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国務大臣(
武部勤君) まず最初の御質問は、
平成二十二年に四五%の自給率達成が可能なのかどうかというお尋ねでございますが、
食料・
農業・
農村基本計画においては、そのように
基本法に基づいて目標値を立てているわけでございます。
この目標値の背景には、今現在地球上の人口は六十数億でありますけれども、あと五十年すると九十億を超えると。今、既に八億の民が栄養失調に苦しんでいると。それから、毎年約五百万ヘクタールが砂漠化していると。これは後楽園球場のグラウンドが一分間で七個も消滅していくということに匹敵するんですね。そういうことを考えますと、世界の
食料事情、需給事情というのは、私は将来大変な
事態になるのではないか。
したがいまして、このOECD加盟国の中でも三十か国中で二十八番目の低い自給率なのでございます。そういう
我が国の実情、実態を考えますと、これはもう国家
戦略として自給率向上を目指していかなければならない、そういう考え方に立ってこの
食料や
農業のことを真剣に取り組んでいかなきゃならないと、このように考えておるわけでございまして、そのためにはやはり、先ほど来から
委員御
指摘のように、国民的な合意、国民的な
理解と
協力というものがなければならないと思います。
そういう意味では、ピンチはチャンスというお話がありましたけれども、ともすると
生産者の中には、自信を持って
生産している
国産農産物、なぜ
消費者は買って食べないんだというような、私は、おごりに似た独善的なものはなかったのかなと。そういう意味では、
農林水産省も反省しなければなりません。
そういう意味では、今回、私どもも、
BSE問題発生して、人の命と健康をまず守ることを優先して全頭検査というものに取り組んだのでございますが、
消費者サイドに
軸足を移して、
消費者が求めるものを
供給していくということを
一つの大きな今後の
施策の柱にして、自給率向上に向けて国民的な
協力も得なければならないんじゃないかと、このように思います。
また、担い手の問題にいたしましても、実は
農林水産省のホームページの一番最初のページに、
農業をやりたい人を応援しますというふうに、これは
消費者との懇談会の中で
指摘されまして、どうしたら
農業をやれるでしょうかと質問がありましたので、私は、ホームページの一番最初にそれを入れさせました。何と十日間で千五十七件ありました。一日に百件以上のアクセスがあるということは、多くの国民の
皆さん方の間にも
農業や
農村に対するあこがれというものも芽生えているんじゃないでしょうか。そういうような意味では、
生産サイドでは本当に意欲と能力のある人々に
施策を集中していくということと同時に、また
農村の在り方ということについて新しい可能性というものを追求できるんじゃないかと。
私は、自給率を四五%にするというのは非常に難しい課題だと思いますけれども、しかし私は不可能ではないと。食生活の見直しに対しまして、
生産者サイドのみならず、
消費者の
皆さん方も非常に注目をしているわけでありますので、この機会に国民的な運動を
展開していくこととしてまいりたいと、かように思うわけでございます。
抽象的なお話になったかもしれませんが、また具体的な御質問があればお答えしたいと思います。
そして、二つ目の御質問は、正にこれから
我が国農政、
農業が目指していくべき
一つの大きな、私は、方向付けを
委員は
指摘されたと、このように思っているわけでございます。
価格競争だけが私は
国際競争ではないと思うんですね。より安くより安全で、よりおいしい新鮮な高品質なものを
供給していくということが
一つの目標であろうと思いますし、同時に、より安くということよりも、安くなくてもいいからより安全でより高品質なものを
供給するということであるならば、
消費者の目も変わってくるのではないかと、このように思いまして、今、自然農法についての御
指摘がございましたけれども、
野菜政策についても今後、有機農法等、
差別化を目指しているわけでございまして、食に関する様々な課題が顕在化している今こそ、国民、
消費者の
安心と
信頼の
回復に向けた今後の
農業・
農村の在り方というものに取り組んでいくチャンスだと、かように思っておりまして、具体的には、堆肥や緑肥による土づくりの
推進、また有機物の循環利用の促進、農薬及び肥料の適正な使用の
確保等々、環境と調和の取れた
農業生産を図ってまいる所存でございます。
いずれにしましても、
生産者と
消費者の間の顔の見える
関係というものを明確にしていく、そして
消費者の食に対する不安を解消して、
信頼回復に
全力を挙げていくということが今非常に大事だと、かように考えている次第でございます。