどことどの点にあるのか、ただいま自覚しておられる点について明確に述べていただきたいと思います。
武部勤
198
○
国務大臣
(
武部
勤君) 私は、
農林水産省
の最高責任者でございます。
BSE発生
以来の様々な混乱、それから今日までの数々の関連をする
皆さん
方が影響を受けているという問題、食の安全と安心について国民の不信がなかなか払拭できないというような問題、様々な問題について責任を感じているわけでありまして、六か月自主返納するからといって、それでけじめが付いたなどとは思っておりませんで、先ほど官
房長
官の御答弁にありましたように、官邸とも相談し、これまでの様々なケースな
ども
参考にし、六か月自主返納するということを決めた次第でございます。
大脇雅子
199
○大脇雅子君 非常に抽象的で、
農林水産省
、そして
厚生労働省
、そしてひいては内閣の全体の責任の取り方という問題につきまして、やはり
大臣
の責任としては、その職を辞されるということしか妥当な責任の取り方はないと思われます。 私の質問が終わりますと、本
会議
に対しまして問責決議案が出されます。この問責決議案に対して
大臣
はどのような所信を、感想をお持ちか、お尋ねをいたします。
武部勤
200
○
国務大臣
(
武部
勤君) まあ仮定のお話には答弁は慎みたいと思いますが、
BSE
問題、
一連
の経緯については真摯に受け止め、今後、謙虚な気持ちでしっかり職責を全うしてまいりたいと、かように存じておるわけでございます。
大脇雅子
201
○大脇雅子君 終わります。
真鍋賢二
202
○
委員長
(
真鍋賢二
君) 以上で大脇雅子君の
質疑
は終了いたしました。 これにて
質疑
通告者の発言はすべて終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時三十二分散会