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2002-09-26 第154回国会 参議院 決算委員会 閉会後第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年九月二十六日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  九月二十五日     辞任         補欠選任      藤井 俊男君     小川 敏夫君      大沢 辰美君     小泉 親司君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中原  爽君     理 事                 岩井 國臣君                 佐々木知子君                 中島 啓雄君                 川橋 幸子君                 谷  博之君                 八田ひろ子君     委 員                 荒井 正吾君                 泉  信也君                 加治屋義人君                 柏村 武昭君                 北岡 秀二君                 後藤 博子君                 三浦 一水君                 朝日 俊弘君                 池口 修次君                 海野  徹君                 小川 敏夫君                 神本美恵子君                 辻  泰弘君                 風間  昶君                 遠山 清彦君                 山本  保君                 小泉 親司君                 岩本 荘太君                 広野ただし君                 田嶋 陽子君    国務大臣        外務大臣     川口 順子君        国務大臣        (防衛庁長官)  中谷  元君    副大臣        防衛庁長官   萩山 教嚴君        外務大臣    植竹 繁雄君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        木村 太郎君    事務局側        常任委員会専門        員        島原  勉君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       村田 保史君        内閣官房内閣審        議官       増田 好平君        内閣官房内閣参        事官       井上  進君        警察庁警備局長  奥村萬壽雄君        防衛庁防衛参事        官        野津 研二君        防衛庁防衛参事        官        大井  篤君        防衛庁防衛局長  守屋 武昌君        防衛庁運用局長  西川 徹矢君        防衛庁人事教育        局長       宇田川新一君        防衛施設庁施設        部長       大古 和雄君        外務大臣官房長  北島 信一君        外務省総合外交        政策局国際社会        協力部長     石川  薫君        外務省アジア大        洋州局長     田中  均君        外務省北米局長  海老原 紳君        外務省経済協力        局長       古田  肇君        海上保安庁長官  深谷 憲一君    説明員        会計検査院事務        総局第一局長   石野 秀世君        会計検査院事務        総局第二局長   増田 峯明君     ─────────────   本日の会議に付した案件平成十一年度一般会計歳入歳出決算平成十一  年度特別会計歳入歳出決算平成十一年度国税  収納金整理資金受払計算書平成十一年度政府  関係機関決算書(第百五十一回国会内閣提出)  (継続案件) ○平成十一年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第百五十一回国会内閣提出)(継続案件) ○平成十一年度国有財産無償貸付状況計算書(  第百五十一回国会内閣提出)(継続案件) ○平成十二年度一般会計歳入歳出決算平成十二  年度特別会計歳入歳出決算平成十二年度国税  収納金整理資金受払計算書平成十二年度政府  関係機関決算書内閣提出) ○平成十二年度国有財産増減及び現在額総計算書  (内閣提出) ○平成十二年度国有財産無償貸付状況計算書(  内閣提出)     ─────────────
  2. 中原爽

    委員長中原爽君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二十五日、藤井俊男君及び大沢辰美君が委員を辞任され、その補欠として小川敏夫君及び小泉親司君が選任されました。     ─────────────
  3. 中原爽

    委員長中原爽君) 平成十一年度決算外二件及び平成十二年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、平成十一年度のうち、外務省及び防衛庁並びに平成十二年度のうち、外務省及び防衛庁決算について審査を行います。     ─────────────
  4. 中原爽

    委員長中原爽君) この際、お諮りをいたします。  議事の都合により、これら決算概要説明及び決算検査概要説明の聴取は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 中原爽

    委員長中原爽君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  6. 中原爽

    委員長中原爽君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 三浦一水

    三浦一水君 自由民主党の三浦でございます。  冒頭、先般の総理訪朝につきまして、その評価と、今後の交渉に臨む外務省川口大臣としての決意をお伺いしたい、そのように思います。  今回の小泉総理訪朝につきましては、国交のない国への総理訪問としましては、鳩山総理ソ連訪問田中総理中国訪問に次ぐ歴史的なものがあるという評価が一般的であり、私もそのことは高く評価をしたいと思います。今朝も、アメリカケリー次官補北朝鮮との協議に臨みたいといったようなことが報道されておりました。アメリカに先んじて、あるいは米朝協議に対しても道を開いたという意味合いも持てるのではないかと思っております。  あえて申しますが、非難ばかりを受けておられる事務方皆さん方にも、その御苦労を多としたいというふうに思います。  しかし、最大の懸案でありました拉致問題につきましては、八名の方が死亡なさっているという情報であります。このことは、本当に私自身も愕然とする思い北朝鮮という国は我々なかなかイメージを持ちにくい国でありますが、本当に言われているとおりの国だったのかなという思いすらします。そしてまた、今の限られた情報の中では非常に不自然だということを素人ながら指摘をせざるを得ないんだろうというふうに感じております。これはもう御家族心痛はもとよりでございますが、国民全体が到底この情報では納得できないという思いをすべてが抱いている現状ではないかというふうに思います。  加えて、外務省のその後の対応というものも誠にずさん極まりない。私も与党としてもこれは言わざるを得ない状況でありまして、なぜあの簡単な生年月日の発表が遅らされたのか。これは、衆議院での外務委員会のいろんな話、田中局長お話を聞きましても、これはとても納得できるものではないというふうに今日まで感じております。  本当にそういう意味では、御家族心情を逆なですることはもちろんでありますが、瀋陽の総領事館の事件以来、国民不信というものを更に、外務省に対する不信というものを増す結果になっているのではないかと私自身としても懸念をいたしますし、独断専行と言われてもこれはやむを得ない、そういう今回の外務省対応ではないかというふうに感じております。  一方でマスコミの世論調査では、今回の小泉総理北朝鮮訪問評価をし、国交正常化交渉を再開をすべきだと認める方々が五四%に上るという報道がございました。しかし、また一方で、先ほど申しましたことを反映するわけでありましょうが、北朝鮮とは急がず粘り強く交渉をすべきだと回答した人が一方で七六%にも及ぶということであります。この調査の結果は、国民の圧倒的多数が自らの犯罪を認めた北朝鮮との間で国交正常化にこのまま進んでよいのかという素朴な疑問を抱いていることを示していることではないでしょうか。  私は、実は九八年の三月に北朝鮮を自民党の食糧事情調査団の一員として訪朝をいたしました。中山正暉団長の下でであります。  そのときに私が自分の目にしましたものは、車はあっても走らせるガソリンがない。高速道路を二日間の時間の中で三百キロ走行をしました。その間に、私の記憶では、擦れ違った車、後続の車、これらについては十台ぐらいしかなかった。ほとんど、六車線もあります、往復六車の高速道路は我々の専用的な状況であったということを思い出します。そして、農村を視察し、思いましたことは、買い出しの方々が非常に多いと。買い出しする分はまだ北朝鮮にもそういう食料があるのかなというふうにも思いましたが、そんな状況でありました。  果たして一面では、言われているようにこの国が、我々が本当に事を構えたときに、あるいは海外を侵略する、近隣諸国を侵略する力が本当に残っているのかな。夜の町の暗さからもそういうことを素朴に思ったことがございました。  今回、今、この金正日書記におきましても、今回の決断をしてきたということは経済的な理由というものが非常に大きいものがあるだろうと。それがまた政権の安定にもつながっているということは間違いのない事実であろうと思います。私たちに接する向こうの幹部の皆様方の表情というのも、本当に本音においては、もうのどから手が出るほど海外の資本と支援が欲しいというのが本音ではないかということを直接感じたところでございました。  そういう北朝鮮、今後国交正常化を図っていこうということであります。であるならば、もう一つの私は選択肢は、今の異常な政権の中で、あくまで独裁国家であります、あくまで独裁国家であります、この体制の中で、その政権の延命につながるような経済協力等となるならば、これはもう世界的に我々が非難されるだけの結果になるということではなかろうかと考えております。そこで、内部崩壊を待つというのも、逆説ではありますが、一つの私は選択肢になるんだろうということを今の北朝鮮状況から見ることもできるんではないかというふうに感じます。  改めて、川口外務大臣のこの総理訪朝に関しますその評価と、それから今後交渉に臨まれます決意についてお伺いをしたいと思います。
  8. 川口順子

    国務大臣川口順子君) ただいまの三浦委員北朝鮮との関係についてのお考えにつきましてはきちんと注意深く伺わせていただきました。ありがとうございました。  この総理訪朝に関して、国内でも様々な御意見をいただいております。  まず、この訪朝に際して、拉致された人の中で八人の人が亡くなっていらっしゃるという情報北朝鮮からもたらされたということに関しましては、亡くなったとされた方も、それから生存をしていらっしゃるという方についても、御家族の方のお気持ちは、今までの長い間の様々な御心痛の上に、さらに今、今回こういう情報があって、どれほどつらいお気持ちをお持ちであるかとお気持ちをお察し申し上げますし、非常に残念に思っています。  その中で、総理訪朝につきましては、委員も御指摘いただきましたように、これは日本北朝鮮の間が戦後半世紀にわたって、距離的には近い隣国であるにもかかわらず国交正常化がなされないような状態であるという極めて不正常な状況を打開できるかどうかということの御判断をなさりたいということで行かれたわけでございますけれども委員も御評価いただきましたように、これについてはブッシュ大統領を始め、総理の御努力に対して強い支持が寄せられているわけでございます。先般、総理が出張なさいましたコペンハーゲンでのASEMの会議でも、これに対して支持発言が数多くございましたし、この朝鮮半島についての宣言もそこで採択をされたわけでございます。  こうした正常でない状態国交正常化する、できる状態に持っていくということは我が国として歴史的な責務であるというように総理はお考えでいらっしゃいますし、私も全くそういうふうに思っております。また、日朝関係が不安定あるいは不正常であるということは、近隣諸国を含める北東アジアの平和と安定にも非常に大きな影響を与えるわけでございまして、私どもとしてはこれを念頭に、このプロセスアジア北東アジアの平和と安定に資するような形で行うということが大事だと思っております。  日朝平壌宣言というのが出されているわけでございまして、この宣言に示されています精神と基本原則にのっとって、様々な日朝間の諸懸案があるわけでございますし、また安全保障上の懸念、ミサイルの問題等もあるわけでございまして、そうした問題を包括的に処理をしていきたいと思いますけれども、まずその前に、拉致をされた方々真相究明、事実関係がどうであったか、また、今、生存されていらっしゃる方の生活、あるいは亡くなったとされている人についての、どういうことであったかといったようなことについてきちんと解明をしていく努力全力を尽くしてやっていきたいと考えております。  そうしたことをしながらこの正常化の過程を、先ほど申し上げましたような懸案を包括的に議論をし、前に進めながら正常化に向かって全力を尽くしていきたいと思います。  外務省といたしましても、いろいろな外務省に対しての御批判がずっとあるということは承知をしておりまして、反省すべきところは十分に反省をしておりますし、そういった御指摘を今後のこの問題の対応に当然生かしていく、反映をさせて行動で国民皆様外務省が懸命にこの件について努力をしているということを理解していただけるように努力をしたいと考えております。
  9. 三浦一水

    三浦一水君 田中局長にちょっとお尋ねをしたいと思います。  飛行機が北朝鮮に着いた、その状況をテレビで見ました。全く、金大中さんが行かれたとき、あるいはプーチン大統領が昨年、一昨年に訪朝されたときと様子が違う。というのは、軍部の姿が全く、軍の高官という制服組は見えないという点を一つ気付きました。これは、国家元首がお見えになるときの対応としては、私は若干不自然にも見えたし、大方の予想を裏切るものじゃなかったかなと思ったんですが、局長外交に長年携わってこられましてその点どのような印象を持たれたのか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  10. 田中均

    政府参考人田中均君) これは、事前の協議におきましても北朝鮮側はできるだけ歓迎をしたいという意向がありました。他方、小泉総理は、これだけ重い懸案があり、これだけ重いことを扱う訪朝であり、御自分訪朝というのは全く実務的に、そういう一種のプロトコール的なことであるとか、あるいはそういう歓迎の行事であるとか、そういうことを省きたいという明確な意思を持っておられました。ですから、事実を申し上げれば、そういう私たちの主張に応じて北朝鮮側出迎え、それから会談等をそういうアレンジを行ったということでございます。  実は日本の場合に小泉総理が対外的に国家元首という形ではないわけですし、実際の出迎えにおきましても、北朝鮮側からは金永南という国家主席の代行的な役割をしている方が出迎えに来ていた。これは、通常一つの国の首相、総理等訪問するときに一般的な形であるという説明を聞いております。
  11. 三浦一水

    三浦一水君 北朝鮮側からは、そのような派手というか、言葉がちょっと適当でないかもしれませんが、出迎えをしたいという申出はあったんですか。
  12. 田中均

    政府参考人田中均君) そこは、議論の中で私ども総理意向として、今回については、これだけ重い厳しいことについて金正日書記と直接率直に話をするということなので、それ以外のことは遠慮をしてほしいということを申しておりましたから、そういうことを勘案したんだろうというふうに思います。彼らは、通常歓迎はしたいという気持ちは持っていたようです。
  13. 三浦一水

    三浦一水君 北朝鮮側から見ると、一方的に、特務機関あるいは軍の一部と、これはいわゆる工作船とこの拉致問題についてでありますが、という金総書記お話があったということであります。  その点、これはひっくり返してみますならば、軍関係者としては、北朝鮮の、非常に面白くないことであろうなという感じも、断罪をされたということでもあろうかと思いますが、政権と軍ということ、制服組は全く見えなかったということについてはそういう感じというものがあるんでしょうか。どういう分析をなさっていますか。
  14. 田中均

    政府参考人田中均君) ちなみに、名前は失念いたしましたけれども、飛行場には国防大臣に当たる人も来ていたということであります。それから、確かに金正日書記会談で言われたこと、特殊機関であるとか軍の一部というようなこと、それは正に、金総書記のそういう軍の掌握能力がどの程度なのかということは、これから私どもも注意深く見守っていかなければいけないというふうに思います。  確かに、実際にそのようなことを行った軍との関係がどうなっているのかということについては、今後、拉致の問題については事実の調査のミッションを今週の土曜日から送ることにしていますし、そういう事実関係掌握ということの中でも調査を進めていかなければいけないと思いますし、今後、安保協議その他におきましても、その点は十分見極めながら、北朝鮮という国があの平壌宣言に盛られている基本的な原則にのっとって行動するかどうかということについては私どもも十分見極めていかなければいけないことであるというふうに考えております。
  15. 三浦一水

    三浦一水君 我々が北朝鮮感じる脅威というのは軍事的なものがまず第一であると感じます。国内においての勢力ということからもそれが一番であることは間違いないと思います。十分注意を払いながら今後分析を行っていっていただきたいと要望を申し上げておきたいと思います。  拉致問題について大臣に更にお尋ねをしたいと思いますが、本当に御家族は無念だったと私は思います。金総書記小泉総理の断固とした抗議に対しまして初めて拉致事件の存在を認めて、遺憾なことというおわびあるいは特殊機関の犯行であり既に責任者処罰したと、そこまでの発言を引き出したということは、大きなこれは一方で成果だと思います。  拉致問題は、北朝鮮側が認めたように、国家による犯罪行為であります。テロ行為であります。金総書記説明だけでは、先ほども申しましたように、到底納得できるものではない。国民の九一%の方々が、これも報道によるわけでありますが、全容解明を前提として正常化交渉に当たるべきと明確な意思表示をされていることでも、そのことは分かることができるというふうに思います。  具体的に私は、死亡なさっているとするならば、遺体の返還、また家族に対する補償、御遺族の心情に沿った対応が求められると思います。国家として求めるべきものも求めるべきだというふうに思います。生存者の御家族との面会、それから生存者意思に基づく帰国については、時期、手順ができるだけ速やかに明確にされなければならないというふうに思います。  そこで、政府として、拉致問題について明確な解決が図られない限り、私は日朝国交正常化交渉、そして他の案件について具体的な交渉に入るべきではないと思います。川口外相の御見解を賜りたいと思います。
  16. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 委員が今おっしゃられましたように、拉致問題につきましては、首脳会談におきまして金正日書記から、遺憾なことであっておわびをする、関係者については既に処罰をした、今後二度とこのような事案が発生しないようにするという趣旨のお話があったわけでございます。  私どもは、拉致問題の解明というのは一連の様々なやらなければいけないことの中で最重要な課題だというふうに考えております。御家族のお気持ち、御要望を十分に踏まえながら、委員が今おっしゃられましたように、生存者と御家族との面会あるいは生存していらっしゃる方の自由意思に基づく帰国等、そして亡くなったとされた方についてはその状況等について十分に解明をしたいと考えております。  九月の二十八日から政府調査団派遣をすることといたしておりまして、昨日発表をさせていただきました。こういった状況の事実関係解明をきちんと行いながら、前に前進をしていきたいと思っております。
  17. 三浦一水

    三浦一水君 拉致問題について更にお尋ねをしますが、北朝鮮によるこの事件は、川口外相衆議院で答弁をなさっているように、我が国の主権の侵害であることは明白であります。今回、北朝鮮側から伝えられた拉致被害者八名の死亡の情報は、その真偽をまず早急に確認する必要がある。そういう意味で、適宜な調査団派遣だというふうに感じております。  今後、この方々、亡くなられた方あるいは行方が不明な方、これが正確に事実として判明をした場合には、許し難い私は国家犯罪を犯した北朝鮮に対し、その犯罪行為を糾弾をし、責任を明確にさせなければならない、このことは絶対の条件だというふうに感じております。北朝鮮に対し拉致事件を犯した関係者の特定と処罰、身柄の引渡しはもとより、我が国被害者家族に対する謝罪、損害の賠償を求めるべきだと思いますが、再度、川口大臣お尋ねをしたいと思います。
  18. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今回派遣をいたします政府調査団仕事として、今、委員がおっしゃったような拉致事件についての真相究明のため、事実の解明努力全力を挙げて行うということが今度のその調査団仕事でございます。これをベストを尽くして最善の努力を行って先方と話をしていく、そして真相解明していくということが大事であると思います。そうした真相究明を行う、そして国交正常化プロセスの中でそれをきちんとしていくということが非常に大事なことだと考えております。
  19. 三浦一水

    三浦一水君 田中局長お尋ねをします。  二十一、二十二日に中国大連日朝協議非公式協議が行われたと聞いております。報道によりますと、八人の死因の説明については、北朝鮮側は十分に説明する準備があるという報道もなされているようでございますが、当然今回の調査団派遣についてもその協議があったものかと思いますが、その内容をお知らせいただきたいと思います。
  20. 田中均

    政府参考人田中均君) これは大臣が御答弁されましたとおりなのですけれども、私も、事務的に先方と折衝をずっとしておる中で、正に十七日の日に八人の方が亡くなられているという北朝鮮側情報に接したときの気持ちをいまだに引きずっている。  で、やっぱり重要であるのは事実の解明をすることであるというふうに思いますし、正にその基本方針、これを最重要な課題として、まず事実の解明を進めると、こういうことは先方に強く申入れをしたということでございます。先方は、これは正に金正日書記が明確に拉致と認め、謝罪をしたことである、したがってその指示に基づいて情報の全面的な開示をしたいということでございます。私たちはこれを、きちんとした調査団派遣し、先方から断片的なことではなくて包括的なことをきちんとお話をしてもらう。そういうことに基づいて、当然日本側の疑問とかそういうことも出てくるであろうというふうに思います。  ですから、必ずしも一回の調査団派遣によって全容解明されるということにはならないかもしれません。しかしながら、この点については正に真実に基づいて事実の解明が行われなければいけないということについては、非公式な協議を通じても確認がされている。  ただ、重要であるのは、私ども非公式な協議を通じてやることというのは、それが公式に確認をされなければ何の意味もないということでございますし、今回の事実関係調査団派遣等を通じて、できるだけ公式的に事実関係解明を行っていくということだと思います。そういう段取りについて先方お話をさせていただきました。
  21. 三浦一水

    三浦一水君 これまでの努力のまた延長線上にある御努力かと思います。しっかりやっていただきたいと思います。  それから、今回の八件十一人のほかの方々においても、救出の会によりますと七十人程度がその疑問があるんではないかというふうなお話も聞いております。今朝また、報道では十人の新たな拉致ではないかという問い合わせが救出の会にあったと。そういう意味では、しかるべき機関を設置をしてもらいたいという救出の会の代表のお話も今朝ちょっとテレビで目にいたしました。この点は是非御検討をされるべきだろうと私としても要請をしておきたいと思います。  これらのその他の方々について、今後の対応をどう図っていかれるのか、その方針についてお尋ねをしたいと思います。
  22. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 様々な新しい懸念あるいは拉致されたのではないかと考えられているその御家族お話を私も報道で接しておりますし、外務省も警察と連携を取りながら話をしておりますけれども、まず、これらについては捜査当局においてきちんと事実の解明が行われるということが第一歩であるかと思います。そして、その上で、外務省は捜査当局と十分に連携を取りながら、その状況に応じて、当然、その疑惑が非常に高い、疑いがあるということであれば北朝鮮に対してその話をしていくと、そういうことでございます。
  23. 三浦一水

    三浦一水君 先ほど私が九八年に訪朝したと申しましたが、その折に典型的なこの八件十一人の枠外にあられる寺越武志さんにお会いをしてきました。そのお母様の友枝さん共々におうち、四LDKぐらいであったと思いますが、に訪ねて、若干の懇談をさせてもらいました。  そのときに、私もちょうど中華人民共和国に昭和五十四年当時いた、共産中国にいた経験がございます。そのことでいろんな社会、共通点も北朝鮮とはあるようでございまして、そういうことを思い浮かべながらお話をさせてもらいましたが、三十数年北朝鮮での生活を経験されて、非常にたどたどしい日本語の中でお話をされました。印象的だったのは、大変北朝鮮国家を誇りにされて、北朝鮮側も自信を持って出されたんでしょうからそれは当然のことかと思います。そして、家族自分の生活と環境等、非常に注意を払いながらたどたどしい中にも話されておりました。見ようでは痛々しくも見えたことを思い出します。  これらの本当に解明すべき内容は、八件十一人以外の方々にも私は多数あるような感じがしてなりません。また、裏付ける話もあるようでございます。この点はしっかり今後やっていただきたいというふうに思います。  次に、再度、リスト問題についてお話をさせてもらいたいと思いますが、あえて私は申しますと、本当に外務省のこの姿勢というのは、この前、総領事館事件の中で英語が分からないとかいう釈明がございました。今回、翻訳に時間が掛かったと。こんなばかな釈明はもうやめた方がいい、私はもう率直に思います。  この国際化の時代の中に、本当に国民一人一人はそのような、外務省がもう独善的としか言いようがありません。一人を思うような、本当に国民は愚かではないということをこの際きっちりと私は認識をされるべきだろうと思います。その点、本当に、川口大臣衆議院でもお断りもあったようなことを聞いておりますが、改めてこの参議院の場でその点について川口大臣の感想、また決意もありましたらお話を聞かせていただきたいと思います。
  24. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 外務省に対しておしかりをいただいたわけでございまして、私どもは、そういったお一人お一人からのおしかりについてはきちんと、そして重く受け止めて対応をしていきたいと考えております。  その上で、そのリストの話についてですけれども、これにつきましては、そのときに渡された資料について、いろいろな考え方はそのときにあったかと思いますけれども、不公表である、事務レベルの段階でそのリストが渡されて、口頭では、亡くなられたとされる年、年月についてはお話はなかったということで、その会談の終わりにハングルの文書が渡されたということで、これは赤十字から赤十字あての文章を参考までというようなことであったかと私聞いておりますけれども。  それについて首脳会談の席できちんとそのお話があったのは、拉致をされた方々の、生存していらっしゃるかどうか、生存していらっしゃる方のお名前と、それから亡くなった方々のお名前であって、そこには、その正式の会談ではそういう、亡くなったとされた年月についての言及はなかったということでございまして、そうした非公式なものを、しかもハングルであったので手間が掛かったというようなこともあって、その後、そこについてはもう話をしなかったということですけれども。  これについては、そういった、一方で外務省のそのときの判断としては、不確かなものを、ただでさえ様々な情報で御心痛を非常にされていらっしゃる家族方々に更にまたそういうことで、としては申し訳ないという思いと同時に、また今から思いますと、家族方々からすれば、少しでも多くの情報を、何でもいいから関係があればとにかく聞きたいと思っていらっしゃるというお気持ち、これは御家族としては本当に当然のお気持ちだろうと思いますので、そういったことを考えて、非公式なものであるけれどもというその前提を付けてきちんとお話をすればよかったと、今になって、その後になってはもちろんそう思っているわけでございますけれども、これについては大変に申し訳なかったと思っております。  ただ、申し上げたいのは、こういうことについていろいろ御指摘をいただいて、本当にもっともな御指摘だと思っておりますけれども、我々としては、外務省としてはベストを尽くして仕事をしている。及ばないところあるいはその考えの至らないところ、いろいろあるかと思いますけれども、そういうことであるということも是非お酌み取りいただきたいと思います。
  25. 三浦一水

    三浦一水君 もうお断りがあっている中に重ねて言うつもりはございませんが、二つの理由を挙げるというのはまずい、これは。二つ理由が挙がればこれは真実じゃないということは一般的に受け止めをします。非公式、それから翻訳に時間が掛かった、これはもう一つで十分なんです、真実であれば。その点はきちっと、やっぱり基本的には真実、情報を公開をしていくということが第一でありましょう、十分留意をしていただきたいと思います。  それから、本当に、これちょっとやっぱり至らないところがあるという大臣のコメントでございました。これはもう非常に謙虚で、それはそれでいいと思うんですが、ちょっと国家を代表する機関としてはがさつ過ぎるということは更に反省をいただきたいというふうに思います。  次に、我が国から北朝鮮に対する補償という問題についてちょっとお尋ねをしたいと思います。  今回、日本側からは、国交正常化後、無償資金協力、低金利の長期借款、もうとても具体的なんですが、人道主義的支援など経済協力を実施する旨を表明をし、終戦前に生じた財産、請求権については相互に放棄する基本原則を確認したということであります。日朝平壌宣言においては、日本側からの経済協力についての部分が他の部分に比べまして誠に今申しましたように詳細であります。これは正に、今回、北朝鮮側が経済的な行き詰まりを打開し、金正日体制の延命を図るべく、我が国からの経済支援を得ることが最大の目的であったことを如実に示すことであると言えますし、日本側がそれに応じたものと思われます。  何としても、我が国からの経済支援が、ミサイル開発やあるいは南北境界線の大規模な通常兵力の展開など北朝鮮の軍備増強に使われて、本来の目的である疲弊し切った北朝鮮国民の救済あるいは経済の立て直しに使われるという保証はないわけであります。今後の正常化交渉の中で、この点どのように担保をしていかれる所存か、大臣の御見解を承りたいと思います。
  26. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 委員が御指摘のミサイルの問題につきましては、この日朝平壌宣言でも明記をしておりますけれども北朝鮮ではミサイルの発射のモラトリアムを二〇〇三年以降も更に延長していくという意向を示しているわけでございますけれども、こういったミサイルの開発、配備、輸出、そしてこの技術の輸出については、日本はもちろん、国際社会全体としてこれについては懸念を持っているわけでございます。アメリカ米朝の対話に向けて使節を、ミッションを送りたいというふうに考えている理由の一つも、こういった北朝鮮に対しての疑惑があるわけでございます。  こうしたことについては、この正常化交渉の過程の中で北朝鮮とも我が国はきちんと話をしていく必要があると思いますし、また国際社会全体としてこの問題について懸念を持っているわけですから、日本としては米国、韓国、日本と、三国できちんと連携を取りながらこの問題に対処をしていく必要があると考えております。  委員がおっしゃられたように、我が国の経済、我が国北朝鮮に対して行う、この中に入っております様々な経済的な支援について申しますと、これは正常化をした後これを行うということでございます。その正常化の過程までにはこの宣言の精神及び基本原則に従ってきちんと議論をしていくと、そういうことでございます。
  27. 三浦一水

    三浦一水君 交渉は本当に入口前の段階であると思います。一方で、人道支援的見地で米の食糧援助ということも取りざたされております。私は、これはもう基本論においては人道的見地で食糧援助をすることについては私は賛成できることではないかと思っております。問題は、政権の延命につながるようなことだけに利用がされる、あるいは軍事目的で利用がされる、そのことが問題だと。  私は、自分の目で見て北朝鮮国民皆さん方、我々善隣の日本人としてできることがあるならば自らやりたいという気持ちを率直に持って帰ったことは事実であります。米ならばエンゲル係数というものがあります。話では、やっぱり軍部に先に行くだろう、権力の傘の中にある方々に先に行くだろう、しかし何十年も保存できるものではないし、流用はできません。必ず国内で胃袋に収まるものだ、一人がたくさん食べるわけにもいかない、そういう意味合いがあるんじゃなかろうかなというふうに思っております。  経済援助は別であります。これから折衝が始まるわけであります。折衝が進んでいった中では、私は、必ず国際的な機関のチェックが必要であろうし、あるいはまた民間NGOも含めたそういうモニタリングの機能を我々が持っていくということが非常に重要なことではないかと思います。その段階の折には是非御参考にいただければというふうに思います。  次に、工作船の問題についてお尋ねをしたいと思います。  工作船の問題について金総書記は、軍の一部が行ったものと思われる、最後に、今後更にそれを調査したい、このような問題が一切生じないような適切な処理を取るという表明をされたと伺っております。  工作船の出没は、北朝鮮によるスパイ活動や我が国に対する活動であります。拉致事件あるいは麻薬、覚せい剤の密輸事件など様々な犯罪のもととなっているんではないかと言われております。現に、昨年末の奄美大島不審船事件につきましては、勇敢に職責を果たした海上保安庁の三名が負傷をし巡視艦が損害を受けたという重大な犯罪であります。  政府は、今回の金総書記発言事件を終結したものとすることなく、引揚げに、工作船調査を厳格に行うとともに、犯罪捜査、再発防止の観点から北朝鮮側に毅然とした対応を取るべきだと思います。また、損害賠償の要求をどのように進めるかも含め、見解をいただきたいと思います。
  28. 田中均

    政府参考人田中均君) 工作船の問題につきましては、今、委員指摘のとおり、日朝の首脳会談金正日書記の方から軍の関与を認める発言がありました。私どもといたしましては、国家の最高責任者としての発言は重く受け止める次第でございまして、それに基づいて、今後、日朝で安全保障協議というのを立ち上げることになっておりますけれども委員が御指摘があった麻薬等の問題も含め、すなわち安全保障協議というのは、二国間の安全の問題、地域の安全保障の問題と両方扱うことになっていますので、私どもとしては、正に金正日書記発言というものが十分信頼に値するものなのか、それから日朝の共同宣言平壌宣言の精神、原則というのが守っていかれるものなのかどうか、そういう見極めも含めて安全保障協議の中で検討をしていきたいというふうに考えております。  当然のことながら、現在、不審船の引揚げが行われ、犯罪捜査が行われている段階でございますから、この捜査についてはきっちり行われるものであるというふうに考えております。
  29. 三浦一水

    三浦一水君 訪朝関係はこれで終わりたいと思いますが、熊本県関係者も松木さん、私は熊本県の選出でありますが、いらっしゃいました。亡くなられたという情報であります。是非、今度の調査団でそのことも明確に全容をつかんできていただければなと思います。  中国・台湾問題について若干お尋ねをさせてもらいたいと思います。ODAの問題であります。  五十四年、ちょうど私はその年に中国に留学をしました。それからもう累計が対中ODAは三兆円を超えたと言われております。世界の工場だと中国は言われており、我が国のこの空洞化の主なる行き先の、最大の行き先でもあるという状況であります。私も先般上海に行きまして、その高層化された都市、東京をはるかにしのぐ高層化された都市、本当に二十二年前を思い出して、うれしくも思いますが、大変歯ぎしりする部分もあったという率直な感じでありました。  対中ODAにつきましては、第一に、軍備拡張のために軍事費に転用されているんではないかという疑いが今も消えません。第二に、中国の経済発展が著しく、二〇〇〇年には約五百十二億円に達する援助を中国から第三国に実施をしているという状況があるようでございます。本当にこのことを、国民、納税者に納得できる説明はそのことからはいただいていないんではないかというふうに思います。第三には、中国側が対中ODAを、言葉としても私は聞いたこともございますが、戦後賠償の代わりだとみなしている側面があるんではないかという疑問であります。  このようなことから、政府は昨年十月に対中経済協力計画を策定をされたようでありまして、内陸部あるいは環境保全、それから教育、農村の生産向上にODAの重点を置くという方針も立てられているようであります。予算も二四・七%削減をされたということでございますが、いずれにしましても、対中ODAが成果を上げているかという世論調査に対しまして、上げていないという回答が六五%に上ると聞いております。成果が上がっているというのは二二%しかないと。これも報道による数字であります。今後の対中ODAについて援助額を減らすべきであるという回答をした人が四三%で最も多いと。これも、第三国への援助がなされているという現状、それから中国の先ほど来申します経済活況の中では当然のことかなというふうに思います。援助をやめるべきという人は一三%いる、他方、現状維持派が三三%。このように、我が国国民の民意は対中ODAの削減に傾いているということが明白であると言えます。  深刻な経済、財政、我が国のであります。それを考えるときに、対中ODAのいま一遍の精査に基づく削減を断行すべきと考えますが、川口大臣のお考えを聞かしていただきたいと思います。
  30. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 中国への経済協力の現状につきましては、先ほど委員がおっしゃられたように、対中経済協力計画に基づいて案件を精査をし、そして毎年援助の額を決めていっているわけでございます。  中国と我が国との関係考えてみますと、中国は隣国であって、政治、経済、文化、様々な面で我が国と密接な関係を持っている国であるというふうに思います。また、経済発展が、委員も御指摘のように最近非常に目覚ましいということで、我が国との関係についてもかなり多様な側面を持ってきているというふうに思います。そういった国と我が国が密接な関係を維持をしていくということは、日中両国にとっても、またこの地域全体の平和と安定にとっても非常に重要なことであると思います。  経済協力については、引き続き対中経済協力計画に沿ってきちんと案件を精査し、考えていきたいと思いますし、その上で、国民皆様方に対して中国に対する我が国の経済協力の現状と、そしてそれが十分に透明性を持って国民皆様に御理解をいただけるように様々な努力をしておりますけれども、そういう努力をし続けていきたいと思いますし、中国に対しては、私も先般、中国に今月の初めに参りましたときに言いましたけれども、国防費の増大についての懸念あるいは第三国援助についての懸念国民皆様が大勢持っていらっしゃるということを考え、私からも、国防費の状況あるいは第三国援助の実態等について透明性を持ってきちんと説明をしていってほしいということをきちんと申し入れた次第でございます。
  31. 三浦一水

    三浦一水君 その点は、中国側は反応はいかがだったんでしょうか、申入れに対しては。
  32. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 八月の終わりからいろいろなところに行って、今直ちにその反応がどうだったかということを思い出せないんですけれども、余り明確な形で反応はなかったのではないかというふうに今考えますけれども、これについて銭其シン副総理からおっしゃったお話は、失礼しました、日本からの経済協力支援が現在まで発展し、これが減っているということについては理解をする、それから一方で、日本が経済協力と関係のない事柄、国防費とか第三国支援と結び付けることがないようにお願いをしたいということでございまして、私の言ったことについては理解をしてくれたと私は思っております。
  33. 三浦一水

    三浦一水君 次に、日台関係について一点お尋ねをしたいと思います。  我が国アジア外交を幅広くしていく必要性があると思います。その選択肢を広げていくという観点から台湾との関係を今後いかに実質的なものに築き上げていくか、川口外相の見解を賜りたいと思います。  さらに、政府がODA予算から実施してきた台湾に対する技術協力が今年度を最後に打ち切られる運びとなったと聞いております。日台関係の希薄化に拍車が掛かるような結果にならないかと私は大いに懸念をするところであります。その今後の対応についてもお伺いをしたいと思いますが、本当に、台湾海峡を我が国の船籍が通る頻度というのは十分間に一隻だというふうに聞いております。御存じのとおり、そこの制海権というものは台湾が現在制していらっしゃるという状況であります。  私は、いろんな形で私的に台湾の方々と友人も多いわけであって、話をさしてもらいます。その中で、本当に率直に日本人に大変な好意を持っていただいているということは、どの国にも私はないことではないかなという感じがいたします。台湾海峡の問題につきましても、それを恩を着せるような話を向こう側から聞いたことはない。  私は、本当に実質的な関係を築き上げていくことは非常に重要だと思っております。一つの中国という原則においては、アメリカ、米国、日本、これは変わりがないわけであります。しかし、向こう側がその運用について感じていらっしゃることは、なぜ、同じ一つの中国、台湾側からも認めながらも、こんなに日本と米国で差があるのか、全く日本のそれは柔軟性を欠くものだといういら立ちは強く持たれているということを感じております。  そういう中で、昨年十二月ですか、平沼経済産業大臣にWTOの制度下におけますFTAの申入れがあったというふうに伺っております。台湾の林信義経済部長からであったというふうに聞いております。  台湾側は日台FTAの推進について熱心に取り組んでおられるようでありますが、政府として、今、経済界にいろんな検討をお任せになっているということを聞いておりますが、台湾も同じくWTOのもうメンバーで既にあるわけでありますから、経済協議を私は進めていくべきだろうというふうに感じております。  その点につきましても大臣の御見解を賜りたいと思います。
  34. 川口順子

    国務大臣川口順子君) まず、台湾と我が国の基本的な立場ということですけれども、これは日中共同声明に従って、非政府間の実務的な関係として民間及び地域的な往来を維持していくということでございます。  現実には、アジア地域全体の、そして台湾の経済発展に伴って、経済的な交流というのは民間レベルで非常に活発になってきていると私は考えておりますし、人的な交流も活発になってきているということだと思います。  政府といたしましては、基本的な、先ほど申し上げた基本的立場の下でこうした経済交流が順調に進んでいくということを期待をしているわけでございます。  台湾との間では、またWTO、それからAPECといった多国間の枠組みを踏まえまして、民間レベルで経済連携の在り方について議論をするということは有意義であると考えております。台湾はWTOにごく最近加盟をしたわけで、正式に加盟をしたばかりで、今年の一月でございますけれども、まず台湾が加盟をするときに約束をした事柄について、これを確実に実施をしてもらうということが大事であるというふうに考えております。
  35. 三浦一水

    三浦一水君 非公式でありますが、日本経団連が窓口となりまして東亜経済人会議、直近は七月二日に行われたというふうに聞いております、そこでの議論の中身をちょっと聞きましたところ、促進すべきだという意見と、中国との関係あるいはアジア全体の調整をどう図るかという視点も議論をされているようであります。  是非、私は、非常に近く、なおまた我々との関係が深いこの地域、今世界の潮流の中でしっかりと我が国として関係を築いていくべきだろうと思います。経済的な側面にとどまらないというふうに感じております。是非御検討いただくことをお願いを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。  防衛庁関係者には大変失礼申し上げました。
  36. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 おはようございます。自由民主党の中島啓雄でございます。  私は、三浦委員に続きまして、防衛庁関係の問題について若干質問をさせていただきたいと思います。  まず、先ほどもちょっと触れられましたけれども、不審船、領空侵犯等への対応について伺いたいと思いますが、不審船事案、九九年の三月に能登半島沖で不審船が見付かったと。第一大西丸という偽装した船の発見から海上保安庁へ連絡するのに六時間以上掛かったと。第二大和丸についてはもう少し短かったようでございますが。それから、海上保安庁が不審船と判断をして官邸に対策室が設置をされて、いろいろ議論の末、海上警備行動が自衛隊に対して発せられたのが十八時間後だというような報道を承知をいたしております。  それから、昨年の十二月の九州南西沖不審船事案、これは例の沈没した船の話でありますが、これはP3Cの撮影から伝送、解析開始まで五時間掛かったと。それから不審船と判断するまでに七・五時間掛かったと。それから、本年九月の能登半島沖の事案も若干時間が掛かっているというようなことで、やっぱり領域の警備というのは防衛、外交の基本問題でありますので、これに迅速に対応するということが非常に重要だと思いますが、こうした反省を踏まえて、その後どういうような対策を取っておられるか、御見解を伺いたいと思います。
  37. 守屋武昌

    政府参考人(守屋武昌君) 先生御指摘平成十一年三月が第一回目でございますが、この事案では、教訓・反省事項としまして、不審船事案に迅速に対応する必要性が指摘されました。その観点から、不審船を発見した場合の初動対処、海上警備行動の発令前後における相互間の役割分担等について規定しました海上保安庁との間の共同対処マニュアルの策定、情報共有及び対処要領に関する共同訓練の実施等、連携の強化を図ることといたしました。それから、ミサイル艇整備に当たりまして、高速の不審船を追尾するための速力向上等の措置を講じたところでございます。それから、当時は不審船の強制的な停船が大きな課題となりましたので、艦艇、航空機の能力強化ということで十二・七ミリ機関銃等を整備すると。それから、強制停船措置用装備品を研究すると。この研究により、今年度要求に防衛庁としましては平頭弾という特殊な弾を要求いたしております。それから、武器使用権限の強化を内容とする自衛隊法の改正の措置を講じたところでございます。さらに、停船した不審船に円滑に立入検査を行えるよう特別警備隊の新編、艦艇要員確保のための充足率の向上、立入検査用機材の整備を行ったところでございます。  それから、二回目の平成十三年十二月の九州南西沖不審船事案では、この事案でも教訓・反省事項としまして、やはり不審船事案に迅速に対応するという指摘が、反省がございましたので、政府としましては、工作船の可能性の高い不審船ですが、これにつきましては不測の事態に備えまして、政府の方針として当初から海上自衛隊の艦艇を派遣するということをいたしました。それから、情報伝達、情報共有の在り方が問題、課題となったことから、P3Cから基地への船舶画像伝送能力の強化ということで静止画像伝送装置等を装備することにいたしました。それから、このP3Cが帰投した基地から市ケ谷の海上幕僚監部等への画像伝送能力の強化ということで回線の高速化を図ったところでございます。それから、現場隊員の安全確保のために新型ミサイル艇を整備しているわけですが、これに防弾対策を講じることとしたところでございます。それから、遠距離から正確な射撃を行うための平頭弾の措置を講じたところでございます。  それから、先般の九月四日の第三回目の不審船事案でございますが、この事案では今までの教訓・反省等が生かされまして、防衛庁としてはおおむね迅速な情報伝達ができたものと考えているところでございますが、今後とも体制整備を引き続き進めまして海上保安庁との関係を密接に連携しまして、日本としましてより迅速な対応を取れるように対応してまいりたいと考えているところでございます。
  38. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 ありがとうございました。  特に、P3Cの写真伝送などはインターネットであっという間に送れるという時代になっておりますので、是非、早急に完全な整備をしていただければと思います。  領域の警備というのは、当然、第一義的には領海については海上保安庁の所管ということになっておって、マニュアルを作成されたというお話もございましたが、海上保安庁としてはどんな措置を取っておられますでしょうか。
  39. 深谷憲一

    政府参考人(深谷憲一君) 不審船の事案につきましては、先生御指摘のように、政府といたしましても警察機関でございます海上保安庁がまず第一に対処するという基本的な考え方に立っておるところでございますけれども、先ほど先生から御指摘のございました、九九年の能登半島沖の不審船事案がございましたけれども、先ほど防衛庁からも御答弁ございましたように、それの教訓あるいは反省を踏まえまして共同対処マニュアルを作成いたしました。あるいは共同訓練も防衛庁との間で実施するなど、私ども海上保安庁と防衛庁、これ共同して不審船に対処し得るようその連携の強化に努めているというところでございますが、これからも、昨年十二月に九州南西海域の不審船事案というのが発生いたしました。これにつきまして、政府内におきまして検証結果というものを取りまとめたところでございまして、更には御指摘のように本年九月の四日、これも日本海中部の海域におきまして不審船事案が発生いたしました。  今後、その連絡体制につきまして、内閣官房を中心といたしまして関係省庁によります情報の連絡についての検証を更に行おうというふうなことになっておりますが、こういったことを踏まえまして、私ども海上保安庁それから防衛庁の間でより一層迅速な連絡の確保などを図りつつ、更に改善すべきことがあれば改善をし、不審船事案というものに万全を期して、国民皆様の安寧秩序に貢献してまいりたいというふうに海上保安庁としては思っているところでございます。
  40. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 ありがとうございました。  金正日委員長は、不審船事案について今後このような問題が一切生じないよう適切な措置を取ると、こう述べておられるようでありますから、こういうことで一切不審船事案がなくなれば非常にハッピーなことではありますが、現実はなかなか甘くないんで、是非防衛庁、海上保安庁その他、危機管理体制の強化をしていただきたいと思います。  昨年、礼文島の北方とか青森県の沖等で領空侵犯というようなこともあったわけでありますから、これも同時に一つ課題として頑張っていただきたいと思います。  次に、テロ対策等について伺いたいと思います。  ちょうど九月十一日のアメリカのテロから一年をたったわけでありますが、テロ、ゲリラ、あるいは大量破壊兵器とか生物化学兵器の使用といったような危機管理というのがこれ非常に難しい。国対国の関係ではなくて、どこにいるか分からない敵と戦わねばならぬと、こういうことで、アメリカは当事国でありますからテロ直後に四百億ドル、それから七月になって二百八十九億ドルというような追加支出、日本円に直しますと八兆円を超えるような追加支出をやって国家安全保障省を設置をするんだとか、九月二十日のブッシュ大統領国家安全保障戦略では、必要な場合は先制攻撃による自衛権の行使も辞さないというようなことを言っておられます。  先制攻撃にはにわかに賛成するわけにはまいりませんけれども、これだけ大変な力を入れてテロ対策をアメリカはやっておるわけでございますが、我が国においてはどういう対応策を考えておられるのか、まず内閣の方から伺いたいと思いますが。
  41. 村田保史

    政府参考人(村田保史君) テロ、ゲリラ事案や生物化学兵器が使用される事案、こうした事態において国民の安全をいかに確保するかという問題であります。こうした事態の対応において最も重要なことは、言うまでもありませんが、これを未然に防止することであります。そのため、政府としましては、平素から情報収集体制を強化し、出入国管理の徹底を図るほか、重要施設の警備の強化あるいは資金源対策など様々なテロ防止対策を進めているところであります。  しかしながら、こうした努力にもかかわらず、万一我が国において昨年のアメリカにおきますような大規模テロが発生した場合、あるいは生物化学兵器使用のテロが発生した場合などにおいては、政府全体として取り組むべき重大事案として、内閣の主導の下に関係省庁が相互に連携して、被害者の救助を始め被害の拡大防止、犯人の検挙等に全力を挙げて取り組むこととしております。  大規模テロなどの緊急事態については、これまで警察、海上保安関係法、自衛隊法、その他の関係法によって対処体制を整えてきておりますが、今後とも、これの不断の見直しを行い、改善強化をして、いかなる事態にも対処できる安全な国づくりを進める考えでございます。
  42. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 是非よろしくお願いをいたします。  特に、テロ対策というときには情報戦略というのが非常に重要ではないかと思います。IT時代を迎えて、情報収集、解析というのを、最先端の技術が要るでしょうし、いわゆる情報ネットワークの整備であるとかセキュリティーの問題であるとか、そういった問題に対処するためには、非常に高度な専門知識を持った専門家を養成をしていくというようなことも大事だと思いますので、まず第一に、そういった通信ネットワークその他の技術的な問題について伺いたいと思います。  なお、防衛庁では官房情報通信課というようなことを設置されて積極的に取り組んでおられると、こういうことでありますが、民間ではいわゆるチーフ・インフォメーション・オフィサーというようなことで、重役が情報について総合的に見えるというような体制もできておりますので、その辺について伺いたいと思います。
  43. 萩山教嚴

    ○副長官(萩山教嚴君) ただいま中島委員の御質問でございますが、当庁といたしましては、IT化の推進については次の三つの政策を重点的に推進しているところであります。  一つは、防衛庁、自衛隊を通じて、高度なネットワークの環境の整備、また中央から第一線までの情報共有等を目指す情報通信機能の強化、三つ目には、ネットワークの監視や緊急対策等を一元化的に実施する組織の設置、米国の研究機関への留学などによる専門家の確保育成など、情報セキュリティーの確保に努めております。平成十二年六月にIT担当の防衛参事官を設置をいたしたところであります。これは、IT関連業務が一体的に体系的に行うために、この情報通信課を設置したところであります。  委員指摘のように、防衛庁、自衛隊におけるIT化を今後推進していくためには、統括責任者たるCIOの機能強化が必要だろうと考えられるところから、防衛庁における統括責任者である防衛参事官を中心に、推進体制の強化に今後とも引き続き重点的に進めてまいりたいと考えております。  以上であります。
  44. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 ありがとうございました。是非、よろしくお願いをいたします。  次に、いわゆる情報収集とインテリジェンスの問題について伺いたいと思いますが、実は九月十八日に、アメリカの議会の合同委員会における証言では、例のテロについて、九八年段階から既にビンラーディンが非常に危険であるというような情報が流れており、昨年春から夏に掛けてはそういった情報がピークに達して、アメリカ国内、ニューヨーク、ワシントンなどを攻撃するというような情報もあったというような証言が出ておりますが、残念ながらその教訓がなかなか生かせなかったということで、情報戦略というのは非常に難しいけれども、これを何とか活用をしていかなければいけないと、こういうことだと思います。  そういうことで、今どういうことを考えておられるかということをお聞きしたいと思いますが、特に画像情報については、今はどうも防衛庁は外国の衛星に依存をして画像情報を取っておられるというように聞いておりますが、我が国内、国産の衛星による自前の情報収集というようなことも考えておられるのかどうか、その辺を伺いたいと思います。
  45. 萩山教嚴

    ○副長官(萩山教嚴君) 御質問のとおり、現在、防衛庁は各種情報機能の充実を図っておりますが、極めて重要と考えております。  情報本部の画像においてイコノスやSPOTなどの商業衛星画像データを用いていることは事実であります。画像情報の収集、整理を現在行っているところでありますが、情報収集衛星については、政府平成十四年度を目途にいたしまして導入することを目指しております。光学衛星の分解能力が一メートル程度とされていることから、弾道ミサイルや艦艇あるいは航空機の状況等についての情報の入手が可能となるなど、防衛庁情報収集衛星の画像データを活用することは極めて意義あるものと考えております。委員おっしゃるとおりであります。  このため、防衛庁といたしましては、情報収集衛星の運用開始後は、現在活用している商業衛星画像データも加えて、情報収集衛星の画像データなどの活用によって防衛庁として必要な情報を収集して分析していきたいと、かように考えておる次第であります。  以上であります。
  46. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 ありがとうございました。  次に、今後の防衛貢献をどう考えるかというようなことについて伺いたいと思います。  実は先週、私、沖縄へ行く機会がございまして、稲嶺知事のお話も伺ってまいりました。沖縄では日本の米軍基地の七五%が、面積比でですね、沖縄に集中していると、しかも民有地の比率が非常に大きいんだと。そういうことと、もう一つは、非常に基地が多いという状態が五十六年間継続しているということで、香港の租借は九十九か年間だったわけですが、もうその半分の年数がたってしまったというようなことも言っておられまして、基地縮小への願いが非常に切実であるということを申されました。私も全く同感でございますが、なかなか縮小縮小とそれだけ唱えていても限界があると思いますので、やはりいろいろ知恵を絞らねばならないと。その一つに、やはり米軍がいざというときに、当然憲法上の制約はありますけれども日本がいかなる支援をしてくれるかということが明確になっていないとなかなか縮小できないというようなこともあろうかと思います。それが第一点。  それから第二点には、今、防衛の形態が、米ソの対立時代は大国の傘の下で大国がやってくれればいいんだというような感じもあったわけでございますが、今や民族紛争とか地域紛争の時代になって集団安全保障というのが非常に大事になってきたと。財政学的な用語で言いますと防衛も国際公共財ということで、お互いに仲のいい国が協力をして防衛分担をすれば全体としてのコストも下げられるというようなことになりつつあると思いますが、それには応分の負担が必要であるということになります。  さらに、今日のように、テロというような突発事態に備えるためには、国境を越えてテロというのはどこにでも移動するわけで、今回のテロ事件も、例えば今年の一月でしたか、マレーシアで会議を行ったというような情報もあるようでございまして、もうテロは完全に国境を越えて移動する、こういう時代になってきていると思います。  防衛庁・自衛隊としては、そういったテロ特措法による支援に加えて、国際平和協力ということで、カンボジアから始まって、今、東チモールとかゴラン高原とか、かなりの成果を上げておられると思います。  そういう時代認識に立って今後の防衛貢献をどう考えるかということを考えた場合に、例えばテロ特措法、これは二年間の時限立法でありますけれども、それを恒久化するとか、国際平和協力についてももっとしっかりしたものにするとか、そういった考え方も必要になってくるのではないかと思いますが、長官の御見解を承れればと思います。
  47. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 先生御指摘のとおり、昨年の九月十一日の米国の同時多発テロ事件、これは民間機を利用いたしまして自爆テロという形で三千人以上の犠牲者を出すような、そういう規模また手段を講じたものでございまして、新たな脅威というふうに言われておりますが、人類の市民社会に対する国際テロリストの挑戦として、国際社会が結束して、このようなテロは二度と起こらないようにしていこうというようなことで国連でも決議をされ、それに従いまして我が国も、昨年の十一月に我が国を含む国際社会の平和と安定の確保に資することを目的といたしましてテロ対策特措法、これを成立をしていただき、それに基づいて現在インド洋で海上自衛隊艦艇による燃料補給、また国内と外国を含む地域における航空自衛隊の輸送機による協力支援活動を行っております。  また、御指摘のように、PKO活動またホンジュラス、トルコ、インドに対する国際救援活動、また化学兵器禁止機関への陸上自衛官を派遣するなどの国連が行う軍備管理・軍縮、こういった活動にも貢献をいたしておりますし、またアジア太平洋地域の防衛当局者のフォーラムの開催、また国連のPKO局への自衛官の派遣の推進など国際貢献を進めておりまして、防衛庁といたしましても、国際貢献で世界の人たちにとって役に立つ行動ができる日本にすると。また、世界から尊敬される国家を目指してこれからの国際貢献を積極的に実施してきたところでありますし、また今後とも憲法及び関係法令に従いましてできる限りの国際貢献を行ってまいりたいと考えております。  一方、沖縄の米軍の基地を視察されたお考えも伺いましたけれども我が国に駐留しております米軍というのは我が国の安全及びアジア太平洋地域の平和と安定に寄与していると認識しておりまして、政府としても、冷戦が終結後も依然として不透明、不安定な状況が残されておりますので、米軍のプレゼンスを確保し、その抑止力をもって引き続き我が国の安全及びアジア太平洋地域の平和と安定を維持していくということが極めて重要であると。そういう中で日本が憲法の枠内でなし得ることは何かということも十分認識をしつつ、国際社会に向けて貢献しなければならないと思っております。
  48. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 終わります。
  49. 佐々木知子

    佐々木知子君 自民党の佐々木知子でございます。  まず、日朝首脳会談についてお伺いしたいのですが、先ほども同僚の三浦議員からお述べになりましたように、私もこの成果というものに対しては高い評価をしたいというふうに思っております。先般のアジア欧州会議、ASEMの首脳会議におきましても非常に高い評価を得たということで、国際メディアにも取り上げられております。  ただし、これは拉致被害者家族にとってみれば決して高い評価ということにはならないだろうと。横田めぐみさんは、例えば、十三歳で拉致されて、今生きていれば三十八歳、四半世紀もの時が流れております。この間、なぜ日本政府は娘を救ってくれなかったのか、そういうふうに思われてこれは当然のことなのです。  今回なぜこういうふうな歴史的な首脳会談が実現したかということにつきましては、周知のように、今年に入ってからブッシュ政権北朝鮮をイラン、イラクと並んで悪の枢軸というふうに名指しをした。そして、経済的に崩壊の危機に至っている。そして、あるいはロシアや中国、それぞれの思惑。そして、韓国は太陽政策を取ってきたけれども金大中政権も間もなく終わりであると。そういうようないろいろな要素が絡み合ってこういうような成果になったということはもちろんよく分かるんですけれども、翻って考えてみれば、日本政府がもっと毅然とした態度を取り、そして米国や中、ロ、そして韓国、その他国際世論を巻き込んでもっと早くに毅然とした対応を取っていればこういうこともあり得たのではないかと、そういうふうなことを思ったりもするんですが、これについては、外務大臣、いかがでしょうか。
  50. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 委員もおっしゃられましたように、今回の件については国際的な評価小泉総理努力に対してある一方で、拉致された家族方々拉致された方の家族方々におかれましては、様々な思いをこの間お持ち続けていらしたと。その結果として、非常にむごい結果が今、北朝鮮から伝えられているということについて、非常に悔しい思いをしていらっしゃるだろうということはお察し申し上げます。  総理訪朝が今回可能になったということについて、そして平壌宣言にあるようなそういった結果が出てきたということにつきましては、これは様々な要因はあると思いますけれども、まず、我が国として国交正常化に向けて誠実に取り組んでいく、北朝鮮としても懸案事項の解決に誠実に取り組んでほしいというメッセージ、これをずっと送り続けてきたということが大きな要因であったというふうに考えております。  もちろん委員が御指摘のように、ブッシュ大統領の毅然としたメッセージあるいは韓国の太陽政策、そして日本、米国、韓国の密接な連携、そういったことも北朝鮮側の態度の変化を促した要因であったかというふうに思います。  今後、我が国としては、北朝鮮に対して、韓国、米国と引き続き緊密に連携を持ちながら、様々な問題の解明を行う、拉致の問題がその中で最重要な課題であるということはもちろんでございますけれども安全保障上の問題等についても話し合いながら前進をしていきたい、国交正常化に向けて進んでいきたいというふうに考えております。
  51. 佐々木知子

    佐々木知子君 これも三浦議員から指摘されたことですが、今回外務省に随分手落ちがあったと。外務大臣外務省を変える会を立ち上げて、外務省改革を真摯に考えておられるということで私は評価したいと思っておりますが、今回の拉致家族の問題にいたしましても、家族は非常に外務省に対して長い間不信を抱いている。ただ静観しておいてほしいと、騒げば危ない。そして、これはちょっと信じられないことですけれども、十人ぐらいのことで日朝国交正常化が止まっていいのかと、こういう発言をされた外務省の幹部の方たちもおられました。あるいは政治家の中にもこういう発言をされた方がおられたかもしれません。  これは人命軽視も甚だしい考え方であり、また国家主権を侵害されたという意識がまた極めて、極めて甚だしい、欠如をしていると言わざるを得ないことだというふうに考えますが、これに対しては大臣、いかがお考えでしょうか。
  52. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 委員から御指摘のありました発言につきまして、これまで省内で当時の残っている記録を中心に調査をいたしましたけれども、公的な場でそのような発言があったということは確認をされておりません。  他方で、過去の一時期にアジア局において、拉致問題をいかに解決すべきかということについて様々な議論を行ってきた過程で拉致問題を軽んじていると受け取られるような雰囲気があったと指摘されたことにつきましては、外務省として謙虚に受け止めなければいけないと考えております。  今回、北朝鮮側から拉致被害者の安否について情報の提供があったわけでございますけれども政府としては当然のことながら、これがその問題の終わりだということはもちろんございませんで、重大な、最も重大な重要な課題であると受け止めておりまして、先ほど、昨日発表いたしましたけれども政府調査団派遣を九月の二十八日から行います。それから、御家族方々の支援を政府として、全体として行っていくために内閣官房にこの拉致被害者の支援を行う部屋を設けるということで官房長官から発表をさせていただいたわけでございます。
  53. 佐々木知子

    佐々木知子君 今回、日本側は八件十一名ということを提示いたしましたところ、こちらが拉致と認定していない日本人につきましても安否情報が提供されたということで、これは三浦議員からも質問がございましたけれども、警察庁の方で事前に伺ったところ、この把握している数値あるいは推定できる数値についてはここで発表できないということではございましたけれども、鋭意捜査はしていると、そういうふうに伺ってよろしいでしょうか。
  54. 奥村萬壽雄

    政府参考人奥村萬壽雄君) 警察といたしましては、これまで鋭意行ってきました一連の捜査結果を総合的に検討いたしました結果、北朝鮮による拉致の疑いのある事案は現在までのところ八件十一名と判断しておりまして、更にこのうちの一件一名につきましてはよど号犯人のうちの一人の関与が明らかになりましたので、今般逮捕状の発付を得たところであります。  議員の御質問は、これらに拉致されたことが推定される者、これについて捜査をしているかどうかということでございますけれども、警察といたしましては、この八件十一名以外の事案につきましても北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案があると見ておりまして、現在捜査や調査を進めておるところでございます。
  55. 佐々木知子

    佐々木知子君 新聞情報などによりますと、七十人ぐらいいるのではないかというような推定もなされているようでございます。身元がない人をねらっていたということもございまして、なかなか捜査は難しいかもしれませんけれども、これは日本の主権が侵害されたということでございますし、人命の問題ももちろんございます。鋭意捜査を尽くして、その旨北朝鮮にそれをぶつけていただきたいというふうに思います。そして、調査、それから補償の交渉ということも、日朝国交正常化交渉の中で是非きっちりやっていただきたいと。この中で犯罪人引渡しを求めるということももう当然のことだというふうに私は付言させていただきたいというふうに思います。  今回の日朝首脳交渉の結果につきまして、国際的にメディアはかなり取り上げたというふうに承知しておりますけれども、残念ながら北朝鮮のメディアというのは一切金正日書記会談拉致を認め謝罪したということを報道していないというふうに伺っております。国民はやはり知らされていないわけですね。  究極の目標としてはやはり北朝鮮を民主化させなければいけないということになるはずでございますけれども国民に実態を知ってもらうというためにはどのようなことをすべきであるというふうに外務大臣はお考えでしょうか。
  56. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 委員がおっしゃられましたように、北朝鮮国内においてこの拉致問題についての報道がなされていないということについては私どもも承知をしております。当面、先ほどから申し上げておりますように、最優先の課題というのは拉致問題の解決で、解決といいますか、その拉致問題について事実関係真相究明していくということでございます。  そういったことを行いながら、日朝平壌宣言の精神と基本原則にのっとって、我が国としてはアメリカや韓国と緊密に連携を取りながら国交正常化に向けてのプロセスを進めていきたいというふうに考えております。  その先、国交正常化が成った後で、北朝鮮については、国際社会とともに更に改革あるいは民主化といったようなプロセスについて我が国としてもかかわっていくということになるかと存じます。
  57. 佐々木知子

    佐々木知子君 この交渉当時、外務大臣は訪米されていたやに承知しておりますけれどもアメリカの要人ではどなたにお会いになって、どのような形でお告げになって、それからどのような反応が返ってきたか、お伺いしたいと思います。
  58. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今回の訪米の中で、ワシントンにおきましてはパウエル国務長官、ライス補佐官、それからラムズフェルド国防長官にお会いをいたしましたけれども、この会談が終了した時点以降にお会いをいたしまして、その内容についてお話をしたのはライス補佐官とパウエル国務長官でございます。  この会談が終わりまして割に時間がそれほどたたない時点でございましたけれども、お会いをいたしまして、総理訪朝の結果について、拉致問題、核、ミサイル、米朝関係等について説明をいたしました。そして、北朝鮮が核に関するすべての国際合意について遵守をするということを述べたということも紹介をいたしました。そして、今後、安全保障上の問題については引き続き国交正常化交渉の中でこれに対応していくということと、それから我が国の行います経済的な支援については国交正常化が成った後でこれを行うということを申しました。そして、米朝の対話の進展が進むようにそれを慫慂したということでございます。  これに対して、パウエル国務長官からもライス補佐官からも、この報告に関して、拉致をされた方についてのお話もいたしましたので、その家族方々について厚いお見舞いの言葉があったということでございますし、それから小泉総理努力については支持をし歓迎をするというお話がございました。
  59. 佐々木知子

    佐々木知子君 続きまして、日本海の呼称の問題についてお伺いしたいんですけれども日本海の呼称について韓国が東海と呼ぶように要求しているという問題につきまして、時々これはメディアで取り上げられているんですけれども、これの経緯、そして日本政府はどのように対応しているのか、それについてお聞かせ願いたいと思います。
  60. 石川薫

    政府参考人(石川薫君) お答え申し上げます。  国際水路機関におきましては、出版物「大洋と海の境界」の現行版、これは一九五三年版でございます、その改訂作業が数年来進められておりますが、本年八月九日、国際水路機関理事会は、改訂版の最終稿として日本海の部分の二ページを含まない案を加盟国に配付し、その出版について加盟国の賛否を問う回章を発出いたしました。  これに対しまして、我が国は、日本海の単一表記を確保すべく在外公館及び在京の外国の大使館を通じまして加盟国への働き掛けを行うとともに、この国際水路機関理事に対しても直接働き掛けを行ってまいりました。また、海上保安庁も各国水路当局に対し働き掛けを行ってきております。  この結果といたしまして、同機関の理事会は八月九日付けの回章を撤回するという回章を九月十九日に発出をいたしました。これをもちまして、日本海の部分の二ページを含まない改訂版最終稿の出版につきまして加盟国の投票に付するという手続は撤回された次第でございます。  この国際水路機関の出版物におきます日本海の取扱いにつきましては、現時点では未定とされておりまして、いまだ予断を許さない状況にございます。我が国といたしましては、今後とも国際社会に対し我が国の立場への理解と支持を求めるとともに、韓国との間におきましても専門家を交えた事務レベルの協議を開催する等、この呼称問題の解決のため努力をしてまいりたいと考えております。
  61. 佐々木知子

    佐々木知子君 国際水路機関、IHOが日本海というのを白紙に戻して十一月までに新しい名前を決めるところまで話が進んでいるという、こういう報道もあったんですが、そうではないんですか。
  62. 石川薫

    政府参考人(石川薫君) これが九月十九日付けをもちまして先方機関は撤回してまいりました。その投票に付するということは取りあえずなくなったというのが現状でございます。
  63. 佐々木知子

    佐々木知子君 でも、非常に私は予断を許さないところだというふうに思うんですね。日本海というのは李氏朝鮮が鎖国している十七世紀に既に世界の海図に名前が載っていることでありまして、日本が植民地にしたかどうかということとはこれは何ら関係のないことであり、また韓国にとっては東の海かもしれませんが、日本にとってみればこれは西の海になるはずでございまして、こういう勝手気ままなことが要求されるようになっているということ自体、私は非常に問題にしないといけないと思います。  これ、韓国に関しましては竹島の問題もございまして、日本が余りその領有権について抗議をしたということも聞きませんし、日本が余り何も抗議をしない、これは鷹揚に構えているといえば非常に聞こえがいいですけれども、これ、鷹揚ということと毅然とした態度を取らないということとは往々にしてほとんど同じことでございまして、こういうところを私は随分ねらわれているのじゃないかなというふうに考えるわけです。私は、日本という国はもっと毅然とした態度を取らなければいけない、それはもう外交スタンスとしてそこはやはり一番重要視しなければいけないことだというふうに思っております。  続きまして、ちょっとアメリカとの協調関係について質問したいというふうに思いますが、昨年の九月十一日以降、アメリカはテロによって非常な被害を受けた国だということで、日本を始めいろんな国がシンパシーを感じて協力してきた経緯がございますが、どうやら最近になりまして随分趣が変わってきた、アメリカは一国単独主義を強めた感があるということは各地のメディアで取り上げられております。  例えば、イラク攻撃ですけれども、イラクは今回国連査察を受け入れるというような恭順な態度を示しておりますが、それでもなおアメリカはイラク攻撃をするのがもう既定の事実であるというような見方もなされているようでございます。  これについては、もちろん日本としては国連決議がない以上は駄目だという立場でおるのだろうというふうに思いますけれども、さて国連決議が通ったとして、アフガニスタン攻撃に際してのテロ対策特別措置法のようにはいかないはずであると。日本には憲法上の制約がございます。日本ができることできないこと、これをやはりはっきりとさせるべきではないかと、そういうふうに思っておりますが、外務大臣のお考えはいかがでしょうか。
  64. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 二十一世紀において様々な国際政治上の問題あるいは国際経済上の問題があるわけでございまして、こういった問題について世界の各国が連携をしながら、協力をしながら解決をしていくことが重要であるという考えは、アメリカにおいても十分にそれはシェアをされていると私は考えております。  例えば、最近の例ですと、先般のニューヨークの国連の演説の中で、ブッシュ大統領はユネスコに復帰をするということを言っているわけでございまして、こうした国際的な枠組みの重要性についても十分に理解をしている、それを大事だと考えているということだと思います。  イラクの問題について、先般、イラクが国連の査察を受け入れるということを言いました。これについて、これは我が国評価といいますか考え方としても、第一歩、解決に向けての第一歩でありまして、実際に重要なことは、この査察が実際に行われ、様々な例えば大量破壊兵器についての疑惑、こういったことがきちんと透明な形で晴らされるということであると思います。そういう意味で、イラクのこの間の発表は第一歩でございまして、我が国も国際社会、ほかの国々と一緒に今後の進展をきちんと見極めていかなければいけないと考えております。  イラクが、米国がイラクに対して軍事行動を取るかどうかということについては、全く何も予断といいますか、そういうふうに決まっているわけでも全然ないわけでございまして、そういった予断を前提の御質問ということにはお答えするのは難しいわけでございますけれども、テロ特措法との関係でいいますと、委員がおっしゃるように、これは昨年の九月の十一日のテロ攻撃によってもたらされている脅威の除去に努めるということで、それによって国連憲章の目的の達成に寄与する諸外国の軍隊等に対してその支援を行うということでございます。  今後の、この特措法の考え方については米国も十分に理解をしているというふうに考えております。
  65. 佐々木知子

    佐々木知子君 アメリカはいわゆる京都議定書から離脱ということで、川口大臣もいろいろ奔走された経緯がおありですけれども、他にも多くの国際機関への非協力や分担金の滞納などが言われております。孤立を強めている傾向にあるのではないかと憂慮されるところなのですが、これについて同盟国である日本はどう対処すべきであると、大臣、お考えでしょうか。
  66. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 日米関係我が国外交の基軸でございまして、良好であって強固な日米関係というのを更に強化をしていくということが大事だということが我が国考え方でございますし、米国もそう考えている。現に、様々な問題、これは日米間の問題だけでなくて、国際的な地球レベルの問題についても日米では緊密に連携を取っておりますし、それから米国は、日本だけではなくて、ほかの国とそういった問題について緊密に連携を取りながら、大国としての責任を果たしていっていると私は考えております。  京都議定書については、残念ながらこれを支持しないというのがブッシュ大統領、米国政府の立場でございます。これについては、引き続き我が国としては、米国が最大の排出国でございますから、温暖化ガスの削減に真剣に取り組んでくれるということが大事だと考えておりますし、また発展途上国についても全体として大きな排出をするようになってきておりますので、世界のすべての国が参加できるような共通のルールが構築をされるように、米国の建設的な対応を求めていきたいというふうに考えております。
  67. 佐々木知子

    佐々木知子君 続きまして、ODAについて伺いたいのですが、武力行使が憲法上制約があってできない日本にとりまして、ODAは最大の武器として考えられるわけですけれども、不況の中、現在、ODAを減らす傾向にございます。欧米ではかえって引き上げる方向にあるというふうに承知しておりますが、量を減らすのであれば、質を高めなければ日本の国際的影響力は相対的に落ちるというふうに考えられるわけですが、この点についての戦略というようなものをお聞かせ願えたらと思います。
  68. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 委員がおっしゃられますように、ODAというのは日本外交にとって極めて重要な手段であると考えております。今、我が国は、財政上の理由から、ODAについては平成十四年度については量的に約一〇%の削減があったわけでございます。  しかしながら、国際社会で様々な問題がありまして、アフガニスタンの支援の問題にしても、それから平和構築、平和の定着というふうに言っておりますが、国が大変に困難な状況に置かれた、フェールドステートと言いますけれども、そういった国々の改革あるいはその復興、それから兵士の社会への復帰といったようなことについて支援をしていかなければいけないという必要性というのはますます高まっているわけでございまして、そういうことを考えた場合に、我が国として、支援、援助についてますますそれを効率化し、質的に向上させることによってこの課題に対して取り組んでいかなければいけないと考えております。
  69. 佐々木知子

    佐々木知子君 ODAにつきましては、例えばこれ九月十五日の産経新聞にカンボジア野党最大党首レンシー氏の言葉として載っているわけですけれども、フン・セン政権が続いてきたこれまでの十七年間、巨額のODAが日本から始め投入されてきているけれども政府関係者の腐敗が激しくて、援助資金も汚職の対象になって本来の目的に使われていない、その間、貧困も全然なくなっていないと、こういうようなことを述べられております。  カンボジアだけではなく、私は、こういうことは割と発展途上国の人からよく聞かされることです。せっかくODAを投入しても、これがそういう形で使われていないのであれば、何のこれも意味もないことであって、やはり私は、監視を強化して、資金の流れを透明にして、使途が明確になるようにしていかなければいけないというふうに考えております。  これは前から言われていることなんですけれども、やはり実効性が余りないのではないかというふうに考えておりますけれども、これについてどのようにお考えでしょうか。
  70. 古田肇

    政府参考人(古田肇君) 御答弁申し上げます。  先生御指摘のように、ODAの使途についての監視でありますとか、透明性の確保でありますとか、大変重要なODA政策の根幹を成す問題でございまして、これは徹底してやらなきゃいけないというふうに考えておるところでございます。  これまでのところ、交換公文ベースでその旨を明らかにするということもございますし、あるいは調達段階あるいは資金の支払段階、それぞれに一つのルールと枠組みの中で執行してきておるわけでございます。さらに、万が一不正行為があれば、一定期間業者をODA事業全体から排除をするという措置も明らかにしておりまして、こういった全体について相手国政府にも理解を求めているところでございます。  こういう努力をしてきておるところでございますが、今後さらに、これらに加えて、ODA改革・十五の具体策が既に出されておりますし、また「外務省改革「行動計画」」もございますし、そういったものにのっとりまして、早急に監査の充実でありますとか、無償資金協力の選定、実施過程の透明性の確保、情報公開といったことについてきっちりと検討し、その結果を実行に移していきたいというふうに考えております。
  71. 佐々木知子

    佐々木知子君 私は、独裁政権などであったら、直接その政権に圧力を掛けるぐらいのようなこともやっていかなければ、恐らく実効性は担保できないのではないかというふうに思っておりますが、時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  72. 中原爽

    委員長中原爽君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩をいたします。    午前十一時五十九分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  73. 中原爽

    委員長中原爽君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十一年度決算外二件及び平成十二年度決算外二件を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  74. 海野徹

    ○海野徹君 午前中に引き続きまして、北朝鮮問題について御質問をさせていただくわけなんですが、最初に日朝首脳会談平壌宣言について総括的に大臣の方から御見解をお伺いしたいと思うわけなんですが、今回の日朝首脳会談、大変驚きで始まって驚きで終わりました。北朝鮮訪問するというニュースを全く我々は本当に驚きを持って聞いたわけなんですね。三十日に発表されて十七日に行く、こういう、普通は外交日程というのはもっと違った日程の組み方をするんであろうにもかかわらず、発表するときはもう日にちが決まっていたということもあったんですが、非常に驚きを持って聞きました。  金正日書記が大変外交が巧みだと言われている方です。そういう方に対して小泉総理がどの程度の外交手腕を発揮するかという、そういうことも大変関心を持っていました。拉致された八件十一人の帰国がどのように実現されるかと、これも極めて高い関心を寄せておりました。安否、これは、拉致された方々の安否については多分小出しに来るんだろうなと、事前にそういうようなニュースが結構ありましたから、小出しなんだろうなということでいましたところ、四人しか生存がないと、これも驚愕した事態だったわけなんですね。  こういうことで、日朝首脳会談平壌宣言という形である意味では終了したわけなんですが、私は、訪朝されるということ、これは北朝鮮とのこれまでの交渉の困難さを含めると、考えると、非常にその決断や努力に対しては一定の評価をするものなんです。拉致事件を含めて安全保障の問題についても直接北朝鮮と、軍事独裁政権ですから、トップがトップ同士で交渉しないといけないんだろうなという思いはあります。それも交渉、当然そういうことがありますし、この交渉の再開自体は日本にとっても十分考えられる選択だということは分かるわけなんですが、私たち、頭で考えれば十分分かることなんです。  だけれども、理性もありますけれども、私たちは感情もあるわけなんです。拉致された方々の死亡という北朝鮮から突き付けられた衝撃的な事実をどう受け止めるか、非常にこういうことは戸惑いました。亡くなられたと伝えられた方々の御家族の、御遺族というんですか、気持ち、あるいは関係者の、あるいは国民の憤り、悲しみ、これは極めて重く受け止めるべきではないかなと思っております。  我々はそういった意味では血も涙もある国民ですから、血も涙もある国民一人一人に作られた民主主義を政体として持つ我々国家なんですよね。そういう国家である以上、国民世論から遊離して立ち行くことはできない国家であるということも言えるわけなんです。  ということを念頭に置きましたら、これから政府はどういうことを肝に銘じて交渉しなければならないかというと、やはり具体的な担保なしに私は合意文書に署名したというのは極めてやっぱり遺憾な事態であったし、時期尚早であったんではないかなという疑念が払拭できないんです。その点について、川口大臣の総括的な御所見をお伺いしたいと思います。
  75. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 委員がただいまおっしゃいましたように、拉致の問題について、ピョンヤンにおける日朝の首脳会談でこのような結果が、北朝鮮側から結果についての情報提供があったということは本当に衝撃的で、家族の方にとっては大変につらい、今までつらかった上に更につらいことであるわけでございますし、国民一般にとっても非常に衝撃的なことであったと、私も自分自身そういうふうに受け止めております。  今回の訪朝につきましては、隣国である北朝鮮我が国との間に五十年、約五十年余の間、国交正常化が行われていないという極めて不正常な状況にあることにかんがみ、国交正常化させていくということが歴史的な責務であるというお考えに立って総理が自ら赴かれ、そして金正日書記会談をして、総合的に判断を、非常に英断、勇断、リスクをきちんと取られて、そして決断をなさったということであると私は考えております。  拉致被害者方々の御家族に対しまして、正にこの拉致問題というのは、私どももずっと北朝鮮に対して、国民の生命と安全にかかわる重大な問題であって、国交正常化に当たってはこれを避けて通ることができないということをずっと言い続けてきたわけでございまして、今度、政府調査団派遣いたしますけれども、事実解明にきちんとこれをやっていくという過程というのが大事であると私は考えます。  また、拉致家族の、拉致被害者家族方々の支援のために内閣に支援室というのも設置するということを発表させていただきました。家族方々の立場に立って、その視点に立ってこの問題を究明をしていく、解明をしていくということの、そういう立場でこの支援室というのは政府全体の立場から仕事をしていただくということだと私は考えております。
  76. 海野徹

    ○海野徹君 時期尚早ではなかったかということに対する要するに御見解というのは、余り私の理解ではいただけなかったなと思うんですが。  拉致問題については大変私どもは重大な責任を持って北朝鮮にも今まで言ってきたという話が外務大臣からあったわけなんですが、果たして、要するに被害者の、拉致家族方々はそういうような印象を持っていらっしゃるんでしょうか。非常にその辺について、要するに認識にギャップがあるなという思いがしてしようがないんですね。  というのは、今回も、要するに死亡とされたとされる増元るみ子さんの弟の照明さんという方がこんなことを言っているんですよね。まず、今度の要するに訪朝は共同宣言ありきだったんでしょう。被害者家族は一様に怒りを覚えています。韓国に亡命した北朝鮮工作員の安明進氏でしたか、この方が来日し、金正日政治軍事大学で市川修一さんと思える日本人と会話を交わしたと語ったのは九八年でした。市川さんも姉も生きていたと思います。けれども外務省は、ただの一度も我々家族に事情を聞いたり、情報を求めたりしたことはありません。そして、北朝鮮からもらった紙一枚を見せながら、お亡くなりになりましたと言うんです。いつ、どこで、どのようにと尋ねても返事はない。これが首相訪朝の結果ですかというようなことをお話しされている。  また、要するに、今回、瀋陽総領事の案件で、非常に責任を、責任者として問題になった阿南さん、阿南さんがアジア局長時代ですね、亡命者は亡命先の国の聞いたことを話することがある、亡命者の発言は信用できないというようなことを言っていたり、槙田さんが同じようにやはり非常に冷たい突き放した発言をしているんですね。  これは、私は、やはり責任をお感じになっていただくというよりも、やっぱり責任を取っていただく必要がある。こういう雰囲気がやっぱり外務省にあったんではないか。それは、外務大臣の今の御答弁と多分に私は違うんじゃないか。その辺が、支援室の設置に関してもいろいろ被害者家族からの不信感というか不満の声が聞こえてきた、私は背景にあると思いますが、大臣、どうなんでしょう。
  77. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 御家族方々のお気持ち考えますと、そういった今、委員がおっしゃったような、外務省として今まで北朝鮮に対して働き掛けてきたと申し上げたこととの間にギャップがあるではないかということの背景になるような御発言が御家族方々からあるということは、これは御家族の方のお気持ちとしては当然いろいろなお気持ちをお持ちでいらっしゃると私は思いますし、そういうような御家族に印象をずっと外務省がもし与えたことがあったとしたら、それは私としても非常に、外務省としてはそういうつもりは全くないということでございますけれども、残念なことだと思います。  先ほど委員がおっしゃられた発言については、私どもも過去の記録を中心に調べてみましたけれども、公的な場でそういった発言があったという事実は確認はされていないということでございます。ただ、他方で、過去の一時期、アジア局において拉致問題をいかに解決すべきかということについて種々の議論が行われていたその過程で、拉致問題を軽んじていると受け取られてしまったような雰囲気があったと指摘されることにつきましては、外務省としては謙虚に受け止めなければいけないと思っております。
  78. 中原爽

    委員長中原爽君) 田中局長発言されますか。──よろしいですか。
  79. 海野徹

    ○海野徹君 公式的な発言は当然ある話ではありませんし、そういうような雰囲気があって、オフレコの話でこういうものが漏れ伝わってくるということですから、私は、要するに本当に愛があって、本当に血も涙もあるんだったら、少なくともそういうような発言はオフレコでも出てこないと私は思っているんですよ。  先ほど田中局長がいろいろ午前中御答弁された中で、私も聞いておりましたが、仮にその真情が、局長が今まで外交交渉に携わってきて、本当に北朝鮮問題の拉致家族方々に対する愛の真情の吐露であれば私はそれを多としますが、過去にこういうような発言がオフレコでもあったということは、大変私は悲しいことだなと思っております。  もう一つは、何を得たかということの中にも、これは宣言の中にどうしても拉致という問題を入れてほしかった。それが文言が入っていない。これはどうしても納得がいかない。  両者間では、要するに、これは田中局長がずっと携わっているんでしょうから、文書の草案が当然事前に合意されたんではないか、当日はそれをそのまま署名したんではないか、そういうプロセスであったんではないかなと私思うんですが、事前のいろんな情報の中から前提条件があったはずであります。こういう前提がもたらされたら署名しよう、こういう前提があったらこうしよう、ああしようというのはあったはずではないかと。  多分に幾らかの安否情報がもたらされるだろう、それは当然事前にはそういう情報局長のところへは伝わっていたという話もありますから、かなりの確度を得たものがあってこういう文言が要するに用意されていったんではないかなと思うんですが、しかしながら八人の死亡という衝撃的な事実は、これは宣言を事前に作成する前提を超えたものであったんではないか、予想を超えたものであったんではないかなと私は思います。そういうことであれば、前提となる情報がそもそも根底から覆ったわけですから、その場で小泉総理は断罪をし、そして拉致の文言を加えるような要するに交渉を相手方に対して、金正日書記に対してできたんではないかと思うんですが、その辺はどうお答えいただけますか。
  80. 田中均

    政府参考人田中均君) 委員指摘がありました拉致の問題というのを外務省が決して軽んじていたわけではない。少なくともその拉致の問題が明らかになって以降、正常化交渉の中で、極めて苦労をしながらも一つ課題として取り上げてきて、その間、拉致の言葉を出した途端に相手が席を立つとか、あるいは、それぞれの政党のデリゲーションが行っていただいて、この問題をどういうふうに解決するかということについて相当深刻に考えてアプローチをしてきた。そういう長い積み重ねの中で、今回の総理訪朝というのは、私も事前の準備に携わりましたけれども、何としてでも同じようなことを繰り返してはいけない、拉致問題については、北朝鮮側拉致として認め、かつ八件十一名の方々について安否情報をすべて出す、こういうことが必要であるという交渉をやってまいったわけでございます。  その中で、拉致問題、日本懸念というのは、拉致問題は極めて大きな問題ではありますけれども、それだけではない、ミサイルが飛んできたり不審船が日本の近海を徘回するという事態、こういうことを何としてでも早くやめさせなければいけない、日本の安全のためには将来的に秩序ある関係を作っていかなければいけない、そういう総合的な形でピョンヤンの日朝の共同宣言というのを作らなければいけない、そういうことが実現するかどうか総理は見極めるということで訪朝をされたわけでございます。  確かに、十七日の朝の段階で、拉致八件十一名の安否の情報として、八名の方が亡くなっているという情報がもたらされました。総理はそれを受けて、極めて厳しく金正日書記に対して抗議をして、事実関係の徹底的な究明をしなければいけないということを非常に強く言われた。その結果、午後になって、金正日書記が極めて率直に申し上げたいということで、拉致を認め、遺憾なことであり、おわびを申し上げる、二度とこういうことは許さない、こういう発言をされたということでございます。  ですから、私どもが申し上げているのは、少なくとも敵対的な関係の中でどういう事実関係究明が実際にできるか。正に交渉の場がないとそれはできない、そういうことをきちんと協力をしていくというような基本的な決定がなければできないんですね。ですから、正に金正日書記発言に基づいて、直ちに私どもは事実関係究明に着手しなければいけない、そういう流れにあるわけでございます。  決して正常化に今回の首脳会談で合意したわけではなくて、ピョンヤンの首脳宣言に書かれている精神とか原則に従った正常化正常化に至る前においてもいろんな問題について誠意を持って取り組む、そういう合意の下で今後事実関係究明を行っていくということでございます。
  81. 海野徹

    ○海野徹君 今、局長は、精神に従ったという話だったんですが、外交交渉というのは、詰めるべきところは詰めて具体的に文言として盛り込むというのが外交の基本じゃないですか、外交交渉の。  やはり私は、拉致問題の解決というのは日朝交渉正常化の前提だと。そのためにその糸口をということで盛んに総理はおっしゃっていたわけなんですが、少なくとも、こういうような驚愕の予想もしなかった事実が出てきたとき、交渉を中断して帰ってくる、その選択はなかったんでしょうか。国民世論、これだけ、訪朝したことはよかった、扉を開けたこともよかった、しかしというような今国民世論の中で、そういう選択肢というのはあり得なかったんですか。  あるいは、四時間の日程を二時間半で終えている。あと一時間半何をしていたのか。四時間の会談の日程があるとすれば、そのスケジュールが組まれていたとすれば、一時間半の間にそういうことを、文言を入れるというような努力はすべきであったんではないか。余りにも宣言の中に、経済協力に関する文言の部分とこの部分とは余りにも対照的に、余りにも偏ったものになっているんではないか。  この宣言で、では、局長、何を日本は得たんですか。
  82. 田中均

    政府参考人田中均君) 委員がおっしゃった中で、これまでの日朝関係がどういう状況であったのか。ミサイルが飛んできたり不審船が徘回をしたり拉致が行われていくという状況の中で、果たしてそういう問題を解決していくことが可能だったと私どもは思っていないわけです。ですから、日本国民の生命、財産を守るという観点からすれば、北朝鮮との間で問題解決をしなければいけないということであります。少なくとも、国民の皆さんもそうだし私どももそうだし、拉致ということを認める、それは今回金正日書記小泉総理との首脳会談の中で、正に首脳会談が行われることによって初めて国として認めたわけです。  ですから、今後やっていかなければいけない、今回の首脳会談並びに宣言でできたことというのは、日本の主張は貫き、その主張に基づいて国交正常化交渉をやっていく、安全保障協議をやっていく、具体論においてそういう北朝鮮との関係の作り方ということをきちんとやっていくという仕組みを作られたわけでありますから、そういう意味においては拉致問題についても事実の解明というのは粛々と進めていかなければいけない。正に金正日書記拉致と認めたことによってそういうことができるようになったということだろうと思います。
  83. 海野徹

    ○海野徹君 いったん署名した宣言ですから、今後拉致に関する文言を付け加えるということはもうできかねると思いますが、そういう意思もございませんですよね。そういうようなものに代わるものとしては、具体的に、局長、どういうような交渉をされていくんですか。
  84. 田中均

    政府参考人田中均君) 全体として見ていただければ、共同宣言の中には日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題、このような遺憾な問題が二度と起こることがないようにということが明記されております。それから、先ほど申し上げたように、金正日書記が直接小泉総理に対して国家の最高責任者としておわびをするということでございました。それから、北朝鮮外務省のスポークスマンが遺憾であるということを言った上で、必要な、二度と起こらない必要な措置を取ると、こういうことでございました。  私どもが今現在必要だというふうに思うのは、一刻も早く事実解明をしていく、その中で問題の解決を図るということだろうと思います。
  85. 海野徹

    ○海野徹君 拉致問題について度々お伺いしますが、事実関係国家責任者である金正日氏が認めたにもかかわらず、事実関係をこれからもまだまだ解明するということに私は何となく納得できないものがあるんですがね。  全く今回の問題、ある意味では、国内では、北朝鮮国内ではニュースは、拉致問題については全く金正日書記日本側謝罪したというニュースは出てないということなんですね。これは事実ですよね。そうなると、やはり日本小泉総理が、ある意味では北朝鮮に対する補償問題でわざわざピョンヤンまで来たという絵を作るために、国内向けのプロパガンダとしてこれは使われてしまったんではないかという、これは結果的にですよ、というような懸念を私は感ずるんですよね。確かに謝罪した。だったら国内ニュースでも言うべきだと。しかしながら、まだそんなことはあり得ないと言っている方が多い。そういうことを見ると、本当に要するに利用されたのかなという思いもあるわけなんです。  そういった意味では、これから調査団派遣するということなんですが、四日間の調査でどれほどのものがあるのか、その辺も非常に疑問なんですが、この犯人の引渡し、これについてはどのようなお考えをお持ちなんでしょうか。
  86. 田中均

    政府参考人田中均君) 委員の御質問の中で、金正日書記が認めたのに事実解明とはどういうことだという御質問もございましたけれども、私どもとしては、国家の最高指導者の言葉の下に、個々のそれぞれの拉致案件について、なぜそういう拉致ということになったのか、拉致された方々はどういう生活をしておられたのか、どういう経緯、どういう原因で北朝鮮が死亡されたということになっているのか、そういうことについては一件一件解明をしていかなければいけないというふうに思っているわけでございます。  どの国も一夜にして変わるということを私たちは想定できるものではないと思います。北朝鮮のような国は非常に孤立的かつ非協調的、日本との関係、米国との関係でも極めて敵対的な関係にあったわけでございます。平壌宣言の基本的な目的というのは、一定の基準というものを作って、できるだけ北朝鮮が国際協調的な路線に戻らなければいけない、そのことについて日本はきちんと交渉をしていきましょうということでありまして、そんなに急に敵対的な関係から協調的な関係に変わるものではない。一定の時間を掛けながら、交渉をしながら成果を得ていくということだと思います。  ですから、事実関係解明にいたしましても、仮に四日間の訪朝で具体的事実について解明がされない場合があるかもしれません。当然そういうことというのは引き続き解明がされていかなければいけないし、事実関係解明というのは、それはそんなに簡単なことではないかもしれないけれども、これは粘り強くやっていく必要がある。委員が御指摘されたその他の問題については、まず事実関係解明ということを先行してやっていくべきだというふうに考えております。
  87. 海野徹

    ○海野徹君 今、局長は犯人の引渡しを要求するかという質問に対してはお答えいただけなかったんですが、当然、要するに事実解明究明していけば、その先にはそういう引渡要求というのは出てくるんじゃないかなと思うんですが、外務大臣、その辺についてお伺いしたいんですけれども。  金正日書記拉致事件に関与した者を処罰しましたと。処罰したんだったら、どういう処罰をして、だれがだれをどういう処罰をして、いつやったかというのは、それは分かるわけなんです。今、局長からも話がありましたように、事実解明すればそういうもの出てくるわけなんです。どんな処罰を受けたかというのも分かるわけなんです。国家テロ、拉致事件の犯人として当然それは引渡しの対象になるんじゃないですか。これは法的な枠組みを超えて要求すべきだと思いますが、大臣の御見解をお伺いします。
  88. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 金正日書記は、我が国日本人の拉致に関与した人物について、その人を処罰をしたということを言っています。どのような処罰がなされたかということについては今の時点では確認をしておりません。確認されておりませんけれども、今後再開をされる国交正常化交渉等において、拉致に関与した人物についての情報を含めまして、北朝鮮側に対して引き続き事実の解明、これを求めていく考えでおります。  我が国対応といたしましては、真相究明を踏まえまして、国交正常化に向けた過程の中で検討していきたいと考えています。
  89. 海野徹

    ○海野徹君 いや、直接的なお答えがなかったんですけれども我が国は国外犯の取扱いについて、アメリカや韓国との間に犯罪人引渡し条約、これがありますね。法律としては逃亡犯罪人引渡法や国際捜査共助法、こういうものがあって、国外に逃亡した犯罪者の引渡しを受けたり、外国の機関と協力して容疑者の捜査に協力してもらう法的な枠組みがある。  確かに、要するに北朝鮮とは外交関係がありませんから、こういうものは直接的に適用できない、これ分かりますが、そもそも要するに総書記拉致事実を認めているわけです。その拉致事件というのは我が国の領土内で生じているものです。  よど号犯の関与している事件は、これは日本国民が起こした可能性が濃厚でありますから、これはまあ当然のこととしても、刑事司法の観点からも、弁護人の選任等、民主主義国で当たり前の処遇をすることを前提に容疑者の引渡しを受け、必要な捜査をして事実を解明していくということは当然考えられていいんではないか。  もっと言えば、上官の命令でやむを得なく拉致を実行した者だけが処罰される、これは公平性を欠くものなんで、トカゲのしっぽ切りの印象でしかないわけですね。国家テロの構造を解明するためにも、私は、実行犯を日本調査して事件全容解明、それこそ事実解明を進めるべきだと私は思いますが、そういうような方針はございませんですか。
  90. 田中均

    政府参考人田中均君) 先ほどから申し上げておりますとおり、一夜にして北朝鮮という国が日本の信頼ができる友好国に変わったわけでは全くありません。私どもも、非常に難しいというか、問題が問題であるだけに慎重にこまを進めつつ、拉致の問題を認めさせ、安否の情報を明らかにさせたという段階、これからその金正日書記日本総理大臣に対する発言平壌宣言に基づいて事実関係究明について協力を求め、情報の全面的な開示を求めていくというのが今の状況でございます。  ですから、その結果、事実関係が明らかになった段階で、日本政府として考えるべき具体的な問題については国交正常化交渉プロセスの中できちんと検討していくということでございます。
  91. 海野徹

    ○海野徹君 できるだけその問題については言明を避けたいということなんでしょうが、次の問題へ入りたいと思いますが、外務大臣アメリカ外務大臣もそれぞれ、これはトップ会談でありましたから外務大臣の役割は別なところにあって、いろいろ役割分担をされてやったと思うんですが、どうもアメリカのこの小泉訪朝の成果という、あるいは評価という、多分に分かれているようなことを聞きます。  しかも、要するに九月の十七日に訪朝するということのその時期の問題を含めて、あるいはその後速やかに報告をもらいたいというブッシュ大統領が二日間もそのことを聞く耳を持ってもらえなかったという中で、大変、要するにアメリカが今回の訪朝評価というのは、必ずしも私たち評価するほど、評価するというか、私たちが要するに一定の成果をという意味での評価するほどは評価をしていないんだろう。むしろ、そのまま北朝鮮金正日政権に対する認識というのは極めて厳しい認識をそのまま維持しているというような印象を持つわけなんですが、いろんな外交ルートから外務大臣が接触される中で、その辺の懸念というのはお感じになりますか。それとも、いや、そういうことはありませんということなんでしょうか。  というのは、ある意味では、事前の問題で、日程の問題で、韓国も大統領選挙がある、あるいはアメリカがイラクとの問題を抱えている、あるいはロシアの動きあるいは中国の動き、そういうことを総合的に考えたとき、必ずしもアメリカ日本と、トップ同士あるいはそれなりのレベルでの日程、時期における、訪朝の時期における本当の意味での一致がなかったんではないか。そういった意味で、訪問の目的あるいはその成果がなかなか、目的も定まらなかったし、これは日米ですよ、成果が必ずしも一致した評価になっていないということではないかと思うんですが、その点について外務大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  92. 田中均

    政府参考人田中均君) 総理は、訪朝発表前とそれから訪朝後、ブッシュ大統領に対して電話をされました。それから、外務大臣もワシントン、ニューヨークにおいてパウエル長官であるとかライス国家安全保障担当補佐官等と詳細な話をされています。訪朝発表並びに訪朝後の結果の報告に対して、ブッシュ大統領並びにパウエル長官、ライス国家安全保障担当補佐官はいずれもこれを支持する、歓迎するということでございました。  当然のことながら、米国の中には北朝鮮に対していろんな意見があるのは当然のことだと思います。日本の中にもいろんな意見があると思います。私ども北朝鮮に対する厳しい意識というのは決して変わっていません。重要な、核とかあるいはミサイルも含めて重大な懸念がある、そういう国だという認識においては米国も日本も韓国も変わっていないということだと思います。  問題は、それでは問題解決を、どういうアプローチで問題を解決していくかということでございまして、これについては、日米韓の政策協議の枠組みでもそうですけれども、きちんとした抑止力を維持して対話で問題解決を図っていくということでございます。これについては、日本と米国と韓国の間に、少なくとも政府当局に関する限り、意見の相違はないと思います。それが米国が、ケリー、日本からの働き掛けにもこたえて、ケリー国務次官補を近い将来ピョンヤンに送るという考えに至った背景であろうというふうに考えています。
  93. 海野徹

    ○海野徹君 以前、今までも日米韓の緊密な連携という下にこの交渉は行われてきたと思いますし、これからもその枠組みは変わらない。そしてなお、日米の連携は極めて今後もより以上に緊密にしていただくことを私は御要望申し上げるわけなんですが。  それでは、先ほど私も文言の中に拉致という表現がない、余りにも驚愕な事実の前に我々は、前提が崩れたんだからこの平壌宣言は変えるべきだろうというように私は思っていたんですが、署名してきた。しかもまた、交渉を十月にする。余りにも急ぎ過ぎているんではないかという印象を持つんですが、その点、田中局長、どういうことですか。
  94. 田中均

    政府参考人田中均君) これは、何回も同じ御答弁で大変恐縮なのですが、問題を解決していくために対話ないし交渉をやるべきかやらざるべきかという御判断の問題だろうと思います。  平壌宣言にも明記をしてありますけれども、ああいう宣言原則であるとか精神に従った正常化をやるために正常化交渉をやっていくということであります。ですから、日本のような国が対話とか交渉のきちんとした場がなくて問題解決ができるでしょうか。私はできないと思います。それが、国交正常化交渉の中で北朝鮮の態度を見極めながら問題の解決に当たり、日本国民が納得できるような正常化に至るための交渉をするということだと思います。
  95. 海野徹

    ○海野徹君 田中局長のそれに私は賛成する部分もあるんですが、私は、その時期なんですよね。  北朝鮮拉致謝罪の裏には何があるのか、表向きの理由あるいは本音の理由、いろいろあると思うんです。やはり、我々にとってカードでなかったものがカードであったり、カードであったものがカードでなくなったりするわけなんですね。これは、先ほど言いましたように、日米韓、緊密な連携を取って、それぞれいろんな情報を集めながらやっていく必要がある。  私は、外交の一元化ということで情報の一元化がイコールのように述べられているということに対して大変な疑念を持っているわけなんですが、情報を集めるということと政策的な判断をするということは別なんですよね。そういった意味では、ありとあらゆるところから情報を持ってくる。これは、防衛庁からの情報も必要でしょうし、あるいは諸外国の情報も必要です。そういった中で、要するに外務省が官邸と一緒になって政策判断して進めていく。となったら、その辺の、要するに、ある意味では時間を若干掛けた方がよりいい戦略が出てくるのではないかなと。明らかに方針は決まっていますから、その方針は決まっていたとしても、戦略性をより高度のものにするためには私は若干の時間が必要ではないかなと。  先ほどからも局長は、北朝鮮はある意味では変わりつつあるかも、変わるような変化の兆しは見せるけれども本質では変わっていないというような答弁をされていると思います。本質は変わらないと思います、そんな一朝一夕で変わるわけがありませんから。それだけに、少しずつ変わりつつある、あるいは変わる変化、兆しを見ながら、それをいろんなところの情報とのすり合わせの中で進めていくということについては、私は若干の時間をずらす必要もあるのではないかなと思いますが、その辺、どうなんでしょうか。
  96. 田中均

    政府参考人田中均君) 私は、委員が言われたことと、それから十月に国交正常化交渉を再開するということは決して矛盾したものではないと思います。  情報を収集し、日米韓の連携の中で慎重に事を運んでいかなければいけないということはそのとおりだと思います。正常化交渉を始めて、いつまでに正常化交渉を終わるという切りが約束されているわけではありません。したがって、私たちは、先ほど委員が御指摘になりましたように、私は北朝鮮が変わっていないというふうに断言しているつもりはございません。今回、総理が行かれて、平壌宣言に盛られていることというのは、北朝鮮がより合理的な路線に変わったかもしれない、そういう兆しというものはあるということだと思います。ですから、それを交渉によってより確実なものにしていくということは必要なことだと思います。  ですから、委員が御指摘の、より物事を慎重に、情報を十分収集して日米韓で連携をしながらやっていくということと十月に交渉を開始するということが決して矛盾したことだとは思いません。
  97. 海野徹

    ○海野徹君 慎重の上にも慎重に、あらゆる情報を集約して高度な政治判断をしながら進めていただきたいなと思いますが、そういう政治判断の中で、外務大臣、これ何回も私も外交防衛委員会でお話をさせていただいて、いや、それは金融庁の問題ですからというような御答弁もあったんですが、朝銀信用組合、この問題の公的資金、これ約四千三百億円が追加投入されるのではないかという話があります。  今までも、要するに朝銀信組、この破綻処理に約九千五百億円の公的資金が投入されてきた。また、交渉が再開されることで更に四千三百億円が追加投入されるのではないかなと、そういうような観測があるし、そういう準備が整っているというような報道もあります。これは、朝銀信組からの貸出金が朝鮮総連へ組織的に不正流出した事件がこれはもう摘発されています。朝鮮総連から北朝鮮本国への不正送金は、これもまた周知の事実なんですね。  こういうような事実がありながら、また一兆四千億円、合計して、こういう公的資金を入れて、経済改革というもの、実際には破綻した北朝鮮経済、基本的に支える理由が本当にあるのかなという思いがするんです。  私は、この問題について、やはり金融庁の所管だからということでなくて、外交政策的にもこの公的資金の再投入をどう判断するんだろうか。私は投入すべきではないと思っています。これは、やっぱり今の金正日体制をただ延命させるだけだろう、我々にとって安全保障上の極めて問題ある部分をそのまま残していくんではないかなと思うんですが、その点について外務大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  98. 川口順子

    国務大臣川口順子君) この問題につきましてはいろいろな場で再三再四金融当局から御答弁がございましたけれども、この朝銀信用組合は、我が国国内の法律に基づいて設置をされています金融機関、認可を受けた金融機関でございます。この破綻処理の問題につきましては、これは金融行政の問題でございますけれども、金融当局によって国内の関連の法令に従って処理をするということで、金融当局も御答弁でいらっしゃいますし、私もそのように理解をいたしております。
  99. 海野徹

    ○海野徹君 大臣の御答弁はもう再三同じような御答弁を聞かせていただいているわけなんですが、これは、ある意味では大転換をしなくちゃならない北朝鮮政策の中で、同じようなことをやっていくというのは私はいかがなものかと思いますから、その点については今後いろんな場で協議をされると思います。政府の方針として、やはり私は、外務大臣外務大臣として御意見を持っていただきたいなと、そんなことを思っております。  私の方で与えられた時間が非常にもうなくなりまして、現実には防衛庁長官にも御質問をさせていただくような質問部分があったわけなんですが、なかなか御質問をさせていただく時間がないのであります。  通告させていただいた質問をちょっと大分はしょった結果になりまして誠に申し訳ないと思うんですが、防衛庁長官、一点だけお伺いさせていただきたいと思いますが、今月初めに、海上自衛隊呉地方総監部所属の護衛艦から秘密文書が紛失している、これが明らかになりました。戦闘時などの連絡手段の確保を記したマニュアルの一種のようで、データの中には在日米軍の通信関係のものもあったというようなことを聞いております。先月にも自衛隊のコンピューターシステムに関する一部データが流出するという、こういうような事件がありました。  非常に懸念を深めるわけなんですが、自衛隊における情報管理体制、これは一体きちっとされているんでしょうか、その点についてだけ防衛庁長官の御答弁をお伺いしたいと思います。
  100. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 防衛庁といたしましては、秘密文書につきましては保管要領等の関係規則を設けて、保全の責任者を指定して責任を持って保全に当たらせるなど、日ごろから秘密文書等厳格な保管を心掛けております。  今回の事案等につきましては、現在、事実関係等を解明をして原因を究明をいたしておりますが、事案の再発がないように再発防止の徹底に努めるとともに、調査結果を踏まえまして関係規則に照らして厳正に対処してまいりたいと考えております。
  101. 海野徹

    ○海野徹君 今の答弁で大丈夫なのかなと思いますけれども、与えられた時間がもう来てしまっているものですから、通告させていただいた質問のかなりの部分を残しました。川口大臣にもまだまだ聞きたいことがありますし、防衛庁長官にもお聞きしたいことがあったんですが、後日、また外交防衛委員会がありましたら、細かく通告させていただいたことを質問させていただく中で、今日はこれで終了したいと思います。  どうもありがとうございました。
  102. 谷博之

    ○谷博之君 民主党・新緑風会の谷博之でございます。早速、質問に入らさしていただきます。  午前中から午後に掛けまして北朝鮮国交正常化の問題が質問をされておられますが、私も前半、この問題について何点かお伺いをいたしたいと思っております。  まずその第一は、特に北朝鮮との国交正常化における北朝鮮通常兵力の削減の問題、軍縮の要求の問題なんですけれども、実はその前に日朝平壌宣言、これにはいろいろ、ここに私も手元にその宣言の内容を持っておりますが、二番のところに、「国交正常化の後、双方が適切と考える期間にわたり、無償資金協力、低金利の長期借款供与及び国際機関を通じた人道主義的支援等の経済協力を実施」すると、こういうふうな項目も出ておりまして、非常にこれは人道的な支援というものが必要だということは私どもも全く同感であります。  しかし、午前中の質問でも出ておりましたけれども、我々が支援をしたものが、具体的にお米ならお米が果たして国民に届いたのか、むしろ軍隊に流れて、そこで使われてしまっているんではないか、こんなような懸念もあることも事実であります。そういうことになりますと、これは東アジアの安定どころか、むしろ軍を更に、お米だけで強化するということはないかもしれませんが、支援そのものがそういうふうに使われていく可能性も、強化されるという方向に使われる可能性もあるわけですね。  そういう中で、実はアメリカブッシュ大統領米朝間の議題として既に通常兵力の問題を交渉の中で取り上げているというように我々は聞いております。今回の日朝平壌共同宣言に残念ながら通常兵力という言葉、文字も、その削減も一言も触れられておりません。  そこで、まず最初にお伺いしたいんですが、現在の北朝鮮通常兵力、これはどの程度あるのか。それから、後ほどお伺いするノドンですね、ノドン、核、ミサイル、これがどのぐらい配備されているか。そして、今後の国交正常化交渉の中で日本政府北朝鮮にこの通常兵力の削減を持ち掛ける考えがあるかどうか、お伺いいたしたいと思います。
  103. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 現在、北朝鮮の兵力につきましては、総兵力が約百十万人であります。陸上兵力は約百万人で、戦車が三千五百両、艦艇が七百十隻、十・七万トン。それから、空軍におきましては、作戦機が五百九十機、次世代、三、四世代の戦闘機が、ミグ23が四十六、ミグ29が十六、スホーイ25が三十五機ございます。また、特殊作戦部隊もございまして、約十万人程度あるというふうに分析をいたしております。
  104. 川口順子

    国務大臣川口順子君) それから、引き続きまして国交正常化の過程で通常兵力の削減問題等について取り上げるかという部分についてお答えをさせていただきたいと思いますけれどもアメリカブッシュ大統領北朝鮮の、あるいは北と南の対峙の現場近くの通常兵力について懸念を持っているということはそのとおりでございまして、この点については総理会談の中で朝鮮半島の緊張緩和の問題として取り上げたところでございます。  日朝の平壌宣言では、この点については、北東アジア地域の平和と安定を維持、強化するために互いに協力をしていくということを確認をしているわけでございまして、今後の正常化交渉をやっていく中で安全保障問題についても当然に取り上げていくわけでございます。  今回の国交正常化交渉をどのように進めていくかということの関連で、日朝で安全保障協議というものをやりますということについては一致を見ているわけでございます。北朝鮮通常兵力の問題を含めまして、朝鮮半島の緊張緩和についてはこの中で議論をしていくことになると思います。  安全保障あるいはミサイル等の問題については、従来からもやっておりますけれども日本、韓国、米国、この三国の連携をきちんとやりながら進めていくということが大事でございまして、今後とも密に連携を取っていく考えでおります。
  105. 谷博之

    ○谷博之君 それで、川口大臣にもう一回確認を今の御答弁についてさせていただきますけれども、この日朝平壌宣言の一番最後のところにこういうふうに書いてあります。「双方は、核問題及びミサイル問題を含む安全保障上の諸問題に関し、関係諸国間の対話を促進し、問題解決を図ることの必要性を確認した。」と、こういうことですね。この中に通常兵力のその問題も入っているというふうに解釈していいんでしょうか。
  106. 川口順子

    国務大臣川口順子君) そういうふうに御解釈いただいて結構です。
  107. 谷博之

    ○谷博之君 それで、先ほど防衛庁長官の方にお伺いしてちょっと御答弁いただけなかったんですが、いわゆる核・ミサイル問題の、ノドンのことですね。これはいろんな情報が出ておりますけれども、杏林大学の助教授の倉田先生という先生が書いてありますが、これは朝日新聞の九月十九日に出ておりますけれども、現在既に、日本に向けられたノドンが百基以上既に配備されていると。これは日本全体どこにももう射程距離が入っているという、こういうことだそうでございますが、これについての確認はどうでしょうか。
  108. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) ノドンの射程につきましては、先生がおっしゃるように、数字と同じでございます。基数につきましては現時点において正確に把握をいたしておりません。
  109. 谷博之

    ○谷博之君 実は、我が国にとって一番の脅威は実はここだと思うんです。これは私があえて言う必要もないと思うんです。  それで、この問題について、今回の金正日書記小泉総理大臣とのこの会談の中で、これは、私はその場にいなかったので一応風聞の話ですけれども金正日書記発言として、日朝国交回復すればノドンミサイルは問題でなくなるというふうに語ったと言われているんですが、つまり、逆に言えば、このノドンを私は金正日書記が切り札にしているというふうに見てもこれは差し支えないんじゃないかというふうに思っておりますが、この辺についての御認識はどう思いますか。
  110. 川口順子

    国務大臣川口順子君) ミサイル問題につきましては、先ごろの日朝の首脳会談の際に、今、委員がおっしゃられましたように、金正日書記からは、ミサイル問題については、総理の問題意識は十分に理解をしている、日朝関係が順調に改善すればミサイルの問題はなくなる。発射モラトリアムについては、平壌宣言の精神に従って二〇〇三年以降も継続をしていくこととしたいということでございます。  この安全保障の問題、ミサイルの問題については、この金正日書記発言を引き出す前に、総理からきちんと国際社会の懸念を踏まえて発言をしていただいているところでございます。こういった問題については、今後、日朝の安全保障協議の場で、それから、それをやるに当たっては日本と韓国と米国と連携を取りながらこの問題に対応をしていくという考えでおります。
  111. 谷博之

    ○谷博之君 それでは、ちょっと視点を変えまして、先ほどからずっと出ておりますが、拉致問題についてでありますけれども、いろいろ御質問、御答弁等ございましたから重複を避けたいと思いますけれども、その前に、こういうことを私は聞いているんですが。  今回、九月の十七日に小泉総理訪朝されました。それに向けて、家族方々が大変心配されて、その前から東京に上京されて、議員連盟の皆さん方と一緒に政府あるいは官邸に要望したり、いろいろなことをやったというふうなことを聞いておりますが、実は、こういう家族方々、遠いところから来た方もおられると思うんですが、これは全部自費で来ているんですね。交通費は自分たちが出して、そしてなおかつ要望をして、そしていろいろと御心配をされ、今回のようなケースになっているわけですが、私は、これ一つ要望ですが、ちょっと余りにもこれはやり方が冷たいんじゃないかという気がするんですね。こういう大変国家的なある意味では犠牲になったと言わざるを得ない人たちに対して、そういうことについて心配するのは自分たちのあれでやりなさいよというふうなことの対応では、国はどこまでそういう方々の立場を理解しているんだろうというふうなことを正直痛感させられました。  それはそれとして、今回の拉致事件は絶対人道上許せない国家犯罪であるということで、私も被害者とその御家族に心から御心中お察し申し上げたいと思っております。  そこで、これは一つの例ですが、また米国の例を出して恐縮ですが、アメリカでは、過去のベトナム戦争、そしてその前の朝鮮戦争、それぞれその戦争の後、米兵が捕虜になったり行方不明になったり、非常にそういうふうなケースがありました。そこで、アメリカとしてはこういう行方不明の米兵調査ということでPOWという組織を作られて、国交交渉と並行して別ルートでそうした人たちを捜査するという、調査するという、こういうことをやっているというふうに聞いておりますが、これが事実とすれば、日本は今回の、四日間ですか、二十八日から四日間、政府調査団派遣するということでありますけれども、こういう、アメリカのやっているのは正に常設の機関とか地域を決めて取り組んでいるという、こういうやり方があるやに聞いておりますけれども、その事実と、とすれば、日本もそういう方法もあるのではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  112. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今、委員がおっしゃられました、アメリカがベトナム戦争中に行方不明になった米兵の調査についてそういった調査機関を設置して行ったということにつきましては、一九九二年にハノイに設置をして四軍及び海軍の文官が参加をした等々ということで情報は持っておりますけれども、ベトナムと北朝鮮国内の事情、国交正常化後も全く同じであるかどうかというような点もあるかと思いますし、またアメリカも現時点では北朝鮮との間で朝鮮戦争当時の米兵の問題がまだ解明できていないところがあるというふうに聞いております。  いずれにいたしましても、こういった様々な問題については、今後、国交正常化の過程の中で議論をしていきたいと思いますし、国交正常化をするということ自体は北朝鮮にとっても非常に大事なことでありますので、それを十分にてことして使いながら交渉していきたいと考えます。
  113. 谷博之

    ○谷博之君 それでは、ちょっと質問が前後しまして恐縮なんですが、いわゆる日本北朝鮮、そしてこの東アジアのこれからの平和の枠組みの作り方といいますか、そういう点について次にお伺いをしたいと思っておりますが。  現在、北朝鮮、人口が約二千万人いると言われておりまして、そのうち、特に軍人とかその他のエリート、党のエリートですね、あるいはピョンヤンに住んでいる市民、そういう人たち約八十万人がある程度食が満たされていて、それ以外の地方のいわゆる北朝鮮国民は大変飢えに苦しんでいるというふうに言われています。韓国の調査でも、年間六百三十万トンの米が必要なところに、実際、常時二百万トン程度米が不足する、これを要するに国際的な支援によって支えていかなきゃいけないというのが今の北朝鮮の実情だというふうに言われているわけですね。  そういう中で、私は、この人道的な支援というのは、一方では拉致問題とか、いろんなそういう問題がありますが、正にそういったものの解明と同時並行的に、しかしこういう何千万の国民のやっぱり飢えというものを救っていかなきゃいけないと思うんですね。こういう意味の私は人道的支援というものは、ある意味では必要ではないか、積極的な役割を日本も果たしていくべきだというふうに思っています。  そして、それと同時に、実は一九九二年、朝鮮半島の非核化に関する共同宣言というのが、北朝鮮と韓国との間でこの年の二月十九日にこの宣言が発効しております。十年前に韓国と北朝鮮はこの共同宣言で非核宣言を実はうたっているんです。日本も御案内のとおり非核三原則を今貫いております。  そして、こういう立場からすると、いわゆる南北統一と平和共存に日本がそういう視点からも積極的にかかわっていくということ、つまり、先ほどノドンの話しましたけれども日本の非核三原則と、今言ったように、南北朝鮮のそういう非核化宣言という、こういう正に三つのトライアングルの中に、私はこの東アジアの非核化ということをこの三国が、さらにこれにアメリカをもちろん加えてもいいと思いますけれども、そういうところで非核化に向けての動きを、日本もその一翼を担って果たしていく必要があるんじゃないかというふうに思っておりますが、これらについてのお考えを聞かせていただきたいと思います。
  114. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 委員がおっしゃられました朝鮮半島の非核化に関する共同宣言につきましては、これは仮署名をして翌年、一九九二年の二月に発効したということでございます。ただ、この共同宣言にもかかわらず、九三年から九四年に掛けて北朝鮮による核兵器開発疑惑が高まったということで、実質的にこの共同宣言は機能していないという今状況にあるわけでございます。  朝鮮半島につきましては、今般の首脳会談を契機に今後緊張関係が緩和していくということを強く期待をしております。そうした中で、この非核化に関する共同宣言が完全に履行されるということを期待しているわけでございますし、我が国としても非核三原則、これを堅持していくという立場に変わりは全くないわけでございます。  非核地帯構想のようなものということにつきましては、その実現のための現実的環境はまだ整っていないということではないかと思います。例えば、この地域には依然として不透明な要素あるいは緊張関係があるわけでございますし、そしてまたこの地域には大規模な軍事力も存在をしているわけでございます。このような中で、我が国としては、アメリカの核を含む抑止力の下で引き続き我が国の安全を確保していくということではないかと考えております。
  115. 谷博之

    ○谷博之君 いろいろ私もお伺いしてまいりましたけれども、いろんなこの問題についての報道記事が出ておりますが、これは立教大学の法学部の教授の李鐘元さんという先生が書かれている記事がありますが、この中にも触れられておりますように、これからは日本北朝鮮との双務、一対一のそういうふうな交渉というものも、もちろんこれからいろんな意味で難しい局面はありますけれども、進展させなきゃいけない。  と同時に、それは、先ほど申し上げましたように、機能していないという話もありましたけれども、しかしそれは少なくとも十年前にそういうふうな共同宣言も発しているわけですね。あるいは、KEDOなんかの支援も具体的にやっているわけですよ。そういうふうなアメリカや韓国や日本、そして北朝鮮を結んだこの部分がいかに北朝鮮のそういう転換、政策転換というものを図っていくことができるかということを私は視野に入れて、グローバルな視点からそういう対応をしていくということも大変重要だというふうに思っています。  それから、もう一点。  たまたま、日本国際ボランティアセンターというのがありますけれども、JVCというふうに略されておりますけれども、ここが九月二十日に声明を発表しています。いわゆるNGOです。既に日本のNGOの中にも北朝鮮と民間レベル段階でレールを引いている組織や人たちがいるというふうに私は聞いておりまして、これからはやはり政府間のそういうレベルの交渉と同時に、そういう正にNGOの人たちを、一生懸命そういう方々にも活躍していただいて、さっき言った行方不明者の調査とか、いろんなそういう人道的な支援等について、やっぱりその場で活躍をしていただくということも私は非常に大事なことじゃないかというふうに思っておりまして、これは御答弁は要りませんので、是非ひとつ御検討いただきたいというふうに思っております。  それから、時間が限られておりますから、次に、質問に移ります。  防衛庁の所管の問題についてお伺いをいたしたいと思いますが、午前中の質問の中に沖縄のアメリカ軍基地の話がございました。沖縄が本土復帰から今年で三十年、そして沖縄にはもちろん日本全土の七五%の基地がそこにあるということですが、実は一九七一年、沖縄が日本に復帰してから三十年たちますけれども、ちょうどその復帰のときに日本の自衛隊が沖縄に配備をされました。そして、現在、陸海空合わせて約六千人、自衛隊の隊員の皆さんがここに勤務をしておられるということであります。  そもそも沖縄に自衛隊が配備をされた根拠というのは、「日本国による沖縄局地防衛責務の引受けに関する取極」、一九七一年六月二十九日に、当時の日本防衛庁防衛局長久保卓也氏と在日アメリカ合衆国大使館首席軍事代表・海軍中将ウォルター・カーチス・ジュニア、この中将との間で取り交わされた。これが実は沖縄に自衛隊が配備をされた根拠になっているというふうに考えております。  この取決めは、いわゆる日本国による局地防衛責務の引受けを定めるものでありまして、米軍統治下の沖縄で米軍の任務だった沖縄防衛を防衛庁が引き受けるに当たっての種々の取決めであるというふうに考えております。細かく配備される部隊の数とか、いろいろ書いてありますけれども、これは省略いたします。  そこで、この問題は随分過去にももう何十回と国会でも質問されていることなんですが、再度確認をさせていただきたいんですが、この取決めは日米間でどのような意味を持つのかということです。少なくとも、具体的に聞きますが、条約ではないはずです。防衛庁と米軍の担当者による単なる約束事と考えていいのかどうか。そのような点について過去にも国会答弁が今申し上げましたようにありますけれども、この点について確認をしておきたいと思います。
  116. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 自衛隊は我が国を防衛するということが主たる任務でありまして、沖縄返還の協定によって沖縄の施政権我が国に返還された以上、米軍から自衛隊に沖縄局地防衛の任務を引き受けることになるのは当然のことであります。「日本国による沖縄局地防衛責務の引受けに関する取極」につきまして、この任務の引受けがスムーズに行われるように、我が国が引き受ける局地防衛責務の内容、引受けの時期、自衛隊部隊の展開等の段取りについて事務的に確認をしたものであります。  したがいまして、沖縄の本土復帰の過程において、この取決めに示された計画どおりに自衛隊部隊が沖縄に展開をし、同地の防衛任務が自衛隊に引き継がれた時点でこの取決めはその役割を終えておりまして、現時点においては特段の意味を有しておりません。
  117. 谷博之

    ○谷博之君 それでは、重ねてお伺いをいたしたいんでありますけれども、これはいわゆる久保・カーチス取決め、久保・カーチス協定というふうに略称して言われておりましたけれども、これが発効してから三十年がたって、その当時、ここにもありますけれども、ナイキ群一とかホーク群一とかいうことで、三個中隊、四個中隊ということで、具体的にこういう配備内容についてもこの内容には触れられているわけですが、随分その当時から比べると軍事技術も進歩してまいりました。もうこれは言うまでもないことですが、例えばここにあるところのナイキ、地対空ミサイルのナイキは、現在はより高性能のペトリオットに替わっております。  元々ナイキというのは、我々も素人ですから細かくは分かりませんが、いわゆる高い空の方を飛んでいる、そういうところに対応する、その航空機に対応する。そして、ホークというのは、このナイキでカバーできない低い空の部分の航空機を対象にすると、こんなようなことのようでありますが、このペトリオットによってかなりその空域というのは対応できるということになってまいりまして、こういうふうなことを見直していきますと、当然自衛隊というのも日進月歩、基地の整備や縮小なり統合なり拡大なりというものを図っていかなきゃならないというふうに思っております。  ここにありますけれども、この取決めのホークの部隊の四個中隊、これは東風平町の与座分屯地、知念村の知念高射教育訓練場、勝連町の勝連高射教育訓練場、そして沖縄市と恩納村にまたがる白川高射教育訓練場、この四つがあるわけですけれども、こういう四個中隊というのは、今となっては過剰な配備ではないかというふうに我々は考えるわけですけれども、こういう装備や部隊の変更を例えば将来考えていくとすれば、この久保・カーチス取決めというものは、先ほどの説明だとするともう意味はなくなったということですから、直接そのことについて触れることはないと、こういうことでございましょうか。
  118. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 先生がおっしゃるとおり、この締結、沖縄の局地防衛責務の文書につきましては、沖縄の本土復帰の過程におきまして、これの計画どおりに自衛隊の部隊が展開をして引き継がれた時点でこの取決めはその役割を終えております。部隊の配置とか規模につきましては、防衛計画の大綱、また中期防を計画をいたしておりまして、国際情勢や我が国安全保障状況に応じまして計画に従って整備再編を行っているわけでございます。  したがいまして、復帰後の沖縄への部隊配置につきましては、我が国本土の場合と同様に、同地域の防衛、それから大規模災害等、各種事態への対応等の責務の遂行に必要な部隊を我が国の自主的な判断に基づいて決定することができるというのは当然のことでありまして、沖縄の自衛隊部隊、また施設の配置規模がこの取決めによって拘束されるということはございません。
  119. 谷博之

    ○谷博之君 分かりました。  それで、関連をしてもう一点だけお伺いしておきたいんですが、沖縄における先ほどちょっと触れました高射教育訓練場という部隊名の名称問題についてお伺いしたいと思います。  ここに、那覇防衛施設局管内防衛施設図というのが沖縄の地図の中にありまして、ここにそれぞれの自衛隊の部隊名が記されております。このいわゆる自衛隊の部隊名を決めるということについては、いろいろ私も調べてみましたが、昭和四十年の六月、「自衛隊使用施設の件数・数量の調査について」という通達が防衛施設庁の施設部長から各防衛施設局長に発せられた、これが根拠になっているというふうに言われております。  沖縄の場合は、先ほど申し上げましたように、一九七一年、本土復帰の時点で、この通達に基づいて決めたというふうに聞いておりまして、その決め方は、使用状況を勘案をし、特に、その区分表記のマニュアルに従ってそれを決定したということでありますけれども。  実は、考えてみますと、先ほど申し上げました高射教育訓練場、これは名前のとおり言うとすれば訓練場、訓練をする場と普通に我々は考えがちですが、しかし、ここには正に本土でいうところの駐屯地や分屯地と同じような形態になっているところがあるわけでありまして、具体的に言うと、さっき申し上げました三つの高射教育訓練場、これは当然形態からしても分屯地という名前を付けるべきではないかというふうに思っておりますが、この辺の名称の付け方、それからこういう高射教育訓練場と付けたその経過なり判断、これを教えていただきたいと思います。
  120. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) 御指摘の防衛施設につきましては、自衛隊法施行令に基づきまして分屯地と称されておりまして、これは小規模な部隊が所在するという観点からこのような名称が付されたものと承知しております。  他方、防衛施設庁におきましては、国有財産を管理している立場から、基本的には用途別で分類し、名称を付しているところでございます。この施設につきましては、訓練場として使用されるということを踏まえまして高射教育訓練場というふうに称しているものでございます。  御指摘の那覇防衛施設局が作成した資料につきましては、外部等への説明資料として使っておりますけれども、この名称を使用しているということでございます。  なお、この点につきましては、本土に所在する陸上自衛隊の高射特科部隊についても同じように整理しているところでございます。
  121. 谷博之

    ○谷博之君 そうしますと、ちょっと確認をしたいんですが、いわゆる高射教育訓練場と、いわゆる分屯地ですか、これはどちらの名前を使ってもいいということなんでしょうか。
  122. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) 先ほど言いましたように、陸上自衛隊の方では分屯地として使用しておりますけれども、施設庁の方では国有財産を管理するから用途に着目してそういう名称にさしていただいております。それで外部の説明資料にも使っていると、こういうことでございます。
  123. 谷博之

    ○谷博之君 沖縄には、御案内のとおり、米軍基地がもちろんたくさんある。陸上自衛隊の基地もあるという、正に基地の島ですね。駐屯地、分屯地という名前を付けるといかにもそこに部隊があって軍の施設があるというふうなイメージ、教育訓練場というと何となく教育する場なんだろうなと、こういうふうなことで、その言葉の意味合いが、これ正に素人考えですよ、そういうふうなことに受け止められないかなというふうな気がしておりまして、そういう意味で高射教育、こういう教育訓練場という名称を付けたということではないんですか。
  124. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) 先ほど言いましたように、施設庁としては財産を管理する立場から用途に着目してそういう名称を付しておりますので、そのほかの他意はございません。
  125. 谷博之

    ○谷博之君 そうしますと、ここにあります先ほど申し上げましたこの施設図の地図ですけれども、これは高射教育訓練場と書いてありますが、これは名称を別に変えても構わないということなんでしょうか。ここに書いてありますけれども
  126. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) 陸上自衛隊では分屯地でございますけれども、施設庁としては教育訓練が行われる場ということに着目してそういう名称を付しておりますので、ということでございます。
  127. 谷博之

    ○谷博之君 実は、これは私ども調べた話というか問題なんですけれども、現実に沖縄県や沖縄のいわゆる市町村ではすべてこの施設図によって行政上全部この名前が使われて扱われておりまして、正にそういう意味では、言葉の与えるイメージなのかもしれません、名称ということでは一つの、その名称によって普通我々はイメージを浮かべますから。そうすると、それが何か全体として独り歩きしているような感じもしないでもないわけなんです。これは私のある程度邪推というふうにとらえられても仕方ないかもしれませんが。少なくとも沖縄県民の中には、米軍の基地の撤去というか縮小というふうな気持ちほど自衛隊の縮小とかそういうことについての考え方は県民の皆さんは持っておられない。これは内閣府の調査でもそういうものが出ておりますから。  そういう点では、我々は、自衛隊の果たす役割、県民が米軍の基地よりもそれを受け入れているということからすれば、非常に自衛隊の果たしている役割も大きいんだろうと思いますけれども、こういうこの名称の付け方についても私はその実態に合った名称の付け方というのを考えるべきであって、そういう意味ではこの高射教育訓練場というのはちょっと名前の付け方としてはいかがなものかなというふうに感じておりまして、これは幾ら言っても多分水掛け論というか議論がかみ合わないと思いますので、要望として取り上げさしていただきたいと思っております。  それから次に、航空自衛隊の新初等練習機の調達と会計検査院の検査報告についてお伺いしたいと思っています。  もうこの問題は衆議院でも取り上げられておりまして、簡潔に二点だけお伺いしたいと思います。  平成十二年度の決算報告の「特定検査対象に関する検査状況」の中で航空自衛隊の新初等練習機の調達が取り上げられております。この内容は、簡単に申し上げますと、大きく三つの柱から成っておりまして、一つは入札時の書類の取扱い、それから二つ目には提案内容拘束の具体化、そして三つ目が入札時の提案内容履行の確保、この三つについて検討を求めておるわけでありますけれども防衛庁としてその後どのような対応を取ったのか、お伺いいたしたいと思います。
  128. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) この新初等練習機の調達につきましては、平成十二年度の会計検査院の報告では御院の所見として御指摘の内容が記述されているところでございます。  この会計検査院の報告書を踏まえまして、防衛庁としましては、富士重工業が提案した内容が今後の新初等練習機の機体調達やIRAN、これは定期修理でございますが、その維持に掛かる各契約に適切に反映されるように、内局、航空自衛隊、契約本部、この連携を強化することといたしておりまして、各年度の予算要求及び執行においては、平成十二年度入札時の提案内容を基に、物価、為替変動等を織り込んだ金額を算定し、その金額内で契約を締結することといたしております。平成十三年度の執行に際しましても、このような考え方に基づきまして機体十一機の調達等を実施したところであります。  平成十四年度以降も同様に、富士重工業の提案内容が確実に履行されるように、各年度の予算要求及び執行に関して防衛局長、管理局長、契約本部長等がそれぞれ連携を取りつつ、その職務を適切に遂行していくことといたしております。  また、今後、新初等練習機と同様の総合評価落札方式を採用する場合におきましては、会計検査院の報告書を踏まえまして、入札及び契約事務の公正性及び透明性をより一層高めて、提案内容がより確実に履行されるように、以下三点の点で改善を行っていきます。  まず一点は、入札時の書類の取扱いについては、入札書に機体の入札価格のほか入札提案時の価格その他の費用を付記させたり、提案書の全部数のうち一部をすべての入札参加企業の関係者の立会いの下に原本として封印をさせるということであります。  第二は、提案内容拘束の具体化につきまして、物価の変動、また為替レートの一般的な変動要素を具体的に明示するとともに、工数やIRAN間隔等の拘束内容について具体例を明示し、拘束内容等について、入札希望会社の共通認識を高めるための質問会等を入札説明会に加えて設定をいたします。  第三は、拘束内容履行の確保につきまして、入札説明書に損害賠償を行う具体的な場合を明示するとともに、提案内容を確実に履行する旨、及び履行されない場合の損害賠償の責を負う旨の確認書等を求めるなどの方策を取ることといたしたいと考えております。
  129. 谷博之

    ○谷博之君 それでは、重ねてお伺いしますが、ここに四月二日の新聞のコピーがありますが、「防衛庁、改ざんし提出」というタイトルなんですが、これは御案内のとおり、今回のその調達についてスイスの航空機メーカーが落札できなかったということで、スイス政府からその経過についての問い合わせがございました。それに対して、本年の四月、防衛庁は、会計検査院の報告を改ざんしてというふうにこのタイトルで書いてありますから、それを使わせていただきますが、改ざんをして、不適切と認められる事態は見受けられなかったというふうな旨の回答をしていた。このことがこの新聞に報道されています。  この点については、今年の五月八日、九日の衆議院の事態特の委員会でも、我が党の石井、枝野議員が質問で取り上げております。そして、この問題について防衛庁長官は、事務的ミスだったとしておっしゃっておりますけれども、監督不行き届きというふうな点もあって、俸給の一か月分の返納をしたというふうなことであります。  従来から、こういう防衛調達の透明性とか公正性が強く求められているわけでありますけれども、このような事態が生じたことは本当に我々にとっても誠に残念だというふうに思っておりまして、今後このようなことが起きないように善処方を強く求めたいと思っておりますが、防衛庁長官決意、所見をひとつお伺いしたい。そして、会計検査院の所見もお伺いいたしたいと思います。
  130. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 本件につきましては何度か委員会でも述べておりますが、いきさつといたしましては、スイス政府からの要請に対しまして、この特定検査対象に関する調査状況としての報告された性格付け、これについて適切に伝えたかったということで、その本文は全文翻訳して送っておりますが、この報告書の性格付けについても対外的に正しく知ってもらいたいと考えまして、同時に作成をいたしました。  この作成のときに、会計検査院とも協議をいたしまして、対外応答要領を作成をし、それについて防衛庁としての見解としてまとめていたものでございますが、この文書を訳したわけでありまして、防衛庁の担当者は、事前に会計検査院に連絡をして了解が得られていると考えており、またポイント等を会計検査院に届けた際に、会計検査院から特段のコメントもなかったことから、ポイントの作成名義人も含めまして会計検査院の了解が得られたものと認識をしたわけでございますが、しかし、そのことが上に伝わっておりませんで、会計検査院の了解を得ないままにそれを発送するという不適切なミスが生じたものと考えております。  本件につきましては、私自身も遺憾であると考えておりまして、当時の計画課長以下の作成担当者を厳重に注意処分といたしましたし、こうした事態が生じた後の対応につきまして、事務次官、防衛局長を厳重に注意をし、その旨、五月九日の国会において述べたところでもございますし、私も給与の一部を返納したところでございます。  今後、このようなことが二度と起こらないように、特に外国に発送する文書等におきまして不備がないように徹底して行ってまいりたいと考えております。
  131. 増田峯明

    説明員増田峯明君) お答えいたします。  私ども会計検査院といたしましては、ただいま先生御指摘防衛庁からスイス政府に送付されました検査報告のポイントという文書につきましては、検査報告に記載されていない文言が記載されているかのように、また、検査院が作成した文書ではないわけですが、検査院作成ということで、検査院が作成したかのように誤解を与えるおそれがあるということで、防衛庁に対しまして口頭でまずその旨を強く申入れをいたしますとともに、その後、スイス政府に対しましてスイス政府の誤解が生じないように伝えてほしいということで、再度、書面によりまして申入れをしたところでございます。  これに対しまして、防衛庁では、スイス政府に書簡を送付いたしまして遺憾である旨を伝えるなど、しかるべき対応が取られたものと理解しております。  私どもといたしましては、このような事態が起きましたことにつきまして大変遺憾なことと考えておりまして、今後二度とこのようなことが起きないようにお願いをしたいというふうに考えております。  以上でございます。
  132. 谷博之

    ○谷博之君 時間が参りました。あと何点か質問の予定をしておりましたが、一点だけ最後にお伺いいたします。  ODAの情報公開の一層の推進ということでございまして、ODA問題については午前中も質問が出ておりました。私も最近、さきの国会でミャンマーのバルーチャンの発電所の無償援助に関する質問主意書を提出して、そのときに感じたわけですけれども、一連の環境・社会面の調査について情報を聞かせてくれ、開示してほしいということを求めましたけれども、すると、入札に影響を及ぼすからという目的でこれを拒否されたわけですね。例えば、農民の聞き取り調査が入札に影響を及ぼすというようなことになるのかどうかそれは分かりませんが、こういう体質がどうも外務省の中にはあるんじゃないかというふうに考えています。  九月十一日のNPOの情報公開市民センターの発表した省庁の情報公開度を見ても、外務省は二年連続で二百点満点で七十五点、最低だったんですね、これは、情報公開度が。そういうことなんですが、いわゆる拉致問題でもいろいろと今指摘をされております。  そこで、特にODAの一層の情報公開の必要性と行動計画の更なる見直しの必要性、そして今度のこのNPOの出した情報公開度の感想、これらも含めて大臣に御答弁をお願いいたしたいと思います。
  133. 古田肇

    政府参考人(古田肇君) 御答弁申し上げます。  御指摘のバルーチャンの件につきましては、私どもといたしましては、情報公開法の規定に照らしましてこの七月一日付けで不開示の決定をさせていただいたところでございます。  その主な理由は、その中にある費用の積み上げの概算の問題でございまして、これが将来の予定上限価格の推測につながるという観点から、入札に影響を及ぼすんではないかということで非公開とさせていただいたわけでございます。  それから、御指摘のランキングについては、これは交際費でありますとか諸謝金でありますとか、公開についての制度運用についての御評価でございまして、十分承知しているところでございますが、いずれにいたしましても、ODAの改革を進めるに当たって、透明性ということは非常に重要な柱であるというふうに認識いたしておりまして、情報公開法に従って開示すべき情報は広く開示していくという考え方、精神に立ちまして、今後具体的な案件一つ一つについて誠実に対応してまいりたいと思っております。
  134. 谷博之

    ○谷博之君 以上で終わります。  ありがとうございました。
  135. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。  今日は、種々外務省並びに防衛庁に時間の限り質問させていただきたいと思いますが、まず今回の小泉総理訪朝に関してでありますけれども、もう今日この委員会で朝から種々議論があったわけでありますが、私は小泉総理国交のない北朝鮮に自ら現職の総理として乗り込んで、しかも実務に徹するスタイルで首脳会談に臨んだことを大変高く評価をしております。  今回、日朝平壌宣言に署名をされたことは、拉致問題がありましたので総理にとっても苦渋の決断で、御自分がおっしゃっているとおり、あったというふうに認識をしておりますけれども、他方、途中で交渉の席をけって帰ってきた方が良かったんではないかという意見がありますが、私はそうは思っておりません。その理由は、先ほど田中局長もおっしゃっていたとおり、やはり交渉の場を持ち続けることがこの拉致問題の真相解明するためにも不可欠であるということが一つあると思いますし、逆に、総理がもし席をけって帰ってきてしまっていれば、これはもうトップ会談ですので、この後フォローのしようがない状況になります。しかも、北朝鮮は、今まで拉致問題も行方不明者という言葉を使って、拉致ということが存在していないというのが従来の立場であったわけで、それを大きく転換をした今回の会談であったわけでありますけれども北朝鮮の方から見れば、そこまでいろいろと今までと違った譲歩をしていたのに、日本総理は来たけれども何も決めずに帰ってしまったということになれば、北朝鮮の国際社会での孤立感をより深めて、態度をより硬化させて、そして日本の方も拉致された方々の中で八名亡くなったという事実だけが分かって、その後の問い合わせもできないということになっていた可能性が私はあったという意味でも、総理がこのような決断を、苦渋の決断であったと思いますけれども、したことを大変に高く評価をしているところでございます。  しかし、この拉致の問題に関しては、国民の多くが、大多数が、北朝鮮拉致をされて生存していらっしゃる方もいる、また亡くなっていると言われている方もいるわけでありますけれども、この真相究明並びに責任の明確化というものを強く求めていることも事実でございます。  そこで、川口外務大臣に最初の質問を聞きたいと思いますけれども外務大臣としては今、国交正常化へ向けた交渉が再開されるという段階であるわけでありますけれども、この拉致問題の真相解明並びに責任の明確化を国交正常化の必要条件、絶対必要条件とするべきだというふうにお考えかどうか、お聞きしたいと思います。
  136. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 八人の方が亡くなったという情報の提供があったことについては、本当に衝撃的なことで、委員おっしゃいましたように、総理はその中で、国交正常化を進めていくことの歴史的な責務ということと、そうした情報総理自身も恐らくもたらされたであろう衝撃との間で苦渋の決断をなさったということだと思います。この拉致の問題は、国交正常化交渉を再開して進めていくに当たって一番優先される課題であると私は考えております、されなければいけない課題だと考えております。  今後、拉致の問題については、御家族方々の御意向を十分に伺いながら進めていく必要があると考えておりますけれども、二十八日から政府調査団を送りましてそういった事実関係解明をしたいというふうに考えています。  今後、それぞれのケースについての事実関係等々についての事実、その究明については、国交正常化交渉を行う中で引き続き解明を進めていきたいと考えております。
  137. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 二十八日から行く政府調査団の成果を期待をしたいというふうに思っております。  続きまして、この平壌宣言の中身のお話ですが、この宣言の中には、両国が、日朝両国が国際法を遵守し、互いの安全を脅かす行動を取らないことを確認と。また、核問題に関しても、関連するすべての国際的合意を遵守することを確認したということが明記をされております。  しかし、この表現、新聞でも既に指摘されているように、抽象的でまだあいまいだということになっているわけでありますけれども、またさらに、北朝鮮は、今回政府というかトップ自らが認めたように、不審船、工作船拉致など重大な国際法違反を過去に重ねて犯してきているということもありますので、この宣言は出たわけですけれども、この宣言に書かれている特に国際法を遵守、あるいは国際的合意を遵守するということの実効性をどう日本政府として、また外務省として担保されていくのか。例えば、北朝鮮がまだ核兵器関連で批准をしていない条約の批准を迫って、その批准をもって担保されたというふうに、具体的にそういったことを求めていくおつもりなのか、お答えいただきたいと思います。
  138. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 委員がおっしゃったように、実際にこれが遵守をされているかどうかということを確認をしていく過程ということは、重要な過程だと考えております。これは、この平壌宣言に、双方は、この宣言に示された精神及び基本原則に従って話を進めていくということでございますから、国交正常化の話の中で安保協議も開く枠組みを作ることになっておりますから、そういう中で議論をしていくべき話であると思いますし、同時に、アメリカ及び国際社会もこの問題については重大な関心あるいは懸念を持っているわけでございます。国際的にも韓国、米国と連携を取りながら、こういった点について話を進めていきたいと考えております。
  139. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 分かりました。  次に、今、外務大臣言及されましたけれども、この安全保障協議も含めて防衛庁長官にお伺いをしたいと思います。  今回の首脳会談で、金正日書記はミサイル発射のモラトリアムを二〇〇三年以降も継続をするということを明言をしたと伝えられておりますし、不審船というか、今は工作船ともう言っていいと思いますけれども、この工作船の再発防止も明言したというふうに言われております。  これは防衛庁長官として、今回のこの首脳会談の中でのこういった日本安全保障に大きな影響のある発言について、どう評価をされているのか。また、今後の防衛庁安全保障政策にどういう影響があるというふうに認識をされているのか伺うとともに、既にこれは新聞で報道済みでありますけれども、また今日のお話でも、議論でも出ておりますが、安全保障問題を協議する国交正常化交渉とは別というか並行の安全保障協議をやるということなんですけれども、この中で防衛庁としてどういった目標を持って取り組んでいかれるおつもりなのか、お聞きしたいと思います。
  140. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) まず、ミサイル問題でありますけれども、これのミサイルの発射の延期につきましては、米朝間の合意によりまして二〇〇三年まで延期をすると約束されておりましたが、今回の日朝平壌宣言におきましては、北朝鮮側が二〇〇三年以降も更に延長していく意向を表明をしたということでございます。  防衛庁としましては、このミサイルの開発、配備、輸出を含めた北朝鮮のミサイル問題というのは、我が国安全保障上重大な問題でございますし、また世界に対してミサイルの拡散等、国際的にも防止をしていかなければならない、特に大量破壊兵器等の問題につきましては世界の国々が力を合わせて取り組まなければならない問題でございますが、今回の平壌宣言の精神を踏まえまして、日朝間の協議そして諸外国間の対話を通じまして解決をしていかなければならない問題であると認識をいたしております。  また、工作船につきましては、これまた我が国安全保障上の重大な問題でございますが、今回の宣言におきまして、共同宣言の文章で、日朝双方は、国際法を遵守し、互いの安全を脅かす行動を取らないこと等がうたわれております。また、文章の中にも、日本の安全を、国民の安全を脅かすような措置につきましては今後起こさないと、また遺憾の意も表明をいたしておりますが、正式な外交文書で相手国の国家元首が遺憾を認めるとかいうようなものを書いた文書というのは非常に重要な意味を持つ文書でございます。  また、発言の中でも、これらは軍部の一部が行ったものと思われ、今後更に調査をしたい、このような問題が一切生じないよう適切な措置を取る旨発言をいたしておりますが、これにつきまして、今後このような問題が一切生じないように北朝鮮において適切な措置が取られることが必要であると認識をいたしておりまして、今後の北朝鮮側対応を見極めていくことが必要であると考えております。  安全保障協議につきましては、これが実施に移されば今後の北東アジアの平和と安定に大きく資するものになると考えておりまして、今後の展開につきましては北朝鮮側対応を見極めていくことが必要でありまして、今後、関係機関とよく調整をして、いかなる方法でこの安全保障協議を行っていくかということにつきまして、今後防衛庁としましては積極的に適切に対応してまいりたいと考えております。
  141. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 分かりました。  じゃ、次の質問項目に移らさせていただきます。  外務大臣にお聞きしますが、私、先日の決算委員会で、来年の春に日本で開催予定が、開催が決まっていますけれども、開催地が決まっていない第三回の太平洋・島サミットについて、私、内閣府の尾身大臣の方に沖縄の開催の可能性を検討したらどうかということを申し上げたところ、大変前向きなお答えをいただきまして、また地元の沖縄の稲嶺県知事も非常に積極的な姿勢を示しております。  そこで、これは当然いろんな候補地が出てきて、外務省が所管しておりますから最終的な開催地決めると思うんですが、この開催地の選定の今後の手続、またいつまでにこの開催地をお決めになる予定なのか、教えていただきたいと思います。
  142. 植竹繁雄

    ○副大臣(植竹繁雄君) 実は、私はこの太平洋フォーラム、十六か国ありますが、この先月の会合に出ておりました。そして、第三回の太平洋諸島のサミットにつきましては、来年の四月から六月の間に行われるということでございます。これは今お話ししました太平洋諸島・国十六か国の首脳を招待するということでありますが、この開催時期につきましては、今このフォーラム加盟国側と事務局と日程等これ調整しております。  なお、この日程選定に当たっては、これは会議場とかあるいは交通機関その他、施設、宿舎とか、そういったいろんな問題を勘案しなくちゃなりませんので、そういう意味においてこの場所を決定していくことになります。  なお、今、先生お話しのように、この候補地につきましては、沖縄、それから兵庫県の淡路島、それから宮崎と三地域が候補地になっておりますが、これは更に今検討中でございます。
  143. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 分かりました。候補地まで具体的に言っていただいて、副大臣、ありがとうございます。宮崎は第二回会合が、このサミット開かれているので、それ以上何も言いませんが、是非よろしくお願いいたしたいと思います。  続きまして、NGOの話に移らさせていただきたいと思いますけれども、南アフリカで開催されたヨハネスブルグの環境サミット、今回、日本政府は従来では考えられないぐらいこのNGOとの連携を重視をして参加をしたというふうに私認識をしておりまして、私が国会で提案をさせていただいたNGO担当大使ということで、石川大使も大変に活躍をされたというふうに聞いておりますし、また政府代表団にNGOのスタッフも加わって行ったということで、こういうNGOと政府が連携してこの環境問題に取り組もうという姿勢をサミットの場で表したということについて外務大臣のリーダーシップを高く評価したいというふうに思っておりますが、大臣として今回のサミットでのNGOとのこの連携に対する総括的な評価を是非お伺いできればというふうに思います。
  144. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 私としては、遠山議員にこのNGOの大使ということについては、重要な御提案をいただいたことを感謝をいたしております。  NGOの方々あるいはその関係団体の方々にこの代表団に加わっていただいていたしましたということは今回初めてでございまして、様々な視点がここに、会議の進める過程において入れることが、視点を入れることができたということについて、私は大変良かったと思います。  こういうことについては、引き続き機会があるごとにやっていきたいと私は考えております。
  145. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 この質問に関連しまして、これ、官房長お答えになるのかと思いますが、八月二十一日に発表された外務省の改革の行動計画の中で、このNGO担当大使は元々このヨハネスブルグ・サミットに向けての暫定的なお立場だったというふうに理解していますけれども、このポストを常設化する、制度化すると受け取れる項目が行動計画に入っておりますが、それに間違いはございませんでしょうか。
  146. 北島信一

    政府参考人(北島信一君) 委員指摘のとおりでございます。  WSSDに関連しましては、先ほど委員が言及されました石川当時国際社会協力部の審議官を兼任という形でシビルソサエティー担当大使に任命したわけですけれども、行動計画で外務大臣発表されましたとおり、これまでの実績を踏まえて新たにNGO担当大使を設置する、その上で、外務省とNGOとの連携の推進、それから共通課題への方針を統括させるということを考えておりまして、具体的には、この秋に任命する予定ですが、このNGO担当大使はこれまでとは異なり基本的には専任でNGO等との関係を担当する常設のポストとするという方向で現在検討しております。
  147. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 大変に個人的にはうれしい御答弁でありまして、本当に専任のNGO担当大使を設けている政府というのは実はそんなに多く世界でもないわけでありまして、スウェーデンがあるわけですけれども、これは外務大臣と三度ぐらい、三回ぐらい国会で議論させていただきましたけれども、本当に日本が、こういった他国が、他の先進国がなかなかやらないことを外務省としてやっていただいて大きな成果を上げていくことは、これから市民社会が発達していく中で大変に重要なイニシアチブではないかというふうに思っておりますので、是非よろしくお願いしたいと思います。  また、これも関連する質問でありますけれども、行動計画の中には、人事交流ということでNGOに外務省の職員を派遣をするという方向性が打ち出されております。しかも、行動計画を読みますと、既に若手職員を派遣したり幹部職員を長期で派遣をして既に手当て済みだ、実施しているというふうに書かれている部分があるんですが、もうちょっと具体的に、現状どういうことを行ってきたのか、この人事交流で行ってきたのか教えていただきたいことと、またこれらの人事交流を通してどのようなことを期待されているのか、その点についてお願いいたします。
  148. 北島信一

    政府参考人(北島信一君) NGOとの連携の強化ということですけれども、これまでの実績でございますけれども外務省としまして、既にこの五月に、入省三年目のⅠ種職員及び入省二年目の専門職職員合計三十六名を二泊三日の日程でオイスカ中部日本研修センターにおいて、外国人研修生受入れ事業の現場を体験させるという研修に参加させました。この研修は短期でございましたけれども外務省の若手職員が草の根レベルの国際協力の実態、NGOの果たしている役割、それから現場の抱える課題、そういった問題につきまして理解を深めるということで非常に有益だったと思っております。  もう一つ、幹部職員についてでございますが、この七月一日より、旭前駐マイアミ総領事を、地雷除去の分野で活動を行っておりますNPOですが、JAHDS、人道目的の地雷除去支援の会、このNPOに長期派遣しております。派遣間もないことでもあり、現段階では具体的な成果について御説明することは難しいと思いますけれども、NGOとの関係強化のみならず、対人地雷問題への積極的な取組といった観点からも成果が上がることを期待しております。
  149. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 ありがとうございます。  続きまして、東チモール関係の質問をちょっとさせていただきたいと思います。  時間の関係で、若干通告していた質問ではしょるところがあると思いますけれども、私は今年八月中旬に東チモールに参りまして、PKOの活動、またNGO、JICAの活動を視察をして、また国連関係者と幅広く意見交換をする機会を得ました。  そこで、今、東チモールには多くの課題があるわけでありまして、その中でも現地で一番強く要望があったのは、やはり司法制度の整備、特に人材育成、司法関係に携わる人材が少ないということで、この司法関係の人材育成が非常に重要であるということを聞いてまいりました。復興を今行っている東チモールで治安維持というのは非常に重要なことなんですけれども、この観点からも司法制度の整備ということは非常に重要なわけでありますけれども、私、この東チモールにおける司法制度の人材育成に関して、日本に東チモールの方々を連れてきて研修を受けさせても、東チモールと日本の国情が余りにも違い過ぎて、日本でせっかく学んだことが東チモールへ戻っても活用できないという実態が私はあるというふうに思っております。  その上で、やはり今、日本政府外務省としても、南南協力、つまりちょっと進んだ開発途上国がちょっと後れた開発途上国に対して援助をする、それを日本が側面からいろいろ支えるという枠組みがあるわけでありますけれども、この南南協力の枠組みを利用して東チモールの人材育成、特にこの司法分野の人材育成の援助できないかどうか、これについての御見解伺いたいと思います。
  150. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 東チモールにつきましては、司法制度の関連の人材の育成ということは今後の政治、経済、社会の発展を考えたときに非常に重要なことだと考えておりまして、日本としても支援を行っているわけでございます。  委員が御指摘の南南協力の形での、この面での協力ということは、私も、委員がおっしゃるように、国情が日本と東チモールとかなり違いますので、また言語等を考えても、近くの国で東チモールの司法に携わる方々の支援をしていくということは大事なことだと思います。  それで、実際に、今までも、例えば平成十二年度にインドネシアで法曹研修を実施をしたということでございますし、またそのフォローアップの研修をディリで十三年度には行っております。こういった南南協力の枠組みを使って東チモールの経済社会の発展を支援していくということを引き続き考えていきたいと考えます。
  151. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 分かりました。  続きまして、今、復興あるいは平和構築の支援の中で、国際社会でよく使われている短縮された用語にDDRというのがございます。外務大臣、よく御存じだと思いますが、これは日本語で言うと元兵士の武装解除、動員解除そして社会復帰ということになるわけでありますけれども、この東チモールの場合、このDD、つまり武装解除と動員解除というのはほぼ終わっていると。しかし、この最後のRの部分ですね、英語で言うとリハビリテーションとなっておりますけれども、この社会復帰の支援というのが大きく立ち後れている。特に、具体的に申し上げれば、ファランティルという東チモール独立のための解放戦線が、これ独立後解散されているんですが、ここの元兵士が非常に多くが失業者となってちまたにあふれていると。実際、私が東チモールに行ったときも、大規模なデモが行われる直前でありまして、非常に深刻な問題であるというふうに思ったわけでありますけれども。  この元兵士の社会復帰を支援する事業を、外務省は今年度から予算項目として紛争予防・平和構築ということで百二十億円の規模の予算を新しく確保しているわけでありますけれども、私、幾ら余っているか知りませんが、多分半分以上余っているんじゃないかというふうに勝手に思っておりますが、この予算を利用して、東チモール、これはアフガンでも同じようなことをやらなきゃいけないわけですけれども、DDR、特にこのRの部分への支援を強化する方向で考えていただけないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  152. 川口順子

    国務大臣川口順子君) DDRというのは、東チモールでもアフガニスタンでも大変に重要な考え方といいますか、そのプログラムだと考えておりまして、日本も力を入れております。  それで、東チモールにつきまして雇用に問題があるということでございますが、これについて、今、国連東チモール支援ミッションで準備中で、雇用プログラムを準備中であるというふうに聞いております。具体的なそのプログラムの提出があり次第、委員がおっしゃられた紛争予防・平和構築無償、これの活用を含めて検討していきたいと考えます。
  153. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 前向きな御答弁、ありがとうございます。  時間がなくなってまいりましたので、最後の質問になるかと思いますが、防衛庁長官にお聞きをしたいと思います。  私、防衛庁長官と同じ時期に東チモールに行かせていただきまして、大変に向こうで頑張っている自衛隊員の活動を視察をさせていただきまして、本当にありがとうございました。  長官は、二点まとめてお伺いしたいと思うんですけれども、東チモールでPKOで頑張っておられる部隊を視察されて、今回いろいろ、今までの自衛隊の活動とは趣の異なった、例えばNGOと連携をしてボランティアの活動に従事をしていたとか、そういう側面あったと思うんですけれども長官として現地の隊員の活躍にどのような感想をお持ちになったか。  それからもう一点は、長官は現地の記者会見で、恐らくPKFの本体業務の治安維持にかかわる警護任務への将来的参加を念頭に、これは私の推測ですが、武器使用基準の緩和の必要性を記者会見で主張されたというふうに報道されておるんですけれども、この点については今までも国会で議論積み重ねられてきたところなんですけれども、改めてこの点に関する長官の見解をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  154. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 遠山議員とは、くしくも八月十七日から十九日まで同じ期間東チモールで視察をいたしまして、遠山議員は、先ほど司法制度の支援やまたDDRの必要性について、現地で一番求められている点について早速国会で取り上げて努力をされていることについて心から敬意を表したいと思いますが、私が率直に得た感想といたしましては、非常に電気も水道もガスもない、また気温が四十度近くの大変な厳しい環境の中でも、派遣された隊員は、その計画と指示に従って、道路の建設を中心に黙々とひたむきに活動をしているという姿でありますけれども、そういった人たちから感じますことは、やはり平和な世界を作っていこうと、またこの地域の人々に平和な状態を作らなければならないといった非常に崇高な情熱とそして理想を感じまして、ほかに何かできることがないかなと考えますと、先ほどの職業訓練とか職業安定事業ではありませんが、以前は革命の改革派で戦ってきた人たちが、今度は平和のために何か手に職を付けなければならない。  日本の場合は、戦後は建設やいろんな産業興しで人々が職を付けていったんですけれども、自衛隊のやっていることも、コンクリートを作ったり家を建てたり、日本のある程度の技術を持っているわけでありますので、そういった初歩的な技術を教えるようなことも一つの彼らに対する職業訓練・教育に貢献できるんじゃないかなというような気持ちも持ちましたけれども、これもPKO法という定められた枠内において自衛隊の任務というものは実施されなければならないわけでありまして、今後はこういった民生に対する貢献とか、またNGOの方もたくさん行っておられますけれども海外青年協力隊等も含めまして、そういった方々と力を合わせてその国の人々が幸せに、また発展して作れるようなところに一つでも多く貢献をすべきではないかなというふうに考えたわけでございます。  あと、武器使用の問題につきましては、東チモールのオクシというところで、韓国の歩兵大隊と日本がともにPKO活動をしている現場でありました。韓国の任務は治安任務ということで、いわゆるPKFの本体の業務に就いているわけでありますが、話を聞きますと、市場でけんかが起こったり、また盗みがあったときに、この警護任務をしている韓国の部隊のじゃ武器使用をいかなる基準でやるかという点について非常に韓国PKO部隊も苦慮しつつ、そもそもPKOというのは戦わないための部隊活動であって武器使用については非常に抑制が利いて実施されておりますが、しかし何もしないといいますと、そういった治安も保てないということで、韓国なりにこの武器の使用についてはルールを作ってやっているわけでありまして、今後我が国がこのPKO本体業務に自衛隊部隊を派遣するには、この警護任務の取扱いや、また任務遂行上必要な武器使用の在り方につきましては、やはり隊員の安全と任務を、果たすべき任務ということを考え国内において今後忌憚のない議論を行う必要があるという趣旨で述べたわけでございまして、今後の我が国の国際貢献につきましては、この国会の場におきましても議員の皆様方も積極的に御議論をしていただきまして、今後の我が国安全保障についての在り方についてお決めになっていただきたいと考えております。  以上が所感でございました。
  155. 山本保

    ○山本保君 公明党の山本保です。  私は、ちょっと最初にまず具体的にお聞きいたしますけれども、具体的な問題についてお聞きします。  私の愛知県の小牧に名古屋空港があるわけですが、御承知のように、今度、中部国際空港ができることになっていると。そのことによって民間航空の方は縮小というようなことにだんだんなっていくようでありますけれども防衛庁に今日お聞きしたいのは、そのときに、これは地元からの強い実は要望でもあるんですけれども、以前はいわゆる戦闘機部隊がいて大変そういう点では騒音とかいろいろな点で心配だったと、今度、自衛隊の方で何かそういう、以前のような形でもっといわゆるそういう部隊が増強されるんではないかというような心配の声があるものですから、それをお聞きしたいんです。  そう考えてみますと、小牧というような愛知県の日本の真ん中にある飛行場、昭和十九年にできたそうでありまして、正にアメリカと戦争をやっているときに必要だった飛行場がどうして今の時期で必要なのかなというようなことも考えるわけでありまして、この自衛隊という、国を守る航空自衛隊の中でどう意味があるのかなと、今後どういうそういう変化が考えられるのかということについてお聞きしたいと思います。
  156. 野津研二

    政府参考人(野津研二君) お答えいたします。  今、先生から航空自衛隊の小牧基地の今後の在り方について御質問がございました。航空自衛隊の小牧基地は、これは旧陸軍が建設したものでございまして、戦後米軍による使用の時期がございましたけれども、昭和三十三年から航空自衛隊が使用いたしまして現在に至っております。  御案内のとおり、中京地区にございますので我が国の中央部に位置する飛行場でございまして、全国各地への航空輸送等を実施する輸送部隊の根拠地というふうなことがございまして、輸送機部隊を中心に航空自衛隊が所在しておりまして、そういった観点から非常に有用性の高い飛行場であるというふうに認識をいたしております。したがいまして、防衛庁としては今後とも引き続き使用してまいりたいというふうに考えております。  それから、先ほど先生御指摘ありましたように、かつては航空自衛隊の戦闘機部隊がこの小牧に所在いたしましたけれども、これは昭和五十三年に青森県の三沢基地の方に移っております。もし先生の御質問が、これが将来また小牧に戻ってくるのかということでありましたら、防衛庁としてはそのような計画は有していないということを申し上げたいと思います。
  157. 山本保

    ○山本保君 先ほど、同僚の遠山議員からも平和維持活動などについての話が出ましたけれども、テレビなど見ていましても、小牧基地からその隊員の方やその物資が輸送されているということはよく承知しております。そういう意味で、我が国の国際貢献にこの基地が使われるということであればまた意味があると思っておりますけれども、戦闘機部隊というようなものは今のお話では戻ってくるようなことはないというふうに今聞きました。  それで、もう一つ具体的に、その同地に三菱重工業の、名前を出しますけれども、いわゆる工場がございます。それで、今年ですか、大変何回もそこでいわゆる定期修理中の自衛隊の飛行機の電源関係の事故というんですか、事件というんですか、こういうものが起こっていると。これについて、もちろん捜査中というようなことでしょうから明らかにできないこともあるかと思いますが、まず私ども考えますに、そういうことがもし起これば何か非常に重要なときに大変重大な事故になるのではないかというようなことも考えますし、またこういう一番機密といいますか、重要なところにそんなことが起こるようなことでは今後大丈夫だろうか、一体自衛隊はどうしているのかと、こういう声もあるわけでございます。  この辺についての対応について、また今後の方針についてお聞かせいただきたいと思います。
  158. 大井篤

    政府参考人(大井篤君) お答えいたします。  防衛庁といたしまして、先ほど御指摘のありましたような事案が相次いで発生いたしましたことは大変遺憾なことであるというふうに認識しておりまして、三菱重工に対しましては、小牧南工場にあるすべての機体及び搭載品につきまして点検の強化、それから再発防止策等の対策の徹底、それから事実関係解明等を実施するよう強く指示しているところでございます。現在、同社による点検作業が鋭意実施されているところでございます。  また、念には念を入れるという観点から、各自衛隊におきましても特別に点検を実施しているほか、飛行前点検等の確実な実施について注意喚起をし、飛行の安全に万全を期しているというところでございます。  いずれにせよ、先ほど先生の御指摘がありましたけれども、現在、警察による捜査が行われるところでございます。同社の対応状況、それから警察による捜査の進捗状況等を踏まえて、今後とも適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  159. 山本保

    ○山本保君 三十秒しかありませんが、一つだけ簡単にお聞きします。  先ほどからお話ありましたように、今、今度の日朝の宣言によりまして両国間の緊張の緩和ということが期待されるのではないかと、大変オプティミスチックな言い方かもしれませんけれども。そうなりますと、今は十七年までですか、自衛隊の防衛力整備計画ですとか、また防衛大綱というようなものも随時見直して、そしてこの二十一世紀、戦争のなくなるような、そんな準備をする必要がなくなるような社会にしていきたいと私ども考えておりまして、当然そのことに対応してこれからこの防衛計画等についても機動的な見直しをしていただきたいと思っているわけですけれども、この辺について、お考えありますでしょうか。
  160. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 今回の日朝平壌宣言におきましては、ミサイル問題、核問題、工作船の問題ありますが、互いの安全を脅かす行動を取らないこと、また遺憾な問題が今後再び生じることがないよう適切な措置を取ることを確認をいたしておりまして、防衛庁といたしましては我が国の防衛に責任を有する立場でありますが、この宣言会談が実施に移されれば、今後の北東アジアの平和と安定に大きく資するものとなると考えております。  今後の展開につきましては、北朝鮮側対応を見極めていくことが必要でありまして、現時点において我が国の防衛政策の影響を直ちに申し上げることは困難でございますが、何とかこれが実施に移されますように、合意された事項が誠意を持って実施につながるように、今後、日朝関係の展開等も踏まえまして適切に対応していくべきものであると考えております。
  161. 山本保

    ○山本保君 ありがとうございました。終わります。
  162. 小泉親司

    小泉親司君 日本共産党の小泉親司でございます。今日は、日朝首脳会談について質問をさせていただきたいと思います。  我が党は、今回の首脳会談について、過去の植民地支配の謝罪と清算の問題、日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題の再発防止措置などに関して日朝平壌宣言が交わされた、国交正常化交渉の再開が合意されたことは、私たちは重要な前進の第一歩であるというふうに考えております。  同時に、この首脳会談で、北朝鮮日本人の拉致を行っていたという重大な問題が明らかになった。我々は、この犯罪については絶対に許すことができない点で厳しく抗議をしたいと思います。被害に遭われた御家族の御心中はいかばかりかということを心から察しております。その点で、私たちは、この事件について真相の全面的な究明が図られるべきだというふうに考えております。  私も、九八年に国会に出していただいて、九八年のテポドンミサイルの発射事件があったときも、私、当時の河野外務大臣にも追及いたしましたが、この事件でも日本政府が正式な抗議もできない、再発防止策も要求できない。この点で、私たちは無条件でこの北朝鮮との対話、交渉のルートを開いて諸懸案を解決すべきだということを繰り返し要求してまいりました。  今回の首脳会談では、金正日国防委員長拉致の事実を認めたという国際社会でも大きな意味のある事実が明らかになった。その点で、交渉のルートが開かれた以上、この全容解明について徹底して行うべきだというふうに思います。その点で、政府は今、調査団派遣などを決定して、今準備を進めておりますが、まずどういう方針で、また見通しでこの全容解明を進めていくのか、この点をまず私は外務大臣お尋ねしたいというふうに思います。
  163. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 拉致問題につきましては、大変に総理も、国民の利益と安全に責任を持つ者として大きなショックを、ショックで、強く抗議をする、家族気持ちを思うといたたまれないということを金正日書記に対しておっしゃっていらっしゃるわけで、きちんとといいますか強く抗議をなさり、そして継続調査生存者帰国、再びこのような遺憾な事案が生じないよう適切な措置を取ることを強く求めるということをおっしゃっていらっしゃいます。そして、これに対して金正日書記からは、遺憾なことであり、おわびをする、関係者については既に処罰をした、今後二度とこのような事案が発生しないようにするという旨のお話がありました。  今回、二十八日から拉致問題について事実解明のための調査団政府として出すわけでございます。様々な情報を、できる限りの情報を得るために最善の努力を尽くしていきたい、事実解明全力を尽くしてやっていきたいというふうに考えております。
  164. 小泉親司

    小泉親司君 私はやはり北朝鮮政府に対しまして、例えば十七日に明らかにされました拉致事件での被害者方々の名簿、これにとどまらないで、本当にこれがすべての、拉致問題のすべてであるのか、拉致犯罪を行った責任者は一体だれなのか、拉致被害に遭った方々北朝鮮においてどのような扱いを受けたのか、そういった真相を全面的に究明する必要が私たちはあるというふうに考えております。その点で、田中アジア大洋州局長は九月二十日の衆議院外務委員会で、十七日の、つまり首脳会談の段階では、安否情報と、金正日書記拉致という言葉を初めて口にし、その関与を認めて謝罪をするということでございまして、事実関係究明はこれからだというふうに答弁をされておられます。  その後、九月二十一日と二十二日の両日、大連での日米政府協議が行われました。その場所で日本側は具体的にどのような点を北朝鮮側に要求されたのか、また北朝鮮側からはどういう話があったのか、この点で新たな事実解明はあったのか、この点をまず次にお尋ねしたいと思います。
  165. 田中均

    政府参考人田中均君) 非公式な協議という位置付けでございますけれども、正に金正日国防委員長が述べた拉致、それから小泉総理が強く要求をした調査、そういうことに基づいて今後の段取りを協議をしたということでございます。  私どもとしては、断片的なことではなくて客観的にきちんと情報が開示されなければいけない、徹底的な調査がされなければいけないということは既に首脳会談の段階からの既定方針でございまして、これをきちんと実現をしていってもらいたいという要求をしたわけでございます。先方は、金正日書記・国防委員長が述べたこと、すなわち拉致として認め、事実の調査解明をしていくということにも合意をする、情報の全面開示について自分たちは最大限の協力をすると、こういうことでございました。
  166. 小泉親司

    小泉親司君 伝えられるところでは、十月の国交正常化交渉再開の日程や議題などの調整に着手した、死亡が伝えられた被害者についての詳細な経過の説明を要求した、曽我ひとみさんを含め五人の詳細情報を要求して、被害者家族のピョンヤン訪問の日程なども協議したというふうに伝えられておりますが、拉致問題では単なる安否情報にとどまらないで、亡くなられた方も含めて、どのように日本から拉致されたのか、どのような扱いを受けたのか、こういう情報の提供、調査要求も日本政府としてはされたということなんですか。
  167. 田中均

    政府参考人田中均君) 経緯、事実関係についての情報をすべて開示してもらいたいということでございまして、ただ、こういうものはきちんとしたやり取り、政府間のやり取りとしてやっていかなければいけない、それが今回、二十八日の日に政府調査団を送るその理由でございます。  私どもとしましては、その政府調査団に対して北朝鮮の当局がその経緯その他も含めましてきちんと説明をするということを求めた次第でございまして、先方はそういう説明を行うという方針であろうというふうに考えております。
  168. 小泉親司

    小泉親司君 もう一つ。私たちは、十七日に明らかにしたものが北朝鮮がかかわる拉致問題のすべてであるのかどうなのかということについての真相究明すべきだというふうに思いますが、この点で田中局長はどのような感触といいますか、点をお持ちなのか、この点をもう一つお尋ねしたいと思います。
  169. 田中均

    政府参考人田中均君) 私どもの基本的な考え方といたしまして、そのような事案があれば、これは捜査当局の御捜査に基づいて私ども情報の提供をいただけるものである、そういう情報に基づいて北朝鮮に提示をし、事実関係解明をする必要が出てくる場合も当然あろうかというふうに思っています。  北朝鮮側は、先般の首脳会談に先立つ会合において、日本側の八件十一名のリストに含まれていなかった方について先方から開示をしてきたという事実はございます。
  170. 小泉親司

    小泉親司君 先ほども出ましたが、あさってからの、二十八日から十月一日まで、政府調査チームが派遣されるということでありますが、大変四日間の短い滞在であります。この派遣チームは主にどのような点の調査を行うことを目的としているのか、その交渉の見通し、どうなのか、この点をお尋ねしたいと思います。
  171. 田中均

    政府参考人田中均君) これは先ほど御答弁を申し上げましたように、どのような経緯で北朝鮮で生活するに至ったのか、それから北朝鮮でどういう生活をしてこられたのか。それから、生存されているとされている方についてはその確認としてできるだけのことをさせていただきたいと思いますし、亡くなられたとされている方々についてはその事実関係について可能な限り詳細な情報を得たい。どういう経緯で亡くなられたのか、いつ亡くなられたのかということも含めて、できるだけ詳細な情報の開示を求めるということでございます。  私どもは、北朝鮮の当局ではないので、北朝鮮がどういう情報を開示するのかということについては分かりません。これは正に調査団が行って聴取をするということだと思います。ただ、総論、一般論として、北朝鮮側情報の全面的な開示をするということでございます。
  172. 小泉親司

    小泉親司君 伝えられているところでは、いわゆる生存されている方の五名の方にお会いするというふうなことが主な調査団の目的だというように伝えられておりますが、そればかりじゃなくて、当然北朝鮮政府から、先ほど私もお聞きしましたように、北朝鮮がかかわっている拉致問題のすべてであるのか、どういった扱いをされたのかというふうな問題も当然この調査の対象になっているというふうなことと理解してよろしいんですね。
  173. 田中均

    政府参考人田中均君) 先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。
  174. 小泉親司

    小泉親司君 有本さんの事件では、伝えられているところで逮捕状が出されたということでありますが、北朝鮮に対してはこうした犯人の引渡しを求めるということも考えておられるわけですか。  この点、外務大臣、どうですか。
  175. 田中均

    政府参考人田中均君) よど号の犯人につきましては、私ども従来から引渡しを求めているということでございます。
  176. 小泉親司

    小泉親司君 我が党は、こうした真相の全面的な究明とともに責任者の厳正な処罰被害者への謝罪それから補償、こういうものが行われるべきだというふうに考えております。新聞の報道などでは国としての補償とか個人の補償とか、様々な補償措置がいろんな巷間流れておりますが、外務省としてはこの点についてはどういう方針で臨むおつもりなんでしょうか。
  177. 田中均

    政府参考人田中均君) まず、これも御答弁を申し上げたとおりでございますけれども、事実関係についての解明が先行しなければいけない。そういう事実関係解明され、その中で、正常化交渉の中で、日朝間でこの拉致問題の解決のために交渉をすべきこと多々あると思いますけれども交渉をしてまいりたいと、このような考えでございます。
  178. 小泉親司

    小泉親司君 私は、いずれにしろ、この拉致問題の真相究明というのを徹底的にやはり行うと、その点で外務省としてもしっかりとこの点をやっていただきたいということを強調したいというふうに思います。  もう一つ、今度の首脳会談平壌宣言の問題についてお聞きいたしますが、私たちは、先ほども申し上げましたように、この対話交渉のルートを開くことというのが朝鮮半島の平和的な解決、日朝関係の平和的な発展、北東アジアの平和の問題についても大変大事だというふうに考えております。そのルートが開始された以上、この場所を通じてミサイル問題などの日朝間の懸案を解決して敵対関係から協調関係に進み、日本安全保障のみならずアジアの平和の流れを加速させることが重要であるというふうに考えております。  平壌宣言は、第三項で、「双方は、国際法を遵守し、互いの安全を脅かす行動をとらないことを確認した。」とし、第四項では安全保障問題で、「双方は、北東アジアの地域の平和と安定を維持、強化するため、互いに協力していくことを確認した。」というふうにされておりますが、外務省はこの日朝関係の平和的な関係アジアの平和の流れを加速させるという上でどのような展望をお持ちなのか、この点は外務大臣お尋ねしたいと思います。
  179. 田中均

    政府参考人田中均君) 委員指摘日朝平壌宣言の「三、」で、これは「双方は、国際法を遵守し、互いの安全を脅かす行動をとらないことを確認した。」。これは、日本がそういう安全を脅かす行動を取らないことは自明でございまして、専ら北朝鮮のことを言っているわけでございますが、この中には当然のことながら拉致あるいは不審船の問題も当然に含まれているということでございます。  総理は、首脳会談において、その一々について提起をされました。拉致問題については、先ほど外務大臣が御答弁をされたとおりでございます。  不審船問題については、総理から、我が国安全保障に直接かかわる重大な問題であり、先般引き揚げた不審船については、今後真相解明のための調査を行う、今後将来にわたり、このような遺憾な事案が発生しないことが確保される必要があるということを明確に述べられ、金正日国防委員長は、今後更に調査をしたいとしながら、今後このような問題が一切生じないよう適切な措置を取るというふうに述べております。  それから、日朝平壌宣言「四、」では、「双方は、北東アジア地域の平和と安定を維持、強化するため、互いに協力していくことを確認した。」ということがございますが、これも宣言でも述べられておりますけれども首脳会談でも総理一つ一つを取り上げて先方考え方を確認をしたということでございまして、一つは朝鮮半島の核の問題に関連するすべての国際的な合意を北朝鮮は遵守をするということ、それから二〇〇三年を超えてミサイル発射のモラトリアムを延長をしていくこと、それからミサイル問題について関係国との対話を通じて問題解決を図るということ、それから地域の信頼醸成については、総理から地域の信頼醸成のために六者協議といった対話の場が整備されることが重要であるという指摘をされ、これに対して金正日国防委員長より、信頼醸成の対話は関係国間の関係正常化されるにつれ整備されていくであろう、北朝鮮もそのような対話の場に参加する用意があるということでございました。  その諸点は、平壌宣言にも盛られているところでございますし、そういう具体的な考え方が今後きちんと実行をされていくかどうか、そのために日朝間で安全保障協議を立ち上げ、その中できちんと問題の解決を図っていくということでございます。  他方、核の問題とミサイルの問題というのは日本だけの関心事ではございません。米国その他の関係国の非常に強い懸念がありますし、私どももその強い懸念を共有をしているということでございますので、これは米朝の対話あるいは南北の対話、日米韓の連携、こういう中で問題解決に努めてまいりたいと、かように考えているわけでございます。
  180. 小泉親司

    小泉親司君 昨日閉幕しましたアジア欧州会議、ASEMでも、日朝首脳会談での合意が高く評価されて、朝鮮半島の平和のための政治宣言が合意されている。この中では、日朝間の諸問題及び国際的な安全保障上の諸問題及び国際的な安全保障上の懸案を解決するための首脳レベルの対話を高く評価し、ASEM参加国が北朝鮮を二国間、多国間レベルで更なる対話と協力に関与させることで合意しております。  私は、外務省がこのようなASEMの評価をどのように受けているのか。私は、やはり本当に日朝関係の、日朝間の平和的な関係北東アジアの平和を確保する上でこの宣言の精神と基本原則を双方がしっかりと実行に移すことが重要であるというふうに考えます。その意味で、日本政府がこの点、全力を挙げて追求されることを強く要望したいと。この点で私たちもその方向を強く支持して、必要な協力を惜しまないということを強調したいというふうに思います。  もう一つだけお尋ねしたいのは、宣言の二項には、日本側が過去の植民地支配による損害と苦痛を与えたという歴史の事実の問題、特に、「痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明した。」というふうにあります。  日本政府は今度の国交正常化交渉の中で、いわゆる経済協力方式で今後の補償措置などを検討するというふうな方針を取っておりますが、私、今度の交渉というのはこれまでの交渉と違って、九五年の村山談話で過去の侵略と植民地支配の反省、謝罪を明確にしたそれ以降の初めての交渉というふうになる点で、是非真摯な補償交渉を進めていただきたいということを要望したいというふうに思います。  その点、外務大臣にこの点をお尋ねしたいと思います。
  181. 田中均

    政府参考人田中均君) 平壌宣言で盛られておりますのは、補償という概念で日本は応じるわけにはいかないということでございます。  北朝鮮側は、ずっと戦後今に至るまで、日本は植民地支配をした、それで六百万人の強制連行等、彼らの言葉をかりれば百万人の虐殺等、そういうことの被害に対して補償ということを日本は応じるべきであるという議論を一貫して十七日に至るまでしてきたわけでございますが、十七日の宣言に盛られていることは、おわびの問題については、九五年の村山総理の談話を基に朝鮮の人々に対しておわびの意を表明するということでございますけれども、補償という概念で経済協力をやるわけではございません。これは相互の財産・請求権を相互に放棄をするという前提の中で、正常化後、経済協力という形で今後の北朝鮮の経済の発展、民生の安定、そういうことのために、平和を作るために支援をしていくという概念で合意がされているということでございます。
  182. 小泉親司

  183. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今、田中局長からお話を申し上げたとおりでございまして、私から特に付け加えることはございません。
  184. 小泉親司

    小泉親司君 次に、私はイラク問題について質問をさせていただきます。  ブッシュ政権は、イラクが大量破壊兵器の開発をしているので軍事攻撃を行うということを再三にわたって公言されております。しかし、イラクは既に国連に対して核査察を無条件で受け入れることを表明しております。この点でのブッシュ政権の軍事攻撃を行う言明には私は何らの根拠がないというふうに考えておりますが、日本政府は現在のイラクの核兵器開発の問題、査察受入れの問題、こうした現状をどのように認識されているのか、まず初めにお尋ねをしたいと思います。
  185. 川口順子

    国務大臣川口順子君) イラクの核の開発についての疑惑の問題でございますけれども、九一年の停戦以来、国連による査察を繰り返し繰り返し妨害をし、あるいは回避をし続けたということがございます。また、九八年以来四年間、国連の査察を全く受け入れていないということでございまして、国際社会は引き続き疑惑を持ち続けているわけです。イラクが大量破壊兵器関連活動をしているのではないかということについては、我が国としても懸念を共有をしているわけです。  アメリカが十二日に資料を発表し、またイギリスが二十四日に資料を発表をいたしました。これらにおいても、イラクがフセイン政権の下で化学兵器、生物兵器を開発をして、周辺諸国を攻撃するためのミサイルを持っていて、核兵器の開発を執拗に試みたということが載っているわけでございまして、これらの資料によって国際社会の懸念は深まってきたということが言えると思います。私もこの点についてはニューヨークで国連総会のときにイラクの外務大臣と話をしまして、強く申し入れた次第でございます。  国連の決議についてですけれども、イラクは国連の査察を受け入れるということを発表いたしました。これは第一歩ということでございまして、大事なことは、実際にイラクが査察を受け入れ、国連の安保理の決議をきちんと実施をしていくということでございます。これについては、まだ今後イラクがきちんとこれをやるかどうかということについてこれは分かっていないわけでございまして、こういう意味で今、国際社会が協調をして対処していくということが非常に重要なことだというふうに考えております。
  186. 小泉親司

    小泉親司君 私は、イラクが無条件の査察を受け入れられている以上、この実施を国際社会がまずきちんと実施させるということが何よりも大事だということは明らかだというふうに思います。  しかし、それだからといって、その査察を、無条件査察を受け入れられているにもかかわらず、これに対して例えばラムズフェルド長官は、その後の下院、十八日の下院の軍事委員会の公聴会でも、議会や世界がいわゆる決定的な証拠を待っているとしたら長く待ち過ぎだと。つまり、決定的証拠は不要だという姿勢を取っておられる。このような軍事攻撃を私は前提とするようなこうした言動というのは非常に重大な問題だというふうに思います。  その意味で、こういった具体的な疑惑に対して、疑惑に対して、それがイラクが受け入れると言っているにもかかわらずそれに対して軍事攻撃をする、こういう点はやはり非常に重大な問題だというふうに思いますが、外務大臣はその点はいかがお考えなんですか。
  187. 海老原紳

    政府参考人(海老原紳君) 今、小泉委員の方から、アメリカ、米国が軍事攻撃を行うというお話がありましたけれども、米国政府はこの問題に関しましては、終始一貫いかなる決定も行っていないということを申しておりまして、米国がイラクに対して軍事行動を取るということを決定しているわけではございません。  軍事行動を取るということが仮にあるとすれば、それは当然、国際法に従った形で行われるということは当然でございまして、そこの点につきましては、日本政府としても特に疑いを持っているということはあり得ないということでございます。
  188. 小泉親司

    小泉親司君 国際法上、もし軍事攻撃を行うということであれば、国際法上と言われた、に従うのは当然と言われたけれども、私はこのような核疑惑だけで軍事攻撃を行うというのは先制攻撃そのものだというふうに考えております。  その点で、私は外務省お尋ねしたいのは、国連憲章上、いわゆるブッシュ政権が言っているような先制攻撃というようなことは絶対に認められていないというふうに思いますが、外務大臣、その点はどうですか。
  189. 海老原紳

    政府参考人(海老原紳君) 国連憲章におきましては、今、委員が申されましたように、武力が行使できる場合というのが規定されておるわけでございます。  今、先制攻撃ができるかどうかというようなお話がありましたけれども、特に国際法上、先制攻撃というような定義ははっきりと決まっているわけではございませんけれども、いずれにせよ米国が仮に武力を行使する場合には、当然国連憲章に従った形で行うということだと思います。
  190. 小泉親司

    小泉親司君 いや、私がお聞きしているのは、それは国際法に従うということはこれは当たり前の話で、私がお聞きしているのは、国連憲章上、つまり先制的な攻撃、自らの国が攻撃を受けていないのにその国に対して攻撃をすると、軍事攻撃を行うということが国連憲章上認められているのかどうなのかと、この点をお尋ねしたんです。
  191. 海老原紳

    政府参考人(海老原紳君) 国連憲章の解釈ということでございますれば、国連憲章五十一条におきまして自衛権を行使できるということになっておりますけれども、これにつきましては、これも何回も国会で政府の方から今まで答弁をいたしておるわけでございますけれども、武力攻撃が発生した場合ということでございまして、そういうものがないときに自衛権を行使することはできないというのがこれまで一貫した日本政府の解釈でございます。
  192. 小泉親司

    小泉親司君 ということは、アメリカが国防報告や国家安全保障戦略の中で、必要に迫られたら先制攻撃も辞さないと、つまりアメリカが攻撃を受けていないのにそうした行動を行うと言っていることは国連憲章上は反することであるということを政府としてはお認めになることなんですね。
  193. 海老原紳

    政府参考人(海老原紳君) 今、委員がおっしゃいました米国の国家安全保障戦略というものが、最近行政府から議会の方に提出されたわけでございます。そこにおきましては、例えば脅威に対して先制的に対処をするというような言葉がございますけれども、先制的に対処をするために必ずしも武力の行使をするとしているわけではございません。  さらに、この報告の中におきましては、先制を侵略のための口実としてはならないというようなことも明記しているところでございまして、米国政府といたしましてこの報告書の中で国連憲章に反するような形で武力を行使するというふうに述べているものではございません。
  194. 小泉親司

    小泉親司君 私がお尋ねしたのは、一般的にあなたが、国際法にのっとってやる、従ってやるとアメリカが言ったので、アメリカ自体は先制攻撃をすると。ということは、アメリカの国が攻撃をされていなくても先制攻撃をするということは、これは国連憲章上は認められない、これは反することだというふうに政府としては考えているのかどうなのかということをお尋ねしたんです。  アメリカの戦略の解釈を私はお聞きしたんじゃなくて、政府としてはそういう見解なのかということをお聞きしているんです。
  195. 海老原紳

    政府参考人(海老原紳君) 私がこの米国の国家安全保障戦略の話を取り上げましたのは、ここに先制的に対処をすると、アクティングプリエンプティブリーという言葉がございますので、恐らくそのことを指して、委員の方がアメリカが先制攻撃をすると、武力攻撃が発生していないにもかかわらず武力を行使するのではないかという意味において先制攻撃をするということをここで認めているのではないかというふうに御指摘があったと思ったものですから、それであえてこの報告の言葉を引用させていただいたわけでございますけれども。  繰り返しになりますけれども、先ほど申し上げましたように、この報告におきましても、米国は脅威に対して先制的に対処することはあるけれども、必ずしもその武力を行使するわけではないと。いずれにせよ先制を侵略のための口実としてはならないということをはっきり述べているわけでございまして、武力攻撃が発生していないにもかかわらず武力を行使するというふうに、従来から我が方が述べている、そのような国際法的にはできないという意味において、先制攻撃をするというふうに別に述べているものではないというふうに考えております。
  196. 小泉親司

    小泉親司君 私は、だから一般的にそういうふうな先制攻撃については国連憲章上は認められないんだなと、政府としてはそういうことなんだなということをお聞きしているわけです。  時間がちょっと迫ってきたので、私は、アメリカは国連安保理でも、イラクが例えば無条件査察を受け入れると言っているのに、逆にイラクが受け入れられないような逆の条件を付けて、国連決議がなくても軍事攻撃を行うというような意図を私は大変明らかにしているんじゃないかと思います。  例えば、ニューヨーク・タイムズは、猫とネズミの追い掛けっこで、どちらが猫とネズミか知らないけれども、イタチごっこみたいなのを繰り返していると。  このような悪循環を私は繰り返すことじゃなくて、日本政府としては、こうした国連憲章にも明白に違反するイラクへの先制攻撃というのはやめるべきであるということをアメリカにきちんと主張すべきだと。イラクの無条件な査察の受入れ、これを直ちに実行させるべきだというふうな世論の先頭に立つべきだというふうに思います。  その点、最後に外務大臣お尋ねしたいと思います。
  197. 川口順子

    国務大臣川口順子君) アメリカは、イラクとの関係で先制攻撃をすると決めたということは一つも言っていないわけでございます。ブッシュ大統領は、先般の国連の一般総会の演説で、アメリカは国連の安保理と協力をするということを述べているわけでございます。
  198. 小泉親司

    小泉親司君 終わります。
  199. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 国連の岩本荘太でございます。国連と申しましても、ユナイテッドネーションズじゃございませんで、国会改革連絡会でございますが。  そういう立場で、少しでも国政が国民に見やすいように、また国民の現場の声が国政に反映されるようなふうに、なるようなふうに努力をしているところでございます。  朝から日朝首脳会談並びにODAを中心として随分いろいろな質疑がございました。私がこれからいろいろ御質問することも、あるいは今までの質疑の中でもう十分話されたことがあるかもしれませんが、私の知恵ではどれがどうなのか分かりかねるところもございますので、重複がありましたら御勘弁のほどをお願いいたしたいと思います。と同時に、私、防衛、外交の専門家ではございませんので、御答弁は一般国民に分かりやすくお答えになられるというような立場でお願いをいたしたいと思っております。  まず、この日朝首脳会談に関連しているといえば言えるんですが、今年の夏、第百五十四回通常国会の終わりころから、外務大臣が大変外交面で活躍されている姿を新聞やテレビで随分拝見させていただきました。それだけ重要なことをやっておられたんだと思いますが、外務省にお聞きしたら、外相の外遊実績、教えていただきまして、七月二十九日から八月六日までは、これは東南アジアですか、ブルネイ、シンガポール、ミャンマーと、ASEAN関係会議や各国政府の要人とのお話合いをされたと。それから、八月二十五日から九月の六日まではアフリカ、これエチオピア、アンゴラ、南アフリカ、南アフリカは当然ヨハネスブルク・サミットということのようでございましたし、九月八日から十日は中国と。九月十二日から十九日はアメリカと、これはアメリカ政府要人との御会談や外相会議、会合等の多国間会議というようなことで教えていただきましたけれども、大変な御活躍でございましたが、まず外務大臣が、外遊といいますか外交の日程をこなされたその成果と御分析をまずお聞きしたいと思っております。
  200. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 委員が今おっしゃっていただきましたように、七月の国会の閉会日のころから、ずっと幾つかの会議に出席をし、幾つかの国の訪問をしてまいりました。これらを通じまして、私はその行った国の政府の要人の方々お話をいたしましたし、また国際会議では日本の立場を主張し、また会議をまとめることに貢献ができたのではないかと思います。  いずれにしても、私はその外交を進めるときの姿勢といたしまして、強さ、温かさ、分かりやすさということを言ってまいりまして、これを具現する日本外交ということで、我が国安全保障環境を一層強化をするとか、あるいは地球環境上の、地球レベルの問題、環境ですとか感染症ですとか、そういった問題に対応をするということをやってきたつもりでございます。  個々の外国訪問については、まず東南アジアですけれども、ブルネイでは実にたくさんの会議がございまして、ASEANプラス3の、ということはASEANプラス日中韓の外相会議、それからASEAN地域フォーラム、そして安全保障問題や国境を越える問題等についてASEANの拡大外相会議で話をしてきたわけでございます。  そして、その機会に北朝鮮の白外務大臣と二国間会談をいたしました。また、シンガポールのリー・クアンユー上級大臣を始めといたしまして、意見交換を、地域の問題について意見交換をしましたし、ミャンマーでは一層の民主化に向けた働き掛けを行いました。  それから、アフリカでございますけれども、エチオピア、アンゴラ等行きまして、ここでアフリカの抱える様々な問題について実際に私の目で見たほか、来年の十月にTICADⅢというのが日本で開かれますけれども、それをアフリカに話をし、そしてヨハネスブルクでは、持続可能な開発の会議日本として会議をまとめるための役割を果たしてきたわけでございます。  それから、中国は、今年は日中国交正常化三十周年ということでございまして、江沢民主席ほかお会いをいたしまして、小泉総理訪朝についてお話をし、強い御支持をいただきました。  そして、その後の訪米では、国連の場で多くの方とお会いいたしまして、イラクの外務大臣との会議、サウジアラビアの外務大臣との会議、あるいはパウエル国務長官、パウエル国務長官とはアメリカにいる間に二回お会いをいたしましたけれども、そうした方々会談を持って、イラク問題あるいは北朝鮮の話について会談を行ってきまして、この過程を通じて日米同盟の一層の強化にお役に立てたのではないかと思っております。  今後とも、できるだけそういった主体的な外交をしていきたいというふうに思います。
  201. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ありがとうございました。  大変な御活躍で、現下の世界情勢をしっかりとおつかまえになったと思いますが、巷間言われておる内閣改造とかということがあるわけでございますけれども、これが修学旅行にならないように是非頑張っていただきたいと思う次第でございます。  それで、私は特にこの日程でお聞きしたいのは、最後の九月十二日から十九日の間、これは正に午前中からいろいろ議論があります日朝首脳会談の時期だったわけでございますが、先ほどから盛んに答弁されております田中局長、それと外務省では高野外務議官総理に同行されたんですか、そういういわゆる日朝首脳会談といえばこれは総理が行きますけれども国内の省庁別でいえば外務省の最大重要事項であると私は思っております。こういう省庁の分担からいえばそうだと思っておりますが、したがって、外務議官あるいは局長がおいでになったと思うんですけれども。  大臣大臣なりにいろんなお役割があったんですけれども、普通考えれば、そういうときにはやはり日本におって、そういう外務省局長等が接する情報の管理といいますか、そういう最高決定者であるべきじゃないのかなというのが素人考え。これは、先ほど申し上げましたように、一般国民の感情がこうある、こういうような感情を持っているわけです、実際に接してみますと。その辺を、私はだからといっていなかったのを責めるわけじゃないですけれども外務大臣としてはこの日朝首脳会談のときはどういうお役割を果たされたのかということをひとつお聞きしたいと思っております。
  202. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 日朝の首脳会談、これにつながるまでに様々なプロセスがあったわけでございますけれども、このプロセスを通じまして、一貫として、私が外務大臣になって以降でございますが、もちろん、これに関与をし、それまでの過程で必要な指示を与え、ということで仕事をしてきたわけでございます。また、先ほど言いましたように、その間、北朝鮮外務大臣との会談も行っております。  それで、実際に会談が行われた十七日、私はワシントンにおりまして、この日、ライス補佐官とそれからパウエル国務長官と、パウエル国務長官とは二度目のアメリカに行って会談でございましたけれども、をいたしまして、アメリカ側としてこの会談状況をできるだけ早く知りたいということでございましたのでそのお話をさせていただいて、アメリカから、小泉総理努力歓迎し、支持をするというお話をいただいたということでございます。  いろいろな重要な仕事の場合に、これはもちろん外務省にとって非常に重要な仕事でございます。私は、それぞれの分担がそのときにあるわけでございまして、国連総会でずっとニューヨークに行っておりましたので、その足で、ワシントンでそこで話をしたということでございまして、外国にいる間、アメリカからも小泉総理とはその間二度お話をしておりますし、それからピョンヤンあるいは東京から適時連絡をもらい、適時必要な指示をしてきたと、そういうことでございます。
  203. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 今の情報化の時代ですから、どこにおってもそれは可能かもしれませんが、たしか十八日ですかね、これは本当かどうか分かりませんが、外務大臣は何か当時、その死亡日時ですか、公表しなかったという問題があったときに、私はテレビしか見ていないんですけれども外務大臣は公表すべきであったというようなことをちょっと語ったというような報道に接したんですけれども。それはともかくとして、こんなことをもし言われたら大問題だと思うんですけれども、要するに、例えばあの情報にしても隠すかどうか、これは事務的な判断だというようなお話で、これにも私はちょっと疑念を持っているんですけれども。少なくともそういう判断をするときに、要するに外務省の判断ですかね、言うなら事務方といっても。  外務大臣、これは女性ですから、外務大臣は女性、女性と言って差別するわけじゃないですけれども、我々男性とはちょっと別の感覚があると思うので、そういう判断があったらまた別の判断があったかなというような私は感情を持つわけですし、それからこの事務的な判断というものについては、私はこれはつくづく感じますと、確かに相手の北朝鮮外務省から日本外務省に来たかもしれませんけれども北朝鮮外務省が、外務省かどうか分かりません、当局が日本外務省情報を流したというのは、これは絶対に首脳といいますか国の上部の指示があった、了解があったんだろうと思うんですね。そういうものが日本に来て、日本に来たら当然、それは今までの状態考えれば当然事務的に流すような情報じゃないと思うんですよね。  だから、当然そういうものは、例えば外務大臣がおられて、外務大臣がおられて判断されれば、もう少し私は違った結果が出てきたんじゃないかなというような感じがいたすわけでございます。  そこで、私はなぜこういうことを申すかというと、今回、日朝の首脳会談、確かに私も一つの成功であると、ある意味の成功であるとは思っておりますけれども、要するに官邸と外務省局長、審議官の幹部、こういうもののチームで動いているわけですね。それはいけないとは言いませんけれども、こういうものの動きというのは立憲国家にあるべきかなというような感じで、やっぱり各省各省で持ち分をきちんとやらないと、何か昔、歴史をひっくり返して、歴史をさかのぼって何か秘密主義につながるような危惧があってしようがないわけですね。  だから、ここでしっかり、私は外務省の重大案件であれば外務大臣が指揮権を持ってしっかりやっていただくということが大事だと思いますし、また外務大臣外務省改革で先頭に立ってやっておられるわけですから、もし、そういう自分がいなくて局長クラスで物事が進んじゃうというと、国民の目から見ると本当にできるかなという感じになっちゃうわけですね。この辺の、私はこう思うんですけれども外務大臣はどうお考えか、お知らせを願いたいと思います。
  204. 川口順子

    国務大臣川口順子君) まず、この問題について外務省として秘密主義でやってきたかどうかということでございますけれども、基本的に外交というのは外務省だけでできるわけではございませんで、各省、まあ政府全体として連携をしてやるということでございますし、特に外交は官邸と密接に連携を取りながら一緒にやっていくということでございますので、外務省としては従来より必要な情報をシェアしながら、みんなでシェアをしながら外交を進めてきたつもりでございます。  この件については、物事の非常に機微な性格ということがございまして、その過程に至るまでについては非常にきちんと管理をしながらやってきたという側面は確かにございますけれども、これは問題の性格上そういうことであったと、そういうことにならざるを得なかったということでございまして、今、政府全体として閣僚会議も作りまして拉致問題については取り組んでいこうということで発表もさせていただきましたし、また政府全体として、拉致をされた被害者家族の方の支援については、今日発表させていただきましたように、内閣に部屋を設置をして政府全体としてこの問題に当たるということでございます。  それから、情報について、私がいれば別途な、リストについて別途な判断ができたのではないかということについては、これはちょうどタイミング的に私は十九日に大阪に降り立ったわけでございますけれどもアメリカから、この飛行機に乗っている間にこの件についてはいろいろ問題の提起がありということでございまして、私が現地にいればということですけれども、これは元々私が現地にいるということは想定をされていなかった。これは、安倍副長官総理に一緒にいらっしゃって、それから向こう側の政府としても外務大臣がこれには出てこないということでございましたし、それから日本外交としてずっと総理海外への御出張について外務大臣が一緒に行ったということは、恐らく最近、十四、五年なかったということでございます。  したがって、総理との間で適切に分担をして仕事を進めてきたということでございますし、先ほど申し上げましたように、この過程については全面的にずっと関与をし、総理と御相談をしながら進めてきているということです。
  205. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 私、今回の首脳会談が秘密主義だと言っているわけじゃないんです。別に、今回は別に秘密主義でやったと思っておりませんし、ただ、ああいう形態が将来ずっと認められるようなことになると秘密主義につながりかねないんじゃないかなということと、それから大臣が物理的におれなかったというお話で、それも確かにそうでしょう。だから、そういうことを予想されるようなことも考えておくべきじゃなかったかなということを僕は申し上げたかったわけでして。  それと、これは私の感想ですけれども、朝からいろいろお聞きして、見ていて、非常に私の私的な感想ですけれども、午前中の会議田中局長は、八名の死亡情報を聞いたときのショックをずっと引きずっていると言われて絶句されましたよね。それで、マスコミのテレビは盛んに、マスコミやテレビが盛んにフラッシュをたきました。私は、局長の胸中を察するには余りありますけれども、いわゆるああいう姿、あるいはその後の答弁される、外務省の方針みたいな答弁をされる姿を見ておりますと、外務省の代表ってだれなのかなという気がしてならないわけですよね。そういう疑問を持ってきちゃう。本来、もう少し外務大臣がイニシアチブを持っていろいろやっておられたり、いろいろ答弁をされるべき問題じゃないかなという気がしてしようがないわけです。  そういう意味で、例えば外交マターであれば外務大臣というのはトップにおってしっかりと情報を管理して遺漏のないように努めてもらいたいなという気がしたわけでございまして、これは私の感想ですから別に御答弁は結構でございますけれども、そういう感じを持ったというのが実感でございます。  それで、これは余計なことを申し上げたかもしれませんけれども、私は、こういう問題はやっぱりこれから反省していろいろ前に進むわけでございますけれども、反省というのはこれは前に進むためにあるものであって、後ろに進むべきでないという、こういう認識でおりますので、そういう意味外務省はいろんな前向きに物事を進めていただきたい、こう思っているわけですけれども。  ただ、今度のこの日朝の交渉はどう進むか私も予想できませんけれども、少なくとも今まで以上に交渉の場が広がると思うんです。広がるというか、増えると思うんですね、頻繁度が増すと思うんですね。そうしたときに、今回の状況を見ておりますと、例えば、一つは、外務省事務方の判断でと言っておられる情報がなかなか出なかったということが一つの世の中の批判の対象になっているのが一つありますし、さらには、北朝鮮側も今回の拉致問題を国内でやっていない、報道していないというようなことが報道されているわけでございまして、そういう、国交というのはやっぱり政府だけの国交回復じゃない、国民全体がお互いに理解し合って国交を回復するのが、お互いに仲良くするのが最後の目的であると思うんですね。そんな中で、国民情報がなかなか公開されないで進むということは本当にうまくいくのかなという感じが私はします。今度がそうなるとは言っていませんよ。  そういう意味から、これから日朝ともしやる場合は、お互いにもっと情報を公開し合って進みましょうよ、ともに進みましょうよということを前提として進めるようなそんなことは、そういう考え方はいかがかと、これは私の提案でございますけれども大臣、もしございましたら。
  206. 植竹繁雄

    ○副大臣(植竹繁雄君) ちょっとその前に、あえて私からお話しさせていただきます。  今回の日朝の九月十七日、総理が御決定なさったときには、外務大臣は、ちょうどWSSDの、リオ10の十年目の重要なヨハネスの会議、これは日本としてどうしても行かなくちゃならない、そういう重要な会議でありました。そして、この日朝という、総理が行かれるということは、これは大変に重要で、これがオープンされていったら果たしてできるかどうか。そして、この判断、相手がああいう北朝鮮国交がない国でございます、そういう国で、これを総理が自ら行かれるということは大変なことであります。その決断というものは、私は高く評価されるべきであります。  したがいまして、大臣が一緒に行くとかいうんじゃなくて、秘密主義じゃなくて、常にオープンにできること、できないことというのは、これは外交交渉上あるわけです。しかも、それから後、帰ってこられてアメリカ外務大臣が行かれたということ、これは大変日米の、国連の問題で重要なことです。そういうときでございますから、総理が行かれた後は官房長官が主体に、私ども外務大臣と常に連絡を取りながらやっていると。今回は非常に短い時間にやったので、決して秘密主義とかそういうことじゃないと思います。  ただ、先生が言われますように、こういうものはできるだけオープンにするという御趣旨は分かります。それからまた、北朝鮮国内においてこれがもっと北朝鮮国民が知るべきだということは、ああいう全体主義の国では、すべてそういうのができないという北朝鮮の特殊事情もございますので、その点もお量りいただきたいと思います。
  207. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今、副大臣がおっしゃいましたので、ほとんど付け加えることはございませんけれども、一般的に我が国のような体制の国で外交をやっていくときに、内政と外交とよくつなげて言いますけれども国内国民皆様に、委員がおっしゃるように、御理解をいただきながらでなければ外交は進められないということは、私は強く思っておりますし、その努力もしてきたつもりでございますし、今後とも外務省としてその努力は続けていきたいと思っております。私は、例えば就任以来タウンミーティングを開いておりますし、そういった過程を通じて国民の理解を得るための努力をしてきているつもりでございます。  北朝鮮の方は、お国柄といいますか、その国独特の事情がございますから、一緒に情報公開を進めていきましょうということが必ずしもできるかどうかということは、これは北朝鮮の中の問題もあるかと思いますが、我が国としてはそういう形で進めていきたいと思いますし、それから植竹副大臣がおっしゃってくださいましたので、私もさっき申し忘れたことを一つ付け加えさせていただきますと、総理北朝鮮に行くという決定をなさる段階で私はアフリカにおりましたけれども、そこでもお電話でお話をしていますし、様々な段階で緊密に連携をしていると、そういうことでございます。
  208. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 どうも私の質問の趣旨、十分には理解していただけなかったかもしれませんが、私は全然否定しているわけじゃないんです。こういうことを進める中で、一国民として今の進め方を眺めている中で、国民がこういうことを疑問に思っていますよということを御質問したんであって、それに対して端的に答弁してもらえばいいというふうに思って質問した次第でございますので、その辺はひとつよろしく御理解を。  だから、私も恐らく今日のことは一般国民に、私の関係者に連絡しますけれども、それで分かったと言うかどうか、これは分からないんですけれども、それはまた次の問題になると思います。  そこで、日朝は終わりにしまして、ODAなんですけれども、本当はODAの方を時間を長く取ろうと思ったんですが、一つ、今日、午前中からも午後でもODAについていろいろ質問が出ました。私も前から何回もODAについては質問させてもらっているんですけれども、いわゆるなぜODAをやるかという基本的な、ODAというか海外援助、政府開発援助をやるかという基本的なところが最近どうも国民に理解されないんじゃないかと。それでどうも、なぜやるのかという声が物すごく現実には強くなっているんですね。  私自身、正直に申し上げまして、二十年前ぐらいはODAが私の仕事だったですから、これは知らないわけじゃない。ところが、そのころは経済成長期でしたから金が一杯あるわけですよね。お金があるから、まあ金持ちの慈悲というんですか、そういうふうな感情も半分あり、かわいそうなところへ援助してあげたらいいじゃないかということが国民的なコンセンサスとして割合作りやすかった。だから、そういうことで何も疑問は出てこなかったんですけれども、ここの財政再建といいますか赤字財政が盛んに言われている中で、なぜ、そうしたら日本の赤字に充てればいいじゃないかというような声が非常に強いんですよ。  それで、私、前に宮澤大臣にもお聞きしたら、宮澤大臣はたしか、日本は軍事力で援助できないからこういうことで世界平和に貢献しているんだというようなお話。それから、先々週だったですか、塩川財務大臣にも経済、要するに財政当局からということでお聞きしたら、やっぱり日本も援助を受けて経済発展した、だからそういうものとの、相手の発展途上国が経済発展することによって、あるいはその見返りとして日本も経済発展していくんだというような経済的な面からのお話がございました。それぞれ本当だろうと思うんです。  それに、外務省も出していますよね。一九九九年ですか、九九年度の我が国政府開発援助の実施状況に関する年次報告、この冒頭に、「政府開発援助はなぜ必要か」ということで、人道的な立場とか世界的な問題、食料や環境の問題が、課題は世界的な課題だからというようなことでこう書かれているんですが、どうもまだもう一つ、私が先ほども言いましたように、一般国民の方は理解し得ていないような感じがするんですが、大臣は端的に言ってどういうふうにお考えか。  先ほど何かちょっと、どなたかの質問で外交手段というようなことを言っておられましたけれども、確かに外交手段と言えばそれは聞こえはいいんですけれども、余計こうなると分からなくなっちゃって、外交手段と言えば発展途上国も何も関係なくなってくるでしょうしね。まあいろんな面で使えるというようなことにもなっちゃうような感じがいたしますんで、こういうお答えではちょっと私は納得させられないんじゃないかと思いますので、大臣の、こういう経済が緊迫してもなおかつODAをやる、やるべきであるというそのお考えを是非、これは僕は否定しているわけじゃございませんので、大臣のお考えを是非お聞きしたいということで質問しておりますので、よろしくお願いします。
  209. 川口順子

    国務大臣川口順子君) ODAが何で必要だろうかということについて、委員がおっしゃるようにきちんと国民皆様説明するということは私はとても重要だと思っています。  先ほど申し上げたタウンミーティングでも、大阪でODAを議題として取り上げていたしましたし、また、九月の初めに新聞にもODAをなぜ行うかということについては投稿をさせていただいております。  ODAがなぜ必要かということでございますけれども、まず、我が国は食糧もそれから資源も自給をする率が非常に低い国でございまして、国際社会、ほかの国々との間に相互に依存しながら発展をしていくという国でございます。そのためには国際社会が平和で安定しているということが何よりも重要であると思います。  どうしたらその国際社会の平和と安定を図れるかということに次になるわけでございますけれども、これには様々な手段があると思います。例えば、アフガニスタンで米国がやったように、軍事力を使ってテロの根源を根絶しようとする試みもあるでしょうし、また、京都議定書が一例ですけれども、そういった国際社会が必要としている枠組みを提示して、それを実行に移していくということもあるでしょうし、そして、我が国は軍事力を使うということは手段として持っていないわけでございますから、ほかの国々が発展をし、その結果として国際社会が平和で安定するように必要な支援を行っていくということが非常に大事で、それが正にODAの役割であるわけです。そういう意味外交手段として重要だということを申し上げました。  確かに、厳しいODAの予算の状況になっております。したがいまして、それに対応していくためには、我が国としては今までのODA予算を更に重点的に、効率的に、そして戦略的に使っていくことが必要だと私は考えております。  それならば、そういった重点、あるいは重点は何かということでございますけれども、それについて、今後は、我が国近隣諸国としているアジア、このアジア諸国の平和と安定のためにODAを使っていくということが一つ。それから、先ほど東チモールの話もありましたけれども、アフガニスタンやあるいはアフリカの国々といったように、平和構築あるいは紛争予防のために、いわゆるDDR、あるいはその地域の国の治安の回復、そしてその後の発展、経済の復興、発展といったことに支援をしていく、いわゆる紛争予防とそれから平和構築というのがもう一つ柱としてあると思います。  それから三番目に、アフリカの国々で私もつぶさに見てまいりましたけれども、感染症あるいは環境、そして今非常に重要な問題である水といったような地球レベルで考えなければいけない問題の対応のためにODAを使っていく。これらが今後、日本として重点的に考えていかなければいけない柱だと考えます。  そして、効率的にというふうに先ほど申しましたけれども、この効率的にという意味では、しばらく前に十五の改革の具体策ということを発表させていただきましたし、外務省の改革のための具体的な行動計画の中でも、更なる改革を進めるための、例えば更なる透明化等々についても柱を立てておりますけれども、そういったことをきちんとやってODAを効率化、そして透明化していくと、そういう努力が必要だと思います。
  210. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ありがとうございました。  ただ、説明するのは簡単でないというのがよく分かりました。ODAというのはそういう問題かなと思うんですが。  余り時間がないんですけれども、もっとODAについていろいろお聞きしたかったんですが、私は、一つは、ODAそのものが日本の経済に随分役立っているんじゃないかという感じがするんですよね。  例えば、ODA供与するとき、ODAといっても、これ大変だと思いますよ、資金協力から技術協力からあるし、資金協力にしても、ひも付きというか、タイドの関係とか、アンタイドにしても、レシピエントアンタイドというのですか、その相手国と二国間の関係、あるいはゼネラルアンタイドとかいろんなあれがあってひとつ大変だと思うんですけれども、割合ひも付きになって返ってくると。言うなれば、日本の税金が相手国政府を通して日本の企業に返ってくる。そういうひも付きが多いんじゃないかという気がする、多いかどうか分かりませんけれども、そういうものはだから本当は援助と言えるのかなというような感じがするんですけれども。  ただ、現実にその相手の国に物を残すわけですから、それがうまく使われればこれは立派な援助になると思う。ただ、日本の国で日本の税金を使うのとはちょっと違うんじゃないかと。日本の国で税金を使えば、日本の請負業者ももうかるし、物も日本に残る。発展途上国でそういう援助をすると半分しか行かないというような、残った半分がもしこれが全然使い物にならないとすれば、これは援助かという話になっちゃうんですね。そういう難しい面があるんですけれども。  これ、後日の質問につなげたいと思うんですけれども、要するに、相手国とのやりとりで、日本のひも付きとかそういう面の条件はどんなふうな付け方をされているのか、それがだんだんどういうふうに変化しているのか。それだけちょっとお聞きして質問を終わりたいと思いますが、よろしくお願いします。
  211. 古田肇

    政府参考人(古田肇君) 御答弁申し上げます。  タイド、アンタイド、御指摘のように様々なメニュー、形があるわけでございますが、国際ルールといいますか、OECDの中で各国が合意をしたアンタイドで進めるべきもの、タイドが可能なもの、そういう条件がございまして、それに則して幾つかのメニューを私どもとしては用意させていただいておるということでございます。  基本的には、タイド方式の場合には、金利でありますとか期間でありますとか一定以上の有利な条件である必要があるわけでございまして、そういったメニューについて被援助国側が具体的にどういうプロジェクトにどういう方式を求めてくるかという要請を伺いながら決定していくということでございます。  ちなみに、アンタイドの比率でございますが、OECDのデータによりますと、二〇〇〇年は、我が国の場合には八六・四%がアンタイドでございます。それから、円借款だけを取り上げますと、最近では三割強がタイドでございまして、七割弱がアンタイドということでございます。
  212. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 質問まだあるんですが、委員長から終了時間のお知らせが参りましたので、取りあえずここで中断させて、何かの機会にまた質問させていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  213. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 社民党の田嶋陽子です。私で最後です。頑張ってください。よろしくお願いします。もうちょっと、大変ですね。  今回の、ちょうど日朝平壌宣言を聞いたのはデンマークでしたが、胸が熱くなりました。国内、国外からも評価されて、歴史に残るエポックメーキングな出来事だったと思います。  ただ、身内の方々拉致された御家族方々は、その安否に心を煩わされながら、希望と絶望の中でつらい毎日をお過ごしになっていられて、その御苦労はいかばかりかと心痛思いでおります。社民党は、旧社会党時代に始まって、朝鮮労働党とは友党の関係であると強調しながら、結果としては、過去、拉致問題に関しては何もできなかったということを私個人としてはとても残念に思います。  ところで、日本側がこの拉致問題の解決がない限り関係改善はあり得ないと思う人がいるように、北朝鮮側にも、過去の清算を関係改善の一里塚にしてきたと思います。今回の日朝首脳会談では、小泉首相も謝罪し、過去の清算は経済協力で実施するということが合意されました。  そこでお伺いします、川口大臣に。日本側としては、この経済協力をする場合にどのようなことを重点的に考えるか、あるいは主眼点にしているのか、あるいは気を付けようとしているのか、その辺りのプランといいますか、ありましたら教えてください。
  214. 川口順子

    国務大臣川口順子君) この日朝の会談については、委員もおっしゃいましたように、御家族の、拉致された被害者の御家族のことを考えますと、私も心が痛みます。我が国として、委員がもう一つ指摘になられました日本北朝鮮との間の他の問題、日本の植民地支配によって朝鮮の人々に多大な損害と苦痛を与えたという歴史があったということについては、平壌宣言の第二番目の項目で述べておりますが、こういった歴史の事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からのおわび気持ち総理が表明をなさったということでございます。  そうした中で、その財産及び請求権を相互に放棄をし、そしてここに、平壌宣言に書かれているような、国交正常化の後、双方が適切と考える期間にわたって無償資金協力、低金利の長期借款供与及び国際機関を通じた人道主義的支援等の経済協力を実施をしていく、後続きますが、ということが書いてあるわけでございます。  そういった経済面での協力の具体的な内容あるいは規模といったようなことについては、これから国交正常化交渉の中で北朝鮮側と誠実に協議をしていくということでございます。  それから、北朝鮮の市民の生活向上に資するようにということでございますけれども、今申しましたように、それも今の段階でどういう形でということをあらかじめお答えをするのは、正に北朝鮮とこれからお話をすることでございますので、予断をすることは控えたいと思います。
  215. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 私はたった二十分しか時間がありませんので、申し訳ございませんが、簡潔にお答えを願います。  すべてこれからということですので、これから私が申し上げることは、質疑というよりはお願いになると思います。  今もおっしゃったように、北朝鮮に対して経済協力をすると。ですけれども、今回のことの対応は韓国への対応を踏襲していると言われていますよね。韓国に対しては、戦後補償というのを国への経済協力方式で行ったわけです。個人補償というのはしていないわけですね。まだ、特に従軍慰安婦にさせられた人たちに対しては補償していないわけで、被害者個人が納得していません。また、この北朝鮮国内にも元従軍慰安婦だと名のりを上げている女性たちは二百十八人います。そして、個人に対する補償を求めています。  私は、現在内閣委員会で継続審議になっている戦時性的強制被害者問題解決促進法案の提出者の一人になっております。やはり被害者個人に対する謝罪と補償、そして真相究明が必要だということを言っておりますし、今回のこの件に関しても、何らかの形でそれを入れ込んでほしいというふうに思っています。  ただし、これまで政府がやってきた、あるいは民間と共同してやってきた女性のためのアジア女性基金の事業は終了してしまいました。お金がないんです。これ以上、もうこのアジア女性基金で慰安婦問題を解決することはできません。それから、政府がこれまで戦後補償をしないという言い訳にしてきたサンフランシスコ条約なるものも、この二国間にはもうありません。  平壌宣言では、今、大臣がおっしゃられたように、もう財産権、請求権はお互いに放棄しようということになっています。ですから、この問題に関してはどん詰まりなんですね。ですけれども、これをこのまま放置したら、また私たちがこの十年間、私は議員に一年前になりましたが、その前からこの問題にかかわってきて、そして議員になってからもこの問題をやっています。インドネシアに行ったりフィリピンに行ったり、来週は台湾に行きます。そして、個人補償を要求している人たちと話し合い、政府と話し合い、何とかこの問題を解決したいとみんなで努力してきましたが、今回新しく北朝鮮とのこの問題に関しては、どうか私のお願いとしては、その北朝鮮への経済協力の枠の中に何らかの形でこの慰安婦の方たちにこの個人補償の分も入れ込んでいただけないか、取り込んでいただけないかというふうに考えるんですけれども、どんなふうにお考えでしょうか。
  216. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 日本と韓国の例を出されましたけれども、その前に、まず北朝鮮との関係については、この平壌宣言におきまして「財産及び請求権を相互に放棄する」ということを書いてあるわけでございます。それを国交正常化の中で具体的に協議をするということです。委員が先ほど補償というふうにおっしゃいましたけれども、韓国の場合についてもこの北朝鮮の場合についても、補償をするという考え方ではございませんで、財産権、請求権、財産の請求権の問題についてはこれをお互いに放棄をすると、そういうことでございます。  それで、この「財産及び請求権を相互に放棄する」ということにつきまして具体的にこれから協議をするということでございますので、先ほど言いましたように、これは今後の話になるわけですけれども北朝鮮の地域に在住する元慰安婦の方々との関係日本として何を行っていくかということについては、委員のお考えはよくきちんと聞かせていただきました。しかしながら、これについては、今後行われる日朝国交正常化交渉を始め、日朝関係全体の文脈の中でこれから総合的に検討していく課題であるというふうに考えております。  委員のお考えはお考えとして承らせていただきます。
  217. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 それでは、検討材料の一つに加えてくださるということですね、大臣
  218. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 繰り返しになりますけれども北朝鮮に在住する元慰安婦の方については、今後行われる日朝国交正常化交渉、そして日朝関係全体の文脈の中で総合的に検討していくべき課題であると、そういうことでございます。
  219. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 日本方々拉致された方々もその家族方々も、それから五十年前に拉致されて慰安婦にされた方々も、歴史と政治のはざまで犠牲になられた方たちです。皆さん苦しんでいらっしゃることは同じです。(「何が拉致だ、よく調べてからやれ」と呼ぶ者あり)よく調べて言っている。余計なことを言わないでください。  私は、先ほど田中局長がこの経済協力は平和を作るためのものだとおっしゃいました。そういう概念でこの経済協力をなさるんなら、拉致されたという意味では、苦しんでいるということでは同じ人間としての苦しみです。私は、この両方の人たちにきちんとした対応をしていただきたい。政府の手で救われて解放されることを望みます。  今、大臣がおっしゃったように、補償という言葉はこれ以後使われないと思います。経済協力という言葉に置き換えられると思います。それなら、その問題を解決する場合に、例えば小泉さんが解決なさったハンセン病、政府の判断が間違っていたというその点で解決されたハンセン病、その手を使っても私はいいと思います。とにかく日本人の拉致家族の方、拉致された方々、そして五十年前に拉致された方々、その方たちも同じ苦しみだということを忘れないでほしいです。  そして、アジア女性基金の償い金に相当するものは一人二百万から三百万でした。先ほど申し上げたように、その従軍慰安婦にされた方々は二百人ちょっといます。約五億円に相当します。そのことも考えてください。私は、ここで同じ過ちを繰り返さないように、十年間、ほかの国々の慰安婦の方たちと一緒に闘ってきた者の一人として、私はこのことをお願いします。  それからもう一つ、前に福田官房長官が私に約束してくださいました。七月十六日の内閣委員会の私からの質疑に対して、福田官房長官日本の戦後補償の窓口を明らかにするということを検討すると答弁してくださいましたが、まだ実現していません。その戦後補償の窓口については、その後どのように検討されていますでしょうか。
  220. 井上進

    政府参考人(井上進君) お答えします。  戦後処理問題につきましては、基本的には関係府省庁の各々の所掌に従って担当しておりまして、例えば、今お話ありました従軍慰安婦問題につきましては外務省が中心となり、必要な場合には内閣官房が調整するとの対応を行ってきております。  お尋ねのような部署の問題につきましては、官房長官の御意向も十分勘案しつつ、設置の是非も含め、関係府省とも引き続きよく検討してまいりたいと考えております。
  221. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 検討検討とおっしゃっているんですけれども、本当は検討していらっしゃらないんじゃないですか。これは難しいから、各省庁にまたがって難しいから窓口を一つにしてくださいとお願いしているんですね。窓口がまたがっていて難しいのは当たり前です。そこをやってくださるのが福田官房長官であり、力を持っていらっしゃる皆さんなんじゃないかと思います。頑張って明日にでも作ってください。よろしくお願いします。  次、中谷大臣、よろしくお願いします。  防衛庁の中谷大臣にお伺いします。  近年、国連平和協力活動への参加だとかテロ対策特別措置法に基づいたインド洋の派遣など、海外に赴く、任務を海外でする自衛官が増えています。自衛隊員の多くは各駐屯地で訓練に励んでいると思うんですけれども、中には実戦の場に行くと思って入隊した隊員はそう多くはないんではないかと思います。残念なことかうれしいことか私にはよく分かりません。ただ、自衛隊に入隊した動機を調べますと、一番多いのが技術が習得できる、それから二番目が自分の能力、適性が生かせるとか、心身の鍛錬だとか、給料が良いだとか、ほかに就職口がないだとか、国のために役立つというのはたったの二%です。これは平成五年度の調べですね。  昨今の状況を見てみて、自分たちが実戦の場に行かなければならないのかと心配している自衛官もいると思うんですけれども防衛庁長官にお伺いします。実戦の場に行く前というのは、どんなに訓練を積んでいても大変恐怖を感じるものだと想像します。そのための事前のメンタルヘルスというのは現在どのようになっているんでしょうか、行われているのでしょうか。
  222. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 実戦の場ということでありますが、PKO法で五原則がありまして、派遣先は、停戦の合意がされたところ、受入れ国が同意をしているところ、そして活動自体も国連活動でありますので中立的立場で活動するわけでありまして、現在、平和維持活動を行っている場所も含めまして、実戦の場ではなくて停戦が合意している場である中で活動しているということであります。したがいまして、派遣される隊員もこういった国連の活動を実施するという自覚の下に、自分なりに意欲とそして世界に貢献しようというそういう高い志と理想を持って行っておりまして、非常に、行っている隊員につきましては、全員自覚と意欲を持って元気でやっております。  派遣される前には現地の情勢とか任務の内容について本人にお伝えをいたしておりますし、そのための訓練も教育も実施をしておりまして、その際、本人の希望や家族の事情、本人の個人的な状況も十分しんしゃくした上で実施をいたしております。
  223. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 先ほどの遠山議員とそれから中谷長官とのやり取りを聞いていても、実際に東チモールとかに行っていらっしゃる隊員の方たちは志高く頑張っていらっしゃると思うんですね。でも、どこの社会にも落ちこぼれといいますか、揺らいでいる人とかいろんな人がいると思うんですね。  今のお話ですと、実戦の場には行かないということなんですけれども、有事法制、今回は議論されないでも済むようになると思ってうれしいんですけれども、そんなことを言うとまたやじられますね、三浦さんに。ですけれども、これからまたいろんな状況が出てくると思いますが、実戦の場に行くのは嫌だというようなそういう自衛隊員の意思というのがもしあったとしたら、それは尊重されるんでしょうか。それとも、行くのを拒んだ場合は強制的に除隊されるんですか。それとも、戦うことは義務とされていて、いろんな状況、入ってから、自衛隊員が自衛隊に入ってからいろんな状況の変化があるわけですよね。それに対してはどうこれから対応なさっていくんでしょうか。
  224. 中原爽

    委員長中原爽君) 時間が過ぎておりますので、御答弁は簡潔にお願いをいたします。
  225. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 今の自衛隊は旧軍と違いまして志願制になっておりまして、自ら希望して自衛隊に就職した者であります。また、こういった国際的な活動をする場合には本人の意向を尊重しておりまして、現実的な問題としましては、派遣に参加を希望する隊員が多過ぎて、その人選に一苦労するという状況でありますし、またその選定の段階において派遣要員から外れた者については、処分はもとより、何ら人事上の不利益を受けることがないということを基本にいたしておりまして、現実としては、このような拒否をする者は一人もいないというのが現状でございます。
  226. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 理想的ですね。何かちょっと受けていた印象と違って、それがもし本当にそうだったとしたらすばらしいと思います。  ただ、じゃ、今、委員長はもう終わりだとおっしゃいましたけれども、あと二分ほどあるとのことですので、もう一つ慌ててお伺いいたします。  カウンセリングシステムがあるということなんですけれども、部内、部外にカウンセリングシステムがあって、そして、そのカウンセリングの中で、私は結構いろんな病気になる人がいるんじゃないかと思うんですが、一番多い相談が、自衛隊を、任意に入った人の、任意の人のことなんですけれども、自衛隊を出た後の就職のことを心配しているというお話なんですけれども、その就職に関しては、再就職ですか、自衛隊を出た後の、あるいはその悩みの状況とか自衛隊を出た後の再就職とか失業率とか、そのことをちょっとお伺いできるといいんですけれども
  227. 中原爽

    委員長中原爽君) 先ほどは失礼いたしました。お時間は五十七分まででございます。失礼いたしました。
  228. 宇田川新一

    政府参考人宇田川新一君) 先生の御質問は任期制隊員の再就職状況だと思います。  三年ぐらいと申し上げますと、平成十一年度であります。退職者数が三千六百三十一名、援護の希望者数、これ再就職を面倒見てくれという話になりますが、この方が二千四十一名、就職の決定者数が二千三十四ということで、決定率は九九・七%であります。  平成十二年度であります。退職者数が四千三百九十八名、援護希望者数が二千五百七十一名、就職決定者数が二千五百六十三名、決定率は九九・七%。  平成十三年度は、退職者数が三千七百七十四名、援護希望者数が二千三百三十一名、就職決定者数が二千三百十四名の決定率は九九・三%であります。  これ、任期制の隊員の状況であります。
  229. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 これで終わりますけれども、もう一つ最後に、私が今すごく心配しているのは児童虐待です。ドメスティック・バイオレンスは夫が妻を殴ります。それから、児童虐待は親が子供を殴ります。強い者から弱い者へ。  自衛隊の中でこの虐待に相当するものはあるのかどうか。というのは、多分、上官というのは大変なストレスを抱えていらっしゃる方たちだと思うんですね、ある意味では。で、その上官は、訓練の下に自分のストレスを部下に晴らしてはいないのではないかどうか、そこのところを。  それで、そういうところをどんなふうに見ていらっしゃるのか、その上官のストレス解消をどんなふうに自衛隊はプログラムなさっていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。
  230. 宇田川新一

    政府参考人宇田川新一君) おっしゃるように、上官、部下の指導等でかなり悩んでいる面もあります。これは一般的なカウンセラー、先生先ほどおっしゃいましたけれども、部内の中の人間が聞くカウンセリング、それから部外の方に来ていただいて聞くカウンセリング、この辺で悩みを、心情把握と申しまして悩みを聞いて解決しているところであります。
  231. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 虐待はあるのですか、ないのですか。
  232. 宇田川新一

    政府参考人宇田川新一君) 虐待ということではなくして、私ども私的制裁と、私的制裁、私的、私的とは私の、私的制裁ということでありまして、残念ながらこれ全くないというわけではございませんで、時折、私的制裁が発生することがあります。例えば、自分の部下の教育上、どうも教育しても言うことを聞かないということでぶん殴っちゃったとか、何件か生じている、こういう話はあります。  これもやはりカウンセリング通してとか、あるいは別な服務指導という面を通して、そういうことのないように措置を講じているところであります。
  233. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 終わります、取りあえず。  ありがとうございました。
  234. 中原爽

    委員長中原爽君) それでは、他に御発言もないようですから、平成十一年度のうち、外務省及び防衛庁並びに平成十二年度のうち、外務省及び防衛庁決算についての審査はこの程度といたします。  次回の委員会は来る十月二日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十九分散会