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2002-08-08 第154回国会 参議院 決算委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年八月八日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員長異動  七月三十一日岩井國臣委員長辞任につき、そ  の補欠として中原爽君を議院において委員長に  選任した。     ─────────────    委員異動  七月三十一日     辞任         補欠選任      三浦 一水君     金田 勝年君  八月一日     辞任         補欠選任      金田 勝年君     三浦 一水君  八月七日     辞任         補欠選任      泉  信也君     月原 茂皓君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中原  爽君     理 事                 岩井 國臣君                 佐々木知子君                 中島 啓雄君                 川橋 幸子君                 八田ひろ子君     委 員                 加治屋義人君                 柏村 武昭君                 後藤 博子君                 月原 茂皓君                 藤井 基之君                 池口 修次君                 海野  徹君                 神本美恵子君                 谷  博之君                 辻  泰弘君                 風間  昶君                 遠山 清彦君                 山本  保君                 大沢 辰美君                 広野ただし君                 田嶋 陽子君    国務大臣        法務大臣     森山 眞弓君        外務大臣     川口 順子君        財務大臣     塩川正十郎君        厚生労働大臣   坂口  力君        農林水産大臣   武部  勤君        経済産業大臣   平沼 赳夫君        環境大臣     大木  浩君        国務大臣        (内閣官房長官)        (男女共同参画        担当大臣)    福田 康夫君        国務大臣        (金融担当大臣) 柳澤 伯夫君        国務大臣        (経済財政政策        担当大臣)    竹中 平蔵君    副大臣        内閣府副大臣   村田 吉隆君        総務大臣    若松 謙維君        外務大臣    杉浦 正健君        財務大臣    尾辻 秀久君        文部科学大臣  岸田 文雄君        経済産業大臣  大島 慶久君        国土交通大臣  佐藤 静雄君         ─────        会計検査院長   杉浦  力君        検査官      大塚 宗春君         ─────    事務局側        常任委員会専門        員        島原  勉君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       中城 吉郎君        内閣府政策統括        官        岩田 一政君        内閣男女共同        参画局長     坂東眞理子君        警察庁長官官房        国際部長     小田村初男君        警察庁生活安全        局長       瀬川 勝久君        総務省自治行政        局公務員部長   荒木 慶司君        法務省入国管理        局長       増田 暢也君        外務大臣官房長  北島 信一君        外務大臣官房領        事移住部長    小野 正昭君        外務省総合外交        政策局国際社会        協力部長     高橋 恒一君        外務省アジア大        洋州局長     田中  均君        外務省経済協力        局長       西田 恒夫君        財務省主税局長  大武健一郎君        文部科学省初等        中等教育局長   矢野 重典君        厚生労働大臣官        房総括審議官   長谷川真一君        厚生労働大臣官        房審議官     鈴木 直和君        厚生労働省医薬        局長       宮島  彰君        厚生労働省医薬        局食品保健部長  尾嵜 新平君        厚生労働省雇用        均等・児童家庭        局長       岩田喜美枝君        厚生労働省年金        局長       辻  哲夫君        農林水産省経営        局長       川村秀三郎君        農林水産省農村        振興局次長    北原 悦男君        経済産業大臣官        房審議官     小島 康壽君        国土交通省総合        政策局長     三沢  真君        国土交通省鉄道        局長       石川 裕己君        環境大臣官房廃        棄物・リサイク        ル対策部長    飯島  孝君    説明員        会計検査院事務        総局次長     関本 匡邦君        会計検査院事務        総局第一局長   石野 秀世君        会計検査院事務        総局第二局長   増田 峯明君        会計検査院事務        総局第三局長   白石 博之君        会計検査院事務        総局第四局長   重松 博之君        会計検査院事務        総局第五局長   円谷 智彦君    参考人        預金保険機構理        事長       松田  昇君     ─────────────   本日の会議に付した案件理事補欠選任の件 ○平成十一年度一般会計歳入歳出決算平成十一  年度特別会計歳入歳出決算平成十一年度国税  収納金整理資金受払計算書平成十一年度政府  関係機関決算書(第百五十一回国会内閣提出)  (継続案件) ○平成十一年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第百五十一回国会内閣提出)(継続案件) ○平成十一年度国有財産無償貸付状況計算書(  第百五十一回国会内閣提出)(継続案件) ○平成十二年度一般会計歳入歳出決算平成十二  年度特別会計歳入歳出決算平成十二年度国税  収納金整理資金受払計算書平成十二年度政府  関係機関決算書内閣提出) ○平成十二年度国有財産増減及び現在額総計算書  (内閣提出) ○平成十二年度国有財産無償貸付状況計算書(  内閣提出)     ─────────────
  2. 中原爽

    委員長中原爽君) ただいまから決算委員会開会いたします。  議事に先立ちまして、一言あいさつを申し上げます。  去る七月三十一日の本会議におきまして、本委員会委員長選任されました中原爽でございます。  皆様の御協力と御支援を賜りまして、公平、円滑な議事運営を心掛けてまいりたいと存じておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  この際、前委員長岩井國臣君から発言を求められておりますので、これを許します。岩井國臣君。
  3. 岩井國臣

    岩井國臣君 お許しをいただきまして、一言あいさつを申し上げます。  委員長在任中、大過なくその職責を果たすことができましたことは、ひとえに皆様方の御支援と御協力のたまものであると深く感謝申し上げます。  今後も引き続き本委員会審議に微力を尽くしてまいりたいと存じますので、よろしくお願い申し上げたいと存じます。  ありがとうございました。(拍手)     ─────────────
  4. 中原爽

    委員長中原爽君) この際、会計検査院長杉浦力君及び検査官大塚宗春君からそれぞれ発言を求められておりますので、これを許します。会計検査院長杉浦力君。
  5. 杉浦力

    会計検査院長杉浦力君) 去る八月二日に会計検査院長を拝命いたしました杉浦でございます。  現下の財政事情、大変きついところでございますが、このときに当たりまして、各省庁等で行っております行政事務やあるいは業務、こういったものが適切にかつ経済的、効率的に行われておるかどうかという点につきまして、国民皆様方の視点を基に、あるいはここにおられます先生方の御教示を前提にいたしまして、私ども会計検査院業務運営に、微力ではございますが、誠心誠意尽くしていくつもりでおります。  今後とも、どうぞ皆様方の御指導、御鞭撻をよろしくお願いいたしたいと思います。  ありがとうございました。
  6. 中原爽

  7. 大塚宗春

    検査官大塚宗春君) 七月三十一日付けをもちまして検査官を拝命いたしました大塚でございます。  微力ではございますが、最善の努力をもちましてこの重責を果たしていきたいと思っております。  どうぞ今後ともよろしく御指導、御鞭撻お願いいたします。  どうもありがとうございます。     ─────────────
  8. 中原爽

    委員長中原爽君) 委員異動について御報告いたします。  昨日、泉信也君が委員辞任され、その補欠として月原茂皓君が選任されました。     ─────────────
  9. 中原爽

    委員長中原爽君) 理事補欠選任についてお諮りをいたします。  委員異動等に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 中原爽

    委員長中原爽君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事岩井國臣君及び中島啓雄君を指名いたします。     ─────────────
  11. 中原爽

    委員長中原爽君) 平成十一年度決算外二件及び平成十二年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は全般的質疑第二回を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  12. 川橋幸子

    川橋幸子君 百九十二日間の長い国会が終わりまして、ようやく休暇が来たかと大臣、思われたかも分かりませんが、今日が参議院決算委員会総括的質疑、いよいよ参議院決算委員会の出番でございます。どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。  さて、去る七月三十一日に平成十三年度決算計数、概数が確定いたしました。これを見ますと、税収見込みが、年度途中にかなり大きな減額補正されたにもかかわらず、年度後半の減収額が更に大きくなっておりまして、当初予算に比べますと三兆円近い減収ということで報告されております。これは、やはり誤差の範囲、あるいは様々異常な事態ということをおっしゃると思いますけれども、余りにも大き過ぎるのではないかと私は考えます。  税収の正確な見通しといいますのが来年度の国の予算編成前提条件になってまいります。今ちょうどその概算要求のシーリングで、内閣としても判断するタイミングの時期にあるわけでございますけれども財政危機が叫ばれております中で小泉総理財政再建に熱意を燃やしておられる。そうなりますと、やはり今後の税収見通し精度を向上させることが大変重要かと思います。財務大臣総括的な御答弁お願いいたします。
  13. 尾辻秀久

    ○副大臣尾辻秀久君) 御指摘のとおりでありまして、十三年度税収につきましては、当初予算時の見積りから二兆八千億近く、それから、お話しのように、補正後からいたしましても一兆七千億近く下回る結果となりました。  これは、この大きく見積もった精度をどうするかということでございまして、十三年度につきまして申し上げますと、法人税減収が一番大きいわけでございまして、米国同時多発テロを契機とするその後の景気の急激な悪化などによるものと判断いたしております。こうしたことを今後の教訓にしたいと思っております。  今後の精度を上げるためにどうするかという御質問でございますけれども、この作業、大きく二つあるとお考えいただければと思います。  一つは、見積り時点までの課税実績を踏まえて行うものでありまして、具体的に言いますと、例えば十四年度見積りをどうするかといいますと、十三年度実績に対して、税収に対して、経済指標などを掛け合わせて出してくるという作業でございます。それからもう一つは、各種ヒアリングを積み重ねるという作業でございます。  したがいまして、精度を上げるということになりますと、経済指標を正しく見積もるという作業一つありますし、もう一つ各種ヒアリングを密にやるという作業がございます。  申し上げましたように、経済状況が変動する際にはいろんな予想し難いことが起きることは避け難いわけでございますけれども、今申し上げたようなものを更に細かく積み上げることによりまして、精度向上に今後とも一層努力していきたいと考えております。
  14. 川橋幸子

    川橋幸子君 財務大臣に改めてお伺いいたします。  これはテクニカルな問題とは少々違うと私は思います。過去の計数を伸ばすだけではない、小泉総理改革なくして成長なしとおっしゃって大変財政再建について意欲を燃やしていらっしゃるときに、次年度政策意思を考えながら、結局、税収不足が出てくればこれは国債に頼らざるを得ないと、このような形になるわけでございますけれども、これからのやはり経済運営に対する内閣の判断というものが税収見積りの中にも入ってくるわけでございますね。  そうした内閣政策意思ポリティカルウイルと、片仮名で言うとこういうことのようでございますけれども、そうした問題について財務大臣からしっかりとした御答弁をいただきたいと思います。
  15. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 要するに、十二年度税収が思わぬ誤算が起こったということでございました。これは十三年度に響いてまいったわけでございますね。  その十二年度の業績をずっと見ました場合に、やっぱりIT産業活況化が一挙に不況に陥っていったという、それがあると思っております。それが影響してきておると私は思っておるんです。
  16. 川橋幸子

    川橋幸子君 十二年度は持ち直したんですけれども、十三年度でがくっと減ったんです。
  17. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) だから、十二年度の業績不振が出てきたことと、それから十二年度で、例えば退職金積立金だとかいろんな制度を会社の企業内でやりましたが、それが全部、十三年度で清算しようとした、そういうことがございます。  それから、消費税も思わぬ落ち込みをしましたんですけれども、これはやっぱり物価値下がり分が確実に数字に出てきておると思っておりまして、物価値下がり分を私はもう少し厳しく見ておくべきだったと思っておりますが、要するに通年度で、十二年、十三年度通年度でやってまいりました決算の結果が出てまいると。したがって、十四年度見積りをしますときには、十三年度だけではなくして、その過年度からのずっと経過を精細に、先ほど副大臣が申しましたように、積み重ねをした上で十四年度を計算していったということであります。
  18. 川橋幸子

    川橋幸子君 十二年度は、実はこれは三兆四千七百八十億円の増収だったんです、当初見込みに対してですよ。全体の税収は、ずっとこのところ、なかなか、景気デフレ不況の下で低迷しておりますけれども、十二年度については予想外増収だったと、株価が持ち直したと。それから、十三年度については二兆七千六百四十四億円の減収ということで、過去を積み重ねるということは大変必要でございます。  決算審査はそういう意味があるわけでございますね。過去を見ながら、将来の数字政策運営財政運営をしっかりさせるという、そういう役割を持っているわけでございますので、ちょうど予算編成時期でもございまして、もう数字は出ているようでございますけれども財政再建のために当初のしっかりとした責任ある見通しお願い申し上げまして、次の質問に入りたいと思います。  次の質問は、参議院における決算重視という、そういう問題についてお伺いしたいと思います。  冒頭申し上げましたように、開会中にはなかなか決算委員会が開かれない。私は、これはやっぱり、何というんでしょうか、決算委員会の地位が随分低下してきているんじゃないかと、このように思うわけでございます。  二院制の下で、参議院役割としては決算重視ということが度々言われておりまして、今年三月に発足いたしました参議院改革協議会でも、この課題というものが大きな焦点になっているわけでございますね。  しかるに、決算審査は建前と現実との乖離が本当に大きくなっておりまして、これほどまでに大きくなっている。こういう虚像と実像のギャップを私はどう国民に説明していけばいいのか、一議員として考えても言葉がないような気がいたします。  今国会一回も委員会が、予備費審査、これは議決を要するということで与党の方が大変急がれまして、私ども協力してやったわけでございますけれども、それだけであって、そして今、閉会中の審査が始まったということでございます。  この間、決算委員会の場合は、決して休んでいたと、休憩していたとか、こういうことはないわけでございます。この半年振り返りまして、いかに参議院決算重視姿勢を示すか、そして充実した審査を行うことができるかということを議論してまいりました。  今日は理事懇をこの委員会が終わりました後に開催いたしまして、そして私ども、内々の話では理事懇としての意思委員長の方から、新しく就任されました中原委員長の方から官邸の方に御要望さしていただくと、このようなことが予定しているわけでございます。  そこで、一つお伺いしたいと思います。  半年間の熱い理事懇やっていたわけでございますが、終盤になりまして、ある与党理事の方が、官邸総理出席お願いしたところ、決算審査は過去の内閣責任についての質疑であるので、現内閣責任は負わないんだと、したがって締めくくり総括総理委員の意見を聞けばよい、聞きおけばよいという、そういう趣旨のことをおっしゃいまして、理事懇が一時パンク寸前状況になったのでございます。  そこで、官房長官にまずお伺いしたいと思います。内閣には継続性があると思いますが、過去のことについて、先ほども予算編成については過去をよく見るんだと財務大臣おっしゃってくださったばかりでございますけれども、過去の問題については責任を負わないというような、このような考え方というのは、官房長官、本当に官邸の方でそのようにお答えになったんでしょうか。そのように報告されていました。事実でございますか。
  19. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 過去の内閣のことについて現内閣責任あるかどうかということにつきましては、これ今の、与党三党の連立政権でございますけれども中心的には自由民主党がその中心的な立場で責任を負って政権運営をいたしておるわけでございます。過去も自由民主党中心であった政権であれば、やはりそれは責任が全くないというわけにはいかないことだというように思います。それは、そのときの内閣責任を負うべきもの、また継続して責任を負うべきもの、いろいろあると思います。  一般論として言えば、同じ自由民主党として継続してその責任を全うしていくというのは、これは政治姿勢として妥当なものであるというふうに考えております。  また、官邸で過去のことについて責任はないというようなことを話したというようなことでございますが、私、確認いたしておりません。断片的な話としてそういうふうなことがあったかもしれませんけれども、私の今のお答えが正当なお答えであると、こう考えてください。
  20. 川橋幸子

    川橋幸子君 官房長官も何か苦笑いなさってお答えになるという状況でございますので、本当にこれがいかに暴論であるかはもう説明するまでもないということかと思います。  本当に、新委員長就任されまして、先ほどこの委員会運営に対する姿勢をお述べいただきましたし、また前委員会委員長も引き続き筆頭にお残りいただいておりますので、本当にこれからはスムーズな審議ができるかと思います。  財務大臣の方からも一言、側面的な御答弁ちょうだいしたいと思います。新委員長官邸の方にこれから行きまして、総理出席について私ども求めておりまして、これは理事懇総意としてお願いに上がることになると思いますので、財務大臣の方からも、もう官房長官は先ほど伺いましたので多分誠意ある対応をしていただけると思います。塩川大臣から。
  21. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私は、総理はやっぱり総括のときに、決算総括のときには総理が出席するのが私は正当だと思っておりまして、といいますのは、決算行政を実行したそれに対する検討をしていただいておるのでございますから、それは各省が責任を持って答弁し、対応を取っていくべきであると思っておりまして、その上に立っての総括質問総理に、いわゆる内閣責任に持っていけばいいと思っておりまして、それが習慣でずっとやってまいりました。  ですから、必要なときは総理も出席するだろうと思っておりますが、私たちは努めて決算委員会に出て御答弁申し上げたいと思っております。
  22. 川橋幸子

    川橋幸子君 総括質疑というのは最後にもございますけれども、一番前にもございます。政府政策運営責任というものが明確に表示される、過去の問題だとしましても、説明責任というものがございます。塩川大臣最後に何か随分スカートを引っ張られたような気がいたしますけれども、こちらの理事懇総意については御対応お願いしたいと思います。  さて、それでは、時間もございませんので、次の私の質問したい課題に入ってまいりたいと思います。  私は一般常任委員会では内閣委員会に所属させていただいておりまして、官房長官担当大臣でいらっしゃいまして、何回か質疑をさせていただいております。そのときの問題意識は、中央省庁再編されて内閣主導の大変機動的、効果的な意思決定を行うんだと、それが中央省庁再編の哲学といいましょうか、理想であったわけでございます。それがどんなふうに変わったのかというものを官房長官には絶えず伺わせていただいているわけでございます。  そうした観点から何問か伺わせていただきたいと思いますが、まず、七月十六日、内閣官房長官内閣委員会における答弁でございますが、従軍慰安婦に関しての質問をさせていただいているときに、同僚議員田嶋陽子さんから、戦後処理問題をまとめて所管する担当部署内閣官房あるいは内閣府において必要だと、こういう考え方もあろうかと思うので早急に検討したいというふうにお答えいただきました。  この点で、私ども大変評価できると考えておりますが、今概算要求の時期を迎えておりますが、その後のその早急な検討検討結果を伺って、どのような態度で要求していただけるのか、お伺いさせていただきます。官房長官
  23. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 戦後処理問題ということでどういうような政府としての対応をするかと、こういうことであります。  このことについては、いろいろな議論がございます。基本的には関係省庁が各々の所掌に従って担当しておるところでありますけれども、例えばいわゆる従軍慰安婦問題、これは、アジア女性基金については内閣官房で密接な関係府省との連絡の下、特に外務省中心となっておりますけれども、そういう政府間の調整をしながら必要な対応を行ってきておるところでございます。非常に複雑多岐にわたります戦後処理問題、これは全般的なことでありますけれども、今後とも内閣官房が必要な総合調整機能を果たしていくと、こういう考え方をしております。  また、個別具体的な問題の処理につきましては、それぞれの関係省庁において処理することが適当と考えてはおりますけれども関係者からのお話をきちんと承って行政として責任ある対応をしていくと、こういう上でその担当部署の設置の必要性も考えなければいけないということで、目下検討しておるところでございます。
  24. 川橋幸子

    川橋幸子君 今がその時期でございますので、是非早急な検討お願いいたしまして、国全体としての戦後処理問題について窓口をしっかり、受皿をしっかり置くということをお願いして、次の質問に移ります。  さて、厚生労働大臣にお伺いしたいと思います。  厚生労働省のパートタイム研究会の最終報告が七月十九日に発表されたところでございます。この件に関しましては野党の超党派の議連ができておりまして、パートタイム労働者等の均等処遇を実現する議員連盟と申します。その議員連盟で、研究会に対する意見の取りまとめに対して議連としての御意見をお伝えさせていただいて、七月一日でございますが、シンポジウムを開いた上で意見書をまとめて、そして坂口大臣のところに当日行きまして手渡させていただいたということでございます。  まず、坂口大臣の方からの今回の最終報告に対する大臣としての御見解と、それとこれからの取組についてお伺いさせていただきます。
  25. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) パートタイム労働研究会、精力的に今まで御議論をいただいてまいったところでございますが、今御指摘いただきましたとおり、七月の十九日、その最終報告を発表をしていただいたところでございます。  その中では、正社員かパートかにかかわらず、働きに見合った公正な処遇を実現していくことの重要性をその中で御提言をいただきました。これを進めていきます上で、このことは非常に各方面に大きく影響を与えるものだというふうに思っております。  一つは、ワークシェアリングの問題が現在進行中でございますが、とりわけその中で多様就業型のワークシェアリング、これから御議論を重ねていただくわけでございますが、それを進めていく上におきましてもこの考え方というのは一番影響のあるところだというふうに思っておりますし、また少子化への対応を考えましたときにも、正社員かパートかにかかわらず、働きに見合った公正な処遇、このところは非常に大きな影響を与えるところだというふうに思っているところでございます。その実現のためには、パートの処遇のみならず、これは正社員としての処遇をどうあるべきかといったことも併せて今後検討をしていただかなければならないというふうに思っている次第でございまして、そうした論点、更にこれから深めていきたい、そういうふうに感じているところでございます。この最終報告を踏まえまして、我々、一層その努力を重ねたいと思っております。
  26. 川橋幸子

    川橋幸子君 働きに見合った処遇をする、そういう点で、最終報告がその方向をはっきり打ち出されてこれから取りまとめに入っていかれる、その方向は評価するわけでございます。初めて均等処遇原則タイプも法制化へのタイプの一つとして指摘されたことは評価するわけでございますが、法改正につきまして大変歯切れの悪い表現になっているわけでございます。  パートタイム労働法ができましたのはちょうど今から十年前ぐらい。その十年間にパートタイム労働法につきましては、フルタイマーとパートタイマーの均衡処遇について検討検討検討と、この十年間、検討検討検討を繰り返されているわけでございます。ここでまた法改正について熱意を持っていただけませんと、更なるまた十年がたつのではないかということを私どもは危惧しているわけでございます。  働き方に見合った処遇、同じ価値の働き方に対しては差別をしないということは、これは私は、労使関係問題以前に人権の問題でございまして、労使関係の中でもこうした人権の問題というのは無視できないというふうに考えます。企業内でこうした人権の視点を浸透させるには、これは民法の公序良俗だけでは対応し切れない、やはり立法の面でそこを担保しなければいけないと考えております。同じ価値の労働に対して差別をしない、人権の問題だと思いますが、坂口大臣、いかがでしょうか。
  27. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 先ほど申しましたように、この問題は各般にわたりまして非常に大きな影響を与えるところでございます。そうした問題との関連もよく吟味をいたしましてこれから更に煮詰めていかなければならないというふうに思っておりますが、現在のこの法律の中でどこが今まで適合をされてきたのか、何が足りないのかといったことの整理が必要でございます。また、新しいこれからの状況を考えましたときに、ワークシェアリングの話にいたしましても少子化の問題にいたしましても、そうした中でどういう方向付けをしていくかということの議論が必要でございまして、それを今更に進めているところでございます。そうしたことの整理をまず行うということが先であろうかというふうに思っておりまして、現在それを行っているところでございます。
  28. 川橋幸子

    川橋幸子君 この問題につきましては官房長官にも内閣委員会でこれまでお尋ねしているところでございます。  内閣主導行政運営の中に男女共同参画会議を設けまして、個人のライフスタイルの選択に対して税、社会保険あるいは賃金制度などが中立的でなければならないということから、男女共同参画社会基本法の四条、十五条と十八条に照らして、初めての仕事としてジェンダーフリーの社会の形成について努力されているわけでございます。  先日の内閣委員会でお尋ねしましたのはこういう論点でございました。税、年金等の社会保険、それから現役中に働いているときの賃金、これは政策パッケージではないか、この三点について影響調査を男女共同参画会議の方でやっているにしては、今のところ税と年金等の指摘はございますけれども、雇用システムの変革については影響調査はほとんど触れておらないに等しいと、このようにお尋ねしたところ、官房長官の方から、全体的に検討は遅れているかもしれないけれども、これから一生懸命やってくださるという、そういう趣旨の御答弁をちょうだいしたことがございました。スピードアップして、できるだけの努力をして前向きの施策にしていきたい、正確にはそういう表現でお答えいただいたわけでございます。  厚生労働省の方の最終報告が明らかになったところで、これから、男女共同参画会議、それを担当される大臣として、官房長官の見解と内閣としてのこの問題についての取組をお答えいただきたいと思います。
  29. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 男女共同参画社会を実現するという観点からは、正社員とパートタイム労働者の均衡を考慮した適正な労働条件の確保とか雇用管理の改善を図るということは、これはもう非常に重要な課題一つであることは委員も御指摘のとおりでございます。また、そういうことで、この男女共同参画基本計画においても具体的な施策としてパートタイム労働対策の総合的な推進を盛り込んでおります。  男女共同参画担当といたしまして、この男女共同参画会議の影響調査、また監視等の機能を活用しまして関係施策の進捗状況を把握して今後十分にフォローしてまいりたいと、このように考えております。決して遅れることのないように努力をしてまいりたいと思っておるところでございます。
  30. 川橋幸子

    川橋幸子君 既に影響調査は経済財政諮問会議の方にも報告されて検討されていると、このように伺っておりますが、来年度予算編成に当たって、政府税調の方では配偶者特別控除を廃止するとか、あるいは年金の方につきましては厚生労働省の方の検討も受けているのでしょうか。六十万ぐらいに適用基準を緩和する、今百三十万円の収入でございますけれども、それを緩和すると。こうなって、何かこちらから見るといいところだけつまみ食いされているわけですね。税収が上がるだろう、あるいは年金のカバレッジ、適用対象が広がっていくだろうと。  しかし、現役中の賃金がそのままでは、私はこれは片手落ち。結局、例えば年金等の適用基準を六十万ぐらいに緩和するとすれば、今でも百三十万の壁と言われておりますけれども、それをにらんで雇用調整する、今でも企業の方はそれを理由にして適用しない。要するに、年金についてフリーライドしていると見られるわけでございます。更に細切れ、掛け持ちパートが増えるのではないか。細切れにしていけば、社会保険適用しないで済むわけですね。そういう問題があります。  是非これは、三つはパッケージであると。これからの働く人々の生活、どのように自立して自分のライフスタイルを選択していくかという、三つはパッケージなんだということをよく御認識いただきまして、遅れないようにしますと言っていただきましたので、そのようにお願いしたいと思います。  次に、公務職場におけるパートタイム労働者、非常勤・臨時職員の均等処遇問題について総務省の方にお尋ねしたいと思います。  私どもパート議連の見解では、いろいろヒアリングを重ねましたら、この問題はどうも公務部門にも大きな問題があるということがはっきりいたしました。今まで、公務部門というのはそう業務の繁閑がないんだから、フルタイム、正規公務員でもって公務職場は成り立つと、そういう思い込みがあったわけでございますけれども、この問題はむしろ、財政逼迫の折から、地方公務員のみならず国家公務員の中でも非常勤・臨時職員、そしてパートタイム労働者の問題が増えてきているわけでございます。公務職場においても、賃金、様々な処遇の均衡の問題が大きくなってきているわけでございます。今日は総務省にしか質問を出しておりませんので、数の上で多い地方公務員の問題について、地方公務部門のこうした問題についてどのように把握されているのか、お尋ねしたいと思います。
  31. 若松謙維

    ○副大臣(若松謙維君) 地方公共団体でのパートタイム労働者等の均等処遇に向けた取組状況のお尋ねでございますが、地方公共団体が簡素、効率的な組織を維持しつつ行政ニーズの変化や多様化に的確に対応するためには、事務の種類や性質に応じて臨時・非常勤職員を活用することは非常に有効な方策と認識しております。  そして、臨時・非常勤職員の給与その他の勤務状況等につきましては、地方自治法、地方公務員法を始めとします諸法令の定めのところによりまして、勤務の形態や職務内容に応じまして、民間における状況等を勘案しながら、各地方公共団体において決定されるものと理解しております。  同一価値労働について同一賃金が支払われるべきとするいわゆる均等処遇の考え方につきましては、何が同一価値労働なのかにつきまして、今、民間部門等におきまして種々議論があると承知しておりまして、これを直ちに地方公務員に当てはめることは難しいのではないかと、そのように考えております。  いずれにいたしましても、臨時・非常勤職員の給与その他の処遇につきましては、昨今の大変厳しい社会経済状況におきまして、国民の理解と納得の得られるよう、国家公務員や民間部門の動向も踏まえつつ、適切に対処すべきものと考えております。
  32. 川橋幸子

    川橋幸子君 この問題につきましては、十三年十月、去年の秋でございますが、総務委員会で同僚の八田ひろ子委員の方も総務大臣に尋ねているわけですね。総務大臣のそのときのお答えは、それぞれの地方団体の御判断で実際やってもらうしか仕方がないというような、大変投げやりなといいましょうか、私に言わせるとそういう感じのお答えがあったわけです。  今の御答弁ぶりも伺っていますと、日本の経済がどう変わり、日本の労働市場がどう変わり、そうした中で安心、安定のネットワークがどう張られて、社会保険も財源的には破綻することがないようにすると、こういう問題意識がまるで欠けているとしか言えないんですね。  どうでしょうか。財務大臣、うなずいていらっしゃいますけれども、民間、公務通じて、これは労働市場の構造改革、小泉内閣がおっしゃる構造改革の一番大きな人間の生き方、働き方の問題でございます。そうした問題について、財務大臣、うなずいておられましたので、一言御見解を伺いたいと思います。
  33. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) おっしゃる、指摘される問題は非常に重要な問題であって、数年来この問題が給付と負担というテーマの下で考えられてまいりました。これは結局、健康保険も、すべて保険関係もそうでございますが、原因者負担としての保険料で負担するのか税金で負担するのかという、こういうこともございますし、そしてまた、その負担に対してどの程度のサービスを提供するかという根本の問題ございまして、この秋以降におきまして、内閣府に設置されました経済財政諮問会議、ここでこの問題を重点的に取り上げて検討し、国民に問うてみたいということを考えておりまして、その場で議論をさせていただきたい。なかなか早急には出てこないと思いますけれども、広く意見も聞いて議論したいと思っております。
  34. 川橋幸子

    川橋幸子君 ここに、これは三菱総研の、シンクタンクの調査結果でございます。たまたまウェブサイトで入手したばかりでよく中身は見ていませんけれども、パートの賃金の話になりますと必ず出てまいりますのが、事業主の保険負担が高くなると。大手スーパー業界、試算してみたら九十億増えるというような新聞記事がかつてございました。先ほどフリーライドと私申し上げましたけれども、これは負担が増えるから大変だ、九十億、またコストが、人件費が掛かるんだと。逆に言えば、私は、それじゃ今までそれを払わないで済ませてくるから年金財政等々が逼迫してくるのではないかと、こういうことを申し上げているわけでございますが。  このシンクタンクの報告は、かいつまんで言いますと、コストは上がるかもしれませんが、少々上がるかもしれませんが、それによって雇用増があり、あるいは個人消費が上向き、全体としてプラスになるんだというのがこのシンクタンクの報告なんですね。  今のところ、事業主の負担が増える、あるいは、よく言う、俗論として言われておりますのが男性の賃金が女性の賃金によって食われると。だれが得で、だれが損だという非常に何か自己保身的な議論だけで進んでいる。ここはやっぱりマクロ経済の中でしっかりこれからの経済運営についてのシステムを御検討いただいて、経済財政諮問会議の方でもこのパートの問題については十分早急に御検討いただきたいと思います。  さて、それでは女性の関係で、国際条約の批准の問題を伺わせていただきます。  ILO第百七十五号、パートタイム労働条約と、同じく第百十一号、雇用、職業の差別待遇を禁止する条約の早期批准について伺いたいと思います。パート議連の意見書でもこの二条約の早期批准を求めたわけでございますが、古い方の条約から伺います。  百十一号条約というのは、何と一九六〇年発効しておりまして、既に百五十六か国が批准、未批准は日本とアメリカのみと言っていいぐらいな、そういう状況になっております。先日来日いたしましたILOのスウェプトンさんとおっしゃる雇用、職業の担当部長でございますけれども、百十一号条約はILO主要加盟国のほとんどが批准しており、日本が批准していないのは大変残念だと、このようにコメントされて帰ったわけでございます。これこそ、古い言葉で言えば国辱ではないのでしょうか。  まず、この百十一号条約の批准について、これはどちらの大臣にお伺いするのが先でしょうか。まず、それじゃ川口大臣にお伺いします。
  35. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) この百十一号条約の内容については、もう委員よく御存じのことでございますけれども、この問題、我が国の締結についての問題というのは、国内法令上これが十分に担保されているかどうか。  この条約は非常に幅の広い問題について扱っているわけでございまして、例えば雇用、職業における人種、皮膚の色に基づく差別というものがあってはならないということもございます。こういった幅の広い差別の禁止が国内法上十分に担保されているかどうかということについて更に検討をする必要があるということでございまして現在未批准になっているわけですけれども、この条約については今後引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。
  36. 川橋幸子

    川橋幸子君 内容よりも、そういう国際条約の批准というのは、私は日本外交の一つのプレゼンスの在り方だと思っているんです。日本、アメリカだけと、このような未批准の国が、状況をどう考えるかということを私はお答えしていただきたかったと思うわけでございます。  時間を少々過ぎておりますので、百七十五号の方は飛ばします。百七十五号条約、パートタイム労働条約につきましては、参議院の外交委員会では早期批准を求める請願を採択しておりまして、そして続く参議院会議、さきの国会でございます、全会一致で請願が採択されて内閣に送付されているわけでございますので、早急にその検討、既にもう行政の方では検討しているというふうに伺っていたんですけれども、今から検討するというような、そういう大臣お答えでございましたので、内閣の中で是非この問題はしっかりと次期国会に批准案件の提出をお願いしたいと要望して、次に移りたいと思います。  さて、女子差別撤廃条約の選択議定書でございます。個人通報制度が規定されている条約ということでございますけれども──やっぱり質問の仕方がうまくいかなかったようで官房長官に逃げられちゃいましたけれども、ということで私の方が悪かったというふうに思っております。  さて、この条約の締約国は四十二か国に及びました。今までは他国の状況をよく見たいというようなことを言っておられたわけでございますけれども、既に四十二か国に及んでおりまして、アジア諸国では批准が少ないからというようなことも言われたと思いますけれども、アジア諸国の中でもタイを始め四か国、インドネシアも署名しているようでございますので、その数は徐々に増えてきている。しかし、まだ日本は署名をしていないと、こういう状況でございます。この選択議定書の早期批准を求める請願も、さきの、先日閉会いたしました百五十四国会参議院の外交防衛委員会では採択されておりまして、本会議でも全会一致で採択されたところでございます。  女子差別撤廃条約の採択に当たりましては、日本の政府はこれまでの態度を変えまして反対票を投じず、国際社会の中で孤児になることだけは避けられたようでございまして、賛成票を投じております。そして、この条約実施の効果的な担保を図るためには注目すべき制度だというふうに評価はされているのですけれども、いつも批准となると後ろ向きの答えということになるのでございますが、是非、川口大臣、この問題についてしっかりとした前向きのお考えをお伺いさせていただきたいと思います。
  37. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) これにつきまして、委員が今おっしゃいましたように、非常に注目をすべき制度があるというふうに考えています。  これは、中身は何かといいますと、個人通報制度というものが定められているわけでございまして、これが条約の実施の効果的な担保を図る上から注目すべき制度であるというふうに考えておりますけれども、これについては、司法権の独立の問題を含めまして、我が国の司法制度との関係で問題が生じるおそれがあるということで慎重に検討をすべきであるという指摘もございますので、現在のところまだ締結をしていないわけでございますけれども、この女子差別撤廃条約選択議定書につきましては、その締結の是非につき真剣かつ慎重に検討をしているところでございます。
  38. 川橋幸子

    川橋幸子君 今、川口大臣が個人通報制度のことにもお触れくださいましたけれども、個人通報制度を持っている条約で大変批准国数が多い、発効しましてからこれも三十年近い年月がたっている人権B規約の選択議定書というのがございます。  私事ですけれども、私、当選して十年になるわけでございます。どうしてこれが批准できないのだろうか。これもアジア諸国の批准も多うございますし、先進国の中で未批准国というと日本のほか米、英のみなんですね。  司法制度の独立というのは日本だけに限ったことではございませんですし、最近の状況から考えますと、経済問題についても様々国際機関に提訴する道も開かれてきている、非常にグローバルな問題でございます。どうして日本では、日本だけが司法制度の独立をこう問題にしなければならないのかとお思いになるか、外務大臣に伺います。
  39. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 今、委員がおっしゃいましたB規約選択議定書、このほかにも人種差別撤廃条約、そして拷問等禁止条約が個人通報制度については定めているわけでございまして、先ほど申しましたように、我が国の司法制度との関連で問題が生ずるおそれがあるということでございまして、例えば、係争中の案件がございましたときに個人が委員会に通報をするということがあったときに、その結果がその係争中の司法、司法の場で係争中の案件に影響を与えるおそれがあるということで、司法の独立を含めて問題が生ずるおそれがあるという、そういう観点で今のところこの個人通報制度については締結をしていない、あるいは締結をしていてもこの部分については我が国は宣言を行っていないという、そういう状況にあると、これが難しいと申し上げている点でございます。
  40. 川橋幸子

    川橋幸子君 お戻りいただかなくてそのままいただいてもよろしいのですけれども。  なぜ我が国だけが我が国の司法制度の独立との関係で問題があると。ほかの国ではこういう議論というのは聞かれないわけですね。それから、批准国数も大変多いと、全部で百二か国ですか、に及んでいるんです。大臣個人のお考えで結構ですけれども、なぜ、司法制度の独立というのはどの国の国家主権とも関係いたします。なぜ我が国だけがこういう答弁になるのか、そこを伺いたいと思います。
  41. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) それぞれの国においては司法権の独立についての考え方についてそれぞれの立場で考えていると思います。我が国の立場については、先ほど申し上げたようなことで我が国では議論がなされているということでございまして、ほかの国に比べて我が国だけどうしてそこが問題になるのかというのは、正に我が国としてはそう考えているということ以外ちょっと申し上げようがないということでございます。
  42. 川橋幸子

    川橋幸子君 川口大臣は大変苦しい答弁だと私は思います。これは、本当に日本の司法の一国主義としか言いようのない問題だと思います。是非、内閣全体としても、今日は担当の法務大臣おいでじゃございませんので、司法制度改革の一環として日本の司法の国際化に御努力いただきたいと。もうこれ以上伺っても仕方がございませんので、やめておきます。  さて、時間が、質問した項目がなかなかスムーズに進みませんでした。最後に一問だけ、ODAの在り方についてお伺いさせていただきます。  来年度予算要求の時期に当たりまして、ODAも一〇%、二年続けて減額するというようなお話がございまして、川口大臣はそれに対してODAは日本外交の重要なツールなのでせめて現状維持したいと、このようなお話があるわけでございます。今、貧困撲滅というものが非常に大きな課題になっているわけですね。そして、ヨハネスブルクのサミット、リオ・プラス10のサミットが秋に始まろうとしている。そういう中で、ヨーロッパもアメリカもむしろ貧困撲滅のためのODAは倍増するんだと、そのぐらいのプレゼンスを示しているわけでございます。  官房長官おいでにならなくなりましたけれども、七月十六日の内閣委員会では、国内事情、財政事情だけのそういう減額について、我が国外交のプレゼンスとして問題があるというようなことを発言しておられます。新聞記事を見ますと、総理発言でございますが、国民の中にはこれだけ日本国内が苦しいときになぜODAをしなければならないのかという、そういう意見がある、その点に配慮しながらODAの重要性を国民に理解してもらう必要があると。私は、大変他人事のコメントだと思います。外交は首脳外交が一番大きなものでございまして、総理のこの一言、むしろ御自分が率先してODAの必要性を説かれなければいけない、そういう時期にあるわけでございます。  そこで、財務大臣、いかがでしょうか。私は、貧困撲滅のためのODAというのは日本としては本当にこれから貢献していかなければいけない、アフガンでも貢献された、そうした日本の外交のいいところを伸ばすために、単なる国内事情だけでODAを減額してよいものかどうか。財務大臣の閣僚としての御答弁お願いして、私の質問を終わります。
  43. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 我々は画一的にODAを削減するなんということは絶対言っておりませんし、むしろODAの重要性というものは十分に認識しておりますだけに、今後の国際協調を進めていく上において十分な役割が果たしてきたように考えております。  そこで、同時に考えなきゃなりませんのは、これは天から降ってきたお金を配っているのじゃございませんで、国民の貴重な税金でございますから、そのODAがどのように使われておるかということはやっぱり国会としても十分に認識を持っていただいて、その上でこれを大いに活用して日本の外交をやっぱり評価していただくように我々も努力していきたいと、こう思っております。
  44. 川橋幸子

    川橋幸子君 画一的に言ったことはないとおっしゃられましたけれども、一〇%削減と、これは画一性の何物でもないと私は思います。そういうメッセージが国民に送られているということでございます。  それから、申し上げたいのは、今、貧困撲滅というのが世界平和、テロ事件以来平和外交としても言われているわけでございますけれども、貧困が女性の、妊産婦の死亡率、乳児死亡率につながり、売春につながり、そこからエイズ、疫病等の蔓延がつながり、そこに更に地球環境の温暖化が進みますと、疫病の増加、そして砂漠化の加速、これ連関しているものなんですね。ですから、そうした貧困対策に、グローバルな課題に日本はどのように貢献するのか、そうした外交メッセージを総理自身が、あるいは閣僚御自身が発せられない限り、国民の理解というのは進まないと私は思います。  こうした新たな貧困に対するメカニズム、これに対して日本政府はどう対応していきたいと思っているのか。ちょっと同僚議員質問時間に食い込みましたけれども、じゃ外交の専門の川口大臣からお伺いして、私の質問を終わります。
  45. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) ODAにつきましては、これは例えば貧困対策、環境対策、委員がおっしゃった様々なこと、あるいはアジアの域内国としての日本の責任、様々な観点から非常に重要な手段であると思います。緒方貞子さんがODAを行うということは国の品格であるというふうにおっしゃられましたけれども、私は正にそういうことだと思っておりまして、国としての品格を落とさないように努力を重ねていきたいと思っております。当然のことながら、重点化、効率化、そういったODAの改革は進めていきたいと考えております。
  46. 川橋幸子

    川橋幸子君 終わります。
  47. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 民主党・新緑風会、辻泰弘でございます。  関係大臣お集まりいただいておりますので、まず最初に財政運営予算編成、税制改革について、そこから質問を始めさせていただきたいと思っております。  本委員会での審議の対象でございます十一年度におきましても十二年度におきましても、国債発行は決算ベースで三十兆を超えるという大変厳しいものになっているわけでございまして、財政運営、大変大きな試練のときでございますけれども、それに関連しまして、昨日閣議決定がなされております来年度予算概算要求基準についてお伺いしたいと思います。  まず、その文書、昨日の閣議了解の文書を拝見いたしますと、「一般歳出及び一般会計歳出全体について実質的に平成十四年度の水準以下に抑制することを目標に、」ということが書いてございます。この実質的にということの意味についてでございます。このことの意味は、十五年度の特殊要因は除外するということと理解すべきでございますか。そのことについてお伺いしたいと思います。
  48. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 実質的にといいますことは、これを簡単に御説明させていただきますと、枠の総額は前年度と変えないということでございますので、したがってその枠内において多少のめり張りを付ける。そのめり張りを付ける中において、きちっとした数字に整合性を保てないものもあるかも分かりませんけれども、各予算の項目ごとにつきましてはそれぞれ精査をして、総体としては枠内に収めていく、こういうことでございます。
  49. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 実質的にという意味は、額としては横ばいであると、こういうことでございますね。
  50. 尾辻秀久

    ○副大臣尾辻秀久君) 大臣からお答えしたとおりでございますけれども、誤解があるといけないと思いまして答えさせていただきます。  実質的という意味はこういうことだと御理解いただきたいと存じます。例えば、一般歳出における実質的な、一般会計においても実質的という言葉を使っておりますので、今御指摘になりましたのは昨日の閣議決定でございますから、これはもう一般歳出にかかわる分でございますのでこのことで申し上げますと、例えばでございます。私ども財務省でいいますと、印刷局だとか造幣局だとか、独立行政法人化します。これに伴いまして、今まではこれは特別会計で全部やっておりました。しかし、独立行政法人化することによって、今まで特別会計でやっておったものの一部が、一部でありますけれども、歳入歳出ともに一般歳出に移行してきます。そうすると、一般歳出の方が当然その分だけ歳入歳出膨れるわけでございますが、これは従来は特別会計でやってきたものが単純に一般歳出に入り込んでいきます。ここの部分の歳出が実質的な増にはならないというふうに判断いたしておるわけでありまして、実質的という言葉を使っておりますのはそういう意味だということを御理解いただきたいと思います。
  51. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 要は、私が申し上げました十五年度の特殊要因は除外してということだと思います。  それと、もう一つお聞きしたいんですけれども、ここで国債発行額、かねてからおっしゃっておられましたけれども、三十兆円からの乖離をできるだけ小さくするよう努めるという御指摘がございます。これ私、本会議でもお聞きしましたけれども財務大臣も去年から十四年度予算編成に向けて三十兆円枠を何としても守るんだということをおっしゃっておられた。国内的な重要な問題で、国債発行三十兆円枠を変更したら小泉政権の崩壊につながるとまでおっしゃっておられたわけでございます。一部報道では、奥様は、いつまでそんなことを言っているのと言われているというようなエピソードも紹介されておりましたけれども。  要は、財政というのはやはり常に弾力的でなければならないと私は思っておりますけれども、やはり三十兆円枠というのもそれなりのめどとしてはいいと思うんですが、今回のことがある意味で常識的であって、去年の対応というのは非常にかたくなであり過ぎたのじゃないかと、このように思っているわけでございます。そんなことについて評価を、総括一言財務大臣からお願いしたいと思います。
  52. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私は、小泉総理就任以来、一貫しまして、十三年度、十四年度予算については国債枠を三十兆円を厳守すると言ってまいりました。それは、一言で言いまして、財政の秩序をその三十兆円枠の倫理観の中に押し込んでいくということであったと思うことでございまして、これによりまして財政の秩序は私は維持できたと思っております。  ですから、十三年度予算並びに十四年度で三十兆の枠組みができてまいりましたので、十五年度予算につきましては、非常にベースがこれ三十兆円ベースになって固まっておりますので、多少の乱高下がございますけれども、全体として対前年度予算の枠を厳守していくことは可能であるという見通しを立てておるということでございますので、したがって、十三年、十四年度でやってまいりました努力がやっと十五年度予算編成に報いが、その効果が出てきたということで評価しております。
  53. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 もう一つ、税制改革についてお伺いしたいと思います。  昨日の記者会見で、塩川大臣が一兆円超の減税だということをおっしゃった。そして、三年減税先行、そしてその後の五年間で穴埋めといいますか、そういうようなお考えを披瀝されていると伝えられておりますが、その辺について御説明をいただきたいと思います。
  54. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私はかねてから減税と増税とのかみ合わせということが今後の経済政策の最重点項目になると思っておりました。予算の面におきまして需要を新しく創出するための追加的な財政資金はございませんので、非常に枯渇しておりますので、それじゃ経済を刺激するとするならば税制による改革を、税制改革によらざるを得ないと、こう思っておりました。そうすると、まず取りあえずは減税を実施することによって経済の活性化を図っていく。けれども、ずっと以前からの長い経験から見まして、減税は容易で実施されるんですけれども、それを財政上補てんするためには、いわゆるバランスを取っていくための増税ということになりましたら、なかなか難しい状況でございます。  したがいまして、今回は増税減税、割合にセットした一つのものとして考えていくべきだと。ただし、それを同時進行で同時同額ということになりましたならば、経済刺激に対する効果というものも薄れてくると思いますので、まずは減税が先行するような形にして、それを増税によって穴埋めしていくと。そして、セットにいたしまして何年かにわたってそれを行うことによって収支を均衡すると、そういう方式を取りました。それが、減税を三年間先行させて、それと同時に緩やかな増税をしまして、増税というよりも税の広く薄くの見直しをするということによりまして増収を図っていこうと、その増収は五年間を掛けて図っていく。その間に見ましたならば、初年度、二年度におきましては減税の方がうんと先行しておるという形になってくると思っております。
  55. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 そうしますと、一兆円超の減税ということと、先行期間三年、後の五年で穴埋めというお考えは一つの決定事項と考えていいでしょうか。
  56. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) これは私が一つの案として提案しておるのでございまして、この税の、財務省としての決定は政府税制調査会を経なけりゃなりませんので、そこに私らの方から一つの意見として提案して審議をしていただきたい、できればそのような決定をしていただきたいと思っております。
  57. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 私案ということで理解いたしますけれども、そういたしますと、一兆円超の減税という場合に、例えば三兆円減税で二兆円は増税で取るとか、そういう意味での増税もセットということもあり得るということでございますか。
  58. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) それは程度の問題だと思うんです。それはもう三兆、五兆減税して、四兆、五兆をそれを穴埋めしたらいいじゃないかと、こういうことになりますけれども、ただ、差額を一兆円だけ取れば上限はどうでもというわけにいかないと思います。それは経済の実勢とファンダメンタルズを崩すようなことになってはいかぬと思っておりまして、取りあえずの試算としては増減税の差を一兆円の程度に収めたいと、こういうことです。
  59. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 その場合、一兆円超の減税の、減税のある部分、中身は、大宗は法人関係とお考えでしょうか。
  60. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 法人だけではございません。法人は、要するに法人といいますよりは経済の活性化のためにということでございますので、もちろん法人税もございますし、それからまた遺産の、いや、財産の世代間贈与を促進して、それが若い世代の方々がより一層活発な経済活動をやってくれる、こういうことも考えたらいいだろうと思いますし、また不動産が、あるいは株がやっぱりもっと活発化するために、そういう方面に対する配慮というものも必要だろうと思っております。
  61. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 かねてより所得税、法人税、法人課税における課税ベースの拡大ということを言われ、所得税の各種控除の見直し、また法人税における、法人課税における租税特別措置の見直し等々が言われてきて、今日もそのこと自体テーマになっているわけでございますけれども、来年度においてそれらの措置、結果としての増税になりますけれども、そのことをなさるお考えはおありかどうか、お聞きしたいと思います。
  62. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) これは私はまだ額とかそういうようなことは全然分かりませんし、もちろんこれは政府税制調査会で議論され決定されるものでございますけれども、私は、なだらかな薄い言わば程度で幅広く負担してもらうということ、税率の薄さということは、薄く広くの薄い方は相当にもう先行しておりますけれども、その負担の範囲を広くということが、これが今後の課題でございますので、これは今度の改正には広くの方に重点を置いて考えたいと思っております。
  63. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 法人課税の実効税率といいますか、国際的比較についてお伺いしたいと思います。  経済財政諮問会議においてもこのことが議論になっておるわけでございますが、まず、平沼大臣にも来ていただいておりますけれども、日本の法人課税というものが国際的に見て高いという御主張だと思いますけれども、そのことについて御見解をお示しいただきたいと思います。
  64. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) 辻先生にお答えさせていただきます。  法人税に関しましては、累次の法人税改革によりまして相当日本の法人税も引き下がってきたことは事実でございまして、ある意味では欧米に比べて遜色のないところまで来ていることも事実だと思っています。  しかし、例えばアジアですとかあるいはヨーロッパでは経済を活性化させるためにやはりこの法人税率の引下げということも最近、例えばシンガポールでございますとかドイツでございますとか、そういったところで行ってきているわけでありまして、私どもとしてはやっぱり法人税率というのは今までの努力で相当程度国際水準並みになってきたと思っておりますけれども、やはり今後の経済動向等を考えながら、私は、国際的な視野に立ってこういった問題もしっかりと検討していかなければならない問題だと、このように認識しております。
  65. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 そういたしますと、経済産業大臣のお立場からごらんになったときに、今次、今のお話のように、一兆円超の差引きの減税ということがほぼ決定になっていると思うんですが、その場合、一兆が法人税とは限りませんけれども、どのような形の法人減税があるべきか。すなわち、法人税本体の税率引下げもございましょうし、また投資減税的な租税特別措置になるんでしょうか、そういうこともあるでしょうし、あるいは外形標準課税の、これは地方税になりますけれども、それも税収中立であっても率を下げるならば実効税率に掛かってくるわけでございますが、どういう内容の法人課税減税が好ましいといいますか、あるべきだとお考えか、お伺いしたいと思います。
  66. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) 現下の経済状況を考えますと、やはり法人のいわゆる活力を生み出すということは必要だと思っています。そういう意味では、試験研究のいわゆる税制というものを拡充することは私は必要だと思っておりますし、あるいはITというのは今一とんざしておりますけれども、しかしこれは第二ステージに向かって大きな発展、飛躍が期待できる分野でございますから、ITの投資促進でございますとか、あるいは日本の経済の活力を生み出して雇用を獲得するためには新規創業でございますとか、あるいはベンチャー企業の支援税制、こういったところも私は大幅に拡充をする必要があると思っておりますし、さらに、産業再編という面で、やはり産業を再編するということ、そういうことがやっぱり日本の経済の活性化につながりますので、そういった形で私どもはその産業再編のためのそういうインセンティブを与える税制というものをやはりこの減税の中で考えていくべきじゃないか。また、法人税の減税も一つのテーマでございますけれども、やはりこれは中長期的に私は考えていくべきではないかと、こういうふうに思っております。  それから、外形標準課税に関しましては、これは地方税と、こういうふうにおっしゃいましたけれども、やはり今の企業の活力、こういうことを考えた場合に、外形標準で、非常に今厳しい、特に中小企業等が厳しい状況にありますから、これはそういう観点でやっぱり幅広い御意見をいただきながら外形標準というものは考えていかなければならない問題じゃないか、このように認識しております。
  67. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 ただいまの御説明でございますと、法人税本体の税率引下げというものは中長期的課題であると、そして前半でおっしゃっていただいたような投資減税等の政策減税をということでございますが、それをそのまま受け止めますと、平沼大臣のお考えとしては、来年度における法人課税の減税については投資減税等の政策減税が主体であるといいますか、それしかないということでございますか。すなわち法人課税本体の引下げは中長期的課題であるかどうか、ちょっともう一度確認したいと思います。
  68. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) 政府税調で最終的には御議論いただいて決定をしていただくことだと思っておりますけれども、やはり今の厳しい経済状況の中で、しかも一兆円程度という限られたそういう財源を考えますと、私は、法人税減税も、そして今言いましたいわゆるインセンティブを与える政策減税、こういったものも同時進行でやるということが非常に大切ですけれども、こういう限られた状況の中では私どもはどちらかといえば今申し上げたようなそういう形で進めていくことが望ましいと。  しかし、これはあくまでも政府税調等、そこで、経済財政諮問会議等で決定していく問題でございまして、私どもはそういう基本的なスタンスを持っている、こういうことでございます。
  69. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 今度は竹中経済財政担当大臣にお伺いしたいと思います。  いろいろな御発言がございますけれども、竹中大臣として日本の法人課税というものの水準が現在高いという御認識かどうか、お伺いしたいと思います。
  70. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) これは委員御承知のように、高い低いというのはどういう指標に基づいて判断するかによって異なった意見があるというふうに思います。経済財政諮問会議の中でも異なった意見がございます。  利益に対する課税、表面的な実効税率という観点からすると、日本とアメリカと大体同じぐらい、しかし日本はヨーロッパより大体五%とか、そのぐらい高いということになります。それとは別に、結果としてどれだけの税を負担しているかという実効税負担で見ますと、やはり日本は世界的に見て先進工業国に比べて高いというような意見も根強くあると、専門家の間にあると思います。  したがって、どういう判断をするかということに基づくわけでありますけれども、総じて言うならば、日本の競争力が低下しているということを考えるならば、日本の国際的な競争という環境の中では日本の法人の実効税負担はやはり高いと、それを是正するということが必要であるというふうには認識をしております。
  71. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 実効税負担が高いという御指摘であれば、それを低くするということになりますと、それは法人税本体の税率引下げということに帰結するかと思うんですが、そういうことになりましょうか。
  72. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 法人の税負担が高いということであるならば、これは法人税率だけではなくて様々な控除、税額控除等々含めて負担を調整していくという考え方になるのだと思います。  しかし、同時に考えなければいけないのは、活性化をする場合に二つの視点があるということだと思います。一つは、いわゆる企業の競争力を高めるためのもの、競争力を高める、つまり経済の供給サイドを強くするという観点からは、私はやはり法人税の税率そのものを低くしていくということが本道だと思います。しかし、同時に、需要サイドを刺激するという観点からは、いわゆる政策減税の方が即効性があるということも事実であると。その需要サイドと供給サイドをどのようにバランスさせるかということが重要だと思います。  しかし、基本は、やはり競争力を強化して、それが経済の活性化につながるということであるというふうに思っております。
  73. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 そういたしますと、法人課税本体の引下げが主であって、政策減税的なものは従というふうな位置付けだとお考えでしょうか。
  74. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 主か従かというのは、金額で御判断なされるのか、それとも、例えばアメリカの場合はどういう八〇年代改革をしたかといいますと、どちらかというと先に政策減税をやったわけですね。八六年の改革でその政策減税した分をどちらかというと法人税の引下げに変えていったという側面があったというふうに認識をしています。  したがって、先ほどから御質問になっておられる規模、それと中立の期間、税目、その中身、それを単に来年度だけではなくて中期的にどのように設計するかと。非常に総合的な観点からの議論がこれから政府税調、諮問会議等々で行われていくというふうに思っております。
  75. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 竹中大臣に重ねてお伺いしたいと思うんですが、減税財源についての幾つかの御発言がございます。歳出削減ということ、国有財産の売却ということ、自然増収を見込むということをおっしゃっているわけですが、やはりその歳出削減というのを、概算要求基準以上に締めていくということになると、やはりデフレ効果は当然あるだろうと、同額の減税との差引きであれば、やはり歳出のデフレ効果が大きいんじゃないかというふうにも思うわけでございます。  また、国有財産の売却は、一時的な単年度の収入であって、恒常的な恒久的な財源措置にはならないわけでございます。  また、自然増収というものを今の、今日のこのようなデフレ下の下で一兆円程度の、程度と言ってはあれですが、一兆円の減税によって短期的に自然増収が得られるとは必ずしも思えないわけでございますが、その辺について、ちょっと短め、簡単にコメントいただきたいと思います。
  76. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 御質問項目がちょっとたくさんあったと思うんですけれども、基本的には、減税、小泉内閣が目指す基本的なところは国民の信頼に値する小さな政府を作ると、もうその点が私はやっぱり大変重要なことだと思います。  小さな政府を作る、そのためには政府自らが身を削ると、歳出の無駄を排しつつ歳出改革をしっかりとやる、売却できる国有財産は売る、それを国民に還元する、やっぱりこの姿勢が基本にあるということであると認識しています。  幾つかの問題は当然のことながら生じます。需要の効果が、歳出の削減と減税の効果が若干タイムラグがあるのではないか、これはもうそのとおりだと思います。しかし、これまた基本は経済の競争力を強くする、サプライサイドを強くするということでありますから、そこはうまく、大変それを組み合わせることによってしのいでいくということなのではないかと思います。  基本的には小さな政府を作るということが重要だというふうに思います。
  77. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 マクロ経済をお預かりになっていらっしゃる経済担当大臣のお立場で、例えば一兆円の減税によって来年度経済成長率にどのような寄与があるかということは御判断ありますでしょうか。
  78. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 委員よく御承知のように、一兆円の減税の中身が、これはもちろん仮のシミュレーションの話でありますけれども、それが所得として消費者に返るのか、企業に返るのか、企業に返る場合でも法人税の引下げとして返るのか、いわゆる投資税額控除のような形で返るか、これによって効果は全く違ってまいります。したがって、この制度の設計とともに、そういったシミュレーションも含めた議論をしていきたいというふうに思っているところであります。
  79. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 塩川財務大臣にお伺いしたいと思いますけれども、今回の、昨日おっしゃっておられる一兆円超の減税ですが、これは減税としては恒久的なものなのか時限的なものなのか、そのことをどうお考えか、お聞きしたいと思います。
  80. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私たちは中長期的な観点に立って改革を進めていきたいと思っておりますけれども、しかし、今、経済が非常に激動のときでございますので、そのような長期的な展望はいたしましても、実際にその効果と実施がどのようになるかということは多少疑問があると思っております。  したがいまして、当面の間、準中期的な考え方に立っているということでございまして、短期ではございませんが中期的な観点、したがって三年ないし四年ぐらいで一度見直さなければならぬ時期もあるだろうと。それは、経済が動いてまいりますから、その点については定かなことは申し上げられませんけれども、一応私たちは三年ぐらいはもつような態勢でいきたいと、それ以上のことについては見直さなければならぬ時期もあるのではないかと思っております。
  81. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 そうすると、恒久的なものとは必ずしも決めていないといいますか、そういう理解でよろしいですか。
  82. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) これは、恒久的なものと言ったら、これは非常にそれは難しいことになりまして、あえてそういうことを断言することは私はちょっとはばかりたいと思っております。
  83. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 減税財源につきまして財務事務次官が、つなぎ国債ということがはっきりしていると、言わばつなぎ国債でやるんだということがはっきりしているんだということを御発言されている、記者会見でおっしゃっていますけれども、この財源をつなぎ国債で賄うということを一つ財務省としては方針として決められたのかということと、それからかつて、平成年度から八年度までの公債発行の特例に関する法律というのがございましたけれども、こういうことをイメージされているのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  84. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) これは、先ほども申しましたように、政府税制調査会との税制の問題がございます。そして、その政府税制調査会の基本的な方針と実施的な要綱が決まってまいりましたら、政府の、内閣府にございます経済財政諮問会議にこれを諮って、そこの、その場で税と予算との関係、あるいは資金、現実的な資金の国債の問題、総合的に考えなきゃならぬと思っておりまして、その場におきまして国債の扱い方等も決定してもらいたいと思っております。
  85. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 年金課税について一つ聞いておきたいと思います。  現在、公的年金等控除引下げの議論があるわけでございますけれども、片や厚生労働省のサイドでは十六年の財政再計算に向けての年金改革をお取り組みだということでございまして、私としては、その税制改正、十五年度のがあり得るわけですけれども、やはり年金改革の一環として位置付けて税制改革もその中でこなしていくべきだと思っておるんでございますけれども、塩川財務大臣、年金課税についてどういう方針か、お伺いしたいと思います。
  86. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) これはいずれ抜本的な改正が行われることで議論が始まっておりますけれども、当面、十五年度につきましてはいろんな要件がございますので、概算要求の基準は一応決めましたけれども、これから中身につきましては厚生労働省と十分に詰めて、国民の納得を得るような措置をいたしたいと思っております。
  87. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 歳出のことではなくて年金課税の問題でございますので、要は、十六年度の財政再計算ということが具体的にその後にあるわけでございますから、その中でこなしていくことなのか、十五年度はその年金改革とは別に税制の論理でやっていくのかという、そのことについてです。
  88. 尾辻秀久

    ○副大臣尾辻秀久君) 年金の控除を始めとする課税のお話でございますけれども、今まで度々お話ございました政府税調でも御議論いただいておるところでございまして、先日出された基本方針では、公的年金等について拠出、給付、両段階で実質的に非課税に近いものになっていることを踏まえた上で、公的年金等控除について、社会保険料控除がある以上、本来不要とも考えられるが、当面、少なくとも世代間の公平を図る観点から大幅に縮減する方向で検討する必要があると、こういうふうな指摘がされておるところでございます。  したがいまして、政府税調の基本方針は中長期的な視点からあるべき税制の全体像について検討を行ったものでございまして、個別事項に関する見直しの具体的な内容や実施等時期につきましては、今後、政府税調における議論等を踏まえつつ、更に検討していく必要があると考えております。
  89. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 まあ、状況は分かりますけれども、十六年の財政再計算ということが、年金改革が近くにあるわけでございますので、税制の改革もその中で総合的な見地からやっていただくように御要望しておきたいと思います。  それで、一つ、無年金障害者の問題について申し上げたいと思います。  実は私、厚生労働委員会に所属させていただいておりまして、坂口大臣にいろいろとお骨折りをいただきまして、七月末から八月初めに掛けまして無年金障害者に対する坂口私案というものを出していただきまして、大変敬意を表し、また感謝も申し上げておるわけでございます。ある意味では、大臣が一生懸命お取り組みになられてもなかなか役所がたらい回しにして結論が出ないんだということをおっしゃっておられまして、ある意味では坂口大臣がこれほど御自身で私案も作られて初めて動く部分があるのかなということを勉強させていただいたように思いますけれども。  それで、つきましてはこの部分、総額といたしますと四百億とか、そういうことにつながるわけでございます。そういう意味で、坂口大臣が非常に熱を込めてお取り組みいただいたことでございますので、財政状況厳しき折からではございますけれども、かつての年金制度の中での足らざる部分のある意味での保障といいますか、事後的な対応ということでございますので、予算措置も十分配慮していただきたいと財務大臣お願いしておきたいと思いますけれども財務大臣から一言お願いしたいと思います。
  90. 尾辻秀久

    ○副大臣尾辻秀久君) 今御指摘のとおりに、財政上といいますか、金のことも大変大きな問題ではございますけれども、それ以前に、この問題につきましては、未納者や未加入者に対して何らかの給付を行うことと、こういうことになりますので、そうなりますと納付された人との間で不公平が生じます。そうした拠出性という年金制度の基本的な面を否定することになりますので、私どもとしては実現は困難な問題と考えております。
  91. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 そういうすげなく言われますと、やはり立つ瀬がないといいますか、坂口大臣もお見えでございます。坂口大臣もちょっと一言このことについての御方針、お考えをお示しいただきたいと思います。
  92. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) これは無年金障害者という名前が付いておりますが、一応年金とかかわりのないところでこれは結論を出さなければならない問題だというふうに思っております。  ただ、日本におきます年金制度が成熟をいたしますまでの間のいわゆる移行期に起こった問題であるということも我々は認識をしなければなりませんし、ただ年金というのは掛金をして初めてその人に給付が行われるわけでありますから、掛金のなかったところに給付を行うということは、これは年金制度としては私はできないんだろうというふうに思っております。しかし、そうは申しますものの、この人たちの問題が現実問題としてあることは事実でございまして、政治の場におきましては、いずれの原因であれ掛金をする暇なく障害者になった人たちをそのままに捨てておくということは許し難いことだというふうに私は思っている次第でございます。  したがいまして、この問題につきましてはあらゆる角度から検討をしていかなければならないというふうに思っておりますが、財政上誠に厳しいときではございますけれども、厳しいときであればこそ、やはり分かち合うという精神が必要でございまして、そうした皆さん方に対しましても、やはり手を差し伸べる、やはりその人たちの方向もしっかりと見据えてすべてを決着をしていくということが私は必要ではないかというふうに考えている次第でございます。
  93. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 坂口大臣の御尽力に改めて敬意を表しますとともに、財務省におかれましても、今おっしゃっていただきました坂口大臣の思いも十分お酌み取りいただきまして、できる限り御対処賜りますようにお願いしておきたいと思います。  それでは、予算、財政、税制の問題は一応ここで区切りにさせていただきまして、次に、順番でございますけれども、倒産時の労働債権のことについてお伺いしておきたいと思います。  この委員会審議対象になっておりますけれども平成十一年十二月には民事再生法が成立し、また十二年四月から民事再生法が施行された、新たな倒産法制がスタートしたということがあったわけでございます。そして、かねてより議論になってきたところでございますが、現在、労働者の給与の支払に充てられる労働債権の優先順位が未納の税金に充てられる租税債権よりも低位に設定されていると、こういうのが現行の日本の法体系でございまして、非常に冷たいものだというふうに言わざるを得ないと思っております。  「改革と展望」では、構造改革を目指すのは人を何よりも重視する国であると高らかに宣言されておりますし、また小泉総理、努力が報われる社会を目指すことを公約されているわけでございまして、そういう意味で、この租税債権が労働債権より優先する、このことについての見直し、かねてより主張してまいりましたけれども、法制審議会での御検討をしていただいていると聞いておりますが、そのことについて大臣から御説明いただきたいと思います。
  94. 森山眞弓

    国務大臣(森山眞弓君) 破産手続におきましては、租税債権は破産債権に優先して随時に弁済を受けられる財団債権とされておりまして、労働債権はそれに次ぐ順位である優先破産債権とされております。  破産手続におきます各種の債権の取扱いにつきましては現在法制審議会において審議が行われておりまして、先生御指摘のように、いろいろ検討がなされておりますが、そこでは、租税債権の優先順位を一定の場合に引き下げるとともに、労働債権の優先順位を一部引き上げるという考え方についても検討がなされていると聞いております。  法務省におきましては、この問題を含め、今年の秋に破産法等の見直しに関する中間的試案を取りまとめる予定でございまして、その後、パブリックコメントに付しまして、平成十五年中には破産法等の改正法案を提出したいということを考えて検討を進めているところでございます。
  95. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 十五年中に法案提出ということは、現実問題としては臨時国会ということを想定されているということになるんでしょうか。
  96. 森山眞弓

    国務大臣(森山眞弓君) 十五年中に法案を提出したいということでございますので、十五年というのは来年でございますから、来年はどのようになりますか、そこはちょっと私も何とも申し上げかねますが、できるだけ来年中にという意味でございます。
  97. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 法制審でのお取組は一歩前進と評価させていただくわけでございますけれども、お聞きするところによりますと、労働債権の取扱い、アメリカでは租税債権より優先されている、あるいはフランスでも租税債権よりも手厚く保護されているという状況も聞いておりまして、そういう意味では、今御検討、御対応の域をある意味ではもう少し抜本的に大きく見直して、労働債権の位置付けというものの議論も進めていくべきじゃないかと思っているんですけれども、租税債権をあずかられる財務省のお立場で、そういう租税債権について、まあ突き詰めていくならば国税徴収法における国税優先の原則というものをどう考えるかということにも突き当たるかもしれませんけれども、そのことについて今後御検討されるかどうか、そのことについてお伺いしたいと思います。
  98. 尾辻秀久

    ○副大臣尾辻秀久君) ただいま法務大臣からお答えがございましたとおりに法制審議会で審議されておるところでございますので、私どももこの議論の状況を見守りたい、こういうふうに考えております。
  99. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 それでは次に、雇用対策基本計画についてお伺いしたいと思います。  平成十一年七月には経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針ということで経済計画が閣議決定されております。また、それを受けた形で雇用対策基本計画が平成十一年八月十三日にこれまた閣議決定されているということでございます。  雇用対策法は、第八条において、国は雇用対策基本計画を策定しなければならないと、そして雇用対策基本計画は政府の策定する経済全般に関する計画と調和するものでなければならないと定めているところでございます。  そこで、第九次の雇用対策基本計画を拝見しますときに、かなりもう時代状況に合わなくなっているんじゃないかと、このように思うところがございます。  まず、こういうコメント、こういう指摘がございます。「同和関係住民の雇用対策としては、「地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」に基づき、」と、そして措置を講ずるという、こういうのが文章として残っているわけでございます。  総務省にお伺いしたいんですが、この法律は既に失効しているんじゃないでしょうか。
  100. 若松謙維

    ○副大臣(若松謙維君) 先生御指摘のとおり、地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律、この法律は平成十四年三月三十一日をもって失効しております。
  101. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 厚生労働大臣、既に失効した法律に基づきということがある計画でございまして、その一事をもっても、実はあと幾つか申し上げたいと思っていますけれども、そのことをもっても、やはり計画がもう今や政府の計画と言えないんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  102. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 御指摘をいただきましたように、この特別措置法は本年の三月で失効をいたしております。特別対策というのは終了したわけでございます。  しかし、この第九次雇用対策基本計画というのは、これは平成十一年の八月にできたわけでありますから、これができますときには本年の三月に失効することはよく分かっていたわけでございますし、それを前提にした上でこの基本計画はできているというふうに私は理解をいたしております。  したがいまして、残されました課題につきましては、一般的な対策の中で解決をし、決定していくということに私はなっていると理解をいたしております。
  103. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 この雇用対策基本計画の中にワークシェアリングのことも出ているわけですけれども、「ワークシェアリングも視野に入れ、」というようなことで、位置付けが今日的な位置付けよりは非常に低くなっている。まあある意味で当然のことなんですが、そういう意味で時代に合わなくなっているんじゃないかと私は思うわけです。  例えば、厚生労働省の職安局の雇用政策課の書いた「都道府県展望」という雑誌の書類があるんですが、ワークシェアリングは、我が国においても、以前から議論され、ここ数年労使の間で話題になっていたが、時間短縮に伴う賃金の取扱いについて意見が対立し、目立った成果は上げていなかったと。しかし、最近、厳しい雇用失業情勢に対応して、政労使で考え方を取りまとめたところだと。そして、この中で労使が合意形成に取り組むなどについて合意したことから、これを契機としてワークシェアリングに対する関心が急速に高まってきたと。こんなような指摘があるわけでございまして、この時点で考えられていたワークシェアリングの位置付けというものが大きく変わってきている。とりわけここの雇用対策基本計画の中では雇用創出と労働時間短縮という見地でのワークシェアリングというとらえ方だったと思うんですが、今議論になっておりますのは、先ほどの審議でもございましたように、多様就業型のワークシェアリングということで、これは視点が違ってきているというふうに思うわけでございます。  また、雇用対策基本計画においては、労使の取組ということであるわけですが、三月に政労使ということで政府の財政措置もあったし、これから均等待遇に向けての法改正というものもなしていこうと、こういう方向。また社会保険の、パートなんかに対する、短時間労働者に対しての保険適用の拡大等も議論されるわけでございまして、そういう意味でこの雇用対策基本計画において想定されたワークシェアリング、考えられたワークシェアリングというもののとらえ方が、このことも変わってきているんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  104. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 御指摘のワークシェアリングにつきましては、去る三月に合意を得まして、取りあえずの緊急対策のものにつきましてはスタートをさせていただきまして、今お話のございます多様就労型のワークシェアリングにつきましては今鋭意また検討をしていただいているところでございます。  この基本計画に書いてあります、ここでいわゆる労使というふうに書いてもございますし、現在も労使が中心になっておやりをいただかなければならないことは間違いがないわけでございますが、その中に政府の方も入れていただいて、そして労使でうまくお話がいかない場合にはその中で仲裁の役を取らせていただいているというのが現実だというふうに思っております。  また、ワークシェアリングの中身におきましても、緊急性のものだけではなくて中長期的なこともやっていこうということになっているわけでございますが、これは方向が変わったというわけではなくて、ベクトルの方向性は同じでございますけれども、更に今後、今までの合意を進めていこうということになっている、そういう意味で議論が深化してきているというふうには理解をいたしております。  そうした意味で、大きく方向性を異にするわけでは決してございませんで、この基本計画の中に盛り込まれましたものを更に深めていこうということに現在なっているというふうに御理解をいただければ大変有り難いというふうに思っております。
  105. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 現在の雇用対策基本計画の中には、「二〇〇一年度末までの臨時応急の措置である緊急地域雇用特別交付金を活用し」と、こういう指摘もございます。これは、昨年、坂口大臣の下での審議の中で緊急地域雇用創出特別交付金三千五百億、十六年度末までというのができたわけで、このことももう既に古くなっているわけでございます。  また、この雇用対策基本計画の中に、高年齢層、括弧五十五歳以上層と、こういう指摘もありまして、今の常識でいえばいろいろ、高年齢者雇用環境整備奨励金なども六十歳以上を高年齢層と指している、また雇用開発協会なんかのものでも平均年齢六十歳以上の高年齢者というふうなことがございまして、このとらえ方も既に時代に合わないというふうに思うわけでございます。  それで、過去を振り返りますと、経済計画と雇用対策基本計画、これは、先ほど申しましたように、経済計画と雇用対策基本計画は整合性を持ったものでなければならないというふうに決まっているわけでございまして、それを反映しまして、昭和四十二年の経済社会発展計画、このときにも同時期に雇用対策基本計画が第一次で策定されて以降、ほぼ、一回だけされていないのがございますけれども、直近においても十一年の七月に、経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針が十一年七月に閣議決定された後、八月に雇用対策基本計画というのが今出てきているわけでございます。  今の政府の経済計画は、今年一月の「改革と展望」、これがそれになるわけで、そのことによってこの十一年の閣議決定の計画が終了すると、こういうことになっているわけでございまして、そういう過去の経緯から見ても、何ゆえこの経済計画が変えられたのに雇用対策基本計画が連動しないのか、この十年を見詰めるということでとらえられているわけですが、これだけ、この「改革と展望」でもこういうフレーズがございます。「経済の変動等に適切に対応するため、「改革と展望」は毎年度改定する」と、こう書いてある。  竹中大臣がおっしゃっているように、正にローリングシステムになっていると。私はこれは常識的なことだと思うんですけれども、雇用対策基本計画もこれになぜ連動しないのかということで大変不思議でございまして、このことを非常にかたくなに厚生労働省は今のでいいんだとおっしゃるわけですが、余りにも時代状況がずれていると。この中で何ゆえかたくなに拒否されるのかよく分からないわけでございます。やはり、経済計画と整合性を持ったものということは、すなわち経済計画がローリングシステムになったわけですから、それに伴って雇用対策基本計画も変動が著しいわけですから毎年見直しをすることもあっていい、その基本方針を持って雇用対策を行うべきだと私は思っているわけでございます。その意味において何か非常にかたくなになっているという、私はそのこと自体よく分からないんですが、どうか柔軟に考えていただきまして、雇用対策基本計画見直しを進めていただきたいと思うんです。  それで、竹中大臣一つお伺いしたいと思うんですけれども、経済計画を所管されるお立場で、やはり雇用対策基本計画は十年間のスパンでとらえるという形になっていまして、非常に固定的でございまして、このことをどう見ておられるか、一言御所見をお伺いしたいと思います。
  106. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 基本的にそういう総合的な判断は坂口大臣の下でなされるというふうに思っておりますが、我々はマクロのフレームワークを示します。そのマクロのフレームワークと整合的な形での労働政策、基本計画でなければいけない、これも法律で決められているところでございます。  ただ、このマクロのフレームワークという観点からしますと、もちろんこれ、経済は日進月歩でありますからいろんな変化はありますが、マクロのフレームワークの観点からしますと、例えば、今の雇用創出に対する考え方、需給のミスマッチに対する考え方ないしは失業率の長期的な見方に対する考え方、そういったところで「改革と展望」と今の基本計画がそんなに大きく外れているわけじゃないと私は認識しております。したがって、直ちにこれを変えなければいけない、それほどマクロ的なそごがあるというふうには認識をしておりません。  極めて総合的な観点から厚生労働省におきまして判断がなされるというふうに思っております。
  107. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 厚生労働大臣最後にお伺いしますけれども、かつて見ますと、経済計画の後すぐに雇用対策基本計画できているわけです。何ゆえ今回の局面でそれだけ連動させようとされないのか、お伺いしたいと思います。
  108. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 決してかたくなに私たち考えているわけではございませんが、平成十一年の八月にスタートいたしまして、これは雇用対策に対する骨格、方向性というものを決めたものだというふうに私は認識をいたしております。今、竹中大臣からもお話のございましたとおり、その方向性が現在の経済政策と間違ってきているとは私は今思っておりません。  その方向性におきまして、これがそごを来すようなことになってくれば、それは当然のことながら雇用対策というものに対する考え方も変えていかなければならないというふうに思っておりますが、現状におきましては、大きな方向性はそのまま現在もこれは重要視される内容になっておりますし、現在の経済政策とそごを来すような状況にはなっていないというふうに思っている次第でございます。
  109. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。
  110. 中原爽

    委員長中原爽君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩します。    午前十一時四十八分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  111. 中原爽

    委員長中原爽君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十一年度決算外二件及び平成十二年度決算外二件を一括して議題とし、全般的質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  112. 藤井基之

    ○藤井基之君 自由民主党の藤井基之でございます。  今日は、最近ちょっと新聞紙上をにぎわしております健康食品の問題につきまして政府のお考えを聞かせていただきたいと存じます。  御案内のように、国民の健康意識というものがますます高くなっておりまして、そういった社会的な趨勢を反映する形で、近年、いわゆる健康食品と言われるもの、これが市販され、国民の食生活の中に入り込んできています。国民は、通常の食生活に加えて、そのような栄養補助剤等いろいろな健康食品を使用するような食パターンが普及してきつつあるわけですが、そういった意味で、今回、中国製のやせ薬といいましょうか、健康食品、それによる健康被害の発生、これに対して国民は非常に大きな不安を抱いていると言えます。  今回、お尋ねをしたいんですが、先月の十二日に、厚生労働省は、中国製のいわゆるダイエット用健康食品とその健康被害について調査結果の第一報といいましょうか、発表なさっております。その後、健康被害の報告がどんどんどんどん増えてきている。現在までに、死亡例数例含んで数百名のレベルでの健康被害だということなんですね。特に、この中にはフェンフルラミンとか、あるいはNニトロソフェンフルラミンとかいうような食欲を抑制する薬物が添加されているというんですね。  厚生労働省は、そういったことから、薬事法違反のそういった可能性も含めて今調査をされているということでございますけれども、これまでに判明している被害状況について、まず御説明をいただきたいと存じます。
  113. 宮島彰

    政府参考人(宮島彰君) 今御指摘のいわゆる中国製のやせ薬あるいは健康食品と言われるものによります健康被害につきましては、七月十二日、最初に発表いたしました当初は、三製品十二品ということでございましたけれども、一番新しい昨日の八月七日時点では、山形県を除く四十六都道府県におきまして、百二十製品、六百七十九名の被害になっております。  被害の内訳は、肝障害が三百九十名、甲状腺障害が八十二名、その他二百七名という状況になっております。
  114. 藤井基之

    ○藤井基之君 この種の製品というのは中国産ということでございますが、中国政府が今回の健康被害にかかわると思われる製品の認可の取消し等というような報道がなされておりますけれども、中国ではこの種の商品というものはどのような規制下に置かれているのか、お分かりの範囲で御説明いただけませんでしょうか。
  115. 尾嵜新平

    政府参考人(尾嵜新平君) 中国におきましては、健康食品について、疾病の治療を目的としない範囲におきまして、一定の効能分類に従いまして、向こうでは保健食品という名称でございますが、個別に認可を行っておるということでございます。また、この保健食品を含みます食品への薬物の添加や、あるいは虚偽の広告等については違法行為に当たるというふうにされておるわけでございます。  このために、今お話ございました、七月三十日に、中国の衛生部でございますが、フェンフルラミン等食品として認められない物質の含有が認められるなど、違法行為を認めた保健食品十三商品につきまして、その認可を取り消したということでございます。そういった内容について私どもの方も連絡を受けているわけでございます。  中国におきます健康食品の規制に関します詳細につきましては、現在、資料を入手して調査を進めているところでございます。
  116. 藤井基之

    ○藤井基之君 この中には、死亡例二例を含めて、肝機能障害とか甲状腺障害、合わせると約二百名に近いようなそういった健康被害が報告されている商品に何かせん之素こう嚢という名前の商品があるというふうに報道されているんですね。  これについて聞きますと、過去にも健康被害報告があったと。そして、厚生労働省は平成十二年の十二月、そして平成十三年六月と過去二度にわたってこれらの商品について注意喚起を行って、あわせて都道府県に対して必要な監督指導を要請したというふうに聞いている。しかし、今回また同じように健康被害が続発しているわけでございます。これは厚生労働省も一生懸命やっていただけたと思うんですけれども、私は健康食品に対する現規制というものですか、法制度といいましょうか、これに何か限界がある。そのためにこのようなものが繰り返し起こるんじゃないかというふうに考えるんですね。  御案内のように、この健康食品と言われているもの、日本、我が国で規制をしようとしましたら、法律は二つ考えられると思うんですね。一つは、医薬品などを規制対象としてその製造とか輸入とか販売を原則的には禁止する、そして許可制度をしいている薬事法という法律。それからもう一つは、医薬品等を除いて経口的に摂取する、いわゆる食品を対象にして、それらの製造とか輸入とか販売というものはこれは原則自由ですよと、そういうふうにしている食品衛生法というのがある。  そして、健康食品として使用される成分といいましょうか、これは非常に多様化してきているんですね。かつてはロイヤルゼリーでありますとかハト麦だとかクロレラ等というのがポピュラーだったんですが、最近はそれに加えて、アガリスクであるとかプロポリスだとかあるいはガウクルアとか、私もどんなものか分からないんですが、要はアフリカだとか中南米だとかアジアとか、世界各地の何か体にいいとか、民間伝承的に食されているもの、これらを我が国に持ち込んできている。極めて広範囲な商品が供給されているわけですね。そして、こうした新しい物質等は様々な効能を巧みに標榜されている。また、本来医薬品の剤型であったはずの錠剤であるとかカプセル剤という形で売られているんですね。今回、幾つかサンプルを調べてみたんですが、やはりそうなっているんですね。  そして、これいろいろなものを見ますと、そもそもこういったものの本質とか有効性あるいはそれらの根拠というものはなかなかはっきり分からない。いろいろと書かれている、体にいいとか。でも、どうも根拠ははっきりしませんですね。この健康食品がうたっているのは薬じゃないでしょうから薬効ではない。食効とでもいうんですか、食べた効果かもしれませんけれども。これらの根拠と称されるものを幾つか見たんですけれども、これは例えば伝承的な内容であるとか、あるいはだれかの体験談、あるいは専門家と称される人々の人の説明といいますか、あるいは雑誌の記事であるとか、そんなものなんですね。  医薬品だともしも仮定した場合、医薬が適用として認められるためにはどの程度のデータがなきゃいけないかと考えると、これは比較にならないですね。医薬品だと、基礎的な研究から臨床にわたるまでの科学的なデータに基づいて、非常に厳しい個別の審査を受けて初めて効能、効果というものが言えるわけですね。これに対して、この健康食品はどちらかというと根拠は非常に薄弱だと。それにもかかわらず、医薬品的な効能を巧妙にまた暗示的に表示したり広告をしたりしています。  厚生労働省は、健全な健康食品を育成を目的として、これは平成十三年ですか、保健機能食品制度という制度を作られましたですね。しかし、この健全な健康食品を育成するという目的でできた制度が、できたにもかかわらず、相変わらずそういった健全な食品よりははるかに多くの、言葉は悪いですけれども、えたいの知れないような健康食品がはんらんしている。このような実態について、厚生労働省はどのように思われますか。そしてまた、現在これに対してどういった対応を取ろうとされているんでしょうか。
  117. 尾嵜新平

    政府参考人(尾嵜新平君) 今お話ございましたように、保健機能食品制度ということで、昨年の四月から制度を創設して動かしているわけでございますが、その中身につきましては二つございまして、一つは、個別の食品ごとに評価した上で国が表示を許可、承認する特定保健用食品というものが一つでございます。もう一つは、規格、基準を満たすものであれば個別の許可を受けることなく機能表示を行うことができると、こういった栄養機能食品と言われるものと二つから成っておるわけでございます。  栄養機能食品の方は、例えばビタミンでありますとかミネラルと、そういったものが対象になっているわけでございます。こういう保健機能食品制度というものによりまして消費者の食品の適切な選択に資することができるようにということで、現在、その制度を運用しているわけでございます。  こういった保健機能食品の制度の拡充を図っていくということで、こういった基準に沿った安全性や効果の実証がなされているもの、そういった製品が普及するということを厚生労働省としては期待をしているわけでございますが、実態は、今、先生から御指摘ございましたように、現在、例えば特定保健用食品につきましては三百程度の個別の許可を与えておるというものでございます。  そういった中で、今御指摘ございました保健機能食品以外のいわゆる健康食品と言われるものが、その数が圧倒的に多いわけでございまして、そういった中には、先ほど来御指摘の中国製のダイエット食品と言われるようなそういったものもあるわけでございます。こういったものの中には、医薬品の効果を標榜したり医薬品の成分を混入させ、また消費者を誤認させるような健康被害をもたらす問題の製品があると、そういうことも事実でございます。  そういった中で、こういった制度、保健機能食品という制度とは別に、今回の事例に対しまして、私ども厚生労働省といたしましては、一つは原因の物質の解明のための研究、二つ目は中国当局との情報交換、あるいは薬事担当部局と食品担当部局が連携しながら薬事法によります未承認医薬品等の取締りの徹底とか、あるいは被害情報の収集、公表、できるだけ迅速に国民の方々に、特定の物質が発見されないという場合でも被害がある程度疑われるという段階で早く情報を公開しようということもしておるわけでございます。  また、輸入食品としましていわゆる健康食品がたくさん入ってきております。そういった際に、医薬品、未承認の医薬品が入っていないかどうかというところを届出の際に確認をしていただくというふうなことの徹底も現在やっておりまして、そういったことで被害発生の防止に努めているわけでございますが、また、こういった健康食品につきましては、更に今後どういった対応が必要かということについては、私どもも引き続き薬務サイドと検討を続けていきたいというふうに考えているところでございます。
  118. 藤井基之

    ○藤井基之君 今御答弁いただいたんですけれども、健康食品は医薬品成分が入っているけれども、どうも広告などを見ますと、どの健康食品を見ても必ず医薬品ではありませんと、こう書いているんですね、表示には。そしてこれは、つまり具体的には薬事法の違反を構成していないんですよと、こう言っているんですね。そして、薬害だとか副作用が危惧される薬じゃないから、だから安心なんですよと、そういう印象を与えている。今回の事例でも、安全なイメージを抱きやすい漢方薬のダイエットということで、そういう言い方で輸入されて、そして患者さんが購入されて、患者さんというか被害を受けられた方が購入されているんですね。  これについて、食品か医薬品かというのは非常に難しいところがあるわけですけれども平成九年ごろでしょうか、厚生労働省は、政府の規制緩和の政策の一環として、それまでの行政指導通達をかなり大幅に見直されているんですね。そして、健康食品の表示とか剤型というものに対して、ある意味で規制の緩和の方に動かれたというふうに承知しているんです。  でも、今回問題になっている健康食品を見ていますと、これは、例えばやせますよとか痩身効果などを言っている。でも、そのためには食欲も抑制するようなそういった薬物まで入れたり、生理的なそういった作用を期待して、つまり医薬品的な効果として区分されるべきそういった作用をイメージして、そしてこの商品というものを売っているんじゃないかと思うんです。  厚生労働省の資料では、健康食品に係る薬事法違反の件数というのをちょうだいしたんですけれども、それによると、毎年二百から三百件数ずっと続いているんですね。全然減っていない。下手するとこれ増えている傾向かもしれないですね。  私は、厚生労働省は、まず当面、この見直しをされた食品と医薬品の区分の行政指導考え方の通達、これをもう一度見直して、薬事法に抵触する可能性のあるものについては少し規制を強めたらいかがなんでしょうかね、どうでしょう。
  119. 宮島彰

    政府参考人(宮島彰君) 今御指摘の健康食品も含めまして、そういった製品が医薬品に該当するか否かということにつきましては、その製品に含まれます成分に医薬品として使うべき成分が含まれていないかどうかとか、また、いわゆる一般のものに医薬品と認識をさせるような効能を標榜していないかといったことを判断基準として整理しておるところでございます。  今お話の中にもございましたように、痩身効果というものを標榜するものにつきましては、これは直接効能として標榜するということであれば当然医薬品的効能と判断することが可能でありますけれども、例えば、摂取した食品中の植物繊維などにより体内に取り込む栄養分を制限することなどを表示するということですと、なかなか判断の難しいケースも出てくるかと思います。ただ、一方、明確に、例えば体内脂肪の分解とか排せつ効果、体内細胞の活性化といったような医薬品的効能を表示するということであれば、これは明らかに医薬品に該当しますので取締りの対象ということで、我々も対象としてきておるところでございます。  いずれにしましても、こういった健康食品につきましては、従来から医薬品成分を含有しているものやあるいは医薬品的効能を標榜している場合など、いわゆる薬事法に違反するものが少なからずあるわけでございますので、こういったものにつきましては薬事監視、広告監視の一層の徹底を図るということで引き続き対応してまいりたいというふうに思っています。  一方、こういった医薬品に該当しない健康食品とされるものにつきましても、今回の事例を一つの教訓といたしまして、やはり必要な安全性の確保などの検討をしていく必要があるのではないかというふうに考えております。
  120. 藤井基之

    ○藤井基之君 今、政府委員から御答弁いただいたんですけれども、今の説明でも私はやはり食品か医薬品かの判断というのは分からないですね。今の適用で、こっちだったら食品、こっちだったら医薬だと言われても、私にはその判断はできません。多分、国民の方も同じじゃないかと思うんですね。イメージとして、これ薬のイメージでもって売り付けている。高いんですよ、結構、この種のもの。  私は、現行の法制度、薬事法とか食品衛生法の制度化、できるだけの、できる限りの対策を取っていただきたいと思うんですけれども、私は、やはりこの健康食品の実態から見て、健康食品全体の何か新しい制度化で法制をしくような、そういった対応検討しなければならない時期に来ているんじゃないかと思うんですね。  御案内のように、アメリカでは、ダイエタリー・サプリメント・ヘルス・アンド・エデュケーション・アクトという法律、これは一九九四年に制定されている。サプリメントに対してはある程度の健康表示を認める、その代わりその根拠はメーカーに責任を持たせるとか、あるいはドイツでは、ハーブとか植物性の医薬による治療が盛んであることから、政府がこれらの評価を行って薬用ハーブについては医薬品に準じた規制を掛ける、そしてその薬用ハーブに対する考え方というものを明らかに国民に示しているんですね。  今までのとおり、食品だ、あるいは薬だというだけの判断で、これはこうやっていますと行政側は自己満足されても、国民が分からなかったら全然意味がないですよ。だからこそ私は、この案件が十年たっても二十年たってもこの数が減らないんだろうと思っています。  本年の五月の十四日に、私の属します自由民主党では食品衛生規制に関する検討委員会というものをやっておるんですが、その中で「食品の安全に関する信頼確保のための改革提言」というものをまとめました。そして、その中で健康食品についても実は言及をさせていただいております。それは、一つには健康食品等の流通禁止規定を整備したらどうかということを訴えている。それからもう一つは、保健機能食品以外の健康食品の広告規制をやったらどうかということ、そしてその上で、健康機能食品制度というものを推進したらどうですかと、そのような取りまとめをさせていただいている。また、本年六月の四日には、与党の食の安全確保に関するプロジェクトチームが「食の安全確保に関する提言」を取りまとめて、「食品衛生法等の食品衛生規制に関する法律の見直し」という項の中で、「過剰摂取等による健康影響が懸念される場合の流通禁止規定など、安全な健康食品の流通確保のための規制を整備する。」こと、このようなことを求めているわけです。  いわゆる健康食品であるとか栄養補助食品あるいはハーブ等、食品と医薬品のはざまにあるような商品群、これらについての規制というのは国によっては確かに大きく違っているんですね。だから、概して言えることは、これらの商品の有効性とか安全に対する評価というものは薬ほどは厳しくない。かといって食品ほど甘くもない。その中間に位置付けるような、そういった規制を行っているんですよね。  だから、今回の問題というのは、中国の問題だけじゃないんだろうと思うんですね。中国製以外の、ほかの国からでもこの種の問題と同じような商品が日本に流入してきているんじゃないかと思いますね。  私は、健全な健康食品というものも当然少なくはないと思うんですね。だけれども、健康食品の位置付けというのを私はやはりもう一度厚生労働省が明確な位置付けを与えて、健全な健康食品の育成を図る、そういった一方、少なくとも標榜しようとする健康表示に関して、明確な科学的な、学術的な根拠のないもの、安全について根拠が十分でないものの広告だとか製造、輸入とか流通は禁止するんだよと、あるいは製造・輸入業者に対しては安全策に重大な事例、不正があった場合、その場合の報告の義務であるとか製品回収の義務、こういったものを含むような健康食品の包括的な新規制度、新法制、そういったものを具体的に検討すべき時期になっているんじゃないかと思うんですけれども、いかがでございましょうか。
  121. 尾嵜新平

    政府参考人(尾嵜新平君) 藤井先生から今お話がございましたように、自民党の中で食品の衛生規制に関します小委員会ということでおまとめを、御提言をいただいたわけでございまして、そういったものも受けながら、私ども、現在、来年の通常国会に食品衛生法の全般的な見直し、抜本的な見直しをした内容の法案を提出したいと、そういう作業を進めているところでございます。  そういった中で、御提言の中でも御指摘ございました健康食品についての対応について何点か御提言をいただいておりますし、また、今般の中国のダイエット食品というものの健康被害というものを頭に置きまして、食品衛生法の改正の中でどういう健康食品についての取扱いなり規制なり、あるいは振興の面も御指摘がございました。そういったものをどう考えていくかということにつきましては、全般の見直しの中で十分検討していきたいというふうに考えているところでございます。
  122. 藤井基之

    ○藤井基之君 是非御検討、しかも早急にお願いいたしたいと思います。そしてその際には、現行の食品衛生法という法の枠の中だけではなくて、やはり新規の立法も踏まえて、含んだ検討というものをしていただきたいと思うんですが、よろしくお願いします。  次に、今回のこの問題でいろいろ言われておりますのが個人輸入代行業という仕事なんですね。これは最近インターネットの普及なんかとも関係あるのかもしれませんけれども、個人輸入の代行を行いますよという便利屋さんのような仕事、これが非常に目立つようになってきているんですね。この個人輸入代行業についてお尋ねをしたいと思うんです。  今回の中国製のやせ薬の多くというのは、実は個人輸入の代行業者を通じて輸入されて、そして国民が購入している、そういうふうに言われているんです。私もインターネットで健康食品の個人輸入代行業というところを検索してみたんですね。それは実に多くの健康食品の個人代行業のホームページといいましょうか、広告があるんですね。  例えば、一つは、これ実はプリントアウトしたものなんですけれども、中国の医薬品を代行輸入する会だという、そういったホームページなんですね。そこを見ますと、優良漢方薬を代行輸入しますと訴えていまして、そして高血圧症とか糖尿病だとか前立腺肥大、リューマチ、関節炎、脳血管障害などの疾病名がずらっと並んでいるんですよ。その疾病名をクリックしますと、その項が、具体的に今度は薬剤の商品名が出てきて、そして効能が書かれていて、そして価格が幾らですと、こういうふうに出てくるんですね。例えば、脳血管障害のところをクリックしますと、商品名がこう書いてありまして、中国の何とか何とか、漢方薬のような名前が書いてあるんです。適用という欄があるんですね。適用欄を見ますと、脳血管障害による手足の麻痺、そして脳卒中後遺症と、こう書かれている。単価は何千円と、こういう商品なんですね。  まずちょっとお尋ねしたいんですけれども、こういうインターネットなんかに書かれている記事を見ますと、これは広告じゃないかと思うんですけれども、これ薬事法の第六十八条に、承認されていない薬の広告を禁止している規定がありますよね。今、私が引いたこの例の場合、この薬事法六十八条の違反になりませんか。いかがでしょう。
  123. 宮島彰

    政府参考人(宮島彰君) 御指摘のように、薬事法におきましては、何人も医薬品等であってまだ承認を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならないという規定がございます。  いわゆる今回の健康食品の関係等を見ますと、いわゆる個人輸入の形で入っている例が多いわけでございまして、その場合、いわゆる個人輸入代行業というものを通じて入ってくるケースがございますけれども、今、委員御指摘のように、いわゆる個人輸入代行業という形であっても、具体的に薬剤の商品名、効能等が明らかにされているような広告を行うという場合には、いわゆる未承認医薬品等の広告に該当するものというふうに考えられます。  広告の監視指導につきましては、業者への広告内容の是正や違反行為の中止の指導等を行いますとともに悪質な例については告発等の措置を行うということで、国、都道府県が一体となって未承認医薬品の取締りの徹底を今行っているというところでございます。
  124. 藤井基之

    ○藤井基之君 私もこれは今言われたとおりに、これ広告の禁止に当たるんだと思うんですね。  このような広告がはんらんすると、要は一切、被害を受けるのは国民なんですよね。これによって正規の本当に治療を受ける機会を逸する可能性があるんですよ。本来、今、合法的な厚生労働大臣が認可する薬であってもですよ、大衆薬としてそんな脳血管障害を伴うものとか脳卒中後遺症なんて、こんな疾病そもそもうたえない指導をしていたんじゃないですかね、厚生労働省は。そういったものを、こういう無許可の、承認を受けていないところというのが堂々とやっている。  やっぱり私は、広告媒体というものがどんどんどんどん今変わってきているんだと思うんですね。ですから、それに見合った薬事監視等も是非やっていただきたいと思うんですね。このインターネット、是非もしも機会がありましたらのぞいていただきたいと思うんですよね。かなりの、何というんですか、刺激的な内容になっておるので、是非御検討いただきたいと思います。  それから、この薬事法の関係でもう一つお伺いしたいんですけれども、薬事法の第二十二条という条文がありますですね。これによると、医薬品を業として輸入する場合には輸入販売業の許可が必要ですよと、こういうふうに決めているんですね。この個人輸入代行業というのは、不特定多数の個々人に対しまして、その業者が取り扱う医薬品のリストを示しているわけですよ。そして、その輸入を呼び掛けるわけですね。その際の輸入代行手数料か、あるいはその価格にもオンコストされているのか知りませんが、そういった手数料等を収益として行っている。個人の一人当たりの輸入量というのはある程度制限されていると、個人使用だから。だけれども、こういった個人が一杯寄れば、その輸入量も輸入金額も輸入頻度も非常に大きくなってくる、十分これビジネスとして成り立つんだ、だからこそ個人輸入業というのが一杯増えているんだろうと思うんですね。  このような医薬品の個人代行業というもの、これは私は、薬事法という法律ができたときに、法体系上のときはこれ想定されなかったビジネスだと思うんですよ。ところが、現実に今こういったビジネスがまかり通っている。私は、薬事法の二十二条に言うところの業として輸入する者が、だから本来これは許可を受けなきゃいけないんじゃないかと、こういった法適用というものを取るべきじゃないかと思うんですけれども、いかがでございましょうか。
  125. 宮島彰

    政府参考人(宮島彰君) 今、委員御指摘のように、薬事法におきましては医薬品を業として輸入するに当たっては、輸入販売の承認及び許可を必要とするという規定しておるところでございます。  今御指摘のいわゆる輸入販売業者についてでございますけれども、こういった輸入販売業者が直接当該医薬品を管理せずに注文手続の代行でありますとか、あるいは注文書の翻訳、あるいは送金の代行というものに限定して行っている場合においては、医薬品の輸入販売に該当するという形はなかなか難しいかというふうに思います。  しかし、先ほどの御指摘もありましたように、その取り扱う医薬品の商品名をリストで示したり、あるいはその輸入を呼び掛けるような事例という形がこれに加わりますと薬事法上の輸入販売業に該当するというふうに考えられますので、私どもとしては必要な取締りを行っていきたいというふうに思っております。
  126. 藤井基之

    ○藤井基之君 今のお答え、是非こういった取締りしていただきたいと思うんですけれども、先ほども申し上げましたけれども、私はこの法律を作った段階のときにおいて、その輸入販売業という業に対して、商品を具体的に扱っていなければそんなものは業と見れないとかっていう考え十分あると思う。でも、今インターネット、これだけ普及されますと、いわゆるサイバーの、いわゆるサイト内でのビジネスというのは一杯あるんですよ。そのときは商品をそこに羅列する必要はないんですよ。リストで十分役に立つわけですよ。何かあったらそれこそメールで取ればいい、取り寄せればいい、それができるんですよ。だから、そういったビジネス形態というのはこれ広がってきているんじゃないか。特にこの扱っている商品群が生命関連商品なので、私はある程度厳しめに法を運用すべきだと私は考えるんですよね。だから、是非、私はこれ実態を是非調べてもらいたいんですね。輸販業とこの代行業が一体何が違うのか。  この代行業の中には、何も今は中国の話だけしましたが、ほかのも一杯あるんですよ。かつて日本で商品が売られていなかったときにバイアグラの輸入代行しますとか、いわゆる毛生え薬の輸入代行しますとか今でもあるんですよ。それらは当然許可受けていないですよ、日本で。そういった段階からこのビジネスをやっているわけじゃないですか。薬事法なんというのははっきり言ってなめられているんじゃないんですか、これ、法の規制として。いかがですか。もう一度お願いします。
  127. 宮島彰

    政府参考人(宮島彰君) 基本的には、私どもとしましては、いわゆる輸入代行業という名称を掲げていても、その実態が先ほど申しましたように輸入販売業に該当するというものであれば、これは薬事法違反ということで厳しく取締りの対象としていくということをこれからも徹底していきたいと思っておりますが、今御指摘のように、最近におきましてはインターネット等非常に新しいメディアを使ったやり方といいますか、そういうものも出てきておりますので、そういうものに対してはなかなか従来のやり方だけでは対応できない点もあるというふうに我々も考えますので、そういった新しいインターネット等を用いた不適正な販売行為、こういうものに対して有効な取締り方法等について更に検討し、実効を上げるような形を取っていきたいというふうに思っております。
  128. 藤井基之

    ○藤井基之君 ありがとうございました。  是非、国民の、特に健康食品を購入されて食べるというか飲まれる方というのは健康に何らかの異常があると思っているからこそ、これはこういった物を買われるわけですね。ある程度価格、付加価値が高い、非常に高い値段の物を買われているわけですから。そういった方々ですからこそ、そういった方にこれだけ多くの健康被害が出たんじゃ、それはそれの監督官庁である厚生労働省はその職責を全うしているとは言えないと思うんですね。是非これからも引き続きまして十分な取締りをお願いしたいと思います。  終わります。ありがとうございました。
  129. 佐々木知子

    佐々木知子君 自由民主党佐々木知子でございます。  私は、今出ている文芸春秋で佐々淳行さんと来日外国人犯罪、殊に中国人犯罪、この場合香港と台湾を除いておりますが、いかに深刻であるかということを述べております。それに関連いたしまして今日質問したいんですけれども、在日外国人刑法犯検挙件数というのはここ数年間二万件ほどで推移しております。  ただ、問題が非常に深刻とされておりますのは、強盗や侵入盗という重大犯罪が増加しているということでございます。また、検挙率が、強盗については五割を切り、侵入盗、これは主にピッキングでございますけれども、三割を切っている。非常に検挙率が低下していて、国民全員が治安が悪化していると感じている、これは体感治安という言葉が使われますけれども、悪化しているということが言われております。  その対策として、今幾つかございますけれども、まずは不法入国の対策を強化する要があるというのは言うまでもないことだというふうに考えております。中で、今日の質問につきましては、海上保安庁や警察の所管に係る集団密航対策の強化というのはさておきまして、入国管理当局に出入国管理体制の強化ないし偽変造旅券、文書対策の強化についてお伺いしたいと思います。  異動になったばかりで非常に恐縮でございますけれども、入国審査官による上陸拒否の数についてはどういう実態であるかお答え願います。
  130. 増田暢也

    政府参考人増田暢也君) 上陸を拒否された外国人は、平成十一年で九千四百五十七人、平成十二年で八千二百七十三人、平成十三年で一万四百人となっております。
  131. 佐々木知子

    佐々木知子君 大体一万人ぐらいというふうにお聞きいたしますけれども、そのうち偽変造旅券並びに在留資格認定証明書が発見された件数、そのための機器等の配備状況についてお伺いしたいと思います。
  132. 増田暢也

    政府参考人増田暢也君) ただいま御質問の偽変造旅券の発見件数でございますが、平成十一年が千八十一件、平成十二年が八百六十七件、平成十三年が千三百三十一件でございます。  また、偽変造在留資格認定証明書の発見件数は、平成十一年が十五件、平成十二年が三十件、平成十三年が六十七件でございます。  次に、お尋ねの偽変造文書機器の配備状況についてでございますが、偽変造文書の行使等により我が国への不法入国を企図する事案につきましては、これを確実に水際で阻止することが出入国管理の重要な課題となっており、特に米国同時多発テロ事件発生以降は、テロリストの我が国への上陸を未然に防ぐため、一段と上陸審査における偽変造文書の発見に努めているところでございます。  そのため、昨年度、成田空港を始めとする全国の主要空海港等三十五か所に最新鋭の偽変造文書鑑識機器四十四台を配備し、加えまして、偽変造文書鑑識要員を二十八名増強して偽変造文書鑑識体制を充実強化したところであります。  これらの対策をより実効性のあるものとするために、全職員を対象とする偽変造文書鑑識に係る研修等を実施し、当局全体の文書鑑識に係る能力のレベルアップを図っております。
  133. 佐々木知子

    佐々木知子君 機器はかなり整備されてきた、その他、見付けるための研修も実施していると。ただ、やはりこれはどこの社会でもそうなんですけれども、イタチごっこということになりまして、こちらが機器を精密にすればやはり偽変造旅券もそれ相応にうまいものになってくるということで、是非ともこれがイタチごっこにならないように努力していただきたいというふうに思うわけですけれども。  入国管理法を見ますと、第五条に上陸拒否が、各号が載っております。この各号にのっとって上陸拒否をされた人の数というのはどれぐらいでしょうか。この各号に該当するということを発見する方法というようなものはどのようなものがございますでしょうか。
  134. 増田暢也

    政府参考人増田暢也君) まず、上陸忌避理由の内訳の数について申し上げますと、入国目的に疑義のある事案ということで拒否した者が六千四百五十七人、不法入国の容疑者として警備部門に引き渡した事案が千二十八人、有効な査証等を所持していない事案が六百二十一人、法定上陸拒否事由該当事案が二百十二人、そして、その他の事案が二千八十二人でございます。  入管法第五条各号の該当者を発見する方法についてでございますが、これは、外国人に対する上陸審査におきまして、入国審査官は各審査ブースに配備されております旅券自動読み取り装置、これを使って上陸を申請した外国人の所持する旅券を読み取り、退去強制歴のある者など、上陸拒否事由に該当する者などを登載した要注意外国人に係るリスト、いわゆるブラックリストでございますが、これと即時に照合することができるシステムを導入しております。  入管法第五条に規定する上陸拒否事由の該当者であるとしてリストに登載されている者が上陸申請に及んできた場合は、このシステムにより確実に把握され、当該外国人の上陸は拒否されることとされております。
  135. 佐々木知子

    佐々木知子君 アメリカでは入国者の指紋照会が一人一人についてなされているというふうにも漏れ聞いております。  それの制度というものがどういうものであって、もしこれを日本に導入するとしたらどのような問題があるか、予算措置などもあると思いますけれども、これについてお答え願えますか。
  136. 増田暢也

    政府参考人増田暢也君) お尋ねのシステムにつきましては、テロ対策の一環として、出入国港等、国境において指紋採取、顔写真撮影を行い、犯罪者及びテロリストのデータベースと照合して、偽名、偽造旅券を用いた犯罪者及びテロリストの入国を防止するシステムとして一部の空海港で試験導入されていると聞き及んでおります。他方、この措置につきましては、アメリカ国内からも差別行為ではないかとの疑問の声が上がっているとの報道にも接しております。  したがいまして、我が国にこのシステムを導入する場合には、まずもって入国者の指紋を採取することについて各方面の理解が得られるかなどの検討が必要になるものと考えております。
  137. 佐々木知子

    佐々木知子君 上陸拒否をした国別の数値というのをお述べいただけますか。
  138. 増田暢也

    政府参考人増田暢也君) 過去三年の数字で申し上げますと、一番多かったのが韓国でございます。平成十一年が四千二百二十人、平成十二年が二千五百七十九人、平成十三年が二千五百二十五人でございます。次に、中国が平成十一年六百二十三人、平成十二年六百四十五人、平成十三年七百四十八人となっております。
  139. 佐々木知子

    佐々木知子君 韓国がやはり一番多いというふうに承知しているわけです。  韓国との間のビザなし渡航というのは例のワールドカップのときに実施されたというふうに聞いておりますけれども、これについて何らか問題がなかったのか。そして、私、ホームページを開いておりますけれども、見た人からかなり多い数で韓国との間のビザなし渡航をこれからも永久的に将来、開放しようというような動きが政府の中で見られる、まあ首相発言とかもございますけれども。こういうことをしたら、上陸拒否も今一番多いのが韓国であると。それから、不法残留者も実は一番韓国が多いというふうに承知しております。ということは不法就労者ですね。こういう危険なことを政府が認めるのはとても許せないというようなメールがたくさん参っております。  それについて、私は政府側の答弁をお聞きしたいというふうに思います。
  140. 杉浦正健

    ○副大臣杉浦正健君) 先生の文芸春秋、読まさせていただきました。先生は、検察官御出身でございますし、また検察官時代に国際的な司法共助の仕事もなさっておられた。また、文人としても有名でございまして、文武両道に秀でた先生でございまして、少年法の議員立法改正では同志として共同提案者になっていただいたということで、今日は先生からの御質問があるということで戦々恐々としておりました。  ビザなし渡航につきましては、前向きか後ろ向きかと答えるとすれば、前は向いていると思いますが、後ろは向いていないと思いますけれども、御案内のとおり、サッカーワールドカップの間は、つまり五月十五日から六月三十日までの期間は査証免除を実施いたしました。  それに先立ちまして、一月でございますが、一月一日から査証緩和を行っております。それまでは、観光ビザは三年マルチで一回十五日だったと記憶しておりますけれども、これを五年、有効期間五年マルチ、滞在期間九十日というビザを出せるようにいたしました。条件が付いておりまして、過去に訪日したことがあって、その際、我が国の法令違反がなかったという条件が付いておりますが、そういう方に対しては緩和するという措置を取っております。  先生御案内のとおり、金大統領を始め先方の方がいらっしゃるたびに、韓国はビザなしなのに日本はビザを要求する、何事であるかというおしかりを度々ちょうだい、お見えになるたびに出されている話もございます。  それから、近年、FTA交渉が始まっております。産官学始まりまして、一、二年の間には韓国との間で、これは私の見通しではまとまるんじゃないかと思いますが、総貿易額の九〇%以上関税なしという自由貿易協定に韓国側が非常に熱心でございますので、進んでおります。  また、ワールドカップを契機にしているわけではございませんが、韓国側が日本文化の解禁を徐々に行う。両国の間が、かつての歴史もあるわけですけれども、大きく和解へ向かって流れができておるという背景もございまして、外務省としては前向きに考えておるんですが、しかし、先生御案内のとおり、警察は後ろ向きでありますし、法務当局も極めて厳しいという状況で、政府としては、先生御指摘のとおり、不法滞在者が全体、今二十二万四千人、平成十四年一月一日現在、これは統計上の人数でございますが、実際、暗数はもっとあるだろうと言われておりますけれども、その二五%は韓国からの不法滞在だという状況、しかも九五年以降は国籍別ではずっと第一位を続けておるという事情もございます。犯罪者との経緯では中国が断トツなんですけれども、不法滞在者の方が犯罪行為に出られるあれも強いという事情がございまして、政府全体としては、こういった今までやりました査証緩和とか今度のワールドカップにおける査証免除の状況を見極めながら、関係省庁の間で詳細な分析評価を行った上で、日韓間の人的交流はもっと増えるであろうし、増やしていかなきゃならないという見地から、私は前を向きながら検討をしてまいることだと思います。  ただ、サッカーの間のビザなし渡航、サッカーの間の期間は実際減ったらしいんですね。というのは、韓国チームは日本に来なかったものですから、韓国の人たちはテレビにくぎ付けで、かえって減ったようであります。  それから、一月一日以降の査証緩和によってどういう影響が出たのか。つまり、韓国の不法滞在が多いのは、要するに十五日ビザで来て、例えば飲食店だとかカラオケバーなんかで手伝って働いて金稼いで帰る、経済格差があるというのが根底にあるんですけれども、十五日瞬く間にたっちゃって不法滞在になるというケースが多かったわけです。  だから、査証期間を延ばしたことによってどういう影響が出るか、今検討をいたしております。詳細、検討をして、関係省庁間で打ち合わせながら、先生御心配の不法滞在者が減る方向でないとこれは査証緩和できないと思います。韓国当局もよく承知しております。日本から行った人は不法滞在ありませんが、韓国はあるということは承知しておりまして、そういった実情を精査しながら関係省庁間で、顔は前を向きながら協議をしてまいるということだと思います。
  141. 佐々木知子

    佐々木知子君 これは韓国に限らず、本当は中国に対して厳しく言わないといけないことなんですけれども、韓国は、二五%の不法残留者が韓国人ということで一番多いということなんです。要するに、不法就労者が多いことですね。こういうのは、どういうベースで向こうに考えてくれるようにとかそういうことを働き掛けているのでしょうか。
  142. 小野正昭

    政府参考人(小野正昭君) 外務省と韓国の間で、局長レベルあるいは課長レベル、様々なレベルで入国管理の問題についても協議する場がございます。そういうところには通常、法務省それから警察庁からも代表が参加していただいて一緒に協議するということをやってきておるわけでございます。  ただいま副大臣から御説明ございましたように、韓国側としてもこの不法残留者、韓国人の不法残留者の問題というものは重要であるということを十分認識しているというふうに承知しているところでございますが、我が方の協議を通じて韓国側が努力していることを一、二御披露したいと思うんですが、一つは、先ほどから御説明ございました偽変造旅券、これがやはり大きなまだ問題があるというふうに認識しておりまして、現在、韓国側としましては新しい旅券の開発、これは写真をそのまま張るんではなくて、我が国が既に導入しておりますように写真転写方式ということで写真の張り替えができないような方式にするとか、そういう面での国内手続を現在進めているということでございます。  それからもう一点は、出入国管理、不法入国防止に向けて、韓国の国内官庁の連携あるいは協力強化ということを現在行っているということで、出入国管理体制の強化につきましても韓国側として努力を行っているというふうに承知しております。
  143. 佐々木知子

    佐々木知子君 時間の関係で次に行きたいんですけれども、治安を維持するためには防犯対策ということがやはり肝要だというふうに思われるわけです。これは、独り多分警察の仕事ではなくて、官民が協力してやっていかなければならないことだというふうに思うわけですが、最近、これはアメリカ発の概念ですが、割れ窓理論という言葉がよく聞かれるようになったというふうに思います。これはどのようなものでしょうか。警察庁、お答えください。
  144. 瀬川勝久

    政府参考人(瀬川勝久君) 割れ窓理論でありますが、これは一九八二年、約二十年前に初めてアメリカで提唱されました。いわゆる社会安全政策に関する理論と言えようかと思います。公共空間で、例えば落書きでありますとか酔っ払いでありますとか、軽微な犯罪行為、その他いろいろあろうかと思いますが、そういったものでありましても、そのことがコミュニティーの利益を大きく損害するというようなものにつきましては、住民そして警察はこの問題について真剣にこれをとらえ、改善することにより、その治安を全体維持していかなければならないというものであります。  例えば、割れ窓理論という言葉の由来でありますけれども、窓ガラスが損壊されるという行為が一つあると。それ自体、これは厳しい処罰が要求されるような重大な行為ではなく、ともすれば見逃してしまうというようなものであります。しかし、そういった壊れた窓を放置していることによりまして、そういった、例えばビルの窓ガラスが壊れたままになっていますと、そのビル自体が管理が行き届いていないということになりまして、どんどんそのほかの窓ガラスも割られてしまう、ひいてはビル自身がいたずらでありますとか、ひいては犯罪の格好の舞台になってしまう、ビル全体に限らずその地域全体の治安に大きな影響を与えていってしまう、こういうことでありまして、こういった悪循環に陥る前に、警察と住民が適切な対策を講じることによりまして、地域全体の安全、治安というものを維持すべきであると、こういう理論であると承知をしております。
  145. 佐々木知子

    佐々木知子君 割と世界の、発展途上国もそうですけれども、そうじゃない国もありますけれども、交番という、ポリスボックスですけれども、これは世界的にもかなり取り入れられていると。日本が誇れる一つの制度だというふうに思っております。  ところが、最近、交番が、私の周りのところでもそうなんですけれども、無人だったりとか、余りどうやら地域のパトロールとかをしていなくて、地域住民を把握していないのではないかと、こう感じられるようなことがあるわけですけれども、これについては、警察庁、どうですか。
  146. 瀬川勝久

    政府参考人(瀬川勝久君) 御指摘のとおり、交番といいますのは、我が国の治安を支える基盤、非常に重要なものであるということで、諸外国にも紹介をされております。言わば交番のシステムの輸出というようなことまで行っているわけであります。  正に交番は、御指摘のように、その地域の安全を確保する上で極めて重要な存在でありますけれども、近年、一一〇番の受理件数が非常に増えているというようなこと、あるいは交通事故件数等が急増しているというようなことで、交番の勤務員がこういったものへの対応に追われるということになってしまいまして、パトロール等が十分に行えない、ひいては、空き交番が多数生じてしまって、住民の方が非常に不安をそのこと自体で感じてしまうというような状況になっております。  そのため、平成十三年度及び十四年度お願いをいたしまして、合計七千八十人の地方警察官の増員を措置していただいたところであります。このうち、交番の機能を強化するための体制確立ということで、七千八十人のうち約四割を配分をしております。また、空き交番を解消するために、OB等を活用いたしまして、交番相談員という形で交番にいてもらって、地域住民の方が訪れた場合の相談に応じる等々に当たってもらうということにしております。そういった増員あるいは交番相談員を配置するということによりまして、本来の警察官、交番勤務員がパトロールの強化の方に重点を置くことができるというようなことで、パトロールをもっと強化しよう、街頭活動をもっと強化しようという通達を昨年も発出しております。  私どもとしては、そういったことによりまして空き交番を解消し、そしてまたパトロール等を強化するということによりまして、地域住民の方との接点もそれにより増える、住民の方の声も十分聞くことができる、あるいは警察官の姿を身近で見ていただけるということによりまして、地域の方の不安を解消する、安心感を持っていただくという交番の機能の強化に取り組んでいるところであります。
  147. 佐々木知子

    佐々木知子君 本当に交番の制度を充実させるということは治安の維持に私は最重要の一つではないかというふうに考えておりますが、警察官がコミュニティーにいつもいてくれると、その安心感によって住民もやはり、自分たちも自分たちで治安を維持しなければいけないと、こういうふうに双方向性で思ってくれることが私はやはり防犯につながるというふうに思うわけです。地域住民と、それからほかにいろんな、役所なんかもありますが、恐らくはリーダーシップを取らないといけないのはやっぱり警察だろうと。そういう地域住民やほかの関連部署などをどういうふうにして一丸となって治安の維持に取り組ませるかということにつきましては、警察はどのようにお考えですか。
  148. 瀬川勝久

    政府参考人(瀬川勝久君) 安全で住みよい地域社会を実現するということが警察にとりましても最も重要な課題だと考えております。そのためには、先生御指摘のとおり、地域住民、そしてまた地方自治体を始めとする関係機関、警察が十分に連携をしていく必要があると思います。  そういった観点で私ども、安全・安心まちづくりという政策を進めているところでありますが、先ほどお尋ねありました割れ窓理論につきましても、これはやはり住民の、何といいますか、主体的な参加ということを非常に重視しているものでありまして、そういった意味では私ども、昔から考えてきた地域安全というものとこれは非常に相通ずるものがあるだろうと、こういうふうに思っているところであります。  私ども、地域住民の方との具体的な連携について若干例を申し上げますと、例えば警察法の改正で今回新たにできました警察署協議会、警察署の管内の地域に住んでおられる各界各層の方からいろんな御意見をお伺いして警察行政に反映するというようなものがございます。それから、それぞれの交番、駐在所ごとにその管轄区域内の方と連絡協議会というようなものを設けまして、住民の方と、いろいろ要望を聞くなりこちらからいろんな情報を提供するなりして連携を強化するようにしております。やはり私どもから、危険箇所でありますとか犯罪の発生状況でありますとか少年の非行の状況でありますとか、そういった地域のいろんな安全に関する情報を提供するということが重要だろうと思いますし、それから地域の方が自分たちで何とかしようという機運を醸成するように持っていく、そういった活動についていろんな助言をしていくというような役割というのは今後ますます重要になるだろうと思います。  地域住民の方々も、自分たちでやっぱりパトロールをするとか、少年補導を自分たちも一生懸命主体的に取り組むとか、あるいは警察署、交番の者を呼んで防犯に関する懇談会をできるだけ多くの方を参加して開催をするとかいうようなこともやっていただいておりますし、少年、子供たちの問題でいえば、例えば環境美化運動ですね、空き缶拾いというようなことから始まった環境美化運動というのも、住民の方と警察等が一緒になって推進をしているものでありますし、そういった、先ほどの割れ窓理論とも共通するかと思いますが、たとえ小さいことであっても、それが将来の治安の悪化につながるというようなものについて、小さいうちに事象を解消していくということが大変大事だろうと思いますし、正にそういった場面において地域住民の方と一体となって取り組んでいきたいというふうに考えております。  防犯対策は警察のみの力で成し得るものでは到底あり得ないというふうに考えて取り組んでいるところでございます。
  149. 佐々木知子

    佐々木知子君 来日外国人の犯罪について私はいろいろ質問しているわけですけれども、ただ、来日外国人イコール犯罪者ではもちろんないわけで、平穏に日本でまじめに働いている人たちもたくさんいるわけです。そういう人たちを外国人だからということで排除するのではなくて、ある意味では日本人同様に彼らもまた地域住民であるとしてやはり扱わなければいけないのではないか。でなければ、また彼らの間から出なくてもいい犯罪が出てくるおそれだってあるだろうと。  そういう居住外国人に対する防犯対策というんですか、そのための成功例があるというふうに伺っているんですけれども、ちょっと紹介していただけますか。
  150. 小田村初男

    政府参考人(小田村初男君) 居住外国人への対応プロジェクトの事例紹介ということでありますが、一つは、愛知県警察、愛知県の豊田市の保見団地という団地がありまして、ここは住民の約三分の一、三千人が日系ブラジル人であるというような団地でありまして、日本人の住民とブラジル人の住民との間でやはり生活習慣が違うとか、あるいは言葉の違いからの行き違い、そういうような様々なトラブルが発生しているというような事例がありましたので、平成十二年九月に豊田警察署に保見団地共生プロジェクト本部というものを設置いたしました。  このプロジェクトでは、もちろん犯罪の検挙も大事でありますけれども、それだけでは問題解決に至らないというような認識の下に、来日ブラジル人と日本人が共生できる環境の構築に向けまして、十六人の専従警察官によりますコアチームというようなものを編成しまして、二十四時間体制で団地内を巡回して、各種相談に応じるなどの地域安全対策を関係機関とも連携して推進をいたしました。  もちろん、この開始当初は様々な反応がありまして、制服で回りますと、制服で来られると何か悪いことをしたように見られるのでというような苦情もありましたし、また私服で腕章を付けて回りますと、やはり警察の存在感がないので制服で来てくれないかというようなお話もありました。  そうしたことから、コアチーム専用のジャンパーを作りまして回ったり、あるいは学校と連携をして交通安全教室を開いたり、交番の触れ合いのいろんなイベントを行ったり、そうした様々な活動を行いました結果、理解をいただくようになりまして、事態改善に一定の成果を上げるようになりました。  また、そうした活動を通して、地方自治体を始めとする関係行政機関や雇用している民間企業、そういうところにも働き掛けを行いました。その結果、豊田市ではこの団地に日系ブラジル人を対象とした相談窓口を設けるというようなことも行いましたし、豊田市多文化共生推進協議会というようなものをこれらの関係者で作りまして、そうした外国人と日本人の共生のための取組というものを現在でも推進中でございます。
  151. 佐々木知子

    佐々木知子君 これは、これから避けて通れない問題ですので、是非活発に取り組んでいただきたいと思います。  続きまして、杉浦大臣にまた御登場いただくことになりますけれども、瀋陽総領事館事件の問題点をここで私は整理をしておきたいと思います。  この事件に関しましては、いまだに様々のメディアで扱われておりまして、いろんな人としゃべってもいろんな形で登場します。そういうときに、日本に対する主権侵害、これは主権侵害という言葉をよく使いますが、これは正しくないのかもしれません。主権侵害に対する抗議がうやむやになっているままではないかとか、関係者の処分が、まあ副領事がいましたけれども、二人、まだなされていないとは何事だとか、果てはこんな卑屈にも帽子を拾って渡したというのは情けないとか、北朝鮮からかわいそうに食べる物も食べれないで亡命しようとしている人たちに対して何という日本は非人情国的なことだとか、いろいろなことが言われるわけです。  この背景には、もちろん続けざまの不祥事によって外務省に対して国民が根深い不信を持っているということがございますし、またチャイナスクールの問題ももちろんあります、それからODAの問題、それから果ては歴史教科書問題、靖国問題をめぐって中国に対して根深い不信があるということがあるわけなんですけれども、ただ、そうした感情的な問題がここでるる取りざたされることによって、この本質の問題は何なのかということを、的確な指摘が余りなされていないのではないかというふうに私は考えております。  外務省総括ですけれども、今までのところ、しているのかしていないのかも分かりませんけれども、結局のところ、何がどう問題だったのか。これは条約の問題もございますし、それから法律の問題もございますけれども、的確に御指摘いただけたらというふうに思います。
  152. 杉浦正健

    ○副大臣杉浦正健君) 外務省としての総括は、去る七月四日に、瀋陽事件、瀋陽総領事館事件についての処分をいたしました際に、大臣から詳細、総括をいたしております。  長くなるので全部御紹介というわけにはまいりませんが、瀋陽事件というのは、我が外務省にとってのみならず、我が国にとっても外交の在り方ということで大きな問題を投げ掛けた事件だと、こう思っております。結果として、五人の方が本人の希望に従って中国当局が人道的配慮で韓国へ送ったという結果は妥当だったというふうに評価してよろしいんじゃないでしょうか。  ただ、その事件の発端から始まる様々な経過において、我が外務省側にもいろいろ問題がございましたし、また中国側にもウィーン条約違反という問題がありまして、この点については、我が方の抗議に対してもまだ陳謝の意の表明もございませんし、中国側からまだ何らの、もう解決したんだという態度を取っておられるわけですが、そういう意味では問題が残っておると言ってよろしいかと思います。  外務大臣、私もそうですが、先方の高官に会うたびに、日本の政府姿勢は変わっていないと、本件の根本は、中国側官憲、武装警察ですが、官憲がウィーン条約三十一条に違反をして我が方の、その三十一条に定める者の同意を得ないで我が方公館に立ち入った、ウィーン条約違反だということは明白であると、それに対して陳謝を求め、再発防止策を講じてほしいという私どもの立場を再三申し上げておりますけれども、それに対しては中国からはお答えは返ってきていないという意味では、本質的な問題は残されたままだと言ってよろしいかと思います。  我が方の外務省の問題としては、問題点、大臣が述べておられますけれども、この問題についての関係者の危機意識が希薄だったと、分かりやすく言えばたるんでおったということでございまして、私、副大臣、二人の副大臣、三人の政務官に対して報告がなかったと。私以外の四方は明くる朝、テレビ等のニュースで知ったと、私は前日、マスコミの人から聞いたんですけれども、そういう状況がございまして、およそ緊張を欠いた対応であったと。  ほかにもございます。門が一メートル開いておったとか、危機意識が足りない。元々いわゆる脱北者の方の多い地域でありますから、常日ごろそれに対して備えると、精神的にもあってしかるべきだっただろうということを第一に総括で挙げておられますし、危機管理体制の問題、警備面の問題等、外務省として反省すべき点が多々あったという点を認め、反省し、国民の方におわび申し上げ、そして御案内のとおり処分を行ったということでございます。
  153. 佐々木知子

    佐々木知子君 平成八年に在ペルー日本大使公邸占拠事件というのが起こっているわけです、実際に。それを受けて、外務省では在外公館の警備強化など危機管理体制の整備を実施したはずなんですよ。いいですか、実際起こっているわけです。起こらないということは断言できないわけです。  この事件の、瀋陽事件の直前にも、北京のスペイン大使館に同様の北朝鮮難民駆け込み事件というのが発生していたというのも、これも事実です。瀋陽周辺に多数の北朝鮮難民が潜伏しているということも、これは周知の事実でした。だから、今回の事件というのは、十分に十分に発生が予測できたものなんですよ。もう過失も過失、もう故意に近い過失ではないかと思うぐらいなものなんです。  昨年の九月十一日にテロが起こった、アメリカで。日本はアメリカのアフガニスタン攻撃を全面的に支援する態勢を取ったわけです。ということはどういうことか。日本の在外公館がテロ組織の標的とされるおそれは極めて高まったということなんです。これは当然のことですよね。だから、不審者に対する警戒態勢というのは当然のごとく最強化の態勢を取らなければいけなかったということなんです。  今申し上げたみたいに、北朝鮮難民がたくさんいる、経済難民がたくさんいて逃れたがっている、これも周知の事実だったわけで、日本の国益という観点からすれば、これは人道的見地とは全然別の問題ですよ、なるべく北朝鮮難民とのかかわりは避けたいというのは事実だと思うんです。だって中国との関係は悪化します、でしょう。ですから、どういう観点からしても、これは起こさせてはいけないことだったわけです。  実際、アメリカの在外公館はどうしたかというと、武装海兵隊員が警備して、門扉にも電子式の開閉装置や回転式の鉄扉を設置して、一度に一人ずつしか通れない構造にしております。ですから、この北朝鮮の難民も、アメリカ大使館への亡命は、在外公館への亡命は避けた、できなかったわけです。  ところが、日本としては、なぜだったか、警備を厳重にすると来訪者に不快な印象を与えてしまうとか、そんなことを申し訳のようにおっしゃっておられましたけれども、だからといって門扉を開け放していたと、どうぞお入りくださいというような状況だったということなんですよ。これは本当、お粗末極まりないという実態でして、もう危機管理上本当になっていないですね。  そういうような状況外務省のやり方だったということで、これを踏まえまして総括されたとおっしゃいましたけれども、そのうち、この在外公館ではどういうふうに警備体制を強化しているんでしょうか。ここに限らず全体に関してです。というのは、日本は今申し上げましたように、テロリストの標的になって当然の国だからです。
  154. 杉浦正健

    ○副大臣杉浦正健君) 正に佐々木先生からおしかりを受けるのは当然という状況だったわけであります。  この問題をきっかけにいたしまして直ちにやったことは、全在外公館に対しまして正門の原則閉鎖等警備体制の緊急点検を指示いたしました。瀋陽はそうだったんですけれども、監視カメラの設置、設置場所、設置してあってもテープがなかったというような事態を受けまして、その物品面の整備を緊急に始めるということを緊急に手配いたしました。  それから、今後の措置としてですけれども、抜本的な警備体制の改善を図らなきゃならない。当然のことなんですが、これは人的、物的両面の整備ということに相なるわけですけれども、五か年計画を策定いたしまして一つずつ着実にやっていこうということで手を付け始めておるところでございます。それに優先度を付けまして、いろいろな面から緊急度の高い二十公館を最優先にして着実に緊急整備をしようというふうにもいたしております。  そういうこともさることながら、省員の意識改革の徹底ということが大切でございますので、変える会の御答申も出て今作業をしておりますが、八月中にアクションプランを作り、外務省の再スタートに向けて様々努力しているところでございます。
  155. 佐々木知子

    佐々木知子君 難民条約というのがございます。難民条約の対象者というのは、実は政治亡命者なんですよね。マスコミも十把一からげに亡命者というふうに扱っておりまして、本当にかわいそうな、かわいそうなのも間違いないんですけれども、本件のような、しかし、北朝鮮からの亡命者というのは実はこれは経済難民でございまして、明らかに条約の対象の、あるいは日本の出入国管理法の対象の亡命者とは違うんですね。明確に区別されている。この扱いというのは国際的にどう区別されているのか、お答え願えますか。
  156. 杉浦正健

    ○副大臣杉浦正健君) 先生に申し上げるのは正に釈迦に説法でございますけれども、先生の申された政治亡命者とかあるいはマスコミが使っている経済難民とか、いろんな言葉が使われておりますけれども、確定した定義があるというわけではございませんで、我が国における難民受入れの基準としては、もう御案内のとおり、難民条約というのがあって、我が国では出入国管理及び難民認定法という法律がございます。そこにございますように、先生には申し訳ありませんが、人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員あるいは政治的意見を理由に迫害を受けるおそれから国籍国の外にいる人を難民と定義しておりまして、この定義から、中には政治亡命者もおりますし、中には経済難民に近い人もおるということであろうかと思いますが、我が国としてはその難民認定法に基づきまして、法務省の方ですけれども、適切に認定を行っていると。  単に、ただ単に経済的理由から他国へ逃れた者については難民認定は行われておりませんし、また国際社会においても、国際社会のスタンダードとしては、こういう方を難民として受け入れるということはしていないというふうに承知しております。先生のおっしゃるとおりでございます。
  157. 佐々木知子

    佐々木知子君 政治的亡命者というのを庇護するのは国際慣習ですけれども、経済難民についてはむしろ本国に送還するというのがグローバルスタンダードなんです。この問題をかわいそうだから受け入れたらいいじゃないかというふうに決して安易に考えてはならないというふうに思っています。  途上国との経済格差に起因する経済難民の流入に先進諸国というのはどこも頭を抱えております。伝統的に亡命者に対して非常に寛容なフランスであっても、経済難民の受入れというのは消極的な姿勢を取っております。そういう点で、約二千数百万人の北朝鮮国民の今大半が潜在的な経済難民と考えられる状況下で、彼らが周辺諸国に大量脱出すればどういう事態になるのか。これは考えればもう恐ろしいというか、自明の事態なんです。  そういうことをどういうふうに日本は処理するのか。前、インドシナ難民のときにも日本はパニック状態に陥りましたけれども、そういうことを踏まえずして、かわいそうだから受け入れたらどうかというような議論は決してしてはならないと。社会的な枠組みとして、どこまでのインフラとして受け入れることができるのかというような観点からこれは考えていかなければならないというふうに思っておりますし、是非政府もそういうことをメディアに対して説明していただきたいと思います。国民も、ただかわいそうだ、人道的なことだけで考えている傾向も強いようでございますが、これはもう国家の大きな問題にもなりかねないと思いますので、是非考えていただきたいと思います。  ということで、少し早めですけれども、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  158. 中島啓雄

    中島啓雄君 自由民主党中島啓雄でございます。  佐々木委員に続きまして、経済活性化の問題とペイオフの問題などについて若干質問をさせていただきたいと思います。  最初に、経済活性化に関連して、ここ十年ぐらいのGDPの推移を見てみたいと思うんですが、一九九一年、平成三年という年はちょうどバブルが崩壊し始めた年でございますけれども、この年は民間投資が九十七兆円というようなことで一番ピークになったと。それから、赤字国債が平成年度というのはなかったというふうな、いろいろな意味でエポックメーキングな年だと思いますが、このときのGDPが四百七十四兆円、名目でございますが、それが九七年、平成九年に五百二十兆円まで上がったんですが、また名目では下がってしまいまして、昨年度平成十三年度は五百兆円、こういうことでございますから、九一年から二〇〇一年度までの十年間で上がり下がりはありますが、上がった額だけを見ますと、二十六兆円ということでございます。  その内訳を見てみますと、民間消費の方は消費が不振だとかなんとか言われておりますけれども三十二兆円プラスになっておりますし、それから政府の消費支出、投資支出、両方合わせますと二十六兆円のプラスだと。  じゃ、一体どこでマイナスになっているのかといいますと、一番マイナスになっているのは民間の設備投資ともう一つは在庫投資でございまして、ここが二十四兆円減ってしまっておる、九十七兆円から七十三兆円になっておる、二〇%も減ったと、こういうことでございますから、どうもGDP統計から見ますと、経済成長を大きく阻害しているというかブレーキを掛けている要因というのは正に民間投資が低下をしたと、こういうことではないかと思いますが、この辺について内閣府の御見解を聞かせていただければと思います。
  159. 岩田一政

    政府参考人岩田一政君) ただいま御質問のあった件でございますが、御指摘がありましたように、日本の設備投資の名目GDPに占めます割合は足下で見ますと一三・八%ということになっておりまして、九〇年代の平均の一六%と比べましてかなり低い水準にございます。  九〇年代の経済の停滞につきましてはいろいろな御意見ありますけれども一つは、生産性の伸びが九〇年代全般的に低くなったことがございます。それからもう一つは、今御指摘がございましたように、設備投資が需要効果それから供給効果、いずれの面でも重要な役割を経済で果たしております。需要の方でいいますと、これは景気循環が大きな波を作る上で在庫投資とともに大きな影響を持っております。それとともに、供給面でいいますと、設備投資が増えますと、それに伴って資本ストックが増加して、それで経済成長率が高まるという供給面の効果もございます。需要効果それから供給効果、いずれを見ましても、九〇年代はこれが弱くなってきたというふうに考えることができます。  そういうことで、御指摘のありましたように、民間投資の停滞、全般的に言いますと、それまでの時代と比べると、これが役割がもっと本来大きくあるべきであるところが十分な役割を果たしていないというところに大きな問題があるというふうに考えております。
  160. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  そういうことで、統計上からいいますと民間投資が非常に低下をしている、こういうことでございますけれども、民間の設備投資について主管をしておられますのはやっぱり経済産業省だと思いますので、その辺のどこに大きな要因があるのか。また、当面、経済財政諮問会議等でも経済活性化戦略というのを今盛んに具体化しようということで、六つの戦略とか三十のアクションプランとかいろいろなメニューを出しておられますけれども、多彩なメニューでどれを食べたら一番おいしいのかなと迷うくらいなんでありますが、当面の景気対策という面ではやっぱり即効性のあるものをやっていかなきゃならぬということで、特に即効的に効く民間投資を刺激するような材料としてどんなことを考えておられるのか、その辺をお聞かせいただければと思います。
  161. 大島慶久

    ○副大臣(大島慶久君) 中島先生にお答えを申し上げます。  今二つの問いがございましたけれども、まず民間設備投資が低下した原因、これは私ども大きく構造的な要因ということで二つ想定をいたしておりますけれども、第一は、企業のバランスシートが大きく崩れてしまった。これはバブルの崩壊に伴います資産価額の急落によるわけでございますから、せっかくキャッシュフローがありましても、それをもうほとんど負債の返済に充てるということが大優先されますので、気持ちはありましてもなかなか新規の設備投資を行う余裕がない、これが第一の原因だと思います。  もう一つは、いわゆるここ数年間、企業の積極的な有利子負債返済の動きを反映いたしましてキャッシュフローの制約はやや緩和していることも事実でございましょうけれども、将来の強いいわゆる需要というものが見込めないということになりますと設備投資をする勇気がなかなかわいてこない、こんなところにそういう原因があるんではないか、こういう我々は見方をしております。  そして、次の質問でございますけれども政府といたしましては、我が国経済を民間需要主導の本格的な回復に乗せたい、そういった意味で、経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇二、これは六月二十五日に発表しておりますけれども、その中で経済活性化戦略を閣議決定をさせていただきました。そして、民間設備投資を含めた民間における経済活動を促進するために経済活性化戦略、こういったものをできるだけ早急に実現をしてまいりたい、こういうふうに思っているところでございます。  そして、私どもの平沼大臣が経済財政諮問会議でも提言をいたしておりますけれども、ITを始めといたしまして、特に我が国の競争力強化のかぎを握る、日本が他国といろいろ競争するに耐えられるような、そういう分野で実効性のある税制措置を講じることがそういった投資を加速させることができるんじゃないか、こんなことも思いまして、いろいろと手を尽くし頑張っていきたい、かように思うところでございます。
  162. 中島啓雄

    中島啓雄君 せっかく御答弁をいただきましたけれども、もう少し即効性のあるという面で何か具体的なお考えがございましたら教えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  163. 大島慶久

    ○副大臣(大島慶久君) 特に私ども即効性ということで重点を置いておりますのは、そういった戦略の中に幾つかございますけれども、特に技術力の戦略、これはいわゆる試験研究税制、あるいは今申し上げましたようにITだとか環境投資促進に関する税制の見直しなども検討をしていかなければならないんじゃないか、このことがありますし、また経営力の戦略、こういった中には企業と産業の再編、これも今のような時代でございますから、そういったことを促進する、あるいは起業、これは会社を起こすという意味でございますけれども、その起業の促進、あるいは廃業における障害を除去していかなければならない。いろんな要因がありましょうけれども、できるだけ企業を起こす方に力を入れながら、そして廃業する方たちにもできるだけそういったことのないような税制の措置だとか、あるいはいろんな支援を講じてまいりたい。  それから、そういったことの中心になりますのは、やはり中小企業の革新と再生といいますか、非常に今、中小企業は金融面なんかでもつらい思いをしておりますので、こういったことが今のいわゆる景気回復にもつながっていかない、そういったところで重点的なセーフティーネットをしくとか、あるいは支援措置を図ってまいりたい、こんなふうに思っております。
  164. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  科学技術、ITあるいはバイオとか、いろんな分野があると思いますし、税制の面で後押しするというのも一つの構想でございますが、やはり経済産業省として少し目玉商品を積極的に作る。高度成長時代は、例えば三種の神器だとか三Cだとか、いろんなのがあって経済を引っ張ってきて、最近はITが引っ張っていきそうだったのがちょっと今停滞をしておりますが、そんなことで重点化を進めていただければと思っております。  有志議員でロボット介護研究会というのを作って、高齢化社会に備えて、五百万円ぐらいでもってかなりいろんな介護ができるロボットを作ろうじゃないかと。もしこれは介護保険の中に入れていただきますと、月一万円ぐらいの個人負担でいろいろロボットが使えるというふうなことも進めておりますので、また是非メニューの中に入れておいていただければ有り難いと思っております。  次に、今までの戦略の中で構造改革特区という構想がございます。こういう特区の構想というのは、新産業都市から始まって、FAZとか、ファズですね、それから沖縄の金融特区とか、あるいは免税売店とか、いろんな構想がございましたけれども、なかなかそれをうまく経済の成長に活用していくというのは難しい面がある。特に今回は、総理の御指示もあって、予算とか税制の優遇はないよと、そういう前提で大いに知恵を絞りなさいと、こういうことでございますので、特区という掛け声倒れにならないように是非成果を上げていただきたいと思っておりますが、この辺の構想について内閣官房からお聞かせいただけますでしょうか。
  165. 中城吉郎

    政府参考人(中城吉郎君) お答え申し上げます。  構造改革特区というのは、規制改革を地域の自発性を最大限尊重する形で進めて、我が国経済の活性化及び地域の活性化を実現することを目的とするものでございます。これにつきましては、先生御指摘のように、総理のリーダーシップの下で内閣一体となって推進するために、七月二十六日に総理を本部長とする構造改革特区推進本部が設置されまして、第一回の会合において総理から、構造改革特区においては地方公共団体や民間の提案を最大限生かすこと、可能な限り幅広い規制を構造改革特区の対象とすることが必要であるとの御指示をいただいているところでございます。  また、七月二十六日にすべての都道府県、政令市に対しまして説明会を開催いたしまして、地方公共団体、民間を対象として、八月三十日を提出期限として構造改革特区に係る提案募集を行ったところでございまして、今後はこうした地方公共団体等からの提案を踏まえまして、総理の御指示に従って、政府一体となって構造改革特区の制度の具体的な検討を行っていく所存でございます。
  166. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  次に、中小企業対策という面で、特に国会が終わって若干地方を回ってみますと、なかなか地方は景気の底入れとはまだ実感にほど遠いねというので、相変わらず貸し渋りというものがあるようでございます。  同じ中小企業といってもいろいろございますから、やっぱり健全化が可能な中小企業、あるいはやる気があってこれから大いに挑戦をしようという、芽を出そうという中小企業については、やっぱり金融面でも最大限の配慮を払っていかなくちゃならぬのだろうと思いますが、どうも現実から見ますと、例えば中小企業金融安定化特別保証というような制度は平成十二年度末で終わりになったとか、それから優良企業については公的金融機関がどんどん貸してしまうので地域の金融機関は圧迫をされているとか、若干ミスマッチも生じておるようでございます。  中小企業の信用状況というのを一番よく知っているのは地域の金融機関だと思いますので、その地域の金融機関がある程度リスクを最小限に抑えながら、しかし貸し渋りということがないようにしていくというアイデアとして、自分たち地域金融機関もリスクは取るけれども、その保証協会なりなんなり、そういったところもリスクをシェアをしていくんだというような部分保証とか、あるいは公的金融機関と協調融資を組んでいくとか、そういったやり方もあるんではないかと思いますが、特に健全化が可能な中小企業への貸し渋り対策という意味で、お考えがありましたらお聞かせをいただければと思います。
  167. 大島慶久

    ○副大臣(大島慶久君) お答えをいたします。  今、先生御指摘のとおり、中小企業庁が中小企業への貸出し実態調査というものを過日行わせていただきましたけれども、いわゆる中小企業から見まして金融機関の貸出しの姿勢が非常に厳しくなった、こういうふうに感じている割合は、一番この貸し渋りがひどかった当時、平成十年の十月は約三五・〇%、それ以降いろんな施策で改善はいたしましたけれども、十二年の九月には一九・四%、かなりのこれは低下率でございます。しかし、残念ながら、昨年の秋ごろから再びこういった金融情勢の悪化ということがありまして、直近の今年の七月にはそういった率が二四・三%、また少しそういう貸し渋りの度合いが大きくなっている。  何とかしなければいけないのは先生の本当に御指摘のとおりでございますが、そういったことで、今、先生も質問の中でお触れになられましたけれども、いわゆる民間の金融機関がこういった貸し渋り等で、せっかくまあまあ健全であり力も持っている、そしてやる気も十分あるんだと、そういったことで悪影響を受けるようなことがないように、そのためにはやはりセーフティーネット政策ということを一生懸命力を入れていかなければならないだろう、我々はそう思っております。  具体的には、このセーフティーネット保証・貸付につきまして、平成十三年度の第一次補正予算で約千四百億円を計上させていただきましてそういったことの制度の拡充を行って、本年一月から実施をしてきております。そしてまた、売り掛け債権担保融資保証制度の創設、これも昨年の十二月から実施をいたしておりますけれども、やはり中小企業というのはそういう不動産担保だとかいろんなことが多くあるわけじゃございませんので、今までの制度にないものを導入いたしまして、そういう金融政策を打っていこうと、これがその表れでございますけれども、本年の二月には早急に取り組むべきデフレ対応策、こういったことで中小企業金融にかかわる緊急の対策を取らせていただいているところでございますけれども一つには、セーフティーネット保証・貸付制度につきましては要件の緩和により対象となる中小企業者の範囲を大幅に拡大をする。なかなかそういう制度がありましても規制がきつ過ぎるじゃないか、なかなかお金が回ってこない、これを緩和をしていこうと、このもくろみでございます。  そして、今申し上げました売り掛け債権担保融資保証制度につきましては一層の積極的な活用のための措置をさせていただきたい、こんなことも思っておりますし、特別保証制度にかかわります既往債務の返済条件の変更につき一層の弾力を図る、そういった意味では、条件変更ガイドライン、こういったことも改定をさせていただきまして更にセーフティーネットに万全を期してまいりたいと、かように思うところでございます。
  168. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。大島副大臣始め内閣官房内閣府の方については、委員長に申し上げますが、御退席いただいても結構でございます。  では次に、最近話題のペイオフの解禁について若干金融庁にお伺いさせていただきたいと思います。  まず、七月の末ごろから解禁論と解禁延長論といろいろ出ております。党内としては金融機関の健全化がまだ道半ばの状況であるし、今、四月解禁するとかなり混乱が生じるのではないか、もう少し延ばしたらどうかというような意見も、強い意見もあったわけでございますけれども大臣としては四月に解禁されるという御意向のようでございますが、その最も大きな理由はどんなところにあるのか、お聞かせいただければと思います。
  169. 柳澤伯夫

    国務大臣(柳澤伯夫君) ペイオフは現在定期性預金について導入させていただいたわけですが、スケジュール上、来年四月からはこれを流動性の預金にまで拡大すると、こういう仕組みになっているわけでございます。  そこで、この時点でペイオフというのは一体どういう意義があるかと。元々、ペイオフ凍結などというのが臨時異例の制度でございますから、したがって、ただ正常化するだけと、こういうことも言えるわけでございますけれども、この時期にどういう意義があるかと、こういうふうに考えてみますと、金融機関が預金者の厳しい目にもさらされるということになりますから、金融機関の経営者という立場からいいますと、これはもう本当に、預金者というのは不特定多数の人たちでございますから、どこに目が光っているか分からないということもございまして、これまで以上の緊張感を持って経営に当たらなければならない、また緊張感を持つだけじゃなくて具体的な成果を上げていかなきゃいけない、健全性の向上さらには収益性の強化、こういったようなことについても成果を上げていかなければいけないというようなことになるわけでございます。  総じて言うと、これは金融機関に対して厳しい構造改革の必要性というものが感じられるという、そういう政策的な意義というものがあるだろうと、このように考えているわけでございます。  したがいまして、私ども、そこのところを揺るがせてしまいますと一遍にその緊張感というかそうした努力の気持ちというものを緩めてしまうということが、これは容易に想像されるわけでございまして、私どもとしては、ペイオフは今言ったような意味で構造改革の一環である、したがってこの基本を揺るがすわけにはいかない、こういうことを申させていただいたと、こういうことであります。
  170. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  現実からいいますと、日銀の統計では平成十四年の一月から六月までに定期預金が三十四兆ぐらいマイナスになったと、一方では普通預金が五十一兆ぐらいプラスになったとか、あるいは郵便貯金へ流れているとか、いろいろなことがありまして、この預金の大量移動、それに伴って貸出し機能というのがかなり流出していった金融機関については困難な状況というのも予想されないわけではないですが、特に地方金融機関における混乱防止という面でどのようなことを考えておられるか、お聞かせいただければと思います。
  171. 柳澤伯夫

    国務大臣(柳澤伯夫君) 預金の移動が今、委員も御指摘のような側面でございました。特にこれは、地方銀行あるいは中央の大手銀行を通じまして定期性預金の減少と流動性預金の増加が見て取れたわけでございます。  これはもちろん、安全志向ということもその背後にあったことは疑問がないことだと言えると思いますけれども、同時に、今の金利の状況ですとどっちにしても大した差がないという残念な状況になっていまして、そういったことが、ただ安全ということだけ考えればいい、収益性ということはもう当面余り考える必要もないんじゃないかというような状況が背後にあったというふうにも我々考えているわけでございます。  そういう中で、今、先生はあえて触れられなかったのかもしれませんけれども、中央の大手銀行の場合には、預金総量が増加しているのに、業態の地域性の強いところの金融機関においては預金総量も減少しているのではないか、それが総じて貸出し能力というようなものに影響を与えてはいないかと、こういう御質問かと思います。  これについては、私どもは、確かに業態の地域性の強い金融機関において預金総量においてマイナスが立っておりますが、これはあえて言いますと、対前年同月比のことでございまして、これは続いているという言い方がいいのかどうか、これはもう対前年同月比ですから、それが一、二%低下しているということが、言わば飛行機で言うと飛んでいる高度の問題、方向性の問題とも必ずしも言えないというようなこともございまして、そう大きな影響というか、そういうものを持つということにはなっていないのではないかと。  個別の機関の問題というものがまた別途あろうかと思いますけれども、総じて、全体的な姿としてはそういうことで、個別の金融機関においても今何か聞いているかといえば、そういうような状況にはないということでございます。
  172. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  特に、決済機能の問題についてどう保護していくかということで、新聞情報などでは、もう決済性預金というのを別建てで作るかとか、その範囲どうするかとか、いろんな情報が飛び交っておりますけれども、その辺の決済機能を保護するという仕組みをどう考えておられるのかというのをお伺いしたいと思いますが。  例えば、当座預金のようなものを全部保護するということになれば、場合によっては、個人でも一千万円超の預金を持っておられる方は当座預金にわあっと流れ込むというようなことで、それで保護してくれるのかと。そうすると、ペイオフ解禁という機能は実質的には有名無実ということにもなりかねないと思いますんで、その辺の仕組み。それから、公金の扱いをどうするのかとか、今お考えになっておられることを聞かせていただければと思います。
  173. 柳澤伯夫

    国務大臣(柳澤伯夫君) ただいま中島委員がお触れになられたことは、先般私が総理とお会いして御指示をいただいたことに密接に関連をしている事柄でございます。総理からいただいた御指示と申しますのは、ペイオフは予定どおり実施をすべきであるということ、ただ、一方において、決済システムというものの安定確保というのはしっかりやってもらいたいと、こういうことでございました。  決済システムにつきましては幾つかの側面があるわけでございますが、それは、システムそのものについても、実は万全性を期するとしたら何かまだ欠落した部分はないかということは検討しなければならないことだと我々思っています。  私どもは、仮に不幸にして破綻をした場合に、決済、これはもう待ったなしですから、それを一体円滑にやるためにはどうすればいいかということをいろいろ考えてきてはおりますけれども、なお万全を期するということのためには、この言わば破綻をした金融機関とそれを承継する機関との間でこのシステム、決済システムというものを本当にセキュアなものにしていくということのために本当に詰めに詰めておかなければいけない、この問題が実は一つございます。割とここのところは世の中の注目を浴びていないんですけれども、実はそういうシステム精度の問題が一つあるということ。  それから、もちろんのこと、今、委員がお触れになられたように、決済性の預金、あるいはそういうものを何か保護するというか保険に掛けるということになれば、その預金保険の機構、システムというものはどうあるべきか、こういうようなことが問題になる大きなポイントでございまして、それについては、これは決済性の預金というのはどの範囲なんだろうかというようなことについて、ある意味で学問的な見地からも御検討いただかなきゃなりませんし、現実に処理するということになると、実務をやっていらっしゃる皆さん方の日ごろやっていらっしゃることの実態から御意見もいただかなきゃいけないというようなことがございまして、金融審議会の中にプロジェクトチームを作りまして、そしてこれから御検討を、かなり日程的に詰めまして早急にお願いしたいと、こう考えているところでございます。  今日、実はこのPTのメンバーを決めさせていただくというか、お決めいただくということの状況でございまして、今、委員の正に御質疑になられるようなことは今後の検討にまたなければいけない、こういう状況であることを御報告させていただきたいと思います。
  174. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  ペイオフの問題というのは、そもそもは、本来、金融機関が健全であって、ペイオフというような事態が生じないということが大事だと思いますので、今後とも大臣におかれましては全力を挙げて取り組んでいただきたい。  ありがとうございました。
  175. 風間昶

    ○風間昶君 公明党の風間でございます。  まず、財政の健全化についてお伺いをしたいというふうに思います。  私の記憶では、橋本内閣のときには、財政健全化について、国民負担率の議論で、負担率が五〇%を超えないようにという目標の下に議論をしておったというふうに記憶しておりますが、今やその議論が、むしろプライマリーバランスの議論に移っているのかなという印象を受けるんです。  全く同じではないわけでありますので、この財政の健全化についてはかねてからの懸案で、経済財政諮問会議でも今議論をされて大きく取り上げられているというふうに思いますが、その中で、財政健全化について、国債費の関連を除いたいわゆる収支、基礎的財政収支、いわゆるプライマリーバランスについてその確保が当面の焦点となっているわけでありますけれども、これを黒字化するのは、目標年度がある意味では書かれていないというふうに私は思いますが、このことについて、めどとしてどのぐらい先を考えておられるのか、まずお伺いしたいなというふうに思いますが。
  176. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) これはまだ政府として正式に決定しておりませんので、例えば経済財政諮問会議のレポート等にも、おおよそめどにということで言っておりますのが二〇一〇年ということであります。
  177. 風間昶

    ○風間昶君 民間研究所の試算でも、二十一世紀政策構想フォーラムというところが出しているので、プライマリーバランスを対GNP比で二%の黒字にするのを目標にしていると。八年間で、二〇〇一年から二〇〇八年度まで公共投資を手法としては毎年五%ずつ削減、更に社会保障の伸びを抑えて消費税率を二〇〇一年度から毎年一%ずつ引上げが必要だというふうに手法として述べられているわけでありますけれども、これ、しかも名目成長率二%と仮定した場合の試算だと私は思うんですが、現在のようなデフレの状況の中でもうほとんど望むべくもない数字だと私は思っておるんです。  それで、プライマリーバランスの黒字化に向けて、じゃ取りあえず目の前の来年度予算編成にどういう点に注意してやるのかというのが、やっぱり一番大きな、今の内閣、とりわけ財務大臣のお考えが大きい影響を及ぼすのじゃないかというふうに思いますが、そこはどうでしょうか。
  178. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) いろんなファクターについての検討をいたしましたけれども、そのうちの一つを申し上げますと、公共事業費でございますけれども、バブルになります直前、一九九二年が一番多かったときでございまして、バブルのとき、そのときが八兆二千億円でございました。それ以降、バブルの崩壊等に伴いまして公共事業に追加的措置を取りまして、随分と公共事業の額が上がったのでございますけれども、この一九九二年当時の水準に戻すのにどうするかということで、平成十五年を初年度として、大体五年ぐらいの間に戻したいと思っております。  そういたしますと、系列を組んでまいりますと、毎年公共事業費を三%、国費ベースでございますよ、三%程度を削減していけば、バブルの崩壊直前の一番公共事業の多かった時代、そのときの数字になってくる、こういう目標を付けております。  それから、社会保障費等につきましては、一度いろんな、各法的な制約がございますので、それを見直しまして、やはり一番安定した時代の数字に戻したいと、これはまだ定かにどこに重点を置くかということは決めておりません。
  179. 風間昶

    ○風間昶君 私は今、来年度予算編成について財務大臣にお聞きをしたわけですけれども、もうちょっと先の先を見ていくと、もう間違いなく人口が減ってきて、現在のままですと二〇二〇年前後ですか、ピークが二〇一八年ごろというふうに言われておりますので、人口減少が、もう減ってくるのを見ながら、特に労働人口が少なくなっていく中で、じゃどうやって税収を確保していくのかというのが大変大事な問題だと私は思うんです。  そういう状況状況として、この間、経済財政諮問会議の民間議員の方から、七月の末に、一兆円規模の法人税の減税が浮上して、正に六日の日に総理が一兆円を超える減税、法人税とは限らないけれども、とにかく一兆円を超える減税の話をされました。減税によって企業収益が回復すればやがて税の増収になって還元されるということは、これは理解できるんだけれども、今の時期に一兆円という規模はどうなのかなという私は気がします。  それはすなわち、さっきもちょっとお話しさせていただきましたように、人口減少がどんどんどんどん近づいてきて、これから入ってくるものが少なくなるという中で、今一兆円減税はどうなのかなと。いろんな見方ができると思いますが、例えば、一兆円を超える法人税減税で景気の下支えはすることはできるけれども、本当に経済効果があるのという御意見もあるように聞いていますし、またそういうことをおっしゃっている方もおりますので、この一兆円超の減税について財務大臣としてはどういうふうにお考えなのか、お伺いしたいと思うんですけれども
  180. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 同じ減税でも、私は、一つ消極的な経済貢献というものと減税によって積極的な経済貢献をするものとあると思っておりますが、今経済活動の活性化を目指すということは積極的な方面における減税効果をねらっておると、こういうことでございまして、私たちの考えておりますのも正にそういうところにあるわけでございます。  確かに、おっしゃるように、人口減ってまいりますし、経済のスケールもひょっとしたら小さくなるのではないかということは考えられます。けれども、一方においては、それよりも上回った付加価値の追求をすることによって人口の減少並びに経済スケールの縮小をカバーし得る可能性は十分にあるということでもございますので、今回の税制改正等におきましてもそういう方向をねらっていきたいということを思っております。  それからもう一つは、世代間におきますところの資産の移転を速めることによって、高齢化社会における資産の在り方、運用の在り方というものを言わば弱小青年者層の方に移して活性化していくという、その点もねらいをして考えてみたいと思っております。
  181. 風間昶

    ○風間昶君 ありがとうございました。  次に、農業問題についてお伺いしたいというふうに思います。  まず、平成十二年度においていわゆる主業農家と準主業農家を合わせた基幹的農業従事者が五〇%の大台を超えたということは、高齢率がそれだけ超えたということは大変な今、人の部分で言うと日本の農業を支える担い手が大変な状況になっていることはもう明々白々でありますけれども、この農村における高齢化の進行状況について予測甘かったんでないかというふうに私は言わざるを得ないし、また私自身もこんなに早く五〇%の大台を超えるとは思っていなかったわけで、そういう点では、まず農水省も予測値について楽観的だったんでないかということは、認めるのか認めないのか、これは議論のあるところでありますけれども、要するに高齢者がリタイアした後、人の部分をどうするのかということと、もう一つは農地をどうするのかという問題があると思います。  まず、その人の部分について、もちろん生産法人の積極的な立ち上げをやっていくことも一法かもしれません。一法でしょう。しかし、全体として担い手対策どうするのという話だと思いますが、まず農水大臣としての御見解を伺いたいと思いますけれども
  182. 武部勤

    国務大臣(武部勤君) 委員御指摘のように、最近における農業農村の構造変化というものを考えますときに、農村における過疎化、高齢化というものが極めてスピーディーに進展しているという、そういう情勢の下で私ども食料の安定供給や農業の持続的発展を図っていくために大変懸念をいたしているわけでございますが、それだけに、農業の構造改革を推進し、効率的で安定的な農業経営が農業生産の相当部分を担う望ましい農業構造を実現することが重要であると、このように考えているわけでございます。  特に、最近は農村において、都市住民がおいしい水、きれいな空気、美しい自然、新鮮な食べ物というものを求めて農村に回帰するという傾向も出てきております。そういうようなことを考えますと、農業構造の展望においては、今、委員御指摘のように、効率的で安定的な農業経営が、家族農業経営で三十三万から三十七万という経営体、法人経営で三万から四万経営体と展望している、平成十年のこの展望でございますけれども、このことについては、私は、今後いろいろな動きがあるのではないかと、こう見ているものでございます。  そういう意味で、農業構造に向けた取組というものを加速化しようということで、先般、「「食」と「農」の再生プラン」を公表いたしまして、意欲ある経営体が躍進するための環境条件を整備するという基本的な考え方に立ちまして、新規就農者の育成確保と同時に、経営の法人化、集落営農の組織化等の具体的施策の方向を示したところでございます。  特に、副業農家というものの数が非常に増えているということ等を考えますと、今、委員の方から見通しが甘かったのではないかというそういう御指摘がございましたが、見通しの甘さというよりも、ライフスタイルも含めて社会構造の変化あるいは農業構造の変化というものが私は急速に変わってきているということは認めなければならないと。その上に立って、今後、意欲ある担い手の確保をどのように図っていくかということについて集中的、重点的に施策を進めていく必要があると、このように認識しているのでございます。
  183. 風間昶

    ○風間昶君 社会構造の変化が大きな要因だというふうに今、大臣お答えでありますけれども、だからもっとスピーディーに手を打たなきゃならないというふうに私は思うんです。  そこで、人の問題、今伺いましたから、今度は、いずれにしても、このまま黙っていれば、黙っていなくても、もっとスピード速く農村に農家がなくなるということは明らかでありますから、集落営農の推進も含めて、優良農地が認定農業者を始めとする担い手、意欲のある担い手にスムーズに渡されて、結果として優良農地が確保されるということが極めて大事であって、その中で、経済財政諮問会議でもいわゆる農企業特区の参入について議論があるようであります。そのことについて、まず大臣としてはどう御認識をされているのか。  それともう一つは、農企業特区の参入、つまり企業が農業に参入してくることに対して農業団体の反対も非常に強いわけであります。理由たくさんあると思いますけれども、その中でも大臣としてはその団体の反対の理由をどういうふうに承知されているのか。  この二つ、お伺いしたいと思います。
  184. 武部勤

    国務大臣(武部勤君) 私は、食料・農業・農村基本法に示されておりますように、この基本法に基づいて基本計画を作っておりますが、やはり食料の安定供給、食料の自給率の向上と、そして国際競争力のある、意欲と能力のある経営体が躍進できるような農業構造というものをまず第一に目指していくべきだと、このように思っております。  それから、健康生きがい型の農業ということも当然考えられるわけでありまして、都市と農山漁村で行き交う農都デュアルライフ、行ったり来たりする、そういう農村の新しい意義というものも、これも都市住民の皆さん方にも提供できるような、そういう農村をいかに守っていくかと。農村景観を守ること、あるいは環境を保全していくこと、人と自然の共生というようなことにもこたえていかなきゃならないと思うのでありますが、第一義的には、やはり競争力のある、意欲のある、能力のある、そういう経営体をどう育てていくかということが非常に大事だと思いますし、そのためには優良農地の確保とそして農地の集積ということも私は非常に急がなきゃならぬことだと、こういう認識に立っているわけでありますが、そういう意味では、特区についての構想というのは私は非常に可能性の大きい様々なものが含まれていると、このように思うわけでございます。  ただ、どういうものがあるかということで、農林水産省でまず現場のニーズを把握することが大事だということで地方自治体の要望を聴取してみましたが、北海道を始め二十道府県、四十一市町村から八十九の事例がもう既に上がってきているわけですね。その場合に、地場企業の農業参入を可能とする特区でありますとか、都市と農山漁村の交流を促進する特区等の提案が寄せられました。私はまだいろいろな形の提案が出てくると、このように思います。  ただ、その際に、農業団体等が心配しているのは、投機的な農地取得や地域での水利用、土地利用における混乱等が、現場が、起こると、現場でのそういった懸念が指摘されているということも忘れてはならないと、このように思っているわけでございますが、いずれにいたしましても、私といたしましては、農業農村の現状の実態を十分に踏まえながら検討を進めていくことが必要だと思いますし、さらに、地方自治体等の提案内容等も詳しく調べまして、今後こうした地方の要望等を踏まえて、懸念を表明している関係者方の意見も聞きながら積極的な取組を進めていきたいと、このように考えている次第でございます。
  185. 風間昶

    ○風間昶君 今、大臣がおっしゃったことは、農家、農村が優先だと。つまり、意欲のある経営体中心にして日本の農を、農業をきちっと温存していく。しかし、そういう中にあって、水利用、土地利用の、団体がおっしゃっている懸念はあるものの、うまく活用した形で都市と農村の共生というか連携を作っていくことについて積極的に認めていきたいということ。  そこで、だから実際に今度はあつれきが起こっていく場合に、農水省として何らかの方向性なり指針なり、あるいは所感なりを出さなくていいんですかというところまでつながる話なんですが、ここは出てきてから考えるんですか。
  186. 武部勤

    国務大臣(武部勤君) 既に、私ども四月に公表いたしました「「食」と「農」の再生プラン」の中でそのことを示しているわけでございます。  私どもは、分かりやすく言いますと、農地法や農振法に優先する市町村条例の適用によって土地利用計画というものをそれぞれの地域によってしっかりやれるような、そういう法整備、制度化ということを明らかにしているわけでございます。私どもの方がそういう提言が早かったものでありまして、その後に特区というものが出てまいりました。これは共通性が非常に大きいと、このように思っているわけでございますが、特区についての具体的な構想というのはこれからだろうと思います。  いずれにいたしましても、いろんな考え方を私は排除してはいけないと。農業というのは、二毛作、三毛作地帯もありますけれども、大体は北海道のように一年一作でありますから、そう簡単にあれもこれもという試みというものはなかなか難しい。だとするならば、特区というようなもの、これは具体的にどういうふうに構想していくかということになりますが、こういうものを活用して様々なケースに応じた農業というものを構想していくことが可能ではないかと、このように思っているわけでございます。  また、先ほども申し上げましたように、いろいろな懸念があります。農振法の問題につきましても、ゾーニング規制の強化の問題もございますが、農地法による権利移動の制限が果たしている役割ということもこれまた大事でありますし、しかし、地域における優良な農地の確保に向けた土地利用の在り方ということについては、特区の問題も含めて幅広く前向きに考えていくということが私は大事ではないかと、このように考えているわけでございます。
  187. 風間昶

    ○風間昶君 今、大臣から農地法、農振法についての言及がございましたので、確認の意味で伺いますけれども、農地がいわゆる投機の、売買の対象になって優良農地が減少するということは、これは断固阻止しなきゃならない。お互いに共有できる問題だと思います。しかし、そのためには、農地法による権利移転、つまり参入阻止、権利移転の制限、参入阻止ではなくて、農振法によるゾーニングの強化をもって対応すべきであるというふうに私は思っているんです。つまり、権利部門ではたがを緩めて、ここは農業だけしかできませんよというふうにゾーニングの規制をすべきだというふうに私は思っているんです。  なぜそうかというと、そもそも土地の値段はその土地が生み出す価値によって決められるべきでありますから、例えば同じ米を作る農地であれば、米の値段が同じならば土地の値段も同じでいいはずだというふうに私は考えているわけであります。  しかし、現状はそうなっていないわけで、つまり基本的な経済原則は農地に当てはまっていないわけであります。都会の農地は高くて、地方、田舎の農地は安いんです。これは、潜在的に、都会の農地はいつか転用されてビルになるな、あるいは何か住宅をやれるなということがみんな思っているわけです、ほとんど。潜在的な収益可能性というのをみんな思っているわけです、農業をやっている人も。  その潜在的な収益可能性が土地の値段を決めているということになっていて、農家をやっている人でも、農地として残すよりも農地でなくした方が、アパートやマンションを建てたり、駐車場をやっている方がもうかるなというふうに、このこともまた農家の方々にとっては離農の圧力になっているんです。結果として、そうすると優良農地が確保は難しくなると、こういう構造になっていますから、要するに農地の価格はどこを基準にしているかというと、隣の土地に合わせて決まっているということ。本来はこうであってはいけないわけですから、私は、そういう意味でゾーニングをきちっとやっぱりやるべきではないかというふうに思うんです。農地の権利段階の方できちっとするのではなくて、もちろんこれも必要なんだけれども、しかしもっとむしろゾーニングをきちっと行って、この土地は農地以外は、農業以外はだめですよという規制強化をしていくようにしないと、今やもう農振法そのものの信頼性が揺らいでいると私は思っているんです。  これ、だから地方分権にもつながる話だし、規制緩和の観点からもこの農振法をやはり、すぐさまとは言えない、あるいは急激にとは言えないけれども変えていく柔軟な考え方を持たない限り、日本の優良農地、人の部分はさっき大臣がお話しした、優良農地も、土地も私は確保できないのではないかというふうに思うけれども、どうですか。
  188. 武部勤

    国務大臣(武部勤君) 農業の面だけではありませんで、ヨーロッパなどと比較いたしますと、ヨーロッパの農村は非常に美しいですね。農村に変な広告塔など全くありませんね。ナポレオン時代からの農地制度、土地利用計画というものをしっかりやっているということに驚きを感じました。  一方、我が国の場合には、急峻な山国でありますし、平地が非常に少ないということで、土地に対する国民の価値観というものは比較にならないほど違うものがあると思うのでございます。  しかし、随分農村は荒廃してきております。私は、そういう意味では優良農地を集積し、意欲と能力のある経営体が躍進し羽ばたけるような力強い、そして食料の安定供給に貢献できるような、思い切ってやれるような農業経営というものを実現したいと思います。その意味でも、農地法の見直しの問題も含めて私は検討をする必要があるということで、今、農林水産省で有識者によるアドバイザリーグループを設けて、今いろいろ御議論いただいております。  また、今、農振法の問題に触れられましたが、このことは、先ほどお答えいたしましたように、やはりなかなか権利関係というものは非常に難しい問題が残るわけでありますけれども、しかし、私は、本来ならば国土再編法というようなそういう基本法があって、国土全体の土地利用計画をどうするかというようなことから、美しい日本、美しい国土の形成、そして安全な日本というようなことの面からも、ある種ゾーニングといいますか、土地利用計画ということを真剣に考えていく必要があるのではないか。農地転用期待でなかなか農地がうまくまとまらない、手放さない、虫食い状態に、農村においても乱開発といいますか、必ずしも秩序立った農地転用が行われていないというようなことを考えますと、このことについてはしっかり考えていく必要があると。そういう意味では、基本的に風間先生の考え方に共鳴すること、非常に大きいものを感じております。
  189. 風間昶

    ○風間昶君 国土交通大臣質問していないんだけれども、今ちょうどおいでになっているから、今お伺いしたいんだけれども、農水大臣から国土再編法、仮称、こういう話が今出ました。唐突な質問ですけれども、どう思いますか。
  190. 佐藤静雄

    ○副大臣(佐藤静雄君) 今まで日本の国というのは、中央が全部日本全体を見ていたと思います。しかし、将来の日本というのは、それぞれ分割した地方、そこが競争し合って活力を生み出していく、そのようにして国土を分ける必要があると私は思っています。  そして、今、地方分権が進み、さらに、道州制という名前になるか分かりませんけれども、そんなような形になり、それぞれの地域が責任を持って地域づくりをする、そういうような形の日本の国というものが将来の日本の国であろうと思っています。  私ども、今、公共投資を進める上で、そういうことも十分に頭に入れながら進めるようにいたしております。
  191. 風間昶

    ○風間昶君 ありがとうございます。済みません、副大臣。  次に、学校教育について伺います。  水田にはいやしの効果があって、水田の土を樹木に塗ったら木がよみがえったという報告もあるようであります。田植えを含めた稲作の作業に小学生、中学生が参加することによって、一部ではありますけれども、子供のアトピーが治ったという報告もあるわけでありまして、またビオトープも多くの学校で今次第に取り入れられているような状況で、トンボやメダカの観察に役に立っているとかいうことで、農業や自然観察をもっと教育に取り入れていくことが文部科学省としても大事な学校五日制の弊害を、弊害、あえて弊害と言いますが、弊害があれば、その弊害を補完する意味でも大事だと思いますが、文部科学省の取組、お伺いしたいと思います。
  192. 矢野重典

    政府参考人(矢野重典君) 子供たちが農業体験を行ったり、また農村などに出掛け、自然や地域の人々と触れ合ったりすることは、自然と人間のかかわりについて学び、そして豊かな人間性をはぐくむ上で極めて意義のあるというふうに私どもは考えているところでございまして、平成十三年に実施されました調査によりますれば、小学校の六六%、また中学校の二六%で農業体験が実施されているところでございます。  文部科学省といたしましては、教育におけるこうした体験活動の意義にかんがみまして、昨年、学校において様々な体験活動の充実に努めることなどを内容といたします学校教育法の改正を行いまして、農業体験や自然体験を含め、学校における体験活動の積極的な推進を図ることといたしたところでございます。  農業・農村体験の充実につきましては、平成十三年度に農林水産省と連携をいたしまして、全国農業協同組合中央会の協力をいただきながら、子供の農業・農村体験を進めるパンフレットを作成しまして、各地のJAを通じまして小中学校等に配付したところでございます。また、平成十四年度、今年度からでございますけれども、新たに七日以上の体験活動を行います豊かな体験活動推進事業というのを実施しておりまして、その推進校におきましても、学校近隣での農業体験あるいは農山漁村に出向いての農林漁業体験活動などが行われることになっているところでございます。  私どもといたしましては、今後、更に農林水産省とも連携を図りながら、こうした農業体験等の体験活動の充実に努めてまいりたいと、かように考えているところでございます。
  193. 風間昶

    ○風間昶君 分かりました。  そこで、農水省に伺いたいんだけれども、現在、農地の貸借には農業委員会の許可が必要となっていますが、要するに減反などの対象になった遊休地、遊休農地を学校に貸す場合、貸借であれば農業委員会の許可が必要なんでしょうか、ちょっと教えていただけますか。
  194. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) お答えいたします。  学校が教育目的で農地を借り受けたり購入することにつきましても、農地法三条の規定に基づきまして都道府県知事の許可を要するということにはなっております。ただ、この場合、その許可の基準要件を大幅に緩和をしておりまして、通常でございますと農作業の常時従事の要件とかあるいは下限面積の制限とかがあるわけでございますが、教育目的の場合はその目的に合致したものかという点だけを審査させていただくということになっております。
  195. 風間昶

    ○風間昶君 農地を活用した体験型学習が今、小学校の六六%、中学校の二六%に行われているということですけれども、やはり文部科学省と農水省がきちっと協議会を開いて、実務的に教育委員会あるいは全中、農業団体に落としていく場合に協力してやっぱり臨んでいかないと、片っ方だけが進んで片っ方だけが何か横目で見ているというような状況じゃまずいと思うんですよね。  そこは副大臣、どうなんですか。あるんでしょうか、協力体制は。
  196. 岸田文雄

    ○副大臣(岸田文雄君) 文部科学省と農水省との連携についてでありますが、環境教育というテーマで本省同士は定期的な会合を開き、様々な意見交換を行い、連携を模索し、そして成果確認をしているところであります。ですから、今御指摘はそれを地方レベルにまで広げているのかどうかということでありますが、そうした方針、地方に伝えていくという努力は今も続けているわけでありますが、その辺、成果が上がるようにまた引き続き確認をしていかなければいけない、そのように感じております。
  197. 風間昶

    ○風間昶君 ちょっと飛ばして、産業廃棄物問題、少しお伺いしたいと思います。  八十二万立米という膨大な産業廃棄物が、四国の豊島を上回る廃棄物が青森県と岩手県に不法投棄されているのが見付かりました。私も今年の五月の十一日に視察をさせていただいて、ちょうど小雨だったから、現地の人に聞くと粉じんが舞い上がらなくて大変良かったというふうにおっしゃっていましたけれども、すごいらしいんです。それで、五月の二十三日に大木環境大臣にも申入れをさせていただいて、早速大臣がこの八月の一日に現地を御視察をいただいて、いろいろ様々な記者会見の後の方針についても御言及をされたことについて本当に敬意を申し上げたいというふうに思います。  そこで、行った感想をまず、二分しかないから一分ずつ、感想と、それから要するにこれは首都圏のごみが全部あっちへ行っているんです。これは大変なことで、ちょっとざっと考えた、計算しただけでも千五百ぐらいの会社から、事業体から出たごみが業者を通じてあそこの青森県に投げられているわけで、根本的な問題解決について、大変これは緊急でやらなきゃならない、中期でやらなきゃならないということがあるわけで、まず大臣に感想をお聞きし、それからもう一つは、緊急にやるにしても、事業者に対してどう、関東や首都圏の事業者がほとんどですからどうするのか、それから原状復帰を中期的にどうするのか、この三つ、一分しかないですけれどもお願いします。
  198. 大木浩

    国務大臣(大木浩君) 風間議員が既に現場を見ておられますので、そこについての私の感想だけは、何でこんなにたくさんのごみが長年にわたって、しかも摘発されずにたまってしまったか、非常に残念であるということであります。  いろいろお聞きしておりますと、一つは、なかなか物理的に確認できなかったということがあることはあると思います。例えば、現場へ行きましても、大きな山ができていれば分かるんですけれども、地面の下にたまっているというようなことでございまして、しかもあれは私有地だったというふうに理解しておりますが。  というふうなことで、なかなかしっかりと現場の検証ができなかったということでありますから、これはやっぱりごみを搬出した、今、首都圏とおっしゃいましたが、確かに首都圏が八割以上だと思いますが、そういったところの人の責任というのも一つあるんじゃないか。つまりは、処理業者も今までに数回にわたって摘発はされておるんですね。そういったようなことでありますから、そういった業者に頼むこと自体の責任というのもあるんじゃないかということでございますから、これは今後、一般的に言えば、やっぱり排出者責任ということをきちっとする。そのためには、客観的に事情をはっきりさせるためには、また私どもばかりでなくて、例えば警察当局とも御協力いただいて実態をはっきりさせるということだと思います。  それから、取りあえずは、両県の方でも、青森、岩手両県の方で取りあえずの緊急処置ということは、例えば近隣の水が汚れることについての処置は始められておりますけれども、私どももそれについては協力をしたいし、それから、これからの、どうやってそのごみを除去するのか、あるいは全部すぐには除去できなければ取りあえずそれをどういうふうに、覆うというのも言葉が悪いんですけれども、どういうふうに処理するかというような問題も含めまして、取りあえず、いろいろございますから、現在、政府と民間で協力して作っております基金もありますけれども、それだけでは決して十分ではないと思いますから、そういったものも含めてこれから、今年度予算措置、あるいはこれからの数年の対策ということも十分に考えさせていただきたいというふうに思っております。
  199. 風間昶

    ○風間昶君 ありがとうございました。  終わります。
  200. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 日本共産党の八田ひろ子でございます。  私は、まず、二〇〇五年日本国際博覧会について質問をいたします。  今年の六月の二十四日に修正をされた愛知万博の環境影響評価書が発表されました。これまで、「自然の叡智」をテーマにして環境万博というふうに言うんでしたら、また当時の通産省、今の経産省が二十一世紀の環境影響評価のモデルだと、こういうふうにおっしゃってきたんでしたら環境影響評価をきちんと行うべきだと、こういうふうにこの決算委員会予算委員会でも提案を私はさせていただいてきました。  今日、またパネルを持ってまいりましたが、(図表掲示)当初の予定地、この黄色いところですね、ここの瀬戸市の海上の森から三キロも離れた長久手町の青少年公園に主たる会場が移ってきました。当然、会場が変わるのですから、住民の意見、あるいは自然保護団体や専門家の意見を聞いて、オオタカの営巣や、オオタカは生態系の頂点ということですから、生態系を考えれば、当初の海上の森での環境影響評価のこれの修正で済ますのではなく、やり直しがある、やり直しが必要だ、こういうふうに提案してきましたが、出てきたのは当初計画に基づく評価書を修正しただけのもの、修正評価書案の補正版と言うんですかね、こういうものでありました。これは私は重大だと思っているんですね。  そこで、経産大臣に伺うんですけれども、海上の森のオオタカの営巣が、いわゆるB、C、このB、Cですね、ここの失敗をしていることが六月十日に開かれました第十七回国際博覧会関連オオタカ調査検討会で確認をされたというふうに聞いております。営巣に失敗をした事実と保護策について答弁を求めます。
  201. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) 八田先生にお答えをさせていただきます。  博覧会の会場の周辺に生息をするオオタカの営巣について、その御質問でございますけれども、博覧会協会の調査によりますと、今年の繁殖期におきましては、御指摘のとおり、これまで発見されている営巣木では繁殖が確認されなかったと聞いておるところであります。どういう理由で繁殖、営巣が行われなかったことについては、科学的にも明らかにはなっていないところでございます。  なお、これは八田先生も御承知だと思いますが、現時点におきましては博覧会の関連事業はまだ行われていないと、こういう段階でございまして、また本地域におけるオオタカの保護の問題に関しましては、博覧会協会におきまして、国際博会場関連オオタカ調査検討会を始め、専門家の指導、御助言もちょうだいをいたしながら調査及び保護対策を講じることとしておりまして、経済産業省といたしましても、オオタカの保護が適切に行われるように博覧会協会を今後とも指導をしていこうと、こういうふうに思っているところでございます。
  202. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 この間、私はこの四年間、オオタカの営巣が例のところで発見されてからも平沼大臣にオオタカ保護策はどうかといろいろお示しをして、大丈夫だ大丈夫だということを言って、結局二か所とも失敗をしたわけで、非常に大きな問題だと思うんですね。  次に、環境大臣に伺いますが、元々九九年の五月に当初の会場予定地でありました海上の森にオオタカの営巣が発見されまして、このオオタカに関する調査、保護を実施しつつ、地域整備事業の推進を図り、オオタカとも共存できる国際博の開催を目指すという方針でこの調査検討会が設置をされ、この議論も踏まえて会場計画が実は転々と変わってきたわけです。  昨年三月の中間報告でも、このオオタカの保全について、国際博覧会会場及びその周辺におけるオオタカの将来にわたる健全な繁殖活動の維持を目標とするとして、保護方策検討のための基本方針として今後の猛禽類の保護のモデルとなるものとするとまで述べられています。明確にオオタカの保護を明記し、保護方策を日本のモデルにする、こういうのが営巣が失敗ですから、その責任は非常に重大で、私は、まだ工事が始まっていないというふうに先ほど平沼大臣おっしゃいましたけれども、やはり私は関連性があると思うんですね。関連性がないと言うんでしたら、その根拠も私は環境大臣に伺いたいんですけれども、示していただきたい。  オオタカ保護を促進する環境省としてどう受け止めておられるのか、大木大臣に伺います。
  203. 大木浩

    国務大臣(大木浩君) オオタカを何と申しますか、保護しながら万博を進めるということでありますけれども、別にオオタカ、自然に生息しておったわけでありますから、それをむしろディスターブしないということの方が基本的なあれであって、それに対して特に万博の方の委員会の方でも特別のことはされないと。しかし、私どもとしては、全体としてオオタカの生息ないしは繁殖をディスターブしないような事業というのを行われるようにということでございまして、今年になりましてからも、三月だったと思いますけれども、この時点ではまだ計画が全体としてできていないので、私どもとしても別に環境についてのアセス的な話は、意見は述べていないと。  ただ、五月にそういった問題について十分に御検討、御留意願いたいということは申しておるわけでございまして、それから六月に公表されました最終的な評価書、これは委員会、万博の協会の方でそういうことをいろいろと勉強されて評価書というのが出てくるわけでありますが、そのところでいろいろと分かっておる計画については環境問題をチェックして特に問題はないよということでございますから、私どもとしてはそこでそれを理解をしたということであります。
  204. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 理解をされるというのは非常な責任逃れだと思いますし、オオタカと共存する万博だというのをおっしゃりながらこの間ずっとやってきて議論をしているんですよね。ですから、私、両大臣お答えというのは非常に無責任だなと、今までの議論、何だったのかということを本当に思うわけなんです。  万博の計画が二転三転をして内容も定まらない中で、BIEから二十世紀型の開発至上主義だと、この計画は、そういう批判を浴びて、また周伊勢湾だけにある植物群など豊かな自然、生態系の頂点であるオオタカを守れというのは、これは日本の国内もそうですが、海外からも大きい批判の声が上がって会場が変更されBIE登録に至ったわけですから、そこのところを私はしっかり重く受け止めていただかないといけないと思うんです。  やっと二転三転をしてBIE登録とまた違う計画が十二月に基本計画として発表されたんですけれども、この計画でまたBIE登録のときにはなかったゴンドラが出てきました。  平沼大臣に伺います。環境省は今年五月二十八日に環境大臣意見を出されました。ゴンドラについては、「ゴンドラの整備についてはⅡ案には盛り込まれていなかったため、早急に予測・評価を行い、環境保全措置(環境モニタリングを含む。)の検討を行うとともに、ゴンドラの予測・評価の結果を踏まえ、Ⅱ案と比較し、環境負荷が低減されているかについて確認すること。これらの検討及び確認結果を修正評価書(案)の補正版において」、さっき出された環境影響書というもの、これを求められました。  六月十日に経産大臣環境大臣意見の尊重というのを出されたんですけれども、私が言いたいのは、この環境大臣意見を本当に尊重するということでしたら、経産省の環境影響評価要領の手続に従って協会内部の検討による修正じゃなくてゴンドラ計画を確定をすること、実施計画を作り、準備書を作り、評価書、こういう段階をきちんとやって住民意見を聴取した上でなければ万博の環境影響評価というのは私は作れないんだと、こういうふうに思うんですよね。  現に、六月七日に行われました経産省の評価会でも、委員の一人である原科教授からは、ゴンドラ計画のある場合とない場合とを比較検討する、この部分を記述するためには必要な現地調査の実施、住民との間の十分な意見交換と合意形成が必要だ、こういうふうに指摘をされています。  そこで、伺うんですけれども、ゴンドラの計画、これは確定しているんですか。環境影響評価のための現地調査の実施、これはどうなっていますか。住民との間の十分な意見交換と合意形成、これはどうなっていますか。この三つをお答えください。
  205. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) 海上地区と青少年公園地区を結ぶゴンドラ計画につきましては、本博覧会の原点でもございます海上地区と青少年公園地区との一体性を高めまして、両地区間の円滑な観客輸送を実現する上で必要な施設であると博覧会協会から私どもは聞いております。  ゴンドラ計画につきましては、これまで博覧会協会において地元説明会、二回開催をさせていただきました。ゴンドラのルートや支柱の位置図を示すとともに、それによる環境影響をできるだけ回避、低減するための環境保全措置などについて説明をさせていただいて、ゴンドラ計画に対する理解を求めてきたところでもございます。  現在、博覧会協会におきましては、地元説明会で提起された自然環境に対する影響やプライバシー等の問題について検討を行っているところでございまして、今後、それらの問題についての対応がまとまった段階で改めて地元説明会を開催する予定と、こういうふうに聞いております。  経済産業省といたしましては、そういった原点である海上地区と青少年自然公園、これを結ぶそういう重大な大切なルートでございますので、この計画はやはり進めていかなければならないと思っておりまして、引き続き、地元住民の理解が得られ、博覧会が円滑に開催されるように博覧会協会を私ども指導をしていきたいと、こんなふうに思っているところでございます。
  206. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 ゴンドラ計画と住民の皆さんとの関係は、そういう穏やかな説明とは全く違います。  今日、私、ここにゴンドラ計画想定ルート、これは地元説明会で出されたものであります。(図表掲示)赤いのは支柱だそうでありますけれども、ここの住宅がこういうふうにありますね。ここが、上之山住宅という町内会があるんですけれども、町内会がこぞって白紙撤回を求めているのは大臣も御承知だと思うんですね。  なぜかということなんです。ゴンドラがなぜ必要か。去年の秋の説明ともう違うんですよ。今年の五月の説明のときに、これは住民から強い要望があって二回目開いたんですけれども、全然違うんです。どうしてゴンドラが必要なのかと。六か月毎日、朝から晩まで十二秒に一台、これは一分間に五台のゴンドラが自動的に目の前を行くわけですよ。住民が見せ物になるというふうに皆さんおっしゃって、プライバシーはどうなるんだと。そして、そんな話はなかったじゃなかったと、何で突然そうするんだと。そうしたら、真上を通るのを少しよけたって言うんですけれども、よけたって目の前を横切る、視界を横切るわけですから、大変だということになるわけですね。  それで、もう国家事業だから、決まっちゃったから押し付けるのかという、説明会の中でもう大変な怒りを呼びました。今年七月十五日に万博のフォローアップ会議がありまして、そこでも会長さんの代理の方が発言をされました、人権を考えてくれと。アセスもきちんとやってくれと言うのに、後で修正するんだということでアセスやらないと言うんですね。アセスだけじゃなくて人権だってある、よくよくお考えください、時速二十一・六キロというゆったりした速度で観光目的で造られた八人乗りキャビンが十二秒に一台絶えず休みなしに自動循環方式で動いているさまを。自分の家の中でくらい静かに安らぎたいと思うのは間違いですか、安らぐ時間を奪われた人間が今までどおり安定した精神状態で暮らし続けられることができるだろうか、環境負荷だけでなく人の精神負荷にもとんちゃくすべきですと。環境への配慮は無論だけれども、人間の配慮もしてほしい、こういうふうに言って、必要性もはっきり説明できないのに、もう本当に困るんだということを切々と訴えられましたが、住民合意がなくてもゴンドラ計画を強行してもいいと大臣は思っておられるんですか。
  207. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) 町内会からのそういう強い御要望も私ども承っているところでございます。  確かに、その町内会の皆様方が懸念される点はあると思っておりますけれども、このゴンドラ計画につきましては、博覧会協会において、海上の森の会場と青少年公園の会場を結ぶ輸送線としては、ちょっと御指摘になられましたけれども、現在一台八人乗りでございまして、輸送能力が一時間当たり二千四百人を基本としたゴンドラ計画を検討している、こういうふうに承知しております。  本博覧会に係る環境影響の評価につきましては、経済産業省の要領に基づきまして博覧会協会が平成十年から実施しておりますけれども、その性格上、博覧会事業は計画熟度の高まりとともに、何回もくるくる変わったと、こういう御指摘でございますけれども、会場計画も変わり得るものでございまして、昨年十二月に博覧会協会が基本計画を取りまとめるまでには、環境保全の見地から計画規模の大幅な縮小や場所の変更など、委員御承知のように、こういう経緯を経てきております。  こんな経緯を踏まえまして、平成十三年十二月に開催した二〇〇五年日本国際博覧会に係る環境影響評価会においては、博覧会協会が最終的な評価書を作成する過程において、住民あるいは関係市町村、愛知県知事、環境大臣、そして私、経済産業大臣の意見を求めることなどによりまして、実質的に必要な環境影響評価を行うべきとの意見をいただきました。これを踏まえまして、当省は、博覧会協会に対して必要な対応を行うように通知を行いまして、これらに基づき博覧会協会は、最新のデータに基づきまして環境評価書を作成して、住民や関係機関の意見を求めてきたところであります。  この過程におきまして、協会の作成した環境影響評価書案に対し、ゴンドラについては環境影響評価会及びその下に配置された専門分科会における議論を踏まえまして、当省としては、現段階においてもその計画の熟度に応じて予測評価を行い、最終的な評価書に記載することとする大臣意見を申し述べたところでございます。  博覧会協会は、経済産業大臣環境大臣も含めた関係機関等の意見も踏まえまして、その時点での計画に基づいてゴンドラについての予測評価を行い、最終的な評価書を取りまとめまして、去る六月二十五日に公告したところでございます。  当省としては、博覧会協会は以上のような形で専門家から成る評価会の御意見も踏まえて必要な環境アセスメントを適切に行ってきているものと考えておりまして、環境影響評価手続のやり直しが必要であるとは考えてはいないところでございます。  住民の皆様方の御意見も、御指摘のとおりあることは承知しております。今後とも、必要に応じまして専門家の御意見もいただきながら、環境保全あるいはその住民の皆様方のプライバシーの問題等に配慮しながら工事が行われる、そして住民の皆様方に納得をしていただくようにこれを進行するように博覧会協会を私ども指導していかなければならないと、このように思っています。
  208. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 環境影響評価は不十分ですけれども、この赤いところ、ここをやったんですよね。後で、修正でこっちをやったんですよ。  今のここのところは、上之山のところは区域外でしょう。何にもやっていない。今までもやっていなかったし、秋に突然出てきた話ですから、住民の人は、工事をやる前にきちんとアセスをやって、それで前と後のをちゃんと評価してくれと言っているんですよ。原科さんもそれを言っているわけです、ある場合とない場合の評価をしなさいという。外のことをやっていないんだから、それで、もう評価書を作っちゃったからとおっしゃいますけれども、きちんとやっていないんだったら、そんな評価書はやり直さなければいけないと私は思うわけなんですよね。やっぱりやり直すことを考えてほしいと思うんです。  それで、今、住民のことを、上之山住宅の皆さんのことを、何しろ納得してくれと言われるんですけれども、平沼さんの家のすぐ、はるか前方に毎日毎日一分間に五台も次から次へ、朝から夜九時ぐらいまでやるとかって前おっしゃっていますでしょう、ずっとこう行くんですよ。  それで、この方たちの意見をいろいろ聞きますと、自然の中でゆっくり暮らせると思って来た、これ以上環境を壊さないでほしい、人間が住める住宅で生きていける場所を確保してほしい、人間に配慮してほしいって、私、最低限のことを言っていらっしゃるというふうに思うんですよね。突然降ってわいたように、自然環境の中でゆっくり暮らしているところに来て、それはやめてくれと言っても、もう決まっているみたいなことをおっしゃるんですよ。  私は、こんなのは、このルートは白紙撤回すべきですし、きちんと環境評価できないんだったらやり直さなくちゃいけないし、白紙撤回してくれというふうに住民がおっしゃっているのに、理解をしろというふうにどういう権限であなたはおっしゃるんですか。
  209. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) 今、答弁をるるさせていただきましたけれども、私どもとしては、その住民の皆様方のそういう御要望、そして御懸念、そういったことをできるだけ払拭するようにこれから努めていかなきゃいかぬと思いますし、今まで説明会もさせていただきましたけれども、更によく説明をさせていただきまして、そして納得をしていただけるような、そういう努力はしていかなければならないというふうに思っています。
  210. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 努力じゃないでしょう。それがなかったら作れないでしょう。人間が生きること、暮らすことが一番大事じゃないんですか。博覧会の方が大事なんですか。  私はどうしてゴンドラのことを言うかというと、これだけじゃないんですよね、住民を無視して迷惑を掛けているのは。私も見てきましたけれども、春日井市というお隣の町があるんですけれども、そこの田んぼ、ここの田んぼは万博の駐車場に整備すると降ってわいたような話が出て大切な苗田を壊されるという、この突然のことと住民無視のやり方で怒ってみえて、これではまるで戦時中じゃないか、国家事業だから我慢しろって、こんなことあるかという怒りの声が上がっているんです。長久手町ではオヨナガ池というのを埋め立てて、そこに住民と相談もなく万博の海外の博覧会関係者の宿舎を造るんだ、そんな話は聞いていないよと、その後、県営住宅にするんだと言われても、そんなのをなぜ、地元と一緒にここ計画しようと言っているのに何でそんなことになるのかという厳しい批判を浴びています。どこも突然トップダウンで押し付けられて、本当に万博開くことが至上の目的、イベントに人を集めなくてはならないと馬車馬のように駆り立てられているので、そこに住んでいる人、生活している人の人間が全く目に入っていないんですよね。  じゃ、万博に出掛けてくる観客について配慮がされているかという問題ですけれども、鉄道で来る人たちのアクセス、これで乗換駅のエレベーター設置はバリアフリーを計画されていますか。手短にお答えください。
  211. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) バリアフリー化の具体的な姿を、博覧会会場はもとより、道路、鉄道等、会場へのアクセスの中で実現していくということは本博覧会の趣旨に沿ったものでございまして、本博覧会に高齢者や障害者等を含めた幅広い方々に来場していただく上で大変重要なことだと認識しております。  当省といたしましても、博覧会場の内外の様々な場所や施設においてこのようなバリアフリー化が図れることが有意義であると考えておりまして、その実現のために今後とも関係機関に積極的に働き掛けを行っていかなければならないと、このように思っています。
  212. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 ごめんなさい、国交省に来ていただいているんですけれども、時間が余りないので、ごめんなさいね。  実は、国交省に答えてもらおうと思ったんですが、四月に万博関連事業を発表されたんですが、鉄道のエレベーターなどのバリアフリーというのは計画にないんです。会場の中では、その検討会でバリアフリーと言っているんですけれども、そこに行こうというときには鉄道を二車線にする案とか、あるいは道路を造るというバリアフリーはあるかもしれませんけれども、全然ないんです、エレベーターとかいうバリアフリーはね。それで、障害者の方が集団で宿泊できる施設、こういうのも名古屋や会場周辺にないので何とかしてくれって言われたら、国家事業だからそれは国の責任で民間にやってもらうんだというのが現地の説明だったそうなんですけれども、全くハンディキャップを持った方が参加したいと考えても政府は何もしないというのが現状なんですよ。それをこぶしの会などの障害者団体の方は非常に怒りを持っておいでになるわけですよね。  今日の質問の中でも、環境万博といいながら十分な環境影響評価も行わない、住民の声や自然保護団体や研究者の声も聞かない、ハンディキャップを持った方については会場の中以外は何も考えないというのがこの愛知万博なんですね。  新聞では、五月三十一日に、トヨタ自動車がIMTS戦略や燃料電池の量産化、こういうのを万博関連にしてトヨタは万博を事業化の起爆剤と位置付けていると。トヨタ自動車は非常にいいかもしれませんが、こういう大企業の利益のために国民の税金を使っての無駄遣い、トヨタ万博じゃないかという批判も実際はあるんですよね。  だから、現実には人に優しくない、自然に優しくない、そういう愛知万博というのが二十一世紀初頭に開催する万博には私はもうふさわしくない。幾ら言っても、大丈夫って言っても破壊されるし、大丈夫って言っても鳥は生きていけない、こういう万博はきっぱりと中止をして開催を返上すべきだと、私はもう本当にこの際強く申し上げたいと思うんです。  それで、今日は時間がありませんので次に移りますが、そのトヨタ自動車及びその関連企業の長時間労働の緊急改善についてです。厚生労働省、厚生労働大臣お願いします。  昨年十二月にも今年の三月にも、私は、助けてくださいという深刻な職場からの声を紹介しながらこの長時間労働の改善を求めてきました。最近もこの関連企業から具体的なサービス残業隠しの手口を明らかにした切実な訴えを伺いましたが、依然として顕著な改善が図られていません。そこで、まず最初に労働時間規制の原則、残業時間の抑制について確認をしておきたいというふうに思います。  言うまでもなく、労働時間の原則というのは労働基準法三十二条で、一週四十時間、一日八時間と定められ、本来残業は想定されていません。しかし、特別な場合、三六協定を結ぶ。この労基法三十六条は、従来から残業を青天井にするものだという批判がされてきまして、九八年、初めて実質的な改正が行われました。この改正の目的は、法定の限度時間を定めて残業が青天井にならないように時間外労働の限度時間内になるように指導改善する、こういうことだったのではないかと大臣に伺いたいんです。  当時、罰則がなく効果が期待できるかという声がありました。私は、さっきの質問の中でも、具体的な例として、トヨタ自動車は残業が年間七百二十時間、国の定める基準の倍です。NTTは残業年間一千時間。日本を代表する大企業が過労死ラインを上回る三六協定で、こういうのを改善しなさいと言いましたら、大臣は違法状態はなくすと答弁されました。  しかし、違法状態なくすのは当然なんですが、今求められているのは、法律の手続、形式は取られていても、現状、長過ぎる労働時間で過労死が激発しているこの現状に対して、大臣は残業時間の抑制、短縮のためにどう取組を行ってこられたか、答弁してください。
  213. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 九八年の改正におきましては、この長時間の時間外労働の実効ある抑制を図りますために主なものとして三つのことを決めております。一つは、労働時間の延長の限度等に関する基準を労働基準法に基づくものとして定めるというのが一つ。それからもう一つは、労使は時間外労働協定の内容が当該基準に適合したものとなるようにしなければならないというのが二つ目。そして三つ目としましては、労働基準監督署長は当該基準に関して必要な助言及び指導を行うことができると、こういうのが三つ目でございます。こうしたものを定めたわけでございます。  現実、一体どうなっているかということでございますが、これは平成十年でございましたが、この十年度のいわゆる九八年におきましては、いわゆる改正法の直前ですね、これは百十四時間でございましたが、平成十三年におきましては百十一時間に減っていると。これは五人以上の規模のところ全部含めたものでございます。しかし、五百人以上規模を見ますと、平成十年が百五十九時間ございましたが、十三年度には百六十四時間となっておりまして、決して減ってはおりません。こういう現状にあるということでございますので、鋭意今後努力をしなければならないと、こういうことでございます。
  214. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 全体としては余り減らず、深刻な状態ですね。  最近、豊田の労働基準監督署が豊田市内の大手五十四事業所に対して労働実態の自主調査を行いました。これはトヨタ六社に対して市内の労働者や家族から労働時間を短縮してほしいというような声、たくさん寄せられたからと聞いておりますが、それは間違いないでしょうか。また、その結果、三六協定の現状や年次有給休暇の取得状況について簡潔にお示しください。
  215. 鈴木直和

    政府参考人(鈴木直和君) 御指摘のように、昨年九月に豊田の労働基準監督署の管内の主要企業、五十四社でございます、について労働時間管理の実態把握をいたしております。それは、長時間労働ということに関するいろんな相談件数、これも監督署管内で増えてきております。そういうことを踏まえて調査をやったわけでございます。  調査の結果でございますが、中身としては、三十六条の協定の限度時間がどうなっているか、それから……
  216. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 数字だけでいいです。
  217. 鈴木直和

    政府参考人(鈴木直和君) はい。  これは、限度基準を超えて時間外労働を行う必要のある特別の事情に対応する、そういった特別条項付きの協定の時間数でございますが、月間の平均協定時間数は八十時間、それから最大の協定時間数は百二十時間、同様に、年間の協定時間数は六百三十八時間、最大の場合の協定時間数は九百六十時間となっております。  それから月四十五時間を超えている三六協定の比率は八六・五%、それから年間三百六十時間を超えている比率が七八・四%、それから年次有給休暇の取得率が五割を切っている事業場の比率は五七・七%等の結果になっております。
  218. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 大変深刻な実態で、月間百二十時間の残業、年間九百六十時間。これは、厚労省がお定めになった過労死ラインは月間百時間ですから、もう完全にオーバーをしていて、しかもそれが一つや二つでない、今八六・五%、七八・四%というお示しがあったわけですよね。  私は、これほど大変なところで労働時間の短縮とかサービス残業根絶とか有給休暇取得促進の大会を開かなければならないような事態がある。これはトヨタの本社のある豊田地区だけではないと思うんですよね。  ただ、製造業といえば非常に大きいわけですけれども、こういうときに、私は、長時間労働をいつまでに何時間に短縮する数値目標を持たせるとか、目標を達成するための指導を行って、従わないところは公表するとか、そういう厳しいものが必要だと思うんです。  この大会というのは、時間がないので伺いませんけれども、豊田地域というのは長時間労働などの労働時間管理について種々の問題が指摘されていて、改善努力が必要だからやるんだというふうに言っているんですが、結局はイメージを改善するためだというふうに言っているんですよ。イメージの改善では、もう助けてくださいという声には適応できないですよね。命あってこそゆとりを持って考えられますし、そのためには実際の労働時間の短縮、残業時間の短縮というのが緊急に必要です。イメージを改善しようというのは、財界がかねてから労基法からできるだけ刑事罰、刑罰を少なくしたいという主張を行ってきて、そういう先駆けになっていく、こういうものでは私はいけないと思います。  今こそ一日八時間労働を定めた労働基準法の原点、人たるに値する生活を営むための必要を満たすべき労働条件を保障するという原則に立ち返るべきです。人間らしく働くルールを確立するために、明文で労働時間の法的上限規制を罰則付きで行うべきであり、その実行を強く要求をして、質問を終わります。
  219. 広野ただし

    広野ただし君 自由党・無所属の会、国会改革連絡会の広野ただしです。  現下の経済情勢、本当に厳しいものがありまして、底を打ったとはいいますものの、とても地方ではそういう感覚は全くないような状況で、失業者は相変わらずたくさんおりますし、中小企業はどんどん倒産をする、そしてまた自殺者も出ると、こういう悲惨な実態でございます。  そういう中で、経済構造改革の根本というところに金融機関あるいは全体的な不良債権問題ということがあると思うわけです。  これは、バブルが崩壊して、住専の問題、あるいは地域の信組、信金の破綻、あるいは、九七年ですか、山一あるいは拓殖銀行の破綻、そして九八年の金融危機と、こういうこと等で公的資金の投入、また公的資金枠の確保、そういうものがなされて金融危機は一応回避はいたしておりますけれども、ここのところで大変な莫大な金額が金融機関に投入される、あるいはその枠が確保されていると、こういう状況でありますけれども。  今改めて、全体的な公的資金の枠と、そして公的資金が投入されたものと、そしてまた、その中でもう戻ってこないであろう金額というものを少し詳細にお知らせいただきたいと思います。
  220. 村田吉隆

    ○副大臣(村田吉隆君) これまで、十四年三月末現在ということで仕切らせてもらいたいと思いますが、預金保険機構によります金融機関に対します主な資金援助等の実施状況についてお答えを……
  221. 広野ただし

    広野ただし君 全体枠と確保枠と、今言いましたのは、それと投入金額と、戻ってこない金額、全体でいいです。
  222. 村田吉隆

    ○副大臣(村田吉隆君) いわゆる全体枠については七十兆円の公的資金枠が措置されておりまして、その内訳は、ペイオフコストを超える資金援助のための交付国債十三兆円というものと、それから預金保険機構の借入金等に対します政府保証枠の五十七兆円でございまして、その全体の枠が七十兆円ということでございます。  実際、十四年三月末で区切ったところ、預金保険機構によります主な資金援助等の実施状況につきましては、まず第一に金銭贈与が十六・五兆円、それから破綻金融機関からの資産買取りが五・六兆円、そして資本増強に用いられたものが十・四兆円ということになっているわけでございます。  御質問の、このうち返ってこないものがどうなのかと、こういうことでございますが、このうち、ペイオフコストを超える資金援助のために手当てされた十三兆円の交付国債の十四年三月までの使用額累計九・一兆円については、現段階で国民負担として確定しているものでございます。これは、ペイオフが凍結されていたと、こういうことから、預金者の保護ということで預金者にそのお金が行っているというふうにお考えになっていただきたい、預金者の保護のために使われたんだということを御理解をいただきたいと思います。
  223. 広野ただし

    広野ただし君 それでは、全体的には七十兆の資金が確保されておって、今まで使われたものは三十一兆、二兆ぐらいで、戻ってこないものが九兆円と、こういうふうに理解していいわけですね。  ところで、中坊さんのときに大変な御努力で、投入された資金がかなり回収をされました。そしてこれは、実際そこで担当しておられる方々は、身の危険も感じながらも大変な御努力をして、民事あるいは刑事の公訴、告発をして、相当なことをして回収をされたと、こういうふうに私は理解をいたしておりますが、現下において、資金の預金保険機構における回収状況について御説明いただきたいと思います。
  224. 松田昇

    参考人(松田昇君) 本年三月末まででございますけれども、整理回収機構におきまして破綻金融機関から買い取りました債権は、買取り金額で約四兆二千億円ございます。そのうち本年三月末までに回収をいたしました実績は約二兆七千億円でございまして、譲り受けたときの簿価に対します回収率は六四・二%と、こういう状況でございます。
  225. 広野ただし

    広野ただし君 これは、今後更に回収率が上がる性格のものなんでしょうか。
  226. 松田昇

    参考人(松田昇君) いろいろと、残っております債権の担保物件の値下がりとかいろいろ苦しい条件がございますけれども、RCC及び私ども預金保険機構で一体となって全額回収目指して努力したいと、このように思っております。
  227. 広野ただし

    広野ただし君 それで、もう一つ一般国民の皆さんから分かりませんのは、預金保険機構とRCC、整理回収機構株式会社ですが、こことの間での回収にかかわる分担といいますか、そこのところを分かりやすくちょっと御説明いただけますか。
  228. 松田昇

    参考人(松田昇君) お答えいたします。  金融機関が破綻いたしますと、受皿銀行が取らない、主として不良債権でございますけれども、それはRCCに移ることになりますが、元々法律上の建前は預金保険機構がそれを買い取ることになっております。ただ、私どもには手勢の者がいませんので、委託できるという法律上の規定になっておりまして、その買取りと回収を親会社である預金保険機構から整理回収機構に委託をして、それから買い取る資金を私どもが貸付けをして、そして買い取った上で回収をすると。  なお、回収に当たっては、預金保険機構に固有のものとして財産調査権等もございますから、その財産調査権を使って例えば悪質な債務者の隠匿資産の発見に預金保険が努めて、RCCの回収を支援していく、こういう体制とか、責任追及でございましたら、両者一体となりまして刑事告発あるいは法的措置を取ると、こういう仕組みで、一体となって回収に励んでいるというところでございます。
  229. 広野ただし

    広野ただし君 ところで、私どもの地元では、富山なんですけれども、中小企業の皆さんが皮肉を込めて言われるのは、金融機関は本当に恵まれている、非常に高い給与を取って、そういう中でしかもお上がバックアップをする、こういう体制があると。何兆円というお金、七十兆円というものが確保され、一兆、二兆というのは、豆腐じゃあるまいし、何か非常に雑な形でお金が投入をされると。こういうことに比べると、中小企業が本当に何銭何厘というところで仕入れだとか何かにこたえている、こういう厳しい状況があるんだと。こういう話を聞くわけで、やはり非常に大きな金額で、一般庶民からいうと金額麻痺しちゃうわけですね。  だけれども、そこで何千億と回収をいただくということは、また何万社という中小企業が救えるということにもつながるわけでありますから、ここは本当に厳正な態度で取り組んでいただきたい、このように思うわけです。二兆七千億ですか、回収をされているということでありますけれども、これがもっともっと回収されるようにお願いをしたいと思います。  ところで、一方で、朝銀と言われる、北朝鮮とも非常に深い関係があると、こう言われる銀行が今次々に破綻をして、それに対する受皿銀行というようなことが用意をされる、公的資金が投入をされると、こういうことになってきているわけでありますけれども、この朝銀の不良債権総額というのは今どれくらいになるんでしょうか。
  230. 村田吉隆

    ○副大臣(村田吉隆君) 朝銀、信用組合でございますけれども、破綻をしているのもございまして、十四年三月期におきます破綻朝銀を含みます九朝銀、このリスク管理債権の総額は約七千二百九十億円でございます。
  231. 広野ただし

    広野ただし君 そして、今、関西系三信組、あるいは関東ハナ信組とか言われておりますが、そういうところに今度公的資金が大量に投入をされると、こういうふうに言われておりますが、その見込みはどういうことになりましょうか。
  232. 村田吉隆

    ○副大臣(村田吉隆君) 三千二百五十億円でございます。
  233. 広野ただし

    広野ただし君 それはどちらですか。
  234. 村田吉隆

    ○副大臣(村田吉隆君) 今度の、三朝銀、受皿になりますものについて。
  235. 広野ただし

    広野ただし君 東京の方は。
  236. 村田吉隆

    ○副大臣(村田吉隆君) 東京は、いまだ最終的に確定しておりませんが、ちょっとお待ちください。──まあこれは見込額でございますが、三月期におきます債権超過額を見て、約四千三百億円が見込まれているという状況でございます。
  237. 広野ただし

    広野ただし君 この朝銀の関係は、もう既に六千二百億円が投入をされ、また関西系三信組、そして東京ハナ信組ですか、これを加えると一兆四千億の公的資金が投入をされると、こういうふうに理解をしておりますが、それでよろしゅうございますか。
  238. 村田吉隆

    ○副大臣(村田吉隆君) 今私も申しましたし、先生も示されました数字の中には資産買取り額が入っておりますので、そういう意味では、資金贈与、金銭贈与プラス資産買取り額、資産買取り額の方は回収がなされれば国民負担につながらないと、こういう性格のものであることを御理解いただきたいと思います。
  239. 広野ただし

    広野ただし君 この朝銀というところが今まで融資をしておりましたところを、それはなかなか教えてもらえないんですが、例えばパチンコ業界ですとか風俗営業でありますとか、そういうところなんですね。  パチンコ業界、ひところ非常に発展をしまして三十兆円のパチンコの売上げがあると。ところが、今は大変な過当競争で、大体それが大変な倒産もあってかなり厳しい状況にあると。私どもの地元でも南北戦争と言われまして、北の方のノースランドというパチンコ系と南の方のラスベガス系というのと戦って、まあノースランドの方が勝っているんですけれども、北の方が勝っているんですが、それでも大変な倒産が一杯出てきていると。  御存じのように、財務大臣も御存じのように、パチンコ業界、これはもう脱税のいつも一位、二位に出てくる。風俗営業もそうですね。そういうところなんです。そこが今度、そういうところに融資していた朝銀、こういうところを、しかもどうも、朝鮮総連といいますか、非常に政治的に動く。そして、今、不審船の問題もありますけれども、それこそテロと非常に関係があるんじゃないかと、こう言われている。私の田舎でも、水中スクーターが浜辺に乗り捨ててある、どうも工作員がそこから上がった、こう言われることがあるんですね。そういうところ、そういうところに資金を提供していた。  そしてまた、私どもかねがねよく聞きますと、その系統の人たちは、いや、もう資金は心配要らないんだと、銀行に行けばもうほとんど無審査で融資を受けられると、こういうことを言っていたんですよ。  そういうところの銀行、そこに資金を投入する。しかも、何といいますか、海外送金というものをよく調べますと、かなりの金額が送られている、あるいは迂回して送られている、こういう実態なんですね。しかも、その国が不審船をどうも出しているかもしれない。そういうことかもしれないところの銀行にどうして公的資金を入れなきゃいけないのか、この点、金融大臣いかがでございますか。
  240. 柳澤伯夫

    国務大臣(柳澤伯夫君) 国民感情的に言いますと、今、広野委員が仰せになられたような気持ちに陥るということも正直言って理解できないわけではございません。ただ、これを我々行政の対象として見るときには、やっぱりきちっとした法律に基づいた処理を行うということでなければならないということでございます。  この朝銀信用組合というのは、これは中小企業協同組合法に基づいて設立された日本の法律的な立場を持つ団体ということになっておりますし、また、預金保険法上の金融機関ということになって、彼らも定められた預金保険料を支払ってきたという事実がございます。それにかぶせて、預金の全額保護ということを実現した金融再生法というもの、それからそれを引き継いだところの預金保険法というものが我々の行政措置を行う基礎として現に存在しておるわけでございまして、これに基づいて処理をするというのが私ども行政の立場ということになるわけでございます。  もちろん、そこには過去にいろいろ不祥事はなかったかということで、この不祥事があったかないかということを調査するために金融整理管財人というものを送り込んでいますし、また、場合によってその債権が疑わしいというようなこともあってRCCにこれが送られた場合には、RCCが強制的な調査権を持ってこの責任追及に当たるという仕組みがございまして、これは今日までも相当の責任追及の、民事責任、刑事責任が立件されておると、こういうことでございます。  過去のことはそういうことで責任追及を厳格に行うということと同時に、今後のことについても再びこういうことがあってはならない。もちろん、これからペイオフであれば、それはもうペイオフの時代になればこれはもうそこの預金者が損害を被るわけですから、それはもうこれまでとは全然違うわけでございますけれども、しかし、今後においてもそういったことで預金者にみだりに迷惑を掛けるようなことがあってはならないということで、私どもは、今後のこの信用組合の体制については、定款できちっと独立性、透明性を維持するんだ、こういうことをうたった定款に基づいて設立されたものについて私ども行政手続を進めようというふうなことで今進んでおるというところでございます。
  241. 広野ただし

    広野ただし君 やはり経営者責任というものを民事であれ刑事であれ大いに追及をしていただきたいと思いますし、実際、預金保険機構あるいはRCCの皆さんは本当体を張って回収等に当たっておられる、そういうことから考えますと、やはりトップの責任あるいはトップの在り方、そういうもの、あるいは定款においてそういう政治的関係の、朝鮮総連等のそういう役員が入らないようにきちっと法的にも担保をしていただきたい、このように思いますので、片一方で大変な苦労をして回収をする、片一方でどんどんどんどん公的資金を差別はできないんだからと、こういうような形でやられますと、本当にざるにお金を注ぎ込んでいるような、こういう話になりますから、ひとつよろしくお願いをしたいと思います。  続きまして、年金の問題であります。  年金の運用、非常に運用利回りが下がってきて、トータルで大変な、十三年度においても累積赤字が大変なことになったと、こういうことでございますが、その実態について御説明いただきたいと思います。
  242. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) 年金におきます資金運用の状況でございますが、まず市場運用という形で年金資金運用基金において運用がなされておりますが、この部分につきまして平成十三年度年度の運用結果は六千二百億円のマイナスでございます。これに旧年金福祉事業団から引き継いだ旧資金運用部への借入利息の支払分六千九百億円を合わせますと、平成十三年度の損益合計は一兆三千百億円のマイナスでございます。また、平成十三年度末で、このマイナスに加えまして平成十二年度末までの旧年金福祉事業団の累積利差損がございますので、その一兆七千億円を合わせますと、累積で利差損は三兆百億円となっております。  なお、平成十三年度の年金資金運用基金の市場運用における運用利回りはマイナス二・四八%でございますが、これは民間の年金資金の、民間における年金の運用というものがあるわけでございますけれども、この資金の運用利回りであるマイナス三・九九%と比較して劣ってはおりません。  一方、市場運用以外の年金積立金の運用もございまして、この全体で見た場合の収益状況は、旧資金運用部への預託金百三十兆円の利子収入が四兆九百億円見込まれますので、平成十三年度年度で、マイナスとプラスの相殺いたしまして、二兆七千八百億円のプラスとなっております。  このようなことから、トータルとしては二兆七千八百億円のプラスでございますが、累積で大きなマイナスがあることは事実でございます。
  243. 広野ただし

    広野ただし君 やはり今、経済にとっても老後の問題、年を取ったときに本当に安心して年が取れるのか、年金はどうなるんだろうか、あるいは医療はどうなるのかと、こういうことが結局財布のひもを非常に固くしているということでもあります。そしてまた、年金のことでこういう大きな累積赤字が出てきますと、この原因ですね、このことについてどのように考えておられるか、大臣はいかがですか。
  244. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 今、局長から御答弁を申し上げたとおりでございますが、一つは旧資金運用部への借入金の利払いが一つございます。それからもう一つは、バブル崩壊後の株式の長期低迷でございます。この二つによりましてのものだというふうに思います。  旧資金運用部への借入金の利払いの方は、これは今までこういう形態でまいりましたからやむを得ないというふうに思いますけれども、もう一つは株式の長期低迷によります影響でございまして、ここは景気がこういう状況でありますので、どういたしましてもここで大きくマイナスになってしまう。いわゆるインフレのときには、こちらの方の金利の方は、ここはいいわけでございますけれども、全体として今度は多くのお金が出さなければならないと、皆さん方に出さなきゃならない。インフレのときはインフレのときで悩みがございますけれども、デフレのときはデフレのときでこうした悩みがある。  今後、いわゆる資金の運用を一体どうしていくかということ、これから全部年金の金利というのはこちらに返ってくるわけでございますから、私どもに返ってくるわけでありますので、これの運用の仕方をどうするか。これにつきましては、本年の秋以降、株式を含みます分散投資等の資金運用の基本に立ち返りまして、これをもう一度社会保障審議会の年金資金運用分科会というところでこれを議論をし直していただくことになっております。これはもうオープンに議論をしていただいて、国民の皆さん方にもそれをお聞きをいただきたいというふうに思っているところでございますが、そうしたことを行うことによって、これからどうしていくかということをもう一度考えさせていただきたいというふうに思っております。  すべてを国債等の方に回してしまうという行き方も当然のことながらあるわけでございますが、その代わりにこれは景気のいいときでも余り増えないということになりますし、長い目で見てこの損得勘定を許容をしていくか、それとももうリスクは最大限少なくしてこれから取り組んでいくかといったことも今後大きな検討課題であろうというふうに思っている次第でございます。
  245. 広野ただし

    広野ただし君 今、大臣が御指摘にならなかったんですが、私、もう一つ隠れた原因として、例えば厚生年金、三千二百万人の人たちがおられるわけでありますが、加入しているわけですが、これが最近、ピークが平成九年、九七年から百三十万人も現時点で減っているわけなんですね。これはもう四%近く減っていると。これは例の国民年金でも、もう二割、三割近くが国民年金に加入しないと。要するに、年金の空洞化ということが国民年金でもある。この厚生年金の方でもそのおそれが私は非常に出てきていると思うんですね。  例えば、私の試算では、百何十万人加入しないというようなことになりますと、例えば年間五千億とか、四、五千億の形で掛金の方が入らないというようなこと等がありますから、いろんな意味で非常に大きな懸念材料なんではないかなと、こう思っておりますし、もう一つ、これはどういうふうになっているのか分かりませんが、前々から大規模保養施設ですか、グリーンピア、これ全国に十三施設、この赤字はどういう形で処理をされておるんですか。
  246. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 今お話しのございました年金構想の全体の問題につきましては、これは平成十六年度から新しくすることにしておりますので、今年の後半から来年に掛けましていろいろと御議論をいただいて、そして、今後の体制の在り方をどうしていくか、若い皆さん方にも御理解をいただける年金制度をどう作っていくかということを考えないといけないというふうに思っている次第でございます。  それから、グリーンピアのことでございますが、十二か所のうちで、累積で黒字のところが六基地、同じく赤字のところが六基地というふうになっておりまして、詳細はまた局長の方から答弁させますけれども、そうした半々に現在なっております。  それで、これは御承知のとおり、平成十七年度までに廃止することになっておりまして、鋭意努力をしているところでございますが、本年の五月にも一つの基地、それから六月にも一基地、これはそれぞれ運営停止にしたところでございまして、今現在、これを鋭意努力をして減らしつつございます。これは是非、そういうふうに早くしていきたいというふうに思っているところでございます。
  247. 広野ただし

    広野ただし君 時間の関係で一々やりませんけれども、例えば週刊誌等で年金にまつわるいろんなことが指摘をされております。もう年金というのは、やはり老後の生活を保障する大事なものであります。そのところにたくさんの官僚が天下って、そしてまた、そこでやった事業がほとんどうまくいかない、赤字を膨らます。こんなことをやっていますと、年金自身に対する信頼が非常に損なわれる、こういうことになろうかと思いますので、大臣は是非よろしくお願いをしたいと思います。  ところで、私ども、こうやって決算委員会でいろいろとやらせていただきます。同僚委員参議院の本会議場で、決算の重要性と決算における、決算委員会あるいは本会議決算の問題が例えば否決をされると、こういう事態になった場合に、まあいろいろとあろうと思います、前の内閣の、今、私ども平成十二年度と十一年度をやっておりますから、前の内閣のものをここで否決をされるという場合、本小泉内閣がどんな責任を持つのかというようなことがあるわけですが、佐藤栄作総理が昭和四十二年に答弁をされていることもございます。  やはり、財政の民主化からいって、予算だけじゃなくて決算、これは憲法にも書いてありますように、決算というものはきちっとしていないと、これは本当に信任を受けているということにはならないんではないかと、こう思うわけでありますけれども、この点についてまず財務大臣の御意見を伺いたいと思います。決算が否決をされた場合、小泉内閣ではどのような考え方でおられるのか。
  248. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 今提出しております十一、二年度決算につきましても、院の御理解をいただきたいと思って提出しておるわけでございますが、仮定に基づいた御質問でございまして、是非承認していただけるという、政府としては、御理解が得られない事態が生じた場合は、政府としては、誠に遺憾ではございますけれども国会の御審議、御指摘と議論を踏んまえて、今後とも予算の適正かつ効率的な執行に努めて、国会で指摘されたことを繰り返すことのないようにいたしたいと、こういうことでございます。
  249. 広野ただし

    広野ただし君 先ほど、昭和四十二年と言いましたが、間違いで、四十四年であります。  昭和四十四年、佐藤総理答弁をしておられますが、決算を否決した場合、万一そのような事態があったとすれば、その場合の方策としては、御勧告の総辞職だけではなく、国会の解散ということもあり得ることと考えておりますという、やはりそれは佐藤総理も、そんな事態のことはということでおっしゃりたいところではありますが、やはりこれは一つ考え方一つの方針というものをしっかりとないと、国民に対する責任といいますか、そういうものができないんではないかと私は思います。  会計検査院長、その点いかがですか。
  250. 杉浦力

    会計検査院長杉浦力君) ちょっと非常に答えにくい話でございまして、院の中での御議論でございまして、私どもが所管いたしております中身は、国が扱います決算の中身が正確かどうかという点を調べておるわけであります。したがいまして、できるだけ私どもが申し上げた中身を御理解の上で御処置をいただけたら有り難いと思っております。  以上です。
  251. 広野ただし

    広野ただし君 官房長官に小泉内閣を代表して、今日は総理はいらしておられませんのでお伺いをしたいと思いますが、この平成十一、十二のことにつきましては、ちょっと確かに小泉内閣という、責任ということになるともう一つかなと思いますが、じゃ平成十三年度以降の決算ということになりますれば、予算が否決をされるということと決算が否決をされるということとどういう差があるのか、同じような考え方になるのか、この点についてお伺いをして質問を終わりたいと思います。
  252. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 考え方は、先ほど財務大臣から答弁申し上げたとおりでございまして、我々といたしましては、決算について御理解を賜り、そして御承認をいただきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  253. 広野ただし

    広野ただし君 これは、やはりもう少し踏み込んで、やはり佐藤総理、非常にしっかりと答えておられるんですよ。  実際に、昭和六十一年度決算あるいは昭和六十二年決算、与野党伯仲のときですね、あるいは平成年度決算というのは否決をされているんですね。六十一年度平成年度決算も、委員会でも本会議でも否決をされていると、こういうことがあるわけですので、私は、やはり決算というものについてしっかりとした御認識の下にまた方針を出していただきたいと、こう思います。  終わります。
  254. 田嶋陽子

    田嶋陽子君 社民党の田嶋陽子です。よろしくお願いします。  今日は、配偶者控除と配偶者特別控除の廃止についてお伺いします。  ここ十年余り、配偶者控除と配偶者特別控除が既婚女性の経済的、精神的自立を損なっているということがずっと言われ続けてきました。また、共働きの夫婦にとってはこの制度は不公平な制度だとも言われています。  そこで、やっとこの四月に、内閣府の男女共同参画会議・影響調査専門調査会、以下影響調査会としますが、そこで「「ライフスタイルの選択と税制・社会保障制度・雇用システム」に関する中間報告」がまとめられました。この報告では、税制に関してはこういうことを言っています。我が国の所得税制は個人単位だが世帯への過大な配慮が含まれていると指摘があり、さらに、配偶者控除、配偶者特別控除は見直すべき時期に来ている、具体的には縮小又は廃止により世帯配慮をなくすべきであるとなっております。  そこで、まず官房長官にお聞きします。  この内閣府の影響調査会の中間報告で、配偶者控除、配偶者特別控除について縮小又は廃止の方向で考えているとありますが、この縮小、廃止実現の目標期限はいつごろと考えておられるでしょうか。
  255. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 四月にまとめました男女共同参画会議の影響調査専門調査会の中間報告で、おっしゃるとおり、この配偶者控除、特別控除を意識した賃金、年収、労働時間調整が行われるという点で就業に中立的でないということなどから縮小又は廃止により世帯配慮をなくすべきであると、こういうふうにしております。その際、変更による国民の負担に与える影響を調整するように配慮することが大多数の国民に受け入れられるための条件ではあろうかと思っております。  今後どういうふうにするかということについて、具体的には税制調査会等で検討をするということになっておりますので、その検討結果はこの秋に明らかになってくるんだろうというふうに考えております。
  256. 田嶋陽子

    田嶋陽子君 私は、この配偶者控除と配偶者特別控除廃止が今必要な時期に来ていると思います。私はこの制度を鳥もち制度と呼んでいます。これは女性が飛び立ちたくても飛び立てない制度なんですね。  社会システムは、今、官房長官もおっしゃったように、男性にも女性にも中立でなければならないのに、この二つの控除があるために多くの既婚女性は自分の働く能力を生かし切れていません。逆に男性は男性で、一生家族のために働かなければならないという過度な重荷を背負わされています。  パートタイムで働く既婚女性が年収百万円以内に抑えようとする原因もいまだにあって、これが百三万円の壁なんですね。平成十二年七月の税制調査会では、配偶者特別控除の創設でこの壁を取り除いたとしていますけれども政府の広報活動が不十分なために誤解が生じていて、また依然として企業の配偶者手当が百三万円に合わせて設定されていることなどの理由もあって、この百三万円の壁というのは相変わらず壁のまんまなんですね。その上に、年金制度とか社会保険制度でも、今度は百三十万円の壁というのがあります。女性には壁だらけなんですね、税制度においても。これら税制度を含めた社会制度がこうして女性の足かせになっているわけです。  日本は夫婦別産制という、建前はそうなんですけれども政府は、男性の生産性を上げるために、男の人が外に働きに行って女の人は家にという二人で一人前にする税制度を作ったわけですね。これが性別役割分業といって、これは差別なんですね。この差別が制度化されたものが配偶者控除と配偶者特別控除というふうに考えています。  でも、これは世間一般にこれもまた誤解がありまして、この配偶者控除、この二つの控除は、結構女性のためにあるように思われているんですが、女性も誤解していますが、実際にはこれは男性の給与所得の中から控除されるんですね。手当でしたら女性に与えればいいわけですが、手当ではないわけです。ですから、配偶者控除の廃止それから配偶者特別控除の廃止は男性が嫌がるわけですね、女性が自分の手のうちからいなくなるということで。  もう一度申しますけれども、日本は夫婦別産制なわけです。世帯で控除されていたものも財産となると夫婦別々になるわけですが、一度夫婦関係が崩れますと女性には何にも残らないんですね。男性が財産分与してくれないと女性は自分名義の財産がないわけで、キャリアもない女性が自分の人生、生き直そうとしても、なかなか離婚もままにできないと。これが男性の思うつぼかもしれないんですが、女性は無理して男性といることで男性もいらいらして、ドメスティック・バイオレンスとか暴力が発生するのも結構こんなところに原因があったりします。  そこで、配偶者控除、配偶者特別控除の見直しについて質問する前に、課税単位のことをまず塩川大臣にお聞きしたいと思います。  財務省にお聞きすると、我が国の所得課税は原則個人単位課税ということになっているそうですが、現実は配偶者控除、配偶者特別控除のせいで、個人所得税の課税単位は個人単位ではなくて世帯単位だと言った方が実態に即していると思います。夫婦セットになった方がお得というようなこの課税単位は、どう考えても世帯単位ですよね。男女共同参画社会に向けて、個人所得税の課税単位を世帯単位からやはり本来の個人単位に戻す必要がある、時代的にもそういう時代になってきていると私は考えます。  塩川財務大臣はこのことに関してどのような御意見をお持ちでしょうか、お聞きします。
  257. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 現在、我が国の社会を見ましたら、やはり依然として家族単位に物を考えるということが常識的になってきておる。けれども、おっしゃるように、男女共同社会が進んでまいりまして、男女がそれぞれ同権の上において生活し、また経済活動し、自分らの人生を築くべきであるということが、これがだんだんと拡大していくことは事実でございまして、そういう時代になってまいりました状況を見て、やはり税の在り方、あるいはまた給与の在り方等も変わってくると思うんでございますけれども、現在の社会においてはやはり私はまだ大部分家族単位で計算することは、税の計算ですね、することは是認される状態ではないかと思っております。
  258. 中原爽

    委員長中原爽君) 主税局長お答えになりますか。
  259. 田嶋陽子

    田嶋陽子君 お願いします。
  260. 大武健一郎

    政府参考人大武健一郎君) お答えさせていただきます。  先ほど先生が言われましたとおり、あくまでも現在の所得課税としては、実はイギリスとか諸外国もそうですが、個人単位で形成されております。それは、やはり個人が一定の所得を稼得する場合に、その所得はその個人に帰属するので、その所得が帰属する個人に税負担を求めるのが適当だということで、実は日本も個人単位の課税になされているわけでございます。  ただ、一部に誤解がございますのは、その個人単位に基づく個人所得課税の下におきましても、その所得の稼得者が扶養している者の数とか、それに応じた担税力を減殺するものですから、それを調整するという観点から、実は配偶者控除とか扶養控除とかそうしたものが設けられていると、こういうのが実情です。  ただ、今後その意味では、今、大臣も申されたとおり、今後はやはり、課税単位とは我々のとらえ方はちょっと別次元ではありますけれども、世の中の時代の変遷に伴ってそうした人的控除の在り方の問題というのを取り上げていかなければいけないというふうに認識しているということかと存じます。
  261. 田嶋陽子

    田嶋陽子君 今、担税能力とおっしゃいましたけれども、これは主に男性ということになってきましたが、今おかげさまで男女均等法もできましたし、この参画社会で皆さん努力してくださるおかげもあって女性が自分で働いて税金を納めることが比較的できるようになりました。いろんな差別はありますけれども、みんな頑張っています。ですけれども、女性は子供を産むときに肩たたきに遭ったり、男の人たち、女の人たちの目線によって、せっかく持っている能力を破棄して家庭に入るという、それが世間の常識にもなっていたりして、それが差別をも生んでいます。  今、塩川財務大臣は、まだ家族単位で考えるのが日本の一般の趨勢だろうとおっしゃいましたけれども、御存じのように、今結婚する女性が少なくなってきました。それは、やっぱりこの鳥もち制度にとらわれたくないという人、中にはもう一人で子供を産みたいという人、だからこれからの社会は、結婚しようと一人であろうと、子供を産みたい人が産めるようなそういう社会になっていくと日本の少子化問題も解決される方向に行くと私自身は考えています。  もっと選択肢のある世の中が望ましい、そのためにはやはり個人単位がふさわしい、そして税金を納める人が、国民一人一人がみんな税金を納められるような世の中になるといい。今ですと、結婚した女性は税金も納めていません。それから、健康保険の掛金も納めていません。それから、自分の年金の掛金も納めていません。これは、こちらで、財務省その他で計算していただきましたら、配偶者控除と配偶者特別控除だけで一・八兆円になります。ですから、働ける人、元気な人でも納めなくていい制度になっていて、これがいろんな不公平を生んでいます。  そこで、もう一度お伺いします。  政府税調は六月に基本方針を出しましたけれども、基本的には家族に対する控除を基礎控除、配偶者控除、扶養控除に簡素化、集約化すべきだと考えるとした上で、配偶者特別控除については基本的に制度を廃止することは考えられると明記されています。  そこで、塩川財務大臣にお伺いします。  先ほど、官房長官にもお伺いしましたけれども、その内閣府の影響調査会の中では配偶者控除と配偶者特別控除の両方の控除を見直すべきだとしていますけれども、この政府税制調査会の基本方針では配偶者特別控除しか見直しの対象になっていないわけですね。なぜ今回、配偶者控除が見直しの対象にならなかったのか、その議論の道筋を教えていただきたいと思います。
  262. 大武健一郎

    政府参考人大武健一郎君) 政府税調の議論の経過がございますので、少し先に事務的に御説明させていただきたいと存じます。  今、先生が言われましたとおり、中期答申、いわゆる税制調査会でいろいろ言われているわけでございますが、実はその今言われた基本方針におきましては、配偶者特別控除については、配偶者控除の上乗せという仕組みであるために、配偶者は世帯主本人に二つの控除が適用される。本人や他の扶養親族に係る配慮とのバランスを失することになっている。それからまた、今、先生も言われた男女共同参画社会の形成の観点からは、男女の社会における活動の選択に対し中立的でないという指摘も多い。これを踏まえれば、配偶者特別控除については基本的には制度を廃止することが考えられると、ここは言い切っているわけです。  他方で、今言われました基礎控除、配偶者控除、扶養控除というのはいわば基礎的な、今申し上げた担税力を判断する上での基本的な控除でありまして、しかも正に男女共同参画社会の影響専門調査会の中でも、具体的には、縮小又は廃止により世帯配慮をなくすべきであるが、導入されてから既に長い年月が経ており、そのメリットを享受している国民は多数に上る。したがって、その制度の見直しについては、その変更による国民の負担に与える影響を調整するよう配慮することが大多数の国民に受け入れられるための条件であるというふうにも書かれておるわけです。  したがいまして、この基礎控除、配偶者控除、扶養控除につきましては、正にそのすべての納税者にもかかわる事項だということで、したがって今現在各地で対話集会を開催させていただいて、今中間段階でございますが、まずはここでの議論を十分に踏まえようということでこの三控除についての三つのパターンを御紹介して、もちろんこれ以外にも案があるかもしれません、国民世論に問いながら結論を出していきたいと。  ただ、先生も言われますとおり、これは政府税調にも書かれていますが、いずれにせよ広く公平に負担を分かち合うという理念の下に個々の人の自由な選択に介入しないような中立的な税制の構築を目指すということから検討を進めていくということかと存じております。
  263. 田嶋陽子

    田嶋陽子君 何かすごい分裂した言葉ですね、自由を重んじながら、同時に何かメリットも享受している人がいるからとか。もう少し国としての哲学とか方針を出してほしいと思います。  私は、基本的にはこの配偶者と配偶者特別控除があるせいで、一番最初にも申し上げましたけれども、日本は生活自立できない男ができ上がってしまって、自分で金を稼げない女ができ上がってしまって、その半端者同士が二人で一人になるという、この税制度がそういう人間たちを作ってきてしまったんですね。二十一世紀を迎えて、やはり一番大事なことは一人一人の人間が自分なりに自立して生きることだと思います。二人で一人になるということは人的資源が半分になるということですね。ですから、一人一人がそれなりの自分の力の範囲内で働いて税金を納めることで国力も上げていくと。  要するに、男の人は家に帰ったら電気をつけてくれる女の人がいてという、御飯ができてという、その便宜を取るのか。それとも国力を付けるのか、一人一人が元気になってという、その国力を付けるのか。今、その二十一世紀を迎えて瀬戸際だと思うんですね。  多分、塩川大臣はまあとおっしゃっていますけれども、そんな考えはとんでもハップンだと思います。でも、若い人たちを見てください。なぜ結婚しなくなったのか、なぜ子供を産まなくなったのか、それはよく考えていただいた方がいいと思うんですね。少し塩川大臣の時代の考え方をずらしていただいて、よく現実を見ていただきたいと思います。若い人たちの話をよく聞いていただきたいと思います。そして、その地方の公聴会とか来る人たちがどういう人たちかもよく見極めた上で意見を聞いていただきたいんですね。  上乗せするという、上乗せだったからその上乗せを外すという考え方は、それはそちらの便宜のためですね。すなわち、税制を調整、統合して不公平をなくす。それはいいんですが、私がさっきからお話ししている配偶者控除、これが鳥もち制度なんですね、これも。ですから、ここをきちんと考えていただかないと、せっかく税調で頑張ってくださっても、また実は女性は百三万円の壁に阻まれて自立できないんですね、配偶者控除と配偶者特別控除二つをきちんと考えてくださらないと。  そして、今おっしゃってくださったように段階的に、今メリットを享受している人たちもいらっしゃるわけですから、例えば何歳以上はとか、何年生まれの人はでも何でもいいですから、私は一度に廃止せよとは申し上げません。やっぱり、それをメリットを享受している人で精神までそういう精神になってしまった人はいっぱいいるわけですね。制度が人の意識を作ります。ですから、意識を変えるのもまた制度です。ですから、そういう人たちにいきなり、鳥もちでも何でも、そこを楽しんでいる人たち、もち取ってしまったら死んでしまうかもしれません。金魚鉢の金魚は、いきなり川に放したら大きな魚に食われてしまいます。ですから、金魚鉢がいいという人はその中で暮らせる制度を考えるのも、これは福祉であり政治だと思いますから、その段階的な法則はきちんと大臣たちの頭で考えていただきたいと思います。  そこで、私はもう一度塩川大臣にお伺いいたします。  今、三つの考えがあるとおっしゃってくださいましたね。税調で三つの考えを出しました。この三つの考えのうち、塩川大臣はどの考えを推されていらっしゃるでしょうか。
  264. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私は、あえて言うならば配偶者特別控除というのは、これは私は、おっしゃるような考え方によってはそうなると思います。  ただこれは、要するに家庭におる主婦と、それから外へ出てアルバイトといいましょうかそういうのに、要するに短期労働に就いている人、その差をある程度均等を取ろうということから出てきたものであって、これはむしろ国会筋から提案されたものでございまして、それを受けて世論として消化していったと、こういうふうな経過ございますけれども、よく考えてみますと、百三万円の特別控除を設けたそのときのいきさつ等はもう田嶋さんもよく御存じだと思っておりますが、そういうことを考えまして、今戻すとするならば私は配偶者特別控除の方を戻していいんではないかと思っておりますし、これともう一つは、特別扶養控除ございますね、若い青年の、あれなんかでも検討に値するところじゃないかなと思っておりますが、いずれにしても、これはまだ私が独断で言えるものじゃございませんで、政府税制調査会等が、一応、さっき局長の言っておりましたタウンミーティングのいろんな意見を聞いて、その上で検討するべき問題だと思っております。
  265. 田嶋陽子

    田嶋陽子君 もう時間が来てしまいました。残念です、まだ途中までしか行っていないんですけれども。  それでは、塩川大臣にもう一度お伺いします。  その配偶者特別控除を廃止すると手取りの逆転現象というのが再び問題になると予想されるんですけれども、この問題に対してはどのような対策を考えていらっしゃるのか、簡潔によろしくお願いします。
  266. 大武健一郎

    政府参考人大武健一郎君) 配偶者特別控除につきましては、いわゆる逆転現象防止の部分と、二重に上乗せしている部分と実は二つで成り立っているわけでございます。  やはり政府税制調査会におきましては、この逆転防止のところは何らかの工夫が要るだろうという指摘になっているわけでございまして、いわゆる上乗せのいわゆる配偶者特別控除は廃止をすべきだと、こういう整理にさせていただいているのかと存じます。
  267. 田嶋陽子

    田嶋陽子君 時間になってしまいました。この続きは次にやりますけれども福田官房長官お願いいたします。  福田官房長官男女共同参画社会の係といいますか、担当大臣でいらっしゃいますよね。そして、とんでもない役目と思っていらっしゃるのかもしれませんが、こちらは頼りにしております。それで、男女共同参画社会基本法の二十二条に、福田官房長官総理大臣に対して意見をちゃんと言っていいということが書いてあるんですね。助けてください、いろいろと。  また続きやりますので、よろしくお願いします。  以上です。ありがとうございました。
  268. 中原爽

    委員長中原爽君) 以上で平成十一年度決算外二件及び平成十二年度決算外二件の全般的質疑は終了いたしました。  次回の委員会は来る二十八日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時八分散会