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2002-03-26 第154回国会 参議院 財政金融委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年三月二十六日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山下洲夫君     理 事                 入澤  肇君                 林  芳正君                 若林 正俊君                 円 より子君                 山本  保君     委 員                 上杉 光弘君                 尾辻 秀久君                 清水 達雄君                 中島 啓雄君                 溝手 顕正君                 山下 英利君                 大塚 耕平君                 勝木 健司君                 櫻井  充君                 峰崎 直樹君                 浜田卓二郎君                 池田 幹幸君                 大門実紀史君                 平野 達男君                 大渕 絹子君                 椎名 素夫君    国務大臣        財務大臣     塩川正十郎君        国務大臣        (金融担当大臣) 柳澤 伯夫君    副大臣        内閣府副大臣   村田 吉隆君        財務大臣    尾辻 秀久君    大臣政務官        総務大臣政務官  河野 太郎君        総務大臣政務官  滝   実君    事務局側        常任委員会専門        員        石田 祐幸君    政府参考人        内閣官房内閣参        事官       近藤 賢二君        内閣府政策統括        官        小平 信因君        内閣府政策統括        官        岩田 一政君        金融庁総務企画        局長       原口 恒和君        金融庁監督局長  高木 祥吉君        財務省主税局長  大武健一郎君        財務省理財局長  寺澤 辰麿君    参考人        日本銀行総裁   速水  優君        日本銀行理事   増渕  稔君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成十四年度における財政運営のための公債の  発行特例等に関する法律案内閣提出、衆議  院送付) ○租税特別措置法等の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成十四年度における財政運営のための公債発行特例等に関する法律案及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会内閣官房内閣参事官近藤賢二君、内閣府政策統括官平信因君、内閣府政策統括官岩田一政君、金融庁総務企画局長原口恒和君、金融庁監督局長高木祥吉君、財務省主税局長大武健一郎君及び財務省理財局長寺澤辰麿君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成十四年度における財政運営のための公債発行特例等に関する法律案及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会参考人として日本銀行総裁速水優君及び日本銀行理事増渕稔君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 平成十四年度における財政運営のための公債発行特例等に関する法律案及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  両案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 清水達雄

    清水達雄君 自民党清水達雄でございます。  今年になりまして、小泉総理は聖域なき税制改革をやるというふうなことでございまして、私、日本の国の中で今一番遅れているというか、近代的でないというか、ゆがみが多いのは税制ではないかというふうに思っております。大いに期待をしているわけでございまして、経済財政諮問委員会とか政府税調とか自民党税調とか、いろんな場があるわけですが、かなり抜本的な検討を行ってほしいというふうに思っているわけでございます。  塩川大臣は、大体六月ごろに大まかな方針みたいなのは出せるだろうというふうなことを伺っているわけでございますけれども、その内容方針というふうなものを、どんな内容のものになるのかをお伺いしたいと思います。
  8. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) まだこの内容については、まだ私たち詳細に議論しておりませんので申し上げることはできないと思うんですけれども、要するに考え方としての、基本的な考え方というのは、この二十九日、あさってでございましょうか、二十九日に経済財政諮問会議がございまして、そこで基本的な方針を再度議論しようということになっておるんです。それと同時に、近く政府税制調査会の方でも考え方を一応まとめようということでございますので、そこからスタートしてくると思っておりますが、しかし、今事前に議論されておりますことは、やはり経済活性化のために何か方向付けをしたいということは、これは一つ基本的にあります。  けれども、税は、もう申すまでもございませんが、公平にやっぱり課税するべきものであるというこの原則を踏み外してはいかぬということと、それからできるだけ簡素化しようと。最近、税制が複雑になり過ぎておると思うんです。だから簡素化していくということ、これをやっぱりベースにはしておりますけれども、しかし、更に配慮すべき重点としては、経済のいわゆる活性化、それと同時に、経済構造が変わってきておりますので、それに合うようなシステムに税制を誘導していくと、そういうことを考えていくべきだと、こういう方針であることは間違いないと思っております。
  9. 清水達雄

    清水達雄君 中身について、その考え方基本みたいなお話が今あったわけですが、その点については後からまたもうちょっと御質問をしたいと思いますけれども、取りあえずの問題として追加デフレ対策という話があるわけでございまして、この前の緊急的なデフレ対策というのは金融対策みたいなものに限られたということがありまして、あと残っているのが税制の問題とか規制緩和の問題ということが言われているわけですが、これとの関係は、その六月に出されることと追加デフレ対策とはどういう関係になるんでございましょうか。
  10. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 税制改正デフレ対策のいわゆる根幹であるという、こういう具合に解釈されたらちょっと誤解だと思っておりますが、先ほども言っていますように、税制改正を、やはり経済活性化の方には顔を向けるけれども、税制のみでもって経済デフレ対策しようと、そういう考えは持ってはおりません。したがって、デフレ対策というのも、まとめてこれがワンセットでデフレ対策でございますというものではなくて、デフレ対策に役立つものといいましょうか、その対策で適切なものは順次実行できるものから移していきたいという、そういう考えを持っておるところです。
  11. 清水達雄

    清水達雄君 そういたしますと、デフレ対策というのは緊急に、今、大臣がおっしゃったようにやっぱり必要であり、効き目があるものをやるということになると思うんですが、しかし、それだからといって、今後の日本税制の進むべき方向をやっぱりある程度にらんだ上でやるということにはなるんじゃないかなというように思うわけですね。ですから、税制という大きな器の中では、それはある程度部分的なものではあるかもしらぬけれども、そういうものであっても、緊急に当面、経済活性化デフレ対策のためにやるべきものは盛り込むというふうに考えてよろしいでしょうか。
  12. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 正にそのとおりであります。
  13. 清水達雄

    清水達雄君 それで、そうしますと、デフレ対策じゃなくて今後の税制改革としてまとめるのに、やはり今の日本経済状況からいいますと、こうすべきだというふうに思いましても、景気状況があるから今は実施できないから、もうちょっと景気状況を見ながら実施しようであるとか、それから、非常にやっぱり税の構造が、基本的に直していかなきゃならぬという面が相当あるような気がしまして、こういうものは一気に、なかなか一年や二年の税制改正で実現できないというふうなこともあろうかと思うんでございますけれども、そうしますと、今度のこれからやろうとする税の構造改革スパンといいますか、先を見るスパンは大体どの程度のところまで置いて考えていったらいいのか。これはいろんな分野の人が、税制の問題いろいろ考えるに当たってそういうことを知りたがっているわけですね。どの程度先を見て税制改正やろうと考えているのかなということなんでございますけれども、いかがでございましょうか。
  14. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) これはまだ、先ほど申しましたように正式な機関で議論をしておりませんので、私からはおこがましくて言えないと思いますけれども、私自身として考えておりますのは、やっぱりこの際に根本的に負担給付というものをここはしっかりとひとつ議論しておいてもらわぬと、将来において国の財政あるいは国民生活全般、あるいはまた福祉行政全般にも深い影響を及ぼすと思いますので、十五年度税制改正のときには、国民負担給付というもの、これは私、根本的に見直してもらいたい。  今、税負担から言いましたけれども、公的負担でございましたが、入れて大体三八から三九%ぐらいと言われておりますが、しかし、国債の問題を、いわゆる借入金、国債関係見ますと、四六%ぐらいが国民負担になっておりますね。そうすると、この分をどうするのかと。我々は、プライマリーバランスを二〇一〇年に設定して、そこに税制改正構造を変えていこうとしておりますけれども、これは非常に難しいことだと思っております。であるけれども、財政一つの秩序を保つためにはそこに何か節目を作っておかなきゃならぬだろうと思っておりまして、そうしますと、ここで先ほど言いました負担をどの程度してもらえるのかという問題、ここが基本的に考えてもらわなきゃいけないと。  このことが直ちに増税だと、こう言われますが、私はそうじゃないと思っておりまして、その負担の仕方が、要するに金持ちと、極端なことを言いましたら金持ちとそれから金持ちでない人の負担というものの在り方もまた考えられるだろうと思っておりますし、そういうバランスも同時に取って、国民全体が納得できるものにしてもらいたいと。その基本をきっちりと、今度の税制改正のときにそういう考え方を示しておくべきだと思っております。
  15. 清水達雄

    清水達雄君 それで、先ほど大臣は、今後の税制改革考える六月のときの考え方というようなことでいろいろちょっとおっしゃいましたけれども、私はやっぱり今度の税制改革で、私なりに言うと、三つぐらい基本的な視点というか、大事な点があるんじゃないかなと思いますのは、我が国の場合に、法人税所得税住民税消費税といったやっぱり基幹税制収入が足りなさ過ぎるんですね、と私は思います。  八十一兆円の歳出がある中で、国税ですけれども、租税収入四十六兆円、三十五兆円も足りない。こんな財政構造があっていいはずはないわけで、いろんな負担率等の比較をしてみましても、国税については租税負担率OECDの中で最低であると。三十か国中二十九位とかいうんだけれども、一か国はちょっと計算ができないから外れているぐらいのところで、一番負担率が低いと、日本は、OECDの中で、国税について。地方税は十一位ぐらいのようですけれども。  というようなことでありますし、それから、いわゆる所得税につきまして、日本所得税が何か高いというようなことで今まで減税その他いろいろやってきましたが、この間、財務省からいただいた資料を見ますと、国民所得に対する比率で、G7みたいな国というのは一〇%から一四%ぐらいの所得税を、税収がある。日本はたったの四・三%しかない。三分の一ぐらい、国民所得に対して三分の一ぐらいの負担しかしていないと、ほかの国に比べまして。  というようなことがありますし、それから消費税についても、これもOECDの中で一けたの国というのは、日本が五%、カナダが七%、スイスが七・六%ぐらいで、あとは全部一〇%以上、二五%以上の国も相当あるというふうな状況ですから、何で日本はこんなに税金を取らない国になっちゃったのか、もうつくづく今そう思うわけですね。  これは、いろんなことを言うと、政治の在り方とか、あるいは経済が非常に上がってきて自然増収もどんどんあったとかいうふうなこととか、いろいろあると思うんですけれども、とにかくこれを基本的に直していかなければ駄目だろうと。したがって、特に低い、負担率が低い所得税消費税について、これは増税をしなきゃ駄目だろうというふうに思うんですね。  ところが、何か経済財政諮問会議辺りの最近の議論を聞いていると、竹中大臣などは、所得税については課税対象範囲を広めるということはおっしゃるけれども、しかし二年間ぐらいは減税しなきゃいかぬとか、法人税も下げなきゃいかぬとか、いろんなそういう発言が出てくる。常に、日本税制議論をすると必ず出てくるのは、増税の話は出てこなくて減税の話ばかり。  所得税減税なんかやったって効果がないと、これは後でまたやりますけれども、今まで橋本内閣以来相当な所得税減税やりましたけれども、私は消費に与えた効果はなかったと思います。そんなことを何のためにやるのか、財政構造を悪くするだけじゃないかというふうな気がしているわけでございまして、したがって、こういう基幹税制をもっとしっかりしたものにしてちゃんと金を取るということが私は大原則だと思います。  それからもう一つは、資産課税なんかについては、その課税歴史的背景とかあるいは経済構造変化等から見て非常にゆがんだものが多いんですね。例えば、登録免許税というのは、日清戦争戦費調達の財源として調達した税である。これがかなり税収が多いもんだから、日清戦争なんてはるかもう忘れるような昔のできた税制を今もって大事にお金をもらっているというような話ですよ。  それから特別土地保有税も、いわゆる田中内閣時代列島改造論、あれで日本じゅうがあちこち皆土地買いに走るもんだから、これを抑制しようというようなことで特別土地保有税ができた。  それから事業所税、これは地方税ですけれども、これも昭和五十年ごろ、大都市へのビル投資が非常に集中状況でございまして、これは抑制しなきゃいかぬということで事業所税ができて、したがって、新増築に係る事業所税というのは、ビルを建てると一平米六千円税金取られる。今どきそんな投資抑制税制があるかという、そういう税が一杯ある。  それから、非常に多重課税になっちゃっているし、どうにもならぬというふうなことがあるわけで、こういうものはやっぱりちゃんと近代的なというか、今の時代に即したものに直すんなら直していかなきゃならない、やめるんならやめていかなきゃならないということが非常に大事だろうと思います。  それからもう一つは、経済構造変化の問題ですが、例えば土地需給構造、これはもうバブル前と今とでは全く違っているわけですね。全く違って、今は需要がない。供給の方は、企業のリストラとか要らない土地を早く売っちゃえとかいうようなことでどんどんあるわけでございまして、こういう状況ですから、これはしかも、今日、総務省滝政務官に来ていただいていますが、固定資産税とかそういう保有課税が非常に高いとかいうようなことがあって、土地なんか買ったらえらい損だという感覚ですから、そういう歴史的背景とか経済構造変化から見た、そういう意味でのやっぱり合理化とか適正化をやっていかなきゃならぬ、ゆがんだものを直していかなきゃならぬ。  それからもう一つは、やっぱり分かりやすく、多重課税もやめるし、細々細々した税制はやめて骨太の税制にするということだと思います。これは一つには、多重課税の問題いろいろありますが、今までの税制改正というのは、かなり大きな要望を各省が出しますと、そんなものにはこたえられないけれども、せっかく要求してくれたんだから何か色を付けようねというふうなことでやってきたんです。私も随分やりました、もう長年。これ物すごく難しくなっちゃって、これ全然分かんなくなっちゃうということがあるんですね。ですから、この辺りは本当の手術をしていただかなきゃいかぬのかな。  私は、この辺の三点ぐらいのことが極めて大事なことで、ひとつ勇敢にみんなで取り組んでいかなくちゃいけないんじゃないかなというふうに思うわけでございます。  こんなふうなことをいろいろ議論をしていく中で、最近の発言として、塩川大臣は時々直間比率というお話をされますし、それから竹中大臣は、昨日の日経新聞なんか見ますと、法人税とか所得税について減税をしなきゃならぬ、特に二年間ぐらいやるんだというふうなことを言っておりますが、法人税はもう相当国際的に見てもいいところに行っていますし、所得税なんかについてはもっと増税しなきゃいかぬと思っているんだけれども。こういう、竹中大臣がこういうことを今の段階発言するというのは、私は、経済財政諮問委員会委員が物を言うんならいいけれども、担当大臣がこういうことを言って何か先入観みたいなものを与えるという、非常に何かおかしな感じがしているわけなんですけれども。今日来ていただきたかったんですけれども、来ていただけなくて残念なんですが、塩川大臣直間比率お話を時々されるというのは、その辺の、例えば直接税とか間接税とか資産課税とか、何かその辺についてやっぱりある程度こういうふうに直していかなきゃならぬというようなお考えがあってのことなんでしょうか。
  16. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 今御質問いただいた中で、私は、非常に認識を強く持っていただいておることの一つとして、税の、財政はこれでいいのかというお話でございました。正に私たちは、二〇一〇年のプライマリーバランス黒字化へという一つの目標を設定しております。正にそこにあるという感じでございまして、御認識いただいておってもう本当に力強いと思っております。  ついては、今御質問の点でございますけれども、私は、今直間比率の取り方はいろいろございます。例えば地方税において、固定資産税なんかは配分上の、分類上で見たら、直接税へ入れたりあるいは資産税へ入れたり、いろいろな取り方がございますけれども、今、バランス上見て、直接税の方が間接税よりも相当上回って徴収しているということは、これは事実だと思っております。  私は、税の構造からいうて、直接税と間接税半々が一番いいんじゃないかと。このことが、むしろ税の公平性を貫いていくのにはこっちの方がいいんじゃないかと思っております。そして、間接税の中で資産税消費税がありますが、これもまた私は半々でいいんじゃないかなと思っておりまして、今どちらかといったら、消費税資産税との関係を見ますと、ちょっと消費税の方が緩やかで、資産税の方がきついような感じがするんですが、そういうところの配分をどのようにするかということ、これは今度の税制でも思い切り議論してもらいたいと思っておりまして、従来は税の改正は、国会ではどうしてもやっぱり議員諸公選挙を意識しますので、もう減税減税の方へ行ってしまう。そのことが、国民負担が四六%ぐらいになっておるのにかかわらず公的負担は三九か三八でとどまっておる、この差なんですね。これをこのままほうっておいたら、もう本当に体の動きが取れぬような慢性病になってしまう、そこを直すためにも直間比率からまず直していったらどうだと、こういう考えを私は持っているということでございます。
  17. 清水達雄

    清水達雄君 自民党が、麻生政調会長がやれというようなことで税についてのアンケート調査をやったんですが、これはなかなかいい結果ができてきておりまして、皆さん方に本当は見てもらった方がいいんじゃないかなというように思うんですけれども。  国民税負担について、今よりもいい使い方をされるのであれば、ある程度税金社会保険料等国民負担が増えても仕方がないという、負担が増えてもいいという方の回答がかなり多いんです。三分の二ぐらいがそういう回答になっているんですね。今より税が増えてもいいということがあります。  じゃ、どういう税で増えるのかといいますと、今、大臣がおっしゃったように、やっぱり消費税引上げの方が所得税を引き上げるよりも賛成が多いんですね。例えば、消費税につきましては、もっと上げてもいいよというのが三〇%。それから、もうこれ以上上げてもらいたくないというのが三〇%だと。ちょうど半々ぐらいに分かれているんですが、もっと上げてもいいという人に、じゃどのくらいまで上げたらいいかといいましたら、一〇%ぐらいがちょうどいいということを言っているんですね、今は五%ですけれども。ということがある。  それから、高年者層は比較的引上げに対して前向きで賛成が多い、若年層が否定的、女性もかなり、何といいますか慎重だというふうなことが出ているわけでございます。それから、所得税につきましては、課税対象範囲を広めることは賛成だという意見が多いんですね。  そういういろんなことがありますが、やっぱり私は、今非常に物価が下がっておりまして、それで、インフレターゲットとしてもうちょっと物価を少し上げていかなきゃ企業の収益もなかなかうまくいかないし、税金も入ってこないし、全く活力が出ないような世の中だからというようなことで一生懸命金融政策日銀を責めるけれども、そんなものは、金融政策物価が上がるなんということはあり得るはずがないと私は思っております、銀行が金を貸さないんですから。  ですから、これはやっぱりそういうことを考えますと、物価を上げるためとは言わないけれども、消費税を課すということは物価を少し上げるだけの効果ですから、そういう意味で、今が消費税率を引き上げる非常にいい時期じゃないかなと。消費税を引き上げると消費が落ちるよとかいう議論がありますし、もっと給与が増えれば消費は拡大するんだとかいういろんな議論がありますが、私は、日本消費というのはかなり成熟段階にあって、その程度のことではそんなに動かないだろうというふうに思いますね。物はもう買ってあるし、よっぽど国民の新しいニーズにマッチする新商品が出るとか、新しいサービスが出ればどんといきますけれども、そうでないと、消費税を掛けたぐらいではそんなに消費は減らない、給与が増えたからってそんなに消費は増えないということじゃなかろうかという感じを持っております。  そこで、私は今こそ、今年は選挙もないし、本当に何ぼ日銀を責めたって、そんなインフレ状況みたいに物価が上がるなんという状況になりっこないですから、そこで私は、来年と再来年二%消費税を上げて、その次の年と次の年をまた二%上げるということをやりますと、消費税収が大体二十四兆円ぐらい増えるんですよ。二十四兆円増える。そのうち半分は社会保障関係費の増加に充てる。  というのは、二〇〇三年度ですか、基礎年金の国庫負担率を、安定した財源を得つつ三分の一を二分の一に引き上げるというのがあって、これは、この間の経済財政諮問委員会で出した中期展望、中期展望の参考付表の中に、社会保障費が二分の一に引き上げるとどのくらい増えるかというのが出ておりますけれども、これで大体十二・九兆円増えるんですね。だから、二十四兆円のうち十二・九兆円は社会保障関係にやる。あと十一兆円強ぐらいのものが、これは先ほど私が言いました、非常に不合理なゆがんでいる税制改正、これは特に地方税に私は多いと思いますけれども、資産課税なんかについては地方税に多いと思いますが、これは地方にも相当、四十何%は消費税は結局は行くことになりますから、そういうものを使って地方税の方のもっとバランスの取れた税構造にするとかいうふうなことにしたらどうかなというふうに思いますし、そうすると、じゃ物価がどれだけ上がるかというと、これは内閣府の方でマクロモデルを使って、橋本内閣のときに消費税を二%上げたときに、もし上げなかったらどういう経済になったかというマクロモデルの試算がありまして、それから試算をしますと、二%アップした場合に、消費物価は初年度で一・〇九%、それから三年目に一・五%ぐらい、五年目にちょうど二%分全部上がると、消費物価が。それからGDPデフレーターは、初年度が〇・七%、三年目が一・〇五%、五年目でもちょうど消費物価の七掛けぐらいで一・四%ぐらい上がるというふうな数字が試算をされているわけです。  ですから私は、インフレターゲット政策にも寄与するし、これを思い切ってやったらどうかと。増税の話をやるのは嫌だ嫌だばかりやっているから日本はおかしくなっちゃうんだから、もうここで政治家も、与党も野党もみんなでやろうというふうに思うんですけれども、この辺についての御感触ありましたらお伺いしたいと思います。
  18. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 非常に力強い応援団が出てきて、ありがとうございます。  私は、清水先生のお話の中にあるように、私は、税制と福祉とを混在して政策をやってきたと。正におっしゃるように資産税関係なんというのは場当たり的なんですね、本当場当たり的。社会政策を税制でカバーしようなんという考え方、私は消費税関係なんかは正にそうだと思うんですよ。こういうことを意識の根底にあって税制考えたらやっぱり間違いだと思うんです。税制は、やっぱり税の負担をどうするかということは税制理論でやってもらって、それによって言わば弱者の方に影響してくる被害というものを、これはやっぱり福祉行政の面においてカバーしていくべきものであって、そこらを選別したものをやっぱりきちっとしなきゃならぬ。  そうすれば、私は、消費税、おっしゃるように引上げもむべなるかなという理解はしてもらえると思うんですが、今こう単純にやっていきますと、我々死ねと言うのかということが、必ずそういう極端な言葉で出てきますんで、なかなかそこらの配慮を十分にしなければいけないと思っておりまして、そうすると、さっき私が言っていますように、負担給付関係を一回明快に出してもらって、安心した社会を作るという意味においての税制改正だと、こういう具合な案を打ち出しをしてほしいと思っております。
  19. 清水達雄

    清水達雄君 そういう意味で、今何か、政府税調ですか、政府税調が税に関するタウンミーティングみたいなことをやるというお話で、あそこで税金を上げる話をしたって、これはもう拒否反応が来るに決まっておりまして、ですから正にその給付負担との関係という形で、ある程度選択肢的にその材料を提供して議論をしてもらわないとほとんど意味がないんじゃないかなというふうに思うんで、これは財務省は非常に関与しているわけですから、そういう方向に私は行ってほしいなという感じがいたします。しかも、消費税については、お金を取るわけじゃなくて物価が上がるだけですよというふうな説明をするとか。  それから、所得税につきましては、これから内閣府に伺うんですけれども、消費税を上げるから所得税を減らせとか、あれ、アメリカなんかも所得税減税すべきであるというようなことを盛んに言われちゃって、みんなあのとき、所得税なんか下げたって、減税したって消費なんか拡大しないよという議論日本国内で非常に多かったけれども、やらざるを得なかった、特に小渕内閣のときにやらざるを得なかったということなんですが。  それで、内閣府の方で、橋本内閣以降、平成六年以降の所得税減税、これが消費にどういう影響、効果を与えたのかということをお答えいただきたいと思います。
  20. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) 個人消費につきましては、家計可処分所得の伸びが、低い伸びが続いておりますこと、それから家計が将来の仕事でございますとか所得に関する不安を持っておられて、その結果消費を抑制しておられるということで、全体としてずっと低迷が続いております。  こういう厳しい経済情勢に対処するために、今御指摘の個人所得税を中心といたします減税を行ったわけでございますけれども、これらは、今申し上げました低迷する可処分所得を補うという形で個人消費を下支えするという点において効果があったというふうに認識をいたしております。
  21. 清水達雄

    清水達雄君 何かちょっと私、これ、データをもらったんですけれども、このデータを見ますとほとんど何にも効果がなかったように見えるんですけれどもね、これ。これ、本当は皆さんに配ってもらえればよかったんだけれども。今おっしゃったようなことがどの辺の、何年のどの辺でどうだというのが説明できますか。
  22. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) 一例を申し上げますと、平成十一年度の年次経済報告、経済白書におきまして、耐久消費財、住宅に対する支出が持ち直しの動きを示している要因といたしまして、そのとき行われました所得減税、それから住宅減税等の政策面の効果が果たしている役割も大きいというふうに分析をされておりまして、特にこの所得減税につきましては、家計調査によりまして可処分所得の下支え効果がどの程度出ているかということを見ますと、勤労者世帯では、九八年二月、六月、八月に減税が行われておりますけれども、特に二月と八月ないしはその直後に可処分所得の高まりが見られておりまして、その数か月後に消費が盛り上がりを示しているというように分析をされております。
  23. 清水達雄

    清水達雄君 これは、この程度の時間じゃちょっとあれなんですけれども、こういう数字を見ますと、本当に何か余りそういう感じがしないんですね、と思います。  それで、この消費税引上げ議論をするときに、私の立場で一番困るのは住宅なんですよ。結局、住宅に対する消費税というのは、値段が高いものですから、五%なら、例えば四千万円の住宅だったら二百万円ですね、五%ですから。三千万円だったら百五十万なんですけれども。これが、さっき私が言ったように税率を引き上げていきますと九%ぐらいになるわけですね。最初、二年間は七%、次の二年間は九%になる。九%になってきて、四千万なら、四、九、三百六十万ですか、いうふうな税金が掛かってきちゃう。この辺が、単に消費税だけじゃなくて、登録免許税であるとか、また翌年からの固定資産税の増額だとか、いろんなことがありまして、かなり抵抗がこれは強い。  そこで、いろんな国の状況を見てみますと、イギリスは前から消費税は非課税課税ゼロでございますし、アメリカも小売売上税については対象になっていない。だから、アメリカとイギリスは、住宅については言わば付加価値税というか消費税は掛かっていない。  それから、あと何か、これは主税局長のお答えでいいんですけれども、例えばドイツは建て売りの新築住宅は非課税だけれども請負だと課税だとか、何か非常にある意味で複雑なんですね。それから、中古住宅には課税をしないというのがかなりヨーロッパでは、取引には課税しないというのはそういうことなんですけれども、この辺をどう考えていったらいいのか。アメリカ、イギリスみたいに非課税にしてくれれば一番いいんだけれども。  私は前、選挙で、平成四年の選挙で当選したとき以来よく言ってきたのは、いわゆる軽減税率にして半分ぐらいにしようと、食料品も含めて、いうふうな議論も相当この委員会でもしたんですが。将来、消費税率が上がっていったときに、非常に一時の課税額が大きい住宅、食料なんかも問題になるかもしれませんけれども、そういうのについてどんな措置が考えられるのか。もうそういうことは一切考えないで、もうとにかく強行突破してやるんだということなのか、その辺について伺いたいと思います。
  24. 大武健一郎

    政府参考人大武健一郎君) お答えさせていただきます。  ただいま清水先生からお話のありました建物の取得に係る付加価値税につきましては、原則的な考え方は、実はECの指令の中では、土地と建物を一体として課税するなり不課税するという、土地、建物を切り離すという発想が基本的にはないだろうと思います。したがいまして、基本的にECの指令では、土地、建物一体で課税というのが原則としてなされております。それに対しまして、基本的に沿っている国がフランスなんかなんでございますが、他方、伝統的に逆にドイツなどは、今、清水先生が言われたとおり、土地、建物一緒に非課税というか、非課税というような措置になっているということです。  だから、日本は正に土地と建物を別々に把握するものですから、土地基本的に非課税、その上の建物は課税という整理ででき上がっているというのが大きな原則かと思います。  基本的に、今後、消費税なりの税の税率をどう考えていくかというのは、あくまでもそれはその税率をどう定めていくかに掛かっているということでございまして、確かに、二けた以上の税率になったときに、例えば、ほかのECなどでも食料品は低税率がなされているという経緯はあるかと思います。その辺は今後、もしそういう税率アップという事態になったときに、そういう議論をどういうふうにしていくかを御議論していただくことかと思っております。
  25. 清水達雄

    清水達雄君 最後でございますが、地方税の問題でございまして、こういうことになっているんですね。日本税金が一番取れたのは平成三年、国税は六十三兆円税収がありました。今は四十六兆円しかない。七三%にまで落っこっちゃった。ところが、地方税は三十五兆円が大体維持されているんです、横ばいで。減収になっていない。  なぜそうなっているかというと、地方の資産課税が、例えば平成三年だと、これは固定資産税の一部が除外されていると思う、構造物とか機械とかそういうものは除かれているんじゃないかと思いますが、平成三年が六・二兆円が、現在は八・四兆円、地方の資産課税。これ、一・三六倍に伸びていますね。結局それは、地方税でも、住民税であるとかあるいは法人事業税だとか、そういうのはまだみんな落ちていると思いますよ。落ちているけれども、資産課税の増収によって横ばいを維持しているということなんですね。  したがって、地方税の中に占める資産課税の割合というのが、平成三年は一七・六%だったものが、現在は二四%にまで伸びちゃった。非常に税構造がゆがんできている、こういうふうに。  こういうことではやっぱり不動産の取引というようなことが、それはなかなか出てこないのは当たり前の話でございまして、やっぱり世の中として、それは資産デフレが継続した方がいいよ、それでも税金は少ない方がいいよと考えるかですね。ある程度バランスを取って、これは消費税で埋め合わせることもあるし、あるいは住民税や今後議論される外形標準課税を掛けて少し税構造を是正していく、直していくと、私はそうすべきじゃないかなというふうに思っておりますが、その点についての総務省のお考えを伺いたいと思います。
  26. 滝実

    大臣政務官(滝実君) 今、清水委員が御指摘のとおり、地方税の都道府県税、市町村税合わせた総額で見ますと、大体、平成三年以降、三十五兆円ぐらいが維持されているというのは御指摘のとおりだろうと思います。その中で、市町村のやっぱり税の基幹は固定資産税なんですね。したがって、これが余り上がり過ぎると批判があるわけでございますけれども、ほどほどになだらかに少しずつ上がっていくというのが本来は理想型というふうに従来から考えられてきたことも間違いないわけでございます。  そこの中で、この問題をどうするかということは、特に平成六年の固定資産税の評価替えをめぐって大きな議論になってまいりました。このときには、平成五年というか五年度ですね、五年度で、前年に評価替えを控えて、とにかく固定資産税がむしろ低過ぎるというのが一つ。それからもう一つは、地方団体によってばらつきが多過ぎるという批判が強く出たということもございまして、御案内のとおり、公示価格の七割を基準にしていかにこのばらつきを少なくするか、少しずつその辺のところは直していくべきだという議論がありまして、平成六年度から固定資産税の中に公示価格のリンクするという仕掛けを作らせていただいたというのが、今日まで固定資産税が少しずつ伸びてきている原因だと思うのでございます。  したがって、この問題は、その後土地の下落が続いてまいりましたものですから、この下落というものを今度はどうやって評価するのかという問題がこれあり、平成九年の評価替え、そして平成十二年の評価替え、二度にわたる評価替えの中で土地下落の問題を固定資産の課税標準の評価の中で取り入れてきたというのが実態だろうと思います。  したがって、おっしゃるとおり、所得課税が市町村税あるいは都道府県税の中で減る中において、資産課税たる固定資産税がほとんど減らずに来たということはそのとおりでございます。しかし、一方では、やはり、特に平成十二年、あるいはその前の九年の評価替えのときから下落の問題をかなり評価をしてまいりましたから、そういう意味では、多少下がってきたということも申し上げておきたいと思うんです。  ただ、おっしゃいますように、土地にいたしましても家屋にいたしましても、ちょっと長くなって恐縮なんですけれども、土地についてはやっぱり対象の面積の増加も片やあるんですね。それから、御案内のとおり、建物については新築家屋という問題が常にあるものですから、その辺の問題が出てきますと、建物分で増加というのは、これはかなり出てきているということだと思います。特に平成八、九年、十年で、家屋については、古い家屋はもちろん減少しているんですけれども、新築家屋が出てまいりますと当然その分が増という格好で出てまいります。  したがって、先生の御指摘の御趣旨はその辺のところも含めてどうするかということだろうと思いますけれども、取りあえずは今の状況ではそういう中でやってまいりましたので、この税制の公平という観点からどうとらえるかというのは更に御議論をいただけたらというふうに思っております。
  27. 清水達雄

    清水達雄君 やっぱり固定資産税の設計が悪かった。公的土地評価の一元化のときに、地価の七割という公示地価、そこに持っていこうと、課税標準を、いうのが非常に無理でございまして、あの当時、一番激しいときは、東京都の固定資産税課税標準というのは時価の一〇%程度のところまで落っこっちゃっていたわけですよ。これを七割にまで引き上げるんですから、これを十二年間で引き上げようなんて、地価が下がってもやろうなんてしたのがもう全くのこれは私はミスだったと思いますけれども。  それで、途中で私も自治省の、当時の自治省の固定資産税課長なんかと相談して、頭打ちを、七割みたいな頭打ちをやるということにしていますけれども、私はもうちょっと頭打ちを下げるべきじゃないかなとまだ今思っていますが、今、七割切ったのかな、六五か何かぐらいにしていますけれども、それでもやっぱり五〇%ぐらいになるわけですね、地価の。というふうなことが一つあるし、建物を建てるともう本当に固定資産税が上がっちゃって、みんなもうびっくりするわけですよ。ということもありますから、その辺も含めて、今年の税制改正のときの見直しに当たっては十分議論をしていくべきではないかなというふうに思います。  まだもうちょっと時間がありますけれども、これで終わります。
  28. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 民主党の大塚でございます。  今日は、両大臣、後ほど日銀総裁もおいでいただけるそうですが、お忙しい中ありがとうございます。  今、清水先生からいろいろ積極的な御提言があって、何か野党の質問を聞いているようで、私はどっちかというと決して減税反対じゃなくて、税を集めてもそれをちゃんと使わなかったら意味がないわけですから、歳出の方がきちっとできないんでしたらむしろ減税をして、歳出を削減をして減税をした方が現下の局面ではむしろ経済効果あるんじゃないかという面もあって、この点に関しては竹中さんに私は決して反対じゃなくて、今お話聞いていてなかなか難しいなと、与野党逆転したみたいだなと思っていましたけれども。  まず最初に、塩川大臣にちょっとお伺いをしたいんですが、二次補正予算の本会議質疑のときに峰崎先生がNTT財源の件で追加質問をされて、もしこのNTT財源がなかったら、小泉総理は補正予算をそれでも組んだのか、そういう経済状況だとお考えなのか、あるいはなければやらなかったのかという追加質問をされて、小泉さん、さっと出ていらっしゃって、峰崎議員にお答えしますと、なかったらどうしたかという御質問だけれども、あったからいいじゃないですかと帰っちゃったんですね。これも満場笑いに誘われて、私もその後、各地の国政報告会でこの話すると、私がまねしても受けるんですよ。  なかなかさすがレトリックの名人だなと思うんですけれども、私はこれ、極めてふまじめな答弁だと思っていまして、やっぱりこれは、平野さんとか私とかよく大臣から怒られますけれども、大臣やっぱりもう日本国の御意見番なわけですから、もう本当に経済が安定している局面ではともかく、こういう経済環境の中で、一国の総理大臣が、現下の経済状況をどう思うのかと聞かれたときに、今申し上げたような答弁は、私はよろしくないんではないかと、こう思うわけです。その二次補正予算が正しいか間違っているかと、これは別にして、是非冒頭に塩川大臣にお願いをしてお伺いをしたいのは、小泉首相にもきっちりとそういう点についてはまじめに答弁するべきだということで、御意見番としておいさめいただきたいと思っているんですが、お願いできますでしょうか。
  29. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) あったからいいじゃないかと確かに言ったと思いますが、私はその中身をちょっと説明しなかったのが悪かったと思う。私たちは、いわゆる隠れ借金じゃないかと言われているのは、そういう意味なんですが、借入れでやりましたですね。もう私たちは売ろうかと思ったんです。あのNTT株を保有しているのを売ろうかと。ところが、それをやろうとしたら、法律を出して改正しなきゃならぬ、間に合わぬじゃないかと。そうだったら、一応借りでやっておく方が、要するに財源として使えるじゃないかと、こういう意味であって、その点はもっときちっと答弁すべきであったと思っております。  最初は売ろうと思ったんです。売るのには法律的な措置が要るということで時間が掛かって間に合わぬというこの一点があったことと、もう一つは、いろいろ証券関係の者に聞きますと、あれだけのものを売れば一遍に値段が下がっちゃうじゃないかと、予定の価格は取れないんじゃないかという、そういう心配もありましたので、それじゃこれは貸付けで行こうと。ここが、貸付けで行こうというのが、知恵を出してきたんですね、主計局の方で知恵を出してきたと。これに私は乗っかったということでございまして、ちょっと説明がその点不足したと思っております。
  30. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そのとおりだと思いますので、今のように小泉さんがあの場で御答弁いただければなるほどなと思うんですが、内容はよく理解できますので、今後あのような御答弁は適当ではないということを是非御諫言いただきたいということをもう一回お願いして、この話は終わらせていただきます。  さて、先ほど申し上げましたように、増税するにしろ減税するにしろ、歳出の方の使い方がきちっとなっていなければ、やはり国の予算というものが日本経済を復元させるために有効に機能しない、こう思っているわけでありまして、昨年の秋の臨時国会のときに、一次補正の中身についていろいろIT関係の予算をひもとかせていただいて、無駄のないようにやってくださいというふうに大臣にお願いしたところ、検討しますという前向きな御答弁いただいて、そのせいかどうか分かりませんが、今お手元にお配りしました、情報システムに係る政府調達府省連絡会議の検討事項ということでこういう紙が出ていたわけですが、大臣、これ御存じでしたか。
  31. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) いや、私はこの紙は拝見するのは初めてであります。
  32. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 私はてっきり大臣の御指示で出していただいたのかと思って喜んでいたんですけれども、中身、非常にいいことが書いてあるんですよ。  システム関係の予算を無駄にしないように、例えばライフサイクルコストベースの価格評価をしろとか、総合評価落札方式をしろとか、非常に当を得たことを書いてあって、是非こういう方向で進んでいただきたいなと思っているんですけれども、このIT関係の予算を省庁全体を横断的に仕切っているのは現時点ではどこになられますか。  これは、予算担当の塩川大臣、まず御認識があるかどうかということをお願いします。
  33. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 内閣府だそうです。
  34. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 私もそのように聞いています、内閣IT担当室ですか。  今日は河野先生にも来ていただいていまして、私も日銀時代から「ごまめの歯ぎしり」の愛読者で、大変光栄でございますけれども、河野先生のところでやっておられるというふうに伺っておりますけれども、この内閣IT担当室にどういう方がおられて、どういう作業をしてIT関連予算を府省横断的に無駄のないように仕切っておられるのかということについてちょっと御説明をしていただきたいんですが、これは河野さんでも事務方の方でも結構です。
  35. 近藤賢二

    政府参考人近藤賢二君) お答え申し上げます。内閣官房参事官近藤でございます。  内閣官房の方に二十数名から成ります事務局を作ってございます。これには各省から出向をしていただきまして、IT問題について内閣を挙げて対応するということで事務局を作ってございまして、さらに、官だけではございませんで、民間企業の方々も数人来ていただいて、総力を挙げてこの問題に取り組んでおるところでございます。
  36. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そうすると、IT担当の参事官はたしか五名いらっしゃるというふうに伺いましたけれども、この五名の方が予算、その全体を統括して見ておられる予算は、例えば今回の当初予算の中でいうと大体お幾らぐらいになるんですか。これ、数字の御質問してなかったので正確じゃなくていいです、大体で。五人の参事官で査定、査定といいますか、モニタリングをされた予算の規模はどのぐらいになられますでしょうか。
  37. 近藤賢二

    政府参考人近藤賢二君) 今御指摘のありました内閣全体としての数字をいろいろと議論をしていくわけでございますが、数字自身につきましてはもちろん財務省が査定をするわけでございます。  ただ、例えばこの十四年度予算案におきまして、政府全体の中で重点七分野というのを作ったわけでございます。重点七分野の中で構造改革特別要求ということで要求をいたしまして、そのとき内閣の方で数字の査定をさせていただきました。  今ちょっと数字を確認をいたしますが、済みません、ちょっと数字が出てこないんですが、約四千億ぐらいの要求が構造改革特別要求でやって、そのうちの、そこの数字について私どもの方で査定案を作らせていただいたというように記憶をしてございます。
  38. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 四千億とかという規模ですとそこそこの規模で、きちっと節約できれば、また補正予算の財源や、今回特例公債法で工夫しておられたりいろいろ国税関連法案で工夫しておられる財源の捻出をしなくても、そういうところを節約すれば何がしかの金額は出てくるんじゃないかと思うんですが。  私、各省庁にお伺いしたところ、五人の参事官が各役所のヒアリングをどのぐらい熱心にされたかというふうにヒアリングをしましたら、大体一つの省庁十分か十五分ぐらいでざあっとその説明を参事官の前でしてそれで終わりましたという御回答をされた役所が幾つかあって、どこの役所かと名前を出すと迷惑が掛かるので言いませんけれども。  私、申し上げたいのは、やはり塩川大臣も歳出の効率化を図るというふうに言われたわけですし、今回の当初予算の編成に関する建議の中にも、政府は、「最大限の努力を払い、歳出の合理化・効率化を進めるべきである。」、こう書いてあるわけですから、特にITのところは、秋の国会でも申し上げましたように、本当に知らない人がプロジェクトをやったり予算を組むともうほとんど、例えば、ありていに言うと、一万円や二万円でできるものでも百万も二百万も、下手をしたら何千万も掛かるようなプロジェクトに仕立て上げられることすらあるわけですよ。一次補正のときに申し上げましたように、河野さんも多分ホームページなんて自分で作られると思いますけれども、ホームページを作るだけの予算に一億円付いていたんですよね。驚いちゃうことなんですけれども、これは。  私は参事官の皆さんがきっとそういうこともいろいろチェックできる方々だろうなと思って、どういうこれまでキャリアを経た方々ですかというふうに昨日事務方の方にお伺いしようとしたら、キャリアはプライバシーだから公表できませんと最初言われてちょっと私もむっとしてしまったんですけれども、役所に入ってからの御経歴というのは決してプライバシーではありませんので。  その後、簡単に教えてくださいましたけれども、お伺いしたところによると、それぞれ役所の御出身でいらっしゃるわけで、何かそれぞれの御出身の役所のIT関連予算が上手に取れるために参事官をやっておられるということでは、全く塩川大臣の目指すべき歳出の効率化に見合わないことになりますので、そこはどういうスタンスで参事官の方が、IT担当参事官の五名の方が仕事をしておられるのかということについて、参事官の方にお伺いしたいんです。
  39. 近藤賢二

    政府参考人近藤賢二君) まず冒頭に、先ほど約四千億で二千億ぐらいの査定をしたと記憶をしていると数字を申し上げましたが、手元に数字が出てまいりましたので、三千五百七十億の要求に対しまして、私どもの方で査定をいたしましたのが千八百二十五億ということで、約半分に予算の要求の調整をしたところでございます。  それから、今ヒアリングが十分というお話がございましたが、私どもは恐らく、どうでしょう、ヒアリング、正確に覚えておりませんが、まあ五、六十時間は十分全体でヒアリングをやったと承知をしておりまして、それは課別に言いましたり、非常に小さい役所の場合にあるいは十分というところがあったかもしれませんけれども、それこそ夜を徹して延々とやったわけでございます。それは一次ヒアリングでございまして、追加のヒアリングを含めますともっと長い時間やらせていただいたと思っております。  それから、IT担当の参事官が五名おるわけでございますが、もちろんこれはITだけをやっておる参事官ではございません。それぞれもちろん出身省庁はございますけれども、そういう立場を離れて、内閣全体の立場で私どもは日々仕事をさせていただいておるつもりでございます。
  40. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 もしそのヒアリングの熱の入れ方について私の方の誤解があればおわび申し上げますけれども。  先ほど御紹介したこの連絡会議の紙には、低入札価格調査制度の活用とか総合評価落札方式による何とかかんとかいろいろ書いてあるんですけれども、早い話は、入札もやりますと。塩川大臣も秋のこの質疑のときに入札も含めて検討しますとおっしゃってくれたんですが、そうすると、今回の当初予算の中に含まれているIT関連のプロジェクト物は入札の結果計上された予算なんでしょうか。
  41. 近藤賢二

    政府参考人近藤賢二君) 必要な予算につきましては、予算を計上した上で、国会の方で御審議をいただいて予算が決まった後で実際に入札が行われるものと承知をしておりますので、事前に入札をしておるとは承知しておりません。
  42. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そうすると、入札をすると、多分計上した予算よりも低く出てくるものもありますし、予算より高いものは多分プロジェクトできませんから、余るか、ちょうどちゃらになるかという、こういう世界ですけれども、余った予算はどういうふうに処理することになっているんですか。
  43. 近藤賢二

    政府参考人近藤賢二君) これは内閣の方からお答えするべき問題かどうか分かりませんけれども、予算でございますので、その予算の範囲内でやりまして、残りましたときには不用に計上するということになろうかと思います。
  44. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今日は河野先生は政務官のお立場ですね。河野政務官に是非お願いをしたいんですが、この一次、十四年度のこの当初予算も、システム関係の予算、最終的にどのぐらい余ったかということについて来年是非チェックをしていただいて、我々と議論をさせていただきたいなということをお願いすると同時に、もちろん参事官の皆様方もそれなりに御経験のある方だと思いますけれども、しかし、何度も言いますけれども、IT関係の予算というのは分かった人がやらないと、もう本当にただみたいなものがこんなにもなりますから、こここそ与野党を超えて、分かっている人たちで、IT関係予算が無駄なく、しかも本当にいいものが作れるように、それこそプロジェクトチームを作ってやっていただけないものかなと、こう思っておりますが、河野政務官、この点について何がしか政治家としての御発言をお願いしたいんですが。
  45. 河野太郎

    大臣政務官(河野太郎君) 河野太郎でございます。  今御指摘いただきましたように、情報システムの予算というのは、使い切るか、あるいは入札が安く上がれば余るわけでございまして、本当に必要なものが適正な価格で購入され、なおかつ予算が余ったということであれば、それはきちっと御報告をさせていただきたいというふうに思っております。  私が知る限りでも、例えば極端な一円入札のような安い落札があって公正な競争が阻害されているのではないかというようなケースもございますし、ほかでは入手できないような古いバージョンのソフトウエアを指定をして入札をする、結果的には随意契約と同じようになる、そういうケースもありまして、そういうことを排除してきちっと公正な競争ができるということと、質の高いものが適正な価格で調達できるように努力してまいりたいと思います。結果は御報告させていただきたいと思います。
  46. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 前向きな御発言いただいてありがとうございます。  どこの省庁とは言いませんけれども、瑕疵担保契約を全く結んでいなくて、今まで使っていたシステムのバージョンが供給禁止になったら、いや、それは困るからといって、多額のお金を積んで特別サポートをしてもらっていたり、そんな役所もあるみたいですから、是非、塩川大臣、これは大げさに言うわけじゃなくて、IT関係予算は河野さんとか私たちが工夫するだけで多分一千億、二千億単位で浮いてくると思いますよ。補正予算のちょっとした財源ぐらいになると思いますので、これは是非、会計操作をやるよりはよっぽどこっちの方がいいですから、一緒にやらせていただきたいなというふうに思っております。  そのことをお願いしまして、IT関係で御出席いただいた皆様方、もうこれで結構でございますので、どうもありがとうございました。済みません、出過ぎたことを言いまして。  今日の本題に移らせていただきますけれども、特例公債法ということで、いろいろ工夫をしないと予算が組めない苦しい財政状況だということですので、今日はその国債の問題について議論をさせていただきたいなと思っております。  財投機関債がどんどん発行しづらくなって、道路公団も何か八百五十億円発行できなかったとか、その一方で民間債の割金債とか社債の残高も減っていて、これは、公的債券にマーケットが圧迫されているんじゃないかとか、いろんな話があるわけですが、国債の発行がしづらくなってきている、並びに国債の増発が他の債券マーケットに影響を与えているという認識でよろしいかどうかを塩川大臣かあるいは副大臣にお伺いしたいんですが、どちらでも結構です。どうぞ尾辻さん、では、お願いします。
  47. 尾辻秀久

    ○副大臣尾辻秀久君) 国債の発行についての……
  48. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 もう一回言いましょうか。
  49. 尾辻秀久

    ○副大臣尾辻秀久君) はい、お願いします。
  50. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 国債が発行しづらくなっている、ないしはそういう環境下の中で国債を増発していることが、他の民間債券の割金債とか社債ですね、マーケットに影響を与えているという認識でよろしいでしょうかという質問であります。
  51. 尾辻秀久

    ○副大臣尾辻秀久君) まず、今日、国債の状況でございますけれども、私どもは、順調に消化をされておる、こういうふうに認識をいたしております。国債の消化についてはそう思っております。  では、その民間に対する影響でございますか、今、先生のお話。私どもはその影響はないと、こういうふうに考えております。
  52. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そこは認識の差ですので、かなり影響を与えていると思いますので、国債だけが発行できればいいという目で財務省は是非マーケットをごらんにならないでいただきたい。その結果として社債とかが発行できなくなれば、企業金融の方に影響を与えて柳澤大臣の方に問題が波及していくわけですから、是非そういう視点でマーケットを見ていただきたいなと思います。  今、三十兆円枠の問題がまたいろいろ議論されておりますけれども、実は、もう先生方には釈迦に説法かもしれませんが、レーガンさんのときにアメリカが相当な財政赤字で、財政再建のために数値目標を作るとか、憲法上、財政赤字をある一定の制限を掛けるとか、いろんなことをやったわけですが、アメリカの研究者の中では、数値目標というのは結果として会計操作を誘発するということがよく言われているのはもう御承知のとおりでありまして、アメリカで最初にかなり問題になったのが、八七年に国防省が前年の予算を翌年に執行を繰り越すことによって何とか均衡予算を維持したということがあって、それ以来、随分会計操作に関する研究とか指摘が増えて、私も、会計操作を誘発するぐらいなら数値目標というのは余り立てるべきじゃないんじゃないかという、そんな気もしているわけであります。  そういう中で、今日は竹中大臣、またおいでいただけなかったですけれども、新聞の中でこういうことを言っておられるんですね。  これは毎日新聞ですけれども、国債の格下げ圧力の中で財政規律を緩めることのマイナスを考えるべきだ、国債三十兆円枠は守っていきたい。それから、朝日新聞ではこう言っています。国債の格下げがここまで進んでいる中で、更に国債を出す選択はないと思う、と。  こういう発言をしておられるんですけれども、今日はいらっしゃらないので岩田統括官にお伺いをしたいんですが、当然、竹中大臣とは意見のすり合わせをしておられると思いますので、どういう理屈で会計操作の方が、三十兆円枠にこだわらないで予算を、財政を運営するよりも財政規律の堅持につながるのか、その点についてちょっとお考えを聞かせていただきたいんですが。
  53. 岩田一政

    政府参考人岩田一政君) ただいまの御質問にお答えいたします。  現在の財政収支、小泉政権の下で三十兆の赤字国債の発行ということについて、これは強いコミットメントということで、この枠を守るということで財政運営を行っているところであります。  そういうことでありまして、現在の状況におきましても、やはりこの国債の三十兆の枠というのはどこまでも守るべきものであるというふうに考えております。
  54. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今日は岩田統括官が来てくださるんで僕は楽しみにしていたんですけれども、是非エコノミストというか学者として論陣を張っていただきたいんですが、もう一回聞きますけれども、数値目標よりも会計操作の方が財政規律を堅持するということになる理屈はどういうことでしょうか。
  55. 岩田一政

    政府参考人岩田一政君) 経済的な効果で申しますと、その三十兆円という国債発行と、それと会計操作ということについておっしゃっておられる意味がいま一つ私にはよく理解できませんけれども、仮に財政の赤字という尺度で測った場合にその大きさが幾らであるかということで、経済的なインパクトというのは、実質的な意味での仮に財政赤字というのが増えているということであれば、それは同様のものというふうに考えるべきだと思っております。  また、付け加えて申しますと、その年その年の財政赤字というのは、いわゆる世代会計と申しますか、ある人が一生の間にどのくらい負担をしてどのくらいの便益を受けるかというような、そういう尺度でもって本来は、経済学的な財政赤字の尺度というのは、通常に議論されております赤字とはまた違ったものであるというふうに考えております。
  56. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 世代会計的な視点も必要だというのは、これはおっしゃるとおりですので、そこについて疑問を挟むつもりはありませんが、会計操作の問題は、今、正しく今日も議題になっている関連法案の中身そのものですよね。これを会計操作と言うかどうかが正しく議論になっているわけですから、例えば、今まで三十年消却だったものを六十年消却に延ばすとか、あるいはほかの特別会計から一般会計に予算を回して何とか財源を調達するとか、こういうことを称して会計操作と言うかどうかということ自体が議論になっているわけですから、そこのことを私は申し上げています。  それはそれとして、小泉総理は、三十兆円枠について十五年度の弾力的運用もあり得るということで示唆をしておられるわけですけれども、そうであれば、そうであればというのは、もし十五年度は守らないと、守らないと言うとちょっと語弊がありますけれども、三十兆円枠にこだわらずに予算を組むということになった場合に、そうすると十四年度に三十兆円枠に固執した意味というのはどういうことになるんでしょうか。  これは、塩川大臣にもしお伺いできれば有り難いんですが、もし十五年度、弾力的に運用するというふうに今言い始めておられて、三十兆円枠こだわらずに十五年度はやると、あるいは十四年度、この後も補正を組んで三十兆円枠、この際こだわらずにやっていくということになった場合に、とすれば、この十四年度の当初予算で三十兆円枠にこだわったことの経済的な意味というのはどういうことなんでしょうか。
  57. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) これは、私は再三この委員会でも申しておりますように、これは政治が正に三十兆円という枠を決定したのでございまして、その背景には何があったかといいましたら、打ち続く十数年にわたりまして不況の対策として補正予算で主として公共事業等に莫大な金をつぎ込んでまいりましたけれども、その効果は、確かに日本経済を破局から救うという意味において私はそれなりの効果はあったと思いますけれども、景気回復のために有効に働いたということはないと私は思うんです。  そうじゃならなんで、ただ、経済の破局的な回避をするためには、確かにこの補正予算等は効いてまいりました。けれども、その間に行われてきたのは在庫調整を主とした公共事業等の何でございまして、景気回復のためにはどうしてもこの際ひとつ考え方を変えなければいかぬ、その考え方を変えなきゃならぬという中が構造改革ということになってまいりました。そうすると、まず隗より始めよで、財政から考えなければならぬのじゃないかと。その財政をどう考えるかといったら、無制限に国債を発行してその資金でもって経済を回復しようというんじゃなくて、行政の中の構造を変えようということが一つ。そのためには、一応もう国債の枠は決まって絞り込んだぞということで、ここで私の言葉で言うとかんぬきを入れようということになったのが三十兆円。  でございますから、十三年、十四年はこのかんぬきを堅守することによって財政の中の見直しをしようと、構造改革をしようと、こういうことに考えたということでございまして、十五年度について見直すとか言っておられますけれども、私はそんな見直すなんて言っておりません。言っていませんで、十五年度については、十四年度の経済在り方、活力の出し方等いろんなものを勘案して、十五年度については新しい十五年度の予算についての考え方を決めようということでございまして、三十兆円を見直すことを前提にして十五年度予算考えるということは私言った覚えがございませんで、その点は誤解のないようにしていただきたいと。
  58. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 決して大臣がおっしゃっているということじゃなく、小泉さんがそうおっしゃっているということで新聞で私も読んだだけですけれども、直接会ってお茶飲んだわけじゃありませんので。  今、大臣がおっしゃってくださったのは、私なりにかいつまんで整理すると、政治決断だということを言っておられるわけですね。  岩田統括官や、本当は竹中さんに一度お伺いしたいのは、経済理論的にどういう意味があるかということなんですよね。だから、せっかく竹中さんや岩田さんが内閣に入っておられるわけですから、政治決断と経済理論的にどういう意味があるかということの議論が行われなければ、岩田さんや竹中さんが入っている意味はほとんどないんですよね。また、私も幾つか学会入っておりますので、研究者の端くれとして、そういうことについてきちっと学者出身の政府の一員の方が意見を言っていただかないと非常に恥ずかしいことだなと、こう思っているということを是非付け加えさしていただきたいなと。  前の委員会の答弁で尾辻大臣が、二〇〇八年問題を緩和するために買入れ消却の財源債も借換債の計画に入っているという御答弁をされたんですけれども、借換債の計画というのは本来そういうものなんでしょうか。つまり、買入れ消却の財源債も、これも借換債というふうに言うべきものなんでしょうか。
  59. 尾辻秀久

    ○副大臣尾辻秀久君) 申し上げたのは、御質問にもありましたように、二〇〇八年のところにこぶができる、これを平たくしなきゃいけない、したがって、ならすための努力をしています、こういうことを申し上げて、その借換債の今の発行の中でもそのことを念頭に置きながらやっております、こういうふうに御答弁申し上げたつもりでございます。
  60. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そういうことですと、借換債の計画の中に入ること自体はいいんですけれども、買入れ消却するということで消却財源を複数の長期借換債で調達するという御答弁もあったわけですが、これは、消却のために先に借換債を発行すると、計画以上にマーケットから資金吸収することになりますので、ますますマーケットを圧迫することにならないですか。借換債、その消却のための借換債を先に発行するということは、一時的に発行残高膨らみますよね。それは覚悟の上でそういうことをされるという理解でよろしいですか。
  61. 尾辻秀久

    ○副大臣尾辻秀久君) テクニカルな御質問でございますので、理財局長から答弁させていただきたいと思います。
  62. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) お答え申し上げます。  平成十四年度の国債発行計画の中で借換債の全体像をお示ししておりますけれども、今御指摘の二〇〇八年の対応の十年債の買入れ消却のためには、今二千五百億の金額を計上しております。その個別の借換債がいつどこで発行されるかというのは、全体の発行計画の中で年間を通じてやっておりますので、必ずしも一対一に対応しているというものではないというふうに考えております。
  63. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 それは理解しました。  それから、既発債の長期化を図って、毎年の多額の、毎年というか二〇〇八年問題をクリアするために平準化するということも何度も言っておられるわけですけれども、これ、期間構成をどんどんどんどん平準化していっても、その上にまた新年度のものとか積み上がっていったら余り意味がないわけで、高い山を一回落としてどんどんどんどん今度は平均的にまた高くなっていくだけですから、毎年の借換債を含めた発行額を幾らにするかというシーリングがなかったら余り財政規律の維持にならないと思うんですが、それについては何かお考えがございますでしょうか。
  64. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) これも、国債発行計画の中で今年幾らの借換債を発行するということをお示しをし、全体の借換債も含めました年間の発行額をお示しをした上で、それについて、年限構成につきましては、マーケットのニーズ、意向等も十分に尊重しながら、超長期、長期、中期、短期というふうに案分をして発行をしているところでございます。
  65. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そうやって期間構成、マジョリティーを分散するというのは分かるんですけれども、それでもトータルの毎年の発行額が、御承知のように、新発が今年初めて百兆円超えましたけれども、これがどんどんどんどん増えていったら、幾ら山をならしても同じことですから。  これは副大臣塩川大臣にお伺いしたいんですけれども、全体の発行額の上限というものを、それは新発債だけじゃないですよ、借換債も含めた、何かこのシーリングを設けて財政規律を維持しようという御発想はお持ちになっておられないですか。
  66. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 量的規制をやっぱりやるべきだと思いますけれども、しかし、現在の日本経済状況の中で、いわゆる今激動期でございますので、激動期ということは、構造改善が政府の方でも、それから民間の方でも激しく進んでおります。したがって、そういう時期にあえて国債発行を規制することによって将来の見通しも規制してしまうということは、私はこれはいかがなものかと思う。  でございますから、一応は二〇〇八年のこの山、この分をなだらかな方法にして、緩和した方で取っていくのがいいということと、同時に、二〇一〇年をプライマリーバランスのひとつ黒字化の目標にして努力するという、その程度の設定で私は十分だと思っております。
  67. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そこは認識の差だと思いますけれども、先ほど三十兆円枠のところで、これは十四年度に三十兆円枠を守るということが心理的なクラッシュを招かないために非常に重要なポイントだというふうにおっしゃったわけですけれども、それと同様の理屈は、この平準化した後の毎年の国債の発行額がどのぐらいになるかということも理屈は一緒ですから、もし大臣が、今おっしゃったような意味で量的規制が意味がないと言うんだったら、単年度の三十兆円枠についても量的規制自体は意味がないという、これはへ理屈ですけれども、そういう解釈も成り立つわけで、これ、答えのない議論ですから。  是非お願いしたいのは、何か、この二〇〇八年の山をならして平準化するとか、期間構成、マジョリティーをばらして平準化するとか、それから、この後ちょっと二、三お伺いしますが、細かいいろんな国債の消化をしやすくする工夫をするとか、いろんなことを財務省も御苦労してやっておられると思うんですが、それはそれとして、しかし、毎年の発行額の何がしかのシーリングを設けないといつかは限界が来るわけですので、それについては、三十兆円枠については先ほどああいう御答弁をされたわけですから、同様の危機感を持っていただきたいなというお願いでございます、これは、ここで答えの出る話じゃありませんので。  それで、今申し上げましたように、今回、こういう厳しい財政状況の中で、いろんな工夫を財務省の皆さん、国債発行のための工夫をしておられるわけですが、例えば、個人向けの国債を準備しておられるというふうに伺いましたけれども、これは、個人向けは、今五万円単位でしか買えないものを一万円単位にまでして、金利も変動利付きでやるとかという、そんな御方針だというふうに新聞で拝見しましたが、その方向で間違いございませんか。
  68. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) お答えいたします。  御指摘のように、大量の国債発行が続く中で、今後とも国債の安定消化を確保することが非常に重要な課題であると考えておりまして、十四年度において個人国債の発行を検討しているところでございます。  今御質問の商品性については、現在なお検討をしているところでございますが、基本的には、報道されておりますように、現在の購入最低単位五万円を一万円にする、また変動金利制を採用する等の工夫を行ってまいりたいと考えております。
  69. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 それは冒頭の質問とも関係してくるんですけれども、国債の発行環境が厳しくなっているかどうかということともかかわるんですが、要は、発行環境が厳しくなって国債のリスクが高まっていると言われていますけれども、それを、購入金額を一万円単位まで下ろして個人も買えるようにするというのは、要は、リスクを個人に、低所得者というのが的確な表現かどうか分かりませんが、分散させようとしている、そういうことだと理解してよろしいですか。
  70. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) お答えいたします。  現在の国債の保有構造を見ますと、個人等の割合が非常に低いわけでございまして、現在二・五%でございます。一方で、金融機関の割合が非常に高いと、こういう構造になっております。これはどういうことを意味するかといいますと、市場に何らかのショックが起こりましたときに、金融機関は同じような方向で行動をするということが考えられるわけでありまして、非常に国債のボラティリティーが高まっていくという状況にございます。  したがいまして、私どもといたしましては、様々な国債の保有動機を持つ主体にバランス良く国債を保有していただくことが市場の安定につながるというふうに考えておりまして、特に個人についていいますと満期保有の傾向が高いというようなこともございますので、かつまた、アメリカ、イギリス等の保有構造を見ますと一割弱が個人が国債を持っているということで、今の二・五%という水準は極めて低いわけでございますので、バランス良く個人、それから非居住者等にも国債を持ってもらうことを考えなければならないというふうに考えているところでございます。
  71. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ちょっと話題を変えて、また後で個人向け国債の話に戻りますけれども、国債の引受シ団ございますね。これは先進国では日本だけですけれども、その引受シ団廃止の方向で御検討いただいているという報道もありますが、これについて、今まで入札比率六〇%だったものを四月債から六二%にすると。この報道が出た直後に、もう二、三日後に、いやいや、五月債からは七五%だという報道もあったんですけれども。これは、六二とか七五にどういう意味があるのかということと、どうして、私が独自に金融機関の方から聞いた話によると、先々週末の十五日ごろには六二%の線で話が進んでいたんだけれども、週明けになって急に七五%にするというふうになったということなんですが、六二や七五にどういう意味があるのかということと、どうして急に、六〇から六二は分かりますけれども、少し微妙に上げたというのは。それが七五にぽんと上がった。この背景について、大分時間もたってきていますので、簡単で結構ですから。
  72. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) 国債のシ団制度につきましては、国債市場懇談会等において議論を行っております。この中でも、これまで国債の消化に大きな役割を果たしてきたという評価がある一方で、現在、御指摘のように先進国でシ団制度を持っておりますのは日本だけでありまして、これが日本の市場の後進性の象徴になっているといったようなこと、また技術的ないろいろ問題がございまして、見直しを含めてその在り方について様々な意見をいただいているところであります。  今御指摘の六二%にした理由は、これまで十三年度、各月十年債の発行につきまして一兆七千億の入札をしておりましたが、十四年度から各月一兆八千億に一千億上げたわけであります。シ団制度の中では競争入札分と固定引受分の二つの種類に分かれておりまして、その一千億の増加をどちらに当てはめるかということで、増加分を競争入札のシェアの方に入れたということで、競争入札分が六二%、固定分が三八%というふうになったところでございます。  なお、シ団の見直しは長期的な課題と考えておりますが、その中の競争入札分と固定分については、より市場の実勢を踏まえて競争入札を増やすべきだという考え方がございます。  私どももその方向で検討しておるところでございますが、例えば七五%にするという際に、今までの手数料の問題がございまして、シ団引受手数料を競争入札を増やしたときにどう見るのかということについてまだ議論をしておりますので、その点がシ団側と合意ができた段階で、この七五%、例えば七五%というような競争入札のシェアを高めていくというふうにしたいと考えているところでございます。
  73. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 理財局長の御答弁としてはそういうことになると思うんですが、金融機関の方は、もうはっきりと時価会計の導入も展望される中で、価格変動リスク負えなくなったからシ団の入札比率減らしてくれと、はっきりこう言っているわけですよ。価格変動リスクを負えなくなったから比率を落としてくれと、そういう中で個人向け国債とかいろいろ工夫しておられるわけですよね。  だから、僕が申し上げたいのは、個人の方に、国民の皆さんに国債を売るのはいいんですけれども、幾ら変動利付債だとはいってもリスクはあるわけですから、リスクはありますよということをちゃんとアナウンスメントしないと、これは塩川大臣の御所管にかかわってきますけれども、個人が、ああ、国債もリスクがあるんだということに気が付いた瞬間に、今はかなりの方が気が付いていないですから、本当に国債の消化というのは難しくなりますので、個人向けの国債を販売するときにはどういう説明をしてスタートするのかということについては、是非、事務方任せにされないで、きちっと大臣が差配していただきたいなというふうに思っておりますので、その点お願いをしたいと思いまして、何かもし御見解があれば。
  74. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) そういうことも一面において、危惧であろうと思いますけれども、心配されることは事実でございますが、その意味におきましても、十三年、十四年度国債発行額を厳しく規制し、政府自身が国債の信用維持に大変な努力を払っているということを国民が知ってくれれば、そのことによって大分私は違うし、第一、三十兆円絞ったということは国際的に見ましても非常に評価は私高かったと見ておりまして、その意味において、政府がやっぱり国債の信用維持に責任を持っておるという姿勢はきちっと国民に知ってもらうように絶えず心得ていくべきだと思っております。
  75. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 是非そこはよろしくお願いします。  それで、ちょっと話題を変えさせていただきますが、塩川大臣にお伺いをしたいんですが、国債発行なり何なりで、公的部門、政府が財源を確保されて政府部門の、公的部門の資金のシェアが高まるとクラウディングアウトが起きるというふうに言われていますけれども、現在のクラウディングアウトの発生状況に関する認識を大臣にお伺いをしたいんですが、もしこれは用意されている御答弁があれば、それを読んでいただければ結構です。
  76. 尾辻秀久

    ○副大臣尾辻秀久君) クラウディングアウトとは、先ほど来御指摘あるように、どんどんどんどん国債を発行していって、そして金利が上昇して、それがまた民間、その結果、民間投資が抑制される現象になる、こういうことだと理解をいたしまして、その理解の下にお答え申し上げますけれども、冒頭申し上げましたように、国債発行、順調に消化をしておると、私どもはそのように理解しておりますし、また長期金利も低い水準で推移をいたしております。こうしたことを見まして、今お話しのようなクラウディングアウトが発生しておる状況にはないと考えています。
  77. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今、非常に重要な御答弁をされたんですけれども、クラウディングアウトが起きると長期金利が上昇するということをおっしゃったわけですね。  これは、学者である岩田先生にお伺いしたいんですけれども、名目金利がゼロ近傍で抑えられている中でクラウディングアウトが起きているとすると、起きているとするとですよ、どういうことが起きていないと理論的に成立しないですか。
  78. 岩田一政

    政府参考人岩田一政君) お答えいたします。  クラウディングアウトといいますのは、締め出し効果ということでありまして、金融市場で民間資金が政府の資金調達によって締め出されてしまう、その過程で金利が上がるということでございます。ですけれども、現実のマーケットを見てみますと、長期金利がそれではこのところ急激に上がっているのか、例えば九九年の春には金利が確かに二%台半ばまで上がったことございますが、そうしたことは起こっておりませんので、金融市場でもって長期金利が上がっているというような状況ではないというふうに考えられます。  それから、クラウディングアウトはほかにも、為替レートが金利が上がる過程で増加をして、円の価値が上がって、その結果輸出が減少するという形も想定されますが、これも現在円安でございまして、むしろ基調としましては、傾向としては円安傾向でございますので、そうした経路もないというふうに考えられます。  そういうことで、全体を考えてみますと、現在、クラウディングアウトが発生しているというふうに考える必要はないんではないか。ただ、将来の財政運営方向いかんということでもちろんマーケットは反応して動きますので、注意深く金利の動きを見る必要があるというふうに考えております。
  79. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ちょっと質問の趣旨が違いますので、もう一回申し上げます。  クラウディングアウトが起きると尾辻大臣は長期金利が上がるとおっしゃった。これは実質ベースです。実質的な長期金利が上がるということです。そういう中で、今日は日銀総裁にもおいでいただいていますが、名目金利をゼロ近傍に抑えている中でもしクラウディングアウトが起きているとすると、その背景で何が起きていないと実質金利が上がったことにならないですか。
  80. 岩田一政

    政府参考人岩田一政君) ただいまの御質問、私がうまくお答えしませんで、申し訳ありません。  短期金利についてはゼロ金利、無担保のコールレートがゼロ金利でありますが、現在、問題になっていますのは長期の国債金利で、例えば十年物の国債を見ますと一・四%ということで、その金利のタームストラクチャーと申しますか、短期と長期には満期構造に従って金利というのは違ってくる。これは期待理論というふうに呼ばれておりますが、一般的には長期金利の方が短期金利よりも高いというのが通常の事態であります。もちろん、金融政策の運営いかんによっては、イールドカーブと言っていますが、短期の金利の方が高くなってしまう事態というようなこともございます。  それから、長期金利の決定につきましては、短期金利の将来がどういうふうに決定されるかということでももちろん影響を受けまして、日本銀行がゼロ金利政策をお取りになったことによってマーケットが、これがまだ先長く続くということを仮に期待するとすると、長期金利はむしろ引き下げられる方向で、時間軸の効果というふうに呼ばれておりますが、そういう期待で説明されるものもありますし、あるいはインフレが将来高まるのではないか、あるいは景気回復でもって企業の設備投資の活動が活発になるのではないか、そういうようなことによっても長期金利の水準は影響を受けるというふうに考えております。
  81. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 なかなか議論がかみ合わないので、私の方から私なりの結論を先に申し上げますと、もし今、塩川大臣が運営しておられる予算で日本国政府が活動している公的部門が民間経済を圧迫しているとすると、名目金利が低い中で実質金利が上がるためにはデフレが起きないと駄目なんですよ、論理的に。僕が今日申し上げたいのは、デフレというのは、発生した当初はひょっとしたらいろんな理由で発生したのかもしれないです。しかし、今日これだけ長く続いてくると、実はデフレというのは、今の不況や柳澤大臣が困っておられる不良債権問題の原因ではなくて、今のマクロ経済政策の結果かもしれないなということを申し上げたいんです。  そこで、日銀総裁にお伺いをしたいんですが、そうすると、仮にこの仮説が正しいとするとですよ、いろんな政策をそれぞれの御所管でお取りになるわけですが、金利政策を担っておられる中央銀行としては、名目金利をどこかの段階で上げていかないといつまでもこのロジックから抜けられないわけですよ。それか、その歳出の方で、さっき申し上げたように中身を物すごく経済効果の高いものに入れ替えていくということをやるか、名目金利を上げていくか、どっちかをやらないと、今申し上げたロジックが仮に正しいとするとそこから抜けられないんです。  ひょっとしてそういうことが起きている可能性もあるんじゃないかなということで、日銀総裁にお伺いしたいんですが、景気をよくする過程で金利引下げを、あるいは金融緩和を行うときは、よく総裁はサプライズが必要だということを言っておられたわけですけれども、今度金利を、名目金利を上げていく局面では、サプライズがあっちゃ困るんですよね、逆に。もうちょっと低金利が続くと思っていたんだけれども急に名目金利日銀が上げたというこのサプライズは逆効果なんですけれども、その金利を、もし私の今申し上げたロジックが正しくて、名目金利を上げていかなきゃいけない、そうでなければデフレを抜けられないということになった場合に、ゼロ近傍の今の金利政策を離脱していくために必要な条件というのはどんなことになるのか。もし現時点で御開陳いただけるお話があればお伺いしたいんですが。
  82. 速水優

    参考人速水優君) 今の御質問ですが、今実質金利が高いのはクラウディングアウトのせいではないかということを心の底に置いて御質問しておられるように思いますので、まずそこのところから私の考えを言わせていただきます。  長期金利は、消費物価の上昇率を差し引いた実質ベースで見ましても、歴史的に極めて低い水準にある点は変わりはございません。こういった点を踏まえますと、政府支出の増大によって民間の設備投資などが押しのけられるというクラウディングアウトの状況が現在生じているとは思いません。ただし、やや長い目で見ますと、先生御指摘のような、過去十年近くにわたった大規模な財政支出にもかかわらず民間需要が活性化されるに至っていないというのも、これまた事実だと思います。こうした点を踏まえますと、極力民間需要を引き出していくような形で財政支出の見直しを進めていく余地はまだ大きいというふうに思います。  ある諮問会議に出ておられる学者の委員の方のお一人は、むしろこれからはクラウディングアウトでなくてクラウディングインが必要なんだと、民間の中で需要を引っ張り出すような歳出の投資の仕方、公共投資の仕方が考えられるんだ、を考えなきゃいけないんだというようなことをおっしゃっていました。非常に面白い言葉だというふうに思いました。  私どもは、こういった量的な緩和のゼロ金利から抜け出していくということは、できることならば早くそういった意味での正常化が行われることを期待しているわけですけれども、日本銀行としては、現在のところは思い切った金融緩和の枠組みをこのインフレ率が安定的にゼロ%以上となるまで続けるという宣言をしております。そうした状況を実現するためには、この金融緩和の継続だけでなくて、むしろ構造改革を通じて民間経済活動の活性化を図って経済を持続的成長軌道に復帰させていくということが不可欠であるというふうに思います。  そういう意味で、今の小泉政権がどんどん構造改革を、一歩一歩実施されつつありますけれども、早くこれを効果を上げるような形で進めていただきたいというふうに思います。そのことによって我々の量的緩和という、流動性のこの供給というものが経済に生きてくるというふうに思っております。
  83. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 これは私見ですから、聞いていただければそれで結構ですけれども、金融緩和の局面ではサプライズが必要だということで、そのとおりだと思います。しかし、もし、先ほど来申し上げているロジックに若干でも現下の経済状況に当てはまる部分があるとすると、金利を上げていくためには、あえて片仮名で並べれば、プロスペクトというか、どうなったら金利が上がるよという見通しをマーケットに与えないと、もうこれだけゼロ金利政策というのが定着しちゃうと、ゼロ金利解除と言った途端に大変なインパクトがあるかもしれないと私は思っているんですけれども。今は厳密にはゼロ金利じゃないです、量的緩和をやっておられるわけですけれども。  だから、何を申し上げたいかというと、物価上昇率がゼロ%以上になるまで金融緩和を続けるというメッセージよりも、まず財政出動なり歳出の効率化で経済効果を出して、例えばGDPが四半期ベースで二期続けて前年比プラスになったらその段階で名目金利は〇・五%引き上げていきますとか、そういうプロスペクトをマーケットに提供すると、経済見通しを企業の方がごらんになって、そろそろ金利が上がるなと思うと、今のうちに設備投資しようと思ってばっと資金が出てくるかもしれない、需要が。そういうマクロ経済政策の発想の転換をしないと、ひょっとすると、先ほど申し上げたロジックが正しいとすると、名目金利をずっと低位安定させたままではデフレというのは必然的に起きるものかもしれないなということをちょっと、是非、塩川大臣頭ひねっておられますけれども、一度関係の方と議論していただきたいなと。そうでなければ、いつまでも今のマクロ経済政策の構造を続けていて、良くなる確信はだれも持っていないわけですよね。発想を変えないと、ひょっとしたらテークオフできない可能性があるなということを御理解いただきたいというふうに思っております。  さて、今日は柳澤大臣にもおいでいただいていますので、ちょっと金融問題についても御質問をさせていただきたいんですけれども、金融庁の出しておられる資料で、不良債権問題ですけれども、日本の国内においては、担保で保全されていない破綻懸念先債権については七〇%を目安に引き当てを積むと、こうなっておりまして、一方、アメリカについては、これはダウトフルの債権分類に入るものですけれども、これは五〇%だというふうになっていて、これだけ、この両当局の基準だけ見ると、何か日本の方が不良債権処理の引き当て基準は厳しいように見えるんですけれども、そういう理解でよろしいでしょうか。日本の方が厳しいという理解でよろしいでしょうか。
  84. 柳澤伯夫

    国務大臣(柳澤伯夫君) このアメリカのあえて申しますとプロジェクトファイナンス的な貸付金残高については、これは債権ごとのそれこそ評価というか分類というものでなされているわけでございます。ところが、私どものようなコーポレートファイナンス的な融資について、どういう評価というか分類の手法を取ったらいいかというときに、検査マニュアルで画定したわけですけれども、やっぱりこれは結局、債務者区分と分類のマトリックスでアプローチしていくしかないのではないかということで結論を得てやっているわけでございます。したがって、アメリカの債権の分類であるところのパスだとか、あるいはサブスタンダードとか、あるいはダウトフル、ロスというような分類と、我が方の債務者区分を基軸にしてそれに債権の回収可能性を加味したマトリックスでの実はこの分類とはパラレルにならない、基本的にパラレルになるもんじゃないということが一つございます。  ここまで言ったのであえて付け加えておきますと、Ⅱ分類以下のものは皆、不良債権だとかというようなのは、そういう意味でももう乱暴過ぎる、絶対間違いだとまでは申しませんけれども、少し乱暴な議論ではないかということをかねてから申させていただいた、そういう根拠も実はそこにあるわけでございます。  今のお話でございますけれども、ダウトフルが五〇%であるということで、それで我々の方の破綻懸念先債権というものが七〇%であるんであれば、我が方の方が厳しい引き当て目安になっているのかということでございますけれども、そこは必ずしもそう一対一で対応していないものですから言いづらいということでございます。  アメリカの破綻懸念先債務者、これは現地に出向いていろいろ研修をさせていただいておる我々の方のスタッフがいろいろいろいろ経験を積み重ねてきて、大体こういうようなところとミートしているんじゃないかという感触で言いますと、破綻懸念先債権の中では、実はダウトフルとロスが一部入るというようなことも、大体がダウトフルでいいんですが、ロスも一部入るというようなこともありますので、五〇と七〇、あるいは五〇と実績値では六五ぐらいになっているようですけれども、これとはそんなに大きな隔たりがあるとはなかなか言えないんじゃないか。大体似たり寄ったりという誠に大ざっぱな言い方で恐縮ですが、ぴたっと一対一で対応していないものですから、そう言わざるを得ないということでございます。
  85. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 御当局の方針としてはそういうことだと思うんですが、実は邦銀の米国ブランチの方に直接お話をお伺いしましたところ、日本の本部やあるいは金融庁の御指導に基づいた本部の指示では、例えば引当率一〇%ぐらいで良かったものが、OCCとかFRBが入ってきたら、いやそれはいかぬといって五〇%積めとか、相当厳しいことを言われていて、結論から申し上げると、日本の国内の引当率よりもアメリカの支店単位での引当率の方がすごく高くて、アメリカ当局の方が相当厳しい引き当て指導をしているといって、個別の数字を私持っていますので、今ここでは開陳するのはちょっと問題がありますので開陳しませんけれども、現実にそういうことが起きているわけですよ。  その理由は何かというのをいろいろ調べたら、いろんな理由があるんですけれども、一番問題になっているのは、三か月未満の延滞債権とかですと、日本は、金融庁の皆さんは多分一%の引き当てでいいとか、そういうレベルだと思うんですけれども、アメリカでは条件緩和債権でBB格以下のものになると一遍に五〇%積めとか、そういう指導をしていて、このギャップがかなり激しいものとしてアメリカの当局者は認識しているということを邦銀のブランチの方から聞いていますので、是非そこは一回、我々は、今、私見ることができなくなりましたけれども、日銀にいたときは決算状況表というのを整理すると、多分、銀行全体の引当率と、それからその中の海外支店、とりわけ米国内の支店の引当率が幾つになっているかというのは数字取れるはずですから、一回比較してみてください。  その結果を本当は我々に教えていただけると非常にうれしいんですけれども、一度、是非見ていただきたいなということを申し上げて、最後に、あと一分ありますので、一つだけ情報をお話し申し上げて終わらせていただきますが、銀行等保有株式取得機構が民間企業の持っている銀行株も買うかもしれない、購入するかもしれないという話が新聞報道にも出ていまして、事務方の方にもお伺いしましたら、いろいろ与党の議論も参考にして決めるという答弁を大臣もされておられたようですが、旧都銀の五つのグループ、四大銀行プラスワンのうちの二つの銀行、私が持っているのはそのうちの二つのグループだけですけれども、去年の年末に、融資をするから自分のところの株を買ってくれといって融資依頼を幾つかの企業に持ち込んでいます。  これは事実としてありますので、もし銀行等保有株式取得機構が一般企業の保有銀行株を買う、購入するという御方針になった場合には、もしその当該企業が、今申し上げた年末の、言ってみればバックファイナンス付きの自行株買い支えの対象企業であった場合には、私は大変な問題だと思っておりますので、今特別検査をしておられるわけですから、そういう金融機関があるかないかについて調査の上、調査結果を何がしかの形で御開陳いただきたいと思いますが、その点についての御答弁をお伺いして、一つ前、済みません。  じゃ、今のことを御答弁をお伺いすると同時に、先ほどの海外支店と国内の支店というか店舗の引当率の差、これについては資料を御提出いただきたいということをお願いして、それについての御答弁をお伺いしたいと思います。で、委員長にその資料を是非徴求していただきたいということをお願いしたいと思います。
  86. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 理事会で協議をいたします。  どなた答弁なさいますか。──柳澤金融大臣
  87. 柳澤伯夫

    国務大臣(柳澤伯夫君) 何と申しますか、支店での格付の問題と何か差があればそれを悉皆的に調べて出せ、こういうお話かと思いますけれども、そういうことでアプローチすべき問題なのか、非常にいわゆるマンパワーも掛かる話だと思いますので、私としてはにわかにちょっとここで明確な御答弁をすることは差し控えさせていただきたい、こう思います。  というのは、我々も概念を突き合わせているわけですし、また日本銀行が調べた月報で、ちょうど一年半前ぐらいの月報でかなり日本の債権の評価とアメリカの債権の評価を比較した論文というか、調査リポートも載っておりまして、私もかなり子細に読んでおります。多分、三か月未満か三か月以上かの延滞というのはやっぱり一つのラインでありまして、三か月未満でも五〇%積め、ダウトフルであるというようなことには少なくともそのリポートでもなっていないというように、これは記憶ですけれども、記憶をいたしております。  そういう制度としての突合についていろいろ議論をして、不適切なことについて我々にいろんな御意見をいただくというのは、私はこれは非常に結構なことだと思って、我々もいろんな参考にさせていただきたいと思いますけれども、ある個別の問題について、そういうものがあったかどうか調べてみろというようなことについて、我々がどういうことで報告の徴求を掛けるんだと。我々もオールマイティーではなくて、必要なことしか、民間の事業でございますから、これをいろいろ求めるということについては、やはり一つ一つ我々吟味をさせていただいておりますので、そういう意味合いで私が今申したことを御理解いただいて、我々も一応考えてはみますけれども、今ここでにわかに御返答することは差し控えたい、こういうことでございます。  それからもう一つ、取得機構のことでございますけれども、状況は新聞等で報道されているとおりでございまして、党側がそういうことを、そういう御検討をいただいておるということでございますので、我が方としてはそれに御協力をするというか、いろいろ資料等の提供を求められればこれに応ずるというようなことで、これは連携を、連携というか協力をしていると、こういうことでございます。  個別の問題について、バックファイナンス的なことがあったのかどうか、これも取引の機微に属することなんですね。何かその契約書でもあれば、それは明確でございますからお調べしてお答えするということが可能ですけれども、そういう個別の御商売の何というか機微に属するようなこと、これについてどれだけ一体それではそういうことが明確にとらえることができるか、これについても私かなり疑問を感じますので、ここでの御答弁は差し控えさせていただきたいと、このように思います。
  88. 山下八洲夫

    委員長山下洲夫君) 両案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後零時一分散会