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2002-10-02 第154回国会 参議院 決算委員会 閉会後第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年十月二日(水曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  九月二十六日     辞任         補欠選任      小川 敏夫君     山根 隆治君  九月三十日     辞任         補欠選任      小泉 親司君     大沢 辰美君  十月一日     辞任         補欠選任      山根 隆治君     藤原 正司君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中原  爽君     理 事                 岩井 國臣君                 佐々木知子君                 中島 啓雄君                 川橋 幸子君                 谷  博之君                 八田ひろ子君     委 員                 荒井 正吾君                 加治屋義人君                 柏村 武昭君                 北岡 秀二君                 田浦  直君                 藤井 基之君                 三浦 一水君                 朝日 俊弘君                 池口 修次君                 海野  徹君                 神本美恵子君                 辻  泰弘君                 藤原 正司君                 風間  昶君                 遠山 清彦君                 山本  保君                 大沢 辰美君                 岩本 荘太君                 広野ただし君    国務大臣        厚生労働大臣   坂口  力君    事務局側        常任委員会専門        員        島原  勉君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       藤井 昭夫君        内閣官房内閣審        議官       霜鳥 一彦君        金融庁監督局長  五味 廣文君        郵政事業庁長官  松井  浩君        外務省経済協力        局長       古田  肇君        文部科学大臣官        房審議官     金森 越哉君        厚生労働大臣官        房統計情報部長  渡辺 泰男君        厚生労働省医政        局長       篠崎 英夫君        厚生労働省健康        局国立病院部長  冨岡  悟君        厚生労働省医薬        局長       小島比登志君        厚生労働省医薬        局食品保健部長  尾嵜 新平君        厚生労働省労働        基準局長     松崎  朗君        厚生労働省職業        安定局長     戸苅 利和君        厚生労働省職業        能力開発局長   坂本由紀子君        厚生労働省雇用        均等・児童家庭        局長       岩田喜美枝君        厚生労働省老健        局長       中村 秀一君        厚生労働省保険        局長       真野  章君        厚生労働省年金        局長       吉武 民樹君        厚生労働省政策        統括官      青木  功君        社会保険庁運営        部長       磯部 文雄君        農林水産省総合        食料局長     西藤 久三君        農林水産省生産        局長       須賀田菊仁君    説明員        会計検査院事務        総局第二局長   増田 峯明君     ─────────────   本日の会議に付した案件平成十一年度一般会計歳入歳出決算平成十一  年度特別会計歳入歳出決算平成十一年度国税  収納金整理資金受払計算書平成十一年度政府  関係機関決算書(第百五十一回国会内閣提出)  (継続案件) ○平成十一年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第百五十一回国会内閣提出)(継続案件) ○平成十一年度国有財産無償貸付状況計算書(  第百五十一回国会内閣提出)(継続案件) ○平成十二年度一般会計歳入歳出決算平成十二  年度特別会計歳入歳出決算平成十二年度国税  収納金整理資金受払計算書平成十二年度政府  関係機関決算書内閣提出) ○平成十二年度国有財産増減及び現在額総計算書  (内閣提出) ○平成十二年度国有財産無償貸付状況計算書(  内閣提出)     ─────────────
  2. 中原爽

    委員長中原爽君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る九月二十六日、小川敏夫君が委員辞任され、その補欠として山根隆治君が選任されました。  また、去る九月三十日、小泉親司君が委員辞任され、その補欠として大沢辰美君が選任されました。  また、昨十月一日、山根隆治君が委員辞任され、その補欠として藤原正司君が選任されました。     ─────────────
  3. 中原爽

    委員長中原爽君) 平成十一年度決算外二件及び平成十二年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、平成十一年度のうち、厚生省及び労働省並びに平成十二年度のうち、厚生労働省決算について審査を行います。     ─────────────
  4. 中原爽

    委員長中原爽君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これら決算概要説明及び決算検査概要説明の聴取は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 中原爽

    委員長中原爽君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  6. 中原爽

    委員長中原爽君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 田浦直

    田浦直君 おはようございます。自由民主党の田浦直でございます。  今日は私はこの医療保険制度についていろいろお尋ねをさせていただきたいと思っております。  御存じのように、この数年間、平成十一年、十二年度、もっと以前からこの医療制度は問題になっておりまして、確かに日本の医療制度というのは世界に冠たるいい医療制度でございますけれども少子高齢化という中で、あるいは長年の制度改革が行われなかったというようなことで、非常な矛盾、行き詰まりというものを抱えてきておるわけですね。これまでもいろんな議論がなされておりますし、いろんな提案もなされてきたところでございますけれども、残念ながら実現はしておらないという状況だと思っております。  そういった中で、先月の二十五日ですか、坂口厚生労働大臣から坂口私案というものが出されまして、私も大変関心を持ってこの私案を見させていただいたわけでございますけれども、まず初めにお尋ねしたいのは、坂口大臣私案を作られたその意気込みというものを感じるわけですが、この私案のポイントあるいは私案を作られた動機といいますか、そういったものについてお尋ねをしたいと思います。
  8. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 再び厚生労働大臣としてお世話になることになりました。どうぞひとつよろしくお願いを申し上げます。(拍手)  ただいま田浦議員からお話もございましたように、私案なるものを発表させていただいたわけでございますが、この内閣改造もある直前でございましたし、卒業論文のつもりで作らせていただいたわけでございまして、今後、そうしたものを中心にしながら、厚生労働省の方で年末に掛けまして本格的な省としての案を作り上げていくということに、参考にしてもらえばというつもりで出したつもりでございます。  医療抜本改革につきましては、名前は抜本改革というふうに一言で言いましても、それぞれやはり人によりまして抜本改革なるものの中身も違いますし、様々でございます。  しかし、今、私考えておりますのは、一つは、現在五千を超えます保険者がありますこの医療保険制度をこのままで果たしていいのか。一番小さなのは二十七人しかいないということでございまして、こういう小さな保険者をそのままにしておきますと、これはもう行き詰まることだけは間違いがございませんので、ここは統合化を進めていく、できれば一元化をしていくという、そういう方向性を明確にすることが必要ではないか。そして、期限を区切って、大体この辺のところまでにはこれだけのことをしていくという、そういうことをやはり決めて掛からなければいけないのではないかというふうに思っております。  前国会医療制度改革におきまして御審議をいただきまして通過をさせていただきましたが、その中で、七十五歳以上の老人医療費、三分の一から二分の一に引き上げていく。これは五年間掛けまして、平成十九年の十月までに引き上げるというものでございますが、大体、平成十九年という、この五年間という一つの目標がございますので、大体それに合わせましてこの統合化というのもやはり進めていってはどうだろうかということを念頭に置きながら、一つ統合化平成十九年までに、都道府県一つ単位といたしました、それを基軸にいたしました方向性示してはどうかというのが一つでございます。  それからもう一つは、診療報酬体系の方につきましてももう少し基準を明確にして、医療機関皆さん方にもよく御理解をいただけるし、そしてまた国民皆さん方から見ましても納得をしていただけるような、基準を明確にして、そしてそれによる保険点数なるものを作り上げていくということが大事ではないか。では、その基準としてどうしていくかといったようなことから、ホスピタルフィーやドクターフィーの考え方を中心にしながら取りまとめていってはどうかという案をお示しをさせていただいたところでございます。
  9. 田浦直

    田浦直君 遅きになりましたけれども、御留任おめでとうございます。実はこの項でその言葉を言おうと思って用意しておったんですが、先に言われました。と申しますのは、坂口私案というものが出たわけですけれども大臣が替わられたらこれはどうなるのかなというふうに思っておったわけですね。だけれども、幸いなことに留任されたということで私もほっとしているところでございますけれども。  しかし、私案という格好で出されておるわけですが、この私案というのが、これから厚生省案というのができるということになると思うんですが、それとの関係はどういうふうになっていくのか。例えば、坂口大臣が御留任されなかった場合にこの坂口私案というのがどういうふうに厚生省の中で取り扱われていったのだろうかとか、そういうことを私考えたわけでございます。そういった意味からも留任していただいたということは非常に私どもにとっては良かったことではないかというふうに思っておるところでございますけれども、今述べましたように、この私案厚生省案というものとの関係はどういうふうになるのか、その点についてお尋ねをしたいと思います。
  10. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 私案という形で出させていただきましたけれども、しかし厚生省の役人の皆さん方にも十分議論をしてもらいまして、そしてその点は理解を十分に深めているというふうに思っているところでございます。  したがいまして、私が単独で作りまして単独で出したものという意味とは少し違いまして、やはり厚生省の中でもよくその議論を重ねてもらっているということは事実でございまして、厚生省案なるものがこれから作り上げられますけれども、それは大きくそこから離れるようなことはないだろうというふうに思っている次第でございます。
  11. 田浦直

    田浦直君 私はできるだけ早く厚生省案というものも出していただきたいというふうに思っておるわけでございます。  厚生省案がこの坂口私案土台として作られるというふうに解釈していいんだろうと思いますけれども、いつごろ厚生省案というものができるのか。それから、健保法改正案の中では、附則の中で今年度中にこの基本方針を策定するということが盛り込まれておるわけでございますから、もうスケジュールも出していただきたいというふうに思うわけなんですけれども、その点についてお尋ねを申し上げたいと思います。
  12. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 厚生省案につきましては十一月半ばには出させていただきたいというふうに思っております。そして、諸先生方のいろいろの御意見を賜り、また関係いたしますいろいろの業界の皆さん方の御意見もお聞きをしなければならないというふうに思っておりますが、それらをお聞きした上におきまして、最終案というものをできればこの十二月末というふうに思いますけれども、なかなか、十二月末というのはちょっと難しいかもしれませんので、年明けました早い時期に決定をさせていただきたいというふうに思っている次第でございます。
  13. 田浦直

    田浦直君 坂口私案というものは私案ですから、細かくあるいは具体的なスケジュールまでは書かれておらないわけでございます。それはそれで当然だと思うんですが、厚生省案になりますとやはりそういうわけにはいかないので、具体的なあるいはスケジュールもきちんとある程度詳細に出していただかなければならないというふうに思うんですけれども、もう少しこの坂口私案よりも具体的なスケジュール厚生省案では示されるということになるのかどうか、その点を、これは局長で結構でございますが、お尋ねを申し上げます。
  14. 真野章

    政府参考人真野章君) 先回の改正法附則によりまして、先生御案内のとおり、保険者統合及び再編を含む医療保険制度体系の在り方、それから新しい高齢者医療制度創設、それから診療報酬体系の見直し、この三点につきまして、その具体的内容、手順及び年次計画を明らかにした基本方針を策定するというのが政府の義務ということになっておりまして、そのための基本方針計画を策定するために大臣の先ほどの私案を基に私ども今鋭意検討いたしているわけですが、先ほどから大臣からお話もございましたように、厚生労働省としての案をお示しをしたいというふうに思っておりまして、そういう意味では、今の申し上げました基本計画を策定するための案をお示しをいたすわけでございますので、できるだけそういう具体的な内容を盛り込んだ、どこまでできるかというのはございますけれども、私どもできる限りそういう内容を盛り込んだものにしたいというふうに思っております。
  15. 田浦直

    田浦直君 この抜本案作りというのは随分、数年これまで論議をされてきたわけなんですね。政府もいろんな提案をなされてきたわけですけれども、実際には、何らと言っては言い過ぎかしれませんけれども実現するところまでは行っていないわけなんですね。健保法改正があるたびに論議をされる、そしてその中で実施されるのは大体国民負担増加とか、そういったところだけが取り上げられて、抜本案作りのところは何か非常に難しい、いろんな関係団体もあってなかなか実現ができないというようなことで見送られてきたような気がするんですね。  私も厚生労働委員会の中で随分この問題について質問をさせてもらったんですが、二〇〇〇年までには必ずやると歴代の大臣が何人もおっしゃられて、私も再三質問する中で、これだけ答弁されるなら恐らく何らかの形で実現するんじゃないかと思っておりましたら、二〇〇〇年になったら二〇〇二年に先延ばしをするという発表だけが行われた。この間、国民も我々も大きな期待をして待っていたのにもかかわらず実現をしておらないわけなんですね。  そのときに、一体、じゃ、そういうふうな約束をしたことについての、そしてそれができなかったということについての責任は一体だれが取るのかということを見てみましたら、だれも取っていないんですよね。ただ先送りをしたということが結果として出てきただけなんですね。  だから私は、やはり今回も坂口大臣も意欲的にこの問題に取り組んでいただいておるわけですから、私は今度は実現するんではないかという期待をしているんですけれども、その約束を実行するにはやはりだれかが責任を持ってやらぬといかぬ、あるいはできなかった場合にはだれかが責任を取るというような、そういう体制でないとまたまた先延ばしにされる可能性がある。今お話がありましたように、五年先にできるようにということでスケジュールを組まれるということですが、五年間にはいろいろなことがあると思うんですよね。大臣も何人かまた替わられる。その間、いろんな意見があってまた見送られるということはあるかもしれぬ。そういう危惧をこれまでの何年かの経過の中で私は心配をしているわけですね。  それにはやはり、これは自分責任を持って、あるいはここが責任を持ってやるんだ、できなかった場合には自分たちが腹切ってでもこの実現を目指すんだというふうな、そういうところも、責任の所在というものが要るんじゃないかなと思うわけなんですが、その点についてどういうふうな決意というんですか、で臨まれるのか、その点をお尋ねをしたいと思います。
  16. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 五年も六年もやっているわけじゃございませんから、その先のことはなかなか分かりませんけれども、しかし、どういう方向で、これをどういうスケジュールでやっていくかという案は明確にしなければならないというふうに思っております。  この診療報酬体系の問題や保険統合一元化の問題を挙げましたけれども、それだけではなくて、やはり医療の質をどう上げていくかといった問題につきましても、これはまとめなければならないというふうに思っております。この質を上げるという問題も他の問題と同様に大変大事な問題だというふうに思っておりますから、それらを総合的な案にしなければならないというふうに考えている次第でございまして、それらはこういう方向で、そしていつまでに達成をするという案を作り上げるというところまでは、これは責任があるというふうに思っております。  もちろん、厚生労働省の方で作らせていただいて御審議をいただくわけでございますから、厚生労働大臣にすべての責任はあると思っておりますし、できなければその責任は取らせていただきたいと思っているところでございます。
  17. 田浦直

    田浦直君 坂口大臣ほどの強い指導力を持った大臣が今後出るかどうか分からないわけですので、是非しっかりと土台を固めていただいて、揺るぎのないような抜本案作りお願いを申し上げたいと思っておるところでございます。  それで、この私案中身についてちょっとお尋ねをしてまいりたいと思うんですが、この医療保険再編といいますか統合といいますか、そういったものはこの私案の中ではこれまでの、先ほど大臣も述べられましたように、市町村単位ということではなくして都道府県単位でやったらどうかというふうに書かれておるわけですね。私も大体こういったところが妥当なところではないかなというふうに思っております。  確かに、もう数十名の保険者でこの医療保険をやるということは難しい、できないということは明らかなんですね。本当に、その村か町かで例えば人工透析をしなければならぬとか経費がたくさん掛かるような患者さんが一人でも出たら、もう医療保険制度はその町では壊れてしまうというふうなことになるわけですね。そういう実例もあるわけですので、都道府県単位ぐらいでまとめられるのはいいんではないかなと。私もそういう意味ではこの私案は評価したいというふうに思うんですね。  ただ、その都道府県単位にするというこのスケジュールですよね、これがなかなかまた難しい。再編し直す、統合するというのは一言では易しい言葉ですが、現実に非常にやっていく中ではいろんな問題がまた生じてくるというふうに思うんですね。そこを乗り越えぬといかぬわけですけれども、その再編をどういうふうな形でやっていかれるのか。ただ再編する、統合するだけでは私どもはちょっと納得できないので、どういうふうにしてその再編をやっていかれる決意なのか、その点をお尋ねをしたいと思います。
  18. 真野章

    政府参考人真野章君) おっしゃられますように、国民健康保険におきましては産業構造の変化や過疎化の進展などによりまして小規模保険者増加をいたしております。例えば、被保険者数三千人未満の市町村国保というのはもう三七%と、千二百近い保険者の数になっておりますし、保険者運営基盤の強化や保険者機能の効率的な発揮ということから考えますと、私ども広域化事業共同化を進めると、そういう基盤整備をしていくことが大事だというふうに思っております。  広域化につきましては、合併促進法合併支援プランということで政府としても市町村合併の推進を図っていこうとしておりますけれども国民健康保険独自におきましても、市町村合併の際に保険料の格差、どうしても、合併をいたしますと、同じ料率の保険者が一緒になればいいわけですが、高いところと低いところが出ると。そういたしますと、低いところに合わせればいいわけでしょうが、なかなか、実際問題としてはその中間を取るか高い方に合わせると。  そうしますと、今まで低かった町村に属されていた被保険者にとっては保険料の増になるというようなことにつきまして、そういう問題についての平準化をするということで広域化等支援基金というのを創設をいたしまして、市町村国保の、言わば保険料が違うことによるなかなか広域化が進まないというようなことについてはそういう支援をして、合併機運がある、又は広域化機運があるところはそういう保険料の差異による難しさをできるだけ解消していこうとしておりますし、また国民健康保険では共同事業都道府県単位でやっていただいていますが、この高額な医療費負担都道府県単位で調整するという高額療養費共同事業がございますが、これをその対象をレセプト一件八十万円というものから七十万円に拡大するということによって事業規模も一・八倍ぐらいになると。言わばそういうことで都道府県単位で、その高額療養費に関していいましたら、そういう意味では都道府県単位で再保険をしているみたいなものでございますので、市町村間の保険料標準化が進められるというようなことで基盤整備をし、更に国保連における共同電算処理というようなことでできるだけ保険事業共同化ということも進めていく、そういう市町村への支援と、それから、できるだけ都道府県単位での事業を拡大することによって都道府県単位へ向けた保険者規模の拡大ということについて一層の努力をしていきたいというふうに考えております。
  19. 田浦直

    田浦直君 都道府県単位ということでやられるということで、恐らく、国保とか政管健保とか、これはいろんなことあると思いますが、実現できる可能性はかなりあるなと私は思っております。  ただ、健保組合の方も、恐らく、これは都道府県単位にするということになれば、健保組合というのは全国組織であるところもたくさんあるわけですよね、大きな企業というものはそういうふうになっているわけですから。健保組合の中でもまたいろんな問題が抱えておるので、私はこの健保組合都道府県単位への移行というのが、これが一番困難ではないかな、難航するんではないかなと思うんですね。  でも、しかしそれは是非やっていただきたいと思うんですね。健康保険の一本化、一元化という意味でですね。すべてを都道府県単位でされるというふうにやっていただきたいなというふうに思うわけですけれども、これまでのような、健保組合に対してもこれまでのようなアプローチでは再編とか統合とかいうのは非常に難しいと私は感じるんですね。だから、またそれを先送りにするということになりかねないというふうに思うんですけれども、この点についてどういうふうに進めていかれるつもりなのか、お尋ねをしたいと思います。
  20. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 御指摘のように、組合健保をどうするかということが一番難しいだろうというふうに思いますし、都道府県単位にするということを言いました、都道府県単位というのを軸として再編をしていくということにしました場合に、やはり組合健保が一番難しいと私も率直にそう思っております。  組合健保の場合には、それぞれのやはり企業の御意見もあるんだろうと思うんですね。健保組合も御意見をお持ちでございましょうし、それから企業もお持ちでございます。企業は全国レベルで展開をしているわけでありますから、一つの県に固まりになっておやりになっているわけではありません、もう広い範囲でおやりになっている、あるいは日本を超えておやりになっているわけでありますから。その皆さん方の組合健保を都道府県単位に整理をするというのは、これはちょっとなかなか至難の業ではないかというふうに思いますが、しかし、この健保組合といえども、現在の状況のままでいいかといえば、これはもう少し統合化をしていただかなきゃならないことだけは間違いがないわけであります。  それで、統合化は進めていただきたい。統合化を進めていただく中で、そうしますと、組合健保の中には、あるいは政管健保の中にそれじゃもう入っていこうかというところもあるかもしれませんし、あるいは大きい企業と同じにやっていこうかというところもあるかもしれません。いわゆる下請等の企業におきましては親企業と一緒にやっていこうというところもあるかもしれません。しかし、それもなかなかままならないというところもあるやにお聞きをいたしております。企業としては一つの関連企業ということになっておりますけれども、いや、しかしそこまで一緒になるのはというお気持ちのところもあるやにお聞きをいたしておりますししますから、そこはそう簡単ではないだろうと。  そうした意味からいきまして、ひとつ別途法人なら法人格のものを作って、政管健保でもない、皆さん方がひとつ一緒にやっていただくような形のものを作り上げていくということも一つの方法ではないか。これは検討課題と思うんですけれども、そうしたことも念頭に置きながら統合化をまず進めていく。  したがいまして、平成十九年までに組合健保も都道府県単位まで割り切るということは私は少し難しいんではないかと。しかし、統合化は進めていって、少なくとも都道府県単位ぐらいに見合うような統合化が進んでいくことを期待をしているというところでございます。
  21. 田浦直

    田浦直君 今、大臣が述べられましたけれども、組合健保というのは非常に難しい。私も同感なんですね。  今おっしゃられた政管健保とは違うような形でという話もございましたけれども、それはどういう内容なのか、教えていただければと思いますが。
  22. 坂口力

    国務大臣坂口力君) まだこれは固まった話ではございませんし、これから検討をしなければならないことでございますし、それを作るということを決定したわけでも今のところございません。そういう方法もあるのではないかというふうに思っておりますが、そうした場合には都道府県単位で、中小の小さい企業でございましたら都道府県単位統合をして、そして一つ保険者を作り上げていくといった方向に向かないだろうかということでございまして、これはどういう形態でやるのか、公益法人でやるのかどうか、そうしたことも含めまして今後検討をしていかなければいけないことだというふうに思っております。
  23. 田浦直

    田浦直君 そうしますと、国保、政管健保とはまた違った方向再編統合を組合健保の場合は行うこともあり得るというふうな御意見だと思うんですね。  そうすると、十九年度までにすべて都道府県単位でやる、一本化してしまうということではなくして、国保と政管健保、できるところからそういうふうに持っていきたいというふうなお考えなのか、どうでしょうか。
  24. 坂口力

    国務大臣坂口力君) そこをこれから議論をもう少し詰めさせていただきたいと思いますし、多くの皆さんの御意見を伺いたいというふうに思っておりますが。  もう一つ、各保険者間の年齢構成というのも違うわけでありまして、高齢者がたくさんおみえになります保険者におきましては、それは財政上非常に厳しくなることは当然でありますし、お若い皆さん方の多いところでは、それは財政上非常にゆとりが出ることも事実でございます。そうした面でのいわゆる調整、年齢調整といったことも他方、統合とは別問題として、これは進めさせていただかなければならないだろうというふうに思っております。  その年齢の調整等は行わせていただいて、そしてもう一つは財政、財政と申しますか所得ですね。所得等について調整ができるかどうかという問題がございますけれども、これはいわゆる税の捕捉の問題等もございまして、これも一本でやるということもなかなか難しいわけでございますが、可能な限り、それぞれの現在の系列の中でそうしたこともこれはできるのではないかというふうに思っているところでございます。  結局、制度が本当に統合化もしできなかったとしても、実質的には統合したのと同じような体制を作り上げていくということになれば、それから先は保険者そのものを一つにするかしないかという問題だけが残ってくるわけでございますので、そうしたことも両にらみで行いながらやっていく。  しかし、財政調整の話は、これは私は二の次だというふうに、大事な問題でございますけれども、二の次だというふうに思っております。ここを余り強調いたしますと、財政調整のために、財政のためにやるのかという論議になってしまいますから、私はそうではないというふうに思っておりますけれども、しかし、ここにつきましても、やはり特に年齢の調整等につきましては行わせていただかざるを得ないと、そんなふうに思っております。
  25. 田浦直

    田浦直君 今、大臣がおっしゃられたのは、やはり高齢者医療制度ですね。今一番問題になっている財政の中で、この高齢者医療問題が片付かないものですから、だからいろんなことが起こっておるんだというふうに思うんですね。いろんな案もこれまで提案されてきておるわけですが、それも実際には形にはなっておらないわけで、ここを早く何とか解決しなければこの問題は解決しないということになるんだろうと思うんですね。  これまでは老人医療拠出金というふうな形でやっておったわけですが、それが非常に矛盾が生じてきたといいますか、若年者の多い組合では大変な負担になってきているというふうな問題もありまして、今、大臣がおっしゃられましたように、この坂口大臣の今回の私案の中に年齢や所得に着目した負担の公平化を図るというふうに書かれておるのはそんなところではないかなというふうに思うんですね。その年齢や所得に着目した負担の公平化というのは、リスク構造調整方式といいますか、それのことを言われておるんではないかなと私は思っておるわけなんですが、そうしますと、今までやってきておりました老人医療拠出金ですね、の制度と、このリスク方式と一体どこがどんなに違うのか、リスク方式にした場合にどういうメリットがあるのか、その点についてお考えをお聞きしたいと思います。
  26. 真野章

    政府参考人真野章君) 現在、御指摘ありました老人保健制度は、今の被用者保険制度と国民健康保険制度の制度的な仕組みの違いといいますか、被用者保険から抜け出せば国民健康保険で受けると。したがいまして、国民健康保険がすべての受皿になっていると。したがいまして、リタイアいたしますと国保に入ると。そういう言わば国民健康保険に制度的に高齢者が集中する今の仕掛けを何とか是正をするといいますか、それぞれの保険集団に日本のお年寄り全体の比率を負担してもらう、どういうふうに支え合うかという、言わば高齢者の率を保険者で一定してできるだけ負担を公平化をしようと。それは、今、先生おっしゃられましたように、若年層を抱えている保険者からは、自分たちが使う医療費でない部分について非常に大きな負担になっているという御指摘があることも事実でございます。  ただ、今申し上げましたように、現在の老人保健制度は対象を高齢者に限定して調整をしているわけですが、今言われております年齢や所得に着目した負担の公平化という議論になりますと、先ほどちょっと大臣からもお話がございましたように、保険者の全体を言わば日本の人口構造に合わせるといいますか、負担をされる方々も日本の人口全体と同じような仕掛けに想定すると。保険者を自ら設定できますのは健康保険のような組織でございますので、例えば政管は被用者保険での受皿、それから、先ほど申し上げましたように、国民健康保険は日本の皆保険制度全体の受皿でございますので、言わば保険集団を自ら設定することはできないと。そうしますと、その結果生じたそういう年齢構造の違いというものが保険者負担として、財政的な負担として現れてくるわけですので、そういう部分についてできるだけ年齢構造を公平にしたら、同じようにしたらどういうことができるかと。  したがいまして、年齢に着目いたしますと、そういう意味では、先ほど申し上げましたように、現在の老人保健制度が対象者の老人を同じように率を設定すると考えれば、今回の年齢に着目したリスク構造というのは、保険集団全体を、言わばすべての年齢層を日本の人口構造と同じような年齢層として想定して調整をしてみたらどうかということでありますし、それから所得は、先ほどちょっと大臣からもお話もございましたように、これはもうそれぞれの就業状況からそういう企業の負担能力その他も含めましてかなり相違があると。これについてもできるだけ、現在の例でありますと退職者医療保険制度が、被用者の中ではありますけれども、言わば総報酬によって、全体の標準報酬を合わせた総報酬によってその中で調整をしていると、そういうような仕掛けも負担の公平化ということで考えられるんではないかと、そういう二つの違いがあるんではないかというふうに思っております。
  27. 田浦直

    田浦直君 そのリスク構造調整方式を実際に行うということになった場合、各保険者保険料負担それから公費負担は一体どうなるのか。私は、医療費というのは、総枠はもうどういう方式を取ろうと同じことだと思うんです。老人医療費についても同じことだと思うわけなんですね。したがいまして、その中身をいろいろいろいろ改造するというか、ということの中で一番問題になるのは、保険者保険料は一体どうなるのか、公費負担はどうなるのか、そういうことではないかなと思うんですね。このリスク構造方式と、もう一つ有力に言われているのは独立方式というのがあると思うんですけれども、どちらもそれぞれいい面もあるし悪い面もあると私は思っておるわけなんですね。  そういう中で、このリスク構造方式を行った場合には一体どういうふうに負担がなるのかということをお尋ねをしたいと思います。
  28. 真野章

    政府参考人真野章君) なかなか医療費の計算、しかも医療費の見通しそのものもそうですし、この負担ということになりますと、拠出サイドの経済成長による所得の把握というような非常に難しい議論がございますのでなかなか難しいんですが、先日、今、先生御指摘の高齢者の独立方式、これもいろんな御主張されておられる方々がございますので非常に前提を置いたようなスタイル、それから突き抜け方式、それから今話題になっておりますリスク構造調整方式、それぞれにつきまして二通りの案、計六種類の案をかなり機械的と言うとおしかりを受けるかもしれませんが、そういう試算を公表をいたしております。  この年齢リスク構造調整だけをやる仕掛け、全年齢につきまして年齢の違いによる医療費の格差を調整をすると。その前提といたしまして、七十五歳以上の者の公費負担は給付費の五〇%、それから現在の退職者医療制度は廃止するという前提でございますが、そういうことを行いますと、これは平成十九年度と最初の高齢化のピークを迎えます三十七年度と二つ試算をして公表させていただいていますけれども、便宜十九年だけちょっと申し上げますと、十九年度では市町村国保は若干の減になります。ほとんど三角〇・〇万円程度という程度でございますので若干の減少、それから政管健保でいきますと一・九万円程度の減少ということでございますが、その分、その分といいますか、その代わり公費負担は現行より一・一兆円増加をするというような結果になっております。  また、被用者保険制度内において所得格差の調整までやるということを計算をいたしますと、政管健保は更に負担が減少いたしまして、二・六万円程度保険料負担が減少するんではないかと。その代わり健康保険組合では、先ほどの単純な年齢リスク構造調整ですと七千円程度の保険料減少ですが、反対に一万二千円程度の負担増になると。そして、公費に関して言いますと、この前提が、現在入っております政管に対する国庫負担を廃止するという前提で試算をしておりますので、一・一兆円程度の公費の増が二千億程度の公費の増という程度でとどまるというような試算をいたしておりまして、これは六種類の試算、公表をさせていただいております。
  29. 田浦直

    田浦直君 ひとつよろしくお願いをしたいと思いますが、私、この私案を読んでいる中で、医療保険制度の将来像というものについてはいろんな意見があるんですよね。この私案の中では、坂口大臣は制度の一元化を図るというふうに書かれておられるんですが、大臣が描いておられる一元化というそのイメージ、それは一体どういうものなのか、お尋ねをしたいと思います。
  30. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 一元化のことをお答えを申し上げます前に、高齢者医療制度お話、ちょっと先ほど出ましたので一言だけ付け加えさせていただきたいというふうに思っておりますが、財政調整の話が前面に出ますと、じゃ、もう高齢者医療制度はこれはもうカットするのかというお話になるわけでございます。しかし、附則におきましても二年以内にその結論を出すことになっておりまして、これは法律の中にも書き込まれているわけでございまして、その高齢者医療制度というものを私たちも飛ばして考えるということを思っているわけではございません。これは平成十七年度にはいずれにいたしましてもどうするかということを決めなければならないというふうに思っております。  しかし、ここは今進んでおりますこの七十五歳以上、二分の一という公費の導入が、これ十九年までずっといくわけですけれども、果たしてそれで今後の医療がそれで賄っていけるのか。それとも、そうではなくて、もう少しやはりこれは別途考えていかなきゃならないのではないかという、そうした議論がこの二年間の間に私はあるんだろうというふうに思っておりまして、そうしたところから、この高齢者医療というものをその間にもう一つ作って、そして高齢者以外のところの財政調整をするのか、あるいは高齢者も含めた財政調整をするのかという御議論をしていただきたいというふうに思っているところでございます。それが一つ。  それから、先ほどお話がございました一元化お話でございますが、これは結局のところは、制度を一つにするということもございますけれども、その前にやはり給付と負担の公平化というものを図っていくということが大事になる。そのことは結果として一元化と同じ意味を持ってくるというふうに思っているわけでございまして、そうした問題を進めながら、そしてこの統合化を進めさせていただく。そして、平成十九年を一つの目安にして、そこで第一段階と申しますか、第一段階のところがそこででき上がるような体制を作り上げていくというのが大事ではないかというふうに思っている次第でございます。
  31. 田浦直

    田浦直君 この私案の中に、医療保険再編統合、それから高齢者医療制度、もう一つ診療報酬の見直しというのが書かれておるわけですね。私もこの大臣私案を読ませていただきましたが、この私案の中で診療報酬に関してのポイントはどこにあるのかなというふうに思っておるわけでございます。どういう気持ちでこの私案診療報酬の項を書かれたのか、それについてお尋ねをしたいと思います。
  32. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これは何度もここでもお話を申し上げているわけでございますし、議員にも以前にもあるいはお答えを申し上げたかもしれません。  現在のこの診療報酬体系、かなりなもうでき上がりましてから年月がたっているわけでございまして、聞くところによりますと、戦前からもうスタートしているというようなことでございます。それができましたときには、それなりの一つ基準を持って診療報酬体系というのはできたんだろうというふうに思いますが、以後、長い歳月をもう経ておりますし、そして医療内容も大変大きく変化をしてまいりましたし、医療を取り巻きます環境も大きく変わってきているわけでございますので、その内容につきまして、やはりどういう基準でこれを決めるかということをひとつ明確にするときを迎えているのではないかというふうに思っております。  今、いろいろの診療報酬が二年ごとに決められているわけでございますけれども医療従事者の皆さん方の方からは、なぜこれが上がったのか、下がったのかというお話がございますし、また国民皆さん方からも、なぜこれがこんなに高いのかという御議論もあるわけでございます。そうしたことにお答えのできるようなやはり基準を作って、こういう基準で決定をいたしておりますということがなければやはり十分な説明ができ得ない、私はそう思っておりまして、そうした意味でこの基準を明確にする、その基準として何と何を取り上げていったらいいかということなんだろうというふうに思っております。  それに対しましては、重症度でありますとか技術力なんかもその中に含まれるかもしれませんが、あるいは診療に要しますコストの問題は当然、コスト、重症度、あるいはそれに必要とする時間、そうした問題をひとつ物差しにしながら、より、私が今申し上げたようなそんな大枠の話ではなくて、もう少しそこを明確にした形にして、そしてお示しを申し上げて、そうしたことを中心にした点数表というものを、これを作り上げていく。それは、そういう意味では今までのものを一度作り直すわけでございますから大変な作業になるだろうというふうに思いますけれども、そうしたことを行うときが来ているのではないかというふうに思っている次第でございます。
  33. 田浦直

    田浦直君 今回の診療報酬の改定を見ましても、是非私は簡素化してほしいと言っておるんですが、逆にもう大変複雑になって、まるで迷路みたいな診療報酬になっているんですね。このことは請求する医者の方も大変なんですね。書き間違えると不正請求だということでしかられますし、あるいは患者さんに説明のしようがないような改定があるんですね。患者さん、同じ行為をしておっても報酬が違う。したがって、一部負担金が異なってくる。じゃ、どういうふうにして説明すればいいかというようないろんな問題がたくさんあると思うんですね。だから、私は、診療報酬を作られる場合には、一つ国民理解できるような、そしてもう一つは医学的な見地から、なるほどこうだと言えるような、そういうふうな診療報酬にしていただきたいと思うんです。  それは、大臣が書かれておられますように、ドクターフィーとホスピタルフィー、技術料と経費というものをきちんと分離してそういった診療報酬を目指すということですが、私も全く同感でございます。その中で、今は非常に診療報酬という形で技術料もコストも含まれておるわけですので、その辺が現場の者にとっては不満があるのではないかな、あるいは患者さんにとっても不満があるんじゃないかなと思いますので、その辺を是非今後の診療報酬改定の場合には考えていただいて作られていただきたいというふうに思います。  今度、四月からこの診療報酬も変わり、また十月から、正に昨日から制度が変わってきておるわけですね。これは保険局長お尋ねしたいんですが、今話しましたように、非常に難しくなってきているわけですね。そういったことで、どうですか、いろんな反響、反応が出ておるのかどうか、国民の間とか医療機関とか、そういった声は、発足したばかりですからまだ届いていないかもしれませんが、是非緊張感を持って見守っていただきたいというふうに思うんですね。  四月から六月の医療費というのは随分減少をしている。恐らく十月からも減少をするだろう、こういうふうに私が分析しているんですが、局長はどういうふうにこの十月からの分析をされておられるのか、お尋ねをしたいと思います。
  34. 真野章

    政府参考人真野章君) 先生御指摘のとおり、昨日一日から老人医療制度改正をされまして、私どもは施行準備ということで、これは市町村お願いをするわけでございますので、なかなか、先ほど来のお話のように、市町村の事務能力、そういうものにもかなりばらつきがございまして、私ども都道府県を通じましてできるだけ市町村の進行管理をお願いをしてまいりました。  昨日一日だけでございますので、まだここでどうかということにはならないと思いますが、昨日一日の私ども都道府県なり、また医療関係団体とも連絡を取りましたところでは、昨日一日だけではありますけれども、そういう非常に大きなトラブルといいますか、そういうものは報告はなかったというふうに聞いております。  ただ、我々といたしましては、逆に言いますと、昨日はああいう天候状態でもございましたので、決して気を緩めてはおりませんで、市町村におきまして高齢者への指導、それから証の交換をしておりますので、そういうもののきちっとした把握、そういうことを通じまして円滑な実施に努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  35. 田浦直

    田浦直君 この前、厚生労働省医療費の推計というのを見せてもらったんですが、五年後には大体五兆円ぐらい増えると言っているんですね。ところが、今回の医療費の改定は、動向から見ると単年度でもマイナスになっている。本当に五年先に五兆円も伸びるんだろうかと逆に私は思うんですね。  これまでもいろんな推計が出されておりますが、失礼ですけれども、その推計が、厚生省の推計というのはいつも間違っている。いつもと言ったら悪いですが。例えば二〇〇〇年の医療費の推計は、厚生省の案では、五年ぐらい前に出されたのかな、それでは四十四兆円。実際には三十兆円なんです。余りにも間違え方が大き過ぎると思うんですね。  今回ももう五年先には五兆円増えるんだと、ある意味では脅しみたいな気が私はするんですがね。その推計の根拠というものがあったらお示しをいただきたいと思うわけです。
  36. 真野章

    政府参考人真野章君) 前回の健保法改正のときにそういう推計をいたしておりますが、その平成十九年度の医療費の推計というものの基礎でございますが、平成十四年度予算の数値、これをベースといたしまして、将来推計人口、これは平成九年の推計でございますけれども、社会保障・人口問題研究所が行いました推計を用いました。  あと、なかなか難しいのは次の部分でございますが、一人当たりの医療費の伸びを、平成七年から十一年度の五年間、この平均が二・五%でございますので、過去の五年間のこの二・五%の伸びというものを伸びるというふうに仮定をし、そして、今、先生御指摘の制度改正なり診療報酬の改定の影響を盛り込んで平成十九年度の医療費の推計をしたということでございます。
  37. 田浦直

    田浦直君 五年先のことですから五年先にならないと分からないですけれども、恐らく私は、推計が間違いだろう、そのときはそういうことになるんじゃないかなというふうに思っております。慎重にこの推計はしていただきたいなと思っております。  最後に、大臣にこの医療保険体系診療報酬体系の見直しに向けた決意というものをお聞きして、質問を終わらせていただきたいと思います。
  38. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 先ほどから申し上げておりますように、この抜本改革というのは、前回のこの医療保険改革の前提条件といたしましてこれは国会にお約束をしたことでございます。来年の四月まで、三月中にその改革案をお示しをするというのは、これはもう公約でございますので、責任を持ってそれをやらせていただきたいというふうに思っております。  先ほどもお話がございましたように、できなかったときにはどうするかというお話でございましたから、できないようなことがありましたら私が責任を取らせていただきますと申し上げたところでございます。
  39. 田浦直

    田浦直君 ありがとうございました。
  40. 藤井基之

    藤井基之君 おはようございます。自由民主党の藤井基之でございます。  本日、机上に十一年、十二年度の決算内容が示されておるわけでございますが、この十一年から十二年というと、厚生労働行政、大きな変革がございました。御案内のように、平成十二年四月には介護保険制度が発足いたしました。もう既に二年六か月が経過いたしております。  厚生労働省の調査によりますと、本年の六月末現在で三百十三万人余の人々が要介護者あるいは要支援者として認定されているそうでございます。また、主要な在宅サービスの利用量、これを法の施行前後で比較いたしますと、平成十一年度の月平均の数字と本年四月の数字を比較いたしますと、主要な在宅サービスであります訪問介護、ホームヘルプサービスでは一三〇%増えている、通所介護、デイサービスでは八三%も増えているということでございまして、これは私は、この介護保険制度というものがいろいろ多難な船出をするんではないかと言われた割に比較的順調に機能し始めたのではないかというふうに考えます。これもひとえに関係者の方々の努力を高く評価いたしたいと思います。  しかし一方で、この制度が動き出して、やはり問題点でありますとか矛盾点、こういった指摘があることも事実でございます。介護保険につきましては三年ごとに介護報酬及び介護保険料の見直しを行うこととなっておりまして、来年度からの介護報酬の見直しについて既に審議検討が始められております。同時に、介護保険料につきましても各地方自治体で見直しが進められております。また、制度発足五年目に当たる平成十七年度には介護保険制度体系の見直しが予定されておりまして、介護保険制度について今重要な時期に差し掛かっているというふうに認識をしております。  先ほどの、先国会健康保険法の一部改正法案等が成立をいたしまして、医療制度抜本改革が動き出しているわけでございますが、特に高齢者の医療制度創設についていろいろな、種々議論がなされているわけでございますけれども、私は、この介護保険制度というものが高齢者の医療制度の在り方に大きく影響するのではないかと、そういうふうに考えておりまして、そういった観点からも介護保険の問題について種々御質問させていただきたいと存じます。  国民医療費の動向、もう皆さん御案内のとおりでございますけれども、これは一九五四年の調査開始から一貫して増加基調にありました。近年では、高齢化の進展に伴いまして老人医療費の伸びがその主因となっておりまして、毎年毎年国民医療費は伸びてきている。平成十一年度には三十兆円を超えたし、老人医療費は十一・八兆円に達したと。ところが、平成十二年度は、御案内のように、国民医療費は三十・四兆円、老人医療費は十一・二兆円と、各々対前年度減額、調査史上初めての状況が起こったわけです。これは、取りも直さず、介護保険制度発足に伴いまして医療費の一部が介護保険の方にシフトしたからだと、こう言われているわけですね。  お伺いしたいのですが、この平成十二年度、介護保険制度が発足するに当たりまして厚生労働省は、予算ベースで、平成十二年度国民医療費は二十九・一兆円に下がるだろう、老人医療費は十・一兆円だろうと、このような見込み数字で予算ベースでの計画を立てられた。ところが実態は、今申し上げたように、国民医療費は三十兆円のままだったし、老人医療費も十一兆円台のままだったわけですね。報道によりますと、厚生労働省医療から介護への見込みというのが当初見込みより約四千億円ばかり少なかったんだと、こう言われている。  この内容及び移行額が見込みより少なかった理由について厚労省はどのように分析されているのか、まずそこをお伺いしたいと思います。
  41. 真野章

    政府参考人真野章君) 医療保険から介護保険に移行した費用というのは、なかなか、制度の前後でとらえるところが違いますので正確な評価というのは非常に難しいと思っておりますが、一定の前提を置きまして試算を行ってみますと約一兆七千億と推計をいたしております。  先生御指摘のとおり、平成十二年度予算におきましては医療保険から介護保険に移行する分として二兆一千億というふうに想定をいたしておりましたので、四千億程度下回っているのはおっしゃるとおりでございます。これは、私ども、当初、療養型病床群といいますか療養型病床の介護へ移るというふうに想定をいたしておりましたけれども、それの数が予算で見込んだよりも言わば少なかったというふうなことが主な要因であるというふうに思っております。
  42. 藤井基之

    藤井基之君 この見込みの立て方というのはなかなか難しいところがあろうかと存じますので、そこを細かく追及することはいたしませんが。  本年一月、国立社会保障・人口問題研究所が新たな将来人口推計を出しているわけですね。それは急速な高齢化の進展を意味しているわけでございます。  高齢化によりまして、要介護者はこれは確実に増加していくわけでございます。一方、介護サービスの充実ということを考えますと、施設介護、在宅介護ともに施設、人員等の整備強化、あるいはサービス、質の向上、これを図っていかなければならないわけでございます。  厚労省は、今後、要介護認定者数をどのように見込まれているのか、また、これは平成十二年度の介護給付費では約これ三兆五千億円ぐらいというふうに出ておるわけでございますが、今後のその介護の給付費はどのようになるというふうに推計されているのか、教えていただきたいと思います。
  43. 中村秀一

    政府参考人(中村秀一君) お答え申し上げます。  先ほど先生から御指摘のありました本年一月の新しい人口推計に基づきまして、介護給付費の方についても推計の見直しをいたしております。  結論から申し上げますと、御質問のありました要介護者数についてでございますが、二〇一〇年度、現在二〇〇二年度、足下の推計では二百九十万人、介護給付費五兆円と、こういうふうに置いておりますけれども、二〇一〇年度で要介護者数三百八十万人、介護給付費八兆円と、こういうふうに見込んでおります。二〇二五年度におきましては、要介護者数五百三十万人、介護給付費二十兆円と、こういう推計になっております。
  44. 藤井基之

    藤井基之君 厚生労働省の調査によると、介護保険の財政の収支バランスといいましょうか、トータルで見ますと、予算に対しまして支出というのが約八五%ということだそうでございます。しかし、一部の自治体では介護保険財政が逼迫しておりまして、いわゆる赤字だというところもあると言われているんですね。  ある報道機関の調査によりますと、本年の三月の時点で、平成十三年度の見込みとして、保険者数の四百以上の機関が借入れを予定しているんだと。そして、その総額は百億を上回るんだろうというふうに報道されているんですが、実情はどうなっているんでしょうか。  また、それらの地域が赤字となった場合、その理由、そしてその赤字に対して、十四年度以降そういった赤字の保険者というのが増えていくかどうか、厚生省はどのように予測をされていますか。
  45. 中村秀一

    政府参考人(中村秀一君) まず、介護保険の財政の仕組みでございますけれども、三年ごとに介護事業の予測を立て、三年間の保険料を設定すると、こういうやり方でやっております。介護保険が施行いたしましたのが十二年四月でございますので、十二、十三、十四年度、現在十四年度の半ばでございますが、その三か年の保険料を見込み、三か年の事業量を見込み、そういうことで介護保険財政をやっているということでございます。  今、赤字の問題が出ております。介護保険制度、もしその三年間の間で保険財政の赤字が発生いたしました場合には、各都道府県に財政安定化基金が設置されておりまして、そこからの貸付けを受けて補う仕組みが取られております。  実績で申し上げますと、スタートいたしました平成十二年度におきましては、全部で保険者数二千八百七十七ございますけれども、七十八保険者平成十二年度では、から総額七億円の借入れと、こういうことになっております。したがって、借り入れた保険者数は二千八百七十七のうち七十八保険者で、借入額が七億円というのが初年度の状況でございました。  二年目の平成十三年度におきましては、全保険者二千八百七十七の一割を超えます三百九十の保険者が借入れをしているということでございますので、一割強の保険者が財政的に赤字、借入総額は百十億円ということでございます。昨年度の給付費が四兆五百三十億円でございますから、四兆五百三十億円の財政規模のうち百十億円の赤字になっていると、こういう状況でございます。  今年度どうかということでございますが、三年間の一律の保険料を設定しております。給付費は増えておりますので、初年度、二年度に比べまして今年度も、確定的なことはもちろん今の段階で申し上げられませんけれども、赤字になる自治体が十三年度に比べまして今年度増えるということは、保険料が一定でございますので、それは確実ではないかというふうに思います。  しからば、どういうふうになるかということでございますが、正に十五年、十六年、十七年、また三か年の事業量を見込み、保険料を設定するということになりますし、借り入れました財政安定化基金からの貸付けにつきましては十五年度以降、来年度以降の財政の中で返していくということになりますので、それも含めた保険料の設定が必要になるということでございます。  もう一点、先生の方から赤字要因ということでございます。  最初の保険料の設定でございますので、最初の保険料の設定の見込みそのものが市町村によってまずかったというようなこともあろうかと思いますし、制度施行してみまして、介護保険が非常に定着して予測以上に要介護認定者の方が増えたり、利用者の数が増加し、そのために給付費が上昇したと、こういうようなこともあるのではないかと思っておりまして、赤字の要因というのはこれからも追求しなければ、究明していかなければなりませんけれども、今のところ様々な要因によっているというふうに申し上げたいと思います。
  46. 藤井基之

    藤井基之君 最初の見直しを迎えるわけですので、将来的にこの制度が安定的に運営されるよう適切な指導をお願いしたいと思います。  今、御説明ありましたように、介護保険財政というもの、これは公費負担、利用者負担、そして保険料から成り立っているわけですが、市町村における保険料の算定は、それぞれの地域の要介護認定者数等の見込みから必要な施設介護サービスであるとか居宅介護サービスの給付量を推計して算出される。しかし、医療保険保険料のように、この料率の上限というのは、これはたしかないはずですね。介護サービスを充実している市町村では例えば給付が多くなると。そうすると、介護サービスを充実していくために保険料率、介護保険料を引き上げる必要性が出てくる。御説明があったように、高齢化とともに介護給付費は膨大なものになっていきます。しかし、高齢者の負担能力からいっても、これは際限なく保険料を上げればいいと、こういうようなことではないわけです。  来年度、介護保険料の見直しが行われることになっているわけで、多くの市町村で引上げが予定されているというふうに伝えられているわけですね。本年六月の段階で、中間的な見込みで予定されている保険料の額が、地域格差が広がるようですね。千円台から六千円を超えるようなところまで出てくると。非常に格差が大きくなるんだというふうに言われているわけです。  厚生省は、このような状況についてどのように把握されているんでしょうか。また、このような地域における格差というものについてどうお考えになりますか。厚生労働省として介護保険料というのは一体どうあるべきと考えられているんでしょうか。できましたら大臣のお考えをお伺いしたいと存じます。
  47. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 藤井先生御指摘のように、この介護保険と申しますのは、これは市町村単位で、そしてその自主性に基づいて行われているわけでございますので、どういう介護を実現をしていくかという考え方につきましては、それぞれの市町村によりましていろいろの考え方があるだろうというふうに思っております。  若干この保険料が高くなったといたしましても、やはりサービスを重視をしていくということにウエートを置いた考え方もございましょうし、しかし、そうはいいますものの、やはり保険料というものはある程度抑制をしていかなきゃならないといったことにウエートの置かれた考え方もあるのではないかというふうに思います。また、それぞれの地域におきまして、このいわゆる施設介護というものを重視をするというところもあれば、そうではなくて、本当の在宅介護というものをやはりやっていかなければいけないというふうにお思いのところもございまして、そこは御意見がかなり分かれているように思えてなりません。  確かに、御指摘いただきますように、この保険料の差というものが大きくなってきておりまして、中間報告で見ましてもかなりな違いがあるわけでございます。この負担が過重なものにならないように、国におきましてもまたこの給付水準や給付内容につきまして絶えず検証をしていくことが必要でございますし、各市町村におきましても給付の効率化や適正化を図っていただくようにお願いをしたいというふうに思っているところでございます。  総体的に申しますと、やはり在宅介護というよりも施設介護というものに何となく市町村長さんの思いが動いているような気がいたします。やはり、この介護制度と申しますのは在宅介護ということが中心にしてこれはスタートしたわけでございますし、そうした趣旨を御理解をいただいて、やはり施設も大事ではございますけれども、在宅介護により多くひとつお力添えをいただくようにお願いをしたいと考えているところでございます。
  48. 藤井基之

    藤井基之君 最初にお尋ねしましたように、いわゆる療養型の病床から介護型医療施設への移行が当初の計画のように余り進まなかったんだという御答弁をちょうだいしたわけでございますが、この移行が当初どおりの計画進まなかった理由として、幾つかの機関が解析をされております。医療経済研究機構であるとか全日本病院協会等々が言っているわけですが、それによりますと介護保険制度の先行きが不安であるとか、あるいは介護支援専門員の養成に対する問題があるんではないかとか、あるいは細かい話をすると、例えばおむつ代の取扱いの問題とか、幾つかの指摘があるわけですね。  その医療機関側が医療から介護の移行をちゅうちょする一つの理由として医療保険の報酬と介護報酬との格差、これを取り上げられているようでございます。つまり、保険医療に比べて介護報酬が相対的に低いというようなこともあって、そのシフトがスムーズにいかなかったんではないかというふうに思います。  厚生労働省は、来年四月を目指しまして、社会保障審議会で今その介護報酬の見直し作業を進められていると思うんですが、この施設介護報酬の見直しについてはどのようにお考えでしょうか、お尋ねいたします。
  49. 中村秀一

    政府参考人(中村秀一君) 先生からお尋ねございましたように、介護報酬の見直しの作業をいたしております。介護報酬も、先ほど申し上げました介護保険制度の財政の仕組みから申し上げまして、保険料が三年間固定されておりますので、介護報酬の見直しも保険料見直しのときに併せるということで、三年に一度の介護報酬の改定ということが基本的な考え方になっております。したがいまして、十五年度に介護報酬の見直しを行わなければならないということで、昨年から社会保障審議会の介護給付費分科会の方で審議を行っていただいております。  介護報酬全般について申し上げますと、介護の事業を実施されるに当たり、言わばコストに当たります費用、人件費でございますとか物件費、そういったものに関係いたします経済指標の動向、賃金でございますとか物価の動向を当然考えなければなりませんし、また介護事業を実施されております事業体の経営の実態ということも見なければならない。それから、やはり保険料、公費によって介護費用が賄われているわけでございますので、支払側であります保険者の皆さんの財政状況、そういったことを総合的に勘案しなければならないと考えております。  また、そういった中で施設の介護報酬についてはどうかということでございますが、基本的には、まず介護報酬全体の見直しの方針を固め、その中でこれからどういう介護、二年半、介護保険スタートいたしましたけれども、それを踏まえてどういう介護の姿があるべき姿なのか、そういう姿に向かって変えていくのにふさわしい介護報酬といった観点からも検討をしていただく必要があると思います。  また、介護は自立支援でございますので、そういった意味では施設におきましても言わば真の意味でのリハビリテーション機能というものに着目しながら施設の評価をしていく必要があるんではないかと思っております。  御質問の中で、医療型の療養型病床、それから介護の療養病床との問題もございましたけれども、私ども考えますのに、介護施設といたしましても、特別養護老人ホーム、老人保健施設の問題もございます。医療との関係も十分踏まえながら、また介護施設体系内でのバランス、それから、本来、在宅重視というのが、障害になっても住み慣れた在宅で暮らし続けることを支援するというのが介護サービスの基本でございますし、法律でもそういう精神で貫かれているわけでございますので、在宅と施設との介護報酬のバランス、そういったことを総合的に勘案しながら、また十月十八日から分科会の審議を再開いたしますので、よく審議を尽くしていただきまして決めさせていただきたいと、こういうふうに考えております。
  50. 藤井基之

    藤井基之君 先ほど大臣からもお話がございました。また、今、局長からもお話がありましたように、私も、介護保険制度の究極の目的というのは、そういう施設介護ではなくて、やはり高齢者の方々が自分の居宅で、できれば家族とともに生活を営むことができるように生活とか医療等の側面から支援することにあると思っております。その意味で、また介護の保険財政の将来、そういった観点からも、これから在宅介護サービスをより一層推進していかなければならないのかなと思います。  この在宅介護の推進ということを考えますと、ケアマネジャーの役割、そして機能が大変重要だと考えます。このケアマネジャーにつきましては、介護への移行が進まない理由の一つとしてその養成が問題との指摘もありました。  そこで、まずお尋ねしたいんですが、在宅介護サービスを受けている要介護者の総数から見て、このケアマネジャーの数というものをどのように考えられているか、お尋ねしたいと思います。
  51. 中村秀一

    政府参考人(中村秀一君) ケアマネジャーの重要性については、先生から御指摘がありましたので説明を省略させていただきます。  平成十年度から、介護保険スタート前からケアマネジャーが必要だということで、試験を実施し、実務研修も行ってきております。その結果、試験合格者数は二十三万六千人ということでございまして、ほとんどの方が実務研修を受けてケアマネジャーとして登録していただいております。二十三万六千人が言わば潜在的な資格者でございますが、現在、今年の六月一日現在、ケアマネの事業所で勤務しておられる方は六万二千人、実働六万二千人になっております。  現在、在宅サービスを受けておられる方が百七十二万件でございますので、六万二千人で割りますと、ケアマネジャーさん一人当たり、実働ケアマネジャーさん一人当たりの件数は二十七・七件になります。大体、そのケアマネジャーは利用者五十人に対して一人を標準とするというのが私ども基準の基本的な考え方でございますので、そういうことを考えますと、二十七・七件ということは、ケアマネジャーさんは数の上では充足しているというふうに言えると思います。ただ、質の面でまだまだということがございますので、研修でございますとかケアマネの技能向上について私どもとしては積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  52. 藤井基之

    藤井基之君 ありがとうございました。  今、ケアマネジャーの質の問題まで言及していただいたわけでございますけれども、ケアマネジャーの重要な役割というのは幾つもあるわけですが、その一つにケアプランの作成というものがあると思うんですね。  例えば、介護というものは、生活支援とか施設サービスであるとか、あるいはリハビリ等、多くの場合、複合的なサービスが必要だというふうに私は考えています。ただ、実態を見ますと、どうも単一のサービスだけのケアプラン、これが全プランの四九%を占めていると言われている。そのため、ケアプランの内容に対する批判も一部出てきているようなんですね。  ケアプランの内容につきまして、現在どのように評価をなさっていらっしゃいますか。
  53. 中村秀一

    政府参考人(中村秀一君) 正に御指摘のとおりでございまして、先ほども申し上げたかと思いますが、十四年度、介護費用は五兆一千億掛かっております。四割が在宅でございますので二兆円といたしまして、その二兆円というのは一枚一枚のケアプランの集積であるわけでございます。ケアプランがちゃんともし作られていないということになりますと、その集積であります二兆円の介護費用というのが、皆さんの費用で使っている介護であるけれども、本当にふさわしい介護が行われていない。それは、介護サービスを受けている高齢者御自身あるいは支えておられる家族御自身にとっても、またその費用を出しております国民みんなにとって不幸なことであるというふうに思っております。  実態は、先生御指摘ありましたように、ケアプランを見ますと、単一の、一種類のサービスだけのケアプランというのが半分くらいあるというふうに言われております。これは、一種類のサービスのケアプランはそれでは駄目かというと、必ずしも単純にそうは言えない。また、最近、要介護者数は増えてきておりますが、非常に要支援とか要介護一という介護度が低い方が増えておりますので、そういった方々のケアプランにおいてはサービスの数が少ないということをもって単純に駄目とも言えないというふうには思っております。  しかし、市町村の担当者あるいは介護関係者の率直な御意見を伺いますと、私が申し上げた意味でケアプランが最も在宅介護において大事であり、入口であるところのケアプランが必ずしも十分でないというふうに言われておりますので、玉石混交であるとか、レベルがまだまだだとか、目指すところに比べるとまだ到達度は低いというのが総じてケアプランについての評価ではないかと思っております。  私どもは、今年度、ケアマネジメントの評価の在り方に関する研究なども実施し、識者を集めましてケアプランの評価分析や、そもそもどういう評価をしたらいいかという評価手法の研究を行うことといたしております。これは、ケアマネジメントの、ケアマネジャーの資質向上ということを現在他方でやっておりますが、それとともに手法の開発についても鋭意努めてまいりたいと、こういうふうに思っております。
  54. 藤井基之

    藤井基之君 ありがとうございました。  私、今ちょっと手元に、これ今、局長の御答弁いただいた数字よりも少し古い段階なんですが、私、平成十二年十月という、ちょっともう二年ぐらい前なんですが、その時点の数字で指定居宅介護支援事業所、これが二万二千百二十七か所あって、ケアマネジャーが約二万六千人いるという、そういった数字を持っています。  先ほど局長は実働が六万二千人いらっしゃるという数字を言われました。ちょっと私の全体の数字が間違っていたら修正していただきたいんですけれども、私の持っている資料では、その二万六千人のうちの専任者というものが三五・五%しかいないんだと、残りの六五%近くは他の業務との兼務者なんだというんですね。一事業所当たりのケアマネジャーというのは常勤換算ですると一・六九人しかいないと、一ケアマネジャー当たり平均四十人程度の利用者を担当しているという。  御案内のように、先ほども局長も説明もありまして、私も申し上げました。ケアマネジャーの業務というのは、介護保険申請適用者の認定のための調査であるとか、介護施設だとか医療・介護関係者との調整であるとか、ケアプランの実施状況のフォローアップであるとか、あるいは毎月の給付管理票の作成など、非常に質、量ともに膨大と言うべきだと思うんですね。特に毎月の給付管理票の作成というのは、これは介護支援事業者のレセプト審査との関係もありまして、ケアマネジャーの負担が非常に大きいんだというふうにも聞いております。つまり、ケアマネジャーの仕事というのは、他の業務とのついでの仕事といいましょうか、兼務でやるような仕事ではないんじゃないかという声が現場から出ております。  こうした他の業務との、他の職種との兼務による忙しさというのが、先ほどちょっとお話ししましたようなあるいはケアプランの質というものにも影響しているのではないかという指摘があるわけですが、これについてはどのようにお考えでしょうか。
  55. 中村秀一

    政府参考人(中村秀一君) お答え申し上げます。  まず、ケアマネジャーさんあるいはケアマネジャーの事業所の実態を見る必要があると存じます。  先生の数字はそれほど古くないと思います。十四年四月にケアマネの事業所は二万三千百十四でございますので、余り変わっていないということで大方問題はないと思います。それから、六万数千という数字は言わば非常勤でやっている方も含まれていると思いますので、常勤換算いたしますと先生のおっしゃった数字とそれほど違わないというふうに考えていただいて結構だと思います。  ケアマネ二万三千の事業所のうち、何らかの事業、ヘルパーステーションですとかデイサービスを持っているとか、そういう本来サービス事業を持っている事業所に併設されているケアマネの事業所が九五・七%でございます。ですから、ケアマネだけやっている、ほかの事業を、言わば介護事業をやっていなくてケアマネだけやっているという単独型は四・三%というのがまず押さえていただきたい実態でございます。  それから、専任、常勤でやっておられる人は八五%おりますので、言わばそういうところでフルタイムでは働いておられます。しかし、ケアマネだけ専従している方が、先生御指摘ありました三五%でございます。五〇%の方はフルタイム働いておりますが、本体の事業を持っていますので、本体の事業にも従事しながらケアプランも作っているということでございます。逆に言いますと、ケアマネ事業所というのは様々な事業をやっていて、ケアプランを作るという仕事が増えたので言わば一人は専任の方を置き、それから複数の人間はヘルパーのステーションのワークもしながらケアプランも作成している、こういう形態だと思います。  これを、先生おっしゃるように、片手間にやっている仕事と考えるか、ついでにやっている仕事と考えるか。ホームヘルプステーションはケアマネもやることが必要だし、自分がホームヘルプ事業をやりながらケアマネに参加した方がより立派なケアマネができるという考え方もありますので、兼務していること自体の是非ということはいろんな議論があると思います。そこのところはよく考える必要があると思います。片手間で行われていることによってもしケアプランの質が下がっているようでありましたら、そこは問題ですのでよく考えていかなければなりませんが、専任でやっていたら絶対うまくいくか、いっているかどうかと、そういうことも含めまして、もう少し私ども実態を検証させていただきたいと考えております。
  56. 藤井基之

    藤井基之君 分かりました。  居宅介護支援のケアマネジャー、この介護報酬なんですが、現在三段階に分かれているわけですね。六百五十単位から八百四十単位まであるわけです。介護利用者一人当たり、これ平均約七千五百円ぐらいになるんじゃないかと思いますが、ケアマネジャー一人当たりの平均介護保険利用者数を四十名としますと月約三十万円程度の収入ということになると思いますが、現場の声として、この報酬でケアマネジメントのみの専門の事業所が経営できるかどうかという話がございます。先ほど局長お話がありましたけれども、いろいろな現在の実情というのは、そういった事業だけで事業が起こっているわけではないわけです。  厚生労働省の介護施設・居宅サービス事業者等の収支状況に関する調査で見ますと、介護施設の経営は黒字だという。ところが、訪問介護とか居宅介護支援事業については、これは赤字になっているという数字が示されているわけですね。制度が始まったばかりでありまして、現在の介護支援事業者の経営母体の多くは、今、局長言われたように、介護施設等の経営者であるということでありますが、将来的にはやはりこれは独立した介護支援事業者や専任のケアマネジャーを育成していくべきではないかと思います。そのためにも介護支援専門員の、報酬といいましょうか、報酬についての見直しというものをやはり前向きに検討しなければならないんじゃないかと考えますが、いかがでございましょうか。
  57. 中村秀一

    政府参考人(中村秀一君) ケアマネジャーの介護報酬についての件でございますけれども、検討しております給付費分科会の方でもケアマネジャーの介護報酬については大変多くの議論がありました。  経営実態などを見ますと、やはり今の介護報酬、これはケアマネジャー自身がそれまで日本にはなく、介護保険制度で初めて作られた制度でございますので、介護報酬を設定するというのも、措置の時代にもございました、初めてのことでございますので、そういった事情も考えながら、ケアマネジャーの介護報酬については今回見直すべきではないかという声が多数でございます。  ケアマネジャーの在り方自体については、今回の介護報酬の見直しだけでなく、これからも考えていかなければならないと思います。その際、先生からお話にありましたように、今、九五%のケアマネジャーは本体の事業を持って、それとその事業所に附属してやっていると。そういうケアマネの在り方の是非、それから独立させていくべきなのかどうか、独立させた場合のデメリットということもあるんじゃないかというような問題もございます。  今、ケアマネの財政規模が非常に小さいものですから、むしろ本体の収益で十分やっている、あるいは兼務の方が五〇%でございますから、本体の方の給与、事業の方の負担というようなこともあるんではないかと思いまして、そういうふうに考えますと、なかなか現実的には今の介護報酬で絶妙に機能しているという評価もないわけではないわけでございます。  そういったことを考えながら、ケアマネの介護報酬は今回見直すという方針でございますけれども、それが分科会の方針でございますが、独立専従が望ましいのかどうかといった点についてはもう少し時間を掛けて考えてまいりたいと思います。
  58. 藤井基之

    藤井基之君 厚生労働省は、ケアマネジャーの業務の支援事業というんでしょうか、そういった事業として、いわゆるケアマネジメントリーダーによるケアマネジャー活動支援事業を開始されたというふうに伺っているんです。そして、このケアマネジメントリーダーを千五百名ほど養成されると。そして、このケアマネジメントリーダーは基幹型の在宅介護支援センターであるとかあるいは地域支援センター等を中心に配置するという、そういった指導をされているというふうに伺っています。  介護保険制度の円滑な運営のためには介護支援事業者、医療関係者、保険者等の緊密な連携が不可欠でございまして、ケアマネジャー支援事業も大変重要な事業になると考えます。  ただ、ケアマネジャーにしてもケアマネジメントリーダーにしましても、民間だけで介護支援事業者やお医者さん等の医療関係者間のコーディネート、これはなかなか難しいんだと、実態として、というふうに伺っているんですね。しかも、在宅介護支援センター、多くは民間への委託設営によるものと理解しておるわけですね。そうすると、円滑な連携を取るためには、やはり保険者である市町村が例えば直接的に関係会議を設営するとかケアマネジメントリーダーを活用する必要があるのではないかという声はございます。保険者である市町村自体が関係者の会議を招集するなどのコーディネーターとしての役割を務めている地域もあるというふうに伺っているんですけれども厚生労働省はどのようにお考えでしょうか。
  59. 中村秀一

    政府参考人(中村秀一君) ケアマネジャーさんに対する言わば支援事業の問題でございまして、先生からむしろ御紹介いただいたケアマネジャーのリーダー、これはどうもケアマネジャーさん、非常に複雑な仕事、地域で孤軍奮闘している、悩みを打ち明ける相手もなかなかいない、こういう声を聞きますし、本当に仲間で優秀な方が相談員になってくれたらと、そういう声を聞きますので、ケアマネジャーの支援事業の一環として、リーダー養成をし、現場で実際に実務に携わりながら仲間のケアマネジャーの支援をしていくと、こういうものでございます。  それにしても、民間任せにしないで、ケアマネジャーの多くの方は公務員ではないわけですので、市町村支援をということでございます。  理想を言えば、やはりケアマネジャーたるもの、地域の資源をコーディネートして、専門家会議を開き、コーディネートをしていくというのがケアマネジャーの理想の姿だと思いますので、常に困ったら市町村に駆け込むという在り方もどうかと思いますが、過渡期でございますし、市町村は、保険者としてだけでなく、本当に第一次の地域の住民に密着した自治体として、介護を始め住民福祉に責任を持っているわけでございますので、当面、まだ育っていないケアマネジャーについて、今のところは市町村の積極的な支援お願いせざるを得ないんではないかと、こういうふうに考えており、市町村の方にもそういうことでお願いをしているところでございます。
  60. 藤井基之

    藤井基之君 先ほど田浦議員から厚生労働省の将来的な推計の数字というのはなかなか当たらないんじゃないかというお話ございましたけれども、私はそれは、推計というのは当然前提をもって数字を出すわけでございますので、その前提が変われば数字は変わってくるものです。  今日、御答弁で厚生労働省は、いずれ要介護者の数は五百万人を上回る、そして介護給付費もこれは大きな額になる、二十兆円を超えるような時代が来るんだと、こういうふうに言われたわけですね。そうすると、それに対応する、見合う介護保険料というものを考えた場合、介護保険料の引上げというのもおのずからもう限界に達するんではないかと、そう考えられるわけです。  保険者である市町村統合とか再編による保険者の強化、これも検討されていますが、そういった財政的な対策というものを当然進めていただく必要はあるわけでございますけれども、私は、それと併せまして、これは医療保険抜本改革論議のときにも申し上げたんですけれども、例えば寝たきりにならないとか要介護者を作らないような、そういった施策の推進というのはこれはやっぱり極めて重要なテーマであろうと思うんですね。その意味で、厚生省が始められました介護予防・生活支援事業、これは大切な施策であると私は認識をしております。  この介護予防・生活支援事業の実施要綱が厚生労働省から示されておりますが、非常にきめの細かい有用な内容を多々含んでいると思います。例えば、高齢者の共同生活支援を目的としたグループリビングなど、これらは非常に評価の高い有用な事業であるという声を聞いております。  私は、これに加えましてやはりもう一つ、寝たきりとか要介護の直接的な主要要因となっております脳卒中であるとか、あるいは老人性痴呆とか、あるいは高齢者の骨折という、こういったものの対応、いわゆる介護予防対策、これをこのような介護予防・生活支援事業とまた別途当然推進しなければいけない事業だろうと思っております。  その意味で、さきの通常国会で成立いたしました健康増進法という法ですね、これを幅広くとらえて、この法の推進というのが大変重要であると思う。そして、加えまして、関連する科学技術の振興というものも併せて行わなければいけないんだろうと思っております。  現在、介護予防・生活支援事業の国の予算措置というのは平成十四年度でたしか五百億円が計上されていたと記憶しております。このうち市町村事業につきましては、国は二分の一を負担し、都道府県が四分の一、市町村は四分の一負担すると、こういうふうになっているわけです。しかし、市町村の中にはこの四分の一の分担が困難だという市町村もあるそうなんですね。そのため、ほとんど事業が実施されていないところもあるというふうに伺っております。今後の介護保険制度の普及、費用の増嵩等を考慮すると、健康日本21等の健康増進施策、そして介護予防・生活支援事業、これに対して国は特に市町村中心とした支援の強化あるいは一層の財政措置等を検討すべきと考えますが、いかがでございましょうか。
  61. 中村秀一

    政府参考人(中村秀一君) 健康増進や介護予防が大事だというお話でございます。正にそのとおりだと思います。健康日本21、健康増進法も制定させていただきましたし、私ども老健局の方でも四十歳以上の老人保健事業、ヘルス事業は所管させていただいております。また、メディカル・フロンティアということで、三大死因、がん、脳卒中、心臓病、それに寝たきりの原因であります骨折、それから痴呆性対策、こういったものの医学的な研究等についても、厚生労働省としては予算を計上し取り組んでいるところでございます。  また、介護保険の給付ではない介護保険の給付に至る前の介護予防ということで、今御指摘のございました介護予防・生活支援事業市町村に対する補助事業というふうにして五百億円を毎年計上してやっているところでございます。  先生の方から、地元の四分の一の御負担が大変でなかなか手が挙げられない市町村があるということでございますが、逆にこの事業、むしろ財政当局の方からいえば、地方に定着した事業であり、もう補助事業でなくていいんじゃないか、こういう声も挙がっておりまして、私ども率直に言ってせめぎ合いをしているところでございます。  元来、介護予防事業、やはり市町村責任を持つ事業でございますので、私ども国庫補助するということは大いに頑張りたいと思いますが、市町村のやっぱり御負担お願いするということは避けられないんじゃないかと思っておりますので、その点は御理解を賜りたいと存じます。
  62. 藤井基之

    藤井基之君 是非厚生労働省も頑張っていただきたいと思います。  社会保障審議会の記録を見せていただいていますと、医療と介護との区分といいますか、区分けといいましょうか、そういったことについての議論が多々あるようでございまして、日本医師会が行いました療養型病床群における患者状況調査というのがあります。これを見ますと、医療保険適用患者に比較しまして、療養型病床群にいる介護保険適用患者、この方々の介護度を見ますと、要介護度五の患者さんが四四・九%、要介護度四の患者さんが二二・二%というんですね。要介護度の高い患者さんが相対的に多いというふうに示されているわけですね。  これは、医療と介護というのは、やはり制度上分けているけれども、表裏一体の関係にあるということを示しているのではないかということを私は思うわけですね。そして、この両者、医療と介護というのはその区分けすること自体が難しい状況も多々あろうと思うわけですね。  今、医療制度抜本改革の一環としまして、新しい高齢者医療制度をどうするかという議論が進められているわけでございますが、高齢者医療制度と介護保険制度、それぞれの制度の役割あるいは機能の分担だとか、あるいは保険給付の在り方についての考え方といいましょうか、これらは相互に大きな影響をお互いに及ぼすものだと思われてなりません。現在の介護保険制度におきましても、一定の範囲で医療費と目されるようなそういった給付も現実に行われているわけでございます。  現在、厚生労働省として、この医療と介護の役割分担についてどのようなお考えで区分して、そして介護での給付というものをお認めになっているんでしょうか。大臣、いかがでございましょうか。どのように考えておられるんでしょうか。
  63. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 医療と介護の境界線というのは非常に難しい問題でありまして、明確にここから医療、ここから介護というふうに二つにスイカを割るようにぱんと割ることはなかなか難しいと私は思っております。  ただ、疾病がある程度落ち着きまして、そして安定した経緯をたどる方は、これは介護の方にお回りをいただく。しかし、病気が揺れ動くと申しますか不安定、絶えず医療のお世話にならなければならないといったような方につきましては、これは医療保険の方でお願いをしていかざるを得ないのではないかというふうに思っておりますが、その辺のところは現場でしっかりとおやりいただく以外にないわけでございまして、明確に御答弁申し上げることもなかなか難しいわけでございますけれども、割り切り方としてはそういう割り切り方でいく以外にないだろうというふうに思っております。
  64. 藤井基之

    藤井基之君 坂口厚生労働大臣は、先日、医療保険制度体系の在り方等についての私案を御提示なされました。今日、午前中の本会におきましても同僚の田浦議員からいろいろとたださしていただいたわけでございますが、この大臣私案の中で、医療保険における保険者都道府県単位での統合再編を目指したらいかがかという、そういったお考えをお示しになっていたわけでございますが、介護保険につきましても現在保険者数というのは三千近いわけでございます。そして、その保険財政の強化のためには市町村統合合併等による、これらによって保険者機能を強化しようという、そういったことも一つの政策的な方針が打てるわけでございます。  大臣医療保険に対してお示しになった考え方というものを、例えばこの介護におきましても、介護保険財政を強化するためにも介護保険保険者を例えばそういった複合化する、広域化するといいましょうか、そういった方向というのがあるいは必要になってくるんではないかと私も思うわけでございますが、これについてどういうふうにお考えになるかということをお聞きしたいと思っています。  特に平成十七年度、これから十七年というともうすぐ来るわけでございまして、この十七年には介護保険制度の体系のトータルの見直しをしなければいけない状況になってまいります。そうしたときに、やはりこれは医療制度の問題についていろいろと述べられている内容というものは取りも直さず介護保険制度においても考慮しなければならない内容を多々含んでいるというふうに思うわけですね。  厚生労働大臣は、医療保険制度とこの介護保険制度、その相関、これなかなかスイカを半分に割るようにはできないと、私もそのとおりだと思っておりまして、こっちからこっちは保険で、こっちからこっちは介護であると、それはそういかないのは十分私も分かっている。ただし、制度というものを今私どもとしては持って、この制度が実際に裨益する方は我が国民でありまして、多くの場合それは高齢者の方々なんです。この方々がこういった二つの制度間で、何というんですか、ミスリーディングなことが、なってはいけないんだろうと思うわけです。  私は、この二つの関係と十七年度の体系見直しに対して大臣の御見解がありましたらお伺いさせていただきたいと存じますが。
  65. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 介護のサービスは、これは非常に住民のサービス、非常に住民に密着をした問題でございます。したがいまして、これは大きな単位よりも小さな単位できめ細かくこのサービスは行っていく必要があるんだろうというふうに思っておりますので、いずれにいたしましても市町村で住民サービスというものはお世話をいただかざるを得ないんだろうというふうに思いますが、ただ、いわゆるそれを行います保険単位をどうするかという問題は、これは市町村に限定をする必要はありませんし、今までも広域化ということを進めさせていただいたわけでございます。  ここは少し広域化の考え方でいってもよろしいのではないかというふうに思いますが、しかしこれは、先ほど申しましたように、サービスも伴う話でございますから、広域化市町村でよくその内容につきましても差がないようにお話合いをいただいて進めていただく必要がございますので、特にうちの町はこういうふうな行き方でいきたいという非常に特殊性をお持ちになっているところにつきましては、それはなかなか周辺の町村とうまくいきにくいという面もあるだろうというふうに思いますから、これは介護の場合には、医療保険のように一つの県なら県の単位でというふうに限定をすることなしに、幾つかの選択肢を認める中でこれは進めていくのがよろしいのではないかというふうに思っている次第でございます。
  66. 藤井基之

    藤井基之君 ありがとうございました。  時間も限られてまいりましたので、通告している関係で、ちょっと医療事故の関係について一問だけ聞かせてください。  医療機関における医療過誤の発生というものが度々報道されるわけでございます。東京女子医大病院において人工心肺装置に関する医療事故というのが、これは国会でも関係者を呼んで質疑が行われたわけでございますけれども、この問題については診療記録の改ざん問題というのが大きく取り上げられまして、医療に携わる人間の倫理の問題が多く言われたんですが、この医療事故の発生の原因は何かというふうに考えますと、手術中の人工心肺装置が停止状態になったんですね。再作動までの時間が掛かったことが結果として残念ながら死亡事故につながったということになるわけです。機器にトラブルが起きていることに気付くのが遅れて、気付いた後もその機器の操作法が分からないという理由で対応が遅れたということです。医療を提供する機関として、ええっというような感じなんですね。あってはならないようなことだというふうに私は考えています。  厚生労働省に置かれた私的諮問機関であります医療安全対策検討会議におきまして、本年四月、医療安全推進総合対策がまとめられました。その中で、院内における医療用具に関する安全管理としまして、医療用具を使用する者はその操作方法を熟知しなければならない、当たり前のことを当たり前に書かれたわけであります。ところが、女子医大病院の例を見ますと、やはり医療事故を防止するためにこの当たり前のことを具体化しなければいけないのだろうと思っていまして、操作方法に熟知したスタッフを配置して、そして多様化する医療機器、医療用具の操作方法を医療スタッフに熟知させるために必要な情報を確保して、それを伝達をしなければいけない、それが非常に大切になっていると思います。  特に、人工心肺装置など生命に直結する医療機器に関する医療事故防止のため、このためには例えば臨床工学技士のような専門スタッフの配置と、これら従事者に対して使用に当たっての必要な情報を提供される体制というものを早急に構築しなければいけないと考えるわけでございますけれども厚生省、どのようにお考えでございましょうか。
  67. 篠崎英夫

    政府参考人(篠崎英夫君) ただいま先生から二点にわたって御質問がございましたが、まず臨床工学技士等を含めた必要な従事者の配置につきましては、医療法によりまして病院の実情に応じた適当な数を配置するということになっております。個々の病院の規模ですとか、あるいは提供する医療内容などに応じて必要な職員数が配置されているものと認識をいたしておりまして、現に平成十二年の病院報告によりますと、精神病院を除く八千二百十一の病院に六千三百七十二人の臨床工学技士の方が配置されているという状況でございます。  また、二点目の安全管理体制の整備のことにつきましてでございますけれども、昨日になりますけれども、十月一日から医療法施行規則を改正をいたしまして、すべての病院、約九千三百のすべての病院、そして約一万六千あります有床診療所に対しまして院内研修の開催を義務付けているところでございます。そこで医療用具の使用方法を含め、安全対策に必要な知識の習得などを図ることといたしております。  またさらに、来年四月からは、先ほど御指摘ございましたように、大学病院等の特定機能病院及び臨床研修病院におきましては医療安全管理部門の設置を義務付けることといたしておりまして、これによりまして医療用具の使用方法に関する情報の適切な管理やあるいは院内の周知など、責任を持って実施する体制の整備を図ることといたしております。  今後とも、各医療機関におきまして医療安全が確保されますように、私どもも最大限努力をしていきたいと考えております。
  68. 藤井基之

    藤井基之君 ありがとうございました。終わります。
  69. 中原爽

    委員長中原爽君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時五分まで休憩いたします。    午後零時三分休憩      ─────・─────    午後一時五分開会
  70. 中原爽

    委員長中原爽君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十一年度決算外二件及び平成十二年度決算外二件を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  71. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 民主党・新緑風会の朝日でございます。  午前中に引き続き、平成十一年度、十二年度決算にかかわる質問を幾つかさせていただきますが、質問に入ります前に、私からも冒頭、坂口厚生労働大臣、引き続き厚生労働行政の責任者として留任をされました。午前中も既に、医療保険制度改革あるいは介護保険制度の見直しに向けての大臣決意をお伺いするという質問がございましたけれども、改めて、これからの厚生労働行政を引き続き担当されるに当たっての大臣決意を是非私からもお伺い申し上げたいと思います。  実は、比較するのもなんですが、平成九年度の健康保険法の改正のときにも、断固抜本改革はやるんだと声高におっしゃって何もされないままお辞めになった方もありますので、そういう意味では大臣としては大変荷が重いというところもあるかもしれませんが、さきの通常国会健康保険改正案、非常に異例な形で成立をした。専ら改革中身というか抜本改革はすべて宿題に残されたと。そういう意味では引き続き、何か大臣はもう卒業論文をお書きになったつもりのようですが、残念ながら留年ということになられたようですから、是非これはきちっとした答えを書いていただかなければいけないと、こういうことだというふうに私は受け止めたいと思います。  ちょっと余計なことを申し上げましたが、大臣の改めての決意を冒頭にお伺いして、それから質問に入らせていただきます。
  72. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 午前中にもごあいさつ申し上げましたとおり、引き続きまして厚生労働大臣の職を拝命させていただきましたので、どうぞよろしくお願い申し上げたいと存じます。  先ほど御指摘をいただきましたとおり、医療保険につきましては、抜本的な改革を含めましてこれを御提議を申し上げ、御議論をいただき、そしてより良い方向に持っていくというのは、これは大きな宿題でございますし、これは私にとりましても重大な責任のある問題だというふうに思っている次第でございます。したがいまして、この問題につきましては最後までやり遂げるという決意で臨ませていただいておりますし、午前中にも申しましたとおり、もうこれができないということになれば私のすべて責任でございますから、責任を明らかにさせていただきたいというふうに申し上げたところでございます。  また、厚生労働関係の問題におきましては様々な問題が山積をいたしております。年金、医療、介護あるいはその他、障害者の問題等々の問題もございますし、そして少子化対策等もございまして、それぞれ大変難しく、そして大変大事な問題でございますが、ここで一番大事なことは、社会保障全体として総論的に一体これからどうしていくかという視点が最も大事だというふうに思っております。個々の問題についてのそれぞれの結論を出すという前に、やはりトータルでどうするかということを考えながらそれぞれの個々の問題に取り組んでいかなければならないというふうに自身にも言い聞かせているところでございます。  そうした考え方の下に、これからひとつ総合的な立場で個々の問題に取り組まさせていただきたいというふうに思っておりますので、御指導、御鞭撻いただきますよう、よろしくお願いを申し上げたいと存じます。
  73. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 是非頑張っていただきたいと思います。  さて今日は、私もいろいろお尋ねしたいことがあるんですが、決算委員会における決算の審査ということにこだわりながら幾つかこれからの社会保障制度、とりわけ社会保険の在り方について、決算の結果等あるいは指摘事項等を踏まえながら考えてみたい、こんなふうに思います。  まず最初に、これは質問ではございませんが、皆さんも会計検査院の決算報告書を是非ごらんいただきたいと思うんですが、毎年毎年私思うんですね。厚生労働関係、特に旧厚生省関係については、毎年会計検査院からの指摘が膨大にあって、余りこれは誇れる話ではなくて、件数としてもあるいは金額としても他省庁を抜きん出ているんですね。  これは厚生労働省が所管する行政の中身が非常に大きい、あるいは扱う予算が非常に大きいと、こういうこともあるんでしょうけれども、それにしても、例えば指摘件数で見ますと、平成十一年は百二十四件、平成十二年は百十三件、抜群に多いですし、指摘金額も、平成十一年では百七億円強、平成十二年では百六十一億円強とばかにならない額、件数、指摘されているわけです。  実は、その中身を本当は一つ一つこの決算委員会の省庁別審査で本来ならばやらなきゃいけないと、こういうことになりますけれども、とてもとてもそんな時間がありませんから、今日はその中のほんの一部分しか私の方から問題指摘することができませんが、是非これは大臣にもお受け止めいただきたいと思いますし、会計検査院の方にも受け止めていただきたいと思いますが、毎年毎年同じような項目について、決してその中身は同じではないにしてもほぼ同傾向の指摘を受け続けているということは、決してこれはあるべき姿ではない、決して望ましい姿ではない。是非これは、今後の会計検査の在り方も含めて、あるいはそれに対する厚生労働省としての対応の在り方も含めて是非御検討いただきたいというふうに、最初に、まず冒頭申し上げておきたいと思います。一つ一つやっているととても時間がなくなりますので、これは冒頭、私からの会計検査院及び厚生労働省の皆さんへの要請ということでお願いをしておきたいと思います。そういう言わば総論的な問題指摘をさせていただいた上で、幾つか個別的に検討を加えていきたいと思います。  まず、具体的、個別的な内容の第一番は、平成十一年、十二年度における健康保険及び厚生年金保険保険料に係る徴収不足について、この問題について会計検査院の方から、一定の視点というか、をもって検査をし、その結果を踏まえて指摘をされております。まず最初に、会計検査院の方から今申し上げた中身についての概要を御説明を求めたいと思います。
  74. 増田峯明

    説明員(増田峯明君) 簡単にお答えを申し上げます。  私ども会計検査院では、健康保険及び厚生年金保険保険料の徴収に関する検査におきましては、毎年、重点的に調査をいたします業種等を選定して検査を実施しているところでございます。  平成十一、十二両年度の決算検査報告におきましては、パートタイム労働者等短時間就労者等を多数使用しております小売業、飲食業等の業種を選定いたしまして、これらの業種の事業主のほかに、特別支給の老齢厚生年金の受給者を使用している事業主等につきまして検査した結果を記述しております。  その結果でございますが、事業主が制度を十分に理解していないなどのために、常用的に使用しております従業員について被保険者資格取得届の提出を怠っていたものなど、十一年度におきましては、千八百七十四事業主につきまして五十九億一千六百二十八万余円、十二年度におきましては、一千七百六十七事業主につきまして五十四億九千五百八十三万余円の徴収不足の事態を指摘しているところでございます。  以上でございます。
  75. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 今、会計検査院の方からごく概要をかいつまんで御説明をいただきましたが、特にその中で、やはり私は、後でも御報告をいただきますけれども、やっぱり常勤の正規職員以外の方、いわゆるパート労働者等の皆さんについての社会保険の適用の在り方とその保険料の徴収の在り方については今後大変大きな問題になってくるというふうに思っています。  そこで、まず、この平成十一年、十二年における徴収不足の指摘に関して、今三項目ほど指摘がありましたけれども、とりわけパート労働者にかかわる部分の徴収不足の点について、担当する厚生労働省の側としてはどのように受け止め、どのように改善を図っていこうとされているのか、その点についてお伺いします。
  76. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 従業員を使用する事業主におきまして、従業員が必要な医療あるいは年金を受けられますよう社会保険に加入し保険料を納付するということは、法律上にも規定されておる事業主の責務でございます。したがって、まず、事業主におかれて適正な届出、納付を励行していただくということが基本だと考えております。  しかしながら、検査院の指摘等にもございますように、社会保険制度に対する理解に乏しい、あるいは非常に厳しい経済情勢といった中で、こうした義務を果たせない事業主、果たしていない事業主がいることも事実でございます。このため、社会保険庁の毎年の事業運営方針を定めました社会保険事業計画の中で、厚生年金保険等の適用の適正化を重点事項として位置付けております。これに基づきまして、各社会保険事務所におきましては事業主説明会の開催でありますとか、それから短時間就労者等が多いと見込まれる適用事業所を優先した事業所調査の実施等に取り組んできているところでございます。  現に平成十二年度におきましては、例えば全国で三十六万か所の事業所を調査いたしまして、被保険者資格に関する届出が適正に行われていないことを理由として約五十六億円、それから報酬月額に関する届出が適正に行われていないことを理由として約三十八億円の保険料を追徴したりしているところでございます。  今後、特に、毎年の報酬月額に関する届出を受け付けます、いわゆる定時決定と言っておりますが、こうした際に、その調査の対象をいわゆるパート労働者等が多いと見込まれる事業所に重点化するなどをいたしまして、今後、厚生年金保険等の適用あるいは収納の適正化に向けた取組を更に推進していきたいと考えております。
  77. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 そうすると、少なくとも十一年、十二年の指摘を受けて一定の改善に向けての取組をされて、一〇〇%とはいかないまでも一定の改善を見ているというふうにお聞きしてよろしいですか。
  78. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 直ちに改善をすべてできるということではございませんが、改善に向けて努力をしているということでございます。
  79. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 今の部分は、結局、今の制度上の定めに従って当然社会保険の適用になるべき人からの保険料の徴収ができていなかったので、それをどうきちんと徴収できるようにするかと、こういう問題点でありました。  そこで、これからの問題を考えるに当たってちょうどいい資料が出ましたので、その点について御説明いただきたいと思います。  皆さんも御存じかと思いますが、つい先日、九月の十七日になるんですかね、平成十三年パートタイム労働者総合実態調査の概況というのが報告をされました。新聞にも若干これに関して、例えば、厚生労働省調べで四人に一人がパート労働者であるとかいうような報道がされました。しかし、今回の調査は、相当、それだけではなくて詳しく調査をされております。その中身についてすべてを御説明していただく時間はないと思いますが、主要なポイントと、とりわけ今私が問題にしております社会保険の適用の在り方との関連において、幾つか調査の結果について御説明をいただければ有り難いと思います。
  80. 渡辺泰男

    政府参考人(渡辺泰男君) 平成十三年、ただいま御指摘いただきましたパートタイム労働者総合実態調査の内容につきまして御説明させていただきます。  この調査の調査内容につきましては大変多岐にわたっておりますので、その中から数点取り上げて御説明いたします。  まず、パート労働者、正社員以外の労働者で一週間の所定労働時間が正社員よりも短い労働者でございますが、パート労働者数は、常用規模五人以上の事業所についてでございますが、約九百四十九万人、全労働者に対する割合は二二・一%となっておりまして、前回調査、平成七年に実施しております調査のときが一四・九%でございますので、それに比べてかなり増加しているという状況でございます。  次に、パート労働者としての働き方を選んだ理由というものを聞いておりますが、自分の都合の良い時間あるいは自分の都合の良い日に働きたいと答えた者が五〇・〇%、勤務時間・日数が短いからという者が三一・二%、仕事の内容に興味が持てたからという者が二三・八%、それから、正社員として働ける会社がないからという者が二一・一%などとなっております。  また、今後もパートで仕事を続けたいとしておりますパート労働者は六二・九%、正社員になりたいと答えております者は一五・六%となっております。  次に、パート労働者の公的年金の加入状況でございますが、配偶者の加入している厚生年金・共済年金の被扶養配偶者になっていると答えた者が三〇・六%、厚生年金・共済年金に本人が被保険者として加入しているという者が二八・七%、国民年金に加入しているという者が二三・〇%、いずれにも加入していないと答えた者が一七・五%となっております。  さらに、パート労働者が年収などを調整している状況につきましては、調整しているとする者が二二・六%、これらと関係なく働くと答えた者が二八・一%、調整の必要がないと答えた者が三五・〇%といった結果となっております。
  81. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ありがとうございました。  ほんの一部分を抜粋的に御説明いただいたと思うんですが、少なくとも、非常に数が増えてきているということと、働く者自身の考え方が相当に多様化しているということが指摘できると思いますが、しかし、それに対して社会保障、社会保険の在り方がかなり制度的に、言わば従来の制度を踏襲しているので、それぞればらばらにどういう選択をするか個人に任されているというような結果がその数字で示されているのではないかというふうに私はお聞きしました。  そこで、以上、平成十一年、十二年の決算にかかわる会計検査院の指摘、そしてそれを受けての厚生労働省の取組、そして更に今御説明いただいたごく直近のパート労働者の実態の調査、これらを踏まえて是非大臣に基本的な考え方と当面の取り組むべき考え方についてお尋ねをしたいなというふうに思います。  私自身は、非常にいろいろ問題、克服すべき課題があると思いますけれども、従来の正規職員とパート労働者という二分法のような形での考え方ではなくて、短時間でもきちんと働いていただいた方は正規職員というか、正職員というような考え方、したがって基本的には、働いた労働あるいは労働時間、それに対応していただいた賃金に比例をして保険料もきちんとお支払いいただくという考え方を原則にすべきではないかと私は考えているんですが、その辺の基本的な考え方も含め、あるいは当面何をされようとしているのかという点について大臣のお考えをお聞かせください。
  82. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 前段の保険料の徴収不足でございますとか、こうしたことにつきましては、これはあってはならないことでございますし、また取り過ぎてもいけないことでございますし、そうした問題につきましては、これは細心の注意を払いながらやっていかなければならないというふうに思っております。  それから、パートの問題、いわゆる短時間労働者の問題でございますが、先ほど発表しましたように大体九百五十万人、一千万人近くになっているわけでございますし、今までの働き方とは、かなり多様化をされてきて、そしていわゆる短時間労働者というのが非常に増えてきているという現実を私たちは直視をしなければならないというふうに思っております。  結論から先に申し上げますと、先生も御指摘になりましたように、短時間労働者を正規のやはり労働者として位置付けていくということが大事でございまして、これはこれからの少子化の問題を考えるにいたしましても、あるいはワークシェアリングの問題を考えるにいたしましても最も大事なことだというふうに思っておりますので、この問題は早急にひとつ煮詰めていきたいというふうに思っているところでございまして、現在、審議会におきましてもいろいろと御議論をいただいているところでございます。  いわゆる就業調整問題というのがございまして、通常の就業者の四分の三以内の人は入らなくてもいいとか、あるいはまた、被扶養配偶者の収入が百三十万円という一つの区切りがありまして、そうしたことが一つの災いになっていると申しますか、そういうことによってかなり社会保障の問題が左右をされているといったようなことになっておりますので、こうした問題の区切りの在り方につきましても今議論をしてもらっているところでございまして、より多くの人がやはり社会保障の中にお入りをいただくということは、それだけ支え手を増やすことにもなるわけでございますし、また働いていただいておる皆さん方お一人お一人にとりましてもそれは誠に重要なことでございますので、短時間労働者の皆さん方も短期正社員としての位置付けがなされていく方向性を私たちも目指しながら検討をしていきたいと思っているところでございます。
  83. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 方向性については基本的に同じような考え方をしていただいているかなというふうに思いました。もちろん、クリアすべき課題が幾つかあることはもう私も重々承知していますし、当然そのことともう一つ裏腹というか連動して考えなきゃいけないことは、社会保険の個人単位化の問題とか、どうしても出てくると思います。  そういう意味では、これから医療保険制度改革もあり、二年後の年金保険の制度改正もあり、介護保険については第一ラウンドが終わって第二ラウンドの見直しもありと、こういうことで次々と社会保険、主要な三課題についてのそれなりの改正なり見直しの時期を迎えるわけですから、そういうステップ、ステップで、是非一つは社会保険の基本的には個人単位化への方向と、それから今の雇用形態、労働形態の多様化に対応した社会保険の在り方について少しずつ詰めていく作業に是非着手していただきたいと、こんなふうに思います。  では次に、大きな二番目として年金の問題について取り上げてみたいと思います。  特に年金の問題、大きな制度改正は十六年に予定をされているということで、既に議論が始まりつつあるんですが、今日は、まず話の発端として、平成十一年度の会計検査において特定検査対象として会計検査院の方から概括報告をされております中身、つまり年金資金運用事業にかかわって旧年金福祉事業団がたしか去年の段階で廃止されて、それが運用基金の方に継承されていると、そのことについて会計検査院の方で一定の概括的な報告といいますか、指摘をされておりますので、この点についてまず御説明を求めたいと思います。
  84. 増田峯明

    説明員(増田峯明君) お答え申し上げます。  私どもでは、一昨年の平成十二年に年金福祉事業団が平成十三年四月一日に年金資金運用基金に業務を継承して解散するということになりましたことから、同事業団のこれまでの事業実績等を総括的に調査分析するとともに、新設される基金の事業運営に資するということなどを目的として検査を実施いたしました。  その結果として検査報告に記述いたしました内容でございますが、事業団の施設事業につきましては近年、利用実績が減少し、施設事業から撤退することが決定されているわけですけれども、大規模年金保養基地の譲渡はなかなか進展していないと、それからまた、資金運用事業につきましては平成五年度以降は欠損金が生じておりまして、国庫納付等の所期の事業目的が十分に達成されていないといったような、それぞれの事業状況について記述いたしますとともに、これらの事業には、厚生保険特別会計等から政府出資金、それから政府交付金として多額の年金財源が投入されていること、また、事業団の欠損金も多額に上っていることなどを記述いたしております。  あわせて、これらの事業団の事業実績の低下や多額の欠損金の発生は社会経済情勢の変化等に起因する点があるわけですけれども、公的年金財政が逼迫している現状にかんがみまして、業務を承継する年金資金運用基金においては、より一層適切かつ効率的な事業運営の推進に努めることが肝要である旨、記述したところでございます。  以上でございます。
  85. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 御指摘のとおりで、事業団は解散をした、その事業団が行ってきた事業の大半は運用基金が引き継ぐ。しかし、それがある意味では運用基金のお荷物というかマイナス要因になってはいけないと、おっしゃるとおりだと思います。  そこで、そんな指摘もなされたということを踏まえて厚生労働省に二点ほどお伺いしたいんですが、一つは、まずは施設事業について。これは今も御説明があったように、いわゆるグリーンピアの問題ですね、中心に、原則としてこういう事業からは撤退する、基本的にはグリーンピアは自治体などに譲渡をしていくんだという方向というか方針が出されていたと思います。その方向で進められているというふうに思うんですが、その後の実態、状況、そして今後の見通しについて御説明ください。
  86. 吉武民樹

    政府参考人(吉武民樹君) グリーンピア、大規模年金保養基地でございますが、今お話ございました平成十三年四月の自主運用基金への移行の時点で申し上げますと、平成十二年に年金事業の承継法を国会で御審議をいただきまして、平成二十一年の財政再計算、次々期財政再計算、その前後ぐらいまでに基本的に廃止をしようということでございましたけれども、昨年の十二月の特殊法人改革の中でこのグリーンピアの問題につきまして改めて検討がなされまして、閣議決定におきまして、平成十七年度までに廃止をするということになってございます。特に、最近の経済状況もございまして、運営費につきまして赤字の状態の施設が出ておりますので、運営費について恒常的な赤字状態がある施設については十七年度まで待たずにできるだけ早く事業を停止をしようということでございまして、その方針に沿いまして努力をいたしております。  具体的に申し上げますと、これまで、実は十三基地ございますけれども、そのうちの四基地、一基地は一部でございますけれども、四基地につきましてはグリーンピアの施設事業事業そのものを停止をいたしております。そのうちの高知県の横浪基地の一部につきましては、これは非常に地元の都道府県それから地元の市町村の御尽力もございまして、地元の学校法人、高等学校に売却をいたしまして、高等学校の国際科が新しく増設をされまして、そこで活用されているという状態でございます。あとの三基地につきましては、残念ながら、事業は停止しておりますけれどもまだ売却まで至っておりませんが、これにつきましては更に努力をしてまいりたいというふうに思っています。  それから、事業を停止しておりません基地につきましても、いずれにいたしましても、平成十七年にはグリーンピア事業そのものはもう停止をするという方針でございますので、これは運営では赤字にはなってございませんけれども、そこについて御努力いただきながら、地元の都道府県市町村も入っていただきまして、その後の利用につきましてそれぞれ御検討をいただいているところだと。これはちょっと進捗の度合いが基地によって違いますけれども、その点につきましても、これから引き続き地元とよく御相談をしながら、できますれば先ほどの学校でございますとか、あるいは最近御検討いただいているところでございますと、例えば介護で何か活用ができないかというような話もございますので、可能ならばそういう活用方策も検討しながら、あるいは公的になかなか難しいのであれば民間への譲渡も検討しながら鋭意検討を進めていきたいというふうに考えてございます。
  87. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 いろいろ御努力をいただいているようですからこれ以上事細かにあれこれは申し上げませんけれども、是非、本体の運用基金の業務に余りお荷物になったり、ましてや圧迫するようなことがないように、これは是非、一定の方向を決められているわけですから、十七年ですか、に向けて御努力をいただきたいと思いますが、それにしてもなかなかはかばかしく進んでいないなというふうにお聞きをしました。  さて、じゃ、もう一つの資金運用事業について、その後の状況についてお聞きしたいと思います。  事前にお話を伺ったところでは、十二年度末の時点で時価評価をしますと、累積の利差損が一兆七千億円とあって、それに更になかなかやりくりがうまくいかなくて、当然今日の市場の状況等も反映して、トータル、合計すれば三兆円を超える損失になるということが予想されている。三兆円というと、これはばかにならない額でありまして、このままでいくと年金資金の運用、財政に相当大きな圧迫要因になりかねないと、こんな心配もしているわけであります。  是非、この資金運用事業について、今後どのようにしていくのかも含めて、大臣のお考えを是非お聞かせいただきたいと思います。
  88. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 確かにこの資金運用、特に株式におきます運用というのは非常に厳しい状況になっております。経済状態がこういうことでございますし、株式が全体でこういう状況でございますから、その中でのことでございますので、うまくいかないことは当然といえば当然になってくるわけでございますが、今後どういう形でこの資金を運用をしていった方が一番安定的で、そして国民皆さん方理解をしていただけるような形になるのか、もう一度やはりゼロから考え直してみる必要があるのではないかということで、今月からいよいよもう一度この検討をすることになっておりまして、今後の株式におきます、どれだけ株式にするのか、あるいは株式もうやめるのか、そうしたことも含めて検討をしてもらいたいというふうに思っているところでございます。  トータルで見ますと、現在のところはまだ財政融資資金への預託金というのが非常に大きいわけでございますので、トータルで見ますと二兆七千八百億ぐらいの黒字になっておりますけれども、株式の方で運用している分だけを見ますと大きなマイナスになってきているということでございます。現在、全体としましては二四%ぐらいを、自己運用しております中の二四%ぐらいを株式に回しているわけでございまして、これからどんどんこの自己運用の部分が増えてくるわけでありますから、最終的にはこれが一二%ぐらい株式で運用するというのが現在まで定められている割合でございます。二四%から一二%になるといいましても額は増えるわけでございますから、そうしたことについてこのままでいいかどうか、今後の経済の動向も踏まえながら考えなければいけないというふうに思っているところでございます。  しかし、現在の株式の中でこの年金の資金が果たしている役割というのもかなりあるわけでございますから、軽々にこれはやめたとかやめないとかというようなことを申しますと、それだけでも株式に影響を与えるということもあるわけでございまして、ここは慎重な議論の上で決定をしていただかなければならないというふうに思っておりまして、しかし真剣に議論を始めなきゃならないというので、今月からスタートさせていただきたいと思っております。
  89. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 結局、去年、年金福祉事業団が解散をしたと、それで一区切り付いたかのように思われていますけれども、どっこい中身は継承されたところで引き続き問題は抱えているという状況ですから、それが何かどんどん悪い方向に転がっていくようなことがないように、少なくとも本来の業務を圧迫するようなことのないように、是非そこは注意深く取組を進めていただきたいというふうに要請をしておきたいと思います。  では次に、同じく年金の問題なんですが、最近、国民年金の問題と併せて厚生年金についてもかなり年金離れというか空洞化というか、そんな動きがあるということで、ちょっといわゆる空洞化問題について取り上げてみたいと思います。  まず最初に、国民年金について。これはもう従来から指摘されていることで、皆さんも重々御承知のことでありますが、国民年金の未納あるいは未加入の問題について、最近の数年間についての推移、どんなふうに流れてきているのか。改善されていく方向に来ているのか、より拡大していく方向に来ているのか。そして、それに対してどういう対策を講じておられるのか、厚生労働省の方にお伺いします。
  90. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 未加入者の割合につきましては三年に一度実施しております公的年金加入状況等調査によりまして把握しておりますが、公的年金加入者、対象者全体に対します割合は、平成七年度二・二%、百五十八万人、平成十年度一・四%、九十九万人となっております。また、国民年金の保険料納付状況示します検認率は、平成八年度八二・九%、平成十年度七六・六%、平成十二年度七三%となっております。  このように未加入者は減っておりますが未納者が増えている、検認率が下がっているという背景には、二十歳到達者で自ら資格取得の届出を行わない者に対しまして、近年、年金手帳を送付いたしまして職権適用をするという扱いをしております。特に十年度からは全市町村でこれを実施しておりますが、こうした年金手帳を送付した職権適用者につきましては、制度への関心とか年金に対する意識が薄い者が多いというようなこともあって未納者が増えているのではないかと考えております。  そこで、未納対策といたしましては、平成十四年度から国民年金保険料の収納事務が市町村から国へと移管したことを契機といたしまして、納めやすい環境作りの観点から、全国的には、まず一点目として、保険料の納付窓口を全国の銀行、郵便局、信用金庫、農協などあらゆる金融機関に拡大しております。それから、二点目といたしまして、口座振替を行っていない者全員に対しまして口座振替の利用を勧奨しております。  また、個々の未納者に対しましては、全国的に、一点目といたしまして年六回の催告状送付、二点目といたしまして電話による納付の督励、三点目といたしまして職員あるいは国民年金推進員によります戸別訪問を実施いたしまして、保険料の納付が国民の義務であるという認識を浸透させるために広報の充実、年金教育の推進などとともにこうした保険料収納対策を実施しているというところでございます。
  91. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 今御説明いただいたように、いろいろ収納対策を講じていると、こういうことでございますが、いつの新聞だったか忘れましたけれども、最近、悪質滞納者については強制徴収もあり得るというような新聞記事がありましたよね。これ一体どうするんだろうなというふうに、ちょっとある種驚きと疑問を持ってあの記事を読んでいたんですが、つまり、そうはいったって、実際にやろうと思ったら結構そのための人も要りますし、結構費用も掛かってしまうんだろうと思うんですね。ちょっと今、基本的な未納対策については御説明いただきましたから、新聞でちらっと見たこの記事についてのコメントだけいただければ有り難いと思いますが。
  92. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 国民年金は原則として二十五年以上保険料を納めていただいた方が給付を受けるという制度でございますので、被保険者の方々にはこの制度の趣旨をよく御理解いただいて保険料を納めていただくということが基本だと考えております。  そのため、先ほど御説明しましたように、この四月からですが、全国的に幾つかの未納対策を実施しておりますので、それも、先ほど申し上げましたように、この事務の移管に伴って全国的には始めたというところでございますので、まずその結果を見まして更なる対策が必要かどうかということを検討したいと思っておりますが、その際、対策の一つとしては強制徴収についても検討したいというふうには考えておりますが、現在のところやるというふうに決めているわけではございません。
  93. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 多分、現実問題としてやろうとすると結構いろいろな問題が出てくるのではないかなというふうに私自身は思います。そういう意味では、先ほどおっしゃったような原則的なというかきめ細かなというか、未納対策をきちんとやる。とりわけ、事務の移管がいよいよ始まるわけですから、それで何か国民年金の収納率が下がったというようなことが言われるようなことがないように、是非頑張ってやっていただきたいと思いますが。  ただ、ここはちょっと大臣にお答えいただきたいんですが、結局のところは国民年金に対するやっぱり不信感というか、これからどうなるんだろうかという不安感というか、そういうところが大きな、気分としては大きな要素としてあるのではないかというふうに私は思っています。  そこで、一からのこの年金制度改革中身について今日議論をするつもりはありませんが、どうも私気掛かりになっているのは、平成十六年の、次の改正までに国庫負担二分の一に上げるんだという前回改正時点でのお約束事というか公約のような中身があったのにその議論がなかなか進んできていない、このままうやむやにいくとまた一からの議論を十六年改正のときにやらなきゃいけないのかなというふうにややいら立ちを感じています。十六年までにたしか財源をきちんと確保して手当てをするという中身だったと思いますから、この国庫負担国民年金の国庫負担三分の一から二分の一への引上げをどうするのかそろそろ方向というか結論を出していただかないといけないんじゃないか、こんなことを含めて、国民年金そのものについての国民の皆さんの不信感を払拭していくことについて大臣のお考えをお聞かせください。
  94. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これは、信頼される年金制度をどう作るかということに尽きるんだと思うんですね。今もお話ございましたように、今まで市町村にゆだねておりました徴収を国の方が直接にやるということになって、そしてうまくいかないということになったら目も当てられないわけでありまして、実際のところはうまくいくかなと思って私本当は心配をしているわけでございます。国がお引受けをして更に未納者が増えたといったようなことにならないように、それだけは是非やってほしいということを口を酸っぱく今言っているところでございますが、結局のところはこの年金制度が信頼をされるかどうかということに尽きてくるというふうに思われます。  今、加入をしておみえにならない皆さん方中身を調べましても、ほかの生命保険等にお入りになっている方がかなりおみえになる。そして、経済的な状況を見ましても、必ずしも財政上非常に困ってお入りにならないのではなくて、経済上は安定しているにもかかわらずお入りにならない方もかなりおみえになる。入っておみえになる方と入っておみえにならない方、年金に、その経済的な状況に余り差はないというような状況を見ましたときに、やはりここは年金に対する信頼度だと私も思っております。そのことを高めていくためにはどうしたらいいのかということをもう少し考えなければならないというふうに思っておりまして、そうしたことも含めて、年末のこの幾つかの選択肢をお示しをする中には含めなければならないだろうというふうに思っております。  そして、その中には、今御指摘をいただきました基礎年金の国庫負担三分の一から二分の一への問題は、これは厚生労働省としましても、これ是非実現をしてもらわなければならないというふうに思っております。政府の中にもいろいろと御意見はあるようでございますけれども、我々の立場からいたしますと、これは是非そうしなければならない。  しかし、そうするためにはその財源を明確にしなければならない。その財源につきましても、余りもう遠回しなことを言っているときは過ぎたのではないか。単刀直入にこういう財源でこういうふうにしてほしいということを我々としても言わねばならないときを迎えているのではないか。それが国民皆さん方から受け入れていただくことができるかどうか。来年一年ぐらい掛けまして皆さん方にもそれはお聞きをし、御議論をいただいて結論を出さなければならないだろう。そういう意味からいきますと、今年の年末にこの年金制度の幾つかをお示しをします中にはそのこともはっきりと申し上げなければならないのではないかというふうに私は今思っているところでございます。
  95. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 是非、少なくとも次回年金制度改正の中でぐちゃぐちゃになってしまうようなことがないように、これは前回改正のときの約束事でありますから、それに向けて、大臣おっしゃるとおり、そろそろ明確に、少なくとも政府の中でも議論を起こしていただきたい、その上で大いに議論をし、一定の結論を得るように努力をしたい、こんな姿勢で臨んでいただければと、こんなふうに思います。  さて、今、国民年金の問題について幾つかお尋ねをしてきましたが、次に厚生年金について、実はこの厚生年金についても、国民年金とは違う意味だとは思いますが、新聞などでは厚生年金についても空洞化というような見出しで報道がされ始めています。このことと関連して、平成十二年度会計検査報告で「健康保険及び厚生年金保険の適用事業所の全喪処理について」と題する報告が出されております。会計検査院として処置要求をされているというふうに伺っております。  まず、この中身について会計検査院の方から御説明をいただきたいと思います。
  96. 増田峯明

    説明員(増田峯明君) ただいま御指摘のございました検査報告の内容につきましてお答え申し上げます。  健康保険及び厚生年金保険の適用を受けております事業所が休業するといったような場合には、社会保険事務所等では、事業主に被保険者全員の資格喪失届のほかに全喪届を提出させるといったようなことで、その事業所を適用事業所から除外する処理を行っております。  私どもで、こうした休業を理由として適用事業所から除外する処理がなされた事業所につきまして検査いたしましたところ、適用除外処理後も事業を継続していたり、あるいは短期間で、除外処理後短期間で事業を再開しているといったような事業所が多数見受けられました。こうした事業所につきましては、厚生年金保険等の趣旨からして適用を除外する処理をしたというのは適切ではないと認められましたことから、適用事業所から除外する際の事務処理の適正化を図るために、全喪届の記載内容を明確にすることなどによりまして全喪届を提出した事業所の事業実態が的確に把握できるようにすること、それからまた全喪届に記載されました内容について具体的な調査、確認ができるような、そういう方法を定めるといったようなことを社会保険庁に対して要求したものでございます。
  97. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 言わば、どういう表現をしたらいいのか、ある種、事業主が保険対象逃れをするというような実態。結局、そうすると、そこに働いている職員、労働者は自ら例えば健康保険でいえば国保に入るのか、そして年金でいえば国民年金に入るのかと、こういうことにも迫られてくるということになります。そういう意味では、こういう事例が増えていくというのは大変残念というか、困った問題だというふうに思うわけですが。  さて、そういう会計検査院からの処置要求を受けて厚生労働省・社会保険庁としてはどう対応されようとしているのか、お伺いしたいと思うんですが、あわせて、ちょっと私の認識不足なのかもしれませんけれども、ちょっと調べてみましたら、雇用保険の加入事業所は二百二万、これ平成十二年度末ということで雇用保険の加入事業所数は二百二万、厚生年金の加入事業所数は百六十七万、かなり差がある。もちろん雇用保険の加入条件と厚生年金の加入条件が全く同じではないので、多少数字が違うのはあり得ると思うんですけれども、例えばここ数年間のトレンドを見ても、雇用保険の加入はむしろだんだん増えてきている。年間一万ないし二万程度事業所数は増えてきている。に対して、厚生年金の方は逆に年間一万程度事業所数が減ってきている。  せっかく厚生労働省というふうに一つになったわけですから、これはもうちょっと雇用保険の方と厚生年金の方と、きちんと両方を見据えながら対策を講じていくということも必要なのではないかというふうに、私は率直にこの数字を見て思いました。  その点も含めて、今後、社会保険庁としてどのように対応されていくのか、お伺いします。
  98. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) まず、一点目の全喪に関しましては、今後、各社会保険事務所に対しまして、一点目といたしまして、全喪届を受け付けるに際しての事業の実態の十分な確認を指導したい。それから二番目といたしまして、全喪届の記載内容に関する具体的な調査、確認方法を示す、こういった点につきまして必要な措置を検討していきたいと考えております。  それから、お尋ねの二点目の雇用保険との関係でございますが、委員も御指摘のとおり、次のような適用基準が異なりますために数が変わっているということでございます。  一点目は、まず従業員が五人未満の個人事業所につきましては、雇用保険におきましては農林水産の事業を行うものを除きまして強制適用事業所としておりますが、厚生年金保険におきましては五人未満の個人事業所は強制適用としておりません。  それから二点目といたしまして、従業員五人以上の個人事業所につきまして、雇用保険におきましては業種を問わず強制適用としておりますが、厚生年金保険におきましては、飲食あるいは宿泊等のサービス業を中心といたしまして、こうした事業を行うものを強制適用事業とはしていないということでございます。  このため、いずれにしましても、しかしながら未適用事業所の適用促進は非常に重要でございますので、従来から、労働基準監督署、公共職業安定所、税務署等の御協力を得まして、その窓口にリーフレットを配布、それから法人登記簿の閲覧によりまして未適用事業所を把握していくと。  それから三点目といたしまして、社会保険労務士や職員による未適用事業所に対する巡回指導等に取り組んできておりますが、これに加えまして、今後は、委員御指摘のとおり、社会保険と労働保険との連携ということから、国レベルで雇用保険、労働保険と社会保険との連携を取りまして、適用事業所に関する情報を作りまして、それを各地方の社会保険事務所に提供して、未適用事業所の把握の活用に努めたいというふうに考えております。
  99. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 もうあれこれ申し上げませんが、社会保険庁、何やっているんだということは言われないように、ここはひとつきちっと頑張ってください、そういうふうにお願いをしておきます。  それでは、最後の課題に大急ぎで入りたいと思います。時間がなくなってきましたので、予定どおりの質問ができるかどうか、幾つかはしょってお願いをすることになると思います。  今度は、労働保険、とりわけ雇用保険の財政問題について、そして今後の見通しについてお尋ねをしたいと思います。  既に様々なところで報道され議論されておりますように、雇用保険の財政の方も大変厳しいということで、たしか今月から弾力条項に基づいて〇・二%の保険料の引上げがされる、しかしこれは当座しのぎで、恐らく来年には再度法改正をして保険料を引き上げる必要があるのではないか、それが必至だと、こういう議論であります。  現在の雇用保険状況、そして今後の見通し、そしてどう対応するのかについて、まとめてお伺いしたいと思います。
  100. 戸苅利和

    政府参考人戸苅利和君) 雇用保険の失業等給付の財政でありますけれども、今、先生お話しのように、厳しい雇用失業情勢が長期化しているということで、大幅な赤字が毎年度続いているという状況でございます。そういったことで、毎年度、これまで積立金を取り崩して対応してきたというのが実情でございます。  その結果、積立金の残高につきましては、平成十三年度末で約五千億円、これ補正予算ベースでございますが、ということになっております。このまままいりますと、平成十五年度中には積立金が底をついてしまう、資金不足を生ずるということが避けられない状況になっているということで、大変厳しい状況にございます。  そうした状況を受けまして、雇用保険制度の在り方について、現在、労働政策審議会の雇用保険部会で御検討いただいておるところでありますが、まずできることからやろうということで、今、先生お話しのとおり、この十月一日から弾力条項を発動いたしまして〇・二%の保険料率の引上げを行ったところであります。  ただ、雇用のセーフティーネットであります雇用保険制度が安定的に運営していくという意味ではこれでは十分でないわけでありまして、今申し上げました部会におきまして、引き続き給付と負担両面からの見直しを行っていただいているということでございます。  まず、給付の在り方について、雇用保険、本来失業中の生活の安定と再就職の促進と二点目的になっておりますけれども、両方の目的が適切に果たせるようにという観点から、再就職の促進を始めといたします点も含めて給付の見直しをまず行い、その上で負担面の見直しを図っていこうということで御検討いただいておるということでございます。
  101. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 今後どうするお考えかは一番最後にちょっと大臣からまとめてお答えをいただくとして、時間がありませんので、最後に一問に絞ってお尋ねします。  さて、今お伺いしたように、雇用保険財政が相当にやりくり厳しい、場合によっては再度保険料の引上げもと、こういう状況であります。しかし、改めて、平成十一年、十二年度の決算の中でも、会計検査院の方から何点かにわたって不正受給の指摘が行われています。  さらに、それに加えて、新聞にも出ましたから皆さん御存じだと思いますが、佐世保重工業における生涯能力開発給付金の不正受給問題、あるいは同じく佐世保重工業における中高年労働移動支援特別助成金に関する不正受給問題など、財政が非常に厳しいという状況にある雇用保険の実際の運用の中で様々な問題点が指摘をされてきているわけであります。財政が厳しいだけにそういう問題についてはきっちりと対応を求められるというふうに思いますが、以上申し上げたような点も含めて、今後の雇用保険の問題についてどのように取り組んでいかれるのか。  とりわけ、それとの関連で、雇用保険事業についても従来から幾つかの指摘がされ、もっと重点化すべきではないかとか、もっと簡素合理化すべきではないかと、こういう指摘もございました。この点について、まとめて大臣の方からお答えをいただいて私の質問を終わります。
  102. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 雇用保険につきましては、幾つかの見直しをしなければならない点があろうかというふうに思っておりますが、まず、これからの雇用保険として給付の面で何が必要なのか、今までの給付の体制でいいのかどうか、そのまず給付面をどうするのかということを決めなければならないというふうに思っております。  そういたしますと、その給付を実現をいたしますためにはどれだけの保険料が必要なのかということにもなってくるわけでございますが、給付面においてより効率的な給付というのは何かということを決めていく、そしてこの保険料をどうするかということを決めていくという手順を踏んでいきたいというふうに思っているわけでございます。  過去二十年ぐらいの雇用の動向を見ました場合に、GDPが一%とか一・五%上がるぐらいではなかなかそれは就業者数でありますとか雇用の方に余り影響をしていないわけでありまして、そういうことを考えますと、現状の雇用状況というのは今後もある程度これは継続をする可能性があるということを思わなければならない。そうしましたときに、今までの雇用保険の形だけでいいか、もう少しこの雇用対策というものをどう考えていくかという総論も併せて考えていかなければならないというふうに思っているところでございます。  そうした中で、今御指摘いただきましたような三事業におきましても、このSSKの問題というようなことがもう本当に起こらないように我々としても細心の注意を払っていかなければなりませんし、もっとやはり重点化をしていくということも大事でございますし、効率化を図っていくということも大事でございますので、その点の見直しも併せて行いたいと思っているところでございます。
  103. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 終わります。
  104. 谷博之

    ○谷博之君 民主党・新緑風会の谷博之でございます。  坂口大臣には、今度の内閣改造で続投ということで、大変課題山積の折でありますが、特にここ十年間を振り返ってみまして、厚生大臣、今の厚生労働大臣の在任期間を調べてみますと、一番長かったのが小泉厚生大臣の一年八か月というふうな期間でございましたが、それを坂口大臣は超えまして既に一年十か月、二年三年とこれから更にひとつ厚生労働行政の中心で頑張っていただきたいと、このように期待を申し上げたいと思っております。  そういう中で、早速お伺いしたいのでありますが、先ほど朝日委員からも質問がございましたけれども、年金にしろ、いろいろ社会保障制度の関係で、何といっても膨脹する社会保障経費というのが大変これから深刻な問題になってくる。特にその財源の問題をどうするかということで、先ほどもちょっと大臣お触れになっておられましたが、そういう大変大きな課題がこれからいや応なしに課題として我々の前にのし掛かってくるわけでありますけれども。  そういう中で、新聞報道を見ておりますと、与党の特に厚生族と言われている方々の中には、特に総選挙前まではこの財源問題は一時棚上げにして議論は先送りした方がいいなんというようなことを申し上げているような雰囲気もあるように新聞報道ではされておりますが、しかしそれは私はおかしいと思うんですね。大臣も今朝の新聞で、基礎年金の国庫負担増は消費税引上げでと、こういうふうな発言もされている新聞報道が出ておりました。さらにまた、八月の二十九日の経済財政諮問会議、この中でも大臣は、特に年金を税を中心に考えていきたい、これに対して塩川財務大臣は、全部は税とはいきませんよと、こういう発言もあり、小泉首相が、税とそれから保険との折衷だよという、こういうふうな間に入るようなそういう発言もあったというふうに新聞報道もされております。  そういうことをいろいろ考えまして、今後のこういった年金とか医療とかそういう財源の確保の問題、これについて大臣は具体的に今後どのような考え方を持って、先ほどもちらっと将来、案を出すというふうな話もしておりましたけれども、基本的に考えて取り組んでいかれようとしているのか、その財源確保の問題についてお伺いをいたしたいと思っています。
  105. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 社会保障の財源につきましては、これから諸先生方とこれは御相談をいろいろさせていただいて、そして決定をしていかなければならない問題でございますから、私がここはこれだけと言うわけにはなかなかまいりません。ただ、税と保険料と自己負担のこの三つをどう組み合わせていくかということだけは間違いがないわけでございまして、この組合せをどうしていくかということに尽きるわけでございます。  その中で、全体としてそれをどのぐらいな割合に持っていくかということの議論がまず先にあるべきなんだろうというふうに思います。医療をどうするか、年金をどうするか、何をどうするかということの前に、全体として、トータルとしてそれを、税をどれぐらいに、あるいは保険料をどれぐらいに、そして自己負担はどれぐらいにといったようなことをまず大枠で決めていくということが大事ではないかというふうに思っておるわけでありまして、そうした中で今度は年金につきましては、その中で年金は、当然のことながら、これは塩川大臣がおっしゃるように税も保険料も自己負担もそれはあるんですが、その中でどこにウエートを置くかということの問題だろうというふうに思いますから、どこにウエートを置いていくのかということをこれは明らかにしなければならないのであろうというふうに思っております。  そこをこれから議論をさせていただくわけでございますが、昨日記者会見がございましたときには、私はその中で、年金はどちらかといえば少し税にアクセントを置くと申しますか、税にアクセントを置いた形に年金はせざるを得ないのではないかということを申し上げたわけであります。  税との関係におきましても、先ほど申しましたように、それは幾つかの選択肢を示して、税をこういうふうにする代わりに保険料をこういうふうにします、年金の額をこういうふうにしますという、あるいは、税を抜きにしたらこうなりますが、これを選ぶ方がいいかといった、そういう選択肢を幾つかお示しを申し上げるときに来ているのではないかといったことも実は言ったわけでございまして、新聞の取り方にもそれぞれ若干の違いはあるようでございますが、現実にはそういうことを申し上げたわけでございます。
  106. 谷博之

    ○谷博之君 この議論はこれからの秋の臨時国会等の中でも議論がされていくと思いますし、大臣言葉の端々の中に大臣の考え方もよく酌み取ることができます。そういう点で、我々も一緒にこの財源問題についてはこれからも一生懸命勉強していきたいというふうに思っております。  具体的な次に質問に入ってまいりますが、特に、医療施設の外の医療的ケアの在り方についてということで何点かお伺いしたいと思っておりますが。  まず、例えば養護学校などの現場で現在行われている医療的ケアという言葉があります。これは、たんの吸引とかあるいは酸素吸入とか、そういういろんな行為を手助けをするというか、そういうことを医療的ケアというふうに呼んでおりますが、これは特に法律用語ではないというふうに聞いております。この言葉の定義と、それから、医師法の第十七条に「医師でなければ、医業をなしてはならない。」という条文がありますけれども、この医業とはどういう関係があるか、お伺いしたいと思います。
  107. 篠崎英夫

    政府参考人(篠崎英夫君) ただいま先生お話をされましたように、医療的ケアというのは定義はあるわけではございませんが、いわゆる医療的ケアということでございますが、私どもが今いろいろ話題になって承知をしておりますのは、例えばたんの吸引ですとか経管栄養ですとか導尿など、患者さんの健康維持に不可欠で、かつ日常的に必要とされるような行為を指すというふうに理解をいたしております。  医師法第十七条との関係でございますが、十七条で医師でなければ医業をしてはならないというふうに規定をいたしておりまして、医師の医学的判断及び技術をもってするものでなければ、人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある医行為を業として行うことは医師又は看護師あるいは救急救命士等にしか認められていないという行為でございます。  いわゆる今申し上げました医療的ケアの例として挙げたものにつきましては、基本的には医行為に該当するものでございまして、医師又は看護師等が行うべきものと、そのように考えております。
  108. 谷博之

    ○谷博之君 そうしますと、ちょっと確認をさせていただきたいんですけれども医療的ケアがすべて医療行為ではないということでしょうか。
  109. 篠崎英夫

    政府参考人(篠崎英夫君) それぞれの行為に、またその具体的な場面におきましてそれぞれ幅がございますので、すべてのものというわけではないと思いますけれども、例えば今申し上げましたようなことにつきましては、今の私どもの考え方では医行為というふうに考えておるわけでございます。
  110. 谷博之

    ○谷博之君 現在、例えば家庭にあって、たんの吸引とかそういうものは、後ほどもちょっと取り上げますけれども、家族の方が具体的にそういうことを行っております。今後、こういうふうな患者の方の数が増えてくる。施設の中とか在宅でもそうですが、どうしてもそれを、どなたかが医療的ケアをしなきゃいけない。現在は家族の方がしている。その家族の方がしていることが認められている理由というのは、恐らく、何かあったときにも利害関係として訴える相手がいない、つまり患者本人の責任というふうな形で家族も見られているということに我々は解釈をしておりますが、しかし、いろんな医療技術の進歩によって、こういうふうな言うならば医療的ケアをする方々が随分私は範囲が広がってくるような気もするんですが、こういう意味で、いわゆる医療的ケアに含まれる行為は今後どんどん拡大されていくというふうに解釈をしていいんでしょうか。重ねてお伺いします。
  111. 篠崎英夫

    政府参考人(篠崎英夫君) 御指摘のとおりと思っております。医行為のその範囲というのは、医学の進歩あるいは医療技術の向上といった、そういう医療を取り巻く環境の変化を受けて変わり得るものというふうに考えております。  なお、その際におきましても、患者の生命、身体に重大な影響を及ぼすことがないかどうか、そういうところは慎重な見極めが必要なのではないかというふうに思っております。
  112. 谷博之

    ○谷博之君 それでは、そういう前段の話を踏まえまして、具体的に文科省の方にもお伺いしたいと思っておりますが、平成十年度から今年度まで、全国の十地域を指定しまして文科省が行ってきた特殊教育における福祉・医療との連携に関する実践研究事業、こういうふうな事業が行われてきております。今年度で一応終了するわけです。最終報告は恐らく来年度になると思いますけれども。  こういう中で、特にこの十三年、十四年度の実践研究において、先生方が実際に三つの日常的、応急的手当てを安全に実行できる、そういうふうな事業に取り組んでいます。咽頭より手前の吸引とか、自己導尿の補助等々、この三つがその研究の一つの課題になっておりますし、そしてまた看護師を配置した場合とか、教師が実施した場合の教育的効果などについてもこの研究事業のテーマとして取り組まれてきております。  具体的に、こういうふうな研究事業は、現時点で文科省なり厚労省はどのような成果が上がってきているというふうに考えているか、そして現時点での内容をそれぞれ示していただきたいと思っております。
  113. 金森越哉

    政府参考人(金森越哉君) お答え申し上げます。  平成十年度から開始をいたしました特殊教育における福祉・医療との連携に関する実践研究におきましては、委嘱をいたしました十の県で県内の医療、福祉部局や医師会、看護協会等の関係団体と連携を図りながら医療的ケアに必要な体制や手続等についての検討を行ってきたところでございます。  その成果についてでございますが、これまでの調査研究を通じまして医療的ケアの必要性に対する関係者の理解が得られ、教育、福祉、医療の連携体制が構築されたところでございます。また、医療的ケアが必要な重度・重複障害児に食事、排せつ、呼吸などの生活リズムや生活習慣が形成されるなど、教員が看護師との連携協力の下、日常的、応急的手当てを行うことによる教育的効果が認められましたほか、教員や看護師がいますことによりまして保護者が安心して日常生活を送れるようになったり、子供に対してもゆとりを持って接することができるようになったといった効果も認められたところでございます。
  114. 篠崎英夫

    政府参考人(篠崎英夫君) ただいまの研究の中身については文部省の方から御説明がありましたので、私どもの方はそれを受けまして、教育関係者と看護師などが連携を図って障害のある児童生徒に対して医療的ケアが受けられる体制、そういうものを整備することは、障害のある児童生徒の就学を支援し、また保護者などの負担を軽減する上で極めて重要である、そういうように認識をいたしております。  私ども厚生労働省といたしましては、文部科学省によるこういう共同調査の研究成果を踏まえまして、看護師による医療的ケアの実施を促進するための方策、また看護師と教員との適切な連携の在り方などについて引き続き検討を進めていきたいと考えております。
  115. 谷博之

    ○谷博之君 五年間のこの研究事業が実は来年度、平成十五年度から新しい事業に変わってくるというふうに言われておりまして、これは「今後の養護学校における医療的ケアの実施体制整備について」ということで、平成十四年八月に文科省と厚生労働省の両省で全国の都道府県にこういう通知が流れております。これは、従来の五年間の研究事業を若干形を変えていく、つまり、医療外施設の、そういう医学的介護、ケアを必要としている人たちを、いわゆる委託先から派遣をしてもらうという、こういうシステムに看護師とか医師とかそういう方々を派遣してもらうという、そういうシステムになってくるということであるわけでありますけれども。  その中で、私は、今度、十五年度から実施されるこの事業で、さっき申し上げましたように、三つの行為、先生方が行ってきたその三つの行為が今後どのようにこれが取り扱われていくのか、その中身を重ねてちょっとお伺いしたいと思っております。  それから、もう一点は、私の手元に平成十三年の五月一日現在で、全国肢体不自由養護学校長会が調べた数字がございまして、日常生活における医学的ケアが必要な在学者数、これ養護学校に通っている子供たちのその数、全国で一万五千二百六人のうち二千二百四十六人、一四・七%が医学的、医療、そのケアが必要だというふうにここに一覧表が出ておりまして、そのほかにも、例えば知的障害とか病弱児などを合わせると約三千人、この人たちがそういう医療的ケアが必要であるというふうにこの校長会では指摘をしております。これは厚労省の資料ではない、あるいは文科省の資料ではないんですが。  したがって、そういうこれから増えてくる、しかも、ノーマライゼーションの流れの中で普通学校にもこういう医療的ケアが必要な通学者が増えてくるというふうに思っておりますけれども、その場合に、先ほど申し上げたような新しい研究事業の中で現場の先生方がこういう医療的ケアがもしできなくなってしまうということになると、これは非常にここのところは先生方の中にも議論のあるところでありますし、もし何か事故があったときにどこが責任を持つかという、そういう話まで発展するわけですけれども。  ただ、基本的には、十分な訓練といいますか研修を受けて、最低の医療的ケアはやっぱりその現場の先生方がやるというのも私はもうあり得るべき当然の姿じゃないかなという気もしているんですが、そういう点も含めて、今後の新しい事業の中におけるそういう医療的ケア、先生方がどこまで具体的にやることができるようになるのか、この点について御答弁をいただきたいと思っています。
  116. 金森越哉

    政府参考人(金森越哉君) 御指摘のように、近年、日常的に医療的ケアを必要とする児童生徒への対応が課題となっておりまして、医療・福祉関係機関と密接に連携した適切な対応が求められているところでございます。  そのため文部科学省といたしましては、これまでの実践研究も踏まえまして、厚生労働省と連携を図りながら、医療的ケアの適切な実施のための組織体制の整備や看護師の配置、教員の研修など、養護学校における適切な体制整備を図ることといたしまして、平成十五年度、来年度概算要求に必要な経費を盛り込むなど、所要施策の取組を進めることとしているところでございます。  養護学校における医療的ケアを適切に実施する上では、教員と看護師の適切な連携が重要でございますが、その中で、教員が行う医療的ケアの内容や条件等につきましては厚生労働省と検討を進めているところでございまして、できる限り早く結論が得られるよう努力してまいりたいと考えております。
  117. 谷博之

    ○谷博之君 時間があれば更にお伺いしたいことがあるんですけれども、ちょっとほかの質問もありますので先に行かせていただきますが。  いずれにしましても、先ほど申し上げましたように、「今後の養護学校における医療的ケアの実施体制整備について」という、平成十五年度からのそういう事業の中で、私は一つ厚生労働省が概算要求もしておりますけれども、訪問看護サービス特別事業、これは正に、従来の在宅のそういう障害を持つ医療的ケアの必要な子供たちとは別に、少なくともこうした医療外施設の訪問看護サービスの特別事業を行うということで、従来、先ほど申し上げましたように在宅のみにしか認められてこなかったこの訪問事業を、例えば養護学校など通学、通所先において行えるようにするという、そういう取組になってきたわけですから、それはそれなりに一定程度評価したいというふうに考えておりますが。  問題は、こうした事業がすべて予算補助事業の形で行われているということで、例えばこうした事業が一定程度の期間で終わってしまうとか、あるいはその規模が縮小されるんではないかとかという、非常に関係者の親御さんたちも大変心配をしている向きもあるやに聞いておりまして、そういう点ではこれを医療保険の対象にしていくということも私は非常に大きな課題だというふうに思っておりますが、この点についての保険局長の御見解をいただきたいと思います。
  118. 真野章

    政府参考人真野章君) 訪問看護制度につきましては、在宅療養の推進を図るという観点から、疾病又は負傷により居宅において継続して療養を受ける状態にある者であって、主治医が訪問看護の必要性を認めた者を対象といたしておりまして、こういう養護学校における医療的ケアは対象にならないというふうに考えております。  現在、先生御指摘のように、そういうような状況の、しかもなおかつやっぱり養護学校における児童生徒への医療ケアをどうやって確保するかということから、文部科学省との協議を重ねた結果、先生今御紹介をいただきました訪問看護特別事業平成十五年度概算要求に盛り込むと、そういう言わば、なかなか公的医療保険制度では対応が難しいので、言わば特別な事業を組んでこれに必要な対応をしようとしているわけでございまして、なかなか医療保険制度においてこれを対象とするということは非常に難しいんではないかというふうに考えております。
  119. 谷博之

    ○谷博之君 ちょっとつれない御答弁ですが、いずれにしましても、検討課題として是非ひとつ御検討いただきたいと思っています。  この問題の最後ですけれども、ALSという筋萎縮性側索硬化症、これは難病患者の、もう難病中の難病と言われておりますけれども、この患者さんの御家族の方が、人工呼吸器を設置している患者さんに対する介護を、吸引等を家族の方がやっておられます。これを、家族の方が非常に介護に負担が重いということで、できれば介護するヘルパーの方々にもこういうふうな吸引行為を認めてほしいというふうなことが要望として出ているわけでありますけれども、現在の医師法上の医行為、こういうことが抵触するということも聞いておりますけれども、この部分から外して、こうした行為を一定程度の研修を前提にして広く一般にその行為を行うことを認めさせることができないかどうか。  過去の国会政府答弁書にもこれはできないというふうにもうつれなく書いてありますけれども、この辺のことについて再度検討していただけないかどうか、御答弁いただきたいと思います。
  120. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 吸引の問題は、これ何度か委員会でも御指摘を受けているところでございますし、現場におきましてもいろいろ御要望の多いところでございます。  それで、今までのいわゆる割り切り方からいいますならば、この吸引というのはこれは医療行為の範疇に入るといったことで、これはほかの業種の皆さん方におやりいただくことは難しいと、こういう割り切り方になっているわけでございますが、どこまでが医療行為に入るかといったようなことにつきましては、これは時代とともに若干やはり今までからも変化をしてまいりました。例えば血圧計なら、血圧を測るというのは医療行為でほかの人はしてはいけないと、こういうふうに言っていた時代もあったわけでございますが、最近ではもう家庭でどこでも血圧計は存在するという時代になってまいりました。  そうしたことを考えますと、この口腔内におきます吸引の問題等につきましても、今までどおりそうしたことでいかなければならないのか、それとも関係者の皆さん方お話合いの中で、それは一方そこは変化をさせることができ得るのか、やはり検討をする時期に来ていると私個人は思っております。したがいまして、関係者の間でよく議論をさせていただきたいと存じます。
  121. 谷博之

    ○谷博之君 大臣、どうもありがとうございました。是非検討をお願いしたいと思います。  時間がございません。最後に一問だけ、簡単に御答弁をそれぞれいただきたいと思います。  今年の七月の厚生労働委員会でも朝日委員も取り上げた質問、そして他の委員会でも質問をされました。五月二十四日に簡易保険における遺伝性疾患の子供たち一律加入拒否問題、これに対する我が党民主党からも申入れを厚労省及び総務省に行いました。  そして、その委員会の時点での御答弁もありましたが、その後の厚生労働省及び総務省の検討の状況。そしてさらに、金融庁にお伺いしますが、こうしたことを受けて金融庁は生命保険業界にどのような助言を行ってきたのか。そして、これらの問題は限りなく個人情報、プライバシーの問題という観点からも、一省庁との問題ではなく政府を挙げて取り組むべき問題である、つまり個人情報管理を、保護を所管する内閣官房がリーダーシップを取って早期に関係省庁との横断的な検討を開始すべきだと考えておりますけれども、これらについて一言ずつ皆様方に御答弁をいただきたいと思います。
  122. 中原爽

    委員長中原爽君) どなたでしょうか。──郵政事業庁松井長官。
  123. 松井浩

    政府参考人(松井浩君) 順番はまだ二番目だと思いましたので、失礼しました。  先生御指摘のように、五月の二十日に厚生労働省の方からお話ございまして、具体的にいろいろその協力をいただくということでございまして、いろんな生命保険の経営上の必要な数字のデータが必要になりますので、死亡者数だとかあるいは罹患者数だとか、いろんな各種の統計データを入手させていただいておるところでございます。また、医療の専門家の、特にこういった分野について御提言なりあるいは詳しい専門家の方々から治療の効果等に関する御意見を伺ったりしております。そういった形で情報収集を続けておりまして、今、簡易保険への加入の可否について鋭意検討しているところでございます。  今後、今までのお話の中で、適切な治療を継続すれば症状の発現を抑えることができる可能性が高いというふうにもされております。こういうことも承っておりますが、これが私ども保険上の一定の健康状態にあることということに合致するのかどうか。具体的に言いますと、現にその傷病を有していないことだとか、あるいは既往症がある場合には、過去一定期間の中での既往症がある場合に再発の可能性がないのか、あるいは他の疾病を続発する可能性がないのかとか、こういったことと同一視し得るかどうか。  いずれにしろ、幅広く情報を収集して、これから真剣に検討していきたいというふうに考えているところでございます。
  124. 五味廣文

    政府参考人(五味廣文君) お話の先天性疾患の子供の件でございますと、生命保険会社ではいわゆる子供保険と総称されます商品で扱われておりますが、これを扱っておりますのは現在二十七社ございまして、うち十九社は先天性疾患の子供であっても引受けを行う、また四社につきましては危険選択、ケース・バイ・ケースでこれを引き受けるという、こういった扱いになっております。  もとより、民間各社の保険引受けに当たりましては、今申し上げました危険選択、すなわち契約者間の公平性を確保するという視点から、医学的な選択基準に基づいて被保険者の健康状態あるいは病歴、こういったようなものを調査をした上で引受けを選択するということになっておりまして、これは生命保険会社におけるリスク管理あるいは経営の基本でございますから、この点の具体的な判断については基本的には各会社の経営判断であるというふうに考えております。  ただ、私どもといたしましても、リスク管理といいますのは生命保険会社経営の根幹でございますので、こうしたいわゆる危険選択というのもリスク管理の重要な一要素でありますから、これが合理性を持って行われているかどうかということについては大いに関心を有しておりまして、今後とも注視してまいりたいと思っております。
  125. 藤井昭夫

    政府参考人藤井昭夫君) 個人情報保護の観点からお答えいたします。  私ども内閣官房は、現在国会にIT化社会の観点からの個人情報保護という法律を御提案申し上げているところでございます。なお、継続審査になっているところでございます。  しかしながら、これはあくまであらゆる業界、業種を通じた包括法、言わば一般法という性格のものでございまして、一般法の基準には合致しないような特定の個人情報の内容あるいは利用目的、それから利用の仕方、そういった場合、これは非常に深刻なプライバシーを始めとした権利利益侵害を生ずるおそれがある分野もあるということは認識してございまして、こういった分野については、この現在御提案申し上げている個人情報保護法案では別途個別法を含む必要な措置を講ずるということを政府に義務付けることとしているところでございます。こういった分野については、それぞれ個人情報を利用する有用性と、あと逆にそれを利用されることによる個人の権利利益の深刻な影響、そういったものを緻密に調整した上、精緻な制度が作られるべきだろうと考えているところでございます。  このように、今の法案の考え方は、言わば総合的な一般法、それと各個別分野ごとの緻密な法制度、そういったものを構築して総合的にやっぱり取り組んでいくべきだというふうに考えているという次第でございます。
  126. 谷博之

    ○谷博之君 時間が参りましたので、以上で終わります。  ありがとうございました。
  127. 山本保

    ○山本保君 公明党の山本保です。  まず、大臣にお聞きいたします。  今般、日朝の首脳会談におきまして、今の二十一世紀、国際協力、新しい段階を開くような歴史的な国交正常化交渉が前向きに向かっている。しかしながら、その反面、北朝鮮側の情報によりますと、六人の方が、失礼しました、六人の方以外ですか、たくさん、もっと多いですね、たくさんの方が亡くなられたというそういう状況も報道されております。こういう国際協力、また平和を推進するということ、また生命尊重という、この両面が我が党の党是でもありますけれども、我が党の代表として内閣に入っておられる坂口厚生労働大臣、大変難しい問題だと思いますが、このことに関して何か所見がございましたらお聞きしたいと思うんでございますが、時間がありませんので、もう一つ一緒にお聞きします。  もしここで交渉が進みますと、今後の問題でございますけれども、この拉致の被害者、また家族等についての言わば厚生労働省としての支援というものがこれから課題になってくるのではないかと思います。これについてどういう役割、どんな決意でおられるのかについても併せてお聞きしたいと思います。
  128. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 小泉首相とそして北朝鮮の金正日首相との間の会談によりまして、歴史の歯車が大きく回ったというふうに思っております。  その中で、この拉致問題が明らかになりまして、正式に拉致であるということを北朝鮮が認めましたことは、これは遅きに失した感はございますけれども、問題を一歩前に進めることになったというふうに思っております。  我々として一番考えなければなりませんのは、生存しておみえになる皆さん方が帰国をされましたときに、一体どのようにおこたえをするかということだろうというふうに思っております。最大限の温かい御支援を申し上げなければならないというふうに思っておりますが、一つは、長い間北朝鮮という異なった国の中で生活をされているわけでございますから、精神的なケアといったものも大事でございましょうし、そして日本で永住をされるということになりましたならば、雇用の問題をどうするかといったことが大きな問題になるというふうに思っております。そうした問題につきましては、最大限我々は努力をしておこたえをしなければならないというふうに思っているところでございます。  また、お亡くなりになりました、八名現在判明をいたしておりますが、皆さん方に対しましては心から哀悼の意を表したいと存じます。  今後また、残されました御家族の皆さん方に対してどのように私たちが手を差し伸べていくのかといったことにつきましても考えていかなければならないと思っております。
  129. 山本保

    ○山本保君 どうぞよろしくお願いしたいと思います。  それでは、厚生労働行政各問題につきまして、具体的にお聞きしたいと思います。  最初に、少子化対策についてでございます。  大臣、先ごろ、小泉首相に新少子化対策についてお話を出されたと聞いております。これにつきまして、どういうような内容なのか、また大臣のこれについての所感をお聞きしたいと思います。
  130. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 今まで、少子化の原因が晩婚化ということが言われておりましたが、最近の統計を見ますと、晩婚化だけではなくて、結婚をされました皆さん方の間でのお子さんの数というものも減少をしてきております。いわゆる夫婦の出生率の低下という問題が新しい問題として起こってまいりました。  そうしたことを考えますと、今までの少子化対策だけではやはり対応し切れないということになりまして、小泉総理のところに少子化対策として私たちの考え方をまとめて出したところでございます。  四つの柱になっておりますが、一つは、男性を含めました働き方の見直しであります。もう一つは、地域における子育ての支援、そして三番目といたしましては、社会保障における次世代の支援で何ができるかということでございます。四番目には、子供の社会性の向上や自立の促進ということでございまして、こうした考え方の中で総合的に子育てを社会全体でどう支援をしていくかといったことを考えなければならないというふうに思っております。  中でも、この中で男性を含めた働き方の見直しということが一番大事でございますし、これがまた一番難しい課題であるというふうにも思っておりますので、ここにどう知恵を絞っていくかということを更にこれから詰めていきたいと思っております。
  131. 山本保

    ○山本保君 今お話がありましたように、男性を含めた働き方のスタイルといいますか、それを変えていこうということ、また、私は、それに加えて、今まで保育園、保育所というものの形が、使い方というのが割と固定的にされていたのをもっといろんな形に開いていこうということもあったかと思いますが、局長にお聞きしたいんです。  ちょっと意地悪な質問かもしれないんですけれども、私はこのこと、大変こういう目標、男性のたしか一〇%ですか、また働いている女性についても八割が育児休業を取るようなという具体的な数値目標が出されたということに大変私は評価するんでございますけれども、ちょっと気になるところがあるんですね。  例えば女性の八〇%、働いている女性の八〇%といいますと、計算をしますと、あと二〇%の方がそのまま仕事をされますとすると、その数、大体四万人ぐらいじゃないかと思うんですよ。ところが、現実に今、厚生労働省が進めておりますゼロ歳児保育というキャパシティーはもう既に七万人を超えております。  数字は、ゼロ歳児保育の形が変わってくるということを考えればいいのかもしれませんが、私が申し上げたいのは、第一に、つまりこれまで進めてきた厚生労働省の保育園、保育所中心の子育て支援という体制をもっと、例えばベビーシッターでありますとか、ファミリー・サポート・センターも当然ですが、それから民間の形でありますとか幼稚園との連携とか、こういう総合的なシステムを作らないと、今回の数値だけ見ましても、ちょっと矛盾しているんじゃないかということを前から申し上げているわけですが、具体的にまず第一点。  ついでにもう一つお聞きしますが、もう一つ、これは冗談のような話かもしれませんが、例えばそれだけ男性が休むようになりますと、当然ワークシェアリングということになってくるのかなと思うんです。私、自分の出身とか又は局長のところを考えましても、例えば中央官庁などでやっている仕事がワークシェアリングが本当にできるのだろうか。もし、こういうことを出された以上、厚生労働省、特に雇用均等・児童家庭局で、例えばどのような具体的な形で男性の一〇%が休むようにできるのか、女性の八割が休むようにできるのかということを具体的にこれから出されていくということが、民間企業に対しても大変なそれを応援する形になるんではないかなというふうなことも思うわけですが、この二点についてどうお考えでしょうか。
  132. 岩田喜美枝

    政府参考人岩田喜美枝君) 大変難しい御質問をいただいたわけですが、まず最初の数値目標と保育所のサービスの在り方あるいは保育所以外の様々な子育て支援の在り方についてでございますが、この数値目標は便宜上まず公務員、国家公務員、地方公務員は除き、そして雇用労働者以外で働いておられる方、自営業ですとか家族従業員で働いておられる方はちょっと数値の枠の外に置いて、民間の雇用労働者に限って策定させていただいた目標でございますので、若干そういう意味先生数字が合わないというふうにおっしゃったのかなというふうに思いますが、いずれにしましても、どういうふうに働くかということと保育サービスの在り方は裏腹の関係にございますので、その辺りを総合的に見ないといけないというふうに思いますし、保育所一本の政策ではなくて、様々な保育需要がありますので、幼稚園の預かり保育ですとか、先生おっしゃったベビーシッターなどの在宅保育ですとか、様々な施策をつなぎ合わせてニーズにこたえることだというふうに思っております。  また、もう一つの働き方改革はワークシェアリングではないか、厚生労働省、見本を示せという趣旨のお話だったかというふうに思いますが、確かに私どもはこういうことを世の中に提言を申し上げているわけですから、やっぱり自ら率先して男性を中心になるべく残業を縮減する、あるいはお子さんが生まれたときに男性は少なくともまず五日間の配偶者の出産休暇を取ろうということをこのレポートでも言っておりますので、そういうことを実施する、そして育児休業も男女できるだけ請求していこうということはそのとおりだというふうに思いますので、官房の方とも御相談しながら厚生労働省の職場改革に取り組まないといけないというふうには思っております。  なかなかワークシェアリングは、技術的にどういう職務であれば可能なのか、どういう産業であれば可能なのか、これからいろんな議論があろうかというふうにも思いますけれども、例えばオランダの外務省の局長さんは、女性の局長さんですが、二人でジョブシェアをして、課長からずっと二人でペアで昇進なさって局長まで務めておられるという話も新聞で読んだりいたしましたので、いろんな工夫をすることによってジョブシェア、ワークシェアというのは促進していける余地というのは概念上あるのではないかというふうに思っております。
  133. 山本保

    ○山本保君 具体的なお答えをいただきましてありがとうございます。  厚生労働省と言いましたのは一つの例えでございまして、正に中央官庁など、どんどん人員削減しながら、一人一人が、係長さん、また平の職員にしてもみんな一人ずつ責任を持った仕事をやっている、こういうときにワークシェアというような形が一体できるのだろうか。これが正に日本の企業での今のワークシェアの一つの課題だという気がするものですから、是非役所がまず先頭を切っていただきたいと申し上げました。  次に、若年者の雇用対策についてお聞きしたいんでございます。  ちょっと時間がありませんので、局長、最初に私の方でちょっと、最近、特に若年者、特に高卒などが九月時点では雇用、求職企業が〇・五であるとか、大変その辺はよく出されます。しかし、実際調べてみますと、お聞きしたり、また私も自分が担当したことを思いますと、就職は大体できるんでございますね、三月、そしてその以後についても。ただ、私が非常に問題視したいのは、実は就職をしても一年間、二年間、三年間で大変離職率が高いということでございます。ここのところをもっと対応をきちんとすべきではないかということを御提言したいので、職業安定局長の少しお話を伺いたいと思っているわけです。  私、実は役所におりますときに、特に家庭に不安定な子供さんとか非行問題の子供さんの自立ということを担当しましたときに驚きましたのは、言わば学校を卒業してからほとんどその後のケアというのをやっていない。実際は中学を卒業して就職などといいますと、大体夏休みを越えれば、これを無事に過ごせば大体安定するんだけれども、その間半年間で相当辞めていくということを知りまして、そしてこの辺について、目標を一年後なら一年後にきちんと仕事に就いているかどうかということを仕事の分担の中に入れさせていただいたことを覚えておるんです。で、それが効果があったんじゃないかと思っているわけなんですけれども。  こういうところが今まで割と、就職率が大変、求職数が少ないとか、また就職率が少ないというようなことのデータだけが何か独り歩きしているんではないか。もう少しこの若年者の雇用に対しては就職後の、また、ということは、就職後のケアということは、実は就職前のマッチングをもっとしっかりするべきだということだと思うんですよ。  それで、局長、もう一つだけついでに申し上げますのは、これ前にもちょっと申し上げたんですが、例えば文部科学省と一緒になりまして、労働関係で、九月何日までは中学・高校卒業者については求職活動を禁止するというか、そういうことをずっと昔からやっておりますね。ところが、あの施策は言うならば、次々と人がどんどん求めてきて青田買いなんて言われるときにああいうことは有効かもしれませんけれども、今、実際には、企業はそんな九月の時点で次の年の就職が分かるなんてものじゃないんじゃないか、だからこそゆっくりゆっくり出てくるわけです。  ですから、今やらなくちゃいけないのは、そんな日を決めてこれから解禁だなんという施策ではなくて、一人一人の子供、子供さんというか、その若い方の能力をいかに伸ばして、そして企業とマッチングを進めるかという施策ではないかと思うわけですけれども、いろいろ申し上げましたが、局長、いかがでございましょう。
  134. 戸苅利和

    政府参考人戸苅利和君) 山本先生おっしゃるように、学校を卒業して就職をして、その後一年ないし三年で辞めてしまうという若者が非常に多い状況にあります。それが確かに失業率、若い人の失業率が高い原因でもありますし、それから本人自身の将来の職業生活を考えても、やはりヨーロッパの例を見ても、若いころに失業癖が付いてしまった人は中年になってもなかなか失業率の高い人が多いと、こういう実情もあります。  そういうことで、我々今までやっておりますのは、文部科学省と連携を取りまして、就職する前にきちんとした職業意識を持ってもらう、それから職業の実態あるいは産業の実態、そういったものを就職前にきちんと把握してもらおうというふうな対策を一生懸命取ってきたというのが実情だろうというふうに思います。  おっしゃるとおり、就職して、その後簡単に離職してしまうではないかという対策としては、今申し上げたように、しっかりした意識を持って就職するということが重要だろうということでやっておるわけですが、あわせて、就職した後のフォローというか、そういったものも大変重要だろう、それはおっしゃるとおりだろうと思います。確かに我々も、昔、中卒の就職者が多かったときは、中学校を卒業して、地元を離れ、親元を離れて就職した人たちの定着のための指導というのをかなりきめ細かくやっておったわけでありますが、今なかなかそこまで十分手が回っていないということはおっしゃるとおりかなというふうに思います。文部科学省とも相談して、その辺りの対応というのも検討をしてみたいというふうに考えております。  それから、今お話しの解禁日の件でありますが、これはなかなか、学校教育いかにあるべしと、こういう議論が一方にございまして、余り早く就職活動に頭がいってしまうと高校教育なりが十分全うできないんじゃないかという文部科学省側の懸念ということもございます。  ただ、先生おっしゃるとおり、来年三月卒予定の高卒の求人というのは前年に比べますと四分の一ぐらい減っているという状況でございます。そういった中で、来年高校を卒業しようとする人たちの就職に対する不安というか、こういったものを持ちながら勉強させるというのも、これもなかなか酷な話であるのは確かでございまして、学校教育と就職問題とのバランス、接点をどう取るかというのは非常に難しい問題でありますが、その辺りも文部科学省とも相談して、可能なことから取り組んでいくということで対応していきたいというふうに思います。
  135. 山本保

    ○山本保君 今日は文部科学省はちょっと呼びませんでしたけれども、是非、局長、そういう形で学校側の方と、特にハローワークの専門家の方との連携というものを進めていただきたいということをお願いしておきます。  次に、介護保険について一、二お聞きします。  最初にお聞きしようと思っておりましたケアマネジャーにつきましては、午前中、藤井委員から詳しい御質問もありました。私もちょっと思い出しまして、平成九年でしたか、十一月、当時の江利川さんとこの厚生委員会で、厚生省は言うならケアマネジャーの自立を考えていないんじゃないかということを言いましたら、たしか考えていないんだというような、そんなことがあったなという気がしておりましたが、先ほど局長は検討したいということでありましたので、是非お願いしたいということで、この問題ははしょらせていただきます。  次に、これもちょっと私の方からもう先に申し上げますが、先般厚生省が行いました介護事業経営者の概況調査がございますね、今日午前中にもちょっと触れられたんですが。  その中を見ますと、私、びっくりしたのがあるんですね。それは、いわゆる特養ホームの、特養の施設長さんというのでいいんでしょうか、管理者の毎月の平均給料が出ておる、これは四十四万四千円である。老健施設の給料は九十九万一千円である、療養型病床群の施設長は二百十八万二千円である、こういう数字が出ておるんです。これは私、びっくりしておるわけですね、これを最初見付けましたときに。  これはどういうふうに読んだらよろしいのか。医療でやっておるときにお医者さんがたくさんお金を取っていただくというのは、これは診療報酬ですから問題ないとしても、どうして介護保険の施設でこういうことが可能なのか。入ってくる収入の表もありますが、ほとんど変化はない。施設長さんがこれだけ取っていればどうなるかと思って見ますと、介護福祉士でありますとかその他の職員の給料は、特にその他のという資格のない方で見ますと、特養ですと一月二十一万一千円、老健になりますと十八万七千円、療養型病床群では十七万五千円。これは、施設長さんにお金が行けば当然職員の給料が減るだろうという予想どおりの数字になっているんですね。  この辺については、局長、どういうふうにこれを分析されておりますか。
  136. 中村秀一

    政府参考人(中村秀一君) お答え申し上げます。  今、先生からお話がありました介護施設の実態につきましては、平成十三年の十月に実施いたしました介護事業経営概況調査の結果でございます。これから介護報酬の見直しをするという意味で、介護事業者の実態を調べたいということで調べたものでございます。  一月当たりの給与は、御指摘のとおり、特別養護老人ホームの管理者が四十四万円、老健施設の管理者の方が九十九万円、介護療養型医療施設が二百十八万円ということでございます。  介護保険は、御承知のとおり、従来医療の分野でなされてきたもの、あるいは老人保健施設としていわゆる医療と福祉の中間でやられてきた施設、それから福祉の措置の制度で行われてきました特別養護老人ホームを介護保険という一つの枠組みの中で介護報酬ということで平成十二年四月からスタートしたものだと思います。もちろん介護報酬支払われますが、その報酬をどのように給与に充てどのように配分するかというのは正に事業の経営に任されておりますので、先生、こういう格差があることについてどういうふうに考えるかということであります。  また、施設従事者の給与のお話もありましたが、言わば三つの流れの施設が一つの制度に来たと。十二年四月からスタートしておりますけれども、言わばそれぞれの世界の文化なり経過をしょってきたと。その一回目の結果がここに出たと。医療の色彩が強いところの文化における言わば医療費の配分、今日でいえば介護費の配分、それから措置制度でやって行われてきまして、やや非常に統制が強く措置費の予算の積算は公務員に準拠してやってきた、そういう積算の下でかなり言わば使途についても制限があったところで長くやってきた特別養護老人ホームにおけるそういう文化をしょってきた世界の人が十二年四月からこういう制度になった場合の配分の状況、その言わば中間にある老人保健施設の姿が如実に出たものではないかというふうに判断しております。  これらをどう考えて、正に介護報酬の決定にこれから進んでいくわけでございます。介護報酬決めるためには、経営の実態、それからコスト、要素の実態、あと人件費が下がっているとか物価が落ち着いているとかいう実態、それから介護保険保険者の方の財政状況、それからあるべき介護に向けてどういうふうにこれから介護のサービスをやっている事業者の方にやっていただきたいか、そういうことをあるべき介護の姿を目指した介護報酬の改定と様々な要素があると思います。  その辺につきましては、十月十八日から介護給付費分科会の審議が再開されますので、その審議の経過なども参考にさせていただいて、私ども決めさせていただきたいと考えております。
  137. 山本保

    ○山本保君 これから検討していただくということですが、この調査結果というのはいろんなところで引かれているんですけれども、今私が申し上げたようなことはほとんどだれも使っておりません。それは厚生省がまとめたまとめの方には全く書いてないからです。是非このことは、特に首長さんなどにとっても大変重要なことじゃないかと思います。  また、今日お話があったように、正に介護と医療との関係を考えるときの現実問題として、今、局長がおっしゃったとおりであります。お医者さんが施設長であれば、当然これまでの給料から考えれば、その程度のお金がなければだれも施設長に来ないでしょう。でも、それはしかしやはりどう考えてもおかしいと思うんですね。説明が矛盾しております。医療施設であれば、院長さんであれ、それはそれなりのまた医療行為、またその専門性を使った施設経営をされるはずですけれども、当然介護施設であれば、そうでないということで作られているはずであるのにお金が高いというのは、これはどう考えても不思議なことだと思います。是非改善していただきたいと思いますし、加えて、言うならば、このような施設の方に黒字でありながら補助金も出ていると、これは国ではないそうですけれども。  ここで話を次の問題にするんですが、民間のサービスに対してちょっと弱いんじゃないかなということで、ひとつ具体的に申し上げたいのは、我が党も近ごろ介護保険のアンケート調査などをしました。お持ちしていると思いますので、その中の一つに在宅、居宅の、在宅のサービスの中で、やはり在宅でというのもなかなか難しいのありますと、ショートステイというのをもっと充実してほしいという声が大変多いのでございます。  それで、是非、私、それも状況を見ましたら全国でショートステイやっているのが大体五千百事業体ぐらいある。しかしながら、この中で民間の経営型でやっておられるのはたった二十三、NPOの運営しているものは一施設しかない、ほとんどが従来型の大きないわゆる社会福祉法人、大きな施設を持っているところの仕事とそれから地方自治体でございます。これでは駄目なんじゃないか。  私、提案したいのは、例えば今二十人以上とされているショートステイについては、例えば十人程度までの言うならば民宿型のような簡易といいますか、簡易というのはいい加減という意味じゃないんですが、もっと利用しやすく、その地域地域に即したショートステイという事業を認める、そしてそれについては、私、推進した一千万円の法人でありますとか、また民間の事業者、NPOなどの参入をもっともっと促進させるということが必要ではないかと思いますが、いかがでしょう。
  138. 中村秀一

    政府参考人(中村秀一君) 今、先生の方からショートステイの例を取られまして、介護サービスの生み手であります、サービスの生産の拠点と言ってよろしいかと思いますが、その在り方についてお話があったと思います。  前の方の介護施設、三つの施設のお話先生に先ほどお答えした中で介護報酬の見直しということを申し上げましたけれども、もう少し突っ込みますと、介護の施設の体系も、そういう三つの異なった流れの体系統合した、正にそこに介護保険の意義があったんだと思いますが、施設の体系として、この三つの種類を、ずっと三つの種類でいくのか、別の切り口はないのかというのは、言わば介護保険制度の制度の見直し、五年後の見直しの中のテーマの一つとして識者の方からも検討の分野としていただいているところでございますので、そういった面からも、年度末の介護報酬の見直しということだけでなく、中長期的な視点も持って考えさせていただきたいと思います。  そういった意味で、今ショートステイのお話がありました。現実問題として、ショートステイで高齢者の方を一時お預かりする場合に、やはり現実問題としては、大きな特別養護老人ホームなりそういう施設があって、その中で二十ベッドとかそういうショートステイベッドを整備するということで長らく施設整備が行われてきましたし、そういうことが、既存の施設、大規模施設の方が慣れておるということで先生御指摘のあったような問題があるんだと思います。  これからそういうショートステイなり在宅型のサービスについて、今メニューがございますが、更に弾力化していくとか、ほかのメニューがないのかとか、あるいはその施設についてもサテライト型だとかもっと小規模なものがないのかというのはやはり検討課題だと思いまして、これの辺も、サービスメニューの見直しというのも介護保険法を作ったときの検討課題の附則に入っておりますので、そういう文脈の中で受け止めさせていただきたいと存じます。
  139. 山本保

    ○山本保君 積極的なお答えがいただけました。  これ、余分なことですが、先般の委員会で元の委員長であります今井澄先生について私たち黙祷をささげたんですが、今井先生とはこの介護問題では本当に仲間というような形でやってまいりました。今、局長おっしゃったように、この施設体系統合といいますか、新しいタイプの施設というものについては、五年間ということで、言うならペンディングになってしまった、今井先生ともそんな話をよくしておりまして、これが一番の課題だななんということを言っておられたのを思い出します。是非、中長期的なということで進めていただきたいと思っております。  もう一つ。これはまた我が党のアンケートにも実はありますし、また各委員先生方もよく、もう地域からお聞きになっていることだと思いますけれども、なかなか入所しようと思いましても待機で何十人待ちだというようなことで入れない。大きな問題としては、この施設全体をどう増やすかとか、また在宅からどのような体系を作っていくかという問題になると思うんですけれども一つには、もっと事務的な問題としては、やはり急ぐからということで申込みのあった順に入れているというところが問題じゃないかと思っておりましたら、最近、今度の見直しで、言うならば必要度の高い方から入れるようにしたいというのが載っておりまして、得たりと思ったんですが、ただ、具体的にはどういうふうに進めていくのか大変難しい。あるインターバルを持って入れるような形でないとできないのかというような気もするんですが、この辺についてはどういうお考えでしょうか。
  140. 中村秀一

    政府参考人(中村秀一君) 介護の施設の入所につきまして、大変申込みが多い、いわゆる入所待機者の方が多いんじゃないかと、こういう御指摘がございます。私ども、元々、複数に申請しておられる方もある、あるいは当面利用の意思はないんだけれども万が一利用するときになったら大変入所で待たされるということもあるので、言わば予防的に申請するというような例があると聞いております。  ついさっき、今日の昼休みのときにある指定都市の部長さんがお見えになりましたが、そこでは八千人の待機者があるということであった、そこで重複の名寄せをしてみたら四千人、それで実際に今使う必要があるかということで、予防的なというか、今は必要ないんだけれどもと、そういう方を除いて調査してみたら八千人が千五百人だったと、こういう結果が出ましたというお話を聞いたんですが、そういうことではないかという、実際やってみると、そういう状況が多かれ少なかれ、指定都市ですから、非常に、百万を超える都市のお話で、八千人と数が多いんですが、いずれにしても、そういう状況が町のサイズにかかわらずあるんではないかと思っております。  そういった中で、それを受け付け順ですべて処理するということになりますと、八千人のうち千五百人のニーズを満たすために大変社会的なロスもあるということで、審議会にもおかけいたしまして、本年八月に、介護の必要の程度や家族の状況などを勘案していただいて、サービスを受ける必要性の高い人に優先的な入所に努めるようお願いをしたところでございます。  その際、恣意に流れることがないよう、よく市町村の方とも話し合っていただき、また各施設がそういう運営基準を作っていただくわけでありますので、透明性、公平性が求められますので、自分のところの運営基準改正に併せまして、特に待っている方の多い施設につきましては、入所の必要性の高さを自分のところではこういう基準で判断するんだよ、あるいはその手続はこうなっていますよということを示した指針というものを関係の自治体と、またそこの関係の団体で決めていただくのが適当じゃないかと、そういうことでお願いをしているところでございます。  したがいまして、各ホームで、また各地域で、そのようなことで、自分のところの地域に合った優先度というのはこういうことではないかということで基準を作られ、それは待っておられる方に公開されると、基本的に、そういう考え方でやらせていただこうと思っております。  余り全国画一にこういう基準だよというのを例えば国が示してやるというのは、いいようでいて各地の実態に合わない面もありますので、地域でよく協議していただいて、そういうところを、基準を作っていただきたいというふうに考えているところでございます。
  141. 山本保

    ○山本保君 なるほど、そういう形ですか。大体分かりました。納得したところであります。  先ほど申し上げましたように、この問題というのは、それだけでは終わらない、もっと大きな原因といいますか背景があると思いますけれども、声の大きい方だけが先に福祉サービスを利用できるというのが今までの福祉の悪いところだという気がするんですね。是非、本当に必要な方に必要なサービスがということを進めていただければと思います。  最後に医療保険制度についてお聞きしたいと思うんですが、今日、いろんな形でお話がありましたのでダブるかもしれませんが、私は、その中で一点、今後の医療費がどのような形で推移するのかについてまず最初に、時間がちょっとあれですからお聞きした上で、じゃ一緒にお聞きしますが、というのは、例えば診療報酬が今回減になったということ、そして老人の医療費改正によっていわゆる診療抑制が起こるのではないかとか、また三割負担ということでもやはり起こるのではないかとかいうのがあるわけですが、私は、先ほどのお話も、午前中にもお話が出たところでありますけれども田浦先生ですか、特に健康増進ということが進めばもっと医療費というのは下げることができるし、下がるということを、下げるということを目標にすべきではないかと私は思うんですね。  まず、この今後の見通しはどうなのか。先ほど午前の質問でも、五年後には実はプラス・マイナス・ゼロになってしまうんだというまた悲観的なお話があったように思いますけれども、まずその客観的な数字と、やっぱりそこの中で、言うならば医療の提供体制の改革については、今回、診療報酬体系の第一回の見直し、第一回といったら申し訳ないかもしれませんが、しかし、強制的に報酬体系を変えるというよりは、正に国民がその中にどのように入っていき、情報提供しながらより良いものにしていくのかということは今後引き続いて行われるはずですね。  こういうものが進んでいけば、そしてまた、もう一方、これは坂口大臣中心になられて、健康でなくちゃならないということについての、もっとこれもう当然数値目標を足していけば医療費というのは下げられるのではないかということをまずお聞きして、そしてもう一つ、そうなりますと、例えば今度の法改正で、十月一日からいろんな改正があったわけですけれども、これは原理的に考えて、医療保険というものは相対的に、全体の医療費が下がれば、今度は払っていただく方の例えば保険料率というようなものもまた下げるということは当然できるはずであるし、そのことを我々としては目指さなければならないのではないかと思いますけれども局長、いかがでございますか。
  142. 真野章

    政府参考人真野章君) 先般の健保法改正によります医療保険の給付費への影響をどう見るかということでございますが、平成十五年から十九年度に起こった影響を五年分で割り戻すといいますか、単年度平均に戻してみますと、今年の診療報酬改定によりまして約七千七百億の減が想定されると。また、高齢者の一部負担改正によりまして四千三百億の減、それから三割負担の導入によりまして八千三百億円の減となる一方で、薬剤一部負担を廃止いたしましたので二千九百億の増というふうに見込んで、そして、しかし、なおかつ毎年度ほぼ一兆円程度の増を見込むというような結果となっております。  先生のおっしゃるとおり、健康増進ということによって、言わば一次予防をしっかりすることによる全体の医療費の抑制と、これはもうおっしゃるとおりだと思いますが、しかも、そういう意味で、健康日本21ということでいろいろな数値目標も掲げながらその努力をするということを厚生労働省としても取り組んでいるわけでございますけれども、この部分を医療費への影響にどう見込むかと。これはまたなかなか、定量的にどう見込むかというのは非常に難しい問題でございまして、今回の計算ではそういうものは一応考慮していないといいますか、見込んでいないということで、財政再計算をして、十九年度まで政管健保としてはとにかく収支がもつという形の計算をいたしているところでございます。  したがいまして、医療費財源とすれば一部負担保険料と国庫負担でありますから、先生がおっしゃられるとおり、全体の給付費が下がればどこへ還元するかと。まあ、まずは国庫負担以外のところに還元するんだろうということになりますので、一部負担保険料かと。それは正にそこのときの選択判断かと思いますけれども、なかなか今の現下の状況先生のおっしゃるのは非常に理論的にはそのとおりでございますが、高齢化とか今の経済の状況からしますと、そういう状況が是非到来してほしいとは思いますけれども、なかなか現下の状況からすれば非常に難しい状況にあるのではないかというふうに思います。
  143. 山本保

    ○山本保君 一言だけ。終わりますが。  先ほどもお話があったんですが、やはり実務家としては言えないかもしれませんが、やはり政治家というのは、大臣、もうお答えは結構ですけれども、高齢化が進むので、少子化が進むのでこんなに悪くなるということではない、正に私どもの道行きというものを、明るい道行きというものを示していくということが必要じゃないかなと思いますので、是非今後ともよろしくお願いしたいと思います。  終わります。
  144. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 日本共産党の八田ひろ子でございます。  まず最初に、ますます深刻になります雇用の問題について伺います。  失業率が史上最悪水準で移行して、この不況下に、弱い立場の労働者が理不尽なリストラ、首切りがされないよう、労働行政の徹底が求められていると思います。  そこで、伺うんですけれども、デパートや化粧品などの紙袋を製造するタケヤマという会社、名古屋では業界トップの企業ですが、そこでこんな事件が起きました。  この会社の愛知県下の津島工場で製造現場に勤務をされていた伊藤祐之さんという方がいらっしゃるんですが、リストラ目的で東京への配転を言い渡され、小学生の子供さんがあり、親の介護もあるので困り果てて、労働組合と一緒に団体交渉をされた結果、東京行きというのは会社が撤回をした。ところが、今度は飛び込み専門の営業職なるものへの配転に切り替えるんだと、その団交の場で一方的に通告をして、話合いを打ち切りました。実は会社内にはこういう部署はないものですから、説明もないので、伊藤さんは従来どおりの津島工場に出勤をしたところ、社長さんが来て出社を拒まれ、しようがないのでその日は有給休暇の届けをこの方は出したんですね。そうしますと、会社は、業務命令に反抗して会社の正常な業務を妨害したんだということで、懲戒解雇を通知してきたと。  つまり、ある日、団体交渉の席上で配転命令を出して、返答期限はあしただ、翌々日は配転だと。こんな短期間で結論が出せないので元の勤務場所に行ったら、重大な業務命令違反だと、こういう事案なんですけれども、この方は出勤されて、まだ労働組合との、団交中ですね。その交渉事項に関しての一方的な解雇ですから、一般的に言えば誠実な交渉義務違反ということでもあるんですが、大臣、ちまたにはこういうことが行われるという、こういう事態についてはどうお思いでしょうか。
  145. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 具体的な事案につきましては私は全く存じませんが、一般論として申し上げれば、労働組合法の第七条は、労働者が労働組合の正当な行為をしたことを理由としてその労働者を解雇することを不当労働行為として禁じておることは御承知のとおりでございます。このような事実につきましては、当事者の申立てによりまして、労働委員会でありますとかあるいは労働委員会によります救済命令の対象となるものだというふうに思っております。  したがいまして、一般論として、先ほどから申し上げたわけでございますが、正当な団体交渉を行ったことを理由として解雇することは許されないものと思っております。
  146. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 本当にそうだと思うんですね。  この事例では、出社したんだけれども拒否をされて、やむを得ず有給休暇を出したということなんですが、有給休暇の取得を推奨を厚生労働省されていますが、一般に有給休暇の取得について確認をしていきたいと思うんですが、就業前に口頭での有休届を認めないということは私は不当だと思いますし、社長に直接申し出た場合無効だというのも聞いたことがありません。  それから、配転命令直後の有給休暇は認められないというのも、そんな労働法は私は知りませんけれども、有給休暇の理由による拒否ができるのかどうか。会社の時季変更権の行使というのは、当該労働者の出勤を必要とする具体的な理由の説明と変更する日の指定というのが要ると思うんですけれども、いかがなんでしょうか。
  147. 松崎朗

    政府参考人(松崎朗君) 労働基準法の三十九条に規定がございます。  初めの方はいろいろ要件でございますが、その四項におきまして、「使用者は、」、ちょっと途中省きますが、「有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。」というふうに規定されております。  したがいまして、繰り返しになりますけれども、労働者が年休を請求した場合には、その労働者が指定した時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合で、なおかつこれを理由として使用者がいわゆる時季変更権を行使したという場合を除きまして、その労働者が指定した時季に当然に年休が成立するというものでございます。また、その請求そのものにつきましては口頭でも足りるということにされております。
  148. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 企業にも守るべき法があること、それは当然なんですけれども、こういう無法な横暴勝手、不当な解雇には厳しく対処をしていただいて厳正な労働基準行政をしっかりとしていただきたいと、これを要求いたしまして介護保険の問題に移りたいと思います。  介護保険のサービスを受ける前提の制度とも言えます地方福祉権利擁護事業についてまず伺います。  この制度は、痴呆性の高齢者など判断能力が十分でない方への福祉サービスの利用手続援助、こういうものを都道府県の社会福祉協議会が実施主体として行われているということです。  この制度の利用の促進というのは、社会的弱者の人権を守る上で非常に重要だと思いますし、本来、福祉の権利を擁護する事業、読んで字のごとくですね。ですから、お金の心配などなくても利用できなければならないというふうに私は思います。  しかし、実際には、これは大変なニーズがあると思うんですけれども、一時間千円単位の利用料負担があって、こういう利用がなかなか進まないというのを聞いておりますが、大臣、本来の趣旨に沿って利用促進ができるようにしなければいけない、こう思いますけれども、どうでしょうか。
  149. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 地域福祉権利擁護事業といいますのは、今も御指摘になったとおりでございますが、痴呆性の高齢者等の判断能力の不十分な方々でありますとか、こうした方々に対しまして、福祉サービスを適切に利用をしていただいて自立した日常生活を送れるようにするものでございます。福祉サービスの利用援助でありますとか日常的な金銭管理などを事業として行っております。  事業の実施状況を見ますと、平成十三年度におきましては十万件を超える相談、援助が行われておりまして、契約件数も約三千三百件になっております。ともに、前年度に比べまして約二倍に増加をいたしております。こうしたことから、過度の負担からこの利用が抑制されているとは一概に私は言えないというふうに思います。  利用料につきましては、低所得者に対します減免措置も講じておりますし、今後とも利用者の利便に配慮をした利用の推進に努めてまいりたいというふうに思っております。低所得の方は大体半分ぐらいな額にしているというふうに思っておりますが。
  150. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 地方によっていろいろかもしれませんが、独り暮らしのお年寄り、施設に入られた方などでは大変助かる制度なんですね。ところが、今お示しになったように、全国では十万件相談があるんだけれども実際には三千人しか使われていない。私、調べてみましたら、私のおります名古屋では、相談が四千百八十一人で、実際百六十五人が利用、名古屋も含めた愛知県全体では、相談は利用したいということで一万三千九百四十七人なんですが、実際に利用できるのは二百七十三人なんですね。わずか一・九六%。  私、これ相談をして利用したいという方がこれだけしか利用できないということは、私、問題だと思いますし、名古屋市の担当者がおっしゃっているのでは、やっぱりお金の問題だと。福祉サービスを受ける第一歩であるこうした制度はお金の心配がなく利用できるような、これ一時間単位で千円ですから、千円で済むわけじゃないものですから、やはり改善を今後検討をすることを要望したいと思います。  二つ目なんですが、介護保険料の問題、今日も朝から議論がありましたが、六十五歳以上の高齢者の保険料負担増が問題になっています。厚労省の調査、これは中間集計だとおっしゃっておりますけれども、来年四月から市町村の平均で一一%、平均で一か月三千二百四十一円に引上げだと。これは平均でありまして、中には一か月、保険料だけでですけれども、七千円になることが午前中にも与党の委員から指摘をされたところでありまして、厚労省の中間のでも相当数の団体が五千円以上というので私もびっくりしたんですが、今でもこれ大変な負担だということで問題になっていますが、これを更にアップしなければならないということ。この金額が私は大変な額だと思うんですけれども大臣、このことについてはどうお思いになっておりますでしょうか。
  151. 中村秀一

    政府参考人(中村秀一君) まず、介護保険料の見通しの状況でございます。  介護保険料につきましては三年ごとにまず介護サービス量の見直しを行うと、こういうこと、介護保険制度はそういう状況になっておりますので、それに見合った介護保険料を改定するということで、法律が施行されまして今回初めて、十二年から十四年度の第一期の事業計画時の介護保険料から、十五年度から十七年度までの三か年分の第二期の介護保険事業の時期に入るわけで、保険料の設定を今検討しているところでございます。  今、先生の方から御指摘ございましたように、私どもそういうことで、保険料自身はもちろん保険者であります市町村が決めるということになるわけですが、今後三か年の介護サービス量の見込みを六月段階での数字として出していただきまして、それを中間取りまとめしたところでございます。  したがいまして、十二から十四年の三年間、それから十五から十七年の三年間、三年間同士の比較で申し上げますと、介護保険がスタートいたしましてからこの二年間で要介護認定を受けた人が八十万人増加していると。この二年間で六十五歳以上の人は百六十万人増加している中で、要介護認定を受けている人は八十万人増加しているというように、この二年だけ取りましても、相当に要介護認定者の数の増加、それからサービス利用量の増加があるということで、三年計画、今後三か年の伸びを取りましたところ、今、中間集計の段階では先生御指摘の数字になっておるところでございます。  また、非常に小さな規模市町村では、特にサービス利用の増加というものが保険料に反映いたしますので、百近くの市町村におきましては保険料の額が四千五百円の水準を超えるというところもあるという状況になりました。  今後どうかということですが、サービス量に見合った保険料を設定するということで、都道府県を通じまして私ども、中間集計でございましたので、来年の四月の保険料改定を目指しまして最終的な取りまとめの作業を急いでいただいているところでございます。  年内にそういう作業を取りまとめて全体の状況を見たいと思いますが、市町村の方にお願いしておりますのは、高齢者の数の増加や住民の介護ニーズの増大がありますので、高齢化も進んでいるということで、介護費用の増大に伴いまして保険料が上がるということは傾向としてはやむを得ないもの、またみんなで介護保険を支えると、みんなでお金を出し合って支えるという制度でありますので、サービス量が増えますと保険料も上がるということはやむを得ないものというふうに考えておりますが、その際、市町村において本当に必要とされるニーズにこたえた事業計画になっているのか、特に介護保険制度の基本は、できるだけ障害を持っても住み慣れた在宅で、あるいは在宅でできない場合でも非常に在宅的なケアの下で住み続けられるようにするという自立支援というのが基本になっておりますので、そういう観点から、六月集計段階での事業計画で遺漏はないかどうか、まずい点はないかどうか、その辺を広域的に行政を見ております都道府県の皆さんと市町村の方でも話し合い、また広域的な調整もやると、そういう作業をする。また、小規模市町村では広域化ということを考えていただいて、サービス量の増大が保険料に大きく響くことがないような支え合いの体制を取っていただく。  基本は、地域の住民の皆さんがサービスを使うわけですから、またそのサービスを支えるのが地域の住民の皆さんでありますので、どういう種類のサービスを高齢者の介護のために自分の地域では選んでいくのかということを理解いただき、合意を得ながら保険料の水準を決定していただきたいと、こういうことをお願い申し上げているところでございます。
  152. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 大臣は、こんなに高くなってもいいとお思いなんでしょうか。私は、とても支え切れない金額が出ているのに、どういうおつもりなのかを聞きたいんですけれども
  153. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 今、局長から答弁をいたしましたように、この介護保険は、一義的にはやはり市町村でどういうサービスをどの程度するかということを決めていただかなければならないわけであります。  その中で、例えば在宅介護というものを中心にしてやっていこうというところもあれば、施設介護をもう少し増やすんだというところも中にはあるわけであります。どういたしましても施設介護が中心になってまいりますと保険料というものは上がってくる、そうしたこともあるわけでありまして、それぞれの地域における選択の問題もその中に含まれているところでございます。そうしたこともよく御理解をいただいて、地域の介護サービスというものをやはりお考えをいただかなければならないというふうに思っております。  現在、この見直しを行いまして、各地域から施設等の問題の御要請がたくさん出ておりますけれども、こんなにたくさん施設を造って大丈夫なんだろうかと思うほど多くの施設の御要望の出ているところもあるわけであります。しかし、そういうところは、その分それは保険料に跳ね返るわけでありますから、全体をやはりごらんをいただいて計画を立てていただくのが大事ではないかというふうに考えております。
  154. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 国民にとっては保険料が重くのし掛かり、大臣も厚労省も在宅介護を中心にしていくんだと。今も施設がそんなに要るんだろうかと言われていますけれども、介護保険ができて特養ホームの待機者というのは本当に多いんですよね。今日は時間がないのでその議論はできませんけれども、現行の保険料、上がらない保険料の下でも大変な事態です。  足立区の調査結果で見ましても、経済的理由から利用抑制が進んだと、介護保険が入って。区内の在宅介護支援センターの全職員を対象に行ったアンケートでも八割の職員が、高齢者がサービスの利用を手控えていることを感じていると答えています。その理由は経済的負担感が毎回トップです。これ、利用料のことですね。  本来、要介護者のために作られたケアプランですから、その人が人間らしく生きるためには当然、最低限ケアプランの介護サービスというのを保障されなければいけませんけれども、経済的理由からサービスを大幅に自己抑制している現実というのは、これは足立区だけではありません。その結果、私も地元でも聞いておりますけれども、自立支援どころか、状態が悪くなって寝たきりになるとか大変なことになっている、日本全国からそういう悲惨な例が聞こえてくる、だから施設もという声も大変大きくなっているんですね。  そこで、私、伺いたいんですけれども、こういう利用料が大変重いんだと、だからせめて低所得者対策が必要なんですけれども、来年七月から、介護保険の実施前から訪問介護を受けている所得税非課税世帯の訪問看護利用料、六%に引き上げようという計画、これが実行されますと、自治体独自の減免制度にも影響を及ぼしますし、さらに低所得者が介護サービスから排除される危険性があると思うんですね。ですから、こんな景気が悪くて大変なときですから、大臣、こういう計画は当然やめられると、これをお願いしたいんですけれども、どうでしょう。
  155. 中村秀一

    政府参考人(中村秀一君) 八田先生の方から、ある区の例を通じて介護サービスの利用の手控えがあるというお話がございました。しかし、それでも、全国でそういうことが起こっていると、こういうお話でございましたけれども、全国ベースの介護サービスの利用量、利用状況を見ますと、介護保険の施行前に比べて、例えばホームヘルパーさんの利用は、介護保険がスタートした十二年十一月では十一年度の平均よりも五二%増でありますし、今年の四月では、十一年度、介護保険施行前の二・三倍になっております。おっしゃるような利用の手控えが起こっているということであれば、どうして二・三倍の利用状況になっているのか理解ができないと思います。  それから、百八の保険者で調べますと、個人で見たサービスの利用量の変化も、サービス量が増加した人が六七・五%、ほぼ同じ人が一四・八%で、サービス量が減少した人は一七・七%。サービス量が減少した人の中で、利用料が重いためにサービスを減らしたという方はこの調査では二・五%にすぎない、こういう状況でございます。  もちろん、私ども、経済的に困窮されている方あるいは所得の低い方がサービス利用に支障があることは申し訳ないと、そういうことがあってはならないということで、サービス利用に当たっても、低所得者対策など配慮いたしているところでございます。  御質問のありました訪問介護の利用料負担お話について御説明をさせていただきます。
  156. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 端的にイエスかノーかで言ってください。
  157. 中村秀一

    政府参考人(中村秀一君) 介護保険制度におきましては、介護サービスの利用料はすべての方に一割を負担していただくということを基本にされていることは御承知のとおりだと思います。  ただ、制度が施行されましたときに、軽減措置として、激変緩和の観点から、そのときに既にホームヘルプサービスを利用されていました低所得者の方につきましては、利用料が応能負担から定率一割負担になったことによりまして、変わった場合に、激変緩和が、急増することがないように、経過措置といたしまして負担割合を三%にする。その軽減措置、激変緩和の軽減措置は、平成十二年度、法施行から三年間は三%とし、十七年度から本来の一割負担としていくと、こういうふうに決められたところでございますので、この軽減措置で十七年度までの間、十五年度以降につきましては段階的に引き上げて、平成十七年度から一割負担としていくと、こういうことでございます。  したがいまして、この趣旨を踏まえまして、十五年七月から、私どもは、この激変緩和の軽減措置につきまして段階的に引き上げるという観点から六%に負担割合を変更したいと、こういうふうに考えております。  なお、申し上げましたとおり、介護保険制度について、月々の利用者負担の上限を低所得者の方には一般の方よりも低く設定しているとか、社会福祉法人による利用者負担の軽減措置もございますので、そういった措置を講じながら、今、十二年度以降、新たにホームヘルプサービスを利用された方は一〇%の、一割負担を……
  158. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 質問したことにお答えください。
  159. 中村秀一

    政府参考人(中村秀一君) 一割負担お願いしているわけでございますので、そういった方との均衡も考えまして、この経過措置については段階的に、十七年度に終了するということに向けて引上げ措置を取りたいと、こういうふうに考えております。
  160. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 時間がないので終わりますが、限度額に対する利用率の低さからも、皆さんが自己抑制しているのは当然なんですよね。  私、今日時間がないのでこれで終わりますけれども、質問したことだけに答えてください。
  161. 大沢辰美

    大沢辰美君 引き続き、大沢辰美です。  私は、女性が子供を産み、そして働き続けるために、その保育行政についてお聞きしたいと思います。  今、雇用者全体の四割を占めている女性労働者、正に日本経済を支えていると言っても言い過ぎではないと思います。安心して子供を産み育てる、そのためにも私は保育所の充実が不可欠であると考えています。  旧労働省が調査しました内容でも、仕事と育児の両立に必要な対策はやっぱり保育施設の時間延長だとか、それから休日保育だとか、保育施設の整備拡大が上位を占めていると思いますね。こういう中でのやはり女性の社会進出とそれを支える保育所の充実、その役割についての国の基本的な方針をまずお聞きいたします。
  162. 岩田喜美枝

    政府参考人岩田喜美枝君) 先生今おっしゃったとおりでございまして、働く女性は日本の経済社会をしっかり支えていただいているというふうに思いますし、これから少子化が進むことを考えますと、ますますその役割は重要なものがあるというふうに思います。働く女性にとりまして、仕事と子育てを両立させるというのはなかなか大変なことでございまして、そのために保育所というのはなくてはならない制度であるというふうに考えております。  我が国では、今、全国二万二千か所で約二百万人のお子さんを預かっておりますが、今後とも、保育サービスは質量両面にわたって充実させていくことが必要であると、そのために努力をしたいというふうに思っております。
  163. 大沢辰美

    大沢辰美君 今述べられたように、本当に女性が働き続けるために保育所は不可欠であると。で、保育行政の支援も、とても政府の方は多様なメニューを出しています。待機児童のゼロ作戦、閣議決定もされたという、そういう状況に至っています。だけれども、しかし私は、問題は、国から今全く支援のない認可外保育所、この問題をまずお尋ねしたいと思うんですね。  認可外保育所は、御存じのとおり公的保育の遅れを補ってきました。特に乳児を中心に、今二百万人の子供を保育しているとおっしゃいましたが、この認可外保育所は約二十二万人ですね。ですから、約一割の子供さんを保育してくださっていると思うんですが、私が知っている認可外保育所の経営者は、保育料を高くならないように抑え、そして自分の給料は月によっては返上してでも保母を雇用して運営努力をしていらっしゃるというところを数か所訪問してまいりましたが、やはりそういう保育所は、即働くときに保育をしてくださるという、とても私はいい保育というんですか、優良な保育をしてくださっていると高く評価しているんですけれども、今、認可化の促進整備は一部されていますね。  でも、一定の基準で私、認可外保育を行っているこの保育所にも支援措置を行うことが今求められていると思うんです。施設の改善費や認可と認可外との保育料の差額補助、思い切った私は施策を行うことが今求められているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  164. 岩田喜美枝

    政府参考人岩田喜美枝君) 保育につきましては、サービスを安定的に供給するということ、そしてその内容が質の面で確保されるという点が重要かというふうに思いますので、基本的には、一定の基準を満たす認可保育所が保育サービスの基本であるというふうに考えております。  認可外保育施設に対して補助制度を設けるべきではないかという御意見につきましては、国といたしましては、全国統一した最低基準を設けて今助成をいたしておりますので、それとはまた別の基準を設けて公費を支出するということについては、国の施策としては適当ではないというふうに考えております。  また、地方自治体がそれぞれの地域の事情に応じて独自の判断で地方自治体の制度として助成をしている制度はございますけれども、それは地域で大変有用な役割を果たしていただいているというふうに思っております。  国といたしましては、認可外保育施設の中でも質が高いものもありますので、それを何とか認可化をしていただきたいというのが基本的な方針でございまして、そのために、認可要件の中で緩和できるものは緩和をいたしまして転換がしやすいようにいたしましたり、また、具体的な認可化に向けての支援事業についても、今年度、平成十四年度から始めたところでございます。  またさらに、引き続き認可外保育施設として事業を継続せざるを得ない施設につきましては、指導監督を都道府県に行っていただいておりますが、それと併せて、保育に従事している職員に対する研修ですとか職員の健康診断の費用についてなどは国が支援をいたしておりまして、そういう形で、一定の範囲内ではございますけれども支援も実施をしているというのが現状でございます。
  165. 大沢辰美

    大沢辰美君 一定の支援をしているという内容についての今メニューをお話しされましたけれども、監督指導もされている。だけれども、私も現場に行って、保育所にまだクーラーのない保育所もございます。でも、一生懸命、女性が社会進出したころの二十五年、三十年前からこつこつと保育に携わってくださった大変私は優良な保育所だと思っていますが、そういう保育所もあるということもやはり調査の中で明らかにしながら、いかにどういう支援があるかということをこれからも検討を続けていただきたいということを要望いたしまして、次に、認可外保育所の中でも病院内保育所ですね、特に国立病院・療養所で働く看護師、職員の保育所についてなんですけれども、この職はやっぱり圧倒的に女性が多いです。そして、いつも夜勤は絶対的な勤務条件になっているわけですから、そういう職場ではやはり働き続ける支えになっているのが院内保育所です。  今の院内保育所というのは、零歳児から就学前まで、正に看護師の夜勤や早出、遅出、不規則な職場を支えて頑張ってくれています。ですから、本当に専門性と創造性を発揮して子供の全面発達を保障していますけれども、この看護師が働き続ける上での院内保育所はなくてはならない存在であると思いますが、その役割についてどう認識されているか、お聞きしたいと思います。
  166. 岩田喜美枝

    政府参考人岩田喜美枝君) 先生、病院の例を取り上げてお話しなさいましたけれども、一般的に事業所内託児施設についてまずお答えしたいと思いますが、労働者が子育てをしながら働き続けるための支援措置として重要なものであるというふうに思っております。  育児・介護休業法の中で、子育てとの両立を可能にするために、事業主に対して幾つかの措置の中から一つ以上の措置を講ずるように義務付けてありますけれども、その選択的に講ずるべき措置の一つとして事業所内託児施設の設置運営を規定しているところでございます。また、厚生労働省といたしましては、一定の要件を満たす事業所内託児施設を新たに設置、整備し、運営を開始する場合に当たっては助成金を設けておりまして、この助成金なども活用していただいて、事業所内託児施設の設置が促進されるよう願っているところでございます。  特に、病院などの特殊な勤務形態の場合には、なかなか地域における保育所だけでは対応できないということだというふうに思いますので、特に事業所内託児施設が病院で働いておられる看護師を中心とした様々な職種の方たちにとって大変重要な役割を果たしていただいているんではないかというふうに思います。
  167. 大沢辰美

    大沢辰美君 そこで、本来ならば今現在ある病院の院内保育所は、事業主である国が設置主体となって私は院内保育所というのは運営の責任を持つべきだと思うんですが、この院内保育所は今、厚生労働省第二共済組合の委託事業として各病院の運営委員会に委託されていますね。そして運営されているんですけれども、今、国立病院が独立行政法人化ということが方向付けられていますが、仮に独立行政法人になったとしても院内保育所の役割が重要であることには変わりはないと今、局長からありましたけれども、その院内保育所の役割の重要性からして、厚生労働省のおひざ元である国立病院・療養所の院内保育所をしっかり守っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  168. 冨岡悟

    政府参考人(冨岡悟君) 国立病院・療養所におきます院内保育事業につきましては先生お話しのような形で実施しておりまして、現在百四十四か所で実施いたしております。その果たしております役割につきましては、私ども十分認識しているところでございます。  院内保育所の在り方につきましては、こういった役割、機能を踏まえつつ、現在と同様に国家公務員共済組合法に基づく福祉事業として実施することも含めまして、今後の在り方について検討してまいりたいと、かように考えているところでございます。
  169. 大沢辰美

    大沢辰美君 大変時間がなくてあとの質問ができなくなってしまったんですけれども、本当に認可にいたしましても認可外にいたしましても、女性が安心して働ける職場、そして地域での保育所というのは重要であるということはもう当然のことです。今、国立病院のこれからの在り方も重要であるという認識を持たれていることで、絶対にこの保育所を守っていくという立場で進めていただきたいということを要望しまして、質問を終わります。
  170. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 国会改革連絡会の岩本荘太でございます。  私は、皆さん方取り上げたのとちょっと色合いが違うかもしれませんが、食品の安全性について取り上げたいと思っております。  今年の春先からいろいろと外国産の農薬問題等ございまして、農水委員会なんかでも厚労省の方々にたくさんお見えいただいていろいろ質疑をさせていただいたんですが、そういうことで今回厚労省所管の事項として取り上げたんですが、よく調べてみましたら、今この食品安全行政は内閣官房の方が中心になって来年の通常国会に向けて法案の検討をしているということで、大臣がおられながら大変失礼なんですけれども大臣に余り質問できませんので、その辺は御勘弁のほどをひとつお願いいたします。  この「食品安全行政のあり方」、これは今年の六月十一日ですか、食品安全行政に関する関係閣僚会議というところが在り方について出されたわけですが、これ、消費者の皆さんにしてみれば大変関心のあることで、いろいろと勉強されて、私などは大いにそういう人たちからおしかりを受けておるわけでございますけれども、大いに期待していると同時に、また大いに心配しているところもございまして、来年の、先ほど言いましたように通常国会委員会、仮称でしょうが、食品安全委員会というものが立ち上がると、また基本法もでき上がると、こんなふうな進度で今検討されていると思うんですが、来年に向けてのひとつ現在の作業の進捗状況、それからこれからの予定並びに消費者からの要望といいますかお話なんですが、消費者の意見というものがどう聴取されてどう反映されていくのか。ということは、何か話を聞いているときに、要するによく法律作るときに公聴会とかなんとかやると。しかし、これは決まる直前にやって、あれで本当に反映されているのかというような、そういうあれもあるんですよ。  したがいまして、しっかりと意見聴取というものをやっていただきたいと思うんですが、これについて準備室から審議官、お見えになりましたので、ひとつお願いします。
  171. 霜鳥一彦

    政府参考人(霜鳥一彦君) 先生から御指摘いただきましたように、去る六月十一日の食品安全行政に関する関係閣僚会議の取りまとめに沿いまして、内閣官房に食品安全委員会設置準備室が設置されまして、これまで検討作業を進めてきたところでございます。  現在、食品安全委員会の業務及びこれに必要な組織、予算の基本的内容を取りまとめまして、それに基づく要求を行うとともに、食品安全基本法案の具体化の作業を進めているところでございます。  今後につきましては、専門家、消費者、生産者等の関係者の意見交換、あるいはリスク管理機関等の関係府省との調整を図りつつ、関係法案の平成十五年度通常国会提出に向けて更に具体的に検討を進めてまいりたいと思っております。  先生御指摘の点でございますけれども国民に信頼を得られる食品安全行政を展開していくためにも、幅広い関係者から意見をいただくことは重要であると考えておりますので、これまでも消費者団体あるいは生活協同組合等と意見交換を行ってきたところでございますけれども、今後ともそうした努力を重ねてまいりたいというふうに思っております。
  172. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 努力していただいていると思うんですけれども、消費者からの意見聴取というのは具体的に言うとどんなふうな形でやっておられるのか、やられるのか、その辺いかがでしょうか。
  173. 霜鳥一彦

    政府参考人(霜鳥一彦君) 具体的には、それぞれの団体に来ていただいて御意見を伺うこともございますし、私どもが直接出向きまして団体との意見交換をする、あるいは団体からの要望、陳情を受けまして、それに対する対応を考えていきたいというふうに思っております。
  174. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 その辺大いに期待しておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。  それともう一つ、これ消費者のひがみというか不安といいますかというものだと思うんですけれども、いわゆるこの「あり方」そのものを読みますと、非常に前向きないいことをいろいろ書いてあるわけですけれども、それがどのぐらいうまく担保されるといいますか、したがって、それはどのぐらいの面のところを法律事項とするのか、その辺の仕分けというのは。特に勧告権限なんというのはきちっと法律で規定してくれというような、そういう要望もあるんですけれども、その辺のお考えをちょっとお聞かせください。
  175. 霜鳥一彦

    政府参考人(霜鳥一彦君) これは閣僚会議でまとめていただきましたものにも書いてございますけれども、食品安全委員会はリスク機関に対して勧告をするということでございますし、またその中にはリスクコミュニケーションという項目がございまして、法律上、消費者等の関係者が意見を表明する機会の確保ということも規定する予定でございますので、そうした法律の規定に基づいて具体的なやり方を今後検討してまいりたいというところでございます。
  176. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 それと、この食品安全委員会ですか、それとリスク管理機関といいますか、そういうものの分離というか、この委員会の独立性というのは非常に大事なことになると思うんですけれども、何か今伺いますと、例えば委員が七名ですか、調査員が二百名、こういうのはリスク管理機関とは全く分離されたような格好になるんでしょうか。
  177. 霜鳥一彦

    政府参考人(霜鳥一彦君) 今回の取りまとめにございますとおり、食品安全委員会につきましては、食品の安全に関するリスク評価のみを実施して、リスク管理については行わないということでございます。これを踏まえまして、リスク評価の権限と責任を一元的に行うということで、食品安全委員会及びその事務局は独立性の観点から農林水産省や厚生労働省といったリスク管理を行う組織とは独立して内閣府に設置して、リスク評価と管理を分離することを担保するのではないかというふうに思っております。
  178. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 そのときに、食品安全委員会が機能し始めたときにやっぱり消費者からの意見を十分反映していただかないと困るわけですが、この「あり方について」でも、消費者からの意見等を直接把握するための仕組みを考えると、前向きなお考えが入っているんですが、具体的にどんなことをお考えなんですか。
  179. 霜鳥一彦

    政府参考人(霜鳥一彦君) 今考えておりますのは、一つにはリスクコミュニケーションの専門調査会というものを設けることにしておりますけれども、それに参加していただくということ。それから、個別のリスク評価の優先順位あるいは内容についても、ホームページの活用等によりまして一般消費者に分かりやすく説明し、また一般消費者からの意見も幅広く聴取したいというふうに考えております。  また、リスク管理機関が実施するリスクコミュニケーションと調和を図った上で、総合的なリスクコミュニケーションとして、リスク管理機関あるいは消費者、生産者等、幅広い関係者を集めて実施する意見交換会などを実施したらどうかということで検討しているところでございます。
  180. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 検討過程でしょうからまだはっきりは言えないでしょうけれども、今後本当に消費者は期待しておりますので、私もこれを報告しなきゃいけませんし、またいろいろ御意見あろうと思いますので、そのときはまた別の機会で質問させていただきます。  それと、この準備室とは関係ないかもしれませんけれども、いわゆるリスク管理団体、厚労省、農水省がそれに当たると思うんですけれども、こちらも「リスク管理を担当する行政機関についても、リスク管理体制の見直しを図る等所要の措置を講じる。」ということが書いてあるわけですね。だから、恐らく今やっておられるんだと思いますけれども一つだけちょっとお伺いしたいのはトレーサビリティーですね。  いわゆるBSEに関連して、食肉関係のやつを検討されていると思うんですけれども、あれは何か、ちょっと今、私見て見付からないんですけれども、やっぱりトレーサビリティー、全食品に対してやらなきゃいかぬというような、そういう意見もあるんですよ。そういう面について、トレーサビリティー、これ農林省ですよね、今どんなふうにお考えになっているのか、ちょっと分かれば、通告していませんでしたけれども、ひとつよろしくお願いします。
  181. 西藤久三

    政府参考人(西藤久三君) 食品の安全性確保という面、それと消費者の選択に資するという面、私ども、BSE問題発生以来、いわゆるトレーサビリティー、生産履歴情報を消費者に提供していくと、そのことによって事故防止であり消費者の選択に資するという観点で考えております。  そういう点で、一番は牛肉についてその枠組みをどうしていくかということは当然で、現在検討いたしておりますし、先生御指摘のとおり、牛肉は第一としましても、その他の生鮮食料品、お米あるいは加工食品についても、言わば可能なところから対応していってはどうかと。ただ、これは言わば、商品の特性なり事業者の関係なり、画一的な形で対応する状況というのはなかなか難しいのかなと。そういうふうに、現在どういう形で取り組んでいくか、物、品目によってどういう対応が可能かという研究をしている状況にございます。
  182. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 生鮮食品そうでしょうけれども、これ、前に農水委員会で指摘させてもらったんですけれども、やっぱり加工食品とか外食についても形はいろいろ、同じようにはできないでしょうけれども、やっぱりその辺に一つの大きな、比重は大きいですから、そういうところも、そういうところができるようにならなきゃいけないなというふうに私は感じておりまして、可能なところからでなく、可能にして、よろしくお願いをいたしたいと思っております。  それと、食品の安全性について、これは今の関係閣僚会議の資料とは関係ないんですけれども、かつて、この安全性について、いわゆるホウレンソウ、中国からの輸入農産品に残留農薬があったというようなことをいろいろ議論していたときに、食品衛生法の中の残留農薬の基準を見せてもらいましたら、DDT、BHCが入っているんですね。  私、非常に素人でという面もございますけれども、非常にびっくりしたもので、ああいうものは完全にもう日本からは、日本にはないものだと思ったら、残留農薬からはそういうものがあるということをお聞きして、一方、農薬規制法ですか、そちらではDDT、BHCというものが除外されている。だから、一般の人は日本国内ではそういうものはないというような、ないんだろうというような見方でおったと思うんですけれども、常識的に見ればそうなんですけれども、農産物には、輸入農産物には入っているということが非常にびっくりしたと同時に、その整合性が、そのときのお答えで、外国の調査会か何か知りませんけれども、それでいいんだというようなお話がございましたけれども、やはり僕は、外国でそうあれ、日本国内ではやっぱり日本で決めた日本の食生活の在り方、食生活というものもありますし環境もあると思うんですね。  そういうところから、そういうものはやっぱり日本で決めたものに従うべきであるんじゃないかなというような気がしたんですけれども、その辺、前回は部長からちょっとお聞きしたんですけれども、今日大臣おられますんで、そういうやつは、これからそういう食品管理、安全管理というのは一本化していかないとなかなか分かりにくいと思うんですね。そういう面からも、そういうものについてもしっかりととらえてやっていかなきゃいけないなと、一本化していかなきゃいけないなと思うんですが、この点だけ大臣の所感をお願いします。
  183. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 御指摘のように、このBHCとかDDTというのは、現在の日本ではもう使われておりませんし、生産もされていないわけでございますが、しかし、かつては使ったことがあるものですから、現在の農産物の中から全く出ないかといえば、やはり一部出るところも、出るものもあるという状況でございます。しかし、新しくは使われていない。  私も、先生からの御質問がありますのでちょっと調べさせていただきましたところ、やはりいわゆる安全量というものが決定できるものとできないものによって区別をしているわけでありまして、例えば発がん性が確認されるといったような許容一日摂取量、いわゆるADIでございますが、この許容一日摂取量が設定できない農薬、できないものにつきましては不検出ということになっております。しかし、これがこのADIが設定できる農薬につきましては、これは農薬の摂取量がADIの範囲内となるような基準値を設定すると、こういうことになっておりまして、このBHCでありますとかDDTというのは、農作物について農薬の摂取量がADIの範囲内となるような基準値を設定する方に入っている、すなわち安全量が決定できる範疇に入っている、そういうことで今なお残っていると、こういうことになっております。  だから、そういう立て分けになっているものですから、先生がいろいろ御疑問を持たれるのは私もごもっともだという気はするわけでございますが、そういう振り分け方で現在来ているために残っているということでございます。
  184. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 御説明、前回よりも詳しくお聞きしたんですけれども、何といいますか国民的な消費者の感情からいくと、もっと単純なんだと思うんですよね。例えば、今お話聞いた中でちょっと私なりに疑問というか問題点が上がってきたのは、じゃ、日本の方は土は大丈夫か、日本の野菜は大丈夫かということになっちゃうんですね、もしあるとすれば。その辺もしっかりとやらなきゃいけないという問題に大きく広がってくる可能性があると思うんですね。これはある意味じゃ環境問題まで広がっていって、農薬とか農業だけの問題じゃないかもしれませんが、その辺簡単な問題ではないかもしれませんけれども、今環境問題いろいろ言っている中では、そういうことも含めてこれからいろいろと考えていただきたい。  前回質問したとき、最後に、もうお辞めになりましたけれども、武部農林大臣に、議論した後で御意見伺ったら、要するに「非常に大事な問題でありまして、食の安全、安心という確保のためにも、厚生労働省とも連携を取って」と、こういうお話をされておりますので、これだとまだ進行形の問題だと思いますので、これからその辺、私もどうしていいかということを言えないものですから意見言えませんけれども、しっかりとその辺の疑問、私がこう申し上げたのも、外国から来ている農産品にはBHC、DDTが入っているよということを公に明らかにするということも、食の選択をする場合、安全性の選択をする場合の消費者の情報になると思いまして度々言うんですけれども、また、そういう疑問がだんだん上がってくると思いますので、ひとつよろしく今後も検討をしていただきたいと思います。  それともう一つ、これも前に質問したことなんですけれども、輸入農産物が非常に管理できないというか、要するにいろんな許されざる農薬が残留しているという問題を解決する一つの方法として、食品衛生法の水際のやり方もあるかもしれませんけれども、それと併せて実際に営農しているところを監視でもないですけれども、巡回してみる必要があるんじゃないかと、それによって抑止力も出てくるんじゃないかというようなことを申し上げたことがあるんですが、そのときに、巡回というか現地調査というのは、昨年ですか、昨年からお始めになって、私は昨年からお始めになったのかと思ったら、昨年と何か二回ぐらい行かれたんですね。  私は、そういうものを継続的なものかというふうに期待したんですけれども、その辺、どうなっているのか、継続的なものなのか、今どこに行こうとされているのか、その辺をひとつよろしくお願いします。
  185. 尾嵜新平

    政府参考人(尾嵜新平君) 中国の残留農薬問題に関しまして、今、先生からお話ございました現地調査ということで、一つは今年の一月に私どもの担当者が鶏肉の関係で中国に参りました際に、当局に残留農薬についての実態について聴取をしたということがございます。その後、六月と八月に再度向こうの政府との接触と同時に、この野菜が栽培されている中心地は山東省でございまして、山東省の現地に参りまして、その企業、いわゆる公司と申すようでございますけれども、そういったところまで参りまして実態を見たり、あるいは聴取をしたという内容がございます。  それで、簡単に申し上げますと、一つは、向こうの方では輸出向けについては残留農薬基準というのは相手国の基準に合わせるという基本的な考え方で、一つは企業の方で、加工の工場のところで農薬検査をして残留農薬が違反でないかどうかを確認すると。また併せまして、検疫当局というのがございまして、これは政府機関でございますが、そこで再度またその確認をすると。その上で輸出をするということで、工場についても登録制を取っておるというふうな状況がございました。  また、直近では八月に参りましたが、さきの国会で議員立法で食品衛生法の一部の改正が成立いたしました。その関係で八月に参ったわけでございますが、こういった我が国での残留農薬の問題につきまして中国もかなり今真剣に取り組んでいただいているようでございまして、一番問題になっておりますクロルピリホスという農薬についてはそれを使用しないようにという今指導をされておりまして、実際に私どもの担当者が八月に参って山東省で現地を見ましたところの加工場につきましては、栽培しているところではクロルピリホスは使っておらないというふうな状況であったと、そういうふうなことも含めて調査をいたしておりまして、これについては、いずれにしても中国当局とは技術協力を課長級で枠として今後もやっていきましょうというお話をしておりまして、そういう意味も含めて今回の現地調査でもう終わるということは考えておりませんで、今後も引き続き技術的な問題も含めて向こうとは継続的な関係を持っていきたいというふうに考えているところでございます。
  186. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ありがとうございました。  それで、今の御答弁とも関連するんですけれども、これ私、実態を把握せずにこんな質問していいのか大変失礼なんですけれども、いわゆる日本が輸入している農産物を作っているところに対していろいろうわさもございますし、日本の企業が資金援助をしているとか技術協力をしているとかというところも当然あるんじゃないかと。私、これ悪いと言っている意味じゃないんですけれども、そういうところもあるんじゃないかと。それと、またあるいはODAでやっているところもあるんじゃないかと。ODAになると、それが果たして日本の国に逆輸入されて日本の農家の首を絞めているというのはいかがということがありますけれども、ODAでやったら一番最初はやっぱりその国の人が豊かになるために消費してもらいたいなと私は思うんですけれども。しかし、それは余談ですが、いわゆるそういう日本の企業が関与しているというのであれば、日本の企業の人に教育することが手っ取り早い方法だと思うんですね。  だから、その辺を、どういうところがどういうふうにやっているかということを今まで農林省なり厚労省なりやっておられるのか、あるいはやるおつもりあるのか、その辺をひとつお願いいたします。
  187. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 中国からの野菜の輸入でございます。  かつては日本の商社が技術指導でございますとか種子の提供でございますとか行いまして、日本人の嗜好に合った野菜作りというものを指導し、日本へ輸入していたというのが多かったわけでございます。私ども、近年、聞くところによりますと、もはやそれよりも中国国内において野菜そのものが他の作物より収益性が高いということによりまして、中国側自らが積極的に生産拡大をしているという状況にあるというふうに聞いております。  実は、セーフガード問題が昨年ございまして、このうちのネギにつきまして、我々、輸入商社に対するアンケート調査を実施したわけでございます。その中で、生産の技術指導、あるいは種子の提供、資金の提供、いわゆる開発輸入を行ったと回答した企業が約二割でございまして、全体の中ではそう大きな割合は占めていないということがうかがわれる結果ではございます。  ただ、現在、日中農産物貿易協議会というのを定期的に行っておりまして、その中の話合いによりまして、日中間の秩序ある貿易というものが双方の利益になるということについて共通の認識が醸成もされてきております。  また一方で、種子を扱っております種苗の業界でございますけれども、販売先の九割以上は国内であるということでございまして、国内農業の縮小というものがその種苗業界にとっても死活問題であるということでございまして、種子の輸出に当たっては国内産地への悪影響というものを回避したいということを自ら宣言をしておるというような状況にあるところでございます。
  188. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 余りないということですね。ということは、本当に日本農業とそういう近隣の生鮮野菜を作っている農業国との競争という状況ということが現実だということですか。私、調べていないので、これはまた私なりにいろいろまた聞いてみたいと思っておりますが。  実は、厚生労働省の今日の審議なんですけれども、外務省経協局長に来ていただいておりまして、これは先週私質問残しちゃったものですから、その残りをちょっとお聞きしたいということでお呼びいたしたんですけれども、御容赦をお願いいたしたいと思います。  先週から、経済協力といいますか日本のODA、これは、私の質問の原点は、こんなに借金している国家財政の中で何でやるのかという国民の声が最近非常に多いと、だからしっかりと経済協力というのを分析して、これで、こういうことだからやらなきゃいかぬのだということをやらなきゃいけないんじゃないかなということで何人かの閣僚の方々にお聞きしたんですけれども局長も前回おられたでしょうけれども、川口大臣の御答弁は、それはあれなりに正確かもしれませんけれども、あれを国民に求めたって分かりはしないというのが私は本音だと思うんですね。あれだけのことを長々と言って、それを真剣に聞いてくれる人ならいいですけれども、ぱっと判断する国民の目から見たら、なかなか認識し難いと。  そこで、私は、援助というのはいろんな要素があると思いますけれども、その中で、日本の産業界というか経済界に返ってきているというか、そこに資する面もかなりあるんじゃないかと思っているんですよ。それで前回、いわゆるひも付き援助がどのぐらいあるのかということでお聞きしたら、たしか円借款だけで三割ぐらいが、三割強がいわゆるひも付きであるということをおっしゃられたけれども、これは条約とか交換公文か何かでやったひも付きなんでしょうけれども、実際はもっと日本企業が取りやすい部分があると思うんですね。だから日本企業が取っちゃ悪いということじゃないんですけれども。  そうすると、援助というのは何かというと、ある意味じゃ、ある部分は、金の面からいけば日本の金が相手の政府に渡ってそれが日本の企業に行っちゃうと、だからそこでなぜ、援助の目的を果たすためにはそれが効用がなきゃいけない、何らかの効用、相手国に対して、残った、作ったものが効用がなきゃいかぬというのが私なりの解釈なんですが、これは時間がありませんから、本当は円借款だけじゃなくて、いわゆるグラントというのはもっとひも付きが多いと思うんですけれども、それを聞かなきゃいけないんですけれども時間がありませんので、本当に効果があったかどうかということをどのような調査なり、ことをされておるのか、これからどういうふうにされようとしているのか、その辺を御答弁いただきたいと思います。
  189. 古田肇

    政府参考人(古田肇君) 御答弁申し上げます。  タイドについての御指摘ございましたけれども、援助といいますか経済協力の効果ということにつきましては、タイドであれアンタイドであれ、本来のODAの目的に沿ってきっちり使われていくということを確認していくことが大事だというふうに私ども思っておるわけでございます。  このために様々なレベルでプロジェクトの評価というものを行っておるわけでございます。大ざっぱに申し上げますと、政策レベルの評価、これは国別のODAの実行状況の評価でありますとか、重点課題別の評価でありますとか、こういった面での評価は外務省自身が行っておるわけでございます。  それから、私どもプログラムレベルの評価と言っておりますが、セクター別でありますとか、テーマ別でありますとか、そういった固まりの評価につきましては外務省及び実施団体でありますところのJICAあるいは国際協力銀行が行っておると。  それから、一つ一つの、プロジェクトレベルの評価というふうに言っておりますが、一つ一つのプロジェクトの評価というのはJICAなり国際協力銀行なりの実施団体がそれぞれ行っているということでございます。その際の考え方といたしまして、OECDの開発援助委員会、いわゆるDACでございますが、そこで定めた評価五項目というのがございまして、効率性、それから目標の達成度、それから具体的にどのような効果があったか、それから目的達成の手段としてのODAプロジェクトの妥当性、それからそのプロジェクトの維持管理という意味での自立発展性と、こういった五つの評価項目が出ておるわけでございますが、そういったことを中心に実施しておるわけでございます。  加えまして、評価の客観性ということを更に高めていくという観点から、本年七月にODA改革・十五の具体策を外務省といたしまして発表しておりますが、そこではさらに、今申し上げました評価に加えて、有識者等の第三者による視点を取り入れた評価を導入すると、さらには、非援助国政府との連携をしながら評価をしていくという観点から、非援助国政府の評価能力の向上のためにも力をかしていくというようなことを更なる評価の客観性という意味で取り入れていこうというふうに考えておるところでございます。
  190. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ありがとうございます。  ただ、私、いわゆる一般国民の一人としてのあれから言いますと、今物すごい、やっぱり外国に行っていますよね。だから、そういう外国に行った人が見て、ああ、これは日本の援助か、それでこんなに使っているのかと。例えば橋だったらこんなに便利になったのかという、そういう実感されることが、やっぱり援助というのは、借金をしてでもとは言いませんけれども、非常に大事なものであるという認識につながると思うんですね。だから、書面だけのそういうおざなりなものでなくて、そういうその辺のPRも含めたことを是非やってもらいたいと。  経済協力局長、鳴り物入りと言っちゃおかしいですけれども、外務省で改革の旗印みたいなお人ですから、その辺で大いに外務省的な発想から転換するような大きなことをやっていただきたいなと思っております。  それと、先ほど言われました、きちっと使われているかどうか、これが一つまた問題でして、これは平成十二年度の決算、これは前にも申し上げたんですけれども、会計検査院が、外国の援助の、ODAの決算は限界があると書いてあるんですよね。それは確かに相手の主権に入って侵すわけにいかないから、それは限界があるかと思いますけれども、これは相手との話合いだと思うんですよね。相手だって、これは日本の余った金を使っているとは思っていないでしょう、日本国民が税金で、日本国民の税金が行っていると思っているわけですから。日本国民は、その税金の使途というのに対して、はっきり使われているかなということを知る権利といいますか、そういう知りたいと思うのは当然だと思うんですけれどもね。  そういうことのために、いわゆる向こうの会検と共同してでもいいんですけれども、何かもう少し日本の会検として、日本の金だからこういう、ここまで入って検査をできるというようなことを考えるべきでないかと。これは、この間の会検の決算審議のときにもそれを申し上げたんですけれども、やっぱりこれから会検の方は、いろいろな国際会議とか何かあるから、そういうところで提案してやっていきたいというようなことを言っておられました。だから、そういう前向きの努力があると思うんですけれども。  ただ、一番残念だったのは、五月八日、代表質問で私がこれを指摘したら、川口大臣が、本当に木で鼻をくくるような御答弁いただきまして、本当に外務省、考えるのかなというような感じだったんですけれども。その辺、やっぱり会検だけじゃ解決できませんので、外務省があってそういう交渉事になると思うんですけれども、その辺、局長、どうお考えになりますか。
  191. 古田肇

    政府参考人(古田肇君) 御答弁申し上げます。  ルールといたしましては、あくまで会計検査院は我が国の決算等の検査ということで、外国に直接検査権限が及ばないということになっておりますし、検査院の検査報告書でもそのように書いてあるわけでございますが、そういう制約の中で、さはさりながら、現に相手国の中でどのように使われているかということを最大限明らかにしていこうということで、検査員自身が相手国に赴いて、相手国の協力の得られた範囲内で現地調査をやっていただいておるわけでございます。現に、平成十三年中には十か国、八十一事業について検査が行われております。  その際、御指摘のように、相手側の実施機関でありますとか様々な組織との関係で現地の大使館が検査院の調査を、何といいますか円滑に行われるように、先方との間で一種の橋渡し役といいますか、つなぎ役といいますか、そういった努力もしておるところでございまして、御趣旨を踏まえて、更にそういった意味で検査院と協力をしながら透明性を高めていくということに努めたいと思っております。
  192. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 時間が来ましたから、ちょっと一言。  私、言い漏らしましたけれども、こういうことを言いますのは、要するにODAに関していわゆる不純なうわさというか、いろいろなものがあるのを、そういう検査体制をしっかりするということで抑止できないかという意味もございますので、その辺ひとつよろしく御検討いただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  193. 中原爽

    委員長中原爽君) それでは、他に御発言もないようですから、平成十一年度のうち、厚生省及び労働省並びに平成十二年度のうち、厚生労働省決算についての審査はこの程度といたします。  次回の委員会は明三日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十一分散会