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2002-07-02 第154回国会 参議院 厚生労働委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年七月二日(火曜日)    午前九時一分開会     ─────────────    委員異動  七月一日     辞任         補欠選任      森 ゆうこ君     広野ただし君  七月二日     辞任         補欠選任      広野ただし君     森 ゆうこ君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         阿部 正俊君     理 事                 田浦  直君                 中島 眞人君                 朝日 俊弘君                 柳田  稔君                 沢 たまき君     委 員                 狩野  安君                 久野 恒一君                 佐藤 泰三君                 斎藤 十朗君                 伊達 忠一君                 鶴保 庸介君                 中原  爽君                 藤井 基之君                 宮崎 秀樹君                 今井  澄君                 今泉  昭君                 辻  泰弘君                 山本 孝史君                 草川 昭三君                 井上 美代君                 小池  晃君                 西川きよし君                 広野ただし君                 森 ゆうこ君                 大脇 雅子君        発議者      今井  澄君    国務大臣        内閣総理大臣   小泉純一郎君        厚生労働大臣   坂口  力君    内閣官房長官        内閣官房長官  上野 公成君    副大臣        厚生労働大臣  宮路 和明君    政府特別補佐人        公正取引委員会        委員長      根來 泰周君    事務局側        常任委員会専門        員        川邊  新君    政府参考人        公正取引委員会        事務総局経済取        引局取引部長   楢崎 憲安君        厚生労働大臣官        房総括審議官   長谷川真一君        厚生労働省医政        局長       篠崎 英夫君        厚生労働省健康        局長       下田 智久君        厚生労働省保険        局長       大塚 義治君        社会保険庁運営        部長       冨岡  悟君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○健康保険法等の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○健康増進法案内閣提出衆議院送付) ○医療信頼性確保向上のための医療情報の提  供の促進医療に係る体制整備等に関する法  律案今井澄君外四名発議) ○政府参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 阿部正俊

    委員長阿部正俊君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨一日、森ゆうこ君が委員辞任され、その補欠として広野ただし君が選任されました。     ─────────────
  3. 阿部正俊

    委員長阿部正俊君) 健康保険法等の一部を改正する法律案健康増進法案及び医療信頼性確保向上のための医療情報の提供の促進医療に係る体制整備等に関する法律案を一括して議題といたします。  三案につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  まず、内閣総理大臣に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 山本孝史

    山本孝史君 民主党・新緑風会の山本孝史でございます。  総理には、御出席をいただきましてありがとうございます。時間が限られておりますので、早速質問に入りたいというふうに思います。  総理は、今回の医療制度改革を称して三方一両損と、こういうふうにおっしゃっておられますけれども、もう一度、申し訳ございませんが、その趣旨を御説明を願いたいというふうに思います。
  5. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 三方一両損は結果的に国民に一番にプラスになるのではないかということで申し上げたんですが、すなわち、関係者にとってみますれば、まず患者の側、そして診療側支払側、これが一般的に議論されますね。この三者にとりましては、患者の側から見れば二割から三割負担になると。診療側から見れば診療報酬、これがマイナス改定されると。支払側、これもやっぱり保険料負担。こういうことを考えますと、関係者間にとってはそれぞれ一見損に見えるが、国民全体にとってはこの国民保険制度を持続可能な制度として維持するということになればプラスになる、全体にとってプラスになる、そういう意味で申し上げたわけであります。
  6. 山本孝史

    山本孝史君 今、患者支払側医療機関医者と、三者と、こうおっしゃいました。支払側というのは保険者という意味でおっしゃっておられるんだと思いますが、保険者保険料を集めて支払をしておりますので、保険者自身は損をいたしません。保険者自身が損をするような改革をするのであれば、今度の医療保険制度改革はその趣旨に反するわけですね。なぜならば、政管健保の財政を何とか立て直しをしようということで今回の法律が出されているわけですから、この法律の結果として、支払側が、すなわち保険者であるところの政管健保が損をするのであれば、三方一両損という説明は成り立ちません。  私、どうもこの話を聞いていて、時々加入者とおっしゃったり、あるいは保険者とおっしゃったりしておられますので、三方一両損説明は正しくないというふうに思います。  そもそも、この三方一両損の話、元の話を御存じなんでしょうか、総理は。
  7. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いかに国民保険制度を維持するかと、国民全体にとってプラスになるかということを言ったわけでございます。
  8. 山本孝史

    山本孝史君 三方一両損大岡裁き国民の間には知られているわけですけれども、その話はどういう話であるかということを御存じでしょうか。
  9. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 大岡裁きと言ったのは、私が言ったことではございません。私は大岡裁きなんか一言も言っていません。勝手にどなたかが言ったことであります。
  10. 山本孝史

    山本孝史君 普通我々は、三方一両損というと、大岡裁きの名裁きだったということでその話を例え話として使っているわけですね。今の御説明ですと、この大岡裁きの話とは全く関係ないんだと。  すなわち、今まで質問の中で、裁く側が損をしないのはおかしいじゃないかという御質問もあっていろんな御議論がありましたので、当然この三方一両損の元話は御存じだというふうに思いまして冒頭も御質問をし、今も改めて失礼ながらお聞きをさせていただいたんですが、その話とは関係ないんだと。三者が三人ともに損をするんだと。これは話が違いますよ。申し上げましたように、被保険者は損をしますけれども、加入者すなわち保険者は損をしませんので、総理の御答弁は頭の中が混乱しておられるというふうに思います。  じゃ、お聞きいたします。  医療機関診療報酬が引下げをされたので損をするはずだと、こうおっしゃいました。この話を普通庶民が聞きますと、確かにマイナス改定になったんだからお医者さんの懐も痛むんだろう、すなわち前年収入よりは減るだろう、こう普通は考えるんですね。本当にそうなのか。全医療機関として診療報酬が下げられたことで今年度の収入マイナスになるとお考えでしょうか。
  11. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは結論的に申し上げれば、必ずしも一様に当てはまらないということであります。なぜならば、患者さんの多寡によっても違ってきますね、病院によってもお医者さんによっても。患者数が多いところと少ないところと違ってくる。そして診療報酬プラスになるところマイナスになるところあります。全体でマイナス二・七%ということでございますが、今までマイナス改定なかったんですから、これは診療側から見ればひどいじゃないかということになるかもしれません。中には響かないところもあるでしょう。響くところもあるでしょう。しかし、全体的にやっぱり響くんじゃないか、そう思っております。
  12. 山本孝史

    山本孝史君 今おっしゃいましたように、個々の医療機関によりますれば診療科目によって大変に下げ幅の大きいところもあろうというふうに思います。  しかしながら、医療機関全体として、今御説明にありましたように、診療報酬マイナス改定になったんだからそこも収入が減るはずだと。すなわち、国民保険料負担増痛みを感じている。総理の御答弁ですと加入者なのか保険者なのかここははっきりしませんけれども、支払側とおっしゃいましたので、これは私は国民だと思いますけれども、ここで二両損するんですけれども、そこにも損が生じるだろうと。もう一つ医療機関も損が発生するんだと。こう三方一両損の御説明されているわけですね。大岡越前裁きの話じゃないと、こうおっしゃっているんだけれども、医療機関の全体の収入として、想定されているように減るのか、ここの問題なんです。前年収入より減らないでしょう。なぜ減るんですか。どこが減るんですか。
  13. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今まで増えていたのが全体として減るでしょうね。
  14. 山本孝史

    山本孝史君 その御説明はそのとおりだと思います。これまで増えていたものが、すなわち毎年五%程度まで増えていたものが今回の改正によってその増え幅は小さくはなるだろうけれども、しかしながら医療機関全体として、今年の収入があったものがじゃ手取り収入が減るのかといったら、それは減りませんよ。(「減るよ」と呼ぶ者あり)そんな形にはなっていないんです。そこのところの問題なんです。  確かに宮崎先生おっしゃりたいように、診療科目によっては大変に大きな痛手を受けているところもあるかもしれない。しかし、私は全体の話として申し上げている。それは減らないはずなんです。そこのところをしっかり説明されないで、三方一両損とおっしゃって、医療機関も損をするのだからみんなで痛みを分かち合えというこの説明は、私は非常に間違っていると思いますし、混乱を生じさせているもとだというふうに思います。  そんなふうになるのであれば、これまでも予定どおり医療費が動いてきたはずではないか。二年に一度ぐらいで診療報酬をずっと改定してきておりますが、その改定の結果医療費はどうなったのか、それをチェックしてくださいと御担当に申し上げたんですけれども、それはなかなか難しいと、こうおっしゃったので、じゃ、そんなふうにはうまく動かないんですかと、こう申し上げたわけです。  私、診療報酬改定によって、とりわけこの四月から、これも委員会の中で様々に御議論がございまして、長期入院患者が追い出されるのではないか、あるいは透析患者が大変に痛い思いをしているじゃないか、こういう御指摘がずっとこの委員会の中にもございました。  総理にお聞きしたいんですけれども、この診療報酬改定によって医療現場患者がどれだけの痛みを感じているのか、その実態について御承知でございましょうか。
  15. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 確かに診療報酬改定がございますし、二割が三割になるということでありますから、それは応分の御負担をいただかなければならないということは当然でございます。しかし、自己負担上限額がございますしいたしますので、軽い病気皆さん方のところは、それは三割にしていただかなければなりませんけれども、上限額がございますので、重い病気になればなるほど、医療費が高くなればなるほど出していただく率は下がっていく、そういうふうに思っておりまして、そういう意味では、お互いにこれはこの保険で助け合っていただくことになるというふうに理解をいたしております。  今の御質問がどれぐらいな額になるかという御質問でございましたら、恐れ入りますけれども、それはひとつ事務方の方で答弁をさせていただきたいと思います。
  16. 山本孝史

    山本孝史君 今、大臣から御答弁いただきましたけれども、総理にもう一度改めてお伺いをしたいと思います。  三方一両損というお考えの中で医療機関にもそれなりの負担をしてもらうんだと、その手だてとして診療報酬改定ということに手を付けられているわけです。そういう流れで御説明をされておられるわけで、そうすれば、その診療報酬改定することにおいてこの四月から医療現場でどのような事態が起きているのか。  例えで申し上げましたのは、六か月を超える長期入院のお年寄りの皆さん方にどこかに行ってもらわなければいけない、あるいは透析患者さんの透析時間を短く限定する中でやっていかなければいけない。様々な診療報酬の問題、出てきておりますけれども、そうした診療報酬に手を付けて御説明のとおりのことをやった結果として、この四月から医療現場でどのような状況が起きているのか。自分が取った政策、あるいは御自身が御説明をされておられますような政策の結果として、医療現場がどうなっているのかということについての総理の御認識はどうなっておりますかというのが質問でございます。もう一度御答弁をお願いいたしたい。
  17. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私より事務方、そういう点については詳細に、詳しいと思いますので、事務方、よろしくお願いします。
  18. 山本孝史

    山本孝史君 そこ、逃げちゃいけないんじゃないですか。御自身政策としてやってこられて、なおかつ総理の場合は厚生大臣もこれまで経験されてこられて、診療報酬の問題がどういう問題であるかということは御認識の上で今回初めてマイナス改定をしたんだということを、これを本当に自分政策の初めてできた改革じゃないかと誇示する形でおっしゃっておられるわけです。だから、その結果がどういう結果をもたらしているのかということについての御認識がなければ、自分が取った政策が正しいかどうか、自分が言っていることが正しいのかどうか分からないじゃないですか。だから、何が起こっているかということについてどれだけの御認識があるんですかということを申し上げているのであって、事務方が答えるという話ではないと思います。
  19. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは前から申し上げていますとおり、国民保険制度を持続可能な制度にしていくという。診療報酬改定、今までこのような大幅マイナス改定なかった。抵抗が強かった。あえて断行したということで、私は今までできなかったこのマイナス改定もやったと。  そこで、痛みでありますけれども、必ずしも患者負担だけが痛みじゃない。何もしなかったら税負担ですね。これは痛みじゃないのかと私はあえて御質問したい。
  20. 山本孝史

    山本孝史君 この点は認識は一致すると思うんですが、医療費が掛かる、必要であると、それをだれかがどこかで負担しなければいけない、その認識は御一緒だというふうに思っています。しかし、その負担をどのように負担していくのか、保険料公費自己負担の割合でどうするのかというところが、これが大きな議論なんですね。  しかし、それはそれとしておいて、診療報酬改定という問題は、今度の附則にも書かれていますように、診療報酬体系見直しをしていくんだと。これは、かねて総理厚生大臣のときから診療報酬はどうあるべきかという議論は積み重ねをしてきたわけですね。その結果として今回、今、何回も繰り返しますけれども、総理自身マイナス改定をしたんだと、今まで抵抗勢力が激しかったけれどもおれだからできたじゃないかと、こうおっしゃっておられるわけです。  しかしながら、私が申し上げたいのは、診療報酬改定という手段を用いて政策誘導をしていくことが本当に正しいのかどうか。これは大いに議論のあるところであって、そこのところの議論は飛んでしまっているんですね。しかも、余りにもこのマイナス改定をしたことをさも手柄のようにおっしゃるので、では現場でどうなっているかということを御存じなければ、その政策が正しいかどうかの判断もできないじゃないかと。それがリーダーシップを発揮しておられる総理の、ましてやこの厚生行政医療保険に対しての見識をたくさんお持ちの総理の私は姿勢とは思えないんです。  なぜそれが、事務方で答えさせるという話じゃなくて、なぜ自ら現場で何が起こっているかということに謙虚に耳を傾けるという姿勢をお持ちにならないんですか。
  21. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは一万以上の診療報酬の技術的な評価、これは私も具体的に言ってどれが正当な報酬かというのは、それはいろいろ議論があることは承知しています。しかしながら、それじゃ、別に私は誇らしげにマイナス改定やっているんじゃないんです。じゃ、マイナス改定しなくていいのかと逆に私はお尋ねしたいですね。(「逃げるんじゃない」と呼ぶ者あり)いや、逃げていない。  私は、いや、しかし、これでいろんな議論があるのは聞いています。この診療報酬は低いのではないか、高いのではないかと、そういうような不満とかあるのは聞いています。しかし、これ、全体の医療費の問題から考えて、マイナス改定というのはこういう経済情勢考えればやむを得ないじゃないかと。それぞれ不満があるのは聞いていますよ。じゃ一方、それじゃマイナス不満だったらプラスにするのか、しないのかと。提案をしていただければ、それは非常にいい議論になってくると思います。
  22. 山本孝史

    山本孝史君 四月からの問題については、この……(発言する者あり)
  23. 阿部正俊

    委員長阿部正俊君) 静粛にお願いします。
  24. 山本孝史

    山本孝史君 委員会の中でも大変に大きな議論があって、予算委員会の中でも随分御質問を受けておられたと思います。その結果として今の御答弁しかないというのは、私は非常に不満です。それは、せっかくリーダーシップを発揮していただくのに、それではリーダーシップの発揮のしようがないじゃないですか。本当に残念な私は御答弁だと思います。  時間がありますので次の質問に参りますけれども、痛みの問題をおっしゃっておられるわけですけれども、総理は、国民に求めようとしておられる痛みの大きさというものはどれだけのものだというふうに、これはいろいろな数字的にも出ておりますが、保険料アップあるいは自己負担増、様々ございますけれども、今回の改正によって国民に求める負担増はどれだけのものになるんでしょうか。
  25. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、国民負担増というのはいろいろ取り方ありますね。改定しないでツケを後に回す、借金で賄うと、これも痛みですね。
  26. 山本孝史

    山本孝史君 いや、それは分かりますけれども、そういうことを聞いているのではなくて、橋本内閣のときのあの医療改革で、いわゆる消費税の引上げもありましたけれども、二兆円云々という話がございました。そういうふうに数字国民負担増というのを表されているんです。今回のこの医療保険制度改革で、締めて国民負担増保険料アップあるいは自己負担増によってどれだけの負担が、国民に新たに求めなければいけないのか。そういう改革を今やらなければいけないんだということを御説明されるに当たっても、今回の医療制度改革国民負担増はこれだけなんだということを御説明をいただきたいと思います。
  27. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、具体的に数字を出せということだったらば、私よりもほかの方の方が適当だと思います。  しかしながら、総理大臣答弁として、大方針ですね、これは、医療というのは国民保険制度、今、日本としては、世界からもむしろ日本みたいな皆保険制度というのは学ぶべき点があるということが言われるぐらい進んできたと思います。それは、揺りかごから墓場までという、日本が戦後イギリス目標とした国民保険制度あるいは社会福祉制度、いろいろ外国を見習いながらやってまいりましたけれども、ある面においては目標としていたイギリス保険制度社会保障制度医療制度を比べますと、日本では患者はお医者さんを選ぶことができる、病院を替えることができる。そういうことから見れば、むしろイギリスよりも国民が選択の幅が広がる、いいなという面もある。そういう点において、私はこの皆保険制度というのは維持していきたいと思います。  そして、今の人口構造を見ますと、これからどんどんどんどん高齢者が増えてまいります。若い人、今年の出生率を見ましても、今までだったら大体、戦後の一時期は一年間二百七十万人程度赤ちゃんが生まれていたと思いますが、今は百二十万人を切ってきたということを見れば、高齢者はますます増えてくる、若い人は減ってくる。となると、病気というのは若い人よりも高齢者の方が当然、病気になる率は多いということを考えれば、今のまま変えないでいきますとますます医療費は増えていきます。これはもう経済好況であろうが不況であろうが、好況不況にかかわらず、病気が増える少ないという問題ではないと思います。  そういうことを考えれば、私は、このままの制度でやっていけば、この医療費負担をどうやって見ていくのかということを考えますと、その都度見直しをしていかなきゃならないし、あるべき負担というのは、患者さんの負担、そして診療側負担保険者負担、なおかつ公費税金としてどの程度国税金を投入すべきかと、いろいろな見方があると思います。この組合せで、もうこれ以上負担できないと。病気になっていない人にも負担をお願いしているわけですから、しかも最近では、月に百万を超える患者さんはかなり増えてきたし、中には月で一千万円以上掛かる患者さんも出てきた。しかしながら、一定の高額医療費がありますから、三割負担、二割負担といっても、じゃ、百万円掛かったから二十万円、三十万円負担してもらうのかというと、六万三千六百円で済んだ。今、大体七万円ぐらいになっていますけれども、超えましたけれども、必ずしも全体の二割負担、三割負担じゃないと。高額の場合は、実際は一割負担、それ以下の負担でも医療を受けられる制度になっているわけであります。こういうことを考えますと、どんどんどんどん医療の質を改善していかなきゃならないのも同時でありますけれども、お互い負担というのはどうあるべきかということをやっぱり全体として考えるべきじゃないかと。  患者さんの立場にとってみれば、どんどんどんなものでもできるだけ負担が低い方がいいというのは当然であります。できれば、高度成長時期みたいに、もう医療費は無料にした方がいいという状況もあるでしょう、高度成長が続けば。私もそう思ったことありますよ。このまま高度成長が続いて経済成長伸び率の方がどんどんどんどん増えていけば、それは。  だから、こういう点を考えると、今の時点におきまして、私は医療費伸びというのは国民全体でどう分かち合うかということを考えると、患者さんの負担もある程度していただくということがこの国民保険制度を維持していくんだという点で……(発言する者あり)
  28. 阿部正俊

    委員長阿部正俊君) 静粛にお願いします。
  29. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今、私は質問者に答えているんです、質問者に、質問者に。(「委員会に答えているんじゃないのか」と呼ぶ者あり)質問者に答えているんです。(発言する者あり)
  30. 阿部正俊

    委員長阿部正俊君) 静粛にお願いします。
  31. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は質問者に答えているつもりでございます。
  32. 山本孝史

    山本孝史君 質問は簡単で、この負担増は幾らになるかと聞いているのに、今の御説明は全然そのことには触れておられない。数字みたいな細かいものは事務方が答えればいいんだと、こうおっしゃる。でも、今の総理の御説明聞いていても、医療費はこれだけ伸びていくんだと、国民自己負担はこのぐらいまでじゃないと駄目なんじゃないか、保険料負担はこんなふうでもいいんだろうかと、いろいろ数字的なことをおっしゃっているんですよ。そういう数字的なことをおっしゃいながら、肝心な私の質問のところについては何らお答えになっていない。  お答えになれないんであれば、恐れ入ります、事務方で結構ですが、来年からの負担増は一体幾らになるのか、保険料自己負担で、これをお答えいただきたいと思います。
  33. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 平成十五年度から平成十九年度の単年度平均で見ますと、各制度全体で四千八百億円の増となります。これは、三割負担の導入、薬剤費一部負担の廃止などを計算に入れての話でございます。  それから、もう一方の方の保険料でございますが、総報酬制の導入に合わせまして保険料率の引上げを予定しておりますが、平成十五年度から平成十九年度の単年度平均で五千七百億円増と見込んでおります。  なお、政管健保以外の保険者の場合におきましては、それぞれの財政状況に応じまして保険料を設定いたしておりますから、保険料増を正確に見通すということは困難だというふうに思います。
  34. 山本孝史

    山本孝史君 今五千七百億円とおっしゃったのは政管健保保険料の引上げに伴う負担増でございますね。
  35. 坂口力

    国務大臣坂口力君) そうです。
  36. 山本孝史

    山本孝史君 私がお聞き申し上げているのは、政管健保、それから組合健保、そこに、国保と、いろいろございますよね、共済もありますね、それぞれに合わせて、全体で保険料負担として幾ら上がるのか、自己負担の結果として幾ら上がるのか。トータル、国民負担増は幾らになるのか。もう一度御答弁お願いします。
  37. 坂口力

    国務大臣坂口力君) ですから、先ほど申しましたように、政管健保の方は整理をして予測をすることができますが、組合健保の方におきましてはそれぞれの事情が違いますので、それぞれの保険者の内容によって引上げ引下げというようなことを行われるであろう。国保の場合にも状況を見て御決定になるだろうというふうに思いますから、国保の方はもう三割負担はずっと今まで続いていたわけでありますし、そこは変わらない。したがいまして、その他の保険の場合に正確に今どれだけ上がる下がるということをなかなか言うのは難しいのではないかというふうに思っています。
  38. 山本孝史

    山本孝史君 試算はできるはずですよね。宮路副大臣は御答弁の折に、組合健保は政管健保とほぼ同じぐらい保険料負担が上がるだろう、こういう御答弁されておられるわけで、首振らないでください、残っているんだから。だから、そういう意味ではちゃんとした推計できるはずでしょう。共済組合だって、ずっと話の外に出ていますけれども、共済組合の加入者は一千万人いるんですよ。政管健保三千七百万人いて、組合健保が三千百万人いて、共済組合の加入者一千万人ですからね、決してこの規模は小さいとは言えないわけですよ。この人たちのトータルとしての負担増が幾らになるのか。痛みを伴うと言っているんでしょう。損をしてもらうと言っているんでしょう。その損の額が幾らか分からないで損をしろ損をしろと言われたって、こっちだって困るじゃないですか。  一体幾らになるのか、その答えがないというのはおかしいんじゃないですか。今までの国会答弁でこんな答弁ないですよ、負担増が幾らになるのかという話は。おかしいと思いませんか。総理、答えてくださいよ。総理、おかしいと思わないんですか、これ。幾らの負担増になるか分からないでもいいと言っているんですか。
  39. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) その具体的な額はともかく、それは二割負担が三割負担になれば、これは確かに負担が増えますから、これは確かに痛みです。(発言する者あり)
  40. 阿部正俊

    委員長阿部正俊君) 政府側に申し上げます。  医療費全体、全被保険者ということを前提にして、どれくらいの、大まかな傾向、あるいは正確に出ないと思いますけれども、そうしたふうな試算というのをひとつお願いできればと思いますけれども、どうでしょうか。
  41. 坂口力

    国務大臣坂口力君) ですから、先ほど申し上げましたように、正確になかなか把握しにくいですけれども、トータルとしては一兆円から一兆五千億円の大体間ということぐらいだと思います。
  42. 山本孝史

    山本孝史君 絶対これおかしいですよ。医療制度改革をして、それで一杯医療費が上がっていくんだと。それをいかに抑えるか、それをどこでどうやって負担してもらうか。私たち、負担がいけないとは言っていないんです。この話のそもそもの失敗というか、この話が出てくる原因は、政管健保保険料を適正に引き上げられなかったという、これは行政の側でもあり、政治の側の問題でも、両方あると思いますけれども、そこに問題の一つはあるんですよ。だから、それをどういうふうに今度、制度設計をしていったらいいのかということを考えるに当たって、今回の負担増は幾らになるのか。  そもそも、来年になりますと、来年の夏ですね、年金の保険料も総報酬制になります。医療保険制度もこれで総報酬制になります。来年のボーナスはがたっと私たちは手取りが減ります。いや、その分月収が増えているじゃないか、それはそうなんですが、消費者心理といいましょうか、働いている者の心理からすると、ボーナスががたっと減るわけですよ、来年の夏は。そこにもってきて今回の負担増が重なってくるわけですね。  したがって、来年の夏の購買者心理といいましょうか、景気に対する影響も一定限度考えなければいけないんじゃないだろうか。いや、そんなことは考えなくってもいいんだと、財政難を何とか乗り越えるためには今回の負担は当然なんだと、こういうお考え方もあるでしょうけれども、そんなアバウトなやり方でいいんでしょうか。だから聞いているんです。  来年の夏の負担、あるいは来年の保険料負担等々含めて来年の国民負担増は幾らになるんですか。そして、これが景気に対する影響はないというふうに断言できるんでしょうか。大変にこれは難しい選択だと思いますけれども、そこへの心構えといいましょうか、総理姿勢というものを是非見せていただきたい。これが私の質問なんですが、もう一度お願いします。
  43. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 景気への影響ですが、これは必ずしも医療費だけの問題ではないと思います。経済全体の問題もありますし、それぞれの企業の収益状況あるいは税収状況を見ていかなきゃならない。  私は、医療費の、だけから見ればそれは消費が、可処分所得が減るということになれば消費にも影響があると思いますが、それは医療費だけの問題にはとどまらない。経済全体のことを考えれば、私はいろんな面の方から勘案しながら考えなきゃいけないのじゃないかと。確かに、医療費だけということから見れば、医療費に一番お金を割いている方から見れば確かに影響があるでしょう。しかし、経済というのはそれだけで判断はできない面がある、そういう点をやっぱり御理解いただきたいと思います。
  44. 山本孝史

    山本孝史君 景気の回復も小泉内閣の最大の課題の一つだと思いますし、医療制度改革も社会保険制度改革の中で大変大きな柱になっている部分で、十二年改革できず、十四年改革できずと、こういう流れを踏んできているわけですね。  御説明のところは私たちも理解しないわけではありませんけれども、しかしながら、今後どういう制度設計をしていこうとしているのか、その前提になる今回の改革負担増が幾らになるのか。  だって、平成九年改正のときだって、小泉さんは当時厚生大臣として、これは抜本改革への第一歩なんだと、健保財政の緊急避難的な、この財政難を回避するためには仕方がないんだと、こういう御説明の中で当時二兆円の負担増国民に求めざるを得ない、こういう御説明をされてあの改革に臨まれたんです。  今度、この十四年度改革、今度はお立場は違いますけれども、総理大臣というお立場で国民にやはりこの改革に御理解を求めなければいけない。そのときに、一体来年からの保険料アップで、五千七百という政管健保のお話は、今、坂口大臣から御説明がありましたけれども、これまでの答弁の中でも、組合健保全体で宮路副大臣によればほぼ同じ額の負担が上がるだろう、こういう御説明もあって、そこに共済組合もあれば国保もあるじゃないか、じゃ全体で幾らになるのかという御説明をしてくださいと、こう申し上げて、それをされない、されずにこの改革案を何とか通せとおっしゃっておられる。これは国民の側から見たら非常に不思議な気がします。そんな無責任な政策選択をしていいんだろうか。  申し上げましたように、政管健保保険料の設定を誤ってきたことは厚生省の大きな間違いなんです。なぜ自己負担を今上げなければいけないのか。そもそも制度が違うんですよ、政管健保と国保と。生まれ育ちが違うものを、なぜ三割にしたら分かりやすいでしょうというようなアバウトな説明で三割にしなければいけないのか。問題は、国保財政をどうやって今後立て直していくのか、国保をどう運営していくのかという基本的な問題をまた棚上げして、何とか負担のところだけでも合わそうと、こういうのでは改革に値しないんですよ。  しかしながら、それは大いに議論をしなきゃいけませんが、負担増が幾らになるのかというこんな単純な質問にすら明確なお答えをしていただけないというのは、私、非常に小泉内閣というものの改革姿勢が私はやはり問われるというふうに思います。  時間の関係でありますので、もっと簡単な質問をします。もっと簡単な質問をしますので、是非答えてください。  附則の読み方です。附則に「二年を目途に」とか「三年を目途に」とかと書いてございます。これはいつの時点から二年あるいは三年というんでしょうか。このことをはっきりとお答えをいただきたいと思います。総理、御答弁お願いします。
  45. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 「二年を目途に」とか「五年を目途に」というふうに書いてございますが、これはいつを基準にしてかというお話でございますれば、それはこの本法律の施行時、いわゆる本年十月一日より起算をしてということになろうかと思います。
  46. 山本孝史

    山本孝史君 十月から二年、五年ということで御答弁いただいているわけですが、これも国民の側からしますと、この法律が出ました二月、あるいはこの四月から診療報酬改定をされておりますので、当然その時点から少なくとも二年なんだろう、あるいは三年なんだろう、こう思うわけですが、今の坂口大臣の御答弁ですと、この十月から、施行されてから二年を目途に考えるんだと、こういうことですから、そこで六か月時間を稼がれたといいましょうか、私たちにとっては時間を取られたような気がしますけれども、そういう御答弁なわけですね。  重ねてもう一問、そこのところで確認をしておきたいんですが、おおむね、例えば二年を目途に何とかを明らかにし、あるいは検討し、所要の措置を講ずると、このように書いてございます。検討し、所要の措置を講ずる、何々を明らかにし、所要の措置を講ずる、これ何年という年限は所要の措置を講ずるところに掛かっているのか、検討するところに掛かっているのか、これはどちらなんでしょうか。大臣、答えてください。坂口大臣で結構です。お答えください。
  47. 坂口力

    国務大臣坂口力君) その前半のお話、「二年を目途に」というふうに言っておりますけれども、できるだけ早くそれはやりたいというふうに思っております。したがいまして、基本的な方針、抜本改革の基本的な方針そのものは今年末ぐらいにでもできるだけ明らかにしたいというふうに思っている次第でございます。したがいまして、大体それを何年掛けてそれをやり遂げるか、そして方向性はどうかといったような問題につきましては、早く皆さん方にお示しをしたいというふうに思っているところでございます。  それから、年次計画でありますとか検討結果を明らかにし、それに基づき順次必要な改革を具体的に実施に移していくこととしているわけでございまして、そうした意味で、附則に定める諸課題について申し上げているわけでございます。
  48. 山本孝史

    山本孝史君 皆さんが御答弁いただいている以上に国民の側は非常にこの成り行きを注目をしておりまして、御答弁が非常に私は大ざっぱといいましょうか、アバウトな御答弁ばっかりだというふうに思います。  そもそも、あと十分ほどしかありませんので総理にもう一度お伺いしたいんですが、今回のこの医療制度改革がここまで遅れてきた原因は何なんだと、何が原因としてこの医療制度改革が遅れてきたのかということを是非お答えをいただきたいというふうに思います。  と申しますのも、先に御説明申し上げれば、前回の平成九年の健保法改正案が国会に提出されたのは二月の十日でございました。今回の改正法案が提出されたのは三月の一日で、この間ほぼ五年間ございます。この五年を振り返ってみますと、小泉総理は当時厚生大臣として、平成八年十一月から十年七月まで一年八か月厚生大臣でございました。坂口厚生大臣は平成十二年の十二月に大臣に就任をされて、現在までで一年七か月御在任ということになろうと思います。  したがって、前回の改正法案が提出されてからのこの五年間を見ますと、二年八か月お二人は厚生大臣に御就任でございました。その前を含めますと、もう少し長い期間お二人は医療制度改革に取り組んでこられた、厚生大臣としてお取組をしてこられたんだと思います。  坂口厚生大臣は、平成十一年の十月に公明党の政調会長として自自公の連立政権にお加わりになりました。そこから言わば公明党の政策の責任者としてこの政権に御意見を反映されておられるんだろうと思います。小泉厚生大臣は、今や総理大臣としてそのお力を発揮できるお立場にある。これほどお二人がリーダーシップを、医療制度改革リーダーシップを発揮できるお立場にありながら、なぜこの十四年度改革でもこういった附則に検討項目を書くというような事態に至ってしまったのか。この五年間、あるいはもう少し長いと思いますが、その期間において何がこの改革を妨げてきたのか。それを排除しないことには改革は進まないわけですから、そういう観点から是非お答えをいただきたいと思います。総理にお尋ねします。
  49. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは議員もよく御承知のことだと思いますが、医療保険制度、調べれば調べるほど複雑で関係者は多いですね。保険の成り立ち、さらには診療報酬一つ取っても極めて技術的な問題がある。お医者さん自身にとっても、専門領域を外れると分からない面もある。関係者病院においても、それぞれ公立、民営、違いがある。診療所、開業医さんにおきましても、これまた都市の開業医、地方の開業医、それぞれ違う。また、保険制度、国保にしても健保にしても、歴史的な沿革も違う、構成員も違う。いろいろな面があると思います。  そういう点をいろいろな関係者の意見を聞きながら改正なり改革考えますと、全く様々な意見が出てまいります。そして、負担一つ取りましても、患者の側から見れば、負担が一割から二割あるいは二割から三割というふうになるとこれは負担増になります。保険料負担する方にとってみても、それはできるだけ保険料負担は低い方がいい。様々な問題がある。  中でも税金の問題です。じゃ患者負担を減らせばいい、保険料負担を減らせばいいということに対しては、直接的ですから、自分が直接負担しているのが減るのはいいのはみんな決まっています。税金負担というのは目に見えません。だからこそ、どんどんどんどん借金すれば、現在の痛みはない。これは一番楽ですよね。痛みがない。痛みがない。選挙民に言うのに、いや、患者負担はもう減りましたよと。じゃ税金負担税金はおれが払うんじゃないと思うからみんな痛みと感じない。しかし、積もり積もってみれば、じゃだれが税金払うんだと。国民全体で払うんですね。だからこそ借金財政が膨らんできた。  こういう問題をどうやって解決するのか。しかも、日本というのは特別に賛否両論というよりも合意を重視します。関係者間の意見を、一つ、一部の反対があると、何とかこの関係者の反対をなだめる非常に穏やかなおとなしい手法を取るのを好むんだと私は思います。賛否両論、多数決だという割り切り方はなかなかしにくい風潮といいますか雰囲気があります。そういう関係者の各方面が、できるだけ反対が少ないというか、不満があってもまあやむを得ないなと。一方が得して一方が損するというんじゃなくて、穏やかにまとめていこうということになると、一部がどうしても駄目だと言うとそっちに引きずられる面があります。そういう点もあって、私はなかなかこの改正というのに踏み込むことができなかった。  結局、一番安易なといいますか解決策は、じゃ現状を維持して負担は先送りしよう、借金で面倒見ちゃおう、後は後のことで考えてくれというのが一番安易なんですね。これじゃもうもたない、今の財政状況からするとということで、ある程度反対があるけれどもやらざるを得ないというのが今まで遅れてきた理由じゃないでしょうか。
  50. 山本孝史

    山本孝史君 だれかが負担をしなければいけないということは申し上げたとおりなんです。  しかしながら、私たちには、この医療制度改革の法案が出るたびに、これは緊急避難的な措置ですと。今のこの健保財政の、このままでは赤字になってつぶれますので何とかここは御負担をいただかなければいけないんだ、しかしながら抜本改革はやりますと。併せて改革もしてこの負担増が上がっていくことを避けるから、負担増はいずれにしてもお願いをしなければいけないけれどもと、こういう説明で来ているんですよね。ところが、ずっと見てみると、結局残っているのは負担増の話だけではないかと。  確かに、いろんなところからいろんな御意見があってまとまらなかったとおっしゃいますけれども、しかしながら、これまでもたくさんな、与党の中でも、あるいは厚生省でも、あるいは審議会でも、様々に医療制度改革に関しての案は出ているんですね。皆さん方は、既に案は出尽くしているんだと、こうおっしゃっているじゃないですか。政治主導で大胆な決断をする必要があると小泉さんはおっしゃるし、あるいは坂口大臣は政治が決断力を振るう機会も十分にある、もう出尽くしているんだと、物事は、あとは政治が決めるだけだと、こういう御答弁が続いているんです。私もそうだと思うんです。それを、今のような御答弁の中で、いやいや、いろんな話がありますから結局決まらないんですと、こうおっしゃったんだったら、また同じ話じゃないですか。なぜ決めることは決めないんだと、結局出てきた話は負担増だけなのか。この話はやっぱりおかしいでしょう。
  51. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、過去どうだったかと聞かれたから話しているんですよ。だから、その反対を押し切ってやらなきゃならないということで今やったわけで、今三割負担でも反対しているじゃないですか、診療報酬改定マイナスでも反対しているじゃないですか。
  52. 山本孝史

    山本孝史君 なぜ改革案が出ないのかと言っているんです。
  53. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) だから、それは過去のことを今言ったんで説明したんです。それをおかしいと。それを今やろうとしているんでしょう。(発言する者あり)いや、三割負担、先送り先送りしようと言う。診療報酬改定、二・七%下げた、これけしからぬ。じゃ、どういうふうに改定すればいいんですか。私は、建設的な議論を出していただければそれを検討しますよ。
  54. 山本孝史

    山本孝史君 そういうことを言っているんじゃないんですよ。これまで様々に決断する機会はあったじゃないか、決める機会は幾らだってあったじゃないか、それを決めないで、ここへ来てまた負担増だけを求めているから、なぜこれまでに決められなかったんですかと。今決めたとおっしゃるんですが、今何も決めていないじゃないですか。
  55. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、診療報酬改定も決めたし、あるいは今までやってきました出来高払制度と包括払、これも進めている。この問題一つ取ったって、総論賛成各論反対出てきますね。だから、いろいろな細かい問題はどうでもいいと言うけれども、細かい問題を聞くから話しているんですよ。総理としては方針出せばいいと。方針だけじゃない、細かい、私はもっと、事務当局から聞けばもっと詳しく分かることあると思いますけれども、総論話せば細かいことを、細かいこと話すと細かいことは聞いていないんだと。  私は、今回も、それじゃ先送りしないでやっているでしょう。だれが考えたって、このまま二割負担で行けると思うか。そうじゃないでしょう。ある程度区切って、抜本改革、今までの問題点をやらなきゃいけないということで、あえて踏み込んでやっているんです。今までできなかったことをやっているじゃないですか。三割負担もしない、診療報酬改定もしない、また公費負担しろと。だから、そういうことよりも、現にやっているじゃないですか、これだけ抵抗の強いことをやっているじゃないですか、改革で。
  56. 山本孝史

    山本孝史君 細かいこと聞いているんじゃないんですよ。国民負担増が幾らになるかというのは全く細かい話じゃないですよ。これからの医療費がどれだけ伸びていって、これから先、国民負担としてそれを自己負担でどれだけ持ってもらうか、あるいは保険料負担としてどれだけ持ってもらうか。大きな議論ですよ。それを決めてこの法律が出てきているんでしょう。決めてきたからやっているんだと、こうおっしゃっているんじゃないですか。でも、何も決まっていないじゃないですか。聞いていることに答えられないということは、これは何も決まっていないということじゃないですか。みんな附則に書いてあるだけじゃないですか。  診療報酬改定だって、今度は下げた下げたとおっしゃっているけれども、その影響がどうなっているのかということだって御存じないじゃないですか。それでなぜ医療制度改革をやっている責任者という立場に立てるんですか。これまでやってこられた方として、総理として、しかもその前、申し上げたように厚生大臣としてこの問題に深くかかわってこられて、平成九年改正を提案されたときの厚生大臣であって、今や、まして総理大臣として医療制度改革は内閣の命を懸けてやっているんじゃないんですか。だったら、これぐらいの質問に対しての答えはちゃんとできるじゃないですか。なぜそれができないでこの医療制度改革の法案を提出できるんですか、政府として。おかしいじゃないですか。
  57. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 医療制度改革に対します考え方もそれぞれ様々な考え方があるというふうに思いますが、具体的な言葉で言えば、一つは負担と給付の公正を更に図るというのが一つ、そして無駄を省くというのがもう一つ、三番目に挙げれば、医療の質を上げるというのがもう一つ、私はこの三つに尽きると思うんですね。  それで、皆さん方が、抜本改革を先にやれ先にやれというお話が出るときには、抜本改革をやればそこで財政的なゆとりができるという前提の上でお話しになるわけでありますけれども、私も初め、抜本改革をやればこれで負担がかなりできるという前提を私も置いていろいろ考えていたんですけれども、よくよく考えてみれば、それは無駄も省きますよ、出すべきところは出します、出しますが、しかし今よりも加えなきゃならない、質を高めるためにはプラスしなきゃならない部分もあるということでございまして、私は、抜本改革をやったからそれで財政的なゆとりができるというふうに考えるのは少し甘いと私は自身にも言い聞かせているわけです。  そういう前提の上で考えますと、もう一つ、それでは財政上の問題をどうしていくのか。  今御提案を申し上げております予算案の最終的な姿を見ますと、いわゆる保険負担公費負担とそして自己負担、この三つは大体、大ざっぱに言いますと、大体二〇二五年ぐらいには自己負担は六分の一、一五%、トータルで見てですよ、トータルで見て六分の一、一五%。そして公費負担は六分の二、三分の一。これ、三三か五か、五%ぐらいに行くという計算ございますけれども、簡単に言えば六分の二。そして保険の方が六分の三、大体五〇%ぐらいになるんだろうというふうに思っております。そうした割り振りでお願いをしていくということを前提にして今のこの制度というのを組み立てている。  その中で三割負担のことを皆さん方にいろいろ御指摘をいただきますけれども、これは、負担の方も公正にし、そして今度は給付の方も公正にし、この両方をして、そしてこれから初めてこの案を一元化をしていくという作業に入っていくんで、まあ一本化は一遍にできないまでも、統合化を進めていくということに今していくことができる。その辺のところをならしておいて、その後それが、それならばもう一本化しようじゃないか、もっと統合しようじゃないかという意見もあれば、そういうふうに財政的な問題を一元化をしておいて、なおかつそこで保険者はたくさん存在するままで置いておこうじゃないかという意見、最終段階でまだ意見は私は分かれるであろうというふうに思いますけれども、私は、そういう年齢別階層あるいはまた所得別階層の調整を行ったら、その上では、私は、一元化の方向に向かって少しでも事務費の無駄を省く方がいいのではないか、そんなふうに私は思っている次第でございます。
  58. 阿部正俊

    委員長阿部正俊君) 時間が来ていますので、最後の質問にしてください。
  59. 山本孝史

    山本孝史君 時間が過ぎてしまいましたので、いろんな高齢者医療制度にしても診療報酬にしても薬価にしても、議論は全部残っておりますので後でやっていきたいと思いますけれども、私は、今井先生が代表質問総理にお尋ねになったように、総理だったらできるんじゃないだろうか、そういうふうなみんな思いをしているんです。なぜならば、厚生大臣も経験されて、しかも今、総理大臣というお立場にあって、この問題がどこに問題があって、だれが抵抗勢力で、なぜまとまらなかったのか、そこのところを御存じのはずだからできるだろうと、こう思っているにもかかわらず、今日は何にもおっしゃっておられない。  負担増の問題についても率直におっしゃればいいじゃないですか。これだけのものが負担増になるけれども、しかし、その代わりにこれはやりますよということを御説明されるのが私は総理としてのまじめな姿勢だというふうに思います。大変に失望しました。  終わります。
  60. 小池晃

    ○小池晃君 日本共産党の小池晃です。  国民生活と日本経済に深くかかわる健保の問題、総理に今日はお伺いをしたいと思います。  まず最初に、あなた、私の御質問総理は本会議で、健保本人が三割負担になっても必要な医療が抑制されることはないというふうにお答えになりました。  そこで総理にお聞きしたいんですが、九七年、総理厚生大臣当時の、健保本人一割から二割に引き上げた、あのときはどうだったんでしょう。あのときは必要な医療は抑制されなかったんでしょうか。
  61. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、全体として、今回三割負担お願いしておりますけれども、二割負担の際も低所得者等にも配慮いたしましたし、あるいはまた高額の療養費制度という制度も設けておりますし、必要な医療が制限された、抑制されたというふうには考えておりません。
  62. 小池晃

    ○小池晃君 しかし、九七年の前後に厚生省の患者調査を見ますと、三十五歳から六十四歳までの年齢階級で一二%の患者が受診をやめております。一二%というと三十五万人。総理は必要な医療は抑制されていないとおっしゃいますけれども、ということは、この一二%、三十五万人というのはすべて不必要な受診だったと。必要な受診が抑制されなかったということはそういうことになると思うんですが、いかがですか。
  63. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 共産党の立場からそういうことも言えるかと思いますが、一方ではそれは、余りにも病院側に患者さんが多過ぎるということで、三分診療、三時間待ちとかいうような批判もあったわけであります。こういう点についてどういう改善策を講じられるべきか、必要な診療は行わなきゃならないけれども、何でも大病院集中ということをどうやって解消すべきかという問題もあったわけであります。  そういう点から、医療費の問題につきましても、出来払制度が本来だったらば望ましいという点も私は理解できます。一方では、あらゆる検査、あらゆる治療といういい点もありますが、同時に、中では必要でない検査もやっているんじゃないか、必要でない薬も与えているんじゃないか、三日分で済む薬も一週間分、十日分、出来高払制度、あるいは薬剤全部公費負担というふうになるとそういう点もあるんではないかということから無駄も指摘されました。そういう点も考えて今の制度というものをよく考える必要があるんじゃないのかという観点からいろいろ改正考えてきたわけでありまして、それは一朝一夕に解決するものではございません。  そういう点も考えて、私は、患者負担の引き上げというものは、患者さんにとってみれば苦痛かもしれませんが、できれば二割負担、三割負担で、一方から考えてみれば八割給付、七割給付してくれると。これは、病気にならない方々の保険料負担によって、あるいは税金負担によってできるだけ軽い負担に抑えようということも大事でありますけれども、総合的な観点から、患者さんの負担にしても、あるいは診療側の面においての診療費においても、あるいは保険負担してくれる保険者の方々、あるいは税金負担してくれる国民のことも考えながら改革していこうということで、私は、これはある程度、一部の患者さんにとってはそれは確かに負担増でありますし、ああ、一割負担から二割負担になったらば、少しお医者さんに掛かるのをやめてこようかなという気持ちがあるのは否定しませんが、本当に必要だったらば、やっぱりこれだけの皆保険制度、できるだけ多くの方々の協力によって成り立っているんだということを考えれば、この点については、それは安ければ安いほどいいというような気持ちは分かりますけれども、そこら辺は全体のことを考えていただければ必要な医療というのは確保されているんではないかと私は考えております。
  64. 小池晃

    ○小池晃君 私は、それは全部が必要だったと、無駄は全くなかったとは言いませんよ。しかし、総理は、三割負担になっても必要な医療は抑制されないと言う。二割負担になったときも抑制されなかった、何でそんなこと断言できるんですか。一二%、三十五万人も受診をやめたんですから、私はそんなこと言えないはずだと。私、当たり前のことを聞いているんですよ。二割負担になって一二%も減ったんだから、この中には必要な医療だってあったでしょうと、それも認めないんですか。そのこと、当たり前のことを私聞いているんです。
  65. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、必要な医療というのは、どうしてもこれは必要だという医療というのは確保されていると思います。それは、二割負担になったといっても一定の制限あるわけですから、現に一定の高額療養費制度もありますし、特別な、低所得者に対しては配慮はなされているわけですから、私そういう点については必要な医療は確保されているんではないかと思っております。
  66. 小池晃

    ○小池晃君 私、当たり前のことを言っているんですが、こんなこともお認めにならないと。二割負担で一二%も受診抑制が起こっているんです。三割負担になれば被害は私、より深刻化することは明らかだと思います。  この点で今日ちょっと議論したいのは、本会議で総理は、「三割負担国民健康保険や被用者保険の家族外来において受診抑制がなされていることはない」というふうにおっしゃいましたが、それが本当かということです。  資料をお配りさせていただきましたが、二割負担政管健保とそれから三割負担の国保を比較すると、外来受診件数を折れ線グラフにしておりますけれども、二十歳以上のすべての年齢階級において政管健保本人より国保の方が少ないんです。二十歳代でも一割違う。五十歳代後半では千人当たり百件以上の開きがある。  その結果どういうことが起こっているかといいますと、一人当たりの入院診療費、下の棒グラフです、これは国保の方が政管健保本人よりもはるかに高いんですね。例えば、四十五歳から四十九歳までの一人当たりの毎月の入院診療費は、政管健保本人が二千八百四十七円、国保は六千九百九十二円、二・五倍にも上ります。国保の外来受診件数は少ない。外来にはなかなか掛からないんだけれども、入院になると政管健保より国保の方が一人当たりの入院費は高いと。私、これは正に三割負担で国保の外来受診が抑制され、件数だけじゃないと思います、中身も問題だと思うんですね。その結果、病気が重くなって入院するケースが増えている。国保の方がやはり入院医療費が高くなっているという点も私はあると思うんです。  もしも三割負担による受診抑制以外にこの入院診療費の違いについて理由があるというふうに考えるんだったら、お示しいただきたいと思います。
  67. 坂口力

    国務大臣坂口力君) お示しをいただきましたこの資料は、何年度のこれは資料でございましょうか。
  68. 小池晃

    ○小池晃君 平成十一年。
  69. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これは平成十一年の一年間の平均でございますか。
  70. 小池晃

    ○小池晃君 これは厚生省が作った資料で、平成十一年の四月—五月のポイントで調べている、厚生省が発表している資料ですよ。
  71. 坂口力

    国務大臣坂口力君) そういたしますと、これは一か月の平均でございますか。  我々の方の資料、一年間の平均で見ますと、大体変化ないんですね。若干の、年齢層によりましては違いのあるところも若干はございますけれども、保険別に国保とそれから政管健保との間の年齢階層別を大体見ますと大体パラレルに、パラレルと申しますか、大体一致をいたしております。少し、五十五歳から六十五歳、その辺のところは若干の違いのあるところも出ておりますけれども、大体一致しているという案が我々の方の調査では出ているわけでございます。
  72. 小池晃

    ○小池晃君 外来受診件数については、「保険と年金の動向」、厚生省も監修に加わっている雑誌でこの数字を出しているわけですから、私はその数字を使って言っているわけです。  今、受診件数のことだけおっしゃいましたけれども、入院診療費はどうなんですか。国保と政管健保を比べれば、これは明らかに国保の方が入院診療費高くなっているという実態あるんじゃないですか。ですから、このことを説明する場合に、三割負担で受診抑制で重症化しているということが私一つの大きな理由だというふうに考えるんですが、そうではないというふうに言うのであれば、そのことをお示しいただきたいと言っているんです。
  73. 坂口力

    国務大臣坂口力君) それは、国保と政管健保と入っておみえになります年齢層が違うわけでございますし、そしてまた所得層も違うわけでございますから、それは一概に平均することはできないというふうに思っております。
  74. 小池晃

    ○小池晃君 年齢別に、年齢階級別に見て、国保が全体として入院診療費高いというのは、それは当然ですよ、高齢者多いから。年齢階級別に見ても明らかにこれだけ違うでしょうと、これが今言った所得の違いとかあるいは階層の違いということだけで説明できるんですかと私申し上げているんです。  私、この違いというのは、やはり三割負担が受診抑制を起こしているということの一つの証明にはなるんじゃないかというふうに思いますよ。だって、このことによって結果として重症化して、そのことで入院診療費が上がっているということは、一つの原因として考えられるんじゃないですか。もう一度お尋ねします。
  75. 坂口力

    国務大臣坂口力君) それは一概には言えないというふうに私は思います。  先ほど申しましたように、一年間を通しましたその統計によりましたら、こういう差は出ておりません。したがって……
  76. 小池晃

    ○小池晃君 入院費の問題を聞いているんです。入院費。
  77. 坂口力

    国務大臣坂口力君) ですから、その医療費の問題を私は申し上げているわけでありまして、こういう明確な差は、一年間を通じて見ましたものは私は出ていないというふうに思います。  そして、三割だから、三割になりました場合に、例えば、ちょっとのどが痛いとかちょっと熱があるといったような人たちは、あるいはそれは控えられるということが一時的に起こるかもしれないというふうには思いますけれども、それが私は医療の大勢に影響していくということは私はないというふうに思います。
  78. 小池晃

    ○小池晃君 軽いうちに気軽に病院に掛かれるかどうかということが医療費を将来的に抑えていくということになるんじゃないかというふうに言っているんですよ。だから、軽いうちは三割お願いする、重くなったら高額療養費があると、これは間違っているんです。軽いうちに安心して病院に掛かって、高額療養費に達しないように、重症になる前にしっかり治しておくということが全体として医療費を抑えていく道じゃないですか。考え方が私、逆立ちしていると思いますよ。  三割負担の問題から、次に健康保険の財政の問題をちょっとお聞きしたいと思うんですが、財政悪化の原因と責任についてであります。  総理は、財政悪化の原因の一つとして、経済の低迷ということを私の質問にお答えになっています。正にそうだと思うんです。景気の悪化が一つの大きな要因になっている。政管健保も組合健保も、リストラの影響で保険料収入減っています。  例えば、日本最大の企業グループの健保組合である日立製作所の健保組合で見ると、今年度予算の赤字は約五十六億円です。四年連続赤字なんですね。その原因は保険料収入の減少です。すなわち、予算を見ると、被保険者が昨年予算と比べて八千四百人減少している。リストラです。それから、保険料算定の基礎となる標準報酬月額が昨年と比べて一万一千六百二十七円減少している。そのため、保険料収入が昨年と比べて約六十六億円減っているんですね。もちろん、これはリストラの影響であります。  私は、こういう状況の中で保険料患者負担を増やすということになると、個人消費を冷え込ませる、失業と倒産の連鎖を生む。かえって景気を悪化させて、健保財政を改善するためと言いながら、結果として健保財政の悪化を招くんじゃないか。  総理、これ本会議でもお尋ねしましたが、もう一度お答え願いたいと思います。
  79. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、先ほどもお答えいたしましたけれども、医療費だけの問題ではないと。経済全体を活性化する中で、例えば保険料一つ取ってみましても、これは率ですから、パーセントですから……
  80. 小池晃

    ○小池晃君 医療費の影響を聞いているんです。
  81. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今、ちょっとお答えしているんです。  医療費だけの問題ではないと、保険財政というのは。それは給料が上がれば保険料収入も増えるでしょう。だから、医療費だけという面だけでは一面的に量れない面があるんです、この医療保険財政も。全体の経済の活性化する中で、財政状況が良くなれば、それは医療費をどんどん下げて患者負担を下げることもできます、財政収入が多いと。景気が良くなって予想以上に税収が入ってくるという場合もかつてはあったわけですから。  そういう点において、医療費だけで経済の消費が冷え込むということは、一概に私は言えないと思っております。
  82. 小池晃

    ○小池晃君 それは当然ですよ。私が聞いているのは、全体いろんな要素あるでしょう、医療費負担増が影響はどうなんですかと、与える影響はどうなんですかと、そのことについて聞いているんですよ。  総理は、本会議で私の質問に対して、中長期的には国民全体にとってプラスになるとお答えになりました。中長期的にプラスになる根拠を示していただきたい。
  83. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、中長期的に、この国民保険制度が持続可能、維持されるということは、国民全体にとってプラスです。かつては国保だって五割負担だったんですから、それが三割負担になった。経済が発展していくうちに財政状況が良くなれば患者負担は引き下げられる場合があるかもしれない。あるいは保険財政が破綻して国民保険制度が崩れた場合には、一番痛みを受けるのは国民全体であります。  私は、そういうことから見れば患者負担だけの引上げが痛みじゃないと。保険者税金負担者、診療側、いろいろな点を考えるべきではないかということから見れば、私は、この医療保険財政を健全化するような歩みを進めること、そして皆保険制度を守るということが国民全体になってプラスになるということを言っているわけであります。
  84. 小池晃

    ○小池晃君 そんな大ざっぱなことで答えたんですか。だって、私が聞いたのは、具体的に聞いたんですよ。負担増になれば、総理は言ったんです、短期的には痛みを伴うけれども中長期的には国民経済全体にとってプラスになると。答えた以上はその根拠があるはずでしょう。今みたいな、何かもう本当に飲み屋で話しているようなよた話みたいな話じゃなくて、ちゃんと計算して、シミュレーションして、どういう効果があるのかということをした、ちゃんと根拠を持った上で初めて言えることですよ。根拠もなく言ったんですか、そんなことを。どうなんですか。
  85. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いや、飲み屋じゃない、国会の委員会じゃないですか。飲み屋で話している話じゃないですよ。何を言うんですか。当たり前の総理として大方針を言っているんじゃないですか、国民保険制度をどうやって維持していくかという。何でも患者負担を引き上げれば国民負担と思うのは私は大間違いだと思う。
  86. 小池晃

    ○小池晃君 そんなこと言っていないんですよ、今は。根拠を示してください。
  87. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 根拠にしても、この財政状況考えてどうするんですか。どんどんどんどん借金を増やして税金負担してやればいいというんですか、共産党は。公費負担公費なんというのは税金負担ですよ。(「答えてください、答えて」と呼ぶ者あり)答えています。これが答えですよ。
  88. 小池晃

    ○小池晃君 全く答えになっていませんよ。  私はちゃんと、この問題が中長期的にも非常に景気に対しても悪影響を与えるんじゃないかと言っているんですから、政府が答える以上、きちっと経済に与える影響というのを試算をして委員会に示すべきですよ。中長期的にこうこうこういう効果が出てくるんだということをきちっとシミュレーションして、その試算結果を当委員会に提出していただきたい、そのことを政府の方に要求をしたいというふうに思います。  さらにもう一つ聞きたいのは、国庫負担の問題です。  政管健保財政悪化の要因です。これは本会議で指摘したように、一六・四%から一三%に国庫負担下げた、九二年。総理は、先ほども議論ありました、三方一両損というふうにおっしゃる。この三方一両損というのは、患者保険者医療機関だと。その場合、政管健保保険者というのはだれか。これは国ですよね。ということは、政府ですよね。ということは、私はその三方一両損に政府が入っていないじゃないか、国庫負担入っていないじゃないかというふうに予算委員会で言いましたけれども、政管健保について言えば、これは国が保険者なんだから、三方一両損というのであれば保険料も上げますよと、窓口負担も上げますよというふうに言うのであれば、まずこの政管健保保険者である政府の負担、つまり国庫負担を元に戻すと、これやるべきじゃないですか。これしないでおいて何で三方一両損というふうに言えるんでしょうか。
  89. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) その点が共産党と私は全く違う。公費負担というのは税金負担です。これは何で国民負担じゃないんですか。
  90. 小池晃

    ○小池晃君 三方一両損じゃないですかと言っているんです。
  91. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 国民全体がプラスになる。税金負担負担。この今の財政状況をどう考えるんですか。  何でも患者負担を、保険料負担を減らして税金を増やせというのは国民負担ではないと考えるのは、私は全く違うと思います。今の財政状況をどうやって健全化するか、その点もよく考えていただきたい。(「質問に答えていないぞ」と呼ぶ者あり)
  92. 小池晃

    ○小池晃君 あなた総理大臣なんだから、私の言うことぐらいちゃんと聞いてくださいよ。私が聞いているのは全然違うことですよ。  総理がおっしゃっていたことから照らしたって、少なくとも政管健保に限って言えば、明らかに保険者は国なんだから、国庫負担まず増やすべきじゃないですか。しかも、この国庫負担というのは約束していたんですよ、昔。一六・四%から一三%に下げたときに、附則の六条に財政運営の状況等を勘案し、必要があると認めるときは一三%の国庫負担割合について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずると。この条項は今でも生きているんですよ。だとすれば、これ今まで放置したのは正に約束違反じゃないですかと。国庫負担を、保険者である、保険者としての痛み、国庫負担をまずせめて下げる前のところまで戻しましょうと。これぐらいやって初めて三方一両損と言えるんじゃないですか。どうですか。
  93. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 正に財政状況を見ながら考えているんですよ。今の財政状況と過去の財政状況とどうなっているんですか。
  94. 小池晃

    ○小池晃君 だから財政運営、政管健保の財政運営と言いました。
  95. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それはもう全体を考えてです。
  96. 小池晃

    ○小池晃君 全く分かっていないです。  この条項は、政管健保保険の財政運営等の状況を勘案し、要するに政管健保、そのとき黒字だと、大幅な黒字だから国庫負担減らしましょうと、そういう答弁しているんですよ。それで、議員が質問して、このまま赤字になったらどうするんですかと何度も質問しているんです。それに対して当時の政府は赤字になったらちゃんと復元しますと言っているんですよ。そのことをここで言っているんです。そのことをやらずに国民負担を押し付けるというのは全く約束違反じゃないかと。私の質問に全く答えないというふうに思います。  しかも、総理、あなた自身や自民党は何の痛みも感じていないじゃないですか。政治献金の問題であります。資料を配っていただきたいと思うんですが、総理は本会議で、製薬企業などからの献金だけでも禁止せよという私の質問に対して、企業献金は必ずしも悪とは考えておりませんと答えた。もちろん、我が党は政治献金、企業・団体献金禁止すべきだと思います。しかし、それができないというなら、せめて公的医療保険財政を原資としている製薬企業とか医療団体からの献金は禁止すべきじゃないかと。今財政赤字だということで痛みを押し付けようというんですから、なおさらだと思うんですね。  総理は、かつて厚生大臣時代、国会でこう答えています。九七年十二月九日の衆議院予算委員会、我が党の志位委員長質問に対して、公金を受けている団体や企業からは厳しい制限を設けてしかるべきだ、かつてあなたはそうおっしゃっていたんですよ。ならば、公的医療保険財政から収入を得ている企業や団体からの献金は禁止すべきじゃないか。あなたのかつての主張に照らしても、そうすべきじゃないですか。
  97. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、企業献金、悪とはみなしておりません。しかし、一定の制約を加えるべきだということを言っているんです。野方図に幾らでもいいということは言っていません。一定の制約が必要だと。人によって、政治活動の資金をどうやって調達すべきかというのは政党のよって立つ基盤によって違ってまいります。私は、政党の活動、これについては、それぞれ人によって調達方法は違うだろうし、使途も違うと思います。しかしながら、一定の制約は課されるべきだと。そして、一部の企業、一部の団体に左右されないように資金調達はどうあるべきかということは当然考えていい問題だということを言っているわけであります。
  98. 小池晃

    ○小池晃君 だから、その一定の制約を、こういう公的医療保険財政から原資を得ている医療団体から拒否すると、やめるということを私は提案しているんです。  あなた、この問題、明確に答えない理由が私はあると思うんですが、資料をお配りしましたけれども、これは総理が受けている政治献金であります。日本医師連盟や製薬産業政治連盟など医療関係の企業・団体からの献金です。九八年七月に厚生大臣を辞められてから千三百二十万円、九九年には千七百二十万円、二〇〇〇年には千六百万円、あなたの政治資金のかなりの部分をこういう医療関係の企業・団体が占めている。  総理は、さきの予算委員会のときにもこう言っているんですね。厚生大臣在任中は政治献金自粛すると。確かに自粛していると。十万円もらっているようですけれども。辞めた途端にまたもらい始めているんです。しかも、そのときよりも増えているんですよ。これだとやめた自粛期間の元取ったと言われても仕方ないんじゃないですか。  私、こういうやり方をしていて国民痛みを押し付けるなんという資格あるのかと。だから、せめてこういったことだけでもやめますと何で言えないんですか。制限だと言うんだったら、はっきり言ってくださいよ、やめますと。もうこういう公的医療保険財政得ているところはもうもらいませんと、自民党やめますと、言ってくださいよ。
  99. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これだけ資金をいただいていながら、なぜ私は製薬企業にも医療団体から嫌がることをやっているんですか。全く政治献金影響受けていない。はっきり言えるじゃありませんか。これだけの献金をして、じゃ小泉は見返りをくれているだろうかと言ったら怒るでしょう。嫌なら献金をやめりゃいいんです。政治献金の多寡に私は影響されないということを証明しているじゃないですか。
  100. 小池晃

    ○小池晃君 そういうことを言っているんじゃないんです、私は。公金を受けている団体や企業からはそもそも政治献金もらうべきじゃないと言っているんですよ。あなたもかつては制限を設けるべきだと言ったでしょう。こういうふうにしない、こういうのをやめるというのがあなたの言う改革だったんじゃないですか。小泉改革というのは、正にこういったことをやめるということだったんじゃないでしょうか。それなのに全くこういったことにメスを入れようとしない。そうして、一方では、国民痛みを押し付ける。これじゃ正に今までの自民党政治と全く変わりませんよ、あなたのやり方は。こんなことでは国民は、負担増は一かけらも信用しない、こんなことは受け入れられないということを申し上げて、私の質問を終わります。
  101. 広野ただし

    広野ただし君 自由党・無所属の会、国改連絡会の広野ただしです。  まず本題に入ります前に、この国会ほど政治と金、このことが問題になった国会はないと思います。この参議院においても井上議長が辞職をされると、こういうような憂うべきことがあったわけであります。  それで、鈴木宗男氏のことでありますけれども、衆議院で逮捕許諾請求が許可されて逮捕と、こういうことになりました。そしてまた、辞職勧告決議案が通過した、賛成された。こういう事態の中で総理は、現時点において鈴木宗男氏は議員を辞職すべきだと、こういうふうに思われませんですか。いかがでしょうか。
  102. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は前々から言っているんです、政治家というのは自分で出処進退を判断すべきだと。しかも、鈴木議員の場合は衆議院で辞職勧告決議を受けているんですよ。あとはもう本人が判断すべきだと思っております。
  103. 広野ただし

    広野ただし君 そこが私は非常に無責任だと思います。  といいますのは、鈴木宗男氏は辞職勧告決議案を受けられた。そして、もうほぼ全員ですよね、辞職勧告に賛成をされた、何人かはされなかったというようなことでございますけれども。そういう中で、しかも自民党総裁であります、そして、鈴木宗男氏は小選挙区で上がったわけじゃないんです、比例で上がってきておられる、そういう自民党の中での高位な位置付けの中で上がってきた、そういうことであれば、今、自民党総裁としてはやはりひざ詰め談判をしてでも辞めるべきだと、こういう説得をすべきじゃないんでしょうか。いかがでしょうか。
  104. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いかなる個人が説得しようが、国会の辞職勧告決議というのは一番重いんじゃないんですか。それを聞かないんだったら、これは本人自身が判断すべきだと私は思います。  要するに、本人が判断すべきであって、それは、比例代表議員と選挙区議員とは差別すべきでないというのが法的の建前じゃないですか。比例代表議員とそうでない議員は差別すべきだという議論になったらそれはまた別ですけれども、私は、国会議員の資格について、恐らくここにおられる議員も、比例代表と選挙区議員とは違うという議論が成り立つんでしょうか。私は、国会議員としては同じ資格、同じ活動、同じ権利、同じ義務持っていると思いますよ。  私は、出処進退というのは本人が決めるべき問題だと思っております。
  105. 広野ただし

    広野ただし君 いや、自民党総裁として公認をした、しかも比例で上がってきた、私はその差別のことを言っているんじゃないんです。  そういう中で、まだ本人の意思次第だというのは結果的に擁護をしている、守っているということなんですよ。やはり総裁として責任ある立場からいって、私はひざ詰め談判してでもやっぱり辞めさせる、それが政治と金に対する国民の大きな不信を解消する大事なことだと思うんです。何か丸投げしたような、だれかに任せたというような、そんなことでは政治と金との関係は一切良くならないんだと私は思います。いかがでしょうか。
  106. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 再三申し上げているように、出処進退というのは本人が判断すべき問題です。
  107. 広野ただし

    広野ただし君 結局、それが鈴木宗男氏を守っているんですよ。私はそのことを強く言っておきたいと思います。  やはり今となったら、総理大臣、また自民党総裁、離党されていますけれども、それにしても本当にひざ詰め談判して、いや、それはもういろんな言い方あるでしょう。そういう中で、鈴木宗男氏は辞めるべきだと。それが政治を浄化する、そしてまた政治の大きな責任なんだと。それをなぜ全くやられないで傍観者的な立場におられるのか、私は本当に理解できないと、こういうことを強く訴えていきたいと思います。  ところで、本題に移りたいと思いますが、今度のことを先ほど皆さんもおっしゃっておられます。三方一両損なんだと、こういうことでありますけれども、その中で国民負担、これが非常にやはり重いものだと。坂口厚生大臣は、単年度で患者負担は四千八百億、そしてまた政府管掌の保険料引上げで五千七百億、それとほぼ同じような健保ということでしょうから、トータル一兆五千億ぐらいの負担になるんではないかと、こういうことであります。  私は非常に憂えますのは、小泉総理厚生大臣のときに、結局、平成八年、比較的経済が盛り返してきておって、本当にこれから回復しようかというときに消費税を三%から五%に上げた。大体五兆円ぐらいの負担増をした。そしてまた、医療費の減税を打ち切ったことによる二兆円の負担増、また更に医療負担で二兆円と九兆円の負担国民に強いたがために、平成九年、がたがたと来て金融危機にまで立ち至っていく、こういう事態をまた起こすんではないかと私は思うわけです。いや、今度は一兆五千億だから負担は軽いよと、そういうものではないと思うんです。  今、長引く不況によって本当に失業者も多く出ている。中小企業はどんどん倒産をしている。大手企業といえども本当にぎりぎりのところで経営をやっている。正にがけっ縁のところにあるわけですね。そういうところで、ちょっとこの一兆五千のまた負担を強いるということになりますと、経済にどんな影響を及ぼすのか、そのことについて改めて総理に伺いたいと思います。
  108. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 経済への影響は医療費の問題ないとは申しません。しかし、医療費だけではないと。今、消費税のお話出ましたけれども、それは消費税の引上げというのも過去、影響あったでしょう、医療費の引上げも影響あったでしょう。しかし、私は、経済全体を見ると、財政状況というのも影響ある。これは一面だけじゃなく、総合的に考える必要があるのではないかと、医療費だけではないということをあえて申し上げたいと思います。
  109. 広野ただし

    広野ただし君 もちろん、そういうことは私もよく存じております。  今、五月に景気は底入れしたというようなことを発表し、しかしまたその後アメリカのエンロンですとかワールドコムだとか、いろんなことでアメリカが、株価がぐっとまた下がる、サミットも行ってこられましたけれども、世界同時不況というようなこともやはり懸念されるわけです。正にアメリカへの輸出依存で何か経済が回復しようというような、そういうような人任せな正に経済回復過程なわけですね。  もう本当にどうなるか分からない、こういうところに、前の九兆円ほどにはいかないけれども、一兆五千億というような負担が掛かってくる。私は、これはまた経済をがたがたにする、そういうおそれがあると思っております。しかも、来年には三年ごとの見直しである介護保険の問題がまた出てまいります。どの市町村ももう大体赤字で、介護保険また上げなきゃいけない。これも多分、私の試算では一人二万円ぐらい上がってくるんではないかというような形に、年間ですね、月々は三千円から五千円ですけれども。というようなことで、いずれにしても介護保険のまた負担が増える。先ほどもありましたけれども、年金の問題もまた出てくる。  そういう国民負担がまた来年がんと掛かるということになりますと、これは試算しませんとどれぐらいになるか分かりませんけれども、本当に経済を悪くしてしまうんじゃないか。ですから、私は、本当に景気がしっかりとする一年半なり二年後、だからこれはまず廃案にしてしまって、そして医療改革の抜本的なことをまずやって掛かって、そして経済がしっかりしてきたと、そのごろにもう一回出し直すと、こういう考え方があっていいじゃなかろうかと、こう思っておりますが、いかがでございましょうか。
  110. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、今まで言われてきた各制度改革、特に医療制度改革について先送りの議論じゃないでしょうか。  今まで、先ほどからいろいろな質問について答弁いたしてまいりましたけれども、各保険者間の問題、診療報酬の問題、患者さんの負担の問題、いろいろあります。それは、現状維持というのについて要求は強いのは分かっています。そういう中において、今までどおりでやれということこそ私は先送りの議論ではないかと思っております。  もう財政状況考える、今御指摘されたような介護保険の問題もある、医療保険の問題もある、社会保障の問題、いろんなことがあるというふうになると、現状維持で先送りすれば、これまた社会保障負担をどうやって財政的に考えるのかという問題もある。現状維持ということこそ私は先送りの議論ではないかと憂慮します。
  111. 広野ただし

    広野ただし君 私は、先送りをしてくれと言っているんじゃないんです。まず、医療の抜本改革をこの二年間の間にやることができるじゃないかと言っているんです。そして、経済がしっかりしてきたときに、今言われたようなことも考えて法案を出し直すと。  例えば、先ほど坂口厚生大臣がおっしゃいました医療の無駄、この医療改革を進めるときにいろんな無駄があるんだ、正に重複診療のことですとか。重複診療一つ取りましても、大体全体で九・何%ある。お年寄りの場合は一五%ぐらいある。ですから、電子カルテなんかを共有をしてやっていけば、本当に一割ぐらいはそういう分野では無駄を省けるかもしれない、こういうことなんです。だから、何もしないということを言っているんじゃないんです。  ですから、経済が本当にがたがたになってしまって、またこの間の二の舞を繰り返してしまったら、それこそ本当に国民の皆さんに申し訳ない。しかも、今の三方一両損考え方はお金のつじつま合わせだけなんですね。根本改革には何にも手も入っていない。今言いましたような話が、重複診療のことですとか電子カルテの問題ですとか、本当に、レセプトの電算システムの問題ですとか、根本的なところには何の手も入れていないんじゃないですか。それを二年を目途にしてやりましょうとか、そういうような話でかえって先延ばししているんですよ、それは。根本改革を先延ばしをしてお金のつじつま合わせだけをやっていると、こういうことだと私は思うんですよ。  ですから、本当に三方一両損というのは、私は、そこに出ているのは、お金のことだけを気にして、本当に国民主体の医療サービス、患者サービス、本当にみんながいざというときに安心して掛かれる、また年を取っても安心だという、そういうことの視点が全く抜けているところに私は大問題がある。三方一両損というのは、本当にこれはお金のことだけ言っているんだというふうにしか思えないわけであります。いかがでしょうか。
  112. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今言いました電子カルテの問題にしても重複診療の問題についても医療提供体制の問題についても、今までやってきているんです。あるいは検査の無駄、医療費の無駄、そういう点についても出来高払制度とか包括払制度、これも進めているんです。お金だけの問題、お金の問題、帳じり合わせと言いますけれども、これは財政状況、これも大事であります。  そういう点から考えてみると、この医療制度改革というのは、給付の問題、負担の問題、質の問題、いろいろ考えなきゃならない。それを着々と進めていきながら、お互い負担と給付はどうあるべきかということに今手を入れているということを御理解いただきたいと思います。
  113. 広野ただし

    広野ただし君 もう一つ、高齢者医療、老人医療の問題であります。  全体医療費が三十兆円、そのうち高齢者医療が十兆円、十一兆円と。大体三分の一から四割近くに将来はなるということであります。確かに、国民医療伸び率が年四%ぐらいですか、それに対して老人医療の方は倍ぐらいの七・八%年率で伸びている。こういうことから考えましても、今のような負担のやり方だけでは私は必ずまた老人医療はパンクしてしまう、こういうふうに思っております。  実際、これに拠出する健保組合が一・八兆円ですか、また拠出している。要するに、七兆円のうち組合健保が一・八兆円、政管が二・一兆円ですか、国保が二・四兆円ということで老人医療の方へ拠出しているわけですね。こういうことを考えますと、老人医療伸び率のことを考えますと、もうまたすぐ私はパンクしてしまうと。だから、公費で三割のものを五割に上げていきます、五年間掛かってやっていきますと、こう言っても私は駄目だと思っております。  ですから、この七十五歳以上の高齢者医療というのは、私たち自由党は社会福祉税というのを入れてきちっと税金で賄うんだという考え方を持っておりますけれども、いずれにしても、これだって付け焼き刃的なことをまた繰り返している。だから、本当に国民の側から見ると、何かやっているけれどもいつかまたパンクしてしまう、だからちゃんと貯金をしてやらなきゃいけないんだ、将来に対する医療の不安が一向になくならないということだと私は思うんです。ですから、本当に抜本改革にも相変わらずこれはなっていないんだということを強く言っておきたいと思います。  それと、先ほどありましたけれども、東京女子医科大学の手術ミス、またそれの改ざん問題、こういうことは私はまだ氷山の一角で、山ほどあるんだと思います。そして、その医療被害を防止する、これはもう非常に大切なことでありますけれども、それがあった後、これは薬害エイズのときもそうです、裁判になって、そしてその後やっと補償、被害補償という。ですから、私はこの医療の、医療被害の防止とこの救済制度というものをきちっとやっておきませんと、もういつ、どれだけでもこれが出てくるということだと思いますから、その点について、厚生大臣、いかがでしょうか。
  114. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 医療ミスの問題につきましては、御指摘をいただきましたとおり、大変大事な問題であり、これは一日も早くなくさなければならない問題だというふうに思っております。これは、一つは発生予防をどうするかという問題が基本にあるわけですが、あわせて、不幸にしてそれが発生しましたときにどうするかという問題と両方あるというふうに思っております。  発生予防につきましては、これはもう抜本改革とも私は関係してくるというふうに思うんですが、現在の医療現場が余りにも忙し過ぎるということはあり得ると、率直に申しまして私はあるというふうに思います。  今の人員の構成にいたしましても、一ベッドに対して、病院の場合ですと医師何人、看護婦何人というふうに決まっている。しかし、このベッドの回転率が速くなってまいりますと、例えば一人の人が四十日間入院をしている場合と二十日間入院で回転する場合とでは忙しさは比べ物にならないほど、回転が速くなればなるほどこれは大変になってくることは御承知のとおりでございます。  こうしたことも今後検討に入れながら、病院の中がもう少し落ち着いて医療のできる、質を上げるためにどうするかといったことも考えていかなければならないというふうに思いますが、不幸にして起こりましたときに、それに対する体制も強化をしておかないといけないというふうに思います。  御承知のとおり、医薬品の場合には医薬品副作用被害救済制度というものを設けておりまして、これによって今対応をしているところでございますし、これは来年になりますけれども、生物由来製品につきましての感染被害につきましても新たな救済制度の創設に向けて今進めているところでございます。  このほかいわゆる病院医療ミスというのは医薬品とはまた違った側面がございまして、これはそれぞれの病院の責任ということになるわけでございますけれども、ただ単に病院の責任というだけではなくて、これらに対しましても起こらないようにどうしていくかといったようなことで、医療安全推進総合対策というのを本年の四月に取りまとめをいたしました。こうしたことも基本にいたしまして、これから努力をしていきたいと考えております。
  115. 広野ただし

    広野ただし君 万々あってはならないことではありますけれども、やはり人間のやることです。しかも、何百万人という人を扱っていく中で、本当にそういうことがあった場合の救済措置というものを早くやっていくというのがやはり医療改革の根本だと思いますし、もう一つ、医療全般のことについて、私は特に医療提供側からいいますと、護送船団方式になっている、どの病院もどの医療機関も何の評価も十分になされないままになされている。  この間、海外の格付機関の、日本の政府の方々は頭にきちゃって、国債の格付で何事かと、こういうことでやっておられますけれども、格付機関の方と話をしました。そうしましたら、それこそ医療機関であろうとみんな評価をする、レーティングをしていくということであります。そういう中から本当にまた競争というものが起こって、あの病院には負けちゃいけないということから本当にまた競争政策が入っていい医療が提供できる。  今まで本当に競争のない世界といいますか、そういう医療福祉分野でありますけれども、競争ということについて、公取委員長、どのように考えておられますか。
  116. 根來泰周

    政府特別補佐人根來泰周君) この医療分野につきましては、国民の生命ないしは健康、安全に深くかかわるものでございますから、ある程度社会的規制ということは必要だと思うわけでございます。しかし、その規制が過度にわたっている場合、あるいは規制に名をかりて利益の保護を図っている場合など、いろいろ具体的にはそういう案件があるわけでございます。  そういうことで、具体的案件につきましては、例えば広告規制とか医師会の問題とか、そういうものについては具体的に私どもは独占禁止法の見地から厳正に対処しているところでございますし、さらに翻ってただいま御指摘の制度の問題、あるいは運営の問題について自由な競争を阻害しているということがありますればこれは問題でございますので、これは私どもの研究会でいろいろ研究をしていただいて、いろいろ提言をしているところでございます。引き続きそういう見地から厳正、適正にやっていきたいと、こういうふうに考えております。
  117. 広野ただし

    広野ただし君 まだまだいろいろと国立病院のこと、それの評価の問題、今度独立行政法人になりますし、また社会福祉病院も社会保険病院もたくさんある、国立大学の病院もあるという中での評価の問題、これも本当に国民の皆さんがどこに掛かっていいのかというようなことがなかなか分からない、こういうことでありますので、レーティングというと非常に問題、誤解を招く場合がありますが、どういう医療機関がいいんだろうかということを官が評価するんじゃなくて民間が評価をして、その情報が提供される、この方がよっぽどいい体制だというふうに思っております。  そしてもう一つ、本法の附則で抜本改革的なものが、何年までにやるんだということが書かれておりますが、これが非常に前の小泉厚生大臣のときもほごにされてしまった。そして今回、総理もいつまで続けられるのか私分かりませんけれども、本当に抜本改革についての担保をどうやってやってもらえるのか。総理の決意を聞いても総理はいつか辞められるかもしれない、あるいは厚生大臣の決意を聞いてもどうなるんだ、この担保のことを、そのことについて、総理、いかがでございましょうか。
  118. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、その改革のために今法案を提出しているわけでありますので、それを信用しないと言われれば信用しない、仕方ない。私はやると言っているんです。それが担保です。
  119. 広野ただし

    広野ただし君 終わります。
  120. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 一九六〇年来、国民保険制度というのは少子高齢化社会にこそ最も意義を発揮すべきである、いつでもどこでも安心して必要な医療を受けられるということが我々がこの制度に唯一こだわる大きな意義であろうと思います。  平成九年の六月三日、参議院で総理は、「私は、今回の改正案が出てきたからこそ、もうこの一部の患者負担の引き上げ等の手直しではもたないな、本格的な総合的な抜本改革が必要だという声が強く上がってきた」と。「今まで抜本改革をしなければならないと言いながらできなかったではないかと。そのような難しさをはらんだのが私は医療制度だと思います。過去何度も抜本改革ができなかったという歴史の教訓も踏まえて、今度こそ抜本的改革に踏み切りたい。」と、このように述べておられるわけであります。  そして、その結果、国民負担増は二兆円とされて、日本経済を悪化させてしまった。今回の改正案については、外来、入院が二割から三割に現役世帯の負担が増え、七十五歳から外来の上限撤廃をお年寄りに負担をするということになっておりまして、日本医師会は、この改革に対して医療改革の基本的方向が見えない、なぜ改革が必要かという哲学部分が希薄だと反論しております。連合の笹森事務局長も、これだけの負担増国民に求めながら医療の将来像が見えない、国民は社会保障への不信を募らせ、更なる景気悪化を招くと警鐘を発しているのであります。  そこで、お尋ねをいたしますが、平成九年、抜本改革を必要だと言われた厚生大臣小泉総理が、これまでどのような改革がなされてきたと認識されているのか、そして今後とも、二年あるいは五年をめどに改革をすると附則に書かれておりますが、これの全体像というものは一体どのように提示されるのか、二点についてお尋ねをいたします。
  121. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 医療制度改革については、今御指摘のようにいろんな面があると思います。私自身も、これまで薬価の問題、これも引き下げてまいりましたし、現に、今まで薬価がかなりの面を占めていたんじゃないかと言われましたけれども、三〇%から二〇%程度に全体の医療費引き下がってきたと思います。  また、診療報酬につきましても、先ほど各委員の御質問でも出ましたけれども、無駄な治療、無駄な検査、無駄な診療があるんじゃないかという点につきましても、出来高払制度と包括払制度、この組合せをもっと図るべきではないかという意見につきましても進めてきております。  さらに、医療提供体制、この問題につきましても、一般病棟あるいは療養病棟、こういう医療提供体制についても改善を進めてきておりますし、高齢者医療制度につきましても、これまた大きな反対、抵抗がございましたけれども、やはり高齢者にしても一割程度負担というものはお願いすべきじゃないかと。こういう問題についても各方面から非常な反対がございました。しかし、上限を設けますということで、一般の方々は三割負担、二割負担しているんだし、このままますます高齢者が増えるという状況を見ると、余り若い世代に負担を押し付けるわけにはいかぬということで高齢者にも一割負担をお願いしたところ、これについてだって大反対があったじゃないですか。しかしながら、上限を設けるということでやってきているんです。  いずれにしても、今言った問題、全部賛成なんてあり得ません。それぞれ団体が反対してきたんです。それは医師会の皆さんでも、今言った、そうです。連合の皆さんでもそうです。全部反対をしてきたら何もできませんでしたよ。そういうところをあえて踏み込んでやってきたんです。  これからも改革というのはすべて賛成するものはあり得ないと思います。必ず強い抵抗が出てきます。それは自民党を支持している、野党を支持しているを問わず、診療側についても支払側についても患者側についても、あるいは税負担についても、必ず国民から、全部賛成なんてあり得ません、必ず強い抵抗が出ます。もっと税負担を増やせ、公費負担を増やせと。じゃどこで税負担を増やすのかといえば必ず、じゃどの税項目を増やすかということで必ず反対が出ます。  あらゆる改革には必ず一方面からの抵抗、反対が出ます。しかし、それをやらざるを得ないところに来ているんです。そういうことを進めて、考えてみれば私は今までも改革を進めてきた。それでもできなかった。これはもう過去例にないほど高齢少子化が進んでいるんです。今までのように高度成長時代に若い人がたくさん多くて高齢者が少なかった時代と、ますます高齢者が増えて若い世代が減ってくるという時代ということも影響があります。  私は不断の見直し、抜本改革というのはこうあるべきだという点については、これこそ抜本改革でこの改革をすれば改善は必要ないという改革はあり得ないと思いますけれども、今の時点であるべき改革は何かという点について、抜本改革目標にしたいと思ってやっているわけであります。
  122. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 ただいまの健保法の改正は五年しかもたないということが言われております。とりわけ今厳しい雇用失業情勢の中から、失業者は必然的に健康保険の被保険者から外れるわけであります。とりわけ年齢別の雇用失業情勢を見てみますと、二十四歳までの完全失業率は男女計で一二%、二十五から三十四歳までの完全失業率は六・七%、このように失業者が増えていくということは、この健康保険体制を土台から崩していくということになります。  そして、正社員が減少いたしましてパートや派遣労働者が増加する中で、保険料を払わないという労働者が大変たくさん増えてきている、こういうところで一体、この若者に対する保険料負担というものが非常に我が国の健康保険体制を維持する上で大きな社会問題だということについては、どのような改革、対策をお考えなのか、御意見をお伺いいたします。
  123. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 若い人たちの保険料の問題につきましては、その前に若い人たちの職業、若い人たちの雇用というものをどうするかということが一番大事な問題になってまいりまして、これは御指摘のとおり、若い人たちの失業率というのが非常に高いということがあるわけでございますので、ここに私たちも全力を傾けなければならないというふうに思っております。  しかし、若い人たちにはまた求人も多い、ここは多いわけでありますが、そこにミスマッチが存在する。この問題を一体どうしていくかといったようなこと、それから若い皆さん方には学生時代から職業意識を十分に持っていただくためにインターンシップでありますとか、あるいは企業に対しまして一度そこで働いていただいて様子を見ていただくといったようなこともやはり行っていかなければならないというふうに思っております。これらのことを今年の予算におきましても最重要課題として取り組んでおりますし、そしてこれを更にやっていかなきゃならないというふうに思っているところでございます。  そうして、そうした中で御負担をいただく。ただし、医療保険だけで見ますと、これは全体として若い人たちには御病気をされるケースというのは少ないわけでございますから、高齢者のためにかなり御負担をいただかなければならないということに、私はやはり率直に申しまして、なってくるだろう、しかし、そこはお勤めをいただきましたならばそこで保険料としてのことはお許しをいただかなければならないというふうに思っている次第でございます。
  124. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 最後に、総理にお尋ねいたします。  二〇〇〇年で約三百七十万世帯、全世帯の一七・七%を保険料の滞納者として、これが増加の傾向を示しております。財政圧迫に拍車を掛けていることは当然であります。今、厚生労働大臣から若者の就労に対する対策について御説明がありましたが、これまで日本の雇用政策は消極的な雇用政策、例えば失業保険の給付その他に力点が置かれて、こうした若者に対する中長期的な雇用対策というのは予算上もあるいは政策上もなかったということが私は非常に大きな問題であろうと思います。この点について、総理はどのような対策をお考えになっているのか、お尋ねをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  125. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 若者に対してこれからますます自分たちの世代は負担が増えるのじゃないかと、高齢者が増えてきて自分たちはどうするんだろうと、果たしてこの保険制度は維持されぬのでないかという御不安、心配があるのは事実だと思います。  しかし、この問題につきましても、先ほど厚生労働大臣答弁されたように、まず若者に対する職というものをどう考えるのか、あるいは経済全体、活性化をどう考えていくかと。さらに、これは医療制度のみならず日ごろからの健康づくり、長野県を例を取ってみても、必ずしも医療費を増やせば健康な人が増えるかということでもないと。日ごろから生活習慣というものをどう考えて健康を維持するかと。食事の面においても、あるいは運動の面においても、休養の面においても、単にお医者さんに掛かるだけで病気というのはなくなるもんでもない、薬飲めばいいというもんじゃない、やはり健康というのは自分自身が日ごろから守っていくもんだと。病気になったことよりも、まず病気にならぬ予防も大事だという、そういう国民運動的な、子供のころからの健康づくりというものを親も子も考えていく必要があるのではないか。  そういう点について、私は、単なる医療制度改革というのみならず、日ごろから国民がどうやったら健康を維持することができるか、健康づくり、こういう点についても十分考えていくことが医療制度で大事な点だと思っております。
  126. 阿部正俊

    委員長阿部正俊君) 時間が来ていますので、よろしく。
  127. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 総理は、将来的に国民保険医療制度を維持することを強調しつつ、負担は軽く給付は厚くというわけにはいかない、自助と自立の精神を基本的に多くの国民の方々の理解を得ながら社会制度に向けて努力をしたいと表明されております。  しかし、それの前提としては、制度にかかわる情報開示と負担に関する国民的コンセンサスがない限りは制度に対する信頼がないということを重ねて申し上げまして、私の時間が参りましたので終わります。
  128. 阿部正俊

    委員長阿部正俊君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩といたします。    午前十一時一分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  129. 阿部正俊

    委員長阿部正俊君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、広野ただし君が委員辞任され、その補欠として森ゆうこさんが選任されました。     ─────────────
  130. 阿部正俊

    委員長阿部正俊君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  健康保険法等の一部を改正する法律案健康増進法案及び医療信頼性確保向上のための医療情報の提供の促進医療に係る体制整備等に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省保険局長大塚義治君外五名の政府参考人出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  131. 阿部正俊

    委員長阿部正俊君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  132. 阿部正俊

    委員長阿部正俊君) 休憩前に引き続き、健康保険法等の一部を改正する法律案健康増進法案及び医療信頼性確保向上のための医療情報の提供の促進医療に係る体制整備等に関する法律案を一括して議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言をお願いします。
  133. 宮崎秀樹

    ○宮崎秀樹君 自由民主党の宮崎秀樹でございます。  今日午前中、野党の皆様の質問を聞いておりまして、答弁は、これは比較するわけじゃございませんが、坂口厚生大臣の御答弁の方が分かりやすかったかなというような感慨を受けております。  そこで、そうはいっても内容についてはすべてそれでいいんだというふうには私も思っておりませんので、これは国民の負託を受けた者として、ただすべきところはただし、より良い法案に仕上げるというのがこれが国民のためになると、そういう観点から御質問申し上げます。  まず、我が国の医療の現状を見ますと、これは御案内のように、国民一人当たりの医療費は先進諸国に比べて、これはOECD諸国の中では九番目であります。さらに、医療費の占めるGDP比でございますが、これは何と十八番目であります。こういう概況の中で、これは乳児死亡率は世界で一番低い、さらには健康寿命は世界で一番、そして平均寿命も男女ともに世界で一番、こういうことを考えると一体何が悪いんだと、こういう話になるわけであります。  そしてまた、アメリカそれからドイツ等からも是非、日本医療制度を見習いたいと。かつて、前の大統領の奥さんでヒラリー夫人という方が一生懸命、日本制度を取り入れようと思っておやりになったけれども、これはできなかった。それはやはりできない背景が、アメリカと日本とは違うわけでありまして、これは無理なわけでありますが。  その中で今回の改正が、これは政府管掌保険の財源が足りないからということで、いろいろ今まで構造改革やってきたけれども、今回の法案はそれが発端となって議論が煮詰まってきているというふうに理解しているんですが。  ただ、ここで私が一番問題なのは、附則に書いてあるんですね、本当に重要なことが。附則をやれば不足が解消されるんですね、これ。だから、附則と不足で、これはまあ変なしゃれになりますけれども、ここは主客転倒しているんじゃないかと、本末転倒。私は、附則のことを先にしっかりやればこういうことが解決するんで、ここがなかなかできなかったというのは、総理が午前中御答弁なさっておりましたけれども、そこに私は問題があると。  そこで、私は、なぜ今三割負担かということにまず焦点を絞ってまいりたいと思います。  政管健保は、現在の状況から今度は総報酬制になるわけですね。そうしますと、現在のとおりの保険料率八・五%においておきますと、少なくとも二〇〇三年度は二千億円の黒字になると。それを厚生労働省案でいきますと、これは八・三%に下げる、そして薬剤の二重負担もこれは撤廃する、それでも一千十七億円の黒字になる、こういう数字が出ております。それから、政管健保の費用は非常にスリム化できる余地があると。それはどういうことかと申しますと、政管健保保険料、国庫補助金を使って業務勘定の人件費だとか経費だとか、そういうものに使われているんですね。これもリストラをするというよりもむしろ経費節減をすれば、これもそこから費用が出てくる。さらに、政管健保保険料、国庫補助金で、御案内のように、今、問題になっている社会保険庁の病院ですね、これは保険料で土地を買って建物を建てて、それで無償で貸しているんですね。これは後ほど私、詳しくまたお尋ねしますけれども、そういうようなこと。さらには、一般会計が精算すべき、今、一兆四千七百九十二億円というお金がこれは未精算になっております。  こういうことを全部整理をしますと、患者さんの病気になったときに、これは恐らく、被用者保険というのは一家の大黒柱でありますから、倒れたときに負担を増やすということになりますと、これは相当やっぱり社会に対する影響というのは大きいと思うんですね。それ整理しますと約二兆円というお金がここへ出てくるんじゃないのと、こういうことが言われております。  私はこれ、今、景気が非常に悪いです。デフレ対策という中には心理不況というのがあるんですね。今、全部蛇口を絞っちゃうんですね、これ。ですから、もう将来に対する不安感というのは相当あります。  私のところへ入院している患者さんでも、年金もらっている方が、その年金から貯金しているんですね。あなた、年金から貯金したら、いや、食べたいものも節約して、やっぱり心配、だって老後が心配だ。もう八十になって老後ないんですけれども、それでもそうやってその方たちはやはり心配されている。平均寿命が延びたからやっぱりそれは相当な、これから十年ぐらいはまだ何とか生きようと。意欲あることは非常にいいんですけれども。しかし、そういう不安感を与えることが、若い人が今度それを見ているんですね。そうしますと、これは少しでもやっぱり節約しようということで、非常に景気が、消費が伸びてこない。消費が伸びなければ幾ら物を作ったって売れないわけですから。  そういうことを考えたときに、私は、もう少し慎重に、来年の四月一日から三割負担になぜしなきゃいけないのかと。無理やりサディストみたいに痛め付けるというなら話は別ですけれども。先ほど医療機関は余り痛くないということを言っていましたが、痛いんですよ、これ。私は麻酔打たないで切られたような感じ受けていますけれども。いずれにしろ、実態として実感としてやっていないとこれはなかなか外からじゃ分からないんですが。  私のところも来年、人一人採用しようかと思っていたんですが、これは取りやめました。それは、この前、私、竹中さんに言ったんですが、皆さん御案内のように、一兆円の税金医療費に入れたら五兆四千億の経済波及効果があると。これはもう総務省が出しているんですね、データ。それから、五十八万人の雇用効果があるんですね、これまた。ところが、今度、医療費を二・七%削られました。しかし、実態はそれよりもっと痛い、もっと削られておりますけれども、計算しますと。しかし、仮に二・七%出しましても、計算すると医療費ベースで八千億削られることになるんですね。そのうちの約四分の一が国庫負担でありますから、そうしますと二千億削られる。そうすると、約一兆円強の経済波及効果がなくなって、十二、三万人失業者を出すんですね、これ。そういうことになって、何で中長期展望の、竹中さんがお出しになったこの文章の中に医療で五十六万人雇用を創出するなんて書いてあるんですかね。これは全く矛盾しているんで、それはおかしいじゃないかと言ったらお答えありませんでしたが、いずれにしろ、余り不安をあおるようなことは私は、きちっと物事を説明した中で、国民に分かりやすくですね。  私は、はっきり申し上げて、三割負担国民が納得できるような裏付け、数字があって、もうこれでやらなければこの国民保険制度が駄目になりますよというんであれば、私、三割負担だってもう、すぐもろ手を挙げて賛成します。しかし、今そんな状況じゃないというふうに私、考えますので、その辺のところを、まず総括的なことから厚生労働大臣からお答えいただければ有り難いと思います。よろしくお願いします。
  134. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 専門家の宮崎先生から様々な御意見をいただくわけでございますから、私も答えにくいわけでございますが、午前中に山本議員にお答えを申し上げましたとおり、抜本改革というのは大事でございますし、その抜本改革の中心点というのは、これは負担と給付の公正を図る、無駄を極力省く、そして質の高い医療を構築する、この三つであろうというふうに思っております。  それを行っていくためには、無駄を極力省いて、そしてやはり財源のある程度の確保をしなきゃいけませんが、その分だけ楽になるかといえば、一方におきましては、それを今度はもう少し入れないと、継ぎ足さないと質の高い医療のできない部分もある。これも私は事実だと思うんです。  先ほど世界の医療の中における日本医療の位置付けのお話がございましたとおり、日本は世界の中で見ますと、どちらかといえば割安に医療を運営しているということが言えるんだろうというふうに思いますけれども、やはりここには限度がある。今、どこの公的な病院に行きましても、もうみんな廊下を走っている。歩いておれないといったようなところが非常に多い。ここはやはりもう少し落ち着いた医療ができるようにしていかないといけないのではないかと、率直にそう思っている次第でございます。  そういうことになりますと、そうした、どこにそれを導入すればいいかということを考えなければいけませんが、それらを考えて、そして質を上げなければならないということになりますと、一方で無駄を省きましても、その分はほとんどが行ってしまう、あるいはまだプラスしなきゃならないということだって起こる可能性はあるというふうに思っております。  したがいまして、この抜本改革をやるということ、大前提でございますけれども、抜本改革をやったら財政が大変楽になるかといえば、財政の厳しさは高齢化が進むに連れて更に厳しくなってくることは事実でございます。抜本改革をやったらこちらが楽になるのなら、今御指摘のとおり、私は抜本改革をやり、そしてその後でこれをやるということを、それは御指摘のとおりでございますが、やはりそこはそういうふうにはいかない超高齢社会という現実が待ち受けている。  これに対してどう対応をしていくかということは、片方においてやはりやっていかざるを得ない状況にあると思うわけでございます。そして、極力不安をなくしていかなきゃならない。患者さんの皆さん方にもできるだけ安心をして受けていただくようにしなければならない。それは、現在、三割よりも二割、二割よりも一割、現在、低い方、負担が低いことが一番安心を与えるかといえば、私はそれはそれにこしたことはないとは思いますけれども、それよりも、将来ともに現在のこの国民、公的皆保険制度がこれが継続をされる、今後も続いていく、そしてフリーアクセスと申しますか、どの病院でも掛かれるというこの体制が堅持されることが一番国民皆さん方にとっては安心を生むことになるのではないかというふうに考えております。  したがいまして、そうした立場を堅持をしていきますためには応分の御負担をいただかなきゃならない。一番、損得勘定でいきましたら、元気で、そして医療機関の敷居をまたいだことがないという人が一番、負担はたくさんして、そして損をするわけでございます。その次には軽い病気の人が、これは三割負担をしていただいて、そしてその次でありまして、そして重い病気医療費の高い医療に掛かられる方が一番大変でございますから、この医療費のたくさん掛かるような病気になりましたときに、極力少ない負担で済むようにどうするか、そこが一番心配をしているわけでありまして、その心配のために、少し風邪を引いた皆さん方は三割負担をしていただかなければなりませんけれども、例えば胃がんの手術をされましたら二百万ぐらい掛かりますよと。二百万掛かったら、その中で個人負担は、例えば個々でおきましても十万前後でございましょうか。そうすると、〇・五割ということになるわけでありまして、こういう制度を維持することが一番安心をしていただけるのではないかというふうに思っているわけでございます。  デフレとの関係におきましては、先生方とお話を、病院の先生方とお話をしますと、医療というのは統制経済だというお話がよくございます。この自由経済の中で我々のところだけ統制経済だと、こうおっしゃるわけで、おっしゃる意味も私はなるほどなと思うところ実はあるわけでございまして、インフレになったからここを急に上げるかと言ったら、そういうわけにはいかないわけで、デフレになったら下げることができるかと言ったら、それもできないわけであります。  だから、経済の動きというものは、これは動きとしてありますけれども、その中で、インフレになろうとデフレになろうと、その中で医療医療として独立独歩歩まなければならない立場に置かれていることも、これは御理解をいただきたいと思うわけでありまして、そうした意味で、ひとつ全般的に見て、今回の案を出させていただき、そして、これと同時に、来年の四月一日にこれが実施に移させていただくときに、三割に負担をしていただくことを国民皆さん方にお願いをするときに、その抜本改革の第一歩もそのときに踏み出せるように、それまでに明確にこれをお示しをしていくというのが大事ではないかというふうに思っている次第でございます。
  135. 宮崎秀樹

    ○宮崎秀樹君 厚生大臣のお立場だと今みたいなお答えになるのはこれは致し方ないと思うんですが、三割負担をなぜ来年の四月一日からという問題に関しては、先ほどの大臣の御答弁の中にも、それはやるべきことをやれば、この問題はやはり何も来年の四月一日ということに限定を私はしなくてもいいではないかというようなお考えも、おなかの中のお考えも、お立場上、それはお出しになれなかったと思うんですが、その辺はよく私も理解できると思うんですが、しかし、これは何も慌てて、はっきり申し上げて、与党社会保障改革協議会が、これは必要なときに七割給付に統一するというようになっていたのを、四月一日というのが入ってきたということに私は非常に懸念を持っている。そこら辺をまた後ほど私改めてお尋ねをいたします。  それでは、事務的なことですが、じゃ、二割から三割に被用者保険をした場合にはどのぐらいの収入と申しましょうか、負担増になるのか、その金額、また総報酬制になるとどのぐらいの収入が増えてくるのか、そこをお答えいただきたいと思います。
  136. 大塚義治

    政府参考人(大塚義治君) 三割負担の導入あるいは総報酬制の導入、いずれも政府管掌健康保険への財政影響ということで、まずお答えをさせていただいてよろしゅうございましょうか。  三割負担導入によります政管健保への財政影響につきましては、五年程度の単年度平均でいずれもお答えを申し上げたいと思いますが、年間、平均的な一年間の影響ということでございますけれども、まず三千九百億円の負担保険者にとっての負担減、財政影響がございます。あわせまして、薬剤一部負担も同時にこれを廃止をするということにいたしておりますので、これは八百億円、保険者の立場から見ますと歳出増の要素でございます。差引きいたしまして、政管健保の単年度の影響、約三千百億円ということになるわけでございます。  それから、総報酬の導入でございますけれども、総報酬の導入自体、それ自体は保険料率をいかに設定するかということに掛かるわけでございますので、導入それ自体が収入増あるいは保険収入の増ということではございませんけれども、今回の改正案で申し上げますと、現在の標準報酬制を仮にそのまま、金額を、歳入をそのままだといたしまして総報酬制に転換をいたしますと、料率ですと七・五%でございます。これを、今回の案では約一割になりますけれども、八・二%まで〇・七%の引上げをいたしております。この引上げ幅によります保険料収入増、これも単年度平均で申し上げますと、政管健保で約五千七百億円ということになるわけでございます。
  137. 宮崎秀樹

    ○宮崎秀樹君 そうすると、両方で八千八百億ということになりますね。  さらに、今回の改正案では、老人医療については定率一割ということになっていますね。さらには、収入のあるお年寄りは二割負担と、こういうことになっております。この分はどのぐらい老人医療では見込んでいますか。
  138. 大塚義治

    政府参考人(大塚義治君) これも、高齢者の方から見た場合の負担増という面と、その影響によります保険者保険財政への影響から見た場合と異なるわけで、異なるといいましょうか、見方があるわけでございますが、ただいまの、前の御質問との関連で申し上げますと、まず患者負担という意味での影響は、これも五年程度の単年度平均でございますが、制度全体で約二千億円の患者負担増になるわけでございます。これが各保険者には今度は歳出減として現れるわけでございますが、医療費への影響もございますから、各制度を通じまして、全体といたしましては約四千三百億円の医療費の、給付費の縮減ということになりまして、これが、例えば政管健保で申し上げますと単年度で、保険財政から見ました歳出減の要素、これが約九百億円と見込んでいるところでございます。
  139. 宮崎秀樹

    ○宮崎秀樹君 今回、医療費が二・七%引下げになって、それによる医療費ベースで大体どのくらいの財源が捻出されるか、試算があったら教えてください。
  140. 大塚義治

    政府参考人(大塚義治君) これも午前中の御質疑でもございましたけれども、医療費は高齢化の進展あるいは医療の高度化によりまして、全体として基調としては増嵩の基調があるわけでございます。  その中で、今回、その単価に当たります診療報酬改定を行いました。いわゆる診療報酬本体、薬価を合わせまして二・七%の引下げでございますけれども、診療報酬改定を仮にしなかった場合というふうに比較いたしますと、平成十四年度で医療保険医療費が約七千四百億円、診療報酬改定を仮にしなかった場合と比べますと約七千四百億円減少するというふうに見込んでいるところでございます。
  141. 宮崎秀樹

    ○宮崎秀樹君 そうしますとトータルで、これ、どのぐらい負担増国民に押し付けたかということになるんですね、これは痛みだと私は思うんですけれども。全体的に、それじゃ、これ単純計算してこれだけだよということのほかに、こういうことをやるとやはり受診抑制というのもあるんですね。それも一つの痛みなんです。  ですから、これトータルで、金額的にしか出ませんが、トータルでこれ単純計算で足したものがそうだというのか、先ほど言った四千三百億、全体であった、例の老人の負担のところですね。これは政管健保では九百億とこう言っていますが、ほかの保険者トータル、例えば組合健保なんかはこれ、なかなか分からないと思うんですが、これ総報酬制にすれば組合健保だって相当な負担増になるわけですから、そこら辺で一体ひっくるめてどのぐらいのことを厚生労働省として見込んでいるのか、そこをちょっと教えてください。
  142. 大塚義治

    政府参考人(大塚義治君) これも午前中の御質問のあった案件でございますけれども、そういう意味では繰り返しの御答弁になることを御勘弁願いたいわけでございますが、今回の改正案で、まず患者負担の方でございますけれども、高齢者に関する様々な患者負担見直しが先ほど申し上げましたようにございます。高齢者だけで申しますと約二千億円ということを申し上げました。そのほかに、十五年四月からは三割負担の導入あるいは逆に薬剤別途負担の廃止というものもございます。そのほかにも、例えば乳児に対する給付率の引上げなどもございます。  こうしたものをすべてトータルをいたしまして、まず患者負担という意味では、これも単年度平均ということで申し上げますと、約四千八百億円というのが、制度改正をしなかった場合に比べまして四千八百億円の変化が生じる、患者負担増が生じるということでございます。  一方、保険料でございますが、政府管掌健康保険につきましては国が保険者であり、またその料率につきましては法律等で定めることになりますので、先ほど申し上げましたように、総報酬を導入して八・二%の保険料にするということにいたしておるわけでございますが、これの単年度平均が約五千七百億円ということも申し上げたところでございます。  そのほかに、政管健保以外の、健保組合あるいは共済組合などの保険料でございますが、あるいは国保についての保険料でございますけれども、これも午前中のやり取りがございましたけれども、国保につきましては約三千三百、健保組合につきましても千七百の保険者がございまして、それぞれの財政事情が異なりますし、また保険料そのものは国が一律に決めるということではございませんで保険者の財政状況に応じた判断でそれぞれ設定をしていくという、そういう意味合いがございまして、どのくらい保険料が具体的に上がるのかというのはなかなか正確に見通すことは難しいということを、午前中、大臣から申し上げたわけでございますが、御質問ございました。一定の前提を置かざるを得ないと思いますが、至急、一定の前提を置いた上で仮にどのくらいになるかということをはじき出してみたいと思っております。  そのほかに、これとは、ただいま申し上げましたこととは別に、平成十四年度につきましては、これも先ほど来御指摘のございました診療報酬改定の引下げということがございましたから、これもある意味では、広く見ますと患者負担あるいは保険者負担の減ということにつながるわけでございまして、これは、原則的には、十四年度の改定でございますから影響は十四年度に算定をすべきかもしれませんが、そういった要素もございます。  こうしたことをトータルいたしまして、先ほどの保険料のところで、政管健保以外の部分の保険料につきましては一定の仮定を置いてお示しをせざるを得ないものですから、その点につきましては至急に作業をして取りまとめたいと考えているところでございます。
  143. 宮崎秀樹

    ○宮崎秀樹君 だから、結局、細部にわたるやつは分からないんですね。  私どもの試算したのがあるんですが、これによりますと、政府管掌保険の総報酬制で、組合の分は入っておりません、それだけでも七千六十億というのが出ているんですね。これは、自己負担と、それから保険料負担の増ですね。それから医療の方では、やっぱりこれ、八千百億円というのが出ているんです。  だから、七千幾ら、四百億だったかな、こことはちょっと差があるんですが、それじゃ保険者財政はどうなっているということを見ますと、国庫負担分で、これ今、その組合健保を除いた分ですよ、これ二千八十億、これは国の負担が減って、これは楽している。地方負担は五百九十億。さらに、保険料として一兆二千四百九十億というデータが、ここで試算が一つございます。  このように、先ほど、だから三方一両損という話でありますが、これは、得しているのはみんなこれは国であり地方自治体であり、そして保険者であると。一体、じゃだれがそれをしょっているんだといったら、これは国民がしょっているわけです。だから、私は、それは国民負担するのは、これは当然なんですけれども、理屈に合った負担の仕方をやはり国民に示さないと、一体これ何だという話になるわけであります。  そこで、私はいつも医療費の推計がいい加減だということを申し上げたんですが、私が平成三年に委員会質問したときに、当時、岡光さんが保険局長だったですかね、そのときに、平成三年で平成十二年度の医療費は四十三兆円になると。それから二、三年ですね、四十三兆円、四十三兆円というのが平成十二年度の医療費だと、こう言っていた。そのうちの十五兆六千億が老人医療費と。しかし、平成十二年度を見ましたら二十九兆一千億ですよ。十四兆円もサバ読んでいたんですね。そして、厚生白書、一九九七年の厚生白書を見ますと、二〇二五年の医療費は百四十一兆円になると書いてあるんですね、百四十一兆円。ところが、最近出た、厚生労働省から出た資料は八十一兆円になっているんですね。六十兆円もサバ読むという話はこれは正にペテンでありまして、何を根拠にこういう推計を出してくるか、これ全く分からない。  そこで、今後、今回の改正が行われた場合には毎年医療費がどのくらい増加するという試算をなされているか、そこをお伺いします。
  144. 大塚義治

    政府参考人(大塚義治君) 長期的な医療費の推計には様々な前提条件を置いて推計せざるを得ませんので、その時点における直近のデータを使うということで、過去の推計にぶれがあるということは、これは結果としてそういうことになっておりますが、例えば国民所得の比率ということで、国民所得に対する比率というふうに見ますと、ほぼ実はそう大きな変化がございません。  そういった事情もございますが、直接の御質問でございます、今後医療費伸びをどんなふうに見ているかということでございますけれども、これも過去の直近の実績を基に推計をいたしておりますけれども、基本的には、高齢化の進展それからいわゆる医療の高度化ということが背景にいたしまして、基調としては増の傾向ということは先ほど申し上げました。  今回の推計によりますと、平成十九年度、今回改正なかりせば約三十七兆八千億円程度と、こう見込んでおったわけでございますけれども、今回の改革を実施いたしますと三十七兆二千億円程度、この五年間の単年度平均で見ますと毎年度約一兆円強の医療費の増加が見込まれるのではなかろうかと。  ちなみに、そのうちの七割程度あるいは八割程度、七、八割は高齢化の進展に伴う高齢者の、例えば七十歳以上の高齢者医療費の増と、こんなふうに見込んでいるところでございます。
  145. 宮崎秀樹

    ○宮崎秀樹君 そうしますと、毎年一兆円としますと、二〇二五年だと二十三年間、二十三兆円ですよね。今、三十兆円、二〇〇二年。そうすると、五十三兆円になるんですね。ところが、これ八十一兆円ですね。一九九七年の百四十一兆円というと、九十兆円もサバ読んでいるんですね、これ。こんなばかな話ないんですよ、これね。これは国一つできちゃう。  だから、私は、やっぱりこういうふうなのはもうちょっとまじめな考えをきちっと示さないと、(「そうだ」と呼ぶ者あり)国民はそう言ったって分からない、これは。そこを私は本当に責任政党としても本当にこれは何とかしなきゃいかぬなということをつくづく思っている。今井先生もかつては与党におりましたからね。  いずれにいたしましても、これは国会議員全体がやはり責任持ってこれはきちっとしないと、やはり政府に対していかぬのかなというふうに思うわけであります。  それから、細かいことで申し訳ないんですが、政管健保における一般会計との未精算金は現在どうなっていますか。先ほど私がちょっと申し上げましたが、それで合っているんですかね。ちょっと教えてください。
  146. 冨岡悟

    政府参考人(冨岡悟君) 先生御指摘の点につきましては、政管健保の国庫補助の繰延べの金額とそれから累積債務、この二つのことだと承知いたしております。  まず、第一点目の国庫補助繰延べにつきましては、昭和六十年から平成六年までの間、七千百三十九億円繰延べされましたが、これにつきましては、元本相当分七千百三十九億円につきましては既に平成十一年度返済が終わっておりましたが、この金額に係ります運用収入相当分、これが二千八百八十五億円ございまして、これにつきましては平成十三年度の当初予算及び補正予算で返済を受けましたところでありまして、この点につきまして、いわゆる先生御指摘の金額はなくなりました。  次に、累積債務でございますが、かつて政管健保の財政が悪かった時代、昭和四十八年度末の累積債務五千七百六十五億円、それから日雇健保の累積債務、五十九年度末九千二十七億円、合計一兆四千七百九十二億円、これがいわゆる累積債務と言われるものでございますが、これに関しましては、保険料で償還しない、保険料負担ではなくて一般会計からの繰入れで償還するといういわゆる棚上げ措置が講じられたところでございますが、現時点におきまして、一般会計の厳しい状況から繰入れが実現するには至っておりません。このため、この金額につきましては財政融資資金から借入れを行っておりますが、この利息につきましては全額を一般会計から繰入れで補てんすることにしておりまして、政管健保の財政運営には影響を及ぼさない措置を講じているところでございます。  以上でございます。
  147. 宮崎秀樹

    ○宮崎秀樹君 そうすると、これはもう全部ここで黙って目をつぶっていると、そういうことですか。
  148. 冨岡悟

    政府参考人(冨岡悟君) 先ほどの繰り返しになりますけれども、当時の累積赤字、これにつきましては、保険料、健保の保険料負担しないで一般会計で負担するという棚上げが行われたわけでございますが、それで政管健保に対する財政的な打撃をなくするというふうな措置を講じたわけでございますが、その繰入れは一般財源の、一般会計の財政難からいまだ行われておりませんが、借入れの利息を補てんするということで実質的な影響をなくしているというふうに御説明したわけでございますが、会計的には先生御指摘の点、確かにございますが、私が説明いたしましたのは、これによって政管健保の財政自体が傷んでいるということではないということを御説明したものでございます。
  149. 宮崎秀樹

    ○宮崎秀樹君 それは早く返してもらわなきゃ駄目ですよね。だから、それは大変、あなたが自分でやっているわけじゃないからこれはいいということじゃなくて、やはりきちっとそこは整理をするものは整理しないと、そんな大蔵省のどうのこうのという話じゃないので、これはやっぱりきちっと対応しなきゃいけないと私は思いますが、これやると時間取っちゃいますから。  それから、組合健保の平成十一年度の積立金が、別途積立金ですね、二兆三千億程度あったわけですね。それからまた、組合健保で付加給付を毎年一千億やっていると。国家公務員の方が虎の門病院に行くといまだに一割負担でいいというようなことが現実行われているわけですね。私は、今日は時間ございませんから詳しくこれはやりませんけれども、現状だけちょっと御説明ください。
  150. 大塚義治

    政府参考人(大塚義治君) 付加給付についての状況でございますけれども、直近でございます平成十二年度で申しますと、付加給付に要する健保組合全体の経費、付加給付に投入している経費は七百五十三億円でございます。五年ほど前、例えば平成八年の時点ですと約千二百億円ございました。これが近年の厳しい財政事情もこれあり、かなり減少しておりまして、平成十二年度では七百五十三億円という状況になっているところでございます。
  151. 宮崎秀樹

    ○宮崎秀樹君 別途積立金はどうなんですか。
  152. 大塚義治

    政府参考人(大塚義治君) 大変失礼をいたしました。  別途積立金の金額でございますけれども、これも平成十二年度決算、健保組合の合計でございますが、二兆一千六百三十五億円が別途積立金の金額でございます。
  153. 宮崎秀樹

    ○宮崎秀樹君 今回の附則の中に、保険者の統合、財源の一元化というようなことがきちっと書いてあるんですね。私は、日本国民に生まれたら、その勤めたところ、生まれたところで負担も給付も違うよというばらばらな社会保障政策というのはここでやはり整理して、全部のお金を集めれば国民に今三割負担というようなことをやらなくてもいいというような被用者保険状況というものをやはり作っていくべきであると。  私は、これ本来なら二割負担程度でとどめる、二〇%ですね。諸外国、先進諸国は六%とか、少なくとも一〇%内外で収まっておるわけですから、そこへもってきて日本だけ全部三〇%という話は、これはなかなか社会保障の中で、果たしていいのかなと。その代わり、私のこれは個人的な考えですが、ぜいたく品を買ったらどんとやっぱりそこへ物品税掛けるとか、あらゆる知恵を絞ってそういうことを、国民の中でコンセンサスを得るような政策をすることが必要じゃないかと思うんですが。  さて、そこで今度の法律の中に書かれてあるのがこの五年を目途に政府管掌保険、いわゆるその保険事業ですね、及び形態について所要の措置を講ずるというようなことが書かれているんですが、これは一体何をお考えでございましょうか。そこら辺のことを詳しく考えておることがあればお教えいただきたいと思います。
  154. 大塚義治

    政府参考人(大塚義治君) 御指摘のとおり、今回御提案を申し上げております改正法案の附則におきまして、五年を目途に政府管掌健康保険事業及びその組織形態の見直しを行うという趣旨の規定が設けられているわけでございます。  今日の我が国の医療保険制度は、もとより様々な歴史的経緯なり社会保障の発展とともに今日の姿になっておるわけでございますけれども、政府管掌健康保険につきましては、被用者保険の最終的な受皿、実際の機能といたしましては中小企業の方々を対象にした保険として機能を果たしているわけでございますけれども、被保険者数三千七百万人、一つの保険者としては当然のことながら最大の保険者でございますし、それ以外の例えば健康保険組合であるとか国保につきましては数十万あるいは百万というのが大きくても最大でございますから、非常にその形態を異にしておるわけでございます。  一本で、そういう意味では全国一本の事業体で運営しているわけでございますから、両面あるわけでございますけれども、一つには、地域間の所得格差というのはある意味では完全に平準化が図られているという面がございます。それから、現実問題といたしましては、厚生年金と一括適用、一括徴収という連動した保険運営事務を行っておりますので、そういう意味での効率化、合理化が働いているわけでございます。こうしたメリットも当然あるわけでございますけれども、他方の議論といたしましては、医療費はやはり地域性の高いものでございまして、いわゆる地域差というのが現実の問題としてございます。その背景には医療の提供体制の違いなどが大きいわけでございますが、そうした地域性のある給付サービスというのが医療のある意味での特殊性でございます。そういたしますと、給付と負担関係という関係から、余りにも大き過ぎる保険者という意味での問題はないかといった議論があるわけでございます。  物事にはどうしても両面があるわけでございますけれども、そうした現状を考えますと、メリット、デメリット双方ございます。現在の組織形態以外に組織形態を考えるとすればどんな方法があるのか。あるいは、どうしても年金、厚生年金との関係もよく考えなければなりませんので、その点、非常に広範な角度から検討しなければならないと思いますけれども、将来の医療保障あるいは医療保険制度の体系といった観点から見た場合にどうした在り方が適当か、これにつきましてよくよく検討をし、方向を見付けていくというのが検討規定を置かれた趣旨というふうに考えているところでございます。
  155. 宮崎秀樹

    ○宮崎秀樹君 今、保険局長おっしゃっていることちょっと私理解できないんですが、いろんなことを考えているんだよと、一口に言えばですね。これ、原案見たらびっくりしたんですよ、民営化を含めてと書いてあったんでそれは消させたんですが。  いずれにいたしましても、将来どういうふうになるか分からないのに今三割をやるという、ここが私問題だと思うんで、むしろここを固めて、こういうふうにしたときに将来はその中でこういうふうにするんですよという。例えば、国庫負担がかつて三〇%あった、今は二四%台になりましたよね。だからそういう、これは政治の方がやっぱりしっかりしなきゃいかぬのかも分かりませんが、要するに憲法二十五条の生命、健康、これはきちっとやはり国の施策として守るという観点から立てば、やはりそういうことを大前提に置いた中の議論というのをやっていかなきゃいけない。ですから、この政府管掌保険も何で国民税金を納めるかといったら、安心、安全、安定なんですよ。それを投げ出すといって、そこで適当にやってくれという話じゃ、これ、とてもじゃないけど責任持てないわけですが。  そこで厚生大臣、今までの議論全体を通じて、私は、更にまだますます分からなくなってきたのは、いろいろ尋ねれば、お金は各所にばらついてありますよと。そこの整理をほっておいて、そして何で来年の四月一日に三割をこだわるかと。この辺が分からないんで、重ねて、これは厚生大臣から御所見をお述べいただきたいと思います。
  156. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 先ほどからずっと聞いておりまして、一番基礎になります資料の話でございますが、先日来私も、統計資料を出しますときにはその積算基礎になりますものをちゃんと整えて同じに出してくれということを言っているわけでございます。そうしませんと、先ほどから御指摘のように、厚生労働省の資料は何を積算に計算をしているのかというような議論になりまして、非常に不信を買うわけですね。他の省庁からも違う数字が出たりいたしますと余計でございますので、この厚生労働省が出しましたこの試算はこういう前提条件の基に試算をしたものでございますということを明らかにするということが、このコンピューター時代と申しますか、IT時代にとりまして一番大事なことだというふうに思っておりますので、そこをちゃんと実施をするように今後したいというふうに思っております。そうしましたら、宮崎先生見ていただいて、なるほどそうか、よく分かったと、こう言っていただけるのではないかというふうに思うわけでございます。  もう一つは、先ほどから聞いておりまして、三割に今すべきかどうかということにつきましては、これは五千からあります保険者、とりわけ政府管掌健康保険は、私がいますところの厚生労働省の試算によれば、それは来年の、それが四月なのか八月なのか、あるいは翌年の一月なのか、それは、そこのところはいつ赤字になるのかはそれは多少のことはよく分かりませんけれども、しかし来年の平成十五年度中には赤字に転落してくると、こういう可能性がありますから今お願いをしているわけでありまして、なら組合健保は大丈夫かといったら、組合健保の中も様々でございまして、大きいのから小さいのまであるわけですね。一番小さいのは二十七人というのがあるんですね、被組合員数が。二十七人というんで、それは本当かと言ったら、いやこれは本当だと言うんです。国保でも九十三人というのがあるんですね。これは先生の地元の愛知県の、これは富山村というんですかね、ここは九十三人。アイテックスという会社は被保険者数で二十七人、被扶養者数で四十九人。こういうのもあって、三千人以下の被保険者というのが組合健保でも四五%ある、国保におきましても三五%ぐらいというような状況でございまして、その中には、そうしたところは正しく火の車になっているというようなことでございますので、全体を考えますと、ひとつ三割御負担、誠に言いにくい話でございますけれどもお願いを申し上げなければならない時期に来ているというふうに考えている次第でございまして、これから後、御指摘の抜本改革をこれから進めていく。  それをどういう前提でどういうふうにして進めていくかということを暮れまでに明らかにしなきゃならないわけでございますが、その一番大事になりますところは、それは、一つはいわゆる年齢の、年齢が高ければリスクが高い、医療リスクが高い、低ければ低い、いわゆる年齢リスク構造の調整をやると。これはそんなに手間は掛からないというふうに思うんですが、これをいつまでにやるか。  それからもう一つは、これは制度内の所得、政管健保なら政管健保制度内のいわゆる所得によるリスク構造調整を行う、これを次に行うということをやらなきゃいけない。  今度は、その政管健保と組合健保、これをどうするか、これはなかなかまた議論が大きな議論だと思います。組合健保辺りからは、じゃ、何するかとおしかりを受ける話でございますが、これは政管健保、組合健保の間のやはり調整ということもこれからやっていかなければならないだろうと。  それが大体何年ぐらいになりますか、決めなきゃいけないわけですけれども、私は少なくとも五年ぐらいの間にそこまでは行かないといけないというふうに思います。その後、一本にするかどうするかという、それでも議論はまだ残ると思うんです。その調整をしても、多くの保険者で残しておくのか、それともそこはもう職域保険は職域保険で一本にするのかどうかという議論は私は残るというふうに思いますが、まずそこまではこの五年なら五年以内にやるというぐらいな決意でやらないといけないというふうに思っている次第でございます。
  157. 宮崎秀樹

    ○宮崎秀樹君 厚生大臣、後で私、保険者統合と財源の一元化についてお尋ねしようと思っていたら全部お答えになっちゃって、そういうことを先にやれば、私はもう三割の問題は解消していくんだというふうに逆に思っているんですが、時間がございません。いずれにいたしましても、私はあくまでもその四月一日というのは慎重にやらなきゃいけないという持論は変わりません。いずれにいたしましても、時間がございませんので、次に進みます。  今度の改正の中で、問題は、償還払制というのが入りましたね。お年寄りの負担でございます。今、お年寄りは月に八百五十円、四回まで、これは定額の場合でございます。これは外来でございますね。それから、定率の場合は三千二百円まで、一月。これが一挙に、低所得者だと八千円、それから普通の方は大体一万二千円。今度、大体一万二千円のところへ全部集中してくると思うんですね。それから、高額所得のお年寄りは四万二百円までと、一月の負担がそうなりました。  しかし、幾ら何でも、せいぜい二倍が限度じゃないでしょうか。しかも、お年寄りが一々申請書を出して、それから出た分を請求してやるというような話は、これは正に酷でありまして、そういう発想がまず私は問題があると。やっぱり一医療機関六千円ぐらいまで。大体、平均すると二万円ちょっとですね。二万から、まあ二万五千円から下ぐらいが大体平均でございます。そうすると、大体二千円ちょっとぐらいの負担で済むわけですね。  だから、ほとんど私はこれは引っ掛からないと思うんですが、ただ、在宅で療養されている方、それからがんのいわゆる末期の方とか、お年寄りで非常にリスクの大きい方のところへしわ寄せがどんと行ってしまう、これはやはり問題があるんじゃないだろうかと。そういうふうに考えたときに、ここら辺はもうちょっと考えを何とかできないのかと。  このところは省令とか通達事項で、これはそういうふうに、例えば変える、変更するというようなときはできるんですか。そうでなくて、もうかちっとコンクリートで固めてあるんですか、これは。まず、そこをお聞きします。
  158. 大塚義治

    政府参考人(大塚義治君) 高齢者医療に関する、特に高額になった場合の、限度額を超えた場合の処理の話でございますが、今回の法律改正で、従来いわゆる月額上限制と仮に呼んでおりますけれども、医療機関ごとの上限を設けておったという仕組みを今回、現役世代、あるいは介護保険の場合も同じでございますけれども、基本的には一割を御負担いただくと。その代わり、医療機関、これは一か所に限らず、複数行った場合に、月当たりの総負担額が一定額を超えたら、超えた部分についてお返しをしようと。この基本的な仕組みは今回の法案で、法律で規定をしておるわけでございますから、これは、基本の償還払制というのは法的な制度と御理解をいただきたいと存じます。  それから、その処理の方法でございますけれども、ただいま申し上げましたように、従来の月額上限制は、それまで定額負担であったということとの流れの中で、平成十二年の改正によりまして一割負担というのを導入をいたしましたけれども、従来の定額負担とのつなぎといいましょうか、変化の大きさを考慮いたしまして病院ごとの限度額を設けた、診療所につきましてはなおかつ選択によりまして定額負担も可能にしたと、こういうことでございますが、今回の法律におきましては、基本を現役世代、あるいは介護保険と同様に一割定率というものを基本に据えて、その代わり、仕組みを変えまして、各医療機関、複数医療機関に行った場合にはそれを合算をいたしまして、合算して超える部分についてはお返しをすると。したがいまして、償還払にならざるを得ないわけでございます。  ただ、お話ございましたように、高齢者につきましては事務負担が生じる。もちろん市町村にも事務負担が生じるわけでございますけれども、高齢者の特に事務負担が生じて、その事務負担が過大であるがゆえに適切な償還が受けられない、あるいは極端に言いますと、その制度そのものの存在を知らないというようなことでデメリットを受けてはいけませんので、事務負担の軽減ということにつきましては市町村の御協力を得なきゃなりませんけれども、極力高齢者負担にならないように、そういう形で実施をいたしたいと考えているところでございます。
  159. 宮崎秀樹

    ○宮崎秀樹君 極力高齢者負担にならないようにと言ったって、これは絶対負担になるんですよ。そんな手品みたいなことは私、できないと思う。だから、そこをやはり温かい目でやるにはどうしたらいいかと。やはり、そういう高齢者負担を掛けないということを確認できるのか。そして、高齢者が一々そんな申請書を書くようなことをやるような、こんなことはできないですよ、はっきり言って。もう目が悪くて字の書けないお年寄りもおるし、それは大変です、これは。だから、そこら辺をきちっと、じゃ、それに代わるようなシステムを作るというぐらいのことは確約してもらわないと、これは私、大変なことになるので、どうでしょう。
  160. 大塚義治

    政府参考人(大塚義治君) 具体的には、実施までによくよく市町村、あるいは審査支払機関の御協力も得たいと考えておりますが、関係者の御協力を得て、申請をしていただくという基本の形は原則だろうと思いますが、その申請が本当に高齢者負担にならないようにということにつきましてはできる限りの努力をし、軽減を図りたいと。  ちなみに、介護保険でも同様の償還制を取っておりますので、一つの先行事例もあるわけでございますし、また、先ほどおっしゃいましたように、決してすべての方が償還限度額にぶつかってしまうということではなくて、その率そのものが決して率としては高くないわけでございますから、そうしたことも勘案いたしまして、よくよく市町村、関係者と協議を進めてまいりたいと考えております。
  161. 宮崎秀樹

    ○宮崎秀樹君 そういう引っ掛かる人は非常に具合の悪い人なんですよ。こういう人にこそ、引っ掛からない人は割かし軽いからいいけれども、こういう人は大変なんです、逆に。だから、そこへちゃんと考えてほしいということです。  それから、時間がございません。今日は健康局長と医政局長、来ていただいているので、もう簡単にでいいですから、もう時間あと三分ぐらいしかないから、一つは健康増進法、たばこの分煙の話がここに載っているんですね、所要の措置をすると。  例えば、この部屋でたばこを吸って、吸わぬのは、これはやっぱり金掛かるんですね。吸わないように換気扇を付けたり、どこかの下へ行って吸えということですね。そんなことだとやっぱりお金掛かるんで、お金のことは考えてあるんですか、この法案は。
  162. 下田智久

    政府参考人(下田智久君) 今回お願いをしております健康増進法案では、国民の健康づくりをそれぞれの立場で支援をしていくということにいたしております。  したがいまして、国あるいは地方公共団体あるいは保険者等のそれぞれが負担をするわけですが、今お尋ねのたばこの分煙環境の整備ということに限って申し上げますと、広く民間事業者に努力義務規定を設けて協力を要請するというシステムを取っております。そこで、国といたしましては、効果的な分煙方法に関する情報提供、どうすればいいのかというやり方を情報提供する、あるいはハードの面でいきますと、総合的な分煙環境整備の支援の在り方、こういった面で検討してまいりたいと。
  163. 宮崎秀樹

    ○宮崎秀樹君 絵にかいたもちにならぬようにひとつやってください。  それから最後に、例の研修医の問題、これは健康保険のお金からやろうなんて話は、これはちょっと無理だと思うんですよね。やっぱり指導医が要る。そして、これはやっぱり、何ですか、文部科学省、こっちの予算も考えなきゃいけない。と同時に、私は、今、救命救急士の話が出ているんですが、これ三か月ぐらい挿管技術を教えて、消防車に乗せればいいんですよ、これは、研修医を。そして、張り付けて、少なくとも三か月交代ぐらいで消防署へ配置するということで、いろんなけがも見られますし、そこでもって実地研修もできる。だから、そういうことも活用して、いろんなことをひとつ活用して、是非これはやるんならしっかりフォローする体制を作って、責任を、正に、お金も何にも出しませんよ、あなた方でやってくださいと、これは臨床医を育成する国の仕事ですから、ここはきちっと責任を持ってやってください。一言で結構です。
  164. 篠崎英夫

    政府参考人(篠崎英夫君) 本年の五月の二十二日に臨床研修の検討部会から基本的な考えが出されておりまして、それでは、新しい研修制度におきましては、アルバイトをせずに研修できる環境を整備いたしまして、そしてプライマリーケアの基本的な診療能力を身に付ける、ここで先生御指摘の救急が当然入ってくると思いますが、そういうことをいたしまして医師としての人格の涵養を図る、このような新しいプログラムにしたいというふうに考えておるところでございます。
  165. 宮崎秀樹

    ○宮崎秀樹君 ありがとうございました。
  166. 沢たまき

    ○沢たまき君 公明党の沢たまきでございます。  私は、健康保険法と健康増進法の両法案について伺ってまいります。  最初に、健康保険法についてお伺いいたします。  特に、本日は医療の抜本改革においてはその基本的な方向についてのみ伺わせていただきまして、具体的なことは後日伺わせていただく予定です。  今日、全国に約千七百ある健康保険組合は、その九割が赤字財政で苦しんでおります。解散する組合も続出しております。また、政府管掌健康保険も本年度中には積立金が底をつくことが見込まれて、国民健康保険の方も実質年間三千億円の赤字を出しております。さらに、将来、二〇二五年には国民医療費は七十兆円に達すると推計されている中で、どうすればそれに耐えられるだけの医療制度が確立できるか、改革は待ったなしの状態にあります。  そこで、今回の健康保険改正法は、二〇二五年に高齢者がピークを迎えるときに備えるための、我が国の医療制度を抜本改革するための大きな一歩であると理解をしております。そこで、今回の改正案を提出するに当たっては、坂口厚生労働大臣は、終始一貫して改革なき改正案は駄目だとして徹底して抜本改革を主張され、取り組まれたと伺っております。  そこで、今回の改正法案を大変な御努力をいただいてまとめていただきました坂口厚生労働大臣の御心境をまず伺いたいと思います。
  167. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 心境は余り良くありませんが、今回のこの改正案をまとめていきますためには、先ほど申しましたように、同時並行して抜本改革のことも考えていかなければならない。抜本改革ができたからといって、そして財政的基盤がそれで安定するかといえばそうはいかないであろうというふうに思っておりますが、しかし、抜本改革を並行してこれは行わなければならない。これ、急がなきゃいけないというので、皆さんとかなり急ピッチで詰めを行っているところでございます。  抜本改革につきましては、先ほどからも御提案を申し上げているとおりでございますが、具体的な問題としましては、一つは医療保険制度の統合一元化の問題、これが一つ。それからもう一つは、診療報酬体系の基本の在り方、これがもう一つ。そして、高齢者医療をどうするかといった高齢者医療制度にかかわる問題、これはいわゆる保険の統合一元化と関係した問題でございますから、それらをセットにして考えていかなきゃならないのかなというふうに思っておりますが、その高齢者医療をどうするかという話がございます。もう一つ加えるのは、これは医療の質を高めますための情報開示の問題でございますとか、あるいはまた、カルテの電算化開示を始めといたしまして、ただいま問題になっておりますような医療ミス等をなくしていくような方向にどうしたらいいのかといったようなこと、そうしたことも加えてこれはやっていかなければならない。まだまだこの方面、まだまだたくさんございますけれども、一例を挙げればそういうことではないかというふうに思います。  これらの問題を今年末までに一応厚生労働省としての考え方をお示しをして、そしていろいろの角度から御議論をいただいて、そんなに時間を置くことができませんから、その第一歩は来年四月一日、皆さん方にいろいろの御負担をお願いするのと同時に、そこからスタートをするという形にしていかないといけない。差し迫った問題としてそのように思っている次第でございます。そうすることによりまして、今までの制度が抱えております無駄な面をどう排除するかということ、大きな課題でございます。  我々の方で制度としてやっていかなければならない問題には、年金、医療、介護、雇用といった保険料を別々に徴収をさせていただいておりますが、これを一本にどうまとめていくかといった問題があるわけでありまして、この在り方につきましては、これはもう今年の早い時期に、早い時期にと申しますか、八月か九月ごろには明確に案を出さなければいけないというふうに思っている次第でございますが、宮崎先生から出ました社会保険病院等の問題につきましても、どういうふうにしていくかという結論を早く出さないといけないというふうに思っている次第でございます。  以上のようなことを並行して行いながら、この今回提出をいたしております法案につきましても、多くの皆さん方に、国民皆さん方に御理解を得たいと考えているところでございます。
  168. 沢たまき

    ○沢たまき君 ありがとうございました。  私は、昨年十月九日の経済財政諮問会議の民間議員が提出した医療制度の抜本改革についてという意見を拝見いたしました。その中の前文におきまして、一つは、医療及び医療保険制度の使命を国民の前に明確に提示した上で、改革の基本的な哲学を示さなければならないと基本的な哲学の明示を述べております。二つには、改革は単なる保険財政の赤字の解消問題として矮小化するべきではない、改革の意義とその効果を分かりやすく国民説明し、理解を求めることが必要であると改革の意義と国民への説明責任を指摘しております。  医療保険制度とは国民の健康を守るためのものであり、そのために医療制度改革は、単なる保険財政の赤字の解消でなく、WHOが世界一と評価している我が国の皆保険制度の持続を図るため、国、保険者医療関係者国民及び世代間の負担の共有によって推進するものであり、それを国民にきちんと説明し、理解を得るべきであると考えております。  今回の法案についても、国民への責任説明を果たし、国民の理解を十分に得ていくべきだと考えておりますが、いかがでございましょうか。
  169. 大塚義治

    政府参考人(大塚義治君) 医療保険制度あるいは医療制度は、おっしゃいますように、国民の日々の生活に極めて密着した制度でございますから、幅広い議論国民的な議論を踏まえて、できるだけ多くの方々の御理解を得て実施をする、改革をするということが必要であろうと考えております。  私どもといたしましては、なかなか十分に行き届かないという面も率直に言って反省しなければなりませんけれども、できるだけ説明責任を果たせるように努力をしてきたつもりでございまして、今回の一連の改革の手順におきましても、多少さかのぼるようで恐縮でございますけれども、昨年春から厚生労働省としての課題と視点をどう考えているかという冊子を作り、また各地でフォーラムを開催して論点の整理を行いました。  それから秋に、九月でございますけれども、厚生労働省試案というものを公表いたしました。従来の手法によりますと、政府として案を確定する前に厚生労働省としての案を提案するというのは、必ずしもこの時期には、この時期に行うということはまれなことではございましたけれども、やはり厚生労働省としての考え考えとして、幅広い御批判も含めた御議論をいただこうということで、あえてと申しましょうか、積極的な意味合いを込めて試案という形で公表させていただきました。  私どもとしては、そうした議論を通じて今日に至っているわけでございますが、そのプロセスというものは私どもなりに必要であったし、評価を賜れれば有り難いと考えております。  ただ、一方におきまして、大変、特に財政面では数字が入り組みますし、制度自体が大変複雑でございますから、努力をしながらも、十分その御説明が足りているかという点につきましては、引き続き様々な御意見あるいは御提言に耳を傾けながら、資料の作成あるいは必要な資料の準備などについて最大限の努力を払ってまいりたいと考えているところでございます。
  170. 沢たまき

    ○沢たまき君 御努力をいただいているのは承知をしておりますが、本当に難しいです。しかし、難しいことを分かりやすく、一般の主婦にも分かりやすく、できればキャッチコピー風に説明していただくと大変に有り難いなというふうに思っております。  そこで伺いますが、WHOは、加盟している百九十一か国について各国の保健システム評価を行って、その結果を平成十二年度の六月に報告書、二〇〇〇年版世界保健報告というのに取りまとめましたね。そこでの日本についての評価結果について御報告をいただきたい。またあわせて、アメリカに対する評価はどうなっているか、ちょっと御報告いただきたい。
  171. 長谷川真一

    政府参考人長谷川真一君) 先生御指摘のとおり、WHOは二〇〇〇年版世界保健報告におきまして各国の保健システムの評価を行っております。評価方法につきましては、加盟国の保健システムを到達度と効率の二つに区分して評価をするWHOの試行的な方法によるものでありまして、必ずしも確立した手法によるものではないわけでございます。  この報告の到達度につきましてでございますが、例えば健康水準、これは障害調整平均余命という概念で測っておりますが、これでは日本が一位、米国が二十四位でございます。また、この到達度の全体到達度では日本が一位、米国が十五位となっております。  また、効率につきましては、健康水準の効率では日本が九位、米国が七十二位、また全体の効率では日本が十位、米国が三十七位となっております。
  172. 沢たまき

    ○沢たまき君 ありがとうございました。大変いい数字は一応出ているわけでございますが。  元ニューヨーク医科大学臨床外科の教授であった廣瀬輝夫先生が、「医療ビッグバン成否の鍵を検証する」として「日本よ!米国医療を見習うな」という御著書をお書きになりました。私も読ませていただきましたが、廣瀬先生は、アメリカで四十年間、一開業医として世界一の医療が今日の混乱状態に陥るまでの変遷の過程を目の当たりにしてきた方であります。その廣瀬先生が日本医療界に対して実情を報告し、警告を発するとして書かれたものであります。  そこでの廣瀬先生の御意見を参考に、日本とアメリカの最新の比較可能な数字を厚生省や図書館等に調べていただいたものがございます。お手元に御配付いたしましたが、理事会で委員長の許可をいただいて資料を配付させていただいております。  まず、アメリカ国民における医療保険の加入状況の資料をごらんいただくと、一枚目でございます。縦軸が所得で横軸が年齢となっておりまして、右端のメディケア、これは日本と似た制度でありますが、二十歳から保険料を納めますが、しかし、給付は六十五歳からしか受けられません。日本のように保険に加入した時点で給付が受けられないのです。そこで、六十五歳までは政府保険の対象者以外は、民間の医療保険に加入するかあるいは無保険者となるかのいずれかに該当することになります。いわゆる政府保険であるメディケードは低所得者等を対象とするもので、すべて国の負担で行われております。これは生涯給付されます。民間の医療保険は、大企業は会社が給与の一部として保険料の大半を負担してくれるところが多くなっております。しかし、中小企業は個人負担で加入しなければなりません。自営業の方も同様に個人負担で加入するしかありません。無保険者は四千四百万人、大変膨大な、この図の真ん中でございますが、数字を示しております。また、民間保険ですから、保険料は若いときは低いですが、高齢者ほど高くなります。六十歳前後はかなりの高額になると言われております。引退期を迎えた時期にこうした高額な保険料負担を求められることは極めて厳しいものがあります。  これがアメリカの医療保険制度の概要です、大変雑駁でございますが。日本は所得に応じての保険料の設定ですので、生活に不安が生じない仕組みになっております。私は単純に日本とアメリカを比較するために御説明しているわけではありませんで、日本は原則として国民すべてが保険に加入して、国民全体の相互扶助、連帯により制度を支えており、アメリカは一部の人で医療保険制度を支えており、無保険者負担の格差が生じている。こうした日米の制度の基本的な相違について厚生労働省の御意見を伺いたいと思います。
  173. 大塚義治

    政府参考人(大塚義治君) 医療制度あるいは医療保険制度につきましては、やはりその国の経済社会の在り方と大変密接にかかわっておりますし、もとより歴史的な経緯の違いもございますし、さらには、その背景といたしまして国民の価値観の違いもあろうかと思います。したがいまして、それぞれの国に即応した仕組みなり施策が取られてきておるわけでございまして、アメリカにつきましても学ぶべき点も少なからずございますし、また他方、そのまま日本制度に取り入れるというのには私どもとしてもちゅうちょする、あるいは取り入れることが難しいと考えているところもまた少なからずございます。  我が国における状況につきましては先生おっしゃったとおりでございまして、国民保険という基本、あるいは保険証一枚でどこでも掛かれるといういわゆるフリーアクセスという基本、こういった辺りが基本の中でも基本だろうと考えておりまして、一方、アメリカの場合には特定の分野しか公的な医療保障制度がない。その背景には、自由あるいは自主、自己責任といったものを強調するアメリカの風土あるいは気風というものがございましょうし、また歴史的にも民間保険が先行して発展したという背景もございます。  したがいまして、冒頭申しましたように、それぞれのお国ぶりということになるわけでございますが、私どもといたしましては、アメリカの医療制度で学ぶべきところを謙虚に学びつつも、国民保険でありますとかフリーアクセスでありますとか、やはり世界に誇るべき特色を持った我が国の制度、この基本は崩さないという考え方で今後も制度運営に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  174. 沢たまき

    ○沢たまき君 「医療費の国際比較」についてごらんいただければと思います。お配りいたしましたのの二枚目でございます。  これは日本医師会の資料でございますが、それぞれの医療行為の費用について記述されております。これを見ますと、アメリカは我が国と比較して大変高くなっております。これを見て言えることは、医療費が非常に高いことが分かります。頭部のCT、単純、造影なしは、日本が一万一千三百五十円に対し、アメリカは十万二千五百十二円で日本の約九倍でございます。それからICU使用料、看護料を含みますが、日本が七万四千円、アメリカが四十三万円。心バイパス一枝の倍率は低いが、料金が四十六万円もの差があります。特に点滴の注射は日本の三十五倍となっております。全く本当に驚くべき数値であります。  三枚目を見ていただきます。また、「OECD諸国の総医療費状況」という資料を見ていただきたいのですが、三枚目です。  医療費とGDPとの関係を見ますと、アメリカが一二・九%であるのに対しまして、日本は七・四%と低い負担国民保険を達成しております。何でもアメリカに倣えという風潮、今、大塚局長は受け入れられるものは受け入れると、やぶさかではないとおっしゃいましたが、日本独特の医療制度こそ私は守り抜いていくべきだと考えております。  そこで、大臣に伺いたいのですが、医療費の国際比較や医療費とのGDPの関係についての国際比較を見て、御感想はいかがでしょうか、お伺いいたします。
  175. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 政府関係の会議におきましても、民間の皆さん方の方からはもう少しアメリカの医療等を見習うべきだというような話も出たりするわけでございますが、私は、少なくとも医療制度に関しましてはアメリカに見習うべき点は余りないと、こう思っております。局長よりも私の方が少し厳しく学ぶべき点は少ないと思っているわけでありまして、日本日本としてのやはり道を進めていかなければならないだろうというふうに思います。  この医療費を比較をいたしましたときに、日本が非常に割安になっていることは事実でございますし、これは大変すばらしいことだというふうに思いますが、いわゆる医療というのは経済効率だけで見てはいけない、医療効率と申しますか、医療の質も併せて見ないといけないということでございますので、安ければ安いほどいいというわけには率直に言っていかない。やはり、いい医療がそこに担保されて、なおかつ効率的にどうなっているかということだろうというふうに思うわけでございまして、そうした面で、日本医療というものも余り経済効率だけを追求するということになりますと、大変質の問題にかかわってくるというふうに思わざるを得ません。  したがいまして、ここからはいささか我田引水になりますが、御負担をいただくべきところはやはり大変でございますけれども御負担をいただきながら、そしてその質を守っていくということが大事ではないかというふうに私は思っている次第でございます。もちろんのこと、しかし無駄があってはいけませんから、無駄は積極的に排除をしていかなければならない。  例えば、診療報酬体系にいたしましてもいろいろの御不満がございます。これは医療を行う側の皆さん方からの御不満もございますし、そして国民皆さん方からの御不満もあるわけでございます。そうしたところをよく注意をしながら、診療報酬体系につきましてはなぜここに点数が付いているのか、なぜここに点数が付いていないのかということが明確になりますように、もう少し基準を明らかにしていく必要がある。どういう問題とどういう問題を基準にしてこれを決めていくことが大事なのかといったことも私は明らかにしなければならないだろうというふうに思っています。  これからここを決めていくわけでございますから、余り私個人の意見を言うことは差し控えさせていただかなければならないわけでございますが、個人的なことを言わせていただければ、これは個人的な意見でございますが、個人的なことを言わせていただければ、やはり一つは、いわゆる診療に必要となります経費と申しますか、どれだけそこに掛かるかというコストの問題、コストというのはやはり避けて通れない。ドクターフィーとしてどれだけ掛かるのか、ドクター以外の皆さん方にどれだけ掛かるのか、ここは明らかに一つの私は尺度になるだろうというふうに思っております。  それからもう一つは、時間が余りたくさん掛かるのも掛からないのも、三十分掛かる医療も三分で済む医療も同じ点数でいいのか、やはりそこは時間的な物差しというものも今の制度の中に加わっていいのではないかというふうに思っております。  もう一つは重症度でございます。重症の人も軽い人も同じというのではなくて、やはり重症度というものはその中に入れていかなければならないというふうに思っておりますが、それらのことを物差しにして、そして御理解のいただけるような制度を作り上げることが大事ではないかと、私個人はそう思っているわけでございまして、これから御議論をいただきまして、そして早くそうしたところを煮詰めたいと思っているところでございます。
  176. 沢たまき

    ○沢たまき君 ありがとうございました。  では次に、「伝統的医療保険モデル」と「マネジドケア・プランモデル」をごらんいただきたいと思います。四枚目の資料でございます。  アメリカは、昔は日本と同様に出来高払、フリーアクセスを基本とする制度でした。この制度患者は自由に診療機関に掛かり、それを保険者、いわゆる保険会社が支払うというシステムであったわけです。しかし、現在はマネージドケアプランが一億九千百万人加入しており、最も多くのアメリカ国民が加入しております。この場合、患者は入院する場合、保険者の許可を得なければなりません。また、高価な薬を服用する場合も承認を得なければなりません。また、いわゆる制限医療と言われるものでございまして、今日マネージドケアは高騰する医療費の抑制にある程度の効果があったと言われる一方で、こうした制限的な医療について国民医療提供者の双方から批判があると聞いております。こうしたマネージドケアと呼ばれる仕組みについてどう評価なさるでしょうか。
  177. 大塚義治

    政府参考人(大塚義治君) ただいまお話があったとおり、私どもも概括的に申し上げればお話しあったとおりの認識が基本と考えております。  一般的に、今マネージドケアという厳密な定義があるわけではないと存じますけれども、一般的には保険者が受診できる医療機関をコントロールしたり、あるいは受ける医療内容について積極的に関与することで医療の質を維持しつつ効率化を図ろうという仕組みで、主としてアメリカを中心に普及をしているものと、こんなふうに言われているわけでございますが、先ほどのお示しの資料にもございましたように、アメリカの医療の特色の一つは医療費の高さでございます。当然医療費のコストは質との関連がありますけれども、いずれにいたしましても、諸外国におきまして抜きん出て医療費の水準が高いというわけでございまして、そうしたことを背景にマネージドケアといったような手法がある意味で開発されてきたわけでございますが、特に近年において、その言わば行き過ぎと申しましょうか、過度の面が御批判の対象になっているというふうに聞いております。  これも私ども、我が国の制度に照らして、取るべきところは取るにいたしましても、我が国にふさわしい運営を考えていかなければならないわけでございまして、保険者が被保険者の言わば代理人と言われますように、その機能を発揮していくということはやはり今後の重要な課題、医療サービスの質の向上でありますとか、その効率化を図るという意味で大事な課題ではございますけれども、その基本にはやはり患者本位、患者を中心に置いた医療及びその医療の仕組みを考えていくということでございまして、諸外国の動き、特にアメリカの動きも参考にはいたしますけれども、我が国に即した制度を作り上げていくことが今後の課題であろうと考えております。
  178. 沢たまき

    ○沢たまき君 次に、五枚目の資料です。アメリカの各種健康保険への加入の状況を示した資料を見ていただきたいと思います。  アメリカでは保険の種類が多岐にわたっていますが、種類によって保険の内容が異なっております。また、国民は、保険が任意での加入ですから、所得が低い人は給付の低い保険にしか入れません。しかも、勤め先が保険料負担する民間医療保険は会社の地位の高い人ほど良い医療が受けられる仕組みとなっています。一方、一般の労働者は制限の多い保険にしか加入はできません。  この先生の中で、廣瀬さんの中で、ドライブスルー出産というのがありました。ぱっと産んでその日のうちにもう帰ってきちゃうんだそうですが、ドライブスルー出産といって、だからといって母体がどのくらい影響があるかというのもありましょうが、どうも私は何なんだろうという気がしておりますが。日本の場合は、保険に加入していれば、会社の社長も労働者も同じ医療を受け、また小泉総理大臣も一庶民も保険証一枚で同じ医療が受けられるという仕組みで、私は大変すばらしいと思っております。WHOもこのことを高く評価しているのではないでしょうかね。  坂口大臣に、こうした日米の医療保険制度の違いを踏まえて、さっきはもう本当にアメリカは絶対だとおっしゃっていましたから、もうこの御意見は聞かないでよろしいと思います。私はこの例をるる引きました。  じゃ、済みませんが次に行かせていただきます。坂口労働大臣に伺いたいと思ったんですが、学ぶことはないとおっしゃっていましたから、伺わないことにいたします。  アメリカは無保険者が四千四百万人も存在していることが医療制度の混乱を引き起こしております。世界一の経済大国としてのプライドから、見過ごすことができないと過去数回にわたって皆保険制度に挑戦してまいりました。一九七〇年のエドワード・ケネディ上院議員が提案し、それに対抗したニクソン大統領の提案など、数々の提案がなされました。また、先ほど宮崎先生がおっしゃったように、クリントン大統領がヒラリー夫人とともに懸命のキャンペーンを展開したにもかかわらず実現できなかったことは記憶に新しいところでございます。  これに対して我が国では、一九三八年に厚生省が発足し、それと期を同じくして国民健康保険制度が創設されました。当時は任意加入の制度として発足いたしましたが、戦後の混乱期を経て、一九六一年には国民健康保険が全国民をカバーし、これにより国民保険制度が達成されました。国民健康保険が自営業の方のほか高齢者あるいは無職の方々など様々な人を引き受けることによって、言い換えれば皆保険の受皿となることで国民保険は維持されていると言えます。  しかし、今日、産業構造の変化とか高齢化等により国民健康保険の運営は極めて厳しい状況にあります。しかし、国民健康保険の安定なくして皆保険の安定はありません。国民健康保険を守ることは国民保険を守ることであり、これは厚生省の発足にかかわる基本政策であるという認識を持って厚生労働省としてはこの問題に取り組んでいただきたいと思っております。  そこで、今回の法案では国民健康保険について幾つかの対策が盛り込まれておりますが、国民健康保険の基盤強化の観点から今回の法案をどのように位置付けておられるのか、お伺いをいたします。
  179. 大塚義治

    政府参考人(大塚義治君) 正におっしゃいますように、我が国の国民保険というものが我が国医療制度の根幹の一つであるとするならば、それを支えておりますのが、最後のとりでとして支えておりますのが国保でございますし、それだけに市町村に大変な御苦労をお掛けしておるわけでございますが、逆に苦しいからといってこの国民健康保険を放棄するわけにはいかないわけでございまして、最大の我が国の医療保険制度における課題であることはおっしゃるとおりであろうと思っております。  その背景には、最後のとりでであるだけに、無職者あるいは低所得者の方も加入されるわけでございますし、地域的に申しますと、産業構造や過疎化の進展で小規模な保険者が増えていくと。両面から大変厳しい運営を強いられていることは我々も十分認識をしておるわけでございます。  今回の法案の改正におきましても、こうした課題に対応するということで何点かお話しのように改革を盛り込んでおりますけれども、一つには、低所得者を多く抱えるという状況がございますので、低所得者の人数に応じて財政支援制度を創設する、従来から保険基盤安定制度というものもございましたけれども、それを発展的に強化するという内容を踏まえまして、低所得者を多く抱える市町村国保を財政支援する制度を創設する。また、広域化を進める、あるいは広域的な一種の財政調整と申しましょうか、その機能を強化するという観点から、市町村国保の広域化等を支援する基金を創設をすることといたしました。また、財政調整という言葉が適当かどうか分かりませんけれども、高額な医療費負担を都道府県単位で調整をする高額医療費共同事業、これも従来施策として実施をしておりましたけれども、それを拡充し、制度化を図るといった基盤強化策を盛り込んでいるところでございます。  こうした施策によりまして国保の安定的運営に一定のめどを付けたいと、こう考えておるところでございますが、さらに基本的な問題としては、これまで大臣から御答弁ございましたように、医療保険制度全体の安定的な運営を図るという観点から、医療保険制度の体系の在り方に当然深くかかわる問題でございますから、これについて検討を進めて、その方向を見出していきたいというのが現在の状況でございます。
  180. 沢たまき

    ○沢たまき君 財力的にもあれだけの国力のあるアメリカにおいて皆保険制度の創設がままならないことは、いかに相互扶助に基づく皆保険制度の堅持が難しいかというのが理解できると思います。  いずれにいたしましても、今までるる申し上げましたけれども、抜本改革といっても、まずは我が国の医療保険制度を正しく認識することから始まるんだと思います。その上で、どう抜本改革していくべきかが大事なんだろうと思います。そうでなければ、幾ら説明しても皆さんに御理解はいただけないのではないかと思います。正に、我が国の医療制度は抜本改革に向けてスタートしているわけです。しかも、WHOが世界一と評価している医療保険制度国民保険制度という仕組みによって支えられていることが明白なわけであります。  経済財政諮問会議の民間議員の意見書が、国民の皆さんに対する説明責任を果たすべきだと指摘されているように、具体的な事項の説明責任は当然といたしましても、まず基本的な皆保険制度が果たしている役割を御理解いただくことが最も必要な説明ではなかろうかと思いますが、いかがでしょうか。  いつでもどこでもだれでも保険証一枚で医療を適切な負担で受けることができる皆保険制度の堅持は最善の政策であること、またそのための本法案の改正であることを御理解いただくために全力を尽くすべきであると思っております。  厚生労働大臣の御所見を伺って、るる伺いましたからそういうふうに思いますが、先ほどちょっと私も申し上げましたけれども、大変分かりやすい、この法案が通った後の前後も、試案のように、難しいことでもなく、雑誌ではなく、一枚のポスターでばあっと分かりやすいキャッチフレーズで皆さんに安心していただく。今るる私が申し上げましたのは、この制度が大変すばらしいんだということをいかに国民の皆さんに分かっていただくかというのでアメリカの例とかいろいろ引っ張ったわけでございますが、大臣の御所見を伺わせていただきたいと思います。
  181. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 日本医療制度につきましては、先ほどからお触れをいただきましたとおり、公的皆保険制度が現在も順調に推移をいたしておりますし、これからもこの公的皆保険制度を継続をしていくということが国民皆さん方に一番安心感を与える問題であるというふうに思っております。  そして、もう一つは、よくフリーアクセスというふうに言われますけれども、どういう病院を選ぶかという、患者さんにその選択権が与えられている、そして一つの病院だけではなくて、心配ならば他の病院にまた行っていただくこともでき得るというこの制度は、ある面で無駄を生むことも事実でございますけれども、患者さんから見れば、そういう選択権があるということは大変安心のできる制度に私はなっているというふうに思っております。  しかし、中にはあちらにもこちらにも行かれて、そして毎日違うところへ行っておみえになるというような方も中にはそれはありますから、そこはある程度やはり御理解をいただかなければならない。  ある歯医者さん、歯科の先生にお聞きをした話でございますけれども、ある方が大きな袋をしょって、オオクニヌシノミコトのような袋をしょってやってきた。何ですかと言ったら、この中はすべて入れ歯ですと。あちらでも作り、こちらでも作り、たくさん作ったのをしょってやってきたというようなお話を聞いたことがございますけれども、そこまで行きますと少し問題がございますから、そうしたことはできるだけ自重をしていただいて、そしてやはりここでというふうに思われ、信頼されるところで最初からしっかりと掛かっていただくということが大事ではないかというふうに思っているわけでございますけれども。  そういう、この制度というものは今後継続をしていくのだ、その大前提の上に立って、皆さん方に、こういうところを無駄がありますからここは更に無駄を省いていきます、医療の質としてここに問題点がありますから、もう少し例えば情報開示をしますとか、いろいろの点で患者皆さん方におこたえをするところはいたしますといったようなところを申し上げながら、しかし御負担をいただくところは、軽い御病気の方は、これだけの御病気はひとつこれだけの御負担をしてくださいということを素直にやはり発言をして、そして御理解をいただかなければならないというふうに思います。  なかなか複雑な体制になってでき上がっている医療でありますから、一枚のポスターですべてを言い尽くすというようなことはなかなか難しい至難の業ではございますけれども、そのぐらいな気持ちでやはり我々は国民皆さん方に御理解をいただきやすいようなことを、そしてそこはうそ偽りのない真実の姿をさらけ出して御説明を申し上げることが一番大事ではないかと思っている次第でございます。
  182. 沢たまき

    ○沢たまき君 ありがとうございました。  では次に、増進法に関して伺います。  この法律案は生活習慣病対策としての一次予防に重点を置いて、国民一人一人が生活習慣の改善に取り組み、社会全体としてこれを支援していくことによって生涯にわたる国民の健康の増進を図ろうとするものと思っております。生涯を通じて元気でありたいと思う気持ちは、私も皆さんも変わることはないと思います。今回の健康増進法案は、この点に初めて取り組もうとする法律ということで大きな期待をしております。  さて、一言で健康と言いましても、健康というのはWHOの定義をまつまでもなく、総合的にとらえていく必要があるのは言うまでもありません。人間は、体が病めば気持ちも沈みがちになりますし、逆にストレスなどによって精神的に苦しむことで体の病につながってしまうこともあります。したがって、国民の健康づくりを進めていくためには、単に身体的健康の実現にとどまらず、心身のあらゆる面での良好な状態にあることを目指さなければならないと思います。この点については、健康増進法におきましても、運動と栄養という言わば物理的な側面ではなく、休養という心の健康づくりに欠かせないことも、事項についてもきちんと位置付けをしており、ここのところも評価をしているところでございます。  しかしながら、この方面の取組はまだまだ不十分であるとも感じております。  一つには、対策の基礎となる研究成果の蓄積がまだ不十分であることがあるんではないでしょうか。確かに、休養とか心の健康づくりとかいった分野の研究は非常に難しい面があるのは事実ですが、健康という課題を総合的に実現していくためには是非休養とか心の健康づくりについての更なる研究を進めていただきたいと思います。  この研究に当たっては、この週末、いろんなところに視察に行ってまいりましたけれども、是非とも厚生省と文化庁と連携をして研究をしていただきたい。医療現場は治すところですのでなかなか研究ができないと、精神科の病院を昨日伺って、そう言われてまいりました。  また、西洋医学だけではなくて、東洋医学的な観点も取り入れていただきたいと思います。例えば、広く使われております食事療法、漢方薬にいたしましても歴史の積み重ねの中で作り上げてきたものですし、最近では私は、音楽療法というのも患者さんの心身の症状を和らげて治療や健康づくりに役立つ、こういう話も聞いております。  これらの点も含めまして、休養、心の健康づくりについての研究、これを是非推進していくべきだと思っておりますが、いかがでございましょうか、お考えを伺いたいと思います。
  183. 下田智久

    政府参考人(下田智久君) 健康づくりを進めていくためには、委員御指摘のように、単に体の健康だけにとどまらず、精神を含めました健康を総合的にとらえて実施していくということが重要であるというふうに考えております。  このような観点から、平成十二年から厚生労働省として進めております健康日本21というのがございますが、その中で休養と心の健康づくりというものが重要な柱の一つとして取り上げていることは御指摘のとおりでございます。今回お願いをいたしております健康増進法案の中におきましても、厚生労働大臣が定めることといたしております基本方針の中に休養の重要性等について盛り込むことといたしておるところでございます。  また、御指摘のように、この休養それから心の健康、こういった分野の研究につきましてはまだまだ蓄積が不足をいたしておりまして、そういった研究をより一層深めていく必要があるわけでありまして、例えばただいま御指摘の音楽による健康増進の効果、こういったものも関係する省庁等とも連携しながら研究を進めていきたいと思っておりますし、厚生労働科学研究費がございますので、こういったもの等も活用しながら一層進めてまいりたいと、こう考えておるところでございます。
  184. 沢たまき

    ○沢たまき君 よろしくお願いいたします。是非この心の健康についての研究を進めていただきたいと思っております。  ところで、現代の西洋医学を中心に発展してきた医療水準の向上、医療技術の発展は目をみはるべきものがあるのですが、予防医学という面では東洋医学に見習うべき点も多いように思います。食事療法やあるいは漢方薬による体質の改善、これらは東洋の文化でありますし、東洋の歴史の積み重ねでもあります。  本法律案は予防に重点を置いたものでありますので、洋の東西を問わず、いいものは積極的に取り入れて、坂口大臣のライフワークであります、伺っておりますが、予防医学を推進して、国民が心身ともに健康を保持増進できる体制を作っていただければと思っております。  ここで私、坂口大臣の著書であります「タケノコ医者」の中で大変にこれだと私も思ったので、ちょっとこれ、予防医学の中の点数ですね、この項目に「「予防」に保険点数を!」という項目がございました。   日本医療の基盤は「健康保険制度」にある。ところが「健康保険」は、健康のために活かされているか。活かされてはいない。病気になった時に使う「疾病保険」になっている。健康保険は名前だけになっているのが実状だ。   もっと健康を保つために、予防医学の分野でも使えるようにしなければいけない。   たとえば、治療の範囲のなかでも、これをやれば治療を少なくできる、医療費を軽減できるといったところに、もっと保険点数をつけて、医療従事者がそこに専念できるようにしなければいけない。   現実はそうではなくて、 というのがありました。  昭和大学病院の出浦先生のお訴えがここに書いてありました。人工透析をしている人がたくさんいる、年間一人五百万円から六百万円掛かる、とにかく保険の点数がべらぼうに高い、慢性腎炎のときに食事療法をしっかりやれば腎透析をやらずに済む人がたくさんいると書いてあります。   「しかし、食事療法に対しては保険点数が、あまりにもついていない。だから臨床の現場で、この食事療法を患者さんにすすめる医者が、ほとんどいないのです。透析保険点数が高いので、まだしなくてもいいような患者にまで透析をしてしまう。結果的に、透析を受ける人がどんどん増えている。診療報酬点数は矛盾している」   「おお、なるほど」   同感だった。 というふうに書いてあります。  保険点数の見直し、これ医療が一点十円の保険点数が、これも予防の方に点数を一杯付けることができないのかなと、私もそのとおりだなと思ったんですが、生活習慣病の予防についての診療報酬上の評価をもっと充実していくべきだと考えますが、いかがでございましょうか。
  185. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 私の発言を引いていただいて恐縮でございますが、生活習慣病というふうに言いましたときには、これはかなり長い経過を取るわけでございます。一年や二年でできるわけではございませんで、十年、二十年という長い積み重ねの中で生活習慣病というのはでき上がってくる。そうしたものに対しましてどうするかということはなかなか、この部分は保険点数でなかなか難しい面がございます。  ただ、その生活指導といったことを医師がもっとやりやすいような形にはしなければならないだろうというふうに思っておりまして、今回の改正におきましても、生活習慣病等のこの指導につきましての点数をアップしたところでございます。やはり、そうした生活指導あるいは運動指導、食事指導といったことも入ってくるというふうに思いますけれども、そうした面をより積極的に医療側が行えるようにしてあげるということは非常に大事なことだというふうに思っておりますが、そうしたことの積み重ねが生活習慣病を形成するかしないかということに将来大きく影響してくることは事実だというふうに思っております。  そうした意味での取組というのは、私は保険点数上も是非必要だというふうに考えておりますが、病気そのものは非常に長期にわたるものでございますから、そうしたことになかなか、この病気を作らないようにするためにどうするかというようなことに、なかなか一遍にはいかない、長い経過の中でこれは観察をしていかなければならない問題であるというふうに思っている次第でございます。  確かに、もう少し予防の方に力点を置くことができないのかということは、私は率直にあるというふうに思っております。しかし、そこを保険点数としてどう評価するかということはなかなか難しい問題が付きまとうことも事実でございます。ややもいたしますと、それによって医療費を非常に高騰させるということもあり得るわけでございますので、そこのところに十分配慮をしながら、しかしこの疾病を非常に軽い段階のところでとどめ得るための努力というのは、これは是非していかなければならないというふうに思います。  人生八十年時代が今や人生九十年時代というふうになってまいりましたし、そして人口統計の統計によりますと、今年生まれた女性、女の赤ちゃんの二十人に一人は百歳まで生きるということだそうでございますから、将来におきましては人生百歳時代というのが待ち受けている、そうしたことを考えますと、これから先の慢性の疾患、生活習慣病をどう取り扱っていくかといったことにつきましては大変大事な問題になってくるというふうに思います。  東洋医学につきましてもお触れになりましたが、がんにつきましては、がんセンターの先生方を中心にしまして、代替医療と言うんでしょうかね、代替医療ということで、今まで余り西洋医学では顧みられなかった東洋医学的な治療方法等について、それがどれだけ効果があるものかといったことについての研究を現在していただいているところでございまして、一部におきましては、そのもう治療結果が出ているわけでございます。  ややもいたしますと、西洋医学以外のものは拒否と言うと少し言葉は過ぎますけれども、受け入れ難いような雰囲気があった中で、その代替医療と言われております分野につきましても研究のメスが入ってきたことは大変好ましいことだというふうに思っております。  これはがん以外のことにつきましても、そうした問題はやはり謙虚に取り組んでいかなければならないというふうに思っておりまして、もう少し幅広い分野で、がんだけではない広い分野でその代替医療の問題に目を向けてほしいということを今、省内でも申しているところでございます。
  186. 沢たまき

    ○沢たまき君 ありがとうございました。  次に、国民の健康づくりにおける地方公共団体の役割についてちょっと伺いたいと思います。  休養とか心の健康づくりも非常に大切であります。そのための研究についても更に推進していくとの御答弁をいただきました。また、そして予防医学についても東洋医学についても大変すばらしい御答弁をいただき、ありがとうございました。  研究が進んで科学的な根拠が明らかになったとしても、それを実際に個人が自分の健康づくりに結び付けていかなければ意味がないわけでありまして、健康づくりのためにはまず自らの健康状況、生活習慣を把握して、そして改善のための目標を立てていくことが重要だと思いますが、これを一人で個人だけで行うのは難しいものがありますので、やはり地方公共団体といいましょうか、地域社会の支援が、社会全体の支援が不可欠でございます。  特に、私は住民に身近な存在である地方公共団体の支援がとても大切だと思うんですが、国民の健康づくりにおける地方公共団体の役割について、健康増進法についてはどのような位置付けをなさっているんでしょうか。
  187. 下田智久

    政府参考人(下田智久君) 健康増進法案では、国民の健康づくりを国、地方公共団体はもとより社会全体として関係者が連絡、協力をしながら支援をしていくというのが基本的な考え方でございますが、とりわけ住民の身近にある地方公共団体が果たします役割は極めて大きいもの、重要なものと考えておるところでございます。  こうしたことから、国の責務とともに地方公共団体の責務といたしまして、正しい知識の普及、研究の推進、あるいは人材の養成等を法律の中で位置付けておるところでございます。  また、地域によりまして抱えております健康上の課題は様々でございますし、またそれを取り巻きます社会資源、こういったものもいろんな形態があろうかと存じますので、そういったものをうまく活用し、計画を住民参加型で作っていくということが極めて重要だと考えております。  こうしたことから、この法案の中では、都道府県、市町村が策定をいたします健康づくりのための計画について法制化を図っておりますので、そうした地域に合った計画が策定される、その推進に役立つものと考えておるところでございます。
  188. 沢たまき

    ○沢たまき君 ちょっと時間がなくなりましたので、少し質問を飛ばさせていただいて、この法律案の第五章の特定給食施設についてちょっと伺わさせていただいて終わりにしたいと思います。  二十条で、特定給食施設の設置者は、都道府県知事に届出を行わなければならないとなっておりますが、この特定給食施設とはどのような施設を示すんでしょうか。また、こうした施設の実態はどのようになっているのか。  済みません、もう一つ質問を続けて言っちゃいますが、この特定給食施設の受給者というか、いろんな病院で受託をしますよね。学校とか病院とか介護施設などで食事について業者に委託する実態が多いようでございますが、この受託業者もこの特定給食施設に関する規定を受けるんでしょうか、どうでしょうか。  済みません、その質問で終わらせていただきます。
  189. 下田智久

    政府参考人(下田智久君) 健康増進法案におきます特定給食施設、これは栄養改善法に規定をしております集団給食施設の規定を直接的には引き継いでおるわけでございまして、具体的には、「特定かつ多数の者に対して継続的に食事を供給する施設のうち栄養管理が必要なものとして厚生労働省令で定めるものをいう。」というふうに規定をいたしております。これは現行の栄養改善法では、「継続的に一回百食以上又は一日二百五十食以上の食事を供給する施設」というふうにいたしておりまして、この規定をそのまま引き継ぐ予定といたしております。  なお、最後の受託業者についてのお尋ねでございます。この特定給食施設に関しましては幾つかの規定を設けておりますけれども、この部分については設置者に対しての規定でございまして、受託業者については該当しないということになっております。  したがいまして、外部委託を行っている場合でも健康増進法に規定をいたします特定給食施設の栄養管理基準に定める規定を守るという義務は施設の設置者に課せられると、こういうことになるわけでございます。  なお、今回、当該特定給食施設に対します指導を、指導あるいは助言、勧告・命令、立入検査といった規定を整備をいたしましたので、こういったことを生かしながら特定給食施設におきます適切な栄養管理の確保に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  190. 沢たまき

    ○沢たまき君 ありがとうございました。
  191. 阿部正俊

    委員長阿部正俊君) 本日の質疑はこの程度とし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時二分散会