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2002-06-12 第154回国会 参議院 政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会 第3号
公式Web版
会議録情報
0
平成
十四年六月十二日(水曜日) 午前十一時開会 ─────────────
委員
の
異動
五月三十一日
辞任
補欠選任
齋藤
勁君
山下
八
洲夫君
六月十一日
辞任
補欠選任
月原
茂皓
君 泉
信也
君 ─────────────
出席者
は左のとおり。
委員長
沓掛
哲男
君 理 事 木村 仁君 矢野 哲朗君
小川
勝也君 佐藤 道夫君 山本 保君
池田
幹幸
君 委 員 阿南 一成君 愛知 治郎君 有村 治子君 泉
信也
君 金田 勝年君 清水 達雄君
段本
幸男君 中島 眞人君
藤井
基之君 森元 恒雄君 吉田 博美君 池口 修次君 小林 元君 高嶋 良充君 千葉 景子君
藤井
俊男君 簗瀬 進君
山下
八
洲夫君
木庭健太郎
君 森本 晃司君 井上 哲士君
八田ひろ子
君 大江 康弘君
広野ただし
君 又市
征治
君
発議者
池田
幹幸
君
委員
以外の
議員
発議者
江田
五月君
発議者
小川
敏夫君
発議者
平野 貞夫君
発議者
大脇 雅子君
衆議院議員
発議者
保利
耕輔君
発議者
町村 信孝君
発議者
亀井
久興
君
発議者
西 博義君
発議者
西川太一郎
君
事務局側
常任委員会専門
員 入内島 修君
常任委員会専門
員 加藤 一宇君 ───────────── 本日の会議に付した案件 ○
公職
にある
者等
の
あっせん行為
による
利得等
の
処罰
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
(衆
議院提出
) ○
公職
にある
者等
の
あっせん行為
による
利得等
の
処罰
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
(江 田五月君外四名
発議
) ─────────────
沓掛哲男
1
○
委員長
(
沓掛哲男
君) ただいまから
政治倫理
の
確立
及び
選挙制度
に関する
特別委員会
を開会いたします。 まず、
委員
の
異動
について御報告いたします。 去る五月三十一日、
齋藤勁君
が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
山下
八
洲夫君
が選任されました。 また、昨日、
月原茂皓
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
泉信也
君が選任されました。 ─────────────
沓掛哲男
2
○
委員長
(
沓掛哲男
君)
公職
にある
者等
の
あっせん行為
による
利得等
の
処罰
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
(衆第一六号)及び
公職
にある
者等
の
あっせん行為
による
利得等
の
処罰
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
(参第一七号)の両案を一括して
議題
といたします。 まず、
衆議院提出
の
公職
にある
者等
の
あっせん行為
による
利得等
の
処罰
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
について、
発議者衆議院議員保利耕輔君
から
趣旨説明
を聴取いたします。
保利耕輔君
。
保利耕輔
3
○
衆議院議員
(
保利耕輔君
) ただいま
議題
となりました自由民主党、
公明党
及び
保守党
の三
党共同提案
の
公職
にある
者等
の
あっせん行為
による
利得等
の
処罰
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
、いわゆる
あっせん利得処罰法改正案
につきまして、
趣旨
及びその
内容
の
概略
を御説明申し上げます。 まず、
あっせん利得処罰法改正案
につきまして、
趣旨
を御説明申し上げます。
平成
十二年十一月、
政治
に携わる
公務員
の
政治活動
の
廉潔性
、
清廉潔白性
を保持し、これによって
国民
の
政治
に対する
信頼
を高めることを
目的
に、
あっせん行為
による
利得
の禁止と
政治活動
の自由との
バランス
を十分に考慮しつつ、
政治公務員
の
行為
に一定の枠をはめ、これに反した場合には厳しいペナルティーを科し、その
実効性
を担保しようという
観点
から、
あっせん利得処罰法
を
成立
させたことは、各位御高承のとおりであります。 これまで
国会議員
の
秘書
については、
公設秘書
のみが、
国民
の税金から給与を支払われる
公務員
であり、さらに
法律
上も、
国会議員
の
政治活動
を補佐する者として明確に位置付けられており、
国会議員
の
権限
に基づく
影響力
を
行使
し得る立場にあることから、特に独立の
犯罪主体
とされてきました。 しかしながら、我々三党は、最近の
国会議員
の
私設秘書等
による一連の
不祥事
に端を発する
政治不信
を重大に受け止め、
政治
に対する
国民
の
信頼
を回復するため、
国会議員
の
私設秘書
による
あっせん利得行為
についても
処罰
の
対象
にする必要があるとの結論に達したものであります。 つまり、
国会議員
の
秘書
について、
国会議員
の
政治活動
を補佐するという実態に着目すれば
公設秘書
でも
私設秘書
でも変わりがないこと、また、
国民
の側から見れば
公設秘書
か
私設秘書
かの区別は付かないとの理由から、
国会議員
の
秘書
の間での
バランス
を取ることが適当であるとの判断に基づき、今回、
議員秘書あっせん利得罪
の
犯罪主体
に
国会議員
の
私設秘書
を追加するものであります。 なお、今回の
改正
で加える
私設秘書
の
定義
は、「
衆議院議員
又は
参議院議員
に使用される者で
当該衆議院議員
又は
当該参議院議員
の
政治活動
を補佐するもの」といたしております。もとより、
罪刑法定主義
の
観点
から
処罰
の
対象
となる
構成要件
を明確に
規定
するのは当然のことでありますが、この
定義
は
公職選挙法
の
連座制
における
秘書
の
定義
と同様であり、
最高裁判所
においても同
定義
の
明確性
が認められていることから、
議員秘書あっせん利得罪
における
私設秘書
の
定義
としても
構成要件
の
明確性
という
観点
から十分に
合理性
があると考えるものであります。 以上が、この
法律案
を
提案
いたしました
趣旨
であります。 次に、この
法律案
の
内容
の
概略
について御説明申し上げます。 まず第一に、
議員秘書あっせん利得罪
の
主体
の拡大に関する事項であります。
議員秘書あっせん利得罪
の
犯罪主体
に、
衆議院議員
又は
参議院議員
のいわゆる
公設秘書
のほかに、
衆議院議員
又は
参議院議員
に使用される者で
当該衆議院議員
又は
当該参議院議員
の
政治活動
を補佐するもの、すなわち、いわゆる
私設秘書
を追加することといたしております。 また、従前、
公職
にある者と
公設秘書
という
公務員
のみが
あっせん利得罪
の
犯罪主体
でありましたが、
議員秘書あっせん利得罪
の
犯罪主体
に、私人であり、
外国人
も就任可能な
私設秘書
を加えることとしたため、
国外犯
の
規定
の整備を行うことといたしております。 第二に、
施行期日
でありますが、この
法律
は、公布の日から起算して三十日を経過した日から施行することといたしております。 以上が、
公職
にある
者等
の
あっせん行為
による
利得等
の
処罰
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
の
趣旨
及びその
内容
の
概略
であります。 何とぞ、慎重御
審議
の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。 以上でございます。
沓掛哲男
4
○
委員長
(
沓掛哲男
君) 次に、
江田五月
君外四名
発議
の
公職
にある
者等
の
あっせん行為
による
利得等
の
処罰
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
について、
発議者江田五月
君から
趣旨説明
を聴取いたします。
江田五月
君。
江田五月
5
○
委員
以外の
議員
(
江田五月
君) ただいま
議題
となりました民主党・新緑風会、
日本共産党
、
国会改革連絡会
(自由党・無所属の会)並びに社会民主党・
護憲連合
の四
会派共同提案
の
公職
にある
者等
の
あっせん行為
による
利得等
の
処罰
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、
提案
の
趣旨
及びその
内容
の
概要
を御説明申し上げます。
国会議員
を始めおよそ
政治家たる者
は、高度な
倫理観
、
正義感
に基づき
職務
を遂行すべき
責務
があることは言うまでもありません。
選挙
によって選ばれた者は、
主権者
たる
国民
、
住民
から
政治
に関する厳粛な信託を受けているのであり、
国民
全体、
住民
全体の
奉仕者
として行動すべき
責務
を負っていることも、また当然であります。
特定
の個人、
団体等
一部の
利益
のために行動し、しかもその対価を得るがごときは、そもそも
政治倫理
にもとるものであります。 このため、一昨年の第百五十回
国会
において、与
野党
それぞれが
あっせん利得
の
処罰
に関する
法律案
を出し合い、熱心な
審議
が行われました。その際、私
ども野党
が何よりも訴えたことは、
あっせん
は
政治家
本来の仕事なので
見返り
に金品を受け取るのは当然だという風潮を断ち切り、
特定
の者の
利益
のために
あっせん
をし、その
報酬
として
金銭等
を受け取ることがあってはならないという
政治倫理
の
確立
でありました。そして、私
ども
は、
公設秘書
と
私設秘書
の区分は極めて困難であり、両者は一体となって
公職
にある者の
政治活動
を補佐していることから、
私設秘書
も
処罰
の
対象
に加えるべきこと、また、
与党案
は、
あっせん
の
対象
となる
公務員
の
職務
を
契約
の
締結
と
行政庁
の
処分
に限定し、しかも、
権限
に基づく
影響力
の
行使
や
請託
を
要件
とするなど
抜け道
が多く、法の
実効
が期し難いことを強く
主張
いたしました。しかし、残念ながら、私
ども
の
主張
は受け入れられず、
与党案
のとおりの
法律
が
成立
したことは御承知のとおりであります。 しかしながら、
本法
が施行されてから一年余り、その後も
政治
と
金銭
をめぐる事件、疑惑は後を絶たず、
現行法
が適用された事例がわずか一件であるにすぎないことは、この
法律
の
実効性
の乏しさを何よりも雄弁に物語っております。 とりわけ今年に入ってからは、
公設
、
私設
を問わず、
秘書
による
公共事業等
への
口利き等
の
不祥事
の頻発は目を覆うばかりであり、三権の長までが
議員辞職
を余儀なくされるという正に異常な事態が生じております。
国民
の
政治不信
は今や極限に達していると言っても過言ではありません。
国民
の
政治
に対する
信頼
を取り戻すために我々立法府が取り組むべき課題は山積しておりますが、中でも、このような
口利き政治
を根絶するための
あっせん利得処罰法
の
改正
は、
野党
が
衆議院
に出している
政治資金規正法等改正案
の速やかな
審議入り
と並び、焦眉の急であります。そして、この
法律
を真に
実効
あるものに改めるに当たっては、
犯罪
の
構成要件
を含め、
法律
全体を抜本的に見直すことが、
口利き政治
から決別するためにも不可欠と言わなければなりません。
与党
の自民党、
公明党
、
保守党
は、私
ども野党
四党が
衆議院
において
改正案
を出した後で、ようやく
国会議員
の
私設秘書
を
処罰
の
対象
に加える
改正案
を提出されましたが、これは正に
本法制定
の際の我々の
主張
が正しかったことを
与党
自身認めざるを得なかったということであります。しかるに、
与党
三党は、いまだに自らの非を認めないのみならず、
衆議院
において私
ども野党
四党の行った八項目に上る
修正要求
に対しても、一顧だにしないというかたくなな態度を取り続けており、このような
与党各党
には猛省を促さざるを得ません。 以上のような見地から、私
ども野党
四党は、真摯な協議を行い、改めて
参議院
においてもこの
改正案
を提出いたしました。 そこで、次に、私
ども
の提出した法案の
概要
について御説明申し上げます。 第一に、
与党案
では、
国会議員
の
私設秘書
に
限り処罰
の
対象
に加えるとしておりますが、私
ども
は、それだけではなく、
公職
にある者
全般
の
私設秘書
並びに父母、
配偶者
、子及び
兄弟姉妹
を加えることといたしております。 第二に、
現行法
では、
犯罪
の
成立
を「その
権限
に基づく
影響力
を
行使
」した場合に限っておりますが、
権限
とは、法令に基づいて有する
職務権限
に限られ、
政党幹部
として有する権力は含まれないこと、しかも、ただ単に頼むだけでは足りず、その
影響力
を積極的に利用しない限り
犯罪
は
成立
しないこと等から、
あっせん利得防止
の
実効
を期し得ないものとなっております。このため、この「
権限
に基づく
影響力
を
行使
して」という
構成要件
は削除することにいたしております。 第三に、
現行法
では、
犯罪
の
成立
に
請託
が
要件
とされておりますが、
あっせん
に係る
請託
は立証が極めて困難で、
実効性
のない
法律
となることから、この
要件
を削除することといたしております。 第四に、
現行法
は、
あっせん
の
対象
となる
公務員
の
職務
を
契約
の
締結
と
行政庁
の
処分
に限っておりますが、これでは、
予算措置
や
公共事業等
の
箇所付け
、租税の
特別措置
や
補助金交付要綱
の
制定
などは、たとえ
特定
の者のためにする
あっせん
であっても
処罰
の
対象
になりません。このため、
改正案
においては、このような限定を設けず、
公務員
の
職務全般
を
対象
とすることといたしております。ただし、広く
国民一般
のための
制度改正
の要望などが不当に制限されることのないよう、「
特定
の者に
利益
を得させる
目的
で」行う
あっせん行為
に限ることといたしております。 第五に、
現行法
には
第三者供与
を
処罰
する
規定
は設けられておりませんが、
公職
にある者は、
一般公務員
と異なり、
資金管理団体関係
や
政党支部
に供与させるという
抜け道
を悪用しやすいことから、
第三者
に供与させる場合も
処罰
することといたしております。 第六に、
現行法
は、
処罰
の
対象行為
を
収受
に限っておりますが、
改正案
では、刑法の
各種収賄罪
と同様、
収受
のほか、その
要求
、約束も
処罰
の
対象
としております。 第七に、
現行法
では、
あっせん
の
報酬
の範囲を財産上の
利益
に限っておりますが、これを賄賂に改め、例えば、
あっせん
の
見返り
として
選挙運動
に従事してもらった場合も
処罰
の
対象
となるようにしております。 第八に、以上の
改正内容
を踏まえ、
法律
の題名を
公職
にある
者等
による
特定
の者に
利益
を得させる
目的
での
あっせん行為
に係る
収賄等
の
処罰
に関する
法律
に改めることといたしております。 最後に、
改正
後、その
施行状況等
を勘案し、必要があると認められるときは、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な
措置
が講ぜられるものとすることといたしております。 そのほか、所要の
規定
を整備することといたしております。 以上が、この
法律案
の
提案
の
趣旨
及び
内容
の
概要
であります。 何とぞ、慎重御
審議
の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
沓掛哲男
6
○
委員長
(
沓掛哲男
君) 以上で
趣旨説明
の聴取は終わりました。 両案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。 午前十一時十七分散会