○
政府参考人(
田勢修也君) 経済産業省
大臣官
房審議官の
田勢と申します。
私
どもの方からは、
中東地域及び
中央アジア地域の経済情勢並びに同
地域の貿易・投資の
現状と
課題の件につきまして御説明をさせていただきます。
お手元に「経済産業省」と書きました資料を配付してございますので、かいつまんでこれに沿いまして簡単に御説明をさせていただきます。
まず、
中東地域の経済情勢でございますが、御案内のとおり、
石油の輸出収入に大変大きく依存している国が多うございます。したがいまして、
石油価格が上下することによりましてその財政への
影響はかなり大きいものがございます。これが第一番目の特徴でございます。
二つ目は、比較的若い労働者
人口が増加をしてきております。一方、先ほど
杉浦副
大臣の御説明にございましたが、他の
イスラム諸国、特に
インドネシアあるいは
パキスタンといったような国から相当に数の多い外国人労働者がこの
地域には流入をいたしておるわけでございます。
加えて、例えば、湾岸の
産油国の中では、若者、その
国民としての若者でございますが、ブルーカラーには余り就かないというような傾向があるというふうに聞いておりまして、ブルーカラー的なところは外国人労働者、やや肉体労働ではないところに自分のところの子弟を就職をさせたいと。そういたしますと、なかなか就職の機会がなくて、この失業率の問題が実は大きな問題になっておると。一方、これを全部カバーするほどの財政の余力があるのかどうかというところがここら辺の問題になってくるわけでございます。
そういう文脈の中から、
中東湾岸の
産油国はまずは
石油依存型の産業構造を転換をしたいという強い希望をお持ちでございまして、これまで大分手を打ってきておるところでございます。さらには、外国企業から投資を誘致をいたしましていろんな産業を興したいと、こういう御要望がたくさんございます。そこにちょっと書いてございますが、例えばドバイなどで、非常に有名でございますが、フリートレードゾーンのようなものを使いまして特典を与えることによって外国企業の投資を誘致すると、こういうやり方が相当いろんなところに広がってきておるわけでございます。
昨年の九月の
同時多発テロ事件の
影響でございますが、一時的に例えば駐在員等が自分の国に引き揚げるといったような諸外国の活動が低調になった面も見られましたが、最近ではほぼ同じレベルまで戻ってきていると、こんなふうに見ております。
続きまして、
中央アジアでございます。
二ページ目に書いてございますが、少しその真ん中にございます表をごらんをいただきたいと存じます。
中央アジア五か国の一九八九年の実質GDPを一〇〇として、二〇〇〇年には一体どれぐらいのレベルなのかとごらんをいただきますと、タジキスタンの四七という数字が目を引くわけでございますけれ
ども、相当、十年前、ソ連解体の前に比べますと経済の活動が低調になってきているということが見て取れるわけでございます。九九年、二〇〇〇年と、すべての国で経済成長はプラスというふうに私
ども承知をいたしておりますけれ
ども、全体としてまだ昔のような生産活動のレベルには戻っていないということでございまして、現在まだその改革の途上にあるという認識でございます。
同時多発
テロの
影響でございますが、一時的にはアフガンと国境を接する国におきましていろんな支出が増えましたが、総体的にはそれほど大きな
影響があったわけではないと承知をいたしております。むしろ、アメリカ軍の駐留等を含めまして
米国との
関係がややきずなが強くなったところが多いような感じがいたします。
それでは、次は
中東との貿易
関係でございます。
これも四ページ目をちょっとごらんをいただきますと非常によく分かるわけでございます。サウジアラビアからクウェート、アラブ首長
国連邦、カタールまでごらんいただきますと、左側がそれらの国から
世界向けの輸出、右側は
輸入でございます。いずれも
日本が大変高いウエートを占めております。当然でございます。輸出は、まず原油
関係、ガス
関係の関連がございますので
日本にたくさん輸出をしております。一方、
輸入でも非常に
中東産油国は
日本からたくさん
輸入をしている。すなわち、
日本のプレゼンスが非常に大きいということがこれで見て取れるわけでございます。
イランは、その下の方でございますが、輸出は原油が多うございますので
イランは高いんですが、実は
輸入の方はちょっと様相が変わってきておりまして、ドイツが一番でございまして、
日本はそれよりも下の方でございます。エジプトをごらんいただきますと、
日本は輸出でも
輸入でもそう上位にあるわけではございません。
すなわち、
日本のプレゼンスというのは、同じ
中東の様々な国でもこれだけ違うということが見て取れるわけでございまして、その辺りをよく頭に置く必要がございます。
前のページにございますが、
日本の総
輸入に占める
中東のシェアは約一割でございます。ほとんどが原油、
天然ガスでございます。一方、
日本からの輸出を見ますと
中東向けは三%にすぎませんで、そういう
意味で、
輸入では大切な国でございますが、輸出のマーケットとして見ると相対的にウエートは小さいということが言えようかと思います。
五ページに参りますと、
中央アジアにつきまして同じようなことを見ております。
六ページ目をごらんいただきますと、先ほどの
中東の表と全然様相が異なることがお分かりになろうかと思います。カザフスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタン、
中央アジア五か国でございますが、輸出におきましても、左側の輸出相手国、右側の
輸入相手国を見ましても、
日本は全然上位の方に入っているわけではございません。すなわち、ロシア、旧ソ連の盟主国でございますロシアといったようなところが上位に来ておりますし、いわゆる周辺
諸国、旧ソ連の
国々が上位に来ておりまして、そういう
意味では
日本のプレゼンスは
中央アジアにおいては数字を見る限り高くはない、低いということが言えようかと思います。
続きまして、七ページへ参ります。それでは投資はどうなっておるのかということでございます。
中東への投資でございますけれ
ども、距離的にも遠うございますし、様々な
意味で違いのあるなじみの薄い
地域でございますので、投資実績は欧米
諸国に比べると残念ながらさほど高いレベルではございません。
一方、
中東諸国、特に
産油国は大変なお金持ちの国もあるわけでございまして、こういった方たちがどこへ投資をしているかというと、余り
日本には実は投資しておりません。先週も某
中東産油国の方がお見えになりましたが、
日本のストックマーケットに投資をしておったんだが最近余りやっていない、これからどうなるのか教えてくれと、こんなお話があったぐらいでございます。むしろ、例えば
中東産油国から周辺の国、例えば
中東から、
湾岸諸国からエジプトとか、そういったところに投資がされたり、必ずしも自国ではなくて一番もうかるところにどうもいろいろな御投資をされている、あるいは欧米の株式等、あるいは土地といったようなところに投資をされているケースもございまして、ここら辺が我々としては時々問題点として指摘を申し上げております。
投資の
促進につきまして後ろの方に表がまた出てまいりますので後でリファーいたしますが、主として
政府ベースの
支援策といたしましては、財団法人の
中東協力センターというのがございます。ここで様々なミッションの派遣やフィージビリティースタディー等の
調査等をやりまして、民間企業の
方々が
中東におけるビジネスチャンスをうまく把握できるようなお手伝いをさせていただいております。さらには、ジェトロの事務所もドバイとリヤドにございまして、それぞれ活動を積極的に行っているところでございます。民間の企業の皆様方には、年に一回程度、サウジアラビア、クウェートにつきましては合同
委員会をやっております。その他の国を対象にいたしました、例えばジェトロがやるもの、
中東協力センターがやるもの、様々なフェアあるいはセミナーといったようなものも活発にやらせていただいております。
中央アジアの方でございますが、
中東に比較してもまだ経済改革が十分に進んでいないということ、すなわち投資先としての熟度がまだ十分でないということ、さらにはアクセスも非常に難しゅうございます。例えば、私
どもが行く場合でも、一部の国を除いてはモスクワ経由で飛行機で行かなければいけないというようなことがございますし、
中央アジア各国を横に動こうとしてもなかなかうまい飛行機がない、すなわち、一気に全部回るということがなかなか難しいようなところでもございます。様々な情報もまだまだ不十分でございますので、投資はまだ低調でございます。もちろん、
中央アジアから
日本への投資というものはほとんど聞いたことがございません。
この
地域につきましては、ジェトロとそれから社団法人のロシア東欧貿易会という組織がございますが、ここが、先ほど申しました
中東協力センターと同じようにセミナー、フェアといったような様々なサポートをいたしておるところでございます。
ジェトロ・モスクワが大体この
地域を見ておりまして、ウズベキスタンのタシケントにもジェトロの事務所を、ついこの前でございますが作らせていただきました。カザフスタンのアルマティには金属鉱業事業団の事務所がございまして、全体のあの辺りの金属資源の
関係の仕事をいたしております。
それから、民間の企業の皆様方はそれぞれ各国と経済
委員会というようなものをやっておりまして、私
どもも時々参加させていただきますが、大変活発に先方の国は、民間企業というよりはどちらかというと
政府が国営でいろんなことをやっていらっしゃるケースも多いものですから、相手国は
政府、こちら側は民間というような経済
委員会、経済合同
委員会といったようなことを頻繁に開催をさせていただいておるわけでございます。
それから、
中央アジアとの経済
関係でございますが、少し整理して申しますと、八ページの真ん中ぐらいからございますが、少し分けて
考えた方が
理解がしやすいような気がいたしております。
すなわち、カスピ海原油もございますカザフスタン、あるいは
天然ガスが豊富なトルクメニスタンといったような、いわゆる炭化水素
関係の資源を有している国、まあ
産油国に近いようなもの、それから、
人口が多い、将来ポテンシャルが高いと思われるウズベキスタンのような国、それから、残念ながら天然資源も余りなく所得が低いタジキスタン、キルギスタンといったようなものに分けて
考えていった方がいいのではないかなと、こう思います。
大体が
石油、
天然ガス、あるいは綿花、さらには農業といったようなことに非常に特化した経済構造でございますので、こういった国は少し複数の産業の柱を持つということが重要ではないかと思いまして、中小企業の
育成、それによる
輸入品の国産品への代替、それがひいては例えば部品の海外輸出といったような、そういった
考え方の産業構造の改革といったようなものを、よく
会議では私
どもから御示唆申し上げ、御提案をしたりすることがございます。
これらの国につきましては、なかなか
日本の企業が利益ベース、利潤ベースで仕事をすることが難しい面もございますが、とにかく
双方にとって利益が出るという原則を頭に置いて動かしておるわけでございます。
九ページはちょっと飛ばしまして、横長の表がお手元に、十ページのところにあろうかと思います。
中東地域、
中央アジアへの投資の
現状というようなことで若干の数字がございます。
左側から二つ目の欄は、これは財務省の届出ベースの数字でございますので、すべてを私
どもが把握しているわけでございませんが、例えばアラブ首長
国連邦につきましては、いわゆるガスの液化
関係の投資がございます。
それから、
日本からの進出企業のところでは、非常に、数がもっともっとあるかもしれませんけれ
ども、ドバイの
中東から
アフリカへ向けてのディストリビューションセンターとしての機械器具、電子機械といったようなもののベースを
日本企業がたくさん持っているということでございます。
イランは、大きな投資はございませんが、幾つか進出をいたしております。
オマーンは、LNGの
関係かと存じます。
クウェートは、一件七億円とございますが、これは
石油精製に使います触媒の製造業、ここに投資をしたものでございます。
サウジアラビアは、たくさんございまして、カーエアコン、あるいは白いお洋服を着ていらっしゃいますが、ああいった布を作る生地の工場、あるいは薬とかエアコンとか、様々なものが過去に出ておるわけでございます。
バーレーンは、残念ながら金融の方でございます。
カタールは、LNGといったようなところが多うございます。
レバノン、ヨルダンは、ちょっと小そうございまして、余りないわけでございますが、エジプトは、例えばファスナーとかあるいは製薬会社とかスチール
関係、そういったようなものが出ております。
ウズベキスタンは、よく承知しておりませんが、繊維
関係ではないかというふうに思います。
簡単でございますが、以上で終わりまして、説明を引き継がせていただきます。