運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2002-10-03 第154回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年十月三日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員長異動  七月三十一日常田享詳君委員長辞任につき、そ  の補欠として三浦一水君を議院において委員長  に選任した。     ─────────────    委員異動  七月三十一日     辞任         補欠選任      常田 享詳君     三浦 一水君  十月二日     辞任         補欠選任      太田 豊秋君     加藤 紀文君      榛葉賀津也君     信田 邦雄君  十月三日     辞任         補欠選任      加藤 紀文君     太田 豊秋君      市田 忠義君     富樫 練三君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         三浦 一水君     理 事                 国井 正幸君                 田中 直紀君                 和田ひろ子君                 紙  智子君     委 員                 岩永 浩美君                 太田 豊秋君                 加治屋義人君                 岸  宏一君                 小斉平敏文君                 野間  赳君                 松山 政司君                 小川 勝也君                 郡司  彰君                 信田 邦雄君                 羽田雄一郎君                 渡辺 孝男君                 富樫 練三君                 岩本 荘太君                 中村 敦夫君    国務大臣        農林水産大臣   大島 理森君    副大臣        農林水産大臣  北村 直人君        農林水産大臣  太田 豊秋君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       岩永 浩美君    事務局側        常任委員会専門        員        山田 榮司君    政府参考人        内閣府政策統括        官        坂  篤郎君        厚生労働省医薬        局食品保健部長  尾嵜 新平君        農林水産大臣官        房長       田原 文夫君        農林水産省総合        食料局長     西藤 久三君        農林水産省生産        局長       須賀田菊仁君        農林水産省経営        局長       川村秀三郎君        食糧庁長官    石原  葵君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農林水産に関する調査  (牛海綿状脳症問題等に関する件)  (食の安全の確保に関する件)  (無登録農薬問題に関する件)  (牛海綿状脳症問題に関する件)  (米政策の総合的な見直しに関する件)  (牛肉在庫緊急保管対策事業に関する件)  (農協改革に関する件)     ─────────────
  2. 三浦一水

    委員長三浦一水君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  議事に先立ちまして、一言あいさつ申し上げます。  去る七月三十一日の本会議におきまして農林水産委員長選任をされました三浦一水でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。  本委員会の運営につきましては、委員各位の格別の御指導、御協力をいただきまして、公正かつ円満に行ってまいりたいと存じますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)     ─────────────
  3. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 委員異動について御報告申し上げます。  去る七月三十一日、常田享詳君委員辞任され、その補欠として私、三浦一水が選任されました。  また、昨二日、榛葉賀津也君委員辞任され、その補欠として信田邦雄君が選任をされました。  また、本日、市田忠義君が委員辞任され、その補欠として富樫練三君が選任されました。     ─────────────
  4. 三浦一水

    委員長三浦一水君) この際、大島農林水産大臣北村農林水産大臣及び太田農林水産大臣から発言を求められておりますので、順次これを許します。大島農林水産大臣
  5. 大島理森

    国務大臣大島理森君) このたび農林水産大臣を拝命いたしました大島理森でございます。  委員長を始め委員の諸先生方におかれましては、日ごろから農林水産行政の推進に格段の御理解と御支援をいただき、この機会に厚く御礼を申し上げます。  農林水産業及び農山漁村は、申し上げるまでもなく、国民生活に欠かすことのできない食料安定供給や国土、自然環境の保全にとりまして極めて重要な役割を担っております。このような農林水産業農山漁村役割を十分に発揮させるべく各般の施策に取り組んでまいる所存でございます。  特に、BSE問題や食品虚偽表示問題等、食と農に関する様々な課題が顕在化する中、食の安全と信頼確立に向けた農林水産政策抜本的改革急務と考えており、その具体化全力を尽くしてまいる所存でございます。  委員長を始め委員の諸先生方の御支援、御鞭撻を賜りますよう、心からお願いを申し上げて、ごあいさつに代えさせていただきます。  よろしくお願い申し上げます。(拍手
  6. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 北村農林水産大臣
  7. 北村直人

    ○副大臣北村直人君) 農林水産大臣を拝命いたしました北村直人でございます。  大島大臣を補佐をし、太田大臣並びに岩永宮腰大臣政務官共々力を合わせて農林水産行政全力を掲げて邁進をしてまいる決意でございます。  委員長を始め委員先生方の御指導、御支援を心からお願いを申し上げまして、一言あいさつとさせていただきます。(拍手
  8. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 太田農林水産大臣
  9. 太田豊秋

    ○副大臣太田豊秋君) 農林水産大臣を拝命をいたしました太田豊秋でございます。  大島大臣を補佐いたしまして、北村大臣岩永大臣政務官、そして宮腰大臣政務官共々に全力を挙げて農林水産行政の進展のために努力をしてまいる所存でございます。  委員長を始め委員各位皆々様方の御支援を心からお願いを申し上げまして、ごあいさつにいたします。  よろしくお願い申し上げます。(拍手)     ─────────────
  10. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産に関する調査のため、本日の委員会内閣府政策統括官坂篤郎君、厚生労働省医薬局食品保健部長尾嵜新平君、農林水産大臣官房長田原文夫君、農林水産省総合食料局長西藤久三君、農林水産省生産局長須賀田菊仁君農林水産省経営局長川村秀三郎君及び食糧庁長官石原葵君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  12. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 農林水産に関する調査のうち、牛海綿状脳症問題等に関する件を議題といたします。  政府から説明を聴取いたします。大島農林水産大臣
  13. 大島理森

    国務大臣大島理森君) それでは、BSE問題等に関して御報告を申し上げます。  昨年九月十日の我が国初BSE感染牛発生により、国民皆様牛肉への不安が急速に高まりました。加えまして、発生後の初期段階における行政対応の混乱によりまして国民行政不信を招き、牛肉への不安感を加速いたしました。  一方、BSE発生後、直ちに厚生労働省と連携して、屠畜場におけるBSE頭検査、脳、脊髄など特定部位の除去により、安全な牛からのものだけが屠畜場から出回るシステムを構築するとともに、感染経路を遮断するため、肉骨粉等についてすべての国からの輸入及び国内における製造出荷全面停止などの対策を講じました。  また、牛肉消費の減退によりその経営に大きな打撃を被っていた畜産農家及び関係事業者皆様方に対しては、各般経営支援対策を講じたところであります。さらに、BSE感染牛発生を恐れず畜産経営を営んでいただくため、発生農家発生地域への支援等を講じました。さらに、感染源感染ルート解明が不安の解消に必要不可欠と考え、発生農家起点とする調査輸入肉骨粉起点とする調査を実施してきたところであります。  最近の牛肉をめぐる状況を見ますと、当初急落いたしました牛肉消費、価格とも回復してきているところであります。また、四例目、五例目を見ましても発生農家発生地域に対する風評被害を起こすこともなく、冷静な対応がなされているところであります。  今後とも、先般成立いたしました牛海綿状脳症対策特別措置法やこれに基づく基本計画を踏まえ、感染源感染経路の究明、牛肉トレーサビリティーシステムの構築、死亡牛の全頭検査体制整備等を進めてまいりたいと考えております。  次に、BSEに関する行政対応の検証と改革方向についてでありますが、本年四月、BSE問題に関する調査検討委員会報告書におきまして、一九九六年の肉骨粉等使用禁止行政指導で済ませたことについて「重大な失政」とされたほか、生産者優先消費者保護軽視という体質食品安全性確保のための組織体制法制度の不備など、大変厳しい御指摘をいただいたところでございます。  農林水産省といたしましては、これらを厳粛にかつ重く受け止め、消費者サイドに大きく軸足を移しまして、これまでの農林水産政策の大胆な見直し改革を積極果敢に行う観点から、「「食」と「農」の再生プラン」を公表し、その具体化に向けて大きく踏み出したところであります。また、食品の安全に関するリスク評価を行う食品安全委員会設置念頭に置きつつ、農林水産省においても、食糧庁組織を廃止し、消費者行政食品リスク管理業務を担う新局の創設を要求するなど、抜本的な組織改編に取り組んでいるところでございます。  また、本年一月以降、牛肉在庫緊急保管対策事業をめぐり偽装事件食肉表示違反が相次いで発覚しましたが、それぞれの事件に対しましてはきちんとしたけじめを求めるとともに刑事告発を行うなど、毅然とした対応をしてまいりました。また、さきの通常国会においてJAS法を改正し、公表の迅速化罰則強化措置を講じるとともに、トレーサビリティーシステム確立に向けての検討を進めてまいります。  相次いで発覚した食肉偽装は、消費者信頼を揺るがせ、特に業界行政に対する不信感を募らせる結果となっております。このような事態に対処して一刻も早く関係業界行政に対する国民信頼を回復することが急務であり、偽装事件が続発した要因や背景を明らかにし、関係業界行政実態問題点解明体質改善方策を示していただくため、外部の有識者の方々により構成される食肉流通問題調査検討委員会設置し、検討を始めたところでございます。  次に、無登録農薬問題に関しましては、本年七月三十日に山形県におきまして関係者が逮捕されて以来、都道府県に対し情報を提供し、問題があると思われる農薬販売業者農家への立入検査の実施を指導するとともに、すべての農薬販売業者に対する総点検を指示しております。並行して、農協が無登録農薬販売に関与していた事例も見られたことから、全中に対し、農協における無登録農薬販売に関する総点検再発防止に向けた指導徹底等の要請をしております。また、当省としましても、自ら実施する必要があるものについては立入検査を実施しております。その結果、十月一日現在におきまして、無登録農薬を百六十六の業者販売し、二千五百九十八戸の農家が購入したことが判明しております。  無登録農薬問題につきましては、食の安全、安心を脅かす重大な問題であり、現在、本問題が全国的に拡大し、消費者に不安を与えております。このため、無登録農薬使用した農産物食卓に上がらないようにするとともに、販売使用した者に対する徹底した処分や指導を行い、消費者信頼回復を早急に図ることが極めて重要であると考えております。  また、今回の事案は、農薬取締法が十全なかつ十分な制度となっていないとの問題もあることから、臨時国会での対応を視野に入れまして、無登録農薬使用規制罰則強化等内容とする農薬取締法改正作業を急がせているところでございます。  今後とも、厚生労働省都道府県等と連携しつつ、食の安全の確保消費者皆様方の不安の解消全力を尽くしてまいります。  委員先生におかれましては、引き続き一層の御理解と御鞭撻と御支援お願い申し上げます。  以上でございます。     ─────────────
  14. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 農林水産に関する調査議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  15. 国井正幸

    国井正幸君 自由民主党の国井正幸でございます。  大島大臣並びに北村大臣、そして太田大臣、御就任本当におめでとうございます。大変、多事多難な折でありますが、農林水産行政の一層の発展のために御尽力いただきますことを心から御期待を申し上げたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。  私は、今日、今、大臣の御報告にもありましたが、無登録農薬の問題、あわせて農協改革の問題、この二点に関して質問をさせていただきたいと、このように思っております。  今も報告にあったわけでありますが、この無登録農薬問題、これ大変に国民皆さんが不安に感じておるという実態にありますし、かつまた、一般国民皆さんからしても、これ一体どうなっているんだ、本当に大丈夫なのかということで不安もたくさんあるわけでございまして、そういう意味で、農林水産省としても、発生してからしばらく時間もたっておるわけでありまして、その全体像、輸入販売使用実態ですね、どの程度捕捉をしたと思っているのか。調査をして今捕捉をしているのは、全体としてつかみ切れたと思っているのか、あるいはまだまだこれからあるんだというふうに理解をしているのか、その辺を生産局長、これひとつお答えをいただきたいと思います。
  16. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 今回の無登録農薬の問題でございます。  既に東京の販売業者逮捕されておりますけれども、そこから二十二都県の業者に売られた無登録農薬農家段階まで特定をしておりまして、まず現時点で分かっておりますのは、販売された無登録農薬種類が九種類販売業者が百六十六業者購入農家が二千五百九十八戸でございます。あと二県まだ報告を受けていないところがございまして、この数字はやや最終的には上回るというふうになろうかと思いますけれども、急速にこの数字が大きくなるというような状況ではないというふうに認識をしております。そして、その販売業者販売量在庫量につきまして今正に取りまとめ中でございまして、近々取りまとめを行いまして御報告できるような状況になろうかというふうに思っているところでございます。  それから、農薬販売業者販売店、全国に約七万店ございます。これに対する総点検の結果につきましても現在取りまとめをしているところでございまして、併せて近々御報告ができるようになろうかというふうに思っている次第でございます。  以上でございます。
  17. 国井正幸

    国井正幸君 ダイホルタンとかプリクトランとかこういうもの、国内生産をされておらない農薬、これが輸入されて、そういう意味で、捕捉されたということですが、問題は、いわゆる非農用地使用で認められているもの、例えば除草剤なんかもあるわけですよ。国内生産をされておって、農用地農作物に使っちゃならぬ、しかし非農用地であればいいですよと、こういうものもあるわけでして、しかし、それをいったん農用地なり農作物に使うということになればこれは違法であることは間違いないわけなんですね。非常にこれ捕捉、非常に難しいことがあるというふうに思いますが、これからも十分これ実態解明に努めていただきたいというふうに思っております。  実は、これ私は、この問題もう前々から、予算委員会でもやったりあるいは当委員会でも問題にして、やっぱり今の農薬取締法欠陥法律だから早く改めるべきだというのをもう再三言ってきているわけであって、仄聞するところによりますと、近々政府においても法改正をする、提案をするというふうなことでありますから、それらの問題はそのまた審議もあろうと思いますから、その段階でお伺いすることにしたいというふうに思っています。  これから法改正検討中だというふうに思いますけれども、先ほど大臣お話にもありましたが、無登録農薬使用された農産物食卓に上がらないようにする、上がらないようにするというお話がありましたが、実はこれいろいろ調べてみますと、残留が検知をされる、あるいは基準値以下であった場合は売っちゃならぬということはないわけですよね、これは法的に。そうでしょう。  そういう状況があるわけでして、食卓に上がらないようにする、そのためには、じゃ、だれがこれ検査をするんだ。その無登録農薬を使われた農産物残留があるのかないのか、だれが検査をするのかと。それはいわゆる厚生労働省の方で保健所なりで検査をするということはあるが、売るもの全部を検査するという体制に今なっていないわけですよ。消費者検査をするといったって、これなかなかできるわけではない。農業者検査をして残留がない、使われていないということを証明するといったって、これまた零細な農業者にそれを求めるということも非常に難しいという状況にあるわけですよ。そういう意味からすれば、是非、やっぱりこの無登録農薬を使った農産物残留があろうとなかろうと売っちゃいかぬというふうな、そういうふうな取決めにでもしないと私は駄目だと思っているんですよ。  実は、私、栃木県でありますが、栃木県でもある農家ナシにそのダイホルタンを使ってしまった。共同選果ですから、コンテナでみんな持ち込んできた。さあ、だれさんのナシだか分からぬ。しかし、それがあったというために全量廃棄したわけですね、混じっていると分かった時点で全量廃棄をした。それ以降はその農家共同選果に入れないということではじいたわけですよ。  しかし、一年掛けて、その農家の思いからすりゃ一年も掛けてその農産物を作ってきたわけですよ。いよいよ金になるというとき、これは駄目だという話なんですね。これは廃棄をしてもらうようにお願いをして、これ売らないで廃棄をしたんですよ、金掛けてね。しかし、これ厳密に詰めていくと、売っちゃいかぬという話にはならないというのが、今の私の知る限りではそういう状況にあるというふうに思っているんです。  たまたま共同選果なんかだったらいいんですよ。それが観光農園みたいなところでなってきた場合、個人が庭先で売るという話になったときに、本当にこれ規制できるのかという不安を率直なところ私は持っているわけなんですね。正にこの食の安全というものを国民皆さんにしっかりと担保をしていくという上では、これはやっぱり精神論だけではなくて、しっかりとその体制を作らざるを得ないのではないかと、このように思っておるわけです。  これは、ひとえに農林水産省だけでできるということではないというふうに思います。今日は厚生労働省の方、私は呼んでおりませんので、生産局長、どうですか、これはやっぱり農産物生産の現場を預かる部門として、こういう問題について方向性として、それは今確たるものは出ないとしても、どういうふうな考え方を今持っていますか。
  18. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 今、国井先生お話を伺いまして様々なことを勉強させてもらいましたが、この無登録農薬問題というのは、基本的にこういうふうに考えて法改正考えなきゃいかぬと思うんです。  食卓に上がらせないためにどうしたらいいか。まず、外から入ってくる、つまり輸入ですね、これはそこでまず無登録農薬という問題の視点からきちっとチェックすること、それから売らせないということ、それから使わせないということ、まず、政府行政としてきちっとしたチェック体制を取ることがまずそこにあると思うんです。そういう視点から法改正というものをまず考えたい。その後に、食品というのはもうあらゆる多様な、物すごい多様な形で流れるわけですが、まず生産者が使ったらいけませんよということを明確にすることがまずその第一歩だと思っております。  そして、それらに基づいて、消費者視点からそういうことに非常に厳しい判断をしていくというものもありますし、食品衛生法どうあるべきかということも勉強させていただきますが、農水省としてはそういう視点に立って法改正を考えていきたいと、このように思っております。
  19. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) ただいま大臣の御答弁にございましたように、国井先生から真っ先に法律改正指摘を受けまして、現在、私ども、農薬取締りという制度改善という観点から、今までも措置されていなかった無登録農薬に関して輸入製造そして使用規制、その農薬廃棄、回収、こういうようなことを念頭に置いて鋭意制度改正についての検討を加えているところでございます。  ただいま御指摘ございました、じゃ、出荷停止という問題についてどう対応するのかという話でございます。  出荷停止というふうになりますと、基本的には食品衛生法による販売禁止という、制度的にはそれによらざるを得ないということでございますが、現在指摘されておりますのは、登録されている農薬食品衛生法に基づきます残留農薬基準の範囲が少しというか大分異なっているということで、これについて整合性を取るようなものにしろということを指摘されているわけでございます。  そして、特に、農家でありましたら農協組織を通じまして出荷停止という、実態上の出荷自粛という指導が取れるわけでございますけれども、正に国井先生おっしゃいました観光農園なんかで人に販売する場合、どうやってやれるのかというような問題が残ります。  私どもとしては、できる限り農薬取締り強化ということで、その使用面での抑止力を強めたいと。同時に、やっぱり行政全体としてこの問題に対応する必要があろうかというふうに思っておりまして、無登録農薬使用というものが判明した場合には、直ちに衛生部局連絡を取りまして残留性検査いたしまして販売停止等食品衛生法上の措置を取る、そのために食品衛生法内容改善していただくと、このような方向厚生労働省等連絡を密にしながら迅速な対応ということを早急に検討していきたいというふうに思っている次第でございます。
  20. 国井正幸

    国井正幸君 是非、すぐやれるものはすぐやるということですね。やっぱりだれが悪いといったって、製造した人が悪い、輸入した人が悪い、販売した人が悪いといったって、普通の世間常識からして、使っちゃいかぬというやつを使った人が一番悪いに決まっているんだ。だから、そこをしっかりやっぱりやること、すぐやれること。  それから、来年は新しいこの食の安全の組織のありようというものも政府全体の中で、これ新しい組織もできるわけでございますから、そういう観点を含めて、しっかりとやっぱりこれ整合性の取れるように、これは時間掛かるかもしれませんが、しっかりやっていただきたいと、このことを要望しておきたいというふうに思います。  続いて、農協改革の問題について質問をさせていただきたいというふうに思います。  農林水産省では、このほど総理の指示等を踏まえてということで農協在り方研究会設置をして、その第一回の会合を九月の二十七日に開いたと、こういうふうに伺っております。  これ、総理の指示というふうなことのようでありますが、これは、総理の指示というのは一体どういう指示があったんですか。そのまた真意とするところは、どういうことを総理は真意として言われておったのか、農林水産省としてそれをどういうふうに受け止めてこれ始まったことなのか、ちょっと経営局長、教えていただきたいと思います。
  21. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 農協改革についてでございますけれども、今、先生指摘のとおり、総理の方から平成十四年七月十九日の閣僚懇談会におきまして指示がなされております。これは、国民の期待にこたえる食料産業の活性化と農業構造改革を推進する観点からということで、その改革の項目の一つとして掲げられておるところでございます。  農林水産省としましても、こういう総理の指示はもとよりでございますけれども、四月に発表いたしました「「食」と「農」の再生プラン」、これに基づく農業構造改革を進めていくためには、農業の構造改革の一環として農協改革の加速化が不可欠であると考えているところでございます。  もちろん、農協改革につきましては、農協系統自らが平成十二年十月には第二十二回のJA全国大会で農協改革を進められるということを決議をしております。行動計画を策定し、自ら改革に取り組んでこられておりますけれども、行政におきましても、先般の農協改革二法を始めとする諸施策を講じましてその支援をしてきているところでございます。  一方、また行政といたしましては、この農協法を所管をしております。農協の健全な発展、それからまた、その組合員たる農家の利益、また地域農業の振興、こういったことでその指導監督をする立場にもございますし、こういったことが食料安定供給確保にもひいてはつながるというふうに考えております。これまでも、農業者の代表たる農協系統ということで、農業の振興などの行政施策を推進していく上で重要なパートナーだというふうに認識をしておりまして、農協の存在を前提としました制度の立案でありますとか、共同利用施設等に対する交付金の交付等を行ってきております。  こういうふうに非常に密接な関係を有しておりますので、農協改革を推進するということは行政としても取り組むべき課題だと思っているところでございます。
  22. 国井正幸

    国井正幸君 だから、何が今不都合なんだと、何が問題なんだということをもうちょっと私は明確にしたらいいと思っているんですよ、問題があるとするならね。いや、農政の全体の改革のために農協もやっているんだから必要なんだなんて、そんな抽象的な話ではなくて、もっと、ここがこうだから具合が悪いんじゃないかというんなら、はっきりそれは物を言ったらいい。そんな抽象的な話では私どもは理解できないと思います。  本来、農協というのは民間団体なんですよ。そういう意味で、何も改革どうのこうの、農林水産省だって、問題があるとするなら、いろんな人を集めてどこが問題ありますかなんて、そんなこと聞くことではなくて、自らここが問題あるんだったら問題ありということで指摘をして、こういうものは農協組織の中に作ってやるべき話だというふうに私は思うんですよ。ちょっとここのところ農林水産省はおかしいんじゃないかと、考え方がね、おかしいんじゃないかというふうに私は思っているんです。  よく、同じ協同組合の中で、生活協同組合も同じ協同組合、農業協同組合も同じ協同組合。標榜するところは、一人一人では弱い者がみんなで団結をしてみんなで一人一人の幸せを追求していこうじゃないかということで、一人は万人のため、万人は一人のためということでお互い、協同組合ですから、そういう協力、協同というものを標榜してやっている。  ところが、一般的によく言われて、私も二十二年ほど農協運動に参加をしてきた一人でありますけれども、よく言われるのは、どうもやっぱり農家組合員、組合員一人一人の帰属意識が生活協同組合に比べて農業協同組合は薄いというふうによく言われているんですよね。  なぜそういう状況になってきたのか。それは戦前から産業組合もありました。戦後、農地解放の中で、自作農を創出をする、そしてその人たちを組織化をして食料不足の中で食料の増産体制をしっかりと作っていく。そういう中で、同じ協同組合でありながらも、自主的な組織といいながらも非常に政府の関与が大きかった。これがお上のお達しで作られたという形に、どうしてもそういう部分になっている。だから、おれはいつ農協の組合員になったか分からぬけれども、何だか組合員になっているんだと、親の代からなっているんだというふうな話になりがちなんですよ。  そこへ来て、また改革だ何だということに対して、自らの責任でやっぱりやってもらう、そういうことをやらずに、農林水産省がああせい、こうせい、そして改革はこういうふうにするんだ、改革の設計図までかくようなそういうやり方というのは私はおかしいと思っているんですよ。これはやっぱりその分を過ぎたるものではないかと、このように理解しているんです。  あわせて、これは新たに大島大臣になられたから、これから十分その点について留意してやっていただきたいと思いますが、改革か解体かなんという話を言って、そういうことをやっているから信頼関係が私は薄れていると思うんですよ。これはやっぱりお互い信頼を持ってやらないと、農政を執行していく上で、これはやっぱり生産調整一つ取ってみたって農業団体の協力なくしてとてもできないでしょう。それで、新たな米政策なんかでこれからやろうとしているのは、生産者自らの努力でなく、なるべく政府は身を引こうとしている。そういうときに、これはやっぱり担ってやってもらう人、それは何百万もいる農家の人をどうやって意思結集を図るんだと、何の組織もなくてばらばらでなんかとてもできるわけがない。これはやっぱり、使うときだけうまく使ってあとは知らんぷりで、己の言うことを聞かない者に対しては改革か解体かなんというそういう発想では私はやっぱり困ると思っている。  これは経営局長、しっかりと、そこのところは協同組合というものの考え方というのをしっかりやっぱりとらえて私はやっていただきたい、このように思っていますので、それについては要望をしておきたいというふうに思うんです。  やっぱり世間一般で農協というものに対して誤解があるんじゃないかというふうに私は思っているんですよ。特にこれ、ここに私も議事録を持ってきたんですが、八月三十日に開かれた第二十五回の経済財政諮問会議議事録要旨というのがこれは公開されていますよね。ここの中で、ウシオ電機の会長の牛尾議員は、「農協は米以外で、いろんなことをやっている。しかし、日本の商社はほとんど入れず、利益で農協の一人勝ちになり、農民は保護に頼っている。この意味農協が独占禁止法の適用除外になっているのも問題。したがって、工程表をつくって閣議で決めるとか、速やかにスケジュールを確定しないといけない。」、こういう話をしている。  続いて、大阪大学の本間教授、この諮問会議の議員でありますが、こういうことを言っているんです。それから産業組織上の問題として、農協が農業問題だけでなく、金融問題、あらゆる領域に絡んでいて独禁法上の適用除外になっているのは大きな問題であり、御検討いただきたい。あわせて、竹中大臣は、農協については独占禁止法の適用除外が問題ではないか、産業組織視点からは農協型株式会社というのもあり得るだろうなんて、こんな話をしているんですよ。  私も予算委員やっていますから、竹中大臣なりは予算委員会の中でどんなことを思っているんだか私も聞こうと思っているんですが、総理の知恵袋として肝いりでやっている経済財政諮問会議委員も誤解していると。この程度の知識しかなくて我が国の将来を決するようなところで物なんか言うなんというのは大変けしからぬというふうに私は率直のところ思っています。  そういう意味で、ここで当時の武部大臣が出ていて、そのことにすぐ反論をされなかったのが非常に私も残念だというふうに思っておりますが、農林水産省として事務次官が記者会見したのは承知をしていますが、以後、これは独禁法の問題は農協だけじゃない。生協だって森林組合だって漁協だって、あるいは一般の会社の事業協同組合だって、零細なものが大資本に対抗するためにお互いに力を合わせてこの厳しい社会を生き抜くというためには独占禁止法の適用除外になっているんだ。そういうことも全然念頭にない。  あわせて、農村において農薬や農機具や、何が農協だけが一手独占でやっているのかと。ほかの人が入れないなんという、そんなことは私は聞いたことがない、農村の現場において。とても理解が違うと思っているんですが、そういう誤解をしたまま独り歩きになる、そして独占禁止法の適用除外だなんという話が日本経済新聞の一面を飾る。こんなことで、うそも百遍言えば本当になるという話もあるんだから、正確なことをしっかりとやっぱりこれは事務方としてフォローしていってもらわないと困るというふうに思っているんですよ。  これらについて、どうですか、こういう極めて正確な認識に基づかない経済財政諮問会議のメンバーに対して、農林水産省として実態はこうでありますということをちゃんと説明したんですか。そこのところを聞かせてください。
  23. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今、先生が御指摘ありましたとおり、八月三十日の経済財政諮問会議におきまして農協の独禁法の適用除外の問題が取り上げられたわけでございます。  この農協に対する独禁法の適用の問題につきましては、御指摘のとおり、正確な理解の上に立って御議論をいただくことが必要ということで、当方といたしましても、直ちに経済財政諮問会議の事務局に対しまして、農協に対してこの独禁法の適用が除外されているのは共同販売農協の本来的な事業についてでございまして、不公正な取引方法を用いる等の場合には農協であっても独禁法違反となることがあるなど、その前提となる情報をよく説明をし、伝達をしたところでございます。もちろん、事務次官がまた記者会見でもその旨を発表したということは御指摘のとおりでございます。  農協は、御指摘のとおり、経済的な弱者である農業者組織体ということで、この共同販売などの根幹的な部分については今後とも活動に支障がないようにする必要があるというふうには考えております。  ただ、一方、今これも先生指摘のとおり、生産資材等の購買において高いシェアというような実態もございますので、農協の在り方の研究会においてもこういったことの検証はなされるということで議論は行われるということと考えております。
  24. 国井正幸

    国井正幸君 今、農林省の方からは、経済財政諮問会議の事務方に、正しい理解をしてもらうようにと、その委員先生方に、そういうことで説明をしたということでありますが、これはやっぱり経済財政諮問会議の事務方をつかさどっている皆さんからしてもしっかりやってもらわないと困ると思うんですよ。間違った話を間違った理解の下で、どんどんどんどん話だけが大きくなっていくなんというのでは、これはとても困った話だというふうに私は思います。  そういう意味でしっかりと、議論をするのは言論の自由ですから何を言ってもらっても結構、しかしやっぱりそれは正確な知識というか認識に基づいて物を言ってもらわなくちゃ困るというふうに思っているんですが、どうですか、経済財政諮問会議の事務方として、竹中大臣を含めてちゃんと物を申したのかどうか、聞かせてください。
  25. 坂篤郎

    政府参考人(坂篤郎君) 御指摘の御論議につきましては、武部前農林水産大臣も御出席いただきました八月三十日のいわゆる制度・政策改革集中審議というものの中で行われた御議論だろうと存じますが、私ども、大変長時間にわたり、三日間にわたってやった審議でございますので、民間議員さんが例えば本件についてどのような御認識で、どの程度よく御存じで発言をされたかということは率直に申し上げてよく承知していないんでございますが、先生指摘のように、議論というものができる限り正しい認識に基づいて行われることが望ましいというのは御指摘のとおりでございまして、事務局といたしましては、そういったことになるような努力はこれからもしていきたいというふうに考えておるわけでございます。  また、諮問会議の日程はまだ確定はいたしておりませんけれども、恐らく、今後も引き続き関係の大臣の御出席をいただいて制度・政策改革に対する審議というものが行われるんではなかろうかと思います。  事務局といたしましては、既に農水省さんからいただきました資料、本件に関する資料は民間の議員さんたちにも伝達してありますが、今後とも、事実関係につきましては十分に御説明するとともに、それぞれの関係省庁からも、あるいは大臣からもそういういろいろな機会に御説明をいただく機会があるんではないかと思います。  今後とも、建設的な御議論が行われるようにと、私どもとしてもできることは努めてまいりたいというふうに考えております。
  26. 国井正幸

    国井正幸君 やっぱり、その話をしたときはいろいろな思いで話をするから、十分知識持っていなくてもそうだという観念的に思って言う人もいると思うんだ。別にそれを私は絶対言っちゃ駄目だとかそういうことを言っているわけではない。しかし、そのことの反響というものもあるわけだ。影響というものもある。そして、あら、そういう話がされた、しかしそれはちょっと認識が違うんじゃないのという話が出たら、それは過ちを改むることにはばかることなかれというのが昔からあるんだから、それはしっかりとやってもらわないと困ると思うよ。こんな、間違ったまま間違った論を通していったんでは困ると思う、これは。そのためにあるわけだから。だから、我々に対してだって、政府だっていろんなことを言うとレクチャーと称して来るじゃないの。何で国会議員に対してそれができて経済財政諮問会議のあれにできないのか。そんな話は全然聞ける話じゃないから、これはしっかり事務方としてもやってもらいたいというふうに、これは強く要望しておきたいというふうに思います。  いずれにしても、農協も問題がないとは私も言いません。やはり、国民信頼にこたえられるようにやってくれればよろしいというふうに思います。これからの、また新たな、米の問題等を含めていろいろ議論しなくちゃならぬというふうな場面もあると思いますから、その際にも更に詰めさせていただきたいと思いますが。  ただ、やっぱり、これは農林水産省にも是非お願いをしておきたいと思いますが、米なんかの需給のミスマッチ、いわゆるユーザーが望んでいるもの、それから生産者が作るもの、これが無条件委託販売だからユーザーが望んでいるものが作られないんだと、ミスマッチがあるんだなんてそんな短絡的な考え方を持ってもらっちゃ困る。  それをなくするために買取り販売ですればいいなんていう話になっていったら、これ、時間があればこの問題はもっともっとやらなくちゃならないんだけれども、経営管理委員会を入れて、全農だって全共連だって見てくださいよ、理事長以下みんな職員上がりじゃないですか。組織出身はいないじゃないですか。そういう中で、買取り販売だなんという、そんなことだけでやっていったら、経営管理委員会に対して組織の健全性だけをその役員が保持をするということになっていったら、正に経営中心主義に陥って、多くの農業者の期待にこたえられる農協運動はできないというふうに私は思っているんです。  そういう意味合いから、安易な形で買取り販売だとか株式会社だとか、そういうことは私はやるべきではない、やっぱり協同組合は協同組合の原点に立ち返って、一人一人が、組合員を中心に運営されてしかるべきだというふうに思っております。  そういう意味で、是非これは大臣お願いしたいというふうに思いますが、農業団体と十分、その改革を先方に要請するというか、改革を求めるに当たっては、信頼関係を構築しながら是非この改革を進めていっていただきたい。相互不信に陥らないように是非これはお願いをしたいと強くお願いをして、もし最後に大臣の思いがありましたらお伺いして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  27. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 農協人としての国井先生の様々な御意見を今拝聴しておりました。実は私の父も青森県の県中の会長をやったこともございます、私的なことでございますが。そういう中で、農業は私の家の家業でもございますし、そういう意味で農業を身近に、かつ見てまいりました。なるがゆえに私自身の農協論がございます。  先ほど国井先生お話しされましたように、農協の原点にしっかりと立ち、そして農協が、機能している農協もあれば、大都会の真ん中に農協という存在もある。そのぐらいに日本の農業を取り巻く社会変化というのが生まれてきた。私は、そういう新しい時代に新しい役割をきっちり持てる農協の存在というものを目指すのが改革だと思っているんでございます。言わば純農村地帯における農協役割というのはコミュニティーのコアだと、私はこのように思っております。  そういう意味で、改革というのは理解と共感が得られなければ進まないものとも思っております。だれのための改革であり、だれのためのこれは施策かというと、一生懸命頑張っている農家農民のための改革でなければならぬとも思っております。そういう意味で、農業団体の皆様方との真剣な議論もしなきゃなりませんし、理解も求めなければなりませんし、お互いにその基点に立てば信頼というのは当然生まれるものであるし、そこをベースにして様々な農協の問題についてこれから努力してまいる所存でございますので、また様々な御意見をちょうだいしたいと、このように思っております。  以上でございます。
  28. 国井正幸

    国井正幸君 ありがとうございました。
  29. 郡司彰

    ○郡司彰君 民主党・新緑風会の郡司彰でございます。  まず最初に、大臣就任、御苦労さまでございます。  今日は、この一年間の農水委員会に関することにつきましては大変な一年でございました。ただ、大変だったなということで終わらせないための、改革すべきところは改革をすべしという流れもできつつあるかと思っております。  本来でありますれば、全般について大臣からお考えをお聞きをしたいわけでございますが、臨時国会が始まりましたらば、またチームとして一つ一つについてもお尋ねをしたいということでございまして、今日のところは、この後の質問にかかわりはありますが、食の安全、そして特に先ほど来出ておりました無登録農薬について大臣の考え方をまずお聞かせをいただきたいと思います。
  30. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 私も、この一年間、衆議院の国対、自民党の国対委員長として国会の場での農政にかかわる議論というものをしかと見てまいりました。その結果、今、食に対する安全、安心というものが国民皆様方から大きな問題提起をされていること、そのことを喫緊の農政の課題の重要課題として私どもはとらえなければならぬと思っております。  その結論として、消費者視点からの農政というものを一層高めていこう、これが基本理念であろうと思いますが、もう一つ、消費者重点、消費者視点というのは生産者を軽視することではございません。これは、相対立する概念ではこの問題は解決しないと思っているんです。やはり生産者消費者重視ということを考えながら新しい農業をしていく、既にもうそういう芽が出ていると思います。だとすれば、生産、流通、消費、それぞれにおいて、この安心と安全を確立するために総合的にどう考えていったらいいかということを様々な時点で研究し、また制度として足らざるものはそういう点において皆様方お願いし法律化していく、こういうふうなことでこれから積極的に進めてまいりたい。  具体的なお答えにつきましては、また御質問があればお答えしたいと思いますが、基本的にはそう思っております。
  31. 郡司彰

    ○郡司彰君 それでは、一般的に無登録農薬と言われている問題について、内容がそれぞれ異なるかと思いますので、幾つかに分けてお聞きをしていきたいと思っております。  まず、ダイオキシンの関係。平成十二年に失効をいたしました、PCPあるいはPCNB、これらが四月の段階でダイオキシンが含まれているというような通達が出され、回収が始まっていたかと思っております。これは、主に国内産を考えてのことだと思いますが、現在までの回収の状況。それから、七月以降、それ以外の外国産と言われるものがかなりあるんではないかということが分かってまいりました。それらについても、現在までの回収状況、どのようになっているか、分かっている範囲でお知らせいただきたいと思います。
  32. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) ただいま先生指摘の、ダイオキシンが分析の結果確認された農薬といたしましてPCNB、これ平成十二年に失効した農薬でございます。そのほかに、平成二年に失効いたしました除草剤でございますPCP、二種類ございました。  先ほど申し上げましたように、ダイオキシン類が含有されているということが判明いたしましたので、四月十二日に結果を公表いたしまして、製造業者に対しまして、農家の倉庫等に残っている製品の回収ということを指示したわけでございます。その結果、製造業者が製品回収センターというものを設けまして、農家段階あるいはそのほかの流通段階にございました農薬の回収に努めました。九月三十日現在で把握しておりますのが、PCP剤が二十二トン、PCNB剤が二十三トン回収されているということでございます。  そして、国産か輸入かという話でございます。このうちのPCNB剤は、恐らく中国産ではないかと思われるものが数県で売られておりまして、現在その販売業者立入検査を行っておりまして、今後特定をして処分を行っていきたいというふうに考えております。そして、先ほど言った数量で国産のものが終わりというのではなくて、今後も回収作業は続けるということでございます。
  33. 郡司彰

    ○郡司彰君 確認ですが、二十二、二十三トンはそれぞれ国内産というような分類でございますね。  七月以降の外国産についてはおおよそどの程度だというような把握まではできていらっしゃいますか。
  34. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 現在取りまとめ中でございますけれども、推定でございます、恐らく百トンは超えているんではないかというふうに思っております。
  35. 郡司彰

    ○郡司彰君 輸入のものがかなりの量がまだあるということになるんだろうというふうに思っております。これはいずれ処理をするということになるんだろうと思いますが、その処理をする際に、各行政の担当者の方々もどのような流れでもって処理をするんだろうかということについてまだ不確かなところがあるようでございます。  前段の、その成分の分析ということ、これらについては多分農薬検査所で行うのかなというふうに思っておりますが、それぞれのサンプル等を回収をするのか、あるいは同じ品物だということになれば、そのサンプルの集め方も限られた形になるのか。あるいは、先ほど言ったところでもし検査をするとなると、その費用等はどのような負担になるのか。  いずれにしましても、全体の流れ、処理に至るまでの流れについて御説明をいただきたいと思います。
  36. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 最終的な処理に至るまでの流れという御質問でございます。  まず現在は、その販売されております無登録農薬につきまして、都道府県に対しまして、まず販売業者のところへ入りましてその無登録農薬を封緘をする、あるいはそのほかのところにありますものにつきましては都道府県が指示した場所へ移して、例えば農協の倉庫でございますとか、そういうところへ移して保管・管理をせよというふうに指示をしておりまして、今後、その中から包装形態、表示の異なるものを情報に基づきまして分類をいたしまして、そういう整理をした後に、その種類ごとに我が方の農薬検査所でその成分でございますとか不純物の有無でございますとかを分析を行いたいというふうに思っておるところで、この分析は農薬検査所、この費用で行いたいというふうに思っております。  そしてその後、その成分でございますとか不純物の有無等が分かりますれば、その処理方針について関係部局、特に廃棄物関係の部局と連絡を密にいたしまして、ちゃんとした処理というものを指示していきたいと。最終的には廃棄業者のところで処理をすると、こういう流れになろうかというふうに思っております。
  37. 郡司彰

    ○郡司彰君 それぞれ現地の方で、例えば平成元年に失効しましたダイホルタンとか、昭和六十二年に失効したプリクトラン、あるいは今回のナフサクも含めて、このPCNB、ダイオキシンを含んだものも一括して処理をしているといいますか、できるんではないかというような話が出ております。これは一括の処理というような形で、例えばこれダイオキシンの場合には、これ温度の関係でございますから、そういう施設であれば構わないと思うんですが、全体一括でよろしいというような認識でございましょうか。
  38. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 今、先生から伺いまして少しびっくりしているわけでございます。私どもとしては、その成分分析あるいは不純物の有無によって処理の仕方が異なろうかというふうに思っております。こういう種類の成分を含むもの等につきましてはどういう処理の仕方が適切であるかということについて、先ほど申し上げました廃棄物部局とよく相談をしながら適正処理方針というものを立てまして処理をしていきたいということを考えているところでございます。
  39. 郡司彰

    ○郡司彰君 全体の回収の数量等もまだ完全ではございませんので、その後の処理のところまでなかなか通達としては、通達といいますか、その知らせが行ってないんだと思いますが、おおよそいつごろこのようなものが確定をされるような流れでしょうか。
  40. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 確たることは申し上げられませんが、推測で、推定で申し上げるといたしまして、近々、販売数量とかそういうのを確定したいと思っております。その中からサンプル等を取りまして成分分析をいたしまして処理に向かっていく、恐らく早くても十一月ごろに処理というふうになろうかというふうに思っております。
  41. 郡司彰

    ○郡司彰君 その際、当然処理に掛かる費用が出てまいります。これ、業者の方は違法ということをあえて承知の上で行ったということになるかと思いますので、当然費用は負担をせざるを得ない、これは当然の話だろうと思うんですね。  例えば、PCNB等は平成十二年でございまして、それ以前に農家が所有をしていたもの等、そういうものが数量的に出てくるということになりますと、これは、その辺の費用負担の考え方というのはどのようになってくるのか。全体、大変額的に、大体キロ当たりどのくらいの費用が掛かるのか。そのような形でもって、もし折半とか割合が出てくるとすると、どのように考えていらっしゃいますでしょうか。
  42. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) まず、処理費用でございます。  廃棄場まで運搬をして処理をするということでございまして、ある程度のロットがございますれば、恐らく一キロ当たり三百円程度、運搬費用と合わせまして掛かるんではないかというふうに考えております。  そして、その費用負担でございます。  この無登録農薬、不用となった無登録農薬は産業廃棄物に該当をするわけでございまして、産業廃棄物の費用負担は事業者負担というのが原則でございます。農家段階にありますものは、農家の負担というのが原則になろうかというふうに思っている次第でございます。
  43. 郡司彰

    ○郡司彰君 危惧をするところが二つぐらいございます。  一つは、このことによって費用負担が掛かる、余り想像をしたくないんでありますけれども、いつの間にか土壌の中に隠れてしまったりとかというようなことが起こり得ないのかどうか。それから、先ほど言いましたように平成十二年というところの問題でございましたから、それ以前に買ったものについては、これは別に問題ないという認識で買ったものがあったとして、それが急になったということでもって、そのところまで農家が負担をするというようなことが現実的なのかどうか。その二つぐらい、ちょっと重ねてお聞かせをいただきたいと思います。
  44. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 一つは、私どもも心配しております、その費用負担を回避するためにどこかに埋めるとか、そういうおそれがあるんじゃないかという話があるわけでございまして、現実には、中には不心得な業者がいて違法に投棄するというような事例も見られるわけでございます。現在、そういうようなことのないように、先ほども申し上げましたけれども、都道府県が指定する場所に集めまして、そこで保管・管理をすると、で、以後の手続を待つというふうに指導をしているわけでございます。  そして、後者の問題、平成十二年に登録が失効されたPCNBの問題につきましては、今は製造業者に回収するようにという指示をしているところでございます。
  45. 郡司彰

    ○郡司彰君 先ほどの話が杞憂に終われば結構なんでありますが、BSEの場合も、実はもう少し頭数が出てきてもおかしくないというような一般的な割合なのになかなか出てこない。これらも、私度々申し上げてまいりましたが、制度的な問題でもってそういうものがやみに葬られているとすればこれは困るなということも含めて、改めてまた申し上げたいと思っております。  次に、いわゆるナフサクが随分マスコミの中でも取り上げられました。そのことについてお伺いをしたいというふうに思っております。  ただ、これ、山形県のラ・フランスから出てまいりましたので、イメージとして山形県、非常に悪いようなイメージがございますけれども、私は、県として内偵をしていて、たまたま大阪で検出をされ、なおかつ県の方では警察に依頼をして明らかになったという経過の中から、山形県としては、私はやり方として悪い形ではなかったのかなという認識はしておりますが。  いずれにしましても、五十一年から失効しているということですから、もう二十五年以上でございます。この間、ナフサクのほとんどは輸入ではなかったのかなというふうに思っておりますが、この輸入の数量ということに関しては、ナフサクということだけでの統計はもちろん取っていないんだろうと思います。しかしながら、つかんでいらっしゃるんでしょうか。全然それはらち外ということになっているんでありましょうか。
  46. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) ナフサクの輸入量でございますが、これは先生も御承知のとおり、昭和五十一年に農薬登録が失効をしておりまして、輸入時点において農薬なのか化学品であるのか必ずしも特定できないということでございまして、残念ながら輸入量というものは把握をしておりません。
  47. 郡司彰

    ○郡司彰君 これはもうお分かりのことを改めてお聞きをするようなことになるかもしれません。このα—ナフタリン酢酸、いわゆる商品名としては現在ナフサクという名前で記憶をされているわけでありますが、これ、農薬以外として使い道というのは、私どもが聞いている範囲では試薬、培養、その他はほとんどないということでございますが、そのようなことでよろしゅうございますか。
  48. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) この農業外の用途といたしましては、私ども、今、先生申されたとおり、試薬として植物の組織培養の試験研究等に用いられている例があったというふうに認識をしておりました。
  49. 郡司彰

    ○郡司彰君 誤解のないようにあらかじめ申し上げたいと思いますが、無登録農薬でございますからこれは完全に違法でございまして、これを使うことに弁解の余地、弁護の余地はないんだろうというふうに思っております。  その上で、ほかのところとの状況の比較ということでお尋ねをしますが、日本の場合には失効をしている、二十五、六年前から失効している。これ、海外においてはこのナフサクを使用している国というものはどのような国がございますですか。
  50. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) このナフサクでございます。改めて過去の経緯でございますけれども、昭和四十六年に農薬取締法が改正をされまして、登録申請のときに新たに慢性毒性の試験データの提出というものを求めることとなったわけでございます。この慢性毒性の試験というのは、年月も掛かるわけでございますけれども、多額の費用を要するということで、ナフサクの登録申請者が登録の更新といいますか継続を断念をして無登録になったという経緯がございます。したがいまして、このナフサクについては国内では慢性毒性についての評価がなされていない、したがいまして食品衛生法に基づく残留農薬基準というものが定められていないという状況になっているわけでございます。  現在、外国の状況でございます。つまびらかに承知をしているわけではございませんが、例えばオーストラリアでは、リンゴ、ナシ残留農薬基準値として一ppm、アメリカではリンゴ、ナシ等に同じく一ppm、サクランボ、オレンジ等に〇・一ppmの基準値が設定をされているところでございます。
  51. 郡司彰

    ○郡司彰君 EUでも使っているというようなことでありますから、ここのところでひとつお尋ねをしたいんでありますが、無登録農薬という言葉がマスコミの中で使われておりまして、直ちにそのものが毒性があるのかどうかということの注意を払うというよりも、おおよそ、農薬という言葉が付いてあるから、それを食べた人は何か人体に影響があるのかなというふうにとらえている方も多いんだろうというふうに思います。  この毒性について、先ほど来から費用の問題で日本の場合には把握をしていないというようなことでございます。しかし、一般の消費者からすると、二十五、六年前に失効したものが今日現在に至って使われていたということになれば、その間、自分が口にしたものはそのものが含まれていたのかどうか判断のしようがない、食べてしまったのかもしれない。しかし、それについての毒性についてお尋ねをするにしても、日本の場合にはそれをやっていないんだから分からない、そういうようなことになってくるんだろうと思うんですね。  これは、情報の開示としては、ない情報を開示するわけにはいかない。しかし、そういう消費者の不安に対して国がこたえられるようなものを努めるべきかなという感じがしているんであります。これは出てからもう何か月かたっているわけでありまして、その間私も、昨日おとついの辺りで、毒性については調べているんですか、まあ調べていないというようなことになるわけで、これは私は開示の問題よりも、説明責任としては少し農水省としての姿勢が問われても仕方のないのかなという思いを持っておりますが、局長、どうでしょう。
  52. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 今のお話でございます。例えばそのナフサクについて申し上げますと、これ、厚生労働省からの情報でございます。例えば、急性毒性で半数が致死するというのは、体重一キログラム当たり千ミリグラムというような高い、言い換えますと毒性が低い結果がありまして、現在の検出されております量から見ますと直ちに健康に影響があるというようなものではないということでございまして、ただ、化学的にはそうなわけでございますけれども、国内農薬としての安全性が確認をされていない以上、やはりそういう農薬使用した農産物については食品として消費者に供給すべきではないという基本的考え方を私どもは持っているところでございます。
  53. 郡司彰

    ○郡司彰君 後段のところの考え方について云々ではないんです。それはそれでもう先ほど私、改めて冒頭申し上げましたように、そのことを弁護するつもりも弁解するつもりもないんです。ただ、二十五年間にわたって、もしかしたら私どもは食べてきたかもしれないという消費者が思ったときに、これは本当に毒性があるんですかないんですかという問い合わせがあったときに、いや、今のような局長の話でだれが納得をするんでありましょうか。その辺のところの農水省の、開示だけではなくて、先ほど言った説明責任をきちんと果たすというその姿勢が、この間、このナフサクについて言えば私は疑問だというふうに申し上げているんですが。
  54. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 今、議論を伺っておりまして、確かに先生の御指摘というのは、疑念として国民皆さんにもしありとするならば、少し勉強してみたいと思っておりますので、ちょっと研究させてくださいませ。
  55. 郡司彰

    ○郡司彰君 はい。  ほかの国では積年使っているわけでありますからそれなりのデータをもちろん持っているわけでありまして、緊急万やむを得ない場合には、日本の形の中でできないわけでありますから、そういうものを早速取り寄せて、少なくともそのようなことを調べることぐらいは早急にやっていただきたいなというふうに思っております。既に私どもも、これは民間の関係でも一定のものは、二〇〇一年のアメリカのデータやその他は取れるわけでありますから、その辺のところは姿勢として考えていただきたいなというふうに改めて申し上げたいと思います。  今、局長の方からもありましたように、更新をする際の費用が掛かるので失効したということになっているわけであります。この農薬登録の諸経費、更新と新規、成分が異なる新規の場合も含めて、どの程度掛かるんでありましょうか。
  56. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 農薬によっても、いろいろ種類がございまして、一概に申し上げることはできませんが、まず、新規の化合物から農薬を作る場合にどういう費用が要るかといいますと、まず開発費用が必要とされます。開発のための投資でございます。それから、農薬登録申請に必要なデータを集めるための費用、これが二番目に必要になります。三番目に、その登録申請の手数料と、この三つぐらいになろうかと思います。  新規の化合物の場合、まず一番目の開発投資、これおよそ五十億から百億円必要となります。それから、農薬登録申請に必要なもろもろの試験データ、これを整備するのにおよそ約十億円必要ではないかというふうに類推をしております。そして手数料は、新規の場合には二十六万三千九百円というふうに農薬取締法施行令で決めているところでございます。  そして、再登録の場合どうなのかという話でございます。  新たな科学的知見に基づきまして、追加的な試験成績が必要な場合というのがあるわけでございます。その際の試験費用については、必要となる、何が必要になるのかというのがちょっと分からないものですから、一概にお答えすることはこれはできないという状況でございます。手数料につきましては、再登録の場合は七万円というふうに決まっております。
  57. 郡司彰

    ○郡司彰君 最後の七万円だけちょっと浮いた数字になっておりますが、それはそのほかに印紙税とか二十何万とか掛かって、それ以外にも臨床のデータから入れるとやっぱり数億掛かるだろうというふうに言われているわけですね。私は、その額が高いか安いかという議論をこの場でするつもりは全くございません。しかし、更新にしても新規にしても、相応のコストが農薬と呼ばれるものの中には掛かっているということをこれは認識をしなければいけないんだろうと思っております。  その中で、まず皆さん方に今日お配りをした資料、資料といいますか、これ資料と呼べるようなものではございません、どこにでもある、どこにでも目にすることができるものでございます。株式会社さんの販売促進用のチラシでございます。  これを見ていただきますと、非農用地にと書いてあるけれども、使用者が農耕地に使用してみたいと考え使用する場合は問題ありませんとか、大変に挑発的、挑戦的な言葉が並んでおりまして、例えばこの中にも出ております、個別商品名で恐縮ですが、ラウンドアップなどは、普通は農薬として買う場合には安くても八百円ぐらいから。ところが、これで買いますと大体百七、八十円ぐらいで売っているわけですね。これを一方でおいたままにして、先ほどの無登録登録かというようなことの問題、これはもちろん大きな問題でございますが、果たしてそれでよかったのかな、いいのかなという感じがいたします。  これは農水省の方でも度々目にしておって都度対応をしているんではないかというふうに思いますが、こうした非農耕地用と言われる農薬除草剤その他について、どのような見解、どのような対処をされているんでありましょうか。
  58. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 今、この資料を見せられまして、よくもぬけぬけとという感じではあるんですが、現行の制度が非農耕地用の除草剤は法律の農薬の定義からも外れていると、農作物を害する菌だとか線虫だとかダニ等の防除に用いられる薬剤というふうになっておりますので、その定義から外れているということ、そして無登録農薬についての使用規制が現在のところ罰則がないということ、そういう抜け道をつかれましてこういうことをされているのではないかというふうに思うわけでございます。  我々、こういうことが消費者に対する安全な食品の供給に支障のある形で使われることは早急に制度的に是正しなければならないというふうに考えておりまして、無登録農薬に関する輸入製造販売使用、こういうものの規制について早急に検討を加えまして、この臨時国会にも提出をすべく作業を進めているところでございます。
  59. 郡司彰

    ○郡司彰君 簡潔に確認をしたいと思いますが、企業のモラルの問題ではなくて、法制度上の問題として対処をするということでよろしいですね。
  60. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) そのとおりでございます。
  61. 郡司彰

    ○郡司彰君 次に、α—ナフタリン酢酸、いわゆるナフサクの、商品名のことに関してでありますが、五十一年に失効をしているということでございますから四半世紀を超えております。私どもの、今回起こった以降のいろんな生産者の方やその他の方との話合いの中で実際に聞いてみると、使っていた、使い方も人によって、指導の文書などはこれはあり得ないわけでありますから、非常にユニークな使い方をそれぞれがしていた。  じゃ、それを販売をしている業者と使っている使用者、農家だけが知っていたのか。これを例えば行政の方々は一切知らなかったのかということになりますと、その辺のところについて、先ほど国井議員の方からも全体、これ以外にはどうなんですかという話がありましたが、これは一つ氷山の一角という考え方を取ったにしても、行政として本当にこれまでこのような実態があるということを一切知らなかったんでありましょうか。
  62. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) これまで情報といたしまして、ナフサクその他の無登録農薬を売っている業者がある、その他の情報が寄せられたことは各都道府県等にございます。その都度、立入調査とかそういうことをしたことはございました。  例えば山形県の場合でございますと、平成三年とか四年にも、これはナフサクじゃありませんけれども、ダイホルタン、これを売っているというようなうわさが県当局に来まして直ちに立入調査をしたわけでございますけれども、その証拠がつかめなかったというような状況がございますし、平成十三年の八月にも同じような状況があって立入調査をいたしましたけれどもつかめなかったということがございました。  また、非農耕地用の除草剤、これについても度々うわさがございまして、立入調査をしてそれを捕まえては農耕地には絶対に使用しないようにという指導等を行ってきた経過がございますけれども、今回のような大規模な事案というのは私どもが承知している限りでは初めてのケースでございます。
  63. 郡司彰

    ○郡司彰君 須賀田局長、大変正直なといいますか、今まで多くの方にお聞きをすると、これは一切知らなかったという答弁にほとんど終始をしております。今回、この一年間、食に関する国民の関心が高まった、マスコミ等の扱いもこれまでとは違ってきた、そういう変化はともかくとして、これを私どもは一切知らなかったというような姿勢そのものを今回の中で改めるということがまず農水省の改革の中の大きなポイントかなという感じがしておりまして、今の答弁は大変苦しいお話しようでございましたが、しかしながら、これまでと私は相当違ったというふうに評価をさせていただきたいなというふうに思っております。  これ以上この問題については追及をしないことに今日はいたしまして、次に大臣の方にお尋ねをしたいと思いますが、先ほどのお話の中にもございましたけれども、農薬取締法改正を目指しているということでございます。その改正のポイントについてお話をいただけますでしょうか。
  64. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 簡明に申し上げます。  第一点は、輸入製造使用規制でございますね。第二点は、輸入代行業者による規制。それから、生産者使用の点も含めて罰則強化。これらを中心にして、今、臨時国会へ提出するよう全力を挙げて作業をしている、これが骨子でございます。    〔委員長退席、理事田中直紀君着席〕  これから議論してまいりますと、また今日、先生方からいろんな所見もちょうだいして、更に努力してまいりたいと思っております。
  65. 郡司彰

    ○郡司彰君 大きく三点のことになるというようなことでございまして、だとすると、例えば先ほどの非農用地用のそういうものについては、これは別途、別な法律でもって対処するということになるんだろうというふうに思っております。その中で、基本的には使用者、農家に対しても罰則を設けるということは、これはもう当たり前のことかなというふうに思っております。これまでの業者に対するものもこれまで以上に厳しくするということにもなってくるんだろうというふうに思っております。  農薬の適用の問題で、ここにマイナークロップというような言葉で出させていただいて、私は横文字で農業の問題を語るのは余り好きではございませんで、現場ではこういう言い方をしてもだれも何とも分からない。地域を限定したり、本当に少量ずつ作ったり、そういうような作り方になるんだろうと思いますが、ここのところはどちらかというと、例えばナフサクも、アメリカでは七品目について今使用している。オーストラリアは、先ほど言ったように、リンゴ、ナシにパイナップル、決まっているわけですね。  ところが、このいわゆるマイナークロップと言われる手法の中では往々にしてそれ以外のものにも掛けてしまう、掛かってしまう。それも、大体今までは黙認というんでしょうか、慣行の中で許されてきたようなところがございますが、これらに対する適用を拡大をするということがなしにこの手法がまた取れなくなってくる。その適用拡大についてどのようなお考えでございましょうか。
  66. 太田豊秋

    ○副大臣太田豊秋君) 今、郡司先生からお話ありましたマイナークロップ、正に私どもも余り聞き慣れない言葉でありまして、先生からの質問のあれを見させていただきましていろいろと調べさせていただきましたところ、例えばウドだとかタラの芽だとか、そういった、ショウガとかホップとかというふうな非常にマイナーな農産物に使われている農薬だというふうなことを私も承知をさせていただきまして、これは拡大申請がその製造業者にあっては必要なわけでございますが、そういった中で、作物の残留試験とかそういったデータを作るために非常に多大な費用を要するわけでございまして、農薬市場の規模が小さいというふうなこともございますから使用可能な農薬というのが限定されてくるというのが現状でございまして、それを幾らかでも拡大申請を促進するために、国とそれから団体、言うなれば農薬生産者、そして県の負担等々によって基金を造成しましてこれらの方々への助成をしているというふうなことが現在の状況でございますので、これからも登録手続の迅速化、こういったことにも努めてまいりたいと、このように考えております。    〔理事田中直紀君退席、委員長着席〕
  67. 郡司彰

    ○郡司彰君 改めて重ねて言うこともないのかもしれませんが、先ほどの登録の費用につきましてはかなりのものが掛かりまして、業者からすると、本当に限られたところの作物、地域のためにその費用を出すなんということは、これはあり得ないわけですね。だとすると、その地域ごとのいわゆる頑張っていらっしゃる方々のものが日の目を見ないということにならないように、その基金の運用あるいは申請の要請等も、これは業者によらず、地域によらず、行政的な指導の中できちんと立ち行くようなことを改めてお願いをしたいというふうに思っております。  最後の方の質問になりますが、この食は、先ほど大臣が冒頭お話をされました中にありましたように、生産、流通、そして消費者にわたるまでの一貫した流れの中でのものでございます。だとすると、今回質問させていただきました農薬の関係につきましても、当然この食の安全という中でトレーサビリティーの問題を考えざるを得ない。BSEを機会に、例えば牛肉その他の関係については一定の流れ、形ができつつあるというふうに思っております。このトレーサビリティーの問題は、言うはやすく、しかし縦割りというものが非常にかかわってくるものでございますので、そのような中でどのような考えで牛肉以外のトレーサビリティーについて確立をしていこうという考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  68. 太田豊秋

    ○副大臣太田豊秋君) 今、牛肉以外のというふうなことでございますので、例えば青果物とか米とか、あるいはまた加工食品などについて、こういった特性を踏まえながら、それぞれの生産行程あるいは顔の見える、そして消費者に安心して消費をしていただける、そういった農産物生産に資するような政策を是非やっていきたいと、このように考えております。  過般、参議院の第五、農林水産の関係の調査で、これはフランスの市場に行ったときでございますが、主婦の方が、紙先生とか皆さんと一緒に参りまして、そのとき、一つ一つのトレーサビリティーの付いている諸表を、しっかりとパックされたものを、例えば牛肉であれば牛肉を五種類ぐらい比べていくんですね。それで、これは何月何日に生産されて、どういうところで生産され、そしてどういう形で来ているのか、あるいはその賞味期限がどれぐらいなのか、もう一人の御婦人が五つぐらい比べ合って、最後に一番自分がこれが食の安全に自分としてつながっていくものだという、そういった消費者の責任も含めて私は選んでいた姿を見させていただきまして、これが本当のトレーサビリティーなんだなと、こういうことをやっぱり日本の中でもこれから定着していく、そういうものを作っていかなければならないと、こんなふうに考えてきておりますので、これからも農政の中でこれらのことを皆さんといろいろと協議をさせていただき、また御協力いただきながらやってまいりたいと、このように考えております。
  69. 郡司彰

    ○郡司彰君 農協系統の方も食の安全システムというものを今やっておりまして、それから民間の方々も独自のトレーサビリティーシステムを考えているところでございます。  今、太田大臣がおっしゃったように、各国いろいろ違いがあるんですね。例えばオランダなんかも相当細かい形まで作っていて、しかし国際的になるとどこが基準ということもなくやっている。私は、どこかで基準を作る必要があるのかなという思いがある反面、それならば日本の中で日本の風土に合わせた適正な基準を作るべきだろうというふうに思っております。  なぜこんなことを申し上げますかというと、今、有為のグループを作って、その人たちだけでシステムを作る場合には、これは意外とうまくいくんですね。ところが、全農業者、兼業の方も専業の方もお年寄りの方もということになると、なかなか記帳一つを取っても、そこまで付いていけないという方が出てくる。これを機会に逆に農業をやめようかなというような、あるいは耕作の放棄が広がるようなことになっても困るわけでありまして、その辺のところを、全体が漏れなく参加ができるようなそんなシステムとしてお考えをいただきたいなというふうに思っております。  時間でございますので、終わらさせていただきます。
  70. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男でございます。  大島理森農林水産大臣並びに北村直人大臣太田豊秋大臣の御就任を心からお喜び申し上げます。  早速質問に入らせていただきます。  新しい大臣の誕生でございますので、いろんなところで御抱負を述べておられると思いますけれども、今後の農林水産業関連の対策の抱負についてお伺いできればと思います。
  71. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 農林水産政策の基本は、人間にとって生きる基本である食するということをつかさどっていると、この高い確信と責任感を持ってやることがまず第一であろうかと思います。  そして、一次産業というものは、一方においてその国々の言わば歴史、文化のオリジナリティーを生み出したところでもある。そういう食以外の、今の言葉で言えば多面的機能を作ってきたと。これは時代が変わろうと各国のそれぞれの事情が変わろうとも、農村というもの、漁村というものがそういう役割を果たしてきた、国々において必要なものであるということ。  しかし、一方、そういう状況の中で、国際社会の中で生きていく日本ということを考えますと、当然そういう環境も踏まえて日本の一次産業をしっかりと考えていくという姿勢が必要であるということ。さらにまた、多面的機能というところにもつながると思いますが、そういう農、水というものが自然と本当に密接な、というより自然に生かされていく農業、水産業でございますから、そういう意味で地球環境とか日本の環境とか、そういう役割と同時に、そういうものに対するまた視点からの農というものも、水というものも考えていかなければなりますまい、これは林も含めてでございます。  そういうふうなこと等々から私どもは進めてまいりますが、特に昨今というより、この一年間問われたことは、先ほど来御議論がございましたように、作るという視点に非常に重きを成してきた戦後五十年の一次産業政策であったことは私は事実であろうと思います。その作るということの産業政策という点を更にしっかりするためにも、消費者、生活者という視点が一層必要になる、そこを忘れての生産というのはあり得ないということをこの一年間で私どもは学んだわけでありますから、そういう視点からの農政というものも考えなきゃならぬ。  結果としてそれは何かといいますと、一次産品、そして加工、流通、消費者、総合的な私は食に対する政策官庁にならなければならないと、このように訓示もいたしました。またそうありたいと思っております。それが言わば「「食」と「農」の再生プラン」という一つの形になって現れる、こういうふうなことで、それらについて着実な進展とともに、また委員の諸先生方皆様方の御意見を聞きながら、二十一世紀にしっかりとした日本の一次産業の姿を作るために努力してまいりたいと、こう思っております。
  72. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 ただいま大臣の方から御抱負お聞きしたわけでございますけれども、消費者の方々あるいは生産者も含めて国民の方々は、今後農林水産関係でどのような予算を確保し、どのような対策を取っていくのか、大変注目されているところだと思います。  そういう意味で、農林水産省も概算要求出しておるわけでございますけれども、その中で、食の安全あるいは食品のリスク管理等で大事なポイントといいますか、こういうものを強調して概算要求出している、そういうことを国民に向かってお知らせいただければ有り難いと思います。その点についてお伺いをしたいと思います。
  73. 大島理森

    国務大臣大島理森君) まず第一の柱といたしまして、今、先生が御指摘いただきましたように食の安全と安心の確保、この視点からの概算要求を私どもはいたしております。  食品安全基本法、仮称でございますが、そういうものを食品安全委員会の、これも仮称でございますけれども、設立を今考えて努力しております。これは内閣府の中でございます。  それらを受けまして、先ほど来トレーサビリティーのお話がございましたが、まずその牛肉のトレーサビリティーについては当然やらなければなりませんけれども、先ほど副大臣お話しされましたように、食品全体のシステムをどう考えていくか、そういうものにも配慮しながら、トレーサビリティーのことについても概算要求の中ではプライオリティーの高い予算要求にいたしておるところでございます。  さらに、そういうふうなことのために、私どもも役所の中における今度はリスク管理をしっかりしなきゃいかぬということになりますと、新しい局を設ける、そしてその中に食品安全局というんでしょうか、まだ仮称でございますが、この設置の要求もいたしております。  そういうふうな中で、私どもの概算要求が基本的に、今議論しておりますけれども、農薬の適正使用の問題、あるいはダイオキシン、カドミウム等のリスクに関する徹底的な調査、あるいはまたそのためには、国民皆さんに食することに対する更に関心を持ってもらう、そういう意味で食の教育というふうなものにも努力する要求をしてまいりたいと思っております。  もちろん、BSE対策設置法に基づく確実な進展も必要でございます。いずれにしても、全体として一番高い要求の最重要問題は食の安全ということに私ども置いて概算要求をしておるところでございます。  なお、先ほど私は安全局と言いましたが、消費・安全局、こういうふうなものを、仮称でございますけれども、プレーヤーとアンパイアが一緒になってはいけない、そこを別々に考えていくという形での局を、新設も要求して頑張ってまいりたいと、こう思っております。
  74. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 先ほどBSE問題に関する御報告もあったわけでございますけれども、一つその点でお聞きしたいことがあります。  原因、感染ルート解明も一生懸命やっていくということでございましたが、五頭目、残念ながら国内発生してしまいました。その五頭目の発生を含めまして、これまで原因あるいは感染ルート解明についてどのような調査結果が出ておるのか、簡潔にお答えいただければ幸いです。
  75. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 感染原因と感染ルート解明、これまで期日を掛けてやってきたわけでございます。我々としては重点的な三点に絞り込みをいたしました。一つは、一九九八年六月以前のイタリアから日本へ輸出された肉骨粉が、加熱処理が不十分であった可能性が否定できないという点。二点目が、配合飼料工場の一部に牛用飼料への肉骨粉の混入の可能性を否定できない工場があったということ。三点目が、この五頭に共通して給与されました飼料に同一の工場の代用乳がございまして、しかもその中にオランダ産の動物性油脂が使用されていたという、この本委員会でもさんざん御指摘を賜った点でございます。この三点に絞り込みまして、このような絞り込みにつきまして九月二十四日にBSEに関する技術検討会に諮ったわけでございます。検討会からは、おおむね妥当という評価をいただいたところでございまして、これらの事項について、更に専門家によりまして感染源になり得た可能性についての分析・評価をしていただくこととしております。  それから、やはり私ども今後、さきに通していただきました特別措置法に基づきます死亡牛検査ということが非常に、感染源を突き止める上で大変重要ではないかというふうに思っておりまして、この二十四か月齢以上の死亡牛の全頭検査というものをいち早く体制を整備いたしまして、それから得られる情報もこの感染源の究明に役立てていきたいというふうに考えているところでございます。
  76. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 次に、無登録農薬の問題に移らせていただきます。  これまでの委員質問に対してのお答えもいろいろありましたので、無登録農薬の問題に移らせていただきますが、質問しようとした項目、既にお答えいただいたところはなるべく重複しないように省かせていただきます。  いろいろ山形県を含めまして多くの県が今回の事件、あるいは農家使用にかかわっているわけでありますけれども、国としてこういう無登録農薬の問題に関して、あるいはこれからの農産物出荷に関して、安全確保について国としてはどのような対応をしていくことになるのか、その点についてお伺いをしたいと思います。
  77. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 無登録農薬問題につきましては、実は私の出身県である青森県のリンゴ農家の方も、この問題におきまして非常に悲惨な事態が発生したことがつい最近ございました。いかにこの問題の社会的、農家にとりまして重要な問題であるかということを本当に悲痛の思いで私は感じたわけです。  したがって、先ほど来申し上げておりますように、それもやはり消費者皆様方、つまり国民皆様方が食に対する非常に安全、安心という問題に対する感性といいましょうか、厳しい目というものがどんどんどんどん、当然のことでございますが、ある。  そういうことに、私ども農水省として無登録農薬という問題を真剣に考えないと、そこに基準がありませんと、ある意味では、生産者の方々が毎日毎日どうしたらいいかと考えて農業をやっておるときに対応がもしできないでいたとするならば、やはりこの法改正というものを速やかにすることが大事だということの中で、先ほど来申し上げましたんでございますが、輸入製造、そして使用に対する規制内容とする法改正、こういうものを考えてまいりたいと思っております。そこに合わせて今一生懸命努力させていただいて、二度とそういう悲劇が起こらないようにしてやらないといけないなという思いもございますし、何といっても消費者皆さんに安心していただくようにしていかなきゃいかぬなと、基本的にはこのように考えております。
  78. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 ただいま大臣の方から農薬取締法の改正についてのポイントについてもお話しいただいたわけでありますけれども、農薬のやはり在庫管理とか、それから有効期限切れの農薬の回収、あるいはその回収した農薬の適切な処理も非常に大事な点になってくると思いますが、この点はどのような改正になる見込みでございましょうか。
  79. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 今までのその失効した農薬でございますとか無登録農薬でございますとかにつきまして、販売関係の禁止、そして販売業者に対する営業停止、こういう措置を通じてその販売業者がそういう営業停止命令を受けますと、その売ったところから損失補償とかそういうのを求められるおそれがあるだろうからということで、自主的に回収するということを前提にした仕組みになっていたわけでございます。  しかしながら、ここまで問題が広がりますと、やはりそのそれぞれの輸入業者製造業者販売業者農家段階、それぞれの段階におきまして、やはりその農薬廃棄でございますとか、あるいは業者さんに対しては回収でございますとか、そういうことを命令できるというような法改正制度を講ずる必要があろうかというふうに思っております。  その上で、先ほど来申しておりますけれども、成分の分析をして適切な処理方法を見いだして廃棄物の業者さんに廃棄していただくと、こういう手順を踏むというふうになろうかというふうに思っております。
  80. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 消費者の立場から考えますと、農薬取締法による生産者サイドの取締り強化だけでは食品の安全、安心の確立には不十分であろうと、そのように考えるわけです。そのために、無登録農薬食品への残留基準を設定しておりますけれども、その対象範囲を拡大するとか、そういう食品衛生法観点からの対策強化も必要になってくると考えますが、厚生労働省の方でこのような点についてどのように考えておられるか、お伺いしたいと思います。
  81. 尾嵜新平

    政府参考人尾嵜新平君) 御質問がございます無登録農薬問題に関しまして、農林水産省の方から御連絡を、情報をいただきまして、厚生労働省といたしましては、各自治体の衛生部局に対しまして無登録農薬につきましての使用に関する情報を提供するとともに、各自治体の農政担当部局と連携を取り、管内の農家においてそういった無登録農薬使用されていることが判明した場合にはその農産物について残留農薬検査を実施すること、二つ目が、市場に流通している農産物についても幅広く検査を実施し、食品衛生法に定める規格基準に合致していることを確認することということで八月三十日付けで通知をし、体制強化を図ったところでございます。  それで、もう一点の御指摘でございますが、検査基準、残留農薬基準の関係でございますが、今回問題となっております五品目のうちの三品目につきましては基準が定められておりまして、すべて不検出というのが基準になってございます。あとの二つについては、一つは検査法が制定されておらないといいますか、ものがございますし、あるいは国際的なADIが設定されておらないというふうな状況がございます。  こういったことがございますが、私ども基本的には、残留農薬基準についてはこういった無登録農薬も含めてポジティブリスト化ということを図りたいというふうに考えておりまして、そういった中で今回のケースについてもできるだけ早くその辺の基準の設定についての考え方を整理したいというふうに考えているところでございます。
  82. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 これは農林水産省にお伺いしたいんですけれども、国民の健康を守るためには、人体に懸念がある、人体に対する影響があるということで農薬登録が失効した場合に、その後、農薬使用が適切に禁止されているのかどうか、使用されていないことを確認するためには、やはり失効した後で一定期間でもその農薬チェック体制農林水産省もするべきではないか、強化するべきではないかというふうに思うわけですが、この点に関してお伺いをしたいと思います。
  83. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) ただいま先生申された点、非常に大事な点だというふうに受け止めをさせていただきます。  やはり、その入口といいますか川下といいますか、輸入製造販売使用食品残留と、こういう一連の各段階で重層的なチェックというものが農薬に関しては必要ではないかというふうに思っております。そして、どちらからでもそのフィードバックできるようなシステムづくりというのが重要ではないかというふうに思っております。  ただ、食品農薬残留検査、我々今まで経験をしていないわけでございまして、どういう対応があり得るのかちょっと研究をしてみたいとは思いますけれども、基本的にはやはり衛生部局において検査を行っていただいておりまして、その輸入から使用までの農林部局の対応と、食品への残留という衛生部局への対応連絡を密にして監視を強化するという方向で、今回のような問題を起こさないようにするということが基本的対応になろうかというふうに考えておるところでございます。
  84. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 次に、同じ残留農薬の問題ですけれども、中国産の輸入冷凍野菜の残留農薬問題に関しまして質問させていただきたいと思います。  七月に法改正がなされまして、食品衛生法が改正されたわけですけれども、九月七日から施行されたということであります。その後、この中国産冷凍輸入野菜の残留農薬、どのように検出されておるのか、その点について厚生労働省にお伺いしたい。そしてまた、今、日中間で残留農薬を減らすための協議等が行われていると思いますけれども、その協議の状況についてもお伺いをしたいと思います。
  85. 尾嵜新平

    政府参考人尾嵜新平君) 最初の御質問食品衛生法の一部改正の成立、施行、施行が九月七日でございますが、その後の輸入冷凍野菜の残留基準の検査状況についてのお尋ねでございます。  それにつきましては、九月七日以降残留基準を超えている農薬が検出されましたものは一件だけでございまして、全体二百五十件の検査を十月一日現在までやっておりますが、そのうちの中国産の冷凍シュンギクから残留基準の違反が一件出ていると、そういう状況でございます。  それと、併せて御説明を申し上げますと、協議の中心になっております冷凍ホウレンソウの関係につきましては、八月、九月に掛けまして輸入業者にも自粛要請をいたしておりまして、現在、八月、九月で届出が来ておりますのは二件でございますが、これも現在検査中でございまして、まだ実際には輸入されておらないという状況でございます。  それと、二点目の御質問でございますが、中国との協議についての状況でございますが、法律が成立する以前から、私ども、まず七月の下旬に私、中国へ参りまして局長級の協議を、第一回目をやりまして、その後八月、九月と課長級の協議をやっておりますし、八月の際には、山東省が中国からの野菜の出荷の中心地でございます、そこの現地調査も併せて我が方から出向いたということで、地方の検疫総局の方からの説明、並びに加工食品を作っております工場でございますが、そういったところの調査をし、向こうの説明を受けたということでございます。  それで、現在、中国側に対しまして私どもの方から種々の要請をいたしておりますが、そういった内容に対します回答も含めて、来週の八、九の両日に第二回目の局長級の協議を持つことといたしております。そういった中で中国側の対応についての確認をしたいと思っておりまして、その結果を踏まえて最終的な厚生労働省の考え方の整理をいたしたいというふうに考えておるところでございます。
  86. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 時間の関係上、質問をあと絞らせていただきますけれども、今、農林水産関係では米の政策の見直しということが非常に重要な課題になっております。それで、米の生産調整について、やはり過剰米を生じないようにする、より実効性があり、しかも不公平性のない方式が検討されることになるわけでございますが、この米の生産調整に関しまして大臣はどのように今、現時点でお考えを持っておられるか、その点をお伺いをしたいと思います。
  87. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 今、私ども、この米の問題につきまして、いよいよ十一月末には何とか新しい姿を生み出したいと思っております。そのときに、概念的でございますが、数点、基本的な考え方で私自身考えてまいりたいと思っております。  それは、米はやはり日本の基幹的農作物であり、そして主食であるということ、それが日本の農村を支えてきたということにも相なります。第二点は、そこを踏まえながらも、現在やはり需給のギャップというもの、加えて潜在的供給能力と現実の需要のギャップというもの、それが生産調整になるわけでございますが、このことに多くの国民国民の目から見ても、あるいは消費者の目から見ても、生産者にとりましても決して私は幸せなことではないと思うんです、その需給ギャップがあるということのままでおくということは。そこは、作る喜びを持ち、また売る意欲を持ち、買う人からすると多様なそういうふうな選択ができる、そういう姿というものが私はある意味では必要だろうなとも思っております。  そして、そういう状況の中で、具体的に生産調整という問題に関して、末端の町、村、農協皆さんがどれほど努力されて、そしてそのことに掛けるエネルギーが大変大きなものであったということも承知しております。とするならば、そういうふうなことをどのような形でだれがやるのかということも考えなければならないなとも思っております。  一方、冒頭に申し上げましたように、水田という存在は、米を作るというだけの存在ではなくて、先ほど来申し上げた農村集落あるいは農村のいろんな意味での中心的な機能を果たしてきたということを見れば、市場性だけの論理だけですべてが解決できるかというと必ずしもそうではあるまいと。だとすれば、そういう市場性に立ち向かっていけない人たちの水田というものをどう考えるか。これまた厄介なことでございますが、知恵を出さなきゃならぬところだなと、このように思っております。  そういう様々なことを考えながら、生産調整に絶えず市町村が、末端の町、村の方々が本当に苦労をしてやる姿から解放した形で何か知恵はないかと、そういうふうなことを本当にこれから真剣に議論してみたいなと、こう思っております。
  88. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 最後の質問になりますけれども、お米のお話になりましたので、今、WTO農業交渉も大事な局面になっておるわけです。いろんな外国の方々の意見としてケアンズ・グループ等々から青の政策、緑の政策も削減していこうというような発言もあったということですが、お米の生産に関しましても日本に重要な影響があるわけでございます。この点について今後日本がどのように対応していくのか、お伺いをしたいと思います。
  89. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 先生指摘のとおり、WTO農業交渉、来年三月までにモダリティー、枠組みを確立するということで重要な局面に至っております。その中で、今年の六月から輸出、市場アクセス、あるいは国内支持についてWTO農業委員会特別会合で議論が進められてきている状況でございます。  今、先生指摘国内支持に関しましては、九月の、先月の下旬にジュネーブで会議がありまして、輸出国、ケアンズ・グループからは、御指摘のとおり、黄の政策の五年間での先進国の廃止はもちろんのこと、青の政策の廃止、さらに緑の政策についても支出額の上限設定なり一部の政策についての削減という提案が出されております。大変、何といいますか、大幅縮減という形での提案になっております。  私ども、WTOの下で各国における農政改革を円滑に実施していくという観点から見て、やはり国内支持に関する枠組み、規律の継続ということが重要ですし、さらに、大臣からも度々御発言されておりますように、非貿易的関心事項、多面的機能に関するそういうものの適切な反映ということで規律の柔軟性を確保していくということが不可欠だと、そういう状況の中で、EU等フレンズ国と連携しながら現行の政策の枠組みの維持を主張する、そういうことをしていきたい。ケアンズ諸国の提案というのは、そういう観点からは受け入れ難い提案であるというふうに思っております。
  90. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 ありがとうございました。
  91. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  早速ですけれども、大臣が就任をされまして、一日の日本農業新聞でのインタビューを読ませていただきました。それで、武部大臣が打ち出した行政の継続というふうに言われているわけですけれども、同時に大臣自身の自主性やカラーを打ち出したいということを印象を持ちました。改革理解を得てというふうに述べられています。この点で幾つかお聞きしたいと思います。  まず、主食である米の生産についてですけれども、今、米生産は危機的な状態に陥っています。どのようにしていくのかということについては、正に国民的な理解を得て進めるべきだと思います。その点で、今、農水省が出している方向というのはいろいろ問題があるというふうに思うんです。  「米政策の再構築に向けた中間取りまとめ」というのが出ましたけれども、この中では、米の過剰、それから価格下落の最大の要因となってきたMA米の削減や廃止については触れていないと。そして、需給調整に関する行政生産者団体の役割分担の在り方を根本から見直すと。余りものに値なしということまで言って、過剰米の処理については生産者の自己責任を求めるというようなことになっています。  米生産の現地に行きますと、農協なども含めて、この出されてきているものに対しては、これじゃ国の責任回避じゃないのかと、率直なやっぱり声として寄せられるわけですけれども、これらのやっぱり現場の声をきちんとつかんで尊重するべきだと、意見を尊重するべきだというふうに思うんですけれども、これについて大臣、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  92. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 現場の声を聞いて米政策の結論を出すようにという御指摘だったと思います。  その現場の声が多様化しているところに今の米生産の象徴的な問題があるような気がするんです。米の単一で専業農家としてやろうとする農家もいれば、そして多くの消費者がそういうおいしいお米を欲しいという要望もあれば、また一方、米生産が、昔流で言うと二次兼業農家としての、言わばお勤めしながらできる、生産コストが低下したという作物になっている現状を見て、兼業としておやりになりながら、極端に言えば三ヘクタールから四ヘクタールぐらいまでできるような技術革新ができてきたという状況を見たときに、そういう農家と米単一で自分の農業所得を持ちたいという方々のこの思いの違いというものも私はあるような気がいたすんです。一方、消費者皆さんからいたしますと、安心と安全は基本にしながら、まあ言えば安くておいしい米が欲しいというのは消費者の、また現場の声でもあるような気がするんです。そういう実態をお互いにミスマッチがないようにしていく作業をいたすことによって総体的な国民理解が得られるのではないでしょうか。  私どもは、国費を使い、国民皆さんの税金を使い、米というこの産業あるいは生産物を取り巻く少なくとも基本的な環境を守っていかなければなりません。守るということにおいては、国民の税金、国民皆さんからいただいた税金を使うという場面が当然あるわけでございますから、そういう意味で、生産者消費者、この両サイドにある意味ではぎりぎり納得できる仕組みを模索していくというのが私は一つの今の改革のポイントだと思います。  団体の皆様方農協皆様方のところに視点を当てるということも、ある意味では議論し理解を求める必要があるとは思いますが、大事なのは、生産者消費者、この両面からの理解を得るための制度改正に努力してみたいと、このように思っております。
  93. 紙智子

    ○紙智子君 様々な意見があるということを言われたわけですけれども、やはり生産者のサイド、そして消費者の安全な食という観点からいっても、これは相反するものではないというふうにもおっしゃっておりまして、私もその辺は同じように思うんですけれども、そういう中でもやはり本当に共通して出されてきている声というのはあるわけで、そこに本当に謙虚に耳を傾けるということをやっていただきたいというふうに思います。  それからもう一つは、大臣は、法人などの担い手に政策を集中させる手法で、ある一点だけに焦点を合わせて農政をやっていくと日本農業は弱くなる、農業で生きていく農業者に包括的に頑張ってもらうものがないと柔軟性に欠ける日本農業の構造が生まれるというふうにお答えになっていますね。  農水省は、米政策見直しでは、昨年、稲経から副業的農家を切り捨てる方向を打ち出して大変大きな反発が出たと。中間取りまとめの中でも主業農家と副業農家に対する施策を区別するというふうに明言しています。しかし、稲作販売農家の米生産というのは五三%、生産量で五三%、この五三%が副業農家によって支えられていると。ですから、稲作でこそ農業者に包括的に頑張ってもらわなければ成り立たないというふうに思うわけですけれども、この点、大臣のお考え、いかがでしょうか。
  94. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 私は、先生お話しされましたように、農業の生産形態を一点に絞った構造にすることは、そこの一点が壊れたときに当然に食料供給ができなくなっていくわけです。したがって、多様な農業生産形態があってしかるべきだと、こう思います。  その中にありまして、言わば複合農家、こういう方々に対してはどのような形のものを取っていくか。そこの、昔で言う二種兼業農家というんでしょうか、そういう方々の中でもまたいろいろな、多様でございますよね。特に、私は、山間地帯というものの農業というものは、中山間地帯の農業というのは、単純に生産的効率あるいはまた生産性のみで語れない農業形態を持っている、ここはしっかり押さえていかにゃいかぬと思うんです。したがって、そういう点をきちっと押さえながらも、先ほど来申し上げたこの押さえ方は、集落全体として押さえていくか、あるいはコミュニティー全体としてそこをどう考えていくかという視点に立つのも一つあり得るのかもしれません。  一方、そういう経済性、市場性の中できっちり、どんどんやってもらうという農家、これはある意味では一つの主流になっていくかもしれませんし、そういう方向性には持っていきたいと思いますが、そういう多面的な農業政策をある意味では複眼的にもしっかりとらえてやっていくべきだという考え方は、今までも持ってきましたし、これからもそういう考え方でいきたいと、こう思っております。
  95. 紙智子

    ○紙智子君 次に、また大臣のインタビューの中身なんですけれども、株式会社の農地取得や農業参入についてです。  生産現場の懸念や反対の声もあります。そういう声が出ているわけですけれども、特区の導入という形で、農水省の検討を待たずに実際にはどんどんと進められているということがあります。農地法の根幹にかかわる問題でもある、そして日本農業の担い手をどう作っていくのかということとも深くかかわる問題だというふうに思います。  今、食料生産に不可欠な農地の荒廃、これにつながるような懸念というのも一杯出されていまして、やっぱり私なんかは北海道でいろいろ歩いて聞いていますと、将来に禍根を残すことがあってはならないというのが本当に強く出されるわけです。  それで、大臣も、農業を破壊するような特区であってはならないというふうにおっしゃっていますけれども、この農業生産法人以外の株式会社の農地の取得を特区で認めるということはやっぱりあってはならないんじゃないかというふうに思うんですけれども、この点についていかがでしょうか。
  96. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 正に、農業を破壊する、農地を破壊する特区であってはいけないと私は思いますし、逆に言いますと、農業を積極的にやり農地を活用していく、農地として活用していく、そういうふうなことをきっちりと押さえて、そういうふうなことを基本にした場合において株式会社の参入というものを否定しては逆にいけないような気がします。それが私の基本であって、考え方の基本にしてまいりたいと、こう思っております。
  97. 紙智子

    ○紙智子君 多くの人たちが心配な声で出ているのは、現行の下でも、例えば株式譲渡の制限がある農業生産法人という形でなら農業に参入できるというのがあるわけです。しかし、わざわざ特区でやる目的に、その株式会社が農地を取得するというのが、耕作目的ということで最初入ったとしても、本当はそこが目的じゃなくて、土地をやっぱり獲得するといいますか、土地を投機的に使うというような、利益を上げるということでもって、そこがねらいとしてあるんじゃないのだろうかということになると、それこそ将来に禍根を残すような事態になりかねないというのが大きな心配としてあるわけですね。そこを是非踏まえていただきたいというふうに思います。  それからもう一つ、先ほども議論の中で出された問題ですけれども、JAの改革の問題についてです。  前の大臣は、解体的改革がなければ農協の存在意義はゼロだというところまで言ってハッパを掛けました。しかし、農協というのはやっぱり民間の協同組合ということであって、そういう農協に農水省が外部から改革を迫るというやり方は、これは私もおかしいんじゃないかというふうに思うわけです。  そういうやり方を改めて、やはりあくまでも農協の自主性を重んじたやり方をすべきだというふうに思いますけれども、この点の大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  98. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 民の組織だから様々物を言うのはおかしいのではないか、あくまでも自主的にそこは判断して自己改革をしていくことが基本であるべきではないかという御主張であったと思います。  そういうふうなことがしっかりなされれば、私はそれはそれで結構なことだと思います。農協という組織は、農家農民の組織でございます。なるがゆえに、ある意味では農政、国が執る農政と絶えず協議をし、あるいはまた、先ほど国井先生お話ではございませんが、お願いもすることもあったと思いますし、したがって、ある意味では非常に密接な連携を取りながらやってまいりました。  そういうことを考えますと、農協の問題は農政の基本の一つであるということを考えますと、国として農政の政策の一環として意見を申し上げたり、あるいはそうした考え方を示すことも私は決して否定されるものではないと、このように思っております。
  99. 紙智子

    ○紙智子君 もう一つ、大臣は協同組合の精神を根本に置いた改革というふうにその重要性をおっしゃっています。  この点でいいますと、今問題になっている農協の独占禁止法の適用除外と、この問題は非常に大きな問題だというふうに思います。共同で零細の農家が例えば原材料を仕入れるとか、あるいは生産物を販売するとか、それから出荷調整や生産調整を行うとかこういう業務、こういう業務が独占禁止法の適用除外から外されるということになりますと、農協の存在意義といいますか、それをやってきたところが、それ自体が何のためにあるのかということに、存在意義がなくなってしまうというふうに思うんですけれども、この点、大臣はいかがお考えでしょうか。
  100. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 私は、農協の原点を忘れずにやることが大事だ、そしてそこの原点に立って依然として農協の存在意義があるということを申し上げたのは、農協は農民のためにあるのであって、農協農協組織人のためにあるのではないということです。したがって、もう一度、今の農家の方々、今の農業者の方々にどういう積極的な役割を果たしたら農協が新しい姿になっていくだろうか、そういう視点に立って考えてまいりたいと思います。  公取の問題は、もちろん農協の存在を公取の対象にするとかなんとかというのは私は少しおかしいと思います。公正取引というのは、御承知のようにマーケットが公正に行われるかという視点でありまして、そういう視点に立っての問題提起があるとするならば、それは耳をかさなきゃならぬときもあるでありましょうが、農協の存在が根本から公取の対象としておかしいぞと指摘されることには、私は毅然としてそこの点においては反論をいたしますが、マーケットの中で本当に不公正な点があったと、そういうことであるならば、それはその議論はちゃんとしなきゃならぬことであろうと、このように思っております。
  101. 紙智子

    ○紙智子君 基本的な考え方をインタビューに即してお聞きさせていただきまして、この続きはまた本格的にこの後でやらさせていただきたいと思います。  それで、次に、この間問題になりました偽装牛肉の問題について質問いたします。  それで、特に検品の問題についてなんですけれども、雪印食品事件があって、冒頭陳述の中で、いろいろ会話のやり取りがあるわけですけれども、要するに偽装をやろうというときの会話ですけれども、一人が、検査があるからばれるんじゃないかというふうに言ったら、もう一人が、いや、検査は甘いでしょうからと、そうすると、そうだなと言って納得したというくだりがあります。  それで、当初の抽出検品、これは全国に二百五十九倉庫があるということをお聞きしましたが、この全部を抽出するということではなくて、この二百五十九ある倉庫の中の一部と、そこから抽出して、そして全体として在庫量のカバー率は半分ぐらいを目標としていたというふうに聞いています。  雪印食品の不正が発覚したことで、この抽出ということが全ロット検品にしたと。もしこの雪印の事件が発覚しなかったならば、検品していないものも焼却してしまうつもりだったのかどうか、この点、まずお聞きします。
  102. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 経緯から申し上げますと、先生おっしゃるとおりでございまして、全倉庫二百五十九倉庫ございまして、このうち保管量の多いもの、当初三十一、雪印食品を入れますと三十九になるわけでございますけれども、倉庫の検品を行って、そこでオーケーであるならばそのほかのものもオーケーとみなして焼却作業に移らすということで当初はスタートをしております。  このやり方、この抽出率その他のやり方は、過去、畜産振興事業団が輸入牛肉を扱っていたときの輸入牛肉を調べる抽出率によったということでございます。
  103. 紙智子

    ○紙智子君 農水省からいただいた資料によりますと、検品したものについても抽出検品済みで一月末までに焼却したものが千四百六十六トンあると、このうち大阪関係で計九百六十トンということでずば抜けて多いわけです。七月十日の日に、予算委員会で我が党の富樫議員が明らかにしたわけですけれども、ハンナングループなどから買い上げた大阪府食肉事業協同組合連合会とそれから大阪府同和食肉事業協同連合会の牛肉だったわけです。  この検品の状況の資料をいただきましたので、それに照らして質問しますけれども、この関係の牛肉が当初何ロットで何箱あったんでしょうか。
  104. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 府肉連と大阪同和と両方を合わせまして、ロット数が十ロット、十一万二千九百四十一箱でございます。
  105. 紙智子

    ○紙智子君 そのうち検査対象となったのは何ロットで何箱でしょうか。
  106. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) このうち検査対象になりましたのは一万二千八百八十三箱でございます。これは抽出検品で……
  107. 紙智子

    ○紙智子君 ロットは。
  108. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 四ロットでございます。
  109. 紙智子

    ○紙智子君 今お聞きしても本当に一部だと思うんですね。ロット数では十のうち四と。箱数で見ますと、十一万箱以上ある中でそのうちの一万二千八百八十三箱ということですから、一割でしかないと。しかも、実際に検品したのはわずか八十三箱ということですね。ですから、十一万箱以上の箱に対して箱数で見ますと八十五箱しか検品していないことになるわけです。この程度の検査で全倉庫分の焼却がオーケーというふうになるというのはいかにも甘い検査じゃないかと思いますけれども、どうですか。
  110. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) この一連の経緯につきましては、本委員会でも昨年以来御議論を賜りました。最初は、全頭検査以前の牛肉を一刻も早く隔離して市場からなくせと、要するに焼却してしまえという要請が非常に強うございまして、そのときの確認手法として抽出検査という一定のルールに基づいたものを我々考え出したわけでございます。それは、きちっと業界が行動するであろうということを前提にした手法でございまして、その抽出の検品手法が、後からいろいろ偽装が出てきたことから考えますと、甘かったという批判は甘んじて受けないといけないというふうに思います。そのために、一回、一月三十一日でこの検品方法を打ち切りまして、全ロット検品体制へ移行したという経緯でございますので、そこのところは御理解を賜りたいというふうに思っております。
  111. 紙智子

    ○紙智子君 一割の検査でもって千七百十八トンあったうち約六割の九百六十トンが焼却をされました。この中には検品されていないロットも入っていますね、どうですか。
  112. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) ございます。ロットの数で言えば六ロット分ございます。
  113. 紙智子

    ○紙智子君 一割の検品しかやっていないけれども六割焼いていると。その中には未検品のものも入っていたということが明らかになったと思うんですけれども、私は、やっぱりいかにこの当時非常にずさんなものであったかということを示しているというふうに思うんですね。  次に、全ロット検品にしたと。これも我が党の富樫議員への回答で、二月の十四日、五ロット検品したということですけれども、抽出基準というのは当初は緩いものだったと。そして、七百六十トンを四月一日までに焼却したということなんですけれども、三月の中旬には前大臣は全箱検査検討していたわけですね、それでもまだ緩いと、全箱検査検討していた。  いったん、その場合、焼却を中止して、全箱検査をやった上で焼却にすべきでなかったかと。なぜそれをやらなかったのかということなんですけれども、これはいかがでしょうか。
  114. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) この一連の経緯でございます。  雪印食品事件が起こりまして、検品の方法が大きな問題になりまして、本委員会でも取り上げられたわけでございます。そして、厳しい検出、検品手法として全ロット検品というのを二月八日からスタートしたわけでございまして、途中でこの全ロット検品の抽出率も強めたわけでございますけれども、この全ロット検品といいますのは、全ロットから一定数の箱を抽出をいたしまして、そのロットに一箱でもおかしいものがあればそのロットの箱はすべて開封をすると、こういう検査手法でございまして、民間の商品管理などと比べても遜色のない水準のものであったわけでございますけれども、念には念を入れた検査体制に移行するんだということで、前大臣の政治判断により全箱検品というものに移行したわけでございますけれども、この全箱検品への移行に際しては、全ロット検品で適正と判断されたものについては検品済みとして取り扱うという一定の仕切りをしたわけでございます。  それは、業界の負担もございましょうし、抽出、全ロットと二回検品をしたというようなこともございますし、そういう仕切りをして次に移ったということでございますので、そのときの基準で適正と判断された、しかも民間の商品管理と比べて遜色のない水準であったということを御理解をいただきたいというふうに思っております。
  115. 紙智子

    ○紙智子君 その時点では最善の検品というふうにおっしゃりたいんだと思うんですけれども、しかし、全箱検査に移行するのであれば、そのときにもどんどん、焼却は止まっていないわけですよね、流れているわけです、燃やされ続けているわけです。だから、やっぱりいったん止めて全箱検査するというのが筋じゃないかと思うんですね。  そして、大阪の例で見ても明らかなように、未検品で燃やしているものもあると。全国的に全箱検品にした後も全ロット検品のものを焼却を中止せずに焼いていたわけで、武部大臣の政治判断が、不十分だからやっぱり念には念を入れてということで全箱に改めたということであれば、今まで全箱を検査しないで焼却したものについても、書類は残っていると思いますから、そういう意味では対象外の肉が入っていなかったかどうか、やっぱりきちっと調査すべきだと思いますけれども、いかがですか。
  116. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 経緯からいきますと、全ロット検査を二月八日からいたしまして、全箱に移るということを表明いたしました三月十五日時点でその検品自体はストップしたわけでございます。それまでの全ロット検査で合格したものについては適正ということでございまして、先ほど来言っておりますように、全ロット検査でも十分精度の確保は可能であるというふうに、等々の問題があって一定の仕切りをしたわけでございまして、これはそのときの基準で適正と判断されたものでございますので、焼却に回すということについてはそのときの基準に照らして適正ではなかったかというふうに思っております。  仮に、仮定の論議でございますけれども、何らかその過程で具体的で明白な問題提起があったという場合には、個別に問題解明のための対応というのは考えていきたいというふうには思っております。
  117. 紙智子

    ○紙智子君 ロット検査についてはいったん区切りを打ったというんですけれども、焼却はずっとその間も止まらないで進んでいたわけですから、燃えちゃったものはもう分からないということにしないで、やっぱり書類で残っているのを調べるべきじゃないかというふうに思うんですよ。  そのことを今、私は申し上げたんですけれども、ちょっと大臣、いかがでしょうか、この辺について。
  118. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 残っている紙で調べろといっても、実態の物がないと事実というものがきちっと浮かび上がってこないんだろうと思います。本当にそういう、今のお話のやり取りを伺って、先ほど局長お話しされましたように、具体的な確かな問題提起があった場合は、それは対応をしていかねばならぬと思っております。
  119. 紙智子

    ○紙智子君 物がないって、確かに肉はないんですけれども、書類は、社内のいろいろな取引の伝票とかはあると思うんですね。だから、そのことも含めて検討してほしいというふうに思います。そこのところがはっきりされないというのは、やっぱり業界に対して甘さが残るということになると思うんですよ。  もう一つ、国が責任を持った事業の在り方という点で問題があると思うんですけれども、これは七月十日に富樫議員が質問して、当時、末端業者も掌握して、税金投入してやっている事業だけに、全部掌握をして、そして公表するというふうになっていたわけです。ところが、全肉連のところの末端業者については公表されないと。当時で七十六億円ですか、概算で、税金が入っていて、それで、当時、武部大臣とのやり取りでは、証明する手続、公表するための手続を取っているという話だったんですけれども、あれからもう三か月たっているわけで、一体どうなっているのか、なぜ公表しないのかということについてお願いいたします。
  120. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 近々公表を考えております。近々というのは来年ではございませんで、近々で、早ければ来週中か、ちょっとしたら、もうちょっと延びるかもしれませんが、近々公表したいと、こう思っております。
  121. 紙智子

    ○紙智子君 まだちょっとあるんですけれども、時間になりましたので、またの機会にしたいと思います。  ありがとうございました。
  122. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 国会改革連絡会の岩本荘太でございます。  本日はBSEを中心とした御審議ということでございますが、私はちょっと別のことについて、米問題についてお聞きしたいと思うんですけれども、BSEにつきましては、私、かねて、前の大臣のときにも申し上げたんですけれども、いろいろ行政的なミスがあったかもしらぬけれども、国民があのときに受け止めたのは、一つの災害みたいな感じで受け止めたわけでして、したがってそれに対する対応、これは消費者に対する対応、それから生産者に対する対応、それも長期と短期とある。消費者に対する短期の対応というのは全頭検査で一応目的を達した。生産者に対する対応、これは当面の対応として買取りとかなんとかの問題はやられた。だけれども、あれは最終的にはやはり原形復旧すると、災害と考えればですね、昔の状態と同じ状態に戻す。これは、すぐではないかもしらぬけれども、そういう努力をするのが農林省の仕事じゃないか、そういうことをお忘れなくお願いしたいということを申し上げておりまして、それをひとつよろしくお願いいたしたい。  と同時に、どうもその後のいわゆる流通とかそれと関連することで起こったいろいろな問題というのは、どうも単に問題を、制度がどうのこうのということばかりでなくて、今の、何といいますか、我々を含めて、我々人間を性善説で考えたらいいのか性悪説で考えたらいいのかという、それのごっちゃになっているような面も多分にあると思うんですけれども、そういう問題に帰着するようなところがあるんじゃないか。ということは、単に農業問題だけじゃない難しい問題かなというような認識でおるわけでございます。  そんなことで、BSE関連は私の感想を述べさせていただきましたけれども、米対策、これは今いろいろと御質問ございまして、私が質問しようとする御回答も一部あったかと思いますが、重複はお許しをいただいて御答弁をお願いいたしたいと思うんですが、この米に関する問題ですね、いわゆる生産調整に関する研究会、これが今動いているわけですけれども、それによって、中間報告やらいろいろ出てくる中で、やはり地元の生産者サイドというのは物すごい不安を感じている。私どもにも随分来るわけです。  大臣の御地元と私の地元というのは、緯度は違いますけれども大分似ているんじゃないかと、米生産に関しては。だから、意識も同じじゃないかと思うんですが、そんな中で、御存じのとおり、いろいろありますけれども、例えば全国一律減反なんというのがいいかどうかですね。そういうことはけしからぬというような声もありますし、あるいは面積減反から数量割当てですか、に変えるかもしらぬというような話もあり、さらには、先ほどから出ている主業的農家と副業的農家の区分をするなんということは本当に可能かというようなことの疑問をいろいろぶつけてくるわけでございます。  これはこの先、検討会でいろいろ御議論されることでありましょうから、今、最終的な結果というのは質問しても御答弁いただけないと思いますけれども、今こういう研究会を持ってこういう米問題を検討するという問題意識といいますか、その辺をひとつはっきりさせておかないと、問題意識がこうで、要するに将来に対するイメージがこうだということが行政サイドと生産者なり、それが一致すれば、その中の何をするかは、それはお互いに痛みを分かち合うといいますか、そういうことで解決がそれほどできない問題じゃない。したがって、その問題意識と将来イメージといいますか、これが一つ、その辺の共同認識というのが一つ大きな大事な要素ではないかと私は思っております。  それと同時に、これは言うまでもなく、大臣も先ほどちょっと触れられましたけれども、日本は稲作国家、いわゆる米中心で来たわけでございまして、いわゆる米で統治しておりましたよね。税金も米でしたし、それから何万石の領土、何万石扶持とか、ほかの産品も全部米に換算して税金で取ったとかそういう話も聞きますし、さらには宗教行事、これも米、稲作、稲を中心、さらにはいろんな行事、それから文化あるいは芸能とか習慣に至るまで稲作ということを中心にずっとしてきたと思うんですね。これはしたがって国がかなり関与してやってきた。今この一つの流れを見ますと、それが、いい悪いは別ですけれども、大きく変わろうとしているような気がしてならないんですね。  そういう認識、私だけかもしれませんけれども、そういう認識を持って今の米問題というのをしっかりと考えていかなきゃいけないと思うんですが、その辺の先ほど申し上げました問題意識等、大臣はどういう問題意識を持っておられて、それが過剰米に対する処理で、財政当局からいろいろあるからなのか、あるいは計画米と計画外米のいわゆる生産調整のやり方が破綻してきたのか、いろいろお考えがあると思うんですけれども、その辺をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  123. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 岩本先生は、もう農政の本当に実践もやってこられ、現場にも立たれ、そういう中での今のお話は非常に共感するところもかなりございます。  まず、なぜ今、米の問題を解決しなければならぬかという、このなぜという原因のところを私は農業者皆さんあるいは団体の皆さんとも、その共通認識を始めるところから行かなきゃならぬのじゃないかと思います。  それは、何といっても食管法を改廃したというんでしょうか、新しい食糧法にしたときから私はもう米の大きな転換があったと思いますが、やはり生産の調整面積が百一万ヘクタールあると、つまりここにもう象徴的な米の環境があるんだろうと思うのでございます。供給と消費のこのギャップというものは、どなた様がどういう議論を持とうが何しようが、このギャップをまずお互いに認識しなきゃならぬという実態から、一方において、米という、今、先生お話しされた生産以外の機能というものを踏まえたときに、むしろどのように維持していくか、きっちりと維持していくかということがなければいかぬと思うんです。  だとすれば、先ほど来、今の議論、いろいろの、米だけでなくてあったように、消費者という国民皆さんが今、米を買って食べるというときの意識の変化、これも考えなきゃなりますまいと。  一方、生産者が、ないときには、米が足りないときには、それはもう様々な農家形態があっても皆さんに作ってもらうということをいたさなければなりませんでしたが、先ほど言った百一万ヘクタールの生産調整をしなければならないという実態のときに、一方においてはもっと意欲的に取り組んでいきたいという意識の農家もあり、そうじゃない方々もありとすれば、やはり一つには、意欲を持って、そして作り、売る努力をし、買う人が多様な選択をできる米の流通形態、生産形態というものを考えなきゃなりませんねというところに私は来ていると思います。  そういうことを柱にしながら、一方において、先ほど来何回も申し上げますように、特に中山間地帯における水田の役割というものを、逆に今度は、それは非市場性の中で生きていかなきゃならぬとするならば、国が国民理解を得ながらどのようにしっかりとそこは支えていくかということを一方に考えませんとやっぱりいけないという考え方でこれから考えてまいりたいと、こう思っております。
  124. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ありがとうございました。  ちょっと揚げ足を取るようですが、需給ギャップ、先ほども言われましたけれども、これ、需給ギャップはもっと細かく、細かくというか、端的に考えますと、需要の見通しが、供給はもう自然にできてきて作りますから、需要の見通しの問題だと思うんですけれども、どうもこれは需要の見通しというのを前年の実績から抜け出せないんじゃないか。ところが、最近は前年実績からずっと下がってきちゃっているわけです。だから、思い切っていっそ下げてやるということも一つの方法だろうと思うんですよ。  ただ、それは物すごい度胸が要るといいますか、行政サイドとしては大変なことだと思いますけれども、これだけ生産調整というものの実績というのが続いてきたらそのぐらいのことをしてやると、極端に言ったら、米が足りなくなれば消費者はもう金を出しても買いたいということになるかもしれない。そういうことによって、一定の米の需要というのはどの辺かということが分かるんじゃないかなというような気もするんです。これはお答え要りませんけれども、私はかねてからそれを申し上げているんですけれども、そういう認識を持っております。  それと、私も大臣と農業に対する認識、先ほどからお聞きしていまして、全く同じだと思っております。ただ、それに対してどう取り組むかということが問題だと思うんですけれども。これは全然通告していませんでしたけれども、申し訳ないんですが、いわゆる多様、地元の多様化といいますか、生産者消費者の多様化、これも僕も明らかにそうだと思います。それに対応していかなきゃいけないという。それに対応していくとすれば、例えば農業問題については地域に任せたらどうかと、やり方を。それで、そのやり方を任して、その中で大枠としておかしいことがあったら中央から制御するというやり方というのもあるんじゃないのかなと。ということは、中央からやれば、それはそれを受ける側は文句出ますよ、それは。北海道がこうで九州がこうだったら、違うと言えば、文句出るに決まっているんですよ。それを同じようにやらなきゃいけない。やれたのが今までの食管法だったと思うんですね。  その辺をひとつお願いいたしたいということと、それから、中山間問題について大変いいお話いただきまして、私はこれもかねがね申し上げているんですけれども、中山間地というのは、私は農業問題じゃなくて、これは国土の問題としてとらえるべきであって、私も実際地方の行政の立場でやらせていただきましたけれども、農業だけじゃ無理ですよ。だから、そういう認識を持っていただいてやっていただきたいと。それも、そこにいる農家の方々のためじゃなくて、資源の川上をどうするかによってそれが、住民がたくさんいる川下がどうなるかの問題だと、私はこれそう思っておりまして、これは通告していないんですけれども、大臣、もし何かお考えがございましたら。
  125. 大島理森

    国務大臣大島理森君) その中山間が大事であるという認識は全く同じです。私は、そこに住んでいる人がそこに元気を持って住んでもらわないと中山間が崩れていくと思うんです。だから私は、大変、お言葉ですが、その人たちがやっぱりしっかり生活できるようにしたい。つまり、集落対策として総合的に考えるべきではないかということを思っておりまして、そんなことでちょっとこれから取り組んでみたいなと、こう思っております。
  126. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 それで結構なんですけれども、私ちょっと説明不足かもしれませんけれども、例えば中山間地に所得対策をするというと、これは住んでいる人が生活保護をされるような感覚になっちゃう。そういうことじゃないと思うんですね。その辺をよろしくお願いいたしたいと思います。  それと、時間がなくなって、あと二分ぐらいしかないんですけれども、質問を飛ばしまして、一つ具体的な問題で、主業的農家、副業的農家という分類を考えておられるということを地元が聞いて今一番心配していますのは、私の地元では、主業的農家も副業的農家も合わさって、一つの集落で一緒になって生活、生活というか農業をやろうという、こういう機運が随分強まって、そういうところが随分あるわけですね。今度のこういう分類が出たときに、そういう一つのグループの中に二種類の、主業的農家、副業的農家ができることによって、例えばこれが助成が違うとか、そういうことがあるとそういう農業が亀裂を起こすというんですね。それはひいては地域農業の崩壊につながるというような懸念を持っているんですけれども、この辺は今どんなふうにお考えになっているか、御答弁お願いします。
  127. 太田豊秋

    ○副大臣太田豊秋君) 先生の大体お地元と、私も福島県、中山間地域から、あるいは水田営農、そういったことの中で、集落単位の農業、御承知のように日本の農業というのは、もう三千年の歴史の中で、モンスーン地帯で定着営農をしてきて、集落営農あるいは家族農業ということで今まで発展してきたわけでありますから、私は、やっぱり主業的農家、副業的農家ということの、そこの峻別を一方的にどちらかに偏ってするというふうなことではとても集落というものは、あるいは多面的機能も維持できないんだろうなと。やはり、水路の管理だとかあるいは環境の整備だとか、こういったことを含めて、まずひとつ集落営農というものをしっかり守っていくんだという基本的な立場から私は考えて、そこで集団営農だとかあるいはまた機械の共同化だとかこういったことを、ひとつ集落の組織自体をしっかりと守っていくようなそういった構造改革に進んでいく必要があるんだろうと、こんなふうな思いをいたしております。  もっとこれはいろんなことはありますが、十四年度から担い手を中心にして、生産から販売とか、あるいはまた農業経営全般について一括して管理をしていくような、そういったシステムを考えていったらどうだろうと、担い手の確保の問題も含めて。こんなようなことを十四年度から考えさせていただいてきております。
  128. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 大臣言われますとおり、多様な農業を全国やっておりますので、その辺はよろしく御理解いただいて今後の検討をさせていただきたいと。  これから、先ほどもどなたかおっしゃられておりましたけれども、大きな問題になる、日本の農業の大きな変換期になるというような気もしますので更に質問を続けさせていただきますが、今日は質問残しまして、局長来ていただいて大変失礼なんですが、これで終わりにさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  129. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 まず、牛肉買上げ事業について質問させていただきますが、新大臣にその基本的姿勢について簡単に感想をいただきたいんですね。  今年一月の雪印食品事件以降、牛肉偽装事件が相次いで、牛肉買上げ事業に対して強い不信感が蔓延しておるわけです。  前任の武部農水大臣は、牛肉買上げ事業について、税金の流れなどすべてオープンにしていくんだと何度も答弁をしてきました。その結果、かなりの情報公開というのが進んで、農水省が一般に対してオープンな姿勢を取り出したということは評価できると思うんです。また、これによって、つまらぬ、根拠のないスキャンダルとかそういうことは逆に抑えられて、だれにとってもよかったんじゃないかなと思います。  そこで、新大臣として、この牛肉買上げ事業の透明性について、前任者と同様にオープンにしていくというこの原則でやっていくかどうかというふうにお聞きしたいんですが。
  130. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 国民から信頼をいただくその基本は、お互いにやっていることの倫理観が、ある共通しているということが基本にあると思います。その倫理観の中で、何かまずいことがあったら隠しているんじゃないかと、この疑惑あるいは思いがどちらか一方にあると、これは安心も安全も確保できないと思います。前大臣のその方向性をしっかりと継承してまいりたいと、このように思っております。
  131. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 生産局長にお伺いします。これは焼却許可についての問題なんですけれども、牛肉買上げ事業における検品と焼却の関係について、業者に対して出す焼却の許可ですね、これはロット単位で検品が終了次第に出しているのか、それとも一つの業者の分の検品がすべて終わった段階で出しているのかということをお答えいただきたい。  ついでに、その焼却許可する伝達方法というのは、これ書面でやっているんですか、それとも電話でやっているんでしょうか。
  132. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 具体的作業は農畜産業振興事業団がやっておりますが、これまで検品の手法が三回変わってまいりました。一番最初が倉庫単位の抽出。それから次が全ロット。現在は全箱検品というふうになっております。  今年の一月三十一日までは抽出検品だったわけでございます。倉庫からロットを抽出して検品を実施しまして、抽出されたロットに問題がなければ、検品を受けなかった分も含めて倉庫単位オーケーとしておりましたものですから、倉庫単位で電話連絡により焼却を許可していた、一月三十一日までは。  二月八日以降は全ロット検品を実施をしておりまして、検品を実施した倉庫の中から適正と判断されたロットを種分をしまして、ロットごとに書面により焼却、これは書面でございますけれども、農畜産業振興事業団の部長から書面によって焼却を許可していると。それは、やっぱり倉庫の中のこのロットというのを特定する必要がございますので、書面で実施をしました。  なお、四月二十五日以降は全箱検品体制ということで、川崎の方へ全国から集めまして全箱検品をして、焼却場を既に確保しておりますので、検品をして適正と判断されたものはもう直接焼却場に運ぶというやり方をしておるところでございます。
  133. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 その焼却証明書なんですけれども、焼却の終了後にこれ提出させているのかどうかと。もし提出させているんであれば、これは公表していただきたいと。それから、提出後、日付などの事後確認というのをやっているのかどうかということをお答えいただきたい。
  134. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) この制度の仕組みでございます。  事業実施主体から、市場隔離牛肉を焼却した場合には、焼却が済めば補助金の交付申請が来るわけでございますけれども、その補助金交付申請以前の概算払の申請を含めて焼却証明書を提出するように求めているところでございまして、この焼却証明書と検品との突合といいますか、焼却証明書の焼却された月日だとか量等を検品結果との突合で確認をするということにしております。  公表の問題でございます。  この焼却証明書は農畜産業振興事業団に対して提出されるものでございますので、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律というのがたしか昨年成立したと思います。こういう法律に基づいて、開示請求を受ければ所定の手続により開示するか否かの判断をすることができるというふうになっておりまして、ただ、その場合に、焼却場の名称や所在地ということは、焼却場によりましては、周辺の住民から、地元の焼却場でよその県の肉まで扱っているのかというような反発もあり得るということでございまして、この焼却場の名称や所在地については、その焼却場の了解が得られなければその開示ということは、その部分については難しかろうというふうに思っております。
  135. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 よその県のを焼却しているから周りの住民が反対するという理屈はちょっとよく分からないわけですけれども、これは分かる限りやっていただきたいんです。  それで、証明書は公表していただけるというふうに受け取っていますけれども、しかし、それが本当だったのかどうかという事後確認というのは農水省やっているんですか。なぜこんなことを聞くかといいますと、これまで大変に考えられないような不祥事がずっと続いてきているわけですよ。だから、証明書だけ出ていって実際肉はまたどこかへ行ってしまったというようなこと、こんなことは考えられないことなんですが、今まで考えられないことがずっと起きているんで、この事後確認というのは非常に重要だと思うんですけれども、これはやっているんですか。
  136. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) そのお話でございます。  焼却場というのは公的焼却場もあるわけでございまして、そこから焼却証明書、これは種類は肉類だったと、何個、どれだけの重量だったというのが焼却証明書に付いているわけでございまして、現在までのところは、農畜産業振興事業団が行いました検品の結果がございますけれども、それと焼却証明書の突合ということでチェックをしているという状況でございます。
  137. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 日本ハムの問題ですね。これだけ大変な話になっていますよね。一つの例として、検品の時期、検品の場所、焼却の時期、焼却の場所というのを参考として教えてくれませんか。
  138. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 日本ハムが申請いたしました隔離牛肉の全量が九百三十八トンでございます。そのうちの百四十九トンが三月末までにそれが保管されていた倉庫において検品が行われまして、百四十九トンのうち百九トンが六月七日までに焼却をされております。それで、この検品は全ロット検品で行われております。ちょっと倉庫は、ちょっと具体的なあれなんですけれども、北海道から沖縄まで計二十二倉庫ございます。  それから、その百四十九トンを除きました残りの七百八十九トンのうち日本フード、子会社の日本フード分、今度事件を起こしたところでございますけれども、百四トンにつきましては、事件発生を受けまして、八月の二十日から三十一日に掛けまして保管倉庫において全箱検品を実施をいたしました。これまだ焼却はされておりません。  それから、未検品の、今の部分を除いてさらに未検品の日本ハム分六百八十三トンございますけれども、これにつきましては九月十七日から全箱検品を実施をいたしまして、九月二十七日までに三百五トンを検品いたしまして、残りについても引き続き、十月中旬を目途に終了するということをめどにして検品を進めるということとしております。これらはすべて未焼却でございます。  それから、さらにそのほか、日本フードの一・三トン分については、御承知のとおり検品を受けることなく無断で七月の十八、十九日に焼却されたということでございます。
  139. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 ただいまはっきりとそれを公表していただいたわけですから、そうなりますと、これは大臣にちょっとお伺いしたいんですけれども、食肉業界六団体の公表された買上げ先の保管牛肉についても同様に、検品の時期、検品の場所、焼却の時期、焼却の場所というのをそれぞれ具体的に資料を提出していただけますでしょうか。
  140. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 今、せっかくの先生の御要望でございますので、同意をいただいて、いただいたものにはそのように対応してまいるようにしたいと思います。
  141. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 これもちょっと大臣に感想だけ伺いたいんですけれども、検品については、昨年末、二百五十六倉庫中三十一倉庫をやったわけですよね。しかし、一月に雪印事件発生しちゃった。それで、これでは不十分だということで二月八日に全ロット検査というのをやりました。しかし、やっぱりこれ、サンプルが少ない。それで、二月下旬になってサンプルを増やしたわけですね。しかし、これでもまだ不十分だということになりまして、四月二十五日に全箱検査になったと。  要するに、検査方法としては、最初はずさん、次はかなりずさん、三番目がややずさん、最後にまあ完全だろうという、四段階踏んでいるわけですよね。ということは、前、一回、二回、三回目まではやはり非常に問題があるということになっているわけです。ですから、本来ならば、もう一度全箱検査というふうにやるのが当然なんですけれども、全箱検査となるのを逆手に取って、検品用の箱を事前に用意してある会社もあったわけですね。それで、再検査せずに燃やしちまったということになっているのが現状なんですよね。  こういう今までの過程から見て、多くの偽装牛肉がかなり焼却されてしまったんじゃないかということは、これ単なる憶測ではなくて、普通に推理するとあり得るんじゃないかというふうに思いますが、大臣、いかがお考えですか。
  142. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 先ほどもちょっと申し上げましたが、国対委員長としてこの問題が起こって逐次報告を受けましたときに、一つはどうやったら市場に出回らないようにするかというスピード感が求められたと思うんです。さはさりながら、そういう状況の中で、今、先生が御指摘いただいた検査体制が変化していったと。当然、変化するということは、そこに何か疑惑があるじゃないかというふうなことに対してこたえてきたということで、その中に、焼却した中にあったかなかったかということは、私の立場で今、感想も含めて言うことはできませんが、企業のモラルというんでしょうか、それはどんなに体制を作ったとしても、やはりそれをきちっと守って、自分たちの業務の本分が食の安全とか、あるいはうそついちゃいけないということの、これはもう人間が生きる上でも、企業が経済活動をする上でも基本のはずなんですね。そういうものが崩れてきた日本という国に、ふと私は寂しい思いを持ったことがございます。
  143. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 質問を終わります。
  144. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時十五分散会