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2002-09-11 第154回国会 参議院 決算委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年九月十一日(水曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  九月一日   委員今井澄君は逝去された。  九月二日     補欠選任        山根 隆治君  九月十日     辞任         補欠選任      田嶋 陽子君     福島 瑞穂君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中原  爽君     理 事                 岩井 國臣君                 佐々木知子君                 中島 啓雄君                 川橋 幸子君                 谷  博之君                 八田ひろ子君     委 員                 泉  信也君                 加治屋義人君                 柏村 武昭君                 後藤 博子君                 田浦  直君                 藤井 基之君                 三浦 一水君                 山本 一太君                 朝日 俊弘君                 池口 修次君                 海野  徹君                 神本美恵子君                 辻  泰弘君                 山根 隆治君                 風間  昶君                 遠山 清彦君                 山本  保君                 大沢 辰美君                 岩本 荘太君                 広野ただし君                 福島 瑞穂君    国務大臣        国土交通大臣   扇  千景君        環境大臣     大木  浩君    副大臣        国土交通大臣  佐藤 静雄君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       森下 博之君    事務局側        常任委員会専門        員        島原  勉君    政府参考人        内閣道路関係        四公団民営化推        進委員会事務局        次長       柴田 高博君        外務省経済協力        局長       西田 恒夫君        厚生労働省保険        局長       真野  章君        資源エネルギー        庁省エネルギー        ・新エネルギー        部長       伊藤 隆一君        資源エネルギー        庁原子力安全・        保安院長     佐々木宜彦君        国土交通大臣官        房長       安富 正文君        国土交通省総合        政策局長     三沢  真君        国土交通省河川        局長       鈴木藤一郎君        国土交通省道路        局長       佐藤 信秋君        国土交通省鉄道        局長       石川 裕己君        国土交通省自動        車交通局長    丸山  博君        国土交通省港湾        局長       金澤  寛君        国土交通省航空        局長       洞   駿君        国土交通省政策        統括官      河崎 広二君        国土交通省政策        統括官      鷲頭  誠君        気象庁長官    山本 孝二君        海上保安庁長官  深谷 憲一君        環境大臣官房廃        棄物・リサイク        ル対策部長    飯島  孝君        環境省総合環境        政策局長     炭谷  茂君        環境省地球環境        局長       岡澤 和好君    説明員        会計検査院事務        総局第二局長   増田 峯明君        会計検査院事務        総局第三局長   白石 博之君        会計検査院事務        総局第五局長   円谷 智彦君    参考人        住宅金融公庫総        裁        望月 薫雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件理事補欠選任の件 ○平成十一年度一般会計歳入歳出決算平成十一  年度特別会計歳入歳出決算平成十一年度国税  収納金整理資金受払計算書平成十一年度政府  関係機関決算書(第百五十一回国会内閣提出)  (継続案件) ○平成十一年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第百五十一回国会内閣提出)(継続案件) ○平成十一年度国有財産無償貸付状況計算書(  第百五十一回国会内閣提出)(継続案件) ○平成十二年度一般会計歳入歳出決算平成十二  年度特別会計歳入歳出決算平成十二年度国税  収納金整理資金受払計算書平成十二年度政府  関係機関決算書内閣提出) ○平成十二年度国有財産増減及び現在額総計算書  (内閣提出) ○平成十二年度国有財産無償貸付状況計算書(  内閣提出)     ─────────────
  2. 中原爽

    委員長中原爽君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  議事に先立ち、一言申し上げます。  皆様既に御承知のとおり、本委員会理事、元決算委員長今井澄君は、去る九月一日に御逝去されました。痛惜の念に堪えないところでございます。  去る九月八日、長野県茅野市公会堂において葬儀、告別式が執り行われたところでございます。  ここに、皆様とともに謹んで黙祷をささげ、哀悼の意を表しまして、御冥福をお祈り申し上げたいと存じます。  どうぞ御一同、御起立をお願いいたします。黙祷をお願いいたします。    〔総員起立黙祷
  3. 中原爽

    委員長中原爽君) 黙祷を終わります。御着席、お願いをいたします。     ─────────────
  4. 中原爽

    委員長中原爽君) 委員異動について御報告いたします。  欠員となっておりました本委員会委員一名につきまして、去る二日、山根隆治君が委員選任されました。  また、昨十日、田嶋陽子君が委員を辞任され、その補欠として福島瑞穂君が選任されました。     ─────────────
  5. 中原爽

    委員長中原爽君) 理事補欠選任についてお諮りをいたします。  現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 中原爽

    委員長中原爽君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事谷博之君を指名いたします。     ─────────────
  7. 中原爽

    委員長中原爽君) 平成十一年度決算外二件及び平成十二年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、平成十一年度のうち、運輸省、建設省、北海道開発庁、環境庁、国土庁及び住宅金融公庫並びに平成十二年度のうち、国土交通省環境省及び住宅金融公庫決算について審査を行います。     ─────────────
  8. 中原爽

    委員長中原爽君) この際、お諮りをいたします。  議事の都合により、これら決算概要説明及び決算検査概要説明の聴取は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 中原爽

    委員長中原爽君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  速記を止めてください。    〔速記中止
  10. 中原爽

    委員長中原爽君) 速記を起こしてください。     ─────────────
  11. 中原爽

    委員長中原爽君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  12. 山本一太

    山本一太君 まず最初に、大木環境大臣にタイムリーな話題についてお伺いしたいと思っております。  八月二十六日から九月の四日までだったと思いますが、ヨハネスブルグ環境開発サミットがございまして、実施計画と、それからヨハネスブルグ宣言ですか、これを採択して閉幕をいたしました。日本側からは川口外務大臣大木環境大臣と、それから多数の国会議員と、それからNGOが参加をされたわけです。  環境開発サミット、これ十年目ということで、例のUNCEDのリオサミットから十年目ということで、リオサミットのときは私、国連開発計画ニューヨーク本部におりまして環境仕事をやっておりましたので、この環境会議に思い入れがありまして、大木大臣活躍もテレビや新聞等でフォローさせていただきました。  日本としてはいろいろな形でこの会議イニシアチブを取ったというふうに伺っておりますし、川口大臣帰ってこられてコメントを求められて、日本にとっては十分満足のできる結果だったというふうにお話をされたことを覚えておりますけれども、まず大臣の方から、この環境サミットに参加した御感想、そしてどういう評価をされているかということを語っていただければと思っております。よろしくお願いします。
  13. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 今お話しございましたとおりに、リオから十年ということで、よくリオ・プラス10という言い方で、さあ十年たったと。果たして、リオでいろいろと十年分の何というか目標を作ってそれを達成するために努力をしてきた、その結果をレビューして更にこれから何が必要であるかということを考えるというのが今回の会議目的であったというふうに思っております。  会議の方も、非常に、各国のもうほとんどの、世界じゅうの百九十ぐらいある国のうちのほとんど、百六、七十は来たでしょうか。そしてまた、首脳と言われる方、大統領あるいは総理という立場の方々も百人を超えるそういう首脳も来られたし、もちろん閣僚もたくさん参加したということでございます。  ですから、この十年の評価とそれからこれからの見通しと、こういうことになるわけですが、評価につきまして、私は正直申し上げまして、かなり進んだものとなかなか思ったとおりに進まなかったものといろいろあると思います。  よく言われるように、リオ以来のこの地球サミット目的というのが、持続可能な開発ないしは成長ということで言われておるわけでございますが、いろいろとその持続可能なといいますと、よく経済環境地球環境の保全との整合といいますか調整と申しますか、それが言われてきたわけですけれども、更にもう少し視野を広げて、何と申しますか、いろいろな、狭い意味での環境とかあるいは狭い意味での経済というのに更に広げて、いろんな意味での社会問題というのがたくさんあるじゃないか、そういうものも併せてということで、今までは経済環境ということを言われていたのが、それに、経済環境に更にそういった社会社会というのは非常に言葉が広いのでなかなか難しいんですが、その社会というものを三つ並べて、やっぱりこれをきちっとこれから持続可能なという形の中で進めていこうということが今後の目的として更にいろいろと議論をされたということだと思います。  一言で言いますと、今までできないものについてどういうことがあるんだということですけれども、特に今回アフリカという地で会議が行われたということもございまして、やっぱり世界の各地にまだ非常に、今度は広い意味貧困というのが非常に存在しておると、これをどうやってなくしていくかということが、今申し上げました経済にしろ環境にしろ、あるいはいろんな社会問題の解決に必要だということでございまして、貧困というものについてどういうふうに対処するかというようなことがいろいろとございました。  ただ、貧困といいましてもいろんな面がありますから、貧困から生ずるいろんな社会問題というのがたくさんあります。健康の問題もございます。教育が十分にいかないということもある。それから、そういったことを背景として、いろいろと国の中の安定が達成されないというようなこともあるということでございますから、非常に広い問題が取り上げられたということが言えるかと思います。  ちょっと各論をこれからまた、むしろ先生方の御質問に応じてお答えした方がいいと思いますけれども、そういうことで非常に視野が広がったと。したがって、それに対するいろいろな方策というものが議論されましたけれども、これはすぐにできるもの、できないもの、いろいろございますから、要するに貧困ということを非常に意識しながら、今言った経済環境と、そしてまた社会問題をいろいろと解決していこうと。  意義としてあえて一言で申し上げると、やはり全世界首脳級が集まって、これから一生懸命真剣に取り組んでいこうということだけはこれはお互いに認識し合ったということが大きな意味であったと思います。  日本につきましてもいろいろと、御存じのとおりの京都議定書の問題もございますから、これについては日本が非常に最終的な調整をして、とにかくまだアメリカを始め議定書批准していない国々については早くまたひとつ批准するようにというようなことの決議文も作りましたし、いろんな面で、日本もこれだけの国力を持っておりますから、これからもいろんな意味で、資金的にもあるいは技術的にもそういった今の問題について国際的にも協力あるいは貢献できるということで、そういったことは、きちっとまたできるところはできるということを申し上げて、私としては、やはり総理も行っていただいたわけでございますし、日本としての存在感は十分に示せたというふうに考えております。
  14. 山本一太

    山本一太君 今回の環境サミット実施計画合意文書を作る上で一番問題になったのが例の再生可能エネルギーの導入問題だというふうに伺っておりまして、日本側は随分いろんな根回しをして、数値目標は結局盛り込まれなくて、日米対EUみたいな構図になったというふうにも伺っております。外務政務次官だったときにCOPにも何回か出させていただきまして、そういういろんなせめぎ合いがあることも存じ上げております。  昨日、ヨハネスブルグ宣言実施計画をぱらぱらと見たら、大臣がおっしゃったように京都議定書のことが一行入っておりまして、タイムリーに議論を始めようと。これを恐らく入れたのは、大臣おっしゃったようにかなり日本側の大きなヒットだったのかなというふうに思っております。  京都議定書を含む環境に対する世界枠組みがあるわけですけれども、やはり一番の問題は、経済的にも軍事的にも唯一の超大国となったアメリカがかなりこういう仕組みに対して冷たいというか、特にブッシュ政権になってから消極的だということだと思います。  大臣おっしゃったように、各国首脳各国ほとんど首脳を送り込んできて、トニー・ブレアも来ているし、シラクも来ているし、たしかドイツのシュレーダーも来ていて、プーチンブッシュ大統領だけは来なかったと。十年前はちゃんとブッシュのお父さんが来て、我が宮澤総理が大きいビデオスクリーンか何かでメッセージを発表していたのをニューヨークで見ていたんですけれども、アメリカに、正に京都議定書を含めたこうした国際的な環境問題に対する枠組みにもうちょっと入ってくるように促していくということは極めて国際社会にとっても必要なことだと思うんですけれども、もちろん、これは大臣といいますか、環境省だけの問題じゃなくて、外務省関係していますし、総理御自身の御努力にも訴えていかなければいけないことだと思うんですが、日本政府として、アメリカがこうした枠組みにもう少し入ってくる、そういう努力を、どんな努力をされてこられたのか。なかなか難しいと思いますけれども、アメリカをこういう枠組み米ロと言ってもいいかもしれませんけれども、引っ張っていくための戦略みたいなものがあったら是非お聞きしたいと思います。
  15. 大木浩

    国務大臣大木浩君) アメリカ京都議定書批准しないということに象徴されますように、なかなか今の地球環境問題と申しますか、について各国と調子を合わせてくれないということは非常に残念だと思っております。  それは、今おっしゃいましたように、ブッシュ政権がいろいろと前政権とは多少違った歩みを進んでおるということもそのとおりでありますけれども、ただ、アメリカも全くそういった地球環境問題について協力しないということではない。今度の会議でも先ほど申し上げましたようにいろんな面で、従来の経済環境に加えて、更に社会問題というようなこともありますから、そういった問題についてはアメリカもある程度、例えば資金的な協力も強化するというようなことを言っておりますから、全体としては確かにアメリカが抜けておるというようなところはあるわけですけれども、そういうものにつきましては、できるだけやれることはひとつやってもらいたいと。  もちろん、京都議定書批准については、これはもう会うたびに強く言っておるわけでございますけれども、議定書だけについて言いますと、幸いにしてロシアの方も一生懸命、今、議定書批准の手続は進めておるんで、何とか、今度のヨハネスには間に合いませんでしたけれども、できるだけ早くやるというようなことは言っておりますから、そのほか中国だとかインドとか、こういった途上国の方もだんだんに批准を進めておるということですから、アメリカに対しては今後も、もちろん日本だけじゃありませんが、みんなでひとつ強く申入れを続けていくということで、その続けていくぞということを今度の実施文書の中にも明記させてもらったと、こういうことでございますから。  アメリカにつきましては、議定書自体についてはなかなか今すぐに答えが出るという状況じゃありませんけれども、京都議定書の元になります枠組み条約ですね、議員よく御存じ枠組み条約の方の中の協力というのはいろいろとやるということですから、アメリカとはいろんなバイの形での日米のいろんな具体的な協力事項というようなことも進めておりますし、それから今申し上げましたように、温暖化以外の問題についてもいろいろとアメリカとしても協力しようということを言っておりますから。  確かに今回ブッシュ大統領は来なかった、それからプーチン大統領も来なかったということで、一番大口の米ソが欠席していたというのは残念でありますけれども、今後もいろんなまた会議ございますから、今回が終わりじゃないわけでありますし、それからむしろ今回を出発にして、ヨハネス出発にしてこれから十年、二十年ということのまたいろいろな話合いというのもこれはもうほとんど毎年いろんな形で行われると思いますので、このヨハネス会議というものは今回で、今後その次に一体行うのかということもまだ決定はしておりませんけれども、例えば京都議定書につきましては、これはこれからまた毎年会議があるというようなことでございますし、その他またいろいろの地球環境問題の会議もあるわけですから、そういったところを通じてひとつアメリカには強く申入れをしていきたいというふうに思っております。
  16. 山本一太

    山本一太君 大木大臣環境庁長官だったときにあの京都会議で大変御活躍をされて、京都会議日本イニシアチブを取った数少ない意味のある、こんなことを言ったら怒られちゃいますけれども、国際会議だというふうに思っていますし、やっぱり京都議定書意味というのは非常に私は重要だというふうに思っております。  特に大木大臣ミスター京都会議みたいなところがあって、当時あのエストラーダさんでしたでしょうか、特別顧問か何か、議長でしたですか、あのエストラーダさんと一緒に駆け回って最後まで議定書取りまとめに御努力をされたということなので、是非これからもアメリカを特にこの議定書に対して前向きにしていただくような努力をしていただきたいと思います。  私、政務次官だったときに河野大臣に命じられまして初めて行った国がアメリカだったんですけれども、ちょうどアメリカ議会が例のCTBT、包括的な核の条約を上院が否決したときだったんですけれども、オルブライト長官に会いに行って、あのときは議会が反対していたんですが、アメリカに対してどうやって日本が働き掛けていったらいいのかというのをお聞きをしたら、世論に訴えてくれと。これはもう無理な話だと思いますけれども、やっぱり世論政府を動かし、議会を動かすんだから、日本が例えば国際社会の中でできるだけそういう世論を作り出してくださいというふうにおっしゃっていた言葉が非常に印象的だったんですけれども。  大木大臣、非常に国際派でいらっしゃるので、いろんなところに出て、是非この京都会議、あるいは国際的な環境枠組みを作ることについてはこれからもイニシアチブを発揮していただくように御期待を申し上げたいと思います。  ヨハネスブルグサミットの話はこのくらいにして、次に環境省の話をちょっとお聞きしたいと思います。  十三年の一月の省庁再編に伴って環境庁環境省になったわけなんですけれども、これについて、庁から省に昇格をしたことで、どういう形で環境省のといいますか環境分野体制ができて、どういう実績が上がっているのかということについてちょっと包括的にお話を伺いたいと思うんですけれども、これは大臣の方からでもどなたでも結構ですけれども。
  17. 大木浩

    国務大臣大木浩君) いろいろと行革の一部として環境庁環境省に昇格させていただいたということで、省員非常に頑張っておるわけでございますが、今のところ、特に仕事の中身では、例えば廃棄物の処理の問題などは、今までは環境庁、厚生省などとも協力しながら部分的にというかかわりだったのが、主としては環境省がそういった実際の問題の解決にも当たるというようなことで実務の方を始めておるというようなことでございますから、そういった意味での仕事の量というか範囲と申しますか、そういうものは確かに増えておるわけでございます。  ただ、環境問題というのはまだある意味では非常に若いというか、行政の中では十分に熟していない面がたくさんあります。正直申し上げまして、例えば各省庁との関係というものは、いわゆる縦割り行政の中でどういうふうに環境省がきちっとリーダーシップを発揮できる体制ができておるかということになると、やや問題がある。  それから、私、よく縦割り行政と並べて横割り行政と言っているんですけれども、それはどういうことかと申し上げますと、中央官庁とそれから都道府県あるいは市町村といったような、今度は地方との関係というのがなかなか難しい。今のごみの問題なんというのはまずは地方で起こるわけですし、それも今の法体制の下では、例えばその産業廃棄物についてはまずは都道府県の責任でやりなさいというようなことになっているわけですけれども、現実には非常に都道府県も数県にわたっての問題が起きてきたりというようなことですと、これはなかなか都道府県だけでは完全に処理し切れないというような問題もありますから、そういったものも整備していかなきゃいかぬということでございますので、今のところ環境省としても、せっかく省にしていただいたので、それはいろいろと検討もしております。現実には仕事をしながら、またそういった法令の整備というようなこともどういったことが必要なんだろうかということで、その辺は多少トライ・アンド・エラーエラーをしちゃいかぬのですけれども、現実にいろいろとやりながら今後の体制を更に整備していきたいというふうに思っております。  まだまだ今後、こういう分野については少し環境省としてもよその省庁とも御相談して、現実にどういうふうに対処したらいいかというような問題が多々残っておりますから、今のごみの問題だとか、あるいはいろいろと、水の問題なんというのも最近非常にいろいろと問題が起きておりますから、そうすると、水のためのいろいろな方策ということになると、それは今の体制では環境省だけではなかなかあれですから、今日はちょうど国土交通大臣もおいででございますけれども、そういったようなところとも御相談しながらこれから実際に進めていきたいというふうなことで、いろいろと問題は多いわけでございますけれども、新しい、日本の中における、あるいは国際的にも、環境問題非常に多様化しておりますので、そういった問題に対処できるようにひとつ今後とも努力したい、またいろいろと検討もしたいというふうに考えております。
  18. 山本一太

    山本一太君 環境庁というとどちらかというとやはり調整官庁というイメージが非常に強いと。もちろん大臣おっしゃったようにこれからも調整機能というものは大事な機能の一つだと思うんですけれども、これからだんだん省に昇格して行動官庁になっていかなければいけないという中で、恐らくいろんな仕事を包括的にできるようになってきたということがあるんだと思うんですけれども、それに見合った人材、予算があるのかとか、いろんな問題があると思います。是非、そこら辺のところは環境省の機能を強化する形で大臣自らリーダーシップを取っていただければと思います。  ちょっと一つ思い出したんですが、環境省になって始まったことの一つにいろんな形でこの環境問題を発信するという試みがあると思うんですけれども、川口大臣のときにずっと、官邸というか政府もやっていたのでどこまでが環境庁環境省の分かちょっと定かでないんですけれども、タウンミーティングをずっとやっていた記憶があるんですが、これなんか環境省はずっと続けているというふうにお聞きしたので、ちょっとその概要について興味があるので、もしあれでしたら教えていただければと思うんですけれども。
  19. 大木浩

    国務大臣大木浩君) タウンミーティングにつきましては、タウンミーティングと名付けるかどうかは別として、いろんな意味地方へも出掛けていって、やっぱり環境問題は非常に多様化しておるということですし、またなかなか解決できない問題もあるわけですから、そういう問題は続けております。  環境省、そんなこと言うとあれですけれども、まだまだいろんな意味での広報予算も十分じゃありませんから、官邸等とも御協力をお願いしてやっておるわけでございまして、一言で申し上げますと、いろんな形でのタウンミーティングという名前で地方へも出掛けていくし、あるいはもう少し、むしろこっちから発信することもありますし、むしろ一般の民間の方々あるいは地方の方々の声を吸収するという意味での努力というものも続けておるというようなわけでございますので、そういうものは川口前大臣以来、続けておりますし、むしろこれからも、そういうようなのは非常にやっぱりまだ十分にそういった地方との、あるいは民間との交流というのは十分だとは思っておりませんので、更に強化をさせていただきたいというふうに思っております。
  20. 山本一太

    山本一太君 ありがとうございました。  環境問題を発信するという面でも環境省の役割に期待をしたいと思います。  次に、別の質問に移らせていただきたいと思うんですけれども、例の青森、岩手県境の産業廃棄物の不法投棄問題なんですが、この問題についてはその環境省関係部局といいますか、関係省庁といろいろ連携を取りながら対応を協議しているということなんですけれども、まずちょっとこれまでの概略について、これ大臣からでなくて結構ですから、ちょっと簡単にお示しをいただければと思います。
  21. 飯島孝

    政府参考人(飯島孝君) 青森、岩手の県境の不法投棄事件についての概要でございますが、八十二万立米という、両県合わせまして、これまでの国内の不法投棄の規模では最大のものになっております。また、この不法投棄の行為者等につきましては既に裁判で有罪が確定しておりまして、一つはまだ最高裁に、争っていますが、現実的に措置命令を掛けても原状回復するだけの資金の余裕が全くないと、こういった状況でございます。  大木大臣も八月に視察をされまして、環境省としてもこれに対してきちんと対応していきたいと思っておりますが、現在の状況では、今年に入りまして青森、岩手両県で合同検討委員会を設置いたしまして、学識経験者や地元の自治体、住民の方々も入れた検討会ですが、環境省からも委員として参加させていただいておりまして、緊急対策あるいは中長期対策、併せまして技術的な検討及び実際に技術的なモニタリング、環境汚染が拡散しないようなモニタリング等も含めまして検討を続けております。  さらに、先月末でございますが、排出事業者、実際に不法投棄されたものの出どころが首都圏の排出事業者が非常に多うございまして、その首都圏の排出事業者に対して責任を追及していくという方向で、首都圏を中心とする都県市の環境担当の部長さんたちにお集まりいただきまして、青森、岩手両県から説明の上、排出事業者に対する報告徴収等についての御協力をお願いしたところでございます。現在、収集・運搬業者に対する報告徴収を始めたという段階でございます。
  22. 山本一太

    山本一太君 簡略に御説明いただいてありがとうございます。  この資料見ているんですけれども、今回の処理の費用なんですが、九八年六月以前から不法投棄が行われたということですから、これ、産業廃棄物適正処理推進センターの基金からの四分の三補助ですか、これは受けることができないということで、従来の方式からすると、この場合、国から三分の一補助になるということになるわけなんですけれども、特例として今回の場合は国による二分の一補助、初年度二十六億円の事業費を来年度予算の概算要求に盛り込んだと。これ、新聞の記事でちょっと読ませていただいたんですが、これは、最終的な事業費はもう廃棄物の処理方法によってかなり変わるだろうということが予想されるわけです。  この処理方法の検討状況、それから最終的な国の負担分について、それもなかなか難しいかと思いますが、どういう見通しなのか、そこら辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
  23. 飯島孝

    政府参考人(飯島孝君) 御質問ございました原状回復の技術的な手法の在り方及びそれに関する経費については先ほど申し上げました両県を中心とする合同検討会で今検討中のお話でございまして、大体のその検討の概要につきましては、まだ固まっているものではございませんが、御紹介させていただきたいと思いますが。  全部で八十二万立米と申し上げましたが、その中にはいわゆる普通のごみに当たる部分と有害物質を含んで環境汚染のおそれがあるものとに分けることができます。それがどれぐらいあるかという確定はしておりませんが、恐らく三分の一程度は有害物質を含むものとしてきちんとした処理が必要ではないかと思っております。  まず第一に、遮水壁といいますか、崩れたりしたときにそういった有害物質を含む不法投棄廃棄物が外に流れ出さないような、そういった緊急的な遮水壁の工事とかそういったものがまず必要でございまして、さらに今申し上げました有害物質を含む廃棄物の撤去と処理、あるいはその跡地をどうやって自然再生していくかということを考えますと、全体で三百から四百億円ぐらい掛かるのではないかという今推定なされております。これは確定した数字ではございませんが、そういった数字になっております。  それで、これ、三百、四百億円というのは非常に大きなお金でございまして、委員御指摘のありましたように、現状の制度で対応するならばそれに対して国から三分の一の補助が出るということなんですが、先ほどお話ございましたように平成十年六月以降だと廃棄物処理法に基づくセンター制度に基づいて基金から支援ができる。基金というのは、実は産業界からも社会的貢献としての拠出金をいただいておりまして、半分が産業界からの拠出金という形になるわけなんですが、その関係で、地方公共団体、行政代執行する地方公共団体の負担は四分の一で済むと。ところが、その以前のものについては制度がございませんので三分の二の負担が必要であるというのが一つの問題になっております。  いずれにいたしましても、数百億円という金額でございますので、国が支援するにしても地方公共団体がその何分の一かを負担するにしても非常に膨大な額でございまして、そのためには特別な予算措置が必要であるということで、先般の概算要求では予算要求をさせていただいているわけでございますが、できる限り国として積極的に支援ができないかということで要求をさせていただいております。  特に、この事例につきましては、国内最大級の不法投棄事案であるということと、また、排出元のほとんどが首都圏である、青森、岩手の税金で原状回復をしなければ最後はいけないわけなんですが、そのほとんどが首都圏の排出元であるということもございますので、国としてもできるだけの支援をすべきではないかということで、通常の補助率よりも上げて、例えば一対一という形で要求ができないかということでお願いをしているところでございます。
  24. 山本一太

    山本一太君 今回の問題で、不法投棄した人の責任は明らかなんですけれども、問題は、今ちょっとおっしゃったように、排出事業者の責任をどうやって追及していくかと。何か二千六百社とか何かと伺っておりますけれども、これについてはこれからどういうふうに対応されていかれるおつもりなのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  25. 飯島孝

    政府参考人(飯島孝君) 先ほど御答弁申し上げましたように、八月三十日に環境省が主催いたしまして、首都圏の十九の都県市と、それから青森、岩手両県の部長さんに集まっていただきまして、両県が行う調査への協力を要請したところでございます。現段階で二千六百以上の事業所が調査の対象になっております。  まず、排出事業者を確定するために、先ほど申し上げましたように、収集・運搬業者についての報告徴収事務というのは既にやっていたわけですが、十分な回答が返ってこなかった収集・運搬業者に対しての報告徴収を行ったところでございます。  今後、できれば今月中にも関係都県市の担当者会議を開催いたしまして、具体的な排出事業者に対する報告徴収の求め方、それに対する協力の仕方についてそこでまとめ上げて、そしてその後、排出事業者に対する具体的な報告徴収を、青森、岩手両県が主体になりますけれども、行っていきたいと考えております。
  26. 山本一太

    山本一太君 大体、今の政府の対応、今の御説明で理解できたんですけれども、さっきお話があったとおり、大木大臣、あそこに視察に行かれたんですけれども、そのときに大臣が、ちょっと質問通告していないんですけれども、できる範囲で結構なんですが、今回の問題に対する処理はこれからの産廃行政といいますかモデルケースにしたいとおっしゃったのを今ふと思い出したんですけれども、お答えできる範囲でどなたでも、大臣でも結構なんですが、これはどういう意味なのかということを、もし分かればお話しいただけますでしょうか。
  27. 大木浩

    国務大臣大木浩君) モデルケースだと申し上げましたのは、今までも、今の排出業者と、それから実際にごみを最終的に処理する処理業者との間の責任関係と申しますか、だれが一体要するに悪いかと。  要するに、不法投棄しているわけですから、どこかでそういった原因があるわけですが、ですから、それがきちっと解明できるようにということで、例えば排出業者が処理業者に頼むときにも、どういったようなものを、ごみを出しているというようなことについてきちっと追及できるようなひとつ体制をきちっとしようと。それから、しかしそれにもかかわらずいろいろと、何と申しますか、違法行為が行われるわけですから、そういったものを、実際にそれに対して法律的な措置を取るということになれば、そのためのきちっとした、言うなれば証拠と申しますか、分かりやすく言えば証拠がなけりゃいかぬということですから、そのためには、証拠を収集するためにはなかなか環境省だけでもできませんから、これについては警察当局にも御協力をお願いすると。  それから、先ほど部長の話にもありましたように、ごみを出しているところと現実に処理されているところは場所が違うわけですから、それはやっぱり、今回のケースについていえば、青森、岩手の皆さん方と、それからこの首都圏の皆さん方が、取りあえずは県単位の話になると思いますけれども、それぞれに協力していただきませんとまたなかなかできないというようなことですから、そういったものを、今言ったように、警察当局の御協力もお願いしながらきちっとそういったものは追及できるようにということを、ひとつそういった体制をきっちりしたいし、それから排出の地域とそれから最終的に処理された地域との、その関係都道府県の間の話合いというものもきちっとしたいと。  そういったようなことを含めて、これからひとつどういうふうにしたらこういったものを、今度は、実際に起こったときに後から追及するということももちろん必要ですけれども、むしろそういったものが起こらないように、起こらないためには、防止するためにはどうしたらいいんだというようなことも視野に入れながら、一々いろいろな意味で検討をしておると。そういう意味で、私としてはモデルケースだということを申し上げたわけでございます。
  28. 山本一太

    山本一太君 今、大臣がおっしゃったような趣旨で正に今回の対応がモデルケースになるということであればますます重要な問題だと思いますので、是非しっかりと対応していただければと思います。  もう一つ環境についての御質問をさせていただきたいと思うんですけれども、先ほど京都議定書の話をさせていただきましたが、地球温暖化については、これはもう京都議定書日本政府として批准しておりますし、正に牽引車としての役割を果たそうとしてきたわけなんですけれども、我が国自体のCO2削減の現状を見てみますと、必ずしもうまくいっていないというか、非常に苦心をしているということだと思います。  産業界であればいろんな規制を掛けてということはできるかもしれませんけれども、特に民生部門、民生部門はオフィスとか家庭でしょうか、そういったことについて、そういったところの規制を行うというのは極めて難しい、なかなか効果的な手段が見付からないということで、ここで改めて環境税の議論が出てくるんだと思うんですけれども、この間、六月に、環境大臣の諮問機関である、これ長いので、地球温暖化対策税制専門委員会ですか、この中間報告が出されたということで、ざっとちょっと拝見をさせていただいたんですが、二〇〇五年―二〇〇七年以降の早期に温暖化対策税、環境税の導入をすべきだという一言が入っているんですけれども、この点について政府の見解を伺えればと思います。
  29. 炭谷茂

    政府参考人(炭谷茂君) それでは、事務的なところを御説明させていただきたいと存じます。  温暖化対策のための環境税の導入につきましては、今年三月に政府において決定されました地球温暖化対策推進大綱において、既に税、課徴金等の経済的手法について様々な場で引き続き総合的に検討していくということが定められているところでございます。  環境省では、先ほど山本先生がおっしゃいましたように、昨年十月に中央環境議会に地球温暖化対策税制専門委員会を設置いたしまして検討を進めてまいりまして、今年六月に中間報告がまとめられたところでございます。  この中間報告におきましては、温暖化対策において定められておりますように、ステップ・バイステップというアプローチに沿いまして、まず第一ステップ、これは二〇〇四年度までになるわけでございますけれども、この第一ステップにおいては、道路等の特定財源の見直しに際しましては温暖化対策の観点からその使途のグリーン化を推進するとともに、現行暫定税率の水準を維持すること、また、経済活性化のための研究開発、設備投資に係る優遇税制に温暖化対策のための措置を積極的に位置付けること。二番目には、国民的な議論を行いまして、必要があれば第二ステップ、これは二〇〇五年以降になるわけでございますけれども、早期にCO2排出削減を主目的とした環境税を導入することということが盛り込まれているところでございます。  環境省といたしましては、これらを踏まえまして、温暖化対策上必要とされた場合には温暖化対策税を導入するとの方針に沿いまして、当省として具体的な案を引き続き議論してまいりたいと考えているわけでございます。
  30. 山本一太

    山本一太君 三つの段階に分けて考えるということなんですが、引き続き検討いただいて、また結果を順次報告していただければと思っております。  ここで、扇大臣の方に御質問させていただきたいと思います。長期の、公共事業の長期計画の在り方についてです。  十四年度現在、道路・空港・港湾整備を始めとして十五の今公共事業の長期計画があるということなんですけれども、本年度末を期限とする計画は九計画ということで、環境省所管のこれは廃棄物処理整備事業計画でしょうか、これを除く八計画を国土交通省が所管をしていると。一部他省庁と共管の部分があるというふうに見えるんですけれども、九計画のうち道路整備事業五か年計画を除く八計画が計画額を超過達成するという見込みだというふうにも伺っておりますけれども、この公共事業の長期計画、これまでの事業に対する評価について、大臣の方から一言いただければと思います。──大木じゃなくて扇大臣でございます。失礼しました。
  31. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 今日は紛らわしくて、お答えいただいても結構なんですけれども、我が省の所管でございますので私の方からお答えさせていただきたいと思います。  今、山本議員がおっしゃいましたように、本年、十本の長期計画のうち八本が平成十四年度で期限切れになります。そして、あと一本が十五年が期限切れ、あと一本が十七年ということで、本年は八本でございます。これは、今お話が出ましたように、あらゆる面で長期計画の見直しをということは小泉総理からも、また経済財政諮問会議でも何としても見直そうということで、私が宿題をいただきまして、それで、我が省の中で私が申しましたことは、御存じのとおり、この本年で期限が切れます八本の長期計画、これは旧建設、旧運輸等々縦割りのときに、行革の前にできた長期計画でございます。  ですから、私は、国土交通省になれば新たな長期計画というものは立案できるはずである。しかも、整理合理化し、なおコストダウン、そして長期ということによって、今までは毎年限られた予算を定期的に取るということの、予算枠を取ることの一方弊害が出てきているのではないかと。  そういうことで、私は、旧運輸、旧建設等々でできた長期計画は全部見直すということで、国土交通省で延々、これは私倒れる人が出るんじゃないかと思うぐらい、土日を挙げて、国土交通省がいつも電気付いているとみんなに怒られるんですけれども、やっぱり四省庁統合ですから、これだけの大きなことをするのに全員が協力し、なおかつ農林水産省等々と、しかも十五年で切れます治水というのは農林水産省との共管でございますから、これもさることながら、難しい点はございましたけれども、先日、これを一本にいたしまして、金額は明示しない、原則として。  原則としてという言葉を付けましたけれども、それは今環境省の方からお答え出ましたように、道路特定財源の金額をどうするかということで、これだけは金額を明示せざるを得ないということはございましたけれども、要するに来年度切れるもの、治水も含めて、農林水産省の共管の部分も含めてこれを一本にくくると、そしてより効率的、より現実的な低コスト、そして十年掛かるものは八年で仕上げれば次ができると、五年掛かるものは三年で仕上げようと、そういうことで全長期計画を見直したというのが国土交通省の今の姿勢でございます。
  32. 山本一太

    山本一太君 一本化の話はいろんなところで大臣が御発言をされているんで、よく存じ上げておりますが、その効率化に関連して、もう一問、扇大臣にお聞きしたいと思うんですけれども、地方分権は今の時代の大きな流れだと思います。  この地方分権の中で財源を移譲し、いろんな権限を地方自治体に移譲をすると。そういう中で、この公共事業についても国から地方に財源と計画の策定権限を移譲すると。個々の実情に応じた事業をやってもらうことで効率的なやり方をやってはどうかという意見が常にあるわけなんですけれども。  少しちょっと大きな話になってしまいますが、これから地方分権が進んでいく中で、こういう面において一体国土交通省はどういう役割を果たしていくべきなのかと。もちろん、地方分権、地方分権とはいっても、やはり国土交通省が直轄している事業、あるいはそれに類したものでやはりその地方の産業の発展といいますか、インフラ整備はもちろんなんですけれども、これをリードしてきたという面ももちろんあると思いますので、そこも踏まえた上で、この地方分権が進んでいく中で国交省がどういう役割を果たしていくべきなのかということについて大臣の御見解を伺いたいと思います。
  33. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 我々、私は山本一太議員のお父様と同期に入りまして、お子様の一太君がこんなにすばらしい議員になられているのを感無量で今拝聴しているんですけれども、そういう意味では、私はお父様の時代から御一緒に仕事をし出して、本当に我々の日本の国というのは戦後今日まである目標を立てました。それは均衡ある国土の発展という目標を立てて、我々は国の復旧復興、そして追い付け追い越せ、頑張ってまいりましたけれども、今や二十一世紀、山本議員のような若い世代に二十一世紀をゆだねるという時代に変わってまいりました。  それで、お互いに発展してまいりましたけれども、果たしてこれで日本の国が先進国並みの社会資本整備が行き届いているかというとそれほどでもありません、数字的にはですよ。けれども、経済状況の中で、今までは均衡ある国土の発展を願って努力してきたために、ある意味では国が定めた全国一律の政策といいますか、それを地方に押し付けてきたと、そういうことがなきにしもない。  しかも、いつも言うんですけれども、どこへ行ってもなぜその地方の特性生かさないで、例えば何とか銀座、群馬にもあるでしょうか、何とか銀座とかという、みんな銀座が付くんですね、地方へ行っても。なぜ商店街に銀座付けるのかと。もっと地方の私は特徴を持つべきであると。全国も、私も、私全国区でございますから回っておりましてもそう思います。  そういう意味で、均衡ある国土の発展というのは二十世紀、二十一世紀はでき得れば私どもがそれぞれの地方に特性を持った個性ある地方の発展、そういうものをコンセプトを変えていきたい。そして、今までは国に、何としても基準作ったものを地方に押し付けていった、そういうことはやめて、それぞれの地方が独自で、自らの知恵と、そして自らのだれもまねのできない地方のカラーというものを持っていますので、それを生かす政策に二十一世紀は転換していきたい、個性ある地方の私は独自の発展をしていただきたいと、そう思って国土交通省として少なくとも均衡ある国土の発展から個性ある地域の発展へと主目的の方向の見方を、目の見方を変えていきたい。それによって、少なくとも私は今後の二十一世紀の国づくりの基本的な施策をひとつ地方に、それぞれの住民の意見を聞いて変えていきたい。  三つの私は基本的な姿勢を決めてこれを各地方にお願いをしております。それは、一つには、今申しました全国画一的な施策の整備の規格、基準をローカルルールの方法に転換する。二つ目には、これまで官が主導してきた事業計画策定のプロセスを住民参加型の計画決定に転換する。三つ目には、国、地方がそれぞれの事業をばらばらに行うのではなくて、昨年の全国、私が十のブロックを作って全国回りましたけれども、国土の地方懇談会というのは地方整備局等々と知事さん、市長さん、政令指定都市の市長さん、財界、これを十のブロックに分けて、これを懇談会を作りましたので、これから更に地方のあるいは地域による主導型の地方部局運営を行っていくと、そういうことで国と地方が連携して事業を決定する方式にこれを転換しました。そういうことをもって地方の活性化を図っていきたい。  最後に、これも、これは国土省の中の話でございますけれども、少なくとも我々は、国土計画の体系も地方に私は主体性を持たせたいと思っておりますけれども、そのためにも私は国土交通省の中でタスクフォースというのを立ち上げました。精鋭で、応募いたしまして、募集しましたら、百四十四名の精鋭が参加してくれまして、その中から三十二名を選びました。すべて山本議員のように三十代でございました。そして、全局から、しかも海上保安庁、気象庁からも参加しまして、これで、霞が関では初めてですけれども、日本の国土づくり百年の計画というものを年度末には発表したいと。それを金額を付けないで発表して、二十一世紀末には日本の国はこうなるなという国土づくりの基本姿勢というものを見せたいと、そういうことを考えて今作業中でございますので、よりその中では地方の皆さんの意見と地方の御意見を取り入れるということを、その全体のプログラムを見て私は選んでいただきたいと思っておるのが今の国土計画、長期計画の見直しの基本的な姿勢でございます。
  34. 山本一太

    山本一太君 ありがとうございました。大臣の哲学に大変感銘を受けました。  ちなみに、私は若く見えるんですけれども、四十代になりましたので訂正をさせていただきます。  大変未熟な議員ですが、さっき大臣からいただいたお言葉は、今日、お線香を立ててお父ちゃんに報告しておきたいと思います。  さて次に、PFI、プライベート・ファイナンス・イニシアチブについて伺いたいと思います。  PFIは、これはデータを見ても分かるように、九〇年代にイギリスで発祥したもので、道路、病院、ごみ処理施設などを、これを民間の主導で整備をして公共事業の効率化を図ると。イギリスのあの有名な橋、随分日本からも視察が行ったと思うんですけれども、そういう形で日本でも始まったわけなんですけれども、これ十一年の、最初が緊急経済対策に盛り込まれて以来だと思いますけれども、何回か実施されております。十一、十二年度におけるPFI事業の実施状況、それからその評価について国土交通省の方から一言いただきたいと思います。
  35. 三沢真

    政府参考人(三沢真君) 国土交通省におきましては、今、先生がおっしゃいましたように、民間の資金、能力を活用して社会資本整備を効果的かつ効率的に推進するという立場で、平成十一年のPFI法成立以降、積極的にそのPFI方式の導入を推進してきております。  具体的に申し上げますと、一つは、文部科学省、会計検査院の建て替えでございます中央合同庁舎第七号館がございますが、そのPFI事業につきまして、本年六月に民間施設との合築を含んだ内容の実施方針の公表を行っております。それから、千代田区の九段、竹平住宅跡地、ここで九段第三合同庁舎というものがございますけれども、そこについてPFI方式による整備のための必要な調査を実施しております。  また、それ以外に、地方公共団体の事業についてPFI事業方式での推進を図るということから、予算補助であるとか無利子貸付けなど、様々な支援を行っておりまして、現在、港湾施設、公園施設、市街地再開発、下水道、駐車場、公営住宅等、合計十四のPFI事業を実施している、される運びとなっているところでございます。  以上申し上げましたように、当省所管のPFI事業につきまして一定の成果は上がってきているということではございますけれども、やはり今後とも一層のそのPFI事業の推進に取り組んでまいる所存でございます。
  36. 山本一太

    山本一太君 PFI事業は、民間が公共事業に参入をして民の知恵を生かすということなので、まず第一義的に、民間企業にとってPFIに参加するメリットというものがなきゃいけないんだと思うんですね。単純に考えてみると、そのメリットは何だろうと。税制かなと、あるいは補助金かなというようなことも思うんですが、国交省として、このPFI事業の魅力を高めるために、民間企業がこのPFI事業にどんどん参加していくインセンティブを高めるためにどういう取組をしておられるのか、そこら辺はいかがでしょうか。
  37. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 細かいことは局長が答えますけれども、山本議員に基本的なことをちょっと認識していただいて、あらゆる党で御議論いただきたいと思いますことが一つございます。  このPFIに関しましては、御存じのとおり、土光臨調の最終答申に各省庁の営繕は一元化することと明記してございます。ところが、現在これができておりません。これが今おっしゃった、PFIを実行する上に、民間の皆さん方に大変私は手間の掛かることが現段階でございます。  これは、各省庁の営繕を一元化するというのはどういうことかといいますと、御存じのとおり、例えば学校を造るというと文部科学省の営繕が学校にはこうこうこういう条件が必要ですと、病院を建てるためには厚生労働省がこういう条件がなければ病院を建てちゃいけないという、いわゆる基準があるわけですね。それが今、全省庁の営繕の中で、この基準の、建築の公共共通仕様書というものを決めているわけですね。その仕様書が、私、今度初めて分かったんですけれども、全省庁の仕様書で共通でないものが七百八十項目あるんです。  七百八十項目あると、民間の人が国有地で、あなた、どうぞ国有地を使って民間の活力でいいもの建ててくださいといっても、建てることによっては、省庁に全部、営繕で七百八十項目の違う仕様書を書かなきゃいけないといったら、これはもう大変なことで、民間の負担になるんですね。  ですから、今、PFIのたまたまお話ありまして、我が省もいたしますけれども、我が省のことのみならず、私は内閣としてもということで、総理がこれを是非実行しろというお話でございますので、まずこの建築基準の、建築工事の公共共通仕様書、ごめんなさい、ややこしくて、この仕様書の今の七百八十通りの違う基準があるというものに対して、これを統一化する、しかも各営繕は民間の基準にまず統一化して、民間がすぐワンストップでこれが話ができるようにするということが一番今の課題であるということを一言付け加えさせていただいて、細かいことは局長から答えます。
  38. 山本一太

    山本一太君 今の大臣お話に関連して、余り時間がありませんから、なんですけれども、正に大臣のおっしゃる点は大変重要であるというふうに認識をいたします。  やっぱり民間企業にとってもPFIに参入しやすくするということは非常に重要だということを考えると、契約前に余りいろんな負担とか準備があったらなかなかこれはもう入っていく魅力がなくなってしまうということがあると思いますので、最初に企業がPFIに参加できるかどうかという、これは非常に早くてコンパクトな判断ができるようなものをやっぱり提示しなきゃいけないということでいうと、その営繕の話は私ももう一回調べ直して、非常に大事な点だというふうに思っておりますので、それだけ付言させていただいて、簡単でいいですから、国交省の取組、どういうふうにインセンティブを高めているのかということもそうですし、これからどういう戦略で、PFIは根付いているのか根付いていないのか、いろいろ見解あるかと思いますけれども、どういう戦略で更にPFIを根付かせていくのかと、それをまとめてお答えいただければと思います。
  39. 三沢真

    政府参考人(三沢真君) まず、インセンティブの付与でございますが、大変大事なポイントでございます。  従来からも、先ほど申し上げましたように補助あるいは無利子貸付け等の支援は行ってきているところでございますが、更にどういうインセンティブを付与すればこういう事業に参画したいか、そういう魅力を感じるのかということについて、現在、民間企業から意見をいただくという取組を行っております。当省のホームページに四つのタイプの事業を提示しまして、これについて自由な意見をいただきたいという形で募集を行っておりまして、こういうことも含めまして更に検討していきたいというふうに考えております。  それから、やはり過度な負担を与えないということも大変大事なことでございまして、これもやはり、一つはそういういろんなネックを解消するとともに、きちっとした情報提供を行っていくというところが非常に大事でございまして、私どもは十一年度から延べ二十四か所、PFIセミナーというのを実施しておりますし、それから有料道路についてPFI事業の実施方針ひな形というのを策定しております。こういうふうな形で情報提供にも努めていきたいというふうに考えております。  それから、やはりこれからの取組ということで、効果的な整備を行う上で地方の知恵をかりていくということが非常に大事であるというふうに考えております。それで、地方の知恵を全国のあらゆる地域で発掘するという観点から、現在、広く各都道府県、政令指定都市に対しまして、どういう御検討をされていますか、あるいはそれについてどういう御意見がありますかということを広く情報収集を行っているところでございます。  今後とも、各公共団体との連携、それから民間企業とのいろいろな情報交換あるいは相談を通じまして、PFI事業の一層の推進を図ってまいりたいというふうに考えております。
  40. 山本一太

    山本一太君 今おっしゃったとおり、情報収集、アンケート等々は非常に私も大事だと思います。  大臣地方の個性というふうにおっしゃいましたけれども、やっぱり選挙と同じで、いい候補者をまず見付けなきゃいけないんで、地方にきらりとしたものを見付けるのはやっぱり地方だと思うので、是非ともそのネットワーク化を通じてPFIのいい候補を見付けられるように、さらに民間企業が更に参入しやすくなるような魅力を高める努力をお願いして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  41. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 自由民主党の中島啓雄でございます。  今日は、閉会中にもかかわりませず、国土交通大臣環境大臣の御出席いただきましてありがとうございます。  ヨハネスブルグサミットの件については、同僚の山本議員からもいろいろお話があったところでございますが、いろいろ多方面の議論がされた中で、やはり京都議定書の早期発効に向けてタイムリーに条約を締結したいという強い要請を日本としてもされたというふうに伺っております。  ところで、一九九〇年からマイナス六%という国際約束があるわけでございますが、これを産業、民生、運輸というふうに分けて考えますと、運輸関係の伸びが一番顕著なわけでございますので、運輸部門の温暖化ガス対策という面で、今までの伸びとそれに対する今後の削減見通しといったような点について、概括的に国土交通大臣から御見解をお聞かせいただければと思います。
  42. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 今、中島議員が御指摘のように、運輸部門からの二酸化炭素の排出量というものが自動車の保有台数あるいは走行量の大幅増によりまして一九九〇年から二〇〇〇年の間に二一%、これ増加しております。このままでは、二〇一〇年には九〇年に比べまして四〇%増加する水準となることが避けられないわけですね。  ですから、このために、地球温暖化対策推進大綱では、運輸部門につきましては九五年並み、九〇年に比べて一七%増の水準まで削減するという目標を立てたところでございますので、少なくとも九五年以降九九年までの二酸化炭素の排出の状況を見ますと、いわゆる貨物自動車につきましては二%減少して、なおかつ公共交通機関に関しましては五%増になっておりますので、自家用自動車からの排出量は、まして一〇%これ増加しております。そういう意味で、自動車部門からの排出量の削減がこの環境に関しては最大の課題となっているのは今の数字を見ても分かるとおりでございます。  このために、低公害車の開発普及、これが一番大事なことでございますので、自動車交通対策とかモーダルシフトの推進を始めとしまして、環境に優しい交通体系の構築を柱として施策を進めているというのが今の国土交通省の現状でございます。  あらゆるところで、いろんなことを言われておりますけれども、また研究も進んでおりますけれども、九九年から二〇〇〇年に掛けて運輸部門からの排出量が二・一%減少する、そういう数字も出てまいりましたので、これは一定の成果が上がりつつあるというふうに認識をしております。それで運輸部門からの二酸化炭素の排出量の減は、目標達成は決して容易ではございませんけれども、これからの施策を着実に進めるという点で達成可能だというふうに我々も考えておりますので、一層今後も努力していきたいと思っております。
  43. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 ありがとうございました。  今お話があったように、このままの傾向で進めば四〇%増になる、それを九五年並みの一七%増で抑えるんだと。これだけでも確かに容易な話ではないと思いますが、全体としてはマイナス六と、こういう話でありますから、運輸部門がプラスになるというのはかなり問題ではないかと。  特に自動車、自家用車の利用によって増えていると。これは車社会になっているということで大いに便利にしようという面ではやむを得ない面があると思いますけれども、特に車の利用というのは生活習慣に依存をしておりますから、もう少し小型化であるとか、あるいは走行距離をもう少し減らす、日常はなるべく電車を使って必要なときだけ動かすとか、そういったことも必要ではないかというのが運輸部門の課題であると思いますし、もう一つ、経済界の取組も自主規制ということでどうもやや腰が引けているのではないかというような気がいたします。  エネルギー起源の温室効果ガスの排出量は大体一九九〇年代の水準に抑えるんだということで、革新的技術とか森林吸収でマイナス六%を何とか吸収しようと、こういうようなことでございますが、全体としてマイナス六%が本当に達成できると、こういうふうに考えておられるのか。  私は、石油ショック当時のように相当大きな国民運動が必要ではないかと。今年の夏も非常に暑かったんですけれども、余り積極的に冷房の温度を上げましょうというような話は聞かれてないんで、その辺の今後の達成見通しといいますか、どういうふうに運動を進めていくか、環境大臣からお聞かせいただければと思います。
  44. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 今、運輸部門の方のいろんな御努力につきましては御説明があったわけでございますけれども、確かに今おっしゃいますように、運輸部門のほかに産業部門、それから民生ということで、一番難しいのが確かに民生ですから、これはもう国民のお一人お一人にどうやって温暖化ガスの排出量を六%削減を達成するかということで、いろんな努力はいたしております。  例えば、前川口大臣時代以来から、環の国くらし会議というようなことを開きまして、ライフスタイルの中でどういうふうに今の温暖化ガスの削減ができるかというようなこともいろいろとPRもしておりますし、それからこれは産業界というか民生といいますか、要するにいろいろと例えば家庭の製品につきましても、よりCO2等々の削減の、少ないものを作っていただくということで業界にも御協力していただいておりますし、そういったものをまたひとつ買っていただくようにということで、なかなか買っていただくといってもただじゃありませんからなかなか難しいんですけれども、しかし長期的に見ればコストの方も十分に見合ったものを作っていただくというようなことをいろいろと努力をしております。  それから、やっぱり民生の中では、先ほど申し上げましたけれども、地方にそういった中央政府の意思というものが届かなきゃいかぬというようなことですが、なかなか私どもの方もまだ地方組織というのが十分ではありませんけれども、地域協議会だとか活動推進員というようなことで、おかげさまで最近はかなり地方公共団体でも市長さんだとか町長さんで非常にそういったことに関心の多い方もありますし、またそういった公の機関でなくても、地元のいろんな団体がそういったことをひとつやろうというようなことでやっておられますから、そういったこちらからのお願いと、それから地方におきます自発的なそういった運動というのを上手に組み合わせまして、ひとつできるだけそういった民生部門で成果が上がるようにということで、努力を続けてまいりたいというふうに考えております。
  45. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 ありがとうございました。  これは経済対策という意味でも、温暖化防止技術で世界のトップランナーを目指せば随分効果が出てくるのではないかというふうにも思いますので、是非、大木大臣においては今後張り切ってやっていただければと思います。  それで、先ほど低公害車の話が出ておりましたけれども、確かに自動車というのは、低公害車を開発するというのは一つのポイントだと思います。  例えば燃料電池車、三年以内の実用化を目指すというふうなことが総理の施政方針演説にも掲げられておりますけれども、どうも副大臣のプロジェクトの報告だと、二〇一〇年で五万台の普及目標だというようなことで極めて微々たるものなので、やっぱりこれをもう少し加速するには、税制、財政面でもいろんな開発のインセンティブが必要ではないかと思いますが、この辺について国土交通省から御見解を伺えればと思います。
  46. 丸山博

    政府参考人(丸山博君) 先ほど大臣申し上げましたように、大都市の大気汚染問題でございますとか地球環境問題を解決するために低公害車、特に原理的に自動車から排気ガスが出ない燃料電池車の開発普及を図ることが非常に大事なことであるというふうに私どもも思っております。  現在、燃料電池の開発状況でございますが、各メーカーが道路で実走行試験を行っているという状況でございます。  国土交通省といたしましては、この十二月に試験的な販売がされます燃料電池車の第一号車を率先して購入いたしたいというふうに思っております。あわせて、来年度の税制要求におきましては、燃料電池車に対します税制上の優遇措置を要求をすることによりまして、その普及について支援をしていきたいと考えております。  また、二〇〇五年には燃料電池車が一般に販売されるようになるだろうというふうに見込んでおるわけでございますけれども、燃料電池自動車が大量に生産され販売されるというためには、型式指定の取得が不可欠でございます。そのときまでに型式指定の取得が可能となりますよう、来年度予算で安全性の確保に必要な基準の整備を図るための予算要求を行っております。  なお、燃料電池以外につきましても、大型ディーゼル車につきまして、スーパークリーンディーゼルエンジンなどの開発などを目指しまして、二〇〇五年を目標にいたしまして、次世代の低公害車の試作車の開発も併せて行っておることを付言させていただきます。
  47. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 ありがとうございました。  もう一つ車に関連して、道路が整備をされるとやっぱり燃料消費が少なくなるという問題があると思います。道路整備事業の在り方についてはいろいろ話題になっておりますけれども、やっぱり国民経済的に効果のあるものは大いにやるべきだと。その際、環境という視点からいえば、ボトルネックの解消のための環状道路の整備であるとか、あるいはバイパスの整備であるとか、こういうことで渋滞をなくすというようなことが非常に大きなポイントだと思いますが、今後の道路整備計画の策定に当たって、こういった環境の視点ということをどんなふうに考えておられるのか、お聞かせいただければと思いますが。
  48. 森下博之

    大臣政務官(森下博之君) 御指摘ございました道路行政を進めるに当たりましては、地球温暖化の防止のために、自動車そのものの低燃費化、自動車交通需要の抑制、自動車交通の円滑化について総合的に取り組む必要があると考えておるところであります。したがいまして、自動車交通の分散や円滑な走行の確保により、走行速度を向上させ、二酸化炭素排出量の削減を図ることが最も基本的かつ効果的施策と考えておるところであります。  御指摘ございましたように、交差点立体化等のボトルネック対策、あるいは環状道路バイパス等、幹線道路ネットワークの整備を重点的に進めておるところであります。一点、具体例を申し上げますと、東京二十三区の車の平均速度は現在十八キロであります。これを十キロ向上させるとすれば、排出される二酸化炭素を約二割削減することが可能となります。今後とも、二酸化炭素排出量の削減に向け、道路行政としてこれらの施策を着実に実行してまいりたいと考えておるところであります。  以上であります。
  49. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 どうぞよろしくお願いをいたします。  それから次は、やっぱり公共交通機関の利用促進と、こういうことになると思いますが、最近、国土交通省の若手で「利用したくなる鉄道・バスをめざして」というような非常に面白いレポートを発行されまして、私も見せていただいたんですが、その中に、とにかく競争を促進し、また連携を促進して利用したくなるようにしようと、乗換えのシームレス化であるとかICカードとか運賃の弾力化とかパーク・アンド・ライドの設備とか、いろんなことを提言をしておられます。  大変もっともだと思いますし、特にエネルギー消費という面で見ますと自家用乗用車の大体十分の一で鉄道は一人キロ運べると、こういうようなデータも出ておるわけでありますが、問題は、公共交通機関大いに利用しなさいということなんですが、経済原則からいきますと、車というのはプライベートに持っておりますから、極端なことを言えばガソリン代と鉄道の料金の競争だと、こういうような話になるんで、なかなか価格機構として車に対抗して鉄道が更に安い価格で運営をするというのは難しい面があると。そういう意味で、事業者が積極的に取り組めるようなインセンティブ、乗換えのシームレス化とか、あるいはICカードの設置に伴う機器の開発なり機器の設置とか、いろんなインセンティブがやっぱりあってしかるべきなんだろうというような気がいたします。  最近、ちょっと地方を回って聞いた話では、ある県で、空港のパーク・アンド・ライドの設備は、むしろ空港を地方が金出したので積極的にお客さん集めたいというので無料にしたと、駅前の方の公共駐車場は相変わらず有料であるというようなこともあるので、どうもややちぐはぐだなというような気もいたしますが、公共交通機関利用についてのインセンティブなどをどのように考えておられるか、お聞かせをいただければと思います。
  50. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 今、中島議員がおっしゃいましたように、鉄道、例を挙げられました。鉄道でお客様一人を十キロ運ぶときの二酸化炭素の排出量は、自家用車のおっしゃるとおり十分の一でございます。そういう意味では、私どもは公共交通機関が環境への負荷が本当に格段に小さいということから、地球温暖化対策を含めまして、今後我々は公共交通機関の利用促進を図っていくというのは不可欠であるというのはおっしゃるとおりでございます。  このような考え方から、我々は今、大木当時の京都議定書議長でいらっしゃいますけれども、この京都議定書におきます二酸化炭素の排出削減約束というものを達成すると。そのためには、地球温暖化対策の推進大綱の策定に関しましても我々は、公共交通機関の利用促進を重要な柱の一つとして国土交通省もとらえているのは、今、中島議員がおっしゃるとおりでございます。  そこで、我々は自家用車からの公共交通機関への利用の転換を進めていくためにはどういう方策が必要なのかと。そういう意味では、公共交通機関の利便性を向上させることが何よりも大切であると。今地方の例を一つ挙げられましたけれども、私たちはそういう都市鉄道の整備、あるいは高齢者・身障者対策に対しましても配慮したバリアフリー化を完全に実施するということで、我々は補助の一環として支援対策を講じているところでございますけれども、さらにはソフト面の対策として、例えばバス運賃の、御存じでしょうけれども、百円均一化に併せてマイカー利用者がバスに乗り換えるための駐車場を提供したという話も、これも実例として今ございます。  そういう意味で、公共交通機関を一層使いやすくするマイカー利用からの転換、あるいは今渋滞という話も政務官からお話出ましたけれども、これもETCを含めましたあらゆる交通機関の停滞をなくす、スムーズに走ってもらってCO2の排出量を少しでも下げるということでの私たちは助成もし実行もするという、あらゆる面でこの対策を取っているところでございますけれども、国土交通省といたしましても、今後あらゆる地方自治体とか交通事業者等関係者との連携を強化しながら、あらゆる知恵とそして英知を絞って公共交通サービスの魅力の向上を通じながら、利用を促進するための少なくとも取組は、ハード、ソフト、これは両面から展開していきたいと思っております。
  51. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 ありがとうございました。是非よろしくお願いをいたします。  それから、公共交通機関と並んで近距離の交通については自転車をもう少し利用したらどうかというふうなのが温暖化対策の中にも出ております。自転車交通については、自転車用の自転車道といいますか自転車の通行帯といいますか、そういうものを設けるのが一つ、もう一つは駅前なりなんなりに駐輪場を設けていく、こういうことだと思いますが、残念ながら自転車専用の通行帯を設置している道路というのはまだわずかなものでございますし、駐輪場の整備についても自治体によってかなり整備せられているところもあるし、そうでないところもあると。  一部の議論として、駐輪場の整備を鉄道側なりあるいは交通事業者側に義務化したらどうだかというような議論もあるわけでございますが、例えば地下鉄などを取ってみると出入口があるだけの話ですから、とてもそれを義務化してもちょっと無理な話なんで、やはりこれは都市計画の問題として自治体が責任を持って、かつ事業者側とも協議をしながら整備をしていくということが必要だと思います。  そういうことも含めて、今後の道路整備計画なり都市計画の中に是非自転車の有効利用ということを入れていただきたいと思っておりますが、その辺について御見解をお聞かせいただければと思います。
  52. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 先生御指摘のように、自転車は環境負荷の少ない交通手段ということでありまして、地球温暖化防止という観点からも、短距離の人の移動につきましては自動車利用から自転車利用へ転換を促進するということが有効な施策の一つであると認識しております。  国土交通省におきましては、これまでも自転車利用の促進を図るために、地方公共団体などが実施する自転車道や駐輪場の整備に対しまして補助事業あるいは融資事業といった形で支援を行ってきておるところであります。ちなみに、平成十四年度自転車道及び駐輪場の事業として総事業費二百七億円程度を予定して推進に努めているところであります。  また、平成十三年の四月には道路構造令を改正いたしまして、幹線道路で自転車の交通量が多いところの新設、改築の場合には自転車道を車道や歩道から独立して設置するということといたしたところでもございます。  今後とも、自動車利用によるCO2の排出を削減して地球環境への負荷の少ない道路利用を目指すということで、自転車道や駐輪場の整備につきまして格段の努力を傾けてまいりたいと、そのように思っております。
  53. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 是非よろしくお願いをいたしたいと思います。  次に、貨物といいますか物流の面について少しお尋ねしたいと思いますが、モーダルシフト対策ということで、港湾なり鉄道、貨物鉄道を利用しようと、こういうことが新総合物流施策大綱でも述べられておって、二〇一〇年にモーダルシフト率を現在の四三%から五〇%に上げようと、こういうような目標を立てておられるわけでございますが、どうも現実はなかなかそのとおりに動いていないと。特に、近年はトラックの競争が激化してむしろ増えているというような状況でございます。  そういった今後のモーダルシフト対策をどう進めるかという問題と、もう一つは、モーダルシフトに伴って港湾のヤードあるいは鉄道の荷物の積卸し設備といいますか、こういったものについて、港湾については、地方公共団体等が土地を持っている場合には当然固定資産税掛からないわけでございますが、今年の税制改正でも、PFIによって公共荷さばき施設を造ると固定資産税が掛かってしまう、それを減免をするというような措置が一応はできたわけでございますがゼロにはなっていないと。今後、不動産取得税とか登録免許税とかいろんな問題がございます。  鉄道のターミナルについても同じようなもので、言ってみれば道路と鉄道の接点でございますから、ある程度道路的な考え方で固定資産税の減免というのがあってもしかるべきではないかと。現在、JR貨物については、いわゆる国鉄の民営化に伴う承継特例ということで固定資産税の減免をしていただいておるわけなんですが、もう少しその環境、モーダルシフトという観点からそういった税制の恒久化ということも考えていただきたいと思っておりますが、いかがでございましょうか。
  54. 鷲頭誠

    政府参考人鷲頭誠君) 私の方から物流モーダルシフト全体についてお答えさせていただきたいと思います。  先生からもお話がございましたとおり、昨年七月に閣議決定されました新総合物流施策大綱、あるいは今年の三月の地球温暖化対策推進本部で決定されました地球温暖化対策推進大綱におきまして、地球温暖化対策の重要な手段といたしましてモーダルシフトの推進というものが位置付けられておりまして、国土交通省といたしましても、地球温暖化対策の観点からモーダルシフトというのの必要性を強く認識しておるところでございます。  そういう中で、国土交通省におきましては、モーダルシフトの推進のため、従来より複合一貫輸送に対応いたしました港湾の拠点的な整備あるいはモーダルシフト船の建造支援、鉄道の貨物拠点駅の整備などを推進してきたところでございますが、今後とも、事業規制の見直しや次世代内航船、スーパーエコシップの研究開発などによります内航海運の競争力の強化、あるいは我が国における幹線貨物鉄道の大動脈を成す山陽線の輸送力増強事業の推進などによる鉄道の利便性の向上、またCO2排出削減効果の高い輸送システムの導入を支援するために、今年度から設けられました幹線物流の環境負荷低減に向けた実証実験という支援制度がございまして、こういうものを活用いたしますことによりまして、ハード、ソフト両面からモーダルシフトの推進というものを積極的に図ってまいりたいと思っております。
  55. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 税制の問題についてはいかがでございましょうか。
  56. 金澤寛

    政府参考人(金澤寛君) 港湾施設につきまして、PFIの税制での支援についてお尋ねがございました。私の方から港湾の問題についてお答え申し上げます。  今年の三月十九日に公表されました地球温暖化対策推進大綱におきましても、海上輸送へのモーダルシフト推進のための内航海運の競争力の強化、あるいは物流の効率化の一層の推進を図るということが位置付けられております。国土交通省といたしましても、競争力の強化や物流の効率化の観点から、民間の経営能力を活用したPFIの推進の必要性を強く認識しているところでございます。  港湾局におきましては、港湾施設を対象といたしましてPFIを推進しておりますが、PFIでは従来港湾管理者が行ってきた公共性の高い公共施設の整備、これはPFI事業者が行うものでございますから、PFI事業者に対する税制上の支援を行うことが必要であると考えております。  このため、PFI事業者が行う港湾施設の整備に関しましては事業期間中にかかわる固定資産税あるいは都市計画税を二分の一に減免するということが既に措置されているところでございますが、なお、平成十五年度の税制改正に際しまして、PFI法に基づき実施される公共施設等の整備にかかわる特例措置といたしまして、登録免許税、不動産取得税、事業所税につきまして非課税措置とするよう要望しているところでございます。よろしくお願い申し上げます。
  57. 石川裕己

    政府参考人(石川裕己君) 貨物鉄道に関しましての税制でございますが、先ほど先生お話がありましたように、鉄道貨物輸送、環境に優しいということでございますが、これは鉄道貨物事業として行っているものでございますので、そもそも鉄道貨物輸送というものが有効でなければいけない、これを活性化するあるいは高度化する、こういうことによって荷物が鉄道貨物に回ってこなければいけないということだと思います。  そういう意味からも、税制上の視点という観点では、先ほど先生からお話がありましたように、国鉄から承継した固定資産税の特例措置というのもございますが、そもそも、貨物鉄道輸送システムというものを高度化するために、例えば高性能の機関車、コンテナ車両、コンテナ貨物、こういうものにかかわる固定資産税の特例措置、あるいは鉄道貨物輸送の効率化を図るために施設整備をした第三セクターから借り受ける鉄道施設にかかわる固定資産税の特例措置というものがございます。  いろいろとございますが、基本的にやはり鉄道貨物事業者が自ら鉄道貨物を獲得するという努力を今後とも続けていく必要があると考えております。
  58. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 ありがとうございました。  それでは次に、JR東日本につきましてはおかげさまで六月に株式の完全売却が終わったということでございますが、鉄道関係の諸問題について若干質問をさせていただきたいと思います。  鉄道関係で、昨年、一昨年ですか、運輸政策審議会の答申などでも、一つは通勤の混雑を一五〇%以下にしましょうとか、あるいは幹線の鉄道を時速百キロにまでしましょうというようなことが目標として掲げられておるわけでございますが、こうした大規模投資というものは、なかなか今鉄道輸送そのものが伸びていないという現状の中で企業内の採算ということではかなり厳しい面があると思いますが、今後こうした鉄道の大規模投資への取組という面でどういうふうにお考えになっておるか、お聞かせをいただければと思います。
  59. 石川裕己

    政府参考人(石川裕己君) ただいま先生御指摘のように、現在、鉄道利用というものは従来のように右肩上がりでどんどん伸びているという状態ではありません。一方、さはさりながら、都市の混雑率は相変わらずかなり高いという問題もございますし、在来の鉄道が平均スピードは余り上がっていないという問題もございます。そういう中で、基本的には従来から鉄道というのは鉄道事業者が必要な設備投資を行ってきたというのが大原則でありますけれども、そういう中で、今おっしゃったような大規模な施設・設備投資、あるいは極めて公共性の高い事業については様々な形で政府としても支援をしてきたわけでございます。  例えば、都市鉄道につきましては、都市内の混雑緩和というものを図るために、特定都市鉄道整備積立金制度というのを元に従来から複々線化工事等々の輸送力増強工事を行ってまいりました。これによりまして、例えば東武伊勢崎線におきましては竹ノ塚―北越谷間において混雑率が二〇%ほど緩和された、あるいは東急東横線多摩川―日吉間においては混雑率が三〇%強緩和されたということもございます。さらに、地下鉄の補助金等を使いまして地下鉄のネットワークというものの建設に努めてきたわけでございまして、現在まで様々な新規路線の整備も進めてきたわけでございます。  ただ、残念ながら、いまだにまだ二〇〇%近い混雑率があるところもございます。そういうことにつきましては、今後とも新しい線路の整備あるいは様々な工夫によって混雑率の緩和に努めていくということだと思います。  例えば、常磐新線あるいは地下鉄十三号線の整備というふうなものが今現在行われております。これによりまして、現在二〇〇%を超えている常磐線あるいは山手線というものの混雑緩和が図られるものと考えておりますし、さらに、例えば具体的に言えば、JR東において、池袋駅構内の言わば配線の改良、立体交差事業というものをJR東自らやっておるわけでございますが、こういうことによって埼京線の列車の増発というものができるわけであります。さらに、現在、上野止まりとなっております宇都宮線あるいは高崎線、こういうものの東京駅乗り入れというふうなこともJR東の努力でやっているわけでございまして、こういうことがなされますと、更なる混雑緩和が図られるというものになろうかと思います。  それから、地方の在来線の高速化ということも極めて大事なものでございまして、先ほど先生がお話がありましたように、鉄道も非常に環境に優しいものでございますが、やはり鉄道に乗っていただくという観点がなければ駄目なわけでございます。そういう意味で、鉄道の利便性の向上ということを図っていく中でスピードアップというようなことも極めて大事なことでございます。  そういうことで、基本的には先ほど申し上げているように、鉄道事業者の経営判断でございますけれども、従来から、例えば幹線鉄道等活性化補助金というふうなものを使いまして鉄道の高速化というものを図ってきたわけでございます。昨今では、その在来線の高速化事業ということで補助率を引き上げたりいたしまして、現在、例えば日豊線の大分―佐伯間というところで高速化事業等々をやっているところでございます。  今後とも、引き続き頑張ってまいりたいと思います。
  60. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 ありがとうございました。  もう一つ、地方鉄道の問題。  これは、むしろ混雑ではなくてマイカーの発達によってどんどん輸送力が落ちていると。しかしながら、シビルミニマムという観点から考えますと、高齢者の方とかあるいは児童生徒の通学とか、要するに自家用車を運転できない人の公共交通機関をどう確保するかというのは非常に大事な観点だと思います。  いわゆる国鉄の線路を第三セクター化したというふうな、第三セクター鉄道の輸送量と経営状況を最近発表されておりますが、例えば第三セクターの新線の三陸鉄道なんというのは、十年前に比べると大体輸送量が半分近くに落ちていると。大体三割ぐらい減っているところはざらでございます。こういうところに対して、やっぱりシビルミニマムとしての公共交通を維持するという意味でどういう手を打っていくか、その辺についてお聞かせいただきたいと思います。
  61. 石川裕己

    政府参考人(石川裕己君) 地方鉄道につきましては、今、先生お話がありましたように、利用者減というのがなかなか止まらないという状態にございまして、それぞれの地方鉄道が大変厳しい経営状態にあるということは事実でございます。  そういう中でありますけれども、今お話がありましたように、地方鉄道あるいは第三セクター鉄道というのは地域における言わば通勤通学、あるいは買物、通院というふうなものも含めまして地域住民の日常的な生活の用に供されているということも事実だろうと思います。ただ、鉄道はやはり一定のボリュームがないと維持できないということも事実だと思います。  こういう中でどういうふうにやったらいいかということになりますけれども、基本的には、今までもそうでありますが、地方鉄道事業者というものが様々な経営努力を行っていただいているわけであります。ただ、なお人件費率が高いというふうなところもないわけではありません。そういう意味では、更に一層の経営努力というのが大事だと思います。  それに加えまして、やはりその地域の特性に合った鉄道サービスということをやはり小まめに考えていかなければいけない。そういう意味で、鉄道事業者がその地域地域といかに協力をし、あるいは連携をし、鉄道利用の喚起を図っていくかということだろうと思っております。  そういう意味で、さらにそういう鉄道の維持、運営というためには地域の協力というものも必要でございまして、今までも様々な地域において鉄道を維持するための基金というふうなものの創設というふうなことも図られているわけであります。  国といたしましても、もちろん、それぞれの鉄道の独自性あるいは地域性というのはあると思いますけれども、私どもとしては、地方鉄道の安全性の確保あるいは利便性の向上というふうなことを目的といたしました財政上の支援措置あるいは税制上の措置というものを講じているところでございます。
  62. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 ありがとうございました。  例えば、ドイツの場合、一九九四年にこれも、ドイツ鉄道を民営化したわけでございますが、そのときに地方鉄道の権限を全部州に移譲しまして、お金の方も一兆円ぐらいのお金を付けて、あとは全部、地方鉄道、鉄道なりバスなり地方交通の責任は全部州がやってくださいというんで権限と財政面を移譲したというような例もございますので、是非そんなことも含めて今後御検討いただければ有り難いと思っております。  それから、JR東日本は六月に完全売却いたしたわけでございますが、まだ東海と西日本が残っているということで、これもなるべく早くやっていただきたいということと、次には三島、貨物の完全民営化という問題が控えておりますが、なかなか経営上も経営安定基金の利率が減ったとか輸送量も芳しくないとかいろんな難しい問題があると思いますが、この辺の展望についてお聞かせをいただければというふうに思います。
  63. 石川裕己

    政府参考人(石川裕己君) まず、株の話でございますが、今お話がありましたように、JR東の株につきましては、本年六月の二十一日に株を売却、すべて終わりました。  西でございますが、JR西でございますが、六十三万四千株まだ残っておるというか、鉄道建設公団が保有をしてございます。これにつきましては、実は本年四月に、JR西の株を売却するための主幹事証券会社というものは既にこの四月に選定をしてございまして、JR西の株の売却準備というところを進めているところでございます。ただ、タイミングにつきましてはまだ未定でございます。JR東日本の株の売却というのは無事終わりましたけれども、その後の株式市場の状況その他等々を総合的に勘案しつつ、時期を選んで適切に実施ということになろうかと思います。  JR東海の株でございますが、これは八十八万六千株残っております。これにつきましても、JR西日本と同様、鉄道建設公団において株式市場の状況その他を勘案しながら時期を選んで対応していきたいというふうに考えております。  それから、残されましたJR貨物あるいはJR北海道、四国、九州でございますが、今先生お話しのように、これらの地域あるいは鉄道貨物というものにつきまして、輸送需要の減退ということでなかなか厳しい経営状態が続いております。あるいは、北海道、四国、九州にございます経営安定基金につきましても運用益の減少というふうな形で非常に厳しいものがございますが、これら四社につきましても、従来からの経営改善努力あるいは増収努力というものを引き続き行って、経営基盤というものをできるだけ早く確立をして次のステップに行くというふうなことで、この四社あるいは我々もともに努力をしていきたいというふうに考えております。
  64. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 ありがとうございました。よろしくお願いをいたしたいと思います。  次に、公共事業に対する投資と政策評価の問題について少しお尋ねをいたしたいと思います。  公共事業について無駄が多いとか何か財政悪化の元凶のように言われておりますけれども、どうもちょっと新聞などの世論がやや誤解している面があるのではないかということがございます。  といいますのは、建設国債の発行というベースで見ますと、平成三年度というのはいわゆる赤字国債がなくなって財政が健全化した時期、ちょうど十年前でございますが、このときの建設国債の発行額というのは六兆七千三百億ぐらいだったんですね。平成十四年も、国債の発行、建設国債の発行予定額というのは六兆七千九百億というようなことで、ほぼ同額であります。国債全体の発行額三十兆円といううちの二十三兆円が要するに赤字国債ということですから、財政悪化の元凶というのは、まあ元凶と言うとちょっと語弊があるかもしれませんが、一般歳出がやっぱり膨らんだと、それから国債費が膨らんだと、こういうようなことだと思います。  ということで、今まで経済対策ということで補正でかなり公共事業費が膨らんだという面もありますけれども、平成十四年度の公共事業費の規模というのはかなりいい線に来ているのではないかと。むしろ、景気対策としては確実に効果が上がる公共事業というのはやっていくべきなんだろうと。そういうことでは、やっぱり公共投資の効果を定量的に把握をして事業分野を横断的に優先順位を決めていくと。不況時には優先順位の高いものを少し増額をしていくと、好況時にはむしろ抑制をして国債の償却に充てるというような考え方を導入していくべきではないかということで、政策評価というのが非常に大事な使命になってくるんではないかと思いますが、現在、国土交通省における政策評価の取組などについて、簡単で結構でございますが、お聞かせをいただきたいと思います。
  65. 河崎広二

    政府参考人(河崎広二君) 国土交通省におきましては、昨年の一月に新省庁発足をしたわけでございますが、それを機に三つの方式による政策評価システム、すなわち一つは事前評価、それから業績測定、それからプログラム評価という三つの方式の新たな政策評価システムを導入したところでございます。また、今、先生からも御指摘もありましたけれども、従来から実施しておりました個別の公共事業、あるいは研究開発課題の評価につきましても、手法の一層の充実を図るという観点から取り組むこととしたところでございます。  その中で、特に事前評価というのが、具体的な予算の配分だとか、あるいは税制の改正だとか、あるいは法令の改正というものに直結しますし、またその前提となるもので非常に大事だというふうに思っておりますが、その辺の取組について若干御説明させていただきますと、まず実施しようとしているすべての新規施策につきまして、私ども、その必要性、効率性、有効性というものをチェックする政策アセスメントというのを実施しておりまして、例えば来年度概算要求時点におきましては四十八の施策について実施をいたしました。  また、特に指摘のありました個別の公共事業につきましても、維持管理的な事業を除きまして、すべての所管公共事業を対象に新規事業採択時評価というのを実施をいたしております。これは、概算要求時点では、実は個別に予算内示が行われるものだけでございますので、今回、三十七の事業について評価したわけでございますが、例えば昨年の例で、最終的に予算の箇所付け、配分が、行った段階のすべてのものをトータルしますと一千百の事業について実施をしているというふうなことで、積極的に取り組んでおるということでございます。  それから、公共事業の個別評価につきましては、今、先生言われましたように、それぞれの事業が置かれている地域の経済的、社会状況というものを具体的に考慮した評価が必要であるというふうなことから、費用効果分析というものを中心とした手法を取り入れてやっておるわけでございます。  その費用効果分析というのが一番客観的な指標であるというふうな点もございまして、これの的確な実施というものに努力をいたしておるわけでございますが、一方では、その費用効果分析では反映できない要素として、例えば環境に与える影響でありますとか、あるいは近年の災害の発生状況だとか、あるいは地元との調整状況だとか、そういったようなものもございますので、費用効果分析というものをメーンに置きつつ、その他の要素も考慮して評価をするというような形でこの個別公共事業の評価については実施をいたしておるというところでございまして、これからもより客観性の高い費用効果分析の活用を図りながら、的確な評価を努めていく必要があるんじゃないかというふうに我々は考えているところでございます。
  66. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 ありがとうございました。  費用効果分析の話も大分答えていただいたのでありますが、三つの評価方式というのは事前評価、業績評価、プログラム評価ということで、プラン・ドゥー・シーのサイクルをやっていくと。これが政策評価のサイクルなんだろうと思います。  これは確かに理想の姿で、今後こういうプラン・ドゥー・シーのサイクルを描いていくというのが当然実行すべき問題だと思いますが、当面は、やっぱり公共事業の事前の、投資計画ということで有効性を厳しく評価をしていくということなんだろうと思います。その意味では、やっぱり数字で、横並びで、プロジェクトごとに、分野ごとに比較できるような評価というのが望ましいんだろうと思います。その意味で、やっぱりコスト・ベネフィット・アナリシスといいますか、費用便益分析というのを今後の評価の一つの重点に考えるべきではないかと。  環境影響評価など、なかなか難しい面もある、それはおっしゃるとおりなんですが、環境影響評価についても、例えばドイツの交通計画などを立てる際は、在来道路と高速道路と比較をして燃費がどう変わるかというようなことで評価をするとか世論調査をして環境影響評価評価額を出すとか、いろんな手法をやっておられますので、是非、費用便益分析というようなのを重視していただきたい。  今、概算要求に伴う政策アセスメントというような資料もいただいて、大変な勉強をされているというのはよく分かったわけでございますけれども、やっぱりアウトカム指標的なものは個々のプロジェクトごとに言ってみればそれぞれ必要なんだということは強調できるわけなんで、そういったことでちょっと費用対効果分析の重点化という点について、簡単で結構でございますので、ちょっと御見解をお聞かせいただければと思います。
  67. 河崎広二

    政府参考人(河崎広二君) ただいま先生が御指摘になりましたアウトカム目標というやつは、実は個別の公共事業の選定を目的としたものではなくて、関連する各種の事業制度だとか、一定のまとまりのある施策をトータルにとらえて、それを対象にして評価をしようというものでございます。  先生言われました個別の公共事業については、先ほどもちょっと先走って申し上げたわけでございますが、個々の事業が置かれた地域の経済的、社会状況を十分考慮して評価をするということから、別の手法、すなわち費用対効果分析というものをメーンにした手法で行う必要があるということでございまして、私ども、この評価ができるだけ客観性のあるものでなきゃならないというふうに思っておりますので、そういった意味では、費用対効果分析というものを重視いたしまして、これの充実に努めていくということが大事だとは思いますが、残念ながら、一方では費用効果分析の中に加味できないいろんな要因もございますので、先ほども若干御説明いたしましたけれども、そういったものも総合的に勘案した上で現在のところは評価を進めているというのが現状でございます。よろしくお願いします。
  68. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 ありがとうございました。  次に、観光政策について若干伺いたいと思います。  総理の施政方針演説でも、我が国の文化、観光魅力を全世界に紹介し、訪日外国人旅行客の増加と、これを通じた地域の活性化を図るというようなことが取り上げられております。  ということなんですが、国内の観光消費は二十二兆六千億ぐらいあるとか雇用の効果が百九十三万あるとか、やっぱり観光というのは非常に経済対策としても効果があると思うんですが、国際旅行収支という意味で見ますと、国際旅行収入は日本の地位は三十一位であると。韓国や台湾より下であると、韓国、台湾より下であると言っていいのかどうかちょっと分かりませんけれども。  ということで、GDP比でも、国際旅行収入のウエートというのをちょっと眺めてみたんですけれども、一番多いのがスペインがGDP比で五%近い、フランスとかイタリアが二%強だと、アメリカでも〇・八%ぐらいと、こういうことなんですが、日本は〇・〇八%というようなことで一けた違うんですね。  こういうようなことで、先ごろ副大臣がいろいろ休暇改革などのレポートを発表されましたが、観光政策について基本的な御認識について大臣からお聞かせいただければと思います。
  69. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 今、中島議員から観光に関します生産性あるいは雇用等々の数字も出ましたけれども、少し私の手元の数字と違う点もございますけれども、少なくとも観光産業は二十一世紀の第三次産業の主要産業になり得るものであると私は考えておりますし、またそのための施策を実行していかなければいけないと、そう認識しております。それが基本でございます。  そして、観光におきます産業の生産効果、これは国内総生産額の少なくとも五・七%の五十四兆円でございます。そして、雇用効果というのは、総雇用総数の六・三%、約四百二十二万人と我が国土交通省の計算では出ております。そういう意味で、いかにこの観光は我が国の経済あるいは人々の雇用、地域の活性化に大きな影響を及ぼしているということが言えると思っていますので、今申しましたように、二十一世紀のリーディング産業であると、私はそれを育てていきたい、また支援していきたいと思っているのが基本です。  ただ、今おっしゃいましたように、平成十三年、我が国を訪れた外国の旅行者、これは四百七十七万人なんですね。そして、海外を訪れた日本人の旅行者は一千六百二十二万人。入る人よりも出ていく方が多くて、入ってくるのは四分の一にとどまっていると。これが私は日本にとっては大変大きな問題であろうと思います。平成十一年で世界三十五位、先進八か国では最下位。極めて少ない状況は、今、中島議員がおっしゃったとおりでございますし、国際収入、旅行収入も平成十一年で世界三十一位というのは今おっしゃったとおりです。  なぜ出ていく人が多くて入ってくる人が少ないか、それが私は国土交通省、少なくとも日本の国の施策として大きな私は問題点を持っていると認識しております。  その第一点は、先生方皆さん御利用になっているから分かりますけれども、日本の国の玄関口と言われた国際空港の成田の玄関口、一九七八年に開港して、二十五年たって今年の四月にやっと二本目の滑走路が暫定滑走路です。その間に、あっという間に韓国の仁川では四千メートル級を二本、そして二〇〇五年にはこれを四本にすると。そして、年間百万人の観光客を誘致するという計画が政策として出されております。  現在、我々は、日本の玄関口、国際空港という看板を上げるのも私は恥ずかしいと言っているんですけれども、我々が世界諸国へ行って、途上国でも、失礼ですけれども、国際空港という名の付く空港に降りて、一本しか滑走路のない空港に降りたことはほとんどありません。そして、今まで二十五年間、一本の滑走路で、国際という名を付けて、渋滞していますから上で旋回するんですね。降りられないんです。しかも、アナウンスで、もう少し待ってください、時間待ちです、滑走路が空きません。こんな恥ずかしいことはないんです。なおかつ国際線と国内線の乗換えをわざわざお金を使わなきゃいけないという空港の在り方も、これも世界にはほとんどありません。空港の移動距離が長いといっても、同じターミナルの中で国際線と国内線の乗換えはがらがら荷物を引っ張ってでも行けます。  ところが、御存じのとおり、成田、まず日本の国際空港というところで降りて、都内の主要のホテルまで行くのにタクシーで二万三千円前後です。高速道路はというとまた別料金です。そして、外人さんは、タクシーはメーターですけれども、それを払うと思ったら、それでもびっくりするんですね、初めて使う日本円。そのほかに高速料金下さいと言われるんです。首都高が七百円です。関東自動車道が千六百五十円です。それ余分に下さいと言ったら、外人はハイウエーになぜ金取るかと、これ、けんかになるんですね。まして、羽田まで行くというと、これまたもっと大変でございます、乗り換えるのが。  これは、少なくとも我々は、政策という面で政治判断が過去において貧困であったと言わざるを得ないという現状、それを私は、二十一世紀は少なくとも我々の力で、皆さんの御協力を得て、苦しい予算の中ではありますけれども、まず観光という、外国人を日本に誘致するんでも、普通のお玄関でもそうです、玄関を広げてから、お客様来てください。旅館でもそうです、人が来るのを待って、人が来てから初めて、玄関広げますからホテルで旅館で待ってくださいなんて、そんなこと言えません。  そういう意味でも、我々は、国際的に先進国の中でも今申しました最低の数字であるということも、かつて我々が政策的に間違ったことをしたかもしれないという反省の下に、今後二十一世紀に向かって今の観光誘致という面においても我々は万全を期していきたい、苦しい中でも頑張っていきたい。そして、先日のワールドカップサッカーにおいてもあらゆるお客様に御利用いただいて喜んでいただいたものを、我々は政策の上で、特に国土交通省としては陸海空一緒になったんですから、先進国並みに港湾も空港も新幹線も高速道路もおしなべて十分で行けるようなというようなことを施策の中で努力していきたいというのが基本でございますので、二十一世紀の第三次産業の主幹産業たる観光を発展さしていくために最大限の努力と御理解をいただきたいと思っています。
  70. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 是非大臣には頑張っていただきたいと思います。  最後に厚生労働省にお尋ねをいたしますが、観光、特に国内観光の振興という面で、健康とか環境とかそういったものと組み合わせて国内観光の振興を図るというのが一つ大事ではないかと思います。  昨年、国民健康保険中央会が「医療・介護保険制度下における温泉の役割や活用方策に関する研究報告書」というのを出されまして、この中で、長野県のある村では温泉療法というのを一生懸命やって老人医療費が五年前に比較して一七%ぐらい減ったというようなデータも出ておるわけであります。確かに、寝たきり老人を治すという意味でも温泉の利用というのは、昔は湯治というのがあったわけでございますが、非常に効果があるので、今後、そういった振興策、それから健康保険なり介護保険の保険適用というようなことも積極的に考えていただきたいと思いますが、その辺について御見解をお聞かせいただければと思います。
  71. 真野章

    政府参考人(真野章君) 先生御指摘の国保中央会が行いました調査は、温泉を活用いたしました保健事業を実施している市町村、これにつきまして老人医療費がどうなったかというものを調べたものでございまして、温泉を活用した保健事業を積極的に推進している市町村では老人医療費が低下しているという報告になっております。  ただ、保険でこれをどう評価するかということになりますと、御指摘の温泉療法につきましては現時点ではなかなか湯治的な療法といえるかどうかとか、科学的に安全で有効性が確立された治療法というふうに判断できるかというとなかなか難しい面がございます。  ただ、先ほどの調査にもございますように、このように温泉を活用した保健事業を積極的に推進しているという市町村ではそういう効果も現れておりますので、私ども、この面につきまして、各保険者がやはり地域の実情を踏まえましてこういう温泉を利用した健康増進事業、健康づくり事業などを実施する、そういう保険の中の療養の給付とは違った保健事業というのがございますので、この保健事業の活用というものを積極的に推進をするように必要な支援も努力をしたいというふうに思っております。
  72. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 終わります。
  73. 中原爽

    委員長中原爽君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時五分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  74. 中原爽

    委員長中原爽君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十一年度決算外二件及び平成十二年度決算外二件を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  75. 海野徹

    ○海野徹君 御苦労さまです。民主党・新緑風会の海野徹であります。  今日は扇国土交通大臣に集中して質問をさせていただきますが、午前中最後の要するに御答弁、大変率直で、私はうそも隠しもしません、情報公開の最先端を行っていますからというようなお話だったんですが、正に率直な御答弁をお願いしたいなと思っていますし、多分そうであるだろうなということを期待しているわけなんですが。  総括質疑のとき、補助金と地方空港の整備のことで若干質問をさせていただきました。詳細についてはまた後ほど大臣に御質問させていただくということで、二問ほどで終わったわけなんですが、今日は若干同僚から時間をいただきまして、質問をさせていただきたいなと思っています。  その前に、最近、交通政策審議会航空分科会の中間取りまとめがありました。そこの席で、多分そこの、出席をして意見を述べられたと思うんですが、航空業界の関係者の方、専門家の方々からの話であります。補助金の問題ですから、私の地元である静岡空港に限定させていただいていろんな質問をさせていただきたいなと思いますが、一般論として、その関係者から、空港については既に着工しているものも含めていったん建設を凍結し、資金の動向を織り込んだ正確な需要・収支予測を改めて行っていく必要性を再検討する必要があるというような、再検証をする必要があるというような意見が出されておりました。その中で、これ、取りまとめの中にもその意見が反映しているかなと思うんですが、そこに続いて、特に静岡については需要・収支予測や空域などに関して大きな疑問がある、静岡空港の需要予測には羽田、中部空港に対する競争力や新幹線、高速道路等の分担が十分織り込まれていないというような指摘をされております。  そういう流れの中で、先ほど大臣は、大都市拠点空港ということを、観光政策の中で大都市拠点空港の整備をこれ重点にするんだと、それでもう恥ずかしくてしようがないというようなお話があったわけなんです。正にそのとおりだと私も思っています。  さらに、今ちょっと同僚議員が何か大臣のところに陳情に来られたようだったんですが、内容何なのというふうに聞きましたら、伊豆半島の振興だと。じゃ、道路なのと言ったら、そうだというような話だったんですが、仮に観光政策を推進する中でも、要するに伊豆半島の振興というのは私は大変重要だと思う。地元だけに余計そういう意見を持っているわけなんですが、その中で道路整備というのはもうすべてなんですね。八割方道路整備ではないかなと私は思っています。その伊豆半島の首長さん方と話をしても、やはりそれが一番の彼らの要望なんです。  私が試算させたところによると、その伊豆半島の振興、観光振興を図るために道路整備が最低限、要するにやっていくためにも、事業額が五百億はあれば十分だと言われているんですね。伊豆縦貫道の肋骨道路を含めて整備する、それが五百億で済むということになると、これで大変な観光振興にもなるし、伊豆半島の振興にもなるなと。そういうことであれば、公共事業の費用と便益の分析の中でも大変要するに上位に位置付けられていくんじゃないかなと思いますが。  そういった意味で、これからあれも欲しい、これも欲しいという時代ではありませんから、どっちかということですから、それで私も大臣に、地方空港の整備について本当に厳しい中でやはり厳しい検証をする必要があるなという思いで質問をさせていただきたいと思います。  それから、もう一つの出来事なんですが、これも念頭に置いていただきたいなと思うんですが、設置者である知事が元々私が発案したものじゃない、もう既に就任前に決まっていたと。私が就任したときは設置許可の申請のときだった、だからしようがないと。白紙の状態だったら考え方は違っていたというようなことをおっしゃっているんですね。これは設置者として本当に必要性を要するに自らが納得して言っている発言とは思えないんです。こういう状況の中で整備を進めるということになると、私はやっぱり問題があるんじゃないかなというふうに思っています。  質問に入りますが、そういうような前提をちょっと念頭に置いていただきながら、県がいろんなことで必要性を主張しております。  例えば新幹線新駅、これを造ったらいいんじゃないかと。だけれども、これはJRは絶対造らない、造れない。造りたくないというより、造れないということを言っているんですね。元々これは許可申請のときにはなかった話なんです。最近はこの話もトーンダウンしているんですが、これが一つの必要性の中にあると。  もう一つは国際線の就航。これも、国際線の就航というのは非常にこれ難しい話なんです。それが需要予測の中に四十万とかなんとかという形で数字で出てきてしまっている。こういうものを前提にして、実現困難な国際線の就航を前提としたやっぱり整備、これも必要性の中に入れている。  また、千九百億と言ったんですが、私も県議会のときにかなりこれについては厳しい検証をさせていただきましたから言ったんですが、ざっと言って二千億円、これは用地買収含めてすべてなんですが、二千億円ほど掛かると。これは本体部分は五百十億ということなんですが、それを含めて、周辺部分も含めて二千億円掛かる。普通、設備投資という場合で考えたとき、二千億円の投資というのは、それで三十年間もし使えるとしたら、割引率等を一〇%ぐらいに考えても、毎年六十七億円ほどの利益を出していかないとこれは経済的に、要するに経済予測、経済効果という意味では全く現実とのギャップが大きくなっている、これが果たして静岡空港にそういうことが結果として得られるんだろうかという問題もあります。  こういうようなことをしかしながら主張をしながら必要性を訴えて、なおかつ、いや私が就任する以前の話だから、そうじゃなかったらまた白紙だったというような話をしてみたり、現実のこれからの整備の流れがもう地方空港じゃなくて大都市拠点空港だ、それに集中するんだというような流れの中で、大臣、その点、これからの静岡空港に関しての整備というのはどういうふうに県の主張をとらえておりますでしょうか、まず第一に質問をさせていただきます。
  76. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 今、海野議員がおっしゃったことは、二十一世紀の政策にとって私は大変大事なことだと思っております。我々は、間違ったことを改むるに私はちゅうちょしてはならないと思っています。  その時代その時代で正しいと思ったこと、御存じのとおり、一時、国会の中で一県一空港政策というのを言われたことがあります。覚えていらっしゃると思います。それくらい、一県一空港でどこへ行くのと言いたくなるような狭い日本と言われながらも、そういう施策が本当は地方のためになるんだと言われた時代もございます。けれども、私は、今申しましたように、少なくとも国際状況を見ながら、今一県一空港というようなことが通らないことはもう皆さん百も承知です。  そして、御存じのとおり、国土交通省では今、皆さんおっしゃるんですけれども、私のところへ多くの皆さんが陳情に来ていただいて、皆さんのお声を聞いております。けれども、皆さんがおっしゃることは、まず一般道路の整備をしてください、そして今度は高速道路を造ってください、その次は新幹線持ってきてください、その次は飛行場を造ってください、そしてもうその次には国際港湾も整備してくださいと。そういう要望が重ねて私のところにあるわけでございます。  ですから、私、今日も冒頭に申しましたように、均衡ある国土の発展から個性ある地域の発展ということを展望したときに、今申しました空港、新幹線、高速道路、そして鉄道、高速道路と一緒ですね、五つの要望、国際港湾、一般道路、全部皆さんの御要望にかなえられればそれは万々歳ですけれども、少なくとも今の状況の中で、経済財政諮問会議等々におきましても、これは総理の諮問機関でございますけれども、GDPの三%しか社会資本整備を先進国は使っていない、日本はその倍使っているのはもったいない、それはおかしいんじゃないか、社会資本整備はもうこれくらいでいいんじゃないかという議論がまかり通っております。  けれども、私は、おしなべて均衡ある国土の発展していたのでは国際水準に付いていけない、国際的にも日本は後れてしまう。ですから、足らざるところを今の限られた予算で集中して仕上げて、十年掛かるものを八年に仕上げればその分どこかに使えるじゃないかということも考えておりますし、今、静岡の例をおっしゃいましたけれども、静岡空港は私は、御存じのとおり、設置管理する、これ第三種空港として少なくとも平成六年に補助事業として決定しているわけですけれども、平成六年に私がいなかったからそんなもの知らないよと言うつもりは私更々ございません。  少なくとも我々は、先ほども評価制度の御質問がございましたけれども、私たちは事前評価あるいは事業評価、事後評価、これをしていって、私は少なくとも間違いであれば必ず見直すということを国土交通省しているのは御存じのとおりです。  公共工事の無駄遣いの最大だというんで本四架橋、アクアラインという例をよく言われます。けれども、私はそれはそのときに、アクアラインだって、あれアクアライン渡った先に成田まで高速道路をつないでいれば横浜、横須賀の人はアクアライン通って成田まで行く、こんな便利なことないんですね、少なくとも。そういうグランドデザインというものの確立がなく工事をしてしまったということが私は少なくとも成田に関しても反省があり、アクアラインもそうです。四国だって三本橋を造らないでその一本分、真ん中やめておいて四国一巡の高速道路を造って、それから真ん中造ればよかったじゃないかと。  今いろいろ反省点はありますけれども、少なくとも我々は今政治家として限られた中で、しかも静岡の場合は、地元の皆さん方は用地買収は責任持ちますと、これ静岡の県の責任ですから、その用地買収と私が伺って、いらして、一〇〇%達成できましたかと言うと、いえ、まだそうではありません、用地買収の場合はまだ少なくとも今完全に一〇〇%はできておりませんということを私の手元におっしゃいました。そのように、やってくださいということと県がしなければいけないこともまだ達成できていないと。  ですから、少なくとも県が、少なくとも第三種空港ですから、県が設置責任者ですから、少なくとも県の中で意見をまとめていただくと。地域の意見を尊重するというのが私の姿勢ですから、そういう意味では今、海野議員がおっしゃったように、静岡県の中で県会でもあるいは知事さんでもいろんな御意見があるので、一番それをまとめていただくというのが私は大いに地元としての責任があろうと思っていますので、需要予測というものを平成六年ですね、これ補助事業として採択する前に事業の搭乗者予測というものが出ておりますけれども、その数字も現段階では予定どおりの数字ではなくなっていることはもう御存じ、今日は特に昨年の九月十一日の同時多発テロのちょうど一年目ということで、冒頭から、今朝からいろんな番組でも、我々も追悼の意味を心を込めてしておりますけれども、そういう意味でも我々は空港の必要性と、そしてあの九・一一以来空港の利用需要が減速しているということは事実でございますから、これは国際線のみならず国内線にも影響しているのは事実ですから、その数字がどの程度落ち込んでいるかということも、静岡県ではきちんともう一度需要予測した当時との差というものを私は検証していただきたいと思っています。
  77. 海野徹

    ○海野徹君 まあ大体私が要するに御期待させていただいているような答弁に今、大臣がおっしゃっていただいたかなというような気持ちがするんですが、その中で、県が意見をまとめてやるべきことをやってというお話がありましたが、やはり空整特会の方から補助金が本体工事のうち、五百十億のうち三百六十億ほど支出されるわけです。これはほとんどが、八四%が利用者負担ですから、ほとんどほかの方々が利用して負担していただいたものを歳入として空整特会成り立って、そこから補助金が出ているわけです。となると、やはり許可をした国としてのもう少し積極的な関与が私は必要じゃないかなというふうに思うんです。その点についてはどうでしょうか。
  78. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) もうこれ海野議員、百も御承知なんだろうと思いますけれども、補助金を出しますときに、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律というこの法律がございまして、補助金を出す場合の三つの要件というのがあるのは海野議員先刻御承知なんですけれども、念のために申し上げたいと思いますけれども。  この補助金の適正化に関する法律の中で、一つは、少なくとも法令に違反しないこと、していないこと、そして二つ目には、少なくとも事業の目的及び内容が適正であること、そして三つ目には、金額の算定に誤りがないことという、この補助金の交付するときの法律に三つの点が書かれておりますので、私は少なくとも、現在、静岡空港につきましては、本年の六月でございますけれども、県議会で、今、先ほど海野議員がおっしゃったように、知事が改めて需要予測の見直しの検討に入るということをおっしゃったと私も伺っておりますけれども、現在、県において年内で取りまとめをされるということでございますので、私は基本的にこの法令に違反しないかどうか。これは再審査したりあるいはもう一度念を押したりということは当然のことですけれども、今申しましたように、六月に県議会でおっしゃった知事の本年をめどにというこのことを私は、国土交通省としては見ていきたいと思っておりますし、精度向上のために、また透明性の確保の観点から指導して、そして見直しの状況を踏まえながら、補助金に係る予算の執行の適正化の法律の三つの要件に関しても、今後その答えを待って再検討をしていきたいと思っております。
  79. 海野徹

    ○海野徹君 補助金適正化法の第十条の問題で、前回、総括質疑させていただきました。そのときにもお答えいただいたことと同じようなことを今、大臣は御答弁いただいたわけなんですが、厳しい見直しをする、要するにいろんな問題がありそうだというような発言をしていただいた。  具体的に、じゃ、これはもう本当に問題があるよと、あるからこの補助金は、要するにちょっとこれは交付を決定を中止せざるを得ないというような具体的な検証基準というようなものは、今、国土交通省というか、大臣はお持ちでしょうか。
  80. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 少なくともこの申請どおりに空港を設置するためには、私は申しましたように、先ほども言いました、静岡県として用地買収をするという責任が静岡県にあるわけですね。そして、今おっしゃった、新幹線の駅とかなんとかということもおっしゃいましたけれども、あらゆることも含めて県がしなければならない用地買収が、じゃ一〇〇%の見込みが立ったのですかと私が質問をしました。けれども、それは、いや立っておりませんと。現段階では、九月の一日でしたか、私伺ったら、そのときには九七・八%ですとおっしゃるんですね。じゃ、九七・八%、残りは一〇〇%の自信がおありなんですねと伺ったら、そうではないんです。自信がないんです。それでは先に進む話ができないではないですかと。  県としての責任として一〇〇%しますからさあどうぞといって初めて前に進む話で、そういう意味も含めて、一〇〇%の自信がおありにならないから県議会でもそういう委員会を作って検討しようということにおなりになったんだろうと思って、その認識を私は持っております。
  81. 海野徹

    ○海野徹君 航空法でやはり事業者が事業用地を取得しなくちゃいけないと。これは一〇〇%、当然そうなんですが、もう既にその前提が崩れているんですよね。しかも、本体部で持っている方々、反対の方々がいらっしゃって、そういう方々は国土交通省にも直接、私たちは要するに協力できませんと。要するに、ないよりもあった方がいいだけの必要性の空港だったらこんな巨額な事業費を掛けてやる必要ないじゃないか、それよりも私たちは生業である茶業をやりたい、農業をやりたいということで、絶対御協力をさせていただくわけにいかないということを国土交通省にも直接お話をしているんですよね。となると、それでも一〇〇%となると、これは強制執行しかあり得ないという話になるわけなんです。  いろんなところで話を、県議会の動向、県の要するに行政の動きを見ていますと、どうもこれが要するに土地収用法による強制執行を視野に入れているんではないかなと。実際、改正法でやったら何か月掛かるんだというような質問に対して、三十四か月ほどでできますというような答弁を知事はしているんですよね。  となると、第三種空港に、前提条件が要するに崩れて、しかもそれは強制執行をやれば一〇〇%やるということで、もし仮にそれが一〇〇%土地を取得できたとしても、それが強制執行による土地収用で空港を開港するということは、これはやはり設置を許可した国として黙認することもできないだろうし、私はむしろある程度関与、積極的な関与をして、そうあってはならないということを私は明言すべきではないかと思いますが、その点はどうなんでしょうか。
  82. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 私は、今、海野議員がおっしゃることよく分かるんです。もう成田でさんざん経験して、先ほども申しましたように、長い間掛かって国際という看板が恥ずかしいと思うぐらいになったんですけれども、少なくとも私は、先ほどからいろんな質問で国土交通省の公共事業に対する姿勢というものを論議の中でお分かりいただいたと思うんですけれども、我々は少なくとも社会経済状況、今の経済状況の中で中部空港というものを造る中で果たしてどうあるべきかという、その中部国際空港を造るということを、できたときの静岡の位置はどうなるのかと、そういう私は周りとの国際性といいますか、そういう状況というものは新たな判断基準として我々は持たなきゃいけないと思います。皆さんもそうだと思うんですね。静岡の皆さんもよくお分かりになっていると思うんです。  ですから、そういう意味では私は、事業評価を設けて、少なくとも国土交通省の場合は事業評価制度に基づいて、事業採択後十年たって、そして完成しないものに対しては見直すと、こうなっているわけですね。静岡空港は来年が十年なんです。ですから、少なくとも私は、そういう意味国土交通省の事業評価制度に基づいて私たちは評価を見直す事態になるであろうと思っております。  それは、静岡県が今年中に出すという、その静岡県としての委員会の結果をいつお出しになるかというのは、私、今年度中と聞いておりますけれども、それが私は、十年たってという事業の評価制度の基準に合うとなれば、来年、県を待たずに国土交通省としても見直さなきゃいけない時期が来ていると、そういうふうに思いますので、私はまず、県の主体性ということで県の御報告を待っているというのは先ほど申し上げたとおりでございますけれども、国土交通省としても、今後は静岡県の作業というものを、どの程度どうなさるのかというのを見守りながら、少なくとも必要とされる公共工事、無駄はやめるということはもう厳に言われて、また世論にもなっておりますので、私はそういう意味で、あらゆる公共工事に聖域を設けることなく、私は必要性を検証していくというのは当然のことだと思っています。
  83. 海野徹

    ○海野徹君 その聖域を設けず必要性を検証という中で、再度確認させていただきたいんですが、土地収用法を要するに使ってまで、強制執行してまで地方空港、静岡空港を建設するということを放置するということはございませんですね。
  84. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) これは第三種空港でございます。第一種ではございませんから、お間違えないようにしていただきたいと思います。
  85. 海野徹

    ○海野徹君 それは、第三種空港ですから分かりますけれども、やはり補助金を支出しているわけですし、設置許可は国がやっているわけですから、やはり強制執行までして空港を建設させるという要するに事態を放置するということは国としていかがなものかと私は思っています。その辺については、また後日改めて議論したいと思いますが、是非念頭に入れていただきたいなと思っております。  それで、再評価のことなんですが、問題は、地方公共団体が再評価する場合、事業評価監視委員会というのを、この審議を経なくちゃいけないということになっています。ただ、問題はここの要するに委員の選定なんですね、選任なんですね。ここに極めて要するに私は高い見識と中立性というか、そういう方々が就任しないと、私は、もう結論ありきで、幾ら結論ありきでシミュレーションやったって同じようになっちゃうんですよ。それは排すべきだなと思っていますから、その辺のこともまた改めて議論をさせていただきたいなと思います。  時間がありませんから次の質問をさせていただきますが、不審船の問題です。今ニュースでやっておりましたが、船体の一部がもう出てきたという話であります。  これはやはり私は、総理が十七日に訪朝に行く、これも発表されたとき、もう既に十七日に訪朝だと。普通、外交日程の場合は、かくかくしかじか、こういうような条件があってこういうような要するに動きがあるから何月ごろ、中旬とか下旬とか、何月ごろにはそういうような動きになるだろうというのが普通でありますが、極めて唐突に九月十七日というような形で訪朝が報じられた。そんなことから考えると、どうも要するにこの不審船の引揚げの問題と外交交渉の問題、それと不審船を引き揚げて国名を特定することについて何かちゅうちょするものがあるのかなと。  そういった意味で、日程の問題あるいは作業の時間の問題、情況証拠としては極めてもう特定してしかるべき状況がありながら、なおも時間を取らなくちゃいけないということは、私は国土交通省としてももう少し、国益を考えたら、その点については極めて積極的というか、かなりスピードを上げて特定化をすべきではないかな、それで要するに主権の侵害であるということをやはり明確に主張すべきではないかなと思いますが、大臣、どういうような御見解でしょうか。
  86. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 海野議員に私は一言申し上げておきたいと思いますけれども、どこの国のものか分からないから不審船なんです。一定の国のものであると決め付けて物を言うことは、私は現段階で私の立場ではできません。だから不審船なんで、国名が分かっていればきちんとそのときに発表しております。  そういう意味では、私はこの事件が起こりました昨年の十二月二十二日に私は記者会見したときから、これは必ず国籍を明快にすると。そうでなければ、戦後初の銃撃戦を海上保安庁の「あまみ」という船、百数十発受けたわけですから、それを私は放置して日本の近海の漁船が安心して漁ができない。そういう意味からも、私は漁業の皆さん方にとっても日本の国民にとっても、ああいう重装備したものが日本近郊を徘回しているなんてことは、これはもう尋常ではございません。  少なくとも、我々は国民の生命、財産を第一に考える者としては、何としても解明するというのは私は最初から言い続けておりますし、その信念に一歩も後退したものはございませんし、海上保安庁も長官を交代しましたけれども、保安庁としても、少なくとも海の警察隊としての任務を遂行するという意味では、本当に三人の負傷者まで出して頑張ってくれたということに報いるためにも、私は明快にするというこの基本姿勢だけは厳然としてございますので、海野議員には御理解いただきたいと思います。  けれども、その鮮明をするためには、まず引き揚げて、そしてどんなものが何の目的で何を積んでどういうことで来たのか、この原因究明が今後の大きな課題の解決になるわけですから、それらをするために──今情報が入ってまいりました。  十三時〇一分、この委員会が始まったときに台船上のプールにこれを回収いたしまして、そして回収プールに入れることができまして、今後鹿児島まで持ってまいりますけれども、現段階でプロペラ軸が四本、プロペラが四つ、そしてこれは船尾にあるそうでございます。それから、艦首上の船体に穴等は見当たらない、船尾にかじが二つという状況も今入っておりますので、少なくとも私は、今、海野議員はもうどこかの国のものであると決め付けて御質問になりますけれども、私は現段階ではどこの国のものか分からないということで、総理の十七日の北朝鮮、初めての訪朝とは何の関係もなく、我々は粛々と、私は国民そして漁業の皆さんの安心のために解明に努力するという以外はありません。
  87. 海野徹

    ○海野徹君 事務方の御説明によりますと、私も来ていただいていろいろ話したんですが、今月ぐらいまで、特定できるには、総合的な要するに検証が掛かるから今月一杯掛かるなという話なんですが、一日も早くそれを終えていただいて、今、大臣がおっしゃっているような決意が具体的になっていただきたいなと思います。  それと、九月四日の不審船の問題なんですが、これは大臣省庁間の情報の共有化の問題でいろいろ御発言されています。これは対処マニュアルができているはずなんですね。情報を適切に共有する体制の整備が進んでいるんではないかなと思っているんですが、その辺が学習効果がまだ表れていないのかなと非常に心配なんですが、その点についてはどうなんでしょう。
  88. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 我々は、海上保安庁としても、平成十一年のあの不審船を間に合わなかったこと、そして今引き揚げております昨年の十二月のこの不審船の銃撃戦、そういうものを踏まえまして、海上保安庁と自衛隊等々と完全にこれはシミュレーションを作りまして、一刻も早く通知をしようということになっておりますけれども、シミュレーションどおりいかなかったということは、やっぱり残念ながら自衛隊の方もP3Cの中に電送する写真機が載っていないということなんですね。これもやっぱり整備が不備であるということであって、そのために写した写真を明解に解読するのに時間が掛かったというのはもう昨年の不審船のときに反省しまして、なるべく間違いない電送できる写真を撮ろうと。  去年の場合は、たまたま自衛隊のP3Cの操縦士が自分のカメラで撮った、それを持ち帰って現像してという時間が掛かったわけでございますけれども、今度もたまたま鹿屋のP3Cが、やっぱり電送写真を搭載していないP3Cだったということで、今回も我が方に通知が一時間掛かりました。昨年は四時間のロスがございました。今回は一時間でございまして、私はその一時間でももったいなかったと思っておりますので、今後より一層、自衛隊の方も装備の拡充を図ってくださると思いますけれども、海上保安庁の方でも、少なくとも安全を守るだけの装備は来年度予算に要求をして、そして昨年の補正予算の中からも前倒しで少し準備させていただいているということでございますので、意図的な遅れではなくて、そういう装備がまだ不備であるということの一時間のロスというのは今回もありましたので、より反省をして、同時にリアルタイムで情報を共有するというふうにしていきたいと思っています。
  89. 海野徹

    ○海野徹君 時間が来ましたので。ありがとうございました。
  90. 池口修次

    ○池口修次君 民主党・新緑風会の池口でございます。  ちょっと、質問通告とはちょっと順番を変えまして、今不審船の話がありましたので、もう少し私として疑問に思うところをお伺いをさせていただきたいというふうに思っておりますが、よろしいですかね。  九月の十七日に日朝首脳会談があるということで、そこでどういう話が議論がされるのかという、これはもう可能性の話になると思いますけれども、外務省が作った資料の中に、主な議題ということで、一つは過去に起因する問題で、これは向こう、朝鮮が、北朝鮮が言う過去の清算のことだと思いますけれども、二つ目が日朝間の諸懸案ということで、その①が拉致問題、②がミサイル問題、③がよど号犯引渡し問題、④に、その他で、括弧して、工作船、麻薬密輸問題、債務不履行問題等を含むということになっております。  私は、不審船と言った方がいいのか工作船と言った方がいいのか、この問題というのは、今年に入っていろいろ有事の問題が話がされたわけですけれども、日本に一番身近な有事というのはこの不審船なり工作船の問題ではないかというふうに思っております。今の扇大臣は、それは北朝鮮か分からないということだったわけですけれども、今までの報道なり、いろいろ、九十メートルのところに潜ってみたところ北朝鮮製と思われるものが数多くあった、見たというような報道もありまして、かなり疑わしいんではないかなというふうには思っているわけですけれども。  この日朝首脳会談の中に、その他の中で工作船というのが入っているんですけれども、不審船というものについて、海上保安庁の主管大臣である扇大臣として首相にこの問題は進言はしないのかどうかということを、まあ北朝鮮か分からないんだからもう情報は入れないということなのか。それだとすると、私は事の重大さからいっておかしいんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  91. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 池口議員の御質問ですけれども、私は、既にこの問題で、政府・与党連絡会議が、総理の訪朝が決まりました日に、発表しました日に政府・与党連絡会議がございました。  そのときに、政府・与党三党と我々閣僚が出ておりまして、そのときに私は、総理の御決断ですからみんな寝耳に水でございました。どの閣僚にも御相談もございませんでしたので、私も同じ思いで寝耳に水でしたけれども、少なくとも海上保安庁としての対応を今後もしもでき得るならば、今現在、不審船であるか工作船であるか分かりませんけれども、ロシアと日本と韓国と中国、連携をしまして、海上保安庁が、海上保安部もございます、各国に、それと一緒に平時から連携を取りまして会議を開いております。  ですから、私は、今は四か国で会議を開いておりますけれども、今後は、総理に、海上保安庁のこの会議というものを間違いなく拡大して、お互いが安心して操業し、お互いの領域を侵さないというようなことも話し合えることを念頭に置いて訪朝してくださいというお願いをしておりますので、総理の頭の中にはそれが入れてくだすっているものだと思っております。
  92. 池口修次

    ○池口修次君 船籍を確定する作業ということは私は急ぐべきだというふうに思いまして、事前にいろいろお聞きをしましたら、今日引き揚げたと、どういう状態だというふうに聞きましたら、引揚げ船のプールみたいなところに取りあえず収納をして鹿児島まで運ぶんですかね。九十メートルの下に潜っているときにもかなりの情報を収集できたというふうに聞いておりますし、プールみたいなところに置いてある段階で船籍の確定作業というのがなぜできないのかというところが非常に疑問なんですけれども、これについてちょっとお聞きしたいと思います。
  93. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 無人船で一番最初に探索をいたしまして、写真を伝送で送りました。そのときも、なぜ、一瞬ためらったことが、不審船という、どこの国か分からないと私が言い続けますのは、銃撃戦が始まりましたときにも、相手の船が途中で中国の国旗を揚げたんですね。それで一瞬日本は攻撃をやめたんです。  そのように、どこの国か分からないというのは本当に事実でございまして、私ども、「あまみ」等々の船長さんたちが、中国の旗を揚げたんでびっくりしたわけですね。それで一瞬攻撃をやめたわけですけれども、そういうこともあって、本当に出てくるものは、たばこにしろお菓子にしろ、中に入っているもの等々考えますと、北朝鮮のハングル文字があり、また南では使わないハングルが使われているというようなことも言われておりますけれども、それは海底に沈んでおりましたから腐食も避けるためにプールに今浮かして持ってくるわけですけれども、中にどういう仕掛けがしてあるのかと。あれだけの銃撃戦をしたんですから、何か触ったら地雷のように、爆発物がまだあるかもしれないという危険性は、これはなきにしもあらず。  そういう意味で、慎重に慎重を重ねて、しかもこれサルベージ会社は民間でございます。民間の皆さん方にもしものことがあってはいけないので、そういうことも含めて慎重に扱いながら、そして危険はないのかということも確実になければ船内に入ることはできないという危険を伴っていることは御理解賜るものだと思っています。
  94. 池口修次

    ○池口修次君 確かに、どういう仕掛けになっているのかというのは分からないので慎重に扱わなきゃいけないというのは理解はします。  ただ、一方で、もし仮に言われているような船籍であったとした場合には、私は日本の有事というものにとって非常に重要な問題につながるということもありますので、一方で慎重ではありながらも、一方で早く船籍を確定するということは大変重要だし、本来であれば、それを外交カードとして使うかどうかは別にしても、やっぱり私は九月十七日の首脳会談までにそれが分かっているべきであったと。いろいろな、台風等の理由でそれには関係なく進めたんだというのは理解はしますけれども、私は本来であれば重要な外交カードにもなるものだというふうに思いますし、日本の有事にとって大変重要なことなので、やっぱりこの問題についてはもう少し明確になって、ちょっと今回の議論から外れますと、本当に船籍が分かったときにはどういう進めになるのかというのを、ちょっとそれじゃお聞きをしたいと思うんですけれども。
  95. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) それよりも、私は、池口議員がおっしゃるように、訪朝のときに総理が話題になさるには今月の四日、つい先日、この四日に不審船だと思ったものがちゃんと煙突に北朝鮮のマークを付けて、そして朝鮮半島の方へ行ったというこの事実は、これはまだEEZに入ったか入らないかと、これも定かじゃないんですけれども、そういうことが頻繁にあっては困るということは、まずこれは堂々と、北朝鮮の旗が煙突にかいてあるわけです、これはもう言えると思うんですね。  ですから、そういう意味で、言えるところから、確実なところから私は総理お話しになるんではないかと思っておりますけれども、少なくとも何のために船を引き揚げると私が言い続けているか。それは国民の安全、安心のためなんです。ですから、私は堂々と、もしもその後でもこれがある一定の国の工作船であるということが分かったときには堂々と国際的に私は抗議をすると。それが私は総理のお取りになる姿勢で、そういう堂々と言える姿勢を作るための戦後初の総理の訪朝であるとこれも思っておりますので、私はそういう意味では今日の引揚げをわざわざ公開するということで、マスコミの皆さん方のために一つ船を用意して公開の上で引き揚げたという、すべての資料を私は公開するということも、今回これだけニュースで現実の引揚げを皆さんの目に触れるというのはこれは公開主義を取っているからでございますので、堂々と国民を代表して私はその国になぜなのかというのを言える状況の国の在り方というものを確立することの方がまず今作っておくべきだと思っています。
  96. 池口修次

    ○池口修次君 分かりました。  どこの国だというのは現時点でははっきり言えないにしても、海上保安庁なり海上自衛隊とそういう反撃戦があったというのは事実でして、これはある意味日本の有事ですから、できるだけ早くこの船籍を確定をしていただいて、安心できるような状況を早く作っていただきたいというふうにこの問題についてはお願いをしておきたいというふうに思っております。  テーマを変えまして、道路関係四公団の民営化推進委員会の中間整理について質問をさせていただきたいというふうに思っております。  実は、道路関係ですから扇大臣に御答弁をいただけるかなということで事前に調整をしましたら、いやこの問題はもう扇大臣の手を離れているんだと。これ、内閣府だということで……
  97. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 今の委員会だけはね。
  98. 池口修次

    ○池口修次君 はい。  若干扇大臣にとっては不本意かなというふうに思いまして、もし扇大臣なりの御答弁があればお聞きしたいと思うんですけれども、特に委員会の事務局長に、まず中身についてお聞きをしたいというふうに思っております。  今回、中間整理がされたわけですけれども、この中間整理のポイントというか、もし話せるんなら、全部だと言われると読めということになるんでしょうけれども、ポイントがどうかということと、今回若しくはこれからも継続してやられるようですけれども、この整理した中身が今後どういう手順をもって具体的な政策に結び付くのかというところをまずお聞きをしたいというふうに思います。
  99. 柴田高博

    政府参考人(柴田高博君) 道路公団によります有料道路制度に基づきます高速道路整備につきましては、需要予測が過大ではないかとか、そういうような下で償還計画が立てられているのじゃないかという問題点が指摘をされまして、整理合理化計画におきましては、必要性の乏しい道路整備、道路投資に歯止めを掛けるという観点から、国費は十四年度以降投入しないとか、償還期間は五十年を上限としてその短縮を図るなどの方針が決定されたところでございます。  推進委員会におきましては、この合理化計画に基づきまして議論が進められてまいりました。先般、八月の三十日の中間整理におきましては、民営化スキームの詳細を検討いたします前提といたしまして、国民負担の最小化を基本原則として、五十年を上限としてなるべく早期の債務返済を確実に実施することを最優先するとの意見集約が行われたところでございます。  具体的な中身を若干申し上げますと、民営化の基本方針はそういう考え方のものでございますし、また、国及び道路関係四公団におきまして、民営化の実現の前に、現下の厳しい財務状況等を踏まえまして、国及び道路関係四公団が直ちに次のようなことを実施しなさいと。例えば、高速自動車国道の施行命令の全面執行につきまして見直しを含む再検討を行うなどの問題の整理、あるいは首都公団、阪神公団の取扱いの問題、あるいは本四架橋の債務処理の取扱いの問題。  それから、大きな問題の一つといたしまして、新たな組織、どういうような組織を作って民営化していくかという御議論が行われました。これにつきましては、委員会の中では、公団の持っております債務と資産につきましては保有・債務返済機構という公的機関を作りまして、そこに持たせようと。新会社は、国、その返済機構、新会社との間で厳格な契約を結ぶ中で、新会社は既供用路線についての事業経営をやる、あるいは関連事業をやっていく。それから、新規路線につきましても、主体的に意思決定、これまでのように国からの施行命令に基づきまして一方的に建設をするんではなくて、対等の立場で契約を結んで建設をやっていくというような仕組みにしたらどうかというようなことが中間整理として取りまとめられたところでございます。  その後、二回ほど委員会が行われてございますが、この中間整理に示された考え方を基本といたしまして、制度面あるいは計数面等から更に詳細な検討が加えていかれることになってございまして、年末までには法律に基づきまして整理合理化計画に沿った形での最終意見が取りまとめていただけるものという具合に考えてございます。  これが出ますと、当然、内閣総理大臣に意見提出なされるわけでございまして、その後、政府においてこれの実現化に向けてのいろんな措置が取られるものという具合に考えております。
  100. 池口修次

    ○池口修次君 中身についてちょっと、非常に関心が強いところがどうなっているかというのをもう少し具体的にお聞きをしたいというふうに思います。  答弁でもありましたように、この委員会のそもそものスタートというのは、平成十三年の十二月十九日に閣議決定をした特殊法人等整理合理化計画に基づいているというふうに理解をしております。  その中で、日本道路公団につきましては事業として国費は平成十四年度以降投入しないと。ただ、首都高速なり阪神高速については、国、地方の役割分担の下、適切な費用負担を行うと。本四連絡橋公団については、債務は国の道路予算、関係地方公共団体の負担において整理するということで、国費については、明確に書いているのは日本道路公団は十四年度以降投入しないということなんですが、民営化等がされる、これは日本道路公団という名前のところには投入しないということなのか、いや、民営化されてもずっとこれは国費は投入しないという、私は国民は後者で理解をしていると思うんですが、この点について、どういう議論なり、どういうまとめになっているのか、お聞きをしたいと思います。
  101. 柴田高博

    政府参考人(柴田高博君) 御指摘のように、合理化計画におきましては道路公団につきましては国費は平成十四年度以降投入しないということになってございまして、これについての理解は、民間会社になろうとここの部分については国費は投入されないという具合に承知をいたしております。
  102. 池口修次

    ○池口修次君 そうすると、それ以外の首都高速なり阪神高速、本四橋は民営化に移行する段階では国費が投入されるケースもあるということなんですか。
  103. 柴田高博

    政府参考人(柴田高博君) 御指摘のとおりだと思います。  ただいま、先ほど御説明いたしましたように、保有・債務返済機構というものと民間会社と両方できるわけでございますが、これまでのように首都公団の事業あるいは阪神公団の事業、本四公団の事業をする場合に必要な国費はいずれかの形で出されると。会社に出されるかあるいは保有機構に出されるか、そこはまだ今後の制度設計の問題だと思いますが、いずれかの形で出されるということになろうかと思います。
  104. 池口修次

    ○池口修次君 そうしますと、これから新しく造る高速道路は、日本道路公団の造る、若しくは日本道路公団が民営化されたところが造る道路というふうに理解すればいいのかどうかということと、当然そういうことですと、これから新しく造る道路も含めてすべて利用料で賄うと、国費は投入しないということで理解をすればいいのかというのをちょっと確認したいと思います。
  105. 柴田高博

    政府参考人(柴田高博君) 現在の高速道路の計画につきましては、整備計画、九千三百四十二キロの整備計画の中で事業を進められてございます。委員会の方でもいろんな試算を出しております。今後九千三百四十二キロができるのだろうかという、それについて試算をやってございますが、委員会の全体的なコンセンサスといたしましては、九千三百四十二キロまで造るわけにはいかないだろうと、そこまでやれば採算性の問題で今後将来問題が生じてくるという意識は、コンセンサスはできているものという具合に考えております。
  106. 池口修次

    ○池口修次君 そうしますと、基本的には、基本的にというか、国費は投入しないで新しい新規計画を、新規道路建設をどうするかという観点で議論なり、まとめがされるというふうに理解すればいいんでしょうか。
  107. 柴田高博

    政府参考人(柴田高博君) 閣議決定の整理合理化計画の日本道路公団の(2)の⑤でございますが、「その他の路線の建設」、だから、その新会社でやらないところだということだと思いますが、例えば直轄方式による建設を毎年度の予算編成で検討するとなってございますが、ここの部分につきましては、新会社でやらない部分につきましては国土交通省の方でいろんな工夫を持ってお進めになるものだという具合に考えております。
  108. 池口修次

    ○池口修次君 もう一点の、先ほど言いました十二月十九日の閣議決定の中に、現行料金を前提とする償還期間は、五十年を上限としてその短縮を目指すということになっておりまして、途中段階で一部、テレビで石原大臣が、元々五十年の償還だったのがうそっぽいんだというような話がありまして、後ほど訂正はされたようですけれども、この償還期間は五十年を前提とするという項目についてはどういう議論に今なっているのかということをお聞きしたいと思います。
  109. 柴田高博

    政府参考人(柴田高博君) この委員会議論は、この閣議決定を前提とした形で進められております。そういう意味で、ここにございますように、償還期間五十年を上限としてコスト引下げ効果などを反映させ、その短縮を目指すと。これに基づきまして御議論が進められているところでございます。
  110. 池口修次

    ○池口修次君 そうすると、途中段階で石原大臣が言ったということは、あれはどういう経過でああいう発言が出たのかというのをちょっとお聞きしたいんですが。
  111. 柴田高博

    政府参考人(柴田高博君) 誠に恐縮でございますが、ちょっと私承知いたしておりませんので。
  112. 池口修次

    ○池口修次君 所管大臣だというふうに思うので、ちょっとそれを聞いていないというのは、上司には何も聞けないということなのかというのは、ちょっと不思議ではありますけれども。  それとは別にして、じゃ六日の新聞で、高速道路の通行料金を、一割下げても最短で二十八年後には債務返済が可能とする試案をまとめたという、推進委員会でまとめたという記事が出ているんですが、これはどういう計算で、一つは事実なのかどうかというのと、どういう計算で基づいて二十八年で可能なのかというのをお聞きしたいと思います。
  113. 柴田高博

    政府参考人(柴田高博君) 各委員の方から審議に当たりましていろんな試算、いろんな考え方が出されております。その中の一人の委員の方から、料金を値下げしても、いろんなところのコストをカットする、管理費をカットする等々のことをやればこういうこともできるという試算が出されたことは、前回の委員会で出されたことは事実でございます。それは一人の御意見、委員からの意見提出ということでございます。
  114. 池口修次

    ○池口修次君 分かりました。  やっぱり国民の関心は民営化されるかどうかというところで表面には出ていますけれども、私は一番のポイントは、国費がこれからどれぐらい投入をされるのかということと、償還が本当に五十年で終わるのか。  ちょっと付随して聞きますけれども、五十年というのは、西暦で言うと何年というふうにイメージをすればいいのかというのが、ちょっと五十年、三十年とか五十年とか話があるんですが、いつなのかというのは何かどんどん変わっているような感じもするんで、明確にイメージできるようにちょっとお答え願いたいと思います。
  115. 柴田高博

    政府参考人(柴田高博君) これは、国交省の方で道路局長さんおられるので私が答弁するのはいかがなものかと思いますが、実は有料道路制度、特に高速国道の場合には全国プール制を採用いたしておりますので、料金プール制を採用いたしておりますので、各路線ごとに、ここが供用開始されたと、何年何月に供用された、次のものがまた供用開始されたということで、全路線でその起点日はいつかということが必要なわけでございます。これを換算起算日として設定されております。言わば、全体の事業の中の重心はどこにあるのかというのが、平たく言えばそういう考え方だろうと思います。  具体的には、昭和四十七年の道路審議会答申の提言を受けまして、最初に開通しました名神高速道路の全線供用日に、その後各路線の供用までの日数と各路線の建設費があります、それを加重平均して出てきた日数を加えた日をその起算日といたしております。  具体的に申しますと、現行の整備計画、九千三百四十二キロにつきましては十一年の十二月に決定されてございますが、この起算日は十三年二月という具合になってございまして、これから五十年ということになろうかと思います、という具合に承知いたしております。
  116. 池口修次

    ○池口修次君 多少新規でまた変わるのかもしれませんけれども、これがあやふやな状態ですと、正しく石原大臣が失言をしました、うそっぽいというのを証明するような形にもなりますので、じゃ五十年といったときはいつから五十年なのかというのは、これからはちょっと明確に是非していただきたいなというふうに思っております。  それと、もう一つこの委員会の重要な議論の中で、確かに道路公団は赤字なんだけれども、一部、ファミリー企業とか子会社とか関連会社という形で呼ばれているようですけれども、内部留保金が一千億あるだとか、公団からかなりそういう会社に天下りがあるという問題が指摘されているというふうに報道されているんですが、この実態についてどのようにとらえているのかというのをまずお聞きしたいと思います。
  117. 柴田高博

    政府参考人(柴田高博君) 日本道路公団につきましては、毎年の料金収入が二兆円強ございまして、その管理費等あるいは金利を除いても一兆円近い余裕が出ておりまして、それを元本、元金の償還に返しておりまして、決して日本道路公団については赤字になっているわけではございませんが、御指摘のように、ファミリー企業の問題についていろいろと御指摘をされているところでございます。  この委員会でも、そこは非常に重要な部分であるという認識を持っておられまして、特にコストをカットするためには、そこの部分についての実情を把握する必要があるというような問題意識、あるいはそこで上がった利益は更に道路公団本体に返せるんじゃないかというような問題意識の下で、これから詳細な調査を行っていこうという状況になっております。
  118. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 今の答えは私から言うべきだろうと思いますけれども、柴田次長、丁寧に言っていただいたのであえて言わなくてもいいのかなと思いますけれども、今の責任者としては、管理実態は国土交通省ですから、私は国土交通委員会でこの実態はすべて明快に情報公開しております。そういう意味では、私は、許せない部分、国民の目から見て、これは完全に解明すべきであると。というのは、ファミリー企業、関連企業というものが余りにも多過ぎると。そこに天下っている役人は、九〇%天下って役職に就いていると。  そして今、これよしんば、柴田さんの前で言うのはかわいそうですけれども、この委員会であるいは整備機構だとかなんとかというものを作ってそれで民間にしますよと言ったら、今、道路関係の子会社、関連企業はみんな民間が多いんですね。もう株式は全部、道路公団が最初投資したものは全部買い取っちゃってるんですよ。完全に民営化なんです。そこが少なくとも今おっしゃったように余剰金を千百八億円持っていると。  そして、一社で幾らぐらい余剰金があるのかなと、大体平均十三億円持っているんですね。普通の民間の日本の企業ではせいぜい五千億ですよ、余剰金というのは。それを少なくとも十三億も一社平均持っているというような、これは下手をすると、言葉は悪いんですけれども、一番言いやすい言葉は、悪い言葉で悪いんですけれども、食い逃げという、もうかるだけもうかって、そして道路公団のある間に工事を少なくとも、一社から、一社で道路公団から六〇%以上、ほかから仕事してないんですから、道路公団の仕事だけして、そして民間だからといって余剰金持ったまま、民間だから手を付けられませんと、食い逃げされたら仕方がないと、これは私、国民にとって許せないことだと。  片や、道路公団では今、黒字営業ですと言いますけれども、これは、このままいくと第二の国鉄になるから四公団統合しなさいという総理の命令が出たんで、その辺のところは、私は少なくとも今のファミリー企業、関連企業に関しては、そういうことを民間であってもどう整理できるかということが私は大きな課題であるということだけは申し添えておきます。
  119. 池口修次

    ○池口修次君 今、扇大臣が言われたとおりだというふうに私は思いますし、民間企業の親子の関係であったら、まずこんなことはあり得ないというふうに思います。ですから、やっぱり税金というものの使い方という面で、やっぱり自分が稼いだ金じゃないという意識で、やっぱりそういう形で起きているんじゃないかというふうに私は率直に思いますので、是非とも扇大臣が言われるように、この問題については、ちゃんと厳正に国民が分かりやすい形でこれから処理なり後始末をお願いをしたいというふうに思っておりますので、よろしくお願い申します。  あと次に、もう一点違った観点で御質問しますけれども、自動車関係諸税の暫定税率をどうするかという観点で、国土交通省と一部環境省にもお聞きをしたいというふうに思っております。  前段の質問でも扇大臣が触れていましたけれども、道路特定財源の関係があるんで道路整備五か年計画は作るんだというふうに言われて、答弁がされたというふうに思っております。私も道路特定財源、特に暫定税率は、五か年計画があって暫定税率というのが決められているというふうに理解をしておりますので、やっぱりこの点は明確にしないとユーザーの理解は得られないというふうに思っておりますが、道路整備五か年計画については、どの時点でこの計画が、全貌が明らかになるのかというのをお聞きしたいと思います。
  120. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 一般に、まだ我々の意思が多くの皆さんに理解されてない部分もあると思うんですけれども、昨年国土交通省になりましてからこの暫定税率というもの、私は、暫定税率という言い方を国土交通省は既に実用面では、少なくとも関連という言葉を使いたいぐらい道路以外にこの暫定税率を使っております。それは池口議員既に私が答弁していますから御存じだと思いますけれども。  これは、本来であれば、受益者負担ということでユーザーからお預かりして、しかも暫定税率で高い税率を払っていただいておりますから、それを道路だけに使うべきですけれども、国土交通省になりましたので、現状の道路行政というものを見直そうということで、先ほど、ここに大木環境大臣がいらっしゃいますけれども、いわゆる立体交差でありますとかあるいは渋滞の緩和ということに広範囲に使おうという、また駅前の都市開発、それに対しても、南から北口へ通路を造ることにもこの暫定税率を使わせていただこうということで、これは昨年総理が、暫定税率の特に重量税に関しては一般財源化という言葉総理が言われまして、私に文句なしにこれはさせてほしいということをおっしゃったんですけれども、私は、その代わり少なくとも三千億という、国土交通省が渋滞緩和のために今計画していることが全部できなくなるのでここに使わせていただきますということで、それは財務省と扇君と二人でしゃべってくれということで、私は、国土交通省としては、この暫定税率の重量税部分に関しては暫定税率を関連暫定税率というふうに拡大して国土交通省は使用していること自体が国民の多くの皆さんにまだ理解されていないと、私どもの宣伝が下手なんでしょうけれども、そういうふうに交通行政の中で道路のみならず拡大して使用しているということをまず冒頭に御理解いただきたいと思います。
  121. 池口修次

    ○池口修次君 理解をしちゃうと認めちゃうことになるので理解をしたとはなかなか言いにくいところはあるんですが、ただ、関連といっても程度問題だというふうに思いますので、やっぱりどこかで歯止めをしてもらわないとなかなかユーザーの理解は難しいと思います。  それと、五か年計画は作るということでよろしいんでしょうか。
  122. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) その前に、池口委員が、分かるけれども理解するとは言えないというふうにおっしゃいましたけれども、私は言い続けておりますことは、もう一度ちょっとはっきりさせておきたいんですけれども、暫定税率の中のあとは法案を改正しなければできません。けれども、重量税だけはこれは法案にのっとらないで一般財源化できるということから総理が目をお付けになったんだろうと思いますけれども。  私が言っておりますことは、少なくとも一般の皆さん方が自家用車を大体平均のものを二年ごとに車検を受けていただいているんですね。その車検を受けるときに皆さん方がこの暫定税率払っていただいている中で、重量税は負担率が合計で三万七千八百円負担していただいているんです。これ、暫定税率なければ一万五千円でいいんですよね。ですから、一般の皆さんは二年ごとの車検のときにこの暫定税率分の二万二千八百円余分に上乗せして黙って払ってくださっている。それは受益者負担ということで、自分たちが車で走る道路を良くするためだなと思って我慢していただいているんですけれども。  この暫定税率の一台の車検のたびに二万二千八百円というものを、これを環境税というような目的税に使いましょうとか、あるいはこれは学校に使いましょうとかと言われることでは、私は国民の皆さんの理解は得られないだろうと。目的外のものに使うのである。これは道路ということで車検の人たちが黙って払ってくださったんですから、私は、その意味で一般の皆さん方が、この暫定税率を少なくとも道路に使わない、一般税率で財務省の中に入ってどこへ使ったか分からないというようなことになってしまったのではユーザーの理解は得られないから、それだったらユーザーに還元すべきであると。二年ごとの車検のときに一万五千円で結構ですと。二万二千八百円は皆さんにお返ししますと。私は、そうでなければユーザーの理解は得られないだろうということを口を酸っぱくして言っているんですけれども、その辺のところが今の財政事情でなるべくはそれを一般に使わせていただきたいと、こう言っているんですけれども。  私は、こういう意味でこの暫定税率というものの確立をある程度はっきりしておかなければ、一般財源で財務省のどこに入っちゃったのか、あるいは環境税という目的でおっしゃれば、またこれは大木大臣頑張ってくださって、それは国民の理解が得られれば私はそれも二十一世紀型かなとは思いますけれども、現段階では私は、どこに入って、どんぶり勘定で、みんなが負担しているのに、車使わない人にまでということでは私は納得ができないということを言い続けていますので、これを今守っていきたいということでございます。
  123. 池口修次

    ○池口修次君 その点については全面的に理解をしておりまして、やっぱり確かに財政が不足しているのでどうするかという議論はあるんですけれども、今もらっているお金だから使う方が勝手に決めていいというようなことでは私は絶対に理解はできないということです。  それで、理解をする上で一点お聞きしたいんですけれども、新しい道路整備計画の投資規模が四十兆、これは地方単独事業は除いて四十兆という数字があるんですけれども、これはそういうことでよろしいのかどうかというのをちょっとまずお聞きをしたいと思います。
  124. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) お答え申し上げます。  新しい道路整備の五か年計画ということでお願いを申し上げるという形になるわけでございますが、これにつきましては要求ベースとして一般道路事業と有料道路事業、合計いたしまして四十兆円というお願いをしております。  ただし、このほかにといいますか、地方の単独事業というものをいかばかりかという形で見込ませていただいておりますのがおおむね十八・五兆円と、こういう形で現時点ではお願いをしておるところでございます。
  125. 池口修次

    ○池口修次君 確かに、資料、予算概算要求の概要というのを見てちょっとお話ししているんですけれども、十八・五兆ということが地方にはあるということで、それ以外にも調整費というのが多分入ってくるんでしょうけれども、これは第十二次の計画では高速道路と一般道と合わせて四十六兆だったというふうに思います。地方単独事業を合わせますと七十八兆と。  これが今回の計画ですと、今の段階では有料道路、一般道が四十兆で、地方を合わせても五十八・五兆ということで、七十八と五十八・五を比較しますと二十五兆ぐらいの減ですし、地方は別にしても六兆円ぐらいの、これは五年間ですけれども、六兆円ぐらい低くなるということを考えますと、先ほど言いました、暫定税率がそもそも、五か年計画に基づいて暫定税率の税率が算定されているという理解に基づきますと、そうすると、かなり高いですから、それだったら確かにほかに使い道も多少広がっているというところがあるにしても、毎年一兆円ぐらい平均すると下がるのなら、やっぱり暫定税率も下げてくれという意見が出て私は当然であるし、私はユーザーの一人としてそう言いたいわけですが、この点についてはいかがですか。
  126. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 新しい道路整備の五か年計画の案といたしまして、必要な道路投資規模というもので四十兆円と、こういうふうにお願い申し上げておりますと。現在の第十二次の五か年計画の計画の額は、これに相当しますのが四十六・二兆円、実績といたしましては約四十四兆円、こういう形になっております。  この計画の差という面からちょっと一言申し上げますと、実は新しい要求しております四十兆円の中に、一般道路事業といたしましては二十九兆円お願いをしたい。これは第十二次、現在の五か年計画の二十九兆二千億円とおおむね同額と、こういう形になっております。このほかに有料道路事業があるということで、これが十二次五か年計画、現在の計画では十七兆円、これを今度の新しい要求といたしまして十一兆円お願いしておる、こういう状態でございます。  有料道路事業の方は、御存じのように主として借入金で整備を進めておるわけでございますので、そういう意味で国費がどれだけ必要か、こういう観点で申し上げますと、試算あらあらやってみますと、四十兆円のお願いに対しまして約、おおむね二十兆円ぐらいの国費が必要になるんではなかろうかと。これは、第十二次、現在の五か年計画の実績ベースで国費が二十一兆五千億円必要でございました。そのうち特定財源の税収が約十七兆円いただいた、こういう状態になっております。  そういう意味では、新しい五か年間、来年度からの五か年間で国費の見込みがおおむね二十兆円、これに対しまして、暫定税率を延ばさせていただいてもそれから来る税収の見込みというものがおおむね十八兆円ぐらいであろうと。そういたしますと、結局二兆円の国費の不足が生ずる、こういうことでございますので、是非暫定税率を延伸をお願い申し上げたい、こういうふうにお願い申し上げているところでございます。  ただ、新しい道路の整備五か年計画、先生先ほどのお話もございましたが、内容につきましてはいろいろな観点から詰めさせていっていただきたいと、こう思っておりますが、年間の渋滞の損失額、これが年間十兆円以上の渋滞の損失が発生していると、こういう状態でございますので、これを一兆六千億円ぐらいは削減するといったような目標を掲げようということで今いろいろ検討しているところでございますので、受益者負担の考え方に基づきまして、ユーザーの皆様にできるだけ御理解いただきながら現在の税率を引き続きお願いしてまいりたいというように考えております。
  127. 池口修次

    ○池口修次君 では、ちょっと環境省にお伺いをしたいんですけれども、環境省が担当をしておる、先ほども話題になりました地球温暖化対策税制専門委員会が作ったというふうに思いますが、その文章の中に「揮発油税等」、道路「特定財源である揮発油税等の暫定税率が来春期限切れを迎えることとなる」、「仮にこの税率が本則税率に戻る場合には、CO2排出が増加することが強く懸念される」ということで、暫定税率を本則に戻すということに反対をする中身が、答申がされているわけですけれども、環境省としてはどう考え、若しくは大木大臣としてはどう考えているのかというのをちょっとまずお聞きをしたいと思います。
  128. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 環境省としましては、温暖化防止のためにいろいろと経済的な手法、必ずしもそれは税制ばかりに限らないんですが、いろいろなものを考えておりまして、それはもちろんその中に税制も一つ理屈としては入ってくるわけでありますから。ただ、税制を見直すというとなかなか時間が掛かりますし、必ずしも現在の税制もいろんな、現存の税制が必ずしも環境のことだけ考えて存在しておるわけじゃございませんから。  道路特定財源につきましても、自動車の燃料に掛かる税もありますし車体に掛かる税もあるということでございますから、一応私どもとしましては、中央環境議会の今おっしゃいました税制の委員会の方で一応いろいろとシミュレーションいたしまして、仮に燃料の暫定税率が、これ引下げになるということになったらどういうことになるかというと、一応シミュレーションとしては、それだけ安くなればもっとガソリンを使うだろうというようなことで増えるんじゃないか。ということは、結局CO2の排出量も増えるということですから、そういう意味では反対というか、それは一つ懸念をする材料ではあるということを申し上げておるわけでございまして。  ただ、環境省としては、それは環境省の立場からでだけの議論じゃありませんから、一応はそういう懸念があるということだけは申し上げておいて、今後全体としては恐らく、今のCO2との関連でいえば、二年ほどたちましたら全体の税制等も今度は環境の方の立場から見直しをさせていただきたいということを申し上げておりますから。今言ったような、燃料について言えば、そういう懸念があるということ。それが仮に実現すればそれがまた計算上入ってくるわけですから、そういったものも計算の上でまたひとつ新しいお願いをしなきゃいかぬということでございますから。  私どもとしては、反対というか、今言ったような懸念という意味では反対でございますけれども、全体のことを私どもの方だけで申し上げるわけにはいかないわけでございますから、中央環境議会の方でそういうことを計算したということを念頭に置いて私どもとしては今後の税制の検討を見守っておると、こういう状況でございます。
  129. 池口修次

    ○池口修次君 今言った、値段が下がると燃料を多く使ってCO2が増えるということは、シミュレーション上はあっても、日本においてオイルショックの時代にかなりガソリン価格は上がりましたけれども、多分そのときに使用量が変動したということは私はないというふうに理解をしているんです。ただ、それで減るということはありませんから、要素としては増えるというのは理解はします。  それと、「揮発油税等の暫定税率」という表現ですと、ほかの自動車取得税だとか全部の暫定税率もそうなのかというふうに言われますと、私は、車体課税の暫定税率を下げて、じゃ、下げたからたくさん走ろうかという人はいないわけですから、ここはやはり正確に表現をしていただかないと、確かに燃料についてはその効果は全くは否定できないというふうに思いますけれども、車体課税については、ユーザーの負担が、今過大にしている負担が減るという効果以外は私はないんじゃないかというふうに理解をしているんですが、それはそういう理解でよろしいんでしょうか。
  130. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 一言で申し上げますと、まだ環境省として車体について云々という十分な調査は進めておりません。むしろ、業界の方でもいろいろと、小型車に力を入れるとか大型車の方がいいんだとか、いろいろと御議論があるように考えておりますから、私どもとしては、総体としてやっぱりCO2が減ればいいわけでありますから、その辺について、環境省として何がいいとか悪いとかいう議論までは行っておりませんけれども、一言で言えばそういうことで、温暖化ガスが排出量が減るような対策を、車体にせよあるいは燃料にしろ、全体として取っていただければ有り難いということでございます。
  131. 池口修次

    ○池口修次君 では、最後の質問になりますけれども、京都議定書の達成に向けて今どういう段階になっているかというのをちょっとお聞きをしたいというふうに思います。  先ほど環境税についての話がありましたが、まず、京都議定書の六%削減という目標がどの程度視野に入っているというか、現段階はどういう状況になっているのかというのをまずお聞きをしたいというふうに思います。
  132. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 午前中の山本議員の御質問にもあったと思いますけれども、やはり六%削減という京都議定書日本の義務を達成するためには、産業とそれから運輸交通とそれから民生ということでございまして、産業については大体現状維持を何とかして維持してもらいたい。それから、民生についてもこれは二%ぐらい伸びるということが一応の計算としては出ておりますけれども、やはり一番大きいのは運輸交通のところでございますので、これについては、今申し上げましたけれども、例えば自動車についての、個体のできるだけクリーンな自動車をお願いしたいということもありますし、むしろ交通体系全体を見直していただいて、そこでCO2の排出を削減できないかということもございます。  それから、京都議定書の全体の構成から見ますと、御存じのとおりに、例えば森林による吸収というようなものもございますし、また、いろいろ京都議定書に書いてございます、よその国との協力による削減というふうなこともありますから、全体としては、それぞれに数字を見ながらこれから達成に向けて努力していきたいということで、一言で申し上げますと、まず二年は、産業界についてはできるだけ自主的にやっていただく、それから運輸交通につきましては、今申し上げましたように、いろいろとかなり具体的なお話がございますから、これからのそういった新しい、よりグリーンな車、あるいは交通体系の改善というようなことも含めて、これは相当減らしていただかないとなかなかできませんので、そういうことからも、二年ほど今の大綱に基づくいろんな計画を実施した上で、更に強力な、例えばその税制というようなことも考えなきゃいかぬかなというふうに考えております。ただ、今のところは、税制にはすぐには手を付けずに、それは計算に入れずに、現実には減らす方で努力を続けていくと、こういう体制でございます。  いずれにしても、かなりきついということは申し上げなきゃいけないわけでございますが、今細かいことは申し上げませんでしたが、民生の方も含めて、これからできるだけ六%削減に向けて近づけていきたいというふうに考えております。
  133. 池口修次

    ○池口修次君 その中で、環境税については今すぐには考えていないということですけれども、やはり私は、環境税の効果というのは、余り税を掛けたから減るというところに期待するよりは、その税収を使って新しいエネルギー転換だとか、CO2を、使用の少ない車の促進だとかという効果というのは相当あるんじゃないかというふうに思いますし、もう一つは、民生部門での縮減をするときにもやっぱり環境税みたいなところをある意味アピールしながら、やっぱり環境を大事にしたある意味ライフサイクルを作るべきだと、作るべきだというかライフスタイルを確立するべきだというときにも私は環境税みたいなのがあった方がいいという立場ですし、民主党もそういう立場を取っております。  特に、欧州においては炭素税的な環境税がかなりの国で導入をされておりまして、経済財政運営の基本方針の二〇〇二のところにも、これは扇大臣と若干やり取りがあるところかもしれませんけれども、「特定財源のあり方の見直し」というところに関して、特定財源は受益と負担の関係に基づくものであるが、これら諸税の税率については、これらの税が有する種々の環境改善効果などにも十分配慮し決定をするということで、非常に難しい文章でありますけれども、一部環境税的に使うというのもどうかということを示唆している文章ではないかなというふうに思うんですが、そう言っていながら、なかなか環境省環境税について、私の受け止めはちょっとちゅうちょしているという感じがするんですが、これはどうなんでしょうかね。
  134. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 国土交通省関係あるというふうにおっしゃいましたので、これはやっぱり大事なところだろうと思うんですね。  それは、暫定税率というものを賦課したために、少なくとも私たちは、大企業が使っております重油ですとかあるいはナフサでありますとか、あらゆるものを使っておりますけれども、大企業が使っております、大企業だけと言うと悪いですけれども、いわゆる重油税というものとこの暫定税率というのは重油の二十五倍の暫定税率掛けられているわけですね、私たち一般は。ですから、一般の利用者は暫定税率で企業が使う重油の二十五倍の税率を賦課されて、それを負担しているんだと。だったら、そこへだけ環境税使うのであれば、じゃ大企業が使っている重油に対しても環境税使ってくださいよと。大企業を甘く見て、一般のユーザーだけになぜ押し付けるんですかというこれは論議が当然出てくるわけですから、私は、重量税というものと、いわゆる特定財源というものと暫定税率をどうするかということは、環境税が必要であるということは今おっしゃったとおりですけれども、じゃ、果たして国民の皆さんに平均して平等であるかということになると、私はこれは暫定税率を目的税として環境税に回すということに関しては、私は重油等々と暫定税率とのこの二十五倍のバランスをどう取っていくかということは大きな国民の関心であろうと思っています。
  135. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 環境省といたしましても必要な税金をいただいて、できるだけ温暖化を防止したいという気持ちは十分あるわけですけれども、なかなか税ということになりますといろんな議論がありますから、これはやっぱりかなり時間が掛かるということを現実の問題としては覚悟していかなきゃいかぬということですから、先ほど申し上げましたように、いろいろな勉強は進めますけれども、いきなり新しい税をぼんと環境税ということだけで言うんではなくて、いろんなできるだけグリーンな商品が普及するように、そういった意味でのいろんな政策減税とか補助金だとか、そういったものもいろいろ掛け合わせて、そういったあらゆる経済的な手法を組み合わせて、取りあえずは、一、二年は進めたい。  しかし、いずれやっぱり環境税ということでかなりはっきりした環境ないしは温暖化防止のための税ということはお願いしないといけないということはかなり私どももそういう感じはしておりますから、これはひとつ強力に進めたいと思いますけれども、もちろん関係省庁とも議論をいたしてまいりますし、やはり税というのは国民が受け入れていただかなければいけないわけでございますので、そういったことにつきましてもこれからPRを進めながら、ひとつ税制は全体として見直してまいりたいというふうに考えております。
  136. 池口修次

    ○池口修次君 扇大臣の言われた点は非常に重要な点だというふうに思いますし、もう一つ、経済産業省も、これは八月三十日の朝日に載っていたんですけれども、石炭に新たに課税する代わりに石油の税率は引き下げる考えを明らかにしたという、これはある意味ヨーロッパにおける炭素税的な考え方ですけれども、今日は経済産業省の方、来ていらっしゃらないと思うんですけれども、これは、こういう検討が進められているというのはあるんでしょうか。分かりましたらそこをお聞きしたいんですが。
  137. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 経済産業省から細かくはお話伺っておりませんけれども、そういう勉強をしておられるということは事実だというふうに理解しております。
  138. 池口修次

    ○池口修次君 そうしますと、それぞれがこういう検討をしますと、確かに扇大臣が言いましたように、それじゃ重油等をどうするんだと、じゃこれは経済産業省は石炭等をどうするんだということで、一方で、冒頭御質問をしましたように、自動車関係諸税の暫定税率は道路五か年計画に基づいて五年間税率が決まりますよということになりますと、環境税を導入すると、そうすると実質増税でしかないということに私はなるんじゃないかと。  今、じゃユーザーに、自動車ユーザー、かなりの部分が自動車ユーザーに掛かってきますから、じゃまた環境税で自動車ユーザーから取るつもりかというのはとても納得できる話ではないという前提からしますと、ちょっと環境税、いろんな議論がある中で、この環境税の検討が二〇〇五年だというのはちょっと遅過ぎるんじゃないかというのが私の率直な印象ですが、いかがでしょうか。
  139. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 今たまたま経済産業省のお話も出ましたけれども、例えば日本についても、今度はエネルギー対策をどうするかということになりますと、今正しく見直しの時期なんですね、これは。  ですから、そういったものも全然無視して、私どもの方で環境税だけ持ち上げるわけにはいかないんで、これはもう十分にこれから経済産業省ともお話をしながら、日本政府としてどういうエネルギー政策を取っていくかということは、もちろん環境とも関係あるわけですから、そういったことは環境を考えながら、しかし日本の政策としてこれは経済政策にも関連ございますから、その辺はひとつ関係各省とよく連絡を取りながら、少しでも前向きに言えることがあるならば、あるいは新しい法制その他があれば、これはもちろんできるだけ早く出したいと思いますが、今のところは、一言で申し上げますと、経済産業省の方で今やっておられるのは、ちょうどエネルギー対策全般を見直すという時期でございますから、その点については私どもの方も十分にこれからお話をよく聞きながら一緒にひとつ検討を進めてまいりたいと思っております。
  140. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 池口委員がおっしゃいますように、我々は二十一世紀、環境の世紀だという認識を持っておりますし、しかも今、大木大臣がおっしゃいますけれども、京都議定書を私たちは国会で決議して批准したわけでございますから、それは、二十一世紀の環境のためには、我々は、日本の国が少なくともリーディングヒッターとなって引っ張っていかなきゃいけないことは事実でございます。  ですから、新たに環境に対してのどういうふうな施策をするかということは、私は環境省がきちんと各省庁とお考えになることではあろうと思っておりますけれども、再度私たちが認識しなきゃいけないことは、少なくとも石油税だとかあるいは原油等の関連の税率というものを考えますと、その石油等々では今少なくとも日本の中では一年間で約五千二百億円なんですね。ところが、今我々が、ユーザー、先生もユーザーだとおっしゃいましたけれども、車を運転されるんだろうと思いますけれども、軽油の引取税、ガソリン税等々ではこの金額が約四兆三千億円という比率があるわけですね。ですから、そういう意味では、国民が公平に環境税というものを新たにどうしていくかということを考えていく上には、私は是非このことは各省の縄張を越えて、政府として基本的な姿勢を大木環境大臣にも御提案いただいて、私たちは国民で協力できるところは協力すると。私たちの二十一世紀の子供や孫のためにも環境を考えるという意味では、新たな私は施策が必要であると思っていますので、省壁を越えて私たちは、小泉内閣として新たな私たちは提言をすべきだと思っています。
  141. 池口修次

    ○池口修次君 今、扇大臣の言ったことに尽きるというふうに思うんですけれども、やはりこれから環境、特にCO2の問題をどうするのかということと、日本エネルギーをどういう、何にこれから依存をしていくのかと。非常に原子力の問題につきましてああいう問題が起きましたから、じゃ原子力に代わるエネルギーをどこに求めるのかという問題も重要な問題になりますし、一方でやっぱり道路というのはどこまで整備をするかという問題も重要な問題になってきますけれども、それぞれが、やっぱりそれするためには税金が必要だということで、これは私だけの思い込みかもしれませんけれども、どちらかというとやっぱり自動車ユーザーについては何となく目を付けられやすいような感じであったわけですけれども、今はほとんど日本国民全部が自動車ユーザーですし、自動車に乗っていない人でも自動車に乗って運ばれた地方の産物なりを食べているということからすると、特定の人がやっぱり負担をすべき時代は過ぎたと。やっぱり公平に負担をすべきだというふうに思いますので、是非、今、扇大臣の答弁にもありましたように、取りあえず環境ということがメーンになって、あとはどう整理するかということだというふうに思いますので、ちょっと先ほど言った二〇〇五年でいいんじゃないかというのよりはもう少し早めに検討をお願いをしたいというふうに思っております。
  142. 柴田高博

    政府参考人(柴田高博君) 恐縮でございますが、先ほど試算の、料金が下がるところで私、御答弁、御説明いたしましたが、ちょっと簡単に御答弁し過ぎたものですから、正確にもう一度御答弁させていただきたいと思います。恐縮でございます。  委員の方から、こういうような条件で設定した場合にどうなるのかということで、事務局の方で計算してくれというので事務局が計算いたしました。その事務局で計算したものを委員の方から委員の資料として御提出いただいて御説明いただいたというものでございます。恐縮でございました。
  143. 池口修次

    ○池口修次君 終わります。
  144. 風間昶

    ○風間昶君 公明党の風間ですけれども、引き続いて午前中と今の池口議員の質問に関連してですが、この環境サミット、国連環境開発サミットの件でお伺いしたいと思います。  後戻りになるかもしれませんが、先ほど午前中の議論の中で、大木大臣日本としての存在感を十分に示せたとおっしゃいました。また、京都議定書決議文についても日本は重要な役割を果たせたなという御印象も御発言ありました。  そうしますと、十年前のあのリオでの地球サミットのときに、この十年間で国連が幾つかの分野で悪化している部分があるというふうに報告書が出されて、それに向けて日本は今回のヨハネスブルク・サミットでどういうことを目標として掲げてきたのかということが問われているんだと思います。その中で、総体的に大臣としては日本としての存在を出せたという御判断を先ほどお聞きいたしましたけれども、そして大臣はその中で、進んだものと進んでいないもの、進んでいないものについてはすぐにできるもの、すぐにできないものという立て分けをお話をされました。  私は、そうしますと、過去十年のときのサミットの宣言と今回の最終的な様々な政治宣言等の中で、大臣としてはこれから、これから日本として取るべき方向をどうすべきかということをある程度大枠でつかまれたんだというふうに思いますので、その部分をちょっとお聞かせ願いたいということと、それからもう一つは、アメリカが参加してこない状況の中で、まだまだこれから日本として努力を続けなきゃならない、参画に向けての努力を続けなきゃならないということもあるでしょうから、国連の中で日本環境外交をどうやるかということもひとつ視野に入れなきゃならないのかなというふうに思います。  これ、ちょっと質問の通告していませんのですが、この二点についてお伺いしたいなと思います。
  145. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 今のお話でございますけれども、今回のまずヨハネスブルクでの日本代表団としては、みんな一生懸命頑張ったといって、別に自賛、自画自賛じゃないんですけれども、頑張ったというか、存在感は見せたことは見せたと思いますが。  では、このヨハネスで何か決めて、それで非常に物事がすぐに良くなるかといえば、これはなかなかそうじゃないわけでございまして、この十年のことにつきましては国連でもいろいろとその報告書も出ております。このヨハネスの直前にも報告書出ております。これは風間議員もよく御存じだと思いますが、そこにもいろいろ書いてございまして、今までより悪くなったというか、むしろ今までは十分に議論の対象になっていなかったと、国際的な場で、というものがございまして、例えば健康の問題とか、あるいは飲み水の問題とか、そういったものについてのアクセスが全然ないという非常に気の毒な状況にある人口が、世界のうちの本当に何億という人がそういう状況にあるぞというようなことが新たに指摘されて、それについては国際的にまたひとつ協力していきましょうと、こういうことになったということは、これは一つ、今すぐにできたということじゃありませんけれども、そういった問題意識がはっきりと報告書にも書かれて、これからみんなで協力していくと、こういうことはやっぱり一つの成果だと思います。  それから、地球が、本当に地球の環境が悪化しているというのは、例えば森林が非常に荒らされておるというようなのは、これはかなり最近もあちこちで、昔は全然、別に砂漠化していたところでないのが、かなりな面積にわたって砂漠化になっておるとか、そういった問題はあるわけですから、こういった問題が今まで以上により具体的に指摘されて、それに対して、ひとつきちっとしなきゃいかぬぞというような問題が指摘されております。  特に、今回、ヨハネスブルクという、アフリカで行われたというようなこともあるものですから、ある意味におきましては、地球上でも最も生活が苦しい状況にある、貧困というものが正に現実に存在しておるアフリカにおいて、今申し上げましたような、本当に飲み水がないとか、あるいは場合によっては食糧も十分ないとか、あるいはまともな健康の施設がない、保健の施設がないと、そういったことについてはこれから具体的に進めていかなきゃいかぬということであろうと思っております。  今、国連外交の中で日本として、日本の国連外交の中で、私は自分がたまたま環境相だから言うわけじゃないんですけれども、やはりこれは日本としてはいろいろと知識もあります、経験もあります。また、ある程度の何と申しますか資金的なものも、最近は非常にきついわけですけれども、ある程度やる能力があるというわけでありますから、そういったものを組み合わせて、日本の外交で従来以上に環境問題というのを正面に押し立てて進めていくということは十分にできるんじゃないかというふうに思っておりますので、これはヨハネス会議ばかりじゃなくて非常にいろんなものがございまして、いろんな条約も、例えば砂漠化の条約ができたとか、あるいはフロンガスについての、例のオゾンホールについての条約ができたとか、いろいろな条約たくさん並んでおりますので、これ率直に、ちょっとここで話が横へ飛ぶんですけれども、もうちょっとこれはそういったものはひとつ整理して、お互いに有機的に関連してやった方がいいんじゃないかという感じは持っておりますけれども、もろもろのそういった国際取決めを活用しながら、日本としては積極的に環境面における日本の外交というのを展開していくという余地があるし、これからもすべきではないかというふうに考えております。
  146. 風間昶

    ○風間昶君 概括的にいただきましてありがとうございます。  ただ、先ほど来の議論からも気になっているのは、大木大臣貧困の問題を先ほど解決することが非常に大事だと。そのために日本として何ができるかなということを私なりにも考えておるわけでありますけれども、世界連帯基金の問題でも先行きは若干まだ不透明ですし、今お話のあった水の問題についても、アメリカが年限を、目標を決めることについて後ろ向きだし、何よりも再生可能エネルギー数値目標は合意できなかった。ここはやっぱり日本として、私は前にもうちょっと行ってもよかったのかなというふうに思いはあるんですけれども、この大きな問題点が、これから国際的にも日本はどういう形で、イニシアチブ取らないまでも、どういうふうな方向性を日本として出していけるかというのが国際的に環境日本として認められる一つのキーになるんではないかと思いますが、その辺についてのちょっと見通しいただければ有り難いですが。
  147. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 国際、ああいう会議でございますから、御存じのとおりに、風間議員環境行政に直接携わっていただきましたので御存じだと思いますが、今のこういった環境関係会議というのは全会一致で物を決めていくわけでございますから、だれかが非常にどうしても困ると言うとなかなかそれが決議文に入ってこないということもございますから、全然入らぬよりはみんなで努力しましょうと、多少表現が何というか弱くなっても、あるいは一般的であっても入れた方がいいという場面もいろいろあると思います。  といいますと、そうすると今の水の関係は、実は水の話とそれから環境の話を一緒にするというといろいろ議論ありまして、水と環境というか、水と衛生ですね。そういう話がございまして、これはアメリカが、水の方はそう頭から反対じゃないんですけれども、衛生の方はどういうことをやるかというその対象がよく分からないと。だから、衛生と、あるいは保健といいましても、一体どういうことをやるということをコミットするのかということになりますと、いろんな、例えば病院を造るとかそういうこともありますし、もっといろんなもう少し細かい話もありまして、そこら辺のところがやや概念がはっきりしないということで、アメリカはそこのところはどうもなかなか同意できないというようなことで、今の水及び保健のことについてはやや目標数値がはっきりしておりませんけれども、前向きということははっきりいたしておるというわけであります。  それから再生エネルギーの問題につきましても、これは、再生エネルギーをできるだけ多くしようというのは各国それぞれが、リニューアブル、再生可能なエネルギーということで、できるだけ自然のエネルギー、あるいは要するにグリーンなエネルギーというのを、その比率を高めようというのは一般論としては言えるんですけれども、それを全世界で何か共通の数字を決めても、それを一体だれがどういうふうに責任を持つかということになると、これがないままで数値だけ出すというのは、これはかえって混乱するんじゃないかということでありまして、日本の場合も今、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、日本自体としてのエネルギー政策というのをこれからちょっと見直していかなきゃいかぬという時期でありますから、一般論として言えば再生可能なエネルギーを増やす、よりクリーンなエネルギーを増やすということは別に反対しているわけではないけれども、数値目標、しかも全世界的に一つの数値目標をぽんと決めて、それで、それをどういうふうに分担してやるということなしに決めるというのは少し、余り合理的じゃないんじゃないかということで、結局、それについての数字ということは、数値を出さないままの文章になりましたけれども、その辺はいろいろございますので。  ただ、これからもそれぞれの国が自分のできることはこれからひとつきちっとやっていくということでございますから、ヨハネス会議では今言ったような数値が決まっていないものもありますけれども、これからまた京都議定書との関連では、これまた間もなくCOP8も始まりますし、そういったところで更に具体的な議論ということは続けてまいりたいと思っております。
  148. 風間昶

    ○風間昶君 分かりました。  ただ、国内的には新大綱ができて、ステップ・バイ・ステップ方式で、国際合意で決められた第三期間までの期間が決められて、そして大まかな第一期間で自主的取組、先ほど大木大臣もおっしゃいました、第二ステップで環境税、税を含めた必要な新たな対策導入等実施するということも決められておりますから、いずれにしても自分の国、日本の国が日本の国でできることをどうやってやるかということでは、先ほど来も、民生についてのほぼ二%目標、あるいは運輸が一番顕著な例で、これを最大限頑張らなきゃならないという御意向というか決意のほども伺いました。どっちにしても、現状の認識をきちっとされた上で、二〇〇七年までの第二ステップ期間まで方針を転換することなく粛々と進めるということが大事じゃないかというふうに思うんです。  そこで、大臣は相当強いこれは粘り腰で各省とやらないと、そのために応援しますから、隣の扇大臣、キとギの違いだけれども、ここが大変な闘いになると思うんで、是非ここの部分をうまくやっていけるようにしてもらいたいなと思うんですけれども、その決意のほどを。
  149. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 隣の扇大臣も先ほどからちゃんと協力するというお顔をしておられますので大いに私も期待しておりますけれども、やはりこれは、環境省としても私としても、従来以上に強力に必要なことは必要だと言って申し上げなきゃいかぬと思っておりますし、私ども最近非常に心強く感じておりますのは、産業界もやっぱり非常にこれは何とかしなきゃならぬぞということでいろんなところで具体的に、よりグリーンなものを作るとかというふうなことを努力しておられますので、これはやっぱりそういった気持ちが産業界のもう非常に、何といいますかリーディングカンパニーの中でもそういった気持ちが非常に強くなっておりますから、これは私、一つ力強く感じておりますし、そういった方々の御協力も得ながら、しかし、何といっても最後は国民一般の方々に御理解いただかにゃいかぬわけでございますので、これについては、我が方もまだちょっとなかなか人力も足りませんけれども、総動員で頑張らせていただきますので、またひとつ国会の方でもいろいろと御協力をいただきたいと思っております。
  150. 風間昶

    ○風間昶君 次に、先ほども質問がありました青森県と岩手県の田子町。青森県ですか、田子町は。産廃処理施設の問題で、八月の八日にも大臣に私、質問をさせていただきまして、その三日前でしたか、大臣は視察をされて、そこで大臣が摘発が遅れた原因について二点述べられていました。一つは、物理的に八十二万立米という大変多い日本最大の廃棄物についてなかなか確認ができなかったという点、もう一つは、土地そのものが私有地であったということも、大臣、この前の御答弁でお話しされていました。  ちょっとこの点についてもう少し深くお聞きしたいんですけれども、まず物理的な確認の問題でありますけれども、これ衛星で監視するとか搬送のトラックごとに追い掛けて追跡調査するなんということになると、確実性は担保できるけれども現実性と費用の問題があるわけでありますから、そこで、さっきも議論になっておりました排出者責任というものが実効的に作用するような方法を考えなければならないということで、一つのこれは案ですけれども、排出者が処理業者に処理を依頼するときに切符みたいなものを、処理業者がどこで、どこの処理場で処理しますという明らかな切符というか証明書を受け取るようにしてはどうかなというふうに思うんです。  すなわち、環境省としても、都道府県協力して、各具体的な処理場ごとにどのような形の、種類のものの廃棄物がどのぐらい処理可能であるかということをやっぱり全国的にきちっと見ておいて、そして環境省なり都道府県が、環境省というよりも都道府県になるかもしれませんが、個別の処理場に対して、処理可能な量に応じて、そこで体積でいくのか重量比でいくのか、別に難しい問題としてはあるんだけれども、処理可能切符というものを発行すると。ちょうど札幌もそうですけれども、ごみ出すときにシール張ってごみに張り付けるのはやっているわけですけれども、それとは逆に、今度は処理業者が廃棄物を預かった際に排出者に向けてその切符を渡すと。そうすると、排出者と処理業者の間で、排出者からお願いする廃棄物の種類と量はこのぐらいという伝票が今度、処理業者に渡されると。処理業者からは、預かった廃棄物はどこそこの処理場においてこういうふうに適切に処理するという切符が排出者に渡されると。  だから、伝票と切符のこの二つそろって、なるほどこのごみはここから来てこのぐらいの量がここに置かれると、処理されるんだというふうにすると、私は、昔の朱印船じゃないけれども、伝票と切符をきちっとチェックをできて突き合わせることによって行政においても推定がある程度できるようになるんでないかなというふうに思うんですが、そうすることが一つの、ちょっと細かな具体的な、あるいは技術的なことかもしれませんけれども、こういった手法も今度行われる第三回の検討委員会環境省が提案をするなりなんなり、もちろんやられているかもしれませんけれども、是非検討課題にしていただければ有り難いというふうに思っておりますが、この点について具体的にお伺いしたいと思いますけれども。
  151. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 後で必要に応じてまた細かい御説明を部長にしてもらうかもしれませんが、現行におきましても、排出事業者が処理を委託する場合の基準や廃棄物の発生から最終処分までの行程の情報を排出事業者が管理する産業廃棄物管理票、マニフェストでございますね、委員よく御存じのとおりにマニフェスト制度が定められておりまして、これらに係る違反行為があれば、これは措置命令や罰則など事務的に規制措置は行うということになっているんですけれども、これはなかなか十分ではないということでございまして、今、議員がおっしゃいましたようないろんな新しいそれこそ方式というものを考えるのも一つのあれだと思います。  今、私ちょっと、出張中もいろいろとうちの部長の方で大分勉強しておりましたので、ちょっと今の私の答弁に追加して、少し部長の方からも現状を御説明させていただきたいと思います。
  152. 飯島孝

    政府参考人(飯島孝君) 今、大臣から御答弁申し上げましたように、現行の管理票制度、マニフェスト制度、これをしっかり運用していくということも非常に大事だと思いますが、一方、今、委員から御指摘のありました切符、処理業者が切符を発行するということも一つの方策として検討してまいりたいと思います。  いずれにいたしましても、そのほか現在は紙で行われているマニフェストを電子化して、そしてオンタイムといいますか、リアルタイムでそのマニフェストの流れを管理する仕組みというのも有効ではないかと思っておりますし、いろいろな形が考えられると思います。  委員の御指摘の考え方なんですが、これは委員もおっしゃっていましたように、実はその容量を、処理施設の容量をどう算出するかというところで、様々な対応が異なる廃棄物の場合がございますので、最終処分場の容量なら比較的分かりやすいかもしれませんが、中間処理をする焼却とか圧縮とかどういうふうに計算するかとか、技術的にもなかなか問題がございます。  またもう一つは、考え過ぎかもしれませんが、結託したりいろいろと悪いことを考えれば不適正な処理が行われる可能性はまだ残るわけでありまして、その場合に、現在、青森、岩手もそうなんですが、排出事業者の責任をどうやって徹底追及しようかとしているときに、そういった切符をもらっているから免責されるということになっても逆効果になってしまうという。  大変貴重な御提案だと思いますが、そういったことも踏まえて、一つは電子化というようなことも視野に置いて考えていきたい、今後のこととして考えていきたいと思っております。
  153. 風間昶

    ○風間昶君 ありがとうございます。  確かに不正にやられれば、切符であろうが何であろうが、もう役に立たなくなっちゃうわけですけれども、そこをまただからチェックするのが環境省の役割だといえば役割なんで、工夫をしていただければ有り難いなというふうに思います。  それからもう一つ、大臣が私有地であったという点が遅れた原因になっているというふうにおっしゃっていました。確かに廃棄物が、北海道もそうですけれども、全然平場から見たら分からないんだけれども、農道や山道を上がっていってぴゅっと見ると、谷みたいなところにずぼっといろんなものが置いてあるというのが昔ありまして、今も恐らく見えないようにして置いている人もいるかもしれません。ただ、罰則が強化されたからかなり減っているとは思いますけれども。  いずれにしても、ふだん人が行かないような森や沢というところにそういう人間が使った物を投げているということが現実にあるのが実態でありますから、このことのための断固たる措置というのはやっぱり大変大事じゃないかというふうに思いますので、例えば、当然ちっちゃな一トン半や二トンのトラックで何回も何回もという方がいいのか、あるいはダンプで一挙にぼんと持っていけるのがいいのか、いいのかというか、そういうのがどうなのか実態としては分かりませんが、いずれにしても、車を進入する、さくとか車輪止めだとかそういうことも、やっぱりやろうともし自治体がしているならば、自治体がですよ、しているならば補助金を出してもいいんじゃないかなと私は思うんです。それと、もう一つは不法投棄の罰則をきちっとやるべきだというふうに思います。  ですから、こういった問題について、車止めだとかあるいはくいを打つだとかということに対する補助の在り方と、もう一方では不法投棄に対する罰則、規制強化をきちっとやるということについて、若干伺えれば有り難いと思いますが。
  154. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 不法投棄をみんなに目に付かぬようにそっと、それこそやみに紛れてというようなことが行われない、それを防止する一つの方法として、確かにそういったところに何かくいを打って入れないようにするということも一つの方法だと思います。  ただ、くいを打ったからといって、それすぐに自動的にまた補助金というのもなかなか難しいものですから、ある程度、くいも打つし、現場で努力して、本当にいろんな組合せでそういったものを防止するというようなことをしていただくというようなことで、例えば夜間の監視のパトロールなんかをやっておられるところもございますので、そういった組合せでやっぱり現場で非常に努力しておられるということについては、それを一つの今の組合せといたしまして、そういったものについては総合的な監視、取締りを強化する事業ということで判断して補助の対象になるということで、今既にこれはやっておりますので、こういったものはまたひとつ大いにPRして、必要があればそういった措置も進めていただくということがいいんではないかというふうに考えております。  それから、罰則の強化でございますが、これもだんだんに強化してまいりまして、今は廃棄物処理法の違反ということで、罰則の場合には五年以下の懲役又は一千万円以下の罰金又はこれらの併科というふうなことに、さらに産業廃棄物の投棄者が法人である場合には一億円以下の加重罰がある等々ということで、実は環境につきましては、その不法投棄についてはむしろほかのものよりも非常に重いわけでありますので、これをそういった重いぞということを十分にまた周知させて、そういったことを起こさせないようにということが取りあえずの措置ではないかと。  もちろん、また今後、全体としてのそういった罰則については時宜に応じて検討はしてまいりたいと思っておりますが、取りあえずは今申し上げましたようなことをできるだけ周知徹底して、ひとつ防止の方で成果を上げたいというふうに考えております。
  155. 風間昶

    ○風間昶君 次に、産業廃棄物の問題でもう一つ問題のところがあって、この間行ってきたんですけれども、要するにコンクリート、アスファルトを一定程度に破砕して、それを物として販売する破砕業者が新たに工場を造る場合、地域住民にとってみれば、製造段階で粉じんがたくさん出ますから、その処理があいまいなままだと迷惑施設になってしまうわけでありますけれども、現在ではそういう工場を建てるときの、施設を建てるときに、隣の土地の地権者の同意があれば設置の許可が出るようになっているわけでありますけれども、粉じんが飛散するような状況なんかが考えられる場合に、住民の健康を勘案できるというか、住民が耐えられないような受忍限度が判断されるような場合に、これは産業廃棄物処理施設の設置許可権限を有する都道府県ないしは政令指定都市ができるというふうに許可基準を、裁量権があるというふうになっていると思います、現行法で。  ところが、あるところでは市が設置基準を満たせば許可せざるを得ないというふうに、自ら裁量権がないというふうにとらえているところもあるんです。あるんです、実際に。新聞記事にもなっているところなんですけれども。政令市で宮城県の仙台の泉区ですけれども。そういうことをやっぱり知らないというのは大変私は問題だなというふうに思いますので、きちっとこれ都道府県ないし政令市の自治体の首長が許可ができる、裁量権があるということを確認したいと思うんですが、どうでしょうか。
  156. 飯島孝

    政府参考人(飯島孝君) 委員御指摘になりましたように、廃棄物処理法に基づく施設の設置許可手続の中で、これは平成九年の廃棄物処理法改正で導入されたわけでございますが、生活環境影響調査、いわゆる環境アセスメントの実施を義務付けております。また、許可要件として新たに地域の生活環境の保全に適切に配慮されていることという、抽象的な言い方でございますが、そういった条項が加わっております。  御指摘のあったような粉じんが飛散して生活環境保全上問題が発生するおそれのある場合には、都道府県知事又は保健所設置市長の判断で許可されないということがあり得るわけでございます。
  157. 風間昶

    ○風間昶君 ですから、一つ一つの処理施設が法律や条例の判断基準に基づいて設置されたとしても、そのような施設が集積することによって周辺の住民の健康を含めた受忍限度を超えてしまう事態も予想できるわけでありますから、そういうような事態に至らないような歯止めになる法整備の必要性があると思うんです。これはあると思うんです。何か分からなそうな顔をしていますけれども、部長、あると思うんですよ。そこ、どうですか。
  158. 飯島孝

    政府参考人(飯島孝君) 実は、確かに都道府県、保健所設置市に対する新しい制度のPRが不足しているという御指摘も含まれていると思ってお答えさせていただきますが、新たな施設の設置を許可する際に、その一つ一つの施設の許可基準ということではなくて、委員御指摘になりましたように、都道府県知事等は、既存の施設の設置状況も含めて、その地域の生活環境状況を把握した上で生活環境の保全に適切に配慮されているかどうかを判断すると、こういう趣旨でございますので、全く委員のおっしゃったとおりでございまして、そういったものを判断の材料といたしまして、知事や市長さんが生活環境保全上問題があるということであれば不許可にすることができるということでございます。
  159. 風間昶

    ○風間昶君 それでは、国土交通省にお伺いします。  長野県の知事の不信任案については、あの県のダム建設をめぐる価値判断の対立が最大の原因だったわけでありますけれども、同じようにダム建設をめぐる知事部局の考えと住民の考えの間に溝があった例が報道されているようでありまして、この間ちょっと新潟県に行きまして、三十年も前から計画されてきたダムの建設が全く進まないで、今年の七月末にとうとう建設断念という事態に至っておって、ダムの建設予定地まで一時間近く歩きまして現地見てきましたけれども。  多くの場合、こういうダムを造るときに道路の整備あるいは公共施設の建て替えなど地域振興を打ち出しているわけなんですので、このような公共事業に伴う地域振興策が公共工事中止あるいは廃止というふうになったらどのように扱われるのかと。三十年間失われた、造るから造るからといってじっと我慢してきて頑張ってきたところが、ばつっとなくなります、やめますと言われて、これはもうたまらない話で、もう一方の話としては。  今までいったん決まった公共事業はとにかく何十年掛かろうと完成までやってきたわけですけれども、これから公共事業の廃止、中止が増えるということが予想できるわけでありますから、こういう問題、一般論としてで結構ですけれども、国土交通省としてはどう考えておいでになるのか。  そしてもう一点、具体的にそういう廃止になった場合に、今まで建築事務所を作っていたわけですけれども、その事務所がいなくなっちゃうと住民も減るということも、何人かですけれども、問題もあるわけでありますけれども、この点について是非お伺いをしたいなと思いますので、よろしくお願いします。
  160. 佐藤静雄

    ○副大臣佐藤静雄君) 今、先生おっしゃったように、公共事業をやる場合には、その計画の段階から住民の皆さんに理解をしていただく、地方公共団体の皆さんに理解をしていただく最大限の努力をいたすようにいたしております。もちろん、実施をする場合には当然のそういう努力をするわけであります。ですから、見直しをするという場合には、そういう努力したと同じようにやっぱりそういう努力をしなければならないんだと思います。皆さんに理解をしていただく。  そして、仮に中止となった場合には、例えばダムを造るんだとしましたら、それを中心とした観光開発ですとかいろんなことをやってきています。特に、住宅の移設ですとか大変な迷惑を掛けるわけでありますから、同時に、道路を造る場合でも、その道路に併せて地域のプロジェクトを作ったりいろんなことをやっているわけでありますから、ですから、そういう場合には適切な対応が取れるようにいろんな相談をさせていただくことが必要なんだろうと思っております。  同時に、そういう場合には、住民の方々はもちろん、地方自治体の方々、都道府県の方々の十分に意見を聞きながら、国として、国土交通省としてできるだけの支援を講じていくということだろうと思います。また、そういう場合には地元の事務所がさっといなくなるんじゃなくして、そういうことを相談をする窓口としてある程度の結論が出るまで置くということも大切だろうと思っております。
  161. 山本保

    山本保君 公明党の山本保です。  今日は一問だけお聞きしたいと思っておりますが、国土交通省の自動車交通局長さんはおいででございますか。それじゃよろしいですよね、お聞きいたします。  八月の十日ですか、私の愛知県の近くの三重県で、お盆の帰省中のラッシュの車の列に大きなトラックが飛び込んで、そして死傷者、亡くなった子供さんも含めて五人と、また負傷者が六人というような大変な悲惨な事故が起こりました。それ以後もよく似た事故が正に毎日のように起こっているのではないかと思っております。  そこで、こういう事故が起こった場合に、私も含めて当事者外といいますか、一般的に言いますと、何か運転手さんがいろんなミスを犯したということで、今回この事件についても逮捕されているようでありますけれども、一般的に事業主さんについては、当然警察というのは疑わしきは罰せずということもあるでしょうし、何かその責任というのが軽く見られているのではないかなという気もするわけであります。  お聞きしたいのは、こういうような場合に事業主に対する社会的なといいますか、法的なペナルティーというのはどういうふうになっているのか。また、この原因だと考えられますいわゆる過剰労働を防止するためにどういう手を国土交通省としては打っておられるのか。そして、時間がありませんので、まず三つまとめてお聞きしますけれども、今後どのような取組をされるのか。この三点についてお聞きしたいと思います。
  162. 丸山博

    政府参考人(丸山博君) ただいま、運転者だけではなくて事故を起こした場合のトラック事業者に対する安全確保について国土交通省としてどういうふうにしておるのか、今後どういうふうにするのか、こういうお尋ねがございました。  国土交通省といたしましても、トラックの事故の防止というものは最大の重点的な行政課題だというふうに認識いたしております。  法的な枠組みといたしましては、自動車運送事業法及びこれに基づきます貨物自動車運送事業輸送安全規則に基づきまして輸送の安全確保に関する措置を従来から取ってきたところでございます。  先ほどお話のあった、例えば井坂倉庫の事故でございますけれども、そういうときにどうするかということでございますが、まず事故を起こしますと、特に重大事故を起こしました場合には、警察の捜査とは別に、私どもが重点的に特別監査というものを行いまして、処分基準に従いまして処分をしていくということでございます。  ちょっと詳細にわたって恐縮でございますが、一日一車止める処分を基準にいたしまして、何日車止めていくと、それから営業停止、更には場合によりましては許可の取消しというものに至るまで、いろいろな処分がなされているところでございます。特に悪質な事業者につきましては、私どもはその処分を公表いたしております。それから、定期的にこの事業者とこの事業者を処分いたしましたというものも公表いたしております。また、処分基準自体もマスコミ、それから全日本トラック協会を通じまして、こういうことをするとこういう処分を受けますというものを公表いたしております。  今後とも、事故の防止というのは私どもだけでできるものではございませんので、道路交通を所管しております警察庁、あるいは先ほど先生御指摘になりました過重労働のようなものを所管いたします厚生労働省と密接な連絡を取りながら、悪質な事業者に対する監査を一層充実強化いたしまして、一層の安全の確保の徹底を図っていきたいというふうに思っております。  また、処分結果につきましては、今、紙で外部に公表しておりますけれども、一般への周知を図るため、今後はインターネットの活用なども図っていきたいというふうに考えております。  また、先国会で成立いたしました改正貨物自動車運送事業法におきましては、元請事業者と下請事業者の関係につきまして新しく規定を設けていただきました。御承知のように、トラックの業界は、元請、下請関係が何重にもわたると、それから元請事業者が下請事業者にともすれば過重な要求をするといいますか、安全上問題のあるような要求をして、それが事故につながるということもあるわけでございますが、元請事業者が下請事業者に対しまして安全を阻害する行為を、阻害することを禁止するという規定が設けられたところでございます。  この改正貨物自動車運送事業法の規定も援用いたしまして、今後ともトラック事業者の安全確保につきましては万全を期していきたいというふうに思っております。
  163. 山本保

    山本保君 ありがとうございます。  私、申し上げましたように、一般的な常識として運転手だけに使い捨てのような形になっているのではないかと思われていること自体が問題だと思うんですね。確かに今は景気後退しておりますので、いわゆるコスト削減というときにこういう流通関係の費用にしわ寄せが来ているのではないかとも思います。  今、局長、今後ともということでございますが、できれば是非、こういう事故を起こせば運転手だけではなく会社も大変なんだ、また会社はそのために企業倫理として一生懸命頑張っているんだ、それをやらなければ大変なことになりますよという、こういうことは国民の常識としてもっときちんとアピールされたらよろしいのではないかという気がするんですね。業者にだけの通知というよりも国民全体に対するアピールをお願いしたいと思いますが、よろしければ一言お願いして終わりたいと思います。
  164. 丸山博

    政府参考人(丸山博君) 私ども、これまでも事故を起こした事業者の名前を公表するという形で一罰百戒といいますか、こういう、今、先生御指摘のように、事故を起こせばこういうことになりますということを公表してきたつもりでございますけれども、御指摘受けたように、ちょっと不足しているところもあって、なかなか一般の皆さんに周知をされていないというところもあったかと思います。  先ほど申し上げましたように、例えばインターネットを使うとか、そういうことも併せて今後検討して、国民の皆様に知っていただくようにしていきたいというふうに思っております。
  165. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 日本共産党の八田ひろ子でございます。  今日は、朝から公共事業の無駄の見直し、中止ということが議論になりまして、道路とか空港の問題が議論をされております。  そこで、私はダムの問題をまず扇国土交通大臣に伺いたいと思いますが、長野では昨年二月に県知事が脱ダム宣言を出し、浅川ダムや下諏訪ダムの中止となりました。国も大臣就任以来、公共事業の見直しを進められていると思いますが、特にダム事業の中止、見直しについてお示しください。
  166. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 今、八田議員がおっしゃいましたように、これは私が就任以来、就任しました一昨年でございますけれども、少なくとも与党三党で公共事業の見直しをしようということで御提案し、また結論が出されたことは御記憶にあると思いますけれども、一昨年の与党三党のに基づいて公共工事の見直しをしましたときには、四十六のダムの事業を中止いたしました。  四十六のダムを中止しましたけれども、問題はその、先ほどちょっと議論が出ましたけれども、中止する仕方があろうと思います。今までやったものをどおんと、はい今日でさようならと、これでは余りにも私は御協力いただいた皆さん方に対してはこれは本当に失礼な話でございますし、自分の生涯を懸けた家まで手放して知らない土地に行った協力者もございます。そういう意味で、この一昨年の四十六の事業を中止いたしますときも、三か月掛けまして全部の、第三者機関でございます全国の事業評価監視委員会、これを全部開催していただきまして、約三百回の委員会の開催で三か月掛けて四十六のダム事業を中止するという手続を取ったわけでございます。  そうでなければ、御協力いただいた皆さん方の御了解とかあるいは地方自治団体の協力とかに対しての、それはトップダウンで私が一言中止と言えばそれで済むものではありませんので、そういう意味で私は、中止するときの手順というものを我々は多くの御協力の皆さん、地方自治団体の協力を得ながらするということが一番大事だと思っておりますので、造るときも大事ですけれども、切るときはもっと倍、労力を必要とすると思っていますので、その了解を得られ、そしてなおかつダムの中止をする場合は、本来の目的でございましたダムを造るときの治水、利水、両面の安全が、ダムを中止することによって治水面での国民の不安をあおらないか、水害があったときに果たして川下の皆さん方の生命、財産が守れるかということも含めてこの評価委員会での議論をしていただいて、それの評価の結果によって中止するという決断をしたということで、私は建設するときの倍、二倍の努力をもって中止すべきであると思っています。
  167. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 ダムの見直しというのは今や国民的な世論でありまして、今の中止、見直しも、これは新聞の特集ですけれども、「揺れるダム計画」というので中止したのとそれから今の計画等がここにあるんですが、「大規模ほど中止困難」、今おっしゃったように、年数がたてばたつほど被害が広がるので無駄な事業は早くやめることが大事なんだなと、私も本当にそのように思っております。  そこで伺いますが、今、国土交通省が愛知県の設楽町に計画をしております貯水量一億トン、高さ百二十九メートル、国直轄の設楽ダムです。ここにちょっとその位置図を持ってまいりましたけれども、(図表掲示)ここの赤いのがあります、ここの下のところがこれがダムサイトになっておりますけれども、これ、今までに六十億円の国費を使って調査がされた。これは構想から、先ほども三十年というお話がありましたが、三十年たっていまして、まだ計画立っていないんですが、今まで六十億円使い、来年度の概算要求、これは十五億円として、建設移行として要求をされております。  ダム建設が、もうこれは決定をされているのか、どういう段階にいるのかを簡単にお示しください。
  168. 鈴木藤一郎

    政府参考人鈴木藤一郎君) 若干、経緯も含めて申し上げますが、この事業は豊川の洪水を防止するとともに、東三河地域等への水道用水、農業用水を供給することなどを目的としまして、中部地方整備局において現在、実施計画調査を進めております。  本事業につきましては、豊橋市等下流受益地の十一市町で構成される豊川水系総合開発促進期成同盟会等から事業推進の強い要望をいただいておりまして、こういった地域の要望を受けて事業を進めているものでございます。  先ほどの話と関連いたしますが、事業を進めるに当たりましては、学識経験者、流域住民の代表の方々など幅広い方々から成る、名前は豊川の明日を考える流域委員会、こういうものを平成十年十二月に設置いたしました。そして、豊川水系の今後の河川整備について合計二十三回にわたって熱心に御審議いただいたわけでございまして、この結果、水源地域の整備や環境などに配慮して設楽ダムの建設を行うように提言をいただき、平成十三年の十一月に豊川水系河川整備計画を策定し、設楽ダム事業が法定計画として位置付けられたわけでございます。  現在の状況につきましては、地質環境等の調査を進めているところでありますが、平成十四年三月に設楽町長と結んだ設楽ダム現地立入調査の細目協定の変更によりまして、用地調査実施に向けた協力が可能となっております。これを受けまして、現在、地元で地権者で組織されました設楽ダム対策協議会、こういったところと用地測量、物件調査に関する覚書がこの九月中にも締結されて、用地の取得、生活再建に関する調査が可能になる見込みでございます。  こういった状況を踏まえまして、委員御指摘のように、先ほどございましたように、来年度からは建設事業に移行するということで概算要求をしているという状況でございます。  今後とも、地域からの要望を踏まえまして、環境等に十分配慮しながら計画を詰めて、そして事業を進めてまいりたいと、このように考えているわけでございます。
  169. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 私は経過を聞いたのではなく、十五億円という予算はどういう段階なのかを聞いたんですね。  今はっきりおっしゃいませんでしたが、まだ基本計画も作られていない、基本計画まではこれから何年も掛かると、こういう段階であるということでいいですね。
  170. 鈴木藤一郎

    政府参考人鈴木藤一郎君) 基本計画はまだできておりません。そのための調査をこれからやりまして、その調査を踏まえて基本計画を作っていくということでございます。
  171. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 ダム建設はまだ確定していないということですね。  そこで伺いますが、この今計画をされております設楽の地域というのは、豊かな大変深い自然があります。ダムサイトの川には国の天然記念物のネコギギ、これは伊勢湾を囲んだ地域しかいない地域特性の生物ですけれども、天然記念物のネコギギや、あるいは更には絶滅危惧種のクマタカ、これが三か所営巣が確認をされているところであります。  ダム建設が環境に与える影響は絶大なものですが、現在まだ環境影響評価法に基づく環境影響評価の調査というのは始まっていないと思いますが、いかがでしょう。
  172. 鈴木藤一郎

    政府参考人鈴木藤一郎君) 先ほどの答弁で若干確認を申し上げますが、豊川のこのダムにつきましては、河川法上の法定計画に位置付けられておりますが、基本計画はまだできていないという状況でございます。  アセスメントの関係でございますが、御指摘のように、この設楽ダム事業は環境影響評価法の対象事業となります。今後、更に環境影響調査を実施することにしております。これまでには基礎的な環境調査を行っているところでございますが、今後、更に地元の了解を得て、地元立入り等も踏まえながら必要な調査を進めていくということでございます。
  173. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 今簡単にお答えいただきましたように、事業は、環境影響評価を行う方法を示すことになります環境影響評価の方法書もまだ確定をされていない、どのようにアセスを進めるのか、これから検討という状況です。  私はこれまでも、準備的な調査の結果からでも、この自然の豊かな地域のダム建設というのは非常な環境破壊で、建設をしてはならない地域だと、こう思うわけですが、この設楽ダムの建設費が二千億円掛かると地元の整備局のパンフレットにも示されておりますが、どのような積算でしょうか。
  174. 鈴木藤一郎

    政府参考人鈴木藤一郎君) 設楽ダムの事業費につきましては、地元にも概算の費用として二千億円という説明をしているところでございます。これは、治水上、利水上必要となるダムの規模、先ほど一億トンというお話がございましたが、そういったものを見込んで、これまでのダム事業の実績等を踏まえて算定したものでございまして、今後、特定多目的ダム法に基づく先ほどから申し上げております基本計画策定時に正式な事業費を固めていくということでございます。
  175. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 基本計画が作られてしまってから示されたのでは、地域の住民はだれが幾ら負担をするのか全く分からないままに進んでいくということで、これはおかしいと思うんですね。  豊川水系の河川整備計画によりますと、このダムは、新規水源開発については東三河地域における水道用水と農業用水合わせて毎秒約一・一トンの新規取水を可能とするとあります。この毎秒一・一トンは、地元では農業用水として〇・八トン、水道用水として〇・三トンと説明されますが、これは需要者からそうした正式な申込みがあったんですか。
  176. 鈴木藤一郎

    政府参考人鈴木藤一郎君) 利水の関係でございますが、先ほど、ちょっと申し上げますと、利水者となる愛知県、は予定でございますが、それから地元の豊橋市始め十一市町、それから豊川……
  177. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 質問にだけ答えてください。
  178. 鈴木藤一郎

    政府参考人鈴木藤一郎君) 豊川総合用水土地改良区等から、水道用水、農業用水を確保するため、設楽ダム事業の推進を要望されているということでございます。
  179. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 私の質問にはどうなんですか。需要者から正式な申込みがあったんですか。
  180. 鈴木藤一郎

    政府参考人鈴木藤一郎君) 正式という言い方がどういうことかは存じませんが、ちょっと今確認ができませんが、ここの流域については、御存じだと思いますが、流域の中で大変な渇水が繰り返されておることは御承知のとおりだと思います。流域の面積に匹敵する、それ以上かもしれませんが、それに匹敵する渥美半島を含めた広い地域が豊川からの水源に依存しているということでございまして、大変な、農業用水にしても水道用水にしても大きな水需要がこの豊川に依存しているわけでございます。そういうことから、ここの川においては、最近の例えば十か年という、どういう見方をしてもいいんですが、十か年に十二回もの取水制限を強いられるというようなことで、毎年のように、正に毎年、十年に十二回ということですから正に毎年以上なんですが、そういうような渇水に見舞われておりまして、安定した水源の確保が必要であるということでございます。  いずれ基本計画を作る際には、そういった正式な手続を経まして、県議会の意見も聞いて、知事さんの意見も聞きながらきちっとした計画を定めていくということになります。  いずれにしても、この地域においては大変な渇水が繰り返されておるという状況を踏まえまして、あるいは治水についても洪水の被害が繰り返されておる、こういった状況を踏まえまして、私たちといたしましては設楽ダムの建設が必要と、このように判断しているわけでございます。
  181. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 答弁には聞かれたことを答えてください。正式にはそういう要請はなかったと。  あなたは今、豊川流域は渇水になると言いましたけれども、確かにそういう部分があります。しかし、これ見てください。実際にこの豊川水系というのは七百二十四キロ平米あるんですね、この緑のところが豊川水系です。ところが、この設楽ダムの建設する流域面積というのは六十二キロ平米なんですよ。それで、幅が十キロで、奥行きが六キロしかありません。設楽ダムでは豊川流域全体の八・六%の部分の雨水しか集めることができないんです。ですから、この設楽ダムで全体の渇水対策ということは最初から考えられていませんでした。ですから、今のあなたの御説明というのは大変おかしいんですよね。  私が伺っているのは、正式な要請がないんだけれども、水はもう要らないというように、これは農業用水が中心で実は造られるというのが三十年前からの構想なんですけれども、農業用水はいいんだと、要らないというような申出があった場合は、このダムは造らないということになるんでしょうか。
  182. 鈴木藤一郎

    政府参考人鈴木藤一郎君) 先ほどの、要望が正式に云々という話がございましたが、私どもは度重なる形で、国の施策並びに予算に関する要望という形で、提案、要望という形で愛知県の方からこのダムの推進について伺っているわけでございます。  ただいまの御質問でございますが、仮定の質問に私はいろんな憶測、誤解を呼ぶ可能性がありますのでお答えすることはできませんが、先ほどから申しておりますように、このダムについては、大変渇水が繰り返されているということ、洪水被害も繰り返されているということ、こういった状況から現在の形で多目的ダムとして進めるということでございます。
  183. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 そうしますと、仮に皆さんが水需要が要らない、こういうふうにおっしゃったとしても、建設省としてはあくまでも造ると、こういうことなんですか。先ほどの大臣お話と大分違うように思うんですけれども、大臣、いかがですか。
  184. 鈴木藤一郎

    政府参考人鈴木藤一郎君) その前にちょっと。  先ほどから申しておりますように、この地域での水需給の状況あるいは洪水被害の状況ということから考えますと、今おっしゃったように、仮にというようなことは到底想定されないわけでございまして、そういう意味で私は、この事業をきちんと進めることが、しかも愛知県からも要望も来ているというようなことも申し上げております。そういったことで、私たちとしてはこの事業を進めてまいりたいというふうに考えております。
  185. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 三十年前の構想は、この設楽ダムの下流に三億三千万トンの大きなダムを造る、設楽ダムもそれを補完するということで一億トンで計画されているんですね。しかし、設楽ダムは百二十戸が水没、下のダムは四百戸水没ということで、もう絶対反対ということで、設楽も無論ずっと反対をしてきました、三十年間。しかし、今回調査に入るということになっているわけなんですけれども、九日にでも、豊川を守る住民連絡会議と豊川を勉強する会、地元の団体からは要望書が国土交通大臣にも、ダムの建設の凍結と撤回を求めると、こういうのが上がっているんですね。  私は、今、ダムを見直すという大きな流れがあるんでしたら、こういった山のてっぺんで水が余り流れていないようなところにダムを造るという計画は見直すべきだと、私はそう思いますし、二十一世紀の河川計画というのは、緑のダム、森林の機能向上とか、ここの地域では霞堤だとか、ため池とかいろんな知恵があるんです。そういうことを全く無視して三十年前の構想をそのまま押し付けるということは、私は、今の政治の流れからも反するということで、反省をしていただきたいということを申し上げます。  今日は時間がございませんので、そのほかの問題に移りますが、その次は名古屋空港の問題について伺いたいと思います。  中部新空港、今日もお話がありましたが、この建設に当たりまして、定期航空路線の一元化を前提に推進とされました。名古屋空港の定期航空路線はすべて新空港に持っていくと、そういうふうでしたが、当時、座席数が六十席以下の飛行機での旅客輸送というのは不定期航空とされましたので、六十席以下の小型機はその対象になっていません。  そうしますと、現在、名古屋空港を拠点にして中日本エアラインサービスが小型機で国内各地に旅客輸送を行っていますが、これは名古屋空港に引き続き残るという認識でよろしいでしょうか。
  186. 洞駿

    政府参考人(洞駿君) 先生御指摘のとおり、平成九年十二月二十四日の運輸大臣と大蔵大臣の間の中部国際空港の整備についての覚書がございまして、その中におきましては、定期航空路線については、中部国際空港の開港時に同空港に一元化するものとされておりまして、おっしゃるとおり、小さな小型機というのは飛んだり飛ばなかったりという面がございますので、これはその当時その対象になっておりませんでした。  片一方で、中部国際空港開港後の現名古屋空港についてどうするかということについては、愛知県においてこれを一般的な小型機が利用するゼネラルアビエーション空港として設置、管理する方向で検討が進めていられるというところでございまして、そういう意味で、御指摘のような小型機がこのゼネラル空港に就航するということはあり得ると考えております。
  187. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 小型機による定期運航便、またその他のも新しく入れるということですが、そうしますと、名古屋空港に管制業務がなくては安全運航はできないのではないかと思いますし、また地元は引き続いて現行のように国土交通省が管制をという要望がありますが、それを是非受け止めていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  188. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 今、局長から答えましたように、名古屋空港、旧になりますけれども、中部国際空港ができますので。名古屋空港の存続問題というのは、今の局長が答えましたとおり、覚書で明記してございます。  それから、今、管制は国土交通省、空港管理をそのまましていただきたいというお話でございましたけれども、これは、今、局長が答えましたように、小型の民間機、いわゆるさっき申しましたようにゼネラルアビエーション方式によるということですから、これは農薬散布でございますとか報道関係者の小型飛行機ですとか、そういうものは名古屋空港に残るわけでございますので、まして今回は、御存じのように愛知県とそれから主な防衛庁の間で同空港をどのように使用していくかということを決めますので、両者のいずれかが、名古屋と自衛隊の中で管制業務などを主体的に実施すべきかということを両者で話し合うべき問題であって、我々としては、ここからはいったん我々は関係なくなるということでございますので、管理は名古屋と自衛隊で協議なさることでございます。
  189. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 それは大変冷たいお言葉ですね。  名古屋空港というのは農道に毛が生えたようなところではありません。現在は国際線も飛ばしておりますし、全くそれと同じ機能のものをもう一つ、中部国際空港、先ほどから国際というのは大変恥ずかしい名前だと大臣おっしゃっておりますが、国際空港をもう一つお造りになっている。私どもはこれを造ること自体が無駄だというふうに思うんですが。  二〇〇〇年度の小型機の旅客数というのは二十二万人です。農薬を散布するようなものではありません。小型機とはいえ、定期運航路線が残りますのに、国がそれは知りませんとおっしゃるのは全く無責任だと思いますし、実際に現在国内でも屈指の設備、機能はすべて無駄になるじゃありませんか。そもそも、航空需要の伸びが期待できないのにもう一つ造るということ自体が私は政策的な誤りだと思います。先ほど大臣は、誤りがあれば後で直さなくてはいけないというふうにおっしゃいましたけれども。  それと併せて、名古屋空港の地元自治体、この空港の建設の経緯からも、軍事空港に逆戻りしないでほしいという悲痛な叫び、基地機能の拡充強化や軍事空港化は受け入れられないという、こういう思いを是非大臣受け止めていただいて、もう一度考えていただきたいと思います。  今日は次に移りますけれども、よろしくお願いしたいと思います。
  190. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 委員長一言言います。  本来は、今、八田議員がおっしゃるように無駄だとおっしゃるから、これやめましょうと言ったら、残してくださいと。地元の要望で残すんですから、そこを間違えないでいただきたいんです。  一元化できるものは一元化するのは当たり前の話なんです。国際線と国内線がそこで乗り換えられたら一番便利なんですから。けれども、残してくださいという地元の要望で、我々はその要望どおりにしましょうといってゼネラルアビエーション方式を取るということになっているんですから、冷たいというんじゃなくて、やっぱり決めは決めでございますから。そして、まして、何ですか、軍事空港ですか、そんなことあり得ないことでございますので、アビエーション方式というのを間違えないでいただきたいので、一言言っておきます。
  191. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 普通、自衛隊が主に使う空港は軍事空港と言うんではないかと地元の人は思っております。また、海の真ん中に同じ空港をまた造るというのを無駄だと私たちは言っているのであります。  次の問題でありますけれども、今、私たちが無駄だ無駄だと言っております常滑沖に造る中部新空港、それをインパクトにして常滑地区ではニュータウン事業も、人口が増えるからということで計画をされております。今、この地域というのは、すぐ近くの南知多では、オオタカの発見を契機に、その地区での新空港建設のための土砂取りですけれども、これが中止になりました。しかし、この常滑地区の場合は、この事業は非常に人口増加の受皿づくりだということで見直しはされておりませんが、オオタカの保護のためには少なくとも二営巣期の調査をきちんとすべきではないかと。これは環境省のガイドラインでありますけれども、こういったガイドラインからも地元からは心配の声が上がっておりますが、大木環境大臣、いかがでしょうか。
  192. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 今の常滑地域のオオタカの話でございますが、確かに今、常滑の方で、中部新国際空港はもうできていますし、また町の中でも、もちろんこれは当然、新国際空港ができればそれに応じた町づくりをするというのは、これは私は当然だと思うんです。  非常に大掛かりな計画ではなくて、今のところ、環境の面からいいますと、普通の環境影響の審査の対象にはならない程度の町づくりの計画がありますけれども、オオタカとの関係で申しますと、「猛禽類保護の進め方」というのは、これはたしか平成八年ごろですけれども、確かに環境省の方で、猛禽類の扱いというのは、これはなかなか同じ鳥でもいろいろそれぞれみんな状況が違いますから、大体こういうことを考えていろいろと調査を必要なときはされたらいいでしょうというふうなことで一つの指針ということを作ったというのは確かにございます。今おっしゃいました二営巣期が望ましいというのを一つの目安として言っております。  同じ二営巣期といっても、現実にどういう状況でどういう調査を進めるかというのは、やっぱりその状況に応じてやっていくということでございまして、現実には、今、町づくりとの関連で、事業者である常滑市とそれから都市基盤整備公団というものがどういった調査をオオタカとの関係で進めるかということは進めておりますから、それはひとつきちっとできることは一応調査をしていただけばいい。私どもとしては、二営巣期間必ずやらなきゃいかぬとまで要するに法律に書いてあるわけでもないんで、ひとつ専門家の意見もよく聞きながら、どういった調査を進めていただくかということでやっていただいているというふうに理解をしております。  ただ、その結果どういうことになるかということはまだ聞いておりませんので、今後何か環境省として意見を申し上げるような場があれば申し上げますけれども、今のところは、現場において、地元でそれぞれまた専門家を招いて調査をしておられるということでございますから、それを見守っておるということでございます。
  193. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 環境大臣のお答えとも思えないんですが。  このガイドラインというのは、このときは環境庁でしたけれども、環境省のガイドラインなんですね。これは二営巣期やればいいと書いてあるわけじゃないんですよ。少なくとも二営巣期ぐらいは調査をしないと保護策は出ないからそういう御指導があるわけなんです。  地元の検討会というのは、正式には常滑都市計画事業常滑地区自然環境検討会ということで、今年五月に設置をされて、平成十五年七月三十一日まででもうおしまいになっているわけですよね。ですから、調査期間だけでも二営巣期というふうに御指導をされているのに、全然足りないんではないかということで心配をされておりますので、オオタカ保護も十分でないのに、先ほど大臣は小規模な開発だと言われましたが、後で伺いますけれども、そんなに小規模ではありませんし、自然破壊をするので問題になっていて検討会も作られているんですよ。そういうことも関係なく、もう開発事業ゴーと、こういうのは、やはりせっかく環境省となった価値がないんではないかなと、とても残念に思います。  そこで、常滑ニュータウン事業のことについて伺います。  これは、二〇〇一年三月に常滑市と県とそれから今で言いますと都市基盤整備公団で協定が作られておりまして、二つ伺いたいんですけれども、一つは、公団の保留地面積が、これ区画整理やりますが、十一・七ヘクタール、価格は九十六億円というふうに報道されておりますけれども、この中に保留地に未処分が生じた場合は常滑市が全部買うということになっているんですね。なぜこういう特約が入るのか。  また、もう一つですけれども、公団というのは閣議決定で、特殊法人等整理合理化計画ですね、ニュータウン事業は廃止すると、こういうふうになっているんですけれども、常滑市、これからやる事業なんですけれども、なぜ廃止、撤退はないのか。この二つをまず簡潔にお示しください。
  194. 三沢真

    政府参考人(三沢真君) 常滑地区の区画整理事業でございますけれども、中部国際空港の整備に関連する公益施設、それから関連施設のための敷地整備を目的とする事業ということで、愛知県及び常滑市の非常に強い要請を受けて公団が十三年三月に事業協定を締結して事業化の準備を進めているというものでございます。  まず、閣議決定との関係から申し上げますと、昨年末に特殊法人等整理合理化計画が決定されまして、その中で、新規の宅地分譲事業は廃止すると、こうされております。この地区の事業は、今般の特殊法人改革における業務見直しの議論が行われる以前に事業協定が締結され、予算が計上された上、都市計画手続が進められておりますので、ここに言ういわゆる新規事業には該当しないというふうに理解しております。  さらに、事業の性格を見ますと、この事業は、いわゆる公団による用地取得を行わないで、保留地について基本的に公益施設用地等として活用するものでございます。かつ、中部国際空港の関連施設整備のために不可欠な事業ということで、緊急性の高いエリアの整備を担うということから、いわゆるその閣議決定で想定している公団自らが大量の新規宅地分譲を行う事業というものとは性格を異にするものだというふうに考えています。  それから、常滑市に協定の中で保留地について一定の役割をお願いしているものにつきましては、先ほど申し上げましたように、元々この事業は公団のノウハウとマンパワーを活用したいという地元県市の非常に強い要請の下に行われているものでございます。この要請の下に、事業を実施するに当たって県市と協定を結び、どういう役割分担でいくかということを協定で決めたというものでございまして、そういう前提で、市には、先ほど先生言われましたように、保留地について最終的には取得していただくこともあるということを協定の中で決めているものでございます。
  195. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 先ほど申しましたように、これ売れ残ったら全部予定価格で市が買い取るんですよね。常滑市の市税収入というのは七十二億円なんです。保留地の八割が売れ残りましたら市税収入の一年分が消えてしまうんです。これ売れ残るということが見込まれるので市が買い取るという契約になっているんですけれども、売れ残り保留地の買取りというのは常滑市さんにとっては大変な負担だと思うんですね。  先ほどから伺っておりますと、ダムもそれから空港も、それからこの開発も地元からの強い要請にこたえてというふうにおっしゃいますけれども、結局、地元が大変な負担や大変なことになるというのが今までの公共事業で、そして破綻をしたりこれが赤字になったりするとその負担も地元に来るわけですよね。私、公共事業で扇大臣が五月二十七日の予算委員会で、公共事業をやるところから政治献金をもらうことは厳に慎むべきだという発言をされておりまして、私、これは本当にそのとおりで、支持できるんですけれども、今日の報道を見ますと、大木大臣の政党支部で献金を受け取っている、これ中部空港の関連企業からの政治献金というので、十一人の方が七百十三万円受け取っているんですよね。これ、自らが支部長を務める政党支部で献金を受け取っていた国会議員十一人なんですけれども、こういうことをなさっていて、そして公共事業はどんどんお地元の要請ですといって進めて、そして国も地方も借金だらけで、環境は破壊されるという。私、こういう構造そのものはやっぱり根本的に改めていただきたい、これを強く申し上げまして質問を終わります。こういう構造を、自民党的な構造を改めてくださいという要請をして、終わります。
  196. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 国会改革連絡会の岩本でございます。何か終わったか終わらないか、ちょっと分からなかったんですが、順番が参りましたので質問をさせていただきます。  本日は、環境省国土交通省、一昔前を考えますと、犬猿の仲というか、お互いに反発し合っていたような大変、余り、必ずしも仲のいいところではなかったような気がいたしますが、私はそれは間違いだと思いまして、国土交通省は一番環境のことを考えなきゃいけない省でありますし、環境省も一番気に掛けなきゃいけないところであると、これはかねてからそう思っておりますが、本日は両大臣の仲を見ておりますと、大変仲が良く、お互いに理解し合っていると、この方向で是非これからも続けていただきたいと。これは質問でございません、要望でございます。  まず、私の質問ですが、いわゆる環境問題にも関係するんですけれども、今年大変、日本といいますか東京を中心として大変な酷暑だったわけでございまして、私もいたたまれないぐらい暑い思いをして、これ年かなと思ったんですが、皆さんそう言っておりますからやはり相当な酷暑だったと思う。  それで、私事といいますか、参議院の副議長を団長としてブラジルに行ってまいりまして、南半球ですからこれは涼しいかなと思ったらとんでもない。マナウスは赤道直下というせいもありますから、相当暑い目に遭いまして全然避暑にはなりませんでしたけれども、日本に帰ってきましてヨーロッパのニュースや何かを見ますと、大変な異常降雨といいますか洪水で、ヨーロッパのあの見事な都市があんなに水浸しになることがあるのかというような驚きを持ちましたし、本来ヨーロッパの川は、これは今日国土交通省の方おられるからあれですけれども、いわゆる河川の河況係数ですか、いわゆる洪水と渇水の比ですね、これが日本と比べて極端に何かけたが違うほど違うものだから、自然の貯水効果があってあんな洪水は起こらないというのが常識的な見方だと思うんですけれども、それがあのような大変な洪水になったということでございまして、正に異常気象と言われる、と見ていいんだろうと思っているんですが。  その点について、今日気象庁長官においでいただいたので、いわゆる気象庁も、何といいますか、これホームページですかね、全球異常気象監視速報というのを毎週ですかね、出しておられる。これも、ずっと幾つも異常気象がここのところ起こっていることをかなりの件数が上がっていますから、かなりの異常気象の状態だと思うんですけれども。  まず、気象庁もこれ異常気象として認識されていると思いますけれども、その辺と、それともう一つは環境関係から、いわゆる地球の温暖化現象を盛んに心配をされておるわけですけれども、私の心配ではこの異常気象はもしかしたら温暖化現象が現実化しているんじゃないかなというような認識を持つんですが、その辺の御見解について長官のお話をお願いします。
  197. 山本孝二

    政府参考人山本孝二君) お答えいたします。  本年発生しております異常気象について、国連の専門機関でございます世界気象機関、これは我が国も加盟しているわけでございますが、その気象機関の意見を取りまとめて、ヨハネスブルクにおいて開催されました持続可能な開発に関する世界サミットにおいて発表いたしたところでございます。  これによりますと、これは気象機関の統一見解でございますが、インド及びオーストラリアの少雨については今年発生いたしましたエルニーニョ現象との関連が大きいとされております。また、ヨーロッパの大雨でございますが、これについては偏西風の蛇行でございまして、いわゆるブロッキング高気圧といって、大気がそこでずっと継続する現象でございます。この偏西風の蛇行に起因するものであるというのが現在の統一見解でございます。  このように、個々の異常気象につきましては、エルニーニョ現象の発生だとか偏西風の蛇行などの気候システムの変動が発生原因と考えられております。これらの変動と地球温暖化関係については、現時点では科学的に十分解明されているわけではございません。  なお、平成十三年にまとめられております気候変動に関する政府間パネル、IPCCでございますが、この第三次評価報告書においては、地球温暖化の進行に伴って最高気温、最低気温が上昇し、大雨が発生しやすくなる可能性が高いと報告されているところでございます。私ども気象庁といたしましては、この異常気象の解明、あるいは地球温暖化との関係について更に調査をする必要があるというのが現在の私どもの考えでございます。
  198. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 今の御答弁聞いておりますと、端的に言えば分からないということなんですね。  しかし、温暖化は確実に来るんじゃないかと。これ去年いただいたんですが、環境省の、こういうあれで、その影響が相当書かれているわけですから、皆さん心配していると思うんですけれども。いつ分かるんですかね、これ。どういう状況になったら、それが分かった、いつ分かるかで、分かったときじゃ遅過ぎるということもあり得るわけですよね。その辺、気象庁だけの問題じゃないと思うんですけれども、その辺、我々はどういうふうに理解したらいいか。もしお分かりでしたら。
  199. 山本孝二

    政府参考人山本孝二君) 温暖化の診断につきましては、気象庁におきまして、例えばCO2の世界的なセンターでございますので、増加率だとかそういうものも情報を収集し、解析しております。そのほか、気候モデルを動かしまして、気候に関する短期的な、地域的な影響がどのように出るかということを、現在、コンピューターを使った開発研究を進めております。  直ちに、温暖化の影響がどのような形で現れるかについてはまだ我々一定の知見を有してはおりませんが、いましばらくこの研究を進めることによって様々な情報を国民の皆さんに提供できる時期は来るのではないかというふうに考えております。
  200. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 大臣、ちょっと何か御見解あるような。大木大臣
  201. 大木浩

    国務大臣大木浩君) この温暖化問題というのはいろいろと、現在起こっている現象とそれからその原因というのがなかなか、ある程度はそうじゃないかということはかなりいろんなデータから言われておりますけれども、一つは、まず現在の非常な、異常な気象状況が、これが温暖化との関連かと。これは先ほど気象庁の長官の方からもお話ございました。そこが一つ完全には読み切れないですね。  それからもう一つは、仮に温暖化が原因だとしても、その温暖化の原因の中で人為的な行為、要するに我々がガソリンを燃やしたりそういった人為的な行為というものがどこまで影響しているか。これもまだ、ある程度の予想はできますけれども完全には読み切れていないということですから、これはもう毎年、今、先ほど委員もおっしゃいましたとおりに、IPCC等でいろんなデータを集めて、できるだけ早くひとつはっきりした見通しは付けたいと思っておりますけれども、恐らくこれは、なかなか二、三年ではっきり分かるということはないにしても、これから五年あるいは十年ぐらいのところでもう少しはっきりした傾向はつかめるんじゃないかというふうに私どもとしては期待しております。
  202. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 お話分かるんですが、いわゆる環境対策というのは多分に痛みを伴う、今までとは違った方向で進まなきゃいけないというものですから、今のお話で、例えば人為的なものかどうか分からないと。ということは、自然的なものでも、当然、氷河期がありましたし暖かい時期が今まであったわけですから、いろんな時期があって、それだったらもうCO2とか何かの問題じゃなくなるわけですね。  そういうことがはっきり分からないと、環境対策、例えばアメリカとかオーストラリアが勝手な自分らの主張をしても止められないんじゃないかというような気が私はするんですけれども。  そういう意味で、この間、ヨハネスブルグに行っておられた大臣世界的な動向がどうかとちょっとお聞きしたいんですが、その前にちょっと、今日ずっと質問を、質疑をお聞きしていまして、環境問題というのは何か私取り違えたような感じがなきにしもあらずで、ちょっとお聞きしたいと思うんですが、私は、この温暖化を一番大きな問題として、言うなれば、これは自然環境ですね。しかし、そう思っていたんですけれども、いわゆる環境というと、そのほかに社会環境もあり、生活環境もありと。当然、自然環境の変化が社会環境あるいは生活環境にも影響しますから、どれが取り出して言えるものではないと思うんですけれども、先ほど来の議論で何か、もそうですし、昨日、いわゆるヨハネスブルグ宣言の骨子というのをちょっと環境省からいただいて、それを見ていますと、やはり中に飢餓、栄養失調、占領、紛争、麻薬問題、犯罪、組織犯罪云々ですね、伝染病及び慢性の病気に優先的に対処するとか、これ、言うなれば、社会環境とか生活環境の問題だと思うんですよね。  それから、先ほど来からいろいろ出ている貧困を解消する、こんなのも生活環境といいますか、言うなれば、環境問題でない以前に、こういう発展途上国援助といいますか、そういうものでやっているものだと思うんですけれども、今は、その環境問題、このヨハネスブルグで取り上げた環境問題というのは、正に持続可能な開発という、開発という言葉が入っているとおり、そういう自然環境以外のあらゆる環境というものが含まれるような方向に進んでいっているんでしょうか。その辺ちょっとお聞きしたいんですけれども。
  203. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 午前中のいろんな御答弁の中でも申し上げましたけれども、確かに言葉の問題としては、今まで持続可能な経済環境と言っていたのに、そこへ社会という言葉が入りまして、特にアフリカ等で会議をやったということもあるものですから、アフリカの貧困問題、非常に厳しい状態の貧困問題というのが非常にクローズアップされたということは間違いないわけでございますが、ただ、そういう貧困状況の中でそれから脱出しようとしていろんな行動があるわけですが、例えば一つ申し上げますと、今までは非常に環境問題というのは、例えばどんどん工業化するからCO2がたくさん出てそれで空気が汚れるというようなことも議論されていたわけですけれども、しかし例えばアフリカなどの国では、別に重化学工業を起こさなくても、人口が増えて、しかも食料がなかなか増えないというようなときには焼き畑農業をする、あるいは牧畜するんで家畜を放牧すると。ところが、それが現地の例えば牧草というのは限りがありますので、それを超えた牧畜をやると、それでやっぱり土地が疲弊してしまうということになりますので、貧困の問題と環境の問題というのは実はつながっているんですね。  ですから、確かにいろんな具体的な対策というのは、あれもやらなきゃいかぬ、これもやらなきゃいかぬということで非常に混乱しておりますけれども、確かに今、先生がおっしゃったように、私は温暖化の問題というのは疑わしきはやっぱり措置するということでないといけないと思いますので、それはやっていかなきゃいけないというふうに思っておりますので、京都議定書というのも作っておるわけでございますから、それの方は、実は今アメリカとか豪州とおっしゃいましたが、豪州は、今のところすぐには批准しないけれども、いろいろと目標数値、実は豪州はなかなか目標はすぐに、もらっている数値も八%増という、プラス八%のですから割に緩いといえば目標は緩いんですけれども、豪州の置かれた状況からいえばそれでもなかなか努力しないと守れないという数字でございます。  これは守ると言っている、守ると言っているんです。批准はしないけれども、その数値に向かっての努力はすると言っていますし、アメリカも、京都議定書批准しないけれども、必要ないろいろな地球温暖化問題についての対策は進めると言っていますから、それはどういうところで進められるかということは二国間でもあるいは地域的にもいろいろ議論しておりますので、全然みんながそれは放置しておるということではないということだけはひとつ御理解いただきたいと思っております。
  204. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 分かりました。よく分かったんですが、言うなれば先ほど言いましたように、環境に対応するということは金も掛かるでしょうし、やる者にとっては負担が掛かる。したがって、そういう負担が掛かる一方、やらない者は、そういうやった人の分を取ってより効率的に環境破壊、環境破壊に向かうような方法を取るというような非常に難しい問題があると思うんですね。それと、やはり環境といっても、先ほど来のお話で分からないということになりますと、どうしても他人事になっちゃう感じがするんですね。その辺があると、やっぱり、じゃ気が付いたときはもう人間の住める環境じゃなかったのかと、なくなるのかというような心配が非常にあると思うんですね。  だから、大臣と私は認識が同じだと思うんですけれども、環境問題の基本というのは、まず温暖化が象徴するような今の地球が存続するか、人間が存続できる社会が本当に続くのかどうかということをきちっと見極めて、極端に言えば、それ続くんだったら何も考える必要ない。昔は人口が少なくて、ちょっとしたことをやったって全然よそに影響なけりゃ環境問題なんてなかったわけですから、その辺の認識をしっかりと我々が持たないんじゃないかなと思うんですけれども。  それは今ので、海外といいますか、世界的な問題は大臣お話で分かりますけれども、この辺で国内についても、やはりこれは国ベースにしても環境省、先ほど言いました国土交通省にしてもほかの省にしても、それぞれ利害得失があると思うんですね。そういうところに同じような認識でいないと整合の取れたことができない。あるいは企業もそうでありますし、更には生活者一般も同じような気持ちを持ってやらなきゃいけないと。  そういう意味で、環境省、これは御自身でやれる範囲は狭いかもしれませんけれども、やっぱり総括、環境問題にしては総括なところでございますので、その辺についてもう一つ国内に対してのお取組、先ほどもいろいろ出ましたけれども、もう一度ちょっと大臣からその辺の国内に対するお考え方をひとつお聞かせください。
  205. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 環境問題につきまして、まだ環境省も非常に若い役所なもんですから、いろんな意味で私どもはもっとこういうことをやったらいいんじゃないかというような法の整備というようなこともございますし、もちろん関係各省との関連につきましては、一応地球環境問題については環境省が取りまとめのということははっきりしていただいておりますし、国内問題についてもこれからまた具体的にそういったところの整備をしていかなきゃいけませんけれども、やはり私は地球環境、地球温暖化問題などはやはりもう相当危機意識を持って国民の皆さんに協力していただかないとできない問題だと思っておりますので、これからひとつ関係省庁とも十分協力しながら強力に進めさせていただきたいと思っております。
  206. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 それは環境省に任すことばかりでなくて我々の責務でもあると思いますので、そういう国民的な認識というものをどう高めていくかというのが、省を中心としてこれから前向きに取り組んでいただきたいと思っております。  次に、国土交通省ですが、そういう環境問題ではないんですけれども、最近、ハザードマップというんですか、洪水がどういうふうに、どういうふうなところが先に影響を受けるかというような表をお作りになったと。  それで、私も地元の手取川についてはお話伺ったんですが、これ思い返しますと、二年ぐらい前ですかね、名古屋で洪水があって、あのときも見る間に洪水被害が出てきたと。そのときに私も指摘させてもらったんですけれども、いわゆる川一つ取っても、建設省というか国土交通省は、これは百年に一回の川の洪水、大雨を対象として計画していると、工事しているというのと現実の状態がどうなっているかというのは違うんじゃないか。百年のうちで延々と工事はしているかもしらぬけれども、現実の箇所では十年に一回でも破堤するところがある。そういうものを、言うなれば都市開発なんかは、都市近郊に住宅地ができるような場合に、本当に住民の人にそういうことを知らしめているのかと。そういうことを分かっていりゃ住民は賢いから、洪水が出そうだといえばやっぱりうまく避難すると。そういうことも考えなきゃいけないんじゃないかということを指摘させてもらったんですが、それに近いことをやっていただきましたので、これは大変有り難いと思っているんですけれども。  そこで、今これは私は手取川しか聞いていないんですけれども、今どの程度のことを、どういうような河川をやられて、これからどういうふうに広げていかれるのか、局長にお願いします。
  207. 鈴木藤一郎

    政府参考人鈴木藤一郎君) ハザードマップ作成の現状と今後の普及に関連しての考え方はとの御質問でございます。  洪水ハザードマップは、洪水により浸水が想定される区域と、更にその区域に加えて避難場所や避難経路などの情報も加えたものでございます。  これは正に洪水時の円滑な避難の誘導のために重要なものなんですが、これは市町村が策定いたします。市町村が策定するんですが、その策定状況について若干申し上げますと、平成十三年の六月に水防法が改正され、さらにそれが七月に施行されているということで、この普及がどんどん進んでいるわけでございますが、平成十四年の九月一日現在、名古屋市、郡山市など、全国で百七十八市町村でこのハザードマップが作成されております。  市町村がそういったものを作るんですが、国はどうするのかということでございますが、そのハザードマップのベースとなる浸水想定区域、これを作るのは国でございます。その状況については、私ども直轄の百九水系、百九十三河川あるわけでございますが、現在までに、この浸水想定区域について百九水系のうち八十七水系でございます、大体八割の作成が既に済んでおります。こういったものを更にどんどん拡大していくわけでございますが、これを市町村の方にお示しして、市町村は、私どももそれにいろんな技術的支援をしますので、これにこういうことをやればハザードマップになりますよというような技術的な支援を経てハザードマップが完成するということでございます。  私は今、直轄河川のことだけを申し上げましたが、県が管理している河川についても当然必要でございまして、これについては県が今度は浸水想定区域というものを作って、それを見て今度は市町村がハザードマップを作ると、このようなことでございます。  それに対して国がどういう役割をするのかということについて御説明申し上げますと、国はそういったハザードマップを、ハザードマップではございません、浸水想定区域を作るという場合に、その財政、補助金を使ってもいいですよという形で支援しているわけでございます。
  208. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 局長、御答弁大変いいんですけれども、もう少し対話をしましょう。私が昨日申し上げた、申し上げたというか質問した項目全部をおっしゃったものですから、もう何かこれで質問できないような感じもするんですけれども。  要するに、私の質問の仕方が悪かったかもしれませんけれども、私は浸水想定図を持ってきてもらったわけです。したがって、それが私のところの川の一級河川、手取川ですけれども、そこの図面を見せていただいたんで、ほかのところでどうかなということで質問させてもらったんですけれども、今の局長お話ですと、一級河川については八割やっているということですね、一級河川の水系については。
  209. 鈴木藤一郎

    政府参考人鈴木藤一郎君) はい。
  210. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 だから、これは、これも何も全部やる必要はないんで、住宅地か住宅可能地か住宅予定地か、そういうところでやれば、おいおいやっていけばいいんだと思うんですけれども、それと、県もやるということは二級河川ということですね。それは、県はまだやっていないんですか。
  211. 鈴木藤一郎

    政府参考人鈴木藤一郎君) 一級河川について、ハザードマップではございませんで浸水想定区域の方、国が用意するもの、これは現在までに八割整備されております。県については、今ちょっと数字は持ち合わせてございませんが、県についても、例えば県それから区でございますね、東京の区でございますが、そういうところで既に浸水想定区域を作成し、更にそれのハザードマップもできているという例がございます。
  212. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 それが次に用意していた、要するに住民の皆様にどう徹底していくんですかということをお聞きしようと思ったら、結局、市町村がそういうハザードマップを作って、それで対応すると。ただ、市町村、結局、私は、生活者というか住民も知らないと、地方自治体も当然知らなきゃいけないと思うんですけれども、住民も知らないとこれ余り作った意味がないんじゃないかなと思うんですが。  そういう意味で、先日、ちょっとテレビを見ていて驚きましたのは、ある河川、ちょっと河川の名前は忘れましたけれども、主要なところの水位といいますか、川の状況をテレビで撮ってCATVで流しているんですね。それ結構利用されているというようなお話で、ああ、こういうことであれば洪水対応について住民の人も随分前向きにできるんじゃないのかなと思ったんですが、あれは建設省の御指導なんですか。
  213. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 今、岩本議員の御質問でございますけれども、国土交通省として、先日九月一日、防災訓練をいたしました。一級河川はもとよりですけれども、国土交通省は河川に光ファイバーを全部網羅しておりまして、この間の鶴見川のタマちゃんを思い出していただけるとよく分かると思うんですけれども、これは一級河川でございますので監視カメラが設置してございますし、また光ファイバーで皆さん目に分かるようにということで、いわゆる水位を絶えず監視しております。そのためにたまたまタマちゃんが画面に映るということでございまして、これは国土交通省の所管でございまして、河川で確実に、これ防災のための監視カメラでございます。  それが国民の皆さんに分かるようにということで、この間も各省庁の防災会議におきまして、あらゆる省庁から上がってくる情報を一元化しよう、そしてそれを気象庁に集中しようと。なぜならば、長官いらっしゃいますけれども、気象庁に、絶えずNHKの画面を通じて全国に気象とか、あるいは水害とか、あるいは災害とかの情報を流している、テレビを利用できるというのが気象庁の特性でございますので、あらゆる情報を気象庁に一元化しようと、そして国民により早くリアルタイムで分かるようにしようということで、そういうことをしておりますので、国民の皆さんにはテレビを通じて、私たちも電話掛かってくるよりも画面見ていたらもう映っているわよというぐらい早いリアルタイムで国民の皆さんに危険水位ですとかそれから防災の区域ですとか、あらゆる面を明快に表示できるようになったということが二十一世紀型だと思っておりますので、是非御協力、また皆さんに注目していただきたいと思っています。
  214. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ありがとうございます。  ただ、余計なことかもしれませんが、公共事業も今はコンクリート打ったりくいをたたいたりするばかりでなくて、こういうソフト面に目を付けることがこれだけできていますから、そういうことが大きな仕事の流れじゃないかなというふうな気がいたしましたので、その点もひとつお考えをいただきたいと思っております。  それとISOについてちょっと時間がないんでお聞きしたいんですが、ISO9000番ですか、品質管理について、何か聞くところによりますと国土交通省は入札資格の一つにしようかということで今試行しているとかというようなお話なんですが、これはその目的がどうで、どういうふうな方向に向かうということなんでしょうか。
  215. 安富正文

    政府参考人(安富正文君) 今、先生から御指摘ございましたように、現在、国土交通省では公共工事等の品質の確保を図るという観点から、平成六年に業界団体の参加も得まして省内に調査委員会を設けまして、このISO9000の公共工事への適用性ということで検討を進めてまいりました。この結果を踏まえまして、平成十二年度から公共工事の一層の品質水準の向上を図るということで試行的に一部工事対象にこのISO9000の取得を入札参加資格として工事発注を行ってきたところでございます。  これは、目的としては、例えば従来国の監督員が一々立会いの下で確認してきた材料の品質であるとか、あるいは試験、あるいは工事の施工状況について一々確認に行かなきゃいけないということを、いわゆる請負者が作成した自主検査記録の確認、これで置き換えるということによって、ISO9000を取得した請負者の品質管理に関する負担の軽減等も含めて、そういう効果をいろいろ確認しているという段階でございます。  そういう意味で、平成十四年度においても、現在一般競争入札あるいは公募型指名競争入札を中心に約百八十件ほど試行的に行うということで検討しておりまして、これらの結果を踏まえながら、今後、請負者の意見も十分聞きながら、今後この取得についてどうするか、入札参加資格に入れるかどうか、どの程度入れるかということも含めて検討していきたいというふうに考えております。
  216. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 今のお話で、発注側にはメリットあるというのは確かに僕も分かりますけれども、施工者側も当然ある、今のお話であると思うんですけれども、やはりこれは独断で御判断されないで、施工者の方もどういうふうに見ているか。  というのは、何かこれ認証機関が審査をする、定期審査があって、それが結構手が掛かるというか費用も掛かるとか、そういう話もちらほら聞きますので、その辺もよくお聞きいただいて、それで将来どうするかを考えていただきたいと思います。  それで、ちょっとこれはもう少し長くなるかと思ったんですが、官房長、今適当なお話をいただきましたのでこれでやめますけれども、先ほど川の関係で残っていたのがもう一つありまして、災害対策で洪水対策をいろいろ言っていたときに申し上げたんですが、何回かこの決算委員会あるいは災害対策委員会で申し上げているんですけれども、今私、公共事業、別に反対でない。公共事業というのは大昔からやっているやつですから、公共事業のやるべき仕事というのはそんな返せない借金までしてすることかと。百年後の利益を先取りすべきかと。今ある金でできることをやっていくのが公共事業じゃないかなというような気持ちはありますけれども、別に反対じゃないんですけれども。  公共事業、例えば国土交通省なんか、昔の建設省に対して質問をしたんですけれども、いわゆる道路にしろ住宅にしろ、土を、地面をコンクリートで覆うんですね。覆うのが非常に大きい。別にそれも悪いわけじゃないんですけれども、覆いますと流出の機構が変わっちゃうんですね。いわゆる国土の機能が変わってきちゃう。そんな中でいろんなまた新たな災害が出てきたり、それからまた計画を立てるときにそういう新しい流出の機構を基に考えなきゃいけない。  しかし、その当時のことですけれども、いわゆる縦割り行政の中で都市局あるいは住宅局、あるいは道路局、それちゃんと連携を取ってやっているんですか、他省庁関係もあるんじゃないですかということで、そういうことをやるべきではないですかということを時の官房長に御質問したんですけれども。それはあれです、やりますと、いつもやりますと言って、最後はとうとう河川局長が御答弁いただいたんですけれども。  平成十一年から平成十三年の一月まで三回やっておりましたけれども、いわゆる十三年、新しい省庁のときだったと思いますけれども、関係局と十分横の連携を取って検討していきたいと、検討という御返答までいただいたんですけれども、その後どうなっておられるのか。
  217. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 総合的なことですから私から、政策のことで、基本的な考え方というものは、国土交通省になって、今までの縦割りでなくて、四省庁を統合した成果を上げなければいけないということで答えさせていただきたいと思いますけれども。  これはヨーロッパを含めて、今は自然回帰という言葉が言われております。ですから、河川も堤防をコンクリートではなくて木を植えようということとか、あるいは特に日本の場合は山から海までの傾斜が、国土が狭いために大変傾斜が急でございます。ヨーロッパのように蛇行型ではありません、川も。  ですから、そういう意味では、今の直線で川が山から流れてくると災害が多くなるので、なるべく川も蛇行、いわゆる蛇型、蛇のように蛇行型の河川にすれば少なくとも災害が少なくなるのではないかとか、そういう改めて日本の国土に合った河川なりあるいは町づくりなりあるいは都市づくりなり、そしてまた、東京都と一緒になって、地方自治体と一緒になって、ビルを造るときには屋上に緑を作って温暖化、ヒートアイランド現象というものの緩和をしようとか、あらゆる環境と、何かさっき先生は環境省国土交通省は仲が悪かったと言うんですけれども、今はもう両方手を組まなければできないという時代でございまして、しかも国と地方とが一体になって東京のヒートアイランド現象等々も、地方の、東京都と一緒になってビルの屋上を緑化するというようなことも、もう一つの省庁では全部できなくなっているのが今、二十一世紀でございますので、あらゆる面で国土交通省としては、国民の生命、財産を守る、また日本環境を守るというために国土交通省はあらゆる面で目配りをし、また協力をし、新たな施策を立てていくというふうになっているということだけは御認識賜りたいと思います。
  218. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 大変結構な御答弁ありがとうございます。  ただ、余計なことを言わせてもらいますと、私の知っている限りでは、中国という国は、川を治める者が国を治めると言われて、それは蛇行させた方がいいのか、速く流した方がいいのか、これは何千年の一つ大きな疑問点だそうでございまして、そういう意味でその状況状況を常に現場の考え方に立って把握していただいて、まあ大臣はそうしていただけると思いますけれども、そうしていただくようお願いいたしまして、質問を終わります。
  219. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。  まず初めに、東京電力の問題についてお聞きをいたします。  御存じのとおり、二年前に内部告発があり、今年の一月にGEは保安院などに対して協力をするということを言いました。そして五月に、GEは正式に二十か所以上原子炉のひび割れがある疑いが極めて強いことを保安院に言っております。  ところで、問題なのは、七月九日、東電は福島第二原発三、四号機と柏崎刈羽原発一号機の定期安全レビュー報告書を提出しております。八月八日、保安院はそれに対して了、大丈夫、安全というものを出しております。これは八月八日に保安院は大丈夫だと言っているわけです。  この定期安全レビュー報告書は極めて重要で、おおむね十年ごとに提出され、いずれのプラントも今回が初めての提出です。二年前に内部告発があり、一月に指摘があり、そして五月に指摘がある。そして八月七日の日は、東京電力は原子炉のひび割れについてすべて認めました。八月八日の日に、保安院は了、定期レビューはオーケーだと。十年ごとの定期この安全レビュー報告書で了、大丈夫というのを保安院は出しているんです。  保安院は二年前から知っていた。一月も知っていた。五月も知っていた。八月七日の日は、まあ東京電力は全面的に自供して、具体的に認めたわけです。次の日になぜ了という結果を保安院は出すんですか。保安院は東京電力とずっと話合いをしていました。五月もそうですし、一月からもそうですし、五月からはGEから指摘があるわけですから、話合いをしているわけです。  ずっと話をしていて、なぜ七日、全面自供の次の日に保安院は了と言うんでしょうか。これでは、国民そして地元を完璧に保安院が東電とぐるになってだましていると言えるのではないですか。
  220. 佐々木宜彦

    政府参考人佐々木宜彦君) 定期安全レビューの評価では、原子力発電所の運転経験の包括的な評価といたしまして、当該プラントを含めまして国内外の原子力発電所で過去に発生した事故、故障の経験など、あるいはプラントの運転管理、設備管理の改善に適切に反映されているかについて確認をいたしているところでございます。  今、先生御指摘の、保安院がいつ、何をどこまで知っていたのかということかと思いますけれども、現実には私どもが実際に個票の形でどのプラントにどういう問題があるかということについて情報を入手いたしましたのは八月七日でございましたが、五月の段階で幾つかの申告者が一部そのデータの改ざん等に疑問があるというような、同じようなものがほかにもあるということは我々確かに把握しておりましたけれども、それではいつ、どういうところでという具体的な情報はその時点ではまだ入手をしておりませんでした。  しかしながら、今、先生御指摘のように、現在東京電力の問題に関しましては厳正な今調査を進めておりますので、定期安全レビュー報告書につきましても、これを品質管理の面から当然直すべきところを直す必要はあると思っておりますので、今回の調査の結果によりまして定期安全レビューは当然、改訂また見直しをさせていただくということになります。
  221. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 今おっしゃったとおり、八月七日の日は具体的に全部知ったわけです、保安院は。で、次の日に出す定期安全レビュー、十年ごと、しかも初めての提出の報告書でなぜ了、問題なしというのが出るんでしょうか。
  222. 佐々木宜彦

    政府参考人佐々木宜彦君) その時点では、まだ具体的な状況は我々把握はできておりませんでしたから、そういう事実が仮にあれば、当然、定期安全レビューについてはこれは延ばさざるを得ないということではございましたけれども、その時点ではまだ嫌疑の様子が我々把握しておりませんでしたので、そういうことで一応、いろいろ事故の、プラントの事故の反映等、そうした面については定期安全レビューをその時点で了解をしたものでございます。
  223. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 いや、八月七日の日は、東京電力はすべて事実、どの原子力発電所のどこがどう問題か言ったわけです。次の日、次の日になぜ安全だというのを出すのか。せめてその発表を延ばすとか、しかもこれは突然、昨日今日降ってわいた話ではなく、二年前の内部告発、一月、五月があり、そして全面自供を東京電力がした次の日になぜ保安院がそういうのを出すのか。保安院が今後出す報告書は一切信用がないですよ。
  224. 佐々木宜彦

    政府参考人佐々木宜彦君) 東京電力は八月七日の時点でまだ社内調査の実施中でございました。二十九件というのは、八月七日に私ども、東京電力から提示をされましたが、なお現在調査中であります、ただ幾つかの点について、社内の調査の中でどうしてもこれはやはり疑いが濃厚というようなことを把握をしておりますということで我々に説明があったものでございまして、なお引き続き社内調査を徹底的にやるというお話を聞いておりました。
  225. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 東電の方から、疑いがあるので社内調査を徹底的にやると言われて、だったら調査を継続すべきじゃないですか。保安院もきちっと調査をすべきで、なぜ次の日に安全という初めての報告書を出すのかという保安院の態度そのもの、保安院は何のためにあるのかということが根本的に問われています。今の御答弁では全く納得がいかないので、また引き続き別の機会にでも質問させていただきます。  保安院は、東電も問題ですが、保安院もずっとこれは知っていたわけです。それで、例えば五月の段階でGEが、二十か所、どこと特定しなくても疑いがあるというふうに言った。これは法令違反です。ひび割れがあるのに、それを虚偽申告をするのは明確な法令違反である。法令違反の可能性があることをGEに指摘をされながら、なぜ保安院は現場調査など、あるいはGEに対して報告書を求め、東電に対して報告書を求めるということをされなかったんでしょうか。
  226. 佐々木宜彦

    政府参考人佐々木宜彦君) 繰り返しになりますけれども、五月時点では、申告があった案件以外にも不正記載等の事実が存在する可能性があるという情報をGEから確かに私どもは得ておりました。具体的な施設その他は、GEとしては調査中であるということで我々には具体的には示されませんでした。  八月に入りまして、先ほどの八月七日でございますけれども、東京電力が不正の可能性を認め、具体的な施設名を当院に開示をしてきましたことから、立入検査等により今現在調査を進めているところでございます。違法な行為が行われたか否かにつきましても、この調査の中で解明をしていきたいと考えております。
  227. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 虚偽記載はこれは明確に違法です。保安員は各原子力発電所に何人もおります。八人とか五人とか、現地に保安員はいます。なぜ五月の時点で、問題になった時点でもっと踏み込んだ調査をしないんですか。
  228. 佐々木宜彦

    政府参考人佐々木宜彦君) 五月の時点ではまだ不正が行われた可能性ということでございましたので、直ちにその時点で私どもの常駐いたしております検査官に指示をして、具体的にこういうところだから検査をしろというような指示ができる状態ではございませんでした。
  229. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 原子炉のひび割れはずっと以前から言われており、二年前にも内部告発があり、ずっと続いているわけです。チームも作っているわけですけれども、なぜ何にもしないんですか。全然現地調査もやっていないし、保安院は一体現地で何をしているのか。  しかも、繰り返しになりますが、東電が全面的に認めた次の日に安全という報告書をわざわざ作っている。保安院はぐるじゃないですか。地元と国民を欺いた共犯になっていますよ、これは。  それで、なぜ運転継続が今もってなされているんですか。
  230. 佐々木宜彦

    政府参考人佐々木宜彦君) 私どもは、東京電力からの提示を受けましてから直ちに状況判断をいたしたところでございますが、二十九件のうち、このうち十一件、八基でございますけれども、機器の取替えあるいは修理が未実施であるということが分かりました。この時点で私どもは、仮にひび割れ等が現存している場合に原子炉の安全性にどのような影響を与えるかの検討を直ちに行いました。その結果、直ちに原子炉の安全に影響を与えるものは含まれないことを専門家の意見も聴取した上で確認をしまして、八月二十九日に公表したわけでございます。  技術的に少しなりますけれども、炉心シュラウドにひび割れ等がある五件につきましては、シュラウドはそもそも炉心形状の維持という観点から、各炉心のシュラウドの溶接線について許容されるひび割れの長さについて評価を、米国の機械学会あるいは米国電力研究所で確立された評価方法などを用いまして評価を行ったところです。  また、私どもは、GEからその際直接ひび割れ等の原データを入手いたしまして、これを安全上厳しく評価を行い、その値が計算上許容されるひび割れの長さに達していないことを検証いたしまして、これによりまして直ちに原子炉の安全性に影響を与えるものでないことを確認いたしました。  また、ジェットポンプの固定用部品に未修理のすき間、摩耗が存在する五件につきましては、これも米国電力研究所などの評価方法を用いて評価をいたしましたが、振動による疲労等によってジェットポンプの主要部材が脱落する可能性は低いが、万一脱落した場合であっても検知し対応することが可能であり、安全上問題となるものではないことを確認をいたしました。  さらに一件、ジェットポンプの計測用配管の未修理のひび割れが存在する一件につきましても評価をいたしましたが、計測用の配管が破断した場合でも炉心流量は変化せず、原子炉圧力に影響を及ぼすものではなく、差圧の表示値の変動から異常は検知可能であるということで、安全上の問題となるものではないと評価をいたしました。  こうしたことで不正な記述等が事実とした場合であっても、これら八基、十一件の原子炉の安全に直接影響を与えるものは含まれていないということを確認することをまず優先をいたしたところでございます。
  231. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 保安院は現場も実物も全く把握していなくてなぜそう言えるのでしょうか。また、今おっしゃったように、もし計数上これは安全だということをされたのが八月二十九日だとしたら、八月七日の時点で東電が報告をして八月二十九日の間、安全かどうか分からないわけですね。保安院の立場に立ったとしても、安全解析により、安全かどうか分からないのに、さっき申し上げたとおり、次の日、八月八日には了というのを出しているわけですから、それも変だと思います。  東京電力はすべての電気事業者の中で優良な企業です。経済的にも安定しています。ほかの企業の原子力発電所はもっと老朽化しているものもありますし、東電が取り替えているにもかかわらず、他の電気事業者の原子力発電所は取り替えられていないものもあります。東電が今回問題だった。しかし、東電の原子力発電所にはすべて原子炉、ひびがあった。じゃ、他の企業の原子力発電所は危なくないのか。その調査は自主点検に任せていらっしゃいます。しかし、自主点検では駄目だということを立証したのが今回の東電の事件です。保安院が自主点検しろと幾ら各電力会社に言ったところで、捏造されているかもしれない、うそかもしれない、報告違うかもしれない。どう考えられますか。
  232. 佐々木宜彦

    政府参考人佐々木宜彦君) 現在、今後の再発防止の対策の中で、規制当局自身の規制の在り方として検査の制度の見直しもやらなければいけないと思っております。  シュラウドの件に関しましては、他の電力会社につきましても次回の定検時には国の検査官が直接立ち入ることにいたしております。  さらに、もう一方、東京電力以外の電力会社及び原子力関係事業者、下請等のメーカーあるいは元請のメーカー等に対しまして、このような不実なことがあるかないかについて総点検の指示をいたしたところでございます。九月の二十日には総点検の実施方法について私どもに報告があることになっております。  今、先生御指摘のシュラウドにつきまして、他の電力につきましては、現地の原子力保安検査官に対しまして、まずは記録の確認を行うよう指示をすることにしております。
  233. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 なぜ、今、立入検査をやらないんですか。つまり、東電の原子力発電所にすべてひび割れがあったんだったら、他ももしかしたら推して知るべしかもしれません。定期検査まで待つとしたら危ないと思うんですね。なぜ、今、立入検査をしないのか。せめてGEに対して記録を持ってくるように、その両方の照らし合わせなどが必要ではないですか。
  234. 佐々木宜彦

    政府参考人佐々木宜彦君) その意味では、現地におります原子力の保安検査官に、まず、一番至近年度でシュラウドの点検をしたときの当時の記録の確認、これは電力会社の記録と同時に、だれに行わせたもので、その原データがどうなっているか等の照合をまず記録において行うということから始めたいと考えております。
  235. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 自主点検では絶対に駄目だと思うんですね。だって、自主点検やったところで、偽造のものを出していたらそれは全然出てこないわけですから、保安院が何のためにあるのかと。原子力の安全のためにやるというところなのに、保安院が意味がないじゃないですか。  ですから、是非、今の段階できちっとほかの原子力発電所も調査をしてくれるように、改めて強く要望します。  次に、維持基準の導入なんですが、これは総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会の検査の在り方に関する検討会で、この中で、現在の原子力発電所の運転基準を変更し、傷やひび割れがあっても安全であると評価されれば運転を認めるという維持基準導入をするという中間取りまとめが今年の六月に出されました。しかし、ひどいことに、その中間取りまとめの検討委員会の特別専門員は、今回この不正の関与を自ら認めている東電の榎本副社長です。  つまり、保安院と東電は、原子炉のひび割れについて五月から、少なくとも五月からずっと話合いをし続けている。しかも、一月にもそれはあった。そのさなか、むしろ基準を緩和すべきだという検討会をやり、中間報告として、当の当事者、不正に関与していた東電の副社長が入っている中で、むしろ基準を緩和すべきだということの中間報告を出しているわけですね。つまり、悪い例えで言えば、犯罪を犯した人がどうやって自分の犯罪がチャラになるかと。要するに、不正が生じないようにするこの規制緩和が魔法のランプみたいな役割を果たすわけですね。  こういうのを保安院は十分知りながら、GEから警告を受けながらこんな中間報告をやっているという、それはいかがですか。
  236. 佐々木宜彦

    政府参考人佐々木宜彦君) 御指摘の総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会の設置しました検査の在り方に関する検討会は、原子力施設の検査の在り方について幅広い観点から検討を行うため、原子力や法律等の学識経験者に加えて、医療機器など他の産業分野の専門家、あるいは地方自治体の長、マスコミ、消費者団体等、様々な立場の委員に御参加をいただいて検討を行っております。  その際、電力会社や核燃料加工事業者など、規制を受けている原子力事業者の立場からの見解についても聴取した上で検討を行うことが有益であるとの観点から、御指摘の東京電力の副社長の榎本氏を含む六名の方に、委員ではなく特別専門員として御参加をいただいたところでございます。ただし、具体的な結論は被規制者から独立して中立的な立場から出されるべきでございますので、特別専門員は正式な委員ではなくて、議事においても議決権を有さないという運用をいたしました。  その結果、本年六月の中間報告書も正式な委員のみの議決によりまとめられたものでございます。特別専門員はもちろん議決に参加しておりません。また、中間報告書は公開の下で、またパブリックコメントも付しておりまして、国民から広く意見を聴取しておるものでございます。  今、先生おっしゃった中で維持基準とおっしゃいましたけれども、これはむしろ、ひび、そうしたクラックにおいて安全上の評価をどういう方法で検査をし、またそれを評価をするかというその方法論について検討しているものでございまして、こうした運転開始後の設備について、傷などについての欠陥につきまして許容される程度などについて定めた欠陥評価規格というのは米国の機械学会も策定しております。米国の規制当局は、この規格を安全規制の際の技術基準として受け入れているところでございます。また、ドイツ、英国、フランスなどでもこのような欠陥評価の規格が使用されております。  私どもは、このような諸外国の例も参考にして我が国の技術基準を検討しているところでございますが、決して規制緩和という概念ではなくて、規制の科学的合理性と技術的な根拠を明らかにしていく、望ましい方向に持っていくという考え方で従来から検討をしておったものでございます。
  237. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 実際、東京電力の原子炉のひび割れが具体的に指摘され、保安院と東電の間でその議論をしている最中に、それも疑惑が全く明らかにない段階でこういう中間報告を出すと。私はあえて規制緩和と言わせていただきますが、やるのは極めて問題で、この中間報告はその東電の全くの責任者が特別専門員として関与していたという点でも極めておかしいと、全く問題の渦中の人たちがやっていたわけですから。  その意味では、この中間報告は無効であり、白紙に戻していただきたいということも申し述べ、質問を終わります。
  238. 中原爽

    委員長中原爽君) それでは、他に御発言もないようですから、平成十一年度のうち、運輸省、建設省、北海道開発庁、環境庁、国土庁及び住宅金融公庫並びに平成十二年度のうち、国土交通省環境省及び住宅金融公庫決算についての審査はこの程度といたします。  次回の委員会は明十二日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十二分散会