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2002-07-23 第154回国会 参議院 法務委員会 第19号
公式Web版
会議録情報
0
平成
十四年七月二十三日(火曜日) 午前十時開会 ─────────────
委員
の
異動
六月五日
辞任
補欠選任
愛知
治郎
君
三浦
一水君 谷
博之
君
角田
義一
君 七月三日
辞任
補欠選任
柏村
武昭
君
小林
温君 七月四日
辞任
補欠選任
小林
温君 柏村
武昭
君 七月二十三日
辞任
補欠選任
福島
瑞穂
君
田嶋
陽子
君 ─────────────
出席者
は左のとおり。
委員長
高野
博師
君 理 事 市川 一朗君
服部三男雄
君
千葉
景子
君 日笠 勝之君
井上
哲士君 委 員 岩井
國臣
君 柏村
武昭
君
佐々木知子
君 陣内 孝雄君 中川 義雄君
三浦
一水君 江田 五月君
小川
敏夫
君
角田
義一
君
浜四津敏子
君 平野 貞夫君
発議者
千葉
景子
君
発議者
小川
敏夫
君
委員
以外の議員
発議者
福島
瑞穂
君
発議者
小宮山洋子
君
発議者
井上
美代君
発議者
林 紀子君
国務大臣
法務大臣
森山
眞弓
君 副
大臣
法務
副
大臣
横内 正明君
大臣政務官
法務大臣政務官
下村 博文君
事務局側
常任委員会専門
員 加藤 一宇君 ───────────── 本日の
会議
に付した
案件
○
人権擁護法案
(
内閣提出
) ○
民法
の一部を
改正
する
法律案
(第百五十三回国
会千葉景子
君外九名
発議
)(
継続案件
) ─────────────
高野博師
1
○
委員長
(
高野博師
君) ただいまから
法務委員会
を開会いたします。
委員
の
異動
について御報告いたします。 去る六月五日、
谷博之
君及び
愛知治郎
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
角田義一
君及び
三浦
一水君が選任されました。 また、本日、
福島瑞穂
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
田嶋陽子
君が選任されました。 ─────────────
高野博師
2
○
委員長
(
高野博師
君)
人権擁護法案
を
議題
といたします。
政府
から
趣旨説明
を
聴取
いたします。
森山法務大臣
。
森山眞弓
3
○
国務大臣
(
森山眞弓
君)
人権擁護法案
につきまして、その
趣旨
を御説明いたします。
我が国
におきましては、
日本国憲法
の下、すべての
国民
は
基本的人権
の享有を妨げられず、
個人
として尊重され、法の下に平等とされております。しかし、今日におきましても、不当な
差別
、
虐待
その他の
人権侵害
がなお存在しており、また
我が国社会
の
国際化
、
高齢化
、
情報化
の
進展等
に伴い、
人権
に関する様々な
課題
も見られるようになってきております。 このような
情勢
にかんがみ、
平成
八年十二月、
人権擁護施策推進法
が制定され、この
法律
により設置された
人権擁護推進審議会
におきまして、
人権
が侵害された場合における
被害者
の
救済
に関する
施策
の充実に関する
基本的事項
について
調査審議
が重ねられてまいりました。そして、同
審議会
により、
平成
十三年五月に
人権救済制度
の
在り方
についての
答申
がなされ、同年十二月に
人権擁護委員制度
の改革についての
追加答申
がされました。 そこで、この
人権擁護推進審議会
の
答申
を踏まえ、
人権
の
世紀
と言われる二十一
世紀
におきまして、
現行
の
人権擁護制度
を抜本的に改革し、
独立行政委員会
である
人権委員会
の下に、
人権侵害
による
被害
の実効的な
救済
と
人権啓発
の
推進
を図るため、この
法律案
を
提出
する次第であります。 この
法律案
の要点を申し上げますと、第一に、不当な
差別
、
虐待
その他の
人権侵害
をしてはならないことを明らかにしております。 第二に、新たに
独立
の
行政委員会
としての
人権委員会
を
法務
省の外局として設置することとしております。
人権委員会
の
委員長
及び
委員
は、両議院の同意を得て
内閣総理大臣
が任命するものとし、その
職権行使
の
独立性
を保障することとしております。 第三に、
人権擁護委員
について、
答申
を踏まえて
所要
の
規定
を整備し、
現行
の
人権擁護委員法
は廃止するものとしております。 第四に、
人権委員会
を主たる
実施機関
とする
人権救済制度
を創設し、その
救済手続
その他必要な
事項
を定めております。 この
人権救済制度
には、あらゆる
人権侵害
を
対象
として任意の
調査
及び
救済
を行う
一般救済手続
と、不当な
差別
、
虐待等
について、過料の制裁を伴う
調査
をし、調停、仲裁、勧告、公表、
訴訟援助
を行う
特別救済手続
とを設けております。
報道機関
による
犯罪被害者等
に関する一定の
人権侵害
についても、表現の自由に十分配慮しつつ、
特別救済手続
の
対象
としております。なお、
労働分野
における
人権侵害
については、
厚生労働大臣
及び
国土交通大臣
もこの
人権救済手続
を行うこととしております。 第五に、この
法律
は、
平成
十五年四月一日から同年七月三十一日までの範囲内において政令で定める日から施行することとしております。 以上がこの
法律案
の
趣旨
であります。 何とぞ、慎重に御
審議
の上、速やかに可決くださいますようお願いいたします。
高野博師
4
○
委員長
(
高野博師
君) 以上で
趣旨説明
の
聴取
は終わりました。 ─────────────
高野博師
5
○
委員長
(
高野博師
君) 次に、
民法
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
といたします。
発議者千葉景子
君から
趣旨説明
を
聴取
いたします。
千葉景子
君。
千葉景子
6
○
千葉景子
君 ただいま
議題
となりました
民法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、
発議者
を代表して、その
趣旨
及び
内容
の
概要
を御説明申し上げます。 戦後、
個人
の
尊厳
と両性の本質的平等を
基本理念
とする
家族法改正
が行われましたが、
改正作業
が急を要したため、旧
家族法
の
規定
をそのまま継承した部分が相当多くあり、
近代化
、
民主化
の点では必ずしも十分とは言い難く、将来における
改正
を
課題
としたまま施行されました。 こうした経緯から、昭和二十九年という早い段階から
法制審議会
において
家族法
の全面的な見直しのための
審議
が行われましたが、当時から既に
夫婦
の氏については、
夫婦異姓
を
認むべ
きか否か等の問題につき、なお検討の必要があるとされていました。 その後、約半
世紀
の間に、
我が国
の
社会経済情勢
、
国民生活
の著しい変化に伴い
家族
の
状況
は変容し、
個人
の
人生観
、
価値観
も多様化し、
婚姻
に対する意識は大きく変わってきています。 また、
女性
の
社会進出
に伴い、
婚姻
によって氏を改めることが社会的な
不利益
、
不都合
をもたらす
事態
が増加する一方、
少子社会
の
進展
によって、家名を維持するために
婚姻
をちゅうちょする
事態
も生じてきたため、この
解決策
として
夫婦
の氏の
在り方
を見直す必要があります。
法制審議会
は、
平成
八年二月、
個人
を尊重し、
男女
間の対等な関係を確立しようとする
観点
から、
選択的夫婦別
氏制の
導入
を軸とする
婚姻制度等
の
改正要綱
を決定し、
法務大臣
に
答申
しました。その後、六年以上経過しましたが、この
答申
に基づく
政府
の
民法改正案
はいまだ
国会
に
提出
されるに至っておりません。
政府
が昨年五月に実施し、八月にその結果が公表されました
選択的夫婦別
氏
制度
に関する
世論調査
では、
選択的夫婦別
氏
制度導入
に
賛成
が四二%、
反対
が三〇%と、
賛成
が
反対
を大きく上回り、
前回調査
より
制度導入
に理解を示す人が一段と増えております。特に、結婚を控え、同
制度導入
によって影響を受ける世代である二十代、三十代では、
男女
とも八割前後の人々が
制度導入
を容認しております。 また、
内閣
府の
諮問機関
である
男女共同参画会議
の
基本問題専門調査会
は、
選択的夫婦別
氏
制度
の
導入
を
内容
とする
民法改正
が進められることを希望する旨の
中間まとめ
を昨年十月に取りまとめております。 このような
状況
を踏まえ、
森山法務大臣
は
選択的夫婦別
氏
制度
を
導入
する
政府案
の
提出
に向けて積極的な姿勢を示されてこられましたが、今
国会
への
政府案提出
は難しい
状況
となっているようです。また、与党内でも
実現
に向けた様々な努力がなされていると承知しており、その成果も併せ、
国会
で
論議
が進むことを期待するものです。しかし、残念ながら、自民党の一部にある強い
反対意見
のために
論議
が進まないまま、この問題の
解決
に余りに時間が掛かっているため、現に事実婚が増えてくる兆しも出ております。そのために、法的に不安定な立場を余儀なくされるケースも生じております。
選択的夫婦別
氏
制度
がないために困っている
人たち
の
不都合
が解消され、
選択
の余地が少しでも増えるよう、一刻も早い
選択的夫婦別
氏
制度
の
導入
を目指さなければなりません。 本
法律案
は、このような
状況
の中、
男女
平等の
実現
に向けて、
法制審議会
の
答申
の
趣旨
に基づきつつ、その
内容
をより
進展
させようとするものであります。 以下、本
法律案
の
内容
の
概要
につきまして御説明申し上げます。 第一に、
婚姻
の
成立要件
につきましては、
婚姻適齢
を
女性
について二歳引き上げて
男女
とも満十八歳とするとともに、
女性
の
再婚禁止期間
を
現行
の六か月から百日に短縮するものとしております。 第二に、
夫婦
の氏につきましては、
婚姻
による改氏で生ずる
不利益
、
不都合
の解消、多様な
価値観
の
許容等
の
観点
から
選択的夫婦別
氏制を
導入
し、
夫婦
が
婚姻
の際に同氏を称するか、別氏を称するかを
選択
することができるものとしております。 なお、
改正法施行
前に
婚姻
した
夫婦
につきましては、
改正法施行
後二年以内に
夫婦
の合意に基づいて届け出ることにより別氏
夫婦
となることができるものとしております。 第三に、別氏
夫婦
の子は、その出生の際に父母の
協議
で定める父又は母の氏を称するものとし、その
協議
が調わないとき、又は
協議
することができないときは、
家庭裁判所
は父又は母の請求により
協議
に代わる審判をすることができるものとしております。 また、別氏
夫婦
がともに
養子
をする場合において、
養子
となる者が十五歳以上であるときは、
縁組
の際に
養親
となる者と
養子
となる者の
協議
で定める
養親
のいずれかの氏、
養子
となる者が十五歳未満であるときは、
縁組
の際に
養親
となる者の
協議
で定める
養親
のいずれかの氏を称するものとしております。 第四に、
相続
の効力につきましては、
個人
の
尊厳
や平等を重視する
観点
から、また子供に対する
差別
の
禁止
を定める子どもの
権利条約
の
趣旨
にかんがみ、
嫡出
でない子の
相続分
を
嫡出
である子の
相続分
と同一としております。 このほか、
所要
の
規定
の整備を行うものとしております。 以上がこの
法律案
の提案の
趣旨
及び
内容
の
概要
であります。 何とぞ、慎重に御
審議
の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
高野博師
7
○
委員長
(
高野博師
君) 以上で
趣旨説明
の
聴取
は終わりました。 本日はこれにて散会いたします。 午前十時十分散会