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2002-01-30 第154回国会 参議院 予算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年一月三十日(水曜日)    午前十時四十分開会     ─────────────    委員の異動  一月二十八日     辞任         補欠選任      佐藤 昭郎君     服部三男雄君      草川 昭三君     高野 博師君      渡辺 孝男君     加藤 修一君  一月二十九日     辞任         補欠選任      峰崎 直樹君     小川 勝也君  一月三十日     辞任         補欠選任      紙  智子君     筆坂 秀世君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         真鍋 賢二君     理 事                 金田 勝年君                 野沢 太三君                 日出 英輔君                 松谷蒼一郎君                 齋藤  勁君                 高嶋 良充君                 魚住裕一郎君                 小池  晃君                 平野 貞夫君     委 員                 有馬 朗人君                 市川 一朗君                 入澤  肇君                 木村  仁君                 国井 正幸君                 山東 昭子君                 世耕 弘成君                 田中 直紀君                 伊達 忠一君                 谷川 秀善君                 段本 幸男君                 仲道 俊哉君                 服部三男雄君                 松村 龍二君                 宮崎 秀樹君                 山崎  力君                 山下 英利君                 浅尾慶一郎君                 江田 五月君                 小川 勝也君                 小宮山洋子君                 佐藤 道夫君                 内藤 正光君                 藤原 正司君                 柳田  稔君                 若林 秀樹君                 加藤 修一君                 高野 博師君                 福本 潤一君                 紙  智子君                 大門実紀史君                 筆坂 秀世君                 宮本 岳志君                 西川きよし君                 平野 達男君                 大脇 雅子君    国務大臣        内閣総理大臣        外務大臣     小泉純一郎君        総務大臣     片山虎之助君        法務大臣     森山 眞弓君        財務大臣     塩川正十郎君        文部科学大臣   遠山 敦子君        厚生労働大臣   坂口  力君        農林水産大臣   武部  勤君        経済産業大臣   平沼 赳夫君        国土交通大臣   扇  千景君        環境大臣     川口 順子君        国務大臣        (内閣官房長官)        (男女共同参画        担当大臣)    福田 康夫君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (防災担当大臣) 村井  仁君        国務大臣        (防衛庁長官)  中谷  元君        国務大臣        (沖縄及び北方        対策担当大臣)        (科学技術政策        担当大臣)    尾身 幸次君        国務大臣        (金融担当大臣) 柳澤 伯夫君        国務大臣        (経済財政政策        担当大臣)    竹中 平蔵君        国務大臣        (規制改革担当        大臣)      石原 伸晃君    内閣官房長官        内閣官房長官  上野 公成君    副大臣        内閣府副大臣   松下 忠洋君        内閣府副大臣   熊代 昭彦君        総務大臣    佐田玄一郎君        総務大臣    若松 謙維君        外務大臣    植竹 繁雄君        財務大臣    尾辻 秀久君        文部科学大臣  岸田 文雄君        農林水産大臣  遠藤 武彦君        経済産業大臣  大島 慶久君        国土交通大臣  月原 茂皓君        環境大臣    山下 栄一君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        亀井 郁夫君        防衛庁長官政務        官        山下 善彦君        外務大臣政務官  今村 雅弘君        農林水産大臣政        務官       岩永 浩美君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  津野  修君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田 成宣君    政府参考人        警察庁生活安全        局長       黒澤 正和君        公正取引委員会        事務総局経済取        引局取引部長   楢崎 憲安君        外務省中東アフ        リカ局長     重家 俊範君        財務省主計局長  林  正和君        厚生労働省雇用        均等・児童家庭        局長       岩田喜美枝君    参考人        日本銀行総裁   速水  優君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成十三年度一般会計補正予算(第2号)(内  閣提出、衆議院送付) ○平成十三年度特別会計補正予算(特第2号)(  内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) ただいまから予算委員会開会いたします。  議事に先立ち、一言申し上げます。  外務大臣更迭件等を含め、本日の委員会の持ち方につきまして、理事間での協議が長引き、委員の皆様には大変お待たせいたしました。     ─────────────
  3. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成十三年度第二次補正予算案審査のため、必要に応じ政府参考人出席を求めることとし、その手続につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  5. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成十三年度第二次補正予算案審査のため、必要に応じ日本銀行総裁速水優君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 平成十三年度第二次補正予算二案に関する理事会決定事項について御報告いたします。  本日の質疑総括質疑方式で行い、質疑割当て時間は百三十八分とし、各会派への割当て時間は、自由民主党・保守党五十六分、民主党新緑風会三十九分、公明党十四分、日本共産党十四分、国会改革連絡会十一分、社会民主党護憲連合四分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。     ─────────────
  8. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 平成十三年度一般会計補正予算(第2号)、平成十三年度特別会計補正予算(特第2号)、以上二案を一括して議題といたします。  両案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。齋藤勁君
  9. 齋藤勁

    齋藤勁君 おはようございます。民主党新緑風会齋藤勁です。  まず総理大臣、冒頭伺います。  二次補正予算案の、我々今議案として衆議院から送付をされてきたということで審議をしているわけですけれども、開始したわけですけれども、昨晩、衆議院野党が不在のまま、与党皆さん方強行採決して本会議でこの二次補正予算案を可決をした。その前には、衆議院予算委員会で、正しく今、国民注視をするアフガン復興に対し、そしてNGO方々と一緒にどう日本政府国際貢献の役割の中で果たしていこうかというそんな真剣な議論をしていく中で、これもまたさきに衆議院予算委員会野党抜き与党方々採決をされ、こういう衆議院の、日本国会の異常な状況、そして今日のこの参議院予算委員会を迎えているということについて、この現状について小泉内閣総理大臣認識を冒頭伺いたいと思います。
  10. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 国会審議紛糾され、各党各議員、会派方々全員参加の下に審議がなされるのが私は普通の姿ではないかと思っております。しかし、そのことがいろいろな審議上の問題から、ある会派等出席なしに行われて委員会採決も行われ、なおかつ本会議開会されたということ、この状況につきまして、一外務省の中の問題に絡むことで紛糾されたということはあったとしても政府全体の責任であると、またそういうことが国会全体の問題になっているということにかんがみまして、私も責任を重く受け止めております。  この正常でない事態をいかに正常に戻すかということに昨日から腐心をしておりましたけれども、最終的に、事態を図るために田中外務大臣野上外務次官鈴木議運委員長、いわゆる質疑の中でも問題になった当事者の皆さん責任をどう感じるか、またこの事態をどう打開するかということに対して協力をいただきまして、今日、参議院審議におきましてこうして正常な審議が進められたということは各党会派の御努力のおかげだと思っております。  これからは、十三年度第二次補正予算、そして十四年度本予算審議が始まると思うんでありますが、できるだけ正常な形で一日も早く補正予算成立させ、本予算審議に入り、現下の厳しい経済情勢にも、あるいは外交、内政、問題が山積しておりますので、国会としての正常な責任を果たしていきたいなと思っております。
  11. 齋藤勁

    齋藤勁君 本委員会が冒頭、開会が予定した時刻より遅れたことは、概略、委員長が述べられました。正しく異常な状態です、今の国会の姿は。  総理、改めて伺いますが、政府責任という言葉総理、話されました。野党衆議院で一切審議拒否をしていませんよ。野党は一切審議拒否をしていない、この認識に立ちますか、総理は。いかがですか。
  12. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、審議拒否されたから委員会出席されなかったんだと思っております。
  13. 齋藤勁

    齋藤勁君 そこら辺が、衆議院予算委員会の流れを総理として、官邸としてもきちんと把握をしていない。議運委員長もお辞めになったのかどうか、これ、ハウスが違いますから分かりませんが。  この話は衆の話ですから参で細部にわたってやり取りする時間はないんですが、最終的に一月二十九日付けで野党理事衆議院予算委員会委員長あてに申入れをしています。強行採決は遺憾だと、統一見解政府から提出させて、協議の上、総理出席質疑に入ることで合意をしていた。しかるに、野党理事からの理事会開会要求にもこたえずで、野党の回答を予算理事会で聞こうともせずに一方的に討論採決したことは言語道断の誤りだ。野党理事及びオブザーバーは厳重に抗議し、昨晩の、二十八日の状態に戻す。討論採決を行うよう強く要望する。このことを津島予算委員長に申し出たところ、野党理事さん、オブザーバーさんの言っているとおりですと、申し訳ないという衆議院予算委員長見解です。政府与党です。  このことについての共通認識に立って、そして本会議の問題があり、今日至っているということについて、そういう意味で政府責任があるんだと、与党責任があるんだということで冒頭言われたのかなと思ったんですが、いかがですか。
  14. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 委員会運営は、委員長始め理事委員方々にお任せしております。どういう事情審議が行われているのか、また各党どういう言い分なのか、つまびらかには分かりませんが、いずれにしても、最後の段階で全部の委員参加しなかったことは事実だと思います。  そういう中で、事態打開を図るのに政府責任があるのではないかということで、事態打開政府責任者として乗り出したわけでございます。
  15. 齋藤勁

    齋藤勁君 言うまでもなく、国会与党があり野党があると。こういうのは当たり前な話で、いつも、年がら年じゅう野党はああいう状況を望んで望んでいるわけじゃなくて、この間の衆議院の経過、はっきりしていると思うんですね。ですから、このことについての共通認識に立つか立たないかというのが国民に対する国会責任になるんです、与党野党も。このことがやっぱり、入口が私は大切なことだというふうに思います。  さて、今回、国会におけるこの紛糾、そして総理責任という言葉を言われています。記者会見でも、深夜されていますが、それでは、三人の今、田中外務大臣、前外務大臣、そして野上事務次官、正確にはまだ前、現事務次官なんでしょうか、鈴木議運委員長、それぞれ、それぞれの問題は、問題点は、総理としてどういうことがあったから更迭をされたのか、それぞれ伺いたいと思います。
  16. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは外務省内部の問題であり、私はこの問題は早く片が付くと思っておりました。もめるべき問題でもないと思っていましたけれども、政界何が起こるか分からない、国会全体を巻き込んだ事態になったわけであります。そういう点について政府内に不手際があったということから、国会全体の運営の問題になってきたと認識しております。  それぞれの方々がどう判断されたかというのは深くは立ち入りませんが、こういう正常な状態でないことを長く放置してはいけないということから、今日のような形で事態打開を図ろうということで、私の方針に理解を示してくれたのだと思っております。
  17. 齋藤勁

    齋藤勁君 総理、そこが大問題なんですよ。大問題なんですよ。国会紛糾をしたその要因は何ですかというところに野上事務次官田中外務大臣鈴木議運委員長の問題があるんじゃないですか。そうすると、あなたは、外務省の問題だということを言ったと、外務省の問題だと思っていたと。何日かたって紛糾したと、紛糾しちゃった。これはもうあとは首切らなきゃならないなと、おれが責任取るということですか。
  18. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 外務省の問題が、外務省の問題にとどまらず国会全体の問題になってきたと。これは政府の問題にもなってきたということで、その責任は私はあると。この責任に対して正常化を一日も、させようと、正常化させるのも私の責任だということでこのような判断をいたしました。
  19. 齋藤勁

    齋藤勁君 総理ね、異常な状態になったのは紛糾要因があるからなんですよ。紛糾要因があるから状況になったんです。その紛糾要因を早く気が付かない、総理大臣が早く総理リーダーシップを発揮すればもっと早く事が解決をしたかも分からない状況だったんですよ、今度のことは。  昨日、総理更迭をするときに、記者会見を私も深夜、これはラジオで聞いておりましたけれども、昨日私も十二時前後まで国会にいました、予算筆頭理事をしていますんで。ラジオで聞いていまして、田中眞紀子外務大臣は、いや、一生懸命やってくれていたんだというふうにおっしゃっていましたよね。じゃ、何で更迭しなきゃならないんですか。
  20. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 田中眞紀子大臣の問題、外務次官の問題、この省内の問題が省内の問題にとどまらない、政府全体の問題になり、これが国会紛糾させていると。最高責任者として、私としてはその責任を重く受け止めました。この事態打開しなきゃならないということで動いたわけでございます。
  21. 齋藤勁

    齋藤勁君 総理ね、外務省の、後、私は総理問題点、間違っているということでやりますけれども、総理責任という言葉はいいです。それじゃ、今、どうすればこういうことが起きなかったと、今振り返って、どうすれば総理としてしておけばよかったかというふうに思っていますか。
  22. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 外務省としてきちんと対応すればこういう紛糾は起こらなかったと思います。
  23. 齋藤勁

    齋藤勁君 聞いていて、聞いていて多分おかしいと思うのは、総理責任と言っているんですよ、総理責任。すると、今度、外務省が対応すればよかったと。全然食い違うじゃないですか。総理責任とおっしゃっているんじゃないですか。  今、どうすればよかったのかと。総理が、総理自身がもっと早く気が付けばこういった紛糾は起きなかったんじゃないですかと。総理自身が、三人のことじゃないんだ、総理自身責任なんだということですから、もっと早くリーダーシップを発揮していれば、今度、何か外務省の方、責任を転嫁するんですか、今度。合わないですね。話が合わないですよね、何か。
  24. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 各省庁の問題は担当大臣に任せております。それが外務省の問題にとどまらず、国会全体の問題になったんでしょう。政府全体の問題になったでしょう。そこで私に責任が来たわけです。その責任を重く受け止めて、この事態を早く正常化しなきゃならないということで取った責任でございます。
  25. 齋藤勁

    齋藤勁君 総理、一月二十日ですよ、NGO不参加の問題が出たのは一月二十日だ。そして、一月二十四日、二十五日と、これでずっといくわけですね。一月二十日で参加拒否、一月二十一日にまた一転認める。そういうときに、少なくとも気が付いて、外務省マターなんだというような判断ではなくて官邸として動いていれば、もっと国会予算委員会審議の前に解決をしているんじゃないですか、総理として。何で外務省の問題だと言うんですか。もう新聞に出ているじゃないですか、不参加とか参加とか、連日。いかがなんですか。
  26. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) そういう問題も外務省内で片付ける問題なんです。(発言する者あり)
  27. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 齋藤勁君、手を挙げて、挙手を。  速記を止めてください。    〔速記中止
  28. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 速記を起こしてください。
  29. 齋藤勁

    齋藤勁君 改めて伺います。  野上事務次官田中外務大臣鈴木議運委員長、何で更迭をしたんですか。何で更迭をしたんですか。その理由を明らかにしてください。
  30. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 本来、外務省内で調整すれば済む問題をこれがなかなか調整も付かず、言った言わないというような問題で紛糾していると。これが政府全体の問題にかかわってきた、そして国会全体の問題にかかわってきたと。そういう状況になってきたから、私は早く事態正常化させようということであのような処置をしたわけでございます。(発言する者あり)
  31. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 御静粛に願います。
  32. 齋藤勁

    齋藤勁君 あなた、私はこの責任問題、責任問題というのが、この我が国で、それぞれまた責任を見ながら我々自身も感じてやっていますけれども、この間どうも責任の所在というのが非常に不明確になってきているということで、私はこの辺はきちっとしていきたいと思うんです。  国会審議というのは、そうすると外務省任せでしょう。そうすると、外務省紛糾起きる前で、遠目で横目で見ていたということになって、総理、改めて伺いますが、NGOとこの我々国会なり政府とのかかわり方、どういう認識を持っていますか。NGOとの関係。
  33. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) NGOというのは、大変今、世界的にも活躍が認められている団体でございますし、外務省としてもNGOと協力していく、このアフガン復興支援の問題についても協力しているという方針には変わりございません。
  34. 齋藤勁

    齋藤勁君 外務省もであり、外務省だけじゃないんですよね、もう。ことだって、総理アフガン復興は緒方さんが全体な議長をやり、世界も注目の下でやり、並行でNGO会議がするという世界注視世界人たちも集まってきている。総理も並々ならぬ決意でされたでしょう。そのNGO会議ですよ。一外務省マターの問題ですと、出席を、参加を拒んだ。そしてまた一転としてと。それを言った言わない、言った言わないという判断責任を取りますというそういうNGO問題、アフガン復興会議NGO会議、そういう位置付けだったんですか。そうじゃないはずですよ。いかがですか。
  35. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、前から外務省NGOと協力していくという方針を言っているんですよ。外務省もそう答弁していますよ。そういう問題についていろいろな事情があるけれども、結果的に外務省NGOと協力していこうということになっているんです。それが何でごたごたしたのか。外務省でしっかりと調整してごたごたしないようにすると思っていたんです。それができなかった、それが政府の全体のものになってきた。だから責任を感じ、このような措置をしたということであります。
  36. 齋藤勁

    齋藤勁君 何でごたごたしたんだとこっちが言いたいですよ、本当に。そんな、内閣の問題じゃないですか。内閣の問題じゃないですか。何でごたごたしたって、あなた自身内閣全体、外務省も含めてきちんとできなかったんじゃないですか。そんなこと言われたってだめですよ、そんなの。あなたの責任じゃないですか、そんなの。
  37. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 各省、何のために大臣次官がいるんですか。内部の問題は大臣次官がよく調整してきちんと当たる、これが普通の姿なんです。
  38. 齋藤勁

    齋藤勁君 それは総理総理のお得意のお答えの仕方なんだけれども……
  39. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 当たり前のことを言っているんです。
  40. 齋藤勁

    齋藤勁君 いや、そんなことない。この時点来て、この時点来てそういうことを言われるということは、言った言わないが国民注視をしているんじゃないんですよ、言った言わない。これは大問題ですよ。これは真相を究明しなきゃならない。  総理、じゃ真相究明ですけれども、この真相究明というのは、どういうふうにこれから政府としてあるいは与党として、自民党総裁としてもされるつもりですか、この言った言わない問題で。あなたが今言った言わないと言ったけれども、どういうつもりですか。
  41. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いろいろ過去の発言に、言った言わないの問題も私は事情を聞いてみました。これは最後まで、どっちかが、ああそう、言ったのか言わないのか分からないとか、勘違いだとか、間違っていたと言わない限り水掛け論に終わります。これは、もう言った言わないの問題は、どの程度記憶にあるかという問題もあると思いますが、これはなかなか自説を曲げない限りは両者とも難しいなと、こういう言った言わないの問題で、しかも同じ省内の問題で国会紛糾させるのはよくないなと思っておりました。
  42. 齋藤勁

    齋藤勁君 総理自身から、総理自身から言った言わないということは真相がなかなか難しいなということを私は、今こういうテレビ中継の前で総理自身国民の前に言われることを私は予想していませんでしたよ。難しいということでしょう、言った言わないということは、真相を解明するという。  何年前の話ですか、総理。何か月前の話ですか。つい、ちょっと前の出来事じゃないですか。今月のことですよ。一月の二十日、二十一日の話ですよ。まだ十日もたっていないですよ。これを言った言わない。嫌ですよ、そんな言った言わないなんということでずっと時間を費やすのは。  NGOの、外務省だけではない政府との関係、国際的な関係、これは私は、政府として内閣として、イコールですけれども、与党としてもできる限り早く解明して明らかにしますという姿勢。今の答弁ですと、三人の更迭、三人の更迭で、あとはもう自分が責任を取ったと言って、まあ昨日はぼそぼそ言っていたけれども、今の感じですと、何か胸を張って三人更迭したんだ、おれは責任取ったんだからというふうにしか受け止めませんよ。いかがですか。
  43. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) だって、言った言わないというのは、両方ともそう言っていれば切りが付かないでしょう、その場に私、いたわけじゃないんですから。  しかし、結果的に、NGOに対して鈴木宗男議員が発言したしないという問題もありましたけれども、各省庁なんというのはしょっちゅうですよ。問題に、野党だって省庁に言ってくるでしょう、申入れしてくるでしょう。その申入れに対して、発言に対してどう判断するかは役所の問題です。政治家である限りは、与党野党も含めていろいろな役所の問題に対して口出ししてきますよ。それをどう受け入れるかというのは役所の判断なんです。結果的に、外務省NGOと協力してくれると、していこうという判断を下したんです。結果的にそれでいいじゃないかと。  しかし、それでいいのにも、過去のいきさつをああだこうだと言って、本質でないものでごたごたして紛糾してなかなからちが明かないから、そして政府の問題にしたから、これは早く正常化しないと国政には大きな影響を与えるなと思ったから、私は昨日から事態打開に真剣に乗り出して、早く審議を始めていただきたいということで判断したわけですから、それで私は御理解いただけると思っております。
  44. 齋藤勁

    齋藤勁君 総理、そこが冒頭の、一番最初の、一番、私が尋ねたときにその責任という言葉に返ってくるんですよ。  だから、更迭をしたことによって、更迭したことによって事の真相問題点はこれからどうなるんだろうかなというふうに言ったら、どうも言った言わないについてとか、言った言わないではなくて、外務省政府NGOとの関係。大西さんは、大西さんははっきりと具体的な与党の鈴木さんの名前を聞いているんですよ。公にしているじゃないですか。今日の、全国民が、大西さん自身が、田中外務大臣更迭とはいかがなものかと、こういう報道されているじゃないですか。  こういうことに対してきちんとこたえていく。外務省の問題、役所の問題、役所といったら全部あなた方政府じゃないですか。リーダーとして、リーダーとして、言った言わないで済まされるということではない。言った言わないじゃない。そのなぜそうなったんだということについてきちんと解明する努力が、責任者内閣総理大臣じゃないですか。内閣総理大臣じゃないですか。そういう認識に立ちませんか。
  45. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 外務省NGOと協力してくると言っているんですよ。いいじゃないですか。何が悪いんですか。そうなんでしょう。  私はNGOと協力しないとは言っていませんよ。本質の問題は、外務省NGOと協力していくか、していかないかの問題でしょう。していくんですよ、NGOと。していくと決定を下したでしょう、過去はいろいろあったとしても。私はそれでいいと思う。(発言する者多し)
  46. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 御静粛に願います。
  47. 齋藤勁

    齋藤勁君 駄目ですよ、それは、でも。だって、そのことをずっと衆議院からやってきたんじゃないですか。何やっているんです。そんな言い方ないじゃないですか。ねえ、総理。(「質問するからだよ」と呼ぶ者あり)質問、そんな、あなたね、そんな、質問するからとやじを飛ばしているけれども、あなた、責任の取り方、今、本当にあなた、今、内閣総理大臣として、事の真相を解明をしますという内閣総理大臣なのか。三人のこの任命責任者として、更迭をすることによって、言った言わないの段階で、言った言わないということで過ごそうとしているんです、今あなたは。という姿勢で今ここにいると。そういう答弁をしているんですよ。  私は、委員長、前外務大臣田中眞紀子さんを、田中眞紀子さんを参考人として呼びたい。この今の内閣総理大臣は、小泉さんのお話ね、小泉総理大臣の話は、三人の更迭した、言った言わないで責任を取る、責任を取るということで、事の真相について全く食い違いが解明しないまま、解明しないまま衆議院から参議院に、この予算案を含めてこの問題点送付をされてきています。極めて私は、参議院委員として、これは与野党そろって、何でもっと衆議院でしっかりして、きちんと整理をして、私は衆議院から参議院送付をしてほしかったという思い、一杯ですよ。  そういう意味で、まず田中眞紀子前外務大臣参考人としてこの本委員会に呼んでほしい、直ちに呼んでほしいということを求めます。
  48. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) ただいまの件は、後刻理事会において協議いたすことといたします。(発言する者多し)  速記止めてください。    〔速記中止
  49. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 速記を起こしてください。
  50. 齋藤勁

    齋藤勁君 国民注視しているの分かっていますよ。ですから、国民の前で私は言っているんですよ。政党とか……(「国民の前で引き延ばしちゃいけないんだよ」と呼ぶ者あり)  片山大臣、引き延ばしなんて、そんなやじ飛ばさないでください、閣僚席で。聞こえちゃうんだから、真ん前にいるんだから。そんな失礼な話ないですよ、そんなの。駄目ですよ、そんなの。聞こえる距離なんだから。聞こえる距離なんだから。何言ってんの、そんなの。駄目ですよ、そんなの。
  51. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 速記を止めてください。    〔速記中止
  52. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) それじゃ、起こしてください。  閣僚席からの発言は委員長の指名によって発言を求めます。
  53. 齋藤勁

    齋藤勁君 寝不足かも分からないけれどもね。寝不足かも分からない。お互いみんな寝不足なんですから、冷静にやりましょうよ。  党や政府がこの真相を究明する、そういう自浄能力を持つと、ここに国民の信頼が出てくるんですよ、国民の信頼が。それはあなたもよく言うんですよね、野党与党に言うと、与党野党も同じだということを。そう思いますよ。ですから、私たち野党の立場で一緒になって解明しましょうよと言っているんでしょう。  事実、なぜ外務省は一回まずは不参加と決めて、そして一転、参加と決めたんですかと。なぜ不参加、そして参加と決めたのか。このことについての事実、事実について、今、外務大臣兼務ですね、総理大臣外務大臣、お答えください。
  54. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) もうそれは分かっているんです。まず、一部の議員が党のいろんな会合で発言します。自民党は自民党の部会とか調査会とかいろんな委員会あります。そういうことに、受けて、NGOとかああいう外交問題の発言があったでしょう。そういうのを受けて、外務省としては一時特定のNGO団体を参加させないという経緯があった。それに対して大臣はおかしいんじゃないのかと言って直させた。それはいいんですよ。  ところが、それで済む問題を後まで引きずって、言った言わない、言わない言った、ごたごたしちゃったんです。これはもう省内の調整の問題なんです。お互い役所と大臣は一体で当たらなきゃならぬ問題を、それを言っただとか言わないとか、もう切りがないようなことをやっているわけでしょう。それが国会全体も紛糾させちゃったから、このまま行ったらほかの審議にも影響するなと。また、外務省がこういう問題で省の一体性を保持できないと外交問題にも影響が出るなということから、総合判断の上、早くこの事態打開に乗り出さなきゃいかぬということであのような処置を取ったということで、事態はよく分かっているんです。  だから、これから外務省も反省すべきところは、いろんな党の意見、野党の申入れ、世論の意見、いろんな聞いてもいいけれども、判断は間違わないように、総合的に判断して適切な判断を下すことに対しては、これからよく、きちんと慎重に対応しなきゃならないということを私はよく申し付けているんです。
  55. 齋藤勁

    齋藤勁君 分かっているんですよということは、今焦点になっている鈴木宗男議運委員長が、もう名前も出て、言ったんだと、総理は。それを言って、後は外務省判断だということだったんですか、そういうことだったんですか。鈴木さんは言ったのは間違いないんだと、宗男さんは。いや、分かっているんですよと言うから。それから、そうなんですかということですよ。  委員長ね、この中で、今日、予算委員会に配付をしていますが、政府見解、もう一つは申述聴取結果という二枚のペーパーを配っておりますが、このまず政府見解は前田中外務大臣もこれは認めている内容ですか、政府見解
  56. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 田中外務大臣も認めております。
  57. 齋藤勁

    齋藤勁君 この政府見解の二番に、「アフガン支援国会議へのNGO参加決定にあたり、特定の議員の主張に従ったことはない。」と。参加決定に当たり、参加決定の前に不参加が今回あるんですね、不参加が。参加するというのはだれもが、参加するというのはだれもが当たり前のことだと思っていますよ。不参加決定というのが問題になって、不参加ということについて特定の議員の介入があったんではないかということなんですが、そういうことは田中外務大臣は、もう一つ、この最終的な政府見解の文書に至る前に、私の手元にあるペーパーですけれども、二項、その次に、ただしアフガン復興に関連してNGOの果たすべき役割について、田中外相に説明する際に、昨年十二月の東京NGO会議でのNGOに対する支援をめぐる議論を紹介したことはあり、その中で特定の議員と特定のNGOに言及したことはあると、こういう文章がございます。  このことに関して、田中外務大臣は、田中外務大臣は、いや、それ今配っているのじゃないんです、私が今持っていると言いましたから。私が持っている、ない、今持っているのには書いていないですよ。ですから、書いていないことを私、今、だから私が持っているペーパーにはと、いや、その後、二項の後にと言っているでしょう。いやいや、だから私が今言っているんですよ。そのことを、参加決定に当たり、問題は、二十日の参加させないということについて特定の議員が言及したことがあったんだということの文章を田中外務大臣は合意をしていたと、前外務大臣は、こういうふうに私はうかがいますが、そのことについての総理認識はいかがですか。
  58. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) この政府見解は、「アフガン支援国会議へのNGO参加決定にあたり、特定の議員の主張に従ったことはない。」と、そうなんです、参加決定のときに。いろんな意見があったでしょう、前に。しかし、その議員の、特定の議員の主張に従わないで参加を決定したんです。そのとおりでしょう。
  59. 齋藤勁

    齋藤勁君 総理ね、言葉じりだったら言葉じりになるかも分からないけれども、今回、問題は、なぜ不参加になったのかということなんですよ。そのことに関しては、これは参加なんですよ。不参加をさせる、参加をさせないというところでいろいろ特定の議員の介入があったと、その段階に、その議論なんですよ、言った言わないという議論は。あなた方の今のこの参加決定の政府見解というのはそこに終始をしているんじゃないですかと。  田中外務大臣は、衆議院予算委員会で言ったのは、特定の議員の介入があったということを野上事務次官あるいは中東アフリカ局長から会議の中で聞いていると、こういうことをかの前外務大臣は前言、衆議院予算委員会でのことは撤回していませんよ。どういう認識ですか。
  60. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、最終的な決定の前にいろいろな議員の意見を外務省判断して、このNGO参加させないというような方針があったのを田中大臣はこれは参加させた方がいいということで最終的に参加させたんです。その過程で、一議員、特定の議員の発言に対して、そして外務省の中での決定というものに対して前大臣異議を唱えて、そして最終的には参加を決定したわけですから。こういう点についてもっと省内を調整して、どのNGO参加させるべきかさせないべきかというのは、委員の意見を聞くのもいいけれども、全体に省庁として適切な判断をなされるべきだと。  特定の議員、一部の議員、そういう議員に、この議員が本当に正しいことを言っているかどうか、その事案ごとに全部違ってきます。それはもう役所は全部そうです。どの役所でも必ず議員が何かしら言ってきますから、そういうことに対して、この議員が言ったことを取るか、別の議員が言ったことを取るか取らないかということに対しては、公平公正に、そのときに合わせて適切な判断がなされるべきだと。  そういう点について外務省は、このNGO参加問題について、最終的な参加決定の前に、適切な面において欠けていた面があったということはあると思います。
  61. 齋藤勁

    齋藤勁君 外務省の、随分私は責任転嫁するなというふうに、その答弁を聞く限り思わざるを得ないですね。ですから私は、真相究明政府与党がきちんとすべきだということを国民の前に明らかにする。  さて、塩川財務大臣、あなたは、眞紀子は悪くない、野上が悪いんだと、衆議院予算委員会の中で津島衆議院予算委員会委員長とやり取りをしていました。総理の今のるるのやり取りを聞いていても、外務省外務省外務省のトップは外務大臣、悪くない人、悪くないんだという、塩川財務大臣、御発言がありますよ。それは翌日の記者会見でもあなたはおっしゃっています。責任がない、悪くない人に何で更迭する必要があるんですか。財務大臣、いかがですか。
  62. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私は、事務次官大臣とよく相談しなかったということは、何でしなかったんだろう、それは悪かったなということを言っているんです。
  63. 齋藤勁

    齋藤勁君 全国放送で、財務大臣、眞紀子は悪くない、眞紀子は悪くないと言っているんですよ。すぐ数時間後ですよ、この更迭の問題になってくるのは。  総理大臣は、全部の責任を負うみたいな。事の真相はそうじゃ済まないんですよ。外務大臣更迭をされる、野上事務次官更迭される。事の真相はすべて、更迭することによって、今のやり取りですと、いや、言った言わないに全部すり替える、これが政府の態度じゃないですか。責任の所在はどこにあるんだと、このことが大問題じゃないですか。  私は改めて、この間の衆議院田中外務大臣のこの事の真相の部分について、私は、平行線のままというよりむしろ、財務大臣すら予算委員会のずっと質疑を聞いてきて、野上事務次官外務省が悪いと言っておられる。ここに田中外務大臣を、前外務大臣参考人を求めます。改めて求めます。
  64. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 齋藤議員の質問は、先ほどございました要求と同趣旨と思いまして、先刻の、後刻理事会において協議することで処理をさせていただきたいと存じます。  速記を止めて。    〔速記中止
  65. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 速記を起こしてください。
  66. 齋藤勁

    齋藤勁君 政府見解についてペーパーが配付をされています。この二項について、「参加決定にあたり、特定の議員の主張に従ったことはない。」で終わっておりますが、私の手元に、そちらに行っていませんが、先ほど読み上げた文章をもう一度読み上げます。  その次に、ただし、アフガン復興に関連して、NGOの果たすべき役割について田中外相に説明する際に、昨年十二月の東京NGO会議でのNGOに対する支援をめぐる議論を紹介したことはあり、その中で、特定の議員と特定のNGOに言及したことがあるということなんですね。このことに関して、この間、衆議院予算委員会では、ここが言った言わないの部分になっていることは事実です。言った言わない、特定の議員の、鈴木宗男議運委員長、特定の議員と特定のNGOの問題ですけれども、ここは、私の知る限り、田中眞紀子前外務大臣がこういう文章を、実はこのことについては合意をしているという、私はそういった情報もございます。  いずれにしましても、その情報の問題と、特定の議員、鈴木宗男議運委員長がこの不参加の問題で、中東アフリカ局長、今日もお見えになっています。野上前事務次官にもお呼びしました。ずっと一貫して食い違いがある。それは食い違いを認められている。このことは、今、三人の更迭で言った言わないということで、総理はずっとそのことで、ずっと、いや、それはもう更迭をする、外務省の問題だということでありますけれども、これはきちんとかかわり合った方々国会の中で明らかにしていくということが、私は責任の所在を明確にする意味で必要だということなんです。そういうことで言っているんです。
  67. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) この文章は、田中大臣も、「アフガン支援国会議へのNGO参加決定にあたり、特定の議員の主張に従ったことはない。」と合意しているんですよ。過去、その経緯があるでしょう。  どんな役所でもかんかんがくがく議論ありますよ、一つの結論を出すためには。右がいい左がいい、AがいいBがいい。しかし、最終的に決めるわけでしょう。その間のやり取り、多少食い違いがあったとしても、あの人がこう言った、あの人が反対した賛成したと、どこの役所でもあると思いますよ、外務省でも。しかし、最終的には、「参加決定にあたり、特定の議員の主張に従ったことはない。」ということは大臣も了解しているわけですよ。  だから、その経緯をとらえて、言った言わないということでごたごたするのはいかがなものかと、そこを言っているんですよ。これは省内できちんと一体感を出してやるのが大臣次官責任じゃないかと。  どういうことにしたって、これは外務省だけじゃありません、全省庁に私は言っています。どんな意見が、どんな議員が、与野党問わず役所に申し込んでもきていいと、また、どんなおっかないことを言ってきてもいいと。それに脅されちゃいかぬと。しっかりと、その議員がだれであれ、実力者であれ一議員であれ、言った内容についてよく考えなさいと。その内容が適切だったら受け入れるかべきか省内で研究しろ、どんな人でも、実力者でもたまには変なことを言ってくる場合がある、そういうときは毅然としてはね付けなさいと。  それが役所の仕事の見識なんだということで、今回、経過として外務省判断を間違わせたようなことを言った方があるかもしれない、しかし結果として間違いのない判断を下した、それでよろしいと。にもかかわらず、この経過をめぐって、いつまでも言った言わない、ごたごたするのは、一省として、政府内部の大事な外務省として横筋の問題で国会紛糾させるということは役所としては情けないことだ、しっかりやりなさいということを言ったんです。
  68. 齋藤勁

    齋藤勁君 三人が、三人が辞めることで事態解決をしたということにならないんですよ、総理。それが総理大臣責任じゃないですか。参加拒否の経緯について、参加拒否の経緯について真実を明らかにさせるということ、真相を明らかにさせるということが総理責任じゃないですか。田中、野上あるいは鈴木、これはもう敬称略しますが、だれかが真実をゆがめているということじゃないですか。いいですか。そのことが任命権者の責任じゃないですか。責任を放棄しないでくださいよ。いいですか。そういうことなんですよ、笑っておられるけれども。  だから、あなた自身は今、三人が辞めることで事態解決したというふうに今、国民の前で今言っているんですよ。参加拒否の経緯について真実を明らかにさせるということが、国民注視をしているんです。大変な景気の問題あるけれども、これだけ国際的にもNGOの問題、アフガン、大変な問題になった。何でこの真相というのが、総理は今リーダーシップで解明をしようとしないんだろうか。解明するように努力をする、何で言えないんですか。
  69. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) もう何回も言っていますよ。参加拒否してないんですよ。参加を許可したんです。そして、参加を、参加拒否拒否されたNGOもありますよ。それは一杯参加、一杯あるんですから。それは拒否された理由を一々挙げるというのもいかがなものだし、結果的に皆さん参加させた方がいいというNGO参加しているんです。外務省はこれからもそのNGOと協力していこうということを言っているんです。  しかし、一つ一つ内部の、この人は駄目、この人はいいというのは、つまびらかにするというのはまた別問題です。省内できっちりとやるべき問題なんですよ。省内の一々の発言を国会でべらべらべらべらしゃべって、言った言わないという問題について紛糾するのは、役所としてどうなっているのかと。そういう点も考えなきゃいけないんです。
  70. 齋藤勁

    齋藤勁君 あなたは、省内の言った言わない、小さい問題、あなたがそう言うことが今三人の、大臣事務次官議運委員長更迭につながったんじゃないですか。あなたが外務省の言ったか言わないかということが、それだけの大きなことになったんですよ。大きなことに至った原因は、参加拒否の経緯について明らかにさせるということが総理大臣の任務じゃないですか。そのことを今あなた方は、言った言わない、これ言うと、いや外務省が言った言わないが入ってくる。だから、改めて、同じことですよ、衆議院予算委員会と。いいですか。  それから、扇さん、大臣、今女性閣僚いらっしゃいます、今、田中眞紀子外務大臣いらっしゃらないから、四人。総理は、総理が女の涙は武器云々とおっしゃった、女の涙は武器だと。四人の女性閣僚に伺います。お一人ずつ、この総理の発言についてどういうふうに思いますか。女性べっ視じゃないですか。
  71. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) どなたからですか。どなたから。どなたからですか。
  72. 齋藤勁

    齋藤勁君 女性大臣としてそれぞれ四名の閣僚いらっしゃいます。総理大臣のこの、女性の涙、女の涙は、こういうことをおっしゃいました。どうですか。
  73. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 女性にと言われましたので、当たりましたんですけれども。  私、涙もろい方ですから、子供には特に泣きますし、私、涙というのは私は宝石だと思っています。そういう意味で、悔しいときにも涙は出るし、やっぱり抑え切れないこともありますし、男の方でも破産して記者会見で泣いていらっしゃる方もありますし、私は、そういう意味では人間性の私は一番正直なところだと思いますので、涙が出ることは私は人間性が出ることだと思って、涙は宝石だと思って、母が死んだり親が死んだときは、私は堂々と泣こうと思っています。
  74. 森山眞弓

    国務大臣(森山眞弓君) 女性の涙には男性は弱いというお話をなさったようでございますが、それは本当じゃないかと思います。男性にも泣かれると、今度は女性はとても弱うございます。お互いさまではないんでしょうか。
  75. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 私は、すばらしい男性の前で涙を流して、それは女性の武器だと一度言われてみたいと思っております。
  76. 遠山敦子

    国務大臣(遠山敦子君) 感想を求められたときに率直にお話しになるというのは、一つの人格の魅力であろうかと思います。
  77. 齋藤勁

    齋藤勁君 総理は、涙は女の最大の武器だからね、泣かれると男は太刀打ちできないねと、こう言われたんですよ。私は、女性べっ視、男の、そういう男女差別のそんな言葉がぱっと出たんじゃないですか。総理大臣、どうですか。
  78. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 本当のことでしょう。昔から、もう小説読んでも本読んでも、女性は最大の、涙は女性の最大の武器だなというのは、みんな何げなくいつでも言うじゃないですか。だから、泣かれると男は太刀打ちできない、涙には弱いんですよ。それを率直に表現したんですよ。  そういう、こういうことまで女性べっ視だと言われたんじゃ、男女同権もほど遠いなと。もっと女性も自信持って、先ほど川口大臣ですか、たまには男性の前でこの女性の武器を披露してみたいと、さすがだなと。こういう発言をできる女性だから立派に環境大臣を務めておられるんじゃないかなと。  私も、男ですけれども泣くときも随分あります。最近は特に涙もろくなって映画とか見ても涙を見せますが、私は、この涙というのはそれぞれの方々が、悔しいときも流します、悲しいときにも流します、感動するときにも流します。そういうときにはやっぱり真の心が出ているんじゃないか、だからこそ人の胸を打つんじゃないかと思っております。
  79. 齋藤勁

    齋藤勁君 あなたがこの言葉を発言したときのインタビューのときは、大島自民党国対委員長ですか、大島さん、そのときに呼ばれて、田中眞紀子外務大臣が呼ばれて、真実はどうだというときに、それで部屋から出てきて語りながら流された涙ですよ。それを指して、私はだから、真実の追求も含めて、そういう立場に立つ、涙を流して、男に対するさまざまな場面を想定して言う言葉じゃないですよ、こういうことは。私は問題だと思います。女性の議員の方たちがべっ視ということについての指摘はもちろんありますけれども、出てきたこの言葉のその場面というのは何なんですかということを言いたい。  官房長官政府見解は官房長官がまとめられたペーパーでよろしいですか。
  80. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 政府見解でございますので、私が責任を持ってまとめました。
  81. 齋藤勁

    齋藤勁君 今お配りしています一、二、三、四の四項目以外に、私が先ほど口頭で申し上げた文章というのは、経過の中であったんでしょうか。官房長官は、じゃ、ちょっとお見せします。(資料を示す)
  82. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 実は、この政府見解をまとめる段階におきまして、最初の段階でその文言が入っていたものもございます。
  83. 齋藤勁

    齋藤勁君 そうすると、先ほど私が口頭で言った部分というのは、私だけが持っていて言ったということじゃなくて、政府自身も持っていたということで、私はそういう意味では、そういう共通の材料ですと、私はそういう共通材料で、当時外務大臣であった、私はこのことについて了承をしていたということを、この部分を田中眞紀子外務大臣がかかわっていたということについても伺っています。  是非そういう共通の私は情報の中で、私は真相究明に向けてという意味で、田中外務大臣参考人として再度求めたいと思います。
  84. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) ただいま申し上げましたことにつきまして、今のお示しいただいた四行ですか、三行ですか、その部分は最初の段階であって、それは田中外務大臣もそのコピーをお持ちでございます。その後、関係者と協議をした結果、最終的な政府見解を取りまとめました。これは、これも大臣にはお示しをしておるわけでございます。
  85. 齋藤勁

    齋藤勁君 ですから、先ほどから言っているとおり、参加、私は、今回の問題というのは、何で拒否をされたんだということの真相部分ですから、これは非常に重大な部分なんです。このことについてお答えしていただきたい。認めた、ここの部分でなくなっています、削除されています。これについて重大なかかわりのある田中外務大臣参考人としてお願いしたいということです。
  86. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 速記を止めてください。    〔速記中止
  87. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 速記を起こして。
  88. 齋藤勁

    齋藤勁君 度々私が指摘しているのが理解できていただいていないと、大変残念ですが。  要は、私は、田中外務大臣の、前外務大臣参考人をお願いしていますのは、二つペーパーがありますと。で、ありましたと、今、このただしという部分については。私は、田中外務大臣はこの部分については了承しているけれども、後段の部分については私は了承していないと。了承していないと、この今ペーパー、最初の今政府見解の部分というのは。ですから二重、二つのペーパーがあるんではないですかということで、そのことの真相を解明したいということでお呼びしている、そういう意味です。
  89. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 原案段階で田中大臣にこの紙をお示し、最初の紙をお示しし、そして次に政府見解、また取りまとめをして、その最終的なものもお示しをしているはずでございます。  そして、これはなぜ四行削ったのかということですか。そうでなくて、後段の部分というのはこの最終的な政府見解のことですか、の後段ですか。ですから、これをお示ししているはずなんです、これは。ですから、お示ししているはずじゃなくて、しているものでございますから、ですからこのことについても御了解いただいております。
  90. 齋藤勁

    齋藤勁君 あなたがおっしゃっているけれども、前外務大臣は了解していないと言っているんですよ。だから、私はここで話をしているんです。了解していないと言っているんです、外務大臣は。だから、言ってみれば、今回の更迭の問題は、塩川財務大臣だって眞紀子は悪くないと言っているんですよね、田中外務大臣は悪くない。そうでしょう。  ですから、真相究明について、私は、ここへきちっと国会の在り方として私は明らかにした方がいいということで再度申し上げさせていただきます。田中外務大臣参考人として求めます。
  91. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 速記を止めてください。    〔速記中止
  92. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 速記を起こしてください。  ただいまの問題は後刻理事会において協議することといたします。(発言する者多し)  ただいま申し上げましたように、これらの問題については休憩後の理事会において御協議することといたします。  残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十三分休憩      ─────・─────    午後一時五分開会
  93. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  この際、御報告いたします。  齋藤勁君から田中外務大臣参考人招致について理事会において協議した結果、この問題については最大限の努力をするということで意見の一致を見ました。  理事協議の結果、お手元に配付しております質疑通告表中、日本共産党質疑者が宮本岳志君から筆坂秀世君に変更となりました。     ─────────────
  94. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 休憩前に引き続き、平成十三年度第二次補正予算二案を一括して議題とし、質疑を行います。  関連質疑を許します。小川勝也君。
  95. 小川勝也

    小川勝也君 民主党新緑風会小川勝也でございます。  齋藤委員に引き続きまして、午後の質疑させていただきたいと思います。  田中大臣辞任をされたということ、大変びっくりいたしました。今回の衆議院予算委員会でのやり取りを聞いていた国民皆さんの中では大部分の方々田中眞紀子大臣を支持していた、そんな報道にも接していたからであります。  総理は政界は一寸先はやみだ、何が起こるか分からないということでありますけれども、衆議院委員会でこの問題が起きる前までは、辞めてほしい大臣は、田中眞紀子大臣ではなくて、BSE関連の対策をやってこられました武部大臣だったんではないかというふうに考えてございます。  この委員会で、先ほどの外務省田中大臣、その問題については、やはり田中眞紀子前大臣出席の下、その事実、真相が解明されるべきと思います。参考人招致の委員会に譲りまして、私は、農林水産省及び武部大臣責任を追及すると同時に、総理がどうお考えになっているのか質問させていただきたいと思います。  総理は、一内閣一閣僚ということ、そして、武部大臣辞任をしたからといって牛肉の消費が上がるわけではない、こんなふうに申されておりました。  実は、この牛肉の消費が上がるわけじゃないので武部大臣責任を問わないという総理の御答弁は、人気の高い小泉総理の発言の中にあっては非常に人気のない発言だったろうというふうに思います。  一内閣一閣僚というその仕組みが壊れた今、改めて農水省、武部大臣責任についてどうお考えになっておられるのか、総理にお伺いをしたいと思います。
  96. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いつも一部の発言を取って言われますが、武部大臣が辞めたといって牛肉の消費が上がるわけではないと言ったのは事実ですよ。そう思うでしょう。それと責任問題とは全く別の問題なんです。もう安全な牛肉しか流通には回らせませんと。これからの原因究明は徹底してなされます。さらに、今後、食の安全について今までの対応の仕方、反省すべき点が多々あると思いますので、そういう点も正します。しっかりとした安全対策を講じます。そういう面において責任を取ってもらいたいと考えております。
  97. 小川勝也

    小川勝也君 短い時間ではありますけれども、農林水産省や武部大臣にどれほどの責任があるのかということを分かりやすく理論立てて追ってみたいと思います。  大臣の御発言の中に、私も農林水産省の職員も一生懸命やっている、こういう表現があります。確かに、地震とか天災であれば御苦労さまと申し上げたいわけでありますけれども、日本に狂牛病が発生するこの予兆というのがあったわけであります。一九八〇年代、イギリスに狂牛病が発生をして、対岸の火事のごとくその映像を見ておりました。しかし、一九九〇年代になってから、WHOからこういうことで狂牛病が発生しますよという勧告がなされました。どんな勧告であって、日本がどういう対応を取ったのか、お聞きしたいと思います。
  98. 武部勤

    国務大臣(武部勤君) 一九九六年の四月のWHOの勧告を受けまして、この勧告は肉骨粉の使用の問題でございます。このことについて農水省に責任があったのではないか、そういうお尋ねであろうと思います。これは米国や豪州に比較して日本は甘かったのではないか、こういうことだと、かように思います。  私は、我が国の取った当時の行政指導のことにつきましては、英国からの肉骨粉を輸入しないこととしたこと、また牛用飼料への肉骨粉の使用が平成七年当時〇・〇五%、つまりほとんど使用されていないということ、国内においてはBSEの発生が見られなかったこと、こういったことで行政指導の実効が確保されていたんだろう、こういう、そういう確保されているという見方であったんであろうと、かように考えます。  また、さらに九七年の三月及び四月の家伝法改正時に、衆議院参議院両院の農林水産委員会におきましても、今後とも指導することという附帯決議が全会一致でなされているわけでございます。当時の判断としては直ちに法的規制を行わなかったものと、そういうふうに私は承知しております。しかしながら、今般BSEが発生したことは、危機意識の希薄さ、縦割り行政の弊害等、行政の構造的な問題があったと、私はかように認識しております。  したがいまして、私は、当時より実効性のある措置、つまり法的措置を講じていれば感染リスクは低下していたものと考えます。しかし、これが絶対あり得なかったかということについてはいささか疑問であります。このような当時の行政対応上の問題につきましては、これは徹底解明をしようということで私は執念を持って取り組んでいる所存でございます。今後の畜産・食品衛生行政の在り方ということについても、一元的なことを目指して抜本改革する必要性を私は感じております。しかし、こういったことは客観的に検証する必要があろうと思います。また、科学的な知見を得る必要もあろうと思います。  そこで、厚生労働大臣と私の私的諮問機関でありますBSE問題に関する第三者調査委員会におきまして、今ありとあらゆる資料を提出しまして、また公開の下に検討をお願いしている次第でございまして、その御提言、御指摘を受けて今後思い切った対応をしてまいりたい、それを進めることが私どもの責任の一つであると、かように考えているわけでございます。
  99. 小川勝也

    小川勝也君 その当時、WHOから勧告があって行政指導をしたということであります。審議会がありまして、家畜飼料検討委員会で二人の専門家委員が行政指導ではなくて法的禁止が必要であるという意見を述べられたということになっております。なぜ法的禁止に踏み切らなかったのでしょうか。
  100. 武部勤

    国務大臣(武部勤君) 当時の経過については、ただいま申し上げましたように、客観的な検証が必要だと、私はかように考えております。  したがいまして、ありとあらゆるデータを提出いたしまして、もう二千ページ以上のものを出しております。そこで客観的に、科学的に御検討いただくというふうに私は考えておりまして、それによって、どうしてそういう審議会においてもそういう意見があったのに行政指導で終わったのかということなども明らかになってくるのではなかろうかと、かように思いますが、思いますに、先ほども答弁しましたように、衆参両院においても当時行政指導を続けることという全会一致の決議などもございます。したがいまして、今にして思えば私は行政指導じゃなくて法的規制にすべきだったと思いますけれども、当時としてはそのようなことなども含めてそんな判断になっていたのではないかと、かように推察をしているところでございます。  いずれにしましても、第三者委員会で客観的な検証をいただくことが一番大事だと思っております。
  101. 小川勝也

    小川勝也君 国会のせいにされてもしようがないんですけれども、なぜその検討委員会はその後四年間も開催されなかったんでしょうか。
  102. 武部勤

    国務大臣(武部勤君) 当時の経過については、誠に私は詳しく存じておりません。私自身も、なぜ、委員が御指摘のような、途中でその審議会が審議をしないことになったのかということなどは、過去の問題についてはやはり客観的に検証する必要があると思います。  私もなぜそうなのかなという思いもありますから、この第三者委員会において客観的に、科学的にしっかり御検討いただき、そこで行政対応上どういう問題があったのかということについて御指摘をいただいた上でしっかりした対応をしなきゃならないと、かように考えております。
  103. 小川勝也

    小川勝也君 この委員会の場で解明したいから、私が大臣にお伺いをしたんです。もう一度お答えください。
  104. 武部勤

    国務大臣(武部勤君) その審議会は十三人いると、こういうふうに承知しておりますが、そのうち法的規制に触れた方は二人だと、このように聞いております。  その審議会に限らず、様々な専門家の皆さん方やいろいろな方々の意見を聴取した上で、しかも先ほども国会のせいにしては困るというような、そういうお話がありましたけれども、これは両院の農水の附帯決議においてもそういう指導を続けることと、こういうふうになっているんですね。ですから、私どもは、今そういうようなことについて明確にすることが今後のBSE対策を樹立する上で非常に大事だと思っているものですから、第三者による調査検討委員会を設けて今検討をいただいているわけであります。
  105. 小川勝也

    小川勝也君 全然答えになっていないんですけれども、次の問題が重大なのでよく聞いてください。  一九九七年、日本も法的規制をしておりませんでしたが、アメリカ、カナダ、豪州もしておらなかったのが一九九七年に法規制に踏み切っています。このことを農水省は知っていましたでしょうか。
  106. 武部勤

    国務大臣(武部勤君) 一九九六年三月、英国政府の諮問機関がBSEの人への感染の可能性を発表するとともに、EU常設獣医委員会が英国からの牛肉等を他の加盟国及び第三国への輸出することを禁止すべき旨の提案を行ったわけでありますが、これを受けて、我が国へのBSE侵入防止対策のより一層の強化を図るとともに、牛肉消費への影響を防ぐために、緊急にBSE発生国に分類される英国本島及び北アイルランドからの肉骨粉等の輸入を停止したところであると、このように承知しております。  一方、英国以外のEU諸国については、当時BSEが散発的な発生状態にありまして、OIEの規約上、これらの低発生国からの肉骨粉の輸入は加熱処理を要求すべきであるとされておりましたことから、我が国はこの国際規約に従いまして、輸入停止ではなく加熱処理を輸入条件としたものと承知しております。  いずれにいたしましても、何度も同じことを申し上げるようでありますが、過去の行政対応上の問題点の解明、これは非常に大事であります。さらに、今後の畜産・食品衛生行政の改革を目指して、現在BSE問題に関する調査検討委員会にありとあらゆる資料を提出して、公開の下で客観的な検証と科学的な知見に基づく検討をお願いしているところでございます。  私は、BSE発生当時、この危機管理意識の希薄さ、このことに対しては行政に構造的な問題があるなということを直観的に感じました。そして、これを究明していくことに執念を持って取り組んでいこうということで今私は鋭意取り組んでいる所存でございますので、御理解いただきたいと思います。
  107. 小川勝也

    小川勝也君 全然答えになっていないんだけれども。一九九七年に米国、カナダ、オーストラリアが肉骨粉の法的規制に踏み切ったと。日本は何をしていたのかと聞いている。
  108. 武部勤

    国務大臣(武部勤君) 日本は何をしていたのかということは、先ほども申し上げましたように、行政指導で実効性が確保されると、こういう対応を続けていたということでございます。  今にして思うと、私は、実効性のより高いもの、法的規制をしていれば私は感染へのリスクは低下していたであろうと、こう思いまして、私は、法的規制していた方がよかったと、今にしてこう言えると思うんです。  ただ、当時は、先ほど来お話ししておりますように、英国からの肉骨粉を禁止したり、それからEUについてはOIEの基準に照らした加熱処理条件というものに適合したもののみ輸入するという条件等を付しているわけでございます。  いずれにいたしましても、過去の検証につきましては客観的にやる必要があると、また科学的な知見を得なければならない。私は、委員が御指摘の問題は共有していると、このように思っております。私自身も感染源の究明、どうして日本にBSEが侵入したのかということについて、やっぱり過去のことをしっかり検証すると、その必要性を痛感して、今第三者委員会で四回やって、あらゆるデータを出して公開の上でやらせていただいているわけでございます。
  109. 小川勝也

    小川勝也君 結果的にもう我が国で発生をしてしまったということは対応が失敗したということであります。もっと謙虚にお答えをいただきたいと思うわけでありますけれども。  なぜ日本は大丈夫だと思って行政指導にとどめたのか。輸入肉骨粉が紛れて変なのが入ってくることがないと思って安心していたのか、まさかその肉骨粉で異常プリオンが入っているものが牛の胃袋に入ることがないと思って安心していたのか、どちらの方が大きかったんですか、お答えをいただきたいと思います。
  110. 武部勤

    国務大臣(武部勤君) 当時、英国からの輸入の肉骨粉は禁止しておりました。禁止いたしました。それから、EUから、低発生国については加熱処理条件というものをOIEの基準に照らして行っていたわけでございます。  また、国内において調べましたところ、牛用の飼料としてはほとんど肉骨粉を使用していなかったと。まあゼロではありません、〇・〇五%の使用であったということなどから、行政指導で実効性が確保できるのではないかという、そういう判断だったのではないかと、かように私は承知しているわけでございます。  また、先ほども申し上げましたように、一九九七年ですね、家伝法改正に対しての論議の中で、衆議院においても参議院においても、農林水産委員会で、これは全会一致で、指導を続けることと、こういう決議に相なって、附帯決議に相なっているわけでございます。  しかし、私は今にして言えることは、もっと行政指導じゃなくて法的規制をしていれば実効があったのではないか、そしてBSE発生に対してのリスクを低下させることができたのではないかと、私はかように思っております。  そういう意味で、農林水産省を始め行政上の対応、危機管理意識の希薄さというものには非常に大きな問題を感じておりまして、これを究明するために、先ほど来申し上げておりますように、客観的な検証が必要だと、科学的な知見を得る必要があるということで、第三者による調査検討委員会で今議論をいただいているわけでございます。  ここでの提案、御意見、御指摘を受けて、私どもは行政の在り方ということについて真剣に対応してまいりたい。このことについて、私は当初から執念を持って、執念を持って取り組んできている所存でございますので、御理解をいただきたいと思います。
  111. 小川勝也

    小川勝也君 分からないことはこれからもゆっくり調べてほしいんですけれども、今聞いているのは分かっていることです。WHOから警告、勧告が来たこと、そして専門家が法的規制をした方がいいということ、そして、その次の年にアメリカ、カナダ、オーストラリアが法的規制に踏み切ったこと、この三点は知っていて見逃したというのは事実かどうかを答えてください。
  112. 武部勤

    国務大臣(武部勤君) 見逃したということが当たるかどうかわかりませんが、WHOの指摘に対して行政指導で対応したというのは事実でございます。
  113. 小川勝也

    小川勝也君 その言い方じゃないです。もう一回、見逃したのかどうか聞いてください。アメリカもカナダもオーストラリアもちゃんと措置をして、いまだ発生国になっていないんだ。
  114. 武部勤

    国務大臣(武部勤君) これは、だれが見逃したとかかれが見逃したかとかいう、そういうことを私が申し上げる立場には今ないと、このように思っております。なぜならば、やはり過去のことについてはやっぱり客観的な検証が必要じゃないでしょうか。それから、科学的な知見も必要だと思いますよ。今申し上げましたようなことに従って行政指導にしたということでありまして、法的規制でもっと実効の上がることにすべきではなかったかなとは、今にして私はそのように思います。
  115. 小川勝也

    小川勝也君 そんな他人事の答弁をしているから消費者は納得しないんですよ。田中眞紀子さんは言った言わないで首になった。生命に関係のある話をしているんだ。当事者の意識が希薄じゃないか。あなたが農林水産省の責任者だからおれは聞いている。もう一回。
  116. 武部勤

    国務大臣(武部勤君) 声を大きくされましても、私が答える内容は大きく変わりません。当時のことについてもっとしっかりやらなければならなかったという認識は私は持っております。であればこそ、どこのどの部分がいかようにして問題だったのかということについては、これは消費者の皆さん方、あるいはマスコミの関係の方も入っております、科学者も入っております、ここの第三者委員会で三月末ぐらいを目途に今いろいろ御議論をいただいているわけです。今日まで四回やっております。二千ページ以上のデータも出して、これはすべて公開です。  そういうところで今検証をいただいているわけですから、私自身としては、先ほど来申し上げておりますように行政指導ではなくて法的規制にすべきであったのではないかと、今にしてこう言えますけれども、当時としてはいろんな方々の御意見を聞いての行政指導であったと、このように承知しておりますので、その間、どんなことがどのようにあったのかということについてはこの第三者委員会で御検討いただいているところでございますので、その結果をお待ちいただいてまた御議論を願いたいと、このように思います。
  117. 小川勝也

    小川勝也君 これは検証が必要なことを聞いているんじゃないんですよ。武部大臣がとは言っていない、農林水産省がこう流れ星のように見付けにくいものを見たということを言っているんじゃないんですよ。きちっとしたWHOからの勧告、諸外国が法規制に踏み切ったということ、審議委員の中で法規制に踏み切った方がいいという意見が出たということ、これを見逃したんですねと聞いているんですよ。
  118. 武部勤

    国務大臣(武部勤君) 十三人中の二人の御意見でございますから、その二人の意見を(「無視した」と呼ぶ者あり)まあ無視したということは当たると思います。しかし、ほかの人たちの意見も聞いていると思いますね。見逃したということを、見逃して行政指導したというような答え方は私はできません。  当時は、十三人の審議会のうちの二人ですよ、そういうふうに聞いているんです。私は見逃したということにはならないと思います。
  119. 小川勝也

    小川勝也君 納得しないですけれども、まだあります。  その後、EUのステータス評価というのがありました。日本は安全だと勘違いしていて思っていた。ところが、いわゆる発生国並みの危険度レベル3という評価を受けて、これを受けるの嫌だというふうに拒否したわけであります。どうしてレベル3になったと今はお考えですか。
  120. 武部勤

    国務大臣(武部勤君) 私は、EUのステータス評価については、当時、我が国の化粧品、医薬品の輸出のために評価を受けることが必要だと、こう聞きました。  それから、OIEが五月に総会を開いて新しい基準を採択したと。したがって、新しいOIEの国際基準に照らした評価を受けたい、EUもこの評価に準拠した評価に変えるそうだと。現に、七月にはEUはこのOIEの基準に照らして新しい評価案を作っているわけです。  今、委員が、どうしてレベル3ということについて見逃したんだというような御指摘ですが、私もこのことについては率直に、あのEUのステータス評価を仮に受けないとしたとしても、どういう指摘があったのかということは、これはオープンにすべきだったと思いますね。これを甘く見て、そんなことはないというふうに農林水産省がそういう認識を持っていたというのは事実でありまして、これは私は危機管理意識の希薄さということに集約されると思います。  そういうことから私は、行政に構造上の問題があると。これは過去の問題についても徹底究明する必要があるということで、第三者委員会厚生労働大臣と私の私的諮問機関として設置させていただきまして、今御検討をお願いをしているわけでございます。
  121. 小川勝也

    小川勝也君 だから、分からないことはこれからも究明してもらうわけですけれども、分かっていることがもう既にたくさんあるんです。レベル3というのは発生国並み、なぜかということもEU委員会はもう分かっている。それは、英国以外からの危険な肉骨粉を我が国が輸入しているということをEUは分かっていたからであります。日本政府は分かっていたでしょうか。
  122. 武部勤

    国務大臣(武部勤君) ただいま御答弁、前段の、WHOの勧告以来のことについて申し上げましたが、私は、危機管理意識というものが希薄であったと、その一語に尽きると思います。  しかし、EUのステータス評価を受けることを、受けたからといってBSEの侵入を防げたかどうかということとは別問題です。このことを私は、BSEが仮に侵入しても、危機管理意識をしっかり持って検査体制を万全にしていれば食用にもえさ用にも流通させないという対策はできたのではないかと、このように思いまして、そういう意味では委員御指摘のように、EUのステータス評価というものを受ける受けないにかかわらず、このことに対してしっかりこれをまともに受けて対応する必要があったと、このことは深い反省をしなきゃならぬことだと、このように思っております。
  123. 小川勝也

    小川勝也君 EUのある国から危ない肉骨粉が日本に入ってきているということをEU委員会は分かっていた。日本政府は分かっていましたかと聞いている。
  124. 武部勤

    国務大臣(武部勤君) 日本政府は甘い認識に立っていたのではないかと、分かっていなかったのではないかと思います。
  125. 小川勝也

    小川勝也君 という事々がたくさんあって、これは例えば、僕は、易しく言うと、BSEが起こるかもしれないということを農林水産省だけが分かっていればいい、そして、起きたらどうしたらいいのかということをマニュアルを作っているべきだと。  実際、昨年の八月に疑似患畜が発生してからその後の対応はいかがでしたでしょうか。
  126. 武部勤

    国務大臣(武部勤君) 行政の縦割りの問題というものが露呈したと思っております。屠畜場に入るまでの管轄は農林水産省、屠畜場に入ってからは厚生労働省、ここで当該牛は敗血症という診断で全部廃棄としてレンダリングに回っていたわけでございます。こういう縦割り行政の弊害を打破すべく、私どもは県でありますとか厚生労働省と連携を取って新しいマニュアルを作って今対応している次第でございます。
  127. 小川勝也

    小川勝也君 これ、縦割りのせいにしているけれども、肉骨粉はだれの担当でしょうか、坂口大臣にお伺いしたいと思います。
  128. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 八月の、今話がありましたように六日の日に、いわゆる起立不能という診断名の下に一匹の牛が入ってきたわけでございます。屠畜場でそれを屠畜をいたしまして、そして見ましたところ、敗血症であったことには間違いがないわけでございます。  しかし、敗血症であると同時に、そこにBSEにも罹患をしていた。そこを、敗血症の段階でそれを置いてしまったというところに私の方も問題があったわけで、そこは責任を私たちも感じているところでございます。  そして、その後、肉骨粉にそれを、敗血症なものでございますから、肉その他はこれは廃棄処分にしたわけでございますが、骨の方は肉骨粉にしてしまった。そのことを我々の方が、我々の方がと申しますか、屠畜場の方がBSEだということを知ったのが、早く知ればそれはそんなことはしなかったわけでございますけれども、それを知りましたのが、九月のその発表の日まで知らなかった。そこに大きな問題があったと思っております。
  129. 小川勝也

    小川勝也君 全然答えになっていないんですけれども、次行きますよ。  雪印の社長が辞任することになりました。農水省は雪印にどういう指導をしましたか。
  130. 武部勤

    国務大臣(武部勤君) 今回の雪印の事件は、私ども、消費者の皆さん方に念には念を入れて安心していただける対策を講じようと、また市場隔離していた肉が滞留するということが肉の円滑な流通に支障になるのではないかというようなことで、我々はもう断腸の思いで血税を使わせていただいて今度のBSE対策事業をやったわけでございます。  これに対して、雪印が正に倉庫業者と共謀した上で書類を改ざんしてこういう犯罪行為を行ったわけでありまして、私どもは、この悪質な行為というものは絶対許されないと、こういう思いで、まず事実関係を社内でも徹底調査してください、それから責任の所在についてもきちっとしてください、それからさらに社内に対して企業行動指針というものも明らかにしてください、牛肉の事業は自粛してください、そういうような一連のことを要請した次第であります。
  131. 小川勝也

    小川勝也君 この紙の五番だけで結構です、大臣。この紙の五番。
  132. 武部勤

    国務大臣(武部勤君) ただいま申し上げましたように、今この申し上げましたうちの最後のところは、監督責任者を含む責任者の厳正な処分を求めるとともに、兵庫県警に対し告発手続に入ったところでございます。監督責任者を含む責任者の厳正な処分ということを求めております。
  133. 小川勝也

    小川勝也君 BSEで世の中が大混乱して、自殺されている方も相当数出ている。この責任はだれが取っているんですか、大臣
  134. 武部勤

    国務大臣(武部勤君) 雪印食品は、これは今申し上げましたように、未曾有の牛肉消費の低迷の中で、牛肉に対する消費者不安の一掃と牛肉流通の円滑化を図るために講じているBSE対策事業の制度を悪用して、極めて悪質であることを私どもは言語道断と、このように申し上げているわけでございます。  今回の雪印食品の事件は、企業自らが意図して制度を悪用する行為についての責任論であり、農林水産省の行政指導は不祥事に対するけじめとして求めたものでございます。これは国民に対する背信行為だと、かように感じております。  また、今回のBSE発生に際しましては、先ほど来申し上げましておりますように、農林水産省組織全体として、危機意識の希薄さや縦割り行政の弊害が顕在化したものと私は認識しております。その意味では、私どもは非常に大きな責任を感じております。  このために、過去の行政対応上の問題点の解明や今後の畜産・食品衛生行政の改革を目指して、今、BSE問題に関する調査検討委員会でありとあらゆる御検討をいただいているわけでございまして、その指摘、御意見、御提言を踏まえて私ども、行政としての責任を真剣に果たしてまいりたいと、かように決意を新たにしている次第でございます。
  135. 小川勝也

    小川勝也君 総理、今の答弁で国民が納得すると思っていますか。
  136. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 過去のいろいろな手抜かりあるいは対応の点について怠っていた点、そういう点をよく踏まえて、このような問題が起こらないようにこれからも十分対応に万全を期していただくということが大事なことだと思っております。
  137. 小川勝也

    小川勝也君 田中眞紀子外務大臣が、お昼に、辞めていないと記者会見したそうです。総理の御認識をお伺いしたいと思います。
  138. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、私の責任で辞めてもらうということで、大臣もわかりましたということになっております。
  139. 小川勝也

    小川勝也君 いや、本人が納得していないということになりますと、この委員会も成立しないことになると思いますよ。
  140. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 昨晩からのその辞任手続の問題でもありますので、私から答弁いたします。  昨晩、田中大臣官邸に来られまして、総理から国会正常化のために協力を要請したのに対しまして、更迭を了解し、辞任することとされたものでございます。これを受けまして依願免職になったわけでございます。  これは、総理がそのように申しまして、協力をお願いを申し上げ、田中外務大臣はわかりましたと、お世話になりましたと、こういうことを申されたわけで、その瞬間においてこれが依願免ということになったというような理解をいたしておるところでございます。
  141. 小川勝也

    小川勝也君 辞意は表明したと思いますが、書いた紙は持っているんですか、どなたか。
  142. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) その今申し上げました昨晩の会談で辞任は成立したわけでございます。紙は、形式的に署名をするということはありますけれども、これは法的にも必要なものではございません。
  143. 小川勝也

    小川勝也君 今、ちょっと最後の方に入らせていただきたいと思いますが、幾つも、日本に地球上で最初に狂牛病が発生したわけではなくて、イギリスからヨーロッパからあるいは各国からいろんなヒントやサジェストをもらっている。それを見逃しているわけであります。そして、いわゆる一頭目の患畜が発生したときの対応も非常に悪かったと。そしてなおかつ、田中眞紀子大臣国民に愛されていたんだと思う。この言った言わないで今辞任に追い込まれている。で、生産者も塗炭の苦しみを味わっている。本当に自殺に追い込まれた方、飲食店の経営者で夜逃げした方も何人も知っています。そして、給食に牛肉が入っている日はお弁当を持たせるお母さんの話も聞いています。国民を混乱に陥れた農林水産省、そしてその責任者であります農林水産大臣。  最後にまた小泉総理にお伺いしたいと思いますが、今のような答弁で国民は納得するでしょうか。もう一度お答えいただきたいと思います。
  144. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) こういう事件を起こさないように十分体制を取っていくことが責任の取り方の一つだと思います。
  145. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 以上で齋藤勁君質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  146. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 次に、金田勝年君の質疑を行います。金田勝年君。
  147. 金田勝年

    ○金田勝年君 自由民主党の金田勝年でございます。  まず初めに、昨晩の御決断について、厳しい経済状況の下で、省庁の中での問題が国会に波及して混乱が続いておりましたところ、総理が昨晩の決断を下されたことに対しまして我々自由民主党は心から敬意を表するものであります。そして、新たな外交の再構築に向けて心から期待を申し上げるものであります。  そこで、今日の議論を聞いておりますと、今日は第二次補正予算、これを提出して、これを審議する日だったなということを、原点に返って今、ただいま思っておるわけであります。  日本経済の景気の現状は非常に極めて厳しいものがあるわけであります。一刻の猶予も許されません。参議院では政策の中身についての充実した審議を行い、一刻も早い成立、執行が必要不可欠であると、こういうふうに思っておるわけでありますので、本日は、発足以来九か月、七〇%を超える国民の支持を受け続けております小泉内閣の構造改革につきまして、特にその経済政策につきまして、当面の安心と、そして将来への国民の安心を確立するという観点からの質問をるるさせていただきたい、こういうふうに思っております。  小泉内閣は、発足直後から構造改革を強力に推進され、昨年の六月にはまず骨太の方針を手始めに、改革工程表、そして改革先行プログラム、そして第一次補正予算と着実に手を打ってこられたわけであります。そうした中で、今回審議いたします第二次補正予算は、昨年の十二月十四日に決定されました緊急対応プログラムにもありますように、経済がデフレスパイラルに陥る危険性を判断しての、正に構造改革と景気の両にらみで進めるための決断であった、こういうふうに理解をしておるところであります。  総理にお伺いしたいと思うわけでございますが、今回の第二次補正予算の性格と位置付けにつきまして御説明を願いたいと思います。
  148. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 経済停滞が続いている中で、これまでの産業構造、大きく変わろうとしている。できるだけ生産性の高い分野に多くの国民参加できるように、また資金が回るような改革をしていかなきゃならない。となりますと、この時代に対応できない企業は市場から退場を余儀なくされる場合もあると思います。  そういう際には、やむに、やむを得ず職を失わなきゃならない人たちに対しては、そのための雇用対策、さらには新しい職場に向かって訓練、研修できる機関、そういう所要の措置を講ずるとともに、こういう停滞した経済の中でも新たに雇用を必要とする会社、産業も出てきております。そういう面に力付けていくような措置、こういうものを併せてやっていかなきゃならないと思います。  確かに雇用状況は悪化をしておりますが、そういう中においても、新しい時代に対応しようとする産業の中にはまだまだ人手不足のところもあるわけであります。そういう求人と求職のミスマッチ等の整備もございます。  また、今まで経済の発展というのは多くの民間企業がそれぞれの創意工夫を発揮しながら、自らの金で設備投資をし、自らの金で人材を養成し、また雇って、いろいろないい商品、いいサービスを提供してきた。そういう産業にもしっかりとした資金が流れていくような構造を作る、不良債権の処理と、そういうものを併せてやっていかなきゃならない。  その中にあって、九月十一日にテロ発生がし、これまたアメリカを始め世界同時不況の様相を呈している面もございます。こういうときには、いわゆる改革を進めていく上において伴う痛みを和らげる対策も必要であるのではないか。同時に、物価は下がっております。  デフレスパイラルというものをなくすためにも即効性のある事業、あるいは緊急的にすることができる事業、いろいろあると思います。デフレスパイラルを起こさない、そして構造改革を進めていくという両面に目を配りながら対策を打たなきゃならないということを考えまして、この第二次補正予算を提出しているわけであります。  この第二次補正を提出していることによって、今まで進めてきた改革を更に軌道に乗せていきたいと。また、改革に伴う痛みを少しでも緩和していきたいという意味合いを込めて、この第二次補正予算を提出しているわけでございます。
  149. 金田勝年

    ○金田勝年君 今おっしゃられたように、今回の第二次補正予算では公共投資と施設費を国費で二・五兆円、そして事業費ベースで約四・一兆円を追加するわけであります。景気に対する波及効果も期待される一方で、構造改革を一層加速するということを両にらみでねらっているわけですけれども、正に一粒で二度おいしいこの補正予算、こういうふうな欲張りな目的を持っておるわけですけれども、これを財源の面から見ますと、政府の保有資金であるNTTの株式売却収入、これを活用して、国債の発行による外部からの資金調達には一切頼らなかったということで、非常にその知恵の限りを尽くした予算、こういうふうに思うわけであります。これは十四年度予算と一体として、十五か月予算として見ることもできると。  そこでまず塩川財務大臣に、この対策で構造改革や景気にどの程度資するものなのか、財政の面からの対策としては十分なんだろうか、この辺をお伺いしたい。
  150. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 今回の補正は、御承知のように、第一次補正と併せまして当初予算に対するてこ入れというものは、事業費に直しまして約九兆九千億円相当の事業補正をしておる、こういう御認識をいただいたらいいと思っております。それによりましてGDPに対します派生効果というものは確実に出てまいると私は信じておりますし、また計算上はそれで浮かんできております。  まず、その結果の一つといたしまして、卸売物価がじっと停滞してもう下げ止まりしてきたということが一つございますことと、それからもう一つは、輸出が十二月以降少し改善してきたということがございます。したがいまして、私たち、目標としては何はともあれ経済の成長率を、マイナスに落ち込んだやつを、マイナス〇・一%、落ち込んだやつを〇%に引き上げたいと思っておりまして、それにつきましては、いずれこの年度末辺りにそれに対する見通しを何とか立てたいと、こう思って鋭意努力しておるところでございます。  なお、公需、公の需要に対するGDPの寄与率というものにつきましてもそれぞれ専門家の方でいたしておりますが、名目で〇・九%の補助となるように考えておるところであります。
  151. 金田勝年

    ○金田勝年君 こうした補正の背景としまして、今度は具体的に景気と経済の話に入っていきたい。  先週末に、二十五日に閣議決定されました「平成十四年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」、これを見ますと、そしてまた一月の月例経済報告、これを見ましても、いずれも政府の発表する文書にしては非常に率直な表現、景気の悪化、デフレの進行という記述があるわけであります。  そこで竹中大臣にお尋ねしたい。  まず、我が国の経済の現状と見通しをどのように見ておられるのか、またデフレの原因、それからデフレがなぜいけないのか、デフレをどう打開するか、こういう点につきまして、竹中大臣は私と大学で一緒に経済学を学んだ間柄でございますから、かつてから分かりやすい説明には定評がありましたので、是非国民皆さんにそのところを分かりやすく説明をしていただきたいなと、こういうふうに思うわけです。どうぞよろしく。
  152. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) まず、経済の現状をどのように見るかということでございますけれども、財務大臣の話にもありましたように、今年度マイナス一%、来年度ゼロ%ということで、当面やはり厳しい経済運営が続くということを覚悟しております。しかしながら、来年度の後半には循環的な、輸出、在庫等循環的な局面では明るさが出てくるということが期待できるのではないだろうか、そのためにも根っこの構造改革の部分をしっかりとやっていく必要があるというふうに認識をしております。  デフレでありますけれども、物価の持続的な下落の原因としては、昨月、先月発表しました経済財政白書の中に三つの要因を挙げております。一つは、海外から安いものが入ってくる、ないしは技術進歩が早いというようなことから生じる供給側の要因。もう一つは、需要が少ないという需要側の要因。そして三つ目は、不良債権等々の問題で金融仲介機能が低下しているという金融的な要因。それに総合的にしたがって取り組むことが必要である。不良債権の処理、需要に関しては、したがって今回の補正予算、次年度の予算の役割というのが大変大きい。加えて、これは金融的な現象でございますので、その金融の更なる柔軟な対応、金融政策面での柔軟な対応、こういった合わせ技が必要になっていると、そのように認識をしています。
  153. 金田勝年

    ○金田勝年君 デフレですからね、国民や企業にとりましては非常に不安があるわけです。当面の不安もありますし、将来に対しては漠然とした不安かもしれませんが、そういうものがある。政府を挙げて不安を取り除いていくということが非常に重要なわけであります。  したがって、まず金融不安の、不安の中でも金融不安の問題についてお尋ねしたいと。  政府として考えた場合に、金融面の課題というのは私は大きく二つあるだろうと。一つは、当面の危機を、この三月から四月に掛けての時期をどう乗り切るかと、そういう点が一つ。もう一つは、不良債権問題にけりを付けて金融不安の根っこを断っていくこと。この二つだというふうに考えるわけであります。  まず、当面の金融危機なんですけれども、ペイオフ解禁に向けた準備は果たして万全なんだろうかと。それから、日経平均、今日の前場の終わり値、皆さん御存じですか。九千八百七十七円です。一万円に張り付いていた株式市場は今日は何と一万円を切ってしまった。そういう状況ですから、三月決算を迎えるに当たってたくさんの法人や金融機関、これ赤字が出るんではないか、大丈夫なんだろうか、非常に心配をしているわけであります。現に、上場公開企業のうち株価が百円を割っているという企業がもう四百社ぐらいあるというふうに言われているんです。  総理は、年頭の記者会見でも金融不安を起こさない、あらゆる手だてを講じるというふうにおっしゃっておられるわけでありますけれども、金融危機回避のためにこの当面の、この春のというふうによく世間では言われるんですが、そうした金融危機回避のためにどういう政策手段を用意されておるんだろうかと、この点わかりやすく、力強く説明をしていただきたい。
  154. 柳澤伯夫

    国務大臣(柳澤伯夫君) 今、いろいろなお話が出ましたので、少し私ども項目ごとの御説明をさせていただきたいと、このように思っております。  金融危機という言葉、あるいは金融不安という言葉、これは我々としては余り使うことを好まない言葉ですけれども、メディア方面ではかなり使われておるということでございます。そこに見られることは、やはり不良債権の処理というもの、特に私どもが最近の施策として行っておるところの特別検査の結果、あるいは引き当ての改善と、こういうようなもの、これはいずれも市場との調整をより、従来よりも図っていこうという観点に立った施策なんでございますけれども、こういうようなものを推進する結果、非常に不良債権処理に伴う損失が増加をして、それがために損益計算はもとより自己資本というようなものを大きく削減するということになりはしないか、これが一つの観点から論じられている観点だろうと、こういうように受け止めております。  私ども、特別検査、今、鋭意施行させていただいておりますし、また三月期の決算においては市場の動向をよく見て、自分たちの貸付金債権の行内格付といって引き当ての前提になる手続ですけれども、そういったようなものに当たってよく市場の評価も参考にするようにというようなこと、これも徹底をいたしたい、こういうように考えております。  しかし、そういったものを先期、昨年の九末でございますけれども、この中間決算をするに当たって、各主要行においては三月期の決算がどんなふうになるだろうかという見通しを述べているんですけれども、かなり処理損が出るという見通しを発表をいたしております、六・四兆というような数字がその数字なのでございますけれども。私ども、この見通しそのものについて今当局の立場でいろいろコメントをするというわけにはまいりませんけれども、かなりまじめな見通しを出しているんではないか、このように考えるわけです。仮に、若干更にそれが下振れというか上振れというか、損が増大するというようなことが考えられるとしても、今申した自己資本との関係で深刻な問題が生ずるというふうには考えておりません。  BISの基準、これは国際的な基準のことですけれども、この基準は八%ですけれども、それに照らせばこれを優に上回るような自己資本比率が確保できると、こういう見通しでございます。したがって、この点については今すぐ大きな問題が生ずるというふうには実は考えていないわけであります。  ただ、今、先生御指摘の株価、これはまた別の問題でございますけれども、私どもとしては、今六・四兆円で二けた台の自己資本比率が維持できるということを申しているその前提になっているのは、九末、昨年の九月末の九千七百七十四円、こういう株式相場を前提としているわけでありますので、それに比べて極端に大きな下振れが生ずるというようなことになりますと、これは若干話は別になるという側面もありますけれども、日本経済の実態からいって、マーケットのことはなかなか計り知れない面はありますけれども、私ども、そんなカタストロフィー的な事態が起こるとは考えていないわけであります。  なお、次にペイオフの問題でございますが、これは私ども、当初の予定を一年延期いたしておるわけでございます。それは、信用組合というものがこれまで都道府県の管轄でございましたが、それを国に移管をしてもらって、国の目で本当にそのそれぞれの信用組合の健全性にもう一度目を入れさせていただきたい、こういうことで時間的な余裕をいただいたわけでございますが、これらももう完了いたしまして、しかもその事後措置も着々ともう進めさせていただいておりますので、その関連での準備というものはもう三月末には十分でき上がる、こういうことでございます。  我々は、ペイオフを迎えて考えていることは、まず四月の一日に店を開けるような金融機関が簡単に倒れてしまうようなそういう非常に脆弱な金融機関であってはならない、しっかりした自己資本を持って、そして預金者にすぐに迷惑の掛かるというようなそういう金融機関はすべてそこからないと、こういうようなことにいたしたいということを基本にいたしております。  それからまた、ペイオフというのも若干、ちょっと技術的な面がありまして、貯金が一千万円だけしかもう返ってきませんよと、それを上回るのはもう返ってこないんだみたいな、最近ではそういう方はなくなったかと思うんですけれども、非常に短絡的な誤解もあるようでございまして、これをまず正確に理解していただく。定期預金は一千万円の保険の範囲内だけれども、普通預金に替わればまだ一年は完全に全額保護されるというようなこと、そういうようなことをしっかりとまず知識として獲得していただく。こういう正確な理解によるいろいろな預金者の、じゃ私は一千万円ずつ複数の銀行に分けておきましょうというような行動があったとしても、それは健全な我々は反応だと、こういうように思っておりまして、まずPRをする。  それから、いろいろ部内で、技術的なことですけれども、預金契約約款というようなものに借入金と預金をしている場合には相殺をするんだというようなことについても、本当にこの条項を整備するというようなことというようなことを実は着々と進めておりまして、私どもとしては、ペイオフというようなものについてこの四月一日からこれを確実に履行いたしたいと。  万が一、もし金融危機が生ずるようなことがあれば、これは総理が度々言及されておられるとおり、私ども、預金保険法の百二条というようなものにしっかりした、あの九七年、九八年の金融危機のときに取ったと同じようなそういう措置ができるような仕組みがございますので、それらを適切に運用する、こういうことで万全を期してまいりたいと考えているわけであります。
  155. 金田勝年

    ○金田勝年君 金融担当大臣から大丈夫だと、この春はそういうふうな心配はないという宣言を今していただいた、そして総理も同じ意見だと、こういうふうに受け止めて、それでは日銀としては、総裁お見えですけれども、そういう万が一、いろんな想定、不安を、不安の原因になっているわけですけれども、そのために日銀の方としてはどうですか。
  156. 速水優

    参考人速水優君) お答えいたします。  日本銀行といたしましては、物価が継続的に下落していくことを防止するという断固たる決意を持ちまして、内外の中央銀行の歴史にも例を見ないような思い切った金融緩和措置を講じてまいっております。  しかしながら、こうした措置は金融市場においては強力な緩和効果をもたらしているんですが、それが金融市場の外側にある企業などにつきましてはまだ十分浸透しているとは申せません。日本銀行としましては、今後も金融市場の安定確保と緩和効果を浸透させるということにつきまして、中央銀行としてなし得る最大限の努力を継続してまいる方針でございます。  同時に、デフレを防止していくという上では、粘り強い金融緩和の継続と並んで、金融システム面はもとよりのこと、経済産業面での構造改革などを通じて、家計や企業、金融機関の前向きな活動、特に企業、家計の民間の需要が引き出されてくるようになればこれはしめたものだというふうに思っております。そういう意味で、むしろ前もって十分な資金を出したというふうな感じでございます。  以上でございます。
  157. 金田勝年

    ○金田勝年君 総裁、それは、今の決意は特融を含めて万全を期していくというメッセージなんでしょうか。
  158. 速水優

    参考人速水優君) 万が一、金融システム全体の安定が損なわれるあるいは疑問が出るというような事態に陥りました場合には、金融危機対応会議の議を経まして、先ほど柳澤大臣が言われましたように公的資本注入といったような適切な対応も講じられることと思いますし、日本銀行としましても、公的資本の注入を含む政府の対応と併せて、金融システムの安定を確保すべく、万が一の場合には流動性供給の面から適切な対応を期してまいるつもりでおります。
  159. 金田勝年

    ○金田勝年君 それは特融を含め万全を期していくんだというメッセージと受け止めておきたいと思います。よろしいですね。  当面の危機をそういう努力で乗り切ったとして、金融システム問題というのはどのような手順で解決をしていくのかという点があるわけであります。  我が国の不良債権問題というのは、規模、構造ともに極めて根深いものがあるわけでありまして、これを一挙に解決しようと思えば相当の血が流れることになるわけであります。他方、その問題を先に送れば、金融不安の根っこがいつまでも残って日本経済の復活も危うくなる。あちらを立てればこちらが立たず、本当に難しいかじ取りなのでありますけれども、そのバランスをどう取っていったらいいとお考えなんでしょうか。総理、よろしくお願いします。
  160. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 何やっても、やれという意見とやるなという意見があるわけであります。あちらを立てればこちらが立たず。不良債権処理を早く進めろと言う政党もいますし、そんなに早く進めたら失業が多くなる、倒産が多くなる、ゆっくりやれと言う政党もあります。議員の中にも意見が分かれております。そういう中で、今までやるべき改革をしていなかったからこそこれだけの経済停滞があるんじゃないか、いわゆる不良債権処理が遅れたのではないかという立場に立つのが我が政府、小泉内閣であります。  不良債権処理、できるだけ早く正常化したい。そのためにある程度企業の倒産も出るでしょう、失業者も出てくるでしょう。そのための雇用対策、あるいは金融危機を起こさせないような対策はしっかりといたします。極めて限られた狭い道でありますけれども、この狭い道を嫌がって今までどおりがいいということで、それでは果たして経済が回復するか。もっと悪くなると思います。国債発行もそうであります。国債発行額が足りない、もっと出せ、もっと景気対策をやれという声もあるのも事実であります。しかし、それをやって国債が暴落して、金利が上がって、景気が回復するのか。逆であります。  極めて厳しい道でありますけれども、この改革を行く道しか方法がないということで、この今の方針を堅持しながら進んでいるということを御理解いただきたいと思います。
  161. 金田勝年

    ○金田勝年君 そういうことで一生懸命やっていくという総理の御発言なんですけれども、閣僚の皆さんは今役人の皆さんのリーダーとして仕事をしています。自分も昔公務員だったものですから言いにくい話なんですけれども、今、デフレを解決するときには、やっぱりたくさんの部下を持っておられますけれども、部下はすべて公務員です。公務員というのはデフレに強いんですね。デフレに対する痛みというものをなかなか実感として認識することが難しい。そういう方が閣僚の大臣皆さんの部下にいらっしゃるわけです。だあっといる。ですから、今どっちを選ぶか、あちらを立てればこちらが立たないというときに、それをしっかりと、片方に偏っていないかどうか、そういうことも含めてバランスを取っていただくというのが私は今非常に大事なことだというふうに思いますので、総理を始め閣僚の皆さんにはそういう御努力もぜひお願いしたいな、デフレで苦しんでいる皆さんの実感を分かる行政をしていただきたい、こういうふうに思うわけであります。  続いて、貸し渋りの問題をお聞きしたいんですけれども、金融機関は特別検査とか引当金の積み増し、こういったものに加えて、不良債権処理のプレッシャーもあります。再編淘汰の波にさらされてもおります。ですから、その結果、中小企業に対しましては貸し渋りどころか今は貸しはがしまでが増加しているわけであります。  中小企業というのは地域経済の支え手であります。そういう地域の金融機関には公益的使命というものがあるにもかかわらず、例えば金融機関のバランスシートはきれいになったけれども、後には何にも残らなかったというようなことにならないように十分な配慮をひとつしていただきたいな、こういうふうに思うんですけれども、柳澤大臣、いかがでございますか。
  162. 柳澤伯夫

    国務大臣(柳澤伯夫君) 私どもも同じ思いなのでございます。  それはもう我々がそういう思いをしているということは、先般、十月の改革先行プログラムにおいても述べているところでありまして、不良債権の処理と金融の円滑化という一つ項目を起こしまして、どうも最近の銀行を見ておると、もちろんそれは我々が働きかけているある意味の結果なのでもありますけれども、不良債権の処理ということに相当エネルギーを取られているようにもいろいろ聞く、あるいは見る、こういうようなことがございますので、やはり収益を上げるためにももっと条件的に貸出しのできるそういう貸出し先、殊に中小企業の皆さんがそうなんですけれども、そういうところについては手を抜くなと、積極的に見つけ出して資金を疎通させていくというようなことに努めてもらいたい、こういうことをうたわせていただいております。  それから、当たり前のことですけれども、年末には、これ恒例になっておりますけれども、政府機関も含めてありとあらゆる業態の金融機関の責任者を集めまして、私ども、そこには私を始め、経済産業省からは副大臣が来られるというようなことで、関連のところみんな来まして、よく年末を始めとする金融の逼迫時には注意をしてもらいたいということを我々働き掛けて述べているところでございます。  その結果どうかということですけれども、確かにこのところちょっとまた金融機関の貸出し態度をどう見るかというディフュージョンインデックスの上にも現れてきておりまして、少し厳しいという、そういう見方をするところが増えておりますけれども、ただ、我々が見るところでは、その程度というのはまだ若干そういう兆しが見えるという程度にとどまっております。  なお、一言だけ加えますと、私ども、収益を上げなきゃいけないからということで金利の引上げをできるところはお願いするということをやらせていただいております。これは金融機関やらせていただいております。そういうことも、中小企業庁の調査なぞではそれが貸出し態度が厳しくなったというようなところに包含して出てくるというような面もありますので、その辺りのことは、委員はもう何もかも御専門でございますけれども、数字を見る場合にもちょっと御留意をいただきたいというふうにお願い申し上げておきます。
  163. 金田勝年

    ○金田勝年君 こうした状況の中で、緊急中小企業対策として、例えば売り掛け債権の担保融資に対します信用保証制度の創設とか、セーフティーネットの保証、貸付けなどの対策が取られているわけであります。  平沼経済産業大臣の方から、やっぱり国民へのPRの意味も込めて、中小企業に対する資金面での取組について簡単に御説明していただければ有り難いというふうに思います。
  164. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) お答えをさせていただきます。  確かに、昨今の景況から、中小企業に対する特に貸出しというのは委員御指摘のように厳しいものがあるわけであります。そこで、経済産業省といたしましては、やる気があって潜在力のある、そういう日本の経済の基盤を支えてくだすっている中小企業者、ここにやはり活力を持っていただく必要がある、こういうことで、特に平成十三年度の一次補正予算におきまして一千四百億準備をさせていただいて、そして金融機関のいわゆる破綻でありますとか、あるいは大型企業の破綻によってその連鎖に巻き込まれる、そういったところに関しましては貸付けの限度額を上げるという、こういう措置もさせていただいています。したがいまして、それはセーフティーネットの貸付制度と保証制度と、こういう面でその充実を図らせていただいています。  それから、今御指摘になられました、やはり今なかなか中小企業者の皆様方は大変なんで、土地はがんじがらめになっている、そして現金預金というのも七十八兆ぐらい皆さんお持ちですけれども、これもあしたの支払だ給料だと、こういうことで、ここも手が付けられません。そこで、売り掛け債権というのが八十七兆ございますから、ここに着目をいたしまして、昨年の秋、両院の御同意を得まして新しい法案を作らせていただきまして、昨年の十二月十七日から、これは早くやらなきゃいかぬと、こういうことで発動をさせていただいています。  さらには、もう一点、平成十年度の大変第一次の貸し渋りが起こったときに、委員御承知のように、三十兆の特別保証をさせていただいた。これは百七十二万社が利用をしていただいてそれなりに効果があったわけですけれども、これの返済を今一生懸命皆さん方は頑張ってくだすっているわけです。しかし、こういう状況ですから、金融庁とも御相談をしながら、このいわゆる条件変更をさせていただこうと、こういうことできめ細かく対応させていただきまして、既に十一万七千件の条件緩和、条件変更に応じさせていただいています。  そしてまた、これ、年度末を控えますので、更にきめ細かく対応させていただかなければならないということで、経済産業省、中小企業庁から幹部を二十数都道府県に派遣をさせていただいて、そして実態をじかに把握をさせていただいて、きめ細かく対応させていただく。  また、売掛金債権に関しましても、この保証制度もこれからもっと御利用していただくために、今テレビを通じたりしてPRを一生懸命やっている、こういう対応をさせていただいております。
  165. 金田勝年

    ○金田勝年君 本当に、やっぱり今大臣が言われたような施策には、政府系の金融機関も大きな役割を果たしている側面があります。それに金融庁との関係もございます。それぞれの縦割りの中でやっている仕事が矛盾しないように内閣として十分フォローしていっていただきたいなと、こういうふうに思います。  それから、中小企業にとっての不安というものを考えた場合に、今、いわゆる中国脅威論というのがあるわけであります。従来は繊維産業、そして最近はIT関連機器や家電製品などの分野においても、やっぱり中国への生産の移転が著しいわけであります。産業空洞化の雇用の問題に関して、こういう問題を考えたときも、時間の関係で質問は申し上げませんが、やはり空洞化の問題にしましても、あるいは昨年のセーフガードの問題にしましても、個別的、対症療法的に対応するという傾向が強いんであります。こういうのは少し変えて、人材面も含めた総合的な国家戦略が必要なんじゃないかな、こういう思いをしておりますものですから、この問題については日を改めてまた議論させていただきたいと、こういうふうに思っております。  そこで、税制の面からの今の経済に与える影響ということで、ちょっとお聞きしたいと思います。  一月十七日に総理は、年明け早々に政府税制調査会に自らお出になられて、あるべき税制の構築ということで抜本的な税制改正の検討に取り組むように指示をされたと聞いております。例年は秋から始まるのに、二月からもうみんな三頭立ての馬車で、政府税調、自民党税調、経済財政諮問会議、この三頭立ての馬車が一気に走るわけです。六月を目指し、秋を目指して走るんです。そういうことをして行き着く先はどこかなということをこれまたみんな心配になったり考えたりするんですね。そういうことで、レーガノミックスにしろサッチャリズムにしろ、およそ改革と名の付くものは常に税制がかなめになっております。そういうことを言いますと、総理に質問したいところなんですが、時間の関係で財務大臣にお願いしたいなというふうに、お聞きしたいなというふうに思うんですが、やっぱり二つの点に配慮してほしい。  一つは、経済の活性化に資する税制の在り方という視点も是非持ってほしい。資産デフレとか不動産取引の低迷、逆国土法を制定したらどうかという意見もいろんなところで私聞くんです。そういう深刻な状況の中で、やっぱり土地に対する資産課税、証券市場関係税制、見直しするべきところあるのかどうか。した方がいいんじゃないかという人もいます。消費を増やすための相続税や贈与税の見直し、様々な議論をしていただきたいわけです。  そして、また二つ目には、税制を議論するときに、単年度でしかも税収中立、税制じゃないですよ、税収中立、レベニュー・ニュートラルでとらえようとする傾向がありますけれども、これを変えてほしい。今年は少々税収が減っても、将来は景気が良くなれば所得も税収も増えるんだと。数年をにらんだ、ある一定期間をにらんだ動態的分析をベースにした、そういう対応というものを入れていただきたいなと。税制当局の通信簿が、単年度の増収や減収の額の差で通信簿が付けられるような状態だったら、これは大変なんです。  せっかく今年からこういう真剣な議論をされるわけですから、そこのところを財務大臣に是非確認させていただきたいと思います。
  166. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) まず最初に、今回の税制改革は、とにかくこの十四年度予算を早く成立させていただいて、その後、四月以降におきまして検討に入り、夏までに結論を得たいという、そういうスケジュールで入っておるところでございまして、そこで問題は何かとおっしゃるのを、今二点先生がおっしゃった、これは正にそれがテーマになっておることは事実でございます。  今まで、過去、去年の間にいろんな構造改革、経済構造改革やりましたけれども、特に財政面についての構造改革をやってまいりましたけれども、税制についての構造改革ということについては今年に送ったという経緯がございますので、是非構造改革的観点から税制改革に取り組んでいきたい。  その要点は何かといいましたら、産業構造の変化に伴いまして新しい産業が創出されるような、そういう誘導していくような税制に変えたいということが一点でございます。それからもう一つは、おっしゃるように、税制がただ単に歳入のバランス取りに終わるということのないようにしろということでございまして、確かにそうでございまして、税の考え方は、長く中長期的な展望に立って改正する点も必要でございます。  そこで、まずは損をして得を取れ、損して得取れという言葉がございますが、そういう考え方も税制の中に入れていって、なおかつ、それだけではやっぱり国家財政もちませんので、国家財政の基盤は確保しながらそういう将来性を見込んだものでやっていきたいと、こう思っておりまして、鋭意、おっしゃる趣旨は十分我々心得ておりますので、検討に入っていきたいと思っております。
  167. 金田勝年

    ○金田勝年君 国税に関しまして財務大臣からお聞きしましたので、次は総務大臣に地方税についてお聞きしたいんですけれども、もちろん地方分権の観点からですね。  地方税収をという声もあります。けれども、現在の経済情勢を踏まえれば、地方税についても是非、経済活性化という観点を踏まえた議論も是非考慮していただきたいなと思いますが、いかがでしょうか。
  168. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 今お話ありましたが、地方税の立場からいいますと、やはり地方の税財源基盤の強化なんですね、まず。その意味で我々は、大変難しい課題ですが、国からの税源移譲といって言っているんです。  今、税金全部は、御承知のように、国が六〇、地方が四〇取っていますよね。ただ、仕事は国が三五、地方が六五やっているんですよ。四〇の収入で六五の仕事が何でできるかというと、二五、国からお金が来ている。一五が地方交付税、一〇が国の補助金等ですよね。だから、私はせめて六〇対四〇を五〇対五〇にしてもらいたいと、その税源移譲をしてもらいたいと。  そういう意味からいいますと、まずその地方の、地方税財政の安定なんですね。それが地方分権の推進につながると、こう思いますが、今、金田委員言われましたように、やっぱり経済の活性化というのも念頭になきゃいけません。  それで、地方分権が進んで地方の財政が豊かになって思い切った地方の事情に基づく仕事を自主的に創意工夫でやれば地域経済が活性化するのは決まっているんですよ。そのことが私は大きな経済の活性化につながると、こう思っておりますんで、地方税制の充実、税源移譲についてはなお努力してまいりたいと、こう思っております。
  169. 金田勝年

    ○金田勝年君 そこら辺をよろしく、秋まで議論が行われますようによろしくお願いしたいと思います。  そこで、日銀総裁、せっかく来ていただいていますので、二つ目の課題であります。  この前、改革と展望というのが二十五日に閣議決定になりましたが、その中を見ますと、今後二年程度の集中調整期間というのは、政府、日銀は一体となって強力かつ総合的に、最も重要なのはデフレ克服であり、これに取組を行うと、こう書いてあります。  そこで、その中に数字が出てまいります。二年たつと物価上昇率はプラスに転じる。二〇〇四年度以降は実質一・五%程度、名目二・五%程度の民需主導の着実な成長が見込まれる、こう記述されております。これは、すなわちGDPデフレーターが一%、消費者物価上昇率は三年目には二%程度になるということを明示しているんであります。これは、総裁は経済財政諮問会議委員でもあり、閣議決定もしておる内容であります。  日銀法第二条に、申し上げるまでもなく、「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とする。」というふうに書いているんですけれども、今必要なのは、国民が物価は上がると思う状況、そして消費したくなるような状況を作っていくことであります。  一定の物価上昇を目標に置いて金融政策上のあらゆる手段を取ると、明確な意思表示がこの文章の中に、ゼロから二%の間に物価はなりますよと書いてあるわけですから、三年後にそうなると書いているんですよ、閣議決定もしているんですよ。これこそ、正しく物価上昇を目標に置いて金融政策上のあらゆる手段を取る明確な意思表示が今こそ必要だと考えますが、総裁、いかがでございますか。
  170. 速水優

    参考人速水優君) お答えいたします。  日本銀行は、既に昨年の三月の政策委員会・金融政策決定会合におきまして、現在の金融緩和の枠組みにつきまして、CPIの前年比上昇率、消費者物価ですね、前年比上昇率が安定的にゼロ%以上になるまでこの今の当座預金をターゲットとする金融緩和を続けていくという方針を決定して発表しております。日本銀行としましては、今後ともこの方針の下で金融政策運営面で最大限の努力を行っていくつもりであります。  こうした考え方は、改革と展望で記されております日本銀行への期待、つまり、今お読みくださいました、日本銀行においても改革と展望を踏まえつつ適時適切な金融政策を行うことが期待されるという表現ともそう、整合的であると思っております。  もう一つ、それでは景気と物価、物価を先に上げたら景気も元気が付いてくるんじゃないかといったようなことをおっしゃる方もおられるんですけれども、一般的に景気と物価の関係を申し上げますと、まず景気が回復して需給バランスが改善していきますと経済の体温である物価も上がっていくというのが普通の、今まで私どもも体験しましたし、今までの経験を見まして、そういう、まず景気が良くなって物価が一、二年のうちにそれにフォローしていくということであって、その逆ではないということを御認識いただきたいと思うんです。  この点は、構造改革や財政再建は短期的には景気の下押し圧力としてどうしても作用する可能性が強いと思います。それを乗り越えれば持続的な成長経路への移行が展望できるわけですけれども、それまでの間はある程度の低成長とともに物価低下圧力が続くということも避けられないと思うんです。  このような状況の下で経済政策運営上大事なことは、物価下落と景気悪化の悪循環、いわゆるデフレスパイラルというものを防いでいくことだと思います。そのためには、金融緩和の継続と同時に、構造改革のプラス面をできるだけ早く引き出すような政策対応が重要であるというふうに思っております。
  171. 金田勝年

    ○金田勝年君 やっぱり、経済というのは期待心理が大事なんです。心理的な側面が大事なんですから、自信を持って積極的に、改革と展望にもこうはっきり閣議決定して書いているんですから、一定の物価上昇を目標に置いて経済政策上のあらゆる手段を取るということをこの席で確認をさせていただいたと、私はそういうふうに思って、次に進ませていただきます。  それでは、次の十五番。よろしいですね。  この実に改革と展望の中にちょっと書いてあるところがあるんですね。目立ちません、やや遠慮がちに書いてある物価連動国債というのがあります。この発行を、これは小泉ボンドツーとか、あるいは塩じいボンドとかいう形で積極的に考えていったらいいんじゃないかな、こういうふうに思いましたので、これも物価上昇を目標に置くという意味で、将来の物価上昇率というものを織り込んだ国債の発行なんです。これは、将来に対して期待感を醸成することにもなりますし、たんす預金なんかに入っている資金を吸収したり、これを財源として活用することもできることになる。こうしたやっぱりあらゆるアイデアを総動員して、様々な方法を検討することによって、やっぱり前向きに対応していってもらいたいな。  財務大臣、お考えを前向きにお願いいたします。
  172. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) この文言が盛られまして、私も非常に大きい関心を持っておりまして、一つのアイデアとしてというよりも、やはり私は国債に関心を持ってもらうためにも一つの有効なインセンティブを与えるものだと思っております。  そこで、いろいろ検討する問題点はございますけれども、物価が上がっていくとき、それには連動してプラスになっていきますけれども、それじゃ下がっていくときは国債の値段は下がっちゃうのかという、こういうことがあって、上がるときだけ保証するんだと、下がるときはもう原価だけで保証だと、こういうことになりますと、ちょっとそこらにいわゆる均衡が欠くんではないかなという点が問題だろうということが一つ。それからもう一つは、国債の金利にどういう影響を及ぼすかなと、実質金利ですね。そういう点等もございまして、私は非常に興味を持って、関心を持って研究を進めていきたいと思っておりますが、そういう問題点があるということで、直ちにこれを踏み切ってやっていこうということはなかなか難しい問題だと思っております。
  173. 金田勝年

    ○金田勝年君 竹中大臣、どうですか。簡単にお願いいたします。
  174. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) いわゆるインデックス債というのは、アメリカ、ヨーロッパの幾つかの国で出しておりますけれども、幾つかのやはりメリットがあると思います。今、財務大臣言われましたように、技術的には幾つかの種類がありまして、これは当然検討しなければいけないということでございますけれども、そのメリットをいかに生かせるかということを是非検討をしたいというふうに思います。
  175. 金田勝年

    ○金田勝年君 いろいろ経済についてやってまいりましたんですが、やっぱり何といっても昨日発表されました十二月の完全失業率、五・六%であります。これは、特に男性の失業率が五・八%となっておりますけれども、それに加えて非自発的な離職者が増加を続けている。こういうことで、雇用のコアの部分が傷んできているということをやっぱり深刻に受け止めていかなければいけないと、こう思うんですね。  有効求人倍率を見ますと、十二月は全国が〇・五一倍なのに、例えば私の地元の秋田県では何と〇・三六倍です。低いでしょう。これは困るんです。地域レベルでの雇用失業情勢の厳しさということが非常に顕著になってきておる。ですから、例えば秋田県では県独自の懸命な取組で対策本部も作って一種のワークシェアリングのようなものにも取り組もうとしているんです。  ですから、地方が独自で取組を先駆けて出してきている、それほど厳しい現状に対して、厚生労働大臣はどう受け止めて今後努力されていくおつもりか、伺いたいと思います。
  176. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 雇用対策が重要であることは、もう御指摘のとおりでございまして、今までのこのきめ細かな雇用対策というのはずっと続けていかなきゃならないし、これを延長していきたいというふうに思っておりますが、それだけではいけませんので、新しい立場からそれにプラスして、そしてどちらかといえば、先ほどから御指摘のように、経済に対して活力を与えるような雇用対策というのはあり得ないのか、その辺を模索をしていかなきゃならないというふうに思っています。  今、地方のお話が出ましたが、私も、去年の八月から取り組んでいるわけでございますけれども、全国の、東京からすべてこういう雇用対策でやりますということを発信するのではなくて、それぞれの地域に見合った雇用政策というのをそれぞれの地域で立案をしていただくという形にしていかないといけないというので、八ブロックに分けまして、これは経済産業大臣のところと共同させていただきまして、それぞれの地域でどういう雇用があるかということをひとつ検討していただいて、それに対して中央がバックアップをするという行き方をぜひやっていきたい。それが一つ。  それからもう一つは、キャリアカウンセラー。今までは国がどういうふうに考えているかということに対して、民間の皆さん方が十分にお分かりにならないという面もございますし、企業がどういうふうな人を要求しているかということをお分かりにならない面もありますから、その国と企業と個人の中間に立って、そしてやっていくという、そういうキャリアカウンセラーの充実。今年は一万人の人を作ってやっていく、この三月までには千名を充実する、こういうふうにしており、そしてもう一つは、今御指摘になりましたこのワークシェアリングの問題につきましても、これはすべての企業でできるというわけではないと思いますが、できるところからこれが手を付けて、そしてこれが全国的に広がっていけるように、役所も含めてそうしたものを考えていくという、今検討をしているところでございまして、総理からも三月までに何とか結論を出せというふうに言われておりますので、三月上旬には一つの目標を出すということで政労使で今検討を続けさせていただいているところでございますので、ひとつ御期待にこたえられるように頑張りたいと思っております。
  177. 金田勝年

    ○金田勝年君 雇用不安の解消につきましては、国民総理の決意、力強いメッセージをいただきたいなというように思っております。  将来にわたっての安心という観点から非常に重要なんですけれども、そういう意味ではもう一つ、社会保障制度に対する漠然とした不安を払拭するということが必要であります。  今、日本の国は、男性七十七歳、女性が八十六歳と、世界一の長寿国を築き上げてきたわけです。我が国にふさわしい持続可能な制度を再構築していくんだ、精力的な議論をもって本当の意味での国民の安心につながる実のある改革を実現していかなければいけない、こういうように考えておりますので、当面の雇用に対する安心と将来の社会保障に対する安心、信頼の確立の観点から、総理の決意を伺いたいと思います。よろしくお願いします。
  178. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 世界で一番長生きできる国になった現在、医療保険、年金、介護、これは我々の社会保障においての三大柱と言っても過言ではないと思います。この社会保障制度を若い世代、また高齢者の世代、しっかりと支え合って、どのような給付を多くの国民が望んでいるんだろうか、その際どの程度の負担なら耐えられるんだろうかという給付と負担の問題に多くの国民の議論をいただきながら、お互いが支え合う制度を構築していかなきゃならない。  医療保険制度においても、日本におきましては、今や世界に遜色のない医療保険制度と言われながらも、内部をよく見てみますとまだまだ改善すべき点がたくさんあるわけであります。  また、年金制度につきましても、これから若い世代がどんどん減っていく、そういう中で高齢者がどんどん増えていく中で、果たしてこのまま今までの給付で維持できるんだろうかという問題もあります。  介護保険制度が導入されて、いろんな議論がありましたけれども、やはり介護保険制度を導入してよかったと、反対していた方々も、もうこの制度はなくすことはできない、改善していく方向にこれからの知恵を出していくべきだという意見がだんだん多くなってきております。  そういう点を踏まえながら、給付の裏には必ず負担がある、軽い負担で済んでいるというときには多くの方々の負担によって支えられているんだという意識を多くの国民が分かち合うような認識を持てるような議論も必要ではないかと思っております。  また、こういう雇用情勢が厳しい中におきましても、雇用対策をしっかりやると。いつも失業者が増えた、失業者が増えたといいましても、昨年マイナス成長です。そういう中にあって、確かに建設業とか製造業は二十万人、三十万人、四十万人減っています、雇用は。しかし、サービス業は、このマイナス成長の中にあっても五十万人増えているんですね。だから、伸びる産業もある。そういう伸びる産業をどうやって育成していくかという前向きの対応も必要ではないかと思っております。
  179. 金田勝年

    ○金田勝年君 本当にこれからの将来の安心という観点から、よろしくお願いしたいと思います。  そこで最後に、ニューズウイーク一月二十三日号というのを、これは日本語なんですけれども、日本語版で出ていますけれども、これに総理が特別寄稿をされておられます。これは四十一ページ。  アフガン復興に寄せる思いがつづられておるんですけれども、その最後の部分にいいこと書いてあります。武器より農具を、武器より農具を、不安よりも自信をと書いておられるんですね。これが私、大変感銘を受けたわけであります。  正に、食と農というのは国の礎であります。先進各国の食糧自給率、ヨーロッパもアメリカも一〇〇%になっておるんです。それを超えている。ところが、先進国で日本は四〇%と最低であります。  そういう状況の中で、今こそ、食と農というのは、国の財産であって、心であって、哲学であって、国の大本なんだと。そういう思いをしっかりと、都市住民も含めた国民全体のコンセンサスというものが必要だと、これを申し上げたいわけなんですね。  総理言葉で、食料・農業・農村の重要性、位置付けについては余り聞いた回数は少なかったような感じがするんですけれども、やはり一国の指導者として、その点をやっぱり認識を語ってもらいたい、これを最後に聞きたいんですが、食糧も水も自然も電力などのエネルギーも労働力も地方が作って都市に供給しているんだという認識、これは大事だと思います。地方の農山村があって都市があるんです。ふるさとの支えがあって都市の発展がある。都市があって地方があって美しい日本があるんだ、そういう国の形の安心を是非とも総理認識をともにいたしたい、その気持ちから、最後に一国の指導者としての食と農に対する情熱を語っていただきたいと思います。よろしくお願いします。
  180. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 食こそ健康のもとである。その食を支える農業、これは大変大事なものであると。食の安全性が今いろいろ国民から大きな関心を持たれております。都市と農村、対立するものではない、共存していくものだということをしっかり踏まえながら、これからの日本の国づくりも努力していかなきゃならないのではないかと思っております。
  181. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 関連質疑を許します。服部三男雄君。
  182. 服部三男雄

    服部三男雄君 自由民主党の服部でございます。  私は、主として外交・防衛問題についてお尋ねいたします。  午前中、野党皆さん外務大臣更迭の問題で、真実を明らかにすると、何か国会と裁判所と混同しているんじゃないかというような議論がございましたが、私はやっぱり与党でございますので、日本の外交の目指すべき道、どういうようにこの外交を立て直していくかという観点から、田中外務大臣おられませんので、兼任しておられる総理に簡単にお伺いしたいと思います。  アジア外交、総理は二〇〇二年初頭、ASEAN五か国へ行かれました。大成功だったと思います。この日本のアジア外交の基礎というのは、今から三十年前の田中総理の日中国交回復、そして、総理がまな弟子をもって任じておられる福田元総理の福田ドクトリン、これは今回のASEAN訪問の際にも引用しておられましたが、この二人の偉大な先輩が作られた基本路線がこのまま続いているんじゃないかなと思うわけでありますが。    〔委員長退席、理事野沢太三君着席〕  ただ、三十年前は共産主義の問題とかありましたが、今は各国それぞれ、それぞれの力を持ち、しかも共産主義の脅威は減退しておるわけですが、宗教の問題、イスラムの問題が出てまいりましたし、金融、数年前のアジアの金融不況という問題もあって、それが世界の不況につながりかねなかった。それぞれの各国の思惑はいろいろあって、非常に微妙になっている。三十年前の中国の軍事力とアメリカの軍事力の対立と、日本の経済力で中国、周辺国を支えるという、その単純な構図ではなかなかいかなくなってきている。  そうしますと、やっぱり日本の外交にとって一番アジア外交が大事ですから、こういった問題を今後新しい大臣の下でやっていただくことになりますと、やっぱり外交というのは継続と信頼がないと駄目です。また、一外務大臣で各国の情勢を全部把握することは不可能であります。となりますと、やっぱり専門家の外務省職員、ここ数年えらいクレディビリティーを落として評判を落とし、彼らも自信喪失しておるわけですが、元々専門家であり、有能な外交官が多うございますので、そこは外務省を大いに立て直していただいて、先ほど申し上げた継続と信頼性を回復してやっていただく。  こういう大事な時期でありますし、諸外国、特に日本はもう世界の第二の大国ですが、諸外国はトップが外務大臣とともに外交をやっている首脳外交が非常に盛んに、強くなっておりますので、総理も、新しく任命される適任の大臣を選んでいただいて、外務省を立て直していただいて、そして、常に情報を細かく取って日本の進むべき外交の道を選んでいただきたい、立て直していただきたいと念じておりますので、その御決意をお伺いします。
  183. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 外交、これからの日本にとりましてますます大事なものになってきております。特に、外交を進める際には、省庁一体となって信頼感を持って外国に対応するということが大事だと思います。  今まで指摘されましたいろいろな外務省問題点外務省改革、これに鋭意積極的に取り組むとともに、日本の置かれた立場というもの、そして、特に今多くの国々が、日本の役割といいますか、援助といいますか、責任というもの、これは日本だけのことを考えていればいいんじゃないな、やっぱり世界の中の日本だという意識を常に持っていかなきゃならない立場に今、日本は立っていると思います。  そういう中にあって、私は、この正月、ASEAN五か国を訪問し、各首脳と率直な意見交換をしまして、非常に各国から日本に対する大きな、支援に対する感謝と今後の日本の経済再生に掛ける期待の表明がありました。こういう感謝や期待にこたえなきゃならない。過去よりもこれから未来志向を持って、ともに手を携えて国づくりに、あるいは地域の安定に、世界の平和に貢献していこうということを確認し合うことができたことは大変有意義な旅だったと思います。  これから、日本・ASEAN、もちろん日米、日中韓、日本とEU、世界に向かって日本というものの責任を果たせるように、しっかりとした外交機能を発揮できるような外務省の体制、信頼関係を構築して、今までの多くの批判にこたえ得るような、堪え得るような改革も省内で成し遂げていかなきゃならないなと思っております。
  184. 服部三男雄

    服部三男雄君 次に、アフガン支援国際会議、これは緒方貞子さんという国連高等難民弁務官としての実績、信用、そういう非常にネームバリューがあった方が我が特別代表ということもあり、また、自民党から元総理始め何名かの方がわざわざ周辺国へ協力に行かれたという努力もあった。そこで総理自身も非常に重視されていた。こういうことで、大成功だったと、日本外交ここにありという、私は本当に大成功だったと思います。といいますのは、過去の日本国際会議で、六十一か国、二十一国際機関の代表が集まって、あれだけの世界的評価を受ける会議はなかったと思うんです。そういう意味では本当に大成功だったと。  ただ、その後、その一つの参加者であるNGOをめぐる問題で、外相と事務次官が言った言わないという問題の方が、どっちかというとそっちの方が大きくなり過ぎまして、せっかくの日本における、日本外交ここにありと示すような国際会議の成功の、今後どういうふうに持っていくかという議論をすべき大事な国会審議がほかの方に焦点が移るという、非常に残念な事態になったわけでありますが、ここで一つ私は強調したいのは、幾ら緒方さんが、あるいは総理自身が、あるいはいろんな人がやっても、六十一か国、二十一の関係代表、関係機関を事前調整、連絡というのは、これは外務省の職員がやらなきゃできないわけです。  外務省がこの一、二年大変なスキャンダルに恵まれ、クレディビリティー、国民を始め外国のクレディビリティーを失墜させたということで、野上事務次官以下総力を挙げてこのアフガン支援国際会議の、対処していったと。このこと一事をもっても、日本外務省というのはそれなりに有能な連中がそろっているんだと私は今度自信を持ったんですけれども。先ほど申し上げたとおり、継続と信頼というものは、この国際会議の成功をきっかけにして、是非総理直率の下にもっと充実していただきたいとお願いするわけでありますが。  さて、このアフガン問題なんですけれども、確かにそれはテロの問題、アルカイダの問題あります。でも、もう一つ僕は、私自身は別の問題があるなということを思ったことがあるんです。といいますのは、例えばアフガン支援の中で、ブレアさん、英軍をトルコへ派遣しているんですね。そしてNATOは、シュレーダーさんのドイツを含め、AWACS、早期管制機を、警戒管制機をアメリカからの振替の分に米本土へ派遣すると。  私は、これを見まして、トルコというのは非常に今後の、二十一世紀の地政学的に大きい要素を占める場所だと思う。といいますのは、御案内のとおり、外交の考え方には二つありまして、アメリカ流の集団安全保障あるいは自由と民権という原則を強く出す国と、ヨーロッパのようにバランス・オブ・パワーの考え方ですね。古く言えばリシュリューとかビスマルクとかメッテルニヒとかいろんな人がいます。代表的な外相もいますけれども。そのバランス・オブ・パワーの考え方。  カスピ海周辺に石油が猛烈に埋蔵しているということははっきりしているわけですね。今、OPECだけに偏在している石油というのは非常に危険だと、カスピ海とか、そういう石油のバランスを取った方がいいというのはヨーロッパの考え方だと思うんです。EUは特にできまして、通貨の統合までしましたから。  こういう問題を考えますと、アフガン戦争というのはテロ対テロだけでなくて、裏にはいろんな各国の思惑、資源というものが絡んできている、地政学的な問題も絡んできている。そういうのに対して、ブレアさんとかシュレーダーさんはもうアフガン戦争時からちゃんと手を打ってきている。日本の外交もこういうふうに複眼的に、視野を高く見て、大きな世界の流れの中でやっていくべきだと私は思っておりますが、総理の御意見をお伺いしたいと思います。
  185. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 御指摘に賛成でありますし、多くの示唆に富んだ御意見だと思います。    〔理事野沢太三君退席、委員長着席〕  今回のアフガンの問題におきましても、このテロ、発生する以前におきましては、今みたいな世界の注目を持たれた国ではございません。アフガンという国は戦争が続いて大変だなという程度の認識を持っていたのが多かったと思うのでありますが、そこにあのようなテロ組織の存在があり、これがあのようなニューヨークの事件を起こしたということからこういうアフガン問題というのが世界の注目を浴びるようになってまいりまして、そういう中でもアメリカは、このタリバン、テロ組織を壊滅するだけでなくてこのテロの温床をなくさなきゃならない、さらに、今後アフガンがテロ組織から解放されたとしてもアフガンの復興にも力を尽くさなきゃいけないということで、アフガンに軍事力を行使した段階から、空爆を始めた段階から、アフガンの和平、アフガンの復興を考えながらこの戦略を進めていったということは大変いいことだったと思います。  それに世界が呼応し、日本もアフガンに対する軍事攻撃には参加しませんが、アフガンの和平、復興には支援をしたいということで今月の東京・アフガン会議に至ったわけでございますけれども、これから、いろいろアフガンの情勢におきましても、一地域の不安定がその一地域にとどまらない、一国の不安定は他の地域にも影響が出てくる、あるいは世界の安定にも問題が出てくるということで、それぞれの国が、アフガンのみならず各国の地域にそれぞれ関心を持つようになったと思います。  今後、正に一国の問題は全世界に関連があるんだな、影響があるんだなという立場から、日本も経済面においても外交面においても配慮した外交体制あるいは内政の改革が必要だということを、今回のアフガンの問題を見ましても、またASEAN訪問におきましても、あるいは日中韓の関係を考えましても、日米関係を考えましても、さらに今ヨーロッパがEUという統合を目指して進めている改革におきましても痛感した次第でございます。
  186. 服部三男雄

    服部三男雄君 外交をもう一点お伺いしたいと思います。  アフガンの問題は平和裏にうまく進みそうなんですが、一方、イスラエルとパレスチナの問題でございます。  もう連日テレビに出ております。殺りくが殺りくを呼ぶという、憎悪が憎悪を呼ぶという、もうとどめのないところへ来ている。しかも、パレスチナ側は対人テロをやり出している。しかも、それは無差別に一般市民を巻き込むという非常に危険な兆候にある。これはもちろんそういう事態はだれもが人道的に見ても嫌なものなんですが、さらに、この影響を考えますと、米軍によって完膚なきまでたたかれたアフガンのアルカイダ、このシンパは世界じゅうにおるわけですね。彼らはアフガン戦争終結時には意気消沈したと思います。しかし、イスラエル、パレスチナのあの殺りくが殺りくを呼ぶ報復戦争を見まして、おれたちもまた対人テロをやろうじゃないかという変な、変な悪い意味の勇気を与えかねないと思うんです、このイスラエル、パレスチナ問題というのは。  でありますだけに、やっぱり日本もまた米国とは違ったイスラエル、パレスチナとの人間関係を過去外務省も築いておりますし、周辺国、特にその中でもイラクとイランの関係は日本は非常に強く持っておりますので、こういった外交チャンネルを有機的に、過去の関係を有機的に活動して日本もこのイスラエル、パレスチナ問題にもうちょっと本腰を入れていくべきじゃないか、時期じゃないかなと思っておりますので、総理の御所見をお伺いします。
  187. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) このパレスチナとイスラエルの問題、長年にわたる紛争の火種になっております。  この問題につきまして、アフガンの問題、テロの問題が話し合われますと、大抵イスラエル、パレスチナの問題も話題になってきます。日本としても今、パレスチナ、イスラエル両方に自制を各国首脳に要求しておりますし、今回のタリバン、アルカイーダ、テロ組織に対しても、アメリカに対するテロ攻撃に対しても、これはたとえアラブ人だろうとイスラム人だろうと、テロとの戦いはイスラムとの戦いではない、アラブ人との戦いでもないということは何回も申し上げているわけでありますが、このイスラエル、パレスチナの問題もより以上日本注視して、パレスチナの経済支援にも各国ができない方法で支援する方法があるのではないかと、またイスラエルに対しましても自制を呼び掛けたり、いろいろ手を尽くしております。  今後とも、この問題について強い関心を持ちながら、日本としての和平外交、どうあるべきかを考えながら推進していきたいと思っております。
  188. 服部三男雄

    服部三男雄君 では、外交問題は終わりまして、次に防衛問題に移らせていただきます。  昨年十二月二十二日、九州南西沖海域で発生した不審船事犯についてでございます。  今回の事犯は、十一年三月の能登半島沖の不審船事犯と違いまして、自衛隊、海上保安庁の活動を国民は高く評価していると思いますが、なお反省、改善すべき点もありますので質問したいと思います。  まず、自衛隊の警戒監視活動能力についてであります。  今回は成功したと思います。多数の船舶、日本近海多数の船舶が航行しておりますが、その中から偽装している不審船を発見するというのは大変難しいだろうと思います。その難しさを今回克服したわけでありますが、海上自衛隊の警戒監視活動能力を高く評価する上で、その不審船と認めた兆候、理由について説明を願います。
  189. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) お話にもありましたけれども、偽装船といいますと、一般漁船に成り済ました発見するのが難しい船でありまして、今回発見した隊員は、よく薄暗い中で、荒天の中で見付けたというふうに隊員に感謝して褒めてあげたいというふうに思っておりますが、その決め手となりましたのは、そのとき写真を撮りまして、その解析によりますと、ウエーキと申しますが、船の航跡ですね、その中心軸がやや左にずれていた、すなわちスクリューがおかしなところに付いている、また船体が前に傾いている、甲板にレールがある、煙突にすすが付着していない、また船体の汚れが少なくて不自然に整とんをされていた。以上のことから、平成十一年に能登半島沖で確認された不審船と同様な性格の船舶である可能性が高いという判断に至ったわけでございます。
  190. 服部三男雄

    服部三男雄君 そういう警戒監視能力は確かに高かったんですが、今回、成功したとはいえ、ただ、不審船を認めてから海上保安庁へ連絡するのに九時間も掛かっている、これはやっぱりちょっとまずいんではないか。そういう遅れた原因について、反省点を含めて、防衛庁長官、答弁願います。
  191. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) この点につきましては、偽装船でありまして、一般の漁船か某国の工作船か、この判断するのが非常に難しいわけでございます。  そこで、十六時半ごろ外国の漁船らしきものを発見しましたけれども、その発見した隊員が念のために写真を撮って、解析する必要があるということで十八時半ごろ鹿屋基地に帰投しまして、そこで写真の分析をしまして、そこでもまだ不明な点がありましたので、二十時ごろ海上幕僚監部に伝送で写真を送信をいたしました。その写真の送信に三時間掛かりまして、二十三時ごろこれを受け取って、そこで海上幕僚監部において専門家によって写真解析を実施をしたわけでありまして、そこで、深夜の翌零時半ごろ、これは能登半島沖で平成十一年三月に確認された不審船と同様な性格の船舶である可能性が高いということで、その後は直ちに官邸内閣官房に報告をすると同時に、P3Cでその位置を確認をして、一時十分ごろ直ちに海上保安庁に連絡をしたわけでございます。
  192. 服部三男雄

    服部三男雄君 今の御答弁によりますと、要するに幕僚本部へ伝送するのに時間が掛かったということですね。  今回、鹿屋のP3Cから写真を直接伝送できればよかったということになると思うんですが、防衛庁はこれを教訓にどのような改善策を考えておりますか。
  193. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) その点が改善点の一つでありまして、現在のところ鹿屋基地にはこの伝送装置のあるP3Cがございませんでした。今後はほかの基地にありますP3Cをその地域に機動展開して静止画像伝送装置をし得る航空機で偵察すると同時に、早期にこの機材の整備を講じてまいりたいというふうに思っております。  あと、地上の伝送におきましても、メールを送るわけでありますけれども、この回線が非常に細くて、同時に多数の地域に写真を送ったために時間が掛かりました。こういう点で、この回線の高速化をしまして、また優先順位を決めるなど、マニュアルの整備に努めてまいりたいというふうに思っております。
  194. 服部三男雄

    服部三男雄君 いつも問題になるのは役所と役所の問題ということがよく日本でもあるわけでございますけれども、事こういう不審船事案につきましては、第一義的には海上保安庁が対処することになっております。ただ、情報はやっぱり自衛隊が送らにゃいかぬと。その海自と海上保安庁との連絡状況についていかがでしょうか。
  195. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 能登半島の教訓を生かしまして、海上保安庁とは共同マニュアルを作成をいたしております。第一義的には海上保安庁が対応するという前提で、初期段階から連絡体制等を定めまして、現在のところ海上保安庁と連絡調整の上、行動し得るようにしておりますが、今回の件で、教訓といたしましては、この連絡、通報につきましては、判別困難な状況において視認した船舶について、必要な分析を行った上で海上保安庁に通報を行っていたところ、不確実な段階の情報であっても通報すべきとの意見等もございますが、これをいたしますと、大変たくさんの情報が海上保安庁に行って、また混乱するという点もございますが、今後、今回の事案を教訓といたしまして、一層迅速適切に対応する観点から、海上保安庁との調整を引き続き行ってまいりたいというふうに思っております。
  196. 服部三男雄

    服部三男雄君 確かにP3Cで広い海域をずっと見ていくわけですが、それ以外に自衛隊もいろいろ工夫しておられると思う。特に電波情報の収集、分析という問題があると思うんです。今回の不審船事案についてもそういった問題があったんではないかと思います。  私は、国民が今自衛隊に対する信頼度が非常に高くなってきている。でありますだけに、この自衛隊の持つ、あるいは防衛庁の持つ電波情報探知能力、あるいは今回の不審船事案に関するその成果というものを、むしろ防衛庁長官がこの予算委員会で公表された方が、国民も自衛隊に対する信頼を高まる、また関係諸国に対する自衛隊の力を示すことによってそれが抑止力につながる、このように考えておりますが、防衛庁長官はどのように考えておられますか。
  197. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 電波情報を公開をいたしますと、確かに国民の安心感と抑止力にはなるかもしれませんが、同時に、工作を行う国もその情報を入手をいたしておりまして、そういった周波数なり手法につきましては今後そういう手段を使わない。そうなりますと、しばらくの間、情報入手にも苦労するという点がございます。  先生のお考えには一つの御見識で傾聴に値するものもございますが、私どもといたしましては、具体的な内容につきましては、その情報成果があるともないともお答えをしないということが今後の情報活動の運用に非常に大事な点であるという点でございまして、その件につきましてはお答えを差し控えさせていただきたいというふうに思っております。
  198. 服部三男雄

    服部三男雄君 不審船事案で海上保安庁に尋ねます。  平成十一年三月の能登半島沖不審船事案では、不審船を停船させ捕捉することができなかった。言わば失敗したわけであります。今回の不審船の対応は非常にうまくいったと。それは前回の教訓を生かされたことなのか、その点について回答を求めます。
  199. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 今、服部先生がおっしゃいましたように、十一年の三月の能登半島沖のあの不審船のテレビ等々拝見して、国民皆さんが大変不安に思われたと思います。そのために、私どもとしましても、海上保安庁、少なくとも自衛隊との連携を緊密に取って、海上保安庁でできるのはここまで、そして自衛隊から援護を受けるのはここまでというそういうマニュアルも作りまして、お互いに連絡を密にして、今回は少し、今、先生がおっしゃるように、時間は掛かったかも分かりませんけれども、あの反省があったればこそ、私は昨年の臨時国会でも、今回、海上保安庁の法案の改正もしていただきましたし、対処できたと思っております。
  200. 服部三男雄

    服部三男雄君 国土交通大臣、装備の面もちょっと御説明いただけたら有り難いんですが。
  201. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 装備の面と言われますと、まだまだ装備は完璧ではございません。と申しますのも、今回私も見てまいりましたけれども、出ていった船が本当に百数十発の射撃を受けまして、大変危険な思いをし、私はみんなよく命があったなというふうには思っておりますけれども、今回は、前回の教訓を踏まえまして、高性能の二十ミリの機関砲を巡視船に装備をいたしておりますので、装備をしても訓練がなければ何もなりませんので、ふだんの訓練、射撃を実施するという、この訓練を今回はやっと現実的に初めて行ったということで、士気の高揚に大変私は今後役に立つと思っております。
  202. 服部三男雄

    服部三男雄君 今回の事案では、負傷者三名でしたか、出ました。これが海上保安庁の職員の士気に影響をしておりますか、その点はいかがでしょうか。
  203. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) そのことを私も今ちらっと申し上げましたけれども、本当に、私も現地に参りまして、十二月の二十七日でございましたけれども、奄美、鹿児島、両方に行ってまいりました。そして、御存じのとおり、「あまみ」、「いなさ」、「きりしま」、そして「みずき」のこの四船、四船で囲んだわけでございまして、特に「あまみ」は操縦席のフロントガラスがもうハチの巣をつついたようなすごい被害を受けておりまして、クモの巣と言った方がいいか、もうこっぱみじんでございまして、そういうときによく船長が命があったなと思うということで、四つの船長を、今月でございましたけれども、二十二日に総理のところに、その四船長が現状の報告に総理にお目に掛かってしていただき、そして彼らが今後士気を高揚さすために、今、先生士気が落ちているんじゃないかとおっしゃいましたけれども、総理から激励のお言葉もいただきましたし、彼らは大変今回のことで誇りを持って、命があって、今後すぐに負傷した三名も現地に戻って早く国民の役に立ちたい、海の守りを完全にしたいという、そういうことを総理の前でもおっしゃいましたので、私は士気が衰えているのではなくて、もっと立派な今後の対応をしようという意気に燃えております。
  204. 服部三男雄

    服部三男雄君 次に、有事法制について官房長官にお尋ねします。  有事法制の整備、これはもう国家存立の基礎でありまして、本来国が最優先で取り組むべき大きな課題でございますが、遺憾ながら、昭和五十三年以降いろんな動きがございました。防衛庁は、自衛隊が防衛出動時における任務を円滑に実施、遂行する上での法制上の諸問題について福田内閣以来研究を進めて、その都度国会にも御報告し、公表もしておるわけでございます。ただ、今はもうこれを研究のままにとどめることなく、具体的な法整備に結び付けていくことが求められている状況ではないかと思います。  特に、有事法制の整備につきましては、これは十一月二十一日付けの毎日新聞なんですが、世論調査、六一%の人が有事法制を必要だと感じているわけであります。不必要はたった二〇%でございます。また、内閣の方の調査では、今、国政上の重要課題だといううちのナンバー四ぐらいに入るんですね。有事法制、それから外交防衛というのを合わせますと六〇%ぐらいにこれもなるんですね。こういうふうに国民は大変この問題に関心が高くなっておりますし、確かに理解も、福田内閣当時から見れば理解は進んできているだろうと思うんであります。  一方では、過去二回にわたる中間報告を国会に行っておりますけれども、その当時と違いまして国際社会はもう大きく変わっておるわけであります。言うまでもないことでありますが、冷戦の終結、湾岸危機、そして昨年の同時多発テロ、さらには生物テロも考えられる、サイバー攻撃というものも起こり得ると。このような我が国を取り巻く国際環境が、かつてとは異なっているというものではなくて、もう質が違うんじゃないかという時代になってきておりますので、政府としてはこういう変化に適切に的確に対処していくと、これは国民も求めておりますし、また国際世論もそういうものを日本に対して求めている時代だと思いますので、有事法制の進め方について政府の今後の考え方をお尋ねしたいと思います。
  205. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 有事法制につきましては、委員御指摘のとおり、大変長い期間にわたりまして慎重に研究がなされてまいりました。五十六年、五十九年には、その時点での研究の概要も国会に報告するということもいたしております。現在は、こういうような研究の内容等も踏まえまして、内閣官房を中心にしまして、総合的な観点から法制化を目指した準備的な検討を行っているところでございます。  御指摘のとおり、時代も変わり、新しいその脅威の対象も出てきているわけでございますので、そういうことも視野に入れて検討しなければいけないというのは当然のことでございます。  先般、与党三党の間に、自衛隊の防衛出動に関する法制等について検討する協議会が設けられました。そういうことも踏まえまして、今後は与党とも緊密に連携を取って早急に対応していきたい、そのように思っているところでございます。
  206. 服部三男雄

    服部三男雄君 その有事法制の検討に当たってはどのような方針で行われるのか。その点、官房長官、お願いします。
  207. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) この有事法制の検討は、我が国に対する武力攻撃の事態、すなわち我が国が外部から侵略を受けた場合を中心に検討を行っているところでございます。  この大要は、憲法下にありまして国の組織と機能を挙げて取り組むべき重要な課題ということでございます。自衛隊の防衛行動を円滑にするにはどのようにしたらよいかという観点だけでなく、我が国防衛のための軍事の、米軍の行動ですね、失礼しました、米軍の行動を円滑にするにはどうすればよいのか、そしてまた、住民の避難誘導など国民の安全を確保するにはどうしたらよいのか、また、戦闘によってけがをした者などの戦闘行為の犠牲となった者を人道的な観点から保護するためにはどのようにしたらよいかというような観点など、幅広く総合的に検討を行っているところでございます。  また、有事においても個々の国民の権利が尊重されるべきことは当然でございますので、関係行政機関による対応に当たりましては、国民の権利の制限は必要最小限にとどめるということとともに、適正な手続を確保することも必要でございます。  さらに、我が国では既に災害対策などに関して危機管理の制度が整備されておりますので、こうした制度も参考としつつ、いかなる仕組みが有事への対応のために適切なのかを検討しているところでございます。
  208. 服部三男雄

    服部三男雄君 有事法制につきましては、確かに国民の理解はある程度進んだんですが、一部はまだ、国民の権利が不当に制限されるんではないか、極端な誤解をすれば戒厳令、徴兵令あるいは言論統制のことを考えているんじゃないかという、もう明らかに間違った不安なんですが、このような考え方を持つ人もいるかもしれませんので、政府は、その点ははっきりとそういう国民の不安を払拭していただきたいと思います。
  209. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 有事法制として具体的にどのような措置を規定するかということは今後具体的に検討されることとなりますけれども、その有事法制の整備は憲法の範囲内であると、先ほど申しましたように、憲法の範囲内で行われることは当然のことでございまして、戦前の旧憲法下での戒厳令、徴兵制のような制度や言論統制といったような措置は全く考えておりません。  また、有事におきまして国民の権利に一定程度の制限がなされることがあるのは、これはやむを得ないというように考えておりますけれども、その際にも権利の制限は必要最小限度にとどめるべきものである、こんなふうに考えておるところでございます。  いずれにしましても、有事法制につきましては、国民に不安を与えたりすることのないよう国民の理解を得つつ検討を進めてまいる所存でございます。
  210. 服部三男雄

    服部三男雄君 次に防衛庁に伺いますが、防衛庁は防衛力の在り方検討会議というのをやっているらしい。防衛力全般の見直しを開始したと聞いております。当然のことだと思います。  防衛庁、自衛隊の役割は、以前に比べましたらもう格段に増大している。また、世論調査によりましても、自衛隊に対する印象度が非常に高くなってきていると。万が一、何か有事が起こったときは、自衛隊に対して一緒に行動参加しよう、あるいは支援しようという人が何と六割まで国民の間に出てきていると、こういう世論調査もあります。一方では、やっぱり二十一世紀の在り方というものを考えていかないかぬ、自衛隊、防衛庁を取り巻く環境も変わってきたということで、そういう意見も強くなってきている。  防衛大綱の見直しの問題でありますが、こういう防衛力の在り方について国民の前に明らかにする必要が来ているんじゃないかと思いますので、所見を伺います。
  211. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 防衛力の在り方につきましては、不断に見直しを行っていくということは不可欠であるというふうに思いまして、昨年の九月から防衛力の在り方検討会議を開催をいたしております。現在のところ三回実施をいたしまして、当面は有識者から広く意見聴取を行っていく予定でございますが、現時点において具体的に検討をいつまでやるということはめどは立ててなくて、幅広く識者から意見を聞いている段階であります。  その内容につきましては、六つの変化が今起こっておりますが、まず、情報通信技術を始めとする科学技術の進歩で、防衛、各国の戦略に大きな変化が出てきておる。つまり情報戦とか、各国がリンクするとか、そういう戦略が変わってきた。第二点は、国際情勢においても朝鮮半島の情勢の改善に向けた努力が軍事情勢に影響を及ぼしておる。第三点は、多様な事態に対処する必要があるということで、ゲリラとかコマンドとか、そういう陸海空各自衛隊の役割に変化が生じる可能性がある。第四点は、RMAという軍事における革命が今進展をいたしておりまして、各国の装備や組織も大きく変化をしてきている。第五点は、少子化、高齢化社会を迎えて、質の高い人材を確保するための若手のそういった組織、募集等をどうしていくか。それから第六点は、経済構造の変化、また自衛隊の役割に対する国民の意識の変化等にも応じていくというところでございます。  全般的に言いますと、米国のテロ事件を受けて、国対国、民族対民族といった戦いから、正に新たな危険にどう対応するかという観点で今後とも研究を進めてまいりたいというふうに思っております。
  212. 服部三男雄

    服部三男雄君 そのほかテロ問題等をお尋ねしたいんですが、時間の制約がございますので、最後総理に一点お伺いしたいと思います。  都市問題でございます。  十八世紀の世界の代表都市といったらパリとかベルリンがありましたが、これは中央集権国家が公共事業投資をどおんとやると。パリであれば、オスマン男爵は十数年間で一年間の国家予算を使うぐらいのパリ大改造をやったと。二十世紀は、例えばニューヨークが代表都市でありますが、これは産業、金融資本がどおんと町づくりをやった。二十一世紀の日本、東京が大事だと、東京、大阪、大都市。さて、しかし、公共事業を行う金がだんだんなくなってきた。それならば民間の活力を利用すればいい、住民の手で町づくりをしてもらえばいいと、こういう考え方に基づいて、特に今、現下厳しい経済状況の下で十兆円近い民間都市再生事業が内閣の都市再生本部に要求で出てきている。この民間都市再生事業を強力に促進することは、景気対策にも極めて重要なんです。  と同時に、この政策の中で、官と民の区別をはっきり付けなきゃいけない。官が何でも公共事業をどんどんやればいいというものじゃない。民間の力を利用すると。そして、それが国際競争力の復活につながるし、都市、防災都市、町づくりにもつながっていくと。こういう今までにない大胆な規制撤廃政策、都市再生政策を講じるべきと考えます。規制撤廃、規制緩和じゃありません、完全規制撤廃をやるべきだと考えますが、総理の基本姿勢を明らかにしていただきたいと思います。
  213. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 御指摘の点はこれからの都市再生について大変重要な点だと認識しておりまして、大都市はもちろん、県庁所在地、そういう地方の都市も対象にして、時間と場所を限って、これまでにない発想を持ちまして都市計画にかかわる規制をすべて適用除外とすると。そして、民間事業者が自由に事業計画を立案し事業を開始できるための都市計画及び事業制度の抜本的な改善、さらに、民間事業者の事業立ち上げ段階での金融等の支援措置の創設、このような内容とする法制度を実現するように、今、関係省庁に指示しているところであります。この指示に基づいて早急に必要な法案を取りまとめまして、できたら今国会に提案したいと思っております。
  214. 服部三男雄

    服部三男雄君 質問を終わります。
  215. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 関連質疑を許します。谷川秀善君。
  216. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 自由民主党の谷川秀善でございます。  金田、服部両氏の後を受けまして質問をさせていただきたいと思いますが、まず初めに、NGOに係る外務省の問題につきまして、小泉総理は昨夜来から大変苦渋の決断をされたというふうに思っております。その決断に対して、心から敬意を表する次第であります。  さて、景気対策と雇用問題でございますが、第一次補正予算を組んだわけですね。それが余りうまく作動しなかったということで、このたび第二次補正予算を組まれたわけでございますが、私はこれは立派な決断だと、小泉内閣の、そう思っていますよ。それじゃ、野党側は、財源問題についてNTTの株を云々と、こういうことで、まやかしやとかごまかしやとか言うていますが、もし組まなんだらどうなるんですか、それじゃもし組まなければ。その点について、私はまず最初に、景気と雇用に対する総理の御見解、御認識をお伺いをいたしたいと思います。
  217. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 構造改革を進めていくうちに、それぞれ企業が倒産する場合も出てくるでしょう。失業者も心ならずも出てくる場合があるわけであります。現在、雇用情勢も悪化しています。  そういう中にあって、こういう新しい時代に合うような不良債権処理あるいは経済のいろいろな対策を打っていく上で、痛みを緩和する策として、今のデフレスパイラル状況を抑えていかなきゃならない、あるいはこれからの景気に対して即効性の高い、しかも構造改革に資するような事業をしていかなきゃならないというところで、財源を探すと四苦八苦しまして、むしろ国債をたくさん発行すれば景気が回復するじゃないかという中にあっても、非常に厳しい財政状況、国債発行は必ずしも景気回復に結び付かないというような状況の下で、できる財源を最大限活用して今必要な事業をやらなきゃならない、あるいは雇用対策を講じなきゃいけないというところで第二次補正予算を提出しているわけでありまして、これはむしろ構造改革を一歩進めるために、できるだけそのマイナス面をカバーしていこうという策であるということを御理解いただきたいと思います。
  218. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 是非、自信を持って頑張っていただきたいと思うわけであります。  それで、大体あいさつというのは地方によって違いますわな、いろいろ、こんにちはと言うてみたり。大阪は大体商人の町でありますから、こんにちはと言う代わりにもうかりまっかと、こう言うんですよね。そうすると、もうかっているときは、まあまあでんな、ぼちぼちでんなと、こう言うんです。これはもうかっておるときなんです。それで、普通のときは、あきまへんわ、さっぱりですわと、大体これで普通なんですね。  ところが、年明けますとどう言うていると思いますか、総理。逆さに振っても鼻血も出まへんわと、こう言うているわけですよ。これは、夜逃げでもせぬ限りもうどうにもなりませんと、こういう感じなんですね。これは何も大阪に限らず、恐らく地方全体に通じてそういう状況になっているんではないかと私は思います。  そういう意味では、特に先日発表された失業率、これも五・六でしょう。大阪の場合は大体一ポイントぐらい高いですから、今度の発表は何か六・三ぐらいでちょっと、近畿全体でちょっと良くなっているので大体六・五ぐらいです。そういたしますと、本当に、倒産率も同じですよ。大体、毎月二千五百件ぐらい倒産していますから、それは大体全国的にそういう傾向だと思う。  これはどこに原因があるのかといいますと、やっぱり金融なんですよ。金融がうまく稼働していないんですわ。柳澤金融大臣も、いや、ちゃんとできていますと、こうおっしゃっているんですが、なかなか実態としてはもうあれですよ、貸し渋りというようなものじゃないんです。保証協会が保証すると、こう言いましても貸さないんですよね。  それで、付けはがし。大体三千万借りるとしましょう。そうすると、借金が二千万銀行にあったら、金融機関にあったら千万しか貸してくれないんです。こういう状態が続いているわけですよ、本当に。二千万先返せと言うんです、いったん返せと。だから、これが付けはがしですわ。三千万円借りている、借りに行ったら、おまえのところ二千万借金あるから千万だけ貸してやるわ、二千万返してくれ、こういう状態がずっと続いているんですが、この辺のところ金融担当大臣、どういうふうに把握しておられますか。
  219. 柳澤伯夫

    国務大臣(柳澤伯夫君) 先ほど来お答え申し上げておりますとおり、私どももこの不良債権の処理だけに力をそぎ過ぎるということではなくて、金融機関の経営の面からも貸出しということに注力をするようにということは、先ほど触れました十月の先行改革プログラムにおきましても、これはもう何と申しますか、ある種先回りしたような形でその点をうたわせていただいて、そのことは即そこにうたうだけではなくて、特別に招集した金融機関の会合で私から直接彼らに伝達をいたしております。さらに、年末には年末の資金の疎通に遺憾なきを期せ、これはもう私の役所だけではなくて、経済産業省あるいは農林関係の金融機関ということで農水省等々すべての業態あるいは政府関係の金融機関の代表者を集めてそのことを伝達をいたしております。  そういう中でも、今、谷川先生がおっしゃったようなことがあるんではないかということですけれども、率直に言って金融機関の側もこのように非常にリスクの高まっている経済情勢の下でございますので、リスクに対して敏感になっているという側面もあろうということが一つ。  それからもう一つは、先ほどちょっと触れましたけれども、私どもリスクに応じた信用リスクのスプレッドを取るようにと。通常、金利というのは調達金利と経費、これでイコールになればこれは利益ゼロですけれども、その上に信用スプレッド、つまり貸倒れの損失を、もうありとあらゆるその多数の貸出し人を平均したもの、これを圧縮して率にしまして、これを信用スプレッドというわけですけれども、その信用リスクカバー部分のものも入れろと、その上に利益等を適切に取るということで貸出し金利の構成が形作られているわけですけれども、そういうことをやらないと、実はこれは分類上条件緩和債権、つまり要管理債権に分類されて、必要な引き当ての金額が増加するというような仕組みに全体としてなっているわけでございまして、そういう意味合いもありまして、金融機関の側は、これは、逆さまに振っても鼻血も出ないですか、そういうようなところに鼻血を出せと言うわけにもいかないでしょうけれども、その賄えるところに対してはそういうことをかなり言っております。  私は、ただ東京におってその数字だけ見ているわけではなくて、私にも友人がたくさんおりますので、そういう中小企業の本当に心置きなく話せる友人たちをグループにしていろんな話を聞いています。  このごろは、もう大変金利を高くしろ高くしろと言って金利の引上げの要求がうるさく来ているよというようなことも、そういうところからも実は聞いておりまして、そういうこともあろうかと思うんですけれども、そういうことで、私どもとしても全体のこの具体の状況ということと同時にまた役所特有の統計も見ておるわけですが、先ほど来申しておりますように、資金繰りと、それからこの金融機関の貸出し態度についてDI、ディフュージョンインデックスというものを日本銀行でずっと時系列的に追っ掛けているわけです。  そういうものによりますと、厳しくなったという、緩やかになったというものから厳しくなったというものをトータルを一〇〇にして差っ引くわけですが、今現在最新の数字で、十二月でしたか、大体厳しくなったが六です。つまり、緩やかになったが四三、四七ですか、それで厳しくなったが五三という数字が大体一〇〇の構成要素だということになっておりますので、それが一番厳しくなったときは、厳しくなったが二二だったんです。それに比べると六というのは、まあちょっとこのところ上がり加減ですが、そんなにクレジットクランチというか信用収縮が強烈だというような情勢にはないんではないか。これ、しかも中小企業だけです。全体をするとゼロになっています。五〇対五〇です。緩やかになった五〇、それから厳しくなった五〇、これが現在の最新の日本銀行のDIの数字でございます。
  220. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 金融機関もいろいろ経営考えなきゃいけませんが、だから私はやっぱり企業の信用というものを見てやっていただいて、やっぱりこの企業は今はしんどいけれども、貸したら立ち直ると、大丈夫だと、運転資金がないんだというところについては、付きはがしみたいなことをやらずにしっかりと貸してやっていただいて、それで企業が継続できるというふうにお願いをいたしたいというふうに思っております。  それで、マイカルがおかしくなりましたね。マイカルがマイカル債という債券を発行しておるんですね。そのトータルが大体三千二百五十億円ぐらいあると思うんですよ。ところが、大体悪くなってからどんどん発行しているんですよ。経営が悪くなったのにかかわらず、どんどん毎月ぐらい発行しているんですね。それが今や紙くず同然になり掛かっているわけです。その点について、金融担当大臣どうお考えでございましょうか。
  221. 柳澤伯夫

    国務大臣(柳澤伯夫君) マイカルが三千二百億ぐらいの社債を発行している、しかもあれ幾らでしたか、数百億でしたか、個人からの資金を調達する、そういうものをその一部で発行していると。しかも、個人向けのやつが不幸にして破綻の割と近いところで集中的に発行された、こういうことを私どもも承知をいたしておるわけでございます。  ただ、これについて谷川先生のような事情通の方からすると、今おっしゃられたような経営が悪くなってからどんどんというようなことが見取られるかと思うんですが、私どもの方からしますと、社債については、特に最も中心的にいわゆる格付会社、民間の格付会社というのが格付をしているということがございまして、それが投資家にとっては非常に大きな、投資が適格かどうかの判断の指標になっているわけでございます。  そういう観点からどういうことが起こったかというと、いっときに四段階落としたんです、一時に。これは相当高い投資適格であっても、一遍にこれは危険なリスク商品ということにもなるということでございまして、この辺りのことは格付会社の格付の在り方についても問題提起をしたというようなことが言えるわけでございます。  これはどうなるかといいますと、これはもう昨年の十二月三十一日に、結局、いろんないきさつがありましたけれども、結局、会社更生法の手続に入ったわけでございまして、これはもう更生計画というものが裁判所の許可を得て策定される。そういうものが、社債権者の方もそういうものを決議をして裁判所が認可をするというような手続を踏みますと、後はもういわゆるマイカルの財務状況というか、配当がどのぐらいできるかという、財産がどのくらい残るかということによって配当が決定されていくと。こういうようにして、その一部ができるだけ高いことを望み、高率であることを望みますが、弁済が行われると、こういうことになるということでございます。
  222. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 これは木津信がつぶれた場合にも同じようなことが起こったんですよ。一年ぐらい前に、おかしいのに、木津信は年に一割配当しますよといってやあっと預金をかき集めたということが前、昔あったんですよね。  だから、マイカルも、それは一般の国民から見れば分からないですよね、今、担当大臣がおっしゃるように。そのためにもやっぱりこれからはしっかり情報を、企業であろうがそういう金融機関であろうが、一般の国民に分かる情報をしっかり提供してやっていただかないと、ペイオフの今度の場合もそうです。要するに、企業であろうが何であろうが、情報提供をしっかり公開をしてあげていただかないと、一番最後に泣きを見るのは国民だということに私は相なろうと思います。  そういう意味で、是非ともよろしく、経済産業大臣もいろいろお伺いしたいと思いますが、ちょっと時間が押してきておりますので、お願いをいたしておきたいと思います。  それでは、特殊法人改革についてひとつお伺いをいたしたいと思いますが、私は特殊法人改革は今年が本当に正念場だと思っております。そういう意味で、小泉総理が原則廃止、民営化、これは今年が正念場になると、そういう意味ではしっかり私はやっていただきたい、そう思っておるんですが、小泉総理、決意に揺らぎがございませんでしょうか、お伺いをいたしたいと思います。
  223. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) この特殊法人改革は特殊法人だけの廃止、民営化等で済む問題じゃないんです。財政投融資制度、郵便貯金、簡保資金の使われ方、いわゆる今までやってきた日本の財政と金融、この大きな官業分野の資金の流れを全部変える改革ですから、そういう意味においてようやく緒に就いたなと。  今まで全部必要だ、廃止する必要ない、民営化する必要ないという答えばかりでした、役所に聞けば。政党に聞いてもそうです、与野党通じて。そういう中で廃止、民営化、一番不可能であり、一番金を食うというところを手を付けた。これを軌道に乗せる年だと思っています。これにとどまらない。今ようやく廃止、民営化しないからほっと済んでいるところも、これから見直して、民営化できるところ、廃止できるところはどんどん進めていきます。更にこの財政投融資制度の根幹に入っていきますから。  しかし、そういう中で、道路関係四公団、住宅金融公庫、都市基盤整備公団、石油公団、去年まではこの予算委員会、通常国会、恐らくどの質問にも廃止、民営化主張した方はいなかったと思います。現実にできているわけですから。この手綱を緩めることなく、この方針を軌道に乗せるために誠心誠意頑張っていきたいと思います。
  224. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 結局、この特殊法人というのは今までの官僚制度とこれ一体のものなんですよ。本来、行政がやらなきゃいかぬものをいろいろ戦後知恵出して外郭団体なりいろんなものを作ってやらしてきたと。だから、官僚制度にメスを入れない限りこの特殊法人改革は私は本当に実を得ないと思いますよ。  といいますのは、今の官僚制度そうでしょう。外務省の問題でもそうですよ。大体、明治時代の官僚制度そのまま踏襲しているでしょう。人生五十年代と言われていた時代の官僚制度をそのまま踏襲しているんです。大体そうでしょう。一遍の試験だけやって、そのキャリアと言うたら、それで採用してどんどんいって、五十ぐらいで皆肩たたいているでしょう、五十ぐらいで。定年制は、今、人生八十年代なんですよ。ところが、もう四十ぐらいからぼちぼち肩たたき出しているんですよ。そうしたら、どこか受皿要りますよね、これ。そんなのあなた、四十で首切られたらたまったもんやない。その都度にどこか受皿を作って、行かしてあげますよ、行かしてあげます。これが肥大化して現在の外郭団体になっているんですよ。いろんな団体になっているんです。そうすると、これは連絡取るのは当たり前ですわな、これ。そうすると、皆が一体のものなんです。特殊法人だけが別のものではないんです。  だから、これはやっぱり総理ね、一体として、やっぱり官僚制度とそして人事管理をどうするのか、これは一体でやらないと私は解決しないと。それだから抵抗がきついんですね。だから抵抗がきついんですよ、本当に、一つのものですから。その辺のところをやっぱり私は、ここにメスを入れない限り、ここにメスを入れない限り絶対にこの改革は成功しない。  だから、六十まで行かしたらいいんですよ、全部。何も早めに辞めさすことないんですよ。六十まで行ってもらったらいいんですよ。それぞれの能力に応じてやってもらったらいい。それが早く辞めさせるから、二度の勤めをして、役人時代にもらったことのないような退職金がばがば取るんですよ。とんでもない話でしょう。三年か五年したら五千万も六千万も退職金を取るんやないですか、総裁だとかなんとかいうのは。こんなものは全部やめたらいいんですよ、一遍退職金をもらっているんですから。その辺のところにしっかりとしたメスを入れない限り私はだめだということと、もう一つ、いわゆる審議会、今、道路四公団のことでも国会承認するのかどうかいろいろ議論になっていますが、この審議会も役人の天下りの温床になっているんです。あれ見はったらよく分かるでしょう。役人の天下りの温床。この二つをしっかり改革のメスを入れるということが私は非常に大事だと思っておりますが、石原担当大臣、どうお考えでしょうか。
  225. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 谷川委員は地方自治の御経験もございますので、地方自治でも同じようなことがあるという論点で、御指摘されたとおりでございますので、私どもも同じ考えでございます。  そして、特殊法人の整理合理化計画と併せて公務員制度の改革案というものを出させていただきまして、今、委員が御指摘されましたような退職を、早期退職の是正の問題、あるいは天下りの退職金の問題、役員退職金の大幅な削減、これは半分にしようということを目指しておりますし、役員給与の削減というものも今年じゅうに安く、標準よりも安くなるようにしようということも考えておりますし、内閣が役員の人事や処遇の在り方についても客観的なルールを定めて、国民皆さん方から見てもおかしくないというものにしていくと、あるいは法人の子会社への再就職を含めて再就職の情報に関する情報公開を国民皆さん方に明らかにして、不正、不正というか一般の人から見ておかしいという状態は是正していかなければならない。これは正に表裏一体の問題だという委員御指摘のとおりの立場にとって、改革を進めさせていただきたいと考えております。
  226. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 おっしゃるとおり、どうぞ頑張ってください。これ情報公開したら国民分かるんですよ。これはやっぱり情報公開することが最大の私は改革を進めていくための武器だと思っておりますので、しっかりと情報公開をしていただきたいと思います。  それでは、今度は自治労の問題について、余り質問がなかったものですから、お伺いをさせていただきたいと思います。  この自治労というのは、大体何のことか一般の人はわからぬと思いますが、テレビを見ておられても。これは、自治労というのは、全国の都道府県、市町村に働いている職員、いわゆる地方公務員ですね、地方公務員で組織をされている労働組合の連合体の上部団体なんですね、自治労というのは。これは、全国で現在百二万人の組合員が加入していると、こう言われておるわけでございます。  その自治労でお金をめぐる不透明な疑惑が相次いで起こってきたわけです。これはとんでもない話であります。国民皆さんは皆驚いているんですよ。公務員の組合が何でこんなことになるのよと、こう言っているんですよ。本来、労働組合というのは、労働者の生活と権利を守る組織であるにもかかわらず、こんなゆゆしき事態が公に出てきた。それも金にまつわる問題であります。その金がどこへ行ったか。暴力団に脅されて行った金もあるというんです、報道によると。こんなとんでもない話ですね。これは私は、国民が行政全体に対して非常に不信感を増幅させると思いますよ。政治不信、政治不信と、ある党の方がおっしゃいますが、政治不信はどこから生まれたかといったら、行政の実際、地方自治体、地方自治、これから地方の時代言うてる、その地方の職員の構成している組合がこんな問題を起こしておるわけでございます。  だから私は、この一連の不祥事に関しましては、なかなか各省庁も大変だろうと思いますが、徹底的に関係省庁に対していろんな調査なりなんなりを要望いたしますとともに、まとめて官房長官は今──ああ記者会見に行っておられる。  それでは、自治労の、それなら片山総務大臣、所感をちょっとお伺いをいたしたい。
  227. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 私が答えるのが適当かどうかはわかりませんが、地方公務員法は私が所管しています。職員団体に関するようないろんな関係は、またいろいろな法制がありますからあれでございますが、大変遺憾な事件だと私は思っております。  今、司直の手で実態の解明がなされておりますけれども、これをしっかりした教訓材料にして自治労そのもののイメージや内部の体制をやり直してもらわないと、公務員全体の不信につながる問題だと大変心配いたしております。
  228. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 自治労は上部団体ですからあれなんですけれども、各自治体の労働組合は法律によって在籍専従が認められておると思うておるんですね。条例か何かを作れば在籍専従が認められておる。  これ、在籍専従、全国で何人ぐらいおられるんでしょうか。
  229. 若松謙維

    ○副大臣(若松謙維君) 谷川委員にお答えします。  ちょっと風邪を引いておりまして、ちょっと普通のいい声がどこかに行っておりまして、聞き苦しい点はお許しいただきたいと思います。  まず、教育公務員、警察職員、消防職員を除く地方公共団体の職員のうち、地方公務員法第五十五条の二、又は地方公営企業労働関係法第六条の規定に基づいて職員団体又は労働組合の役員として専ら従事している者、いわゆるこれが在籍専従職員と言われる方でありまして、平成十二年四月一日現在の総務省の調べでは千七十五人となっております。よろしくお願いいたします。
  230. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 私の調べでは千五百八十四人ということで、大分違いますね、まあいずれ、数字はよろしいわ。  これにね、組合費の徴収はやっているんですか、組合費は、在籍専従は別ですが。これは、組合費の徴収、今どうなっていますか。天引きしているんじゃないですか。その辺。
  231. 若松謙維

    ○副大臣(若松謙維君) 今のいわゆるチェックオフという件ですが、地方公共団体におきます職員団体及び労働組合の組合費につきましては、地方公務員法第二十五条第二項に基づき条例に規定して、あるいは労働基本法第二十四条第一項に基づき労働組合との書面協定を締結すること、これらによって組合費のチェックオフ、いわゆる給与からの天引きが行われている場合もあります。  このような条例の規定がない場合、これにつきましては、職員団体等は、口座振替による徴収、職員団体等の担当者による職員からの直接徴収等、適時の方法により組合費を徴収しているものと理解しております。
  232. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 これはここが問題なんですよ。いわゆる、本来なら大体、組合員になりますといったら袋引きで組合員が払うのが本来なんです。ところが、月給から引かれているものですから何ら痛痒を感じないんです。  それで、具体的に言うと、そんな条例がないところでもみんな天引きしているんですよ。それが実態なんですよ。これは私が地方自治体に長いことおりましたからよく分かっていますよ。そういう実態なんです。ここに、やっぱり組合費に、掛金に対する組合員の関心が少ないんですよ。それがこういうことを起こす原因になっておりますので、その辺のところをよく関係省庁、御関心をお持ちいただきたいと思います。  それで、結局政治と金の問題というのはいつも新聞でクローズアップされているわけですよ。これは与野党を問わず、政治家とお金の問題というのが、これが常に国民の信頼を私は失っていると思いますよ。  この一月二十八日の読売新聞の夕刊、これは自治労の「簿外債務 原因は「政治」」という見出し、これは大きな、新聞にこう出ていますよ。「政治」という見出し、「簿外債務 原因は「政治」」。(資料を示す)  何となく、お金と政治の関係といったら自民党みたいに言われておるんですよ。こんなのをずっとこれはやっているんですよ、これ。これは何か自治労の内部調査の最終報告書だというんです。あした、執行委員会か何かやられるようですが。そこには、自治労の簿外債務は現在三十八億九千万円、巨額な借金が生まれた要因として自治労と政治のかかわりがあった、こう指摘されているわけです。多いときで三十二人の組織内国会議員を抱えていたが、自治労の政治資金会計は、八〇年代から現在まで毎年二、三億円で、表の会計では到底足りず、簿外の資金で賄っていることは組織内の暗黙の了解だったと証言したと、こう言っているんです。  これだけじゃない、組織内候補というのは。各地の地方議員、何人もおると思います。少なくとも千人ぐらいおると思いますよ。これも全部抱えているわけですよ。だから、これだけのいわゆる簿外債務が生まれる。  これは正式なお金出せるんです、政治資金で。それが毎年大体二億から三億であったと、これはこのとおりだと私は思っています。正しいことだと思っています。それ以外にそれぐらいのことをしなければ大変だったという、ここには自治労さんには自治労さんの私は御都合もあったと思いますが、いずれにしても、やっぱり政治と金という問題は、しっかりと我々政治家が心に留めて、透明度を高くしてはっきりしないと信頼がますますなくなる。これは与野党を問わない我々政治家の責任だと思っております。  そういう意味で、是非総理の決意をお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。御感想でもひとつ。
  233. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) この公務員の選挙運動、これも本来禁止されているんですよ。公務員は政治的に中立でなくてはいけない。それなのにもかかわらず、なぜこの公務員は選挙運動をしていいんだろうか。大っぴらにやっていますよ。  個人個人が自由に個人の立場でだれに投票するかは自由です。しかし、組織まで作って特定の政党を応援する、特定の候補を応援する、これは明らかに、本来公務員は政治的中立でなければならないということに違反していると思います。この点は、与野党考え直す必要があるんじゃないですか。  これは、今後国会でも政治と公務員の在り方、なぜ公務員が政治的に中立でなければいけないのか、もっと厳しく問い直されるべきだと思います。
  234. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 終わります。
  235. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 以上で金田勝年君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  236. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 次に、高野博師君の質疑を行います。高野博師君。
  237. 高野博師

    高野博師君 まず最初に、政治と金の話についてひとつ総理にお伺いいたします。  政治家の秘書とか元秘書がかかわった最近の事件というのは、政官業の癒着の、利益誘導型の政治というのは構造的に何も変わっていないんではないか。ましてや、また有力政治家の側近が何億もの脱税や口利き料をもらっているという場合には、その政治家は国民に向かって、痛みに耐えろということは私は言う資格がないと思っております。あっせん利得処罰法が成立してから、公設秘書から私設秘書に変えたというケースもあったと聞いております。  そこで、政治家あるいは政治倫理の改革について、これは小泉改革の中でも最優先課題ではないかと思いますが、総理見解を伺います。
  238. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 政治において一番大事なのは信頼だと思っております。そういう中にあって、国民の疑惑を招くような金絡みの話、不正の問題について毎年毎年疑惑を持たれるようなことが相次いでいるということは誠に残念であります。  今後、このような疑惑をいかに、起きないような法整備なり対応はどうあるべきかということを真剣にお互い考えていく必要があるのではないか。何回か法整備を進めてまいりました。そして、その都度似たような問題が起きてくるということは政治の倫理の面にもかかってくると思います。法ではどうしても対応できない問題がある。それはやっぱり政治家の良心といいますか、倫理の問題もかかわってくるのではないか。そういう点につきまして、私は今国会で一歩でも二歩でも前進できるような対応、法整備等、忌憚なく各党と相談しながら実を上げるような体制を整えていかなきゃならないと思っております。
  239. 高野博師

    高野博師君 それでは、構造改革と景気の問題についてお伺いいたします。  基本的な質問でございますが、私は基本的にまた、小泉政権の改革を支える、方向性は正しいと思っておりますが、若干の疑問がありますので明確にしたいと思います。  構造改革なくして景気回復なしというこのスローガン、政策は国民の圧倒的な支持を得ているのでありますが、それではなぜ市場が反応しないのか、これについてお伺いいたします。
  240. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、市場は市場に聞けという、一々政治家のスローガンに反応するような市場でもないと思うんですが、これは実体の経済が良くないということから今の市場の低迷もあるのではないかと。この実体の経済を良くする、これが大事であると。私は掛け声だけでできるとは思っておりません。
  241. 高野博師

    高野博師君 小泉総理が先般、今の日本状況日本病だということをおっしゃいましたけれども、この日本病の正式な病名、そしてその原因は何か、教えていただきたい。
  242. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 一様ではないと思いますね。いろいろあると思います。  まず、税の構造を見ても、先進国、いわゆるサミット参加国の中では税負担、保険料負担、いわゆる社会保障負担、国民負担、これは一番低いんですが、国民の中には、日本が一番税負担が高い、重税感が一番強いんです。そういう中で、それじゃ税にどこが問題あるんだろうか、こういう問題がある。  さらに、そういう税の問題と同時に、制度の問題。今まで良かったと思われた制度がここに来て通じなくなっているんじゃないか。かつては良かった、かつては役所じゃなきゃ公共的な事業はできないよと。官尊民卑といいますか、官業こそが国民生活が必要な事業をやっていくんだと、ちょっと民間の事業を見下げ果てたような態度ね。民間は公共的な事業というのはできないんだという、そういう思い込み。  最近はそうでもない。むしろ、民間でも公共的な仕事ができるんだと。あるいは、官業は民業の補完だと言っていたけれども、そうじゃないと。官業の分野にこそ民間も参入してくるべきではないかと。それはもう高齢者の福祉の事業においても保育の事業においても、あるいはいろいろな公共的な官工事においても、民間の知恵を生かしていこうと。税金を使っていた事業も、あるいは税金を使わないで、民間に創意工夫を発揮してもらえば税金を使わないでやってくれるんじゃないかと、いわゆるPFIの問題。そういう今まで税金を使わなければできない事業も、考えようによっては税金を使わなくてもできるんじゃないかという考えを導入していく必要があるという問題は随所に現れております。  かつての成功例が、今後、二十一世紀、これだけ情報化社会、世界が狭くなっている、こういう中にあっては、私は一国だけのことを考えてはいられない。世界全体の動向をにらみながら、各企業家も自分の責任で先を見る努力、あるいは自分の見識によってどうやって経営を守り立てていくか、それに対して、そういう意欲のある経営者がどういう働きやすい環境を作るかというのが政治面においても経済面においても大変大事な時代になってきているのではないかと思っております。
  243. 高野博師

    高野博師君 もうちょっと分かりやすく話を伺いたいと思うんですが。  その日本病というこの病気の原因が分かれば、これはもう対症療法は、私は方法はあると思うんですが、いろんな意見がありまして、全く議論が二つに分かれているという状況ですが、私は、今、総理がおっしゃったような企業側の問題、ここが一番大きいのかなと思っておりまして、バランスシート不況とか、あるいはスローモーションデプレッション、すなわち緩やかな恐慌に向かう経済とか、あるいはクレジットサイクルと、こういう言い方をされておりますが、日本は基本的に海外との関係でいいますと、貿易は黒字だと、対外債務も全然借りていない、対外に資産を持っている、外との関係でいうといいわけですよ。じゃ、中のどこが悪いのか。これは、国民が消費をする、貯蓄をする、企業は投資をする、あるいは政府は財政支出をする、金利の面あるいはお金を供給する点では銀行とそして日銀と、ここのどこかに問題があるはずだと思うんです。  そこで、金利は幾らも、もう下がるところまで下がっていますから、先ほどどなたか金融と言っていましたが、恐らく金融、供給面の方に問題があるんではなくて、高い貯蓄率のこのお金を使わないと、投資の方に、そこに原因があるんではないか。経済はだれかがお金を使わなければ回らないわけですから。そこで、企業が今リストラに入っている。で、最大の利益を上げるというところから、最小の、借金を最小にしようという、そういう行動にみんな移り始めた、そこに今の不況の、デフレの原因があると。したがって、日本病というこの病気の最大の原因は、総需要、投資需要が足りないということにあると思います。  竹中大臣にお伺いしますが、バランスシート不況というのはどういうものでしょうか。
  244. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) バランスシート不況は、一義的に言いますと、バランスシートが傷んでいることによって、主として企業、個人もそうですけれども、やはりリスクが取れないということに基本的な要因があるんだと思います。経済の発展というのは、リスクを取って、将来に向かって投資して初めて新しいリターン、価値が生まれますから、リスクが取れない状況がずっと続いてきた、そこがやはり最大の問題だと思います。
  245. 高野博師

    高野博師君 それでは、不良債権問題についてお伺いいたしますが、今、不良債権を二、三年で処理すると、こういうふうに政府は言っておりますが、なぜそんなに急がなくちゃいけないんでしょうか。
  246. 柳澤伯夫

    国務大臣(柳澤伯夫君) 今、竹中大臣がおっしゃったとおりなんです。経済の発展の原動力はリスクを取ることです。リスクを取って新しい仕事をしない限り、経済の発展はあり得ないわけです。じゃ、リスクを取るのは、やっぱり自分のバランスシートが傷んでいて、すごい不良債権を持っていてそのバランスシートが本当のところはバランスしていないというようなときには、それは幾ら何でも更にリスクを取るということ、力は生まれてきません。ですから、不良債権をもう本当に一刻でも早くこれを解決するということが一番望ましいということは、今言ったことからも明らかです。  しかし、一遍にはなかなかできないだろう、それから相手もあることだろうということで二年、既存のものについては二年、あるいは新規のものについては三年ということで、不良債権のレベルというものを通常のレベルに落としていこう、こういう考え方を打ち出して、昨年来、これに努めているということです。
  247. 高野博師

    高野博師君 アメリカ政府も早くやれという言い方をしているのでありますが、不良債権がこの景気の制約条件であれば、金利は上がるはずなんです。それが下がり続けている、最低の金利の中にある。これは供給側の方に問題があるのではなくて、需要の方にあると。これは正にバランスシート不況なんですが。ですから、資産価値がどんどん下がっているときに不良債権の処理をやれば、これはもっと下がってしまう。今はそういう時期では、急いでやる時期ではないんではないか。  いずれにしても、これはやらなくちゃいけない問題だと思うんですが、急激にやると相当な危険が伴うのではないか、そう思っておりまして、アメリカのケースと日本の今の状況は全く違うという。アメリカは九五%の銀行が健全だった、五%だけおかしかった、だから不良債権の処理をやれた。しかし、同じことを今、日本でやったら、九五%、日本の方は悪い、こういう中で不良債権の処理を急いでやると、これはもう大変なことになるのではないか。  日本に二千三百ぐらいゴルフ場があるんですが、もう百以上は外資系の方に渡っておりまして、ホテルとかいろんなのを含めるともう七百ぐらいアメリカ系の、外資系の手に渡っている。この不良債権をやれと言っているアメリカ政府の背後には、やはり不良債権の処理の過程で混乱した中に乗じて、そしてうまく投資なり投機をしようという、こういう動きがあるんではないかと思うんですが、この辺はいかがでしょうか。
  248. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) アメリカの例が出ましたので。  アメリカは一九八九年にRTCを作って不良債権償却をやった。御承知のとおりだと思いますが、アメリカの専門家のある推計によれば、もう五年早くやっておけば処理額全体は三分の一で済んだのではないだろうか。やはり遅れれば遅れるほどそれが累増的に膨らんでくる。正に九〇年代の日本の経験というのはそういうところにあったのではないかというふうに思うわけです。早いか遅いかというのは相対的な問題でありますが、バブルが崩壊してから既に十年以上たっているという段階で、やはりこれは急がねばならない。この点はやはり動かせないのだと思います。  アメリカのいわゆる資本の介入等々の御議論はあろうかと思いますが、これはやはりアメリカに限らずどこでも、有効なノウハウを持った経営資源が日本に入ってきて、それを活性化するということに関しては、それが有能な経営資源である限り、これは経済全体としては歓迎すべきものなのだと思います。
  249. 高野博師

    高野博師君 こんな例がありまして、メキシコが十九世紀の後半に独占資本に開放したんですね。気が付いてみたら、一九一〇年にはメキシコの国土の五分の一はもう全部外資系のものになっていたと。こういう前例もあるんですが、不良債権があるから景気が悪いのじゃなくて、景気が悪いから不良債権が出てくるという私は認識をしております。  そこで、今なぜペイオフ解禁をやるのか、ペイオフを凍結したときの条件はクリアされているのかどうか、それについてお伺いいたします。
  250. 柳澤伯夫

    国務大臣(柳澤伯夫君) ペイオフを凍結したというのは、これは一九九七年、九八年の本当の金融危機というものが恐れられた時期でございます。五年間これをやるということで、五年目にどうするかということを考えたときに凍結の延長をいたしました。この延長の理由というのは信用組合の問題、つまり所管が変わるということで、一度国家の目でこれを見てみないと不安だということでございました。  したがいまして、今回そういったことについて検査を完了し、そしてまた善後処置も終了いたしましたので、その条件が満たされたということで今回凍結を解除しようとしているところでございます。
  251. 高野博師

    高野博師君 凍結の解除の条件は、金融機関の不安がもうない、そして金融システムが安定している、これが条件のはずなんですが、そうでない状況に今やるということについては私は理解できないのでありますが、これが国際公約だとかあるいは国際的な信用をなくすという言い方をしているんですが、先進国で今ペイオフをやっている国はあるんでしょうか。
  252. 柳澤伯夫

    国務大臣(柳澤伯夫君) これは主要国で見ますと、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスというようなところはすべて預金の保険に限度額を設けております。最近の事例で見まして、このうちでペイオフを実際に実施しているのはアメリカ、実施の例があるのはアメリカ、イギリス、韓国、ちょっと先ほど言い落としましたけれども韓国といったところでございます。ドイツ、フランスは最近の例はちょっと見当たりませんが、それ以前のところはちょっと不明でございます。  いずれにしても、限度額がある保険制度の下に置かれているということです。
  253. 高野博師

    高野博師君 これはアメリカが唯一小規模なペイオフを解禁した。イギリスも若干やった。あとは今全然どこもやっていない。それをなぜこのような状況の中で日本がペイオフをやらなくちゃいけないのか。それは大変問題があると思います。  一千万を超える大口預金者がたくさんいるわけで、例えば地方公共団体あるいはマンション管理組合、こういうのは行き場がなくなってしまう。そうすると、下手をするとシティバンクとかチェース・マンハッタン銀行とか、アメリカ側の銀行に逃げていくのではないかということが懸念されるわけであります。是非これは慎重に考えていただきたいと思います。  もう一つ、公的資金を注入するという話がありますが、その注入する条件は何でしょうか。
  254. 柳澤伯夫

    国務大臣(柳澤伯夫君) 注入するときの注入対象銀行の在り方についての条件というふうに御質問を理解させていただきますと、これは大体現行と同じでございますが、経営責任であるとか株主責任であるとかそういったことが、あるいは合理化の見通しを持つといったようなことが条件になっております。
  255. 高野博師

    高野博師君 公的資金を投入するときには、その銀行の幹部の資産公開とかあるいは政治家への献金等の公開も是非加えていただきたいなと思っております。そうでないと国民は私は納得できないと思います。  最後に一つだけ。  財務省、財務大臣が金融封鎖、預金封鎖、これを検討しているという情報があるんですが、これは事実でしょうか。
  256. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私も今朝そういう話を聞きまして、それで見ましたら、何か週刊ポストに面白おかしゅう書いているんだそうですね。あれは小説を書いているんであって、全然政治の関係はございませんし、また経済界ともに全く関係ない話だということでございます。
  257. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 関連質疑を許します。加藤修一君。
  258. 加藤修一

    加藤修一君 私は、まず最初にBSEの問題についてお伺いしたいと思います。  今や生産者、食肉関係業者の経営というのは非常に厳しくて断崖絶壁の状態であると思います。悲痛な状態でございます。感染牛が三頭とも廃用牛であったと。廃用牛等の屠畜場への出荷が事実上ストップしている。牛舎には廃用牛がたまっておりますし、私も実態把握に参りましたけれども、正にそういった状態で売り出すことができないと。しかも、新しい牛を入れることができないと。今や畜産や酪農は破綻寸前にあるというふうに言っても私は過言ではないかなと思いますけれども。  そこで、農水大臣にお聞きしたいわけでありますけれども、この際、国の責任で繁殖雌牛、それを含めた廃用牛の実質的な買取り、買上げ事業、これを是非とも進めるべきだと思いますけれども、この辺についてよろしくお願いいたします。
  259. 武部勤

    国務大臣(武部勤君) 委員御指摘のように、廃用牛が出荷できない、屠畜場で受け入れてくれないと。それから、もし出荷してもまた陽性になった場合には、四頭目に自分がなった場合にはもう経営破綻になる、そういうようなことから四万四千頭も滞っているわけでございます。これは何とかしなくちゃいけません。現在も農協等が集約管理する場合の費用、またこれを共同出荷する場合の費用等は国が見ることにいたしております。なお、厚生労働省と連携いたしまして、屠畜場に受け入れるように督励をしております。  さらに追加措置として、一つは、万が一陽性の牛が出た場合、BSEが出た場合の農家、この支援策についてもいろいろやっておりますけれども、私の責任において、必ずや立ち直る、このアイデアについてもいろいろ出てきておりますので、それらの意見を踏まえてしっかりやります。  それから、廃用牛の買上げの御提言でございますけれども、今与党ともいろいろ相談いたしております。このことについては、委員御指摘の御趣旨も踏まえて、必ずや前向きに追加措置を講じたい、かように考えておりますので、御理解いただきたいと思います。
  260. 加藤修一

    加藤修一君 もう是非やっていただきたいと思います。  それでは、中長期的観点も含めて新産業と雇用の関係について質疑いたしますけれども、その前に、人間の安全保障にかかわる話でございますけれども、もちろん新産業の勃興にも深く関係してまいりますが、京都議定書の早期批准についてでございます。  公明党は一貫して早期批准を求めてきましたけれども、ほとんどの国民皆さんが早期批准を求めていると思います。川口環境大臣の早期批准への明確な意思をはっきりさせていただきたいと思います。
  261. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) ただいま関係府省と連携をいたしまして、京都議定書の本年の締結を目指しまして精力的に準備をしているところでございます。  例えば、どういうことをやっているかといいますと、地球温暖化対策推進大綱を見直し中でございます。それから、この国会での京都議定書の締結の承認、それから京都議定書の締結に必要な国内制度の構築、整備のための準備を行っているところでございます。
  262. 加藤修一

    加藤修一君 早期批准について、いつごろの予定ですか。
  263. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) この通常国会での京都議定書の締結の承認をいただくべく準備を進めております。
  264. 加藤修一

    加藤修一君 それでは、総理にもお聞きしようと思いましたけれども、新産業の雇用措置について聞きたいと思います。  先ほど総理は伸びる産業をどうやって育成するかということを言っておりましたが、正に私は非常に大事だと思いますけれども、とりわけ新産業としてエコビジネス、そういった面について地球温暖化対策の関係の技術、そういったものが技術開発としてエコビジネスの成長が私は期待していいと思いますけれども、山下大臣にお聞きしたいわけでありますけれども、このエコビジネスの将来の市場規模と雇用規模の見通し、またそれに対してどういうふうに環境省としては考えているか、お聞きしたいです。
  265. 山下栄一

    ○副大臣山下栄一君) 御答弁させていただく前に、私、一月八日に環境大臣を拝命いたしました。川口環境大臣、しっかり支えれるように頑張っていきたいと思っております。皆さん、どうぞよろしくお願い申し上げます。  今、環境ビジネスのお話があったわけでございますけれども、私は、この環境と経済の関係ですけれども、不景気、この不景気なときには環境に配慮することは足を引っ張ると、景気の、というふうな考え方はもう古い、そういう考え方から脱却しなくちゃならないというふうに考えております。環境と経済は両立するというよりも、環境に配慮しない経済というのは結局中長期的には不経済になるんだと、こういう考え方で経済政策も取る必要がある、このように考えております。こういう観点から、今御質問ございました環境ビジネス、このエコ産業の育成は非常に大事な課題であるというふうに思います。  今もお話ございましたように、平成十一年だったと思いますけれども、環境省といたしまして二〇一〇年におけるエコビジネスの状況についての推測の調査をしておるわけでございますけれども、その推計によりますと、平成九年、一九九七年時点で約このエコビジネス関係二十四兆七千億の規模だと。それが二〇一〇年には四十兆を超える、年率三・七%の伸びを示すだろうと、こういう予測でございます。また、雇用におきましても、九七年においては六十九万人、これが二〇一〇年においては八十六万人を超える、年平均一・七%の伸びを示すと、このように非常に将来有望な分野であるというふうな推計を環境省としてしております。  以上です。
  266. 加藤修一

    加藤修一君 同じく副大臣に質問ですけれども、その中で再生可能エネルギーがありますけれども、これについてはどういうふうに見通しを考えているか。また、それをどうとらえているかということです。それから、OECDが対日環境保全についての審査をやりまして、それに対しても、再生可能エネルギーについていかなる勧告をしているか。  さらに、環境大臣に質問ですが、アジア太平洋環境開発フォーラムがありましたけれども、その中でも再生可能エネルギーについて論及がございました。その辺について踏まえた形で、環境省としてどういうふうなことを考えているか、お聞きしたいと思います。
  267. 山下栄一

    ○副大臣山下栄一君) じゃ、最初に私の方から答えさせていただきます。  先ほどの環境省の推計の中でも再生可能エネルギー、省エネルギーの分野についても推測しておるわけでございます。この分野におきましては、特に再生可能エネルギー分野は非常に伸びていくというふうな推計になっておりまして、特に金額的にも四・七倍の、四倍を超える伸びを示すと。この両分野、再生可能エネルギー、そして省エネルギーの分野合わせましても、九七年と二〇一〇年を比較いたしますと経済規模で三倍強の伸びを示す、また雇用におきましても二倍を超える、こういう推計になっております。  特に加藤議員がおっしゃる再生可能エネルギーの分野でございますけれども、この強化は私は政府としても真剣に取り組むべきであるというふうに思います。UNEP、国連環境計画の報告におきましても、この再生可能エネルギーの分野の技術開発、そして産業の育成は人類的なもう緊急の課題だと、このように報告書でも言っておりますし、また昨年の総理出席されたジェノバ・サミットにおきましても、初めて再生可能エネルギーの分野に宣言の中で言及している、しっかり推進していこうというふうに先進国共通の理解になっておるわけでございます。また、昨年十一月、総理が本部長でございます地球温暖化対策推進本部の決定におきましても、再生可能エネルギーの分野の技術開発、そして産業の育成に取り組むことをうたっておるわけでございます。  環境省はそんなに力のない、余り力がないというふうに認識されておりますけれども、私は、二十一世紀は環境省がしっかりとリードしていくような、そういう役所になっていかなきゃいかぬ、このように思っておりまして、なかなか思うようにいかない分野が一杯あるわけですけれども、総理にもしっかり後押ししていただいて、特にこの再生可能エネルギー強化していきたいと思っております。  以上でございます。
  268. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) アジア太平洋環境開発フォーラムにおきまして、これは橋本元総理大臣を議長といたしまして一月にバンコクで開かれたばかりでございまして、私オブザーバーとして出席をさせていただきましたけれども、御指摘のように、ここでも再生エネルギーについて議論がなされました。  再生エネルギーにつきまして、使いやすい技術、それから人々が真に必要とする技術の開発、市場メカニズムの活用、再生可能エネルギーのための助成、それから利用者に対する適切な情報提供等が指摘をされております。  その場で指摘をされました南南、南から南への協力も含めまして、環境省といたしましては各省と連携をいたしまして、再生エネルギーの開発普及に努めてまいりたいと考えております。
  269. 加藤修一

    加藤修一君 平沼経済産業大臣にお聞きしたいんですけれども、以上のように、世界の動向というのは太陽の力をいかにフルに活用するかという、そういう方向性、そして新産業を育てている、雇用もそれによって生じているということになるわけですけれども、ドイツの風力産業を考えてまいりますと九百万キロワット前後を現時点で発電する能力があるわけなんですけれども、私は非常にそういった意味ではこういった新産業を育てて雇用を創出していくということに、極めて大事だと思います。  そこで、太陽光発電と太陽熱の実績と将来見通し、さらに平成十四年度予算では同様に太陽熱も補助金の対象になっているわけでありますけれども、私はさらに目標が効果的にいきますように助成措置を強化していくべきだと思いますけれども、この辺についてお願いします。
  270. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) お答えをいたします。  委員御指摘のように、太陽熱、太陽光を利用するということは、大変地球温暖化ガスを排出しないクリーンなエネルギーである、そしてさらにそれを伸ばしていくということで新規雇用を創出しますし、また新しい産業の分野を起こす、こういう非常に大きなインパクトがあると思っております。  そういう意味で、私どもとしては、平成十四年度の予算におきましては、この太陽熱利用に関しましては六十億円を計上いたしております。そして、大体一基当たり九十万ぐらい平均掛かるわけでございますけれども、そのうちの十五万円を助成する、そして四万件を予定しているわけでございまして、まだまだ十分じゃございませんけれども、非常に希望も多いわけでございますから、こういったところは今後ともますます力を入れて拡大をしていく、このように思っております。
  271. 加藤修一

    加藤修一君 二〇一〇年で五百万キロワットを目指している太陽光発電でありますけれども、まだ一〇%いっていない状態でございます。  そこで、川口環境大臣にお聞きいたしますけれども、国民に向かっては環境に負担を掛けないようなことで太陽光発電となっていますけれども、政府自身はどうであるか、その辺について、太陽光、太陽熱、燃料電池、これについてお願いします。
  272. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 平成七年に策定をされまして平成十二年度を目標年度といたします政府の率先実行計画というのがございますけれども、これにおきましても建築物の省エネルギー化あるいは太陽光利用等のエネルギーの有効利用等がうたわれております。  そこで、各省の状況でございますけれども、例えば平成十三年度、これはグリーン購入法に基づくものでございますが、国土交通省におきましては太陽光発電四キロワット、環境省は光発電十六キロワット、熱利用五平方メートル、それから特殊法人におきましては日本道路公団が太陽光発電五キロワット、簡易保険福祉事業団、太陽光発電二十キロワットということになっております。  それから、平成十四年度の中央官庁庁舎における太陽光発電設備の率先導入の計画によりますと、十三の施設で四百十キロワットの発電能力を有する光発電設備を設置するということになっております。  以上でございます。
  273. 加藤修一

    加藤修一君 今お聞きしてお分かりのように、まだまだでございます。そういった意味では、やはり私は政府がもっと積極的にやるべきではないかなと思います。  例えば国土交通省それから厚生労働省、これは百六の国立病院がございますけれども、あるいは文部科学省には国立大学、また三万五千を超える小中学校がございますが、その整備実態等、私はやはり加速的にやっていくべきだと考えておりますけれども、この辺について扇大臣、坂口大臣、そして遠山大臣にお願いします。
  274. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 大変二十一世紀にとって大事なエネルギー問題に対して御専門の加藤先生からお話をいただいておりますけれども、今一部、環境大臣からお話ございましたように、官庁施設におきましても、これを太陽光あるいは太陽熱そして燃料電池の実施をしていこうということで、環境配慮型の官庁施設あるいは計画指針、これはグリーン庁舎と言っておりますけれども、このグリーン庁舎に対して、環境施設におきましては、太陽光発電施設を四十二施設、そして太陽熱利用のシステムを十三施設に行っております。  そういう意味では、燃料電池につきましても、御存じのとおり、現在までのところ各省庁の施設の中で設置事例はございませんけれども、各地方都市も含めまして今後前向きに検討していきたいと思っておりますので、今後見守っていただきたいと思います。
  275. 加藤修一

    加藤修一君 よろしくお願いします。頑張ってください。
  276. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 今までのこの国立の病院等については残念ながらございません。しかし、昨年の四月に開校いたしました国立の看護大学校におきましては太陽光の発電設備を設けたところでございますし、本年三月に開設予定になっております国立成育医療センター、小児の中央的な病院でございますが、ここにおきましては燃料電池施設を設けることにいたしているところでございます。  新しくこれから作っていきますものにつきましては、徐々に取り入れていきたいというふうに思っている次第でございます。
  277. 加藤修一

    加藤修一君 是非よろしくお願いします。
  278. 遠山敦子

    国務大臣(遠山敦子君) 環境を考慮した学校施設の整備のために、平成九年度から五年計画でエコスクールのパイロットモデル事業を実施いたしております。数は必ずしも多くはないんでございますけれども、その三分の二は太陽光発電を採用しているという状況でございます。  これは今年度で切れる予定でございますけれども、十四年度から更に延長さしていただいて、それぞれの自治体はいろんな地方財政上の問題を抱えていて、老朽化した校舎の問題とか耐震構造とかいろいろな問題はございますけれども、太陽光を利用したようなエコスクールについての意欲がございます場合には優先的に配慮してまいりたいと思っております。
  279. 加藤修一

    加藤修一君 是非、大胆に効果的にやっていただきたいと思います。  それでは、次に燃料電池発電の関係でございますが、平沼経済産業大臣にお聞きいたします。  開発の現況と将来展望、そしてこの水素経済への展望ですね、この辺についてどういう御見解をお持ちか、その辺お願いします。
  280. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) お答えをいたします。  燃料電池というのは、エネルギー効率が非常に高くて、そして環境負荷が低いことから、今後のエネルギーの非常に大きな分野、また環境技術の中で非常に大きな分野を占めると思っております。自動車用、家庭用、この用途が期待されておりまして、固体高分子型燃料電池につきましては現在実用化開発段階でございます。  せんだっても、この国会前の前庭で自動車会社が燃料電池を一般の市販の車に装着した試乗を、総理も自ら乗られましてやりました。非常に性能もすばらしいものがございまして、将来性を予見するような、そういう状況でございました。  そこで、今まだ実用化開発段階でございますけれども、二〇〇三年から四年ごろの実用化を目指した技術開発が実施されておりまして、燃料電池実用化戦略研究会報告におきましては、二〇一〇年度には、期待される導入目標として、燃料電池自動車が五万台、家庭用等燃料電池が二百十万キロワット、このように想定しております。  水素を最終的な燃料とする燃料電池の実用化、普及を現実のものとしていくためには、水素をエネルギーとして利用する時代への具体的な第一歩であると認識しておりまして、やはりここが非常に大きな分野に相なると、このように確信をしておりますので、産学官連携をいたしましてこの燃料電池の実用化、普及に取り組んでいかなければならない、将来性が非常にあると、こういうふうに私どもは思っております。
  281. 加藤修一

    加藤修一君 家庭用の燃料電池が二百十万キロワットになるというお話がございましたけれども、私は燃料電池についてもやはり補助制度をつくって普及をもっともっと革新、進めるべきだと思いますけれども、補助制度についてどうですか。
  282. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) それは委員御指摘のとおりだと思います。国といたしましてもこの分野は重要であると、こういう認識で、平成十四年度政府予算案におきましては燃料電池の関連で約二百二十億円を計上いたしております。自動車用、家庭用での需要が期待され、国際的な開発競争が始まっている固体高分子型燃料電池については、先ほど申し上げましたように実用化を目指していくと。そして、そういう中でもう一つ業務用が期待されておりますのは、委員もよく御承知だと思いますが、燐酸型燃料電池、これは既に商品化されておりまして、例えば民間事業者や地方公共団体が燃料電池を導入する場合には国として補助を実施させていただいております。  少し具体的に言わせていただきますと、事業者向けの燃料電池の補助制度として新エネルギー事業者支援、これは補助率三分の一でございます。地方公共団体向けの補助制度としては地域新エネルギー導入促進事業、これは補助率二分の一以内で実施いたしておりまして、平成十四年度の予算案では二百七十七・七億円の内数を計上しておりまして、平成九年度の事業開始以来、両事業の合計で十六件採択をいたしております。さらに、こういったところは今後とも伸ばしていく、こういう方針で臨んでまいりたいと思っています。
  283. 加藤修一

    加藤修一君 家庭用の補助金制度は。
  284. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) 家庭用に関しましては、これはこれから、今はこの具体的な補助制度としては今申し上げたことでございますから、家庭用はこれからやはりインセンティブを与えてやっていかなきゃいけない、このように思っています。
  285. 加藤修一

    加藤修一君 家庭用についても是非補助制度を充実させていただきたいと思います。  それでは次に、幾つかの省庁にはこういった太陽の力を活用した自前の事業があるわけですけれども、それはある意味では点の整備だと言えます。私は、省庁の事業を結合した、例えば太陽・水素型の先進モデル都市づくり、そういう太陽の力、水素のパワーをフルに活用した省エネ都市ビジョン、そういったものを提案したいわけでありますけれども、省庁の縦割りを超えて、省庁の現在の事業を束ねて、場合によってはPFIとも組み合わせて、産官学が連携した都市づくりをすること、これは景気対策あるいは雇用拡大、都市再生又は都市丸ごとで地球温暖化対策にも貢献できるわけですから。また、さらに政府が考えている将来の都市像、こうですよという、国民皆さんに示すこともできるわけでありますから、こういう夢のある政策を積極的に進めていただきたいと思います。  そこで、扇国土交通大臣、それから平沼経済産業大臣にこの辺についてお聞きしたいと思います。
  286. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) おっしゃるとおりでございまして、私どもも住宅団地におきまして、今後太陽光発電等の太陽エネルギーを活用した施設の導入を進めていきたいと思っております。全国で既に十三か所いたしております。  それから、都市の中の学校、公園等、これらを核的に、分散して配置されておりますものを、太陽光パネルで発電された電気を一定地区の電力として使うためのシステムを実験的に行うというふうにいたしております。  また、実例を挙げますと、環境共生住宅街モデル事業としまして、例えば補助事業としても行っておりますけれども、鳥取県の住宅供給公社等々もしておりますし、また、いわき市のニュータウンのところでも、これも住宅八十戸分の電池を供給しようということで実例として都市型の改革あるいは住宅への供給をしております。
  287. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) 私どもといたしましては、従来の縦割りではなくて、やはり各省がこの一つの目的のために総合的に連携をして力を発揮していくと、こういうことが非常に大切だと思っております。  先ほど文部科学大臣からも御指摘がございましたけれども、例えばエコスクールというような事業も連携の中で行われています。そういう中で、各省庁が連携をして、新しい太陽・水素型、そして新エネルギーを盛り込んだ、やはりしっかりとした設計図に基づいたそういう都市づくり、こういうものを目指していく、このことに対して経済産業省も全力を挙げて取り組んでいきたいと、このように思っております。
  288. 加藤修一

    加藤修一君 是非よろしくお願いしたいと思います。  それでは、官房長官にお尋ねいたしますけれども、官房長官は群馬県に住んでおりますけれども、群馬県は太陽の国と言われるぐらいに日照時間が長いと、日本の中でもトップレベルなんですけれども。太陽の力をフルに活用したいわゆる太陽戦略といいますか、今申し上げました都市づくりの関係でございますけれども、こういった都市ビジョン、あるいは、佐渡島だけではございませんがこういった離島、風力、波力を利用したエコ観光アイランド構想、あるいは森林が豊富な地域ならばバイオマスを軸に進めるとか、こういった都市づくりについてどのように思いますか。
  289. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 委員も群馬県に事務所をお持ちでございますので日照時間の長さは実感していらっしゃると思いますけれども、全国第三位なんですね、群馬県というのは。  そういうことでございまして、太陽光・太陽熱エネルギーの活用というものはこれはもう大いに期待をされるところだと思います。  ただ、新エネルギーというものは、地域によってまたそれぞれの特色がございます。種類もそれから量も違うと、こういうようなことがございますので、その導入に当たりましてその地域の公共団体、地方公共団体が、これがしっかりと取り組むということが大事なんだろうというように思っております。  国といたしましても、こういうような地方公共団体の取組を国の各種の施策の中でもって有機的に連携付けていくとかいったようなことも考えながら国の政策を推進していくということが大事なのではなかろうかなと。  いずれにしましても、自然エネルギーというものは大いに活用すべきだというように思っております。
  290. 加藤修一

    加藤修一君 では、新しい都市づくり、よろしくお願いします。  以上で終わります。
  291. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 以上で高野博師君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  292. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 次に、筆坂秀世君の質疑を行います。筆坂秀世君。
  293. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 私は、アフガン復興国際会議をめぐるNGO出席拒否問題、それをめぐっての今回の田中外務大臣更迭問題に絞ってお伺いしたいと思います。  今回の事態の直接の原因というのは、田中外務大臣野上事務次官国会での答弁が食い違っているということでありました。これについては官房長官衆議院予算委員会統一見解を出すというふうに約束をされました。出してきた政府見解は、しかし統一見解じゃありません。この政府見解ではこの二人の食い違いについてどう述べていますか。
  294. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) これ、政府見解を提出いたしましたけれども、この中で、第三項目でもって、一月二十四日の予算委員会における質疑について相違があると、大臣とそれから外務省事務当局ですね。政府として引き続き関係者の申述等を聴取し、事実関係の確認に努める、こういうふうなことになったわけですね。  そういうことで、その事実関係の確認を翌日いたしまして、一月二十九日でありますけれども、そしてそれを予算委員会の、衆議院予算委員会理事会ですか、予算理事会に提出したと、このように記憶しております。
  295. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 要するに、結局統一見解は出せなかったと、出したのは食い違い見解を出したということですね。今おっしゃった理事会に出したのもこれ統一していないですよ。違っておるということを証明する文書が出てきたと。  統一見解はいつ出すんですか。
  296. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) この政府見解は昨日における状態を述べたものでございまして、それはただいま意見の食い違いがあると、それ統一していないというふうにおっしゃるけれども、そこまでしなくてもよろしいのではないか。  要するに、昨日の状態における事実を述べたものと、こういうふうに考えておりますので、政府見解というふうに申しております。
  297. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 要するに、統一見解は出せないということですよ。つまり統一していないからですよ。つまり食い違ったまま、そのままだということです。  要するに、食い違ったままでこの問題を放置するというのは、真相はやぶの中に閉じ込めるということにこれなるわけです。当然ですね。そのために、そのために当事者である田中外相の首を切ったということですよ。閣僚ならここでしゃべることになりますから。  しかし、そんなことで片付かないですよ。だって、これもし認めてごらんなさい。国会で食い違った答弁しているんですよ。どっちかがうそついているんですよ、大体分かっていますけれども。どっちかうそついているんですよ。だれがうそついているか、それ黒白付けないままになるんです。国会というのはうそをついたってまかり通るんだということになるじゃありませんか。  首相は、総理は一体どっちが本当を言っておるとお考えなんですか。
  298. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) そんな問題じゃないんですよ。不当な、NGOとは外務省は協力していこうということで変わりないんですから。  そして、経緯においては、NGO、このNGO参加しない方がいいとかいう意見はあったんでしょう。しかし、結果的には参加をいただいて、これから外務省と協力していこうということになっているんです。  その間、外務省内で、大臣次官とか、どれが言った言わない。もう水掛け論ですよ。こういう問題で国会紛糾するのはいかがなものかと。外務省NGOと協力していこうということ、はっきりしているんです。それを、大臣次官がああ言ったこう言った。どっちが言ったかどっちがいかないか、もうそういう問題じゃないだろうと。外務省でこういうのは片を付けて、調整して、はっきりと外交体制作るのが外務省だろうと。そういうことなんです。  それで、付いていないから国会全体が紛糾しちゃったんでしょう。野党皆さん出てこない。これをどうやって打開するかというのが私の責任になってきたんですよ。  で、私の責任で、この問題、国会を大混乱させた、これからの審議に影響出る、今日の審議にも野党は出てこないかもしれない。(発言する者あり)それで、それで事態打開で、だから出てきた。事態の……(発言する者あり)違う。だから最後まで、最後まで……(発言する者あり)
  299. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 答弁中。最後まで答弁を聞いてください。
  300. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 答弁中。聞きなさい。答弁中。(発言する者あり)聞きなさい。答弁、答弁を聞きなさい。  昨日……(発言する者あり)答弁を最後まで聞きなさいよ。
  301. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 答弁中です。
  302. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 昨日の状態が続いていたら今日の委員会野党は出てこないという状況だったんです。(発言する者あり)という状況だったんです。(発言する者あり)いや、そこ、最後まで聞きなさい。  ところが、事態打開に私が動いて、皆さん出てきてくれたじゃないですか。そこが政治的に大事なんですよ。そうだと思いません。(発言する者あり)
  303. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 速記を止めてください。    〔速記中止
  304. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 速記を起こしてください。
  305. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) よく最後まで聞いてくださいよ。昨日の状況のままだったらば、今日の参議院委員会におきましても、予定されていた、野党は出てこないだろうという、そういう想定だったんですよ。(「だれが」と呼ぶ者あり)我々としては。我々としては。このまま、衆議院与党で、野党出席しないまま可決された。参議院ではこのままの状況が続けば、今日、全会派出席して行われないという事態だったんです。  そういう状況で、ここでこの異常な国会事態打開しなきゃならないのは政府責任である、そこで私が出てこざるを得なくなっちゃったんです。この深刻な事態をどうやって正常化するかということで、田中外務大臣、野上次官、鈴木委員長、それぞれの立場も考えてくれて、この正常な事態打開に努力しようと協力してくれたんです。そして、今日はみんな欠席することなく出てきてくれたじゃないですか。事態正常化責任を持って私は動いたんです。
  306. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 総理は問題の重要性が全然分かっていない。  もう一つ言いたいのは、水掛け論にしちゃいけないんですよ。何で水掛け論にするんですか。水掛け論というのは、要するに真相は解明しないということと一緒なんですよ。しかし、問題そんな軽い話じゃないです。だれの発言が食い違っているんですか。外務大臣事務次官ですよ、そして衆議院議運委員長ですよ。みんな要職にある人物ですよ。この要職にある人物がうそをついているということなんです、恐らく私は二人だと思うけれども。そして、今おっしゃった、外務省の、最後にはみんなNGO出たじゃないか。最初の二十日の日はNGOだけの国際会議ですよ、それに出ていないんですよ。二十一日も出ていないんですよ。田中外務大臣がこれは駄目だと言うので最終日にやっと出ただけじゃないですか。  こんなものが何でまともに出たと言えるんですか、これでもまともだとあなたはおっしゃるわけ。
  307. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) NGO外務省は協力していくんです。結論は大臣異議ないんです、田中大臣も。その過程でいろいろ問題があったけれども、今後……
  308. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 過程じゃないでしょう。
  309. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いやいや、出ているんですよ、結論は出ているんです。  そういうことに対して、経過のことについて、本筋でない問題で国会が、私は、がたがたがたがたして審議がなかなか進まない、補正予算を一日も早く通していかなきゃならない、外務省もっとしっかりしてくれということだけれども、らちが明かない。大臣次官鈴木議運委員長も巻き込んで、この三人の問題が、言った言わない、言った言わない、これどうするんだと、こんな問題で。そういうことで国会紛糾したから、この状態は早く打開しなきゃならないということで、三人が辞めることによって事態打開するということで、私はこの異常な事態打開すると。今日、おかげさまで皆さん正常化して審議された。
  310. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 言った言わないじゃないんですよ。現に実害が出ているんですよ。  だったら、総理もさっきの、午前中の答弁でもおっしゃった、不適切な決定をやったという、外務省の事務当局が不適切な決定をやったってあなたはおっしゃったでしょう。それは事実でしょう。
  311. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 一部の議員の発言によって、出てもらいたいNGOに、出ることがなかったということを田中大臣は気付いた。出させるようにしたんでしょう。それでいいじゃないですか。  そういうふうに、これからは各省庁、いろんな問題、一部の議員がいろんな意見言ってくる、そういうときに対して、どの議員が言ったから、これはいい、あるいはいいじゃない、言った内容にして考えろ、内容が良ければだれが言っても取り入れるべきだ。しかし、内容が悪ければどんな力のある議員が言ったとしてもけっぱくれと。そういう見識が必要だと。これ、外務省だけじゃない、全部ある。そういう点についてこれからよく注意する必要があると、そういうことを言ったんです。
  312. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 駄目です、そんな答弁すり替えちゃ。  不適切な決定やって、現にいったん出席拒否したんじゃないですか。そして、現に出席できなかったじゃないですか。その事実は認めるでしょう。
  313. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 結果的には出席をして、アフガン東京会議は成功したじゃないですか。
  314. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 それじゃ、総理、聞きますよ。出席拒否をやった、二十日は、これ、NGOだけが集まる会議ですよ、それにも出席できなかった。本会議の一日目も出席できなかった。これは結構なことだというふうに総理はおっしゃるわけですね。
  315. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 結果的にアフガン会議が成功して、それで、これからもNGOと協力していくということでいいのではないかと言っているんです。(発言する者あり)
  316. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 速記を止めて。    〔速記中止
  317. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 速記を起こしてください。  小泉内閣総理大臣、もう一度……(発言する者あり)  筆坂秀世君。
  318. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 だから、総理、本当に事の重大さが分かっていない。  いったん出席拒否の決定をやったわけですよ。そして、NGOが二つ出席できなかった、現に。あなたは結果的にと言うけれども、最後の一日しか出れなかったんですよ。そして、それに対して世界から批判の声が上がったでしょう、一緒に出たNGOのメンバーから。あなたはそれも良かったと、そんなものはもうなかったことだと、結果さえ良ければって、結果じゃないんですよ。最後に、じゃあなたは、一分でも出りゃいいということ。そんなばかな話がありますか。
  319. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) そういうことを言っているんじゃないんですよ。  外務省NGOと協力してアフガン復興支援にも努力していくんですが、その過程においてNGOの役割に対して認識がよろしくないところもあったと、反省すべき点もあったと、それは認めますよ、そういう結果において、外務省が。しかし、結果的にNGOの役割を認識し、これからもNGOと協力してやっていこうということでちゃんと収拾できたじゃないですか。それでいいんじゃないですか。(発言する者あり)
  320. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 御静粛に願います。
  321. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 このアフガン復興国際会議というのは世界から注目されているんですよ。そしてアフガン復興、あるいはそれ以前のアフガン難民支援、そして今後復興をどうするか、NGOの役割を日本政府がどう見ているか、あるいは日本外務省がどう見ているか。ところが、事務次官までNGOの役割を大変軽く見ている。これは重大な問題ですよ。しかも、しかも何でそんな決定したのかと。一政治家がこれに介入したと。一政治家がNGO出席させるなと言えば外務省当局はすぐに屈服して、そしてその言うことを聞いてしまう、こういう問題が起こったわけですよ。これは田中外務大臣が、何をやっているんだというので気が付かなければそのまま行っていたんですよ。日本世界の笑い物になっていますよ。そういうことじゃない、そういう認識があるかということを聞いているんだ。そういう大事な問題で、これは軽い問題じゃないんです、世界が注目している国際会議なんですから。そういう認識があるか。  私は、田中外務大臣はその認識があったと思うんです。だから、だから田中さんは激怒して何とかしなさいということを言ったんでしょうが。何でこれが軽い問題なんですか。
  322. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それで出ることになったじゃないですか。  だから、そういう過程においてNGOに対する認識で適切でないところもあったと、それは反省しなきゃならない。そういう点で、国民の不信を招いたことがあればそれも反省しなきゃならない。しかし、結果的に出なさいという人の意見も入れて、出て、協力していこうと。いいじゃないですか。
  323. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 そうすると、総理は、田中外務大臣が、これは欠席させている、出席拒否していると、これはとんでもない、出席させなさいというふうにやられた対応というのは大変正しかったと、こういうふうに判断されているわけですね。
  324. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) そうです。それで本来収まったはずなんですよ。
  325. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 収まっていないでしょう。  ところが、その正しい決定をやった田中外務大臣更迭されたじゃありませんか。更迭どころか、御本人は今日、私は罷免されたとおっしゃっていますよ。何で正しい決定をやった外務大臣が、そういう点じゃ日本の面目を保ったわけでしょうが、何で更迭される必要があるんですか。更迭、これは、田中さん、いろんなことをしゃべられるんで余りいろいろしゃべられたら悪い、政府にとっては都合が悪いと、だから更迭したという、こうとしか考えられないですよ。  私は、悪いのは、圧力を掛けた政治家、その疑惑を持たれている鈴木宗男衆議院議員、そしてその圧力に屈した外務省事務当局、これこそ一番悪い。そういう判断、ちゃんと示すべきじゃありませんか。
  326. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) そういう問題じゃないんです。NGOの問題は決着が付いて、その後のごたごたですよ。それで国会紛糾しちゃったんでしょう。大臣事務次官が言った言わない、省庁が一体じゃなきゃいけないのに。そういう中で、ああ言った言わない、だれだだれだと、それで国会紛糾しちゃったんじゃないですか。そういう後の事態をどう打開するかということで私に責任が降り掛かってきた。この異常な事態を私は責任を持って打開しなきゃいけないということで、このような措置をして、今日おかげさまで順調に審議が再開しているんです。
  327. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 問題は、なぜ紛糾したかですよ。どちらかがうそをついたから紛糾したんでしょう。正直に言った方が何で責任を取らされるんですか。そんなばかな話はないじゃありませんか。もし処分するなら、それは国会という場でうそをついた、そして紛糾させた、その責任者をちゃんと究明してこれを処分するというのが当たり前じゃありませんか。
  328. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは言った言わないで、一省の大臣次官が言いました言わないで、どうするんですか、これから外交を進める上において。そういうことで紛糾するんだったらば、これからのいろいろな外交交渉にも影響が出る、国会審議にも影響が出る、補正予算の成立にも影響が出る、この事態をどうするかというのが新たな展開だったんですよ。そのぐらいのことは分かってもらえるでしょう。
  329. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 何でこれぐらいのことが総理は分からないのかな。  だって、この問題の本質は言ったか言わないかじゃないんですよ。小泉内閣外務省というのが、一人の政治家が介入すればそれに直ちに屈服する、そして外交がねじ曲げられる、それが、そういう外交でいいのかどうかと、これが問われているんですよ。言ったか言わなかったかというのはその現象が現れただけ。その根っこには何があるかといえば、一政治家が介入すれば簡単に外交方針が変わる、欠席方針出席方針に変わる、そんな外交で何で世界の信頼が得られるか。そういう根本問題が問われているんです。言ったか言わないかじゃないんです。何でそこが分からないんですか。
  330. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 言ったか言わないかで問題になったんじゃないですか。
  331. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 私と総理と言った言わない論争をやってもしようがないので、次進めましょう。ただ、問題の本質はそういうことですよ、あなたね。  それで、外務省の中東アフリカ局長に聞きますよ。  衆議院で答弁されていることだけれども、十九日の午後、ジャパン・プラットフォームの大西さんに電話をしたことは認められた。どういう電話をされたんですか。
  332. 重家俊範

    政府参考人重家俊範君) お答え申し上げます。  十九日の午後、大西さんと電話をしたことは事実でございますが、あの電話の内容を一言一句正確に記憶しているわけではございませんが、自分の方から、朝日の記事につきまして、外務省自身として記事の内容は問題があると思っているという趣旨を伝えたと記憶しております。  また、昨年来、ジャパン・プラットフォームの活動をめぐりまして様々な意見が表明されたことも念頭にありまして、今回の朝日の記事につきまして自民党対外経済協力特別委員会委員長でもあります鈴木先生に何らかの説明をした方が良いのではないかということを思いまして、この点も同代表に伝えたと記憶しております。  そもそもこの電話は、十九日、その日夕方六時からNGOの登録が始まるという、二時間ぐらいしかないというせっぱ詰まった状況にございまして、何とか事態打開したいと思って大西さんと電話で連絡を取ったわけでございます。
  333. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 鈴木議員が何の圧力も掛けて、加えていなかったら、何も鈴木議員に説明に行くことないですよね。何で鈴木議員に説明に行けと言ったんですか。
  334. 重家俊範

    政府参考人重家俊範君) 十二月の初めでございますが、先ほど申し上げましたように、ジャパン・プラットフォームの活動をめぐりまして様々な意見の開陳といいますか、議論がございました。そういうことも念頭にありまして、そういうことを申し上げた次第でございます。
  335. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 だれからどんな意見の開陳があったんですか。
  336. 重家俊範

    政府参考人重家俊範君) 私はその一部の会合しか出ておりませんでしたけれども、ジャパン・プラットフォームが十二月に計画しておられましたアフガニスタン支援のNGO会合へのたしか草の根無償の資金援助についていろんな議論があったというふうに理解しております。
  337. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 それじゃ何で鈴木議員に説明に行けと言ったか、何の説明にも、分からないでしょう、だれが聞いたって。
  338. 重家俊範

    政府参考人重家俊範君) 先ほど申し上げておりますように、そういう議論があったということもございますし、また、先ほど申し上げましたように、鈴木先生は自民党の対外経済協力特別委員会委員長でもございますので、そういうことを御説明した方がいいのじゃないかと思ってその点を申し上げたわけでございます。
  339. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 全く駄目だ。言ったことは、鈴木さんが対外経済協力委員長ということと、そういう議論があったということ。何のことか、何にも明らかになってないじゃないですか。(「よく分かるじゃないか」と呼ぶ者あり)じゃ、あなたが説明しなさい。(「よく分かるじゃないか」と呼ぶ者あり)じゃ、言ってごらんなさい、あなたが。あなたが説明しなさい。(「僕は理解できるよ」と呼ぶ者あり)いや、分からないね。あなたが説明しなさい。
  340. 重家俊範

    政府参考人重家俊範君) 自民党の外交合同部会でその件が議論になりまして、様々な議論が行われたということでございます。そういうことも念頭にありまして、鈴木先生に説明した方がいいのではないかと思いまして、そういうことを述べたということでございます。
  341. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 様々な議論としか言ってないじゃないか。様々な議論だけじゃないか。(発言する者あり)
  342. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) それじゃ、申し上げます。重家局長、具体的にお話をしてください。
  343. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 大体、政党において、役人が政党の会合へ出ていって、ああ言った、こう言った、一々言う方がおかしい、聞く方も。  問題は、各役所が一々議員の言うことを聞いて、不適切な意見でも言うことを聞くというのがおかしいんですよ。そういうことのないようにしろと。こういう点はやっぱり外務省も反省しなきゃならない、これから。  それは野党も申し入れてくることありますよ。それに一々役人が、この議員がああ言った、こう言った、覚えてっこないでしょう。覚えていても覚えなくても、どんな意見でも議員は言って結構。変な意見でも結構。しかし、それをまともに受けることを、必要ないんですよ、役所は。適切なものだったら聞けばいい。不適切なものだったら排除すればいい。そういう点を役所もよく認識持ってやれと。鈴木さんが言おうがだれが言おうが、変な意見は全部排除しなさいと、これから。こういう批判があったこともよく反省してやれと私は言っているんですよ。  私なんかはしょっちゅういろんな部会から反発受けていますよ。聞くけれども、変な意見は私は受け入れないと言っているんです。こういうことがあるから、私は役人に政治家の話を、ああ、こう言った、ああ言った、どれが問題だ。これこそ何か、役人いじめればいい、政治家の変な意見を批判すればいいとか、そういう問題じゃないの。
  344. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 これからこうするというだけの話じゃないですか。そんな答弁求めていないですよ。何で鈴木議員に説明に行けと言ったのか、このことを聞いているんですよ。何一つ答えていないじゃないですか。
  345. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、私は政治家として、政党と役所の関係。役所は野党でも与党でも政治家の会合に呼ばれれば行きますよ。自民党だってそうですよ。そういう中で、責任ある外務省の立場の問題だったら行きますよ。そういうことの問題、今までの反省すべき点はあったと、そういうのを反省しながらこれから対処すればいいと。問題ない。
  346. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 速記を止めてください。    〔速記中止
  347. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 速記を起こしてください。  それじゃ、筆坂委員の質問に対しまして、重家局長、具体的にお話をしてください。
  348. 重家俊範

    政府参考人重家俊範君) お答え申し上げます。  十二月初めに問題になりましたのは、アフガニスタンからその会合に呼びますNGOの旅費を、いわゆる草の根無償の費目で見ることがいいのかどうかということについて議論があったということでございます。
  349. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 その十二月の草の根無償資金の使途と、一月の行われた会議出席するかどうかということと何の関係があるんですか。
  350. 重家俊範

    政府参考人重家俊範君) お答え申し上げます。  十二月の会合は、ジャパン・プラットフォームが主催して組織化されておられた会合でございます。
  351. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 それじゃ答弁になっていないでしょう。それは十二月の説明だけですよ。一月の会議に、会議のときに既に出席決まっていたわけでしょう、だって十九日の六時までにもう登録するんだから。なのに、何でそのときに、あなたは事態打開のためにと衆議院で言っていますよ。事態が切迫していると。何のことなんですか、これは。
  352. 重家俊範

    政府参考人重家俊範君) 私どもが思っておりましたのは、先ほど申し上げましたように、朝日の記事が十八日に出まして、それにつきまして私ども内部で、アフガニスタンは治安が非常にまずいものでありますから、特に政府と連携を強めていく必要があるということで、やや信頼関係に揺らいできたというような状況がございましたので、そういうことでお話をしていたわけでございます。
  353. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 だったら外務省に説明すればいい話でしょうが。
  354. 重家俊範

    政府参考人重家俊範君) お答え申し上げます。  そういうことで、出席についていろいろ検討していたわけでありまして、時間が切迫、先ほど申し上げましたように切迫しておりまして、もう六時になれば登録が始まるということで、何とか解決事態解決したいという、そういう雰囲気の中でお電話をしたということでございます。(発言する者あり)
  355. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 御静粛に願います。
  356. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 だから、事態とは一体何なんですか。そして、それは外務省がそう思ったというんでしょう。だったら外務省に説明を大西さんはすればいいわけです。何でそれが外務省判断が鈴木さんに説明しなきゃいけないんですか。そこが何にも分からないでしょう。ここが飛んでいるんですよ。
  357. 重家俊範

    政府参考人重家俊範君) お答え申し上げます。  それは、たしか報道等で外務省が鈴木先生に説明しろと言ったというふうに出ておりましたので、経緯はそういうことでございますということを申し上げたわけでございます。
  358. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 筆坂先生、もう少し具体的にどこがどうだということについての質問をしてあげてください。
  359. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 私は実に具体的に聞いているんですよ。何で鈴木議員に説明する必要があったのか、事態打開とは一体何の事態だったのか、それを聞いているんです。
  360. 重家俊範

    政府参考人重家俊範君) 先ほど申し上げておりますように、十八日の朝日新聞につきまして、私どもの内部で信頼関係といいますか、失望したということがございまして、いろんな議論があったわけでございます。それで、時間が迫っておりまして、出席をどうしたらいいのかということで思い悩んでいたと。場合によっては辞退していただく可能性はないのかなということも大西さんと議論したわけでございます。
  361. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 答えてないですよ。委員長、分かっているでしょう、さっきから質問に答えていないんですよ。
  362. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 速記を止めて。    〔速記中止
  363. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 速記を起こしてください。  重家局長に申し上げます。質問者に対する答弁が具体性を欠いておるということでございます。その件について御答弁をいただきたいと存じます。
  364. 重家俊範

    政府参考人重家俊範君) 申し訳ございません。状況を御説明させていただきたいと思います。  大西さんとの電話の内容を一言一句正確に記憶しているわけではございませんが、十九日夕方六時から登録が始まるという切迫した事態でありましたので、何とか事態打開したい、大西さんたちが六時に来られるということもございまして、私より大西さんにお電話をしたということでございます。  そのときに、十八日の朝日の記事についていろいろ私ども部内でも議論があり、アフガニスタン支援についてNGO政府の間で維持しなければいけない信頼関係のこともございまして、何とか打開したいということで申し上げたわけであります。その際、場合によっては参加を辞退していただく可能性はないかということも議論したわけでございます。  それで、大西さん、たしか報道で外務省の方から鈴木先生に話をした方がいいというような報道がございましたので、その真意は、先ほど申し上げましたように、十二月の初めにジャパン・プラットフォームの活動をめぐりましていろんな意見が表明されておりましたことが念頭にありまして、経済、自民党の対外経済協力特別委員会委員長でもあられる鈴木議員に何らかの説明をしておいた方がよいのではないかと思いまして、その点も言及したということでございます。
  365. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 それじゃ、私の方から言いましょう。  要するに、大西さんたちを出席させる気なら事態切迫とは言わないですね。淡々と受付すれば、登録してもらえばいいだけの話です。しかし、これは出席させたくないという圧力が鈴木議員から掛かっていたと。だから、このままだったらこれは大変なことになる、出席させるつもりだったのが出席させられなくなる、だから急いで鈴木さんに説明に行けと、そして何とか出席の了解を鈴木さんから取ってこいと、ありていに言えば、そういう趣旨であなたは大西さんに電話されたわけでしょう。どこが間違っていますか。
  366. 重家俊範

    政府参考人重家俊範君) お答え申し上げます。  そういうことではございません。先ほど申し上げましたように、アフガニスタンという治安情勢の悪いところにありましては、NGO政府との関係がうまく連携されていることが重要であります。特にカブールには治安維持部隊などが展開しておりますし、ブラヒミ国連特使もアフガニスタンで活動しているNGOは国連としても把握しておきたいと、そういうようなこともございますので、そういう連携を維持していくことが重要であると、そのためにはやはりお互いの信頼関係が重要であるというふうに思っていたわけでありますが、十八日の朝日新聞にいろんなことが出ておりまして、そういう意味で私ども、お互いの信頼関係が少し揺らいでいた、そういうことで参加問題を考えあぐねていたと、そういうことでございます。
  367. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 だから、結局、何で鈴木議員に説明に行ったのかということはあなた正直に言わないわけですよ、言えないわけですよ。  逆に言えば、これ聞いていてわかりますよ、いかに鈴木議員というのが、鈴木宗男議員というのが外務省に対して影響力を持っているか。しかし、外務大臣じゃないですよ、自民党の対外経済協力委員長か知らないけれども、一人の政治家じゃありませんか。それを外務省が何かあれば鈴木さんに説明に行く、何たる卑屈な外交かと私言いたいと思うんです。  実はそれだけじゃないんですよ。例えば野上次官も、私は事実上鈴木さんの圧力を国会で認めていると思うんです。例えば、二十日夜のレセプションでNGO出席拒否されたことを知った田中外務大臣は、翌二十一日昼前、野上さんを呼んで、これは一体どうなっているんだということで出席させるように指示されていますよね。そのときに、田中さんは次官に職を賭してやれというふうにおっしゃっているんです。  しかし、私聞きたいんですけれども、出席を決めたのはどこの判断で決めたんですか、出席拒否を決めたのはどこの判断で決めたんですか。
  368. 重家俊範

    政府参考人重家俊範君) 最初に出席不許可といいますか、そういうことを決めたのは、外務省の事務当局で決めたわけでございます。その後、大臣の御指示もありまして、更に検討した結果、二十二日の閉会セッションにはオブザーバーとして出席していただこう、ほかのNGOと一緒に出席していただこうという決定を行ったわけでございます。  この間、いろんなことを心配してくださる方々の御助力、御尽力や、私どもも実際に大西さんたちと話したということもございまして、そういう信頼を回復するための直接、間接の努力もしていた、こういうことでございます。
  369. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 奇怪至極な話なんです。NGO出席拒否外務省の事務当局の判断で決めたんです。今度、出席させようというのに、何で職を賭してやらなきゃいけないんですか。簡単な話でしょう。最高責任者事務次官でやったんだから、事務次官出席拒否と決めたんだから、ああ、やっぱり出席させよう。簡単にできることですよ。ところが、田中外務大臣は職を賭して出席させろというふうに言い、そして国会へ出てきた野上次官は何と言っているか。経緯もあるようだから、難しいかもしれないがやってみようとお答えしましたと。田中外務大臣は違うんです。野上次官は、鈴木氏は難しい、前からの経緯云々と。野上さんは鈴木さんの名前だけを外しているんです。しかし、それにしても、前からの経緯があるので難しい。何で難しいんですか。自分が決めたことを自分ですぐ取り消せばいいことじゃないですか。こんなばかな話がありますか。  総理、これはどう考えたっておかしいじゃありませんか。野上次官の方がうそを言っている、こう言わざるを得ないでしょう。
  370. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) おかしいから出席させたんでしょう。それでいいじゃないですか。
  371. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 筆坂秀世君、時間が参りました。
  372. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 総理、本当にこの問題の事の重要性を分かっていない。だって、政治家が介入して国の外交がねじ曲げられて、それで良しとする、そんな小泉内閣に、私、日本の外交を担う資格はないということを言わざるを得ない。  引き続きこの問題は徹底究明するということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  373. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 以上で筆坂秀世君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  374. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 次に、平野貞夫君の質疑を行います。平野貞夫君。
  375. 平野貞夫

    平野貞夫君 国会改革連絡会所属で自由党の平野でございます。  質問に入る直前に是非小泉総理に確認してほしいという話がありましたので、それから入ります。  朝から話題になっております鈴木宗男さんが、田中外務大臣の後任に緒方貞子さんを盛んに小泉総理に推薦といいますか働き掛けているというかなり確度の高い情報が入ったんですが、それは事実でございましょうか。鈴木宗男さんが総理に、田中外務大臣の後任に緒方貞子さんをするように働き掛けているという話が私のところに入ったんですが、それは事実でしょうか。
  376. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 全くうそです。初耳です。
  377. 平野貞夫

    平野貞夫君 分かりました。かなり私のところには確度の高い話ですが、まあ、これはちょっと様子を見ましょう。  官房長官、御苦労さんですが、何回か御答弁なさっていますが、田中外務大臣更迭について、未明ですか、未明から朝にかけてどういうプロセスで更迭手続が行われたか、ちょっと御説明いただきたいと思います。
  378. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 昨晩の夜十一時五十分ぐらいだったと思いますけれども、外務大臣総理官邸においでをいただいた、総理がお呼びしたわけでございます。そこで総理から進退について話がございまして、そして田中大臣はそれを了承されたと、こういうことになりました。  そして、今朝八時二十分でしたか、ちょっと待ってください、八時二十分に持ち回り閣議を経た上で、陛下の認証行為により依願免の法的効力が確定をいたしました。  この依願免の場合の書面が出ているかどうかといったようなことがいろいろ問題になっておりますけれども、これは田中大臣は書面は提出しておりません。おりませんが、願いがあったかどうかを確認するものがこの依願免の場合の書面でございますけれども、この依願免を行う場合の必須条件ではないと、こういうことになっております。
  379. 平野貞夫

    平野貞夫君 確認しますと、総理から辞めるよう勧められたこと、それから辞表は出していないということと、それから依願免職で行われたということだと思いますが、今日の回り持ち閣議で田中外務大臣は署名していますか。
  380. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 持ち回り閣議の場合に、お辞めになる方の署名は通常要らないことになっております。
  381. 平野貞夫

    平野貞夫君 していないということですね。  私は、この更迭の手続に重大な憲法上の疑義があるということを総理並びに国民皆さんに申し上げたい。  と申しますのは、田中外務大臣自身はこのように話しているんですよ。今朝、官邸から八時までに辞職願を出してくれとの連絡があったが、罷免を選ぶか依願免を選ぶか、政治家としては非常に重大なポイントであると。したがって、ちょっと考えたいということで辞表を出さない。そういう状況の中でこういう手続が行われたと。  これは罷免したんじゃないんですか、総理
  382. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) これは、昨晩十一時五十分からの総理田中大臣の会話の中で、田中大臣総理の要請、要請と申しますか協力要請ですね、について、これを了承されたわけでございます。分かりましたということを申されて、さらに、お世話になりましたという言葉を申されたわけでございまして、私は大変潔い対応をされたというように思ったわけでございます。
  383. 平野貞夫

    平野貞夫君 しかし、田中外務大臣自身が罷免を選ぶか依願免かということで悩んでおるということじゃないですか、本人自身が。今日言って、マスコミに載っていますよ。  それじゃ、この田中外相のケース、いわゆる辞表を出さずに依願免を取った例、ございますか、閣僚の更迭で。
  384. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) それは調べてみないと分かりませんけれども、これは辞意を表明すると申しますか、それに合意をされたと。この意思表示が大事なんです。それを確認する意味で署名を取るというようなことはございますけれども、この確認の署名は必須条件ではないというふうに申し上げたのは先ほどのことでございます。
  385. 平野貞夫

    平野貞夫君 法律の解釈としてそういう解釈が一つあると思いますよ。しかし、閣僚の辞任というのは、もうこういうことですから私自身でもう辞めますという辞め方、それから罷免という辞め方、そして、実質的には罷免だけれども、いよいよそういう措置を取られるのは嫌だから嫌々辞表を出すというやり方、いろいろあると思うんです、政治ですから。しかし、今度の田中外務大臣の場合には、これはやっぱり罷免ですよ、首にしたんですよ。どうですか、総理
  386. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、お互いのやり取り、ああ言ったこう言ったということは、名誉の問題にもかかわりますので本来は差し控えたいんですが、はっきりしていることは、この事態正常化のために協力していただけないかと、分かりましたということで、後の手続は私は事務当局に任せたわけでございます。
  387. 平野貞夫

    平野貞夫君 言った言わぬの話は私はしません。しかし、手続論として、こういう場合に辞表を出さなかったら、今朝の持ち回り閣議で田中さんにサインしてもらうという行為は必要なんじゃないですか、官房長官
  388. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 先ほど申しましたように、十一時五十分の会談において了解をされた、合意がなされた、こういうように、これが事実でございまして、その後のことにつきましては、これは今の持ち回り閣議云々、これは通常お辞めになる方はサイン、署名をされないということでやっているようでございますので、何ら問題ないというように理解しております。
  389. 平野貞夫

    平野貞夫君 罷免された閣僚がその持ち回り閣議に、認証のための閣議にサインをしないというのは、これは分かります。しかし、辞表を出さずに口頭で何かいろいろあったけれども、やはりそれはやっぱり文書による確認が必要だと思います。辞表を出さない場合には、これは法律要件として持ち回り閣議の閣僚の署名には必至じゃないですか。  こういう例が、調べてくださいよ、この田中外相のようなケースがあったかどうか、そういう初めての例かどうか。初めてだったら、これは憲法の一種の慣例を作ったというか、大変なことなんですよ。事務当局。
  390. 津野修

    政府特別補佐人(津野修君) お答えいたします。  こういった事例が、前例があったかどうかといいますのは、私どもも詳細に従来の慣例を調べたわけでございませんので、現時点では私は承知しておりませんので、お答えできません。  それから、持ち回り閣議の場合あるいは閣議の通常の場合でも同様でございますけれども、利害関係者が、例えば今回のようなケースがある場合に、そういう人をその会議の場においてその人の、何といいますか、意思を、意思といいますか、そういうことの決定にサインをさせるということは、合議体の一般原則といたしましてそういうことはされていないというのが原則でございまして、従来から閣議はそのような慣行として取り扱っているわけでございます。
  391. 平野貞夫

    平野貞夫君 今日でなくてもいいですから、事例があるかどうかということについて調査して回答してください。
  392. 津野修

    政府特別補佐人(津野修君) それは後で調査させていただきます。
  393. 平野貞夫

    平野貞夫君 持ち時間が少のうございますので、次に移ります。  田中外務大臣外務省の確執というのの本質は、田中さんが就任のときに外務省の機密費、二十億近い金額と言われていますが、これを内閣に上納しているということに強い関心を持ったこと、ここに僕は問題のポイントがあると思います。  私は、昨年決算委員会でこの点を確認しましたら、田中外務大臣はこう言っています。過去からずっとこういう報償費の問題というのはあったと思いましたけれども、その中で関係者皆様が上納ということはなかったということをおっしゃっておられますので、私はそれを信ずる以外にないというふうに思っていますと。信じるということと事実とは別でございます。  総理、ある報道によると、小泉内閣になってからも上納があったという報道があるんですが、事実どうでございましょう。
  394. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) いわゆる上納というものがあることはありません。今までもね。
  395. 平野貞夫

    平野貞夫君 今までも、小泉内閣になってからもないということでございますね。もう一回。
  396. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 過去何度も御説明しているとおりでございます。
  397. 平野貞夫

    平野貞夫君 私、小泉政治の本質というのについてちょっと触れたいと思うんですが、面白いですね。断固やる、熟慮する、これで良かった、これが小泉政治のこの一年のノウハウ。これは政治の二重構造です。言わばあらゆる問題が権力の中の共食い現象になっているんですよ、小泉政治は。だから改革も景気も良くならないんです。  小泉総理の政治の手法と選択の、政策の選択が誤っているということを申し上げて、次に譲ります。
  398. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 関連質疑を許します。西川きよし君。
  399. 西川きよし

    西川きよし君 どうぞよろしくお願いいたします。  早朝より御苦労さんでございます。  言ったか言わないかという、もう総理も嫌になるということをおっしゃっておられましたが、このテレビをごらんになっておられる全国の方々も本当に嫌になっていることだと思います。もう少し我々に関係のあるお話もしてくれないかという方もたくさんいらっしゃると思います。医療だとか年金だとか福祉だとかということを、私は最初の公約どおり、今日もその点について質問をしてまいりたいと思います。  今から四年前のことですが、小泉総理大臣が厚生大臣のときですけれども、家族について私は質問をいたしました。そのときに総理は、西川さん、家族というものは人間にとって一番大事なものだとおっしゃいました。そして、余り家族の問題に干渉してはならないけれども、側面から家族の連帯を強めていくような環境の整備が必要だと、こうおっしゃいました。今も変わりはございませんでしょうか。一言御感想を下さい。
  400. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 家族のきずなをしっかりするということは、人間生きていく上において最も大事なものの一つではないかと思っております。
  401. 西川きよし

    西川きよし君 そこで、総理の子供さんも最近は大変よく頑張っておられますし、私もタレント議員ということで、この中で軽く見られないように一生懸命頑張ってまいりました。この世界と勝るとも劣らない、本当に芸能界も難しい世界ではございます。  総理に一つ聞きたい。──いや、本当にそうなんです。皆さん、笑い事じゃないんですよ。しかし、ここではここでの仕事を一生懸命頑張らせていただいて、公約を守らせていただいております。  総理も一人のお父さんとして、おやじとして、子育ての在り方をどういうふうに考えているか、是非聞かせてください。
  402. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、前にも言ったことがあるんですけれども、親として一番大事なのは、しっかり抱いてそっと下ろして歩かせる、この言葉をある講演で聞いたことがあるんです。しっかり抱いてそっと下ろして歩かせる。それはどういうことかというと、一時期、子供の自立を促すために子供は一人で寝かせるとか、幼児であるにもかかわらず、まとわり付いていくと自立心が失われると。むしろ、余り親のそばにいさせないで、自立心を働かすために一人で置いておいた方がいいという。  しかし、その教育の専門家は、そうじゃないと。幼児期は常にしっかりと抱き締めると。そして、そっと下ろすのが大事なんだ。突き放しちゃ駄目だ。そっと下ろせば、自分で歩いていくのを見守るというのが大事なんだということは、子供が、ああ自分は親から愛されているなという感じを言葉でなく全体で、子供に、ああ自分は親から家族から愛されているという気持ちを持たせることが大事なんだと。そうすれば、大人になっても真っすぐ育っていくと。  だから、子供のうちはもううるさいくらいまとわり付きますね。ああ少しはもう一人で遊べと。しかし大人になると、おい、たまには飯食おうよと言ったって、もう忙しいからと相手にしてくれない。ああ、もっと子供のうちに一緒に遊んでやればよかったなと。しかし、むしろそういう子というのは、やっぱり子供のときから本当に自分は両親から、家族から愛されたなという確認を持つことによって精神的な不安定がなくなると思うんです。周りから受け止められているなということは子供でも大人でも大事なんです。そういうときを、幼児期、特に三歳、四歳、五歳という幼児期に、親は子供に対して、言葉だけじゃない、体で、全身で、雰囲気で、本当に子供が、ああ、うちの家族から愛されているんだという気持ちを持たせるような育て方が大事ではないかと、そうすることによって子供は順調に育っていくと、私はその説に大賛成なんです。
  403. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました、御丁寧な答弁いただきまして。  そこで、私が、今回の予算案にも環境整備費が計上されておるわけですけれども、そこで、児童虐待への防止策、警察庁と厚生省より直近の調査の結果を御答弁いただきたいと思います。
  404. 黒澤正和

    政府参考人(黒澤正和君) 児童虐待の防止等に関する法律施行後一年間、つまり平成十二年十一月から平成十三年十月までの一年間でございますが、各都道府県警察で取り扱いました児童虐待事犯の検挙状況でございますが、検挙件数につきましては百八十六件、検挙人員にいたしますと二百十一人でございます。被害児童数は百九十二人でございまして、このうち死亡した被害児童数は五十六人でございます。それぞれ、前年同期と比べますと、検挙件数で八件、検挙人員で十二人、被害児童数で十人、死亡した被害児童数で十三人、それぞれ増加しておる状況にございます。
  405. 岩田喜美枝

    政府参考人岩田喜美枝君) 全国の児童相談所で取り扱っております児童虐待についての相談件数でございますが、大変残念なことに近年増加をいたしておりまして、平成十二年度では処理をいたしました件数が一万七千七百二十五件でございました。前年と比べまして五割以上の増加でございました。
  406. 西川きよし

    西川きよし君 この問題こそは、本当に家族の中に入っていかなければならない、待っていたんでは手後れになってしまいます。そういう危険性が大でございます。  そこで総理、この児童虐待の問題の現状とその防止策について、是非総理から一言いただければと思いますが、いかがでしょう。──はい、結構でございます。
  407. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) この児童虐待、先ほどから話がございますように、だんだんと増えてきていることを大変残念に思うわけでございます。  いずれにいたしましても、この問題は発生を予防させるということが何にしても一番大事でございますが、もしもそういうことが起こり始めましたら、これは早期発見、早期対応というのがその次に大事になってくる、早く処置をするということが一番大事になってくるだろうというふうに思っております。非常に関係者、非常に少ない人数ではございますけれども、関係者の皆さん方に連携を深めていただいて、民生委員皆さん方にも特別にそういう児童に対しますことをやっていただく方も増員をしたところでございまして、手をつないでいただいて、そうしたことでお願いをしたいというふうに言っているところでございます。  それから、この平成十三年度の第二次補正予算案におきましても、被虐待児童の増加に伴って施設に入所する児童が増加しておりますことから、児童養護施設、それから情緒障害児短期治療施設の整備、こうしたことを積極的に進めていくというのでこの中に入れさせていただいたところでございます。情緒障害児短期治療施設の施設整備をする際の基準面積を改善することもその中に加えておるところでございます。  以上のようなことで、この補正予算の中にも入れさせていただいております。
  408. 村井仁

    国務大臣(村井仁君) いわゆる児童虐待の問題というのは、しばしば家庭内のしつけの問題であるとか、あるいは保護者の責任の問題だと、余り警察が立ち入るべき問題ではないというような感じで過去受け取られてきた面がございますけれども、先ほど生活安全局長から御答弁申し上げましたように、児童虐待の防止等に関する法律、ここで明確に位置付けられたこともございます。  そしてまた、先ほど局長から答弁申し上げましたような大変深刻な事態もございますので、警察があえて家庭の中のことであっても犯罪行為というふうに認められるものにつきましては積極的にきちんと入っていく、児童の生命、そして身体を守る、これも警察の非常に重要な役割であるということを警察の中でもしっかり徹底をさせてまいっているところでございまして、これからも、今、委員御指摘のような御意向も踏まえまして、また総理の御指示もちょうだいしながらしっかりやってまいりたいと存じます。
  409. 西川きよし

    西川きよし君 どうぞ大切な問題でございますのでよろしくお願い申し上げます。  今回の予算によりましてどのような対応をお考えであるのか、また今後の対応につきまして厚生労働大臣、そして関係省庁で文部科学大臣国家公安委員長よりこの対応についてよろしくお願い申し上げます。
  410. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 先ほども申しましたとおり、この十三年度の補正予算につきましては先ほど申し上げたところでございますが、十四年度の当初予算案におきましても、これはこれからまだ御審議をいただくわけでございますけれども、児童虐待の先ほど申しました発生予防でありますとか虐待の早期発見、そうしたことにつきましての体制の充実、あるいは児童の保護、あるいは保護者等への指導体制の充実、こうしたことを非常にソフト面におきましても力を入れて、そして早期発見、そして早期予防、そうしたことに努めていきたいというふうに思っておりますし、先ほど申しましたように、もし万が一やはり施設に入れなければならないというふうになりましたときには、その施設の充実ということも併せて十四年度におきましても掲げているところでございます。
  411. 遠山敦子

    国務大臣(遠山敦子君) 児童虐待につきましては、従前から関係者に対しまして児童相談所への通告義務等について通知してきた、周知してきたところでございますけれども、新しい法律の施行に伴いまして通知を発して、今お話しのように、早期発見、早期対応に努めること、あるいは被害を受けた児童等の適切な保護が行われるようにすること、そして児童相談所等の関係機関等との連携の強化に努めることということについて周知をしてまいりました。  そしてまた、親もどのように子供を扱っていいか迷うという場合が多いわけでございまして、そういうことに対応しまして、家庭教育手帳あるいは家庭教育ノートというものの中に新たに児童虐待に関する項目を設けまして昨年四月から対象となる子供を持つ親へ配布いたしておりますし、また二十四時間の電話相談体制の整備とともに、子育ての悩みを持つ親に対しまして子育てサポーターというものを配置いたしまして、子育て支援ネットワークの充実などをいたしております。  平成十四年度予算におきましては、今申し上げました子育てサポーターを拡充すること、そして子育て支援ネットワークを充実していく、ただ孤立させるのではなくて、できるだけ多くの人の知恵を、あるいは援助を周りにおいて配慮しながら、それを、親の心理をも十分に助けていくということも考えておりますし、また、子育て学習の全国展開事業につきまして、妊娠期にある親を対象とした家庭教育講座の創設なども来年度予算案でお願いをしているところでございます。  今後とも、この問題についてもしっかりやってまいりたいと思います。
  412. 村井仁

    国務大臣(村井仁君) 警察といたしましては、児童虐待の防止等に関する法律の目的、趣旨を踏まえまして、虐待児童の早期発見と適切な、もし違法の事実がございましたらこれをきちんと事件化していく、それからまた関係機関との連携の強化を図っていく、それからまた、これを、先ほどもちょっと申しましたけれども、家庭内の問題だというようなことで等閑視せずに、きちんと部内の、きちんと対応していくように、警察官にそういう認識をさせる、そういう指導、教育をしっかりやってまいっているところでございまして、一層努力したいと存じます。
  413. 西川きよし

    西川きよし君 よろしくお願いいたします。  次に移ります。  小児がん、心臓病あるいは小児糖尿病、様々な病気で懸命に治療と闘っている子供さんもたくさんいらっしゃいますし、家族ももちろんそうであります。今回の予算案では小児医療体制の整備費用が計上されておりますが、その趣旨を厚生大臣、よろしくお願いします。
  414. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 小児医療につきましては、少子化が進展いたします中で、国民が安心をして子育てができる環境を整えるということで、非常に重要であるというふうに思っております。  今回の補正予算におきましては、まず、国立病院・療養所におきまして、小児救急受入れ体制の充実を図りますために八十五億円を計上いたしまして、老朽いたしましたりあるいはまた非常に狭くなったりといったような救急患者の搬入口あるいは救急診療室及び小児科の診察室の拡充等の整備を行いたいというふうに思っております。  また、今お話ございました小児がんなどの先端医療を行います医療機関は首都圏等の大都市に集中いたしておりますが、こうした医療機関は遠隔地からも多数の子供が入院をしているというようなことがございまして、その家族は子供の付添いのために長期間の滞在を余儀なくされるというようなこともございますので、今回の補正予算におきまして、家族の経済的負担の軽減、あるいはまた入院中の子供の情緒不安の解消を図りますために、家族が宿泊をして子供と触れ合いができる部屋を医療機関等に設置することの整備等を約五億円計上しているところでございます。
  415. 西川きよし

    西川きよし君 そういうところが本当に大切なところでありますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  続いて、小児慢性特定疾患治療研究事業について、まず事業内容を政府参考人よりよろしくお願いいたします。
  416. 岩田喜美枝

    政府参考人岩田喜美枝君) 小児慢性特定疾患治療研究事業は、小児の慢性疾患のうち、治療のための入院が長期間にわたるなど、医療費の負担も高額となり、またこれを放置いたしますと児童の健全な育成を阻害するようなそのような疾患について、まず一つといたしましては、研究を推進し、その医療の確立と普及を図るということ、そして二つ目には、医療費の自己負担分について公費負担を行うものでございます。  昭和四十九年から、四十九年度から実施されておりますけれども、平成十二年度の実績では約百億円の国庫補助を行い、約十万二千人のお子さんたちがこの事業の対象になっておりまして、この事業によりまして、慢性疾患に罹患しておられる児童、そしてその家族の福祉の向上に一定の役割を果たしているというふうに思っております。
  417. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。  病気の治療をされている子供さんが今約十万人、この事業の在り方についてその見直しの検討が行われております。  まず、厚生大臣にこの見直しの、制度、現状、課題、見直しの検討を行っている内容を御説明いただきたいと思います。
  418. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 先ほど局長から御答弁を申し上げましたとおり、もう四十九年の事業開始以来四半世紀を経過しているわけでございます。医療技術の進歩、かなりこの治療内容も変わってまいりましたし、経済的、精神的な負担を抱えます患者やその家族のニーズの変化というようなこともございます。一層厳しさを増しております国の財政状況といったようなこともございまして、これらを踏まえまして、今後ともに慢性疾患を持った子供さんたちに適切なサービスを提供できるように、有識者と、これは患者の代表の皆さん方も加えまして検討会を今設けておりまして、様々な御意見をいただいているところでございます。  厚生労働省としましては、事業の安定的な運営が図られますように、その在り方につきまして今後十分検討をしてまいりたい、今検討を続けているところでございますが、早くこの結論を出したい、そして皆さん方の御要望に応じたいと考えているところでございます。
  419. 西川きよし

    西川きよし君 最後の質問にしたいと思います。  確かに、医療の進歩でありますとか家族の状況の変化に応じまして、見直しというのも本当に必要であると思います。しかし、これまで度々この問題について私は質問させていただきました。やはり厳しい財政状況、坂口大臣を始め担当部局の方々は大変に本当に苦しんでいらっしゃいますし、しかし一生懸命やっていただいていることも伝わってまいります。  今後も厳しい財政状況は続くでしょうが、将来を担う大切な子供に対する福祉の向上については財政面におきましても特段の御配慮を総理によろしくお願いを申し上げたいと思いますが、御答弁をいただきたいと思います。
  420. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これまでも、慢性疾患を持つお子さんたちに対しては公費で負担してきております。非常に財政状況は厳しい状況でありますけれども、安定的に運営できるように検討していきたいと思います。
  421. 西川きよし

    西川きよし君 冒頭にいいお話を聞かせていただきまして、しかし、皆さんが本当に心配しておられるのは医療や福祉や年金や社会保障、いつでもこんなお話をお伺いします。どうぞひとつ閣僚の皆さんにも改めてよろしくお願いを申し上げたいと思います。  最後になりますが、総理、かなり疲れているお顔をしていらっしゃいます。今日はできるだけ早くお休みください。  どうもありがとうございました。
  422. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 以上で平野貞夫君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  423. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 次に、大脇雅子君の質疑を行います。大脇雅子君。
  424. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 私の質問時間は四分です。深刻な若者の失業情勢についてお尋ねしようと思いましたが、今回の混乱の本質的な部分というのは、鈴木宗男代議士がNGOの尊厳や自律性にどういう介入をしたのかということが中心だろうと思います。  さて、私は、総理が女の涙は武器であると言われましたが、テレビを見ておりまして、いろいろため息をついておられる総理を見まして、男のため息ももしかしたら最も強い武器ではないかと考えました。いかがでしょうか。
  425. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 毎日、ため息、出ますよ。武器とは思っていませんね。率直に、ああ疲れたというときもあるし、何でこういう状況になったのかという場合もあるし、いろいろな思いがこもっているんではないかと思いますが、ため息は一つの精神安定というかストレス解消にもなっているのかな。毎日のきつい仕事にもめげず、屈せず頑張れという、その一つの表れでもないかなと思ってもおります。
  426. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 ああ、新しい発見でした。  私は、総理が、芥川龍之介風に、真相はやぶの中というところに封印をして、シナリオ永田町風「羅生門」というものを演出されたと思います。その結果、国民に絶望的な政治不信というものを広めたのではないか。  しかし、この予算委員会の舞台では、もう一つ、総理責任、説明責任という最終幕があると思っております。国民は見ております。  そこで、お尋ねをするのですが、今までの議論を見ていても、外務大臣更迭の理由というのは明快ではありません。どのように考えていらして罷免をなさったんでしょうか、あるいは依願免職だったのでしょうか。
  427. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、衆議院審議見ていましてね、言った言わないでこれは決着付きっこないと。大体、省内のことで大臣次官あるいは局長等がああ言ったこう言ったということで調整が付かないというのもちょっとおかしいんですよね。そういう問題で、政策の議論とか補正予算審議じゃない、横筋で、ああ言ったこう言った、どっちも撤回しない。これで国会紛糾しちゃった。これは、単なる外務省だけの問題じゃないなと、NGO外務省との問題でもないなと、国会全体の問題になってしまった、政府全体の問題になっちゃった。  この事態をどう打開するかということで私に責任が回ってきた。早く補正予算成立させようと、このまま続くと恐らく衆議院会議与党だけで採決する状況になるかもしれない。案の定そうなっちゃった。そうすると、参議院、あした開会されないんじゃないか、開会されてもまた単独になるんじゃないかと心配出てきた。この時点で、ああ、この事態は容易ならざる事態だなと、何とか打開しなきゃならぬということで、今の状況について、正常化にお互い協力してくれないかということでこのような状況になったわけであります。そして、おかげさまで、今日は正常化が進んでいるということであると思います。
  428. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 罷免には正当な理由が要ると思います。それにはどうしても国民は納得しないのではないかと思います。  それに、午前中に閣僚が、全員の署名が済んだと発表されておりますが、二人の閣僚は午前中に済ましていない。最終的に持ち回りで署名をなさったのは何時ごろだということを官房長官にお尋ねします。
  429. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 持ち回りは、持ち回り閣議は、急ぐ場合には電話連絡をするということで、電話で了解取るということになっております。その後、署名を取りますけれども、これは私、最終、何時になったか知りませんけれども、それはその後で取るということで、時間制限は特にない、なるべく早くということではないかと思います。
  430. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 政府見解が出まして、その政府見解の前に、田中外相に説明する際に特定の職員と特定のNGOに言及したことがあるということを認められましたが、この文言が削除されたのは、どういう経過で、だれの指示で、どういう理由で削除されたんでしょうか。そして、この原案を起草されたのはだれでしょうか。
  431. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 政府見解の、先ほど示された文ですね、お話しになった。
  432. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 そうです。
  433. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) あれは、二十何日でしたかな、二十九日、要するに昨日ですよ。昨日、あっ、一昨日ですか。今日は三十日ですね、だから、二十いつだったかな。(発言する者あり)二十八日の、多分夜十時半か十時、そんな時間だと思います。(「だれが」と呼ぶ者あり)それで、だれが作ったか。これは、私の責任において作りました。
  434. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 この書面によりますと、鈴木さんがNGOの排除について何らかの意向が働いたということが認められる可能性を支持しているわけですが、なぜ、だれが削ったんですか。
  435. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 原案にあった文が最終案でなかったと、こういうことだと思いますけれども、これは、関係者と協議をしている間にこれを削ろうということになったわけでございます。私の責任においてそれに同意しました。
  436. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 なぜですか。
  437. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) これ、この政府見解は、一月二十四日の予算委員会における質疑において言った言わないというような話になったわけでございまして、それ以前のことについて、必要ないだろうというそういう趣旨で削ったんだったと思います。
  438. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 しかし、最後政府見解には「特定の議員の主張に従ったことはない。」と、全く真っ向から反対の言葉があります。NGOは多様性が命です。尊厳と自律性を侵さず真に協力をする、政府批判の有無にかかわらず公正公平に取り扱う、小泉首相はこれをお約束されるでしょうか。  それから、議員は何を言ってもいいような御答弁がございました。与党野党もやはり官庁に言う言葉についてはそれなりの節度というものがありまして、恫喝とかあるいは圧力が掛かるようなことは言ってはいけないと思うわけです。それは議員の誇りだと思うわけですけれども、この点について併せて御見解を伺いたいと思います。
  439. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 結構委員会でも、恫喝と思っていなくても、聞く人が取れば恫喝と受け取る場合もあるし、圧力と思っていなくても、受け止め方によってはそう受け取る方もいるし、なかなか難しいですね。NGOも大事な組織としていろいろ社会に役立っているわけですから、より一層頑張ってもらいたいと思います。  私は、与野党の議員共通して、あれこれ役所にいろんな意見を言ってくると思います。それは、それ自体はいいと思います。お互い発言にも気を付けて、節度を持って自分の意見を役所にぶつけるというのは結構であり、役所もその意見を聞くときも聞かないときも公正に対処していただきたいと思います。
  440. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 是非、政府方針とは異なったNGOも公平公正に対話を深めていっていただきたいということをお願いして、質問を終わります。
  441. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 以上で大脇雅子君の質疑は終了いたしました。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後六時十八分散会