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2002-06-06 第154回国会 参議院 農林水産委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年六月六日(木曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  六月四日     辞任         補欠選任      松井 孝治君     榛葉賀津也君      宮本 岳志君     市田 忠義君  六月五日     辞任         補欠選任      小泉 顕雄君     松山 政司君  六月六日     辞任         補欠選任      榛葉賀津也君     大塚 耕平君      市田 忠義君     宮本 岳志君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         常田 享詳君     理 事                 太田 豊秋君                 国井 正幸君                 田中 直紀君                 和田ひろ子君                 紙  智子君     委 員                 岩永 浩美君                 加治屋義人君                 岸  宏一君                 小斉平敏文君                 野間  赳君                 松山 政司君                 小川 勝也君                 大塚 耕平君                 郡司  彰君                 羽田雄一郎君                 鶴岡  洋君                 渡辺 孝男君                 宮本 岳志君                 岩本 荘太君                 中村 敦夫君    衆議院議員        農林水産委員長  鉢呂 吉雄君    国務大臣        農林水産大臣   武部  勤君    副大臣        農林水産大臣  野間  赳君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       岩永 浩美君    事務局側        常任委員会専門        員        山田 榮司君    政府参考人        公正取引委員会        事務総局経済取        引局取引部長   楢崎 憲安君        厚生労働省医薬        局食品保健部長  尾嵜 新平君        農林水産省総合        食料局長     西藤 久三君        農林水産省生産        局長       須賀田菊仁君        農林水産省経営        局長       川村秀三郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農林物資規格化及び品質表示適正化に関す  る法律の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付) ○牛海綿状脳症対策特別措置法案衆議院提出)     ─────────────
  2. 常田享詳

    委員長常田享詳君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨五日、小泉顕雄君が委員辞任され、その補欠として松山政司君が選任されました。  また、本日、榛葉賀津也君委員辞任され、その補欠として大塚耕平君が選任されました。     ─────────────
  3. 常田享詳

    委員長常田享詳君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林物資規格化及び品質表示適正化に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長楢崎憲安君、厚生労働省医薬局食品保健部長尾嵜新平君、農林水産省総合食料局長西藤久三君、農林水産省生産局長須賀田菊仁君及び農林水産省経営局長川村秀三郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 常田享詳

    委員長常田享詳君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 常田享詳

    委員長常田享詳君) 農林物資規格化及び品質表示適正化に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 松山政司

    松山政司君 自由民主党の松山政司でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  早速でございますが、質疑に移らせていただきます。  まず、JAS法でございますが、このJAS法は、昭和二十五年、農林物資規格を定めるために制定をされましたが、その後、昭和四十五年には品質表示基準制度を創設して今日に至っているわけですが、このように長い歴史を有しておりますけれども食品衛生法不当景品類及び不当表示防止法など食品表示に関する法律がある中で、JAS法品質表示基準制度消費者に対してどのような役割をこれまで果たしてきたか、その成果も含めて、改めてまず冒頭に、大臣に御所見をお聞きしたいというふうに思います。
  7. 武部勤

    国務大臣武部勤君) 食品表示生産者消費者を結ぶ接点でありまして、昭和四十五年に果実飲料など一部の食品に関しまして品質表示制度が設けられたわけでございますが、自来、消費者が日々安心して食品選択するための情報提供というその手段としての役割を果たしてきたところであろうと、かように存じます。  特に平成十一年には、急速に商品多様化が進んでいる状況を踏まえまして、消費者への情報提供強化する観点からJAS法改正いたしました。それまで個別の食品ごと品質表示基準対象としていたものを、生鮮食品を含むすべての飲食料品品質表示基準対象といたしまして、原産地表示などの義務付けをしてきたところでございます。  このように、JAS法に基づく品質表示は、消費者食品選択する際の重要な情報を提供するものということで、制度充実強化を図りつつ、消費者の利益の保護に寄与してきたものと、かように考えております。
  8. 松山政司

    松山政司君 ありがとうございます。  それでは、今後の食品表示制度在り方という観点からお伺いをさせていただきたいと思います。  今年の四月二日に提出をされましたBSE問題に関する調査検討委員会報告でございますが、この中に、食品表示在り方は、消費者にとって安全性の確保や品質確認選択の保障という消費者権利にかかわる問題である、この間の一連偽装虚偽表示防止及び消費者権利を最優先して保障するために、現在の各種表示制度を一元的に検討してその在り方を見直す必要がある、このために消費者も参加する検討の場を設けて、その在り方を至急に検討することが必要であるということを提言をしております。  その場合には、各法律における表示制度制定背景や目的、あるいは表示制度を遵守させるための手段がそれぞれ異なるために、この表示制度在り方を根本から議論をしていく必要があろうかと思います。例えば、この食品表示制度におけるそもそも公益とは何かということ、そしてだれを保護するのか、そして最低限どの程度表示義務付けることが必要であるのか、また監視体制をどうするのか、そしてその罰則をどうしていくかと、こんな論点を詰めていく必要があろうかと思います。  現在、この食品表示に関しては、二月八日に農林水産省食品表示制度対策本部、二月十九日に食品表示関係省連絡会議が設置をされて、農水省厚生労働省中心になって、内閣府、公正取引委員会も参画をして、明日、六月七日に食品表示制度に関する懇談会開催をされるというふうにお聞きをいたしております。  そこで、今後、食品表示制度在り方について、どのような方針の下に、そしてどのような体制で、そしていつまでに検討を進めようとしているのか、その辺をお伺いさせていただきたいと思います。
  9. 野間赳

    ○副大臣野間赳君) 食品表示制度につきましては、JAS法並びに食品衛生法等複数法律に規定をされておりまして、同じ表示項目に異なる用語が使われる場合があることなど、消費者にとって非常に分かりにくいとの指摘がございます。  こうしたことから、厚生労働省などとともに連携をいたしまして、消費者の方々の参加を得まして、食品表示制度に関する懇談会第一回目を、先生指摘のとおり、明六月七日に開催をすることといたしております。  農林水産省といたしましては、この懇談会の場におきまして、食品表示制度在り方につきまして一元的に検討をしていただきまして、その議論を踏まえ、この夏を目途に中間の取りまとめを行ってまいりたいと考えております。
  10. 松山政司

    松山政司君 ありがとうございました。  続きまして、この品質表示基準周知徹底という観点からお伺いをさせていただきたいと思います。  平成十二年の七月一日から生鮮食品については名称原産地等表示義務付けをされたと。農林水産省は、表示実施状況について農林水産消費技術センターを通じて全国の店舗対象とした表示実態調査を行っておられますけれども、この実態調査の中で、販売している野菜の全部に原産地表示している店舗割合、この推移を見てみますと、第一回に平成十二年七月に行われたこの調査では、千四店舗で四六%と。第二回目に平成十二年十一月、千三十九店舗で四四・五%と。野菜については平成十三年の一月から二月、一万四千七百七十店舗では三一%というふうになっております。調査の数字で見る限り、この販売業者については品質表示基準が浸透していない状況を示す結果というふうに思います。まず、三回目の野菜品質表示に係る実態調査ですけれども制度を知らなかった、品質表示基準制度を熟知していないとする回答が五割を超えているという状況です。  他方、消費者における食品表示に関する意識は非常に高くて、平成十三年度の食料品消費モニターの第二回定期調査結果によりますと、表示義務付けられたことを知らなかったと回答した人は、生鮮食料品では四・七%、加工食品では三・三%にとどまっています。また、生鮮食品については五四・二%が表示産地確認して買うようになった、加工食品については四九・七%が表示原材料名賞味期限確認して買うようになったという回答をされています。  昭和四十五年のJAS法改正からこの品質表示基準の概念が示されて、平成五年の改正JAS規格以外の品目についてもこの品質基準が適用され、さらに、平成十一年に飲食料品のすべてについて義務付けがされて二年がたったと。このような手順と期間を置いていたにもかかわらずに、販売業者間でこの制度に対して周知が図られていないと。  この実態については、どうしてなのかということ、そしてその原因は何なのかということを、非常に個人的には、適当でいいという、そういう認識が定着しているのではないかというふうに思ったりするわけでありますが、その辺をお聞きしたいというふうに思います。
  11. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) JAS制度の下での品質表示状況経緯につきましては、ただいま先生から御指摘がありましたように、昭和四十五年に品質表示制度を創設以来、順次拡充強化を図ってきたと。  ただ、すべての飲食料品、特に生鮮食料品すべてについて原産地等表示していただく形でお願いするようになったのはさきの平成十一年の制度改正で、平成十二年の七月から実行をしてきているという状況でございまして、その間、私ども累次にわたって施行状況調査実施してきております。  これも先生の御質問の中に出ておりましたが、一回目、二回目は店舗数も千店舗程度ということで比較的小規模な追跡調査実施いたしております。昨年春に実施いたしました三回目が本格的な調査と申しますか、一万二千五百店舗程度調査するという状況調査をさせていただきました。そこでのすべての野菜について原産地表示している店舗割合専門小売店を含めて全体の三割という状況になっております。  ただ、この中身を多少見てみますと、いわゆる百貨店とかスーパー等量販店では、百貨店では八割以上表示しているものを含めますとほぼ一〇〇%、量販店では七五%、四分の三はほぼ表示しているという状況もございますが、残念ながら一般小売店といいますか専門小売店での実施状況が低いという状況がございました。こういう状況のときに、私ども併せて不表示状況について確認をいたしておりますけれども表示制度に関する理解の不足という言い方があれかと思いますが、聞かれれば口頭で答えるので表示は不要だと思っていたとか、あるいは販売業者の負担の問題、仕入れが毎日異なるので手間が掛かり過ぎる等というような要因指摘されております。  私ども、そういう点では、本格的な品質表示ということで間もなく二年を迎えるわけですけれども、やはりいろんな媒体を利用して周知徹底し、関係者理解と協力の中で表示制度実行していくと。先生の御指摘にありましたように、正に消費者生産者をつなぐ一つのきずなでございますので、消費者はこれを基に商品選択しているという御回答もいただいております。私ども、いろんな形で周知徹底を図っていくと。特に、小売業者の方で非常にコストも掛かるという御指摘に対しても、共同でラベルプリンターの導入への支援というようなことも実行し、周知徹底を図っていきたいというふうに思っております。  ただ、体系的に私ども調査をいたしました状況が昨年の春までの状況でございますが、その後いろんな偽装表示等があって、私ども現場でモニタリングを実施しておりますが、そういう担当者の感触ということから見ますと、今年一月以降表示問題がいろんな形で関心を呼んだこともあって、青果物、水産物についての表示実施率は現状ではかなり高くなってきているという状況報告をもらっているという状況にございます。
  12. 松山政司

    松山政司君 はい、ありがとうございます。  是非、この制度上のいろんな問題点、今のような今後の対応をよろしくお願いしたいというふうに思います。  続きまして、原料原産地表示という観点から御質問させていただきます。  加工食品については平成十三年の四月一日からこの名称原材料名内容量賞味期限保存方法製造業者等の氏名、名称、住所と、これを一括表示することが義務付けられましたけれども、加えて平成十三年の十月からは梅干しラッキョウ漬けに対して原材料がどこの産地で取れたかまで表示することが義務付けられました。今年の、十四年二月からは水産加工品塩サバ、アジ・サバの開き、ウナギ、塩蔵・乾燥ワカメと、そして今年の四月からは農産物の漬物、そして六月からかつお削りぶしと、この八品目については表示をすることになったわけですが、更に冷凍野菜についてはまだこれが義務付けられていないと。WTOに対しても手続途上にあるというお話も聞いておりますし、野菜缶詰についても検討中というふうに今聞いているところでございます。  この原料原産地表示義務付けに関しては、原材料産地のみが強調されて地元で養われた加工技術が評価されないとの意見も聞きますが、どこの原材料を使い、どの地でどのように加工したかを正確に表示していくということは、この原料生産者加工業者消費者それぞれにメリットを有するものでありますし、食の安全、安心を確保する、特に海外のものも含めて国民の健康や、もっと言えば国民の生命を守るという観点から極めて重要な制度だというふうに思います。  この原料原産地表示義務付け個別品目ごとに精査をした上で行うことになっていますけれども、今後この対象品目を拡大していくべきだと考えています。ただ、加工業者にとっては手間が掛かる上に、従来の表示ができなくなるために売行きを非常に懸念しているという声もございますし、不正表示を行う可能性も逆に出てくるんではないかと思います。  この辺の事情も加味した上で、加工食品における原料原産地表示是非をしっかりと議論しておく必要があると思いますけれども、この辺の見解をお伺いしたいというふうに思います。
  13. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 加工食品原料原産地表示の問題の経緯先生指摘のような経緯で現在実行をいたしておりますが、加工食品原料原産地を記載することについての幾つかの問題点がございます。  加工食品の中には非常に多くの原材料で構成されているものがあることから、かえってその表示消費者にとって非常に分かりにくい表示になってしまうというような議論。  例えば、この例がいいかどうかはあれですけれども、私ども漬物原料原産地議論のときに、先生指摘のありました梅干しとかラッキョウ漬け漬物ですと、ほとんどが単体での漬物ですので、梅干し原料原産地だけを記入すればそれで分かる、あるいはラッキョウ原料原産地だけで分かるということですが、漬物の中でも例えば福神漬けという漬物、そうしますと、原料が非常に多岐にわたるときにどこまで表示するかと、かつそれが七品目とか八品目、それもいろんな産地が交ざってくる場合、現実に表示が非常に複雑になってかえって分かりにくくなってしまう場合があるとかという指摘福神漬けの場合は多分、多いもので上位の三品目ぐらいが現在表示されている実情にあるんじゃないかというふうに思っておりますが、こういう非常に多岐にわたってかえって分かりにくくなるというような状況。  それと、国際的にも加工食品原産地表示、それは最終加工地ということで定義付けられておりまして、原料原産地表示までは国際的にもそういう義務付けが行われていないというような状況にあること。それと、信頼性のある表示という観点から、やはり一定の検証ということができるというようなことも、我々、信頼できる表示ということから念頭に置いていかなきゃいけないというような状況で、私ども、さはさりながら、一方、やはり非常に多様化している状況の中で、商品選択一つ情報として原料原産地を求める声があることもそのとおりでございますので、順次拡充強化いたしてきておりまして、今後も品目ごと状況を精査しながら順次対象品目検討してまいりたいというふうに思っております。
  14. 松山政司

    松山政司君 ありがとうございました。  続きまして、監視体制在り方についてお伺いをしたいと思います。  今年の一月二十八日、雪印食品関西ミートセンターにおいての虚偽原産地表示を行った疑いが明らかとなったと。これ以降、農林水産省は、五月までに雪印食品のほかに十二業者十四件に対して立入検査指示を行ったというふうに聞いております。その中でも、加工食品品質基準違反あるいは原産地表示等生鮮食品違反もかなりあったと。各都道府県においてもJAS法違反事例が多数摘発をされたというふうにお聞きをしております。また、都道府県が四月三十日までに食品衛生法に基づき立入検査実施しました。この結果は、食品衛生法違反する事例四千三百三十件と確認されたということであります。  幾つかの業者実態を取り上げてみても、とにかくこの虚偽表示が常態化していた、こんな実態が明らかになったわけであります。  ところが、平成十一年のこのJAS法改正以降、雪印食品牛肉虚偽表示事件までの間に国がJAS法違反指示を出した事例というのは、平成十二年十二月の鯨肉について水産小売店水域名を誤ったというこの一件のみだったと。JAS法違反疑いがある場合に立入検査実施をされますけれども、この雪印食品事件前には三十二件の立入検査実施をされたと。その中では、以前ではたった一件しかなかったと。逆に、この事件後の今回の一連立入調査では十四件、多くのJAS法違反食品衛生法違反不正表示摘発をされたと。  これまでの国及び都道府県におけるこの監視方法に問題が、どこかに問題があったのではないかというふうに思うわけでありますけれども、その辺を検証を含めて御説明願えればと思います。
  15. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 改正JAS法施行と申しますか、十一年の品質表示拡充JAS法改正施行後、十二年、実際は七月以降ということになりますが、先生指摘のとおり、米穀以外で雪印食品問題が生ずるまで指示を行った件数は一件でございましたが、お米についてはこの間もかなりの件数指示を行ってきた状況はございます。  しかし、私ども雪印食品問題が生ずるまでとその後では、確かに御指摘のとおり、件数に非常に開きがあると思っています。これは、私ども、さっきも申しましたが、品質表示義務付けられて、まずは制度普及定着ということで、そういうことに重点を置いていたということが一つのあれだとは思いますが、あわせて、やはり監視体制など今までの私ども食品表示制度の運営あるいは現行のJAS法制度にもやはり改善すべき点があったんだというふうに認識をいたしております。
  16. 松山政司

    松山政司君 是非、引き続き、監視についてはしっかりした対応をお願いしたいというふうに思います。  全農チキンフーズが中国・タイ産の鶏肉を国産として偽装して販売した理由、これについては、BSEの影響で鶏肉需要が増大したために、その欠品がないようにするため、ほかの肉を混ぜたというふうに言われています。ほかの業者も同様であるという報道もされておりますが、この欠品を出すことで違約金を取られるのを恐れた卸売業者が無理をするという、そんな構造的な問題があるとの指摘もあります。  今回の一連虚偽表示について、意図的な偽装なのか、欠品対策であるのか、発生要因というのをどのように分析をしておられるのか、また、その対策を改めてお伺いしたいというふうに思います。
  17. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 私ども立入検査をし指示を行っていくに当たりまして、そのような虚偽表示が行われる背景についても併せて調査実施している状況にございます。  やはり、その中で販売業者から要因として、背景として挙げられるものとして一番多いのは、欠品させてはいけないということで、欠品対応だという主張が一番多うございます。あわせて、第二の理由としては、在庫処理というような要因もあるやに聞いております。  基本的には、私ども、これはやはり食品企業モラルと申しますか、企業倫理と申しますか、そういうところに一番の要因があるというふうに思っております。あわせて、小売サイド要因もあるかというふうに思っております。  そういう点で、前者につきましては、やはり企業倫理の確立、そういうことでの取組強化ということで、私ども食品産業全体のモラル向上徹底ということで、食品産業センターに対しまして、これは食品産業企業が多く会員になっておりますものですから、そこへ法令遵守なり倫理の維持についての自主的な取組強化するようお願いをし指導をしているという状況で、自主的な取組、いろんな形で現在行われる状況になってきております。  また、あわせて、流通段階の何と申しますか、小売店卸売業者等関係等についても、公正取引委員会とも情報交換をしながら、適正な競争が維持されるよう検討をしているという状況にございます。
  18. 松山政司

    松山政司君 監視体制完全実施、これをするのに必要な人員という観点からお伺いさせてもらいます。  今回の一連虚偽表示事件発生を受けて、農水省は二月十五日時点で約千五百人だった食品表示検査員を三月二十六日時点で三千三百人に倍増したと。機動的な対応には大変評価をしたいと思います。  ただ、このうち三千人ほどは食糧事務所の職員であると、米麦中心に取り扱っておるということで、それ以外は三百人ほどだというふうに聞いておるわけですが、この監視体制強化について検査員の増加は不可欠なものだと思います。実際どのレベルの、立入検査を行うにはどの程度の人数が必要と考えているのか、お伺いしたいと思います。
  19. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 食品表示監視体制につきましては、私どももその強化に努めていくことが重要だというふうに思っておりまして、先生指摘のように、検査に対応可能な職員数の増強を図ってきております。従前、約千五百名だったものを全体では約三千三百名ということで職員の増強、その中での職員構成として、三千三百名のうち三千名弱が食糧事務所の職員、食糧事務所に所属する職員という状況にございます。  ただ、この食糧事務所での職員が米麦だけの調査に当たっているかというとそうではございませんで、先ほど実施状況で御説明した、例えば野菜原産地表示実態調査、昨年の春に一万二千五百店舗調査したというふうに申し上げましたが、その大部分は食糧事務所調査をお願いいたしたという状況がございますし、この食肉の実態調査、二月末から実施しておりました食肉の実態調査、約五百三十店舗について全国で実施しておりますが、その約半数については消費技術センターと食糧事務所で共同で調査をするという状況対応いたしてきております。  こういう私どものと申しますか、食糧事務所なり消費技術センターの職員のそういう調査、検査と同時に、広く国民から情報を受けるということで食品表示一一〇番の開設あるいは今もちょっと申しましたが、食肉の表示実態調査実施あるいは食品表示ウオッチャーの増設ということで、監視体制強化を行ってきております。  私ども、どれで十分だと、これで完全だという、なかなかそういう状況にございませんけれども、こういう体制の中で、不正事案の発見や原産地表示実施率の向上ということにつながってきているというふうに私ども思っておりまして、今後も、大臣からの強い御指示もあり、不正は見逃さない、そういう方針の下で、食品表示の実効性が確保されるよう、今申し上げたような様々な取組を組み合わせることによって監視体制強化という形で取り組んでいきたいというふうに思っております。
  20. 松山政司

    松山政司君 ありがとうございます。  私が幾つかお聞きした中では、やっぱり先ほど申されました農林水産消費技術センターの職員、この中にも、食肉業界でこの道何十年という人でもなかなか、そういう人であれば見た目で分かるということもありますが、それも確実ではないと、そのようなお話もお聞きをしました。どれだけ判断能力を持っておるかということもあろうかと思いますし、またコストの面等々も大変問題になってくるというふうに思います。  そういった意味で、農林水産省食品検査員を倍増したという今の、非常に前向きに御努力いただいてはおりますけれども、なかなか技術の習得やそういった面では一層の努力をしていただかなければならないような状態だというふうに思っておるわけでございますが、今現状で、公務員の定員削減等々もある中で、国や都道府県とも食品検査員の専従者を増加するということについては非常に限界があろうかと思いますし、専従者の養成も短期間では非常に難しいところもあろうかというふうに思います。また加えて、若手の人材を大量に採用するということも非常に厳しい状態にあるというふうに思います。  そこで、ひとつ先般、熊本に「あ〜消費者の目」という団体がありまして、ここは自主的に平成十一年に、熊本県の八代市、精肉業牛島孝治さんという方がボランティアで、七人のプロの目でスタッフ、プロジェクトを作って、これまでに二千八百五十店舗調査をして六四%の販売店で不適切な原産地表示を見付けたということも報道されておられますが。  これは大臣にお聞きしたいんですけれども、民間のそのような任意のグループあるいはNPO、そういう食品検査技術を有する法人、いわゆる第三者機関というものにモニタリング調査立入検査を委嘱するということはできないかどうか。また、経験や知識とも豊富な食品検査員、経験のあるOBを組織立てしてこの監視業務を行ってもらうということは考えられないかどうかということ、農林水産省の機関だけでは表示内容チェックに物理的にも技術的にも大変限界があるのではないかというふうに思っておりますし、この外部委託の手法を採用すればコストも抑えられると思いますし、監視の効果ということをより上げることができるのではないかと思います。  また、もう一方では、今の時代、六十歳定年と言われていますけれども、大変、大いに元気で大きなパワーを持ったそんな高齢者の方々の活力、パワーを導入することで社会にも随分貢献するんではないかというふうに思いますけれども、御見解をお伺いしたいと思います。
  21. 武部勤

    国務大臣武部勤君) 食品表示に対する監視体制強化するために、NPO法人あるいは高齢者、長年いろいろ経験のある方を活用することについてのお話でございましたが、JAS法第二十条第二項に基づきまして立入検査を行える職員というのは、先ほど局長からお話しさせましたように約千五百人から三千三百人へと大幅に増強したところでありますけれども、これらの検査職員の専門知識を向上させるための研修ということを今後も実施していかなければならないと、このように思っているわけでございます。  委員指摘のように、専門的な知見を有する高齢者あるいはNPO法人などについても、こうした研修の講師でありますとかそういったことをお願いすることが一つ考えられるんじゃないかと、こう思いますし、今後どのような方法で協力いただけるか、少し検討をしてまいりたいと、このように思います。
  22. 松山政司

    松山政司君 ありがとうございました。  それでは、続きまして公表制度についてお伺いしたいと思います。  この改正案でございますけれども、現行法の第十九条の九第三項、「農林水産大臣は、前二項の指示に従わない製造業者又は販売業者があるときは、その旨を公表することができる。」との規定を削除するだけだと思うわけですが、これによって公表の弾力化、すなわち農林水産大臣は必要なときに公表をすることができると説明されています。  ただし、農林水産大臣指示即公表できることは規定がされておりませんで、公表するかどうかは行政の裁量にゆだねられることになります。公表が行われた場合、雪印食品のように当該企業が倒産に至る可能性があるわけで、状況によっては強力な制裁手段になる公表について、行政の恣意的な運用を排除して一定のルールに基づく適用が行われることが必要となると思います。  例えば、指示をしなくて公表をするのか。指示をした場合、例外なく公表していくのか。指示はどのような事実関係のときに出していくのか。その指示をした後、具体的にいつの時点で公表をするのか。どのような形式、手順で行っていくのか。また、公表しないということはあり得るのか。そういうことを事前に明らかにしておくことが必要だというふうに思います。この指示あるいは公表についてのガイドラインを作成するのかどうか。  また、加えて、国と都道府県の間で運用に当たって意思の統一を図っておかなければ、適切そして迅速な対応を取ることが困難であるというふうに予想されます。この国と都道府県、あるいは都道府県の中の間でJAS法違反者に対して指示を出す基準に差がある場合には、業者間にも大きな不公平をもたらすことになります。  そのガイドラインの内容としてどこまで策定しておくのがよいのか、またJAS法の運用に当たって国と都道府県でどのような協力・連携体制を取っていくつもりでありますのか、お伺いしたいというふうに思います。
  23. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) JAS法に基づく指示、公表の取扱いでございますけれども、正に公表は消費者食品選択する際に重要な情報を提供する、そういうために行うものであることから、偽装表示確認指示を行った、そういう場合には原則として正に公表するということになると考えております。情報公開法等の趣旨を踏まえれば、正にそういうことになるだろうというふうに思っております。  その場合、具体的に若干、私ども現在思っておりますことを申し上げますと、偽装表示そのものは事業者の公表されない正当な利益を有しているということは言い難いということから、指示を行うと同時に、やはり偽装表示の場合であれば公表するということになるというふうに考えておりますし、ただ、原産地表示していない場合は消費者選択を誤らせないために直ちに表示を行うよう指導するということになるんではないかと。また、単純ミスといいますか、継続性がなく一時的に異なる原産地表示されていたことが明らかな場合、そういう単純ミスな場合であり、なおかつ指導により直ちに改善されるような場合には指導にとどめ、指示、公表は行わないことになるんではないかと思っております。  いずれにせよ、この考え方につきましては、私ども消費者生産者等から構成されます農林物資規格調査会の直近の会議に諮って御意見を承って、透明に対応していきたいというふうに思っております。  また、地方公共団体との関係でございますが、公表の方針につきましては地方公共団体にももちろん周知徹底するとともに、具体的事案についても関係地方公共団体と十分連絡を取って対応していきたいというふうに思っております。
  24. 松山政司

    松山政司君 是非その辺のガイドラインは明確にお願いしたいというふうに思います。  関連して、罰則強化の件でございますけれども、この改正案では、要するに個人については一年以下の懲役を導入し、罰金を五十万円以下から百万円以下に引き上げる、法人については五十万円以下から一億円以下に大幅に引き上げることとして、個人、法人ともに罰則が強化をされているわけですけれども、この罰則が適用されるのは農林水産大臣の改善命令に従わない場合に初めて適用される、指示あるいは改善命令に従えば罰則の適用がないわけであります。  あえて大臣の命令に逆らってまで不正表示をしようという者がおるとは思えないわけでありますけれども、この刑罰を重くするという意味といいますか、抑止効果が従来とどういうふうに変わっていくのかという点、それから、罰則の強化によってJAS法違反に対する抑止効果を本当に期待をするのであれば、指示、公表、改善命令の過程を踏まずに、JAS法違反という事実に対して直接刑罰を科す方法も考えられるわけでありますけれども、かといっても、小さな地方の個人商店等々の今の現状を考えると、そうもいかない状況もあろうかと思いますけれども、将来的には、やはりこれについては、少々時間が掛かってもやっぱり徹底する方向に持っていかなければならないと思うわけでありますが、この辺の御見解をお伺いしたいと思います。
  25. 武部勤

    国務大臣武部勤君) 不適切な表示があったときには、行政の指示により事業者の自主的な改善を促すということが、より迅速な表示適正化消費者の利益の保護につながるとの考えから、是正措置として指示、命令という手続を経ているものでございます。こうした考え方については、現在においても一つの理念として適切だと、こう考えております。  しかし、従来の規定では、罰則が少額の罰金となっているために虚偽表示の抑止力が不十分であるという問題があったことを踏まえまして、今回、罰則の強化を内容とする改正法案を提出させていただいたわけでございますが、食品衛生法や不正競争防止法においては、違反行為に対しましてはいわゆる直接の刑罰規定を設けているわけでございますが、JAS法以外にこれらの法令への違反が疑われる場合には、必要に応じて、これらの担当部局とも十分に連携するということをもって表示適正化を図ってまいりたいと、このように考えている次第でございます。
  26. 松山政司

    松山政司君 ありがとうございました。  時間になりましたので、私の質問はこれで終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  27. 国井正幸

    ○国井正幸君 自由民主党の国井正幸でございます。  まず、JAS法の審議に入る前に、武部大臣の御発言の中身について確認をさしてもらいたいと、このように思っております。  大臣の表現が非常に分かりやすいというか、センセーショナルなものですから、いろいろ波紋を広げている部分がありまして、一つは農協改革の真意ですね。いわゆる農政改革をやっている、そういう中で農協改革もあるわけですが、特に、どうも、改革か、改革ができなければ、さもなければ解体かと、こういうふうなことで、その解体というのは一体どういうわけだということが、私も、これ農業協同組合運動に長く携わってきた者の一人として、とにかく地元なんかへ行くと、一体どういうことなんだろうという質問を受けるんです。おれが言ったわけじゃないからなかなか分からぬという話はしてきているものですから、この際、大臣のいわゆる農協改革に対する真意、これをまず冒頭にちょっとお聞かせをいただきたいと、このように思うんです。
  28. 武部勤

    国務大臣武部勤君) 農協系統の実態については最も詳しい国井先生でありますから、農協の現状を見て、どこをどのように改めたらいいかということについては一番よく熟知しているんじゃないかと、私はかように思うわけであります。  BSE発生を契機に、あの調査検討委員会報告においても、一九九六年の肉骨粉の取扱いについて行政指導にしたことは農林水産省の重大な失政だと、こういうふうに報告書では述べられているわけです。私は、これは大変厳しい御指摘だなと思いましたが、それを厳粛な気持ちで受け止めて、農林水産省の改革に着手しているわけでございます。  これは、改革ができなければ農林水産省解体だというぐらいの重いものとして受け止めて改革に邁進しようという決意を私は持っているわけでございますが、市場原理で世の中がどんどん変わりつつございます。その中で、今日の農業というものは大変困難な状況に置かれているということを考えますと、これを克服していくためには、私は、まずは生産者自身の組合であります農協がどのようにこの困難を乗り越えていくかという、そういう意識改革の下に決意を持って実行してもらわなけりゃならないんではないかと、私はこのように思うんです。  細かいことは時間の関係で余り申し上げられませんが、これから農協の周辺というのは、私の身近なところでも音を立てて変わってきていますよ。  一つは、こんな話聞きました。ある元の組合長ですが、年収四百万も与えているのに、お茶も出さなければ、お客さんが来てもあいさつをしないと。それで、こんな者とてもこの事務所で使っていられないから、Aコープの方に配置転換したんだと。私は驚いたですね。事務所でお茶も酌まない、あいさつもしない、そういう人を何で消費者、お客さん相手にするAコープに配置転換して物になるんだと。  私は、今コンビニエンスストアとかいろいろとどんどんどんどんできていますけれども、農協系統で言えば、全国ネットなんですから、ああいうAコープなんかはもうコンビニエンスストアみたいに分社化してやったらいいんでないかと、その組合長に話したことあるんですけれどもね。やっぱりかなりAコープ辺りも消費者離れしているんじゃないでしょうかね。  それから、組織が肥大化していまして、若い職員と私はいろいろ懇談しますと、目輝かして私と話したがるんですよ。なぜかというと、私の話というのは生の情報だからですよ。それで、もう本当に若い職員なんかは新しい情報を求めていますね。  それで、もう一つは、これは一つの悪い光景なんですけれども、農家の若い人たちがみんなで海外旅行をしたりしますね。海外へ研修に行ったりします。で、戻ってまいります。職員はそういったものを知らないんですね。外国の事情というのは、本見なけりゃ分からないと。本見た知識しかないというようなことで、自信持って指導もできないというような。そして、こうすべきだ、ああすべきだというものを上に上げようと思うと、理事でありますとか組合長でありますとかから、余計なことを言わなくてもいいというようなことを言われるというようなことも私も現場でたくさん聞いているわけなんです。  やっぱり農協が今の時代に最先端を行く改革をして、そういった生産者や若い農協職員の皆さん方の気持ちにこたえなければ、私は、これからトレーサビリティーというものの導入をいたしますと、消費者生産者の間というのは物すごく接近すると思うんです。もうインターネットによる取引も始まってきます。それから、野菜出荷安定法でも、大規模生産者が直接量販店とも取引が始まります。  そういうようなことになりますと、私は、農協はこの市場原理という波にもまれて変わらざるを得ないんじゃないかというふうに、このように考えるわけでありまして、私は本当に協同組織の原点に立ち返って改革に取り組んでほしいというふうに考えている次第でありまして、まあ私はちょっとセンセーショナルなことを言う癖がありますけれどもね。  改革か、さもなくば解体をたどる運命だと、こう言って、あっちこっちから私のところにも来ますよ。全中辺りから直接私のところへ言ってくりゃええのに、ぐっと迂回して北海道へ行って、そして地元の私の選挙で応援している農協の組合長を通じて来るんですね。これ、そもそもおかしいですよ。何か言いたいなら、私のところへ来りゃいいじゃないですか。そういう実態がおかしいんじゃないですか。  だから、私は、改革か解体かと言って全国的に少し問題を巻き起こしているというのは、私はいいきっかけになるんじゃないかと、このように思っているわけでありまして、国井先生を始め本当の、農協組織に対しまして物の言える指導者からそういったことをよくお伝えいただきたいと、私はこのようにお願いしたいと思います。
  29. 国井正幸

    ○国井正幸君 思いは聞かせていただきました。  しかし、私の知るところ、大臣が直接話された部分もそれも事実なんでしょうが、極めて、私から見ればごく一部のことだろうというふうに思っています。  マネジメントの部分、これはやっぱりしっかりやらなくちゃなりませんよ。これは農林水産省においても常例検査もあるわけですし、あるいは都道府県が機関委任事務で検査もしておると。これは運営検査もやっているわけでありますから、しっかりとやってもらうということでありますが、そういういわゆるマネジメントが十分でないということと併せて、協同組織を解体とかなんかというレベルとはちょっと私は違うというふうに思っているんです。だから、刺激は必要かもしれないが、余り過度な刺激で誤解を得るようなことは、決して私は農政改革をしていく上でプラスにはならないというふうに思っておるんです。なぜかと言えば、今、大臣の言葉からも一つ出ましたが、野菜の出荷安定法一つ取ってみても、あるいは米の生産調整一つ取ってみても、農協なり農業団体の協力なくして今農政は成り立ちませんよ。  そういう中で、十分、これはやっぱり車の両輪でありますので、効率的な経営に努めるような、これは指導については必要だというふうに思いますが、是非その辺は余り誤解を受けないようにしてもらいたいというふうに思っているんです。  あわせて、いわゆる株式会社化という問題については、これは私はちょっと違った形を考えているんです。  昔、これは御存じかどうか分かりませんが、農業協同組合なり農業協同組合連合会がこれは全国的に大変な再建整備の時期になったときがあるんですよ。特に、都道府県における購連とか販連、経済連の前身ですよ。なぜなったんだ。これはみんな株式会社化をやって、それで失敗したんですよ。これは事実なんです。それは新しき村の発想と同じで、世の中でこういう業をやっている、だから自分たちでその付加価値を取り込めばもっと良くなるんではないかということで、加工事業にいろいろやった。縄をもじる会社とか農機具を作る会社、でん粉を作る会社、挙げ句には炭を焼く会社、みんなやった。みんなそれ失敗した。そして、それが経営本体に大変な影響を及ぼしたんですね。  そういう中で、むしろ、付加価値を中に取り込むという発想も今でもあるわけですよ。だから、関連会社なりをどんどん作っている部分もあるわけですが、しかし、そこに競争原理がきっちり働かなければやっぱり、会社にしようが協同組織体でいようが、そんなことは同じことなんですね。しょせん同じこと。だから、むしろそういう中で、本来の農業協同組合のやるべき部分を特化をして、協同組織としてしっかりやるべきことだろうというふうに、私は過去の教訓の中で思っておる。  そういう中で、一つは、日本農業新聞、新聞情報連、これは今、農協組織、今度、株式会社化をする。これに対して強い農林水産省からの指導があったと、こういうふうに聞いておるんですが、これは局長で結構ですが、なぜいわゆる農協組織で存続することが具合が悪いのか。なぜ株式会社にする必然性があるのか。  これはやっぱり、私も事情はある程度は分かりますよ。会員は都道府県の事業連ですよ。それが全国連との合併になってきて会員数が少なくなる。しかし、それは、株式会社にしたって、それじゃだれが株主になるんだということになれば、そう違うものではない。全国連が株主になるわけだ。今の全国連の関連会社だって見てください、そういう状況なわけですよね。株式を公開して広く求めるわけではない。そういう中で、なぜ強力な行政指導をもってこれ株式会社にしなければならないのか。まだこれはうわさの段階ではあるけれども、全農そのものも会社にしたらいいんじゃないかなんという話も、そういう話もある。  しかし、その辺の、いわゆる協同組織として、非営利団体として、一人一人では弱い者がお互いに力を集めて何とか資本主義の中で自分たちの社会的、経済的地位をしっかり確保しようという、真っ向からこの協同組織、協同組合理論というか運動というものを全く無視するようなことではちょっと私は困るというふうに思っている。  だから、どういう見解で会社化というものを指導しているのか、その辺についてちょっとお聞かせをいただきたい。
  30. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今、委員お尋ねの新聞連、正式な名称は全国新聞情報農業協同組合連合会というわけでございますが、これにつきまして、今申されました株式会社の話を役所が主導的に指導したという事実はございません。  聞いているところによりますと、会員である連合会の合併が進む中で会員が減少いたしまして、組織としての弱体化が進んでいるということが一点。それからまた、発行部数につきましても、平成三年の五十五万部から平成十二年の四十万部へと縮小しているといったようなことから、系統組織におきます広報活動の重要性にかんがみますと、全国一千余りの単協でありますとかあるいは都道府県の中央会、また全国の中央会が株主として参画をして、農協系統組織全体として強力な広報体制を構築するために、本年八月に株式会社化を図るということと承知しておるところでございます。  農林水産省としましても、このことによりまして日本農業新聞が系統組織内の幅広い支援を得まして、取材体制強化等によって紙面を改革するとか、また今まで会員になれなかった中央会が会員等になることによってこの中央会と連携をした普及推進の強化、また消費者向けの情報媒体の開発等、いろいろ新規の事業にも展開が容易になるといったようなことで、系統組織の広報機関として本来果たすべき役割をより適切に発揮できるものではないかと考えているところでございます。
  31. 国井正幸

    ○国井正幸君 農林省が関与したことがないということならそれで結構ですが、ただ、この問題についてはもう少し私の方でも事情をちょっと調べてみたいと、このように思っています。  あわせて、これは経営局長の方にも申し上げておきますが、模範定款例。模範定款例はこれまでは農林水産省が作って示しておった。しかし、農協法の改革の中で、今度は自主的に団体側が模範定款例を作ってそれでやると、こういうことになっているわけですが、しかし、実態は、この間、これ、栃木でも問題があった、いわゆる理事の扱い。学識経験者というふうなことで入れるか入れないかの話で、これはなかなか局長思っているより現場は、一字一句違ったら認めないような方向でこれはやってきている事実があるわけだ。これは私も直接申し上げた。自主的に決めるということで、基本的な精神が変わらなければ、そんな文字なんか変わったっていいじゃないかと。なぜそんなことまでしっかりと規制しなくちゃならないんだと。形は、農林省で模範定款例を示したことと今度は全中が作ること、そんな、形を変えただけで同じじゃないか。そういう、全然、何というのかな、自主性だ自主性だと言いながら実態一つも変わっていない。  こういうことは、これは事実の問題なんで、よくその辺は、知らないとか、私は知らなかったとか何かという話じゃなくて、しっかりとこれは、局長はやっぱりそういうものを現場の職員までしっかり届ける義務があると思っているので、それは是非やってもらいたいと思います。  この新聞連の問題、後までちょっと私も留保させてもらいたいというふうに思う。  それと併せて、会社化会社化と言いますが、これはなぜ、協同組合はやっぱり非営利団体ですよ、利益を追求しない。しかし、やっぱりそこそこの利益が出なけりゃ組織を継続できませんから、そういうことでこれ成り立っているわけであって、これは株式会社ということにしていけば、それはやっぱりその会社は、設立の目的があったにしても、雪印だって見てくださいよ、元々は農民資本だ、そこからスタートした。だけれども、このいわゆるJAS法違反の問題だって、どんなことをしたのか。全く利益追求の組織だったというふうに私は思うんですね。  そういう意味で、是非、協同組織体として維持するべきものとやっぱり会社というものは別なんだということをしっかりと理解をしてもらいたい。これは要望をしておきたいというふうに思っています。  そういう中で、一つは、このJAS法の問題についてもちょっと私触れてみたいというふうに思っていますが、先ほども松山委員からの質問にもありましたが、偽装表示あるいは虚偽表示ですね、中には二つあると思っているんですよ。一つは偽ることによって利得を得ようとした行為と、それから契約があってそれを履行しようとするために、履行できなかったんでおっ付けて結局やったということと、二種類あると思っているんですね、二種類あると。  そういう中で、特にやっぱり農産物の特質というものがあって、なかなか、不作のときはどこも不作なんですよ、ある意味じゃね、その地域全体として。今度の野菜出荷安定法でも契約取引を推奨するということになっておるわけ、対象にするということになっている。あの法律のときに、もし不作で品物が手当てできないときに、ほかから買ってきて損をするかもしれない、そういうことまでちゃんとこの野菜の出荷安定法で見るということになっておった。しかし、これ、契約の仕方がしっかりしていなければ偽装表示なんだよね。そうでしょう。その産地じゃないものを、その当事者じゃないものを、作ったものでないものをほかから買ってくるわけだ。それを価格を補てんするという話だ。差損を見てやるという話。しかし、どこのだれのだれべえが作ったどうだと、その契約の在り方にもよりますよ。  だから、これらについても、やっぱり農林水産省は農作物の特質というものをよく見て、適切な契約が結ばれるように指導すべきだというふうに思っているんですよ。数合わせだけにはいかない。工業製品とは違う。その辺についてどうですか、局長
  32. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 私ども、今回の偽装表示に関連して立入調査実施する中で、偽装表示の再発防止という観点から、事実確認に加えまして、流通取引実態も含め、その偽装表示の原因となった背景についてもその把握に努めているという状況にございます。  こういう実態把握において、先生指摘のとおり、取引内容において言わばその欠品対策、契約欠品対策というような状況ございます。そういう点で、買手と申しますか、量販店等が言わば優越的地位、あるいは納入者に不当な不利益を与えるような事実があればということも含めて今回調査いたしている状況にございます。そういう状況があれば、私ども公正取引委員会ともやっぱり十分な連携を取っていかなきゃいけないというふうに思っております。  そういう点で、個々の契約の中身にかかわる話でもあるわけですけれども、私ども、やはり安定供給、長い目での安定供給という観点先生おっしゃるような農産物の特徴というものを踏まえた中での取引形態ということが必要だろうというふうに思っております。  そういう点で、流通形態がますます大規模小売店が最終小売の中で占める割合が多くなる中で、そういう大規模小売業者と納入業者の取引に関する実態についても把握をし、公正取引委員会とも十分連携を取っていきながら、公正な取引関係、実態に合った公正な取引関係が確保されるように努めていくことが必要だというふうに思っております。
  33. 国井正幸

    ○国井正幸君 それから、いわゆるJAS制度は、規格制度、いわゆるJASマークの規格制度と、それからこれまで議論になっている品質表示の基準制度と二つありますね。今回の改正はいわゆる品質表示の基準制度の方なんだね。  ちょっと、非常に不思議に思うんだが、同じJAS制度の中で、いわゆるJASマークを使ってよろしいと認可を受けていない者が例えば無届けでJASマークを付したということになった場合、産地を別の、偽って表示した場合は、これ法人は一億円以下の罰金ですわね。片っ方は、加工メーカー等が認可を得ていないのにJASマークを打っちゃったといった場合は一億円にならないんだね、これ。  むしろ、消費者サイドから見ると、産地を偽ったということもこれは重大な問題であるけれども、だから罰則を強化したことはこれは結構なことだと私は思っているんだ。しかし、少なくともJASマークを打つというのは法人ですよ。個人でJASマーク打つというのはほとんど考えられませんね。そういう法人が偽って、少なくともJASマークというのは信頼のブランドでそれなりに定着していると私は思うんですね。そういうものを認可を受けない者が使っちゃったと、使ったといった場合、なぜこれ品質表示に比べて罰則が軽いんですか、これ。いかに任意制度とはいえ、これはやっぱりうそ偽りをするということについて、それほど軽いものではないというふうに思うんです。  何で今度の改正の中で両方を同じ罰則にしなかったのか、その辺の理由はどういうわけ。
  34. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 今回、私ども法案を提出させていただいている背景は、正に最近の食品偽装表示の多発、そういう中で一般消費者食品表示に対する信頼を急速に失わせる、社会的に大きな問題になっている状況を踏まえての対応でございまして、食品偽装表示の再発を防止し、一日も早く食品表示に対する一般消費者の信頼を回復することが喫緊の課題になっているということから、緊急に品質表示違反違反業者名の弾力的な公表と命令違反者に対する罰則を強化するということを内容とする法案を提出させていただいているところでございます。  このように、表示違反については正に緊急に罰則の大幅強化を図る必要があると考えておりますが、JAS規格についてはこれまで違反事例がほとんど見られない、このようなことから、今回、JAS規格違反に対する罰則については見直しを行っていないという状況でございます。今後のJAS規格の運用実態を見ながら、必要に応じて検討してまいりたいというふうに思っております。
  35. 国井正幸

    ○国井正幸君 これは法律論になると思うけれども、一億円以下の罰金ということにすれば、百万円も一億円以下だし、三百万円も一億円以下ですよ、これは。  そういう意味からすると、どういうわけで一つ法律の中に二つの制度があって、いわゆる軽重を問う必要性があるのかと。どちらかというと、私は、件数があったとかないとか、ないのなら、こっちに罰則なんか付ける必要はないんですよ。しかし、罰則をもってやっぱり抑止効果を期待するということになれば、法人が認可も受けていないのにそれを使うという行為と、たまたま違った表示をしたという行為と比べてみたら、甲乙付け難いものがあるんじゃないでしょうか。  そういう意味で、以下ということだからその案件に照らしてどの程度がいいかというのは、これは司法当局が判断することでもあるわけですが、少なくとも、それはやっぱり包含するような改正を私はしておくべきであろう、このように思いますから、今後の課題としてひとつ十分検討をしてもらいたいというふうに思っています。  それから、私は、このJAS法違反の問題を受けても、やっぱり監視体制、これが今度は罰則を強くして実効性あらしめるものにしたいということなんですが、しかし、やっぱりこれは監視体制が伴っていないとだめだというふうに思うんですね。食品表示の一一〇番だとか、あるいは今募集中なんでしょうか、ウオッチャー制度とか、これやっている。しかし、やっぱりこういうものだけでは極めて不十分だというふうに思うんです。そういう意味では、農林水産省表示検査員体制、これは食糧事務所の職員等を中心にやっているようでありますが、ここをやっぱりしっかり私はやるべきだろうというふうに思っているんです。  それで、食糧事務所等、第一線でそういういわゆるJAS法違反があるかどうか調べる職員、これが立入検査する権限、それがあるのかないのか。あるいは、農林水産省の中でも、林野庁の職員、これ国有林に行って高山植物を取ったとか、いろんなことをするということになれば、これは司法警察官の職務を持っていますね。あるいは水産庁の職員も持っている。同じ農林水産省の中で司法警察官の職務を行える制度があるわけですが、なぜ食糧事務所等、いわゆるJAS法違反になるかどうかというのを調べる職員が、私が承知している範囲では立入り権限とか告発する権限とかこういうものが付与されていないようにお見受けをするんですが、なぜそういうことなんでしょう。それでもって実効性が確保できるというふうに思っていらっしゃるわけでしょうかね。いかがでしょう。
  36. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 先生指摘の、消費者表示を信頼して食品を購入できるようにするために監視体制強化していくということは非常に重要なことだというふうに私どもは思っております。  そういう点で、先生から御指摘がありましたように、私ども、今年一月以降、検査に対応可能な職員、この職員は立入検査実施する権能を有しておる、そういう職員でございますが、千五百名から三千三百名、先生指摘のように食糧事務所の職員を中心に大幅拡充強化をして、その中で実態調査立入調査実施してきている状況にございます。そのほか、表示一一〇番も実施しましたし、消費ウオッチャーも今日もう研修を始めておりますが、そういう取組強化いたしております。  私ども、そういう中で、不正は見逃さないという方針の下で、食品表示の実効性が確保されるようということで監視体制強化に一層取り組んでいるところでございますが、私ども、職員に警察権といいますか、先生おっしゃる犯罪捜査権あるいは逮捕などの警察権を持って監視活動を行うということにつきましては、やはり警察権、公共の安全と秩序維持に必要な最小限度においてのみやっぱり発動されるべきだろうというような見解もあり、慎重な検討が必要なのではないかというふうに思っております。
  37. 国井正幸

    ○国井正幸君 これはあれですか、それじゃもう一度確認しますが、農林水産省食糧事務所の職員になると思いますが、あるいは消費生活センターというか、そういうところの職員でしょうが、これはどこであろうと行って立入りして調べる、こういうことがやれる権能、権限を持っているし、またやらせることができるということですか。
  38. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 私ども、検査に対応可能な職員約三千三百名でございますが、食糧事務所の職員が二千九百八十名、そういう状況でございます。もちろん、身分証明書と同時に、大臣指示により、その都度立入検査できる権能をこの職員は有している状況にございます。
  39. 国井正幸

    ○国井正幸君 それは、いったん、入るということについて大臣伺いを立てて、そして大臣が許可した場合ということなんですか。それとも、その場で、たまたま行っておって、ここはやっぱり調べる必要がある、こういうふうなことでその職員が判断した時点で入れるということ、どっちなんですか。
  40. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 個別案件ごとに大臣指示の下に立入検査をいたしております。
  41. 国井正幸

    ○国井正幸君 そういうことではなかなか機動性がこれ保てないのではないかなと私は思うんです。うわさがあって行ったときにはそうではなかったとか、こういうことになる可能性もある。やっぱりもっと機動的にしっかりやれるようなことを検討してもらったらどうかなというふうに思っています。  それから、あわせて、これはいろいろ見解の相違もあるかもしれませんが、内部告発というものは、いわゆる今日の偽装表示等でなぜ分かったかということになると、内部告発なんですよ、ほとんどが。内部告発をうまく利用しようという話もこれ、表示一一〇番を含めてありますが、今、防衛庁でちょっと問題にはなっていますけれども、私は、日本の文化と伝統からしてみて、こんな内部告発なんというものを頼りにするような制度というのは誠にけしからぬと思っているんです、これは。  だって、そうでしょう。農林省だって見てくださいよ。例えば、中で議論して結論が出る前の話がぼろぼろぼろぼろ出てくる。それぞれの各政党だって、例えば中で議論したことが、政策決定過程に至るまでの話がぼろぼろぼろぼろ例えば出る。そんなことになったら、これは組織というものは私は維持できなくなるというふうに思っているんです。それは民間会社だって同じだと思う。  しかし、それはやっぱり社会に重大な影響を及ぼすという部分で、あったものは受けるにしても、しかしこれを余り違反事実をつかむ大宗として位置付けるというのは、私は、ちょっと悲しい話だというふうに率直なところ思うんですね。ですから、やっぱり公権力を行使する中でそういうものをしっかりと捕捉できる、これを確立することの方が、そんな密告という話がそれが大宗になって、それでもってチェックするんだなんというのは私は情けない話だと、こう思うんです。  そういう意味で、最後になりますが、私はやっぱり、食糧事務所の組織替えというものが今大きな議論になっていますが、是非これ、大臣にもお願いしておきたいと思いますが、単なる食糧事務所を廃止するということではなくて、農林省全体として、今、国民から求められているのは農林省にどういうことなのかと、そういうことに人的資源も再配置をし直すと、こういうふうなことで見直しになるんだろうというふうに思うんです。  ですから、やはり国民の期待にこたえられるような、しかも迅速に確実にこたえられるような、そういう体制の確立を是非この際、補強することも含めてお願いをしたいというふうに思っています。  最後に、大臣の御見解があれば伺って、終わります。
  42. 武部勤

    国務大臣武部勤君) 監視体制強化ということは私は重要なことでもありますし、そのための人材、組織ということも当然考えていかなきゃなりませんが、この問題は、BSEの発生を契機にこういう食品偽装表示問題が明らかになってきたわけでありまして、多くの国民の皆さん方は、この偽装表示については、企業の行動倫理というものも地に落ちたものだなと、そういう意識を持っているんじゃないでしょうか。私は、監視体制強化についてはしっかりやらなきゃならない、農林水産省の業務、組織の見直しの中でもこういったことはしっかりやっていきたいと思っておりますが、しかし公権力によって警察権を持った監視活動、警察権のような監視活動を行うというようなことについては慎重を要する問題ではないかと、このように感じております。  それから、内部告発の話は、企業が度重なる偽装表示で倒産にまで追い込まれるというようなそんな、那辺に問題があるのかと、あるいは内部告発なんというものがなぜ出てくるのかというのは、やはり内部のそういった自主自律に基づく体制がきちっとできていないからでないのかなと、このように思います。私は、内部告発なんというものは余りいいことではないと思いますけれども、しかしそれ以前に、個々の企業、個々の組織において自由濶達な風潮の中で正すべきものは正すと、そういうものが出てこなければだめだと、こう思うのであります。  また、内部告発という言葉は、私も耳に聞き慣れていない言葉ですから余りいい感触は受けませんけれども、しかし自由な社会というものが私は今日の日本の活力になっているんだろうと、このように思います。そこに当然ながらルールというものは必要だとは思いますけれども、そのことについても、例えば全農のチキンフーズの問題にしたって何できちっと内部でできなかったのかというふうに私は思いますよ。  そういう意味では、このことは慎重を要する話でありますけれども、私はちょっと、国井先生が申されたことと少し違うような受け止め方をしております。そういうことに陥らないような、そういう風潮が広がらないような自主自律のそういう体制というものを企業行動理念に求めていくということが必要でありますし、私ども、この食品表示の問題について所管する農林水産省といたしましてもそういったことを指導していかなきゃならないなと、こういう感じを持っている次第でございます。  御意見は御意見としてしっかり受け止めて、検討させていただきたいと思います。
  43. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 民主党・新緑風会の羽田雄一郎でございます。  昨年の九月十日、狂牛病に感染した牛が発見されてから、食への危機管理、予防への日ごろからの意識を問われております。初めてのケースとはいえ、武部大臣の初動については国民の認めるところとはほど遠いものであったと言わざるを得ません。しかし、日を追うにつれて、大臣が緊張感を持ってこれが正しいと思うことを進め、闘っている、そういうふうに思えるようになってきているのも事実であります。是非これからも国民消費者の声、そして特に我々野党の声にも耳を傾けていただき、前進していただきたいと考えております。  特に、大臣が思いを持って進めようとしていること、行動しようとしていることをねじ曲げようとする農水省のチェックは、我々の指摘をしっかりとお聞き届けいただければ方向を間違えないと思います。  前回の私の質問でも、牛肉偽装事件を受け、国産牛肉の再検査問題で、大臣が国際規格の一番厳しい基準で行うとしたのに対して、農水省はそれより緩い基準で検査をし、それを見直すつもりはないと言われました。農水省対応に対して厳しい態度で大臣が臨まれ、私はその言葉を信じ、期待をしているところでありますが、その後、すべてについて再検査を行うと大臣は答弁されました。その後どうなっているのか、お答えいただきたいと思います。
  44. 武部勤

    国務大臣武部勤君) 牛肉の保管事業に関します検品に関しましては、四月二十五日から全箱検査を実施しているところでございます。これに伴いまして、これまでの全国の保管倉庫へ出向いて検査する方法から、検査拠点を設けまして、全国に保管中の牛肉を順次検査拠点に搬入する方法を取っておりまして、集中的、効率的な検品を実施しているわけでございます。  当初、事務当局は二年掛かるということを言っておりましたけれども、その方式によりますと一年以内には終了できると、こういう予定でございますので、委員から激励を賜りましたが、役所の話もうのみにはしないで、きちっと点検をした上で適切に指導をしてまいりたいと、このように思います。  具体的には、四月二十五日から五月三十一日までに全箱検品を行ったものは約二百八十トンでございまして、このうち補助対象から除外したのが〇・三トン、それから適正と判断したのが約二百六十五トン、判断を保留して確認中のものが約十六トンとなっている次第でございます。
  45. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 今お聞きしますと、役所はずっと二年掛かると言っていたわけですけれども、実際やっていただくと一年以内には終わるんだという御答弁をいただきました。今お答えをいただきまして、ますますやはり農水省に対してしっかりとチェックをしていかなければならないということを感じた次第であります。  その後も、牛肉だけでなく豚肉、鶏肉、ゴボウ、シジミなどでも不正が発覚、外国産を国産と偽ってブランド産品をかたる産地偽装、また安全・健康志向に付け込み、無投薬といいながら抗生物質を使い、高鮮度を強調し、また賞味期限の書換えなど、食品表示に対する信頼は地に落ちていると言わざるを得ません。  偽装表示について、最近起こってきた出来事と考えるのか、また昔からあったことでまだ氷山の一角であると考えるのか、このどちらかということをお答えいただければと思います。
  46. 武部勤

    国務大臣武部勤君) これまでの偽装表示の問題を考えますと、私は、氷山の一角だとは申しませんが、まだまだやっぱりいろいろと問題があるような気がいたしておりまして、今後とも厳正に対処していかなければならないと、こう思っている次第でございます。
  47. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 それでは、なぜ、この趣旨とか、あと、大臣説明にも最近最近という言葉が多く見られているんですね。先ほども国井委員の質問に対して西藤食料局長が最近の問題ということを言われておりまして、やはり、もっと前からあったんだけれども、しっかりと調べることができなかったり、また、きちんと牛肉の問題が起こってから調べるようになって出てきているということでして、やはりまだまだあると、氷山の一角であると思いますし、検査体制というのがしっかりしていなかったんじゃないかなということを言わざるを得ないと私は考えておりまして、やはり、文章の中に出てくる、最近最近と、説明でも大臣は言われているわけでして、やはりそこのところをしっかりと踏まえた上で、これからも検査体制をしっかりしていただきたいなと思っております。  次に行きますが、六月の四日、五日、そして今日の新聞を読んでいると、食品衛生法上使用が認められていない成分を含んだ香料を出荷、食品に広く使用されていたことが三日に分かったと書いてありました。またかという思いがいたしましたが、食品衛生法上使用が認められていない成分を含んだ香料出荷問題について、その後の経緯、経過等をお答えいただきたいと思います。
  48. 尾嵜新平

    政府参考人尾嵜新平君) 今回のケースにつきましては、五月三十一日に茨城県が、今お話がございました協和香料化学株式会社の茨城工場に対しまして、食品衛生法で添加物として使用が認められていないアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ヒマシ油の三種の化学物質を使用していた香料を製造していたということで、営業禁止及び違反品の回収を命じたというものでございます。  若干経緯を申し上げますと、茨城県からの報告でございますが、五月二十日に、この茨城工場におきまして、食品衛生法上使用できないこういった物質を以前より、かなり以前から使用しているという匿名の投書が東京都に寄せられたということで、東京都の方から茨城県の方に調査依頼があったわけでございます。これに基づきまして、五月二十一日から三十日の間に保健所が六回にわたりまして当該工場を調査いたしまして、違反の事実の確認違反製品の製造と出荷の中止を指示し、最初に申し上げましたような処分をしたわけでございます。  厚生労働省の方では、今回の事例では、違反品を含みます製品、製剤あるいは食品品目というのが非常にたくさんにわたっております。流通先も広範囲でございまして、六月三日に全国の都道府県等に対しまして、この三種類を使用しました製剤及びこれらの物質を使用した食品等の回収の指導及び確認を行い、順次その結果を茨城県の方に送付するように指示をしたところでございます。  また、今回の事例を踏まえまして、都道府県等に対しまして、全国の添加物の製造施設二千三百七十三か所ございますが、に緊急に立入調査を行い、食品衛生法上認められていない物質を使用して添加物等が製造されていることがないかどうか、原材料の使用状況あるいは使用表示内容などを検査し、違反確認された場合には回収、公表等の必要な措置を取るように指示をしたところでございます。  それにあわせまして、日本食品添加物協会、日本香料工業会に対しまして、添加物の製造管理の徹底と、我が国におきまして現在使用できない添加物のうち、国際的に汎用されております添加物については指定要請を検討するように、現在話を進めているところでございます。  以上でございます。
  49. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 新聞報道によると、もう三十年以上、三十年ぐらい使っているという話もありますし、また、たくさんと言われたんですが、どれぐらい、今分かっている範囲で結構なんですが、どれぐらいの数か教えていただければと思います。
  50. 尾嵜新平

    政府参考人尾嵜新平君) 品目数につきましては、工場側が作っている品目は二百八十一プラス何十というような数字がございますが、実際にそれが、食品製造メーカーの方で製品として使っておるものにつきましては、一応私どもも茨城県の方からリストをもらっておりますが、現在、先ほど申し上げましたように、確認をして回収の指示をしているところでございます。そういったものがどれぐらいに上るのかというところにつきましては、ちょっと正確には今の段階ではまだ整理が付かないという状況でございます。  ただ、今回の工場の方の調査からは、百七十五の会社の方にこういったものが出ておるというふうに、そこまでの数字ははっきりいたしております。そういう意味で、その百七十五社がいろんな食品関係について使用しておるというところでチェックをしていただいているというところでございます。
  51. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 また今後、新たなことが分かり次第御報告いただきたいなと思うわけですけれども食品衛生法上ということだと厚生省の管轄ですが、農水省はきちんとこの事実を把握し、連携できているのか、お答えいただければと思います。
  52. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 私ども厚生労働省とは日ごろから不断に情報交換を行いまして、食の安全、安心の確保に取り組んでいるところでございます。今回の事案につきましても、工場の営業の禁止及び違反品の回収を命じた旨の状況、あるいは都道府県に対して全国の添加物製造施設に緊急に立入調査指示している旨の情報厚生労働省から受けているところでございます。  私ども、これらの情報提供を踏まえまして、大臣の御指示の下、食品企業に対しまして、原材料及び製品についての自主点検、それとその結果についての消費者への情報提供等を早急に実施するよう要請をしているという状況でございます。これらを受けて、お菓子のメーカーあるいは乳製品のメーカー等で、実態についてプレスリリースがかなり広範に行われているという状況にあると思っております。  今後とも、食品衛生法を所管されます厚生労働省と十分連携を取って対応していきたいというふうに思っております。
  53. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 これは通告してないんで、分かればで結構ですし、また後で御報告を事務所の方にでもいただければ結構なんですが、今日、新聞を見ていますと、中国産の輸入ホウレンソウから基準値を超える、最大十四倍も超えている農薬が検出されたとあります。また、それがもう販売されているというような状況。これ、なぜ食い止められなかったということと、経緯とか、そういうものが今分かればお答えいただければと思いますが、分からなければまた、教えていただければと思います。
  54. 尾嵜新平

    政府参考人尾嵜新平君) 今、先生からお話がございましたホウレンソウにつきましては、加工品としてのホウレンソウでございまして、いわゆる下ゆでをされたホウレンソウについて残留農薬が基準値を超えている、違反であるというケースでございます。  これにつきましては、これまでも当委員会で幾度か御質問をいただきましたが、三月二十日からこの加工の野菜につきまして、今申し上げました下ゆでをされたものについては検査が可能であると。同時に、基準値につきましては、生鮮野菜と同じ基準値を用いるということで、違反についての検査を今やっております。  そういった中で、ホウレンソウにつきましては、しばしば違反品が出ているのは事実でございます。そういった中で、検査命令を今掛けておりまして、届出全数について命令検査を掛けておるという状況であります。そういう状況の中で、既に市中に出回っているものもゼロではございませんで、そういった中で、検査をした、あるいは会社の方が自主的に検査をした結果として違反に該当するようなホウレンソウがあったという記事でございます。  私ども、この件につきましては、中国大使館の方にも、こういった違反が繰り返されるような品でございますので、輸入を止めていただくように要請を二度にわたってしておるところでございます。
  55. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 分かりました。ありがとうございます。  今日この委員会では、野党四党が昨年十二月から国民運動に発展させながら求め、与党三党がこの四月に出した案との修正案を取りまとめ、委員長提案となったBSE対策特別措置法案も、参議院でもいよいよ成立を迎えるわけです。そして、今審議しているJAS法も、国民の期待にこたえられるものとして早期に通す必要がある法律だと考えております。  大臣も、三月の十二日の参議院予算委員会で、JAS法改正を視野に入れて対策検討していると、また監視体制と罰則の強化が必要だということを言われておりました。大臣の諮問機関であるBSE問題に関する調査検討委員会からの報告でも、「法律制度問題点および改革の必要性」の中で、食の安全、食品表示を確保する法律は罰則がおおむね軽く、犯罪を抑止する効果はなく、違反続発の誘因になったと指摘をされております。  正に、先般も私言わせていただいたわけですけれども、やり得となっていて、消費者の保護を基本としたものになっていなかったと思っております。今までのJAS法には大変穴が多く、やり得となっていたと考えます。この改正によって自信を持って消費者の信頼を回復できるとお考えでありますか。お答えいただければと思います。
  56. 武部勤

    国務大臣武部勤君) 監視体制など、今までの食品表示制度の運営や現行のJAS法にも今この抑止力がなかったと、やり得ではないかというようなことから、私ども、改善すべき点を認識しまして今回のJAS法改正に踏み切ったわけでありますし、これは急ぐ必要があるということで、食衛法等との一元的な検討ということも今後していかなくちゃいけませんし、先ほどJAS規格の話もございました。  誠に残念なのは、日本の商道徳というのは、ある種性善説に立って、商人がお客さんを裏切るようなことはない、お客さんを裏切れば商売はその後成り立っていかないんだと、そういうような日本の美徳といいますか商道徳の姿というものが、今度のこの偽装表示などでもうすべてそういう信頼性が吹っ飛んでしまったというふうに思えるのでございます。  今般の法案は、消費者への迅速な情報提供を図る観点から、指示したときには原則として公表するということでありますので、今までとは違って直ちに公表できる、悪質なものはもう直ちに公表できると、そういう法律の枠組みになっているわけでありますし、表示に関する命令に違反した者に対しましては罰則を大幅に強化するということでございまして、虚偽表示に対する抑止力というものは大幅に強化されたのではないかと。また、食品偽装表示事件というものについても、このことによって大きく減少するというふうに考えておりまして、消費者の信頼回復にもつながっていくものと、このように考えております。  しかし、これだけでは私はすべての問題が解決できるものとは思っておりません。幾ら罰則強化したからといって、それでこの問題解決はできない。やっぱりいろんな角度から消費者の信頼回復ということを求めていく必要がこれからもあると。  いずれにいたしましても、不正は見逃さないという方針で、食品表示の実効性が確保されるように行政府であります農林水産省として挙げて取り組んでまいりたいと思います。
  57. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 これは確認なんですが、この法案は、食品表示偽装問題に対し、偽装発覚後の取締り策として、公表の弾力化、罰則の強化によって消費者への情報提供及び実効性の確保を行う旨の改正ということでよろしいんでしょうか。
  58. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 委員指摘のとおり、今回のJAS法改正は、最近の食品偽装表示の多発を踏まえまして、食品偽装表示の再発を防止するとともに、一日も早く食品表示に対する消費者の信頼を回復するために緊急の措置として提案したものでございます。  具体的な内容はもう委員お案内のとおりでございますが、公表を弾力的に実施する、早期に実施するということと、罰則強化をもって偽装表示に対する抑止を図っていくということで、このことを通じて消費者表示に対する信頼回復を図りたいと。  あわせて、私ども法律制度ではございませんけれども監視体制の充実ということで検査に対応する職員の増強あるいは食品表示一一〇番あるいは食品表示ウオッチャーの設置等の対応を講じているという状況でございます。
  59. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 今、局長、答弁の中でまた、最近のと言われているわけでして、私は、最近のと言うことが認識が不足するということを先ほど最初から述べているわけで、やはりその部分の局長認識の甘さというんですか、そういうのがまだ取れていないんじゃないかなと私は思えてならないわけですけれども。  公表の弾力化のところで、必要なときに公表することを可能であると言われております。先ほど、大臣、直ちに公表するんだと、また悪質であればというような話がありましたが、だれが必要と思ったときなのか、具体的にお答えいただければと思います。
  60. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 最近のという形で委員からいろいろ御指摘をいただいております。  品質表示制度で、生鮮食料品を含めてすべての飲食料品についての原産地等表示をお願いすると、強制するという形であれしておりますのは、平成十一年の法律改正で、十二年の七月から生鮮食料品についてという施行ということで、私ども、十二年以降その周知徹底、遵守ということで、言わばまず表示ということの指導をお願いしてまいりました。そういう点で、偽装表示という、まだ制度を動かして二年弱でございますので、そういう点で申し上げているという状況を御理解いただきたいと思います。  それと、公表の問題でございますが、食品偽装表示がなされた場合、当然、消費者が正しく食品選択していただくためには、消費者に対して迅速にその旨の情報を提供することが我々重要だということで、品質表示基準違反した事業者があるときにはもう原則として指示と同時に公表するというふうに考えております。  ただし、先ほども若干申し上げましたが、原産地表示していないという場合、偽装表示ではなく原産地自体の表示がないという場合、そのこと自体が消費者選択を誤らせるということではないわけですけれども消費者選択を誤らせないように直ちに表示を行う旨指導するということがあるんじゃないかと。あるいは、継続性がなく一時的に異なる原産地表示したことが明らかだと、言わば単純ミスであり、なおかつ指導により直ちに改善されるような場合はやはり指導にとどめ、指示、公表までは行かないということなんじゃないかというふうに私ども思っております。  いずれにせよ、この公表の考え方、一つのあれにつきましては、消費者生産者等から構成されております、品質表示制度あるいはJAS制度の全体について常に御意見を伺っております農林物資規格調査会の直近の会議にお諮りしていきたいというふうに考えております。
  61. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 罰則の強化については正しく、今までやり得と言われてきた部分ですから、この改正によって我々も一定の評価をしていきたいと思っております。  しかし、我々民主党の中では、入口である製造・販売の現場の監視・指導体制強化が必要であるとずっと考えておりまして、松山委員また国井委員強化の必要性を言われておりました。この法案の中では監視・指導体制強化ということが抜けているような、と思いますが、これをどう考えるのか、お答えいただければと思います。
  62. 野間赳

    ○副大臣野間赳君) 消費者表示を信頼をいたしまして食品を購入できるようにいたしますためには、食品表示に対する監視体制強化をすることが最も重要なことであると考えております。  このために、これまでも申しておりますように、食品表示一一〇番の開設、消費者の協力を得て食品表示監視強化するウオッチャーの設置、検査に対応可能な職員数の大幅な増強、具体的には千五百人から三千三百人の体制にいたしてまいりたいと思っております。特に、この検査に対応できる職員につきましては、今後とも専門知識を向上をさせるための研修を実施をしていく方針でございます。  今後とも、食品表示の実効性を確保していくためにその監視体制強化に努めてまいりたいと考えております。
  63. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 我々民主党の中でも、農林物資品質表示監視官を設けることが大切ではないかななんという話もしておりますし、やはりしっかりと研修を受けた方たちが担当職員として活躍をしてもらうということ、これが必要であると考えております。先ほど国井委員も言われたように、食糧事務所の方たちなんかにもしっかりと研修をしていただいて、そういう担当職員として大いに活動していただく、こんな場が設けられればいいんじゃないかなということも考えます。  次に行きますが、大臣がいつも言われているように、消費者の立場に軸を置いて考えるならば、食品表示についても分かりやすく、安心、安全ということが選択できるように工夫していく必要があると考えますが、いかがでしょうか。お答えいただきたいと思います。
  64. 武部勤

    国務大臣武部勤君) 分かりやすい表示制度ということは大変重要な課題だと私は認識しております。これまでも、消費者など関係者の意見を聴いてまいりますと、例えば国産品か輸入品か、あるいは国内のどこの産地のものかが一目で分かるように生鮮食品原産地表示義務付けるということでありますとか、誤解を生むような表示防止するためにブレンド米の強調表示方法を明確化するなど、こういったことも工夫してきているところではございます。  今後は、やはり消費者にとってより分かりやすい制度となるように、消費者の方々の御意見を十分伺いながら食品表示在り方について検討を深めてまいりたいと、かように思います。
  65. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 大臣は提案理由の中でも、食品偽装表示の再発防止、一日も早い食品表示に対する一般消費者の信頼回復、これが喫緊の課題であると言われました。  そのためにも、今のように食品表示に関する法制度が四つに分かれている、農林省、厚生省、公正取引委員会、経済産業省ですか、四つの省等にまたがり、縄張意識と縦割り行政の弊害が見え隠れしているこの状態を打破する必要があると私は感じております。  食品の安全を守るためにも、省等の垣根を取り払い、国民消費者に分かりやすい法律にしていく必要があると感じますが、いかがお考えになりますでしょうか。
  66. 野間赳

    ○副大臣野間赳君) 食品表示制度につきましては、先生指摘のとおり、JAS法食品衛生法等複数法律に規定をされておりまして、同じ表示項目に異なる用語が使われておる場合がございます。消費者にとって極めて分かりにくいという御指摘もございます。  こうしたことから、厚生労働省などとも連携をいたしまして、消費者等の方々の御参加を得まして、食品表示制度に関する懇談会の第一回の懇談会を、明日、六月七日に開催をいたすことにいたしております。農林水産省といたしましては、この懇談会の場におきまして食品表示在り方につきまして一元的に検討をいたしてまいりたいと考えております。目途は、この夏ごろを目途に中間の取りまとめをいたしてまいりたいと思っております。
  67. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 このようなことを議論をし考えていくと、三月二十日に行われました予算委員会からの委託審査を思い出します。大臣は基本的に、私的諮問機関であるBSE問題に関する調査検討委員会報告を踏まえてという答弁が大変多くございました。  その委員会報告にもあるように、「消費者の保護を基本とした包括的な食品の安全を確保するための法律制定ならびに新しい行政組織の構築」が必要であると報告され、私もそのことが大切であると質問をしてきたつもりであります。大臣も、縦割りの弊害を感じ、消費者に軸を置いた行政組織が大事だと言われ、リスク分析手法の導入に前向きで、リスク評価、リスク管理、リスクコミュニケーションをどう組み合わせていくのかが大切だと、そのときに語られておりました。  報告書が出た後どのような検討がなされているのか、お答えいただければと思います。
  68. 武部勤

    国務大臣武部勤君) BSEに関連しまして委員会でいろいろ厳しい御質疑をいただいたわけでありますけれども、今振り返って少し申し上げますと、行政上に構造的な問題がある、これはやっぱり客観的に科学的にきちっとした検証をしなくちゃいけない、これはやっぱり第三者にお願いすることが適切だと。この手法も我が国政府で初めてだと思います、カメラを入れて、傍聴できて、一部始終議論が分かると。そして、この報告書の執筆も、従来ですと役所側が骨組みぐらい作ったものなんだろうと思いますが、これも全部委員の方々に執筆していただいたと。私が何度もこの報告書を得てからと、こう申し上げましたのは、あれは公開ですから、私どもも、九回やったうち、全部この議論の一部始終分かるわけでして、並行して私どももこの後の対応について検討してきたわけでございます。  「「食」と「農」の再生プラン」を公表させていただきましたが、それが私ども検討を進めてきた内容でございまして、その中でも、やはり食品の安全に係る法整備、包括的といいますか、基本法が必要だということと、それから組織についても独立したものが必要であるということを申し上げてきたわけでございますが、今、三回この関係閣僚会議が行われておりまして、まず組織については、透明性、独立性、それから専門性ということで、食品安全委員会のようなものを作りまして、ここには数名の専門家、科学者等で構成されまして、ここでリスク評価というものをやる、さらにリスク管理は各省がやると。しかし、厚生労働省農林水産省に対しては勧告できると。勧告したことについてきちっとリスク管理やっているかどうかということもチェックできると、そういうような相当きついものでございます。  それと大事なのは、リスクコミュニケーションというものを、それぞれの各省がやることはやるんですが、しかし全体の、やっぱり消費者生産者、あるいは学者、報道関係等いろんな方々が入って、リスクコミュニケーションというものを全体で大きい取組、例えば防災対策本部みたいなことになるんだろうと、こう思いますが、そういう取組もやろうというところまで決めているわけでございます。  法律につきましてはどういうことが基本になるのかといえば、まず目的とか理念というのは、国民の生命及び健康の保護だと、あるいは食品の供給に関する安全性の確保でありますとか科学的な知見、国際的な動向に即応した適切な対応というようなことが法律の基本理念になるのではないかと、かように思います。  こういったものを踏まえまして私どもしっかりした対応をやっていかなきゃならないと、かように思っているわけでありますが、正に委員指摘のように、予防的な視点を踏まえたリスク分析の考え方を導入いたしまして、科学的な知見に基づいて、透明性が高く、消費者を含む多くの関係者の意見が反映される、そういう行政運営が重要であると認識しておりまして、そういう姿形になるものと、かように確信をしている次第でございます。
  69. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 リスク管理の手法の部分で、素材や製品の生産段階から流通経路を経由して消費者の手元まで追跡可能なトレーサビリティーシステムの導入も至る所で求めてまいりました。  そして、牛肉については二月の二十一日から実証試験を開始していて、お米や野菜、そしてその他の加工食品についてもシステムの開発、実証試験に取り組まれていると認識しておりますが、実用化に向けて現在どのように進んでいるのか、お答えいただければと思います。
  70. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) トレーサビリティーシステムにつきましては、一つは、消費者が自ら食品の生産方法等に関する情報を引き出すことができ、そういうことにより安心して食品を購入していただくということ。二つは、万一、食品事故が発生した場合にもその原因究明を容易にするという仕組みとして私ども考えておりまして、その導入を図ることが極めて重要だと考えております。  このため、先生指摘ありましたように、現在、トレーサビリティーシステムの導入・普及につきまして検討を進めておりまして、特に牛肉につきましては、御指摘がありましたように、二月二十一日に実証試験を開始し、現在、その普及のためのルールづくりを検討しているという状況でございます。  また、米なり野菜、あるいは一部の加工食品、現在、お茶、飲料をあれしておりますけれども、についても、現在、同様のシステム開発と実証試験に取り組んでいるという状況にございます。  こういう場合も、例えば野菜等の生鮮青果物で考えますと、具体的な仕組みとして、個別の農家、農場でどういうふうに作られ、それがどういう流通ルートでということで、商品野菜なら野菜そのものが情報と一緒に、二次元のバーコードなりあるいはIDタグを付けることによって情報そのものと一緒に商品が流通すると。そういうことで、消費者のところでその二次元バーコードを解読あるいはIDタグを読み取れば、その商品がどういうふうに作られて、どういう流通経路で来たかということが読み取れるような仕組み、あるいは逆に、商品として一緒に動くのは、言わば生産者へのアクセス方法商品として一緒に動いていって、最終消費者がそのアクセス番号のところへ接続すれば、どういう生産されたのかという情報が取れるというような仕組み等々、いろいろな仕組みがございます。  さらに、今申し上げましたのは、個別の農家の生産ということを前提にしてそれを履歴するということであれいたしておりますけれども、青果物にしろ、例えばお米なんかになってきますと、個々の農家単位の産品というよりは農協単位あるいは産地単位という形になってきます。その場合、今度は産地情報なり地域の情報という形で生産履歴をどういうふうに提供していくかというような問題というふうに、個別品目ごとあるいは生産の形態によっていろんな課題、解決すべき課題もあるというふうに思っております。  また、このトレーサビリティーシステム自体の第三者認証ということで、私どもJAS法の中で第三者認証による仕組みとして、言わばJAS規格としてトレーサビリティーを導入できないかということも併せて現在検討いたしているところでございます。  この場合、具体的には、例えばまず、牛肉について生産履歴の情報を正確に記録、管理して消費者に伝えるためのJAS規格制定しなければいけないと。この規格に従って食品を生産している者を第三者の、今、有機でいえば登録認定機関、そういう第三者の機関が認証し、その認証された生産者が作る食品についてJASマークを付すことができると。消費者はそのJASマークの表示やインターネットを通じて生産履歴の情報を引き出すことができる、こういう仕組みを言わばJAS規格として導入できないかということも現在検討しているわけでございまして、私ども関係者、流通関係者消費者生産者、もちろんあるわけですけれども、御意見を十分承ることによって、JAS規格を含めて、十五年度から実施できるように検討を進めているという状況にございます。
  71. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 BSE問題に関する調査検討委員会においても、各省庁との調整機能を持つ新たな食品安全行政機関を設置することをうたっております。  どのように、今こういう報告が出た後、考えられているのか。我々、食品安全局とかそういうようなものが必要じゃないかというようなことを言ってまいりましたが、今どういうふうに考えているのか、お答えいただければと思います。
  72. 武部勤

    国務大臣武部勤君) 先ほどもお話いたしましたが、食品安全に関する新たな行政組織につきましては、先月三十一日に行われました第三回の食品安全行政に関する関係閣僚会議におきまして、リスク評価を各省から独立して委員会内閣府に設置するというような内容の新組織の概要が官房長官から示されたところでございます。  これは、BSE問題に関する調査検討委員会報告で提言されました食品安全行政にリスク分析手法を導入して、リスク評価とリスク管理とを機能的に分離するという方向性に沿うものでございまして、私どもの考えと一致しているものでございます。  特に、新しい機関は、私が先般訪問いたしました英国の食品基準庁も参考にいたしまして、消費者の健康保護を最優先にするということが一つ、それから独立性の確保ということが一つ、透明性の確保が図られる、図られているという、この三つの原則というものがこの基本理念になっているかと思います。  最も重要と考えておりますリスクコミュニケーションについては、消費者生産者、学識経験者等関係者を幅広く集めた意思疎通の仕組みを設けるとされておりまして、これは非常に重要であろうと、こう思います。  先ほど申し上げましたように、私のイメージは防災対策本部みたいなような、学者でありますとか関係者が入ってと、こう思っているんですけれども、最終、もう一回関係閣僚会議ありますが、私はそういうことを主張して、いろんな方々の意見がそこで言えるようにと、もちろんリスク評価というのはこの独立安全食品委員会ということに、そういうものになるんだろうと思いますが、この方向に沿いまして、今月中に結論を得るということになっているわけでございます。  その後、具体的な予算・組織要求につなげることといたしておりまして、少し付言いたしますと、リスク管理というものはここでやらないわけですから、それに対応して、厚生労働省でありますとか我々農林水産省対応することになりますので、当然、この独立機関ができれば、スクラップ・アンド・ビルドというような考え方で、行政の肥大化ということにならないという条件下になると思いますが、農林水産省はやっぱり組織や業務の見直しもしなければならないと。  この間もある人に言われたんですけれども、そんな委員会程度じゃ駄目だという話があったんですけれども、これは単なる委員会だけじゃありませんで、事務局も設けますし、担当大臣が決められますし、その事務局の下に個別のリスクに対応した専門家集団といいますか科学者集団といいますか、そういうチームもそれぞれできていくわけでございまして、かなりの組織になるのではないかと、このように考えている次第でございます。
  73. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 今、大臣に御説明をいただきました。是非大臣が思われること、そしていろんな議論をする中でより良いものが作られていくことを願っておりますし、また御協力をさせていただきたいと思います。  るる質問をさせていただきましたが、国民消費者の食に対する安心、安全のためにも、日本の農業を守っていく観点からも、このJAS法強化というだけで終わらぬように期待とお願いを申し上げて、ちょっと早いんですが、私の質問を終わらせていただきます。
  74. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男でございます。  JAS法改正に関係しての質問をさせていただきたいと思います。  最初に、前回、野菜の関係の出荷安定の法律のときに質問をさせていただく予定になっていました質問が残りましたので、この点、最初に質問をさせていただきたいと思います。  新品種の登録に関してですけれども野菜とか花卉類などの品種改良に努力して良いものを作ろうということで頑張っている方がおられますけれども、新しい、新品種を作った場合に登録を申請する、しかし時間が掛かり過ぎてせっかくいいものを作っても価値が、長く掛かってしまうとその間にまたいろんな同じようなものが出てしまうということで価値が下がってしまう、何とか早くしてほしいというような、そういう要望をいただいているものですから、この点に関して質問させていただきたいと思います。  種苗法に基づく新品種の申請及び登録がどの程度現在行われているのか、その点お伺いしたいと思います。    〔委員長退席、理事田中直紀君着席〕
  75. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 種苗法に基づきます品種登録の出願及び登録の状況でございます。  昭和五十三年にできた法律でございますけれども、このところ急速に増加をしておりまして、平成十三年度で見ますと、出願が千百五十七件、登録が千二百十件ということで、世界でもトップクラスになっているところでございます。
  76. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 新品種登録に要する期間としましてはどの程度になっているのか、お伺いしたいと思います。
  77. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) この品種登録に当たっての審査でございます。まず出願書が来るわけでございまして、品種の名称等の書面審査をまずすると。その後で栽培試験をするわけでございますけれども、栽培計画を提出をしていただきまして、栽培をしていただいて、それを審査するわけでございます。出願された時期とか植物の種類にもよるわけでございますけれども、おおむね二年から四年ということで、平成十三年度の平均審査期間は三・八年ということでございます。
  78. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 中には何か十年も掛かってしまう場合もあるみたいなお話を聞いておりまして、これでは新品種せっかく開発してもちょっと長過ぎるんじゃないかということなので、この申請から登録に至るまでの期間の短縮についてどのような取組がなされているのか、その点お伺いしたいと思います。
  79. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 最近、出願件数が非常に増えているということで、審査官の増員でございますとかデータベースのシステム化でございますとかそういう効率化を図っているところでございまして、このところ、だんだん平均審査期間、短縮に向かっております。今後、いわゆる手続の電子化あるいは栽培試験体制の整備等を推進をいたしまして、更なる短縮が図れるよう努力していきたいと考えております。  具体的な目標でございます。農林水産省で政策評価というのをやっておりますけれども平成十七年度には目標を三年というふうに設定をいたしまして努力をしたいというふうに思っております。    〔理事田中直紀君退席、委員長着席〕  欧州各国では、各国が近所にあるということもございまして気象条件が比較的類似しておりまして、栽培試験の結果に大きな差異が生ずることが少ないということがありまして、最初に出願した国のデータを二国目以降が利用するという、いわゆる審査協力みたいなものが行われております。こういう例も参考にしながら、今、アジアでは、一九九九年に中国、二〇〇二年に韓国がUPOVに加盟をしておりますので、欧州各国と同様なことができるかどうかまだ分かりませんけれども、欧州各国の例も参考にしながら、更なる審査期間の短縮が図れないかどうか検討していきたいと思っておるところでございます。
  80. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 よろしくお願いしたいと思います。  最後の質問、この件に関しての最後の質問になりますけれども、「「食」と「農」の再生プラン」の中に「消費者ニーズを踏まえた新品種の開発」ということがうたわれております。そういう意味では、新しい品種できて、それが審査期間も短くて登録されて利用されるということが大事だと思いますので、この消費者ニーズを踏まえた新品種の開発、どのように促進していくのか、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  81. 武部勤

    国務大臣武部勤君) 農作物の新品種の開発につきましても「「食」と「農」の再生プラン」に明確に位置付けているわけでございますが、新品種開発の基本方向といたしましては、まず第一に、安全、安心や健康増進を求める消費者ニーズに対応する観点から、農薬の使用量が少なくて済む病害虫に強い品種、あるいはビタミンC等特定の栄養成分を多く含み機能性が高い品種の開発、二つ目には、国際競争力を持ち生産性の高い農業を実現する観点から、多収性や機械化適性等を有する品種の開発等に重点を置いて研究を推進しているところでございます。その際、新品種の特性を十分に引き出せるように、地域条件に応じた栽培技術の開発にも併せて取り組むことにしているわけでございます。  また、こうした研究開発に当たりましては、独立行政法人と公立試験研究機関、さらに民間企業等との役割分担を図りつつ、密接な連携の下に推進していくこととしているわけでございます。
  82. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 大事なプランですので、これをきちんと促進できるように頑張っていただきたいと思います。  それでは、次のテーマに入りたいと思いますけれども食品添加物として加えられていた香料が今一つ事件が起こりまして問題になっているわけですけれども食品衛生法違反疑いが持たれている協和香料化学の食品添加物として用いられた香料の調査厚生労働省の方、行っていると思いますが、この現状についてお伺いをしたいと思います。
  83. 尾嵜新平

    政府参考人尾嵜新平君) 先ほども御質問ございましたが、お答え申し上げましたが、五月三十一日に、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ヒマシ油という三種の使用が認められておらない添加物としての化学物質を使用しておったということで、この工場につきましては営業の禁止と違反品の回収を茨城県の方から命じたところでございます。  その後、こういった違反品につきまして、非常に多岐にわたっておる、百七十五社にわたっておるということでございまして、全国のそういった本社のある都道府県違反品の回収の指示確認をお願いをしているという状況でございます。  現在のところ、この工場で使用、製造されましたこの三種の添加物の関係につきましては、製造量につきまして現在茨城県の方で調査中でございまして、私どもの方にはまだ数字としては確認をされておらないという状況でございます。  また、回収状況につきましては一括して茨城県の方に各都道府県の方から報告をしていただく、公表につきましては茨城県と厚生労働省で同時に公表するという手はずを整えておりますが、昨日、一回目の茨城県の公表がございましたが、二社の分でございまして、新聞ではかなりそれを超えた数の回収の記事が出ておりますが、今のところ茨城県の方に送られてまいりましたのはこの二社の分でございます。  そういったことで、量的な問題については数字を申し上げても余り意味がないだろうと思っておりますが、今のところそういう状況でございまして、今後、都道府県の方からは、今申し上げました百七十五社の回収状況、その量等につきましての報告が逐次参るというふうに考えておりまして、そういった整理をした上でまた御報告させていただければと思っております。
  84. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 今回の香料を含んだ食品の中にはチョコレートとかアイスクリームとか、そういう子供さんが多く食する食品が含まれているわけですけれども確認のためにちょっと厚生労働省にお聞きしたいんですけれども、このような香料を含んだ食品を食べたということであっても健康被害は心配ないということかどうか、確認をさせていただきたいと思います。
  85. 尾嵜新平

    政府参考人尾嵜新平君) 先ほどお答えいたしましたように、三品目はアセトアルデヒドとプロピオンアルデヒドそれからヒマシ油でございまして、アセトアルデヒドとプロピオンアルデヒドにつきましては、これは渡辺先生よく御存じだと思いますが、FAOとWHOで設けられました専門家の会議、JECFAというふうに呼んでおりますが、そこの会議におきまして、今申し上げました二品目につきましては、香料で使用する範囲内では安全性に問題ないという結論が出ているものでございます。それと、ヒマシ油につきましても、ADI、一日最大摂取量につきましての議論がされておりまして、今のところ、コーデックスで考えている数字から見まして、今回使われているような量的なものでは健康には影響がないというふうに考えられるものと私どもは思っております。
  86. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 あと、この食品衛生法では使ってはならないという物質が香料として使われてそれが食品に使われたということでありますけれども、こういう間違いが起こってしまった原因、その香料のメーカー側に問題があったのか、あるいはメーカー側ではなくて食品加工の方に問題があったのか、この点の調査等はいかがな結果になっているのか、厚生労働省にお伺いをしたいと思います。
  87. 尾嵜新平

    政府参考人尾嵜新平君) 今回の三種類のこの添加物の物質につきましては、新聞でも報道されましたように、それぞれ若干製造時期は異なっておりますけれども、長いものは三十年前から製造しておるということでございます。  こういった添加物、香料でございますけれども、当然、添加物ということで製造業者の方はそういった製造を始めて長い経験があるわけでありますから、その間に当然のことながら食品衛生法上の添加物として指定をされているものかどうかというのは確認をすべき話でございます。そういった意味では、一義的にこのメーカーの方に、製造業者の方に私は今回の責任は当然あるというふうに考えております。  また、こういったものにつきましては、一つは、私ども行政の立場として食品衛生監視をやっているわけでございます。実際には都道府県等の保健所が立入りをやるということで、今回のケースにつきましても、直近では九年と十一年に立入調査に入っているわけでございますが、その際には、こういった今回のはっきりしました事実については確認ができなかったということでございます。  そういった点は、私ども、そういう立入りをした際に、こういったケースがあるという想定をした上で確認をすべき事項といいましょうか、そういった意識を持って監視なり立入りに入るというふうなことをやはり十分考えておかなきゃいけなかったと、そういう意味では、意識の持ち方については反省すべき点があるんではないかなというふうに私自身は思っておるわけでございますが、そういった意味で、私ども、今回のケースがございまして、今後、行政の立場としての監視なり指導という点については、十分今回の事件を踏まえた、反省も踏まえた上で体制強化なり監視内容の見直しということも考えていきたいというふうに考えているところでございます。
  88. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 今回の協和香料化学の事例ですけれども、これは食品表示という面では適正さを欠くものがあったのかどうか、その点を確認をしたいと思うんですが、農林水産省及び厚生労働省そして公正取引委員会の所管する分野で表示そのものには問題がなかったのかどうか、そこをお伺いしたいと思います。
  89. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 今回の添加物の事案は、食品企業からしますと、香料として原材料表示している状況でございまして、そのこと自体は直ちに表示違反という状況にはないと理解をいたしております。  ただ、いずれにせよ安心にかかわる問題でございますので、私ども、この事案が出た後直ちに、言わば自主点検、それと結果の情報開示ということで関係団体を通じてお願いをいたしております。そういう状況の中で、個別企業それぞれが点検の中で、お菓子なり先ほどメーカーなりということで先生からも御例示がございましたが、そういう状況について自主的に既にもう開示が相当程度行われてきているという状況にあると。  今後、厚生労働省と連携を取りながら、適切な対応に努めていきたいというふうに思っております。
  90. 尾嵜新平

    政府参考人尾嵜新平君) 食品衛生法上の表示違反があったかどうかということでございますが、今回のものにつきましては、香料あるいはこれを使用いたしました加工品につきましては、現在のところ、関係都道府県の方から食品衛生法上の表示違反があったとの報告はございません。  今、西藤局長からもございましたが、表示的には香料という形でございますので、それぞれの個々の物質名を表示をしているものではないということからこういった結果になっているというふうに思っております。
  91. 楢崎憲安

    政府参考人楢崎憲安君) 景品表示法は、商品の内容につきまして、実際のものよりも優良であるというふうに一般消費者に誤認させる表示でございますので、香料を使っているという表示だけですと、一般消費者に優良であるというふうに誤認させるといった問題が直ちに生ずる問題ではないんではないかなというふうに今のところは考えております。
  92. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 そういう意味では、表示としては特に不適切ではなかったということで、その中身の問題だということのようですけれども、そういう中身についても問題がこれから起こらないようにきちんと点検をし、改善をしていただきたいと思います。そういう意味で、先ほどからいろいろ業界の方にも自主的に改善を図っていただくというようなことが述べられておりましたので、それを推進していただきたい、そのように思います。  それから、香料などを含む食品添加物の県調査もしっかりこの際やっていただいた方がいいのではないかと思いますけれども厚生労働省、そのような調査をする、しているというようなお話ですが、この点についてお伺いをしたいと思います。
  93. 尾嵜新平

    政府参考人尾嵜新平君) 六月三日付けで、全国の添加物の製造施設、二千数百か所でございますが、そこにつきまして都道府県等に立入調査をしていただくように指示をいたしております。  そういった中で、具体的に、指定をされていないような物質の製造がないかどうか、あるいは表示関係がどうなっているかということにつきまして立入りの調査をしていただき、また、仮にそういった違反があるという場合には、それについての公表なりの対応をしていただくということで指示をしたところでございます。
  94. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 いろいろ調査の中で改善点を見いだしていただいて、こういう再発がないようにしていただきたいと思います。  そういう意味では、食品業界の法令、食品表示だけではなくて、食品の衛生とか健康の保護という意味でのいろんな点検をしていただきたいと思うんですが、そういう意味では、食品産業界そのものの遵法の精神あるいは企業倫理の確立というものが大事となってくると思います。この点で、コンプライアンス体制の確立ということが今回のいろんな食品事件指摘をされ、各企業、その確立に向けて努力をしているということでありますけれども、現在の進捗状況について武部大臣からお聞きをしたいと思います。
  95. 武部勤

    国務大臣武部勤君) 国民の生命や健康にかかわる食品を扱う企業におきましては、遵法、法令遵守と、いわゆるコンプライアンス体制の確立ということが極めて重要であると考えておりまして、一月の雪印食品事件発覚後は、直ちに食品企業・団体を広く会員といたします財団法人食品産業センターに対しまして、関係法令の遵守や倫理の維持等についての各企業取組強化するよう指導を行いました。また、これを受けまして、同センターにおきまして、具体的事例も踏まえた企業行動規範に関する講習会を開催もいたしました。このように、啓発に努めながら企業取組を促しているわけでございます。  実際には、食品企業においても法令や社会的モラルに反する行為の禁止といった基本的な事項について規範を明確化し、研修等あらゆる機会を通じて周知徹底すること、また経営トップに直結した倫理についての委員会を設置して機動的に開催する等、適切な内部統制を構築するといった具体的な取組が進みつつあると、このように認識しております。  また、業界におきましても、こうした取組を分かりやすい形で食品産業界全体に広げるための手引を今月中ごろにもまとめるべく検討を進めていると、このように聞いておりまして、農林水産省といたしましても、こういった動きを引き続き促してまいりたいと、かように考えております。
  96. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 今回の事件に関しても、社内報ではそういう指摘を社員の方がしていたというような報道もありましたので、そういう問題点があった場合にはきちんと企業としてそれを改善できるような体制を早く築いていただきたいと、そのように思います。  次に、今回のJAS法改正に関して質問をさせていただきますが、時間の関係上、少し省きまして、今回、法改正で公表の弾力化ということが、弾力化が図られるということになりましたけれども、問題があったときに立入調査等をしてすぐに指導あるいは公表ということになるのかどうか。その公表のガイドラインについてお伺いをしたいと思います。
  97. 武部勤

    国務大臣武部勤君) 私から答弁いたしますが、公表は、消費者食品選択する際に重要な情報を提供するために行うものでありますから、偽装表示確認し、指示を行った場合には原則として公表という考えであります。この原則として公表するとの方針については、消費者生産者等から構成されます農林物資規格調査会、JAS規格調査会の直近の会議に諮ることにしたいと、こう考えております。  また、この公表の方針については地方公共団体にも周知徹底する必要がありますし、具体的事実についても関係地方公共団体と十分に連絡を取ってまいりたいと、かように考えております。
  98. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 次に、食品表示監視に関して二、三質問をさせていただきたいと思います。  食品表示一一〇番によるモニタリングが行われていますけれども、中央の省庁でやる場合とそれから地方等でやる場合、いろいろ情報の受け付ける方で違いがあったわけですが、今は中央に一本化されているというようなお話も聞いておりますが、そういう様々な受付の地域によっていろんな情報の中身に違いがあったのかどうか、あるいは地域特有のそういう情報があったのかどうか、その点についてお伺いをしたいと思います。
  99. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 食品表示一一〇番につきましては、二月十五日に設置して以来、先月末、五月三十一日現在まで二千七百件余の情報が寄せられている状況にございます。  この情報の中身を物別といいますか、そういう分類で見てみますと、食肉、青果物等の生鮮食料品に関するものが全体の四四%、加工食品に関するものが三五%、米麦に関するものが一〇%弱という状況になっております。  また、中身を情報提供型あるいは問い合わせなり提案という形で分類してみますと、情報提供にかかわるものが全体の約四分の一、問い合わせが約全体の半分、提案なりあるいは苦情というのがそれぞれ一割強という状況にございます。  また、地域別に見ますと、北海道で全体に占める割合が三%、順次、東北が四%、関東で三六%、北陸・東海で一〇%、近畿で二二%、中国・四国で九%、九州・沖縄で一六%というような状況で、おおむね人口の状況に反映した情報提供、一一〇番になっておるのかなというふうに思っております。  なかなか、まだクロスした分析までは十分至っていない状況でございますが、概要そういう状況でございます。
  100. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 かなり有力な、消費者の信頼を確保するために有力な手段となっていると思うんですが、これまでやってきた状況を踏まえまして、今後、この食品表示一一〇番についてどのような改善をし、推進をしていく方針なのか、武部農林水産大臣にお伺いをしたいと思います。
  101. 武部勤

    国務大臣武部勤君) 本年二月十五日に、消費者等から表示に関する情報や意見を直接お聞きするため、全国六十五か所にこの食品表示一一〇番を設けたものでございますが、現在まで約二千七百件の情報が提供され、違反事例発見の端緒となったものも少なくありません。  このように、食品表示一一〇番は消費者の声を直接お聞きする有用な方法でございますので、本年度から各都道府県における食品表示一一〇番の開設への支援や、農林水産消費技術センターにおけるフリーダイヤルの設置にも体制の充実を図ってきたところでございまして、今後もその活用を図ってまいりたいと、かように考えている次第でございます。
  102. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 この場合、匿名の方が多いとは思うんですが、企業の中で内部情報をお知らせしてくるというふうなこともあると思うんですが、そういう場合に、そういう内部情報提供者の保護についてどのような配慮がなされているのか、この点をお伺いしたいと思います。
  103. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 食品表示一一〇番に寄せられます内部情報につきましては、食品偽装表示を発見し、また再発を防止する上で大きな意義があるという状況でございます。このため、内部情報提供者に不利益を与えないという観点から、内部情報提供者の氏名、住所等に関する情報につきましては、非公開とするだけではなくて、組織内においても担当者だけが保有するということで配慮を払ってきているつもりでございます。  あわせて、先ほど大臣御答弁の中にありましたように、それぞれ企業ごとに遵法精神と、それと、ラインとは別の形での、言わばそういう内部の情報収集体制を各企業で正に確立していただくという取組が大事かと我々思っているところでございます。
  104. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 食品衛生法に基づく厚生労働省が行った立入調査についてもお聞きしたいと思っていたんですが、時間の関係上、省かせていただきたいと思います。  そして、次に農水省にお聞きしたいんですけれども食品表示ウオッチャー制度が行われるという状況であると思います。もう既に行われているのかもしれませんが、この進捗状況についてお伺いをしたいと思います。
  105. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 食品表示ウオッチャーは、買物等消費者の日常活動を通じて食品表示状況を継続的にモニタリングしていただく、あるいは不適切な食品表示に関する情報提供により食品表示適正化を図るという観点で設置をしているものでございます。  その主たる活動内容は、一つは、日常の買物等を通じた食品表示の継続的なモニタリング、もう一つは、原産地表示の欠落等、不適切な食品表示に関する情報の行政機関への提供ということでお願いをいたしております。  食品表示ウオッチャー、全国段階で設置するウオッチャーにつきましては約二百名を予定しておりますが、選考及び委嘱がほぼ終了いたしておりまして、実は本日から東京で研修を行っております。全国十四か所で研修会を開催し、研修終了後順次ウオッチャーとして御活躍いただくという予定でおりますし、また都道府県段階で設置するウオッチャーにつきましては、五月末現在で十八県、千百五十名の設置が予定されております。先生指摘のとおり、一部の県、静岡県と宮崎県でございますが、既に手続を終えておりまして、活動を開始していただいている状況にあるというふうに承知をいたしております。
  106. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 もう時間がなくなってまいりました。  食品表示制度の一元化に向けていろいろ検討会が行われるということで、懇談会明日行われることになりますが、厚生労働省そして農水省そして公正取引委員会に、皆さんからお聞きするつもりでしたが、代表して農林水産大臣から、野間大臣の方から、どのような意向で行われるのか、決意をちょっとお聞きしたいと思います。
  107. 野間赳

    ○副大臣野間赳君) 先生指摘のとおり、JAS法食品衛生法、複数の法律に規定されておりまして、同じ表示項目に異なる用語が使われております場合があるなど、消費者にとって極めて分かりにくいという指摘がございます。  こうしたことから、厚生労働省などとも連携をいたしまして、消費者の方々の参加を得て、食品表示制度に関する懇談会、第一回目を明日開催をさせていただくことにいたしております。  この懇談会の場におきまして食品表示制度在り方につきまして一元的に検討をしていただきまして、その議論を踏まえて、この夏を目途にいたしまして中間の取りまとめをいたしてまいりたいと考えております。
  108. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 ありがとうございました。
  109. 紙智子

    ○紙智子君 それでは、JAS法の質問に先立ちまして、生ジャガイモの輸入解禁問題についてお聞きしたいと思います。  生のジャガイモは六一年に輸入自由化をされていますが、病害虫の侵入防止のために植物防疫法によって事実上輸入禁止状態にあります。しかし、二〇〇二年のアメリカ貿易障壁報告に取り上げられましたが、アメリカを始め各国からの輸入解禁要請が強まっているということで産地は危機感を強めています。  現在、輸入解禁の要請が出されている国はどこで、そしてそれぞれの手続の進行状況がどうなっているかをお聞きします。
  110. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 現在、生鮮のジャガイモにつきまして、今言われた輸入解禁要請が出されているのは四か国ございます。アメリカ合衆国とオランダ、チリ、ハンガリーでございます。  この植防上の輸入解禁のためにいかなる手続、段階を踏むかということでございます。  まず最初に、その要請国、相手国が試験調査計画というのを作成するわけでございます。害虫の殺虫でございますとか、一定の地域を無発生エリアにするための検疫措置の確立を目的にいたしました調査でございますとか、そういう試験調査計画を作成をいたしまして、次にそれに基づきまして実際の試験調査をする、病害虫の殺虫試験でございますとかをやると。そして、その試験結果を我が方において評価をします。評価をした上で、我が国が現地確認に行きまして、現地確認が終えましたら、関係者による公聴会を開く、しかる後に解禁手続と、手続的には以上のような段階を踏むわけでございます。  この四か国、どの段階にあるかということでございますけれども、チリのみが試験調査計画の作成段階、第一段階の作成段階でございまして、その余の三か国につきましては、要請の表明があったのみという段階にとどまっているわけでございます。  いずれにしても、これ我が方、非常に重い病害虫でございますので、病害虫の我が国への侵入を阻止するための検疫措置ということが確立されない限り、輸入解禁は行わないという立場を取っているところでございます。
  111. 紙智子

    ○紙智子君 アメリカは我が国の検疫制度を貿易障壁だということでねらい撃ちにしていると。  昨年の十一月に米国政府が生バレイショを国内メーカーに直接搬入することで検疫措置を免除するように求めてきたということですけれども、これは事実でしょうか。事実経過はどうでしょうか。
  112. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 米国との関係を申し上げますと、米国の植物検疫当局から平成十二年の十一月二十八日付けの書簡によりまして、生鮮のジャガイモを我が国加工工場に直接搬入することにより植物検疫措置を免除するよう要請があったわけでございます。  これは具体的には、向こうの生鮮ジャガイモをコンテナに入れて封印をして日本の加工工場に直接搬入することにより免除してほしいという要請だったわけでございますけれども、我が国が最も警戒をしております病害虫でありますジャガイモシストセンチュウとジャガイモがん腫病菌に対しまして、我が国への輸入前に国内において消毒措置等のリスク管理措置を取っているわけじゃございません。単にコンテナに詰めて封印してこっちに送るだけでございますので、アメリカの主張ではちゃんとした検疫措置、病害虫の侵入防止措置が取られているわけではございませんので、平成十三年の十一月にサンフランシスコで開催されました十九回日米植物検疫定期協議におきまして、我が方から、輸入解禁措置は、病害虫の侵入防止の万全を期すため、リスク管理の観点から、輸入前までに、輸入の前までに米国内で実施される措置でないといけないと、したがってあなた方の主張は採用できないという回答をしているところでございます。
  113. 紙智子

    ○紙智子君 要請されたというのは実際事実だったということなわけですけれども、このようなことが我が国にとってはやはり植物検疫制度を無視することだと、そして空洞化していくものだということでは今後も絶対に許されないというように思いますが、大臣認識はいかがでしょうか。
  114. 武部勤

    国務大臣武部勤君) 植物検疫上の輸入に関しましては、生鮮ジャガイモの輸入を含めまして、病害虫に関するリスク分析を行いまして、病害虫の我が国への侵入を阻止するための検疫措置が確立されない限り、解禁しないということとしているわけであります。  なお、我が国の植物検疫制度は、国内農業生産の安全を確保するという観点から不可欠なものでありまして、今後とも、植物の病害虫の侵入・蔓延防止を図るために植物検疫の厳正な実施を徹底してまいる決意でございます。
  115. 紙智子

    ○紙智子君 万が一に我が国に未発生の病害虫の侵入を許すということになりますと、天敵がいないということも手伝って爆発的に増殖するというふうに言われています。そして生態系にダメージを与える可能性もあると。それが大きいからこそ、植物検疫でこの輸入禁止措置を取ってきたわけです。  ジャガイモの場合は、国内未発生のジャガイモシストセンチュウ、それからジャガイモがん腫病というのもありますけれども、非常に重大な病害の侵入のおそれがあると。いったん侵入を許せば撲滅が困難だというふうに言われています。シストセンチュウでは、例えばダンシャクイモの場合は収穫が半分以下に落ちてしまうと言われているわけです。それで、抵抗性の品種の開発も進められているわけですけれども、続けて栽培すれば今度は抵抗性を破るセンチュウが発生するおそれがあるということも指摘されていると。  侵入を許さないために輸入解禁には絶対応じるべきでないというふうに思いますが、再度、大臣の決意を伺いたいと思います。
  116. 武部勤

    国務大臣武部勤君) ただいま申し上げましたように、植物検疫の厳正な実施を徹底してまいる決意でございます。
  117. 紙智子

    ○紙智子君 今、主産国北海道でバレイショというのは本当に重要な位置占めているんですけれども、輪作にとっても重要な作物だと。  それで、がん腫病も、この病原菌というのは長いもので三十年にわたって生き続けるわけですね。土壌の中で生存すると。シストセンチュウのシストも、土の中で何か硬い殻のようになって十年もつというふうにも言われているわけですけれども、現在発生が見られない地域でも、土の中で眠っている状態で病原菌の胞子が生き続ける可能性も否定できないと。だから、発生した農地では、それの影響を受けるジャガイモを輪作体系の中に入れることができなくなりますし、もし侵入を許せば、ジャガイモだけでなくて他の作物も含めた輪作体系全体、ひいては北海道の作物、畑作全体にも影響を与えるということになります。  たとえ輸出国の産地に対する検疫条件を付けたとしても、現地の検査が万能でないということは明らかで、そして、先ほどもお話ありましたけれども、輸入時の検査というのも抽出といいますか、サンプルの検査ですよね。ですから、侵入を完全に防ぐ保障はないというふうに思うんです。ですから、関係者はやっぱり水際で防ぐしかないというふうに言っていますし、病害虫を絶対に入れないという断固とした対応を取ってほしいというふうに言っているんですけれども、いかがですか。
  118. 武部勤

    国務大臣武部勤君) 私は、シストセンチュウでえらい苦労した一人でございます。紙先生、未発生と言いましたけれども、北海道、私の地元では、今から二十年ほど前にシストセンチュウが発生しまして、大変な苦労をいたしました。これを撲滅するには七、八年から十年掛かるということも経験してきておりまして、その恐ろしさというものを身をもって体験しておりますので、断固とした決意で対応してまいりたいと思います。
  119. 紙智子

    ○紙智子君 以前、七〇年代に真狩村で発見されて確かにあるんですけれども、今私が言った未発生というのは、五種類ぐらいあるんですよね、もっとありましたっけ、そのうちの一種類は既にあるんだけれども、ほかのまだ未発生のものがそのほかにも種類があるという意味で、まだ未発生のが入ってきちゃいけないという意味で言いました。  それで、大臣、今、北海道馬鈴しょ生産・流通対策検討委員会というのができていて、輸入を解禁した場合の経済的な影響の予測というのを発表しているんですけれども、これは御存じでしょうか。  バレイショの輸入による価格の低下次第では、生食用のバレイショは全滅の危機にさらされることになるというふうに指摘しています。そして、北海道の地域経済社会にも甚大なマイナスの影響を与える可能性が非常に大きいんだと。ジャガイモというのは、農家にとっては重要な就業の場でもあると。そして、土地利用で輪作体系の不可欠の作物で、もしそれを失った場合にはそれに代わるものがあるのかということでは非常に重大な、単に一農作物にとどまらない、そういう問題として指摘をし、そして経済面でも、外国の安い価格のイモが入ってくることによってどういうダメージを受けるのかということでは慎重の上にも慎重に検討し判断されなければならないということを提言をしています。繰り返し大臣の答弁の中でも断固としての決意ということを述べられたので、是非その方向で頑張っていただきたいということを最初に話をしておきたいと思います。  次に、JAS法について質問いたします。  監視体制の問題ですけれども偽装表示それから不正表示、この横行を防ぐということ、表示に対する消費者の信頼を回復するために罰則強化ということでの今回のこのJAS法改正というのは評価できると思うんです。  しかし、表示が担保されるためには、点検・監視体制強化が必要だというふうに思います。立入検査にかかわる検査員を、先ほどのやり取りの中でも千五百人から三千人に増員したというふうにおっしゃいましたけれども、これは消費技術センターや地方農政局の職員に立入検査のための身分証明書を持たせたということですね。立入検査できる人が増えたというのはこれは大事だというふうに思うんです。  しかし、立入検査というのは、通報が来て、消費者などから通報が来て、こういうことで違反のものがあるといって、その違反疑いが明らかになって初めて出動できるということだと思うんです。実態は、ですから、そんなしょっちゅうあちこちから来るというわけではない事態なわけで、やはり大事なのは日常的なモニタリングだというふうに思うんですね。日常的に監視するということも大事だと思うんです。  それをやる消費技術センターの表示担当職員は一体何人いるのか、現在、そして年間の実際買い上げる調査ですね、検査ですね、この買上げの件数がどうなっているのかということについてお答え願います。
  120. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 消費技術センターにおきまして表示を担当している職員ということで、実は農林水産消費技術センター、昨年から独立行政法人化に移行するに際しまして、表示問題の重要性にかんがみ表示関係の課を独立させるという対応をいたしてきております。現在、表示担当の職員ということでは、百二十三名という状況になっております。  また、消費技術センターでは、加工食品につきまして、流通している加工食品を買い上げまして、その表示と内容が一致しているかどうかの検査も併せて実施いたしております。表示制度拡充強化に併せまして、平成十三年度はこの買上げ件数、従前より大幅に増強させまして約五千弱、十三年度の実績では四千九百三十九件の買上げを実施しております。これは、十二年度が二千七百件余でございましたので、大幅に強化をしてきている状況にございます。
  121. 紙智子

    ○紙智子君 前回のこの法改正表示制度は拡大したわけですけれども、それに見合ったモニタリング体制の充実が必要だと思うんです。前回の法改正後、買上げ件数は確かに増えているというふうに思うんですけれども、今後生鮮食品表示が正しいかどうか、そういう意味では科学的な分析も必要になってくるというふうに思うんですね。  買上げの件数は、消費技術センターの中期目標というのをお決めになっていますよね。その中で、例えば生鮮食品原産地表示調査店舗数ですか、これが各事業年度で六千店以上とか、買上げ件数三百件以上とか、加工食品の場合は五千件以上とかということで、そういう目標を決められてそれに基づいてやっていると思うんですけれども、この目標自体を更に引き上げるべきではないでしょうか。  そして、技術センターの職員も、表示制度を拡大後、実際には増えるどころか減ってきているという実態があるわけで、表示担当職員、今百二十三名というふうにおっしゃいましたけれども、やっぱり思い切ったここの増強が必要じゃないかというふうに思うんですけれども、これどこまで引き上げられるんでしょうか。
  122. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 農林水産消費技術センター表示適正化の指導、監視する役割を担っているわけでございます。その体制充実強化は私どもも重要な課題であるというふうに思っております。  センターの職員数そのものは行政改革の中で減少する状況で推移いたしておりますが、その中で正に業務を担当する部門、こういう表示を含め業務を担当する部門の強化を図ってきているところでございますし、先ほど申し上げましたが、十三年度から表示の担当部門を独立させると、そういうことで充実強化を図ってきているところでございます。  さらに、本年、食品原産地を偽るなどの事案が次々に明らかになってくる、そういう状況の中で食品表示監視体制強化が求められている、そういうことを踏まえまして、他の部署からも要員を動員するなど体制強化を図っております。  今後、青果物、水産物についての表示の全国的な実態調査、この間、食肉について実施してきておりますが、更に青果物、水産物等について全国的な実態調査を行っていくなどして、センターの役割の重要性を十分踏まえながらその監視体制強化に努めていくと、そのことを通じて食品表示に関する信頼回復に向けて全力で取り組んでいきたいと。  中期業務目標につきましても、先生指摘のところでございますが、当面それを十分実施しながら状況を見ていきたいというふうに思っております。
  123. 紙智子

    ○紙智子君 先ほども出てまいりましたけれども食品ウオッチャーということで、各県にも要請してという話がありましたけれども、このウオッチャーは量販店小売店、ここで実際に日常買物をする中で、そういうおそれがある表示を、違反のおそれのある表示を見付けた場合に食品表示一一〇番などに通報してくるということになると思います。  そういう意味では、これも広く情報を収集するということでは、そのきっかけにはなると思うんですけれども、しかしながら、JAS法に基づく権限ということでは、通報してこうだと言うことはできますけれども、それ以上のことはできないということなんですね。千百五十人の都道府県のウオッチャーということで、十八県ですか、ということでさっき御紹介がありましたけれども、これも十八県、まだ十八県しかいないのかなというふうに私なんかは思うわけで、やっぱり全国に配置をしていく必要があるんじゃないかと思います。  それから、表示の適合性、実際にウオッチャーでお店に行って見るわけだけれども、外から見ただけじゃ分からないということはあるわけですよね。国産牛と輸入牛が一目では分からないように、そういう言ってみれば目だけで分からないものは買い上げて、そして消費技術センターが実際に買い上げて科学的な検査をしなければ担保できないということだと思うんですが、食品表示はやはり消費者にとってみますと、安全性の確保、それから健康の維持、品質確認、それから選択の保障ということで消費者権利にかかわる非常に大事な意味を持っているというふうに思うんです。  適合性確保のための体制強化ということでは、現状のところで推移を見ながらということなんですけれども是非体制強化ということを強力に要求をしたいと思います。いかがでしょうか。
  124. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) まず、食品表示ウオッチャーということで、都道府県段階千百五十名、十八県という形になっております。一方で、私ども中央といいますか、全国段階であれしております状況を見ますと二百名余でございますが、ほぼ全国にいていただくという状況でございまして、中央段階、県段階合わせて民間のそういうお力をかりていきたいというふうに思っております。  それと、製品の買上げ・分析を通ずる確認行為でございますが、これは例えば有機食品あるいは遺伝子組換え食品含めて、先ほどの加工食品の買上げの中でそういう分析をしながら、遺伝子組換え食品であれば、遺伝子組換えでないというものについての中身の分析を通じて、これは科学的にかなり検証できるまで来ております。そういう取組加工食品の買上げ事業の中で充実強化を図っている状況でございますし、さらに我々、そういう科学的分析手法の開発という点でも、例えばDNA分析を通じて表示確認ができるような、一部もう既に実用化されておりますけれども、そういう技術開発も関係部局と連携しながら進め、実用化に図っていくと。  そういうことを通じて、表示に対する信頼性、実効性、またその担保力を図っていきたいというふうに思っております。
  125. 紙智子

    ○紙智子君 やっぱり実効性のあるものにするためのかぎを握る部分だと思うので、よろしくお願いしたいと思います。  次に、有機JASの問題についてお聞きします。  有機JASの認証制度が昨年の四月からスタートをいたしましたが、現在、認証件数はどうなっているでしょうか。
  126. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 有機JASの認定事業者の認定件数、私ども本年の五月十四日までのデータを整理させていただいておりますが、国内において生産行程管理者は、実際にその農産物の生産行程を管理し、又は状況を把握している者で、有機農産物でいえば、それを作っている生産者、農家や生産組合がこれに該当しますが、生産行程管理者は千三百五十二件、これは今申しましたようにグループを含みますので、農家数で見ますと三千六百七十戸という状況になっております。  また、有機農産物の加工食品の製造業者は六百三十三件、有機農産物等の流通にかかわるいわゆる小分け業者は三百六十一件、輸入業者は八十二件という状況になっております。  また、有機JASは外国においても生産行程管理者等の認定を行っておりますが、生産行程管理者は百三十五件、製造業者は百四十件、小分け業者は三十三件という状況になっております。  認定状況という点では以上の状況でございます。
  127. 紙智子

    ○紙智子君 この有機農法でもってやる場合に、非常に手間暇が掛かるというふうにいろんなところで御苦労をお聞きするわけですけれども、認証にかかわる費用、これはどれくらいの負担をしているのか、農水省、把握されているでしょうか。
  128. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 有機JASの認定手数料は、認定業務の適正な実施に要する費用の範囲内で各登録認定機関、今は六十余の登録認定機関があると思いますが、定めることとされておりまして、この登録認定機関、御案内のとおりNPO法人あるいは営利企業も含まれ、あるいは地方公共団体も含まれる状況でございます。その活動の状況、区々でございまして、言わば有機生産者の負担になります認定手数料も、認定機関の規模や人件費の差異を反映してかなり相違が見られる状況にございますが、具体的に申し上げれば十万円以下の機関が全体の七割を占めるという状況でございます。一方、二十万円を超える機関も約一割存在するという状況でございます。  私ども、これらの状況は、登録認定業者情報にかかわる情報を提供し、個々の生産者の利活用といいますか、に資するという形で運用している状況にございます。
  129. 紙智子

    ○紙智子君 認定機関に支払う認定料、それから認証機関から出向く検査員の交通費や農産物に張るシールや包装代や、認証料だけで今お話があったように十万とか高いところでは二十万とかという話も、聞くところでは三十万以上という話も聞きますけれども、更に二年目以降は監査料も必要になりますね。  そのほかにも、有機農業に取り組む農家というのは小さい農家も多いわけですけれども、この小規模の農家が認証を得るために大変な作業をやっているわけです。年間通して圃場ごとの作業記録と、それから使用した資材の投入量の記録などを含め、厳しい規格に厳格に沿ってということでたくさんの記録をやらなきゃいけない、そういう作業をやらなきゃいけないと。大変手が掛かって、このほかにコスト面も、今言ったほかにもまだ様々な面で費用が掛かるわけです。  そこで、大臣、この認証費用の負担の重さ、これが有機農業の普及や振興の阻害要因になっているというふうに思わないでしょうか。大臣認識伺いたいと思います。
  130. 武部勤

    国務大臣武部勤君) 阻害要因がこれだけかどうかということについては私もよく承知していませんけれども、有機農業について高度な栽培基準の遵守等が求められている生産手法でありますので、有機JASの認定費用の負担が、有機農業を振興するためにできる限り負担を軽減することが望ましいと、このように考えております。
  131. 紙智子

    ○紙智子君 有機農産物に対する消費者のアンケートがありますけれども、ここでは、価格にこだわらずに購入したいというふうに回答している人が一〇・三%、それから、一割アップまでだったら購入するというのが大体六割ですね、五九・〇%と、二割アップまでだったら購入するというのが一五・一%というふうに答えているんです。  だから、せいぜい一割アップぐらいまでかなということだと思うんですね。だから、有機農法で安心できるというのは確かに要望は強いんだけれども、余り高過ぎちゃうと、これはやっぱり手が出ないというのが実態だと思うんです。有機農業によるコストアップというのは、この認証の費用だけではなくて認証費用等そのほかにもいろいろ掛かるわけですけれども、そのコストアップ分が価格に転嫁するということにしてもこれ限界があると。せめて認証費用のこの負担軽減の措置というのは必要ではないかと思うんです。  先日、野菜の方の質問でも大臣にいたしましたけれども野菜の構造改革の推進方向ということで高付加価値タイプの有機農法も挙げられています。それで関連予算も大幅に増額しているということもあるわけで、有機認証費用に対する助成を野菜の構造改革の促進対策予算のメニューに加えることも検討すべきではないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  132. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) まず、事務的に答弁させていただきますが、私ども大臣先ほど御答弁がありましたように、できる限り負担を軽減していくことがやっぱり望ましいというふうに考えております。  そういう中で、私ども、有機JASの認定を受けようとする農業者を支援するという観点から、実地講習会の開催を通じて必要な手続等について情報提供を行う、あるいは先ほど認定手数料についての多寡の御論議ございました、私どものホームページを通じて登録認定機関に関する情報を提供しております。そのことを通じて生産者は言わば選択、登録認定機関も選択できるという状況でございます。そういうことを通じて農業者への支援ということを考えておりますが、なかなか直接的な、認定手数料にかかわる直接的な支援というのはなかなか難しいというふうに思っております。  また、有機、JASの中で有機農産物を取り上げてきた経緯を考えますと、ガイドラインとして有機農産物の取扱いをしていたわけですけれども、生産サイドからも消費サイドからも、消費者からすれば、有機がはんらんしているけれども、本当にこれがどういう形で生産されたものかというのは必ずしも確認できないと。あるいは、本当に有機生産に取り組む生産者からは、自分たちの努力が必ずしも十分報われないということで、言わばこういう第三者の認証ということを通じて生産者にも消費者にも確実なものを提供していくという取組でございます。  そういう点では、一定のコストについてはやはり生産者消費者の双方の理解の中で解決していくということが基本だと思いますが、私ども、側面からの今申し上げたような支援は継続実施していくことが必要だろうというふうに思っております。
  133. 紙智子

    ○紙智子君 もう時間になると思うんですけれども、直接やはり生産者にこうした助成ということで付けてやらないと、やっぱりいろんな困難を乗り越えてやっていくということでは、踏み込んでというふうにできないというふうに思うんです。  それで、やっぱりアメリカは日本に対してはいろいろと厳しいことを言ってくるわけですけれども、アメリカでは小規模農家に対する優遇措置もされていると。十五の州で農家が支払う認証料の七割を補助する経済援助を打ち出していますし、直接支払の対象とする形で支援をしている国もあると。そして、偽造のものが出回らない努力と、それから軽減するということをやってきているわけで、我が国の場合は、法律は作ったんだけれども、この経済的な直接の支援は皆無ということではやっぱり不足だということでは、今後是非検討していただいて、この対処もやっていただきたいということを述べまして、質問を終わらせていただきます。
  134. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 大分議論も詰まってまいりましたが、最近の不正表示ですか、これだけ不正表示問題がたくさん出てくるとすれば、今回のJAS法改正は当然であろうと思いますし、これによって、公表制度あるいは罰則によって少しは不正表示が直るかなという気はするんでありますが。  このJAS法ができたといいますか、その時点から戻って、その時点のころからを振り返ってみますと、私の記憶ではJAS法というのは、やっぱり農家が、農家の方々が、自分のところはいい野菜なりいいものを作ろうとする努力をされていたと、それがなかなか消費者にまで伝わらない。それを伝えるにはどうしたらいいかというんで、片やJIS法があるじゃないか、工業製品はそういうことでやっているじゃないか、したがってJAS法も農産物としてそうやっていこうと。  言うなれば、スタートというのはやっぱり人間の、日本人と言ってもいいんですけれども、いわゆる性善説に基づく、そういうものに基づく行動を期待してやったと思うんですね。だからそれがずっと続いてきて、したがって、何といいますか、農産物の優位性という面を利用して、何といいますか、悪用してきたと、悪用されたというのが実態なわけで、こういう面では、皮肉な見方をすればこの制度が評価されたということも言えるわけですよね。  それと同時に、やっぱり最近輸入野菜なんかがたくさん増えてきましたし、地産地消あるいは身土不二などという、その哲学的な精神から産地表示を求めたり、あるいは安全性の面からいろんなそういう情報をもらいたいと。こういうようなことで時代が変わってきたと思うんですけれども、言うなれば、今回の不正表示を見ましても、やっぱりこの性善説の行動を期待して作ったものが性悪説にどう対応するか、性悪説によって否定されてきたという大変悲しい状況になったというふうに私は思っているんですが、それだけ世の中といいますか、人の心が悪くなったんじゃないかと。これは教育面とかいろんな面があると思うんですね。  そういう面で、今回監視をどうするかとか、あるいは刑罰をどうするとか、これも大切なことですけれども、それだけで本当は解決に行かない問題ではないかなと。もっと広く見たら、もっと我々は考えなきゃいけない、そういう、単純に言えば性善説の世の中から性悪説の世の中に変わってきたんじゃないかという、そういうような感じを持って私はこの改正案をいろいろ眺めさせていただいたんですが、このバックグラウンドとして、大臣はどんなふうにお考えですか。
  135. 武部勤

    国務大臣武部勤君) 岩本先生のお話を伺いながら、私も当初は性善説といいますか、それぞれ立ち向かっていこうと、チャレンジしていこうという人々に対しての奨励だとか、あるいはインセンティブとか、あるいは励みだとか、そういう考え方がこの食品表示とかJAS規格とか、そういったことがあったんだろうと思うんです。  しかし、今お話しのとおり、それが、今回の度重なる一連偽装表示でそういったものが覆されてしまったというのは、本当に私も、いみじくも先生悲しいというお話をされましたけれども、私も本当に悲しい出来事と言って過言でないと、こう思うのでございます。  したがいまして、私どもは、こういったことが起こらないように、やっぱり国民消費者あってのものでありますので、信頼回復ということを第一義的に考えておりますが、やはりそれだけじゃありませんで、バックグラウンドと今おっしゃいましたけれども、もう一度、日本という国は技術の国でもありますし、また今様に考えますと環境保全といいますか、そういうこと、ナチュラル、余り私も横文字得意じゃないのにこういう言葉使うのもどうかと思いますが、自然食だとかそういったことが取られておるわけでありまして、そういう本来の姿に取り戻していくための一つの過程と考えて、早くそれを取り戻すためには厳罰主義、少々考え方としては後ろ向きの考えかもしれませんが、徹底して今の問題解決に当たるということではないかと、このように思っております。
  136. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 私の申し上げたいのは、これは、法律としてこれはいいんですけれども、そういうもっと大きな角度から、こういう問題から入り込んでそこまで考えなきゃいけないのが今の日本の実態じゃないかなと、こんな気がいたしたもので、是非とも大臣も、この法律改正にとらわれないで、今お話しになったお気持ちを持って内閣の一員として御行動をいただきたいと思うわけです。  しかし、現実には、そういう倫理観とか道徳観に頼っていられないのが現実なんでしょうけれども、したがって今回こういう改正が出てきたんでしょうけれども、先ほど来お話を聞いていまして、まだいろいろ検討過程でこれからもいろいろ変わってくるというようなお話もございましたけれども、この法律についてじゃなくて、食品安全については。  ただ、これについて一つだけ私、お聞きしておきたいのは、いわゆる罰則ですね。この罰則というのは、強くした方がいいのか緩くした方がいいのかというのは一つ大きな問題あると思いますよ。強くしたがために悪用されるとかあると思いますが、ちょっと聞きますと、先ほどもちょっと出てきましたけれども、不正競争防止法というのがあるんですね、経済産業省ですか。これは、要するにグッチとかルイ・ヴィトンですか、あれの海賊版を造ったときの罰則のようですけれども、言うなれば不正表示になるわけですね。それで、そちらの罰則を伺いますと、懲役が三年以下、個人が三百万円、法人が三億円と、ちょうど三倍になっているんですね。同じような規定なんです。  どちらがいいのかどうか分かりませんけれども、どうも私なりの勘ぐりですと、この額というのは商行為から出ているんじゃないか、商行為の大きさから。食品の安全云々というか、表示の受ける被害と、それからグッチやルイ・ヴィトンとか、そういうものの不正でもうけたようなときの場合というようなので出てくるんじゃないかなというような感じを、これは本当かどうか分かりませんよ。  そういうときに、やっぱり今回の食品については、これは安全なんですよね。ハンドバッグがどこかマークが違ったものを使ったってこれは安全とは全然関係ないわけで、今度の問題というのは安全性を確保しようということが大きな核心になっていると私は思うんですが、そのほかに食品衛生法でもいろいろ規定がある、罰則があると思うんですけれども、それは私、調べてきませんでしたのでよく分かりませんが、この辺の整合性というのはどうお考えになっているのか。これは局長ですか。
  137. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 先生指摘の不正競争防止法におきましては、故意に会社名、商標のまねでありますとか、正にコピー商品の販売等を行った場合に、三年以下の懲役、又は個人にあっては三百万円以下の罰金、法人については三億円以下の罰金という状況になっているのは御指摘のとおりでございます。  これに対して、JAS法においては、表示に関する指示に従わず、先生、安全という形であれですが、言わば食品の安全を直、している、直ちに安全問題で私ども、JASの表示ということではなくて、商品選択に資するという観点での表示でございますが、その表示に関する指示に従わず、更にその指示に従うべき旨の命令に従わないというときに、一年以下の懲役、自然人に対する百万円以下の罰金、法人一億円以下ということでございますが、このような状況。  不正競争防止法はJAS法よりも三倍重くなっているわけですが、これは、先生の御指摘にもございましたが、不正競争防止法が、食品表示のみにとどまらず、ブランド商品の偽造など大規模な企業犯罪をも対象としている、そういうことが背景にあるというふうに私ども思っております。
  138. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 今のお考えですと、農産物の場合は、不当表示して商取引的に優位になるという解釈でこういう法律を作ったということになるんですかね。要するに、どこどこの、本当は青森産だと高いものを、それは鹿児島産と持ってきたものを青森産と書くことによって、いわゆる不正表示ですよね、そういう優位さというのは経済的に優位になると、それを防止するという考え方なんですか。  私は、だから言うなれば、そういうのもあると思いますよ。そういう不正競争防止と同じような、ハンドバッグや何かと同じようなこともあるかもしれませんけれども、そういうもの以上に、食品というのは安全性の要素があると思うんですよね。それが、この刑罰を見ると、これだけの差があるということの整合性がどうもよく分からない、こういうことなんですが、もしその辺を考えていただけるのならそれでも結構ですけれども、ひとつその辺の御答弁をよろしくお願いします。
  139. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) JAS法品質表示の場合も、先生指摘の、虚偽表示をすることによって、今まで生じた事案についても、輸入品を国産として表示することによって経済的な利得も生じているということは事実であると思っております。  かつ、私ども、このJAS法の精神は、言わば消費者商品選択をしていただくためにいかに正確な情報を提供していくかと。その情報虚偽情報で経済的な利得を得ているという状況の中で、私ども、言わば今回の公表のルール化にしろ、罰則の強化のルール化にしろ、言わばそういうルールを明確化することによって、食品の製造、流通に携わる方たちの言わば虚偽表示等の抑止力にする、事後チェック型の抑止力を強化していくという形での整理というふうに思っております。
  140. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 この議論を余り長くやるつもりないですけれども、要するに、どこが目的かということをしっかり考えてもらいたい。この不正競争にしたって、あれでしょう。これは、不正競争は明らかに一番の目的は商取引のところでしょう。だけれども、今回の場合についても、今のお話では、ほとんどの目的が商取引だということになるわけでしょう、外国産品を国内産品に書くという点では。だから、その点では同じレベルの問題だから、それだけにしたって刑罰が違うというのはおかしな話ですよね。  僕は、それ以上に、食品というのは安全性の問題がある、だからもっと本当はこれよりも、重くていいかどうか分かりませんけれども、これと比べて何らかのそういう意味合いが入らなきゃ僕はおかしいんじゃないかなという気持ちがあるから質問しているんですけれども、この辺すぐお答え、もし御答弁ありましたら。
  141. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 虚偽表示ということで不正競争防止観点で事案が対応する場合は、当然のことながら不正競争防止法でも処罰の対象になることになると思います。食品表示のみを対象としているJAS法と、不正競争防止法は食品当然含みますが、より広い範囲で対象にしているということでの違いがあるかというふうに思っております。  それと、私どもJAS法表示は、正に安全な食品は前提にしながら、消費者選択情報としてどういう情報を出していくかという観点でございますので、私ども、そういう点で、これは法制局の審査も受けて、その中での整理がされたものでございますので、そういう理解をいたしております。
  142. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 今のお話ですと、なおさら分からなくなっているんですけれども、不正競争防止法で食品ができるんだったら何もこれを作る必要ないじゃないかという気になっちゃうわけですよね。だから、いや、まあただ、農水省の御努力は買いましょう。こうやって……
  143. 武部勤

    国務大臣武部勤君) いいですか。
  144. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 大臣、ひとつ。
  145. 武部勤

    国務大臣武部勤君) 私が事務当局に指示をしたのは、食品表示の問題は人の命や健康にかかわる問題だ、このことで偽装表示ということがあることは断固許せないと。先生おっしゃったように、ハンドバッグだとか靴だとか洋服とかと違うと。しかし、食品というのはべらぼうに何万円だ、何十万円だ、何百万円だというものはありませんね。ですから、一番許されないことであるけれども、その中で最大限、厳罰として、法として、立法手段として可能なのはどの辺かということを専門家とよく相談して検討せよという指示をしたわけでございます。  ですから、中には、一億円というのは随分これは高いんじゃないかと言う人もおります。一億円以下ということですから、全部が全部一億円という、法人だから一億円というわけじゃありませんが、そういうことで、私は詳しく専門家から聞いておりませんが、それを前提に検討した結果、個人は百万、そして懲役刑を設ける、そして法人は一億円、こういうことで、私はこれを了としたわけでございます。
  146. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 先ほどのお話で、不正競争防止法ですか、これの範囲でもあるし、これから、これは新しい問題だから検討の過程だということですので、そのぐらいで今、当面は今ここで、次の問題がありますので、やめさせていただきますけれども。  もう一つは、これは表示問題になるか、あるいはトレーサビリティーになるか分からないんですが、いわゆるトレーサビリティーについて農林省非常に御努力されているのは大変評価させていただきます。一生懸命やっていただきたいと思うんですけれども一つ、先ほど食品産業出ました、食品のトレーサビリティーとか表示といいますか中身でですね。もう一つ外食産業があるんですね。外食産業というのは、恐らく今は物すごくそれに頼っている人が多いと思うんですよ。それで、自分でスーパーなりどこなり行って、それがトレースできる、どこだというのが分かるというのはそれはそれで結構だけれども、外食産業についてだって消費者からいえば当然そういう要求が出てくる、当然知りたいことだと思うんですね。  その辺について、もうこれは外食産業の人を全面的に信用する、農水省が信用するというなら、それも一つの考え方かもしれませんよ。だけれども、そういうものについて、トレーサビリティーについて、外食産業についてはどういうふうにお考えになっているのか、それをお聞かせ願いたいと思います。
  147. 武部勤

    国務大臣武部勤君) 細かいことは西藤局長に答弁させますが、私、先般も、英国ですとかスペインでスーパーマーケット、大きい量販店に行って見てまいりまして、そして、これは外国のものまで分かるんですね、そこでは。どこの、どこどこの国のどこで取れたものだって分かる。感心しました。だけれども、国内のものでも、どこのだれそれさんが作っているかというのは分からないのかと。そしたら、不思議な顔をするわけですよ。なぜそこまで調べなくちゃいけませんかと。というのは、私どもは分かりますと、私どもは分かりますけれども、それだけ信頼を得ているからそこまで調べてくれと言う消費者は、全くとは言いませんでしたが、おりませんという話でした。  私は、外食産業の場合もこれから、消費者というのは食の安全について非常に大きな関心持っていますから、自主的にいろんな取組がこれから行われるんだろうと思います。それをもって消費者がやっぱり信頼を寄せるか寄せないかということが一つあるだろうと思います。あるいは、当然、その中ではどこのものということが、どこかで私、レストランで岩手の何々さんの農場の肉とかって表に出ていましたよ。ああ、だんだんこうなるのかなと思いましたし、私は先ほど農協改革のことについても触れましたけれども、好むと好まざるとにかかわらず消費者は、どこで取れたかとか、どこの店との取引をしているかとか、そういったことに関心を持ってくるんだろうと思うんですね。  そういったこと、いわゆる自主的な取組といいますか、我々は、基本的な柱になる部分をしっかり政府が関与してやる、同時に民間における自主的な取組に期待をしたい、このように思っているわけでございます。
  148. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 大臣は、要するに外食産業なら外食産業を信用したい、今の時点では信用したい、こういうお話と理解して……
  149. 武部勤

    国務大臣武部勤君) いえ、そうじゃないです。  信用される外食産業はどこかということは消費者選択をすると。それは、そういう取組をしっかりやるところとやらないところはだんだん差別化していくんじゃないでしょうか。
  150. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 それだと、やっぱりスーパーマーケットへ消費者が行くのと同じ感覚になってくるんですよね。物が分からなかったら、信用できるかどうか分からないですよね。
  151. 武部勤

    国務大臣武部勤君) だから、分かるようにですね……
  152. 常田享詳

    委員長常田享詳君) 個人的にやらないでください。
  153. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 だから、とすれば、いや、その辺、僕も実際に消費者の話聞いてじゃないですから、農林省、ある程度そういうお考えならお考えでも結構なんです。その辺をはっきりさせておいていただいて、それを消費者がどうお考えになるか、それが今後の課題になると思いますので。  私は、時間が少ないものですから、ちょっと尾嵜部長、質問一つだけ。
  154. 常田享詳

    委員長常田享詳君) 簡潔にお願いいたします。
  155. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 先日、残留農薬について、DDT、BHC、外国で使われていると。これはいろいろ質問を準備したんですけれども一つだけ、私聞きましたら、外国から入ってくるやつは〇・二ppmですよね、大体BHCもDDTも。これは要するに何というのかな、農産物に使わなくてもそういう残留があるんだと、いろいろなもの、ほかのもので使っているから。だから国内、日本であってもよく調べたらそのぐらいはあるはずだ、日本は農薬として認められていないけれども、というようなお話だったんです、部長の部下の方々が。  これ、こういう理解でいいんですね、その出発点としてはそれで。私はまた厚生労働省、また別に質問の機会がありますのでまたやりますけれども、それだけ教えてください。
  156. 尾嵜新平

    政府参考人尾嵜新平君) 国内で農林水産省の方が農薬取締法で現在DDTなりBHCを禁止しておりますけれども、それについては土壌に残留をするということが一つの大きな問題点でございまして、そういうことで禁止をしているわけでございますが、そういった中でも残留をするということから、もう使用を禁止した後でもそういった作物を栽培している中で……
  157. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 日本でもあるかどうかだけ教えてもらえればいいです。
  158. 尾嵜新平

    政府参考人尾嵜新平君) 日本でも、最近はもうやめてから大分たちますからそういった例は聞いておりませんけれども、やめた後もそういったDDTが検出されたというケースがあるというふうには聞いております。
  159. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 終わります。
  160. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 JAS法改正案の実効性をどうやって確保するかということについて、幾つか質問させていただきます。  最初は大臣にお願いしますけれども、今年一月の雪印食品事件以降、多くの食品不正表示事件が明るみに出ていますね。JAS法改正の、前回は一九九九年に行われました。そして、施行されたのが二〇〇〇年の七月一日からなんですね。それから今年一月の雪印食品事件が起きるまで、この約一年半の間に、生鮮食料品について農水省JAS法違反指示を出した事例というのはたった一件しかないんですね。ところが、今年の二月一日に雪印食品指示を出して以降、四月三十日までのわずか三か月で指示した案件というのは十五件にも上るわけですね。その中には意図的な不正行為が何年も前から常態化している事例というのもありました。  なぜ、雪印食品事件が起きてから急に多数の不正表示摘発することができたのか。いきなり今年になって摘発能力が急に上がったというふうには考えにくいですし、また事件も今年に入ってからわっと増えたというふうにも考えにくいんですが、どういうふうに感じていますか。
  161. 武部勤

    国務大臣武部勤君) まず、BSEの発生を契機に、国民消費者の皆さん方が食の安全ということに対して大変大きな関心を持つようになったということがあると思います。同時に、これは私どもの責任でありますけれども、それは関心から不信という、なかなかどんなことでも人が言ってもそれを素直に認め難いというようなそういう風潮も強くなったんじゃないかと、このように思います。ましてや、雪印というネームバリューのある雪印食品がああいう偽装事件、詐欺行為をやったというようなことから、そういったものが相乗的に大きくなっていったと、このように思います。  私どもも、食の安全という問題に対しまして、後ればせながらも食品表示一一〇番の開設でありますとか、食肉表示実態調査実施でありますとか、いろいろな監視体制強化ども実施してまいりました。こういったことによりまして、内部告発もあるでしょうし、食品表示なんかも当初大変な数が一一〇番に寄せられまして、それに基づきまして、今までのJAS法では公表などということはそう簡単にできない仕組みの立法要件になっておりましたけれども企業が、公表した方がいい、公表せざるを得ないというようなそういう環境条件下になってきた、そういうようなことも私は背景にあるんじゃないかと、私どもも見逃さないという決意でいろいろやってまいりましたので、そういったもろもろの条件によるものと、こう思っております。
  162. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 そういう外的な事件発覚とかそういうことが引き金になって関心が高まって、やっと農水省としても摘発するという能動的な姿になったということ自体が私は不思議であって、そういうことがなくても、こうした事件というものは常時摘発する能力があるべきだったんじゃないかなということでお聞きしているんですが。  総合食料局長にお尋ねしますけれども偽装表示の再発防止策について、五月二十九日の衆議院農林水産委員会で総合食料局長は、偽装表示防止には食品を扱う企業モラルを高めることが重要と考えていると、企業の自主的な取組を促し、虚偽表示防止に努めると。これはこのとおりなんですが、ちょっと標語みたいに味気のない優等生の答弁みたいなんですけれども、こんなことは今までもそう思ってやってこられたと思うんですよね。  ところが、企業の自主的取組を促すことによって虚偽表示防止するということは、実際には実効性を持っていなかったという結果になっているんですが、これはやっぱり政策の間違いだったということなんでしょうか。
  163. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 虚偽表示が多発している状況の中で、先生指摘のように、私ども制度の運営、あるいは制度自体にも反省すべき点があったというふうな認識はいたしております。一方で、やはり食品企業自体が、消費者の信頼確保という点で、自らの自覚といいますか、意識に欠けていたところがあるんではないかというふうに切実に思っております。  そういう点で、雪印食品事件、一月に発生して以来、食品関係企業に対して行動規範等の確立、実効性確保ということで要請をいたしてきております。食品関連企業の中で、そういう言わば一つの手引を今月中ごろにもまとめたいということで、具体的な動きが、検討が出てきております。当然その中で、実効性確保という観点から、企業の中で、通常の業務の系列とは別に企業内で適切な情報系統を確保できる、言わば規範の、そういう遵法精神に反するような行為等の情報に関して、業務ルートとは別のルートを作っていくと、そういうことを企業内で言わば周知徹底し、枠組みを作っていくということをモデル事例の中で取り組んで周知していこうと、そういう動きが出てきております。  そういうことを通じて、本問題の一方の解決が図られていくんじゃないかというふうに私ども期待しているわけでございます。
  164. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 再び大臣にお聞きします。  確かに、今回のJAS法改正による罰則強化あるいは公表の弾力化というのは偽装表示に対してそれなりの効果を発揮すると思います。しかし、重要なことは、どうやって偽装表示を見破り、摘発するかということであって、これが担保されないとするとJAS法改正案そのものが実効性を欠くことになるというふうに考えます。  そもそも、最近の食品に関する事件を見ると、多くが内部関係者からの告発で発覚している。これはもう厳然たる事実なんですね。雪印食品事件、これは関係者による報道機関への告発でしたね。それから全農のグループ会社全農チキン、これが、中国産を国産と偽装表示した事件も取引先に情報提供がされたわけです。同様にカワイ、これが、輸入牛タンを讃岐牛などとして販売していた事件でも発端は中国四国農政局への匿名による情報提供だったわけですね。逆に、内部告発に頼らないとなかなか偽装表示を見分けることが難しいというような状況があります。  先ほど国井先生、内部告発なんか気に食わぬと、文化に逆らうもので余り好きでないというような御発言がございました。確かに、武士道の美学からしてもこういうものは日本人は余り好きではありません。私も、私利私欲、派利派略ですね、あるいは私怨私恨によるスキャンダルの暴露とか、余計なことをやたら言い触らかすというような行為というものは非常にひきょうだという感じはありますが、問題は、武士道も道徳もなくなってしまった業界の話を今しているわけでございまして、内部告発というのは逆に言えば、企業があるいは団体が組織ぐるみで違法行為をやっていく、その結果、消費者にも危険を与えていくというような状況、しかも成功していけばどんどんそれがエスカレートするというそういう状況に対しては、遵法精神でもって内部告発をするということは、実は正義の情報公開の一種だと私は思っているんですね。そのことが実際にこれまでの事態というものを明らかにしてきて、そのために業界が浄化されていくということは私はいいことだというふうに思うわけですね。それは、役所の方々がモニタリングしてずっと地道な努力するということがありますが、そんなに簡単に見分けられないと思うんですよ、実際問題として。  そうなると、正義のための内部告発というものをある意味でシステム化するとか、正当な方法であるということを保障するような仕組みというものについてはどういうふうに考えているか、お答えいただきたいんですが。
  165. 武部勤

    国務大臣武部勤君) 私は、このJAS法が機能しなかったというのは、いわゆる性善説、日本の商道徳というもの、従来のそういうものを前提に作られていたからなかなか摘発できなかったということになるんだろうと、こう思いますが、まずは第一義的には、偽装表示防止するためには、食品を扱う企業モラルを向上させるためにどうしたらいいかということが大事だと思います。そのためには、企業内における行動規範というものについて、企業内で、そこの勤めている社員の方々が自由に上司に対しても物が言えるというような環境づくり、そういったものを制度的にできるだけ支援していくというような考え方を持つべきだと、こう思っております。  しかし、私は、内部情報提供者を保護するということは、そういう制度を作るということは悪いことではないと、このように考えております。しかし、これ一点で問題解決できないんじゃないでしょうか。そういう意味では、いろんな形でこの種の問題を解決していくという努力が必要ではないかと、このように思っております。
  166. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 引き続き大臣にお伺いします。  JAS法改正案は、罰則が強化されるという点では前進であると思います。しかし、罰則に至る前に指示若しくは改善命令、それがあって、それに従えば罰則は適用されないと。そうしますと、幾ら罰則を重くしたところでも、見付かったら農水省から言われたとおりにすればいいというような、非常に利益主義的なずるが蔓延してしまう可能性もあるんじゃないかと。JAS法の基本姿勢と合わなくなってきてしまうということですね。  それから、企業名の公表というのは売上げなんかにも大きな影響を及ぼしますからそれなりの効果もあるでしょうが、ケース・バイ・ケースという話で、これはなかなか公平に発揮するというのは難しいんじゃないかなというふうに思います。  問題は、偽装表示というのは、これ基本的に商道徳を否定するものですから、経済の基本が成り立たない行為ですよね。これは、ですから経済社会では犯罪なわけです。本物をそれに値する値段で払うというのが商取引なんですから、偽物を売ったということになるわけですから。これは非常に経済社会の根源的な部分ですから、私はそういう意味では、この指示とか改善命令ということなしに、本来は直接にもう刑がいく、罰則がいくという直罰型にまで踏み込むべきだったのではないかなと。実際、大気汚染防止法などの環境立法ではそういう直罰が適用されている例もあるわけですよね。  こういうふうに、今後の事態次第によっては直罰までいくかどうかということに関してはどういうふうにお考えでしょうか。
  167. 武部勤

    国務大臣武部勤君) 私はまだ性善説に立っているわけであります。日本の経済社会の将来を考えた場合に、やはりそれぞれ一人一人が自立した個人という、そういう社会にしていくべきだと思います。その努力を通じておのずから私は社会が立ち直っていくという、そういう方向性を私は選びたいと、こう思っております。  ただ、事が食品の安全問題です。これは人の命や健康にかかわる問題であります。したがいまして、今、中村委員が直罰のことについて言及されましたけれども、私はこのことについては、今度の改正でも悪質なものは直ちに公表できると、こういうことになっておるわけでありまして、まずはそういったことからやってみるということが適切ではないかと、このように考えております。
  168. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 私も、本来は人に罰を与えることが好きな方の人間ではありません。むしろ柔らかい方が好きな人間ですけれども大臣が言われたとおり、これ命にかかわる問題なんですよね。ですから、逆に言えばほかの刑事犯罪よりも悪質だと思うんですよ、このこと自体。そういう重さがあるので、私は直罰の話までしたわけですけれども。  もう一つJAS法の中身についても見直しが必要ではないかと考えています。例えばアサリなんかは、中国や北朝鮮から輸入したものであっても一定期間国内の海辺につけておけば国産という表示になってしまうんですね。こうした表示は一応合法ということになりますが、消費者から見ればこんなばからしい話はないわけなんですよね。この際、表示の基準となる日本農林規格そのものについても消費者の視点に立って抜本的な見直しが必要ではないかと考えるんですが、いかがでしょうか。
  169. 武部勤

    国務大臣武部勤君) 私も初めて分かったんですけれども、三か月国内で飼養すれば外国から輸入した家畜も国産牛ということになるんですね。このことも見直しをする必要があるんではないかなと私はそう思いますし、今のお話につきましては、消費者商品選択の上でJAS規格制度というのは大事な制度でございますし、信頼回復の上で五年ごとの見直しの義務付け等がございますけれども消費者のニーズを的確に把握した上での規格制定、見直しということについては、消費者の視点に立って私は検討を進めていく必要があると、このように考えております。
  170. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 終わります。
  171. 常田享詳

    委員長常田享詳君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  農林物資規格化及び品質表示適正化に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  172. 常田享詳

    委員長常田享詳君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、和田君から発言を求められておりますので、これを許します。和田ひろ子君。
  173. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 私は、ただいま可決されました農林物資規格化及び品質表示適正化に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党及び国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の各派並びに各派に属しない議員中村敦夫さんの共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     農林物資規格化及び品質表示適正化に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項の実現に努め、消費者食品表示に対する信頼回復に万全を期すべきである。  一 消費者に対する迅速な情報提供を図る観点から、製造業者又は販売業者偽装表示等品質表示基準違反する行為を行ったことを確認した場合においては、直ちに指示し、公表すること。    なお、裁量権の拡大や健全な企業活動の妨げにならないよう指示・公表基準について明確にすること。  二 食品の適正な表示を確保するため、消費者及び事業者の協力を得つつ、実態調査の充実、不正表示に関する情報の収集など、食品表示監視強化に努めるとともに、専門性の高い人材を広く求め、立入権限を有する常設の食品表示監視担当職員を配置するなど、監視指導体制の整備に向けて、抜本的かつ積極的な検討を行うこと。  三 現行における品質表示基準実施状況にかんがみ、製造業者又は販売業者に対し品質表示基準周知及びその遵守の徹底を図るとともに、食品表示に関する自主ルールの策定等企業又は業界団体による食品表示適正化に向けた自主的な取組に対し積極的な情報提供等の支援を行うこと。  四 安全かつ良品質食品を求める消費者の期待に応えられるよう、食品安全行政の体制確立に努めるとともに、食品に関する各種表示制度について一元的な見直しを行い、その充実を図ること。  五 消費者の健康保護の観点から、「BSE問題に関する調査検討委員会報告」を踏まえ、食品衛生法等の食品安全性に係わる関係法を抜本的に見直し、包括的な新たな法律制定検討すること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  174. 常田享詳

    委員長常田享詳君) ただいま和田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  175. 常田享詳

    委員長常田享詳君) 全会一致と認めます。よって、和田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、武部農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。武部農林水産大臣
  176. 武部勤

    国務大臣武部勤君) ただいまは法案を可決いただきまして、誠にありがとうございました。  附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、今後最善の努力をいたしてまいりたいと存じます。
  177. 常田享詳

    委員長常田享詳君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  178. 常田享詳

    委員長常田享詳君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  179. 常田享詳

    委員長常田享詳君) 次に、牛海綿状脳症対策特別措置法案を議題といたします。  提出者衆議院農林水産委員長鉢呂吉雄君から趣旨説明を聴取いたします。鉢呂衆議院農林水産委員長
  180. 鉢呂吉雄

    衆議院議員鉢呂吉雄君) 衆議院議員農林水産委員長鉢呂吉雄でございます。  ただいま議題となりました牛海綿状脳症対策特別措置法案につきまして、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。  昨年九月、我が国初の牛海綿状脳症(BSE)感染牛が確認されて以来、政府においては、感染源の究明、肉骨粉を含む飼料の製造・給与等の全面的禁止、食肉となる牛の全頭検査体制の確立、生産者や牛肉関係事業者の経営安定のための緊急措置等の諸対策実施してきたところであります。  しかしながら、その発生は、行政における危機管理体制の欠落等もあり、生産者や関係事業者に大きな損害を与えたのみならず、食品の安全に対する消費者の信頼を損なうこととなったのであります。  以上の状況を踏まえ、衆議院農林水産委員会においては、BSEの発生の予防と蔓延の防止により安全な牛肉を安定供給する体制を確立し、国民の健康の保護と生産者及び関係事業者の健全な発展を図る観点から、各党間で協議を重ねてきたところであり、ここに本案を提案するものであります。  以下、その主な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、国及び都道府県等は、BSEの発生確認された場合又はその疑いがあると認められた場合には、基本計画に基づき、速やかに蔓延防止等のために必要な措置を講ずる責務を有することとしております。  第二に、農林水産大臣及び厚生労働大臣は、BSEの発生確認された場合等において国及び都道府県等が講ずべき措置に関する基本計画を定めなければならないこととしております。  第三に、牛の肉骨粉を原材料とする飼料の牛への使用を禁止するとともに、牛の肉骨粉を原材料とする牛を対象とする飼料及び牛に使用されるおそれがある飼料の販売・製造・輸入も禁止することとしております。  第四に、死亡牛を検案した獣医師等は、遅滞なく都道府県知事に届け出なければならないこととし、また、知事は、地理的条件等により検査を行うことが困難である場合を除き、死亡牛の所有者に対し、家畜防疫員の検査を受けるべき旨を命ずるものとしております。  第五に、屠畜場内で解体された牛の肉、内臓等は、都道府県知事等の検査を経た後でなければ、屠畜場外に持ち出してはならないものとし、また、屠畜場の設置者等は、牛の脳等の特定部位を焼却処理しなければならないこととしております。  第六に、国は、牛一頭ごとに、生年月日、移動履歴等の情報を記録し、管理するための体制整備に関し必要な措置を講ずるものとしております。また、そのため、牛の所有者等は、牛一頭ごとに、個体識別のための耳標を付けなければならないこととしております。  第七に、国は、基本計画に定められた期間において、経営が不安定になっている牛の生産者、牛肉に係る製造、加工、流通又は販売事業者、飲食店営業者等に対し、その経営の安定を図るために必要な措置を講ずるものとしております。  このほか、国、地方公共団体、関係団体等に対する協力依頼、国民に対するBSEに関する正しい知識の普及及び調査研究体制の整備等について規定し、また、飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律等関係法律改正を行うとともに、食品の安全に関する行政の抜本的見直しにつき検討するものとしております。  なお、この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行することとし、ただし、死亡牛の所有者に対し家畜防疫員の検査を受けるべき旨を命ずる規定は、平成十五年四月一日から施行することとしております。  以上が、本案の提案の趣旨及び内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。  以上でございます。
  181. 常田享詳

    委員長常田享詳君) 以上で本案の趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。──別に御発言もないようですから、これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  牛海綿状脳症対策特別措置法案に賛成の方の挙手を求めます。    〔賛成者挙手〕
  182. 常田享詳

    委員長常田享詳君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。(拍手)  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんでしょうか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  183. 常田享詳

    委員長常田享詳君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時六分散会