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2002-03-12 第154回国会 参議院 予算委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年三月十二日(火曜日)    午前九時一分開会     ─────────────    委員の異動  三月十一日     辞任         補欠選任      岩本  司君     浅尾慶一郎君      福山 哲郎君     峰崎 直樹君      柳田  稔君     池口 修次君      紙  智子君     岩佐 恵美君      大門実紀史君     西山登紀子君      大脇 雅子君     大田 昌秀君  三月十二日     辞任         補欠選任      山本 香苗君     遠山 清彦君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         真鍋 賢二君     理 事                 金田 勝年君                 野沢 太三君                 日出 英輔君                 松谷蒼一郎君                 齋藤  勁君                 高嶋 良充君                 魚住裕一郎君                 小池  晃君                 平野 貞夫君     委 員                 有馬 朗人君                 市川 一朗君                 入澤  肇君                 木村  仁君                 国井 正幸君                 山東 昭子君                 世耕 弘成君                 田中 直紀君                 伊達 忠一君                 谷川 秀善君                 段本 幸男君                 仲道 俊哉君                 松村 龍二君                 宮崎 秀樹君                 山崎  力君                 山下 英利君                 浅尾慶一郎君                 池口 修次君                 江田 五月君                 小宮山洋子君                 佐藤 道夫君                 内藤 正光君                 藤原 正司君                 峰崎 直樹君                 若林 秀樹君                 草川 昭三君                 遠山 清彦君                 山本 香苗君                 渡辺 孝男君                 岩佐 恵美君                 西山登紀子君                 宮本 岳志君                 田名部匡省君                 平野 達男君                 大田 昌秀君    国務大臣        内閣総理大臣   小泉純一郎君        総務大臣     片山虎之助君        法務大臣     森山 眞弓君        外務大臣     川口 順子君        財務大臣     塩川正十郎君        文部科学大臣   遠山 敦子君        厚生労働大臣   坂口  力君        農林水産大臣   武部  勤君        経済産業大臣   平沼 赳夫君        国土交通大臣   扇  千景君        環境大臣     大木  浩君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (防災担当大臣) 村井  仁君        国務大臣        (防衛庁長官)  中谷  元君        国務大臣        (沖縄及び北方        対策担当大臣)        (科学技術政策        担当大臣)    尾身 幸次君    内閣官房長官        内閣官房長官  上野 公成君    副大臣        総務大臣    若松 謙維君        外務大臣    植竹 繁雄君        外務大臣    杉浦 正健君        財務大臣    尾辻 秀久君        文部科学大臣  青山  丘君        厚生労働大臣  宮路 和明君        厚生労働大臣  狩野  安君        農林水産大臣  野間  赳君        経済産業大臣  大島 慶久君        国土交通大臣  月原 茂皓君        環境大臣    山下 栄一君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        嘉数 知賢君        防衛庁長官政務        官        山下 善彦君    政府特別補佐人        公正取引委員会        委員長      根來 泰周君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田 成宣君    政府参考人        防衛施設庁長官  嶋口 武彦君        総務省自治税務        局長       瀧野 欣彌君        消防庁長官    石井 隆一君        外務大臣官房長  北島 信一君        外務省総合外交        政策局国際社会        協力部長     高橋 恒一君        外務省北米局長  藤崎 一郎君        外務省欧州局長  齋藤 泰雄君        外務省中東アフ        リカ局長     安藤 裕康君        外務省中東アフ        リカ局アフリカ        審議官      小田野展丈君        外務省経済協力        局長       西田 恒夫君        外務省条約局長  海老原 紳君        外務省国際情報        局長       今井  正君        財務省主計局長  林  正和君        文部科学省科学        技術学術政策        局長       山元 孝二君        厚生労働省医政        局長       篠崎 英夫君        厚生労働省健康        局長       下田 智久君        厚生労働省雇用        均等・児童家庭        局長       岩田喜美枝君        農林水産省生産        局長       須賀田菊仁君        水産庁長官    木下 寛之君        国土交通省北海        道局長      林  延泰君        環境大臣官房廃        棄物・リサイク        ル対策部長    飯島  孝君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○平成十四年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十四年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十四年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  平成十四年度一般会計予算平成十四年度特別会計予算平成十四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、昨日に引き続き、質疑を行います。渡辺孝男君。
  3. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 公明党渡辺孝男でございます。おはようございます。  それでは、早速質問をさせていただきたいと思います。  今日は、救急救命の問題、そして医原性クロイツ・ヤコブ病の問題、温泉資源を活用した健康増進介護、予防の問題について質問をさせていただきたいと思います。  最初に、救急救命士業務高度化病院救護体制の充実に関して質問をさせていただきます。  救急救命士制度が発足しまして十年となりました。本制度発足に当たりましては、公明党の、当時参議院議員でございました常松克安氏が大変な尽力をされたわけでございます。  そこで、まず、救急救命士制度の現状についてお伺いをしたいと思います。本制度発足後、救急救命士はこれまで何人ぐらい養成されたのか、また現在、救急隊のチームの中には、一名以上の救急士がいる割合ですけれども、全体のどれくらいになっているのか、これを消防庁長官にお伺いいたします。
  4. 石井隆一

    政府参考人石井隆一君) お答え申し上げます。  平成十三年末現在で、救命救急士の有資格者数でございますが、二万一千百十五人となっております。それから、昨年の四月一日、十三年四月一日現在で、消防機関等養成されました救命救急士の数は一万八百五十一人でございます。  また、現に消防機関に勤務している救急救命士数は一万四百九十七人でございます。また、昨年四月一日現在で、全救急隊に占める救急救命士運用比率は五六・八%になっております。
  5. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 食生活の欧米化の影響か、日本でも心疾患やそれから脳卒中の虚血性疾患が増えてきているわけでございます。私も議員になる前に、脳神経外科医、あるいはその専門医として約二十年間救急医療に携わってきたわけでありますけれども、救急外来に来る患者さん、傷病者の中には、来た段階心肺停止という、デッド・オン・アライバル、いわゆるDOAと言われますけれども、そのような患者さんがいるわけですが、その救命にも当たってきたわけでございます。  それで、厚生労働省医政局長にお伺いをしたいわけですけれども、近年のこのDOAあるいは重症の心肺機能不全に陥った患者さんの数がどのくらいになっているのか、お教えいただきたいと思います。
  6. 篠崎英夫

    政府参考人篠崎英夫君) 心肺停止患者数年次推移についての御質問でございますが、消防機関救急隊員が搬送しております心肺停止患者数で見ますと、平成九年には七万六千二百七十二人でありましたものが、十年で八万九百七十人、十一年で八万三千三百五十三人、十二年で八万四千八百九十九人となっておりまして、近年、増加傾向にあるというふうに考えております。
  7. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 八万人以上の方がDOAで運ばれてきているということでございます。特に不整脈等による突然の心停止であれば、五分以内に心機能心肺機能を回復しなければ、なかなか社会復帰は難しいということであります。  そうしますと、やはり近くに居合わせた人に心マッサージ人工呼吸応急手当てをしてもらうこと、そしてまた、救急車が到着した折には救急救命士による迅速な除細動器械を使った心機能の回復あるいは適切な呼吸管理が行われ、そしてまた、救急病院に運ばれた段階では本格的な救急医療を行う、そういう連係プレーが非常に大事になってくると、そのように思います。  そういう意味で、心疾患等に対応するためにはやはり救急救命士救急隊の中に少なくとも一人以上いる必要があるのではないか、そのように思います。先ほどの御報告では、現在のところ、五六・八%しか救急隊の中に一人以上の救急救命士がいる割合がその程度であるということでありますけれども、これでは足りないのではないかと、そのように思うわけであります。  そういう意味で、早急に全救急隊救急救命士が一人以上が配属されるように頑張っていただきたいと思いますけれども、その取組について総務省若松総務大臣にお伺いしたいと思います。
  8. 若松謙維

    ○副大臣若松謙維君) 渡辺委員の御質問にお答えします。  この救急隊に関する、救急救命士に関する国民の関心でしょうが、大変高くなっておりまして、最近もテレビでその特集も行われたところでありますし、かつ私どもの地元の救急病院も、是非これは早急にやはり人命救命のために活用の拡大をお願いしたいと、そんな話もあるところで、正に委員指摘のとおりでございます。その救急業務高度化を図るためには、少なくともすべての救急隊救急救命士を常時一名配備する体制の確保が最低限必要と認識しております。  消防としては、現在、養成専門機関東京消防庁など消防機関計十二か所の養成所において、合わせて年間一千四百名を養成中でございます。今後、地方の消防機関中心にすべての救急隊救急救命士を常時一名配置する体制を確保するためには、現在の体制を維持していくことが必要と考えております。  今後とも、救急救命士養成を計画的に推進してまいる決意でございます。
  9. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 さて、最近、救急救命士が認められた救急救命処置を超えまして気管内挿管を行っていたことが問題となっております。これに関して調査や検証が行われておりますけれども、その中で、メディカルコントロール体制の確立、そして救急救命士業務高度化に関して検討を行っていこうと、そして前向きに救命活動ができるように推進していこうと、そのような流れになっているわけでございます。公明党としましてもこの問題を重視しまして、二月の八日に救命支援介護支援活動検討小委員会を立ち上げまして、関係機関、そして学者などよりヒアリングを行っているところです。  そこで、救急救命士業務高度化に関しての今後の方針について、坂口厚生労働大臣並びに若松総務大臣にお伺いをしたいと思います。
  10. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 救急救命士のこの業務につきましては、この法案ができます最初のときからいろいろの議論のあったところだというふうに思っております。そのときにも、この気管内挿管の問題でございますとか、あるいはまた電気的除細動器の使用でございますとか、そうしたことが問題になったというふうに思っておりますが、今日までいろいろ検討をされてきたところでございます。  今、事務局の方からも説明しましたとおり、かなり対象者は増えてきているということもございますし、また先生御指摘のように、五分以内に決着を付けなければならないという問題もございますので、これらの点を踏まえまして、早急にひとつ新しい体制を確立しなければならないと思っているところでございます。  どういうふうにするかということを検討したいと思いますが、検討最初からしておりましてはもういけませんので、一応、この救急救命士皆さん方も含めて、必要なときに安全に実施できる体制をどう作るかということに絞ってこの検討を進めていきたいというふうに思っているところでございまして、その中でより具体的に対策を作りたいと思っている次第でございます。
  11. 若松謙維

    ○副大臣若松謙維君) 救急救命士処置範囲拡大についての見解でございますが、まず、三点ございまして、一点目が病院到着前に心拍が再開した場合、救命効果が高いと。二点目として、心肺停止の状況を発見してから除細動、いわゆる電気ショックですね、実施までに要する時間が短いほど救命効果が高い。三点目として、薬剤投与気管内挿管ができるドクターカーの方が一般救急車よりも救命効果が高い。こういった実証、経験に基づきまして、今後、医師の具体的な指示なしでの除細動薬剤投与気管内挿管等について救急救命士処置範囲拡大していくことが必要と考えております。  必要な条件整備を図りつつ、救急救命士処置範囲拡大について引き続き厚生労働省など関係方面に強く要請していく所存でございます。
  12. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 先ほど、不整脈などで突然の心肺停止に陥った場合には早急の治療が、応急処置が必要だということを述べましたけれども、そういう意味では、そこに居合わせた人、いわゆるバイスタンダーと言われますけれども、その方が即刻の応急手当てあるいは救急蘇生法を行うことが非常に大事である、そのように思います。  最近、ノルウェーとかアメリカでは、医療関係者救急隊員ばかりでなく、広く企業従業者やあるいは一般国民にも緊急の場合に自動式除細動器を用いて救急蘇生ができるよう啓蒙普及を図り、飛行機やあるいは会議場あるいは飛行場などでそういうものが使えるように除細動器を設置したり配備したりしてはどうかと、そのような立法化の動きもあるわけでございます。  心疾患が増えている日本において、またワールドカップ等もこれから行われますし、いろんな国際会議が行われます。そういう中において外国のお客さんもいらっしゃるわけでありまして、そういう大事な会議場等にはこういう救急のための除細動器を配備することを検討してはどうか、その点をまず一つ厚生労働大臣にお伺いすると。  そしてもう一つ一般的な救急蘇生法については消防庁救急隊方々も教育、学校とか職場で行っていただいているわけですけれども、最近、救急蘇生法世界標準に合わせた新しいものに変わってきたこともございまして、これを機により以上一般国民救急蘇生法普及を図っていただきたいと思います。その点について総務大臣にお伺いしたいと思います。  よろしくお願いします。
  13. 坂口力

    国務大臣坂口力君) いずれにいたしましても、安全に行われることが大事でございまして、その新しい器械、器具を用いまして、そして救急救命を行います場合に、そこに使い方の誤りがあってそれがまた裁判ざたになるというようなことでも困るわけでございますので、まず安全にどうそれが行われるようにするか、その辺の整理がやはり必要だというふうに思っております。  既に整理は諸外国におきましても済んでいるものもございますし、新しく日本としてやらなければならない問題もある、もうやらなくても済んでいる問題もある、そうしたことを整理をいたしておりますので、そうした中で、それを救急救命士皆さん方がいざというときにおやりをいただけるような体制にできるものはしたいというふうに思っております。
  14. 若松謙維

    ○副大臣若松謙維君) 応急手当て普及啓発推進方針についてのお尋ねでございますが、救急隊現場到着前に一般住民により適切な応急手当て実施されることによりまして救命効果の向上に大きな効果があるということが、当然周知の事実でございます。  そういった観点から、住民応急手当ての知識と技術が広く普及するよう普及啓発活動推進することが重要と認識しておりまして、特に平成十二年度では、普通救命講習全国で三万七千五十二か所、そして受講者数が八十六万一千六百九十九人に至ったところでございます。  消防庁におきましては、平成五年三月に応急手当普及啓発活動推進に関する実施要綱、これを制定いたしまして、心肺蘇生法及び大出血時の止血法中心とする応急手当て普救講習の標準的なカリキュラム等について定めたところでございます。  今後とも、応急手当て指導者の育成、普及啓発用資器材整備等を促進しつつ、全国消防機関において効果的な普及啓発活動が積極的に行われるよう推進してまいる所存でございます。
  15. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 やはり、医療側としましてはドクターカーを、あるいはドクターヘリを整備していく、そしてまた救急救命士活動に関しましては業務高度化を図っていく、そしてまた一般国民に関しましてはやはり救急蘇生法普及をしていく、この三つが大事であると思いますので、その点、政府としても推進をしていただきたいと思います。  以上で救急救命士に関しての質問は終わりたいと思いますが、総務委員会があるようですので、若松大臣並びに消防庁長官は退席、結構でございます。  次に、硬膜移植歴を有するクロイツフェルト・ヤコブ病患者さんの救済に関しまして、あるいはサーベイランスの結果についてお伺いをしたいと思います。  頭部あるいは脊椎部手術の際に硬膜の移植を受けた患者さんが、移植された硬膜が異常プリオンたんぱくにより汚染されていたために、後にクロイツフェルト・ヤコブ病発症してしまった、いわゆる医原性クロイツフェルト・ヤコブ病の問題は、何ら責任のない患者さんや家族に多大な苦しみを与えたことから、大きな社会問題となってまいりました。日本脳神経外科学会もその救済を支援しているわけでありますけれども、私も六年前、一九九七年以来、この問題に取り組んでいるわけであります。  患者さんの家族患者さんや家族方々が国や企業損害賠償を求めている訴訟で、坂口厚生労働大臣は三月一日、閣議後の記者会見で、早く解決することが当然の責務であると、そのように述べたわけでございますけれども、東京、大津両地裁が示した和解案を受け入れると正式にそのときに表明されました。私は、その大臣決断を高く評価しているわけであります。  大臣患者宅へも足を運び、お見舞いもされておりますけれども、この和解を受け入れるという決断をされた大臣の思いについてお伺いをしたいと思います。
  16. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 事の経緯は今更申し上げるまでもございませんが、脳硬膜という医療機器を使いまして、そしてそれが原因で病気が発生したということだけは紛れもない事実でございます。  いつから国としての責任があるのかという問題になってまいりますと非常に難しい問題になってくるわけでございますが、その問題は横に置きましても、すべてのその脳硬膜を使用した患者さんの中からクロイツフェルト・ヤコブ病が発生した人がいることだけは紛れもない事実でございますので、その人々に対しまして我々は最大限の努力をしてお報いをしなければならないと思っている次第でございます。  非常に、進行的でと申しますか、後戻りのできない病気でございまして、一度なられました皆さん方は回復する見込みが現在のところない、しかも急激に急速に病状が進んでいく、御本人はもとより御家族皆さん方にも大変な御苦労が付きまとう、そういう病気でございますだけに、私たちは心からその皆さん方にお報いをしなければならないと思っているところでございます。  大体、三月中に皆さん方とのお話合いが進むものというふうに思っておりますので、そのお話合いが一区切りしましたところで、原告団皆さん方患者皆さん方ともお会いをさせていただきまして、率直に私の気持ちを述べさせていただきたいと思っているところでございます。
  17. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 厚生労働省クロイツフェルト・ヤコブ病サーベイランスを行っておりますけれども、その調査では硬膜移植歴を有する症例は何例ほど報告されているのか、またその手術時期と発症までの潜伏期間はどの程度であったか、健康局長にその調査結果についてお伺いをしたいと思います。
  18. 下田智久

    政府参考人下田智久君) クロイツフェルト・ヤコブ病サーベイランス委員会からの報告がございますけれども、平成十二年度末におきまして把握されておりますクロイツフェルト・ヤコブ病患者さんは千七十八名おられますが、そのうちヒト乾燥硬膜移植歴を有する人は七十六名ということでございます。  また、同報告によりますと、ヒト乾燥硬膜移植手術が行われました時期は昭和五十四年、一九七九年から平成三年、一九九一年まででございまして、移植手術から発症までの期間は、最短で一年二か月、最長で十八年と、こういうことになっておるところでございます。
  19. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 次も健康局長にお伺いします。  これまでの調査結果により、いつごろ硬膜移植を伴う手術を受けた患者さんに多少なりとも発症危険性があると推測されるのか、現時点で分かっていることがあればお伺いをしたいと思います。
  20. 下田智久

    政府参考人下田智久君) 手術に用いましたヒト乾燥硬膜、ライオデュラでございますけれども、御承知のように、製造元でございますドイツのB・ブラウン社におきましては、昭和六十二年、一九八七年からいわゆるアルカリ処理ということを用いておりまして、切り替えておりまして、平成元年、一九八九年にアルカリ処理製品自主回収を各国の販売会社に指示したというふうに聞いております。  我が国におきましては、昭和六十三年、一九八八年からアルカリ処理製品に順次切替えが行われておりまして、平成元年、一九八九年には卸にございますアルカリ処理製品はすべて返品されておりますけれども、医療機関の在庫分の回収は行っていなかったというふうに聞いております。平成八年、一九九六年でございますが、の緊急全国調査におきましては、十五医療機関に五十二枚の在庫が判明をいたしまして、直ちに回収を行ったところでございます。  したがいまして、個々の医療機関においてアルカリ処理製品から処理製品に完全に替わった時期については不明であるというのが実態であろうかと思います。
  21. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 まだどれくらいの期間手術されてから発症するかなかなか予測が付かないということでございます。今後、この病気に関して、頭部あるいは脊椎部手術を受けた患者さんや家族から問い合わせが増えることが予想されますけれども、厚生労働省にもそれに対応する相談窓口を是非作っていただきたいと思います。  また、手術時に硬膜移植を受けたのかどうか分からない患者さんや家族の方もおられると思いますので、潜伏期間が長いことを考慮して、関係すると考えられる患者さんのカルテ等の資料については、五年の保存義務を超えるものであってもきちんと保存していただけるように厚生労働大臣には関係医療機関にお願いをしていただきたい、そのように思います。  坂口厚生労働大臣のこの点に関しての答弁をいただきたいと思います。
  22. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 今後の問題として幾つかあるというふうに思っておりますが、一つは、日本で非アルカリ処理の脳硬膜が輸入されました枚数が二十数万枚というふうに聞いております。この中でどれだけ使用されたのかということが、明確には分かりませんけれども、ほとんどのものが使用されたのではないかというふうに考えております。そうしますと、一人一枚ではない、二枚も三枚も使用された人もあるようでございますから、二十数万人ということではないんだろうというふうには思いますが、しかし、少なくともこの半数以上の人数にはなるのではないか。その皆さん方の中で、現在、七十数名の方が発病しておみえになるわけでございますから、ほかにもまだそういう方がないとは言い切れないわけでございます。  そういたしましたときに、この脳硬膜を使用して手術をなすった皆さん方に対して一体どうするか。皆さん方が、大体この手術をなすった方は、それが使ったか使わないかは別にして、これこれの時間にこれだけの手術をしたということは御記憶があるわけでございますから、そういたしますと、その皆さん方に何をなすべきかということが一番大事だろうというふうに思っております。  そのときに、その皆さん方が非常に不安に思われる、それに対してどう対応するのかといったことで相談窓口をという御主張でございます。私たちも相談窓口をひとつ作りましていろいろの御意見をお伺いしたいというふうに思っておりますが、一番大事なことはその皆さん方が発病しないようにする研究体制を充実することにあるというふうに思いますので、この研究体制を充実をいたしまして、発病しておみえになるかどうかの判断をするための検査と、そして、もし罹患をしているということになりました場合にそれを抑えるための手段、そのことに対する研究を必死にこれは行わなければならない、そんなふうに思っている次第でございます。
  23. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 今後、国としまして、謝罪の意の表明や再発防止策、あるいは患者さん、家族の支援体制の整備など、患者さん、家族と十分話合いをしながら進めていただきたいと思います。  次に、温泉を活用した健康増進、あるいは介護、予防に関して質問をさせていただきたいと思います。  国の方では、今、健康増進法を作ることで、今国会でも審議をされる予定となっております。その中で、厚生労働省では温泉利用型健康増進施設を認定しているわけでありますけれども、その中に温泉利用指導者が必要だという条項がございます。この温泉利用指導者養成並びに資格認定、並びに現在の有資格者の数について、厚生省健康局長にお伺いしたいと思います。
  24. 下田智久

    政府参考人下田智久君) 昭和六十三年から、温泉の持ちます物理的、化学的療養効果と併せまして、適切な温泉浴と運動を組み合わせて実践することは身体の生理機能の維持増進に効果があるという観点で、温泉利用型健康増進施設という認定制度を作ったところでございます。  この施設の認定に当たりましては厚生労働大臣が基準を定めておるところでございますが、この基準には人的要件、物的要件がございますけれども、その人的要件といたしまして温泉利用指導者というものが定められております。  この温泉利用指導者は、温泉利用型健康増進施設を利用する方々に対しまして安全かつ適切に実践できるよう指導、援助をするということが目的ということでございます。  この指導者養成に当たりましては、保健婦、管理栄養士等一定の資格を有する方々を対象に、年一回、温泉医学等に関します六十時間の講習が行われておりまして、現在までの修了者数は二百七十七名、また温泉利用型施設につきましては二十七施設が認定されているところでございます。
  25. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 今、温泉利用型健康増進施設が二十七施設、そして温泉利用指導者は二百七十七名というお話がありました。まだまだ日本の温泉の数からすれば少ないのではないかと、そのように思います。これをもっと積極的に増やして健康、国民の健康づくりに役立てていくべきだと、私はそのように思うわけですけれども、大臣の、坂口厚生労働大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  26. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 私もこの問題、そんなに詳しくないものですから、先生ほど詳しくないものですから十分にお答えできるかどうか分かりませんが、この温泉利用者、温泉利用指導者ですね、指導者の増加をさせるという問題につきましては、これは私も一層努力をしなければならないことだというふうに思っております。  厚生労働省としましては、この施設の利用促進を図りますために制度の周知など一層の普及啓発を進めておりますし、それから、日本公衆衛生協会におきまして検討会を設置をし、健康増進に資する温泉利用に関する科学的根拠の整理、それから施設、指導者の在り方の検討を行っているところでございまして、もうこの三月末ぐらいにはこの結論が出る予定でございますので、それに従いまして更に今後の在り方を検討したいと思っているところでございます。
  27. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 今、在り方検討会の方でいろいろ検討されているということでありまして、この検討結果を十分生かしながら、せっかくある温泉資源、これを有効に利用できるようにしていただきたいと思います。  そしてまた、これ、坂口厚生労働大臣にもう一度お伺いしたいんですが、今、国会で審議予定の健康増進法では、この温泉を活用した健康づくりをどのように位置付けて推進をしていこうとなされているのか、その点をお伺いしたいと思います。
  28. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 健康増進法案におきましては、厚生労働大臣国民健康増進の総合的な推進を図るための基本方針というものを策定することになっております。この基本方針の中で、温泉を含めまして地域の貴重な資源を活用した運動の実施の場の普及について位置付けていきたいと思っております。  この健康増進法案につきましては、都道府県及び市町村におきましてもこの計画を策定することとしておりまして、それぞれの計画の策定に当たりまして温泉を含めました地域資源の活用を是非進めていただきたいと思っているところでございます。
  29. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 今各地で、例えば山形県の東根市におきましては、温泉協同組合と社会福祉協議会が協力して、今国の方で進めております旅館、ホテルを利用した生きがい対応型デイサービス事業を行っておりまして、これが大変住民の評判を得ているわけでございます。今後この事業を厚生労働省としてどのように進めていく方針か、この点についてお伺いをしたいと思います。坂口厚生労働大臣、よろしくお願いいたします。
  30. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 生きがい対応型のデイサービスというのがございますが、市町村で、今、市町村が実施主体になっておりまして、高齢者に対しまして日常動作訓練でありますとか、入浴、健康チェック等のサービスを行っております。厚生労働省におきましては平成十二年からこの補助を行っているところでございまして、非常に少ないですけれども、全国で七市町村あるわけでございます。七市町村で、二十六件の旅館、ホテルで実施をされているところでございますが、これから、こういうふうに実施をしていただくところをできれば増やしていきたいというふうに思っておるところでございます。  そのほか、高齢者の社会的孤立感の解消でありますとか、要介護状態になることの予防を目的とするものにつきましても、普及に努めてまいりたいと思っております。
  31. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 もう一つ厚生労働大臣にお伺いしたいことがあります。  今、仙台市の方では、要介護者と介護者が温泉旅館なんかへ行く場合に、宿泊旅館にヘルパーを派遣して一緒に療養していただこうと、そういう事業を来年度から行うようになっております。要するに、家族介護疲れで大変苦しんでおられる、その方にも休息を与えたいということでこういう事業を行っております。  この点について、厚生労働省として研究を進めていただきたい、検討を進めていただきたいと思いますが、この点、大臣にお伺いをしたいと思います。
  32. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 検討いたします。
  33. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 じゃ、よろしくお願いいたします。  ありがとうございました。
  34. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 関連質疑を許します。山本香苗君。
  35. 山本香苗

    山本香苗君 公明党山本香苗です。  渡辺委員の関連で、本日初めて予算委員会質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。  早速質問に入らせていただきます。  まず、厚生労働大臣にお伺いいたします。  大臣は、フリーター支援のハローワークに実際足を運ばれたことはございますか。
  36. 坂口力

    国務大臣坂口力君) ハローワークには何度かお邪魔いたしまして、その中でフリーターのことにつきましてもお聞きをいたしております。
  37. 山本香苗

    山本香苗君 実は、私もこの間一人で大阪ユースハローワーク、ヤングサポートプラザに行ってまいりました。  そこでお伺いしたんですけれども、一応ここの売りは、このパンフレットに書かれておりますように、「若年者(三十才まで)専門のハローワーク」、「若年者の就職活動を総合的に支援します」なんです。  でも、私はどういうことをしていらっしゃるのかなと思って行ったんですけれども、受付に一枚の紙が張ってありました。学生とお勤めの方は駄目なんですと書いてあるんです。想像していたこととちゃうやんかと思って行ったら、パンフの中に、大阪ユースハローワークに登録している方のうち、一、学校等を卒業後、仕事の決まっていない方、二、現在アルバイトをしている方を対象に、安定した就職を目指して、様々な就職支援を行う施設と書いてあるわけなんです。高校生は利用できないということでございます。  何であかんのか聞いてまいりました。すると、週に少なくとも三回は来てセミナーを受講してもらったりせなあかんから学生さんは通われへんやろと。高校を卒業して、フリーターになったら来てもええと言われたんです。フリーターが正社員になることを支援しようというのに、フリーター予備軍であります高校生は対象外なんです。  土曜日は今六時まで開いています。私が行ったのは大体五時ぐらいだったんですけれども、めちゃめちゃがら空きでした。相談員の方も暇そうにしていらっしゃいました。相談員の方々は民間で働いてこられた経験のある方々です。こんなんじゃわざわざ土曜日に開けてフリーターを支援しよう、そういって来てくださっている相談員の方々の能力が無駄になっている、もったいないなと思ったんですけれども、こうしたユースハローワークを高校生も利用できるようにしたらいいと思うんですが、厚生労働大臣、お願いいたします。
  38. 坂口力

    国務大臣坂口力君) なかなか厳しい御質問でございまして、フリーターの皆さん方に対しまして、高校生の門戸を閉ざしているかというと、それはそうではないんです。現在もお越しをいただいている方もございますし、また御両親と御一緒にお越しをいただいて御相談にお見えになっている皆さんもおみえになる。  それはそれでいいわけですが、多分今御指摘になりましたのは、もうフリーターになっておみえになって、そしていろいろの技能や技術を身に付けるといったことになると、高校生のときにはそれはできないからと、こういうことなんだろうというふうに思いますが、門戸を閉ざしているわけでは決してございません。  そして、できる限りそういうふうにならないためにどうするか我々も考えているわけですが、できればこの相談員の皆さんを高等学校の方に派遣をいたしまして、そしてできる限り就職の御相談に乗せさしていただくというのがよろしいのではないかというふうに思います。もうフリーターになってしまってからというよりは、なる前に、高等学校にどう出掛けていってするか。高等学校の皆さん方がお越しをいただいてもよろしいですけれども、それよりも学校で御相談に乗せさしていただく方がいいんだろうというふうに思います。  学校によりましては、非常に就職を担当しておみえになります先生の中にも御熱心な先生がおみえになって、ハローワークの職員以上にいろいろのことをおやりになる先生があるわけでございますが、しかし、そうでない学校も実はあるわけであります。ですから、学校によります格差も非常に大きいわけでございますので、できるだけそういう就職が非常に厳しいような学校に出掛けさしていただきたい、そんなふうに思っているところでございます。
  39. 山本香苗

    山本香苗君 是非とも、いろんな形でフリーター支援、やっていただきたいと思います。  労働白書によりますと、フリーターと呼ばれる若者は、一九九七年には百五十一万人と、八九年に比べて三倍に増えております。最近は二百万人とも言われております。こうしたフリーターの急増は、日本の将来にとって大きなマイナス要因となる深刻な問題です。  こうしたフリーターになる若者の四割が高卒だと聞きまして、先日、ある都立高校の校長先生とお話しいたしました。そこの高校では、以前、卒業生の半分以上がフリーターになってしまっていたそうですけれども、就職指導におきましてフリーターのデメリットについてきちんと生徒に指導したそうです。そうしましたら、フリーターになる生徒数がぐっと減ったとお伺いしました。こうした指導を現場で徹底することが必要だと思いますが、文部科学大臣、よろしくお願いいたします。
  40. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) 今、高校生をめぐる就職の問題は、就職の機会が少ないこと、それから早期離職してしまうこと、そして御指摘のフリーターの問題がございます。こういうことに対応しまして、高等学校でやるべきことは私は幾つかあると思っております。  一つは、進路指導を充実していくことでございまして、職場体験とかインターンシップを通じて、望ましい職業観、勤労観を身に付けること、それから職業に関する知識や技能をきちんと身に付ける機会を多くすること、それから主体的に進路を選択する能力あるいは態度を身に付けさせる、いわゆるキャリア教育ですね、これの充実に取り組んでいるところでございます。  このような中で、卒業生の状況を踏まえましたフリーターの現状、これは、フリーターはかつては何か自由に職業選択できるすばらしいことであるかのように思われていた、そういう意識が多かったようでございますけれども、やはりフリーターの持っている、そういうライフスタイルの持つ問題点についても明らかにするなど、フリーターの現状などについても指導が行われているところでございます。  我が省といたしましては、こうした学校の取組を支援いたしますために、インターンシップについての全国フォーラムを開催をいたしましたり、あるいはインターンシップに関する事例集を作成する、さらにはキャリア教育の推進について調査研究を進めているところでもございます。また、厚生労働省の御協力も得まして、各都道府県の進路指導担当者等を集めました研究協議会などにおきまして、高卒者の進路に関する課題の一つとしまして、フリーターの実態や問題について情報提供を行っているところでございます。  今後とも、生徒に望ましい職業観、勤労観を身に付けさせるために、私どもも取り組んでいきたいと思っております。
  41. 山本香苗

    山本香苗君 ありがとうございます。  おっしゃるとおりなんですけれども、ちょうどお話ししました校長先生もおっしゃっていらっしゃいました。なかなかそれが定着していない。フリーターってそんなにいいもんじゃないんです。給料も安いですし、たくさん、結構、意外と働かないと自活していけませんし、また単純作業ばっかりだとか、ボーナスもなくて、三十代になったら、同期の正社員で働いている方の年収よりも百万円ぐらい違うとか、資格も経験もないから就職口も制限されちゃうとか、こういったデメリットがあるわけなんです。  こうした情報がきちんと生徒に伝わった上で、本人が例えば、私は関西なので、あの吉本の芸人になって有名になりたいなと思ったりする、何か目的があってフリーターを選んでいるんだったらいいんですけれども、どうも知らずして漠然と選んでいる学生が多いようにお伺いしております。  こうした高校生のフリーター化、これに歯止めを掛けるために、先週、厚生労働省文部科学省で一人一社制や指定校制を全面的に見直す、そういった報告書を公表されております。高度成長期と呼ばれる時代にはこの一人一社制なりが大変よく機能しておりました。しかし、景気が悪くなって雇用情勢が悪化していく中、むしろこれが弊害になっているんじゃないか、この高校の、高校生の就職難に拍車を掛けているんじゃないかと指摘されております。こうした就職慣行自体を見直すことは大変良いことだと思っております。  以前より、旧文部省の検討会議でもこうした制度は問題があるということで見直しされているんですが、今になって全面見直しということを打ち出して、この秋からスタートしますというのは、なかなか、もう時間が掛かり過ぎているんじゃないでしょうか。  これは厚生労働省の問題なんでしょうか、それとも文部科学省の責任なんでしょうか、どちらでしょうか。
  42. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これは両省にまたがる問題だというふうに思いますが、先ほどお話しになりましたように、一人一社制というこの行き方は、これは今まではそれなりによく機能してきたと思うんですね。ところが、全体としての環境ががらっと変わってしまいました。企業の方はすぐ戦力、すぐ間に合う人を欲しいという、そういう状況になってきたわけでございます。すぐ戦力の人を求めるという中で、こういう状況が機能するかというと、これはなかなか機能しなくなってまいりました。  一人の生徒さんが一社だけ紹介を受ける、そしてそこがもし駄目だったら、そうすると一番最後に、末尾に回されるということになりますと、最近でございますから、もう就職が困難ということになってしまうといったこともございまして、もう少し優秀な学生さんには二社なり三社なりやはり選択の自由を与えて、そして企業と交渉をしていただけるようにすべきではないか、そうしたことを今検討しているわけでございまして、そういうふうにもう既におやりをいただいているところもあるわけでございますので、これは国の方で決めてということでもございませんので、できる限りそうしたことをお取り入れをいただきたいということを高等学校にもお願いをしているところでございます。
  43. 山本香苗

    山本香苗君 文部科学大臣にも一言お願いいたしたいと思います。
  44. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) 今、坂口厚生労働大臣もおっしゃいましたように、かつてはある程度うまく機能していたそういう就職についての慣行が大きな社会の変化に伴いましてうまく機能しなかった、してこなくなったということで、平成十三年二月の文部科学省の協力者会議報告あるいは本年三月の厚生労働省との共同研究の報告におきまして、高校生の就職に関して企業と高校が培ってきた就職慣行について見直すことの提言がなされているわけでございますが、やはりこの就職慣行におきましては、生徒が選択の機会を制限されること、それから求人が非常に激減している中では応募する機会も与えられないというようなことで、生徒にとって大変な問題があるというふうに私どもも認識をいたしております。  このような状況を踏まえまして、我が省としましては、就職慣行の見直しなど、生徒、企業が互いに納得のいく選択ができますように、各都道府県教育委員会において労働部局と連携して検討会議を設置し、就職慣行の見直しについて検討を進めるよう、もう指導を実施いたしております。  さらには、高校生の就職を一層支援していきますために、我が省としまして、平成十四年度において高等学校就職支援教員を特別に教職員定数の加配によって措置いたしましたり、あるいは生徒に望ましい就職観、勤労観を形成するキャリア教育を推進するための総合的な調査研究をする、進めることとしているところでございます。  この問題についても問題の認識をしっかり持って、さらにこうした施策を進めてまいりたいと思っております。
  45. 山本香苗

    山本香苗君 ありがとうございます。  いろいろ御説明いただいたんですけれども、行政というのはいつも何かが起こってからようやく手を打つんですよね。今、高校生の就職内定率は史上最低じゃないですか。もっと早くに手を打っていたらどうなっていたんでしょうか。  もう本当に、私も実は役人出身なんですけれども、こういうのって非常に役人チックだなと思います。判断する時期を逸すると、こういう逸するというミスをしたら何らかの責任を問われなくちゃいけないんだけれども、問われないと。民間だったら、一瞬判断を誤ると倒産とかなんとかなる場合もあるわけですよ。でも、こういうのというのはすごく国民意識とずれていると思うんですね。  遠山大臣は官僚御出身でいらっしゃいますけれども、こうしたお役人意識についてどうお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
  46. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) それぞれ政策を担当する者は、私は、一つは中長期的な視点を持ってしっかりした政策を立てていくこと。教育行政はそういう視点になじむ行政でございまして、文部科学行政の主なる施策は、そうした中長期的な視点をきちんと持って国家百年の大計に対応してまいっていると思っております。  でも、同時に、社会の変化に対応して、必要な事柄はできるだけ早くこれは対応していく必要があるわけでございまして、私どもの政策は、その二つ目の点においても常に心掛けて、いろんな方々の御意見でありますとかあるいは国民意識の動向も踏まえた上で、何が本当に必要かということについて常に考えながら政策を展開していかなくてはならないと私も考えております。  たまたま今事例に挙がりましたこの件については、このこと自体が労働慣行としてうまく機能してきたということがございますし、それからもう一つは、これ自体が、国の政策といいますよりは各地域においてそれぞれの企業と学校との間で形成されてきた慣行でございます。したがいまして、私どもも、その問題点に気付いて、今回指導を強化するということによって見直していただくように強力な指導をするというやや間接的な政策を取らざるを得ないという問題でございます。  しかし、いずれにしましても、政策については、先ほど申した二つの観点を常にうまく運用しながら国民の期待にこたえていくということが行政側の責務であると思っております。
  47. 山本香苗

    山本香苗君 ありがとうございます。  遠山大臣に大変期待しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。  次に、厚生労働大臣にお伺いします。  大臣は、三月五日の記者会見の中で、雇う側の方がいわゆる即戦力を求めている、先ほどもおっしゃっていらっしゃいましたけれども、普通科高校を卒業された方は事務系を多く希望されるが、簿記一級、二級では大きな武器にならない、高校における勉強の在り方を検討しなければならない旨の発言をされていらっしゃいます。  これは、ややもすると文部科学省の責任ではないかなとも受け止められる発言だと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  48. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これは、非常に情勢の変化が大きい、環境の変化が大きいということを私は申し上げたわけでございます。  今まででございますと、簿記なんかの資格をお取りになっているという方がございますと、そうするとその方は非常にいいところに就職も決まったわけでございますが、最近はそういうわけにいかない。職業を、職業といいますか、専門的な高等学校、職業を中心とした高等学校におきましては、これはそれぞれの行き場というのはあるんだろうというふうに思いますが、昔はいわゆる普通科を卒業した皆さん方の就職が非常に就職もしやすかったという時代もあったわけでございますけれども、最近はいわゆる事務系の職業というのがだんだん厳しくなってまいりましたし、そして、ただ単に簿記なんかが一級、二級といっても、それは間に合わないという時代になってまいりました。  そうした状況でございますので、高等学校の間にどういう教育をしていただくかということを少しこれから検討しなきゃならないのではないかというふうに、雇用の側から見てそう思っております。  それは、今までは、企業が採りましてから企業の中でいろいろのいわゆる勉強をさせていたわけでございますが、いわゆる企業内指導、企業内訓練というのがだんだんと希薄になってまいりまして、そして即戦力、先ほど申しましたような即戦力の人を雇うということになってきたものですから高等学校がより厳しくなってきたというふうに思っています。  しかし、全体で見ますと、この有効求人倍率も十五歳から二十四歳までの間というのは非常に高いんですね、ほかの年齢層に比較をいたしまして。一番直近のものを見ましても〇・九一でありますから、これはかなり、平均して〇・五一でございますから、そのことを思いますと、若い皆さん方のところはいわゆる職を求める側の、会社の方の手を挙げてくださるところも非常に多いわけでございます。そこが余りにも、ここでなければならない、こういうことでなければならないという非常に、希望が高いとなかなかミスマッチが起こってしまう。  したがって、できる限りそこは若い皆さん方にも、理想は理想としながらも、しかし現実もよくごらんをいただいて、そして一度検討をしていただくということも大事ではないかというふうに思っている次第でございます。
  49. 山本香苗

    山本香苗君 ありがとうございます。  時代の流れに沿って、文部科学省とまた厚生労働省がしっかりと手を携えて頑張っていただきたいと思います。  もう一つ制度面につきまして、大学や短大、専門学校の人、これはもう年明け早々に就職活動をスタートします。しかし、高校生は三年生の一学期の成績が確定しない限りスタートできません。もうかなり出遅れたスタートです。この制度を見直してほしいといった声もございますけれども、今回の見直しに付随いたしましてこういった制度の改善の検討はあるんでしょうか。文部科学大臣、お願いいたします。
  50. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) 先ほど来の御説明しております就職慣行の見直しにつきましては、あらゆる問題を含んでおりますので、今御指摘の点も含めて、要するに就職活動の開始の時期、そういったことも含まれております。
  51. 山本香苗

    山本香苗君 二〇〇〇年の八月の検討会議においても選考開始日期日、これはもう改正が必要だと、多数というのが出ておりますので、是非とも検討、前向きな検討をお願いいたします。  本当に今、雇用はめちゃめちゃ厳しい。にもかかわらず、あれこれ言われて、できないと言われますと、国民の皆さんは本当に雇用の問題、この厳しい状況を国の方は分かってくれているんやろうかと思っていらっしゃるんじゃないかと思います。もうこれは文部科学省、こっちは厚生労働省なんて言っている場合じゃないんです。本当にもうここはみんなが一致団結して取り組まなくちゃ大変な状況になってしまう、そういう状況でございます。私は今日この場でそのことを、その一点だけを皆様によくよく認識していただきたいために質問に立たせていただきました。  最後に、現場の声にしっかりと耳を傾けながら、また一日も早く雇用不安を払拭できるように私も若者の代表として頑張らせていただきたいというこの決意を述べさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。  本日はどうもありがとうございました。
  52. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 以上で渡辺孝男君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  53. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 次に、岩佐恵美君の質疑を行います。岩佐恵美君。
  54. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 私は今日、雪印食品をきっかけに連発しております食品の虚偽表示について伺いたいと思います。  今、食品の虚偽表示に対して国民の怒りは本当に頂点に達しています。  そこで、雪印食品、スターゼン、カワイ、全農チキンフーズ、それに今日報道されております茨城玉川農協の産地表示違反の概要について御報告いただきたいと思います。
  55. 野間赳

    ○副大臣(野間赳君) 御指摘の虚偽表示の事案につきましては、いずれもJAS法に基づき速やかに立入検査を実施をいたしておるなど、厳正に対処をいたしているところであります。  具体的に申し上げますと、雪印食品におきましては、北海道産の牛肉に熊本産のラベルを張り替えるなど、虚偽の表示を行った疑いがありましたことから、一月二十八日から二月七日まで立入検査を実施をいたしまして、二月一日及び八日の二度にわたりましてJAS法に基づきます改善の指示を行ったところであります。  カワイにつきましては、輸入牛肉を国産牛肉と表示をして販売をいたした疑いがありましたことから、二月の十六日及び十九日に立入検査を実施をいたしました。二月二十二日にJAS法に基づきます改善の指示を行いました。  スターゼンにつきましては、SPF、無菌豚を黒豚と表示をして販売をしていたなどの疑いがありましたことから、二月二十二日から三月一日まで立入検査を実施をいたしまして、三月四日にJAS法に基づく改善の指示を行いました。  全農チキンフーズにつきましては、輸入鶏肉を国産と表示をして販売をしていた疑いがありましたことから、三月五日より立入検査を実施をしていたところであります。  玉川農協ミートセンターにつきましては、東都生協が、茨城玉川農協ミートセンターが生協の指示と異なる豚肉を使用をした旨を昨日公表をしましたことから、茨城県が本日にも調査を開始すると承知をいたしております。茨城県と連携を取りながら、事実関係の解明など、的確に対応してまいりたいと思っております。  いずれにいたしましても、食品の表示に対する消費者の信頼を回復をするため不正な食品は見逃さないと、断固たる決意の下で徹底的に真相を究明をし、厳正に対処をしてまいる所存であります。
  56. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 公正取引委員会は、雪印食品に対し、このような事例で初めて排除命令を出したといいますけれども、概要を説明してください。
  57. 根來泰周

    政府特別補佐人根來泰周君) お尋ねの件でございますが、過般、雪印食品株式会社に対しまして、一つは、優良誤認ということでございますけれども、オーストラリア産の牛肉を国産であるように表示したと、これは原産地表示の違反であります。それから、アメリカ合衆国産の豚肉を国産であるように表示したというようなことで、これは原産地表示違反ということで排除命令を出しました。  そのほかに、アメリカ合衆国産、また青森県産の豚肉を神奈川県産の銘柄豚の肉のようにあるように表示したということ、あるいは外国産の豚肉を用いて製造された豚肉加工食品の原材料を国産であるように表示したと、これは先ほど申しました優良誤認である、この二つの範疇に属するものについて排除命令を発しました。
  58. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 雪印食品の社員が、偽枝肉を見分けの付かない店に出荷していたという趣旨のことを述べたという新聞報道がありますけれども、その点についてどうですか。
  59. 根來泰周

    政府特別補佐人根來泰周君) いずれにせよ、いろいろ調査した結果、私ども景品表示法の所管する役所でございますので、景品表示法の観点から、違反の事実について、これに絞ってやったわけでございますが、そのほかの点については若干警告という処分をしております。
  60. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 要するに、大変今度の食品偽表示事件というのは悪質なんですね。輸入品を国産にする、白豚を黒豚と言いくるめる、抗生物質入りのえさを食べさせた鶏の肉を無薬飼料飼育鶏肉、こういうふうに表示をするということで、悪質です。企業はもうけのためにやりたい放題ということなんですね。今まで農水省は何をやってきたのか、私はその責任が問われると思います。  そこで、農水省に伺いたいんですが、銘柄牛に他県産や米国産を混ぜたカワイについて、昨年七月と九月の二回、中国四国農政局に情報提供があったと言いますが、農政局はどう対応したのでしょうか。
  61. 野間赳

    ○副大臣(野間赳君) 昨年の七月に通報がありましたカワイの事案につきましては、中四国農政局が、情報入手後、直ちに事実関係を確認を依頼するなど、県とも連携を取りつつ対応してきたところであります。  具体的に申し上げますと、昨年の七月、農政局に対して匿名で、高松市の精肉加工販売業者カワイが贈答用製品につきまして輸入牛を讃岐牛と虚偽表示を行っているという情報がございました。このため、農政局は香川県に対し直ちに事実関係の確認を依頼をいたしました。その後、九月の上旬に同じ情報提供者から問い合わせがあり、農政局から香川県に説明を求めたところ、カワイは現在不正表示を行っていない、県として今後、疑惑を招くようなことのないよう指導したとの報告を受けました。そのため、農政局は香川県に対し、カワイについて引き続き注視をし、新たな疑惑が生じた場合、農政局に連絡をするよう要請をしたと承知をいたしております。
  62. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 県は、改善したという社長の言葉を信用して立入調査で確かめていないんですね。もちろん、農政局も確かめていない。  そこで、去年七月、九月とそういうことがありながら今年またおかしいということがあって、二月四日に生協アイコープがカワイをただしたところ、偽装を認めました。それから、農水省がカワイに立入調査をしたのは二月の十六日です。農水省の対応というのは本当に後手後手で私はひどいと思います。だから、業界も甘く見て違反を平気で繰り返すんです。  全農の子会社のやり方もひどかったです。全農チキンフーズは、鹿児島県産若鶏と称してタイや中国産の鶏の肉を混ぜて売りました。最初、生協からおかしいから調べてほしいと言われたときに、全農は輸入肉は使っていないと回答しています。再度の情報があって生協自らが全農チキンフーズの工場を直接調査をして不正を見付けたということです。今日、新しく報道された茨城の玉川農協、これ農協自らやっていたわけですが、もう十年前からやっていたというようなことも言われています。  一生懸命頑張っている農家、あるいは安心、安全を願っている消費者の信頼をこういう事件は裏切っています。私は、このような実態を作り出した農水省の責任は重大だと思います。大臣、どうお感じになられますか、お考えになりますか。
  63. 武部勤

    国務大臣(武部勤君) お答え申し上げます。  今、副大臣がお答えいたしましたように、カワイの件につきましては、九月の段階で香川県から農政局に対して、現時点では既に不正行為はなく、また県として疑惑を招くことのないよう指導したとの報告がありましたことから、情報提供者が匿名であったことなども考え合わせまして、農政局から県に対して、引き続き同社を注視しつつ、新たな疑惑が生じた場合に局に連絡するようにと要請し推移を見守っていたところでございます。  こうした中で、カワイがその後も虚偽表示を行っていたことは誠に遺憾でありまして、また農水省としても本件に関する処理が結果として不十分なものとなったことも踏まえまして、現在は表示一一〇番等に通報があった事案について、疑わしい場合には迅速に立入検査を実施するなどの対応を行っているところでございます。  立入検査を行う以前からいろいろ匿名の一一〇番が多いわけであります。匿名の場合に直ちに立入検査ということはなかなか困難な場合がありますが、しかし疑わしいと私どもが見た場合には事前に調査などをしているわけでございますが、いずれにいたしましても表示制度の在り方について、私どもは消費者保護第一という観点に立ってこれを見直しをしなければならないということで今検討をしているところでございます。JAS法の改正も視野に入れまして、しかも役人任せにしてはならないというようなことで、私ども、食品表示制度対策本部を野間副大臣を本部長にしてこれを設置いたしまして、目下検討中でございます。  この後は、またモニタリングの問題でありますとか様々、いろんな角度から監視体制を強化していく、そして実効の上がるように罰則についても強化をすることなども検討しなければならないと、さような意味ではJAS法の改正が私は必要ではないかと。そういったことも視野に入れ、なおかつこれは、厚生労働省あるいは公正取引委員会経済産業省、それぞれ法の趣旨に照らして、いろいろ各省で関連しているわけでございますので、各省との連携もしっかり取ってまいりたいと。先般も各省連絡会議も設置して、その会合を持った次第でございます。
  64. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 大臣答弁は、私はやっぱり農水省の役所の書かれたペーパーを読まれているという点で非常に残念なんですね。カワイの事件というのは、やっぱり去年の七月、九月で見逃して、そして今年に入っても農政局自身がきちんとやったわけじゃないんですね。生協が内部告発をきちんと受け止めて、それで調査をして、こういうことを発見していくわけですね。ですから、そのことに問題があるんですから、そこをしっかりと受け止めていただかなければ困ると思います。  産地などの表示違反というのは肉以外にもたくさんあります。韓国産のミニトマトが熊本県八代産とされたり、中国産のゴボウが宮崎のえびの産として売られたり、水産物でも、チリやペルー産の巻き貝、アカニシが焼きサザエの缶詰として売られて公取に摘発されたりしています。また、青森県の十三湖産のシジミに他の産地のものが入っていたり、外国の淡水シジミがヤマトシジミとして売られているなど、表示違反というのは枚挙にいとまがないんですね。もう消費者は何を信じていいか分からない、こういう深刻な実態になっています。  表示への消費者の信頼、これを回復するために農水省、厚生労働省公正取引委員会、どう対応していかれるのですか。
  65. 武部勤

    国務大臣(武部勤君) ただいまお答えいたしましたように、農水省といたしましては食品表示制度対策本部を設置いたしまして、JAS法改正を視野に入れて今この問題について鋭意検討しているところでございます。今申し上げましたように、各省との連携が不可欠だと、かように考えております。この実効が上がるように、監視体制の強化とともに罰則の強化等について検討することが必要だと、こう思って鋭意努力しているところでございます。
  66. 根來泰周

    政府特別補佐人根來泰周君) 一言で申し上げれば、今後厳正に対処する、こういうことでございますけれども、いろいろ振り返って考えてみますと、やはり情報の取り方とか情報の吟味とかに大きな問題があると思うわけでございます。そういうことで、先ほど農水大臣がお答えになりましたように、各省庁が連携を十分取るということ、あるいは地方公共団体と連絡を取り合うということ、あるいは消費者団体、生産者等と十分情報を交換するということがまず第一ではないかと、こういうふうに思っているわけでございます。  おっしゃるように、最近のこういうとんでもない話が噴出しますと、やはり我々も抜かったかなという反省があるわけでございますが、その反省の上に立っていろいろの方策を考えていきたいと考えております。
  67. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 一言でお答えさせていただければ、食品衛生法を強化するの一言に尽きるというふうに思っております。早急に見直しをしたいと思っております。    〔委員長退席、理事野沢太三君着席〕
  68. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 賞味期限等のラベルを張り替えた雪印乳業、鹿児島くみあいチキンフーズ、蔵王フーズについて概要を説明していただきたいと思います。
  69. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 御指摘をいただきました事例についてでございますが、雪印乳業につきましては、在庫品の冷凍バターを再包装いたしまして、品質保持期限を延長して表示をした上で、加工乳などの自社製品の原料として使用したというものでございます。  また、全農チキンフーズにつきましては、鹿児島チキンフーズが返品されました冷凍鶏肉等を再包装いたしまして品質保持期限を延長して表示したものでございます。  そして、蔵王フーズにつきましては、関係業者に指示して品質保持期限の残日数を、少なくなった冷凍鶏肉の在庫品を、これも再包装をいたしまして期限を延長して表示し、販売をしたことによるものでございます。
  70. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 期限表示についても消費者は本当にこれ信じていいのかということで大変混乱に陥っています。  賞味期限というのは元々個々の業者の判断で個々の商品ごとに決めるんです。だから、製造年月日のように客観性がありません。業者が一方的に付け替えても現状では違反になりにくい。そこで業者の付け替えが横行するわけです。  このような表示制度の、私、仕組み自体が間違っているというふうに思います。客観的事実に基づいて確認できる製造年月日に変えるとか、あるいはこれと併記をするなど、消費者の信頼回復のための対策が必要だと思います。例えば消費者にとってみると、農水省は消費期限と賞味期限です。そして、厚生労働省の食品衛生法では消費期限と品質保持期限です。これだけでも大混乱ですね。  とにかくこの表示の問題についてきちんと検討していただきたいと思いますが、厚生労働省、それから農水省、それぞれいかがでしょうか。
  71. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 農林水産省との間の問題につきましては、これは整理をしなければならないというふうに思っております。  それで、この製造年月日の問題でございますが、これまだ、平成六年でございますか、それまでは製造年月日になっていたわけですけれども、これ変えたわけですね、製造年月日を、これをいつまでもつかという期限に変えた。そのときには消費者の皆さんも含めて関係者の皆さん方にいろいろ御議論をいただいて、その方がいいということで変えたわけでございますけれども、まあ今回のようなことが起こりますと、この製造年月日というのが果たしてなくていいのかどうかという問題になってきたということでございます。  で、いつまでもつかということにつきましても、これは一応微生物の検査でありますとか理化学的な検査でありますとか、あるいは官能試験でありますとか、そうしたものをこれこれをやって、そしてこれをいつまでというふうに決めるというふうに、基準は決められているわけでございますが、しかしここはなかなか消費者の皆さん方に分かりにくいということも事実でございますので、これらの点につきましても、まあこれで良かったのか、これで良かったとすれば、ここをどういうふうにしていけばいいのかということも併せて少しやりたいと思っております。
  72. 武部勤

    国務大臣(武部勤君) 厚生大臣の御答弁にございましたように、平成七年四月から製造年月日表示から期限表示へ移行するとともに、保存性の程度に応じ二つの区分を設けているということについてでございますが、私どもは、この期限表示の考え方について消費者の皆さん方に徹底するというその努力が足らなかったのではないかという感じを率直に受けます。パンフレット等を通じて消費者の方々の正しい御理解が得られるような努力がまず必要であろうと思いますし、今後、更にリスクコミュニケーションという考え方に立って、この充実を図るなどによりまして、消費者の御意見を幅広くお聞きしながら、分かりやすい情報提供ということが一番大事なことではないかと、かように思います。  二つの区分に分けて、設けられていることについては、いろいろ国際基準その他ございまして、今後、今、委員の御指摘を踏まえて、厚生労働省等とも連携して検討をしてまいりたいと、かように思います。
  73. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 次に、雪印食品がオーストラリア産牛肉を詰め替え、国産肉として政府に買い取らせようとした事件について伺います。  当初、買上げ対象の肉の確認チェック、これはどのように行っていたのでしょうか。
  74. 武部勤

    国務大臣(武部勤君) お答えいたします。  BSE検査以前の国産牛肉を市場から隔離するための牛肉在庫緊急保管対策事業については、事業主体の六団体から十一月八日までに総量一万二千八百トンの事業申請がなされておりました。各団体は、市場からの隔離を実施し、書類確認等を経て、十二月十四日までに一万二千六百二十六トンの事業量となったものでございます。  隔離した牛肉を焼却処分するための市場隔離牛肉緊急処分事業については、雪印食品による牛肉偽装事件が判明しましたために、同社分を除いた一万二千三百四十七トンの事業申請となったわけでございます。  助成金の交付状況については、隔離事業については一部について請求に基づき助成金の概算払を行っているところでありますが、処分事業についてはこれまでのところ助成金は交付されていないのでございます。
  75. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 驚いたんですけれども、当初、検査実施者というのは農畜産業振興事業団だったんですね。確認検査は事業団に丸投げをしていた。二百九十三億円もの税金を使うのに、各業者からの買上げというのは六つの関係業界団体任せだったわけですね。  当初の検査対象に雪印食品は入っていたんでしょうか。
  76. 武部勤

    国務大臣(武部勤君) 当初は入っておりません。
  77. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 雪印食品が検査対象に入っていなかったというのは本当に驚きですね。雪印食品は、買上げ六団体の一つ、ハム・ソーセージ組合の中では、買取り申請が二百七十九・四トンと四番目に多いんですね。そこが検査対象から外れていた。理解し難いんです。    〔理事野沢太三君退席、委員長着席〕  農水省は、どの業者が幾ら買上げ申請をしていたのか、内訳はつかんでいたのでしょうか。
  78. 武部勤

    国務大臣(武部勤君) 当時は六団体のみでございます。
  79. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 つかんでいなかったと、これも本当に驚きです。  数字をきちんとつかんで公表すべきだと思いますが、どうですか。大臣の言葉で答弁してください。
  80. 武部勤

    国務大臣(武部勤君) はい。私の言葉で整理しておりますので、正確にお答えする意味でもお許しいただきたいと思います。  会員等の名称及び数量の公表につきまして、各会員との同意を得るべく確認しているところでございます。同意の得られたところについて公表することを予定しております。私は原則公表ということを事務方に申しているところでございます。  今後、個別の末端業者についても名称及び数量を調査するとともに、公表の同意が得られるかどうかを確認いたしまして、同意が得られたものについては公表することを検討してまいりたいと思います。これも私どもは原則公表という立場で、事務当局にはそのことを指示している次第でございます。
  81. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 買上げ対象の保管牛肉には雪印食品以外にも不適切なものがあったといいますが、内容を説明してください。
  82. 武部勤

    国務大臣(武部勤君) 二月八日から開始した全倉庫、全ロットを対象とする新たな検品体制によりまして、二月二十四日までの検品結果について去る三月一日に公表したところでございますが、これは一定期間ごとの結果について、検品は国民の信頼回復のために実施しているものでありますから、一定期間ごとの結果について取りまとめを行い、定期的に公表してまいりたい、このように考えております。  不適格品があった場合は、その業者名については、本事業の透明性の確保や消費者の信頼確保の観点から公表することが望ましいと、これも私は原則公表と、このように考えております。しかしながら、不適格品の混入の発生した原因が事業趣旨の不徹底や買上げ事業者の、買上げ先業者側の理解不足による等、種々その背景、原因がございまして、その事情を精査するということが必要だと思います。公表が大きな社会的制裁になりますことから、そのことも考慮しながら、今その公表方法の在り方について検討しているところでございます。  具体的なことについては、賞味期限といいますか、保存期限といったものが超えているというようなこと等でございます。
  83. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 私は、公表するのが原則、当然だと思います。なぜそういうことが起こったのか、そういう原因が、もし業者じゃなくてその情報を流した、徹底する側にあったとするならば、そこの部分も含めて何が原因だったのかということをはっきりさせて業者名を公表するということを求めたいと思います。  財務大臣伺いたいんですが、こういう事件というのは税金詐取行為、詐欺行為になると思います。ですから、こういうずさんなやり方で税金が支払われるということがあってはならないと思いますけれども、その点について大臣の考えを伺いたいと思います。
  84. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 最近、雪印のやっておりますことは、全関連事業等を見て、でたらめなことをやっていますね。実際、残念だと思うておる。これはやっぱり雪印というしにせをバックにして、いい加減なことをしたんだろうと。分からぬだろうと思ってやった、けしからぬことだと思っております。  ついては、農林大臣がおっしゃいましたように、BSE対策だとか厳正に実施すると言っておりますので、買上げ事業等につきましては、問題のないことを十分確かめた上で実施したいと思っております。
  85. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 実は、私、この問題を調べていって、農水省とそれから業界が非常に緊張感のない間柄にある、そしてとんでもないような出来事が起こっている、こういうずさんなやり方の根っこに農水省と関係業界との癒着があるということに気付きました。  ここにこういうちょっとパネルにして分かりやすいようにお持ちしました。(図表掲示)何か今日、これを見た方は、そんなにあるのかって、うそじゃないかと言われたそうで、そんなにあるのかと疑問を持たれたそうですけれども、私はちゃんと農水省の資料をいただいてこれを作ったものでございます。  実は、二百九十三億円が流れます農畜産業振興事業団、ここには十一名の常勤役員がいます。この十一名の常勤役員の中に理事長、副理事長は二人なんですが、副理事長、全部農水省からの天下りであります。理事からも天下りがあるんですね。そして、理事とそれから監事と、こういうふうに六人天下っているわけです。  そして、このお金を受け取る、六団体あります、食肉関係の六団体、この六団体を調べてみたら、こちら側の業界への天下りというラインですけれども、日本ハム・ソーセージ工業協同組合の専務理事、元畜産局付であります。そして、全酪連ですね、これも畜産局の課長です。そして、全肉連も農水省のOB。  それで、畜産協同組合もそうですが、全部専務理事とか代表専務理事とか大変かなめのところにポストを占めておられる。それで、実は検査をする、お金がどうなっているかという行方を検査するこの畜産事業団の非常勤の理事に、この全農とそれから日本ハム・ソーセージ協同組合の会長、理事長が入っているわけですね。こんな構図になっているんですね。  だから、きちんとしたやり方なんかできるはずないな。こういう中で買上げ要件の緩和とか手ぬるい検査方法が取られる、それで税金をやみからやみへ流すという、そういう構図が作られているんじゃないか。私は、そういう意味で、本当にこういう構図は許せないと思うんですね。緊張感を緩めるもとになっていると思うんですが、大臣、いかがですか。こういう天下りというのはやめるべきだと思うんです、いかがですか。
  86. 武部勤

    国務大臣(武部勤君) 政官業の癒着は厳に断ち切れと総理からも厳命をいただいております。  私どもも今、検品体制等は厳正に行っている所存でございまして、今回、信頼を回復するための徹底した検品でありますから、それにふさわしい検品を、これをやらなきゃならないと、こう思って強く指示しております。さようなことから、原則公表というようなことも指示しているわけでございます。  また、私、就任いたしましてから、やはり役人任せにしてはならないということを痛切に感じておりまして、この特殊法人、認可法人等についても、私は六十五歳未満の有給役員は認めないということも決定いたしておりましたり、今後そういった農林省所管の法人等に、特殊法人、認可法人等について総ざらえをしなきゃならぬというふうに、このように思っております。  今後、更に厳正を期していくために、大臣、副大臣、政務官五人で毎週一度は今後の諸般の改革についての検討項目を逐次検討し、それに対応するように事務方にも指示している次第でございまして、委員のこの御指摘を踏まえて、国民から誤解のないように最大の努力をしてまいりたいと、かように思います。
  87. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 本当、農水省のその体質というのは私たち国民には理解し難いんですね。  狂牛病で辞任をされた熊澤前農水次官が食肉団体に直後天下りをする、騒がれてこれは辞めるということになりましたけれども、こういう体質がある限り、業界との癒着関係を断ち切ることができない限り、先ほどから言われた、例えば食品表示の対策本部を持っていろんなことを議論する、あるいは立入検査を、調査をしなきゃいけない、調査官をうんと増やすなどとやっても、立入調査をやる日にちを事前に知らせてしまったら、それは全然意味がなくなるわけですね。  私は、そういう癒着体質を本当に根本的に断ち切る、そのためにも天下りをきっぱりやめる、やめさせるということを強く要望しまして、この件についての質問を終わりたいと思います。
  88. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 関連質疑を許します。西山登紀子君。
  89. 西山登紀子

    西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。  今日、私は、児童扶養手当の削減問題について質問をいたします。  政府は、手当の削減だけではなくて、本日、五十年ぶりに母子寡婦対策の抜本的な法改正を閣議決定するやに聞いております。そこで、お伺いをいたしますけれども、最近の母子世帯の推移、そのうちの児童扶養手当受給世帯はどうなっているでしょうか。
  90. 岩田喜美枝

    政府参考人岩田喜美枝君) 母子世帯数ですけれども、平成十年の全国母子世帯等調査によりますと九十五万四千九世帯でございます。生別、死別含めてでございますが、このうち離婚によるものが全体の七割でございまして、近年、離婚の増加を反映いたしまして、母子世帯の数は増加をいたしております。  また、児童扶養手当の受給者数ですけれども、これは厚生労働省福祉行政報告例によりますが、平成十二年度末では七十万八千三百九十五人となっております。
  91. 西山登紀子

    西山登紀子君 それでは次に、現在の児童扶養手当の内容、支給条件と支給額についても説明をしてください。
  92. 岩田喜美枝

    政府参考人岩田喜美枝君) 児童扶養手当制度ですが、一定の所得制限の下で母子家庭等に対しまして手当を支給する制度でございます。  現行の手当額は、児童一人の場合は、全部支給が月額四万二千三百七十円、一部支給の場合は月額が二万八千三百五十円でございまして、児童が二人以上の場合については、二人目は月額五千円、三人以上になりますと一人につき三千円加算がされるということになっております。  また、所得制限ですが、その限度額は、母親が雇用労働者として働いておりまして子供一人の母子二人世帯を例に取りますと、収入ベースで、全部支給の場合は二百四万八千円が限度、一部支給の場合は三百万円、それぞれもちろん年収でございますが、これが限度とされております。
  93. 西山登紀子

    西山登紀子君 ちょうど私が国民福祉委員をしておりました九八年にこの児童扶養手当の大幅な削減、改悪が行われました。支給条件の年収の上限を一気に百万円下げたんですね。三百万円にいたしまして大改悪が行われ、およそ、約七万四千人が支給停止をされて、大きな批判が起こりました。ちなみに、そのときの厚生大臣は今の小泉総理大臣でございます。  そこで、厚生大臣にお伺いいたしますけれども、その後の母子家庭の生活実態はどうなっているのでしょうか。良くなっているのでしょうか。雇用状況や収入状況を含めてお答えください。  大臣大臣に聞きたいんですが。
  94. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 母子家庭の母の就労状況につきましては、八割以上が就労いたしておりまして、その中で雇用形態を見ますと、常用雇用者の割合が約五〇%、五〇・七%でございます。臨時、パートが三八・三%でございまして、こういう割り振りになっております。その年の年収は、平均いたしまして二百二十九万円というふうに聞いております。
  95. 西山登紀子

    西山登紀子君 私がお伺いしましたのは、大改悪が行われた九八年から今の時点、この時点で、母子家庭の生活実態は良くなっているのかどうなのかということを大臣がちゃんと把握されているかどうかお答えいただきたいということなんです。
  96. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 具体的な数字、少し存じませんので、局長からの御答弁でよろしいでしょうか。
  97. 岩田喜美枝

    政府参考人岩田喜美枝君) 母子世帯の実態調査につきましては、五年ごとの基本調査をいたしておりますので、毎年毎年の詳細の状況は把握いたしておりませんけれども、近年の所得の水準は、多少の上昇はあるようでございますけれども、大幅な改善というのは残念ながらございません。
  98. 西山登紀子

    西山登紀子君 大変無責任だと思うんですね。今回、予算の削減を大幅に行います、提案をなさっています。ところが、実態調査も実態の把握も近年の最近の、近況のものは調査をしていないし、具体的なお答えができないということは、これはどういうことなんでしょうか。  調査をすべきじゃありませんか。大臣、どうですか。
  99. 坂口力

    国務大臣坂口力君) もちろん調査もしなければならないというふうに思いますが、今年のこのいろいろの検討をいたしております中で、現在の母子家庭におきまして必要なことは一体何なのか。それは、一つには支給額の問題もございますけれども、そうした問題だけではなくて、やはり母子家庭の全体としての支援をしていくことにしなければいけない、そうしたことを今提案をしているところでございます。
  100. 西山登紀子

    西山登紀子君 調査もしないで削減をする、これはもう本当に暴挙だと思うんですね。時間がないわけじゃないと思います。  といいますのは、私がいただきました民間団体、しんぐるまざぁず・ふぉーらむという団体は、こういう削減の動きがあるということで急遽調査をなさっているんですよ。九九年にも調査をなさっていたし、だから比較が可能になっていると。多少良くなっている、うそです。平均年収の低下というのは、二百万円以下の収入が九九年のときには三三%だったけれども、今や二〇〇二年、七六%に下がっていますよ。不安定雇用の増加はどうか。パート、派遣等は九九年二八%だったけれども、二〇〇二年、現在は五二%にも広がっている。失業率は、今日全般的な失業率が高くなっている中で母子家庭のお母さん方の状況はといえば、九九年九%が二〇〇二年、今日時点では一四%、倍に広がっているんですね。  大臣、今日の不況、非常に厳しい、全体としても厳しい中でむしろ母子家庭には支援を厚くするという状況なんではないでしょうか。私がお会いした母子家庭のお母さんたちはどなたも児童扶養手当は私たちの命綱だとおっしゃっています。両大臣にお伺いいたしますけれども、児童扶養手当が母子家庭の命綱であるという御認識はお持ちでしょうか。両大臣にお伺いいたします。
  101. 坂口力

    国務大臣坂口力君) もちろん、母子家庭にとりまして大事な問題であるという認識はいたしております。しかし、これだけで生活ができるわけではありませんから、やはり母子家庭の皆さん方は自立というものが一番大事だというふうに私は認識をしておみえになるというふうに思っています。  しかし、それが大きな一つの、支給額も一つの大きな柱であることは私も事実だというふうに思っておりますが、その中で今後どうしていくべきか。母子家庭の皆さん方の中にも、意を決して母子家庭になられた方もあると思いますし、それから、そういうことを予測をしていなかったけれどもそういうふうにならざるを得なかったという皆さん方もおみえになるわけであります。その直後は大変な御負担であろうというふうに思いますが、しかし将来をお考えになりましたときに、やはり自立をすることが一番大事というふうにお考えになっているものと私は理解をいたしております。
  102. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 児童扶養手当はとにかく重要な政策の一つであることは間違いございません。でございますから、今年も、十三年度に比べまして十四年度、そんなに減額はしておりません。二億ほど減ったかと思いますけれども、依然として年間二千六百三十七億円の支出をしておるのでございまして、そんなに減額したものではないと思っております。  しかし、当然増というものも当然あるだろうと思っておりますが、その部分につきましては、一般の家庭の収入等に合わせまして、権衡を取ったものとして今度決定したようなことであります。
  103. 西山登紀子

    西山登紀子君 非常に私は誤った認識をお二人ともお持ちだというふうに思います。  削減額についてお聞きします。来年度の児童扶養手当、今お話しになりました、二億円削減して二千六百三十七億四千四百万円としているんです。  そこでお伺いしますけれども、制度の見直しをしないで今までどおり支給したとすれば来年度はあと幾ら必要でしょうか。
  104. 岩田喜美枝

    政府参考人岩田喜美枝君) ただいまの御質問に対しましては、仮に現行制度を維持した場合についてでございますが、平成十四年度の児童扶養手当の見直しによる財政効果でございますが、国庫負担分に限りますと百二十億程度、これは十二月分支給から新しい制度が適用になりますので、そのようなことになっております。  そして、先ほどの先生の実態把握をしていないんではないかということについて、十分な御説明ができませんでしたので補足させていただきますが、制度改正に当たりましては、先ほど申し上げました五年に一回の基礎調査に付け加えまして、昨年、特別に実態調査をやりました。また、先生御指摘のしんぐるまざぁず・ふぉーらむ、その他母子家庭の団体多数ございますけれども、関係団体とは何度も意見交換を重ねて、情報は収集し、問題意識を共有するように話合いを重ねてきたところでございます。
  105. 西山登紀子

    西山登紀子君 平年度ベースで見た場合には幾らになるでしょうか。
  106. 岩田喜美枝

    政府参考人岩田喜美枝君) 十四年度では百二十億円程度でございますが、これは先ほど申し上げましたように十二年度支給分からでございますので、これが平年度化されますと三百六十億円程度でございます。
  107. 西山登紀子

    西山登紀子君 大臣にお伺いしますけれども、今回の削減案はいろいろ知恵を絞ったと言われるんですけれども、よくよく私たちが調べてみますと、母子家庭にとってみますと、年間ベースで三百六十億円もの大幅な削減になります。  ところが、私がいろいろ聞いてみますと、地元でも聞いてみますと、京都ですけれども聞いてみたり、いろいろ全国でも聞いてみました。しかし、このことは十分明らかになっておりません、御存じありません。むしろ、母子寡婦福祉団体などには、「児童扶養手当は削減したけれども、母子寡婦対策では前年度と同額を確保した」と説明しています。だから、一部には、「厚生労働省の努力の成果だ」などというような評価も聞こえてまいります。とんでもない説明をなさっていると思います。実際どうなるのか、当事者にも国民にも本当のことを親切丁寧に説明すべきではないでしょうか。  厚生労働大臣、お伺いしますが、関係団体に、年間ベースでは三百六十億円もの大幅な削減になるんだとはっきりと説明すべきではありませんか。
  108. 坂口力

    国務大臣坂口力君) それは財政上はっきりしていることでございますから、それはそういうふうに言うべきだというふうに思いますが、しかし、その他の分野につきまして、これからいろいろのことを手掛けていくことも事実でございます。  例えば、雇用面におきましても手掛けていかなければなりませんし、そしてまた児童福祉等の問題につきましても手掛けていかなければならない。そうした問題は別途あるということも事実でございますので、そうしたことも総合的にこれから我々はやっていくということを申し上げているわけでございます。
  109. 西山登紀子

    西山登紀子君 三百六十億円についても説明をしていくと、明らかにしていくというお答えだったと私は確認をさせていただきます。  次に、手当の見直しで影響の出る世帯数、教えてください。
  110. 岩田喜美枝

    政府参考人岩田喜美枝君) 十四年度の制度見直しで手当額が変わらない方が約三十七万人、全体の受給者の五一%程度でございます。一円でも減るという意味で手当額が減額になる方が三十三万人で、全体の四六%。手当額が増額になる方あるいは新たに受給されることができるようになる方が約二万人で、全体の三%程度というふうに見込んでおります。
  111. 西山登紀子

    西山登紀子君 大臣にお伺いいたしますけれども、年収が二百四万円の母子家庭の食費は一体、一か月幾らぐらいだとお考えでしょうか。
  112. 岩田喜美枝

    政府参考人岩田喜美枝君) 私の方から御説明させていただきます。  これについては、総務庁統計局の平成十二年度家計調査年報からの数字でございますけれども、客体数、調査対象数は百二十七世帯と小さい数字になっておりますので、そのことを念頭に置いてということでございますが、母親と二十歳未満の子供のみの世帯を見ますと、一か月の食料支出は五万一千二百八十一円となっております。
  113. 西山登紀子

    西山登紀子君 そういう統計を基にいろいろ考えているから間違ってくるんだと思います。  実際どうかといえば、今現在どうかといえば、私がいろいろ調べましたところでは三万から四万以下ですよ、これは。約一日千円ぐらい。これでお母さんと子供さんが過ごしている。子供が増えますともっと低いですね。  次にお伺いしますが、年収二百四万円の世帯で、今度の見直しで手当額は幾らカットになりますか。
  114. 岩田喜美枝

    政府参考人岩田喜美枝君) 年収二百四万円程度の方、この方は今回の改正で最も減額額が大きくなる層でございますけれども、制度改正の結果、手当額で月額四万二千三百七十円から約一万円程度減額される見込みでございます。  また、一方で、もし現行制度を維持した場合でございますけれども、母子二人世帯で二百四万八千円の年収をこれまた一円でも超えますと、全部支給から一部支給に移りますので、その時点で月額で一万四千円程度の児童扶養手当の減額になるという、こういう不都合がございます。こういうことをなくして、収入が増えるに従いまして児童扶養手当をなだらかに逓減的に減額させるという、そういう趣旨での今回の制度改正でございます。
  115. 西山登紀子

    西山登紀子君 なだらかに変えたと言って自慢されているんですけれども、もちろんその逆ざやになるところを変えるということはいいことですが、今度の改悪というのは二百四万を、更に全額支給の分を百三十万年収に下げるという、ここのところが問題だから私は今二百四万のその手当が幾ら下がるかと、またその食費は幾らかということを問題にしているんですね。  大臣にお伺いしますけれども、私のところに、質問すると言ったら急遽ファクスが届きました。年収二百万円近くの母子家庭のお母さんです。  「児童扶養手当のどんな目減りも、子供の教養・娯楽費、食生活の質量などにも大きく響くとともに、働き育てている一人親としての自負心が大きく損なわれてしまいます。どうか母子家庭の実情をごらんになり、助けてください」と。たくさん書いていらっしゃいますけれども、そういう言葉を寄せていらっしゃいます。  厚生省は、大臣、この手当の見直しなるものを「子供の幸せ第一だ」という大スローガンで進めておりますね。この場を通じて、母子家庭の子供たちにこのような生活費の削減が子供の幸せ第一になるということを、大臣の口からなぜ第一になるのか、幸せ第一になるのか、御説明をしてください。
  116. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 母子家庭にとりまして、先ほどから申し上げておりますように、一番大事なことは自立でございます。自立をいかにするかということがやはり課せられた大きな課題であるというふうに思っております。そのことによって、やはりお子さんも含めまして幸福な家庭を取り戻すことができるのであろうというふうに思います。  そのためには、国もでございますが、やはり社会全体がこの母子家庭を支援をしていく、そのために何が必要なのか、自立をしていただくためにどういう手を差し伸べなければならないのか、全体で考えていかなければならない問題であると私は思っております。
  117. 西山登紀子

    西山登紀子君 最後にまとめますけれども、母子家庭のお母さんの収入の低さというのは、母子家庭のお母さんの就労意欲の低さではございません。一生懸命働いています。私が調べた夜間保育所の三分の一は母子家庭のお母さん方です、利用者は。  こういう実態を見ないで、しかも法案では、五年で支給を半分に減らしていけるような法改正も準備しているということでございます。私は、こういう母子家庭の母と子に対する激痛を与える小泉構造改革は直ちに撤回すべきだということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
  118. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 以上で岩佐恵美君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  119. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 次に、平野達男君の質疑を行います。平野達男君。
  120. 平野達男

    平野達男君 国改連絡会(自由党)の平野達男でございます。  資料をちょっとお配りください。    〔資料配付〕
  121. 平野達男

    平野達男君 岩手県二戸市、青森県田子町にまたがる地域におきまして、産業廃棄物の不法投棄が確認されております。量におきまして八十二万立方メートル、全国最大規模の不法投棄の事実ということになるかと思います。  この事実に関しての、事実の有無あるいは現状、今後の方向等々につきまして、環境省から御説明願います。
  122. 飯島孝

    政府参考人(飯島孝君) 岩手県二戸市と青森県田子町にまたがる地域で産業廃棄物の不法投棄事件があることは承知しております。  青森県及び岩手県の調査によりますと、事業所の中に不法投棄された産業廃棄物は、ごみ固形化物、汚泥など約八十二万立方メートル、一部に有機塩素化合物も含んでいるということでございまして、周辺の水質調査では、環境基準を超える有害物質は検出されていないと聞いております。  両県においては、岩手県側の方で不法投棄が確認されたわけでございますが、その後も行政指導をしていたわけでございますけれども、法的強制力のない行政指導ということで、次第に大規模な山になってしまったというふうに思われます。  今後、両県が連携して恒久対策に向けて検討を進めているということを承知しておりまして、環境省といたしましても、両県に対しまして積極的に助言、指導を行い、原状回復措置を両県が講ずる場合には支援を行っていきたいと考えております。
  123. 平野達男

    平野達男君 これは刑事事件としても扱われていますね。その概要をちょっと御説明願えますか。
  124. 飯島孝

    政府参考人(飯島孝君) 一昨年に、青森県警と岩手県警の合同捜査本部が廃棄物処理法違反でこの関係業者を逮捕しております。
  125. 平野達男

    平野達男君 この不法投棄の行為者が三栄化学工業、縣南衛生という会社になっていますが、この会社は今どうなっているんでしょうか。
  126. 飯島孝

    政府参考人(飯島孝君) 縣南衛生株式会社は一昨年破産しておりますし、三栄化学工業は昨年解散をしていると聞いております。
  127. 平野達男

    平野達男君 一般論として、大臣にお聞きしますけれども、このような不法投棄の発生する原因、これはどこにあるとお考えでしょうか。
  128. 大木浩

    国務大臣(大木浩君) この案件は、実は今不法投棄問題の一番典型的な、しかも大型案件だというふうに思っております。  それで、結局、廃棄物を排出する業者といいますか企業、それからそれを実際に処理する処理の業者と、その間の関係がはっきりしない、そして、事件が起こって廃棄業者を調べてみたらそれはまた倒産しておったとか、非常にその責任体制がはっきりしていないというところに基本的な問題があると思います。  しかも、よくこういう事件になりますと、一体どこから持ってきたんだということがそのすぐ近くなら調べれば分かるけれども、何かえらい遠いところから持ってきたんじゃないかというようなこともございますし、そういったようないろんな条件が重なって、現在のそういった法体制の不備と申しますか、あるいは実態に対処するだけの、本当のことを言えば、条件がきちっと整っていないというところに問題の根源があるかと思っております。
  129. 平野達男

    平野達男君 ちなみに、この地域の産業廃棄物は、縣南衛生会社、これは埼玉県の会社でありまして、関東から持ち込まれたのではないかというふうに言われています。  さらに、一般論としてお聞きしましたけれども、不法投棄というよりは産業廃棄物の処理、これはだれがどのような責任で処理をする仕組みになっているんでしょうか。今の法体系について御説明願えますでしょうか。あわせて、最近数次にわたって改正がされているようですが、この廃清法の改正の経緯あるいは中身等についても御紹介願えれば有り難いです。
  130. 飯島孝

    政府参考人(飯島孝君) 廃棄物処理法におきましては、産業廃棄物について、PPPの考え方に基づきまして排出事業者に処理責任を課し、排出事業者が自らの責任において適正に処理しなければならないと定めているところでございます。  この排出事業者責任の原則の下で、法律では、産業廃棄物の処理基準あるいは処理業に対する許可制度、処理施設に対する許可制度、それから排出事業者が処理業者に処理を委託した場合の委託の基準、さらに、不適正処理が行われた場合の原状回復を命令する制度、こういった措置を定めてきているところでございます。  しかしながら、委員指摘のように、これまでどうしても産業廃棄物については安かろう悪かろう、あるいは大都市圏で発生した産業廃棄物が地方圏に流出する、それで不法投棄されるといった問題が多発してきておりますので、これまで、平成三年、平成九年及び平成十二年の三回にわたりまして廃棄物処理法を改正強化してきたところでございます。  さらに、この廃棄物処理法の改正は、基本的には排出事業者の責任を一層強化するということと、それから違反に対する罰則、これについても大幅に強化するということが中心でございまして、具体的には、排出事業者が排出した産業廃棄物を産業廃棄物管理票というその管理票によって最終の処理を確認するまでしなければならないと、こういった制度平成十二年の直近の改正で取り入れたところでございます。これによりまして、特にこの十二年改正法が昨年の四月から施行されておりますので、先ほど申し上げました安かろう悪かろうの構造がだんだん改善されてきていると我々は期待しているところでございまして、全国の都道府県と一緒になってこの改正法の施行、着実な施行を行っているところでございます。
  131. 平野達男

    平野達男君 PPPの原則ということと、それに向けてのいろんな規制の強化がされているということかと思うんですが、国、地方公共団体の役割というのはどのような規定になっておりますか。
  132. 飯島孝

    政府参考人(飯島孝君) 廃棄物処理法の上では、国は施策の基本方針を策定する、あるいは処理基準とか施設の技術上の基準といった基準を設定することになっております。さらに、都道府県の施策に対して技術的、財政的な支援を行うことになります。都道府県は廃棄物処理法上、まず廃棄物処理計画を策定する、それから実際の事業者や許可業者や処理施設に対する指導監督などの規制事務を行うこととされております。  なお、この都道府県の産業廃棄物の規制に関する事務は、廃棄物処理法では法定受託事務と整理されておりまして、現在、この国と地方の役割分担あるいはこの規制にかかわる事務区分につきまして地方分権推進委員会からも御指摘をいただいておるところでございます。  本年一月から産業廃棄物行政に関する検討会をしておりまして、地方公共団体、先ほど申し上げたようなことも含めてヒアリングを行っておりまして、今年の夏までにこの事務区分、役割分担等についての取りまとめを行いたいと考えているところでございます。
  133. 平野達男

    平野達男君 法定受託事務の中身を説明していただけますか。法的意味です。
  134. 飯島孝

    政府参考人(飯島孝君) 従来、地方自治法の改正前、機関委任事務とされていたものが法定受託事務に整理されたわけでございますが、先ほど申し上げました都道府県知事に許可権限、業や施設の許可権限があるわけでございますが、これが法定受託事務、国が定める基準に従ってこの許可事務を行うということでございます。
  135. 平野達男

    平野達男君 法定受託事務というのは、本来国が行うべきものについても、国に、仕事を委託するという位置付けだというふうに私は理解しておりますが、先ほど私ちょっと気になったんですが、自治事務に付するという方向での検討をしているということですか。
  136. 飯島孝

    政府参考人(飯島孝君) 地方分権推進委員会での御指摘は、国と地方の役割分担を明確にすべきであるということでございまして、本来、地方分権推進委員会の立場は、地方公共団体の事務は自治事務であるべきというところはあるんですが、産業廃棄物のように広域に移動するものの取扱い、あるいは非常に有害な、PCBなどの非常に有害なものの取扱い、これについては国が直接関与すべきではないかという議論もあるところでございまして、地方公共団体の御意見も非常に重要でございますので、地方公共団体の方々からヒアリングをしながら今検討を進めているところでございます。
  137. 平野達男

    平野達男君 地元にとっては一日も早い不法投棄産廃の適切かつ迅速な処理が求められております。手法については現在青森、岩手県、各々で検討中でございますが、問題は負担の問題であります。PPPの原則というふうに言われていますが、三栄化学工業あるいは縣南衛生ですか、これは倒産しております。財産を処分したとしても一億ぐらいの金しか集められない。実際にこれを処理するとなれば相当の金が掛かるというふうに言われております。  一方で、発生業者の特定も難しい。だれが負担をするかという問題でございますが、こういった不法投棄の負担の仕組みについてはどのような仕組みが考えられているんでしょうか。
  138. 飯島孝

    政府参考人(飯島孝君) 今、委員指摘の、原因者が特定できたとしても原状回復能力がない場合、あるいは原因者が特定できないような場合、不法投棄の処理をだれが行うかということでございますけれども、不法投棄がなされまして、生活環境保全上の支障が生ずるおそれがある場合には、都道府県知事が原因者に原状回復を命ずることができます。命令に従わない場合には、知事が行政代執行により原状回復の措置を行いまして、後に原因者に求償することができることになっております。  また、原因者が不明である場合でも、知事が行政代執行を行い、後に原因者が判明した場合に原因者に求償することができるとされているところでございます。  ただ、原因者が見付かっても負担の能力がないということが間々あるわけでございまして、都道府県知事が行政代執行により行う原状回復事業を国として支援するために、平成九年、先ほど申し上げた法改正のうちの平成九年の廃棄物処理法改正で産業廃棄物適正処理推進センターという制度を導入いたしました。  そして、この平成九年の改正廃掃法が施行されます平成十年六月以降の不法投棄につきましては、この適正処理推進センターに設けられた基金から財政的な支援が受けられることになりました。  なお、その十年六月以前の問題につきましては、この制度の対象になっておりませんが、これまで国庫補助金によりまして都道府県の支援を行ってきているところでございます。
  139. 平野達男

    平野達男君 今の御説明を補足する意味で、私どもで資料を出させていただきます。  二枚目をちょっと見ていただきたいんですが、「不法投棄の原状回復支援措置について」ということで、今の御説明にありましたように、産業廃棄物適正処理センターに基金を作って、これで助成をするというような仕組みになっています、この前に当然代執行という制度があるわけですが。この、(1)、(2)というふうに分けられていまして、平成十年六月以降の不法投棄、あるいは前のということで二つの体系が整理されております。  私、この体系につきましてはいろいろ疑問があるんですが、今日は時間がございませんので一点に絞って議論を進めさせていただきたい、いきたいと思います。その一点とは補助率です。また、方式につきましては、我が県に関するものは恐らく平成十年六月以前の不法投棄ということに該当すると思いますので、下の方式に限定して話を進めさせていただきます。  これによりますと、補助率は三分の一になっております。なぜ補助率は三分の一なんでしょうか。
  140. 林正和

    政府参考人(林正和君) 補助率三分の一はなぜかというお尋ねでございます。  先生御案内のとおり、補助率、基本的にはこれまで主に三つの要素を勘案して総合的に決定されております。一つは、国として当該行政に係る関与の度合い、あるいはその実施を確保しようとする関心の高さ。それから二番目に、地方の住民に与える利益の程度。それから三番目に、国、地方の財政状況等の諸要素と。こうした三つの要素を総合的に勘案して決定されるというのが一般的な補助率の決め方でございます。  それで、この件でございますが、先ほど環境省からも御説明ございましたが、本来、原状回復については都道府県が行う措置ではありますけれども、一つ、不法投棄される産業廃棄物は広域的に移動することが多い、あるいは国として当該行政に係る関与の度合い、こうしたことを勘案する、それから三番目に、地元住民に与える利益の程度等を考慮いたしまして、これ制度創設時、平成九年でございますが、そのとき、他の廃棄物関連補助事業の補助率を勘案して、都道府県が行う事業費の三分の一という補助率とするということにされておるところでございます。
  141. 平野達男

    平野達男君 参考までにお伺いしますけれども、私は補助金というのは普通は補助率は二分の一だというふうに理解をしております。今の補助金件数の中で、二分の一の補助金件数が何件、あるいは三分の一の件数が何件、あるいは補助金の額、もし把握しておられれば御紹介願えますか。
  142. 林正和

    政府参考人(林正和君) 補助率につきましては、先ほど申し上げたような基本的な考え方に基づきまして整理されておるところですが、これはもう先生も御案内のとおり、各事業ごとの補助率、これは地域事情など諸要素を勘案いたしまして、一本の補助金でも複数の補助率が混在しております。このため、補助率が二分の一あるいは三分の一の本数が何本かというのは、ちょっと把握することは困難であることを御理解いただきたいと思います。
  143. 平野達男

    平野達男君 私も去年の三月まで役所に勤めていまして予算をずっとやってきましたけれども、圧倒的部分は二分の一というふうに理解しております。  それから、この今回の産業廃棄物は、先ほど言いましたように関東、関東というか他県から持ち込まれたものでございます。それから、よく大量生産大量消費社会というふうに言われてきましたけれども、我々は今まで製品を処分するコストというものについては余り頭になかったんではないかというふうに思います。また産業界も、生産の段階でいろいろ発生するごみにつきましてはできるだけコストを低く抑える、つまり廃棄物については金を掛けない、金を掛けたくないと、そういったものが背景にあったと思います。だから、産業廃棄物の業者に対しては物を頼むときには不当にコストを低く抑える、だからそれを処理場にきっちり持っていけば金が掛かる、そこで不法投棄という、社会全体の構図の問題じゃないかと思うんです。  それを今、岩手県という県がこれを代執行という形で、これはそもそもなぜ県が全部しょって立たなくちゃならないのかというのは疑問でございますけれども、処理をした上で、いろいろの調整をした上で、かつ三分の二の負担をしなくちゃならない。これは大臣、おかしいと思いませんか。
  144. 大木浩

    国務大臣(大木浩君) 先ほども申し上げましたけれども、こういう非常に岩手県なり青森県については迷惑なことが起こっているわけですから、それについてはできるだけ手厚い何か措置を考えろというのは一般論としてよく分かるわけでありますが、先ほど委員御自身からも御紹介がありましたように、補助率などだんだんに見直しはしているわけですね。  ただ、今私は、むしろ大量廃棄物が出るということ、それともう一つ、だからそれは一番そこをまず止めろということになるわけで、廃棄物ではなくてどこかで初めから止めるような措置がないかということになるわけですが、実はこれ、私も最近テレビや何かでこの話を初めて見ましてびっくりして、いつ一体起こったといったら、もう数年前なんですね。  そもそもそういうことが起こるのは、これは一体廃棄物をごみと認めてない、ごみでないと言い張っているわけですね。それで議論しているうちにいつの間にやら時間がたってしまってと、こういうようなことで責任のある会社がつぶれたというようなことですから、これは社会全体としてこれからこういうことがどんどん起こるということについては、これは当然私ども何か手を打たなきゃいかぬと思いますが、今、ですからそれはそういうことで、これからこういうことがどんどん起こらないようにということでひとつ勉強はさせていただきますが、今、どうして起こるかというお話ですと、そういうふうにお互いが無責任状態が生じておるというところから、それが積み重なって残念ながらこういうような状況が生じているというふうに私は理解しております。
  145. 平野達男

    平野達男君 よく分かります。ただ、現状問題として八十二万立米の不法投棄がある。それを地元の方は早く撤去してもらいたいと願っている。コストも負担しなければならない。  この補助率につきましては、今日はもうこの一点だけ、補助率だけで話をしていますけれども、三分の一、県が三分の二を負担しなくちゃならないという仕組みはこれはおかしいと思います。  財務大臣、ひとつ御感想をお願いしたいんですが、よろしいですか。
  146. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) これは先ほど環境大臣から説明がございましたように、補助率を決めますときには、国の関与あるいは地域の自治体がどれだけの利益を、負担できるかという、いろんな総合的に交渉したことでございますので、交渉でまとまった結果として財務省がその補助率を適用しておる。関係省庁で協議していただければ結構かと思います。
  147. 平野達男

    平野達男君 是非環境省も、蛮勇を奮う必要はないんですが、財務省と是非やってください。財務省もよろしくお願いします。  それから次に、質問に移ります。  産業廃棄物の流通ということなんですが、産業廃棄物というのは、今回は他県から他県に持ち込まれたということなんですが、一つの考え方として地域で処分すべきではないかという考え方がありますが、環境大臣、どのように考えられますか。
  148. 大木浩

    国務大臣(大木浩君) 地域で処理すべきだという考え方は一つの考え方だと思います。  ただ、日本じゅう全体ですとどこでごみが出るかと、あるいはごみを処理できる能力のある場所はどこだというようなことを考えますと、一体どの程度の地域を単位として考えたら一番合理的だ、こういうことも問題としてあるわけでございますね。  ですから、確かにいろんな県で、いろいろと要するにごみを出す方の県あるいは受ける県でいろいろと立場は違うと思いますが、ですから、ある程度地域的に合理的な処理ができるなら一つの地域の中でやるということは、何と申しますか、いきなり法律ということになるかどうかは分かりませんけれども、そういった考え方は十分に分かるわけでありますから、そういったものもこれから、具体的な問題が生じておるところの関係の県などではいろいろとまた懇談会などもひとつ検討していただいておるところもあるようでございますから、そういったようなものの動きも見ながら、ひとつ勉強させていただきたいと思っております。
  149. 平野達男

    平野達男君 片山総務大臣、ごみを県境を越えて移動するということについてどのように思われますか。
  150. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 委員言われるように、これはもう地方行政にとっては最大の課題の一つですよね。広域的に流入してくる、広域的に搬入する。だから、基本的には今、環境大臣言われましたように、発生した県で処理するというのが一つの私は考え方だと思いますよ。ただ、県によりますから、そういうときは広域的に動くということはあるけれども、しかし、何かこれはルールが要るのかもしれませんね。業者が勝手に持っていって、不法投棄しやすいところに置いてくるというのは、私はそれはいかがかなと、こう思いますしね。  それから、今、知事やなんかが言っているのは、国の基準が厳重過ぎるというんですよ。だから、これも少し緩めてもらって、地域のそれぞれの事情でもっと裁量権を地方に与える、知事に与えるということも必要だと思いますしね。  今、恐らく大木大臣のところでは広域流入の問題、これについては検討していると思いますから、是非いい結論を出していただきたい。みんな嫌なものは押し付け合うような国じゃ私は駄目だと、こう思っておりますので、よろしく。
  151. 平野達男

    平野達男君 それに関連して、都道府県が県境を越えて持ち込まれる廃棄物について規制する動き、例えば事前協議制度とか、北海道なんかは一切駄目よというふうに言っているわけですが、こういった動きがありますが、これについての現状、それから総務大臣の見解をちょっとお伺いします。
  152. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 地方は地方の知恵でどうやって地域を守るかということがありますから、私は法律に触れない範囲ならやむを得ないと思っています、その搬入を規制することは。ただ、廃棄物処理法だとか法体系ありますから、それに抵触するようじゃ困りますけれども、その法律の範囲でいろいろ考えることは結構だと思いますし、仕組みを作っているところがどれだけあるか分かりませんが、そういう検討はかなりな県でやっていると思います。
  153. 平野達男

    平野達男君 そういう動きに対して環境大臣はどのようにお考えになりますでしょうか。
  154. 大木浩

    国務大臣(大木浩君) 今、いろいろとお話ございましたけれども、やはりその地域によって、つまり、例えば実際にごみが発生するところといいましても、それをどういうふうに、具体的に関係県と申しますと、例えばひとつ分かりやすく考えますと、例えば東京で非常にごみが出るといった場合に関東地方の各県がどういうふうに協力するかというようなことになりますと、これはなかなか具体的に決まらないわけですね。  ですから、仮に、仮にです、何か協力するとしても、そういうことになりますと、これはなかなか決まらない。今の状況では別によその県へ持っていっていけないということにはなっていないわけですから、そこのところが確かに現実とそれに対する何と申しますか、法体制というものが多少ずれているところがあるんだろうかというふうに私は個人的に考えておりますから、今環境省の方でもいろいろ考えておりますけれども、また各県ではそれぞれに自分のところの問題として考えておられるようでございますから、その辺の動きを見ながら、またひとつ引き続き検討したいと思っております。
  155. 平野達男

    平野達男君 私も、製品が自由に流通していてそのセットとして出される廃棄物が流通しないというのは、これは社会全体の仕組みとしてやっぱり私もおかしいと思います。しかし、現実問題として廃棄物の処理をだれがどのように負担するかという、これがしっかりしていないために、どうしても県側としてはディフェンシブにならざるを得ない。  さっきの例から、岩手県の例にもございますけれども、岩手県のごみではない、だけどいろんな調査をする、これは法定受託事務なんですが、この調査をする、いろんな調整をする、これでもう大変な事務が、事務量になっています。かつ、処理をすれば三分の二を負担しなければならない。これはそういう体系の下では、これは都道府県はどうしてもディフェンスになってしまう。しかし、そうすると、製品が動くやつが動脈だとすれば廃棄物は静脈だというふうにも言われています。静脈がストップすれば経済全体がストップしてしまいます。  ここに本当に大きな問題がはらんでいると思うんですが、ちょっと関連して伺いますけれども、三重県でごみについての独自の税制を課税しているというふうに聞きましたけれども、その現状、それからこれが各県に普及する、拡大していくという可能性があるんですけれども、これに対しての総務大臣の見解をお伺いいたします。
  156. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 三重県では、税収の確保もあるんですけれども、それ以上にやっぱり一種の規制的効果をねらいまして、三重県内に搬入してくる、あるいは最終処分地、処分施設あるいは中間処理施設に持ち込まれるごみについて業者から、搬入する業者ですよ、重量一トンにつき千円取る、こういう産業廃棄物税を作りまして、ただ施行は四月からですけれどもね、実際に動き出すのは来年なんですよ。そこで一種の抑制的な効果をねらっておりまして、私どもの方に相談がありましたので、法律上協議の手続が要りますので、私どもの方はオーケーを出しました。だから、制度としてこれは確定しました。  そこで、今、委員お話しの岩手だとか青森だとか秋田がこれをまねてということもないので、これを参考に現在、そういう法定外目的税になるんでしょうか、普通税になるんでしょうか、その検討を始めております。何県かの市も検討を始めているところがございます。
  157. 平野達男

    平野達男君 それは都道府県とすれば当然の方向だと思いますが、一方で、じゃ、廃棄物は本当にだれがどのように負担、処理するかという根本の問題がやはりあると思います。  それからもう一つ、資源循環型社会の構築と言われます。一番いいのは、基本的には省ごみが一番なんですが、どうしてもやっぱりごみは出る。これからの世界はやっぱり廃棄物とどうやってうまく付き合っていくかということが大きな課題だと思います。廃棄物を資源として位置付け、これをリサイクルするというのが一つの考えでありますけれども、やはり廃棄物は出てくるだろう。  そういう過程の中では、例えば廃棄物を出した場合にそれが分解されやすい物質、あるいはごみを出さないような製品の開発、あるいは製品の製造の仕組み、こういった産業界全体の取組ということも必要なんですが、こういうコストを、デフレと言われるような、あるいは海外の産業がどんどんどんどんのしてくるような段階ではコスト競争が非常に激化しています。どうしてもそういったごみに対する処理、あるいはそういったものに対する意識というのは希薄に産業界もなりがちじゃないかなと思うんです。  ここはやっぱり産官一生懸命に共同して、そういった工法あるいはいろんな仕組みの構築をやっていくべきだというふうに考えますけれども、平沼大臣の御所見をお願いいたします。
  158. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) お答えをさせていただきます。  環境を保全し、かつ経済を発展させていく、これを両立させていくということが今後の社会にとって非常に重要だと思っています。そこで、委員もよく御承知だと思いますが、今、三Rと、こういうふうに言われておりまして、リデュース、リユース、そしてリサイクル、こういうしっかりした政策を打ち立てなきゃいかぬと。こういう形で、既にこういう循環型経済社会を構築しなければならないという形で、資源の有効利用法、あるいは容器包装、家電製品等の個別リサイクル法に基づいて社会的なルール作りを進めております。  そして、今御指摘のように、一方においては技術的なブレークスルーをしなければいけない。そういう形で、このような観点から経済産業省といたしましては、まずリサイクルしやすい素材を開発しようじゃないか。それから、リサイクルをしやすい、設計の面から製品の設計をしていこう。それからまた、使用済み製品等のリサイクル、それをいかに効率よくやるか、技術開発が必要だと。  こういう形で取り組んでいるところでございまして、確かに今デフレでいろいろそういう形でインセンティブが落ちているという面がありますけれども、しかしこれは全体的に見れば、そういう技術を開発し、そういうことをやっていくことによってまた新たなそういう産業が興り、活力が出てきます。  そういう意味で、重点分野の技術開発を戦略的に進めるためにこの十四年度から三Rプログラムというのを作りまして、特にこの三Rの対策を講じる必要性の高い自動車、それから家電製品あるいは容器包装を中心技術開発を体系的に推進していく、こういうことに今全力で取り組んでいるところでございます。
  159. 平野達男

    平野達男君 もう一つは、やはりダイオキシン問題とか環境ホルモンという問題がありまして、処理場そのもののしっかりとした技術体系、これの整備がやっぱり急務だと思います。  次の質問に移りますけれども、今回問題になっているのは八十二万立方メートルの産業廃棄物、言わば負の遺産であります。こういった産業廃棄物、不法投棄の実態を環境省はどの程度つかんでおるんでしょうか、全国で。
  160. 飯島孝

    政府参考人(飯島孝君) 全国の不法投棄の実態でございますが、毎年度、都道府県あるいは保健所設置市に依頼いたしまして不法投棄の実態調査を行っております。  平成十二年度に新たに確認されたものは千二十七件、投棄量は約四十万トンでございました。この傾向は数年同じレベルでございます。
  161. 平野達男

    平野達男君 千二百万トンですか。
  162. 飯島孝

    政府参考人(飯島孝君) 千二十七件、四十万トン、これは平成十二年度に確認されたものでございます。  また、その累積でございますけれども、昨年の六月時点で、不法投棄などで廃棄物が山積みされたり埋められている土地であって、環境上問題があると市町村が認識しているものの調査をいたしました。これは累積の値に近い値だと思いますが、七百四件の回答がございまして、投棄量が判明しているものはそのうち五百六十件、五百六十件の投棄量の合計が千二百万トン、こういうことでございます。
  163. 平野達男

    平野達男君 千二百万トンということなんですが、その前に、このデータの把握方法というのはアンケートでやったということですか。
  164. 飯島孝

    政府参考人(飯島孝君) 毎年度、環境省から都道府県、保健所設置市に対してアンケート調査をしていまして、都道府県、市町村のその調査の方法についてはそれぞれ異なっていると思われます。
  165. 平野達男

    平野達男君 個々の地域での産業廃棄物、先ほど量を言いましたように八十二万立米。実は、香川県の豊島の産業廃棄物が随分社会面をにぎわしましたけれども、その量が四十五万立米です。これを合わせて百二十万立米。  今の調査では一千二百万立米しかないということなんですが、これはいかにも少な過ぎますけれども、これは自信を持って示せるデータですか。
  166. 飯島孝

    政府参考人(飯島孝君) 昨年六月のアンケート調査でございますので、市町村がこれは問題である、何とかしなければならないと把握している量としての千二百万トンでございます。
  167. 平野達男

    平野達男君 私は、これは、地方公共団体がしっかりやって公表すればその段階で、地方公共団体、あなた、処理をしなさいと言われる体系になっていますね、これは。そうしますと、負担もしなければならない、事務手続も煩雑だ、そういった中でこのアンケート調査にしっかりと取り組むというインセンティブがないんじゃないかなと思うんです。  実態はそういったもので出てきた一千二百万トンですから、非常に過少な数字じゃないかなと。関東とか、私は栃木県にもいましたけれども、栃木県の北部の方ではいろんな産廃が投棄されているとかという話も聞きました。こういった事情を総合しますと一千二百万トンはとても少ないというふうに思いますが、環境大臣の感覚としてはどのような印象をお持ちでしょうか。
  168. 大木浩

    国務大臣(大木浩君) 今おっしゃったように、どこまでカウントするかという問題は、そのアンケート調査に参画しております市町村の立場もあって、確かにすぐできないことを問題があるからということでなかなかきちっと回答が出ておるのか、私は個人的に、これはあくまで個人的と申しますが、私も最近環境省へ戻ってまいりましたあれですから個人的としか申し上げられませんけれども、もっともっと隠れているのがあるんじゃないかという実感はいたします。
  169. 平野達男

    平野達男君 今の廃棄物の処理をする法律、廃掃法なんですが、この廃掃法を読みますと、今ある廃棄物あるいはこれから発生する廃棄物についてしっかりと処理をする、あるいは規制を掛ける、こういったことについてはしっかり仕組まれていると思うんですが、今までに不法投棄されているものに対する取組については余り規定がないと思います。  岩手県においても法律に基づいた廃棄物処理計画を作っていますが、その処理計画を見ますと、不法投棄に対する、今まで蓄積された不法投棄に対する処理といったものに対する方針というのが余り書かれておりません。これは、ここで今せっかく廃棄物の、廃掃法の今まで改正もしたわけですけれども、廃掃法の改正と併せまして、今まで不法投棄されていた負の遺産、これを一括して処理する仕組みを今ここで作るべきじゃないかなというふうに思うのですけども、環境大臣、どのように考えますか。
  170. 大木浩

    国務大臣(大木浩君) 先ほど関係大臣からもお話ございましたように、このごみの処理というのは、経済活動の中の一部としてごみを、ごみが出て、それを移送しているということでございますので、どういうふうにしてこれからこれを抑えていくかということをいろんな面から検討しなきゃいかぬ。ただ、私も先ほど個人的なとは申し上げましたけど、非常にこれが大きな社会問題になりつつあるんじゃないかと思いますから、そういった点から前向きに検討したいと思っております。
  171. 平野達男

    平野達男君 まず私は、不法投棄量のまず全貌把握をしっかりやるべきだと思います。全国でどのような不法投棄が、どのようなものが量で、どのようなものが不法投棄されているか、これをしっかり把握すべきだと思います。言わばその不法投棄マップみたいなものを、これを厚生省の責任で作成する。その上でそれが、各々の不法投棄のことについての責任の所在をはっきりした上でこれをしっかり処理していくという、こういった体系を早急に整備すべきだと思いますが、環境大臣、どのように思われますか。
  172. 大木浩

    国務大臣(大木浩君) 関係各省とも協力して、前向きに検討したいと思っております。
  173. 平野達男

    平野達男君 是非そういった方向で、一番やっぱり迷惑を被っているのはその地域の住民です。特に近傍の住民は、もうにおいは大変。それから、将来、地下水が汚染されるんじゃないかという、そういう不安におびえています。  それで、実は私、ここの場所に先週の土曜日、行ってまいりました。雪がかなり深くて、正直に言いますと、その現場までは行けませんでした。行けませんでしたが、非常に広大な範囲に処理されているという感じを持ちましたし、それからもう一つは、八十二万立米というのは一角なんですね。一角でありまして、一緒に案内していただいた地元の人の話を聞きますと、周りに草地があります。草地の中に実は昭和四十五年ぐらいから、バーク堆肥と称しまして、実は一緒にコンクリート廃材等あるいは不法投棄をされていたというような証言もございます。もしこれが事実でありますと、八十二万立方メートルどころではない、大変な量の不法投棄ということになります。  是非そういった実態についても解明をする必要があると思いますし、それからもう一つ、現場の視察を是非、環境大臣自らといってもなかなかできないと思いますので、まずは早急に担当官を派遣して現場の声を聞いていただきたいと、こういうお願いを申し上げますけれども、その現場の視察についての御答弁をお願いして、私の質問を終わります。
  174. 大木浩

    国務大臣(大木浩君) 委員も先ほどお述べになりましたけれども、まだ今何か雪がたまっていてということでございます。いずれにいたしましても、地元をしっかりと調べさせていただきます。
  175. 平野達男

    平野達男君 終わります。
  176. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 以上で平野達男君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  177. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 次に、大田昌秀君の質疑を行います。大田昌秀君。
  178. 大田昌秀

    大田昌秀君 社民党・護憲連合を代表いたしまして、質問させていただきます。  防衛予算についてまずお伺いします。  二〇〇二年度の予算を見ますと、政府が日ごろ聖域なき財政改革とか聖域なき構造改革といった声高のスローガンを掲げているのとは裏腹に、防衛予算はまるで聖域扱いどころか、対前年度比七億円増の過去最大規模となっています。二〇〇二年度の予算の総額は、対前年度比二・三%減で、九八年度以来四年ぶりに減額されています。ところが、現在の厳しい財政事情にもかかわらず、防衛費については四兆九千三百九十五億円を計上しています。その上、沖縄に関する日米特別行動委員会、すなわちSACO関連予算を加えますと、防衛関係予算の総額は四兆九千五百六十億円となります。さらに、内閣官房予算に計上している情報収集衛星の予算六百七十七億円も含めますと五兆二百三十七億円となります。二〇〇二年度の国内総生産は政府見通しによりますと四百九十六兆二千億円ですから、防衛費の対GDP比は一%枠を超える計算になります。  一方、防衛予算の増額とは対照的に、非軍事国際協力の基盤を成すODA、すなわち政府の途上国援助は対前年度比一〇・三%減の九千百六億円に減額されています。しかも、増額された防衛予算の中身を見ると、空中給油機とか迎撃ミサイルを搭載できる新型のイージス艦の導入が盛り込まれています。  御案内のとおり、空中給油機につきましては、昭和四十八年に参議院の予算委員会において、上田哲議員質問に対し、田中総理は、専守防衛の立場から空中給油はしない、空中給油機は持たない、空中給油に対する訓練も演習もしないと明確に答弁したいわく付きのものであります。したがって、今回の防衛費の増額は、従来の専守防衛用の兵器が老朽化したということを口実に海外派兵向きの兵器を購入しようとの意図が見て取れます。  そこで、財務大臣にお伺いしますが、冷戦構造が崩壊した今日、なぜこのような憲法違反とも取れる防衛予算の増額が必要なんでしょうか。具体的にお答えください。更に今後とも防衛予算を増やすお考えですか。
  179. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) また後で防衛庁の方から御返答あると思うんでございますけれども、十四年度予算を編成いたしましたところの中では、一般物件費というものは減額しておりまして、これは大田先生御存じのように六十五億円減額しておりますが、ところが歳出化経費といって、為替の計算の仕方でございますね、十三年度のときは百七円でやったんですが十四年度は百二十二円で積算すると。その差額を見ましたときに、六十七億円増加いたしまして、差引き二億円増加したということが、これ一つ。  それからもう一つは、人件費、糧食費等が四億円増加したと。合計いたしまして七億円増加したということでございまして、このほかの一般兵器関係につきましてはスクラップ・アンド・ビルドを厳重にしたようなことでございまして、防衛の実態も、言わば重点の置き方も変わってくるに従いまして兵器の在り方、調達の仕方、訓練の仕方も変わってきたんだろうと思っておりますが、これいずれにしても十分な精査をした上での予算の編成をしたということでございます。
  180. 大田昌秀

    大田昌秀君 次に、同じく防衛予算との関連で、いわゆる思いやり予算について、防衛庁長官にお伺いいたします。  御承知のとおり、日米安保条約によって軍事的同盟関係にある米国は、軍事力や経済力において世界で他国の追随を許さない超大国として自他ともに認めています。ちなみに、米国の防衛費を単純に我が国と比較しますと、二〇〇二年度の我が国の防衛費が四百五億ドル相当なのに対し、同年度の米国の国防費は三千三百十億ドルで約八倍となっています。その軍事大国米国に対し、いかに同盟国とはいえ、この厳しい経済状況下で我が国が日米地位協定にもない思いやり予算として二千五百億円もの予算を組んで財政的に支援しているわけです。  周知のとおり、この思いやり予算は一九七八年に始まっていますが、新年度の予算では当初のおよそ四十倍に膨れ上がっています。米国は、世界の超大国という自尊心からか、さすがに思いやり予算という名称を嫌ってホスト・ネーション・サポートとかあるいは日本政府の施設改善計画費などと呼んでおります。  思いやり予算というのは、七八年六月の参議院の内閣委員会で時の金丸防衛庁長官が、米国から言われる筋はないが、円高の下で日本として考えるのが日米関係の信頼性を高めるゆえんと判断したと述べたのに始まったものです。つまり、思いやり予算というのは、日米地位協定によって米国が負担すると決まっていたのを日本側が米国に対する思いやりから負担するようになったものです。すなわち、日米安保条約第六条に基づく地位協定二十四条一項には、「日本国に合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費は、」「日本国が負担すべきものを除くほか、この協定の存続期間日本国に負担をかけないで合衆国が負担する」と規定されています。例外的に、原則として、施設及び区域は日本が無償で提供すると決めています。  当初、我が国の負担はこの規定に基づいて、基地従業員の給与の一部や米軍の家族住宅を含む在日米軍の基地施設の新設、更新や騒音防止工事などの基地周辺対策費、基地用地の無償提供などに限られていました。それが一九九〇年度以降、日本側が労務費の全額を負担するようになったのに加えて、米軍の学校、育児所、診療所、PX、レクリエーション施設のほか、訓練移転費、在日米軍労働者上限による労働費まで負担するに至っているのです。  したがって、内容的に見ると実質的な地位協定の変更になると思われますが、いかがですか。
  181. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 在日米軍の駐留経費の負担につきましては、安保条約に基づきまして、我が国及び周辺国の安全保障にとりまして不可欠な日米安保体制の円滑かつ効果的な運用を、資するために必要であるというふうに思っております。  過去の経緯からも何度も米政府と話し合いをしておりましたけれども、財政的な事情等にも配慮しつつ、我が国として主体的にできる限りの努力を払ってきたつもりでございます。  議論の過程で、非常に財政事情等も厳しい面があるということで、特に光熱費等につきまして、最近の話し合いにおきましては、現行の特別協定に基づいて施設・区域外の米軍住宅に係る光熱費等を負担しないことといたしております。また、上限の調達量等につきまして、上限を決めて負担を下げるという点で努力をいたしておりますが、今後とも機会あるごとに米側に対して一層の節約の努力を求めていきたいというふうに考えております。
  182. 大田昌秀

    大田昌秀君 なぜこの思いやり予算の問題をお聞きするかと申しますと、実は沖縄の米軍基地というものを整理、縮小したいわけでございますが、私はこの思いやり予算がなければ極めて簡単に沖縄の米軍基地の縮小というのは可能になると思っております。これはアメリカに直接伺ってそういう判断を持っておりますので、どうか防衛庁長官、それから財務大臣もその点をお考えくださって、沖縄の基地の整理、縮小につなげるためにはもっと抜本的にこの思いやり予算をお考えいただくということが極めて大事だということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  183. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 以上で大田昌秀君の質疑は終了いたしました。(拍手)  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時四十四分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  184. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十四年度総予算三案を一括して議題といたします。  これより外務省問題に関する集中審議を行います。  質疑者はお手元の質疑通告表のとおりでございます。  それでは、質疑を行います。若林秀樹君。
  185. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 民主党・新緑風会の若林でございます。  まず、総理にお伺いしたいと思います。  昨日、鈴木宗男議員の証人喚問が行われました。国民の大半は恐らく、疑惑が深まったあるいは議員辞職をすべきだという声が大半ではないかなというふうに思います。  総理、テレビ見ていらっしゃらないと思いますが、一連の報道に接し、そしてその御感想、そして鈴木議員の出処進退も含めまして、お考えを伺えればと思います。
  186. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今回の証人喚問問題につきまして、鈴木議員が昨日はいろいろな質疑に答えて証言をされたわけでありますが、この問題は、単に鈴木議員個人の問題ということだけでなく、政治として、特定議員外務省のみならず各役所との関係、そして政治と政治献金に対する問題、いわゆる政治と金の問題、更に今後の北方領土との関係と日ロの関係、いろいろな問題提起をしたと思います。  私は、今回の問題を、政と官との正しい在り方をどう考えるべきか、更に政治改革にどう結び付けていくか、建設的に今回の問題を前向きにとらえて政治改革に生かしていきたいと思っております。  また、本人の出処進退に関しましては、これは御自身が決めるべき問題でありまして、特に政治家は、諸般の状況を見ながら、出処進退をいかに決めるかというのは政治家自身の問題であると、そう思っております。
  187. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 ありがとうございます。  そういう意味で、一個人の問題に限らず、やっぱり政治全体の問題、政官の在り方、様々な問題を含んでいるというふうに思いますので、小泉総理の政治に対する政治改革を是非推し進めていっていただきたいというふうに思っているところでございます。  民主党・新緑風会としましても、この疑惑を更にただすために、本日、証人喚問の、この参議院の予算委員会の場で要求させていただきましたし、佐藤前分析官の参考人要求をさせていただきましたので、是非委員長のお取り計らいをよろしくお願い申し上げたいというふうに思っているところでございます。  続きまして、川口外務大臣にお聞きしたいというふうに思います。  今日午前中、元外務省松尾室長の公判、判決が下されました。懲役七年と六か月ということでございます。  私は、もう外務省はこの改革がやっぱりラストチャンスではないか、もしここで改革ができないのであればもう解体論も出ても仕方がないんだ、そのくらいのところに来ているのではないかな。しかし、そのことは、言い方を変えれば、私は、外務省にとっても千載一遇のチャンスでもあるというふうに思っているところでございます。  是非、川口大臣の改革に向けての決意というんでしょうか、まあ恐らくこれを外務省員も見ていらっしゃると思いますし、国民に向かって力強い決意を述べていただきたいというふうに思います。
  188. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) まず、冒頭におっしゃられた松尾元室長の件については、私も判決を聞きました。これは外務省として非常に厳粛に受け止めるべきだと思いますし、こういうことが起きてしまって、それが二度と起こらないようにするということがとても大事なことだと思っております。  改革についてでございますけれども、今、委員指摘になられましたように、これが恐らくもう最後の機会であって、この機会に改革を成し遂げることができなければ、そして国民の方の御信頼を外務省に取り戻すことができなければ、日本外務省、日本の外交は、これから国益を反映した強靱な外交という形で展開できないことになると思っておりまして、この点について、委員の問題意識は私もすっかり共有をいたしております。  改革については、現在、具体的にできることからやっていくということで、先般、夏をめどに、十人ぐらいのところで、これは本省の局長審議官、課長、在外の大使等を含む形で、外部の方の登用ということも発表させていただいたわけですし、外務省省内の五十のポストについて公募をするということで、これも具体的にこのポストとこのポストという形で発表をいたしました。そういう形。それから、三年以上一つの同じポストにいた人につきましては、これも夏までに全員を異動するということでございまして、その第一段として佐藤主任分析官の異動をいたしました。  ということで、具体的にできることは既にやり始めているということで、今後ともこれは着々とやってまいります。  それから、変える会というのを、この間第一回の会合を開かせていただきましたけれども、これについては、議事録といいますかその要旨を公表しながら、具体的な形での改革の具体案を出していただくということで、これをさらにいつまでに何をやるということもそこの報告書に盛り込んでいただきまして、さらに、それを実際にやっているかどうかということについても、後はきちんとフォローアップをし、これを公表していくということで発表させていただいておりまして、この機会に本当に改革ができないとこれは外務省としてはもう大変に、もう背水の陣でこれはやらなければいけないということで、この改革の先頭に立ってこれはやっていく所存でございます。
  189. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 外務省改革については後ほどまた時間があればお伺いしたいと思います。是非、一日も早くこの疑惑を解明し、外務省改革を推し進め、外務省員も誇りを持って仕事ができるように頑張っていただきたいというふうに思います。  続きまして、総理にお伺いしたいと思います。  鈴木宗男議員の問題ということでございます。  私は、今回の一連の疑惑を見ながら不思議に感じるのは、なぜ鈴木議員だけが突出した形で影響力を持ったのかということでございます。例えば、道路族でいえば、申し訳ないですけれども、いろんな顔が浮かびます。厚生族もそうです。しかし、この外交問題に限っては鈴木宗男議員がある意味では突出している。自民党議員の中にも外務大臣経験者、政務次官経験者、最近では副大臣、見識のある方もいらっしゃるでしょう。そういう方でなぜ牽制できなかったのか、なぜブレーキが掛けられなかったのか。ここについて小泉総理はどうお考えになりますでしょうか。
  190. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私も不思議でしようがないんですよ。今回の問題で初めて、これほどまでに影響力みたいなものを行使できたというのは不思議でならないんです。外務省は何していたんだという気持ちは、私にも率直、あるんですよ。今までこんなに鈴木さんが外務省の問題でいろいろ発言し行動していたということも、今回の質疑で初めて私は知ったぐらいで。  こういう問題も含めて外務省改革に取り組まなきゃならないなということで、今、外務大臣にも、積極的に、特定の、特別の意見に左右されないような、適切な意見開陳が自由になされるような外務省刷新に取り組んでほしいということを指示しているところであります。
  191. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 私は、どちらかというと自民党にもこれは問題があるのではないかという意味で申し上げたところでございます。  聞くところによると、鈴木議員が発言すると周りの方は黙りこくってしまうというようなうわさも聞いております。(「そんなことないよ」と呼ぶ者あり)そんなことないですか。結果的にはこういう形になっているということです。いずれにしましても、鈴木宗男議員の影響力の背景に、やはりお金というものが絡んでいるんじゃないかなというふうに思います。  昨日も、アフリカ議連の会長をしている国が十六か国あったんです。その国のメンバーを見ると、大体献金者なんですね、鈴木議員。三年間に二億を超えるお金を五十人を超える議員に配っているというのは、やっぱりちょっと不思議じゃないでしょうか。小泉総理、お伺いしたいと思います。
  192. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私はそんな政治資金調達能力ありませんから。それは、政治家、人それぞれですからね。だれがだれに配っているなんて全然分かりませんよ。それは、政治家のそれぞれの特別なつながりというのはうかがい知れないところがありますから。それは、それぞれ政治力にも違いありますし、いろんな能力、それぞれ持ち味が違いますから。私よりも政治資金調達能力があるのは事実ですね。
  193. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 一年間に四億を超える政治資金を集めているというのは、派閥の領袖でもない方がそれだけの能力があるということ自体が私はおかしいんではないかという感じがします。  それから、次にお伺いしますが、鈴木議員は総理の特使として三回ぐらい海外に派遣されています。その第一回目が昨日の証人喚問でも議論が出ましたケニアの訪問でございまして、まず、総理の特使になる資格というんでしょうか要件というんでしょうか、お伺いしたいと思います。
  194. 北島信一

    政府参考人(北島信一君) 総理特使でございますが、内閣総理大臣から特別の公の任務をゆだねられて外国へ派遣されるもので、重要な外交問題に関しまして内閣総理大臣のメッセージを親書や口頭で伝える必要がある場合等において派遣されるものでございます。  総理特使を派遣することの要否及び総理特使の選任についての基準を定めた内部文書といったものはございません。派遣に際しましては、当該外交問題の性質等を踏まえて、最終的には内閣総理大臣が判断されるということでございます。
  195. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 最終的には総理が任命されるということですから、当然のことながら総理がそれを任命権者であるということが言えるんじゃないかと思います。  しかし、八九年、ロシアのときにはユネスコ事務局長選挙の支持要請に行ったと本人も言われているわけですが、一方では、モイ大統領との会談の中で今回の水力発電の問題もちゃっかり話をしているわけでございます。そしてまた、今回一月にはロシア、タジキスタンということでございますので、これは小泉総理が任命されたということになるわけですから、昨日の発言にも見られたように、国益を損うような活動をされている議員に総理特使としてお願いしたという意味での総理の責任はありませんでしょうか。
  196. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いつ。
  197. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 今年の一月、ロシア、タジキスタンに森前首相と同行して。一応、総理特使という名前になっております。
  198. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、アフガン復興支援、アフガン問題にかんがみて、アフガン周辺国支援が重要だということでタジキスタン、特別懇意な間柄の鈴木議員が伺うということで、周辺支援国の一環として適任であろうということで特使派遣になったという状況でございます。
  199. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 総理が、適任だということで、思われたということで御判断されたんだというふうに思います。  続きまして、少し支援委員会の問題についてお話をさせていただきたいと思います。  今回、支援委員会は、非ODA対象国への援助というものが大きなやっぱり課題になったんではないかなというふうに思います。財務大臣、寝ている場合じゃないんです。あなたにお伺いしようと思って。(発言する者あり)聞いていますか。  今回、ODAのこれまでの政策を見ますと、ODA予算の拡大ということでそこに予算が付けられ、各省庁もその省益を拡大してきたという経緯があろうかというふうに思います。これは、やはり財務当局が、やっぱりODA予算であればそこに援助を付けましょうということで伸びてきたということで考えますと、一回これ、ODA予算外れると様々な複雑な仕組みをしなきゃいけないのがこの非ODA対象国の支援の問題なんです。そういう意味では、今回の一連の疑惑を見ますと、私は、元々そういうやり方自体にも問題があったんではないか。  財務当局としては、やはりODAの予算をどんどん拡大するわけにはいかないという意味ではそういう仕切りを付けたんですが、これまでのODA予算を管理されていた大蔵省、今の財務省としての責任者として、こういうやり方についてのやっぱり限界、問題点があるんじゃないかというふうに思うんですが、いかがなものでしょうか。
  200. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私は、財務大臣に就任しまして、まず、三十兆円枠に収めるためにはODAの一〇%削減もやむを得ないと思いましてODAを、その内容を精査させてみました。ところが、その基準が割と明確になっていないところがたくさんあります。  そこで、一つ方針を出しましたことは、ODA予算の使い方で、国際機関を通じて出すことはこれは積極的に進めていこうと、それ以外のものについては、本当に非対象国と対象国との区別というものをはっきりさせていかなきゃいけないということ、対象国になった中で人道的な問題とかあるいは経済発展とかいう種別をしっかりと立てていくということもいたしました。そういうことの基準に合わせまして今回一〇%削減をしたということでございますが、今後とも、この在り方についてもっと、言わば国益をどう反映さすかという観点に立ってのODA対策というものを考えていきたいと思っております。
  201. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 私の質問の回答としてはちょっとあの、私の質問も悪かったのかもしれませんけれど。  要は、結局はこのような国際機関を作らざるを得ないということがやはりまどろこしいというんでしょうか、本来であれば、ODAの枠組みであるいはもうちょっとストレートにきちっとした公開性を持ってできたにもかかわらず、結局こういう支援委員会を作ったことによって一議員のやっぱり関与を生むようなものになってしまったんではないかということがあるわけですね。  そういう意味では、私はやはり、もうODAとか非ODA対象国というふうに分けるんじゃなくて、我が国の国益と外交政策に基づいて、必要なところに、必要な場所に援助をしていくというスキームに変えるべきじゃないかということをお伺いしているんです。そのことです、はい。
  202. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 先ほど私が答弁でちょっと触れましたように、そういう目的をはっきりさすべきだと思っております。今度の場合は非対象国でございますから国際協定というようなああいうような無理なスタイルを踏んでやったんだろうと思っておりますけれども、必ずしもこれはいい結果ではないと思っております。  大体、我が国のODAも、従来他国から比べましてこの程度でいいのか、もう少し減額してもいいんじゃないかといういろんな、総額においては問題ありますが、ここからもう検討していきたいと思っております。
  203. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 分かりました。  ODAの問題については、後ほど時間があればちょっと伺いたいというふうに思っているところでございます。  続きまして、昨日の予算委員会でも質問させていただきましたイスラエルで二〇〇〇年に開かれた会議への出席問題でございます。  この経費を支援委員会が払ったということは昨日明らかになったんですが、もう一度、だれが参加したのか、費用は幾ら掛かったのか、だれが決裁したのかということについてお答えいただきたいというふうに思います。
  204. 齋藤泰雄

    政府参考人齋藤泰雄君) お答えいたします。  二〇〇〇年四月三日から八日に掛けましてテルアビブで開催されましたテルアビブ大学国際関係センター主催の国際学会では、亡くなられました末次一郎当時の安全保障研究会代表を始めといたします研究者八名、前島陽ロシア支援室課長補佐、当時でございますが、を始めとする外務省員六名、通訳三名の合計十七名が出張いたしまして、その旅費として二千百五十二万六千百四十二円が支援委員会から支出されました。  この国際学会は、ロシア情勢をめぐり世界各国の有識者が意見交換を行うためのものでございまして、そこでの議論が支援委員会が実施している対ロ技術支援の円滑、効果的な実施に有益であるとの当時の判断から、参加に要する旅費が支援委員会から支出されたものであると承知しております。  このように、支援委員会で本件出張に係ります経費を支出することについては、外務省内で次官までの決裁を得ているというふうに承知しております。  いずれにいたしましても、今後は、協定の本来の趣旨に基づきます支出が行われるように一層注意してまいりたいと考えております。
  205. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 それでは、だれが決裁したかということに対して書類があると思うんですが、それを提出していただけますでしょうか。次官まで上がったということなんですけれども、必ず、どういう目的でだれが決裁していたかということは必ずあるはずです。それについて資料で提出いただけますでしょうか。
  206. 齋藤泰雄

    政府参考人齋藤泰雄君) そのように取り扱わさせていただきたいと思います。
  207. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 まあ本来の趣旨ではないということをお認めになりましたけれども、支援委員会というのは北方四島の支援事業をやるところであって、ロシアの外交政策を支援するわけじゃないんですよ、これは。明らかにこれは目的外の支出だということをお認めにならないでしょうか。
  208. 齋藤泰雄

    政府参考人齋藤泰雄君) 先ほど申し上げましたように、本件会議への支援委員会からの支出は適当であったというふうに思われませんけれども、支援委員会を通じます支援というのは北方四島だけではございませんで、対ロシア、ロシアの市場経済移行を支援するという観点から、技術支援ですとか、あるいは対ロシア人道支援、それに加えて北方四島に対する緊急人道支援をやっているということでございます。
  209. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 本来その支援委員会で出すということではないというふうにお認めになりましたけれども、じゃ、どこの課で出すのが適当だというふうに思われますでしょうか。もう一回お伺いしたいと思います。  お願いします、欧亜局長。じゃ、大臣に。
  210. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) これはロシアの市場改革に関する会議でございますから、ロシアを、恐らくその予算、制度的にはロシアを所管するところの旅費という形で支出をされるべきものだろうと思います。
  211. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 ほとんどの方がそう思うんであって、こういういい加減な出し方をしている支援委員会そのものがやっぱり問われなきゃいけないんではないかというふうに思っているところでございますので、後ほどの資料提出をよろしくお願い申し上げたいというふうに思います。  続きまして、昨日の証人喚問で一番看過できないというふうに思ったのは、やはり鈴木宗男議員の北方四島返還運動に対する考え方でございます。  昨日の喚問の中でも明らかになりましたように、根室は北方領土返還運動の原点である、そのためにやはり根室を応援しているんだということを言いながら、昨日の内部文書では、もう返してもらっても困るんだと、経済活動をもっとどんどんやるべきだという発言を一方でされているわけですから、そういうお考え方の持ち主に影響されて今回の支援委員会のこの北方四島の支援事業をやってきたということは、正に国益を損なっているということではないでしょうか。川口大臣にもう一度お伺いします。
  212. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) この鈴木議員の御発言というのは、診療所に対する、プレハブ診療所についての議論の中で行われたというふうに私は聞いていますけれども、正直なところ、私はこの発言をこの額面どおりに受け取りますと非常にびっくりする発言であると思っております。ただ、鈴木議員は昨日の証人の喚問の中で、全体のコンテクストでこれを理解してほしいということをおっしゃっていらっしゃいまして、私どもの記録にはそこの部分が載っているだけでございますので、そういった観点で、もし私が知らないことがまだそのときにおっしゃっていたということがもしあるとするならば、そこはそういうふうに受け止めさせていただきたいと思いますけれども。  いずれにいたしましても、外務省として、北方四島につきましては二島の先行返還論ということを申し上げたことは一回もございませんで、鈴木議員の御発言というのはそれはそういうことであったとしても、国の政策がそれによって左右されたということはこれはないということをはっきり申し上げさせていただきたいと思います。
  213. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 この鈴木議員の発言がこの文書にあるように、その額面どおりかどうなのか分からないという御発言がありました。でも、現実にここにちゃんと書かれているわけですし、そこに出席された方の決裁が得た文書ですので、明らかにこれ自身は前後に何があったとしても事実なんですよね。そこのことはやっぱり認めていただきたいと思います。  もし可能であれば、このときに出席した欧亜局参事官西田さんというのは今の現西田経済局長でございますので、今日は参考人としていらしているので、これは事実だということは間違いないと思いますが、そのときのじゃ前後についてお伺いしたいと思うんですが、よろしいでしょうか、西田経済局長
  214. 西田恒夫

    政府参考人(西田恒夫君) お答えをいたします。  先ほどのメモにあるとおりでございまして、それに加えるものも減すものもないというふうに記憶しております。
  215. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 ということは、鈴木宗男議員の昨日の証言というのはうそになるということになろうかと思います。正に前後はないということを出席された当人がおっしゃっているということを確認したいというふうに思っているところでございます。そういう意味で、川口大臣もそのとおりだということで御認識をいただきたいというふうに思います。  そういう意味で、昨日来、日本の領土をだれが持っているかということを確認せず箱物を建てたということは問題ないというふうにおっしゃっていたわけですが、私は、今の発言等を聞きながら、やはりそういう考えの持ち主に影響されてその事業を結果的には人道支援からいつのまにかプレハブ診療所、ディーゼルというふうに進んできたということをしてきたということは、やっぱり外務省自身にも私は問題があるというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  216. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) まず、三月四日に発表させていただきました調査報告書で、外務省と鈴木議員との関係について、社会の通念からいって異例であるという関係があったというふうに私そのときに申しましたけれども、それについては私は依然としてそう思っておりまして、何でそういうことになったのかということについては、これは、外務省の側としては、職員がきちんとそれを考え、総括をする必要があると私は思っております。  その上で、診療所の件、あるいはそのほかのものについてのことでございますけれども、診療所について言えば、これは昨日お答えさせていただきましたように、外務省として、いろいろな鈴木議員とのやり取りはあったにせよ、プレハブ診療所を造るということについては、四月十一日の当初、決裁を、正に西田局長じゃなくて当時の審議官と鈴木議員との話があった前の時点で、外務省としてはこれを含んだ形での平成七年度の支援の内容についての協議を開始をいたしております。  したがって、全く最初はやらないつもりでいたところを、鈴木議員とお話をした結果やりますということになったということでありましたら、これは影響を受けたと、結果、鈴木議員の御意見で外務省が意見を変えたということでございますけれども、この事実関係からいいますと、これについてはそういうことではなかったということでございます。  ただ、またこれも改めて、昨日申し上げたことでもありますけれども、これについては、これが日本のこの地域に持っている、これは正に我が国固有の領土であるということに影響を与えないということは非常に大事なことでございまして、それは、プレハブで造るとか、これは人道上支援が必要なものについてはプレハブであるとか、あるいは口上書で、そういった関係に影響を及ぼさないということを口上書を出しているとか、そういうことによってやりながら、実際に必要とされている人道的な緊急な支援は行っていくということかと思っております。
  217. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 これ以上聞くつもりはなかったんですが、今の御回答を聞きますとまた聞きたくなるんですが、当初は法的な問題だという指摘をされていたわけですよね。それが、じゃどうやってクリアされたかというのが全然見えないんです。それについてお答えいただけますでしょうか。
  218. 齋藤泰雄

    政府参考人齋藤泰雄君) 御質問の趣旨が、恒久的な、ロシアによる不法占拠を助長するような恒久的なものになるのではないかという御懸念からの御質問だという理解で答弁させていただきますが、我が国は、ロシアによります北方四島の不法占拠を助長し、その固定化、既成事実化に通じるようなことは避けるべきであるとの基本的立場を取っております。  その一方、四島住民の置かれた劣悪な生活環境にかんがみまして、政府としては、人道的見地から、あえて設備、施設整備も含めまして、前述の基本的立場と両立し得る支援を実施するよう努めてきたところでございます。  御指摘のプレハブ診療所につきましても、北海道東方沖地震の被害等を受けまして、現地で大変な悲惨な状況にあるという実情にかんがみまして、先方の要請を踏まえまして、先ほどの基本的立場に抵触しないような形で実施することとした次第でございます。
  219. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 時間もありませんので、じゃ次の質問に移りたいと思います。  支援委員会の在り方ということでもう一度お伺いしたいと思います。  私は、今回の一連の流れを見てみますと、支援委員会の運営に対して、やっぱり外務省として魂が入っていない、本気でそれを動かして支援事業をやろうとする意向がやっぱりないんだというふうに私は思います。元々の経緯はそういう流れからできていたがゆえに、そういうのをうまくやらなきゃいけない。その中身は、最終的には支援委員会での検討は支援の要件ではないという外務省の判断がありましたよね。私は、思うのは、これは元々そういう抜け道を作ってあったわけですよ。そうしておけば外務省の裁量でできるという話があったわけですよ、これは。  しかし一方、よく考えれば、うがった見方をすれば、やっぱりこれは、逆に言えば、ロシアの影響力を排除できる。つまり、ロシアの小国に対する援助が、もしロシアの一国の反対でそれができなくなるということに対しての危険性もあったんではないですか。もし、そういうことも含めてこの支援委員会の在り方を条約局的には決められたんではないか。その辺はどうなんでしょうか。
  220. 齋藤泰雄

    政府参考人齋藤泰雄君) 経緯をちょっと御説明いたしますと、ソ連邦が崩壊しましたときにバルト三国を除きましても十二か国に分かれたわけでございますが、これが大変、市場経済に移行するという過程の中で大変厳しい状況にあるということで、西側先進各国としてこういった国々の市場経済化移行が円滑に進むようにということで援助、支援をすることとしたわけでございます。  それで、我が国といたしましても、そのときにどういう対応で支援することができるかということで編み出したのがこの支援委員会ということでございまして、当初の段階におきましては、御指摘のように、要請を待って支援するのでは遅いという実情もございましたものですからこういう仕組みとなったというのが私の理解でございますが、いずれにいたしましても、それ以降十年たっておりますけれども、その過程において、この委員会の規定に則した形で適切な対応がなされていなかったと。当初の目的はさておき、そういった望ましい姿ではなかったということは我々としても反省すべきだろうと思いますし、これからその改善に向けて全力を傾注してまいりたいと考えているところでございます。
  221. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 質問に端的に答えていただければそれでよかったんですが、要は、ロシアの影響力を排除するためにそういう枠組みを作ったんじゃないか。ロシアも、日本がやっぱり小国に援助するということに対して反対する可能性があるわけですよね。一国が反対したときにできなくなると日本の国益にも、損なうわけですから、そういうものを排除する意味でそういう設計があったのかどうかということを伺いたかったんです。  じゃ、大臣、お願いします。
  222. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 私が外務大臣になりましてからこの問題について勉強しました過程で、やはり委員がおっしゃられましたように、これは日本の国益というものをベースに置いてやることですから、唯一の拠出国である日本日本の国益に反して何らかの支援をするということにならないようにという配慮は、この国際取決めを作った時点であったように見受けられます。  ただ、私がやはり問題だと思いますのは、そういった国益をベースに支援をやっていくということについて、何が国益で、そのためにどういう支援が必要かということについて十分な透明性がある形での仕組みになっていなかったということについては私は問題があると思っておりますので、この点については、現在、専門家の方々に集まっていただいて、議論をしていただく過程で適切な在り方に改めていく必要があると思いますし、また、何が問題であったかということをきちんと把握するために、別な監査法人の方に問題点をすっかり洗い出していただくということも考えております。
  223. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 是非、そういう問題への解決をよろしく進めていただきたいというふうに思います。  続きまして、外務省改革について、冒頭、川口大臣の方から進捗状況について御紹介がありましたけれども、もう少しちょっと聞かせていただきたいと思います。  大臣から職員に対してメールを送ったとか、あるいは課長補佐以上に一枚の紙で出させようということで、いろんな省改革についての意見を伺ったというふうに聞いておりますけれども、具体的にどのような意見があったのか、どんな気持ちで今、外務省員は取り組んでいるのかということについてちょっと御紹介いただけますでしょうか。
  224. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 私は、就任をしまして間もないころの、外務省の職員にあいさつをいたしましたときに、一人A4判一枚で何を考えているか出してほしいということを言いまして、それから在外にいる職員についても同じことを依頼いたしました。その結果として約一千枚ぐらいの紙が参りまして、これは、私は外に出さないというお約束で記名で紙をいただきましたので、実はこういうことが書いてありましたと言うことは、その観点からいうと約束違反にはなるわけですけれども、私は、実は読み始めた最初のころに少しメモを実は取りながら読んで、実は途中からメモを取る時間がなくなってしまいましたので、したがいまして全体をシステマチックに並べたということではなくて、私が最初に読んだうちの、恣意的に私の頭に引っ掛かったものということでございますけれども、様々な意見がございました。  若干だけ御紹介をさせていただきたいと思いますけれども、例えば不当な圧力の排除という、項目に分けて私ちょっと整理をしましたけれども、その部分ですと、ガイドラインを作る、それから事後的に報告を上にする、それからトップが断固として屈しない決意を持つ、英国式の官と政の関係に見習う、これは、見習うべきである、見習ってはいけないというのが半々ぐらいあったと思います。議員の方の対応窓口を役所に作る、党の外交部会については政治家、指導層といいますか、大臣、副大臣、政務官が対応をする、党の部会の討議を公開をしてほしい等々ということがございました。  人事制度の再構築についていいますと、課長以上、在外主要ポストの非Ⅰ種への開放、人物・人格本位の評価、象徴的な抜てき人事、これは、例えば若いⅠ種の大使があってもいいではないか、職員数、定員の増加、アフリカ勤務という、あるいは非常に生活環境日本と比べて悪いところについて勤務をする場合にはその次に先進国勤務とパッケージ化をする、あるいはポイント制にして、マイレージ化と書いてありましたけれども、一定以上そういうところに勤務をした人でなければ先進国のそういったいいポストには行けないようにすべきである、Ⅲ種職員の活用等々がございました。  それから、予算の効率的使用・透明性の確保というところでいいますと、不正を見聞きした場合の報告義務、女性はえてして非常に、何でしょうか正義感が強いので会計の責任あるポストには女性を就けるべきである、それから上位職員の無理な注文をできなくする制度、そういうことが上司からあった場合にはそれを報告義務を掛ける等々、それから公認会計士の方に、外部の方にチェックをしていただく、予算使用の面での制度、硬直的な制度を改善すべきである、一週間休暇の義務化、これによって不正を隠すということを防止する。  広報・広聴体制の再構築ということでいえば、出前外務省と書いてありましたけれども、あちこちに行ってと、そんなことがいろいろございました。
  225. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 そういう意味では、外務省員の思いというものが今回の十の改革に含まれているという理解でいいんではないかというふうに思いますが、是非それを進めていただきたいと思います。  その中で一、二お聞きしたいんですけれども、やっぱり川口大臣のこの今回の改革の中で一番思いが入っているのは不当な外部の圧力の排除ではないかという感じがします。これは、恐らく通産時代の役人時代、様々な経験を踏まえて、そういうことを、一番こうあってはならないということにやっぱり思いが入ったんではないか。そういうもので、文書にして公開化するという、その公開の仕方については工夫が要ると思いますが、やっぱりこれについての決意というものを聞かせていただきたいと思います。
  226. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 私は不当な圧力の排除というのは非常に大事だと思っておりますし、それから、中の人事制度の改革ということも大変に重要だと思っております。  不当な圧力の排除ということでいいますと、まず外務省は、これはいろいろな方の御意見は幅広く謙虚に伺うべきだと思っております。それがまず一つです。その上で、不当なものについては、あるいは問題があるものについてはこれを排除する仕組みが必要であろうと思っております。それから三番目に、これは外務省だけの問題ではございませんで、広く政と官の問題であるので、より広い場で大勢の方に参加していただいて、政の方にも、政治の方にも、それから官僚にも国民一般の方にも参加していただいて議論をする必要があるだろうと思っております。  外務省として今具体的に考えておりますのは、まず、問題のある件については、大臣、副大臣、政務官のところに文書で上げていただいて、そのグループで対応を決定して対応をするということでございます。それから、これについて情報制度、情報開示制度の対象にすることを検討をするということを私は紙に書かせていただいておりまして、これは外務省の中の検討というのも必要でございますが、横並びということもございますので、広く全体での議論ということも必要だろうと思います。外務省は外務省として検討はいたします。  いずれにいたしましても、いろいろな方の御意見がここに入って、どういう在り方がいいかということをみんなで議論してコンセンサスができるということが大事だと思っております。
  227. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 続きまして、人事改革というか、民間人の登用ということについてお伺いしたいと思います。  これまでそういう意見がありながらなかなかできなかったというふうに思います。今回、本気でこれをやろうとするのであれば、私はやはり局長級以上の人事、一人ないしは複数ぐらいやっぱり入れ替えるぐらいのお気持ちがあってもいいんじゃないか。それについての御見解、そしてどんなポストを考えているか、可能な範囲で教えていただきたいと思います。
  228. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) おっしゃったことは私の意見でもございまして、その方向で今考えております。  具体的にこの間発表させていただきましたのは、十人をめどにこの夏ぐらいまでに本省の局長審議官、課長、在外大使について外務省外の方を登用をするということで考えておりまして、民間の方というのもその中でかなりのウエートを持って私は考えております。
  229. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 是非、局長級以上の人事を是非断行していただきたいと思います。  その一歩は、やはり民間人を登用するというのであれば、ある程度やっぱり基準というものも必要じゃないかというふうに思っています。やっぱり省員の士気にもかかわりますし、例えば民間で三十代、四十代でばりばりに働いていてポストの資質に合うような人材というのが本当に必ずしもいるのかどうか、多いのかどうかということもありますし、資格がないのに来られたらやっぱり逆に悪影響だというふうに思いますので、そういう基準を明確にしていただきたいと思います。  是非実務を、個人的には実務を知らない学者というのは余り入れない方がいいんじゃないかというふうに思っていますので、決して竹中大臣のことを念頭に置いているわけではありませんので、やっぱり実務を知っておくというのは必要だというふうに思いますので、是非。  そしてまた、自民党の落選議員の就職口になってはなりませんので、そういう圧力があったら是非排除していただきたいという、その点についてちょっと一言お願いします。
  230. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 私も委員と実は全く同じ考えを持っておりまして、基準を明確にするということが大事だと思っています。  これは、適材適所といいますけれども、どのポストにどういう人が適材なのかという、言葉はちょっとあれですが、スペックといいますか、そういうことをきちんと作って、それを公開をしていくということが大事だと考えております。
  231. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 次に、いわゆる報償費についてちょっとお伺いしたいと思います。  前大臣が来年度予算におきまして四〇%削減するということを断言されておりまして、実際そういうふうになっていると思いますが、四〇%削減といっても、元々本来報償費に入るべきものじゃないものが入っていたと。今回は、それを他の項目に置き換えていって、結果的に元々の報償費が四〇%削減になっているわけですね。  そういう意味では、やっぱり全体像が分からないと本当に四〇%削減なのかというのは分かりませんので、どういう項目にどういうふうに置き換えたかというところを含めて、そして、最終的にはそういうものを含めると前年度比何%ぐらい削減になるのかということについてちょっと、だれがよろしいんでしょうか。じゃ、官房長。
  232. 北島信一

    政府参考人(北島信一君) 平成十四年度の予算要求に当たりまして、外務省報償費は、今年度の約五十五・七億円から約四〇%減額して三十三・四億円を計上することとしました。このような減額計上を行う一方で、従来、報償費の定義、目的に沿って使用してきたものであって、近年ある程度定型化、定例化しているものについては、可能な場合には報償費以外の科目で必要に応じて他の関連経費と合わせて新たに積算の上、計上したものがございます。  新たに報償費以外の科目で計上した分野としましては、内閣総理大臣等の要人外国訪問関連経費、これが十七・三億円でございます。それから、各種レセプション経費六・四億円がございます。また、併せて節約、効率化を実施しまして、平成十三年度予算額の約一五%、これは八億円でございますが、これを減額しました。これは、他の予算科目で新たに積算、計上したものではなく、言うなれば委員質問の純粋に減額した分であるというふうに言えると思います。
  233. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 そういう意味じゃ、報償費におきまして純粋にこの八億というものが減額されたという理解でよろしいんですよね。
  234. 北島信一

    政府参考人(北島信一君) 先ほど申し上げましたとおり、言うなれば委員質問の純粋に減額した分に当たるということだろうと思います。
  235. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 私が申し上げたいのは、情報を取るにはお金とエネルギーというのはやっぱり必要だと思うんですよね。やっぱり、国としてどういう体制でどういう情報を取るかという議論がなされないうちに報償費の増減だけ議論されるというのは、ある意味では本末転倒ではないかと私は思います。  要は、無駄遣いをなくす、流用されない、きちっと管理をする、必要なものは必要だということを逆にやっぱり提案するぐらいのものがあってもいいんではないかというふうに思いますが、今回の詐欺事件も含めまして、その機密費の在り方について今後とも厳正な運用をお願いしたいと思います。  その中で私は少し問題があるかなというふうに思っているのは、例えば便宜供与の問題がありまして、例えばワシントンでは年間どのくらいの便宜供与があるのか、ちょっと教えていただけますでしょうか。
  236. 北島信一

    政府参考人(北島信一君) 在米国大使館を含めまして、在外公館全体における昨年の便宜供与の総件数については現在集計中でございますが、在米大の場合ですと、平成十二年の場合で便宜供与総件数は千九十七件でございます。ちなみに、そのうち国会議員に対する件数は四十六件、国会議員の延べ人数は六十七名ということでございます。
  237. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 国会議員の件数まだ聞いていないんですが、お答えいただいたということで、じゃ、それについてあれですが、要は報償費というのはそういう便宜供与への対応費は含まれていないという理解でよろしいんでしょうか。一千九十七件というのはかなりやっぱり、大使館としてはかなりの仕事量としてあると思うんですけれども、やっぱり来られた出張者に対しての便宜供与をする上で報償費というのは使われていないんですか。
  238. 北島信一

    政府参考人(北島信一君) この点は、これまでいろいろな機会に答弁されておりますけれども、報償費の具体的な使途については、行政の円滑かつ効果的な遂行に重大な支障を生じるおそれがあるということで、従来明らかにしてきておりません。  外務省の報償費につきましては、便宜供与に関係しているか否かにかかわりなく、情報収集及び諸外国との外交交渉ないしは外交関係を有利に展開するために使用するための経費であるとの趣旨、目的に沿って、その都度の判断で使用してきているということでございます。
  239. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 中身は明かすことができないということだというふうに思いますけれども、せっかく国会議員の話が出たので申し付け加えれば、私はやはり、国会議員への便宜供与、過剰な対応というのがやっぱり目に余るんではないかというふうに思っています。冒頭、総理がおっしゃられたように、官と政の在り方、それは国内だけじゃなくて海外も一緒だというふうに思います。  私は今、国会議員が来られたときの対応というのは、実際自分もやった人間として、余りにもちょっと過剰過ぎるんではないかという意味では、これは国会議員もそうですけれども、やっぱり節度ある待遇というんでしょうか、そういうものを求めつつ、一方、外務省も、余りそういうときに恩を売って関係を付けておこうなんということを思わず、やっぱり必要なものについて必要に、適度にやっていくということがやっぱり必要じゃないかというふうに思いますので、もしお考えがあれば聞かせていただきたいと思います、大臣に。
  240. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 便宜供与を簡素化をしていくということにつきましては、これは私は委員と全く同じ意見でおります。
  241. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 以上、外務省の改革について伺ったところでございます。  十の改革、よくよく見てみますと、外務省の特殊性はありますが、私は、他省庁でもこの改革というのは進めるべきではないか。そういう意味では、総理にちょっとお伺いしたいと思いますけれども、この外務省の改革が進むにつれ、そのいい面はどんどんほかの省庁にも対応していく、適用していくという考えはありますでしょうか、お伺いしたいと思います。
  242. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは外務省だけではなくて、政と官との適切な接触の在り方、付き合い方という点について各省庁真剣に検討すべきだという方向で、今それぞれ各役所で検討を進めていると思います。
  243. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 次に、少しODA改革について質問させていただきたいというふうに思います。  財政の厳しい折ですから、一兆円程度のODAを使うということはやっぱり大変だというふうに思います。一方、我が国の立場を考えれば、世界の平和と繁栄に対してやっぱり相当な責任を持っている。それについてやっぱりODAの果たす役割というのもまた現実にも大きいんではないかというふうに思います。  その中で、まずお聞きしたいと思うんですけれども、これは後ほど私が申し上げることに関連しているわけですが、インドネシアのODAの薬品横流しという問題が三月六日の朝日新聞に載っかっていました。これの現状の把握状況と対応策について、経協局長、お願いいたします。
  244. 西田恒夫

    政府参考人(西田恒夫君) お答え申し上げます。  御指摘の事案は、インドネシアのNGOが調査の結果として二月二十五日に公表したものでございます。在インドネシアの我邦大使館も、翌二十六日、我が国が平成十年及び十二年に無償資金協力により供与しました医薬品の一部が市場で販売されていたことを確認をしております。  我が国が行いました資金協力により供与された物資の管理責任は、一義的には当然相手国政府にございます。政府は同日以降、累次にわたり、アフマッド・スユディ保健大臣、インドネシア政府高官に対し至急調査を行い、事実関係を報告するよう大使館から申入れをしてまいりました。同時に、かかる調査結果が、つまりNGOのですが、が真実であるとするならば極めて遺憾であるということを強く申入れいたしました。これに対しまして、インドネシア政府は陳謝をするとともに、調査を行う旨約し、現在全力を挙げて調査に取り組んできているところでございます。  現時点、三月八日までにインドネシア政府は、市場において六種類、約百二十万ルピア、日本円に直しまして一万五千円でございますが、相当の医薬品が流通していたことを確認をいたしました。同政府は当該医薬品の流通経路を特定する作業を鋭意行っておりまして、一部は盗難によるものというふうに考えられますが、仮に横流しの事実が明らかになった場合には厳罰に処す旨を述べております。  引き続き、政府としてはインドネシア側の事実解明、適切な対応を強く申し入れておるところでございます。
  245. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 早く事実解明とその対応策を打っていただきたいと思いますが、その辺についてはまた後ほどお伺いしたいと思います。  資料をちょっとお配りしていただきたいと思いますが。    〔資料配付〕
  246. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 これは政府開発援助大綱ということで平成四年六月三十日に閣議決定したものです。  御存じのとおり、我が国は援助の基本方針を包括的に規制する法律はないということでこのような援助大綱が出されたというふうに理解しております。援助をするに当たっての諸原則をちょっと抜粋してきたんですけれども、政府開発援助の実施に当たっては以下のことを考慮に入れて総合的に判断するというふうになっていますから、その援助の中身がどうなのかということを精査してやっていくということが我が国に求められているという一つの根拠になるわけです。  私は、ここには環境と開発とかありますが、一番の大きな問題はやはり軍事費の問題だというふうに思います。軍事費が増額しているのか、あるいは大量破壊兵器が開発、製造されているのか、武器輸出されているのか、そういうものに目くばせしながら援助をしていくということになりますし、あわせて民主化の促進あるいは基本的な人権に十分配慮を払うという内容になっているわけでございます。  これが我が国の援助にどう生かされているかということについてお伺いしたいと思いますが、一つ具体的な例として、私は、今問題になっているケニアという国をピックアップさせていただきました。  まず、中近東、アフリカ審議官になるんでしょうか、ケニアという国が、過去、汚職とか人権、様々な問題に対してどのような指摘があったかということについてお答えいただけないでしょうか。
  247. 小田野展丈

    政府参考人小田野展丈君) お答え申し上げます。  ケニアは、先生も御案内のとおり約三千万の人口を有します東アフリカにおける大きな国でございます。このケニアの政府におきましては、汚職問題への対応の重要性ということを深刻に受け止めまして、援助国あるいは援助機関の関心が高いこともありまして、その対策に力を入れてきておると承知しております。  また、九〇年代以降民主化の推進に向けた措置が徐々に取られてきておりまして、人権状況につきまして一層の改善のための対応を進めてきていると承知しております。  また、ケニアにおきましての軍事費のお尋ねでございますが、約二億三千万ドル程度で推移、一定水準で推移してきております。  なお、最近でございますが、ケニアは周辺国の内戦当事者間の調停などにも積極的に取り組むなど、地域の平和と安定にも大きな貢献を行っていると承知しております。
  248. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 人権あるいは汚職等の問題が改善されているという理解、発言ではなかったかというふうに思いますが、過去からこれもケニアに対しましてはさまざまな指摘があり、今回もIMFドナー国が停止をしたり開始をしたりという繰り返しをしているんですよね。二〇〇〇年にはIMFも再度開始したんですが、再開したんですけれども、また同年十二月は停止しているんですね。  その状況については、ちょっと今どうなっているんでしょうか。
  249. 西田恒夫

    政府参考人(西田恒夫君) お答えをいたします。  御案内のとおりでございまして、ケニア政府は人権状況の改善を含むいわゆる改革のための努力を鋭意やっておりまして、IMFあるいはその他の国際的なドナーでございますが、国際機関あるいは主要なドナーとのやり取りをこれまでも繰り返しきております。  現在においては、今の御指摘のとおり、IMFとの話合いは引き続き行われておりますが、難しい状況になっているというふうに理解をしております。
  250. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 そういう意味じゃ、難しいという状況は、そのドナー、IMF等が改善されていないという認識に今でもいるということの理解でよろしいでしょうか。
  251. 西田恒夫

    政府参考人(西田恒夫君) お答え申し上げます。  委員御案内のとおり、人権の問題あるいは民主化の問題というのは一朝一夜にしてできるものではないということでございまして、他の国の場合と同様でございますが、ドナーを始めとする長い言わば対話のプロセスの中で問題が解決していくというふうに考えておりまして、そのような認識は他のイギリス、例えばアメリカ、ドイツ等、主要なドナーも共有しているものと考えております。
  252. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 そういう問題がある国だというこのケニアに対して、我が国はこれまで、これはホームページからの資料なんですけれども、有償資金協力一千七百億、無償資金七百億、技術協力六百億ということで、三千億を超える援助をこれまでしてきているわけでございます。  当然のことながら、これだけの援助をしているわけですから、我が国としてもこの大綱に沿ってやっているという理解でいたんですけれども、当然のことながら、その政府の予算とか軍事支出、どれだけ押さえているのかということに対して資料を提出してほしいということで、出てきたのが次のページでございまして、これは一週間掛かっているんですよね。再三請求しても出てこない。これが出てきたのは昨日でございまして、その出てきたそのままを出しているんですけれども、これ見ていただきたいと思うんです。  まず総支出、これは予算だと思うんですが、一九九八年に一千七百九十五億ケニア・シリングでございますね。これを邦貨に直すと約二千八百七十二億ということになりますから、累計でさっき援助予算、援助の累積が三千百億ということになりますと、一国の予算を超える援助額をケニアという一国に出しているわけです。これはただの一国ですから、ほかのドナーのを合わせれば相当な援助がこのケニアに出されているということです。出てきたのが、九九年、二〇〇〇年の予算、分からないというふうにこれ出てきているんです。  下、見てください。軍事の支出、九八年から不明になっているんです。それも外務省が調査して調べた数字じゃなく、世銀の開発指標データベースをそのまま送ってきてこの数字なんです。  これでは、どう見たってこの大綱に基づいて援助をしているなんというふうにはやっぱり言えないんじゃないでしょうか。経協局長、お答えいただきたいと思います。
  253. 西田恒夫

    政府参考人(西田恒夫君) お答えをいたします。  ただいま御指摘の現時点における数字について、ちょっと今なぜこの時点のものが出ているのか確認をいたしますが、先ほど御案内をしましたように、日本もそのドナーと政府との対話の枠組みには必ず参加をして、我が国としての考え方はこれまでも申し入れてきているところでございます。  それから、日本の援助が突出しているのかもという御指摘でございますが、これはそのようなことはございませんで、例えば九八年度、むしろ第一のドナーはイギリスということでございますし、日本は第二番目のドナー。九九年度に至りまして、日本とイギリスはほぼ同様の数、まあ量でございますが、の支出あるいはその支援を行ってきているというところでございます。  御指摘のように、ケニアについては、種々の問題がございますが、他方、アフリカの国においては極めて重要な拠点効果、失礼、拠点の国でございますので、世界のドナーは、いかにしてこのケニアという国を民主化に進めながら他方で開発を支援していくかということで努力をしているものというふうに理解をしております。
  254. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 趣旨はよく分かるんですけれども、こうやって出された資料が、九八年から軍事費が分からない、不明である。これをよく平気で出されるなというふうに思いますけれども、その辺はどうなんでしょうか。  何か手が挙がっているので、じゃお答えください。
  255. 小田野展丈

    政府参考人小田野展丈君) お答え申し上げます。  ケニアの軍事予算につきましては、ミリタリー・バランスによりますと、一九九九年は二億二千八百万ドル、二〇〇〇年は二億三千五百万ドルと承知しております。
  256. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 そういうふうに分かっているんだったら何でこういう資料を出してくるんですかと。それはどういうことなんですか。ちょっとお答えをいただきたい。
  257. 小田野展丈

    政府参考人小田野展丈君) 提出する資料が十分にそろっておりませんで失礼申し上げました。
  258. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 こちらもまじめに議論しようと思って資料の提出を依頼しているんですから、そちらもやっぱり誠意を持って出してもらわないとこれは議論できないですよ。私は、これをもって、踏まえてやっぱりいろいろ発言しなきゃいけないわけですよ。もうちょっと責任持って資料提出願えますでしょうか。もう一回確約をお願いします。
  259. 小田野展丈

    政府参考人小田野展丈君) お答え申し上げます。  きちんとした資料を整理いたしまして再提出いたします。
  260. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 是非よろしくお願いしたいと思います。  私が申し上げたかったのは、こういう不透明な状況の中で現実にこの大綱がどう利用されているかということに対してやっぱりお聞きしたかったということです。このような確かに問題ある国の中で、今回の水力発電の中で現実にあって、そういうことが施工されているということでございますので、確かにこの問題があって援助を閉じちゃうということはどうなのかという感じもありますし、やっぱり対話を通じてケニアの改革にやっぱりやっていくという日本の姿勢をもっともっと積極的に出していくことも必要ではないかなというふうに思います。  その中で、最終ページを見ていただきたいと思いますが、日米のODAの比較でございます。これまで種々私が申し上げてきた課題というものを踏まえますと、日本のODA政策は大きなやっぱり転換点を迎えているんではないかということでございます。  例えば、法的根拠、基本方針に関する法律なしということで、我が国は包括的に規定する法律はありません。一方、アメリカというのは対外援助法というのがありますので、これにどこまで基づいてやれているかというのは議論があるところだと思いますけれども、一応法律はあるということでございます。  そして、日米は世界の援助大国です。一位と二位ということでございますので、しかし中身を見ると日米の援助のやり方は全然違っているんですよね。例えば援助国、日本は百五十か国にしておりますけれども、アメリカは百か国、これは非ODA国も入っておりますので現実にODAで対処するともっともっと少なくなるんではないかなというふうに思います。  確かに、戦後、広く薄く援助をしてきたという我が国の方針というのもあろうかというふうに思います。そのことで、結果的に我が国にとってどういう利益があったかという議論はあろうかと思いますけれども、私は今の限られた援助予算、これがどんどんどんどんやっぱり限られてくるということを考えますと、やはり結果的にはもっともっと集中と選択、その途上国がやる気を持って改革を進めようとしているのか、民主化に努力しようと思っているのか、その二国関係できちっと丁寧な援助をしていく、そのことが結果的には私はやっぱり少なくなるのではないかという感じはしています。  確かに、国連のことを考えるとこういうものも使いながら駆使していくというのは分からないわけではありませんけれども、まずここについて大臣──じゃ、経協局長
  261. 西田恒夫

    政府参考人(西田恒夫君) お答えをいたします。  委員の御指摘は誠にごもっともだろうと私も思います。他方、日本とそれから戦後のアメリカが置かれてきた世界における役割、それから国際社会に対する貢献の他の手段等々を比べますと、一概にアメリカの方式が日本の方式に、少なくともこれまでの間において適切に、言わば同じものであり得たかどうかということについては、これは先生正に御指摘のとおり、いろいろ疑問があるところではないかと思います。  これから、やっぱりこれから正にODAを改革していく中で、ただいまのおっしゃった意味でのより選択性を高めるというようなことについては、一つの議論の視点だろうというふうに考えておりますので、そういう点も踏まえて鋭意検討させていただきたいと思います。
  262. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 更にちょっと時間まで続けさせていただきたいと思いますが、さっきインドネシアの横流しの問題も含めまして、日本の援助のやり方というのは政府に問題があっても、法的な根拠として国際約束に基づいて援助をするという観点から、どうしてもやはり政府を通じての援助になりがちなんですよね。ですから、それをモニタリングできる体制があればいいですけれども、一回流した以上、ある程度やっぱりその政府を信じざるを得ない。結果的には今回もこういう事件になっているということを考えますと、もっともっと、やはり薬の問題でいえば、裨益する人に直接ダイレクトに流れるような援助の仕組みというものももっとやっぱり考えるべきではないかという感じはします。  そういう意味では、この援助の実施体制というのは根本的に見直さないといけないというふうに思いますが、その評価の問題も含めていろいろ課題があるのではないかというふうに思います。  そして、NGOとの連携につきましても、日本は伸ばしたといえどもまだまだ一%未満という状況ですから、アメリカは四割がNGO等を通じて実際に援助が流れているという観点があります。そういう意味じゃ、技術協力が中心のアメリカともう比較はできないですけれども、よりこれから質の高い、そして丁寧な、やっぱり透明性のある援助をしていこうと思えば、もっとそこに抜本的にメスが入らないと、どんなことを言ったってそれは私は無理だというふうに思います。  評価の問題についても、第三者入れればそれで済むような問題じゃない。評価を実際にやっていく実施体制があって初めて評価というのはこれは生きるわけですから、やはりその工夫というものも必要だというように思います。ある意味では、やはり戦後伸びてきたODAの政策を抜本的にゼロから、どこに必要なのか、どういう体制でやるかということをやっぱり考え直す時期に来ているんではないかというふうに思います。  援助機関の規模、下に書いてありますように、私の調査では、日本が二千八百名に対してアメリカは七千二百名ですから、約二・五倍、これはもうさっき言ったように、援助の中身はもちろん違うのは分かって言っているんですけれども、これだけ見てもやっぱり違うわけですよね。ですから、先ほど来申し上げますように、ODA、限られた予算ですから、本当の意味で目的に合った予算をやっぱりきっちりやっていくという観点で、今回のいろんな事件を機に見直してほしいなという感じはします。  そういう意味で、最後になりますけれども、このODA改革も踏まえまして、小泉総理と川口大臣にまた御意見を伺いたいと思います。  私は、以前、総理に一度お伺いしたかったのは、総理が厚生大臣のときにアフリカへ行かれましたよね。そのときに、アポイントの問題をめぐって多少ぎくしゃくされて、お怒りになって、その分云々という話がありましたけれど、ODAも含めて造詣が深い総理に、ちょっとこれまでの問題とODAの改革の流れ等に踏まえて御発言いただければと思います。
  263. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 日本はODA援助大国ですから、アメリカよりも額にして多いんですよね。GDPはアメリカの半分ですけれども、援助額においては連続八年一位じゃないですか、たしか。援助大国であります。そういう中で、外国日本の援助に対しては高く評価してくれていると。  今回、日本の財政状況を考えて、私は削減の方向を出しました。しかし、削減しないでくれという陳情は非常に多かったわけでありますが、やはり、額が多いけれども、できるだけ効率的に運用していかなきゃならないと、援助の重要性は認識しております。  私も、アフリカ行ったときも、本当にこの援助というのは有効に使われているのかと、援助するというのは当たり前に受け止められているんじゃないのかと、そういう疑念を持ったことがあるものですから、もっと再点検すべきだと。有効に、日本の税金なんだから有効に使われるかどうかよくチェックしなさいと。当時、私が疑問を持ったのはジンバブエだったんです。今混乱していますね。  そういう意味において、これから、世界一の援助大国と言われているんだったらば、それが有効に適切に使われるようより注意が必要だと。私は、援助に対しまして、額にしてもまた中身にしても人員にしても、よく吟味する必要があると思っております。
  264. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 それでは、川口大臣、最後、御見解を伺いたいと思います。
  265. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 今、日本の財政事情が厳しい中で、援助をどのようにしていくのが一番効率的でありかつ人道的な、あるいは世界の貧しい国々のニーズに応じることができ、それから日本としても国益を反映する形かというのは、委員正におっしゃられるようにきちんと考える必要があると思っております。  今、外務省でやっています第二次ODA改革懇談会の最終報告というのは間もなく出ることになっておりますし、それで足りない部分については変える会でODAについて議論をしていただくことになっておりますので、そういった中に今、委員がおっしゃられた問題意識、評価、それから、例えば援助については質をどれぐらい高めていく必要、これはあるわけでございまして、そういった点、様々な問題がありますので、きちんとそういう中で議論をしていきたいと思っております。
  266. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 終わります。
  267. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 関連質疑を許します。峰崎直樹君。
  268. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 約六十分という短い時間ですので、端的にお聞きしていきたいと思いますが、実は今日になって、今朝の新聞で「有本さん、北朝鮮に拉致」と、こういうことで大きな見出しが出ております。  私も二年前、もう三年前になりますでしょうか、朝鮮民主主義人民共和国に行ったことがある人間として、早く、北方領土問題と並んで、やはり本来なら二十世紀中に解決すべき課題だというふうに思っていたわけですが、ただ、この拉致という形で出てきておりまして、事実、一体どうなったんだろうかということで、その点について、まず、これは警察から事情をお聞きした方がよろしいでしょうか。どんな状況になっていますでしょうか。
  269. 村井仁

    国務大臣(村井仁君) 昭和五十七年の四月のことでございますけれども、イギリスに留学するために出国した有本恵子さんが消息を絶ったという事案がございまして、それから、御家族その他の関係者から行方不明前後の状況等につきまして事情をお伺いしておりました。  また、海外の関係各機関との情報交換など、日本の国内外の捜査結果というものを総合的に検討いたしました結果、北朝鮮による拉致の疑いがある、このような判断をいたしたということでございまして、警視庁におきまして、この事案につきまして捜査本部を設置しまして、全容解明のために精一杯これから努力をしてまいる、そういうことと承知をいたしております。
  270. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 これ一回、総理、大分、余り進展していないようなんですが、この北朝鮮との関係ですね。こういう事件が出たり、あるいは不審船の問題が出たりしているんですが、この点について何か御感想がございますでしょうか。
  271. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 北朝鮮との国交正常化交渉は非常に難しい問題を抱えております。その一つが拉致問題であります。私は、この拉致問題の前進を見ないと、これからの北朝鮮との正常化交渉は非常に難しいと。  この拉致問題に対してはきちんと北朝鮮と対応すべきだと既に指示を出しておりますが、なかなか、ああいう国ですから、交渉が芳しく進んでいないというのは事実であります。  この問題につきましては、日本政府としても真剣に受け止めまして、今後とも北朝鮮との正常化交渉に向けてはこの問題をおろそかにしないように対処していきたいと思っております。
  272. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 今日は状況だけお聞きし、とどめて、これからまた引き続きこの問題について議論したいと思っておりますが。  そこで、昨日、私ども同僚の議員質問いたしました、福山議員から質問したときに、平成十二年九月六日から七日の、佐藤主任分析官ですね、当時の、この方の根室出張日程について資料が出てまいりました。中身を見せていただきました。  そこで、外務省にちょっとお尋ねするわけですが、ここで私、非常に不可解だったのは、本件出張に対する直属上司の許可というところがあるわけですが、本件出張は鈴木議員の依頼に基づくものであって、当時の担当課長、分析第一課長の事前の許可を得て行われたと。なお、当初は旅費は先方団体負担と理解していたが、その後、本人に確認したところ、鈴木議員が負担していたことが判明したと。出張の事後報告について、口頭で簡単に出張報告を行っているが、文書による報告書はないと、こういわゆる報告が出ております。  二点お尋ねします。一点目は、我々が、そうすると、私の例えば北海道の後援会がある、そこに外務省のお役人さんに来ていただいて、旅費を出して、出張扱いで、これは自由にそういうやり取りができるものなのか、これが一点。それから、外務省というところには出張命令が下ったときにはそういう文書によって復命書というものは存在をしていないのかどうか。外国に行ったときの公電の問題は分かりますが、国内出張のときにはどんな扱いになっているのか。この二点、ちょっとお聞きしておきたいと思います。
  273. 今井正

    政府参考人(今井正君) お答え申し上げます。  旅費の件でございますけれども、一般論として申し上げれば、外部からの依頼に基づく先方費用負担の場合でありましても、業務上の必要性が認められる、例えば外務省の政策を御説明する、あるいは意見交換をする、そういうふうな業務上の必要性が認められますれば公務出張として取り扱うこともございます。  それから、第二点でございますけれども、出張が終わったときの出張報告でございますけれども、在外といいますか、外に出張した場合は電報等いろいろ自然に報告が出てくるわけでございますけれども、国内出張におきましては、そのときのケース・バイ・ケースということで今までは扱われてきております。
  274. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 国内出張の場合はケース・バイ・ケースということになると、出張して実は出張先で何があったのか、どういうことをしてきたのか、どういう問題があったのかとか、そういうことの報告はケース・バイ・ケースでいいということになると、ある意味では何しに行ったのか、その後の確かめようがないんじゃないですか、その出張先の。そんないい加減な扱いってないんじゃないと思うんですが、これはいかがですか。
  275. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 出張が海外出張であれ国内出張であれ、これは税金から由来をするお金を予算としていただいて使っているわけですから、そこでそのお金をいかに効果的に使ったかということをきちんと確認をするということは大事でございまして、復命書というのはすべての件の出張について書かれるべきであると私は思っております。  そういう意味で、そこの制度をきちんとするように私は指示をいたしました。
  276. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 是非そこは改善をしていただきたいというふうに思います。  さて、本来であればその中身についても本当は議論したいところなんですが、時間がありませんので、一つ、昨年八月から九月に掛けて、実は私はアイヌ民族についての日本政府の認識に関する質問主意書を出しております。その中で、質問主意書の中で第三番目に、反人種主義・差別撤廃世界会議へのアイヌ民族代表派遣問題について実は質問したわけです。  これは、実は今日は余り全員おられないんですが、この前の閣僚の中にも、実はアイヌ民族についての、つまり国内、日本国は絶えず単一民族だとかそういう誤った認識で持たれて大変困っているわけです、我々も。そういう認識の問題を触れて、実は今話題になっておられる鈴木宗男議員がもう同化されているとかそういう発言があって、実はウタリ協会というアイヌ民族の方々の財団法人の会議の中で役員改選、役員交代が行われた。その結果、当初、政府代表としてこのウタリ協会の副会長さんがアフリカのダーバンで行われる会議に人選をされていたわけです。ところが、直前になって役員交代が起きたために、実はウタリ協会の方に打診をされたものですから、ウタリ協会はもうそれは駄目だということで代わりの人を求めたわけですね。それにもかかわらず、外務省は結果的に、それは政府は結果的にはだれも送らないというふうになっちゃったわけですね。なぜそうなったんですかということについて、実はここで私も実はそのときに質問しているわけです。  その回答が、これは内閣の、いわゆる質問主意書ですから閣議決定された質問でございますが、その中で書かれている中身を見ると、この中身、かなり長い文書でございますが、要するに、「本年七月までに、」、昨年ですね、これは本年というのは。「七月までに、ウタリ協会を通じて、候補者に対し、代表団への個人としての参加を非公式に打診したものである。」、ウタリ協会に打診をしているわけです。それで、解任をされたので実は別の人間を推薦したいということを改めて出したら、それは駄目だと、こういう話になったわけですね。  この過程の中で、実はそれ以上のことは余り書かれていないんですが、実は鈴木宗男議員がこの中身について関与していたのではないか、こういう実は新聞報道その他、私は実はウタリ協会の秋田理事長と連絡を取ったら、確かにそういうふうな情報を私たちは得ているということで、外務省に対しても、それから鈴木氏に対しても厳重に抗議するということを明らかにしている。これ新聞発表をしています。  この点について、外務省は一体どのようにその点をつかんでおられますか。
  277. 高橋恒一

    政府参考人(高橋恒一君) お答え申し上げます。  昨年の人種主義に反対する世界会議への政府代表団への民間人の参加問題につきましては、外務省といたしましては、当時、北海道ウタリ協会副理事長の地位にありました方につきまして、同氏の活動実績、人柄や識見等を勘案いたしまして、昨年七月までにウタリ協会を通じ同氏に対し代表団への個人としての参加を非公式に打診いたしました。  しかし、その後、昨年の八月六日に至りまして、ウタリ協会の方から事情により同氏が政府代表団に参加できなくなった旨の連絡がございました。外務省としましては、同氏が代表団への参加につきましてウタリ協会の御支援を得られないのであれば、御承認を得られないのであれば、同氏の政府代表団への参加については白紙に戻さざるを得ないと判断を固めたわけでございます。  この方針を説明するために翌日、昨年の八月の七日、当省の担当官がアポイントを取りまして鈴木先生の事務所を訪れました。その際、鈴木先生からは同事務所に居合わせておりましたウタリ協会の前の理事長さんたちの話をよく聞いてやってほしいという発言がございまして、同議員はすぐに入れ違いで退室いたしました。その後、担当者はウタリ協会の前理事長から、私どもが政府代表団の参加をお願いいたしました前副理事長の政府代表団への参加についていま一度要請を受けましたけれども、我が方からは、ウタリ協会の内部で一致ができないのであれば本件の白紙撤回はやむなしと判断していると、そういう形で御説明をさせていただきました。  以上のような次第でございまして、その後、八月十五日に外務省の担当官が改めてこういう対応をいたしましたということを御説明のため鈴木議員を往訪いたしまして御説明しましたところ、鈴木先生からそうかと述べて右説明を了承したと、そういう経過でございます。
  278. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 まあこれも恐らく鈴木議員の関与ということで今オープンになってくるんだろうと思うんですけれども、昨年私がこれを、質問主意書を出したときはそのことには触れられておりませんが、今おっしゃられた中で、ウタリ協会が一致していないのであればと、こうおっしゃったんですが、ウタリ協会は八月の初めに実は役員改選で、前の理事長さんはもう理事長でないわけです。前の、理事長さんでない人の意見を聞いて、今の理事長さんと、ウタリ協会の役員とどうも意見が違うようだと。それでは全然それは、ウタリ協会の皆さん方が不一致だということについてのその理解は、役員の皆さん方が一致して、新しい役員がですよ、そしてダーバンに新しい別の人を送りたいと。ウタリ協会を打診したんでしょう、皆さん方は。打診をして、じゃ、ウタリ協会の副会長さんを出しましょうとなったわけです。その人がもう副会長でなくなったからウタリ協会は、ウタリ協会として別の副会長を出そうということであったんでしょう。それに対しては、いや、どうも一致していないからというのは、これはどう見ても、それはひどいやり方だというふうに怒るのは当たり前なんじゃないでしょうか。  この点、大臣、どう思われます、今の話聞いて。いやいや、そんなもの事務的に聞いたってしようがない。
  279. 高橋恒一

    政府参考人(高橋恒一君) お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、私ども、今回のその会議に民間の方を顧問としてお願いしようということを検討いたしましたときに、これはいろいろ前例もあるわけでございますけれども、国際会議へのNGOの代表という方はたくさん並行して来ているわけでございます。この会議につきましてもNGOの日本からの数十の代表が行っているわけでございまして、今回のやつは我が政府代表団の言わば顧問ということでお招きすると、そういうことをどなたかにお願いするかと、そういう話でございます。  したがいまして、まあたくさんのNGOがいらっしゃる会議でございまして、人種主義に反対する国際会議に関係を持っている日本のNGOというのもたくさんございまして、どこかのNGOの代表の方を特定してお願いするということでは全くございませんで、先ほど申し上げました、当時、ウタリ協会の副理事長をされておられました方が、私どもの目から見まして、それまでの国際的な御活動、それから人柄、識見等から、私どもがこの会議へ臨む政府代表団の顧問にお願いするのにふさわしいということで、個人的にお願いをするということが出発点でございます。  したがいまして、ただ、そのときには副理事長をされておられたものですから、ウタリ協会を通じまして、御本人も我々の会議にそういう形、資格、参加するというにつきましてはウタリ協会の内部の手続が要ると思いますので、そういうことで打診をさせていただいたら、たまたま中で変更があったので、どうしても、どうしてもその方の政府代表団への参加というものが承認いただけないということでございましたので、私どもといたしましては本件は白紙撤回をさせていただきたいということで申し上げたわけでございます。
  280. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 大臣に答えてもらおうと思ったんですが、まず事務的なことで答えていますが、その個人、人格、識見がすばらしいというふうにおっしゃっていますが、その前に、この主意書を見ると、財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構理事や北海道立アイヌ民族文化研究センター運営委員を務めるなど候補者の国内での活動とか、そういう国際連合人権委員会や人権小委員会及び人権差別の撤廃に関する委員会への出席などと。  これらは、いわゆる皆さんがこの人はというふうに言った人は、これは決して個人でやっていらっしゃるんじゃないんです。全部ウタリ協会の役員として実はやられているんです。だから、ウタリ協会で役員辞められたからこれは不適格だということになったんです。だから、改めてウタリ協会の側に打診をされているわけですから、当然、それはウタリ協会の新しい人選でその代表団を選んで、そしてその国際会議に顧問として行ってもらうという、そうやるべきだというのが私は筋だと思うんです。  今日はもうこの問題について時間ありませんから触れませんが、いずれにせよ、この問題についての、鈴木宗男議員に対して、なぜそんな鈴木宗男議員の意見を聞かなきゃいけなかったのかというのは、改めてある意味では非常に問題だなという感じがしますが、川口大臣、何かございますか、簡単に一言。
  281. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 今、世界的に国際会議の場で政府代表団にNGOの方に入っていただくという流れがございます。日本でも幾つかそういうケースが過去にございます。その中で、各国の政府が悩んでいるのは、どういう考え方、あるいはどういう基準で政府代表団に入っていただくNGOの方を選んでいくかということでございまして、これは、この分野では先進国である西欧の国もかなり悩んでいる問題です。  政府の代表団の一員ですから、おのずから政府と意見があるいは立場が一致している人であるということが大事でございまして、そういった中で、どうしても個人の資格で、ある方が、要するにNGOの方のグループとしてこの方が政府代表団に入るならばふさわしいということで、個人で、その組織のだれそれという役職ではなくて、入っていただくということが一つの望ましいやり方というか、実際に機能するやり方であるという考え方で実はこれはやらせていただいたということですけれども、いずれにいたしましても、そのNGOの方にどういう関与の仕方をしていただくかということについては、八月にWSSDもヨハネスブルクでございますので、そういった場も見据えて、NGOに政府代表として入っていただく場合の考え方というのは私としても考えてみたいと思っておりますし、変える会での一つの項目でこの辺も挙げておりますので、メンバーにも議論してほしいと思っております。
  282. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 それでは、ちょっと総理にお聞きするんですが、いろいろ、もう鈴木宗男議員のことについていろいろ先ほどから出ておりますが、鈴木宗男議員については、これは総理のよく、お得意の言葉で言うと、改革勢力か抵抗勢力かと。当然、私どもは抵抗勢力というふうに入るのかなと思っているんですが、総理自身はどういうふうにお考えですか。
  283. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 小泉内閣の進める改革に賛成するのは賛成協力勢力、反対するのは抵抗勢力であります。
  284. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 この間の、昨日の証人喚問もありました。あるいは、総理自身、これは異常だなと、そしてこんなところまでやっているなと。これはやっぱり賛成勢力ですか、それとも抵抗勢力ですか。
  285. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、今後どういう態度、行動に出るか。今まで道路公団の改革に反対した場合は私は抵抗勢力とみなしていた。郵政改革に反対する場合も抵抗勢力とみなしていた。協力していくのなら協力勢力とみなすよということでございます。
  286. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 先ほど私ちょっと聞きそびれたんですが、鈴木宗男さんを、たしかタジキスタン、それからウズベキスタンですか、特使、総理大臣の特使で行かれました。その選定の根拠、もう一度改めて。
  287. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これはアフガン周辺国支援という一環で、タジキスタンとは今までも人脈的に関係があるということで、特使として適任だということで私も了承したわけであります。
  288. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 その情報は総理自身が自主的、主体的にというか集められて、あ、これはやっぱりいいなと、これは鈴木宗男さんがタジキスタン、ウズベキスタンに行くのが一番いいと思われたのか、それとも外務省からいろんな、ここにはこういう人がいいですよ、ここにはこういう人がいいですよと、そういう外務省からまず上がってきたんですか、データが。それはどちらなんですか。
  289. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 外務省からの推薦を了承しました。
  290. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 要するに、外務省と鈴木議員の関係については今こういう状態で分かってきたわけです。今思われて、やっぱり彼を特使にしたのは失敗だったかなと、こういうふうに思われますか。
  291. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 別にタジキスタンとの間柄に変な関係はありませんので、そういう、不適任だとは思っておりません。
  292. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 委員長、実はここに一月何日付けかな、鈴木宗男さんの新年恒例会というのがある、一月十二日ですわ、今年の。根室漁業協同組合の三階のホールというところで話をされた中身がある。これは本当にそうなのかと言われると私も確実にそうだというふうには言えませんが、そのテープ起こししてあるやつが我々の資料、手に入っているんです。そこを読んでみますと、こういうくだりがあるんですよ。  私は、何だかんだと言っても、これで三年連続総理特使だ。一昨年、小渕総理のときは小渕さんの特使としてロシアに行って、当選間もないプーチンさんに会った。去年は小泉さんの特使で中央アジアに行かされた。今年もまた小泉さんからの要請でタジキスタンに行かされる。私がばかを言っていたり、政治家としての能力がなかったり、間違った行動をしていたら総理特使になれない。総理特使の一つの基準は、まず閣僚経験者であるということ、そしてその国にだれが強いかということを役所が見極めて指名する。去年だってアフガン問題が起きた。橋本元総理にはエジプトへ行ってもらう。高村元大臣にはサウジ、イランに行ってもらう。森前首相にはインドに行ってもらう。大事な中央アジアには鈴木宗男に行ってもらう。総理はそれなりに見ているし、だれが一番強いかは役所からも資料が上がる。だれが一番強いかは役所からも資料が上がる。だから私が指名されるということだ。この点マスコミは面白おかしく抵抗勢力と書いているが、総理自身は政治家の評価なり政治家の認識はしっかり持っていると私は思っている。だからこそはっきりと小泉さんは物を言う。それが受ける。  こうおっしゃっているんですよね。  今、感想をもし聞かれて、ああ、おれの選択は間違っていなかったな、こういうふうに思われますか。
  293. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) まあ国会議員、政治家なら、地元へ行けばそのぐらいのことを言うでしょう。
  294. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 自分の特使の選定の、またこれはタジキスタンとかウズベキスタンとかいろんなところから問題が出なきゃいいけどなというふうに思いますが、これはまた出てからのお話にいたしましょう。  さてそこで、時間もありませんので、法務大臣になるんでしょうか、これは国家公安委員長になるんでしょうか、昨年の五月七日に根室市の花咲港にロシア船籍の貨物船アルマ二号というのが入港したんだそうです。この船の乗組員のうち、四人が船員手帳などの書類を携行せず上陸し、根室市内で出入国管理法違反で逮捕されたという事実はあるのかどうか、そしてその逮捕された後の扱いはどうなったのか、その点、分かれば教えていただけますか。
  295. 森山眞弓

    国務大臣(森山眞弓君) 御指摘のような事実はございました。  これは、被疑者四人はロシア連邦の国籍を有する外国人でございまして、北海道根室市の花咲港四百六十八番地所在の花咲西埠頭に停泊中のロシア連邦貨物船アルマ二号の船長及び船員でございましたが、いずれも入国審査官から上陸の許可等を受けないで平成十三年の五月七日の午後一時ごろ、同船から同港岸壁に上陸して、不法に本邦に上陸したということでございまして、これは出入国管理及び難民認定法違反、つまり不法上陸ということの事実で緊急逮捕いたしました。  その人たちは、四人のうち三人は北方領土の国後島に居住している者でございましたが、結局強制退去処分となりまして、サハリンに戻ってもらったということでございます。
  296. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 こんな事例はちょこちょこあるんじゃないですか。余り質問しておりませんからあれですが、その年の、去年の二月にも同じようなことが起きています。  私が言っているのは、北方四島から要するに根室港やそういうところに不法に入ってきた人たちは、いずれにしても逮捕するけれども、すぐそれはそのまま強制退去になるだけなんですよね。こっちの裁判にならないんですよ。そのことがどういうことを意味するかというのは、これは私は重大だと思っているんですよ。  昨日も、北方領土から日本に入ってくるときの輸出入の数量の差がありましたですね。国後島にたしかユジノクリリスク、古釜布というところがありますが、そこの統計によると、ウニはそこから輸出しているときは三十トンだそうです、二〇〇〇年の実績で。日本に入ってくる、花咲港、根室、北海道に入ってくるときにはそれが三千トンになるんだそうです。それは、これ今、大臣お笑いになりました、すごいですよね。  この裏に何があるか。実はもしかすると、これは暴力団あるいは向こう側のマフィアの資金源になっているかもしれません。これは今ウニの話ですからいいですが、警察、いや、銃砲類をあるいは麻薬を北方四島から根室を通じてあるいは北海道を通じて入り込んできたときに、これ、同じように入ってきて売買したけれども、これはそのまま退去させてそのままあれですか、強制退去だけで帰すということで何ら法に触れないんですか、これ。こういう問題が起きたときはどうしたらいいんですか。
  297. 森山眞弓

    国務大臣(森山眞弓君) 先ほど申し上げましたケースにつきましては、上陸目的が特に買物であったり、しかも滞在時間も五時間という大変短い時間でございまして、前科とかそういうものも余りございませんで、全員が犯行を素直に認めて改悛の情も顕著であるということで、厳重訓戒の上、先ほどのような処置をいたしたわけでございますが、もし別のケースで、先生御指摘のような関税法上の禁制品輸入罪とか銃刀法、薬物四法上の各種、各所持罪が認められるような場合には、それらによって訴追されるものと思います。
  298. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 措置されるものだと思いますと言うけれども、しかし今のは、軽微なものだったらいいけれども重いものだったら駄目ですよというそういうことで、今までそういう事犯に接したことはあるんですか。これはちょっと質問すると長くなりますから。  じゃ、そこで、ほかのちょっと省庁にお聞きいたします。財務省にお聞きします。  北方領土にビザなし渡航で船に乗って行きます。そうすると、船の車中ではいわゆるたばこだとか酒を買うときに、これは免税になるんですか、それともいわゆる課税されるんですか。
  299. 尾辻秀久

    ○副大臣(尾辻秀久君) 北方領土四島は関税法の適用上は外国とみなされておりますので、本邦と外国との間を往来する船舶に船舶品、船用品として積み込まれた酒、たばこについては、関税、消費税は課されておりませんので、同じ扱いでございます。
  300. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 農水省にお聞きしますが、北方領土へ墓参をした人たちが根室へ帰ってくるときに、向こうで植物とかそういうものは持っていませんかということを受けますね。あるいは二百海里の規制についての扱いは、これはどうなっているんですか。
  301. 武部勤

    国務大臣(武部勤君) まず、北方四島と我が国の間の植物の移動は、関税法上の輸出入に当たると解されます。  植物防疫法においては、植物の輸入に当たり必要な検疫を行うこと等が定められていることから、北方四島から持ち込まれた植物についても、これまで根室港及び花咲港において検疫を行っているところでございます。  また、四島周辺の問題でありますが、昭和四十二年に制定された外国人漁業の規制に関する法律においては、北方四島については我が国の管轄権が及んでいないことから、当分の間、本邦に含まれないものとして取り扱うこととしております。  さらに、周辺水域のことでございますが、昭和五十二年の漁業水域に関する暫定措置法においては、北方四島周辺水域を含めた漁業水域を、ソ連が四島周辺水域を含めた経済水域を設定したことに対抗して我が国も設定いたしました。  平成八年に制定されました排他的経済水域及び大陸棚に関する法律においては、これを踏襲いたしまして、北方四島周辺水域を含めた排他的経済水域を設定しているところであります。
  302. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 今お聞きしただけでも、これ外務大臣、ちょっとお聞きしますが、あるいは総理にも最後お聞きしようと思うんですが、各省ばらばらじゃないですか。  つまり、固有の領土ですと、外務省は、きっと固有の領土です、あそこにおられるのは不法占拠しているんだと、そうおっしゃるでしょう。片方は、いやいや、あそこは外国の扱いになって、もう税金掛けないんだと、あるいは向こうから入ってくるときには検疫を掛けるんだと、あるいは北方の水域の漁業に関しては主権が及ばないんだと、こう言っている。  一体全体、これ閣内で、閣内というか各省庁で北方領土の扱いについての、いわゆる固有の領土ということ、そして不法占拠しているということに対しての各省庁の対応は統一が取れているんですか、これ。ちょっと外務大臣、お聞きしますが。
  303. 海老原紳

    政府参考人(海老原紳君) 先生今おっしゃいましたように、北方四島は我が国固有の領土でございます。したがいまして、原則といたしまして、当然のことながら日本の国内法は適用があるというふうに申せると思います。  たしか平成四年だったと思いますけれども、ウタリ共同事件の判決が札幌高裁でございまして、これは領海法についての判決でございますけれども、領海法につきましては特別の定めを置いていないので、当然に北方四島についても適用があるという判決があったと記憶しております。  ただ、しかし、一九四五年以来、ロシアによりまして不法占拠されておりますので、現実の施政権を行使できないという現実があるのも事実でございまして、したがいまして、法律によっては特別の定めを置く、あるいは解釈をするということによりまして適用を、実際の適用を除外していると。例えば相続税法とか関税法なんかには明記しておりまして適用を除外しているということで、それぞれの法律の目的に従って現実に適用するかどうかは決めているということだろうと思います。
  304. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 それぞれの法律によって適用するかしないかというのは、やっていいですよというのは何か一貫性がないんじゃないですか。  じゃ、外務省にお聞きしますけれども、昨日も福山さん、福山委員質問の中に、あのいわゆるムネオハウスとかムネオ診療所とか建てたものについて、これはどこに建てたんですかということを質問しましたですね。かなり相当いろんなやじが来ておりました。実は物すごいこの今の問題に絡んでいるんだと思いますよ。  そうしたら、ここの建てている診療所あるいは人道支援物資倉庫、宿泊施設、これを管理しているのは今はクリル地区の、択捉はクリル地区だそうですが、南クリル地区、国後、色丹は南クリル地区、択捉、クリル地区のこれ行政府がやっているんでしょう、管理しているんでしょう。そうすると、これは地区行政府という公権力機関が不法占拠しているんでしょうか、それともこれは実効支配をねらう実態として進んでいるんでしょうか、これ、どっちなんでしょうか。
  305. 海老原紳

    政府参考人(海老原紳君) この協定に基づきます支援というのは四島支援ということでございますので、非常に特殊な状況にある支援ということが言えると思います。  日本の行為、これは作為も不作為もあると思いますけれども、各々この協定に基づきます日本の行為というものが、北方四島に関する国際法上の我が国の立場を、法的立場を害することがないようにという考え方に基づいて実施されております。  したがいまして、支援委員会が実施の主体というところで、まずそれを確保しているわけでございますけれども、同時に幾ら支援委員会が実施することといえども日本政府が資金を提供しているということがあるわけでございますので、例えばその提供した物品、今おっしゃいましたような診療所とかそういうものがロシアの国内法の適用を受けた形で例えば登記されるとか、例えば税金を払っているとか、そういうことをはっきりと日本政府も認めるということになりますと、これは国際法上の日本の立場を害することにもなりかねないということでございますので、その辺につきましては、支援委員会が提供した後につきましては向こうに事実上の管理を任しているということによりまして、むしろ日本の国際法上の立場を守っているということが言えると思います。
  306. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 聞いていてさっぱり分からぬですわ。不法占拠をしているのに、不法占拠している人が、実態上はお任せしていると。これは要するに全然意味が通らないわけですよ。  だから、もう一歩本当は聞かなきゃいけないのは、固有の領土というのは国際法上の概念にあるんですか、これは。それちょっと先に聞いておきましょう。
  307. 海老原紳

    政府参考人(海老原紳君) 北方四島については従来から固有の領土と申し上げておりますけれども、固有の領土という概念は国際法上の概念ではございません。北方四島につきましては、今まで一度も他国に渡ったことがないという意味において固有のという表現を用いている次第でございます。
  308. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 今まで一度もって、一八五五年のことでしょう。要するに、いわゆる北方四島の領海が引かれたということ。要するに、今あなたのおっしゃっている話というのは要するにそういう近々、たかだか百年か二百年の話ですよ。だから、どこまでいくのかというのは、それはある意味じゃ一つの重要な課題があると思いますが、もしかしたらあそこはアイヌモシリの地かもしれませんよ、もしかしたらアイヌの土地かもしれません。あるいはヤクートとか、北方民族の人たちがあそこに住んでいましたから。  だから、そういう意味で固有の領土論というのは世界的には、私は、今も話があったように、条約局長言うんだから間違いない。これは日本だけが主張している言葉でしょう。そして、五十年以上にわたって実効支配が続いているわけですよね。この問題は実は総理、このいわゆる北方領土をどう返還していくかという返還の在り方に全部つながっている問題だと私は思っているんですよ。  今ずっと聞いていて、各省庁も違う。外務省も今の話を聞いて、総理お分かりのように、要するにここは不法占拠されているんだ、固有の領土なんだと言いながら、いや一方では施設を造ったらそこの行政府に任しているとか、いやもちろん所有権はないけれどもとか、いろんな理屈を付けるかもしれない。しかし、いずれにせよそこのところが、今、日本政府がずっと主張してきた伝来の主張というのは私も分かります。我々も北方領土を返還してもらいたいという国民の要望だということ分かっているわけですから。しかし、どうもその実態のところは建前のところと本音のところと全部ばらばらになっていやしませんか。  この点をちょっと、総理、今お聞きになって、各省庁の動きあるいは今の条約局長のお話で結構です、その点、どうお考えでしょうか。
  309. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 法的な問題、実態面の問題そして国際法上の問題、さらに現実にこの問題をどう解決していくかという問題、いろいろありますので、よく整理する必要があると思います。
  310. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 整理というのは整理の方向を示さにゃいかぬですよ。どういう方向で整理をしたらいいかという、その点、総理大臣としての大変重要なこれからの対ロ外交の基本にかかわることですから、その点をお聞きしたいと思いますが。
  311. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私も重要な御指摘だと思います。そして、北方四島の帰属を明確にしてロシアとの間に平和条約を締結する、この基本に立ち返ってよく整理してみる必要があると思っております。
  312. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 今、北方四島の帰属とおっしゃいましたね。その帰属の、北方四島の帰属という意味は、一九七三年の田中・ブレジネフ会談のときの、あの四島はこれからの課題ですねと、そういう一九七三年の時点なんですか。それとも、いつの時点の四島の考え方なんですか。今の時点ではどんな北方領土の、要するに、我が国の方針というのは一体どういう方針なのかということがですね。  実は私、去年の五月に田中眞紀子前外務大臣にお聞きしたことがあるんですよ。要するに、何だか表の方では四島だと言いながら下の方では二島だと言って、二元外交になっているんじゃないかということも随分指摘されているんです。だから、この機会に、今、私は建前と本音とお話を申し上げましたけれども、北方領土を含んだ対ロ外交についての考え方をもう一回国民の前に明らかにする必要がある。  そして、川奈の会談でどんな提案をしたのかということは、いまだかつて私たちは、新聞に書かれた記事は見ていますよ、領土の帰属の線だけは決めるけれども、あとは実効支配は二島は任せるとか、いろんな過去の提案はあるけれども、その提案というのは、国会の場で実はこうこうこうでしたということのオープンになったという議論というのは余りなかったんじゃないですか。  そういう意味で、骨太の改革を、外務省で改革やられようとしておるわけですから、そういう意味で、日米関係は非常に重要ですよね、日中関係もそうです、しかし、対ロ外交というのは、日本にとって非常に重要な、これからの二十一世紀を考えたときの北東アジアを考える上に当たって大変重要な課題だと思うので、その点もう一回、これは外務大臣でも結構ですし総理大臣でも結構ですが、特に、私、総理出席ですから、総理、今、北方領土を含むこの対ロ外交についてはどんな考え方が政府の正式見解なんですかと、この点を明らかにしていただきたいと思います。
  313. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは誤解があるかもしれませんが、政府の見解は一貫して変わっていないんです。それは、北方四島の帰属を明確にして日ロとの間に平和条約を締結すると。その中で、一九五六年の日ソ共同宣言で、歯舞、色丹の返還問題が出ました。そこで、ある人にとってみれば、二島を先に返してもらいたいという意見も中にはあります。国後、択捉、その後だということもありますが、日本政府としては一貫して変わっていません。歯舞、色丹も、国後、択捉も、四島の帰属が明確にならない限り、日ロとの間に平和条約の締結はないということであります。  その間、返還の態様についてはこれから協議であります。一度に四島一緒かと、あるいは帰属を明確にして時間差があるのかというのはこれからの交渉の間で決めることでありますので、今はっきりといついつまでにという交渉のめどは付いていませんけれども、はっきりしているのは、北方四島の帰属が明確にならない限り日ロとの間に平和条約の締結はないということであります。
  314. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 今、一九五六年の日ソ共同宣言の話されましたですね。プーチン大統領は昨年のイルクーツクの会議で、これはいずれにしても協定を結ばれたわけです。一九五六年の日ソ共同宣言については、これはもう批准が済んでいるし、これについてはもう認めようと。  そうすると、もう一つ実は重要な点が、一九九三年でしたか、東京宣言というのがございますね。これは北方領土の四島の名前を挙げて、そして法と秩序、法と何でしたかに基づいてきちんと返しますということを言っているんですよね。  そこで、ここの間に矛盾ないですか。  というのは、一九五六年の日ソ共同宣言の締結に際して、歯舞、色丹の両島については平和条約を結ぶことによって、要するに平和条約を結ぶときにはこの歯舞、色丹については返還をいたしますと、こう書いてあるわけですね。しかし、平和条約を結ぶということは、領土が最終的に画定するということですよね。そうすると、今、総理がおっしゃっている、歯舞、色丹、そして国後、択捉の四島、これを明確にするということは、一九五六年の日ソ共同宣言のいわゆるそれを批准するといったときに、これで終わってしまうんではないですか、歯舞、色丹だけで。そういう指摘をどんどん民間の識者もやってきているんじゃないですか。  これが、いやいやロシアの方も、ソ連を引き継いだロシアの方も、要するにもう歯舞、色丹、これだけではなくて、後の東京宣言にあるように、二つのものについても、国後、択捉もそれも一緒にやりますよと、こういうことで本当に合意はできているんですか。そこのところをちょっと教えていただきたいと思います。
  315. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) まず、いろいろ見方する人いますけれども、歯舞、色丹の返還で平和条約を締結する、国後、択捉には触れないということはあり得ないということを明確にしております。そういう誤解を持ってほしくないと。いろんな解釈する人いますよ。そういう解釈でいいじゃないかという人もいます。  しかし、日本政府としては、そういう解釈を取らないんです。歯舞、色丹の返還で、それだけで平和条約を結ぶ気持ちはありません。国後、択捉も含んで、この帰属は明確にした上で平和条約を締結するという方針を何回も言っているんですが、受け止め方によってそれぞれの違いがあるのは、ロシアの立場もあるでしょう、日本の立場もあるでしょう。しかし、この点については一貫して政府は明確にしております。
  316. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 条約局長に、ちょっとまだ待ってください。  総理、日本がどういう気持ちあるいはどういう要望を持っているかということと、ロシアが今、ソ連を継承したロシアがあの一九五六年の日ソ共同宣言についてどう理解しているか。そして、今の憲法的な、ロシアの憲法の中でどのように規定されているか、このことをやっぱり冷厳に見てこなきゃいかぬと思うんですよね。もし、条約局長、一九五六年の日ソ共同宣言で歯舞、色丹を日本に引き渡します、平和条約を結びますと、こういう実は取組が起きているはずなんですが、その辺り、じゃ正確にもし答えるんだったら答えていただきたい。
  317. 海老原紳

    政府参考人(海老原紳君) お答えいたします。  一九五六年の日ソ共同宣言の第九項におきましては、歯舞、色丹につきましては平和条約の締結の後に日本国に引き渡すというふうに書いてあるわけでございます。したがいまして、その限りにおいては歯舞、色丹の帰属については明確になったというふうに考えております。  他方、国後、択捉につきましては何らの言及もないということでございまして、これは実際には日ソの間でその帰属について合意ができませんでしたので、したがいまして平和条約を結ぶことなく日ソの共同宣言という形で処理をいたしたわけでございます。  その後、日本といたしましては非常な努力を重ねまして、国後、択捉の問題についても領土問題として存在しているということをソ連に認めてもらおうということで努力をいたしまして、最初のうちはソ連はその領土問題さえ存在しないという立場でございましたけれども、いろいろの経緯を経まして、先ほどのお話のありました一九九三年の東京宣言におきまして、四島の島名を列挙した上で領土問題、日ロ間の領土問題というものはこの四島の帰属に関する問題であるということが日ロ間で明確に合意をされたということでございますので、現時点におきましては、領土問題というものは四島の帰属の問題ということが明確になっていると思います。
  318. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 実は、昨年のイルクーツクでの会談、たしか三月の二十五日で、その翌日、実はこの参議院の予算委員会の総括質疑があった。私もそのとき質問させていただきました。そのときに、その後のテレビで森前首相がおっしゃっているんですけれども、もう二島は帰ってくるんだ、問題はその次の二島なんだということで、要するに二島返還と二島帰属、この二つを車の両輪でやっていくんだと。これは昨年の上海のAPECのときに小泉総理大臣が提起をされて、一応合意をされたというふうに言われているんですが、それは間違いないんですか。
  319. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私としてはおおむね一致したと解釈しています。  というのは、歯舞、色丹はこれは日本にもう返還されるんだということでロシアも認めているだろうと。しかし、これで終わりではありませんよ、国後、択捉の帰属の問題は残っています、これを無視してもらっちゃ困りますと。ですから、歯舞、色丹の返還の態様については今後話合いをしていきましょう、しかしそれで終わりでないんです。さらに、この国後、択捉の問題についても、帰属問題を解決して日ロの平和条約交渉を軌道に乗せて、平和条約を締結したいということをプーチン大統領に話している。これから事務当局で話合いを継続しましょうということになっている。しかし、そのときにロシアとしては、素直に、はい、歯舞、色丹は返還オーケーですよと、国後、択捉の帰属も交渉しますよという素直に認めるような国内情勢については、なかなか微妙な問題があるということを私も理解しております。プーチン大統領もその辺は苦慮していると思います。  しかし、日本としては日本の立場を明確に、じかにプーチン大統領に話して、それでこれから、その問題を含めまして、今月、今月中に次官級の協議をロシアと日本の間で行おうということでこの問題を整理している。何とか、北方四島の帰属を明確にしない限り日ロとの間に平和条約の締結はないんだということをはっきりロシアに理解してもらうことと同時に、友好関係を発展させて、お互いの日ロ平和条約交渉に向ける環境作りに鋭意努力していきたいと思っております。
  320. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 それでは、それに基づいて、三月の中旬と聞いていますけれども、事務的な協議が始まるんですが、この事務協議は車の両輪と言っているんですけれども、歯舞、色丹、この返還の対応ですね、これは、それと国後、択捉と、この二つの委員会を両方作ってやるんですか、それとも一つ委員会でやるんですか。そして、この二つ、そういうふうに両輪でいくんだよということについての、本当に相手側は、私のいろんな調べてみる限り、なかなかそれに応じようというような動きにないんじゃないかというふうに、相手のロシアの方の動きはですね、その点はどんなふうになっていますか。
  321. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 二月の二日に私はイワノフ、ロシアの外務大臣とお話をいたしまして、そこでこれまでのすべての合意に基づき平和条約締結交渉を継続していくということを再確認をいたしました。  明日からモスクワで次官級の会談が始まりますが、そこでは四島の帰属の問題を含む平和条約交渉にかかわるすべての問題につき議論をすると、実質的かつ具体的に議論をすると、そういうことになっております。
  322. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 問題は、車の両輪という形で森前総理もおっしゃいました、今も総理もおっしゃいましたが、その展望というのは本当に開けてくるんだろうかなと。その見通しというのか、そういった点については、外務大臣、確固たる、これはもう相手のあることですから、もちろんそう簡単ではないと思いますが、本当にその問題がそれで片が付くのかなと。  先ほど実は条約局長が言ったように、一九五六年に平和条約を結ぶというのは、平和条約というのは最終的には領土画定ですよね。そうしたら、歯舞、色丹を返してそれから平和条約を結ぶといったら、常識的に考えればそこで領土問題は終わってしまうという理解になりがちなんで、また、そうなるのがその一九五六年のいわゆる通常の理解だと思うんですよね。ですから、そうではないというのはこの九三年の東京宣言が加わっているんですが、余り九三年の東京宣言のことについてプーチンさんもおっしゃっていないんですよ。そこが非常に我々も心配だということなんですが。  もう一つ、私はやはり、その歯舞、色丹の問題以上に、国後、択捉の問題を含めて、これを返還していくのには物すごく大きな条件が必要な気がするんですね。総理さっきちょっとおっしゃっていましたけれども、後半。  ユーラシア外交ということを一九九七年の七月に橋本元総理が経済団体のところでお話しなさっているんですが、それは御存じでしょうか。
  323. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 承知しております。  シルクロード等の関係の国との友好関係を再度見直そうということでございます。
  324. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そのときに橋本三原則というのが出てくるんですよね。その橋本三原則ということについてはどのようにお考えでしょうか。  外務大臣──駄目だよ、事務方でこれを答えちゃ。だってこれ、かつての元総理が日本の外交の基軸として出した中身について、それを事務方が言っちゃ駄目ですよ。
  325. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 橋本総理がユーラシア外交ということをおっしゃられたということは、私も承知をしております。これは、従来の地域的な発想を超えて、ロシア、中国、韓国、中央アジア、そういったシルクロード地域との関係を新たな視点からとらえようということであるというふうに聞いております。  先ほど委員がおっしゃられた三つの柱というのは、対ロ外交、対中外交、そして対シルクロード外交だと承知をしております。
  326. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 全然分かっていないですよ。  三つの原則をおっしゃっているんですよ。それは、一つは相互の信頼です。二つ目はその相互利益です。それから三つ目が長期的な利益です、長期的に考えていきましょうと。  この中で、実は一九九七年の経済同友会での橋本発言があって以降、日ロ関係というのが大変前へ進んで、クラスノヤルスク合意だとか、あるいは川奈の会談とか、西暦二〇〇〇年までにこの領土問題を解決しましょうという大きな動きがあったわけです。  なぜかといったら、私はやはりそこに、我々ももちろん要求するけれども、ロシア側も実は非常に日本に頼みたいということがある。経済的な交流もそうだと思うんです。  問題は、そこのところをきちんとやはり、先ほどの固有の領土論というところから出発しちゃうと、どうしても固有の領土で、実はというのはある、経済的な協力も非常に限界が起きるんじゃないですか。鈴木宗男さんのように、そこで個別利害を、私は、政治家の利害をそこで求めていくということは絶対やっちゃいけないことだけれども、しかしこの橋本外交で示したことというのは、かつて、あ、これは日ロの間に新しい展開が開けるかなと、こう思った実は大変重要な、私、ユーラシア外交という原則だと思うんです。  これに基づいて、実は一面、私は二つの委員会を設けて、歯舞、色丹の委員会とそれから国後、択捉の委員会が一緒にやれば話が進むというもんじゃないと思うんです。  このいわゆる新しいユーラシア外交というようなものを持って、そして、対ロシアと日本との間が、本当に大きな経済的な交流も含めて展開をしていかない限り、実はその、いわゆる先ほど申したジレンマに陥っているんですよ。一九五六年の日ソ共同宣言で歯舞、色丹の、それで平和条約と、領土画定と。それを、いや実は国後、択捉も我々はあるんだということを主張してきて、東京宣言まで来て、その東京宣言の実現のためには、何か私たちの側がそういう大きな戦略的な視点を持たないと私はできないと思っているんですが、その点は、総理、どのように考えておられますか。
  327. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、北方四島の帰属を明確にしない限り日ロ平和条約は締結しないと、交渉は進展しませんよということでは困ると。お互いが交渉を進めていくうちに、相互互恵、プラスになるんだという観点からこの日ロとの交渉を始めようと。  そして、ロシアに大きな変化が起こりました。ソ連からロシアへ変わったと。統制経済、社会主義経済から民主政治体制、市場経済。これは世界に大きな期待を与えていると思います。日本にとりましても、同じ政治経済体制で価値観を共有する政治体制、経済体制をロシアが志向するというんだったら、このロシアを支援していこうと。  そういう中で、領土問題を解決していこうという一環で橋本元総理が、シルクロード・ユーラシア外交、今までのソ連からは違いまして、中央アジア、あのコーカサスの地域の取組方を見直そうと。新しい視点から対ロ外交、対中外交を考えてもいいのではないかという観点でありまして、私は、まず友好関係の中でこの領土、友好関係を発展させていく中で領土問題を解決していこうという視点も大変大事なものであると。  で、お互いの交渉によって日本もロシアも発展していくんだという友好的な環境作りも、この領土問題解決には大変重要な視点ではないかと思っております。
  328. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 もう時間が来たんで最後になりますが、私ども民主党は、決して北方四島をあきらめているとかということでないんです。  問題は、それをどう返していくかというときに、先ほどのいわゆる実効支配をしているソ連の不正常な状態をどうやって解決するかという問題ですから、その点は先ほど時期をおっしゃいませんでしたけれども、今の政権として本当に対ロ、特に北方領土に対する見解の整理を早く私はお願いを申し上げたいというふうに思います。その上で進めていただきたいと思うんですが。  最後になりますけれども、いわゆる、扇大臣にも、実は鈴木宗男さんの調査報告書が何か出たというような、多分国土交通省の中で、それは私どもに提示していただけるんでしょうか。それだけ申し上げて、終わりたいと思います。
  329. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) おっしゃるように、今朝も私、記者会見しておりますので、御必要であれば御提示させていただきます。
  330. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 お願いいたします。  終わります。
  331. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 以上で若林秀樹君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  332. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 次に、遠山清彦君の質疑を行います。遠山清彦君。
  333. 遠山清彦

    遠山清彦君 公明党遠山清彦でございます。  本日、初めて予算委員会質問させていただきます。しかも、今日は与党から一人で質問でございまして大変心細い気持ちがいたしますけれども、三十分という短い時間でありますけれども、全力で質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、一言申し上げたいと思います。  国民は今、大変に景気が厳しくて、毎日苦しい生活を送っております。そのような中で、外務省におきましてはこの機密費の不正流用の問題、また裏金工作の問題、そして公金の私的流用の問題、デンバーの総領事の話が記憶にありますけれども、また前外務大臣の時代の省内のごたごた、そしてまた今回、この鈴木代議士との関係で様々な利権誘導の疑惑が出ております。  これに対して国民は大変に強い不信感と怒りを持っているということでありまして、本当に私のところにもメールが参りますけれども、こんな大変なときに政治家や役人は何をやっているのかと、我々の税金を一体何だと思っているのかという声がございます。また、国際的にも、テロ対策やあるいはアフガン復興支援、またパレスチナ問題など深刻な外交課題が山積をしております。    〔委員長退席、理事野沢太三君着席〕  そういう状況の中で、日本はまだまだなかなかこういう問題に対処できるような状況ではなくて、国際的にある意味ひんしゅくを買っているというような状況でございまして、私は、この内外の強い批判を政府もまた国会も真摯に受け止めて、総力を挙げて外務省改革に全力を尽くしていかなければならないということをまず強調させていただきたいと思います。  最初に、総理にお伺いいたします。  昨日の鈴木宗男衆議院議員の証人喚問についてですが、総理は昨日の夕方の自民党の役員会で、報道によりますとこのように発言をされております。「自民党への信頼、政治への信頼のため、きちんとしたけじめある対応が必要だ。政治倫理の問題に逃げずにしっかりと取り組んでほしい」と、総理が御指示されたというような報道がされておりますけれども、総理は国民がこの問題に関して求めているきちんとしたけじめある対応というものは具体的にどういうものとお考えか、お話しください。
  334. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) まず、政治家と役所、官僚との交渉、付き合いというものはどうあるべきかと。そして、今回の委員会で指摘された事実に見られるような政治家と政治資金の在り方、さらに政治改革という問題を考えますと、今までの法律でこのような不祥事の再発を防止できるんだろうかと、もう一段と改善の余地があるんじゃないかと。それはあっせん利得罪に関しましても、あるいは公共事業の入札の問題に関しましても、もう一段の取組も必要ではないかと。今回の問題を政治改革へつなげていこうという、再発防止に資するような改革をしていこうという国民の声を真剣に与党としても自民党としても受け止めるべきだと。  そういう観点から、今回のいろいろな質疑を聞いて、私は受け止めておりますし、昨日の証人喚問問題もこれからの建設的な政治改革の一環として、一つの改革を実際に示せるような対応が必要だなと思っております。
  335. 遠山清彦

    遠山清彦君 私は、連立与党の一員といたしまして、小泉総理の掲げる構造改革、また景気回復のために全力で協力をしていきたいと決意をしているわけでありますけれども、今回のような不祥事が自民党から続きますと、正直申しまして大変困惑をいたしておるところでありまして、どうか総理におかれましては、自民党総裁でもございますし、機を逃さず強いリーダーシップを発揮していただいて、的確かつ迅速な対応を取っていただきたいと要望するわけでございます。  さて、次に政と官の問題、総理も今言及されておりましたけれども、これについてお聞きいたしますが、報道によりますと、小泉総理は、今回の事件も受けまして、官僚と政治家が接触したときの記録を、メモに残っているわけでありますけれども、それを情報公開の対象にしようというようなお話をされているということなんですけれども、これに関しまして、私は、確かに議員による私利私欲に基づいた不当な圧力や介入というものは、やっぱりこれは排除していかなきゃいけないというふうに思うわけですが、しかし、その官僚側が作るメモだけが後々議員と官僚のやり取りの唯一の証拠になるということであれば、可能性としてですが、役人の方がメモの内容を改ざんしたりとか、あるいは議員の口調をちょっと恫喝調に変えたりとか、そういう可能性が出てきてしまうと。そうなると、議員の側も今度は警戒をして、じゃ私たちも記録を取ろうということになって、隠しテープを使ったりとか、いろいろすることになってしまいまして、そうすると、議員と官僚の関係が不信と警戒を前提にして作る、作らなきゃいけなくなってしまうと。私、これは必ずしも建設的な話ではないと思うんですが、総理の御感想をお願いいたします。
  336. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) そういうことも十分勘案して、だからこそ、どういうメモを残すべきかと。  また、官僚と政治家とのいろいろな交渉事が、実際の法案等、いろいろあります。その際には、独断とかあるいは偏見とか改ざんとかないような形のメモの残し方、あるいはそのメモが、一人だけではない、公正なものになるかという点につきましても、各役所で今在り方を検討してほしいというところでありますので、必ずしもすべてのメモを逐一取ればいいというものでないのは今御指摘のとおりであります。  どういうメモを残すべきか、また、政治家から役所の方に働き掛けがあった場合には、評価とか監視とかチェック体制、どの程度まで上げて公開の対象にするべきかという点も含めて、よく在り方を検討してほしいということでございます。
  337. 遠山清彦

    遠山清彦君 総理、今、各省庁で検討するようにということでありますけれども、これは国会議員にもかかわる話ですので、これは与党だけの話かもしれませんけれども、我が党の神崎代表が昨日、与党でこの政と官の在り方について協議機関を作った方がいいんじゃないかというようなことも提案しておりますので、是非国会議員も入れた形でこの議論を進めるべきだというふうに思っております。    〔理事野沢太三君退席、委員長着席〕  それからもう一つ、報道で明らかなところによりますと、総理が、総理は以前イギリスに留学をされていたということで、私も六年イギリスに留学しておりましたので気持ちは分からないではないんですが、いわゆるイギリスでは官僚が自分が勤める省庁の大臣や副大臣、政務官以外の政治家とは原則会わない、会うことを禁じられているということで大変有名でありまして、何か野党の方でも自由党さんがイギリスのこれをモデルに法案を作るなんという話がありますけれども、これは実は野党にすごく不利な法案になると思うんですが、しかし私は、このイギリスの制度をそのまま日本に即、表面的にいいからということで持ってくるのは非常に危険な要素があるというふうに思っております。  なぜかと申しますと、イギリスの公務員というのは、一九三一年の王立委員会の定義によれば、国王に仕える者、英語で言うとサーバンツ・オブ・ザ・クラウンというような位置付けになっておりまして、これは現代的な解釈では、国王は統治権を持っておりませんから実態上、時の政府の、政府・与党の奉仕者ということに解釈されておりまして、ですからイギリスの公務員は政府内に入っている政治家にしか会わなくていいわけです。  じゃ、一方、日本の公務員はどうかというと、日本の公務員は、例えば国家公務員倫理法第三条に明らかに規定されているように、「国民全体の奉仕者」というふうに定義をされております。しかし、役人の皆さんは選挙で選ばれていないと。そうなってくると、国会議員は、与野党を問わず、政府内にいるいない問わず、これは国民に選ばれておりますので、しかも憲法上、四十三条上、全員が国民全体の代表者という立場でありますから、たとえ野党だろうが与党だろうが、政府の中にいようがいまいが、国会議員の意見を無視するというのは、これは憲法上もできない、法的、倫理的に日本の公務員が与えられた立場からするとできないというふうに解釈を私はしておりますけれども、これについて総理のお考えをお聞きしたいと思います。
  338. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、当初から、与野党を通じて国会議員が役所に、役人に何を言っても結構だと。役所も、どの政党の議員と付き合ってはいけないとか付き合っていいとか、そんなことはするべきでもないし、与野党を通じていろいろな意見を聞くのはこれは必要だろうと。ただし、その意見が適切であるかどうかということはよく点検する必要があるということを言っているのであって、それはもう国会議員との接触を与党だけにする、内部に入っている人だけに限るということになると、国民の声を逆に聞けなくなりますよ、役人が。  だから、その点は、私はイギリスの制度をそのまま今の日本に当てはめるのは無理があるんじゃないかと。国会議員は、やっぱり国民の声を役所の責任者にぶつけたいという気持ちは与野党を通じてあるでしょう。それまで禁止してしまうというのは逆に国民から批判を浴びるのではないかという点もありますので、この点は同じ議院内閣制を採っている国でも直ちにそのまま日本に当てはめていいとは私も思っておりません。
  339. 遠山清彦

    遠山清彦君 ただいまの総理の発言、大変心強く思います。  そこで、私、今ちょっと、報道で聞いた総理の発言をちょっと否定するというか、慎重にというような歯止めの話ばかりだったんですが、私の方から、今回の鈴木代議士をめぐる一連の疑惑のようなことを再発防止するという意味で、一つ具体的な提案をさせていただきたいと思います。  私、今回、川口大臣が園部元最高裁判事をトップにした、内部調査ではありましたけれども、外部の方を入れて調査をしたということを大変高く評価をしております。  ただ、今回の場合、非常に臨時でありましたし期間も短かったということで、私の提案は、やはり政府の外の専門家で構成される、ある意味恒常的な独立の倫理審査機関というものをまず設置をいたしまして、例えば、仮に議員から不当な介入、圧力があり、それが執拗に繰り返されて、場合によっては人事を盾に取って恫喝をする、そして公正な行政府の職務の遂行が妨げられるといった場合に、この独立機関で審査をして、ただし議員の側も申し開きというか自分たちの意見表明をする場が必要だと私は思いますので、現在、衆議院、参議院両方にあります政治倫理審査会、これをちょっと改組いたしまして、例えば、平成九年、民間政治臨調が出している改革の提言なんかによりますと、この政治倫理審査会に証人喚問権を付与して、併せて専門の調査スタッフを強化するというようなことを提言しているわけですが、事実上余り活発に活動していないこの両院の政治倫理審査会をもうちょっと積極的に使って、もしそういう介入とか圧力の不当な、不適切なものが繰り返されて、それで役人側が困ったときは、その独立機関が審査して報告をして、その報告に基づいてその当該議員がこういう政治倫理審査会の場で釈明をして、それを聞いた上でその政治倫理審査会として必要な措置を勧告すると、こういうような制度を作ることが、これは役人側にとってもあるいはその議員側にとっても公平な形で不正な動きを防止することができると思うのですが、総理の御感想をいただきたいと思います。
  340. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 政治倫理審査会というものがあるにもかかわらず、なぜ証人喚問が予算委員会でやらなきゃいけないのかと、私も常々疑問に思っております。国会の機能をもっと生かしたらいいんじゃないかと。  そういう点から考えれば、私はもっと、いろいろな委員会があるわけですから、委員会の機能を有効に国会の方も活用した方がいいのではないかと。政治倫理審査会で証人喚問をやったことがなくて、証人喚問というと大体予算委員会ですよね。だから、こういう点も含めて、いろいろな委員会があるわけですから、私はもっと、政治倫理の問題あるいは政治姿勢の問題あるんだったらば、現在ある政治倫理審査会の生かし方というのももっと工夫してもいいんじゃないかと、そう思っております。
  341. 遠山清彦

    遠山清彦君 ありがとうございました。  時間がないので、次に外務大臣外務省改革についてお伺いいたします。  私、今、外務省に必要なのは新しい血であるというふうに思っております。そういう意味で、川口大臣環境大臣になられる前、かなり長い間民間におられたということで、日産のゴーン社長ほどドラマチックじゃなくても、川口大臣の時代にこの外務省改革、徹底してやっていただきたいというふうに願っているわけですが。  そこで、まず最初にお聞きしたいんですけれども、閣僚や公式の政府代表として国会議員が海外訪問に行く場合を除いて、私的な議員の海外渡航あるいは海外訪問に役人が同行するということが今回あったわけですけれども、それは禁止すべきであると思いますが、外務大臣、いかがですか。
  342. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 全体としては政と官の議論の中でお決めいただく話だと思いますけれども、私は、私用でというときのその私用というのが何かということが一つ大きな問題になると思います。例えば、その政府の外交の、外交政策上、それと一致するようなそういう目的のために行ってくださるという国会議員の方がいらした場合に、そこをどう考えるかということが一つの大きなかぎになってくるだろうと思います。この基準が私はきちんとしていることが大事だと思いますけれども、閣僚あるいは閣僚以外の人が、以外の国会議員が海外に行くときに全く役所がお手伝いをしないでいいかというと、必ずしもそうでないだろうと思いますし、どこかでその辺のラインがあると思いますし、そのラインは必ずしも、ケース・バイ・ケースで判断されるべき場合もあると思っています。  いずれにしても、これは非常に複雑な問題でも、そのガイドラインをどこに置くかということは複雑な問題でもありますので、これも外務省としては制度、変える会で一度議論をしたいと思いますし、していただきたいと思いますし、政府全体としても議論をすべき問題ではないかと思います。
  343. 遠山清彦

    遠山清彦君 外務大臣、私、個人的にはちょっと今の御答弁、納得しないところございまして。というのは、私的な、今の外務大臣のお話ですと、私的な用事で行っても、私的な訪問の中にまた公的な部分と私的な部分があるような感じで受け取られかねない御答弁だったというふうに私思っておりまして、また私的に議員が海外へ行ったときも、そこの、行った先の在外公館に外務省の方がいるわけですから、私が申し上げたいのは、わざわざ本省から役人が同行する必要はないじゃないかと。現地で、大使もいるんですし、公使もいたりとか書記官とかいるわけですから、その方々の対応で先ほど外務大臣がおっしゃっていたことは十分間に合うんではないかと、そういう趣旨でございますので、是非、本省からわざわざ同行して、私的な議員の海外渡航に行くということは禁止をしていただきたいというふうに思います。  次に、先ほども民主党の方からお話ありましたが、やはり川口大臣も民間御出身ということで、外務省内のポストに民間から人材登用をするということを積極的にやっていただきたいと。  そこで、今後やられるということなんですけれども、そのやられる改革が本当に成果上がるかどうか、これ非常に国民注目しているところなわけですけれども、それと比較する意味で、過去十年間に外務省がどれぐらい民間から一体採用してきたのかと、それから大使クラスでどれぐらい採用してきたのか、またキャリア、ノンキャリアで民間から中途採用した実績をお伺いしたいと思いますが、これは官房長ですね。
  344. 北島信一

    政府参考人(北島信一君) 現在、現職の民間出身大使の人数は二名でございます。戦後の民間出身大使の延べ人数は十四名ということでございます。  それから、これまでの民間からの外務省における採用職員の数ですが、いわゆる事務系職種の中途採用者数、これについては年によって変動がございますけれども、おおむね十から二十名ということになっております。  中途採用者につきましては、採用時に、それまでの職歴、年齢、経験年数等に応じて専門職扱い、又はⅢ種扱いといった資格区分が決定されます。中途採用者がその後の勤務成績に応じて専門職扱いからⅠ種に、又はⅢ種扱いから専門職に登用されること、これは当然ございます。  いずれにしましても、人事制度改革の一環として、能力のある者を任用していくということでやっていきたいと思っております。
  345. 遠山清彦

    遠山清彦君 分かりました。  私、今、手元に外務省からいただいた資料がありまして、過去十年間、中途採用で民間から採用された職員というのは、在外と本省合わせて平成四年度から平成十三年度まで百二十四名。平均で大体十二名前後ということになっておりまして、ただ昨年度は二名だけで、その前は四名だけということです。大使のお話は、現在、全大使の中で民間出身はお二人ということでありますけれども、過去十年間で見ても五人しかおりません。  そこで、外務大臣一つだけ確認したいんですが、先ほど外務大臣が、十人ぐらい、川口大臣のこの改革の中で十人ぐらい局長とか大使のポストを民間からというお話があったんですが、ただ、私、先ほどの答弁聞いておりましたら、この十人のうち、民間からのウエートを大きくしますという言い方をしていたんですね。それは、私はどう解釈したかというと、外務省の外から大使を入れると。つまり、民間プラス他省庁という可能性あるわけですね。ここに私が持っている資料、他省庁及び民間出身の大使、過去十年とありますけれども、圧倒的に他省庁出身の大使の方が多いです。他省庁出身大使が二十名、民間出身大使が五名ということで。  ですから、外務省の外という意味では同じ枠なんですが、私は是非、これ逆転するぐらいでいいんじゃないかと。他省庁からだとやっぱり役人から大使を出している。外務省の外ですけれども役人からだと。民間からより多く出すということをこの場でお約束いただきたいと思いますけれども、よろしくお願いいたします。
  346. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) まず、先ほど十名と言いましたのは、当面、夏ぐらいまでの間にやることでございまして、またその後更に考えたいと思っております。  それから、その十名というのは、それは全部が大使ということではございませんで、本省の局長級、審議官クラス、課長クラス、様々ございますので、大使でどれぐらい民間の方になるか、十名のうち、ということはよく分かりませんが、少なくともその十名のうちに含まれる大使の方について言えば、他省庁の人は今そこには入れておりません。  それから私は、民間か他省庁かということでございますけれども、基本的に適材適所ということで考えるべきだと思っておりまして、民間だからいい、他省庁だからいいということではないと思っています。  私、自分自身で官庁から民間企業に行きまして、実は目の上のうろこが落ちる気持ちがいたしました。また、民間企業から今度は閣僚という形でこの世界に入りまして、また目の上のうろこが落ちる気がいたしました。それはやはり発想が違うということについて刺激を受けるということでございまして、外務省にとっていいますと、他省庁であっても民間であっても発想の刺激を受けるという意味では全く同じ効果があるということでございますので、適材適所でやるということを原則に、私は、民間企業からできるだけの方に来ていただきたい、できるだけ民間企業にいらっしゃる適材を発掘をさせていただきたいと思っております。
  347. 遠山清彦

    遠山清彦君 時間がありませんので、次にNGOと外務省の関係についてお伺いをいたしたいというふうに思います。  今回の鈴木宗男さんの事件もある意味NGOの参加拒否問題から始まっているわけでありまして、私は、国際社会の人道支援の分野においてはNGOと政府機関、これは日本に限りませんけれども、重要な今パートナーである、補完関係にあるというふうに思うわけであります。その一つの大きな理由というのは、政府機関が人を送れないような危険な地域あるいは紛争状況によって危険な段階でもNGOは人を送っているという現実が私はあると思うんです。  そこで、最初に簡単に確認したいんですが、政府はたしか外務省の海外危険度一、二、三、四、五と、五に行くまで上がるわけですけれども、このスケールでいうと三以上の、海外危険度が三以上の地域には政府機関、これはJICAとか青年海外協力隊も含めて人を送ることはできないと思いますが、これは間違いないですか。
  348. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 例えばJICAの例を申し上げさせていただきますと、危険度三の国で原則業務目的の渡航は見合わせるということになっております。
  349. 遠山清彦

    遠山清彦君 今御答弁にあったとおりで、海外危険度が三以上の地域では日本は人を送って活動できないということなんですね。ところが実際に、日本のNGOも含めて、また海外のNGOも含めて、こういう海外危険度、日本外務省でいえば三、四、五、私も実は五の場所に行ったことがありますけれども、非常に危険な地域で、ある意味命懸けで人道支援をやっている。また、危険度が三以上のところほど緊急の人道支援が必要だという意味で、私は是非、今、日本外務省もODA白書に書いてあるとおり顔の見える援助というものを前に出しているわけですから、このパートナーとしてはやはり人的にはNGOしかない。これは、政府は人が死ぬかもしれないところに人を送るというのはなかなか難しいところがあるわけですから、そういう意味ではNGOの重要性をやはりしっかりと理解をしていかなきゃいけない。  今回の、鈴木さんの問題というよりもNGOがアフガンの復興支援に参加拒否をされた問題で、国民の中には、政府とNGOの関係が大事なアフガン復興支援、小泉総理が国際公約されてきたアフガン復興支援を前にNGOと政府の関係が非常に悪化をしてうまくやれないんじゃないかというような危惧があるんですけれども、川口大臣、それはもう杞憂である、政府としては今まで以上にNGOと連携を密にしながらアフガン復興支援を始めとして人道支援をやっていくんだという御決意を是非言っていただきたいと思うんですが、いかがですか。
  350. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 政府とNGOの方々との連携は重要だと考えております。私としても、少し時間ができた段階でといいますか、できるだけ早くNGOの方々ともお会いをいたしたいと思っています。
  351. 遠山清彦

    遠山清彦君 ありがとうございます。  是非、川口大臣に直接NGOの皆さんと会って意見を聞いていただきたいと思いますが、最後にこの件で提案がございます。  それは、やはり政府とNGOの意思疎通というか、やっぱり今回の事態でもいろんな誤解とかあったというふうに私、思うんですけれども、そういう意思疎通を円滑化する枠組みとして、現在の外務省の体制は非常に不十分だと私は思っております。  スウェーデン、そこで参考になるのがスウェーデンの政府だと思うんですが、スウェーデン政府は、同国政府外務省の中に一九七四年以来NGO担当大使というものを置いております。この大使は、常に政府とNGOの連携、連絡役をやっておりまして、人権とか開発とか環境の分野において、NGOの側には政府の今の取組をしっかり逐次教えると、政府側にはですね、済みません、NGO側には政府の取組を教えると。政府側に対してはNGOの意見とか活動についてしっかりと報告をしていく。  ちなみに、このスウェーデンのNGO担当大使は、NGO関係のいろんな国際会議も出席、常にして活動的にやっておりまして、その内容を報告書にまとめて、そして外務省だけじゃなくてほかの省庁にも関係のあるところには提出をしているわけでございます。  外務省は軍縮問題の担当大使とかイシュー別の大使、もう既にありますから、是非、川口大臣、最後に、日本政府もこのようなNGO担当の大使を新設をすることを真剣に検討していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  352. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 委員から大変に興味深い御提案をいただいて、私なりに勉強をしてみたいと思っておりますけれども、このスウェーデンのNGOの大使の制度、それなりに当初非常に効果があったと聞いていますけれども、同時に、十年ぐらいたったときに、対応すべきNGOの方々がもうたくさんの違うジャンルにいらっしゃるNGOの方々で、一人の大使では対応できなくなって、それぞれの担当部局が対応するようになったということも聞いておりまして、そういったことも踏まえまして勉強はいたしたいと思っています。
  353. 遠山清彦

    遠山清彦君 終わります。
  354. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 以上で遠山清彦君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  355. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 次に、小池晃君の質疑を行います。小池晃君。
  356. 小池晃

    ○小池晃君 日本共産党の小池晃です。  まず最初に、北方四島支援事業の問題についてお聞きをしたいというふうに思います。支援事業で建造されたはしけ、希望丸の入札をめぐる問題であります。  最初国土交通省の政府参考人にお伺いをしたいんですが、北海道開発局は入札に当たって船を造ったりする場合の参加資格というのをランク付けをしていると思うんです。船舶の製造でAランクそれからBランク、これらの企業が受注できる価格というか、そういう価格帯、それぞれ幾らになっているか、お示しいただきたいと思います。
  357. 林延泰

    政府参考人(林延泰君) ただいまの御質問にお答えいたします。  北海道開発局が発注する船舶の発注標準でございますが、平成九年度、十年度の北海道開発局発注の船舶機械の製造におけますAランクの場合の発注標準の金額は一千五百万円以上、それからBランクの場合の発注標準の金額は三百万以上一千五百万未満でございます。
  358. 小池晃

    ○小池晃君 当時、Aランクの企業は北海道で何社ありましたか。企業名もお示しいただきたいと思います。
  359. 林延泰

    政府参考人(林延泰君) 平成九年度それから十年度の北海道開発局のAランク企業は、船舶機械製造で二百七十三社でございますが、このうち営業品目に船舶関連を含む企業は三十三社でございます。  三十三社の……
  360. 小池晃

    ○小池晃君 船舶だけで。
  361. 林延泰

    政府参考人(林延泰君) 三十三社でございます。船舶関連ということで拾い上げましたら、三十三社ございました。
  362. 小池晃

    ○小池晃君 それの中に根室造船は入っておりますか。
  363. 林延泰

    政府参考人(林延泰君) お答えいたします。  この中には根室造船は入っておりません。
  364. 小池晃

    ○小池晃君 希望丸の建造を入札した根室造船は、そうするとどのランクだったんでしょうか。
  365. 林延泰

    政府参考人(林延泰君) Bランクでございます。
  366. 小池晃

    ○小池晃君 根室造船はBランクなんですね。これ、Bランクというのは、先ほど御説明があったように三百万円以上千五百万円未満の船しか受注できない会社であります。ところが、その根室造船が一億円以上のはしけ希望丸、一億円で受注していると。何でそんなことができたんだろうか、私、これ聞いて大変不思議に思ったわけであります。  外務省にお聞きしたいんですが、希望丸の入札参加資格は、北海道開発局の競争参加資格ではどのランクというふうに示したんでしょうか。
  367. 齋藤泰雄

    政府参考人齋藤泰雄君) 希望丸の入札参加資格でございますが、A又はBに格付されたものであることということになっております。
  368. 小池晃

    ○小池晃君 これ、私、大変おかしいと思うんですね。何でこんなことになったんだろうかと。だって、参加資格ランクAだったら分かるんですよ、これは一億円の船を造るわけですから。ところが、Aだけじゃなくて今度の入札参加資格はBランクも参加できた。すなわち、どういうことかというと、一億円以上掛かるような船を千五百万円未満の受注しかできない企業も参加して、入札参加資格を設定して、結論としてはそのBランクの千五百万円未満の船しか造れない根室造船が受注したわけです。これ、もう一つのはしけ友好丸も全く同じなんですね。友好丸はもっと値段高いんですよ、一億八千万円。根室造船に入札されている。  これ、私、今回の入札ならば、本来は入札資格というのはAランク、つまり千五百万円以上の受注ができる企業に限定されるはずなんです。これは入札参加資格のねじ曲げですよ。何でこんなふうにA又はBとしたのか、これ、お答えいただきたい。
  369. 齋藤泰雄

    政府参考人齋藤泰雄君) 園部参与に調査していただきまして報告書が出されておりますけれども、その報告書の中で、希望丸につきまして、「当初の審査基準を一部緩和したことを示唆する文書がある」というふうに記載されております。  それで、これについて調べましたところ、支援委員事務局の文書として競争参加資格審査結果報告書というものがございまして、その中に、なお、審査の過程において地元企業も競争に参加させるべきとの政策判断に基づき、当初の審査基準を一部緩和した経緯がありますという記述があることがわかりましたけれども、それから、審査基準を一部緩和いたしました際に根室造船が念頭にあったことをうかがわせる手書きの書き込みのある文書が存在しておりますが、今回の調査におきまして、聞き取り調査等によりましていろいろ調べたわけでございますけれども、この意味するところについてこれ以上確認することはできなかったということでございます。
  370. 小池晃

    ○小池晃君 これね、重大な事実ですよ。これね、つまり、もうはっきりしていますよ、根室造船にやらせるために入札参加資格をねじ曲げたんですよ。これ、今の文書を直ちに提出をしていただきたいというふうに思います。  これ、はっきりしたと思うんですが、この決定過程において、根室造船に何とか仕事を回したい、そのためにはAランクという資格では駄目だ、だから無理やり千五百万円未満の船しか造れないようなBランクということにしたわけですよ、広げたわけですよ。これ、私、一連の経過から見て、この政策決定過程の変化、これは正に鈴木宗男氏の働き掛けがあったからだというふうに思わざるを得ないんですが、どうですか、違いますか。
  371. 齋藤泰雄

    政府参考人齋藤泰雄君) 先ほど申し上げたとおり、文書がございましたけれども、その趣旨を今回の調査において鋭意解明すべく努力いたしましたけれども、確認することはできなかったということでございます。
  372. 小池晃

    ○小池晃君 こんなのじゃ話にならないですよ。こんなことで、外務報告書で解明しましたなんてとても言えません。  総理、私、今この問題明らかにしました。これは明らかに根室造船に落とすための何らかの力が働いた。これ、だれが見てもはっきりしていると思うんですね。これ、私、この問題は徹底的に解明する必要がある。これ、ムネオハウスと、私、同じだと思うんですよ。結局、はしけについては鈴木議員の関与は確認されなかったというのが報告書の結論ですけれども、私、これ、はしけだって真っ黒だというふうに思うんです。  総理、これ、どうですか。これ、解明する必要あると私は思うんですが、認識を伺いたい。
  373. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今、外務省の調査を基にして質疑が行われているわけであります。この質疑の指摘に対して、疑問があればその解明に外務省は努力すべきだと思います。
  374. 小池晃

    ○小池晃君 これ、私、当然直ちにやるべきですよ。こういう重大な疑惑、報告書の中読んでも、この根室造船に落とすようなことになっているなんてことは書いてなかったわけですから、これは直ちに明確にすべきだ、この問題について再調査すべきだと。  外務大臣、どうですか、直ちに再調査するとお答えいただきたい。
  375. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 今、齋藤局長がお話を申し上げたことは、多分決裁文書であったかなというのはちょっと私、今確認ができませんが、思いますけれども、その過程でだれかがペン書きでそこを書き込んでいるということではあるんですけれども、じゃ、だれがどういう経緯でそれを書き込んだかということについて、私、聞きましたけれども、これについてはよく分からない、経緯を語るものは何も残っていないということでございまして、その結果として報告書に、経緯、鈴木議員の関与については明らかではないというふうに書かせていただいたわけでございます。
  376. 小池晃

    ○小池晃君 もう、私、この外務省の報告書の中身というのは、私どもが国会で追及したら、はい、そうですと。追及して出てきたら、はい、そうですと。今の問題だって聞かなきゃ分からなかったです。こんなにはっきりした手書きのメモがあったなんてことは私が質問して初めて出てきた。こういう姿勢では真相の解明できないということを申し上げたいと思う。  同時に、ムネオハウスも、これ、取り上げたいと思うんですが、ちょっとその問題で一点お聞きしたいんですが、この外務省の報告の中にある公開された内部文書、内部資料によれば、これ、九九年五月二十七日に鈴木宗男氏がこう言ったということで記載あります。根室管内にムネオハウスを造る場合の企業として、根室管内にBランク以上は何社かと質問しているわけですね。これ、質問している以上、その後もちろん説明に行ったと思うんですが、そのことについて事実関係をお示しいただきたい。
  377. 齋藤泰雄

    政府参考人齋藤泰雄君) 検討結果を説明に行ったというふうに理解しております。
  378. 小池晃

    ○小池晃君 いやいや、どういう中身を説明したのかと。いつ説明に行ったのかということを説明していただきたい。
  379. 齋藤泰雄

    政府参考人齋藤泰雄君) 二十七日に行ったときのやり取りは公表させていただいたメモにあるとおりでございますが、その結果について、検討結果をいつ報告に行ったかということについては、明確な日にちは覚えていないということであったかと思います。
  380. 小池晃

    ○小池晃君 覚えていないというのはどういうことですか。だれが一体覚えていないんですか。
  381. 齋藤泰雄

    政府参考人齋藤泰雄君) この二十七日に参りました者が、結果を報告したと思うと、しかし日にちは明確に覚えていないと、こういうことだったと思います。
  382. 小池晃

    ○小池晃君 これね、これもひどい話ですよ。これ、鈴木宗男さんと同じですよ、答えは。鈴木宗男さん、こう言っているんです。そういう個別の業者の名前の説明を受けたという記憶はございません。外務省はどうか。担当の説明に行った人は覚えていません。両方とも覚えていないと。これは正に鈴木宗男さんと外務省が一体となって真相を隠しているということじゃないですか。  これ、明確に答えていただきたい。これ、説明文書があるんですよ。この外務報告書の十五ページにちゃんと根室管内は一社だと、渡辺建設工業だと。だから、この内容で説明したに決まっているじゃないですか。これ、説明に行ったということを確認直ちにしていただきたいと思うんですが、どうですか。
  383. 齋藤泰雄

    政府参考人齋藤泰雄君) その申し上げておりますのは、説明に行ったと思うと、しかし明確な日にちについては記憶にないというのが……
  384. 小池晃

    ○小池晃君 中身は。説明内容。
  385. 齋藤泰雄

    政府参考人齋藤泰雄君) 恐らくこういう形で公告するという話を説明したのであろうというふうに思います。
  386. 小池晃

    ○小池晃君 全然駄目ですよ。鈴木宗男さんが質問しているんです。質問しているんです。根室管内にBランク以上は何社かと聞いているんです。私は、鈴木宗男さんだったらこんな質問したら直ちに催促すると思いますよ、答えを。こんな、黙っているはずないですよ。それに答えたはずなんです。その答えの中身を教えていただきたいんです。
  387. 齋藤泰雄

    政府参考人齋藤泰雄君) 最終的な入札参加資格について、こういうことになるという説明をしたというふうに聞いておりますけれども、それがいつであったかということについては、本人は記憶してないということでございました。
  388. 小池晃

    ○小池晃君 駄目ですよ。そんなこと聞いているんじゃないんです。鈴木宗男さんの質問は、Bランク以上は何社ありますかと聞いてるんです。この質問にどう答えたのですかと聞いていますから、私はそう質問しているんですから、それに答えていただきたい。
  389. 齋藤泰雄

    政府参考人齋藤泰雄君) この五月二十七日のやり取りについてはそこにあるとおりでございまして、確かにそこで鈴木議員の方から根室管内にはB以上は何社かという質問が出されておりますけれども、その質問に対する回答を後日したのかどうかということについては、今ちょっと確認できません。(発言する者あり)
  390. 小池晃

    ○小池晃君 どういうことですか。外務大臣
  391. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 報告書の十四ページを見ていただきますと、そこの三と書いてあるところですけれども、「現在、以下の案で上げてみることを事務局と共に検討中である」と。「(来週早々にも説明に行く予定)。」というふうに書いてありまして、これが五月二十八日、何曜日か分かりませんが、その後次の週ということでして、そこで何を説明をしたかという内容については、これは外務省で資料を探しましたけれども、そのときの説明をした記録が残っておりませんので分からないんですが、内容は恐らくこの十四ページに書いてあるようなことを御説明をしたんだろうということが推測でございます。
  392. 小池晃

    ○小池晃君 推察すれば、推測すれば十四ページじゃないんですよ。十五ページに五月二十七日付けの内部資料があるんですよ。ここに根室管内Bランク一社のみ、こういうこと聞いているんですから、これを説明に行ったのに間違いないじゃないですか。どうですか。
  393. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 推測としてはそれについても御説明をした可能性あると思いますけれども、確たる、そうであるという記録が残っていないということを申し上げております。
  394. 小池晃

    ○小池晃君 さらに、報告書の四ページで、入札参加資格案について鈴木宗男議員に説明し、同議員はこれを了承したというふうにしています。これはいつだったんですか。これは説明の内容は文書になっているんですか。
  395. 齋藤泰雄

    政府参考人齋藤泰雄君) この了承したということ以外、文書において確認することはできておりません。
  396. 小池晃

    ○小池晃君 続いてムネオハウスの問題についてお聞きしたいと思うんですが、ムネオハウスの入札資格の決定について、これは報告書はこう言っているんですね。これは、当初案においては総合評定が千二百点以上であることとされていたのに対して、入札公告においては入札参加資格は同九百点以上とされていると。ここでもやっぱり最初は千二百点以上だったのが、なぜか九百点以上になった。何でこういう変更を行ったんでしょうか。
  397. 齋藤泰雄

    政府参考人齋藤泰雄君) この点につきましては我々としても大変関心のあったところでございますけれども、いろいろ文書に当たり、また関係者の聞き取りを行った結果、その経緯についてはこれを明らかにするものは見付かりませんでした。
  398. 小池晃

    ○小池晃君 これも同じように重大な問題なんです、さっきのはしけの入札基準の変更と同じようにね。これも分からないで済ませようとしていますが、これなぜ九百点に下げたのか。これ重大な疑惑があるんですよ。  外務省の報告書を見ると、経営事項審査における総合評定の点数は、九九年当時、渡辺建設は九百十六点、犬飼工務店は九百六点なんです。ということは、これで九百点という意味分かるんですよ。やっぱりこの二社に、さっきと同じなんです。さっきは根室造船に落とすためにBまで広げた、今度は渡辺建設に落とすために九百点に基準を下げた、そういうことじゃないですか。(発言する者あり)
  399. 齋藤泰雄

    政府参考人齋藤泰雄君) 先ほども申し上げましたとおり、その経緯について明らかにならなかったということでございまして、推測の域を出ないと思います。
  400. 小池晃

    ○小池晃君 財務大臣、今、そういうこっちゃというふうにおっしゃいましたけれども、やはりそういうふうに思われますね。どうですか、通告していませんけれども。質問に答えてくださいよ。
  401. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 何かそこに非常に政治的に動いているなという感じですね。
  402. 小池晃

    ○小池晃君 いやもう、本当に。  これ、国土交通省にちょっと続けてお聞きしたいんですが、渡辺建設の発注できる工事の金額はこれ九九年当時の基準でいえばどれだけの発注ができたかといいますと、一億円以上二億五千万円未満、そういうことでよろしいですね。
  403. 林延泰

    政府参考人(林延泰君) お答えいたします。  そういうことで結構でございます。
  404. 小池晃

    ○小池晃君 これまた同じなんです。ムネオハウスというのは四億円以上だったんですよ。国土交通省の入札基準でいえば、この渡辺建設の発注基準というのは二億五千万円未満ですから、とても渡辺建設が受注できる仕事じゃないんです。渡辺建設が発注、規模で発注できる工事の二倍以上の仕事なんですね。  これもやはりその入札基準が同じようにゆがめられたわけです。要するに、当初の、もう先ほど財務大臣まで政治的な背景があったとおっしゃいましたけれども、渡辺建設は千二百点では引っ掛からないわけです。だから、九百点まで合格ライン下げて渡辺建設、犬飼工務店に資格を与えたと。そうすると、広がり過ぎちゃうわけですよ。二百社になっちゃった。だから、根室管内に限定をしたと。これで、すべてこの経過が解明されるわけであります。  外務省の報告書というのは、根室管内に限定した過程に、これ根室管内に限定したところは鈴木議員が関与したってはっきり言っているんです。私、これ九百点まで下げたのも、全体の経過を見れば、これは正に鈴木議員が関与したと私見るのが当然の、普通の見方だと私思うんですが、総理、これ、どうですか。私の見方というのはちょっと特殊ですか。普通じゃないかなと思うんですけれども、どうですか。
  405. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私も、確認はできませんが、お話を伺っているとどうも変だなという気がするんですが、確認はできません。
  406. 小池晃

    ○小池晃君 私ね、これ、変なんですよ。もう明らかにおかしいですよ。この経過についても、私、徹底的に調査しなくちゃいけないと。  外務大臣、この経過についても、この九百点に下げた経過、外務報告書では分からないというふうに言っておられるけれども、私はこれは実に怪しいと。ここのところを解明することなしに、この問題での国民の疑問に答えることできないと。外務大臣、是非再調査すべきだというふうに思うんですが、いかがですか。
  407. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) この点は園部参与も非常に関心をお持ちになられて、外務省の持っている資料、あるいは人に話を聞くということで、きちんと調べてくださいました。その上で、これはもう強制権のない調査でございますので、その制約の中で園部参与は最大限の、でき得る限りの調査をやった結果をまとめたものでございまして、そういう性格のものであるというふうに御理解をいただきたいと思います。
  408. 小池晃

    ○小池晃君 そんな説明では到底これは納得するわけいかないわけであります。もう外務省の姿勢は、本当、腰引けていますよ。こんなふうに、だれが見たって常識で考えればおかしいということが一杯残されているのが今の報告書なんです。私、これ、もう徹底的にやり直しをすべきだということを申し上げたいというふうに思います。  同時に、昨日、鈴木宗男議員は証人喚問の中でこう言っております。個別具体的な企業の話はしていないというふうにはっきり言っているんですね。しかし、先ほどの外務省の答弁で、私は、こういうことを説明したというのは一社しかないんだと、根室管内には。それは渡辺建設だということを説明したということにほかならないというふうに思うんです。その点でいえば、鈴木宗男さんの昨日のこの証言は明らかに偽証であるというふうに思います。当委員会においても鈴木宗男衆議院議員を証人喚問するということを求めたいというふうに思います。
  409. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 今日の理事会において資料提出等がありましたので、もうこれは返答済みでございます。各党において審議した結果を持ち寄って理事会でお諮りするということになっておるわけでありまして、重ねての質問というふうに受け止める以外、もう質問済みでございます。
  410. 小池晃

    ○小池晃君 今朝も要求いたしましたけれども、今日の質疑を通じて新たな事実、私、出てきているということは明らかだと思うんです。そういう点ではやっぱり鈴木宗男衆議院議員を必ず証人喚問すべきだということを申し上げて、引き続き次の問題に行きたいと思うんですが、私、次に取り上げたいのは、コンゴ臨時代理大使のIDカードの発給の問題であります。コンゴの臨時代理大使のングウェイ・ンダンボ氏に対するIDカードが発給されなかった問題、このことについてお聞きをしたいと思う。  これは、着任した外交官に半年以上もIDカードを発給しない、これは結局、ングウェイさんはIDカードもらえないまま、発給されないまま交代をしてしまうわけですね。これは外務報告、これは正に異常なことだと私は思います。  外務報告書にこう書いてあります。「外交関係に関するウィーン条約上、臨時代理大使の任命には、接受国の同意は求められておらず、派遣国からの通告があった以上、IDカードを発給すべきものと考えられる」、これはもう当然だと思うんですね。だからこそ、外務省は、これはいったんは方針としてングウェイ氏にIDカードを発給する方針を固めていたと、そういうことでよろしいんですね。
  411. 小田野展丈

    政府参考人小田野展丈君) お答え申し上げます。  通常、臨時代理大使の任命には接受国の同意は求められておらず、派遣国から通告があった以上、IDカードを発給すべきと考えられます。  本件におきましては、前任者であるンガンバニ氏が離任することなく、ングウェイ氏と相争って、それぞれが自ら臨時代理大使であると主張する異常な事態が生じており、こうした事態を解決するためには、異例ではあるものの、あえて本国政府の意向を確認する必要があるとの認識がございました。しかし、その過程におきまして、中近東アフリカ局関係者が鈴木議員の秘書であるムルアカ氏の発言に影響を受けたことは否定もできませんし、また、鈴木議員の発言を受け、同議員に対する配慮を加えて方針を決定したことは問題であり、反省すべきことと考えております。  報告書の中におきましても、内部におきましてングウェイ氏に対するIDカードを発給するとの対処ぶりを内々固めたということは五ページにも書いてございます。それを受けまして鈴木議員の方から発言がございまして、これを、この意見に、発言を受けて同議員に対する配慮を加えまして、方針を改めて決定したということは報告書のとおりでございます。
  412. 小池晃

    ○小池晃君 これはいろいろと複雑な事情はあったと言いますけれども、私、経過を見ると、もう何度も何度もコンゴの側は、先方の側は意思は示しているんですよ、新しい方を正式な臨時大使であるという意思は。五月二十九日に口上書が出た。七月十八日にまたングウェイ氏任命の口上書が送られてきている。八月十四日には、駐コンゴ大使にングウェイ氏が臨時代理大使だと大統領府の外交顧問が言っている。八月二十三日にも同じような答えをしている。十月五日にも表明している。そして、ようやく外務省はングウェイ氏へIDカードを発給する方針を固めていたと。だから、これまでの経過だって異常なんですよ、こんなに何度も何度も相手国から言われてようやく出すと決めた。  ところが、今お話があったとおりなんです。方針がまたここで転換するわけですね。鈴木宗男氏が登場するわけです。外務報告書によれば、そういう説明をしたら、鈴木宗男さんが、適当でないと強い反応を示したというんですね。外務省は方針を転換して、わざわざ審議官がはるばるキンシャサまで行って、それで、ングウェイ氏の臨時代理大使の資質を大いに疑う、あるいは、仮に同人を臨時代理大使として遇することとしてもまともな外交活動ができるかどうか疑問、そういうふうに議論をして、わざわざ派遣して人事の再検討を求めた。  総理、私、これ異常なことだと思うんですよ。国際社会のルールから照らしてこれはとんでもないやり方ですよ。ウィーン条約の明らかに違反じゃないですか。総理はこの経過について、これは重大な国際問題だという認識をお持ちですか。
  413. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) おかしいと思っています。
  414. 小池晃

    ○小池晃君 おかしいの一言で済ませていいのかと。笑い事じゃないですよ、これ、本当に。我が国の外交方針が、一議員が介入して、国際社会の、国際法上の、厳密なものではないかもしれないけれども、ルールまでゆがめたと。それで、先方から何度も要請があったのにIDカードを発給しなかった。我が国が国際的な役割、責任果たしたとは言えないという経過だと思うんです。  私、このときの日本政府の対応は明白な誤りであったということをコンゴ政府に伝えて、これ謝罪をするべきじゃないかというふうに考えますが、外務大臣、いかがですか。
  415. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) この問題についての外務省の対応は、常識で考えていきますと非常におかしい不思議な点が様々あります。ウィーン条約との関係をもし御希望でしたら後で御説明をさせていただきたいと思いますけれども、そういったおかしい対応があったということは、私としては誠に遺憾だと思っております。  この点については、やはり日本政府はコンゴ政府に対してきちんと経緯を説明して理解を仰ぐべきであろうと思っております。
  416. 小池晃

    ○小池晃君 これ、当然のことです。これだけ国益を損なうようなことをやったということについてきちっと説明する責任が私はあると、そして謝罪する責任もあるということを申し上げたい。  さらに、この鈴木議員の介入による外交方針の転換に大きな影響を与えたという問題では、昨日の質疑でも取り上げられた問題、今日も議論、先ほどされた問題ですけれども、鈴木議員のその北方四島問題での発言について問題にしたいと思うんです。  これは九五年の六月十三日付けの内部文書で、鈴木宗男氏はこう言っていたわけですね。そもそも北方領土問題というのは、国のメンツから領土返還を主張しているにすぎず、実際には島が返還されても国として何の利益にもならない、我が国は領土返還要求を断ち切って四島との経済交流を進めていくべきなどと述べております。驚くべき発言であります。  昨日の証人喚問では、彼は何と言っていたかというと、北方四島の返還は民族の悲願だと、そんなことを言っていたわけですよね。私どもは四島返還の立場に立ちませんけれども、その私どもの立場から見ても、これは鉄面皮というような態度だと思うんです。  総理は、鈴木宗男衆議院議員のこのような立場、主張、これは正に日本の国益を損なう、私は見過ごすことのできない大問題だというふうに考えておるんですが、認識はいかがですか。
  417. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) この文書にあります発言、「そもそも、北方領土問題というのは、国の面子から領土返還を主張しているに過ぎず、実際には島が返還されても国として何の利益にもならない。そうであれば、戦後五十年もたって返還されないという事実を踏まえ、我が国は領土返還要求を打ち切って、四島との経済交流を進めて行くべきと考える。」と。  これは驚くべきとんでもない話で、私も信じられません。これが、本当に政治家が、日本の政治家がしたとは信じたくないです。
  418. 小池晃

    ○小池晃君 信じる信じないの問題じゃないんですよ。これは外務省、文書で公表しているわけですから、この文書は間違いない。先ほど答弁もありましたけれども、外務大臣、これは事実として間違いないということでよろしいんですね。
  419. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 先ほどこれを、メモを作ったといいますか、この対話の当人であった人間がそう言っておりました。私としてはそれが事実であったと考えます。
  420. 小池晃

    ○小池晃君 総理、事実なんです、これ。だから恐るべきことなんですよ。  そして、鈴木宗男さんというのはただの人じゃなかったわけですね、これ、ロシアとの関係では。これは政府の特使として、与党の代表として何度も何度も行っているわけですよ。それで、プーチンさん、イワノフさん、会っているわけですよ。私、こんな立場でロシア首脳との会談を行ってきたんだとすれば、このようなメッセージをもし送っていたとしたら、これは私、極めて重大だと言わざるを得ない。  これね、これまで鈴木議員が何度も何度もロシアへ行っている。私、行った際にロシアの政府の代表に一体何をしゃべったのか、全部洗いざらい徹底的に調査をして明るみに出す、この当委員会にそのことを文書で提出するということを断固としてやるべきだと。これは国益にかかわる重大問題だと考えますが、いかがですか。
  421. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) この発言が事実なら私も重大な発言だと思います。あと、国会の対応については国会に任せるべきだと思っています。
  422. 小池晃

    ○小池晃君 国会の対応じゃないです。これは政府として重大な外交問題だと私は申し上げているんです。だから政府責任で、鈴木宗男さんがロシアに行った際に一体どういう発言をしてきたのか、もう一度洗いざらい調査するべきでないかと言っているんですが、どうですか。
  423. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 鈴木議員がそういう、先ほどのことを自分の部屋でなさったということだろうと思います。  政府方針としては、今まで申し上げたように、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するという方針は変わっておりませんし、鈴木議員が公的な役割を持って外国に行かれたときも、それなりに事前に打合せをしたりして行っていただいていますので、公的な政府方針について御協力をいただき、御発言をいただいたものと承知をしております。
  424. 小池晃

    ○小池晃君 駄目ですよ、そんなんじゃね。公的な立場で行ったと。私的な立場でも行っているときだってあるわけです。そういうときに鈴木宗男さん、どういうふうに見られるか。これは、日本政府のロシア問題の一番の専門家だと、日本政府の意思を、メッセージを伝える人だと、そういうふうに見ているわけですよ、相手は。  だとすれば、彼がロシア訪問した経過については、これは洗いざらい徹底的に調べる、最低限やるべきことじゃないですか。このくらいやると言って当然だと私は思いますよ。財務大臣もうなずいていらっしゃる。是非そういうふうに答えていただきたい。
  425. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 鈴木議員が公的な役割を担って行かれたことについては、それなりに事前にどういうラインの御発言をいただくかというようなことも打合せをいたしております。それについては、政府のラインで、対処方針で対応していただいたというふうに私は承知をしております。
  426. 小池晃

    ○小池晃君 これでは納得できません。国民は納得しないと思います。  総理、総理に答えていただきたい、やっぱり。これは政府責任で、私は、外交というのはこれは総理の重大な専管事項ですよ。やはり総理の責任でこれはやはり調査するというふうに答えるのが国民に対する私責任だと考えますが、いかがですか。
  427. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは鈴木議員に確認したわけではありませんが、今、この外務省の資料で事実なら私もこれは看過できないと思っておりますし、この発言に政府は影響されません。一貫して領土返還要求は行っていきますし、たとえ鈴木議員がこのような発言をしても、外務省も政府も影響されるものは何もない、全くないということを御理解いただきたい。
  428. 小池晃

    ○小池晃君 こんなことも答えられないのかというふうに私はあきれてしまいますが、これはやはり国民に対してきっちり責任、どういう経過だったのか説明する責任が私はあるということを申し上げて、もう一つ質問したいんですが、今日、実は秘密指定文書を外務省は一杯持っていたようでありますけれども、秘密指定解除をしたものは出してほしいというふうにお願いをいたしました。  そうしたら、先ほど私のところに四通ばかり秘無期限と書いてあって、秘密指定解除とされた文書が送られてまいりました。ちょっと言っただけでこれだけ出てくるんだと。外務省というのは、こういう一つ一つの、これ、見ると、中身を見ると、それほど国家の外交上の重大な秘密が含まれている文書とは思えないような中身のものがマル秘無期限となっている。外務省というのは何か倉庫でもあって、マル秘文書が一杯、山のように積んであるんですか。こんなふうに一杯、外務省というのはあるんですか。こんな中身の文書まで、政治家との個々の、個別の本当に細かいやり取りまで秘密文書ということで扱っているんですか。
  429. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 文書規程がございまして、それにのっとって外務省の職員は行動をするということでございます。  それで、その具体的な文書が秘になっているということは、今ちょっとどの文書のことをおっしゃっているか分かりませんけれども、通常、相手の方がいて、その方との関係で、会話を表に出すということがふさわしくない場合には秘扱いという判断を、それぞれしかるべき立場の人間がこれはやることになっております。
  430. 小池晃

    ○小池晃君 私、この文書を見ると本当に驚くんですよ。  六月十三日、例の、今議論した北方四島に関する鈴木宗男氏の発言が書かれているわけです。ここで鈴木宗男氏がプレハブ診療所について強い、激しい口調で必要性について指摘をしたと。そうすると、これは参事官が行っているわけですね、十三日は。そうすると、翌日の文書、六月十四日。これは欧亜局長が慌てて鈴木さんのところに説明に行くわけですよ。中身を見ると、プレハブ診療所については是非実現するようにという大臣の指示があったので、貴議員にお伝えしたいと。もう一日で態度変更しているわけですね。  私、これを見て本当に、こういう経過があったのかということにあきれると同時に、まだまだこのような文書が外務省の中にはあるのかということについては、こういう鈴木さんとの、鈴木宗男議員との個別のやり取りも含めて、もう洗いざらい徹底的に調査をするということを求めたいというふうに思います。  最後に、ムルアカさんという鈴木さんの秘書の、私設秘書の問題についてお聞きをしたいと思います。  鈴木宗男さんの問題というのは、外務省、防衛庁だけじゃない、もう各省にまたがっているということを私、この問題で実感をいたしたわけです。  鈴木宗男さんの私設秘書であるムウェテ・ムルアカさん。実はこの方には旧科学技術庁から奨学金が支給されていたと思うんですが、ムルアカさんはいつからいつまでこの奨学金を受け、その受給総額というのは一体幾らになるんでしょうか。
  431. 山元孝二

    政府参考人(山元孝二君) お答えいたします。  旧科学技術庁におきますSTAフェローシップ、この制度に基づきましてムルアカさんが、ムルアカ氏がフェローをいただいている期間でございますが、平成十一年の三月三十一日から平成十三年三月三十日までの二十四か月でございます。そして、支出金額でございますが、二年間でございますその間の生活費、家族手当及び住居手当、二年分総計一千八十三万円が支払われております。
  432. 小池晃

    ○小池晃君 これまた驚くべきなんですよ。ムルアカさんというのは、これは受けていた奨学金、今御説明がありましたSTAフェローシップ制度というんですね。これは、対象年齢は三十五歳以下じゃないんですか。
  433. 山元孝二

    政府参考人(山元孝二君) 先にSTAフェローシップ制度の趣旨を一言申し上げさせていただきますと、本件は、若手外国人研究者に我が国で研究活動を行う機会を提供しようということで、昭和六十三年度から続けられている制度でございます。  本件につきましては、旧科学技術庁所管の特殊法人でございます科学技術振興事業団、ここにおいて実施されているものでございます。  この科学技術振興事業団におきます資格要件の中で、年齢上の制限は、原則として年齢は三十五歳以下であることということになってございます。
  434. 小池晃

    ○小池晃君 これ、ムルアカ氏は受給当時、開始当時、三十八歳なんです。そもそも資格に疑問があるわけです。これは例外もいるそうですから、このことについては余り突っ込まないようにしましょう。  でも、更に重大なのは、当時、ムルアカさんは何をやっていたか。これ、九九年からでしょう。九八年十二月二日の朝日新聞、もうしっかり紹介されていますよ。「鈴木宗男官房副長官の秘書、ジョン・ムウェテ・ムルアカさん」、「二〇九センチの長身を原色のスーツでかため、国会内を走り回っている。」と、新聞でもう堂々と公開されている。テレビにも出演している。もうだれから見ても、これ、鈴木宗男さんの秘書だとしてもう既に有名な方であります。その方に二年間で総額一千八十三万円の奨学金、今説明がありました。この項目を見ると、往復交通費、生活費、家族手当、住居手当。  私、こんなふうに内閣官房長官の私設秘書としてもうだれでも知っているような、新聞にも出るような、秘書といったってみんなそんな新聞に出たりしないんです、もう有名な秘書だったわけです。そういう人に内閣官房長官の、文部科学大臣にお聞きしたいんですが、内閣官房長官の私設秘書に対して奨学金が出されていた。私、こんなことが許されるのかと、お伺いしたい。
  435. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) このフェローシップ制度の目的につきましては先ほど局長が御説明したとおりでございますけれども、私、また調べてみましたところ、科学技術振興事業団によりますと、ムルアカ氏は肺内の粉じんの測定方法に関する研究というのを長年行ってきたそうでございます。これは、コンゴにおいて鉱山の労働者の健康に資するためということでございまして、そして、このフェローシップを出しますには受入れ機関がしっかりしていないといけないということで、それを放射線医学総合研究所が引き受けるということで、そのことについての確認を行い、その上でJSTに対して平成十一年二月にSTAフェローシップの申請がなされたと聞いております。  STAの方では、私設秘書としてのムルアカ氏ではなくて、研究者としてのムルアカ氏の内容について審査をしたというふうに聞いております。
  436. 小池晃

    ○小池晃君 あのね、どんなに研究していたか知りませんよ、優秀な研究者か知りませんよ。それはそれでいいと思う。秘書なんですから、ムルアカさんが鈴木さんの秘書だということは周知の事実だったんですから。私、こんなことで、研究やっていたからですということで、とてもこんなの正当化できるものじゃないというふうに思いますよ。  私、この奨学金というのは、言ってみれば鈴木宗男さんの私設秘書の給与を、これはSTAフェローシップの原資は国の一般財源から、国の税金から出ているわけですから、これ、国が税金で鈴木宗男さんの私設秘書の、総理、ちょっと聞いていてくださいね。これ、鈴木宗男さんの私設秘書の給与がこれは言ってみれば事実上国の税金から出ていたということになるじゃないですか。これは私、重大な問題だと思う。  総理、この支出は異常だと、この給与、奨学金を出したということは、私、異常なことだと思うんですが、総理いかがですか。
  437. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、研究者として授与資格がある、だからこのフェローシップ受けていたというんだったら問題ない。しかし、私設秘書だから受けていたというんだったら問題ある。しかし、研究者として優秀だというんだったらば、これは私は問題ないと思うんですけどね。
  438. 小池晃

    ○小池晃君 驚くべきです。私は、これは異常だと総理は言うと思っていました。これはどう考えたって、それはもちろん研究者であるかもしれない、でも、それは申請するときに秘書ですと言って申請するわけないじゃないですか。研究者として申請しているわけです。でも、どう考えたって、この方に国の税金から往復交通費、生活費、家族手当、住居手当に当たる一千八十三万円を支出する理由、私はないと。だって私設秘書なんですから。何かだれも知らない、ひっそりとやっている私設秘書だったら分かります。もうテレビに出たり新聞に出たりしている、そういう人に対して出した。私は異常だと思いますが、いかがですか。
  439. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いや、私は今言っているでしょう、研究者として優秀だったらばこれは問題ない、しかし、私設秘書だからという理由でやったならばこれは問題だと。事情をよく調べてみなきゃ分かんないじゃないですか。
  440. 小池晃

    ○小池晃君 すり替えですよ、すり替えています、すり替えていますよ。私は、これ、私設秘書だから出したなんて、そんなこと言っていない。研究者として出したのかもしれない、でも、事実上だれが見たって私設秘書とはっきりしている人に出したのは問題ではないかというふうに聞いているんですから、はっきり答えてください。
  441. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それはどういう資格で出すかというのは、文部科学省よく調べてください。
  442. 小池晃

    ○小池晃君 私、こういうことに対してもきっぱり物を言えない。もう小泉さんというのは、自民党政治変えるんだと、正しいことは正しいんだと、間違っていることは間違っているんだと言う人かと思ったけれども、こんなことまで間違っていると言えない。もうあなたの言う改革がでたらめだということ、私よく分かりましたよ。  私、今度の問題ではっきりしたのは、汚染されていたのは外務省だけではないと、もう霞が関全体が宗男ウイルスに汚染されていたんだということが私ははっきりしたというふうに思います。  この問題について徹底的に国会で究明する、これ国会の責務だということを申し上げて、私の質問を終わります。
  443. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 以上で小池晃君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  444. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 次に、田名部匡省君の質疑を行います。田名部匡省君。
  445. 田名部匡省

    田名部匡省君 昨日、今日と質問を聞いておって、ああひどいなと思いましたな、率直に申し上げて。  川口大臣、私たちが二年掛けて行政監視委員会でこういうこともあろうと思って政府開発援助に関する決議を、これ各派共同提案ですから、参議院の本会議場においてもこれを提案してやったものがあります。これ目を通していただきたいということでお願いをしてありましたが、外務大臣、これごらんになりましたか。ごらんになりましたら、その感想を申し上げてください。
  446. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 読ませていただきました。そこに書かれていることについては、私は大変に賛成でございます。
  447. 田名部匡省

    田名部匡省君 まあ皆さんも全部これごらんになってないんだろうと思うんですけれども、これは本当によくできているんです。今起きていることがこれ全部この中に入っているんですよ。そう思ったからこれ作ったんだ。  私は、かつて大野明さんが予算委員長のときに、私と近藤元次君が若い理事で入ったんですよ。私に二時間質問せいと、何やろうかなと思って、二時間も。後藤田さんと武藤嘉文さんに何をやったらいいですかねと。何やりたいと言うから、ODAでもやりましょうかと。それはいいところへ目付けたと言われて、それでいろいろ調べていったんです。やめましたよ、質問。  そのことがあったから、このODAに関するものはこうあるべきだということをやっておるんです。しかも、ばらばらでやっちゃいかぬと。そのとき外務省の答弁は、当時のあれ、だれでしたかな、庁ぐらい作ってやらないと駄目だと。私もそうあるべきだと。会計検査院とかJICAとかNGOとか、全部入って現場をよく見てやらなきゃ駄目ですよと。  この前、NGOの代表、ここで私ども、参考人で来てもらったときに、あなたはテレビで私たちは現地調達ですからと言ったねと、どういう意味ですかと僕は聞いたんですよ。現地調達をやられると困る人たちがいるんですね、安いから。  だから、私は国民のことを考えたら、ODAというものはもっともっと、困ったときは困ったようにやりなさい、いいときはいいようにやりゃいいしということで、田中外務大臣に中国問題と北朝鮮のODAのことを聞いたんです。今、二千億ぐらい出しているんですか、中国には。そのもらった中国が、いや、ベトナムだの何だのいろんなところに五百億もあれ援助しているんだ、援助する国に何で援助するのかと、こういう話をしたんです。  それから、北朝鮮の人道的援助だって、米を援助した。そのときも、その米は食えなきゃ政府責任を持たなきゃならぬと、国が。それ、持つべきものを結局何に使っているんだと、援助で減った分は。そうしたら、調査のしようがありませんと言うんだ。テポドン造っているかもしれぬだろうと。ですから、この軍事費に金を掛けている国には駄目ですよということも書いてあるんだ。こういう中身で、一体このODAというものの在り方。  私は、かつて郵便貯金の第一号の援助にマダガスカルにやったことあるんですよ。当時、吹田さんと近藤さんと三人で行きましたよ。そのときに、モーリシャスというところへ行ったら、エビの養殖場の援助があった。これは鯨に賛成してほしくて援助したと。それはあるでしょう、いろいろ。石油欲しくて安倍外務大臣にお供してイラン・イラク戦争のときに私は行きました、野上徹代議士と。大臣、安倍さんは御夫妻でね。それで、今の官房副長官も一緒に行ったんです。  イラク行ったら、援助した病院が、物すごいのを援助していましたよ。もうびっくりしたんです。それで、イラン行ったら、ヘリコプターを援助せいと言うんです。戦やっている最中ですから、それは駄目ですと。あれは人道的にやったんだと言いつつも、あんなに立派なのでなきゃいかぬのかなと。  そのモーリシャスのやつもそうなんですよ、三億ぐらい掛かっているんです。何でこんなに掛かったんだと、こんなところに。そうしたら、もう資材は全部日本から運んできていますよ、サッシでも鉄筋でも、運賃を掛けて。  だから、そういう援助はいかぬよということもこれに書いてあるんですから、大臣。もうちょっと国民の負担を、今、大変なときでしょう。それで、田中眞紀子大臣が、いや、中国も聖域ではありませんと言って一割ばっさりODAの予算削ったでしょう。だから、その地域に合ったものでいいと、よく調べてやりなさいという意味のことをこれに書いてあるんですよ。  どうですか、これだけのことを聞いていただいて、更にもう一遍感想を申し上げてください。
  448. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 同じことになってしまうんですけれども、ここに、この決議文の一番最初に、ODAの必要性について、「国際貢献と外交政策の柱である」というふうにお書きでいらっしゃいまして、これは私は非常に簡潔にODAの必要性を書いていらっしゃると思います。  それで、そのように重要なODAを、そして必要なODAをきちんとやっていくためには、国民のODAについての理解がなければいけませんし、効率的にODAが使われる必要があると思っております。そのために何をしたらいいかという観点で考えましたときに、ここにお書きでいらっしゃる様々なことについては、私は大変に賛成でございます。
  449. 田名部匡省

    田名部匡省君 せっかく二年も掛かってやったんですから、これ全党一致で、それで最後にはもう国会議員だけで議論しようといってまとめたこの案なんです。そんなことをやったことないでしょう、国会で。  これには、事業の重点化と事業間の連携強化とか、評価制度についてとか、情報公開、NGOとの一層の連携とか、環境問題とかずっといろいろ書いてありますよ。そして、ODAの不正防止。インドネシアだろうが何だろうが随分これはもう古くから疑惑問題がありまして、ここで言ったら差し障りあるからもうここから先は言いませんが、もう仕組んでいるんですよ、全部、海外研修員を呼んだときから。  そういうことをもうちょっとしっかり真剣に、昨日からあなた方の答弁聞いていると、外務省ってこんなだらしなくなったんかなと、そう思いますよ、私。  私だって随分世話になった。大学四年のときに初めてアイスホッケーの世界選手権、モスコーに行ったんですから。そのときに、砂田さんがまだ国会議員でなくて河野一郎さんの秘書で、初めての日ソ漁業交渉、第一回行ったんですよ。そのときに、アイスホッケー参加させてくれと。ところが、行くことが、ルートがないから、自民党の政調に津村さんといった、この人も私の大学の先輩。砂田さんも立教大学のアイスホッケーの先輩。この人が中国全部アレンジしてくれて、そうして二か月遠征して帰ってきた。そのときの通訳がニコライ・ソロビヨフ、駐日大使やったでしょう、彼が私たちの通訳だったんです。それから、今のサッカー協会の会長さん、ワールドカップのときに私に行ってくれというので、コロスコフさんという人。元アイスホッケー連盟の会長ですよ。それで、ワールドカップ、日本に呼ぶ、とにかく応援してくれと。それから、中国の河振梁さん、IOCの副会長ですけれども、この人が一か月我々を案内してくれたんです。だから、ハバロフスクと今、青森、八戸がアイスホッケーの交流やっているんですよ。コーチももう四年、もう二人目のコーチが来て教えてもらっている。だから私も関係ある。その間に随分大使館に行って、試合のときは世話になりましたよ、国会議員になる前からも。  だから、族議員にはならぬかったけれども、あなた方のやることだけは理解して一生懸命やってきたつもりですよ。しっかりしてください。あんな答弁で国民納得しますか、一体。  そこで総理、この二島間の問題でさっきから答弁を聞いておりましたが、小渕さんが総理のころからこの話がちらちらちらちら出てきた。それで森さんも。  それで私は、しばらくぶりで日ロ議員連盟へ行きました。ロシアの大使も来ておった。そうしたら講演の人がおって、いろいろ四島問題の講演して、そのとき鈴木君が、鈴木君と言うのは失礼だろう、鈴木宗男代議士が、私のそこへ座って、終わるや否や立ち上がって、相手があるんだから何言っているんだと、二島先行だよと、こう言ったから、おまえいつから二島になったかと。そうしたら黙っちゃった。それで僕は三塚さんに、会長になったから、そのとき会長交代して会長になったときで、いつから二島になったんですかと、四島が。それじゃ議院でも議論してくださいよと、そんなんなら、という話をしたんです。だから、二島というのはもうずっとあったんです。まあ総理はそれ入っておったかどうか分かりませんがね。  ですから、そういうことを踏まえて、やっぱり国の基本ですから、先ほど答弁いただいたんですけれども、そういうことあったよという認識がおありになったかどうかをお答えいただきたいと思います。
  450. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 二島返還論がいろいろ言われているということは私も知っておりましたけれども、そんなことは日本政府としても、日本としてもあり得ないんだと。私は、そういう意見があったとしてもそういう意見にはくみしないということ一貫していましたから。一部の人が言っているんだなという程度にしか認識はしていませんでした。
  451. 田名部匡省

    田名部匡省君 そこで、十三年度のこの四島住民に支援の予算というのは、一体内容は何ですか、今度は。
  452. 齋藤泰雄

    政府参考人齋藤泰雄君) 北方四島住民支援につきます平成十三年度の予算でございますが、三億一千六百八十万六千円でございまして、使途につきましては、国後島の燃料パイプライン補修工事、生活必需品、医薬品等の供与でございます。
  453. 田名部匡省

    田名部匡省君 ここに河野さんが外務大臣のときの沖縄及び北方領土の委員会のを持っていますけれども、まあ随分熱心に、もう何だか、賛成だと言わぬけれども、いや賛成してありがとうございますと言って、鈴木宗男代議士が。これを読んだだけでいかにしつこくあの診療所とかああいうものをやったのかなと。あの馬力ですからね。それで、その次の日とうとう、最初は、それは固有の領土なんですから、そういうものを建てるとかえって返還難しくなるということで答弁しておったんですが、とうとう次の日はこれを認めたと、こういうことになっているようですけれどもね。  プレハブ、プレハブと言うけれども、皆さんごらんになって言っているんですか。あの辺に建てるプレハブというのはもう普通のその辺に建っているプレハブと違いますよ。もうしっかりしたものですよ。我々の青森や北海道来てプレハブと言ったって、東京や大阪のプレハブと違いますから。もう暖房がびっしり付いて、立派な建物ですよ。ですから、これいつまで大体やるんですか、この北方四島への支援というのは。いつが終わりなんです。  外務大臣、どうですか。
  454. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 北方四島の支援、それからロシアに対する人道的な支援、ロシアの市場経済への移行を助けるための技術援助、技術支援、この三つが固まりとなりまして、このロシア支援という形になっております。  それで、その中核を成す部分といいますか、それの仕事をする委員会というのが支援委員会という委員会でございまして、これについては再三再四いろいろな方に御指摘をいただいていますように、非常にその実施の仕方について問題があると私は思っておりまして、これについては小泉総理も国会で御答弁をいただきましたけれども、どういうやり方でやるのが適切かということをきちんと見直す、抜本的に見直す必要があるだろうと私は考えております。  ということで、それはまず全く違う監査法人にお願いをするという作業を今既に入っておりますけれども、いたしまして、過去のその仕事のやり方についても抜本的に監査をしていただくということで考えておりますし、他方で、これをどのように改めるかということについても、専門家の方に集まっていただいて、それを議論をして、こちらについては四月一杯で、前者についてはできるだけ早く回答を出すということで考えております。  他方で、支援をやらなくていいかという、支援のやり方については非常に問題があったと思いますし、外務省も反省すべきところはたくさんありますけれども、ロシアの人道支援、技術支援、それから北方四島への住民の方の人道的な支援についてはこれは必要なことでございまして、それについてはやり方を抜本的に改め、更に必要ならもっと改めながらこれは実施はしていく必要があると考えております。
  455. 田名部匡省

    田名部匡省君 私は全くその必要はないと思っているんです。世界の大国でしょう、アメリカもロシアも。そんなことでいいんだったら、支援委員会というのをいろんなところへ作っている。フランスでもイギリスでもドイツでも、やろうと思えばやれるということですよね。あれだけ軍事力持って、ミサイル持っているところに何で援助しなきゃならぬのかというのを私は、自分たちでやればいいじゃないですか。そう思いませんか。  それ、いつまでやるか分からぬ援助を続けると。あれは、はしけだろうが何だろうが、しょっちゅう修理しなきゃなりませんよ、壊れてきたら。ずうっとこの先もそういう補修費なんか援助するんですか。
  456. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) ロシアの支援につきましては、これは今から約十年ぐらい前にソ連邦が崩壊をして大変に混乱をしていた、そして国全体、それぞれ分かれた国々全体として市場経済化に移行するという過程で支援が始まったということでございまして、いまだに、確かにおっしゃるようにソ連、ごめんなさい、ロシアはそれ自体として非常に大国でもございますし、おっしゃるように軍事大国でもございますけれども、極東地域あるいは北方四島の住民方々の暮らしを見ますと大変に貧しいということもまた事実でございまして、いつまで支援をするかという御質問につきましては、これは支援の効果を見ながら議論を重ねていく必要があると思っておりますけれども、今現在は、支援は引き続き必要な状態にあると私どもは考えております。  その上で、支援が、何に対して支援がなされるかということにつきましては、協定でこれはきちんと書かれておりますので、これにのっとって、望ましい形で、適切な、適正な形でこれが、この枠組みで支援が行われるように、改めるべき点はきちんと改めていこうと考えております。
  457. 田名部匡省

    田名部匡省君 そこがよく分からぬのですよね。もっと困っているところというのは一杯あるでしょう。  ODAの対象国でないからというのでこんな名前を付けて援助して、言い始めたら、みんなそんなこと言ったら、全部にやっちゃうんですか。その基本をしっかりしておかないと、その場その場でやるからこんなことになっちゃうんですよ。だれが考えてだれがやったかといったって、これ分からないような仕組みにしちゃって、今、日本の経済どうなっているか分かっていますか。大変な状況ですよ、自殺するのは三万人もおって、しかも少子化がどんどんどんどん進んでという、よその方の前に自分の足下をしっかりしなきゃならぬときに。私は本当にそう思うんですよ。えらい借金だけは増えて、総理は三十兆以上は借金しないと言って、それだって将来のことがあるからでしょう。だれが返すんです、これ。生まれていないんですから、返す子供や孫が。  もう少し考えて、やるなとは言いません、本当に、人道上というのはそんな箱物なのか。食べるものだったら、食糧とか薬とかというのなら分かるけれども、まだしも。建てたのは必ずいつかはまた補修しなきゃならないでしょう。船だって、この間テレビで見たら、造ったばかりなのにえらい壊れている。あれだって、だれがペンキ塗ったり直したりするんですか。向こうでやるの、それ。こっちでやるんですか。
  458. 齋藤泰雄

    政府参考人齋藤泰雄君) 自航式はしけ希望丸についてのお尋ねだと思いますけれども、この船は平成十年の二月に国後島住民に対して供与されたわけでございますが、運航四年間を経まして技術的点検及び修理を行うということが必要になりまして、島側の要請に基づきまして我が国において修理を行うこととして、本年二月に根室に回航されてきているわけでございます。
  459. 田名部匡省

    田名部匡省君 あのね、本当に聞いて答えているかね。  これからもまたずっと続けて、その修理はだんだん掛かってくるんですよ、古くなってくると。ずっと続けるんですか。それで、その船がもう駄目になったら新しく造ってやるの。
  460. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) どこまで、いつまで支援をしていくことが必要かということにつきましては、先ほど申しましたように、人道的に緊急な援助をする必要があるという必要性がどこまであるだろうかということだと思います。  それで、これは国際協定で、国際的な取決めでやっている話でございますので、それなりにこれの効果をきちんと把握しつつ、これを変えることについてはほかの国々ともお話をしていかなければいけないと思いますけれども、先ほどおっしゃった発電所ですとか診療所ですとか、いろいろ、どういうところにやっていくのが、支援するのがいいかということは今後きちんと、正しい、望ましいやり方でその支援の対象は確定をしていく必要があると思いますし、そのように変えていくべきだと思いますけれども、それでは、じゃ、はしけが要らないかということで考えますと、私が知っている限りですと、はしけがないと物が港に着かない、陸揚げできないということのようでございますし、桟橋も非常にぼろぼろになっていて、それがないと荷揚げができないということのようでございますし、発電所も電気が非常に、電力が大変に不足をしているという状況であるというふうに聞いています。  ですから、これはどういう支援ができるか、どこまでやるのがいいのかということは、最終的には国民の皆さんのコンセンサスだと考えますけれども、ここ当面はまだ北方四島やロシアの方々はそういう人道的な緊急な支援を必要としているということだと私は考えています。  ただ、やり方については、私はこのロシアの支援の仕方については少なくともODA並みの透明性を持ってやらなければいけないということを言っておりますけれども、このODAの透明性につきましてもこの変える会の議論の中で更に増していく必要があると思っていますし、これについては、先ほどの委員会の決議、委員が御関係になられた、お書きになられたものについても大いに参考にさせていただきたいと思いますし、そういうふうに透明性を増したODAを参考に支援委員会のやり方も改めていく必要があるだろうと思っております。
  461. 田名部匡省

    田名部匡省君 造ったものはいつか古くなって壊れるんですよ。それで、なくなったらまた造ってやらなきゃ困るんでしょう。  何に使っているんです、そのはしけを。
  462. 齋藤泰雄

    政府参考人齋藤泰雄君) 北方四島住民支援の人道物資の輸送でございますとか、あるいは四島交流で日本と北方四島との間の交流の際に使用しているわけでございます。
  463. 田名部匡省

    田名部匡省君 まあ地震があったから何かしてやらなきゃならないというのは分かるけれども、じゃ今までは、はしけないときは、地震の前はどうやってやっていたの。
  464. 齋藤泰雄

    政府参考人齋藤泰雄君) 島側にもはしけはあったようでございますけれども、大変老朽化して劣悪な状態になったというふうに承知しております。  自然、地理的な条件で、はしけないし桟橋がないと日本から救援物資あるいは四島交流で参ります場合に陸に着けないという状況の下で、人道的、緊急的必要性から供与したものでございます。
  465. 田名部匡省

    田名部匡省君 人道的って名前付けりゃ、何でもじゃありだ。おかしいと思わないんですか。世界の大国だって言っているでしょう、僕は。困ったらロシア自体が何でもやってやらなきゃならないのに、何で日本が、人道的って言えば何でもやらなきゃならないの。  それで、この委員会というのも、相手の方はだれもいないんで、だれかに頼まれて、それで島の何だか区長とかなんとかに頼まれてって、ルールというのはないの、これ。  かつて総理と私は、宮澤内閣大臣やりました。私は農林大臣で、あのとき郵政大臣でしたかね。村上正邦さんが労働大臣で。選挙制度のときに大げんかになっている、二人で、総理と村上さんが。私は、まあまあといって止めて、総理って、選手にルール決めろというからけんかになるんですよと。ルールというのは、スポーツなんかは世界連盟が決めて、そして世界に流して、そのルールで練習してオリンピックに出て来るんだっていうの。それ選手に決めろというから、例えば野球だと、右バッター、サードの方が近いですよ。左バッター、ファーストが近いんだ。けんかになるのは当たり前なんですよ、皆。だから、国会で決議をして、第三者機関に、どう決めても従いますよということをやった方がいいって、僕はあのとき言ったでしょう。  だから、基本とかなにというのは大事なことなんですよ。あっちへ移ったりこっち移ったりした、基本が。これだと何が何だか分からなくなってくる。さっきも質問して、これはどうなったかというと、どうなったか。どうなったかって、やったのいるでしょう、だれかが。それも分かりませんなんという報告書を出されたんじゃ、これはもう一遍、本当に委員長、参議院でも証人喚問、やらなきゃならなくなりますよ、こんなていたらくやっていると。  あの何ですか、鈴木宗男代議士に一生懸命くっ付いて歩いた外務省の彼、参考人として、これは是非お願いしますよ。ここでこんなことをやっていたんじゃ、これは解明にならぬから、是非国会改革連絡会としても委員長に強く要請をしたい、こう思っております。よろしいですか。
  466. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 先ほども申しましたように、本日、今朝の理事会においてその件が取り上げられました。各党持ち帰りまして議論を重ねていただいて、その結論をもって処理をすることになっておりますので、国会改革連絡会におきましてもそのように御承知を願いたいと存じます。
  467. 田名部匡省

    田名部匡省君 扇大臣、まあお三人とも昔の一緒のグループでいたんで、先輩ばっかりで少し、もう少し別な人もたくさんおってくれたら助かるんですけれども。  北海道で、何ですか、落選した、衆議院の候補者が落選したと。彼は私と同期でした、落ちた方は。で、予算を付けるなと、こういうことで北海道開発庁に圧力を掛けたと、こういう話がありますがね。  まあ、結局は選挙なんですよ、総理。票も欲しい、金も欲しい。結局はそういうこと。これはどこでもあるんですよ。選挙をやると与党の方の、特に自民党の人たちは、いや、おれに頼まなきゃ道路の予算付かないの体育館造らねえのといって街頭で演説やっているから、この間も選挙のときに僕は言ったんですよ。ああ、そうしたら、道路を造ったら自民党だけ通る道路を造れやと、体育館造ったら自民党だけ使う体育館だと、こう言ってやれといって街頭演説で僕は言ったけれども。まあ、その気持ちは分かるけれども、それが圧力になってやるということになると、これはまあちょっと行き過ぎかなと。  それから、経審、ありますね。あれの点数を何か下げたと、入りやすくするために。これは本当なんですか。
  468. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 経審の話は私どもではございませんので、これに関しては私は外務省にお聞きいただきたいと思いますけれども、うちが下げたのではないということでございます。  それから、今、選挙に負けた人たちはどうのこうのというお話がございまして、これは野幌の東地区の問題で先生が今お尋ねになったんだと思いますけれども、実は今日、先ほどもお話ございましたけれども、結果を、峰崎先生もさっきちらっと最後におっしゃいまして、報告させていただきました。  この報告に関してですけれども、これは当時、北海道開発庁でございました。農林水産省とこれ関連があることでございますので、大至急で調べてくれということで、これは三月一日の新聞に一部報道されました。そして、五日に私が全部調べてほしいということで、そして昨日、結果が上がってまいりました。時間を取ると悪いので大ざっぱなことですけれども、二、三、私、事例を挙げさせていただきたいと思います。  これは六十五名から聞き取り調査をいたしております。その結果、少しですから、全部読めません。北海道開発庁職員の人事につきましては、雰囲気からは影響があるのではないと感じている旨の意見を多く聞いた。また、大臣のとき、気に入らないことがあると出身省庁へ帰れと言う人だった。相当うるさ型だったようだ。いろいろあったのでプレッシャーはあったと思う。人事についての個別な圧力はなかったが、鈴木議員との無用な対立を避けるという観点から、人選には苦労をしたようだ。鈴木議員と接触の多いポストに打たれ強い者を配置しようとしたこともある。  これは、切実な職員の聞き取り調査でございますから、事細かなことは、事例は避けますけれども、こういう声が六十五名の聞き取り調査の中から見られたということだけは御報告申し上げたいと存じます。
  469. 田名部匡省

    田名部匡省君 どうですか、この四島の船の工事で経審を下げて認めたという、そうですか。何か千二百点を九百点にして、地元をやれるようにしたと。
  470. 齋藤泰雄

    政府参考人齋藤泰雄君) 千二百点を九百点に下げたというのは友好の家建設工事についてでございますが、この経緯は先ほど申し上げましたように、どうして下げたのかというのは、園部参与の調査にもかかわらず明らかになりませんでした。
  471. 田名部匡省

    田名部匡省君 これは、建設省でこんなことないですよね、上げたり下げたり。そのときに取らしたいのに、ああしてそんなことをやられるという。これルールだから、ルール、勝手に知らぬところであんたやられたんじゃ選手の方は参っちゃうよ。でしょう。だから、こういうでたらめを余りやっていると本当にしようがねえなと思うな。  僕は鈴木代議士のことはよく知っていますよ。これは、ここにも役所の出身の人おるけれども、東大出た官僚というのは満座の中でどなられるのは一番プライド傷付くんだ。これ知っているから、後ろから盛んに出てくるんだ、米価のときも。僕はベトコンの幹事長を五年やったんだから。何も、僕に言っているんで、そんな大きな声出さなくたって聞こえているよと言った。廊下にいる団体に聞こえるようにやらなきゃならぬから。僕はよく知っているんです。  私は北海道にいてアイスホッケーの選手、大学卒業して北海道に七年おったんですから。しかも岩倉組という土建の会社に行ったんですよ。今ごろあの連中は、知っているのは一杯いるんですから、北海道に。いろんな話聞く、本当に困った話ばっかり、余りいい話は聞きませんがね。  どうぞ、いずれにしても政治を変えるには、総理、僕は森さんにも言ったけれども、金の掛からない仕組み作ったらどうかと。結局金のためにみんな苦しんで、大なり小なりいろんなもう危ない橋渡っている、こういうことをもうやめさせるというには、イギリスみたいに二百万以上使ったら失格だというぐらいやってくれた方がみんな助かると思うし、この人たちだって選挙やればみんな苦しんできているんですから。どうぞ、やっぱり政治改革をやる、選挙制度を変えると、これが基本だと思うんで、最後に一言総理の意見を伺って終わります。
  472. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私も結構満座の中で打たれているんですけれども、田名部議員は昔からよく同僚として存じておりますし、その政治改革に懸ける熱意も承知しているつもりでございます。  政治に金は掛かり過ぎるという問題、今の選挙制度においても上限が設けられているわけであります、この枠内で選挙は賄いなさいと。これをよく守られるように、議員も政党も自覚を持ちながらやっていく必要があると思っております。
  473. 田名部匡省

    田名部匡省君 終わります。
  474. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 以上で田名部匡省君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  475. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 次に、大田昌秀君の質疑を行います。大田昌秀君。
  476. 大田昌秀

    大田昌秀君 最後の質問でございますし、お疲れだと思いますが、いましばらくお付き合いをいただきたいと思います。  社民党・護憲連合を代表いたしまして、まず最初に小泉総理にお伺いいたします。  総理は沖縄をどのように認識しておられますか。つまり、日本の不可分の一部とお考えになっておられますか。それとも、事情によっては日本から切り離してもやむを得ない地域とお考えですか。  なぜこういうことをお聞きするかと申しますと、戦前から戦時中、戦後に掛けての政府の対沖縄政策を見ると、どうしてもこういう質問を発せざるを得ないわけです。戦後、沖縄が日本から切り離され、米軍の基地化されたことに関連して、政府首脳や国会議員の中には、沖縄の地理的条件、つまり地政学的自然条件によると主張する者が少なからずいます。例えば、北朝鮮を仮想敵国と想定する立場から沖縄の戦略的地位の重要性を指摘するといったあんばいです。  しかし、アメリカの軍事専門家や研究者は違った見方をしています。軍事的観点からいえば、もし北朝鮮が仮想敵国だとすれば在韓米軍を増やした方が最善であり、地政学的にいえば沖縄より北九州の方が良いと主張しているわけであります。  私も、戦後、沖縄が日本から分離させられ、半世紀以上もたった今日に至るまで在日米軍の専用施設の七五%を押し付けられている事態は、地政学的便利性という以上に、政府の沖縄に対する差別的処遇に基づく政治的、人為的な要素が大きいと見ています。  沖縄が日本に復帰する前に、早稲田大学の大浜総長は、沖縄の分離、基地化と復帰問題に関連してこう述べておられます。  日本政府の沖縄問題への対応は、日本の安全保障に対する考慮がすべてに優先する形でなされている。つまり、政府や一部政治家たちの主張は、沖縄のアメリカ基地は日本の安全や極東の平和確保の上から絶対不可欠であり、しかもその基地は施政権に基礎を置いているので、施政権の返還を求めることは基地の存続とその機能を脅かすおそれがあるから、これを求めるべきではないということに帰結する。この発想の根底には、安全保障のためには国土の一部をその住民とともに他国に売り渡してもよいとする安易な考え方がある。たとえ安全保障という大義名分があるにせよ、九州又は四国のどこかの県を他国の施政にゆだねることができるだろうか。国民はこれを承知しないだろうし、また幾ら無責任な政治家といえども、そんな愚かな提案はできないだろう。ところが、沖縄の場合には、このあり得べからざることが実施されているのであると。  このような意味で、小泉総理の対沖縄観は、今後の沖縄問題の解決、とりわけ基地の縮小、撤去と関連して、沖縄県民の多くが是非とも知りたい点でございますので、ひとつよろしくお願いいたします。
  477. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、衆議院議員に初当選したのは昭和四十七年の総選挙です。沖縄返還の年でありまして、沖縄返還に懸ける日本国民の熱意、わけても佐藤政権のときに若泉敬教授が密使として沖縄返還にいかに努力されたかという。私、生前、若泉教授を尊敬しておりましたし、御指導いただいた者として、晩年に若泉教授が物されました「他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス」という大部の、沖縄返還に懸ける佐藤政権の密使として活躍した事情を詳しく書いた本も拝見いたしました。ニクソン、キッシンジャー補佐官との交渉、本土並み返還にいかに苦労したかというのも私なりに理解しているつもりであります。  そういうことからも、私は沖縄というのはもちろん日本の国土であり、今そういう中で、第二次世界大戦ただ一つ戦場となって戦った多くの沖縄県民、それを思いますと、私はこの沖縄の問題に政府としても真剣に取り組んでいかなきゃならないということはよく認識しているつもりでございます。  そういうことから、現在、尾身大臣を担当にしまして、沖縄の基地の問題、沖縄の振興の問題、これに一生懸命取り組んでいくのは日本政府として当然ではないかと思っておりまして、これからも、当初のあの沖縄返還に懸けた熱意に思いを致しながら、これからも沖縄の基地の縮小、振興に対しまして小泉内閣として全力で取り組んでいきたいと思っております。
  478. 大田昌秀

    大田昌秀君 外務大臣にお伺いします。  時間がないので簡単にお願いしたいと思います。  沖縄県民挙げて今の治外法権的な日米地位協定の改定を求めているわけでございますが、政府は絶えず運用面で何とかするからということで、ほとんどその動きを見せておりません。これまで外務省は、地位協定の改定についてどのような折衝をアメリカとされたんでしょうか。
  479. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 地位協定については、もう委員中身はよく、私が日本政府の態度について申し上げるまでもなく御存じでいらっしゃると思いますけれども、御存じのように、私どもとしては、これはその時々の問題について運用の改善により機敏に対応していくことが合理的であるということで、運用の改善に努力をしているということでございまして、これが十分効果的でない場合は、我が国だけで決定できることではございませんけれども、地位協定の改正も視野に入れていくことになるということを申し上げていまして、それについては変わりはございません。  それで、この問題については、例えば、私は先般パウエル国務長官とお話をさせていただいたときにもこれについては触れさせていただきましたし、その他様々な場で過去においてもこれについて触れていると思います。
  480. 大田昌秀

    大田昌秀君 私、これまでアメリカへ知事在任中七回訪問いたしまして、アメリカの高官とお話をしました。そうしますと、アメリカの高官は、日本政府が正式に要請さえすれば柔軟に対応するということをおっしゃっているわけです。  今、運用面でうまくいかなければというお話でしたが、運用面でうまくいかないからこそ県議会を始め市町村議会、県民大会で改定を強く要求しているわけでございます。  御承知のように、沖縄本島の二〇%の土地が取られているだけじゃなくて、二十九か所の水域、那覇軍港を含めまして、それから沖縄の空域の四〇%が外国の軍隊の管轄下にあるわけですよ。私は、こんな主権国家はないと思いますね。だらしないと思います。そういった意味で、なぜもっと率直に地位協定の改定についてお話しされないんですか、何が問題ですか、どこが一番難しいんですか。
  481. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 最初委員がおっしゃられたアメリカ政府の方の御発言ということにつきましては、私どもは確認をいたしておりません。  例えば、私はブッシュ大統領が来日をなさったときにパウエル国務長官とお話をいたしましたけれども、そのときについて、そのときに私が申し上げましたことはというか、ちょっと短くはしょりまして、パウエル長官との間では日米地位協定の運用改善につきまして、刑事裁判手続に関する協議の決着が必要であり、また環境問題について十分な注意を払い、個別の問題に関し緊密に協議をしていくことが、協議をしていくということで意見の一致を見たということでございまして、この努力を続けることが必要だ、重要だと考えております。
  482. 大田昌秀

    大田昌秀君 小泉総理もそれから外務省も、政府首脳はしばしばSACOの最終報告案を忠実に実施することが沖縄の基地の整理、縮小につながるとおっしゃっておられるわけですが、総理、御自身でSACOの内容をお読みになったことがございますか、あるいはスタッフの方、担当の方から内容についてじかにお聞きになったことがございますか。  外務大臣も同じ質問を申し上げたいと思います。
  483. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 当然、報告を受けております。
  484. 大田昌秀

    大田昌秀君 外務大臣、よろしくお願いします。
  485. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) SACOの内容についてでございますね。
  486. 大田昌秀

    大田昌秀君 はい。
  487. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) はい。  SACOの実施状況につきましては、幾つかの件について、といいいますか、安波訓練場の一件が返還済みであるという……
  488. 大田昌秀

    大田昌秀君 お読みになったかどうかだけで。
  489. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) それは、全部については読んでおりませんけれども、概要については勉強いたしました。
  490. 大田昌秀

    大田昌秀君 総理が今お読みになった、よく知っておるとおっしゃるわけですが、実はSACOの最終報告と今政府が進めておられる普天間の代替施設というのは中身が随分と違うわけです。ですから、それをSACOの最終報告案どおりに推進することが基地の整理、縮小につながるとおっしゃるのであれば、今進めておられることは全く違うわけでございますので、その辺はもう時間がありませんので御検討いただいて、またいずれお話を伺いたいと思います。  それから、尾身大臣にお伺いしたいと思います。  沖縄は、御承知のように経済発展ができなくて、過去五十六年余も軍事基地を抱えてきたわけですが、今もって全国最下位の貧乏県ですね。そして、失業率も全国平均の二倍以上なんです。私は、尾身大臣が今新法を作っておられて、その中で大学院大学を作られるという、これは歴史に残る非常にすばらしいことだと思いますが、もう時間がないので大変申し訳ないんですが、もう御回答は結構ですが、ただ、お願いしたいことは、今の沖縄の経済問題を解決するにしても雇用問題を解決するにしても、軍事基地の撤去なしには不可能だということを私はこの戦後五十年余りの経験を通して申し上げたい。  時間がございませんので、一言だけどうぞ。
  491. 尾身幸次

    国務大臣(尾身幸次君) 先ほどのお話の中で、普天間代替施設の移転につきましては、私どもはSACO最終合意の線に沿って今推進をしているというふうに考えております。  それから、失業率、今七・二%ということで、全国平均の二倍にまで行っておりませんが、しかし失業率高い、かつ所得も全国平均の七二%という水準になっているわけでございまして、今後とも沖縄の振興につきましては全力で取り組んでまいりたいと考えております。
  492. 大田昌秀

    大田昌秀君 最後ですが、今SACOの最終報告と現在進めておられるのは違いはないとおっしゃいましたが、これは明らかに違っておりますので、是非点検していただきたいと思います。  以上です。
  493. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 以上で大田昌秀君の質疑は終了いたしました。(拍手)  これにて外務省問題に関する集中審議は終了いたしました。  明日は午後一時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十九分散会