○松岡滿壽男君 このたび結成しました
国会改革連絡会の松岡滿壽男です。略称国連を代表して、
質問をいたします。
今日、
我が国は、グローバル化の中で生き残りを懸けて民間は厳しく自らの血を流しながら
改革に臨んでいます。論語に、「その身正しければ 令せずして行われる」という言葉がありますが、
国民の皆様に大変申し訳なくも、スリムで効率的な仕組み作りという点で
改革が遅れているのは、政と官であります。
驚くべきことは、半世紀前に取り決められたルールによって
国会が運営され、弱小政党を切り捨てた、十人以上の
会派でなければ
国会運営に参加できない仕組みができ上がっています。本
会議質疑の形骸化、政党
政治の現状が良識の府としての参議院にそのまま持ち込まれております。
衆議院のカーボンコピーと言われ、抑制と補完の役割を果たし得ず、政党化が進み、不要論さえ出ております。井上参議院議長から、歴代議長が度々試みてきた参議院
改革協議会設置の提案があり、近く発足いたしますが、私どもは、自らに厳しく
国会改革に取り組むべく志ある者が、
国会改革連絡会を作りました。
今日、失業率は五・五%、非自発的失業者のうち世帯主が百万人を突破し、株価も下がり、中小零細
企業の倒産は戦後最高を迎えました。
平成十三年は倒産件数一万九千百六十四件、負債総額は十六兆五千億に達し、自殺者は三年連続三万人を超えております。路上生活者も二万人を超え、
国民の暮らしに不安をますます募らせております。貯蓄率の上昇は、六五%の
国民生活や将来に不安を持つ
国民の自衛手段でありましょう。
政府は、実体経済が悪いことをどの
程度認識しているのか。
それでも、九州、山口の世論調査では、
小泉内閣支持では六十五歳以上は七〇%、二十代、三十代は六四%です。若い人
たちの支持下落は、痛みをもろに受け、将来への不安を感じている現れではないでしょうか。
これまで百三十兆円を超す巨額の税金を使った
景気対策では、
日本の経済はもはや回復しないという実験をしたにすぎませんでした。
昨年十一月十四日に、私の
予算委員会での
質問に対して、
総理は、今までやってきて効果がなかった、厳しい歳出の見直しをやるべきと
答弁しておられます。
このたびの
補正予算が、
総理の公約である三十兆円の枠を守った中で、経済への即効性が高い対策を取っているとのことでありますが、三十兆円の公約は守ったと
考えてよいのか。これまでの
公共事業とどこがどう違い、どれが即効性の高い対策なのか。どのように
国民に説明されるか、
財務大臣にお伺いしたいと思います。
二〇〇〇年十二月、アメリカ
政府国家情報
会議のレポートに、
日本がこのまま自己
改革をする力がないまま漂流を続けるならば、二〇一五年には
世界のリーダーたる日米欧の組合せから
日本は脱落すると言わしめております。このレポートを
総理は御存じでしょうか。
我が国の衰退現象として、人口構造の劣化、国家
財政の破綻、
国民の価値観の変化、経済力の衰退、
政治の混乱などが挙げられております。英国の碩学トインビー博士は、「歴史の研究」の中で、国家や文明の最も核心的な衰退の要因は、自己決定能力の喪失にあると論じております。
我が国の失われた十年は余りにも大きく、取り返しのつかない損失です。
政治家の
責任は重大であります。ゆでガエル現象の
我が国では、ぬるま湯をひっくり返し、新しいやる気を国を挙げて起こさねばなりません。
国民の多くが新生
日本を
小泉総理に期待していますが、これまでの経過を見ると、三段論法式に、始めは断固やる、次に熟慮する、終わりはこれでいいは、痛みに耐えて期待する
国民に、時には大きな失望、落胆をさせます。
独裁者、ファッショと仲間の
自民党内から
総理を評する向きもあると報じられていますが、今日、憂うべき
我が国の非常
事態では、将来を見据えた強力な私欲のない指導者が必要であります。
さきに
総理は、
自民党は与党と野党を包含する政党であると私の
質問に
答弁されました。確かに、政党内は多様化し、政党間の垣根は低くなっています。政党に明確な理念、
政策がなければ、対立軸が明らかでなく、政党は
政治の使命を忘れ権力抗争の集団としか
国民には見えません。
政治に大きな失望を与えるばかりだと思われませんか。
総理、
日本は幾ら危機的
状況に立たされても、当事者能力がない、自己
改革ができないと思われていることをいかがお
考えですか。二十一世紀の
日本を形作るためにも、政界再編を含んだ
日本の基本構造を
改革するお
考えはないのですか。御所見をお伺いしたい。
昨年一年間に多くの不正
事件がありました。KSDの現職二名の参議院議員の逮捕に始まり、今回の
私設秘書による口利き料
事件、元国税局長の脱税
事件、官僚や首長の収賄汚職等、またしても
国民の
政治家に対する不信感は増大しました。二年前に、
あっせん利得処罰法に
私設秘書も入れるべきだという野党案は通らず、抜け穴はあったということが証明されました。この結果を見ても、
政治家に対する不信感を募らせています。
政治と金の問題はどこかでしっかり決着を
付けなければ、
国民はますます
政治は汚れたものという不信感を持ち続けます。政党助成金は
国民一人当たり二百五十円、本年度は三百十七億円を受けながら
企業献金をなくす約束は守られていません。この不信がある間は
改革へ向けての
国民の
理解と結束は得られません。
十年前に岡野加穂留教授が戦後の
政治家について分析をして、社会正義
実現のための信念を保持し、天下国家の事柄を第一義的に
考える優れた見識の持ち主であるいわゆる
政治家はわずか五%、名誉欲、権勢欲の
政治屋一〇%、自己の利益にうつつを抜かす
政治業者が八五%と書いておられましたが、信念を持たず、選挙のための
政治家が多い、この結果が今日の
我が国の憂うべき実体として現出しております。
国民のみに痛みを強いる資格が
政治家、官僚にあるでしょうか。
報道によれば、与党案で一年間歳費一〇%削減が出されるとされていますが、事実ならば、これは
改革ではなく、その場しのぎの姿勢であります。この案によって、公務員・特別職全体のバランスが課題となりますし、一年間という限定の意味が不明であります。スリムで効率的な仕組みに
政治、
行政、経済・社会を
改革しなければならぬ時代に、
国会がまず手本を示すべきです。二院制の役割分担、定数削減、
国会運営の改善等であります。
前参議院議長の斎藤議長の私的諮問機関、参議院の将来を
考える有識者懇談会の答申は、政党より議員
個人の活動を重視する原則を貫くよう強調され、独自性のためには、首相指名権の返上、通年
国会制の導入を提言していますが、これも
国会において生かされていません。
我々国
会議員は、身を挺して
改革に取り組むべきと
考えますが、
国会の主導権は与党が握っていますので、
自民党総裁の
小泉総理にお願いをいたします。
これまで
我が国は、軍事、外交面より物作りによる経済を重視して進んでまいりましたが、空洞化は国そのものの国力を弱めております。台湾では、国を挙げて産官学が技術開発に取り組み、外国人労働力の導入と、独自の生き残りを進めていると言われております。人口減少による労働力、生産力の劣化、人材難などの難題をどう解決して生き残り、どのような未来図を描いておられるのか、
国民に分かりやすく示すべきではないでしょうか。
英国のサッチャー元首相は、古い家を壊す前に建てるべき新しい家を示すべきだと言っています。アメリカの弱肉強食型
市場原理、自由主義と
我が国の社会平等主義の調和をどう
考えておられるのか。
我が国経済の生き残り策と、どのような方法で新しい家を建てようとしているのか、伺いたい。
平成十四年度は、
地方の税収も三・七%減の見通しであります。経常収支比率の危険水域である八〇%以上の
地方自治体は八割を超しております。実体は、
自治体としての役割を果たし得ません。
地方の在り方を見直す抜本的な
改革が必要であります。
市町村大合併は、明治二十二年に市町村を五分の一に、昭和に入って三分の一に、
平成には現在三千二百二十三から取りあえず千を目標に進められています。
小泉総理も片山総務大臣もまず合併をとおっしゃいますが、意識
改革だけでは、先ほどのゆでガエルではありませんけれども、システムを変えなければ前に進まないと思います。ドイツ連邦制をモデルにイギリスでもドイツ型を目指すと明言しております。
いずれは道州制、すなわち全国を十か十一ぐらいの州として、
自治体経営の最適規模である人口十五万から三十五万の市を二百五十から三百市として、国の役割を明確分離して、
地方分権ではなく
地方主権の連邦制が、グローバル化する時代に
地方を生き残らせると私は
考えます。
終わりに、私は今日ほど憂国の情深まることはありません。また、
政治家としての
責任を痛感いたします。私の郷里の偉人、吉田松陰先生の言葉「かくすれば かくなるものと知りながら やむにやまれぬ 大和魂」を
総理にお贈りし、
質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣小泉純一郎君
登壇、
拍手〕