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2002-04-09 第154回国会 参議院 内閣委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年四月九日(火曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員の異動  四月九日     辞任         補欠選任      井上 吉夫君     藤井 基之君      岡崎トミ子君     小川 勝也君      森本 晃司君     山本 香苗君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         佐藤 泰介君     理 事                 斉藤 滋宣君                 松村 龍二君                 森田 次夫君                 長谷川 清君                 吉川 春子君     委 員                 上野 公成君                 亀井 郁夫君                 竹山  裕君                 西銘順志郎君                 藤井 基之君                 山崎 正昭君                 小川 勝也君                 川橋 幸子君                 山根 隆治君                 白浜 一良君                 山本 香苗君                 筆坂 秀世君                 島袋 宗康君                 田嶋 陽子君    国務大臣        国務大臣        (内閣官房長官) 福田 康夫君    副大臣        内閣府副大臣   松下 忠洋君        国土交通大臣  佐藤 静雄君    事務局側        常任委員会専門        員        舘野 忠男君    政府参考人        内閣府政策統括        官        江崎 芳雄君        警察庁生活安全        局長       黒澤 正和君        総務省政策統括        官        稲村 公望君        外務大臣官房審        議官       佐藤 重和君        外務大臣官房参        事官       渥美 千尋君        文部科学大臣官        房審議官     加茂川幸夫君        文部科学大臣官        房審議官     清水  潔君        文部科学大臣官        房審議官     瀬山 賢治君        厚生労働省医政        局長       篠崎 英夫君        厚生労働省職業        安定局高齢・障        害者雇用対策部        長        上村 隆史君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    高原 亮治君        農林水産省生産        局長       須賀田菊仁君        資源エネルギー        庁原子力安全・        保安院審議官   佐藤 哲哉君        国土交通大臣官        房官庁営繕部長  春田 浩司君        国土交通省総合        政策局次長    伊藤 鎭樹君        国土交通省海事        局船員部長    金子賢太郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○障害者等に係る欠格事由適正化等を図るため  の関係法律整備に関する法律案内閣提出)     ─────────────
  2. 佐藤泰介

  3. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 障害者等に係る欠格事由適正化等を図るための関係法律整備に関する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 松村龍二

    松村龍二君 自由民主党の松村でございます。自民・保守を代表いたしましてといいましょうか、質問をさせていただきたいと思います。  このたびの障害者等に係る欠格事由適正化等を図るための関係法律整備に関する法律案、一見すると技術的な法律のように感じますけれども、ここに至るまで、国連の長い間の基本方針が示されて世界が一緒に頑張ってきたと。また、日本政府においてもこういう障害者の問題についてノーマライゼーションとかバリアフリーといったようなことで大変に努力してきて、その成果が一つここに現れているかと。また、行政改革が行われまして、内閣府が中心になりましてこれらの法案をまとめたという点において、その間の御苦労、また大変意義深いものがあるというふうに思うわけであります。  障害者等に関しましては昔から非常に偏見があったわけでありますが、らいの問題につきましては、昨年、厚生労働大臣が大勇断を示されたというように、一つ一つ社会偏見といったものが取れてきておると。そういう中にありまして、我が国もこういう問題につきまして、精神病とかいうようなことにつきましてここで大体の整理が終わるというふうに承知するわけです。  我々、日常生活を見ておりましても、オリンピックの後、冬季オリンピックの後、パラリンピックというようなことで、昔ならとても皆が痛々しく見ているだけの方々が自信を持って、またそれに生きがいを感じて世界じゅうの障害者が競い合うというようなことも行われたわけであります。  また、今、アメリカの映画で「ビューティフル・マインド」という映画アカデミー賞を受賞したわけであります。私も日曜日にちょっと見てきたわけですけれどもプリンストン大学で、数学者が、戦後の天才的な数学者が、現在、経済理論の最先端と言われるゲームの理論というようなものも考案いたしまして、その後、いろいろ幻覚に悩まされるようになったということで、精神病治療等も行いながら、三十年後に復帰してきて、奥さんの支えもありまして復帰をし、またプリンストン大学の仲間がそういう精神的な病気を持った人を柔らかく受け入れてやったと。その結果、業績が認められてノーベル賞を受賞するというふうなお話でありましたけれども、そういうようなパラリンピックとか、そういう映画一つ見ましても、社会障害者に対する受入れといったものが大変進んできているかなというふうに思うわけでございます。  そういうことで、まず松下大臣にお伺いしたいことは、現在、少子化対策少子高齢化というようなことで労働力も減ってまいっております。また、高齢者の皆さんが積極的に社会参加し活躍できる環境を作るということが二十一世紀の我が国社会の活力を向上させる上からも大変重要なことかと思います。  そういう意味におきまして、今回の法律のほか、単に制度見直しにとどまるんではなくて、資格取得するための教育とか、あるいは資格取得後の働く場などにおいて障害のある人のために必要な配慮をいたしませんと、仏を作って魂を入れずということになるんではないかなというふうに思います。そういう意味におきまして、今後とも、障害者施策推進本部におきまして教育雇用などの環境整備に積極的に取り組んでいく必要があると考えますが、松下大臣のお考えをお伺いいたします。
  6. 松下忠洋

    ○副大臣松下忠洋君) 私自身も、この問題については積極的に取り組んでまいりました。若いころ、大分県で平松知事さんと仕事をしたことがございまして、一村一品仕事を手伝うことが一つでしたけれども国際車いすマラソンというのが大分県でありますけれども、それをお手伝いしながら、もう二十年以上前になりますけれども、あそこで頑張っている人たちの姿や、あるいは、コロニーという、別府にありますけれども、そこで障害者方たちのいろんな社会に取り組む一つの姿を見て一緒にお手伝いした経験がございます。そういうことから、この道に入ってからもその問題には取り組んでまいりました。  現在、この欠格事由見直し等にかかわる制度が六十三本あったわけですけれども、既に四十七本、これを見直しを実行しております。そして、今回のこの国会に十三本を審議をお願いしているわけでございまして、あと残りが三本というふうに認識をしておるわけでございます。これについても、省令等で解決していく、あるいは法務省の方等外国人の上陸についての制限、これも取り組んでいこうということで、ほぼ十四年度じゅう、あるいは十五年度中にこの問題の解決は図れるものと、こう思っているわけであります。今先生が御指摘ありました教育雇用等環境整備、これはもう当然、基本的なものとして欠くべからざるものだというふうに思っております。  昨年の六月に障害者施策推進本部を開催いたしまして、そのときに、関係省庁教育・養成、就業環境等整備について適切な措置を講じるよう努めるということで、関係団体に対して協力を要請することを申し合わせました。それに基づいて、各省庁においてもこの申合せに沿って努力が払われているということは認識しているわけでございます。例えば、今国会におきましては、雇用率算定上の雇用義務を軽くする措置である除外率について、廃止に向けた段階的縮小を図ること等を内容とする障害者雇用促進法改正法案が提出されておりまして、既に審議が開始されております。  今後とも、この障害者施策推進本部において、関係省庁との連携を図りながら、障害のある人の社会経済活動への参加が実質的に確保されるよう必要な環境整備を努めてまいりたいと、このように強く思っております。
  7. 松村龍二

    松村龍二君 次、各論について二つぐらいお伺いしたいんですが、これは通訳案内業の話についてお伺いしたいわけですが、その前にちょっと、通告はしていないんですが、内閣府の政策統括官にお伺いしたいんですけれども。  今まで、精神病にかかっている人はこの資格がないというふうに、絶対的な欠格事由というふうになっていたのに、心身障害があって、その仕事政令で定めるものは駄目と、こういうふうな規定の仕方になっているようですが、精神障害があるといいますか心身障害がある、特に心的な問題で資格として検討する場合、診断書をお医者さんから求めているのか。精神病者認定というか心的な障害がある認定というのは、これ全部の法律貫いている考えだと思うのでちょっとお聞きしたいんですけれども、あれですか、お医者さんに、精神病ではありませんという診断書を持ってこさせるんですか。どういうふうにやっているのか、ちょっとお聞かせください。
  8. 江崎芳雄

    政府参考人江崎芳雄君) 各制度によりましてそれぞれ若干のバラエティーがございますが、私からは概括の御説明をさせていただきたいと思いますが、多くのものに、制度におきまして、医者診断書というものを取りまして、それを参考にするということで資格等の付与の決定をするということになってございます。  その診断書に盛り込むべき内容につきましては、それぞれ省令でありますとか規則でありますとかで決め方が若干異なるようなものもございますけれども、基本的には、そこで申請者のいろんな状態でございますとか受けておられる治療でございますとか、そういうものを書いていただくというのが大きな概要でございます。
  9. 松村龍二

    松村龍二君 それは自分から書かなければ認定のしようがないと思うんですけれども、昔、運転免許証が、精神病でないことというふうな条件が付いたことがあるんですね。そうしたら、お医者さんのところへみんな診断書をもらいに行きまして、お医者さんもえらいもうかったことあるんですが、一目見て精神病でないという診断書を出すということは意味がないということで、二年ぐらいで、一、二年でやめになった例があるかと思うんですが、自分申請すると、こういうようなやり方なんですか。
  10. 江崎芳雄

    政府参考人江崎芳雄君) 申請の際に医者診断書を出しますし、その診断書だけで書類審査というわけではございません。制度によっていろいろ濃淡はございますけれども、更に、何といいますか、申請を受ける側の方で専門医者に診ていただくとか専門家お話をお聞きするとか、それから場合によっては、物によりましてはふだん掛かっておられる掛かり付けのお医者様にも御意見を求めるとか、そういう場合にそれぞれの制度に応じましてきめ細かく運用していくということを考えてございます。
  11. 松村龍二

    松村龍二君 それでは、ちょっとまだよく分からないんですが、具体的な問題で各省庁からお聞かせいただきたいと思いますが、通訳案内業というのは外国からお客さんが来たときに、まあいわゆるガイドですね、この方たちは、今まで精神病にかかっている方には一律に免許を与えないというふうにしていたのを、今度は、適正に心身ともに行える場合には免許を与えるということにするわけで、このことは大いに評価したいわけです。  通訳案内業免許というのは、難しい語学試験ですね、あるいは観光についての、地理等についての知識、こういうような難しい試験があって、業務に必要な知識、技能のあることが保証されるわけです。そのほかに、仕事の性質上外国人と接触するためにそういう欠格事由というのがあったかと思いますが、今回そういうふうに法改正をするわけですけれども。  国土交通省お尋ねいたしますが、今回の改正によりまして、精神病にかかった人に対し積極的に免許を与えるというような姿勢で臨まれるのでしょうか。あるいは、今まで精神病にかかっているとの理由で免許を受けることができなかった方のうち、新たに免許を受けることができる人としてはどのような方がいらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。  また、あわせて、さっきの私の質問精神病認定、どういう書類を出させてどうしているのかを教えてください。
  12. 伊藤鎭樹

    政府参考人伊藤鎭樹君) 今回の見直しでございますが、精神病にかかっている方の社会参加推進するという観点から、絶対的な、ただ単に精神病にかかっているからといって一律に免許を与えないという従来の通訳案内業法考え方を見直しまして、心身障害により業務を適正に行うことができるかどうかという実務面での業務遂行能力と、そこの点に着目しようということになったわけでございます。  これによりまして、精神病にかかっている方々の中でも、医師診断によって、観光案内に関する外国人観光客とのコミュニケーションを円滑かつ適切に行うということができると、そういうふうに認められる方々には免許が与えられるということになると思っております。  その場合に、一番大事なのは運用の問題ということになるわけでございますが、運用に当たりましても、私どもとしては、今回の改正趣旨であります相対的欠格事由に変更されたという点をよく徹底いたしまして、判断に迷うようなときにはよく医師等専門家相談するように指導してまいりたいと思っております。  また、その具体的なやり方ということになるんでございますが、それは、私ども考えておりますのは、試験に合格すると、あと今度は都道府県知事免許申請をするということになるわけでございますが、その際には健康診断書というものを出していただくことになります。これは、そういう中で精神病にかかっているというようなことの判断がしなければならないような場合には医師とよく相談するように、通達等も、マニュアル等も作って問題が生じないようにしていきたいというふうに考えております。  以上でございます。
  13. 松村龍二

    松村龍二君 次、話題変えまして、三月の読売新聞に、小型船舶操縦士車いすで初めて小型船舶操縦士免許を取った方が紹介されておりました。この方は、自動車事故下半身麻痺になって、気晴らしのためにヨットといいましょうか小さな船に乗るようになった。だんだん慣れて欲が出てきて、小型船舶操縦士免許を取ったと。  従来の規定ですと、四肢に障害がある、四つ手足に欠損があったらこれらの者は資格がないというふうにぴしっとなっていたのを、今回緩められるということで、さきのパラリンピックじゃありませんけれども、正常な方よりも運動能力の高い方もあるわけですから、そういう意味で、具体的に相対的な欠格事由として判断するようになったということは非常にすばらしいことではないかと。  そこで、国土交通省にお伺いいたしますが、この記事を読んで、記事に関連して、もう既に四十人ぐらいの障害者の方から相談が寄せられておるというようなことも聞くわけですけれども、どのような相談が寄せられているのでしょうか。また、障害のある人の免許取得を積極的に支援していくことも必要かと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
  14. 金子賢太郎

    政府参考人金子賢太郎君) まず第一点お尋ねの、どのような相談が寄せられておるのかという点でございますが、私どもといたしましても、今般の見直しをより実効のあるものとするために、全国で十か所の相談窓口相談を受け付けておりますけれども、昨年の十一月より現在までに、時点改まりまして、約七十名の方々より相談が寄せられております。また、その相談内容でございますけれども、やはり主に御本人自身身体機能運動能力身体検査に合格できるのかどうかを事前に確認したいといった内容でございます。  それから第二点、積極的に支援すべきではないかという御指摘でございます。私どももまさにそのように考えてございますけれども支援策につきましては、引き続き今回の制度見直し周知徹底に務めるとともに、相談窓口における身体障害者方々に対します体験乗船機会の紹介を始めとした情報提供機能を充実させることなどを考えております。
  15. 松村龍二

    松村龍二君 次、ちょっと細かいんですが、放射性同位元素等による放射線障害防止に関する法律という中で、重度知的障害者又は精神病者には免許といいますか取扱いさせないというふうになっておったのを、これも相対的に心身障害により必要な措置を適切に講じることのできない者として文部科学省令で定めるものと、こういうふうになったわけですが、これは役所判断しますんでいいわけですけれども、この法律の三十一条で「何人も」こういうようなことを扱わせてはいかぬと、心身障害により適切に講じることのできない者として文部科学省令で定めるものは扱わせてはいかぬということで、判断が「何人も」というふうになっているんですが、これは適切に行われ得るんでしょうか。
  16. 瀬山賢治

    政府参考人瀬山賢治君) 障害防止法三十一条の御質問だと思います。  それで、放射線障害防止法におきましては、放射性同位元素を取り扱いますので、その取扱いが適切に行われるかどうかということをきちっと確認する必要がございます。  そういう意味におきまして、今お尋ねの「何人も」ということでございますが、その許可を受ける者は役所の方がヒアリングをする等で御本人確認できますが、その許可を受けた事業所の中でいろいろな方が放射性物質を取り扱う可能性があるということでございます。  これにつきましては、一義的には、許可を取った事業者がその事業に対して適切に指導、管理するということではございます。事業者は通常、放射線取扱主任者、これは国家試験で、そういった安全に関する責任者でございますけれども放射線取扱主任者を置くことが義務付けられております。こういった専門家の御意見や、従業員の方は健康診断を受けることになってございます。したがって、健康診断若しくは必要であれば医師診断書等、これらを通じて、欠格事由に該当するか否か事業者の方で御判断されるということでございますけれども、我が省といたしましても、これらの判断が適切に行われるように事業者に対する通知若しくは講習会等をやってございますので、そういった機会を通じて、事業者が適切に判断できるように指導していきたいというふうに思っております。
  17. 佐藤哲哉

    政府参考人佐藤哲哉君) 火薬類によります災害防止するために、公共の安全を確保するという観点から火薬類取扱いを行わせることができない者、これを政令において規定をする予定でございます。具体的には、現行の政令規定をしています内容と同様、二つの要件を掛けることを考えております。  第一点は、火薬類を取り扱う場所で喫煙、火気の取扱いをしないこと、第二番目は、災害発生時に現状変更をしないことのこの二つの点につきまして、精神機能障害によりまして的確に理解、遵守できない方については欠格事由に該当する者として規定する予定でございます。  また、このような方をどのように具体的に判断するかということにつきましては、医師診断書、それから適性の検査など、いろいろな方法で具体的に判断をしてまいりたいと考えております。
  18. 松村龍二

    松村龍二君 国際的な、ちょっと総論的な大きな話に戻りますが、国際的に見ますと、平成五年にスタートしたESCAPアジア大洋障害者の十年が最終年を迎えるわけであります。  我が国はこの十年の推進に大きな役割を果たしてきたと伺っておりますが、まず外務省に、アジア大洋地域における障害者に関する我が国国際協力への取組状況はどのようになっているのか、お伺いいたします。
  19. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) 本件に関する我が国国際協力への取組状況でございますが、ただいま御指摘がございましたとおり、我が国ESCAPアジア太平洋障害者の十年の推進に少なからず貢献をいたしておりまして、当該地域における障害者施策の増進のために様々な協力を実施しております。  我が国は、本件十年が始まりました当初から昨年度までいろいろな地域障害者施策現状調査、あるいは障害者研修、都市のバリアフリー化NGO活動支援といった分野ESCAPが実施をしておりますプロジェクトに財政支援を行うということを行ってきておりますし、また、邦人の専門家ESCAP事務局派遣をするといった形で人的、技術的にも貢献をいたしてきております。  また、我が国は、平成四年の第四十八回のESCAP総会において、平成五年から本年までを先ほどお話のございましたアジア太平洋障害者の十年とする決議案がございますが、それを提案をいたしまして採択をされましたほか、平成十年の五十四回総会ではこの十年の後半の取組をさらに強化していくよう呼び掛けるといった趣旨決議案を提出する等、この十年の推進に関する議論をリードしてきておるわけでございます。  また、こうした国際機関を通ずる協力以外にも、二国間協力の文脈においても、障害者支援施設の建設や機材の供与、専門家、ボランティアの派遣研修員受入れ等を通じていろいろな形で本問題に取り組んできております。  政府としては、今後ともこの分野において我が国国際的地位にふさわしい国際協力に努めていきたいと考えております。
  20. 松村龍二

    松村龍二君 最後に、官房長官にお伺いするわけですが、今まで、新しい障害者基本計画、障害者プランの、いや、従来の流れのほか、新しい障害者基本計画、障害者プランについてどのようにお考えかお伺いしたいと思います。  現行の新長期計画は、ノーマライゼーション、リハビリテーションといったようなことでいろいろな成果をやってきたわけであります。障害者プランもスタートいたしまして、振り返ってみますと、ハートビル法や交通バリアフリー法が制定され、また今回の欠格事由見直しが進むなど、成果を収めてきているわけですが、まだまだであると。また、いわゆる知的障害者の施設等につきましても、私も地元で訪問することがありますけれども、いろいろな課題を持っておるわけであります。  そういう中にありまして、官房長官は昨年、車いすの方と一緒に東京駅等のバリアフリー状況を視察されたとも伺っております。新計画、プランの策定に当たりまして、今後とも強力に重要課題として取り組むべきと思いますが、官房長官の御所見をお伺いいたします。
  21. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 障害のある人や高齢の方を含むすべての人が安心して安全な社会生活を送れるように、ハード、ソフト両面にわたりまして社会全体のバリアフリー化、これは進めていかなければいけない大変重要なことだと思います。特に、日本の場合には、ほかの欧米先進国に比べてもやや後れているんではないかというように思います。車いすでもってどこでも行けるという、そういう社会の構築というのは、これは小泉内閣の構造改革の中においても重要な柱の一つとして位置付けていると、こういうことでございます。  政府におきましては、現行の障害者対策に関する新長期計画に沿いまして、障害のある人の社会参加の妨げとなるバリアの解消に取り組んできたところでございまして、今国会におきましても、障害のある人が社会活動へ参加する上での制度的バリアを除去する観点から、本日御審議をいただいております欠格事由を見直すための法律案を提出をいたしたところでございます。  新しい障害者基本計画、また障害者プランの策定に当たりましては、バリアフリーを重点課題として取り上げまして、IT革命の急速な進展に伴う情報格差の解消等の新たな課題に対応するとともに、各分野においてできるだけ具体的な目標を設定して社会全体のバリアフリー化の着実な推進を図りたいと、このように考えておるところでございます。
  22. 松村龍二

    松村龍二君 以上で質問を終わります。どうもありがとうございました。
  23. 白浜一良

    ○白浜一良君 公明党の白浜でございます。  官房長官、お忙しいのに御苦労さまでございます。(発言する者あり)いろんな意味を込めて言ったんです。いや、御苦労さまでございます、本当に。  今回の法改正障害者の皆さんにかかわる欠格事由を適正化しようというのは大変大事なことでございまして、これは超党派で賛成されると思いますが、一点だけ、この法改正にかかわりまして確認したいことがございます。  それは、先ほども松村さんからもお話出ておりましたが、欠格事由を外して相対化しようということはいいんですが、国の免許の場合は比較的分かりやすいんですが、知事が免許を与える場合、その都道府県としてどのようにされるかということがこれは問題になるわけで、国土交通省先ほどお話出ておりました通訳案内業ですね、これはできるようになるわけでございますが、しかし、テストを受けて、免許を与えるのは知事ですね。  これ、国の精神が四十七都道府県、どのように担保されるかと、ここは非常に大事なわけでございまして、ここをちょっと言ってください。
  24. 伊藤鎭樹

    政府参考人伊藤鎭樹君) 今、委員指摘のとおり、この通訳案内業免許は、法律の第三条で、「国土交通大臣の行う試験に合格し、都道府県知事免許を受けなければならない。」ということで、そういう規定になってございます。そういう中で、この免許を与えるに当たっての判断というものの統一性というのは、この障害者の問題だけではなくて、全体として大事なことであると思っております。  そういう意味で、この問題について申し上げますと、免許を与えるかどうかという具体的な判断につきまして、免許申請時に必要となる健康診断書の記載項目や、必要に応じて医師相談するというようなことをマニュアル的に定めた、そういうものを免許権者である都道府県知事に対して事前に通知いたしまして、単に都道府県の担当職員が形式的に処理するということではなくて、医師等専門家意見を踏まえて、その時点その時点での個別の判断ではございますけれども専門家意見というものを踏まえて判断をしていくということで、全国的にレベルが同じような運用ができるように配慮してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  25. 白浜一良

    ○白浜一良君 そこが大事なんです。要するに、健康診断書を出させると、だけど医者だっていろいろ千差万別なわけよ。だから、そこの公平性をどう担保してあげるかというのがこれ大事なわけよ。ある医者は厳しい、ある医者が緩いと、医者にもいろいろ判断の基準があって、なぜ私はもらえないんだろうと、そういうことをちゃんと酌んであげるように指示できる。
  26. 伊藤鎭樹

    政府参考人伊藤鎭樹君) そういうことで、まず第一次的に、都道府県知事免許を、例えば免許をしないという判断をいたしました場合にはその申請者の方に通知するわけでございますが、その際には、判断をした理由、それからまた申請者の方から意見の陳述の希望がある場合は、そういう専門家を交えた意見陳述の機会を設けますというようなこともその通知書に付けまして、そういう形で、何と申しますか、本来の業務遂行能力があるという判断がきちんとできていくような、そういう慎重な手続といいますか、そういうことができるようにしていきたいというふうに考えているところでございます。
  27. 白浜一良

    ○白浜一良君 そこが大変大事なことで、いろんな障害を持ちながらもこういう資格を取ろうという人は、物すごい意欲と努力のされている方なんですよ。そういう人の気持ちに立ったら、形式的なことで非常に浅はかに判断してはいけない、その気持ちを酌んであげにゃいかぬということを私は言っているわけで。  じゃ、もう一つ聞きます。同じように、家畜人工授精師、これは農水省ですか、これも同じようなこと、知事の免許になるんですが、同じように意見を述べてください。
  28. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 先生御指摘のとおり、家畜人工授精師の免許都道府県知事の自治事務ということになっているわけでございます。これ、今回、農林水産省の定める基準ということで、免許交付の有無の判定基準を省令に落とすわけでございます。  私どもも、自治事務ではございますけれども免許申請者、関係者からの意見聴取でございますとか診断書の出し方でございますとか、できるだけ細かく、いわゆる技術的助言というもので、都道府県知事の方へ運用方法の統一が図られるよう指導をしたいということでございまして、その意味で、今、先生言われたような趣旨ができる限り確保できるように運用で指導していきたいというふうに思っている次第でございます。
  29. 白浜一良

    ○白浜一良君 じゃ、よろしくお願いしたいと思います。  それで、この法律とは直接関係ないんですが、障害者がテーマになっておりますので、関連して何点か御質問したいと思います。  平成七年から、平成七年に作成された障害者プランがございまして、七か年計画でございますが、来年の三月で一応の区切りを迎えるわけでございます。進捗状況はどういう状況になっているか、担当局としてその進捗状況をどのように評価されているか、これを伺いたいと思います。
  30. 松下忠洋

    ○副大臣松下忠洋君) 障害者プランは、御指摘のように平成十四年度が最終年度になっております。数値目標を設定して事業推進をしてまいりましたけれども平成十二年度までの進捗状況をまとめてまいりました。  重症心身障害児、障害者等の通園事業、それから短期入所生活介護事業など、一部の事業ではやはり立ち後れが見られております。この重症心身障害児あるいは障害者等の通園事業は約四五%の達成率ということでございますし、短期入所生活介護事業は六七%ということですから、まだ最終年度に向けてもう一踏ん張りしなきゃいかぬというふうに考えております。  それから一方で、知的障害者の更生施設、これは一〇五%の達成ということで、目標値を達成いたしました。また、精神科のデイケア施設、これは九七%、それから身体障害者の療護施設、これが九三%、精神障害者社会適応訓練事業八八%、それから訪問介護員の派遣事業八四%と、言いましたように、各事業が目標値に対して八〇%以上の整備水準にあるものもございました。順調に進んでいるものもありますし、まだ努力の足りない面もあるというふうに思っておりまして、まだまだこれからもしっかりきめ細かにやっていかなきゃいかぬ、こういうふうに考えております。
  31. 白浜一良

    ○白浜一良君 それで、今概略言っていただきましたけれども、差があるわけでございまして、いろんな理由があると思いますけれども、市町村でやる事業なんですが、財政の豊かなところと豊かでないところと、こういう違いもございます。人口が集積しているところと余りまばらなところと、こういう違いもございます。ですから、市町村一律いうんじゃなしに、あるテーマに関しましては、いわゆる広域的な福祉圏というか、ゾーンといいますか、そういう考えも導入して、そういう整備を図るということも私は大事だと思うんですが、いかがでしょう。
  32. 松下忠洋

    ○副大臣松下忠洋君) 各省庁の持っているノウハウと、それから当然、国それから地方公共団体とのやっぱり一体的な理解の上に立った進め方をしなきゃいけませんから、市町村合併等の大きな課題もありますので、そういうふうにして大事なところは差が付かないように努力をしていく、これはもう当然だと思って努力していきたい、こう思っております。
  33. 白浜一良

    ○白浜一良君 今のでは答えが半分でございまして、市町村合併は、合併の流れですけれども、どうしてもできないところがあるから広域的にやったらどうかということを私は言ったわけで、そういう考え方も導入したらどうかということを言ったわけで、その点に関するお答えはなかったわけでございまして、もう一つ、そういう施設は来てもらって困るという住民感情のあるところもあるんですね、これ。障害者の施設をもう作ってもらったら困るという、そういう住民意識のあるところもあってなかなか進まないという要素もありますが、その場合は、やっぱり住民の意識改革というか啓蒙をしていかなければいかぬ、それがなければできないわけでございますから、そういう点での努力ということも大事じゃないでしょうか。
  34. 松下忠洋

    ○副大臣松下忠洋君) そのとおりだと思います。  やっぱり基本的人権、それから地域の理解を深めていくということが、これはみんなの共通の課題として取り組んでいくという努力をしなきゃいかぬ、こういうふうに考えています。
  35. 白浜一良

    ○白浜一良君 まあいいんですけれどもね。もう少しやっぱり、今の話は一般論でございまして、役所としてどうするということはやっぱり、そういう意識啓蒙を内閣府としても力を入れますよというぐらいはちょっと言っていただかないと、それはちょっとやっぱり副大臣のお答えにはちょっと弱いんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  36. 松下忠洋

    ○副大臣松下忠洋君) そういう気持ちで申し上げたつもりでございますけれども、更に一層努力をしてしっかりと対応してまいりますので、よろしくお願いします。
  37. 白浜一良

    ○白浜一良君 それから、このプランそのものは施設が中心になっているんですが、これからは、大事なことは何かといいますと、社会参加なんですよね。そういう障害をお持ちの方に対するいわゆる教育という面では比較的整備されてきているんですが、社会に出て働く場がないというか、社会参加の方法がないというか、そういうことが大変大事なわけで、そういう面では、今後いろんなプランを作る場合に、いわゆる障害をお持ちの方がどのぐらい実際お仕事されているのかとか、実働されている時間とか、それからそういう個別的に自立支援をアドバイスするアドバイザーの一人当たりのそういうサービスを提供する時間とか、そういうことも充実しようという計画をこのプランの中に今後導入されるべきだと思うんですが、いかがでしょう。
  38. 高原亮治

    政府参考人高原亮治君) 議員御指摘の生活等支援事業の等につきましては、何人やったんだと、何か所だけではなくて何人やったんだというふうな観点、それから障害者の実労働時間等、そういったものの考え方は大変重要であると考えております。  御案内のとおり、新たな障害者プラン、今年じゅうに作るわけでございますが、その策定作業の中でそういった工夫ができないか、検討してまいりたいと考えております。
  39. 白浜一良

    ○白浜一良君 なぜそういうことを言ったかといいますと、厚生労働省が平成八年から行われています重度障害者のための通所施設整備がございますね。これは全国で百四十か所しかないと。ということは、都道府県で見れば、もう大変少なくて、もっとこういうのはたくさん作ってほしいと、やっぱり、余りもう県で一か所とかいうともう遠方の方は行けないんですよね。そういうものがないと、働こうといったって働きようがないわけで、だからそういう意味で私は言ったわけでございますが、いわゆる通所施設整備の今後の考え方も含めて御見解をいただきたいと思いますが。
  40. 高原亮治

    政府参考人高原亮治君) 重症心身障害児の通園事業は、在宅の障害児・者に対しまして、日常生活動作、機能訓練等の必要な療育を行うこととともに、保護者等の家庭における療育技術の習得を図るものでございまして、障害者プランにおきましては、平成十四年度の整備目標二百三十六か所と定めておるところでございますが、議員御指摘のとおり、平成十三年度で百四十か所と、大変低い達成率となっております。  これにつきまして、どうも使い勝手が悪いんじゃないか、作り方が難しいんじゃないかというふうなこともございまして、従来は重症心身障害児施設や肢体不自由児施設にお願いするというふうな考え方でございましたが、平成十三年度からは、重症心身障害児の受入れに支障がない場合には身体障害者療護施設や又は介護老人保健施設などでやっていただくことができるようにいたしまして、実施場所の制限を緩和するなどの取組を行っております。  今後、本事業趣旨につきまして、実施主体でございます地方公共団体の御理解をいただきまして、障害者プランに掲げた目標にできるだけ近づけるように努めてまいるとともに、新障害者プランにおいても積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  41. 白浜一良

    ○白浜一良君 これ一連のものなんで、その施設とともにいわゆる雇用、一番最初に言いました雇用の問題なんですが、今、法定雇用率、障害者の、に精神障害者は入っていないんですね。ですから、今年一月に労働政策審議会がいわゆる雇用の義務制度の対象とする方向で取り組むようにという答申を出されているわけでございますが、これはその流れで実施されていくんでしょうか。
  42. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) 今、先生からお話ありましたように、審議会の方から、精神障害者についてまだ雇用率の対象になっていないけれども、今後、制度の対象とする方向で取り組むことが適当であるという意見をいただいております。  ただ、その際、あわせまして、制度化のためには、雇用支援策の積極的な展開を図りつつ、精神障害者の実態の把握ですとか、制度化した場合の対象となる方の把握あるいは確認方法、そういった課題を解決するための取組をまずやる必要があるんじゃないかというふうにも指摘されております。  そのため、これらの課題につきまして、関係者の参画する調査研究の場を早期に設けまして、鋭意検討を進めることとしたいというふうに考えておるところでございます。
  43. 白浜一良

    ○白浜一良君 もう時間がないので言いませんが、これしっかりやってくださいね。  それからもう一点、この障害者プランの七か年計画の中で、いわゆる放送の、文字放送を増やそうと、こういうことがあるんですが、これ進捗どうなっていますか。
  44. 稲村公望

    政府参考人稲村公望君) まず申し上げたいのは、字幕放送の拡充につきましては、放送を通じた情報アクセス機会の均等化に資するものでありますので、極めて重要だと考えております。  平成九年度に放送法が改正されまして、二〇〇七年、平成十九年度までに字幕付与可能なすべての番組に字幕を付けようということで取組推進してまいりました。ところが、去年調べますと、NHK六七・六%、民放が五局、キー局でございますが、八・六%と、米国等と比較して数字が低うございまして、更なる拡充が必要であると判断いたしました。  そういうことで、去年七月になりまして、放送事業者、NHK、民放キー局五局に対しまして、字幕放送の普及目標の達成に向けた計画を作成するように要請いたしまして、それが十月に出てきてまいりましたが、その数字によりますと、NHKは二〇〇六年までに一〇〇%達成したい、一年前倒しでございます。民放五局については、二〇〇七年度までに八〇%から九〇%達成することといたしております。  以上でございます。
  45. 白浜一良

    ○白浜一良君 最後に、官房長官、お伺いいたします。  私、二十分しか時間がなかったので、いろいろ気付くところ質疑いたしましたけれども、いずれにしても、今の障害者プランの七か年計画というのは来年の三月で終わるわけでございます。ですから、平成十五年度からは新しいプランを立ち上げるわけでございますが、本日いろいろ指摘しましたような点も踏まえてしっかりしたものを築き上げていただきたいと、このように思うわけでございますが、最後に御所見を伺って、終わりたいと思います。
  46. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 現在実施しております計画は、御指摘のとおり本年度で終了ということになりますので、来年度から、平成十五年度から新しい障害者基本計画の策定、そしてまた、その前期五年間、これが障害者プランというものを策定いたしまして重点実施計画を盛り込むと、こういうことになっています。  この新しい障害者プランにおきましては、前期五年間の具体的な施策を盛り込むと、こういうことでありますけれども、福祉などの公的サービス基盤、またバリアフリーなどの分野につきましては極力数値化をすると。数値によって目標達成度が測れるようにするという、そういうふうな工夫を凝らしながら着実な施策を推進してまいりたいと、このように考えておるところでございます。全力を挙げて取り組んでまいります。
  47. 白浜一良

    ○白浜一良君 終わります。
  48. 吉川春子

    ○吉川春子君 共産党の吉川春子です。  まず、障害者欠格事由適正化一括法に入ります前に、一点だけ、従軍慰安婦問題について、緊急に見逃せない問題がありますので、官房長官質問をいたします。  四月四日、韓国と台湾から従軍慰安婦被害者とサポートする方々が来日され、お目に掛かりました。現在、韓国へのアジア女性基金償い事業が五月一日に打ち切られる方向ですが、ある被害者のところに、日本人の男性から、基金の金を今受け取らないともうもらえないと、早めに受け取った方がいい、こういう電話がありました。これまでも韓国では、アジア女性基金の償い金受取をめぐって運動が分裂し、従軍慰安婦の皆さんも大変苦しんでまいりました。政府の謝罪のない日本のお金は受け取らない、日本の基金は一日も早く中止してほしいと、このようにおっしゃられたわけですけれども、この期に及んでと申しますか、女性基金は実績を上げようとしておばあさんたちの、ハルモニたちの心をかき乱すのではなく静かに撤退してもらいたいと、こういう思いなんですけれども、そのことを強く要求します。いかがでしょうか。
  49. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) アジア女性基金の韓国におきます事業につきましては、償い金の申請はあくまでも元慰安婦本人の意思によって行われるものであると承知いたしております。議員が御指摘されるように強制的に行われているという事実はないと考えております。  アジア女性基金の韓国事業は、本年の五月一日にその申請受付を終了するというように決定されたと承知いたしておりますけれども政府といたしましては、元慰安婦問題に関する国民と政府の真摯な気持ちの表れでありますアジア女性基金の事業に対しましては、少しでも多くの韓国国民の理解を得られるよう最大限努力をしてきておりまして、事業の終了までは引き続きこうした努力を続けてまいりたいと、このように考えているところでございます。
  50. 吉川春子

    ○吉川春子君 努力ということは強制ということではないと受け取っていいですね。
  51. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) ですから、今申し上げましたように、強制的にするというそういう趣旨のものでないし、またそういうふうにしてないというふうに承知しております。
  52. 吉川春子

    ○吉川春子君 続きまして、障害者欠格事由適正化一括法について伺います。  障害者は、雇用率も低く賃金も安い、その上、様々な欠格事由によって、憲法上保障されております職業選択の幅も狭いわけです。生存権を保障されるためには、不必要な欠格事由、欠格条項をなくす必要があります。  本法案は、主に精神障害者社会参加を進めるため、欠格事由の適正化、絶対的欠格事由相対的欠格事由に見直すなどの改正であると説明されていますが、一括法になっておりますので法的効果が非常に様々で分かりにくいわけです。  以下、個別に質問いたします。  まず、八本の法律の中で、これまで精神障害者に対して裁量の余地なく資格を付与せず、又は失わせるという欠格事由としていたものを、今回は相対的事由に改めた、こういうものはどれでしょうか、まずお示しいただきたいと思います。
  53. 江崎芳雄

    政府参考人江崎芳雄君) 今回の改正によりまして、法律上、委員指摘の絶対的欠格事由から相対的欠格事由に変更されたというものでございますが、まず第一に、放射性同位元素等による放射線障害防止に関する法律放射性同位元素又は放射線発生装置の使用の許可、二番目に放射性同位元素の販売又は賃貸の業の許可、三番目に放射性同位元素又は放射性同位元素によって汚染された物の廃棄の業の許可、これが一つでございます。二番目に、通訳案内業法通訳案内業免許でございます。三番目に、地域伝統芸能等を活用した行事の実施による観光及び特定地域商工業の振興に関する法律地域伝統芸能等通訳案内業認定、この三つであると理解をしております。
  54. 吉川春子

    ○吉川春子君 通訳案内業は先ほど松村委員に答弁がありましたので、伝統芸能等通訳案内業認定、これを相対的欠格事由にしたことによって精神障害者社会参加はどのように広がりますか。
  55. 伊藤鎭樹

    政府参考人伊藤鎭樹君) 基本的には先ほど通訳案内業免許のところでお答えしたことと同じ運用になるわけでございますが、従来絶対的な欠格事由であったものを相対的な欠格事由に切り替えるということになりまして、心身障害により業を適正に行うことができるかどうかという実務面での能力に着目して認定等を与えていくという制度に改めることになります。これによりまして、観光案内等に関する外国人観光客とのコミュニケーションを円滑に適切に行うことができるというふうに認められる方については、免許を与えることが可能になるものと考えております。  その範囲という形になりますが、これは具体的に医師等専門家方々判断を十分に尊重しながら、法の趣旨に沿った運用をしてまいるように私どもとしても努力してまいりたいと思っております。  以上でございます。
  56. 吉川春子

    ○吉川春子君 それでは、放射性同位元素の販売業の許可等についてはどのように参加が拡大されるのでしょうか、具体的に説明してください。
  57. 瀬山賢治

    政府参考人瀬山賢治君) お答えいたします。  放射性同位元素取扱いについての許可で、従前、第五条でございますけれども、「重度知的障害者又は精神病者」と規定していたところを、障害を特定せずに、その能力に着目して、心身障害により放射線障害防止のために必要な適切な措置を講ずることができないものとして文部科学省令で定める者に改めることとしてございます。  また、あわせて、従来は欠格条項に該当する者を一律に、先生御指摘のとおり「許可を与えない。」とする絶対的欠格の規定だったところを、今回の改正において「許可を与えないことができる。」とする相対的欠格の規定に改めております。  したがいまして、その能力に着目して、許可を与えることもあるし、与えないこともあるということでございます。  この能力につきましては、その具体的な規定につきましても文部科学省令で定める予定をしてございますが、現在のところ、放射線障害防止のために必要な措置を適切に行うに当たっての必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者というふうに書く予定でございます。これらの判断につきましては、医師診断書等を通じまして個別に判断していくことになるかと思っております。  したがいまして、従来、該当する方はすべて駄目だったところが、この能力があると認められれば、その分拡大する可能性があるということでございます。
  58. 吉川春子

    ○吉川春子君 続きまして、銃刀法、所持等取締法について、改正法第五条は欠格事由について、従来「精神病者」としていたものを「精神障害又は発作による意識障害をもたらし、その他銃砲又は刀剣類の適正な取扱いに支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるもの」というふうに表現を変えておりますけれども、この結果、具体的な取扱いはどうなるのでしょうか。
  59. 黒澤正和

    政府参考人黒澤正和君) 今回の改正につきましては、障害者施策推進本部決定における具体的対処方針における「欠格、制限等の対象の厳密な規定への改正」、これに該当するものでございまして、この改正によりまして範囲はほぼ変わらない、政令の定め方にもよるわけでございますが、範囲はほぼ変わらない方向で検討いたしておるところでございます。
  60. 吉川春子

    ○吉川春子君 ちょっと分かりにくいですね。  要するに、従来絶対的欠格事由であったものがそのまま絶対的欠格事由であって、表現が変わったけれども法律の適用範囲というのはほぼ変わらないと、こういう説明ですか。どうですか。
  61. 黒澤正和

    政府参考人黒澤正和君) 法律の適用範囲はほぼ変わらない、このような理解で結構でございます。
  62. 吉川春子

    ○吉川春子君 もうちょっと丁寧に。それはどういうことからくるんでしょうか。具体的に事実だけ述べていただければいいんで、余り警戒しないで、事実を述べてください。
  63. 黒澤正和

    政府参考人黒澤正和君) ただいまのお尋ねでございますけれども、この今回の改正につきましては、障害者、この障害者という、精神病者という表現が今御指摘のように変わったわけでございますけれども、適正な取扱いを行うことができないおそれがある病気にかかっている者は許可を受けられないということにするものでございまして、この点は改正の前後では変わらないわけでございます。  この銃刀法における障害に係る欠格事由趣旨は、判断能力が著しく低い状態をもたらす結果、銃砲刀剣類の適正な取扱いを行うことができないおそれがある病気にかかっておる者、これが許可を受けられないということで、この点は改正の前後において変わりないわけでございますけれども、今回の改正では、欠格の対象につきまして先ほど申し上げましたように厳密な表現をするとの観点から検討を行いまして、精神病者との用語を用いずに、精神障害又は発作による意識障害をもたらして、その他銃砲又は刀剣類の適正な取扱いに支障を及ぼすおそれがある病気にかかっている者、こういうふうに規定することといたしたわけでございます。
  64. 吉川春子

    ○吉川春子君 続きまして、船員法について伺いますけれども、船員法もこれは絶対的欠格事由がそのまま変わらないというふうに私は受け止めておりますけれども、この法改正によって障害者社会参加が広がる余地がどういうところにあるのか、具体的に示していただきたいと思います。
  65. 金子賢太郎

    政府参考人金子賢太郎君) 先ほどの分類で申し上げますと、船員法の場合は絶対的欠格事由の厳密化に当たることになるわけでございますけれども、今回の改正によりまして、従来のように精神病であることのみをもって一律に船員としての就業に適さないとするのではなくて、個々人の心身障害の程度でありますとか、それから船内にもいろんな種類の作業がございますけれども、就業しようとする職務の具体的な内容などを総合的に勘案しまして、その上で、作業を適正に行うことができると医師が認めた場合には船員として就業可能ということになるわけでございます。
  66. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうすると、その絶対的欠格事由ということは変わらないんだけれども、しかし障害者参加する余地は拡大することもあるというふうに受け止めてよろしいですか。
  67. 金子賢太郎

    政府参考人金子賢太郎君) そのとおりでございます。
  68. 吉川春子

    ○吉川春子君 続きまして、火薬類取締法の第二十三条でございますけれども、これも、「知的障害者であつて政令で定める程度の障害の状態にあるもの又は精神病者」という表現が、「心身障害により火薬類取扱いに伴う危害を予防するための措置を適正に行うことができない者として政令で定めるもの」と、こういうふうに改正されておりますけれども、この改正によって障害者参加といいますか、改正後どのように変わるのでしょうか。
  69. 佐藤哲哉

    政府参考人佐藤哲哉君) 今般の改正におきましては、火薬類取扱いに係ります欠格事由、現行法で定めております精神病者の方につきまして、その欠格事由に該当する者の対象を明確化する、それから障害者を特定しない表現に改める、この二つ予定しております。  具体的には、今先生がおっしゃられたとおりの改正案をお願いしているわけでございますが、これは現行法上の精神病者と知的障害者、これを包括する表現という形で考えております。したがいまして、その表現の中身は変わっておりませんが、仮にその精神病者として今まで一律に判断をされて、医師判断精神病という病名を受けた方につきましては、これはこのままの形で前提として判断をするのではなくて、先ほど御説明いたしましたが、火薬類を取り扱う場合の火気を使用できない、それから災害が発生したときに現場を変えない、この二つの事由について理解できない方については火薬類を取り扱わせないという形での判断を求めるものでございます。
  70. 吉川春子

    ○吉川春子君 続きまして、獣医師法第四条、第五条の改正について伺います。  これは、獣医師法は従来から相対的欠格事由とされていたものでございまして、その点では変化がないわけですが、今度の改正によって更に障害者社会参加が進むのでしょうか。その点についての具体的な説明をお願いします。
  71. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 獣医師法の改正でございます。先生言われましたように、従来から欠格事由相対的欠格事由でございました。今般、この法律改正を受けまして、私ども運用面におきまして意見聴取の手続等をきちんと行っていくというふうにしたいというふうに考えておりまして、具体的には個々の事例ごとに判断していくことになろうかと思いますけれども、例えばこれまで精神病にかかっておられるということで免許を与えないといったようなケースについても、今後は業務を適正に行うに当たっての必要な認知でございますとか、判断、意思疎通、こういったものが行い得るかどうかを慎重な手続で判断した上で、従来はねられていたようなことも免許を交付することがあり得るというようなケースも考えられるというふうに考えておりまして、今回の法改正趣旨を踏まえて、いやしくも障害をお持ちの方の社会活動への参加を不当に拒むというようなことにならないようにきちんと指導をしていきたいというふうに考えております。
  72. 吉川春子

    ○吉川春子君 従来、精神障害者と言われる人たちが獣医師免許申請してこれを拒否されたという事例がどの程度あるのでしょうか。
  73. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) そういうケースは承知をしておりません。
  74. 吉川春子

    ○吉川春子君 ゼロということですか。そして、その理由はどういうことでゼロなのでしょうか。
  75. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 私どもが把握している範囲内ではそういう申請がないということでございます。
  76. 吉川春子

    ○吉川春子君 申請がないからゼロなんですよね。どうして申請がないのでしょうかというふうに伺いましたが、時間の関係で先へ進みたいと思います。  それから、家畜人工授精師という資格ですけれども、これも従来から相対的欠格事由とされていたものですから基本的には変わりがないと思うのですけれども、今回のその法改正によって精神障害者社会参加が進むとしたらどのように進むのでしょうか。具体的にお示しください。
  77. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 先ほどの獣医師法と同様、家畜人工授精師に関しましても、従来から相対的欠格事由ということで運用をさせていただいておりまして、今後、今回の改正を受けて、やはり個々の事例ごとに判断されるべきと考えておりますが、一概には言えませんけれども、今回、交付を拒否する場合の意見聴取規定等を設けておりますので、先ほどと同様、従来よりは手続を慎重に行っていくことによって、従来はねられていたケースも免許を交付するようなことがあり得るというふうに考えておりまして、そういう趣旨を受けて、これも運用に努めていきたいというふうに考えている次第でございます。
  78. 吉川春子

    ○吉川春子君 これも従来、申請はゼロなんでしょうか。
  79. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) こちらの方は都道府県知事免許をしておりますので、私どもその実態把握をしていない状況でございます。
  80. 吉川春子

    ○吉川春子君 それから、その次は放射性同位元素取扱い、汚染、放射線発生装置の使用の制限について伺います。  これは、従来絶対的欠格事由とされておりましたが、今回も絶対的欠格事由のままであるというふうに、法律を読みますとそうなっておりますが、この法改正意味、それについて具体的に説明をしていただきたいと思います。
  81. 瀬山賢治

    政府参考人瀬山賢治君) 放射線障害防止法の使用、販売等の許可にかかわる欠格事項でございますが、これは先ほど御説明させていただきましたとおり、従前は絶対的な欠格事由でございましたけれども、今回の改正によりまして相対的な欠格事由に改めることにしてございます。したがいまして、従前は一律に許可を与えないとしておりましたところを、今回の改正において許可を与えないことができるということでございます。  許可を与えるか与えないかの判断でございますけれども、先ほど御説明申し上げましたとおり、放射性同位元素であるとか放射線発生装置、この取扱いが適切に行い得る能力があるかないかと、すなわち、その必要な認知、判断及び意思疎通が適切にできるかどうかというところの判断を通じて許可を出していくということになるわけでございます。
  82. 吉川春子

    ○吉川春子君 事業者許可相対的欠格事由になったと私承知しておりますが、取扱者も相対的欠格事由に変えたと、このように理解してよろしいんですね。
  83. 瀬山賢治

    政府参考人瀬山賢治君) 失礼いたしました。  今御質問内容は、放射線障害防止法三十一条の取扱いの制限にかかわる点かと承知してございます。これにつきましては、従前、精神障害者規定していたところを、今回の改正においては、障害を特定せず、かつ対象を厳密に規定するために、心身障害により放射線障害防止のために必要な適切な措置を講ずることができないものとして文部科学省令で定める者に改めることとしてございます。  ここにつきましては、先生御指摘のとおり、引き続き絶対的な欠格事由ということで運用させていただきますが、その場合に、やはりその能力、この判断が従前と違ってくると。したがって、従前一律に駄目であった者が適切に取り扱える能力があるとすれば取り扱うことができるという、その部分が変わってございます。
  84. 吉川春子

    ○吉川春子君 ですから、事業者は絶対的事由が相対的事由になったけれども、取扱者は今までどおり絶対的欠格事由と、ただその適用の規定をかなり厳密にしたと、こういうふうに理解していいかと思います。  それで、官房長官、お伺いいたします。  今、本当に一問ずつ、各法案一問ずつ私質問して、それ以上は突っ込めないんですよね。なぜ今回一括法、八本一くくりで内閣委員会に提案されたのかということについて、私は大変疑問を持ちます。といいますのは、当委員会で担当しておりますのは銃刀法だけなんですよね。そのほかは、ほかのそれぞれの委員会法案をずっと担当してまいりまして、本来はそこの専門的なといいますか、担当の委員会がこの一つ一つ法案について、この障害者欠格事由の適正化について、それについてどういう効果があるのか、今後どうするのか、政令の中身はどうするか等をきめ細かく議論をすべきだと思うんですよ。どうしても、内閣委員会で一括して出されますと、もう駆け足で聞くほかないわけです。  私は、こういうような法案の出し方というのは国会審議を縛りますし、法案はもうばらばらに出して、一括するのかどうするのかは国会に任せるという形でやる方が丁寧な審議になると思いますが、その点についてお伺いいたします。
  85. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) ただいま個々に法案を御審議いただいておりますけれども、この法案を一括して、どうして一括してやるのかと、こういうお尋ねでございますけれども、それは、各法案改正事項はいずれも障害者参加社会参加制度的な障壁になっております欠格事由の適正化を図るものに限られておると、この点に限られておるということでございまして、一つの政策目的に集約をされていることであります。そして、一つ法案にまとめることによりまして改正事項の適否について適正な総合判断がしていただけると、こういうことであります。更に申し上げれば、この欠格事由の適正化に懸ける政府の姿勢を明確にすることもできるということでございまして、そういうような理由から、障害者施策に関し政府全体としての総合的な推進を担う内閣府において一括法案として国会に提出して御審議をいただくということが適切と考えたものでございます。  この一括法案をどのように国会審議するかということにつきましては、これは国会において決定されるべき事項でございますので、国会審議権を制約しようと、こういう意図は毛頭ございません。
  86. 吉川春子

    ○吉川春子君 これはもう見解の相違ですのであれですが、やっぱり一括法として出されれば一つ委員会になるんですよ。ばらばらの法案として出されれば、まずそこへ付託させるのか、それとも特別委員会を作るのか、こういう判断の余地が国会にあるわけでして、やっぱり一括法というのは、効率的という面でいえば時間的な節約になるかもしれませんが、法律審議を充実してやるという点については、これは好ましくないということを私は重ねて申し上げまして、内閣における法案の提出の在り方について再度検討していただきたいということを申し上げておきたいと思います。  同時に、障害者欠格事由について、今度の法案について私たちも賛成しようと思っておりますが、医学の進歩とか、あるいはこの法案を具体化してみて様々な問題点も明らかになってくると思いますので、適切な時期に是非法案見直しをしていただきたい。それは三年であるか五年であるかということがあると思いますけれども、是非この障害者欠格事由を更に制約を少なくしていくという方向での見直しを行っていただきたいと思います。その点について、官房長官、いかがお考えですか。
  87. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 今回の改正は、障害のある人がその業務を行う能力に応じて免許許可等を取得できるようにするものでございまして、改正後の欠格事由の在り方については、このような改正趣旨を踏まえて、障害のある人がその能力によって免許許可等の取得ができるように、今後の障害に関する医療の状況の変化等を考慮した適当な時期の見直しも含め、適切に対処する必要があると考えております。
  88. 吉川春子

    ○吉川春子君 続きまして、精神障害者の交通費、交通運賃の割引について伺います。  精神障害者制度が一九九五年にできまして、障害者保健福祉手帳の交付は十九万人を超えております。しかしながら、精神障害者のJR、高速道路の運賃割引の制度はいまだありません。百四十五国会、百五十一国会障害者団体が国会に交通運賃の割引を求める請願を行って採択しております。  まず、伺いますけれども、既に地方自治体で交通運賃割引をしているところがありますが、実態はどうなっていますか。
  89. 佐藤静雄

    ○副大臣佐藤静雄君) 公共交通機関の身体障害者の皆さんの交通運賃の割引でありますけれども、それは当然交通事業者の自主的な判断によるものであります、原則的には。  そして、JRでありますけれども、国鉄民営化の手続の中で昭和六十年十月十一日にこのような閣議決定がされております。「運賃上の公共負担としての割引については、旅客鉄道会社の自主的判断により決定されることを原則」とすると、そういうようなことがあるわけでありますけれども国土交通省といたしましては、事業者の皆さんに何とかして精神障害者に対する割引制度を導入してほしいということを長いこと言い続けてきております。今、先生おっしゃったように、地方におきましては、地方自治体の方でバスですとか地下鉄ですとか、自分たちの住民の福祉政策として既に取り入れております。私たちも一層JR等に対しまして努力していきたいと、そう思っております。
  90. 吉川春子

    ○吉川春子君 どの程度取り入れられているか、数字をお示しください。
  91. 佐藤静雄

    ○副大臣佐藤静雄君) 公営事業者、約三十都市ですね、地下鉄やバスの割引をいたしております。民間事業者では七十事業者、路面電車、バス、タクシーなどに取り入れられております。
  92. 吉川春子

    ○吉川春子君 JRでこれを実施すると費用はどれぐらい掛かると試算しておりますか。
  93. 佐藤静雄

    ○副大臣佐藤静雄君) ちょっと通告ありませんでしたので、手元に資料がございません。
  94. 吉川春子

    ○吉川春子君 通告して私は資料をいただいているんですが、JRで八十四億円、民鉄では二十六億円、バスは四十三億円と、こういうことをそちらからいただいておりますので、私の方で示しておきます。  それで、大臣が、各大臣が繰り返しこれを実現すると言って久しいんですよ。何年掛かったらこれは実現するんでしょうか。大臣国会で答弁しているということは重いと思いますよ。まだ何年も、もう数年間もこれをやりますやりますという答弁を国会で続けていくつもりですか。それとももっと、すぐに具体化していただきたいと思います。
  95. 佐藤静雄

    ○副大臣佐藤静雄君) なかなかできなかったのは、先ほど申し上げましたとおり、閣議決定が重かったんだと思います。  しかし、この精神障害者に対する割引運賃制度を取り入れようと、我々国土交通省といたしましても事業者に強く今まで言ってきております。事業者の皆さんが努力をしていただくことも非常に大切です。政府がやるべきこと、福祉としてやるべきこと、自治体がやるべきこと、いろいろあると思います。しかし、事業者の皆さんが障害者の皆さんのために自分たち一緒に頑張ろうと、そういうふうに決意をしていただくことが大切だろうと思いますから、そういう意識になっていただけるように全力を挙げてこれからも努力してまいりたい、そう思っております。
  96. 吉川春子

    ○吉川春子君 事業者に努力の決意を促して五、六年たっているわけじゃないですか。これからもそういう方法でしかないんですか。もう一度どうぞ。
  97. 佐藤静雄

    ○副大臣佐藤静雄君) 一層努力してまいります。
  98. 吉川春子

    ○吉川春子君 官房長官精神障害者についてだけJRや高速運賃の割引制度がないというのは、私は法の下の平等まで引用はしませんけれども、しかしこれは非常に不公平な事態でもあるわけですよ。そして、精神障害者欠格事由も相対化して社会参加を進めていこうと、こういう法律改正政府はやっているわけですから、是非これは、すべての大臣を統括するのは総理ですけれども、そういうまとめる位置にある内閣府の長である官房長官が是非精神障害者のJRや高速運賃の割引制度の実現のためにリーダーシップを発揮していただきたい、一日も早く実現していただきたいということをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。──いや、もう時間がないので、官房長官にお願いします。
  99. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 福田大臣、御決意を。
  100. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) お申出の趣旨、研究さしていただきます。
  101. 吉川春子

    ○吉川春子君 終わります。
  102. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 私の第一番目は、吉川委員からも今質疑がありましたけれども、重複するかもしれませんが、官房長官お尋ねいたします。御答弁は同様になるかもしれませんが、よろしくお願いします。  本法案は船員法等五省庁所管の八法律を一括改正しようとするものでありますけれども、このような法律改正の手法は、法律改正技術としては是認できても、関係法律の所管委員会においてきめ細かな審査をする機会を損なうのではないかと、そういう意味において好ましい手法ではないのではないかというふうに私も思いますけれども、再度大臣の御見解をお願いします。
  103. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 今回の一括法案は、平成十一年八月の内閣総理大臣を本部長とする障害者施策推進本部で決定したものでございまして、ここで「障害者に係る欠格条項の見直しについて」と、こういう決定でございますが、この決定に基づきまして、障害欠格事由とする免許制度等を有する船員法を始めとする五省庁所管の八本の法律を一括して見直すということになったものでございます。  法案の具体的な措置は行政の各分野に及ぶものでございますけれども、各法案改正事項はいずれも障害者社会参加制度的な障壁になっている欠格事由の適正化を図るものに限られているということでございまして、一つの政策目的に集約されております。それから、一つ法案にまとめるということによりまして改正事項の欠格事由の適正化の適否ということについて総合的に御判断いただけると、こういう利点があるわけでございます。なお申し上げれば、この欠格事由の適正化に懸ける政府の姿勢も明確にすることができるということでございます。  というような理由から、障害者施策に関し政府全体としての総合的な推進を担う内閣府で一括法案として国会に提出いたしまして御審議をいただくということになったわけでございます。  この国会に提出をしまして、その後どのような審議をしていただくか、このことは国会の方でお決めいただくことでございますので、今御審議をそのようなことでいただいておるという次第でございます。
  104. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 アジア太平洋地域障害者の完全参加と平等に関する宣言、第四十九回アジア・太平洋経済社会委員会総会決議において、これは一九九三年四月二十九日に採択されておりますけれども、次のように述べております。我々アジア・太平洋経済社会委員会の加盟国及び準加盟国の政府指導者は、アジア太平洋地域において、栄養不良及び疾病、環境汚染、自然災害、交通及び産業の事故、市民間の紛争及び戦争のため、日々人々が障害者になっていることを認識すると述べております。  これらの加盟国及び準加盟国全体では、そこに述べられている原因別の障害者の数はそれぞれどのくらいになっているか、承りたいと思います。そして、ベトナム、カンボジア、アフガニスタン等で戦争によって障害者となった員数はどれぐらいいるのか、お伺いいたしたいと思います。
  105. 渥美千尋

    政府参考人渥美千尋君) 外務省の参事官でございます。  今、先生から御紹介ございましたアジア太平洋地域における障害者の統計でございますけれども、アジア・太平洋経済社会委員会、すなわちESCAPは、当該地域障害者総数につきましては、もちろん障害者の定義によるわけでございますけれども、総人口の四%から一〇%、つまり約一億五千百万人から三億七千八百万人程度と推定しております。  ただし、ESCAPの資料によりますと、障害者の定義や調査の方法が国ごとに違っておりまして、国際比較が難しいということで、障害者統計の整備は進んでいないのが現状と承知しております。また、域内の途上国では、統計の関連部門が無関心でありましたり、障害が秘匿されやすい傾向にあるということもありまして、必要なデータがそろっていないということも聞いております。  こうした背景もございまして、ESCAPでは、要因別の障害者数に関する統計データ、これは持っておらないということで、ESCAPの資料は単に域内の栄養状況の悪さ、それから地雷の撤去作業の遅延、銃の普及、交通の増加に伴う事故の増加、高齢化といった要因が障害者数の増加につながると、こういうふうに警告しているにとどまっていると承知しております。  なお、ベトナム、カンボジア、アフガニスタンにおける戦争に起因する障害者数ということの御質問もございましたけれども、これにつきましても同様にESCAPの統計としては発表されていないというふうに承知しております。  ただ、現在、国連の統計委員会等で世界的なレベルでの取組もございますけれどもESCAPにおきましても、域内各国の統計の職員を対象としたワークショップあるいは研修といったことを行いまして、地域障害者統計の標準化に向けた担当者の能力の向上、こういったことに取り組んでおるというふうに承知しております。
  106. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 そういう、せっかくアジア太平洋地域障害者、その員数が把握できないということは、やっぱりそれだけ各政府の責任であろうかと思いますけれども、やっぱりこれから障害者が何名おってどういうふうな施策を取るというふうなちゃんとしたものがなければいけないと思いますけれども、その員数の確認、努力目標というのはどういうふうな姿勢で考えておられるか、お伺いいたします。
  107. 渥美千尋

    政府参考人渥美千尋君) 具体的な目標という数値にはなっているわけじゃございませんけれども、先ほど申し上げましたように、ESCAPの中でも統計関係の担当者、これを訓練してきちんとした統計ができるということを今やっておりますので、日本としてもいろんな形で既に協力しておりますけれども、こういった面でも何ができるか考えて積極的に対応してまいりたいと、こういうふうに思っております。
  108. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 これは大体めどとしてはいつごろまでにはそういったふうな数字がはっきりできますか、もし。
  109. 渥美千尋

    政府参考人渥美千尋君) 申し訳ございませんけれども、具体的ないつまでというところまで私どもは分かりませんが、大事な話でございますので、事務局とも相談してこの問題につきましてフォローアップしてまいりたいと思っております。
  110. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 次に、現在、我が国身体障害者の総数は何名おるか。男女別、発生原因別でそれぞれどれだけなのかを承りたいと思います。
  111. 高原亮治

    政府参考人高原亮治君) 我が国障害者の総数でございますが、身体障害児・者が約三百二十万人、知的障害児・者が約四十六万人、精神障害者が約二百四万人というふうに推計しております。  次に、男女別でありますが、身体障害児・者につきましては、男性が百六十五万人、女性が約百四十四万人、知的障害児・者につきましては、男性が約二十六万人、女性が約十八万人、精神障害者につきましては、男性が約九十一万人、女性が約百十三万人と私ども推定しておるところでございます。  発生原因につきましては、身体障害児・者のうち疾病、病気でございますが、原因とするものが全体の約六四%でございます。さらに、事故を原因とするものが全体の一八%ということになろうかと思います。知的障害の発生原因については、これは大変難しゅうございますが、遺伝が約五%、早期胚発達異常、いわゆる胎児の非常に小さいものを胚と言っておりますが、これの発達異常が三〇%、妊娠中及び周産期の感染とか中毒といった問題が約一〇%というふうに医学的に言われております。精神障害につきましては、様々な諸説があることは御案内のとおりだと思います。  以上でございます。
  112. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 現在の障害者の就業者数はどれぐらいになっているのか、そして障害者の就職希望者数及び失業者数は何人くらいいるのか、就業者はどのような職業に従事しているのか、お分かりでしたら御説明願いたいと思います。
  113. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) 障害者の就業の状況でございますが、まず全体の雇用状況でございますけれども、五年に一度就業実態調査を実施しておりまして、ちょっと古いんですが直近のものが平成十年でございますけれども平成十年の調査によりますと、五人以上の常用労働者を雇用している事業所雇用されている障害者につきましては、まず身体障害者は約四十万人、知的障害者が約七万人、精神障害者が約五万人ということでございます。  それから、就職の状況でございますが、昨年度、まだ三月の数字が出ておりませんので、十三年の四月から十四年の二月までの数字でございますが、公共職業安定所を通じて就職した障害者は二万三千二百八十五人でございます。それから、十四年の二月末の有効求職者、職を求めている方々でございますが、十四万二千七百三十九人でございます。  なお、その就職された方々の就職先の職種でございますが、物の製造等が五二%、事務的職業が一七%、専門的技術的職業が八%、サービスの職業が七%、販売の職業が七%などとなっております。
  114. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 就職希望者が十四万二千三十何名かおるというふうな状況でありますけれども、その努力目標としてはどういうふうなことで今指導されていますか。
  115. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) 目標としましては一人でも多く就職していただけるようにという努力をしておりまして、具体的な施策としては、法律に、障害者雇用促進法という法律に基づきまして雇用制度がございますが、この制度に基づいて事業主に対して指導助言等を行い、雇い入れてもらうように行うとか、障害者に対しまして職業に就けるようにということで職業リハビリテーションなどを実施して就職の促進を図っているところでございます。  なお、障害者の職場を拡大するということ、それから精神障害者、知的障害者等就職が特に困難な障害者の自立を図るということで、現在、先ほど申し上げました障害者雇用促進法改正法案を今国会に提案させていただいておりまして、現在御審議いただいているところでございます。それらの法律等に盛り込みました施策等も今後着実に実施をすることによりまして、一層の促進に努めてまいりたいというふうに思っております。
  116. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 現在、公共交通機関及び官公庁の建物におけるバリアフリー化はどの程度進捗しておりますか。お伺いいたします。
  117. 伊藤鎭樹

    政府参考人伊藤鎭樹君) それでは、私の方から公共交通機関のバリアフリー化の現状について御報告いたします。  まず、旅客施設でございますが、平成十二年十一月に交通バリアフリー法が施行されまして、その基準ということで見ますと、一日当たりの平均利用者数五千人以上のそういう鉄道駅で大体全体に対して二九%の進捗率でございます。バスターミナルが六〇%ということでございます。旅客船ターミナルが三三%。  航空旅客ターミナル、いわゆる空港でございますが、これは基準に適合しているという意味では五%という数字でございますが、エレベーター、エスカレーター、スロープが設置されているという意味でいえば一〇〇%という形になっております。ただ、このバリアフリー法の基準では、エレベーターについても、例えばガラスで中が見えるとか鏡があるとか、そういうふうにより高い基準になっておりまして、そういう点ではまだ五%ということで、これからも引き続き努力していかなければならないと思っております。  それから、車両等につきましては、バリアフリー法の考え方が、これから新たに新設される、新造される、そういうものについて義務という形になっておりまして、そういう意味では、まだ現状では全体の七%ぐらいが低床バス、ノンステップバスという、そういう状況でございます。  それから、交通バリアフリー法では、併せて市町村が駅等の旅客施設を中心に駅前広場や道路等を一体としてバリアフリー化していく、そういうための基本構想を策定すると、こういう仕組みになってございますが、その基本構想の策定状況ということで申し上げますと、十三年度末時点で策定済みが十五、作成中が三十七、今後作成予定のところが大体、約五百ぐらいの自治体というふうな状況になってございます。  以上でございます。
  118. 春田浩司

    政府参考人春田浩司君) 国土交通省が実施しております官庁施設整備バリアフリー化の進捗状況についてお尋ねがございましたけれども国土交通省では、官庁施設が国民の公共施設として親しみやすく便利でかつ安全でなければならないと、そういうことから官公庁施設の建設等に関する法律に基づく整備方針を定めて、バリアフリー化につきましても、今日まで高齢者障害者が円滑に利用できる官庁施設の整備を行ってきたところでございます。  このため、大分古くなりますけれども、昭和四十八年度から、新築の施設のうち特に車いす利用者の来庁が見込まれますような、例えば公共職業安定所、労働基準局等を対象にしまして、障害者用トイレや玄関の自動扉、スロープなどの整備を開始しております。昭和五十年度からは、この公共職業安定所等に限らず、整備の対象を一般の庁舎に拡大をしております。昭和五十二年度からは、新築のみならず、そのとき既存の施設でありましたもの、庁舎に対しましても改修を行うなどの整備を行ってまいりました。また、平成八年度からは、従来の整備のほかに低層庁舎へのエレベーターの整備を加えておりまして、高齢者等の利用に配慮したバリアフリー化の一層の進展を図ってきたところでございます。  さらに、今年度からは、高齢者障害者のみならず、乳幼児を連れた人などすべての人が円滑かつ快適に利用できる多目的トイレを各階に設置する、そういったもののほか、必要に応じまして玄関以外の官署の入口の自動化、それから屋外には憩いの空間を設けるなど、いわゆる質の高いバリアフリー化庁舎の整備推進することとしております。  そういったことから、今後は、引き続き既存庁舎における低層庁舎へのエレベーターの整備を行うとともに、おおむね八百施設まだ整備を必要とする施設が残っておりますが、そういったものにつきましても、スロープや手すり等の改修を計画的に行ってまいりたいというふうに考えております。
  119. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 用語の問題について若干お伺いいたします。  精神障害者、知的障害者とはそれぞれどのようなものなのか、また、精神分裂症、精神病質その他の精神疾患とはそれぞれどのような疾病なのですか。これらは医学上の用語と法律用語との間にそごがありませんか。
  120. 高原亮治

    政府参考人高原亮治君) 精神障害者でございますが、精神保健福祉法第五条におきまして「精神分裂病、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害精神病質その他の精神疾患を有する者」とされております。  これらの医学的分類には、WHOによりますICD、国際疾病分類や、アメリカ精神医学会によりますDSM、精神疾患の分類と診断の手引というふうなものが用いられております。  知的障害児・者の定義でございますが、知的障害者福祉法及び児童福祉法において定義付けはなされておりません。知的障害により日常生活に支障が生じ何らかの援助を必要とする状態にある児者を考えて、対象として考えております。医学的にはいわゆる精神遅滞というふうに診断される場合が多いというふうに承知しております。  精神分裂病につきましては、先ほど申し上げましたDSM、精神疾患の分類と診断の手引によりますと、特徴的な症状といたしまして、妄想、幻覚、思考の流れに途絶えや挿入がある、考えがまとまらないというふうな点を特徴としておるというふうに言われておりまして、この考えがまとまらないといったような点を着目いたしまして、日本精神神経学会が統合失調症への名称変更を理事会で承認し、現在八月の世界精神医学会に向けて手続を進められているというふうに承知しております。  精神病質については、現在医学的には人格障害という名前が用いられておりまして、思考、感情、人と接する態度などが平均の人々より極端に乖離し固定したパターンを示しており、このため自らが悩んだり周囲の人々が悩まされたりする、こういうふうな定義となっております。  知的障害者につきましては、医学的概念を踏まえまして社会的な支援の必要性を加味した概念かと思われます。  以上でございます。
  121. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 時間がありませんので、前へ進みます。  国際連合は、知的障害者の権利宣言、第二十六回国連総会決議二千八百五十六、一九七一年十二月二十日で採択をしております。  我が国では、知的障害者福祉法、昭和三十五年法律第三十七号その他の法律においても知的障害者に関する明確な定義が法定されていないようでありますが、そのようなことでは、国連の宣言を尊重するという意味からも不都合なものではありませんか、お伺いいたします。
  122. 高原亮治

    政府参考人高原亮治君) 委員指摘のとおり、知的障害者福祉法におきましては定義付けはなされておりません。  この理由は、なかなかその定義をすることが難しいということもございますし、特に定義を行うことによって本当はサービスが必要な人が排除されてしまいはしないかということで、あえて、仮に知的障害者でない者が一時的に法の適用を受けてサービスを受けたとしても、その方がより立法趣旨に合致するという考え方を持っておるものでございます。  それから、権利宣言でございますが、知的障害者へのサービスや給付につきましては、委員指摘の知的障害者、当時は精神薄弱者という言葉を使われておりますが、その権利宣言を尊重いたしまして、障害者基本法及び知的障害者福祉法その他の法律に基づき、各種施策をおおむねこの権利宣言に出てくる内容に従いまして実施しておるところでございまして、今後ともその充実に努めてまいりたいと考えております。
  123. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 法第三条の通訳案内業法の一部改正の中に、免許申請を拒否する場合には当該申請者にあらかじめその旨を通知し、判断の適正性を確保するため免許申請者から求めがあったときは申請者意見を聴取する規定整備することとしているが、今回の欠格条項法案のうち、銃刀法において障害当事者からの意見聴取規定を設けないのはなぜか。次に、今回の欠格条項改正案のうち、放射線障害防止法において障害当事者から意見聴取規定を設けないのはなぜか、お伺いいたします。
  124. 黒澤正和

    政府参考人黒澤正和君) 銃砲刀剣類は、その本来の用法に従って使用することにより直ちに人を殺傷することのできる危険性の高い武器でございます。その保安上の管理も許可を受けた者本人が行うものでありますことから、銃砲刀剣類の適正な取扱いをできないおそれがある一定の者については、その範囲を法令上客観的に明確な形で定めた上で、一律に所持の対象から除外しているものでございます。すなわち、欠格事由に該当するか否かは客観的に判断され、補助者の利用のような本人側の事情を考慮に入れる余地がありませんので、申請者からの意見聴取のための規定を設ける必要がないものと考えておるわけでございます。  なお、銃砲刀剣類の所持許可申請に際しましては、必ず本人との面接が行われております。
  125. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 あと二、三質問する予定でありましたけれども、時間ですので終わります。  ありがとうございました。
  126. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 社民党の田嶋陽子です。  ということは、私は十二時二十分ぐらいまでオーケーということでしょうか。  それでは、参ります。  先ほど、福田官房長官からお話がありましたように、社会全体のバリアフリー化に伴って制度的バリア化も進んで、障害者に関しても、障害があるからこの仕事には就けないというような、様々な国家資格から門前払いされていたことがなくなることになります。これは大変喜ばしいことだと思います。六十三制度のうち、残り三本ということです。  私は、今回提出された法案について質問する前に、既に改正された医師法などについて、この医師法というのは今回の改正の見本になるものと言っていいものですから、その改正後の動きに関心を持って質問したいと思います。  昨年の法改正後の現状に関してお尋ねします。  法改正前は、障害者医師免許などの取得に際して、障害者に対して、視覚障害者、聴覚障害者、言語障害者精神病者には資格を与えないという絶対的条項がありましたが、法改正によって、心身障害により業務などを適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるものというふうに改正されましたが、その法改正後、実際に医師などの国家資格取得した人はどのくらいおりましたでしょうか。
  127. 篠崎英夫

    政府参考人篠崎英夫君) 法改正後、医師については現在のところございません。
  128. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 昨年の、医師法などの一部改正を成立してこれまでの欠格条項がなくなった代わりに、心身障害により業務などを適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるものには免許を与えないことがあるとなったわけですが、この厚生労働省令にはどう書いてあるかというと、「視覚、聴覚、音声機能若しくは言語機能又は精神機能障害により医師業務を適正に行うに当たつて必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者とする。」とあります。  もう一度、この法改正後の現状に関してお尋ねします。  これまでの視覚障害者、聴覚障害者、言語障害者精神病者には資格を与えないという絶対的欠格条項がなくなって、個々人の状況判断してという相対的欠格条項になったわけですけれども、これはまずどのようなサポートを試みてから判断することにしたのでしょうか。
  129. 篠崎英夫

    政府参考人篠崎英夫君) 御指摘のように、今回の改正によりまして、欠格事由によって一律に免許を与えないというのではなくて、その業務遂行能力を個別に判断をするということになったわけでございます。  ただいま先生がおっしゃいましたように、具体的に申しますと、その業務を行うに際して用いる補助的手段があるか、あるいはそういう補助的手段によって業務遂行が行えるかどうか、それから障害に対する治療状況など、そういうものを踏まえまして業務遂行能力の有無について個別具体的に判断をすると、こういうことになったわけでございます。
  130. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 障害者の当事者団体などが、数ある欠格条項のいわゆる元祖とも言われる欠格条項があった医師法の改正をターゲットに取り組んできたわけですが、その取組の中で、アメリカ在住の聴覚障害者のお医者さんを招きました、日本に。二〇〇〇年九月二十八日の朝日新聞の「ひと」欄、有名な欄ですが、そのうちの一人の聴覚障害者のアメリカ人医師、キャロリン・スターンさんが紹介されています。  アメリカでは、一九九〇年に、障害を持つアメリカ人法で障害や病気を理由にした差別は禁止されるという日本とはけた違いの障害者の権利が保障されているんですが、それにもかかわらずアメリカでも聴覚障害を持つ医師は七十人前後と伺っています。これは、法の運用のためには様々な環境が整わないと難しいということの証拠だろうと思うんですが、先ほど申し上げたスターンさんは、医学部生の時代に、費用の高さを理由に大学から手話通訳の打切りを通告されて、ちょうど家庭医の実習が始まった直後に聴力が低下して、医者への道をあきらめようと思ったこともあるんだそうです。ここから分かることは、教育段階の支援がどれほど大切かということだと思います。  これに関しては、内閣府でもこの教育機会の均等には積極的に取り組んでおられて、昨年の六月、障害者施策推進本部申合せをしています。この申合せの中では、欠格条項の見直しに伴う教育、就業環境などの整備についてという申合せですが、そこでは、教育・養成段階で、これ長いんですよね、まあずずずと来て、受講に際しても手話通訳、移動介助などの便宜の提供や点字教材、障害に対応する教育機器の配置などの支援を行うとしています。  そこで、教育機会均等化という点からお伺いします。  障害者施策推進本部のその申合せからしても、障害があることを理由に教育段階でも障害者に不利益がもたらされない、要するに差別がないようにするためには国として学ぶ機会を保障することが大事だと思うんですが、今回の法案に先んじて昨年既に法改正されている、医学部、薬学部など国家資格取得コースのある大学に対して、文部省は、障害のある学生の支援を具体化するためにどのように大学に働き掛けておいででしょうか。
  131. 清水潔

    政府参考人清水潔君) お答え申し上げます。  先生御指摘の、障害者等に係る欠格事由の適正化を図るための医師法等の一部を改正する法律でございますが、これを受けまして、私どもとしては、御指摘の点を含め、医学部及び薬学部を含むすべての国公私立大学長あてに高等教育局長名で通知を発して、同法律及び附帯決議の趣旨周知徹底を図るよう要請を行っております。  まず、入学前についてでございますが、これは従来から各大学への受入れについては通知を発しまして、能力、適性等に応じた学部への進学の機会の提供を広げるという観点から、例えば、具体的な例を示しまして、視覚障害者に対しては、試験時間の延長あるいは拡大鏡の使用を認める。聴覚障害者に対しては、座席を前列に配置すること、補聴器の使用を認める。肢体不自由者については、介助者の付与、車いすの使用を認めるなど、他の受験生に比べて不利とならないような特別な配慮を行うよう求めているところであります。  また、入学後の配慮についてでございますけれども、一般学生とは異なり、教育課程の履修あるいは学生生活全般にわたり特別な配慮を行う必要があると考えており、従前から、こういう学生が円滑な学校生活を送れるよう学習支援体制の整備を図ることが重要と考え、指導を行っております。  例えば、これを具体例で申し上げますと、人的支援として言えば、ノートテーカー、手話通訳、あるいは、その配置のための教育上の特別な配慮を行うための所要の予算措置。あるいは、施設設備については、エレベーター、スロープ、身障者トイレ、階段手すり等の整備を行っている、こういうふうな状況でございます。  先生の方から、医学部、薬学部における状況というようなことでございますが、法施行前、十三年度におきまして入学者も医学部等にはございます。また、現状といたしまして、サポート状況では、例えば、学生からの要望を踏まえて、補聴器の対応、ノートテーカーの配置等、教育上の特別な配慮も現に今行われている、こういうふうな状況でございます。
  132. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 様々な配慮をされておって、これからもしようと考えていらっしゃることが分かって心強く思います。  市民団体の全国障害学生支援センターの代表殿岡翼さんによれば、欠格条項があったころは、その資格取得ができないという見込みであることを理由に、障害者に対して大学では医学部や歯学部の入学を断ることがあったそうです。中には資格が取れなくても勉強したい人もいたはずなのに、こういう非情な状態があったということもお伝えしておきます。  この殿岡さんですけれども、仲間たちと、一人でも多くの障害者に大学で学ぶチャンスを得てもらいたいと、「大学案内二〇〇二障害者版」を作成しています。ここでは、大学の障害者学生の在籍有無とか障害種別の受入れ可否だとか入試のときの配慮だとか、いろんな情報提供をしているわけですが、その中で、問題は、国立の医学部でも視覚、聴覚、肢体、内部、知的、学習、各障害者の入学は認めてはいるんですが、入学試験での配慮などは行っていない大学もあるということです。入学は認めてやるけれども自分ではしごを掛けて上がってこいというのは、精神的、肉体的ハンディが大き過ぎて、教育機会均等を保障するには不親切過ぎると思うんですね。  先ほどのお話では、文部省としては予算や施策を打ち出して努力を見せているんですけれども、この殿岡さんたちの作成した大学案内を読む限りでは、受入れ側の大学の準備は、現実は準備不足だと思われるんですが、そのことに関してお伺いします。  各大学によっては、障害者受入れの歴史も異なるでしょうし、いまだに受け入れていない大学もあると思います。特に医学部では、実習などもあって受入れ方法にも戸惑いもあるんでしょうけれども、これだけの施策を打ち出しても受入れ体制が整っていない現実を見た今、これは先ほど松村先生もおっしゃっていたような仏作って魂を入れずということになるんでしょうけれども、一体何が必要と文部省では検討なさっておいででしょうか。
  133. 清水潔

    政府参考人清水潔君) 受入れ体制の問題についてのお尋ねでございますけれども、基本的に、私ども入学者選抜あるいはその後の学習の支援ということについて、それぞれの現実の問題といたしまして、実は様々な障害の様々な種類の様々な程度の学生の方がいらっしゃるという現実もございます。そういう中で、先生御指摘のように、なかなかある意味でこれまで受け入れて、受入れがなかった、あるいは少なかったという部分については、言わばその場合のニーズあるいはその必要性ということについての意識がまだ不十分なところもあるいはなしとはしないというふうに考えております。  基本的には、私どもそういう意味で、ある意味障害を持つ学生を受け入れるということは、ある意味で申し上げれば、障害者の学習に対する支援ということを超えて、それ自体大学における教育あるいは教育の在り方にもかかわる話であろうというふうに思っております。  私どもとしては、ある意味でおしかりを受けるかもしれませんが、基本的にこういう国立大学を含め、全国公私の大学での受入れ体制の整備に向けて、様々な形での機会をとらえながらその充実を図っていきたいと、このように考えております。
  134. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 教育機会の均等化支援という視点から、医学部や歯学部で障害者の学生への資金的あるいは人的支援を行っている大学はありますでしょうか。
  135. 清水潔

    政府参考人清水潔君) 先ほど御答弁申し上げましたように、例えば今、医学部の、法施行前の十三年度の状況でございますが、全体として、国立大学で申し上げれば医学部に四人の入学者がおります。  現実に言えば、資金的というのはおっしゃる意味はよく分かりませんが、施設設備の整備、あるいは様々な、例えばノートテーカーの配置についての言わば謝金等についての様々なそういう意味での教育上の配慮については私ども予算措置をしておりますし、その予算措置について、言わばそれが足りないからできないというようなことはない、そういうふうなつもりでございます。
  136. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 また、経験を重ねた大学の支援方法のノウハウを生かす方向で、障害学生への支援方法のガイドラインなどを作る予定はありますでしょうか。
  137. 清水潔

    政府参考人清水潔君) 先ほども申し上げましたように、言わばこういう受入れ受入れにつきまして言えば、様々な障害の種類、程度に応じて恐らく様々な工夫というのがあり得るというふうに思っておりますし、またそういう意味で、私どもとしては、例えば入学者選抜については局長名の通知で具体的な例を例示して示しております。  また、施設整備につきましては、いわゆる御案内のハートビル法におけるような、言わばその判断基準というものを前提としながら施設整備を進める、このようなふうに思っております。  また、教育上の配慮について、様々な個別具体的な支援というのは、いろんな形のいろんな工夫があろうというふうに思っております。  なかなか先生おっしゃったような意味での指針という形が、ある意味で、入学者選抜あるいは施設整備についてということについては、おおよそそういう指針的なものはあるというふうに申し上げてよろしいかと思いますが、実際上の個別具体的な学習支援については様々な形で生かしながらいろんなことを工夫していただくというふうなふうに考えており、言わばそういう柔軟かつ弾力的な支援ということを私どもとしては大学に求めているところでございます。
  138. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 では、今お話に伺った個々別々の柔軟な対応ということに関してお伺いします。  施設のハード面というところは一度支出をすればかなりの間使えるからお金は出ないんですけれども教育上の配慮ということに対しては、人件費から何から大変お金も掛かる状況にあるので大変だと思います。ただ、障害者の側の立場に立ちますと、一人一人今おっしゃったように個々状況はいろいろ違うわけです。  そこでお伺いしたいんですが、その一人の障害者に対してどのようなサポート体制を整えるべきか、本人と相談しながらコーディネートする役割も必要だと思うんですね。介護保険の中にあるケアマネジャーのようなケースでしょうか、ちょっと違うかな。そこで、このようなコーディネーターを大学に配置しておくお考えはありますか。
  139. 清水潔

    政府参考人清水潔君) 今、先生御指摘のようないわゆる役割を果たす大学におけるあれとしては、大学の教員が実態の例としてそういう役割を担っているという例が多いようでございます。教員が、あるいはそして教員の言わばあっせん、あるいはそこにおける、様々な学内におけるボランティア団体等、様々な形のものが置かれている、こういうふうなことでございます。
  140. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 私も教員でしたのでそういう役割を教員が担っているということは分かります。それから、学生たちもみんな障害者を助けています。にこにこしている障害者たちを見るととても元気が出るんですが、それでも個人的負担というのは教師にしても個々の学生にしても大変なものです。  そこで、私は、私の提案なんですけれども、コーディネーターが大学を巡回して障害者相談に応じる、あるいは障害者の面倒を見ている先生や学生の相談に応じる、そういう方法が一つあってもいいと思います。あるいは、障害者個人が電話相談、セクハラなどもあるわけですね、いろんなハラスメントがあります。そういう意味でも、電話相談あるいはファクスでの相談、それからパソコンでの相談体制を整えることなども考えられると思うんですが、いかがでしょうか。
  141. 清水潔

    政府参考人清水潔君) 御指摘のような方法も一つの方法として十分検討に値することであろうと思われます。
  142. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 障害者は、これを言うとまた何か言われそうですけれども、女性と同じで、どこかどこか、小さく小さく女になあれというので同じで、障害者も小さく小さく障害者になれ、遠慮してこの世の中を生きていけというようなメッセージがこれまでどこかにありました。  ですから、障害者であるから駄目という意識から、障害があっても何にでも挑戦できるんだという、こういう法の運用と同時に、それを運用する人たちの意識を変えていかなければいけないと思います。あらゆる可能性に挑戦しようとしているということ、それを国をも援助しているんだということを障害者たちに幼いころから伝えていかないと、せっかくの法律運用できなくて絵にかいたもちになってしまうと思います。  そこで、小中高の時代から支援も必要だと考えるんですが、小さく障害者にとどまらないための教育を実現するためにどのような方法を考えておいででしょうか。
  143. 清水潔

    政府参考人清水潔君) 私どもの今所管ではございませんが、初等中等教育段階でも様々な形でいわゆる障害を持つ児童生徒さんを、あるいは特殊教育諸学校のみならず普通学校でもいろんな受入れを行い、そしてそこの中で、様々に障害を持つ子供たちとともに教育をよりよい意味で実現していく、そういう形の工夫あるいはそのための指導というものが必要であろうというふうに考えております。
  144. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 では次に、資格取得後の欠格状況について伺います。  これは朝日新聞「ひと」欄に、先ほど紹介しましたキャロリン・スターンさんの、聴覚障害者のお医者さんの患者の三割程度が同じく聴覚障害者だとありました。すなわち、同じ障害を持つ人がお医者さんとして病院にいるということは、患者にとって安心材料の一つになると思うんですね。  二〇〇〇年十月五日付の朝日新聞では、「耳の不自由な人は病状を訴えるのも説明を受けるのも難しい。気後れして受診をためらい、手遅れになりがちだ。」と書かれています。つまり、今は聴覚障害者医者を選ぶという選択肢が余りにもないために、お医者さんに行くことを我慢している人もいるということです。  例えば、自分、私自身が聴覚障害者だとして、例えば手話が得意なのに筆記で自分の症状を訴えなきゃいけない患者の場合、やっぱり自分と同じ障害を持っている先生の方が共感できるというふうに思うのは当然のことだと思うんですね。ですから、聴覚障害者でない医者と、手話でコミュニケーションが取れる医者と、どちらかを選べと言われたら、やっぱり聴覚障害者医者を選んでしまうと思うんです。ですから、そういう意味でも、私は障害を持ったお医者さんたちは大変必要な人たちだと思います。  障害当事者たちのグループである欠格条項をなくす会が作成した「欠格条項にレッドカードを!」というものによれば、既に中途失聴者の精神科医は一九九三年から聴覚障害者外来を始めているんだそうです。このように、耳が聞こえなくなったとしても、その耳が聞こえないというほかの医者にはない持ち味を生かした仕事も現実にできるということですね。  でも、昨年の医師法などの法律改正前は、この取得後欠格、つまり国家資格を得て仕事に就いていても、欠格条項に該当する状態になったら主務大臣免許を取り消したり開業停止にすることがあると聞いています。そのため、大っぴらに自分は聴覚障害のある医者だとは言えない状況にあったと聞いております。  この資格後欠格は、改正後も、これはちょっと大変なんですけれども、適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるものとか、麻薬、大麻又はあへんの中毒患者だとか、医事に関し犯罪又は不正の行為のあった者と、そういうことになっているわけですが、その厚生労働省令にどのように書いてあるかというと、「視覚、聴覚、音声機能若しくは言語機能」云々、「精神機能障害により医師業務を適正に行うに当たつて必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者とする。」とあります。すなわち、資格取得後にこうなった場合、厚生労働大臣免許を取り消したり、期間を定めて医業停止を命じることができるということですね。  なぜこれを問題にするかというと、一つは、障害者になったからといって、これまで資格を持ちながら働いてきた人がその仕事から追い出されてしまうおそれを感じてしまうからですね。それともう一つは、障害者になっても働き続けることができるというモデルを社会に見せていくことが必要だと思うんですが、この法律だと隠してしまうことになります。  そこで、絶対的欠格から相対的欠格になったので、問答無用で視聴覚や音声機能障害者などの中途障害者になったからといって資格を剥奪することはないと思いますが、その中途障害者になった医者仕事を継続する意思がある場合、しかも周囲もそれをサポートする用意がある場合、もしかしたらサポートする用意があるなしにかかわらずに、この中途障害者になった医者の場合は一体どうなるんですか。
  145. 篠崎英夫

    政府参考人篠崎英夫君) 昨年の七月に所要の法改正を行いまして、絶対的欠格事由を相対的な欠格事由と改めました。この改正によりまして、御指摘の点でございますが、免許取得後に障害者となって欠格事由に該当することとなった方であっても、一律に免許を取り消すということではなくて、その業務遂行能力を個別に判断してその要否を判断すると、こういうことに、先ほどもちょっと御説明申し上げましたが、取得前も取得後も状況は同じということでございます。
  146. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) そろそろ時間ですので、あと二分ありますので、最後の質問にしてください。
  147. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 最後の質問ですか。そう言われたら困っちゃいました。まだ幾つか残っています。  そうですね、福田官房長官法改正に対して今後どのようなフォローをなさっていくおつもりですか。済みません、慌てて。
  148. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) いろいろと建設的な御意見も承りまして、いろいろと今後参考にさせていただきたいと思いますけれども、この欠格事由見直し後の運用につきましては、それぞれの制度の所管省庁において適切に対応していくものと考えておりますけれども障害者施策推進本部におきましても、障害者施策推進する観点から、障害のある方の資格取得状況などを適宜把握してまいりたいと思います。そしてまた、資格に関する教育、就業等の必要な環境整備にも関係省庁と連携して努めてまいりたいと思います。     ─────────────
  149. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、岡崎トミ子さん、森本晃司君及び井上吉夫君が委員を辞任され、その補欠として小川勝也君、山本香苗さん及び藤井基之君がそれぞれ選任されました。     ─────────────
  150. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  障害者等に係る欠格事由適正化等を図るための関係法律整備に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  151. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  長谷川清君から発言を求められておりますので、これを許します。長谷川清君。
  152. 長谷川清

    ○長谷川清君 私は、ただいま可決されました障害者等に係る欠格事由適正化等を図るための関係法律整備に関する法律案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党、国会改革連絡会(自由党・無所属の会)及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     障害者等に係る欠格事由適正化等を図るための関係法律整備に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項の実現に向け万全を期すべきである。  一、本法の施行に伴う政省令等の策定に当たっては、障害者関係団体はもとより医療関係者など幅広い分野からの意見聴取等を図り、障害者欠格条項見直しの本来の趣旨を損なうことのないよう努めること。  二、本法の施行に伴う政省令等改正に当たっては、障害者社会への参加と統合が真に促進されるものとなるよう配意すること。  三、本法の施行後における医療技術の向上、補助手段の開発、人的支援の拡充等、障害者を取り巻く環境の改善を適切に法令に反映させるため、欠格条項の在り方について五年を目途として検討を行い結論を得ること。  四、障害者対策に関する新長期計画の目標期間の終了後も、ノーマライゼーションの理念の普及を含め、障害者施策の一層の拡充に努めること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いをいたします。
  153. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) ただいま長谷川君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  154. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 全会一致と認めます。よって、長谷川君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、福田内閣官房長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。福田内閣官房長官
  155. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして、最大限の努力をいたします。
  156. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  157. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十二分散会