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清水達雄君 それで、先ほど
大臣は、今後の
税制改革を
考える六月のときの
考え方というようなことでいろいろちょっとおっしゃいましたけれども、私はやっぱり今度の
税制改革で、私なりに言うと、三つぐらい
基本的な視点というか、大事な点があるんじゃないかなと思いますのは、我が国の場合に、
法人税、
所得税、
住民税、
消費税といったやっぱり
基幹税制の
収入が足りなさ過ぎるんですね、と私は思います。
八十一兆円の歳出がある中で、
国税ですけれども、
租税収入四十六兆円、三十五兆円も足りない。こんな
財政構造があっていいはずはないわけで、いろんな
負担率等の比較をしてみましても、
国税については
租税負担率が
OECDの中で最低であると。三十か国中二十九位とかいうんだけれども、一か国はちょっと計算ができないから外れているぐらいのところで、一番
負担率が低いと、
日本は、
OECDの中で、
国税について。
地方税は十一位ぐらいのようですけれども。
というようなことでありますし、それから、いわゆる
所得税につきまして、
日本は
所得税が何か高いというようなことで今まで
減税その他いろいろやってきましたが、この間、
財務省からいただいた資料を見ますと、
国民所得に対する
比率で、G7みたいな国というのは一〇%から一四%ぐらいの
所得税を、
税収がある。
日本はたったの四・三%しかない。三分の一ぐらい、
国民所得に対して三分の一ぐらいの
負担しかしていないと、ほかの国に比べまして。
というようなことがありますし、それから
消費税についても、これも
OECDの中で一けたの国というのは、
日本が五%、カナダが七%、スイスが七・六%ぐらいで、あとは全部一〇%以上、二五%以上の国も相当あるというふうな
状況ですから、何で
日本はこんなに
税金を取らない国になっちゃったのか、もうつくづく今そう思うわけですね。
これは、いろんなことを言うと、政治の
在り方とか、あるいは
経済が非常に上がってきて
自然増収もどんどんあったとかいうふうなこととか、いろいろあると思うんですけれども、とにかくこれを
基本的に直していかなければ駄目だろうと。したがって、特に低い、
負担率が低い
所得税と
消費税について、これは
増税をしなきゃ駄目だろうというふうに思うんですね。
ところが、何か
経済財政諮問会議辺りの最近の
議論を聞いていると、
竹中大臣などは、
所得税については
課税対象範囲を広めるということはおっしゃるけれども、しかし二年間ぐらいは
減税しなきゃいかぬとか、
法人税も下げなきゃいかぬとか、いろんなそういう
発言が出てくる。常に、
日本が
税制の
議論をすると必ず出てくるのは、
増税の話は出てこなくて
減税の話ばかり。
所得税減税なんかやったって
効果がないと、これは後でまたやりますけれども、今まで
橋本内閣以来相当な
所得税減税やりましたけれども、私は
消費に与えた
効果はなかったと思います。そんなことを何のためにやるのか、
財政構造を悪くするだけじゃないかというふうな気がしているわけでございまして、したがって、こういう
基幹税制をもっとしっかりしたものにしてちゃんと金を取るということが私は大
原則だと思います。
それからもう
一つは、
資産課税なんかについては、その
課税の
歴史的背景とかあるいは
経済構造の
変化等から見て非常にゆがんだものが多いんですね。例えば、
登録免許税というのは、
日清戦争の
戦費調達の財源として調達した税である。これがかなり
税収が多いもんだから、
日清戦争なんてはるかもう忘れるような昔のできた
税制を今もって大事にお金をもらっているというような話ですよ。
それから
特別土地保有税も、いわゆる
田中内閣時代の
列島改造論、あれで
日本じゅうがあちこち皆
土地買いに走るもんだから、これを抑制しようというようなことで
特別土地保有税ができた。
それから
事業所税、これは
地方税ですけれども、これも昭和五十年ごろ、大都市への
ビル投資が非常に
集中状況でございまして、これは抑制しなきゃいかぬということで
事業所税ができて、したがって、新増築に係る
事業所税というのは、
ビルを建てると一平米六千円
税金取られる。今どきそんな
投資抑制税制があるかという、そういう税が一杯ある。
それから、非常に
多重課税になっちゃっているし、どうにもならぬというふうなことがあるわけで、こういうものはやっぱりちゃんと近代的なというか、今の
時代に即したものに直すんなら直していかなきゃならない、やめるんならやめていかなきゃならないということが非常に大事だろうと思います。
それからもう
一つは、
経済構造の
変化の問題ですが、例えば
土地の
需給構造、これはもうバブル前と今とでは全く違っているわけですね。全く違って、今は需要がない。供給の方は、
企業のリストラとか要らない
土地を早く売っちゃえとかいうようなことでどんどんあるわけでございまして、こういう
状況ですから、これはしかも、今日、
総務省の
滝政務官に来ていただいていますが、
固定資産税とかそういう
保有課税が非常に高いとかいうようなことがあって、
土地なんか買ったらえらい損だという感覚ですから、そういう
歴史的背景とか
経済構造の
変化から見た、そういう
意味でのやっぱり
合理化とか
適正化をやっていかなきゃならぬ、ゆがんだものを直していかなきゃならぬ。
それからもう
一つは、やっぱり分かりやすく、
多重課税もやめるし、細々細々した
税制はやめて骨太の
税制にするということだと思います。これは
一つには、
多重課税の問題いろいろありますが、今までの
税制改正というのは、かなり大きな要望を各省が出しますと、そんなものにはこたえられないけれども、せっかく要求してくれたんだから何か色を付けようねというふうなことでやってきたんです。私も随分やりました、もう長年。これ物すごく難しくなっちゃって、これ全然分かんなくなっちゃうということがあるんですね。ですから、この辺りは本当の手術をしていただかなきゃいかぬのかな。
私は、この辺の三点ぐらいのことが極めて大事なことで、ひとつ勇敢にみんなで取り組んでいかなくちゃいけないんじゃないかなというふうに思うわけでございます。
こんなふうなことをいろいろ
議論をしていく中で、最近の
発言として、
塩川大臣は時々
直間比率という
お話をされますし、それから
竹中大臣は、昨日の日経新聞なんか見ますと、
法人税とか
所得税について
減税をしなきゃならぬ、特に二年間ぐらいやるんだというふうなことを言っておりますが、
法人税はもう相当国際的に見てもいいところに行っていますし、
所得税なんかについてはもっと
増税しなきゃいかぬと思っているんだけれども。こういう、
竹中大臣がこういうことを今の
段階で
発言するというのは、私は、
経済財政諮問委員会の
委員が物を言うんならいいけれども、
担当大臣がこういうことを言って何か先入観みたいなものを与えるという、非常に何かおかしな
感じがしているわけなんですけれども。今日来ていただきたかったんですけれども、来ていただけなくて残念なんですが、
塩川大臣が
直間比率の
お話を時々されるというのは、その辺の、例えば直接税とか
間接税とか
資産課税とか、何かその辺についてやっぱりある
程度こういうふうに直していかなきゃならぬというようなお
考えがあってのことなんでしょうか。