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国井正幸君 だから、何が今不都合なんだと、何が問題なんだということをもうちょっと私は明確にしたらいいと思っているんですよ、問題があるとするならね。いや、農政の全体の
改革のために
農協もやっているんだから必要なんだなんて、そんな抽象的な話ではなくて、もっと、ここがこうだから具合が悪いんじゃないかというんなら、はっきりそれは物を言ったらいい。そんな抽象的な話では私どもは
理解できないと思います。
本来、
農協というのは民間団体なんですよ。そういう
意味で、何も
改革どうのこうの、
農林水産省だって、問題があるとするなら、いろんな人を集めてどこが問題ありますかなんて、そんなこと聞くことではなくて、自らここが問題あるんだったら問題ありということで
指摘をして、こういうものは
農協組織の中に作ってやるべき話だというふうに私は思うんですよ。ちょっとここのところ
農林水産省はおかしいんじゃないかと、考え方がね、おかしいんじゃないかというふうに私は思っているんです。
よく、同じ協同組合の中で、生活協同組合も同じ協同組合、農業協同組合も同じ協同組合。標榜するところは、一人一人では弱い者がみんなで団結をしてみんなで一人一人の幸せを追求していこうじゃないかということで、一人は万人のため、万人は一人のためということでお互い、協同組合ですから、そういう協力、協同というものを標榜してやっている。
ところが、一般的によく言われて、私も二十二年ほど
農協運動に参加をしてきた一人でありますけれども、よく言われるのは、どうもやっぱり
農家組合員、組合員一人一人の帰属意識が生活協同組合に比べて農業協同組合は薄いというふうによく言われているんですよね。
なぜそういう
状況になってきたのか。それは戦前から産業組合もありました。戦後、農地解放の中で、自作農を創出をする、そしてその人たちを
組織化をして
食料不足の中で
食料の増産
体制をしっかりと作っていく。そういう中で、同じ協同組合でありながらも、自主的な
組織といいながらも非常に
政府の関与が大きかった。これがお上のお達しで作られたという形に、どうしてもそういう部分になっている。だから、おれはいつ
農協の組合員になったか分からぬけれども、何だか組合員になっているんだと、親の代からなっているんだというふうな話になりがちなんですよ。
そこへ来て、また
改革だ何だということに対して、自らの責任でやっぱりやってもらう、そういうことをやらずに、
農林水産省がああせい、こうせい、そして
改革はこういうふうにするんだ、
改革の設計図までかくようなそういうやり方というのは私はおかしいと思っているんですよ。これはやっぱりその分を過ぎたるものではないかと、このように
理解しているんです。
あわせて、これは新たに
大島大臣になられたから、これから十分その点について留意してやっていただきたいと思いますが、
改革か解体かなんという話を言って、そういうことをやっているから
信頼関係が私は薄れていると思うんですよ。これはやっぱりお互い
信頼を持ってやらないと、農政を執行していく上で、これはやっぱり
生産調整一つ取ってみたって農業団体の協力なくしてとてもできないでしょう。それで、新たな
米政策なんかでこれからやろうとしているのは、
生産者自らの努力でなく、なるべく
政府は身を引こうとしている。そういうときに、これはやっぱり担ってやってもらう人、それは何百万もいる
農家の人をどうやって意思結集を図るんだと、何の
組織もなくてばらばらでなんかとてもできるわけがない。これはやっぱり、使うときだけうまく使ってあとは知らんぷりで、己の言うことを聞かない者に対しては
改革か解体かなんというそういう発想では私はやっぱり困ると思っている。
これは
経営局長、しっかりと、そこのところは協同組合というものの考え方というのをしっかりやっぱりとらえて私はやっていただきたい、このように思っていますので、それについては要望をしておきたいというふうに思うんです。
やっぱり世間一般で
農協というものに対して誤解があるんじゃないかというふうに私は思っているんですよ。特にこれ、ここに私も議事録を持ってきたんですが、八月三十日に開かれた第二十五回の経済財政諮問
会議議事録要旨というのがこれは公開されていますよね。ここの中で、ウシオ電機の会長の牛尾議員は、「
農協は米以外で、いろんなことをやっている。しかし、日本の商社はほとんど入れず、利益で
農協の一人勝ちになり、農民は保護に頼っている。この
意味で
農協が独占禁止法の適用除外になっているのも問題。したがって、工程表をつくって閣議で決めるとか、速やかにスケジュールを確定しないといけない。」、こういう話をしている。
続いて、大阪大学の本間教授、この諮問
会議の議員でありますが、こういうことを言っているんです。それから産業
組織上の問題として、
農協が農業問題だけでなく、金融問題、あらゆる領域に絡んでいて独禁法上の適用除外になっているのは大きな問題であり、御
検討いただきたい。あわせて、竹中
大臣は、
農協については独占禁止法の適用除外が問題ではないか、産業
組織的
視点からは
農協型株式会社というのもあり得るだろうなんて、こんな話をしているんですよ。
私も予算
委員やっていますから、竹中
大臣なりは
予算委員会の中でどんなことを思っているんだか私も聞こうと思っているんですが、総理の知恵袋として肝いりでやっている経済財政諮問
会議の
委員も誤解していると。この程度の知識しかなくて我が国の将来を決するようなところで物なんか言うなんというのは大変けしからぬというふうに私は率直のところ思っています。
そういう
意味で、ここで当時の武部
大臣が出ていて、そのことにすぐ反論をされなかったのが非常に私も残念だというふうに思っておりますが、
農林水産省として事務次官が記者会見したのは承知をしていますが、以後、これは独禁法の問題は
農協だけじゃない。生協だって森林組合だって漁協だって、あるいは一般の会社の事業協同組合だって、零細なものが大資本に対抗するためにお互いに力を合わせてこの厳しい社会を生き抜くというためには独占禁止法の適用除外になっているんだ。そういうことも全然
念頭にない。
あわせて、農村において
農薬や農機具や、何が
農協だけが一手独占でやっているのかと。ほかの人が入れないなんという、そんなことは私は聞いたことがない、農村の現場において。とても
理解が違うと思っているんですが、そういう誤解をしたまま独り歩きになる、そして独占禁止法の適用除外だなんという話が日本経済新聞の一面を飾る。こんなことで、うそも百遍言えば本当になるという話もあるんだから、正確なことをしっかりとやっぱりこれは事務方としてフォローしていってもらわないと困るというふうに思っているんですよ。
これらについて、どうですか、こういう極めて正確な認識に基づかない経済財政諮問
会議のメンバーに対して、
農林水産省として
実態はこうでありますということをちゃんと
説明したんですか。そこのところを聞かせてください。