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参考人(
小倉康弘君) 御紹介いただきました
大田工業連合会の
小倉でございます。お
手元に
レジュメをお配りしてございますので、その順序で説明さしていただきます。
まず、
社団法人大田工業連合会、概要につきましては、お
手元にお配りしているんで大体お分かりと思います、
事業内容につきまして。また、
大田工業連合会は十一団体ございます。各
大田区の地区、昔の蒲田区あるいは大森区というところで、地域的には明治、大正から大
企業が進出いたしましたんで、それに追随する
中小零細企業の
集まりと、こういうふうにお考えいただければと思います。
そして、内容的には、
金属機械工業が八五%でございます。
鉄道関係あるいは
船舶関係あるいは
自動車関係という
企業の
集まりでございまして、
大田工業連合会としては三十七年、
昭和三十七年に
社団法人として発足いたしまして、その傘下の
企業の
従業員の福祉ということも考えまして、
食事等、そのころは大変取りにくい、
都南工業給食協同組合というものを三十七年、同時に立ち上げまして、
大田区の
産業のためにいろいろと
施策を練ってまいりました。
大田区の
工業の
現状としましては、
昭和五十八年、一九八三年、九千百九十ございました。一九九〇年の
バブルのときは七千八百六十でございます。それが、現在二〇〇〇年に入りまして六千三十八と。お
手元にお配りしてあるので、各一九九〇年と二〇〇〇年、
バブルがはじけて七千八百六十が六千三十八と。
一般機械器具製造とかあるいは
金属製品製造、
電気機械器具製造、
プラスチック製造、
プラスチック成型というようなもの、金型を含めまして、金型四百社を含めまして、お
手元に
大田区
工業の
現状についてというところで千八百二十二減っております、
バブルから。
倒産の方も、帝国データバンクによりますと、
バブルのときには二千百五十四社の
倒産でございましたけれども、二〇〇〇年には一万八千九百二十六社と、二〇〇一年には一万九千四百四十一社というふうな
倒産を見ております。その中には、建設もございますけれども、
工業の、
企業の閉鎖とそれから
倒産というのがございます。
これは、大
企業に追随する
中小零細企業ということで、いろいろと
下請産業の脱皮というようなことで
中小企業法の
改正、
平成十二年に行われましたけれども、そのときに
資本金一億から三億に格上げしまして幅を広げたということでございましたけれども、その
理念そのものとしては余り変わりがございません。
ただ、
中小企業法の
改正ということでは、
資本金が三億になったために、一億、一万六千社が増えたという
程度の話はございましたけれども、何らそういった
中小企業に対する支援というものについては顕著な
施策はなされていないんではないかなというふうに思っております。
元々、
中小零細企業というのは
業種別分業でございまして、大
企業ができないところをやっているということですから、相互提携という考えを持っていただければよろしいんですが、大
企業はあくまでも下請ということで、後で出てまいります支払の問題につきましても大変厳しい状況にあるというふうに思います。
六千三十八が、現在ではもう少し減って六千を切ったやに思います。その内容につきましていろいろと、
企業の大半は
日本の
産業の母体である機械金属
工業というものでございまして、
平成十年、先ほど言いました六千三十八の中で、一人から三人が二千九百六十八社、四九・二%で、約半分は三人以下の
企業でございます。で、四人から九人というと千九百六十九社、三二・六%と。これを合わせますと、九人以下が八一・八%というような
現状でございます。
そこへもってきて、
空洞化ということにつきましては、大
企業が
中国ほか進出しておりますが、追随していけるかどうかというのは、あくまでも零細に近い九人以下の
企業でございますんで、なかなか追随できない。
資本金のこともありますし、いろいろの条件が整いませんので、今のところは少ないということでございます。
後の方に
空洞化の──ちょっと時間をはしょります。
大田区の
現状といたしましては、そういったいろいろの
技術、集積
技術がございまして、地域の背景としましては大
企業の下請ということで、大
企業から来る注文が、現在では
景気が低迷しておりますので受注が減っているということで、小泉
内閣、
構造改革なくして
景気回復なしということでございますが、
企業としては
構造改革をせざるを得ないというところでございまして、リストラ等をやっております。
ということは、大
企業の
海外進出もございますし、
景気低迷のために受注が減っているということ、それから利益のない仕事にどんどん移行していると。それは価格破壊でございまして、受注が少なくなっておりますんで価格
競争と。それからまた、下請としては親
企業からの価格の値下げ要請ということが重なりまして、現在では、
景気も反映しまして、大体
企業の六割は受注が減っていると。これも三〇%以上六〇%というような状況にございます。
それにつきまして、ちょっとお
手元にお配りした受・発注情報交換会というのをやっておりますが、一九九三年、九二年から始めまして、そこにちょっと一覧見ていただければ、参加
企業に対して、右の方に受・発注
企業数の中で受注と発注というのを分けてございます。この受注と発注が、一九九五年、少し発注者が多かったというところで、一九九八年、受注したいというところよりも発注するというところが非常に少なくなって、受注の方が多くなってきた。
そこに、下に二十二番で、
平成十三年の二月、全体の
企業として参加していただきましたのは百四十四社で、発注の方が二十二社ということで一五・三%になっております。これはちょうど半導体の
景気のいいときでございまして、ここで設備
投資をした
企業は正に明くる年には奈落の底に落ちるというようなところもございます。
平成十三年の十月、百社ありまして、たった三社が発注したいというような、
景気の動向がはっきりとこの受発注パーという
意味では出ております。これは
大田区でやっておりますが、横浜も参加するようになりまして、右の方に合同とかいうふうに書いてございますので、ごらんいただければ分かると思います。
大田区にいろいろと、
自動車部品あるいは電気機器部品あるいは精密機器等ございます。ただ、機械金属
工業が
大田区で八五%を占めているこの
技術というものにつきましては、個々の零細
企業の
集まりでございますので集積
技術というふうに申し上げて、よく小関さんという方が、紙飛行機を飛ばすと製品になって出てくると、図面がなくても
技術者が寄り集まってチームワークを組んでやっているというようなことも言っております。そういうことで、基盤
技術としては揺るいでおりませんけれども、大
企業が進出していきますので受注が減って閉鎖ということになっております。
それから、
大田区の
産業の
空洞化につきましては、そこにございます、お
手元にお配りしてあるあれなんですが、
空洞化の影響に関するアンケート
調査というのを約一千九十社やりましたけれども、回収率は一九・六%、二百十四社のアンケートを取ってございます。そこに、全体を申しますと、最初のところに受注の額の増減というのがございます。そこに、ほぼ同額というのが一四%、増額が六%、約四十三社の二〇%と。あとの方は百七十社の七九・四%ということでこれが減額で、受注が減っているという状況でございます。その中で内訳は、一〇%から二九%が五十一社、三〇%から四九が六十三と、五〇%以上が三十六社と、こういうふうな状況でございまして、大変厳しい状況にあるというふうになっております。
この間も東京信用金庫協会というところが資料を出しておりますのが、やはり受注が六〇%減って、それから利益率が、利益がないというのが三九%、そして価格
競争及び値下げということで、値が下がっているのが三一%というような資料が出ております。そういうことから、あらゆる角度から見ましても大変厳しい状況にあるんではないかというふうに思っております。
産業の
空洞化と言いましても、今先生の方から、
鶴田先生の方からお話がありました、マクロ的にはそういうことで。
大田区の
技術としては大量
生産というものは余り、大
企業はやっております、
中小零細企業というのはそれこそオーダーメークというか、数の少ない、また開発製品の試作等こういったところでやっております。たまたま絞りという、へら絞りというのがございますが、これが宇宙ロケットですか、あの先端などをへら絞りでやるというところは、個々の、量産しておりませんし受注もそんなに数ございませんので、そういうところは生き延びております。
ただ、スプリング等につきましては、大変幅広くやっておるところは、
自動車産業が減れば携帯電話のスプリングが増えるというようなことで細かいスプリングは作っておりますが、大きいものは仕事がなくなると。ですから、スプリングを作っているところなどは約七割ぐらいは工場の機械が遊んでいると。
金型屋さんにつきましても、やはり
一つの例としましては、携帯電話がいろいろと機種が変わってまいります。そうすると、金型がどんどん変わってくると。そのたびに価格が安くなるということで、何かこう型物につきまして、金型につきまして、どうも
中小企業としては試作の段階で親
企業に出しますと、図面提出、承認図提出ということが要求されております、最近は。その図面を出しますと
中国あるいは台湾で作られちゃうと、二度とその品物は来ないというようなことで大変苦労しているところでございます。
こういったところを
規制するのはなかなかいけないんでしょうけれども、
企業の倫理観の問題というふうに思っております。私などが考えますのは、先進国がビルマだとかマレーシアとか言ったときにはその地域の
発展のための
産業移転でございまして、
日本はどうも低賃金を求めて、安く作って利益を上げようという経営倫理の問題、
企業倫理の問題じゃなくて経営論理の問題というふうに考えております。この辺のところは大
企業に考え直してもらわなくちゃならないなと思うんですが、やはりこれは
企業として、プロパーがやっておるわけじゃないんで、そのときそのときのやはり
考え方、利益を生むと、論理的な
考え方から行われる嫌いはあるんではないかというふうに思っております。
そんなことで、
日本の
産業が
中国に進出しましても、地域の繁栄のためにやって、ただ労務費の安い、二十分の一の
中国の労務費を使って逆
輸入してもうけようという考えでは、
世界の
日本ではなくなっていくんじゃないかというふうに私は思っておるわけでございます。
アンケートもそういうことで、
空洞化につきましては、基盤
技術そして開発、あるいは試作品等々の
技術については移転はしておりません。大
企業に付いていくんですが、余り移転については考えていないと思います。
ここに、アンケートを見ていただきますれば分かるんですが、ほとんど
海外へ移転という、Qの五ですか、取引先の製造拠点の
海外状況はということで、ほとんど
海外へ移転、半数ぐらいが
海外へ移転、一部が
海外へ移転というのが五八・九%でございます。
それに対しまして、
中小企業のやはり要望に、打診されたりなんかしておりますQの七では、取引先の製造拠点の
海外移転に伴って取引先から貴社の
海外移転を要請されましたかということにつきましては、要請されたというのと打診されたというのが十五件で、あとは要請されないと。どっちかというと、
日本の
技術を持っていくんじゃなくて、単純なものは向こうで製作して利益を出そうという単純な考えが先行するんではないかなというふうに思っております。
あと、ちょっと済みません、
大田区の今後としましては、そういった
技術的には基盤
技術を温存しながら、そしてやはりITによって受注活動をしながら情報を入れて、より特化した
技術の研さんに努めたいなというふうな考えでおります。
大田工業連合会には青年部がございますので、若手
経営者と青年部というものを活発に動かすように考えております。
これにつきましては、なかなか資金がございませんので、特別会計として、
大田工連としては二百万、昔は二百万で五・五%か六%の利息がございましたので、八万円ぐらい、手取り八万円、二〇%の税金を引かれましても八万円、それが一応活動費というような、細々とした青年部の、今後の若手
経営者に対する行事として行っております。
その下、「行政
施策に対する要望」としまして、ちょっと時間を過ぎておるようでございますが、契約及び支払条件の適正化については、下請支払遅延防止法というのがございますが、そこに書いてございますのは、支払に困難な手形は切っちゃいけないということで、繊維は九十日、あるいは
製造業については百二十日という制限がございます。この繊維と
製造業の比較がどうなのか、平等でいいんじゃないかとか、あるいは支払手形というのは現金決済にならないものかということで、
中小企業庁長官が
大田区に参りましたときに私も言ったわけですが、なかなか商法を
改正しなくちゃできないと、こういうことですが、
日本だけが手形決済でございまして、この手形決済がこういう不
景気になりますとどうしても不渡りになりまして、その間、要するに手形割引、一・七二五とか一・八二五というような金利を払って銀行から借りたものが、期日が来れば不良債権ということで、なおなおこの
中小企業については大変厳しい状況にございます。
金型
工業会からもこれはしかと
お願いしてあるということでございますが、政治家として、やはりこの手形決済というものを行政指導なりあるいは法律、
中小企業庁長官が、ああいう
規制をなくせばいいというふうに、
規制を改定していただきたいなというふうに思っております。
またもう
一つは、この間、石弘光さんが事業継承についての不動産の評価ということを言っておりました。そこに何を言ったかといいますと、
農業とそれから商
工業とでは流動性が違う、だから事業継承の不動産価格の評価は違うのが当たり前だというようなことも書いてございました。こういうことはちょっと、我々
工業者としては今の
時代に納得できないということでございます。
というのは、農耕
社会から
工業社会に移って今や情報化
社会になりつつあるのにもかかわらず、昔の観念を捨てていない、一向に代わり映えがしないということで、例えば農林漁業
金融公庫にしてみますと利息一・二%の融資金利息でございますが、
工業になりますと、どうしても
中小企業金融公庫あるいは商工中金等に見ますと二・三%、こういった利息の違い、こういったことも
一つお考えいただけたらというふうに、ここでちょっと
産業の
空洞化から離れるんですが、
国際競争力を
強化するためにはやはりそういった点もひとつお考えいただくと。
それから、特別保証制度で、
平成十年の十月一日から五千万を貸出しいたしました。そのとき、
平成十年の十月二十六日、堺屋太一さんほか、岩田
中小企業長官等々、深谷さんもお見えになりました。私、そのときに、一年据置きの四年返しなんというのは、小渕さんが一両年
景気の回復が掛かるということなんで、二、三年の据置きで四年返しの七年にしてくれたらどうだと言ったら、大蔵省に言っておきますと。こういう
考え方では大変、
中小企業としては大変厳しい経営を強いられるということでございますので、篤とお考えいただきたい。よろしく。
ありがとうございました。