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政府参考人(
坂篤郎君)
モデル的に申しますと、先ほど申し上げましたように
生産性が、トータルな
生産性がどういうふうに上がっていくかということでございますが、そこから先は
モデルというよりは言わば人間の
考えでございますけれ
ども、この「
改革と
展望」の中に沿って御
説明いたしますと、非常に大きく申しますと、今後二年
程度の
集中調整期間というのは
調整期間でございますからゼロ
近傍の
成長ということにならざるを得ないけれ
ども、
改革の結果、
活力にあふれる
民間部門、あるいはそれを邪魔しない簡素で効率的な
政府というものができてくると。また、
改革というのは、この「
改革と
展望」の中に書いてあることでは、あるところに来ると峠を越えたように至るとか、何かそういうふうにぱっと
展望が開けると。これは
経済学的に申しますと、
制度の
補完制とかといったようなことをよく言うわけでございますが、いろいろなことが組み合わさって世の中というのは動いているんで、いろいろなことを少しずつ変えていくとあるところでそれが補完的に働き出すと、そういったことがあるだろうということでございます。
そういうふうにすると二〇〇四年度以降は
成長率も上がると、こういうことなんでございますが、若干具体的に、もう少し具体的に申し上げますと、例えばまず、先ほ
ども申し上げましたが、
不良債権の処理が促進される、それからあるいは
証券市場の
構造改革あるいは様々な
規制改革、そういったものが進展しますと、例えば
規制改革が進展しますと、
政府がやっていたことがこれからは例えば
民間がやるようになると。あるいは、PFIなんというようなのもそういったような観点の
一つでございますが、そういったことによって、言わば民業の
部分が、今まで
民間でやっていなかったようなことが拡大してくると。そうしますと、当然、
投資が拡大をいたしますし、あるいは新しい
仕事を起こす方、起業と申しますか起こす業でございますね、といったものが促進されると。それからまた、そういったような大きな流れというのができてくるだろうと。
それから、次に
財政赤字につきまして、この「
改革と
展望」の言わば
財政的なことというのもかなり大きな
部分を占めているわけでございますが、
財政赤字が削減をしていく、あるいは
財政は規律をもって展開をしていく、と同時に
社会保障制度につきましてもなかなか
持続可能性というものを必ずしも
国民の方々に完全には御納得いただいていないというところがあるんではないかと思うのでございますけれ
ども、そこをちゃんと持続可能な
社会保障制度をきちんと
構築していくというようなことをやっていきますと将来に対する不安が軽減される、そうしますと
消費も拡大すると。逆に申しますと、
消費が今伸びていない
理由の
一つにやはり将来に対する不安というのがあるんではなかろうか、その不安の中には
財政赤字でございますとか
社会保障制度の将来性といったようなこともあるんではなかろうかということでございます。
それから三番目でございますが、
歳出の
中身も大事だろうと。その
歳出の
中身を合理化していくことによりまして
雇用とかあるいは
民間企業のいろいろな
仕事が増えていくといったようなこと、それから先ほど申し上げました
規制改革なんかが進むことによりまして、特に労働力需給の
ミスマッチと申しますけれ
ども、こういう
仕事があってこういう人が必要なんだよねということは片一方であるわけですが、片一方で必ずしもそれに合った人たちがなかなかうまくはいないと。あるいは両方側にいるんだけれ
ども、そこの連絡がうまくいかないといったようなことを
ミスマッチと申しますが、こういったことがいろいろな手段によって解消していく、縮小していくと。
それから四番目に、先ほど全体として申し上げましたけれ
ども、
生産性が基本的には上昇していくと。
それから、実は重要なことは、今後の日本というのは労働力が増えていかない、あるいはむしろ場合によっては減っていってしまうということがあるわけでございますが、こういうふうな場合に、結局、今まだ何というか、これからもよりたくさん働いていただける可能性があるのというのは、今の
社会の仕組みからしますと女性とか高齢者の方々の言わば就業率あるいは労働力率というふうに申しますけれ
ども、そういったものが上昇すると。そのためにもやはりそういった仕組みに
社会をしていかなくちゃいけないというようなことがございます。
例えば、この「
改革と
展望」の中には生涯現役
社会というものを目指すんだといったようなことも、それから男女共同参画
社会というのを目指すんだということも書いてございます。これはもちろん高齢者の方々や女性の方々のためということも当然あるわけでございますが、
経済成長という観点から見ましてもそういうことが重要だということでございます。