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2002-05-23 第154回国会 参議院 財政金融委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年五月二十三日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月二十二日     辞任         補欠選任      谷林 正昭君     櫻井  充君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山下洲夫君     理 事                 入澤  肇君                 林  芳正君                 若林 正俊君                 円 より子君                 山本  保君     委 員                 上杉 光弘君                 尾辻 秀久君                 金田 勝年君                 鴻池 祥肇君                 清水 達雄君                 中島 啓雄君                 溝手 顕正君                 山下 英利君                 大塚 耕平君                 勝木 健司君                 櫻井  充君                 峰崎 直樹君                 浜田卓二郎君                 池田 幹幸君                 大門実紀史君                 平野 達男君                 大渕 絹子君                 椎名 素夫君    国務大臣        財務大臣     塩川正十郎君        国務大臣        (金融担当大臣) 柳澤 伯夫君        国務大臣        (経済財政政策        担当大臣)    竹中 平蔵君    副大臣        内閣府副大臣   村田 吉隆君        財務大臣    尾辻 秀久君    大臣政務官        財務大臣政務官  砂田 圭佑君    事務局側        常任委員会専門        員        石田 祐幸君    政府参考人        内閣大臣官房        審議官      浜野  潤君        金融庁検査局長  五味 廣文君        金融庁監督局長  高木 祥吉君        法務大臣官房審        議官       原田 晃治君        財務大臣官房総        括審議官     藤井 秀人君        財務省理財局長  寺澤 辰麿君        中小企業庁次長  小脇 一朗君        国土交通大臣官        房審議官     松野  仁君    参考人        国民生活金融公        庫総裁      尾崎  護君        住宅金融公庫総        裁        望月 薫雄君        中小企業金融公        庫総裁      堤  富男君        日本銀行政策委        員会審議委員   植田 和男君        預金保険機構理        事長       松田  昇君        商工組合中央金        庫理事長     江崎  格君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○政策金融機関に対する検査権限委任のため  の関係法律整備に関する法律案内閣提出、  衆議院送付)     ─────────────
  2. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨二十二日、谷林正昭君が委員を辞任され、その補欠として櫻井充君が選任されました。     ─────────────
  3. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  政策金融機関に対する検査権限委任のための関係法律整備に関する法律案審査のため、本日の委員会内閣大臣官房審議官浜野潤君、金融庁検査局長五味廣文君、金融庁監督局長高木祥吉君、法務大臣官房審議官原田晃治君、財務大臣官房総括審議官藤井秀人君、財務省理財局長寺澤辰麿君、中小企業庁次長小脇一朗君及び国土交通大臣官房審議官松野仁君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  政策金融機関に対する検査権限委任のための関係法律整備に関する法律案審査のため、本日の委員会参考人として国民生活金融公庫総裁尾崎護君、住宅金融公庫総裁望月薫雄君、中小企業金融公庫総裁堤富男君、日本銀行政策委員会審議委員植田和男君、預金保険機構理事長松田昇君及び商工組合中央金庫理事長江崎格君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 政策金融機関に対する検査権限委任のための関係法律整備に関する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 中島啓雄

    中島啓雄君 おはようございます。自由民主党の中島啓雄でございます。  本日は、塩川大臣柳澤大臣始め関係者の皆様に御出席いただきましてありがとうございます。  まず、本法案趣旨というか目的について伺いたいと思いますが、政策金融機関検査を、健全性透明性を確保するために、専門家による統一した目でチェックをするということは大変望ましいことだと思っておりますが、その辺の本法案制定のポイントといいますか、目的についてもう少し御説明がいただけたら有り難いと思います。
  9. 尾辻秀久

    ○副大臣尾辻秀久君) 既に今先生お述べになったとおりでございます。  政策金融機関につきましても、お話しのように財務健全性及び透明性の確保への要請が高まってきておりまして、より一層適切なリスク管理が必要となってきております。このため、民間金融機関検査してまいりました金融庁の持っております高度のノウハウ専門性リスク管理分野検査に活用できることとすることが有用であると判断されましたので、各政策金融機関設置法におきまして、主務大臣立入検査権限の一部を金融庁委任する等の所要措置を講ずることとしたものでございます。  今、一部と申しましたけれども検査法令等遵守部門リスク管理部門がございますので、今回の法改正によりましてリスク管理分野検査金融庁委任をし、そういたしますと、主務大臣は残りの方の法令遵守特化することが可能となりますので、それぞれで一つ分野を担当いたしますと、このリスク管理法令遵守、両面にわたり質、量とも充実することができる、こういうふうに考えておるところでございます。
  10. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  政策金融機関設立根拠法には、各機関によって多少違いはあるわけですけれども、例えば国民公庫などは、一般金融機関が融通することを困難とするものについて融資等を行う。それから、政策投資銀行について言えば、一般金融機関の行う金融等補完又は奨励する融資等というような条文がございますけれども、正に今、政策金融機関在り方が問われている中で、政策金融機関民間金融機関と違った融資なり投資なりの特色というものを御説明いただければと思いますが。
  11. 尾辻秀久

    ○副大臣尾辻秀久君) 今、正にお述べになりましたように民有機関補完でございます。では、それはどういうことかということをもう一回整理して申し上げておきたいと思います。  国民経済にとって必要であるにもかかわらず、まず一点目に、投資回収長期を要し、期間リスクが大きい、すなわち長期にわたりますので、その間の金利の変動というリスクがございます。こうしたようなもの、あるいは事業立ち上げ段階など、借り手側の情報が不十分であること等から信用リスク等評価が困難といったようなこと、あるいは環境、防災、弱者対策など、リスクに見合った収益が得られない、あるいはまた突発的な外的ショック等、あらかじめリスクを把握することが困難といったような理由により、市場機能のみで適切な資金供給が行われない、そういった場合に、申し上げましたように補完する機関である、こういうふうに考えております。  今、少しお述べになったわけでありますけれども、各政策金融機関の具体的な事業内容はそれぞれの政策目的の違いに応じてそれぞれ特色がありまして、一々は申し上げませんけれども一つだけ例えばということで、日本政策投資銀行においては、平均貸付期間が十五年の固定金利による融資等を行っておりまして、総じて民間では供給が困難な利用者層への資金供給あるいは長期固定資金供給を行っておるところでございます。
  12. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  次に、金融庁にお尋ねしたいと思いますが、今お答えいただいたような政策金融特色というのがあるんですが、じゃ今度、具体的に検査に当たって、検査マニュアルといいますか、中身としては、債権をどう分類するかとか、債務者区分をどうするかとか、今後引き当てをどうやっていくかとか、いろんな問題があると思いますが、その辺の検査マニュアルなりあるいは判断基準というものが民間と違ったもので考えておられるのか、おおむね同様と考えておられるのか、その辺をお聞かせいただければと思います。
  13. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) ただいま尾辻大臣から政策金融機関特色についての御発言がございましたが、それにもかかわりませず、今回の措置は、政策金融機関リスク管理分野検査につきまして、民間金融機関検査している金融庁ノウハウが有用である、これを活用することが有用と判断されたということでございまして、債権分類債務者区分引き当て基準等につきまして、民間金融機関に用いられている現行の金融検査マニュアルリスク管理分野マニュアルが基本的に適用可能である、こういうふうに考えているわけであります。
  14. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  基本的なマニュアルは同じというお答えのようでございますけれども、先ほど申されたように、長期期間リスクが大きいと。例えばプロジェクトファイナンス分野であるとか、あるいは今離陸段階にあってこれから企業が立ち上げられるというようなものについてはなかなかリスク管理が難しいと思うんですね。  そういう意味で、現在金融庁で出しておられるマニュアルの中にも、中小企業などについては若干その運用について異なったようなものを作っておられますけれども、そういった運用面も含めて、全く同じということではないのではないかというふうに思いますが、いかがでございましょうか。
  15. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 中小企業につきましての検査につきましては、実際の検査に当たりましての判断の材料となりますハンドブック的なものにつきまして今パブリックコメントに付しているところでありますが、一方、例えば政策投資銀行などに特徴的なプロジェクトファイナンスについての御指摘もございましたけれども民間金融機関が行うプロジェクトファイナンスにつきましても、金融検査マニュアルにおいてプロジェクトファイナンスにかかわる債権分類方法等について規定しておりまして、政策金融機関が行うプロジェクトファイナンスについても、基本的には金融検査マニュアルに基づいて検証が可能であると私ども考えているわけであります。
  16. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  その辺、プロジェクトファイナンス等長期巨額投資についてリスク管理をやるというのは大変難しいと思いますが、今後の課題としても、十分その点を考慮しながら運用をしていただきたいと思っております。  次に、財務大臣にお伺いしたいと思いますが、そもそも政策金融機関在り方という意味で、十二月、昨年の十二月に出されました特殊法人等整理合理化計画の中でも、民間でできることはできるだけ民間にゆだねると、こういう原則の下で政策金融機関使命考えていくと、こういうお考えが述べられております。  それで、現実的にも、財政投融資計画の変更に伴って、今までは資金運用部から長期低利融資をぽんと借りられたというのが、だんだん縮小をしていくと。そうなりますと、当然、政策金融機関ファイナンスについても、例えば財投機関債というようなことになれば、五年物、十年物で調達をしていくと。民間金融機関も、今は一部でございますけれども、債券で資金調達を行うというようなことになれば、非常に似通ってくると思うんですね。長期低利固定というような特色がなかなか政策金融機関として発揮し難いというような場面も出てくると思いますが、今後の政策金融機関在り方といいますか使命といいますか、その辺どういうふうに考えておられるか、お尋ねしたいと思います。
  17. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 今まで、政府金融機関民間金融機関の根本的な違いは何かと。資金の質が全く違うということでございましたですね。この資金の質が、今後、郵便貯金とか政府の管理しております資金が公開されて、一般公開されていくことは当然趨勢として考えなきゃならぬ。そうしますと、政府資金民間資金も質においてそう差が出てこなくなってくるということ、このことが政府金融機関在り方を大きく変えていくのではないかと、変わらなきゃならないかと思っております。  そうであるとするならば、先ほど尾辻大臣の方からも説明いたしましたように、政策関係機関というのは、一番の特徴は要するに貸付期間が長いということでございますね。この資金を官民どのように調達するかということによってすみ分けが決まってくるということが一つあると思います。それからもう一つは、国家政策として、リスクの高いものはどうしても民間は手を出しにくいということもありますので、そのリスクの高いところは政府の関与によってそれをカバーしていくということはあって、資金の面とリスクの面とでこれを考えて、将来の官と民との金融機関の区別を考えていくべきだと、こう思っております。
  18. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  今後、長期とそれからリスクの高いものというようなお話がございました。そのとおりだと思いますが、そういう意味でなかなか政策金融機関リスク管理というのは難しい面があると思いますが、具体的にリスク管理手法についてどのような手段を考えておられるのか。例えば、今、行政コスト計算書というようなこともやっておられると聞いておりますけれども、その辺についてもう少し御説明を聞かせていただければ有り難いと思います。金融庁にお願い、どちらでも結構でございます。
  19. 藤井秀人

    政府参考人藤井秀人君) お答えいたします。  今、法案を提出させていただきまして、このリスク管理につきまして金融庁検査をお願いするということでございます。これによりまして更に深みのある、かつ頻度の高い金融庁検査、それに基づきまして、今、先生おっしゃいました行政コスト計算書という中でより詳細な内容が開示されていくというように考えております。  それとともに、各機関におきましては、リスク管理体制、それぞれの業務内容に応じまして充実を図ってきているということも申し上げたいと思います。  信用リスクにつきまして各機関とも自己査定を実施いたしまして、それを他部門から独立いたしました部署が監査するという体制整備してきております。また、一部の政策金融機関におきましては行内信用格付というものも導入をいたしております。さらに、市場関連リスクにつきましても各種体制整備をしておりますほか、その他のリスク流動性リスクあるいは事務リスク等々ございますけれども、これにつきましても各機関におきまして必要なリスク管理体制充実が図られていると、こういうことでございます。
  20. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  今の段階では政策金融機関債務超過になるとかデフォルトするということはなかなか考えにくいとは思いますが、特殊法人全体として考えてみますと、債務超過になるというようなことは当然予想されるわけであります。  私の出身の国鉄の例で申しますと、昭和四十八年に財務諸表上は債務超過状態になったんですが、それが根本的に解決されるのは六十二年でございますから、十四年間掛かっておると。同じような例が、今の本州四国連絡橋公団ども債務超過状態にあると思います。  そういう意味で、やっぱり特殊法人の再建というか、どうやっていくのかというのは、なるべく早く手を付けることが傷も浅くて済むということだと思うんですが、どうも現在の法制上からいうとその辺が余りはっきりしないわけでございますが、まず財務省に、もし赤字が累積して債務超過というような状態になった場合あるいは解散が必要になった場合にどういうふうに措置をしていくお考えなのか、まずその辺をお伺いしたいと思います。
  21. 藤井秀人

    政府参考人藤井秀人君) 今、先生がおっしゃいました、政策金融機関につきましての言わば赤字が生ずる場合と、こういうことであろうかと思います。  御案内のとおり、各種公庫につきましては、毎年度の予算におきまして、貸付予定額あるいは回収額、さらには調達あるいは貸付金利というものに基づきまして収支見込みを算定いたします。これに基づきまして、仮に収支に差損が見込まれるというような場合には収支差補給金ということで手当てを行っております。現に、十四年度の予算におきましても、収支差補給金につきまして、中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫等機関に対しまして所要収支差補給金を手当てしているということであります。  若干、今、先生お触れになりました特殊法人等につきます各法人倒産法制、これは実は現在、私ども法制審議会、法務省の中の法制審議会におきまして、会社更生法見直しあるいは破産法全面的見直しということで、倒産法制全般検討する一環といたしまして検討対象一つに挙げられているということを承知しておりますし、私どもといたしましてもこの問題につきまして検討を依頼していると、こういう状況でございます。
  22. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  今、お話がございましたように、例えば倒産といいますか解散規定についても、多くの政策金融機関設立根拠法では、解散については別に法律に定めるというようなことで、実際は何も法律がないと、こういう状況でございますけれども、今後、資金調達というものを市場でやっていく、特にインターナショナルにやっていくということになりますと、現在はインターナショナルの場合には政府保証が付いておりますけれども、したがって格付もほぼ国債並みということにはなっておりますけれども、今後の動向として、やっぱり独立した機関として調達をやっていくということになれば、一体最終的にどうなんだねというのが定まっていないというのはやっぱり不備ではないかと思いますので、今おっしゃられたように、倒産なり解散法制についても是非整備をしていっていただきたいと思います。  それから、ちょっと各政策金融機関法制の中でややおかしいなと思っておるのは、今おっしゃられたように、今後の政策金融機関使命というのは、やっぱりプロジェクトファイナンスとか、そういう長期にわたって、かつかなりリスクが高いかもしれないと、しかしリターンがあればこれは非常に大きいとか、そういう民間一般リスクでは計り難いというものについてファイナンスをやっていくと、こういうことだろうと思うんですが、例えば政策投資銀行法の二十条の二項というのに、償還等を可能とする利益の発生が確実と認められる場合に限り、融資等を行うことができるというような規定がございますので、ちょっと矛盾をしているのではないかなと。しかしながら、甘くしてはいけませんので、その辺は微妙なところだと思いますが、その辺について御感想があればお聞かせをいただきたいと思います。
  23. 藤井秀人

    政府参考人藤井秀人君) お答えさせていただきます。  今、先生おっしゃいましたように、日本政策投資銀行法第二十条におきまして、いわゆる償還確実性原則というものが規定をされております。これは、同行の貸付け等民間金融機関のみでは今おっしゃいましたように対応が困難な分野対象とするとはいえ、やはり一つ金融でございます。と同時に、他の公庫と比較いたしますと、相対的に独立性が高いということも言えようかと思います。そういうことから申し上げまして、やはり償還等が確実であると認められる場合に限りまして行うことが適当であろうということでこの規定が設けられたというように承知をいたしております。  そこで、先般の特殊法人等整理合理化計画におきましては、リスクの高い業務特化ということが言われているわけでございますけれども日本政策投資銀行におきましては、事業リスク等を、これを事前に詳細、分析、審査するというプロジェクトファイナンス等手法導入するというようなことの取組を行ってきております。そういうことを考えますと、やはり償還確実性原則というものを一方では守りながら、適切な業務運営を行っていくということは可能ではないだろうかというように考えております。
  24. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  事業リスクを確実に把握をしていくということが肝心なことだろうということでございますけれども、そういう意味では、政策評価ということも本格的に導入されるという基調にございますので、是非、そんなことも含めて、今後リスク評価なりあるいは事業評価の面について確実度を高めていっていただきたいと思います。  それから、今後の政策投融資在り方という面で、ちょっとアメリカの例などを見ますと、政策金融機関の原資というものが縮んでいく中で、当然直接の融資というものはある程度縮小していかざるを得ないという前提で考えますと、もう少し政府保証、例えば民間金融機関融資をしたものについて政府保証を行うというような制度導入してはいかがかというような気もいたしております。  ちょっと調べてみましたら、二〇〇一年末のアメリカ連邦政府債務保証額というのが一兆八百四十億ドル、日本円に換算いたしますと百三十億円か百四十億円ぐらいの規模になっているという、兆円ですね、ごめんなさい、兆円の規模になっているということで、ほぼ政策金融機関全体の融資額に相当するまでの規模になっておると。  現実的には、先日の例のテロ事件に関係して、航空会社に対する債務保証の問題とか、昔はクライスラーとかあったんですが、主なる対象住宅関係とか教育関係とか中小企業とかそんなもののようでございますけれども、そういった政府保証制度というものを今後の政策金融一環として導入をするという考え方については、何かお考えがあればお聞かせをいただきたいと思います。
  25. 尾辻秀久

    ○副大臣尾辻秀久君) 今お話し民間に対する保証につきましては、例えば日本政策投資銀行国際協力銀行等政策金融機関保証業務を行っておりまして、昨年十二月の特殊法人等整理合理化計画におきましても、これら機関保証機能の積極的な活用が指摘されたところでございます。先生お話しのとおりでございます。  これらを踏まえまして、平成十四年度におきましては、日本政策投資銀行は新たに社債に対する保証業務を開始することとし、国際協力銀行製品輸入保証制度を創設するなどの取組を行っております。努力をいたしておるということを申し上げたところでございます。  今後でございますけれども、経済財政諮問会議におきまして、政策金融における保証等の在り方について、政策目的に照らした有効性やコスト、民間金融の活性化との関係で位置付けを行うとの論点が提示されておりまして、今後、経済財政諮問会議で議論もあろうかと思いますので、それらを見守っていきたい、こういうふうに考えております。
  26. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。是非検討課題にしていただければと思っております。  最後に一つお尋ねいたしますが、今回の検査対象の中には郵政関係が入っていないわけですが、これは今公社法がかかっている最中でございますから過渡期ということかと思いますが、郵政関係の検査については今後どのように考えていかれるか。
  27. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) この件につきましては、我々の方としても、将来の問題ではございましょうけれども、当然その検査体制に組み入れるべきであると思っております。
  28. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  終わります。
  29. 櫻井充

    櫻井充君 おはようございます。  今日は、竹中大臣、お忙しい中御出席いただきましてありがとうございます。総合的な観点から政策的なことを議論する際に、前から我が党の峰崎委員が申し上げておりますとおり、竹中大臣に御出席いただくことが極めて重要なことだと思っておりますので、これからもよろしくお願いいたしたいと思います。  今回の改正案ですが、個人的には基本的に反対しておりまして、我が党の議論の中で大勢が賛成だということなので、最終的には賛成せざるを得ないんだろうと思っています。  なぜこういうことを申し上げているのかと申しますと、要するに公的金融機関の役割というものが一体何なのか、そしてもし本当にこういう検査が必要であったとすれば、これまでなぜやってこなかったのか、そこら辺のところを今日議論させていただいて、その上で賛否を決めさせていただきたいとは思っております。  そこの中で、取りあえず、これまで公的金融機関に対してどういう機関がどのような検査をしてきて、それではなぜ不十分とお考えなのか、その点についてまず教えていただけますでしょうか。
  30. 藤井秀人

    政府参考人藤井秀人君) お答えいたします。  政策金融機関に対します検査、実は様々な機関におきまして行われております。一つは、現在、各機関主務大臣、これが現在の人員的な制約等々もございまして、三年を一巡ということを目途といたしまして、適正な業務運営の確保を目的といたしまして、法令遵守、さらにはリスク管理、両面にわたりまして検査を実施しております。今回提出させていただいております法案は、これにつきまして、このうちのリスク管理、この部分につきまして金融庁委任をさせていただこうというものでございます。  それ以外に申し上げますと、一つは会計検査院の検査がございます。各政策金融機関の会計経理、そういう会計経理の監督・適正化というものを目的といたしまして、毎年、各機関に対して検査が行われているというように承知をいたしております。さらに、総務省、これが行政評価・監視という一環といたしまして、行政機関の政策全般あるいは業務運営在り方等に関しまして、効果的あるいは効率的な行政の実現を目的とする行政評価一環といたしまして、必要な機関に対して実施が行われているというのが現在の状況であろうというふうに考えております。
  31. 櫻井充

    櫻井充君 そうしますと、これまで金融庁はなぜ検査を行ってこなかったんでしょうか。
  32. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 今、藤井総括審議官が答弁したことで尽きておるわけでございますが、法制上、それぞれ政策金融機関の根拠法は各省の主管するところになっておりまして、当然、各省の政策を推進する機関というふうに位置付けられておりますので、監督権もその主務官庁に属して、その政策の推進機関として適切な業務運営が行われているかどうかということ、そういう観点からの監督が行われるということでありまして、検査についてもその監督の一環というか、一部であるというような位置付けがなされてきた、そういう関係から、特に金融庁がそこで何か検査業務を担うというような観点、そういう考え方が存在しなかったということでございます。
  33. 櫻井充

    櫻井充君 そうしますと、まず一つ法律上の問題なんだと大臣おっしゃいました。  今回をまずきっかけに、そうすると、金融庁がその主務官庁というんでしょうか、そういうふうに制度変更された方がより明確になるかと思いますが、その点についていかがでしょうか。
  34. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) だれが答弁してもいいような話かと思うんですが、引き続いて私が申し上げますけれども、要するに、それぞれの政府関係金融機関というか政策関係の金融機関というものは、どこまで行っても政策の推進の一環としての金融を担当しているということでございます。  したがって、やはり監督権というか、広い意味の監督権というのは、そういう政策の推進の一環としての金融が適切に行われているかという観点でございますので、やはり主務官庁というのはそこに、それぞれの政策推進の省庁に属するということはこれは自然なことでございまして、今回も、したがって私ども検査を行うというのは、あくまでも委任に基づいて行うと。で、委任の根拠規定を、それぞれの今の政策金融機関設置法にそういう規定を置いて、それを受けて私どもが行うという、そういう仕組み、フレームワークの下で今回も行うということなのでございます。
  35. 櫻井充

    櫻井充君 根拠法の中に、どこの機関に関しても要するに民間補完であるということがうたわれているかと思うんですね。  そうすると、民間金融機関から十分な企業に対して貸出しがされているかどうかと、そのことについて検査されるというかチェックされていくのは金融庁の役割ですよね。それはいいんでしょうか。
  36. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) それはむしろ検査の問題というよりも、何と申しますか、政策の問題というように私は考えます。  したがって、それについてはむしろ会計検査院なり、あるいはそれぞれの主務官庁が行うコンプライアンス、法令遵守の問題として検査されるべき問題であるというように考えます。  私ども検査というのは、あくまでも信用リスク管理一環として行うと。信用リスク管理分野について、せっかく持っているノウハウであるからそれを活用するのが非常に適切かつ有用であると、こういう判断から今回行うことになった、こういうふうに理解をしているところでございます。
  37. 櫻井充

    櫻井充君 今の制度がどうということではなくて、これから金融システムというものをどう構築していくかということの中で、結局、根拠法というのはもう何十年も前に作られているわけであって、現状に合っているかどうかという、まずそこから判断していかなきゃいけないんだろうと思うんですね。  ですから、今ある法律上はこうだということではなくて、この先、金融システムとかそれから政策とか、政策といっても、例えば民間金融機関がもし貸し出すことができるとすれば、それは民間金融機関に全部お任せしていいという基本的な考え方になっているんだろうと思うんですよ。そこの中で政策金融機関というのがどう位置付けられるのかという議論をしていくわけであって、そして、そこの中で金融庁がどういう立場を取っていくのか、ここが非常に大事なことなんだろうと思うんですよ。  そういう意味で、現行法のままで構わないというふうにお考えなのか、まずその点について御答弁願えないですか。
  38. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) これは、何と申しますか、金融庁の問題ではなくて、これはいつぞや櫻井先生にお教えいただいて、私もうかつにも教えていただいて気が付くというような経緯があるわけですけれども、私が内閣府に属する金融担当大臣という立場にありまして、何で金融庁大臣となっていないかというと、金融全般について内閣府の立場で何か物申すべきことがあったら物申せと、こういう、権限とも言えないと思うんですが、任務が私にゆだねられておりまして、その観点からどういうふうなことを申し上げるかということでございます。  これについては、私も、お教えいただいて以来かなり、何というか、それなりの意識を持っておりまして、物申すべきときには物申さなきゃいけないぞと深く心に期している次第でございます。
  39. 櫻井充

    櫻井充君 しかし、民間金融機関のまず健全度ということを金融庁は求められているはずなんですよ。そして、その大事な点は、政策金融機関が民業を圧迫していないかどうかということをチェックすることも必要なはずなんですよ。  そうすると、そのチェックはどの省庁がやることになるんでしょうか。
  40. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 民業が圧迫されていないかということですが、初めにあることはそういうことではなくて、ここに本来金融がもっと疎通すべきだという分野があるにもかかわらず、そこに金融が疎通していないというときに、これはなぜか。民間がいわゆる市場原理でやっているという前提にすると、なるほど、ここは民間金融が疎通していないことももっともだと。じゃ、これは政策的にやらなきゃいけないということで、政策金融機関というものが設立され、そこに融資が行われるような仕組みができ上がるということでございます。  ですから、基本的にまずそういうことで政策金融機関というものはスタートするわけですが、それが時が経て情勢が変わるに従って、あるいはむしろ政策が成功するというふうに従ってリスクの度合いが民間でも担えるようになったときには、これは民間がやれるわけですけれども、そこで民業が圧迫されているという事態が起こるかどうか。これは判断の問題ですけれども、いずれにせよ、そういうようなことを調整するというのは、あるいは塩川財務大臣の方かと思うんですが、私は意見だけは言えるというふうな仕組みになっているということでございます。
  41. 櫻井充

    櫻井充君 済みません、ここは、そうすると調整役は財務大臣ということになるんですか。  つまり、今の、私、柳澤さんの御答弁で納得した部分あるんです。まず最初に政策があって、例えば中小企業なら中小企業対策があって、そこに民間金融機関融資ができない、そういうことになれば、そこで判断して、商工中金になるんでしょうか中小企業金融公庫になるか分かりませんが、そこが融資していきなさいと。そこはだれが判断して、今、中小企業に対しての貸出しが不十分だから貸出しを増やすべきだという判断は、今の柳澤大臣の御答弁ですと、塩川財務大臣がおやりになるべきだということですね。塩川財務大臣、それでよろしいんですか。
  42. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) ちょっと補足させていただきます。  それは、それぞれの、農業なら農業、あるいは昔の厚生分野なら厚生分野、あるいはビッグプロジェクトだったらビッグプロジェクトというようなことの、その政策分野を所管している官庁がまず判断すべきことでございます。  しかし、概して言いますと、そういうことをやるにつけては財政的なバックアップというものが必ず伴うわけです。そういうことによって民が出られないところを補完していくということになるものですから、終局的に言うと、もちろん第一義的にはそれぞれの政策の担当省庁ということになりますが、最終的には、財政がバックアップをどの程度すべきかということで、そうしたことについては財務大臣が調整役を担うというのがこれまでの仕組みでありますし、なお生きている仕組みだと私は理解をいたしております。
  43. 櫻井充

    櫻井充君 その官庁の大臣が担当される、まず、そこまではいいと思います。  そうすると、例えば今、公的金融機関の大きな問題点というのは貸出しの大きさなんだろうと思うんですね。日本ですと、貸出残高全体の金融機関の貸出しの中の四十数%を公的金融機関が占めている。アメリカとドイツが四%台であって、イギリスが一%台かと思います。つまり、それだけ公的金融機関が大きくなってしまっているから、今度は民間を圧迫しているんではないだろうかと、そういう指摘もあるわけです。典型的なのは住宅ローンかと思いますけれども、住宅ローンでいうと、約五〇%が住宅金融公庫から融資されているというような実態があるわけです。  こういう全体像を見てコントロールしていくのは、そうするとどなたになるんですか。これは塩川財務大臣ということになるんでしょうか。
  44. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) それは非常に端的な表現でございまして、この責任はやはり主務大臣を中心とした政府にあることは当然でございますけれども、しかし、そういう貸出しが偏重しておるとか、民業圧迫になっておるとかいうことに対しましては、絶えず、国会も国政の一環でございますから、これに対する意思表示等もあってしかるべきだと思いますけれども、国会の方では増やせ増やせの意見はございますけれども、そういう指摘は今まで余り聞いたことないんです。ですから、これはやっぱり国政の一環として、言わば満遍なく公平に行われておるかどうかという監視は、政府もいたしますが、国会もやっぱりその責任はあると、私はそう思っております。  それじゃ、政府内においてだれが責任かといいましたら、何としても一番に責任を取らんならぬのは、現在の法制上でいきましたら、現在の法制は私は満足しておるものじゃないんですけれども、できてある法律でございますから、現在の法律からいうと主務大臣でございまして、それをある程度資金面で調整するのは確かに財務大臣であるということは間違いがございませんが、しかし、そういう問題を政治問題として、あるいはそれぞれの政策金融機関が営業として取り上げていくということ、政治的な政策を決定していくという、その動機付けあるいはそれに対する対応というものにつきましては、これは一元的にどこの責任というものではなくして、全部が負わなきゃならぬということではございますけれども、直接事務の関係からいいましたら、主務大臣ということに相なってくると思います。
  45. 櫻井充

    櫻井充君 もう一度改めてお伺いさせていただきたいんですが、財務大臣はすべての公的金融機関主務大臣になられていますよね。その財務大臣の、財務省の役割というのは一体何にあるんですか、そうすると。
  46. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) これは、主務大臣の主管は三機関でございまして、あとは共管でございます。ですから、関係あることは事実でございます。  従来からでございましたら、これの資金配分等につきましては、政府内で予算一環として決めておりまして、国会にも財政投融資計画というので提出させてもらっておるように、予算一環でございますから、これは政府全体の責任を持つべきものでございますけれども、主管大臣が中心となって計画し実行する、そしてまた、その結果の評価主務大臣に帰している、誠に便利な機関になっておると、こういうことであります。
  47. 櫻井充

    櫻井充君 便利とはおっしゃいますが、何もやっていないようにもまた聞こえるんですが。  つまり、財投債を発行して、それで融資をしていくということはやるのかもしれませんけれども、それ以外のことに関して一体何をやられるんでしょうか。つまり、問題になるのは、今、日本で考えていくと、金融システムをいかに安定させてくるのかということなんだろうと思うんですね。  その意味で言ってきたとき、その意味でというのは、例えばアメリカの一九三〇年の世界恐慌のときにどうだったのかというと、民間金融機関が十分貸し出せないということで、公的金融機関が十二分なというか、十二分でなかったかもしれないけれども、それを補完して随分機能したわけです。そういう意味で、今、金融システムが必ずしも安定した状態にあるとは私は思えませんで、その意味で、公的金融機関がどう補完として働いていくのかということが非常に大事なことなんだろうと思うんですよ。  ですから、今、金融システム、じゃもう一点お伺いしたいのは、これは竹中大臣にお伺いしたらいいのか、柳澤大臣にお伺いしたらいいのか分かりませんが、金融システムは現時点で──もう一つ、皆さんに聞くとよく分からないんで、これは竹中大臣柳澤大臣にまずお伺いしたいんですが、金融システムというのは一体何を指すんでしょうか。まず竹中大臣、御答弁願えますか。
  48. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 柳澤大臣に先にお話しいただく方が直接的でよかったかというふうにも思いますが、金融システム、私の立場から申し上げますと、経済全体を支えるファイナンス金融でありますから、お金を融通するシステム全体のことを言うということになると思います。  常に経済の中にはお金の出し手とお金の取り手という主体があると。お金の出し手は、基本的には家計、貯蓄をする主体である家計であり、お金の取り手は、かつては法人部門が多かったけれども、最近は公的部門赤字で、その公的部門が大きなお金の取り手になっている。それをどのように融通するか。そこには、当然のことながら、民間金融機関、更には直接的に借り手から貸手に直接ファイナンスをする仕組み等々が介在するわけでありますけれども、それぞれが利潤動機で動く中で、それがすべてうまくファイナンスされるか。そうならない場合には、公的部門が何らかの役割を果たす必要はある。そのシステム、お金が流れるシステム全体のことを言っていると思いますし、その中で決済も行われるということがやはり重要なポイントになってくるのかと思います。  ちょっと、金融システムとは何かということでございましたら、そのようになるかと思います。
  49. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 大学教授が先にお話しになられた後で、何か生徒がそのテストを受けるような感じになるわけですけれども、御指名でございますので、やむを得ずお答えをさせていただきます。  要するに、金融の現象とは何で起こるかというと、お金を持っている人が自分のお金の範囲で使えばいいんですけれども、持っている以上に、あるときは使いたい人がいるし、あるときある時点を取るとお金が今さしずめ要らないという人もいる、そこで資金の融通が起こるというのが金融の最も本質的な現象でございます。  そういうものが専門的に行われる経済主体として機関ができ上がる、あるいは会社ができ上がるというようなことで主体が非常にどんどん増えてくるわけですし、さらにまた、それを補助するいろいろな主体もそこに発生してくる。金融の場合には、基本的に貸し借りだとかそういうようなことが非常に連鎖的に行われているということで、その主体がばらばらに存在するのではなくて、ある一つのシステムを構成するというような形ででき上がっていくということであると思います。  その中にはもちろん公的な日本銀行を始めとする、その中には当然政策金融機関も入るわけでございますが、そういったものも、公的な部門も含まれて一つの全体がつながり合ったシステムになっているということで、金融という現象、あるいは金融という仕事というんですか、現象と言った方がいいかもしれませんが、そういうことをめぐって一つのシステムとしてでき上がっているものを言うんだろうと、こういうように考えております。
  50. 櫻井充

    櫻井充君 それでは、金融システムが今安定しているのかどうかということについて、その判断を下すのは柳澤大臣ではないんですか。
  51. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 金融機関が基本的に安定しているというのは健全性を持っているということでございますけれども、これを担当しているのは私でございますが、今の金融システムというようなことを言いますと、国際的なつながりでは当然通貨という問題も絡んできますし、また先ほど来申しておるように政策金融機関も含んでおりますので、すべてがすべてそのシステムに対して私が責任を負っているということを言うと少し言い過ぎになろうかと思いますが、民間部門については、まだ通貨の為替の業務を除いたところでは基本的に私が金融庁の仕事として責任を負っているというふうに言えようかと思います。
  52. 櫻井充

    櫻井充君 ですから、そこで、為替の部門は除いてというお話でした。それからもう一つは、その金融システムの中で公的金融機関も当然加わってくるんだというお話でしたよね。  そうすると、為替の部門を除いた言わば民間金融機関と公的金融機関と、それがきちんとした形で企業融資しているかどうかを全体的に見渡す人が絶対的に必要になるわけですよ。それをおやりになるのが金融担当大臣ではないんですか。  私は、金融庁の役人と話をすると、金融システムじゃないんですよ、彼らは。要するに、金融機関が、民間金融機関が健全にさえなればいいんですよ。あとは貸出しをしようがしまいが関係ないんですよ。BIS規制さえ満たしていればいいというような感じの姿勢なんです、私からしてみれば。それだからこそ、日本の経済というのは元気になっていかないんじゃないかと思っているんです。  ですから、大臣がもう少し積極的に、その公的金融機関も私たちのところでやるんだとか、そのぐらいの御決意を述べられた方が私はいいと思うんですよ。大臣、いかがですか。
  53. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 大変大事なことを指摘していただいたと思います。というのは、現在、一九九七年ごろからありました金融不安というものが非常に金融庁にとりましては大きな課題になっておりまして、この金融の不安というものを克服して金融を安定化させる、民間金融を安定化させる、健全化するということが非常に大きな関心事になっているということは率直に私、認めなければならないと、こういうように考えております。  その場合に、民間の個々の金融機関健全性さえ守っていればいいかというと、私は年来ずっと言っているんですけれども、そういうことはあり得ないわけでございまして、それは、何と申しますか、業務を活発に行って収益を上げない限り、健全ということはないわけです。  どんどんどんどん資産を圧縮していくという道を取った場合には、それでもって健全性が確保されるというところに届かないと私は考えておるわけでございまして、そういう意味では、健全性ということを非常に強く考えて、先ほど委員がおっしゃったように、BIS規制さえ守られていればいいんだと、したがってリスクアセットが小さきゃ小さい方がいいんだというようなことからは本当の健全性というものは生まれてこないというふうに私は考えておりまして、とかくそういうふうにお耳に聞こえるかもしれませんが、他方で私が言っているように、収益を上げると、それはフィービジネスとかなんとかはありますけれども、現実にはやはりアセットを使った伝統的な預貸業務からの利益というのは非常に巨額なものでございまして、これを無視あるいは軽視していくというようなところからは私は前途は開かれてこないというように考えておりますので、印象としてそういう感じをお持ちになられることも私、分からないわけではないんですが、決して金融庁の政策の基本がそんな考え方を持っているということではないということを御理解賜りたいと思います。
  54. 櫻井充

    櫻井充君 端的にお願いしたいんですが、大臣、公的金融機関の貸出しに関しても、ある程度大臣がもう少し私、権限を持たれた方がいいと思うんですよ。最初からもうそのことだけ私は申し上げているんであって、そのことを申し上げたいからこんな回りくどく言っているんであって。  その点について大臣、どうお考えなんですか、実際は。今までどおりのシステムで本当にいいとお考えなんですか。
  55. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 私は、これはいきさつがあった話なんでございます。もう私は口を開くとくどくど言いたくなっちゃうんですけれども、要するに資金が非常に不足の時代がありまして、郵貯のお金を使って融資をしていかなきゃいけないという時代がありましたので、その補完ということの中にも量的補完と質的補完というのがありまして、量的補完というのも非常に重要な補完機能でございました。したがって、ある程度公的な金融のウエートというものは、金融全体の中で日本の場合には多かったということが言えます。  しかし、今日どうかといったら、資金の余剰が生じているぐらいに、量的なことで困るという方はそんなにはいらっしゃらない。むしろ質の問題。今の中小企業の貸出しが減っているじゃないかと言われているんですが、基本的に金利さえ払ってもらえば貸しますよという姿勢なんでございまして、それにその金利を払えないというところからなかなか契約としての合意ができないというようなことが主因だと私は思っているわけでございまして、そういう意味では、今や質的なところが重視されている。  この質だということになったら、別に金融資金そのものを融資するということではなくて、あるいは保証であるとか、あるいは証券化をするとかというような形で民の資金を活用するという方向が、資金そのものを融資するというんじゃなくて、そういう形で民の資金、量的なものとそれから質的なものを公的に補完していくというような融資形態とかなんとかというものも模索をしていかなきゃいけない時代には入っている、これはもう委員の御指摘のとおりだと思っております。
  56. 櫻井充

    櫻井充君 それでは、竹中大臣にお伺いしますが、現在、財政諮問会議において、公的金融機関がどうあるべきなのか、どのような議論がされていて、もし可能であればなんですが、現在のいわゆる縦割りで監督している、基本は民営化なんでしょうか、縦割りで監督しているところを、ある部分、民間と公的金融機関との融通の仕方の一元化というんでしょうか、その辺のことも併せて議論されているのかどうか、その点について御答弁願いたいと思います。
  57. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 御承知のように、経済財政諮問会議では今年の最初から政策金融についての議論を始めました。方向性はまず大きく三つ掲げておりますけれども、民業補完、政策コストの最小化、そして機関業務の統合合理化、このラインで議論を進めるに当たっての基本的な視点ということを掲げております。  どういう議論をまず行っているのかというお尋ねでありますけれども、前回は四月の二十四日にこの問題を取り上げておりますけれども民間有識者議員の方からその論点を挙げてもらっておりまして、今後、次のような論点に沿って議論を進めていくという段階に今あります。  論点幾つかありますけれども、まず、公的な金融というのは、戦後、効率的な資金配分を支えてきたけれども金融市場が発達した今日、その役割を抜本的に検討し見直す必要がある。さらには、公的金融金融市場金利機能等を阻害している可能性がある。しかし一方で、現下の状況では政策系金融機関に対する期待は極めて大きい。これはまあ民間の動向を勘案してそうだと。第四には、民間金融機関在り方と併せて検討して、目標を立てて、そこに至るまでの工程を考えていくべきである。つまり、本来、長期的にはこうあるべきだという姿と、それまでどのようなプロセスを経ていくかということであります。  今、そういった幅広い観点からの議論を始めて、まだ始めたところでありまして、年内に結論をということでありますので、今直接的にお尋ねのそれを監督するシステムをどのようにしていくのかと、これは抜本的な見直しの中で当然議論はされるべきことであろうというふうに思いますが、そういった具体的な議論にはまだ至ってはおりません。
  58. 櫻井充

    櫻井充君 先ほど申しましたが、日本ではやはり公的金融機関の貸出しが非常に今まで大きかった、ここは本当に問題なんだろうと思うんですけれども、大ざっぱな、このぐらいのところまで行くべきなんだとか、数字が、貸出し残高がこのぐらいのところまで行くべきなんだとか、そういう議論というのはまだなされていないんですか。
  59. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 議論がなされているかどうかということに関しては、なされておりません。  むしろ、先ほど抜本的な議論というふうに申し上げましたのは、委員も先ほど御指摘になりましたように、まずやはりこういう政策が必要だという政策的な必要性、判断があるんだと思います。それを実現するための手段として、じゃどういう政策手段を使うのかという議論になるんだと思います。それには税制もあるし、良いか悪いかはともかくとして補助金のようなものもあるかもしれない、法的な枠組みをはめるということもあるかもしれない、そして金融があるかもしれない。  しかし、金融といっても、今正に規模のお尋ねがありましたけれども、それを直接貸し付けるという手段を取るのか、ないしは債務保証、利子補給等々のそういった形での金融的なサポートもあるわけでありますので、そこで、先ほど申し上げましたように、政策コスト最小化というのを念頭に置いて議論を進めようということになっているわけでございます。そういった規模の議論をするに当たりましても、もちろん規模の議論はまだしておりませんが、規模に当たりましても、その質と表裏一体になった議論が必要だというふうに思っています。
  60. 櫻井充

    櫻井充君 大臣、先ほど長期的な視点とおっしゃいました。これはまず大事なことである。これは間違いないことなんですが、現下の経済状況において、例えば住宅ローンであるとすると、民間金融機関ももう住宅ローンに参入したいという話が出てきているわけですから、その意味ではかなり圧迫している部分もあると思うんです。短期的な視野で立ってもです。それからもう一つは、中小企業関係者からしてみれば、民間金融機関がなかなか貸してくれないと、そういう実情がある中で、やはり商工中金なり中小企業金融公庫などがもう少し積極的に貸し出してほしいんだという意見があるわけです。  そうすると、中長期的に、今、民間補完で、それからいろんなことをおっしゃっていましたが、それは中長期的に私は間違いじゃないと思っていますが、現在の時点で公的金融機関が果たす役割というのはどうお考えでしょうか。  つまり、今の部分でいうと、中小企業なら中小企業に対してもう少し貸出し枠を増やしていかないと、経済の活性化のために必要とお考えなのかどうか、その辺についていかがでございましょうか。
  61. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 先ほど申し上げましたように、議論の仕方としては、やはり本来あるべき論を議論して、それまでのプロセスを議論するというやり方が重要だと思います。  委員のお尋ねは、そのプロセスをまだ、究極的な議論はまだされてはいませんが、そのプロセスにおいて、現状の例えば市場の動向、金融機関政府金融機関に対して、特に中小企業関係者から極めて高いニーズがあるというような現状をどのように評価しているのか、認識しているのかというお尋ねだと思いますが、この点に関しましては諮問会議のメンバーの中にも様々な議論があります。総じて言うならば、やはり当面、政府金融機関が特に中小企業等々で果たすべき役割は大きいというふうな議論が聞かれていると思います。  であるからこそ、現実に政府の政策としましても、先般の早急に取り組むべきデフレ対応策、これは二月に取りまとめたものにおいてもその活用を図っているところであります。デフレ対応策における政府金融機関の活用、具体的には、セーフティーネット貸付けの拡充、企業再建ファンドの設立等々があると。  その意味では、繰り返し申し上げますけれども、やはり長期の目標と、それとそのプロセスを今正に議論し始めますが、当面はそういった役割をも重視していかなければいけないというふうに思っております。
  62. 櫻井充

    櫻井充君 今、デフレという御発言がございました。現在、日本の物価というんですか、これは下落しているからデフレでいいと思うんですけれども、経済状況というのはデフレスパイラルに入っているというふうに認識されているんですか。
  63. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) デフレスパイラルの意味は、デフレは物価の下落であります。スパイラルというのは、物価が下落することによって、そうすることによって売上げが落ちて利潤が落ちて、それで賃金も下がって、消費や投資も下がると。  つまり、物価の下落が、実体的な経済の累増的な悪化、らせん階段を滑り落ちるような悪化につながっているかどうかということになるわけでありますが、これはもう答えから言いますと、御承知のように、我々は先般、景気は底入れしているというふうに申し上げたわけで、スパイラルというようなことはあり得ないというふうに思っております。
  64. 櫻井充

    櫻井充君 デフレというのは、デフレそのものだけですよ、物価の下落だけを指している。そうすると、これは何か悪いことがあるんですか、国民経済にとって。
  65. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 基本的には、デフレに関して各経済主体によって様々な受け止め方があるというふうなことは承知をしています。ただし、マクロ経済、経済全体の運営といいますか、オペレーションから考えると、これはやはり非常に悪いという認識を持っております。そうした趣旨で先般の経済財政白書の分析を進めさせていただきました。  要因は幾つかありますが、やはり最も深刻なのは、企業でいうと、売上げの価格が一〇%下がって、その半面、仕入れの価格も一〇%下がったと。そうであるならば、例えば、企業にとってそんなに悪いことではないかもしれないけれども、過去に借りた一億円は一〇%下がってくれない。つまり、デフレというのは、実質、過去の債務、実質債務を増大させる。日本経済全体が非常に厳しいバランスシート調整に直面している中で、このデフレというのは、やっぱり極めて深刻な、解決すべき、解決を要する問題であるというふうに認識をしています。  ちなみに、ちょっと一言だけあれしますと、デフレの解決は容易ではないと思います。ただ、若干ではありますけれども、卸売物価の動向等々を見て、物価の動向にも最近少し変化が見られるかなというふうな気配もございます、卸売物価そのものは横ばいになったわけでありますが。  繰り返します。これは私たちは楽観はしておりませんが、そういう状況も出現しております。
  66. 櫻井充

    櫻井充君 しかし、大臣、デフレそのもので、今のお話ですと、ただ単純に物価が下がっただけだったら何も問題ないんじゃないですか。つまり、企業でいえばとおっしゃいました。企業でいえば収益が落ちてくるから、そして、結局のところ失業者も今増えているわけですよね。そのことを指してデフレスパイラルとは呼ばないんですか。  つまり、デフレが原因で企業の収益が落ちているわけですよ。企業の収益が、売上げが落ちているわけです、全体で。ですから、リストラを進めていかざるを得ない、賃金をカットせざるを得ない状況にあるわけであって、正しく緩やかではあるけれどもスパイラルの状態だから何とか対応しなきゃいけないということなんじゃないですか。違いますか。
  67. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) これは言葉の問題ではありますが、具体的に言いますけれども、実質消費ないしは実質GDP等が物価の下落とともに非常に下げ続けるという悪い悪循環にあるかというと、私はそれがデフレスパイラルだと思いますが、そうではない。  現に、例えば実質のGDPは、一—三月期の数字は間もなく発表されると思いますけれども、それを見て判断しなければいけませんが、生産の動向というのは実質GDPに大変深く関連しますが、これはもう下げ止まってきているわけでありますので、その意味ではスパイラルではない。  企業のリストラ等々は、これまでの様々ないろんな意味での無駄を排して競争力を高めるための正に改革であって、そのことといわゆる需要面でスパイラルが起こるかどうかということとは少し切り離して考える必要があると思います。
  68. 櫻井充

    櫻井充君 しかし、大臣、そのことによって、給与が下げられるとか、それから失業するとか、そういうことによって需要は当然落ちるんじゃないですか。  構造改革によってとおっしゃいますけれども、構造改革の必要性をまず迫られたその原因は何かというと、もちろん資産のデフレであったりとか、最近では物価の下落なんだろうと思うんですよ。バランスシート上の問題もあるでしょうから。先ほどは債務の問題がございましたけれども。そういうことから考えてくれば、スパイラルの状況に入っているから何とかしなきゃいけないということじゃないですか。
  69. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 繰り返し申し上げますけれども、実質的な意味での実体経済、これは下げ続けてはおりません。下げ止まったという認識で底入れをしているということでありますから、まず事実の問題としてそういうことにはなっていないということだと思います。  構造改革が求められたのは、もちろんデフレという状況は伴ってはいますが、むしろ構造改革が求められたのは、日本の例えば様々な資源の配分に残念だけれども無駄な部分があって、それによって国際競争力が著しく低下した。御承知のように、ローザンヌにありますIMDという機関の国際競争力は、九二、三年まで日本は一位でありましたけれども、今三十位であります。それこそが実は構造改革の要する基本的な背景であって、その中で幾つかの要因から物価のデフレ、物価の下落という要因も、これ以前申し上げましたからもう申し上げませんが、幾つかの要因が重なってそういう現象が併せ生じているというふうに考えるべきだと思います。
  70. 櫻井充

    櫻井充君 もう一回ちょっと勉強させていただいて議論させていただきたいと思いますが、もう一つ、底入れしたということですけれども、これまで政府が幾つか政策を打ち出してこられました。どの政策が有効で底入れしたというふうにお考えですか。
  71. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) まず、経済には常にトレンドの部分と、そもそも日本の経済が中長期的に何%ぐらい発展していく力を持っているのかというトレンドの部分と、しかし、経済は決してトレンドどおりにはいかないわけで、その時々で幾つかの循環的な動きを重ねておる。そのトレンドの部分と循環の部分というのをやはり分けて考えていただく必要があるかと思います。今回、我々が底入れというふうに言っていますのは、この循環的な部分で下げ止まるという状況ではなくなったという認識をしているわけであります。  この循環的な部分というのは、これまた幾つかの要因で起こりますが、基本的にはITの不況、IT部門で非常に大きな在庫が発生してしまって、その在庫の調整のためにこのような変化が生じた。ITだけではありませんけれども、この循環の部分は、経済がどんなに発展しても、我々の知恵がどんなに高まってもどうしても防げないというのが今の世界の現状であろうかと思います。  重要な点は、この循環的な部分が下げ止まったと。しかし、このトレンドの部分が十分に高いとは思っておりません。このトレンドの部分を高めることが、先ほど競争力一位、三十位という話をしましたけれども、正に構造改革であって、その循環的な部分が底入れした時期にこそ構造改革をしなければいけないというふうに思っているわけであります。  委員お尋ねの、今までの政策が今回の動きとどのようにかかわっているのかということでありますが、小泉政権のマクロ運営の基本的な考え方というのは、この循環的な動きを無理やりならしてやるような財政等による微調整は避ける、極力避けるというのが基本原則であります。  しかし、これが正に先ほど委員指摘されたようにスパイラル的に悪化する、底割れするような状況が懸念されるときは、これは政府としては役割を果たさなければいけない、その趣旨から第二次補正予算というのを組ましていただきました。その意味では、底入れした、つまり少なくとも底割れしなかったからこそ底入れしたわけで、その意味では、第二次補正予算等々の政策は今回の底入れに向けた動きの中で重要な役割を果たしたというふうに思っております。  しかし、政策の重点はあくまでこのトレンドを高めるための構造的な改革、政策であるということでございます。
  72. 櫻井充

    櫻井充君 それでは、その第二次補正予算が有効であったということは、その第二次補正予算の効果がなくなった時点ではまた悪くなるということになりますね。そして、そのときに再度、また今年度も補正予算を組まざるを得ないということになるんでしょうか。
  73. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 先ほどから底入れの話をさせていただきましたけれども、同時に、循環的には底を入れたけれども、この回復力というのは決して強いものではないということを私たちは認識をしております。これは、在庫の循環等々、上がったり下がったりは必ずいたしますけれども、設備投資の循環、より強い循環に結び付くかどうかというところでまだまだ懸念があるというふうに認識しております。  委員お尋ねのように、これちょっと良くなったけれどもまた悪くなることはないのかということに対しては、私たちは細心の注意をしていかなければいけない。であるからこそ、先ほど申し上げましたように、少し底に入って、今後循環的には良い可能性をうかがう中で、先ほど言ったトレンドを上げる政策、正に構造改革に力を入れなければいけないというふうに非常に厳しく思っている所存であります。基本的にはマクロの、気持ちとしてはそういった補正の編成等々を避けられるように構造改革にしっかりと力を入れて、この底入れのチャンスを生かしたいというふうに思っております。
  74. 櫻井充

    櫻井充君 日銀の植田審議委員が来られているかと思いますけれども植田審議委員は、要するに景気の回復というか、ここの中で、輸出が先に伸びて、つられて製造業の設備投資が伸びたということではないかというふうに述べられていらっしゃるんですが、結局、本当に政府の政策が良かったのか。今なんか、内閣府の月例報告を見せていただいた中でも、やはりアメリカ経済とかアジアの経済が良かったからそれにつられて引っ張っていかれているだけではないかというようなお話でした。ですから、どうも私は竹中大臣がおっしゃっているのと若干違っているんじゃないかという気がしているんですが、日銀の植田審議委員はどのようにお考えでしょうか。
  75. 植田和男

    参考人植田和男君) お答えします。  私どもの景気判断内閣府のそれと本質的にはほぼ同じものというふうに思っておりますが、製造業の底入れから上昇、生産の底入れから上昇と申し上げてもよろしいかと思いますが、これはかなり明らかになってきた。ただ、今後の持続力及びそれのその他経済、経済の中の非製造業その他への波及等についてまだ少し慎重に見ているということであります。  それで、御質問の底入れ、製造業の、私どもの場合ですが、底入れの動きが何に起因しているかということであります。これは、一つだけ挙げろと言われれば、やはり米国、東アジア経済の回復ということだと思います。しかし、日本のもちろん金融政策も含めまして政策が何の役割も果たしてこなかったかといえば、恐らくそうではなくて、財政からの刺激も若干の役割を果たしてきたと思いますし、私ども金融政策も、それこそ先ほど来御議論になっていましたようなデフレスパイラルを防ぐというような下支えの役割はしたというふうに認識しております。
  76. 櫻井充

    櫻井充君 そこの中で、植田審議委員は、要するにゼロ金利、これより金利を下げることができないことが言わば、ちょっとこれは言い過ぎかもしれませんけれども、日銀としての限界点もあるんじゃないかみたいなことを書かれているように思うんですけれども、それは私の解釈、それでよろしいんでしょうか。
  77. 植田和男

    参考人植田和男君) 基本的にはそういう意見を持っておりますが、ちょっと敷衍させていただきますと、金融緩和は、通常はまず資金の量を増やしまして、それが金利を下げ、下がった金利が支出主体、設備投資をする主体とか住宅投資をする主体の活動を活発にするというルートで働くわけであります。したがいまして、金利がもうこれ以上下がらないというような水準に来てしまいますと、なかなかそれ以上金融を緩和して緩和の力を強くするということが難しくなります。  ただ、それでも、そういう状況に近いところに今あるわけでありますが、もう少し工夫して緩和の効果を強めることはできないかということは、ここ数年、我々はいろいろ考えてまいりましたし、その方向で様々な努力もしてまいりました。
  78. 櫻井充

    櫻井充君 そして、今回、そこの中でもう一つ大事な点だと思うんですが、マネタリストの主張とは懸け離れた最近の日本マネーということでお話しされています。つまり、日銀がこれよりも、これから、かなり緩和政策を取ってきたけれども、なかなかインフレーションが発生しない、結局デフレが縮小するという傾向もこれまでのところは目立ってこないと、このように述べられていらっしゃるわけです。  私はこのとおりだと思っているんですよ。このとおりだと思っておりまして、そうしてくると、今後、日銀が果たせる役割というのは一体何だとお考えなのか、済みません、改めて御質問させていただきたいんですが。
  79. 植田和男

    参考人植田和男君) やや強過ぎる形で私の講演ないし論文の内容がいろいろなところに利用されて驚いておりますが、基本的には、まず第一に、マネーの量を増やしましてもなかなか経済に刺激効果が及んでいかない、あるいは及ぶ効果が小さい、ふだんよりはですね、という状況にあるのは先ほど申し上げたとおりでありますし、不良債権問題等も影響しているかと思います。  それでは、日銀は何もできないのか、あるいは今やっていることに意味がないのかということかと思いますが、それはそうではなくて、少なくとも二つ三つの意味があるかと思います。  一つは、現在、小康状態にあるとはいえ、金融問題に対する不安感というのはマーケットに根強く残っております。そういう中で、何か問題がありますと金融不安心理が広まりまして、そういう場合は大抵の場合流動性を皆抱えようという動きに出るわけであります。このとき流動性を日本銀行は増やすということをしないとしますと、金利が暴騰したり、あるいは必要な流動性を取れないという経済主体が出てまいります。これはそれこそデフレスパイラルみたいな動きに突入しないとも限らないような状況になるわけであります。  したがいまして、適時適切に流動性の供給市場に対して行うというのは、ふだんにも増して重要な状況にあるというふうに認識しておりますので、この点は今後も引き続き努力してまいりたいと思います。
  80. 櫻井充

    櫻井充君 日銀が金融緩和政策を行っても、もう一度お伺いしますが、金融機関側から民間金融機関側から企業に対しての貸出しが増えないというのは、これはどういう原因があるとお考えですか。
  81. 植田和男

    参考人植田和男君) 複雑な要因が絡み合っていると思いますが、資金の借り手の方から最初に申し上げれば、足下は明るい兆しが見え始めているとはいえ、経済はこれまで下降局面にあったわけでして、その中で設備投資資金需要は弱かったということが一つあるかと思います。それに加えまして、やはり不良債権問題、あるいは言い換えればバランスシート問題、この影響が強かったと思います。これはもちろん貸手、金融機関だけではなくて、借り手も資産価格の下落によるバランスシートの悪化に悩んでいたわけであります。  したがいまして、借り手の側においても、新しいプロジェクトを探して設備投資をしていくというよりは、どちらかといいますと既存債務の返済に力を入れるという傾向が強かったわけですし、金融機関の側におきましても、バランスシートの悪化の結果としまして、やはり新しいプロジェクト、新しい企業あるいは若干リスクのあるところへというような形で資金を増やしていく、供給を増やしていくという姿勢は余り活発でなかったということかと思います。
  82. 櫻井充

    櫻井充君 そうしてみると、結局、金融緩和政策を十分取っていると。もう少し役割はあるかもしれないけれども、いろいろな企業金融機関との関係でなかなか貸出しができてこないということでございました。  そこの中で、今、不良債権という話が出ましたけれども柳澤大臣、五割一年でしたか八割二年でしたか、そのような形で不良債権の処理をすること自体、不良債権の処理は必要だと思っていますが、現時点でオフバランス化した場合に一時的に日本経済というのはやはり悪影響があるんだろうと思うんですよ、恐らく。  私はそう個人的には思っているんですが、それの影響というのはどの程度だとお考えで、不良債権の処理をすれば、新規産業が生まれるはずはないんですけれども、何らか日本経済に対して新たなる明るい兆しが見えるというふうにお考えなんでしょうか。それとも、今の負の遺産は現時点で処理してしまわなければいけないというお考えでこのような政策を打ち出していらっしゃるんですか。
  83. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 一つまず、別に言い訳をしようと思っているんじゃないんですが、事態を正確に御認識いただくために申し上げるわけですが、不良債権というのは、債務者区分によりますと、要管理先以下ということでございます。しかしながら、私どもがオフバランス化を積極的に働き掛けて一定の枠組みをすら示させていただいているものの対象というものは破綻懸念先以下ということでございます。  つまり、破綻懸念先というのはどういうものかといえば、これはもう委員つとに御案内のとおりでございまして、もう債務超過状況が生じておって、しかもその状況は一過性のものではなくて、そこから脱するということが三年とか五年とかの間でなかなか見通せない、長期にわたってその状況を脱するという見通しがなかなか立たないというようなのが常識的に言って一つのコンセプトでございまして、そういうもの、それから実質破綻先というようなものについてこれをオフバランス化しなさいということでございまして、その破綻懸念先の中にももちろん何とか表面、ゴーイングコンサーンとして存在しているものがないわけではないんですけれども、基本的にはそういうような形もなかなか取りにくいような業況にある企業の場合であるということが一つございます。  それからもう一つ、そういうゴーイングコンサーンとしての存在が示し得ているというものについては、オフバランス化の手法としても、むしろ上位に遷移する、前から申し上げているように、悪いところを切り離していいところだけ残して、そのいいところの債権はむしろ上位にランクアップされるというような手法がオフバランス化の手法としても取られるわけでございます。  そういうようなものをいろいろ申し上げれば御理解いただけるかと思うんですけれども、何というか、破綻懸念先以下のオフバランス化というものが、非常に重大なデフレ効果をそのオフバランス化を進めるがゆえに生じていくというような部分というのはそんなに大きなものではないんではないかと。定量的には、もちろん我々計量もいたしておりませんので、そこは御容赦いただきたいんですが、定性的に言えば今申したように考えているということでございます。
  84. 櫻井充

    櫻井充君 竹中大臣、同じことなんですけれども、もしそのような形で不良債権処理を進めた場合に、日本経済に与える影響というのはどの程度だとお考えですか。
  85. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) この問題は個別具体的にどのような規模でどのようなスピードでということになろうかと思いますので、どのぐらいの規模かというようなシミュレーションはあるかということに関しては、そのようなシミュレーションはございません。  ただ、総じて、私が思っておりますことは、不良債権、バランスシート上に悪い部分を抱えることによって、銀行も含めビジネスの部門リスクを取れなくなっているということがやはり日本の最大の問題であると思います。したがって、その悪い部分を切り離してやると。これはこれで大変なことになるわけですが、バランスシートから切り離すときに様々の措置が必要になるかもしれませんが、そうすることによって新たなビジネスチャンスに向かってリスクを取れるようになっていく状況が正に活性化のプロセスである、そこは極めて重要であると思っております。
  86. 櫻井充

    櫻井充君 その認識は全く一緒なんですが、ただし、今のように、底入れしたか、していないかという、こういう状況の中で、若しくはデフレスパイラルには入っていないけれどももしかすると入ってしまうかもしれないという局面の中でこういう処理をやって、失業者も出るでしょう、そして賃金カットも行われていくようになっていくんだろうと思います。  つまり、内需は、少なくとも需要は落ちる方向に行くわけですけれども、こういうことによって少なくともスパイラルには入らなくて、そして構造改革が進んでいって、トレンドとして景気は上向いていく方向に、そのように行くとお考えなわけですね。
  87. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 非常に狭い道ですけれども、そのようにしなければいけない、ほかに方法はもうないんだというふうに思います。  需要の話も、需要を付けるにしても国債の格下げの問題をどのように考えるのかという問題がありますし、今、不良債権の処理を進めるのが厳しいという議論も、それはそれで理解できる面もありますが、しかし、じゃ置いておいたらいつまでたっても経済は良くならないという一つの悪循環もあり得る。その狭い道をいろいろ苦労しながら探っていくしかもうない。それが日本の現状だと思っております。
  88. 櫻井充

    櫻井充君 そこの中で、不良債権が発生する原因というのが一つ問題になるんだと思うんですよ。つまり、昔は資産デフレによって不良債権が随分でき上がってきました。構造改革によるものが一つだと言われていますが、景気が悪いからまたそこの中で不良債権ができ上がってきているんじゃないかという指摘もございます。その点でいうと、景気がこれ以上また悪化していくと不良債権が増えてイタチごっこになるんじゃないかという指摘もあるんですよ。  つまり、狭い道でもこれしかやる道がないんだとおっしゃいますが、むしろ次の、別に次の雇用の先があれば、それは駄目な部門というのはどんどん切り離していくのは、これは当然のことなんだと思うんです。難しいのは、新規の産業が生まれてきていないというところに、次の世代で何をやっていったらいいのかというのが見えない中で、その負の処理だけを今どんどんどんどん進めていったら果たしてこれでいいのかどうか、そこなんだろうと思うんですけれども、その点についていかがですか。
  89. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 昨年来、櫻井委員のそのような御懸念、何回かお伺いしていると思います。確かに、その懸念に対しては私たちも非常に大きな注意を払わなきゃいけないと思っております。  ただ、先ほど申し上げましたように、これはもうほとんど鶏と卵の関係の問題なんだと思うんですね。例えば、不良債権を抱えた多くの国でこういうようなやはり悩みを持って克服してきたんだと思います。  しかし、私は、民間の、日本の民間部門の活力というのに非常に強い信頼感を置いておりますし、リスクが取れるような状況になって初めてそういう受皿のようなものも出てくる。しかし、一方で、それは民間に、ただただ民間にお願いするだけではなくて、そういった活力が生まれてきやすいような環境、具体的には経済活性化のための必要な措置、規制緩和を中心とした特区も作れないだろうかというような議論も含めて、今、政府としてのやるべき問題を議論しているというところであります。
  90. 櫻井充

    櫻井充君 分かりました。  竹中大臣とそれから植田審議委員、お忙しいでしょうから御退席いただいて結構でございますが、委員長から。
  91. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 竹中大臣植田参考人、御退席いただいて結構でございます。
  92. 櫻井充

    櫻井充君 本当にお忙しい中、どうもありがとうございました。  それでは、ちょっとほかの視点からですけれども、今日、砂田財務大臣政務官にお越しいただいておりますけれども、この間、金沢で意見交換会の際に、地域に貢献できる地域に根差した金融機関が今こそ必要との考え方に関して、全くそのとおりであると御発言されております。  私どもも全く同じように考えておるんですけれども大臣政務官の地域金融に関する基本的な考え方を教えていただきたいと思います。
  93. 砂田圭佑

    大臣政務官(砂田圭佑君) お答えをいたします。  先般の金沢での公聴会でも申し上げたわけでございますけれども、私は元々中小企業の経営者でありましたから、金融が行き詰まるのは大変、自分の会社の理由でなくて、金融が行き詰まるということは大変会社の生命にとって大変なことでございますので、私は、金融の円滑化ということ、そして中小企業金融を真剣に考えてくれる銀行というものが大事だと、そのような意味から、地域に貢献できる地域に根差した金融機関というものが育ってくれることが大変業界にとって有り難いことだというふうに考えているわけでございます。  地域の産業を極めて熟知して、そして中小企業を始めとする地域の健全な企業に対して自分の判断で的確な融資を行う、そういうこと、そして産業の発展を、自ら経営基盤の向上を図っていくというような意欲、そういう能力を持った地域金融機関是非とも育ってもらいたい、そんな思いで実はこの間の公聴会で申し上げた次第でございます。
  94. 櫻井充

    櫻井充君 全く同感なんですけれども、そのような金融機関を育てるために、政務官としては何か政策的なアイデアがおありでしょうか。
  95. 砂田圭佑

    大臣政務官(砂田圭佑君) 私どもが簡単にそういうことについて言及するべき問題ではございません。  ただ、やはり金融機関の経営姿勢としても、そういうお客様を大事にするという、そういう姿勢を持って、少しそういう金融面について社会的な影響力、そういうものをしっかりとそういうところへシフトしてもらいたい、そんな願いで申し上げた次第でございます。
  96. 櫻井充

    櫻井充君 ここの中で、意見を出された中で、金融アセスメント機関のようなものを構想できないだろうか、現在の金融機関は安全だという一律的な評価ではなくて、金融機関の多面的な評価付けとその評価の資料が公開される仕組みが必要ではないかという御質問が出て、そこの中で、正しくそうであるというような御答弁をなされているわけです。  このことは、我々民主党が提案している金融アセスメント法案と共通している部分なわけですよ。ですから、なかなか金融庁に理解していただけなくて大変困っているところがあるんですけれども、政務官として、もし我々の提案を御存じであればコメントいただければと思いますけれども
  97. 砂田圭佑

    大臣政務官(砂田圭佑君) 私、詳しく存じ上げませんけれども、少なくとも、今ある金融体制、その中で経済をしっかりやっていくというために力をかしてもらう、私は、むしろ自由主義経済の中でそういうことが自由に考えられて、そして経済全体が円滑になること、そのために金融機関がしっかりとやってもらうことが一番大事ではないかというふうに考えております。
  98. 櫻井充

    櫻井充君 それで、もう一つ、済みません、あとは、今度は公的金融機関商工中金にお伺いしたいんですが、こういう環境の中で中小企業に対して十分貸出しがなされていないということで、商工中金が金融環境変化対応資金担保免除特例制度というのを設けて貸し出しているわけです。  お伺いしてみると、かなりの規模融資が行われているようなんですが、そこの中で制度対象にどういうところがなるのかというと、取引金融機関が行政庁から業務停止命令を受けたとか、取引金融機関が別に定められた実質的に経営破綻の状態等にあるとか、それから、ここが大事な点なんですが、経営状況が悪化していないにもかかわらず取引金融機関との取引状況が変化している、この三つの要件を満たしている場合には融資するということになっているんですが、どの程度現在この制度によって融資していて、特に三番目に述べました経営状況が悪化していないにもかかわらず取引金融機関との取引状況が変化している、こういう理由で貸し出されている金額は幾らなのか、教えていただけますか。
  99. 江崎格

    参考人江崎格君) お答えいたします。  今、委員御指摘の制度でございますけれども、今年の三月十八日から取扱いを開始いたしまして、四月末日までの実績でございますけれども、件数で二千五百五十件、金額にいたしまして百五十五億円になっております。  今、三つのそれぞれの要件に該当するものの内訳ということでございますけれども、三つのカテゴリーのうちの三番目の、経営状況が悪化していないにもかかわらず取引金融機関との取引状況が変化しているというものが実は大部分でございまして、件数でいいまして九四%になっております。  それから、一番目の要件の取引金融機関が行政庁から業務停止命令を受けたもの、これに該当するものは今のところございません。  それから、二つ目の取引金融機関が別に定められた実質的に経営破綻の状況にあるというものは六%になっております。  以上でございます。
  100. 櫻井充

    櫻井充君 そうしますと、その取引状況が変わった理由、済みません、通告していないんですが、もし御答弁できなければ後日で結構でございますが、どうしてその取引状況が変化しているんでしょうか。その理由が分かりますでしょうか。
  101. 江崎格

    参考人江崎格君) これは、従来その取引のあった金融機関が、金融機関の事情で、例えば金融の貸出し条件の変更をするとかそういうことを申し入れてきて、その結果、それになかなか対応できないとか、そういうケースだと思います。つまり、金融機関側の事情で従来どおりの金融が円滑に受けられないと、こういう事情を指していると思います。
  102. 櫻井充

    櫻井充君 済みません、その金融機関の事情というのは詳しくお分かりですか。
  103. 江崎格

    参考人江崎格君) いろいろなケースがあると思いますけれども、例えばその金融機関が不良債権などで非常に体力が低下している、貸出しの余力が小さくなってきたと、こういうケースが一番多いのではないかというふうに思っております。
  104. 櫻井充

    櫻井充君 金融検査マニュアルの弊害というのはないんでしょうか、その中で。つまり、マニュアルが厳し過ぎて現状に合っていないがために、金融機関中小企業に貸し出したいけれども貸出しがなかなかできない状況になっている、そういう点はないんでしょうか。
  105. 江崎格

    参考人江崎格君) すべての件数を把握しているわけではございませんので、正確なことは申し上げにくいんですが、直接マニュアルが障害になって貸せないんだよということを貸出し先に言うというケースは少ないんではないかというふうに思っております。
  106. 櫻井充

    櫻井充君 少なくとも、とにかく民間金融機関が貸し出せないということで、このような形でわずか一か月半で百五十五億も融資しているわけです。そうすると、当然のことながら公的金融機関というのが必要になってくるんだろうと思いますけれども、その商工中金の主務官庁であります経済産業省として、商工中金民営化論とか、そのことに関してどのようにお考えでございましょうか。
  107. 小脇一朗

    政府参考人(小脇一朗君) お答えを申し上げます。  商工中金についてのお尋ねでございますが、一般的に申し上げまして、我が国の中小企業、大企業に比べまして間接金融への依存度が高いということになっておりますけれども民間金融機関では中小企業が真に必要とする資金ニーズにタイムリーに対応し切れないところがございまして、商工中金を始めとした政府系の中小企業金融機関、これを補完するため重要な役割を担っていると、このように私ども考えております。  特に、昨年来、中小企業をめぐる金融経済情勢には極めて厳しいものがございまして、大型倒産あるいは信金、信組の破綻等もございまして、その中で、やる気と潜在力のある中小企業までが連鎖的な破綻に追い込まれるような事態を回避するため、現状において、政府金融機関のセーフティーネット機能、ひときわ重要であると、このように認識をいたしております。  本年に入りましてからの中小企業資金繰りの一層の悪化を踏まえまして、本年二月、早急に取り組むべきデフレ対応策の中で緊急の中小企業金融対策を講じましたが、特に商工中金につきましては、その機動性を発揮して、今御質問がございました三千万を上限とする無担保融資制度の創設や、あるいは手形割引による運転資金充実等々、迅速な対応を図ったところでございます。  商工中金については、こうしたセーフティーネットのほかに、DIPファイナンス、あるいは売掛債権担保融資等々、新しい分野資金供給業務にも積極的に取り組んでおりまして、こうした業務政府の補助金あるいは補給金等の継続的な財政負担に依存せず、政府の出資による国の信用を背景にマーケットから資金調達をして運営しているということでございます。  目下、先ほど竹中大臣からもお話がございましたとおり、経済財政諮問会議の場で商工中金を含めます政策金融機関につきましては検討が行われているわけでございますけれども、今申し上げましたような商工中金の政策的役割あるいは資金調達面の特色を十分踏まえながら適切に取り組んでまいりたい、このように考えているところでございます。
  108. 櫻井充

    櫻井充君 私は商工中金は必要だと思っているんですよ、公的金融機関で。そういう答弁をもらうと、もうやめた方がいいんじゃないかと思いますよ、本当に。だって、必要か必要でないかというのを答えてくれればいいだけなのに、適切にって、どういうことですか、これは。  それからもう一つ住宅金融公庫──その前に、経済産業省にもう一つお伺いしたいんですが、結局、九八年に中小企業対策で特別信用保証制度を創設いたしました。このときに公的金融機関からの貸出しだけでは不十分だということでこういう制度導入したんでしょうけれども、これの債務不履行が現在何%で、これがその予想の範囲内なのかどうか、この点について教えていただけますか。
  109. 小脇一朗

    政府参考人(小脇一朗君) 特別保証制度についての御質問でございます。  特別保証制度は、平成十年の十月に、当時の未曾有の金融システム不安、そしてまた貸し渋りに対応するために設けたものでございますが、今御質問の代位弁済率に関する御質問でございますけれども、代位弁済率につきましては、本年四月末現在で四・一五%となっております。それで、制度設計上は一〇%の代位弁済率を想定したところでございまして、現時点の数字はこの想定の範囲内にとどまっておるという状況でございます。しかしながら、今後の景気動向等も併せ、その動向につき十分注視が必要と思っております。
  110. 櫻井充

    櫻井充君 しかし、これは予想の範囲内とおっしゃいますけれども平成十二年度というのは、大体月々に代位弁済している件数というのは千五百件から二千五百件ぐらいの間なんですよ。それが平成十三年になってから三千件なんです。三千件を超えているんですね、平成十三年になってからも毎月ほぼ四千件を超えているんですよ。どんどん増えていまして、とてもじゃないけれども、このまま代位弁済が収束していくようなことにはならないんじゃないだろうか、そういう感じがしておりまして、確かに額的には本当に予想の範囲内なのかもしれませんけれども、動向から見ると決してその予想の範囲内ではないんじゃないかという気がいたします。  ちょっと時間がないので、済みません、あと、住宅金融公庫の、まずその前に国土交通省にお伺いしたいんですが、昨年の委員会で扇大臣は、この住宅金融公庫はこのまま融資をずっと続けていかなきゃいけないんだというような御答弁をいただいているんですが、小泉政権になりまして方針が大きく転換されたんですか。
  111. 松野仁

    政府参考人松野仁君) お答えいたします。  住宅金融公庫につきましては、長期固定低利資金を選別なく安定的に供給することによりまして、国民の住宅取得に大きく貢献してきたものと考えております。  しかしながら、民間でできることは民間にゆだねるとの基本原則の下に、昨年十二月閣議決定されました特殊法人等整理合理化計画におきまして、住宅金融公庫につきましては、まず、五年以内に廃止する。それから、民間住宅ローンの証券化支援に係る業務については、住宅金融公庫が先行して行うとともに、公庫の廃止の際にこれを行う新たな独立行政法人を設置すると。さらにその際に、直接融資業務につきましては、民間金融機関が円滑に業務を行っているかどうかを勘案して最終決定するという方針が示されたところでございます。  今後は、この特殊法人等整理合理化計画趣旨を踏まえまして、また公庫が従来果たしてきました役割、機能の確保が図られるように、証券化支援業務導入などの公庫改革の具体化を図ってまいりたいと考えております。
  112. 櫻井充

    櫻井充君 端的にお願いしたいんですが、住宅金融公庫の総裁にお伺いします。  これまでやはり公的金融機関として果たしてきた役割というのは非常に大きいと思うんですが、私は少し縮小するべきだと思っていますが、今後も公的金融機関としては、私はあるべきだと思っているんですよ。総裁はいかがお考えでしょうか、端的にお願いします。
  113. 望月薫雄

    参考人望月薫雄君) 公庫の役割がいかに大きかったか、あるいは具体的に何だったかということは、私から余りくだくだ申し上げるのも失礼かもしれませんが、一言で申し上げまして、戦後、我が国の住宅政策を支えてきた大変重要な機関としての機能を果たしてきたと、こう私は確信いたしております。とりわけ、中堅サラリーマンの方々を代表とする庶民といいましょうか、そういった国民の皆さんの持家に対する熱い思いというものを、政策金融というものを通じていかに大きな成果を上げてきたかということはもうるる申し上げるまでもありません。  おっしゃったように、公庫の廃止という話が昨年来出ておりますが、いろいろとその内容はこれから念査し、精査し、御議論いただくというものと存じておりますけれども、率直に言いまして、私ども公庫は、国民の皆さんからすると、言葉は悪いけれども、空気のようなものだというふうなお言葉を賜っております。言ってしまえば、あって当たり前、非常に安心できる、信頼できる、期待が持てる、こういった頼りになる機関であるということで国民の皆さん方に定着し切っているというふうに私は思っておりますし、その意味では最も典型的な庶民金融ではないかと、こんなふうに思っております。  いずれにしましても、こういった機関について、私ども、これからいろいろな議論がなされるわけですが、もう一点だけ付け加えさせていただきますと、昨今、民業圧迫論も大変ございます。事実、その面もなしとしませんが、私ども公庫は、住宅政策の担い手と同時に、経済対策、景気対策としての出番をしばしば求められてまいりまして、その面でもかなりの、まあ言えば役割を果たしたと、こんなことも背景にあるということもお含みいただければと存じます。  ともあれ、今後の公庫のありようでございますけれども、今までのままでそのままとは決して思いません。民間でできることは民間に任せろと、この基本線を大事にしながら、基本に踏まえながら、公庫の今後のありようというものをしっかりと詰めていっていただきたいと思いますし、我々自身も、またそれらしい検討一環として、今審議官からお話出ましたように、住宅ローン債権の証券化というような問題を早急に何とか制度化していただきたいということで勉強等進めているところでございます。  ともあれ、くどいようですけれども、国民の皆さんに不安を持たれないようなトータルとしての我が国の住宅金融システムの構築の中で、公庫の役割はどうあったらいいかということがこれからの大きな課題だと思っております。
  114. 櫻井充

    櫻井充君 さて、今日は二つの政府系の金融機関に来ていただきましたが、各々役割がやはりあって、これから見直しをしていかなきゃいけない部分があると思うんですが、民間とやはり違う部分というのはあると思っていて、それなのにもかかわらず民間と同じ検査マニュアル検査しなきゃいけないのかどうか、この点についていかがお考えですか。
  115. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) これは、要するに信用リスク分野において、こういうリスク評価するノウハウの蓄積が行われてきた金融庁がこの分野検査をするようにと、こういう仕組みでございまして、私どもとしてはそのことをきちっとやってまいりたいと、このように考えております。  これは、例えば住宅金融公庫信用リスクということになれば、それはもう非常にある意味で明確なことでございますので、それをまたさせていただく。それから、中小企業についても、私ども今回やった別冊のああいうものを同じように適用をしてこれを実施していくということでございます。そして、その場合に、そういうことで例えば引き当てなら引き当てと。  どういうふうにするかはこれから考えるところでございましょうが、民間であるならばこれだけの引き当てが必要ですよというようなことを明確にすることが行政コストの計算というものをより明確にすることだと、そういうものにつながることだと私ども考えておりまして、それに対して、それは政策なんだからあくまでも財政的に国民の税金でバックアップしていくべきだと、これは政策判断でございまして、私はそれが明確な形で行われるということが非常に大事なことだというように考えているわけでございます。
  116. 櫻井充

    櫻井充君 そうすると、その債権分類をきちんと明確にしていくこと、引当金を十分積むこと自体が大事なことであって、例えば、債務超過だから改善しろとか、そういうことを命ずるわけではないということですね。
  117. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) それは、命ずるなどというようなことまでは検査の部分ではないわけで、監督の部分でございますので、したがって、債務超過、そういうことも通常考えられないです、もうこれだけ資本金を入れていますから。そういうことは考えられないわけですが、そういうことが仮にあるとするならば、債務超過になっていますよということを申し上げるということにとどまって、その後のことについてはそれぞれの主管官庁が監督官庁として対処、善処なさる、こういうことになろうかと思います。
  118. 櫻井充

    櫻井充君 それから、済みません、ちょっと話題違うんですが、県内で整理回収機構に行っている債権の売却、売買に関して随分不透明だという声が上がっています。最初、整理回収機構に話をした際に、債権放棄はしていないんですよという話をされていましたけれども、私は債権放棄している例も知っておりますし、それから、一部何というか、ある方が圧力を掛けに行くとそこで変わってしまうというような実情も知っております。売却実態などが不透明であることと、それから売却方法をもう少し変えていく必要性があるんじゃないか、どういう物件があるのかというのは全然分かってないんですよ。  それから、例えば医療法人であったりとか学校法人なんかも整理回収機構が抱えているわけですけれども、そうなってくると買い手というのはある特殊な人たちしか買えないわけでして、そういう意味でなかなか売却が進んでいかないというようなこともございます。  この辺のことをもう少し透明化していく必要性があるんじゃないかと思いますが、いかがでございましょう。
  119. 松田昇

    参考人松田昇君) お答えいたします。  三点ほど御質問があったように思いますが、一つはRCCの債権放棄の問題でございますが、これは前々から私ども申し上げておりますとおり、これまでに件数で二百十二件、金額で一千九百三十七億円の債権放棄をいたしております。これはRCC発足以来の数字でございます。  そのときの基準はひとつきちっとしておりまして、三つございます。債務者は弁済に関して誠意ある姿勢を示していること、それから二が、債務者が自らの資産内容について誠実にすべてを開示してくれているということ、三番目に、債権放棄を行わない場合又は法的破綻処理に移行した場合に比べて迅速かつ確実に回収の極大化が図られる場合と、こういう場合を選定いたしまして、例外的に実施してきたところでございます。  その際には、社会的弱者に対する配慮もいたしておりますし、経営責任、株主責任その他債権者の支援を求めるとか、地域経済への影響といった点もいろいろ考えながら慎重にこれまでやってまいりました。  第二点は不動産、RCCが持っております不動産に関する問題でございますけれども、二つございまして、RCCが持っております不動産は、一つはRCC自身が所有している所有物件がございます。これはホームページ等に公示をいたしておりまして、こういう物件を持っております、お買いになる方はどうぞと、こういう公告もいたしておりますが、大半は担保物件でございます。  担保物件の処分権はその債権者であるRCCが持っているんじゃございませんで、その担保物件を持っておられる方、大抵は債務者でございますが、その方の権限の範囲内にあるわけでございまして、そういう物件を私どもがみだりに公告等に載せますと、あるいは人権侵害の問題あるいは債務者企業に不測の事態、いろんなことを及ぼす影響あるものですから、そこで若干控えていると、こういう状況にございます。  それから、医療法人その他公共性のあるものの回収あるいは転売はどうしているかという問題でございます。  御指摘の点、大変難しい問題でございます。ただ、今までやってまいりましたけれども、例えば一部債権放棄を伴った企業再生型の事案として、スポンサー会社による肩代わりをしてもらって回収をした事例とか、即決和解しまして、長期の弁済に替えましてその企業の再生を図ったというふうな事例もございまして、今後も引き続き任意交渉を原則としながら、慎重に回収処分に当たっていきたいと、このように思っております。
  120. 櫻井充

    櫻井充君 整理回収機構に行きますと、たしか金融機関から融資が受けられなくなるんですよね。その意味で、再建型とおっしゃいますが、なかなか再建できない現状があるんじゃないですか。
  121. 松田昇

    参考人松田昇君) ここのところ、金融再生法の改正その他、政府の方針に従いまして、RCCも、従来型の回収のみならず、企業再生マインドに基づく企業再生を志すということで一致団結をいたしております。  取組でございますけれども企業再生本部というのを作りまして、これまでに十二件、実際に企業再生を実施いたしました。そのほかに、現在百十件を持っております案件から探しまして、それを調査検討をいたしまして、そのうちで八件ほどは、新しく健全金融機関から再生型の案件ということで買取りもいたしております。  なお、ほかに売却希望もございますので、それをひっくるめまして、いろいろと再生に向けても努力をしていきたいと、このように思っております。  ただ、透明性といいますか、公正性といいますか、ただ単にRCCの内部だけではなくて、企業再生検討委員会というものも設けておりまして、外部のいろいろな方の御意見を聞いて、再生の可否、それから再建計画の是正、是非、その点についても検討もしておりますし、更に外部の方三名の有識者による顧問団を編成しておりまして、御意見も聞きながら再生の案件に当たっているということでございます。  引き続き努力をいたします。
  122. 櫻井充

    櫻井充君 それから、現行法で企業が破産する際に、民事執行法ですと二十一万円しか保証されておりません。身ぐるみはがれてしまうんでなかなか新しい企業を起こせないんですけれども、このことに関して、改善しようということで、たしか法制審議会で議論されているそうなんですが、どの辺まで議論が進んでいるんでしょうか。
  123. 原田晃治

    政府参考人原田晃治君) 現在、法制審議会の担保執行法制に関する部会で検討をしております。  この差押禁止財産をどの範囲まで拡大するかという問題でございますが、これはもちろん債務者の経済生活に必要な最小限度の金額を考えているところでございまして、この二十一万円という金額が実は昭和五十五年の生活水準等を基準に定められた金額でございますので、その後大分年数もたっておりますので、その後の物価の変動、生活水準の変化、こういうものを見ながら現在検討しているところでございます。  これにつきましては、平成十四年度中に法案を提出できるように現在準備をしているという段階でございます。
  124. 櫻井充

    櫻井充君 それから最後に、ちょっとこの法文で気になったところがあったので御質問したいんですが、「権限委任」のところに「権限の全部又は一部を財務局長」と書いてあるんですね。どうしてこれ、全部と一部という、こういうふうな書き方にしているんですか。
  125. 藤井秀人

    政府参考人藤井秀人君) お答えいたします。  政策金融機関の本支店への検査を行う場合に当たりましては、実務上の観点から、金融庁長官の監督の下、財務局の職員、これを検査に参加させることが必要な場合、これが当然あろうと思います。  そういうことで、この財務局職員、これを金融庁の長官の指揮監督の下で活用できるよう、今先生がおっしゃいましたように、今般の法案におきましては、全部又は一部、これを財務局長等に委任するという規定を設けさせていただいたということでございます。
  126. 櫻井充

    櫻井充君 去年の二次補正のときに、NTTの売却益を使う際に、あそこの法文は一部としか書いてなかったんですよ。その一部に対して、全部使えるんだ、これは全部と読めるんだという、そういう解釈されたじゃないですか。だったとしたら、今回の法文だって一部と書きゃいいんじゃないですか。なぜこれ、全部と一部と書いているんですか。整合性ないですよ。
  127. 藤井秀人

    政府参考人藤井秀人君) 今、先生おっしゃいました議論があったことは私ども承知しております。  それで、実際の検査、いろんな具体的なケースがあろうと思いますけれども金融庁が単独で検査を実施する場合、あるいは財務局長等に全面的にゆだねる場合、あるいはまた両方が共同して行うといういろんな様々な状況が想定されるということで、今回の法律におきまして全部又は一部ということの規定をさせていただいたわけでございます。  ただ、そういうことが今回規定されたわけでございますけれども、あるいは先生御案内のとおり、質問主意書におきましては、一部の場合、それが例外的に全部を意味する、そういうことがあり得るかどうかということにつきましては、その法律趣旨等を踏まえ、必要に応じて個別に判断すべきものだということは質問主意書でお答えしたとおりでございまして、決してそれが矛盾するというものではないと私どもは理解をいたしております。
  128. 櫻井充

    櫻井充君 最後に言わせていただきたいんですが、やっぱり法文というのは整合性を持たせて書いてくださいよ。運用でいい加減にやり過ぎですよ、省庁が。だから信用なくなるんじゃないですか、好き放題やっているから。何のために法律があるんですか。そう私は思いますけれども。  済みません、時間が来ましたので質問終わります。ありがとうございました。
  129. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時四分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  130. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。  政策金融機関に対する検査権限委任のための関係法律整備に関する法律案を議題とし、休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  131. 山本保

    ○山本保君 公明党の山本保です。  それではまず最初に、型どおりといいますか、この今回の法案のねらいについて財務大臣にお聞きしたいと思います。  特に幾つか考えていましたが、一緒にお聞きしますけれども、こういう現在行革というのが進んでいるときに、こういう特別の基準を設けるんではなくて民間と同じ基準にするというと何か意味があるのかなという気もいたします。政府系のこういう金融機関は必要だと思っておられるのか思っておられないのかなという、その辺について私は純粋にまずお聞きしたいと思っているわけですが、そういう、特にそんな意味はないということかもしれませんが、現在、検査を、金融検査金融庁にお願いするという法案を出すことの意味についてお答えいただけますでしょうか。
  132. 尾辻秀久

    ○副大臣尾辻秀久君) 確かに、政府政策金融機関を含めまして、特殊法人改革というのが進められております。それとの関連ということでお尋ねだと思いますけれども、格別関連付けてこの法案改正をお願いをいたしておるわけじゃありません。ちょっと余りにも極端な話かもしれませんが、極端に言って、どうせ廃止するんなら今さら検査する必要もないんじゃないのとか、そういったような視点があるものではないということを申し上げたところであります。  ただ、一つだけ申し上げますと、だんだん特化していく、業務特化していくということは、これはもう既定の方針でございます。そういうふうにいたしますとどうしてもリスクが高まるということも午前中の先生方の御指摘の中でもございました。そういう中でのリスク管理が必要だろうと、こういう面はございますので、今回の検査もお願いした方がいい、こういうふうに考えておるところでございます。
  133. 山本保

    ○山本保君 これはまた後から繰り返しお聞きするかもしれませんので、最初はじゃそれだけにしておきまして、最後に、最後といいますか、午前中の最後にちょうど私もお聞きしようと思っていたことが出てまいりましたので、これは確認的にお聞きしたいんです。  つまり、午前中の最後のお話にもありましたけれども、地方の例えば支店だとか、また、現在の民間金融機関検査というのを地方財務局の方で行っておりますよね。その辺、私のような門外漢から見ますと、中央の方では今度は財務省から金融庁検査をお願いすると言っておきながら、地方の方では反対に財務省にお願いしているというのは、どうも私など聞いていまして、そのやり方に食い違いがあるんじゃないかというような気もして仕方がないです。  こういうことで何か不祥事などもあったとすれば、こういうことで何か責任関係がはっきりしなくてそういうものを生むもとになるんじゃないかというようなちょっと危惧もするわけですが、いかがですか。
  134. 尾辻秀久

    ○副大臣尾辻秀久君) おっしゃるとおりに、委任ということだけでいいますと分かりづらいところがあろうかと思います。  おっしゃるように、地方における民間金融機関検査につきましてはお話しのとおりでありまして、全国の財務局長等が金融庁長官から権限委任を受けております。ただ同時に、権限委任を受けておりますけれども、同時に金融庁長官の指揮監督を受けるということになっております。したがいまして、委任を受けるということはありますけれども、明確に金融庁長官の指揮監督を受けながら仕事をしている、こういうことでございます。ですから、単なる委任じゃなくて、委任と同時に指揮監督を受けるという、ここまで入っておるわけであります。  今度の法律でお願いしていますのは、この一番上のところの委任を、今度は主務大臣から金融庁長官にお願いをする、内閣総理大臣を経由してでありますけれどもお願いするということで、ここは単純に委任だけでございます。ですから、お願いしますというだけの話でありまして、財務局の下の方の話は、下といいますかその出先の方の話はそういう指揮監督をまた同時に受けるということになっておりますので、おっしゃるような話とはちょっと違うということを御理解いただきたいと思います。
  135. 山本保

    ○山本保君 この問題は、特に私も問題にしようと思っているわけではないんですが、お聞きしますと、たしか金融庁また金融監督庁という形でできてきたというのが、正にこういう政策判断なり政策立案ということと実際の検査ということが同じ役所でやっていたんではという、いろんな問題があったということで分かれたんだというふうに認識しておるんですね。  そうしますと、やはりもう少し金融庁の職員というものを地方にもきちんと置いて、そして、今特化という話もありましたけれども、正に検査機能の専門家として確立していった方がいいんではないかなという気もするわけですが、いかがでしょうか。
  136. 尾辻秀久

    ○副大臣尾辻秀久君) 確かにおっしゃるようなことはあろうと思います。金融庁が自らの、言うならば手先とでも言いましょうか、そういうものをしっかり持っているということも必要なことかと思いますが、ただ、平成十年六月に金融監督庁が、当時は金融監督庁でありましたけれども設立されたときに、じゃ、そういうことにすると、今度はまた小規模な地方支局、そういったようなものが増える、このことがまたどうかなということもありまして、おっしゃるような意味と、地方支局のようなものが増えてまた人数も増やさなきゃいけない、この御時世にという、どっちを取るかという議論がありまして、そのときに、行政全体として考えるならばやっぱりスリムな体制がいいと、そこで、財務局を活用することがいいと、こういう判断をしたところでございます。
  137. 山本保

    ○山本保君 その分、旧大蔵、財務省の職員が減るわけですから、動くだけだから余り行政改革という点ではそれほど問題ないんじゃないかなという気もいたしますけれども、分かりました。さっき法律のところで一部、全部というような議論があったところの話だと思っております。  次に、法案とは直接はかかわらないんですが、今回私のところに地元の金融機関とか関係の団体から幾つか御意見をいただいたものがあるものですから、こういう機会ですので、特に中小企業の育成というか支援ということを中心にして幾つか、法案にもかかわることもありますけれども、お聞きしたいと思っております。  最初は預金保険についてなんです。これも実は中小の民間の、民間のというのは当然ですが、金融機関から少しお話を伺いましたら、預金保険料というんですか、これの負担がどうも高くて、このことがひいては貸出しの抑制になっているのではないかということを伺いました。  まず、現在この預金保険料というのはどういう形、仕組みになっているのか御説明いただきたいと思います。これは金融庁の方。
  138. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 金融機関に課せられる預金保険料は、当然のことながらこの保険の対象になる預金に一定の保険料率というものを掛けて算出されることになっております。これについては当然のことながらいろいろといきさつがございまして、平成八年度以降〇・〇四八というようなことでございましたが、それに特別保険料というものが預金の全額保護というものを措置した裏腹の問題として〇・〇三六加えられまして、これをトータルいたしますと〇・〇八四というものが課せられていたわけでございます。  そういうことでございましたが、今般、定期性の預金に対する全額保護というものが外れました関係で再精査をいたしまして、流動性の預金、これはまだ今年一年全額保護の対象になるということで、これに対する料率が〇・〇九四、そして全額保護の対象から外れました定期性のもの等について〇・〇八というものに変更になりました。しかしこれは、現在の保険の状況で加重平均をしますと、大体〇・〇八四という従前のレベルと変わらないというところに設定されていると、こういうような経緯を持っているものでございます。
  139. 山本保

    ○山本保君 審議会の意見もそういうことで、現状と同じようにということで、今、大臣がおっしゃったようなふうにしていると思うんですが、これは、私もその現場の方にお聞きして、どうもちょっとまだ腑に落ちないわけです。  今おっしゃいましたように、平成八年から特別に全額保証ということにしたので保険料、保険料率が上がったよというのは、これ、理屈が分かるわけですね。ところが、今度ペイオフになるわけですから全額保証じゃなくなるわけですから、当然のことながら、そこで料率を平成七年度の部分を基準にして戻すべきではないかと思います。若しくは、高いのであれば、当然返ってくる保証額というのが上がらなければいけないわけでしょう。と思うんですよ。だったら、これもそういう実は声もありまして、二千万円とか三千万円というふうにできないだろうかと。一千万というのは、外国もそうだと言われますけれども、日本の場合貯蓄率が高いわけですし、諸外国と比べて貯蓄という意味が大分重いことを考えますと、例えば、保険料はそのままにするんであるならば、何かあったときに返ってくるのを上げなければ理屈に合わないんじゃないか。  もう一つ、時間、先に言いますと、というのは、やはり細かく見せていただきますと、十年、十一年ですか、あのころに十何兆という、言うなら支出があって、それは残ってきているんだと思うんですね。そうしますと、まじめに一生懸命やっているところが払っているわけで、これ、食い逃げされたみたいなもんだと思うんですよ。保険というのは、払われても、その後お金払うのが保険であって、済んでしまった人の分を残っている人が払っていくというのはどう考えてもおかしいんじゃないかなというふうに私思うんですが、いかがでございましょう、大臣
  140. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) これは形式論理のようで恐縮ですが、預金保険法上、保険料率の算定に当たっては、長期的に保険財政が均衡するようにということで決められておりまして、結局、長期的に時間的な広がりを持って収支均衡の料率にするようにということで、単年度単年度、損害保険のように、全部それで財政が確定するというような形でこれを考えるということはいたさないということを申しているわけでございます。もちろんそれだけではなくて、各金融機関の保険料の負担状況というものを考えて、この二点から決めるということになっております。  今、山本委員がおっしゃったようなことは、そういう時系列的な問題ではなくて、保険事故の発生に応じて各金融機関ごとに料率を変動させるべきじゃないかというような議論があり得るわけです。これはアメリカ等でそういうことをやっているわけです。もう保険料率ゼロというような金融機関もあるわけでございますが、私どもまだ、私どものこの金融機関のありようからいって、そこはしばらく現状のような形で、保険事故との関係はひとまずちょっとわきに置いて、全体として保険財政が均衡するようにということでやっていると、こういうことでございます。
  141. 山本保

    ○山本保君 正にこれ、午前中にもお話があったと思うんですが、これからは多分まず破綻は減るであろうというふうな予想もされているわけですから、やはり今おっしゃったように、破綻が減るのであれば率が下がってくるというのも、これはいいんじゃないかなと思うんですが、もう一つの理由といいますのは、先ほども事長にもちょっとお聞きしたんですけれども、やはりその分の埋め合わせを市中からお金を借りてやっておられるわけですから、その利子が相当上がっていると思うんですよ。  例えば、財務大臣、突然で申し訳ない、こういうところこそ、例えば公費を支出して、個別の金融機関に出すんじゃなくて、こういうところの赤字をいったんなしにしてしまえばそれでまず済むわけですから、しかもそれは、利子分を考えていけばそんなに大きな支出でもないと、後から返してもらってもいいと思うんですけれども、何らかの形でここにお金を入れて、率を下げて、そうすると市中の金融機関の方の貸出しが大変楽になるんじゃないかというふうに思うんですけれども。もう一歩踏み込んでちょっとお聞きしたいんですが。
  142. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) これはやっぱり民間の保険でございまして、何というか、原資のコストについても、資金繰りの原資のコストについても、現実論、非常に低うございます。預保債というのは政府保証債ですから、もう保証だけでも相当な財政からのバックアップでございます。預保債の料率というのもそんなに高くもないという現実もありますけれども、基本的にこれはやはりそうした形で、保証ということだけで今財政からのバックアップは済ませておりまして、あとは民間。  しかし、現実論、今相当な赤字でございますので、収支が均衡しているわけじゃございませんけれども、いずれにしても基本的な枠組みとしては現状が適切ではないかと、このように考えております。
  143. 山本保

    ○山本保君 現状でも税金が入っているというふうにも聞いておりますが、この辺については少し、以上にしまして、私ももう少し勉強させていただこうと思っております。  次に、ちょっと今度は観点を変えまして、中小企業のことでございます。  今回、お願いをしまして、国民公庫、中小公庫、商工中金の代表の方においでいただいておりますので、順番に、今の中小企業、特に下支えするとか、セーフティー、助けるとか、又はもっと積極的に展開させていくことを応援するというような観点でしっかりお願いしたいと思っておりますので、その辺について一言お願いしたいんです。  特に一点、前にもここで日銀にお聞きしたのかなと思いますが、要するに、融資先の判断をするとなりますと、ただ単に数字上のバランスだけではなくて、将来性でありますとか、その技術というのがどの程度のものであるかということ、またそれを、どこを押さえて応援してあげればいいかというようなことも、やはり金融機関というのはそういう意味が私はあると思っておるんです。そうしますと、そういう専門的な力量を持った職員を置いていなければなかなかできないだろうと思っているんですけれども、この政府系の三つの機関についてもそういうことを努力されているのかどうか、お聞きしたいと思います。  二つの質問を一緒にさせていただきました。お願いいたします。
  144. 尾崎護

    参考人尾崎護君) 国民生活金融公庫でございます。  私ども国民生活金融公庫法の第一条で使命規定されておりまして、一般金融機関から融資を受けることを困難とする国民大衆に融資するということが私どもに与えられた使命でございます。今の金融の現状からいたしまして、小規模中小企業の方々、大変金融の面で御苦労をなさっておられます。この時期こそ私どもが努力しなくてはいけないときであるというように考えております。  それから、私どもの職員でございますが、中小企業診断士その他の研修、かなりの人数受けさせておりまして、そういう経験のある者が実務に当たっておりますし、また、国におきましても地方公共団体におきましても、いろいろ中小企業の方々の相談業務をなさっておられます。そういうようなところとも密接に連絡を取りまして仕事を進めておるところでございます。  御指摘の点、今後ともよく留意してまいりたいと思います。
  145. 堤富男

    参考人(堤富男君) 中小企業金融公庫でございます。  中小企業金融公庫は、中小企業の振興のための長期資金をお貸しするということで使命を帯びておると思っております。  特に最近は、私は三重苦という言葉を使っておりますが、不況、長い不況、それから最近の貸しはがしを含むような貸し渋り、それから空洞化という問題も実は忘れてはいけない問題でございまして、最近の不況、貸し渋りに対しては、迅速、親身、それからきめ細かいということをモットーといたしまして、これはもう何度も通達を出しておりますし、私も全国を回りまして、六十の支店に対してお話をしておる次第であります。  お話し申し上げたいのは空洞化でございますが、現在、一日百の工場が日本から消えております。このままいきますと、二十年で日本に工場がなくなるという計算になりますが、そのくらいこの不況と外国との関係は激しい状況になっております。  私たちは戦後四十九年の歴史がありますが、日本の産業の基礎を育てたという自負がございますが、目の前で中小企業、特に製造業がなくなっていくのを見ているのは大変つろうございます。これは、東大阪あるいは大田区というような日本の集積、珠玉の私は財産だと思っておりますが、そういうところがだんだん力が衰えてくるということを非常に残念に思っておる次第であります。  したがいまして、公庫といたしましては、最近の短期的な対応というのももちろん大事でございますが、中期的に考えてみますと、空洞化という問題にいかに対処するかということを、我々も、中小企業診断士は部内に、数えてまいりましたが五十数人。それから最近、中小企業診断士と併せまして、コンピューターのシニアレベルの力を併せ持ったITコーディネーターというのもありますが、これも、できたばかりでございますが、三人育てております。  もちろん、内部や外部の方のお力をかりて、審査会というような形でいろんな分野専門家あるいはビジネスマンをそろえておりまして、そういう力もかりながら、目利きとしての力と、あわせて相談ができるというような形を是非作っていきたいと思っておりますし、そういう形でやることが我々の使命であるというふうに思っておる次第であります。  以上です。
  146. 江崎格

    参考人江崎格君) 商工中金でございますけれども、私どもは、設立以来一貫しまして、その時々の景気の動向ですとか、あるいは企業の一時的な業況によらずに、長期的な視点に立ちまして中小企業に安定的に資金供給するというのが本務だというように思っております。  特に、最近のように非常に中小企業は厳しい環境に置かれているわけでございますけれども、行為的には、セーフティーネットの役割ですとか、あるいは、我が国経済の構造改革を支える中小企業ですが、こういった中小企業が前向きに経営革新をするとか、あるいは創業しようというときにこれを支援するとか、それから最近さらには、売掛債権を担保にした融資制度というのがございますが、こういう新しい資金調達の手段を提供するといったようなことが大変重要な役割だというふうに思っておりまして、このために、長期の貸出しだけではなくて、短期の資金も含めまして総合的な金融サービスを提供するというのが私どもの役割だというふうに思っております。  これからもこういった役割、ますます重要になると、このように思っておりまして、一層努力をしたいと思います。  それから、二番目にお尋ねになりました点でございますけれども、我々、ベンチャー企業ですとか、あるいは新しい事業に挑戦する企業を支援するために、平成七年からイノベーション21という融資制度を作っているわけでございます。これは、その制度を作りましてから最近までに二千四百件余り、金額で千四百億円余りの融資を行っているわけでございますけれども、こういった制度に当たりまして、先生御指摘のように、企業の技術力とか将来性、成長性、こういったものをきちっと評価するというのは非常に大事だと思います。  このために、外部の方の専門的な知識を活用させていただくということで、審査に当たりまして審査委員会を設けておりまして、こういった方のお力をかりるということをやっております。もちろん内部におきましても、中小企業診断士の資格を取るようなことを努めておりまして、内部の職員の養成にも努めているという状況でございます。
  147. 山本保

    ○山本保君 どうもありがとうございました。  是非、現場の中小企業の方の声を聞いていただいて、お願いしたいと思うんです。こういう場ですからあれですが、なかなか公庫関係、政府系についても非常に審査が厳しいという声をいろいろお聞きするものですから、できましたらその辺を今後とも頑張っていただきたいということで御返事をお願いいたしました。  それで、ちょっと今度は視点を変えまして中小企業庁の方にお聞きしたいんですが、見ますと、三つの機関から大体中小企業に出している融資というんですか、それは全体の一〇%ぐらいでもうずっと変わっていないようであります。  今日午前にも話があったことを少し具体的に私もお聞きするわけですが、政府系の金融機関民間の比率というか、こういうものをどのように考えたらいいのか、私自身もまだ分かりませんので、これは素直に、当然、一〇%というのは偶然一〇%というんじゃなしに、当然こういう形で組んでいるんだろうと思うんですよ。これは何か根拠があったり、又はもっと変えていく必要があると思われているのか。この辺、金融庁の方のがいいかと思ったんですが、まず中小企業庁にお聞きいたします。
  148. 小脇一朗

    政府参考人(小脇一朗君) お答えを申し上げます。  一般的に申し上げまして、我が国の中小企業、大企業に比べまして間接金融の依存度が高いものとなっておりますけれども民間金融機関だけでは、中小企業が本当に必要とする資金、これをタイムリーに対応し切れないといった面もございまして、政府系の中小企業金融機関民間金融機関補完するために大変重要な役割を担っている、このように認識をしております。  とりわけ、昨年来、中小企業をめぐります経済・金融情勢、厳しいものがございまして、大型倒産、あるいは信金、信組の破綻ということもございまして、そういった中で、やる気と潜在力のある中小企業までが連鎖的に破綻をすることがないようにしていくということは極めて重要な政策課題であると、このように思っております。  現状において、政府中小企業金融機関のいわゆるセーフティーネット機能、これは民間金融機関補完として大変重要なものと、このように認識をしております。  さらに、政府系の中小企業金融機関は、このようなセーフティーネット機能のほかに、創業者に対する融資等々政策的要請が大変強い分野でございますけれどもリスクが高くて民間金融機関には供給困難な資金供給、あるいはDIPファイナンスあるいは売掛債権担保融資といったような新しい分野資金供給にも民間金融の呼び水として積極的に取り組んでいるところでございます。  こうした分野民間補完趣旨を徹底するということによって、結果として今先生御指摘いただいたように、政府系三機関を合計して我が国の中小企業向け貸出しのうち約一割、正確には九%でございますけれども、九%を占めているものと、このように考えているところでございます。
  149. 山本保

    ○山本保君 こういう機能が補完であるという今お話がありました。補完機能というのは一体どれぐらいをやればいいのかというのがなかなか、こうあるべしというのが多分ないんでしょう。きっと経験則でこうなっているんだろうというふうに私も思うわけですが、そうなりますと、やはりもうひとつ民間の方に頑張っていただくような手を打たなくてはいけないなという気がいたします。  ここで、ちょっと今回の法案とも関連するわけでございますけれども、正に政府機関民間機関とか、それから大企業中小企業というものを検査をするということが同じマニュアルで行っていいのかという、午前中にも議論になったわけですけれども、この辺についてもう一度確認をしたいと思うんです。  どうもやはり特徴があって違うんだということのお話をずっと伺ったわけですから、これでも、いや、そうではなくて同じマニュアルでよろしいんだということはどういうふうに御説明いただくんでしょうか。お願いします。
  150. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 特徴があるということは、そこに政策的な配慮が働くということです。現実の政策的な配慮として、具体的なものとしては、やっぱり財政的な裏付けが厚いというか、そういうことだろうと思うわけでございます。  そういうことで政策的な融資が行われるということでございますが、片方、私どもが今度リスク管理分野において検査をするということは、いろいろリスクにもありまして、信用リスク市場リスクを始め、事務リスクとかシステムリスクとかいろいろあるわけですが、ここは恐らく先生焦点に置かれているのは主として信用リスクの問題だろうと思いますので、それで申し上げますと、それは貸付金債権というもの、あるいは場合によって出資もあるかもしれませんが、大宗は貸付金債権の資産としての評価、こういうことでございまして、これは変わらないわけでございます。それは、民間の資産としての評価ども政府系の資産としての評価もこれは変わらないわけでございまして、そういうものとして恐らく民間についてノウハウを蓄積した金融庁にこれでそちらの方の検査委任しようと、こういうことが今回の法律趣旨であろうと、こう思うわけでございます。  そういうことで、私どもとしては、レントゲンの検査技師というか、あるいは検査医師というのも最近はあるかもしれませんけれども、そういうのでレントゲンを撮る、レントゲンの写真を撮って診断医に回すということ、例え話、単純化して言えばそういうことだろうと思うわけでございまして、レントゲンの機械を変えてしまうとか、あるいは撮った写真に対して一定の加工を施して診断医に見せるということではないんだろうと、こういうように思っておりまして、私どもはそういうことで、何も作為を施さないで、現実、客観的な資産の状況について評価をさせていただくということであろうと思います。  その場合、中小企業については、私ども民間金融機関に対しても中小企業の特殊性に配慮した今度別冊というものでそれを取りまとめるわけでございますが、それはそれでまた、中小三機関政策金融機関の方についても同様の基準を適用させていただくということであろうと、このように考えております。
  151. 山本保

    ○山本保君 例えとして非常によく分かるんですね。  ただ、最後におっしゃいましたように、中小企業というときの評価となってまいりますと、単純な資産だけの評価ではなくなるわけですから、先ほど来話をしておりますように。こうなりますと、やはり非常に専門的な見方というのが大事だと思うんですね。  それで、細かい話になりますが、やはりこういう声も私のところに来ておりまして、今度、別冊・中小企業融資編というのが今パブリックコメントに出してあると。それを見ましても、まだ依然として不透明な部分が多いんだというふうな意見を聞いているんです。  例えばということでちょっと言ってみますと、貸出し条件緩和債権の例示が不十分ではないかと。中小企業というのは非常に波があるわけだから、それだけで見てどうなのか、また、変更した場合に、変更していてもその後きちんと払っている、でも貸出し条件緩和は不良債権の中に入ってくるんじゃないかというふうな、そういうおそれでなかなかうまくいかないということも聞いておるんです。  貸出し条件緩和が、そのことだけでマイナスになってしまうというのはどうかという気もするわけでありますけれども、こういう点と、もう一点、ベンチャー、先ほどからお話にあるように、このマニュアルの中に、ベンチャーや企業を立ち直らせるとか、またもっと展開していくというような、こういう観点は含まれているんでしょうか。少しお聞きしたいと思います。
  152. 五味廣文

    政府参考人五味廣文君) お答えいたします。  まず第一点でございますが、現在、パブリックコメント、月曜日に締切りをいたしまして、いただいたものを今整理をしておるところでございます。貸出し条件緩和債権に関します例示についての御要望というのも大分いただいております。  この点に関しましては、ちょっと一言申し上げておきますと、貸出し条件緩和債権と申しますのは、これはディスクロージャーの、不良債権ディスクロージャーの基準ということで、その定義が金融再生法と銀行法に基づきましてそれぞれ内閣府令で定められておると。さらに、その具体的な解釈のガイドラインのようなものは金融庁から出ているということでありまして、現在の金融検査マニュアルでこの貸出し条件緩和債権を検証する場合にはそうした規定を使って検証をするという、言わばディスクロージャーの基準でありますので、こうしたルールがあるものをマニュアルの方で拡大したり縮めたりということは、これはできない話でありますので、このルールの方でどういう決め方になっているかということを前提として検証している、こういう状況でございます。  今、先生がお挙げになりましたような事例ですと、場合によるとこれは貸出し条件緩和債権の定義そのものにかかわる部分があるようにも思われますが、いずれにいたしましても、執行という面での検証を行う際の着眼ということを整理するのがマニュアルでありますから、いただいたパブリックコメントどもよく精査をいたしまして、パブリックコメントに提示いたしましたものに加除修正、必要なようであればこれをしてまいりたいと思います。現在、検討中ということでございます。  それからもう一つ金融検査マニュアルの中に、別冊に、ベンチャー企業の例えば育成ですとか立ち直りですとか、こうした視点はというお話でございましたけれども、これは先生もよく御承知のとおり、金融機関検査と申しますのは、金融機関業務健全性と適切性というものを、これを金融機関自らの責任でやっていただいて、そしてそれがきちんとできているかどうかを検証をしていくという、こういうのが金融検査でありますので、検査というのは大変強い権限でもありますし、その与えられた権限を逸脱しないように厳しく自らを律してやる必要があるというふうに考えております。  こうしたリスク管理体制が適切に機能しているかどうかということを検証するというのが検査目的でありますので、検査において、個々の金融機関がどういった業態に対して、あるいはどういう企業に対して貸付けを行うのか行わないのかという、こういう経営判断の部分、この部分までは検査で立ち入るということはしないというのが私ども考え方でございます。  ただ、今回のマニュアルの別冊、パブリックコメントに付させていただいたものにも記述がございますけれども、適切な資産査定というのを行うということで個々の債務者の実態を的確に把握する、これはいずれにせよ必要なことでございますが、その実態把握の際に、先ほど来お話も出ております対象債務者の技術力ですとかあるいは成長性、販売力、こういったような点を、いわゆる企業の資質でございますね、こうした点を検証ポイントに織り込んで御提案をしておりますし、また適用事例の方にもそれに類するものを挙げさせていただいておるということでありますので、いわゆるベンチャー企業というものについての検証という部分、財務の実態の検証という部分におきましては、別冊に盛り込まれました検証ポイントなどに基づきまして実態把握は行われるということになろうかと思います。
  153. 山本保

    ○山本保君 このことに関しまして、やはり中小企業を育成したり、また助けているという実務をやっているのは中小企業庁だと思うわけですね。ですから、中小企業庁ときちんと連携を取ってこういう仕事をされる必要があるんじゃないかなと。検査というのは客観的であるとはいえ、その対象自体がそういう動くものでありますし、判断というものは、判断とその情報というのが全然別のものだということは普通はあり得ないわけですから、この両庁というんですか、役所の連携などはどうなっておりますでしょうか。
  154. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 今、中小企業、零細企業等に対します別冊についてパブリックコメントを付しているわけでございますが、その別冊をそもそも作る過程においても中小企業庁からも御意見をお寄せいただいているというふうに聞いておりますし、現在もう締切りが近づいておりますが、パブリックコメントをお願いする過程でも御意見をちょうだいしているというふうに聞いております。
  155. 山本保

    ○山本保君 そこは遺漏なく進めていただきたいと思っております。  ちょっと今度また話が変わりますが、先ほども出たんですけれども、いわゆる信用保証の特別枠についてです。これをもっと、もう一度復活してくれないかという、そういう意見もありまして、これはどのように評価され、また今後それをもう一度行うというようなことは考えられるのかどうか。どうでしょうか。
  156. 小脇一朗

    政府参考人(小脇一朗君) お答えを申し上げます。  中小企業金融安定化特別保証制度についての御質問でございます。  この制度は、平成十年の十月に、当時の未曾有の金融システム不安、そしてまた貸し渋りの状況に対応するために臨時異例の措置として導入されたものでございまして、昨年の三月末をもって終了いたしたところでございます。その保証承諾実績は全体で百七十二万件、約二十九兆円に達しまして、大変多くの中小企業の方々に御活用いただいたわけでございます。  御質問は、再度そういったものが実施できないのかと、こういったお尋ねでございます。  これは、あくまで当時の未曾有の金融システム不安、そしてまた貸し渋りと、こういう中で臨時異例の措置として実施したものでございまして、この特別保証制度の終了に際しまして、円滑な移行を図るという観点から、平成十二年の末に、無担保保険の限度額の引上げ、具体的には五千万から八千万でございますが、あるいはセーフティーネット保証・貸付制度の抜本的強化を実施したところであります。  さらに、昨年半ば以降、景気の悪化に伴いまして、中小企業をめぐる金融経済環境、大変厳しくなったということを踏まえまして、昨年秋の十三年度の第一次補正予算で、セーフティーネット保証あるいは貸付制度の更なる拡充、あるいは売掛債権担保融資保証制度の創設等々の措置を行ったところでございます。  さらに、本年二月に取りまとめられましたデフレ対応策の中におきましても、このセーフティーネット貸付け、あるいは保証制度につきまして、要件の緩和等々によりましてセーフティーネットの活用を一層図っていくということを明記したところでございます。  他方、今、中小企業の方々がお困りの点は、特別保証の返済負担、これに苦慮しておられる中小企業の方が多数おられます。債務の返済条件の変更に柔軟に対応してくれと、こういった御要望が多いわけでございますけれども、これにつきましては、本年の四月末までに累計で十四万一千件の条件変更に対応いたしているところでございます。  さらに、先般のデフレ対応策におきましても、決定されましたことを踏まえまして、本年の三月から条件変更のガイドラインを改正をいたしまして、大型倒産とかあるいは取引金融機関の破綻、あるいはBSE問題等々、特に返済資金に困っている中小企業の方々に対しましては、原則、申し出があれば、それぞれの中小企業の方々の実情に応じた返済条件の変更が行われるよう措置を講じたところでございます。  以上のような取組を踏まえまして、現在の状況に対しては、こうした措置を最大限に活用いたしましてその実効を上げるということに全力を注ぐことが重要と考えておりまして、特別保証の復活ということは考えておりません。
  157. 山本保

    ○山本保君 次長、一言だけ、この特別保証についての評価というのはどういうふうに。
  158. 小脇一朗

    政府参考人(小脇一朗君) 繰り返しになりますけれども平成十年当時の大変な未曾有の金融システム不安、そしておしなべての貸し渋りという中で、その対策として大変有効に機能したと、このように考えているところでございます。
  159. 山本保

    ○山本保君 時間のこともありますので、中小企業について一つだけ、もう一つお聞きしたいんですが、たくさんありましたけれども一つだけお聞きします。  これは私の方に、やっぱり具体的に佐藤工業というような名前も挙がりまして、今の制度、いろいろあるんだけれども、下請の会社がつぶれてしまったというか、破綻したその下の会社についてはいろいろあるんだけれども、いわゆる孫請なんだと。上はつぶれていない、つぶれていないけれども、しかし実際非常に厳しいので仕事も減り単価も削られていると。何かこういうところにもっと、倒産防止共済制度ですか、こういうのもあるようですし、そのほかにもいろいろあると思うんですが、全体的に、一次だけではない二次、三次についてももっと手厚い対応をしてくれないかという声があるんですけれども、いかがでしょうか。  それともう一つは、その場合のセーフティーの貸付けを受けると、何かそこは危ないところだというふうに思われてしまって、どうも要注意先だというふうに一般金融機関からは見られるんじゃないかというような声も聞いているんですけれども、そんなようなことがあるんでしょうか。
  160. 小脇一朗

    政府参考人(小脇一朗君) お答え申し上げます。  まず、中小企業倒産防止共済制度についてのお尋ねでございます。  この制度は、中小企業の方が取引先企業倒産した場合にその影響を受けて連鎖的に倒産をしないようにということで、一定の掛金をお支払いいただきまして、取引先企業倒産した場合に無担保、無保証で貸付けをすると、こういう相互扶助制度でございます。  この制度趣旨を踏まえまして、倒産防止共済法におきましては、取引先企業につきまして破産等の申立てがされた場合、あるいは取引先企業に対しまして銀行取引停止処分がなされた場合、こういった場合において、共済契約に加入しておられる、こういう中小企業の方々に共済金貸付けが行われると、このように規定をされているわけでございます。  こうした前提の下に、一定の掛金の下に相互扶助の制度が成り立っているわけでございます。  今、先生御指摘のような孫請企業と取引関係にある下請企業、取引等の申立てあるいは取引停止処分といった事態に至っているわけではございませんので、当該孫請企業に対する共済金貸付けを行うことができないといった制度になっているわけでございます。  ただ、こうしたケースにおきましては、この孫請企業の方が経営環境の変化によりまして売上げが減少しておられると、こういう経営困難に直面しておられるケースが多いかと思いますが、そういった場合には、先ほどお話し申し上げました中小公庫あるいは商工中金、国民公庫によるセーフティーネット貸付けあるいは信用保証協会によるセーフティーネット保証を御利用いただくということが可能なケースも多いものかと、このように思っているところでございます。  そうした中で、このセーフティーネット貸付けでございますが、そういったものを受けると一般金融機関から要注意先と見られてしまうんではなかろうか、こういった御懸念があるんではなかろうかと、こういった御指摘でございます。  このセーフティーネット貸付けは、正にやる気と能力のある中小企業、これが取引先の企業あるいは金融機関の破綻によって連鎖的に破綻にならないようにという趣旨で設けられたものでございます。大変多くの中小企業に御利用いただいているところでございます。  御指摘のような事態につきまして、私ども、相談事例で把握しているということはございませんけれども、セーフティーネット貸付けの対象となる事由は、取引先金融機関の破綻あるいは大型倒産等々ケース・バイ・ケースでございますので、あるいはその中小企業の被る影響度合いもそれぞれ大きいということで、場合によっては金融機関が当該中小企業の与信に慎重になると、こういったケースが考えられるところでございます。こうした事態に関しましては、民間金融機関が単独では融資しにくい場合、政府系の金融機関が共同して融資をすることによりまして民間金融機関の支援の呼び水になるということも多いというふうに承知をいたしております。  いずれにいたしましても、今後とも、このセーフティーネット貸付け等々、制度運用を通じまして万全を期してまいりたい、このように考えております。
  161. 山本保

    ○山本保君 以上です。  終わります。
  162. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 日本共産党の池田幹幸です。  この法案は九つの政策金融機関対象としたものなんですけれども、私は中小企業金融に絞って質問をしたいと思います。  午前中からいろいろ出てまいりましたけれども、まず、金融庁が先月来行っております金融検査マニュアル別冊・中小企業編ですね、これのパブリックコメントのことについて伺いたいんですが、これはこの二十日に締め切られました。どれぐらい意見が寄せられたんでしょうか。
  163. 五味廣文

    政府参考人五味廣文君) お答えいたします。  四月十二日からおっしゃるように五月二十日までパブリックコメントを募集をいたしました。この結果、中小企業団体を始めといたしまして様々な団体あるいは個人、こういったところから、五十八先からいただきました。もちろん、一先当たり複数の御意見でございますから、項目数にすると相当多くなると思います。
  164. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 意外と少ないなという感じはするんですけれども、しかし、私も幾つか出したよというふうなことで意見を伺っております。  そこで、このマニュアルの別冊そのものは、別冊案というんでしょうか、これは「はじめに」のところでこう書いておられます。現行の金融検査マニュアルの中小零細企業等の債務者区分の記述が抽象的で分かりにくいという、そういう意見が聞かれる、聞かれるところであると。聞かれるところであるというのは、やっぱりそういったことも、一定程度そういう面もあるとして、是正を図ろうとして出されたものだというふうに私は理解しておりますが。  そこで、本法案とも関係してくる問題について幾つか伺っておきたいと思うんですが、自己査定結果の検査を省略できる与信額、このことについて、与信額が二千万円又は資本の部合計の一%のいずれか小さい額未満のものというふうになっておりますけれども、二千万円以下の債務者については被検査機関自己査定にゆだねることができると、こうしております。この二千万円というのは一体どういう根拠になるものでしょうか、基づくものでしょうか。余り詳しくなく、できるだけ簡単にちょっと説明していただけますか。
  165. 五味廣文

    政府参考人五味廣文君) お答えいたします。  二千万円に関しましてでございますけれども、これは、過去の検査結果に基づきまして一定の与信額、金融機関側からの一定の与信額以下の債務者についての自己査定、この自己査定の検証を省略をしたという場合に、自己資本比率への影響度合いがどうであったか、これを実際の検査でチェックをいたしました金融機関について、検査を、そこをしなかったら実際の自己資本比率はどうなっただろうか、どう影響しただろうかというところを勘案をいたしまして、これと検査の効率ということのバランスを取ったところで二千万円という、こういう金額を算出をしたということでございます。
  166. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 今までの実績踏まえてということだというふうに思うんですけれども、そうしますと、これまでの経験という点でいえば、再生委員会の当時、この当時基準を、五千万円以下の債権については、元利金の返済が行われてさえいたら、元利金の返済さえやっておられたら一時国有化の際に全部引き継ぎますという、そういう対象一つの基準として五千万円というのを置いておられましたですね。  それからもう一つ、つい最近では、この三月にできた承継銀行、これについて最初提案された際は、当初の案では、五千万円が引き継ぐ際の基準の金額という形で示されていたわけですけれども、それは結局その後、そういう基準は一切抜きと、承継銀行全部引き取りますというふうにしたんで、これはこれでよかったんですけれども。  それはともかくとして、これまでの経験からしますと、金融機関に与える影響という基準で考えるとするならば、別に二千万円ではなくて五千万円という線もあったんではないかと思うんですね。事実、パブリックコメントに答えた中小企業家同友会全国協議会の意見では、是非これ五千万円程度の債務者まで拡充してくれというふうに言われておるわけですけれども、それ、いかがでしょうか。
  167. 五味廣文

    政府参考人五味廣文君) 今、例に挙げられましたものと今回のこの考え方がちょっと違いまして、やはり銀行の自己査定というのは、預金者の保護ですとか信用秩序の維持ですとか、こういう観点から役所がチェックをしないわけにいかないと、こういう視点から、役所のチェックが一定限度で省略された場合に、全体をチェックした場合に比べてどういう影響かということでありますので、そこは五千万という、ほかの制度と必ずしも比較は私どもしてはおりませんでした。    〔委員長退席、理事円より子君着席〕  やはり実際に、特に最近のマニュアルというものも大分行き渡りました後での検査というのを、実際に立ち入っておりますときに指示を出しまして、それで、その査定を省略した場合と、した場合とでどういう違いが自己資本比率に出たかというところでこれを考えましたので、ちょっとその基準が違いますので、私、五千万でどうなるかというのを実は検証はしてないんですけれども、二千万でも、主にこういうところの対象になる金融機関というのは国内基準四%でございますね、自己資本の健全性の基準が。これと比べましてやはり影響が出てきておりますので、五千万ということになるとかなりやはり大きな影響になるんではないかと思いまして、これは一定の数値基準を作りまして検証してみましたところ、二千万というのがこれまでの経験からして検査結果との乖離という意味で許容できる範囲であろうということでございます。
  168. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 実は、四月の時点でも私どもの大門議員がこの問題取り上げまして、いわゆる括弧付きで例の自己資本の額の一%ということになりますと、信用組合の場合で大体三千万円になると。三十億の一%ですから三千万円になるというふうなことで論議したこともあるわけですが。  どうも今、二千万円がいいのか三千万円がいいのか、五千万円でもいいんじゃないかといろいろあると思うんですね。問題は、伺ったところでは、今、五味さんは五千万円については検討しないとおっしゃったけれども、いろいろとシミュレーションをやられたというふうに私聞いているんですね。二千万の場合、三千万の場合とかですね、伺っております。だから、もう一回やはりこういうところは、それぞれのパブリックコメントをわざわざ付したわけで、そういった意見が来ているわけですから、大いに検討していただきたいというふうに思います。  二つ目が貸出し条件の変更の問題です。  これはいろいろ意見来ておりまして、特に先ほど言いました中小企業家同友会の場合は、貸出し条件の変更は中小企業経営では日常的に取られる措置だと、だから表面的な区分は合理性に欠けるという意見を出されておるんですね。そして、中小企業の貸出し条件変更と貸出し条件緩和を区別してくれと、貸出し条件緩和債権は要注意先の中でも財務内容が特に悪く、破綻懸念先に近いものにすべきだということで言っておられます。特に、このことは非常に切実な状態になっているというふうに私、伺っています。  ですから、この問題については、中小企業庁からも二十日に、ぎりぎり締切最終日に意見を出されたというふうに聞いておりますが、それいただきました。それ見ても、この問題でも、どういった場合に条件緩和債権とされず、債務者区分も下げることないのか、金融庁の見解を事例によって示されたいということで、非常に重要な問題として出てきているんですね。  現場のこの声には本当にこたえていかなければならないんじゃないかというふうに思いますが、これはもう柳澤大臣、非常に技術的なように見えて、根本的に大変な状況になっているというふうに思うんです。これは慎重にこの声にはこたえていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  169. 五味廣文

    政府参考人五味廣文君) 技術的な部分を申し上げさせていただきますが、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、要管理債権で特に今話題になりました貸出し条件緩和債権、この部分は、金融検査マニュアル以前の問題といたしまして、預金者保護あるいは信用秩序の維持という視点から、金融機関の不良債権を開示をするという場合の開示の基準として、金融再生法あるいは銀行法に基づきまして内閣府令でその定義が規定をされているというものでありますので、この定義を参照をして開示すべき債権かどうかを検証をするというのがマニュアルの記述でございますので、これに沿ってその判断をしていくということに尽きるんだろうと思っております。  お話にありましたように、この貸出し条件の緩和債権の部分につきましては、今回の別冊において、これは中小企業に限った話ではないわけではありますけれども、事例の追加あるいは更なる明確化といったようなことを求めるコメントを多数いただいております。現在これを精査しておりまして、必要があれば現在の提案しておりますものを加除修正していくということを考えたいと思っております。
  170. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 修正していく意思があるというふうに伺っておきたいと思うんですね。  ただ、その際、中小企業庁の指摘というのは、私、非常に大事だと思って、これ全体見ましても、なかなかもう全体の意見、私ほとんど賛成でして、いい意見出しておられるなというふうに思っておるんですけれども、ここの部分ではこう言っているんですね。当該企業支援の目的よりも金融機関サイドの事情による条件緩和、特に金利との関係ですね、金利を上げるという。金利との関係といった中小企業金融の現場でしばしば見られる条件につきと言って、さっき言ったように、きちんとした形で明示してくれというふうに意見も中小企業庁が上げているんですよ。  これはもう中小企業庁が毎日毎日中小企業と接していて問題となっていることを取り上げているわけですから、これは非常に重たい問題だと思います。先ほど、検討する用意はあるということですから、大いに検討していただきたいというふうに思います。  さらに、今日の法案とも関係してくる物の考え方の問題なんですけれども保証協会保証融資とか、さっき山本さんの質問でも問題になった安定化特別保証融資、この件なんですけれども、この融資を受けて、それの条件変更、これもなされます。条件変更しますと、貸付条件緩和債権とみなされると。貸付条件緩和債権というのは、不良債権にもう入れられちゃうということです。そこまで極端でない要管理ぐらいまでにとどまるものもありますけれども、そういうものになっちゃうんですね。そうみなされるんです。  そんなのおかしいじゃないかということで、これは中小企業庁も、それから中小企業家同友会もこの声を上げているんですね。特に中小企業庁では非常にいいことを言っておられまして、こう言っているんですね。こうした条件変更において、金融機関にとってリスクはないにもかかわらず、金融検査の現場において一律条件緩和債権とされ、引き当て負担が上昇する可能性があることから、民間金融機関において条件変更の応諾に消極的な姿勢が目立っているということで、今後、保証にかかわる条件変更については債務者区分を落とさない旨明示すべきだという意見なんです。  全く私はそのとおりだというふうに思うんですけれども、これについて、ちょっと中小企業庁、もう少し実態も含めて説明していただきたいと思うんです。
  171. 小脇一朗

    政府参考人(小脇一朗君) お答えを申し上げます。  私どもといたしましては、金融庁におけるパブリックコメント原案の公表を受けまして、各中小企業団体あるいは地域の金融機関等々関係団体と意見交換を持ちながら、中小企業への資金供給の円滑化、こういう観点から意見を取りまとめて、先日、金融庁に提出をいたしたところでございます。  今御指摘の特別保証の関係でございますけれども、特別保証に関します既往債務の条件変更につきましては、既に昨年秋の改革先行プログラム、あるいは今年二月のデフレ対応策の中にも明記をされておりまして、特別保証に係る既往債務については返済条件変更を積極的に行っていくということが明記されているものですから、私どもとしては、この債権についての条件変更について、債務者区分を落とさないような事例を付け加えていただきたい、こういったようなことをお願いを申し上げているところでございます。
  172. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 金融庁、お聞きのとおり、要するに、積極的に条件変更に応じろと片一方で言っておきながら、応じたら今度は条件緩和債権に入れられちゃう、こんなばかなことないわけですよ。しかも、これ政府保証付いているわけですから、返せない場合一〇〇%返ってくるんですから、金目の問題でいっても損することないわけでしょう。何でそれをそんな形で厳しくするのかと。これはもう大いに、中小企業庁や中小企業家同友会の方々が言っておられるように、全く一〇〇%その要求については受け入れると。要するに、条件緩和債権とはみなさないということを明確に柳澤大臣からお答えになったらどうかと。    〔理事円より子君退席、委員長着席〕  大臣は、衆参の両委員会で幾つかこの問題について答弁しておられるんですよ。口頭ではそうすると言っておられるんです。だけれども、この十三の事例の中にはこれないんですね、書かれた中には。入れるべきじゃないかという指摘については私もそうだと思うんですが、いかがですか。
  173. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 保証協会も認めて条件を変更をすると、例えば返済期限を延長する、それに対して保証協会の保証も延長するというようなときにどうするかということ、これはもう非常に私どもも論議をしたわけですけれども、やっぱり一律にはいかぬだろうというのが考え方の基本でございました。  実態を見て、そのときに自動的にというわけにはいかなくて、実態を見て、大体はその場合に条件変更あるいは条件緩和ということにみなさなくていいじゃないかと思われるけれども、やはり実態を見て決めさせていただくということで、基本のところは池田委員と同じかと思いますけれども、何というか、もう無条件ですっといくというわけにはいかないだろうというのがぎりぎり私どもが言わせていただいているところでございます。
  174. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 ですから、一〇〇%ということではなしに、これ事例集として出されたわけでしょう、十三の事例。十四になっても十五になってもいいわけでしょう、最終的に。この問題については、そういう形で応じる、原則としてランク下げない、少なくとも条件緩和債権には入れないと、そのことだけをもってしては、というふうにやっぱり書かれるべきじゃないかなというふうに思うんです。そのことだけ申し上げておきたいと思います。  法案に移っていきたいと思うんですけれども金融庁検査委任するという、この九つの政府金融機関委任するわけですけれども、私、中小企業金融の中でも国金、国民生活金融公庫ですね、国民公庫国民生活金融公庫も今、略して国金と、昔どおりの国金と言っておられるようですが、国民生活金融公庫を例にしてちょっとまず塩川大臣に伺いたいんですが、財務省が昨年九月に所管の特殊法人等についての行政改革推進事務局への報告というのを出しておられます。これは要するに、廃止・民営化ということをゼロベースから見直せという小泉内閣の方針に基づいて各省庁ずっとやってこられて、財務省もこれにこたえて出されたものなんですけれども、その中で、国金の場合にこういうことを言っておられます。国民生活金融公庫の事業は、こうした民間金融機関では対応できない者に対し、民間金融機関では供給できない資金供給を行うことにより、国民経済の健全な発展、公衆衛生その他の国民生活の向上に寄与することを目的とするものである。このような政策金融の機能は、社会政策的観点から引き続き不可欠な政策遂行手段であると。これは私も賛成なんですけれども、したがってこれは廃止すべきじゃないという結論を出されました。賛成です。  そこで、社会政策的観点ということですけれども、これ私は、今のような深刻な不況の中にあって、特に民間に任しておくわけにはいかぬと、民間にできることは民間にとおっしゃるけれども民間には任せることのないぎりぎりの問題があるんだと、そこで、国金が責任を持って行わなければならない分野、それをもって社会政策的観点からの任務というふうに言っておられるのだというふうに理解いたしますけれども、それでいいですか。
  175. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) おおよそそういうことでございます。
  176. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 さらに続いて、そういった任務に続いて今度はセーフティーネットもやるんだというのがありました。セーフティーネットとしての適切な役割も果たすと言われているんですが、このセーフティーネットとしての適切な役割がちょっとやっぱり抽象的なんです。具体的に、これは大臣でなくても結構ですけれども、若干の事例を示しながら説明していただきたいと思うんです。
  177. 藤井秀人

    政府参考人藤井秀人君) お答えいたします。  国民公庫あるいは中小公庫、特に最近の景況の下では非常に、資金需要が仮にあったとしても民間金融機関からなかなか借りられない、あるいはいわゆる貸しはがしと、こういうふうな状況もございます。それから、最近の例で申し上げますと、特にアメリカにおきます同時テロ、これに伴います例えば旅行あるいは観光にかかわります国内の業者、いろいろ苦労されております。あるいはまたBSE、狂牛病問題、これらにつきましてもいろいろの資金面での苦労をされている、そういう業者、個人の方々はたくさんいらっしゃると思います。  そういう方々に対して、言わば公的金融ということでセーフティーネットの観点から果たすべき役割は非常に大きいということであろうかと思います。
  178. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 そういう面もあると思うんですが、現時点での特徴として、不良債権の早期最終処理ということが構造改革として出されておりますね。これがどんどん進められることによって中小企業倒産というのは増えているわけですね。この構造改革に沿った線でということになっていくと、民間金融機関は余り融資しないと。結局、そういうところでのセーフネットとしての役割、例えば国民生活金融公庫、国金、これが存在しているんだというふうな意味で私はこれは言っておられるというふうに思っているんです。その面もあるんでしょう。ありますよね、うなずいておられるのでそれでいいと思うんですけれども。そうしますと、自ら政策を進めているその政策のひずみが出てきている分野政策金融がその改善の役割を果たさなければならないんだということも言っておられるということですね。  そこで、だったら、今のような状況の中では、中小企業金融がもうずっと減ってきているわけですけれども民間ではね、今度は逆に政策金融としてはそれをカバーしてどんどん増やしていく、もっと拡大していくという姿勢がなけりゃいかぬのじゃないかなというふうに思うんですね。  そういう観点からちょっと伺っていきたいんですけれども、まず銀行で見ますと、九七年から二〇〇一年までの間に大企業向けの銀行融資は七兆円増えているんです。これに対して、中小企業向けは四十四兆六千億円も減っているんです。これは先ほどの柳澤さんの話の中にもあったとおり。中小企業への融資を専ら行っております信金、信組、ここでも融資が減っています。  そこで、金融庁に伺いたいんですけれども、これは、こういう状況中小企業資金需要に十分こたえた結果だと、借りたいという中小企業の切望、切実な要求ですね、これにこたえた結果だというふうに考えられますか。
  179. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 我々、個別にはいろんな千差万別、いろんなケースがあり得ることは十分承知しておりますけれども、大局的に統計で見るところでは、確かに貸出しが減っているということがございます。そして、資金繰りも最近においては苦しいというか厳しいというものが増えているということもございます。しかし、その資金繰りが厳しいといって、厳しいというものが増えている割合以上に資金需要がないという、弱いというものの方が多い、大きく弱いというものが出ているわけでございます。  したがって、私どもとしては、両方に理由はあるだろうと思うんですけれども、今の大局的な判断としては、やっぱり資金需要が弱いということに大きな事情があるんだろうというふうに理解をしているわけでございます。
  180. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 不況でトータルとして資金需要が落ち込んでいるということ、これはあると思うんです。しかし、そうでない面が非常に強いんですよ。そういうふうに全体が落ち込んでいるけれども、借りたいという需要は結構あるんですね。じゃ、その借りたいと言っておられる方に十分それこたえておれば、こんなに減ることないと私は思うんです。  というのは、これは調査季報、国金の二月号ですけれども、この中にアンケート結果が出ておるんですけれども民間金融機関からの借入れ状況で、これ前年に比べて、借金が容易になった、借りやすくなった、借りにくくなったという、DIで取っているわけですけれども、それで見ると、年々困難になったというのが増えているんですよ。それが約三割にもなってきていますね。これが一つ。  それから、中小企業家同友会がこの一—三月でアンケート調査をやっています、全国協議会が。これを見ますと、借入れがしにくくなったというのが五〇%ぐらい占めています。国金よりも割と、二〇%多いですけれども金利の引上げ要求だとかあるいは追加担保、追加保証人を要求されたとかという形で借りにくくなっているんですよ。このことが今のこの状況をやっぱり示しているんだと思うんですね。やっぱり、借りたいという要求には十分こたえていないというのが現状だと思うんですよ。  これ度々言ってきましたけれども、その背景には正にこの金融庁検査、これでもって信金、信組がばたばたつぶされて、去年から五十四でしょう。こういう実態があるわけですよね。こういう状況の中では金融機関は貸したくても貸せないと、金融庁検査怖くて、下手したらつぶされる、そういう状況が起こってきているんですね。  ということは、先ほど確認したとおり、こういう政策のひずみの中で起きてきているがゆえに、国民生活金融公庫等中小企業向けの政策金融機関というのは大いに働かないといけない時期に来ていると。それだけに、国民金融公庫の役割は一層大きくなってきているというふうに私は思うんですね。この廃止とか縮小とか構造改革で言っているけれども、そうじゃなしに、むしろ非常にこの役割は大きくなってきていると、融資拡大を図らなけりゃいけないようになってきているというふうに私は思うんですけれども、実際携わっておられる国金の総裁、尾崎さんの御意見を伺いたいと思うんです。いかがですか。
  181. 尾崎護

    参考人尾崎護君) 現在の日本経済の最大の問題が不良債権問題であると、この処理が一番大切だと言われている時代でございまして、民間金融機関がそれぞれ御自分のバランスシートの改善のために努力をなさっている、これはやはり必要なことであると思うわけでございます。  しかし、そのために中小企業が十分な融資を受けられないというしわ寄せが来るということは、やはりその点において私ども政府系の中小企業金融機関が頑張らなくてはいけない局面であるというように考えております。特に、国民生活金融公庫は中小企業機関の中でも、政府系の三機関の中でも一番小規模、一番零細な層を受け持っているわけでございますので、そのような立場をよく認識いたしまして努力をしてまいりたいと考えております。
  182. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 大いにそういうふうにやっていただきたいんですが、しかし国金も一緒になって中小企業への融資を縮減していくという、構造改革の方向に沿ってやっていこうというふうにしているんじゃないかと私は思うんですね。  例えば本年度予算、これはもちろん国金が出しているわけじゃない、政府ですけれども、本年度予算を見ますと、普通貸付けの貸付け、これ一千億円減っているんですね。この経緯を見ますと、十一年度、十二年度、十三年度、これ資料いただいたんですけれども、国金からいただいたんですが、貸付規模と貸付実績で見てみますと、十一年度で貸付規模が普通貸付けで四兆一千二百億、貸付実績が三兆一千四百億。一兆円ぐらいの幅があります。十二年度も四兆一千二百億の規模に対して実績が二兆八千六百七十三億となっています。ところが、十三年度一気に貸付規模が一兆円減るんですね。三兆二千五百億になって、貸付実績は逆に増えて二兆九千億になりました。そして、今言いましたように、十四年度は更に貸付規模一千億減らすんです。  さて、そこでどんなことが起こってくるかということをちょっと考えてみたいと思うんですけれども、これになりますと、来年度貸付実績が、この動きずっと見るとだんだんプラスになってきているんですが、例えば二〇〇一年度で実績一〇二%増えていますよね。年々一〇三%から一〇二%増えてきているんですよ、実績は。片一方、規模はどんどん減らすと。貸付規模と実績の差がほとんどなくなっちゃっている。これ下手したら来年度ぐらい逆転するかも分からぬというこんな状況にあるわけですけれども、このことについて、頑張ると今おっしゃった総裁、これゆゆしき事態じゃないですか。こんなことを放置しておって片一方で頑張る頑張るなんて言っておったって意味がないことでしょう。政府に対してあなた、これは困ると言われましたか。
  183. 尾崎護

    参考人尾崎護君) 例の貸し渋り問題が一番燃え盛りましたのが九年度の終わりから十年度、十一年度でございました。その当時、政府の方では大変この問題を重視しまして、政府系の中小企業金融機関に非常に潤沢に融資規模を認めてくださったわけであります。それは、自分たちの資金繰りに非常に不安の念を持っておられる中小企業の方々にとっても心強いことであったと思うわけであります。私ども一生懸命、何とか貸付けの対象となるものはその企業の長所を見ながら貸していくという方針で努力をいたしましたが、やはり非常に潤沢に付いておりましたものですから、それを全部使い切れない状態が続いておりました。  一方で、特殊法人改革の問題が出てまいりまして、貸付規模についても適正な規模にするということになってまいりました。そのために、御指摘のように貸付規模をだんだん落としてきているわけでございますが、私ども、自分たちの仕事に差し障るようなことになっては大変困りますので、そこはよく御説明いたしまして、やっていけるだけのものは認めていただいていると考えております。各公庫あるいは日本政策投資銀行国際協力銀行を含めましてそれぞれ貸出規模が抑制されているわけでございますが、国民公庫につきましてはその中でも御理解をいただきまして抑制が一番少ないようになっておりますし、もしこれで御心配のように足りないということになりましたら、すぐ監督官庁に駆け付けて追加をしてもらう努力をいたしたいと思います。
  184. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 足らなくなったらどうするかこうするかというよりも、そういうことのないようにすることが大事なんで、そこで、今、塩川大臣が笑っておるんですが、非常に大事なことは、先ほど言いました報告、それからその報告に基づいて行革推進本部の方が計画を定めましたですね、昨年十二月。そういう経過になっているんですけれども、その報告に対する行革事務局の意見が付されておりまして、それを見ますと、まず報告の中でこう言っているんですね、一般貸付、特別貸付につきまして。一般貸付については、「規模を縮減する。」と。それから、特別貸付、経営改善貸付は、「現時点において真に必要なものであるか検討し、存続させるもの及び今後創設するものについては、貸付制度の期限及び廃止の指標を設定する。」ということで、これも減らしていく方向と、こういう行革推進事務局の考えに対して報告を出されたわけですね。  それについて更に事務局が意見を出しているんですけれども、どうも縮減のやり方が足りぬというんですね。縮減のやり方が足りない。そして、平成十三年十二月十八日、昨年の十二月十八日ですけれども特殊法人等改革推進本部がいよいよ合理化計画を定めるわけです。定めた中での国民生活金融公庫の中で見ますと、一般貸付については、要するに、もろもろあるけれども規模を縮減する、一層縮減するという方向を出しているんです。  今、私申し上げましたように、もうここまで縮減されてきちゃって、貸付規模を縮減してきて、それと貸付実績はもうほとんどすれすれになっている。にもかかわらず更に縮減していくというんですよ。これは、規模を縮減するということは、足りなくなったらまた増やしますということじゃないんですよ、これは、そうでしょう。今、尾崎総裁がおっしゃったように、足りなくなったら、駆け付けてきたら、そうかそうかと言って出してやるということじゃないでしょう。減らすということなんですよ。こういう方向を今取っておられるじゃないですか。これでもって片一方で、中小企業金融民間が貸せないところにはその需要にこたえるんだなんて格好のいいことを言っていても、実際は腹のうちはそうじゃないということがここにはっきり現れているんじゃありませんか。塩川大臣、いかがですか。
  185. 藤井秀人

    政府参考人藤井秀人君) ちょっと事実関係の数字のこともございますので、私から答えさせていただきます。  今、先生がおっしゃいましたように、民間でできることはできるだけ民間にゆだねるという原則の下、現下の経済金融情勢にも配慮しつつ、貸付けにつきまして市場のニーズに応じ規模を縮減するというような指摘がなされたわけでございます。そういう中で、今、数字の関係が若干ございましたけれども、国民生活公庫で申し上げますと、平成十四年度、本年度の財投計画におきます貸付予定規模三兆六千八百五億円と……
  186. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 三兆一千五百億だよ。
  187. 藤井秀人

    政府参考人藤井秀人君) 財投計画全体としては三兆六千八百五億円ということになっております。これは、先ほどの指摘事項等も踏まえつつ、一方では中小企業等に対する円滑な資金供給を図る、もってセーフティーネットの一層の充実を図るというようなことでこういう数字になったわけでございます。  これにつきまして、確かに先生おっしゃいますように、計画そのものと申し上げますと、十三年度の三兆八千三百三十億円に比しますと縮小はされておるわけでございますけれども、十四年度の貸付規模、これは、十三年度の言わば実績三兆四千六百二十八億円、これとの関係から申し上げますと、やはりそれなりに増加しているということでございますので、実績との関係からいいますと、今の現下の経済状況等も踏まえつつ、ぎりぎりの数字が確保されているということを御理解いただきたいと思います。
  188. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 先ほど来お話しございますけれども、何も国民金融公庫は、中小公庫もそうでございますが、圧縮していこうとかいって政治的に削減の方向を取っているんじゃないんです。そうではなくして、先ほども尾崎総裁が言っていますように、必要があればそれだけの資金供給はいたす予定は十分ございますが、しかし、池田さん御存じのように、最近、中小企業業者の中の金融の姿勢というものも大分変わってきたということを御存じだと思っております。  それはなぜかといったら、中小企業の中の経営の二極化が進んでまいりまして、いい中小企業とそれから悪い中小企業の方、気の毒な中小企業と極端に進んでまいりました。そうすると、困っている方の中小企業は、もうあらゆる手段を講じましても金融のパイプにつながらないのが随分と増えてきた。私はこれを何とかしなきゃいけないと、そういう気持ちがあるんです。そのことがやはり金融機関に反映いたしまして、貸出額が減ってきておる、規模が減ってきておるという、それは出てきておるんじゃないかと思います。けれども貸出件数、件数そのものは減ってきていないというような状況が起きてくる。  ですから、これは二極化に対しまして、言わば本当に金融の付かない困っておる零細中小企業金融を、これをどうするかということはやっぱり別途の問題として考えていかにゃ一般金融政策の中では解決しないような状態に今なってきておると、私はそのように認識しております。
  189. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 正にそういったところでこそ政策金融が求められているんだというふうに私も思います。だからこそ、今るる申し述べたところについて手を入れていかなけりゃいかぬというふうに思うんですが、時間が少なくなってまいりましたので、午前中から問題になっております今度の法案法改正の一番の問題点について私も伺っておきたいというふうに思うんです。  まず、要するに、いわゆる金融庁検査委任するわけですね。委任するとどういうことが起こるかということなんですが、金融庁検査マニュアルをそのまま適用するということになりました。午前中からるるありましたように、民間金融機関政策金融機関は全然違いますと、その目的が違いますということですね。そうすると、柳澤大臣は、信用リスクの査定、これは同じ基準でやるんです、もう当たり前じゃないですか、レントゲンですと、こうおっしゃるんですね。しかしそれは、レントゲンだとする、それに基づく診断をするということになりますと、その診断、何を診断するんですか。民間金融機関ならそれによる診断の一つの道はあるでしょう。しかし、政策金融機関目的は違うんですから、そんなもので診断しようがないでしょう。元々、診断するためにこの金融検査マニュアルに基づく検査委任するんじゃないはずなんです。そうでしょう。  この委任は、例えば国民生活金融公庫について金融庁検査してもらう、何のためにそれをやるんですか。何のために民間の基準で査定をすることが求められるんですか。そのことを伺いたいんです。
  190. 尾辻秀久

    ○副大臣尾辻秀久君) 何のための検査かと、こういうお尋ねでございますが、これはあくまでも透明性を高めたい。国民の皆さんに、大きな表現で言わせていただきますと、やっぱり税金を使ってやっておるのが政策金融機関でございますから、その税金を使っておるということに対して国民の皆さんにきっちり透明性を高めなきゃいけない。このことは当然のことでありますから、そうした検査をして、こういう状態ですということをまずお示しをする、最低限このことは必要でありますから、まずきっちりした検査をしてもらおう、そして、それはそれでお示しをする。まずこのことを考えておるわけでございます。
  191. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 透明性健全性を証明するのに、民間金融機関政策金融機関は違うんですから、民間金融機関の基準で幾らやったって政策金融機関透明性健全性を証明する材料にならぬじゃないですか。そうでしょう。むしろ、政策金融機関としての健全性、本当に民間から融資してくれない中小企業にきちんと融資しているのかと、それこそがむしろ必要なんじゃないですか。そうでしょう。だから、全然違うもの、木に竹接ぐようなものを持ってきて、何でそんなことが診断できるのか。  だから、時間がもうだんだん少なくなってきたので、私、申し上げたいことをともかく先に申し上げたいと思うんです。  だから、とんでもないことが起こるというのは、これは村田大臣、ちょっと申し訳ないんですけれども、あなたの衆議院での答弁を一つ私取り上げたいと思うんです。こうおっしゃっているんですね。  ちょっと長くなるんですけれども、理解するためにちょっと読みますけれども、「現状、今使っております民間金融機関検査しているマニュアルは同じ、したがって資産査定については同じ、こういうことになろうかと思います。ただ、その後において、行政コスト計算書等において、あと償却、引き当て状況をどうするかとか、そういう問題については現状でも格別の取り扱いがなされているように聞いております。」、私はここまでそれでいいと思う。その次なんです。「そういう意味で、検査の後、資産査定は同じでございますが、その後、政府関係金融機関の政策遂行に応じて、どういう資産の管理をしていっていいかという実情が変わるところがあれば協議に応じる、こういうことでございます。」と、こういう答弁なんです。  つまり、金融庁は査定する、そして、検査終了だと報告を、この法律に基づくと報告をちゃんと財務省に上げますと、そういうことですね。財務省に上げるのか政府に上げるのか、要するに上げます。あと、監督は財務省がやると、こういうことになっているんですが、何とも何とも金融庁が、その検査終了後、政府関係金融機関の政策遂行に応じてどうやっていいか、つまり信用リスク管理ですよ、信用リスク管理、どうやっていくんだということについて協議に応じるというんです。  これは、金融庁、何でこんなところに登場するんですか。これは僕、副大臣、勘違いだと思うんですよ。だけれども、僕は単なる勘違いだと思わないんですよ。正に政府のねらいはそこにあるんじゃないか。答弁お願いします。
  192. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 私の発言が問題になりましたので私から御答弁をさせていただきたいと思いますが、今、委員がおっしゃったように、私どもリスク管理分野におきます金融庁金融検査に蓄積されたそういうノウハウを活用する、そういう意味で、政府関係金融機関にも今回法改正によりまして委任を受けて検査をすると、こういうことでございまして、その後、検査の結果は主務大臣に速やかに報告をすると、こういう形になっております。その過程でもって、我々が検査報告をした後、主務官庁から、監督上必要なことは主務官庁がこれまでどおりやっていただくと、こういうことでございます。  私ども報告した検査について、そのファクトについてのお問い合わせ等があろうかと思いますので、そういう意味で、そのときは我々はその我々の検査状況について御説明申し上げると、こういうことでございまして、委員が今、私も、協議に応ずるというのはちょっと言葉として適当ではないと、こういうふうに思いますので訂正させていただきたいと思いますが、そういう意味で私の方は御答弁申し上げているということでございます。あくまで、検査の結果、監督上必要なことは主務大臣が行うと、こういうことでございます。
  193. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 いや、やっぱりそうでしょう。協議という言葉じゃなくても、相談に応じましょうということなんですよ。  ということは、民間のための基準、査定基準、そういったものを実際上の政策金融機関に適用して、本来ならばそんなもの診断の基準にも何にもならないはずのものが、さあ、この検査というのはこれ一回こっきりで終わるんじゃない、二年後にまたやってくる、それに備えてどうしようかと考えると、やっぱりこういった査定のやり方はまずいな、もっと厳しくやろうかと。今まで政策金融機関として民間金融機関が貸せないこういう中小企業についても金貸してきたけれども、これはもうちょっと厳しくしよう、そうしておかないとまたややこしいことになる、どんどんどんどんそういう方向に向かっていく。相談に金融庁はその都度応じる。金融庁が相談に応じたら、正に金融庁マニュアルに従ったそれをノウハウとして説明する。  聞こえはいいけれども、何のことはない、どんどんどんどん中小企業金融を縮減する方向で一緒に話し合っていこうと、こういうことになるじゃありませんか。これはやっぱりおかしいと思いますよ。そういう仕組みになるんですか、この法律は。
  194. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 同じことがもう今朝から大臣からも、監督上の問題につきましては主務官庁がその権限を持っていると、こういうことで御答弁申し上げているわけでございまして、そういう意味では、政策金融について、その監督上の問題、どういう処分をするかということについては引き続き主務官庁がその責任を持っていると、こういうことであろうかと思います。
  195. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 いや、それはもう分かっているんですよね、この法律はそうなっているんですから。その際に、結局は、金融庁に対して主務官庁である財務省が相談すると、実際今度は、ここで村田大臣おっしゃっているように、「政府関係金融機関の政策遂行に応じて、」ということで、それをやる上では、どうなんだろうか、この検査結果ではこうなっておる、こういうところには貸しちゃいけないんだよねと、こうなっていくんでしょう、どんどんどんどん。
  196. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 金融庁はそんな偉くないんでございます。  どういうことかと申しますと、検査そのものも、相手の委任に基づいて初めて奉仕をさせていただくと、こういうことでございまして、監督上のことはやはりそれぞれの主務官庁がその責任においてなさるということでございます。  じゃ、何でその検査をするんだということでございますけれども、やはりそれは私は、そう言うと尾崎総裁はちょっと御不満かもしれませんけれども政策金融ということで本来民間が出られないようなところに貸すんだということになれば、債務者区分だって下位の区分のウエートが大きくなる、そういうことがはっきりなるということ、そのことが私は大事だと思っておりまして、それを肯定する否定するという問題は国策、政策の問題でございます。  どの程度であればそれはコストとして、政策コストとして負担するべき問題だ、あるいは尾崎総裁のところが非常に民間金融機関よりも、通常の場合ですよ、また今と比べているとまたいろいろ差し障りがあるかもしれませんが、通常の民間金融機関債務者区分の構成よりも非常に上位になってしまっているということでは、悪いところに貸さないでいいところばかり貸しているからそういうことになるんじゃないかというようなことがあって、もっと社会政策的な貸付け方針を徹底しろというようなことがこういうところで御議論されると。そういうことのためにその素材が透明性を持って提供されるということでございますので、私は、非常に国策の遂行上私は積極的に評価すべきことになろうと、このように考えているわけです。
  197. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 終わりますが……
  198. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 簡潔にお願いします。
  199. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 今の、ちょっと柳澤さん、詭弁ですよ。そんなことなりっこないでしょうが、実際上の基準で。公庫が受けているお客さんの方が民間金融機関が受けているお客さんよりももっと債務区分すれば上になる、そんなことあり得ないわけです。そんなことやっていたとしたら、正に政策が間違っているということになりますよ。そんなことあり得ないわけですよ。だから、あり得ないことをそんなおっしゃっちゃいけないということを申し上げておきたいと思いますね。  それから、もう一つ最後に、これどうしても申し上げておきたいのは、条件緩和債権、先ほど民間金融機関のことで言いました。この条件緩和債権、これについては政策金融機関、これは民間と同じような形で考えちゃいけないと。  恐らく尾崎総裁は、幾つかの文書で読ましていただいて、そういうことを言っておられるのを私知っていますけれども、実際それを進めていく上で、窓口で、これは同じ国金の支店でも、いわゆる不良債権を多く持っている支店、そうでない支店ということで、覚えめでたいところとめでたくないところと、本来ならば多く持っている方が覚えめでたくなるはずだけれども、そうじゃないですよ、やっぱり。それは多いところは覚えめでたくない。そうなってくると、その条件緩和債権考え方がやっぱりシビアになって、シビアって、要するに民間に近い方向に行くおそれがあるんですね。そういうことがないというふうに尾崎総裁が言っておられるけれども、やっぱり本当に政策金融機関としての役割、民間金融機関の条件緩和債権考え方とは違うんだよということをはっきりさせてやっていただきたいと思います。  できれば一言だけその決意を尾崎総裁から伺いたいと思いますが、よろしくお願いします。
  200. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 時間が参っております。  平野達男君。
  201. 平野達男

    ○平野達男君 よろしいんでしょうか、答弁は。いいんですね。はい。私が池田委員の答弁するわけにまいりませんので。  国会改革連絡会の平野達男でございます。  私は、今回の金融検査と関連すると思いますけれども、主に政府金融機関の財源問題について質問したいと思います。  御承知のように、今まで特殊法人政府金融機関も含む特殊法人につきましては、二〇〇一年の三月までは主に財政投融資資金を利用していたと。四月にこれを廃止しまして、預託制度を全面廃止ということでこれが廃止になりました。代わって出てきたのがいわゆる財投機関債、そして財投債であります。財投機関債は、御承知のように特殊法人が発行する個別債券、財投債については、これは国が発行する一種の国債というふうに私は理解しておりますが、このような理解でよろしいですね。  そこで、この財投機関債の発行の意味、これは、市場評価を得るんだとかいろんなことが言われていますけれども財投機関債を個別の機関に認めて財源調達をする仕組み、これを導入した背景を、簡潔で結構でございますから、御説明願えるでしょうか。
  202. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) お答え申し上げます。  財投機関債は、御指摘のように財投改革の中で論ぜられたものでございますが、基本的には、財政融資という制度市場原理をどういうふうに調和させるか、そのことによって特殊法人等の改革、効率化をどういうふうに促進するかという観点から議論をされたものでございまして、財政融資対象機関でございます特殊法人等、すなわち財投機関がまず市場原理にのっとった資金調達を行うように努力するということを第一義にするということでございまして、財投機関債の性格は、民間金融機関において個別に、政府保証なしに公募で発行する債券ということでございます。
  203. 平野達男

    ○平野達男君 先日、財務省の方にいろいろお伺いしましたら、財投機関債の発行というのは余り支障がなく消化というのはされているんだというようなお話がございましたけれども、これはそのような状況だというふうに理解してよろしいでしょうか。
  204. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) 財投機関債平成十三年度から発行されるようになりまして、発行するに至りますまでには、例えば、格付会社から格付を取得するとか、市場において債券を発行、ボンドの意味の債券でございますが、債券を発行するために必要なディスクロージャーを行う、また投資家に対するIR活動を行うといったようなことが必要になりますが、十三年度の前半はまだなかなかそういう準備ができておりませんが、後半から徐々に発行をされるというふうになってきておりまして、十四年度に入りましてからも大体事務が順調に進んでいると認識しております。
  205. 平野達男

    ○平野達男君 片方で、政府金融機関見直しをしますよということで、その存続の是非が問われている中で財投機関債が正当に評価されているというのは、これは民間の感覚からするとちょっとおかしいんじゃないかと。  だから、今、格付の話がございましたけれども政府保証がある、利子補給も受けられる、実はこれは、こういう政府金融機関は財投債、財投機関債以外に一般会計からの出資、補給金も受けられます。そういったいわゆるげたを履かせられているような機関が正当に格付がされているのかどうかというのは、ちょっとそこに一つの疑問があります。  更に話をちょっと進めて、その格付がされるという話なんですが、この格付というのは言うまでもなく債務履行能力を評価するわけですが、これが例えば、市場評価というのは実際において政府金融機関のいろんな政策をやるときにどのように活用されるんでしょうか。  これは、例えば政府系の格付が低いときには、民間会社でいきますと、社債を発行しますとスプレッドが高くなって資金調達コストが非常に増してまいります。しかし、この政府金融機関につきましては、仮に格付が低くなったとしても、後でちょっと触れますけれども財投機関債を発行しなくても財投債という逃げ道がある。それがまず一つあります。  そういった意味で、それからあとは、もし仮に財投機関債の中で資金調達コストが高くなれば、実は、これ政府金融ですから、相手方に貸すときに貸出し条件が非常に厳しくなります。それじゃ困りますから、一般会計の出資もできる、補給もできる。そうすると、この格付自体がどういう意味を持ってくるのかという、これは財投機関債の発行とのセットになってきますけれども、これはどういうふうな考え方で整理されるんでしょうか。
  206. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) 格付会社の格付考え方というのは発表されておりますけれども、基本的にはそれぞれの財投機関財務内容をよく調べるということが一つ。それから、その個々の財投機関業務に対する、政府がそれにどの程度の支援を与えようとしているかという姿勢、業務の公共性といいますか、そういったものを総合的に勘案をして格付をしているというふうに思っておりますが、具体的な財投機関債の発行に当たりましては、確かに御指摘のように、特殊法人改革の中で廃止等が指摘されている機関につきましてはスプレッドが非常に大きくなっているという実態はございます。
  207. 平野達男

    ○平野達男君 ちょっと私の質問にダイレクトに答えていただけなかったと思うんですが、ちょっと話の矛先を変えまして、今、金融検査をやりまして、ちょっと柳澤大臣、私、質問の通告申し上げておりませんでしたから席を外されたんですが、例えば金融検査をやりまして、いわゆる要管理先以下の債権がどっと増えましたということになりますと、その銀行は非常に危ないということになりまして、その中で、いろんな銀行の経営努力をしなくちゃならないというような状況が出てまいります。  先ほど柳澤大臣が言われましたように、ところが政府金融機関は、この金融検査をやったときに、実は破綻懸念先とか要管理先の債権がどんと増えたら、要するに本来の目的を達していないじゃないか、貸出し条件をもっと緩めるべきじゃないか、あるいは利子補給をもっとやるべきじゃないかというような方向にも動く可能性があるわけですね。  そういった中で、そういった要するにいろんな、幾つかの政府金融機関というのは民間金融機関と随分違った位置付けがされているわけでありますけれども、先ほど寺澤局長の言われた、市場格付を勘案していろいろと政策に反映させるんですよということが、具体的にどういう考え方でどういう筋道でやるのかということがちょっと分からないなということなんですが、どうでしょうか。
  208. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) お尋ねの点は、政府金融機関がどういう格付を得ているかということは、先ほどお答えしたような観点から格付を得ているわけですが、では、具体的にそれぞれの政府系の金融機関財投機関債を発行する場合に市場においてそれがどうなっているかということは、区々でございます。それぞれの機関に応じて違ってくると。  今、先生御指摘の、仮に財務内容が悪くなってした場合にどうなるかということは、恐らくまず格付に反映をしてくるのであろうと。格付に反映をしてきてダウングレードになって、それがまた金利に反映されるというような形になっていくんではないかなというふうに考えます。
  209. 平野達男

    ○平野達男君 要は、こういった格付機関も、格付されたとしても、政府金融機関の場合は結局は、格付もそうですけれども金融検査をやったとしても、結局は、民間金融機関の場合については、格付が非常に厳しくなれば、いろいろ中の要するに業務内容を見直す、あるいは貸付条件を非常に厳しくするといった方向で、ベクトルで働くんですけれども政府金融機関の場合はどっちへ行くか分からない。要するに、片方では、もうちょっと貸付条件を厳しくしなさいという、国費の節約の面からいえばそちらの方向で働くかもしれませんが、政策金融という目的が働けば、もっともっと要するにいい条件で貸しなさいというような方向のベクトルが出てくる。  こういった融通無碍の世界の中であって、融通無碍という言葉の表現が適当かどうか分かりませんが、今回の格付の活用の方法、政策金融金融検査意味というのがちょっと非常にぼけているなという感じがするので、そこの考え方を今お聞きしているわけであります。
  210. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) それは今回のこの法案の一番問題のところだと私は思いますね。  それで、一番最初に説明いたしましたように、政府金融機関リスク管理とそれから業務管理とございますね。そこで、このリスク管理の面について、これは今まで野方図になっておったということなんですね。  それで、この法案にございますように、金融庁で一回検査をして、その結果を総理大臣に上げるわけですね。そうすると、総理大臣は直ちにその金融機関に対して物を申すということになってまいりますね。そうしますと、その段階で、要するにその政府金融機関をどの評価するかという、ここの政策の判断、これが一番の私はねらいどころだと思っております。  おっしゃるように、補給金をするとかあるいは出資を厚くして金利を下げるとかいろいろございましょうが、そこで主務大臣そのものが判断いたしまして、政策的な配慮とそれからリスク管理の配慮と両方持って、その政府金融機関の存続なりあるいは特化の政策なりというものは政府自ら考えていくということであって、ですから、民間金融機関検査しておるという態度、金融庁の態度というものと、政府金融機関検査をしておるということとの、若干のそこには検査の重点の置き方が違うということを御承知いただいたらと思うんです。
  211. 平野達男

    ○平野達男君 まだちょっとすとんと落ちないところがありますけれども財務大臣の御答弁で何か概要は何となく分かったような気がしましたので、次のちょっと質問に移らせていただきますけれども。  財投機関債を発行して調達できない残りの部分については財投債を発行して、これは財政融資資金という形で特別会計を作ってそこから融資しますよという仕組みになっていますが、この制度を発起したときに宮澤大臣は、宮澤当時の大蔵大臣は、将来の国民負担を推計した政策のコスト分析に基づいて、財投機関債で発行できなかった残りの分のやつを要するに融資しましょうというふうに答えています。ここで政策のコスト、政策コスト分析というのは、午前中で竹中大臣がやった政策コスト分析とはちょっと概念が違っていまして、竹中大臣は広い意味で政策コスト分析と言われたと思いますが、これはあくまでも財政投融資機関が行っているところの政策コスト分析という意味なんですが、といった意味で答弁されていますけれども、今実際この政策コスト分析、確かにいろんな、こういった本の中に三十年間の分析がされて数字が出されていますけれども、当時の大蔵大臣が言われた政策コスト分析等を勘案して、基づき財政融資資金融資しますというのは、具体的にどういう形で行われているんでしょうか。
  212. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) お答えいたします。  財政融資という制度は、金融手法で財政活動を行うといいますか、財政政策を行うということでございまして、有償資金政策金融機関融資するわけですが、その場合に二つございまして、有償資金のみで行われる部分と、有償資金と租税財源を元にした政府の何らかの形の助成、補助金、補給金、出資金といったものと組み合わせて行うものがございます。  よく誤解されるんですが、財投機関に対して財政融資をしながら、一方で補助金が入っているとこれは赤字ファイナンスではないかというふうに見られるんですが、実はそうではなくて、政策的に金利を低くするために租税財源と有償資金を組み合わせてやっている場合がある。そういった補給金とか出資金とかいうものの政策コストを計るものが政策コスト分析でございます。  先ほどの御質問にありましたことは、財投機関債調達をする、それでも足りないものは財投債で調達した資金を有償資金として出すわけですが、出すときに、その政策がどういった政策コストと組み合わされているか、それが償還確実性があるかといったようなことは、政策コスト分析を長期間にわたってやってみますと資金フローが分かりますので、これは有償資金を使ってやっても大丈夫だと、償還確実性があるというようなことが分かるわけで、政策コスト分析をそういった部門に活用しながら財投の審査を行っているということでございます。
  213. 平野達男

    ○平野達男君 当然のことながら、一つ金融機関があって、財投機関債を全く発行しないところと、財投機関債に頼っている金融機関と、それから財投債、いわゆる財政融資資金に一〇〇%依存する金融機関では政策コストに、前者は理論上は一応ゼロ、ゼロといいますか非常に低い、後者はやっぱり、失礼、逆かな、そうですね、逆ですね、逆になりますね。そういった要するに財投機関債資金、高いコストで調達したところについては政策コストが高くなるという、そういったことになりますが、ちょっと違いますか、概念がちょっと違いますか。ちょっとごめんなさい、どうぞ。
  214. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) 高い資金調達をすると政策コストが高くなるということではなくて、例えば、高い資金調達をした機関がその高い資金で貸付けをしていれば、それはそれで成り立つわけですね。その場合には何ら政策コストは要らないわけです。低い資金調達をしても、その低い資金調達より高く貸せば、それは政策コストはマイナスになってきてもうかってくるということになるわけですね。ですから、高い低いということではなくて、政策金融機関がどういう末端の金利を設定するかということと調達金利との格差を、バランスを補給金なり出資金で埋めている、その補給金や出資金のコストを政策コストと言っています。
  215. 平野達男

    ○平野達男君 そうしますと、政策コストがこの発表されている資料を見ますと何千億というような金融機関、あるいは非常に低い金融機関がありますけれども、この高い金融機関と低い金融機関というのはどのように見ればいいということになりますか。
  216. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) お答えいたします。  正に、特定の政策金融機関にこれぐらいの政策コストを使って事業を行っていることが、そのコストとベネフィットとの関係で意味があるかないかを比較をしてもらう参考に政策コスト分析は活用できるのではないかと。つまり、どんなに政策コストが掛かっても、例えば貸し渋り対策としてこういうことはやらなきゃいけないというふうにお認めいただけるんであれば、この政策コストはコストとして当然認められるものであるというような御判断をいただく参考になるものと存じます。
  217. 平野達男

    ○平野達男君 そうすると、先ほどの一番最初の質問に戻りますけれども、財政融資資金融資する場合に、政策コストというのは、政策コストを見ながらその融資枠を決めますよという答弁というのは、実際上は行われていないということですか。
  218. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) お答えいたします。  財政融資資金融資する際の事業内容が、例えば極端に低い金利で行われるという場合に政策コストが非常に高いということがあるといたしましたときに、それだけの政策コストを掛けてこの事業を行うことが適切かどうかという議論の際に政策コスト分析を活用しているということでございます。
  219. 平野達男

    ○平野達男君 ですから私は、その議論の過程、どういった要するに考え方でやっているかをお聞きしているわけです。考え方は分かりましたから。
  220. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 平野さんね、計画経済のときの頭が残っているからですよ。  そうじゃございませんで、これからは、暫定期間はありますよ、それは経過期間がありますから。これからは、数年後には非常に金融の実態が変わってくると思いますし、特に長期金融在り方というものは直接金融に移行していくだろうと思いますし、そうしますと、そういう政策金融機関在り方も変わってくると思います。  ですから、逆に言って、そういう政策コストをどこで見るかということのいわゆるグローバルな政策コストを決めて、各政策金融機関が、それぞれの政策金融機関がそのときの年度に応じて随時適用していく、そういうマネジメントを当然任せていかなければ経営できないような状況になっていくんじゃないかと。年次計画でこれだけ融資しろという、そういう状況では私はなくなってくると思っておりますが、そのためにも、そういう審査機関というか、そういうような行政コストを正確に計り、そしてその審査を得て随時コストを調整していくという、そういう手段を取らざるを得ないんじゃないかなと、こういうように私は今思っておるんですが。
  221. 平野達男

    ○平野達男君 私は、今回いろんな、二〇〇一年の、今回じゃなくて、財投の改革以降いろんなことをやられましたけれども、例えば政策コストを導入したと、あるいは財務諸表を公表したと、これは非常に大きなステップだと思っています。  ただ、この政策コストがじゃ一体何に使われているのかというのが私よく分からないんです。それからあと、財投機関債をやるときに格付によって評価しますよと言っていますが、その評価が実際の政策の中にどのように反映されているかというのもよく分からないということで、ちょっと御質問をさせてもらったわけでありますけれども、ちょっと時間がなくなってまいりましたから、そういった点も含めまして、点も含めるかどうか分かりませんが、ちょっと次の質問に移らせていただきますけれども。  内閣府に御質問いたしますけれども、この特殊法人等整理合理化計画の中に、各金融機関政策金融については評価手法を確立しというふうに書いてあります。これは、政策金融についての評価手法というのは具体的にどういうイメージで取られておられるでしょうか。
  222. 浜野潤

    政府参考人浜野潤君) お答えいたします。  今、御質問がございました政策金融に関する評価手法につきましては、御指摘のように特殊法人等の整理合理化計画に書かれているわけでございますけれども、具体的には各政策金融機関の所管省において現在検討をされているというのが今の現状でございます。
  223. 平野達男

    ○平野達男君 これは各金融機関に任せるという、任せてあるという、こういう考え方ですね。違いますか。いや、いいです。分かりました。  それで、財務大臣は、この政策金融についての評価ということについてどのようなことを期待されておるでしょうか。もしお考えがあれば。
  224. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私は、今までの高度経済成長、そして国民の経済のベースをこれに合わせてまいりましたとき、この状態政策金融機関とそれから今後の政策金融機関とは根本的に違ってくると私は思っております。  そういうことを考えるその根本、どこが変わってくるかといったら、どうしても変動金利金利の変動制を、変動金利制と言うんですか、どない言うんですかね、金利の変動制を導入せざるを得なくなってくると。そうしますと、政策金融機関がやってまいりました要するに金利の重みによってやるということじゃなくして、貸付けの長短がこれからの政策金融の一番重要なポイントになってくるんじゃないかなと思いまして、その意味からいって、私は、行政評価というものが、そういう利用度、民間金融、いや、企業なり民間事業が利用度の多寡に応じて判定されていくということ、私は、今までのように政府が計画的に資金配分してこれだけの事業をやれというものとは根本的に変わってくると思います。
  225. 平野達男

    ○平野達男君 この政策金融機関についての評価の中に、要するに政策金融としての必要性というのは、結論というのはこのままでは出てこないでしょうか。
  226. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) それはやはり必要性はあると思います。  ですから、行政改革の中で、現在のこの政策金融機関在り方を変えようということは、これは議論されておりますし、けれども全く政策金融が必要ではないということは申しておらないわけでございますから、その意味においてそれじゃどういうところに必要なのかといったら、政策的に特化されたものに対する政府金融的責任を果たさなきゃならぬと、そういうことのためにもやっぱり必要性は認めざるを得ないと私は思いますが。
  227. 平野達男

    ○平野達男君 ちょっともう時間がなくなりまして、もうちょっとこの辺については議論したかったんですが、いずれ、塩川財務大臣は、真に政策金融として必要なものに特化していくんだと、これからの見直しの中で、結論は一年以内に出しますよということで方向が打ち出されていますけれども、その方向性の中でこの政策金融についての評価手法、これも併せて各金融機関がこの一年間の中でやるべきじゃないかということをちょっと言いたかったんです。  もし時間があれば、本当は政策手法の中で三つぐらいのステップをちょっと考えていたんですが、今日はちょっと時間がありませんので後日に譲りたいと思いますけれども、残念ですけれども、やめます。
  228. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) その意見を是非聞かしていただいたら結構だと思います。
  229. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 最後になりますけれども、国会も会期が残すところあと一か月という、一か月もないというような時期になっておりますけれども、私は、政治家としても大変偉大な、存在感のあります塩川財務大臣、あるいは内閣のかなめとして御活躍でございます塩川財務大臣に少しお聞きをしておきたいと思うことがございます。法案の審議に入る前に、大変申し訳ありませんけれども、お答えをいただきたいと思います。  四月二十八日になりますけれども、新潟県では、私の地元なんですけれども、参議院の補欠選挙が行われました。小泉政権が発足をしてちょうど一年目を迎えまして、四月二十六日がたしか一年目だったと思うのですけれども、そこをとらえまして、私どもは、地元でございますので、選挙戦に当たりまして、小泉構造改革の真価について問う選挙であるということを県民に訴えました。そして、折から国会では、鈴木宗男さんや加藤紘一さんやあるいは井上裕参議院前議長の疑惑事件、あるいはまた秘書給与に関する様々な党の疑惑事件等々が起こっておりまして、非常に国民の中には政治不信が充満をしておったというふうに思うわけでございます。  政治家が信頼をされないというのは非常に情けない事態だなと、私も選挙区を回りながら自ら自身もそういうふうに、有権者の皆さんはそうした政治家の一人であるというふうに見ているのかなというふうな思いを何度か、幾度かの場面でしてきたという状況がございます。  その選挙戦で私たちは、こうした疑惑がある国会、政治状況において国会で審議すること自体に国民は不満を持っているし、信頼をしていないということを強く感じたわけですね。そして、小泉構造改革についても、新潟県民は全国民を代表してノーという審判を下したと私は思っています。  選挙結果について、和歌山県の選挙区と一対一で一勝一敗だと小泉さんはおっしゃいました、選挙が終わった直後に。御答弁でそういうふうにおっしゃいましたけれども、私は、和歌山の選挙区の場合は自民党同士の戦いであったというふうに思っておりますので、ここでの一勝と新潟での一敗というのは随分と違うんだろうと、こういうふうに私は思っていますけれども、その後、総理あるいは内閣の人たちの発言を聞いても、審議の過程を聞いても、その選挙結果を受けての御判断をした議論というのが全くなされていない。構造改革そのものが有権者から否定をされているんだという、そこのところも一切無視をされて議論が進められてきている。  そしてさらに、国会では有事法制というような、今、時代錯誤とも言われるべき法律が出されてきておりまして、(発言する者あり)いや、私はそうだと思うんですよ。五〇年代に作られていた法案が今の時代にマッチをした有事法制だとは思わないわけですけれども、そのことが今真剣に議論をされていて、今日のこの委員会の中で議論をされている不景気だとか、あるいは中小企業がもう毎年、毎日毎日倒産をしていってどうにもならないというような状況があるにもかかわらず、非常に今の社会状況、国民が望んでいる国会のありようとは全く違うところで展開をしてきているということが本当に残念に思われてならないわけなんですね。  そして、この会期末を迎えて、更に国民の中には、鈴木宗男さんもまだ辞職をしないという状況もありますけれども、政治家不信というのは更に募っておって、本当に有権者が何を考えているのかというのを国会の中の議員というのは分かっているんだろうかという声がもう私の周辺の市民の中からは沸き上がっている。  そういう状況の中で、これ以上会期など延長してむやみやたらに法律を作ってみたところで、それはもう政治の信頼を回復するなんということには全く私はつながっていかないというふうに思うんですね。ですから、こういう状況の中であるならば、会期が来た六月十九日という会期末を迎えたならば、どんなに法律が残っておっても、それはまた継続にしてしっかりと落ち着いて審議をすればいい。有権者から本当に、有権者の考え方を自ら国会議員が地元に帰って、有権者の代表として選ばれている国会議員が、国民が考えていることを納得して国会にもう一回戻ってきて、仕切り直しをして審議をすべき問題だろうと思っています。  ですので、会期延長などもささやかれていますけれども、私は、審議され残している法案があったとしても、そこは継続にして、会期延長などするべきでないというふうに思っています。国民から信頼を得られない国会でどんなに審議をしても、どんないい法律を作っても、それは本当に信頼されないというふうに思っておりますけれども、そうした問題について、私は選挙戦を実際に戦ってきて本当に骨身に感じました、それは。  そのことを踏まえて、でも、そのことを言う場面も全くない中でこの一か月が過ぎてきておりましたので、今日はこの機会をとらえて、塩川財務大臣に大先輩としての御意見を聞かせていただきたいというふうに思うのですけれども
  230. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 大渕さんは確かに、平成の初期に補選で出られて、私、夜中、汽車の中で一緒になりましたですね。随分と苦労をしてやった選挙で、私もよく覚えております。  そのときの初心忘れるべからず、いまだに悲憤慷慨しておられることは私よく分かるんですが、私のような陣がさ大臣にそんな大きい質問をされてもどうも答えようがないんですけれども、しかし、まあこれは、国会の会期延長するどうのこうのということ、これは国会がお決めになることでありますから、是非ひとつ国会で審議を終了すると、政府が出したものに対して一応イエス、ノーを明確にして審議を終了していただくということを国会自身の努力で是非お願いいたしたいと思っております。  私たちかて、何も国会を延長してまでいつまでも長くだらだらとやっていくと、そんなことは思っておりません。効率的にやっていきたいと思っております。しかし、国会というものはやっぱり議案を出した以上は成立させてもらいたいということで、かつて、平成五年であったかなと思いますが、五年から六年に掛けまして細川内閣が政権担当いたしました。これは皆さん方が尊敬しておられる細川内閣でございましたが、それも政治改革を実現するために何遍となく国会を延長してでもやっていって、最終的に党首会談の状態を得て成立させたといういきさつがございまして、政治というものはそういう、何といいましょうか、教科書どおりになかなかいかないというところが非常に難しいところでございます。  とはいっても、私は最近、私は四十二年に初当選したのでございますが、その当時から見ましたら政界の自覚というものは非常に進んでおると思っております。ですから、これからますます政界が自粛されていくであろうということを期待しておりますので、どうぞ御勘弁いただきたいと思います。
  231. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 いえ、それはもう内閣の大変重鎮でいらっしゃいますので、小泉さんが独走をなさろうとすることに対して歯止めを掛けられるとすれば塩川大臣以外には私はおらないというふうに思っておりまして、今日はあえて選びまして質問をさせていただいておりますので、閣議等々で恐らく話題になってくるだろうと思いますけれども、こんな考えをしている者もいるということを頭の隅に置いておいていただけたらというふうに思います。ありがとうございました。  それでは、法案の方の審議に入りますけれども、大変今日はいろいろな角度から審議が進んできておりまして、もう重なる部分ばかりでございまして申し訳なく思っていますけれども、まず財務大臣に、この法案の提案理由説明の中で、「政策金融機関につきましては、その財務健全性及び透明性の確保の要請が高まっており、リスク管理を一層適切に行う必要がある」と、そのために法案を作るというふうに言われていましたけれども、この健全性透明性の確保の要請というのはどこから高まってきているのか、リスク管理を一層適切に行う必要があるというような、そういう声はどういうところから具体的に起こってきているのかというところを少し詳しく教えていただきたいというふうに思います。
  232. 尾辻秀久

    ○副大臣尾辻秀久君) まず御理解いただきたいと思いますけれども、今何か深刻な問題がある、あるいはそういう事態であるからこの法律改正をお願いしているということではございません。絶えずより良い方向に向かって進まなきゃいけない、その流れの中だということでございます。  したがいまして、今のどこの要請かというふうにお聞きになりますと、言うならば時代の要請ですというようなお答えをせざるを得ない。だれがどう言ったからというような話ではない。大きな流れの中、時代の要請とでもいいますか、そういうものの中でより良い方向を目指すためにこの法律改正をお願いしている、こういうことでございます。
  233. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 金融業界の強い要請ということではないのですか。例えば、住宅金融公庫などが廃止をされるような流れを見ても、今まで担ってきた、政策金融が担ってきた部分を銀行あるいは民間金融業界が担えるようになったからこちらによこしなさいというような状況があるというふうにも思いますけれども。しかし、国民側、借りる側からすれば、住宅、自分の住宅を確保するのに、国が行っている住宅金融公庫で安心した資金を借りて自分の家を建てるというのは、これは最も安心した調達の方法であって、今後も続けてほしいなと思う人たちもたくさんあるんだろうけれども、その住宅を担保に金を貸すというのは最も安定した融資になるわけですね。そうしますと、それは銀行側もおいしい貸付けということになるわけで、ここのシェアを広げたいと思うのはごく当たり前のことでございまして、そういう要請が高まってきているのかなとも思ったわけですけれども、そこはちょっと言うだけ言わせていただきます。  そして、民間で担えない分野への政策目的を達成するために、あるいは民業を補完するために政策金融があるということですよね。そうすると、この検査金融庁にゆだねられることによって、貸し渋りのことはもうずっと今議論になってきていて重ねてなんですけれども、そうはならないということを答えていただきたいんですけれども、財政による債務保証をできるだけ抑えようとすると、政府金融機関も金を貸し渋るというようなことになるのではないかと、こういう懸念があります。  柳澤金融担当大臣は、検査と管理の分野とは違うんだと、そして貸す方の問題は主務省庁の方にゆだねられているんだと、だから心配ないというふうにおっしゃるわけですけれども財務省も、貸し渋りというようなことに対しては、資金を出していくという観点からも、さっき塩川財務大臣からも心配ないんだと、不足があれば出すんだというふうにおっしゃってくださったので問題ないと思いますけれども、私からも、その貸し渋りにはならないというところをきちっと答弁をしておいていただきたいと思います。
  234. 尾辻秀久

    ○副大臣尾辻秀久君) 今お話しなりましたけれども、一言で言いますと、今度の金融庁検査導入機関の貸し渋りにつながることはない、このように私ども考えております。  三点ほど申し上げておきたいと思います。  まず一点ですけれども政策金融機関は、償却・引き当てにつきましては民間金融機関とは異なる基準が適用されておりまして、このところよく話題になりますところの自己資本比率規制も課せられておりません。今申し上げておりますのは、そうした意味民間金融機関政策金融機関は違うということをまず一点申し上げたわけでございます。  それからまた、これはもう午前中以来の御議論の中で再三触れられておりますけれども金融庁検査はしますけれども、主務官庁は、そして主務大臣はあくまでも別でございますから、そして、その主務大臣、主務官庁が責任を持って監督をする、こういうことでございますので、民間の場合ですと、金融庁検査をして、そしてまた何かあると更にその是正を指摘できる、こうしなさいとかというようなことが言えますが、これは政策金融機関との間にそういうことは行われない。先ほどの村田大臣の御答弁の件もありましたけれども、そして、改めて確認させていただきましたけれども、そういうことだということをまず二点目に申し上げたわけでございます。  そして、先ほどのお話にありましたけれどもお話がありましたというよりも、御質問の途中でお触れになりましたので申し上げたいと思いましたけれども、最後に申し上げておきたいことは、私ども主務官庁は、主務官庁の誇りを持って、責任を持ってきっちりと今日の状況に役割を担っていく、このことだけは申し上げておきたいと思います。
  235. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 柳澤金融担当大臣にお伺いをいたしますけれども柳澤担当大臣は、小泉さんは民間でできることはできるだけ民間にゆだねていくというこの大原則で行っていると、自分もそのことに異はないけれども政策金融在り方については中長期的視点から周到に議論すべき重要なテーマであると認識しているというふうに御答弁をなさっています。  柳澤大臣考えておられる周到な議論、周到に議論すべきその内容ということについて少し詳しく私に教えていただけませんでしょうか。
  236. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 私は、せんだっての本会議での御質問に、今、大渕委員の御指摘になられたような表現で御答弁をさせていただきました。  まず、周到の前に中長期的視点と申しましたのは、現在のような経済の転換点と申しましょうか、あるいはちょっと日本経済が変調を来している時期に、政策金融いかにあるべきか、政策金融機関いかにあるべきかということで結論付けるというのはやはりタイミングとしておかしいだろうと、こう思っております。現在はやっぱり異例な時期でございまして、もう少し平常な時期になったときにどういうふうに考えるべきかということを論議すべきだろうと、こう思っているわけです。  周到に、中長期的視点から周到にというのは、まず恐らく日本経済、構造改革というか、大きな変革を遂げていくだろうと思うんですが、そのときに、政府が行うべき政策というのはどうなるんだろうか。すごくまだたくさん政策をやらなくちゃならない時代が続くのか、あるいはもう政策というのは全体として非常に補完的な位置付けになるのかというような問題がまず根本にあると思うんです。  それから、今度は政策の手段にしても、そのときの政策の有様として、私ども、従来から税制があります。ある政策を遂行しようというときに、税制でそれをやるのか、あるいは補助金でやるのか、あるいは金融でやるのか、あるいは規制でやるのか、ルール、法律でもって一定の方向付けをしていってそれに反する者を取り締まるという形で一定の方向付けしていくのか。そういう個別の政策についても、四つぐらいの政策手段というものを持っていると思うんです。そういう政策手段の中から政策金融というのが選ばれる条件というのは一体何なんだということがございます。  国内の議論をするといろいろ違うんです。違う意見があり得るので、国外の議論で言うと、例えば援助というものについても、贈与でやるべきなのか融資でやるべきなのか、どっちが本当に相手国の経済発展に資するであろうかというような議論がしょっちゅうあるわけです。もらったものは、ただなんだからということで粗末に扱われちゃう。あるいは、融資だったら返さなきゃいけないということで、援助の対象になった施設等を有効に使おうとする。援助の場合、融資の方がいいんじゃないかというような議論もあり得るわけです。恩典としてはもらう方がいいに決まっていますけれども、後々のことを考えると融資の方がいい。  そういういろいろな側面がありまして、一体、じゃ融資金融という、政策的にバックアップされた金融という手段でやるべきなのは一体どういう分野なのだろうかというようなことも、やっぱり本当に基本からみんなで論議をすべきことであろうと、こう思うんです。  そうすると、その次に、どういう分野、どういう業務金融で担当するんだと。そうすると、その担当する金融機関というのはどういう組織がいいんだということもまた出てくるだろうと思うんです。  ですから、これから恐らく日本が大転換期で、例えば地方分権が非常に進むというようなことを一つの国家の有様として決めたときに、一体我々は、政策金融機関というのを根本からもう一回論議したら一体どうなるんだということを議論をしないと、現状を前提にしていろいろ、これとこれとを張り付けてというようなことだけではない議論をする時点がいつか来るんだろうと、こういうふうに思って、私は、そういうところから出てくる結論こそが中長期的に日本の政策金融在り方として永続的な、ある程度永続的なシステムとして構築されるんだろうと、こういうふうに頭の中で考えて申し上げたということでございます。
  237. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 その考え方は非常に大事だというふうに思っておりまして、何でもかんでも民営化すればいいという方向で進むのは、私、極めて危険だというふうに思っております。  最後に、私、お手紙をいただきましたの。サンデー毎日の五月十九日号なんですけれども融資の二十三億円を他人に付け替えて個人破産に追い込む銀行というような大きな見出しで記事が載りました。その被害に遭われた方の御子息さんと娘さんからお手紙をいただいたんですけれども、非常に迂回融資を銀行側から持ち掛けられて、それに応じて建設会社に融資をする、銀行が二十三億円も個人口座のAさんに振り込んで、そのAさんの口座に振り込まれた二十三億円がB社という建設会社に迂回融資をさせられていったということが九三年ごろに起こっているわけなんですけれども、こうしたことが金融検査では見抜くことができないのでしょうか。  銀行の金融検査というもので見抜くことができなかったのかどうかというところなんですが、個別のことでは恐らく答えられないというふうに思いますが、一つの、これはあさひ銀行の弘明寺支店というところなんですが、そして、銀行の支店の中でわずか一年間の間に個人の口座に二十三億円ものお金が無担保無保証で貸し付けられているというような事実というのを見付けることができないような銀行検査というのは一体何なんだろうと私は思うんですけれども、これについてお答えいただけますでしょうか。
  238. 五味廣文

    政府参考人五味廣文君) 報道を所与のこととしてのお尋ねでございますけれども一般論でお答えさせていただきます。個別の取引についてのコメントは控えさせていただきます。  この報道を見ますと、迂回融資ということが問題になった事案のようでございますが、一般的に金融検査におきましては、債務者の資産査定を行います際には、真の債務者がだれであるかということはもちろん一番重要なことでございますので、直接の借入れ人が真の債務者であるのか、あるいはそこから迂回をして真の債務者は別のところで事業を行ってそこから返済原資が出てくるのかということは必ずチェックをいたします。  また、そうした迂回融資というようなことになるようなケースでありますれば、これも一般論でございますが、様々な行内の手続など内部管理はきちっとできていたのかどうか。さらに、訴訟、係争案件というようなことになっているものがある場合には、そうした係争の原因は何であり、それは銀行側の内部管理に問題があって起こったことであるのかどうかといったようなこと、こういったようなことを一般的に必ず検証することにしております。
  239. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 その検証が必ずなされておれば今回のような結末にはなっていかなかったのかなというふうに思うんですけれども、今も係争の状況になっていますので、私はそのお手紙もちゃんと質問を取りに来られた方にお渡しをしてありますので、読んでいただいて、もう一度きちっと洗い直していただけるようにお願いをしたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  240. 五味廣文

    政府参考人五味廣文君) 私の理解では、本件は既に裁判において銀行の勝訴の確定判決が出ているという理解でございます。  また、個別の案件について、特定の銀行における検査でこれをどのように取り上げるかということについては申し上げることはできません。
  241. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 だって、今さっきあなたは、そういうことがあれば必ず検査で見付かるとおっしゃったでしょう。ところが、見付からないでこうなっちゃったわけなんですよ。  そして、融資を受けたと言われるAさんは、銀行側から勧められて、この融資を窓口、迂回融資の窓口を受けることになったわけですね。その方もその銀行に十億円余りの預金を持っていて、そのことが今全部差し押さえられてもなおかつ足りないというふうに言われている状況にあるということで、非常に苦慮をなさっていらっしゃるんですね。本人はもう御病気で、裁判にもうまく証人として出ていくこともできない、あるいは自分で答えることもできないような状況にある中で進められているということで、非常にお気の毒な状況にあるというふうに思っております。  個別のことで私も委員会で言ってみても、絶対に答弁は得られないというふうに思っていますけれども、もう一度、そのあさひ銀行の銀行検査というのが本当に適正に行われていたのかどうか。その人の判こが、判こだけ押す書類、検査のために判こだけ押しておいてくれと、あとは署名やなんかはほかの方が皆していらっしゃるということですので、そこらからもきちっと検証していけばもっと明らかになることが一杯あるんじゃないかというふうに思うわけです。  是非もう一度再検討いただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。
  242. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 世の中には紛争はあるわけでございます。取引をめぐる紛争も非常に多く発生するということがございまして、それに対して国は、こんなことを大渕先生に申し上げるのは恐縮なんですが、やはり私的紛争というのは、その私的紛争を解決する手段として司法制度、民事の司法制度というのが整備されておりますので、そうした問題についてやはり司法の制度がしつらえられておりまして、そういうところで紛争が解決されるというのが国家の仕組みでございまして、それを金融担当大臣のような立場の者がこれをオーバーライドしてどうこうするということはやはりなかなかでき難いことであるというふうに申し上げざるを得ないと考えております。
  243. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 裁判で争われていて、判決がもう出ているんですけれども、破産宣告を銀行がしたために、最高裁に上告をしたくても、一千七百万ぐらい上告費用が掛かるそうなんですけれども、それが預金凍結されているために最高裁に上告できない状況になっているんですよね。ですので、正当な裁判も受けられない状況が今あるということ、これが五月二十九日までにそのことが解決しないと司法で救済することもできない状況にあるんですよ。  ですから、今私はあえてこの委員会で話を持ち出しているわけでございまして、非常に今の大臣の答弁では納得いかない。銀行のその検査が、金融検査さえちゃんとやられておったならば、こんなことは絶対に見抜けたはずだと私は思うんですよ。そこが見抜けないままにこんな状況になっているということ自体に対して、もう一度あさひ銀行なりに事情を聞くというようなことぐらいはなさってもいいのではないかというふうに思いますが、答弁はもう時間がないですのでしようがありませんですが、申し上げておきたいというふうに思います。  皆さんも是非委員の皆さんもこの記事を読んでいただいて、お手紙も多分議員の方たちのところにも来ていらっしゃると思いますので、御検討いただいて、それぞれの皆さんのお力で金融庁に働き掛けをしていただきますようにお願いを申し上げまして、終わります。  ありがとうございました。
  244. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  245. 大門実紀史

    大門実紀史君 私は、日本共産党を代表して、本法案に反対の討論を行います。  そもそも現行の金融庁検査、特に金融検査マニュアル中小企業の実態に合わない欠陥マニュアルであります。  こういう検査マニュアル国民生活金融公庫など中小零細企業向け融資を担う政府金融機関に持ち込むことは、現在、特殊法人改革の名の下に、業務の縮小、貸出し抑制が進められていることと併せ、中小企業融資を一層困難にする方向に働くことは明白です。  以上の理由から、本法案に反対を表明します。  以上です。
  246. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  政策金融機関に対する検査権限委任のための関係法律整備に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  247. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、円さんから発言を求められておりますので、これを許します。円より子さん。
  248. 円より子

    ○円より子君 私は、ただいま可決されました政策金融機関に対する検査権限委任のための関係法律整備に関する法律案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党、国会改革連絡会(自由党・無所属の会)及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     政策金融機関に対する検査権限委任のための関係法律整備に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。  一 民間金融機関に対しては依然としていわゆる貸し渋り問題等の批判があること等を踏まえ、政策金融機関にあっては、民間金融補完という本来の使命を果たすこと。  一 政策金融機関中小企業等に対する融資については、いたずらに貸し渋り等の批判を招くことにならないよう、金融庁による政策金融機関に対する検査の実施に当たっては、中小企業等の実態を踏まえ適正かつ的確に行い、一律的にならないよう留意するとともに、各主務省庁及び各政策金融機関においては、金融庁による検査の結果を踏まえた上で、政策金融の機能が的確に発揮されるよう努めること。  一 民間金融機関についても、中小企業等に対する資金供給の一層の円滑化を図ること。  一 各政策金融機関業務運営に当たっては、国民に対する説明責任の確保及び業務透明性の向上に努めること。  一 我が国金融システムにおける政策金融機関の位置付けやその民間金融補完機能の考え方を明確化した上で、政策金融機関在り方見直しを行うこと。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  249. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) ただいま円さんから提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  250. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 全会一致と認めます。よって、円さん提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、塩川財務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。塩川財務大臣
  251. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) ただいま決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。  ありがとうございました。
  252. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  253. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十八分散会