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2002-07-18 第154回国会 参議院 総務委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年七月十八日(木曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員の異動  七月十七日     辞任         補欠選任      本田 良一君     高嶋 良充君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         田村 公平君     理 事                 景山俊太郎君                 世耕 弘成君                 谷川 秀善君                 浅尾慶一郎君                 伊藤 基隆君     委 員                 岩城 光英君                 小野 清子君                 久世 公堯君                 沓掛 哲男君                 南野知惠子君                 日出 英輔君                 森元 恒雄君                 山内 俊夫君                 高嶋 良充君                 高橋 千秋君                 内藤 正光君                 松井 孝治君                 魚住裕一郎君                 木庭健太郎君                 八田ひろ子君                 宮本 岳志君                 松岡滿壽男君                 渡辺 秀央君                 又市 征治君    衆議院議員        修正案提出者   八代 英太君        修正案提出者   桝屋 敬悟君    国務大臣        総務大臣     片山虎之助君    副大臣        内閣府副大臣   熊代 昭彦君        総務大臣    佐田玄一郎君        財務副大臣    尾辻 秀久君    大臣政務官        総務大臣政務官  山内 俊夫君    政府特別補佐人        人事院総裁    中島 忠能君    事務局側        常任委員会専門        員        入内島 修君    政府参考人        内閣官房内閣参        事官       壷井 俊博君        金融庁総務企画        局長       藤原  隆君        金融庁検査局長  佐藤 隆文君        総務省郵政企画        管理局長     團  宏明君        総務省郵政公社        統括官      野村  卓君        郵政事業庁長官  松井  浩君    参考人        日本銀行理事   三谷 隆博君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○委員派遣承認要求に関する件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○日本郵政公社法案内閣提出衆議院送付) ○日本郵政公社法施行法案内閣提出、衆議院送  付) ○民間事業者による信書送達に関する法律案(  内閣提出衆議院送付) ○民間事業者による信書送達に関する法律の施  行に伴う関係法律整備等に関する法律案(内  閣提出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 田村公平

    委員長田村公平君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。  日本郵政公社法案日本郵政公社法施行法案民間事業者による信書送達に関する法律案民間事業者による信書送達に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案、以上四案の審査のため、来る二十二日、新潟県に委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田村公平

    委員長田村公平君) 御異議ないと認めます。  つきましては、派遣委員等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 田村公平

    委員長田村公平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 田村公平

    委員長田村公平君) 次に、政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  日本郵政公社法案日本郵政公社法施行法案民間事業者による信書送達に関する法律案民間事業者による信書送達に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案、以上四案の審査のため、本日の委員会内閣官房内閣参事官壷井俊博君、金融庁総務企画局長藤原隆君、金融庁検査局長佐藤隆文君、総務省郵政企画管理局長團宏明君、総務省郵政公社統括官野村卓君及び郵政事業庁長官松井浩君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 田村公平

    委員長田村公平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 田村公平

    委員長田村公平君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  日本郵政公社法案日本郵政公社法施行法案民間事業者による信書送達に関する法律案民間事業者による信書送達に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案、以上四案の審査のため、本日の委員会参考人として日本銀行理事三谷隆博君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 田村公平

    委員長田村公平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  9. 田村公平

    委員長田村公平君) 次に、日本郵政公社法案日本郵政公社法施行法案民間事業者による信書送達に関する法律案民間事業者による信書送達に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案、以上四案を一括して議題といたします。  この際、片山総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。片山総務大臣
  10. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 十六日の総務委員会において浅尾慶一郎委員より、信書定義に関するガイドライン罪刑法定主義との関係に関する質問について政府の見解を取りまとめていただきたいとの御発言がありましたので、御説明をさせていただきたいと思います。  今回の法案では、信書について、これまでの判例によって確立されてきた概念に基づき、特定受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書との定義規定を設けることとしております。  また、この信書概念への個別具体的な当てはめについて、できるだけ分かりやすくする観点から、信書に関するガイドラインを作成することとしているところであります。  このガイドラインは、あくまでも法律規定された定義規定に基づき、それに正確に沿う形で作成されるものであり、その当てはめの例を示すものであります。したがって、法律定義規定から離れて新たな規範を設けるものではなく、また、国民権利義務に関する法規範内容とする法規には当たらないものであります。  すなわち、このガイドラインは、郵便法第五条の罰則の規定である第七十六条の罪の構成要件を定めるものではなく、罪刑法定主義に反するものではございません。  なお、法律の解釈については、最終的には司法が法律に基づいて判断するところであります。  以上です。
  11. 田村公平

    委員長田村公平君) それでは、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  12. 南野知惠子

    南野知惠子君 おはようございます。自由民主党の南野知惠子でございます。  まず、便りのないのが良い便りお互いの無事を祈りながら自分も筆不精を許してほしいときに例えられた言葉だと思います。国家試験の合格又は就職、それと、我々にとっては当選などの便りを受ける赤いポストと、またさらに、玄関まで出て手渡される便りを待っていたことも思い出すぐらいすてきな郵便屋さんは、喜びにつけ悲しみにつけ我々の日々の生活に定着していると思います。  このたびの郵政関連法案につきましては、やや議論も尽くされたように思われますが、重複するかも分かりません。まず、基本的なことで、信書便法案の意義について、尊敬申し上げる片山総務大臣にお伺いしたいと思います。  信書便事業への民間参入者は、あくまでも国民利用者の立場に立って考えられていると思いますけれども、具体的にどのような利便利用者にもたらされるのでしょうか。所信的なことをお伺いいたします。
  13. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 今、南野委員からお話しございましたが、郵便事業は今までは国家独占でございました。今回のこの信書便法によりまして民間参入もできるということは、国家といいますか、一つ主体ではなくて複数の提供主体が登場しましてお互い競争する、国民にとりましては選択の機会が拡大すると、こういうことになるわけでありまして、適正な競争が行われることによりましてサービスの改善が図られる、場合によっては料金が安くなる、もっと丁寧なサービスが行われる、また、新たなサービス提供などのことも想定されると、こういうことでございまして、そういう効果を我々、期待しているわけでありますし、また、民間が入ってくるということによりまして、郵政公社も緊張いたしまして、今以上の競争に対する経営合理化、新たな対応、効率化、そういうことの努力を行うことであろうと、こういうふうに思っているところでございます。  具体的には、今度は大変自由度の高い経営ができるわけでありますから、公社の自主的な判断でこういうところは、例えばATMの話がよく出ますけれども、ATMをもっと自由に置こうと、今は予算の制約がございますが、そういうこと等の利便が私は図られるんではなかろうかと考えております。
  14. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございました。  国民に優しい郵政行政ということをこれからお心掛けいただくというための改正であるというふうにも理解いたしました。  一般信書便事業又は特定信書便事業、これへの参入につきましては、総務省ではどれくらい参入があるのかということを考えて、見込んでおられるのか、お伺いしたいと思っております。
  15. 團宏明

    政府参考人團宏明君) お答えいたします。  今度、信書便法によりまして、一般信書便事業者それから特定信書便事業者参入を認めるということにしたわけでございます。  御承知のとおり、一般信書便事業者につきましては、すべての信書取扱いが可能になるということでございますが、反面、ユニバーサルサービスの確保のためにクリームスキミングを認めないということで全国でのサービスを義務付けております。こういうことが行える事業者といいますものは、現在、宅配便等によりまして全国ネットワークを持たれている事業者がおりますので、そういうものがこの対象として考えられるということでこの制度を設けているわけでございます。  今現在のところ、具体的に名のりを上げているという状況ではございませんけれども、我々は、全国配達ネットワークを持たれている事業者がおりますので、十分ここの参入は可能と考えておりますが、事業者におかれましても、新しい事業でございますので、いろんな経営判断もあろうかと、それから、こういう法律審議、それから次の省令と、こういうことも見極めて判断されるのではないかというふうに考えておりまして、こういう審議を踏まえましてこれから積極的に検討されることを期待しているという状況でございます。  それから、特定信書便事業でございますけれども、これにつきましては、非常に速い時間でサービスするというような事業等、三類型がございますけれども、これにつきましては、既に一部の事業者参入というものがいろいろ報道もされているところでございます。  この関係につきましては、全国配達義務ということもございませんので比較的参入が容易ということでありますし、現実に速いサービスということを物流の世界でやっていらっしゃるということで、かなり具体的な参入が早くに決断されるんじゃないかというふうに見ております。しかも、東京のみならず地方でもこういうサービスが行われておりますので、かなり全国的な地域におきまして積極的な検討がされるのではないかというふうに期待しております。
  16. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございました。  やはり新事業への参入ということは、利益ということも伴っているというふうに思いますので、そういう事業者にも優しい郵政行政であってほしいと、そのようにも思っております。  次に、特定信書便事業につきましてお伺いいたしますが、特定信書便事業を行おうとする場合、提供する役務について三つ条件があったかと思います。一つは、三時間以内に信書便物送達する、二つ目は、千円以上のもの、また三つ目は、長さ、幅、厚さの合計が九十センチを超え、また四キログラム以上のものとされております。これらのそれぞれの条件につきまして、根拠とされていることについてお伺いしたいと思います。
  17. 團宏明

    政府参考人團宏明君) 特定信書便事業を行います特定信書便役務でございますが、これは、基本的にユニバーサルサービスに支障のない高付加価値サービスということを類型化したものでございまして、これ、いかにも民間創意工夫が生かされるサービスであろうというふうなことで三つ要件法律上明記させていただいているところでございます。しかも、全国送達義務ということを課すことなくいろんな工夫ができるというふうに期待しているものでございます。  それで、三つ要件でございますけれども、まず一つには、長さ、幅、厚さの合計が九十センチメートル超、あるいは重量四キログラム超というふうなものの信書ということが一つでございますけれども、これにつきましては、今度、郵政公社提供義務を課しております通常郵便物の大きさ又は重量というのを超えたものでございまして、これは義務的に公社が行わないものでありますので、特定信書便役務としてこれを認めるということにしているものでございます。  二つ目に、三時間以内の送達というふうなことでございますが、これは、昨年の研究会以来、関係事業者ヒアリング等を経た上で三時間以内としているものでございますが、現況、現在のバイク急送便と言われているようなものが大体一、二時間程度送達を行っているというふうなことでございまして、かなりこれが需要としても伸びていると。そういうサービスにこの信書も乗っけるということになりますと、非常に自然な格好で参入ができるのではないかというふうなことを考えたところでございます。  それから、三時間を超えてどうかと、五時間とか六時間とかいうことがどうかという議論も一部にはございましたけれども、そういう余り時間が長くなりますと、現在の比較的中小の企業が小回りを利かせてやっておりますけれども、かなり一般信書送達に近くなりますので、そこら辺のクリームスキミング問題等につきまして問題が起こるのではないかということで、三時間以内が適当ではないかというふうに考えたものでございます。  三点目に、料額によるサービスでございますが、千円の下限ということにしてございますが、これは一つには、現在これに近いものとしては郵便でいいますと書留速達というのがございます。この特殊取扱いを加えますと、郵便料金は大体千円以下というふうになるのが一つでございます。もう一つは、民間の今の実態からしまして、民間バイク便、この料金が最低千円程度というふうなことでございまして、こういう民間側事業者実態あるいはサービス提供体制にも合うのではないかというふうなことで、この三つ類型を明記させていただいているというものでございます。
  18. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございました。  次には、本年一月の件でございますが、総務省郵政事業に関します行政評価、さらに監視結果に基づく勧告がなされたと思います。増収施策の中で取扱実績が当初の予測を大幅に下回り多額の赤字を計上しておりますが、この見直しが行われないままに継続されている例があるといたしまして、新超特急郵便それから新特急郵便が挙げられておりますけれども、どのようにそれらを検証し、また今後それにどのように取り組んでいかれるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  19. 松井浩

    政府参考人松井浩君) お答え申し上げます。  先生御指摘いただきましたように、郵便事業で特に様々な増収施策を実施しておりますけれども、行政評価局勧告がございましたように、導入後の適切な時期に期待した増収効果が得られているかどうかの把握が十分でないというものもございました。  こうしたことから、私どもといたしましては、勧告趣旨を踏まえまして、施策の実施後、一定期間を経過した時期において、当初の想定の、例えば取扱物数だとかあるいは収入見込額あるいは運営経費、コストです、そういったもの等がそういった効果が得られているかどうかについての評価、分析を行いまして、そうした効果が現われていない場合には必要な見直しをやるということでやっていきたいというふうに考えております。  先ほど御指摘いただきました新超特急郵便、これは引き受けましてから三時間以内に配達するというものでございます。それから、新特急郵便というのは、午前中に引き受けたものは夕方の五時ごろまでに配達するというものでございますが、こういったものにつきまして、需要見込み物数やあるいは収支状況が当初の見込みと大きく違っております。そういう中で、廃止も含めまして、サービス見直しについて今鋭意検討を進めております。廃止するとの結論までまだ至っておりませんけれども、今検討しておるところでございます。  いずれにいたしましても、今後の事業経営効率化合理化に一層努力してまいりたいというふうに思っておりまして、そういう中で良質なサービス提供していくための努力に取り組んでいきたいと思っております。
  20. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございました。  郵便配達にも「ひかり」やら「こだま」やらがあるように思うわけでございますが、これらをなるべく国民にとっては、「ひかり」又はもっと速い便で届きますようにということも願ったりいたしております、悪い便りは遅くてもいいんですが。  郵便事業におきましては、障害者方々に対して行われます各種施策のうち、郵便料金の面での各種軽減措置がございますが、第三種郵便物及び第四種郵便物として利用できる郵便物内容及びそれらの郵便物利用料金を軽減している目的、その理由についてお尋ねいたします。
  21. 團宏明

    政府参考人團宏明君) 御指摘の第三種、第四種郵便物制度でございますが、これは現行郵便法規定しているわけでございます。  このうち、第三種郵便物でございますけれども、これにつきましては、新聞雑誌等定期刊行物郵送料を安くするという施策でございます。これにつきましては、新聞雑誌等国民文化普及向上に貢献するというふうな機能に着目いたしまして、この購読者負担を軽減することによりまして、もって社会文化の発展に資するという趣旨でこの低減制度を作っているわけでございます。  この中でも、低料第三種郵便物としまして、月三回以上発行する新聞心身障害者団体の発行する定期刊行物については、より低料な料金を設けるというふうなことを、これは郵便規則で設けているというものでございます。  次に、第四種郵便物でございますけれども、これにつきましては四つ類型がございまして、まず通信教育のための郵便物、二番目に盲人用郵便物、これは無料でございます、三つ目農産種苗等内容とする郵便物四つ目学術刊行物内容とする郵便物の四種類でございますが、これ、それぞれ学術教育普及振興、目の不自由な方の福祉の増進、農業の生産性向上目的とすると、こういうふうなことに資するということに着目しまして料金低減ないし免除ということを決めているという制度になっております。
  22. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございました。  福祉等目的にもお計らいがあるということは大変うれしく思います。  一昨日の委員会におきましても、総務大臣は、料金認可に当たりましては第四種郵便無料扱いを継続するというふうにおっしゃられました。このことを再度確認させていただきたいと思います。  さらに、第三種郵便物心身障害者聴覚障害者盲人用点字対象とした小包につきましても、現行軽減措置を継続していただきたいと思いますが、そのことについてどのようにされるのか、お伺いいたします。
  23. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 盲人用郵便物につきましては、かねがね当委員会でもいろんな御議論を賜っておりますが、御承知のように、昭和三十六年以来無料として、目の不自由な方々生活に定着して社会福祉向上に大変私はこの無料制度は寄与してきたと、こういうふうに考えております。  それで、郵便物料金の問題でございますが、政策料金を行ってもらうということは法定いたします。料金公社に決めていただくわけでありますが、それは総務省の方で認可すると、こういうことになりますので、我々の考え方は、何度も申し上げましたように、現行無料を継続していただく、そういうことで認可したいと、こう考えております。  また、今、南野委員言われました障害者の方の小包郵便物盲人用点字小包郵便物聴覚障害者用小包郵便物料金でございますけれども、これは、現在、法律上の規定ではなくて省令により軽減いたしております。公社化後におきましては、これは公社が届出で決めれると、こういうことになるわけでございますけれども、特段の事情変更がない限り現状でやっていただくと、こういうことを公社に申し上げたいと考えております。
  24. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございます。  是非そのようにお計らいをいただきたいというふうに思います。  第三種郵便物及び第四種郵便物制度を維持するということは、政策的には必要なことでありましても郵便事業財政面においては負担になっているとも考えられます。今後、サービス提供する主体が国から公社へ移行した場合におきましては、国として減免した額を補てんすることも必要ではないのかと心配しているところでございますが、総務大臣の御意見をお伺いいたします。
  25. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) これが財政負担にならないと言ったらうそになるわけでありまして、現状のままでも三百二十億を超える持ち出しというのか負担郵便事業特別会計が担っているわけでございますので、公社になりましてもそういうことに私はなると、こう思いますけれども、大きな世帯の経営努力の中で吸収していただくと、こういうことでございますから、ずっと将来大変な負担になるようなら、これは政策料金ですから国の福祉施策の一環としてお願いするわけでございますが、そのときはそのときで、その他の助成等を含めて検討する余地はある、検討する必要が出てくることもあり得ると、こう思っておりますが、当面は、私はもう相当の期間はないものだと考えております。
  26. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございます。  経営面への御努力もされることと思います。また、福祉についても大事な面でございますので、よろしくお願いしたいと思っております。  また、総務省では、毎年寄附金付年賀はがきを発行しておられ、福祉団体にその寄附金を配分したり、また、災害時に寄附金付切手を発行されて被災地支援に役立てたりしておられますけれども、その現状についてと、また、このことは公社化後も引き続き行うべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  27. 佐田玄一郎

    ○副大臣佐田玄一郎君) 先生、今質問にありました寄附金付お年玉付郵便はがきは、お年玉付郵便葉書等に関する法律に基づきまして昭和二十四年以降毎年発行しておりまして、国民の善意による寄附を受託することによりまして郵便事業としても社会に貢献させていただいているというふうに考えておるところでありまして、平成三年からは寄附金付お年玉付郵便切手、平成四年からはグリーンエコーと呼んでいる、非木材紙を利用した、これは環境に優しいものでありますけれども、寄附金付広告付はがきも発行しており、これら三種類のはがき及び切手に付加された寄附金を、毎年三月下旬ごろに郵政審議会に諮問した上で、社会福祉の増進を目的とする事業、がん、結核、小児麻痺のほか、特殊な疾病の学術的研究、治療又は予防を行う事業、青少年の健全な育成のための社会教育を行う事業等、十種類の事業を行う団体に配付しているところであります。  平成十三年用の寄附金付お年玉付郵便はがき等に付加された寄附金については、約十六億五千万円を五百二十三団体に配付したところでありまして、平成十四年用のものについて付加された寄附金については、約十四億一千万円を四百二十四団体に配分することとしておるところであります。  また、ただ、今説明いたしました定例の寄附金付お年玉付郵便はがき等のほか、長野オリンピックや二〇〇二FIFAワールドカップのような国家的行事に関する特別措置法に基づく寄附金付郵便切手、お年玉付郵便葉書等に関する法律に基づくところでありますけれども、阪神・淡路大震災、三宅島の噴火等、災害などによりますところの寄附目的に限定した寄附金付郵便切手の発行、寄附金の配分をも行っておりまして、災害関係のものといたしましては、先ほども申し上げましたように、阪神・淡路大震災の際は約九億四千万円を兵庫県及び神戸市に、有珠山噴火災害の際には約三億五千万円を三市町村に配付しまして、三宅島の噴火等災害の際には二億八千万円を五つの村に配分し、被害者の救済に充てているところであります。  公社化後は、寄附金付郵便はがき・郵便切手については、日本郵政公社法第十九条二項一号及び日本郵政公社施行法による改正後のお年玉付郵便葉書等に関する法律に基づきまして公社がそれらを発行することができ、それらに付加された寄附金の配分は総務大臣の認可を得て公社が決定するものとしているところであります。  ここでは、条文上には、公社が発行する業務を行うことができるというものでありますけれども、寄附金付お年玉付郵便はがき等は五十年余りにわたって発行されて社会的に定着しておりまして、国民福祉の増進等に着実な成果を上げているものでありまして、したがって、公社に移行しても、引き続き国民社会福祉団体等の負託にこたえるためにも、国営の公社における社会貢献的施策として発行していくというふうな考えを持っているところであります。
  28. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございました。  いろいろとお話しいただきました。一月十五日のお年玉付番号を合わせるのも国民の喜びになっているというふうにも思っております。  また、貯金におきましても、国際ボランティア貯金は海外援助を行いますNGOなどにも配分され、支援しておられます。私もかつてユーゴ内紛により破壊されたクロアチアの小学校、これ、五校を修復させていただきましたが、ザグレブの会を主宰しておりました。大変努力した支援でございましたけれども、国際ボランティア貯金を有効に活用させていただき、先方からも感謝され、またその制度を利用できたことを私も感謝いたしております。  そこで、国際ボランティア貯金の現状はどうなっているのでしょうか、また、貯金利子が大変少なくなっているとは思いますが、公社化後も引き続きこれを続けていただきたいと思いますが、いかがでしょうか、お尋ねいたします。
  29. 佐田玄一郎

    ○副大臣佐田玄一郎君) 先生御指摘ありました国際ボランティア貯金につきましては、預金者からの委託を受けて、通常郵便貯金の利子の全部又は一部を海外で活動する、今おっしゃられましたNGOに配分いたしまして、開発途上地域の住民の福祉向上に役立てる制度であるわけであります。  平成三年一月に取扱いを開始いたしました国際ボランティア貯金は、多くの国民の皆様方から御賛同いただいた結果、加入件数も着実に伸展しておりまして、平成十四年三月末現在では、加入件数は二千六百二十七万件となっているところであります。制度創設から十二年間の累積では、約百七十九億円を世界九十一の国・地域で行う医療、保健衛生、教育などの援助事業に配分してきたところでありまして、平成十四年度における国際ボランティア貯金の寄附金については、本年六月十三日に郵政審議会の答申を経て、百三十七団体が三十六の国において実施する百五十事業に三億四千百二万八千円を配分決定したところであります。  また、公社化後は、国際ボランティア貯金は、日本郵政公社法及び日本郵政公社施行法による改正後の郵便貯金の利子の民間海外援助事業に対する寄附の委託に関する法律に基づきまして公社が実施することができ、寄附金の配分は総務大臣の認可を得て公社が決定するものとしているところであります。  このように、条文上は公社がボランティア貯金を行うことができるというものであるところでありますけれども、国際ボランティア貯金は、多くの国民に定着した世界に例を見ない制度として内外に広く認知され、開発途上地域の人々の福祉向上に着実な成果を上げているものでありまして、したがって、公社に移行しても、引き続き国民民間援助団体、NGOの負託にこたえるため、国営の公社における社会貢献的施策として実施していくという所存であります。
  30. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございます。  是非続けていっていただきたいと思いますし、困っている方々、被災、罹災、戦争、そういった方々への日本からの愛の贈物となるだろうと思っておりますので、すてきな郵政行政にこれを反映していただきたいと思っております。  最後でございますが、過疎地域におけます高齢者の在宅福祉サービスの支援についてでございます。  昨日の参考人方々もお話ししておられましたが、ひまわりサービス現状、またその評価、さらに公社化後も引き続き行っていただけるのか、そのことについてお尋ねいたします。
  31. 山内俊夫

    大臣政務官山内俊夫君) 先生質問のこのひまわりサービスというのは、もう既に平成九年の八月から全国の過疎地域を対象に展開を図っておりまして、平成十四年三月末現在におきましては全国二百二十一の市町村、三百二の郵便局で実施されております。  内容についてはもう既に御承知かと思いますけれども、このひまわりサービスというものは、昨日、今御指摘いただいたように、参考人の御意見、大変我々も感銘を受けたわけでございますけれども、お年寄りの方々に大変喜んでいただいております。地域の方々郵便局の信頼にも大変つながっているものと我々も理解をいたしておりますから、公社化におきましても、国営の公社として地域の利用者の皆様のお役に立っていくということが大変重要と考えておりまして、引き続きひまわりサービスの充実を図っていきたいと思っております。
  32. 南野知惠子

    南野知惠子君 いい作業はどんどん続けていっていただき、ますますの御発展をお祈りしたいと思っております。  ありがとうございました。
  33. 小野清子

    ○小野清子君 自由民主党の小野清子でございます。  諸先輩の質問といろいろとダブってまいりまして、内容質問する方もなかなか大変なところまで参りました。  明治四年に郵便事業というものがスタートいたしましたときには、全国ネットワークを構築する意味で、国に予算がなくて、それぞれの地域の全国の名士にお願いをして土地と建物を提供していただき展開することができたと伺っております。なお、引き続きまして特定局長さんたちのお力をいただき、百三十年余を超す歴史を持って現在まで来ているところでございます。  子供たちは、お正月が終わりますと、いただいたお年玉を片手に持ちながら家族と一緒に郵便局へ行きまして、初めて金融機関というものとの出会いをするのも郵便局ではないかと思いますし、そんなときに、背伸びをしながら初めて胸をとどろかせ、持っていったお金がなくなったと言って泣く子がいたり、様々な出発をしているわけでございます。  また、年を重ねていきますと年金をちょうだいしたり、いろいろとそれぞれの家族の中での人生の節目、折り目に郵便局が果たしてきました役割というものが走馬灯のように浮かんでまいりますけれども、この公社化によりまして国民生活にどんな利便性が生まれ、そして、現在ある郵便局というものが公社化をされることによって、国民の立場に立って、どう変わり、どう良くなっていって何が不便になるのか、そういうことがあるのかどうか、誠に基本的なことでございますけれども、具体的に総務大臣にお伺いをしたいと思います。
  34. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 今お話しのように、今の郵便局のネットワークは百三十一年ですかの歴史を持っておりまして、私は、いつも言いますように、地域社会に定着して大変国民の皆様に愛され利用されている機関だと、こういうふうに思っております。よく郵便局は情報、安心、交流の拠点だと、こう言いますけれども、本当に、地域から見まして情報の拠点であり、安心の拠点であり、交流の拠点になっているなと、こういうわけでございます。  今後、これが国そのものから国営公社に変わりましても引き続きユニバーサルサービスは確保していくと。その上に、国でなくて公社になるわけでありますから、予算や組織の制約は緩和されると。そういうことからいいますと、国民の皆さんの意向に沿った機動的、弾力的なサービス提供が可能となる。  どういうサービスをこれから提供していくかということが公社の知恵の見せどころということになりますが、ざっと考えましても、例えば今の料金の改定につきましては、予算に絡むものですから大変時間が掛かりますけれども、今後は公社が考えて認可なり届出をすればいいと、こういうことになりますから、これもかなり機動的な料金改定ができるということになります。  先ほどもATMの話を申し上げましたが、これは現在、予算により台数が決まるわけでありますけれども、今度は公社が独自でそれだけの需要があるところにはATMを設置できると、こういうことになりますし、国有財産であります郵便局等の合築等については市町村等に限定されておりますけれども、今度は、場合によれば民間のいろんな事業とのジョイントも可能になると、こういうふうに考えております。  それから、二つ目は、国の会計から外れまして企業会計原則によって行われる、こういうことになるわけでありますから、今よりは国民の皆さんには分かりやすい形で郵便局ネットワークのいろんな情報が開示されるということになると思いますし、また、公社でございますので、今以上に能力・実績主義に基づく人事制度を採用することによって職員の意識を高めて経営効率化サービス向上が図られると、こう思っておりますが、いずれにせよ、新しい経営陣の皆さんに公社制度のメリットをできるだけ国民の皆さんに明らかにするような形で是非具体化を図っていただきたい。公社になって良かった、やっぱり変わった、良くなったと、こういう評価をいただけるようなことを我々としては強く期待いたしているところであります。
  35. 小野清子

    ○小野清子君 南野先生とダブってしまいまして、第三種、四種の話は諸先生たちも全部御質問されたわけですけれども、先ほど、法律で書かれているのでこの件に関しましてはというお話がございまして、総務大臣が本日も、そしてこれまでも、法律に書かずに公社の方にそれは一任をするんだと、そういうお話がございました。一任をするということになりますと、やはり経営がどうなっていくかによってこれはどうなるだろうかという心配をするのも一方でございます。  先日発表されました郵政三事業の十三年度の決算によりますと、郵便事業は八十億円の黒字となっているという、こういう数字が出ておりますので、この辺りでは大丈夫かなと思うんですけれども、この辺辺り、経営の見通し、あるいは経営の改善に向けた取組というものについて、郵政三事業、特に郵便事業の在り方について御質問申し上げたいと思います。
  36. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 郵便事業は、おかげさまで十三年度の決算で八十億円の黒字、四年ぶりでございます、になりました。大変な経営努力郵政事業庁の皆さんにしていただいたと、こう思っておりますけれども。  この三種、四種を政策料金でやってほしいと、こういうことは法律に書くわけです。提供を義務付けるわけです、法律に。ただ、料金は今、盲人用のにつきましては無料と、こう書いておりますけれども、それは書かないと。提供の義務付けはするわけで、料金も安くしろということも書くわけですけれども、無料は書かないと、こういうことでございますが、ただ、料金の設定は総務大臣の認可でございますから、我々としては現行政策料金を維持してもらう、こういうことを基本に認可いたしたいと、こう考えておりまして、これは私個人の意見ではございませんで、役所として、機関としての、機関の長である総務大臣判断としてこういうことをやっていこうと、こう思っているわけでございます。
  37. 小野清子

    ○小野清子君 それから、信書という言葉がもう非常に飛び交っているわけでございますが、その信書定義については、日本以外の諸外国の中でも非常にまちまちのように見受けられました。今後ガイドラインを設けてより明確化されるということでございますけれども、今後どのような信書定義について国民に分かっていただくような表示をお考えになっていらっしゃるのかどうか、その辺を伺いたいと思います。
  38. 佐田玄一郎

    ○副大臣佐田玄一郎君) 先生言われましたように、信書という定義は基本的に非常に難しい部分もありまして、結果的には、昭和三十三年に最高裁の判例が出まして、それに従いまして信書か否かということを判断してきたわけでありますけれども、今回の法案におきましては、あえてその判例と同じ文章を法律の中に入れさせていただいて判断をしていくという形になったわけでありますけれども、先生がおっしゃるとおり、非常にまだあいまいな部分も相当ありますので、その辺を国民の皆様方に知っていただくためにもこのガイドラインを作成していく、期日は施行までには作っていきたいと、かように思っております。  と同時に、今、先生言われましたように、国民の皆さん方に分かりやすいガイドラインを作っていかなくちゃいけないと。できるだけ国民に分かりやすいような表現であるとか構成であるとか、こういうことをしっかりとやっていきたいと、こういうふうに思っています。  また、いろいろと皆さん方の意見がありましたら、それをガイドラインを作る中に盛り込んでいきたいと、こういうふうにも考えておる次第であります。
  39. 小野清子

    ○小野清子君 実は、昨日ちょっと読んでみましたけれども、普通の人間が、例えば、特定の人に対し自己の意思を表示し又は事実を通知する文書を総称するというのが日本の信書に対する言葉でございます。この言葉を聞いて何が分かるんでしょうか。分かりやすいとおっしゃいますけれども、本当に分からない、私は。  それで、いろんなところを見させていただきましたら、例えばアメリカの場合に、特定の者又は住所にあてられた通信であって、中をちょっと略しまして、有形物内又は有形物上に記録されたもの。カナダの場合には、あらゆる形態のメッセージ又はインフォメーション、全体で五百グラムを超えず、封筒に密封されているか否かにかかわらず受取人に運送され配達されることを意図されたもの。それから、EUの場合には、物品自体又はその包装上に差出人によって記載された住所あてに運送され配達されるあらゆる物理的媒体に記載された形態による通信。どれを読んでも非常に分かりにくい。  それで、どちらかというと、スウェーデンが、信書とは封筒又は他の包装物に封入されたあて名付郵便物で二キロまでのものをいう。本法の適用上、絵はがき、はがき及びこれに類するものも信書に含める。それから、オーストラリアは、特定の人又は住所にあてられた書面による通信物。何かこういう方が分かりやすいんですね。  はがきとか封書とかという言葉が出てくるとほっとするんですけれども、特定の人に対し自己の意思を表示し又は事実を通知する文書を総称するというと、封筒も何もないし姿が全然浮かばないんですね。それで、今、副大臣が期日までに分かりやすい表現でとおっしゃいましたけれども、この表現が、読んで文章の中からイメージがわかない。  それで、今、法律用語も片仮名文字から分かりやすい、人が読んで分かる法律文章にしようという努力がたしか始まっていると思っております。分からないのが法律であってはいけないと、このように思っておりますし、大体、演説にしても法律にしても、中学生が読んで分かるということが最低の条件になっていると私は承知しております。  これを読んで、副大臣、御印象はいかがでございましょうか。
  40. 佐田玄一郎

    ○副大臣佐田玄一郎君) 先生の本当におっしゃるとおりでありまして、昭和三十三年までにはそれもなかったわけでありまして、結果的には裁判で判定をしていったわけでありますけれども、それまでは諸外国の、先生今お調べいただいた要するに内容に近いもので、秘匿性があるとか特定な方に出すとか、あいまいもことしておったわけでありますけれども、今回、その文章それ自体も結局昭和三十三年から非常に議論がありまして、なかなか難しい部分、領域があったわけであります。  ただ、その一つの慣例の中で、例えばダイレクトメールは基本的に信書に含めるとか、ダイレクトメール自体は定義がありませんけれども、そういう慣例の中でやってきた。それでまた、先生今おっしゃられましたけれども、例えばある国におきましては封書に入れると。こういうことは一つの外見でありますから、例えば、日本なんかでも中身は調べるわけにいきませんから、個別に調べるわけにいきませんから、外形から秘匿性を判断していくということもあったわけであります。  今回の場合は、そういう意味におきましては、この間ガイドラインのあらあらなところを出させていただきましたけれども、先生言われるように、今後、要するにガイドラインの基本となるものを、パブリックコメントであるとか業者の方々にもいろいろ御相談をしまして、できるだけ分かりやすいようなガイドラインを作成していきたいと、こういうふうに思っております。
  41. 小野清子

    ○小野清子君 業者もいいんですけれども、普通の人間が見て、読んで分かる、これを是非原則にしていただきたいと思います。何でしたら、絵でもかいて郵便局の方にきちんと張っていただくとか、説明の要らないような説明にしていただきたいと、そんなふうにお願いをさせていただきたいと思います。  それから、昨日の参考人のお話の中にもありましたけれども、都市と山村ということで、都市が非常に優遇されているんではないかと、そんなふうに言われ、何か都市と言われると、東京で十二年間選挙をした者としてはどきっとくるわけでございますけれども、東京と申しましても、二十三区と、多摩地域が一部合併をいたしましたから二十六市、そして五町、八村でございまして、伊豆七島が入り、千キロ離れた小笠原が入るのが東京都でございます。  東京でも民間金融機関がない自治体は五か所ございます。全国では五百四十か所に及ぶと聞いておりますけれども、その状況と、郵便局はすべての地域に存在するのか、伺いたいと思います。
  42. 團宏明

    政府参考人團宏明君) 御指摘のとおりでございまして、東京都で申しますと、十三年三月末現在でございますけれども、銀行等の民間金融機関の存在しない自治体というのは五か所ございます。西多摩郡の檜原村、島嶼部では利島村、小笠原村それから御蔵島村と青ヶ島村ということの五か所でございます。  全国で見ますと、銀行等の民間金融機関の店舗が全くないという自治体が五百四十町村ということでございます。全町村数が二千五百五十七でございますから、二割強の町村においては銀行等の店舗が存在していないという状況でございます。  一方、郵便局でございますけれども、これは全国三千二百五十の市町村すべてに最低一局の郵便局が設置されておりまして、金融サービス提供しているということでございます。  他方、銀行等の動向でございますけれども、店舗数がかなり減少してきております。平成六年度末で二万八千八百八十八というような店舗でございますけれども、これがピークでございまして、平成十二年度末では、ピーク時に比べまして六・四%減と、千八百五十一店舗減っております。  さらに、銀行等に公的資金によりまして資本注入が行われるということに伴いまして各行が経営健全化計画というのを出されておりますけれども、これは公表されておりますけれども、これの中でも店舗の統廃合というのがリストラ計画の柱の一つになっております。これは、東京を含めましてかなり店舗の削減が今後とも進んでいくんではないかという状況と認識しております。  こういう中で、やっぱり身近な郵便局ということの意義というのは今後とも意義深いものがあるんじゃないかというふうに考えております。
  43. 小野清子

    ○小野清子君 実は、昨日、参考人の皆様とのお話の中で、郵便局がなくなるのではないかという大変御懸念の発言がございました。また、書面でもそのようなものをいただきました。  それで、村の行政と郵便局との関係は、二卵性双生児とでもいうようなかかわりである、もう切っても切れない間柄であると。先ほど御質問にもありましたけれども、ひまわりサービス、ふるさと特急便ですね、地元の特産品を全国に送ったり、あるいは災害時の協力に関する協定書まで作っているようでございまして、さらには、家電のリサイクル法にのっとりまして不法投棄に対するチェックなどの協力もやってくださっていると。これがもし郵便局が民営化された後でもきちんと存在をし、こういうことができるのかどうか。私はそれは無理だと考えておりますというのが村長さんの御発言でございましたけれども、大臣、いかがなものでしょうか。
  44. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 今回の四法案は、公社化法案郵便事業の、現在は国の独占ですけれども、民間参入法案でございまして、民営化ということではございませんので。  民営化の議論はあります。しかし、公社化後どういう経営形態を取るか、これからの国民議論の中で方向性を出していくと、こういうことでございますので、取りあえずはいい公社を作ると、こういうことでございますが。  ユニバーサルサービスの確保ということは、やっぱりハードの面では郵便局の数を減らさないことだと思っています。それから、ソフトの面では今のサービスを低下させないと、こういうことでございますから、今の二万四千七百という郵便局のネットワークは維持する、これがユニバーサルサービスの意味だと、こう考えておりますし、今回、衆議院の修正で、あまねく全国郵便局を置けと、こういうことを挿入していただきましたので、よりその考え方が法律上明確になったなと、こう思っておりますので、郵便局を減らすというようなことは当面考えておりません。  役場と二卵性双生児と、こう言われましたけれども、やっぱり双生児は両方生きていくことで強くなるわけでありますので、是非ともそういうことでやってまいりたいと考えております。
  45. 小野清子

    ○小野清子君 利益を追求する民間業者の営業活動というものが極めて困難な地域が昨日いらした参考人方々の地域のようでございます。九六%が山林であり、総面積は一万四千四百ヘクタール、そして人口三千人というところの町長さんでございました。  こういうところは全国三千二百の市町村のうち決して少なくないと考えているというだけに、今までの郵便局とのかかわりに非常に大きな、お互い寄り掛かりといいますか、郵便局の情報を行政に下ろしてほしいんだと。これは、私も昨日伺いまして、結局行政は定位置に存在しているわけですね、郵便局というのは。毎日町の中を歩かれる。そこの中に、不法投棄にしろ、それからがけが崩れているとか、それから体の具合が悪くなった人がいるとか、そういうものを、局の情報を行政に下ろしてほしいというお話を聞きまして、改めて郵便局のこれまで果たしておりました役割というものの大変さに感謝の気持ちを持たせていただいたところでございます。  田舎と都会という対比はございますけれども、都会の中は都会の中で恩恵も受けていれば、田舎の方は、田舎の方といいますか、山林、山野の方はそういう形で山川の自然の中にも不便さがあり、それを補ってくれていたのが郵政事業であるということも大変勉強させていただいたところでございます。  それで、絶対つぶれることがないと言われてきた銀行や生保がつぶれるのが昨今であると。そこが、郵便局や簡易保険に対する国民の安心感は極めて強かったんだけれども、だから安心し切れないんだというお言葉は言い得て妙であると。やはり、これを公社化することの中において、絶対にこれは失敗してはならないものだということを改めて私も認識させていただいたところでございます。  それで、先ほどから、大臣からユニバーサルサービスという言葉が何度か出てまいりましたけれども、郵便局への民間参入に関しては、これは公社ができた後の話とはいうものの、基本的にユニバーサルサービス、それからクリームスキミング議論、実はこのような郵便局の利用状況に起因していると思われるわけですけれども、議論の焦点と国民のために何が大事なのか国民に分かるような説明を、この言葉の説明と併せて是非していただきたいと思います。  ユニバーサルサービスは都会のサービスであって我々に関係ないということも昨日やはり御発言がございました。ですから、ユニバーサルサービスというのは日本語に直すとどういう言葉になるのかも、その辺も是非お聞かせをいただきたいと思います。
  46. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) ユニバーサルサービスは、そうですね、英語で言っていますからそういうお考えの向きもあろうと思いますが、全国津々浦々あまねく公平に同じサービスをすると。同じサービスというのは、同じ料金で同じように引き受けて配達をする、それから、ポストのような差出箱も、これも都会と同じようにあると。都会の方が人口多いですから幾らかはそれは短い距離でということでしょうけれども、そういうのが我々はユニバーサルサービス全国津々浦々同じようなサービス国民の皆さんに提供する、あまねく公平提供すると、こういうことでございます。
  47. 小野清子

    ○小野清子君 クリームスキミングというのはどういうことでしょうか。
  48. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) クリームスキミングというのは、いいとこ取りですね。おいしいところだけ、そこだけすくってお食べになるということでございます。
  49. 小野清子

    ○小野清子君 分かるような感じで分からないということがございますので、全国あまねく津々浦々まで同サービスという、少々長いんですけれども、ユニバーサルサービス。例えば、一つの書類をお作りになって提示されたときに、必ず日本語で、括弧して、どういう意味なのか、いいとこ取りというのは一瞬にして分かりますから、クリームスキミング、いいとこ取りでも何でも結構です、そういうものを是非付けていただきたい。これが国民に対する私はサービスではないかと、そんなふうに考えさせていただいております。  それから、かんぽの宿とか郵便貯金会館というものが、大変気軽に使えるような施設がございまして、これは、旅館関係からはどちらかというと余り喜ばれていない存在でもあるわけでございます。    〔委員長退席、理事景山俊太郎君着席〕  しかし、私は大島に行きましたら、この郵便局のいわゆるかんぽの宿しかないので、親類が来たときにはここが消されたら泊まる場所がないから是非置いてほしいという言葉がありまして、やっぱり地域差があるものだなと、そんな実感も持ったこともございます。  例えば、ゆうぽうと、メルパルクなどなど──今、大変広い劇場が都会と言われる中でも少のうございますし、ない。大いに皆さんに利用していただいているわけですけれども、これが公社化することでどのようになるのか。例えば費用の点、サービスの点、自由度はどうなのか、その辺のお答えをいただきたいと思います。
  50. 團宏明

    政府参考人團宏明君) 御指摘の簡易保険の加入者福祉施設、郵便貯金会館等のものでございますが、大変に国民の皆様に親しまれておりまして、利用の人数だけ申しましても、十三年度におきまして、簡保の加入者福祉施設は千四百三十九万人、それから、郵便貯金会館等は約八百十九万人という多くの方に利用いただいております。  簡保の福祉施設につきましては、これは心身の保養、健康管理の機会を提供することによりまして加入者が健康で長生きしていただくということが加入者のためにも事業のためにもなるというふうなことで施設したものでございます。  公社になりますと、現在、特殊法人でございます簡保事業団が運営しておりますが、これは直接、公社が運営していくということで、簡保事業団は解散をするということにしているわけでございます。  そこで、今御指摘のございました地元との調整ということでございますが、そういう目的で造った簡保の施設でございますが、同種の民間事業がある場合に、やっぱり民業圧迫じゃないか、競合するじゃないかという意見もございます。それからもう一つは、加入者全体の交付金というもので運営している面がございますが、これはやはり利用される方の負担によるものではないかというふうな意見もございます。  したがいまして、昨年十二月に閣議決定いたしておりまして、こういう施設につきまして、不採算の施設については統廃合していく、それから外部委託等を進めると。それから、運営費の交付金というものをやっておりますけれども、これは、交付金という形は十九年度までに廃止しまして、利用者負担にするというふうなこと、こういうふうな改善を行っていくということにしておりまして、こういうことを目指しまして、事業効率化それから地元との対話というのを進めていきたいというふうに考えてございます。  それから、郵便貯金会館等につきましては、これは、目的郵便貯金に対する普及を図るというふうなことで現在、認可法人で運営しておりますが、この設置の費用は国が負担しながらも、運営の費用は会館の収入で賄っているということでございます。これにつきましても、先ほど申しました閣議決定と同様の扱いでございまして、やはり不採算のところについては統廃合を行っていくという、合理化をやっていくというふうなことでございます。それから、施設の運営につきましては、これは認可法人ではなくて財団法人ということにいたしていくということを検討してございます。  いずれも、施策目的というのは変わりませんが、合理化効率化というのを進めていくということで、公社に受け継いでいくということで考えているところでございます。
  51. 小野清子

    ○小野清子君 大変、便宜性のためにも、パスポートも受渡しをしていただくとか、住民票とか、多岐にわたって大変御努力をいただいておりまして、私たちの生活に協力をしていただいているわけですけれども、私は、不便がないかといえば、切手の販売がちょっと不便だなと、土日の切手の販売というのが案外。諸外国へ出掛けたときには、ホテル、駅等に自販機で、入れると切手がぽんとすぐ出てくる施設がございます。  そういった意味で、これから公社化された場合にサービス面で良くなっていくとすれば、そして大勢の方に──便りがないのがいい便りという、さっき南野先生のお話ありましたけれども、移動したら便り、うれしいことがあったら便り、そういう便りを、お互い文字を書くという一つのすばらしい文化が今どちらかというと停滞しかけているわけですから、コンビニでも切手を売ってくださるところがあるようですけれども、そうすると、できればポストのそばには必ず切手の販売が自販機のようなもので用意されるような何か工夫をしていただきたいと思うんですけれども、その辺のお考えはいかがなものでしょうか。    〔理事景山俊太郎君退席、委員長着席〕
  52. 松井浩

    政府参考人松井浩君) 手紙文化を大切にしていただいて有り難いと思っておりますが、先生御指摘のように、海外では空港だとかバス停に簡単な自動販売機が、切手の販売機があるようにも承知しております。  ただ、ちょっと私どもの体制を御説明させていただきますと、私どもも切手、はがきの自動販売機はございますが、これは全国の三千百九十六の郵便局の、大体、郵便局の局の中で、入れるんですが、ございます。それから、そのほかには、集配、郵便の配達をやるような郵便局、全国で五千局ございます。比較的大きな郵便局でありますが、これは土曜日でも日曜日でも、それから夜間でも、ゆうゆう窓口と言っておりまして、切手の販売とかあるいは郵便物の引受けもできるようにやっておりますし、そのほかに、普通のごく少人数の無集配特定郵便局でも、例えばデパートだとかあるいは駅ビル、それから空港だとか、そういったところで、五十二局ございますが、よく人の集まられるようなところでございますが、やはり土曜日や日曜日でも郵便の窓口は開いております。  それから、先生御指摘のコンビニエンスストア等ございますが、私ども切手類の販売を全国の十五万か所でお願いしておりまして、主としては、御指摘のように、ポストのそばで、近いところで買えるようにしているんですが、確かにお店なんかではお休みになるところも一部ございますので、それから、コンビニエンスストアでいいますと、全国の三万九千六百三十一か所のコンビニエンスストアのうちの九割以上の三万六千百十一か所に切手、はがきの販売を委託しておりますので、そういうところでは御入手いただけるわけでございますけれども。  そういった実情の説明不足もあるかもしれませんし、それからさらに、先生御指摘のように、かゆいところに手が届いていないような部分もあろうかと思いますので、これから公社になりましたらいろんな弾力性が出てまいりますので、郵便局の実際の知恵とか実情に合ったような対応をいろいろしていきたいと思っておりますし、そのほかに、先ほども大臣からちょっとお話がありましたが、郵便貯金のATM関係だとか、いろいろな弾力性を増していくと思っておりますので、いずれにいたしましても、いろんな御意見、御指摘を踏まえながらサービスの改善に努めてまいりたいと思っております。
  53. 小野清子

    ○小野清子君 二十四万人の職員、三十万人と言ってもいいかもしれません、それから二万四千七百の局が、いわゆる二十一世にふさわしいネットワークを国営公社として衣替えをするわけでございます。  サービスにしても使い勝手にしても、いろんな意味で信頼性やら中身をより充実をして、安心と信頼というすばらしい財産を積み重ねて国民生活の安定向上と経済の健全な発展に資する業務を総合的かつ効率的に行うことを目的とするその第一条、この一条を是非確実に実現していただくように頑張っていただきたいと思いますが、やはり新しい公社制度の下、国民の信頼と安心のためには、郵政の職員が誇りと自信を持って職務に取り組んでいくようにしていかなければならないという一つの責務があろうかと思います。そんな意味で、職場や職員一人一人の意識改革を図ることが重要な課題であろうかと思います。  平成十五年公社設立まであと八か月余と迫ってまいりました。この時期から取り組むべきことだと思いますけれども、最後に大臣の御所見を伺って、私の質問を終わらせていただきます。
  54. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 大変な議論で中央省庁改革基本法で今後の郵政公社までのフレームを決めていただきまして、現在はそれに基づいてこの法案を国会で御承認いただくために全力を挙げておりますが、成立の暁には、早急に移行のための準備体制を整えまして、国民の皆様が安心できるような日本郵政公社を作ることに全力を挙げてまいりたいと考えております。
  55. 小野清子

    ○小野清子君 ありがとうございました。
  56. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 自由民主党の沓掛哲男でございます。これから質問をさせていただきたいと思います。  日本郵政公社法案及び信書便法案について、最初に総論的な質問を、そして、次にこの条文に沿った質問をさせていただきたいと思います。  しかし、その前に、今のこの郵政事業、そしてこれからの公社についての現状というものを少し見てみたいと思います。  郵政三事業経営状況ですが、これ、平成十二年度の数字で見ますと、郵便引受物数が約二百六十五億通、郵便貯金残高は二百五十兆、今ちょっと下がっていますけれども、簡易保険契約数が約八千万件と、国民の日常生活に欠くことのできないものとなっております。民間と競合する郵便貯金及び簡保資金の市場占有率では、個人金融資産に占める郵便貯金の比率が一八%、千四百兆とかいろいろ言われますが、その実に一八%が郵便貯金でありますし、保険保有契約件数に占める簡易保険の比率は三八%にも達しております。一言で言えば、すごい事業だな、すごい巨大事業だなというイメージです。  また、各事業収支状況は、郵便事業で、平成十二年度ですが、百億円の赤字、累積黒字は千二百二十六億円、郵便貯金では一兆二千九百六十九億円の赤字、累積黒字が八千九百二十二億円。しかし、先日の日経で、郵便事業も四年ぶりに黒字になった、すなわち、郵便事業では平成十二年度百億円の赤字が今度は八十億円の黒字になった、ここはまあまあなんですが、郵便貯金も、平成十二年度は一兆三千億円ほどの赤字だったのが、去年は一年で九千億円の黒字になったと報じられております。  通常ではなかなか考えにくい大きい変動です。もちろん、いろいろな理由があって、九〇年代の高い利子で契約したものの満期が来たとか、いろいろ理由はあるにしても、すごいな、一年でもう二兆何千億というお金の収支が変わるというような変動の激しいところがあるんだなという、そういうイメージを持ちながら質問に入らせていただきたいと思います。  最初の第一問は、郵政三事業を一体として公社で実施を続けるに当たっては、やっぱり事業別経理の明確化というのが必要だと思います。どんぶり勘定はいけないと思います。それぞれの財務諸表の作成、公表、各事業間における資金融通の明確化、それから顧客情報管理の管理体制の徹底というようなものを図って、三事業の組織、会計上の分離によるリスク遮断が是非必要だと思いますが、この点についてどのように考えておられるか、簡潔で結構ですが、答えてください。
  57. 野村卓

    政府参考人野村卓君) 先生おっしゃるように、郵政公社郵政事業を一体的に運営するというものでございますけれども、郵便、貯金、保険と、それぞれ異なった事業を営んでおりますので、それぞれの経営状況とか財政状況を明らかにするために、公社法の三十条に具体的に規定がございまして、貸借対照表とか損益計算書上、各郵便貯金、保険等の業務区分ごとに内訳を明らかにしなさいというふうに規定されておりまして、事業別経理をきちっとやることにしてございます。  また、資金の融通につきましても、透明性、公正性を確保するために、四十三条でございますけれども、一年を超える長期融通につきましては総務大臣の個別認可、それから短期融通につきましても届出という形になってございます。  しかも、これらにつきましてはそれらの事実を公表するということにしてございますので、そういったそれぞれ事業ごとのリスク遮断といいますか、取引の透明性確保には十分配意して法案の中では規定されているところでございます。
  58. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 今、人事院総裁がおいでですし、人事院総裁への質問は一問でございますので、実はこの法案の条文のところですから後にと思ったんですが、次に、これから総裁の方をさせていただきたいというふうに思います。  この日本郵政公社法案の第五十四条に「職員の給与」という規定がございます。この二項で、「公社は、職員の給与の支給の基準を定め、これを総務大臣に届け出なければならない。これを変更したときも、同様とする。」ということですが、ここで言う職員の給与の支給の基準というのはどんなものを考えておられるんでしょうか。これは総務省の方にお尋ねします。
  59. 野村卓

    政府参考人野村卓君) 現在もそうでございますけれども、公社も同様になろうかと思っていますけれども、私どもは、職員の給与につきましては、基本的には、関係組合との団体交渉によって基本を決めまして、それに基づきまして具体的な個別の給与表と申しますか、個別の支給基準を作りまして、それを総務大臣へ届け出るという形になろうかと考えております。
  60. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 そのことは今、人事院総裁に聞こうと思ったんですが、この法文で、五十四条二項で公社は職員の給与の支給の基準を定めてあるからそういうことをお尋ねしたんですが、そのことは私、今日尋ねる主たることでありませんので総裁にお尋ねしていきたいんですけれども。  公社の職員は、これは国家公務員です。国家公務員に対しては労働三権の制約がありますので、これは人事院がそれをいろいろな面でカバーしてくださっているというふうに思います。しかし、今度のこの、今でもそうですけれども、現業のところの国家公務員、今まで郵政もそうでしたし、あるいは林野、あるいは印刷、造幣、そういうようなところは、国家公務員でありながら人事院の給与関係ではなくていわゆる労使関係で、いわゆる労使の交渉によって労働協約を締結して、そしてそれでその賃金を払っていくという、そういうシステムになっているわけです。  私自身は、建設省におりまして、東北地建の局長をやったときなど、労使交渉をやりました。ただ、その場合は、我々は一般公務員ですから、いわゆる団結権、そして交渉については勤務条件に関する事項だけでございました。でも、決して組合はそうじゃありません。組合の方は賃金、手当、そういうのが一番重要ですからいろいろ言います。でも、それに対して、私はそういう権限はありません、それはあくまでも人事院ですからと言うと、向こうは、おまえは人事院へ行ってやってこいとかいろんなことは言うけれども、権限がないものは駄目だということで押し切るというか、そういう形でやりました。交渉は激しくて、三日間役所の中に泊まったままそういうようなこともやってきました。それはすごいものです、この交渉というのは。そういう中で決められていくわけですが、民間の人たちが労使交渉をしてまとまる原点というのは、やり過ぎれば会社がつぶれる、元も子もなくなってしまう、だからそこがやっぱり一つの合意点なんです。  ところが、この現業的な官庁というのは、これは親方日の丸ですから、それはもうもっともっともっとですね。その一番悪い例だったら、いろんなのは私は国鉄だったと思います。国鉄など、もう本当に激しくやり合う。そうすれば、資本家の方もみんな譲歩してどんどんどんどん上げていった。退職金も巨大だ、そして年金もすごかったですね。そういうふうになってしまう。そういうことがすごくやっぱり気に掛かるんです。  人事院は、今直接その給与には、この郵政公社には関与しないけれども、私は、そういう消極的でなくて、やっぱり人事院というのは国家公務員の全体を見てくれる、採用から辞めるまで全部について常に関心を持ってやっていただける、そういうようなことを強く希望するものです。  そこで、やはりこの賃金について言えば、今のような労使関係で決められていくんですけれども、ほっておくとどんどんどんどん上がっていく。国家公務員の横並びにどうとかいろいろなことがあるにしても、労使交渉というものは、初めはどうか、あれかもしれませんが、だんだんだんだん強くなっていくものです。  そういうことで、やっぱりほかに比べてうんと高くなっていくということは、公社の存立についてもいろいろ問題がある。私は、この郵政公社だけではなくて、現業のこの公社の人たちのそうやって決められた給与についても、やっぱりある程度透明性を高くするという意味でも、まあ国会で難しければ内閣、そういうところに毎年統一的に一応そういうものを調査して、こんなふうになったということを国民に知らしめる、そのことが一つの大きな、また過度に上がっていかない、無理なことにならない、そういう要因ではないかなというふうに思いますので、総裁、今日、今申し上げたことが直ちに人事院総裁のあれでは、職権には入らないのかもしれませんが、総裁として、この現業官庁のそういう給与の決め方、そして、決められたものに対する透明性を増して、そして何とかそういうものを今の制度、仕組みの中でコントロールしていけないか、そういう何かお考えがあったらお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  61. 中島忠能

    政府特別補佐人(中島忠能君) 基本的な考え方は、今、先生がおっしゃったとおりだというふうに思います。私も全く同感でございます。  ただ、法律では少し違ったシステムが取られております。今、先生がお話しになりましたように、団体交渉で決めていこうという制度が取られておりまして、その団体交渉で決めるときの考え方、国家公務員の給与、民間従業員の給与、公社経営状況その他の事情を考慮して定めなければならないというふうに法律に書いてございますから、この法律規定趣旨に従って郵政公社の方では運用基準をお決めになるんだというふうに思います。  ただ、このシステムと同じシステムが取られておるのは、特定独立行政法人というのがございまして、一昨年それがスタートしております。その特定独立行政法人の中には、人事院の給与勧告に準じて職員の給与を改定していくんだというところが非常に多うございますけれども、そうでないところもございます。  そして、私たちの方に今伝わってきておるのは、人事院の方は三年間、勧告で年収がマイナスになったけれども、特定独立行政法人の中には数%、職員によっては一〇%内外の給与のアップしたところもあるというような話が出てきておりますので、そういうふうになりますと、やはり少し国会とかあるいは内閣でごらんいただくのがいいのじゃないかというふうに思わざるを得ない。  人事院の勧告で年収がマイナスになったけれども、マイナスの幅が少し小さいとか大きいとか、あるいはアップの率が少し小さいとか大きいというのは、恐らくこういう別のシステムをお取りになればあり得るんだと思いますけれども、片一方はマイナスになっているのに片一方の方はアップになっておる、しかも一〇%近いアップになっておるということになりますと、不公平感というのがどうしても生じてくる。しかも、その団体が国からの財政助成を受けているということになりますと、国会としてもごらんいただく必要があるだろうというふうに思います。  一定の基準に基づいて内閣とか国会にそういうことを報告するシステムというのはやはり必要じゃないかというふうに思います。
  62. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 中島総裁、これ一問でございますので、今日は本当にありがとうございました。お引き取りください。  それでは、次に質問を進めます。  日本郵政公社は、郵貯で二百四十兆円、簡保で百二十兆円、合わせて三百六十兆円の資金を保有し、これを運用することにしているわけですが、今までですと大蔵省の資金運用部に預託すれば一定の収入が得られたが、これからは主として自分でいろんなことをやっていかなければなりません。もし運用等に何か大きな狂いが生じたら、巨大な資金を保有しているわけですから大変なことになると思います。  その防止の一助として、この公社法の法律の五十九条で、総務大臣は、公社の業務、それから資産、債務の状況についての立入検査の権限の一部を内閣総理大臣に委任できることとし、内閣総理大臣はそれを金融庁長官に委任するという規定がございます。  公社の破綻リスクをなくするための措置だと思いますが、病院に例を取って例えてみますと、金融庁の行おうとする、ここで今行おうとしている、委任しようとしているのは検査でございまして、検査は病院でいえばレントゲンのような機能で、そのレントゲン写真を見て病状を判断する医師の役割は総務省が行うことになるのだと思います。  破綻リスクをより完全になくするためにも、私はその方面のいわゆる金融庁のノウハウというのもいろいろ生かすことができないのかなという思いです。法律上はこうなっておりますから、実務面においてでも総務省、金融庁が協力し合って、金融庁、いろいろなノウハウがこの破綻リスクについてあるでしょう、そういうものを、単なるレントゲン技師としてだけでなくて、また医者として、医者を援助する、支援する、そういうような立場としてでも是非その能力を発揮してもらえないんだろうか。  そういうことのためにも、今、急にそういう立場を変えるといったら法律上無理であるでしょうけれども、実際面の、実務面で総務省と金融庁でいろいろ協力し合っていくようなことをしていただけたらというふうにも思いますので、今日は金融庁にも来ていただいているので、まず金融庁の方から意見をお聞きしたいと思います。
  63. 藤原隆

    政府参考人藤原隆君) お答え申し上げます。  金融庁が権限の委任を受ける検査の対象というのは民間金融機関と基本的に共通するリスク管理の分野でございまして、金融庁の検査におけるそのノウハウを活用していくということが有用と判断された結果だと思っております。  また、検査の結果につきましては、確かにその検査というのはレントゲンを撮ってきてやるわけでございますが、その検査の結果につきましては、金融庁から監督権限を有する主務大臣に速やかに報告するということとされております。検査結果を受けました監督上の措置につきましては、主務大臣判断と責任において行われることになるわけでございますけれども、金融庁といたしましては、主務大臣において公社にかかわる監督上の措置が適切に行われるというふうに考えております。  以上です。
  64. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 是非ひとつ、金融庁のノウハウをいろいろな面で生かす、そういう点で公社の育成のために協力していただきたいと思います。  次に、公社郵便貯金業務と民間金融機関との役割分担についてどのように考えておられるかをお尋ねします。  公社の業務については、これは金融機関がいろいろ中心に言っていることなんですけれども、郵便貯金、簡易保険事業の一層の肥大化によって国民経済や金融システムに悪影響を及ぼす、そして、民間金融機関との競争条件が完全に整備されるまでは、この公社の業務については、事業内容は民業の補完の範囲内にとどめるということをいろいろ言っています。現在、預け入れ限度額は千万円で、国の支援という保証がありますが、そういうものも引き下げるべきだということをこの金融機関の人たちは言っているようです。それから、過去の定額貯金や簡易保険に見られるような、市場実勢、市場原理によらない商品提供の規制も行うべきだなどなど、いろんなことを言っておりますけれども、これからの公社郵便貯金業務と民間金融機関との役割分担というか協力というか、そういうものについてどのようにお考えなのかをお尋ねいたします。
  65. 團宏明

    政府参考人團宏明君) お答えいたします。  郵貯、簡保の民間金融機関との関係ということでございますが、まず、昨年の財投改革によりまして郵貯の資金運用が自主運用になったということになりますので、これは出口から入口まで一貫して責任を持たなくちゃならないというふうになったわけでございます。  そうなりますと、これは運用につきましても市場運用ということになってまいりますので、これは市場にそぐわない運用ないしサービスを行えば非常に経営的に困難になってくるということでございますので、委員御指摘のとおり、市場に最も配意した運用をやっていく必要があるというふうなことであろうというふうに考えております。  郵貯、簡保でございますけれども、そういう大きな仕組みの中にありまして、郵貯、簡保の資金調達面におきまして、例えば郵貯の金利の設定でございますけれども、これは法律に基づきまして、この金利の設定につきましても、市場金利を勘案するというふうなことのほかに、民間預貯金の金利にも配意して決定していくというふうにしてございます。簡保の保険料の設定につきましても、民間生保と同様に、予定利率、予定死亡率、予定事業費率等の計算基礎を用いまして、保険数理に基づき決定するというふうなことでございまして、民間との配意といいますか、市場を通じて調整が取れるというふうな仕組みにしているところでございます。  また、資金運用面につきましてでございますけれども、これは市場運用というふうなことになっておりまして、この市場運用に当たりましては、市場に不測の動作を伴わないというために、運用計画の公表、それから長期安定的な運用手法の実施というふうなことで市場の影響に配意していくというふうなことにしているわけでございます。  御指摘のとおり、巨額の大きな規模の資金でございますので、市場実勢を十分踏まえる、それから民間金融機関の動向にも十分配意した運用を行っていくことが非常に重要なことではないかというふうに考えております。
  66. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 先ほどからもいろいろ出てきている三種、四種の郵便についてですけれども、郵便事業への民間事業者参入によって、利用者にとっての利点としては、全国あまねく多様なサービスの享受が可能であり、また競争による料金の低廉化等が挙げられますが、しかし、その一方で、私、公社にとっては、個々の郵便サービスについてこれまで以上にコストベースでの料金設定が求められることになると思います。内部相互補助による政策的な料金減免というのが、やっぱり本当にぎりぎりの競争をすれば困難に、なかなか難しくなってくると思います。  現在、政策的観点から第三種及び第四種の郵便物料金を減免しておりますが、これが持続できるのか。今、大臣、持続するというような趣旨のお話がございましたが、今後とも政策的料金減免を国が必要と考え、そういう要請、それを進めていくとするならば、やっぱりそれに見合う公社事業財政への負担を軽減する、まあ財政援助というのはなかなか難しいでしょうから、事業財政への負担を軽減する方法など、いろんなことをまた検討して、そしてこのいわゆる政策的な減免、そういうものに対応できる、進めやすいような環境を是非作っていっていただきたいと思います。
  67. 團宏明

    政府参考人團宏明君) 御指摘の三種、四種にかかわる料金の減免等の関係でございますけれども、御指摘のとおり、全般的に申しますと、やはりコストの分析を行いましていろんな合理化をしていく、それから合理化の余地を見付けるためにもサービス別のコスト分析をしていくというふうなことが必要であろうということで、そういうふうな手法についてはいろいろ検討を進めておりまして、それに基づきまして適正なコストを負担していくというのが一般料金であろうと思います。  そういう中で、三種、四種の郵便におきましては、そのほかの、これは内部相互補助でございまして、利益が上がった部分をこれに回していくということでございます。先ほど先生からもありましたように、そういうものを含めまして平成十三年度におきまして八十億円の黒字ということを出しておりますので、現在の体力といいますか、システムの中ではこれは吸収できるということでございます。  これが競争が入った場合はどうかというふうなことになりますと、それぞれその利益が減っていくというふうなことも想定されるわけでございますけれども、それは、その点につきましては、一つは、新規事業者につきましても全国サービスの義務を課すということで公正、対等な競争ということを担保しているということ。それから、これまでの郵便事業の蓄積、これはいろんな施設面、サービス面、それから認知度、信頼、こういうこともありますので、現行の収支均衡ができているという条件を、いろんな努力によりまして少なくとも当分の間は維持できていくのではないかというふうなことで考えておる次第でございます。  なお、大臣からもありますように、将来的な競争進展が進んだ場合にどういう姿になっていくかと。これは競争状況を見ながら考えていくことになろうかと思いますけれども、事業体としては、やはりコストの削減、それからそういうコストの分析ということを進めましていろんな合理化を進めていくというのがまず第一ではないかというふうに考えております。
  68. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 これまで国営事業として国民の信頼を得ていた郵便事業が、今度は公社とまた新規参入してくる民間事業者によって運営されることになるわけでございますが、国民が安心して手軽に使えるようにしていただきたいと思います。特に、新規に郵便事業参入する民間事業者の許可に当たっては、従来のこの郵便サービスの質が十分確保できるようにいろいろ配慮しながら許可をしていただきたいと思います。  時間的な制約がありますので、これと続いて次の質問、もう一緒にさせていただきたいと思います。  そういうふうな許可に当たって十分配慮いただきたいということ。それから、度々信書定義についていろいろあり、先ほど総務大臣からも一番最初にあったわけでございますが、これから私は新しいサービスというのが次々とやっぱり提供されてくるようになると思います。その際に、事業者はもちろん国民レベルから見てもそれが信書かどうか判断しやすいような、そういうガイドラインを是非作っていただきたいというふうに思います。  この二つについて、簡単に答弁していただきたいと思います。
  69. 團宏明

    政府参考人團宏明君) まず第一点目でございますが、確かに、新規参入事業者におきまして、参入によりましても安心したサービスが必要だというふうに考えております。  法律上は、このサービスの質としまして、原則三日以内の送達とか週六日以上の配達というふうなサービス、品質にかかわる条件も法令上確定しております。さらに、例えば転居した場合の転送とか受取人が不明な場合の還付とか、こういうことも非常に利用者にとっては大事なことでございます。こういうことにつきましては、約款に記載していただきまして、利用者との関係で紛れのないように、認可によって適正を図るということによりましてサービスの品質を確保していきたいというふうに考えてございます。  それから、信書定義関係でございますが、確かにいろんな利用の形態が変わってきております。したがいまして、法律に書き切れないというところがあるわけでございますが、二つ、先ほどの御指摘にもありましたように、やはり利用者にとって分かりやすいということをこのガイドラインでは留意してまいりたい。そのためにも、利用者を含めた御意見を、どういうところに疑問があるとか、何が分からないという照会を受けた上で分かりやすいものを作っていきたい。  それから、今後ともいろんな利用の状況が変わりますとまた新しい疑問もあろうと思いますので、それにつきましてはまたガイドラインの充実を図っていくと、そういうふうなことが重要ではないかというふうに考えております。
  70. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 次に、民間事業者郵便事業参入する際の今の許認可についてに関連してですが、信書及び郵便小包については総務省でなされるんだと思いますが、現在、国土交通省が許認可している宅配便やメール便等の取扱いはどうなるのか、従来どおりなのか。  これは、料金も含めた許認可が行われておりますけれども、今、一つ行けば、そこでほかのところの役所の許認可も一緒にやってもらえるようなワンストップ化というのはいろんなところで、港湾であれ空港であれ、世界的にいろいろなされているわけでございますが、こういう新しい業者が、民間事業者郵便事業にいろいろ参入する。そういう際に、例えば宅配便とかメール便等も一緒にやろうとすれば、やっぱり国土交通省へもう一度行ってやるというようなことになるんでしょうか。そういう主たるところへ行けば、そういう関連のところもちゃんと一緒に何らかの手続でやってもらえるとか、そういうふうなことの検討はなされていないのでしょうか。
  71. 團宏明

    政府参考人團宏明君) 御指摘のとおり、新しい信書便事業者は、やはり現在、宅配便とかメール便とか、これは貨物自動車運送事業法というふうな現在の物流関係法律に基づいて事業を行っているところからの参入一般的ではないかというふうに考えております。したがいまして、現在そういう事業をそういう事業規制の下で行っているところが新たに信書便の許可を受けるというようなことになるのではないかというふうに考えております。  そこで、法律を作る際にも、国土交通省とも整理をいたしまして、そういう不要な重複とかいうことがないようにというようなことについては、法律取扱いについては調整をしたところでございます。また、今度新しく信書便法ということで事業規律が入ってまいりますので、これはもちろん法律、それから省令ガイドライン等を明確にするということとともに、例えば説明資料、どういうことを、規律につきまして分かりやすい説明資料を作るとか、あるいは説明会を開くということを行いまして、民間事業者参入につきまして誤解のないように、あるいは理解を深めていただくという周知、理解を求める努力ということを進めてまいりたいというふうに考えております。
  72. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 一番最後に総論的なことを申し上げますが、これからは、この法案の条文に沿って、私、読んでよく分からないところが何か所かありますので、それについてお尋ねしたいと思います。  日本郵政公社法案です。  これの十四条で「役員の欠格条項」、「政府又は地方公共団体の職員は、役員となることができない。」となっておりますが、この政府又は地方公共団体の職員というのは、では出向、現職のまま兼務することは駄目なんでしょうね。出向も駄目なんですか、退職してから行けばいいんですか、その辺はこれはどうなのか。それから、これの場合は、役員は禁止していますが、職員には触れていませんから、兼職の方は国家公務員だから駄目なのかもしれませんが、出向などは、現職員が行ってまた戻ってこれるということなんでしょうか。
  73. 野村卓

    政府参考人野村卓君) 公社法の十四条は、政府又は公共団体の現職の職員は役員になることができないということが規定してございまして、退職した者についてはこれに該当しません。  それから、併任の関係でございますけれども、これについては、国家公務員でございますので併任は可能でございます。ただ、現職、現官職の任命権者の同意が必要ということでございます。
  74. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 今、条文いろいろやりたかったんですが、時間だそうでございますから、総括の方で終えたいと思います。  郵便事業民間参入が行われても、これまでの諸外国の事例から見ましても、多数の事業者参入して価格競争を通じて市場のパイを奪い合い、大幅な市場変化が生ずる可能性というのは極めて低いのではないかなというふうに思います。そうすると、当面の問題というのは、郵政公社郵政事業への新規参入事業者とともに、市場活動や競争を通じて利用者に対して良質なサービスを引き続き安定的に提供することができるかどうかにあるというふうに思います。  公社化で良かったと国民に理解していただくことが何よりも大切であり、そのためにも関係者みんな力を合わせて取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  以上をもちまして、質問を終わります。
  75. 高嶋良充

    高嶋良充君 民主党の高嶋でございます。  民主党は、本法案の衆院通過に当たって、幹事長コメントという形で郵政事業改革の基本姿勢を改めて確認をいたしました。  それは、まず第一に、国民利用者の立場からユニバーサルサービスを確保する、二つ目に、そのために公社経営安定を図る、三つ目に郵政労働者の雇用・労働条件、賃金の安定確保と良好な労使関係を構築をしていくと、この三点であります。この観点から、私は順次質問を行ってまいりたいというふうに思います。  まず、総務大臣、伺いたいと思いますが、一九九七年の行政改革会議の場で郵政民営化等の議論が行われていたわけでありますけれども、そのときに、全国の地方自治体の九八・五%の県議会や市議会、地方議会から現行経営形態を維持をすべきだと、つまり国営事業のままでよいとの決議が行われておりました。  総務大臣は、この一〇〇%近い自治体、議会の決議の重さというのをどのように受け止めて今回の法案に反映されてきたのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  76. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 今、高嶋委員お話しのように、平成九年の行革会議における中央省庁再編の議論の際には、全国の九八・五%の議会が郵政事業の役割についてちゃんと考えろ、サービスの低下がないようにと、そういう議決をされた、そういう要望が出てきたということは承知いたしております。  それを受けて、いろんな議論があって現在のようなことにつながる行革会議の最終報告がまとめられ、それに基づいて中央省庁改革基本法が作られたと、こういうふうに思っております。三事業一体で国営の新たな公社でいくと。ただ、経営の仕方は、独立採算制の下で自律的かつ弾力的な経営をやる、事前管理から事後評価に変わる、企業会計原則を導入して情報公開にも努めると、こういうことになったわけでありまして、この自治体の要望が生かされて今日の制度改正につながったと私は考えております。
  77. 高嶋良充

    高嶋良充君 私もそういうふうに理解を当時はしていたわけですけれども、だから、ああいう自治体の一〇〇%近い決議が功を奏して、あの時点では一応民営化論議というのは打ち止めだと、そういう考え方で基本法にも附則が設けられたというふうに思うんですが。  じゃ、そこで伺いますけれども、この間から議論になっております、小泉総理が民営化への一里塚という、そういう発言を衆議院で行われたわけですけれども、これはやっぱり自治体決議に逆行するんではないかというふうに、あるいは今の大臣の答弁に逆行しているんではないかというふうに思っているんですけれども、総務大臣は一里塚発言をどのようにお考えですか。
  78. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) これについても何度もお答えしておりますように、あれは総理の持論でございまして、その持論を思いとして開陳した、こういう発言でございまして、政府としては、公社化までは決まっておりますが、公社化後については大いに議論しようと、こういう段階でございます。したがいまして、総理の懇談会で現在公社化後の在り方についての意見集約を行っているわけでございまして、その一里塚発言は、そういう意味では総理個人の政治家としての御意見を言われたと、こう思っておりまして、法律そのものの議論としましては、例の三十三条一項六号というのがよく議論になるんですけれども、あれは、政治的には公社化で民営化の議論は一応ピリオドだと、こういうことだったと私、思いますよ。  ただ、法律的には、しかし、その後のいろんな議論を拘束するものでないと、そういうことで現在、議論としてはいろんなことが行われていると。しかし、それをどうするかは、何度もお答え申し上げておりますが、国民議論の中で国民の皆さんに方向を選択していただくことになるんではなかろうかと、こう思っております。
  79. 高嶋良充

    高嶋良充君 民主党は、この郵政事業改革については党内でいろいろな意見があるんですが、公社化法案でまとまっている基本的な考え方が二つあるんです。  その一つは、郵政公社発足時の改革については、郵便事業に関する民間参入について全面的な民間企業の参入を認めるけれども、参入企業に対してはユニバーサルサービスを義務付ける、二つ目が、現行郵便局ネットワークは原則維持をする、そして公社経営自由度というものを高めると、この二つについては認識が一致をしているんです。  そこで、大臣の認識を伺いたいんですけれども、郵政公社が国の経営する企業として公的な責任を果たしていくというその意味は、私は、全国に張り巡らされた郵便局ネットワークを維持をすると同時にユニバーサルサービス提供することにあるというふうに考えているんですけれども、総務大臣の認識はいかがでしょうか。
  80. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 私も同じような考え方でございまして、日本郵政公社という国営公社にするということは、ユニバーサルサービスをしっかり国民のために確保する、低下させないと。そういう意味で、郵便局ネットワークも維持していくと、こういうことだと思いますが、その上で、民間の意欲ある御希望があれば参入していただいて大いに競争をやっていただきたいと、こういうことであります。
  81. 高嶋良充

    高嶋良充君 新しくできる郵政公社は公共性と企業性を両立をさせていかねばならないと、こういうことになっているわけですけれども、この公共性と企業性の両立をどのように考えておられるのかということをお尋ねしたいんですが。  私が申し上げたいのは、独立採算のときの国営のときには十分にこの郵政事業庁という立場で機能していたのに、公社化されると、採算性というか企業性を重視する余りにサービスが低下することがあってはならないというふうに思っているんですね。  いずれにしても、国民利用者が不便を感じるようなことがあっては、何のために公社化をしたんだと、こういうふうにとらえられるわけですから、そういう意味で、総務大臣としては、この公共性と企業性の両立というかバランス、この辺の認識をどのようにお持ちなんでしょうか。
  82. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 言われるように、郵政事業につきましては、今までの国営から今度は国営公社になると、こういうことでございまして、公共性はもちろん確保した上で企業性、能率性も考慮してもらうと。そして、この両立はできると、こういうふうに思っております。  公社になってサービスが悪くなる、こういうことなら何のために公社にするかと、こういうことになるんです。サービス向上のために公社にして民間も入れるんですから、その点は公共性と企業性を十分両立していただくと、これが大前提であると考えております。
  83. 高嶋良充

    高嶋良充君 よく国営か民営かという対立した議論がなされるんですけれども、私は、この公社の問題というのは、公と民が対立している図式で考えるとやっぱり不幸なことになるんではないかというふうに思っておりまして、そういう意味では、むしろ公と民が両立をする、併存をするという、そういう考え方の下に、国民の貴重なインフラである郵便局ネットワークというものをより有効に公も民も活用できるような、そういうことを考えていくということの方が社会にとっては生産的ではないか、あるいは、国民利用者にとってはそれが利益につながるんではないかというふうに考えているんですけれども。  そこで、総務省に伺いますけれども、郵便局による郵便、郵貯、簡保、いわゆる三事業のネットワークをオープン化をしていくということについてどのような検討がなされているのか、お尋ねをしたいと思います。
  84. 佐田玄一郎

    ○副大臣佐田玄一郎君) 先生の言われるように、公と民が一体となっていく、これ、非常に私も重要なことであろうと、こういうふうに思っております。わけても、二万四千七百の郵便局ネットワークは、三事業を通しまして大変もう国民に密着しているネットワークであると、こういうふうにも思っておるわけであります。  特に、例えば民間企業の関係につきましては、これ、対立関係にあるように思われますけれども、そうではなくて、いろんな形で民間を含めまして住民の皆さん方の利便に資するために我々としてはやっていきたいと、こういうふうに思っております。  こういう観点から、郵便局ネットワークを先生言われるようにオープン化しまして民間企業も活用できるようにすれば、民間企業等の利用者の方の利便性を一段と高めることができるということで法整備もしてきたわけであります。  そういう中におきまして、例えば、郵貯のATMによります民間の金融機関の払戻しであるとか、旅行小切手、宝くじ、バイク自賠責保険の販売、これは民間の方がこういう販売もできるようにしていくとか、又は宅配の事業者の荷物の、郵便小包の配送を取り扱うとか、こういうことも協定書を結びまして、今のところ、そういう責任を持った事業でありますから、十六社と協定書を結んで今行わせていただいておると。  このほかにも、国や地方公共団体の間においても、住民票の写しの交付等のワンストップサービスを展開するなど、ネットワークの活用を、要するに地域の拠点にしていくと。  こういう中におきまして、公と民が一緒になっていく、こういうことも行わせていただいているわけでありまして、今度の公社法案においては、第一条に、公社の「目的」といたしまして、「経営資源を活用して行う国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展に資する業務」を規定しておりまして、このような観点から、民間企業の連携を始め郵便局ネットワークの有効活用について、公社化後も同じように積極的にこれを進めていきたいと、こういうふうに思っております。
  85. 高嶋良充

    高嶋良充君 総論はそれぐらいにしておきまして、具体的な法案の中身について質問していきたいというふうに思いますが。  郵政公社の総裁や監事の任命あるいは解任という部分については総務大臣が行うと、こういうことになっております。公社の役員人事に対する強大な権限が総務大臣にゆだねられているということなんですけれども、これには全く国会の関与がないと、こういうことになっております。ということは、大臣の裁量が大き過ぎるのではないかというふうにも受け取れるんですが、どのように認識されているでしょうか。
  86. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) いや、それは逆なんですよ。できるだけ公社に自由にやっていただくと。自律的、弾力的な経営をやると。とにかく総務省という国の役所なり国会が、申し訳ないんですが、できるだけ関与を少なくすると。しかも、事前にチェックはしない、事後評価でいく、業績評価でいくと、こういうことでございまして、基本的な関与の仕組みはそういうことなんですよ。できるだけ必要最小限度にして、事後でいくと。  役員につきましては、これはいろんな検討をいたしましたが、一番限定した形でということで総裁と監事は総務大臣が任命、副総裁と理事は、これは総裁が任命と、こういうことにいたしたわけでございまして、これは同種のものに比べると大変私は限定的だと、こういうふうに思っておりますし、総務大臣が総裁や監事を解任する、その他を解任する権限も、これは大変限定をしているんですよ。役員の職務の執行が適当でないために、つまり、判断の誤りなどで役員本人に責任がある場合、しかも、それによって業務の実績が悪化した場合で、引き続いてやらせておくともっとひどくなる、どうにも取り返しが付かない、そういう場合に退任を求めると、こういうことでございまして、我々は、運用としてもできるだけこの役員の任免権等については限定的にやってまいりたい、こういうふうに思っておりますので、是非そこは御理解を賜りたいと思います。
  87. 高嶋良充

    高嶋良充君 じゃ、役員の部分でお尋ねをしますけれども、役員数が多いのではないかという意見もあるんですが、役員数を決められた考え方というか、基準はどういう基準だったのかということと、現在の指定職の数と比較をして多いのか少ないのか、その点についてお答えください。
  88. 山内俊夫

    大臣政務官山内俊夫君) お尋ねの、公社の役員数が多いのではないかということでございますが、これは、郵政公社法の第八条に、公社に役員として総裁を一人、そして副総裁二人、理事十六名以内及び監事三名以内を置くと、こういう規定をされておりまして、合計で二十二名以内になるようになっております。  これは、経営効率化を前提といたしまして、現行郵便郵便貯金、簡易生命保険など様々な業務を全国あまねく提供するという郵政事業の業務の質とか量、それをトータル的に考えまして、旧公社、特殊法人などを参考にいたしまして必要最小限の数ということに決めました。決して多過ぎるということではないんではないかと思っております。  また、公社化前の指定職数との比較については、郵政事業関係の指定職ポストは、郵政企画管理局等、内局を含めまして現在二十四名おります。郵政公社化後は二十二名となるということでございますから、そのうちまた理事が三名、そして監事一名、この四名については非常勤ということにしております。これらを除きますと、郵政公社の常勤役員数は約十八名以内になろうかと思います。したがって、公社化前の指定職の数と比較しても役員数が決して多いということではないと思います。
  89. 高嶋良充

    高嶋良充君 この役員の中に理事、監事、それぞれに一定数以上の外部の役員を登用するということが制度化されているわけですけれども、その選考基準というのは具体的になっているんでしょうか。  その考え方をお聞きをしたいということと同時に、後でも申し上げますし、先ほども沓掛先生の方からもありましたけれども、労働関係を重視をしなければならないという部分がありました。そういう関係で、そういう理事、監事という役員ポストに労働関係の専門知識を有しているような人を含めるべきではないかと私は思っているんですけれども、その辺の考え方も含めてお聞かせください。
  90. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) この役員の数はいろいろ議論があるんですが、当初は、関係のところから私のところに相談があったときはもっと多かったんです。私のところは同時に行政管理局というのがありまして、これが査定するんですよ、こういう法人等についての役員を。だから、私はもっと減らせと言って現在の数にしまして、二十二人ですけれども、今言いましたように、三人は部外、非常勤ですから十八で、それは高嶋委員、この業務を考えてくださいよ。それは大き過ぎるという別の議論がありますけれども、貯金が二百五十兆、掛金が百三十兆、郵便事業をやって三百億通運んでいる、こういう企業体ですから、私は、これでもスリムな方だと、こう思っておりますが。  そこで三人につきましては、民間企業のいろんな経営ノウハウなどのそういう知見を活用して郵政公社の適切な運営を行うために考えたいと。いろんな分野の専門家を考えておりまして、現在のところ、どういうふうに考えるかということは私どもの方で確たるあれは持っておりませんし、監事は私の任命ですけれども、理事は総裁の任命ですから総裁の御判断をいただくということでございまして、今の労働関係云々のことについても一応承っておきます。  そういうことで今後検討させていただきたいと、こういうふうに思っております。
  91. 高嶋良充

    高嶋良充君 是非前向きに御検討いただきたいというふうに思っております。  次に、天下り問題についてお尋ねをしたいんですが、私は、予算委員会等含めて、国会で機会あるごとに官僚の天下り禁止を訴えているんですけれども、それは、天下りが政官業癒着の大きな原因に現状ではなっているという、そこに問題があるというふうに思っているからなんです。  そこで伺いたいんですけれども、公社化法案の中で、出資条項で子会社に出資できる、こういうことになりました。これはマスコミでも報道されておりましたけれども、このことが天下りの受皿化をこの子会社がするのではないか、そういう危惧が報道されておりますけれども、私は、そういうことは絶対に避けなくてはならないというふうに思っています。  そこで総務大臣に、決意も含めてお伺いしたいんですけれども、公社が出資をした子会社への天下りを規制をして子会社の経営内容等、透明性を確保する、こういうことが必要だと考えておりますけれども、大臣の認識はいかがでしょうか。
  92. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 言われるとおりで、天下り先を確保するために出資をして関連会社を作るということは、これはもう絶対避けなきゃいけません。  これにつきましても何度も答弁させていただいておりますが、郵便の業務に密接に関連するものを政令で書きますから、書いたものについて個別には私が認可すると、こういうことでございまして、さらに、出資は国庫大臣との関係もありますから財務省とも協議をすると。それから、国家公務員がそれに就職する場合には、これは国家公務員法上の、人事院総裁もおられますけれども、手続に従ってやると、こういうふうに考えておりますが、ただ、余人をもって替え難いような特別の能力のある優秀な専門的な職員が行くことは、これはお許しいただかないと、それは天下りでなくてむしろスカウトで、能力を生かす方ですから、これは個別にひとつ御判断いただきたいと思いますし、それから、できるだけ出資先法人については情報公開いたします。  そういうことで、国民の皆さんによく分かっていただこうと、こう思っております。
  93. 高嶋良充

    高嶋良充君 人事院総裁に伺いますけれども、こういう公社が出資をした企業も当然天下り規制の対象になるというふうに思っているんですけれども、人事院総裁の認識はいかがでしょうか。
  94. 中島忠能

    政府特別補佐人(中島忠能君) 関係法律の条文を今見ておったんですが、公社の業務に密接に関連する事業を行うものに出資すると、こういうふうに書いてありますから、恐らく公社と当該出資先の企業というのは業務委託とかそういうような関係が生ずるんでしょう。恐らくそれは間違いないと思います。したがいまして、そういう関係が生ずると国家公務員法第百三条の二項で言う密接な関係があるということになりますから、これは、現在の取扱いで申し上げますと、課長以上の場合には人事院の方の承認、それから下の方についてはそれぞれの任命権者の方に委任しておるという、そういう取扱いになろうかというふうに思います。  ただ、業務委託がない、単なる出資の関係だけだということになりましても、関係の商法等を読みますと、出資先企業の経営とかその経営の結果生じた利益というものに対して出資者というのは参与する立場にあるということですから、特別な排除要因がない限りはやはり先ほど申し上げました密接な関係があるというふうに考えるのは一般的だというふうに思います。
  95. 高嶋良充

    高嶋良充君 内閣府から熊代大臣にも来ていただいているんですが、この際、この天下り問題、公務員制度改革大綱でも改革の方向が示されているんですけれども、そこでは天下りについてどのような規制を考えておられるんでしょうか。
  96. 熊代昭彦

    ○副大臣熊代昭彦君) 営利企業への再就職問題につきましては、国民の大きな関心もございますし、いろいろ批判もございます。十二分に承知しているところでございます。  それを踏まえて今回の制度改革は閣議決定されたわけでございますけれども、まず第一に、第三者機関である人事院が従来、承認基準の設定や承認を行うという制度でございましたけれども、これを改めまして、内閣自身が厳格かつ明確な承認基準を定めて、内閣自身の総合調整の下に各大臣が責任を持って再就職の承認を行うことにするということでございまして、行政が民間と癒着して一番困るのは大臣でございますので、まずは大臣がしっかりとそれを規則に従って規制するということでございます。  加えて、お手盛りという批判もございますので、これに対しましても十分配慮してございまして、繰り返しになりますが、内閣が承認基準を政令でしっかり定めるということでございます。それから、総合調整も行う。大臣は承認した案件について詳細に公表するということでございますから、世論の批判も受けると。それから、人事院からは、承認基準についておかしいものがあればこれはおかしいじゃないかという意見の申出をいただきまして、承認の実務についても、これはおかしいということならば御指摘をいただく、厳正なアンパイアとして関与いただくということでございます。  それからさらに、一番問題なのは規則をちゃんと満たしても再就職後にいろいろと影響力を及ぼして癒着の問題が生ずるということでございますので、影響力を及ぼした場合には、違反行為について罰則を導入する、いわゆる行為規制でございます。出身官庁に対して影響力を及ぼしてはならないということでございますので、そのポストにあって何か持ってくるから受け入れるというのは、受け入れても意味がない、本当に能力がありまして大いに活躍していただこう、能力を評価されてスカウトされた場合に初めて意味があると、そういう制度を作り上げようということで閣議決定がされたところでございます。
  97. 高嶋良充

    高嶋良充君 いろいろ説明をいただきましたけれども、大綱で言う結論的には、今、人事院がやっている天下りの承認を今後は大臣承認制に変更すると、こういうふうに理解をしているんですけれども、そういうことになると、逆に内閣でいろいろ設けると、こう言われましたけれども、基本的には大臣承認制というのは天下りの緩和につながるんではないかというふうにいろいろ危惧をしているわけですけれども、その点についてはどうでしょう。
  98. 熊代昭彦

    ○副大臣熊代昭彦君) 結論的に申し上げますと、天下りの緩和につながらないようにいろいろ工夫したということでございまして、今申し上げましたとおり、行政が癒着によりまして妨げられれば一番困るのは大臣でありまして、責任を持っている大臣でございますので、これが人事院で承認をいただけばそれはそれでもういいんだと、おれの関与するところではないんだというようなシステムではかえっていけないということでございますから、内閣でしっかりとした基準を定めて、大臣は政治的責任を持ってしっかりと承認行為を行うと。そして、人事院はこれを厳格に見張っていて、その意見をいただくということでございますから、強化されたと。それで、それに対しまして更にまた行為規制が掛かるということでございますので、規制は強化されたという理解でございます。
  99. 高嶋良充

    高嶋良充君 この問題、今日の本論ではございませんから、私としては基本的に、一般論としてマスコミやなんかでも報道されているように、天下りをするときの承認が第三者機関の人事院を説得するよりもその同じ省庁の大臣を説得する方がやっぱりやりやすい、これはやっぱり天下りの緩和につながるんだという論調が多数見受けられますけれども、一般論としてはやっぱり私はそういうことだというふうに思うんですよ。そういう意味では、今後それらも含めて再検討の要請をしていきたいというふうに思っております。  そこで、次に人事制度関係についてお伺いをいたします。  職員の身分は国家公務員だと、こういうことになっています。公社になって、じゃ職員の身分等、人事制度がかなり変更になるのかどうかということについて伺いますが、まず職員の採用問題であります。  これは、国家公務員として採用する以上、全体の奉仕者としての第一歩であるわけですから、この段階でいかに中立公正な方法で職員を採用するのかということが求められるというふうに思っています。政治的あるいは情実に左右されてはならないというふうに思っておりまして、衆議院の総務委員会での論議を見てみますと、公社職員の採用試験は公社が実施するということになっております。それで、この採用の中立公正性が、公社が実施するということでどの程度確保できるのかということが問題だろうというふうに思います。今までこの特定郵便局長のように特定の党派につながりが疑われるような、そういうことになってはこれまた心配の種が増えると、こういうことでございますので。  そこで、大臣にまず伺いたいんですけれども、この公社が行う職員採用試験と特定郵便局長の採用、これはまあ選考ということになっているようでありますけれども、郵政公社としてどのような方式を考えられているのか、お答えをいただきたいと思います。
  100. 佐田玄一郎

    ○副大臣佐田玄一郎君) 先生の言われることは、これはもう非常に公正公平を旨としなくてはいけないことなのでありますけれども、今のところそれを期すために検討しておるところでありまして、郵政公社の職員の採用につきましては、これは当然のことでありますが、人事院が行いますⅠ種、Ⅱ種、Ⅲ種試験によらず、経営主体である郵政公社において、郵政事業実態を踏まえながら、公開、平等、成績主義の原則に基づいて新たな採用試験を実施する方向で今検討中であります。  そしてまた、現在検討中の案では、郵政公社国家公務員法第四十八条に規定する試験機関の指定を受け、大卒程度の郵政総合職、これは、郵政総合職というのは仮称でありますけれども、高卒程度の郵政一般職、これも仮称でありますけれども、そのような採用試験を実施する方向で今人事院の方と協議をしているところでありますので、これはもうとにかく公正を期していきたいと、こういうふうに思っております。    〔委員長退席、理事景山俊太郎君着席〕
  101. 高嶋良充

    高嶋良充君 特定郵便局長の方は。
  102. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 今、副大臣が言いましたのは一般的な職員、郵政公社職員の採用の話でございますが、特定郵便局長につきましては選考任用でいこうと。国家公務員法三十六条等によって選考任用できると、こういう規定がございますので、これに基づいて選考による任用が適当であると、こういうように思っております。  やはり地域社会との関連、地域社会に対するいろんな意欲、貢献、そういうことを含めて考えた方が適当ではないかと、こう思っておりますが、ただ、その選考につきましてはできるだけ透明度を高くしていきたいと、こういうふうに考えております。
  103. 高嶋良充

    高嶋良充君 中立公正という立場から、この郵政公社の採用試験の関係について人事院としては関与はされるんでしょうか、されないんでしょうか。もし関与されるとしたら、どのような指導方針を持っておられるのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  104. 中島忠能

    政府特別補佐人(中島忠能君) 郵政公社で担当する職務の特殊性、したがって、そこで採用される職員の能力というのが一般の公務員と少し異なるというので郵政当局の方から試験機関として指定してもらいたいという話がございまして、よく事務当局同士で話をいたしましたところが、試験機関として指定する前提でお話を詰めているところでございます。  先ほど総務大臣、佐田副大臣からお話がございましたように、この採用試験に当たっての中立公正性の確保の必要性というのは郵政当局の方もよく認識されておりますので、募集方法とか、試験の実施方法とか、あるいは評点の仕方とか、そういうものにつきまして中立公正性の立場から詰めております。  郵政当局の方とその点については認識の差異がございませんので、私たちは中立公正性が確保できる試験実施ができるだろうというふうに考えております。
  105. 高嶋良充

    高嶋良充君 ということは、国家公務員だけれども人事院が関与をしながら郵政公社が人事院の委嘱を受けて採用試験をすると、こういうことになるんだろうというふうに思いますが。  そこで、若干これも公務員制度改革の大綱にもかかわる部分なんですけれども、最近、内閣府行政改革推進事務局から説明を私ども受けたんですけれども、採用試験制度の企画立案については今後は内閣府が、人事院ではなしに内閣府が行うんだ、こういうことに変更したいと、そういう検討を行っているんだということが言われています。  そういうことになりますと、私の考え方とすれば、中立公正性というのが損なわれて、政治任用的なポストは別にして、全体の奉仕者であると言われる一般の公務員の部分が政治的な側面を帯びていくというのは非常にやっぱり問題点があるというふうに思っていまして、そういう観点でいうと、この郵政公社の採用試験にも中立公正性を確保するために人事院と連携を図るというふうに先ほど双方から言われましたけれども、その点も含めて、採用試験の企画立案についてはやはり人事院に残しておくべきではないかというふうに思っているんですが、内閣府のそういう検討に対して人事院総裁としてはどのような見解をお持ちでしょうか。
  106. 中島忠能

    政府特別補佐人(中島忠能君) 衆議院でも随分議論をされまして、隣に熊代大臣がいらっしゃいますが、内閣も中立公正性というものを確保する自信があるんだというような答弁をしておられました。そのときに私は申し上げたんですけれども、中立公正性を確保するために、制度として担保するのか、それとも人を信用して担保するのかと、そこの違いだなという話を申し上げました。恐らく、熊代大臣のような方がいつも内閣にどんと座っておられるということだったら余り心配はないんでしょう。しかし、そうでない方もひょっとしたらいらっしゃるかも分からぬということですから、制度的に担保されておる人事院が行う方がいいだろうというふうに考えております。  ただ、これは議論としてそういう議論をするわけですけれども、もう少し私は内閣も、例えて言いますと、人材確保というものを行うための戦略というものをこれから考えていかれるだろうと。今までも、キャリア職員を多く採用しているから天下りが増えるんだというので、たしか梶山官房長官のときでしたか、キャリア職員の採用を三割減らそうじゃないかというので五年間掛けて三割減らしたとか、東大の卒業者を五割以下に抑えていこうじゃないかというようなことを内閣の方でおっしゃって、そういうことを進めてきたとかいうので、内閣の方も中立公正性というものに関係のないところでやはりいろいろ担当される分野があるんだろうというふうに思います。  したがって、そこはもう少し内閣の方とお話をさせていただきまして、相互がお互いにいい役割を果たしながらいい公務員が採用できるようなシステムというものができるように話をしていくのがいいんだろうというふうに考えております。
  107. 高嶋良充

    高嶋良充君 総務省に伺いたいんですが、先ほどの副大臣の答弁の中にも、採用試験でⅠ種、Ⅱ種の採用というのはなくしていくんだと、新たに総合職と一般職を今度新設をするということを、まだ検討中だということですけれども、仮称ということも含めて言われました。  ということは、現行のⅠ種、Ⅱ種をなくすというのは、すなわちこのⅠ種採用、まあⅠ種採用イコールキャリアと、こういうことになるんだというふうに思うんですが、そういうキャリアシステムという、キャリア制度郵政公社としてはやっぱりもうなくすんだ、見直すんだと、そういうふうにとらえてよろしいんでしょうか。
  108. 山内俊夫

    大臣政務官山内俊夫君) ただいまの質問にありました郵政総合職、これはあくまでも仮称でございますけれども、これは現在の国家公務員採用Ⅰ種、Ⅱ種に相当するものとして今検討中でございます。先ほど副大臣がおっしゃったとおりでございますが。  これは、郵政総合職試験によりまして相当数、これは五十から百名ぐらいになろうかと思うんですが、これを想定いたしておりますが、職員を採用いたしまして、競争原理を働かせて従来にも増して能力・実績主義の人事管理を実現しようという観点でございます。こうしたことによりまして、いわゆるキャリア制度の弊害と指摘されているような試験区分、採用年次を過度に重視した硬直的な人事管理は取らないようにすることができるものと考えております。  ちなみに、参考でございますが、平成十四年度の第Ⅰ、Ⅱ種採用のうち、郵政事務部門に配属した人数は、第Ⅰ種は事務系五名、技術系二名、第Ⅱ種、事務系三十一名、技術系七名、以上のようになっております。
  109. 高嶋良充

    高嶋良充君 私は、公社としてⅠ種、Ⅱ種をなくして総合職、仮称ですけれども、そういう方向で採用試験をされるということは非常にいいことだという、そういう意味で御質問させていただいているんですが、やっぱりキャリア制度というのはいろいろな弊害があるというか、もう出てきているというふうに思うんですね。特に、この最近の外務省における一連の不祥事の問題、あるいはこの農水省のBSE問題に対するときの対応のまずさというのは、現行のキャリアシステムの根本的な問題があるんではないかなというふうに思っているんです。  そういう意味では、今度、郵政公社が採用の部分でキャリアシステムを見直すというか、変更されるということについては、私はこれを全省庁に拡大をしていく一つのモデルになるんではないかというふうに思っているんですけれども、人事院としてはこういうキャリアシステムの見直しに対してどのようなお考えをお持ちなのか。そして、こういう郵政公社の採用の方法が一つのモデルとして必要なんではないかと思っていますが、その点については総裁はどうお考えですか。
  110. 中島忠能

    政府特別補佐人(中島忠能君) 注目すべき施策といいますか、注目すべき提案をなさっておるなというふうに受け取っております。  現在のキャリアシステムというものについてはいろんな方面から批判をされておりますし、これはもう随分長い間批判されております。    〔理事景山俊太郎君退席、委員長着席〕  ただ、御了解いただきたいのは、やはり中央官庁というのは非常に重要な政策の企画立案する場所でございますので、政策の企画立案の中核を担う人材を採用して育成するということは大変重要なことでございますので、問題は、そういう人間をどのように選抜していくか、どのように育成していくかということでございますので、今、郵政当局の方から御説明、御答弁がございましたけれども、そういう施策内容というものもよくお聞きし参考にさせていただきたいと思いますし、私たちも広く世論の方を注目しながらこの問題については取り組んでまいりたいというふうに思います。
  111. 高嶋良充

    高嶋良充君 私は、キャリア制度の問題というのは、採用という最初の選抜のところだけで論ずるのは、これはやっぱり間違いだというふうに思っていまして、今のような総合職採用という部分も一つの大きな改善点だという、そういうとらまえ方をしています。  そういう観点からいえば、最初の選抜と、それから今、人事院総裁が言われたように、中核的な人材をどう育成していくのかという研修、育成の問題と、それと、最近は総理も言っておられますけれども、退職管理ですね。早期退職慣行の見直しと、こういう言い方をされていますけれども、だから採用、育成、そしてこの退職、ここの部分を三位一体でやっぱり見直していく必要があるんではないかというふうに思っているんですが。  そこで熊代大臣に伺いますけれども、これもまた、昨年閣議決定された公務員制度改革大綱ではこのキャリア制度の改革が提起をされていないんですね。この際、キャリア制度制度改革の中できちっと見直すんだと、そういうおつもりはございませんか。
  112. 熊代昭彦

    ○副大臣熊代昭彦君) キャリア制度につきましては、既に御議論ございましたように、いろいろと問題点も指摘されております。それとともに、人事院総裁からも御答弁ございましたように、国の中核を担う人材というのはやっぱりしっかり確保していかなければならないということでございます。  そういう観点で、昨年の十二月二十五日の閣議決定においても、キャリア制度そのものを廃止はしておりませんけれども、キャリア制度をしっかりと見直していこうということでございますね、そういうことで見直しを行っております。  採用試験区分や採用年次に基づいて、Ⅰ種職員であればもう課長まではとにかくやらせてやろうというような甘いことはなくしまして、養成段階において、Ⅰ種職員を中心にいたしますけれども、Ⅱ種職員ないしはさらにその外郭の職員で集中育成に適する者については、集中育成期間を課長補佐段階ぐらいまでの期間といたしまして、能力主義によって徹底的な人事管理を行うと、それから厳正な幹部登用審査を行うというようなことで、キャリアシステムを思い切って広げてその欠陥を改めていこうということでございます。  こういうことでございますので、それからまた天下りの話もございますけれども、横並びで肩たたきをするというのではなくて、先ほども申し上げましたように、行為規制がありますから、かなり民間との交流は自由にすると。しかし、それは何かいいものを持ってきてくれるから、お土産を持ってきてくれるから交流ではなくて、能力を買われて行くということであります。スカウトされて行くということであります。  そういうことで風通し良さを図るとともに、ポストにつきましては公募制を導入すると。いろんなところから手を挙げることができる、民間からも手を挙げることができるということでございまして、キャリアシステムの良さを保ちつつ、問題点は思い切って改革していこうというところでございます。
  113. 高嶋良充

    高嶋良充君 内閣府でも是非、郵政公社が取り入れようとしている、民間ではもう総合職ということが大方のところでやられているんですけれども、やっぱり総合職システムというか、そういうものを国家公務員というか霞が関全体に波及をさせるという、そういう方向で一つの実験というかモデルとして御検討いただきたいなというふうに、これは要望しておきたいというふうに思います。  そこでもう一点、人事採用に関する問題でお伺いしますけれども、現在、郵便外務職員に外国籍の人は採用できると、こういうことになっていますね。逆に言えば、外国籍の人は郵便外務職員にしか現在は採用されていないと、こういうことになっているようでありますけれども、先ほどの御答弁で高卒程度一般職という、総合職と一般職に分けるんだと、こういうふうに言われました。ということは、選考で実施をされてきた外務職採用というのは今後どうなるのかということと、それと私はこの機会に、もう郵政公社なんですから、いろんな当然の法理とか公権力の行使というふうな部分は郵政公社では基本的には必要なくなってくるんではないかなというふうに思っていまして、外務職員以外にも外国籍の人を採用できるように、この幅をというか、範囲を拡大をする必要があるんではないかというふうに思っていますが、その点についてどのようにお考えでしょうか。
  114. 野村卓

    政府参考人野村卓君) 先ほど、新しい採用制度を作りたいということで総合職と一般職というお話をさせていただきましたけれども、今のところ、検討中の案では、高卒程度一般職につきましても内務、外務と二種類の採用をしたいと考えているところでございます。  それで、外国籍の関係でございますけれども、御案内のように、従来から、公権力の行使又は国家意思の形成に、参画に携わる公務員となるためには日本国籍を必要とするということで、郵政職員についても、外務職員についてはそういった外国籍についての受験を認めておりますけれども、内務職員については認めていないという現状でございます。  そこで、郵政公社という形で新しく変わるわけでございます。郵政公社の職員につきましても、国家公務員という点は変わりませんけれども、公社ということで職員の従事する業務の性格、こういったものも変わるのかどうかを含めて更に慎重に検討していきたいというふうに考えているところでございます。
  115. 高嶋良充

    高嶋良充君 是非、これからは仮称郵政一般職として採用すると、こういうことで、その中で内務職と外務職ぐらいに分けられるんだと思いますけれども、いずれにしても、郵政一般職の採用の部分については外国籍の皆さん方全体にこの門戸を開いていただくと、これは御要望として申し上げておきたいというふうに思います。  次に、労使関係の問題についてお尋ねをいたしますけれども、この郵便事業というのは労働集約的な事業なんですね。やっぱり労使の安定が公社の繁栄につながるというか、国民利便にもつながっていくと、こういうことになるというふうに思います。そういう意味では、国民の支持あるいは利用者の支持や信頼をどう得て事業運営を、事業経営というものを行っていくかということ、これはもう労使関係が最重要だというふうに思っています。  イギリスでは、郵政がストライキをやり過ぎたために国民から見放されていったという、こういう例もあるわけですけれども、そういう意味では、公社化を契機にして、今以上に充実をした健全な労使関係の構築が必要だというふうに思っているんですけれども、その点について、総務大臣、どのようにお考えでしょうか。
  116. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 言われるとおり、郵政事業は労働集約型でございまして、労使関係の安定が郵政事業を支える重要な基盤だと、こういうふうに認識しております。  今までも関係者が大変努力してまいりましたが、今後は国営公社になり、環境、状況が変わるわけでございまして、より一層緊密な連携を図ってまいると、こういうことでございまして、我々も、そういう意味では一層コミュニケーションを図り、これまで以上に充実した労使関係を構築いたしたいと、こう思っております。
  117. 高嶋良充

    高嶋良充君 じゃ、若干具体的にお尋ねしますけれども、来年のこの公社設立に向けて設立委員会というのを設置をされると、こういうことに法案が通ればなるわけですけれども、やっぱり設立に向けても、関係労働組合の意見を設立委員会という立場できちっと聞いていくということが必要なんではないかなというふうに思っているんですが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
  118. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 法律が成立すれば、余り時間がございませんので、できるだけ速やかに設立委員の任命をいたしたいと、こう思っておりますが、いずれにせよ、関係労働組合の意見はどんな形にせよ十分に聞いてまいりたいと。仮に、設立委員会ができれば、設立委員会の皆さんともその点は十分相談いたしたいと、こういうふうに思っております。
  119. 高嶋良充

    高嶋良充君 是非、関係労働組合との設立に当たってのやっぱり十分な意思疎通というものを図っていただくように要望しておきたいというふうに思います。  それから、最後になりますけれども、やっぱり郵政公社として自律的で弾力的な経営を行うということが必要になってくるというふうに思うんですが、そういう場合には、民間企業でも今もう大多数が取り入れていますけれども、経営協議会というのをよく労使でやられています。郵政公社になれば、こういうやっぱり経営協議会的なものを設置をされて、忌憚なく経営問題についても協議ができる、そのことが緊密な意思疎通を図ると、こういうことになるんではないかなというふうに思っていますが、その辺の、経営協議会的なものの設置を含めてどのようにお考えなのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  120. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 現在、関係労働組合との間では、今お話しの郵政事業推進労使懇話会、こういうものを作っておりまして、意見交換をいたしております。  いずれにせよ、公社におきましては、公社経営陣がどう考えるかと、こういうことはありますけれども、こういう関係労働組合との経営に関する意見交換の場の重要性は私どもも十分認識いたしておりますので、新たに発足する公社経営陣とはその点についても十分協議いたしたいと、こう思っております。
  121. 高嶋良充

    高嶋良充君 ありがとうございました。
  122. 内藤正光

    ○内藤正光君 民主党・新緑風会の内藤正光でございますが、引き続き質問をさせていただきたいと思います。  いただいた時間は一時間、そんな中、少々厳しいことを言うかもしれませんが、国民により一層愛される郵政公社を作り上げるためにはどうあるべきか、こういった観点で、やはりはっきりさせるべきところはさせなければいけない、そんな思いを込めて質問をさせていただきたいと思います。  そして、まず最初、断っておかなければならないことがございますが、実は財務副大臣にも質問をさせていただく予定になっておりまして、副大臣が今委員会中でございまして、十二時以降にならないと来ないということで、ちょっと若干質問の順番が切り替わるかもしれませんが、どうか御容赦いただきたいと思います。  まず、公社化のメリットについて質問をさせていただきたいと思いますが。  今回の郵政公社法によって郵政事業庁は日本郵政公社となる。公社化に伴って企業会計原則が導入されますから、経営効率化は進んでいくだろうと期待されます。また、信書便法によっては法的には信書分野への民間参入が可能となっていくわけでございますが、そこでまずお伺いしたいのは、今回の一連の改正によって、一般国民ですね、公社とかいうんではなくて、一般国民には一体いかなる具体的な利益がもたらされるというふうに期待してよろしいんでしょうか、お尋ねしたいと思います。
  123. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) これは、既にお答えをいろいろいろんな角度から申し上げておりますが、大変今度は自由度を持つ、自律的、弾力的な経営可能な主体経営体になるわけでありますから、国民の皆さんからいろんな御注文が出れば、早く的確にこたえられる可能性がある。いつもATMの例を出して恐縮なんですが、今ATMは要望があってもなかなか大変なんですよ、私もいろいろお聞きしますけれども。だから、こういうことが公社判断で的確に、しかも迅速に対応できるようになる、こういうふうに思います。  それから、今、内藤委員言われましたように、今度は企業会計原則ですよね。企業会計原則、一つ経営体になるわけです。今も同じなんですけれども、今は国の一部、国営事業ですよね。今度は一つ公社という独立経営体としていろんなことをやる。そういう意味では、国民の皆さんにいろんなことをオープンに情報公開をして分かってもらわなければなかなか公社経営は難しくなりますから、その点では国民との距離が大変近づいてくると、こういうふうに思います。  また、給与や任用等につきましては、これも、公務員の中では特殊な公務員という形に位置付けておりますから、任用につきましても、先ほどのお話のように、必ずしもキャリア制度でないと、こういうことですね。実力主義、成績主義、能力主義に応じて給与も出すと、こういうことでございまして、昇進等についても人事配置についても場合によっては抜てきがあると。国家公務員には、抜てきはありますけれども大抜てきはないんです。小抜てきか中抜てきでございまして、今度は大抜てきもあり得ると。  こういう意味で、大変活気が出るような仕組みになるんではなかろうかと、そういうことが私はメリットでないかと思っております。
  124. 内藤正光

    ○内藤正光君 ありがとうございます。  そうはいいながら、国民にとっての最大の関心事は何であるかと考えた場合、やはりどれだけ料金値下げが進んでいくかなんだろうと思います。  私、数年前に経験して驚いたことなんですが、例えばの話なんですが、日本国内ではがきを送るよりもアメリカから日本へ送った方が安いなんという、そんなおかしな事例もあるわけなんです。  こういったことも踏まえて、今回の法改正後、料金値下げは一体どんなふうに進んでいくと期待してよいのか、お尋ねをしたいと思います。
  125. 佐田玄一郎

    ○副大臣佐田玄一郎君) 先生が言われるように、料金だけではなく、いろんな多様なサービスも、私もこれは行われていく可能性ができてきたと、こういうふうに思っているわけでありまして、今、大臣の方からもありましたように、自律的で弾力的な経営を行う独立採算制の公社郵便事業を実施させるとともに、従来国家独占でありました信書送達の全分野に要するに競争原則を導入していくと、こういうことでありまして、郵政公社にとっては、常に民間事業者参入の可能性があることでありますので、料金の値上げが抑制され、競争に対応しまして合理化効率化を求められていると。  具体的に申し上げますと、例えば、一般信書便の場合は二百五十グラム以下を扱っていくわけでありまして、二十五グラムの場合は上限八十円を設けておりまして、それ以上につきましては、またこれは自由に料金設定ができるわけであります。そういうところに競争ができると同時に、また、一般信書便事業者になりますと同時に特定信書便事業者になりますから、特定信書の場合には、もう御案内のとおりで、例えば四キロ以上であるとか千円以上であるとか三時間以内の送達であるとか、こういう範囲の中であらゆるいろんなサービスが行われてくるものと感じておるわけであります。  また、繰り返しになりますけれども、競争の原則がかなりこれは機能してくるんじゃないかと、かように感じておるわけであります。
  126. 内藤正光

    ○内藤正光君 佐田副大臣おっしゃるように、やはり競争環境の中での緊張関係こそがサービスの質の改善を促すでしょうし、また料金値下げを促進していくものだろうと思います。  おっしゃったように、競争原理が随所に導入されていくとおっしゃるんですが、大臣もたしか衆議院の委員会の方でもお認めになられているように、確かに法的には全国ベースの参入はできるようになったけれども、ちょっと当面参入は期待できないんじゃないかと。実質的には、依然、今後も同じ形で進んでいくという事態が予測されるんですが、ここで、つまり競争の構図がない中で、一体いかなるロジックで先ほど副大臣がおっしゃったようなサービスの改善だとか料金値下げが進んでいくんでしょうか。ちょっとそこが興味ある点ですので、お答えいただきたいと思います。
  127. 佐田玄一郎

    ○副大臣佐田玄一郎君) 先生、実は大事なことは、ユニバーサルサービスがあるわけですね。それと、またその信書の秘密ということをしっかり、秘匿性がありますから、これを守っていく。また、それと同時に、今先生が言われたように、競争原理を入れていくと。そうすると、これは非常に相反するところがありまして、もう言うまでもありませんけれども、条件を付けて民間事業者に入っていただく。今のところ、一般信書便の方が手を挙げておられないということでありますけれども、こういう議論を通じまして理解をいただいているうちに入ってきていただく方もおると確信をしておるわけであります。  また、特定信書便の方は、三時間以内であるとか、又は四キロ以上、又は千円以上という非常にフレキシブルな条件がありますので、こちらの方につきましてはもう非常に興味を示されている具体的な会社があると、これはお聞きしております。  したがって、その議論の中で、またその事業者の皆さん方のいろんな創意工夫の中で競争が生まれてくるものと確信を持っておるわけであります。
  128. 内藤正光

    ○内藤正光君 この公社化のメリットについてはこの辺りでやめておきますが、いずれにしても、これから政令であるとかいろんなものを決めていくと。余りがんじがらめに決めて新規参入事業者が嫌気を感じてしまうようなことは決してないようにしていただきたい。競争の中で、新規参入事業者はもちろんのこと、郵政公社もまた切磋琢磨して本当に頑張りがいのある職場にそうすることによってなっていくんだと思います。いずれにしても、国民に愛されるような郵政公社づくりに頑張っていただきたいと思います。  そこで、次、公正競争の確保という項目で質問をさせていただきたいと思います。  本当は後の方に質問しようと思っていたことなんですが、今回の総務省から郵政公社役員への天下りには何ら規制がないというふうに承知しております。また、役員以外の一般の職員の郵政公社総務省との間の行き来は、通常の人事交流ということで残されているというふうに聞いております。  しかし、何度も申し上げるように、これから法的には民間参入が可能になっていくわけで、余りこう総務省郵政公社との間で無原則な行き来があると、果たして、公正競争を確保するという観点からこれは妥当ではないんじゃないかという思いがしてならないんです。人事交流とはいっても、やはり何らかの厳しい規制、ルールがあってしかるべきだと思うんですが、お考えをお伺いしたいと思います。
  129. 佐田玄一郎

    ○副大臣佐田玄一郎君) これは先生の言われるとおりでありまして、ただ、郵政公社総務省が企画立案する郵政事業に関する政策の実施機能も担うところがありまして、そういうことを考えますと人事交流が必要な部分は出てくるんじゃないかとこういうことで、ただ、具体的にはどうするかということになりましたら、今検討中であると、こういうことであります。  ただ、先生今おっしゃられましたように、例えば郵政公社信書便事業者は、これは競争関係、競合関係にあることでありますから、信書便事業者の担当部署、こういうものにつきましては、公社との関係において業務の適正な執行に当たっては問題がないと認められる職員を配置する等、一定のきちっとしたファイアウオールを設けることが、これは行政の公正という観点からも非常に大事なことだと、こういうふうに思っておりますし、総務省の職員から公社の役員となった者が再び総務省へ戻るということは、私はそういう観点からすると、役員になれば大方のところを見るわけですから、これは余り感心しないと、こういうふうに、原則で言うと、今、検討中でありますけれども、そういうふうに考えております。
  130. 内藤正光

    ○内藤正光君 おっしゃるように、昨日まで例えば郵政公社を始めそういったところを規制、監督していた、そんな部署で働いていた総務省の方が、今日からいきなり公社に人事交流の一環で行って、果たしてこれが妥当と言えるのか、大きな問題があろうかと思いますので、ここはこれから作り上げていくということをおっしゃっていただきましたが、しっかりと民間事業者から後ろ指を指されるようなことがないように厳しい明確なルールを作っていただきたいと思います。  その観点での質問、もう一つ質問なんですが、そもそも人的にも太いパイプのある郵政公社なわけですね。果たして、そんな総務省がそういったこの分野を規制、監督する立場にあるんだろうかという疑問もやはり出てくるわけなんですが、そういった疑問にはどういうふうにお答えになられるでしょう。
  131. 佐田玄一郎

    ○副大臣佐田玄一郎君) 一応、所管の省庁が総務省ということがありますから、先生の言われるように、所管の中でいろんな企画をやっていくわけでありますけれども、その人事交流につきましては今検討中というふうに答えましたけれども、それはしっかりとファイアウオールで具体的に考えていきますから、そういうふうに御理解いただきたいと思います、企画をするのはやっぱり総務省の方ですから、所管として。
  132. 内藤正光

    ○内藤正光君 しっかりとしたファイアウオールを作っていただきたいと思いますが、公正競争の観点で郵政審議会の在り方について若干ちょっとお尋ねしたいと思うんですが、今回、総務大臣が認可等を行う場合には郵政審議会に諮問することが義務付けられているわけなんですが、公正競争条件を確保し、国民の利益を確保する観点からもこの審議会の役割は今まで以上にやはり重要になってくるんだろうと思います。  そこで、郵政審議会の構成メンバーの在り方、もう一度見直さなきゃいけないんじゃないかなと思うんです。例えば、そういったライバル事業者の協会からもやはりメンバーを迎え入れるとか、そういったことも考えていくべきだと思うんですが、その点についてお尋ねします。
  133. 佐田玄一郎

    ○副大臣佐田玄一郎君) 先生の言われるように、審議会も減ってまいりまして、重要なもの、郵政審議会は非常にこれは大事な機能をこれから発揮しなくちゃいけないわけでありまして、わけて、どういうものを審議するかというと、中期経営目標であるとか、中期経営計画、業務方法書の認可であるとか、郵便料金郵便貯金の利率の決定方針、又は簡易生命保険定款などの認可等に当たっての諮問を行うということでありますから、大変かなり広範にわたって重要なことをやられておるわけでありまして、審議会が公社の監督に当たりましては、これはもう言うまでもありませんけれども、客観性、透明性を確保しまして、公正中立かつ専門的な見地から意見を反映させるものでありまして、したがって、その委員については、先生今申し上げましたとおり、非常に中立で公正でなくちゃいけないと、かように思っておりまして、審議会に期待されます機能が十分発揮されますように、各界各層から人格、見識に優れた方々に就任していただくということに考えておりまして、公社の立場や競争相手の意見を審議会全体として公平判断できるような委員の方、つまり、この団体がいいとかあの団体がよくないとか、そういうことではなくて、優れた識見を持った方、個人を集めて採用していきたい、こういうふうに考えております。
  134. 内藤正光

    ○内藤正光君 優れた識見を有する方ということなんですが、例えば郵便事業への参入がこれから期待されるわけなんですが、郵政公社関係の人も入ってくるのかもしれませんが、逆に、民間のそういった人たちの利益を代表する人というのは具体的には入れるお考えなのかどうか、お聞かせいただけますか。
  135. 佐田玄一郎

    ○副大臣佐田玄一郎君) 検討中でありますけれども、先生、それはその可能性は私はあると思います。それは、今申し上げましたように、例えば利益団体であるとか、昔の郵政省の方々であるとかOBであるとか、そういうことではなくて、個人、要するに見識を持って公平公正に判断できる方ということで個人的な形で選んでいきたい、こういうふうに思っているわけであります。
  136. 内藤正光

    ○内藤正光君 いずれにしても、郵政審議会の果たすべき役割というのは重大なものがあろうかと思います。仮にも民間参入がこれから期待されていく中でますますその役割は重要になってきますので、そういった流れにふさわしい構成メンバーにしていただきたいと思います。  まだ副大臣いらっしゃっておりませんので、また、じゃ、今度は信書定義について簡単にお尋ねしたいと思います。  おとといもというか、衆議院の方でも何度も出てきていることなんですが、諸外国では、自由化といったときに、重量だとか料金といった客観的な指標を使ってまず部分的な参入を許しておいて、そして徐々に徐々にその枠を広げていく完全自由化を進めてきた。と同時に、新規参入状況を見ながら徐々に経営の自由度、この場合でしたらば郵政公社経営の自由度を付与していく、これが妥当な手法であると私も思いますし、また、実際に情報通信の分野ではこういった手法を取ってきたんではないかなと私は考えております。  しかし、今回はどんなふうになったかというと、特に信書取扱いについては、原則郵政公社の独占としながら、全国ベースのユニバーサルサービス提供などといった条件と引換えに民間参入を認めることになったわけなんです。  ところが、信書定義をめぐっては以前から、ちょっと言葉、言い方きついかもしれませんが、不毛な論議が延々と繰り返されてきた。これをまた基準にすれば再び同じような議論が噴出してくる、展開するだろうなんということは初めから予想できたことなんですよね。不毛な論議、いろいろあります、もういろいろ差し障りがあるんで余り言いませんが。  そもそも今日どうあるべきかというと、やはり、だれにとっても明確なルールを設けて、その客観的なルールの上でプレーヤーが競い合う、いわゆるルール型行政へと移行していかなきゃいけないと、その必要性が叫ばれているわけなんですが、信書か否かという極めてあいまいな基準というのは私は裁量行政の最たるものではないのかなというふうに思います。  そこでお伺いしたいのは、なぜそんなことが、もうあらかじめ分かっていたにもかかわらず、信書であるかどうかというのを一つの基準に据えてしまったのか、そこをちょっと改めてお伺いしたいと思います。
  137. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) いろいろ信書についての内藤委員のお話を今承りましたが、今、信書かどうかというのは、参入議論じゃないんですよ、参入議論じゃないんですよ。  今の郵便法五条は、信書は今は国がやる、これからは国営公社がやる、それから参入した民間事業者がやる、その他の者はやれないよというのが五条なんですよ。そこで信書の、もう少し広げろとかどうしろというのは、そういう参入する意思に関係なく普通の者が普通にやらせてくれ、こういうことなんですよ、でしょう、参入とかなんとかじゃなくて。信書でなくなれば一般の者がやれる。しかし、それはなかなかそうはいかないというのが我々の立場で、これは秘密を守らなきゃいけませんし、ユニバーサルサービスは確保してもらわにゃいけませんので、何の制約もない普通の人がやるのは困るというわけです。そこで、信書というものの定義を今決めているわけなんですよ。  これは、公社なり参入した民間事業者だけができる、その他の者は申し訳ないけれどもできないよと、そこなんですね。信書の実質的な意味があるのは、参入する人の関係じゃないんですよ。参入しない人がやりたいというところに一つのポイントがあるんですね。  そこで、外国は段階参入や部分参入ですから、信書の中で料金重量でこの段階の線を引いているんですよ。信書に線を引いているんじゃないんですよ。全部信書なんです。信書なんだけれども、部分的に入ってくる、段階的に入ってくるときに、一定の重量以上とか一定の料金以上とかという線を引いているんですよ。それは信書の範囲じゃないんですね。  そこで、信書は我が国と同じようなものですよ、よその国も。同じような書き方を、小野委員らいろいろ話がありましたが、表現は違いますが大体似たようなことを書いて、その具体的な範囲というのは、やっぱりこれは解釈になるんです、どうしても。ただ、解釈で事を決めるんじゃなくて、解釈は分かりにくいところに線を引くだけなんですよ。定義を動かすというんじゃないんです。創設的な効果はないんです。確認をするだけなんですね。信書定義の補完をするんです。解釈の確認をやるんで、そこで、あらあらのことは、佐田副大臣が言いましたように、衆議院でも出させていただきました、あらあらのことは。  その中で、例えばクレジットカードや地域振興券は荷物の添え状・送り状的だから、本当は支払手段なんですが、クレジットカードも地域振興券も、それに通信文が付いているというのは、これは信書なんだけれども、例外規定で、信書だけれども送り状、添え状は信書に扱わない、こういうことですから、そういうことで解釈できるんじゃなかろうかと、こういうことを示しているんです。ただ、確定はガイドラインでしますよと。  それから、チラシみたいにうわっと皆さんに配るような公然公知のもの、しかも極めて多数に配るようなものまで、これは信書性があるかどうか、これは議論があると。だから、これについてもガイドラインで決めますけれども、これは信書性がかなり薄いんではないかと考えるということのガイドラインの概要を出させていただいて、あとは幅広い関係者の御議論とパブリックコメント等で決めていきたい、こう考えているので、ガイドライン信書定義を決めるなんという恐れ多いことは毛頭考えておりませんので、ひとつ御理解を賜りたいと思います。
  138. 内藤正光

    ○内藤正光君 参入云々ということではなくて、私は、なぜ信書性にこだわるのかということなんですね。それは、やはり通信の秘密を守らなきゃいけないという、そういう観点での話でいいんですね。
  139. 佐田玄一郎

    ○副大臣佐田玄一郎君) 先生、先ほどのお話にもありましたけれども、昭和三十三年まで、信書定義ということでいろいろ言われておりましたけれども、最終的にああいうふうな文書が出たわけでありますけれども、それは言うまでもなく、やはり信書であるかどうかという重要な部分というのは、今、先生言われましたように、秘匿性、要するに秘密を守っていく、こういうことだと、こういうふうに判断しております。
  140. 内藤正光

    ○内藤正光君 信書については秘密をしっかり守らなきゃいけない、だから無条件にやらせるのはよくないというお考えだろうと思います。  ところが、例えば、私なんてよくやるんですが、筆不精なせいもあるんでしょうが、手紙で書こうとしたんだけれども、全くそれと同じ内容を電子メールで送っちゃうなんということは多々あるわけなんです。こういったことは私だけじゃないと思います。多くの人が今やそういうことをやっているんだと思います。ということを考えたならば、電子メールで送る内容というのは信書そのものだろうと思います、送り先を決めて自分の意思を送るわけですから。  ところが、こういった電気通信の分野というのは、この信書と同じ内容のものをだれが扱っているかというと、第一種事業者のみならず第二種事業者。第二種事業者というのは別に大きなところばかりじゃないわけですよ。それこそ、一人で十分できるようなプロバイダー事業者、そういったところも扱っているわけなんです。ホストコンピューターの中にその信書と同等の内容が、ログだとかいろいろの中身そのものが入っているわけなんです。正に民間事業者が自由に信書を扱えるのが今の情報通信、電気通信の分野の現状なんだろうと思います。  私は、じゃ今の郵便事業と照らし合わせた場合、私はどうも整合性が取れないんじゃないかなと、余りにも何か信書云々というのにこだわるのと実際の電気通信分野での現状と私は整合性が取れないような気がしてならないんですが、いかがでしょうか。
  141. 佐田玄一郎

    ○副大臣佐田玄一郎君) 先生、電気通信の事情というのは大変もう先生の御専門ですから、ただ、一種は非常に厳しい条件が付いて、二種はちょっとラフになって基盤を持っていませんからそういうことになるわけでありますけれども、今なんかはプロバイダーも相当大きくなってきておりますから義務というものが当然これは付加されてくることだと、かように思っております。  もう一点は信書との整合性の問題なんですけれども、やはり電気通信におきましても、もうこれはきちっとその秘密は守っていかなくちゃいけないという、そういうことでありますけれども、例えば郵便送達につきましても、あくまでも内容、中身をこれは確認するわけにいきませんから、そういう意味におきましては、例えば外形上からこれは秘密を守っていかなくちゃいけないという根底があるわけです、基本的に。  そういうことを考えたときに、やはり電気通信の方もこれは秘密を守らなくちゃいかぬし、そしてまた信書の方も当然同じように守っていく。その要するに過程において外形上の判断ということもこれはあるわけでありますからその辺は整合性が取れると、こういうふうに思っておるわけであります。
  142. 内藤正光

    ○内藤正光君 私が申し上げたいのは、もう電気通信の分野では信書なんという、信書性かどうかなんという議論はもう全くないわけです。ところが、もう、副大臣がおっしゃる正に信書そのものが普通の一人でやっているようなプロバイダー事業者の間で扱われているわけなんですね。私は、そういった現状をかんがみたとき、どうも何か、この郵便事業で今なお信書性云々という議論が延々と続くこと自体いかがなものかなと。信書云々はもう何十年も前から続いている議論なので、今やもう大分時代が変わったということをかんがみて、やはりもっと前向きに破壊をしていってもらいたいと、今までの議論を、是非お願いしたい。  私は、本当に時代錯誤的だと正直言って思います。やはり、ちゃんとしたこの信書性云々、民間事業者でも普通に扱わせておいて、でも何かあったら厳しく罰するとか、電気通信分野ではそうしているわけですよね、その内容を漏らしたりとか。私は同じような手段で対応できるんじゃないかと思うんですが、もう一度お願いをします。
  143. 佐田玄一郎

    ○副大臣佐田玄一郎君) 先生の言われるように、やっぱりきちっとした秘密、秘匿性を守っていかなくちゃいけない。今、私、ちょっと言い忘れたんですけれども、プロバイダーであるとか電気通信法上の第二種電気通信事業者としても通信の秘密を保護するであるとか義務が課せられておるわけでありますから、その辺も含めて考えていくわけでありますけれども、それは、先生の言われるように、整合性が取れるようにきちっとやっぱりそれを判断していかなくちゃいけませんし、そして、今回の信書における定義がありますけれども、そのあいまいな部分についてのきちっとしたガイドラインは作っていかなくちゃいけないと、こういうふうに思っておりますので、その辺の整合性は付けていきたいと、かように思っております。
  144. 内藤正光

    ○内藤正光君 恐らく水掛け論に終わってしまうと思いますので、もう本当にこれは、やはりこれから電気通信分野での現状をかんがみて、もう一度考えていっていただきたい、検討していっていただきたいと思います。  財務副大臣があと数分で来るということなんですが、時間の関係でちょっとその項目に入らせていただきたいと思いますが、国庫納付金について質問をさせていただきたいと思います。  先日の新聞でも出ていたんですが、例えば、郵便局は法人税や保険料などを払っていない、金額にすると五千億円程度が減免されているんじゃないかと、こういったように民間事業者民間の金融関係事業者は厳しく批判しているわけなんですが、私は、このような批判をされては国民に愛される郵便局というのは到底かなわないんだろうと思います。  財務省さん、いらっしゃいましたね。財務省さんは、その代わりというか、税金だとか保険料を納めない代わりに国庫納付の必要性があるんだという主張を展開をされたわけです。  実際に私の手元に資料があるんですが、全銀協の試算によりますと、どれぐらい郵便局がそういった税金だとか保険料の支払を減免されているかといいますと、法人税、事業税については合計すると二千五百億円、これ二〇〇〇年度の話ですね。預金保険料等は、同規模なんですが、二千四百億円。合わせて五千五百十六億円もの支払が減免されていると、そんなような指摘を全銀協はしているわけなんです。  そこでお尋ねしたいと思うんですが、これ、民間事業者とのイコールフッティングという観点で本当に妥当なのかどうか、法人税等の減免は二千五百億円、そして保険料の減免も同規模の二千四百億円ありますから。これは財務副大臣並びに金融庁、双方からお伺いしたいと思います。
  145. 尾辻秀久

    ○副大臣(尾辻秀久君) まず、法人税についてお答え申し上げます。  現行の法人税法におきましては、これ、したがいまして、法の定めるところによりまして、法人の組織形態に着目をいたしまして、この組織形態で四つに区分しております。すなわち、申し上げますと、一つが公共法人でございます。さらに公益法人等、それから協同組合等、そして普通法人、この四つに区分されておるわけであります。  そこで、この日本郵政公社がどの区分になるかと、こういうことになりますけれども、現在国が行っております事業を引き継ぎますし、国が全額出資をいたしますし、利益処分は積立金として処分することになっておりますし、総裁などの役員は主務大臣が任命することにされておりますし、要するに、この四つの区分でいいますと明らかに公共法人に区分されると、こういうことになります。  そうなりますと、現在、公共法人に対しましては法人税非課税となるものですから、法人税ということで申し上げますと、その他の公共法人と同じように非課税という同様の取扱いになる、こういうことを申し上げるところでございます。
  146. 藤原隆

    政府参考人藤原隆君) お答え申し上げます。  金融庁といたしましては、金融市場の健全な発展の観点から、郵政公社に関し、民間とのイコールフッティングを確保することが重要であるとの認識に基づきまして郵政公社化関連法案につきまして担当の総務省と協議をしてきたところでございます。  これからは、総務大臣の監督の下、郵政公社の業務運営の適正さが確保されるものと考えておりますが、今後とも金融システム全体を所管する立場から、もし必要があれば御意見を申し上げていきたいというふうに考えております。
  147. 内藤正光

    ○内藤正光君 よく分からなかったんですが、結局はどういうことでしょう。もう一回お願いします。
  148. 藤原隆

    政府参考人藤原隆君) お答え申し上げます。  金融庁といたしましては、金融市場の健全な発展という観点から、郵政公社に関しまして、民間とのイコールフッティングを確保することが重要であるという認識に基づきまして、郵政公社化関連法案につきまして担当の総務省と協議してきたところでございますが、総務大臣の監督の下、郵政公社の業務運営の適正さが確保されるものと考えております。  ただ、今後とも、金融システム全体を所管する立場から、必要に応じ御意見を申し述べてまいりたいというふうに思っております。
  149. 内藤正光

    ○内藤正光君 同じ答弁だろうと。ありがとうございます。  尾辻副大臣、公共法人とおっしゃいましたが、やっていることは民間と競合することをやっているわけでして、私は尾辻副大臣のおっしゃったことは今回の場合には当てはまらないんじゃないかなと思います。いいです。これはまた別の機会で議論をさせていただきたいと思います。  そこで、以下、修正案提出者八代先生等にお伺いしたいと思いますが、国庫納付金についても修正されたわけなんですが、衆議院の修正で、基準額を超える場合において政令に定めるところにより納付すると、短くすればそんなような内容に変わったわけなんですが、具体的にどういうことなのかということをお尋ねしたいんですが、現在の資本金をどのように見積もっていて、基準額というのはどれぐらいを考えているのか、こういったものを具体的に明示しながら説明をしていただけますでしょうか。
  150. 八代英太

    衆議院議員(八代英太君) 今、それぞれ財務省、金融庁からお話がありましたけれども、郵政公社になりましても、国民の掛け替えのない共有の財産であるという視点を持ちますと、極めて公共性の高い郵政公社のこれから旅立ちになるという思いを持っております。  それにしましては、平成十二年度の計数を基にして、大体資本は公社化になっても一兆八千億程度だろうと、こういう資産で、さあ自立しなさいと言っても、やはりそこには基本的な基準額と申しますか、資本がしっかりと担保されていなければ、例えば、三事業一体でやっていくわけですから、いろんなリスクに伴うこともいろいろ勘案されるでしょうし、そういうことを考えたときに、やはり公社に最低留保されるべき額として積立金の基準額というものは設定すべきではないかと。  例えば、そこで私は、二百五十兆円の郵貯があるとすれば、この債権を、負債を基本として考えますと、大体都銀、地銀なんかは四・七%、そういう計算をしているところがありますが、あるいは四%としましても、およそざっくばらんに十兆円ぐらいの基本額、資産というもの、資本というものは積み立てておくことが大切ではないのか。そこから先に公社が頑張ってあるいは一兆円ぐらい多く黒字になったとしたら、その一兆円の中からどういう形で国庫に納付することがいいのかということも含めて、やはり一兆八千億の資本というようなことでは、片山大臣も再三衆議院でも、余りにも過少だ、過少だ、過少資本だということをおっしゃっておるわけでありますから、私たちはむしろ、簡保のことを入れなくとも、郵貯だけでもおよそ二百五十兆で四%ぐらい、最低十兆円ぐらいの何とか基準額というものを担保することによって、なお一層公社経営の健全性を確保するためにはそのくらいの必要な額として是非政令で定めてもらいたいと、こういう思いなんですね。  ですから、十兆円、中期計画ですから四年間の間に十兆円たまったと、基本額が、そこから更に黒字が出てきたと、黒字が出てきたら、それを国に納める納付の対象としていろんな形で納付にするようにしたらどうかということで、およその額として、私たちは願望も含めまして大体十兆円以下であっちゃいけませんよと。片山大臣、せめて簡保まで入れると十六兆や十七兆ぐらい基本額として、そして、それはむしろ公社として、ユニバーサルサービスを始めいろんな意味での国民への還元に使っていくことが正しい公社化のありようではないのですかということで、衆議院では附帯決議なんかもこの部分においては出されておりまして、その附帯決議ではこんなふうに表現しております。  附帯決議では、「公社経営の健全性を確保するため、法第三十七条の積立金の「基準額」については、公社の負債に対する自己資本の比率を踏まえ公社と類似の業務を営む」、いろんな独立行政法人がありますけれども、そうした「類似の業務を営む民間企業と同等の水準となるよう、その額の計算方法を定めること。」と、こういう具合に附帯決議でも記させていただいておるわけですけれども、そういう意味では、財務省は何でもかんでも、さあ自立しなさい、しかし国に納めなさいという論法がちょっと激し過ぎるものですから、ここはしっかり歯止めを掛けておかなければ、やはり国民共有の財産たる郵政公社としてのこれからの経営の中に健全性も担保されない、こういう思いで、強い思いを持ちまして、願望も込めてこのことを実は修正の対象にした次第でございます。
  151. 内藤正光

    ○内藤正光君 ちょっと大臣にお尋ねしたいんですが、今、正直言って、基準額が十兆円というのが独り歩きしているような嫌いがないわけでもないと。その算出根拠は何だって聞いてみたら、郵貯の残高が二百五十兆円程度あるから、国内の金融業務を営む場合のリスク基準が四%、だから掛け合わせると十兆円と。  ところが、御存じのように、公社については国が最大限バックアップするわけですから、民間の金融機関が四%というものを持っているんですが、基準をですね、自己資本基準を持っているんですが、果たして公社にもそれを当てはめていいのか。私はそういう議論というのはちょっと乱暴過ぎやしないかなと思うんですが、いかがでしょう。
  152. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 内藤委員のような意見もあるんです。ただ、今回は、企業会計原則、独立採算と、国とは独立した経営体、公社と、これを基本法で書いているんですね。そういうことからいうと、やっぱりリスク対応は自己防衛せにゃいけません。  そこがどこかというのはいろんな議論があるけれども、例えば、今言いましたように、衆議院の附帯決議は、似たようなことをやっておる民間の銀行を考えれば、国内の仕事なら四パー、国際なら八パーと、こうありますから、もう仮に簡保を除いて、郵便事業を除いて、郵貯だけ考えても二百五十兆掛ける四パーなら十兆になると。大変丸い数字で分かりやすうございますわね。  だから、一遍にいきませんよ。一兆八千八百億というのは、これは公社側の試算で、あれはあの時点の、かなり前の時点ですから、そこのプラス、マイナスがありますので、ぎりぎりは来年の三月三十一日にどうなっているかと、こういう議論ですよね。その議論から積んでいくわけでございまして、それは債務超過じゃないと思います、私は、きっちりその時点でも。債務超過じゃないんだけれども、そんなたくさんあるわけじゃないので、そこで、十兆にするのか十何兆にするのかは別にして、それなりのきっちりした基準額、資本金と言ってもいいんですけれども、それを持っていないと、やっぱり独立した企業会計原則による独立採算制の経営主体としてはいかがかなと、こういうことでございまして、委員が言われる、支払保証が付いているからいいじゃないかと。それはいいかもしれません。しかし、それじゃあの基本法の精神にはもとると、こういうふうに我々は考えております。
  153. 内藤正光

    ○内藤正光君 私は、どうも企業会計原則というのを都合のいいときに使っているような気がしてならないんですね。  そこで、私、じゃ、ちょっと違う角度でお尋ねしたいと思います。今度は基準額というよりもむしろ現在の資本金の方に関係する話でございます。  これは、退職給付引当金なんですが、企業会計原則の導入に伴って、当然のことなんですが、引当金を積まなきゃいけない。この引当金の総額はどれだけかというと、二兆八千四百億円、それも全額初年度一括計上すると。その結果、資本金は一兆八千八百億円になってしまった、すなわち過少資本になってしまったとおっしゃっているわけなんですが、まずお尋ねしたいのは、この退職給付引当金の二兆八千四百億円というのは郵政公社で働くすべての職員に相当するものじゃないんですか。
  154. 佐田玄一郎

    ○副大臣佐田玄一郎君) 今度の企業会計原則によりますところの退職給付にかかわる会計基準に従いまして退職給付引当金を計上することが必要でありまして、試算によれば、今、先生が言われたように二兆八千億、設立時点で計上することになるというふうに考えておるわけでありまして、退職給付にかかわる会計基準上は、既に存在する企業の場合、存在する企業ですね、そういう場合につきましては、退職給付引当金として計上すべき価額を十五年以内、まあ十五年以内ですから、その以内の中で一定の年数に案分して処理するという経過措置が認められているところでありますけれども、今回の場合、郵政事業公社化に関する研究会・財務会計制度ワーキンググループでは、公社に新たに設立される法人であるのでこの経過措置を適用することは適当でないとの意見を聞きまして、そういうふうに負債として一括で出させていただいておると。  また、仮にこれを、設立当初より退職給付の引当金を計上せずに一定年数を掛けて引当金を計上する場合には、毎年度発生する退職給付費用に加えて、当該引当金にかかわる退職給付の費用が発生することになりまして、またこれは非常に公社の損益に影響が及んでくると、こういうふうに判断をしているところであります。  また、先生、負債で最初に出すということによって今の経営状況をガラス張りにしていくという効果もありますので、そういうふうに御理解いただきたいと思っております。
  155. 内藤正光

    ○内藤正光君 経営状況をガラス張りにということなんですが、私の知る限りでは、民間企業で一括一年で給付引当金を計上するという、ちょっと余り例を知らないんですね。ましてや、来年倒産するという可能性は全くないわけですから、果たしてそれが妥当なのかどうか、私は疑問が正直言ってあるわけです。一年で、初年度で一括計上したがために資本金が過少になったわけですね。これ、はっきり言えば、現在の資本金と基準額との間の開きにも関係してくる話なんですよね。これもあります。  そしてまた、この基準額の算定が郵貯事業に基づいて算定している、一方、資本金の算定が三事業丸ごと一体でって、ちょっと私は何かごっちゃになっているようなところも多分にあるんじゃないかなと思うんです。  それで、企業会計原則云々をおっしゃるんであるならばなおのこと、私は、基準額を決めるときとか、そういったものを決めるに当たっては、三事業それぞれ明確に分けて算出すべきだと思います、それぞれの根拠を設けて。いかがですか。
  156. 佐田玄一郎

    ○副大臣佐田玄一郎君) 先生、繰り返しになって恐縮なんですけれども、継続的にやってきた会社が今回の基準でやるという形になった場合には十五年以内で分けてやっていく、段階的にやっていくということでありますけれども、今回の場合は、一応資産を引き継いでやるという形でありますから、その辺の御理解をいただきたい。また、これを判断したのは、研究会の方で、ワーキンググループの方でいろいろ研究をされた結果ということでもありますので。  それともう一点は、三事業は、きちっとそれは独立で経営状況を把握していくと、こういうことになっておりますので、御理解いただきたいと思います。
  157. 内藤正光

    ○内藤正光君 そこで、いろいろな議論があってちょっとこの問題をここで締められるかどうかという問題もあるんですが、私は考え方が余りにもちょっと雑なような気がしてならないんですよね。  企業会計原則と言うからには、やはりその辺、だれもがみんな納得できるようなスタンダードでもってやるべきだと思うんですよね。都合のいいときだけ何か郵貯事業だけ取り出して、一方では三事業丸めてとか、何かちょっといいところ、正にクリームスキミング的な手法じゃないかなと私は思うんです。やはり、これからちゃんと自立した経営をさせていくんであれば、私はその辺、だれからも後ろ指が指されることのないような明確さを追求していくべきだと思うんです。  そこで、以上、今までいろいろな議論があったんですが、大臣にちょっとお考えをお伺いしたいんですが、これから基準額を政令で定めていくわけなんですが、その定めるに当たっての基本的な考え方、先ほど八代先生がおっしゃったような考え方に準ずるのか、いやいや、こういう考え方でいくんだとかいうものをお持ちであれば、政府として責任ある答弁をお聞きしたいと思います。
  158. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 衆議院でああいう附帯決議を付けていただきましたので、国権の最高機関の附帯決議は大変重うございますので、それは尊重していきますけれども、やっぱり我々としては、今、内藤委員言われるように、国民の目から見てなるほどなと納得できるようなことを考えていきたいと、衆議院の附帯決議を尊重しながら、そういうふうに考えておりますので、今御指摘の点も、我々は、この三事業は一体ですけれども、事業本部制的なことの採用も含めて今検討しているんですよ。そういうことだとすれば、いわゆる資本金、基準額も、それは一本に出すにしても内訳があるとか、いろいろな考え方ができるので、その辺はひとつ総合的に検討して、国民の皆さんから見て納得できるような形に是非いたしたいと。  ただ、附帯決議の重さは十分承知いたしておりますので、八代先生、桝屋先生おられますので、十分それは念頭に置きながら検討してまいりたいと、こういうふうに思っております。
  159. 田村公平

    委員長田村公平君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十四分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  160. 田村公平

    委員長田村公平君) ただいまから総務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、日本郵政公社法案日本郵政公社法施行法案民間事業者による信書送達に関する法律案民間事業者による信書送達に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案、以上四案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  161. 内藤正光

    ○内藤正光君 午前中に引き続き、残り時間は十一分だと聞いておりますが、質問させていただきます。  この十一分でテーマは一つだけなんです。これまた衆議院の方で修正をされました民間企業への出資についてということで、何点か質問させていただきたいと思います。  まず、質問に移る前に、私の考え方を申し上げさせていただくならば、いつも情報通信の分野でも申し上げておりますように、私は、大きいから縛るという考えは必ずしも私は賛同いたしかねるんです。やっぱり、大きいところは大きいなりの強みもあるけれども弱みもある、逆に小さいところは小さいところの弱みもあるけれども強みもあると、これらががっぷり四つになってこそ、私は本当に競争が活性化していくものだろうというふうに思っております。  こういったことを申し上げた上で質問をさせていただきたいんですが、郵政事業公社化に関する研究会の中間報告では、経営の自由度を付与する観点から、必要な範囲に限り民間出資を認めるというふうに言っていたはずなんです。ところが、実際、当初の原案にはこの民間企業への出資条項が盛り込まれていなかったんですが、もう既に質問されているとは思うんですが、まず、なぜそういうふうに中間報告で言われながら実際には当初原案には盛り込まれなかったのか、何か問題があるから盛り込まなかったのかどうか、お伺いします。
  162. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) この公社の出資につきましては、公社化研究会の中間報告には、競争に対応しつつユニバーサルサービスの維持を図るため、公社経営の自由度を付与する観点から、必要な範囲に限って出資しろと、こういう御意見をいただいたんです。そこで、私どもの方も出資条項は入れようと、こういうことをやったんですが、全体が大変ボリュームがあるもので手間取ったのと、関係のところとどういう適当な事業に絞るか、あるいはやり方をどうするか等でなかなか時間が掛かり過ぎまして、今回は間に合わないから見送って、公社が発足して状況を見ながらその出資条項の追加をしたらどうだろうかと、こういう判断になったわけであります。  しかし、出資についての必要性は十分認識しておりまして、今言いましたように、中身の詰め方が不十分でございましたので、それで余り遅れたら法案の提出もまた支障がございますので、ということで見切り発車をいたしましたが、幸いなことに衆議院の方で出資の条項の修正をしていただきましたので、現在、関係のところとどういう事業に限ってどういう形で出資するかについて検討いたしている段階でございます。
  163. 内藤正光

    ○内藤正光君 大臣、今検討しているということで、次の質問はちょっと答えられないのかなというふうな気もしてきているんですが、修正案にはこういう形で盛り込まれたわけなんですね。郵便の業務の運営に特に必要がある場合に限りということですね、民間出資を認めると。  じゃ、具体的にどういうものが出資可能で、逆にどういうものは出資しちゃいけませんよというのは、まだ具体的には答えられない段階でしょうか。
  164. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 今、具体的に詰めておりますが、一つは、我々としての想定は、一つは、発送の準備、発送代行についてそういう形での関連の会社を作って、そこにアウトソーシングしたらどうだろうかと。それから、郵政車両全体の情報管理みたいなことをやって、最も効率的な運行、あるいは何といいますか運搬ですね、そういうことができるようにしたらどうだろうかということを中心に議論いたしておりますが、それ以外についてもあるいは出てくるかもしれませんけれども、基本的には郵政、郵便事業に密接に関連した事業と、そういうことで、しかも、いずれにせよ新しい公社経営陣にお考えいただかなければなりませんけれども、政令で決めた範囲の中で公社経営陣がこういうところをやりたいという場合には、私どもの方で一件審査をさせていただく、しかもそれは財務大臣と協議すると、こういう一重、二重の一応チェックにいたしております。
  165. 内藤正光

    ○内藤正光君 そこで、昨日、参考人質疑をやったわけなんですが、いろいろ御意見がございました。そんな中でなるほどなと思った意見陳述が、郵便局員一人一人は本当に地域のことを熟知している、おじいさんがどこで寝ているか、そこまで熟知しているということで、これは福祉面にも、福祉サービス提供するに当たってもすごく何か有用だと、そんな趣旨のことをおっしゃっていたと。  そこでお尋ねしたいんですが、将来的に福祉サービスを営むところへの出資が可能かどうかということなんです。つまり、必ずしもこの福祉サービスというのは、郵便の業務の運営に必ずしも必要かといえば必要ない附帯業務、全く関係ない業務なんです。私は何もやっちゃいけないと言っているわけじゃないんです。しかし、ここをあいまいにしたまま、これは大事なことだからやっていいよというと、あとはもうなし崩しに何でも民間出資可能になってしまうんで、この辺のことをちゃんと説明できるようにしておかなきゃいけないと思うんです。  ですから、私がお伺いしたいことは、そういった郵便局員一人一人が持つその地域に関するノウハウを使って将来的に福祉サービス面に何か、福祉サービスを営む民間企業と何かタイアップすることは可能なのかどうか。ちょっと今ふと思った質問なんで、お尋ねします。
  166. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 今のひまわりサービスも一種の福祉サービスですね。これはもう外務職員自らが本体でおやりになっておりまして、それが独自にやっている場合と、あるいは地方公共団体といいますか市町村と相談で、場合によっては協定でやっている場合と、いろいろあると思いますけれども、今法律に書かれているのは、修正案に書かれているのは、郵便事業に密接に関連すると、こういうことでございますから、密接に関連するということで読める範囲の附帯的な福祉サービスをやり得るということなら、読める範囲ですよ。今、法律の修正案は郵便事業に密接に関連するということに限ろうというのがこの出資条項の出資対象事業の限定でございますので、そこで読めるか読めぬかということに私はなると思いますけれども、そういう大きな郵便事業密接関連の中での附帯的な福祉というのがどういうものがあるのかないのか。  今のひまわりサービスみたいに一声掛けるとか、日用品の送達の代行をやるとか、その辺についてはなお検討させていただきたいと、こういうふうに思いますけれども、今のひまわりサービスは、この本体、関連会社じゃなくて郵便局の外務職員さんを中心にやっている、こういうことでございます。
  167. 内藤正光

    ○内藤正光君 実は、次は金融庁の方がいらっしゃらないとできなかった質問なんですが、ちょっと手違いでいらっしゃらないんで結構ですので、そうなると、民間出資が可能になると、次に連結決算の対象範囲というのがちょっと問題になってくるんですが、基本的に企業会計原則に従えば、例えば出資が五割以上のところは連結の対象になるし、あるいはまた、議決を実質上コントロールできる、つまり出向役員が半分以上を占めているとか、そういった場合は間違いなく連結の対象になり得るんだと思います。なっているんだと思います、現在。  そこで、今度は透明性を確保してこそ、国に愛される郵政公社が実現できると思います。そういった観点でちょっとお尋ねしたいんですが、当然、郵政公社の連結の対象範囲もそれに倣うべきだと私は考えるんですが、お考えをお聞かせいただけますでしょうか。
  168. 佐田玄一郎

    ○副大臣佐田玄一郎君) 郵政公社の会計は企業会計原則によることとされておりまして、先生が今言われたように、連結財務諸表の作成についても、一般の企業と同様に、出資がゼロであっても、いわゆる実質的支配力基準に従って子会社を判定し、また連結財務諸表を作成、開示することを予定しておるわけでありますけれども、その基準は何かといったら、今出資の、要するにどのぐらいの資本を持っているかとか、例えば役員がどのぐらい入っているかとか、いろんな条件があろうかと思いますけれども、その辺のことにつきまして今後の在り方でありますけれども、公認会計士等の会計の専門家とも相談をして定めていきたいと、こういうふうに思っております。
  169. 内藤正光

    ○内藤正光君 もうそろそろ時間でございますので、この辺で終えさせていただきますが、いずれにしても、冒頭申し上げましたように、いろいろ後ろ指を指されるようなことがあってはならない、透明にすべきところは透明にする、明確にすべきところは明確にする、それでこそ、やはり地域にあるいは国民に愛される郵政公社というのが可能になるわけでございますので、そういった観点で、私がこの一時間の間、指摘させていただいたこと、是非しっかりと取り組んでいただきたい、このことを申し上げさせていただきまして、私の質問を終えさせていただきます。
  170. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。  いよいよ郵政公社化へ向けての審議がいいところへ来ているわけでございますけれども、大分論点も煮詰まってきたのかなというふうに思っておりますが、まず基本的なことから少しずつ質問をさせていただきたいと存じます。  今回、コーポレートガバナンスというような観点からは、総裁を総務大臣が任命をし、そしてまた総裁が理事を任命するというような形で理事会を設けて公社を運営していくというような形でございますが、この郵政事業あるいは郵便事業、各国いろんな形で改革に取り組んできているようでございまして、例えばアメリカの郵政公社というんですか、経営権限は経営委員会が持っていると。最近、これは取締役会というような名称に変えるようでございますけれども、また郵便料金委員会というのが独立行政機関として設けられており、また事業運営に関しては郵便利用者協議会というようなものも作られているようでございまして、商業的自由度を拡大する方向性、そんなふうに理解するところであります。  今回、公社を作るということも、それはもう経営合理化あるいはサービス向上、午前中の答弁にも総務大臣から自由度を高めるというような表現があったと思うわけでありますが、そういう中において、あえてこの理事会方式というんでしょうか、総裁を任命し、総裁が理事を任命するというようなやり方、なぜそういう方式をあえて取ったのかなということを、そのいきさつあるいは合理的理由についてお伺いをしたいと思います。
  171. 野村卓

    政府参考人野村卓君) 公社組織の在り方につきましては、総務大臣郵政事業公社化に関する研究会でも議論がございまして、理事会の設置につきましては、公社についてはその社会的、経済的影響力の大きさにかんがみまして、慎重かつ適切な経営判断が要請されると。しかし、すべての事項を合議制で決定するのでは迅速性に著しく欠くと。こうしたことを踏まえまして、公社に役員を構成員とする合議制の理事会を置くこととし、中期経営目標の作成等、重要事項に限って理事会に決定権を付与することとすると、こういった中間報告がなされたところでございまして、それを踏まえまして今回、法案として提出させていただいておるところでございます。
  172. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 だから、要するに、その理事の選任というのはかなり重要なポイントになろうと思うんですね。先ほど申し上げたような利用者郵便利用者協議会、そういう要素も必要になっていくんだろう、あるいは労使という観点からすれば、そこで従業員をしている人、携わっている人たちも何らかの形で意見が反映をできるようにしていかなきゃいけないんではないかなというふうに私も思うところでございますが。  今、答弁の中にありました、例えば中期経営目標、これも大事なことでございます。これは理事会で合議制でしっかり審議、決定するということでございますが、この経営目標も要するに総務大臣が認可するわけですよね。総務大臣は認可に当たって審議会の意見を聞くということになっていると思いますが、四年を一期とするこういう経営目標というのはもう最重要事項だというふうに思うところでございますけれども、この中期経営目標に対する責任というのは、これは理事会なんですか、総裁になるんですか。あるいは大臣なのか、審議会なのか。何か非常に分散されているように見えるわけでございますが、この点はいかがでございましょうか。
  173. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 最終的には公社の総裁です。  総裁でございますが、理事会で中期目標は審議、決定しますよね。そういう意味では、最終的には総裁ですけれども、理事会を構成する役員も私は責任があると、その次に。それから、私は認可をするわけでございまして、しかも評価といいますか、業績評価をやるわけでございまして、その次には私が監督責任があると。総務大臣が監督責任があると、こういうことでございますが、最終的な責任者というと公社の総裁でございます。
  174. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 それで、中期経営目標終了に伴って業績評価するわけでございますが、またそれとともにというか、各事業年度の経営計画についても評価をするわけでありますが、これ、だれがどのように行うのか。そして、その場合に国民利用者の声をより反映できるシステム、これが大事だと思うんですね。  そして、独立行政法人の場合は所管の省庁の評価委員会、そしてその上に総務省評価委員という、そういうのがあると思うんですが、じゃ、郵政公社の場合はいわゆるほかの人がいないわけですね、所管がもうそのものでございますから。その辺、どういうふうにお考えになっておるのでしょうか。
  175. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 総務大臣審議会に諮問して、審議会の御意見をいただいて評価すると、こういうことですね。  独立行政法人の場合には、今、魚住委員が言われましたように、各省の評価委員会がやって、それを私どもの方の全体を見る評価委員会が二次調整をやる、あるいは場合によっては意見を言えると、こういうことでございますけれども、そういう仕組みじゃございません。
  176. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 ちょっと分からないところがあるんですけれども、例えば中期経営目標みたいな場合は、大臣が認可する場合には審議会の意見に基づいてやりますよね、例えば郵政審議会とか。その事後評価も同じ審議会でやるんですか。自分で認めておいて、自分で点数を付けろという形になるんでしょうか。  ちょっとその辺が、全く別のものを想定されておられるのか、どうなんでしょうか。
  177. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 目標も審議会に諮問の上、認可で、評価審議会に諮問の上、評価するんです。  目標の方は百点取りたいという、こういうことですよね。やらしてみたら六十点だったと。だから、百点を取りたいというやつも審議会にかけて総務大臣が認可しますけれども、結果は、審議会の意見を聞いて、やっぱり中は六十点だったと、こういう評価でございまして、もう六十点じゃ公社は将来が危ぶまれるという場合には、一定の要件の下に総裁等の解任を行うと、こういうことが法律上の規定になっております。
  178. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 何であえてそういうふうに申し上げたかというと、多分、郵政審議会等は恐らく業績評価を専門としないんだろうと思うんですね。ですから、その辺をどう担保するかという観点でちょっとお聞きしたかったんですが、その点も是非御配慮をいただきたいなというふうに思います。  次に、ちょっとこれ、事前に御連絡した順番とは違うんですが、金融庁、お見えかと思いますが、郵政公社発足に伴って金融庁の検査・監督体制というものがしかれました。これは特殊法人あるいは郵政公社という形になるわけでありますが、金融庁の検査・監督体制の導入について、このいきさつ、そして意義をまず初めにお伺いをいたします。
  179. 佐藤隆文

    政府参考人佐藤隆文君) お答え申し上げます。  御案内のとおり、現在審議をされております郵政公社法案におきまして、総務大臣郵政公社に立入検査を行うことができるというふうにされているわけでございます。この立入検査の権限の一部を政令で定めるところにより総務大臣から内閣総理大臣へ委任でき、更に内閣総理大臣は金融庁長官へ委任するというふうに規定されているところでございます。  この金融庁検査が導入されたことにつきましては、昨年十二月二十五日に「政策金融機関等への金融庁検査の導入について」ということが閣議口頭了解されておるわけでございます。そこの一番におきまして、「政策金融機関及び郵政公社に、リスク管理の分野について金融庁検査を導入する。」というふうにされておるところでございます。  私ども金融庁といたしましては、このリスク管理分野に関する検査について金融庁検査が導入されることとなりましたのは、恐らく民間金融機関を検査しております金融庁のノウハウを活用するということが政府全体として有用ではないかというふうに判断されたものではないかというふうに受け止めておるところでございます。
  180. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今、民間に対する検査のノウハウ云々というお話がございましたけれども、この郵貯、簡保に対する検査と民間の金融機関に対する検査、どういうふうに、全く同じというふうな、多分違うんだろうと思うんですけれども、この辺はどのように予想をされておりますか。
  181. 佐藤隆文

    政府参考人佐藤隆文君) 先ほど引用させていただきました昨年十二月二十五日の閣議口頭了解におきましても、政策金融機関及び郵政公社に金融庁検査を導入する際の対象はリスク管理の分野というふうに明示されておるところでございます。  それで、それとの対比におきまして、私ども金融庁が民間金融機関に対して行っております検査は大きく二つの柱がございまして、一つがこのリスク管理という分野でございますが、もう一つといたしまして、法令等を遵守、いわゆるコンプライアンスというふうに呼んでおりますけれども、この分野がございます。それとの対比でいきますと、今回、私どもが郵政公社の検査をさせていただくこととなります場合には、それはこのリスク管理の分野に限定されると、こういうことでございます。
  182. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今の点につきまして、総務省も同じお考えでよろしいですか。
  183. 團宏明

    政府参考人團宏明君) お答えいたします。  ただいまの金融庁の御説明と同じことでございますが、これは総務省サイドから申し上げますと、郵政公社につきましては、政策目的の実現、経営の健全性の確保という観点から総務大臣を主務大臣として監督を行うということと、監督の実効を期すために立入検査を行うということになっておるわけでございますが、今、金融庁からもお話がありましたように、リスク管理については金融庁がいろいろなノウハウをお持ちだということで、この検査権限を委任いたしまして金融庁に検査をお願いするというようなことを、この道を開いたわけでございます。  この金融庁の検査の結果につきましては、この監督権限を有しております総務大臣に報告をいただきまして、この結果を受けました監督上の措置につきましては、総務大臣がまた責任と判断により適切な措置を取っていくというふうなことで連携を取っていきたいというふうにするものでございます。
  184. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 金融庁さん、結構です。  それで、今、この郵便貯金あるいは簡保というのが非常に巨大化しているということが種々指摘されているんですが、日本の金融システムをどう再生していくか、それが今大きな課題になっているんですが、その比率においても非常な、郵貯、簡保、大変な位置付けになるわけでありますが、金融システムを再生していく上で、この郵便貯金事業等をどういうような位置付けで、あるいはどのような役割を果たすべきだというふうに総務省サイドではお考えでございましょうか。
  185. 團宏明

    政府参考人團宏明君) 郵貯、簡保でございますけれども、これは小口個人専門の基礎的な金融サービス提供する、しかも全国あまねく公平提供するという役割でございます。  これまでのところ、一千万円という、それぞれ限度額の中ではございますけれども、広く国民の支持をいただいているというふうなことでございまして、今回の公社化におきましてもこうした郵貯、簡保の役割に変更はないというふうなものでございます。  そういう中で、現在の金融情勢といいますのは超低金利の状況であり、また民間において不良債権問題がありまして、非常に金融システムについて関心が深いというところでございますけれども、郵貯、簡保につきましては、法令上もございますけれども、やはり市場の動向に十分注意して市場を混乱させないというふうなこと、そういうことを小口個人に十分にサービスしていく、併せて配慮していくというのがこれからの役割ではないかというふうに考えております。
  186. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 次に、先般、新聞だと思いますけれども、公社が資金決済するために日銀に口座を開設するというようなお話がありましたけれども、要するに口座開設ということは日銀からの流動性供給などを受けるというようになるわけでありますし、またそうなると考査も必要になってくるのではないかなというふうに思うんですが、総務省としてはその点はどのようにお考えでございましょうか。
  187. 團宏明

    政府参考人團宏明君) お尋ねの日銀の考査についてでございますが、御指摘のとおり、公社化に伴いまして公社は日本銀行に当座預金口座を開設するというふうな方向で検討しておりまして、それに際しまして日銀の考査を受けるということを協議中のものでございます。  この郵政公社の資金決済口座につきましては、日銀の当座預金口座になりますとこれは民間と同じ決済ができるということで、非常に市場の慣行に沿った決済が可能になりますので、より今以上にスムーズな決済ができるというメリットもあるというふうなことでございます。  そこで、そういう口座を設けますと、これは管理しております日本銀行としては当座預金の取引先と公社がなりますので、これにつきましては全体の決済システムの円滑な運営を確保するという観点から、その管理者としての立入調査を行うという旨の契約を一般的に結んでいるということでございまして、当然利用します公社としてもそういう契約の締結には応じていきたいというふうなことで考えているわけでございます。  そこで、現在、そういうふうな日銀考査につきましても、日本銀行側と、この要請を踏まえまして同行と順調に協議しているところでございまして、まだ決着はしておりませんけれども、何らかの契約を結びまして検査を受けるということにしてまいりたいというふうに考えております。
  188. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 日本銀行さん、今まだ決着は付けていないというような御答弁でございましたけれども、日銀としても当然考査はするというお考えかと思いますが、そうなった場合、いわゆる民間の金融機関、銀行の考査とやっぱり内容的には変わってくるものなのでしょうか。その辺、内容につきましてはどのように考えているのか、教えていただきたいと思います。
  189. 三谷隆博

    参考人三谷隆博君) 先ほど総務省の方から御答弁がありましたように、現在、日本銀行の当座預金口座の開設をめぐって協議中でございますが、これまで日本銀行では、当座預金の開設を希望する先に対しましては、決済システムの円滑な運行を確保する観点からしっかりとした事務処理や機動的な資金繰りができる体制を整えることをお願いしておりまして、またそうした体制が整っているかどうかを考査の形で点検させていただいております。  仮に郵政公社と当座預金取引を行うことになりましたら、そうした一般的な考え方を踏まえまして同様のお願いをするということになると思っております。  ただ、その考査のイメージはどうかということでございますが、現時点であえて申し上げれば、資産、負債ともに今並外れて巨大な郵政公社でございますので、郵政公社がどのような運用・調達を行うのか、またそれをどのような体制で管理していくのか、私どもとしては、現時点では少なくともこういうところについては多大な関心を持っていると言うことはできると思います。  一般民間の金融機関ですと、現在、今一番ウエートが高いのは、正に民間企業に対する貸出し資産査定のチェックと、資産のチェックということが中心を成しているわけでありますが、郵政公社の場合にはそういった民間企業に対する貸出しその他についてはいろいろ制約があるというふうに承っておりますので、それとはちょっと色彩の違ったものになる可能性が高いと現在では考えております。
  190. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 日銀さん、結構です。  続きまして、また順番を戻しまして、人事管理についてお話を承りたいと思います。  役員及び職員は国家公務員ということで規定になっているところでございますが、公務員だからということで、経営効率の観点から問題ではないか、そういうような声もございます。  ただ、昨日、参考人の皆さんからお話を伺って、本当に各地域で頑張っている姿、もうほとんどボランティアのような、そういうような仕事ぶりをお聞きいたしますと、やはり公務員の方がいいのかなと思ったりもいたします。  ただ、一番大事なのは、やはり現場を回っていることから、利用者の声を聞く、そしてそれを生かす、それを基にした現場の自主性が一番大事かなというふうに思うところでございますが、人事管理という観点からいって、この現場の自主性を発揮できるシステムを作っていく必要があるかと思いますが、この点はいかがでございましょうか。
  191. 松井浩

    政府参考人松井浩君) お答え申し上げます。  今回のこの公社化目的につきまして、まず、今までは国の行政機関、今現在そうでございますが、それに伴ういろんな制約がございます。定員管理を始め、あるいは組織の管理、あるいは予算統制などございますが、そういったものを、そういった制約から外れて、企業的経営手法を導入するということで経営効率化サービスの改善を図ろうとするというものだというふうに理解しておりまして、そうした目的を踏まえる必要があると考えております。  そうなりますと、先生御指摘のように、よりお客様に近いところで仕事をしている、そういった第一線でのところに権限を移譲したり、あるいは予算の弾力化を図ったりして、従来以上に職員の創意工夫が生かされる体制を整備することが必要かなというふうに考えているところでございます。
  192. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 午前中の質疑にも出ましたけれども、採用試験制度、これ大きなポイントになっていくんだろうと思うんです。  今、公務員制度改革がずっと議論をされてきているわけでありますが、採用試験についても、知識偏重から思考重視、そういうふうに変えていこう、あるいはキャリアシステムの在り方も考え直していこうというような議論がされているところでございますが、公務員制度に先立って、この公社の人事制度、公務員全体に大きな影響というかいい影響を与えられるかどうかと、そういうような影響があるんだろうというふうに思っているところでございますが。  もちろん、公務員でございますので、採用試験の公平性、中立性、大事でございますけれども、この採用試験につきましてどのように公社として位置付けをしているのか。また、採用区分につきましても、一部特権的なキャリア制度が残らないようにすべきだというふうに考えるわけでございますが、この点いかがでございましょうか。
  193. 野村卓

    政府参考人野村卓君) 先ほどもお話しさせていただいたところでございますけれども、今回、公社化に合わせまして、採用試験も従来の人事院の行うⅠ種、Ⅱ種、Ⅲ種の試験から離れまして、公社独自の試験で採用していきたいと考えているところでございますけれども、これは、郵政事業の特性と申しますか、営業特性とか対人能力、こういったところも見えるような試験にしたいということで独自の試験をやるわけでございますけれども、公平、平等、成績主義といった公務員試験の原則は守った上で、人事院と協議しながらこういった試験をやりたいと考えているところでございますけれども。  具体的中身といたしましては、従来やっているⅠ種、Ⅱ種に代わるものといたしまして、大卒程度の郵政総合職、それから高卒程度のものといたしまして郵政一般職と、こういった二つの試験を実施したいと考えているところでございますけれども、今お尋ねのキャリア制度関係につきましては、郵政総合職ということで、従来のⅠ種、Ⅱ種相当のものを合わせました試験制度を、試験区分を設けていきたいと考えておりまして、人数につきましても、まだ具体的に検討中でございますけれども、従来より多い五十名から百名程度、こういった人数の者を採用いたしまして、その中から能力、実績を基にして人事管理をしていきたいと考えております。  そういった意味で、いわゆるキャリア制度の弊害と指摘されているような試験区分とか採用年次、こういったものを過度に重視した硬直的な人事制度、こういったことからは離れた制度にしていきたいというふうに考えているところでございます。
  194. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 採用後の今度は人事評価、これがまた大事だと思っておりますが、特に評価基準の策定に当たっては、透明性あるいは信頼性、納得性、こういうことも確保していかなければなりません。そのためにも能力実証に基づく適切な運用が確保される必要があるわけで、第三者的な運用をチェックする仕組みも必要ではないかと思いますが、この人事評価制度についてどのように今御検討中でございましょうか。
  195. 松井浩

    政府参考人松井浩君) 先生御指摘のような能力・実績主義に基づく人事制度の導入が必要なのかなというふうに考えております。その中でも、透明性、信頼性、納得性の確保が必要だという御指摘のとおりだと思っております。  具体的にはこれから考えるわけでございますが、民間企業の先進的な事例も参考にしながら、事業が求める職員像、自律型人材、こういったイメージを持っているわけでございますが、それを前提に評価基準を策定しまして、その基準に従って適正な評価が行われるような仕組みが検討されるべきものと考えております。さらに、そういった過程で、評価をいたしまして、そしてその結果に基づいて処遇に差が付くということが基本だろうと思っております。  そうなりますと、その後どうするのだということだと思いますが、評価自体が目的ではありませんので、その結果について評価する者とそれから評価される者との間で話合いが行われることが必要であります。このプロセスを通じて本人が自分の良しあしを気付くということかと思っておりまして、それからその次の仕事に対する意欲付けも図られるのではないかというふうに思うわけでございます。そういう中で信頼関係の醸成を図っていくことが必要だと思っております。  また、そういう中で、やはり評価結果に納得できないということもあろうかと思います。そういうときの問題でございますけれども、直接これは評価にかかわった上司以外にも苦情相談を担当する別の管理者が対応するということもまた検討していかなきゃいかぬのかなというふうに考えているところでございます。
  196. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 是非、納得できる評価であっていただきたいと思いますが、やはり評価が本人納得すればやる気が出てくるわけでございまして、そういう職責もそれに伴って重くなっていく。  大事なことは、また給与ですね。この点もそれに反映させていかなきゃいけないだろうというふうに思っておりますが、要するに職員のやる気をどう出すかと、そういう給与体系にしていっていただきたいな。法五十三条ですか、「職務の内容と責任に応ずるもの」、「かつ、職員が発揮した能率が考慮される」。ただ、これ「能率」と書いておるんですが、能率というと何か能率一辺主義みたいなイメージになってしまうんですが、今このやる気を引き出す給与体系をどのように考えておられるのか、検討状況をお知らせください。
  197. 團宏明

    政府参考人團宏明君) 委員御指摘のとおり、今評価の話がございましたが、その評価に応じてまた処遇も決めていくということになりまして初めて職員の意欲も高まるということであろうと考えております。  現在も、給与特例法という特例法の適用を郵政職員は受けておりまして、ある程度の能力給ということもやっているわけでございますけれども、公社化後は給与総額もないということでございますので、更にダイナミックな能力給というものを導入すべきじゃないかというふうに考えている次第でございます。  例えば、この「能率」という表現ございますけれども、狭義の意味の能率ということだけではなくて、職員が発揮した能力や実績というものを客観的に判定しまして、これを、給与の割合としてこれを反映させると。あるいは、昇給とか昇格とかいうものがございますので、そういう基準の中にもこういう職員の実際の能力とか実績を反映させるということが大事じゃないかというふうに考えております。  現在も能力、実績を反映している給与の例としましては、昇格の調整額とかあるいは郵便の販売促進手当とか、そういうものがございますけれども、公社移行に当たりましては、こういうものも含めまして具体的かつ抜本的な検討をするということが必要じゃないかと考えております。  また、これはすぐれて労働条件の問題にもなってまいりますので、これ関係労働組合との団体交渉も、これは丁寧にやっていく必要があるんじゃないかというふうに考えております。
  198. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 やる気一杯出るのは歩合給みたいのが一番やる気が出るのかなというふうに思いますが、何か、新聞か何かだと思いますが、利用貢献手当というのが話題になったことがございます。何ですかね、これ。簡易保険とか郵便貯金の勧誘を担当する職員が新規契約を結んできた場合に出す手当というようなことでございましょうが、簡易保険では年間三千万の手当を受け取る職員もいると、あるいは一人当たり平均支給額が三百万と、そういうような人もいるようです。  何で問題になったかというと、要するに税務申告上、事業所得で今まで大体概算経費という形でやってきたと、四割だと。それで、それはまずいんじゃないのということで、適正な申告を指導しているというようなことがあったようでございますけれども、まずこの辺の申告自体、総務省として実態を把握をしておられるのか、またそこの点につきまして指導しているのかどうか、この点はいかがでございましょうか。
  199. 松井浩

    政府参考人松井浩君) 簡易保険の利用貢献手当は、給与の一部として支給されるものでございまして、ただし、そうでありますが、それについては確定申告できるようになっておりまして、職員が受け取りましたものにつきまして個人として、個人として確定申告を税務署にいたします。  これにつきまして、御案内のように、その経費として、実績でどうかということになっておりまして、国税庁の方からそういう留意事項、確定申告するに当たりましての留意事項を徹底してもらうように協力依頼があったわけでございます。これにつきまして、私どもとしては国税庁の要請にこたえまして、その内容を記載したチラシを関係職員に配付したりして徹底するように努力してきたつもりでございます。そういうことで毎年職員指導もやっておりまして、現在、適正な申告に係る職員の意識は定着しているものと考えております。  今後とも、税務当局の依頼を受けてきちっと協力はしていきたいというふうに思っているところでございます。
  200. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 それで、この利用貢献手当という言葉ですが、要するに報奨金というか、勧奨の、奨励する手当になるわけでありますが、行政改革会議最終報告あるいは中央省庁等改革基本法においてはこれに対して検討をするように指摘されていたと思うんですが、この利用貢献手当に対する現状、またそのパブリックコメントもやっておられるように聞いておりますが、どのような意見が寄せられているでございましょうか。
  201. 團宏明

    政府参考人團宏明君) 御指摘のとおり、利用貢献手当につきましては、中央省庁等改革基本法におきまして郵政公社の設立に併せて検討することとされておりまして、検討過程にあります。  この公社化に関する研究会におきましても、これは検討課題として見直し議論していただいたところでございますし、その間この利用貢献手当につきましての議論やパブリックコメントも取っていただいたというところでございます。パブリックコメントの中では、利用貢献手当の見直しに賛成二十件、利用貢献手当の制度は維持すべきというのは十九件、利用貢献手当は廃止すべきというのは十件というふうな様々な合計千五百二十四件のコメントがあったというふうな結果になってございます。  これを受けまして、この研究会におきましては三点ほどの意見が出ておりまして、一つは、これまでの勧奨実績を大きく反映した制度を改めるとともにその名称を変更すると。二番目に、郵便貯金につきましては、顧客満足を向上するための営業活動を評価する制度に切り替えまして、併せて支給総額の抑制を図ると。三点目に、簡易生命保険につきましては、その特質を踏まえつつ郵便貯金と同様の観点からの見直しを行い、実績のみならず職員の営業活動を総合的に評価する制度とし併せて支給総額の抑制を図ると、こういう意見がまとめられているところでございます。  こういう方向に沿いまして、単に募集の実績がそのまま機械的に手当になるということではなくて、職員の貢献度合い、それから特にお客様に対する総合的な評価ということを併せたものにすることと支給総額の抑制を図るという観点から現在検討中でございます。これに沿った制度とする方向で、またこれは関係組合との交渉も必要でございますので、交渉を進めた上で公社化に当たっての利用貢献手当、新しい姿にしていきたいということで考えております。
  202. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 職員の皆さん一生懸命頑張っていただける、その励みになればいいなとは思いますけれども、ただ、国民の側からすると、銀行にちょっと預けてもティッシュが一つ来るか来ないかというときに、何かお菓子もらってそれが経費になっているみたいな話で、新聞に出ると何か不明朗なイメージもあるものですから、是非職員の皆様の意欲を出しつつ明確な形にしていただきたいなというふうに思います。  過日、平成十三年度の郵政事業の決算が発表されました。郵便事業も久々にというか、八十億の黒字のようでございますし、郵便貯金もまた簡保も剰余金を確保したということであります。連続三年赤字であったということからすると大変なことだなというふうに、大変その間郵政事業庁としても努力をされてきたというふうに推察をするわけでございますが、ひとまず経営改善に向けての一筋の光が差してきたなというふうに思ったわけでありますが、この決算につきまして、大臣の御所見を承りたいと思います。
  203. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 郵政三事業のうちで、まず郵便事業は、平成十年度以降三年連続して赤字でございまして、十三年度は是非黒字にと、こういうふうに私も思っておりましたが、皆さんの御努力で八十億円の黒字の計上ができました。この結果、平成十三年度末の累積の利益金は千三百六億円と、こういうふうになったわけでございます。厳しい経営環境でございましたけれども、経費節減努力を万般にわたってやったと、この結果であろうと考えております。  郵便貯金事業は、御承知のように平成二年、三年、バブルのころに物すごく定額貯金が預金されまして、それをずっと満期で払い戻しておりましたので利子等で相当出費があったわけでありますが、それがやっと大体支払が終わりましたので、この結果、支払利子が大幅に減少しました。四年ぶりに九千億円の利益を計上することができました。積立金は平成十三年度末で一兆五千九百二十二億円、こういうことになったわけであります。  それから、簡易生命保険事業でございますけれども、景気回復の遅れや低金利の影響等によりまして保険料収入、運用収入が比較して減少しましたけれども、前年度に比べまして、他方、人件費の節減等、事業費の減少に努力いたしまして、この結果、千七百十四億円の剰余金を計上することができたわけであります。  今後とも、平成十四年度が最後の、国営事業としては最後の年度でございますけれども、是非黒字決算を継続できるよう収入の確保と経費の節減に努めてまいりたいと、足腰を強くした経営体質で公社に移行いたしたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  204. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 大変な努力されてきたなというのはよく分かるんですが、例えば郵便事業、確かに改善しました。ただ、収益も二兆二千七十五億円ですか、要するに企業の売上げですね。マイナス一・六%だと。  それで、さっきもお話ちょっと出ましたけれども、これからは電子メールだとかそういう時代になっていく、あるいは民間の方も参入してくる、収益を上げること自体大変な努力をしていかなきゃいけないと思いますが、収益を上げる、売上げを上げる、どういうような方策を考えておられるのか、あるいはもちろん公社後の対応についてもどのようにお考えか、お伺いをいたします。
  205. 松井浩

    政府参考人松井浩君) 先生御指摘いただきましたように、決算は八十億の黒字で経費節減が大きかったわけでありますけれども、とりわけ業務収入が減っているというところが気掛かりでございます。  私どもにできることは何かといいましたら、やっぱりマーケットの掘り起こしということになろうかと思っておりますが、そのために、一つはやっぱり大口利用者を中心とした法人郵便の利用が大きゅうございますので、こうした方々が使いやすい料金サービスとなるような努力、そういった見直しというものが必要になろうかというふうに思っております。  それから、あわせて、これから競争ということがいろんな陰に陽に加わってまいりますので、そういう中で、首都圏だとか近畿圏、あるいは名古屋圏、あるいは全国の政令指定都市等、そういった中での法人営業体制の強化も私たちの努力一つとしてやっていかなきゃいかぬと思っておりますし、また、ダイレクトメールの営業だとか、あるいは企業活動の中で郵便利用をより組み込んでいただけるような企画提案型の営業の展開というのもまた必要だと思っておりますし、法人営業職員のスキルアップにも努めていきたいと思っております。さらに、新規顧客の獲得、あるいは従来から御利用いただいております事業所が引き続き御利用いただく、継続して御利用いただけるような顧客管理体制の確立も必要だと思っております。  また、個人の方に目を転じますと、最近パソコンブームの中で、例えば年賀はがきのインクジェット紙というのが大変伸びております。こういった分野には積極的に要望におこたえした対応が必要なのかというふうに思っております。  いずれにいたしましても、引き続き、公社化後におきまして民間事業者等との競争もまた予定されておるわけでございますので、顧客ニーズに対応したサービスの改善、それからサービスの高度化、そういう中で新たな需要喚起によりまして収益の確保に努めてまいりたいと考えております。
  206. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 続きまして、郵貯資金また簡保の運用につきましてお尋ねをいたします。  この間といいますか、五月の末に、ムーディーズというところが円建て国内債券の格付をツーノッチ引き下げたわけですね。余計なお世話だと言う人もいましたけれども、ある意味じゃ心配してくれてありがとうと言うべきかもしれませんけれども、ただ、やはり評価が下がるというのは余り良くないわけでございますが、資金の運用に当たってもその対象に国債があるわけでございますが、まず、資金運用面においてこの国債が占める割合はどの程度でございましょうか。
  207. 松井浩

    政府参考人松井浩君) お答え申し上げます。  平成十三年度末の保有資産における国債の割合について、まずお答え申し上げたいと思います。郵貯が二二・〇%でございます。ただし、財政融資資金の預託金百五十三兆を除きました場合の、その残りの分だけでパーセンテージを申しますと六一・二%に当たります。それから、簡保資金の中での国債の割合は二九・五%でございます。  私ども、郵貯、簡保の資金運用の考え方は、毎年度の預金者への元利金の支払、それから簡保でいきますと加入者への保険金等の支払を確実にやるということが一番大切なことでございますので、そのための安定的な収益を確保することを基本に考えておりまして、そういう中で国内債券を中心にして郵貯、簡保の資金の性格を踏まえた運用期間の設定だとか、そういうことが必要になりますので、どうしても国債がウエートが高くなってくるわけでございます。
  208. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 それで、先ほど申し上げたムーディーズのこの評価というのは、資金運用に影響するものなんですか。
  209. 松井浩

    政府参考人松井浩君) ムーディーズの国債格付の引下げにつきましていろんな論議があるところでございますが、現実のマーケットでの状況でございますが、その後、現在までのところ、国債価格は安定的に推移しておりまして、郵貯、簡保の資金運用がこれによって直接影響を受けるような事態には至っていないところでございます。
  210. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 先月十一日ですか、新聞記事でございますけれども、日本証券投資顧問業協会、在日米国商工会が、要するに郵便貯金資金の運用先に投資顧問業者を加えるように、そういう要望書を総務省に出したということでございますが、この要望書に対する御見解はいかがなものでございましょうか。
  211. 團宏明

    政府参考人團宏明君) 御指摘の投資一任契約というものの導入についての問題でございますが、これにつきましては、実は昨年十一月の公社化に関する研究会のパブリックコメントの際にも要望が出ておりまして、また、今年の御指摘がありました五月にもこの要望が出されております。これは、社団法人の日本証券投資顧問業協会、それから在日の米国商工会議所からの要望でございまして、投資顧問業者との投資一任契約の導入、これを行ってほしいという要望でございます。  これにつきましては、投資一任契約と申しますのは、信託財産の運用判断を信託会社ではなくて投資顧問会社に一任して運用を行うというふうなものでございまして、昨年の要望もございましたのでいろいろ検討はしてきたところでございます。  これは、郵貯、簡保の委託運用の委託先が、信託会社だけではなくて、これは多様化を図れるというようなことで、そういう委託先の競争導入も可能となると、こういうふうなメリットはございます。他方、この契約につきましては、運用を一任するということになりますので、郵貯、簡保のポートフォリオを管理するという中でどのような位置付けにしたらいいかという問題もございまして、そういうことを検討中でございました。  そういう、結論がまだ出ておりませんでしたので今回の法案には入れていないということになっているわけでございますが、運用のこういうものを採用するというメリットもございますので、継続して総務省としては検討しているというものでございます。
  212. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 先ほど、ムーディーズの評価は影響なしということでございましたけれども、市場の動向というのにやはり機動的に対処できるような、そういう方策も取っていただきたいなというふうに思います。  それで、簡易保険の資金の運用、簡易保険福祉事業団、運用されているということでございますが、整理合理化計画では郵政公社化に合わせて郵政公社に移管するというふうにされております。  そして、先般、総務省の特殊法人に関する調査結果報告書というのが出されたわけでございますが、その中で、この事業団の資金運用事業につきまして、「これまでの事業実施から得られた経験を活かしていくことが必要である。」というような形で、公社化へ引き継ぐというような書き方になっているわけでありますが、どのような経験をどのように生かしていこうというふうにお考えなのかを聞いて、ちょうど区切りがいいので、これで終わります。
  213. 團宏明

    政府参考人團宏明君) 御指摘の簡保事業団における運用の問題でございます。  本年七月に、これは総務省でございますけれども、行政評価局から特殊法人に関する調査報告書のフォローアップ結果の通知がございました。この通知におきましては、簡保事業団の運用におきまして、平成七年度以降、当期損益が改善を示してきている、累積欠損金が十二年度末千三百三十一億円まで減少したということ等の評価を受けた上で、新たな公社において簡保資金の運用が行われていくということになるから、これまでの事業実施から得られた経験を生かしていくことが必要であるというふうにされているものでございます。  指定単の運用につきましては今回の公社化に伴いまして郵政公社に移管されるということになるわけでございまして、郵政公社がこれからは直接委託運用を行うということになるわけでございますので、これからは国債等の債券中心の本体運用と株式中心の指定単運用の運用主体が一体化されるということになってまいります。  それからもう一つは、企業会計原則を採用いたしますので、時価会計が適用されまして、指定単運用の評価損益は公社の財務諸表に直接反映されるというようなことになりますので、この指定単運用の時価評価の重要性が一層高まるということになりますので、これまでの経過を踏まえましてリスク管理体制の一層の充実を図るということが一番重要な問題ではないかというふうに考えている次第でございます。
  214. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 終わります。
  215. 田村公平

    委員長田村公平君) ちょっと速記止めてください。    〔速記中止〕
  216. 田村公平

    委員長田村公平君) 速記を起こしてください。
  217. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 日本共産党の八田ひろ子でございます。  郵政関連四法案についてのまたその関連の質疑を行いたいと思いますが、まず、早速ではありますが、壷井内閣事官に伺います。  一昨日の質疑で、七月十二日に開催をされました首相の私的諮問機関、郵政三事業の在り方について考える懇談会の有識者勉強会のことがこの委員会で問題になりました。壷井事官は、一昨日、我が党の宮本委員質問にまともにお答えなりませんでした。  そこで改めて伺います。  有識者勉強会というのは、総務大臣が言われましたようにインフォーマルなもので、二月二十五日以降に懇談会は何一つ公式な仕事をしていない、そういうふうにお答えになるんでしょうか。
  218. 壷井俊博

    政府参考人壷井俊博君) お答えいたします。  懇談会は、二月二十五日以降開催されておりませんが、懇談会の議論を実りあるものにするために、閣僚メンバーの加わらない有識者勉強会を設け、公社化後の在り方に関し様々な論点について、自由な議論を行っていただいているところでございます。
  219. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 私が伺ったのはただ一つ、何一つ公式な仕事をしていないかということです。
  220. 壷井俊博

    政府参考人壷井俊博君) 公社化後の在り方について、閣僚の皆様を交えた議論を行い、取りまとめを行うのは懇談会自身でございます。その意味では、懇談会自身がフォーマル、公式な場であって、有識者勉強会は非公式な場と言えるのかと存じます。  ただ、先ほど申しましたように、この有識者勉強会を設けて、公社化後の在り方に関して様々な論点について議論をいただいているところでございます。
  221. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 非公式とおっしゃいましたね。首相官邸で行われて、しかも、あなたもそうですけれども、後で伺います。長官も出席をしている、民営化論の三つも考えるほどの重大な検討を重ねている、こういう重大な検討をしているにもかかわらず非公式な会議だと、税金を使って非公式な会議というふうにおっしゃるんですね。国民は納得できませんよ、そんな答弁に。  それじゃ、松井郵政事業庁長官、伺います。  長官は、我が党の宮本委員への答弁で、この懇談会が十二日に開かれたこと、そしてそこに長官も出席されていたことはお認めになりました。新聞報道では、国会で審議中の郵政公社関連四法案について問題点を洗い出す作業にも着手したとされているだけに、ここには本法案審議の前提にかかわる重大な問題がある。ですから、一昨日、すべての党派が、公明党以外ですけれども、問題にしたわけですね。  ですから、私、一点、これだけ確認したいんですが、松井長官、一昨日、あなたは、いろいろな議論の中でそういうお話があったことは記憶している、こう答弁されました。この中に、そういうお話の中に、公社法の問題点について議論があったかどうか、簡明にお答えください。
  222. 松井浩

    政府参考人松井浩君) 私自身は、郵便局の実態だとか、あるいはデータとか、実情について聞かれたときにお答えするという立場で加わらせていただいております。協力する立場で加わらせていただいております。  それから、委員会の勉強会の中身については、議論は自由にしようということで、それについては非公開だということで仕切られております。  そういうことで、内容に関する答弁につきましては、私は控えさせていただきたいと思います。
  223. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 国会ですよ、ここは。言えないでは済まないと思いますよ。  しかも、本法案審議の前提なんですよ。だって、あなた方、一方では、この公社法案ベストですよと言って、今、私たち国会にかけて審議しているじゃないですか。そのあなたが、郵政事業一般ならともかく、公社法の問題点なるものの議論に参加していたとすれば、国会を愚弄するものですよ。言えないでは審議続けられません。委員長、きちんと答弁を求めます。
  224. 松井浩

    政府参考人松井浩君) 懇談会の模様につきましては、内閣官房の方が事務局やっておられますので、内閣官房の方から御答弁いただきたいと思います。
  225. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 答えられる方からお答えください。
  226. 壷井俊博

    政府参考人壷井俊博君) お答えいたします。  勉強会について申し上げますと、取りまとめを行うのはあくまで懇談会でございまして、有識者勉強会では自由に議論を行うために、その議事内容等を不公表とすることとされておるものでございます。
  227. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 何度もおっしゃるけれども、今、法案審議しているんですよ。その前提になっているのに、その国会に対して答えられないというふうにお二人の国家公務員が、担当者がおっしゃるというのは、私、これでは審議できないじゃないですか。  委員長、きちんとさせてくださいよ。委員長、速記を止めて、ちゃんとしてください。
  228. 田村公平

    委員長田村公平君) 速記止めてください。    〔速記中止〕
  229. 田村公平

    委員長田村公平君) 速記を起こしてください。  松井長官、壷井事官、それぞれ八田委員質問に対して再度答弁をしてください。
  230. 壷井俊博

    政府参考人壷井俊博君) 繰り返しになりまして恐縮でございますが、取りまとめを行うのはあくまでも懇談会でございます。有識者勉強会では自由に議論を行うため、その議事内容などを不公表とすることとされておるものでございます。
  231. 松井浩

    政府参考人松井浩君) 多様なメンバーで構成されておりまして、いろんな議論ありますけれども、先ほど内閣の方で御答弁になった場の性格、それから実際の目的もそういうところでございますので、私はそういう意味で極めて限定された形で入っておりますので、そういう私の方、側からどうだったという形でのあれは差し控えさせていただきたいと思います。
  232. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 六日前のことですよ。しかも、この委員会で公明党以外のすべての会派が取り上げて問題にしたというのは重大なんですよ。  私、今日は時間が一時間しかありませんのでこの問題できませんけれども、もう重大問題ですから、委員長、後で理事会でちゃんと議論してください。お願いします。
  233. 田村公平

    委員長田村公平君) はい、理事会で協議いたします。  私は、この際、ちょっと申し上げておきますけれども、私的な勉強会ということできちっと整理しているように私は理解しましたけれども、八田委員は理解できないということで、後で理事会で協議をさせていただきます。  質問を続けてください。
  234. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 委員長がそうおっしゃるんでしたら、私は、その責任者の総理の出席でこの委員会開いてください。理事会にかけてください。
  235. 田村公平

    委員長田村公平君) 理事会で協議いたします。  質問を続けてください。
  236. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 それでは、郵政関連四法案国民利用者にどのような影響を与えるか、こういう観点から幾つか質問をしたいと思います。  衆議院での法案採決に当たって、「信書定義に関する政府の考え方」が発表をされました。今日、私、幾つかの資料を用意しましたので、お配りをいただきまして、ごらんください。  この文書には、クレジットカード及び地域振興券について、信書であるが郵便法第五条第三項ただし書において信書送達の独占の例外とされている貨物に添付する無封の添え状又は送り状とみなし、新聞報道などでも信書の例外と報道されています。クレジットカード及び地域振興券は、信書ではあるが貨物に添付する無封の添え状又は送り状と同じで独占の対象外という解釈に至った、それで間違いないでしょうか。
  237. 佐田玄一郎

    ○副大臣佐田玄一郎君) 先生、これ書類出させていただいたんでありますけれども、いずれにいたしましても、ガイドラインにつきましては、これはあらあらで、基本にさせていただきますけれども、これからまた法律施行に間に合わせてパブリックコメントやらいろいろな意見を聞いていくと、こういうことであります。
  238. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 意見は聞くけれども、今の総務省の考えということですね。  そこで伺いたいんですけれども、クレジットカード及び地域振興券が何か別のものに変わったわけではないですよね。地域振興券に至っては一度しか発行されていません。信書定義も一貫しているというふうにここで再三おっしゃっています。そうしますと、変わったのは政府総務省の解釈だけではないかと思うんですね。信書独占の範囲の解釈が、これは独占だから駄目よという、バツからマルへ転換をしたこの理由というのはどういう理由なんでしょう。
  239. 佐田玄一郎

    ○副大臣佐田玄一郎君) ですから、今までそういう、要するに例えばクレジットカードにつきましては支払方法という大きな役目がありまして、それについて、また地域振興券もこれ一つの支払の方法でありまして、そういうことを考えたときに、その要するに役割というものが非常に大きいものですから、しかもそこに書かれている文章等はそれに不可分な、密着したものであるということでありますので、非常にあいまいな部分があったわけです。したがって、これをどういうふうにパブリックコメントに付して、いろんな御意見を賜って決めていきたいと、こういうことであります。
  240. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 私が伺ったのは、クレジットカードや地域振興券はバツよというふうに、実際にそういうふうにされているわけですね、現状も。それを今度はマルに転換するという考え方を示された。この考え方というのは私は変わったと思うんですけれども。前は、独占だから他の企業が運ぶのは駄目よと。今度は良いという考え方、こうなったというふうには言っていませんけれども、考え方というふうにおっしゃるんだったら、どうしてそういうふうに考え方が変わったのか、それを聞きたいんです。
  241. 佐田玄一郎

    ○副大臣佐田玄一郎君) 繰り返しになって恐縮なんですけれども、大体、ですから考え方として、要するに支払方法であるということが非常に大きいものですから、全く関係ないことがそこに書かれているわけじゃなくてそれに付随すること、非常に密着したことが書かれているということなんで第五条の例外規定に当たるのではないかと、こういうふうなことで今ここに書かせていただいた。ただそれは、またこれも繰り返しになりますけれども、一般の意見を聞いたりしてこれから判断をしていきたい、こういうふうに思っておるわけであります。
  242. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 ちゃんと総務省で決められているんですから、いい加減に決められたのか、これから皆さんに聞いてって、じゃ今まではいい加減にそういうふうにしていたのかって、そういうふうに聞こえますよ。説明になっていませんよ。今までは、じゃ、そういうふうにちょっとよく分からなかった、あいまいもこだったかというふうに受け取れるじゃありませんか。私、そんなふうではこの審議そのものも、じゃ、そういうあいまいもこなものを審議しているのかというふうに思っちゃうんですよ。  じゃ、ダイレクトメールのことも、あいまいもこ、どなたかがそうやっておっしゃったんですけれども、そこの範囲なのかなと思うんですが、やっぱりここに「信書のしおり」、これではダイレクトメールは「信書に該当するものの例」というのに前から入っていました。ところが今回、「信書定義に関する政府の考え方」ですね、この考え方、ここで例外を設けました。今回信書に該当しないとした例外、これを簡潔にお示しください。
  243. 佐田玄一郎

    ○副大臣佐田玄一郎君) ですから、ダイレクトメールというのは、先生、これ基本的には定義がないものですから、そういう今までのところで、例えば相当に配って特定な人にやるかどうかであるとか、非常に微妙な部分があったわけであります。したがって、そういうものにつきましてこれからどういうふうに判断していくかということで、今度ガイドラインを作っていくということでありますので、より明確にしていくということですから、これはプラスな方向に向いていると、こういうふうに判断しているわけであります。
  244. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 今までは不明確であったということなんですか。何かすごい頼りないという、そんなのでいいのかと思いますけれどもね。  政府説明、この「考え方」でいいますとダイレクトメールのほとんどが例外規定になるんではないかということなんですが、私、衆議院の調査室の資料をちょっと見ていましたら、今後の郵政事業を見通した場合に、第一種郵便物から第四種郵便物まである中で、伸びると予想されているのはダイレクトメールぐらいしかないんですけれども、そういうことなんでしょうか。
  245. 團宏明

    政府参考人團宏明君) 今後のダイレクトメールの伸びについての御質問でございますが、これにつきましては、郵政事業公社化に関する研究会郵便民間参入政策ワーキンググループの中間報告に一つの試算がございまして、その試算は郵政研究所と民間シンクタンクによる研究結果に基づいて出されております。  この試算によりますと、確かにダイレクトメールというものは今後伸びていくというふうなことで見られております。一つの試算でございますけれども、これは経済活動と非常に密接な関係があるということで、実質GNPないし広告費の伸びと相関が強いということでございまして、一つの試算でありますが、平成十二年度に約五十六億通と言っておりますが、平成二十年度には約六十二億通なり六十六億通に増加するのではないかというふうな推定をしているということで、伸びていく分野のものだというふうに言っております。  ただ、ここで言っていますダイレクトメールでございますけれども、これは言ってみれば狭義のダイレクトメールと広義のダイレクトメールがありまして、従来から、郵政省時代からも信書とは言っていないパンフレット類みたいな、そういうものも入っておりまして、必ずしもダイレクトメールについての、かなり幅広く見たダイレクトメールの伸びのことを言っているというふうに考えております。
  246. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 いろいろな試算があるけれども、実質GDPをいろいろ勘案して最高と最低でやってもDMは伸びると、あとのところはプラスマイナスやりますとマイナスになるというのばっかりの試算があるわけで、減ることは予想されていない、DMは今後も数が伸びるというふうにお答えをいただいたんですけれども、そこに何というか取られちゃうというか、民間に取られちゃう部分が多いという、そういう民間参入ユニバーサルサービスに、郵政事業とか信書参入という意味じゃなくて、そういうところで民間が取っていくということがユニバーサルサービスにどのような影響を与えていくのかと。民間がそういうふうにするということとユニバーサルサービス関係が今心配をされております。  そこで、まず前提として伺うんですけれども、政府は今後とも郵政公社ユニバーサルサービスを確保すること、義務規定であるというふうに明らかにされておりますが、確保すべき郵便ユニバーサルサービスとはどういうものでしょう。対象内容をお示しください。
  247. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 国は郵政公社ユニバーサルサービスを実施させることとしておりますけれども、具体的には、郵便法において、郵政公社提供すべき役務として、通常郵便物小包郵便物、書留等の必需性の高い特殊取扱、国際郵便とを法定いたしておりますし、ユニバーサルサービスという意味は、もう何度もここで申し上げておりますように、全国あまねく公平に均一料金で一通でも引き受けてお配りいただくと、ポストもちゃんと適正に出せるような差し出し箱を確保すると、こういうこと等でございます。
  248. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 私が聞き漏らしたのか分かりませんが、改正の概要のときに御説明いただいたユニバーサルサービス対象では、第三種、四種、社会政策減免の提供というのがありましたが、これも当然対象としては、ユニバーサルサービス対象としては入っていると、こういうふうでよろしいでしょうか。
  249. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 法律上、それも入っております。
  250. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 昨日、参考人質疑が行われまして、出席をされた全員の市町村長さんというのが民営化には反対だと、ユニバーサルサービスを是非確保してほしいというのをこもごも訴えられまして、またそれが今全国民的に心配の種になっているというのが昨日の参考人質疑の中でも明らかだったというふうに思うんです。  そこで、ユニバーサルサービスを保障してきた財政の仕組みについて伺いたいと思うんですけれども、日本の郵便事業は、国家独占全国均一料金、ポスト投函制の下に営まれてきました。その仕組みにつきましては、明弘会郵便法第五条違反事件判決、皆さんのお手元にもお届け、抜粋しておりますけれども、こう示されております。「遠隔の地、交通不便の地、利用者少なき地をも含めて国内全体にわたり、共通の低料金で、郵便物の迅速・確実な配達を行い、もって国民全体にあまねく利便を与えることにあり、その料金もこれらの諸事情を一括総合して算出している」。つまり、昨日も議論がありましたが、地方など採算の取れないところは、都市部とか採算の取れる部分、こういうところのもうけというんですか、そういうもので補うという郵便事業内部の相互補助によって非営利を原則にして事業が維持されてきたと、こういうことは基本的には変わっていないと思いますが、いかがでしょうか。
  251. 團宏明

    政府参考人團宏明君) おっしゃるとおりでございまして、郵便の場合には経済力も反映しまして、都市部においては実質的な黒字で、地方部においては赤字ということでございます。これを相補いまして全国均一料金を実現していくと、これは世界的な一つの構造ではないかというふうに考えます。
  252. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 ですから、私、さっきダイレクトメールのことをちょっと伺ったんです。これからも伸びていって、そして利益が上がると思われる分野ですよね、そこを今回、信書の独占の領域の変更という考え方が出てきました。  これは、今までも議論がありましたように、郵便事業に対するいいとこ取り、一種のクリームスキミングを認めたものだというふうに心配するわけです。これでは郵便事業財政に悪影響を与えて、ユニバーサルサービスを危うくする方向に作用するのではないか、こういう心配がありますけれども、総務大臣、そういう心配に対してどうお答えいただけるでしょうか。
  253. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 信書定義らいってどうかということの判断なんですよ。もちろん経営的なことの判断を全く除外するあれはありませんけれども、ダイレクトメールというのは、何度も副大臣から答弁しましたように、厳密な定義はないんですよ。それは新しい形のものも出てくる。だから今までも、例えばカタログ、パンフレットというのはダイレクトメールでやっても信書性が乏しいだろうと、こう言ってきたわけですね。  だから、何度もここでも答弁しておりますように、基本的な考え方は、信書に対する、変わっていないんです。ただ、世間が常識的に見て信書性が乏しいものについては、この際もう一遍整理をする意味で、広く皆さんの意見を聞いて、関係者や国民一般の、パブリックコメントその他で、そこを確定いたしたいと。チラシで、公然公知で大量に頒布するようなものまで信書と言えるかどうか、そこについてはいろんな議論があると。それから、クレジットカードや地域振興券は、今まで支払手段という性格はもちろんあったんですけれども、その通信文はこれは信書なんですよ。しかし、信書だけれども、送り状、添え状的なら信書の例外としてそれは外すということに法律上なっているので、そっちの方の性格が強いという意見もあるから、それはそういうことを含めてもう一遍確定しようではないかと、こういうことで、何度も言いますけれども、基本的な解釈は変わっていないんです。  ただ、そういう意味での信書性が必ずしも、いろんな議論があるようなものについては、この際、信書定義もはっきり郵便法で書いて範囲も確定いたしたいというのが我々の考え方でありまして、それは国民の皆さんが納得できるような是非形にいたしたいと。恣意的に、こっちに行ったりこっちに、そんなことは一切考えておりません。そういうことを何度も私も佐田副大臣も申し上げているわけでありまして、表現能力が乏しいものですから、どうもなかなか八田委員の御理解いただけないのが大変遺憾とするところでございます。
  254. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 表現能力じゃなくて、理解がちょっと違うんじゃないかと思うんですけれども。  私が伺ったのは、今回、ダイレクトメールなどはもうかる部分でこれから伸びると。ここに例外を認めて信書の独占の領域の変更を、そういう考え方を出してみえると。そうすると、そこに、その部分をクリームスキミング、いいとこ取りされたら、最初に、先ほどお示しいただいたように、ほかで多少もうかるというんですかね、余裕のあるところからこのユニバーサルサービスに回すというのが変わっていないというふうにおっしゃるんですから、それだったらこのユニバーサルサービスを危うくする方向にそれが作用しないかと心配をみんながしている。ユニバーサルサービスを守ってほしいからそういうのがあるわけなんですよ。パイは同じですよね。そんなに、これからDMが伸びるといったってそんなに伸びません。飛躍的に大きくならないんですよ。パイが同じで、その中からいいとこ取りされちゃったら困るんじゃないか、ユニバーサルサービスが本当に守れるのか、こういう心配が市町村から上がるのは当然だと思うんです。それに対して大臣はどうお答えになりますかという、大臣にちょっとお願いします。
  255. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 信書定義は、今、八田委員言われたこれにも明らかですよね。だから、我々はその確定判決の信書定義に従うわけですよ。もうかるからこれを信書にしないとかするとか、もうからないからどうするとかということは考えておりません。国民から見て信書として納得できるものは信書だし、おかしいんじゃないかというものは信書から外すのが、今回、この確定判決の定義をはっきりすることだと、こう思っております。  経営がどうだとか、それはもちろん考えなきゃいけませんよ。しかし、経営がどうにかなるからといって信書定義をゆがめたり広げたりはできません。信書かどうかということはあくまでも法治行政でございますので、そういうことでやってまいりたいと、こういうふうに思っているわけでありまして、ここでとにかくクレジットカードの範囲を縮小しようなんて一切考えておりません。納得できるクレジット、クレジットカードじゃありません、ダイレクトメールの範囲でやりたいと、こういうふうに言っておるわけで、時々間違えますので、ひとつよろしくお願いします。
  256. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 私、信書定義とかDMを外したからいいとか悪いとかということをこの質問でしているわけじゃないんですよね。いいとこ取りされちゃって、ユニバーサルサービスに今まで回してきた部分がなくなっちゃわないかと。玄関はかぎ掛けてあります、定義は変わらない、信書も変わらない、だけれども裏口は開いていますよ、横も開いていますよといったらお金がぱっぱ出ていっちゃうんじゃないかと、そういう心配があるんではないかということをさっきからしつこく伺っているんですけれども、どうしてかといいますと、この法案作成の出発点だと言われております郵政事業公社化に関する研究会の中間報告、ここでは第三種、第四種郵便の存続は既定の路線ではなく、廃止の危険性さえ濃厚だと言われてきました。  この中間報告を見ますと、「公社への影響等」の項で、「民間事業者との競争に対応するためには、その経営の自由度を増すための措置が必要である。」。その次ですね。「また、各郵便サービスについて従来以上にコストベースで料金を設定する必要が大きくなることにより、郵便事業内の内部相互補助によって提供されている政策的な料金減免(第三種、第四種郵便物等)を維持することが困難になることが見込まれる。」というふうに述べられている。困難だという報告があるので、だから心配だということを皆さんおっしゃっていると思うんです。それに対して大臣はどうお答えくださいますかという質問です。
  257. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) その三種、四種の政策料金では、研究会では確かにそういう御意見ございましたし、中間報告の中にも書かれておりますが、我々はしかし、国営公社としての公共性から、ユニバーサルサービスの一環だと思っておりますので、これはやってもらおうと。ただ、やってもらうけれども、公社化研究会の意見も尊重せにゃいけませんので、全く今までと同じ方式じゃなくて、公社にある程度それは選択の余地を持たせるようにしたいと。だから、制度としては無料とは書いておりませんけれども、しかし、今の国営公社ということの公共性からいってこれは維持していただこうと、それが認可権を持つ総務相の姿勢だと、こういうことで、多くの方々の要望にこたえたい、こう思っているわけでございます。それから、今、経営状況についても我々は吟味いたしまして、十三年度決算、十四年度の状況、あるいは今後のことを考えて、なるほどかなりな財政負担になりますけれども、経営努力の中で十分のみ込める、こういうふうに判断いたしたわけでございます。
  258. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 経営努力といいますと、NTTの今非常に働く人たちの首切りとか人員削減とか、前、ここの委員会でも議論しましたが、そういうのがすぐ浮かんできますが、そういう問題が起こらないようには無論していただくんですけれども、今、中間報告は尊重しなければならないというふうにおっしゃいましたよね。中間報告で維持が困難とされて、困難だと書いてあるから、一時、制度そのものが廃止ではないかと、こういうのも春ごろにはあったんですけれども、郵便法の改正案にも、雑則の中ではありますけれども、第三種郵便物、第四種郵便物料金の額が同一重量の第一種郵便物料金の額より低いものであること、さっきほわっとおっしゃった中身ですね、これが一応明記されました。  中間報告は尊重しなければいけない。一時は廃止かと言われたけれども、ここの雑則が残ったという理由はどういうことでしょうか。局長でもどちらでもいいです。
  259. 團宏明

    政府参考人團宏明君) 中間報告とこの法案との関係でございます。  先生御指摘の「困難になることが見込まれる。」という十ページのところもございますが、別の箇所に、政策的な料金減免の在り方という、これはページ数ちょっとあれですけれども、5の(4)というところでございまして、これは考え方としまして、民間参入後にあっても公社に何らかの政策的料金減免の実施を求められた場合にも、過度の負担にならないように、競争の進展状況を十分見極めながら実施の在り方を判断することが必要であるということでございまして、必ずしも直ちにこれが無理だというほどのことは言っていないというふうに考えております。  公社の自主性を重んずるとすれば、この三種、四種という条項を撤廃しまして、すべて減免は公社に任せるという方法もあったかもしれませんが、これは大臣ともよく御相談した上ででございますけれども、やはり三種、四種という制度は残しておくことが適当ではないかというふうなことで、多少、研究会も全くやめろと言っているわけじゃございませんで、その法的表現はやはり制度は残すと。しかし、無料にするということまで、仮に国が負担金を出すなら、補助金を出すならそういうことも書けるかもしれませんが、自律的、弾力的な経営経営責任は総裁が負うという中で、無料とまで書くというのはこれはやっぱりいかにも無理ではないかというふうなことで、法的には、この上限を定める、割引しなくちゃいけない、割引の中にはもちろん無料も入るということまでがこの法律の限界ではないかということで、そういう線を、公社化研究会の一番左の線を取って法律にしたというふうな考え方でございます。
  260. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 冒頭質問をしました、壷井さん、答弁は非常に不満足ですけれども、今日は質問しませんので、どうぞお帰りください。  今、局長がお答えをいただいて、中間報告は必ずしも全面排除ではないんだとおっしゃいまして、衆議院でも局長はいろんな御意見が集中したんだというふうに言われたんですけれども、私のところにも、また今日のこの委員各位のところにも、三種、四種郵便制度を存続させてほしいとか、点字郵便無料法案に明記してほしい、こういう要請やファクスがあると思いますけれども、総務省の方では思った以上の意見が寄せられたとのことですけれども、どのような団体からどのくらいの要望があったのか、お示しください。
  261. 團宏明

    政府参考人團宏明君) 確かに、三種、四種の制度についての継続の要望はたくさん来ております。個人、団体を含めまして、全体で四千件を超えているというふうなことでございます。このうち、盲人用郵便物無料とすることの継続に関する要望というものにつきましては、心身障害者の団体の方や個人の方々から、これも二千八百件いただいております。  たくさんございまして、ちょっと具体的なものは省略させていただきますが、多数の意見が寄せられたということでございます。
  262. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 本当に大きな御意見だと思いますし、四千件の団体とか、盲人等の福祉では二千八百ですか、非常にすごい数字だと思います。  無論、三種、四種郵便制度というのは、日本では長い歴史を持っておりますし、日本社会に深く根を下ろしているというふうに私は今回の問題に取り組んで改めて実感をしました。とりわけ、二十一世紀の社会の在り方を考えますときに、全体として、今まで積み上げてきた、先輩たちの御努力で積み上げてきた、こういう制度というのの存続は無論ですけれども、更に改善、充実をこの際図る必要があるんだと思い至ったわけです。  今の水準では実際、本当に不十分だと思うんですね。現行、図書館にも行けない障害者の方の無料図書郵便サービス、身体の障害者とかそういう方のサービスというのも実際にはないんですね。あるいは弱視の方、こういった方々は大型の活字じゃないと見えないわけなんですけれども、これ、図書館ぐらいじゃないとそういう大型の活字の本はないそうですけれども、この無料図書郵便サービス、こういうのも今まだないんですよね。だから、こういうところを考えなくちゃいかぬなというふうに思っているんですけれども、そういうときに、ましてや三種、四種郵便料金制度公社判断にゆだねる、後退することもあるというのは論外だなというふうに私は思っているわけです。  先ほど来、大臣もおっしゃっていますが、盲人用点字郵便物については無料でなければ認可しない、こういうふうに答弁されておりますが、この三種、四種の割引料金についても、値上げした場合は認可しない、こういうふうに答弁いただけるんでしょうか。
  263. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 何度も言っていますように、現行政策料金を維持していただく、そういう基本的な判断の下に認可に臨むと、こういうことであります。
  264. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 ということは、盲人郵便物のときには明確におっしゃったんですけれども、三種、四種も少なくとも現行と同じ、こういうふうに私受け取ってよろしいですか。
  265. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 特別な合理的な理由がない限り、現行を維持していただくと、こういうことであります。
  266. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 じゃ、現行維持でスタートするということが確認できたということで、大変うれしいなと思いますが、今皆さんが心配しています──何か異論があるのなら、大臣言ってください。
  267. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) いやいや、喜んでいただいたんで、大変私も御同慶の至りであります。
  268. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 御同慶の至りですか。  今焦点となっております盲人用の点字郵便物及び盲人用録音物の無料規定を法文から削除したこと、これが実は大問題なんですよね。  そこでまず、前提を伺いたいんですけれども、局長で結構ですが、大臣がおっしゃりたければ無論おっしゃってくださればいいんですが、現行法に無料規定された時期と無料とした理由、これをお示しください。
  269. 團宏明

    政府参考人團宏明君) この盲人用郵便物というものにつきましては、昭和三十六年に無料化をしております。この理由でございますけれども、それまでもかなりの料金軽減措置をやっておりましたけれども、これはUPU、万国郵便条約によりまして、国際的な盲人用郵便物につきましては、これはお互い無料にするというふうな規定がございます。そういう趨勢もありまして、国内においてもこれを無料にしようということで、昭和三十六年の六月一日から無料にしているというものでございます。
  270. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 制度創設から今までの意義というのは今日でも失われていないというふうに思いますけれども、総理大臣も当然そういう御見解だと思いますけれども、どうでしょう。
  271. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 総理も同じ見解だと思います。
  272. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 片山大臣審議の中でこの問題の重要性に対する認識ということを更に発展されたことは無論私ども評価したいというふうに思います。  しかし、国民は実は大変心配をしています。今日も、今朝も図書館協会から私に改めて要望書を届けていただきました。大臣に問題の深刻さ、切実さをいま一度再確認をしていただきたいというふうに思いまして、私、今日、点字図書と普通の書籍をここに持参させていただきました。ここに、これは筑摩書房なんですけれども、「現代心理学」という普通の本ですね、これがございます。普通に私たちが読みますのは墨字本といいまして、この本は大体五百グラム弱の本なんです。これを点字に訳したのが、今ここにあります、青い表紙が付いておりますけれども、こういうふうに点字に訳してある。もし御必要でしたら回覧をしてもいいんですけれども。これをお見せしたのは、点字だけということでなくて、たった五百グラムの本が点字にしますとこのファイルの十冊分なんですね。だから、ここにこう山となったこれ全部がこの小さい本の一つ分ということなんです。  御承知の方は御承知だと思うんですけれども、私は本当、改めてびっくりしたんですけれども、これ重量で十五倍で、七・五キログラムなんですね。今これ無料ですよね、当然。これをもし、これだけ送ってくるというと無料なんですけれども、これがもしいろんな政策料金がなくなるとしますと一千四百二十円で、往復ですから図書館で三千円近くの郵便料になって、多少安くするということがあったとしても、今まで無料で読めていたものにこれだけの出費、それから、もし自分で送るとすると、切手が幾らか分からないとか、点字が付いている切手があるだろうかとか、いろんな御意見出たんですけれども。  今、実は点字の読めない中途失明者とかそういうことはもうたくさんありまして、テープも非常に有用なんですね。私、テープも持ってきました。これ有名な本というか、こういう本なんですけれども、市販の本ですね。これをテープにしますと、六本入っております。こういうふうになりまして、これもやっぱりきちんと、こういうふうにがたがたしないように箱に入れて送るわけで、これも今は無料なんですけれども、お金が掛かるようになるということです。  昨日から、こういったものの明文規定が削られたので、是非盲人用郵便無料法律に残してほしいということで、実は関係者の皆さんが国会の前へ座込みをされているんですね。だから、そこをお通りになった方もあるかもしれませんが、必死で皆さん訴えておいでになります。  障害者基本法第三条では、「すべて障害者は、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会を与えられるものとする。」、こううたわれていますが、点字郵便物等の無料というのは、私はこの権利を保障する最低限の制度だと。先ほど大臣に意義を伺ったのはそういうことなんですよね。事は障害者の社会参加の権利にかかわる問題です。  大臣障害者の社会参加の権利、情報バリアフリーの問題、こういう観点からどうお考えなのか、お示しください。
  273. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 正にそういう観点から国際的にも無料の扱いにしているわけですね。ただ、国際的に無料法律で書いてあるところはありませんよ、まず。みんな事実上無料の扱いにして、条約上も、八田委員よく御承知のように、認知されておるわけでありまして、そういう観点から、我々も今回こういう考え方で対応しようと、こういうことにいたしたわけでありまして、大変盲人の皆さんの御苦労や何か、私はもうそれなりに認識しているつもりでございます。
  274. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 そういう御認識が本当にあるのかなと、こういうふうに法律から消しゴムで消すように消しちゃうときに、事前にいろんな方に伺ったのかなということを私は本当に大臣、本当なのかなという気がするんですよ。  私は、三月にも、この国会の中で、三種、四種の問題でNGOの皆さん、関係の皆さんと一緒にお話をしましたし、六月にもやっぱり国会内でいわゆる中央団体ですか、何十団体という方が集まっていただいてやりましたし、そこでは、全国の視覚障害者に録音テープで情報提供するために録音機材やダビング機など多額の費用を要する、その上郵送料が必要にもしなるとすると運営ができなくなる、我々がやっていけなくなると障害者の皆さんは情報から取り残されます。あるいは、三百億円の赤字、こういう事業ですね、こういう認識にショックを受けました、障害者であることを否定された、社会の欠点だというふうに認識されているんだと感じた、こういうようなもう悲痛な声が出たんです。私、自分の住んでいるところでも、愛知県の視覚障害者の協議会の皆さんとか官製の団体の皆さんとも懇談をして、皆さん本当に福祉の後退だというふうに怒りの声がたくさん出されました。  今日、皆さんのお手元に資料として名古屋市議会の意見書を出しております。「第三種、第四種郵便制度の維持存続を求める意見書」、これ、全会一致で可決されたものです。また、私、自分の住んでいるところの、総務省が認可をされているところですね、盲人用点字出版物や録音物を扱っている団体、ここに緊急にアンケートという、ちょっと失礼だったんですけれども、実態調査を独自に行ってみましたら、まだ一週間ちょっとなんですけれども五十一団体から回答をいただきました。本当に要求は切実で、全部の声は紹介できませんので、その主なものを皆さんの資料に付けておいたので、是非大臣にも見ていただきたいというふうに思うんですが、無料規定法律に残してほしいという切実な声ばっかりなんですね、法律に残してほしいという。やっぱり皆さん方の御心配というのはあると思うんです。また、別の図書館関係者からは、視力障害者への支援は当然で、有料扱いに、もし安くてもなるということになっちゃったら弱者切捨てでないかと憤りを感じる、こういう声も寄せられています。  私が本当にちょっとだけ郵送でお送りして、ちゃんと郵便を使ったんですけれども、お送りをしてアンケートを取っただけでもこんなにたくさんの意見や要望が寄せられまして、郵政公社になったらどうなるんだろうかと、心配だと多くの視覚障害者の方や福祉関係者の方心配をされているんですよね。だから、またいろんな団体の方は、自分のところがそういうのにかかわるというのを知らなくて、ええっという方も懇談会の中ではたくさんあったんです。  だから、総務省として法案作成前に、三種、四種を利用している、これは総務省が全部つかんでみえますからね、そういう団体、とりわけ障害者団体の意見というのをどういうふうに集約をされたのか、大臣御存じですか。
  275. 團宏明

    政府参考人團宏明君) 先ほども申しましたように、この研究会のさなかにパブリックコメントを求めておりますから、その段階で減免の継続ということについての要望は承知していたわけでございます。これは、利用者から見ると当然の要望であったと思います。  しかしながら、公社に移行するということから、先ほども申しましたように、実質的な減免ということが必要にしても法律でどこまで義務付けるかと、こういうことがございますので、それについては、これまでは国がやっておりましたから国が自らの行為について法律で決めると、これはある意味では自然で当然の面がございますが、主体が離れた公社の行うべきことについてどこまで法律規定するかと。  そういう観点から考えますと、やはりなかなか難しいところがございまして、この三種、四種の制度を残し減免を行うというふうなことができる、その幅を決めるということが限界じゃないかということでございまして、いろんなそういう公社の在り方、責任の在り方、それとこういう三種、四種の制度の維持というものを併せ持って考えた結果が今の我々の提出している法案になっているという、そういう過程でございます。
  276. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 今の局長の答弁は、さっきの大臣とか局長自らがおっしゃった意義の認識も変わらないと、そういうのとも全然違うと思いますよ。  企画立案する前に意見を聞くのが当然だと思うんです。公社になっちゃってからは、公社だって今は総務省が責任を持っているんじゃないですか。バリアフリー法でもハートビル法でも、きちんと関係当事者から意見を聞きながら、パブリックコメントというのは最後ですよ、まとまっちゃってからですよ。その前に聞くというのが普通ですし、インターネットや官報でパブリックコメントを行っているということを広報しているというふうにおっしゃいますけれども、知ることができない場合というのが一般的には大半だというふうに思っていただかないと困るんですよね。私が調査しただけでも、本当に三種、四種が日常的に障害者の方の貴重な情報源のツールで、しかもいろいろな団体、文化団体とかそういうところの機関誌とか福祉団体の機関誌なんというともっと大変なんですよね。  だから、本当は、最初申し上げましたように、もっと拡充が必要なんだけれども、そのためにどうしたらいいのかというのを、私は、総務省として第三種、四種制度全国実態調査、これをきちんとやっていただきたいと思うんですよね。これはどうですか、大臣
  277. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) この問題は公社化研究会でもいろいろ議論ありまして、私も公社化研究会がいろいろ検討している段階でいろんな方に会いましたよ。私のところにも何人も来られました。お会いしてお話もいたしました。公社化研究会ではああいう答申を出されたんですよ。  だから、我々としては、公社というのは基本的には自律的、弾力的な仕組みにする、独立採算で企業会計原則でいくんだ、経営の自由度を高いものにすると。こういうことでございますから、すべてをがんじがらめにして全部公社に押し付けるというのはいかがか。  こういうことでございまして、政策料金は維持する、減免の幅は自主的に決めてもらう、しかし我々としては認可でそれは無料にしてもらう、現行を維持していただくと、こういうことでございますが、ずうっと遠い将来まで全部そのとおりでやれと、競争が激化して、あるいは経営が大変苦しい状況になったときに、この政策料金というのは公社の発意じゃないわけですから、義務付けるということは。だから、そういう場合には公的助成、その他の議論もございますから、そういう選択肢を含めて検討していただくと、こういうことで現在の書き方にいたしたわけであります。  よその国も同じであります。どこも法律無料と書いてあるところはありません。しかし、無料の扱いにしているんです。だから、同じことで今回やらせていただこうということでございまして、意見も十分聞きましたし、我々は十分な認識を持って今回こういう仕組みにいたしたわけでございますので、ひとつそこは御理解いただきたいと思います。
  278. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 あったものを消したから問題にしているんですよ。片山総務大臣は、無料でなければ認可しないと何度もおっしゃっていますよね。  一昨日、宮本委員質問の中で、大臣は、野田大臣とか八代大臣の民営化検討をせずとの答弁は覆したように、後の大臣が、あれは片山総務大臣の政治的な判断を述べたもので私は何ら拘束されないと、こういうふうになるのかと言ったら否定されまして、機関の長として責任を持って答弁している、認可権のある総務大臣としてそういう認可をする、こういうふうにおっしゃいました。それは結構です。必ず守ってください。  しかし、そうであるんだったら、私は疑問がわいてくるんですよ。法律には無料でなければ認可しないとはどこにも書いてありませんよね。法律に書いていないことを総務大臣公社に強制できるという答弁なんですか。法律でさえ公社無料を強制できていない、こう答弁しているのに、大臣の言わば裁量で法律にも書いていない無料公社に強制することができる、これはどういうことなんでしょうか。御説明ください。
  279. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 法律は、政策料金でやれ、通常より安くしろ、ただでもいいよということを書いているんです。ただ、その範囲の中でどうやるかは、中期経営計画を見、目標を見、総務大臣が権限として認可できるわけでありますから、そこで皆さんの十分な要望もあり、国会の御意見もあり、しかも衆議院では附帯決議が付いているんですよ、御承知のように、無料を続けてほしいという。  そういうことをすべてを勘案して認可権の行使として無料を維持すると何度も申し上げているわけでありまして、それを批判される、ぼろくそに言われる理由は私はないと思いますよ。
  280. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 何でですか。法律にきちんと書くべきことを書かずに何とかつじつまを合わせようと、こういうことですから訳の分からぬ答弁になっちゃうんじゃないんですか。大臣の答弁で公社無料を守らせるということができるんだったら、法律に書いても問題ないんじゃないでしょうか。  是非、どうして書けないのか、私、すごくおかしいと思うんですけれども、どうなんですか。
  281. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 何度も言っているけれども、この公社は自律的、弾力的な公社にしろということは基本法で書かれているんですよ。できるだけ自由度を与えろ、隅から隅まで縛るなと、こういうことを書かれているんで、政策料金の維持は、そういう意味では書かせていただいているんです。  どうするかは公社判断だけれども、我々の要請として、これは国会の附帯決議もあり、御意見もあるんだから続けてくれと、こう言っているんですけれども、何百年も先まで続けろということは、それはなかなか保証できませんよ。それは、公社経営もありますし、民間が入ってきた場合の競争関係もありますし、そういうことの場合には、公社が全部経営努力でかぶるんじゃなくて、ほかの助成の手当てもあるんではないかと。そういう選択肢を残さないと駄目ですよ、公社を官製の公社にしては駄目ですよ。自由な公社にしたらいいんで、そこは是非御理解を賜りたいと思います。
  282. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 だから、私が質問しているのは、法律で決まっているから守らなければならない、法律に書けばね。だけれども、そうせずに、法律に書いていないことも大臣公社に強制できる。あなた、判こを押さないとおっしゃったんだから。そういうことをやろうとすると、法律ではなくて大臣の許認可権による裁量行政に後戻りしちゃうんじゃないか。これどうして自律的、弾力的経営なんですか。あなた、判こを押さないぞと、これは裁量行政じゃないんですか。いつも法律に従ってというふうにおっしゃっているんだけれども、大臣はこのことに関してだけは私は判こ押さないんだと。これは裁量行政といつもおっしゃっている悪いことじゃないんですか。
  283. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) それは、監督官庁としての大臣判断と権限で認可権というのを認めているんですよ。あなたの言うようなことだと全部法律に書かなきゃいかぬ、認可一切なしにして。中期経営目標……(発言する者あり)
  284. 田村公平

    委員長田村公平君) 委員長の許可なしの発言は慎んでください。
  285. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 中期経営目標を立てて、中期経営計画を作っていただいて、その中で、ちゃんと政策料金現行どおり維持していただくことを見て認可するんですよ。  我々は、いろんな数字を判断して、経営努力であれば十分であると、こういうふうに判断して、現行政策料金を維持してもらおうと、こういうことでございますので、それは一方的な裁量だとか恣意だとかということになりません。それは国会の重い附帯決議もありますし、そういうことを勘案して何度も申し上げているわけであります。
  286. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 一方的なのは大臣の方じゃないですか。全く考え方が逆立ちしていると思うんですよ。法律に書いてあったものを消しちゃうものだから、私たちは元に戻してきちんとおやりにと。  だって、先のことだったらまた法律改正だってできるじゃないですか。そのときに議論すればいいじゃないですか。スタートのときから何で消しちゃうんですか。法律にも書かないで、私は裁量行政、認可をしませんなんて、それは今までのなさってきたことからすると、とても信頼できないから心配だと皆さんが切なく思われるのは当然だと思うんですよ。正に、民営化、民間参入、先にありきでないか。こういうふうでは、私は本当に皆さん方の心配というのが大きくなるばかりだと思います。  障害者の権利を民間参入の犠牲にする、そんなことがあったら正に言語道断と言わなければなりませんので、そういうことがないように、私、今からでもまだ間に合いますので、会期までまだありますでしょう、だからきちんと法律無料と書くように修正してください。  お願いいたしまして、強くそれをお願いして、私、時間来ましたので、終わらせていただきます。
  287. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 昨日、三人の市町村長さんが参考人として出席をされまして、既に先行の議員の皆さん方が述べておられますように、民営化に対する反対をされました。    〔委員長退席、理事景山俊太郎君着席〕  それぞれ地域の中で特定郵便局が正に国民生活にしっかり根を下ろして、地方行政の足らざる部分、例えばひまわりサービスとかいろんな努力をしておられる。そういう姿を目の当たりにしまして、これから恐らく百年後には一億二千六百万が六千万人になると、少子高齢化の中で。人口が減っていく、そして国、地方の財政は窮乏の一途をたどっている、経済も大きな変わり目に来ている。そういう中で、新しい日本の姿と地域の姿、生き残りの体制というものを作っていかなければいけない中で、非常にやはり郵便局の果たす役割というのは大きいんだろうと思うんですね。そういうことをやはり総務大臣も意識されて、地方行政の業務、住民票など六業務ですか、郵便局が扱えるようにしたわけですね。  それで、これから道州制の論議とか、あるいは三千三百の市町村が三百ぐらいにまとまって生き残っていくという状況がだんだん進んでいくんだろうと思うんですが、そういう中で、離島の郵便局も閉鎖してしまって、業務を漁協に委託するとか、そういう形のものも行われてきているんですよね。そうすると、そういう形で三百ぐらいのコミュニティーになったときに、過疎の地域の業務、郵便局がやるのか、あるいはJAなのか、漁連なのか。昭和の大合併ではそれぞれの支所はそのまま残したんだけれども、今度はそうはいかないだろうと。そういう中で、やはりそういう先を読んで、この前、取りあえずそういう業務委託というものがなされているというふうに思うんですけれども、そうであれば、公社のままでやっぱりおらなきゃいけないのか。将来、そういういろんな業務委託を増やしていく、それでコミュニティーでの福祉サービスもやっていくと、その場合にそれぞれの分担というものは農協や漁連や郵便局、それから役所、どういうふうに総務大臣としては将来のイメージを持っておられるのか、それをちょっとお伺いいたしたいというふうに思うんです。
  288. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 市町村合併は今我々も大いに推進しておりまして、平成十七年三月の特例法適用期限までに是非千を目指して、今三千二百何十ありますものを千台ぐらいの、千台ですよ、千ということじゃなく千台の市町村に再編成いたしたいと、こういうふうに考えております。  それで、そういうことになった場合に、郵便局、どう考えるか。何度もここでも議論いたしておりますように、サービスを低下させない、現在のネットワークを維持すると、これがユニバーサルサービスの中身だと思っておりますから、直ちに郵便局を統廃合して減らすなんということは考えておりません。ただ、今、委員言われましたように、簡易郵便局というのがありまして、これは委託なんですね。役場に委託するケースもありますけれども、漁協や農協にも委託する、個人に委託しているのもありまして、こういう簡易郵便局という制度もありまして、これが何千かありますから、そういういろいろなことを含めて、地域の要望を聞きながら、合併の状況を見ては、その時点で考え直すということはあると思います。  それは、基本的には、今、二万四千七百のネットワークは維持していきたいと、こういうふうに考えておりますが、長いいろんな時代の変遷の中、状況の変化の中で再検討することもあるいはあり得ると。それは基本的には、何度も繰り返しますけれども、現行を維持していきたいと。それは国会の今度の修正、衆議院の修正もあまねく全国郵便局設置と、ここの「あまねく全国に」というのに大変私は重い意味があるなと、こういうふうに思っている次第でございます。
  289. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 この通常国会の冒頭で、本会議で、国会改革連絡会ができまして一番最初に代表質問をいたしたんですけれども、そのときにアメリカの国家情報会議、これは十五年先には日米欧という三極が崩れて、日本がこのまま漂流を続けるならば、すなわち日本というのは自己改革能力が欠落しているという指摘をしているわけですね。そういう問題意識を総理はどのように持っておられるかということでやり取りをしたことがあるんですが、最近、NHK、アメリカに滞在しておられた日高さんですか、「どうする、日本」という本を読んでみましたら、こういうやり取りがアメリカの退役軍人の中であると、どうも日本とタリバンというのは同じようじゃないかと。誠にけしからぬ話で、それは要するにタリバンというのは高度三千メーターのところにいる、すると脳の中の酸素が非常に少ないと。それで、日本はなぜタリバンかというと、要するに情報が少ないと、日本人というのは。要するに、肝心な裏の情報ですね、世界じゅういろんな情報戦略で駆け巡っているけれども、まじめな前の情報しか入らぬと。だから、結果的に酸素の薄いタリバンと、日本というのは情報が少なくて、またその情報を処理する能力がちょっと薄いんじゃないかという皮肉が書いてありました。  しかし、我々考えてみますると、明治維新までは中国のいろんな影響を受けて、いろんなものをやはり摂取してきている。それで、明治維新になって、明治四年に郵便局できたということですけれども、今、ですから明治維新になって百三十五年ですよね、これ百三十年と書いてあるけれども、明治四年ですから。その間は、やっぱり英法とか独法とか仏法、法律はやっぱりそういうヨーロッパの影響を物すごく受けてきているわけですね。しかし、批判的に私は受容していると思うんですよ、賢い我々の先祖は。ところが、戦争に負けた後、その体制が八十年ぐらい続いたわけですか、昭和二十年から今度はいきなりどっとアメリカのものが入ってきて、全部そういう形のもので動いてきている。しかし、その中でやはり良き伝統というものは守りながらも、新しいグローバリゼーションの中でどうやって対応していこうかというのが今置かれている状況だろうというふうに思うんですね。  そういう中で、地方も明治の大合併の後、これは廃藩置県が主だったんですが、昭和の大合併、今度は大臣は、片山大臣昭和の大合併と言う割にはなかなか進まない部分があるわけですけれども、そのぐらい大きな変わり目にやはり来ているんだろうと思うんですね。百三十五年前ですか、明治維新なんというのは、やはりアメリカが鯨の捕鯨船の護衛船団としてペリーが来て、それからとにかくこのままだったら日本は植民地になってしまうんじゃないかということから大改革をやったわけですね。  ブッシュ大統領がこの前本会議でも指摘しておったように、日本人というのは革命は好まない、せいぜい維新だと、しかし小泉さんは、友人の小泉さんは一生懸命改革をやってくれておるという評価でありました。これは褒められたのかけなされたのかよくいまだに分からない話でありますけれども、とにかくやはり改革しなきゃいかぬところには来ている。  そうすると、意識改革というのはなかなか難しいですから、制度とかシステムを変えるしかやっぱりないんですね、これは。そうなると、大変大きな問題として国と地方との仕組みをどう変えるのか。道州制、そうすれば、当然先々は財源というものは全部地方で取って中央に上納すると。そうすれば、外務省無用論も今出ていますが、防衛庁と外務省程度なら二十兆も上納すれば、今の八十兆予算組んでいるわけですけれども、そういう時代が私は必ず来ると思うんですね。  そういう考え方をやはりしてみますると、それじゃ地域の中で、どういうコミュニティーの中でそれぞれの役割を果たしていくべきなのか、さっき申し上げた郵便局もそうですね。そういう位置付けがないと、みんなやれ合理化すりゃいいんだということで、地域が生き残れるのかという不安をやはり持っておると思うんです。  昨日の市町村長さん方は、そういう不安をやっぱり持っている。片方で合併せざるを得ない、しかし実際はどうなるんだろうかという部分がある。それをやはりしっかりと、こういう日本にするんですよと、こういう地域にするんですよと。サッチャーが言っているように、古い家は壊さなきゃいけませんと。しかし、壊す前に新しい家、どういう家を建てるのかというところが今、日本全体に見えないんですよね。そこに改革に対するアレルギーとか不安とか、三十万の郵便局の皆さん方も非常に私は不安だと思いますよ。  こういう法案審議している最中に、官邸では今度は民営化という話している。それで、この法案も不備があるんじゃないかという議論をしている。それは確かに小泉さん言われるように言論の自由ですから。しかし、タイミングというものがこれはあるわけで、その辺を各議員さん方は非常にどうなっているんだという思いがあるだろうと思うんです。  そういう、ひとつ大臣、地域の生き残りのためにどういうふうにこれから合併問題とか、その中で例えばあとは消防もあるんですね、消防でしょう、それから警察、それから海上保安庁、自衛隊、そういうものが、私は予算委員会でもこれ指摘したことがあるんですけれども、余り縦割りじゃなくて相互に補完し合う、それぞれの地域の中で、そういう相互的な仕組みというものが必要じゃないかという指摘をしたんですが、余り乗り気な議論にはなりませんでした。  六十分あるものですから今日はちょっと演説が長くなりましたけれども、大臣、そういうことを踏まえて大臣のお考えをお示しをいただきたい。
  290. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 郵便局の将来をどう考えるか。  私は今、市町村合併を一生懸命やっている側でございますが、やっぱり市町村が自治体であるためにはコミュニティー意識というのはどうしてもなきゃいかぬと思いますね、コミュニティー。    〔理事景山俊太郎君退席、委員長着席〕  そこで、やっぱり郵便局は将来ともコミュニティーの中心になると。今、合併で役場はだんだん遠くなる。場合によっては支所も減りますですね。それから農協の今合併も、これは農協生き残りのためにやっているんですね。あれも信用機関ですから、あれ小さな単位じゃこれはもう生き残れない。もう全国的に今農協の合併が行われていますよ。それから、小中学校は、子供の数が減るものですから、学校の教育水準維持するためにはやっぱりこれは小中学校の再編成、統合ということが行われている。  そういうことになると、コミュニティーの核になるものが何にもなくなっちゃうんですね。まあ消防団はありますよ。消防団ありますけれども、若い人がだんだん少なくなる。そうすると、やっぱり郵便局はそういう意味ではコミュニティーの中心で、安心と交流と情報の拠点として私は残るということが自治制度の上からも必要ではなかろうかと、こういうふうに思っておるわけでありまして、そういう意味で今回衆議院で「あまねく全国に」ということを入れていただいて、今のネットワークはできるだけ残せと、できるだけ維持しろと、こういうことがやっぱり住民の皆さんの安心につながると、こういうことを言っていただいたのは大変いいことではないかと思いますが、しかし大きな変革の中で、市町村も再編成されて千幾らになると。あるいは都道府県も変わっていくと。  そういうことの中で、郵便局の将来像というものをどういうふうに設定するか、これは公社の大きな課題だと、こう思っておりますし、特に公社の場合には、郵便局はそのまま残しますけれども、残すことに努力いたしますけれども、この中間組織ですね、郵政局や監察局や、そういうものをどういうふうに設定するか。  この辺も考えていなきゃいけませんし、それはやっぱり将来のもう一度大きな郵政改革の、それは今の公社制度を変えるという意味じゃありませんよ、公社制度の中での大いなる私は検討課題ではなかろうかと、こういうふうに思っておりまして、やっぱり郵政関係の職員の皆さんにはそういう観点から、十年後どうする、二十年後どうする、五十年後どうする、そういう観点から郵政のあるべき、郵政事業のあるべき方向、郵便局のあるべき方向、公社のあるべき方向の是非検討をしていただくように今からお願いいたしているわけでありますが、まず、当面は設立委員を決めまして、公社移行をスムーズにやるということが当面の一番大きい課題でございますんで、そういうことから入っていくことになると思いますけれども、是非御指摘の点は十分我々も念頭に置いていろんな検討をしてまいりたいと考えております。
  291. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 郵政公社の人事制度の問題ですけれども、採用後においても全体の奉仕者としての意識を高めるため研修や、公務員としての必要な倫理観を持たせる研修を徹底することがやはり重要だというふうに思うんですが、今後は特に中途採用、これは特定郵便局長も中途採用が多いようでありますし、官民の人事交流というものがこれからもなされていくだろうと思うんですね。  そういう場合に、公務員の政治的中立性をしっかり植え付けるということが大切になってくるというふうに考えられるんですけれども、御所見を伺いたいというふうに思います。
  292. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 公社化後におきましても、郵政公社の職員は御承知のように法律国家公務員としての身分を有する者でございますので、求められる政治的な中立性は現在と変わらないと。今回、公社になりますんで、もう一遍そこのところの再認識を是非公社に移られる職員の皆さんには持ってもらいたいと。そのためには、研修を始めとするいろんな意識啓蒙を我々としても考えたいと思っております。
  293. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 今、総務大臣の御答弁をいただいたんですけれども、人事院の方はいかがでございましょうか。
  294. 中島忠能

    政府特別補佐人(中島忠能君) 御指摘の中途採用者に係る研修ですが、御質問の通告を受けまして、はたと思ったんですが、割合手薄の部分でしたね。これから力を入れていかなきゃならないというふうに思います。  特に、中途採用の方は公務員の世界と違う世界で今まで仕事をしてこられたわけですから、全体の奉仕者性とか、あるいは政治的中立性の重要性とか収賄とか、そういうことについて意識のなかった世界で勤務してこられた方ですから、やはり中途採用の人だけを対象に研修をするということに力を入れてまいりたいというふうに思います。せっかくの御指摘でございますので、心して取り組んでまいりたいというふうに思います。
  295. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 是非そのようにお願いをいたしたいというふうに思います。  郵政公社の場合は、総裁、副総裁二名、理事十六名以内及び監事三名以内の役員を置くことになっておるわけですが、公社施行日前、すなわち来年、平成十五年の四月一日付けにそれぞれ任命をされるというふうに伺っておるわけですけれども、それぞれの役職は企業ではいわゆる取締役に当たるわけですし、公社の重要な経営方針を立てることからも、なるべく早い時期にこれは決められた方がいいんじゃないかというふうには思うんですけれども、心の準備とかいろいろあるでしょう、いつごろに予定をしておられるのか。
  296. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 来年の四月一日施行でございますから、もう八か月ぐらいしか期間がございませんので、今、松岡委員言われるようにできるだけ早くと、こう思いますが、まず法律上は設立委員さんを決めさせていただいて、そこでいろいろ御議論をいただくと、こういうことになると思いますんで、できるだけ早い時期に法律成立後設立委員さんを決めさせていただこうと、こういうふうに思っております。それについては、十分我々としてもどういう方が適当なのか、現在いろいろ総合的に検討しておる段階でございます。
  297. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 総務大臣が任命した設立委員によって公社設立の準備を行うというふうに聞いておるんですけれども、その設立委員はどういうメンバーを考えておられるのか。また、設立委員がそのまま公社の役員にスライドをすることがあるのかどうか。スライドをさせるんであれば、その設立委員の人選にもこれ民間人を含めておくべきだというふうに思うんですけれども、その辺のお考えはいかがでしょう。
  298. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 郵政公社に似たような特殊法人その他の設立委員状況を今調べておりますけれども、これは千差万別ですね、数の少ないのから多いのまで。それから、恐らく総裁になるべき人は設立委員に入っていただくというのが通例のようでございますので、これは入っていただきますけれども、そういうふうに考えますけれども、その他、例えば副総裁だとか理事になるような人をどこまで入れるか。それから、関係の省庁は、総務省は当然でございますけれども、あとどういう省庁の代表の方に入っていただくか。そういうことを今いろいろ検討いたしておりますが、できるだけスムーズにいくということでいえば、先ほど申し上げましたように、少なくとも総裁になるべき人、あるいは何人かの方は、幹部に移行する方は設立委員に入っていただいた方がいいのではないかと、こういうふうに思っている段階でございます。
  299. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 十六日のこの委員会で、公社の総裁人事について、片山大臣から、民間からの就任を念頭に置いた御発言がありました。これはもう非常に大事な人事だと思いますね、この初代の総裁か社長か理事長か知りませんけれども。  民間からの就任を考えておられるということになると、名称ですよね。これ、やっぱり総裁ということになるんですか、それとも社長なんでしょうかね。非常にその辺が、私はやっぱり新しい気持ちでやられるといったら社長の方が、それは民間人がなられるんならですよ、官僚から行かれるんだったらやっぱりそれは社長は嫌だと、総裁がいいということになるんでしょうが、その辺の考え方はどうなんでしょうかね。
  300. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) こういう公益法人といいますか特殊法人的なものには、社長というのは余りないんですね。大体総裁か、大きいものが総裁で小さいのが理事長、必ずしも大小だけじゃありませんが、大体そういう感じなんですね。公庫、公団は総裁で、事業団なんかは理事長というのが割に呼称としては多いんですね。公共的な仕事をするからやっぱり社長というのはいかがかなということで今までそういう呼称というのか名称が少ないんではなかろうかと、こう思いますが、法律上は、松岡議員御承知のように、もう総裁になっちゃっているんですよ。  だから、法律上は総裁でございまして、今言われますように、どういう方に総裁になっていただくかがこの郵政公社のイメージを決める、あるいはそれがかなり大きな国民評価の基準になると私も思いますので、大変大切な人事だと、こういうふうに思っておりまして、そういう意味では、もうどなたが見てもなるほどなという人がおられればいいなと、こう思っておりまして、現在いろいろ考えているところでございます。  ひとつ御指導、御協力をよろしくお願いします。
  301. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 公社の役員についても、理事のうち三人以上、監事のうち一人以上は民間人を登用することともうなっていますね。しかし、就任の前五年間公社の役員若しくは職員又は政府の職員でなかった者という制約があるわけですね。五年間という制約を付けずに、全く公的なものに従事していない人、純粋に民間人をやっぱり登用した方がいいんじゃないかというふうに思うんですけれども、この点はどうでしょう。
  302. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) これも同種のもののいろんな制約に倣った規定でございますけれども、この辺は考え方でございますので、今後、総合的に幅広い意見を聞きながら選ばしていただきたいと。一応、しかし、そういう制約を付けましたので、その制約の範囲で考えさしていただく、その中でできるだけいい人の人選を進めてまいりたいと、こう考えておりますが、いざとなるとなかなかいい人はいないなということを改めて今大変痛感しておりますが、一生懸命努力いたしたいと考えております。
  303. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 郵政公社と今度は総務省の人事交流の問題ですね、幹部職員の。六月二十五日の衆議院の総務委員会において、たしかこれは荒井さんとのやり取りだと思うんですけれども、片山大臣は、理事、監事に仮になるとすればノーリターンでしょうねと答弁されておられますよ。  それで、これは天下り人事の温床になるんじゃないかという感じがするんですね、一方通行になってくると。また、理事、監事だけでなくて幹部職員も含めて人事制度、人事交流をきちっと決めないと、公社の職員のもうやる気がなくなる、そういう支障を来すというおそれもあるわけです。監督官庁である総務省郵政公社は、いわゆる民間でいえば親会社と子会社という感じになると私は思うんですね。そうした場合に、公社の独自性を十分に発揮させるためには、ノーリターンというよりはやっぱり相互交流があった方が私はいいんじゃないかと思うんですけれども、改めて大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
  304. 佐田玄一郎

    ○副大臣佐田玄一郎君) 今、先生言われたように、その相互交流ということにつきましては、具体的に今検討中であります。  それで、今の先生のお話のとおりなんでありまして、総務省は、これは監督官庁でもありますし、そうなりますと、郵政公社は要するに総務省が企画立案したことを、政策の実施機能を担ってやっていくわけでありますから、そういうことを考えますと、当然のことながらお互いの責任関係をしっかりと確認しながら人事交流を行っていくということなんでありますけれども、その辺も踏まえて今検討さしていただいております。  ただ、実は、これから事業者信書なんかの事業者の方が入ってくる、信書事業に入ってくる可能性がありますので、そういうところで公社と非常に競合する部分もありまして、競争関係にあることを考えますと、信書便事業の担当部署を、例えば、担当部署につきましては、公社との関係において業務の適正な執行に当たって問題がないと認められる職員を配置する等、そういうところにつきましては一定のファイアウオールを作っておかないと、これは平等になっていかないんじゃないかと。  ただ、先生、例えば総務省の、そういうことを考えますと、総務省の職員から公社の役員になりますと、公社の役員は全体的なものを見ていくわけでありますから、その中で信書便も見ていくと。そういうことを考えますと、その方がまた戻るということもどうなのかなと。今のところいろいろ検討さしていただきますけれども、そういう平等を何か保てるような形でこれから議論をしていきたいと、こういうふうに思っております。
  305. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 そうすると、大臣がおっしゃったノーリターンでもまだないということなんですか。やっぱりそれはそのままという、そちら。
  306. 佐田玄一郎

    ○副大臣佐田玄一郎君) そういうことです。ノーリターンです、役員は……
  307. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 役員はね。  郵政公社では、郵便貯金、簡易生命保険の資金の自主運用のために検証を実施されるということのようですけれども、おとといも堀内総務会長の文芸春秋今月号のあれを引用さしていただいたんですけれども、公社の自主運用には不安があると。「日本経済の活性化のために資金運用を行うことなど、逆立ちしても無理というものである。」というふうに書いておられるんですよね、はっきりと。こういうところ、非常に気になるんですよ、我々から見るとですね。  資金の独自運用や新商品の企画立案、マーケティングなど、専門的職種の民間人登用が、是非やはり私は、これは必要だろうと思うんですよね、そういうスペシャリストが。そうしないと、非常に巨大なお金の運用ですよね、非常に不安がある。そういう点では、この専門的職種における民間人登用の場合、報酬体系は、これは国家公務員に準じるのかどうなのか。私は、是非これは、そういうスペシャリストが必要と思います。それと同時に、その場合の処遇というものはどのように考えておられるのかをお伺いしたいと思います。
  308. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 簡保資金は、これは大正八年の創業から自主運用なんですよ。ただ、直貸しを、財投機関への直貸しをやっているということがありまして、それは廃止になりました。  それから、郵貯資金は、大蔵省と協議しまして、昭和六十二年から一部自主運用ですね、一部自主運用。その一部自主運用以外は義務預託ですよね、資金運用部に。これも御承知のように去年からなくなりましたので、今は全くの自主運用と。ただ、経過措置がありまして、相当、七年間は経過措置をやらざるを得ませんね、何年かの預託でやっていますから。そうしないと、もう旧財投の方がもちませんので。  そういうことをやっておりますが、まあ世間がいろいろ外で考えていただいているよりは経験と実績はあるんです。がつがつもうけなくてもいいですから、とにかく安全で長期的運用でやってきておりますから、ほとんど損はしていないです。指定単だけが、指定単の株だけが、これはうちだけじゃありませんから、弁解じゃありませんが、ある意味では世界じゅうが損したわけでありますけれども、それなりの実績は得ておりまして、今、委員言われますように、やっぱり専門家を育てにゃいかぬというので証券アナリストの今養成をやっておりましたし、このところ、ニューヨークやロンドンに長期研修に行かせているんですよ、そういう専門の職員を。今それはもう何人も育ってきておりますが、同時に、今言いましたように、民間の専門家を場合によっては入れるということも検討する必要があると思います。  だから、任期付採用だとか官民の交流だとかという制度ができましたので、人事院総裁おられますけれども、そういうものも是非公社になったら活用をすることもこれは視野に入れて考えていきたいと、こういうふうに思っておりまして、国民の皆様の貴重な預り金でありますから、できるだけ有利な、安全な、そういう資金運用に努めてまいりたいと思っております。
  309. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 堀内総務会長の懸念が杞憂になりますように、ひとつ頑張っていただきたいというふうに思います。  公務員制度改革大綱における採用試験制度見直しでは、採用試験制度の企画立案については内閣が行うということとなっております。人事院は人事行政の中立性、公正性も確保するという観点から必要に応じて意見の申出を行う、また採用試験は人事院が行うというようになっておるわけです。  内閣が試験問題作成委員の人選や出題分野の決定などに関与することは、その中立公正性を確保する国家公務員の採用に問題があるんじゃないかという感じがするわけですけれども、この辺はいかがでございましょうか。
  310. 中島忠能

    政府特別補佐人(中島忠能君) そういう改革の大綱が発表されましてから、各方面から実はいろいろな意見が出ております。  したがいまして、今から振り返ってみますと、これほどとにかく議論が対立するといいますか、その正当性について疑いの強い改革案をいつまでもとにかく固守されるというか主張され続けるというのが実は私どももよく分からないんですけれども、やはり元々の原理原則に従って、制度的に保障されておる中立機関というものに中立性が必要な試験というものの企画立案をお任せいただいた方がいいだろうというふうにまだやっぱり考えざるを得ないということでございます。
  311. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 今は、冒頭に申し上げましたように、日本全体が閉塞感といいましょうか、漂っている状況なんですね。しかし、古い伝統的ないいものは残しながらも新しい対応が求められているときでありますだけに、この郵政公社法案そのものに私は賛成でありますし、それをこれからの新しい日本づくりのエネルギーになるようにひとつ頑張っていただきたい。その中でやっぱり大事なのは、私は、総裁それから役員の人選だと思います。それで、早く総務省の子会社から脱して頑張れるような体制に持っていってもらいたいと、これを強く要望をいたしまして、あとは渡辺先生にお願いをいたしたいというふうに思います。
  312. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 ずっと同僚議員の質疑を聞いておりまして、一体、この郵政公社をなぜ必要なのか、いよいよますます何だか分からなくなっちゃう面がある。この中でずっと見ていて、郵便局必要でないと言う人は恐らく一人もいないと思うんだね。一体何なんだろうということが、やっぱりあのときにちょっと随分と無理をした行政改革だったんだなということは、質疑を聞いておってもやっぱり出てきますね、隅々に。それはもう今となっては仕方がないということを僕はいつも言いながら、申し上げながら、片山大臣の大変な御苦労を、いや本当だ、大変な御苦労を皆さんやっておられる。役所の諸君たちもそうだと思うんです。  そういう意味では、私は別に大臣やったから言うんじゃないですよ、そんなけちなことで言っているわけじゃないので、このエネルギーというのは、どれだけの一体無駄な時間というか、悪いけれども、経費と国民負担を──いやいや本当だ、国民負担をどれだけやっているか。だって、みんな税金だから。  そういうことを考えて、ましてや、組織、どんな立派な組織作ろうと、しょせん人間ですよ、しょせんは。だから、そういう意味では、さっき同僚議員からキャリアの話も出ました、給与の話も出ました。いろんな話が出ていますけれども、やっぱり私は前にもこの法案でなくてほかの法案のときに申し上げたと思うんですが、やっぱり我が国の、この国というものを考えたときに、これは正に国民第一義であって、そしてその国民と政治をやる我々との間の役人、国家公務員、この三位が一体にならないと立派な国づくりができないと思うんです、私は。  そういう意味で、これは完璧なものはあり得ないとは思いますけれども、是非、今までのいろんな議論がこれからの行政執行の中で生かされるようにしてもらわなきゃいかぬ、いろんな懸念を払拭してもらわなきゃいかぬというふうに、一層その感をいたしますよ。  同時に、余りまたしゃべっていると時間なくなっちゃいますので、私は昨日の参考人の会合で意見陳述を聞いておりまして、非常に、郵政事業というのが国民の間にこれほど浸透しておったか。大臣も自信を持って、副大臣もそうだし政務官もそうですけれども、政治家として、政治家として自信を持って、私はこの公社の、公社化に変わるそのときに、今までがすべてが悪い、すべてが反省だ、今まで百三十年続いたものを否定する前提からのことではなくて、是非スムーズな移行。  今の人事の問題もそうですけれども、まあいろいろ意見が違いはありますよ、私も松岡君も。それは、私は、民間人が公社の責任者になって、国家公務員の経験もない人間が出てきて、なって、一体何をどうやって、しかもこの郵政事業、しかもさっきの簡保の資金運用、貯金の資金運用なんて。私は実際現場へ行ったら、大臣も行ってみたでしょう、それは完全な世界に誇るエキスパートができていますよ、郵政マンに。全然心配要りませんよ、自主運用に。  だから、そういう意味において、まあ知らないがための懸念ですよ。それは要するに、私は、郵政省の今までの幹部諸君が自分たちの殻に閉じこもっておって、いわゆる国民に対するそういうPRができていなかったと。特定局を始めとして、そういうところで満足し切っていた。だから、ああいう選挙違反のような問題も起こるんですよ。だから、私は非常にそういう意味で残念でたまらない。大変な、しかも、何ですか、郵便の仕分の機械まで開発。そうでしょう。それは、今度はそこには変な利権が絡んだなんということがあるからおかしくなっちゃうので。  だから、そういう意味では、私は郵政三事業というのは世界に冠たるものだといまだに思っている。だから、極端に言うなら、もう郵政事業庁でやったらいいじゃないかと。いやいや本当ですよ。その中で改良をして、何の一体不便と不満と国民に対して不利益があるんだねと言いたい、本当はね。  しかし、これはまあ公社法ができてきて、ここで今議論しているわけだし、私は、根本的、基本的にあの橋本行革の郵政省を分解したことは間違いだと、基本的に私は政治家としてのスタンスを持っていますので、法案には賛成しかねる面があるが、しかし非常に心配している。こういうことを、また来週質疑があったときにほかの面から私は議論をしてみたいと思っていますが。  今日は、幸い二十分あるんで、ちょっと同僚議員の、いろんなさっきの人の問題についての話もありましたが、是非、この国家公務員という、公社化になったときの、公務員の身分を持ちながらでしょう、そこのところをやっぱりある程度これ大臣はっきりしておかないといけないと思う。人事院総裁もその責任をやっぱりしっかりと踏まえてやっておかないと、どうも私は不安感というのがぬぐい去れないんではないかという感じがしまして、全体の奉仕者として、公社化になって、国家公務員の身分を与えられながら中立公正に職務を遂行していってもらうわけでありますけれども、国家公務員たる郵政公社の職員の採用と退職、このことについて、今までの同僚議員、幾らかありましたが、端的にちょっと質問をさせておいていただき、また、この国権の最高機関である国会の議事録にきちんと残しておきたい、そういう意味で申し上げたいと思うわけであります。  第一点は、公社職員の、演説が長くなるんで書いてきたんです。第一点は、公社職員の採用という問題について、いわゆるインプットとアウトプットと、この間も言ったけれども、そこが大事だと思うんですね。  郵政公社独自の採用試験を行うということを若干聞いていますが、これまでの国家公務員試験を離れて別に試験を行う。公務員であるというのに、何で別に試験を行う理由があるのか。また、そういうことをやることによる公務員としての責任と使命、プライド、そういうものがおかしくなりやしないかねと。改革、改革と言うけれども、公務員たる身分を与えるんだったら人事院に任せていいと、私はそう思う。国民に対して堂々と、公正、平等に、成績本位で今まで行っているというようなものと、今までと同じようにそういうことを言えるようなものとなるのかどうか、懸念をいたしております。  それは、今までいたキャリアであろうとなかろうと、加えて総体的に、これはもう昨日のお話でもそうですが、本当に郵便一通持っていく、その人たちの心、私は、余分なことをまた言って、しゃべっておると時間がなくなっちゃうが、前島記念館に、明治時代の郵務員、郵便配達員、その像を、これはやっぱり、それは全逓にしても全郵政にしても、あるいは入っていないにしても、とにかく雪の中、あらしの中でも配って伝達したわけだ、人の心を。そういう意味で、その記念像を作らせていただいたんですよ、大臣のときに。  だから、そういう意味では、これ、末端のそういう職員、最高の責任者、みんな同じだ、そういう意味で、大臣のこの問題についてどんなふうにお考えですか。
  313. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 今回、公社になりますが、国家公務員としての身分はそのままと、こういうことでございまして、採用につきましては、人事院と協議をしながら現在検討いたしておりますが、先ほども佐田副大臣からお話をしましたように、総合職と一般職、大卒は総合職、高卒は一般職と、こういうことで採用いたしたいと。しかし、これは決して総合職がキャリアという意味じゃありません。キャリアでないという意味でもありませんが、相当たくさんの数を採って、その中で大いに競争していただくと。  それで、普通の公務員とやっぱり郵政公社の公務員は仕事が少し違いますから、いわゆる一般の行政そのものでない分野でございますので、そういう意味では、特別のそういう適性なり能力が求められるということから別扱いをさせていただこうと、こういうふうに思っておるわけでありますが、今の政治的な中立だとか、大変公正に仕事をやるとか、そういうことについては是非そうさせていただこうと。  ただ、できるだけ一般の公務員よりは、成績本位、能力本位、実績本位で昇進だとか処遇だとかも考えてまいりたい。限界はありますよ、公務員ですから。限界ありますけれども、限界のある中ではできるだけそういうことにいたしたいと、こう考えている次第でございます。
  314. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 多分、そういうことだろうと思うんですが、人事院は、この郵政公社の採用試験、国民に対して、公平、公正、透明に行われるよう監督しなきゃならぬ責任がある。だから、例えば来年の採用は今の人事院でやるんだから、そうでしょう──違う、そうでしょう。だから、そういう意味では、そのキャリアシステムがどうとかということは、今おっしゃるとおりで分かっていますが、しかし、正に公平、公正、透明に行われるよう監督をしてもらわなきゃいけないと思うんですけれども、この試験をどんなふうに指導されるんですか。  人事院総裁のさっきの答弁もありましたが、ちょっともう少し具体的に、それは郵政省の職員は人事院と相談してと言われるけれども、人事院の権限が今何かちょっと、権限と言っちゃ悪いけれども、機能が何か宙ぶらりんになっている。そういうところでなかなか難しいだろうと思うんですけれども、しかし、私は、これは基本的に先ほど申し上げたように人事院でしっかりやるべきだと思っているんですが、どんなふうなお考えですか、総裁。
  315. 中島忠能

    政府特別補佐人(中島忠能君) 国家公務員でございますので、その採用は、成績主義にのっとって、平等、公開の原則で実施されなければなりません。したがいまして、その基本原則を満たすように、現在、募集方法あるいはまた試験の実施方法、また評点方法につきまして、郵政当局と協議をしておるということでございます。  もう少し具体的に申し上げますと、募集方法ということでございますけれども、日本の国は沖縄から北海道の端々までございますので、その募集の周知徹底といいますか、国民すべてに行き渡るように募集をきちんと行う。あるいはまた、実施につきましても、沖縄の離島に住んでおる方も、また北海道の農村地帯に住んでおる方も、余り不便を感ずることなく試験場に通えるような試験場の配置をしていただくとか、評点方法につきましても、思想信条に基づく要素によって評点を変えるということがないというようなことを、一つ一つにつきまして郵政当局と御相談させていただいておるということでございます。  郵政当局の方も、先ほどから答弁申し上げておりますように、非常にその点については共通認識を持っておりまして、私は、何遍も先生方から御心配の御質問をいただきますけれども、その点については大丈夫だというふうに申し上げることができると思います。  その協議の調ったところで試験実施機関として指定をする、そしてその協議に従って試験をしていただくということでございます。事後の報告も受けたいと思います。必要に応じて監査もしたいと思います。郵政当局の方とその点はよく話し合って、先生の御心配のないようにしてまいりたいというふうに思います。
  316. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 是非そう願いたいと思いますが。  そこで総裁、今度は出る方だ。要するに天下り。そこのところももう一つ確認というか、総裁の考え方を聞いておきたいんですが、郵政というのは、比較的天下り、経済産業省ほどは多くない、あるいはほかのところよりは多くないのかも分かりませんけれども、しかし多い方です。今回の法案郵政公社に移行された後、その職員や役員の天下りはどういうふうに、総裁、チェックされますか。
  317. 中島忠能

    政府特別補佐人(中島忠能君) 郵政公社の課長以上の方については、人事院の方で直接審査をして承認、不承認を決めていきたいと。そして、それ以下の方については、任命権者の方に委任して、人事院の定めた基準に基づいて審査をしていただくというふうに運用したいというふうに考えております。  ただ、よく言われますように、退職して二年以内に民間企業に再就職される方は、年間九百人ぐらいおるんですね、これ。二年以内に退職して民間企業に再就職される方が九百人おるんですよ。そして、基準を定めて、その基準に基づいてその九百人の方が右から左、形式的に審査できるかというと、決してそうじゃございません。基準に決めていないようなケースもございます。したがいまして、そういうときには、よく私たちの方と各任命権者御相談させていただいて、間違いのないように運用させていただくということをやっておりますので、同じように、今までと同じように郵政当局の方もやっていこうというふうにおっしゃっていますので、私はその点についても余り心配はいたしておりません。
  318. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 心配していないという自信をお持ちは結構なんですけれども、何しろ官邸の方ではそう言っていないわけなんですね。  この間、別の委員会なんですけれども、大臣ちょっと、総務大臣、あなたの耳に当然入っておると思うんですが、今日はわざと僕は、総務委員会だから石原長官呼んでいないんですよ。別にお二人並べて議論をする必要はないので。石原大臣は、同僚議員の質問に対して、内閣が責任を持って行える仕組みを考えたいと、こう言っているんだよね。これは、片山大臣、あなた、答弁を整合して向こうは発言、石原長官は、大臣か、大臣発言したんですか。今、それと、総務大臣のこのことについての考え方はいかがですか。
  319. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 恐らく石原大臣が言われたのは公務員制度改革大綱ね、この前発表した中がそうなっているんですよ。今、総裁から御答弁のように、人事院が審査してやると、今後は内閣の責任でやりたいと、内閣が明確な基準を作って。あとは任命権者がやる、ということは各省大臣ですね、やった方が意味があるんではないかと、こういうのが大綱の考え方ですね。  大綱は我々も参与しながら決めたわけでございますから、それがいいとか悪いとかということは差し控えますけれども、あれは一つの考え方でございますが、今の制度も長い風雪に耐えてきた制度なんですね、国家公務員法ができて。私の方が国家公務員は所管しておりますので、改革の方は特命で今、行政改革担当大臣がやっていると、こういうことでございますから、私は、大綱は大綱としてああいう提案が出たら、皆さんで議論して一番いい方法を決めていったらいいと。両方の考え方ができると思うんですよ。第三者機関が中立公正にやるという考え方もあるし、あるいは内閣が雇用主として責任を持って、天下りというのか、第二の就職、退職管理も責任を持って国民の皆さんに納得できるようにやると。両方の考え方がそれは成り立つと思います。  どうも、余りはっきりせぬではないかと、ややそういうところがございますので、是非御理解賜りたい。
  320. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 いや、だからはっきりそれは答えられないわ。だがしかし、私は基本的には、やっぱりこれは内閣というのはそんなことまでやるべきことじゃないと思うんですよ。内閣というのは、やっぱり国家戦略だよね。基本的国家戦略を立てて、それに基づいて各国務大臣、行政執行を監督というか、監督と言ったら悪いが、言うならばリーダーシップで指導していくという、これは本来の議院内閣制のあるべき姿ですよ。それは何々省の何々局長が天下りするのに、それ官邸がやりますか、内閣が。  言うならば、今、大臣の答弁は非常に大事な答弁ですよ、それは本当に。当時の、あなたがずっとこれから十年、大臣やっているわけじゃない。お互いに分かり切ったことだ。だけれども、さっきからいろんなところで言っているように、しかし、担当の当時の大臣がこういう答弁をしたということは非常に大事なことですから、そのことは是非、総務省は、新しくできた総務省、その機能をどう生かすかということも今後の問題、加えて、今の国家公務員と人事院採用あるいは退職後の問題、今まで六十年間、約六十年間すべてとは言わないが、戦後人事院が、大体あなたの先輩だみんな、片山さんの、そうでしょう。立派な人事院総裁で公明正大、そして少なくとも何の余り異論がなく、あの男があんなところなんというのはそうないで来ているわ。そこは見事な私は人事配置をしてこられた。  そのことがすなわち、何を言いたいかといったら、国家としての活力を維持していく大事な人材の再配置になってきたと思うんですよ。それは国会に出た人もいるし、あるいはそうやって民間に行った人もいるし。言うならば、財投は悪だと言われる時代になっちゃったけれども、しかし、その財投によって日本の経済をここまで、我々はかつて衆議院時代には第二予算と言ったんだ、財投予算を。それより、一般会計予算よりも大きいんだから。そうやって日本の経済を支えてきたんだ。  そういう意味では、是非、皆さんから納得できるような、これから我々も監視していきますが、大臣として、そこは今の内閣だから、国家百年のことを考えずに目先のことを考えてあなた譲っちゃ駄目ですよ。そこをしっかりと約束をしてもらわなきゃいかぬし、それから人事院総裁も、行革大綱がこうだからといって途中でへたってあきらめちゃいかぬ。あなたはあなたの、今の歴代総裁の立場でしっかりと責任を果たして、言うべきことは言っていく、主張していくということが大事だと思う。そのお二人のもう一回意見を聞いて質問を終わり、まだ時間があるから。
  321. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 国家公務員法を所管している大臣としまして、それは私は余り遠慮しない方ですから、御承知のように、閣議でも閣僚懇でもはっきり私の意見は言っておりますので、今の渡辺委員の御趣旨をしっかりと受け止めて対応してまいります。
  322. 中島忠能

    政府特別補佐人(中島忠能君) 激励をいただきまして、ありがとうございます。  いずれにいたしましても、公務員制度というのは非常に重要なといいますか、国家の基本的な制度でございますので、それぞれの時点における改革理念というものをどこに置くかということを認識しながら、私たちはこの試験制度についても、あるいはまた天下り制度についても発言を続けていきたいというふうに思います。できるだけ国民の声に耳を澄ませながら意見を形成してまいりたいというふうに思います。
  323. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 どうぞよろしく。御苦労さまです。
  324. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。私で十人目でありますから、大分、委員の皆さんも政府側もお疲れだろうと思いますが、三十分、是非よろしくお願いをしたいと思います。  そこで、私どもも前にも申し上げましたが、修正案で送られてきた郵政公社法については賛成でございますが、信書便法にはこれは反対、こういう立場で幾つかまだただしておく必要がある点、幾つかお尋ねしてまいりたいと思います。  今度の法案の原案が出されて以降、衆議院での修正案の作成過程を外から見ていますと、手続的には大変問題があった、こう言わざるを得ません。土壇場になって国民に十分知らされずに、ほぼ密室で作られてきた感が否めないからそう思うわけであります。  しかしながら、その中で、内容的には非常に貴重な提案も実は幾つか出ておったと、こう思います。途中で自民党内で修正案から削られてしまったものもあるようですけれども。ユニバーサルサービスを確保するために必要な手だてだとか、利益追求のみに走らないための国民による民主的コントロールに関する提案は生かすべきなんだろうと思うんです。  そこで、実はそうした幻の修正案の中から二点ちょっと伺いたいと思っています。ちなみに、これは自民党総務部会長の荒井衆議院議員が述べられたものとして、六月二十三日の朝日新聞に出ておったものを基に話をさせていただきますが、まず、国庫納付金は国庫ではなくて地方自治体に納めるべしという、こういう提案がありますね。この案は一見とっぴなようですけれども、その背景あるいは趣旨の前段は私が前回質問したことと同じであります。つまり、郵便事業やその周辺、関連の地域的、公益的なサービスを今後も確保すべきであり、安易に国庫納付金を大きくして中央政府に吸い上げることは良くないという、こういう点で共通していると思うんです。  問題は、後段のところでして、国庫への納付に替えて地方自治体へ納付するようにしようという提案を荒井さんがなさっておるわけですが、これについてどういう考えであるのか、まず初めにお伺いをしたいと思います。
  325. 野村卓

    政府参考人野村卓君) 荒井部会長の御発言については、私ども承知していないわけでございますけれども……
  326. 又市征治

    ○又市征治君 していないんですか。
  327. 野村卓

    政府参考人野村卓君) はい。  今回、政府原案の中に国庫納付の規定を設けたわけでございますけれども、その趣旨といたしましては、公社法律により直接設立される法人、しかも国から全額出資の法人だと、それから中長期的に利益が生じる可能性がある、想定される、こういったことから、利益が生じた場合には国に対して一定の国庫納付を行うと、こういう規定政府原案の中に設けさせていただいたわけでございますけれども、先生のおっしゃる地方自治体に納めるというものにつきましては、特殊法人の中には利益の一部を国庫及び地方公共団体に納付するという法人もございます。私どもそれを調べてみますと、そういう地方公共団体から出資を受けている法人ということでございまして、その出資の割合に応じまして利益を地方公共団体の方へ納付しているというふうに承知しているところでございます。
  328. 又市征治

    ○又市征治君 前例がないとかルールがないとかというふうなこともあるんでしょうが、この幻の案の提案者は、郵便事業が大都市では大きな黒字で地方では軒並み赤字であるという、前回、あれ大臣だったでしょうか、どなたかおっしゃいましたけれども、東京中央郵便局の収益と北海道全体がほぼ一緒だなんという話がどこかで出ましたけれども、こういう現実を踏まえて、郵政公社として全国あまねくサービスをするための財政的基盤の一助とするために、全国ベースで上がった収益の一部を過疎地等の市町村に回そうと、こういう意図で荒井さんはおっしゃっているんだろうと思うんですね。  郵政から自治体へのお金の流れの制度が全くないかといえばそうではなくて、今、地方税では、国有資産所在市町村交付金という、こういうものがありますね。固定資産税の代わりということで税額の二分の一相当額とされておる。市町村の側から見れば、何で二分の一しかくれないんだと、国有地や建物があればその市町村は民有地よりも税収が減るというのはおかしいという不満がないわけではないんでしょうけれども、一応こういう制度があるわけです。  そこで、今の制度で旧郵政省からは年十一億四千万円余り市町村へ交付をしているわけですね。これが郵政公社になったらどういうふうになっていくのか、この点、併せてお聞きをいたします。
  329. 野村卓

    政府参考人野村卓君) 現在、先生おっしゃるように、市町村交付金というものを払っているわけでございますけれども、この対象は、職員宿舎とか、それから貸し付けている土地、こういった土地を対象にいたしまして市町村交付金というのをお支払いしているわけでございますけれども、公社化に伴いまして、現在、そういった市町村交付金を固定資産税の二分の一相当等を払っているものにつきましては、今度は固定資産税そのものを払うという形に変わります。それプラス、今回、本来事業用資産として、郵便局舎とか事務センター、そういった本来の事業に使っている固定資産につきましては、固定資産税価額の二分の一を算定標準とした市町村納付金というものを各市町村に納付することにしてございます。  具体的な金額といたしまして、本来、固定資産を払うとした場合には約三百六十億円市町村にお支払いするわけでございますけれども、この市町村納付金制度に変わりますと、その二分の一の約百八十億円という形になると考えているところでございます。
  330. 又市征治

    ○又市征治君 これでも大郵政公社全国の額としては極めて少ないと地元の市町村は思うだろうと思いますが、制度としては対象拡大をして、今お話があったように、金額にしますと大体十六倍ぐらいに今よりもなるわけですね。これがそれぞれの土地建物の所在する市町村にとっては貴重な自主財源になるということなんだと思います。  そこで、大臣にこの後お話をお聞きをしてまいりたいと思いますが、話を元に戻して、この国庫納付金を地方自治体に納付するということについてですけれども、国庫納付金制度そのものはもちろん国と公社との財政的な連結のメカニズムとして当然必要だと思います。  そこで、私は、地方の振興とこの郵政サービスの維持と財政的な連携という趣旨を生かしながら、少しアレンジして考えてみたいと思うんですけれども、要は、過疎地を含む全国あまねくの郵政事業及び関連の公益的な事業を維持をしていく、あるいは地元自治体にそのため物心両面で協力をする、それらの財政的な保障というものを公社の財政システム内部にビルトインするということが必要なんではないのかと、こういうことなんです。  そこで、代案的に言えば、例えば郵政公社が各地方郵政局ごとに、郵便宿舎や郵便事業本体の人員はもとよりですけれども、郵貯や簡保などの金融や保険業務あるいは訪問営業活動の延長としてのお年寄りへのひまわりサービスなどを含めて、住民のためのサービス、あるいは過疎地などにあっては地域社会を維持していくためのミニマム的な公的サービスをきちんと算定をして、その必要額を必ず地方ごとに計上していくという、こういうやり方、そしてこの必要額については国庫納付金の算定対象から外すということ、こういうことがあっていいんではないのか。その一部は地方郵政局の判断で自治体へ地域社会維持のための協力金として支出することがあってもいいんではないかというふうに、こうも思うんです。  こうした意味でも、公益サービスとその財源の地域別の確保という点についてどうお考えかお伺いをしたいと、こういうことであります。
  331. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) この国庫納付金は、あれなんですね、収益が出ますね、最終的な収益が出たものを、まあこれ、四年間の中期経営計画の単位で収益が増えた分だけ国庫納付しようと、基準額は留保して、こういうことなんですね。だから、費用に掛かったものは全部それは差っ引きますから、だからそれは又市委員と同じような考え方になるんですね。  それから、地方団体納付金というけれども、地方団体は大変郵便局のおかげで恩恵を受けている方ですね。地方団体が払わないかぬわけです。郵便局があるおかげでコミュニティーが維持できたり、ひまわりサービスができたり、ワンストップサービスなんかできているので。今、特にコストが掛からないものはただでやっているんですね、郵便局の外務職員が、ひまわりサービスや何か。ただ、ワンストップサービスのような金が掛かるものは、これは実費だけもらっているんです、地方団体から。  そういう関係でいけばいいんですが、私は、昔は別の省だったですからね、市町村と郵便局は、役場と郵便局は仲がいい他人だったと言っているんですよ。今は親戚になったんだから、同じ一つの省ですから、市町村役場と郵便局は。だから、親戚になったんだから、もっとお互い連携を具体的に考えたらどうかということが、今もう大変な市町村行政、都道府県行政に郵便局が協力していると、こういうことで、都道府県、市町村も大変感謝しております。  だから、そういう意味では、私は都道府県や市町村は少し金払ってもいいと思うし、郵便局も必要なものはもらったらいいと思いますので、又市委員の御趣旨を体して、両者の連携を更に深めてまいりたいと思っております。
  332. 又市征治

    ○又市征治君 ありがとうございました。  そこで、昨日、参考人質疑やりまして、今、大臣からお話ございましたけれども、御三方とも非常に郵便局というのは大事だと、こんなことをお話しだったんですが、福井の名田庄村長の下中さんが御紹介されていた災害時の村と郵便局の協力協定、これはお聞きするところによりますと約二千五百ぐらいの市町村と結んでおるそうでありますから、市町村全体の約八割ぐらいということになるんですかね。ただ、これにしましても、郵便局側の経費が伴う場合、その財政的な担保がないんではないのか。単に今あるものを提供する。今一生懸命郵便局がそういう役割を果たしている、これはいいことなんですし、またもちろん、今、大臣からありましたように、そういう公益的な仕事は続けていくんだ、こういうことなんですけれども、だけれども、いざというときの災害のときに、じゃ大変限界があるんじゃないのかということを申し上げているわけです。  そこで、少し事務的な問題をお聞きをいたしますけれども、災害協力協定に基づく実績、これはどうなっているのか、またひまわりサービスその他の地域への協力実績についても少し紹介をいただきながら、その際、それらの経費の額も含めて少しお聞かせをいただきたいと、こう思います。
  333. 松井浩

    政府参考人松井浩君) 郵便局と自治体とのいろんな協力関係での、特にコストを意識した御質問だと思っております。  お答え申し上げたいと思いますが、私どもで、郵便局でこういったサービスをさせていただいておりますのは、基本的な考え方として、地域の住民の郵便局への信頼につながる事業の基盤だと、こういう考え方でございまして、これがまた本業であります郵政三事業経営にも資するんだという考え方でございます。  御指摘の災害時においてのことでございますが、郵便局が管理している用地を避難場所として提供させていただいたり、あるいは物資の集積所として提供させていただいたりすることもございます。また、日々郵便物の集配等をやっておりますが、その過程で、経路の途中で独り暮らしの高齢者の方へのお声掛け、それからあるいは回っている中で道路の損傷状況を発見した場合にその自治体に情報提供をさせていただくなど、こういったサービスをやっているわけでございますが、こういったものにつきましては、そのために特段の人的、物的な追加コストがほとんど掛からない、逆に言うと、そういう一々コストを計算するというほどのものではないという認識の下で無料でさせていただいているということでございまして、そういう意味で、せっかくお尋ねいただいたんですが、具体的な実績、それからそれに要した経費について、実際に調査をして御報告できるようなものは持ち合わせていないわけでございます。  それからもう一つ、申し遅れましたが、ひまわりサービス、これもそれぞれの地元で協議会を作ってさせていただいているものでございますけれども、これにつきまして若干、平成十二年度の利用件数についての調査結果がございますので御報告申し上げますが、これは郵便の外務職員による配達の際の励ましの声掛け、それから内容は、生活用品の注文はがきの取り集め、お年寄りの方からいただいて、そして注文品を配達、小包として配達するということなんです。それから、地元の小中学生がお出しになる励ましのメッセージ、これも郵便としてお届けするということでございまして、業務の一環としてやっておりますので、そういう中で、この利用件数は、月平均で全国で約二万九千件、一市町村当たりにいたしますと百五十件という調査結果が出ておりますが、個々のサービスごとの、今さっき私が申し上げました態様ごとの利用件数は、数字は持ち合わせていないところでございます。
  334. 又市征治

    ○又市征治君 ありがとうございました。  今、松井さんから地域の信頼醸成というか、そういう話がありましたけれども、私は必ずしもそれだけじゃないと思うんですよね。本当に、やっぱり今やっておられるようなそういう事業というのは、地域の人々に大変社会的に貢献をしていると。そういう意味では、やっぱり誇りや働きがいというか、そういうのをみんな得ながらまた新たな事業に頑張っていると、こういうことになっていくと思うんですよ。単に何か地域に信頼取るために何かやっているというだけじゃないと思うんですね。  ただ、さっき私申し上げたように、災害時などの、いろんな意味で当然のことを、そういうことに率先してこの人たちが頑張ってくれているわけですけれども、そういう大きなものになったときに、さっき大臣じゃないけれども、少しは逆に自治体からもらいたいわというぐらいの話がありましたけれども、ともかくとして、私はちょっと心配をするのは、現在はそうした公益的なサービス、こういうものをそういう意味では今の経費の中でお互いに賄っている、そんな一々一つ一つは、そんなちっちゃな問題だと、こういうことなんですけれども、こういう支出根拠そのものはあいまいというか、そういう意味では今の業務の範囲の中でと、こういうことになっているんですが、だからそれも行えるということがあると思うんですね。  ただ、これが公社になって、国庫納付を出すためにぎりぎりと収支計算をする体質に変わっていってしまって、逆にこういうことが落ちたんじゃ困りますよということなんですよね。さっきも私が言った、地域協力のための留保金によって財源的な裏付けを得ることも必要なんじゃないのかというのはそういう意味で申し上げているわけでして、この点は大臣からも先ほどお答えございましたから、引き続きこの点は御検討をいただく、前向きに御検討いただくものだろうというふうに思います。  次に、総裁等の任命についてお伺いをしたいと思いますが、衆議院でも論議をされてまいりましたし、おとつい来、この件については同僚議員からも出ておりますけれども、総裁等の役員の任命について法案第十二条にありますけれども、これはひとつ要約してもう一度説明をいただきたいと思いますが、それがなぜ国会の同意人事案件としてなっていないのかという理由についてももう一度お伺いをしておきたいと思います。
  335. 野村卓

    政府参考人野村卓君) 先生御案内のとおり、公社法十二条に役員の任命についての規定がございます。総裁及び監事につきましては総務大臣が任命することとされておりまして、副総裁につきましては総務大臣の認可を受けて総裁が任命するという形になってございます。それから、理事につきましては総裁が任命するという形になってございます。また、理事のうち三名以上、及び監事のうち一名以上は部外者から任命するという形になってございます。  それから、役員の解任の規定に関しては公社法の十五条にございまして、総務大臣又は総裁がそれぞれの任命に係る役員につきまして、一つといたしましては、政府又は地方公共団体の職員、非常勤を除くわけでございますけれども、そういうものになった場合には必ず解任しなきゃならないという規定がございます。  それから、二つ目といたしまして、心身の故障のために職務の遂行に堪えないと認められるときには、又は職務上の義務違反がある等の場合には、任命権者の判断で解任することができるという形になってございます。  三番目といたしまして、経営判断の誤りなど、その責任により業務の実績が悪化した場合であって、引き続き当該職務を行わせることが適切でないと認めるときには解任することができるという形になってございます。  四番目といたしまして、また総務大臣はこれらの事由に該当するにもかかわらず総裁が副総裁又は理事を解任しない場合には、総裁に対してその役員の解任を命ずることができるというふうに規定されているところでございます。  なお、総裁が副総裁を解任しようとするときには総務大臣の認可を要するという形になっているところでございます。  そこで、なぜ国会の同意を要しないのかということでございますけれども、御案内のように公社化というのは国とは別人格、別の法人格を有する公社という形にすることによりまして、いろんな予算とか組織とか定員という制約を外しまして、独立採算の下、自律的かつ弾力的な経営を可能にすると。そうしたことによりまして、一層質の高いサービス国民が享受できるようにしようというものでございまして、今法案におきましては公社のそういった自律的、弾力的な経営を可能にするために国の関与を最小限にしようと、こういった趣旨で作られているわけでございまして、先ほどから何回も出てございますけれども、事前管理をやめて中期経営目標ないし中期経営計画を大臣評価するという形に変わったわけでございます。  こうした公社制度の基本的な考え方を踏まえまして、国会に対しては、決済にかかわるものとして毎年度の財務諸表や事業報告書について国会に報告するという形にいたしまして、総裁の人事、それから業績評価、こういったものについては総務大臣が責任を持って行うという形に制度上なっているところでございます。
  336. 又市征治

    ○又市征治君 ということですね。  そこで、そうおっしゃいますが、国会同意を必要とする人事は、例えば過去には国鉄だとか電電公社、これは組織がなくなってしまいましたけれども、なお幾つかあるわけで、例えばこれも同じく総務大臣の所管というべきか、NHKあるいは日銀などがそういう意味では国会同意人事になっているわけですね。  これと同じぐらい規模が大きい、いやもっと大きい、三十万人もいるわけですから、また巨額のお金を扱う郵政公社を国会承認人事にしなかったのは国民から見て非常に分かりにくい、あるいは納得できないという人々もおいでになる、こういうことじゃないかと思うんです。その代わりに任期半ばでも解任できるようにしたということなんですけれども、これは国会に代表される国民からの監視とは別の次元で、個人の経営責任という考え方なんだろうと思うんです。これが企業の役員と同じレベルだとすれば、損失を出した役員は解任だけではなくて損害賠償とか背任罪というものも適用されるのかどうか、そこはどういうふうに考えているんでしょうか。
  337. 野村卓

    政府参考人野村卓君) 公社役員の責任の問題でございますけれども、一般論でございますけれども、公社の役員が故意又は過失によりまして公社の権利を侵害した場合には、一般法の民法七百九条の不法行為の規定に基づきまして、公社から損害賠償を求めることがあり得るというふうに考えております。また、自己若しくは第三者の利益を図り又は公社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、公社に財産上の損害を加えた、こういった場合には刑法二百四十七条の背任罪に問われる、こういったこともあり得るというふうに考えているところでございます。
  338. 又市征治

    ○又市征治君 経営者責任と言う以上、国民の資産に損害を与えることに対しては厳しい個人責任を課すよう、これはもう求めておかなきゃならぬと、こう思います。  あと郵貯、簡保資金の問題について少しお伺いをしますけれども、まず郵貯では三十五兆円、簡保では二十五兆円の資金運用状況、特にその運用割合、つまりポートフォリオはどういう構成で、また現行公社化後では変わるのかどうか、これが一つ。それから二つ目には、構成比率は一年だけは変わらないというふうに聞いていますけれども、では公社化ではどこがどう変わるのか。自由化というか、国民の預けているお金の投資リスクが大きくなる面はないのかどうか。この点、二つお聞きをいたします。
  339. 團宏明

    政府参考人團宏明君) 郵貯、簡保の運用、特にポートフォリオについてのお尋ねでございます。  現行、郵貯につきましては郵便貯金法第六十八条の四、簡保につきましては積立金の運用に関する法律第五条に基づきまして、中長期的な観点からの運用資産の構成に関する事項を定めるということになっておりまして、それぞれこれをポートフォリオとして定めております。現行のものは、昨年十二月二十二日の郵政審議会に運用計画の内容一つとして諮問した上、策定しております。この間、いろんな専門家の方の御意見等を聞いて定めているものでございます。  具体的には、現在の郵貯の基本ポートフォリオは、国内債券が八〇%でございます。乖離許容幅というものがございまして、これがプラス一五からマイナス一〇%ということでございます。それから、外国債券、国内株式、外国株式、短期運用がそれぞれ五%でございまして、乖離許容幅がそれぞれプラス三%からマイナス四%程度ということにしてございます。  一方、簡保の基本ポートフォリオもやや似ておりますけれども、国内債券が八〇%で、乖離許容幅がプラス一〇%からマイナス一〇%。それから、外国債券が五%で、乖離許容幅がプラス五%からマイナス五%。国内株式が六%で、乖離許容幅プラス五%からマイナス五%。外国株式は国内株式と同様でございます。短期運用が三%、乖離許容幅がプラス七%からマイナス一〇%ということで、いずれも国内債券が八割を占めるというポートフォリオになっているわけでございます。  そこで、公社に移ってはどうかというふうな御質問でございますが、今度は法的構成が多少変わりますけれども、これは日本郵政公社法の二十四条第三項の四号及び五号の中期経営計画、四年間の中期経営計画でございますけれども、その一項目として、公社が作成する郵貯、簡保資金の運用計画ということの中でこの基本ポートフォリオを決めていくということになっているわけでございます。  ところで、公社移行後も郵貯、簡保の基本的な仕組みは変わりませんので、資金運用の目的もやはり現在と同様に、預金者、加入者の負託にこたえて、毎年度、元利金の支払、それから保険金の支払を確実に行う、そのための安定的な収益を確保するということでございますので、したがいまして基本的な運用計画の骨格は変わることなく、これまでと同様に安全、確実性を重視した国内債券を中心としたものになるというふうに認識しておりますけれども、いずれにしても、中期経営計画の策定に当たりまして、いろんな専門家とか審議会の意見も聞きながらこれを決めていくということになろうかと思います。
  340. 又市征治

    ○又市征治君 それじゃ、最後に大臣にお伺いをしてまいりますけれども、そうした中で、今年度の地方自治体への貸付けは、郵貯、簡保合わせてたしか二兆五千七百億ぐらいだと思いますが、これに地方債一兆四千五百億円を足しても今年度の新規投資総額の七%ぐらいにしかならないと思うんです。地方債や地方自治体への貸付けがもうかるとは思いませんけれども、郵貯、簡保にお金を積んでいるのが比較的零細な預金者、保険契約者でありまして、それはまた銀行等の少ない地方に多く住んでいることを考えれば、その預かった資金を地方自治体に還元することもまた公益性なんだと思うんです。  それで、どのくらいが適正だというふうに考えておられるか。もちろん相手が借りたいと言うかどうかということもありますけれども、またポートフォリオの枠が、今ほど話がありましたけれども、自治体は国内債券八〇%の内数ともなりますから、国債引受けが増えたり、あるいは社債といいますか、企業債といいますか、これを多く買えば地方債は買えなくなります。こういうことになるわけで、貸付けも同じ枠の中なわけですから、そういうことですね。  この中で、地方にどのように貸していくのか、公社になって利益追求ということで変わっていくのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  341. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 前から、地方債の運用上、地方債の取得をやっておりますけれども、これはマーケットを通じて地方債を買うというのと、それから特にそういう信用力の弱い団体に直貸しをする、簡保ですけれども、そういうことをやっておりまして、これは引き続いてやっていくと、こういうふうに思っております。  今言いましたように、昔は仲のいい他人だったんですけれども、今は本当の親戚になったんですから、もっと地方債引き受けていいんですよ。今は地方債、人気いいんですよ。場合によっては国債よりいいんですよ。国債の方が下げられたりなんかしちゃってね。あれは実力を余り考えないで下げたと私は個人的には思っておりますが、いずれにせよ、地方債、人気よろしゅうございますので、今後とも債券運用で、国内債券が八割ですから、簡保も郵貯も。地方債のウエートを今後とも、相手があることですから相談しながら増やしてまいりたいと、こういうふうに思っております。
  342. 田村公平

    委員長田村公平君) 時間が来ております。
  343. 又市征治

    ○又市征治君 先日も申し上げたわけですが、郵貯、簡保は今まで安全で身近な重要な国民の零細資産の預け先でありまして、これが公社化によって損なわれたり、あるいは五百万円までだとか何かという格好で強制的に引き下げられることのないようにひとつこれは御努力をいただきたい、そのことを強く申し上げて、今日は終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  344. 田村公平

    委員長田村公平君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時五十八分散会