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2002-10-03 第154回国会 参議院 決算委員会 閉会後第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年十月三日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十月二日     辞任         補欠選任      藤原 正司君     若林 秀樹君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中原  爽君     理 事                 岩井 國臣君                 佐々木知子君                 中島 啓雄君                 川橋 幸子君                 谷  博之君                 八田ひろ子君     委 員                 荒井 正吾君                 加治屋義人君                 柏村 武昭君                 北岡 秀二君                 田浦  直君                 藤井 基之君                 山本 一太君                 朝日 俊弘君                 池口 修次君                 海野  徹君                 神本美恵子君                 辻  泰弘君                 若林 秀樹君                 風間  昶君                 遠山 清彦君                 山本  保君                 大沢 辰美君                 岩本 荘太君                 広野ただし君    国務大臣        法務大臣     森山 眞弓君        文部科学大臣   遠山 敦子君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    谷垣 禎一君        国務大臣        (防災担当大臣) 鴻池 祥肇君    内閣官房長官        内閣官房長官  安倍 晋三君    副大臣        内閣府副大臣   伊藤 達也君        内閣府副大臣   根本  匠君        財務副大臣    谷口 隆義君        文部科学大臣  河村 建夫君        文部科学大臣  渡海紀三朗君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総長       堀籠 幸男君        最高裁判所事務        総局総務局長   中山 隆夫君        最高裁判所事務        総局経理局長   大谷 剛彦君        最高裁判所事務        総局家庭局長   安倍 嘉人君    事務局側        常任委員会専門        員        島原  勉君    政府参考人        内閣官房内閣参        事官       井上  進君        内閣府政策統括        官        小平 信因君        警察庁長官官房        長        吉村 博人君        警察庁交通局長  属  憲夫君        法務省民事局長  房村 精一君        法務省刑事局長  樋渡 利秋君        法務省矯正局長  中井 憲治君        法務省入国管理        局長       増田 暢也君        外務大臣官房文        化交流部長    糠澤 和夫君        外務省アジア大        洋州局長     田中  均君        外務省条約局長  林  景一君        文部科学省生涯        学習政策局長   近藤 信司君        文部科学省初等        中等教育局長   矢野 重典君        文部科学省高等        教育局長     工藤 智規君        文部科学省研究        開発局長     白川 哲久君        文化庁次長    銭谷 眞美君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    上田  茂君    説明員        会計検査院事務        総局第一局長   石野 秀世君        会計検査院事務        総局第四局長   重松 博之君     ─────────────   本日の会議に付した案件平成十一年度一般会計歳入歳出決算平成十一  年度特別会計歳入歳出決算平成十一年度国税  収納金整理資金受払計算書平成十一年度政府  関係機関決算書(第百五十一回国会内閣提出)  (継続案件) ○平成十一年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第百五十一回国会内閣提出)(継続案件) ○平成十一年度国有財産無償貸付状況計算書(  第百五十一回国会内閣提出)(継続案件) ○平成十二年度一般会計歳入歳出決算平成十二  年度特別会計歳入歳出決算平成十二年度国税  収納金整理資金受払計算書平成十二年度政府  関係機関決算書内閣提出) ○平成十二年度国有財産増減及び現在額総計算書  (内閣提出) ○平成十二年度国有財産無償貸付状況計算書(  内閣提出)     ─────────────
  2. 中原爽

    委員長中原爽君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  この際、谷垣国家公安委員会委員長及び鴻池防災担当大臣から発言を求められておりますので、これを許します。谷垣国家公安委員会委員長
  3. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) このたび、国家公安委員会委員長及び食品安全委員会、これは仮称でございますが、等担当大臣を拝命いたしました谷垣禎一でございます。決算委員会の冒頭に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げたいと存じます。  私が拝命いたしましたこの二つの仕事は、いずれも国民生活の安全、安心に非常に深くかかわっているものでございますが、最近の治安情勢を見ますと年々厳しさを増しており、昨年の刑法犯認知件数は二百七十三万六千件と過去最も多くなっております。質的にも、来日外国人による犯罪ハイテク犯罪の増加、銃器、薬物あるいは少年問題などに対しまして必要な手だてを講じなければならないことに加えまして、悲惨な交通事故の減少にも取り組む必要がございます。さらに、テロ対策、北朝鮮による拉致事件の解明にも力を入れていかなければならないと考えております。  このような厳しい情勢の中、国家公安委員長としては、地方警察官の増員を含めて努力をいたしましてこの体制を充実させるとともに、国民の信頼を得るため職員の綱紀を更に向上させるなど、警察改革の一層の推進努力する所存でございますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。  ありがとうございます。(拍手
  4. 中原爽

    委員長中原爽君) 引き続きまして、鴻池防災担当大臣
  5. 鴻池祥肇

    国務大臣鴻池祥肇君) このたび、内閣府の防災担当大臣を拝命いたしました鴻池祥肇でございます。併せて構造改革特区担当させていただくことと相なりました。  我が国は、その自然的条件から各種の災害が発生しやすい国土であることは御承知のとおりであります。特に、三宅島噴火災害については、一昨年九月四日の全島避難から二年一か月が経過しており、島民の方々は長期にわたる避難生活を余儀なくされておりますが、今なお本格復帰の帰島の見通しが立たない状況が続いておるのでございます。  このような中で、私といたしましては、国民の生命、身体、財産を守ることは国政の最重要課題認識をいたしております。防災担当という重責には身が引き締まる思いでございますけれども、職務に専念し、関係省庁と連携を図りながら、政府一体となって防災対策推進に取り組んでまいる所存でございます。  また、構造改革特区に関しましては、官から民へ、国から地方へという小泉内閣構造改革を更に加速させるため、一つの突破口となるものであります。国民構造改革の具体的な成果が見えるよう、大胆に取り組んでまいります。  委員長始め委員各位の御指導、御鞭撻を心よりお願いを申し上げます。  ありがとうございました。(拍手)     ─────────────
  6. 中原爽

    委員長中原爽君) 委員異動について御報告いたします。  昨二日、藤原正司君が委員を辞任され、その補欠として若林秀樹君が選任されました。     ─────────────
  7. 中原爽

    委員長中原爽君) 平成十一年度決算外二件及び平成十二年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、平成十一年度のうち、法務省、文部省、警察庁科学技術庁及び裁判所並びに平成十二年度のうち、法務省文部科学省警察庁及び裁判所決算について審査を行います。     ─────────────
  8. 中原爽

    委員長中原爽君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これら決算概要説明及び決算検査概要説明の聴取は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 中原爽

    委員長中原爽君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  速記を止めてください。    〔速記中止
  10. 中原爽

    委員長中原爽君) それでは速記を起こしてください。     ─────────────
  11. 中原爽

    委員長中原爽君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  12. 山本一太

    山本一太君 小泉総理改革もいよいよ正念場に差し掛かっております。今回、発足後初めての内閣改造で御留任になられた森山法務大臣、そして遠山文部科学大臣のますますの御活躍を、与党の国会議員として御期待を申し上げたいと思います。  さて、今日は質問の順番を変えまして、まず最初文部科学大臣の方に何問か伺っていきたいと思っております。  教育問題は、これは日本グランドデザインを考える上で国の根幹をなすものだというふうに考えておりますが、今回の改造で新たに二人の副大臣任命をされたということで、今日は河村大臣とそれから渡海大臣にも御出席をいただいているわけですけれども、教育問題については党内でもずっと熱心に取り組んでこられた河村大臣と、科学技術の鬼とも呼ばれた渡海大臣と、この二人の副大臣を得て、遠山大臣もさぞかし力強く思っておられることと思います。今日は副大臣二人、せっかく来ていただいたので、五問か六問、文部科学省関係質問をさしていただきますので、できればお二人からもどこかで御答弁をいただければというふうに考えております。  まず最初に、日本文化戦略について大臣にお伺いをしたいと存じます。  たしか今年の八月だったと思いますけれども、毎日新聞だったように記憶をしておりますが、文化庁が来年度、文化交流特使という制度を設けて、この文化交流特使世界各国派遣をする方針を固めたと、そういう報道があったように記憶をしております。たしかこの報道によれば、歌舞伎とか能といった日本伝統芸能分野のみならず、アニメーションのような世界的に非常に評価の高い分野も含めて、日本文化発信できるだろうと思われる分野専門家十数名だったと記憶をしておりますが、こういう方々文化交流特使任命をして世界各国派遣をし、その国で日本を知ってもらう活動に従事させると、こういうプランだったというふうに理解をさしていただいております。  従来、日本文化交流というと、現場でいうと各国大使館、あるいは外務省が所管しているジャパン・ファウンデーションですか、国際交流基金文化交流センターなどで日本に関するいろんな情報を提供をしたり、あるいは日本文化の紹介をしたり、日本語のたしか教室をやったり、大使館によっては日本映画を上映をしたりと、こういう形で文化交流をやってきたということなんですけれども、今回はそれに加えて、この文化交流特使に更にこの活動を強化してもらおうと。特に、各国にいる在留邦人にも十分協力をいただこう、そして今まではなかなか文化発信ができなかったアフリカとかあるいは東欧の方にも手を伸ばそうと、このような計画だというような報道があったやに記憶をしておりますけれども、大変私はこれを興味深く受け止めました。  最初に、文部大臣、副大臣でも結構ですが、このプランのもうちょっと詳細について御説明を賜れればと思います。
  13. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) 外交面にも大変お詳しく、また力強く日本外交について御推進いただいております山本先生からの最初の御質問が、文化についての国際的な、日本のこれまでの文化のいろんな蓄積を発信していったらどうかということについての力強いサポートのお話でございました。  今御指摘のように、文化交流使のような制度を作りまして、日本文化について、これまでは主として第一線の芸術家が各地に出向きまして、そして活躍していただくということであったわけでございますけれども、新たにそのことを強化いたしますのと同時に、海外に滞在する日本人文化人芸術家等によって自分専門分野を通じた日本文化に関する公開講座の開催などもしていただこうということで、日本文化発信についてきめ細かく、しかも人の顔が見える、そういう制度を作ろうではないかということで予算要求いたしております。これは、河合文化庁長官の肝いりの発案でございまして、私も大いに賛同いたしているところでございます。  派遣分野といたしましては、能楽あるいは歌舞伎といった伝統芸能だけではなくて、映画あるいはアニメーションなどのメディア芸術など、これは日本は幸いに世界でも群を抜いた実績を上げておりますので、そういった分野につきましても人材の派遣を考えているところでございます。この事業を実施いたしますために、平成十五年度概算要求におきまして二億三千万円の要求をいたしているところでございますが、是非ともできるだけこのアイデアが生きるように努力をしてまいりたいと思っております。
  14. 山本一太

    山本一太君 ありがとうございました。  大臣特撮変身ヒーロー物というのを御存じでしょうか、ちょっと唐突なんですけれども。それは、いわゆる円谷英二さんという名監督が日本におりまして、その方がこの特撮分野日本で初めて開拓をいたしました。その後、ウルトラマンとか仮面ライダーとか、こういったいわゆる子供たち向け番組特撮にその技術が大変生かされているということがございます。  何でこんなことを申し上げるかというと、私はこのいわゆる変身ヒーロー物みたいなものも一つ日本文化発信の材料になるのではないかという問題意識を持っております。  例えば「百獣戦隊ガオレンジャー」と、こういうことを国会で言うのは私が初めてかもしれませんが、という番組がずっと昨年までやっておりましたけれども、これは三歳から五歳ぐらいまでの子供たちの間の視聴率でいうと恐らく六〇%ぐらい行っていると。三歳から五歳ぐらいの子供たちの宝物は何ですかと聞くと、大体ガオレンジャーの人形だったりする。子供たちに対して圧倒的な発信力を持った番組なんです。  このガオレンジャーは、実はパワーレンジャーという名前を変えて20世紀フォックスとの契約でアメリカでも公開をされておりまして、戦うシーンは全部日本の公園なんですけれども、マスクを外すと全部アメリカ人という非常に不思議な番組にはなっているんですが、これがアメリカ子供たちの間で大変ヒットいたしました。  この何か変身物というもののストーリーとか、例えば自分名前を名のるというこういういろんな風習というか慣習の中に日本文化のエッセンスというのもかなり入っているということが研究の結果分かりまして、こういったものも一つアニメーションのようなものに加えて、文化交流特使になるかどうかは分かりませんが、是非御検討いただきたいなと思っております。  実は特撮にずっと興味があるものですから、近く特撮を応援する議員連盟も立ち上げようとしておりまして、この点について一言大臣の御感想をいただければと思います。
  15. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) 私もできるだけいろんな情報を集めているつもりでございましたけれども、やはり山本先生とはちょっと年代の差を感じたところでございます。確かに私も孫がそういうものに大変興味を持っているということで、若干フォローはさせていただいております。  でも、おっしゃるように、日本伝統文化、これはもう本当に様式美を誇るすばらしいものがございますけれども、それだけではなくて子供たちの心をつかむそういった幅広い分野、特に技術特写技術のようなものを使ったそういったものにおいて日本が非常な特色を持っているということは日本現代文化の誇るべきユニークさであろうかと思っております。是非ともそういう面につきましても広く目を配りながら、日本文化発信一つとして考えてまいりたいと思います。
  16. 山本一太

    山本一太君 ありがとうございました。  大臣がおっしゃった別の側面の新しい文化発信ということについて、もうちょっと掘り下げて御質問させていただきたいと思っております。  私は、日本伝統文化には非常に深みとそれから発信力があると思っております。それは能や歌舞伎のような伝統芸能もそうですし、お茶とかあるいはフラワーアレンジメントのような、花といった、生け花ですか、こういった芸術文化の中にはやはり日本人の英知といいますか、が一杯詰まっているといいますか、こういう伝統文化が持っている発信力というのは、これは大変貴重なものだというふうに思っております。  他方、今、大変注目されているのが、そこは頭の柔らかい大臣ですからいろいろフォローされていると思うんですけれども、日本のいわゆる若者文化発信力ということだと思います。いわゆるポップカルチャーと呼ばれているものです。例えば、日本アニメーションとかあるいは日本の漫画とか、あるいはJポップと呼ばれるいわゆる若者に人気のある音楽とか、あるいはファッションとか、そういったものが実は今東南アジア等においてはアメリカ文化すら席巻するのではないかというくらいの大きな影響力を及ぼしております。  私は、日韓関係をずっとやっておりまして、日韓若手議員交流をやっているんですけれども、最近やはり向こうの若者と会うと、SMAPとかを始めとして非常に日本のアーティストといいますか、ミュージシャンに興味を持っていたり、日本ファッション興味を持っていたりする人が非常に多いということを痛感をしております。このポップカルチャー発信ということをもう少し文化戦略の中できちっと位置付けたらどうかというふうに考えておりまして、既に文部科学省の方でもそういう認識の下に、恐らくこの文化交流特使の中にアニメーション分野等々も加えたんだと思うんですけれども。  外務政務次官だったころ、今から四年前に、東京であるイギリス人の青年に会いました。名前マークレナードといいます。このマークレナードというのが、トニー・ブレア政権の労働党のシンクタンク、外交政策センターの所長だということは非常に有名なんですけれども、彼が提唱した有名なコンセプトがありまして、これは英国のブランディングと呼ばれているんですけれども、簡単に言うと、イギリスの新しい面を発信しようと、新しい面を発信して、これを外交の力にしようという発想だというふうに理解をしていいと思います。  つまり、イギリスといえば、お城、ハイドパーク、歴史、王室。しかしマークレナードは、クール・ブリタニカという、格好いいイギリスというコンセプトを立てて、実はイギリスにはもっと違う面があると、ハイブリッド国家で非常に移民を受け入れる国だと、伝統は大事にするけれども実は静かな革命の国だと、こういうことをいろいろ発信しまして、これはイギリス外交イメージを大きく助けたということがありました。  私は、この文化交流特使というのもそういった問題意識の中から生まれたことではないかというふうに思っているんですが、その点について、この日本の新しい文化戦略、こういったポップカルチャーみたいなものもその文化戦略一つに加えていくということについて、大臣の御見解、あるいは副大臣でも結構なんですが、御意見をいただければと思います。
  17. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) 今お話しのように、特に東南アジアの国々では、日本の新たなポップカルチャーというんでしょうか、そういうものの浸透がもう本当に厚みを増してきていると思います。日本についてのいろんなイメージがあることに対して、若者たちはむしろ自分たち日本の持っているああいうカルチャーを身に付けたいというそういう意欲があるというふうに私どもも聞き及んでいるわけでございまして、これは日本にとって大変な力になると思っております。  文化というのは、文化戦略といいますか、その文化戦略というのは、いろいろ防衛の戦略とかいろいろな戦略の中でも非常に品が良く、しかし、本当に人の心をつかむという意味では国力の中の大きなものだと私は考えております。その意味で、先生がおっしゃったような新しい分野に光を注ぎながら、これはむしろ国が何とか音頭を取るよりも、恐らくもう民間の力でどんどん今広がっていると思いますけれども、この文化交流のための施設ができましたら、公の立場からもそういう分野の人を指名をしたりして、その分野が更に活発になっていくようにやってまいりたいと思います。  また、文化庁長官とも御相談しながら、そういう方向について前向きに検討をしていきたいと思っております。
  18. 山本一太

    山本一太君 ありがとうございました。  マークレナードは、日本に来て私と御飯を食べたいと言ってきました。マスコミの当時寵児だったマークレナードがそういうふうに言ってくれたので、大変うれしく思っていいレストランに招待したら彼女まで連れてきまして、彼女の分までごちそうしなければいけなかったということで、妻まで連れてこなければいけなかったんですけれども。この四人でいろいろわいわいやっている中でマークレナードが言っていたのは、やっぱり国家のプロデュースということが二十一世紀外交を決める大きな要素になるということでした。  彼は、当時、新しい時代のイギリスを代表する、例えばヴァージン・レコード、ヴァージン航空のブランソンとか、そういった何人かの新進気鋭人たちを集めてブレーン会議というのを主宰をしておりまして、私はこういうことを総理官邸が主導でやればいいと思っておりまして、そのときは恐らく文化庁外務省も全部入って、文化というのは戦略なのかという議論もあります、文化というものを国家戦略に位置付けていいのかどうかというのはありますけれども、やはり日本がこれから対外的ないろんな政策を考えていく中で、ODAという切り札がだんだんなくなっていきますから、やはり文化戦略ということも国の本当に政策の一環としてきちっと光を当てていくべきではないかというふうに思っております。  この点について、更に頭の柔らかい渡海大臣の御意見をいただきたいと思うんですけれども。
  19. 渡海紀三朗

    ○副大臣渡海紀三朗君) 実は、昨日就任をいたしまして、文化担当河村さんだというふうに大臣からは御指示をいただいたわけでありますが、一般論として、文化というのはある意味国家戦略というよりは国家の垣根を越えて広がっていく、そういったパワーを持っているのが文化ではないかというふうに思っております。  国家というのは様々な定義があるわけでありますし、国家のアイデンティティーをどこに求めるか、同時にこれからの日本国家というものをどんな国の形にしていくのか、これは大変大きな議論でありますけれども、そのことをしっかりする上でも、やはり日本発文化日本発日本発信ですね、先ほどのお言葉をかりれば、そういったものをしっかりとまず醸成をし、国際交流を通じてその中からしっかりとした文化発信を行う。同時に、やはり相手国の文化もしっかり受け入れる、そういう環境をやっぱり作っていくのが政府の責任であり、私はそういったことに関して文部科学省としても文化行政で取り組んでいかなければいけない、突然の御質問でございましたので、私見でございますけれども、そういうふうに考えておるところでございます。
  20. 山本一太

    山本一太君 河村大臣外交政策も文部行政も、しかも日韓関係もずっと御熱心にやっておられるんですけれども、アジアの国にも大変お詳しいわけなんですが、文化というものを国家のプロデュースの材料として使う、イメージ発信として使うということについてはどうお考えか、ちょっと事前通告ありませんがお願いして、ちょっと御意見伺いたいと思います。
  21. 河村建夫

    ○副大臣河村建夫君) 初答弁が文化ということでございまして、光栄でございます。  山本先生日韓関係を始め、特に若い層の皆さんとお付き合いを十分やっておられます。私も日韓議連の世話をさせていただきながら、それから今、渡海大臣も述べられましたように、やっぱり我々が考えていた以上に文化の方が先に行くんですね。どんどん行ってしまう。だから私は、これをしっかり国が後押しをしていくということは、これからの外交戦略、あるいは例えば日中、日韓の関係においても非常に大きな意義を持つというふうに考えております。  と同時に、例えばアニメを通して、新しいものと同時に、新しい中に日本伝統というものを知らせる。例えば、「千と千尋の神隠し」あるいは「ハリー・ポッター」が出ました。「ハリー・ポッター」を見ていると、正にイギリス伝統文化があるんですね、あの中に。あれだけの新しい撮影をしながらも城が出てきて、ある。それから、日本の千と千尋はよろずの神様が出てくる。  こういう日本の昔からの文化、そういうものを知らしめる意味でもやっぱり相互理解の上で非常に私は意義があると思いますので、今いろいろ御指摘あった点を踏まえて、積極的にといいますか、しっかり、政府が前に出るというよりも、民間がどんどん進むやつをしっかり後押しをしていくということは私も非常に大事なことだろうというふうに思いますし、我々の議員外交もそういうところにあるんではないかと、こう思っておりますので、よろしくひとつお願いしたいと思います。
  22. 山本一太

    山本一太君 突然の質問で、大変御無礼を申し上げました。  決算委員会ですからちょっと数字のこともお聞きしたいと思うんですけれども、文化行政について、ちょっと文化関係予算を今日持ってきたんですが、これ、文化関係予算という面から日本文化行政を国際的に比較してみますと、フランスは、まあこれは文化大国ということなんですけれども、九九年度三千三十七億円、国家予算に占める割合が大体一%ぐらいだと思います。同じ年度、九九年度のイギリスを見ると千五百八十一億円で、これが大体〇・四%ぐらいでしょうか。これに対して、我が国においては二〇〇一年度が九百九億円、これ、国家予算に占める割合を見ますと〇・一%ちょっとということで、やや後れを取ってきているように思います。  今回御検討されているこの文化特使、さっき大臣の方から二億円ちょっとというようなお話、二・三億円か何かですか、四億円か、そんなようなお話があったように記憶をしておりますけれども、予算面で今後の我が国の文化関係予算を、これをどういうふうに考えているか、どうやって増やしていくか、ここら辺についてはいかがでしょうか。
  23. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) 確かに文化の重要性に比べまして予算額は必ずしも十分でないといいますか、私も文化庁関係、仕事をやらせていただきましたが、毎回同じような論を展開いたしまして、各国の数字に比して我が国はというようなことでいろいろ努力をしてまいっております。  少なくとも来年度は、一千億を超えて、うん、大きく増えたなというふうに国民の皆さんも思っていただけるような結果を導きたいと思っておりまして、来年度概算要求におきましては前年度に比べて百七十二億円増、これは一七・五%増でございます、要求段階で、総額一千百五十七億円を要求いたしております。  この中では、本年度創設いたしました文化芸術創造プランを引き続き推進いたしますとともに、今、伝統文化から現代メディア芸術まで、日本文化の魅力を改めて発見して、これを広く世界発信していくための「日本文化の魅力」発見・発信プランというものを創設することを要求いたしているところでございます。  単純な各国間の文化予算の比較というのはなかなか難しい面もございますけれども、しかし日本にとっての国力の大きな一つである文化につきましてより充実したものとなりますように私どもとしても是非努力をしてまいりたい思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  24. 山本一太

    山本一太君 ありがとうございました。これからのキーワードは私は文化発信だと思っておりますので、是非大臣のリーダーシップでこういう面においてもしっかり予算が増えるように頑張っていただきたいと思います。  さて、文化関係はこのぐらいにいたしまして、国立大学の行政法人化の問題について何問かお尋ねをさせていただきたいと思います。  これも資料を持ってきたんですが、今我が国には大体六百七十ぐらいの大学があって、国公立大学が百七十ちょっとということでなっております。今、文科省では十二年の七月から独法化、独立行政法人制度の下における国立大学等の法人化の検討を進めておられるということなんですけれども、まず、法人化にはいろいろ議論がありましたが、現段階でのこの検討内容の概要、課題についてちょっと簡潔にまず一言いただければと思います。
  25. 河村建夫

    ○副大臣河村建夫君) 御指摘の点でございますが、昨年六月に国立大学の再編統合、また国立大学の法人化の問題、さらに第三者評価に基づく競争原理の導入と、この三つの政策を打ち出しまして、いわゆる国立大学の構造改革の方針、こういう指摘を打ち出してきておるわけでございます。そして、これによって各大学も前向きに取り組もうという流れが今できてきておるわけでございまして、いずれにいたしましても、特に国立大学がこれまで文部科学省の中にどっぷりつかっていて、正におんぶにだっこな状況から離れて、そして国際競争力を持つということが非常に大きな課題になってきておるわけでございまして、このようにしていってもらいたいという強い願いからこのような方針を打ち出したところでございます。  その結果、現在、法人化の進捗状況でございますが、本年三月にこのための調査検討会議から提言が出ておりまして、国立大学協会あるいは関係省庁の御理解、御協力、これもいただきながら文部科学省としても全省的な検討段階に今入っておりますが、具体的な制度設計について今詰めをやっておるところでございますが、いずれにしても、平成十六年四月を目途に国立大学法人へ移行することを予定にいたしておるところでございまして、その正に法案を次の通常国会にということで今考えておるわけでございます。  また、国立大学の再編統合についても、各大学もこのいろんな枠にとらわれずに検討いたしておるようなわけでございまして、平成十五年度だけでも十組二十大学が考えておりますし、この十月には二組の統合が今できようといたしておるわけでございます。あるいは、大学間同士での統合なんかも考えているようなところもあるようでございますが、このようなわけで、各大学とも緊張感を持ってこの問題に取り組んでおる状況でございます。
  26. 山本一太

    山本一太君 今のお話伺っても、国立大学の独法化、かなり早く進んでいるというような感じがいたしまして、これ恐らく現政権の構造改革の中でも相当に進捗のいい分野だと思うんですね。今までではとても考えられなかったようなペースでこの独法化とか再編が進んでいる、この点については是非文部科学省としてもこの構造改革の成果としてもっと強力にアピールしていただければいいんじゃないかと常々思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  それと、これ見ますと、構造改革の方針というのをちょっと持ってきたんですが、これ十三年の六月に発表されたこの構造改革の中で、国公私立のトップ30を世界水準に育成するというのがうたわれておりまして、私はこれに大変興味を持っておるんですけれども、これはどういうふうに選んでどう育成していくのか、この内容について御答弁をいただければと思います。大臣でも副大臣でもどなたでも結構です。
  27. 工藤智規

    政府参考人(工藤智規君) トップ30と打ち出しましたのは、先ほど先生御指摘のように、日本で六百当時で言えば七十ほどの国公私の大学がある中で、その五%ぐらい、結構それぞれに活躍していらっしゃるわけでございますけれども、もう少し重点的な支援をしながら更にその先を目指していただきたいという思いを込めたものでございます。  これは、本年度の予算に百八十二億の予算を予定してございまして、省内で役人が選考するということではございませんで、文部科学省の外に江崎玲於奈先生委員長とする委員会を設置していただきまして、そこで国公私の大学関係者、それから企業あるいは言論界等の学識経験者も御参加をいただきながら、学問分野全体を大くくりに十分野のうち五分野を今年対象にしながら御選考をさせていただいていたところでございます。  本日の朝刊各紙に載っておりますように、大変多くの大学に御参加賜りまして厳正、大変絞るのに苦労したとお聞きしてございますけれども、結果的にそれぞれの分野で優れた実績のあるところ、あるいはポテンシャルのある大学が選考されているのではないかと思いますが、他方、初めての試みでございますので、いわゆるトップと目されている大学でも落ちこぼれ、漏れたプログラムがあるようでございますし、残念ながらその選に漏れたけれどももうちょっと枠があれば後押ししたいなという件もあったように聞いてございますので、これの総括をしながら、今後更に同じように一層の充実を図りながら重点支援に努めてまいりたいと思っております。
  28. 山本一太

    山本一太君 大臣、私、このトップ三十を世界水準にするってすごくいいと思うんですね。こういうのがやっぱり今、日本に必要なんじゃないかと思うんです。こういう目に見える、何か国民が夢を持てるような、やっぱり日本は捨てたものじゃないと思えるような目標が求められているので、これは私すごくいいと思うんですが、トップ三十を選ぶのに大変苦労したということなんですけれども、世界水準というのはどういう基準で選ぶのか。世界共通試験というのがあるわけでもないんでしょうが、これは例えばこの分野において世界研究の拠点になっているとか、多分そんなことだと思うんですが、それは何で選ぶのか。  例えば「ネーチャー」みたいな学術誌に何回載ったとか、どのぐらいいい論文を発表したかとか、あるいはノーベル賞学者を何人出すとか、そういうところはどういう基準で考えておられるのか、お答えを、どなたでも結構ですがいただきたいと思います。
  29. 工藤智規

    政府参考人(工藤智規君) これはそれぞれの関係分野で評価指標、おのずから異なるのは先生も御承知のとおりでございますが、そのために、共通的に応募される大学にお示ししてございますのは、研究成果についての実績の状況、それから教員等の流動性の状況、大学院学生に対する教育の状況、産業界や地方自治体等との連携協力の状況などなど、幾つかのメルクマールがありまして、我と思わんところは自分を売り込んでくださいと。  そのうち、一番最初に申しました研究成果の状況につきましては、評価の高い論文誌への発表の状況でございますとか、その論文の被引用数といいましょうかサイテーションの状況、あるいは特許の取得、実施状況などなど、それぞれの分野で特異性がございますけれども、例えばアメリカで盛んに行われておりますISI社のサイテーションインデックスなどによりますと、いろんな分野日本の大学、それなりに頑張っていらっしゃるという実績もあるわけでございますので、そういう状況なども参考にしながら審査されたと思ってございます。
  30. 山本一太

    山本一太君 同じような問題意識でもう一つちょっとお聞きしたいと思うんですが、今、小泉内閣改革の哲学の一つの柱は、いわゆる日本を結果平等の社会から機会平等の社会へ変えていく、つまり弱い部分についてはしっかりセーフティーネットを掛けるけれども、社会に健全な競争原理を導入しようということだというふうに理解をしております。  その意味でいうと、教育分野においては一つ機会平等でない私は傾向があるような気がしてなりません。それはどういうことかといいますと、例えばいわゆる学歴社会というものは随分変質をしておりますし、別に東京大学法学部に行った人材が社会で活用するという、そういう前提も崩れておりますけれども、例えば東大に進学する子供の、学生の家庭の収入を見ると、六割、七割以上が例えば年収一千万、二千万以上だとか、そういう状況がある。それはどういうことかというと、やはり子供のころから塾に通わせたり、いい大学に入れるために、あるいは余分にいろんなお金を掛けて勉強させたりする、こういうやはり家庭の子弟がどうもいい学校に入れるような、ちょっと機会平等と違う状況が現出しているような気がしてなりません。  これは恐らく地域の学校が公立学校も含めて非常にレベルが上がれば、塾を否定するものではありませんけれども、余分な補習をしたり、塾に行ったりして遠くの学校に行かなくても、地元にある、あるいは公立の学校に行けば十分機会平等のレベルに達することができるということであればこういうことは私は起こらないんじゃないかと思っているんですけれども、こういう点について大臣問題意識はどういうものか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  31. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) 今、山本委員がおっしゃった正にそのことを追求いたしております。  これは、一つは、この四月から新しい学習指導要領、カリキュラムの基準が各学校において実施に移されております。そのねらいというのは、正に先生のおっしゃったようなことも含んでいるわけでございまして、簡単に申しますと、これは一人一人の子供たちがその習熟の程度に応じてきめ細かい教育を受けることができるというのが一点ございます。そして、私としては、正に公教育、これは何も公立学校だけではなくて私立学校も含むわけでございますが、学校においてしっかりとカリキュラムが組まれ、そこで勉強すれば、もうそこで十分上級学校に行ける力を持てる、そういうことをすることによって公教育への信頼を高めていくということが一番ポイントだと思っております。  その角度から、これまでは、山本委員が御指摘のとおり、どちらかといいますと、クラスの中でも真ん中ぐらいの子供たちを相手に授業が展開されていて、どちらかといえば受け身的な授業であったものを、そうすると伸びる子も伸びないわけですし、理解の遅い子も置いてきぼりにされてしまう。そういうことではなくて、習熟の程度に応じて、教科によってはグループ別にして指導をしていく、そういう習熟度別の学習をやるとか、あるいはもっと体験的な授業を取り入れて、本当に自分で納得して知識を理解する、理解して知識にするという、そういう新たな学習の在り方への転換を今図っております。それを通じて、きちんと学校に通ってしっかりした指導を受けていけば、それでもう十分子供たちが将来たくましく生き抜いていく力を持つことができる、そういう安心感を与えていくというのが私の一番の、大きな行政の何といいますか、目標であると考えております。  そのようなことから、先般、人間力戦略というのを発表いたしました。これは新世紀を切り開くたくましい日本人を育成しようということで施策を集合したものでございますが、それは、これまでは小学校、中学校はどうあったらいいか、高校はどうあったらいいか、大学はどうあったらいいかということで、ばらばらに政策が立てられていたんですけれども、一人の子供を考えれば、いろんな学校体系を通過して、そして社会に出て本当に力を発揮するわけですね。そのときに、じゃどういうふうにそれぞれの学校段階の教育者たちが何をねらいにしてどういう機能を発揮してもらったらいいかというようなことを考えて、そして大局的な見地を持って、それを背景にしながら具体的な授業に当たっていただくというふうなことをねらいとした戦略を作ったわけでございますが、その思想に流れるものも、山本委員がおっしゃいましたような、公教育への信頼回復と、それらを通じての子供たち一人一人がそれぞれの能力、適性に応じてきめ細かく指導されていく、そういう教育の在り方というものをねらいとしているわけでございます。  ですから、一言で申せば、先生の今御指摘のような方向に向けて今大きな教育改革の第一歩を踏み出しているところでございまして、是非とも御理解と御協力をいただけたらと思います。
  32. 山本一太

    山本一太君 今の大臣のお話を伺いながら考えたんですけれども、やっぱり教育のレベルを上げるというのは、大きく言うと二つの切り口があって、初等教育の方からいくのか、それとも大学、大学院という上の方から切り込むのかということだと思うんですけれども、私は、教育問題全体を考えたときに、どうしてもやっぱり上の方を変えていかないと下の方の流れが変わらないんじゃないかという問題意識を持っています。  例えば、大学の入学審査、このアドミッションの問題なんですけれども、別に欧米のやり方がすべていいとは言いませんが、アメリカの大学は一枚のペーパーテストで学生を判断したりしない。ほとんど、高校時代にやってきたボランティア活動とか論文とかいろんな志望動機を総合的に勘案して、恐らくアドミッションが一人一人の生徒に対応しながら判断をしていくということがあると思うんですね。  日本の大学はなかなかそういう制度になっておりませんで、これから国立大学を独法化していくという中で国としてこれを強制する等々ということはできないと思うんですけれども、やはり有名大学に何か物すごく人が集まって、みんながそこにしか行かないみたいな、そうじゃなくて、やはりアメリカのように各州立大学にもそれぞれいろんな興味を持った人たちが分散して、それぞれ、何というんですか、自分の志望動機に従って教育を受けられる、あるいは活躍できるという、やっぱりそういう制度を作っていくべきじゃないかというふうに思っているんですが、これについては河村大臣があれですか、いかがでしょうか。
  33. 河村建夫

    ○副大臣河村建夫君) 山本委員の御指摘は、私は非常に大事な御指摘だと思います。入試改革あるいは、まあ入試改革を考えてみても、最終的にはやっぱり大学入試に手を着けないと本当の改革になりません。最近の五日制に伴う学力低下問題が起きているのも、結局、根っこにはそこが私はあるからだと思うんですね。  したがいまして、大学側も単なるペーパーテストではなくて、先ほど大臣御指摘の人間力を見るような試験方法に変えてもらわなきゃならぬと、こう思っております。既に大学側もそのことはかなり関心といいますか、そういう方向に流れは行っておるというふうに思います。学力検査だけじゃなくて、面接とか小論文とか、あるいは英語もリスニングをしっかり入れるとか、推薦入学制度もあるし、また帰国子女の枠も作る、あるいは社会人の枠も作るとか、いろんな角度で広く多様な人材を大学に集めるという方向を取っておるというふうに思います。  特に、アドミッションオフィスについては、既に今、平成十四年度の入試でも二百八十六大学が採用をいたしております。アドミッションオフィスについては、その大学の中だけじゃなくて外部の人をわざわざ採用して制度を、丁寧にしっかりと時間を掛けて一人一人面接をして採用をしていくという方法を取っておりますから、こういうものがどんどん進んでくれば、単なる塾に行って学力テストだけ受ければ合格するということにはなっていかないぞというふうになっていくと、私は随分、教育現場というものも今の学力偏重、偏差値偏重を変えていこうというこの流れがどんどん出てくるんではないかと、このように思っておりまして、今の御指摘をしっかり受け止めさせていただいて、その方向に、国がどんどんやれやれと言うわけにいきませんが、私は、流れはそういう方向に行っておりますから、これが加速するように側面から支援をしていきたいと、このように思います。
  34. 山本一太

    山本一太君 もう一問、副大臣にお聞きしたいんですけれども、入学審査の話に加えて、やっぱりカリキュラムの問題というのもあると思うんですね。  この間、小学校、中学校、高校、そこら辺のいわゆるカリキュラムを取り寄せて、ずっと夜読んでいたんですけれども、私がもし地域に戻ってどこかの首長になったときに、どうやってこの地域の教育の独自性というものを発信できるだろうかというふうに考えてみると、いろいろちょっと資料を集めてみたんですが、やっぱり都道府県、市町村等の教育委員会等の問題とかいろいろありまして、実は自分が首長になってもなかなか泳げるところが少ないということが分かったんですね。  こういうところもやはりかなり公立大学、公教育の質を充実させていくということでは非常に大事だと思うんですけれども、そこら辺のところについてはどういうお考えをお持ちですか。
  35. 河村建夫

    ○副大臣河村建夫君) これまで、どっちかというと、例えば先生方をどういうふうに採用して、どういう配置するかということはもう教育委員会ががっしり握っていて、各、例えば首長さん方がこういうふうにしたいと思われてもなかなか思うようにいかない、教育現場でいかないということがございます。それをもっと地方に下ろして、もちろん予算のことがありますから、国が全部予算を見れないけれども、教育に特に特化して、先生が首長になられてやりたいと思われたときにはその枠の中で思い切ったことをやられるということについてはどんどんやっていただくという方向へ、いわゆる規制緩和じゃありませんが、いつまでも文部省が手取り足取りじゃなくて、もっと自由にやれるように、その地域の特性を生かした教育をやりたいとおっしゃればその自分たちの枠の中でしっかりおやりになる、そのことを大いに奨励をしていきたいと、このように考えております。
  36. 山本一太

    山本一太君 ありがとうございました。ちなみに、知事の転身も市長の転身も考えておりませんので。  それでは、お待たせをして申し訳ありません。法務大臣にお聞きしたいと思っております。  大阪高検の前公安部長の事件なんですけれども、ここにまた資料をざっとそろえて持ってきたんですが、これはもう申し上げるまでもなく、高検の公安部長だった三井元検事が収賄及び公務員職権濫用で逮捕、起訴されたという大変ショッキングな話だったんですけれども、もういろいろと指摘がされているところですが、社会正義の実現に努めるべき検察の幹部が犯罪を犯したと、さらに暴力団関係者と深いかかわりを持っていたというのは、誠にこれは極めて深刻に受け止めなければいけない問題だと思うんですが、まずこの点についての法務大臣のお考えを一言お聞かせいただきたいと思います。
  37. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) 先生がおっしゃいますとおり、社会正義の実現のために努力しなければいけない、また暴力団を取り締まらなければいけないという立場の責任者である現職の検事が暴力団と癒着して、あるいは検事の権限を濫用いたしまして犯罪を犯したということは誠にショッキングなことでございまして、私も大変大きな衝撃を受けました。国民の検察に対する信頼を著しく損なうということでありまして、誠に重大なことでありまして、本当に遺憾に堪えないというふうに思っております。  私といたしましては、この件を重く受け止めまして、前例のないことではございましたけれども、検事総長についても監督責任を問うということにいたしまして、懲戒処分を内閣に上申いたしまして閣議でそのように決定をいたしました。  今後は、再発防止に万全を期することによりまして国民の信頼を回復していかなければいけないと考えております。
  38. 山本一太

    山本一太君 ここに、同事件の後、法務省がこれ、私的な経済取引等の報告等の改善策というのをここに発表してあるんですけれども、概要は結構なんですけれども、再発防止に向けたもうちょっと具体的な取組についてのお考えを伺えればと思います。大臣でも、あるいはほかの方でも結構です。
  39. 樋渡利秋

    政府参考人(樋渡利秋君) 先ほど法務大臣がお答えになりましたように、非常に大臣にとってもショッキングな事件でございまして、厳しくその後に私どもに対して再発の防止に努めるように御指示がございました。  そこで、現在、次のような措置が講じられてございます。  まず第一に、検察庁職員の綱紀の保持につきましては、検事総長から全検察庁職員に対し、利殖目的で不動産や株式等の取引を多数回にわたって行うことは、検事の、あるいは検察庁職員の清廉性、潔白性や職務の中立性、公平性に疑念を持たれるおそれなしとしないことなどから、そのような利殖行為を自粛するように指示がなされました。  これに関連いたしまして、当分の間、検察庁に勤務する検事全員に対し、自己居住目的以外の不動産及び株式等の売買につきましては、いずれも、相続により取得したものを除きまして、すべて報告を求め、各検察庁の長においてこの報告等に基づいて必要な指導を行うことといたしました。  第二に、検察官の人事につきましては、全国的視野に立った一元的な人事管理を徹底させ、適材適所の人事配置を実現するため、検事の人事異動案策定に関しまして最高検の関与を高めますとともに、厳正、公平な勤務評定を徹底することといたしまして、現在、来年度の人事異動案策定に向けまして最高検及び高検において協議を行っているところでございます。  第三に、今回の事件では検察庁の保有する前科情報が不正利用されていましたことから、このような不正を抑止するため所要の例規を改正し、前科照会の事実を事後的に把握できるよう前科照会書の保管を徹底したところでありまして、また前科照会のアクセス記録を保存するためにコンピューターシステムの改修を検討中でございます。  第四に、今回の事件では暴力団関係者が庁舎内に立ち入って三井元検事と面談していましたことから、不審者の庁舎内への立入りの防止とともに、この機会に庁舎の警備体制を強化するため、各検察庁におきまして面会票を整備するなど、来庁者の受付及び把握等について必要な措置を講じたところでございます。  以上でございます。
  40. 山本一太

    山本一太君 この事件の関連で指摘されたのが例の調査活動費の問題で、この使途が不明瞭であるというような報道もあったわけなんですけれども、これについては、決算額をちょっと取り寄せると、活動費、十年度五億、十一年度三億、十二年度二億、十三年度一億、十四年度では一億円を切っていると、まあ減少しているわけなんですけれども、この説明も含めて、この調査活動費に対する批判についてはどのような対応をされていくのか、対応しているのか、それについて御答弁をいただきたいと思います。
  41. 樋渡利秋

    政府参考人(樋渡利秋君) 検察庁の調査活動費が減少いたしましたことは委員御指摘のとおりでございます。そのことは検察庁全体の予算事情によるところでございまして、具体的には、犯罪情勢の変化等に伴い、情報収集の多様化、効率化を図ることにより調査活動費を合理化する一方、検察庁のコンピューター関連経費に予算要求の重点をシフトさせたためでございます。すなわち、従来は、外部協力者に謝金を支払い、主として公安情報を入手するという執行形態が一般でございましたが、公安情勢が大きく変化する一方、検察庁にはいわゆる特捜経済事犯への対処とそのための情報収集・分析の手段としてのコンピューターネットワークの導入が求められてきました。  これらの事情から、平成十一年度以降、調査活動費の在り方を大きく見直すことにしてその検討を進め、調査活動費の一部を順次検察庁の全国的なコンピューターネットワークの整備経費などにシフトすることとしたものでございます。  この調査活動費につきましては、経費の性質上、具体的な使途を明らかにできないことは御理解いただきたいのでございますが、これまでもその執行の適正を確保することに特段の意を用いていたところでございます。しかし、委員御指摘のように、最近の調査活動費に関する一部報道を受けまして、国民の疑念を招かないよう調査活動費の管理を強化することとし、最高検に新たに監察担当検事を置きまして内部監察を徹底することといたしました。  今後は、最高検に置かれました監察担当検事におきまして、検察庁における調査活動費を始めとする予算執行並びに職員の服務及び倫理につきまして、随時各検察庁に報告を求め、また現地に赴いて監督及び調査を行うこととすることとなります。  以上でございます。
  42. 山本一太

    山本一太君 やはり社会正義の実現という検察の責任は大変重いものがあると思います。是非その責任を御認識いただいて、更なる信頼回復に努めていただきたいと思います。  さて、そろそろ時間がなくなってまいりましたが、渡海大臣が安心しておられるようなんで、最後に副大臣にちょっと一言質問したいと思います。  副大臣、ずっと科学技術を本当に熱心にやっておられて、私もいろいろ御指導を受けた口なんですけれども、HⅡロケットの打ち上げは本当に良かったと思います。もうテレビを見て本当ににっこりしてしまったところなんですけれども、副大臣、これやっと二個の衛星が軌道に乗ったということで、これはもう本当に最後に何か俵で踏みとどまったみたいなところがありまして、やっともう一回我が国の宇宙開発がこれで始まるなという感じを持ったのは私だけではないと思うんですけれども、今後、信頼性確保のために技術を向上させていくことが重要だというふうに思っております。  いよいよロケットの打ち上げ市場に参入する基礎もできたということで、ここを見ますと、二〇〇五年をめどにロケットの開発、製造、打ち上げを民間に移管する予定という方針が出ていると思うんですが、これは民間にとってもリスクが伴うということになっていくわけですから、基幹ロケット産業を維持していく上で、このリスクを伴った民間産業の参入を促していくということで国の役割も非常に重要になると思うんですが、大臣にお聞きするべきところなんですけれども、科学技術の鬼とも呼ばれた渡海大臣来られていますので、副大臣の御見解伺いたいと思います。
  43. 渡海紀三朗

    ○副大臣渡海紀三朗君) 鬼ではありませんが、私はライフワークというふうに言わせていただいておりますが、二十一世紀日本が、これは私見で恐縮でありますけれども、よく言われる持続可能な発展を続けていく上において科学技術の振興というものは欠かせない、そんな信念でやらせていただいております。鬼ではありませんので。  この宇宙開発というのは大変夢のあるプロジェクトでございまして、これも私見、私事でございますが、ちょうど子供のころに私の夢は、当時まだ余り日本ではそういったことがそれほど大きくは報じられていなかったせいもありますが、とにかくアメリカに留学してNASAでロケットを作るんだというのが私の夢でございまして、どう違ったか、今こんなところに立っておりますけれども、そんな、青少年に非常に大きな夢を与える、フロンティアでございますから未知の分野をずっと開拓をしていく、こういうすばらしいプロジェクトだと思います。  同時に、最近の人工衛星の発達により、情報の収集なり、また放送なり、地球観測なり様々な分野で活躍をいたしておりまして、国民の生活、また国の安全といった意味でも非常に大きな役割がございます。また、非常に幅の広い産業を必要とする、技術を必要とするものですから、そういった意味においても、産業分野においても非常に大きく貢献をする、こういうことであろうと思います。これは山本先生認識も同じだと思いますが。  そういった意味で、やっぱり国家戦略としてきっちりと位置付けてやっていかなきゃいけない。その上で、一、二号機というのはこれは試験機でございましたが、今回三号機というのは本格運用ということで、大変、先生にも今、良かったというお言葉をいただいたわけでありますけれども、本当に良かったなというふうに私も同感でございます。今後、四号、五号とこれをしっかりと続けて成功させていくこと、これが大変信頼性につながることでありますし、また信頼性が高いということによって、国際競争力、こういったものも高まってくるわけでございますし。  同時に、これはもう一気にお答えをさせていただきたいと思いますけれども、やっぱりコストの削減というのは大きな課題でございます。HⅡからHⅡAへと随分コストの削減をしてきたわけでありますけれども、まだまだその工夫が要るわけでございますから、今回、民間に移行していくということについて、やっぱり民間の知恵といいますか、やっぱりスピードと、そして経営能力といいますか、そういったものに大いに期待をしておるところでございまして、作業チームを省内に作って今早急に、官民の分担の割合というもの、何を官がやるか、何を民がやるか、やっぱり国がまだまだ支えていかなきゃいけない部分もあるわけでございますから、そういったことの結論をきちっと出して、早急に民間への移管というものを進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  44. 山本一太

    山本一太君 ありがとうございました。  これ、久々にと言ったらあれなんですけれども、成功したので、あと数回続けて成功しないといけないと思うんですが、あと数回成功すれば今のコストでも戦えると、こういう分析も伺っておりますので、是非NASAではなく政治家としてロケット産業推進のために御活躍を御期待したいと思います。  大体時間になりましたので、これで終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  45. 荒井正吾

    ○荒井正吾君 自由民主党の荒井正吾と申します。  義務教育費の国庫負担制度について御質問させていただきますが、それだけでございますので、御関係のない方は委員長のお許しがあればどうぞ御自由にしていただけたらと思います。  義務教育費の国庫負担制度について、最近いろいろ議論が行われております。特に、地方分権あるいは国と地方の役割分担の見直しの観点から、また、国の財政の支出の効率化の観点からのようでございます。平成十三年に地方分権改革推進会議が、国と地方の役割分担を見直すに当たって経費負担制度を検討するとか交付金制度の移行、あるいは経済財政諮問会議平成十四年六月の閣議決定で各大臣が責任を持って国庫負担事業の廃止・縮減についてやると。あるいは、少々ドラスチックな提案でございますが、国庫補助負担金、交付税、税源移譲を含む財源配分の在り方について三位一体で検討と。あるいは総理の指示があるというような流れでございます。それを受けまして、経済財政諮問会議遠山議員、大臣でございますが、平成十四年八月三十日に考え方を提示されたというような流れと理解しております。  本日は、その国庫負担制度の今までの使用のされ方、あるいは今後の使用の仕方、義務教育費という大事な制度でございますので、どのような考え方に立っておられるのかということを中心に御質問させていただきたいと思います。  義務教育費の国庫負担額、十四年度予算におきましては三兆五百六十四億という旧文部省の中では大きな予算でございます。一方、先ほど山本先生の御質問ありました文化予算千億を超えたいという中で、文部省所管の予算をいろいろ資料をいただいて拝見いたしますと、教育費の国庫負担省というような予算の構造のようにも見受けられるわけでございますが、もう少しバラエティーがあるような予算編成を目指しておられる面もあろうかと思うわけでございますが、一方、こういう既定的な経費の在り方というのは大きな課題であろうかと思います。  一方、教育費の増加、増減が教育の質の内容を確保するというわけでもございますので、そのコンテンツをどうするかというのと併せて議論されないと、国と地方の行政の分担の在り方、あるいは財政の負担の在り方だけで義務教育の議論が進んでしまうというのはちょっと危惧もあるわけでございます。  したがいまして、この予算が今までに効率的に使われたかどうか、決算を見て将来の予算を意見を言うという役割の委員会でございますので、今までの使用の仕方あるいは今後の予算の持っていかれ方を質問させていただく中で、是非義務教育についての国の役割、特に文部科学省の役割のこれからの変化、今までの基本的な役割をどのように考えておられるのかというようなことを総じて御質問したいというような趣旨でございます。  まず最初でございますけれども、義務教育費の国庫負担金は三兆円超でございますが、いろいろ資料をいただいてお聞きいたしますと、地方も負担しておりますし、家庭も負担しておりますが、全体の支出は約十六兆円弱というふうに伺っております。  マーケットという表現は適切かどうか分かりませんが、義務教育分野国民所得の動きが十六兆円ぐらいあるという中での国庫負担金が三兆円超ということでございます。また、高教育費、大学とかその他を含めましたら全体で二十四兆円という大きな額でございます。国民所得の中で六%を超えるという額で、教育費の国民所得における負担の在り方、流れ方というのは、国家財政のみならず、国の経済の中で関心を持っていい分野じゃないかというふうに思うわけでございますが。  国庫負担金の過去の推移をいただいた資料によりますと、十五年前は二兆四千四百二十六億円、現在は三兆五百六十四億円と約二五%伸びておるわけでございます。一方、対象の生徒数は十五年前で千六百万人、現在は千八十万人でございますか、約六七%に減っておるわけでございます。したがいまして、計算いたしますと、一人当たりの国庫負担額は、十五年前の十五万二千円から現在二十八万三千七百円と約八七ポイント伸びておるわけでございます。  それ自体は効果があればいいということでございますが、一方、扱われる教員数が十五年前七十七万人から現在七十万人ということでございます。減少の比率でございますと、十五年前を一〇〇にしまして九一、一割減というような程度でございます。しかし一方、国庫負担額は増えておりますので、教職員一人当たりの支出額というのは、十五年前三百十八万円でありましたのが現在四百三十五万円ということで、約三七ポイント伸びておるというような数字をいただいております。  その中で、経済財政諮問会議が対象経費を縮減して国庫負担額を減らせ、減らしたらどうかという検討をされて、文部科学省平成十五年から十八年で数千億の削減を目指しますというふうにおっしゃったわけでございますが、過去このように伸びてきておる予算、決算を、最近経済財政諮問会議が言ったから、義務教育という大きな予算項目、しかも国の大きな基幹的な行政分野でありますのを何か言われたから減らすとか、そうならばこうするというようなものじゃちょっと困るような気がするわけでございます。  今までどうして伸びてきたのか。それは本当に必要で伸びてきたのか。しかし、そうであればこれから減らすというのは相当困難じゃないか、軽々に減らすということは言えないんじゃないかというような気がするわけでございます。  そのような予算の全体のフレームの流れについて御当局どのように考えておるのかをまずお伺いしたいと思います。
  46. 矢野重典

    政府参考人(矢野重典君) それではまず、義務教育国庫負担額が増えてきているという御指摘についてでございますが、その理由といたしましては、一つには、地方公務員全体のベースアップによりまして増額しているわけでございますが、教員についての大きな要因といたしましては、第二次ベビーブームによります児童生徒の急増に対応するために大量に採用いたしました教員が高齢化いたしまして給与が高くなっているために、平均給与が高くなっているわけでございます。  例えば、このことを具体的に数字で申し上げますと、平成元年、十四年前でございますが、平成元年の四十年代以上の教員の比率がその当時は四二%でございましたが、平成十四年、今年度でいたしますと六七%といったような形で、四十代以上の教員の比率が高まっているわけでございます。  こういうふうな形で大量に採用せざるを得なかった教員が高齢化して、その高齢化による平均給与額を高めているということが一つの大きな要因でございます。  それからもう一つは、児童生徒数の減少に伴いまして教員定数が減少するわけでございますが、その一方で教育の質を高めるという観点から、個に応じた指導の充実などを図りますために、これまで計画的に教員定数の改善を図ってきたわけでございます。そのことによりまして、児童生徒数の減少の割合に比べて教員定数の減少割合が低くなっている、こういったことが義務教育国庫負担額が増えている大きな要因ではなかろうかと思うわけでございます。  ちなみに、平成元年と平成十四年の義務教育国庫負担金の伸びで見ますと、伸び率といたしましては三一%でございますが、これは一般会計全体の伸び率が三四・五%、また例えば公共事業関係の伸び率を見ますと三五・九%というようなことでございますので、そうした政府全体、一般会計の全体の伸び率よりは低いという数字であろうかと思うわけでございます。  そういう状況の中で義務教育の国庫負担額の総額が増加してこざるを得なかったわけでございますが、そうした中で今回、先ほど委員御指摘のございましたように、経済財政諮問会議において、さらには地方分権改革推進会議において、義務教育国庫負担の見直しについての御指摘があったわけでございまして、そういう御指摘を受けて、私ども、先ほど御紹介ございましたけれども、この八月の三十日でございますけれども、文部科学大臣の方から義務教育国庫負担制度の見直しについての具体的な検討の考え方をお示しをしたわけでございます。  その中で一点申し上げておきますと、特に補助対象経費の見直しにつきまして、それによりまして負担額を縮減するという考え方、見直しの考え方をお示しをしたわけでございます。これは義務教育に係ります国と地方の役割分担、また費用負担の在り方の見直しの観点から、負担対象経費について改めて見直しをいたしまして、真に負担すべきものに限定する、そういう観点に立って検討したものでございまして、具体的には共済費長期給付等約五千億につきまして、これを国庫負担の対象外とすることを検討いたしまして、平成十五年から十八年度にかけて段階的に縮減を目指すという考え方をお示ししたところでございます。
  47. 荒井正吾

    ○荒井正吾君 真に負担すべきものに限定するという言い方がちょっと何か不思議に思ったんですけれども、今まで真に負担すべきものでないものも負担していたのかというような、ちょっと言葉の反発がちょっとあるようにも思うんですが。  過去にも、対象経費を縮減、一般財源化ということをされてきた経緯があるんですけれども、これは旅費、教材費あるいは恩給費、共済費の追加負担でございますが、そのようなものは、真に負担、項目が追加され、また減らすということなんですけれども、要は、国庫負担で負担すべき対象経費というところについての基本的考え方がここ十数年変化してきておるということでございますが、それは真に負担すべきものを過去も今も未来も負担するんだという言い方であると、この変化はどういうことなのかというように思うような、言葉のことでございますが。  そのような印象と、それと今、過去の増えた要因を御説明されました。教員の高齢化、それから学級の定数化の変化あるいは平均給与の増加ということでございますが、要因が結果を呼んだということでございます。その間に、国庫負担を支出をされておる御当局に工夫がどのようにあったのかということを聞きたいわけでございますが、今日はそのような時間もございませんので、過去の分析をまた改めてお聞きしたい面がございます。  今後、したがって、今までのしっかりした経費効率化ということを踏まえて、どうだ、今までこれだけやったんだからこれからもしっかりできるよと、こういうふうにおっしゃっていただきたいんですが、今までを見ると、膨らんでおる会社が急に減らすと言われても本当に減るものかどうかというような気持ちにもなるわけでございますが。  一つは、真に負担すべきものというのなら、そこから、平成十五年度から減らす、十八年度まで減らすと、十五年は何か余り減っていないような気がするんですけれども、十五年度から十八年度まで減らすというようなことよりも、十八年度まで減らすと言われた方が、十五年は取りあえず増えるんだったら、ほかの減らすところは減ったけれども増えたから増えたんだということならば、増える要因もあって、要は総トータルを減らすということじゃなかったのかというような、出だしのちょっとちゃちな意見でございますが。  そこから、退職経費縮減といっても、全体の経費を、教員に支払われる経費が減るのか、あるいは国庫負担金だけ減るのか。すると、その負担が地方の負担になるだけで、要は交付税化されたり地方の自主財源で負担されたり、要は公的セクターからの支出は縮減されなくて文部科学省の予算だけが縮減されると。よくあるケースでもあるかもしれませんが、それじゃ、ちょっと縮減というような、本当の国家財政を効率化するという観点からはどうなのかなという気がするわけでございますが、そのような見方に対してどのようにお答えになるんでございましょうか。
  48. 矢野重典

    政府参考人(矢野重典君) まず、先ほど縮減案といたしまして、具体的に共済費長期給付それから退職手当等約五千億について、これを国庫負担の対象外とすることを検討して、平成十五年から十八年度にかけて段階的に縮減を目指すということを申し上げました。  この縮減対象経費についてでございますが、この縮減対象経費につきましては、これは国庫負担の対象外といたしましても、経費自体は、これは都道府県が負担しなきゃならないものでございますけれども、今回の改革案では、この縮減案、経費にかかわる縮減案と並行する形で義務教育国庫負担制度そのものについての幾つかの改革案を考えているわけでございまして、その一つに、給与の決定につきまして、これまでは国立学校に準拠して各都道府県の教員の給与は決定されるという、そういう制度であったわけでございますけれども、今回の改革案、この義務教育国庫負担制度にかかわる一つ改革案といたしまして、今後は各県が給与額につきましてはこれを自主的に決定できるような、そういう制度改革を考えているわけでございまして、この制度改革によりまして、教員の給与額につきましてはこれまでに比べてそれぞれの県の権限と責任が拡大するわけでございますので、そうしたことによりまして、各県のこの義務教育国庫負担にかかわる歳出削減あるいは歳出合理化といったような自主的な見直しが相当私どもといたしましては促進されるものというふうに考えているわけでございます。  そういう意味で、五千億を国庫負担の対象外とするということを通じて、合わせてでございますけれども、その経費は基本的には各県が今後も負担しなきゃならないわけでございますが、今申し上げたような制度改正を通じて、各県が引き続き負担しなきゃならない今申し上げた改善にかかわる経費については、額として相当程度これは縮減されるものではないかというふうに思っているところでございます。  なお、この点について一点申し上げておきますと、国庫負担金の縮減に伴います地方財源への手当てにつきましては、これは私ども必要と考えているところでございまして、その在り方につきましては、今後、政府全体といたしまして、これは先ほどお話がございましたけれども、基本方針二〇〇二で示されておるわけでございますけれども、国庫補助金負担金、そして交付税、地方交付税、さらには税源移譲を含む税源配分の在り方と、この三つの事柄につきましては、これを三位一体で政府全体として検討するということになっているわけでございますので、その中で、今申し上げた、私どもが申し上げました経費の削減案についての財源手当てでございますが、そういう三位一体で検討される中で、財源手当てにつきましては、国庫負担の削減にかかわる財源手当てにつきましては関係方面と今後調整していくことが必要であろうかと考えておるところでございます。
  49. 荒井正吾

    ○荒井正吾君 全体の額を減らすのに、都道府県が自主決定権を持つと減るでしょうというのも何か変な感じもするんですけれども、今までは自主決定じゃなかったと。国がどちらかというと実額保障みたいにしておったから減らなかったんだよと、こう言っておられるようにも聞こえるわけですね。  それと、また、相手に渡す額は減らないんだけれども縮減されるというのは、どういう縮減なんだろうかと。まさしく国の財政負担を地方へ押し付けると。これは、この案が出されて以降、各県の知事さんとか市町村長さん、政令都市の市長さんの議論が起こっているようでございますが、いや、国家が負担してもらわなきゃ困るという御意見と、あるいは、そこは自分たちで今後考えるからいいというふうに公共団体の首長さんの意見が分かれておるようでございますけれども、ある面、自主決定に任す、しかし縮減するでしょう、縮減しろというのは、何か国の義務教育における国庫負担というものの基本的な役割の何か大事なところが放棄されるような気がするわけでございます。  国は何のためにこういう制度をしておるのか、その意味を守ると、その意味は守るんだと。しかし、縮減という全体の、世の中、経費縮減は今、世の中すべての分野で行われておるわけでございますので、縮減の手法というのを都道府県の自主決定にだけ任すという、少々安易なので、縮減されるでしょうという縮減の道筋が見えない中で、十五年度から十八年度まで数千億円の縮減というのが文部科学省のペーパーで出ておるわけでございますが、もう少し具体的なプログラム、あるいは、ですから縮減して、それは意味がある縮減ですよというふうにならぬものかという印象を持ちますが、いかがでございましょうか。
  50. 矢野重典

    政府参考人(矢野重典君) 一つは、委員がちょっと御紹介申し上げましたから、この私どもの案について、これは地方へのツケ回しではないかという御批判、御指摘があるわけでございますが、この点につきましては一点私どもの考え方を申し上げさせていただきますと、今回の国庫負担対象経費の見直しは、特に地方分権会議から、地方分権という観点に立って国が真に負担すべき経費に限定すると、そういう方向で、そういう観点で見直すべしと、そういう御指摘を受けたわけでございまして、私どもはその御指摘を受けて、先ほど御紹介申し上げたような形で、この経費については国が真に負担すべきものに当たらないし、そのことによってこの義務教育負担制度の趣旨を損なうということにはならないだろうという考えを持っているわけでございます。  そういう意味で、この削減案につきましては、国が真に負担すべきものを負担しないでそれを他へ転嫁するということでありますならば、あるいは地方へのツケ回しという御批判もごもっともであるわけでございますが、今申し上げましたように、この検討の経緯といたしましては、繰り返して恐縮でございますが、先ほど御紹介申し上げた経費は、国が国として真に負担すべきものに当たらない経費であるという判断したということが一つでございますので、その点は御理解をいただきたいと思うわけでございます。  それから、具体的な縮減案について私どもの縮減のイメージを申し上げましたけれども、これは一番大きな要因というのは給与の基準、給与水準というのは先ほどちょっと御紹介申し上げましたけれども、国立学校に準拠しなきゃならないとされているわけです。つまり、各都道府県は教諭の給与水準は独自で、例えばそれぞれの地域の物価水準等々を踏まえながら独自で給与水準を決められないという状況があるわけでございますので、今回この制度を見直しまして都道府県が独自に決められるようになるということになりますれば、それぞれの地域の実情を踏まえた給与水準の決定ということがなされるでありましょうし、そのことを通じて全体としての義務教育負担経費の縮減ということが見込まれるわけでございます。  それから、いささかこういう場ではばかられるわけでございますけれども、国が実支出額の二分の一を負担していることによりまして、例えば各都道府県におきまして経費の運用について必ずしも健全とは言えないような運用がなされるケースがこれまであったわけでございます。例えば退職金について、退職前の例えば一年前にある特別な手当が付くような学校への異動がなされるとか、あるいはその退職手当についての配慮をするために退職前に管理職云々へのそういう登用を図るとかいったような、必ずしも運用について健全とは言えないような給与負担がある、そういう現実もあるわけでございます。  しかし、今後、国としてそういう経費については、退職金手当については基本的には一般財源としてやっていただきたいということになりますれば、そうした不健全な慣行なり不健全な運用も改めて、県独自の改善として歳出削減なり歳出の合理化ということがより一層進むのではないかということを考えるわけでございます。そうしたことを通じて私どもとしては義務教育経費全体の縮減が図られるものというふうに考えておるところでございます。
  51. 荒井正吾

    ○荒井正吾君 国庫負担制度は重要でございますので、むしろ文部科学省が積極的に義務教育の負担制度、あるいは公的な提供の在り方というのにむしろ主体的とか積極的に取り組んでいただきたいという気持ちでいろんな質問させていただいておりますが、経済財政諮問会議国家財政の在り方を中心にするところで言われたから、指摘されたからなんというのは余りお使いにならなくて、それはそれとして自分たちは義務教育、教育のプロなんだから、今後の在り方、少子化がある、家庭の要望も多様化している、あるいは個性を要望されるという中での義務教育でありますので、お金だけが義務教育のコンテンツを保障するというわけじゃないと思うわけでございますので、それは地方専門家が保障するのか、あるいは一般財源化となれば財政だけで金が回ればいいんだと、教育の中身のコンテンツは地方に任すんだということになれば、旧文部省の予算の五割以上を占める義務教育費の負担というのはなぜ文部科学省が負担しているのかと、それは一般財源の地方、国の財政の配分だけの話なのかということになるわけでございます。  国庫負担の中で国の役割というのがもう少し明確にならないものかというふうに思うわけでございますけれども、この経済財政諮問会議に出された八月三十日のペーパーによりますと、義務教育費、基本的な考え方といたしまして、国庫負担制度は、国の関与ではなく、義務教育の水準の確保のための国による最低保障の制度ですと。非常に謙虚というか、ちょっと引いた言い方のようにも聞こえるわけでございますが、むしろ、文部科学省というのは、国の関与ではない負担制度を三兆円も今まで延々と出しているというのも、国庫負担制度としては、その言い方にこだわっちゃいけないんですけれども、おかしいような気がするんですけれども。  負担制度を通じて、国の関心、国の義務教育におけるインタレスト、制度のアカウンタビリティーというのを十分説明され切っていないんじゃないかと。制度を変換するときにそのアカウンタビリティーを十分説明されないと、そもそも一般財源化すべていいじゃないかと、退職経費の縮減というそんなちゃっちいことではなしに、給与全部を任命者に渡せばいいじゃないか、財政の問題でしょうという議論が起こる可能性もあろうかと思うわけでございます。  その点について、財政的な保障、水準の確保というのは、財政的な保障であれば文部科学省でなくても地方財政をする分野でもできるんじゃないかという気もするんですけれども、財政の、教員の給与水準その他、施設の水準とか外形的なものは、教育内容についての必要条件ではあっても十分条件まで満たしていないと思うわけでございます。  特に、最近の家庭からの多様な要求にこたえるためには、一工夫、二工夫も要るように思うんですけれども、この出されたペーパーの中では、我が国の教育制度一つのモデルとして政府主導でやるから守れるんだというような言葉もある。これは言葉にこだわっちゃいけないんですけれども、日本の金太郎あめ的義務教育というのは余り外国にはまねされないじゃないかと思うんですね。今までの一定水準というのを、財政的な教育水準じゃなしにどういう水準を国として期待するのか、その中で個性というのはどのように伸ばしてもらえばいいのかと。それは任すと言ったら伸びるというものじゃないというふうにも思うわけでございます。  中身のいろいろ多様な議論であろうかと思うんですけれども、この負担制度、財政的な負担制度で経費の縮減だけで減らしますよというだけじゃ済まない要因がはらんでおるというふうにも感じましたので、ちょっと多様な意味がある質問かもしれませんが、お考えがありましたら述べていただきたいと思います。
  52. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) 今まで義務教育費国庫負担の制度につきまして、荒井委員の方から、大変興味、関心をお持ちいただいて御質問いただいてまいりました。私もそれをじっと伺っておりましたが、やはりこの問題を今回提起されたのは、経済財政諮問会議の審議事項として提案されたわけでございます。そこのところが正に荒井委員のおっしゃいますように、義務教育というような国の根幹にかかわるようなものを財政だけで論じていいのか、あるいは地方分権という角度だけで論じていいのかというようなことにも絡んでまいると思います。  そこで、経済財政諮問会議におきましては、極めて限られた時間が与えられて、結論のみをというふうに言われたものでございますから、そこに示したようなぺーパーを出して御説明したわけでございます。しかし、その背景には実は、もちろん国として義務教育費についてどう考えるか、あるいは諸外国等の動向はどうなのか、それから義務教育で保障しようとしている教育水準というものをどのように今改革に取り組んでいるかというようなバックがあるわけでございます。  そもそも、じゃ、なぜ国が義務教育費について責任を持ち、必要な部分については国庫負担をするかという点でございますけれども、これは正に憲法の要請によりまして、義務教育というのは国民としての必要な基礎的資質を培うためのものでございまして、国としてはすべての国民に、どこにいても無償で一定水準の教育を確保するという責任を持っているわけでございます。  そういう憲法上の要請に基づきまして、様々な法体系を作り、また様々な基準などを作って国としてはその責務を果たそうとしているわけでございますが、分かりやすく申しますと、国としては、一つは教育制度の枠組みの設定ということについての責務がございます。それから、一定水準の教育を提供するという角度から、国としては学習指導要領などの基準を設定するということについての責務もございます。そして、それらを基に必要な指導助言等を行って、全国のどこの小中学校におきましても質の保障された内容が教育されるようにということについて、常に私どもとしてのなすべきことをやっているという実態がございます。  そして、じゃ、それを確保するために、何と申しましても教育の成否は教員に懸かっているわけでございまして、義務教育を本当に優れたものにしますには教員の人材を確保していくということが大事でございます。その角度から義務教育費国庫負担制度というものが制定をされまして、教職員の給与費についてその二分の一を負担していく、これによって全国的な角度から教育の機会均等、それから教育水準の維持向上を図っていくという、これまでの様々な教育行政の法体系あるいは予算体系の下に、義務教育についてその質の保障あるいは向上の推進を図ってまいってきているわけでございます。  この際に二つちょっと付言したいと思いますが、実は日本の義務教育の在り方につきまして各国が大変な研究をして、正に日本の義務教育についての国の姿勢、あるいはそこに表れた水準の確保というものを各国は今大変調査研究されまして、日本制度にいろんな国々が近づいているわけでございます。これはやはり日本が二十世紀の後半において、今日でこそこういう経済状況になってございますけれども、あの繁栄を見たその背景は正に人力にあるということでございまして、それを支えたのは日本国民がすべて平均して水準の高い教育力を持っていると。そのことを前提として、例えばアメリカイギリスあるいはドイツのような国でもこういう変化がございます。  例えばイギリスでございますと、これまで、あの国は個人主義の国でございますから教育もそれぞれの学校に任されていて、教員が自分で好きな教材を集めてきてやるというようなことで、カリキュラムの水準も国が指定していなかったわけでございます。しかし、日本の発展の状況を見ると学習指導要領というナショナルカリキュラムがあって、それに従って学校は教育を展開していく。そのことが子供たちの基礎的な学力の醸成ということに大変大事だということに気が付きまして、実はイギリスはナショナルカリキュラムを作りまして、そしてそれを確保するために、日本よりもっと鋭く、毎年何千人という人たちがそれぞれ分担をし合って学校に行って評価をし、あるいは毎年学力調査をやるというような段階にまで進んできております。これは何かといえば、ブレアさんが就任と同時に、国にとって一番大事なのは教育である、第二に大事なのも教育であり、第三も教育であるということで、大きな教育改革を図っているわけでございます。  アメリカについてもそうでございます。アメリカもあのような国でございますから教育の多くの部分は州に任されているわけでございますけれども、各州におきましてもナショナルスタンダードというものを、ステートのようになるんでしょうかね、そういう基準を作って、そして日本のような方式を導入するというような方向に出てまいっております。これこそ一九八四年に出ました「危機に立つ国家」という教育長官からのペーパーを基に、アメリカのあの当時の経済的な疲弊というものは一体何からくるか、それはやはり国民の知力ないし知識力というものがない、ではどうしたらいいかということで、そういう危機に立つ国家を救うのは教育であるということで、鮮明に方策を打ち出して、今日に至るまでその教育改革が進められてまいっております。そのことが功を奏して、アメリカはITを用いたようないろんな工夫が可能になってきた。  そのようなことを説明し始めますと時間がたち過ぎますのでここで終わりますけれども、日本のそういった成功を一つの、何といいますか各国における教育行政のモデルと考えられているのではないかと思われるような今状況各国で見られます。特に東南アジア、中国、韓国。韓国はもうほとんど日本制度を取り入れているわけでございますが、これらの国々の教育、特に義務教育、これは大変のしてまいってきております。日本は正に教育においては各国のターゲットになっているわけです。国際調査をいたしましても常に日本はトップクラスの学力を示しておりますけれども、次第にその差が縮まってまいってきております。  そのようなことから、今、教育改革を大いにやりまして、これまでの日本の教育の一つの特質でありました平均的なところに重点を置いてそれらの資質を高めるということに力を用いてきたその方式から一歩出まして、それぞれの子供たちの習熟の程度に応じて教育を展開していく、それによって伸びる子はどんどん伸ばしていく、また理解の遅い子については丁寧にこれを教えることによって自信を持たせ、また達成感を持たせて、そして力を発揮していくことができるようにしていく、そういう大きな教育の目標の転換を今図っております。それに基づく新しい学習指導要領の実施が今、四月から各小中学校で行われているところでございます。  したがいまして、世界の動静、あるいは日本の大きな教育改革というものを本当に成果を上げるようにするためには、私は、義務教育については国がきちっと責任を果たしていく必要があると思っております。  そのようなことから、さきの山本委員の御質問にもお答えしましたけれども、その経済財政諮問会議におきまして人間力戦略というものを出しました。そして、単に財政とか地方分権という、それらは非常に大事でございますけれども、それだけの視点だけで義務教育国庫負担制度を論じられるのではなくて、全体にどういう戦略を持って日本の教育ないし人間力を付けていくかと、そういう角度で論じてほしいということで説明をしたわけでございます。  恐らくそのことについて、お手元には資料が行っていないのかもしれませんけれども、私どもといたしましては、そういう大きなフィロソフィーといいますか、日本の教育について責務を持つ国の立場として、全体を大局的に見た上で、一体じゃ、それを前提としながらも、しかし国家財政がこういう状況である、あるいは地方にもっと権限と責任を移していく、その理論もまた正しい、そのような中から、苦衷の中で断腸の思いで出したのが先般の義務教育国庫負担についての私どもの見直し案でございます。  そのようなことを御理解いただきました上で、またおいおいに御質問に応じてお答えをしたいと存じます。
  53. 荒井正吾

    ○荒井正吾君 御丁寧にありがとうございました。今の考えはよく分かりました面がございます。  その中で、一つは、経済財政諮問会議の中では十分義務教育における文部科学省の役割は十分説明できなかったということもおっしゃいましたし、その役割の一端を御披露していただいたわけでございます。また一方、しかし各国が成功モデルとして追随しているという言葉もありましたですが、これについてはいろいろ評価もあろうかと思います。  総じて成功された例というのは、余り成功体験を言う場合は、あと、教育のシステムというのはパーフェクトなものはないと思いますので、現実に今成功も繁栄のもとにもなったけれども現在の衰退のもとにもなっているかもしれない。これからの衰退のもとが過去の一世紀の教育になっているかもしれないというような議論もあるわけでございますので、どのような人材がこれからの国家に要るかというのは非常にチャレンジングなことでございますので、今までが良かったからその成功体験がこれから生きるということを、実はそれを書かれると、いや、そうなのかと、各国がまねしているところはその一部で、全部をまねしようとしているわけでもないのになというふうな気もするわけでございますが、その分野は大変いろいろな議論のあるところであろうかと思います。特に義務教育は、同一性、画一的な教育が行われていたという批判がある面もありますが。  この基本的な考え方の四におきましても、「画一化から個性化・多様化へ」というふうにもこれ文部科学省自身がおっしゃっていますので、画一化だったのかという反省もあるのかなというふうに思ったわけでございますが。画一化というのはその能力の差に応じて、外国なんか、知恵遅れの子に対する扱い、あるいは知恵がある時期進んでいる人の扱いなんかは日本と違うこともあるわけでございますので、個性に合った教育の提供というのは、この一律的な負担制度を背景にした教育指導というのが国から言ってもなかなかいかない面があるんじゃないかという個人的な考えがありますが。それについては大きな議論でございますので、また機会があれば御意見伺いたいと思いますが。  先ほど、議論の中で、国庫負担制度とともに、国の教育を担当、教育行政担当部局としての国の役割は、あるいは学習指導要領でありますとかコンテンツの指導、助言ということをおっしゃったわけでございますが、これは国庫負担制度がないとできないというものではない面もあろうかと思います。国庫負担制度は教育水準の保障じゃなしに、給与水準の保障であればこれはお金の話でございますので、どちらかというと外形的な支出ができるわけでございますが、コンテンツはコンテンツで本当にこれからの教育の在り方というのをもう他にそういうことをできる官庁ないわけでございますので、一生懸命やっていただきたいというふうに思うわけでございます。  その中で、国と地方地方へ任して多様化するというのが、この国庫負担制度あれば、どちらかというと内容についても、分権と言われますように従属的な関係が往々にして発生すると思いますが、国と地方の役割を分権じゃなしに分けて、それぞれを明確にして独立した責任を持つというふうにしないと、地方の独自性というのはなかなか発揮できない面が今あるわけでございますから、そういう面からは国庫の負担制度、しかもびしっとした負担制度というのはむしろ非常に縛りが多い、弊害があるようにも思うわけでございます。  その中の国庫負担制度一つのジレンマだと思いますが、それについての対象経費の縮減というのを断腸の思いで削るという言葉でございましたですが、むしろ積極的に、予算の構造からすると五〇%も占めている非常に覊束性の強い国庫負担金の三兆円の予算をむしろ減らして、文化予算なんかを三兆円付けていただきたいというのがむしろ個人的な予算構造の希望でございます。  だから、文部科学省が義務教育費の負担、自分の省の負担で余り重荷に感じられないような全体のいい予算制度ができれば、それも一つ改革かなというふうに思うわけでございますが、その観点で、質の確保の観点で、実は先ほど憲法のことについて大臣おっしゃいましたが、子弟を、教育を受けさすという義務、教育の義務は親の義務というふうに書かれてあるわけでございまして、公的なセクターが提供しなきゃいけない義務というのは憲法上明示されていないわけでございます。  したがって、義務教育の私立学校の教育というのも提供されているわけでございますが、私立学校に通う児童数が過去十数年伸びておるわけでございます。わずかでございますが、十五年前は二十五万人でございますが、現在は三十万人程度になっております。比率としては二%程度でございますが、伸びはあると。これはいろいろ宗教的なあるいは情操的な教育を受けたいという、あるいは個性的な教育を提供する私立学校の意味というのがあろうかと思いますが。  教育の質を上げるのはマーケットだと、競争相手、選択の自由と競争というのがないとなかなか質が上がらないと。指導だけじゃ上がらない、国の指導だけでも上がらないと。個性的な商品といいますかサービスの提供はできないというマーケットの理論があるわけでございますが、提供主体の多様化ということからしますと、国立大学は独立行政法人化をするということで、むしろ経営ということをある程度考えなさいということでございますが、義務教育における私立学校をもう少し活用するという関係では、今の国庫負担制度は公的な教育の国庫負担制度というふうになっておるわけでございますが、私立学校の義務教育に対する、本当の義務教育費の国庫負担制度、含む私立学校というふうな制度に一貫する方が筋が通るように思うんでございますけれども、私立学校の活用と制度改革ということについてお考えがありましたらお聞かせ願いたいと思います。
  54. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) 私立も大事だということは当然でございます。その件については後に局長からお答えいたしますが、るる御説明いたしました趣旨がどうも御理解いただいていないと思いますので、私、ちょっと一点だけあれでございますが。  要するに、二十世紀において日本が成功してきたと、正に委員がおっしゃいますように一定の水準といいますか平均的な知識を与えるという教育であったものを新たに二十一世紀に向けた教育をしていくということで、この四月から新しい思想の下に教育を展開しているというのが我々の考えでございまして、そのことをるるお話ししたつもりでございますが、私の力不足で十分御理解いただけなかったと思いますけれども、各国が目指している日本の姿ではなくて、更に一歩出て、自分で考え自分で行動できる本当に力を持った子供たちをつくろうとして今真剣に取り組んでおりますので、その点だけは御理解をいただければと思います。
  55. 矢野重典

    政府参考人(矢野重典君) 義務教育の分野におけるもっと私学の活用あるいはその充実をという御指摘でございますが、その点につきましては学校教育、我が国の義務教育におきましては、現在、私立の小中学校は学校数や児童生徒数の全体に占める割合は大変少ないわけでございまして、現状は生徒数で見ますると小学校が〇・九%、そして中学校が六%といったような、そういう低い、少ない状況にあるわけでございます。しかし、建学の精神に基づいた特色ある教育を推進すると、そういう私学の役割というのは大変大きいわけでございまして、また教育の多様化、個性化などの社会のそういう要請にこたえるものとしても大変大きな意義を有するものというふうに私どもとしては考えているところでございます。  このため、我が省におきましては、従来より私立学校に対する助成、経常費の助成でございますが、経常費の助成について、その充実について努力をいたしてきているところでございますが、私学の設置促進ということも含めまして、本年三月に多様な小中学校の設置を促進する観点から小学校及び中学校の設置基準というのを策定いたしました。こうしたことを通じて私立学校の設置促進が今後図られるということを私どもとしては期待をいたしているところでございます。  また、これは細かい、大きな全体的な流れということではございませんけれども、私学がいろいろな地域において活用されている例といたしまして、統廃合によりまして使用しなくなった公立学校の校地や校舎を自治体が学校法人に無償あるいは有償で貸与するということを通じて公私協力、公と私の協力による学校設置を行っているような、そういうケースも近年進んできているような状況があるわけでございます。  こういうふうなことを通じて、義務教育の分野におきましても、義務教育の段階におきましても私学の充実、また私学の発展ということを私どもとしては期待をいたしているところでございますけれども、他方、義務教育は、国民として共通に身に付けるべき基礎基本の教育をだれもがひとしく享受し得るように、制度的にこれは憲法においても保障されているものでございます。このため、公の責任において学校の管理運営体制を整えて、教育条件を維持するための措置を講じていくことは引き続き大事な国や地方公共団体の責任であろうかというふうに考えているところでございます。
  56. 荒井正吾

    ○荒井正吾君 大臣の御説明理解が至らないのは一〇〇%私のせいであろうかと思います。説明のせいでは全くないと思いますが、ただ、私のように教育分野で本当に素人の者が教育は大事だと思っていろいろ勉強させていただきながら、こういうことは理解できる、しかしこういうことは理解できないと言いながら質問しているわけでございますので、むしろ専門家としてのレベルを期待されるよりも、一般の人はこの程度だということを含んでいただいて何か、しかも限られた時間ですので、機会があればまたそういうことをやるとか期待の持てるようなふうに理解させていただいているつもりで、その面では全く理解の不足は私自身はないと思っておりますが。  ただ、意見の違いがあるときに、意見の違いがあるという理解はできるんですが、その御説明をトータルに、理解と賛同というのは違うものでございますので、理解はできるけれども賛同が十分でない部分があるということも言わせていただけたらというふうに思う、改革の原動力は意見の違いだというふうにも思うわけでございます。余計なことでございました。  最後に質問でございますが、学校の休暇制度でございますが、今まで学校の休暇がどちらかというと外国に比べて画一的じゃないかというふうに思っておりまして、今まで文部省に何度か、児童の休暇を弾力的に取るようにと、家庭の事情、本人の事情に合わせて取るようにという陳情もしたんですけれども、学校は教育の場で休暇の場じゃないということを私言われまして、そうかと思って今日に至って、これを最後、質問させていただきたいんでございますが、いつも、学校の休暇は教育委員会が決めるのでバラエティーがあってしかるべきだという御返事なんでございますが、実態はなかなか全国一律。  外国と比べてでございますが、例えば休みが学校によってずれるとか地域によってずれるとか、これはバカンスネージュという、だからスキー場が学生で込まないようにと、日本でいえばディズニーランドが春休みに集中しないようにと都立学校がずれれば、込むのが、地方からディズニーランドに来る人と都内で行く人がずれたら、ディズニーランドも少々込まないんじゃないかとか。あるいは自主休暇、カナダのように家庭でどこかに旅行に行って歴史的なもの、世界遺産を見るから休暇を取りたいと。日本の学校だと、先生によって行っていらっしゃいと言う人と、そんなのいけませんと。  まだ皆勤賞が出ておる学校もある。皆勤賞というのは本当に自慢するものかどうか。土曜日も、大臣は休んではいかぬという意見もありましたですけれども、休むときは休んで頑張るときは頑張るというのは、これはいろんな考えの違いがあろうかと思いますが、弾力的な休暇というのは、社会全体そうでございますけれども、学校が家庭の休暇の取得の一つの阻害要因になっておるということでございます。  あるいは三連休が出てまいりました、ハッピーマンデーと。三連休の前後に学校が、児童が休める、あるいは全部でなくても、一部でも休めるとなれば、家族旅行が四泊、五泊で行けるわけでございます。家族旅行が四泊、五泊で行けるというのは、これは経済の活性化、地域の活性化ということにつながるという、経済的じゃなくても、家族で一緒に旅行した家庭というのは、家庭にもよりますけれども、非常に少ないようにも思うわけでございます。ある面、学校休んじゃいかぬ、家庭も学校に行ってくれればいいという家庭もあるわけでございますが。  どうも一斉労働、一斉休暇の弊がある程度出てきて、あるいはそれが一斉楽観、一斉悲観につながる。総じて横並び、横を見て働く、横を見て休むというのが、これ義務教育のせいじゃないと思いますけれども、そういうメンタリティーが醸成されているように思うわけでございます。  学校の休みを弾力的に取ることを何とか、教育委員会でやればできるんだという返事だけじゃなしに何とかしてほしい。むしろ、教育委員会ができるんだという答弁でございましたら、要望にとどめさせていただきたいというふうに思います。  それと、もう一つは学校でもアウトソーシングと、教職員というのがおられますし、栄養士もおられますが、いろんな分野でのアウトソーシングが進んでおりますので、学校の教育の場の分野でもアウトソーシングをもう少し考えていただけないかというふうに思うものでございますが、どちらかというと要望、意見でございますが、時間も限られていますので、手短なお答えがあれば伺いますが、昼食になれば休むというのもむしろいいプリンシプルだと思いますので、もう時間が過ぎましたので、むしろ質問、あるいはお答えなしで質問を終わらせていただきたいというふうに思う次第でございます。ただ意見だけお聞きをいただきまして、今後また議論の足しにさせていただければというふうに思います。  以上で終わります。  ありがとうございました。
  57. 中原爽

    委員長中原爽君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩をいたします。    午後零時一分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  58. 中原爽

    委員長中原爽君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十一年度決算外二件及び平成十二年度決算外二件を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  59. 川橋幸子

    川橋幸子君 民主党・新緑風会の川橋幸子でございます。  本日は、法務、文部、警察の省庁別の決算審査でございますけれども、皆さんごらんいただきますように、前列閣僚等席にはたくさんの方にお見えいただいております。このように御質問をさせていただきます理由は、ここ数日間に非常に大きな二つの問題があったからでございます。一つ内閣改造でございますし、二つは拉致問題の政府の調査団の報告、昨日の件でございました。前者は小泉内閣の経済財政・金融政策における大きな政策転換を意味すると思いますし、後者の問題は外交上の問題に加えても人権の問題が非常に重要に絡んできている、政府としての大きな課題であるからであると思います。そのために、今日はこのように、大変、何か私一人こうした問題提起させていただくといささか面映ゆくはございますけれども、やはり国民が一番知りたいことを知りたいタイミングでお答えいただければと思います。  さて、それでは第一点目でございますが、小泉改造内閣と不良債権処理についてお伺いさせていただいております。  本日は御就任本当に間もない三人の副大臣にそれぞれおいでいただいております。本来ならば、この決算委員会担当大臣であります塩川大臣並びにキーパーソンとして注目されていらっしゃいます竹中大臣のお二人がお見えいただけるとよかったのでございますが、とにかく三副大臣おそろいいただきまして、大変ありがとうございます。  先ほど昼のテレビを見ておりましたら、今度は閣僚人事を通じて市場に対して小泉内閣の明瞭なメッセージは送れると、このように新聞等では書かれておりましたけれども、株価は最低を記録したらしゅうございます。やはりもう一度、不良債権だけではなくて、不良債権によって加速されますデフレ対策を総合的に、明確に政府から示さない限り株価は回復しないということの証拠ではないかと思います。  今回の内閣改造につきましては与党内部でも小泉総理の手法に対していろいろ御批判があるところと承っておりますけれども、私ども国民、私どもといいますか、国民の立場に立ちましても、小泉さんは政策転換したんではないか。どういう意味かといいますと、改革なくして成長なしと大変短い言葉ですぱっと言い切っておられましたけれども、実は今度の改造によりまして、改革なくして成長なしのそのスローガンの前に回復なくして改革なし、これが付け加わった、そういう政策転換ではなかったかと思います。  後日、総理にこの決算委員会にお見えいただいて総括質疑の際にまた御質疑させていただきたいと思いますし、できるだけその機会を早く持てるように私は希望するものでございますけれども、本日は三副大臣からそれぞれそうした政策転換の中身につきまして、まだ始まったばかりとおっしゃるかも分かりませんが、その方向性については明確にお示しいただきたい。それによってはもしかしたら株価も持ち直すかもしれない、そのような気概を持ってお答えをちょうだいできると有り難いと思います。  それでは、まず第一点目といたしまして谷口副大臣の方にお伺いいたします。  このところ変化が大きいものですからちょっとしたことが随分古いことのように思いますけれども、私は初めにこの問題に、あら、何だろうと思いましたのが、過日のG7財務相・中央銀行総裁会議及びその際の様々な会談を通じまして、塩川大臣の発言にぶれがあったといいましょうか、混乱があったといいましょうか、これは大臣ではなくて役所の側だったのかも分かりません、そうした問題でございました。それで今回の改造人事になったわけでございますけれども。  やはり、公的資金注入をする場合には、その前提として企業整理促進の条件を考えなければいけないとか、こうすればデフレが加速されますので、下支えするための先行減税規模とか財源などをどうする、そうした問題が話題になって注目されているわけでございます。簡潔にその政策的な意思がしっかりと伝わるように所信をお述べいただきたいと思います。
  60. 谷口隆義

    ○副大臣(谷口隆義君) 川橋先生のお尋ねでございますが、先ほどまず初めにおっしゃったのは、G7におきます塩川大臣の御発言のことに言及されたわけでございますが、これについては先日来から申し上げておるわけでございますけれども、一つは、九月二十七日に日米財務大臣会議がございまして、その折に塩川大臣は四点についてお話をされたわけでございます。一つは規制緩和のこと、また特殊法人改革のこと、また不良債権処理のこと、税制改革と、この四点についてオニール長官に我が国の今努力をしておることということでおっしゃったわけでございますけれども、その折に公的資金の投入についての議論があったのかなかったのかということでございますけれども、その会合の折にはこの議論がなかったと。  また、塩川大臣は、その後、財務大臣また中央銀行総裁会議等の間に非公式にオニール長官とお会いになり、大臣がこのような公的資金の注入についてのお話をなさったということを聞いておるわけでございます。  それで、その次におっしゃった不良債権処理の問題でございますけれども、これは従来から小泉総理も大変不良債権処理について熱心におっしゃった構造改革の大きな一つの問題でございます。  このような不良債権処理を行いますと一方でデフレ圧力が強まるのではないかというようなことが言われておるわけでございますが、現在の我が国の生産性の低い、また効率の悪い産業がこのような不良債権処理をする結果、廃止といいますか、清算に追い込まれるというような事態が考えられますけれども、それはまあ一時的なことであり、むしろその後、生産性の低い、また効率の悪い産業が成長力のある産業に、また労働力であるとか資金がシフトするということによって、これはこの構造改革、本来構造改革が目指しておる我が国の、日本の再生に資するというような観点があるわけでございますので、このところ、竹中大臣を中心にして不良債権処理が進められるということについては大変好ましいことだと、このように考えておるわけでございます。
  61. 川橋幸子

    川橋幸子君 明確なメッセージを伝えていただきたいというふうに申し上げたのですが、解説は承りましたけれども、もう一つメッセージ力を発揮していただきたいなというのが私の気持ちでございます。デフレを更に加速させて短期間で処理するという手法だってあるわけでございますし、そうじゃない手法もある。これが今市場が注目しているところではないでしょうか。  それでは、次に伊藤副大臣にお伺いいたします。  今度の金融庁に対しましては総理から大変具体的な指示があったと、このように報じられておりますが、その指示を実現するために、今の段階で結構ですから、今後どのような手段、方法をどのようなテンポで講じていくのか、ペイオフ解禁の問題を含めてお答えください。
  62. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) このたび副大臣として金融問題を担当させていただくことになりました伊藤達也でございます。どうかよろしくお願い申し上げます。  川橋先生から今御質問がございましたように、昨日初めての副大臣会議がございました。総理も御出席をされまして、その中で、平成十六年度中に不良債権問題は終結をさせるんだと、いわゆる金融問題を終結させるという総理の強い意思、指示があったわけであります。  私どもは、竹中大臣を中心として、そしてこの不良債権問題を処理するためにその促進策を加速をさせていこうということで、金融分野緊急対応戦略プロジェクトチームというものを本日発足をさせまして、民間の専門家方々、そして竹中大臣に私、当局の関係者が参加をして精力的に議論をして、そして包括的な戦略というものを打ち立てていきたいというふうに思っております。  その基本的な方向性につきましては大体一か月ぐらいをめどにして出していきたいということで、これはもう私ども全力でこの問題についての取組をしながら、そして、国民のためのやはり金融とは何なのか、国民を守る金融行政は何なのか、そうした視点から金融行政全体をやはり点検をして、そして強固な信頼をかち得るように一生懸命努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  63. 川橋幸子

    川橋幸子君 それでは最後に、経済財政担当をされる根本副大臣にお伺いいたします。  経済財政諮問会議はとかく不協和音がメディアでは報じられてまいりました。今回の不良債権処理につきましては、シナリオを書く方と実施する方とがぴたっと呼吸を合わせて総合的なデフレ対策を含めて整合性を持ってやっていただく、ここが問われているのではないかと思いますが、どうぞお考えをお聞かせください。
  64. 根本匠

    ○副大臣(根本匠君) このたび経済財政政策担当大臣を拝命しました根本匠です。  私は、不良債権処理問題を含めて、不協和音というよりは、むしろ大事なのは徹底的な政策論争をやって確かな方向を見出していくと、私はこれが基本だと思います。  今回、竹中大臣は、経済財政担当大臣としては経済財政運営のかじ取りをするわけでありますが、さらに今回、総理の指示にもありましたように、金融担当大臣を兼務すると。その考え方は、経済財政、金融に一体として取り組むということでありますから、私も竹中大臣の下で経済財政、金融に一体として取り組むと、その魂を踏まえてしっかりと取り組んでいきたいと思います。  ですから、大事なのは、不良債権処理問題というのは大変難しい問題でありまして、政策を具体的に、どういう政策を具体化していくか。この辺は徹底的に、今、伊藤副大臣のお話にもありましたが、この辺は徹底的に政策論争を詰めて具体的な政策を打ち出していく、私はこれが何よりも大事だと思っておりますので、私も全力を挙げて取り組んでいきたいと思います。
  65. 川橋幸子

    川橋幸子君 大変お忙しい中、三副大臣、御出席いただいて、ありがとうございました。次の臨時国会はこの問題が非常に大きなテーマになると思いますので、御活躍をお祈りさせていただきます。
  66. 中原爽

    委員長中原爽君) 御質疑は終わりました。  副大臣各位には御退席をいただいて結構だそうでございます。  ありがとうございました。
  67. 川橋幸子

    川橋幸子君 さて、それでは二番目の問題、拉致問題に移らせていただきます。  安倍長官、それから外務省方々、大変お疲れさまでございました。  本当に調査団、帰られてから、しかも台風の日にお帰りになられてから深夜まで作業をされ、家族への伝達につきましては今度は大変神経を遣われたと、このように伺っておるところでございます。  この問題につきましては、私は民主党の所属議員というよりも一個人の議員として質問をさせていただきたいと思います。どうしてかといいますと、こうした家族の方々、いわゆる被害者の方々の人権の問題、こういう問題と政治的な決着ないしは政治的な配慮というものがない交ぜになるときに一番危険なことが起こるような気がするからでございます。  今回、昨日のテレビ、皆さんもくぎ付けでいらっしゃったと思いますが、家族の方々、必死で闘っておられて、心をしっかり持とうとやっていらっしゃるわけでございますけれども、家族の側に立って、家族の方々が納得できるまで真相解明について政府としてサポートしていただきたい、家族の味方であるという、そういう姿勢をはっきり示していただきたいというのが私の今回の質問の趣旨でございます。  ということで、さて昨日の調査結果の発表でございますが、個別の話は結構でございますので、まず官邸の方に報告された外務省から総括的なポイントを御紹介いただきたいと思います。
  68. 田中均

    政府参考人(田中均君) お尋ねの拉致問題に関する事実調査チームでございますけれども、九月の二十八日から十月一日までの間、ピョンヤンを訪れました。  今次調査におきましては、北朝鮮当局側からの聞き取り、これに加えて生存者及び関係者との面会、死亡したとされる方々の墓地跡の訪問、こういうことを中心に可能な限りの調査を行ったということでございます。  調査結果の詳細につきましては、昨日、安倍官房副長官から発表がなされているとおりでございますけれども、概括的に申し上げれば、政府としては生存されている五名の被害者の方々については拉致被害者本人と判断して差し支えがないのではないかという結論に達したものでございます。また、死亡したとされる方々につきましては死亡を特定するには更なる具体的な情報が必要であるというふうに考えております。北朝鮮側も更に調査を継続するということでございますから、今後とも北朝鮮に真相解明を強く求めていくということを基本的な考え方としております。  今後、政府として、今、委員が御指摘になりましたように、御家族のお気持ちあるいは御家族の御要望を踏まえて、生存されている五名の方の御家族との再会及び帰国ということ、また死亡したとされている方々については更なる具体的な情報の収集、あるいは国内で検証をしなければいけないこともございます。全力で取り組んでいく必要があると考えております。  私ども外務省としても、北朝鮮側への真相解明の更なる要求等を行いまして、問題解決のために最大限の努力を傾注してまいりたいと、かように考えるわけでございます。
  69. 川橋幸子

    川橋幸子君 政府全体としての取組のキャップとして安倍長官への期待が高まっているわけでございます。大変大きな重荷、大きな課題かと存じますけれども、このような外務省の報告を踏まえまして、もう既にテレビ等で談話発表していらっしゃるとは思いますけれども、改めてこの国会の場で安倍長官の受け止め方及び今後の方針等についてお話しできることを御説明いただきたいと思います。
  70. 安倍晋三

    内閣官房長官安倍晋三君) 詳細につきましてはただいま田中局長の方から御説明させていただいたわけでございますが、生存をしているとされる五名の方々につきましては被害者の方々であるという断定しても差し支えないという結論に至ったわけでございます。しかし、他方、死亡しているとされている方々につきましては、まだまだ不明な点もございますし、そういう点につきましては北朝鮮側にもこうした真相究明のための協力を強く要請していきたいと思っておりますし、私どもとしても調査を続けていきたいと、このように考えております。  いずれにいたしましても、ただいま委員が御指摘されましたように、被害に遭った方々あるいはその家族の方々のお気持ちをよくそんたくしながら、私どもがその方々の立場に立って行動していくことが大切であると、このように考えております。  今後、交渉を通じていく上におきまして、この拉致問題の解明なくして国交正常化はないという総理の基本方針には変わりがないということでございます。
  71. 川橋幸子

    川橋幸子君 今からお話しすることは、質問ではなくて御紹介ということでございます。  どういうことを申し上げたいかといいますと、昨日、この決算委員会の中で、同僚議員の質問に答えられまして坂口厚生労働大臣がこんなふうにお答えになりました。正確ではありませんが趣旨をお伝えいたしますと、生存しておられる方々には、将来厚生労働省として協力することがあるとすれば、心のケアの問題をまず最初に取り上げたい。それから、仕事の問題、生活の問題ですね、そういうサポートの問題についても、日本社会への復帰のためのそうしたサポートもやっていきたいと。それから、現在安否が不明な方々の御家族というのも大変精神的にも苦しんでおられるわけでございますけれども、そうした方々へも厚生労働分野からできることを検討していきたいと、このような御答弁ぶりがありました。  正確には会議録をごらんいただくといたしまして、何か私、拝見しておりますと、官邸外交あるいは外務省外交というように、今は、何というんでしょうか、国交正常化のための入口のところで、外交は官邸、外務省の専決というような感じで少数精鋭で進んでいるようでございますけれども、個人的な感想でございますけれども、もう少し事態が進んだ先にはトータルな対応が必要ではないかと思っているところでございます。要望にとどめさせていただきます。  さて、今日は国家公安委員長も就任間もない御多忙の中、おいでいただいております。そこで、朝、所信は伺ったわけでございますけれども、この拉致問題への谷垣大臣のお取組もまた大変期待されるところが大きいかと思います。  昨日の調査結果を聞かれましてどのようにお考えになっていらっしゃるか、今の段階におけるお取組の考え方をお伺いしたいわけでございますが、調査団が出掛ける前に、外務省だけではない、本当は捜査のプロが参加すべきだと、警察はそれを申し入れたとか申し入れないとか、北朝鮮から断られたとかという様々なお話が伝わっておったわけでございます。それから、昨日、メディアは大変この問題を大きく取り上げておりまして、いろんな関係者の方々があの結果を見ながら、報告を聞きながら様々な分析をしておったと思います。  こういう状況を踏まえまして、このテロといいますか拉致といいますか、問題について専門的なノウハウを持っていらっしゃる警察としては、今後どんなふうにやっていかれるのでしょうか。  それから、まとめてちょっとお伺いさせていただきますが、これまでの対応につきましては、例えばよど号ハイジャック犯への逮捕状というのは遅きに失したのではないかと、こういう世論の批判があるわけでございますけれども、この結果を受けて、今後政府はこうした点からも警察独自の立場から捜査に取り組む部分があるのではないかと思いますが、そうしたものはどうお考えになるのか。さらに、もう一点付け加えさせていただきますと、更なる行方不明者の調査についても要望が寄せられておりましたが、この部分はどのようにお考えになるのか。以上、お伺いいたします。
  72. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今の川橋先生のお問い掛けでございますが、私は、この事件は、関係の御家族の立場あるいは我々国民の立場としても情においては誠に忍びざることである、こう思います。他方、北東アジア全般の平和や安全保障をどう考えていくかということは一方極めて理性的に考えなきゃいけない。情と理のバランスを取ることが極めて難しい案件だなという思いがいたします。この情と理のバランスを欠いている現状、それをうずめていくためには、でき得る限り事実解明を進めていく、その意味で警察も一生懸命やらなければならないと、こんなふうに私は考えているわけであります。  過去の取組につきましてもお尋ねがございました。私は就任してからまだ概況しか実は聞けておりません。個々の一々について、どうだったのか、ああだったのかというところまではまだ詳細に把握していないのでございますが、私自身は、過去、外交関係がない、いわんや捜査権がない、こういう中で事実解明を進めてくることにはなかなか現場としても苦労があったんだろうと思っております。  そういう中で、事実を突き合わせて、これは警察だけの力でできたわけではありません。関係当局の協力もありましたし、あるいは外国の捜査機関などに協力を仰いだこともあったわけでありますけれども、八件十一名、こういうことを警察としてこうであろうという一つの判断を持っていたと。このことが北朝鮮側としてもこういうことがあったと認めて先般謝罪をしたということの背景にあったと思います。したがいまして、私どもは更にこういう努力を続けて事実解明を進めていかなきゃならないと思っております。  よど号の犯人の逮捕状についてもお話がございましたけれども、有本恵子さんの拉致容疑事案につきましても、魚本公博、旧姓安部公博の立件に必要な証拠書類を得るにはなかなか苦労があったんだろうと思いますが、それがようやく立件に必要な書類が、証拠がそろったという判断に至りまして、先般、結婚目的の誘拐罪で同人の逮捕状を得たと、こういうふうに判断をいたしております。  昨日、外務省が調査をされましたその結果をいただきまして、現在鋭意その分析と精査をしているところでございまして、まだその結果こうであるという十分にこの委員会の場でお話、御報告を申し上げるところまで至っておりませんけれども、国家公安委員長として、警察の専門的知識を生かして一刻も早くこういった調査の結果を生かせるように督励をしていきたいと思っております。  それから、八件十一名、あるいはそのほか北朝鮮側からもこうだというお話がありまして、そのほかにもいろいろあるじゃないかということでございます。  警察庁としましても、全国の都道府県警に指示をいたしまして、もう一回いろいろな過去のこう言われている事案を洗い直すように指示をしたというふうに報告を聞いておりまして、私は、それを徹底的に洗い直して、どういうそこから蓋然性が浮かび上がってくるか、こういうことを明らかにしていかなければならないと思っております。こういう私どもの精査と相まちまして、そこで得られましたことにつきまして北朝鮮側からまた誠意ある対応をしていただかなければならないと、こんなふうに考えておるところでございます。
  73. 川橋幸子

    川橋幸子君 ただいま大臣は情と理のバランスというふうに表現なさいましたけれども、私も、言葉は違いますが、そのことを考えておりました。日朝国交交渉を開始させることによって東北アジアの緊張を解き、世界平和の構築に寄与するという非常に大きな課題と、それともう一つ人間の情、情といいますか、私は冒頭人権の問題というふうに申し上げさせていただきましたが、どうも人権という問題がないがしろにされてきたのではないかというのが国内の情の問題、国内におきます不信感の問題なのではないかと思います。  私はこの不信感の問題というのは三つあるように思っています。  一つは、北朝鮮に対して、こういう大変無残な結果が明らかになればなるほど、北朝鮮というのは普通でないとんでもない国である、なぜそのような国と国交回復しなければならないのか、更には経済協力までしなければならないのかという相手国に対する不信感が一つ。  それと同時に、私はやっぱりこれまでの政府の対応に対する不信感が大きかったのではないかと思います。総理も調査団が出掛ける前に被害者の家族の方々とお会いになられて、これまでの政府の対応は不十分であったということをおわびされたと伺っておりますけれども、まあこれはメディアで知ったことですからどの程度正確なのかは分かりませんが、外務省に対する不信、やはり言わせていただきます。国交正常化のために十人ぐらい拉致されて一体それが何だといったような発言が新聞に載った、そういう政府に対する不信感が大きかったと思います。  それと、私は、ひいてはこの問題は、この事件に限らず、あるいは日本に限らず、国家は個人を犠牲にするのではないかと。日本の国内で考えましても、沖縄の問題あるいは広島の問題等々、様々、一般市民の被害があるときに国家間の妥協でもって物事が決着されていく、こういうものに対する、これはなかなか難しい、人類社会どこの国でも苦労していることかも分かりませんが、そういう不信感が大きい。そういう意味では、日本はもっと人権を大事にする国なんだという、この国の在り方そのものも考え直していただきたい、この問題を契機にそういうふうに考えていただきたいということを思っているわけでございます。  こういう観点から質問させていただきます。  まず、拉致補償についてです。これは北朝鮮に対する要求でございます。私は要求できるものがあれば要求すべきだ、このように考えています。うやむやにしてほしくないというように考えている一人でございますが、最近のある新聞の記事を見たところ、その記事が正確かどうかはまたお答えいただければよろしいわけですが、安倍官房副長官が、国際法等々の法令に照らして何を要求すべきか、国家としての補償も含めて検討していきたいと、かなりはっきり明言なさいました。それから、官房長官御自身も、国際法、国内法上の問題、御家族の気持ちを総合的に勘案して判断を行うという、そういう談話が載っていたわけですが、この記事は、これはなかなか難しくて政治決着になるのではないかという予想記事だったのでございます。  事実の正確さは欠くかも分かりませんけれども、北朝鮮に対する請求としては、将来の話、事実がはっきりしてからの話ということにいたしましても、どのような基本的なお考えで臨もうとしていらっしゃるのか、安倍長官に伺います。
  74. 安倍晋三

    内閣官房長官安倍晋三君) ただいまの御質問にお答えする前に、先ほど拉致被害者あるいは御家族の方へのケアの問題について御意見を伺いました。私も、従来から、当時はまだ拉致被害者の生存者が判明していなかった段階では、少なくとも被害者の御家族の方々へのケアはしっかりするべきであるということはずっと、官房副長官になる前から主張してまいりました。  副長官になりましてからも、拉致関係PT、副大臣のPTを作りまして、いわゆる犯罪被害者としてのケアができないかということを検討してまいりました。現在、専門幹事会を作りまして、私が議長を務めておりますが、厚生労働省も入っております。今後、この場におきましても、どういうケアをするか、また生存者の方々、またその生存者の家族も含めて考えていきたい、こう思っているところでございます。  そして、ただいまの補償の問題についてでございます。  この補償につきましては、被害者の方々は北朝鮮に対して、これは被害に対しての補償を求めなければならないわけでございますが、これは国でございます。そしてまた、金正日総書記御自身が国家の関与を認めて謝罪をされた、これは首脳会談において謝罪をされた、そして国家の関与を認めたわけでございますから、明々白々な事実でございます。そうである以上、私どもは当然被害に遭った方々の補償を含めて何を要求するべきかということは検討していきたい、そしてその中身につきましては正常化交渉の中で協議を求めていきたい、こう思っております。  これは単に、単にというか、人権だけの問題ではなくて、先ほど情と理というお話もありました。確かにそういう側面もあるわけでございますが、しかしこの拉致自体は人権のみならず我が国の主権を侵したわけでございます。我が国としては主権を侵された、これは極めて重要な事柄であるわけでございまして、これを看過するということは決してできない、このことは申し上げておきたい、こう思うわけでございます。  また、先ほど外務省の今までの姿勢等についてのお話もあったわけでございますが、私も何回か委員会でお話をいたしましたように、確かに外務省の対応において家族の方々から冷たいではないかと言われてもしようがないようなこともあったと私は思います。私も初当選以来、当初から西村眞悟議員あるいは平沢勝栄議員と議連を立ち上げて活動をしてまいりました。その間に感じたことを率直に述べさせていただいたわけであります。  しかし、それと同時に、当時はマスコミにおいてもほとんどこの問題は実は取り上げてこなかったわけでございます。私も四、五回質問したわけでございますが、私の質問は一切取り上げられることはございませんでした。また、私が質問したときには随分やじられたことも事実であります。そんなはっきりした事実もない中でそんなこと聞くなというやじすらあったという状況もあったということも付け加えさせていただきたいと思います。
  75. 川橋幸子

    川橋幸子君 今の副長官の御答弁、私としては、大変にうれしい答弁といいますか、様々メディアの中の批判がある、あるいはやじが飛ぶ中でも初心を貫いていただける、本当に私も期待させていただきたいと思いますが。  ちょっと時間をつぶしてもったいないですが、一点だけ、これはもうお答えは結構でございます、私の方から要望をさせていただきます。  言葉じりをとらえることは全然ないのでございますが、国家主権の問題と個人の問題、私は今正にこれが問われている時期ではないかと思うのです。どちらかといえば私は、国家主権が侵される、そのことの問題の前に個人の尊厳を考えていただきたいという、そういう価値観を持つ人間でございます。  瀋陽領事館のあの事件のときに、ちょっとお名前、ど忘れいたしましたが、元フランス大使の方だったと思いますが、瀋陽領事館の事件で一番注意しなければいけないのは、あれはカメラの前に本当に子供がいて、女性がいて、それを制服を着た、まあ国家権力の、強い者が引き出そうと。それに対して日本の領事館は何もしなかったと。あれが一番大きな問題だったと。ちょっと、まあ質問を離れるというよりも、私の質問の視点をはっきりさせるためにそのことをあえて、もう本当に釈迦に説法といいますか、そういう副長官に向かってでございますけれども、私もそのようなことは発言させていただきたいと思います。それを含めて、是非しっかりお取組をお願いしたいと思うのでございます。  さて、それでは少し話の次元を変えたいと思います。  先ほど政治に対する不信といいますか、ガバメントに対する不信といいましょうか、それの一番最後に挙げた点でございますけれども、その国家と個人の関係、国家は個人を犠牲にするというその長い歴史の中での問題がございます。それに関連して話をさせていただきます。ですから、今回の拉致事件とは直接の関係はないわけでございますが、やはり私はここで元慰安婦の方の問題を取り上げざるを得ないというか、こういう問題に対する政府の態度をしっかりさせることによって、むしろ国内の信頼を回復し、あるいは国際社会の信頼を回復する、そういう問題になるのではないかと思います。  個人的には私は、北朝鮮は今回の拉致事件に対する日本の反応に対して、あるいは予想外のものを、強いものを感じてびっくりしているかもしれませんが、ある点では織り込み済みではなかったかと思われることがございます。どういうことかといいますと、この慰安婦の問題はかねて北朝鮮でも市民運動の動きが、市民運動の動きというのは北朝鮮内では難しいかも分かりませんが、あの周辺、韓国を中心にしてあるわけですね。知っているはずでございます。  慰安婦問題につきましては、野党三党が議員立法を提出して、現在継続審議となっているわけでございますが、私もその賛同者の一人でございますが、この問題に取り組みますのは、私どもの気持ちもなかなか正確に理解されないのですけれども、よく言われますのは、過去の日本の植民地支配を相手国に代わって日本人のあなたたちが糾弾するのですかという、そういうお話があること。それから、そうした日本の国益じゃなくて相手国の国益のために、何というんでしょうか、相手国の女性の立場に立って野蛮な日本人を糾弾するのかという、こういう反応、そういうことでは全くないわけでございます。私たちは、日本国内にもし慰安婦の方が、被害を受けた方がおられて申し出られてきたら同じように取り組む、あるいは同じように以上にかも分かりませんけれども取り組むつもりでございます。  言いたいことは、やはり、特に女性の場合は、性を傷付けられることによりまして、もう社会的には死に値するような生涯にわたる辱めを受けるといいましょうか、人間としての名誉と尊厳を深く傷付けられること。これを国境を越えて女性の連帯で訴えているのが元慰安婦の問題でございます。この問題も、ここから先は少しテクニカルになります。今は前提となる考え方を、私は自分の考え方を申し上げました。  政府もこの問題は無視できませんで、道義的な責任からアジア女性基金を発足させてきたわけですが、このほど事実上それを幕引きをしたわけでございます。しかし、様々な国家間の補償を日韓と同じ条件で解決する方向というふうに平壌宣言では合意されているわけでございますが、そうしますと、このアジア女性基金が担ってきたような機能、役割、これも当然日韓と同条件なら含まれるはずでございますね。だけど、事実上は基金の方は幕引きになっている。  これについてはどのように考えておられるのでしょうか。ここをはっきりさせることによって、むしろ私は日本は強い立場に立てると思っております。外務省にお尋ねします。
  76. 田中均

    政府参考人(田中均君) お尋ねのまず平壌宣言の話でございますけれども、基本的には、その中にも書いてございますように、日本と北朝鮮の間で国交正常化交渉の中において具体的に協議をしていくということでございますが、その基本的な考え方として、双方の財産請求権を相互に放棄する、確かにこれは日韓の方式と同じ考え方、こういう基本的な考え方の中で具体的に正常化交渉の中で協議をしていくということになっているわけでございます。同時に、経済協力についても具体的な協議を国交正常化交渉の中でやっていくということでございます。  慰安婦の問題については、北朝鮮側は、従来、慰安婦に対する補償といったようなことを日本側に要求をしてきたということは事実でございます。  今後、正に今申し上げました財産請求権を相互に放棄するという基本的な考え方、そういうものの中で委員が御指摘の問題も含めて総合的に検討がされていくべきものというふうに考えております。
  77. 川橋幸子

    川橋幸子君 今後総合的に考えていくべき問題ということでございますけれども、それに私は異論を唱えるわけではございませんが、総合的に考える前に日本としての解決策をしっかり持っていてほしいというのが私の希望なんです。  中央省庁再編に伴いまして、アジア女性基金、これはアジア女性基金という事業、民間事業の所管だろうと思います、それが外務省に移りました。しかし、これは発足のときには内閣官房外政審議室にあったのでございます。つまり、この問題については国が、内閣が責任を持って解決をするという、そういう対外的な姿勢が示されていたと私は思います。それが、今回の中央省庁再編に伴って、戦後処理問題をちゃんと責任を持って扱うという部署が内閣官房のどこにも見当たらなくなってきたというのが現状でございます。  この問題を何回か内閣委員会で同僚議員とともに質問しておりましたときに、官房長官は、やはり従軍慰安婦を専門とはおっしゃいませんでしたけれども、戦後処理問題を担当するそうした窓口組織、国内でも連携組織が必要ですし、対外的にもナショナルマシーナリーとして必要だと私は思いますけれども、そこまではおっしゃいませんが、そういう組織の設置を検討したいと、このように官房長官はおっしゃっておられましたが、その後の事務方の答弁を伺いますと、だんだんだんだん後退していくような気がいたしますが、いま一度お尋ねさせていただきます。取り組んでいただけますでしょうか。
  78. 井上進

    政府参考人(井上進君) お答えいたします。  戦後処理問題につきましては基本的には関係府省庁の各々の所掌に従って担当しておりまして、今、委員御指摘の従軍慰安婦問題につきましても、中央省庁再編後、外務省が中心となって、必要な場合には内閣官房が調整するとの対応を取ってきております。  お尋ねのような担当の部署の問題につきましては、官房長官の御意向を十分に勘案しつつ、設置の是非も含め関係府省庁とも引き続きよく検討してまいりたいと考えております。
  79. 川橋幸子

    川橋幸子君 ということで、余り答弁ぶりは変わらないように承りましたけれども、是非、この問題、副長官の方にも御理解いただきまして、しっかりとしたものを作っていただくことが国際社会の中における日本政府を信用する一つの私は重要なことではないかと思いますので、御努力いただきたいと思います。  それでは、慰安婦の問題はこの程度にいたしまして、それでは今度は外交上の問題に入らせていただきたいと思います。  先ほど安倍長官の方は、拉致事件の解明というのは国交正常化交渉の大前提といいますか、優先課題ということを既に御答弁いただいているわけでございますけれども、昨日の被害者の家族の方々の姿が非常に大きなショッキングなニュースとして映像が全国に伝わったのでしょうか、メディアの中ではやはり国交正常化交渉の方のテンポを少し遅らせた方がいいのではないかと、このような反応もあると私は見ております。その点についての副長官の御見解、伺いたいと思います。
  80. 安倍晋三

    内閣官房長官安倍晋三君) 総理の御方針は十月中に正常化交渉を再開をするということでございます。平壌宣言の精神にのっとって国交正常化交渉を進めていくわけでございます。平壌宣言の精神にのっとるということは、当然この拉致問題につきましても北朝鮮は協力をしていくということになるわけでございます。  この交渉再開の前に片付けておくべきこと、またあるいは交渉の中で片付けておくこと、いろいろあると思いますが、どこでどのように議論をすれば、また正常化交渉以外にも安保協議の場もあるわけでございますが、どこでどのように議論をしていくことが一番国益にかなうかということを総合的に勘案をしていきたいと、このように思うわけでございます。  しかしながら、大切なことは、正常化交渉のテーブルがあるからこそ議論できることはたくさんあるということでございます。しかし、あいまいなまま、あるいは未解決なままいろんなことが、いろんな懸念、先ほど委員が御指摘された人権の問題もございます、また我が国の安全保障の問題もございます。そうした懸念をそのまま残したまま正常化ということには、これはなかなか国民的にもならない、私どももそのようには考えていないということでございます。  いずれにいたしましても、私どもの方針としては十月中に交渉を再開したいと、このように思っております。
  81. 川橋幸子

    川橋幸子君 今、副長官の方から安全保障協議のことを既にお述べいただきましたけれども、米国ケリー特使が北朝鮮に行っているわけでございます。日米韓という外交の窓口の中で安全保障協議は大きな話になると思いますし、米国の協力ないしは、さらに、将来はロシア、中国までも含めた交渉の中で北朝鮮の窓口を開かせると、大きな話はあると思いますが、日本国内の中では、こうした安全保障協議というのはどのような構成で、どのような議題で協議されるのでしょうか。特に、国交正常化交渉と並行して安全保障協議を行うというふうに平壌宣言で書かれているものですから、この部分を御説明いただきたいと思います。
  82. 田中均

    政府参考人(田中均君) 安全保障協議、それから正常化交渉の位置付けその他、今、安倍長官が御答弁をされたとおりでございますし、私どもも懸念があるがゆえに協議をするということであります。懸念がないということでは全くない。拉致問題についてもきちんと解明をしなければいけないし、安全保障の課題についても非常に大きな懸念があるから正常化交渉及び安全保障協議というものを立ち上げて協議をしていきたい、交渉をしていきたいと、こういうことでございます。  お尋ねの安全保障協議でございますけれども、これはあくまで日朝の平壌宣言の大きな枠の中にあるということでございます。したがって、正常化交渉と連携をしつつ協議をしていく、安保協議というものをやっていくというのが基本的な考え方でございます。  具体的な中身につきましては、当然のことながら、地域の安全保障課題、核の問題あるいはミサイルの問題、それから信頼醸成の枠組みといったようなことについての議論もあるかと思います。それから、二国間の安全問題といったようなこともあるというふうに思います。  国内的には、これまた当然のことでございますけれども、関係省庁の御協力を得ながら進めていくということでございまして、まだその詳細については検討、これは当然のことながら北朝鮮とも協議をしていくべき、具体的な構成その他につきましては北朝鮮側とも協議をしていくべき課題であると、かように考えております。
  83. 川橋幸子

    川橋幸子君 結局、日朝交渉とそれから国内の不信感の払拭のこの両立、谷垣大臣の言葉によれば情と理のバランス、私の言葉によれば拉致事件と国交正常化と安保協議のトリプルの課題、この間の非常に大きな機微に沿った判断というのが必要だろうと思いますし、それは独裁的な判断、ちょっと表現悪いでしょうか、決断も要ると同時に、総合力を発揮する部分があろうかと思います。一議員として口幅ったいことを言っているようでございますけれども、やはり日本の国の将来を考えると、こうした問題について十分、もう申し上げるまでもないかも分かりませんが、熟慮、そして素早い決断をしていただけますように要望さしていただきます。  さてそれで、国家公安委員長に伺いたいのでございます。  拉致はテロでございます。警察の方の機能といたしましては、それを予防する、あるいは犯人を捕まえるという方の機能と、それと拉致事件の被害者の問題と、両方にかかわっていくわけでございますが、国交正常化交渉と安全保障協議のそれぞれにどのようなスタンスでお取組になっていかれるという、そういうお考えでしょうか。お気持ちを伺いたいと思います。
  84. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、川橋先生は拉致はテロであるとおっしゃったふうにお聞きいたしました。テロリズムというのは何だか、いろんなこれは国際法、まだ確立した定義がないようでございまして、私もそういう趣旨の御質問があるということでちょっと勉強してみましたが、ここで拉致はテロであるというふうに断定するのは差し控えさせていただきたいと思うんです。  ただ、この国交正常化交渉で拉致問題を始めとする諸懸案に北朝鮮が誠実に対応してくれる、取り組んでくれるということはもう必須の私は前提であろうと思います。そして、こういうことを明らかにしていくために、先ほど来申し上げているところでございますが、やはり我々としても、事実は何であるかということをぎりぎりまで問い詰めていくという努力が不可欠なのだろうと思っておりまして、警察を督励しながら、それを少しでも果たしていきたいというふうに思っております。  それから、関係閣僚会議がございますが、テロとは先ほど申しませんでしたけれども、テロあるいは拉致、国民の生命と財産、そういうものを守る立場にある国家公安委員長として、こういうことはやはり政府として考えなければならないということは私もきちっと発言をしてまいりたいと、こういうふうに思っております。  それから、安全保障協議の中で国家公安委員長としてどう考えていくかというお問い掛けでございましたけれども、これは、今、外務省を中心にこの問題を整理されていることに私どもは従ってまいりたいと、こういうふうに考えております。  先ほどから川橋先生は、個人の人権と国家の利益といいますか、政治的な判断と申しますか、その矛盾というようなことを非常に問題にされているようにお聞きをしたわけでございますが、私といたしましては、先ほどから私の使う用語と川橋先生のお使いになる用語とは若干違うかもしれませんが、先生問題意識は、やはり私どもは政治なり行政の最大の目的は国民の生命と財産を守ることにあるということに日々思いを致すべきだということであろうと思います。  そういうことを前提に国家公安委員長の私が申し上げることは、余り、それだからと言って張り切って、法も証拠も乗り越えてというようなことになりますと、これは大変なことでございます。やはり、法と証拠に従って私どもは粛々と作業を進めていくと、こういうことを申し上げたいと思っております。
  85. 川橋幸子

    川橋幸子君 法律用語を私が理解していないことを大臣から何か御指摘いただいたようでございますけれども、一応警察白書を見ましたら、拉致事件への取組のところに北朝鮮の八件十一人の問題が入っておりましたので拉致と申し上げました。  ほかにも国際法上はいろんな定義があり、国連でももめていることかも分かりません。しかし、私は、問題意識は、多分大臣は私の言っていることを分かっていただいたんだなと安心いたしました。法と証拠に従って取り組んでいただく、私はそこに政治的な配慮を入れないでほしいということを、はっきり言えばそのように要望したということでございますので、是非その方向でお願い申し上げたいと思います。  さて、それでは国家と個人の関係について今度は法務大臣の方にお伺いさせていただきたいと思います。  国際刑事裁判所、いわゆるICC条約と言われますのが六十か国の批准を経まして今年七月に発効いたしまして、来年、二〇〇三年には活動を開始すると、このような報道がなされています。場合によって、メディアは、この国際刑事裁判所と今回の拉致事件を絡ませまして、これによって北朝鮮の国家犯罪が問えないか、国家犯罪の首謀者である犯人個人の犯罪が問えないかというようなことが話題になっていまして、その中に書かれておることは、とにかくこの条約、日本は未加入ですから今は関係ないですけれども、加入したところで遡求効がないから今回の拉致事件には直接適用があるものではないと、これははっきりしているわけでございます。  しかし、私は、日本がこうした人道に対する罪、この中に拉致が入るわけでございますね、それをきちんと裁く国であることを、そうした国際条約を遵守する国であることを国際社会に対して大きなメッセージとして送るためにはこのICC条約の批准も検討すべきではないかと、このように考えている一人でございます。  日本は、この条約のそもそも取りまとめに当たりましては当時の小和田大使が大変御努力された、しかし、いざでき上がってみたら署名もないし、ましてや批准の予定もないと、このように伺っているわけでございますが、日本が署名、批准をためらっている理由というのは何なのでしょうか。法務大臣にお伺いします。
  86. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) 条約の署名とか批准とかいうのは外務省の仕事でございますが、それを前提にいたしまして、私なりの立場からお話ししてみますと、国際刑事裁判所の規定につきましては、これの内容は、おっしゃるとおり、大変国際平和、安全の維持という見地から重要なものであるというふうに考えておりますが、この規定にもし日本が署名なり批准なりをいたしますとすると、日本の国内法をかなり検討していじらなければならないという問題がたくさん含まれております。  ですから、今後とも外務省の関係の方々あるいはほかの省庁の関係者ともよく御相談申し上げまして、この規定あるいは関係文書の内容を精査いたしまして、加入に必要な国内法の整備について更に検討作業を進めてまいりたいというふうに考えております。
  87. 川橋幸子

    川橋幸子君 批准するためには国内法の整備を検討しなければいけない、その検討には関係省庁と一緒に着手してくださるという、こういう大臣の御見解でいらっしゃいますね。是非検討をよろしくお願いいたします。  私の持ち時間は実はこれで終わり──そうですよね。同僚の神本議員の質問時間に食い込んで大変恐縮なんですが、あと是非一点だけ私は森山大臣が答弁席にいらっしゃるところでお伺いしたい問題があります。  国家と個人の関係というのは実はこれに始まったことではなくて、以前から、また違う条約でございますけれども、人権B規約ですとか女子差別撤廃条約の選択議定書とか個人通報制度というものが規定されている条約の批准に対して日本は大変後ろ向きであるということに対して、女性たちが何とか批准してほしいという、こういう声を上げているところでございます。  こちらの方の個人通報制度は個人が国連のしかるべき機関に通報することができると、こういう制度を規定するのが個人通報制度でございますけれども、人権B規約は一九七六年の発効で、既に百二か国が批准、百二か国です。それから、女子差別撤廃条約の方でございますと、この選択議定書は四十二か国が批准。こちらの発効はまあ割合近いといいますか、それでも一九九九年の発効でございますので、もう三年たつのでございます。  森山大臣、特にお願いしたいと申し上げましたのは、女子差別撤廃条約のときの森山大臣の活躍ぶりは私が非常に強く印象深く思っておるからでございます。女子差別撤廃条約のときも、男女雇用機会均等法という国内法ができない限り批准できない。あのぎりぎりのときに、八五年のケニアの会議でしたでしょうか、当時、外務政務次官でおいででいらっしゃいました大臣が行かれまして、それをプッシュするためにそこの演壇でスピーチされたことは、たしか、山が動く日来るでしょうか、与謝野晶子さんの詩を引かれて言っている。その数年後に選挙があったときに、非常に、言葉は悪いですけれども、マドンナ、私はこの言葉は適切じゃないと思いますが、分かりやすく言うとそういう選挙結果があって、そのときに土井たか子現社民党党首は山が動いたとおっしゃったんですけれども、実は、その山が動くをキーワードになさったのは森山大臣だったわけでございます。  当時も非常に政府の壁、厚かった、自民党の壁も厚かった。そういう中で批准にこぎ着けて、男女雇用機会均等法、まあ、ざる法と言われましたけれども、とにかくできまして、ついこの間、ようやく先進国並みという水準まで改正されたというところでございます。長い歴史があるわけでございます。  そこの女子差別撤廃条約の実効性を担保するのがこのプロトコルであるわけでございますが、この個人通報制度につきましては、長年、国内司法制度の独立性から問題があるので批准を検討していきたいと、もう十年以上続いていると思います、人権B規約を含めればですね。十年間、検討しています検討していますの答弁を聞いているのでございますけれども、一体十年間何を検討して、いつ検討が終わるのか、その検討事項をどうやって公表してくださらないのか、これ非常に素朴な疑問を持っております。是非森山大臣からこの点についての御答弁を伺いたいと思います。国内司法制度の独立性から何が問題で何を検討しておられるのか、お伺いしたいと思います。
  88. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) おっしゃるとおり、女子差別撤廃条約だけではなくて、人権のB規約その他、個人通報制度と大いにかかわりのあるものがたくさんございまして、これらの条約の実施の効果的な担保を図るという趣旨からこの条約は注目すべきものであるというふうに考えておりますが、他方で、お言葉にもありましたように、司法権の独立ということは大変また別の意味で重要なことでございます。  個人が直接国連その他に通報をするというやり方、それはそれで一つのアピールの仕方としては私も理解できるんでございますけれども、しかもこれは法的な強制力はないのだからそういうことがあってもいいじゃないかというお気持ちも分からないではございませんが、特に日本の司法制度につきましては大変きちょうめんで厳正に物を考える傾向がございまして、仮に国連というような大きな影響力のあるものを背景にそのような個人通報制度が行われ、それが何らかの結論をその場で得るということになりますと、同時に行われているかもしれない法廷における裁判官の判断に何らかの影響を与えるのではないかということが具体的に心配されるわけでございまして、そのようなことがないようにどうすればできるかということを検討していると言えば言えるわけでございます。  非常にそこのところが御説明しにくいんですけれども、具体的に、個別具体的な事案についてこのような場合にはどうするか、このような場合にはどうするかというようなことを具体的に検討しているというのが現在の状況でございまして、いつ結論が出るとか、詳しく内容を細かく御説明するということが残念ながらここではできませんけれども、そのような状況でありまして、更に検討を続けていきたいというふうに思っております。
  89. 川橋幸子

    川橋幸子君 検討のための更なる十年が要ると思うと気が遠くなるような感じがいたしますが。  これは去年の新聞記事でございますが、日弁連の女子差別選択議定書プロジェクトチーム座長、寺沢さんとおっしゃる方が投稿しておられます。そこの一文を御紹介いたしますと、日本が個人通報制度を定めた選択議定書を批准しない背景には最高裁判所の反対があると言われているという、専らこういう、最高裁が反対している、大変お偉い最高裁というところが我が国司法制度の独立のために反対しておられると、これは世俗言われていることでございます。女性たちは、そのように、ああ最高裁が言っているんじゃ行政も突破できないのかしらと半ばあきらめているところでございますが、今日は最高裁も審査対象に入っていらっしゃいますので、あえて伺わせていただきます。  最高裁は、この件について法務省から連絡を受けたり、あるいは最高裁において何か検討されたり、何か意見をお述べになったというようなことがあるのでしょうか。最高裁がここまで悪者にされているという状況を御存じでしょうか、伺います。
  90. 中山隆夫

    最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) お答え申し上げます。  選択議定書、今おっしゃいました幾つかの選択議定書の署名、批准につきましては、政府ないし国会政策的な判断に基づいて行われるべき事柄であり、最高裁判所はこの問題について意見を述べるべき立場にはないものと考えております。この問題につき法務省から正式に意見を求められたことも、したがってございません。  今御紹介のありました寺沢弁護士の論考、そのようなものが載ったということは承知しておりますが、率直に言って、どのような根拠に基づいてというものかが理解できないところでありますし、最高裁判所が言うのはおかしいことでありますが、冤罪というふうに言ってもよろしいかと思っております。  最高裁判所が正式に意見を述べたことはないというのは今述べたとおりでございます。
  91. 川橋幸子

    川橋幸子君 冤罪であるなら、是非冤罪を晴らす自助努力をしていただけると有り難いと思うのでございますが、要するに、これは政府の立法政策上の問題であって、個別事件を裁く裁判所の問題ではないというお答えなんだろうと思います。それならば、そのように法務省の方で御検討をいただけないものかと思うわけでございます。  現在、司法制度改革が進んでおりまして、国民のための司法と言われているわけでございます。ちょっと余分なことかも分かりません。司法制度改革には過去に三つの山があったということを私は学びました。どういう時期かというと、明治維新、それと現在、中間にあったのが例の大正ロマンと言われた時期だったそうです。そのころの議論を見ると、非常に、裁判制度国民のためにしよう、自分たちのための裁判制度にしようということが声高らかに論じられていたわけでございます。しかし、残念ながら、第二次大戦を迎えて、相変わらず裁判制度のための裁判、裁判官のための裁判制度、こういう状況に置かれていると、これが現状だと思います。  是非、現在の司法制度改革の中の一環として、国民のための司法として、こうした我が国に司法制度の独立性の問題なんというのを理由にして批准をためらってくる国は一国もないと聞いていますし、百二か国の批准国の中からそれが問題になったという事例が出たということも一回も聞いたことがございません。  是非、第二次小泉内閣の目玉といたしましてこの件の解決を法務大臣に御要望いたしまして、私の質問、大分同僚議員に迷惑を掛けましたけれども、終わらせていただきます。また引き続き残りの質問、大変たくさんのものをお願いいたしましたが、この決算委員会で後日また機会をいただければさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  92. 神本美恵子

    神本美恵子君 民主党・新緑風会の神本美恵子でございます。時間が限られておりますが、今日は文部科学省関連で大きく二点にわたって御質問させていただきたいと思います。  遠山大臣には、委員会の方ではいろいろお世話になっておりますけれども、御再任おめでとうございます。  今日は、まず初等中等教育における男女平等教育の推進についてということで、これは文教科学委員会ではなかなか取り上げられない話題ではございますが、大臣も男女共同参画推進本部のメンバーのお一人でもありますし、この問題については特に、横にいらっしゃる森山大臣も女性閣僚、数少ない歴代の女性閣僚の中の今四人いらっしゃるお一人でございますし、あらゆる分野にともに男女が参画していって、そしてあらゆる分野でともに責任を担い合うという男女共同参画社会を目指すその基本法が成立をいたしまして、基本法また基本計画、さらに、文部科学省もその男女共同参画社会を形成するに当たっては教育の役割が非常に重要であるということは認識をいただいているというふうに思うんですけれども、文部科学省の今日の施策を見ましたときに、果たして学校教育における男女平等なり、男女共同参画社会を形成するそういった人間を育成するという観点の施策は取られているのかということで、私は大変今問題意識を持っているところであります。  それで、簡単に御質問したいと思いますが、文部科学省の「教育改革Q&A」というのがホームページにも紹介されておりました。その中に男女平等教育、あるいは男だから、女だからにとらわれることなく一人一人の個性を大切にする教育が重要というふうに、いわゆる固定的な、あるいは伝統的な性役割を解消していくことは学校教育の責務でもあるというふうなことが書かれているんですけれども、実際に今行われている施策は文部科学省の中の生涯学習局、担当としてはそちらで、ゼロ歳児から就学前までですね。それと、あと高等教育の部分で、大学におけるジェンダー研究とか、そういったところは様々に施策が取られているんですけれども、初等中等教育関連では予算も見当たらないんですけれども、大臣として、まずこの男女共同参画社会形成者を育てるといいますか、そのためには、今、日本社会にある、男だから、女だから、あるいは性別役割分担意識といったようなものを変えていく学校教育は非常に重要だと思いますけれども、その辺りの基本的な姿勢をまずお伺いしたいと思います。
  93. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) 社会を形成しております男性、女性がそれぞれに役割を果たして豊かな活力ある社会にしていくというのは本当に大事なことだと考えておりまして、男女共同参画社会の形成のためには幼少時から男女平等の理念に基づく教育が家庭、学校、地域など社会のあらゆる分野において行われることが重要だと考えております。  お話のように、男女共同参画基本法が制定され、また男女共同参画基本計画も平成十二年の十二月に閣議決定されましたが、その中で、「男女共同参画を推進し多様な選択を可能にする教育・学習の充実」というものが重点目標の一つになっているわけでございます。  これに基づきまして、私どもといたしましては、男女平等を推進する教育、学習の推進を図っているところでございます。それらは学校教育の中におきましても様々な措置を取りましてそれが実現できるようにしているところでございまして、今、その考え方の基本はというお話でございますが、私としては、学校教育も通じて男女共同社会の大切さというものを子供たちに伝えていく、その役割の重要性については十分認識をしているところでございます。
  94. 神本美恵子

    神本美恵子君 今、様々な施策を学校教育においてもやっているというふうな御答弁でございましたけれども、私がお見受けするところでは、そういったものが学校には見当たらないといいますか、そういう文部科学省としての学校教育における男女平等教育の指針とか基本計画、あるいはそれの予算措置といったようなものが見える形でありませんので、じゃ、どういった課題が今学校教育の中にあるのかという観点から幾つか指摘をしながら考え方をお伺いしたいと思います。  まず、具体的な課題としては教科書の問題がございます。  教科書分析がいろんな形でジェンダーの視点から行われて、出版されたりもしております。私もそういうものを見たり、それから実際に自分が教科書をそういうジェンダーの視点で見たら、本当にその記述や挿絵やあるいはそこに出てくる登場人物、著者、取り上げられる文学作品などの著者ですね、そういったものが一言で言えば圧倒的に男性が多い。これは今世間、世間といいますか、これまでがそういう社会であったということで仕方がないというような部分もあるかもしれません。また、教科書で描かれている文学作品や歴史や様々なところで出てくる女性像、男性像というのが、いわゆる伝統的な女らしさ、男らしさをより強調する形で描かれているようなものもまだ教科書の中にはたくさんございます。  これはちょっと一例なんですけれども、文部科学省がこの四月からの学校五日制に向けて作られたパンフレットですが、これもさりげなく、さりげなくといいますか、もう当たり前でだれも気付かないといえば気付かないんですが、ここに出ている挿絵です。問題にしたいのは挿絵なんですけれども、例えば虫眼鏡を持って虫を観察している、虫眼鏡を持ってですね、男の子、そしてクレパスを持って絵をかこうとしている女の子、サッカーボールを持っている男の子、お皿洗いをしている女の子、パソコンに向かっている男の子。これはどっちだっていいじゃないかという問題ではなくて、いわゆるこれがこれまでの伝統的、固定的な男女の役割観といいますか、それが女向き、これが男向きというような伝統的なもので、これを否定するわけではありませんけれども、これをやっぱり変えていこうとするのであれば入れ替えてみるというような、そういった積極的な措置が必要ではないかと。  文部科学省、本当にそういう御認識があれば、本当に小さなところから、あるいは大きなところでは子供たちが日々目にする教科書の挿絵がそうなっていないのか、あるいは記述や登場人物に性的な不均衡や偏りやゆがみがないのかというような観点から是非教科書作成をしていただきたいというのが一点。  教科書にかかわりましてはもう一つ、例えば先ほどありました女子差別撤廃条約、あるいは男女雇用機会均等法、それからDV法と様々に男女共同参画社会に向けての法制度が整備されてきております。そのことが男女の差別をなくしていくというためにどんなに力強いものになっているのか、あるいはなっていないのかというようなことも含めて、今、男女平等という観点で社会問題になっているようなことも教科書の中に積極的に取り入れていくというような、そういう教科書の作成の視点あるいは検定の視点といったようなものが取り入れられているのか、今、現状ですね。なければ、今後取り入れる方向はあるのかということをお伺いしたいと思います。
  95. 矢野重典

    政府参考人(矢野重典君) 現在の学習指導要領では、家族制度における両性の本質的平等、そしてまた職業生活、社会参加について男女が共同な構成員であるということなどについて学習指導要領で指導することとしているわけでございまして、当然のことながら教科書につきましてもそうした学習指導要領に基づいて検定を行っているところでございます。  教科書の記述に関連いたしまして、例えば申請された図書の中に女性だけが家事に携わっているといったような男女の固定的な役割、性別役割分担を助長するような記述や挿絵がある場合などには、これまでも検定意見を付して修正を求めてきたところでございます。そういう意味で、今申し上げたような学習指導要領や検定基準に基づいて教科書の在り方についても適切に検定を実施してまいりたいと考えているところでございます。  なお、教科書の記述について登場人物に男性が圧倒的に、男子が多いのではないかというふうな御指摘がございましたけれども、私ども、急遽でございますが、小学校の国語の教科書について登場人物について調べてみました。これは最もよく使われている教科書会社の例でございますけれども、一年生から六年生までの教科書、国語の教科書の登場人物、主な登場人物でございますが、全二十二の作品がございますけれども、男子が九点、女子が九点、男女込みのものが四点といったような割合でございますので、必ずしも先生の御認識のように、教科書において例えば国語の登場人物に男子に偏ったようなそういう取扱いをしているというようなことはないわけでございますので、その点は御理解をいただきたく存じます。
  96. 神本美恵子

    神本美恵子君 矢野局長がそういった観点で教科書を見ていただいたということだけでも私は一歩前進だというふうに思いますけれども、一方ではこういったものが本当に全国に配られていくというようなこともありますので、文部科学省内にも、それから特に検定に携わる人にこのジェンダーの視点というものがしっかり備わっていないと、たまたまそうだったかもしれないということもありますし、その登場人物がですね。ただ、これまでも助長するというようなことについては検定意見が付いたということですので、そこはしっかりとその観点からの教科書検定、作成を更に進めていただきたいと思います。  それから次に、時間がありませんので急ぎますが、教職員の男女構成比、それから管理職の男女構成比についてちょっと視点を当てたいと思います。  これにつきましては、ほかの民間の職場やあるいは国家公務員の職場、いろんなところに比べますと、学校という職場は、早くから女性がその職場に進出していたということもありまして、ほかに比べると多いということはもちろん承知しております。ただ、これが小、中、高、大というふうに学校種が上に上がるとずっと女性の比率が下がっていきます。それから管理職の数も、ほかの職場よりは多いと思いますけれども、やっぱり学校種が上に行くほど比率が低いというようなことがあります。これについて、そういう大人の社会を見ながら子供たちが直接毎日触れているわけですから、子供たちにその不均衡がどういうふうに影響を与える、与えているのか。  これについては、私、教職員組合が九年ほど前に調べた調査なんですけれども、女性教職員に聞いたアンケートの中で、人事や仕事内容に関して学校の中で性差別的対応や性的嫌がらせ、まだセクハラという言葉がそのときございませんでしたので、性的嫌がらせを経験したことがあるというふうに答えた教職員は全体で、小中高で四五%でございました。その四五%の内訳を見ますと、小学校より中学校、中学校より高校というふうに、やっぱり女性の比率が低くなるほど性差別的な対応や性的嫌がらせが学校にある。しかも、この性的嫌がらせは、教職員間だけではなくて、男性教師から女子生徒へといったようなことも中学、高校では聞かれます。最近は大学での教授から学生へのセクハラが時々問題になっておりますけれども、そういう女性の比率が減るということで学校全体の運営や学校文化が男性中心に形成されているのではないかというようなこともその分析の中で出てきております。  これについては、大阪で実際に大阪女子大の木村涼子助教授がある中学校で調査をしたところ、中学校では男子を女子よりも第一の存在というふうに学校の中で扱われていると思うというふうに中学生が思っています。その思っている中学生は、女子は半数近く、男子は三分の一。  学校の中で第一の存在は男であり、女は第二の存在だというふうに子供たちが受け止めているというような問題指摘もございますけれども、文部科学省として、この男女の構成比あるいは管理職比、男女の管理職登用の比などについて子供たちにどのような影響があると認識されているのか。あるいは、その是正策は、公務員の男女平等、採用の平等原則ということはもちろんですけれども、しかし、これを何とか是正していくというような考え方はないのかということをお聞きしたいと思います。
  97. 近藤信司

    政府参考人(近藤信司君) お答えをいたします。  先生御案内のとおり、公立学校の職員の登用につきましては任命権者であります各都道府県教育委員会等の権限と責任において行われるものでございまして、私ども、従来から各都道府県の教育委員会等に対しまして、性別にかかわらず優秀な教員あるいは指導力のある管理職としてふさわしい人材が登用されるようにいろんな会議等を通じて指導もしてきているところでございますし、また今後とも指導に努めてまいりたいと、このように思っております。  それから、先生、小、中、高、大学と上に行けば行くほど女性の比率が少なくなるのではないかと。確かに大学では一般の先生方の女性の比率は少のうございますけれども、例えば学長の比率などは、中学校、高等学校の校長などと比べますと女性の比率も高いというような一面もございます。  いずれにいたしましても、大学におきましても、女性の教員が増加をし、男女共同参画の視点に立った取組が促進されるということは重要なことでございますので、私ども、各大学に対しまして女性教員の採用への配慮について要請をしてきたところでございまして、こういったことから、七年前の平成七年度に比べまして、大学におきます女性教員の人数は六千七百十六人、三・四%の増と、こんなような状況が今見られてきておるわけでございます。  今後とも、女性教員が増加をし、大学におきましても男女共同参画の視点に立った取組が一層なされるように私どもまた促してまいりたいと、かように考えております。
  98. 神本美恵子

    神本美恵子君 子供への影響について、そういう男女の構成比が子供たち、特に、子供ですから小中学校、高校までもいいですけれども、子供たちはそういう学校のありようをどういうふうに見ていると認識なさっているか、お伺いしたいと思います。
  99. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) 今のお尋ねの件については、これは特にデータに基づいてということではございませんけれども、私は、教育、特に小学校段階の学校教育というのが一番日本の組織の中で男女平等ではないかと思っております。そういう雰囲気の中で子供たちが教育されていくということは非常にいい影響を子供たちに与えていると思います。  中学、高校になりますと、授業の在り方も選択教科あるいは専門に基づく教育というものもかなりのウエートを占めてまいります。その意味では、御指摘のように、教員の数は女性が学校段階を経るに従って少なくなっているのを私も大変危惧をいたしておりますけれども、これは長年の日本の社会の在り方自体を反映しておりますが、最近ではかなり改善を見つつあると思います。  私は、学校における影響はどうだ、学校における教員の比率が教育に対して、学校教育における子供たちへの影響はどうかという視点もすごく大事だとは思いますけれども、でも、学校教育の中ではむしろ平等というものが尊重され、扱いにおいてもそういう成果を上げていると思っておりまして、むしろ職業の場あるいは採用の場面等、社会全体の在り方がまだまだ足りないのではないかと思っております。  私どもも十分こういう面について意識をし、また、そういうことについての各地域における取組を促したり、大学ですと、これは大学自治がございますけれども、しかしながら、そういうことについてもう少し、女性の教授職の比率が上がるまではもう少し、例えば平等な、同じような能力を持っている場合には女性を優先して採ってくれるようにとか、そういったようなことも促していくというような方向は取ってまいりたいと思っております。  ただ、つくづく考えますに、日本社会全体の在り方というものをもう少し、女性たちがいろんな機会を与えられる、そういう社会にしてまいりませんと、せっかく能力を持った女性たちにとって活躍の場が限られてまいりますし、そして、そういう社会であり続けること自体は、大きな社会のありようの流れに比較し、あるいは各国における女性たちの大活躍の国々と比べてまだまだこれから努力すべき段階にあるなというふうに考えているところでございます。
  100. 神本美恵子

    神本美恵子君 確かに、学校の場というのは社会に比べれば男女平等、特に小学校はそうですけれども、中学、高校と行くほどに、特に女の子たちが学校の中で女性差別を感じているというふうなデータもございます、今日、御紹介する時間がないんですけれども。  そういうまだまだ社会の中にある性差別や固定的な役割分担を変えていくためにも、社会の荒波といいますか、そこに出たときに子供たちが負けずにその中で切り開いていく、そういう力を付けるためにも、学校の中できっちりと、これは差別なんだ、それはなくしていかなきゃいけないんだということを教えていく必要があるんではないかと思います。  本当に時間がなくて残念なんですけれども、最後に、ですから、やっぱり学校教育できっちり、こういう男女平等教育あるいはジェンダーの視点で今の教育の様々な在り方や学校の文化についても見直していくというような基本方針をひとつまとめていただきたいなと、それが必要だと思うんです。そうしないと、あちこちでばらばらにやっていたら、これはほんの一例ですけれども、こういったものが文部科学省から出てしまうというようなことになりますので、是非とも基本計画、基本方針を定めて、文書で定めていただきたいなということを御要望して、時間がございませんので次の課題に移りたいと思います。  学力問題についてですけれども、これももうあと五分しかございませんので、新しい学習指導要領が出されまして、午前中のお話でも大臣の方から、この新しい学習指導要領で、旧来の学力観ではない新しい、確かな学力を育てていく教育改革をしているということをおっしゃったのでその辺はもうお聞きしませんけれども、では、今出ている概算要求ですね、来年度の概算要求の中を私もざっと見せていただいたんですが、その概算要求の中で、新しい学習指導要領を踏まえた、その趣旨を踏まえた施策というのはどの部分になるのかということをまずお聞きしたいと思います。
  101. 矢野重典

    政府参考人(矢野重典君) 新しい学習指導要領のねらいとするところはもう先生御案内のとおりでございますのであえて申しませんが、平成十五年度概算要求におきましては、このような新しい学習指導要領のねらいの実現に向けた学校また教育委員会の取組を支援する観点から、学力向上アクションプランと銘打ちまして、一つには個に応じた指導の充実、また学力の質の向上、さらには個性・能力の伸長、そしてまた英語力・国語力の増進といった四本の柱から成る総合的な施策パッケージを要求いたしているところでございます。  その中で、例えば、御紹介申し上げますと、総合的な学習の時間推進事業といたしまして、こうした総合的な学習の時間のモデル事業でございますとか、あるいは総合的な時間におけるNPO等の外部組織との連携協力の在り方等について実践研究を行う、そういう実践研究授業等を要求をいたしているところでございます。
  102. 神本美恵子

    神本美恵子君 その学力向上アクションプランなんですけれども、今御紹介いただいた総合的な学習の時間などの施策をおっしゃいましたが、新しい学習指導要領で子供たちに育てたい力といいますか、それはやはり生きる力、その生きる力のもとになる確かな学力ということで、このパンフレットにもこれは分かりやすく紹介なさっているんですが、単なる知識や技能を身に付けるだけではなくて、それを活用する、あるいは学ぶことへのやる気や意欲、それから自分で考える力といったようなこと、それから自分で判断しあるいは表現する、あるいは問題解決するというようなことが書いてあって、これは大変重要なことだと思います。それを、その力を付けるための施策ということで出されているんだと思うんですけれども、私が見たところでは、どうもこの概算要求は学力向上、いわゆる旧来の学力といいますかペーパーテストで測ることができる学力、そういったものを付ける学力向上フロンティアスクールといったような施策になっているのではないかというふうに受け止めているわけです。  特に、御説明聞きましたら、そのフロンティアスクール事業では、これは今年度から始められているんですけれども、習熟度別の指導が非常に文部科学省としても、そのことを大臣も午前中数回おっしゃいましたけれども、そこに非常に大きなウエートを置かれているように思うんですけれども、この習熟度別指導ということについては私は全面否定するわけではありませんが、今行われている習熟度別指導の成果と、それから問題点、今、現状で把握されている部分で結構ですけれども、簡潔に教えていただきたいと思います。
  103. 矢野重典

    政府参考人(矢野重典君) 習熟度別指導についてのお尋ねでございますが、すべての子供が基礎、基本を確実に身に付けるという、そういう観点からは子供たちが授業の内容をきちんと理解できるようにすることが重要であるわけでございまして、そういう意味で、学習内容の理解や習熟の程度に応じた少人数指導はそのための有効な指導方法であると考えているところでございます。  この習熟度指導についての効果等についてのお尋ねでございますけれども、それを全国的に調査したものはございませんけれども、せっかくのお尋ねでございますから、一つのアンケート調査を御紹介させていただきたいと思うわけでございます。  これは、NHKの「クローズアップ現代」という、そういう番組の中で紹介されたものでございますけれども、群馬県太田市立九合小学校という習熟度別指導を行った学校での児童生徒の算数の習熟度でございますが、行った児童生徒のアンケートの結果でございます。  一学期、習熟度別の授業を始めた一学期と、それから一年たった三学期のそういう意識の変化をアンケートという形で調査してございますけれども、例えば、算数が好きになりましたかという問いに対して、好きになった、少し好きになったというのが、学年の当初が五五%でございましたが、この習熟度別授業が終わった一年後にはそれが七九%に。また、算数の授業が楽しくなりましたかという質問に対して、楽しくなった、少し楽しくなったというのが、当初は五九%でございましたが、一年後にはこれが八一%に。さらには、算数のテストが良くなりましたかという質問に対しては、良くなった、少し良くなったというのが、当初が六六%が、これが一年後には七六%というようなことでございまして、好きになったあるいは算数が楽しくなったというのが約八割ぐらいの生徒がそういうふうな授業の受け止め方をしているというふうな成果も見受けられたところでございます。  ただ、私ども、今の時点におきまして、習熟度別指導の実施に当たりましてはいろいろ配慮しなきゃならない問題があるというふうに考えておりまして、例えば、習熟度の程度に応じた学習集団を編制する場合には、これを固定的に定めないで、子供の学習状況に応じて適宜弾力的に再編制をしたり、あるいは教科ごとに異なった学習集団を編制したり、さらには、学習集団の選択に際して子供の意向を踏まえたりするなどのそうした配慮が習熟度別指導を行うに当たっては必要ではなかろうかというふうに考えているところでございます。
  104. 神本美恵子

    神本美恵子君 時間が来ているので一言だけ申し上げたいんですけれども、学校現場が今一番教育改革で求めていることは、先日新聞にも載っていましたけれども、文部科学省と非常に大きなずれを感じているということを申し上げたいと思います。もっと学校現場の今一番求めている教育改革といったような声を吸い上げながら、聞きながら進めていただきたいということを、それから先ほどの男女平等教育については是非とも基本計画作っていただきたいということを強くお願い申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。  申し訳ありません、時間が過ぎました。
  105. 遠山清彦

    遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。  今日、私は十分しか時間がございません。四問ほど法務省の方にお聞きをしたいと思います。  まず最初にお聞きしたいのは、九月六日の新聞報道によりますと、法務省は在日外国人の生活実態が在留資格の申請の内容と異なる場合には在留資格を取り消して国外退去を求めることができるように、従来からできるわけですけれども、それを更にもうちょっと広範囲にできるように法改正する方針を固めたというように聞いております。  これが本当なのかどうか。本当であれば、どのような背景と意図でこのような法改正の方針を決めたのか、お伺いしたいと思います。
  106. 増田暢也

    政府参考人(増田暢也君) 近年、我が国に入国する外国人は増加傾向にございますが、それらの外国人の中には不法就労に従事したり犯罪を犯すなど、公正な出入国管理を阻害する者が少なからず存在しております。  そのため、平成十三年八月二十九日の国際組織犯罪等対策推進本部決定におきまして、「偽りその他不正の行為により在留を画策するなど継続して滞在させることが好ましくないと認められる事案に対し、在留期間途中で在留資格を失わせることができるよう出入国管理及び難民認定法の改正をできるだけ早期に行うべく検討する。」とされました。  この決定を受けまして、法務省では、偽りその他不正の手段により上陸許可や在留関係の許可を受けた者などであって、引き続き在留を認めることが適当でないと判明した外国人について、在留期間の途中で在留資格を失わせることができるよう在留資格の取消しに関する規定の新設について現在検討しているところでございます。
  107. 遠山清彦

    遠山清彦君 分かりました。  今検討中ということですが、確かにマスコミに出たニュースでも、酒田短大に在籍して勉強しているはずの多数の留学生が新宿で働いていたとか、あるいは日本人との偽装結婚という事例もありますから、そういったことを念頭に置いての改正方針だというふうに私も一定の理解はしておりますけれども。  ただ、この新聞報道でも出ておりますけれども、一つは、この在留資格の途中で取り消した際に任意の出国をさせるというふうに書いてあるんですけれども、これ任意ですから、諸般の事情で任意の出国ができない場合にどう対応されるのかということが一つお伺いしたい点です。  それから併せて、従来から私申し上げたとおり、この在留資格の取消しというのは実はできる、従来からの枠組みでできるわけですけれども、従来、法務省の方で、当局で取消しをしようとしてそれが裁判に持っていかれて、実際には法務省入管側の事実認定が不当というような判決で在留資格を再び上げるというようなケースもありますから、私が言いたいのは、入管の現場での運用面がしっかり改善されないと、今回の改正自体が、要は在日外国人をもっと日本社会から追い出しやすくしようというような動きとして見られてしまう面もあるのかなというふうに思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
  108. 増田暢也

    政府参考人(増田暢也君) 委員御指摘のとおり、この在留資格の取消しというのは現に在留中の外国人の在留を打ち切るという重大な不利益処分でございますので、その取消しの理由となる事実に関する認定は慎重かつ正確に行わなければならないものと考えております。  この取消し制度の具体的な内容につきましては現在検討中でございますので、ただいまお尋ねの任意に出国しない者についての取扱いをどうするかなどについては更に現在検討をしているところでございますが、いずれにしましても、在留資格の取消しを行うに当たりましては、本人又はその代理人から意見を聴取するとか、あるいは証拠提出の機会を与えるとか、更には入国審査官に取消処分に関する調査権限を付与することなどで、より正確な事実認定を適切に行うことができるよう規定を整備してまいりたいと考えているところでございます。
  109. 遠山清彦

    遠山清彦君 今正におっしゃったとおり、非常に重大な不利益処分になりますし、私が引用した新聞記事の中でも、要は日本人と結婚したと。ところが、結婚した後、外国人の女性が結婚して、結婚した後に男性が家庭内暴力を振るうということが分かって、真正な結婚だったんだけれども別居せざるを得ないというような状況のときに、当局が、あなたは偽装結婚して在留資格取りましたねというようなことを言ってしまうと、これは非常に重大な人権問題にもつながる話ですので、是非その辺も勘案していただいて、慎重かつ正確な、あるいは公正な運用ができるような形で考えていただきたいというふうに思います。  続きまして、あと二問あったんですが、ちょっと時間もありませんので森山法務大臣に一点お伺いしたいと思います。  私、今年の八月に、強制退去命令をもらった人で諸般の事情から送還ができない人たちを収容しております茨城の牛久にある東日本入国管理センターと、それから大阪にあります西日本入国管理センターの二つを私、視察をさせていただきました。そこを視察をいたしましていろいろと分かったことがあるわけですけれども、今日は一点だけお聞きをしたいことがございます。  それは、東日本と西日本の入国両センターに入っている人たちは、法的には変わらない立場なわけでありますね。ところが、この二つのセンターで処遇にやはり差があるということなんですね。  具体的に申し上げると、例えば東日本の入管センターの場合、被収容者は一日四時間から五時間程度は居室を出られる。居室ブロックは出られませんけれども、居室を出て、ロビーとか洗濯機のあるところとか、そういうところへ行けると。他方、西日本の場合は、一日二十四時間のうち一、二時間しか平均して居室を出られないと。ですから、十一畳のところに九人だか八人だかちょっと忘れましたけれども、込み合っているところにずっといなきゃいけない。そういう差がある。  それから、シャワー。ちょっと細かい話ですけれども、シャワーに関しても、東日本のセンターの場合は週三回、午後一時から四時まで自由に使用可能であり、またそれ以外の四日間も水シャワーであれば随時使用できるというふうになっているんですね。ところが、西日本の場合は、シャワーは週二回だけで、しかも随時の水シャワーはございません。ですから、夏大変暑いときなどは週二回だけ別棟のシャワーのところへ行って浴びるだけで、東日本と比べると、これ全然処遇に大きな格差があるということが私も現地に行って分かりました。  この相違が、処遇の相違がどういう結果を得ているかということは短絡的に結論付けられないんですけれども、いろいろ聞くところによれば、あるいは報道されるところによれば、西日本の入国管理センターの所内でのトラブルなどが、これ真偽のほど分からないのもありますけれども、報じられているわけでございます。  そこで、私が法務大臣是非お聞きしたいのは、法務大臣も実際現地視察をされているということですので、取りあえず、東日本と西日本で同じ法的立場にある人たちを処遇しているわけですけれども、今私が具体的に申し上げたとおり処遇が違うので、これ是非、できれば東日本の方に合わせて、処遇を西日本は改善して同じようにするべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  110. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) 西日本のセンターにつきましては、委員会その他で大変先生方の御指摘もございまして、私も多大な関心を持っておりました。東日本は昨年視察をしてまいりましたが、西日本はまだでございましたので、この夏、国会が終了してすぐに視察さしていただきました。それで、その結果、おっしゃるような問題点があるということを発見したわけでございます。  ただ、西日本と東日本では、物理的な施設の内容とかあるいは人員の配置なども違いますので、同じようにするということが必ずしもできない場合もございましたけれども、幾つかの点を改善するように指示いたしましてそれが実現できたということを御報告さしていただきたいと思います。  まず、お医者さんが常勤していなかったんです、西は。東はずっとおられたんですけれども。六月の末に退職されてそれっきりでございましたものですから、それを至急見付けてお願いするようにということを申しましたところ、幸い九月の一日から常勤のお医者さんが配置されて今やっていただいております。  それから、部屋の外に出る屋外、戸外運動でございますが、以前は週四回、一回当たり三十分でございましたけれども、九月から週五回、一回当たり四十五分というふうに延ばすことができました。  また、居室の開放によって屋内の運動をするということですが、週二回一時間でございましたけれども、九月以降三回二時間ずつというふうに延ばすことができました。  また、シャワーの入浴回数ですが、おっしゃるとおり以前は週二回でございましたが、九月以降週三回というふうに、かなりいろんな点で改善することができたというのは私もよかったと思っております。
  111. 遠山清彦

    遠山清彦君 じゃ、もう私の持ち時間ないので、一言だけ。  今、森山法務大臣が自ら視察をされて、その上でリーダーシップを発揮されて、今おっしゃっていただいたとおり具体的に改善をしていただいたということを、私率直に高く評価をさせていただいて感謝申し上げたいと思います。  また、この難民認定の問題も含めて、今、法務省の方で専門部会やっておられると思いますけれども、私も今後とも重大な関心を持ってこれらの問題に取り組んでいきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  ありがとうございました。
  112. 山本保

    山本保君 引き続きまして、公明党の山本保です。  今日も地域の方々からいろいろお話を伺ったものを中心にして、三つの省庁に具体的なお話をお聞きしようと思っておりますが、第一番目は義務教育費国庫負担制度のありようでございます。午前中に荒井正吾委員から大変丁寧な御質問があり、御答弁もありましたので、当初、それについてまず大臣局長からお話を伺おうと思いましたが、省略させていただきまして、ちょっと確認だけさせていただこうかなと思います。  つまり、五年ですか、今後の計画として、言わば今までの制度から、はっきり言えば教員の給与以外のものについては地方財政に移していこうと、それに伴って様々な地方権限についてはそれを増加させていこうと、こういう改革といいますか改正をしていこうということだったというふうに思いますが、局長さん、それでよろしいでしょうか。
  113. 矢野重典

    政府参考人(矢野重典君) 私どもの基本的な義務教育国庫負担の見直しについての改革案の考え方は、今、先生がおっしゃった、基本的にはそうでございますが、ちょっとその辺のところを少し正確に申し上げさせていただきますと、この義務教育国庫負担についての基本については、私ども、制度の基本が今後とも堅持する必要があるというそういう大前提の下で、その一方で地方の権限と責任の拡大という観点から具体的な見直しを行うことといたしておるところでございまして、具体的には、国庫負担対象経費について国が真に負担すべきものに限定することによって、平成十五年度から十八年度に掛けて国庫負担額を約五千億程度縮減することを目指すことといたしているわけでございますが、その際、都道府県に給与負担、教員給与の自主的決定権を付与するということの改革案も併せて考えたいと思っているところでございます。  また、この問題につきましては、私ども、今、先ほど申し上げましたように、義務教育国庫負担制度の根幹は堅持しながらも、見直すべき点は見直すというスタンスで今後ともこの問題につきまして適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。
  114. 山本保

    山本保君 つまり、私は今おっしゃったことについてもう少し具体的にお聞きしたいなと思っておるわけであります。つまり、早い話が給与以外は見ないということだなということをまず一つ確認させていただきまして、そうしますと、それ以外、今まで見ていました退職手当等ですか、児童手当まで、こういうようなものについては実際上地方財政という、財源ということになったとき、事実上不足が出て、先ほど決して切捨てとかたらい回しではないという御答弁があったわけですけれども、しかし、実際上、今まで見ていなかったところに数年間で四千億、五千億ですか、移るとなれば、当然足りなくなるんじゃないかと思うわけですね。  この辺についてどういう対応をされるかということについて、非常に先ほど抽象的に国庫負担と地方交付税とまた税源配分について云々とおっしゃいましたけれども、もう一歩、きちんと国の方でその辺については担保するということを私、お聞きしたいんでございますが、どうですか。
  115. 矢野重典

    政府参考人(矢野重典君) 国庫負担の対象経費についての見直しについての考え方は先ほど先生が御指摘のとおりでございまして、私ども、見直しの基本は、在職給与以外についてはこれは国が真に負担すべきものに当たらないということで国庫負担の対象から外したいということが私どもの考え方でございます。  その場合の縮減に伴う財源的な手当てにつきましては、これは基本的にはやはり国庫負担の対象として外しても都道府県は負担しなきゃならない、そういう性格の経費であるわけでございますから、その財源手当てが問題になるわけでございますが、今の段階では、私どもといたしましては、これは政府全体といたしまして、国庫補助金負担金の削減問題と、それからそれにかかわる地方交付税の在り方の問題と、そして地方、国と、国税地方税の財源移譲の問題、この三つの問題は三位一体として政府全体として検討するということになっているわけでございますから、そういう中でこの問題も必要な調整をしていただく形で検討を進めていただく必要があろうかと思っておるわけでございまして、今具体的にどういう形の調整というのは、私の今の段階では、また私どもの方からは申し上げることが難しいと思うわけでございますが、いずれにしても、そういう中できちんとした財源手当てについての調整をしていただく必要があろうかと思っております。
  116. 山本保

    山本保君 現状で、担当者として今のような御返事だということは分からないわけでもありませんけれども、しかし、今おっしゃったように、その三つ、三位一体というものの転換というのは、これは時間の掛かる正に中期的な課題でありますし、しかし、実際には来年からすぐに一千億以上の費用が各地方に必要になるわけですから、そこについて何らかの手を打つということとは、これは別の問題としてきちんとやっていただかないといけないなというふうには思っております。もちろんこれは今度の予算で考えることですけれども、是非そこは努力していただきたいと思います。私のところにも地域の小学校、中学校の校長先生方が大挙しておいでになりまして、是非というお話でした。  今おっしゃったように、これは義務的なものだから外せないんだというためにも、まず、確かに義務的であって、国が今教育にお金を出すことは、財政的な問題だけではなくて、正に将来のために、また現在の経済の中でも、人材形成というような観点からも非常に重要であるということを文部科学省としてはもっともっと理解をしていただく。そして、そのための手を打っておりますということを特に教育関係者に理解をしていただくという努力が必要だと思いますけれども、この辺について、局長、どうお考えですか。
  117. 矢野重典

    政府参考人(矢野重典君) それは正に委員御指摘のとおりでございまして、私ども全く同感でございます。  ただ、少し補足させていただきますと、この三位一体の検討というのは中長期的な課題ではなくて、政府の今の方針としては遅くとも来年の夏をめどに方針を出すということになってございまして、そして、できれば、できるものについては平成十五年度から必要な対応、芽を出すという、そういう動きにもなっているわけでございますので、物によっては平成十五年度の予算編成の際に必要な調整がなされることになろうかと思っております。
  118. 山本保

    山本保君 私は今そういう意味で申し上げました。  この問題につきましては先日の財政金融委員会で、局長はお呼びしなかったんですが、後からいろいろお話をさせていただきまして、私としては、是非、今までの百年、大正七年からですか、この義務教育費国庫負担制度を守るという観点よりは、もっと強く、教育こそお金を掛けなければならないと、これから、後から警察のことについてもお聞きするんですが、安全ということも同じなんですけれども、これについては今まで以上に必要であるということを打ち出すことが必要だと思っているんですよ。  例えば、今日は御質問じゃないんですが、せっかくの時間、ちょっとだけ申し上げますが、あのとき申しまして、局長と後で議論になりましたのは、例えば義務教育費無償というのは、憲法はいざ知らず、教育法令では公立学校だけなんですよと、こう言っておられる。しかし、今日午前中にもちょっとあったように、私立学校というのは増えているじゃないか。私としては特に、大学とか高等学校はともかくとして、幼稚園教育、幼稚園の教育などは、これは大変たくさん使われておりますし、小学校へ入ってからは義務で無償教育ですよと言っておきながらその前の段階がそうでないというのはどうもおかしいと思うこととか、また教科書についても、これはこれまでの無償給付という形を前提と当然した上で、しかし、より良い教科書、より丁寧な教科書だけあれば十分勉強のできるような、教科書は全部機会均等だけれども実際にはそれ以外の教材がなければ勉強に差が付くというようなことでは何のための無償配付かという気がするわけでございますから、こういうところについても、もっとこれまでの枠を広げていけるような、攻めのそういう行政スタンスに立っていただきたいなと思いました。  それはその辺にしまして、次にもう少し具体的な問題でございますが、高等学校の廃校ということ、また分校などを統合するという動きがどうも大きいようでございます。余り、これは各地域、具体的な問題でありますので、この場では具体的には申し上げませんけれども。文部科学省にお聞きしましたら、担当の方からは、まず非常に目立ちますのは、廃校された学校をどのように使うかとか、廃校の手続を前よりは楽に簡単にしましたという通知は結構派手に出ておりますが、私は、そうではなくて、今、高等学校というのは決して戦前の旧制の高等学校のように大学などへの進学校という意味ではないはずであります。  新制のハイスクールというのは正に社会の、職業の準備又はそのための適性を広げる、付けていくという仕事のためにハイスクールができているわけでありまして、中学校を卒業したらすぐに高校へ行くなんという規定はどこにもないのに、実際上そうなってきたと。ほとんど廃校でありますとか統合が進められている地域は島の部分でありますとかへき地ですけれども、中学卒業生がいないから廃校すると。もちろん財政論としては分からないわけでもないですけれども、これは教育の、本来国民の教育力を高めてこの国を豊かにするという、それを進める文部科学省としては、どう考えてもおかしな政策ではないかという気がしておるんですけれども、この辺についてどういう御見解ですか。  それで、時間がないので先に、もう一つついでにそのことで。  それで、総合学科という正に地域の教育という観点で使いやすい高等学校ができているはずなんだけれども、どうも世間的には中高一貫学校ばかりが何か派手に言われているんじゃないかと。総合学科というこの学校はもっと進めていただく必要があるんじゃないかと思いますが、併せてお聞きします。
  119. 矢野重典

    政府参考人(矢野重典君) 高等学校の再編問題でございますが、これは御指摘のように、生徒数の減少に対応して、各県におきまして高等学校をどういう形で再編するかということを検討し、また、その具体的な再編計画が進められているところでございますが、具体的に高等学校をどのように再編整備するかにつきましては、これは生徒あるいは保護者のニーズや進学動向を踏まえて、これは基本的にはそれぞれの都道府県教育委員会において私どもとしては適切に判断されるべき事柄だというふうに考えているところでございます。  そこで、総合学科についての御指摘でございますが、この総合学科、御案内のように平成六年度から制度化されておりまして、平成十四年度までに百八十六校が全国で設置されているところでございます。  この総合学科の特色を改めて申し上げますと、幅広い選択科目の中で自分で科目を選択し学ぶことができるということが大きな特色であるわけでございますが、もう一つ、産業社会と人間といったような必修科目あるいはガイダンス等を通じまして、将来の職業選択を視野に入れた自己の進路への自覚を深めさせる学習というところにこの総合学科の大きな特色があるわけでございまして、私どもといたしましては、高等学校改革を進めていく上で総合学科には大変大きな役割が私どもとして期待されているというふうに考えているわけでございまして、文部科学省としては、当面、この総合学科につきましては、全国、公立学校の通学範囲に少なくとも一校、大体全国で五百校程度でございますけれども、少なくとも一校整備されることを目標としているところでございまして、また、そのために必要な財政支援等を行ってその整備が円滑に図られるように応援をしているところでございますので、今後ともその方向で対応をしてまいりたいと考えているところでございます。
  120. 山本保

    山本保君 五百校程度を目標としているというふうにお聞きしました。  是非、私は、特に今、離職された方の能力アップでありますとか、又はリタイアといいますか、ある程度年齢がいかれた方がもう一度高等学校へ入るということは大変重要じゃないかと思うんです。私自身、実は高等学校の教科というのは全く自信がなくて、もうそこから落ちこぼれたわけですけれども、もう一回勉強したいなという気はするわけですね。何か高等学校を出た人は入っちゃいかぬなんということはないはずでございますので、できれば、今の新しい時代の生き方ということを考えたときに、それに合った高等学校ということをもっとPRしていただきたいというふうに申し上げます。  次に、時間がございません、先へ進ませていただきまして、警察庁関係でございますけれども、ちょうどこの今回の議案になっております平成十一年、十二年といいますと、警察では大変な不祥事がいろいろあったということで、それについてはここでは申し上げませんが、そのときに、「警察刷新に関する緊急提言」ですか、平成十二年七月というのを読ませていただきました。それで、いろいろございますが、特に私、地域から言われておりますのは、最近、放火でありますとか凶悪犯罪とかいう事件が多くなっていると。今、日本の経済の中で、よく税金が高くなればみんな外へ出てしまうなんという意見もありますが、逆に少しぐらい高くても、正に治安とか安全とか、そして文化というようなものがあれば、その国はそんな企業が逃げていくようなことはないということを言われる学者もおられるわけでありまして、その是非というのはともかくとしまして、現在、警察官の方をきちんと各県、国民に対して配置していただくということが重要ではないかと思いますが、この辺のこれまでの経過、そして今後の予定はどのようになっておりますでしょうか。
  121. 吉村博人

    政府参考人(吉村博人君) 警察官の増員についてのお尋ねでございますが、我が国の治安情勢につきましては、既に委員御承知のとおり、各種の警察事象が最近増加の一途をたどっております。  例えば、平成元年と昨年平成十三年を比較いたしますと、刑法犯の認知件数が約六割増えております。それから、交通事故の発生件数が約四割増、そして一一〇番通報の受理件数が倍増というようなことで数字的にも増加が顕著でございますが、このほかに、例えば国際組織犯罪の問題でありますとか、あるいはハイテク犯罪の問題もあります。加えて、最近は路上強盗等を含めて街頭犯罪国民の不安を募らせているというような状況にあります。  そういう中にありまして警察に対する国民の各位の要望も増えておりまして、例えば交番の警察官の数を増やしてほしい、あるいはまたパトロールをもっとやってほしい、被害者対策も努めるべきだというようなことで要望も強いわけでございまして、私どもとしては、このような情勢に的確に対処いたしますためには、既存の組織の合理化、あるいは仕事のやり方の改善等はもちろん必要かと思いますが、緊急に警察官の増員を図る必要があると思っておりまして、平成十三年度におきましては、著しく業務負担の重い全国でもその中から十二県を対象といたしまして二千五百八十人の増員を措置をしていただいたというところでございます。さらに、今年度以降三か年で地方警察官一万人の緊急増員計画を立てておりまして、本年度は全国的規模で四千五百人の増員を措置をしていただいたところであります。この計画の二年度目に来年度は当たるわけでございまして、予算概算要求におきましては、現在四千人の増員要求を行っておるところでございます。  いろいろと国や地方の財政事情が極めて厳しい中での措置でございますので、今後とも引き続き、国民が安全で安心して暮らせる社会の実現に向けて全力を尽くしてまいりたいと考えております。
  122. 山本保

    山本保君 今度、予算について私どもも是非その実現に努力したいと思っております。  次に、今度は交通関係でお聞きします。  信号機が大変見にくいという声はよく聞くんです。私もそう言われてから見ておりましたら、矢印信号が相当増えていますし、それは大変効果があったという報告も聞いておるんですけれども、しかし、どうも見ていますと同じ丸の中に小さな矢印があるんじゃ何のための元々の三原色というか、何かなと思っておりまして、担当の方と何回もお話ししましたら、何かいろんなその工夫等はともかくとしまして、発光ダイオード式というんですか、新しいタイプのよく見える信号機を実は設置するようにしているんだということをお聞きした。  ところが、見ていましてもなかなかありませんよと申し上げましたら、これは何かその財源予算というのは都道府県に任せてあって、ということになりますと、今大変厳しいものですからどうも後回しになっているんではなかろうかということも気になったわけでありますけれども、この辺はやはり国が都道府県任せで交通問題をほうっておくというわけにはいかないはずなんですね。もっと国が積極的なリーダーシップを取っていただきたいなと思っているわけでございますが、いかがでございましょうか。
  123. 属憲夫

    政府参考人(属憲夫君) 発光ダイオード式信号機は、西日等が当たった場合にもはっきり見えるというようなこと、また現在の電球式のものに比べまして寿命が長い、更には消費電力が節減できて、二酸化炭素の排出量も削減できると、そういった長所を有しております。そうしたことから、これまで実用化に向けた取組を進めてきているところです。車両用の灯器については既に全国で整備中であり、歩行者用の灯器につきましても先般実証実験を実施したところでありますが、今後計画的に整備を進めていく考えであります。  この発光ダイオード式信号機の整備に対する国の財政上の関与の在り方につきましては、国民の生命、身体及び財産を保護するという国の基本的な責務を果たすという観点から真剣な検討を加えて、安全で安心して暮らせる道路交通環境の実現に向けて、今後更に努力をしていきたいというふうに考えております。
  124. 山本保

    山本保君 では、もう一つ交通関係なんですが、これも地元の中小の都市部の方から、最近大変交通取締りが厳しくなって、お酒をちょっと飲んでいてもすぐに捕まると、本当かどうかは後でまた。  それで、またそれを弱くしろということはとても言えませんよと私もお答えしたんですが、そういうふうに話を考えていきますと、いわゆる自動車代走業というんですか代行業というんですか、これがもっと、こういう方たちの仕事が、正に規制があれば逆にそれに乗って新しい仕事が出てくるべきだと思うわけですけれども。  調べてみましたら、第二種免許というものが要るんだということが唯一ぐらいのその大きな一つ縛りになっていると。なかなか取りにくいということも聞いておりまして、この分野の仕事をまず広げるためにも第二種免許というのを取りやすい、だれでも取れるというそういう意味じゃないんですが、手続として簡単にしてほしいし、逆に言えば、タクシーという車を運転するだけではない、人の車を運転したり夜にお酒を飲んだ方のお世話をするというか、お世話ということはないんですが、と対応しなくちゃいけないとなってくると、それなりのまた技術というのも必要になってくるわけですから、第二種免許の試験のその中身についても改善していかなくてはならないのじゃないかと思うんですけれども、この辺についていかがでしょうか。
  125. 属憲夫

    政府参考人(属憲夫君) 昨年改正されました道路交通法におきまして、自動車運転代行業の運転者については、事故の実態等を踏まえまして、交通の安全を図るために第二種免許の取得を義務付けたところであります。  また、第二種免許については、指定自動車教習所における教習及び技能検定制度を導入いたしまして、体系的な交通安全教育を行うとともに、国民の免許取得の機会拡大を図ったところであります。  今後、各都道府県の指定自動車教習における第二種免許取得のための教習がこれからどんどん普及してくると思います。そうしますと、第二種免許取得の機会も増え、利便性が向上していくというふうに考えております。  それからまた、第二種免許取得に要求される技能等についてでありますけれども、指定自動車教習における第二種免許に係る教習カリキュラムは、旅客の安全性に気配りをした運転ができるように、そしてまた夜間における安全な運転に必要な技能等の習得を盛り込んでおりまして、主として夜間、酔客を乗車さして運転する自動車運転代行業の運行実態にも対応できる内容になっております。  今後とも、自動車運転代行業が飲酒運転の防止に大いに資する事業であることを踏まえまして、業界の健全な発展のために適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
  126. 山本保

    山本保君 代行業、大変な仕事だと思いますが、感想的に申し上げますと、ちょっと料金が高くてなかなか利用しにくいんじゃないか。これについては、やはり自由競争ということもありますし、いろんな方が入ってくるということで、もっと使いやすくなれば料金も減るんじゃないかなと思ってお聞きしたわけです。  今のお話ですと、いわゆる県の警察の試験場へ行かなくても特定のいわゆる自動車学校などで取れるようになると、こういうことでございますね。  ちょっとこれは通告していなかったので、先ほど委員の皆様からもちょっと笑い声が出ましたように、ちょっとお聞きしたいんです、せっかく局長おられますから。  これは本当かどうかお聞きしたいんですが、お酒を飲んで運転しているのは駄目なんですが、そうしますと、隣で同乗している人が何か同じように何十万円の罰金を受けたということがまことしやかにといいますか、あそこでも捕まったとか、そういうお話をよく聞くわけなんですよ。  それで、ちょっと考えましても、無理やり飲ませたとか、社長が飲んでいるのにやらせたとか、飲食業の方が飲ませたとかいうのが責任問われるというのは、これは仕方がないのかなと。目の前でこんなに飲ませていりゃそれはしようがないなと思うんだけれども、そうでもなしに同乗者が同じような形で罰金を受けるというのはどうも変だなという気もするんですけれども、局長、これはどういう実態なんでしょうね。
  127. 属憲夫

    政府参考人(属憲夫君) 飲酒運転をしましたら、当然その運転者自身は重い罰則がありますけれども、そういう運転者に対してお酒を飲ませる、そしてまた飲んだ人にまた同乗をして、それ平気でそばに乗っていると。言ってみれば、飲酒運転を教唆したりあるいは幇助すると、そういった行為については、これは刑法の総則の規定もありまして、同じように言ってみれば共犯の罪ということで処罰になります。ですから、十分御注意をお願いしたいと思います。
  128. 山本保

    山本保君 何が教唆で共犯なのかなかなか難しいなという気がしますけれども、そういうことをやっちゃいけないということを言うということでいいのかなと思いますけれども、何か、ただ反対に余りにもいわゆる小さな飲食店の方たちがそのことだけをとらえて大変困っているという実態もありますので、またこの辺は少しお話合いをしたいと思っております。  最後にもう一つ法務省、また最高裁になるんでしょうか、ちょっと時間がないので急いでお聞きしますけれども、私、自分一つライフワークでもあるんですが、言わば離婚をされた家庭に対する少し支援の問題を考えてみたいと思うんです。  今日は時間がないので厚生労働省は呼ばなかったんですが、そこの例えば調査を見ますと、大体、最近離婚家庭が増えていること、そしてちょっと古いんですが、平成十年に、これは五年ごとにやっております六十五万世帯を対象とした母子家庭、いわゆる離婚をされて、離婚をされた場合に大体八割ぐらいがお母さんの方に親権が移るようでありますので、その家庭について調査をしますと、簡単に言えば養育費を夫の方からもらっていないというのが大体六割ぐらいだろうと。そしてまた、その家庭も言うならば大変、年収も二百三十万円程度ということで、大変厳しいわけでございますし、こういう実態にあるということで、これをもう少し改善、もっと抜本的に改善したいなと思っているわけですけれども。  まず離婚、裁判所が絡むというのが全部じゃないわけですから、そちらで今つかんでおられる離婚に関する養育費の状況と、そして一緒にお聞きしますけれども、今後これについて何か改善策を今考えておられるのかどうか、お聞きしたいと思います。
  129. 安倍嘉人

    最高裁判所長官代理者安倍嘉人君) お尋ねの離婚がされた場合の養育費の関係でございますが、私どもといたしましては、調停が行われた場合についての把握でございますけれども、離婚調停で養育料を定められているものが大半でございますけれども、その平均額は、月額にいたしまして、平成十三年の数字によりますと約四万八千五百円という状況でございます。これは子供さんが一人の場合も複数の場合も含まれておりますので、全体としてこれだけの数字である、こういうことでございます。  この養育料の支払につきまして十分な確保ができない場合におきましては、家庭裁判所独自の履行勧告制度がございまして、履行勧告という仕組みがございます。これは、当事者のお申出によりまして家庭裁判所の調査官等が相手方に働き掛けをいたしまして任意の履行を促すと、こういった仕組みでございまして、ただ、この仕組みによりましても十分な履行が行われない場合があるわけでございますが、その点については執行制度、強制執行制度を使いやすくすると、こういった方向での改善を図ってまいりたいと考えている次第でございます。  以上でございます。
  130. 房村精一

    政府参考人(房村精一君) ただいま出てまいりました強制執行の関係について申し上げます。  現行法で養育費、任意に支払がない場合には、その支払日が到達するたびに強制執行の申立てをしなければいけないという非常に手間が掛かる仕組みになっております。ドイツを見ますと、扶養料請求権につきまして一回一括して申立てをしまして給与を押さえてしまう、そうすると給料日が来るごとにその月の扶養料が支払を受けられると、こういう仕組みがございます。  法務省で現在強制執行について見直し作業を行っているところですが、その検討の中でもただいま申し上げたようなドイツの制度を参考にして、養育費などの定期的に給付をする債務について、そういう将来的に一括して差押えをして月ごとに受けられるというような制度を実現する方向で鋭意検討をしているところでございます。
  131. 山本保

    山本保君 今日は時間がありませんので終わりますけれども、今お話がありましたように、実際には毎年子供さんを持って離婚をされているのは十数万件じゃないかと思うんです。裁判所が関係しておりますのは二万件もないんじゃないかなということですから、そのこと自体の改正が余り意味がないのかもしれませんけれども、しかし子供を持って離婚をされた場合、父親には養育義務があるということをもう少しきちんと徹底していきたいと思っておりますので、この制度についてもまた今後もっと使いやすい制度にしていきたいと思っております。  どうもありがとうございました。
  132. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 日本共産党の大沢辰美でございます。  私は、今日は学校の施設整備、特にその中でもクーラーの設置の問題について質問をしたいと思います。  今年も本当に夏、暑い気候でございました。そして、全国の子供さん、またそのお母さん、お父さん、学校に冷房機を設備をしてほしいという要望、私たちにもたくさん寄せられています。  文部科学省は昨年八月に全国の冷房設備の実態調査をされているように聞いていますが、その結果についてまず簡単に説明ください。
  133. 矢野重典

    政府参考人(矢野重典君) お尋ねの公立学校の空調設備の実態につきましては、御指摘のように、昨年八月にその実態調査を行ったところでございまして、その結果、公立小中学校の普通教室の約五%、またコンピューター教室等の特別教室の約一七%、また職員室や保健室等の管理諸室につきましては約三八%の設置率と、こういう状況でございました。
  134. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 今報告ありましたように、義務教育、小中学校の普通教室には約五%にしかこの空調設備が整っていないということですね。そういう状況を踏まえて文部科学省は、二〇〇三年度の予算概算要求の中で、小中高の教室に対して、小中高等と書いていますね、教室に対して三万教室分のクーラー設置のための予算を要求していると聞いておりますが、その要望理由、そして概要について説明を下さい。
  135. 矢野重典

    政府参考人(矢野重典君) 学校施設は、改めて申し上げるまでもなく学習の場としてふさわしい環境に保たれている必要があるわけでございまして、その点につきましては学校環境衛生の基準というのがございまして、そこでは教室内の温度は夏期で三十度以下が望ましいとされているところでございます。  しかしながら、委員もお話がございましたように、近年の地球温暖化あるいはヒートアイランド現象等によりまして気温は上昇する傾向にあるわけでございまして、七月から九月に掛けて気温が三十度を超える日が増加して、普通教室の温度は基準を超えて劣悪な環境になっているという、そういう事態になっているわけでございます。  このように、自然換気だけでは学習空間として適切な温度が保てなくなっている、そういう状況、そしてまた家庭における空調の普及等、そうした状況にかんがみまして、平成十五年度概算要求におきまして新たな空調補助につきまして百億円、これは三万室の普通教室でございますが、三万室の普通教室を対象にして、新たに空調を整備するための補助金として百億円を盛り込んだところでございます。
  136. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 三万個というわけですから相当の数になりますが、全体ですれば非常に少ないということになります。それでも、この大きな予算、概算要求がされたということに全国の皆さんはとても期待を抱いているわけなんですが、大臣、そういう点では是非これを実行に移れるように、概算要求ですけれども、その決意をまずお聞きしたいんですけれども。
  137. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) 子供たちはある程度厳しい環境にも耐えて、そういう力を持つべしという考えもございますけれども、最近のヒートアイランド現象というのは本当にひどい状況になってきておりまして、ある程度子供たちにも快適な環境の中でむしろ学びに集中をしたり、いろいろな自分たちで考える力を付けたりということは大事ではないかというふうに考えまして、これまで小中学校等、特にそういうところにはクーラーは要らないという考えが支配的でございましたけれども、今回初めて三万教室にまず来年度は空調設備をということで要求をいたしております。  たまたま新しい学習指導要領の出発点にもなった今年、そういう形で来年度に向けて要求をいたしましたので、私としてはできるだけこの要求が達成できるようにこれからの予算折衝において力を尽くしたいと思っております。
  138. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 是非実現に向けて固い決意で臨んでいただきたいと思いますが、今、大臣、ちょっと最初に厳しい環境に耐える子供という表現をされて、それもまたちょっと次元が違うと思うんですね。やはり今日の環境の中で子供たちが勉強できる環境を作っていくという点では、その厳しいという点では、いろんな困難に立ち向かうという点での私は厳しさはあってもいいと思いますが、環境、いわゆる三十度以上で勉強できる、する人もあるかもしれない、できる環境じゃないんですよね。そこは認識をしっかり押さえていただきたいと思います。  私、次に取り上げたい問題は、このクーラー設備の中でも、養護学校、いわゆる盲・聾・養護学校の寄宿舎のクーラーなどの空調設備の問題について聞きます。  昨年度の学校基本調査によりますと、全国の盲・聾・養護学校での寄宿舎を持っている学校は現在九百九十六校中三百四十一校と書いてありますね。児童生徒数は一万三百三十六人、これは盲・聾・養護学校の在籍している児童総数の、九万二千七十二人ですから、大体一割でしょうか。そういう子供たちが今、寄宿舎で生活を送っております。  私は、まず文部科学省にお尋ねしたいんですが、養護学校の子供たちが寄宿舎に住んで、この暑いときに、本当にこの夏も暑い中で、クーラーの設置がされているその実数、実態はどのようにおつかみになっていらっしゃいますか、お尋ねします。
  139. 矢野重典

    政府参考人(矢野重典君) 御指摘の特殊教育諸学校の寄宿舎の空調設備の設置状況は、私どもとしては現在把握していないところでございますけれども、特殊教育諸学校の寄宿舎の空調設備につきましては、これは今回普通教室に対する空調設備についての新たな補助制度要求いたしておりますけれども、この特殊教育諸学校の寄宿舎の空調整備は、これはもう従来から国庫補助の対象としてきているところでございまして、これらを活用して地方公共団体では適切な対応がなされているというふうに考えているところでございます。
  140. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 私は、全体の小中高の調査をされた中で、普通教室の今回は対策だと言われますけれども、やはり同じ子供たち、特に障害児を持っていらっしゃる養護学校の、寄宿生活を送っていらっしゃる子供たち状況もやっぱり私は把握をしていただきたいなと思うんです。  そこで、独自にこの調査をされている全日本教職員組合によりますと、調査した二十五都道府県百二十三校のうち、いわゆる宿舎の部屋、食堂、職員室など、いずれかの部屋に冷房が設置されている学校は九十三校で七六%です。でも、最も必要とされる居室、子供の部屋ですね、これは六十五校で、結局約半数しか冷房がされていないんですね。だから部屋の温度は、今三十度を超えたらということを言われましたが、三十度を超える日があった学校が三分の一にも及びましたそうです。  その要因としては、老朽化によって空調機の効果が弱かったり、そして防犯管理上、窓を開けることができなかったという現状もあります。  現場ではどういうことになっているかということで、幾つかの例をちょっと紹介したいと思うんですが、兵庫県の播磨養護学校という養護学校の宿舎があります。学習室と職員室にしか今は冷房が入っていません。そういう中で、全教の皆さんが今年七月の一日、二日、三日、八日、九日と室温調査をいたしました。今、皆さんのところにお配りをさせていただいていると思うんですが。  この数字を見ていただいて、本当に驚きます。子供たちが睡眠する時間ですね、二十一時の気温です。七月一日が二十五度、二日が二十七度、そして三日が三十二度、八日が三十度、九日が三十八度です。湿度もそれぞれ八五%、八〇%、七〇%、六〇%、八三%という状況で、九日の室温が三十八度になっているのは、ちょうどそのとき台風が接近して窓を開けることができなかったからこういう状況になったそうです。  本当にこういう状況子供たちが生活しているということを知って、私は大変ショックを受けました。そして、現地にも行ってまいりました。この湿度の高さも不快指数がとんでもない数字で示していますが、私は室内が三十八度になっているなんてもう本当信じられなかったんですけれども、実態はこういうことなんです。  だから、関係者の方たちはいろんな声を寄せられています。夏になると頭痛や倦怠感といった熱中症のような症状を訴える子供がいると。体温調節のできにくい状態の中で体調を崩しやすくなっていると。アトピーの子供は夏場に特にひどくなる、家庭では大丈夫なのに寄宿舎に戻るとひどくなりやすいと。クーラーがないためにやっぱり暑くて眠れないんだと、学校で居眠りをしている子供も出てきているといったことが寄せられています。  私、全国的にも子供たちの生活が本当に、寝泊まりする部屋にクーラーが入っていないということによって、寝る時間になって寄宿舎に帰るというより、学校の教室で、教室というんですか学習室ですか、そこで勉強して、寝る時間になって部屋に帰るとか。予算がないために、使用時間が七月、八月だけは夜は二時間だけクーラーがあるとか、いろんな制限がされている中で、現在では考えられない環境の中で寄宿生活をされている子供たちがいます。  私は、この問題は健康にもかかわる重大な問題だと思います、今、三十度の問題を出されましたけれども。盲・聾・養護学校のような特殊教育諸学校の空調設備の工事などの国の支援策は、今あるからもう何も支援をしていないんだということを言われましたけれども、その実態はどうなっていますか。
  141. 矢野重典

    政府参考人(矢野重典君) 今申し上げましたように、特殊教育諸学校の寄宿舎の空調設備につきましては国庫補助制度があるわけでございます。  したがいまして、今、委員がお話しになりましたようなケースにつきましては、これはやっぱりそうしたニーズなり要望を設置者にきちんとお伝えをいただいて、そしてそれを踏まえて、設置者においてきちんとした判断をして、それをその判断の中で空調設備必要ということでございますれば、私どもの方に国庫補助の申請をしていただくという手続を踏んでいただくことになろうかと思うわけでございまして、そうなれば私どもの方で今申し上げたような制度がございますし、また私ども、来年度はこれからでございますけれども、必要な予算を確保するという努力をいたしたいと思ってございますので、そういう中で、そうした各自治体の設置要望についてもそうした予算の中で対応することが可能であろうかと思われます。
  142. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 補助制度があると。補助対象事業費は一千万円以上ということになっていますね。このような支援策がありながらなかなか冷房化が進まないと。それはやっぱり改築だとか大規模改修のときしか空調工事が補助されないという実態からこうなっているんではないでしょうか。  今回の今三万個に対する国の百億円ですか、この予算の事業に寄宿舎も入れてもらえば私は希望の光ができるのではないかと思うんですが、この寄宿舎についても予算の概算要求の中の三万教室の中に含まれていると考えてよろしいのでしょうか。
  143. 矢野重典

    政府参考人(矢野重典君) 今回の要求は、先ほど申し上げましたように、学校施設について子供たちの学習環境の整備を、改善を図るという、そういうことを主たる目的としてこうした要求をいたしたところでございまして、その三万教室の中には寄宿舎は、その三万教室の要求の中には寄宿舎は含めていないところでございます。  したがいまして、繰り返しになるわけでございますが、来年度の概算要求の中には含めておりませんけれども、かねてからそういう制度があるわけでございますので、寄宿舎、特殊教育諸学校の寄宿舎についてはこの制度を、今ある制度を活用して整備を図っていただくということで対応を私どもとしてはいたしたいと思っているところでございます。
  144. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 そこで、私、大臣お願いしたいんですけれども、寄宿舎については実態調査はされていないということだったですが、それはやっぱり職員組合の方はやられましたけれども、文部省としてもやっぱりそれはきちっと普通教室を把握したようにつかんでいただいて、そしてそれを促進する施策として今ある制度、一千万円以上の事業でなければ補助が付かないという制度を、この一千万円以上という基準を思い切って下げるか、それとも今新しく立ち上げようとする空調整備事業の中のこの三万個の中に寄宿舎もきちんと位置付けるという国の支援策、どちらでもいいわけですけれども、要は、今宿舎で本当に三十度以上で、いや、三十度以上じゃなくて三十八度にもなっている、そういうところに生活をしなければならない障害者の人たちの寄宿生活に対する空調整備の在り方というのを真剣に考えていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  145. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) 特殊教育諸学校の寄宿舎の空調整備につきましては、障害のある児童生徒の生活環境の向上という観点から、従来から先ほど来御説明しておりましたような補助対象としてきておりまして、是非これを活用して各設置者はその面での整備をしてほしいと思っております。ですから、特殊教育諸学校については、これまで普通教室にはやられていなかったようなそういう制度も既に整えているわけでございますので、これは十分に活用してもらいたいと思っております。  それと、多くの場合、一千万円のあれがあるということでございますが、寄宿舎についてすべての個室にもしやろうとしますと大体そういう予算の枠は超えるわけでございますので、私は十分これは活用できると思っております。  いずれにしましても、設置者の努力を促しながら、私どもとしてもそれをバックアップしていきたいと考えます。
  146. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 大臣、個室はほとんどないんです。ちょっと写真を持ってきましたけれども。(資料を示す)教室じゃなくて居室、宿舎の部屋ですね。個室はないんですよ。本当に広場のような部屋で子供たちは生活しています。それは認識をしていただくためにもやっぱり実態調査をしていただきたいなと思うんです。  活用しているじゃないかということなんですが、お部屋には半分やっぱり付いていないんですよね。ですから、やっぱり付けにくい制度であるということも考えていただいて、この一千万以上を、今度、百億円の分は百万円以上の単価、単発でもできるということを私ちょっとお聞きしたんですが、やはりそれぐらいの規模で事業と、この空調設備というんですか、単発でクーラーを設置できるという制度も、この一千万円以上じゃなくて変えていただいたら、非常にこの後、五割ぐらい付いていない宿舎の子供たちにも付けることが可能になるわけですから、その辺はもう一度検討課題として、これから充実するための、やはり付けることが今求めているわけですが、充実するためにどういう方法があるのかということをもう一度検討していただいて促進のために努力をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  147. 矢野重典

    政府参考人(矢野重典君) 今のお話につきましては、私どもの今の制度があるということはもう繰り返し申し上げてございますし、また、その制度とは別に今回新しい補助制度お願いしていることも繰り返し申し上げているところでございますが、せっかくのお話でございますので、地域の、どういう考えであるかということの、その辺の各自治体の考えは私どもとして聞いてみたいと思います。
  148. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 是非、そのことは本当に、来年の夏にはこういう苦しい思いをしない子供たちを、解決するために是非急いで実態調査の聞き取りもしていただいて、どうすれば促進できるかという対応策もメニューとして示していただきたいということを強く強く求めて、最後、もう一点だけお伺いします。  私は、こういう寄宿舎の中にも、養護学校の中にも非常に今子供たちの病状が重症化している、重複化しているというんですか、そういう状況が今増えつつあります。昨日も医療ケアの問題で、医療的なケアの問題で出されていますが、その点についてはもう昨日質問がありましたので省かせていただきますが、やはり医療ケアというのは、医療的ケアというのはもう必要であるということは今、今日も実際にやられているところがありますから私も認識していますが、やはり指導員の確保、人的配置、研修、様々な今やろうとしている来年度からのプログラムがあるように聞いていますが、私は、やはり宿舎というのは二十四時間その子供たちを見ていかないといけない、生活指導していかないといけない大切な場所の中で、医療的行為、ケアというのも起こり得る可能性がある中で、私は、看護師の配置なども含めて、そして職員の研修なども含めてこれから重点的な制度化というんですか対策を講じられているように聞いていますが、その点についての今の取組方ですか、その辺をお聞きしたいと思いますが。
  149. 矢野重典

    政府参考人(矢野重典君) 養護学校の寄宿舎に医療的ケアの必要な児童生徒を受け入れるということにつきましては、これは夜間を含め長時間の生活が必要となる寄宿舎の状況を踏まえまして、まずは寄宿舎の安全衛生上の管理体制といったような問題、さらには今御指摘がございましたけれども医療施設の連携体制等、そうした児童生徒の安全の確保が図られる、そういう体制を整えることが大変重要であろうかと思っているわけでございますので、そういう観点で私どもとしても今後関係自治体に対して指導をきちんとしてまいりたいと思っております。
  150. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 指導はもちろんですけれども、やはり文部科学省として、是非厚生労働省とも連携をして子供たちの安全、そのことを守って、この寄宿舎という私は特殊な今日の中で大事な制度だと思いますし大事な施設だと思っておりますので、子供たちが本当に安心してそこで生活し、学ぶことができるような施設を作り上げるために努力をしていただきたいということを強く申し上げて、質問を終わります。
  151. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 日本共産党の八田ひろ子でございます。  今日は、文部大臣に三十人以下学級について二、三の質問をしたいと思います。  昨年の法改正によりまして、学級編制やクラスの規模について、四十人を標準としつつも都道府県が必要があると判断すれば四十人以下の学級編制、クラス編制ができることとなりました。これを受けまして、初年度は十か所ですか、本年度は二十二道県、二政令市で三十人とか三十五人とか少人数の学級が実施をされております。  この法改正の主眼には、きめ細やかな指導を通じて基礎学力の向上を図るとともに各学校の実情を踏まえた教育活動や学校運営が一層可能となるなどの効果が期待される、こういうふうにされておりますけれども、大臣としては、今年度非常に幾つもの県が導入をしてきた、この理由をどういうところにあったと御認識なのか、どれだけの道県が導入をしているのかということは当然把握されていると思いますので、その上に立っての御認識、またこうしたそれぞれの自治体の実践をどのように評価をされているのか、まず伺いたいと思います。
  152. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) 少人数学級につきましては、昨年の通常国会におきまして義務標準法を改正いたしまして、児童生徒の実態を考慮して、特に必要があると認める場合には都道府県教育委員会の判断によって法律が定める標準、これは四十人でございますが、これによらない少人数の学級編制基準を特例的に定めることを可能としたわけでございます。  平成十四年度におきましては、二十二の道府県におきまして学級編制の弾力化が実施されております。このような取組は、義務標準法の趣旨を踏まえて各都道府県が判断されたものと考えているところでございます。
  153. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 その実践というのは、少人数学級は教室に安心とゆとりが生まれてくる、父母からも教員からも共感の声が、私ども聞いておりますけれども、過半数の自治体が国の責任で少人数学級の制度化を求める決議等を上げていることからもこれは広がっていく、また広がってほしいなと私も思っております。  先日、私は愛知県で「学びの学校づくり」を提言をされて実践をされている犬山市に伺いました。ここの町は昨年度から市独自で少人数授業、TTを実施をされてきました。そして、その実践が生徒の学習意欲が高まり教員との信頼関係が深まっている、こういうふうに評価をした上で、より効果を上げるには少人数学級が必要だと、こう確信しているというふうに私に担当者の方おっしゃっていましたけれども、そして、市町村の裁量で少人数学級を可能とする方針が文部科学省から出されることに大きな期待を語られ、遠山大臣の発言にも触れて期待をしているんだと。そうなれば、二〇〇四年度からでも全学年で三十人以下学級を実施したいと。これは、新聞などにも大きく、もしこれが実現すれば全国初の、すべての学年で導入をしたいということでありますので報道も大きくされておりましたけれども、大臣、その御発言、またそういう方針についてお示しください。
  154. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) 先ほどお答えいたしましたように、学級編制の弾力化につきましては、国の示した数を標準としながら、各都道府県において基準を定めてやっていただくということでございます。  今、お話にありましたケースにつきましては、これは愛知県の教育委員会の方においてどのように扱っておられるかということも私どもまだ承知いたしておりませんので、言わば私どもの法体系の下でどのように解釈され、かつ実現されていくのかということについては、愛知県の教育委員会の方でもまだ実際にはそのことについて通知をといいますか、知らされていないという状況のようでございます。  私どもといたしましては、少人数学級というのは一つのクラス、それをずっと維持していくという趣旨でありますと、これは私どもの示しております標準というものに近い形で出されていくというのが、その方向が全国的な方向であろうかと思っているわけでございますが、ただ、私ども、きめ細かな指導ということを実現いたしますために、特定の教科でございますけれども、むしろ習熟度別にグループを作ってやっていく、そういう指導を少人数指導というふうに申しておりまして、少人数学級ではございませんけれども、少人数指導による習熟度別指導の有効性につきましては、これは多くの学校関係者から賛成をされているところでございます。先ほど局長の方から、それぞれ習熟度別の指導を受けた子供たちが満足をしているという結果もあったわけでございます。  市町村の教育委員会が自らの努力で今後やっていくということにつきましては、これはどういう形で、それが全校であるのかあるいは低学年のみであるのかというようなことも含めまして、これは、私は都道府県の教育委員会がまず、ひとまず判断されるということだと思っております。  いずれにしましても、次第にこういう学級編制なりあるいはカリキュラムの組み方について、できるだけ地域がその実態に合わせた形で創意工夫を持って取り組んでいくという方向性にあることは確かでございますが、ちょっと今の端的な御質問につきましては、これは固有の市の名前をお挙げになりましたので、今この段階でそれに対してお答えするのはどうかなと思っておりますが、考え方としてはそういうことでございます。
  155. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 考え方としては、都道府県教委と相談をすれば市町村教委が独自に少人数学級を実現する、そういう方向を、文部科学省はそういう方向であると、そういうふうに伺っていいわけですか。
  156. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) 森山大臣の方がお詳しい面もあろうかと思いますが、遠山でございますが、お答えをいたします。  今のことは、私どもとしては、国が定める標準の数値というものをベースにしながら、各都道府県の定める基準にのっとって、それぞれの管下の市町村における教育実態がなされていくということを進めていきたいと思っているわけでございます。市町村のそれぞれの努力でおやりになることを都道府県教育委員会がどのように受け止め、またその内容がどういうものであるかということについての判断というものが必要だと思っております。  今回の義務教育標準法の改正に際しまして、そういう面での、各都道府県教育委員会の判断で、児童生徒の実態を考慮して特に必要があると認める場合には、特例的に国の標準を下回る数を基準として定めることを可能としたということでございまして、各都道府県教育委員会にありましては、市町村教育委員会等の意向を十分把握した上で、その権限と責任において適切に判断していただくということを待っているわけでございます。
  157. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 今御説明になったのは、昨年の法改正で現状そうなっていると。だから二十二道府県ではそれが、すべての市町村がおやりになっているかどうかはそれぞれの事情がありますから違いますけれども、少人数学級というのが実現しているわけですよね。  私が伺っているのは、今年の八月の三十日に大臣が、市町村独自にと、都道府県が定める定数を超えた教職員配置ができるようにする、こういう方向をなるべく早く検討するんだと、実施するんだという、このペーパーも私は文部科学省からもいただきましたけれども、自治体からもいただいているんですけれども、そのことを大臣に伺っているんですけれども。
  158. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) 私どもの立場といたしましては、市町村が自らその給与を負担することによって都道府県が定める定数を超える教員を独自に任用することを認める方向というものは、これからの先ほど来の義務教育の在り方についての検討の一つの課題として考えて検討していくということを発言したことはございます。  今後、都道府県、市町村、それから教育関係者等の意向を十分踏まえながら制度化を進めていく方針でございますけれども、具体的な在り方というものにつきましては時期も含めてまだ未定であるわけでございます。ただ、そこのところが、少人数学級という形での全体的な数値が国の標準の数値との絡みでどう考えていくかということは、私は都道府県の教育委員会等ともよく連携を取りながら、この問題については検討をしていく必要があろうかと考えております。
  159. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 今日は時間がございませんので大臣議論ができませんが、この犬山では、少人数授業、TTだとか少人数授業というのを実際に実践をして明らかになったことは、充実した学習は心のゆとりを生み、生活面に良好な影響をもたらす一方、生活面の安定が学習を促進するという。だから、生活集団と学習集団は一体と考えるべきもので、少人数学級にすべきだと。だから、もう本当に燃えるような思いで市民や議会や教育委員会、教育の現場の先生方が一体となって少人数クラスを実現したいということでやっておいでになるんですね。地方のそういう思いをやはり文部科学省が抑えるようなことがあってはならないと私は思うわけです。  真に基礎、基本的な事項については、十分な授業時間を取ってすべての子供が分かるまで教える教育への改革こそ必要であると思いますし、そこに行くにはそれぞれの学校のいろんな教育実践があっていいと思います。ただ、三十人以下学級の実現というのは、その基礎的な土台になるということが二十二の道府県が実現していることでも明らかじゃないでしょうか。どのように学級を編制したら教育上最もふさわしいかは、各学校の教師集団や父母の判断を尊重することが私は必要だと思います。義務教育は、全国どこでも一定水準の教育条件、教育内容を保障されなければならない、今日も朝から憲法を引いておっしゃっておりましたけれども、当然なんです。  ですから、私は、改めて少人数学級、三十人以下学級を国が責任を持って行うべきであることを強く求めて、質問を終わります。
  160. 広野ただし

    広野ただし君 国会改革連絡会の、また自由党・無所属の会の広野ただしです。  しんがりになりました。遠山大臣森山大臣、午前中から本当に御苦労さまでございます。非常に重要な分野ですので、なお幾つかの問題、よろしくお願いをしたいと思います。  今日、午前中も、義務教育における公立学校と私立学校との関係、これが議論をされました。教育というのは国づくり、また人づくりの根本で、非常に重要なことだと、こう思うわけでありますけれども、二十一世紀、やはり個性あるいは特徴ある性格、人格を持った教育ということは非常に重要だと、あるいは多様化という言葉で言われるのかもしれませんけれども、そういうことだと思うわけですが、義務教育における私立学校の人数が三十万人だということで、個性を豊かに育てていくということからいいますと、私立の学校がいろんなことができるんではないかと私は思っております。  実際、私の、もう死んで長くなりますが、私のおやじが教員でありまして、いや、教員冥利に尽きるというのは大体十歳までの子供たちを持つときだと。というのは、そのときまでには言わば若葉のようにいろんな方向に向かって進んでいるわけですね。そこにいろんな意図も何にもないわけで、そういうときに、こっちに向かっているのもいるし、こっちに向かっている、真っすぐ伸びているのもいるし、それをただこっちの一つの方向にだけ持っていくというのは、これはやっぱり間違いだということなんですね。そこを、十歳までのときにいい教員に会う、あるいはそれをいい芽を育てていくということは正に教員冥利なんだと、こういうことを言っておりましたけれども。  私は、そういう意味で、公立学校ではどうしても、国のお金を使う、あるいは地方の税金を使うということから、ある限度があるんだろうと思うんですね、その個性を育てるという意味では。ですから、これからはやはり私立の学校というものを重要視して、義務教育において私立の学校というものを大いに育てていくという考え方が重要ではないかと、こう思っております。  しかし、やはり私立というのは経営の問題があって、どうしても公的なものと比べると非常に不利な状況に置かれるということでありますが、やはり国の政策として、二十一世紀、個性的な人、人材を育てるんだと、こういうことからいいますと、もっと義務教育において私立の部門に力を入れていくべきじゃないかと。特に、小泉さんは官から民へと、こうおっしゃっております。  そういう意味では、義務教育においてもそういうことが非常に大事ではないかと思っておりますが、遠山大臣の御見解を伺います。
  161. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) 義務教育が充実したものになって、子供たちが一人一人の能力を十分に発揮できるようにしていくということが大変大事でございます。今、小学校では九九%の子供たちが公立に学んでおります。中学校では九三・一%の子供たちが公立で学んでおります。私は、その公立が画一的な教育しかしていないというふうな御判断をいただいているとすれば、これは大きな問題だと思っております。  ただ、二十世紀を掛けて日本の教育というものが達成してきたものは各国がうらやむような結果を生じてまいったわけでございますが、確かにいささか受け身の学習でありますとか、あるいは画一的な解答を要求するというふうな色彩があったということも言えるのかもしれません。  そのようなことから、今朝ほど来御説明しておりますように、二十一世紀にふさわしい教育というのは画一から自立と創造へという大きな転換をすべきであるというふうに考えて、ここ何年もの準備の結果、この四月から、大きくその教育の目標というものをより良くするために今各地で努力が払われているところでございます。  したがいまして、公立の学校だと画一的だという御認識もやや画一的かなと思わないでもないわけでございます。私立学校の場合は確かに建学の精神というものがございますから、その精神に賛同する方は私学へ進学するように保護者が努力されるというのも結構だと思います。しかし、マクロに見ますと、トータルで九九%の子供たちが公立に通っている現状の中で、私どもは公立も良くし、そして私学も良くなっていただく、そういうことをやっていくのが我が教育行政の在り方ではないかと思っております。  私学の場合は、例えば子供たちがその建学の精神に合わないとすれば退学をさせることもできれば、いろんなことができるわけでございますが、公立はそういうことはもちろんできないわけでございます。すべての子供たちに無償で一定水準の教育をということでございますから、そういう制約の中で、しかし、これからは一人一人の子供たちの適性なりあるいは習熟の度合いに応じてきめ細かな指導をしていこうということは正に個性を尊重していこうということでございまして、大きく転換すると思っております。  同時に、私立学校についての道を開きやすくするために、今年から小学校設置基準も定めました。これまではそれもないものでございますから、私学を作ろうとしてもなかなか難しい面があったかもしれませんが、そういった道も開きながら、私どもとしては公平に見ながら、どんな方途をもって、義務教育の充実というものに相努めているところでございます。
  162. 広野ただし

    広野ただし君 義務教育において、公立、私立というものを大体ニュートラルに今は見ておられるような考え方ですね。それで、中身でやればいいんだということですが、私は、抜本的に変えていくためには、やっぱり私立の部門を多くしていく政策が大事だと、こう言っているわけでありまして、今言われることはよく分かります。分かりますけれども、なおそういう大きな政策の転換をやることによって個性豊かな教育、そしてまたいろんな意味で学校区を外して、選択できる幅も多くなるわけですから、そういうことを是非やっていただきたいと思っております。  それともう一つ、先ほども話ありましたけれども、幼稚園の問題です。  幼稚園の問題も、やはり三つ子の魂百までで、実際、非常に重要な幼児教育ということだと思っております。  私の友人が、お寺さんなんですけれども、夫婦で幼稚園、私立の幼稚園をやっております。これは、子供たちに非常に面白いのは座禅教育を入れます。実際、今の子供たちは動き回るのは得意なんですね。だけれども、ぴしっと静止をすることによってまた動くことがいかに有り難いかと、こういう気持ちが出ます。座禅をやっているうちに、自然のうちに般若心経を覚えてしまう。子供というのは正に天才で、そういう形で非常に評判のいい幼稚園をやっているわけですね。  そのときに、公的、公の幼稚園と私立と、言わば経営は非常に私立はつらいですから、特にこれから少子化ということになりますと非常につらいから、公が言わば民を圧迫するような事態になっているんですね。子供たちの取り合いみたいなようなことが起こってくるということからいいますと、やはり私立幼稚園、私立の幼稚園にもきちんとした助成措置をがっちりとやっていく。しかも、幼児の場合は非常に手間暇が掛かるということから、四十人学級ということじゃなくて、基準をもっと、二十人学級というような気持ちの幼稚園でも、助成の基準ですけれども、そういうことでもいいんではなかろうかというふうに私は思うわけです。  ですから、先ほど大臣言われましたけれども、公も良くする、私立も良くすると。これはよう分かりますよ。分かりますけれども、結果としては、それは公が民をまたある意味では圧迫をしていると、経営が大変ですからね、ということも必ず起こるわけです。それですから、幼稚園のことについて、まずどういうふうに考えておられるか、伺います。
  163. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) 今、私立幼稚園のことについてお話しでございますが、若干データを引用しながら御説明したいと思いますが、今年の五月現在、私立幼稚園は、園の数で幼稚園全体の五八・九%、約六割ですね。在園児数では七九・一%でございますから、約八割が私立幼稚園で学んでおります。  幼稚園児の数の推移を見ますと、昭和六十年度から平成十四年度の間に、その該当する年齢人口が約二三%減少しております。これは、私立幼稚園にとって大変というだけではなくて、国力にとっても大変な問題でございますが、そうした中、公立幼稚園の園児数は約二八%減少いたしておりますのに対して、私立幼稚園の園児数は約一〇%しか減になっていないということでございまして、幼稚園児数から見る限り、必ずしも公立幼稚園が私立幼稚園を圧迫しているというふうには言えないのではないかと思います。  我が省では、公立幼稚園と私立幼稚園の保護者負担の格差の是正を図りますために、幼稚園就園奨励費補助を行っておりますし、また私立幼稚園に対します経常費の補助といたしまして都道府県が行います私立高等学校等経常費助成、これ、等の中に幼稚園が大きな存在として入っておりますから、都道府県が行う私学助成費に対しまして国庫補助を行っているところでございます。来年度の概算要求におきましては、幼稚園就園奨励費補助、これが前年度比約二・六%増の百八十二億八千八百万円、それから私学助成が前年比約一一・四%増の三百二十五億五千八百万円を要望しているわけでございます。  引き続き、大事な役割を担ってくれております私立幼稚園の振興を図るとともに、私どもとしましては、幼稚園教育全体の振興に努めてまいる責務を持っていると考えております。
  164. 広野ただし

    広野ただし君 今、幼稚園のところで民間部門のものが非常に多くなっているということであります。  私は、初等教育においてもそういうことにだんだんなっていくんではないかと思うんですね。そうした方がまたいいと、これからは、というふうに思うんです。実際、いろんな都市部においては、ど真ん中の教育が、人数が減ってきて学校区の問題とかいろいろとあります。廃校の問題とか、都市部のど真ん中においても起こっているというときに、やっぱり私立の、民間の教育をいろんな形で学区を外してやっていけばいろんなことができるんじゃないかと思っております。  それともう一つ、不登校問題ですけれども、年間十三万八千人の小中で不登校の人がいると。これは、年間三十日以上休むということですね。学校へ行きたいんだけれども、経済的な理由だとかそういう、病気だとかということじゃなくて、何か精神的に、心理的に行けない原因がある。十三万人という人間が行かないということなんですね。私は、黒柳徹子さんの窓際のトットさんじゃないけれども、いろんな形でそういうのを、落ちこぼれとか何かじゃなくて、大いに受け入れる学校があっていいんではなかろうかと、これは私立じゃなかろうと思うんですね。  やっぱり私は、今までの教育、全部が悪いなんて、さっき大臣、変なふうに言われましたけれども、そんなことを言っているわけじゃないんです。だけれども、これからの時代を考えたときに、公的部門と民間部門というものをよく考えて、どちらに力を入れていくんだと。今のようなニュートラルな答弁じゃなくて、やっぱり画期的に、私立のところに力点を置いていくんだということにしてもらいたいなと、こう思っております。そのところの答弁は、ちょっともう時間もあれですからあれします。  それで、もう一つ文部科学大臣にお伺いしたいと思いますが、高速炉の問題であります。私は科学技術シンパであります。そしてまた、原子力についてもシンパであります。ところが、平成七年にこの高速増殖炉の事故があって、これは実証炉といいますかね、それ以来ずっと動かないんですね。  私は、今、軽水炉の事故、いろいろとあります。軽水炉でもいろんな事故がやっぱり起こります。しかし、それがすぐ重大な事故ということではないんですけれども、高速増殖炉は、ちょっと専門的になりますけれども、非常に高熱になりますからナトリウムというもので冷却をするということになるんですね。このナトリウムの使い方というのは大変なんです。その研究をずっとやってきてやっているわけですけれども、世界各国とももうお手上げなんですね。フランスが一番熱心だったんだけれどもやめた、こういうことなんです。  ですから、私は、あるところで決断をして、あの原子力船「むつ」じゃありませんけれども、あるところで決断をして、やめるならやめるということをやるべきではないかと、こう思っているわけであります。そこの点、大臣いかがでしょうか。
  165. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) 原子力エネルギーの重要性につきましては、もう申すまでもなく、これが資源の有効利用あるいはエネルギーセキュリティーの確保、さらには地球環境問題の解決に取り組むという観点から見ますと、これは着実に研究開発を進めることが必要だと思います。  高速増殖炉でございますが、これにつきましては、原子力委員会が策定しました原子力長期計画におきまして、ウランの利用効率を飛躍的に高めることができる技術であるということから、将来のエネルギー問題を解決する技術的選択肢の中でも潜在的可能性が最も大きいものの一つと位置付けられております。「もんじゅ」は高速増殖原型炉でございますが、これは今、改造工事に向けまして原子力安全委員会等の安全審査中でございます。その安全審査に持っていきますために、私も着任直後、昨年の六月には現地に伺いまして地元の方ともお話をしたりしまして、今、安全審査に移っているわけでございますが、その最中でございまして、その研究開発の中核となる施設でございまして、安全確保を大前提として早期の運転再開を目指すこととしております。  一方、諸外国の状況につきましては、ロシア、中国等におきまして現在でも高速増殖炉の研究開発は着実に進められております。フランスにおきましては、実証炉の開発は経済性等の観点から中止はいたしましたものの、原型炉のフェニックスを活用した研究開発は継続していることは御存じのとおりでございます。  我が省といたしましては、高速増殖炉の開発はこの原子力の長期計画に基づいて今後とも着実に進めていくことが重要であると考えておりまして、軽水炉と比肩する経済性の達成あるいは安全性の向上等、実用化に向けた技術的課題を一つ一つ解決すべく今、研究開発に着実に取り組んでいるところでございます。
  166. 広野ただし

    広野ただし君 私は、プルトニウムでもプルサーマルというものは大いにやったらいいと、こう思っています。だけれども、このプルトニウムの高速増殖炉はそう簡単にはもうできないんじゃないかなと思っています。ですから、毎年膨大な費用を投じて、しかももう七年間になりますか、中断をしているということで、どこかでもう決断をしなきゃいけないんだと。あの原子力船「むつ」と一緒ですよ。ですから、そういうことを、やはりこれはつらいことなんですけれども決断をして、そしてプルトニウムの、核燃料サイクルにおけるプルトニウムの扱いのあるところはもう徹底的にやっぱり研究はしなきゃいけないと思いますが、めり張りの利いた研究開発というものをやっていかなければならないと、こういうふうに思っております。  ところで、法務大臣、長いことあれでございますけれども、昨年、これ決算委員会ですから、いろいろと問題になったので渡切費というのがあります。これは、旧郵政省の特定郵便局のものが一つ、そして外務省の在外公館に対する渡切費と、それと法務省地方法務局、この三つが渡切費としてあったんですね。これはいろんな問題を、特に郵政の問題、外務省の問題ということでありまして、今年から渡切費は全面的に撤廃されたと思います。そして、それぞれの、例えば庁費とかいろんなことでやっておられるというふうに思います。  それともう一つ、機密費といいますか報償費の問題であります。これも三つあって、内閣官房外務省と、それと法務省の検察の報償費、調査活動費というんですか。この法務省の検察庁のものは昨年の十月一日からいち早く手当てをされた、善処されたというふうに聞いておりますが、やはり法務省というのは社会正義を守る大事な省であります。その点で国民の疑惑を招かないように、私自身は検察庁において調査活動に機密費をある程度必要だというふうには思っておりますが、それがいろんな飲み食いだとかとんでもないものに使われておっては、これは国民の皆さんに大変な信頼を損ねると、こういうことになりますので、その点どうお考えか、お伺いします。
  167. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) 検察庁の調査活動費は、検察活動を行います上で必要な事件の調査や情報の収集等に使用いたします重要な経費でございます。  調査活動費については従来から各検察庁におきまして適正な執行に努めてきたところでございますが、昨年九月に法務省から各検察庁に対しまして調査活動費の取扱いに関する通達を出しまして、各検察庁における調査活動費の支出手続等を統一いたしますとともに、調査活動費の管理を強化いたしました。  通達の主な内容は、第一に、職員による相互チェックが働くように、調査活動費の支出に各検察庁の長のみならず、次席検事等を関与させることを義務付けること。第二に、事後的なチェックが一層適切に行えますように、調査活動費の支出の決裁状況や具体的な使途を記載いたしました書類を作成、保存することを義務付けたことでございます。  さらに、最高検察庁におきましても、今年の六月に新たに監察担当検事を設置いたしまして内部監査体制を一層強化したところでございます。今後は監察担当検事におきまして、検察庁における調査活動費を始めとする予算執行について随時、各検察庁に報告を求め、又は現地に赴きまして監督及び調査を行うことになります。  今後とも、検察庁の調査活動費を始めとする予算の執行につきましては、その適正を確保するとともに、国民理解を得ますように努めてまいりたいと考えております。
  168. 広野ただし

    広野ただし君 大体、役所のやり方というのは分かります。  それで、その文書にも出ているんですが、取扱責任者は毎月、現金出納帳と保管金を確認しなさいと、こうなっております。ですから、たまには大臣はそれ確認しているかということでやっていただきたいと思うんです。私は、平成十三年度、この機密費が何か不用額が立っているのかどうかちょっと聞きたかったですけれども、多分全部使っているんだと思うんです。それは、まあ役所というのはそういう面でうまいですからいろいろなことをやりますが、しかし、やはり国民が昨年は非常にこの点注目をしておりました。ですから、毎月確認することになっておりますから、大臣、そういうことはちゃんとやっているんだろうなということをたまにおっしゃっていただきたいなと、こう要望をいたしておきます。  ところで、谷垣大臣、本当にお忙しいところをお出掛けいただきまして誠に恐縮でございます。  この間、福岡県で九歳の少女が監禁され、殺人、殺されてしまったと。誠に痛ましいことなんであります。私は、先ほどもずっと出ておりますが、凶悪犯が非常に増えてきている。そのときに、これかねがねテロ対策についてはSATという特殊部隊が七都道府県で作られているということで、ところがこれは警備だというんですね。もう一つ、刑事局の方でも特殊捜査班、警視庁の場合はSITという特殊部門があるということであります。各県で持つ必要はないんで、いざ凶悪犯が出たというときにはばっと飛んでいって、それなりの対応をして、私は対話もあるいは説得というものも大切だと思います。  ところが、凶悪犯の場合はある程度限度があるんですね。ですから、アメリカの特殊部隊じゃありませんけれども、これは映画でもよく見るように、遠くからねらっていて、例えば凶器を持っているところをぱあんと撃ち落とすわけですね。ほとんどけがさせないくらいに撃ち落とす。それくらいの特殊訓練を受けているわけでありますけれども、日本も精鋭部隊というのはやはり要るんだと思います。特に凶悪犯の場合は、もうこれは時間を、やっぱり早期にやらないと救出できないということが多々あるんだろうと思います。ですから、救出のためにあるとき英断を持ってそういうことをやってもらいたいし、何か警備局の方だと、SATは。あるいはこっちのSITというのは刑事局だというようなことで、縦割りの日本の悪いところがないようにそこは大英断を持ってやっていただきたいと思いますが、就任早々誠に申し訳ありませんが、決意のほどをお願いします。
  169. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、広野先生が御指摘になった福岡の立てこもり事件は、九歳のいたいけな少女が人質に取られまして、そして警察としてはこの種の案件は人命救助というものを、人質の安全ということを従来から当然のことながら最優先にして捜査をしてまいりまして、この件の場合も広野先生のおっしゃったような説得工作ももちろんやりましたが、同時に、そんなことだけでできるのかということで、併せて犯人を制圧して人質を救出するタイミングもうかがっていたというふうに私は承知しております。にもかかわりませずこういう残念な結果になりましたことは、もう誠に無念としか言いようがございませんで、亡くなった少女の御冥福を心からお祈りしたいと思っておりますし、御遺族の方にも心からお悔やみを申し上げたいと思っている次第でございます。  今、先生がおっしゃいましたように、確かに説得工作だけではうまくいかないことがある、こういうことで、先ほどおっしゃったSATと申しますのは全国七か所、七つの都道府県に置いてございまして、当初は、やはり一番典型的には飛行機のハイジャック、こういうものをどうやって制圧すると申しますか、人質等を救出するかということで作られた組織でございます。やっぱりこういうものを、おっしゃいましたように、縦割りの壁を超えまして、必要なときには機動的に使っていくということは当然考えなければならないと思っております。  今度のこの福岡の件で申しますと、いろんなことを警察でも当時も検討したようでございますし、ただ、私もここへ来ましていろいろ話を伺いますと、なかなかこういう、何というんでしょうか、人質を取った捜査というのは難しいものがございまして、またその手のうちも明かしにくいところが正直言ってあるんだと思います。こういうことがあったからこうだったんだとか余り言いますと、ああ、こういうことをするとこうなんだなということになってしまうと非常に具合が悪いというので、私もちょっと奥歯に物の挟まったような気持ちでおりますけれども、今、先生の御指摘のようなことも十分頭に入れて、特にこういういたいけな少女が犠牲になったということを、無駄にと言うと本当に言葉は悪うございますが、無駄に終わらせないために、それぞれ警察において真剣に検討を進めるように私も督励をいたしたいと、こう思っております。
  170. 広野ただし

    広野ただし君 私は何でもかんでもそうやれと言っているんじゃなくて、特に凶悪犯の場合はかなり英断を持ってやるべしと。それは必ずまた抑止力になって、ほかの凶悪犯をある程度防ぐという効果もあると思います。ですから、是非そういう形で救出に向かっていただきたいなと、こう思います。  ところで、先ほどからいろいろとありました拉致問題でございますけれども、八件十一人ということでありました。しかし、北朝鮮側からも示されたものがあって、プラス三名という、十四人ということになっております。そしてまた、いろいろと言われているこの行方不明者、私たちが拉致議員連盟等でいろいろとあれしておりますと六十数人いるんじゃないかというような話も言われるんですね。この行方不明者と拉致被害者といいますか、これは誠にグレーゾーンみたいなような話があるわけですけれども、ここは北朝鮮は平壌宣言で犯罪国家であるということを認めたんだということを総理はおっしゃっているわけですね、文書には入っておりませんけれども。  ですから、犯罪国家であるわけですから、私はまず一つは、工作員七人とか請負業者一人というようなその引渡し要求をまずすべきではないかと、こう思いますし、その拉致責任者で死刑にしたんだとか、あるいは十五年の長期刑にしているんだとか、いろいろとありますが、是非ここのところは、警察庁としては堂々と、外務省はどう言うか知りませんけれども、どうもうやむやにしたいというのが外務省の、日本外務省のていたらくでありますから、警察庁としては大いに、いろんな、赤十字のルートですとかいろいろとあるわけですから、畳み込むようにしてすり合わせをして、本当にその中に拉致されていた人たちがおられるということになるとこれは大変なことなんですね。ですから、是非そういう思いで調査のすり合わせをどんどんやっていただきたいと思いますし、そしてまた、国際警察、インターポールに入っていませんからなかなか難しいところはあろうと思いますが、大いにそういう工作員ですとか等の引渡し要求をしていただきたいと思いますが、新大臣の御見解を伺いたいと思います。
  171. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 先ほど川橋先生の御質問にもお答えをしたところでございますが、今度の八件十一名ということを北朝鮮側が認めざるを得なかったということも、やはり日本側、警察だけではございませんが、いろんなところが協力いたしまして、非常に国交もないし捜査権もない中で大変だったと私思うんですが、動かぬ証拠を突き付けたといいますか、日本側がそれなりのきちっとしたものを持っていると。こういうことが、結局向こうも認め、謝罪をしたということにつながっていったと思います。  したがいまして、私は、今回も調査結果がある程度、今、外務省から調査結果を受け取りまして警察において精査をしているところでございますので、まだ私もどこまで精査できて解明できたのかよく分かっておりませんが、きちっとこれは洗い出しをしていかなきゃいけないと思います。  それで、今、広野先生がおっしゃった、今まで拉致とは必ずしも認定できなかったものの中に、北朝鮮が関与していなかったとは言い切れないものがあるのかもしれない。そこは、先ほども申し上げましたけれども、警察庁におきまして全国の都道府県県警にもう一回きちっと洗い直すように指示をしたと、こう報告を受けておりますので、私はやっぱりそれをきちっとやって、私どもも全く徒手空拳で要求してもなかなか期する答えが出てこないと思いますので、できるだけ私どももきちっとしたことをやって、その上で、先生がおっしゃるような外務省ルートなり赤十字ルートなり、できることをしていかなければならない、こう思っております。
  172. 広野ただし

    広野ただし君 先ほど時間の関係であれでしたので、一、二分ございます。遠山大臣に不登校問題について御見解を伺って、終わりたいと思います。
  173. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) 不登校の問題につきましては、先ほどお話しのように、平成十三年度におきまして約十三万九千人と過去最多でございまして、私どもも本当に憂慮をいたしております。  不登校の原因につきましては、家庭の問題あり、学校の在り方の問題あり、それから本人の意識の問題もございまして、様々な要因が複雑に絡み合っているというのが専門家の結論でございます。それゆえに非常にその取組は難しいわけでございますけれども、特に学校の取組の強化をしていくこと、それから家庭への支援の充実というのが必要だと考えておりまして、これまでスクールカウンセラーを配置するなど教育相談体制の充実などの施策を講じてきておりまして、これは引き続きやりたいと思っております。  それから、来年度の概算要求におきましては、早期の対応、それから家庭にいる子供について学校へ復帰する支援など、きめ細かい対応を行いますために、地域ぐるみのネットワークを整備するための経費を盛り込んでいるところでございます。  さらに、この九月から、もっと本格的に対応策を考えようということで、専門家による協力者会議を発足させました。これによって不登校政策について幅広い視点から今検討を行っておりまして、年内を目途にして学校関係者等の取組の強化に資するような報告を取りまとめていただき、そしてできるものはすぐにでも着手するように私どもとしても努力をしてまいりたいと考えております。
  174. 広野ただし

    広野ただし君 どうもありがとうございました。  終わります。
  175. 中原爽

    委員長中原爽君) 他に御発言もないようですから、平成十一年度のうち、法務省、文部省、警察庁科学技術庁及び裁判所並びに平成十二年度のうち、法務省文部科学省警察庁及び裁判所決算についての審査はこの程度といたします。  次回の委員会は来る十六日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十九分散会