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2002-04-08 第154回国会 参議院 国際問題に関する調査会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年四月八日(月曜日)    午後二時一分開会     ─────────────    委員異動  四月四日     辞任         補欠選任      池田 幹幸君     緒方 靖夫君  四月八日     辞任         補欠選任      高野 博師君     遠山 清彦君     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         関谷 勝嗣君     理 事                 山崎  力君                 山本 一太君                 藁科 滿治君                 沢 たまき君                 緒方 靖夫君                 田村 秀昭君     委 員                 入澤  肇君                 小林  温君                 西銘順志郎君                 野上浩太郎君                 舛添 要一君                 森元 恒雄君                 吉田 博美君                 佐藤 雄平君                 山根 隆治君                 若林 秀樹君                 遠山 清彦君                 井上 哲士君                 大田 昌秀君    副大臣        外務大臣    杉浦 正健君    事務局側        第一特別調査室        長        鴫谷  潤君    政府参考人        外務大臣官房審        議官       城田安紀夫君        外務大臣官房審        議官       角崎 利夫君        外務大臣官房審        議官       奥田 紀宏君        外務大臣官房審        議官       滑川 雅士君        経済産業大臣官        房審議官     田勢 修也君        資源エネルギー        庁資源燃料部        長        松永 和夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○国際問題に関する調査  (「新しい共存時代における日本役割」の  うち、イスラム世界日本対応について)     ─────────────
  2. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) ただいまから国際問題に関する調査会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る四日、池田幹幸君が委員辞任され、その補欠として緒方靖夫君が選任されました。  また、本日、高野博師君が委員辞任され、その補欠として遠山清彦君が選任をされました。     ─────────────
  3. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、会長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事緒方靖夫君を指名いたします。     ─────────────
  5. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国際問題に関する調査のため、本日の調査会外務大臣官房審議官城田安紀夫君、外務大臣官房審議官角崎利夫君、外務大臣官房審議官奥田紀宏君、外務大臣官房審議官滑川雅士君、経済産業大臣官房審議官田勢修也君及び資源エネルギー庁資源燃料部長松永和夫君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。     ─────────────
  7. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) 国際問題に関する調査を議題といたします。  本日は、本調査会調査テーマである「新しい共存時代における日本役割」のうち、イスラム世界日本対応について政府から報告を聴取した後、午後四時五十分ごろまでを目途に質疑を行いたいと思います。  それでは、まず政府から報告を聴取いたします。  報告は、着席のままで結構でございます。杉浦外務大臣お願いをいたします。
  8. 杉浦正健

    ○副大臣杉浦正健君) 外務大臣杉浦正健でございます。  まず、御報告に入ります前に、本調査会イスラム世界日本対応という極めて今日的なテーマで熱心に御議論なさっていることに心から敬意を表する次第でございます。議事録をざっと読ませていただきましたが、各界の方々をお呼びいただいて、しかも熱心に質疑、議論なさっておられます。  大変個人的なあれで恐縮でございますが、これ終わりましたら冊子にまとめていただいて、広く江湖にお配りいただきますと、日本イスラム世界に対する理解が深まるんじゃないかというふうに思いますので、心からお願いを申させていただいた上で御報告に入りたいと思います。  我が国外交は、もとより、日本国益を守るためにある。国益については、私どもは、我が国の安定と繁栄を維持することだということに相なっておるわけでございますが、この国益という、一口で言ってそうなんですが、我が国国益考えた場合、イスラム世界というのはもうバイタルなものだと、イスラム世界との関係というのはもう生命線一つだと言ってまずよろしいかと思います。  二点ほどございます。  まず、イスラムを信仰する方々の数でございますが、正確には分かりませんが、十億を超えると、こう言われております。これは世界人口の五分の一に当たる数でございます。  イスラム教徒は、中東のみならず、アジアアフリカ、さらにはヨーロッパ、アメリカ大陸等地球上全地域に広がっておる地球宗教でございます。そして、とりわけインドネシアマレーシア、フィリピン、中国、パキスタンインドバングラデシュといった私どもの身近な国々においても多くのイスラム教徒がいるわけでございます。  インドは、イスラム国とは言われておりませんが、そこのイスラム人口パキスタン人口よりも多い、インド人たちはこう胸を張るわけでございます。それほどたくさんの方々が現に存在するということでございます。したがいまして、日本のこれも最大の課題でございます貿易とか投資の相手先としてもこのボリューム、その一部の人々は大変なお金持ちでございますので、そういった意味でも大変重要であります。  とりわけ、我が国生存に直接かかわっておりますエネルギー源としての重要性はもう申し上げるまでもございません。我が国エネルギー源のほとんどすべてを外国からの輸入に依存しております、石油等ですね。その中でも、中東に対する原油依存度は約八六%と非常に高い率にございます。中東エネルギー資源の宝庫であり、埋蔵量の点からいいましても、現在調査した限りでは、現在の年間産出量の約八十三年分が賦存していると言われております。  この地域は、日本を含む東アジア地域にとりまして、二十一世紀に入りましてからなお一層この中東湾岸地域エネルギー供給に対する依存度を高めていくと考えられているところでございます。余り中東エネルギー供給源に依存するのは安定供給の確保から好ましいとは言えないということで、供給源多様化の必要が認識され、その努力が行われているわけでございますが、しかし、中東以外で我が国にとってエネルギー供給源となり得る国はどこかといいますと、中央アジア諸国あるいはナイジェリア、アルジェリア、インドネシア等、どこを取ってもやはりイスラム教徒国民の大部分を占める国々でございます。エネルギー安定供給を確保するためには、これらイスラム諸国との安定的友好関係を抜きにしては考えられないということでございます。  第二点は、これは今までの審議過程で出ておりますけれども我が国我が国民のイスラム教イスラム圏に対する理解度が極めて低いということが一般論として言えると思います。  我が国にはイスラム教徒は、ないことはございませんが、わずかなものでございまして、皆無というと怒られますけれども、皆無に等しい状態でございます。極端に少ないわけでございます。したがいまして、イスラム教に対する理解も低いわけでございます。我が国キリスト教、同じような、同根と言われておりますキリスト教についての理解度イスラム教よりは多いと言われております。果たしてキリスト教に対してどれぐらい正しく理解しているかどうか分かりませんが、しかし、西洋文明を明治維新以降輸入する過程で、その精神的支柱であったキリスト教もどんどん入っておる。数%キリスト教徒が日本国民にはおられますという意味で、キリスト教については比較的理解イスラム教に比べてあると思いますが、イスラム教については非常に低いと言えると思います。  したがって、今度のテロ事件におきましても、イスラム原理主義だと、そのアルカイーダ一派のやったことだということになりますと、日本国民の大多数は、非常に理解の及ばない、非常に、極端な言葉を使えば、えたいの知れない組織ではないかという感想を一般国民日本国民は多く持っているんじゃないかと思います。  我が国といわゆるイスラム世界に属する国々との交流は、アジア国々を除きますと、中近東を始めエネルギー中心とする経済協力に、経済交流に偏ってきたと言っても過言ではないと思います。そのために、イスラム教基調とする文化が形成されたイスラム世界との本当の意味の付き合いというのは、今これからだと言ってよろしいかと思うわけでございます。  イスラム教が生まれた地域中近東と申しますか、その地域は、もう申し上げるまでもなく、世界三大文明でございますインダス文明メソポタミア文明、ナイル・エジプト文明の発祥の地でございます。そういう土壌の中からムスリムも発生をし、七世紀以降、今日に至る隆盛を極めるようになったわけでございますが、文明文化の面で申しましても、八世紀から十五世紀ぐらいの中世アラブ世界におきましては、ギリシャ、ペルシャ、インドなどの科学を統合し発展させ、哲学、医学、数学、天文学、科学等、当時の世界最高水準科学が築き上げられたわけでございます。そういった過程で一神教であるイスラムが思想的な中核の役割を果たしていると、こう言われております。  西洋科学も十二世紀以降、これらがラテン語に訳されまして、近代西洋科学知的基盤を作り上げていったと言われておりまして、それが巡り巡って日本に流入したとも言われるわけでございます。言葉にすれば、アルコールとか代数を示すアルジェブラというのはアラビア語に由来しておりますし、アラビア数字にしてもインド原産と言われておりますが、この地域科学技術発展の中で継承してきたものではないかと言われておるところでございます。食べ物においても、コーヒーはこの地域原産で、イエメンであると言われておりまして、喫茶店文化もここが原点だと言われておるわけでございます。それが、あるいはシルクロードを通り、西洋文明を通りまして、日本に非常に大きな影響を与えているわけでありますが、そういった点の理解も十分であるとは言えないと思うわけでございます。  イスラム教基調とする文化が形成されましたイスラム世界、それが世界じゅうに広がっておりますが、その世界双方立場を尊重しながら相互理解を深めていく必要は、日本国益を図っていく上で非常に大切なことだということをまず申し上げさせていただきます。  本日は、イスラム世界日本対応というテーマの下で、外交面における取組相互理解を深める取組経済協力面での取組の三点につきまして、順次御報告させていただきたいと思います。  なお、一口イスラム世界と言っても、先ほど申し上げましたとおり、非常に広範な地域を指すと考えられますので、本件報告の対象といたしましては、北アフリカを含む中東地域中央アジア地域ということに取りあえず限定させていただきたいと、こう思っておりますので、御了承賜りたいと存じます。  まず、対中東中央アジア外交について申し上げます。  対中東外交については、中東和平イラクイランアフガニスタンという四つが今差し迫って当面している重要な課題でございますが、先ほど申し上げましたように、我が国原油輸入量の約八六%を占める中東地域の平和と安定は我が国生存繁栄に極めて重要でございますし、また中東地域には大量破壊兵器の拡散問題、ブッシュ発言にございますテロ問題も存在しております。そういった意味で、国際社会の平和と安定に直結いたしておりますことから、責任ある世界主要国の一員としても中東の平和と安定の実現に積極的な役割を果たしていく必要があること、この二つを常に念頭に置いて取り組んでおるところでございます。  中東和平問題につきましては、我が国は大変憂慮いたしております。私どもは、パレスチナ過激派による相次ぐテロ及びそれに対する報復としてのイスラエル軍パレスチナ自治区侵攻、特にアラファト議長府の同軍による包囲によりまして最近とみに暴力悪循環が激化いたしております。情勢は著しく不透明化いたしております。私どもは強く憂慮しておるところでございます。  我が国としても深刻な現状の打開に向けて取組を行っておりまして、近いものだけ申し上げますと、先月二十九日、訪日いたしましたアブ・アラ・パレスチナ立法評議会議長国会議長ですが、事実上の、に対しまして川口大臣、私もお目に掛かりましたが、暴力停止のための最大限努力を求めました。三十一日にはペレスイスラエル外務大臣に対しまして川口大臣から、電話でございますが、パレスチナ自治区からの即時撤退を含めた最大限の自制の行使を求めました。川口大臣はこの一日にパウエル米国務長官電話をいたし、米国の関与の重要性を強調いたしました。  さらに、二日から茂田前駐イスラエル大使川口大臣の書簡を託しまして現地に派遣いたしました。茂田大使は五日にペレス外務大臣に会い、失礼、四日にアブ・アラ立法評議会議長に会い、ペレス外務大臣には五日に会いました。七日にはエラカート、これはパレスチナ側ですが、地方自治庁長官、同じ日に、これはイスラエルでございますが、アヤロン首相外交担当補佐官に会いまして、今申し上げたように、暴力悪循環を阻止するためのあらゆる最大限努力を求めておるところでございます。また、川口外務大臣も時期を見て訪問したいという意向を持っておるところでございます。  このような取組を通じまして、アメリカ等国際社会努力しておりますが、イスラエルパレスチナ間の紛争による悲劇的な状況を一日も早く終わらせるため、国際社会とともに、イスラエルパレスチナ双方に対して引き続き働き掛けていく所存でございます。  また、パレスチナ人々に対する経済支援も引き続き行ってまいります。  イラクにつきましては、石油賦存量が非常に大きい。現在、OPECの四%を産出しておりますが、賦存量は非常に大きい。かつては我が国と最も関係の良好であった国でございます。我が国大使館もまだ閉鎖はいたしておりません。このイラク我が国にとって死活的に重要である湾岸地域の平和と安定の実現には正にかぎとなっている国でございまして、イラクの関連した安保理決議履行、特に国連査察受入れを通じまして問題が解決されることが不可欠と考え、あらゆる方法で我が国意向を伝えておるところでございます。そのために、国際社会が一致してイラクに対しまして安保理決議履行を強く働き掛け、疑いを、イラクに対する、掛けられている大規模破壊兵器開発等の疑惑を解明していくことが大事だと考えております。  イランでございますが、やはり一大産油国でございまして、中東地域及び国際社会の安定に特にあの地域において多大な影響を有する域内の大国であると認識いたしており、我が国は一貫して友好関係を維持いたしております。  一方におきまして、イランでは改革派保守派内部対立がございまして、両者の間でのせめぎ合いが今後も継続していくと考えており、我が国としては、両者の動きを慎重に見極めながら、ハタミ現政権の進める国内改革及び国際社会との対話緊張緩和路線を支持していくという立場で臨んでおります。  また、中東和平プロセスへの反対、大量破壊兵器開発問題、人権問題等イランをめぐる国際社会懸念については我が国も共有しておるところでございまして、イラン具体的措置をもって懸念を払拭するよう率直な働き掛けを行っており、今後もそうした働き掛けを続けてまいる考えでございます。  川口大臣は、国会の御了承が得られれば五月の連休中にもイランを訪問したい、訪問し、このようなメッセージを伝達したいという意向でございます。  アフガニスタンにつきましては、先月十八日の川口大臣政策演説で述べておられますとおり、その安定的な国づくり支援してまいる方針でございます。特に、アフガニスタン国民による和解の努力ブラヒミ国連事務総長特別代表中心とする努力を積極的に支援するとともに、政治プロセスを進展させるには復興を同時並行的に進めることが必要と考えておるところでございます。  そのような考えから、過般、今年の初め、アフガニスタン復興プロセス東京会議共同議長国として東京で開催いたし、その後、暫定政権協力しながら今後二年半の間に五億ドルまでの政府開発援助を着実に実施するという一月の東京会議でのコミットメントを的確かつ着実に行ってまいる方針でございます。  我が国は、二月にはアフガン大使館を再開し、これまでに地雷、医療を始めとする分野等で約四千五百万ドルの支援を実施いたしておりますけれども、今まで各種ミッションを派遣いたしましたが、その調査結果を踏まえまして更なる支援を目に見える形で迅速に進めていく考えでございます。  中央アジアにつきましては、ユーラシア地域全体の安定のために、またアフガニスタン復興テロとの闘いを進めていくためにもこの地域の安定は極めて重要と考えております。また、石油天然ガスという同地域エネルギー資源の今後の開発次第では、アジア諸国我が国エネルギー供給源多様化に資する可能性が大きいと、そういった面からも重要な地域と言えると思います。  さらに、これらの地域国々は、手の汚れていない我が国に対しまして非常に強い期待と親近感を有しており、これまで我が国と友好的かつ協力的で良好な関係を維持しております。今後、更にこのような友好関係発展させる土壌が存在していると考えております。  我が国は、平成九年七月に当時の橋本龍太郎総理ユーラシア外交を提唱され、中央アジア及びコーカサスをシルクロード地域としてこの地域に対する外交の今後の方向性として、信頼と相互理解強化のための政治対話繁栄協力するための経済協力資源開発協力、核不拡散や民主化安定化による平和のための協力を提示されて以来、そういった方向性に沿った積極的な外交を展開しております。私としても、可能であればこうした地域国々を近々訪問したいと考えております。  二番目に、イスラム諸国との相互理解を深める取組について御報告申し上げます。  これにつきましては、河野外務大臣発案によりまして発足したイスラム研究会とその後の取組、更に文明間の対話について、主として文化協力について申し述べたいと思います。  先ほど申しましたとおり、イスラム世界我が国との相互理解はいまだ十分とは申せません。相互の相違を尊重しながら、お互いに理解し合う相互理解のための文化交流協力を積極的に行っていく必要があると考えております。  他方イスラム世界の対日感情は、一般的に良いと言えると思います。文化交流協力を進める上でそれは重要な要素であると考えています。具体的には、留学生交流青少年交流を通じました次世代を担う親日家育成のための交流強化、またイスラム世界文化遺産に恵まれていることから、国際機関を通じた支援文化遺産無償を活用した文化遺産保存のための協力を行っていきたいと考えておるところでございます。  イスラム研究会につきましては、当時の河野外務大臣発案によりまして平成十二年に発足いたしました。七回の会合を経て、平成十二年十二月、外務省におけるイスラム研究の拡充と政策への反映、研究者若年層中心とするイスラム諸国との人的交流学校知識におけるイスラム知識の取扱い、イスラムに関するホームページの設立、文明間の対話に向けたイスラムとの対話促進、二十一世紀日本イスラム関係強化に向けた政策目標といった諸事項を含む提言を提出いたしました。  その後もイスラム研究会の活動は継続しており、本年一月末には中東和平につきまして国内の有識者を招いて会合を開催し、貴重な提言をいただいております。  当時の河野外務大臣は、昨年一月の湾岸諸国訪問の際に行われた政策演説におきまして、イスラム世界との文明対話促進を提唱し、その施策の一つとして日本イスラム諸国間の知識人ネットワークの構築を提案いたしました。この提案は湾岸諸国の支持を受けまして、本年三月、我が国バハレーンにおいて日本イスラム諸国の識者によるイスラム世界との文明間対話セミナーバハレーン政府共同で開催いたしました。成功だったと聞いております。  最後に第三点目、イスラム諸国に対する経済協力現状課題について御報告申し上げます。  まず、中東諸国につきましては、対パレスチナ支援周辺アラブ諸国支援といった中東和平プロセス促進のための支援を積極的に行うとともに、他方、これら諸国の中には産油国から後発開発途上国まで様々な経済状況にある国々が含まれていることから、経済発展段階に応じたきめの細かい援助を実施していくことが重要と考えております。また、中央アジア諸国に対しましては、ソ連崩壊後の独立から十年を経過いたしておりますが、依然として市場経済を根付かせるための基盤整備を積極的に支援する必要がございます。  そういった見地から、民主化市場経済化のための人材育成制度づくり、運輸、通信インフラ中心とする経済インフラ整備等中心経済協力を行っておるところでございます。  最後に、これまでイスラム世界に対する我が国取組について御説明いたしましたが、昨年の米国における同時多発テロ事件以降、イスラム世界との相互理解及び中東中央アジア地域における諸問題への対応重要性はとみに増していると言えると思います。政府としては、かかる取組を今後一層強化いたしていく考えでございます。  最後になりましたが、今回の報告では、インドネシアマレーシアバングラデシュ等アジアイスラム教国については触れませんでした。また、回教国回教を国教とする国が、例えばアジアではインドネシアマレーシアバングラデシュパキスタンとございますが、非常に多くあり、政治的な結集も始まっておるということにも触れませんでしたが、これらの国々、特に近いインドネシアマレーシアバングラデシュ等アジアイスラム教国につきましては、関係強化することが重要だと思っております。  マハティール・マレーシア首相にお目に掛かったときに申しておられましたが、我々はイスラム教徒独自のネットワークがあるんだと、だから、イスラムとの関係考えるんなら、アジアイスラム教国イスラム教徒との関係考えなきゃいかぬよということを強調しておられたのを記憶しておるわけですが、こういったイスラム教徒同士ネットワークを通じて協力するという趣旨から、また南南協力というのが経済協力一つの大きな役割になっておるわけですけれども、南南協力の拠点としてマレーシアあるいはバングラデシュあるいはインドネシアに基盤を置くということも考えなきゃいけませんと思いますので、これら諸国との協力イスラム世界全体との関係強化につながるものでございますので、大事に考えていかなきゃいかぬと思っておる次第でございます。  以上で御報告を終わらせていただきます。  なお、配付資料の一部に差し替えがありますので、配付させていただきます。  どうもありがとうございました。
  9. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) 大変ありがとうございました。  次に、経済産業省からも伺いたいので、田勢経済産業大臣官房審議官、よろしくお願いします。
  10. 田勢修也

    政府参考人田勢修也君) 経済産業省大臣房審議官田勢と申します。  私どもの方からは、中東地域及び中央アジア地域の経済情勢並びに同地域の貿易・投資の現状課題の件につきまして御説明をさせていただきます。  お手元に「経済産業省」と書きました資料を配付してございますので、かいつまんでこれに沿いまして簡単に御説明をさせていただきます。  まず、中東地域の経済情勢でございますが、御案内のとおり、石油の輸出収入に大変大きく依存している国が多うございます。したがいまして、石油価格が上下することによりましてその財政への影響はかなり大きいものがございます。これが第一番目の特徴でございます。  二つ目は、比較的若い労働者人口が増加をしてきております。一方、先ほど杉浦大臣の御説明にございましたが、他のイスラム諸国、特にインドネシアあるいはパキスタンといったような国から相当に数の多い外国人労働者がこの地域には流入をいたしておるわけでございます。  加えて、例えば、湾岸の産油国の中では、若者、その国民としての若者でございますが、ブルーカラーには余り就かないというような傾向があるというふうに聞いておりまして、ブルーカラー的なところは外国人労働者、やや肉体労働ではないところに自分のところの子弟を就職をさせたいと。そういたしますと、なかなか就職の機会がなくて、この失業率の問題が実は大きな問題になっておると。一方、これを全部カバーするほどの財政の余力があるのかどうかというところがここら辺の問題になってくるわけでございます。  そういう文脈の中から、中東湾岸の産油国はまずは石油依存型の産業構造を転換をしたいという強い希望をお持ちでございまして、これまで大分手を打ってきておるところでございます。さらには、外国企業から投資を誘致をいたしましていろんな産業を興したいと、こういう御要望がたくさんございます。そこにちょっと書いてございますが、例えばドバイなどで、非常に有名でございますが、フリートレードゾーンのようなものを使いまして特典を与えることによって外国企業の投資を誘致すると、こういうやり方が相当いろんなところに広がってきておるわけでございます。  昨年の九月の同時多発テロ事件影響でございますが、一時的に例えば駐在員等が自分の国に引き揚げるといったような諸外国の活動が低調になった面も見られましたが、最近ではほぼ同じレベルまで戻ってきていると、こんなふうに見ております。  続きまして、中央アジアでございます。  二ページ目に書いてございますが、少しその真ん中にございます表をごらんをいただきたいと存じます。中央アジア五か国の一九八九年の実質GDPを一〇〇として、二〇〇〇年には一体どれぐらいのレベルなのかとごらんをいただきますと、タジキスタンの四七という数字が目を引くわけでございますけれども、相当、十年前、ソ連解体の前に比べますと経済の活動が低調になってきているということが見て取れるわけでございます。九九年、二〇〇〇年と、すべての国で経済成長はプラスというふうに私ども承知をいたしておりますけれども、全体としてまだ昔のような生産活動のレベルには戻っていないということでございまして、現在まだその改革の途上にあるという認識でございます。  同時多発テロ影響でございますが、一時的にはアフガンと国境を接する国におきましていろんな支出が増えましたが、総体的にはそれほど大きな影響があったわけではないと承知をいたしております。むしろ、アメリカ軍の駐留等を含めまして米国との関係がややきずなが強くなったところが多いような感じがいたします。  それでは、次は中東との貿易関係でございます。  これも四ページ目をちょっとごらんをいただきますと非常によく分かるわけでございます。サウジアラビアからクウェート、アラブ首長国連邦、カタールまでごらんいただきますと、左側がそれらの国から世界向けの輸出、右側は輸入でございます。いずれも日本が大変高いウエートを占めております。当然でございます。輸出は、まず原油関係、ガス関係の関連がございますので日本にたくさん輸出をしております。一方、輸入でも非常に中東産油国日本からたくさん輸入をしている。すなわち、日本のプレゼンスが非常に大きいということがこれで見て取れるわけでございます。イランは、その下の方でございますが、輸出は原油が多うございますのでイランは高いんですが、実は輸入の方はちょっと様相が変わってきておりまして、ドイツが一番でございまして、日本はそれよりも下の方でございます。エジプトをごらんいただきますと、日本は輸出でも輸入でもそう上位にあるわけではございません。  すなわち、日本のプレゼンスというのは、同じ中東の様々な国でもこれだけ違うということが見て取れるわけでございまして、その辺りをよく頭に置く必要がございます。  前のページにございますが、日本の総輸入に占める中東のシェアは約一割でございます。ほとんどが原油、天然ガスでございます。一方、日本からの輸出を見ますと中東向けは三%にすぎませんで、そういう意味で、輸入では大切な国でございますが、輸出のマーケットとして見ると相対的にウエートは小さいということが言えようかと思います。  五ページに参りますと、中央アジアにつきまして同じようなことを見ております。  六ページ目をごらんいただきますと、先ほどの中東の表と全然様相が異なることがお分かりになろうかと思います。カザフスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタン、中央アジア五か国でございますが、輸出におきましても、左側の輸出相手国、右側の輸入相手国を見ましても、日本は全然上位の方に入っているわけではございません。すなわち、ロシア、旧ソ連の盟主国でございますロシアといったようなところが上位に来ておりますし、いわゆる周辺諸国、旧ソ連の国々が上位に来ておりまして、そういう意味では日本のプレゼンスは中央アジアにおいては数字を見る限り高くはない、低いということが言えようかと思います。  続きまして、七ページへ参ります。それでは投資はどうなっておるのかということでございます。  中東への投資でございますけれども、距離的にも遠うございますし、様々な意味で違いのあるなじみの薄い地域でございますので、投資実績は欧米諸国に比べると残念ながらさほど高いレベルではございません。  一方、中東諸国、特に産油国は大変なお金持ちの国もあるわけでございまして、こういった方たちがどこへ投資をしているかというと、余り日本には実は投資しておりません。先週も某中東産油国の方がお見えになりましたが、日本のストックマーケットに投資をしておったんだが最近余りやっていない、これからどうなるのか教えてくれと、こんなお話があったぐらいでございます。むしろ、例えば中東産油国から周辺の国、例えば中東から、湾岸諸国からエジプトとか、そういったところに投資がされたり、必ずしも自国ではなくて一番もうかるところにどうもいろいろな御投資をされている、あるいは欧米の株式等、あるいは土地といったようなところに投資をされているケースもございまして、ここら辺が我々としては時々問題点として指摘を申し上げております。  投資の促進につきまして後ろの方に表がまた出てまいりますので後でリファーいたしますが、主として政府ベースの支援策といたしましては、財団法人の中東協力センターというのがございます。ここで様々なミッションの派遣やフィージビリティースタディー等の調査等をやりまして、民間企業の方々中東におけるビジネスチャンスをうまく把握できるようなお手伝いをさせていただいております。さらには、ジェトロの事務所もドバイとリヤドにございまして、それぞれ活動を積極的に行っているところでございます。民間の企業の皆様方には、年に一回程度、サウジアラビア、クウェートにつきましては合同委員会をやっております。その他の国を対象にいたしました、例えばジェトロがやるもの、中東協力センターがやるもの、様々なフェアあるいはセミナーといったようなものも活発にやらせていただいております。  中央アジアの方でございますが、中東に比較してもまだ経済改革が十分に進んでいないということ、すなわち投資先としての熟度がまだ十分でないということ、さらにはアクセスも非常に難しゅうございます。例えば、私どもが行く場合でも、一部の国を除いてはモスクワ経由で飛行機で行かなければいけないというようなことがございますし、中央アジア各国を横に動こうとしてもなかなかうまい飛行機がない、すなわち、一気に全部回るということがなかなか難しいようなところでもございます。様々な情報もまだまだ不十分でございますので、投資はまだ低調でございます。もちろん、中央アジアから日本への投資というものはほとんど聞いたことがございません。  この地域につきましては、ジェトロとそれから社団法人のロシア東欧貿易会という組織がございますが、ここが、先ほど申しました中東協力センターと同じようにセミナー、フェアといったような様々なサポートをいたしておるところでございます。  ジェトロ・モスクワが大体この地域を見ておりまして、ウズベキスタンのタシケントにもジェトロの事務所を、ついこの前でございますが作らせていただきました。カザフスタンのアルマティには金属鉱業事業団の事務所がございまして、全体のあの辺りの金属資源の関係の仕事をいたしております。  それから、民間の企業の皆様方はそれぞれ各国と経済委員会というようなものをやっておりまして、私どもも時々参加させていただきますが、大変活発に先方の国は、民間企業というよりはどちらかというと政府が国営でいろんなことをやっていらっしゃるケースも多いものですから、相手国は政府、こちら側は民間というような経済委員会、経済合同委員会といったようなことを頻繁に開催をさせていただいておるわけでございます。  それから、中央アジアとの経済関係でございますが、少し整理して申しますと、八ページの真ん中ぐらいからございますが、少し分けて考えた方が理解がしやすいような気がいたしております。  すなわち、カスピ海原油もございますカザフスタン、あるいは天然ガスが豊富なトルクメニスタンといったような、いわゆる炭化水素関係の資源を有している国、まあ産油国に近いようなもの、それから、人口が多い、将来ポテンシャルが高いと思われるウズベキスタンのような国、それから、残念ながら天然資源も余りなく所得が低いタジキスタン、キルギスタンといったようなものに分けて考えていった方がいいのではないかなと、こう思います。  大体が石油天然ガス、あるいは綿花、さらには農業といったようなことに非常に特化した経済構造でございますので、こういった国は少し複数の産業の柱を持つということが重要ではないかと思いまして、中小企業の育成、それによる輸入品の国産品への代替、それがひいては例えば部品の海外輸出といったような、そういった考え方の産業構造の改革といったようなものを、よく会議では私どもから御示唆申し上げ、御提案をしたりすることがございます。  これらの国につきましては、なかなか日本の企業が利益ベース、利潤ベースで仕事をすることが難しい面もございますが、とにかく双方にとって利益が出るという原則を頭に置いて動かしておるわけでございます。  九ページはちょっと飛ばしまして、横長の表がお手元に、十ページのところにあろうかと思います。中東地域中央アジアへの投資の現状というようなことで若干の数字がございます。  左側から二つ目の欄は、これは財務省の届出ベースの数字でございますので、すべてを私どもが把握しているわけでございませんが、例えばアラブ首長国連邦につきましては、いわゆるガスの液化関係の投資がございます。  それから、日本からの進出企業のところでは、非常に、数がもっともっとあるかもしれませんけれども、ドバイの中東からアフリカへ向けてのディストリビューションセンターとしての機械器具、電子機械といったようなもののベースを日本企業がたくさん持っているということでございます。  イランは、大きな投資はございませんが、幾つか進出をいたしております。  オマーンは、LNGの関係かと存じます。  クウェートは、一件七億円とございますが、これは石油精製に使います触媒の製造業、ここに投資をしたものでございます。  サウジアラビアは、たくさんございまして、カーエアコン、あるいは白いお洋服を着ていらっしゃいますが、ああいった布を作る生地の工場、あるいは薬とかエアコンとか、様々なものが過去に出ておるわけでございます。  バーレーンは、残念ながら金融の方でございます。  カタールは、LNGといったようなところが多うございます。  レバノン、ヨルダンは、ちょっと小そうございまして、余りないわけでございますが、エジプトは、例えばファスナーとかあるいは製薬会社とかスチール関係、そういったようなものが出ております。  ウズベキスタンは、よく承知しておりませんが、繊維関係ではないかというふうに思います。  簡単でございますが、以上で終わりまして、説明を引き継がせていただきます。
  11. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) ありがとうございました。  では、続きまして資源エネルギー庁から伺います。松永資源エネルギー庁資源燃料部長、お願いします。
  12. 松永和夫

    政府参考人松永和夫君) 資源エネルギー庁の資源・燃料部長の松永でございます。  引き続きまして、お手元の資料の十一ページから、中東地域及び中央アジア諸国での国際資源開発につきまして御説明を申し上げます。  まず、我が国石油の供給構造でございますけれども、御承知のとおり、一次エネルギー供給の過半を石油が占めております。  下の参考の1に図がございます。石油依存度はずっと第一次石油危機以降下がってきておりますが、二〇一〇年度、昨年、資源エネルギー調査会で発表されました二〇一〇年の長期エネルギー需給見通しにおきましても引き続き四七・二%、過半近くのエネルギー石油で賄う、こういう見通しになっておりますが、その供給構造はほぼ全量を輸入、加えて中東に、二〇〇一年の実績でございますけれども、八八・四%を依存をすると、こういう構造になっているわけでございます。参考2に書いてございますように、一時、中東依存度は下がりましたけれども、近年また増大をする、こういう傾向にあるわけでございます。  次の十二ページでございます。湾岸諸国等における資源開発現状でございます。  そこにございますように、まず石油でございますけれども、生産量で中東諸国が二千二百九十九万バレル、シェアが三一%。最近、OPEC等を中心にややシェアを下げております。しかし、埋蔵量ベースで見ますと六五%を占めると、こういう構造でございます。中央アジア諸国は、まだ生産量、埋蔵量とも小さいわけでございますけれども、今後この数字はだんだん高まっていくということが見通されております。  天然ガスでございますけれども中東諸国、生産量は九%ということで、まだ小さいわけでございます。北米あるいはロシア、アジア太平洋といったようなところの生産が多いわけでございますけれども埋蔵量ベースでいいますとかなり大きな数字になる。また、中央アジア諸国につきましては、石油と同様、今後、生産量、埋蔵量とも数字が増えていくということが見通されている、こういう状況でございます。  湾岸諸国等における鉱区開放の動きでございます。  御承知のとおり、石油危機以降、各国とも資源ナショナリズム、それぞれの資源開発につきまして国有化、外資を導入をした開発ということがなかなかできにくかったわけでございますけれども、最近に至りまして再び鉱区開放の動きが出てきております。  大きなものといいますと、文章に書いてございますけれども、サウジアラビアの天然ガスにつきましての鉱区開放、ガスイニシアチブと呼ばれております。また、クウェートの北部鉱区につきましての鉱区開放、これは現地ではプロジェクトクウェートと呼ばれております。また、イランではバイバック契約、サービス契約を通じた鉱区開放の動きが進んでおりまして、世界の主要メジャーも一部、北海油田の将来的における枯渇というようなことを見通して再び中東に回帰をする、こういう動きが活発になってきております。  次の十三ページでございます。湾岸諸国等における我が国のいわゆる自主開発プロジェクトにつきましては、ここにございますような主要なプロジェクトが進行中でございます。  サウジアラビアとクウェートのいわゆる国境地帯、中立地帯にございますオフショアのプロジェクトでございますアラビア石油、これは五八年設立以来生産を続けてきておりますが、御承知のとおり、サウジアラビアの権益の延長につきましてはうまくいきませんで、現在、サウジアラビアの権益につきましてはアラムコの子会社が操業しておりますけれども、クウェートの権益分につきましては、来年、二〇〇三年一月五日以降の操業継続に向けて現在交渉中、方向としましては何とか交渉継続ができるような状況にございます。  UAEにつきましては、アブダビ石油が六八年設立、日本に二万BDの原油を運んでおります。ジャパン石油開発、これも同じくUAEのオフショアのプロジェクトでございますけれども我が国最大の自主開発プロジェクトでございまして、二〇〇〇年度の本邦原油輸入量は二十二万BDでございます。  それから、UAEとカタールの、これも両方にまたがる権益でございます合同石油開発。二〇〇〇年度の原油輸入量は二万BDでございます。  それから、イランでございますけれども、二〇〇〇年の十一月にハタミ大統領が来日した際に平沼大臣とザンガネ大臣との間で交渉が行われまして、日本に優先交渉権が与えられまして、本年末までの期限に向けて、契約締結に向けて交渉している、こういうプロジェクトでございます。これにつきましては他のメジャーと共同して開発をする、こういう方針でございます。  アゼルバイジャンでございますが、そこにございますように、イトウチュウ・オイル・エクスプロレーションの会社が同じく国際コンソーシアムに参加をしておりまして、二〇〇〇年度、一部原油の生産、輸入が始まっております。  カザフスタン、これはまだ探鉱開発中でございますけれども、北カスピ海に非常に大きな油田がございまして、これも国際コンソーシアムで進めておりまして、日本も、八%のシェアでございますけれども参加をしてございます。  こうしたものを含めまして、探鉱段階あるいは一部清算段階のものもございますけれども湾岸諸国中央アジア諸国我が国企業による自主開発プロジェクト、現在二十のプロジェクトが存在をしております。  以上でございます。
  13. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) ありがとうございました。  以上で報告の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  本日も、あらかじめ質疑者を定めず、質疑応答を行いたいと思います。  質疑を希望される方は、挙手の上、私の指名を待って質疑を行っていただきたいと存じます。  できるだけ多くの委員方々質疑を行うことができますよう、委員の一回の発言時間は五分程度でお願いをいたします。  また、質疑及び答弁とも御発言は着席のままで結構でございます。  なお、いつものとおりでございますが、理事会協議の結果でございますが、まず大会派順に各会派お一人一巡するよう指名をいたしたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。  それでは、まず最初に小林温君。
  14. 小林温

    ○小林温君 自民党の小林温でございます。  今回、イスラム世界日本対応ということで、前回までは、どちらかというと研究者の方あるいは民間の方のお話を伺ってきたわけですが、今日は各省庁の方から来ていただいているということで、公式の見解を伺う機会なのかなというふうに思うわけでございます。  それで、今までの調査会の中で必ず参考人の方がおっしゃっていた中身に、一つには、これからやはりイスラムのプレゼンスというものが世界的に高まってくるというのがあります。それともう一つ、ほとんどの参考人の方がおっしゃっておられたのは、その中で、特にイスラム社会から日本に対する視線というものはある程度優しいというか期待をされている、その意味で、中東あるいはこの中央アジアとの関係も含めて、イスラムとの関係をどういうふうに構築していくかというのは、日本にとって国際社会の中でプレゼンスを示していく一つのいい機会だというお話をたくさんの方からいただいてきたわけなんです。  ただ、今、現実的に考えますと、例えば今の中東情勢でありますとかあるいはアフガンの事態を考えたときに、例えばアフガンで、その復興会議日本で開催したということもあって、一時的には日本というのが目立つ状況というのはあったわけですが、どうも全体的に見るとやはり日本の影というのはまだ薄いのかなという気がしているわけです。ですから、イスラム社会とのかかわりの中で今後日本がプレゼンスを上げていくことになるのか、あるいは、例えば今、有事なのでそういう機会じゃないのかということで意見も分かれるのかと思うんですが、その辺のところについて幾つか質問をさせていただきたいと思います。  当然、アメリカというのは依然としてこの地域において一番影響力を有しているわけでございますが、まず、同時テロを契機に今どういうことが起きているかということを私なりに分析させていただきますと、一つには、同時テロを契機に政権内の、特にセキュリティーの担当者のパワーバランスが変わってきたのかなという気がするわけです。強硬派が穏健派と呼ばれる人たちに対してどちらかというと優勢になって、結果、例えば一般教書演説で悪の枢軸の発言をブッシュ大統領がなされたというところにアメリカの政権内部でのその流れというものが進んできているという分析もあるわけですが、それについて、好むと好まざるとにかかわらず、日本というのはやはりアメリカの政策変更に追従しているんじゃないかというふうに見られているのがやはり大勢なんだろうと思うわけですね。  そんな中で、特にこの悪の枢軸発言については、今回、イスラム社会の中でもイランイラクという二国が名指しをされているわけでございまして、一つには、外務省にお聞きしたいのは、この大きな流れが変わってきている中で、悪の枢軸国発言の事前に、例えばアメリカ側から何らかの、事前のこういう発言があるということについての通告なりコンサルテーションがあったのか、あるいは、この悪の枢軸国発言の後に、かなり国際情勢というのはある意味で動いているわけですが、その中で、日本外交当局がアメリカとアメリカの政策変更について具体的にどういう話合いを行っているのかということについてお聞きしたいと思います。  同じことなんですが、基本的には、じゃ日本はそれに対してどういうふうに対応しているのかということですね。  一つには、例えばイラクについて言えば、スマート・サンクション的な方法をアメリカが取ってきた中で、日本もアメリカの動きを見ながらどちらかというと少し融和の方向に向かいつつあったという見方もできると思うんですが、今回、かなり強硬、イラクに対してかなりアメリカが強硬な態度を取っていることについて、日本はじゃ今後どういう対応をするのか。  もう一つイランに関しても、これ、ハタミ政権樹立以降は日本もかなり、先ほどの説明の中でもありましたが、イランと友好的な関係を結ぶ途上であったかと思うんですが、この悪の枢軸発言を受けて果たして何か日本側の対応に変更があったりあるいは政策的な変更があるのか。例えば、イギリスの例でいうと、イギリスの中では特にイラクへの対応に対して議会内でも大きな反対運動が起きたりしているわけで、日本ではそういうことすらないわけですが、その辺のことについてお聞かせいただければと思います。  それから、もう一つ、経済産業省の方にもお答えいただきたいんですが、こういった流れを受けて、特に、例えばイランとの今までの貿易関係、あるいはこれからの、先ほど御説明のありましたプロジェクト等に、このアメリカのある意味では政策の変更が日本対応に何らかの影響を及ぼすのかどうか、この辺の点についてお聞かせをいただければというふうに思います。  以上です。
  15. 杉浦正健

    ○副大臣杉浦正健君) 悪の枢軸発言について事前に相談といいますか、あったかということですが、それは私は承知しておりませんし、隣に聞いても知らないと言っております。恐らく、いきなりブッシュさんから出たんだと思います。  対イランイラクの問題は非常に微妙な問題なんですが、これは公式に川口大臣も繰り返しておりますけれどもイランイラク大量破壊兵器開発、運搬手段の拡散等について強い疑念がございます。テロとの闘いを強調すると同時にそういう懸念を強く表明されたものだというふうに思いますが、イラクについては、私が知っている限り、原子爆弾をどうも開発しているらしいと。それで、三千キロぐらい飛ばせる、つまりヨーロッパ全域が射程距離に入るミサイルも開発しているようだと。これがアメリカ始めヨーロッパ諸国がこのイラクを何とかしなきゃいけないというふうな根源になっているというふうに思われます。  対応は非常に微妙なんですけれども国連もこの間取り上げましたし、国連査察を受け入れるかもしれない雰囲気もあるんですが、私どもは査察を受け入れろといって国際社会としては圧力を掛けているんですけれども、まだ微妙な状況でございます。  そんな程度のことを申し上げまして、詳しいことはちょっと事務当局からあれば。
  16. 奥田紀宏

    政府参考人奥田紀宏君) 今の副大臣のお話に若干補足して何点か申し上げたいと思います。  まず第一に、米国が、米国のブッシュ大統領が言った悪の枢軸という言葉でございます。これは、一月末の議会における年頭教書で、テロに対する闘いについて説明をする中で、悪の枢軸という言葉が出てきたというふうに承知しております。私自身は中東局でありますが、知っている限り、事前にこの年頭教書で悪の枢軸という言葉を使うぞということは聞いておりませんでした。  それで、この後のアメリカ及び日本政策ということですが、まず第一に、アメリカとの間でこのような悪の枢軸というような立場について日本とどういう話をしているかということでありますけれども、まず第一に、この悪の枢軸ということが出てきた問題の背景にあるテロということについては、これは九月の十一日以来、いろいろなレベルで話はしておる。それから、悪の枢軸という言葉が出てきた後でございますけれども、二月の中旬に、一つの例で申し上げると、ブッシュ大統領が訪日したときにも、このイランイラク、悪の枢軸という言葉を、失礼しました、悪の枢軸という言葉を実際に使ったかどうかは定かじゃありませんけれども、それを意識してイランイラクの話については首脳間で話が行われております。  そのときにアメリカが言っておりましたのは、イラクについて言えば、すべての政策手段はオープンであると。すなわち、武力行使も含めてすべての政策オプションはオープンであるが、平和裏に解決されるのが一番いいのだということをブッシュ大統領も言っていたわけであります。その限りにおいて、悪の枢軸であるので、相手は悪魔であるのですぐに武力を行使するのだということでは必ずしもなかったかと承知しております。  イランにつきましても、もちろんこの悪の枢軸というラベルが張られているわけでありますけれどもイランにつきましては、日本がこれまでイランと特別の関係を持ってイランに対して国際社会懸念を伝えてきたということについてはアメリカもそれなりの理解を示しておりまして、我が国としても、イランとの関係については、いわゆる穏健派を助けるということとともに、国際社会懸念、すなわち大量破壊兵器開発でありますとか、それから中東和平妨害でありますとかというようなことについてはその懸念を表明して、できるだけ国際社会の正しい決まりというものに従っていただくように働き掛けるということを今もってやっておりますので、結論から言うと、イランに対する我が国政策がそれでもって変わっているということでは必ずしもないかと思います。  イラクにつきましてですけれども、ただいま副大臣の方から原子爆弾開発可能性ありという言葉ありましたけれども、これは正に、元々この国連の制裁は、原子爆弾も含む大量破壊兵器開発というものが行われていないということをイラクに証明させるということが主眼でございます。そこで大分国連の査察が一時は入ったわけでありますけれども、少なくとも、原子力兵器につきましては、これが全く今イラクはシロであるという証明がなされないまま査察が行われなくなって既に三年余りがたっておるということでありまして、これにつきましても、日本は元々、イラクに対してこういう懸念を払拭するようにということで折に触れて申入れをしておるということであります。  取りあえず、イランイラク政策についてはそこまでにさせていただきたいと思います。
  17. 田勢修也

  18. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) これは、いいんですけれども、私は調査会長なんですね、委員長ではないんです。  私は、このこと、ちょっと余分なことになりますけれども、すばらしいシステムだと思っておるんですけれども、衆参両院に、皆さんも御存じのように、常任委員会、特別委員会というのがあるのでございますが、我が参議院だけに調査会というすばらしい組織がございます。これは衆議院の憲法調査会とかそういう調査会とは違うんですよ。こういう常任委員会とかあるいは特別委員会と同じような組織の中に、別個に調査会というのがあります。そして、三年間にわたってじっくりと国家の基本的な問題について論議を進め、結論を出すというすばらしい組織でございますので、委員長でもいいんですけれども、正式は調査会長でございますから、どうぞひとつ御理解をいただきますようにお願いいたします。
  19. 田勢修也

    政府参考人田勢修也君) イランとの関係でございますが、私どもエネルギーに非常に富んでおりましてマーケットとしても大きいという意味で、イランの将来性については一定の考え方を持っております。したがいまして、プロジェクト、投資に絡むようなプロジェクトあるいは貿易についてでございますけれども、私ども国益に合致した形で、かつ国際的な懸念も踏まえた上で適切な判断をするということで、民間の方々ともよく打合せをさせていただいているところでございます。  以上でございます。
  20. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) ありがとうございました。  では次に、藁科滿治君。
  21. 藁科滿治

    藁科滿治君 外交問題の立場から二つ質問をさせていただきます。  まず一つは、イスラム研究会の問題。概要の報告がございましたけれども、これを今後発展させていくためにはどうしたらいいのか。我々大変大きな期待を持っておりますので、そういう展望について。それから、この問題につきましての広報媒体は何かあるのでしょうか、この点も伺います。  それから第二の点は、中東外交の少し戦略的な視点といいますか、そういう立場から質問いたします。  ここ数日来、報道でも伺っておりますけれども、小泉総理が四月十一、十二ですか、中国・海南島のアジア会議出席させると、大変結構なことだと思います。たしか、昨年も春に、このアジア会議、ダボス・アジア会議とも言われているようでございますが、あの際には、政府が、日程の事情もあったのでしょう、参加されなかった。結果的に、中曽根元総理が参加をされたわけで、一応顔は立っておりますけれども、我々が聞くところによると、どうも中国主導である、こういう情勢認識の下にちゅうちょをしたというふうに聞いているわけでございますが、果たしてそういうことなのかどうか。そういうことであれば、日本こそむしろ主導的にこういうものを設置する責任のある立場ではないかというふうに思っておりますので、そういう点をどのように考えておられるか。  それから一方、今朝の新聞でも報道されているように、中国ではこの会議を挟んで、前半は江沢民主席がドイツその他中東も含めて訪問をすると。それから会議の後は、朱総理が、首相が、これまたエジプトその他を回っていくということで、やはり中東政策の戦略というものがある程度読めるわけですよね。  ところが、我が国の場合には、総理が行かれることは大変結構なんですが、どういう決意で、どういうことを主張していこうとしているのか。今、正に中東情勢が緊迫した情勢にありますから、日本の出番はこのアジア会議で大いにありと私は思うわけでございますが、差し支えのない範囲でそこらの事情について、決意のほどについてお尋ねをしたいと思います。
  22. 杉浦正健

    ○副大臣杉浦正健君) イスラム研究会の方はこちらからいたしますが、ボーアオ・フォーラムにつきましては、これはもうもちろん明らかに中国主導で始まっておるわけなんですが、大変いい会議だということで小泉総理も参加されることになりました。竹中財政大臣も御参加なさいますが、第一回に相なります、去年のは準備会議でございましたので。タイのタクシン首相も出席されるということでありますし、どこが主導であろうといい会議に育てていきたいというのが小泉総理のお考えではないかと思っております。  中東外交でございますが、正直申して、日本役割は今あるこの暴力行為の悪循環を断つという点については、もちろん働き掛けはいたしておりますが、やっぱり一番メジャーなプレーヤーはアメリカだと思います。EUも、要するにイスラエルに対する影響力という点ではEUも駄目で、この間EUの代表団が、つい数日前ですが、行ったところ、追い返されたと。アラファトさんにも会えない、シャロンさんにも会えないで追い返されたということで、怒りの記者会見をしておりましたが、生易しい状況じゃない。アメリカが今度パウエルさんを派遣するそうですが、電話でブッシュ大統領がシャロンさんと話をすると、即時撤退するようにということを、強いことを申入れをされて、パウエルさんが今週末ですか、出掛ける段取りになっておるようなんですが、アメリカが本気になってあれを止める意思があるかどうかによってだと、こう思っております。  ただ、どういう、取りあえず停戦して、アメリカが撤退して、その後どういう形で収めていくか、まだ全然状況見えておりません。楽観的な見通しもできない状況でございますが、将来、じゃ停戦をして話合いに入って、じゃパレスチナの自爆テロが収まるのかどうか。収めるのを保障するために、アラファトさんは去年私が行ったときには、国際社会が間へ入ってくれと、この停戦のということを強調しておられたんですが、イスラエルは拒否するということでまとまっておりませんが、何らかの形の国際社会の関与が停戦、話合いの間、今監視だけやっておるんですが、ある程度の平和維持的なPKO活動が導入されるとすればそれは将来日本考える余地があるかもしれませんが、現状では全くどういうふうに展開していくか読めないというのが率直な状況だと言っていいと思います。  あと事務方から。
  23. 奥田紀宏

    政府参考人奥田紀宏君) バハレーンにおきますセミナーのことについての御質問をいただきました。  このセミナーは先ほどの河野大臣のイニシアチブに基づいていろいろな準備の結果行われましたけれども、三月の十二、十三日と二日間に、バハレーンで、バハレーン外務省とそれから日本外務省の共催という形で行われました。日本側からは、板垣雄三東京大学名誉教授とか後藤明東大の東洋文化研究所の教授ほか、合わせて六名の学者の方々に参加をいただきまして、先方の方は、GCCのほか、イエメン、イラン、エジプト、ヨルダン、チュニジア、それからモロッコに加えて、国際機関ですがアラブ連盟からも代表を得まして、二日間にわたりまして、イスラムアジア、ないしは日本イスラムの問題について議論をいたしまして、その結果は一応報告書となっておりますけれども、広報なんでございますけれども、事前にたしかバハレーンの方にエジプトにおる日本の記者等々に話をして来てもらったということがございます。  それから、これは私は伝聞で今のところ聞いているだけですけれども、当日、NHKの記者の方も来られておって、たしか四月中に一度この関係で放送もしていただけるかのように伺ったことがございますので、我々としては期待しております。  それで、今後どうするかということでございますけれども、我々としては、これで是非第一回目ということで続けていきたいというふうに思っております。  出席者の方からは、次回は是非東京でやってくれと、イランの方は、イランがもし日本東京でやってくれるのであれば、その次はテヘランでやってもいいというようなことを言っていると。ただ、これ非公式な一応会議ですので、学者の方々のお話合いの中でそういう話が出てきたわけです。  外務省といたしましては、せっかくそういうお話ですので、来年東京でやるんだということであれば、是非協力さしていただきたいというふうに思っております。  以上です。
  24. 藁科滿治

    藁科滿治君 一言、お願いします。
  25. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) じゃ、どうぞ。
  26. 藁科滿治

    藁科滿治君 第一の中東戦略の問題は、お答えいただきましたけれども、私としてはまだまだ十分理解できない面があるので、また機会見て討論したいというふうに思っております。
  27. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) ありがとうございました。  では次に、沢たまき君。
  28. 沢たまき

    ○沢たまき君 どうもありがとうございました。  この調査会は、もう昨年からずっと続けてやらせていただいて、五回にわたって十二名の参考人に御出席をいただいて、御意見を伺ったり、質疑応答を重ねてまいりました。また、本日は政府から御報告をいただいたわけですが、いい勉強にはなりました。ありがとうございました。  私は副大臣にお考えを伺いたいんですが、文明間の対話についてなんですが、先日おいでいただいた板垣雄三参考人は、次のように述べていらっしゃるんですが、新世紀日本の総合的な文明戦略として、イスラム世界との文明対話を推進することが緊急に必要であると。イスラム世界は今や全世界を覆うものであり、それとの文明対話我が国のグローバル戦略となると。二番目には、日本文明については、イスラム文明に対して異質性とか疎遠感を強調するよりもむしろ相互に共通の基盤に着目することが重要である。例えば、日本における汎神論、海とか水とか森とか太陽とか様々なやおよろずの神といいましょうか、神が存在し、それを統括する神の存在を信ずるという、イスラムの一神教とは非常に近いものがあるということ、また、様々な宗教の共生を認めるという点でも非常に似ているということであります。  このように板垣先生はおっしゃったんですが、こうした見解を踏まえた上で、文明間の対話という、あるいは我が国文明の戦略、文明戦略と在り方について杉浦大臣のお考えをちょっとお聞かせいただきたいと思っております。  それから、産業省にちょっと伺いたいんですが、この十一ページにありますが、石油輸入依存度についてちょっと二点を伺いたいんですが、第一点は中東依存度八八・四%という問題ですね。二回の石油ショックに直面して、危険分散を図るという目的で依存度を少しずつ低下させていく政策を取ったと思うんですよね。それが、逆にこのごろは、何というか、八八・四%まで跳ね上がっていますが、この数字は石油ショック以前より高くなっているわけですよね。その原因について御説明をいただきたいと。  それから第二点目は、この参考の3ですか、石油依存度輸入依存度というところ、ここなんですが、各国の比較ですが、ドイツとかフランスとかイタリアというのは、石油輸入依存度は高いものの、中東依存度日本と比べるともうはるかに低いですよね。我が国だけなぜこんなに高いんですかね。その理由についてまず伺わせていただきたいと思っております。  それからもう一点ですが、悪の枢軸は先ほどお話しいただいたので結構です。この二つをよろしくお願いします。
  29. 杉浦正健

    ○副大臣杉浦正健君) 私は若干感想を申させていただいて、後はこの道のエキスパートであります城田君につなぎますが、先生が御紹介された板垣先生の御意見にはもう全面的に賛成でございます。  文明戦略と申しますか、先ほどは触れませんでしたが、世界人口爆発が起こっているんですけれども、特にこのイスラム世界における人口は急速に伸びておるんですね。今は五分の一ですけれども、あと五十年、百年たちますと、比率がどんどん上がるであろうと。それから、宗教としてのその求心力というのは非常に強い宗教でございます。何しろ、ハジという──ハジをやっておりますので、年間何百万という人がもう世界じゅうから集まるわけでございまして、このアイデンティティーといいますか、共有する信念が強い。それを、国際社会に広がるということで、将来イスラム勢力が、今は緩やかな緩やかなイスラム諸国連合という政治形態を取っていますが、一つの大きな政治勢力になる可能性も秘めていると思います。  キッシンジャーさん、あのアメリカの元国務長官が、あるとき会ったら話しておられましたが、彼は、この新しい世界秩序というのは宗教単位、一つの宗教、精神的主張をまとまりにして動いていく可能性があるということを言っておりました。イスラムは、その中でもとりわけイスラムは必ず将来勃興するということを強調しておりましたし、イスラムが勃興するとすればどこですかと聞きましたら、イランだということを彼は言っておりました。そういう意味で、日本が対イスラム文明との対話をきちっと進め、相互理解を進める、私は、河野大臣はすばらしいところに着眼されたと、こう思っております。  日本イスラム世界に対して手を汚しておりません、植民地支配その他、インドネシアとか一部ございますですけれども。そういう意味でも非常に親日的でありますし、また日本は多神教の社会ですから、元々、神道に仏教が入ってきて、いろいろキリスト教とか入ってきた。全部吸収して、宗教が外から見るとあるのかないのか分からないような世界なんですけれども、しかし、日本の歴史、伝統の中には、私どもの遺伝子の中に入っておると思うんですけれども、この異文化を吸収する能力は物すごく日本人持っています。  ですから、イスラムもまだ現時点では理解が低いんですけれども、付き合いをしていけばいくほど、イスラム考え文化も取り入れて、そこから新しい日本文化、新しい段階の日本文化を生み出せる、そういうポテンシャルも期待できるんじゃないかというふうに個人的には私は考えておる次第でございます。  以上、申し上げて、城田君から。
  30. 城田安紀夫

    政府参考人城田安紀夫君) それでは三点だけ申させていただきたいと思います。  一つは、中東イスラム方々と勤務地でお話ししていて非常に強く印象を受けることなんですが、中東人たち、それからイスラム人たち日本に対する感じ方なんですが、二つあると思います。大変強い敬意を日本に対して持っているという点が一つ、それからもう一つは、日本文化というものに対して彼らの目から見て強い親近感というのを持っているということが分かります。  初めの日本に対する敬意なんですけれども、彼らの発言を聞いておりますと、日本という国はすごいと。明治維新の後、急速な近代化を推し進めて、世界で立派な国になったと。しかも、それと同時並行的に、昔からの伝統文化を維持したまま変容を遂げたという点、この点において、彼らが今抱いている問題というのは、正にいろいろグローバリゼーションが進む中で昔からある彼らの文明文化を保存しながらどうやって国を大きくしていくかということなものですから、そういう問題意識にのっとって、大変日本に対する敬意というのを強く感じます。話せば話すほどなんですが、その敬意というのは必ずしも、もちろんその変化を遂げていった日本の国を指導していった層に対する尊敬の念もあるんですけれども、それの下支えとなった、あるいはその内部にあった日本人の力、そういうものに対して非常に強い、何というか尊敬の念があると思います。  もう一つ日本文化に対する親近感なんですが、一面ではもちろんこれまでの歴史の観点もございまして、ヨーロッパの国々に対していろんな歴史的なことがあったものですから、日本はそれに似たような経験がないという面は一つはございますが、それと同時に、やはり日本人というのは我々と同じ感性を持っているんではないんだろうか、どうもそういう点で非常に、何というか言葉以前の問題として心が通じ合うというような感じ方をしていることが強く印象付けられる点でございます。  これに対しまして、日本中東イスラムに対する感じ方、理解というのは、残念ながらどうもまだ至らないところが大分ありますし、誤ったひょっとしたら考え方をしている面もあるのかもしれません。ただし、ここ最近、中東の情勢それから中東に生きる人々に対する興味、関心、共感、そういうものがだんだん日本の国の中に出てきているということは非常に私は大事な動きだろうなと思っております。というのが一つでございます。  二つ目は、こういうイスラム方々との連携を強めていくべきであろうという点については全くそのように思いますし、冒頭、杉浦大臣の方からもございましたけれどもイスラム世界の中には非常に強いネットワークがあって、それは必ずしも近代的な情報伝達手段ではなくて、非常にローテクかもしれないけれども、極めて強力な口コミとか、それから人間同士の付き合いということで、例えばメッカで昨日あったことが次の日にはジャカルタでもう伝わっているというふうな、そういう世界がございます。そういうことも考えれば、やはりこの方々とお付き合いする上でその広がりを念頭に置きながら関係を深めていくというのが非常に大事なことであろうと思います。というのが二点目です。  三つ目なんですが、我々、外交というか、外務省で仕事をしておりまして、いろんな外交交渉をする相手方がほとんど政府当局なんでありますが、今、正に問題になっていることは、政府当局を離れて、その国のあるいはその地域に生きる人たち日本人たちがどう付き合っていくか、今後どう理解をお互いしていくかということであって、この問題というのは、特に冷戦後の国際社会の中で、努めて政府レベルでこういう動きを応援あるいは強めていかないといけないという分野だと思っております。そういう点で、イスラム文明との対話というのは大変私は日本の将来についても大事なことだというふうに思っております。  以上です。
  31. 松永和夫

    政府参考人松永和夫君) 御指摘のとおり、中東依存度が高まってきております。石油ショック以降これを下げるべく他の国からの輸入拡大の努力をいたしておりまして、現に当時、十五か国ぐらいからの輸入だったものが二十数か国まで上がったわけでございますけれども、結果としまして、中国とかインドネシア、それまで輸入をしておりました国からの量が、中国自身も輸入国に変わっておりますけれども、下がってきたという結果。それからもう一つ、やはり日本から、日本輸入をする際に、中東の原油というものが競争力がある、言わば輸入のフレートが安いということで、どうしてもそこからの輸入が増えてしまう、こういう結果として輸入の増大が、依存度が上がったわけでございます。  私どもとしましては、引き続き中東以外の資源開発あるいは輸入の増大に努力をしておりまして、例えば二〇〇五年度以降になりますとサハリンからの原油の輸入というものも可能になるのではないかと思いますが、しかし一方では、やはり先ほどお話ししましたように、原油の埋蔵量から見ましても、中東との結び付き、あるいは経済的な意味での結び付きというのはなかなかこれは払拭できないわけでございますので、一方でやはり中東諸国との結び付きを強化をすると。逆に言いますと、中東諸国から見ますと、需要の安定性ということからするとやはり日本を含めたアジアに依存せざるを得ない、そういう意味での相互依存関係強化をするということも一つの方策ではないかというふうに考えております。  一方で、御質問の二番目でございますけれども、ドイツ、フランス、イタリア、いずれも原油資源が国内にない国でございますけれども中東依存度日本に比べて低いわけでございますが、これらの国は、日本以外に旧ソ連あるいはアフリカ、北海油田というところからの輸入が言わば経済的に意味があるという結果としてこれらの諸国からの輸入が多いわけでございまして、その分中東依存度が低いということでございます。  総じて申し上げますと、原油の輸出入はややブロック化するような方向がございまして、ヨーロッパの消費地とヨーロッパ内、アフリカ、これが言わば輸出入で結び付いております。それから、アメリカと中南米、北米と中南米の間がやはり結び付いておりまして、アジア中東というのが一つの大きなブロックになってきているというのが最近の傾向でございます。
  32. 杉浦正健

    ○副大臣杉浦正健君) 先ほど、藁科先生から基本戦略というお話がございましたが、これは私個人の意見、外務省も恐らくそうだろうと思っておるんですけれども、まず中東問題もそうですしアフガンもそうですし東チモールもそうなんですが、要するに武力を伴う調整ということになりますと、もう日本はわき役、ピースプロセスの主役にはなれない。もうあのアフガンも第一段階そうでしたし東チモールもそうでしたし中東もそうなんですが、我が国の自衛力、防衛力の建前からしてできない相談でありまして、わき役で国際社会がうまくいくようにいく方策を取らざるを得ないわけでありますが、復興の段階になる、あるいは並行していって、いざピースプロセスが終わって復興の段階になった場合には日本役割は大きくなって、場合によっては主役になり得ると。アフガンなんかはそのケースでございますし、東チモールもそうでございますが、日本の持っている人的資源、経済力、そういったものを背景にしてその地域復興には、カンボジアもそうでございましたが、非常に大きな役割を果たせる、そういうスタンスでやってまいりましたし、今後もそういうふうにいくんではないかと、こう思っております。
  33. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) ありがとうございました。  では、続きまして緒方靖夫君。
  34. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。  杉浦大臣外務省にお尋ねしたいんですけれども一つイスラエルパレスチナ紛争の問題なんですが、これについては国連安保理決議一四〇二、これは停戦とイスラエル軍即時撤退という内容だと思いますけれども、更にそれを遅滞なく実行をすることを要求するという一四〇三の決議が上がっているわけですね。その決議の際に、アナン事務総長も自衛とか反テロということは成り立たないということを厳しくイスラエルを非難、批判しているという、そういう現状があると思うんです。  そういう中で、先ほど杉浦大臣の方から政府取組についてお話がありました。また同時に、お答えの中で、結局この問題というのはメジャーな国というのはアメリカなんだ、アメリカが本気に取り組むかどうかということ次第なんだと。実際、私もそれが非常に大きな要素だと思うんですけれども、そしてまた同時に先が読めないと、非常に大変正直な話がありました。  ただ、私思うのは、先ほどから話があるように、中東地域というのは、私もいつも実感するわけですけれども、大変親日的で日本に対して敬意を持っている国々であり、また同時に、何といいますか、日本外交が顔が見えないということはかねてから言われてきた、そういうところでもあるわけですね。そういう中で、やはりこの問題に対してどういう態度を取るのか、日本がどういう形でそのイニシアチブを発揮するのかということはやはり改めて問われる問題であって、これはアメリカ次第なんだということをぽんと言ったり、あるいは何といいますか、そういう形で言ってしまっては話が進まないということだと思うんですね。  ですから、そうした点で、既に取組についてはお話がありましたけれども、私はその国連決議をどう履行させるか、するかという、その点で改めて日本役割を問われていると思うので、その点でもしか何かありましたらお答えいただきたいと。  それから次に、悪の枢軸発言についてお話がありました。私、これについて、この調査会でも何回か議論があったわけですけれども、悪の枢軸という、そういうことについてある国にレッテルを張るということについて、私はそういうことはおかしいと思いますけれども、それを認める専門家の中でも、何で事によってイランにそれを言うのか、なぜイランなのかということがよく言われたわけですね。特にアフガンのあの戦争の中で、私は、恐らくイランという国がその対応という点でも非常に国の、何というか国威を上げた国だろう、そう言える国だろうと思うんですね。  そうすると、なぜそうなのかと。私自身思うことに、恐らくブッシュ大統領自身がイスラエルとの国との関係でそういう判断をしてしまったということであって、これは日本国益にとって本当にいいことなのかと。先ほど、経済産業省の方が国益に合致した形でということを言われまして、本当にそう思うんですね。石油依存度ということから見てもそうだし、それから優先交渉権ということからしても、私はこの問題はやはりはっきりとアメリカに対してそれでいいのかという意見を述べるべきだと思うんですよ。  ですから、その点について、そういうことについて現時点での外務省の判断、それからまた、なぜアメリカがイランを入れたのかという、その原因をどう考えられているのか、分析されているかという、その点についてイラン関係で聞きたいと思います。  最後にもう一点、イラクなんですけれども、今の中東情勢の下、アメリカ政権が繰り返し述べているような先制軍事攻撃は実際上私はできないと思うんですよ。もしそれをやったならば、アメリカの政府のある人たちも認めているように、中東との関係がめちゃくちゃになるだろうと思います。特に、アラブ首脳会議が開かれ、あるいはOICの外相会議が開かれて、その中で今パレスチナ問題をめぐってのイスラエルに対してあれだけ強い批判がある中で、またアメリカに対する批判が強い中で、もしこれをやったならば大変なことになる、これははっきりしていると思います。  ならば、やっぱりその点で、イラクに対してどうすべきかということについても、私は、中東で今ある意味で全面戦争が開始されようとしている、あるいは開始されたと言われている下で、やはりイラクに戦端を開くべきではないというふうに思いますけれども、その点で改めて外務省の御見解を伺っておきたいと思います。  以上です。
  35. 奥田紀宏

    政府参考人奥田紀宏君) できるだけお返事を申し上げたいと思います。  まず最初に、イスラエルパレスチナ紛争でありますけれども日本としてどういったところにその役割があるのかということであります。  もちろん、通常言われているように、日本は軍事的な参加ということは当然できないわけで、各当事国に対する平和的な解決への働き掛けということをしていかざるを得ない、ないしはしていくべきであるということが通常の答弁であろうかというふうに思います。  それに加えまして、中東和平問題、イスラエルパレスチナ紛争について非常に動きが激しく、毎日毎日の新聞とかラジオ、テレビの報道だけ見ていますと、一体どのように考えたらいいのかということがなかなか、我々もそうですが、ましてや通常の国民の目からすれば、どういうふうに考えるべきかということがなかなか分かりにくいという問題であることも事実だろうと思います。  そこで、やはり外務省を始めとする政府関係者がまずその第一となるべきだと思いますけれども、やはりその中東和平問題についてまずよく勉強をするということ、過去の経緯をよく知るということ、これまでどういう和平努力が行われてきたかというようなことについてよく我々としても知っていなきゃならないということ、その挙げ句にやはり一つの問題に関する見識というものを我々としてはやっぱり持っていかなくちゃいけないのではないかと。それをきちっとしたところで言っていくということによって、なるほど、日本は極東の国でパレスチナから大変遠いところにはいるんだけれども、しっかりとした関心を持って、しっかりと勉強した上できちっとしたことを言っているなというふうにだんだん思ってもらうようにしていくというようなことが重要ではないのかなというふうに思っています。これがちょっと直接のそのお答えになるのかどうか若干自信がないのですが、今お話を聞いてそのように思いました。  それから、悪の枢軸ということについて、なぜイランなのかという御質問が一つあったかと思います。  元々イランに対してアメリカが厳しかったということは皆様御案内のとおりでありまして、特に長距離ミサイルを含む大量破壊兵器開発の疑い、これは特に北朝鮮との技術的な協力関係があるのではないかということもありますので、日本の安全保障にとっても直接関係があるわけですけれども、そういった問題が一つある。  それからもう一つは、ただいまのパレスチナ問題に関して、せっかくそのマドリッド、オスロ合意以降、話合いでやろうとしていたのにもかかわらず、イランは事ごとにその話合いに基づく解決ということに反対しているのではないかというようなこと、これらから特に、日本もそうでございますけれども、アメリカはイランに大変な警戒をしていたということがございます。特に、一月の中旬でございますけれども、たしか紅海でイスラエル軍パレスチナ自治区向けの、イランで基本的に作られた武器を積んだ船を捕まえたという事件がございます。これがたしか一月の中旬でありまして、イスラエル、それからアメリカはこの武器の密輸事件ということを大変重要視いたしまして、去年以来、占領地で非常にテロも起きているというときに、イランが油に火を注ぐように武器を密輸しようとしていたといって大きく非難をしていた時期に、一月の末の大統領の一般教書演説というものが議会で行われたというタイミング的なこともあろうかと思います。  何にしましても、確かに悪の枢軸というレッテルを一枚張って、張った以上は同じようにそれぞれの国に対していくということは不適当であるし、アメリカ自身も、結局のところ、それぞれの国について同じような対応をしていないということは外から見ていて明らかであろうというふうに思いますし、我が国も、先ほど申しましたように、これまでの我が国政策に基づいてでありますけれども、それぞれの国に対する働き掛け等を続けているところであります。  それから、イラク関係であります。  確かに、先生御指摘のとおり、中東和平の問題、それからアフガニスタンにおける問題等々を考えますと、現時点ではなかなか合理的な政策手段としてイラクを急に武力攻撃するということはなかなかできないだろうというのは、今この現時点ではそうなのではないかというふうに私も思います。  それで、それではそのイラクに対してどうすべきかということなんでありますけれども、なかなか難しいところがございます。イラクに対して実はこれまでは経済制裁ということがあったわけで、これは現在でも継続をしておりますけれども、当初と違いまして、今はイラクが産出する石油というものは、国連の一定の手続の下にそれを売って、その代わりに武器とか軍需品を除いたものは基本的に買えるということになっておるわけです。ましてや、そのスマート制裁という考えになって、基本的にはいわゆるネガリスト、こういうものは買っちゃいけませんよというネガリスト以外のものはすべて買えるようにしようというふうになってきているわけです。  こういう中で、イラクに対してやはり、これはアメリカだけではなくて、ロシア、今までは中国も含めて多くの国がイラク大量破壊兵器開発ということについて国連の査察を受けるようにイラクに対して圧力を掛けているというか、申入れをしているわけです。その申入れの効果をやはり維持していくということが必要で、そのときにやっぱり日本としても、今は安保理のメンバーではありませんけれども、その安保理のメンバーと一緒になってイラクに対して国連の査察の受入れの再開というものを、続けるようにやはり強く言っていくということがどうしても求められていることではなかろうかと思います。  そのときに、日本としては、国際社会が一致協力して国連のこれまでの積み上げたやり方というものを尊重しながらやっていくということは、これは当然のことであろうというふうに思っております。  以上です。
  36. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) 次に、大田昌秀君。
  37. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 外務省に二つばかり簡単な質問をお願いいたします。  いわゆる河野イニシアチブということで、イスラム研究会が五項目ほどの提案をされたわけなんですが、新しい川口大臣をお迎えになって、将来ともこの河野イニシアチブによるイスラム研究会方針というのを受け継がれていかれるのか。それとも、新しい発想で、いわゆる川口イニシアチブというようなのをお考えなのか、伺いたいと思います。  それからもう一つは、直接間接にイスラム諸国に対して我が国援助をしているわけなんですが、その援助の資金の金額をどういうふうに決めておられるのか。相手国の要請に基づいてやるのか、それともそれぞれの国情に従って外務省の独自の判断で金額を決めておられるのか、その二点をお伺いします。  それから、経済産業省にお伺いしますけれども、先ほど来、中東諸国というものは我が国にとってバイタルな関係を持つという御趣旨のお話がございましたけれども我が国の対外投資に占める中東の比率は一%台ですね。それから、海外に住んでいる日本人の中で中東に住んでいる人の比率というのは、私の理解するところでは大体これまた一%台なんですが、先ほどのバイタルという点からするとちょっと首をかしげざるを得ないわけですが、その理由は何ですか。  それから、経済交流を進める際に、日本側は民間主導なんですが、相手国はどちらかというと政府関係者というお話がございましたけれども、それは経済交流にプラスになるんですか、それともマイナスになるとお考えですか。  以上、二点です。
  38. 奥田紀宏

    政府参考人奥田紀宏君) 最初の河野大臣のイニシアチブのところだけ私の方から申し上げたいと思います。  まず、これを続けていくのかということについてですが、事務方としてはそのように思っております。  それから、二点目でございますが、川口大臣のイニシアチブというものを考えているのかということですけれども、これにつきましては、実はそこのところをまだ川口大臣と相談しているわけではないので、まだ決まっておりません。  我々としては、特に中東局の立場からいきますと、こういう日本イスラム関係というような、割とこれまで地味だった項目を前の河野大臣に拾い上げてもらって、それを高いレベルでやっていただけたのは大変有り難いことでありまして、そのフォローアップに努めているわけでありますけれども川口大臣は、御案内のとおり、これはすべて国会の御承認次第でありますけれども一つアフガニスタン復興会議に非常に大きな関心を示しておられますし、それからイランにつきましてもこれも大きな関心を示しておられるということでありまして、中東局といたしましては、このような大臣レベルでの高い関心というものを奇貨としまして、このイニシアチブを続けていきたいというふうに思っております。  それでは、経協の方、お願いします。
  39. 滑川雅士

    政府参考人滑川雅士君) 二点目の御質問でございます援助金額をどのように決めているかということについて、簡単に御説明をさせていただきたいと思います。  まず、援助金額全体につきましては、これ毎年度予算でODAの金額というのが決まっていきます。ですから、全体の援助をどれだけ行えるかというのはこうした予算によって大きく決められるということがまず大枠でございます。それから、例えば地域別あるいは分野別の援助についてどのように資金を配分するかということにつきましては、今申し上げましたように予算が毎年変動することもございまして、必ずしもいつも幾らというようなことを前もって決めることにはなりません。  ただ、私ども様々な形で援助政策を明確にするようにという御指摘を常々受けてきておりますので、実は一九九九年に政府開発援助に関する中期政策というのを作りまして、この中では、どういう課題を重点に置いて、どういう分野を中心に取り上げ、かつまた、様々な地域についてどういう考え方で援助をしていくかということを、極めて大まかでございますが、記述したものがございます。  そうした、こうしたような形で大きな基本方針が決まって、その中で、私どものODAそのものは、相手国から御要請をいただいたものについて、その要請をいただいたものが果たしてその国の経済開発なり経済の安定に役に立つかどうか、効果が十分期待できるかどうかというようなことを私どもの方で調査をいたしまして、相手国と相談しながら決めていくということでございます。  そうした意味で、ある意味で申し上げますと、先ほど申し上げましたようなその中期政策、あるいはこれに基づきまして国別の援助計画というのも幾つかの国、十数か国に作られておりますけれども、こういったものに基づきながら、毎年毎年の供与につきましては、私ども相手国からの要請を受けながら、一方、私どものその年、あるいはその年以降の予算の額というのを勘案しながら、この程度のプロジェクトをこの程度の額で協力させていただきましょうというような形で進めさせていただく、その間で相手国とよく協議をさせていただいて進めさせていただくというやり方をさせていただいております。  以上、御報告をさせていただきます。
  40. 杉浦正健

    ○副大臣杉浦正健君) 川口大臣考えは非常に積極的だと思いますね。バイの訪問国として、国会の御了承が得られたらこの連休にアフガニスタンイランに行きたいという御意向をお持ちでございますし、私が、これも国会の御了承が得られればですが、中央アジア三か国、アフガニスタンの周辺国ですね、訪問したいと申し上げましたら是非行ってほしいと言っておられますし、そういう大臣のお考えを伺っていますと、非常に積極的だと思います。  河野大臣のイニシアチブもすばらしいものがあるんですが、更にそれを上回る川口イニシアチブがそういった御訪問を通じて出てくることを私としては期待しておる次第でございます。
  41. 田勢修也

    政府参考人田勢修也君) お尋ねの点、二点あろうかと思います。中東はバイタルな位置付けであるのに投資もそこへ住んでいる日本人も非常に少ないのではないか、こういうお尋ねでございます。  まず、中東におけるビジネスチャンスということから考えますと、相当にこれはあろうかと思います。ただ、例えば最近で申しますと、海水の淡水化のプロジェクトをやりたいのでいろんな人に例えば入札をしてくれというようなお話があったり、エネルギー関係についてもそういった入札が当然あるわけでございまして、ビジネスチャンスは相応にございます。  問題を申し上げれば、それがビジネスとして引き合うものなのかどうかという御判断をそれぞれの企業がされるわけでございまして、引き合うんだけれども入札価格が高くて取れなかったということもあれば取れることもあるしいろいろあろうかと思います。それから、今のはやや積極的な意味でのヒジネスチャンスはたくさんあるということ。  それからもう一つは、どこの国とは申しませんけれども、やや投資環境として難しい面が民間の方がお感じになることもございます。半分笑い話で申しますと、入国管理が非常に厳しくて、私どもが参りましたときでも非常に嫌な感じをしないとパスポートコントロール通れないような国もないわけではございません。商社の方なんかから漏れ聞いた話では、社長さんに訪問をしてもらったら、入国する前から、すなわち入国管理官の事務所のカウンターに並ぶ前にもう帰りたくなっちゃったと、こんなことをおっしゃった方もいらっしゃいまして、これは私などはその国の偉い方に一度御注意申し上げたこともあるんでございますが、そんなことに代表されますけれども、いろんな意味で嫌なことももちろんあるわけでございます。  しかし、これは世界のどこの国でもビジネスの慣行とかいろんなことで制約ございますので、それを取り上げて絶対駄目というわけじゃありませんけれども、全体としての投資環境の魅力付けをきちっとしていただきたいということを私どもからも強く、よく申し上げております。  例えば、サウジアラビアにつきましては、総合投資院というお役所が昨年でございましょうか、できまして、そこの総裁の殿下でございますが、アブドラ殿下という方が昨年も来日をされまして、いかにいい投資環境を作ったかというPRにいらっしゃっております。そのときに御説明がございましたのは、ワンストップサービスといって、事業を起こす場合に許可は総合投資院にだけ来て申請をすればいいんだと、いろんな役所をたらい回しにされて回る必要はないんだというような御説明があり、一定の期間が過ぎれば、許可が出ない場合には自動的に許可されたものとみなすので安心するようにと、こんな御説明もございました。  他の国の例で申しますと、例えばカタール、先週もさる大臣の方が日本にお見えでございましたけれども、カタールとジョイントベンチャーをやれば、ジョイントベンチャーの契約が法律よりも優先するんだ、したがって後で法律が変わってもジョイントベンチャー契約で書いてあることはひっくり返らないから安心してくれと、そういうような、あるいは十年間の税制の免除を行うと、いろいろな案が出てきておるのも事実でございます。それを魅力だということで投資をする方もいれば、マーケットとして小さいとかあるいは投資余力がないとか様々な要因がございまして、先ほど御指摘ございましたような残念な数字になっております。  担当者としては、更に一層、中東諸国には魅力付けの強化お願いをしておるところでございますし、日本の企業にも是非中東に目を向けてくれと、エネルギーの確保の裏腹の関係もございますし、マーケットとしてもなかなか面白いということで、言わば私どもが売り込みを掛けているような状況もございます。これから数字を伸ばすべく努力を続けてまいります。  それから、経済交流の観点で、相手側がビジネスマンではなくて政府であったり政府関係機関であったりと、これは、例えば中央アジアなんかでもございますし、中東でもありますし、そうでないケースとかいろいろございます。正直申しまして、プラスかマイナスかと問われると、双方あるというふうにお答えをせざるを得ないと思います。  プラスの面について申しますと、非常にトップダウンで例えば原料の供給の価格がばんと決まってくる、上の方から非常に有利なもので決まってくるというようなこともあろうかとは思いますし、あるいは特別な取扱いをしてくださるようなトップダウンの判断があることもございます。  一方では、世界の常識になっておるビジネスの慣行のようなものが必ずしも受け入れられない、なぜ投資をしないのか、それはあなたたちが臆病だからしないんじゃないかというような一方的なことを言われるようなケースも、もちろん全く皆無とは言えません。  そこで、私どもは基本的には、ビジネスは相手方が政府であろうとビジネスマンであろうと、世界相互利益あるいは利潤追求という観点からお進めをしていただくのが原則であろうとまず考えております。それから、相手方が政府の場合には、どうしても日本の民間の方が何となく威圧をされたりとかプレッシャーを受けたりというようなことが仮に、私はないと思っておりますけれども、仮にあったとすれば、それはやや、何といいましょうか、フェアではないことになりますので、日本政府、私どもといたしましても、経済省といたしましても、様々なツールを用いまして、例えば先ほど申しました中東協力センターのフィージビリティースタディーを御提供するとか、あるいは私どもも、政府要人との会談の中で重要なプロジェクトについては相手方に思い出していただくように発言をするとか、可能な限りサポートをさせていただいていると、こういう状況でございまして、したがいまして、プラスもマイナスもあるということかと存じます。  以上でございます。
  42. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) ありがとうございました。  以上で各会派の一人一巡が終わりました。  続きまして、野上浩太郎君。
  43. 野上浩太郎

    野上浩太郎君 自民党の野上でございます。  今までの御質問とちょっと若干重なるところもあるかと思いますが、経済産業省の方に一点、また外務省の方に一点、お伺いをしたいと思います。  まず、経済産業省の方にお伺いしたいんですが、いわゆる昨今、エネルギー市場の規制緩和ですとか自由化という流れが進んでおりまして、時代一つの潮流ではないかと思いますが、その反面、いわゆるエネルギー安全保障的な考え方というものも、このテロ以降一つの重要なファクターではないかなという気がいたしております。    〔会長退席、理事山崎力君着席〕  例えば、総合資源エネルギー調査会等々で、エネルギーセキュリティワーキンググループでしたか、いろいろな議論もされておったところだと思いますが、その辺りの基本的な方針といいますか認識と、あと、やはり中国の存在というのは非常に大きな位置付けになってくると思うんですね。大体、第一次石油ショック辺りのときはアジア依存度というのは一五%ぐらいだったものが、西暦二〇二〇年ぐらいにはその倍以上になると、あるいはもっと数十年たつと世界石油の大半が中国に集中するのではないかというような話もありますが、その中国の位置付けというものをどういうふうに考えているかをお聞きしたいと思います。  外務省の方でございますが、御説明の中でユーラシア外交というお話が出てまいりまして、非常に重要な視点だと思っておりますが、このユーラシア外交を進めていく中で、いろんな一つの国に対する支援というもの、いわゆる二国間支援、二国間外交というものは非常に進んでおるような感じもするんですが、やはりこのユーラシア外交の最終的な目標といいますか本旨というのは、地域的にどのような外交を進めていくかと、複眼的にどういうふうにとらえていくかということであると思いますので、その基本的な方針と、併せて、このユーラシア外交の中で私は、やはり中央アジアといいますか、カスピ海沿岸の国に対するプレゼンスが、今、日本の貿易の状況を見ましてもプレゼンスが非常に低いという状況もありますので、いわゆる石油ですとか天然ガス可能性から見ても、このカスピ海沿岸あるいは中央アジア等々に対するプレゼンスを高めていくということは重要だと思いますが、その辺の認識をお聞きしたいと思います。
  44. 松永和夫

    政府参考人松永和夫君) 御指摘のとおり、エネルギー政策は各国とも規制緩和、自由化の方向で進んでおりますが、我が国エネルギー政策考えた場合、やはり安定供給、セキュリティーの確保というのが大事なもう一つの柱、ベースであるというふうに考えております。そうした観点で、今御指摘ございましたように、昨年、総合資源エネルギー調査会の中にセキュリティワーキンググループを設けまして、一昨年来議論いたしまして、昨年の夏にレポートをまとめたところでございます。  そこでいろいろな観点からセキュリティーを向上させるための施策が提言されているわけでございますが、その一つの柱はやはり備蓄でございます。  先ほども中東依存度の問題について御指摘をいただいたわけでございますけれども、自主開発を進めると同時に、いざというときに備蓄を確保している、その備蓄を基にIEAをベースに相互融通のスキームで対応するというのが世界的な考え方でございまして、我が国の場合、国家備蓄、民間備蓄合わせまして約百六十日分の備蓄を確保しております。これを、いざというときにいかに速やかに備蓄を取り崩して対応するかということが非常に大事なポイントでございます。  もう一つは、やはり自主開発促進ということでございます。  もちろん、その国際マーケットを通じて原油、天然ガス等は調達ができるわけでございますけれども石油危機のときの経験に即しましても自主開発原油というものの言わば有効性というものが証明をされておりますので、現在、四百三十万BDのうち六十五万BD、これが自主開発原油でございますけれども、このウエートを増やす、あるいは石油依存度の低減を図るためにも天然ガス開発を進めると、こうしたことで世界的な原油、天然ガスの供給能力の向上に消費国の一員として協力をしていくということが大事なことではないかというふうに考えております。  三点目は、やはりこうした産油国中東諸国中東あるいは中央アジア諸国中心とする産油国との相互依存関係強化ということで、貿易投資の促進と同時にいろんな形での対話強化していくということでございます。  そうした意味で、今年の九月に日本が主催をいたしまして第八回目のいわゆる産消対話を大阪で開きます。世界の主要な産油国、消費国が五十か国以上集まるわけでございますけれども、そうした会議を通じてパイプを強化していくということが大事ではないかと思います。  さらに、中国について御指摘ございました。中国は産油国でございまして、引き続き石油の生産は行われておりますけれども、一昨年来原油の輸入を非常に大幅に増やしております。今、百二十万BDを超えるような水準まで増やしております。経済発展あるいはモータリゼーションの進行に伴いまして中国の石油輸入が増えると思います。あるいは、一時のアジア危機を経て、その他のいわゆる新興アジア諸国、ASEANを中心とする国も石油輸入を増やしておりますが、これらの国は備蓄を韓国を除いて持っておりません。    〔理事山崎力君退席、会長着席〕  したがいまして、セキュリティワーキンググループの中でも提言されておりますけれども日本のセキュリティーを確保するためにも、非常に経済的に密接な関係にある中国を始めとするアジア諸国の備蓄システム、これがうまく構築できるように協力をしていくということが大事ではないかという指摘をいただいております。  中国との間、あるいはタイ等のASEAN諸国の間でいわゆるエネルギー協議の枠組みを持っておりまして、そうした形で各国のエネルギー政策が環境面にも対応してうまい形で進んでいくということで協力するとともに、日本の備蓄システムの構築に際してのいろんな経験をいろんな形で供与をしていくというような形の協力を進めていくということが大事ではないかというふうに考えております。
  45. 角崎利夫

    政府参考人角崎利夫君) まず、ユーラシア外交、いわゆるシルクロード地域外交でございますが、政府といたしましては、シルクロード地域ということでとらえて、ここへの外交強化ということを図っておりますけれども、実際にその支援等におきましては二国間のベースでやっているというのが今の基本でございます。この地域地域的な協力機構も少しずつ芽生えてきておりますので、将来的にはそういう地域的な協力機構との関係強化といったことも視野に入ってこようかというふうに思います。  次に、この地域におきまして日本のプレゼンスがまだ低いということでございますが、確かに、貿易、投資等を見ますとまだまだ低い段階にあるということは事実でございます。  この地域におきまして、まず政府のプレゼンスをきちっと整えていく必要があるということで、これまで大使館はウズベキスタンとカザフスタンにしかございませんでしたが、今年一月にタジキスタンに大使館の事務所を開設し、さらに現在、今度御承認いただきました平成十四年度の予算におきましてはキルギスタンに大使館の事務所を開設するということで、徐々にこの地におきます我が方のプレゼンスの拡大ということに努めておるところでございます。  それから、この地域、特にカザフスタン及びトルクメニスタンにおきましては石油天然ガス開発されておるわけで、民間もこの国々におきますこういう資源の面では注目をし、開発等にも参加をしておりますので、恐らく今後、こういうところでの日本の民間のプレゼンスもだんだん高まっていくものというふうに考えております。  以上でございます。
  46. 杉浦正健

    ○副大臣杉浦正健君) 私の方から若干補足いたしますと、中央アジア五か国それからコーカサス三か国ひっくるめての地域ですが、将来のポテンシャルとしては、石油天然ガスの資源、今カスピ海開発をどんどん進めていますが、中央アジアにはもっとあるかもしれないと、こう言われております。  これはパキスタンのさる高官と話していてびっくりしたんですが、中国が、名前はちょっと忘れましたが、港の整備に協力して、港、将来の石油積出し港にするつもりらしいんですが、カラチよりも西の方に何とかいう港の、先を読んで、大掛かりじゃありませんが港の整備を始めている。なぜだと聞いたら、アフガニスタンが安定するということを見越して中央アジアからパイプラインを引く、その港まで、そこから石油を積み出して中国へ運ぶんだという遠大な構想でODAをやっておるわけです。日本がODAを出しているのに中国がODAをというのはいささか引っ掛かりもするんですが、それは、製造のためにやっておる輸入が増えてきましたから、つまり、黒海経由で持ってきますと物すごく距離が掛かるわけですね、それからスエズ運河を通らなきゃいかぬというようなことで、インド洋へ出してそのまま持ってこようということでやっております。  これは有名なことなんですが、カルザイさんというのは、あのアフガンの代表ですが、彼はかつて、メジャーがあそこを、やっぱりアメリカのメジャーの会社が幾つか絡んで調査したんですが、その調査チームにも入っておったことがあると、石油天然ガス中央アジアの。それはどういうふうにあってということに非常に詳しいと、だから、そういう意味でも、ヨーロッパ社会がカルザイ氏がいいといった背景の一つにあるんだというような話も、これもパキスタンの人から聞いたことがあるんですけれども。  日本も、アフガンの復興、これはもうテロの根源を除去するために基本的に重要なんですが、中央アジア地域の持っている石油天然ガスの資源、ほかにも、例えばキルギスタンなんかはもう希少金属の宝庫らしいんですね。それで、道路を整備してカラチまで運べばいいんですから、そういった中央アジアの将来に着目して、今もうここは非常に日本協力を求めておりますので、いろんな意味でいい関係を築いていくということは非常に大切だというふうに思っております。  さっき藁科先生から御指摘がありましたが、中央アジアについてこそ、正に戦略的な見地からの取組が必要だというふうに思っている一人でございます。
  47. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) ありがとうございました。  佐藤雄平君。
  48. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 佐藤雄平でございます。今日は本当にありがとうございました。  この調査会で何人かの講師の話を聞いている中で、やっぱり一番その印象に残っているのが緒方高等弁務官の話でございます。その中で緒方さんが言っていたのは、中東、特にアフガンの例の様々な問題の究極は貧困である、その貧困が絶望になっていると。  となってくると、結論から申しますと、やっぱり中東の経済がどういうふうな次の時代のあるべき姿であろうかと。今、いろいろ支援とか援助、これ、やっておりますけれども支援とか援助というのは永劫つながるものでもない。いずれ、やっぱり自立経済をどこかで踏んでいかなきゃいけない、それが平和と安定の大前提かなと。  これは、外務省か経済産業省かどちら、両方にかかわるかと思いますけれども産油国であることは間違いないんです、地域として。だけれども産油国のほかに、産業経済として成り立っていくその産業がどんな、中東にあるかと、まずこの第一点。  それから、やっぱり文化。これはもう本当に十分条件というか、経済はあえて必要条件とすれば、文化というのは十分条件で共有するものだと思うんです。  昨年五月に私は中国に行ってきたんです。中国に行ってきたら、外務省の皆さんも経済産業省の皆さんもそれぞれ一生懸命やっておりますけれども、宇多田ヒカルが一番今人気があって、宇多田ヒカルのCDがもう中国の青少年の半分以上は買っている。これは不思議なもので、フォーマルな外交ももちろんですけれども、更にもっと、宇多田ヒカルの歌を中国の皆さんが歌うというのは人民外交になっている、いつの間にか同化するんです。  私は、文化とか芸術というのははるかに、いわゆる思想を、国を超えた共有するものがあると思うんですけれども中東の芸術というのはどういうものがあるのか、それが今、日本にはどのような伝播がされているのか。これはもう文部省になるかも分かりませんけれども外交全体の外務省かな、分かるような状況があれば教えてもらいたい。  以上。
  49. 田勢修也

    政府参考人田勢修也君) お尋ねでございます産油国の中でも、例えば一人当たりGDPが一万ドル台の後半、二万ドル弱というような国と、それから、もちろん石油とかガスを産出するもののまだまだ発展が遅れている、例えば数千ドルとかそういった一人当たりのGDPの国とはまた少し趣は異なるかもしれませんが、まず、お金は少しあるけれども単一の炭化水素系の産業しかないという国について申しますと、まずどこの国でも必要なものは、一つはサービス産業でございます。例えば、卑近な例を申しますと、自動車には乗るわけでございますから、自動車を修理をしたり、いろんなサービスをする産業がございます。ですから、こういったサービスの産業のところをどういうふうにきちんと育てるのかということがございます。  それから、二つ目は、これも例えば卑近な自動車について例を申しますと、当然部品の交換があるわけでございますから、部品産業とか、幾つかそういった内需に根差したような産業をまずターゲットにして中小企業を育成していく、こういうやり方があろうかと思います。  それから、二つ目のやり方で申しますと、これも具体的な例を申しますと、海水の淡水化という事業がございまして、たくさん事業があって、これは必需品なわけでございます。しかし、海水の淡水化をいたしますと、それをパイプラインで送らなければいけない。そうすると、パイプラインを輸入するわけでございます。あるいは土管を輸入する、鉄管を輸入する。そういったものを御自分でお作りになると。これは、具体的にそういうことを考えていらっしゃる国が既に過去にございまして、スチールパイプの工場を作られたり、あるいは現在でも、例えばダクタイル鋳鉄管といったようなものを自国に工場を作りたい、こんなお考えの方もいらっしゃいまして、そういったものを言わば種にいたしまして産業を育てていく、こういうやり方もあろうかと思います。  ただ、直接的に、例えば自動車の工場を作りたいというような話はこれはなかなか、マーケットの規模の問題もありますし労働者の訓練の問題もございましてなかなか難しいのかなと、こう思います。  それから、貧困の追放の観点から、やや一人当たりGDPキャピタが少ない方の国を申しますと、これは外務省さんの方から御説明あろうかと思いますが、無償資金で貧困削減というようなことをいろいろお金を供与されて事業をされるかと思います。  私どもの視点から申しますと、やはり産業が少しでも育たないと雇用機会が増えない、それから人に給料が渡っていかない、こういうことがございますので、例えばこれは先ほども申しましたが、細かい部品、金属部品とかあるいはプラスチックの射出成形品のような比較的簡単にできる産業につきまして、経済産業省も関与いたしまして専門家を派遣して、あるいはJICAのシステムを使ったりジェトロのシステムを使ったりいたしまして、いろんな技術供与のようなこともさせていただいております。それから、先方の国からトレーニングをするために日本に研修生の受入れをするとか様々な事業をいたしまして、貧困削減に最終的につながるような産業の育成のための事業をいろいろさせていただいておるわけでございます。  いろいろ申しましたが、いきなり大きな産業でどんというわけにはなかなかまいりませんので、例えば中小企業の育成のようなことでお手伝いできることはたくさんあるのではないかということで考えておりまして、先方の国からも必ず中小企業の育成について知見をくださいというような御要望がございます。  以上でございます。
  50. 城田安紀夫

    政府参考人城田安紀夫君) それでは、中東地域で今どんな芸術分野があるんだという点、それからその前におっしゃいました中国で宇多田ヒカルが大変、何というか、だんだん人気を博しているという点ですが、そちらの方からお答えいたしますと、今、中国もそうですし、アジア全域でジャパニーズポップスと呼ばれるジャンルが大変人気を博してきておりまして、今年、日中国交樹立三十周年でございますけれども、宇多田ヒカルには私どもちょっと駄目だったですが、GLAYにお願いして北京で公演をやってもらうと。その後、日中間の青年交流ということでいろいろ、何というか、たくさんの人と仲良くなってもらおうというふうに計画しているところでございます。  あと、中東地域での芸術ということでございますけれども一つ、今の歌唱力といいますか、そういう分野でいいますと、アラブジャズと呼ばれる分野が大変今あの地域ではブームになってきておりまして、特にアルジェリアそれからチュニジア辺りで、パリ経由でいろんな、何というかネットワークに乗ってきているようでございます。  それから、日本との間ではなじみが多いのは映画の分野であります。特に有名なのがトルコ、イラン、それからエジプト。中東地域の映画というのは大体非常に、何というか人間存在の悲しみと希望とがない混ぜになった非常に心を打つ映画が多いですけれども、こういうものについては先々週ぐらいですか、国際交流基金でイスラムの映画祭ということで、まとめて名作を何本か上映したところであります。  あともう一つ、伝統的なものとしましては書道がございます。アラビア語のカリグラフィーと申しますが、日本の書道とも随分似ているところがあるようでございますので、こういう面でもまた橋渡しを私どもでやっていきたいと思っております。  以上です。
  51. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 だから、そういうふうなことを一生懸命やっておられるんですけれども、なかなか我々のところに伝導してこないんです。  だから、さっきの外務省の話の中で、イスラム教イスラム文化日本理解していると、日本イスラムをなかなか理解していない。地味だけれども、そういうふうなものを積み重ねていかないと、なかなか、一気にもう突然福島県に中東の人が出稼ぎに来たなんていうと、みんなびっくりしちゃうんで、だから、その前提条件としてそういうふうなことをずっと、何というのかな、広くどうやったら伝導できるかという、この辺も考えてください。
  52. 奥田紀宏

    政府参考人奥田紀宏君) この地域におきます経済援助の話でございますけれども、先ほど御質問の中に中東の経済の次のあるべき姿ということという言葉が出ましたが、アフガニスタンというような極めて貧しい国についても、それから恐らくサウジアラビアのような非常に富裕な国にとっても一つの共通の言葉があるとすれば、人づくりということではないかというふうに思います。  最近、英語でキャパシティービルディングとかいいまして、日本人はそれをすぐに略してキャパビルというような言葉を勝手に使っているようでありますけれども、この人づくりにつきましては、必ずしもその援助の額がそのまま人づくりに役に立つということではないのですけれども、非常に重要な分野であろうかと思います。  例えば、アフガニスタンにつきましては今年の三月に、アフガニスタンではちょうど春分のころが新しい学校教育の年になるようでありますが、これまでタリバンの下でなかなか教育ができなかった人たちがこの新しい年から教育を新たに子供たちが受けるということになりまして、ユニセフはかなりの努力をしたわけですけれども、その陰にはやはり、外務省ではなくて、日本も相当の協力をユニセフとしまして、この学校に戻ろうという運動をやったわけであります。  これは、教育というのはおおよそあらゆる意味で人づくりでありますけれども、そのほかにいろいろな技術協力、技能の協力というようなことを通じて、いわゆるこれまで非常に貧しいところは人道支援が主だったわけですけれども、やはり食料が要るとかテントが要るとか、その手の話ですけれども、そういうふうなところから実際に自分たちで経済を動かしていくようにする。アフガニスタンでいいますと、復興のための支援ということにつなげていくために今後とも人づくりの面での協力というものを我々の経済協力一つの柱としてやっていくつもりであります。  以上でございます。
  53. 杉浦正健

    ○副大臣杉浦正健君) イスラム世界に対する協力で審議官が触れなかった重要な点は、南南協力だと私は思います。  人づくりでいろんな方法、現地の教育をきちっと整備するということは基本なんですが、同時に日本との関係考えると、日本に招聘して勉強してもらうという方法があります。留学生というのはこれはもう大変大事でありまして、長期間日本にいて日本語を勉強し、いろんなことを勉強して帰ってもらう。これは基本的に重要なんですが、技術研修とか、短期間の技術研修、あるいは期間が短くて技術を勉強する技術協力という分野になりますと、日本に来るのには渡航費が掛かります、遠いですから。それから、存在する技術が、日本の技術は相当上がっていまして、もう彼らが求めている技術は日本にないものが非常に多いわけです。自動車の整備なんてその一分野だと思うんですが。  例えば、アフリカ人たちだったら、例えばインドとかあるいはマレーシアとか、回教国でしたらパキスタンでもいいと思うんですが、そういうところと日本協力をして、そこへ人を呼んで一緒に勉強してもらうと。日本へ来るのは、研修旅行で一週間ぐらい来てもらって日本を見てもらうというぐらいにして、技術の勉強はそこの南の途上国でやってもらうというのがこれから大変大切だと思います。それで、数はこなせます。向こうが求めているものを勉強して帰ってもらう。  今マレーシアに、私、名前は忘れたけれども、何とかセンターってあるんですね、南南協力アフリカの人ですね、ヒッパロス・センターというのがマレーシアにございまして、これはアフリカの人をそこへ呼んで、そこで日本協力して技術研修してもらって帰ってもらう。あれはたしか優秀な人は選抜して日本へ来てもらうと。百人いて優秀な十人は日本に行けるというので、みんな一生懸命勉強して日本に行きたいと思うというのは、うまいやり方をやっていますが、そういうセンターを、まあマレーシア回教国にはいいでしょうし、回教国ですから。インドだったら非回教国キリスト教国をやるとか、いろいろやり方はあると思いますが、そういうことをやっていくべきだと、外務省も最近は徐々に力を入れてやるように相なっております。
  54. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) ありがとうございました。  次に、遠山清彦君。
  55. 遠山清彦

    遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。  私は、今日はちょっと代理の、同僚議員の代理の出席でいるんですけれども、常任委員会の方で外交防衛委員会の方におりまして、中東の方に関しても今までも若干質問させていただいておりますので、今日は提示された資料なんかも見て、二つお聞きしたいと思うんですけれども。  一つは、イラクに関してですが、中東二課の「最近のイラク情勢」という資料を見ても余りはっきりと書いていないんですが、既に外務省の方でも報道で御承知だと思いますけれども、今イラクの方の情勢は実際には悪化をしていると。それはサダム・フセイン政権の内部で悪化しているということではなくて、正に米国がいわゆるサダム・フセインの反体制勢力との連携を強化をして、軍事的な意味も含めて行動を取ろうとしているのではないかと。  これは日本の新聞ではそれほど報道されておりませんが、既に海外のロイター電とかあるいはイギリスのガーディアンとかインディペンデントとか、そういった新聞はかなり詳細に報道しておりまして、英語ではマター・オブ・タイムと。つまり、アメリカが何らかの形でバックアップをした反体制勢力がサダム・フセイン政権に対して何か行動を取るのではないか、これがもう時間の問題であるというような報道がされております。そのことはこの資料には全く出ておりませんが。  私は、今イラク日本の二国間関係というのは事実上外交チャンネルが非常に狭められている状況だと思うんですが、今日いただいた資料を見ましたら、イラク日本の在京大使館を維持しているということが書いているわけでありまして、東京イラク大使館があるということでありますから、何らかの外務省、接触なり意見交換なりあるのではないかと。  そういった部分で、このイラクにおける、米国がどういう形でかかわるかという詳細については、これ報道だけですから実際のところ分からないわけですけれども、しかし海外の報道を見ていますと、例えば明日、突然イラクで何か起こっても余りおかしくない状況かなと私は個人的に理解をしておりますので、それに対して外務省としてどう対応されようと現時点でしているのか、ちょっとお伺いをしたいというのが一点目でございます。  二点目は、もう既に佐藤先生がちょっとおっしゃられてしまった同じような発想からの質問なんですが、角度ちょっと逆でして、それは、私、以前イギリスに私事で恐縮ですが留学をしておりましたときに、イランとかイラクからも数多くイギリスの大学、大学院に留学生が来ております。  そこで私が一番驚いたのは、イラクから来たお医者さんの方が、イラクのテレビ局というのは二局あると言っておりまして、黒澤明の映画とまたNHKの連続朝のドラマで特に「おしん」、もう「おしん」に至っては十八回ぐらい再放送されたと、今から十年前で、もうもしかしたら今三十回ぐらいになっているかもしれませんが、言っておりまして、彼は私に、「おしん」の第十七話でおしんのお母さんがおしんにこう言った言葉に感動しなかったかとか、そこまで具体的な質問を私にしてくる。ですから、もうほとんど「おしん」のストーリーを暗記をしているような方に私、出会ってショックを、私はおしんのお母さんがその話の中で何と言ったか覚えていなくて大変に怒られまして、おまえは日本人のくせにそんなこと知らないのかと言われて怒られた記憶があるんですが、それぐらい日本のドラマがイラク方々に受けているというか、共感を持って見てもらっているというのが、私にとって新鮮な驚きでありました。  実際、彼は、当時、実は湾岸戦争直後のときで、大変西洋日本イラク関係というのは最悪の状況だったんですが、にもかかわらずこういった「おしん」の話が出る。また、彼いわく、イラクのテレビ局二局あるんですけれども、両方のチャンネルで日本の番組をやっているときがあって困ったことがあるなんていうことまで私、聞いておりました。  また、同様にイランでも、私が知っている範囲では大変日本時代劇等が、何か向こうのやっぱりイスラムの宗教では肌が余り露出するとか、男女が絡み合うようなシーンが多いものは余り良くないと。日本の「水戸黄門」のような番組はそういうシーンないですから、非常に向こうでは幅広く流されているというようなことも聞きまして、私はこれを聞いて、やはり欧米にはできない日本の、正に佐藤先生もおっしゃっていた文化とか芸術あるいは映画、映像文化ですね、そういった次元では交流というのをもっと強力に進めていくことが大事なんではないか。  当然、中東文化をもっと日本イスラム文化、芸術をもっと日本へという流れも当然なんですが、もう既に私が今私の個人的な体験の中から一端申し上げたとおり、向こうでは私たちが想像する以上に日本文化を好んでいらっしゃるというか受け入れている。そのことを実は日本人が余り知らないという実態があるんじゃないかなというふうに個人的に思っております。私も留学に行ってそれを初めて知ったわけですから。  そこで、やっぱりもっと政府も後押しして日本文化、映像、芸術のフェスティバルみたいなものを向こうで開催を大々的にやって、その上でやはりイランとか、イラクはちょっといろいろありますけれども日本にしかできない形でパイプを太くしていくということが大事なんではないかと。  最後に、アメリカもクリントン政権下でイランとハタミ大統領が出てきて交流を進めたときに、たしかレスリングの交流をやられたと。私、実は機会がありまして、このレスリングの交流をおぜん立てしたのは実は政府ではなくて、アメリカ政府ではなくて、NGOの紛争予防を専門にしているサーチ・フォー・コモン・グラウンドというNGOがありまして、ここは紛争予防という非常に新しい分野をメーンの業務活動にしながら実は大変に大きなアフリカ中東で活動をしているNGOなんですが、このNGOのリーダーに私、個人的に会ったときに、実はアメリカのレスリング交流の話のおぜん立てを水面下で全部付けたのはこのサーチ・フォー・コモン・グラウンドであると、彼は本当にそういうふうに言っておりました。  実際に、今これにアメリカ政府が乗る形であのレスリングの交流実現したということもありまして、ですから私も日本のNGOで中東方面で活動をしているNGOがどれぐらいあるのか、またどれぐらいの規模かということは分かりませんけれども、やはり外務省もNGOとの連携というのを打ち出しておりますから、そういった中東である程度活動の基盤を持った日本のNGO辺りとまた連携をしながら、こういうアメリカでも起こった草の根レベルでの交流を後押しするようなことが大事なんではないかと思いますけれども、この二点についてお伺いしたいと思います。
  56. 杉浦正健

    ○副大臣杉浦正健君) イラク以外の問題、「おしん」の方はこちらに任すといたしまして、イラクの問題については報道でいろいろされていることはもう十分承知しております。ただ、この間の日米首脳会談でも首脳同士の間でそういう話は一切出ていないようでございますし、公式にアメリカ攻撃すれば日本どうするというようなお話は、まだ政府間ではないと私は承知しております。認識しております。ただ、そういう心配が国際社会にあることは間違いありません。  御案内のとおり、先ほど申しましたが、イラクが原子爆弾、生物化学兵器、大量破壊兵器開発している疑いは払拭できておりませんし、それを運搬するミサイル、三千キロ射程といいますからイギリスの果てまで入っちゃうんじゃないでしょうか。そういうミサイルももう開発が済んだとか済まないとかいうような話も伝わっておりますので、これはアメリカのみならずヨーロッパ社会も含めて、本音でこれは何とかしなきゃいかぬという気持ちでいることは間違いないと思います。ですから、そういう状況にあることは間違いないと思います。  で、日本、我々のスタンスとしては、国際社会協力してイラクにともかくそういう事態を回避しろと、その査察を受け入れて疑念を晴らしなさいということを機会あるごとに言っておるわけでございます。  向こうは、大使館があって、臨時代理大使がおって、館員が二、三人おります。ムーサという臨時代理大使がこの間離任されましたが、また代わりの臨時代理大使が来られますけれども、その臨時代理大使とうちの局、課は非常に親密な関係でございまして、しょっちゅう本音で話し合っておるようでございます。私も個人的には親しい人で、機会あるごとに話をしておるんですが、私の受ける印象では、アメリカの攻撃はあり得る、真剣だと、あらゆる選択を排除していないというのは伝わっておるようでして、イラクも口先だけじゃないぞという感じで受け止めておられるようで、真剣に対応されるんじゃないかという印象を個人的に受けております。  将来、アメリカがどういう態度を取られるか、現時点では分かりませんが、日本としてはそういう事態を回避する、要するにイラクに査察を受入れさして、そして国連がやるわけですが、国際社会イラクが門戸を開いて、完全に、そして、国際社会が持っている懸念を自らの手で払拭してもらうように最善の努力を払うということが必要になるんじゃないかと思います。日本大使館は閉鎖していませんが……
  57. 遠山清彦

    遠山清彦君 ジョルダンですね。
  58. 杉浦正健

    ○副大臣杉浦正健君) ジョルダンに二、三人、班があって交代で行っているんですね。フルにいないんですよ。内部では、もう少し充実して常時一人、人がおれるぐらいにしたらどうかというようなことを言って検討しておるところであります。  ただ、現実問題として日本イラク交流はございませんで、ともかくあの国は湾岸戦争で企業の人たちをみんな人質に取って、人質という、ヒューマンシールドというんですか、やったものですから、もう企業の人が震えちゃってもう近寄らないんですよ、また攻撃があるかもしれないというので。ですから、実際、大使館を再開する、情報を取るとかそれから向こうの国とコンタクトを取る意味は必要でございますので、企業も人もいないものですから、ほとんど。そういう意味では大使館を、常時人を置いておくという意味は余りないんですけれども、情報を取るとか向こうの国とのコンタクトということでもう少し強化したらどうかということで今相談しておるところでございます。
  59. 城田安紀夫

    政府参考人城田安紀夫君) それでは、大変貴重な御意見をありがとうございました。  一番最初におっしゃられた、イラクでの今、イラクの人がロンドンに留学して、いろいろ「おしん」の件なんか言っていたというのは大変私自身も心打たれましたけれども、今おっしゃった例に大変よく出ておりますように、私ども外交当局としてほかの国とお付き合いをしていくときに、情勢がどう変わっても、政策がどういうふうになっても大事なことは、その国の国民日本に対して親近感を持って、ああ日本というのはいい国だな、日本人というのはいい人たちだなと、こういう気持ちがずっと後の世代まで残っていく、それが続くようなことを、何というか、私どもとして努力していくということをやっていくのが一番大事なんだろうというふうに思っております。  そういう点から、おっしゃった「おしん」のテレビもそうですし、黒澤明の映画もそうですけれども、最近あの地域で、更に若い層でアニメ、日本製のアニメーション、漫画というのが大変よくテレビで見られておりまして、これが日本の、何というか、風景、日本の生活ぶりが絵になっても出ておりますし、それはそれで、ずっとこういうことも大使館経由等で貢献できるところは貢献していきたいと思っております。  それから、つい先々週ですけれども、大学選抜のサッカーのチームを日本から中東に派遣いたしました。さっきイランのレスリングの件をおっしゃったので思い出しましたけれども、今度、ワールドカップが日本、韓国で行われる際に、中東地域からはトルコ、サウジアラビア、チュニジアと、この三つの国から代表チームが来ることもありますし、それに先立って日本側から行ったと。で、大変友好関係を強めてきたという報告を受けました。  それから、私ども政府当局者がこういう、何というか国民同士のいろんな橋渡しをどこまでやるかについてはなかなか微妙な問題ももちろんございますが、もちろん自主的なああいう動きが前提になりますが、それでお助けできるところがあれば私どもお手伝いさせていただくというのが基本的な立場だろうと思います。  そういう点で、今御指摘のNGO、中東地域で草の根の協力を進めるNGOがどの程度育っているかについては、正直言って余りまだないとは思いますが、最近、日本の若い女性層、大学生なんですけれども、が中東地域アラビア語の勉強に行くという人が随分増えてきておりまして、そういう点で、これから先そういう努力あるいは希望が集まって、新しい懸け橋になっていただければというふうに思います。
  60. 奥田紀宏

    政府参考人奥田紀宏君) 先ほどの副大臣の御説明に若干付け加えるところがあるとすれば、反体制勢力を集めてアメリカが会議をやるのではないかという御指摘がございました。  これについて、実は私も、若干の報道等で読む以外に、直接の担当ではないのですけれども、アメリカの部内の人と話をしたことがございます。それで、このような反体制勢力を集める会議というのはどうもあるようではありますけれども、私ども理解している限り、例えばこれを、この機会にその反体制勢力を集めて亡命政権の樹立を例えば宣言するような、そういったものにはならないであろうというような感触を持っております。例えば、アフガニスタンの場合には、これはボン合意でカルザイ議長が首班となるような暫定行政機構というのをつくって、つくりつつ、かつ、タリバン政権の放逐ということをアメリカはやったわけでありますけれども、恐らくそういう話とは別ではなかろうかというふうに思っております。  それから、イラク情勢でございますけれども、これが悪化している、大変悪化しているという御指摘でございますけれども、これは、いろんな角度で見た場合に悪化しているということも言えるのかなとは思いますけれども他方、クルド、北部のクルド人が多いところの三つの地域を除きますと、サダム・フセイン大統領はほぼイラク全域を、それらを除いた全域についてはかなりの確度で掌握しておって、そういう意味では、それを悪化と言うかどうかは別なんですが、安定はしているというふうに我々は思っております。治安情勢は、その意味では今のところは安定しているというふうに思っております。  それから、二国間関係でございますけれども、実は九月十一日のテロの前の辺りまでは、我々は、イラク、バクダッドにおける我々の事務所、これは現地のイラク人が維持をしておるわけですけれども、その事務所に常に日本外交官がいるような形で持っておったわけでございますけれどもテロが起きた後、いろいろと危険の問題もあるものですから、それがいつも我々日本から来ている外交官がいるという状況になっていないというふうに変わったということでございます。  以上でございます。
  61. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) ありがとうございました。  四時五十分をめどにしておったわけでございますが、ちょうど四時五十分になりまして、またマイクもちょうど悪くなりましたので、今日はこれで質疑を終わりたいと思いますが、杉浦大臣始め外務省そして経済産業省の皆さん、長時間にわたりまして大変ありがとうございました。お礼を述べさせていただきたいと思います。(拍手)  それでは、これにて本日は散会をいたします。    午後四時五十一分散会