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2002-07-16 第154回国会 参議院 経済産業委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年七月十六日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  七月十六日     辞任         補欠選任      荒木 清寛君     草川 昭三君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         保坂 三蔵君     理 事                 加藤 紀文君                 山崎  力君                 平田 健二君                 本田 良一君     委 員                 大島 慶久君                 小林  温君                 近藤  剛君                 関谷 勝嗣君                 直嶋 正行君                 藤原 正司君                 簗瀬  進君                 若林 秀樹君                 荒木 清寛君                 草川 昭三君                 松 あきら君                 緒方 靖夫君                 西山登紀子君                 広野ただし君    国務大臣        経済産業大臣   平沼 赳夫君    副大臣        経済産業大臣  古屋 圭司君        経済産業大臣  大島 慶久君    大臣政務官        経済産業大臣政        務官       松 あきら君    事務局側        常任委員会専門        員        塩入 武三君    政府参考人        公正取引委員会        事務総局審査局        長        鈴木 孝之君        外務省中東アフ        リカ局長     安藤 裕康君        資源エネルギー        庁長官      河野 博文君    参考人        石油連盟会長        コスモ石油株式        会社代表取締役        会長社長    岡部敬一郎君        早稲田大学理工        学部環境資源工        学科教授     森田 信男君        ジャーナリスト  舘澤 貢次君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○石油公団法及び金属鉱業事業団法廃止等に関  する法律案内閣提出衆議院送付) ○独立行政法人石油天然ガス金属鉱物資源機構  法案内閣提出衆議院送付) ○政府参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 保坂三蔵

    委員長保坂三蔵君) ただいまから経済産業委員会開会をいたします。  石油公団法及び金属鉱業事業団法廃止等に関する法律案及び独立行政法人石油天然ガス金属鉱物資源機構法案の両案を一括して議題とし、参考人皆様から御意見を拝聴したいと存じます。  本日は、両案の審査のため、参考人として石油連盟会長コスモ石油株式会社代表取締役会長社長岡部敬一郎君、君呼びで失礼いたしますが、早稲田大学理工学部環境資源工学科教授森田信男君及びジャーナリスト舘澤貢次君の三名の皆様方の御出席をいただいております。  この際、委員長から参考人先生方にごあいさつを申し上げます。  おはようございます。本日は、参考人先生方におかれましては、大変お忙しいところ御無理をいただきまして御出席をいただきましたことを心から感謝申し上げる次第でございます。忌憚のない御意見を今日は御披瀝いただきたいと存じます。そして、重要な今後両法案審査参考にさせていただきたいと存じますので、よろしく御指導のほどお願い申し上げます。  一言ごあいさつを申し上げました。ありがとうございます。  次に、会議の進め方について申し上げます。  まず、お一人十五分程度で順次御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。  なお、参考人先生方の御発言は着席のままで結構でございますので、それではどうぞよろしくお願い申し上げます。  それでは、早速、岡部参考人からお願いをいたします。岡部参考人
  3. 岡部敬一郎

    参考人岡部敬一郎君) ただいま委員長の方から御紹介いただきました、石油連盟会長を務めさせていただいておる岡部でございます。  本日は、今お話がございましたように、非常に長い石油公団法及び金属鉱業事業団法廃止等に関する法律案並び独立行政法人石油天然ガス金属鉱物資源機構法案の審議ということでお呼びいただきまして、本日意見を述べさせていただくことを非常にうれしく思っております。  私は、石油業界に携わる人間ではございますけれども、一面、特に原油開発に関しましては、石油鉱業連盟という別の団体がございますけれども、我々もやはり石油開発に関しましては、業容の拡充という意味日本におけるエネルギーセキュリティー確保と、そういう面から原油開発も手掛けておりますし、また開発会社を通じて我々はかなり原油を買っておるという面もございまして、石油開発にも関心のあるところでございます。  本日は、そういう意味において、石油業界、つまりは石油精製元売業界立場から、一つ原油の、石油備蓄問題に関して、そして先ほど触れました原油開発関係に関して我々の立場から若干の意見を述べさせていただきたいと、このように思います。  今回の法案につきましては、過ぐる昨年の十二月の閣議決定で、私見ではございますけれども、やや行政改革先行型というか、行政改革に視線を置いた特殊法人等整理合理化計画というものがございまして、それに基づきまして、まず有無を言わず石油公団廃止ということが前提になって、そういう中で、我々の関心のありました石油公団の主要な機能を新たな独立行政法人に移管をする。それから国家備蓄に関しては国の直轄事業下に置く。それから三番目には、これから特殊会社が、まだはっきりはしておりませんけれども、公団が現在保有しております開発関連資産は適切な処理を行って、今後できるであろう特殊会社に引き継いでいくと、そういう形の今回は内容と理解しております。  従来から、我々石油業界といたしましては、石油安定供給という面から考えますと、この備蓄開発という二つの二本柱はどうしても日本の地政学的な問題、エネルギー構造の問題から考えますと政策上絶対に重要であり、必要な面であるというふうに考えております。  そういう中で、石油公団行政改革上その組織の在り方について今回廃止方向に行きましたけれども、今まで公団が果たしてきました機能は、我々としては今後とも絶対に継承していただかねばならない問題であるというふうに認識を持っておりました。そういう中で、今回、両法案というものが、そうした我々のある面では危惧された部分を踏まえて、ここにこういう形ででき上がろうとしておることに対しましては一定評価もし、安堵しておるところでございます。  御承知のように、エネルギー資源の乏しい我が国ということでは、一次エネルギーの中に占める石油の比率はひところに比べて落ちてはきましたけれども、依然として五〇%台を誇っておりまして、これ以後のいろんなエネルギー構造改革が行われたとしましても、今世紀のかなり部分についてはエネルギーの大宗を占めるということについては間違いないというふうに認識いたしております。そのゆえに、供給使命感も持っておるところでございます。  そんな中で、石油輸入という視点に立ちますと、これは残念ながらほぼ一〇〇%に近いものが海外からの輸入ということでございまして、さかのぼること第一次石油ショック、第二次石油ショックを通じて、日本としてはエネルギー政策上、脱中東、脱石油ということを標榜したことは御存じのとおりでございます。脱石油ということについては、ある程度原子力と天然ガスによって一定の成果を収めましたけれども、依然として、この脱中東という問題に対しましては、残念ながら石油資源の分布という問題が中東依存型でございますので、我々全面的に海外に依存する日本といたしましては、どうしてもやはり中東から原油輸入せざるを得ないと、そういう状況にあります。  そういう中東状況と同時に、この前から、昨年の九月十一日の米国同時多発テロの問題、それから依然としてくすぶる中東和平の問題、そんなことも考えますと、現状原油の二十数ドルという部分かなり部分がそうした戦略的要素も入っておるんではないかという一定評価もございます。  そんな中で、我々といたしましては、どんなに国際情勢があろうとも、安定したエネルギー確保というものを考えていくためには、国民生活国民経済を絶対的な安定した方向にやるためには、我々としては、このエネルギー問題に対しては国を挙げて取り組んでいかなければならないんではないかと、そういうふうに考えておるところでございます。それだけに、この石油備蓄開発の問題は我々としては非常に関心のあるところでございます。  まず備蓄でございますけれども、先ほど申し上げましたように、供給構造が脆弱でございますから、我々としては一定の量を緊急時に備えて確保しておくということは、石油ショックの経験から、これは国民の知恵として出てきたわけでございまして、そこで我々は一定原油備蓄を始めました。その後、国策備蓄という形で、民間にだけゆだねるについては問題があるということで、国の方でも予算を編成いたしまして、国備としての確保も行われまして、現状では大体七十日程度民間備蓄であると。国備が大体九十日程度あると。そういうことで、合わせまして百数十日ということになりまして、ヨーロッパに比べれば多い数字ではございますけれども、日本の地政学的な問題を考えますとこれは当然であろうと思っております。  と同時に、OECD加盟国から成る国際エネルギー機関、つまりIEAでございますね、そこにおいても九十日備蓄というものは先進国の義務として考えられておりますので、その面からもこれは必要でございます。と同時に、この必要な原油を、備蓄を協調的な形でIEAの中で緊急時に備えて放出することも一つのルールとして確立されております。  そういう状況でございますので、我々としては、国備民備両面を区分けをしながらこの問題については万全の体制を取っていきたいと考えております。  まず国備につきましては、今のところ幾つかの基地を編成いたしまして、税金を確保しながらこれで備蓄体制を取っておるわけでございますけれども、民間備蓄については、基本的には四十五日程度運転上の備蓄が必要でございまして、それを超える部分については、これは国備に備えて、いったん緩急ある場合には、国備を放出する前に機動力を発揮してまず製油所にある民間備蓄を放出するという形を取ろうということで、運転備蓄四十五日を超えて七十日の備蓄意味があるということを御理解いただきたいと思います。  それから次に、この石油公団廃止の問題でございます。これにつきましては、先ほど申し上げましたように、行政改革視点からこういうことになりましたけれども、我々としては何としてもこの原油開発については続けていただきたいと。  とにかく、原油開発に関しては探鉱から生産実質生産までの間のリードタイムが長いということ、リスクが大きいということ、そういう面から、どうしてもやはり国のある程度バックアップ体制の中でやっていきませんと、この備蓄に関して我々としては万全の体制を取ることはできないと、そういう考え方に立って公団問題を我々としては受け止めておったわけでございますけれども、今回、廃止にはなりましたけれども、これを天然ガス独立法人に移管することによって、引き続いてこの原油開発バック体制は取るということにはなりましたけれども、これからは三次探鉱も含めて開発技術が非常に発達してくるということ、そういうことも考えまして、ある程度民間の自己責任的なものも加味する必要があるということから、恐らく今回は、今までの七割が国策で三割が民間負担であったものがまあ五分五分というような形の中で、ある程度民間リスクのウエートを持ちながらこの問題には考えていくと。しかし、国の政策上、セキュリティー上、原油開発については絶対に必要だという考え方の中でこの問題については是非対応していただきたいというふうに考えております。  実は、第一次石油ショック、第二次石油ショックを通じて、中東火薬庫という感覚がございました。確かに、今も中東和平あるいはイラク問題も含めてそういうことではございますけれども、例えばサウジですと、石油については自分のところでやる、ガスについては門戸を開放すると。アブダビについては、これは今のところOPECの枠があるので開放はしないけれども、基本的にはメジャーも含めて外に門戸を開放すると。クウェートとかイランにつきましては、資金の要するに枯渇問題も含めて、あるいはイラクとの国境沿いにおける問題も考慮に入れて国外に開発門戸を開こうとしております。それから、カタールについては、これはもうとにかくガスがすごい会社でございますから、民間門戸を開放するんではなくて、ガスをいかに売り込むかということに腐心しておる。  そんなことで、中東の各国は、昔ですと一つにまとめた火薬庫という考え方から、一つ一つの国に応じた、国情に応じた資源外交をやることによって、確かに中東全体が不穏な空気になればともかくとして、ある国がそうであってもその他の国はそうではないということもあり得るとすれば、中東が絶対駄目だということではなくて、やはり中東に基本的には石油資源日本に向いてあるということであって、カスピ海だとかそのほかございますけれども、それは事業としては考えられても日本セキュリティーにつながる石油の導入ということにはつながらないと、そういう考え方を私は持っておりますので、基本的にやっぱり中東を中心にしながらも、なお開発事業というものを考えていく。もちろん、オーストラリアとかそのほかにも小さい油田は散在しておりますので、その辺にも視点を置きながらある程度やっぱり原油の調達については考えていかなければならないと思います。  ただ、ちょっと余談になりますけれども、シェルあるいはエクソン・モービルというのは、半期で五千億、年間四兆円近い金の中を泳いでおるような事業、その源泉はすべて上流にあるということでございまして、やはり上流の問題というのは、OPECの財政を確保すると同時に、事業としての重要性も大いにあるということから、日本としても、事業的な側面とそれからセキュリティー側面両面から原油の問題については是非やっぱり国のバックアップ体制の中で考えていく必要があるんではないかと。  メジャーには貯金があります。我々には、ようよう考えても本当に骨皮筋右衛門でございまして、そういう面からも国のバックアップ体制が必要である。唯一、我々、一般財源を通じてでございますけれども、石油税約五千億近くのものがほぼ石油業界にこの問題については対策として考えられておりますけれども、あとはすべて道路の財源に貢献するという税制の仕組みでございますので、何としても、石油をベースとした石油政策に対する備蓄、それから開発に関する国のバックアップ体制というものは絶対に必要であるということを切に訴えておきたいと思います。  以上でございます。
  4. 保坂三蔵

    委員長保坂三蔵君) ありがとうございました。  それでは、引き続きまして、森田参考人にお願いしたいと存じます。森田参考人
  5. 森田信男

    参考人森田信男君) 森田ですけれども、このカラーパンフレットでお願いします。大学先生ですので、やっぱり生徒にはこういうパンフレットを使うのがあれで。私は、テキサス大学コノコフィリップス社に二十五年いましたので、非常にアメリカ的な意見を吐くかもしれませんけれども、よろしくお願いします。  まず最初、二ページ目の日本周辺国家石油政策なんですけれども、皆さんが御存じのように、ロシア・プーチンの石油ガス資源による経済立て直しに協力して、数か月ほど前、米国では大統領自らがロシア石油開発をプーチンと契約しまして、またドイツではドイツ首相自らがやはりロシア石油購入に積極的に契約しました。中国では消費が急激に上昇することから、中国石油が積極的に、サウジアラビアから石油大臣を招いたりしまして積極的な外交をしていますし、またシベリアガス油田からのパイプラインの敷設を積極的に進めております。  このように、ほとんどの国家国家国民一丸となってエネルギー獲得を推進しています。それで、大統領自らが国民に必要なものを積極的に獲得してくれますので、アメリカみたいに非常に石油人間にとってはやりやすいと、そういう事情です。  次のページで、三ページ上の最近の日本石油事情なんですけれども、経産省とそれから日本石油公団が積極的に働いてくれましたので、アゼルバイジャンとかカザフスタン、イラン、サハリンなど、いい石油鉱区が獲得されていまして、それがうまくいっていると。それから、それを見ましても、そのように国家が動いてくれると非常に石油外交はうまくいくんだということ。  次に、小さいながらも日本メジャーと遜色なく競合していると思います。米国メジャーの非常に困ることは、石油が下がるごとに膨大なレイオフがあるんです。そのレイオフで良質な技術者が育たないというところが米国の非常に問題点で、それからあと世界には米国の強大なる軍事力を背景にした石油開発を歓迎しない国家がありまして、我々が例えば南アメリカなどにコンサルタントに行きますと非常にウエルカムな状態になると。ですから、日本が十分に入る余地はあると思います。  その下の、最近の石油公団事情なんですけれども、最近は石油の量より効率性に転換しましたので、二〇二〇年ごろまでに投資に対してある程度プラスが見込めるようになりました。石油公団は、多くある石油企業を緩く結び付けた緩い日本国営石油集団のかなめの役割を果たしています。海外へ行って石油企業に聞いてみますと、ほとんどジャパン・ナショナル・オイル・カンパニーしか知らないんですね。それで、すべての日本石油産業はその傘下にあるとも皆さん考えているぐらいです。それから、石油企業少数化を推進していますので、効率化はどんどん進んでいるという事情です。  次のページの上の、五ページを開いてください。今、日本自主開発油田ハーベスト期なんです。そのために、早急に資産を処理すればマイナスになってしまうと、しかし二十年後にはプラスになると。このグラフを見てください。Y座標がネット・プレゼント・バリュー、X座標開発年次なんですけれども、石油というのは先行投資が非常に大きいので、初めに非常に大きな負債を抱えてしまいます。現在、日本自主開発石油はそのハーベスト期ですので、まだ負債です。でも、二〇二〇年ごろにはプラスになるということが予測されております。  それで、今回の法案ですけれども、研究技術開発出資債務保証石油備蓄の項がありますので、これに対してコメントさせていただきます。  次のページ、七ページの上なんですけれども、石油開発技術の向上は開発コストの削減につながっています。この図を見てください。この一番左が探査船でして、探査船では地震波を発生して、そこにある受信機でシグナルをキャッチして、それをコンピューターにプロセスしますと、ここに、図の下の地層のようにこういうようなマップができるんです。そのマップを作った後に、もちろんこのようにカラーじゃなくて白黒なんですけれども、真ん中のように背斜構造のところにかなり石油がありますので、そういうところを掘っていきます。日本ではその掘削技術、もう五キロ、六キロも掘っていく技術が、かなり進んだ技術が必要なんですけれども、そういうのがちゃんと確立しております。  それで、そこで評価して、これは経済採算が合うとなると、一番右図のように、大きなプラットホームを作って、三十から数百の生産井を掘削して、そこから生産します。もちろん、そのときには環境破壊のことも考慮しながら全部生産していきます。  このように、石油開発には三つの大きなフェーズがあるんですけれども、日本はいずれも技術力は非常に高いです。しかし、鉱区が少ないために不慣れなところがあるのは、それはやむを得ません。  次に、その下のページなんですけれども、経済貯留層発見率は、日本は百本ワイルドキャットを掘りますと、百本のうち三・八本が当たります。米国では四・二本です。下の図は、ルイジアナ沖で私が仕事をしていたところなんですけれども、その下の図を見てください。その下の図ですと、石油は緑、赤はガス貯留層なんですけれども、これを見て分かりますように、大体、面積の二%ぐらいがもう石油貯留層なんです。ですから、テクノロジーが何にもなくてもそんなところをぶすぶす掘れば百本に二本当たるのは当たり前で、そういう意味米国はちょっと上なんです。日本はこんなすばらしい鉱区は得られていません。ですから、少し下がると。でも、テクノロジーは悪くないと。  それからもう一つ、このように、平均すれば百本掘って四本しか当たらないのですから、当然、不良債権山積みになるのは当たり前です。新聞はよく日本不良債権山積みだと。それは、石油操業というのはもちろん元々そういうものなんですから当たり前なんです。しかし、その中で四本当たれば長期的には採算が合うのが石油事業なんです。  次のページの九のトップ、石油技術の利用なんですけれども、日本海洋国土の四倍持っています。アメリカへ、飛行機の上からのぞいてみますと、あの太平洋かなり太平洋日本国土です。あの地殻には資源、未知のバクテリアがたくさんありまして、それは宝庫です。また天候・地震解明資料宝庫です。  この図に示しましたように、ここには、掘削船なんですけれども、いろいろな掘削船がありますけれども、日本はすべてを建造しています。その技術を持っています。また、こうした優れた掘削船を使って深くまで掘っていく技術も我々は持っています。この技術は、やはり日本海洋開発には非常に大事ですので、やはり絶やさないようにお願いします。  それから、下の図なんですけれども、下の図は日本世界操業しているところです。黄色いのが日本操業区です。これを見ますと、日本では、ここにいろいろな会社がありますけれども、非常にたくさん企業があります。もちろん、たくさんあり過ぎてちょっと効率が悪いところがあるんですけれども、しかし、これらの企業アメリカメジャーでいえばフィールドオフィスのように機能していて、もう少し効率を上げればちゃんと悪くない操業をしています。  それで、少し多過ぎるところがありますから、やはり出資債務保証インセンティブ中核企業としてまとめる方向に誘導してあげれば、非常に日本世界で太刀打ちできると思います。  ここに書いてありますように、水平統合国家の将来とか石油企業の若い従業員には非常に良いんですけれども、役員には余りインセンティブがないんです。なぜインセンティブがないかと言うと、役員は現在持っている従業員レイオフしたくないんです。それで、石油産業の他の産業と全然違うところは、石油産業は非常に財産を持っていますので、石油ガスオイルという財産を持っていますので倒産がありません。ですからレイオフする、非常に経済が困ってもレイオフする必要はないんです。ですから、どんどん縮小していけば無事に、役員としては彼らの役目を果たして無事にすべての既存の従業員を退職させる、無事に退職させることができるんです。そのためにインセンティブがない。  ところが一方アメリカでは、従業員、それから役員が非常に大株主で、水平統合インセンティブがすごくあるんですね。それが違うので、これはこのままほっておいても自然な水平統合は望めませんので、やはり出資、債務をうまく利用して、彼らを誘導してもっと強くしてやると。つまり、なるべくレイオフがなくして統合してやれば、出資債務保証でてん補してやれば、彼らとしてはもっと強くなるように統合すると思います。  それから、最後のページですけれども、もう一つ、弾力性ある石油備蓄、コスト削減・効率化を図ってほしいと思います。  備蓄に大体日本は三千億円ぐらい毎年使っていまして、それから開発に九百何億円使っていますけれども、その石油タンク、このフォトは桜島を前にしたタンクの図なんですけれども、もちろん、石油というのは長く入れていますと中にヘドロみたいなのがたまってしまいますし、またタンクがさび付いてきますので、時々入れ替えてやる必要があります。  確かに入れ替える、時々入れ替えるんですけれども、入れ替える時期と今価格をちょうど合わせていないんですね。それで、もうちょっと価格とちょうど合わせて、もう少し弾力性を持たせるともっと効率化ができるんじゃないかと。つまり、油が高いときにはタンク一杯にためておいて、もうこれ以上上がらないであろう、これから下がっていくだろうというときに放出して、安くなったらずっと入れてやれば、結局、高くて非常に必要なときにはほとんどタンクは満タンですから、今と同じ状態でもう少し資金が効率化が図れると思います。そうするには、購入・売却による資金は他と区別して独立法人の中にプールしておくということがやはり必要じゃないかと思います。  それプラス、ここに書いてありますように、自主開発は地下に備えられた国家備蓄です。お金は掛かりません。過去にも自主開発石油かなり放出されました、緊急時は。ですから、これはやはりある程度、量は確保してほしいと思います。  最後に、まとめですけれども、石油ガス関連企業を強靱にする方向に向けていってほしいと。研究技術開発機能を促進し、地下資産開発を促してほしいと。それから、出資債務保証により緩い大きな中核企業を育ててほしいと。緩くていいんです。別に、一つのリジッドな中核企業にしますと非常にレイオフが激しくなっちゃいますから、緩い、緩くて水平統合というのがあるんですね。私は、例えばデュポンと、コノコ社にいましたので、デュポンと一緒になったときは非常に緩くてレイオフは少なくて、ただ、共通なところだけ、効率が悪いところだけレイオフして、お互いの独立はかなり保たれているような水平統合もあるんですね。そういうような緩いのが日本にはちょっと向いているんじゃないかと私は思うんですけれども。  それから、最後に、石油備蓄に弾力性を持たせてコスト削減をしてほしいと。それが私のコメントです。
  6. 保坂三蔵

    委員長保坂三蔵君) ありがとうございました。  引き続きまして、舘澤参考人にお願いしたいと存じます。舘澤参考人
  7. 舘澤貢次

    参考人舘澤貢次君) 舘澤です。  私、取材記者の立場から石油開発行政、石油公団を見てまいりまして、その取材記者の目からこの流れについてお話しさせていただきたいと思います。  基本的には、私、現状石油開発自体、行政並びに公団の動きを見まして、一九七一年の昭和四十六年、これは政府の方が派遣しました海外エネルギー事業調査団という巨大な、六百八十ページにわたる報告書がございます。団長が有沢広巳様で、当時の原子力委員会の委員の方が団長をされ、稲葉秀三さんを始め、当時の通産省から栗原昭平さんが参加され、あと石油公団から津村光信さんという後の企画課長が。その報告書をまた改めて読んでみましたら、現状の我が国の石油行政、石油公団は、そこからある意味で一歩も出ていないんじゃないかなという感じがしてなりません。  まず、その視察団の結論を皆さんにちょっとお話ししたいと思いますけれども、視察団の結論としては、石油の安定かつ低廉な供給確保、それと輸入先の分離と石油資源の探査開発、官民協力による万全の措置、並びに主な点を挙げますと、日本原油輸入の自主性確保という言葉がございます。原油輸入の選択の範囲を多く広げたいと。当時は中東依存は六〇%ぐらいでしたんですけれども、これを五〇対五〇の比率まで持っていきたいという結論をまとめておりました。当然、そこで原子力開発の推進と備蓄の推進を掲げております。この当時、この調査報告書の後にすぐ第一次石油危機、第二次石油危機が間もなく始まります。しかし、この調査団が行っているときには、既にイランの国有化、イラクの国有化という、石油資源の国有化政策が次々に発動されておりまして、その状況の中でこういう報告書をまとめられたと。  その後に、この年の十月に石油公団が発足いたしました。まあ石油公団の発足は、石油資源開発という国策会社を継承する形で発足したんですけれども。それから、この当時の石油公団の役割としては、私自身、この調査報告にのっとった形の展開としては非常に評価するんですけれども、それ以降歴代の、最初の総裁だけは民間人の三村起一様という住友財閥系の方がなりましたのですが、二代目から通産省並びに経済産業省のお役人さんが歴代総裁、並びに副総裁は大蔵省、国税庁から参られまして、そのほかの理事は通産省並びに大蔵省、そして自治省等のほかの官庁から来られております。  第二代の島田総裁の意見について私は非常に共感しておるんですけれども、なぜかといいますと、島田総裁はこの当時、全世界的な規模で事業をやれるような和製メジャー体制を、統合された組織を持つべきである、そのために石油公団は捨て石になると。しかし、このとき設けられたのが、現在言われているワンカンパニー・ワンプロジェクトという政策です。一鉱区に対して一企業です。  なぜこれが設けられたかと申しますと、根本的に親会社リスクを軽減するためというのが第一の理由でございます。それと同時に、この当時の持ち株会社の法律上から、こういう国家的、国策的な大きな統合会社を作るのは非常に困難であるという二つの点で、結局のところ、この石油公団ができたときにはまだ二十七社しか、企業は、石油開発会社はございませんでした。しかし、ワンカンパニー・ワンプロジェクトという名の下ででき上がって、結果は二百九十三社、今日まででき上がりました。これらはほとんど中東依存の形で投下されましたんですけれども。  私の手元には一九七〇年の原油輸入の統計がございますんですけれども、一億九千五百万、これは一九七〇年代、原油輸入の依存率は九九・五%。それ以降、約二億トンをずっと来ております。三割自主原油、日の丸原油構想を立てた石油公団発足時、これは本来なら十年後の昭和五十三年に達成される予定だったということです。  これはなぜかといいますと、発足と同時に、イラン石油イラン国王のパーレビ国王さんと三井物産の契約により、あそこのモービルが持っていた利権を、ADMA油田というところを、ジャパン石油開発という会社を設立することによって二千五百万キロリットルが当時入る予定でした。イラン石油の方はモービルからです。ジャパン石油開発はブリティッシュ・ペトロリアムから譲り受けたんです。これが七億ドルというとてつもない、その当時としては金額でもって、開発されている、既に油が出ている油田を買い取ったのがジャパン石油開発です。この七億ドルという買収資金は、もう当時から非常に問題になっておったんですけれども、このときにどんどんできた会社が財閥系石油会社と言われる三菱石油、芙蓉石油開発ですか、その流れがその当時、雨後のタケノコのようにでき上がる最初のターンになったと思うんです。  このジャパン石油開発ができたときには、私は、これ具体的に申し上げるのは、これが今日、大きな石油公団の爆弾になっている一番負債不良債権の大きい会社なんですけれども、ここに当時、十二社の会社出資しました、百二十億円。一社当たり十億円の出資でもって六大財閥会社が、三井、三菱、住友、芙蓉、東洋石油等ですね、これが六社十億円ずつ。  ところが、この会社は全部外資系の石油会社を持っておりまして、その外資系の石油会社が、シェル系、エクソン系、カルテックス系、モービル系という会社がみんな、興亜石油日本石油、東燃、そういったところは皆、財閥系の統括会社の系列になっています。そこに日本から丸善石油、大協石油という民族系が入りまして、ここで非常に、ここから国産原油、日の丸原油がずれてくるんです。石油公団と通産省は、その際、ジャパン石油開発が取得するBPの油田に対して、本来ならば七割その原油を民族系がもらって、あとの三割、これが財閥系に行くという契約だった。契約というんですかね、最初の買収の過程だったんですけれども。  それが物の見事にひっくり返りまして、ここから話がおかしくなりまして、先ほどのパーレビ国王からもらった、モービルが捨てた油田を買ったイラン石油、これが三井物産が最終的に大平内閣時代に七千五百億円のしりぬぐいをして撤退したといういわく付きのIJPC、ICDCという会社でございます。その会社が本来なら二千五百万、それと先ほどのジャパンが二千五百万。更にもう一つ大きなこのときプロジェクトを考えております。それがソ連のチュメニ油田です。チュメニ油田開発に、当時の資源派財界人の方がそこに投下したのが、五千万キロリットルが入る予定で、当時、五十三年の予定は、十年後の昭和五十三年の予定は、二億五千万キロリットルが日本原油の消費量。そうしますと、二億五千万キロリットルのうちの一億キロリットルが昭和五十三年に確保できる、そうしますと三割は達成できると。そういう読みがあったわけですけれども、イランの方はイラン・イラク戦争でもって完全に計画がつぶれまして、チュメニはチュメニで幻の石油開発構想になりまして、残っているのはアラビア石油の二千五百万トン、これだけです。  それ以降、一向に今日まで増えずに、会社だけがどんどん増えてきていると、これが実態でございます。その会社の中では既に百二十社近くがもう解散、清算に追い込まれていると。現在、黒字会社は十三社と言われております。それで、ジャパン石油開発会社は、規模の大きいところは九社と言われておるのが現在の実態だと思います。  中東脱却という意味合いで来ておるんですけれども、当時六〇%の中東依存が、現在は通産省統計ではOPEC合計で八〇・六%、逆に増えていると。増えていますけれども、これは結局、危険な地域ではやらない。  特に、一番これ最初は南ベトナムです。ここから国と石油公団民間会社で大変な焦りがあった。南ベトナム石油開発には、当時の資源派財界人と言われる方は手を出すなと。あそこは、ベトナム戦争が終わった後、あそこで石油利権に着手すると火事場泥棒になるというような話で、行かない方がいいというのが当時の、いや、しかし、愛知揆一当時の外務大臣は、いや、しかし、危険なところでもやはり石油確保のためには行かざるを得まいというので大分激論したんですけれども、当時の石油公団の関係者、役員の方は、やはり安全な石油が出る安全な国は旧ソ連とアメリカだけだろうと、政情的に安定しているところは。あとは、ほかはどの国を見ても絶対無理である、危険であると。しかし、危険なところに行かなければ絶対成り立たないわけです。日本石油確保できないんだと。それが逆にワンプロジェクト・ワンカンパニーを多く生んだ背景にもなっておるんですけれども。  それ以上に問題なのは、貸す、融資した、出資、融資、千三つの世界石油公団、通産省が取ったその政策が、失敗したら返さなくてもいいよと。これが基本的に民間企業から見ればとんでもないと。しかし、その当時の民間企業石油統括会社作ったところは、そういう政策ならば国が全部面倒見てくれるんだと、じゃ乗っかっていこうと。それで強引に、強引というのかな、通産省から石油開発会社づくりのためにアルミ会社に声掛けたり、商社に声掛け銀行に声掛けたりして、結局、先ほどのジャパン石油の場合、十二社の統括会社とおっしゃいましたけれども、これにぶら下がった企業は三百八十六社もございます。三百八十六社が十二社の株主になっているわけです。その十二社がジャパン石油開発を作ったんです。そのジャパン石油開発作ったときにも、まだ会社ができていなかった統括会社もあるんです。ペーパー上だけです。  ですから、そういった当初の、私から見れば甘い融資、出資をして、それが非常に、うまく使ってくれればよかったんですけれども、残念なことに石油開発公団、現在の石油公団の理事、総裁、これは任期来れば、いわゆる渡り鳥官僚、現在石油公団は十人のうち五人役員さんが天下ってきていますけれども、完全に、私が何度か会った官僚出身の公団の理事は、私はアルミ出身だから何も分からぬよとか、あるいは、次は私は国のある大学の学長になるんで、その学長の勉強のためにあと一年いるだけだと、そういう話を堂々とされておりました。ですから、熱心というより分からないわけですね、基本的に。ですから興味もない。二年いればよろしい、二期四年、これでよろしいと。そうしますと、メスが入りません。  しかし、石油公団のプロパーの方はもう非常に熱心に今世界じゅう飛び回っています。しかし、頭の方がそういった形でありますので、これは石油開発会社の方でも同じなんです、民間会社でも。結局一人で、先ほど二百九十三社のうち、社長を十社ぐらい兼任している天下りの官僚さんもいらっしゃるわけです。この方が全世界に、カナダとヨーロッパとアフリカと、いろんなところの生産拠点に果たして事業しに行けるかと。まず不可能でございます。結局、東京にいるだけです。東京で、自らの国の金を使ってその事業をするのは、実際、現場のプロパーでございます。任期が来れば替わっていきます、渡り鳥ですから。  ですから、こういったせっかくの大事なお金を使う、その首脳陣の方が非常に民間的なリスク管理、資本主義社会における出資、出と入りを全く考えないという、私から言えばそう断定せざるを得ないような行政並びに石油開発事業をやってきたのは政府、公団、それと石油開発会社の首脳になっている官僚さんの方々ではないかと。  その方々が、今度は石油公団廃止すると。しかし、これに今まで二兆円、そして一兆三千五百億円の焦げ付き、これに対する、一体なぜ失敗したのか、なぜ三割原油はできなかったのか、どうして二百九十三社もできて百二十社も会社がなくなったのか、何の反省もなしに、はい、三百三十人しか職員がいないと、道路公団とかの数千人よりもわずかな人間だから簡単に廃止できるのかというような、私から見れば余りにも簡単にこの石油公団廃止し過ぎはしないかと私は思います。  やはり国の支援というのは、石油公団は、国策上どこでも国家の最高策として位置付けられておりますので、これがまた第二の石油公団みたいな形で独立行政法人、特殊法人でやられれば全く二の舞で、和製メジャーができるどころではございません。和製メジャーを本当に作りたいなら、現在の既存の生き残って頑張っている石油資源開発とか国際石油開発、これらの企業を育て、更に育てて、そのために支援をして、その中で彼らが上場して、やっぱり十三社が一緒になって国策会社を作ろうと、和製メジャーを作ろうと言うなら、そのときは政府が全面的に応援すべきではないかと。当然そのときの資金は提供する、しかし一切官僚はそこには入れないと。私の意見でございます。
  8. 保坂三蔵

    委員長保坂三蔵君) ありがとうございました。  以上で参考人お三方の御意見の陳述は終わりました。  それでは、これから参考人に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 近藤剛

    ○近藤剛君 おはようございます。自由民主党の近藤剛でございます。  今日は参考人として、御多忙の中おいでを賜りまして誠にありがとうございます。それぞれ御自身の豊富な御経験と幅広い経験に裏付けられました貴重な御意見として、私ども謹んで拝聴させていただきました。  時間的な制約もございますが、せっかくの機会でございます、できましたらお三方にそれぞれ一つずつ私から質問をさせていただきたいと存じます。  まず、岡部会長にお尋ねいたします。  備蓄開発にかかわる国家機能維持の重要性についてのお話を伺いました。私も全く同感でございます。  さて、今回の法案におきましては、独立行政法人と並びまして、将来、特殊会社を設立することが想定をされているわけであります。この特殊会社は速やかに民営化されるものと私は理解をしておりますが、その場合、そのマネジメントの在り方、民営化の仕方が重要になってまいります。  それらに関連をいたしまして、業界としての特殊会社にかかわります何らかの要望あるいは期待がおありなのでしょうか。会長御自身の個人的な御意見でも結構でございます。できるだけ具体的に、端的にお聞かせいただきたいと存じます。
  10. 岡部敬一郎

    参考人岡部敬一郎君) 特殊会社の問題については、具体的な形が私としてはまだ見えておりませんので、かくかく言うことは非常に難しいわけでございますけれども、基本的に、今ある公団資産を適切に処理をした後、特殊会社をということでございますから、整理した後、全部なくなるんではなくて、優良なところが、あるいは優良そうなところを、ある程度ロスった分については削り落とすことによった体制をもって特殊会社に行くということで、従来ある会社が引き続いて特殊会社の形で足下に収められるケースと、それから、特殊会社が新たにまた、国の支援も含めて新たな油田に出掛けていくという問題もございますので、やはり基本的に、特殊会社といえども、民営化というよりも、民間主体で一応運営をするにしても、公団に代わるバックアップ体制の中でやはりやっていくということになると思います。  したがって、いずれにしても、要するに原油開発に関してはリスクマネーが付きまとうわけでございますから、当然、今まで以上の民間としての責任を持ちながらも、特殊会社の中で、より今までよりは民間主体の運営はしていくけれども、やはり従来と大きく変わった運営にはなりにくいんじゃないかなと私は思っております。  ということは、今、石油会社が足下に収めておる開発会社、それから商社その他が足下に収めておる開発会社、それから公団が主たる株主である会社、これは民間と見るのか国策と見るのか非常に不明確でございますけれども、いずれそれを何らかの形で民営化していくことによって民間主導になるかも分かりませんけれども、実はその開発会社をどういう形でそれでは民間に株を渡していくか、主体性を渡していくかということについては非常にその評価が難しいところでございまして、公開市場をやれば外資が取りに来るかも分かりませんし、そういう面から考えますと、日本としての既存の財産をどう生かしていくかということを考えながら特殊会社の運営は考えていかないと私はいけないんじゃないかなと、こんなふうに思っております。
  11. 近藤剛

    ○近藤剛君 ありがとうございました。  次に、森田先生にお伺いをいたします。  我が国の石油ガス開発力の維持強化に向けました先生の御見解は、七三年の石油ショックを身をもって体験をいたしました我々世代の人間にとりまして、大変説得力あるものでございます。  先生は、和製メジャーという言葉をお使いになりながら、緩い結合による企業群の育成というお話をなさいました。この場合、独立行政法人そして将来の特殊会社と既存の石油企業との関係の在り方につきまして、恐らく具体的イメージをお持ちになりながらお話しをいただいたものと思いますが、もう少し具体的にこの点につきましてお示しいただけませんでしょうか。
  12. 森田信男

    参考人森田信男君) さっきも説明しましたように、アメリカ水平統合が今強力に行われておりまして、でもその水平統合の中にもいろいろな形態がありまして、非常にきつい水平統合は、片っ方がテークオーバーしますと片っ方は全部レイオフしてしまうという。それから、もっとずっと緩いのは、お互いに独立を保ちながら、しかし必要じゃないファンクションを取り除いていくという、そういうのもあります。    〔委員長退席、理事加藤紀文君着席〕  それで、日本のも、日本ではやはりレイオフというのは絶対的に会社社長としてはしたくない、役員としてはしたくない。それは当たり前なんですね。それが一番その水平統合インセンティブがないところなんですけれども、それをある程度ルースに結合する。今まで、結果的には日本人の非常にいいところでして、会社がたくさんあったにもかかわらず、公団とか経産省を中心にしてルースに結合していたんですね。ただ、非常にテクニカルにはルースにかなりいい成果を上げていたんですけれども、経済的にはルース過ぎたところがあるんですね。ですから、その経済統合をもう少し強めにした形にすれば、全体的にもうちょっと効率よく働くんじゃないかと思うんです。  それには、どういうことをやってほしいかといいますと、例えば、ここで出資とか債務保証、新しい例えばプロジェクト、大きなプロジェクトがありますよね。そうしたら、それに出資するけれども、この二社はもう少し統合してくれないかといえば、そこで例えばレイオフ出す必要がないんです。新しいプロジェクトは結構大きい、時々そういうのがありまして、そういうときに統合を促せば、お互いにレイオフを出さずに強くなると。  ですから、そういうような結び付きを初めはルースにして、しかし中でだんだん整理してもらえば日本的にうまくいくんじゃないかと私は思うんですけれども。
  13. 近藤剛

    ○近藤剛君 ありがとうございました。時間があればもう少しゆっくりとお話お伺いしたいところでございますが、次に舘澤先生にお尋ねをいたします。  従来の石油公団の経営とその石油開発の在り方につきまして、厳しい御批判を賜りました。ただ、当面の問題といたしまして、先生がおっしゃるように、これから、公団の有しております優良資産の育成と並びまして、経済安全保障の視点から、民間石油開発会社に対します何らかの国の役割もあるとお考えなのでございましょうか。もしそうであるといたしますと、当面どのような形でそれが発揮されるべきとお考えでしょうか。一定の条件、前提条件付での御意見でも結構でございます。ぜひお聞かせいただきたいと存じます。
  14. 舘澤貢次

    参考人舘澤貢次君) お答えします。  基本的に、日本の一番、石油資源開発という会社が一番大きいんです。そこの資産は二千二百億円しかございません。それで、売上げが八百四億です。それに対して、セブンシスターズ、今は六大になりましたけれども、ロイヤル・ダッチ・シェルとかBPアムコ、それらは二千億ドルの売上げに総資産一千五百億。これらに対して日本が現在の黒字会社十三社を束ねて、あるいはその残りのジャパン石油九社合わせて二十二社、並びに継続されそうな四十社を加えて六十社の一応その公団、政府が考えている石油開発会社がございますけれども、その中で、十三社の中でもう数社は株式上場したいと言っていますので、その株式上場をまず認めるべきであるというふうに私は思います。それを、特殊会社を作った段階でいわゆる子会社方式にして隷属化するような方向でいったら、全くこれは石油公団の二の舞で、国主導でもって何もできない組織になると。  私が思いますのは、これらの既存の、せっかく力を付けてきた民間石油会社に対して、彼らの事業展開が更に拡大できるよう、強化できるように国の方は金銭的な支援と情報面での支援、そして人材面での支援は、これはほかの石油開発会社のすばらしい技術屋さん一杯ございますので、その方たちをそちらの方に派遣するような仕組みとか、そういったもので既存の民間石油会社を育てていくという方向で、その結果、先ほど私、話しましたけれども、和製メジャーになりたいなら、それらが、いろいろな法律の問題もございますでしょうけれども、日本オイルカンパニーみたいなのを作りまして和製メジャー化していけばよろしいんじゃないかと。  とても今の一社単位でもって世界の名立たるセブンシスターズと戦うことはまず無理です。彼らは年間一兆円の石油開発資金をずっと三十年、四十年やってきていますから、日本はその意味でやっと四十年間で二兆円でございますから。  以上でございます。
  15. 近藤剛

    ○近藤剛君 最後に、備蓄機能についてどのようにお考えなのでしょうか。
  16. 舘澤貢次

    参考人舘澤貢次君) 備蓄機能、これ基本的に今のような八つの備蓄会社は全く必要ございません。大体本社を東京に置いて、各現場に事業所を置いている。それと同時に、石油公団も同じように上五島とかむつ小川原に両方とも同じような組織を置いていると。これを一社にすれば、総務費、人件費等について完全に八分の一に、もっと、八分じゃない、十分の一になります。ですから、何のために八つもの国家備蓄会社を持っているのか。これはもう全くお金をどぶに捨てるようなもので。  ただし、国家備蓄は、これは国の戦略、安全保障上絶対に守らなければならないものですから、この政策は今後も維持し、更に強化していくべきではないかと思います。
  17. 近藤剛

    ○近藤剛君 ありがとうございました。終わります。
  18. 本田良一

    ○本田良一君 本田良一です。  私もひとつ御意見を賜りたいと思います。  まず私は、お三方の御意見を聞いておりまして、私はお二人の森田先生岡部財界の御出身、このお二人の御意見は、せっかくの参考人に厳しい意見を申し上げて失礼ですが、今回、石油公団廃止並びに民間特殊会社移行、それをこの国会で論議をしているのは、これまで先ほどからありました国民の税金を二兆円も投資をして、そしてなおかつこれが今廃止をしていかなくちゃいけないと。そして、自主開発、また安定供給、そういうことを重要な国家戦略で、今後も石油というものは重要であるんだけれども、この国民の税金の使い方、それからいわゆる市場主義経済日本はあるわけですから、そうした石油ももちろん市場主義経済の最たるものですね。  そうした中で、日本安定供給の中で国策としてこれをやっていくのに当たり、今、国会で問われていることは、いわゆる国税の使われ方で、十分な国民が納得をし得る石油政策が取れなかった、そのことを問われているわけでありますから、今、立派な技術を持って当然やってきたとか、これからも石油備蓄とか自主開発は重要だとか、そういうことだけを論議するためにこの国会で実はやっているわけではありません。  それで、我々、国会で御意見を聞いて、この法案の審議にぴったりな現状認識とこれからの行く方向を示していただいたのは舘澤ジャーナリストではなかったかと、こう前もって申し上げます。  それで、まず一つ岡部さんに、財界出身でありますから、私はいつも平沼大臣に言っているんですが、戦後の財界人は本当に日本国家国民のことを考えて、そしてこの市場経済でいかに日本経済を立て直し、そして発展をさせていくかという非常に使命感がありました。そして、あるときは国に刃向かってでも自分たちの経済理念を貫いて今日の日本を築いてもらったわけです。  ところが、最近の財界人はただ国に頼るだけで、本当に自分たちがこの中で生き抜いていこうと、そして株式市場の中で資金調達をやって、そして経営理念を持って発展をさせていくという、そういう意気込みがないですね。ただもう政府に頼るだけ。そういう点、私は岡部さんに御意見をまず賜りたい。
  19. 岡部敬一郎

    参考人岡部敬一郎君) その発言は心外だということで私は反論したいと思います。  私自身は、石油業界に携わる人間の中で、ここまでやってきた自分の理念とそれから自分の行動規範、それからリーダーシップの発揮、そういうことも含めて一切、今言われたことに対する私は該当した人間とは思いません。それはまず明言しておきたいと思います。  そんな中で、この備蓄開発という二つの視点というものがエネルギー上いかに重要かということを主張しておるわけでございまして、それをどういうふうにするかという問題をまず私は公団法の廃止の前にこういう形で議論をして、そしてその中から、今までの税金の使い方にも問題があればどうする、そういうことをまず議論しながら公団廃止につながるということが筋であるということを若干申し上げただけでございまして、基本的には、この開発備蓄の問題に関していろいろと今無駄遣いのお話がございましたけれども、私は会計的にも一つの自分の見方を持っておりますけれども、実は三百円台のときに投資をしたということ、その三百円台のときに、石油の要するにニーズが非常に日本的に高かったということでやった、輸銀融資はドルではなかったと。  それから、基本的に出資か融資かという問題に対して、これは行政側あるいは民間側も含めて、融資かあるいは出資かという問題がございます。NEDOのようなところについては出世払い的な形で技術援助をやっておりますけれども、このリスクマネーに関して、比率はともかくとして、国の出す金に関して金利が付くということは、私に言わせれば国が高利貸しであったということでございまして、基本的にはやはり成功すればそれをそれじゃその新しい事業に付加していこうと、そうでなければやむを得ない形であろうと、その代わりの審査の過程における厳密なる審査はやっていこうということが必要であるということを痛感するわけでございます。  今の開発会社、私の関係にも一部分がございますけれども、基本的に為替が三百円が百円になって、アジア危機ではございませんけれども、要するに借金が三倍になったということ、加えて出資よりも融資が多かったということ、それから原油の要するにリードタイム、つまり探鉱から開発までの期間が非常に長いということ、その間に収入がないのに金利の付く融資でやれたということは、その当時、日本全体が浮き浮きして、財界を中心に、とにかく開発すれば当たるといったような安易な考え方での取組と必要性に迫られた形でやむを得ずという格好で、みんな要するに開発に飛び付いたという結果がこういう私は国民の税金のうみを生んでおるというふうに思っておりまして、これ自身を過去の問題として反省しながら、今後はしかし、こういう形で使うことによって、やはりメジャーにはない日本原油開発体制をどういうふうにしていくかということは、国を挙げて私は真剣に考えなければならない問題だというふうに認識しております。
  20. 本田良一

    ○本田良一君 心外であったと怒っていただいて結構、ありがとうございます。実を言いますと、それくらい怒っていただいて、本当に二兆幾ら投資をした税金に対してこれから報いていただきたいと、そういうことをお願いしておきます。  それでは、舘澤さんにお尋ねしますが、あなたがお書きになりました時局コメンタリーの中に、四月の石油公団廃止法案は官僚の生命線、今後石油開発民間の手にゆだねるべきだと、こうあります。これは短い一ページだけれども、本当に今おっしゃったことも含めて、すべてを我々の審議の中に取り込めるすばらしい私は内容のものであると思いますが、特にこれから和製メジャーを作るに当たりまして、日本が、先ほど、私も同感なんですが、今直ちにこの石油公団法廃止する中で民間移行、もう特殊会社まで作らずに一気に民間の和製メジャーを作るための環境づくりに持っていくということが私どもの急務な考えなんですが、その点についていかがでしょうか。
  21. 舘澤貢次

    参考人舘澤貢次君) お答えいたします。  基本的に、日本石油輸入の、現在サウジアラビアの方が二三・五%を日本原油を占めております。この二三・五%がある日突然来なくなったらどうなるかと、まずこの点を考えてほしいと思うんですけれども。  基本的に、これ早急な形で日本は千三つあるいは下手な鉄砲数撃ちゃ当たるという方式はもう絶対にやめるべきであると。当時の石油審議官、当時、オイルショック前後辺りの石油審議官のお話伺いますと、一杯あれば切磋琢磨ができるからいいじゃないかと、そして一発当てれば一気にメジャーができるんだと、全くばくち根性的な話なんですけれども。決して石油開発というのは私はそんなばくち根性的なものじゃなくて、これは営々と一世紀以上のメジャー開発してきた開発志向というのがあるはずなんです。これを日本の方がどこでどうとち狂ったのか、石油開発にはリスクがないということを民間会社が考えてしまった。そのために国のお金におんぶにだっこになってしまった。これは全部の石油開発会社がそうであるというわけではございません。  そこで、私が一番、今後日本の和製メジャー作りのために何が必要かという、先ほどから何度も申し上げていますようにやはり自由主義経済でございます。石油開発の資本を株式市場、証券市場、これから積極的にということは、これは裏返しすれば、先ほどのサウジアラビアの中東原油が一気にシーレーン等破壊あるいは政情不安、国王がひっくり返るという、これ大変失礼なんですけれども、その辺を考えれば、私の基本的なのは、和製メジャーを作るためのエンゼル、民間企業からどんどん石油開発に、国家のためにあるいは国民のために石油開発の資金を積極的に出資してもらうエンゼルカンパニーが登場してくることを私は一番期待しているんです。そのために現在の石油資源開発、国際石油開発、株式上場をねらっているところにどんどん上場してもらって、そこの資本を充実し、石油開発資金を充実し、その結果、彼らが五社、六社連合体を作って統合すれば和製メジャー方向には行けるんではないかと私は確信しております。
  22. 本田良一

    ○本田良一君 私もそのように思います。  次に、あなたは石油公団の設立について、仏作って魂入れずと、そういう状況でこの石油公団設立を評しておられますが、私は最大の欠陥は、無責任な天下り体制事業が運営をされたこと、メジャーに匹敵する掘削技術、情報収集能力、それから外交戦略、開発意欲等がなかったこと、事業資金の四割の減免付融資という無謀な財務戦略の失敗と思いますが、これについてお考えがあればひとつお聞きしたいと思います。  それをもちまして、終わります。
  23. 舘澤貢次

    参考人舘澤貢次君) こちらの方で私が書きました、日本技術力というのは、これは石油公団がホームページ等で発表しておりますけれども、掘削技術メジャーに匹敵する等々の話がこちらの方の文献に載っています。実際、特許件数の数とかいろんなのが出ておりますけれども。  私ははっきり申し上げまして、これほど全世界に誇るような技術があれば、日本石油開発がこんな千三つどころか万に三つもできないような状況ではなかったんではないかと。実際、日本石油技術を誇るために海外研修生をスカラシップという形で世界じゅうの産油国等々から人を日本のお金でもって招いて研修して、五百何人、あるいは何十か国から来ているという評価をしている石油公団というのは非常に甘いんではないかと私は思います。  並びに、当初の、先生おっしゃった仏作って魂入れずというところは、やはり一番最初に話しました、民間企業石油開発というのは物すごい非常に難しいものであると。アラビア石油の山下太郎さんから私は何も学んではいなかったんではないかと思います。ですから、それ以降、山下太郎さんに代わる日本を代表する石油開発経営者というのは果たしていらっしゃるでしょうか。私はゼロだと思います。  これは何を意味するかということは、完全に、石油公団というせっかくの器を作っておきながら、賛同する石油経営者の方も登場しなかった、残念なことに。あるいは、そこの中で生え抜きの、ばりばりの世界を代表するような石油開発経営者も生まなかったと。その一方では、確かに生え抜きの方の中には世界じゅうを回って御苦労されている技術者の方はいらっしゃることは、これは間違いございません。ただ、私が思うには、山下太郎さんを本来なら十人でも、一年に一人ということは無理でしょうけれども、せめて十人ぐらい誕生させてほしかったと。  ですから、石油公団は捨て石になるという島田総裁の意見は、結局今日まで四十年間生かされてこないと、私はそう思っています。
  24. 本田良一

    ○本田良一君 私も、今おっしゃったとおり、経済産業委員会で何回も、山下太郎さんのような、あのときに石油公団を作らなかったら、あのアラビア石油を当てたときに、そして石油会社ができた、あのときに石油公団を作らなかったら私はこんなになっていなかったと。そして、先ほど私、財界の岡部さんに申しましたように、本当に山下太郎さんのような方が今日私は存在をしていなかった。そういう方を私は、財界の方は、やっぱり先人がいるわけですから、そういう方に見習って、これから、後れたけれども、本当に怒りを爆発させて、そういう第二の山下太郎を財界でひとつ作って、和製メジャーを作り、日本の、世界の中で後れた、第二次大戦もこの石油で起こるほどの苦しみを日本は味わってきたんですから、そういう意気込みを今回ひとつ持っていただきたいと。  そして、舘澤さんには、本当にすばらしい内容をつかんだ今回の石油状況について説明をしていただきました。このことに敬意を表して、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  25. 荒木清寛

    荒木清寛君 公明党の荒木清寛です。三人の参考人にそれぞれ一つずつ、まず岡部参考人からお尋ねをいたします。  先ほど、国家備蓄について、民間の方でも今後も協力をしていくと、そういうお話がございました。今度の法改正でいわゆる国家備蓄が正に国の直轄事業になるわけでして、そういう意味では民間の従来の権限や権利というのが消滅するという側面もあろうかと思います。  そういう中で、今後の制度移行に当たって、国家備蓄に協力する立場として何か注文することがあればお聞きをしておきたいと思いますし、更に一つ心配をいたしますのは、いずれにしても、石油は危険物でもありますので、そういう事故等の緊急対応ということも十分考えてセキュリティーをしっかりしておかなきゃいけないのでありますが、今後のこの制度の移行に当たりましてその点は心配がないのかどうか、その二点をお伺いをいたします。
  26. 岡部敬一郎

    参考人岡部敬一郎君) 先ほど申し上げましたように、備蓄に関しては国家備蓄民備があると。民備に関しては二つに分けて、企業運転上どうしても必要な流動在庫が大体四十五日ぐらいということになっておりますので、現在九十日から七十日まで落とした、七十日と四十五日の差の二十五日分については国策的な備蓄に準ずる形で石油業界は保有してございまして、この辺のところを、金利のある程度の軽減措置をいただきながら機動的な対応をする。つまり、初期の段階で備蓄基地から石油のリファイナリーに持ってくることについては時間も掛かりますので、基本的に機動力を発揮するという意味において、引き続いて七十日の備蓄という問題は私は必要ではないかと思っております。  ただ、ここで一つ言えますのは、最近天然ガスが非常にクローズアップされております。私はオーストラリアに行きました。天然ガス数%、炭酸ガス日本に付け替えたいぐらいだと。つまり、日本で考えたら、石油を一〇〇とすれば石炭が一三〇で石油が九〇でありながら、その九〇に対して、オーストラリアで液化のために発生する分を日本に付けますと九十数%になって、極端には石油と変わらないという問題がありながら、天然ガス日本では非常にクリーンエネルギーのように余りにも論じられ過ぎておるという問題がある。しかも、それが、もしも石油と競争ということもあるならば、当然そこには備蓄だとかいろんな問題がなければならないんですけれども、天然ガスには全くイコールフッティングの税金なり備蓄の問題については免れていると。そういうようなこともありますので、一つは、やはり石油天然ガスのバランスを考えていただきたいということも併せて申し上げたいと思います。  そして、先ほど非常に、国がそれぞれ八つに分けた会社を持つのは全くこれは云々と言いますけれども、これは湯水で出すようなほどの税金ということではなくて、本社費の若干ダブル勘定という問題があるということは、備蓄のコストから考えればウエートは小さいと思いますけれども、効率の面から考えたら、確かにそのとおりでございます。  しかしながら、すべてが国の直轄であるということにおいて、各基地が、あれは国のものだということで、ささいなことでも国だという形で地元が食い下がってくるとかいろんな問題がございますから、やはり責任を地場に任せるという意味においては、小さいながらも、総括会社はその八つの会社をそれぞれの形で独立させながら本社費的なものをいかに効率化するとかという発想もひとつ視野に入れていく必要があるんじゃないかというふうに思っております。  いずれにしても、今までの国策会社には必ず、各国策会社に、当社も含めてそれぞれ一社がやはり運営上ベテランだということで入らせていただいておりまして、その中で運営しておりますので、引き続いて我々は国策備蓄効率化するために、民営化は収入がないからできないけれども、民間委託という形でいかに効率的な備蓄運営を国から預ってやるかということについては我々は万全の体制でやる用意がある。そういうことにおいて、備蓄制度を今のままにしながら、私が今申し上げたような形の中でひとつ我々も協力したいし、国の方でもお考えいただきたいと、そんなふうに思っております。
  27. 荒木清寛

    荒木清寛君 次に、森田参考人にお尋ねをいたします。  国際的なそうした石油開発の舞台の中で活躍をされたお話で、大変興味深くお聞きをいたしました。そこで、参考人のお話を聞いておりますと、石油公団もそこそこ成果を上げてきたのではないかという、そういう御趣旨だと受け止めました。  そうしますと、今回の、この石油公団廃止をし、更にその機能をある意味で縮小して、真に必要なもののみを独立行政法人に移管をするという、この法改正については参考人はどういう意見を持っていらっしゃるのかという点と、さらに、これはまた違う話でありますけれども、先ほども、和製メジャーといいますか、石油開発のための中核企業の育成というお話がございましたが、国際的にはこの辺はどういう形での開発が主流になっているのか教えていただきたいと思います。
  28. 森田信男

    参考人森田信男君) まず、我々石油審議会の委員でして、過去数年間、石油公団を非常に効率よくするために一生懸命みんなが、自分の利益じゃなくて日本のことを思って改変してきたんですね。それで、それがうまく稼働してきたときにこういう問題が起こったんです。ですから、そのときに、一生懸命数年やってきたのに、ああこれでまた壊されてしまうのかと残念に思いました。  でも、日本経済状態、それからあと小泉内閣の改変の風を見ますと、それもやむを得ないなと。やむを得ないけれども、これをゼロにしてくれるとやっぱり世界では戦えないと。そういう意味で、少しでもここで残してくださるということを非常に私としては感謝しております。残すにしても、ただ含蓄するところは、我々が一生懸命考えた二年間のことをやはりある程度考慮に入れてほしいと、そういうことだけは願っております。  それからあと、今度は中核企業のことなんですけれども、たしか日本というのは石油会社は今八十幾つできちゃいましたけれども、でも外国と比べてみますと、外国の例えば、私はコノコフィリップスにおり、世界じゅうに全部フィールドオフィスというのがあって独立に動いているんですよ。ちょうど、日本の小さな会社を訪ねてみますと、みんなそのように機能しておるんですよね。ですから、皆さんが非難するようにそれほど独立した会社だからいけないということではないんです。フィールド会社としてちゃんと機能しているんだから。  ただし、そのフィールド会社がちょっとたくさんあり過ぎてダブっているところがあるんですよね。ですから、経済をうまく全体をコントロールしていれば、ルースな一つ日本ナショナル・オイル・カンパニーみたいな感じにはなるんですよ。ですから、それほど構造改革を、中をめちゃめちゃにしなくても、今までのを、ちょっとダブったところを全部取ってやることによって非常に建設的に和製メジャーに移行していくと私は考えております。
  29. 荒木清寛

    荒木清寛君 次に、舘澤参考人にお尋ねをいたします。  参考人も、石油公団のプロパーの職員には優秀な人がいたという、そういうお話がありました。私も、石油公団には実際優秀な技術技術者が集積してきたという面はあると思うんですね。そういう中で、私は従来も一定の成果を上げてきたことは事実だと思うんです。ただし、税金の無駄遣いをしてはいけないという厳格な意識に欠けていたこともまた事実だと思いますし、そういう反省の上での法改正であると考えております。  そこで、参考人は、先ほどワンカンパニー・ワンプロジェクトという中でジャパン石油開発等、大きな話については幾つかお話がございましたが、そういう各地のもし石油掘削の現場等をごらんになっておられるのであれば、そういう中で、優秀な技術者がいる割には、どうしてこんなずさんなところに掘削を試みたのかというような事例が御紹介いただけるのであれば是非承りたいと思います。
  30. 舘澤貢次

    参考人舘澤貢次君) 私は、はっきり申しまして、石油掘削現場は、現地までは行ったことはございません。すべてフィルムで見ました。ビデオ等について掘削現場を取材しているだけでございます。ですから、具体的に技術者の話を聞くのは、東京の、日本における本社の技術部のスタッフの方、石油公団のスタッフの方から聞いております。海底油田の難しさあるいは陸上での難しい掘削事業、並びに、世界の国々の方々の石油資源等の情報交換、技術交流、これについては様々な、海外に留学されている技術者等の話を踏まえながら私なりに勉強させてもらってきております。ですから、実際、現場は分かりません。
  31. 荒木清寛

    荒木清寛君 ありがとうございました。
  32. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。  今日は、三人の参考人先生方、本当にありがとうございます。大変有益な話を伺いました。  最初に、岡部先生にお伺いしますけれども、国のバックアップなしでは困難というお話がありました。そのとおりだと思うんですね。これだけ大きな事業になりますとそういうことになると思います。とすると、結局、各国との関係が非常に重要になりますし、そこには、当然外交の問題、外交の在り方、これは正に直結すると思います。中東との外交あるいは中央アジアとの外交、あるいは最近で言いますとイランの問題ですね。イランとの関係が非常に重要な中で、国際問題の中でいろいろな形で日本が振り回されていいのかどうかと、そういうこともあると思います。  したがいまして、そういったことで、最も切実な形で日本外交をそういう側面からごらんになっている立場から、資源外交ということもありますけれども、本当にそうした石油開発を進めていく上で日本外交というのはどうあったらいいのかということについて、その点でのお考えがありましたらお伺いしたいと思います。
  33. 岡部敬一郎

    参考人岡部敬一郎君) 石油という視点で考えましたときには、対米、対中、対ロといったような大国を相手にしたいろんな問題をちょっとおきまして、やはり中東を中心にした資源外交と呼ばれる外交の非常に重要さを感じるわけでございますけれども、日本の場合、非常に私は、役所が縦割り的でなかなか横糸がないという状況が幾つか、いろんな細かい問題にぶつかって、絶えずいろんな先生方にお話しもし、御協力をいただいておるわけでございますけれども。  実は、どうしても、石油が例えばサウジからどれだけ入っており、それから特に、アブダビという国がございまして、ここは一番日本との親密な関係にあって、我々も含めて一番現地に油田を持っておる、親近感のある国でございますけれども、そこと日本との関係において、本当に石油を、日本の第一位の輸入国であり、どういう形で日本全体が大事に考えていかなければならないかという問題が、例えば法務省あるいは経済産業省、外務省、それぞれにおいて温度差がございまして、石油に関係ない問題のときに、何でアブダビの方からこういうことを日本としては冷たく扱うのかというような問題が出てきたりして、私は、やはり原油がベースにあって非常に大事な関係にあるということを認識しながら、原油を超えた文化、教育、人的交流も含めて資源外交というものを考えていかなければならないというふうに思っております。  ただ、もうアメリカだとか中国とかロシアということになりますと、何というか、大きな政策的な問題が付きまといますけれども、少なくとも中東との関係においては、ベースに原油確保という問題を置いて、しかしそれをベースに置きながら、いろんな多面的なきめの細かい外交をやっていくことによって、一朝事ある場合に、翻って原油問題における日本との関係が発揮されてくる、そういうことになるんではないかというふうに思いまして、私自身も、アラブ協会の会長、UAE協会の副会長という格好で非常に一生懸命にその辺についてはやりながら、日本の役所の、要するに温度差の問題に対して非常に戸惑うところが最近でも二、三件、例に挙げませんけれどもございます。
  34. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 ありがとうございました。  森田先生にお伺いしますけれども、今の話の延長の話にもなるんですけれども、アメリカに長い間滞在されて、その視点からごらんになって、日本外交あるいは資源外交で感じられることについてお伺いしたいと思います。
  35. 森田信男

    参考人森田信男君) アメリカでは、皆様もニュースで御存じのように、石油は絶対に国民が必要なんですから、大統領自ら積極的に例えばロシアなどに話し掛けていきます。それで外交をしている。  ですから、日本で言えば小泉首相がこれだけいろいろな各国の首相、プレジデントと会っているんですから、例えばロシアに行ったら、やはり自ら進んで、我々が開発するんだ、技術を持っているんだとちゃんと言ってほしい。やはり国民はそれを期待していると思います。トップがそうやって動いてくれないと、ともかく石油というのはナショナルセキュリティーとかいろいろなことにかかわりますので、相手が不安感を抱いてしまうんですよね。  例えば、逆を考えてみれば明らかなんですね。例えば日本が物すごい石油の産油国だとしますよね。それで、外国にリースを明け渡すときどう考えるか考えてほしいんです。例えば東京湾に石油が出たとしますよね。イランからばっと人が来てそこで開発しますよね。そうしたら、我々はもう不安になっちゃいますよね。しかし、そこで国家が出てきてくれたら、そこで安心しますね。ですが、そういう単純な議論で、我々は同じことを別の国でやっているんです。ですから、やはり日本のトップが出てきてそれを引っ張ってくれないと相手にやはり安心感を与えることはできない。  そういうことで、もっと積極的にやっぱりやって、日本に絶対必要なものは取ってくると、そういう強いあれでやってほしいと思います。
  36. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 舘澤先生にお伺いします。  私も先日の委員会の質問で、結局、石油公団の大きな問題点について減免付融資、それとワンプロジェクト・ワンカンパニーという、そのことが問題だったということを指摘しました。平沼大臣は、深く反省すべき点が多々あるということを答弁しておりました。  もちろん、巨大赤字を作っていると、それは国民負担になっていくということ、この問題は非常に大きいわけですけれども、その点で今後の問題ですね、七対三から五対五ということ等々が言われておりますけれども、今後どういうふうにしていったら、この問題、結局巨大な赤字を付け替えるだけじゃないかという、そういう厳しい批判もあるわけですけれども、そういう中でどういうふうにしていったら石油公団が掲げた目標を進めることができるのかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
  37. 舘澤貢次

    参考人舘澤貢次君) お答えいたします。  基本的に、現在二百九十三社のうち残っている企業の約八十社近く、七十何社、まずこの会社が各社ごとに、A社がB社の石油開発出資している、そのB社がまたC社、C社がD社ということで、これは一つ会社で複数の石油開発会社出資をお互いにしていると。まず、これをその会社ごとに完全に資本関係を整理してもらうということが私非常に重要なことではないかと。それをせずに清算、解散という形で処理していけばまた同じような状況の、五対五の比率になっても、やはりプロジェクトができて、ワンプロジェクト・ワンカンパニーができてくると思います。  これはなぜなのか。先ほど言ったように、親会社が責任持たないと同時に、産油国の方で、はっきり申しまして、産油国側の利権と利権の構造に日本の方の石油会社が振り回されているために、一つの同じ国の中のばらばらの鉱区で十あれば十の鉱区が、東南アジアのどこでもよろしいですが、それ十の鉱区ができ上がっちゃうという、十の鉱区ができ上がって十のカンパニーができちゃうと。  ですから、そういう相手国政府の意に合わなければ、鉱区を上げないよと言われればそれまでなんですけれども、それのところを、私自身はもう一つ大きな会社体制を作りまして、自分の資本関係のところを作って、それらがやっぱり自立できる方向に行くと。そのための出資、それも出資は極めて厳しく、あるいはその融資を、債務保証等をやっちゃうとまたこれが混乱して、債務保証というのは、これはもう完璧にある意味リスクなんか関係ないよというような感じになりますので、ですから、私が何度か話しましたように、とにかく既存の力ある会社を立ち上げて株式を公開させる、その上で資本を出資企業から出資してもらう。そしてもっともっとエンゼル的に、うちも是非出させてほしいと。  今企業会計が非常に厳しい折ですけれども、これはこのままで行ったら、完璧に日本中東の大混乱に遭っちゃえば終わりですよ。ですから、その意味でも、今あるところをとにかくきちっと企業として、独立法人として、民間会社として立ち上げることが最大の今急務ではないかと私は思います。
  38. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 森田先生にお伺いしますけれども、石油公団資産処分等々がいろいろ議論されておりますけれども、国民財産ということになります。それから、国民に対する説明責任ということもありますし、国民がそれにどう関与するのかということもあると思うんですね。  その点で、アメリカでの御経験等々を踏まえながら、どういうことを考えられるのか、お伺いいたします。
  39. 森田信男

    参考人森田信男君) 資産管理の定石は、アメリカでの例えば私の会社でしたけれども、たくさん資産があって、上から全部何十という序列を付けるんですね、例えば三十、四十。それで、下を全部落として上を入れ替えていくという方法を取るんです。そうすると、ともかく下の悪いところは全部取り除いていけば、トータルとしての効率は上がると、そういうようなやり方やっているんですよね。  ですから、日本もやはりそれをやってほしいと思うんですね。それをやらないと、結果的には悪いのを残していいのは捨てちゃうんだったら、結果的にこれじゃ石油経済学から全く逆になってしまう。もうすべてのアメリカメジャーは、マージしたときに全部がポートフォリオ、上から並べて下を落として、それで、そのお金で上を入れ替えるという。  ですから、その方針をやっぱりやってほしいと思います。
  40. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 最後に、岡部先生にお伺いしますけれども、今度の法案が採択されれば、結局減免付融資はなくなるということになります。それから、今話になっているワンプロジェクト・ワンカンパニーについてはどうなるかということははっきりしません。私も先日、大臣にお聞きしましたけれども、それを清算するとは言われなかった。  業界として、どういう形がこれから望ましいのか。減免付融資それからワンプロジェクト・ワンカンパニーについてはいろいろ甘えがあったと。リスクが大きい事業だけにそういう措置を取ったけれども甘えがあったということは大臣の答弁でもあるわけですけれども、業界の立場として、その辺どういう在り方が望ましいと考えられているのか、その点について端的にお伺いしたいと思います。
  41. 岡部敬一郎

    参考人岡部敬一郎君) ちょっとその前に、先ほどから和製メジャーの話が出ておりますけれども、私なんかの感覚は、開発段階を大合同してメジャーに匹敵する開発部門の大きな会社を作るという意味におけるメジャー構想もありますけれども、やはり日本石油会社は頭のない生活、仕事をしていると。つまり、要するに輸入して以下の販売までの状態ということでは、胴体だけの我々事業をしていると。メジャーの場合は大きな頭を持っている。しかも頭が賢くて、ここが物すごくもうける力を持っているという構図。  これに合わせるためにどうするかということで、開発段階を統合しながら、精製段階とどういうふうに組み合わせていくかによって初めて、いわゆるセブンシスターズありません、もうメジャーは大きく変わっております。その変わったメジャーに対抗する一つ日本の業態ができると、そういうことであると思うんです。  そういう中においてこの開発を考えたときに、先ほどワンプロジェクト・ワンカンパニーが民間会社の責任を回避するためとおっしゃっておりましたけれども、私はそうは思いませんで、当然、要するに公団も融資をいたします、出資をいたします。そのときに、ある一つ会社を作った後、その一つ会社の業容拡大のために新しい油田をもらったときには、当然旧来の油田と包含して考えていくべきところを、やはりワンプロジェクト・ワンカンパニーという考え方で、一つ一つその審査、清算を、成果を問うていくということがあるのか。やはり一つの方針が、ワンプロジェクト・ワンカンパニーのために、一つ会社事業拡大のためのプロジェクトすらまた一つ会社を作らなければならなかったということで、現在苦慮しておる実例もございます。  そういう意味において、一つのグループとしてある油田開発していくについては、一つ一つのプロジェクトの成果を、例えば、そのワンプロジェクト・ワンカンパニーという考え方はもはや私は基本的には問う必要はないんじゃないかということを私見では感じておるところでございます。
  42. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 ありがとうございました。終わります。
  43. 広野ただし

    広野ただし君 自由党・無所属の会、国会改革連絡会の広野ただしです。  質問のしんがりになりますので、お疲れでしょうが、ひとつよろしくお願いをしたいと思います。  非常に御三人の参考人から参考になるお話をいただきました。石油政策の中で、全体の総合エネルギー政策の中で石油政策がどんな位置付けかということから始まるわけなんですが、時間もないので、石油が大体半分ぐらい、第一次エネルギーの半分ぐらい日本では占めておりますので、今後とも石油政策重要という位置付けでお話をさせていただきたいと思いますが。  そういう中で、備蓄政策国家備蓄政策は私はおおむね成功したんだと、それによって一次ショック、二次ショックの非常な不安定な状態をおおむね脱することができたんではないかと、こういうふうに思っております。  しかし、その中で、先ほど森田先生備蓄政策の中にやはり弾力性を持たなきゃいけない。私も、国家がやるのはそれは大事なことであるけれども、もっと民間の力を入れて安い備蓄、相対的に安い備蓄ができるんではないかと、こういうふうにやっぱり考えておりまして、そこで先ほど岡部参考人石油会社としても民間委託を受けてというようなお話もちょっとされました。  私は、正にそういうことで、何も専用備蓄会社といいますか、そういう企業があってしかるべきだとは思いません。特に、今度は電力だとかガスが自由化をしてきまして、かなり総合エネルギー企業というような形になってきますと、石油備蓄することだってあり得るんじゃないかという中で、相対的に安い企業国家備蓄をやってもらえばいいじゃないかと、こういう観点を持っておりますけれども、岡部参考人にもう一度、先ほどの民間でもいろいろとやれるんだということをちょっとおっしゃっていただけますでしょうか。
  44. 岡部敬一郎

    参考人岡部敬一郎君) 民間としての役割なり可能性という部分については、やはり備蓄コストをいかに効率的にやるかということでございまして、原油そのものを安いときに買って高いときに売るなんということができるんだったら、我々石油会社だって左うちわだと思うんですね。  この問題に手を掛けるということは、結局国がばくちをするということになって、やはりこれはもうウエットで、実績主義で税金をいただいた、いただいたときに積み増しの一つのプロジェクトが承認された、したがってそれを買うということでございまして、しかも為替と原油代と両方かみますから、原油が上がったと思えば為替で消されることもある。大体一ドルに対して五円で、大体バレル当たり一ドルに相当いたしますので、そういうことからすると、二つのばくち的な先物相場の変動要因がある中で、なぜ安いときに買って高いときに売らないかと。そんなことができれば本当に石油会社はもうけがあるんでしょうけれども、それはメジャーとて基本的にはやっぱりやらないと。そういうことでございますので、その辺は誤解のないようにしていただかないとこれは大変なことになると。安易にそんなことは僕は言える問題ではないというふうに個人的には思っております。
  45. 広野ただし

    広野ただし君 そこで、森田参考人に、アメリカ国家備蓄政策は、日本の場合非常に高い買い付けをしちゃって、バレル三十ドルとか三十一ドルという、平均的には、これは為替の問題もあるんですけれども、そういう形になっておったんですが、アメリカ国家備蓄政策の中で民間の活力というのは何か生かされているんでしょうか。御存じでしたら。
  46. 森田信男

    参考人森田信男君) 備蓄に関しては民間はやっておりません。国家だけです。といいますのは、国家鉱区を持っていまして、もちろんアメリカはミリタリーの国ですから国家がたくさんの鉱区を持っていまして、その中に自然の姿で石油を埋蔵しておりまして、それをただ放出しているだけなんです。  ところが、日本の場合に困ったことに、そのように安全、そういう貯留層がないんですね。だから、例えばガスなんかはある程度できるんですけれども、そういう安全な貯留層がないためにそこで貯留しておくわけにいかないんですね。  そういう意味で、アメリカの場合にはちょっと備蓄の形態が違っていて天然の貯留層を、それを放出しているというそういう感じで、しかもまた国家の土地ですから、開発すればまだ石油は新しいのがどんどん見付かるから、余り彼らは、国家備蓄はしていますけれども、そういう意味でちょっと形態が違うんです。そういうことです。
  47. 広野ただし

    広野ただし君 舘澤参考人が先ほど備蓄会社を統合してということをサジェスチョンされましたけれども、私も早く国家備蓄会社を民営化をしてということには大賛成です。  ただ、一本にしちゃいますと、今度は競争が働かないといいますか、というようなことで、二社か三社なのかなというような気もいたしますし、またいろんな意味で、入札に掛けるときに、管理運営に関して入札に掛けるときに商社ですとか石油会社に入ってもらえばいいとも思っておりますが、やっぱり全体的に統合した方がいいものなんでしょうか。
  48. 舘澤貢次

    参考人舘澤貢次君) お答えします。  現在、国家備蓄が八社ございますけれども、基本的にこの八社の資本金が合計五百六十億円に上るわけですね。これで、そのうちの七割が公団出資になっています。それで、このうちの四社の社長石油、通産官僚さんの出身で、あとのほとんど全部その官僚さんが入っております、いわゆる天下りですけれども。  一社に統合することは、とにかく効率の面で、私は国家財政が危機、破綻をしている時期に、無理無理、こういった目に見えるような無駄なところは私は切っていくべきだと思うんです。ですから、その意味一つの株式会社に統一することによって、民間民間で、日本石油の喜入基地とかに見られるように、民間民間の努力でやっております。  これから、この国が育て上げた八つの会社を、はっきり申しまして、これまでこの備蓄会社を国が作るために膨大な土地代、タンク基地の、これは二千二百億円払って、その上に建設資金が一兆四千億円も掛けていると。さらに、その利息ですね。これは無利子でやっているんですけれども、特別会計の方から公団の方に二百二十億ぐらいの利息が入っております、金利が。無利子融資の名の下に入っています、二百五十億円。  あるいは、更にもっとひどいのは預託料です。石油公団からこの備蓄会社に、国家備蓄会社にわざわざ預託料というものまで払っているわけですね。これは年間一千四百億円です。とにかく、どうして国の機関が国の機関同士に預託料を払いながら、それで同じような出資金を一杯作っていくのか。  やはりこれも、この際私はとことん整理統合というんですか、洗いざらい、これほど掛かってきたんだと、一九六二年から四十年掛けて日本国家備蓄のためにこれだけの費用が掛かってきたというのを国民の前に明らかにすべき。そして、現在の一年間の出資も、これもきちっと明らかにすべきではないかと。ちょうどいい機会だと私は思います。
  49. 広野ただし

    広野ただし君 続きまして、自主開発原油の方に移らせていただきたいと思いますが、これもこの間大臣とも話をしたんですが、自主開発原油の目標というものがもう一つはっきりしていないし、国民的なコンセンサスが得られていないところに、どうもどこまで突っ込むかということがはっきりしないということだと思うんですね。  例えば防衛において、少々高くなっても防衛産業はちゃんと持たないと日本の防衛は守れないんだということからいえば、ある程度防衛産業日本に持つと、こういうことになりますが、自主開発原油においても、最初にえいやあということで百二十万バレル・パー・デーの三割というようなものが決まって、そこでずっと走ってきたというところが、ある程度は来ました。十数%は自主開発原油だということではあるんですが、なおじゃもっともっとやらなきゃいけないのかというところに、もう一つ国民のコンセンサスが得られていないんじゃないかと。しかも、国家がどこまで関与するのかというところにやっぱりはっきりしないものがある。今までは石油会社さんも小さかったし、いろんな意味リスクを負えなかった。だけれども、コスモさんも数百億円の利益を出されるくらいの会社になっておられる。そういう中ではかなりリスクマネーも出せるようになってきているんじゃないかということから考えると、やっぱり今からは民間主体の企業にやってもらう。  それにただ国は何も関与しないかというと、補助金も出します、そしてまた融資もします、保険も掛けますというような、国が出資をしますと失敗してもどこまででも突っ込んでいって、どこで撤退すればいいか、ずるずるっとやっぱり入ってしまうというところに、突っ込むときはいいんですが、撤退するときの判断が誠に遅れてしまうというのがこの石油公団の姿であったんではないかと私は思うんです。    〔理事加藤紀文君退席、委員長着席〕  そういう意味で、民間主体で日本もやっていくということにならないでしょうか。岡部参考人に伺いたい。
  50. 岡部敬一郎

    参考人岡部敬一郎君) 元々、メジャーの場合は分母の力に過去の開発の蓄積を持っておる、残念ながら日本の場合はないという状況で、せいぜい、先ほど申し上げました頭のない胴体の、要するに活動の中でいかに競争力を付けるか。  メジャーに、あるいは東南アジアのいろんな国々に対抗していくかという形が私は精一杯だということでは、やはりこの開発に関しては一本大体十億、先ほど申し上げました百本のうち百本当たるんではなくてというふうに考える問題のリスクと、それから探鉱から開発までの間がやはりどうしても時間が長く掛かるという問題。ただ、最近は、一次探鉱、二次探鉱、三次探鉱、果ては四次探鉱という形で、開発技術が非常に高まったということにおいてはリスクの軽減は図れるであろうと。  そういうことと、これからやはり今までの税金の使い方を、もう少し国の比重を落としてということを考えることによって、今回、民間にある程度の主体性を持った形でやらしていただこうと。こういうことが今回の中に込められておりますので、全く国の支援を皆無にした中で開発に取り組んでいくということについてはやや私は問題があるんじゃないかというふうに思うのと、それから、やっぱり開発そのものについては、持つことは、事業性を超えて、やはり先ほど言った日本以外のところに自前の原油油田を持つということになりますから、よっぽど中東全体が、あるいは世界のどこかが完全に問題にならない限りは、その国の油田は大切に日本に引き込むことができるということにもなりますので、したがって、是非、今までから変わった形にしろ、ある程度の国のバックアップ体制は私はお願いすべきじゃなかろうかと、こんなふうに思っております。
  51. 広野ただし

    広野ただし君 私もバックアップ体制は必要、だけれども、国が出資をしてまでやってまいりますと、例えば鉱区を取得することに当たって、大体こういうのは、変な話ですが、裏金が必要だとか、いろんなことがやっぱり出てくるんじゃないかと思うんですね。国の会社がそういうことを機動的にやれるわけがないんで、やっぱり民間主体でそれはやっていただいて、それにしかるべきところをちゃんと補助金でバックアップをするという、考え方をやはり変えなきゃいけないんじゃなかろうかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  52. 岡部敬一郎

    参考人岡部敬一郎君) 実は、融資か保証か、出資か補助かと、こういう考え方があるわけでございまして、そんな中で基本的には、やはり確かにおっしゃるように出資ということは、日本の中だって国が出しておるから国にすぐ寄りすがればいい、海外から見ても国だという格好で見られると、そういうことにもなって甘く見られる可能性がありますから、基本的には、やはり形としては補助の方がいいんだと思いますけれども、やっぱり大きな金額になりますと簡単に補助というわけにいかないという問題がある。それから、融資にするとどうしてもスタートから、開発の段階、探鉱の段階から、つまり収入がない段階から金利が付くという問題になって、どうしてもそこであえぐと。  したがって、やはり出資かあるいは補助かと、こういう形になる。取りあえずは、今、補助という形じゃないかというふうに受け止めておるんでございますけれども。
  53. 広野ただし

    広野ただし君 先ほど、舘澤参考人から、私も全く同意見の、今の優良な十三社か十四社を早く上場をして、それの再編をまずやっていくという、そしてそれが民間主体の会社になって、それの上場をやってもらって、そこに補助なり融資をしていくとか、保険を掛けるとか、いろんな形でバックアップをするというふうに私も考えておりまして、舘澤参考人の非常に参考になる御意見を伺いました。  もう一言、何かございましたら。
  54. 舘澤貢次

    参考人舘澤貢次君) 私は、和製メジャーという、この和製という言葉にあえて私自身もこだわっているのは、結局、日本探鉱開発までのアッパー部門と、ダウン、精製、製品化、これはもう今一緒に、国際的なエクソンとかモービルのように、BPのように、一貫体制の国際石油資本を作るということは、私はもう今はやるべきではないと。これは、石油公団作るときに日本のリファイナリー、石油精製会社さんが、結局、外資系も日本の方も設備投資の費用がなかった、設備投資の資金がなかったと。そのために外資系からその資金を導入したと。その見返りとしてカルテックス等からある程度石油、何割買わなきゃならないというその義務付けがあったと私は聞いております。  ですから、その時点では既に石油精製会社、いわゆるダウン部門は、この時点から日本国策的な石油開発政策から、私はもう、そこで抵抗しておけばよかったんでしょうけれども、そういう力はなかったと。ですから、あえて頭の部分探鉱開発だけの世界的な石油資本という意味で和製メジャーというのを私はあえてこれまで使ってきておる次第でございます。  以上です。
  55. 広野ただし

    広野ただし君 ありがとうございました。
  56. 保坂三蔵

    委員長保坂三蔵君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の方々に一言お礼を申し上げます。  本日は、御多忙の中、わざわざお出掛けをいただきまして、誠にありがとうございました。  貴重な御意見を私たちは拝聴いたしまして、今後の委員会の審議に役立たせていただきたいと存じております。  台風一過でございますので、どうぞ気を付けてお帰りくださいませ。  ありがとうございました。(拍手)  午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時に再開することとし、休憩をいたします。    午前十一時五十七分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  57. 保坂三蔵

    委員長保坂三蔵君) ただいまから経済産業委員会を再開をいたします。  委員の異動について御報告を申し上げます。  本日、荒木清寛君が委員を辞任され、その補欠として草川昭三君が選任されました。     ─────────────
  58. 保坂三蔵

    委員長保坂三蔵君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  石油公団法及び金属鉱業事業団法廃止等に関する法律案及び独立行政法人石油天然ガス金属鉱物資源機構法案審査のため、本日の委員会に公正取引委員会事務総局審査局長鈴木孝之君、外務省中東アフリカ局長安藤裕康君及び資源エネルギー庁長官河野博文君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 保坂三蔵

    委員長保坂三蔵君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。     ─────────────
  60. 保坂三蔵

    委員長保坂三蔵君) 休憩前に引き続き、石油公団法及び金属鉱業事業団法廃止等に関する法律案及び独立行政法人石油天然ガス金属鉱物資源機構法案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  61. 本田良一

    ○本田良一君 民主党・新緑風会の本田良一です。  それでは、前回に引き続きまして、この法案につきまして質問をさせていただきます。  今日は午前中、参考人質疑をやらせていただきました。それぞれお三方の実業界、学者、それからジャーナリストという参考人がいらっしゃいましたが、大変我々にとりましても、この法案につきまして審議するに十分な御意見、あるいはこちらの方も意見を言うということで意義があったと、こう思っております。  それで、一つ質問をいたしますが、私は六月二十日木曜に、民主党の石油公団調査団を五チームに分かれまして、この石油開発会社及び国家石油備蓄会社に調査をいたしました。私は山田敏雅衆議院議員と参りましたが、国家備蓄会社四社を訪問をし、業務の内容や天下り役員の勤務実態を聴取しました。  その際、私は担当役員に対しまして、設備、機器の発注は競争入札で行っているかなどをただしました。担当役員は随意契約でやっているということでございましたが、我々が調査に行った五日後の六月二十五日の朝刊に、公取委、委員会が大手石油会社系列のエンジニアリング会社七社に対し、独占禁止法違反の疑いで排除勧告をした、発注元の国家石油備蓄会社に対しても入札方式の見直しを要請をしたという記事が載りました。このことは、既に大臣御存じと思います。  そこで、お尋ねをいたしますが、排除勧告に至った経緯について、また独禁法違反とした調査、内容について、局長の答弁をお願いをいたします。
  62. 鈴木孝之

    政府参考人(鈴木孝之君) お答え申し上げます。  公正取引委員会では、国家石油備蓄会社が発注します石油貯蔵施設等の保全等工事の入札参加業者に対し、いわゆる入札談合を行っていた疑いで、昨年六月二十七日以降、独占禁止法の規定に基づき審査を行ってきたところでございます。  審査の結果、これらの工事の入札参加業者七社が共同して、国家石油備蓄会社七社の本社が指名競争入札等の方法により発注する石油貯蔵施設等の保全等工事について受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにしていた行為が認められたため、本年六月二十四日、これらの行為は不当な取引制限を禁止しております独占禁止法第三条の規定に違反するものとして勧告を行ったところでございます。  その後の経緯についても申し上げますと、この勧告については、七社のうち五社から勧告を応諾する旨の、二社から勧告を応諾できない旨の通知を受けたところでございます。  今後、勧告を応諾した五社に対しては、勧告と同趣旨の審決を行い、本件違反行為を取りやめている旨の確認など、違反行為が排除されたことを確保するために必要な措置を命ずることとしております。また、勧告を応諾しなかった二社に対しては、審判手続を開始することになるものでございます。
  63. 本田良一

    ○本田良一君 それでは、この三年間の発注件数と金額を教えてください。
  64. 鈴木孝之

    政府参考人(鈴木孝之君) 違反行為に係る三年間、平成十年度から十二年度の三年間におきまして、国家石油備蓄会社七社の本社が指名競争入札等により発注した保全等工事について、この受注金額につきまして百万単位でまず申しますと、新日石エンジニアリング、百十九億五千九百万円、それから鹿島エンジニアリング、六十三億九千五百万円、それから東燃テクノロジー、六十三億三千六百万円、出光エンジニアリング、六十三億三千三百万円、それから日陽エンジニアリング、二十二億五千九百万円、太陽テクノサービス、二億五千五百万円でございます。  ちょっと件数につきましては、今ちょっと手持ちございません。ちょっと受注金額だけただいま申し上げましたところでございます。
  65. 本田良一

    ○本田良一君 これ新聞だけれども、新聞に載ったことぐらいもつかんでいらっしゃらないんですか。  三年間の違反の対象工事は、一九九八年度以降の三年間に発注をされた二百十二件、約三百三十五億円ということですね。だから、今おっしゃった一件一件の会社の合計をいたしますと、そのようになっていくんではないかと思います。  それで、二社について結審に従わないということですが、それはどういう理由で従わないんですか、審決に。
  66. 鈴木孝之

    政府参考人(鈴木孝之君) この件につきましては、審判開始決定がなされました後、被審人側の主張としてどういう点について応諾できないものであるかということが明らかにされますので、現時点でどういう点というのは、私どもも分かっておらないところでございます。
  67. 本田良一

    ○本田良一君 それではこれは、二件については最終的にはどこで決着をするんですか。
  68. 鈴木孝之

    政府参考人(鈴木孝之君) 公正取引委員会におきまして審判手続開始を決定いたしまして、公正取引委員会におきまして審判官を任命いたしまして、その審判官の下で審判が開始されまして、審査局の中から審査官がこの件につきましてどういう違反事実があったかを説明し、また被審人側、この争います二社の方から反論が出され、最終的に審決という形で公正取引委員会の改めての行政処分が出されるものでございます。
  69. 本田良一

    ○本田良一君 まだその二件についてはそういう状況を繰り返していくわけですね。直ちに、例えば最高裁で最後まで争って最高裁決着とか、そういうことじゃないんですか。
  70. 鈴木孝之

    政府参考人(鈴木孝之君) 審判手続を経ました後、その二社につきまして審決が出され、それについて被審人の側、その二社の方で不服がある場合、改めてその取消し訴訟として東京高等裁判所、さらには最高裁へという司法上の手続が残されておるわけでございます。
  71. 本田良一

    ○本田良一君 いいです。そこまででようございます。  それでは、この随意契約ですね、この随意契約について、随意契約をする理由として、あるいはやった場合にその契約にどういう、事務的に簡素でいいとかいろんなのがあるでしょう、しかしその場合にどういう理由があるから随意契約にするのか、ちょっとそれを説明願います。
  72. 河野博文

    政府参考人(河野博文君) 備蓄会社は全国で御承知のように八社ございます。基本的にこのうちの七社は指名競争入札という制度を取っておりまして、今回公正取引委員会からの御指摘を受けたわけでございます。  残りの一社、白島備蓄会社でございますが、ここは随意契約という方式を取っております。その原因は、白島は備蓄形態としてはかなり特異でございまして、いわゆるタンカー備蓄を護岸の中に維持するという形式を取っております。そういう関係上、この技術特性を熟知しているものに委託をした方が賢明だということで、従来から随意契約を取っていると承知しております。
  73. 本田良一

    ○本田良一君 私は、だからそういう場合にそういう事業者に、そういう仕事をする上でいろんな面でその事業者が適任だと、そういうことだと思います。確かにそういう面はあると思いますよ。  しかし、そこで公取の局長にお尋ねしますが、公取でいろんな会社を調査をするとき、その契約の内容のいわゆる随意契約あるいは競争入札、そうしたときに一番目を配って、競争入札のときと随意契約とどちらにぱっとその契約内容が、これは随意契約でやっているあるいは競争入札でやっている、どちらに比重を置いて、ちょっと深く調べてみようかなという感覚はどちらにわきますか。
  74. 鈴木孝之

    政府参考人(鈴木孝之君) 私どもの調査は、競争が設定されております場において事業者の間で話合いがされて競争をやらないという行為が行われているかどうかでございます。  したがいまして、競争入札が行われている場合、これは競争の場が設定されているわけでございます。したがいまして、そこでこの競争をなくすような話合いが行われた場合、ここは私ども確実に見ていくところでございます。  また、随意契約に関しましても、例えば単に一社だけと交渉しているのではなくて、いろいろな会社に対しまして見積り合わせ等して競争を、随意契約に至るまでに競争があり得るというところでやはり事業者の間で競争をなくすような話合い等が行われていれば、そこも両方見ていくものになるものでございます。
  75. 本田良一

    ○本田良一君 私は、この随意契約、競争入札の場合でも談合が、公取でございますから当然正しい競争が行われている状況にあるかということを頭に置いて調査をされると思いますが、競争入札のときに談合ということも頭にあるでしょう。しかし、私がもし公取であれば、一番に注意をして頭をもっとよく調べてみようかなと思うのは随意契約だと思います。随意契約の方をよく見たいと、そういう意欲がわきますね。  なぜかといえば、金額が毎年変わっていない契約、そして時代に合って例えばタンカーがはじき出されていないとか、これは当然もう今の時代だったらこれくらい、競争入札でもしタンカーをやったらもうこれくらい本当は安くあっていいのではないかとか、そういうことを頭に置いて調査をすると思いますが。そして、いろいろなやるべき工程、それに手抜きがなかったかとか、そういうことをこの随意契約のときに特に見ると思いますよ。局長はどうですか。
  76. 鈴木孝之

    政府参考人(鈴木孝之君) ただいまも申しましたように、随意契約についても、これは普通の顧客を求めます会社において、いろんな業者を選定する上において競争させるということがあっての手続でございますので、ただいま御指摘いただきましたように、年々その随意契約の中においても受注金額が変わらないとかそういった状況があれば、それが競争事業者間の競争が制限されていることによって、ないことによってそういう現象が生じているとか、そういうのは他の価格カルテルでも、価格が変動が見られないとかそういうところで、私どもその後ろで人為的な競争制限行為が行われているかどうかは見るところでございますので、共通して重大な関心を持って見てまいりたいと思っています。
  77. 本田良一

    ○本田良一君 この随意契約は、やっぱりこの排除勧告を受けたのはそういうところにあると思いますよ。随意契約は、三百三十五億円という金額の膨大な中で、非常にこの金額が固定されているとか、そういうことが私はあったんではないかと。  私も大手企業の実は中で監査というのを務めたことがあります。だから、いろんな中の企業内の監査や関連会社の監査に出向いたことがありますが、一番にやっぱり頭に注意するのは随意契約でしたよ。競争入札の場合もあるけれども、随意契約。その契約をする事業者がマンネリ化になって、それなりの工程をやっていないとか。だから、あの東海の原子力発電所でああいう手抜きの、ジェー・シー・オーでしたか、ありましたね。そういうのは、やっぱり随意契約でやっているためにまず金額よりも慣れになってしまって、そういう手抜きが行われてああいう大事故が起こるということになりますね。  だから、備蓄タンカーですからタンカーの中で仕事をします。そうすると、酸欠によって命を奪われるとかいろんな危険性もあるでしょうけれども、しかし契約をしてやるべきことはちゃんとやってもらわなくちゃいかないと。しかし、あくまでもこれは国民の税金が使われていくわけですから、金額がやっぱり常に固定をされずに、いかに安く、より、極端に言うなら一円でも安く、国民のための税金を無駄にしないという考え方で随意契約を常にやっぱりチェックをするというのは重要だと思いますよ。  だから、そういうことを一応申し上げまして、長くなりましたが、次に大臣に、国家石油備蓄会社が勧告を受けたことについて、担当大臣としての見解と今後の対応をお願いします。
  78. 平沼赳夫

    ○国務大臣(平沼赳夫君) お答えさせていただきます。  経済産業省所管の国家石油備蓄事業に関しまして、公正取引委員会からエンジニアリング会社七社に対して独禁法に基づく勧告がありまして、このことは誠に遺憾でありまして、厳正に対処したいと、このように考えております。  具体的には、こうした事態が再発をしないように、石油公団を通じまして、国家石油備蓄会社に対して対象エンジニアリング各社の指名停止、適正な措置及び再発防止を図るように指示をいたしました。これを受けまして、各国家備蓄会社からは、六月二十七日までに各社社長名にて措置対象エンジニアリング会社に対し指名停止措置を行ったと、このような報告を受けておるところでございます。  また、石油公団におきましては、当省からの指示を踏まえまして、七月九日に備蓄担当理事を長といたします契約方法の見直しを検討するための委員会が開催をされることになりまして、これは第一回、七月十日に開催をしたという報告を受けております。  こういった委員会におきまして再発防止に向けた改善策について検討が行われると、このように承知しておりますけれども、当省といたしましても、適正な契約方法について検討をいたしまして、かかる委員会の検討に反映されるように適切に強力に指導を行っていかなければならない、このように思っております。
  79. 本田良一

    ○本田良一君 なるべくひとつ、金額が大きい額でございますから、ひとつ今、大臣がおっしゃったように改革をお願いをいたします。  それから、東京がほとんど本社ですね。これは現場主義は、今日の参考人も言っておりましたが、取れないものでしょうか。
  80. 大島慶久

    ○副大臣大島慶久君) 本田先生に御答弁を申し上げます。  この備蓄会社につきましては、平成十年度の国家備蓄目標五千万キロリットル、これを達成するまでの主な業務が基地の建設あるいは資金調達等に関する石油公団、中核石油会社、建設・設計企業等との調整業務が主な仕事でございます。そういったことを円滑に実施するためには、やはり本社が東京にあるということが極めて必要であったのではないか、こんなふうに理解をいたしておりますけれども、それにつきましても、その後基地の安全かつ効率的な運営及び緊急時の円滑な払出しに業務の中心が移ってまいるわけでございますので、速やかに本社の地方移転を実施すべき準備をいたしていたところでございまして、これは先生の御質問の趣旨のように、既に一社、これはむつ小川原国家備蓄株式会社でございますけれども、移転を完了いたしているところでございます。  そういった意味で、純民間企業である操業会社の本社所在地につきましては、一義的には当該会社が決定する事項と考えております。しかしながら、国家備蓄事業事業実態の変化を踏まえた効率化の観点から、地方移転を含めまして効率化を検討するよう促してまいりたい、かように思っているところでございます。
  81. 本田良一

    ○本田良一君 ひとつそういう努力を、一社はそうして移っておりますし、そういうことに気付いていらっしゃいますので、是非そのようにされまして、そうしますと、社員も今ずっと私どもが調査したところのプロパーでどこまで地位が上がっているかと聞きましたら、重要な仕事といえば総務課長、これくらいが一人でしたね。それくらいの方が今やっとそこまで来ている、最初にプロパーで雇われた方が。現場主義を取りますとこういう人たちが能力を発揮をするわけですから、この人たちが将来は社長にもなれるということでございますので、そうあるべきではないかと。  それともう一つは、聞きましたら実に情けないことをおっしゃいました。東京に本社があって、あなたはどういう仕事をしていますかと社長に聞きましたら、経済産業省に行っていろいろお話をするのが仕事だと、そういうことを言われた方がおりましたね。実にこれはもう本社があるのはそれだけの意味しかないのかと、そういうことでございまして、私は国政調査の意味の非常にユーモアなところを経験をしました。皆さん率直で隠しなくおっしゃるところは素直だなと思いましたから、別にここでそれを言葉じりを取って責めるつもりはありません。  それでは次に、今回の独立行政法人の設立の目的の一つ探鉱技術の維持が強調をされております。しかし、今まで探鉱のために設立をされた多くの子会社が既に消滅をしております。このような状況世界的レベルの探鉱技術が蓄積されてきたとはとても思えません。独立行政法人には備蓄管理能力だけを移転するだけで十分ではないでしょうか。  今日の森田さんという先生は、探鉱技術世界に誇れるものだと、そういうことを言っておられましたが、今日の別な参考人が言っておられたように、三百社近くも会社を、探鉱会社を作りながら、これが十三社が成功しただけで、あとはつぶしていかざるを得なかった。そこには探鉱成功が見られなかったわけですから、その技術はそれでは結局は生かされていないと。そういうことで技術が誇れるものであったかどうか。    〔委員長退席、理事加藤紀文君着席〕  前回、メジャーに匹敵する技術があるかと聞きましたら、それは石油公団にはないというお答えもありましたし、私は前回、大臣と副大臣が答えておられた、いわゆる海底の岩盤のところのことも聞きましたけれども、それはそれであれですけれども、ここに私は探鉱・掘削段階の我が国が保有する技術ノウハウ、特許取得実績というものもここに持っておりますが、国内で二百二件、国内は確かに新潟とかあそこでやっている技術はすばらしいものだということも聞いておりますが、海外で百二件とか特許も持っているわけでありますが、こういうものが本当にメジャーに匹敵するものであれば探鉱に成功を、当たらない鉱床を契約でメジャー日本に回すということもよく聞いておりますし、日本は金があるから日本にまず探査だけやらせて、あとはもう成功しなかったら笑って見ているというのが今のメジャーだと聞いておりますし、そういうことで、このことについて大臣の御答弁をお願いします。
  82. 平沼赳夫

    ○国務大臣(平沼赳夫君) 御指摘のように、我が国におきましては、メジャー等に比べまして海外における石油開発の参入時期が遅かったことなどから、個々の企業で見ると大規模な石油開発の参加の機会も少なく、また資金力の面からも技術の蓄積が十分でありませんでした。このような状況を踏まえまして、これまで石油公団による技術のノウハウの蓄積が我が国石油開発企業の共通インフラとなって、産油国との間で我が国のバーゲニングパワーを発揮する上でも大きく私は貢献したと思っております。  既に本田先生から御指摘がございましたアッパーザクム油田というようなものは、これは繰り返しの答弁になりますけれども、メジャーが見向きもしなかったそういったところを、非常に技術を蓄積して、結果的にあと百年そこからは油が取れるというところまで探鉱技術を高めたと、こういう実績もございます。またさらに、今展開しているいわゆるイランのアザデガンという油田の中で、これはイラン側からも非常に評価していただいておりますけれども、三次元の地震探査の技術、こういったことも非常に大きな技術として蓄積をされているわけであります。  そういう意味では、三百社やってそして十六社、確率でいえばこれは五%でございます。確かにそれは低い確率でございますけれども、そういう中で、三百やってそれぞれ失敗はありました。しかし、その中で蓄積をして、そして技術的に経験を経た、こういうことがございまして、こういったそういう技術集積というものは、私は日本としては非常にある意味では誇るべきものではないかと、こういうふうに思っておりまして、確かにそういう意味で今までいかに千三つの世界とはいえども確率は低かった。しかし、失敗は成功の母と、こういう言葉もございまして、そういう中で蓄積された技術というものを、今回の改革においても、石油開発に関する技術開発については新たに設立をされる独立行政法人の業務としてその中核に置いてやっぱりやっていくことが非常に今後大きな効果を発揮するんではないか。  こういう形で、私どもとしては、政府といたしましては、引き続き効率的な技術開発の実施に努めていかなければならない、こういうふうに思っているところであります。
  83. 本田良一

    ○本田良一君 それでは、今、大臣のおっしゃったことを裏付けるために次の質問をいたします。  開発会社の掘削事業の実態について、掘削までの石油公団のかかわり方はいかにありますか。まず、探鉱契約の概要、これは契約数と失敗、成功数、探鉱技術の特許取得状況、パテントがどういう、一つぐらい例に挙げてどれくらいあるか。
  84. 河野博文

    政府参考人(河野博文君) まず、探鉱を行いますに際して企業が産油国政府からある種の権利を取得しようとする場合には、まずその鉱区について必要となる地質構造データを開示してもらいます。これの評価を行った上で、石油天然ガスの存在の可能性が高いと考えられる場合に、更に交渉をいたしまして鉱区を取得し探鉱を開始するという手はずになります。  その際、石油公団の関与でございますが、これは様々でございますが、例えばカザフスタンの例を御紹介させていただきますと、公団事業として地質構造調査を行いました。この地質構造調査のデータを日本企業に提供いたしまして、これが日本企業としての意思決定なりの参考に非常になるというようなこともございます。また、個々の企業が地質構造調査の評価をする際に技術を提供するということもございます。  またさらに、探鉱に関しまして個々の企業が、先ほど大臣御答弁申し上げましたように、技術陣が十分でないということで、企業横断で共同の技術チームのようなものを編成する場合がありますけれども、こういったチームに公団技術者を派遣するというような支援の仕方もいたしております。  そこで、昭和四十二年の創設以来、石油公団、これまで三百社に出融資をいたしてまいりましたけれども、生産に至りましたのは中東、アジア、北海、こういった地域に展開しております六十六社になります。三百社を分母といたしますと二二%。ただ、この中で既に開発を終えたものもございますので、十三年度末現在、現存している会社は四十三社ということになります。  それから、商業的に成功した企業については、よくお話に出ますように、三百社のうちの、現在の配当企業は十三社でございますが、過去にさかのぼりますと十六社ということになります。  契約形態についてもお話しさせていただいてよろしゅうございましょうか。  探鉱から開発に至ります契約形態でございますが、これも産油国の憲法その他のルールによりましていろいろございます。例えば、所有権を付与するということで採掘権契約を結んでくれる国もあります。さらに、生産物分与契約という形もございます。これはサハリンなどの例でございますが、生産された石油などについて一定比率を開発会社日本側の開発会社に分配してくれるという形でございます。それから最近の例で、例と申しますか、これから、今交渉いたしておりますイランは、こういった鉱区権そのものは与えないと、しかし、バイバック契約という形態を取っておりまして、生産する原油を言わばそのコストに見合う報酬の一部というような形で引き取る権利をもらえるというような形がございます。その中で比較的多いのは生産物分与契約というのではないかというふうに思います。  特許取得状況につきましては、先ほど先生から数について御指摘ございましたそのとおりでございます。石油公団の持っております特許の中で、例えば斜めに坑道を掘る場合の制御システムとか、海中油田のための安全性を保持するためのリグと坑井の切離しのシステムとか、こういったものについては外国の開発企業ともライセンス契約を結ぶなどをして、それなりに評価を得ているというふうに理解しております。
  85. 本田良一

    ○本田良一君 探鉱そのものですね、例えば受注でここを探鉱、探査していいですよと、そこの契約。成功したら今のような分配のやり方でしょうけれども、探鉱そのものにはどれくらいの費用が掛かりますか。
  86. 河野博文

    政府参考人(河野博文君) これは探鉱の面積、それからそれは陸上であるか海上であるか、相当違いますんですが、例えば一本の試掘といいますか、そういった試験的な井戸を掘るということにかかわります費用は、今日の午前中の岡部参考人の御意見ですと一本十億円というような話でありましたけれども、十億とか四十億ぐらいの規模になると思います。
  87. 本田良一

    ○本田良一君 それでは、今私は、この探鉱段階のことを余り衆議院でも質問していないし、今までの石油公団の関係で探鉱技術について委員会で余りやっていないなと思いましたから、この辺をちょっとしておくことも私は国民の認識には寄与できるんではないかと、こう思いましてこの質問をしたわけです。  次に、国の資金がなければ石油開発は進まない、今どき民間で巨額の資金を必要とする石油開発には参入するものはいないと言われるが、この考えについて大臣はいかに把握しておられますか。いかに把握というのは、民間でやってやるという人がいるかどうかということですね。  また、本社がすべて東京にあったことについていかに思うか。これは本社はもちろん東京でいいんだけれども、せめて本部は現地にあるべきではないかと、こういうことも批判の対象になっておりますが、いかがですか。
  88. 平沼赳夫

    ○国務大臣(平沼赳夫君) 石油開発におきまして、探鉱を行っても油あるいはガスが発見されなかったり、それから油、ガスの存在が確認されても埋蔵量が商業採算レベルに到達しない等のリスクは極めて高く、また開発生産段階に至りましても、地質構造の状況により当初計画どおりの生産が実施できなかったり生産量が下回るといったリスクが依然として存在をしています。また、近年の産油国の鉱区開放の動きや石油開発分野における中国の積極的な活動等の中で、国際石油市場における石油企業間の競争は激化している状況にあります。  こうした中で、我が国民間開発企業は依然として脆弱な基盤、経営基盤でございまして、ますます激化する国際ビジネスの中で自主開発の実を上げていくためには、やっぱり引き続き国において関係企業開発努力を支援をしていかなければならない、このことが適当でございまして、独立行政法人石油開発リスクマネーの供給を担わせることとしたところでございまして、確かに御指摘のように、民間の参入というのがなかなか今申し上げたような背景の中で厳しい面があります。そういう面で、私どもとしてはやっぱり国がある意味ではギャランティーをしてやる、そのことがまた油を出す産油国にとっても一つの信頼関係、安心につながる、こういう面があります。  それから、そういう本社がみんな東京にあるけれども、そういった実際に油を掘るところに、そういったところにヘッドオフィスを置くべきではないかと。それは私どもは、現地との資源外交をやっていく上に当たって、やっぱりそういったところに、本社は本社としても、本当に実際にやるという、そういう中枢の機能はそういったところに置くということはそれは今後必要なことであると、そのように思っているところでございます。
  89. 本田良一

    ○本田良一君 次に、特殊会社の設立はやめて即民営化はできないのか。欧州では、フランス、イタリアでは既に政府の支援は離れております。共産主義の中国ですら国営石油公社を民営化をいたしました。我が国は二年半後に特殊会社を立ち上げ、できるだけ早期に民営化するといいます。移行年次も決まっていない状況であります。これではますます世界石油戦略に取り残され、巨額の国税を石油の消費量と同じく更に垂れ流すことになりはしないか。今国会で五年以内の民営化などの具体的方向性を示すべきだと思いますが、大臣にお尋ねします。
  90. 大島慶久

    ○副大臣大島慶久君) お答えをいたします。  本田先生今御指摘のとおり、フランスだとかイタリアにおきましては、徐々に政府の支援の手から離れまして、独立民営というような形で企業が育成されている、これは事実そのとおりだと存じております。しかし、そういったことが行われる可能性が出てくる要素といたしましては、国外における石油開発への参入時期が早かったことがまずございます。それから、地域で北海というような大型の油田が発見され開発されたと、こういったこともそういったことにつながる要素だと思いますし、また産油国との歴史的なつながりが強かったと、こういった背景があるわけでございます。  そして今、中国のこともお触れになられましたけれども、中国におきましては海外市場での株式上場により民営化が進んでいる、こういったことも今は事実でございます。しかし、その裏には政策的な配慮がございまして、これらの子会社の株式はその大部分が親会社に当たります国営石油会社に保有されていることも事実でございますし、依然として政府の影響下にあるのが実態であろうと、こういう私どもは認識をいたしているわけでございます。  今回もこういった委員会を通じて度々いろんな議論の中で出たことでございますけれども、将来は、そういった意味ではできるだけ早期に民営化することということになっているわけでございます。  そして今、先生が最後にお尋ねになられました民営化の時期でございますけれども、特殊会社の規模あるいは資産内容、あるいは市場の状況等に非常に左右される要素が多くあるわけでございますので、今の段階で、あらかじめいつの時期からそういうふうにしようということを明記することは今の段階では困難かと存じておりますので、御理解をいただきたいと思います。
  91. 本田良一

    ○本田良一君 今の副大臣の答弁と大臣の前回の答弁、私は、政治家よりもむしろ、この質問を、意見を聞くに当たりまして、経済産業省の方が余りにもマネー崇拝に陥り過ぎていると。民間はやりませんよと。国が金を持っているから、今どき一兆円も、例えば一本四十億も掛かる探鉱民間ではやりませんと。これを石油公団の質問をいろいろ資料集めをするところから、それが口癖の方がおられました。これは本当に、日本のいわゆる国の背骨を預かる官僚としては非常に危険な状態だなと思いましたね。  それだけ金があれば、例えば二兆円も使ってあれであれば、もう本当にそれはアメリカ型のメジャー企業でやれば私は一社ぐらい誕生していると、そう思いますよ。それを、二兆円使ってもまだ共産主義の中国よりも後れてしまう。こういう状況では、あくまでも私は、この自由競争至上主義の中で、その中で生きていく会社を作っていく、民間メジャーを。  そういう考えに立つならば、もう本当にここで、冷たくてもいいから、国のマネーにすがる日本のいわゆる企業家、そういう方ではあってはいけないわけですから、今日、岡部さんという参考人に私そういうことを言いましたら、怒りを覚えるといって反論されましたが、怒ってもらってちょうどよかったです。それくらい、山下さん以降一人も誕生をしていない、そういう企業家が。そのことにどんなに怒られたって私は反論できます。  だから、大臣ひとつ、この石油政策の中で民間企業のそういう人が市場で資金を調達をしてメジャー並みに成長をするような環境づくりを、是非この法案を反省の中でひとつ立ち上げられるときに、そういう企業が育つような環境づくりを、方針等を示してもらいたいということです。  それで、次にお尋ねしますが、財務省の財務総合研究所は六月二十五日に、「日本型経営システム・再訪」という、こういう分厚い研究報告書を出しました。その中に旧通産省の産業政策を痛烈に批判をしております。我が国では通産省主導で産業育成に取り組んだ産業ほど失敗産業になっておる。ホンダに代表される通産省の指導に従わなかった民間企業ほど成功していると論破をしております。私は石油も同じだと思います。国の関与がなくなれば、民間に自由にやらせれば技術も進歩し、マネジメントも向上をする、国際競争力が付くものと私は確信をしております。  財務省は、私は一回、財務省は実りの秋のときにだけやってくる馬賊と言いましたけれども、これだけの報告を作るとは思いませんでしたね。こうなると、産業もやっぱり財務省が握っているということになりますよ、裏を返せば。だから、経済産業省が本当はこういうのをまとめて、そして自由競争を活況させる、そういう産業省になってもらいたい。  私は、ホンダの宗一郎さんが会社を立ち上げて間もなく銀色のオートバイを出すんですよ。ところが、これに通産省は反対をします、課がないからというところで。だから、本田さんは何回も通って、あの人はその課を設けさせて、あれからカラーコントロールという言葉がはやってくるんですよ、企業の中に。そして、あの銀色のオートバイが認められて、市場で、走るようになるんですね。  産業省がもう一つかんだのはタンクローリー。タンクローリーでガソリンスタンドまで運ぶ、日本の国内を移動する、このタンクローリーは通産省だと。運輸省はうちのだと、許可をやるのは。その論議をやった経緯があるんですよ。あくまでもタンクローリーは石油を運ぶんだから、これはパイプラインと一緒だから通産省が認可をしますと。こういうことを、常識外れなことを通産省がかんだ時代があるんです。  だから私は、案外規制ばっかりを強めてきたと、こう思いますから、ひとつこの点について、財務省のこの報告をいかに思われるか、大臣のお考えを。
  92. 平沼赳夫

    ○国務大臣(平沼赳夫君) 御指摘の報告書の内容は、財務省あるいは同省の財務総合政策研究所の公式な見解ではなくて、執筆した研究会メンバーの個人的見解であると私どもは理解をしております。当省として、私、大臣としても個々の研究者の学問的見解の妥当性についてコメントする立場にはございませんけれども、知る限りでは、同報告書において例示されているいわゆる失敗分野の産業政策の中には石油開発というものは含まれていないんではないかと、このように思っています。  御承知のように、石油開発事業というのは、これまでも繰り返し申し上げてきましたけれども、巨額の資金を必要とするリスクの高い事業でありまして、こうした事業におきまして経営基盤の脆弱な我が国の民間開発企業が、激しい国際ビジネスの中で、強力な財務基盤を有しまして高い競争力を有する欧米メジャーに伍して自主開発の実を上げていくためには、ある意味では国の責任において関係企業開発努力を支援していくことが妥当だと、こういう形で今までやってきたところであります。  本田技研の例もお出しをいただきました。それからまた、石油太郎と異名を取った山下太郎さんのことも出されました。これはこれで非常に大きな歴史的に意味のあることだったと思っています。しかし、石油の山下太郎さんがああいうサウジアラビアの油田を一発で掘り当てた、そしてもうあと何も余力の資金がなかったと。しかし、非常に努力をして、そしてアラブのあるいはサウジアラビアのそういう担当者と心と心がつながって、そして私も「プロジェクトX」という番組でその真相も勉強させていただきましたけれども、ああいう経緯があったということも事実です。  そういうことも含めて、天然資源エネルギーに乏しい日本にとってはやはり国の後ろ盾というものがある意味では必要だと、それは実際に石油に携わっている業界の皆様方からの御意見もあったことも事実であります。そういう中で、私どもとしては、やっぱり健全な形で民間が育っていかなければいけない、それはおっしゃるとおりだと思います。  そういう形で、今回お願いしているこの法案におきましては特殊会社を五年以内と、こういう御指摘がございましたけれども、それは一つ、私は努力目標だと思います。でき得る限り早く完全民営化をする、そういう中で、やっぱり中核的な企業グループというものを私は既存のそういう石油業界のそういったところも巻き込んで、そして民間の活力を導入しながら、私どもとしてはその中核的企業群というのは、言葉を換えて言えば、私の言葉で言うと和製メジャーということになりますけれども、そういったものも視野に入れて実はこの法律案をお願いしている。  本当におっしゃる意味は、私はそのとおりだと思いますし、いろんな失敗、紆余曲折がございましたけれども、そういう上に立って、私どもとしては民間の活力をなるべく生かすと、こういう方向を目指しているということも御理解をいただければと、このように思っています。
  93. 本田良一

    ○本田良一君 もう時間が来ました。  今、質問を終結するに当たりまして、大臣の答弁は本当に一つの決意を述べていただきましたので、これでひとつ私の質問は終結します。  ありがとうございました。
  94. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 民主党・新緑風会の若林でございます。  引き続き質問をさせていただきたいと思いますが、必ずしも本田委員の質問の流れに沿わないかもしれませんけれども、まず原則、基本的なことに立ち返ってお伺いしたいなというふうに思います。  まず、独立行政法人化による効果についてお伺いしたいと思います。  今回、金属鉱業事業団と石油公団が一体化され、新しい独立行政法人になるということでございまして、基本的な機能というのは基本的には受け継いでいくということになろうかなというふうに思いますけれども、組織が変わればこれまでの問題点が解決するということでは私は必ずしもないんではないかなという感じがします。  そういう意味では、これまでと比較して、独立行政法人化になると何が違い何が変わっていくのか、あるいは減免付融資は置かないというお話もありましたし、融資は置かないということになりましたけれども、債務保証を残した枠組みであれば基本的には何も変わらないんではないかなというふうに思いますが、この辺について、何が具体的に変わるのか、お答えいただきたいなと思うんです。
  95. 古屋圭司

    ○副大臣(古屋圭司君) お答えをさせていただきます。  金探と石油公団が今度合体をして新しく独立行政法人になりますけれども、まずは独立行政法人になることによって何が変わるかということは、まず法人の自主裁量権、裁量性というものが非常に高まります。一方で、業績評価委員会等ができまして評価をいたしますので、業績評価をベースといたしました役員の給与査定であるとか、場合によっては、業績評価が好ましくない結果が出た場合には解任等が行われるということになろうというふうに私ども考えております。  そういった意味から、今度、両団体が、金探と石油公団が合体をすることによって、まずより効率的な情報収集、それからより機動的な具体的なプロジェクトの支援、そしてもう一つ一番大切だと思うのは、やはり経営者意識の向上を背景といたしまして厳正なプロジェクトの選別というものが行われていくということを私ども期待をいたしておるわけでございます。  また、債務保証を残すということでございますけれども、実際に石油開発段階におきましては多額な資金を必要といたしますので、やはり石油会社が市中の金融機関からだけ調達するということではなかなか厳しいということもございます。また、産油国側の事情等々もありまして、やはり戦略的な見地からこの機能というものが必要でございまして、引き続き実施することといたしております。  ただ、申し上げるまでもなく、その運営に当たっては厳正に選別をして厳格な運営をしていくということはもう申し上げるまでもないことでございます。
  96. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 その関連でお伺いしたいんですけれども、融資と債務保証というのは実態的には余り変わらないんじゃないかなと。やっぱり債務保証するというのは、実際に融資をしないとしても、政府系金融機関等様々ありますし、債務保証を実際にするんであれば、融資をするということと何が具体的に変わるのかということについて、ちょっと付け加えて、もし分かればお教えいただきたいと思いますが。
  97. 古屋圭司

    ○副大臣(古屋圭司君) 探鉱段階にかかわる債務保証機能を持たせた理由でございますけれども、まず、石油ガス等の開発にかかわる承認を得るに際しましては、産油国側から一まとめの事業として探鉱活動等を併せて行うということを指示される場合がございまして、探鉱段階と開発段階が並行して行われるケースというのがございます。こういうような場合には、やはり石油開発会社がその当該の資金をも併せて円滑に調達できるように、探鉱段階にかかわる債務保証においても独立行政法人機能として規定をさせていただいているところでございます。  ただ、探鉱段階においては、保証料や金利の負担が大きくなる等の理由によりまして、債務保証よりも実際には出資により資金手当てが行われるというのが通常のようでございます。  一方で、この減免付融資につきましては、リスクマネーそのものを供給するものでありましたけれども、しかし、本来返すべき融資という形を取りながら減免もあり得るという制度の運用に当たりましては、これは前回にも平沼大臣からも答弁をさせていただきましたけれども、種々反省すべき点があったというふうに考えておりまして、それともう一つは、やはり主体であるべき民間事業者の経営責任の所在というものがあいまいになるということもございまして、今回の改革で減免付融資につきましては廃止という方向を決めさせていただいたということでございます。
  98. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 ありがとうございました。  その今の、反省の上に云々ということがありましたけれども、債務保証におけるこれまでの御経験なり反省というものがどういうものなのかということについてお伺いしたいというふうに思います。  大臣の御答弁にも、安易な形で債務保証が行われないようこれまでの経験に照らしてしっかりとした反省の上に立ってやらなければならない、その辺を担保していかなければならないという御答弁があったわけですが、具体的に、経験や反省に立ってというが、その具体的な中身はどういうものなのか。あえて言えば、これまで悪かった出融資や債務保証の例を挙げるとしたらどういうものがあるか、お答えいただければなというふうに思います。
  99. 平沼赳夫

    ○国務大臣(平沼赳夫君) お答えさせていただきます。  プロジェクトに対する債務保証を行うに当たりましては、採算性やこれに基づく償還確実性などについて十分な審査評価を行うことが必要だと思っております。その意味では、正に出資案件の採択の際に行うべき案件の厳選、すなわち政策重要性採算性の評価と同様の観点からのチェックが債務保証についても私どもは必要と考えます。  なお、具体的な対策といたしまして、案件の採択の際に十分な評価を行うことはもとより、資源機構が行う債務保証に関しましては、法律上も保証を行うための信用基金を設けまして、かかる基金の金額に基づき保証総額の限度を設ける仕組みを導入しよう、こういうふうに思っているわけでございます。  例を挙げるとどういうものがあるか、こういうお尋ねでございますが、結果として、石油公団の損失として計上されたうち最大級のものとしましては日中石油開発株式会社というナショナルプロジェクトの例があります。同社は二〇〇一年三月に会社の整理を実施をいたしましたが、本件に係る石油公団の損失額は一千五百四十六億に上りました。  ナショナルプロジェクトは、第一次及び第二次石油危機前後の極めて緊迫した石油情勢の中で石油安定供給確保のために官民を挙げて取り組んだものでありまして、自主開発原油確保の面で一定の成果を上げるとともに、産油国との関係強化にも大きく貢献した面もあったわけであります。  しかし、一九八六年以降の原油価格の大幅な下落、そして同時に進行した円高によりまして経営困難に直面し、また多数の民間株主の参加と、会社運営に責任を負うべき幹事会社が不在であった、そういうことから経営困難を招いた、こういう指摘がなされているところでございまして、こういった例があるわけでございまして、このような事例を反省の材料といたしまして、現在、プロジェクトの採択に当たってはメジャーが採用している手法の一つでございます定量的評価を導入をし、資源の賦存状況でございますとか経済性等につきまして総合的に審査を行っていかなければならない、こういうふうに思っているところでございます。
  100. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 一千五百を超える相当の額ですので、これをレッスンとして、これを生かして、しっかりとした債務保証というものが必要なのかというふうに思いますが、その関連で、今回の法律の第十一条第四項におきまして、「債務の保証は、当該保証に係る債務の履行が確実であると認められる場合に限り、行うよう努めるものとする。」ということでありますが、政省令等で何らかの具体的な基準を決めるのかどうかについてお伺いしたいなというふうに思います。  「債務の履行が確実であると認められる場合」というのは、これは当たり前過ぎて当たり前なんですけれども、更にそれを文言に書いて、「行うよう努めるものとする。」という、何で、行うようにするというふうに書けばそれまでなんですが、更に努めるようにするということは、行うことはやっぱり難しいということの一つの表れじゃないかなというふうに私は思うところでございます。なぜこの当たり前のことを書く、それが努力基準に、こういうふうになっているということで分からないところがあるんですが、やっぱり最低限の責任を明らかにするためにも何らかの具体的な基準を示すことが必要ではないかなというふうに思いますが、その辺についてお伺いしたいと思います。
  101. 河野博文

    政府参考人(河野博文君) この債務保証の健全性を確保するための手だてでございますが、必要性についてはるる、今、大臣、副大臣から御説明を申し上げさせていただいたところでございます。  おっしゃるように、この十一条第四項では「債務の履行が確実であると認められる場合に限り、行うよう努める」という努力義務を課しているということでございまして、やはり採算性の評価を厳格に行うとの規範を法律上明確にしたものだというふうに私どもは理解しております。  これはこれから申し上げるようなことで実現していかなければならないわけですけれども、同様に、法律上、先ほど大臣も御紹介いたしましたように、この法律には保証基金の規定がございます。保証総額については政令において基金の一定倍数を限度とするというような規定を設けておりますので、そこでトータルとしての債務保証の規律を働かせることになります。これは現在は石油公団の業務方法書上等で行われていることでございますので、法律上、より明確な措置を取るということだと思います。  次に、支援割合でございますけれども、これは五割とするという特殊法人等整理合理化計画がございますので、五割にいたします。したがいまして、従来に比べれば、民間側としてやはりリスク評価を厳格に行って損失を最小限にしなければいけない、あるいは採算性の十分あるものに集中しなければいけないという一つの自己規律を働かせるインセンティブになるというふうに思います。  さらに、プロジェクトの選定についてでございますが、具体的な基準とおっしゃられますとなかなか難しい点がございますけれども、やはりその採択案件の評価システムについて、先ほど大臣も御紹介させていただきましたような、既にメジャーでは取り入れ、改革後の公団においても現在実施されております定量的な評価、こういったものを厳格に運用していくということも重要でございますし、また、いわゆるエネルギー政策上重要な案件かどうか、例えば中東案件か非中東案件かとか、あるいは規模の大きさから見て自主開発原油として非常に意味あるか否かとか、あるいは天然ガスであるとか、そういったことについてこれは極力中期目標あるいは中期計画の段階で明らかにして、それを最終的には、独立行政法人でございますので事後評価を行うというようなことを通じて厳しくチェックする、そういう仕組みが働くというふうに考えております。  こうした制度の整備、そして運用の改善を通じまして、この機構の行います債務保証業務の安定的な遂行を確保し、国として必要な機能は維持しながら、開発対象プロジェクトの厳選、そして官民の適切なリスク分担を図ってまいりたい、このように考えているところでございます。
  102. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 具体的なガイドラインのようなものはないということですね。  その上で、やっぱり恣意的に運用されないようにとは思うんですが、具体的にだれがどのように判断されるんでしょうか、これは。債務の履行が確実であると認められる場合の判断というのはだれがされるんでしょう。
  103. 河野博文

    政府参考人(河野博文君) これは独立行政法人の長が基本的には決定をするということになります。  ただし、この独立行政法人の長が判断するにはまず中期目標の指示が国からあるわけでございますし、また中期計画について国に提出をするというプロセスがございます。更には予算の段階、そして出資金といいますか交付金といいますか、こういったものを交付する段階などでそれぞれ政府としては一定の関与がまたあり得るというふうに考えております。
  104. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 その関係で、政府としての、監督側の審査監督能力がどうなのかということについてお伺いしたいなというふうに思います。これまでできないものがいきなり、これも監督庁に、監督側にその能力が生まれるかどうかということについてお伺いしたいと思います。  今回は経済産業省におきましても中期的な方針を明示して、それを受けて中期計画を提示して行政評価委員会の中でそれを評価していく、最終的にはそれを監督庁が評価審査をするわけですよね。そういう意味では、何ゆえに独立行政法人になったからといって監督官庁側に急に審査監督能力が生まれるのかについてお伺いしたいなというふうに思います。
  105. 河野博文

    政府参考人(河野博文君) 石油公団の改革以来、経済産業省として石油公団の業務について従来にも増して注意深く監督をしてまいったという気持ちでございます。ただ、独立行政法人になった場合には、今、先生おっしゃいましたように、三年ないし五年の間の中期目標を定めて、これに沿って業務が行われるわけでございますが、その業務運営につきましては独立行政法人評価委員会の、言わば第三者委員会でございます、これの業績評価を毎年度あるいは中期目標の終了後に受けるということになるわけでございます。  既に経済産業省におきましては、独立行政法人評価委員会を設けた実績があるわけでございますけれども、こうした委員会におきましては、行政組織あるいは企業経営、会計監査、こういった分野での方の学識経験を有する方々を委員に委嘱させていただいておりまして、言わば厳格な第三者評価確保されておりますので、厳格なる評価が行われるというふうに考えております。  また、そして制度上、この業績評価の結果、不十分と判断されるような業務運営であったという場合には、役員の給与への影響、あるいは交代までも求め得るというシステムがこの独立行政法人制度でございます。
  106. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 元々監督官庁側である経産省に審査監督能力があればまた事態はとっくに変わっていたんじゃないかなという感じがしますが、組織ができたからといって審査監督能力が必ずしもそれは生まれるとは限らないのではないかなというふうに思いますが、次の質問に移りたいと思います。  改めて天下りと組織の在り方についてお伺いしたいというふうに思います。  今回の石油公団廃止法案においてもこれまで様々もう議論がされてきてはいるんですけれども、やはりそれだけ私は大きな問題ではないかなというふうに思います。今の公務員システム上においては、ある年齢になるとほかに働く場所を探さなきゃいけないということはもちろん理解できるわけです。関連した組織から能力のある人がそれなりのポストに就くというのはむしろ逆に必要なことではないか、その組織にとって必要であれば必要なことじゃないかなというふうに思いますが、今はどちらかというと、もう完全に既得権のようにあるポストが決まっていて、そこに人が順繰り順繰りほかのある決まった省庁から来るということ自体が私は完全に組織の硬直化を招いているんではないかなというふうに思います。  本当に組織の経営を考えるのであれば、そのふさわしい人を送るということが経営の基本中の基本なんですよ、本当は。私も民間企業にいたから分かるんですけれども、どんな経営方針も、その内容よりも、どういう人をそこに就けるかによってその方針が本気なのかどうかというのはこれは分かるんです、これは。中で働いている人から見れば、せっかく頑張ってやっているにもかかわらず、ほかから常に同じようなポストに常に同じ省庁から人が来るということの中で、働くときにその人のやりがいとか生きがいがどうなのかということを本当に考えれば、組織の人の在り方というのはおのずとしてやっぱり答えが見えてくるんではないか。  そういう意味での基本中の基本に考えたときに、天下りそのものを自動的な既得権益の上に成り立つ人事処遇システムというのは、やはり根本的に私は見直すべきではないかという感じがしているわけでございます。トップはお飾りにすぎないんだということにするんであれば、なおさらのことそれはもう無駄なことでありますので、本当の意味で役職員の適切な登用、評価、そして処遇がやっぱり必要ではないかなというふうに思います。  その上で質問をさせていただきますが、これまで、現役員で結構なんですが、石油公団へ天下りした現役員の選任事由、そして具体的な担当業務、そして振り返ってみて、石油公団への天下りのうち適材適所でなかったと思われる人材がいるのかどうか、お答えいただければ有り難いなというふうに思います。ちょっと答えにくい質問かもしれませんけれども。
  107. 大島慶久

    ○副大臣大島慶久君) 先生のお考えは極めてノーマルだと思いますので、実に答弁しにくいお答えでございますけれども、質問の趣旨を真っ正面からとらえれば事務的にはこんなお答えになるんじゃないかということで御答弁を申し上げたいと思います。  現在、公団には国家公務員の経験者が四名在職をいたしておりまして、これも当然、当たり前じゃないかというお答えになりますけれども、そういった公団の業務の性格に照らして、個人としての経験を評価しながら、累次の閣議決定等に基づきまして、所要の手続に従い、適正に任命が行われていると、こういうふうにお答えをさせていただきたいと思いますが、今の具体的な先生の御質問もございましたので少し触れてみますけれども、総裁につきましては、資源エネルギーに関する豊かな行政経験のほか、民間企業役員も務めた経歴、こういったことも着目をいたしまして、公団全体の業務を総理するのに適切と判断をいたしております。  そして、監事につきましても、資源エネルギーに関する行政経験と公団への出向経験に着目をいたしまして、経済産業大臣が適切だと思う方を任命をいたしております。  副総裁でございますけれども、予算、税制等の行政経験あるいは組織の統括的な業務経験に着目をいたしております。  総務担当理事につきましては、これも同じようなことでございますけれども、資源エネルギーに関する行政経験に着目をいたしまして、総裁の補佐をする、あるいは総務部担当としての適切な人材と判断し、総裁が任命したものと我々は認識をいたしております。  この四人を含めまして、これまで公団役員に就任いたしました国家公務員経験者につきましては、それぞれの時点で、過去の経験等を踏まえ適切な配置が行われ、与えられた責務を着実に果たしてこられたというふうに考えておりますけれども、今後とも、これらの方々がしっかりと職務というものを認識をされ、その責任を果たされるよう、我々といたしましても厳しく監督をしてまいりたいと、このように思うところでございます。
  108. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 質問の二つ目なんですけれども、適材適所ではなかったと思われる人材はいたんでしょうか、いなかったんでしょうか。
  109. 大島慶久

    ○副大臣大島慶久君) 白々しいと思ってお聞きをいただかない方がいいんですけれども、適材適所ですね、きちっと職務を果たされたものと私どもは理解をいたしております。
  110. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 適材適所でなかった人材はいないというんだったら、もうそもそもこの天下り、別に見直す必要はないわけで、これまでどおりやられたらいいんじゃないかなというふうに思いますが、御答弁の中にこれからはそういうものは見直していきたいということはあったということの裏返しは、適材適所でなかった人も人材でいるという逆に御答弁ではないかなというふうに思いますけれども、それ以上はもうお伺いしませんので、その上で、これからどうするんだというお話なんですけれども、やっぱりルール作りというものが必要じゃないかというふうに私は個人的に思います。  聞くところによると、人事院の承認基準みたいなものがあるんですかね。むしろ、そういうものがあるんだったら、きちっとやっぱり法律で明記しても私はいいんではないかなというふうに思いますが、これから作るのか、どういうおつもりなのかについて少しお伺いしたいなというふうに思います。これは大臣ですか。
  111. 平沼赳夫

    ○国務大臣(平沼赳夫君) 公務員の再就職につきましては、天下りにつきましては渡り等のそういう問題もございまして、国民の批判が非常に大きくなっております。こういった国民皆様方の批判というものは真摯に受け止めなければならないと思っております。    〔理事加藤紀文君退席、委員長着席〕  行政が国民の負託にこたえての役割を果たしていく上で、公務員の人事制度全体の設計がいかにあるべきかという観点から考えることも私は必要じゃないかと思っています。すなわち、我が国が高齢化社会を迎えているその中で、政府におきましても、中高齢者の人材活用を図っていくことも必要でありますが、政策立案の質が国際的にも厳しく問われる中で、政策企画部門で人材の流動性を高めて、機動的な人事戦略を実現する観点からは、ただ公務員の再就職の道を閉ざすだけではなくて、おっしゃるように適切なルールの下で自らの能力を社会で生かしていく道が開かれていることが私どもは必要じゃないかと思っています。そういう意味で、若林議員御指摘のように、再就職についてのルールは厳格かつ明確であることが私は必要だと思っています。  こうした観点から、例えば営利企業への再就職に係る承認基準につきましては、公務員制度改革大綱において、内閣の責任において今後政令で定める制度に移行することとされているところであります。あわせて、こうした事前の承認ルールを補完する事後規制といたしまして、営利企業に就職した公務員について新たに再就職後の行為規制を導入するとともに、その実効性を担保するために、違反行為に対する罰則等の制裁措置、これも導入することになっております。特殊法人等への再就職につきましても、既に実施された退職金の削減及び総裁等の任命に当たっては閣議人事検討会議の対象とすること等、新たなルールも決定されたところでございます。  もとより、公務員の再就職につきましては、事柄の性格上、我が省独自のルールではなくて内閣において統一のルールが厳格かつ明確に作られるものであると承知をしておりまして、経済産業省といたしましても、そのルールの確立に協力をし、作られたルールにつきましては、その精神というのを十分に理解して遵守をしていかなければならない、このように思っているところであります。
  112. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 非常に力強い前向きな御発言がありましたので、是非、厳正厳格なルール作り、作っていただいて、それを運用していただきたいなというふうに思います。  そのほかでちょっと気になっていることだけ申し上げますと、今、石油公団の総裁は経済産業省出身の方だというふうに思います。それはさておきましても、監事の方も経済産業省ですよね。監事というのは普通の会社に置き換えれば監査役ですから、正に経営を一番監視しなきゃいけない役割の人が同じ経済産業省から出ているということ自体が、私は非常に人事の配置としては問題があるんではないかなというふうに思います。  アメリカでも、エンロン、ワールドコム、様々な不正経理の問題等もありまして、内部監査というのは、今商法上からもどんどん外部監査がやっぱり入るような形になっているときに、経済産業省でいえば、部下の者が同じ監査役でいるということ自体が、私はどう見ても人事的にはやっぱりおかしいんではないかなというふうに思いますけれども、何ゆえにこの監事を同じ通産省の方から出されたのか、その必要性があったのか、お答えいただきたいなというふうに思います。
  113. 河野博文

    政府参考人(河野博文君) 個々の役員の選任につきましては、先ほど大島大臣から御答弁申し上げましたように、現在の監事につきましては、過去の資源エネルギー行政の経験と、そして石油公団への出向経験があって業務についての知識が豊富であるということが選任の理由であったというふうに理解をしております。そして、その役職の義務でございますけれども、御指摘のように石油公団業務執行あるいは財産状況を検査し、正否を調べる必要があると認めるときは総裁あるいは経済産業大臣意見を提出することができるということでございまして、この職責を果たしていただいているものと考えております。  なお、石油公団は、御案内のように外部監査も受ける仕組みになっておりまして、企業会計と同様の監査をほぼ受けております。そういった意味での会計の透明性は確保するように措置をしてきているというふうに思っております。  いずれにせよ、御指摘のように職務遂行上、当省の先輩あるいは後輩であったということで左右されることがあってはならないというふうに肝に銘じております。
  114. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 あってはならないのは当然のことですけれども、それでもやっぱりそういう仲間意識が生まれがちなのがやっぱり人間ですから、そういう可能性を少しでも排除するやっぱり人事、そのために外部監査が必要だということで商法の流れもなっているという、そのことはやっぱり現実として見ておかなければいけないんではないかなという感じがしております。  次に、少し退職金等のお話も伺いたかったんですが、時間がありませんので、少し新しい組織での役職員の概要についてお伺いしたいなというふうに思います。少し、三、四問飛ばさせていただいておりますので。  具体的な質問は、今回は石油公団と金属鉱業事業団が合併し新しい一つの独立法人になるということでございますので、具体的にそれぞれの役職員数、そして両公団が一緒になることによって、類似している業務というのはいろいろあるんですが、そこで重なっている人数が具体的にどのぐらいいるのか、そして今度は、石油公団が融資業務をされているわけですけれども、それがなくなるという意味では、それを担当している役職員の数というのはどれくらいいらっしゃるのか、合わせて三つお答えいただきたいなというふうに思いますが、これは。
  115. 河野博文

    政府参考人(河野博文君) 現在の石油公団役員数は十名、そして職員数が三百五十六名、御承知のとおりでございます。金属鉱業事業団の役員数は七名、職員数は百八十九名でございます。統合後の独立行政法人役員数は十名ということに法律上させていただいております。  そこで、その類似の業務を担当している役職員数がどうかということでございますが、なかなかお答えが難しいわけでございますけれども、一応その両法人の業務を類型化いたしますと、開発業務という点、備蓄業務という点、それから総務・経理業務、これらは実は比較的類似といいますか、類似性のある業務であります。そして、そのほかに鉱害防止業務というのがございまして、これは金属鉱業事業団のみが行っている業務でございます。この金属鉱業事業団のみが行っているこの業務に携わる役職員数は合計で四十八名ということになりまして、その他の業務については何らかの共通性があるとは思います。  これをどのように改組していくかというのは、先ほど御紹介したこの十名と七名の役員、それぞれの職員数を合体し、かつ、独立行政法人の誕生後の石油公団にも一定の人数、役職員が残りますので、それらを差し引いて、どのように構成していくかは今後の課題でございます。  もちろん、累次申し上げておりますように、共通的な業務がございますから、統合によってシナジー効果とか効率化を期待しているわけでございますけれども、また他方、両法人の業務を一律に、共通なので半分で済むというわけにはまいらないという面もございます。  それから、融資の点についてでございますけれども、これは、従来一般的に行われてまいりました方式は、民間が三割出資をいたし、そして石油公団はそれにマッチングするような三割の出資をし、そして残りの不足分の四割を融資で賄ってきたというふうに一般論を申し上げてきたわけですけれども、これは言ってみれば出資と融資に、あるいはその後の債務保証について、プロジェクト支援という一貫した業務の中でやっておりますので、融資がなくなるということでもちろん一定の、何といいますか、作業量は減る面はもちろんあると思うんですけれども、プロジェクトの評価という側面からいえば、融資がなくなったので全体としてその融資関係の人がなくなるというよりは、プロジェクト評価としての組織なり陣営が必要であるという点が残っているというふうに思っております。
  116. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 大体、今この場で具体的にというのは難しいというふうに思いますけれども、もう少し具体的に、今度特殊会社ができますよね。独立行政法人に行って、さらにそれにかかわらない融資業務の人がどういう形で行くか、具体的にもう少し、新しい組織での具体的な人数の配置のイメージというのがあるんでしょうか、お伺いしたいんですが。
  117. 河野博文

    政府参考人(河野博文君) 一年九か月程度の後に独立行政が発足するわけでございますけれども、この組織としての機構は現在検討中でございます。その際、例えば総務、経理など、本当の共通部分について恐らくその合理化の余地はあるだろうと思います。他方、昨年末の整理合理化計画の中では雇用にも適切な配慮をしながら進めるべしという趣旨の決定も含まれておりまして、そういった合理化をどういうテンポで具体化していくかは、もうしばらくより具体的な検討に時間をいただきたいというふうに思っております。
  118. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 分かりました。現時点ではなかなかそこまで具体的に述べるというのは難しいと思います。  統合したからには、ある意味でのリストラクチャリングの効果も出さなきゃいけないと思います。一方、やはり働いている人の雇用というところの配慮というのもまた必要ではないかなというふうに思いますので、そういう面も含めて今後御検討いただきたいなというふうに思っているところでございます。  続きまして、最後、備蓄会社についてちょっとお伺いしたいというふうに思います。  今日、午前中の参考人意見陳述においても備蓄会社のことが言われておりました。私も不思議に思うんですが、備蓄というのは必要なんですけれども、仮に八つも本当にそれぞれ会社として独立にすることが必要だったのかどうか。今日の舘澤参考人によれば、もうとてもじゃないけれどもそれは必要ないというお話もありましたけれども、この辺については、必要だった理由についてお答えいただきたいと思います。  今日も、会社が東京に本社ということで、一つだけですか、移ったということがありましたけれども、やはりそれぞれの組織があれば当然役員を置き、同じような部門を置かなきゃいけないという意味では、どう見てもそこは不合理だというふうに思いますが、何ゆえに八社を別法人で置く必要があったのかどうか、お答えいただければというふうに思います。
  119. 古屋圭司

    ○副大臣(古屋圭司君) お答えさせていただきます。  国家備蓄事業は、もう御承知のように、第一次、第二次オイルショックの後、昭和五十三年から順次国家備蓄事業を始めたわけでございますけれども、当時の状況は、やはり国家備蓄基地建設のためには広大な土地をまず取得しなくてはいけない、そして原油、ある意味でこれは危険物の指定をされておりますので、それを貯蔵する巨大なタンクが必要でございまして、こういうふうになりますと、どうしても立地地域には多分にセンシティブな問題もございますので、やはり立地地点ごとに地元との円滑な協力関係を確保するということが必要でございました。そういうこともありまして、それぞれの会社ができたということでございます。  また、当該立地地点において、その事業経験を有する民間企業から石油備蓄事業に不可欠な人材であるとか技術だとかノウハウの提供を得ながら基地の建設、運営を進める、こういうことが適切だろうということで、当初はどうしても分けざるを得なかったということだと思います。  ただ、今後は国備会社がもう一括して所有することになりますので、そしてオペレーションというのは民間に委託をするということになりますので、これは民の論理で、効率性という視点から、これは例えば一社に将来オペレーション会社がなっていくということも可能性としては私は否定できないと思いますし、いかに効率性ということと全体のバランスというものを考えて運営をしていくかということにつながると思います。  したがいまして、将来的にはそうでございますが、当時としてはどうしてもそうやって分けなくてはいけない事情もあったということは事実でございますけれども、やはり将来的にはそういう方向になるということで、ひとつ御理解をいただきたいと思います。
  120. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 当時はという言葉も付きましたけれども、現時点においては少なくとも八社も分けて、それぞれオフィスを独自に持って、それぞれ役職員を置いてやるということは、どう見ても合理的ではないというふうに思いますので、それも後ほどお伺いしようと思ったんですが、その前に、ちょっとこれまでの事実関係としてどうかなと思ったのは備蓄会社への交付金の算定基準でございます。  とりわけ備蓄会社というところに対して基地施設使用料ということで払ってはいるんですが、例えば白島石油備蓄会社ですか、もう飛び抜けて支払料が多いんですよね。これは建設費用に掛かったというのは恐らく想像が付くんですけれども、そもそもやっぱり基地施設使用料というのは基本的には私は一キロリットル当たりどのぐらいかというような適正な基準があって払うべきであって、そこに建設費用までぶち込んでやるというのは私はやはりおかしいんではないかなというふうに思います。掛かったら掛かった費用分だけ使用料で上乗せしてあるから後頼むよということでは、やっぱり経営努力へのインセンティブがもう全く私は働かないんではないかな、もう少しやはり透明感のあるきちっとした施設使用料というものがやっぱり必要ではなかったかというふうに思いますが、その辺についてお伺いしたいと思います。
  121. 河野博文

    政府参考人(河野博文君) 国家備蓄基地は比較的短期間の間に大規模な施設を造っていかなければいけない、しかし石油税という財源は当然のことながら毎年一定規模の歳入であると、ほぼですね。そういう状況の中で国家備蓄基地は基本的には借入金で建設をしてきたわけでございます。したがって、いずれにせよ国家備蓄でございますから、合理化のことを全く否定して申し上げているんではないんですけれども、掛かります費用は国が負担するしかないわけでございまして、この減価償却の費用も含めて、あるいはそれが結局還流して、石油公団がお金を貸しておりますから返済に回るわけですけれども、それも含めて使用料として払っているという実態がございます。そして、減価償却が進みますと借入金も減ってまいりますし、償却費自身も減ってまいりますから、それに応じて使用料自身も減少してくるということがございます。  白島の例、先生お出しになりましたけれども、確かに当初のもくろみよりも非常な、災害の罹災ということもありまして非常に大きな規模の金額が掛かりました。また完成も遅れたわけでございまして、したがって、現時点で切ってみますと、減価償却に見合う費用、あるいは減価償却が終わっていないことに伴う公租公課、こういった負担が相当規模に上りますので、他と比べてみますと、その費用、単年度の費用としては大きな使用料を払うということになっているのでございます。  しかし、減価償却については、そういう意味ではやや当初掛かったコストを機械的に償却していくことになるわけですけれども、それ以外の人件費あるいは運転のための経費、あるいは修繕補修費、こういったものは、もちろん必要最小限のものはございますけれども、一定の、何といいますか、合理化というか、効率化努力の余地があるわけでございまして、私どももこういった点に着目して努力をさせていただいているわけですけれども、じゃ具体的にどんなことがあるかということを一部御紹介させていただきますと、基地ごとに実際にやってみますと、こういった共通的な一般管理あるいは人件費などをトータルいたしました運転経費、修繕補修費なども単価が違うことが分かります。これを一定の分析を行いまして標準化を図るということで、ある年度でその標準を上回るコストの基地は次の年には全国の一定の算定いたしました標準以上の単価は払いませんよというようなことを実施をしているというようなことなどが御紹介できると思います。  そういったことを通じまして、効率化あるいは利用料の削減という努力はいたしておりまして、平成七年度から十三年度の六年間の累計としては八十三億円程度の削減を実現したということでございます。
  122. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 その上で今後ということなんですが、民間操業サービス会社は一社云々というお話も古屋副大臣からお話があったんですが、具体的にどういう選定方法で民間操業サービス会社を選ぶのか。そしてまた、委託費の算定基準、これまでのような考え方を踏襲してそこに乗っけるのかどうか。併せて二つ、最後にお伺いしたいと思います。  これで終わります。
  123. 河野博文

    政府参考人(河野博文君) まず、選定方法あるいは契約方法は、先ほど副大臣からも御答弁申し上げましたように、今回の改革によりまして国家備蓄会社廃止をいたしまして純粋の民間資本の操業会社が誕生することになると思いまして、それが一社になるのか、あるいは地点別の会社なのか、あるいは部分的な統合のような形をとるのか、その辺不透明でございます。その形態を見ながらどういう契約形態があり得るのかを検討させていただきたいというふうに思っております。  そこで、その後、どういう経費の計算をするかということでございますけれども、今後は施設、油、いずれも国直轄ということでございますので、国のものになるわけでございまして、それに伴う負債も国が引き受けますから、今までのような減価償却という部分は交付金で支払っていく必要はなく、むしろ国が借金を返済していくことが必要になります。  したがいまして、先ほど申し上げたような、運転にかかわるような部分の経費が主として独立行政法人を通じて委託をするということの経費になろうかと思いますけれども、これについては、先ほど申し上げたような形で各基地ごとの一定の実績はあるけれども、それの標準的なものを作るとか、あるいは実は基地ごとに今行っておりますのは、一定の標準単価で予算を組みますけれども、更に合理化が進めば、その一定部分についてはその企業として地元との関係で必要な福利厚生などに充てるというようなインセンティブを導入したりしております。  そういったような仕組みをこれからより入念に考えさせていただきたいというふうに思っております。
  124. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 終わります。
  125. 草川昭三

    草川昭三君 公明党の草川です。  いよいよ特殊法人等の合理化計画ということが実施をされることになりまして、本日、議題になっております石油公団法等の廃止になったわけでありますが、資源の乏しい日本として、主要なエネルギー源であるところの石油の安定的な供給あるいはその他エネルギー確保をする、そういう国家戦略というものが私やはり並行して議論がなかなか出ていないというところに一抹の不安というものを持ちながら、今日の質問をさせていただきたいと思うわけであります。  特に日本の場合は、石油輸入の依存量は九九・七%、これはドイツは九七・五%、フランスも同様に九七・九%でございますが、石油ということに限ってまいりますと、日本は五一・七、ドイツは四〇・一、フランスは三五・四、これは天然ガスだとか原子力等の差がこういう数字になってきておると思うのでございますが。  一つ基本的に、この法律の審議に当たって私自身も大変衝撃というんですか、勉強しなければいけないなと思ったのは、何といっても堀内元通産大臣が文芸春秋、これは昨年の十一月でございましたか、いろいろと指摘をされました。それで、これまでの石油公団がいかに経営的に問題があったか、プロジェクトについても失敗があったかというようなことを様々指摘をしておみえになりました。  多額の損失を出したわけでございますが、その損失の累計は約九千億、あるいはまた損金というんですか、これは約四千億にも及ぶのではないだろうかと触れられていたわけですが、今日の経済産業省として、この法案を提出するに当たりまして、先輩の、あえて先輩とこう申し上げるわけですが、どのように反省をし、今回の法案に具体的にどういうような点にその指摘が反映をされているのか、まず大臣にお伺いをしたいと思うのであります。  当然、大臣の方としては我が国だけじゃないよと、メジャーだって結構油の値段が下がったり、円高の問題、あるいはドルの上下によって、我が国だけじゃないよというような言い方もあるかも分かりませんが、そうではなくて、率直に私は堀内論文に対する反映点ということをお述べ願いたいと思います。
  126. 平沼赳夫

    ○国務大臣(平沼赳夫君) 堀内元通産大臣、今、自由民主党の現総務会長の指摘というのは我々も非常に傾聴に値するものだと、こういうふうに思っているところでございます。  御指摘のように、これまで石油公団というのは、平成十三年度末現在で三百社に出融資を行ってまいりました。これらの中には、所期の成果を上げることができなくて事業終結に至った会社がたくさんございまして、そういうところから、石油公団、平成十二年度決算におきましては、御指摘の四千億を超える四千二百十五億円の欠損金を計上するに至っております。  このような欠損金を計上するに至った背景といたしましては、これまでの石油公団の運営や財務面については、石油危機などを背景にしまして、自主開発原油の量的確保に重点を置く余り、資金の効率的運用に関して十分でない面があった、このことは事実だと思っております。  また、石油公団による探鉱投融資制度というのは巨額の財政資金をリスクマネーとして供給する制度であるにもかかわらず、その事業運営について国民に対する情報公開が必ずしも十分でなかった、この点も反省材料だったと思っています。  また、度々御指摘を受けておりますけれども、出資及び減免付融資を合計して原則として七割まで財政資金による支援が可能であったことから、主体であるべき民間事業者の経営責任の所在があいまいになるという面も否定できません。特に、本来返すべき融資という形態を取りながら、減免もあり得るという制度の運用に当たっては、これも種々反省すべき点があったと思っております。    〔委員長退席、理事加藤紀文君着席〕  こうした石油公団の財務、事業運営については、堀内元大臣から問題提起を受けまして、経済産業省としてもこれを率直に受け止めまして、石油公団再建検討委員会及び石油公団開発事業委員会において石油公団の業務運営について徹底的な見直しを行いまして、そこで指摘をされたほとんどの事項については着実に改革が進んでいるところでございます。  こうした反省を踏まえまして、今回設置法案を提出している独立行政法人におきましては、減免付融資を廃止するとともに、新規の出資債務保証については、当然のことでありますけれども、対象プロジェクトの厳選を図っていくほか、支援比率を五割までに限定をする。そこで、民間企業の責任をより明確化をしまして、そしてより効率的な実施に努めていかなければならない。  さらに、独立行政法人となることによって、再三御答弁させていただいておりますけれども、業績評価をベースとした役員の給与の査定でございますとか、場合によりましてはその成績次第では解任をする、こういった措置を取ることにいたしまして、そういった反省の上に立ってこうした対策を講じている、こういうことでございます。
  127. 草川昭三

    草川昭三君 今、今後はフォローアップをしっかりするという答弁でございましたが、これは本当に、当然のことながら、これで失敗をしたら大変なことになるわけでございますので、厳重な指導を求めたいと思います。  それで、二番目の質問になりますが、元々、公団の運営に当たっていわゆる石油税財源とする特別会計、いわゆる特会というものがあるわけであります。これはいわゆる第二の関税と言われる石油税というものが収入の大きな根拠になっておるわけですが、国際的に余りこういう例はないと、いや日本だけだと言う人もいるんですが、残念ながら、私は世界を全部調べておるわけじゃありませんが、余り例のない制度であることは事実だと思うんです。この石油税も、キロリッター当たり二千四十円という、非常にこれは高いわけですよ。LPGが六百七十円ですか、LNGが七百二十円、こういう形で収入を受けた特別会計ですが、これはいずれ、いずれというよりも現在でもかなり強い批判が出ておるわけですが、こういう特別会計というものは世論が承知をしなくなってきておると思うんです。この石油税を掛けた製品に対してまたそれぞれの税が掛けられるわけですから、よくメーカー辺りが二重課税じゃないかという宣伝をしておるところも根拠あるわけでございまして、この特別会計の制度について今後どうされるのか、大臣の見解をこれも求めたいと思います。
  128. 平沼赳夫

    ○国務大臣(平沼赳夫君) 石油特別会計は、環境保全や効率化の要請に対応しつつ、エネルギー安定供給を実現するというエネルギー政策の目標を実現するための施策を実施するため、受益者負担の原則の下に石油税等を財源として設置をされております。  現行の石油特別会計制度におきましては、もうよく御承知のことだと思いますが、一般会計に入った石油税収について必要額のみ石特会計に繰り入れられる制度となっております。また、社会経済情勢の変化を踏まえまして、例えば平成五年度に省エネルギー対策を追加するなど、累次にわたる法改正をいたしまして制度的見直しを行ってきております。さらに、歳出内容につきましても、近年のエネルギー環境制約の高まりを踏まえまして、省エネルギー対策でございますとか新エネルギー対策等のエネルギー環境対策の充実を図るなど見直しを行ってきているところでございます。  石油特別会計につきましては、石油公団廃止された場合にも、引き続き国として国家備蓄リスクマネー供給等を着実に実施していく必要があることに加え、現在、省エネ、新エネ対策の推進等にも幅広く活用されております。今後とも、安定供給確保と環境制約の対応等の観点から歳出需要が見込まれているところでございます。  以上のような観点から、当省といたしましては、国のエネルギー政策を着実に実施していく観点から、受益者負担の原則の下に引き続き石油特別会計を有効に活用していくことが必要だと考えておりまして、確かに国民皆様方がこの石油特別会計に対して厳しいそういう批判の目を持っておられるということも承知しておりますので、私どもとしては、今申し上げましたように、やっぱり二十一世紀は環境の時代、こういうふうに、いかに人間が環境を守っていくかということも大変大切なことでございますし、そのための省エネルギー、新エネルギー、そういったところにも私どもは活用させていただく、そういうことも通じて国民皆様方の御理解をいただきながら、透明性を持ってやっていかなければならない、このように思っております。
  129. 草川昭三

    草川昭三君 いつもよく問題になるんですが、道路特会なんかは非常に国民皆様に対して、この道路はガソリン税だとかいろいろとPRやっていますね。経済財政諮問会議の中でも、日本の国の財政構造に対して、特別会計の在り方というのは一体どうあるべきか、いわゆる本予算のみでは駄目ですよという、こういう議論が一方ではかなり深刻化してきておる。    〔理事加藤紀文君退席、委員長着席〕  そういう意味で私は今のようなことを申し上げたわけでございまして、大臣の答弁にありますように、それなりの使途あるいは要望、そういうものがあると思うんですけれども、この特会というものに対して私はいつまでも続かないよということだけを腹に据えて今後の運営を考えられた方がいいのではないかという、私なりのこれは意見であります。  それで、この特別会計の決算を見てみると、毎年非常に多額の繰越しなど、あるいは不用額が計上されております。この理由を是非聞かしていただきたいんですが、例えば平成九年には三千九百二十八億、平成十年には四千二百二十八億、十二年の決算では四千五百六十五億、それで十三年には下がりまして千六百七十五億、十四年は、今でございますが、千七百三十五ぐらいになるのではないかと言われておるんですが、この流れについてどうお考えになっておられるのか、お伺いしたいと思います。
  130. 大島慶久

    ○副大臣大島慶久君) 草川先生にお答えを申し上げます。  今、先生御指摘のとおり、石油特別会計の十二年度の決算におけます十三年度への繰越額、これは約千四百九十億円、そして不用額が約千七百億円、合計いたしまして三千二百億円、こういうふうになっていることは事実でございます。  そこで、繰越しについてでございますけれども、その主な内訳、今御質問に沿った内訳を申し上げますと、備蓄事業におきまして、緊急時における備蓄放出に備えて計上されている予算につきまして、当該年度に執行を要しなかったこと等により翌年度に繰越しされたものが約四百五十億円ございます。そして、探鉱投融資事業あるいは海外地質構造調査等の事業におきまして、鉱区取得の交渉、あるいは相手国との調整等に時間を要し、そして事業が遅延をいたしたもの、そういったことに関するものが約四百七十億円ございます。そして、天然ガスコジェネ等の新エネルギーの導入、あるいはクリーンエネルギー自動車の導入、省エネルギー設備の導入等への補助事業におきましても、事業者側の事業が進捗が遅延をいたしたもの等によりまして、約百四十億円となっております。  次に、不用額の主な内訳でございますけれども、備蓄事業において緊急時における備蓄放出に備えて計上してあった予算が執行を要しなかった、これに伴いまして民間会社からの石油タンク借上料、及び利子補給金の前提となる金利が予算計上額よりも実際に低かったことによるものが約六百億円、そして探鉱投融資等事業におきまして、当初の見込みよりプロジェクトの採択件数が減少したことによるものが約四百億円、更には各事業におきまして徹底的に節約を行うなど、予算の厳格な執行を行ったものによりますものが約二百九十億円となっております。  なお、不用額につきましては、翌々年度の予算上の歳入に再度全額計上されまして、毎年度フローの予算として循環しているものでございます。これは、備蓄事業における緊急時の放出、あるいは金利の変動、探鉱投融資事業における大型プロジェクトの採択や、採択件数の増加などの財政需要の可能性に備えてきたという面があることを御理解をいただきたいと存じます。  こうした中で、十四年度予算につきましては、石油公団向けの石油対策予算を圧縮するとともに、新エネ、省エネ対策の充実を図っているところでございまして、今後とも引き続き歳出の見直し等に努めてまいりたいと思っております。
  131. 草川昭三

    草川昭三君 特別会計、たくさんあると思いますが、今私がお伺いをしました石特は優良特会だと思うんですよ。だからねらわれているんじゃないですか。ですから、私はあえて言いませんけれども、今二千四十円ですか、キロリットル、これはちょっと高過ぎると思うんですよ。そういう財政状況に応じて低減を私はするというのも一つの姿勢だと思うんです。  確かに、今おっしゃるように緊急時に手配をしなきゃいかぬということは、当時スタートしたときからこれは分かっておることで、我々も理解をしますけれども、もし何らかの形があったときに、例えば国家備蓄をしている企業に対して、現金を持っていかなきゃ払いませんよなんという、そういう関係じゃないと思うんですよね。だから、それは必要なときには出してもらうわけですよ。その代わりに、タンカーで取りにいくのかあるいはパイプラインで取りにいくのかというような基本的なことも相手側に言っておかなきゃいかぬわけでしょう。そういうことがないまま二千四十円という形で膨らんでいくということの是非が、元々スタート時点に問題があったんではないかということを私はあえて申し上げておきたいと思うんです。  そこで、先ほど来からも他の委員からも出ておりますが、いわゆる国家備蓄の話になりますが、国家備蓄のコストを他の国と比較をしますと、非常に日本が高いということを指摘をせざるを得ないと思うんです。これはキロリットル当たりの比較を見てまいりますと、日本は年間約三千三百円です、キロリットル当たり。これに対してフランスでは約千円になります。ドイツでは約九百円という数字になります。アメリカでは約二百四十円というデータもあるわけでありますが、欧米諸国と比較して高いというその原因を一回これ、もうこの際、明らかにしておいてもらいたいと思うんです。  もちろん、洋上備蓄というものは物すごく金が掛かりますね。あるいは陸上備蓄もタンクの維持費にお金が掛かる。アメリカのように、昔、炭鉱の跡かどうか知りませんが、岩塩ですか、岩の穴があればそこにそのまま生の重油をほうり込むというようなことと比較をするというわけにはなかなかいかぬと思うんですが、それにしても私は、こういう平均値というんですか、明らかに単位当たりの差というものをいま少し真剣に考える必要があると思うんですが、その点、どうお考えですか。
  132. 河野博文

    政府参考人(河野博文君) 確かに、先生御指摘のとおり、各国の国家備蓄の保管コストを現在把握しております限りのデータと為替レートで比較いたしますと、おっしゃったような数字になると思います。  また、これも先生御自身おっしゃいましたように、我が国の備蓄コストが欧米諸国に比較して高い理由は、やはり欧米諸国においては、建設コストが少なくて済みます岩塩ドームの利用、あるいは減価償却が既に済んでおりますような古い民間タンクの存在、それの利用というようなものがあったのに比べまして、我が国におきましては、国家備蓄を開始した段階では既に民間企業には九十日の備蓄義務を課しておりましたので、そういった民間会社のタンクが不足しておりまして、新たにおっしゃいましたような様々な方式の国家備蓄基地を建設する必要があったという事情がございます。また、建設から時間の経過が十分でないものもありますので、減価償却負担が依然として大きいものもあるのはそのとおりでございます。  更に加えますと、欧米諸国に比べますと、耐震構造あるいは安全性重視ということで、タンクの建設コストも割高になっていると想像いたします。また、消防法等の規制も厳格でございますので、そういった保守のコストは割高になっているのではないかというふうに思いますけれども、他方におきまして、私どもできる限り効率的に備蓄事業を進めていくことは重要だというふうに思います。  そこで、コスト削減に取り組んできているところでございますけれども、具体的には民間の余剰タンクを有効に使うとか、国家備蓄会社については様々な御批判ございましたけれども、本社の地方移転も開始をしたところでございまして、そして規制緩和の実現によりまして消防法等の規制の対応も検査費用の軽減が図られるようになってきたということもございまして、平成八年度の予算は備蓄全体で三千四百十四億円でございまして、これがピークでございました。平成十四年度の予算ではこれが二千五百四億円というふうに減少してきておりますので、こういう効率化の努力をますます続けてまいりたいというふうに思っております。
  133. 草川昭三

    草川昭三君 これは、旧通産省の先輩の方々に文句を言わなければいけないことだと思うんですが、私は洋上備蓄というのは非常に危険だと思うんですよ。事実、かつて行われた白島の洋上備蓄の建設時には大変な大きな社会的な騒動がございまして、これはもう今から相当古い年月になるわけでありますが、国会でも取り上げられたことがありますし、俗に言う社会部だねのニュースになりました。何人かの現地では犯罪者もたしか出たはずであります。  それで、今から考えてみれば、北海道の苫東みたいなところがあるならば、もうこれは今更言っても始まりませんが、ああいうところにこそ国家備蓄をやってもいいし、あるいはまた、今全国各地に非常に、各地方自治体が建設をいたしましたところの工場団地の、まだまだ売れていない団地というのが山ほどあるわけですから、それを分散してそういうところにも備蓄をするということがあってもしかるべきではないか、あるいは各地域のコンビナートの中にも随分未利用地のコンビナートがあるわけですから、そういうものを思い切って漸次切り替えていくというような私は発想が国家備蓄にあってもいいのではないか、私はそんなような気がいたします。  それで、先ほども質問がございましたんですが、この国家備蓄会社が発注するエンジニアリング業務についての入札談合についての公取の勧告がございましたね。公取さんから答弁がありました。  それで、これは公取がメスを入れるのは当たり前だと思うんですが、単純な話でありますが、民間備蓄の場合はキロリットル当たり千九百八十三円ですよ。二千円割っているわけですよ、民間備蓄の場合は。それに対して、今この提案されているものを単純に割ってみると四千二百三十二円ですね、国家備蓄の方は。だから、それは公取は乗り出しますわ、一体どうなっているんだねと。それで話をすれば、調査をすれば正しく談合ではないか。  私はちょっと、今までの発言の方とちょっと私は違うんですよ。これは談合がいいとか悪いとかではなくて、いわゆる洋上備蓄であろうと陸上の備蓄であろうと、メンテナンス業務というのはこれは物すごいハイテクニック、高度な技術が要るということを理解してあげないといかぬということを私は言いたいんです。特に防爆装置、防爆というのは爆発を防止をする技術が要るわけですから、下手をする場合に作業員は全部足袋を履いて入るんです、靴を履くことによって火花が出る場合に爆発のおそれがありますから。そういう準備が実は必要。今、全部が全部そうじゃありませんよ、もうゴムでいろんなことをやっていますからあれですが。それから、何というんですか、懐中電灯なんかでも、懐中電灯でオンにしたときに出る火花が出ないような特別の懐中電灯を持って入る。もちろんガスが充満、残っていますから、下手をすればガスを一回全部出さないと作業員を入れない。そのためのウオッチマンが要りますから、単純に私は入札で安かろうというわけにはこれはいけない。  これはもう技術的に、事故があったらえらいことになりますので、そこは私は単純な入札ということではなくて、それは随意契約がいいかどうか、随意契約にして癒着をしてしまって甘くなっても困りますけれども、適正なやっぱり原価計算だけはきちっとしておいて、そしてメンテナンス業者に対する適切な上乗せの利益を考えないと、今日的に、さあ民間備蓄だから民間で競争しろ、入札をしろ、なぜ入札をしないんだ、けしからぬけしからぬという形で進められると大変なことになるよということを一言私は老婆心ながら申し上げて、今の公取の指摘にどう答えるか、お答えを願いたいと思います。
  134. 河野博文

    政府参考人(河野博文君) 国家備蓄基地の管理に安全性の観点から十分配慮が必要だという御指摘はおっしゃるとおりだと思いまして、厳しく受け止めさせていただきたいと思います。  そうしたことを前提といたしましても、やはりこの国家備蓄事業に関しまして、公正取引委員会からエンジニアリング会社七社に対して独禁法に基づく勧告がありましたことは誠に遺憾で、厳正に対処しなければならないというふうに思っております。  具体的には、こうした事態が再発しないように石油公団を通じて国家石油備蓄会社に対しまして、対象になりましたエンジニアリング会社の指名停止のような適正な措置、そして再発防止を図るような指示をさせていただいたわけでございますけれども、各国家備蓄会社からは六月二十七日までに、各備蓄会社社長名にて、対象エンジニアリング会社に対して指名停止措置を行ったという報告を受け取ったところでございます。  また、石油公団におきましては、七月九日に備蓄担当理事を長といたします契約方法の見直しを検討するための委員会が設置されておりまして、既に第一回の会合は七月十日に開かれたということでございます。  御指摘のような安全性の確保も十分考えながら、しかしこの再発防止に向けた改善策について検討が行われることになるというふうに承知しておりますけれども、私どもも適正な契約方法を更に検討して、この委員会の検討に反映されるように必要な指導をさせていただきたいと思っております。
  135. 草川昭三

    草川昭三君 もう一つ長官にお伺いをしたいと思うんですが、この公団廃止に伴うまでのプロセスを拝見をしますと、国家備蓄会社廃止をし、民間のメンテナンス会社を設立するということになるわけですが、現行の八社を一社にまとめるんですかという質問がありました。そのときの答弁を聞いておりましても余りはっきりしないんですが、各基地ごとにするのか、あるいは一つにまとめることができるのかどうか、そのときのメジャーとの関係はどうなるのか、系列の元売との関係、元売というよりもこの場合はメーカーになると思うんですが、そういう関係を含めてメンテナンスというのが一社になることが技術的に可能なのかどうか、その点を併せてお伺いしたいと思います。
  136. 河野博文

    政府参考人(河野博文君) 先生今おっしゃいましたように、国家備蓄会社廃止されますと、国からの出資のない純粋民間企業である操業サービス会社国家備蓄基地の操業の具体的な事業を担当することになるわけでございます。  したがいまして、その組織構成はどうなるかという点につきましては、株主になります主体である民間の判断にゆだねられるということになると思いますけれども、効率化という観点からいいますと、幾つかの操業サービス会社が、地点ごとのサービス会社が集約化されまして、場合により一社化するという判断がなされる可能性もあるかとは思います。  いずれにいたしましても、我が省にとりましてどうしても大切なことは、備蓄制度を円滑かつ安全に遂行するということでございまして、これが確保される限りにおきましては民間における判断を極力尊重したいというふうに考えているわけでございます。そういった前提で現在関係の石油会社とも鋭意調整を進めているところでございますが、まだ確たる方向性が出ているというところではございません。  国家備蓄基地の国への移管は、この法律が通りましたならば一年八か月以内ということでございますので、安全面それから地元の雇用面、こういったことを含め、万全な体制移行が円滑に行われるように努力してまいりたいと思っております。
  137. 草川昭三

    草川昭三君 その点は、やっぱりこういう公団廃止という形が進んでおるわけですから、実際はそれぞれ今答弁がありましたように従業員の方もたくさん見えるわけですし、実際は下請で仕事をやっているんですよ。そういう方々が再編成されるのがどうかということにも関心があるわけですから、私は早急な結論を得るようにお願いをしたいと思います。  そこで、少し今度は話を転換をいたしまして、イラン石油開発のことについてお伺いをしたいわけです。  元々、最近の流れといいますのは、十二年の二月にアラビア石油のサウジ分の採掘権が失効をしたというのがございました。それから、あのときは随分新聞も報道されて、我々も関心を持っており、何か新幹線を作れとか作らぬとかいうような話があり、結局断ってしまったと、さあどうなるのかなという心配を私どもも持っておりました。  そうこうしておる間に十一月になりまして、イラン・アザデガン油田開発について日本が優先交渉権を獲得したというようなお話があって、平沼大臣の相当なこれは御努力があったというふうに我々も聞いているわけでありますが、何せ中東という国はなかなか複雑、難しい国でございまして、たまたまパートナーになられた方がイランのザンギャネ石油大臣だったと思うのでございますが、このイランのザンギャネ石油大臣が昨年の十二月に汚職事件によって裁判所に召喚をされたというような実はニュースがあったわけでございますが、ちょっと私はそれをたまたま又聞きでございますので、ちょっと外務省お見えになりましたら、外務省からお答え願いたいと思います。
  138. 安藤裕康

    政府参考人(安藤裕康君) お答え申し上げます。  私ども報道によりまして承知しているところでございますけれども、イランのザンギャネ石油大臣が昨年十二月ごろに約八億ドルの石油収入の不正使用、及びイラン石油省傘下の石油ガス開発会社であるペトロパース社の案件に係る不正、この二つの嫌疑で裁判所に召喚された模様でございます。  この背景でございますけれども、ペトロパース社をめぐりましては、昨年夏ごろより、同社が外国企業と契約を締結した際に不正が行われたという疑いが指摘されておりまして、右との関係でザンギャネ大臣にも汚職の嫌疑が及んで、その結果、本件捜査が行われたというふうに私どもは承知しております。
  139. 草川昭三

    草川昭三君 それで、私どもも当時ドバイ発のロイター伝を手に入れまして、いろいろと聞いてみますと、保守派とそれから改革派という争いがあってなかなか、今答弁がありましたような対立になっていったというようなことが書かれてございます。  それで、専門家及び西側の業界筋もザンギャネ大臣に対する攻撃は根拠のないものだと考えているというようなこともその報道の中にはありますし、保守派の主張にもかかわらず汚職の確証もない、しかし、仮に保守派のたくらみが奏功すればハタミ政権は深刻な打撃を受けるであろうと。  いずれにしても、今般の動きによって同社が既に外国企業と締結をしている大型案件には悪影響はなさそうだというようなのも続いておりますから、私は安心をしておりますけれども、事はそういう中東諸国全体を動く政治情勢というのは極めて不安定でもあり、またかつ注意をしないと大変だと思うので、その点について、大変出しゃばったことを申し上げて恐縮でございますが、一言感想があれば大臣からお答え願いたいと思います。
  140. 平沼赳夫

    ○国務大臣(平沼赳夫君) イランにおける私のちょうどカウンターパートといいますか、あちらの担当大臣が今お名前が出ましたザンギャネ大臣であります。  その報道に関しては私どもも承知をしておりまして、非常に関心を持って私どももその件は追っているところでございますけれども、召喚というそういう事実はございましたけれども、じゃそれに基づいて出廷したかというと、まだその事実はない、今のところは非常に小康状態を保っていると、こういうことで、御指摘のように保守そして改革、このせめぎ合いがあることは、その国の事情によって私は事実だと思っています。  平成十二年にハタミ大統領が訪日をされましたときに、当時の森首相との間でこのアザデガン油田に関しては基本合意、それに基づいて私どもが最優先権の交渉を締結をした、こういう経緯がございます。  そういう意味では注意深く私どもは見守っていかなければならないと思いますけれども、やはりそういった背景の中で国と国とが約束したことでございますので、私どもとしては、これは変な形にならないようにしっかりと注視をしていかなければならないと思っています。  確かに、いわゆる資源外交というのは、一面的だけにとらわれることなく、やっぱり多面的に、いろいろな選択肢の中で資源外交というのはやっていかなければならないと思っておりまして、そういう意味では、イランという国は非常に若年労働層が多くて、この雇用の問題というのは非常に大きな社会的な問題になっています。そういう中で、日本に対して、やはり専門家の派遣でございますとか雇用を吸収する中小企業の育成、更には投資、こういった多面的に私どもに対してはいろいろ要望があり、これに対しては我々は、資源外交エネルギー外交の一環として誠実にこたえ、そして関係を構築しています。  そういう面で、私どもとしては、そういう御指摘の非常に不安定な情勢がありますけれども、しかし、その中ででき得る限り、ただ単に石油ということじゃなくて、幅広い面での提携を通じて万々遺漏なきを期すように努力をしているところでございまして、御指摘の点もしっかりと踏まえて、私ども、これから冷静に、そして着実に対応していきたいと、こういうふうに思っております。
  141. 草川昭三

    草川昭三君 時間がどんどん過ぎていきますので、実は中国の問題とサハリンの問題をやろうと思っているんですが、また時間があればそちらに移って、途中ですが、どうしても私は今日この問題だけは取り上げたいという質問があるんです。  これは本当に大臣から答えていただきたいんですが、今、日本というのは非常に激しい国際競争にさらされているわけですが、やっぱり技術で勝負をする以外にはないと、こう思うんです。ところが、この日本技術力が国際的に評価をされている企業が外国のリップルウッドという投資会社に買収をされてしまったという事実があるんです。これはもう私はどうしても我慢ならないんですよ、そんなことで日本はいいかねという。  もう少し詳しく説明をいたしますと、会社の名前は言いませんけれども、群馬県にあるこれはもう世界的に有名な会社なんです。自動車のいわゆるカーブ、曲がったところをプレスをする金型を作る、あるいはカーブのところの板を生産をするということでは世界トップなんですよ。それで、年間七百億近い売上げを持っておりますし、アメリカにも工場がありますし、台湾にも、最近では中国にも工場があると。それで、日本の車も一部やっていますけれども、アメリカのフォードだとか、それからクライスラーだとか、フランスのプジョーだとか、あるいはイギリスの車だとか、あらゆるところの世界的な企業から受注を受けている。それで、もう新聞なんかにも世界トップの金型メーカーと言われる、O社といいますけれども、その企業がある。  それが、いろんな意味もあったんでしょう、地元の銀行から融資がなかなかうまくいかないためにリップルウッドに全額買収をされてしまったと。それで、その経営者はそのまま解散をするという事態になっておるようです。これはもう六月一杯に結論が付いたと思うんですが、そういう話を私は聞いております。これは、いかにも日本の今日なり、下手をすると日本の将来をうかがえるような事件でございまして、余り新聞も取り上げていませんが、一部、日経新聞なんかでは、金融がうまくいかなかったために結局リップルウッドというハゲタカファンドに取られてしまったと。  それで、このリップルウッドというのは、私も予算委員会で取り上げたことがありますけれども、例の長銀ですが、今度の銀行が変わり、その銀行のオーナーがリップルウッドなんですけれども、四兆円も金を掛けたその新生銀行が、例えば三十幾つの銀行がファーストクレジットという企業を助けようということで、三十七のうちの三十以上の銀行が応援をしようと言ったにもかかわらず、メーンの新生銀行が瑕疵担保条項を発令して政府に買取りを要求をする。四兆円の金を掛けて、更に瑕疵担保条項を適用するというようなリップルウッドにこのO社というのが買収をされてしまった。せっかく世界一の金型メーカーであり、トップの自動車メーカーの受注をしている企業が、こういうことで無残にみすみすといくということがいいのかどうか。  私は、これは通産省、今の経済産業省の直接の仕事ではありませんけれども、これは本来は財政の問題、金融の問題として取り上げるべき内容だということは百も承知ですが、自動車産業をつかさどる大臣として、この問題だけはどうしても今日の委員会で私は取り上げたいものですから、あえて、中途ですが、この話をさせていただいた次第です。
  142. 平沼赳夫

    ○国務大臣(平沼赳夫君) 今、草川先生が御指摘のO社に対するリップルウッド社の資本参加につきましては、今、先生のお話ではもうそれは完了したと、こういうお話ですけれども、私どもが把握している範囲では、関係者間の交渉の途上にある、まだ最終結論は得られていない、しかしそういう背景がありますと最終結論が出る可能性は非常に高いと、こういうふうに認識しております。  私どもとしては、御指摘のように、日本というのはある意味では物づくりが本当に国としての活力の源泉だと思っています。そういう意味で、特に今御指摘の、自動車産業を支えて物づくりの一番の原点のそういう金型を作る会社が、やっぱりそういう意味で外国のそういう資本に取って代わられるということは好ましくないことだと思っています。  しかし、一般論から言えば、個別企業の経営上の判断にゆだねるべき問題でございますけれども、経済産業省というのは、金型産業が我が国製造業の高い競争力の源泉である、そういう認識の下で、私どもは当面推移をしっかりと見守っていかなければなりませんし、何かできることがあればやらなきゃいかぬと思っています。  本件とは直接関係はないわけですけれども、近時、我が国の金型技術というものが、ユーザーを通じまして、その図面を介して外国に意図せざる形で流出をしているという事実もあるわけでございまして、これはもう大変なことでございますので、私は七月十二日で、これは我が国産業競争力の低下を防がなければならないという観点で業界には指針を出させていただいて、こういうことは絶対あっちゃならないと、こういうことでもう私努力をさせていただいていまして、御指摘の点は私どもとしても非常に重く受け止めているところでございます。
  143. 草川昭三

    草川昭三君 どうもありがとうございました。  もう時間が来ましたので、実は中国石油の問題、サハリン・プロジェクトの問題、あるいはまた今実際、中小企業の方々がガソリンスタンドの経営で非常に行き詰まっておみえになりまして、ガソリンスタンドが減少しているという問題を少しやろうと思っていたんですが、時間が来ましたので、また次の機会に移りたいと思います。  以上でございます。  どうもありがとうございました。
  144. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私は、今日はいわゆる資源外交について質問したいと思います。  平沼大臣石油は戦略物資ですので外交が非常に大切だと話されておりますけれども、それはそのとおりだと思います。大臣は、この間、イランのアザデガン油田の優先交渉権の獲得を行い、また九月に国際エネルギーフォーラムが日本で開催される予定になっていると、そう聞いておりますけれども、その点で、日本資源外交における国の役割についてどのように考えをお持ちか、まずそれをお伺いしたいと思います。
  145. 平沼赳夫

    ○国務大臣(平沼赳夫君) 緒方先生にお答えさしていただきます。  石油安定供給確保のために、軍事面での協力も含めて行っている諸外国に比べまして、対応手段の限られている我が国にとりましては、産油国に対する日ごろからのコンタクトでございますとか、あるいは技術協力、こういったことを通じて資源外交を強力に推進することが非常に私は重要なことだと思っております。  こうした認識に立ちまして、今御指摘をいただきましたけれども、昨年夏に中東産油国を歴訪させていただくなど、経済産業省といたしましてはハイレベルでの交流を通じまして産油国との協力関係に鋭意努めているところでございます。  そういう中で、アザデガンの優先権の獲得もそうでございましたし、サウジアラビアに対するいわゆるアラビア石油の利権の問題については、大変サウジアラビア側ではああいう御承知のような事態でございましたけれども、クウェート側のものに対しましては、私どもとしては、これ一生懸命、国としても努力をさしていただいて、ここのところはつながるような形ができたということは一定の成果ではなかったかと思っております。  じゃ、具体的に今どういうことをやっていくということは、中東産油国との間で石油開発・精製分野における技術協力、それから幅広い分野における研修生の受入れでございますとか専門家等の派遣の人的交流も大切だと思っています。それから、何回も答弁さしていただいておりますけれども、若年層の増加しているそういった中東諸国の国の将来を見据えた例えばいろんな分野での投資でございますとか中小企業の育成でございますとか、そういった分野での協力、そして、何といいますか、投資ミッションの派遣というのもその中に含まれているわけでございます。  それからもう一つ日本の場合には、子守歌の中で水は天からもらい水と、こういう言葉があるぐらい水には恵まれているんですが、これはもう御承知のように、ほとんど雨が降らないという、そういう中東諸国にとっては水というものは大変貴重なものでございまして、日本が持っている技術によって海水を淡水化する、こういったことでの協力、こういったことを通じて、幅広くいろんな選択肢で、やっぱり国としてやれるべきことはやっていくということが私は戦略物資を獲得するいわゆる資源外交ではないかと、こういうふうに思っております。  また、産油国との間では原油あるいは天然ガス探鉱開発を行うことが最も強いきずなを築くことでもありまして、そういった意味では今回も三つの機能を残さしていただいたそのうちの二つでございますけれども、自主開発を推進するためのリスクマネーの供給でございますとか、それから二つ目は研究開発等、そういった面でもやっぱりしっかりとしたきずなを作っていく。そういう意味では、いろいろな選択肢の中で総合的に国としてやっていかなければならないと、こういうふうに思っています。
  146. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 今、大臣もおっしゃられましたけれども、また同時に、先ほどから話出ておりますけれども、アラビア石油がサウジアラビアの石油採掘権失効の経緯ありましたけれども、それを思い起こすわけです。交渉が難航した、そしてアラビア石油が通産省に駆け込んで、当時の与謝野、深谷両大臣がそれぞれ大臣のときに交渉したものの、交渉は物別れに終わった。関連企業社長の皆さんは頑張ったものの失敗した、そういう経緯があったと思うんです。  私、この経過をよく見る必要があると思う。私なりによく見てみました。失敗にはいろいろな原因があると思いますけれども、そのかなり部分は、私、大臣の責任が相当大きいと思うんですよ、率直に言って。やっぱり交渉に不熱心だった。そしてまた、その交渉を実際自分のたなごころに乗せるということにできていなかった。つまり、国外に目を向けるということが非常に弱かった、不熱心だった、そのことがあると思う、酷に言えばですね。自分の選挙区ばっかり気になったと、そういうことではないと思いますけれども、しかし、そうだったと私思うんです、はっきり言って。だから、冷厳にそこの分析をしなければ、やっぱりこの問題についてもきちっとした教訓が出てこないと思います。  その点で、私は、先ほどから話になっていますけれども、この種の問題についての国の責任、とりわけその点では担当大臣の責任が非常に重いと思いますけれども、その教訓に照らして、もし大臣からこの問題について述べることがありましたら聞かせていただきたいと思います。
  147. 平沼赳夫

    ○国務大臣(平沼赳夫君) サウジアラビアのアラビア石油の利権に関しましては、御承知のように四十年と、こういう期限が設けられておりました。そして、それぞれサウジアラビア側とクウェート側でこの四十年が前後してやってきたわけです。  一生懸命、当時の衝に当たった大臣も頑張られたと思っておりますけれども、サウジアラビア側からは鉱物運搬のそういう鉄道を敷設をすべきだと、こういう形で、これが約二千億円を超える膨大なそういう要求がございました。ですから、担当大臣としては現地に飛んで一生懸命交渉されました。しかし、当時の国の財政事情ですとか、あるいは一国に、たとえ大切な石油であっても、そこまでやるかどうか、いろいろな障害があって、努力したにもかかわらず、本当にそういう意味では大切なその利権を失うことになったと。これは私どもとしては非常に残念なことだと思っています。  そういう意味では、クウェート側に関しては、何とかいろいろ努力をさしていただいて、これはつなぎ留めることができた。これは本当に私、良かったなと思っております。  さらに、サウジアラビアで失った分に関しましても、私は、昨年夏、中東歴訪したときに、あちらでお目に掛かったトップクラスの方々にも、日本はサウジアラビアに対してまだまだあきらめていない、引き続きまた機会があったら我々はチャレンジさしてほしいと、こういうこともくどいぐらいに言わしていただいて、それはどうなるかということでございますけれども、私は大臣というものの責任は非常に重いものがあると思いますけれども、しかし、その中で本当にいろんなことを考えて、ぎりぎりの努力もされたことは私は事実ではなかったかと、こういうふうに思っております。
  148. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 大臣が先任者に対してとやかく言うのは非常に難しい立場であるということはよく存じておりますので、あえてそれ以上申し上げませんけれども、私は、資源外交ということでいえば、やはり国が責任を持つ、そしてまた担当大臣がその点でしっかりと責任を持って仕事をする、そして産油国との信頼関係、これをしっかり作っていく、それから資源の自主性を認めた上での対等、平等なその関係を深めていく、これがやはりそういう資源外交を成功に導く鉄則といいますか、そういうものだと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
  149. 平沼赳夫

    ○国務大臣(平沼赳夫君) それは緒方先生御指摘の私とおりだと思っておりまして、それがやっぱり私は鉄則だと思います。
  150. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 先ほどから話になっておりますイランのアザデガン油田交渉についてなんですけれども、今年に入ってからの交渉の進捗状況についてお伺いしたいと思います。
  151. 平沼赳夫

    ○国務大臣(平沼赳夫君) アザデガン油田開発につきましては、二〇〇〇年の八月に第一回目の日本イランエネルギー協議を契機といたしまして、その後交渉を重ねてきました結果、ちょうどその年の十一月にハタミ・イラン大統領が訪日をされました。ハタミ大統領と当時の我が国の森首相との会談でもこれが議題に相なりまして、そして、そのとき同行しました、先ほど来名前が出ておりますけれども、ザンギャネ石油大臣と私との間で両国のエネルギー分野における協力に関する共同声明を調印した際に、同油田開発に我が国企業が実質上最優先的に交渉する権限を得ること、これについて合意文書を交わしたところでございます。  以降、去年の六月に我が国企業から開発計画が提出されました。これはコンソーシアムの形で企業団を作りました。現在、我が国企業イラン側との間で具体的契約条件等に関する交渉が行われているところでありまして、同油田石油開発上の意義については、これはもう緒方先生も御承知のように、非常に大規模な埋蔵量が期待されておりまして、原始埋蔵量では、今相当探査技術も進んでおりますけれども、二百六十億万バレルあるだろうと、そして可採埋蔵量というのが一日当たり大体六十万バレルぐらい出るのではないかと、こんなふうに言われております。そして、我が国の原油調達先の多様化の観点から、それからまた我が国のエネルギーセキュリティー上、私どもは重要なプロジェクトであると認識しているところでございまして、九月の産消対話というのがございます。そのときにイラン側からザンギャネ大臣も来られると思います。そういう中で、今、民間の中で着々と進んでおりますので、また、九月ということが私は一つの節目に相なるのではないかと、鋭意進めていきたいと、こういうふうに思っております。
  152. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 九月というのが一つの局面ということは分かりました。  それで、私、アメリカとの関係なんですが、お尋ねしたいんですけれども、昨年八月に有効期限が来たイラン・リビア制裁法というのがありますけれども、それが昨年七月にアメリカの上下両院で延長が可決されたと。そして、その一か月後の八月にブッシュ大統領が署名して、五年間延長されることになりました。  日本と欧州の企業は外国企業を対象とした同法の発動はないと判断しているようなんですけれども、アメリカ日本のアザデガン油田交渉についてどういう態度を取っているのか、それをお尋ねいたします。
  153. 河野博文

    政府参考人(河野博文君) おっしゃるように、ILSAは延長されて今日に至っているのはそのとおりでございます。  先ほど、アザデガン油田についてイラン側との合意に至る経緯を大臣から御答弁させていただきましたけれども、一昨年の十一月のハタミ大統領の訪日に際しましてこのことが話題になるという状況になりましたので、こういった方向で議論をするということにつきましては、その段階で米国一定の通知をさせていただいたという状況にあります。  また、御承知のように、イランにおきましては既に米国以外の企業十数社が様々な開発プロジェクトに関与いたしておりまして、これまでアメリカ政府とコンタクトをした会社もあればなかった会社もあろうかと思いますけれども、いずれにいたしましても、このILSAの発動によって制裁を受けた企業はこれまでのところございません。  私どもも、必要な連絡はアメリカと取りながら、またイランと我が国との関係、この親密さを生かしまして、イラン一定の国際的な場で多くの友邦を得るような、そういったサジェスチョンもしながら関係を深めてまいりたいと、こういうふうに思っております。
  154. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 御存じのように、アメリカはブッシュ大統領のこの一月の一般教書演説の中で悪の枢軸ということで幾つか挙げた中で、三つ挙げた中でイランを名指ししているわけですね。ですから、そういったことでいうと、ILSAは延長されたと、五年間延長されているわけですけれども、これからも続くわけですけれども、そうした中でアメリカとの関係ということがどうしても大きな問題にならざるを得ないということになると思うんですね。  その点で、私、イランの国会のエネルギー委員会のモスタファ・タヘリ委員長日本資源外交についてこんなことを述べていることを聞きました。引用いたしますけれども、我々は日本に関して心配しているのは、日本が独自の政策で動いていない、ありていに言えばアメリカ一つの州ではないかと思える、そういう国だということだと。だから、日本が自分の足でしっかり立っている国なのかどうか、そこが一番の心配なんだということを述べているわけですね。これは日本に対する痛烈な批判に当たるわけです。  それからまた、アメリカの昨年の九月の十一日以降の、アメリカに対するテロ事件後のイランは、イラン国会はすべての分野について日本とテヘランの協力拡大を支援するという親日の態度を表明しているけれども、しかし実際には、アメリカとのかかわりでイランは非常にさめた目で日本を見ていると、これは本物かどうかなと。そして、アメリカから何か一声掛かったときに一体どうなるんだろうという心配を持っていると。これがイランの政府の中にある気持ちである、あるいは少なくとも担当者の中にどうかなと思っている気持ちであるという、そういうことが言われているわけですね。その点について、どういうふうに考え、分析されているのか、お尋ねいたします。
  155. 平沼赳夫

    ○国務大臣(平沼赳夫君) 私は、ハタミ大統領が訪日をされたときにもバイ会談、親しくお会いをしまして、話をさせていただきました。それから、イランに訪問させていただいたときも大統領とじかにお話をさせていただきました。そういう中で、やはりハタミ大統領は大変あらゆる面で日本に期待感を持っておられ、そして日本のいろいろな面での協力ということを望んでおられました。ですから、私は、ハタミ大統領というのは日本に対しては非常に大きな期待と友好的なお気持ちを持っている方だと、こういうことを確信させていただきました。  今、モスタファ委員長のそういう言も御紹介がありましたけれども、やっぱりイラン国内では、先ほど来の議論の中でも保守派とそれから改革派、そういう対立があります。そういう中での一つ意見だと思っています。  ですから、そういう見方があるということは我々はやっぱりしっかりと認識をしながら、要は、私どもとしてはやっぱりアメリカと最大の友好国ですから、むしろ日本が今後の流れの中で、やっぱりそういう大切な中東地域の、そして今世界最大の恐らく埋蔵量があるんじゃないかと言われているそういう資源国でございますから、やっぱり最大のアメリカとの友好国であれば、これからの中でやっぱりイランアメリカとの関係改善ということも私は日本として努力する余地があるのではないかと、そういった努力もやはり日本としてはする必要がある。そういうことも踏まえて、ですから私どもはそういう形でこれからも努力はしていかなきゃいかぬし、イランの情勢もしっかりと見守りながら、そういうイランが持っている不安も払拭するような、そういう形でのやっぱり両国関係を築いていかなきゃいけないと、こういうふうに思っています。
  156. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 大臣は今とても大切なことを言われたと思います。正に日本アメリカというその関係から、日本イランに対して、向こうも友好的なわけですから、こちらも友好の手を差し伸べるという、そういったことで独自の関係を築くというのは非常に大事なことで、ですからそれを是非やっていただきたいと思います。  悪の枢軸ということでいえば、アメリカがなぜこういうことをやったのか、これに対しては非常に厳しい批判が、日本国内で悪の枢軸ということを、そういうレッテル張りを是認する人たちの中にもよりによってなぜイランに対してそうやったのかという強い批判があります。ちょうどここには関谷先生がおられますけれども、国際調査会の委員会で私たちも集中的に専門家をお呼びして勉強いたしましたけれども、やはりそれが非常に強い意見でした。  アメリカ自身も、私は、ブッシュ大統領イランに対して悪の枢軸というふうに言ってしまったことに対して、いろんな動機は分析されておりますけれども、それに対していろんな思いがあるだろうという、その後の言明を見ても、そういう考えを持っております。  しかし、私は、大臣がせっかくそうおっしゃられたにもかかわらず、小泉首相が悪の枢軸ということに対して理解を示しているという、世界でも非常に珍しい政府の首班なわけですね。私、例えばEUのパッテン委員とかいろんな方と国会にも来ていただいて会う機会がありました。そういう方々の意見をずっと聞いても、非常に厳しい批判をしているわけで、悪の枢軸というブッシュ大統領の言明に賛成している世界の首脳を見付けることは非常に難しい、それが状況ですね。ヨーロッパ全体もそうだ、ラテンアメリカでさえもそうだ、そしてまたアジアだってそうですよ。ですから、そういう中で、やはり小泉首相が突出した形で、悪の枢軸という形で、イランも含めて悪の枢軸ということに対して理解をしているというそのことが非常に重要だと思います。その重大性があるだけに、今、大臣が述べられた日本として独自にということは、私は非常に重要な発言だと、態度表明だと思います。  ですから、私は、大臣がそういうお考えならば、小泉首相に対して、首相、こうあるべきではないかというそういうことを述べて、日本が、ほかにイラクや北朝鮮はありますけれども、少なくともイランについてやはりあらゆる観点からあの国を悪の枢軸というふうに言うことは間違いだと、先方も親日的だと、だからその点について政策も是正をするという、そういうことをやはり外交にかかわる担当の閣僚の一人として私ははっきりと提言すべきだと思うんですが、そういうことはされているんですか。
  157. 平沼赳夫

    ○国務大臣(平沼赳夫君) 非常に報道というのは誇張されて私は報道されたと思います。やっぱり日米は基軸という中で、私は、そのアメリカのことに対して小泉首相は友好国としてある意味一定の理解を示したと、こういうことではないかと思うんですね、あのときは。それで、私も実際に詳しくは知りませんけれども、あの九月十一日の後、船を拿捕してみたらそれが非常にイラン船籍の船で大量の武器が搭載されていたと。ですから、あの時点でアメリカはそれに対して非常に重要視をして、それから過去の歴史の中で長期にわたる大使館の占拠事件等々がありました。そういう中で一つ出てきたことですから、そういう歴史的な事実、そういうものも含めて一定の理解を小泉首相は示されたんではないかと私は思っております。  私としては、アメリカ日本というのは非常に強い同盟関係ですから、日本がそういう意味ではイランアメリカとの関係というものもやっぱりうまく取り持つというとおかしいですけれども、そういう努力はしていかなきゃいけませんし、私もそういう形で、小泉首相もそういうことに関しては理解をされると思いますので、そういう節々には私も小泉首相にはやっぱり日本の役割というのはこういうところにもあるんじゃないかということは申し上げることは一向やぶさかではないと、こういうふうに思っております。
  158. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 是非やはり、小泉首相という方は、いないところで言うのはあれですが、ほとんど分かっていない人ですよね、こういう問題について、はっきり言って。ですから、そういうことについてはっきりと、利害もあるわけですから、資源外交をしっかり進めていくという責任があるわけですから、やっぱりそれを今、大臣言われたようにはっきりと小泉首相に分からせるというそういう努力が必要だと思うんですよね。  先ほどから言っていますように、悪の枢軸という名でイランを攻撃すると何が国内で起こるのか。結局ハタミ大統領の反体制派を勢い付けるだけなんですよ。ハタミ大統領というのは、この間アフガニスタンでのあの戦争に対しても非常に冷静にそして理性的に振る舞ったということで、アメリカ国内で一番最も、世界を見ても最も株を上げた指導者なんですよね。  だから、それをよりによってブッシュ大統領が悪の枢軸とレッテルを張ったということ自身、あの方も全然政治を分かっていないわけですよね。だから、分かっていない同士が話して悪の枢軸だと。確かに一定の理解を示したと、いいですよ、一定を付けても。しかし、いずれにしても理解をしたわけですよね。ですから、私は、非常に日米の今のブッシュ・小泉枢軸というのは危ない枢軸だと逆に思うわけですね。  だから、今、大臣が言われたように、やはり物を申すということを言われましたけれども、私はそのことが非常に大事だということを述べて、そのことを強く主張されるよう要望しておきたいと思います。  私は、イランというのはよく事態を見ていると思うんですよ。結局、コンソーシアムがやっていても後ろ盾に何があるのか。それは日本という国があるから、彼らはそれを最大の保障と見ているわけですよね。そうですよね。ですから、そういうことで考えたときに、例えばブッシュ大統領イランのテロ支援とか大量破壊兵器の獲得が危険であるということを五月にもプーチン大統領に述べているわけですよね。  ですから、こういうブッシュ大統領の見解がある、そして自分は根っからの親米派だという小泉首相がある、そういう中でできている関係ですから。ですから、確かに閣内で小泉首相にいろいろ述べても、それはなかなか大変かもしれません。しかし私は、さっき大臣がおっしゃられたように、やはりイランとのかかわりについて、イランがどういう国で、どれだけ親日的で、そしてどれだけ、何といいますか、資源外交という点からいっても今後一層大事になる、そういう存在なんだということについてははっきりと述べ、またいろんな機会にそのことを明らかにしていただきたいと思います。
  159. 平沼赳夫

    ○国務大臣(平沼赳夫君) 我が小泉首相のことを何も分かっていないと、こういう表現でございましたけれども、私はやはり首相というのはよく分かって、そして一生懸命頑張っている総理大臣だと、こういうふうに思っております。  ですから、そういう中でやっぱり小泉総理は、ブッシュ大統領が来られ、そして日米関係というものをやっぱり基軸として、そして外交をして、日米安保条約も作っている、そういう中で全体の協力の中の一定の理解と、こういうことでそういう小泉総理の発言があり、そういうことが考えてみればよく分かっている人だと、私はそういうふうに思っておりまして、そういう意味では小泉首相はよく分かっているわけですから、そういうことについても、イランとの関係というのは日本一定の役割を果たす、そういう日本にはやっぱり役割があるということはお話をすることに対しては私はやぶさかじゃありませんので、そういう形では、今後いろいろな形で、局面で話をさせていただきたいと、こう思います。
  160. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 大臣としてはそう言っておかなければならない立場だと思いますけれども、やぶさかでよろしくお願いしたいと思います。  結局、日本アメリカとの関係ということを言う、それからまた資源ということでいうと、この間、私はちょうど振り子のような関係を作ってきたと思います、ちょっと振り返ってみても。  例えば一九七三年の中東戦争の勃発時、アラブ石油輸出国機構、OAPECというそういう機構がありましたね。イスラエル支持の消費国への生産削減強化に乗り出して、当時の田中内閣はアメリカ、イスラエル支持から急展開してアラブ支持に回りましたよね。だから、そのときには油欲しさのアラブ外交と、そういうことが言われました。それから、七九年、イランアメリカ大使館占拠事件が起きたときには、アメリカ日本へ対イラン経済制裁措置に同調を求めて、大平首相は石油よりも対米協調が重要であると述べてイラン制裁に同調してきました。それから、八〇年にアラブ・イスラエル紛争の勃発のときには、日本アメリカ議会に経済摩擦、日本たたきの口実を与えないためにアメリカに屈服してイスラエルにすり寄った。そういう形で、ちょうど行ったり来たりしている、そういう状況があるわけですよね。これは、私は主権国の外交の在り方としては大変情けない状況だと思います。  そういう中で、私、これをどう言うか、振り子外交というか二枚腰外交というか、イランのことでいうならば、イランに対しては前向きにすべて話をする、しかしアメリカと会ったときには、イランに対して反感を持っていると思われるときにはアメリカ首脳に対してそれに話を合わせると。一体日本の主体性はどこにあるのかということが問われることになると思うんですね。  ですから、その点で、やはりこういう状況から見ても定見を持つということは、これは当たり前の話なんですね。こんなことを質問すること自身が変な話なんですけれども、定見を持つことが必要じゃありませんか。
  161. 平沼赳夫

    ○国務大臣(平沼赳夫君) 非常に複雑、ふくそう、そして利害得失が渦巻いている国際場裏にあって、日本というのは根本的な武力行使をしない、軍事力外交の具にしない、こういう国是でやっておりますから、私は、その都度本当にぎりぎりの選択の中で非常にぶれたと、こういう御指摘がありますけれども、その中では、その時点を本当にぎりぎりに見詰めて、そしてその中でやっぱり何がベストかという形で私は選択をした結果が結果的には御指摘のような形にもなっていると思います。だから、そういう意味で決して、何といいますか、無定見な私は外交をしてきたということではないと思って、その時点ではそれなりに一生懸命当時の世界状況を見詰めながら、見据えながら、何がよりベターな選択かという形の私は証左だと思っています。  しかし、今御指摘のように、私どもは定見を持つということはやっぱり必要なことだと思っております。定見を持ちながらいかに柔軟にしたたかにやるかということが私は一番大切なことだと、こういうふうに思っています。
  162. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 一生懸命やってきたと、だからという、前回もそういう話があったと思うんですけれども、私は、一般庶民に対してはそれは認められると思うんですよ、大いに称賛されるべきだと思うんですけれども、国に対してはそれはいただけないと、そう思います。やはり戦略がなければならないし、大臣も認められたように定見を持つということ、これが必要だと思います。  今日、午前中に大変面白い、参考人の質問がありました。その中で、岡部コスモ石油会長それから石油連盟会長を務めている方がこういうことを述べておりました。一つは、役所によって温度差が大きい。これは私、非常に分かる言葉なんです、それを聞いただけで。だからやりにくいと。何を言っているか非常に明確だと思いますね、それだけでも。  それからもう一つは、国のトップが資源のために動く、これが大事だと。これは早稲田大学森田教授がそうおっしゃられていました。アメリカの経験を見ながら、ブッシュ大統領はそのために動くと。あの方は石油出身の方ですから、そういうことがあるのかもしれませんけれども。しかし、いずれにしても、国のトップがそのために動くと。私は、そういったことで言えば、総理が、それから平沼大臣が動くということにもなると思うんですね。そういうことが言われているわけですので、私はその点で、外交というのは外務省に任せればいいというものじゃなくて、やはり私は相当部分世界にも視野が開けた経済産業省、そしてその大臣が、また副大臣がその責任を負っているとはっきり思うわけですね。ですから、そういう立場で是非仕事をしていただきたいことを要望しておきたいと思います。  さて、アザデガン油田なんですけれども、私、地図を見まして、また説明を受けまして、その位置なんですが、地図で確認しますと、隣国であるイラクの国境、目の前にあるわけです。そこで、アザデガン油田の油層はイラクの国境を越えて存在するのかどうか、その点についての知見をお伺いします。
  163. 河野博文

    政府参考人(河野博文君) 私どももまだすべての探鉱を終わったわけではありませんので、国境をまたいで油層があるかどうかは正直のところ確認を私自身はいたしておりません。今後、更に探鉱から開発に移っていく段階で一層情報が集まってきてそれなりのことは分かると思いますが。ただ、おっしゃるとおり、イラクとの国境付近ではございます。そしてまた、かつて戦闘が行われたという場所に近いところでありまして、地雷の存在なども確認されているわけではありますけれども、物理的には一定の距離がある、そういう状況にございます。
  164. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 一定の距離は確かに地図を見るとあるんですけれども、しかし大きな油層ですから、つながっていないとは断言できないわけですよね。  そうしますと、何が起こるかというと、正に悪の枢軸というふうに名指ししているイランに今あって、イラクにもつながっている可能性がある。そして、その両国はかつて長い間戦争をした経過もある、イラ・イラ戦争と言われましたよね。ですから、そういうところにあって、そうしますと、やっぱりここでの石油の利権獲得、そして日本石油を持ってくるということを安定的にするためには、どうしてもその地域の情勢、とりわけ国際情勢が安定するということが不可欠になると思うわけですけれども、イラクの関係はどうなっていますか。日本とイラクの関係。
  165. 河野博文

    政府参考人(河野博文君) 御案内のとおり、我が国とイラクとの関係は、例の湾岸戦争以降、極めて限定的な関係になっている、御承知のとおりでございます。
  166. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 大臣、それでいいんですか。
  167. 平沼赳夫

    ○国務大臣(平沼赳夫君) これは、イラン・イラク戦争、そして湾岸戦争、そういった経緯の中で、私どもとしては国の方針として限定的にイラクとは付き合うと、こういう形です。  油層がつながっているんじゃないかと、そういう御指摘ですが、可能性は否定できませんけれども、先ほど言いました埋蔵量というのはイラク側のものも入れているということじゃなくて、あくまでもイラン側のその中での埋蔵量と、こういう形でございまして、そこは、つながっているかつながっていないかということはこれからの調査の結果だと思います。  しかし、総体的に言えば、やはり中東諸国が安定をするということが一番大切なわけであります。しかし、現状、やっぱり日本だけの利害得失だけで国際情勢というのは動きません。ですから、そういう総合判断の中で私どもはぎりぎりのことを選択をしていく。  そういう中で、現状のまま、それでいいんですかと、こういう御指摘ですけれども、現状、いろいろな形で総合判断をすれば、やっぱり今の限定的な形で私どもはしのいでいくしかない。しかし、将来的にはやっぱりそこのところがいい形になるように、世界の中であるいは国連の場の中で、そういった努力というものはやっぱり当然中長期的に見てやっていくことは私は必要だと。  それは、やっぱり世界が安定するということが私は一番大切なことだと思っていますけれども、現時点のそういう総合判断の中ではやっぱりやむを得ないことだと、こういうふうに思っています。
  168. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 当面つながっていないとしても、事実はどうか別として、イラクがつながっていると主張し始めて、そういうことが起こり得るわけですよね、はっきり言って。これは否定するのは非常に難しい事態ですよ、はっきり言って、そうなったときに。  私、思うのは、結局イラクと非常に限定的な関係しか持っていないというのがアメリカの関係ですよ。そうですよね、アメリカの制裁によってそうなっているわけですから。しかし、私、ヨーロッパの国々見ると、そういうことをちゃんと知りながら、したたかに自分の関係を独自に持っていますよ、石油の、ちゃんと目を付けて。フランスにしたってそうですよ。ドイツにしたってそうです。ですから、私は、現状がそうだからというのは、先ほど私が議論した正にアメリカと産油国との間の振り子の外交の中のアメリカに振れた議論であって、それにすぎないわけですよね。  ですから、私はもっとしたたかにそうした関係を多面的に持っていくということをする必要があると思いますけれども、イラクとそういった点でもう少しきちっとしたチャンネルを持とうというお考えありませんか。
  169. 平沼赳夫

    ○国務大臣(平沼赳夫君) 今御答弁で申し上げましたように、今の現状、そして日本の置かれたそういう立場、それから日米の基軸、そういうことを考えれば、やはり今の、中長期的にそういうことを模索していくことは大事ですけれども、今の段階では私は、イラクとの関係は限定的にならざるを得ない、これがやっぱり日本としてよりベストな選択ではないかと、こう思っています。
  170. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 大臣、その程度では大変情けない答弁だと私ははっきり言って思いますね。やはり独自に安定的な、せっかくそれだけ大きな石油の利権、それを目の前にしているわけですよ。ですから、そのときにそれをいかに安定的に確保していくのかという、そういう立場から物事を考えるのがやはり私は国民の利益に立った外交というか発想だと思うんですね。ですから、アメリカが今こうなっているからと、そうおっしゃられたわけじゃありませんけれども、それが限定的な状況を作っていることは間違いないわけですね。ですから、私はその点は是非考え直していただきたいと。  今のままではせっかくのものが不安定な状況に置かれるんだと。だって、あれじゃないですか、イラクに対して先制攻撃をするするって、もうずっとこの一月から言って、今だってまたそれが再燃していますよね、アメリカの新聞見れば。ですから、そういう下で、そんなところでいつ戦争が起こるか分からない、今年じゅうに戦争が起こるかもしれないとアメリカの当局者が言っている、そういうところで石油を掘るわけですよ。私は余りにものうてんきだと思うんですよね。ですから、そのことを是非要望しておきたいと思うんです。  私、その点で思い出すのは、一九八〇年から八年間、イラ・イラ戦争が行われたときに、やはり日本外交にも少しははっと思うような局面もありまして、当時の安倍晋太郎外務大臣が調停に乗り出したんですよ。そして、結果としてはうまくいかなかったけれども、イランに行き、イラクに行き、両者を取り持ったというその外交努力に対していまだに現地を訪ねると高い評価が与えられている。結果は出なかった、政治は結果といいますけれども、結果が出なかったそういう努力に対してやはりそういうことが言われる。私は、そういう点で、対話と対話の努力と和平のために行う努力、取りあえず軍事抜きで日本がそういったことを取り持ったということについて高い評価が与えられていることをやはり思い出すべきではないかと思います。ですから、その点でやはり私は、イラクについて現状でやむを得ないという大臣の答弁は非常に残念だと思うんですけれども、少し再考の余地はありませんか。
  171. 平沼赳夫

    ○国務大臣(平沼赳夫君) 私は、政策集団で安倍先生の下で研さんを励んだ一人でございまして、あの当時のことはよく覚えております。それはやっぱり外務大臣として一つの決断として調停に乗り出した、これが評価されているということは、私もそのように信じているところでございます。  そういう中で、やっぱりこの国際場裏の中で日本ということを考えたときに、やはり何といってもあらゆる相互依存関係というのはアメリカとの下にあるわけであります。したがいまして、それをやっぱり基軸にするということを私どもはまず第一義に考えることは、私どもは当然だと思っておりまして、そういう中で、先ほどから中長期、中長期と申し上げておりますけれども、現時点は、私は、いろいろ御指摘がありましたけれども、やはりその中で日本が今選択するのは対イランとイラクとはやっぱり限定的な形でやる、そして状況を見ながら、国際情勢を見ながら私どもは努力すべきことはしていく。  ですから、安倍元外相が決断されたときも、あらゆる局面を見て、そのときに日本が動いてもいい局面が私はあったと思うんですね。それで動かれたと、こういうふうに思っておりますから、そういう中で私の考え方というのはこういうことでございます。
  172. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 何というか、日米間にすき間ができたときに動けるということなんでしょうか。ちょっとがっかりするような話でありますけれども、それが現状なのかと言い聞かせるような感じにならざるを得ないですね。  私は、これからやはり資源外交を考えたときに、中近東ですか、伝統的な、そこの役割というのは引き続き大きな位置を占めると思うんですよ。中央アジアありますけれども、やっぱりそれは大事だと思います。サウジ、イラク、アラブ首長国連邦、クウェート、イランの五か国だけで世界原油の六五%を占めている。そして、何といいますか、埋蔵の寿命、それもイラクなどは百二十年あると言われているわけですよね。最長なわけですよ。ですから、そういう中で、私は、あらゆる形で日本がそういう諸国と外交、国と国とのかかわりでもそうですし、民間でもそういう関係を強めていくことは非常に大事だと思うわけですね。  その点で、私、ちょっとそういうよく現地のことを承知している方々に伺ってみますと、日本はサウジ、アブダビ、クウェートなどの長期政権の高齢者とは義理人情を含めた関係があると言うんですよ。しかし、若い人たちとの間で、若い指導者との間ではその関係が非常に薄くなっているという。ですから、この間の努力が非常に欠如しているという結果だと思うんですよね。私、私の何人かの、イギリスやフランス、アメリカの人たちの友人なんかといろいろ話してみますと、彼らはこう言うんですよ。要するに、留学先でどうやってサウジの王室の子息と御学友になるか、そういう関係を重視して二十年後、三十年後に備えるわけですよね。そういう長期的なことを考えながら、国のレベルでもそうだ、あるいは民間のそういうレベルでも、そういう形で、あらゆる形で産油国との関係を強めようとしているわけですよね。それがいいかどうかは別ですけれども、そのくらいの努力をしているという、それは別に孤立した例じゃなくて、そういうことが一杯あるわけですよ。政策的にやっているわけですよね。  ですから、そうすると私は信頼に裏打ちされた人脈づくり、こんなことも考えておくことが非常に大事だろうと思うんだけれども、しかし、それがどうなのか。要するに普通の大人の関係を構築しておくという、そういうことについては何かお考えあるんでしょうか。
  173. 平沼赳夫

    ○国務大臣(平沼赳夫君) 私は通産、最後の通産大臣にならせていただいて、初代の経済産業大臣、丸二年務めさせていただいています。  その中でも、中東諸国のそういう古い層だけではなくて若い指導者の方々ともいろいろ信頼関係を構築することができました。そして、現地の大使館の方々の努力を見てみますと、それは一生懸命努力をされていますし、また日本の邦人の企業皆様方も大変大きな努力をされています。  例えば、昨年の十一月にWTOの閣僚会議がカタールでございました。カタールなんというのは中東の一角の国ですけれども、例えば日本民間企業であるガス会社、電力会社がそこの天然ガスの産出量の四〇%を引き取っている、そういう中で日本に対しては非常に大きな信頼があります。それを採掘するに当たっての、その採掘のいわゆる段階から一生懸命日本企業、それから経済産業省、外務省、みんなバックアップして非常に強いきずなができている。  ですから、一面そういう御批判も、今御友人の方々からそういう批判があるということも、それはある面ではあるかもしれませんけれども、決して日本は何にもそんなことしてなかったわけじゃなくて、非常に民間も努力をしていますし、外交も努力をしていますし、また、経済産業省としてもそういう信頼関係の構築に努めておりまして、例えばイランのアザデガン油田に関したって、結局我が省のそういう衝に当たる者が一生懸命若い力、そして上司のバックアップをもらいながら、飛び込んでいって向こうのそういう若手、王族、そういったものと構築をしながら、そういう話が、王族ということじゃなくて、今のイランのそういう主要な人たちとの関係を結んで、そういう構築もできた。  ですから、本当にそういう戦略を持ってやっぱり中長期でやっていくということは御指摘のとおりだと思いまして、私どもとしても、今までもやってきましたけれども、これからもそういう意識でやっていかなければ私はならないと、こういうふうに思っています。
  174. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 石油について言うと、中東の依存度というのは一時は六〇%ぐらいまで下がったということがありますけれども、またずっと上がってきているということがあると思います。ですから、それをアジアや中国とかインドネシア、ASEANとかそういうところに広げていくということも、また中央アジアに広げていくということも、これから日本が求められていることだと思うんですね。そういうことを考えたときに、やはり私は、結局行き着くところというのは、中東にせよASEANにせよ中国にせよ、やはり日本外交の在り方、そこがやはり問われると思うんですね。  今日、大臣と議論した中で、日米が基軸だと言われて、それは日本の方針だからそうなるわけですけれども、しかし、そこを若干乗り越えないとやはり開けないと。日米間で何かチャンスができたときにぱっと動くという、そんなチャンスなんてなかなか来ないと思うんですよね。イラ・イラ戦争のときに当時の安倍外相がやったような。ですから、そういったことで言うと、結局見直すべきことというのは、大きな話になりますけれども、やはり資源外交といっても結局それは外交なわけですから、やはりそれは総理が責任を持っている大きな世界とのかかわりの問題で今後どうしていくのかということになるわけですね。  そこで、やはり私は今日、議論の中で、やはり何といいますか、イラクとのチャンネルを作るという問題についても、それはちょっとという話になったし、結局日米の基軸というところでぶつかるということはよく分かりました。日米の基軸は非常にいいわけで、いいとして、しかし私は、今の論理でいくと何もできなくなる、そこを乗り越えるものを、日米を基軸としつつで結構ですから、それを是非探求していただきたい。それは国民のためのものであり、それから資源確保するためのものでもあり、本当に親日的な、中東諸国と日本がいい関係をアメリカの機嫌に左右されずに結んでいく。あるいはASEANともそうですし、中央アジアともそうですし、そういうことを結んでいくということで非常に大事だと思いますので、その点、最後に大臣にお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  175. 平沼赳夫

    ○国務大臣(平沼赳夫君) やっぱり国益を背負って、そして日本国民が平和で安全に本当に安心して、そしてこの国で暮らせるということがやっぱり政治の大前提だと思います。そういう中での私は取捨選択だと思います。ですから、そういう意味ではおっしゃることはよく分かります。  しかし、その中でやっぱり責任を持っている一閣僚として、小泉内閣の一員として、全体を見詰めながら、その中でより良き選択をしていく、このことに私は尽きると、こういうふうに思っております。
  176. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 終わります。
  177. 広野ただし

    広野ただし君 自由党・無所属の会、国会改革連絡会の広野ただしです。  非常に長いことになりましたから、どうも国会の中でも足がエコノミー症候群になるような、どうもそういう事態にならないように、簡潔にひとつまたやらせていただきたいと思っております。  いろんな中で、自主開発原油の問題、石油政策の中における自主開発原油の位置付け、そしてまた備蓄政策ということをずっと議論をしてきたわけでありますが、ところで世界に目を転じますと、セブンシスターズと言われるメジャーが今、例えばエクソンモービルですとか、BPがアモコですとかアルコとか統合していく、あるいはシェブロンがテキサコ、ガルフというのとやっていく、まあロイヤル・ダッチ・シェルだと、こういうようなことで、ファイブスーパーメジャーという形に統合してきているわけです。  この世界の大きな流れといいますか、これは何を意味しているのか、ここのところについて大臣の見解を伺いたいと思います。
  178. 平沼赳夫

    ○国務大臣(平沼赳夫君) やはりそういう統合が進むという前提は、やはりエネルギーというそういう巨大な市場とリスキーな市場、そういうことを考えると、やはりこれから巨大な開発をしていく、そういう前提の中に立つと、やっぱり統合をして力を蓄えて、そして可能性を模索する、そこが一つ大きな原点に私はあると、こういうふうに思います。
  179. 広野ただし

    広野ただし君 私も全くそのような見解を持っておりまして、大変な競争の中で、また開発コストが物すごく掛かってきている、いいところがどんどんなくなってきているわけですから、非常に条件の厳しいところへ行くと。ですから、トータルで四兆円とか五兆円という探鉱費を負担しなきゃいけない、一社ではとてもできないと、こういうようなことで統合がなされていく。しかも、石油というものは相変わらずそれなりの重要性を持つと、こういうことだとは思うんです。  そういう中で、じゃ、我が国に翻ってみますと、本当に、前から言っておりますように、自主開発原油というものに対する意気込みといいますか、ここが本当にしっかりとしたものになっているのかどうかということなんですね。  そういう話とちょっと別にしまして、自主開発原油は本当に、ある意味では今度は国際価格から比べて安いかどうかですね。安いというメリットが例えばあるんならば、大いに自主開発をやっていけばいいと、こういうふうに思うわけです。ところが、どうもいろいろと聞かせていただきますと、とんとんだというわけですよね。場合によっては高いかもしれない。そういう中で、自主開発原油のメリットというものは、そもそも何なんでしょうか。
  180. 平沼赳夫

    ○国務大臣(平沼赳夫君) 確かに、石油というのはコストが安いにこしたことはありません。しかし、自主開発意味というのは、やっぱり二度のオイルショックを経験する、そういう非常に痛い経験があります。そういう中で、安いにこしたことはありませんけれども、いったん緩急のときにやっぱり自主的に安定供給確保される、そういうよすがとして私は自主開発意味があると。  ですから、そういう意味では、やっぱり自主開発部分というものは、安定供給確保する意味から私は非常に意味があると、こういうふうに思っています。
  181. 広野ただし

    広野ただし君 価格にはそんなにメリットがない、それで、いざというときにそれなりの、買取り優先権といいますか、そういうものがなされるように契約ができ上がっていると、多分そんなことなんじゃないかなとは思いますが、ちょっとそこのところ、確認させていただきたいと思います。
  182. 河野博文

    政府参考人(河野博文君) かつては、石油開発したいわゆるメジャーなどが中東に大いに利権を持っていた時代には、開発した油を言わば非常に安いコストのものとして自由に処分できるという時代もあったかと思いますが、その後、産油国の主権が非常に強くなりまして、現在、ほとんどの産油国は、仮に、ある種の利権ですとか生産物分与契約ですとか、そういった権利ないしはそうしたものを開発会社に与えたといたしましても、原油の販売価格については、一定の方式で国の定めた、これは市場の動向を反映しているわけですけれども、その価格での販売を義務付けるのが一般的でございます。  したがいまして、引き取った会社が、トータルとして考えてみれば、仮に利益を上げていればトータルとして実際上実質的に安かったと言うことはできるかもしれませんが、石油価格そのものが自主開発だからといって極端に安くなるという仕組みにはしないというのが産油国の今の政策でございます。  それから、引取り権につきましては、先ほどの御質疑でもございましたけれども、油を何らかの格好で引き取る権利を持つのでございまして、それが生産物分与であったり、そもそも物権的な権利であったり、あるいはサービスの対価としての引取り権であったり、それは契約方式によって様々でございます。  また、これは持ち込む場合が多いわけですけれども、これも比較的近年のマーケットの変化ですけれども、スポット市場というものがかなり発達してきておりますから、もし通常時において、日本に持ってくるよりもヨーロッパに放出した方が買手が付くというときにはそういった処分をしておきまして、いざというときには、スポット取引ですから長期間拘束されることはありませんので、いざというときには日本に持ってくるということもマーケットの発達によって実際上可能になってきているという状況にあろうかと思います。
  183. 広野ただし

    広野ただし君 ところで、石油公団が非常に力を入れたプロジェクトでナショナルプロジェクトが五つありますと、こういうことであります。ナショナルプロジェクトとは、これはまた何でしょうか。これは閣議決定をしたということでしょうか。
  184. 河野博文

    政府参考人(河野博文君) いわゆるナショナルプロジェクトというのは、案件によりまして、閣議で了解をしていただいた上で発足したものもありますし、あるいは首脳会談あるいは当時の通産大臣と先方の大臣間の会談によって生み出されたというようなものも、経緯的には幾つかの形態があろうかと思います。  しかし、いずれにいたしましても、共通して私どもナショナルプロジェクトと申し上げているゆえんのものは、やはり一社当たりに百とか数百の本当にオールジャパンのような出資を募ってプロジェクトを構成した、そういうことを総称してナショナルプロジェクトというふうに呼んでいるのでございます。
  185. 広野ただし

    広野ただし君 結局、金額ということで大きいものを言うのかもしれませんけれども、しかし、それでは非常にまた問題で、結局、そのうち三つは失敗をして、三千二百億円ですか、の損失処理をしておられる。またトータルでは、これは八千七百億ですか、の処理をされるということで、結局、ナショナルプロジェクトでジャパン石油がなお三千億ぐらい投入しないとなかなかいかないというようなことのようですので、何といいますか、国が関与をしてやっていくことの難しさといいますか、行け行けどんどんのときはいいんですけれども、結局、撤退をするときの判断がどうしても、国が前のめりになっているがゆえになかなか撤退できない、どんどんどんどん損失が膨らんでしまうということが私はやっぱりあるんではなかろうかと、こう思っているわけです。  実際、ですからもう民間主体でやる、しかし国はちゃんとバックアップするよ、補助金はちゃんと付ける、融資も付けます、保険も掛けますというものにやっぱり変えていった方が弾力的に対応できるんじゃないかと、こう思うんですね。今朝も、実際、岡部参考人にもお話ししましたけれども、じゃ鉱区を取る、利権を獲得するときに、実際裏金だとか何かいろんなことが必要になってきます。それを政府がやれるわけがないんですね。そういうことが出てまいります。  それとか、実際、大臣も前面に立って出ておられますから、いろんなことを相手国が今度は日本国だと思って何でも言ってくるわけです、じゃ鉄道よこせとかですね。じゃ、実際、IJPCのときも石化プロジェクトをやれとか、いろんな協力プロジェクトを無理難題というぐらいに持ってくるわけですね。ですから、ある意味で、国が主体でなければいい鉱区は取れませんよと、こう皆さんおっしゃるんですけれども、またそのときにいろんな無理難題が来るということでありますから、これはもう本当になかなか難しい判断になるんではなかろうかと思います。  それと、実際、じゃ成功したときに、成功しましたときに、アラ石もそうだったんですけれども、販売しますときに、価格は、今おっしゃったように、いいとしまして、今度は品質の問題になってまいります。硫黄が多いとか、要するに、粘度というんですか、物すごい硬い石油だと、こういうことで、今度は引き取る方が嫌がる、それを国策だから無理やりにというような形になるわけです。  実際、石油の販売なんかのときは、これはもう商社の経験の皆さんもおられるわけで、何か色を付けたりまたやるわけですね。そうしないと、とてもじゃないけれどもいい取引ができない。それなのに、言わば国の出資が入ってナショナルプロジェクトだ、そういうときに私はやっぱり武士の商法になるんじゃないか。だから、本当にうまくやれるのかなと。やっぱりこれは民間に主体になってもらってやったらいいじゃないか。  前はそういう大きな石油会社がありませんでした。しかし、今は、数百億円の利益を出す、何兆円もの売上げもある、そういう石油会社が出てきているわけですね。そうしますと、私たちもできないわけじゃないというような、ただ、国の補助金ですとか、そういうものはきちっとバックアップもらわないとできないということなんで、やはりちょっと国主体の考え方というのを、これはどうしても前のめりになって、行くときはいいですよ、撤退するときが大変じゃないかと思うんですが、大臣、いかがですか。
  186. 平沼赳夫

    ○国務大臣(平沼赳夫君) 確かに、ナショナルプロジェクトといって百社から四百社ぐらいオールジャパンで入って、そして五社作って、そのうち三社は撤退せざるを得なくて、ある意味では、結果的には、御指摘のとおり非常に惨たんたる有様だと。そういうことから、国が全面的にやると非常に立ち回り等においていろいろ問題があるんじゃないか、だから民間主体でやったらどうかと、こういうお話だと思います。  私どもとしては、やっぱり本当に膨大な、石油公団を通じて、やっぱり天然資源のない日本というものが自主的にそのエネルギー確保しようと、こういう形で努力をしてきました。これまあすべて駄目だったということじゃなくて、それは例えば、まだまだ全体では一三%ですけれども、そこまでやっぱり確保できているわけでございます、できてくるようになってきているわけで、一定の成果があったと思います。しかし、その過程において、例えば減免付融資とそれから出資部分を含めると七割も国が保証している。そういう中で非常に責任の所在があいまいになって、そして結果的に非常に大きな負担を国民皆様方に本当に申し訳ない形で強いる、こういう結果になったと思います。  ですから、そういう反省の上に立って、さはさりながら、自主的な開発ということも非常に今の状況を見たときには必要だ、しかしそれはだんだんに移行していこうと、そういう形で、まず特殊会社を作る、そしてその先はできる限り早くそれを民営化して、そして、その答申にもありましたように、中核的な企業グループの中で、そしてそういう、本当に民間主体でやる、そういう姿を作っていこうというのがやっぱり今回の一つのコンセプトの中にあるわけです。  ですから、私どもとしてはそういう形の、段階を踏んでいかなきゃいけませんから、そういう意味で、言ってみれば、私流に中核的企業グループというのは、やっぱり和製メジャーを目指していく。その中のやっぱり選択肢として、今、日本でも、さっきは巨大メジャーが、セブンシスターズがファイブシスターズになった。しかし日本も、例えば日石三菱なんというような形でだんだん統合が進んで、今まではどっちかというと下流部門というものが非常に大きい存在だった、しかし上流部門という形も視野に入りつつある。だから、そういったものも交えて、これからの運用ですけれども、そういった姿を作っていくということは、私は、おっしゃるとおり、そういう民間の活力を利用しながら自主開発部門も含めてしっかりとやっていくということが私は国策上やっぱり必要だと。  そのためには、やっぱり今の段階では例えばリスクマネーもやっぱり国というものが付いていかなきゃいけない。技術の面、それから備蓄と、こういうものは国がやっぱりしっかりと担保するということがそれを助長していくためには必要なんじゃないか、そういう考え方で私どもは本法案をお願いしていると、こういうことでございます。
  187. 広野ただし

    広野ただし君 やはりそこのところで、民間が主体になるか国が主体になるかというところが根本的にやっぱり違うんではないかと思うんですね。  どうしても国が主体になりますと、先ほどの、じゃイラン石油相と懇談やっていても、相手がいろんな汚職疑惑でやられてしまうとか、いろんなことが出てくるわけで、やっぱりこれは民間がまず交渉の先端に出て、国ももちろんリスクマネーは出すんですが、それは出資じゃなくて補助金という形で出していくという形態に改めないと、どうも、何といいますか、昔の国が全部やるという考え方から抜け切れないんじゃないかと思うんです。  実際、民間の活力というのはやっぱりすごいもので、先ほどからアラ石の話が、山下太郎さんの話とか、あるいは自動車会社がどんどん大きくなってきたことですとか、いろんなことを考えますと、もう商社の力とかあるいは石油会社の力とかあるわけですから、全く国がバックアップしないということではないんで、補助金なり何かという形でやるということにやっぱり改めていくということの方が私は機動的に動けるんではないのかなと、こう思っております。  それと──どうぞ。
  188. 平沼赳夫

    ○国務大臣(平沼赳夫君) イランのアザデガン油田に関しましても、実はもう民間のコンソーシアムというものが前面に立ってやっているわけです。そして、やっぱり石油というのは、もうそれは先生一番御承知のとおり、やっぱり今もおっしゃったように、国のコミットということを産油国というのは非常に大きく、いわゆる信用を担保するという意味では重く置いております。  ですから、その出だしは、私どもはやっぱりまずハタミ大統領とそれから森首相との間でやり、そして私とザンギャネ石油相でやる。しかし、今回実際に衝に当たっているのはそういう形の、商社も入ったそういうコンソーシアムでやります。しかしその中で、国のコミットの仕方という形で国が余り前面に出て何もかにもという形じゃなくて、今そういう移行期で、そういう今形が取れつつあります。  ですから後は、今補助金で全部と、こういうふうにおっしゃいましたけれども、その中で、今の現状の中ではやっぱりそういうリスクマネーの供給ということがどうしても必要だと、そういう観点の中でやっているということも御理解いただきたいと思いますし、それからもう一つ、例えば二千億の鉄道建設というのは、国が前面に出ているからといっても、あれはアラビア石油という民間会社に対して二千億だよ、それはやっぱり国がギャランティーしなきゃいけないということで乗り込んでいきまして、結局国として断ったという、そういう形があったということも御理解をいただきたいと、こういうふうに思っております。
  189. 広野ただし

    広野ただし君 私は、結果的にはアラ石の方式でいいと思うんです。ですから、いろんな無理難題が来たかと思いますが、それで、こちらは身軽だったわけですから断れるわけですね。それが出資をしていますと、これはそういうわけにはなかなかいかなくなってくるということだと思うんです。  それともう一つ、やはり前から申し上げていますが、自主開発原油の割合をどの程度にすればいいのかというところでもう随分違うんだと思うんですね。その割合を上げるために、一兆円、二兆円という、じゃ相変わらず探鉱投融資をやるのか、じゃそういうお金があるんであれば原子力をやるとか、準国産エネルギーがあるわけですね。あるいは、地域的な偏りのないLNGですとか石炭ですとか、そちらをやるということの方に力点を置くのとどちらがいいかという話にやっぱりなってくるんじゃないかと思いますから、その点いかがでございましょうか。
  190. 平沼赳夫

    ○国務大臣(平沼赳夫君) 当初は、自主開発部分というのは三〇%に想定しました。しかし、今御指摘のように、いろいろ新エネルギーもあるし、いろんなエネルギーの多様化、そういう中で今一三%まで来ておりますけれども、そういう三〇%という目標値の設定というのは一応御破算にしようと、こういう形で進んできています。  したがって、私どもとしては、何割ということを明示的に設定をすることはしていないわけでございます。しかし、やっぱり安定的供給のためには自主開発部分が必要だと、それは努力をするけれども、結果的にはどのぐらいになるかと、こういうことで、御指摘のようにやっぱり省エネルギーもしなきゃいけませんし、新しいエネルギーというものも、これも随分予算措置をして今一生懸命に伸ばしてきているところです。  ですから、おっしゃるとおり、そういった総合的な観点で私はやっていかなきゃいけない。しかしその自主開発、五一・八%に減ってきたとはいえ、石油というのはやっぱりエネルギーの大宗を占めていますから、そういう中でやっぱり自主開発部分を担保していく、その努力は怠ってはいけないと、こういう考え方で進んでいるところでございます。
  191. 広野ただし

    広野ただし君 現在、国が出資をして成功したこととして、十四社とか十五社とか言われております。会計保守主義の観点から、株式評価益四千九百億ですか、これは財務諸表には載せないということになっているようですが、この会社を早く上場の方へ持っていけばいいんじゃないかと、こう思いますが、いかがですか。
  192. 河野博文

    政府参考人(河野博文君) 今回御提案させていただいておりますこの石油公団廃止関連法の中では、この資産の適正処分の在り方につきましては、三年間のプロセスの中で、総合資源エネルギー調査会の御意見を聞き、そして最終的な処分計画の認可に当たっては内閣総理大臣、行革本部長とこれに対する協議を行って決めていくということになるわけでございまして、今の段階で個々の企業について、上場をして処分していくのがよいのか、あるいは承継すべき資産として特殊会社に移行し、その特殊会社というまとまった形でこれを民営化、言ってみれば同じように株式を民間に売却していく方式がよいのか、それはこれから議論させていただきたい課題だと思っております。
  193. 広野ただし

    広野ただし君 そこで、ちょっと御提案をさせていただきたいと思っておりますが、この間、フィッチというこれは格付会社、有力な格付会社です。ムーディーズ、S&P、そしてフィッチというんですけれども、この三つは世界のレーティングの会社なんですが、そういう人たちの話ですと、不良資産でも資産評価でも全部格付をして、またそれを証券化をすると、その証券化するときのレーティングも自分たちがちゃんと決められるということで、やはりここのところにおいての彼我の格差というのは物すごくあるんではないかと私は思っています。  ですから、早くそれは日本は学べばいいんで、外国だからけしからぬとか、国債の格付で頭きておられるかもしれませんけれども、私は、そんなことを言うよりも、やはり大変なノウハウを持っているわけです。ですから、なかなか二年も三年も掛けて資産評価をして、しかもそれがどうなるのか分からないというようなことよりも、やはりそれはしかるべく外国の企業、そしてまた日本もかませればいいと思うんですね。それによって迅速にかなり利益を得ることができると私は思っておりますが、大臣、いかがでしょうか。
  194. 河野博文

    政府参考人(河野博文君) 処分の具体的な方針は先ほど申し上げたようなプロセスを経て決められていくことになるわけでございますけれども、今おっしゃいました外国の格付会社、あるいはその資産評価ですね、そういったノウハウは実は私どもも既に活用させていただいているわけでございまして、先般、合同石油という会社について最終的に債権を処分をするということで売却をいたしました。この債権をどのように評価をして、最終的に入札で売却をしたわけでございますけれども、どこをめどに売却していくかという評価に当たりましては、複数のそういった資産評価企業などの意見も聞いてめどを付けました。その中には、おっしゃるような外資系のノウハウを持った会社も含まれていたと記憶しております。
  195. 広野ただし

    広野ただし君 どうしても何年も掛かるというような形に私はなってしまうんじゃないかと思いますし、またそれが次の特殊会社の設立というものにつながっていっている。早く優良会社を上場する方向に持っていって、そこは例えば三社でも四社でもいいですけれども、そこを主体にしてどう再編成をするのか。そこは民間にまた任せながら、もう幾つもいい会社があるようでありますので、是非そういう方向方向転換をしていただいたらいいんではなかろうかと。また国が再編成をしてというのは、なかなか官製、官が主導の再編成劇というのはなかなかこれまた難しいところもありまして、というような考えを持っておりますので、述べさせていただきます。  それと、国家備蓄のことでありますが、先ほどから同僚議員からもお話もありました。そしてまた、今朝の参考人の中でも、国家備蓄はもちろん大事なんだけれども、弾力的に考えて、やはりコストの掛からない国家備蓄というものを考えていくべきではないかと、こういうことでありました。ですから、これはいつになるのか分かりませんが、今度五百万キロリッターの追加をされますが、これはLPGも入っているのかもしれませんけれども、このところは是非、入札制度とか、どういうことでやれば安くなるのか、こういうことを是非考えていただきたいと思います。いかがですか。
  196. 平沼赳夫

    ○国務大臣(平沼赳夫君) これまで備蓄をしてきた過程においては、やっぱり一定量を国家のそういうエネルギーの非常時に備えるために、いわゆる価格としては相当高いものを買わざるを得なかった、そういう背景があったことはよく御理解いただいていると思います。  今回、そういう形で増やすというような場合に関して、それは当然そういった経済原則というものは私は導入をしていかなければならないと、このように思っています。
  197. 広野ただし

    広野ただし君 それと、備蓄の放出のことを是非考えていただいて、IEAですかとの共同行動ということのようですが、やはり高値の備蓄を持っているということを考えますと、市場がどうなるか分かりませんが、非常に安いときはやっぱり買いに出て、これはある意味では民間企業さんも喜ぶんではないかと思いますから、そういう下値のところではやはり余裕を持って買う、予算があるから今年やろうとかそういうことの是非ないようにひとつやっていただきたいし、やはりバレル三十ドルを超しているときは私はある程度放出をしてもいいんではないかと、こう思っておりますが、もちろんそれは限定的な放出ではありますが、そうしませんと弾力的な備蓄管理というものがなかなかできないんじゃないかと、こう思いますが、いかがでしょうか。
  198. 大島慶久

    ○副大臣大島慶久君) では、私からお答えを申し上げます。  今、先生がおっしゃったような、ただ安全供給という観点からだけ備蓄をということじゃなくて、そういう弾力な考え方は我が国一国内ではできることなのかもしれませんけれども、石油備蓄の放出ということを国際的に見てみますと、国際エネルギー機関におきましては、備蓄の放出は供給途絶があった場合、若しくはそのおそれがある場合に行うという考えに立っているわけでございます。そして近年、市場におきましては、いわゆる価格変動性、こういったものが高まっております。世界経済に大きな影響を及ぼすおそれがあることを踏まえまして、供給途絶のおそれのある場合には、そうした供給不安感に関連して石油価格の急騰が発生する状況などにおいても、石油備蓄を柔軟に活用することが選択肢の一つとしては考えられるわけでございます。  しかしながら、供給途絶やそのおそれに全くかかわりのない場合に市場に影響を与えるような形で備蓄を活用するということにつきましては、国際エネルギー機関加盟国間の合意がないのが現状でございますので、一概にそういう方向へ走れないと御理解をいただきたいと思います。
  199. 広野ただし

    広野ただし君 是非そこは日本のイニシアチブで、IEAにそれなりの枠を、全部やるというわけではないので、枠を取って自由度を持つようなやり方を是非お願いをしたいと、こう思います。  それと政策論、今まで、何といいますか組織論ばかりが先行していて、政策論がまずあるべきじゃないかというようなことを私も申し上げましたが、その組織論の中で、よく特殊法人あるいは独立行政法人、国のいいところと民間のいいところが出てくるんだと、こう言われるんですが、私は、まずそんなことはあり得ないと。もうしっかりと国がやるべきことは国、民間がやるべきことは民間というふうに峻別をして、その方が、国は国としての規律があります。総定員法から始まって、簡単に人員の増加もできませんし、また皆さんもう夜を徹してでもよく働かれる人たちです。また、民間民間で、これは利益を上げるために厳しい中でいろんな工夫をしてやられる。これはもう今まで長年の経験で、特殊法人というのではいいところは出ないというふうに私は思っています。独立行政法人も正にそういうことだと思います。ですから、早く国は国、民間民間というふうにやっていくことの方がいいんではないかと、こう思いますが、大臣、いかがでしょう。
  200. 平沼赳夫

    ○国務大臣(平沼赳夫君) 独立行政法人というのは、英国ではサッチャリズムの中でエージェンシーという形で、民間のいいところと、そして国としてやっぱり関与すべき点はちゃんとやって、民間の手法を取り入れて、責任体制をはっきりして、人事とか、それから人事評価ですとかあるいは月給の減額ですとか、そういう手法を取り入れて競争原理を働かせています。  ですから、そういう、元のもくあみにならないように、やっぱり独立行政法人というのはそういう民間の手法を取り入れて、そしてやはり、何といいますか、常にオープンにして、そして国民が納得できる、そういう体制で私は運営をしていくべきだと思っております。  だから、そういう意味では私どもとしては、独立行政法人というのは今までの反省の上に立ってやっぱり新しいそういう一つ機能、こういう形で伸ばしていくべきだと、こういうふうに思っています。
  201. 広野ただし

    広野ただし君 イギリスは、長年の伝統でプラグマティックな、現実功利主義といいますか、そういう形のものがもう国民の中に浸透しているわけですね。日本の場合はそうじゃありませんで、やっぱりお上意識というものがあって、どうしても民間と国とが一緒になりますと必ず国の方に引っ張られるとか、それで、何といいますか、なかなか責任を持てないということに私はなりがちなんで、必ずまたおかしなことになると、こういうことを申し述べたいと思います。  それと、最後にちょっと人事政策でありますけれども、最近、経済産業省の人事、特に中小企業関係では余りにも配置転換といいますか異動が短過ぎるんではないか。これは、やはり課長補佐以上の人たちは責任を持ってやっていってもらいませんと、一年ぐらいで替わるというようなことでは本当に心のこもった政策というのはできない、また責任を持った政策ができないと、こういうふうに思うわけです。これは是非大臣に、やはりある程度、少なくとも二年以上そこにいて責任を果たすというような人事政策をまず現役についてはやっていただきたいと、こう思います。  それと、OBについてでありますけれども、これは公式には必ず否定をされると思いますが、官房長が、決してやっておられるわけじゃないと、こう言われると思いますが、OBの人事については、七十歳以上はもう現役は一切面倒を見ないという形に是非していただきたいと思うわけです。  今、民間でも非常にそこが甘くて、何といいますか、頭取ですとかかなりの人たちを長く面倒を見て、八十歳だ九十歳だというようなことがありましたが、現実論を展開しますと、どこか七十歳ぐらいのところで線を引いて、本当に後は正に実力主義、その御本人の考え方次第と。一人でも面倒を見られますと、あの人が面倒を見られているのに我々はどうなるんだと、こういうような話が必ず出てくるわけで、私は人生八十年、まあ七十歳までやればもう十分じゃないのかというふうに考えておりますが、この二点について最後にお伺いしたい。
  202. 平沼赳夫

    ○国務大臣(平沼赳夫君) 一般論として申し上げますと、職員が各ポストにおいてその実力を発揮して一定の業績を上げるには、やっぱり一年じゃ私は短いと、こういうふうに思っております。ですから、余り短いということは好ましくないと考えております。  今検討中の公務員制度改革においては、能力評価が導入されることになっておりまして、こうした能力評価が導入された暁には、そうした評価を的確に行う上でも、やっぱりある程度任期の長さが必要だと、こういうふうに思っておりまして、御指摘の点は、私、十分踏まえてやっていきたいと思います。  それから、OBのことについてでございますけれども、どこの役所もそうだと思いますけれども、何歳まで面倒を見るというルールは明確には存在しておりません。当省所管の特殊法人とか公益法人におきましては、各役員は、当省出身者を含め、その任務を果たす上で必要な資質ですとか能力ですとか意欲を有する者が任命されることが当然だと思っています。そしてまた、今後、今御指摘のような問題も含めまして、公務員のライフサイクル全体を見据えた再就職全般に係る議論が行われていくことになると私は思っています。  いずれにしましても、人生八十年の時代です。世間の常識から外れたようなことは私は厳に慎むべきだと、そのように思っております。
  203. 広野ただし

    広野ただし君 終わります。
  204. 保坂三蔵

    委員長保坂三蔵君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会をいたします。    午後五時一分散会