運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2002-03-29 第154回国会 参議院 金融問題及び経済活性化に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年三月二十九日(金曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  一月二十二日     辞任         補欠選任      大田 昌秀君     大渕 絹子君  三月二十日     辞任         補欠選任      浅尾慶一郎君     木俣 佳丈君  三月二十二日     辞任         補欠選任      木俣 佳丈君     浅尾慶一郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         久世 公堯君     理 事                 佐々木知子君                 佐藤 昭郎君                 若林 正俊君                 櫻井  充君                 山口那津男君     委 員                 荒井 正吾君                 入澤  肇君                 小斉平敏文君                 小林  温君                 田中 直紀君                 野上浩太郎君                 林  芳正君                 福島啓史郎君                 浅尾慶一郎君                 今泉  昭君                 広中和歌子君                 円 より子君                 峰崎 直樹君                 荒木 清寛君                 池田 幹幸君                 小池  晃君                 岩本 荘太君                 平野 達男君                 大渕 絹子君    国務大臣        財務大臣     塩川正十郎君        国務大臣        (金融担当大臣) 柳澤 伯夫君        国務大臣        (経済財政政策        担当大臣)    竹中 平蔵君    副大臣        内閣府副大臣   村田 吉隆君        財務大臣    尾辻 秀久君    事務局側        常任委員会専門        員        石田 祐幸君    政府参考人        金融庁監督局長  高木 祥吉君        総務大臣官房総        括審議官     板倉 敏和君    参考人        日本銀行総裁   速水  優君        預金保険機構理        事長       松田  昇君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○金融問題及び経済活性化に関する調査  (金融機能再生のための緊急措置に関する法  律第五条の規定に基づく破綻金融機関処理の  ために講じた措置内容等に関する報告に関す  る件)     ─────────────
  2. 久世公堯

    委員長久世公堯君) ただいまから金融問題及び経済活性化に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る一月二十二日、大田昌秀君が委員辞任され、その補欠として大渕絹子君が選任されました。     ─────────────
  3. 久世公堯

    委員長久世公堯君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  金融問題及び経済活性化に関する調査のため、本日の委員会金融庁監督局長高木祥吉君及び総務大臣官房総括審議官板倉敏和君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 久世公堯

    委員長久世公堯君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 久世公堯

    委員長久世公堯君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  金融問題及び経済活性化に関する調査のため、本日の委員会参考人として日本銀行総裁速水優君及び預金保険機構理事長松田昇君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 久世公堯

    委員長久世公堯君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 久世公堯

    委員長久世公堯君) 金融問題及び経済活性化に関する調査のうち、金融機能再生のための緊急措置に関する法律第五条の規定に基づく破綻金融機関処理のために講じた措置内容等に関する報告に関する件を議題といたします。  まず、政府から説明を聴取いたします。柳澤金融担当大臣
  8. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 昨年九月十一日、金融機能再生のための緊急措置に関する法律第五条に基づき、平成十三年一月六日以降七月三十一日までを報告対象期間として、その間における破綻金融機関処理のために講じた措置内容等に関する報告書を国会に提出申し上げました。  本日、本報告書に対する御審議をいただくに先立ちまして、簡単ではございますが、本報告概要について御説明申し上げます。  まず初めに、長銀及び日債銀特別公的管理後の諸措置につきまして、概要を申し上げます。  日本債券信用銀行につきましては、前回御報告申し上げましたように、十二年九月一日、預金保険機構が保有する日債銀既存普通株式約二十五億株をソフトバンク、オリックス及び東京海上火災保険を中心に構成される出資グループに対して譲渡することにより、同行に係る特別公的管理が終了しておりました。その際、十二年八月三十一日、予備的基準日貸借対照表に基づき三兆二千四百二十八億円の金銭贈与損失補てんが行われておりましたが、昨年二月七日、基準日貸借対照表確定に伴い、あおぞら銀行より預金保険機構に対して金銭贈与に係る特例資金援助及び損失補てん額の変更の申込みがなされ、同日、内閣総理大臣等により金銭贈与損失補てん額を三兆二千三百六十五億円に変更することが承認されました。  また、新生銀行及びあおぞら銀行からの預金保険機構による瑕疵担保条項に基づく債権買取り状況についてでありますが、今回の報告対象期間中に預金保険機構が引き取った案件は、新生銀行については五十五件で債権額二千六百五十九億円、支払額千五百五十七億円であり、あおぞら銀行については十六件で債権額三百七十三億円、支払額二百十二億円となっております。  次に、金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分が行われた金融機関に関する措置につきまして御説明申し上げます。  管理を命ずる処分が行われていた幸福銀行東京相和銀行なみはや銀行及び新潟中央銀行の四行の受皿への営業譲渡については、各行の金融整理管財人により鋭意作業、検討が進められた結果、なみはや銀行が昨年二月十三日に大和銀行及び近畿大阪銀行に、幸福銀行が二月二十六日に関西さわやか銀行に、新潟中央銀行が五月九日に第四銀行、同十四日に大光銀行を始めとする五行に、東京相和銀行が六月十一日に東京スター銀行にそれぞれ譲渡されております。  また、協同組織金融機関に対しましては、今回の報告対象期間中に、十二信用組合に対し金融整理管財人による管理を命ずる処分が行われております。  なお、その後において、昨年十二月二十八日に石川銀行、本年三月八日に中部銀行に対し、金融整理管財人による管理を命ずる処分が行われたほか、三十一信用組合及び十三信用金庫に対し、同様の措置が取られております。  続きまして、預金保険法に基づく金融機関破綻処理について御説明申し上げます。  今回の報告対象期間中においては、破綻信用金庫事業譲渡二件について、預金保険法単独適用案件として処理が行われております。  最後に、これらの破綻金融機関処理に係る預金保険機構による主な資金援助等実施状況及び公的資金使用状況について御説明申し上げます。  破綻金融機関救済金融機関への営業譲渡等に際し、破綻金融機関債務超過補てん等のために預金保険機構から救済金融機関に交付される金銭贈与に係る資金援助額は、今回の報告対象期間中において二兆六千八百七十六億円であり、これまでの累計で十六兆八百五億円となっております。  このうち、ペイオフコストの範囲内の金銭贈与に係る資金援助の額は、報告対象期間中で一兆三千六百九十九億円、これまでの累計で五兆五千六百五十九億円であり、ペイオフコストを超える金銭贈与に係る資金援助の額は、報告対象期間中で一兆三千百七十七億円、これまでの累計で十兆五千百四十六億円となっております。  また、預金保険機構による破綻金融機関からの資産買取り額は、報告対象期間中で七千五百四十九億円、これまでの累計で五兆四千二百十五億円となっており、金融再生法第五十三条に基づく健全金融機関からの資産買取り額は、報告対象期間中で六十四億円、これまでの累計で三百四十六億円となっております。  次に、特別公的管理銀行業務実施により発生した損失を補てんする金融再生法第六十二条に基づく損失補てんは、これまでの累計で四千五百億円であり、報告対象期間中においては、長銀日債銀基準日貸借対照表確定による清算の結果、八十一億円増額されております。他方、当該清算の結果、金銭贈与額が百二十三億円減額されております。  さらに、預金保険機構による金融機能早期健全化法に基づく優先株式等引受け等の額は、報告対象期間中で千四十億円、これまでの累計で八兆四千九百三十三億円となっております。  これらの預金保険機構による資金援助等についてはいわゆる七十兆円の公的資金枠措置されておりますが、最後にその使用状況について申し述べます。  まず、特例業務勘定特例業務基金に交付された十三兆円の交付国債償還額累計は、七月三十一日現在で八兆九千九十五億円となっております。また、一般勘定特例業務勘定金融再生勘定及び金融機能早期健全化勘定における政府保証付借入れ等の残高は、七月三十一日現在で、各勘定合計で十九兆八千六百六十三億円となっております。  ただいま概要を御説明申し上げましたとおり、破綻金融機関処理に関しては、これまでも適時適切に所要の措置を講じることに努めてきたところでありますが、今後とも、金融庁といたしましては、我が国の金融システムの一層の安定に向けて万全を期してまいる所存でございます。  御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
  9. 久世公堯

    委員長久世公堯君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 櫻井充

    櫻井充君 おはようございます。民主党・新緑風会の櫻井充です。  柳澤大臣に、まず今の報告について、一つ、一点御説明願いたいんですが、これは、マスコミ報道によりますと、日債銀に対して出資していたソフトバンクグループ出資を取りやめたいといいますか、そういうような報道があったんですけれども、その辺の事実関係と、もう一つ、これら三つの企業はどのような条件営業譲渡されているのか、その点について御説明願えますでしょうか。
  11. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) ソフトバンクが保有するあおぞら銀行株式を売却するという方針があるとの報道があったことは私も承知をいたしておりますが、ソフトバンクそれ自体からは具体的なことは何も決まっていない旨のコメントが発出されているということのようでございまして、こうした段階でまたこの個別のことについて余り知らないで立ち入ったコメントをするということは、ちょっとこの段階ではできかねるところでございます。  どういう条件になっているかということでございますけれども、細かいところはともかくとして、重立ったところを申しますと、まず株式譲渡契約書におきましては、前文で、主要株主は、日債銀に長期的な視野から投資を行い、日債銀収益性成長性の高い銀行として運用する目的で日債銀株式を購入する意図を表明するということになっております。ただし、当該契約書には株式譲渡を制限する条項そのものは置かれていない、こういうことでございます。
  12. 櫻井充

    櫻井充君 それでは、竹中大臣に、昨日でしょうか、税制改革の方が示されたようなんですけれども、これはまだちょっとマスコミ報道で、正式なものではないので違っているものかもしれませんし、議論ができないのかどうか分かりませんが、この点について若干お伺いさせていただきたいと思います。  実は、昨日、財政金融委員会で質問させていただいた中で、税の三原則というのは公平、中立、簡素だ、そう昨日はさんざんこの場で言われました。しかし、この中で見てくると、公平、中立、簡素から、公正、活力、簡素だと、そのように税の三原則を変えるんだというお話なんですね、この諮問会議の決定は。この点は、財務省も納得した上でこのような方針を出されているんでしょうか。
  13. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 櫻井委員お尋ねの税の原則の話でありますが、まず今夜、経済財政諮問会議が開かれることになっております。そこで、民間議員からの問題提起として論点整理方向性議論が提示されることになっております。したがって、その民間議員の、有識者議員からの提示に基づいて議論が始まるという段階でございますので、別に諮問会議が何を決めたというわけではありません。ただ、議論としてそういった税の三原則をどのように考えるかという議論は、これまでも諮問会議の中で、一部ではありますが、なされております。  その解釈は、基本的には今までの三原則を変えるということは私は全くないのだと思います。ただ、その解釈として、中立というのはなかなか普通の方には難しい言葉だと思うんですね。アメリカ等の税の教科書で使われている三原則は、シンプリシティー、簡素ですね、フェアネス、公平ですね、あとエコノミックグロースというのが一般に使われるんですね、経済を発展させるためのもの。ただ、どうして今まで中立と言われてきたかというと、経済を長期的に発展させるためには、資源の効率的な配分をゆがめないような中立的な税制であるべきだ、これはもう理論的には全く正しいですね。だから、中立というような考え方は私は正しいんだと思います。ただし、経済を発展させるということをより直接に伝えるためには、活力というふうに解釈する方が分かりやすいのではないだろうかという議論民間議員の中にはございます。  したがって、三原則を変えるということは、私は、これはこれからの議論ではありますが、これは変える必要は私はないのだと思いますが、国民にも分かりやすく再解釈すると、その中で活力というような言葉が私は議論されていく、そういうことではないかと思っております。
  14. 櫻井充

    櫻井充君 これまでの財務省中立解釈というのは、歳出歳入の面でのバランスという意味ではなかったんでしょうか。塩川大臣、その辺はいかがですか。
  15. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) そういうことです。
  16. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ちょっと、中立という場合に、実はこの中立というのは、先ほど難しい言葉だというふうに申し上げましたけれども、いろんな解釈がなされるんですね。例えば、税収中立財政中立というような言葉があります。これは要するに、歳出歳入中立的に扱って増税減税もしない、そういう言葉中立が使われるという言葉がありますが、税の三原則で言うときの中立というのは、資源配分をゆがめないような中立であるというのが基本的な考え方なんだと思います。  申し上げたいのは、中立というのはそういういろんな意味を持っているということなんだと思います。
  17. 櫻井充

    櫻井充君 しかし、今、塩川大臣は、歳出歳入の面でのバランスというお話で、そのとおりだということだったわけです。  そうすると、その活力という際に、今回は最初にちょっと、これ全部方向性だけなのかもしれませんけれども、少なくとも当初減税で、その後バランスを取る期間をまた設けますというような話になってきているから、そうすると中長期にわたっては中立性を保つ、しかし今の経済状況においては活力を生むための税制改革なんだ、そういう認識でよろしいんでしょうか。
  18. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 先ほども申し上げましたように、まず税の論点整理をしている段階でありますので、新聞にはもう本当にいろんなことが書かれておりまして私もびっくりしますけれども、私の知らないことが一杯書かれておりますのでびっくりいたしますけれども、そういう増減税云々の点に関して、議論はまだ今の時点では行われておりません。  ただし、よく言われる、例えば私が減税先行論者だという議論は私には全く理解できません。そんなこと発言したことは私は全くないと思います。減税先行というイメージでは、まず初年度に減税しよう、それで少し財政がへこんでもいいから、後からその分取り返して増税しよう、私はそういうやり方というのは不適切だと思っております。  これは「改革展望」の中に、財政を責任持ってプライマリーバランスに向かわしめるという非常に責任あるストーリーを明示させていただいたわけでありまして、例えば先ほどの中立で言うならば、どこかで別途財源を調達して、その分活力に向けさせましょう、それは私は当然のことながらあるべきなんだと思いますけれども、それ以上に、先に何か減税やって後から取り戻そう、それは現実政策論としては私は適切ではないというふうに思います。
  19. 櫻井充

    櫻井充君 しかし、いや、今の僕は若干違うと思っていて、それはなぜかというと、後から取り返すも何も、今経済状況が悪いから税収は落ちているわけですよね。つまり、経済状況が回復してくれば結果的には増収につながるんだろうと思うんですよ。ですから、減税して、税制を変えて増税するということではなくて、景気を回復することによって増税というか、税収が上がってくるということを考えれば、そしてもう一つは、そのために活力という言葉を使われているんではないんですか。
  20. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今の櫻井委員お話は、いわゆる私は財政の中に組み込まれたビルトインスタビライザーの話だと思います。「改革展望」の中でも、この財政自動安定化装置ビルトインスタビライザーを活用するということは明記させていただいております。  これは、経済が良くなれば当然税収が上がってきます。したがって赤字はその分減る。不況のときは逆のことが起きるわけですね。これは活用すべきでありますけれども、人為的に上げたり下げたりというような形は、現実にはこれは制度一つ変えるのは大変でありますから、そういった、あえてマクロでこの年減税して、後でマクロでこの年増税するとか、そういうやり方は私は現実問題としては適切ではないと思っております。
  21. 櫻井充

    櫻井充君 これは、実は新聞報道だけじゃなくて、今日朝のNHKのニュースでも全く同じ報道されているわけですよ。そうすると、その報道自体が全然間違っているということなんでしょうか。  私、今回のこの報道でびっくりしたのは、今年度が、集中調整期間として今年と来年度を最重視する、つまりここで減税も行って、その減税を行ったことによって歳入が減った分に関して言うと、歳出カットするという報道だったんですよ。これが実際は全然違うのかどうか。それは今答えられませんと言われてしまえばそこまでなんですけれども、予算が成立した直後にこういう議論が本当に出てくるものなのかどうか、非常に疑問なんですけれども、その点についてはいかがですか。
  22. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) そのNHK報道、ちょっと、済みません、承知しておりませんが、何度も申し上げますように、諮問会議では今日論点整理をして本格的な議論を始めるところであります。かつ、マスコミがじゃ間違っているのかということに関して言うならば、かなり間違っているというふうにもう申し上げてよろしいかと思います。全部精査しているわけではありませんですよ。必ず、ちょっとこういう言い方をするとなんですが、報道は矮小化されるんですね。  我々は、諮問会議という場は税制の細かな制度設計をする場ではありません。それはやはり政府税調という立派な組織があるわけで、我々はもっと大きな議論を、マクロ政策全体の中で税というものがどのように位置付けられるのか、社会保障と税の関係はどうなのか、歳出歳入関係はどうなのか、例えば政策をやる場合も活性化する場合も、減税補助金かとか、いろんなやり方があるわけで、我々はそういう大きな議論をする場なんです。  その大きな議論をする中で、必ず減税するんですか、活性化のために何とか減税するんですかと、こういう議論ばかりが出てくるわけで、これは繰り返し申し上げますが、そういう議論諮問会議はそもそもする場ではないと。私は、そういう細かな制度設計をする場じゃないと心得ておりますし、現実にまだ議論は今夜スタートするばかりでございます。その点を是非とも御理解いただきたいと思います。
  23. 櫻井充

    櫻井充君 その結果が出てからまた質問させていただきたいと思いますが、竹中大臣に併せてお願いがあるんですけれども、そういう政策が出てきた場合に財政金融委員会の方に是非出席をいただきたい。そうでないと、結局議論できる場がなかなかないんですね。特に、税制などの点についての方向性を打ち出した場合には、是非財政金融委員会の方に御出席願いたいんですが、その点についていかがでしょうか。
  24. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 議論を深めるということは大変重要であると思っております。私自身は、ほかの内閣委員会で実は重要法案もこれからございまして時間的な制約等もございます。諮問会議のメンバーには塩川大臣もおなりになっていらっしゃるということでもありますので、私の時間等々も是非ちょっと考慮させていただいて、方向としてはもちろん前向きに対処したいと思います。
  25. 櫻井充

    櫻井充君 積極的に出席していただきたいと思いますし、大臣大臣に就任された当時は時間が空いていればとにかく来ますと、もっと前向きだったような私は気がしているんですけれども。  それでは、あと現在の経済状況の中でやはり一番問題になるのはデフレなのかなというふうに思っているんですけれども、二月の二十七日に政府から出されましたデフレ対応策を見るとほとんどが金融政策なわけですけれども、その金融政策だけでとても対応できるような状況にないと私は考えていますが、竹中大臣、いかがでございましょうか。
  26. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) これも政策の、そもそも今どういう政策体系になっているかということを是非とも御理解賜りたいんですが、今我々が直面している問題は物価下落を伴う経済の停滞ということなんだと思います。これを全体として解決することが私たちの課題です。そのためには経済活性化を幅広くやっていかなきゃいけないというのはもう言うまでもないことでありまして、この経済活性化のために骨太の方針改革工程表、第二次補正予算を含む様々なプログラムをやってきました。  その中で、特に金融の問題に関しては、不良債権処理が大変難しいということもあって、なかなか議論が十分に深まってこなかったのではないだろうかという点を踏まえて、今回金融問題に焦点を当ててデフレ対策ということで取り組んだわけなんです。  だから、そのデフレ対応策を見ると金融しかないじゃないかということはマスコミでも御批判いただくんですが、それはそういうものなんです。つまり、活性化について様々な形で今やっております。税制議論もやっております。それで産業活性化戦略もやっております。比較的手薄であった金融の問題を今度デフレ対策として取りまとめたわけでありますので、これは金融焦点を当てたということは、例の対応策の一番最初にそのことは書かせていただいております。  したがって、トータルでこれはこの問題を解決していかなければいけないというふうに思っております。
  27. 櫻井充

    櫻井充君 今、手薄だったとおっしゃいました。この問題についてずっとやってこられた柳澤大臣、どうお考えですか。
  28. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 竹中大臣には竹中大臣の御苦労があるんだろうと、こういうふうに思っておりまして、私もそのお立場を理解しているということでございます。  我々、不良債権処理については、竹中大臣の方にもかなり御協力をさせていただいて、骨太の方針以降いろんな施策、これは別に竹中大臣の方に協力するということじゃなくて、我と我が身の課題ということで取り組んできたわけでございまして、そういう意味で、我々としてはなすべきことをなすということで進めてきているわけでございます。  そういう我々のやっていることを大きな立場でどういうふうに位置付けられるかというのは、これは、もうそれは経済財政諮問会議が位置付けられればよろしいのであって、我々は別にどこに位置付けられようとやることは同じでございますから、そういう意味でそれもそうだろうということで受け止めていると、こういうことでございます。  あえて言うと、あそこに挙げられたことを読まれて、何だこれはずっとやってきたことをただ書いてあるだけじゃないかと、こういう話がありましたんですが、私もその論評というのは少なからず当たっていると、こういうふうに思っておりました。
  29. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 申し訳ありません。ちょっと手薄というのは表現として私は不適切だったというふうに思いますが、申し上げたかったのはこういうことなんです。  私は今、金融の問題というふうに申し上げましたけれども、これは不良債権処理、一方でマクロ金融政策、日銀の金融政策、これ双方がやはり大変期待されているんだと思うんですね。ところが、日銀から見ると、不良債権があるからハイパワードマネーを出してもマネーサプライが増えない、だから自分のところだけではやりにくいとやっぱり思っているんだと思います。不良債権処理する立場から見ると、物の値段が下がってデフレが進行していく中で、債務の実質価値がどんどん増えていくわけですから、幾ら頑張っても、これは物価の下落という貨幣現象を何とかしてくれない限りもういかんともし難いと。やっぱりそういう両面、困難に直面しているんだと思うんです。  私が申し上げたかったのは、そういった金融を預かる部局がやはり共通の問題意識でもって、共通の機関でもって共同作業をする。総理は、政府、日銀一体となってという言葉を少し前からしきりにお使いになっておられますが、そういう意味での枠組みを作る必要があるというふうに感じたと、そういう趣旨でございます。
  30. 櫻井充

    櫻井充君 竹中大臣、釈迦に説法だと思うんですけれども、今流動性のわなという状態に陥っているんだろうと思います。その流動性のわなの状態、この原因を作っているのは、そうすると最大の問題は不良債権だという御認識ですか。
  31. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) まず、日本が流動性のわなの状況にあるか。ちょっとテクニカルな表現で恐縮でありますけれども、貨幣需要の利子弾性値が無限大に高い、マネーサプライを増やしても金利が余り反応しないというような状況にあるか、本当にあるかどうかということに関しては専門家の意見は分かれていると思います。我々内閣府として、正式に日本が流動性のわなになっている、陥っているというふうなことを自信を持って分析した結果はありません。その意味では、議論が分かれるというのがまず第一のポイントだと思います。ただ、流動性のわな的なというか、金利がゼロのところにへばり付いていてなかなか動きづらいというのは表面上は観察されるところなんだと思います。  これを、じゃこの中でどういう政策を取るべきかということなんですが、これは流動性のわなから抜け出すというのが一つやり方です。もう一つやり方は、委員御承知のように、こういう流動性のわなにあるときは金融政策ではなくて財政政策を取るべきだという考え方、これまた考え方が分かれるんだと思います。  私は、今の財政制約等々を考えると、今、流動性のわなかどうかまだ分からないけれども、わな的な状況にあると。その中で財政政策に頼るという政策は、私はこれはやっぱり取れないと思います。その意味では、ここから抜け出すための政策、それはどういうことかというと、やはりデフレを克服することなんだと思います。そのデフレを克服というのは、流動性のわな的な状況から抜け出すためにも是非とも必要な措置であるというふうに思っています。
  32. 櫻井充

    櫻井充君 問題は、金融機関の貸出しが増えていかないことですよね。というか、市場にお金が流通していかないということがじゃ問題なんだと思います。それは認識は一致するんだろうと思いますけれども。その点、要するに日銀の当座預金とかが積み増しされたとしても結果的には市場にお金が流れてこないと。そうすると、その原因が一番は不良債権だというふうに考えられているわけですね。それでよろしいんでしょうか。
  33. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) マネーサプライが増えないというのが、なかなか増えないというのが大きな問題だと思います。  御指摘のように、日銀はハイパワードマネーを、直近の数字だと多分二八%ぐらい増やしている。しかし、マネーサプライの増加は三%である。それはもう間違いなく金融仲介機能がなかなかうまく機能しなくて、ハイパワードマネーの増加が、つまり不良債権の問題ですね、そこがマネーサプライの増加に結び付かないというのが最も大きな要因の一つではないかと思います。
  34. 櫻井充

    櫻井充君 しかし、そうでしょうか、本当に。大企業は今、金融機関から融資を受けやすいと、そういうことを言っているわけです。実際に、大企業に対しては金融機関からの融資は四兆円ぐらい増えています。中小企業は全く別です。貸出しは非常に厳しくて、四十数兆円貸出しが減っているわけですから、これは大企業と中小企業とを基本的にまず分けて考えないと、ここの議論というのはなかなかうまくいかないんだと思うんですよ。  そこの中でもう一つ大事な点は、この間十分議論できませんでしたが、金利の問題があると思います。本来、需要が一杯あって金融機関側が貸し出せないんだとすれば、当然のことながら、金融機関から企業に貸し出す金利は上がってくるはずなんですよ。その金利が上がってきていないということは、不良債権があろうがなかろうが私は関係ないと思うんですけれども、その点についていかがですか。
  35. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 貸出しの実態につきましては私十分な知識がありませんので、柳澤大臣、大変お詳しいと思いますが、私の認識では、大企業にお金が余っていて中小企業にないと、これは少し一面的なのではないかと思います。いい大企業といい中小企業には銀行はお金を貸したくて仕方がない、しかしそうではない企業についてはやはりリスク管理の下に審査が厳しくなる、そういうことなのではないかと。これは一般論でありますけれども、私はやはりそのように認識をしております。  それと、後の金利が、要するにこれ長年論争のあるところです。要するに借り手が資金需要がないのか資金供給側の信用創造過程の銀行側に問題があるのかということで、金利が下がっている以上はやはり資金需要がないというところに本当の問題があるのではないかというのが委員の御指摘だと思います。  しかし、その場合重要なのは、実はこれは貸し借りの問題でありますから、実は実質金利です。名目金利はゼロにへばりついておりますが、デフレ状況下では実質金利はそんなに低くないというのが基本的な認識なのではないかと思います。  その実質金利を下げるということが実は企業の設備投資活動を活発にするために大変重要であって、これは名目金利はゼロ以下にはなかなか下がらないわけですから、したがって物価上昇率を今のマイナス二からやはりゼロから一に持っていくと、そういう政策を取ることによって実質金利を下げる、そういう私はやはり政策が必要だと思います。
  36. 櫻井充

    櫻井充君 貸出し実態が分からない方がなぜそういう議論ができるんですか。貸出し実態が今分からないとおっしゃったじゃないですか。それはすごく逃げていることであって、そうだとすれば、流動性のわな的状態にあるとか、的だとかなんだという、そういう議論はできないじゃないですか。私はそこはおかしいと思いますよ。  柳澤大臣にお伺いさせていただきますが、金融機関が本当に今貸し出せない状況にあるんでしょうか。不良債権を抱えていて、私はここは金利の問題が本当に大きなところであって、名目であろうが実質であろうが私は余り関係ないと思っているんですよ。  企業がなぜ、じゃお金を借りていかないのかというところが大事でして、企業は金融機関を私信用していないと思っています。つまり、これ以上いろんなことが、問題があったら困るから、どんどんどんどん借金返しているわけですよ。借金返しているし、それから設備投資をしたいと思っても先行きが見えないから、ある程度利益が上がっても投資していないという、そこが一番大きな問題なんだと思うんですよ。  大臣、そこは私の認識、違っているんでしょうか。
  37. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 私は、中小企業向けの貸出しが伸びない理由は両方に問題があるからだと思っています。  それは、一つは借り入れる側、つまり中小企業の側の資金需要がどうなのかと、それからもう一つは、今度はそれを受けて立つ金融機関の側がどうなのかということでございますが、私は日本銀行の短観のDIを割とフォローしているわけです。それによりますと、やっぱり何と申しますか、資金需要が弱いというのは最近の数字でもマイナスの二二ポイントというようなことでして、貸出し、今度は借入人の方が金融機関の態度が厳しいというのはマイナスの六ポイント程度というような状況です。これはそれぞれのピーク時に比べてもはっきり、大体そういう同じ傾向で、つまり資金需要が弱いという方の要因の方が数字の上では多く出ているわけでございます。  もちろん、そういう背景の下でもマージナルにはいろんな声が伝えられているということは確かでございまして、特に私は、最近起こっているのは、運転資金というか後ろ向きのつなぎの資金だろうと思うんですね。ほかに設備投資をやる資金がどうこうという話題はないわけでございますが、そういうことをめぐってなかなか厳しい借入れと貸出し先の交渉が行われるというようなことは私たくさん耳にしておりますけれども、しかし大数的にこの事態をつかもうとすれば、今言ったように私は両者に要因があるけれども、やはり資金需要が弱いということの方が貸出しが伸びない原因としては大きいというふうに私は認識しています。
  38. 櫻井充

    櫻井充君 私も同じ意見なんですが、そこで、昨日実は塩川財務大臣が、この夏から恐らく企業が設備投資をして景気は回復していく方向にあるんじゃないかと昨日お話しされたんですよ。つまり、そこで資金需要が出てきてくれれば確かに景気良くなっていくと思うんですが、現状は今、柳澤大臣がおっしゃったとおりだと私は思っているんです。  その意味で、塩川財務大臣が昨日あのような発言をされているんですが、もう一度その根拠を教えていただけないですか。現状を踏まえた上での根拠を教えていただけないですか。
  39. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私は統計的にそう申したものでもございませんけれども、私は、現在の経済状況の、経済界の動きを見ておりますと、そういうことが非常に顕著にあらゆる部門に出てきております。  日本の経済が十数年停滞をしておったという中で、この原因は政府にあるように言われておりますし、政治に言われておりますけれども、大半は企業がぼんやりしておったんです。企業が間違っておったんです。もっと早くやっぱり構造改革、企業が構造改革をして世界の進展に合わしていくべきであったのが、過去の成功例に酔いましてその切替えが遅かった。そこへ持ってきて日本の経済の基本的な仕組みが、これ金融とそれから土地とに依存しておったという、そこの資産デフレがもろに出てまいりましたのは、これが回復しなかった。  そこへ、最近になってからやっと経済界も意識を変えまして、これで自分ら自身で経済の構造改善しようと、言わば生産体制も変えようということになりましたので、これが私は今年辺りから活発に動いてくると思っております。現に、ここ数年間の企業状況を見ましたら、ずっと設備投資が落ちております。これだけの設備投資をサボタージュして企業が活力を回復するようなことはありません。  ですから、この最近の状況を見まして、企業は新しい方向へ設備投資をしようという努力は非常に強くなっておりまして、その一部が海外へ出ておるんです。海外へ出ておりますけれども、これは為替の問題等もございますしいたしますから、だんだんと海外の進出、海外進出が有利なのかどうなのかということは企業自体が考えてきております。  私は、最近の日本の経済、企業の動向を見まして、設備投資に新しい活力をして、そして自分らでやっぱり再生方向を探ろうということが非常に強くなった、私はそう信じておりまして、ですからサプライサイドからの体質改善というものが積極的に行われる。だから、見ていてごらんなさい、来年辺りにずっと変わってきますよ。間違いございません。
  40. 櫻井充

    櫻井充君 企業がぼっとしていたとおっしゃいました。じゃ、今になってなぜ政府は構造改革を行い始めたんですか。政府がなぜ今になって骨太の方針と出されたんですか。ぼっとしていたのは実は政府じゃないでしょうか。  要するに、ある部分、景気の下支えをする必要性はあったんだと思います。しかし、その景気の下支えをしている最中に何らかの手だてを取らなかった。例えば、日銀がゼロ金利政策も取った、その前に財政出動もした、その時期に大きな構造改革をやらなかったことが問題なんじゃないですか。それを企業がぼっとしていたというのは、私はおかしな話だと思いますが。
  41. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) だって、政治の方面見ましても、積極的に構造改革しようとしても、いろいろ抵抗があってなかなか進まなかったということも事実じゃないでしょうか。  ですから、政治が悪い、民間が悪いというのじゃなくて、民間もぼっとしておったし、政府の方も、ただ安易に追加で補正予算出して公共事業やっておったらいいと、そういう安易な経済財政やっておった。それを認めていった国会にも私、責任あると思いますよ。
  42. 櫻井充

    櫻井充君 済みません、それは我々は全く認めていないんであって、政府側がそれをずっとやり続けてきていたわけじゃないですか。それは、我々は構造改革をやりましょうということをずっと言い続けてきたわけであって、今になってやっと、官僚組織をどうしますかと、そして特殊法人どうしますかという、そういう議論になってきているわけじゃないですか。しかし、それも残念ながら実行に移されていないというのが、それは、今、塩川財務大臣がいろんな抵抗があるからとおっしゃっていましたが、正しくそのとおりなんじゃないんですか。そう思いますが。  それと、私は、率直なところを申しますと、柳澤大臣、僕は直接償却をやるべきだということをずっと訴えてきましたが、私は間違っていたかもしれないと最近思うようになりました。これは民主党の意見ではありません、私個人の意見です。  時期の問題だったと思うんです。つまりは、ある時期だったら直接償却できたかもしれない。どの時期において間接償却がいいのか直接償却がいいのかということを改めて考えていかなきゃいけないんじゃないだろうかという気がしております。その意味で、自分が行ってきた議論というのがかなりの部分拙稚だったかもしれないという反省をしております。  今、ただし、なぜこういう議論がずっと行われてきているのかといえば、査定の甘さというのがありました。それは、だって、その査定の方式が変わるたびに不良債権の額が増えた時期があったからです。そのたびに引当金がどうだったのかという議論がずっとされていて、間接償却がきちんとされていなかった、そのことが一番大きな問題だったんだろうと思うんです。その意味で、今、本当にその直接償却をやる時期なのかどうかというのを個人的には改めて考えさせられております。  実際、デフレ下の中で直接償却をとにかくここの短期間でどんどんやっていくんだとすれば、それはある部分、今度は財政出動も伴っていかないとなかなか厳しいところがあるんだろうと思うんですよ、企業が倒産していきますし。  財政財政で三十兆円枠を守ります、一方で直接償却をやって失業者が増えるような状況になります、そういう、それが小泉さんが言っている痛みだと。しかし、痛みを、痛みをというか、伴う手術をするとすれば、普通は我々医者的な感覚でいえば、必ず麻酔をやって極力痛みを減らした中でやっていくべきなんだと思うんですよ。その痛みを減らせる時期にやれなかったと。今はもう痛みは皆さん感じてくださいという中で、本当にやれるんでしょうか。この点についていかがですか。
  43. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 直接償却という言葉をお使いになられましたけれども、要するに、不良債権の部分をバランスシートから切り離すという手法のこと全体を指しているという前提で議論をさせていただきますけれども、これには、言うまでもなく、法的な処理がある、それから私的な枠組みの処理がある、それから売却という処理があると、こういうことでございます。  その私的な整理の下で清算ということはちょっと考えにくいといたしますと、私的な整理というのはほぼ再生型、再建型の処理ということになります。それから、法的な処理には確かに破産法の適用ということもありますが、大体において、現在は再建型の会社更生法であるとか民事再生法ということでございます。  つまり、私がここを、こういうことを提案したときから、もう最初から言っておりますけれども、悪い部分といい部分を切り離して、いい部分があるものについてはこれはできるだけ生かしていく。それでなかったら、全体が不良債権の貸出し先ということになったらもう追い貸し一つできないわけでございますから、そういうことをいつまでも続けていたんでは駄目だと。ですから、いいところと悪いところをやっぱり分けて、そしていいところに対しては追い貸しもできるような状況にしていかなければ駄目ではないか、こういうことで私は一貫してこの問題を提起させていただいてきたつもりでございます。  したがって、そういうことであるという前提で物を考えますと、必ずしも、今、櫻井先生がおっしゃったように、全部デフレ的な効果だけが生ずるんでこれはちょっと待ったを掛けて引当金だけ積んでじわっと事態の推移を見ていればいいんじゃないかということには私はならないということで、私はまだ櫻井さんのようにちょっと考え方を変えるという段階に至っておらないのでございます。
  44. 櫻井充

    櫻井充君 いや、大臣最初、間接償却で十分じゃないかと、去年の今ごろはそういうふうにおっしゃっていたわけですよ。私がむしろ直接償却をやったらどうですかと。これは議事録、見ていただければわかると思いますけれども。ですが、やはりきちんとした間接償却をすることがまず大前提であると。  それともう一つ、本当にこれはいろんな方々の意見があって、不良債権処理をやったからこの国の経済が良くなっていくのかどうかと。負の遺産のこれは清算はしなきゃいけないんです。これはもうやらなきゃいけないということはもう重々承知した上で、今やらなくていいと言っているわけではありません。やる部分のその速度の問題なんだと思うんです。短期間でやるんだとすれば、もっと総合的なことを全部勘案してやっていくべきだろうと思っていますし、先ほど竹中大臣がおっしゃっていましたけれども、財政がこういう状況だから、結局、三十兆円枠があるから金融政策でいくしかない、そこの中での金融政策をまずここで出したんだというお話でした。多分、竹中大臣の意図も違うんだろうと思うんですよ。  しかしながら、国全体の方向性がきちんと見えてこないんですよ。財政側は財政側の理論を持ち出してくる。そして、片一方では、片一方で金融政策金融政策の側で出してくると。その全体がどうも総合的に打ち出されてきていないことの方が問題なんじゃないだろうか。そして、需要サイドの問題だけでもないと思っていますし、供給サイドだけの問題でもないと思っていますし、そのバランスがきちんと取れてきていない。そして、しかも、それをある程度計画性を持ってやってもらえていないというところがすごく大きな私は問題になってきているんじゃないかなという気がしているんですが。  その意味で、いろんな抵抗があって自分が考えているような政策を作れてきていないんじゃないかと。竹中大臣、いかがでございましょう。
  45. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 政策全体の整合性と更に言えば戦略性が重要であるという委員の御指摘は全くそのとおりだと思います。  それで、実は一月に「構造改革経済財政の中期展望」をまとめさせていただきましたが、あれはまあ、私はあえて、やはりあれが戦略と正に展望を示した重要な役割を果たすものであるということを是非再び申し上げたいと思います。  これまでの経済計画、政府持っておりましたけれども、マクロ政策については、計画については経済企画庁が行うと。一方で、それとは整合性のない形で大蔵省が財政の中期ビジョンのようなもの、中期試算のようなものを行う。その間に整合性なかったわけですね。  しかし、内閣府ができて、経済財政諮問会議ができたことによって初めてマクロ経済財政の間で整合性を持った議論ができるようになった。諮問会議には日銀総裁にも入っていただいて、そこでの全体の姿というのは私はあの中でかなり示したつもりでございます。  ただし、これは非常に困難な道であるということは間違いない。不良債権処理という一つのリスクの中で、一方でしかし財政金融も大きな制約、手かせ足かせがある中で、非常に歩まなきゃならない道は狭い、ナローパスであると。そこを一生懸命模索しているというのが現状であります。  今おっしゃったように、例えばそういった意味でのリスクが生じた場合には、これはその様々な手かせ足かせをもう一度見直して、大胆かつ柔軟にすると、行動するということは、これまた総理が繰り返しおっしゃっていることでありますので、その意味では「改革展望」に沿った形で運営をしている。その今、更の具体策の部分としての税制改革産業活性化戦略対応策を練っていると、そのように御理解を是非いただきたいと思います。
  46. 櫻井充

    櫻井充君 それから最後に、竹中大臣に、本会議の際に、財政再建をやることによって将来の安心が生まれてきて個人消費が伸びるというお話がありました。  しかし、国民の皆さんが一番不安に感じているのは、そうではなくて雇用の問題ではないでしょうか。失業の問題じゃないでしょうか。先日の、これは河北新聞といって地元の新聞ですけれども、この中でも、やはり失業不安が一層強まると。読売のアンケートでもそういうふうになっておりました。その次が社会保障であって、かなり大きく離れているんです。  ですから、その意味でいってくると、不良債権の直接償却をやってくる、これはもう必要なことなんですよ。ですが、そこのところの手だてをきちんとやらないと、失業者だけが増えてくる、そして給料も下がってくる。そういうことがあれば、そのことが一番原因で個人消費は私は伸びないんだと思っているんです。その点について最後に御答弁いただきたいと思います。
  47. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 先般はマクロのメカニズムとしての議論をさせていただきましたが、国民の不安という観点からしますと、今、読売のアンケートを御紹介いただきましたが、他のアンケートによってもやはり不安の一位に来るのは間違いなく雇用の不安、それはもう御指摘のとおりであると思います。  今日の失業率の統計はまた高止まりが発表されておりますけれども、そこはやはり経済が少しばかり循環的に上向いてもなかなか解決の位置付けが見出しにくい、難しい問題であると思います。そのためのやはりセーフティーネットの拡充というのを第一次補正予算、さらには十四年度予算を通してそれなりに対応したつもりではありますけれども、ここはやはり慎重の上にも慎重に更に見ていきたいと思います。  ただし、委員の御指摘の中で不良債権の直接償却が直接雇用不安に導くと、そういう場合ももちろん清算型の場合はないわけではないわけでありますが、柳澤大臣もおっしゃっていたように、これは再生型だとむしろ雇用に対しては安心感が強まる面もあるんだと思うんですね。そこはやはり委員も御指摘されたように、この不良債権処理を前向きに取り組まない限り日本経済はやはり発展の方向に行かないわけで、そこは雇用の問題には細心の注意を払いながら、セーフティーネットに万全の配慮をしながら、是非乗り越えていきたいというふうに思います。
  48. 櫻井充

    櫻井充君 時間になりましたが、再生型って今おっしゃいましたけれども、その再生しようとしている企業がおかしいから、逆に言うと、皆さん不満持たれるんじゃないですか。この企業がとても再生できないと思われるようなところの再生をこの間もやろうとされている。ですから、一概に全部がそういうふうになっていかないんじゃないだろうかという気がいたします。  私の質問を終わります。
  49. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 金融の三月危機に関連して幾つかお伺いをさせていただきたいというふうに思いますが、銀行が破綻する場合には、資本不足の場合、これはどちらかというと金融庁の御担当だと思いますが、の場合と、それから資金繰りによって突然倒れてしまうという場合と二通りあると思いますが、まず、そうした認識でいいかどうか、柳澤大臣にお伺いしたいと思います。
  50. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) その認識で我々も進めております。
  51. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それでは、その資本不足、つまり金融庁御担当の方についてお伺いさせていただきたいと思いますが、資本不足で破綻する銀行というのは石川銀行あるいは最近の中部銀行ですかで、もう今日が三月最終日でございまして、営業日ベースでは。来週の月曜日からはペイオフ解禁に正になるわけですから、資本不足で破綻するものはもうないという認識でよろしゅうございますか。
  52. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 中部銀行は過少資本ではありましたけれども、資金繰り破綻というか、むしろ流動性による破綻でございます。  そういう前提でお話でございますが、私ども、とにかく四月一日に店を開く銀行については資金不足に陥っているというようなものがあってはならないと、こういうことでその施策を講じてまいりました。各銀行におきましてもそういったことに努力をしてもらったと、こういうことでございます。  したがって、四月一日は皆基準に照らして健全性が確保されているという財務状況の下でその日を迎えることになると、こういうことでございます。
  53. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 特別検査というものも行っておられると思いますが、特別検査を行っているということから考えると、もしかすると引当金が十分積んでいないと、したがって、債務超過になるかどうかは別として、資本不足になるということも考えられるんではないかなと、理論上は考えられるんではないかなと思いますが、その点はどのように御説明をされますか。
  54. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 現在、特別検査をいたしておりまして、これは当然、大口というか、大口の債務者についての検査でございます。  この検査を展望して、各行は実は昨年の九末の中間検査の発表時に見込みと申しますか、三月末の見込みをそれぞれ発表いたしておりますが、当然それには出入りが生ずるだろう、最終的な結果としてはそういう形になるだろう、こういうように思いますけれども、現在、私どもとしては、そのことの結果、過少資本に陥るというようなことを見通さなきゃならないと、こういう認識は持っておりません。
  55. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 確かに、銀行側は昨年の十一月発表の中間決算のときにこの当三月末の処理予想というのを発表しておりますが、それがそもそも、大体そのとおりになるだろうということであれば、余り検査をする意味がないんではないかなというふうに思いますが、しかし、今までの対応で大体そのようになるということから、先ほどの三月末で過少資本になるところはないというふうにおっしゃられたという認識で、確認でございますが、よろしゅうございますか。
  56. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) ちょっと浅尾先生のおっしゃったこと、すっと、何というか、うまく理解できなかったんじゃないかという懸念もありますが、要するに、特別検査というものが発表されて、こういったものについてやりますよということで、十月の二十九日に相手方には予告と言っておりますが、実際には検査開始通知というものをいたしたわけでございます。それを受けて、それぞれに自分たちのところが今度の検査の結果、つまり検査というのがリアルタイム検査になったというところに今回の特別検査の一番大きなポイントがあるわけでございまして、そうだとすると、自分たちのこの処理というものがどういう影響を財務に与えるかということを考えたんだろうと思います。  しかし、それはそれでありまして、我々のある意味で言うと関知するところではないわけで、それとは全然関係なく検査に当たって、その結果が今回明らかになるということでございますが、今申したように、これも見通しの問題ですから間違っちゃうかもしれませんけれども、見通しとしてそういうことにはならないだろうという認識を持っていると、こういうことでございます。
  57. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今日は、竹中大臣もこの場にお越しでいらっしゃいますんで、経済財政諮問会議の立場から金融の問題についてもいろいろと御発言をされておられますが、今の検査について、大臣の御発言ではなくて、むしろこれは小泉総理の御発言ですが、銀行の体力を気にしないで検査しろという発言があったというふうに報道されておられますが、経済財政諮問会議の中でもそういうふうにした方がいいという議論があるかどうか、その点について大臣にお伺いしたいと思います。
  58. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) これは、検査そのものに関しては検査局で大変厳しい厳格な検査が行われているというふうに私たちも、各議員も聞いておりますので、そのことそのものをそんなに明示的に議論したことはなかったのではないかと思います。  いずれにしても、今申し上げた認識を持っております。
  59. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それじゃ、柳澤大臣にお伺いしますが、総理の銀行の体力を気にせず検査しろという発言は、裏を返すと、今まで銀行の体力を気にしていたんではないかというふうにも多分取れるというか、普通はそう取ると思うんですね。今まで検査が厳格に体力気にせずにやっていたら、そういう発言にならないわけですから。  だとすると、その検査を預かる立場として、いや、今までもやっていたんですということは総理に対してその後申入れをされましたか。
  60. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 当然、検査局が本当に一生懸命、あっちからこっちからいろんなことを言われるわけです。片っ方からは、今、浅尾先生が言われるように、検査が甘いんじゃないかと言われますし、またもうちょっと下手の人たちからは検査が厳し過ぎるじゃないかというようなことでいろいろ言われるわけでございますけれども、とにかく基準に照らして、もう本当に自分たちはきちっとした検査をしようと、それが金融監督庁から金融庁に、大蔵省から独立して金融部門が一つの部局を作ったゆえんだということで、そこに信用がなくなったらもう自分たちの存在理由はないんだと、そのぐらいの気迫でもってこの検査に当たってきたということでございます。  そういう中で、この小泉総理の御指示というかがあったわけですが、これはあくまでも言わば検査当局に対する激励、あるいは従来の態度を一層堅持するようにというある種の確認的なことだったというふうに受け止めさせていただいております。
  61. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私が今御質問させていただいたのは、金融というのは、私が申すまでもありませんが、ベースは信用だと思います。信用は、当局に対する信用というのも含まれると思うわけでありまして、その当局に対する信用を、ある面、疑いを持たせるような発言、御発言だったんじゃないかなと。それが事実かどうかは別として、だとすると、もっと、いや、今までもやっていたんだということを大臣として言われないと、マーケットはやはりそうだったのかと思うんではないかなと思いますが、今後も含めて、何か総理に対して、その御発言に対して言われる予定があるかどうか、考えがあるかどうか伺わせていただきたいと思います。
  62. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 率直に言って、私も内閣府の大臣という立場もありますので、これは総理の日程等で報道をされているところを見ましても、金融大臣はかなり行って念入りに話し込んでいるなという感じを恐らく世間は受け止めてくださっているだろうと思うんです。正直言って、私はかなり金融状況については、頻度も割と多く、しかも時間もちょっと取っていただいてお話し申し上げているということで、総理との間で別に何か、何か私が言葉を強めて申し上げなきゃならぬようなことはないと思っておりますが、私は、そういったことについてあえて言えば、国会の中で我々、私が代表させていただいている金融庁及びその中の検査局の仕事ぶりについてはきっちり言うべきことは言わせていただいておるという次第です。
  63. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 では、次の質問に移りますが、資金繰りによる破綻については、どちらかというと、どちらかとというか、日銀の御担当だというふうに認識しておりますが、まず、日銀総裁お越しでございますので、四月一日ペイオフ解禁以降、資金繰りによる破綻は日銀としてもないという認識に立っておられるかどうか、お伺いさせていただきたいと思います。
  64. 速水優

    参考人速水優君) 現時点で、資金繰り破綻の懸念のある金融機関というのは、あるとは認識しておりません。ただ、繰り返し申し上げておりますように、我が国金融システムにとりましては、不良債権問題というのが依然として最大かつ喫緊の課題であると思います。したがいまして、金融機関不良債権処理を迅速かつ適切に行って、内外市場や預金者からの信認の確保に努めることが必要であると思っております。
  65. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 資金繰りによる破綻は、私が申すまでもなく、日銀が無制限、無期限に流動性を付ければ、これは資金繰り破綻というのは起きないと思います。  ただ、その前提は、バランスシート上は健全であるという前提がないと日銀としてもそういった行動には出れないというふうに思いますが、そうだとすると、日銀による考査ですか、というものもあると思いますが、そこで確認した段階では、今総裁がおっしゃったように、少しバランスシート上の問題があるんではないかという認識も持っておられる、若干、金融庁の認識とは違うんではないかなというニュアンスを受け取ったんですが、そこの点についてもう少しお話しいただければと思います。
  66. 速水優

    参考人速水優君) 金融機関としましては、ペイオフ解禁後も不良債権問題を始めとして重要なこの経営課題に一層前向きに取り組んでいっていただきたいと、これは不可欠なことだというふうに思います。また、そうすることが金融機関に対する預金者からの信任の向上につながっていくんだというふうに考えております。  日本銀行としましても、現段階で具体的な事態とか方策を想定しているわけではありませんが、万が一の場合には、政府の対応と併せて、金融システムの安定を確保すべく、流動性供給の面から適切に対応してまいるつもりでおります。  今御質問の無期限、無制限と。適切に対応してまいるということをもう少し詳しく言わせていただきますと、一つは、私どもとしてはまず、単なる風評だけの問題であって、健全性に問題がない、一時的な流動性支援で問題が解決できるということが明らかな金融機関につきましては、十分な流動性をそのとき供給していく方針であります。  こうした場合には、風評の解消によって短期間で当該金融機関が自力で資金調達力を回復して、日本銀行からの流動性供与も不要となるというようなことが起ころうと思います。  ただ、現下の金融システムが抱えております本質的な問題は、単なる風評リスクではなくて不良債権の問題であると思います。こうした状況も十分踏まえながら、万一が金融システム全体の安定に疑問が呈されるような事態になった場合には、政府の対応などに併せて日本銀行として必要な対応を取っていく所存でございます。  こうした中で、日本銀行が流動性の供与を行った場合でも、政府による一連の対応策が効果を発揮して金融システムの安定に対する疑問が解消していくことによって、日本銀行の流動性供与の必要性も消滅していくはずだと思います。したがいまして、日本銀行としては、いわゆるこの特融というものを無期限、無制限に行っていくといったようなことは考えておりません。
  67. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それでは、もう少し細かい話で伺ってまいりますが、コール市場で流動性を付けていくということもあるんだと。流動性を付けられるということであれば、コール市場でのデフォルトというのはかつてあったわけでありますが、今後は起きない、起こさせない。まずは、起きないかと言うと起きないというふうにお答えになるんでしょうから、起こさせないのかどうかという観点から質問させていただきたいと思います。
  68. 速水優

    参考人速水優君) 浅尾先生の御指摘になっておられますのは、九七年に起こりました三洋証券、わずかなコールでありましたけれども、それが返せなくて、それが直ちに北拓あるいは山一等に拡大していったという嫌な経験を御心配になっておられるんだろうと思います。  コールなどのインターバンクの取引は、制度という意味では、金融危機のおそれから、おそれが存在するというような例外的な場合を除きまして、四月以降には原則として預金保険法の保護の対象外になっていくと承知しております。  ただ、重要なことは、ペイオフ解禁後でデフォルト発生といったような事態を避けますためにも、金融機関不良債権処理と並行して収益力と資本基盤を強化していくという必要が絶対にあると思っております。
  69. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 収益力を強化するというのはもちろんそのとおりなんだと思いますが、恐らく、二つの当局、つまり金融庁と日銀という二つの当局がもう少しお互いに連携を取っていただくなり信用をしていただいて、つまり、仮に日銀の考査ということが補完的な形でしか行われないという前提で申し上げますが、だとすると、金融庁の検査を第一に一義的に信用すると。したがって、金融庁の検査の結果、バランスシート上は問題ないと。だから、コールで仮に風評として何か問題があった場合でも、そこに流動性を付けるんで、コール市場でのデフォルトは起きないというふうにおっしゃっていただいた方が恐らく世の中の方々は安心をするんではないかなというふうに私は思います。  そこで、話を今度、金融庁の方に戻さしていただきますが、銀行が健全であるためには不良債権処理をしなければいけない、処理というのは間接償却か直接償却であるかは別として、しなければいけないというふうに思いますが、一部言われていることには、不良債権処理の限界というのはバランスシートの問題ではなくて、むしろ当期の利益の問題であるという説がありますが、その説について柳澤大臣はどのように思われますか。
  70. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 率直に言いますと、どっちの天井が低いのかといいますと、これも過去もうばらばらでございますけれども、中には配当原資の方、天井の方が低いという銀行があるということは、私もそういう認識持っております。
  71. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 ところが、配当原資を気にしてそこから逆算して不良債権処理をするという計算でいきますと、年間の多分銀行業務純益は三兆円ぐらいだと思いますから、十年間掛けて三十兆円処理できると。それは、バブル崩壊してからもずっとかなりの業務純益の範囲内では処理をしてきたというのは現実問題あると思うんですね。しかし、時間を掛ければそれは処理はできる可能性はあると思います。しかし一方で、先ほど来竹中大臣にも議論をしていただいておりますが、時間を掛けることによって日本の経済全体を弱めてしまうという可能性があるんで、そうだとすると、その今の柳澤大臣の御発言を文字どおり受け取ると、配当可能利益というものに縛られて不良債権処理をやっていないというのが金融機関の中にあるというふうに聞こえるし、そういうことなんだと思いますが、そのことについて、それをそのまま、金融庁もそれでいいんだということなのか、いや、もう一歩踏み込んで、配当可能利益を超えてでもやはり引き当ては積ませるんだと。それはどちらですか、金融庁の立場は。
  72. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) これはもう申すまでもないことで、先ほどの浅尾委員が引かれた総理の言葉の中にもあるように、体力なぞということとかかわりなく、やるべきことはやれと、こういうことでございまして、当然のことながら我々はそういう不良債権処理を的確に行うということを第一義の目的にしております。  ちょっとだけ付け加えて、大変時間取って恐縮ですが付け加えさせていただきますと、現実にその天井に頭をぶつけていろんな処理をして苦労をしているようなところもあるし、それからまた現実にもう配当はできませんというところもあるというところが出ておるわけで、そこを、それは逆に言うと、そういうようなことで上限を画しているものではないということの証左としてお受け取りいただければ有り難いと、こういうように思います。
  73. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 その配当可能利益が問題になるのは、特に政府が取得している優先株との関係で、優先株の議決権が復活するからということだと思いますが、私は、そこは今大臣がおっしゃるように粛々とやると。やった上で優先株の議決権も復活をさせて、そして配当ができなかったというのは経営責任があるわけですから、経営者には退陣をいただくとか、さらに配当可能利益を超えて不良債権処理をした結果、減資が必要になってくるという場合には、当然普通株主から責任を取っていただくという必要性があると思いますが、その点の御認識はどのように思われますか。
  74. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) おおむね委員のおっしゃるとおりであると、このように考えております。
  75. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 後段の方が多分一番問題になると思うんですね。つまり、経営者の責任というのは恐らく取るという形になると思いますが、後段のその普通株主の減資を先に優先株に先じてするべきだということは、議論は再三大臣とさせていただいておるんですが、私は、これは当然普通株主というのは一般の方が投資をしていると。経営との距離でいうと優先株の方が遠いわけでありまして、優先株はもちろん国民の税金がバックにあると。税金がバックにあろうとなかろうと、それは経営との距離で測るべきだと思いますが、経営との距離が遠くて、なおかつ国民の税金がバックにある優先株より先に普通株を減資するということも含めておっしゃるとおりというふうに言われておるのかどうか、そこの点を確認させていただきたいと思いますが。
  76. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) おおむねということを使わせていただいたのは、その点よく私どももいろんな学説等も調べておるわけでございますけれども、そうしたある意味で訴訟リスクも処理の仕方によってはあるんだろうと思いますけれども、そういったことをよく念査した上でそういう事態になったら結論を出してまいりたいと、このように考えております。
  77. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 訴訟リスクというのは両方ありまして、普通株主からの訴訟ということもありますし、国民からの訴訟というのも当然あるはずであるというふうに申し述べさせていただきたいと思います。  次に移らさせていただきたいと思いますが、日本の金融機関は十五兆円のセーフティーネットがあるから大丈夫だというような議論もありますが、私は、これは大臣もおっしゃっておる、いろんなところでおっしゃっておると思いますが、この十五兆円を使うときには当然その経営者あるいは株主、普通株主ですね、減資をしてからでないと十五兆円は使うべきではないと思いますが、その点について御認識を伺いたいと思います。
  78. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) ここもなかなか難しいところでして、つまり、過少資本行になる場合に、どの程度かというようなこともかかわりが出てくるのではないかというようにも考えます。その辺りのことについては、私どもやはり前の健全化法に定められたこととの、何と申しますか、これを簡単に、それはもう局面が違う、制度が違うということで、それと違う扱いができるのかできないのか、その辺りのことが少し詰めなきゃならない問題であると、このように認識しています。
  79. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 しかし、普通に考えると、十五兆円というのは、これはもう税金になるわけです。それから、前に入れたのもそこで毀損する可能性もあるわけですね、優先株で入れた。そこはもう完全に納税者の負担になると。納税者に負担を強いていながら、それよりも責任が重い普通株主に負担を強いないという理屈は成り立たないと思うんですね。普通株主を保護するだけの十分な理由が、それを超える理由があるとは私には思えないんです。  強いて普通株主の方々が反論するとするならば、私は単に株を持っていた、持っていたけれども経営にはタッチができなかった、だから責任がないんだという理屈構成になるんだと思いますが、それは資本主義社会においては多分成り立たない理屈なんじゃないかなと。ですから、もしそれを認めるとすると、私はこれはある種修正資本主義というか社会主義に限りなく近くなってしまうんじゃないかなと思いますが、その点はどのように考えられますでしょうか。
  80. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 浅尾委員の指摘される点も理解できないわけではありません。率直に言って、理解をするということで聞いておるわけでございますけれども、私がちょっと今この気にしているというか、そういうことは、要するにこの前の健全化法のスキームというのがついこの前まで有効だったわけですね。それとこれとをどのように考えて処置に当たるべきかということをやっぱり考えなきゃいけないんじゃないかということなのでございます。
  81. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私、そこの部分は大臣と大分違った意見を持っております。つまり、そこはやはり責任を明確にしていかないと同じ過ちを繰り返してしまうんじゃないかなというふうに思います。  今日実は、かつて、二〇〇〇年の九月ですから二年前ほどに文芸春秋に載せさせていただいた、まあタイトルは自分が付けたわけではありませんで、私で。申し上げさせていただきたいと思いますが、論文を配らさせていただいたのは、今大臣がおっしゃったことは一つ考え方としては認識をいたします。ただ、私はその立場に立ちませんが、一つ考え方としては認識をいたします。  しかし、一方で、今回新生銀行が誕生した。その新生銀行は全く違う理屈で動いている。動ける理由は、瑕疵担保という特別のカードを持っているから、彼らにしてみると、企業が仮に三年間であれ、つぶれれば全額損失がなく国に戻せると。で、もっといいのは、かなり引当金を積んでいただいていますから、それを国ではない第三者に買ってもらえればそこで特別利益が出るかもしれない、あるいは企業からお金を全額回収できれば、そこで特別利益が出ると。  したがって、そういう特別なカードを持っている銀行を生んでしまったことが、かなりいろいろと、今の一つの一貫した理論構築ではマーケットを動かせなくしてしまっているんではないかなというふうに私は思っております。  一方で、大臣は、この論文の一ページ目の、百十五ページのところに書いてありますが、中段で書いてありますけれども、「外資系に買ってもらい、日本の金融システムに刺激を与える存在になってもらうのもいい」と、リップルウッドに売却する前におっしゃっておられたと思いますが、今でも、刺激という言葉をどういうふうにとらえるかは別として、日本の金融システムにいい刺激を与える存在になったというふうに認識をされておられますか。
  82. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) ここで言っているのは、あの当時に新しいビジネスモデルというようなものを我々非常に求めておりました。伝統的なバンキングビジネス業態、業務だけで右から左に資金を動かせれば大きな利益が上がる。したがって、金融機関の優劣というのは預金の高によるんだといって、預金高で順番を付けたりしたのを随分我々見てきて育ったわけですね。  そういうようなことでなくなったということですが、それを新しいビジネスモデルを生み出してもらうということ、これは日本の金融機関もまあ独自に内発的な開発をすべきだという考え方もありますが、同時に、外国の人たちが現実に入ってきて商売するところを見て、またそこに倣っていくということも十分あり得ると、こういうふうに考えてそういうことを申しました。  そういう一般的な議論と、新生銀行が、いろいろと我々も業務改善命令なぞも発していますけれども、そういう問題を生んでいるということとは一概に結びつかない、つながらない問題でして、我々としては新生銀行に対して個別に問題があればそういうような個別の対応をするということで対処していきたいと考えているわけです。
  83. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今日お配りいただきました資料の中でも、国内の貸出し状況の増減のところだったと思いますが、新生銀行だけが、八百四十八ページだと思いますが、突出して債権の回収に走っていることが明らかになっております。  私は、その彼らの経営の中身について批判をするつもりはありませんが、金額だけ申し上げますと、新生銀行だけ一兆円を超える回収、要するに貸出しが減になっている。他の銀行でもちろん減っているところもありますが、一兆円を超えて減っているところというのはない。増えているところもそこそこあるわけであります。  申し上げたいのは、それは彼らの一つの経営の戦略なんだと思いますが、そういう戦略に走るのは、私は一つは瑕疵担保という、先ほど来申し上げております特別のカードを持たせてしまったことに起因すると。当時、ロスシェアリングがいいんではないかといろんな議論もありましたが、それはこちらの論文にも書かせていただきましたが、厳格な査定をするからロスシェアリングでなくていいんだというような御答弁もいただいたと思います。  申し上げたいのは、このような結果として、政府の意図するところと違う行動を取っているわけです。それは、取るのは民間の経済主体ですから、繰り返しになりますが自由なんですが、その際に、過去も質問させていただきましたが、政府が仮になれていなかったとするならば、せめてアドバイザーとして雇ったゴールドマン・サックス等にも責任があるんじゃないかなと私は思いますが、その契約の中身ぐらいは国会にお示しをしていただいて、我々にもそれを検証していただくような機会を与えていただきたいということは再三再四申し上げさせていただいておりますが、大臣も同じような事態が発生するおそれがなくなった場合には契約を公表しますという御答弁もいただいておると思います。先ほど来御答弁にありますように、もう破綻する懸念があるところはないということですから、そろそろ書類を出していただいたらいかがでしょうか。
  84. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) ないということはないんでございますけれども、しかし、法律では依然として国有化というものが預保法百二条にもうたわれております。運用の見通しというのがあるのかといえば、ないということでございますけれども、法律がうたっている以上、やはりそれだったら、本当に制度的にもないんでしたら法律から削ればいいわけですけれども、そういう訳にはいかないということでございます。
  85. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 議論してもそこの部分は出てこないかもしれませんが、やっぱり一言だけ申し上げさせていただきますと、一つ考え方、それは護送船団から変えていくんだけれども、急には変えないという考え方で恐らく金融庁の行政をやっておられると。しかし、そこに新生銀行という全然違う理屈で動くものが出てきた結果、様々なあつれきを生んでいると聞いています。  この三月末で、場合によってはロールオーバーをしないというようなところも、企業も出てくるんじゃないか、それがまたほかのところにも波及するというようなことも十分考えられると思いますので、是非、そこの問題を起こした責任ということもやはり議論をしていかなければいけないと思いますので、少なくともその契約書出すこと自体は、委員長にお願いしますが、何ら、再三再四申し上げておりますが、ビジネスには影響を与えるものではありませんので、是非、当委員会で御検討いただきますようにお願いしたいと思います。
  86. 久世公堯

    委員長久世公堯君) ただいまの件につきましては、後刻、理事会において協議いたします。
  87. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それで、今日はあと外為法について少し質問させていただきたいと思いますけれども、先般、予算委員会でも質問をさせていただきました。  鈴木宗男さんの送金について、これは外為法で言うところの報告の義務にかかわる問題であると思いますが、まず、一般論として、ある人からお金を預かった、例えば私が預かって銀行に行って海外送金をしたという例で申し上げますが、その場合、その報告書を提出する義務があるのは私でしょうか、それとも私にお金を預けたある人でしょうか。
  88. 尾辻秀久

    ○副大臣(尾辻秀久君) 一般論として申し上げると、預けた人ということになります。
  89. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 そうすると、これはちょっと別の銀行、大和銀行の証書でありますが、送金依頼人というところに本当は、そこの、何というんですかね、鈴木宗男さんのお名前が入った形でないと報告はできないと思いますが、鈴木宗男さんの場合は、送金依頼書は外務省の職員のお名前で書かれております。これは、今のお答えでいうと、適法だったか適法でなかったか、それはどちらでございましょうか。
  90. 尾辻秀久

    ○副大臣(尾辻秀久君) 今申し上げたように、本当に送った人、御本人の名前で報告されるべきである、このように考えております。
  91. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それでは、別の質問をさせていただきますが、仮に私がある人から預かって、代理でやるということで窓口に行った場合に、本人の確認と代理人の確認の手続はどのような手続でございましょうか。
  92. 尾辻秀久

    ○副大臣(尾辻秀久君) 今の外為法の規定では、そのことを明確に確認するという義務を課してはおりません。
  93. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 外為法上の規定はそうだと思いますが、その下の政省令あるいは通達のレベルではどのように確認をされておりますか。
  94. 尾辻秀久

    ○副大臣(尾辻秀久君) 通達においてもそのようなことはいたしておりません。
  95. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それでは、まず、今後マネーロンダリング等々の法律が出てくるわけでありますから、その代理人が送金を行う場合の確認ということについて、政省令、通達でどのように改めていくおつもりでしょうか。
  96. 尾辻秀久

    ○副大臣(尾辻秀久君) 現在の外為法では海外送金が原則として自由になっておりますために、今おっしゃるようなことがございました。  なぜ、では、支払報告書だけは求めていたかといいますと、これは、実態把握の観点からこの統計、はっきり言いますと統計を取るために支払報告書を出してもらうことにしておりましたために、規定が大変緩やかでございました。したがって、今後はしかし、今先生の御指摘のようなこともあります。それからまた、今度の予算委員会、今日を通じて御指摘いただいたようなことがあることは私どもも十分認めますので、法律そのものも変えたいと、このように考えております。
  97. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 鈴木さんの送金の場合は、さっきおっしゃったように、もし仮にその支払等報告書に送金をした人の名前が鈴木さん本人の名前でない場合は、これは外為法の七十一条二号の罪に当たるというふうに思いますが、そうした理解でよろしゅうございますか。
  98. 尾辻秀久

    ○副大臣(尾辻秀久君) 今、先生お示しになった送金依頼書と私が持っているのはほとんど同じものだと思いますけれども、銀行に、じゃ実際に窓口に来られてもし本人が代理で来たんですと言った場合にこの送金依頼書をどういうふうに書かすんですかと聞いてみましたら、左下のところにこう送金人の名前を書くことになっている、そこに預けたその人の名前を書きなさい、括弧をして代理で来た人の名前を書きなさいと、こういうふうに頼んでいると銀行は言っております。  今度の場合、その支払報告書が残っておりませんから、支払報告書に本当にどう書いてあったかというのが分からないので、ぎりぎり違法であるとかなんとかということはなかなか言いづらいんですが、一般論で、依頼書を元にして支払報告書を書いていますから、この紙に、上の方にはフロム鈴木と。送金した人も、事実、これは鈴木さんから頼まれて来ていますということを正直に言っているわけですね。隠す意図も何もないわけです。  その辺のところをこう、さっき申し上げているように、そもそも外為法が緩やかな規定になっているものですから、違法なのかどうなのかということを判断するというのは一面難しいところもあります。もう司法の判断を待たなきゃならないということにもなりますが、今、私どもがこれを告発するほどのことではないというふうに考えておるということだけを申し上げておきたいと思います。
  99. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 時間が参りましたので終わりますが、今おっしゃった外為法の七十一条にかかわる部分の保存期間報告書の保存期間は一年でありますが時効は三年であります。したがって、時効の方が長いと。したがって、一年たっちゃうと罪があったのかなかったのか分からなくなってしまうという、非常にそこはいい加減な、言葉は悪いですけれども、いい加減な法律、法体系になっているので、是非そこの改正も含めて御検討をいただきたいと思います。
  100. 尾辻秀久

    ○副大臣(尾辻秀久君) 今おっしゃったことはそのとおりでありますから、そのように変えます。
  101. 平野達男

    ○平野達男君 国改連絡会の平野達男でございます。  まずもって、私の質問の都合上からでございますけれども、山口那津男委員に質問の順番を変えさせていただきましたこと、お礼を申し上げます。  竹中大臣に質問したいと思います。  二月一日に財政金融委員会出席していただきまして、さきの十三年度予算の二次補正の予算と骨太の基本方針ということで議論させていただきまして、私と塩川財務大臣の中で、間でやり取りがありまして、ちょっとしり切れトンボになった経過があります。その話の整理をちょっと付けさせていただきたいと思います。付けさせてもらうというのは、ちょっと言葉が余り穏当ではありませんけれども。  実は、今日に先立ちまして昨日、塩川財務大臣財政金融委員会で同じ議論をさせてもらったんですが、十三年度予算で二回補正を組みました。まあ話を単純化するために二次補正に限定をして議論を進めますけれども、あの二次補正は経済政策上はどのような意味合いがあったんでしょうか。
  102. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) これは対策の取りまとめの中に明示させていただいたつもりでありますが、デフレスパイラルを阻止するために措置を取ったということでございます。
  103. 平野達男

    ○平野達男君 ここで需要と供給という言葉を持ち出させていただきますけれども、たしか、竹中大臣予算委員会等で、需要の落ち込みに対して一時的に需要創出するんだというような答弁もされていたんじゃないかと思います。というのは、今のデフレというのは供給が需要を上回るような状況だということで、そのデフレスパイラルというのは、やっぱり一時的に相当の需要が落ち込んだ状況だというふうに思います。そこに補正をやることによって、補正というのは二兆五千億あのとき使ったわけですけれども、それによって一時的な需要の創出をしたと。  そこで、あのデフレスパイラルという、デフレからデフレスパイラルというふうな状況に移行することに対して歯止めを掛けたんだというようなニュアンスで発言されていたような気もするんですけれども、それはそういう理解ではないんでしょうか。
  104. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 基本的には、総需要がらせん階段を滑り落ちるようにスパイラル的に悪化するのを防ぐと、そのために第二次補正予算を組んだと、そういう理解でございます。ただし、その場合も供給サイドに配慮しながら組むとか、そういう附帯条件はいろいろあるかと思いますが、メインの目的はそういうことでございます。
  105. 平野達男

    ○平野達男君 二兆五千億を使いますと、これは明らかにその分だけの需要創出効果があるわけです。この需要に着目した効果ということはどのように説明されますか。
  106. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) いや、総需要がスパイラル的に落ち込むことを防ぐということでありますから、その意味では間違いなく需要を支えるということを目的にしています。
  107. 平野達男

    ○平野達男君 昨年に骨太の基本方針が出されまして、小泉総理も言っているように、構造改革なくして景気回復なしということで言っておりますけれども、まず構造改革をやりますよと。これはもう竹中大臣が何回も言われますように、サプライサイドの改革ですということで、これをやることによって景気回復をするんだというふうなのが骨太の方針ではなかったかと思います。  あの中には追加財政を発動して需要の一時的な喚起をするというようなことは言われていなかったと思うんですが、今回の、さきの十三年度予算の二次補正において、いわゆる今の景気の状況が一段と悪化すれば一時的にせよ追加財政需要を発動してその景気の悪化を防ぐという方針を打ち出したというふうに私は理解しておりますけれども、そのような理解でよろしいでしょうか。
  108. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 厳密に申し上げますと若干違うというふうに、ことになると思います。  これは、構造改革の目的は明らかに、供給サイドを強くすることによって持続的な経済発展を可能にするということを目的にしております。しかし、その骨太の方針の中にそういうことを書いておりますが、同時に、経済というのは、経済を短期的に決めるのは総需要がどうかということで決めるわけでありますから、その短期的な状況に応じては柔軟かつ大胆な対策を取るということも、これはもう総理の所信表明の中にも出てきますし、様々な我々の文書の中にも出てきている表現であります。景気が悪くなったからそれを押し上げましょう、そういうような景気の微調整は財政を使ってやるということは不適切であると思います。しかし、スパイラル的に悪くなるようなときに関しては柔軟かつ大胆にやると、これは需要面でも必要だというふうな認識をずっと持っております。
  109. 平野達男

    ○平野達男君 そのずっと持っているというお話でしたけれども、私はそもそも骨太の方針の中で三十兆枠をはめたということは、財政の発動にある程度たがもはめましたと、はめますということを宣言したというふうに理解しました。  ところが、一方で、構造改革を進めますよと。構造改革を進めて、それが結果的に景気回復に結び付くんだという筋だったんですが、構造改革が今経済の面でいきますと、不良債権処理を中心に進めていますけれども、この不良債権処理は、もう何回も多くの方々が指摘されますように、瞬間的にはもうデフレ圧力として働くと。その結果、構造改革として一時的にデフレからデフレスパイラルの状況に陥ってきて、入口に立たされたと。そこで財政発動をしたということは、私はこれは大きな政策変換ではなかったかというふうに思いますし、骨太の方針になかった、いわゆる構造改革を進めて、一時的にその結果として景気が落ちますよといったところについては弾力的に追加財政需要をやりますよということをビルトインしたというふうに私は理解したんですが、そういう理解でよろしいでしょうか。
  110. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 先ほど申し上げましたように、いわゆる景気の微調整ですね、そういう形で財政を使うということはありませんということです。  その第二次補正に関しては、特に予想を上回るような世界的な規模でもないIT不況、さらに加えて九月十一日以降の同時多発テロによる一時的なショック、十一月ごろ議論したわけですが、その時点では大変不透明なものであった。そういう言わばショックに対応して取られたもので、いわゆる景気循環の中での微調整ではないということでございます。
  111. 平野達男

    ○平野達男君 私ども微調整ということを言っているんじゃなくて、いわゆるそういった構造改革を進める中で景気が一段と落ち込んだと、その落ち込みをそれ以上防ぐための積極財政、つまり財政発動、これを、これは私は骨太の方針にはなかったと思うんです。これを二次補正の発動によって認めて、今の新しいその、失礼しました、骨太の方針の中にビルトインしたんじゃないかと。それを政策転換、変換ではないかというふうに私は認識しておるんですが、どうでしょうかという質問です。
  112. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) これは、私は政策転換とは認識をしておりません。これは例えば、いろんな状況があるんだと思います。例えば、一次的に非常に不況が深刻化して需要が落ち込んだ場合、これを持ち上げるというのも私はやっぱり微調整だと思うんですね。それがスパイラル的に悪化するということになると、これは要するにもう一種のクライシス、危機の状態でありますから、そういう状況になるのを止めるためにやるんだと、それはもう一貫して申し上げていることだと認識しております。
  113. 平野達男

    ○平野達男君 そこは見解の相違かもしれませんけれども、先ほど言いましたように、私、国債発行額三十兆ということを設定した途端に、要するにそれは財政というものはその場、枠の中で運用するということを宣言しましたんで、結果的に二次補正、一次補正、二次補正組んで、特に二次補正はNTT株の売却益という、バイアスというか通常の予算措置じゃなくて国債発行額に影響を受けないような措置を取ったわけですが、結果とすれば、やっぱり財政発動しているという意味においてはこれは私は大きな政策変換だったと思いますし、ここはやっぱりきっちり宣言をしてやはり二次補正をやるべきではなかったかなというふうに私は思っておりますし、恐らくこれから経済が、今先行き非常に明るいというふうな状況も言われていますけれども、何かの契機でがたっと落ちたときには、これは当然追加財政需要が出てくるんだなというふうに私は理解しております。  次の質問に移りますけれども、不良債権なんですが、昨年の九月期に十二・七兆円あったのが、今でもって一年後、今十二・二兆円、十三年の九月というようなデータをいただいています。この内訳は、その間、不良債権処理、これは金融庁主導でやられたんですが、六・九兆円やられまして、新規発生が六・四兆円ということで、もうこの数字を見る限りにおいては一年間もうほとんど不良債権については泥沼化していると。不良債権処理しても処理しても新しいものが出てくると。  これは常々、いろんな委員会では、柳澤大臣どうでしょうかという質問で、質問は柳澤大臣に向いておるんですが、基本的にこれはマクロ政策の問題じゃないかなと。柳澤大臣は、この質問されますと、質問されて答弁いたしますと、私の方はミクロ政策でございましてということで、発言の、自分にある一定の線を設けて発言されるんですが、この問題は正にマクロ政策じゃないかなと、の結果じゃないかなと思うんですが、竹中大臣はどのように思われるでしょうか。
  114. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 不良債権が多くの努力によって償却しても償却しても次から次へ出てくるということに関しては、大変これは重大な問題であるという認識をまず骨太の方針の時点から書かせていただいております。  その中を読んでいただきますと、やはり不良債権が発生するメカニズムを踏まえて、その究明まで含めて議論しなければならないということをこの議論の出発点としております。これはいろんな要因がもちろん重なっているのだと思います。予想しなかったような事態、これはマクロ経済は予想しなかった、より悪くなっているということもその一つであろうかというふうに思いますが、さらには、今までの中に、なかなか査定、資産の査定が難しかったというものもあろうかというふうに思います。  これをすべて、じゃマクロ政策マクロ経済が悪化したせいに帰せられるかというと、これはやっぱりちょっと無理があるのだと思うんですね。不良債権ずっと増えてきています。その間、マクロ経済がいい時期もありました、悪い時期もありました。この一年間に限っても、経済、実質でマイナス一%程度でありますから、マイナスではありますけれども、売上げが、これは名目ですから、もうちょっと下げなきゃいけませんが、去年、百万円あった売上げの会社が九十八万とか九十七万になって、それで不良債権が一気に増えるものかどうか。ここはやはり、メカニズムそのものはまだ十分に解明されているとは思いませんが、マクロの要因とミクロの要因と極めて複合した要因があったんだと思います。
  115. 平野達男

    ○平野達男君 柳澤大臣、同じ質問ですけれども、不良債権処理しても不良債権が出てくると、この状況をどのように説明されるでしょうか。
  116. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) これは、一つは正直申して、例えば要管理債権の中の大きな部分ですけれども、条件緩和というようなものについて、これは検査局から言わせると条件の明確化ということを言うんですが、実際の現れようというのはやっぱり厳格化ということで、べた貸しについて従来と同じ金利を取っているだけでは、その信用度が、信用リスクが変動した場合にはそれ自体がもう条件緩和ということになりますよというようなそういう基準を採用しまして、かなりこれは大きな、金額的には大きな影響を持ちました。そういった面もあるわけでございます。  それからもう一つは、やっぱり今委員が正に指摘した分野がそうなんですが、破綻懸念先以下の状況については、どちらかというと、彼は、そういった基準の変更とかなんとかじゃなくて業況悪化を反映しているということでございます。
  117. 平野達男

    ○平野達男君 私も、この不良債権の新規発生というのは、先ほど、この間の新聞記事にも出ていましたけれども、地価の下落に歯止めが掛からない、一方で、もういわゆる資産デフレに全然歯止めが掛かっていないという意味で、本当にこれはマクロ政策の問題じゃないかなというふうに思います。  ちょっと放談的に言わしていただきますと、経済面での構造改革を漫画チックに表現しますと、最前線で仕事している人がやっぱり金融庁だと思うんです。最前線でやりますから、弾を撃つ分だけ撃ち返される。私も、いろんな人からも批判も受ける。鉄砲玉受けたり、なべ投げられたりですね。私も柳澤大臣に鉄砲玉撃っている一人なんですが、ひょろひょろ玉ですから余り効いていないかもしれませんが。それで、その前線を見ながら竹中大臣がこっちいるわけです。竹中大臣は、弾もなべも飛んでこないちょっと離れたところでちょっと見ているんじゃないかなと。小泉総理はもっと離れまして、その戦線も何も見ていないと。テレビカメラばっかし見て、弾力的とかあらゆる手段を活用してどうのこうのとかという、こういう何か漫画チックな感じで今ちょっとしゃべってしまいましたけれども。  もっともっと、やっぱり竹中大臣はこういったマクロ政策の部分については説明責任があるし、やっぱり対策もぼんぼんぼんぼん、こういったことのこういった理由ですよというような説明、それから方向性、どんどんどんどんやっぱり発言してもいいんじゃないかなというふうに思います。  破綻金融機関処理の話にちょっと移らしていただきます。  破綻金融機関があった場合に、これが救済金融機関営業譲渡等がされるわけですが、どうもいろいろな議論を聞いていますと、救済金融機関がどのように決まるのかというのが非常にちょっと不明確ではないかと思います。物によっては外資系だといってハゲタカファンドとか、浅尾委員はここにハイエナ外資と書いていますけれども、そういったハイエナ外資だとか国内の金融機関とかいろいろあるようですが、この決定の仕方の原則、これがどのようになっているか、御説明願えるでしょうか。
  118. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) これは、まずよって立っている原則というのは国民負担の最小化、それから預金者の保護、それからまた善意かつ健全な貸出し先の保護、こういう基本的な考え方に立っておりまして、その下で適格性の認定とかという具体的な行政手続に乗っかってくるわけですけれども、そういう際には当然、今委員が言われた救済金融機関、俗に受皿金融機関と言わせていただきますけれども、受皿の健全性といったようなこと、そういうようなことをいろいろ勘案して処理をすると、こういうことでございます。  引継ぎのところについては、ここがある意味でなかなか難しいところでございますけれども、少し時間の余裕があればこれは当然入札制という、複数の候補者を求めて、それでそれが現れた場合には入札制ということで、今言った入札の中で総合的な判断をするということもございます。  それからまた、場合によっては、これからどういう問題が起こってくるかというようなことはありますけれども、できるだけ迅速にということも、これまたもう一つの要請ですから、そういう場合には、何と申しますか、受皿金融機関としてどう見てもこれが常識的だなというようなところが見付かればそういうところに受け渡していくということも現実問題としてあり得ようと、このように考えています。
  119. 平野達男

    ○平野達男君 費用の最小化の原則ということから言えば、これは当然やっぱり競争入札が原則であろうと思います。  ただ、その競争入札にするにしても、それだけの市場も形成されていない、時間的な制約もあるということで、管財人がいろいろあちこち走り回って、何とか引き受けてもらえないでしょうかというようなことで救済金融機関というのを決めているというのが実情だろうと思うんです。  そこで、そういう前提に立って考えますと、実は救済委員会救済金融機関側に立ってみますと、頼まれる側ですから、非常に物が言いやすいというような状況にあるんじゃないかなというふうに思います。  そこで出てくるのが、先般の、先般来、財政金融委員会の中でもいろいろ議論が出ていますけれども、いわゆる営業譲渡する場合のいわゆるいろんな債権の引当金、この引当金を積むときに債権を分類するわけですけれども、そこに非常にいろんな恣意性が加わってくるんじゃないかというような揣摩憶測、揣摩憶測と言ったらちょっと失礼になりますけれども、憶測が出てくるというような余地があると思うんです、余地があるんじゃないかなというふうに思います。  そこで、この平成十一年十二月二十一日に金融審議会が「特例措置終了後の預金保険制度及び金融機関破綻処理のあり方について」ということでこの答申を出しています。この中で、破綻金融機関の承継先、どちらかといえばこの場合で言う承継というのは営業譲渡ということだと思うんですが、この承継先が現れやすい環境の整備という中でロスシェアリングとプロフィットシェアリングという提案がされていますね。これをなぜやらなかったんだろうかという質問であります。  このロスシェアリングというのは、言うまでもなく受け手側にとってはこれは不利であります。失礼しました、ロスシェアリングというのは受け手側に有利ですね。プロフィットシェアリングというのは受け手側にとってはどちらかというと不利であります。しかし、それをセットにすることによっていろいろな懸念というかそういったものを除去できたんではないかなという感じがするんですが、このロスシェアリング、プロフィットシェアリングというこのせっかくいい提案をされておきながらこれを導入しなかった理由について御説明願えるでしょうか。
  120. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) これは、ロスシェア、プロフィットシェアというのは、基本的には救済金融機関によるデューデリジェンスというものがあるかないかということとの見合いで決まってくる部分が多いと思います。やっぱり、デューデリをさせるもういとまがないから、これとにかく引き取ってくださいということになると、二次ロスが出たときにどうしようかということが問題になり得るわけです。で、それを、一つの手法としてロス及びプロフィットのシェアという手法があり得るということだろうと思います。  それに対して、先ほどちょっと委員がおっしゃった、何というか、恣意的なものが働くんじゃないかということについてあえて言いますと、それは金融整理管財人が第一義的に債務者区分をするし、引き当てもするし、それからまたそれについては預金保険機構が指定、委任した外部監査法人がこれをチェックすると、こういう仕組みでございまして、それを相手方に提示するわけでございます。で、相手方は、それを、提示されたものについてデューデリをして、それでこれはもうこういうことであれば自分たちは継続保有はできないというようなことになるし、その場合にはRCCに買い取っていただくというようなことになるわけでございますが、いずれにせよ、デューデリを行った上でロスシェアとかというような問題は生じる可能性は少ない、そういうことを要求そもそもしてこないと。それでもう彼らとの間は完全に切れるということになりがちだし、また現実にそのような推移をたどっていると、こういうことです。
  121. 平野達男

    ○平野達男君 説明は分からないわけではないんですけれども、先ほどの出発点に戻って、これは競争入札ではないと、管財人がいろいろ歩き回って譲渡先の金融機関を探してくるということになりますと、どうしても同じことに、繰り返しになりますけれども、買手市場というか、受け手側の市場の言いなりになりやすいという雰囲気がどうしてもあると思うんです。  そういう雰囲気のある中で、こういったロスシェアリングとかプロフィットシェアリングという、自動的にそういった引当金を積み増しをし過ぎた場合に生じるいろんな諸問題を解消するような手段、こういったものが提案されていたわけですけれども、これが実は実際に実行されなかったというその議論の経過というのがちょっとよく見えないというふうなことなんですが、ここはこの今回の破綻処理の在り方について、いろんな実行するときに、どういう議論がされたんでしょうか。
  122. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 今回のというのはどの……
  123. 平野達男

    ○平野達男君 失礼しました。そうしたら、この金融審議会の答申、十二月の二十一日、平成十一年にやっております。これを受けてどのような議論をされていたかという質問に変えさせてもらいます。
  124. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) なぜということで言えば、先ほどの答弁の繰り返しということになります。で、ここが非常に難しいところで、今後とも難しいんですけれども、要するに預金者なり貸出し先に余り不安を与えないことを考えると、何といっても迅速処理が恐らくトッププライオリティーになるんですね、トッププライオリティーに。それで、例えば町を歩いていても、もうほとんど同じようにその店は、金曜日に破綻したと言われているけれども月曜日には店は開いている、九時からちゃんと開いているというようなことが望ましいということで、アメリカでも破綻処理についてはPアンドAというようなことで話が進んでいるわけでございます。  そういうようなことを金月の間にやるというようなことになりますと、これはやっぱり何というか、競争入札というようなことにはなかなかならないということがございます。
  125. 平野達男

    ○平野達男君 いずれ、今のお話を聞けば聞くほどと言ったらなんですが、迅速に処理しなくちゃならないという中ではやっぱり救済金融機関というのは非常に物が言いやすいと。金融機関側にすれば引当金を積んでもらえば積んでもらうほどいいわけですから、そういう中で、こういうロスシェアリング、プロフィットフェアシェアリングというのが十分な議論がされないまま実行されていないということについては、ちょっと疑問を感じます。  それで、次の質問に移りますけれども、資産の買取りなんですが、金銭譲与、その前に金銭譲与十六兆八百五億円、それ以外に資産の買取りで破綻金融機関から五兆四千二百十五億円買い取っています。これは預金保険機構が買い取っているんだと思うんですが、この回収状況についてお伺いしたいと思います。  一方で、RCCが五十三条買取りで三百四十六億円を買い取って、これはかなり回収が順調に進んで、今回の時価買取りの、仮に二次ロスが出た場合の財源に充てるというようなことが書かれているようですけれども、預金保険機構の方のこの回収状況というのはどういう状況になっているでしょうか。
  126. 松田昇

    参考人松田昇君) お答えをいたします。  先生御指摘の破綻金融機関側の資産の買取りというのは、預金保険機構申込みございますけれども、実際はそれをRCCに私どもが全面的に委託をして、RCCで回収その他をするという仕組みになっております。  御指摘の買取りの累計額は五兆四千億でございますけれども、その中で回収の関係で比較になりますのは貸出し債権でございまして、ざっとでございますが、それが約三兆八千億あります。そのうちで、現在までにRCCに委託をして回収をしてもらった分が二兆一千億ございまして、回収率は現在五五%となっております。  したがいまして、現時点では、回収は途上にあるわけでございますけれども、また新しいものも入ってまいりますけれども、現状では新たな国民負担を生ずるというような関係にはないということでございまして、引き続き預金保険機構としても、国民負担の最小化、回収の極大化を目指してRCCを指導していきたいと、このように考えている状況にございます。
  127. 平野達男

    ○平野達男君 今の段階では確定的なことは言えないということですが、ただ作業進行状況としては、これはたしか五年で回収するということでしたっけ、一つ一つの債権は。それがまず順調に進んでいるという、こういう理解でよろしいわけですね。  ちなみに、この五兆四千二百十五億円というのは、金銭譲与をやった後の、かつ銀行がその引当金を積んだ後の価格であります。五兆四千二百十五億円以上の回収をしろと言っても無理でしょうけれども、実はこの五兆四千二百十五億円以外に金銭譲与という形で公費使っていますので、この回収につきましては是非万全を期してやっていただきたいという、これは要望を申し上げまして、時間になりましたので私の質問を終わらしていただきます。
  128. 久世公堯

    委員長久世公堯君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時四分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  129. 久世公堯

    委員長久世公堯君) ただいまから金融問題及び経済活性化に関する特別委員会を再開いたします。  金融問題及び経済活性化に関する調査のうち、金融機能再生のための緊急措置に関する法律第五条の規定に基づく破綻金融機関処理のために講じた措置内容等に関する報告に関する件を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  130. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 日本共産党の池田幹幸です。  今日は、大阪の相互信用金庫の問題について伺いたいと思います。  十九日の財政金融委員会でこの問題を取り上げたんですけれども、あのときは私、管財人がでたらめなことをやっているということについてお話ししました。ともかくすぐ首すげ替えて、きちんとした、善処されたいということを要望したわけですけれども、大臣は、それで、若干の蹉跌はある、蹉跌はあるけれども、直ちに修正をされて適切な処理をなさってくれるものと信じているとおっしゃったんですが、その信用はまるっきり覆されたですね。やっていることはもう引き続きでたらめなことがやられております。  十五日に総代会が事業譲渡、解散を否決しました。そして、十八日に管財人は代替許可申請を裁判所にするわけです。ところが、これ許可されませんでした。大臣、これ許可されなかったのは、総代会がこの事業譲渡を否決した、そのことが理由だったと思うんですが、確認してください。
  131. 高木祥吉

    政府参考人高木祥吉君) お答え申し上げます。  今、先生、三月十八日に代替許可申請をしたというお話でございますけれども、我々の把握している限りでは、事前にいろいろ御相談したことはあるかも分かりませんけれども、三月十八日に申請をして許可されなかったということは把握しておりません。
  132. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 これは新聞報道でも出ていることですから、確認してください。  十八日に代替申請して許可されなかったんです。慌てて、だから二十二日にその管財人はまた支店長を集めまして、ともかく総代会をやり直さないかぬということになったんですよ。そして、総代会を開くということを、二十二日の支店長会議でやっさかもっさか一日会議をした結果、決めるんですね。  結局、それをやって、決めるんですけれども、管財人はそれを一人でやるわけにいきませんから、支店長に対して、総代に対して全部連絡しろ、集めろという手続をやれということを言うんです。ところが、支店長は怒っちゃいましてね、支店長会の方々は。それはもうあんた方が勝手にやったんだから、管財人、勝手にやったらいいでしょうということになっちゃったんですよ。それでも、がたがたやった結果、それでもやっぱりやりましょうということに最後にはなりまして、二十二日には、それじゃ翌日総代会をやる方向で連絡を取ろうということになった。  ところが、二十三日になりますと突然ひっくり返るんですね。その前夜に金融庁と管財人が会って話をしたそうですけれども、どういうわけかころっとひっくり返りまして、二十三日になるとまたまたもうその必要はなしと。ともかく総代会をやらないで、総代に対して了解を取る、それをやれという指示に変わるわけですよ、総代会をやり直ししないでね。そういう形で了解を取り始めるということになるわけですね。そのときの管財人のセリフがこれまたすさまじいんですよ。どういうことを言っているかといいますと、要するに、支店長に対して、このままでは清算するしかない、そうなれば退職金も出なくなる、そう言って脅して、支店長に総代を説得しなさいと、こうやったわけです。  ここで大臣に伺いたいんですけれども、総代会が否決したと、事業譲渡そのままできないということになりますと、清算するしかない、制度上はそれしかありませんか。
  133. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) これは、清算というより、最終的にはRCCに行くということになろうかと思います。
  134. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 そうじゃないでしょう。そうじゃないでしょう。承継銀行という手があるじゃないですか。承継銀行、三月十九日にわざわざそのために作った。
  135. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) いや、ちょっと池田委員の質問の趣旨が私、取り違えたかもしれません。要するに、すべてうまくいかなかったときにどういう最終のゴールがあるかということだと私ちょっと受け止めたものですから。失礼しました。
  136. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 つまり、承継銀行かRCCかという二つ道がありますよね。承継銀行かRCCかという道があるわけですが、承継銀行という道がある、それにもかかわらずもう清算だ、RCCだというふうに管財人は言って、それでもって総代を説得せよとやった。これ、どう思いますか、この対応。
  137. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) これ、承継銀行に行くのも、承継銀行もこれ受皿だと思いますよ。したがって、もし総代会に固執していたら、それは行けませんわね。ですから、代替措置という、代替許可というそういう手続もあらかじめ整備されておって、代替手続でもって受皿が決められると、こういう法的な枠組みになっているんだと理解しています。
  138. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 形の上で、受皿銀行と承継銀行とは引き受けるという点で同じだと見えるけれども、承継銀行の場合には最終的な受皿を探すまで二年間、最長で三年ですか、取りあえず受皿を探すために、その預保が引き受けるわけですね。そういうのが承継銀行です。だから、そういう意味では同じじゃないということですね。  ですから、総代会が否決したわけですから、本来ならばもう一度きちっと再決議をして、それで出すというのが筋だけれども、それをやらないでうそついて脅して、ともかくやっちゃうと、こういうやり方というのは許されないんじゃないか。少なくとも、私が三月十九日にこれ取り上げたときにきちんと処理しておれば、あのでたらめなことをやっている管財人なんですから、うそをついてやっていた管財人ですから、このままほっておったら大変なことになるというのは分かったはずなんですよ。それをそのまま放置したからまたこんなことになっちゃった。そう思いませんか。
  139. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) またこんなことになっちゃったといっても、これは正規の軌道に戻って、総代会に代わる代替許可というのはあらかじめ法律に整備されているものですから、その規定にのっとって処理が行われるということだと認識をいたしております。
  140. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 それじゃ、法律にのっとってということをおっしゃいますけれども、総代会は否決したんですよ。否決されたからということで、今度は総代会開かないで、ここにまたでたらめな脅しをやりながらやって署名を集めたと、署名集めた、電話で了解を取った。電話で了解を取りましたと言って裁判所に持っていったんですよ。そして、たしか二十七日、一昨日、裁判所は、総代が八十五名が了解していますということを管財人は持っていったものですから、それでもって代替許可を下ろしましたよ、一昨日。しかし、これは結局うそをついてやったんじゃないですか。
  141. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 最終的には書面で、何というか、総代の意向をきちっと確認して手続を進めたものと我々理解しております。
  142. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 書面というのはどういう書面ですか。
  143. 高木祥吉

    政府参考人高木祥吉君) お答え申し上げます。  書面、実は書面そのものを確認してなくて大変恐縮なんですが、管財人が裁判所と相談する過程で、総代会の経緯もあるものですから、各総代によく説明をして、その意向をできるだけ確認してくれと。ついては、書面で賛成が取れると、取ってくれというふうな話は途中まではあったようでございます。  そういうことでいろいろやって、最終的には裁判所の方は、そこまでいろいろ努力していただいて、それで結構ですということで、代替許可をいただいたというふうに理解をいたしております。
  144. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 私のところへの連絡では、電話で了解を取ったと、それを管財人がまとめて持っていったということを聞いています。これはその現場の方々から聞いていますからね。一体それじゃ電話でどうやって署名取るのか、私は不思議で仕方がない。大体ファクスで送られたって、それが本当の署名かどうか分かりませんよ。総代会決議をひっくり返すほどのそれだけきちんとした書類がそろっているのか。そろっていないはずですよ。
  145. 高木祥吉

    政府参考人高木祥吉君) お答え申し上げます。  先生御指摘のように、我々途中で報告を聞いております段階では、書面でいただいたのが幾ら、電話で、書面ではもらっていないけれども電話でもらったのが幾らというふうなことをお聞きしておりますので、電話でまずは確認したものも当然相当数あったというふうに思います。その後、できるだけ書面で取ろうとしている途中で裁判所の方から特別許可が出たというふうに私は理解しております。
  146. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 裁判所というのはそんないい加減なものですか。総代会決議で否決された、それをひっくり返す書面がないのに、後からおいおい届くでしょうということで裁判所は許可下ろすんですか。そんないい加減なことないんですよ。明らかにだましているんです、裁判所を。こんなこと許されない。もっときちっと調査してください。  さらに、この問題については、ともかく追及することが目的じゃなしに、善処しなけりゃならぬのです、今ここまで、事ここまで来たら。  そのために私、質問したいと思うんですが、要するに承継銀行のことについて何にも教えないで、このままでいったら大変だ、退職金も取れないぞとやったんですが、じゃその承継銀行というのは本当にそんな大変なものなのかということをちょっと伺いたいと思うんですよね。  前回、私が質問したときには、この承継銀行の引受けについて言えば、五千万円未満は赤字であろうが真面目に返済しておれば引き継がれるということを話したんですけれども、それは去年の告示段階の案でして、三月二十九日に告示された、いや、その去年の三月二十九日に告示されたやつを見ますと、もう少し良くなっておりまして、五千万円というその上限もないという形で、そういう点では非常にいい内容になっているというふうに私は評価するんですけれども。  ところで、それじゃ預金保険機構にこの点伺いますけれども、承継銀行では店舗や職員について、店舗や職員等々いろんな条件ありますけれども、承継銀行に引き継ぐというのはどういう形で引き継がれるんでしょうか。例えば、支店や職員はもうこれはもう全部引き継がないよとか、そんなことになるんでしょうか。
  147. 松田昇

    参考人松田昇君) お答えをいたします。  承継銀行は先生も言われたようにつなぎの銀行でございますので、法令に定めておりますとおり、暫定的に業務を継続して次の段階に渡すと、次の受皿に渡すという仕事を主たる任務といたしております。したがって、その観点から、必要な店舗、必要な人それから必要な資産、そういうものを引き継ぐことになっております。
  148. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 簡単に言えば、取りあえずつなぎなんだから当面はまずそっくりそのまま引き継ぐと、ほぼ。どの程度やるんですか。
  149. 松田昇

    参考人松田昇君) 実態として大体そのまま引き継ぐという例もあろうと思いますけれども、中には店舗が重複していて要らないというときもあると思います。したがって、それから更に新しい受皿に譲受けしなきゃいけませんから、不必要な店舗は縮小するという必要もあります。  したがって、その段階一つの判断があって、必要な限りにおいて引き継ぐと、こういうことになります。
  150. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 退職金とか賃金は、これは払わないということはないですよね。
  151. 松田昇

    参考人松田昇君) 退職金や賃金の問題は、二つ分けて考えなきゃいけないんじゃないかと思います。  破綻した金融機関から仮に承継銀行に移るときに、破綻した金融機関による従業員、それに対して退職金は、もし権利規定がきちっとありましたら破綻金融機関当時、終結の日までに払うということになりますし、賃金もそれによって払っていきます。  ただ、承継銀行になりますと、退職金の規程を作るのか、あるいは賃金の水準をどうするかというのは、また承継銀行の独自の判断でやらしていただくと、こういうことでございます。
  152. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 私が言っているのはもちろん前者の話です。それで、結局、融資先つまり債務者ですけれども、これについても取りあえずいったん引き継いで、それからどうするかということになりますわね。当然のことながら、新規融資も当然そこでは次の受皿機関を探すまではやられるわけでしょう。
  153. 松田昇

    参考人松田昇君) 承継銀行に引き継ぐ場合には、破綻金融機関の代表者である金融整理管財人が資産を判定して引き継ぐべきものを決めて選択をして、それで金融庁の御許可を、確認を取って、それで引き継ぐわけですね。  したがって、グッドバンクですから、いい資産が移ることになります。したがって、貸出し先もいいところが移るんであろうと、多分。そういうことになりますので、そこではRCCに行った場合と違って、その限度において、承継銀行の性格の許す範囲において融資も続けられるだろう、特に善意で健全な債務者に対する融資はその限りにおいてあるだろうと、こういうことでございます。
  154. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 お聞きのとおりなんですね。ですから、承継銀行に行ったらもうRCCに行ったと同じなんだというふうな形の脅し、こういうようなことをやって混乱を招いているんですよ、今。そういうふうなことを許されちゃ絶対いけないというふうに思うんですね。私は、先ほども説明あったんですけれども、やっぱりこの管財人のやり方というのはあくまでも裁判所をだましたやり方をやっているんですよ。  そのことについて調査するためにもう一つだけ申し上げますけれども、こういうやり方をやっているんですね。これは二十三日の話ですけれども、二十五日の月曜日ですね、二十五日の月曜日までに、それも朝の九時三十分までに、総代が全部オーケーしましたよということを柳澤大臣報告しなくてはいけない、それができなかったら清算しかないということを、また支店長を集めまして管財人が説明しているんです。  柳澤大臣、二十五日朝までに、九時半まで、九時半までに報告せよというふうなことを求めていたんですか。
  155. 高木祥吉

    政府参考人高木祥吉君) 済みません、私からお答えいたしますが、先生のその十九日の御議論等もいろいろ踏まえながら、その状況がどうなっているかということについては、週末も努力するという話もあったものですから、月曜日に我々にも報告してほしいという要請はしておりました。
  156. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 九時半、朝の九時半まで、二十五日の朝九時半までに連絡しなかったら清算だと、そういう話をしていたんですか。
  157. 高木祥吉

    政府参考人高木祥吉君) あくまでも私どもの方のあれを求めましたのは、状況を御報告いただくようにお願いしただけで、何もそんな先生おっしゃった後段のような話は一切いたしておりません。
  158. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 ということなんですね。それは金融庁、指導するのは当たり前ですからいいんですけれども、それを今度は九時半までに報告がなかったら清算なんだと脅してやる、こういうことをやられたんですよね。その結果が二十七日、ともかく代替許可を取り付けたということなんです。  大臣、これはもう徹底的に調べてやる必要がありませんかね。
  159. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 何と申しますか、もうちょっと円滑に運んだ方がいいというふうに、今委員のいろんな御説明、事実とすればそういうふうに私も率直に言って感じます。  そういうことですけれども、結論的に言えば、裁判所の代替許可というものを取りまして手続が進行しているということで、私としては若干蹉跌というか、つまずきがありながらも正規の軌道にのっとった手続の進行が認められるというふうに考えます。
  160. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 どうもおかしいと思いますのは、少なくとも総代会の議決がなくても、なくても事業譲渡や解散が確かにできるようになっていますよ、預金保険機構法律ではね。しかし、それはあくまでも総代会を開く時間的余裕がないと、総代会がなかなか成功しないということのために設けられた法律じゃないんですか、この法律は。総代会が否決しているのに、否決してもやってよろしいよという法律じゃないでしょう。立法趣旨は何ですか。
  161. 高木祥吉

    政府参考人高木祥吉君) 金融機関が破綻してそれを事業譲渡するに当たって、従来から、その事業譲渡については総代会の決議、特別決議というのも整備されているわけでございますが、破綻という、これ特に債務超過の破綻の場合なんですが、そもそも債務超過で資本がもう欠損でないと、そういう状況も踏まえながら、そういういろいろな状況の中で総代会だけで決めることが適切かどうか、それに代わる制度も用意しておく必要があるということで、別途の観点から司法当局が判断する道としてそういう特別許可という制度を設けられたんだというふうに理解をいたしております。
  162. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 だとすると、総代会の決議があってもということですか。だったら、全然、総代会で決議を採る努力をする必要は最初からなかったということですか。
  163. 高木祥吉

    政府参考人高木祥吉君) 法律上は、恐縮ですけれども、その特別決議があっても、司法の判断として特別許可の制度は生きているというふうに考えますが。
  164. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 しかし、正に総代会の意思ということはこれは最高の意思として尊重しなければならない。だからこそ、ここにこういうふうな法律を定められているわけでしょう。  総代会の議決があったんですよ。それ否決されたんですよ。非常に重たい、これ前代未聞のことなんですね。史上初めて起きたことですよ。それにもかかわらず、そういった総代の意思を全く、今の高木さんの話だと尊重しなくていいんですと。法律上そうだったら、そんなこと最初からもう必要ない、総代会の決議なんてことはここに書く必要が更々なかったということになるんじゃありませんか。
  165. 高木祥吉

    政府参考人高木祥吉君) お答えします。  必ずしも私の説明うまくないということはあるかも分かりませんけれども、いずれにしても、破綻したときに、誠にお気の毒ではあるんですが、総代の方にもいろいろな思いがあったり、あるいはその総代の方にも預金だけであったり、あるいはRCC送りになる方がいらっしゃったり、いろんな要因があるわけです。  そういうことで、総代会だけでうまくこの事業譲渡が適正に判断がなされるかという意味もあって、そういう特別許可という制度が同時に設けられているんだというふうに理解をいたしております。
  166. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 そういう解釈でやっていけば、混乱がますます深まるばかりだと私は思うんですよ。  これ、総代の方々は即時抗告もするし抗告もすると言っておられるんですよ。そうなりますと、どうなりますか。確かに、三月三十一日過ぎても、それ自身問題になるわけじゃありませんけれども、ただ、今年の三月三十一日というのは特別の日なんですね。ペイオフ凍結解除になるんですよ。そうなりますと、預金者が全額保護されません、来月にまたがっちゃいますとね。だから、今月中にこれは処理しないといかぬのです、その点では、その意味では。ですから、抗告だ、即時抗告だということになりますと、次に進めなくなっちゃうと。そのうちに四月に入っちゃうと。大変なことになるんですよ。  その辺、柳澤大臣、どう考えられますか。
  167. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) ですから、先ほど来申しておるように、裁判所の代替許可でもって正規の軌道に私は復してこの手続が進められるべきであると、このように今は申し上げているわけです。
  168. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 ですから、私が申し上げたのは、代替許可が下りたと。代替許可が下りたのはおとといですよ、二十七日。だから、一週間以内には即時抗告、抗告できるんですよ。総代の方々は抗告すると言っているんです。そうなったら処理できないでしょう。そのうちに四月になっちゃうじゃないですか。そうなったら、ますます混乱は大きくなるじゃありませんか。
  169. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 法律論はいろいろあるようですね。即時抗告しても執行停止の効力は有しないというようなことですけれども、そんなことよりも、私は、みんなそういうようなことを、とにかく預金の全額保護をしなければいけないということで、大至急とにかく受皿を探そうと、こういうことでやってきておるわけでございます。  そういう中で、なかなかこの制度も理解が十分でない方もおって、そういう方の中には非常に声の大きい人、小さい人、いろいろいるんでしょう。そして、特に自分のまた債権が、先ほど申したようにどうも私はRCCに買い取られるのかななんという心配な人も総代の中にはいらっしゃれば、総代の声としてもいろんな声があり得たんだろうと思いますよ。そういうようなことの中で、何と申しますか、本当はまたそういうようなことであれば様子を見るということも選択としてあり得たんでしょうけれども、そういう道を取らないで、今度はこうした方に、代替許可の方に行ったということでありますから、これはこれで一つの期限を区切られた中での行政手続の進め方としては私は十分理解ができると、このように考えます。
  170. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 先ほど私がお話ししましたように、代替許可の取り方からして裁判官をだましている。取れないやり方をやっているんですよ。この管財人がやってきたことは前回私もお話ししましたね。預金保険機構の了解を取っているだとか、でたらめなことばかりやってやってきているんですよ。次々とうそを言っては、あるいは脅かしては今度のこの代替許可だって取ったわけですね。  これ、大臣おっしゃるように、代替許可が出ました、法的にはもうそれ出たんですからという形で処理を進めていったとしてですよ、混乱を招きますよ、これ。抗告したら要するに執行停止は効かないんだとか、何かいろいろ法解釈があるとおっしゃるけれども、そんな形でやって、また強引にやればますます問題がこじれるじゃありませんか。  私が三月十九日に言ったように、この問題、ともかく金融庁の方で責任持って処理すると、少なくとも預金者は全員保護しないといけませんから、預金は全額保護しないといけませんから、今月中に処理すると、これは三十一日までにやればいいわけですよ。これ、三十一日まで、日曜日でも受け付けるというふうに金融庁に話を伺いました、ぎりぎりまでね。ですから、まだ二日半あるんですよ。その間に取りあえずの措置を取るということを私はやるべきじゃないかと。  取りあえずの措置とは何か。承継銀行にまず引き受けると、それの上で、今手を挙げておる大阪信用金庫なり、あるいは前回手を挙げた、何銀行だったかな、さわやか銀行、このどちらに、これ入札結局しませんでしたからね、そのこともまた不信を招いているんですよね。ですから、承継銀行、ともかく二年間あるわけですから、二年掛けろと私は言いません、取りあえず引き継いで、大阪信用になるのかどうか分かりませんけれども、やったらどうですか。
  171. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) いや、承継銀行は、これ受皿銀行が見付けられないことをおもんぱかって設立してあるわけです。今度の場合のように、受皿銀行というか受皿金融機関が見付けられているのにわざわざ承継銀行を使うというようなことは、ちょっと考えられないと思います。
  172. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 今の議論は何だったのかと思いますよ。総代の皆さんがその受皿じゃ駄目だと言ったんですよ。見付けられなかったんですよ。それもそんな、金融庁も絡んだ不手際によってこんなことになってきているんですよ。そうでしょう。金融庁も相談を受けながらやってきたと言っているじゃないですか、今。十九日に私はこのことについて指摘したじゃないですか。(「大混乱になるよ」と呼ぶ者あり)混乱にならないですよ。このことを決断すべきじゃないですか。
  173. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 池田委員、私あえて池田委員のお考えを整理していただくために申し上げますんですけれども、これ総代会で決議をするということで穏便にいけばこれはこれでいいんですけれども、穏便にいかなかったということでこの本来の代替許可に戻っているわけですね、本来の代替許可に戻っている。そもそも我々は、総代の人たちはもうどういう立場なんだろうかと。総代の議決権あるいは経済的な権利、こういうようなものは空洞化しちゃっているんじゃないかということなんですね。だけれども、事柄を穏やかに進めるために、こういうこともあるわけですけれども、それにもかかわらずこういう方式でもいいということになっております。  それから、代替許可のときに総代の意見を本当にオーバーライドすることも法律的には別に私構わないことだと思うんですけれども、そこはやはり穏便に、穏やかに行った方がいいというので、総代の意見を、改めて、そういう紛糾した議場ではなくて、聞いて、確かめられたら確かめた方がいいよということで、それが前に進んだと、私はそういうふうに理解すべきだと思うんですよ。
  174. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 今の、大臣、とんでもない。私の考えを整理するためとおっしゃっているけれども、一体何のためにこういう法律があってやっているのかということを大臣の方こそ考えていただきたいんですよ。  今おっしゃった、総代の方々、空洞化していると、もう破綻したんだからそういう人たちはほとんど権利も何もないだろうと、そんなことを言っていいんですか。解散するまできちっと権利あるんですよ。その方々が、こんな形で受皿銀行に持っていっては困るということを決めたんですよ。その決めたこと、空洞化している連中が決めて何の価値があるんだと、こういうことですよ、あなたがおっしゃったのは。そんなことを言う権利があなたにあるんですか。
  175. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) いやいや、そんなことじゃない。
  176. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 そういうことじゃないですか。
  177. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 代替許可という道がしつらえられているんですよということの確認ですよ、私が申し上げたのは。
  178. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 じゃ、空洞化の話はどうですか。
  179. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) いや、それは穏やかに行っていると、穏やかに行くためにはそういうルートでやる道をこれまでやってきたわけです。初めから代替許可の手続も取れるんです、実は。そういうことを御理解いただくために申し上げた。
  180. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 私、時間が過ぎているからやめますけれども、私はそれは納得いきません。  これは、やっぱり穏やかにということは、法律上穏やかにか知らぬけれども、そこの場におられる方々、債務者の方々、RCC送りになるかも分からない方々、穏やかになんかしていられませんよ。そうでしょう。だから、全財産投げ出してでも抗告するぞという人も出てくるんですよ。そういう段階に来ているということを大臣、しっかり現状を見て物をおっしゃっていただきたい。そのことを申し上げて、終わります。
  181. 山口那津男

    山口那津男君 公明党の山口那津男です。  まず初めに、ペイオフについてお尋ねをいたします。総務省審議官、いらっしゃいますか。  ペイオフの解禁に向けて地方公共団体の公金、これ公金といえども現行制度を使ってリスクを最小限にすると、こういう自己責任を貫くことになったと思うわけでありますけれども、とはいえ、この取扱いが安全に施行されていくかどうかにはいささか不安があるところであります。総務省として、この数多くのレベルの違う地方公共団体に対してどのような指導をしていくおつもりでしょうか。
  182. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) お答えをいたします。  総務省におきましては、ペイオフ解禁に係ります預金保険制度の改正を受けまして、研究会を設けてその対応方策を詳細に検討をいたしました。昨年三月にその内容を取りまとめまして、地方公共団体に周知を図ってまいったところでございます。  その内容は、預金債権と借入金等の債務との相殺、指定金融機関からの担保の充実、国債等の債券による運用などとともに、当面は普通預金等の流動性預金の活用等を図るというようなことでございます。また、専門的な人材の育成等を進めますとともに、必要な情報の収集や資金の管理運用等に係る方針の明確化など、適切な対処を求めてまいりました。  各地方公共団体の個別の動向につきましては、すべてを調査をいたしたわけではございませんが、都道府県や政令市等におきましては研究会等を設けて具体的に検討を行い、何らかの対応を行っているというふうに承知をいたしております。  また、中小市町村には周知が十分ではないのではないかというような御指摘もいただきましたので、去る二月八日に全国の市町村担当課長に対する説明会を改めて実施をいたしまして、周知徹底を図ったところでございます。  総務省といたしましては、今後の動向には十分注意を払いまして、適切な対応に努めてまいりたいと考えております。
  183. 山口那津男

    山口那津男君 いよいよペイオフ解禁のスタート台に立つわけでありますけれども、信金、信組を始め、破綻処理あるいは統合等を基本的に終えた、あるいは間もなく終えるということだろうと思います。  現時点で直ちに破綻に陥るような銀行はないと、金融機関はないという意味での、一種の健全宣言というべきもの、これを発したらどうかと、そして国民の不安感を払拭した方がいいのではないかと、スタートラインであるからこそあえて申し上げたいと思うんですが、いかがお考えでしょうか。
  184. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 確かに、今先生御指摘のように、私ども、これは総理の確認的な指示もありまして、このところペイオフを控えましての金融機関の検査・監督ということに精出してまいりまして、四月一日、土日の、ワーキングデーが今回は休みになるということでございまして、月曜日が四月一日になりますが、そのときに店を開く金融機関というのはすべて基準に照らして健全性の確保が図られているものになる、こういうことは、そのような展望を持ち得る状況に現時点立っているということは申し上げられるわけでございます。  そういうことであれば、健全宣言というか安全宣言というか、そういうものをいたしたらどうかということ、これは十分耳を傾けなきゃならないことかというふうに思うわけでございます。  ただ一方、私が思うのは、今度のペイオフというのも、これはもう構造改革の一環でございまして、かねて申し上げておるように、まず第一に経営者、それからまた我々金融監督当局、さらには預金者の方々、あるいはその他の債権者の方々が金融機関の経営というものに真剣な目を向けられて、そして、金融機関が不健全に陥ったりあるいは破綻に陥ったりすることのないようにみんなで協力をしていくと、そういう過程を通じて金融機関の構造改革が進むというものでございまして、そういうことでございまして、今までの方向とは非常に違う方向に行くわけでございます。  そういうことを考えますと、何と申しますか、国民の不安を一掃するというか解消するということは非常に大事だと私も思うんですけれども、得てして、国民の皆さんにこれからお願いしなきゃならない、そういう真剣な目というものにまた緩みが生じてしまうようなことは、これもまた一方において避けなければならない。こんなことを考えて、さてさて、じゃどういうことがいいだろうかということを、もう最後の瞬間というか、最後の時間が、時期が来ているわけですけれども、しばらく考えさせていただきたいと、このように申し上げます。
  185. 山口那津男

    山口那津男君 次に、不良債権処理について伺いたいと思います。  三月末までに各行は相当額を処理することにしているはずでありますが、これがどれくらいの見込みになるか、これは大手行とそれから金融機関全体と分けて御説明いただきたいと思います。
  186. 村田吉隆

    ○副大臣(村田吉隆君) 十四年三月期で不良債権処理額が幾らぐらいになるかと、こういう御質問でございますが、現在、各金融機関におきまして決算期に向けて自己査定を行っているところでありますし、それから大手行につきましては特別検査を行っているということでございますので、現在の時点でその見込額について確固とした数字を申し上げることはできないと、こういう状況にあるわけでございます。
  187. 山口那津男

    山口那津男君 そうだとすれば、この処理への取組というのが十分でないだろうという指摘もあるわけでありますけれども、これまでの数字は明らかにできないものの、今まで特別検査等をやってきた過程において、この金融機関の取組がどのようなものと評価しているか、それについてお答えいただきたいと思いますが。
  188. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) これはちょっと評価ということがどういうふうなことを内実おっしゃっているのか必ずしも定かでないんですけれども、私自身にとって定かでないんですけれども、これは評価というか、我々は検査権を持っておりまして、金融機関の自己査定について、検査という形で是正すべきは是正しているということでございまして、それ以外に何か別段のことを申すというのはちょっとどうかなという感じが正直いたします。
  189. 山口那津男

    山口那津男君 総務省の審議官、どうぞ御退席いただいて結構でございます。  今、特別検査をやっている最中でありますけれども、この効果がかなり出てきているんではないかというふうに思われます。  そこで、この特別検査の結果、いずれ公表するという総理の姿勢もあるかと思いますが、この特別検査の結果の公表、これをいつごろどのような形でおやりになるおつもりか、これについてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  190. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 特別検査の結果については、かねてこれ申し上げているわけですけれども、三月末を越えまして、最終の数字がそれぞれの金融機関について、また債権について固まると思いますので、それを手際よく取りまとめて四月半ばまでには公表をいたしたいと、このように考えております。  なお、その形でございますけれども、これはいつもこれまた申し上げておりますけれども、非常に世の中、だれが検査の対象になったんだろうかというようなことについて非常に過敏になっているというか敏感になっているということもございますので、そうしたことが更に風評の被害というようなものにつながらないように、できるだけそうしたことに配慮して、しかしまた、特別検査の結果こういう効果が、言わば効果がありましたよということを国民の皆さんに理解をしてもらえるように、その辺りの両方の要請をできるだけ満たすような形をなおしばらく時間をおかりして検討したいと、このように思っております。
  191. 山口那津男

    山口那津男君 最終的な結果の公表は今おっしゃったとおりでありますけれども、この検査を進めるプロセスで、ある程度この検査から導き出されるような効果があったのではないかと私は思っているわけでありますけれども、この点について何らかの効果があったと御認識でしょうか。
  192. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) このところいろいろ新聞報道されることがあるわけですけれども、特に債務の過重な企業について様々な手当てが金融機関との協議の間で行われるというようなことが公になっているわけでございます。そういうものの中には、この特別検査の過程というか、あるいは場合によっては結果を踏まえてそうしたことが行われているというものもあろうと思いますが、まだ全部が全部検査もまとまったわけではないので、これ以上を申し上げることは差し控えたいと、このように思います。
  193. 山口那津男

    山口那津男君 政府が発表したデフレ対策の中で空売り規制ということがうたわれたわけでありますけれども、この空売り、株の空売り規制の効果がある程度現れて株価に反映していると思います。しかしまた、三月末の決算期にその株価が上昇、ある程度上昇したことによって含み損がかなり圧縮できるだろうと、こう思うわけでありますけれども、一方で、この空売り規制による効果というのはもう既に出切ったのではないかとも思うわけであります。  今後の株価の動向はやや不透明感が出ているとも思うわけでありますけれども、この現在の株価の水準についてどのように評価されるかということと、それからまた、空売り規制の効果、これはプラスの面もマイナスの面も含めて、これをどのようにお考えになっていらっしゃるか、お答えいただきたいと思います。
  194. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 私ども、空売り規制というもの、あるいは空売り規制の強化というもの、これは別段株価との関係で行ったということではございません。これは、私ども、ローテーションで行っている証券会社の検査で、率直に言って、一部に空売りのルールというものについての遵守レベルが非常に低いところが見付かりまして、これは別途処分もいたしたわけですけれども、そういうようなことを踏まえて、空売りあるいは信用売りといったようなものについてルールを見直すということもいたしまして、その結論がああいう形で出たということでございます。  そういうことで、マーケット、株式市場の中にはそうしたものの効果があった、あるいはそのほかにアメリカの景気の回復というのがかなり力強いものではないかというようなこと、それに加えて日本の経済も、例えば在庫調整といったようなものがもうそろそろ終了近いじゃないかというようなこと、そういうものがいろいろ取りざたをされたようでございます。  私どもは、従来からこの立場を一貫させていただいておりますけれども、その株価のレベルとそれらの取りざたされる要因とが、どれがどういうふうに影響したかというようなことについて、現実分かりませんし、それからまた、そういったことに当局としてコメントすべきでないと、こういう立場を一貫させていただいておるところでございます。
  195. 山口那津男

    山口那津男君 次に、株式取得機構についてお尋ねいたします。  この制度がスタートしたわけでありますけれども、実際にはどれぐらい銀行側から取得が行われているのか、そしてまた、今後どの程度のことが見込まれるのか、この点についてお答えいただきたいと思います。
  196. 村田吉隆

    ○副大臣(村田吉隆君) お尋ねの、銀行等保有株式取得機構でありますけれども、一月の三十日に設立されまして、二月十四日の運営委員会の議決を経まして、二月の十五日から四月の二十六日まででございますが、特別勘定によります買取りを開始したところであります。  現時点における銀行からの買入れ額についてでございますが、市場に対する影響等もございますので数字については答弁を差し控えさせていただきたいと、こういうふうに思いますが、機構の財務諸表については、法律規定に従いまして、しかるべきタイミングで公表されることになっておりますので、その時点で買取り額については公表されるものと、こういうふうに考えております。
  197. 山口那津男

    山口那津男君 そこで、この買取りのできる銘柄については、トリプルBマイナス以上とか、あるいは八%の売却時の拠出金などの条件が付いているわけであります。  そこで、使い勝手が悪いのではないかと、こういう指摘もなされるところであります。あるいは、与党の一部には、生保の株式一般事業者の保有する株も買い取れるようにしてはどうかと、こういう案も出されているところでありますが、金融庁として、この制度について何らかの見直しを考えていらっしゃるでしょうか。
  198. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) これは、私どもは、何と申しますか金融機関、特に銀行の保有株式がかなり大きいものがあるということと、もう一つは、バーゼルの銀行監督委員会等でも、この保有株式についてのリスクウエートについて、現在は一〇〇%ということですが、もっと見直すべきじゃないかと、こういうような動きが実はありまして、そういう背景から、これはもう、少し前倒しして金融機関の保有株式についてはその限度を設けておく方がよろしいだろうと、こういうようなことで限度を設けさせていただきました。  それとの見合いで、そういうことをある意味義務化しましたので、それとの見合いで、その義務化に沿って放出される株式というものが直接全部市場に行くということになりますと、それはまた市場の需給関係、あるいは思惑というようなものを招いて株式市場に本来のあるべき相場を下押しすると、こういうようなことにもなりかねない、これは避けるべきじゃないかということで、ああいう買取機構を設置させていただいたわけでございます。  しかし、そうした背景を二つ申したんですが、その更に背後に、そもそもそうなったのは、株式の持ち合いというものがあったということが実はかなり多額の株式保有という現象に結び付いているということもありまして、それの持ち合いの解消という意味もそこにあるんではないかと、こういう御議論が当然のことながらございます。  だとすると、銀行の側の持ち合い解消の事業会社の株は今言ったように受皿で受けるけれども、今度は事業会社の側が持っている銀行株式については何の受皿もないというのも、これもちょっとバランスを欠く話じゃないか等の御指摘あるいは御関心、こういうようなものに基づきまして、最近、今委員が御指摘のような少し買取機構の買い取れる株式の対象というものを拡大したらどうかという御議論が当の与党の側にあるというふうに私どももよく承知をいたしております。これについては、これからしばらく党側の御審議というか御検討を見守りたい、もちろんその間我々が協力すべきことがあれば協力していきたい、こんなふうに考えているというところでございます。
  199. 山口那津男

    山口那津男君 RCCの機能強化について伺いたいと思います。  時価買取りができるという制度改正をしたわけでありますけれども、以前の制度と比べてこのRCCの株取得が期待どおり進んでいるのかどうか。数字は結構ですので、この実績についてどう評価されるか、お答えいただきたいと思います。
  200. 村田吉隆

    ○副大臣(村田吉隆君) 実績についてどう評価するかと、こういうことでございますが、これまでの法律の改正を受けまして時価買取りということになりまして、RCCでは積極的に不良債権の買入れを進めているということでございます。  今後とも、そうした法律改正の趣旨を踏まえまして、RCCでは積極的に金融機関からの不良債権の購入を進めていくと、こういうふうに私どもは期待しているところであります。
  201. 山口那津男

    山口那津男君 RCCの内部には、簿価の買取りあるいは実質簿価による買取りをできるようにするべきであると、こういう考え方もあるようではありますけれども、金融庁はこの簿価とかあるいは実質簿価による買取りというものについてはどうお考えですか。
  202. 村田吉隆

    ○副大臣(村田吉隆君) かつて実質簿価ということがいろいろ議論されているやに聞いておりますが、私どもはその実質簿価というものがどういうものかということについては詳しく承知していないわけでありますが、仮にそういうことになった場合に、私どもは、RCCが計上する損失というもの、それから売手側のモラルハザードを招くおそれがあるということについて考えていかなければいけないと、こういうふうに思っております。  いずれにしましても、現行の法律の下で、時価でございますので、そうした意味で時価による買取りを積極的に進めていきたいと、こういうふうに考えているわけであります。
  203. 山口那津男

    山口那津男君 先ほど指摘した政府デフレ対策、これは大臣のお答えですと、従前からやってきたことを表明したものにすぎないと、こういうお話でありましたけれども、その中でRCCの組織、人材面での体制を強化すべきであると、こういう指摘もなされているところであります。具体的にどこをどういうふうにすべきだとお考えでしょうか。確認的に伺いたいと思います。
  204. 村田吉隆

    ○副大臣(村田吉隆君) 「早急に取り組むべきデフレ対応策」の中で、「RCCは、債権買取や企業再生を含む業務を積極的に行うため、組織・人材面での体制の抜本的な強化を図る。このため、金融機関に対し業務に精通した人材の派遣を要請する。」と、こういうふうに書かれております。  これを踏まえまして、私どもといたしましては、企業再生のための組織につきまして、昨年の十一月から社長を本部長とする企業再生本部を設置しておりまして、本年一月十一日に同本部に外部の専門家を委員とします企業再生検討委員会を設置したところでありまして、こういう本部等を中心といたしまして具体的な案件について再生をすると、こういう目的の下に積極的に取り組んでいると、こういうことと承知いたしております。  それから、人材面においては、企業再生検討委員会におきまして、RCCの役員に加えまして、企業再生アドバイザー、税理士、公認会計士、弁護士などの外部の専門家に委員を委嘱しているほか、具体的な再生案件に応じて適切な人材を確保していくために、金融機関に対しまして業務に精通した人材の派遣を要請しているところでございます。  また、デフレ対策案の中で、組織面における体制の抜本的強化と、こういうことで、買取りの部門で債権買取推進本部を三月の五日に設置をいたしておるわけでございます。
  205. 山口那津男

    山口那津男君 抵当証券について伺いたいと思います。  この抵当証券に関して、大和都市管財事件など、トラブルが相次いできたわけであります。多くの被害者、また被害金額が出ているという観点から、これがなぜそうやって繰り返されて出るのか、この辺の原因についてどのように見ていらっしゃるでしょうか。
  206. 村田吉隆

    ○副大臣(村田吉隆君) 私どもといたしましては、抵当証券業規制法によりまして、抵当証券業者に対しまして厳しい監督を行ってきたところでございますけれども、残念ながら御指摘の件につきましては多額の被害者が出ていると、こういうことでございまして、その点については誠に遺憾に思う次第であります。  そもそも、抵当証券にかかわるいろんな問題がございます。実際、トラブルも幾つか出ていることを私ども承知しておりますが、基本的にその抵当証券なる商品のリスクについてもう少し十分な知識、理解を進めていかなければいけないというふうに考えております。  しかしながら、私ども、この抵当証券にかかわりますトラブルを前にいたしまして、金融庁としても制度改正を行ったところであります。すなわち、そのリスクをより適切に理解、認識してもらうと、こういう意味で、業者によります情報の提供、これをもっと十分なものにするということでございまして、私どもは幾つかの点でディスクロージャーにかかわります制度の改正を行ったわけであります。  既に内閣府令も改正を行ったわけでございますが、例えば、今までは抵当証券の内容につきまして店頭で閲覧する、こういうことになっておりましたが、改正によりまして、対応する抵当証券の内容を書面で購入者に送付しなきゃいけないということ、これはディスクロージャーをより完全にするという意味で行ったことでございます。  それからもう一つは、これまでは情報提供の対象外でございました債務者の概要を書面で情報提供する、すなわち購入者に対してそうしたものを記載した文書を送らなければいけないと、こういう改正もいたしまして、そういう意味では、債務者についての、具体的に申しますと商品とか業種とか、あるいは大和都市管財で問題になりました抵当証券業者の関係会社等である場合はその旨を記載した文書を、債務者の概要を購入者に送らなけりゃいけない、こういったような、このほかにまだございますが、よりディスクロージャーの内容を十分にするような措置を講じたわけでございまして、そういう意味で、抵当証券の購入者もこの抵当証券という商品の商品性あるいはリスクがあるということをこれまで以上に十分理解できるような、そういう措置を講じて改善を図ったところであります。
  207. 山口那津男

    山口那津男君 今、一部改善をなしたということでありましたけれども、こういう事件の処理に当たった現場の財務局の担当者からも、制度上の不備があるのではないかと、これを金融庁に現場の声を上げていきたい、こういった声まで聞かれたところであります。  そこで、いわゆる消費者の側に立ってディスクローズされるということはもちろん重要なことでありますが、それにもかかわらず、その消費者の責めに必ずしも帰すことのできない要因によって価値が大幅に下がるという場合もあり得るわけであります。  そこで、預金保険の保護制度に準じたこの抵当証券の保護の制度、こういうものを考案してみるというのも一つ考え方かと思うわけであります。所管としては法務省のこの業法そのもの、抵当証券法そのものの部分もあるし、また業の規制という金融庁所管の部分もあろうかと思いますが、今の点についてどのようにお考えでしょうか。
  208. 村田吉隆

    ○副大臣(村田吉隆君) 抵当証券法そのものは御指摘のとおり法務省の所管でございまして、その意味では所管外でございますが、抵当証券そのものについて何か措置を講じなけりゃいけないということがあるとするならば、法務省においても検討がなされるものと、こういうふうに考えております。  ただ、私どもといたしましては、近年SPC法ができまして、債権の流動化商品としてはだんだんそのSPC法、すなわち有価証券としてのこちらは転々流通が図るものでありまして、証取法の適用があるわけでございますが、そうした流動化商品について、SPC法との関係でもってこの抵当証券についての見方といいますか、環境が変わっていくような状況にありますものですから、私どもとしてはその推移を見極めながら、必要な措置を取らなければいけないことがあれば積極的に取り入れていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  209. 山口那津男

    山口那津男君 終わります。
  210. 久世公堯

    委員長久世公堯君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後二時四分散会