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2002-07-18 第154回国会 参議院 内閣委員会 第16号
公式Web版
会議録情報
0
平成十四年七月十八日(木曜日) 午前十時六分開会 ─────────────
委員
の
異動
七月十七日 辞任
補欠選任
筆坂
秀世
君 紙
智子
君 ─────────────
出席者
は左のとおり。
委員長
佐藤
泰介
君 理 事 斉藤
滋宣
君 松村 龍二君 森田 次夫君 長谷川 清君
吉川
春子
君 委 員 井上 吉夫君 亀井 郁夫君 竹山 裕君
西銘順志郎
君 山崎 正昭君
岡崎トミ子
君
川橋
幸子君 山根 隆治君 森本 晃司君 紙
智子
君 島袋
宗康
君
田嶋
陽子
君 黒岩 宇洋君
発議者
岡崎トミ子
君
発議者
吉川
春子
君
発議者
田嶋
陽子
君
委員
以外の議員
発議者
円
より子
君
発議者
千葉 景子君
発議者
八田ひろ子
君
事務局側
常任委員会専門
員 舘野 忠男君 ───────────── 本日の
会議
に付した
案件
○
戦時性的強制被害者
問題の
解決
の
促進
に関する
法律案
(第百五十三回
国会円より子
君外六名発 議)(
継続案件
) ─────────────
佐藤泰介
1
○
委員長
(
佐藤泰介
君) ただいまから
内閣委員会
を開会いたします。
委員
の
異動
について御
報告
いたします。 昨日、
筆坂秀世
君が
委員
を辞任され、その
補欠
として
紙智子
さんが選任されました。 ─────────────
佐藤泰介
2
○
委員長
(
佐藤泰介
君)
戦時性的強制被害者
問題の
解決
の
促進
に関する
法律案
を
議題
といたします。
発議者岡崎トミ子
さんから
趣旨説明
を聴取いたします。
岡崎トミ子
さん。
岡崎トミ子
3
○
岡崎トミ子
君 ただいま
議題
となりました
戦時性的強制被害者
問題の
解決
の
促進
に関する
法律案
につきまして、その
提案理由
及び
内容
の
概要
を御説明申し上げます。 今次の
大戦
後既に半
世紀
を超え、二十一
世紀
を迎えましたが、
我が国
が過去、
侵略行為
や
植民地支配
により多大の苦しみを与えた
アジア近隣諸国
、地域の人々が
我が国
に抱いている
不信感
や
不安感
には根強いものがあります。その原因の一つがいわゆる
慰安婦
問題であります。いわゆる
慰安婦
は、今次の
大戦
において、
日本
の軍や官憲などの甘言、
強圧等
により本人の意思に反して集められ、
日本軍
の
慰安所等
で
性奴隷的苦役
を強要され、
女性
の
尊厳
と名誉が深く傷付けられた未成年を含む
アジア等
の
女性たち
のことであります。 従軍
慰安婦
問題が社会的な問題となったのは、一九九〇年六月の
参議院予算委員会
において
実態
の
調査
を
政府
に迫ったことに始まります。当初
政府
は、この問題は
民間事業者
によるもので
実態調査
は不可能との立場でしたが、これは
韓国
などの
被害者
の強い反発を招きました。その後、
政府
は
調査
を行い、一九九三年八月、初めて
慰安婦
問題への軍の
関与
を認め、おわびと反省の気持ちを表しました。しかし、
被害者
に対する
国家補償
については、
サンフランシスコ条約
や二
国間条約
で
解決済み
であるとして拒否しました。 この態度には、国際的に大いに異論があります。
国際連合
においては、
慰安婦
問題が、一九九二年二月の
人権委員会
以来、大きな問題として論議されてきました。特に、
人権委員会
の
女性
に対する暴力に関する
特別報告者クマラスワミ女史
が一九九六年一月に提出した
報告書
、
差別防止少数者保護小委員会
の
戦時性奴隷制
に関する
特別報告者ゲイ・マクドゥーガル女史
が一九九八年八月に提出した
報告書
は
日本政府
の
法的責任
を認め、
被害者
に対する
国家補償
などを求め、
各国
の支持を得ました。 さらに、
国際労働機関
の
条約勧告適用専門家委員会
も、
慰安婦
問題は
強制労働
を禁止した
国際労働機関
二十九
号条約
に違反しているとし、
国家補償
を行うよう求める
報告
を四度にわたって行っています。 ところが、
政府
は、
慰安婦
問題については
道義的責任
を果たすとし、一九九五年七月、
民間団体
である
女性
のための
アジア平和国民基金
を設立し、
国民
の募金による
見舞金
の
支給
で国の
法的責任
を果たしてきませんでした。しかし、この償い
金事業
は、
各国
で多数の
被害者
から受取を拒否され、批判を受け続けてきました。
韓国政府
は、一九九八年四月に、
国民基金
の償い金を拒否する
方針
で
被害者
に対して一人
当たり
約三百万円の
支援金
を
支給
しました。 台湾の当局も、一九九七年十二月に
被害者
に対し、立替え
支給
の形で一人
当たり
約二百万円を先行
支給
し、
日本政府
に
謝罪
と
国家補償
を求めております。
フィリピン
においても、
謝罪
と
国家補償
を求める決議が一昨年十一月、
フィリピン議会上下両院
に提案されています。 インドネシアでは
国民基金
の償い金は
慰安婦
に全く渡っておらず、
被害者
や
政府
が個人への
補償
を求めていることが
提案者
の
調査
で明らかになりました。 こうした状況の中、平和を希求する
日本国憲法
の理念を踏まえ、
アジア
に生きる
日本国民
として
慰安婦
問題を早急に
解決
する必要があるとの考えにより、また、国の
責任
において
措置
を講ずることが不可欠であると認識し、
慰安婦
問題の
解決
に対する
我が国
の姿勢を明らかにするとともに、その
解決
のための基本的な枠組み及び道筋について規定する本
法律案
を提出した次第であります。本
法律案
は、一九九八年、
下関判決
で
立法不作為
の
責任
が問われた
国会
としての
責任
を果たすものと考えています。 次に、本
法律案
の
内容
の
概要
につきまして御説明申し上げます。 第一に、この
法律
は、今次の
大戦
及びそれに至る一連の
事変等
に係る時期における旧
陸海軍
の
関与
の下での組織的かつ継続的な性的な
行為
の
強制
により
女性
の
尊厳
と名誉が著しく害された事実について、
謝罪
の意を表し及びその
名誉等
の
回復
に資するための
措置
を
我が国
の
責任
において講ずることが緊要な課題となっていることにかんがみ、これに対処するために必要な
基本的事項
を定めることにより、
戦時性的強制被害者
問題の
解決
の
促進
を図り、もって
関係
諸
国民
と
我が国国民
との
信頼関係
の醸成と
我が国
の
国際社会
における名誉ある地位の保持に資することを目的としております。 なお、
慰安婦
という言葉は、
被害者
が受けた
被害
の
実態
を反映していないので、本
法律案
におきましては、
戦時性的強制被害者
という用語を用いることとしております。 第二に、
政府
は、できるだけ速やかに、かつ、確実に、
戦時
における
性的強制
により
戦時性的強制被害者
の
尊厳
と名誉が害された事実について
謝罪
の意を表し及びその
名誉等
の
回復
に資するために必要な金銭の
支給
を含んだ
措置
を講ずるものとしております。 第三に、
政府
は、
戦時性的強制被害者
問題の
解決
の
促進
を図るための
施策
に関する
基本方針
を定めなければならないこととしております。また、
政府
は、
基本方針
を定め、又は変更したときは、これを
国会
に
報告
するとともに、公表しなければならないこととしております。 第四に、
政府
は、第二の
措置
を講ずるに当たっては、
条約等
との
関係
に留意しつつ、
関係国
の
政府等
と
協議等
を行い、その
理解
と協力の下にこれを行うよう配慮するとともに、
国民
の
理解
を得るよう努めるものとしております。また、
政府
は、第二の
措置
及び第三の
基本方針
に定める
実態調査
を実施するに当たっては、
戦時性的強制被害者
の
人権等
に配慮しなければならないこととしております。 第五に、
政府
は、毎年、
国会
に、
戦時性的強制被害者
問題の
解決
の
促進
に関して講じた
施策
及び第三の
基本方針
に定める
実態調査
により判明した事実について
報告
するとともに、その
概要
を公表しなければならないこととしております。 第六に、
内閣
府に、
戦時性的強制被害者
問題の
解決
の
促進
に関し、
重要事項
の
審議
、
施策
の調整・実施の
推進
、
実態調査
の
推進等
の
事務
をつかさどる
機関
として
戦時性的強制被害者問題解決促進会議
を置くこととし、また、同
会議
に、
実態調査
の
推進
の
事務
を行う
調査推進委員会
を置くこととしております。 なお、この
法律
は、公布の日から起算して一月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとし、施行の日から起算して十年を経過した日にその効力を失うこととしております。 以上が、本
法律案
の
提案理由
及び
内容
の
概要
でございます。 筆舌に尽くし難い苦渋を味わい、今なおいやされない傷を心身に負った多くの
被害者たち
が既にこの法案を歓迎し、成立を待ち望んでおります。 何とぞ、慎重御
審議
の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。 ありがとうございました。
佐藤泰介
4
○
委員長
(
佐藤泰介
君) 以上で
趣旨説明
の聴取は終わりました。 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。 午前十時十五分散会