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2002-04-26 第154回国会 参議院 外交防衛委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年四月二十六日(金曜日)    午後二時開会     ─────────────    委員異動  四月二十五日     辞任         補欠選任      泉  信也君     鶴保 庸介君      小斉平敏文君     桜井  新君      福島啓史郎君     野上浩太郎君      舛添 要一君     山下 英利君      齋藤  勁君     榛葉賀津也君  四月二十六日     辞任         補欠選任      鶴保 庸介君     泉  信也君      野上浩太郎君     福島啓史郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         武見 敬三君     理 事                 山本 一太君                 吉村剛太郎君                 木俣 佳丈君                 山口那津男君                 小泉 親司君     委 員                 泉  信也君                 河本 英典君                 福島啓史郎君                 矢野 哲朗君                 山下 英利君                 海野  徹君                 佐藤 道夫君                 榛葉賀津也君                 広中和歌子君                 遠山 清彦君                 吉岡 吉典君                 田村 秀昭君                 大田 昌秀君    事務局側        常任委員会専門        員        櫻川 明巧君    参考人        オリックス株式        会社代表取締役        会長       宮内 義彦君        朝日新聞特別編        集委員      船橋 洋一君        関東学園大学教        授        今川 幸雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○外交防衛等に関する調査  (外務省改革に関する件)     ─────────────
  2. 武見敬三

    委員長武見敬三君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、小斉平敏文君、舛添要一君及び齋藤勁君委員辞任され、その補欠として桜井新君、山下英利君及び榛葉賀津也君が選任されました。     ─────────────
  3. 武見敬三

    委員長武見敬三君) 外交防衛等に関する調査のうち、外務省改革に関する件を議題といたします。  本日は、参考人として、オリックス株式会社代表取締役会長宮内義彦君、朝日新聞特別編集委員船橋洋一君及び関東学園大学教授今川幸雄君に御出席いただいております。  この際、参考人方々に対し、本委員会を代表して一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多用のところ、本委員会に御出席いただき誠にありがとうございます。  本委員会は、外務省の一連の不祥事発覚以来、これを外務省の体質に帰するだけでなく、日本外交そのものの危機であるとも深刻に受け止め、しばしば議論を重ねてまいりました。日本外交の質を高め、我が国が外交を通じてグローバル化した今日の国際社会の期待に十分こたえ責任を果たしていくためには、何よりもまずしっかりとした国内外から信頼される外交体制構築することが不可欠であると立法府として認識するからであります。  本日は、変える会の宮内座長を始め参考人方々外務省改革について忌憚のない意見交換を行わせていただき、これを外交体制の再構築、ひいては日本外交の再生、強化につなげていきたいと考えております。  このような趣旨を踏まえ、本日の意見交換が有意義なものとなりますよう、よろしくお願いを申し上げます。  議事の進め方について申し上げます。  まず、参考人からお一人十分程度で順次御意見をお述べいただき、その後、午後四時ごろまでを目途に質疑を行いますので、御協力をお願いいたします。  なお、御発言着席のままで結構です。  それでは、まず宮内参考人に御意見をお述べいただきます。宮内参考人。どうぞ御着席になったままで結構です。
  4. 宮内義彦

    参考人宮内義彦君) 外務省を変える会の座長を仰せ付かっておりますオリックス会長をしております宮内でございます。  本日は、武見委員長直々出席の御要請を賜りまして参上いたしました。大変光栄に存じますとともに、またとない機会でございますので、是非私どもの考えているところをお聞きいただければというふうに思っております。  まず、変える会の座長という立場で、変える会の活動検討状況などにつきまして、私から全体的な説明をさせていただきたいと思います。  変える会では、非常に広い範囲、また多岐にわたる改革テーマにつきまして、現在まだ議論をしている最中、勉強をしているというちょうど途中でございます。したがいまして、今、変える会といたしまして、それを代表してこういう改革案を作っているということをまだ申し上げられる段階ではございません。  しかしながら、現在、どういう作業をしているかということをお聞きいただき、御意見を賜りたいと同時に、本外交防衛委員会先生方から是非御意見をちょうだいいたしまして、私どもの会の今後の意見作りに貴重な参考機会にさせていただきたいと思います。  したがいまして、これから意見にわたる部分につきましては、今のところ私個人の意見として御理解賜りたいと思います。  変える会は、本年二月二十六日にメンバーが発表されました。三月六日から第一回会合を開催いたしまして、議論をスタートいたしました。メンバーは、各界からのいわゆる有識者という方々を十三名で構成いたしまして、私が座長座長代理には弁護士で元検事でいらっしゃる渡部惇氏が就任されております。  本日は、そのメンバーの中から今川教授外務省内部におられました元大使でございます。それから、外交問題につきまして見識の深い船橋朝日新聞特別編集委員と私が出席させていただいていると、そういう形でございます。  なお、事務局でございますが、事務局外務省の中に設置しておりますが、これは外務省職員だけでなく外部民間からも入れろということで、現在、合計十三名の体制でございますが、そのうち四名は外部の人間を入れさせていただいております。したがいまして、混合チーム事務局ができているということでございます。  会のミッションといたしましては、一番最初川口外務大臣から開かれた外務省のための十の改革ということで十項目の具体的な項目につきまして検討し提言することということを、こういう御指示を受けております。  スケジュールといたしましては、スピード感がないといけないということでございまして、七月中にこの最終報告を作成すると、こういうスケジュールでございますが、それまで外部に何も出さないということではございませんで、実はこの連休明け中間報告ということをまとめまして、外部に発表させていただく。ですから、連休明け中間報告、七月中に最終報告と、こういうものを外務大臣に提出することになっております。その際にはできる限り実施期限と目標を織り込むこととされております。したがいまして、具体的なことを盛り込むということを鋭意、現在、努力していると同時に、報告の後におきましてもその実施状況を監視する、あるいは見直すということもこの会の役割とされております。  具体的な施策について実施期限を付して定期的にモニタリングすると、こういう改革プロセスというのは実効性をより担保するという意味で、私は極めて有効なやり方ではないかというふうに思っておりますが、これはちょっとほかのことを申し上げますけれども川口外務大臣とは以前、政府にございました規制改革委員会というのがございまして、それのメンバーとして御一緒した経験がございますが、その際に規制改革の手法いわゆる個別具体的に期限を決めるという、こういうやり方をこの変える会でも踏襲していくということが効果的ではないかというふうにお考えになったのではないかと、私自身はそのように受け止めております。具体的かつ実施期限を明確にということは、度々、会合の場で強調されておりまして、これを前提とした施策を取りまとめたいと、このように思っております。  これまでの検討状況は、三月六日の第一回会合以来、合計まだ五回しか会合は開かれておりません。しかしながら、この五回の会合大臣から示されました十の改革テーマにつきましては一通り議論をさせていただきました。  簡単に御紹介いたしますと、第一回は各メンバー問題意識議論方向性や運動、運営方針等話合いました。  第二回目からは、第二回目には一番大きなテーマかも分かりませんが、「不当な圧力の排除」というテーマ話合いをいたしまして、各回、メンバーからプレゼンテーション、そのテーマにつきましてプレゼンテーションいただき議論すると、こういうことをいたしまして、この際にはここにおられます船橋委員嶋津委員嶋津さんは元自治省出身の方でございます、から、プレゼンテーションをいただきました。  三回目は、「誤ったエリート意識排除お客様志向」、「人事制度の再構築」と、この二つテーマ議論いたしまして、今川、生田、岡本の三方からプレゼンテーションをいただきました。  第四回は、「ODAの効率化透明化」、「NGOとの新しい関係」という二つテーマ議論いたしまして、星野、藤原、田中委員からプレゼンテーションをいただきました。  第五回におきましては残りました五つテーマ、すなわち「秘密保持の徹底」、「予算効率的使用透明性の確保」、「広報・広聴体制の再構築」、「大使館などの業務・人員の見直し」、「政策立案過程などの透明化」という五つテーマを阿川、神田、渡部、吉永各委員からプレゼンテーションをいただいたと、こういうことでございます。  また、我々委員の共通した認識といたしまして、この外務省を変えるということは、外部の我々のような変える会がこれをやりなさいと言うことも必要でございますけれども外務省内部から変えるというそういう力が出てこない限り、実際、実効ある改革はできないんではないかと。そういう意味で、我々の提言などが実態と余りにも遊離したものであれば、これは内部エネルギーが出てまいりません。そういうことで、外務省内部の考え方をよく聞いて進めたいと、このように考えました。  そこで、まず、全外務省職員に対しまして変える会に対する意見提出を募りました。約三百通近くの意見が極めて短期間の間に届けられまして、膨大な意見書でございましたけれども、これは私どもの審議を進める上で大変参考になっております。それと同時に、ペーパーで出すだけでなく、我々の意見も聞いてほしいと、直接聞いてくれという要望がございました。したがいまして、非公式会合でございますが、この正式な会合とは別途取りまして、直接職員の皆様からヒアリングをさしていただいて、それも参考にさしていただいております。  こういう活動を通じまして出された意見を集約しまして、連休明けに向けて中間報告をまとめるという作業に現在入っております。いろいろな意見が出てくると思いますので、七月の最終報告取りまとめの前段階ということで、これまで短期間に勉強いたしましたことをできるだけ、なるほど変わりつつあるなと、そういう方向性かということを分かっていただける形で中間報告を作りたいと、このように思っております。  最後に、私自身外交外務省に関しましては誠に全くの門外漢でございましたけれども、こういう会で何かお役に立てればと思ってやっているわけでございますが、若干個人的な問題意識だけを最後に申し上げさしていただきたいと思います。  世の中から大きな批判を受けております外務省でございますが、しかし、この外交というものは国の基本の一つでありまして、その中で外務省の果たすべき機能というものは極めて大きい、これを失うようなことがございましたら国益の面から見まして大変憂慮すべき事柄であろうと、このように思っております。しかしながら、戦前、戦争直後と違いまして、外交というものは極めて大きな変化をして、現在は外務省がすべての外交を担うのではなく、多角的、多面的な外交というのが既に実行されるようになったと。その中における外務省役割は、外交が幅広くなったために外務省役割は小さくなったということではなく、外務省はその中で、外交専門部署といたしまして、日本国益を考えた総合的調整機能総合調整機能を発揮いたしまして、その外交の力を高め、強めると、こういうことをやっていただく。  したがいまして、ともすれば縦割り的な外交というようなことが出てきたり、民間外交と全く切り離されるというようなこともあろうかと思いますけれども、それを新たに外務省総合調整機能を発揮すると、そんな時代に来たのではないかというふうに思っております。  また、もう一つの面といたしましても、いわゆる国益を追求する外交ということと同時に、邦人サービスという別の面がございます。これにつきましても大変問題が含まれているというふうに認識しておりますが、やはり早く国民信頼、尊敬を取り戻すということが必要であろうというふうに思います。  強い外交のためには、外務省内部組織が強くならなくてはならない。そのためには、これまで存在した特権的、階級的な制度も改め、外部の血も大いに入れる、競争原理も持ち込むと、そういうようないろいろな仕掛けをいたしまして、内部エネルギーとともに良い方向に持っていければというようなことを感じている次第でございます。  以上でございます。  ありがとうございました。
  5. 武見敬三

    委員長武見敬三君) ありがとうございました。  次に、船橋参考人にお願いいたします。船橋参考人
  6. 船橋洋一

    参考人船橋洋一君) 船橋でございます。  今日、お招きいただきまして、ありがとうございました。  宮内座長の下で外務省を変える会、私は特に政と官のところについて報告いたしましたけれども、今日は、この外務省問題についてなぜこれが問題なのか、何が問われているかということ、これが一つと、もう一つは、外務省問題といったときの国際的な文脈といいますか、その辺について感じていること、考えていることをお伝えできればというふうに思います。  外務省行政官ですけれども行政官が最もやってはいけないことを全部やったというふうに私など感じるんですね。  一つは、公金の横領であると。機密費あるいはプール金、言ってみれば税金を自分たちのためだけに横領したというようなことですね。  二つ目は、秘密の漏えいです。公の仕事にある人が、守秘義務国家公務員法というものがある、にもかかわらず、基本的に組織益のために、組織防衛のために機密を漏えいするとか、そういうものに使うとかいうようなことが間々見られたと。  三つ目は、人事であるとか権益、こういうものを一部の政、政治家と野合した、裏取引したという点ですね。例えば、予算を取ってこなきゃいけない、あるいは定員の枠を増加しなきゃいけない、さらには行政改革の一環としてやるところで同じようにやらなきゃいけなかったかもしれないけれども、それを嫌だと、それをつぶしてもらおうというようなことで鈴木宗男議員とそのようなことで裏で取引するというようなこと。つまり、そのようなことの過程の中で国民信頼を全く失ったということが言えると思います。  それで、その背景は多分、いろいろ指摘されておりますけれども、私は、骨子っていうと、三つ外務省組織病理というのが見えるような気がいたします。  最初は、排除の論理。つまりお身内だけですべて決めて、外の意見、外の人材、そのようなものを排除するという点です。  二つ目は、階級。Ⅰ種の人たちとⅡ種、さらにはⅢ種、このような階層階級社会というものが厳然としている、風通しは悪いということで、本来の意味での適材適所が極めて不十分であるという点ですね。  三つ目は、無責任体制。信賞必罰がこれほど行われていない役所も珍しいんではないかというふうに思いました。いろいろヒアリングを行う中で、あるいは先ほど宮内さんがおっしゃった職員方々からの起案、提案ども拝読するうちに、その辺のところを職員方々が一番実は痛切に認識していらっしゃる。にもかかわらず、変えることができないというような問題。  それで、結局何が問われたのかといいますと、私は、一つ国益を損なっていると、この役所は。本来ならば外交を担い、国益を追求し、確保し、その最も重要な職責にあるプロ集団であるはずの人たち国益を損なってしまうと。国民信頼を得ることができないから、力強い下支えのある外交ができない。そうしますと、ほかの省庁に対しても国益のためにひとつここは譲歩してくれということは言えないというようなことも含めて、また国益を損なっていくと。  外交力が弱いということは私は非常にゆゆしきことだと思っております。下手をすると、国民外交に関心を持たない、孤立主義になる。さらには、外交が駄目ならということで、ひょっとして軍事であるとか軍事力というものへの誘惑というのが出てくるかもしれません。そのような意味で私は非常に憂えております。  二つ目の、にもかかわらず、日本外務省の問題、これは特異な問題でもありますけれども、冷戦後、世界の主要な民主主義国がひとしく抱えている、直面している外務省に対する国民の非常に厳しい批判、あるいは外務省そのもの存在意義であるとか役割だとか使命、これがある意味では変化してきている。四つその背景があるんではないかというふうに思います。  一つは、グローバリゼーションです。グローバリゼーションによって特に人の移動というものが非常に激しくまた増えてきた。それによって、どこも領事業務、これが爆発的に増えてきていると。それに伴う邦人の保護であるとか、そういうことの事務量もまた非常に増してきている。それから、どこの国もビジネス、自国のビジネスを、利益を貫徹する、追求するということが外交の非常に大きな役割になってきています。  例えば、オーストラリアとか韓国とかスウェーデンとか、外務省貿易省一緒にする、通商省一緒にするというようなところまで出てきていますけれども、例えばシラク大統領などは、大使を出すときに、君の評価というのは君がフランスの企業の契約を幾つ取ってきたか、幾つ取るのに役立ったかということで私は評価するからと言って送り出すというようなこと。ドイツも、外交官ビジネスのロビイストたれということを新たなスローガンに掲げるというような、外交のある意味での重商主義化といいますか、これが起こってきている。  同時に、NGOにしても、多国籍企業、そのような新しい外交の担い手、プレーヤーと言った方がいいと思いますけれども、が非常に増えてきているということで、そことの関係をどうするかと、非常に大きい問題になっております。特に、NGOは現在今一万、それから、中規模程度のGDPを持つ国より大きい多国籍企業というのは世界に四万ありますと言われています。ですから、外交官だけが外交官同士でやる外交というのははるか昔の話になったということですね。  次に、民主化あるいは民主主義の国、全部民主主義になる、あるいは部分的な民主主義という国々が非常に増えてきたと、この十年ちょっとで。それに伴って、外交も単にプロだけでなくて、エリートだけでなくて、一般市民パブリックに向けての働き掛け、問い掛け、アピール、メッセージというのが非常に重要になってきている。パブリックディプロマシーというふうに一般に言われますけれども市民外交がどこの国も非常に重要になってきているということが言えると思うんです。  三つ目は、グローバルイシュー、環境であるとか、難民であるとか、エイズであるとか、軍縮であるとか、非常に重要なそういうグローバルイシュー外交の主要なテーマになってきたと同時に、本来的にそういうものは二国間だけで仕切る問題ではございませんでマルチになると。国際機関が中心になっていく、主要になっていくという外交の場のシフトといいますか、これが非常に激しく起こっている。  例えば、アメリカで言いますと、国務省の海外のプレゼンスの中で国務省職員というのは三八%しかいない、ほかの六二%はアタッシェ、他省の人々である、そういうより専門化した交渉になると。それから、より国際会議マルチの場での交渉事あるいは協議ということになります。  そうしますと、外交官才能、資質というのも、そのマルチの場でいかに発言をするか、表現するか、ドラフトを書くか、人脈を作るかというような才能、英語も含めて、そのような表現力が求められてくるということになるんだろうと。  他省庁がそれだけ増えてきますと、大使役割とかいうのも非常に変わってきます。外交政策立案とか企画、それに優れているということよりもむしろ、先ほど宮内さんもおっしゃいましたけれども、総合的な調整能力、マネージャーとしての力というのが大使にもまた求められてくる。  最後は、このソフトパワーという新しいパワー概念が出てきたということだと思います。これは、言ってみれば隠すパワーではなくて表すパワーといいますか、威力より魅力というようなところで、何をそれぞれの社会、国が他に与えることができるか、何を共有することができるか、どれだけ自分の持っているものをより透明にして相手に信頼してもらえるか、お互いにどのような形でより豊かな対話の形を作れるかとか、そういうような力が非常に重要になってきている。  ドイツの場合は、東欧と中欧国々二十八か国から若い外交官を、年に二度、ドイツ外務省研修外交というのをやっています。研修プログラムを組んで、その人たちを三か月、四か月、ドイツに招くんですね。それで、ドイツの歴史とか政治経済のシステムとか欧州の機関とか、最後ドイツ外務省にインターンとして働かせて、それで帰してあげるというようなことで始めておりますけれども、このような非常に自らの国を分かってもらう、懐まで入れる外交というのが始まっていると。  最後最後ですけれども、私は大使仕事というのは実は非常に重要だと思っております。首脳外交が広がる、盛んになる中で、大使というのは盲腸のようなものだとよく言われますけれども、決してそんなことはない。大使というのはやはりその国の顔であり、形、姿であり、風格、品格といったものを体現すべきものではないかというふうに思います。  その大使が、非常に一外務省という組織既得権益であるかのような、あるいは代理人であるかのような、天下り先であるかのようなこと自体が、国民大使というものを自分たち大使だと思わない根本の原因にある。つまり、国家の意思というのが希薄であることが大使がその程度のものだということにもつながっていると思いますし、またパブリック概念が希薄であることが、国民がみんなで大使を選んでいくんだ、自分たちが出したい大使を選んでいくんだという意識が希薄になっている背景にあるんではないかというふうに思っております。
  7. 武見敬三

    委員長武見敬三君) ありがとうございました。  次に、今川参考人にお願いいたします。今川参考人
  8. 今川幸雄

    参考人今川幸雄君) 今川でございます。  本日は、ここにお呼びいただきまして意見を申し述べることができましたことを大変光栄に存じております。私は、宮内座長の下にこの変える会に参加させていただきまして、特に、いろいろございます大臣改革提案の中でも、人事制度の再構築、それから誤ったエリート意識排除お客様志向というこの面について意見を発表してまいりましたし、そういうことで、この点について、特に人事制度の再構築ということについてお話を申し上げたいと思います。  外務省、これ本当に昨年以来もう様々の不祥事が表に出まして、本当に国民信頼を大きく損ね、そして俗に言うかなりもう権威が地に落ちたというところまで来てしまったのではないかと思いますが、その外務省を再生するために何が使い得るかということを考えますと、あるものは、何といってもその中にいる非常に優秀な人の多い職員の力であると思いますので、こういう職員の力を何とかして再活性化して、そして外務省を、非常に強い外交を行うと同時に、国民の皆様にサービスできる、領事事務等においてサービスできる機構にするということで、どうしても人事を、大きくやり方を見直さなければならないと思っております。  そういうことで、研修制度から始まりまして、いろいろ人事制度の問題について考えを述べさせていただきます。  具体的な細かいことに過ぎるじゃないかとおしかりを受けるかもしれませんが、大臣の御方針がスピードと透明性とともに具体性ということもございますし、やや具体的な細かいことも申し上げることをお許しいただきたいと思います。  外務省には研修制度というのがございまして、それぞれのレベルで研修を受けるわけでございますが、特に重要なのは新しく入ってきた人たちを研修する初任研修でございますけれども、この感受性の鋭い若い事務官に対して行う初任研修において、もちろんこれから日本外交を行うこの外務省に入ったという誇りと申しますか、そういう気持ちは重要なのでございますけれども、間違ったエリート意識というようなものを植え付けないようにその辺をしっかり教育しなければなりませんので、オリエンテーションは十分注意しなきゃならない。例えば、中小企業の現場で一か月間働くというようなことも考えられていいのではないかとさえ思っております。  なお、入省後の二年目から始まる海外での、これはⅠ種又は専門職の職員でございますが、大学での語学研修を受ける研修員に対しましては現在は外交旅券を与えておりますが、やはり特権意識排除するという意味からは外交旅券を与える必要はなく、公用旅券でいいのではないかと、こう思っております。  それから、中間管理職に対する人事院研修その他の研修は、これは休暇帰国であるとかあるいは時間的余裕のあるときに中間研修をもっと外務省の人に受けてもらうということ、あるいはボランティア活動に参加してもらうということもやっていいのではないかと思います。  それから、大使でございますけれども、やはり発令前の一定期間、例えば六か月、外務省研修所などにおきまして、これから行く任国の言葉、ベトナムであればベトナム語、タイならタイ語、アフガニスタンならアフガニスタンの言葉というものを覚えるということ、特訓を受けるということを考えていいのではないかと思っております。  次に、いわゆるキャリアとノンキャリアとか、外務省階級的差別というようなことがよく言われますが、その中で一番高い地位にあるのがⅠ種職員でございます。  このⅠ種の試験に合格したことでもう将来大使になるまで身分が保障され安泰であるということになりますと、従来は全員ではなくてもほとんど大部分がそういうことであったわけですが、やはりそれでは大学卒業直後からのずっと研さん努力というものがなくなってしまうということが恐れられることがありますから、入省時の試験というのは一つの目安と考えて、その後の昇進は専門職もあるいはⅠ種も皆競争原理の上に立って行うということでなければならないんじゃないかと思っております。  そういうことで、Ⅰ種職員につきましても、いわゆる昔の外交官・領事官試験の合格者でございます、自動的な昇進はやめて、それから管理職や大使等の在外公館長に不適格な者はそういうポストに就けないというしっかりした競争原理等を持った人事を行うべきではないかと、こう思っております。  それから、これも細かいことで恐縮でございますが、外務省の省内には各課がございます。その各課には幾つかの班があるわけでございまして、課長がおりまして、課長の下に総括補佐に当たる首席事務官がおりまして、その下に通常は総務班長というのがいまして、総務班というのがございます。大体、この総務班長というのは非常にⅠ種の若い人なんですが、こういう人たちが非常に経験の豊富な、年もいったほかの各地域、国などを担当している班長さんにどんどんトップダウンで命令を下していると、これはやはり本当に一生懸命下からずっとやってきた人たちのやる気をなくしますので、そういう制度改革して、できる限り総務班などというものはやめてしまうというぐらいのことを考えてもらいたいと思っております。  それから、研修でございますけれども、今は大体在外研修は二年でございます。しかし、英語を勉強した人が英語の国へ行ってまた二年英語をやる。確かに上手になるでしょうけれどもそれだけでは駄目なので、少なくとも外務省プロとして入る以上、二か国語、外国語の二か国語ができなくちゃいけない。したがって、研修を三年にしまして、英語とあるいはもう一つはフランス語でありスペイン語であり、あるいはさらにタイ語、インドネシア語、カンボジア語、ラオス語であるというようなことで、少なくとも外国語二か国語ができるような人を養成すべきじゃないかと思っております。  それから、問題はでございますね、専門職職員という大変な有能な職員の集団がおります。これはいわゆるⅡ種の職員でございますが、問題は、どうしても専門職職員エネルギーを爆発させると申しますか、引き出すということは、これはもう外務省の再生のために非常に重要だと思っております。  そこで、ちょっと言葉がおかしいかもしれませんが、外務省の専門職の問題の複雑なのは、彼らの能力が、外務省の専門職職員の能力が非常に高いということなんでございます。外務省のⅠ種の職員と専門職職員の能力の間には、民間の総合職と事務職のような差はございません。ところが、外務省ではこのⅠ種で入省した人だけを人格、識見の秀でた者として取り扱っておりますので、こういうことはあっては、今後は改善しなければならないと思います。そういうこともございますので、この専門職の人たちを非常に励まして、大いにその活力を出すということは是非やらなければならないんでございます。そういうことが重要だと思っております。  能力主義による任用ということがどうしても必要なんでございますが、つまり適材適所でございます。専門職の人であっても大使になれると、その大使に今でも一三%ぐらいの人がなっているということでございますが、これは単にめどでございますが、初めのうちはどうしてもある程度めどが必要かと思いますが、全大使のポストの二〇%ぐらいは専門職の人に与えるという、そういうことをして、この二〇%などという数字を固定化する必要は全くございませんが、そういうことをやっていいのではないかと。例えば、トルコの専門家はトルコの大使に、スウェーデンの専門家はスウェーデンの大使にというような、全部が全部そうでなくても、ことが可能になる、実力競争の社会にするということが大事じゃないかと思います。  それから、大学卒でない方で高卒のⅢ種の職員という方が外務省にはたくさんおりますが、この人たちも本当に楽しく働けるようにするためには、自分たちが本当に必要とされている分野において職能化をすると。例えば、秘書業務を担当する人は秘書のプロになる、それから会計を担当する人は会計のプロになる、だれにも負けないプロになるということでございますね。こういうことをもっとやっていかなきゃならないし、またⅢ種の職員方々も中で非常にできる人はどんどん外交・領事事務に抜てきしていくということが必要かと思っております。  次に、よく言われる、非常に重要なことでございますが、外務省の外との人事交流の拡大でございます。これは極めて重要なことでございますが、大使のポストや一部の本省幹部に優秀な外部の人材を思い切って入れるということをしないと、やはり組織の力が停滞してしまうのではないかと思われます。  それで、特に大使につきましては、現在百二十一大使のポストがあると計算されておりますが、毎年Ⅰ種の職員というのは、若いⅠ種の職員は二十数名採用しておりますが、Ⅰ種の職員だけでこのポストを全部埋めるというのは無理です。そして、先ほども申しましたように専門職の職員を二十数名仮に入れても、なおかつそれでも十分とは言えない。Ⅰ種の職員の中の本当に優秀な人でその後を埋めることはできないと思いますが、そこで外部の方、これは外務省以外の省庁の方及び民間の方でございます、特に優秀な民間の方に是非来ていただいて、相当数の人材を、他省庁出身の方を含めた学者、財界人などを入れて、そういう方を採用すべきであると思います。  つまり、外務省の省内にありましては、競争を勝ち抜いた者のみが大使という重要な役職に就けるということ、これはⅠ種の人であってもそうであるということにすべきではないかと思っております。  その他、中間管理職と申しますか、あるいは中堅クラスの職員にも、課長、課長補佐のところにも、あるいは少数であっても外部から、銀行であるとか、商社であるとか、その他特殊法人であるとか、そういうところからも人を入れると、新しい血を入れると申しますか、そういうことは絶対に必要ではないかと、こう私は考えております。  あとは、在外公館、大使館等でございますが、ここでよく問題にされることでございますが、館員の奥さん、奥様方ですね、夫人がどうかというと、御主人の階級によって女の方の、御夫人の階級も決まってしまうというようなことがよく言われますし、それは私はある程度そういうことは否定しませんが、それはこの現代において非常におかしいことなので、こういうことは省の方針として廃止すべきではないかと、こう思っております。  取りあえず、今申し上げたのが私の個人的に述べておる意見でございます。
  9. 武見敬三

    委員長武見敬三君) ありがとうございました。  これより質疑を行います。  本日は、理事会の合意により、できるだけ多くの委員が質疑を行えるよう、あらかじめ質疑者を定めず、自由に質疑を行うことといたします。  質疑を希望される方は、挙手の上、委員長の指名を待って御発言をいただきたいと存じます。  また、多くの委員発言機会を得られますよう、委員の一回の発言時間は答弁を含め五分程度でお願いいたします。なお、質疑及び答弁とも御発言着席のままで結構です。  それでは、質疑のある方、挙手をお願いします。
  10. 山本一太

    ○山本一太君 ちょっと早口で一問だけ船橋参考人にお聞きしたいと思います。  改革とは、組織の文化と意識改革だというふうにこの変える会の議論の中でもお話をされている方がいるというふうにお聞きをしていましたけれども、私は、特に人事制度改革大使人事に注目をしております。大使人事を含む幹部ポストを、広く各界から有能な人材を集めてこれを起用するということについては、当然賛成をしておりますし、場合によっては数値目標、例えば四割、五割というクオータを設けることにも賛成をしています。  しかしながら、ここで間違ってはいけないことは、大使人事をオープンにするということの目的は、これはできるだけ多くの外務官僚を締め出すということではなくて、いかに有能な人材を配置するということだと思っております。ですから、クオータは賛成をいたしますけれども、その中で、省内の優秀なやる気のある職員とかプロ外交官大使ポストをめぐる健全な自由競争に参加をすることを妨げてはいけないというふうに私はいつも思っております。  今後、政府が大使の候補者を民間あるいは各界から選び、それを内閣が決定をするということになります。経済人、他の省庁のOB、あるいは政治家OB等々、こういう方々を恐らく大使の候補としてアプローチをしていくことになると思いますが、私はこういう方々の資質をオープンにきちっとチェックするシステムを作るべきではないかというふうに思っておりまして、その形の一つとして、国会が関与をする、アメリカの上院型の公聴会も一つの方法ではないかと思っております。  数合わせで、不透明、不適切な人事、あるいは逆に、ある団体や外務省と違ったほかの組織のポストの既得権益化みたいなものだけは、これは避けていかなければいけないと思うんですが、これについてどう思われるか、お聞きをしたいと思います。
  11. 船橋洋一

    参考人船橋洋一君) お答えいたします。  今、山本さんおっしゃったのに私も同感でございます。私、数字を最初、先ほど今川さんも、これ、がちがちに固定することではなくて、まあその真意、趣旨が貫徹したところで外してもいいだろうと、柔軟に見直したらいいじゃないかと。  しかし、やはり今までも適材適所、適材適所と何十年言って、結局できないわけですから、かなり、強制力ないまでにしても、その重い目標といいますか、それをやはり設定しないことには、なかなかそのような効果は発揮しないんじゃないかと、これが一つですね。  それから、それが優秀な外務省の皆さんの機会を摘むようなことになっては、これは国民が損するわけですから、それは困ると。これも全く同感でございます。  ですから、基本的に、どのような形で一番いい人材をリストアップして、どういう評価、そのクオリフィケーションといいますか、資質であるとか、そのような要件でもって抜てきするのか、だれがそれをするのか、そして承認はどうするのかと。うまくいかなかった場合には、それをどのように反省して今後に生かすのかというような仕組み、プロセスを作ることだろうと思いますね。  承認のところで、国会がいいのかどうか、私はちょっと、そこはまだ十分に考え抜いておりませんけれども。  アメリカなどの国務省改革案、幾つか読みますと、やはり最初のところの指名といいますか、ここのところでも、国務大臣のところに独立のその評価パネルを作るべきだと。単にそれまでのような政治任命で、上からどんと大使が、献金額が多いところでやるというような、アマチュアが入ってくるというようなのはさすがにまずいんではないかというふうに、アメリカなども反省があるようですし。  しかし一方で、例えばドイツとか、そういうところでは、官房、大臣官房だとか、そういうところのその事務方だけが全部リストを作って、根回しして決めてしまうというのはやはりまずいんじゃないか。もう少しオープンに各界から人材をリストアップして、それでその内閣が決めるとか、そのような方がいいんではないかと。海外でもいろいろ議論が始まっているように承っております。
  12. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 民主党・新緑風会の木俣佳丈でございます。  三人の参考人方々には、大変お忙しいところお越しいただきましたことを感謝申し上げます。  短く四つ御質問を申し上げます。  まず、宮内座長に。大使民間から登用するということでありますけれども、先ほども船橋参考人からありましたように、アメリカの例などをとらえまして、三割ぐらいが要は国務省であって、他から六割という話もありました。どのぐらい血を入れれば変わると御想像になるか、これが一問。  二問目は、人事交流でございます、船橋参考人に。人事交流を見ましたら、例えば、他の省庁から外務省へ来ている人が八百五十人、外務省から他の省庁へ行っているのが百人、民間から外務省に来ているのが八十人、外務省から民間に来ているのがゼロ人であります。外務省五千三百二十九人の中で、こういうことがあるわけではありますけれども。私も、人事交流を民間の方からした先輩に、これヒアリングしたわけでありますが、人事交流をもっと進めるべきだと思いますけれども、これも、どのぐらい増やしたらいいものか、量的な把握で、船橋さんからお答えください。  さらに、船橋参考人に伺いたい三点目でありますが、外交の要諦というのはやはり政治が外交を握るということでありまして、やはり局長ぐらいまでアポインティーで、政治任官でやるというのが私はいいんではないか。  というのは、私も拉致の問題やらしていただいておりますが、先週ですね、拉致の家族を前にして局長が答弁をしておるわけでありますけれども、非常にお粗末な答弁。そしてまた、新聞報道にありますように、たった十人のことでそんな国交が悪くなるなんて、そんなことは考えられないということを平然と言う局長がいると。こういう人権じゅうりん、国家主権を侵害するような局長では駄目だと。逆に言えば、サラリーマンの方にそこまで責任をしょわせるのはどうだろうかということで、やはり局長クラスまでアポインティーにしたらどうかと思う意見はどのようにお考えになるか。  最後に、現場と政策責任者の乖離が甚だしいと私は思っておりまして、例えば外交外務省の最大の武器というのはODAでございます。ODAの評価の制度、また報告書というのは外務省の中で作っておるわけでございますけれども。  しかしながら、例えばモニター制度というものを、民間モニターというものを作りまして、ここ数年やっておるわけですが、こういう意見を私、いただきました。モニターに行ったけれども、そのレポートをしたときに、実際に見聞きしたことを書いたと。その後、関係する団体の参事という者から一人のメンバーに、もう一人のメンバーに、報告書を書き直してほしいということであったと。間違いがあるというのではないけれども外務省への風当たりが厳しい昨今、その辺を事情をお酌み取りいただき、どうか書き直してほしいと。私は当然断ったが、報告書の一部は同意のないまま改変されたと。  こういうような事態がここかしこで起こっておりまして、実は子ども国連というのが五月の初旬にありますけれども、これが絵でありますが、(資料を示す)私、今日預かってまいりまして、子供たちが喜んで全国からこういう絵を送って、国連の本部にこれを飾れるということで全国何万という子供たちが送って、五十選んで持っていこうとしていた団体が実はあります。そうしたら、昨日、急遽外務省に呼ばれて、申し訳ないけれどもブースができなくなりました。こういう例えば現場と、現場というか、本当に人の気持ちが分からない人たちがいるということを思うんですが、どのようにお考えになるか。  もちろん、多くの方々は非常に頑張っていらっしゃること、私よく分かっております。そういう方々に心からエールを送るわけでございますが、この点についても宮内座長からお答えいただけますでしょうか。
  13. 武見敬三

    委員長武見敬三君) それでは、簡潔にお願いを申し上げます。
  14. 宮内義彦

    参考人宮内義彦君) まず第一点でございますが、大使のパーセンテージの問題でございますが、考え方は二つあると思います。  一つは、今、外務省内部大使がほとんどいわゆるⅠ種という人でなされている、その他の人は大使になれない、これはおかしいじゃないかと。Ⅰ種とⅡ種、専門職との間の比率を作ったらどうかというようなお考えでございますけれども、それもひょっとしたら必要かも分かりませんが、それよりも本当に、外務省内部でこの専門職、Ⅲ種という壁を取り払って、本当の競争原理に基づく仕事がなされて適材適所というものができるのであれば、そこのところのパーセンテージは必要じゃないのかもしれない。できなければ、それは入れないといけない。  それから、あと、外務省とその他というところでございますけれども大使日本を代表する、代表して任地にいるということであれば、これは外務省出身でなくてもいいんではないかという考えは大いにあり得ると思います。  そういう意味で、そこへ数値目標をまず入れる。そして、その数値目標は何年に一度か見直すと。そして、実態がどうなっているかということは何度も評価できるというような形にして数値目標を考えるということは、この際、私個人の意見では必要ではないかというふうに思っております。  その中で、民間からなかなか出てこないという意見がございますけれども、やはり民間の人にとっても魅力のある、非常に評価の高いポストということがはっきりすれば、私は出てまいる。これまでは、どういうか、中進国以外のところが多かったというようなこともございますので、数だけでなく重要度ということもパーセンテージの中に入れ込むべきではないかというのが私個人の意見でございます。  それから、四番目の御質問といいますか御意見のODAの問題でございますけれども、確かにODAというのは要請主義でやっているんだということでございますけれども、その結果についての評価が余りなされていない。あるいは、ODAというものがあるために日本外交はかえって弱くなっているのではないかと。これが本当に日本国益にかなっているものかどうかということにつきましては、正に評価をしなければ国民の税金が無駄に使われるということでございまして、このモニタリングシステムにつきましては、この変える会の今までの議論でもいろいろな角度で意見が出ているところでございます。  したがいまして、何らかの形で提言をさしていただくということを考えております。今のところはまだ、いろんな意見が出ているということだけでございます。
  15. 船橋洋一

    参考人船橋洋一君) 第二点の交流、人事交流の点でございますけれども外務省は他省庁との間で非常に特異な一種の人事交流をやっておりまして、それはいわゆる伝馬船方式というんですけれども、他省庁から外務省に出向させ、あるいは海外にアタッシェで送る場合に、それと見合う数、あるいは場合によってはそれ以上の数を要求して、つまり定員枠をそういうことで自動的に増やすというようなことを今までやってきているわけです。これは多分、昔、外に出してやるんだから有り難く思えと、一人入れてやると、しかし言葉もできないし手間暇掛かるから補佐役もよこせと。こういう、少し意地悪を言うとそういうことじゃなかったかと思いますね。  現在、防衛のミリタリーアタッシェ、防衛駐在官、武官、四十六人海外におりますけれども、いわゆる伝馬船方式で防衛庁から召し上げているのが三十一人ですね。これは定員枠を外務省はきちんと要求しない、予算も要求しない、定員枠も要求しない、きついですから、これは。そういうことで裏でいろいろやりくりをするというようなことだろうと思います。  ですから、まずそういうことを正さなければいけない。伝馬船方式は、これは廃止するべきだというふうに私は思います。  ほかとの交流は、問題は下手するとお客さんになっちゃうということです。民間からはもらうけれども民間には行かない。民間なんか行けるかということよりも、民間も来られても困るんじゃないでしょうか、今のままでは。ですから、むしろ、いや民間重要だから、民間、少しそういうことで鍛えてもらわなきゃいけないと言っていますけれども民間も余裕なかなかないですから、何を与えることができるかということ、ギブ・アンド・テークだと思いますね。そのギブのところが不十分だと。まずギブを十分にしてほしいと思います、外務省が。  一番そのギブがないのは、一般国民に分かりやすく、国民の共感を呼ぶような形で外交を進めていないこと。つまり、パブリックディプロマシーの力、力が弱い、人材がいないということですね。そういういないところは、私は、プロに頼むとか特別な研修をするとか、しかし間に合わない場合は外から入れるということがよろしいんじゃないかと思います。  この点は、木俣さんの第三点、つまりポリティカルアポインティーのところとかかわるんですけれども、現状、今の日本の政治、文化その他から考えたときに、局長以上を政治任命というのは私はちょっと無理があるんじゃないかという感じがいたします。確かに、おっしゃるように、政治が外交をつかさどると、これはもっと強調しなきゃいけないと思うんですね。私たちが今やっているのはたまたま外務省をやっていますけれども、基本的な目標は日本外交を強くすること、つまり外政だと思うんです、私は、外交というより。  ですから、そこは賛成なんですけれども、しかし、じゃ政治任命がいけばそこがうまくいくかというと、私はそうではない。やはりエクスパティーズ、資質、そもそもが先ほど申し上げた新しい時代に適応する外交だとか、そのようなプロフェッショナルが、専門家が足りないということですから、それを作ることの方が先ではなかろうかというふうに思っております。
  16. 山口那津男

    山口那津男君 公明党の山口那津男です。  今日は参考人の皆様には貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。始めにお三方に一問ずつ質問を並べます。  まず、宮内参考人ですが、この変える会の結論に対して実施状況をモニタリングするということは非常に大切なことだろうと思います。今、外務省に対する批判の目は厳しいわけでありますけれども、これをやり過ごすという感覚で変える会がその言わば道具にされてはならないと思うわけであります。その点で、このモニタリングの必要性とともに、場合によってはその形を変えて恒常的な機関にしていくということも一つの選択肢かと思いますが、この点についてどうお考えになるかお聞かせいただきたいと思います。  それから、船橋参考人に伺います。  今川参考人から具体的な人材育成のお話がありました。外務省は、ともすれば語学でグループが分かれていたり、あるいは在外勤務と外務省本省との勤務が交互に行われたりして、必ずしも組織力として集中的な力を発揮できていないと思うわけであります。これは国内官庁と比べると大きな違いでありまして、この組織力を分散する力ばかりが働いていると。この点で、言わば組織の力をもっと高めるためにどうしたらいいかという点についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。  次に、今川参考人に伺います。  私は、今川参考人がカンボジア大使をされたとき、これはもうカンボジアにとって和平、復興の大事なプロセスにちょうどぶつかったという意味で、数少ないと言っては失礼ですが、適材適所の成功例だと私は思っております。そういう御経験を踏まえて、今川参考人外務省に奉職した当時と確かに時代背景というのは大きく変わってきているわけであります。こういう変化に対応する外交官を育てていくためにはどういう点を配慮すべきかという点にお答えいただきたいと思います。
  17. 武見敬三

    委員長武見敬三君) では、始めに宮内参考人
  18. 宮内義彦

    参考人宮内義彦君) ただいまおっしゃられましたとおり、この変える会の提言というのが外務省の問題の隠れみののようにして使われてしまうというようなことであってはならないと思っておりますし、我々委員もそういうことのためにやっているという意識はございませんが、やはり我々は、内部で、メンバー議論しておりますのは国益にかなう力のある外交を取り戻すということで、そういう意識を非常に強く持って変える会の報告を作りたいというふうに思っております。  それで、実施してくれなかったらどうにもならないということは本当に私どもも心配するわけでございますが、一番最初に川口大臣からいただきましたペーパーの中に、変える会には最終報告作成後も改革実施状況を定期的に見直していただきます、その結果は公表しますと、こういう形の変える会だということで参加しておりますので、報告を出した後も私どもはそのモニタリングの一翼を担うというふうに認識しております。  したがいまして、それが十分かどうかということにつきましてはまた御意見をちょうだいしながら外務省は考えていかなければならないんじゃないかと思います。
  19. 船橋洋一

    参考人船橋洋一君) ばらばらになっちゃっている組織、どういうふうにもう一回集めるのかという御質問でございますけれども、先ほど申し上げました、私なりに整理して外務省組織病理というのが三つあるというふうに申し上げましたけれども、全部これを一つ一つ攻撃、アタックといいますか、ここを改革すると。  つまり、お身内主義、これをぶち破る、外の血を入れて競争原理を働かせる、これが第一点ですね。上下階級社会、これ、ぶち破るということで、中からやる気のある人たち、能力のある人たち、この人たちにチャンスをもっと与える。三つ目無責任体制、これをぶち破る、つまり信賞必罰。一委員の中から、何かで問題があった人でもみんな大使になってしまう、外務省というのは、要するに処分というのはポストを動かすことですかという、ある方が質問されましたけれども、そういうことも含めたやはり規律というのが必要だと思います。  そういうことで多分組織は活性付くと思いますけれども、基本的にトップマネジメント、まず事務方のトップマネジメント。次官、官房長、ここのところのやはりマネジャー、マネジメントを自分はしているんだという意識もコミットメントも極めて希薄だと思いますね、私は、外務省は。ですから、そこの責任、これを、体制をどういうふうに形作るかということがとても重要だと思います。  私は、外務省の事務次官は、次、大使になるべきではないと、これは最終ポストにするべきであると。それで、最終ポストでマネジメントとして最後徹するべきであるというふうに思っておりますし、そのように提言もいたしました。  それから、最後最後ですけれども、やはり大臣だと思います。戦後を見ましても、福田さん、大平さん、安倍さんというような方々外務大臣だったときはやはり外交強かったし、外務省もぴりっとしていたということで、私は、先ほどのところに戻りますけれども、やはり政治家、政治が決定的に重要なんだというふうに思っております。
  20. 今川幸雄

    参考人今川幸雄君) 時代の変化に対応する外交官のあるべき姿と申しますか、これは昔は、私は四十六年前に外務省に入ったのでございますが、その当時は確かに、上は大使から下は三等書記官まで、日本という国を後ろに背負って、そしてその国の利益、日本の利益のため、ほかの国の外交官ならその国の利益のため、とにかく交渉をして多くの防衛を行う、自分たちの立場を防衛するということが立派だということが言われてまいりました。そして、皆そう信じておりましたが、グローバリゼーションでもう世界が随分大きく変わり、開発途上国も増え、そういう国の間におる外交をやっております人は、やはり何物をも恐れてはいけないのですけれども、相手国に対して自分たちの国の利益を大きく主張し過ぎるとか、それから、例えばODAでございますが、やるんだぞということだけでは、もう今は世の中通用しなくなっていると思います。  私は、もちろん一番上、大使館の大使から一番若い人まで全員が、日本国の利益をここで損ねてはならないという意識は大事でございますけれども、それだけではなく、相手国を本当に理解して、それぞれの国が大変な多くの問題を背負っているわけでございますから、その相手の立場を考え、ちょっと抽象的な言い方でございますが、要すれば、相手国と相手国の国民を愛して、そしてそこで自分の本分を尽くす、これがあるべき姿ではないかと思っております。
  21. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 日本共産党の吉岡です。  三人の参考人の話、いろいろたくさんのヒントをいただきまして、ありがとうございました。  私は、ダブらないように少し、私、外務省との関係、四十年近くになりますので、その間考えたことを含めて一、二お伺いしたいと思います。  時間の関係で、外務省内部におられた今川さんにお答え願いたいと思いますけれども、私は、皆さんの仕事、直接的にはその課題じゃないかもしれませんけれども、二十一世紀の日本外交の在り方、それを担う外務省をどういうふうにするかという問題意識を持ってやっていただきたい。  そのためには、日本外交の最大の弱点はどこにあるか。船橋参考人が述べられたような今の状態の、言語道断な事態、これはもう全然問題外でありまして、それはもちろん短期間に解決しなくちゃいかぬわけですけれども、もうちょっと突っ込んだ、日本外交を担う外務省の在り方ということも念頭に置いていただきたい。  そういう点で、私はよく外務省に出入りしている関係で人から聞かれるのは、戦後日本に、世界に知られる外交官が育っていない、一体これはなぜか、日本外交の欠陥の表れじゃないかということをよく聞かれることがあります。私は、これはやはりアメリカの意向がどこにあるかということを探ることが最大の戦後外交一つの弱点の表れで、つまり、本当の意味の自主外交が確立しなければこういうことになると思いますけれども、その点が一つですね。  それから、私、もう一つは、やっぱり歴史的な、外交史についての知識、歴史認識というのがやっぱり十分でない。これは僕は、個々の外交官というよりは、機構としてもそういうことについて、大いに、絶えず準備があって、それが日常の外交、また発表する文書、国会論戦等にも生かされるようにしていただきたいなと思います。  私、外務省に、外交というのは何から勉強したらいいかということを三十年ぐらい前に勉強に行ったら、外交史の勉強から始めなさいと助言されて、私はそれなりに外交史の勉強をやってきましたけれども、そういう外交史の知識のなさが、僕はやっぱり国際的に波乱を呼んで国益を損ねている場合もしばしばあると思います。これは、機構的にそういうことを絶えず研究して外交に生かす、そういうことも必要じゃないかということを併せて考えます。  それから三番目に、やはり自己検討をしながら外交を進めていくという姿勢がどうしても必要じゃないか。  私が、もう分かり切ったことが訂正されない、なぜそれができないのかと言うと、それはあなたのおっしゃるとおりだということはよく分かるけれどもそれを改めると日本外交の自己否定になる、先輩がやったことを後輩が間違っていたなんと言うことは、それは簡単にできませんという、そういう話をしばしば聞いてきました。しかし、それでは進歩がない。日本外交が本当に二十一世紀にやはり生まれ変わったものとして進んでいくためには、やっぱり自分の力で自分外交検討しながら改めるべき点は改める。外交政策の個々の問題というのは、僕は本当にそういう形でなければ進まないというようなことを考えているわけです。  時間の関係でいろいろ言えませんけれども、そういうことを踏まえた改革方向を示していただきたいものだと思っていますけれども今川参考人。ほかの人は時間の関係で聞けなくて申し訳ありませんけれども
  22. 今川幸雄

    参考人今川幸雄君) 先生がおっしゃいましたとおり、戦後の日本において、そのように個人の名前が出るような、いわゆる立派な外交官と言われる人は必ずしも、確かにいないかもしれません。明治時代の小村寿太郎であるとか陸奥宗光であるというような人はおりませんが、しかし組織として外務省は、今日は先生もおっしゃいましたとおり論外といたしましても、それなりにきちんと大きな目で見れば動きはやってきたと思うのでございます。  それで、自主外交と、第一点の点でございますけれども、戦後、外交自主化以後、もちろんアメリカの大変強い影響があり、そういう自由主義陣営の一員という立場はございましたけれども、自主外交という、いろいろな解釈はできると思いますが、立場で、例えばベトナム戦争のときの外交とカンボジア和平のときの外交は全く違います。カンボジア和平のときはもっと日本がどんどん中心になってやることができた。今後、アフガニスタンであるとか、あるいは将来はもっとほかの地域でもそういうことができて、方向としてはやはり、いろいろな意味はございますが、一般に言われる自主外交方向に行っていると私は思っております。  歴史的な外交史を学べとおっしゃることは私も全く同感でございまして、特に十八世紀にヨーロッパでどういうことがあったと外交史の歴史的基礎になるようなこともさることながら、二十世紀のアジアにおける日本外交の歴史というようなものはもっともっと勉強されてよいし、それはやはり外務省研修所において今後しっかり教えていくべきだと思っております。  それから、自己検討の問題でございますけれども、これは宮内参考人ほか皆様のおっしゃった、正にこの改革の変える会で考えていることでございますけれども外務省には今まで本当に、外務省のやったことを省内で批判しない、外務省は過ちを犯すことはないんだと、無謬性の信念がございましたが、今もう、誠に残念でございますが、昨年来のこともあり、いろいろそういうのは崩れております。ここでしっかり自己検討を行って、あるべき姿をもう一度見いだすということが必要だと思っております。
  23. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 自由党の田村でございます。  いろいろ改革あると思うんですが、私は今の外務省状況というのはもう解体した方がいいんじゃないかというふうに思っております。それは一言で言いますと、公に奉仕する、公を尊ぶという公の観念のかけらもなくなっているわけですね。一九八〇年ぐらいまではキャリアの方々には公に奉仕するというノーブレスオブリージュというような観念があったと。ですから、外交をおやりになっている方がどうとかという話じゃないけれども、やっぱり尊敬に値した、国民信頼を置くだろうと。ところが、今は全くそれがない。だから、私は、解体した方がいい、もう一回やり直した方がいいと。  それで、私は自衛隊の出身でありますので海外の駐在武官等の経験もございますが、自衛官が、私は三十二年卒ですが、外務省に行くと三十六年ぐらいのところへ付けられるんですね、五年ぐらい下に。そういう人事も固定化しておりまして、幾らそれはおかしいじゃないかと言っても変えない。  それで、人事の面だけ、一つだけ申しますと、事務次官をおやりになった人が十一人も過去駐米大使になっている、そういう国というのは珍しいんじゃないかなと。アメリカの駐日大使を比較してみたときに雲泥の差があるということだけを申し上げて、三先生の本日のお話に感動いたしまして所信を述べさせていただきました。
  24. 武見敬三

    委員長武見敬三君) 宮内参考人、何か御意見ありましたら。
  25. 宮内義彦

    参考人宮内義彦君) 私は、解体というか、こういう問題が起こりまして、解体的出直しというようなことでやはり本当に強い外交を取り戻してほしいと。  それから、今、先生のおっしゃいました公の概念というものは、確かに、私なんかは終戦直後の子供でございまして、そのころは公僕という言葉が随分はやったように思うんですけれども、今はそういうパブリックサーバントというふうな概念がだんだん消えてしまって、縦割り行政の中に巻き込まれているというような部分が外務省だけでなく出てきたのではないかと。もしそれが事実であるとすれば非常にこれは悲しいことだと思いますし、今おっしゃいましたとおり、公の概念を何とか取り戻すということは、私も是非そうあってほしいと思っております。  以上でございます。
  26. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 お三方に簡単な質問を一問ずつお伺いしたいと思います。  まず、宮内座長さんにお願いしたいんですが、変える会では機密費問題なんかという問題についても議論をなさっておられるかどうかということ、それが一点です。  それから、船橋参考人には、外務省の機構改革について御提言をなさっておられるわけなんですが、私は、外務省が、ODA問題も含めまして、国内的に日本外交についての実情について説明が足りないと思うんですね。ですから、そういった意味で、船橋さんが御提言なさっておる機構改革の中に外務省を代弁するようなプレスセクレタリーみたいなのを、せめて次官クラス若しくは副大臣か官房長くらいの方がそういうことをやるのがよくないかなという感じを持っておりますが、そういう点について御意見をいただけたら有り難いと思います。  それから、今川先生には、大変難しい問題ですが、先ほど外交が、従来、外務省が独占的に扱っていた外交市民外交のレベルまで多角化してきたというお話がございましたけれども、非常に難しい問題は、例えば安保条約の問題みたいに、国益と地方自治体、基地を抱えている地方自治体との利害関係が対立した場合に、それをどう調整して、どちらを主にして外交をなさるかということ。  つまり、私などがアメリカへ行きまして大使館に寄ってお願いしますと、大変残念ながら、大使の方は、日本から行った地方自治体の要望をアメリカ政府に伝えるというよりか、アメリカ政府の意向を我々の側にのんでくれと、そういう形になるんですね。そうすると、私たちも国益を、いかなる意味でも国益を損なうことはしたくないという気持ちがある反面、やはり地方自治体の県民の、地方自治体の市民の命や財産権の問題とか、それを守るためにはどうしても率直に申し上げないといけないわけで、そこに非常に大きなジレンマといいますか、困難さを感じたんですが、そういう点、大使の御経験を踏まえて、今後どうすべきというふうにお考えですか、教えていただきたいと思います。
  27. 宮内義彦

    参考人宮内義彦君) 機密費問題につきまして、非常にテーマが多うございますので深い議論はできていないと思いますけれども、何人かの委員からこの問題については指摘されております。  機密費に非常に近い問題といたしまして、外務省というのは機密を大変必要とする部分と、それからやはり行政の透明性ということもございます。このバランスをどう取っていくか。何が機密であり何が透明度を高めるべきか、そこのところについても議論しておりますし、また、冒頭お話にございましたいろんな形でのリークが出ているというようなことについても、これは行政としてこれでいいのかというようなことで、この外務省問題全体の中で外務省というものの組織の持つ不透明なところの一つとして機密費が触れられているという形でございます。  そういうことで、やはり基準をはっきりするということは必要じゃないかということは、その次の段階として議論されておりました。  以上でございます。
  28. 船橋洋一

    参考人船橋洋一君) 現在、外務省は報道官、報道課長ということで、広報体制、特にプレス対策しいておりますけれども、極めて不十分です。  現在の報道官は、事務次官より年次が一年下でほかの局長よりちょっと上ということで、年次的には非常に上なんですけれども、仕組みとして、つまり政策決定のど真ん中に入っていないわけですね。ですから、知らない、それから上がらない、回らないということで、本来報道官が果たすべきプラットホーム、足場もなければ、そのような体制もできていない。形だけ作っているということだと思います。  ですから、ここは正に、先ほど木俣さんもおっしゃいましたけれども、政治任命的なところが多分一番必要な、外務省の一番不足しているところで、中からなかなか人材が出てこない。大臣が多分政治任命的に連れていくか、あるいは省内の非常にそういう才能ある人を抜てきして任に当たらせて、省の重要な政策決定過程のところについては知らせておくということが必要になってくると思います。  基本的には、国民に本当に訴え掛けて外交しようという姿勢がないことと、それから自分たちの政策の何が一番重要で、優先順位は何で、何を訴えていくんだというゲームプランがないことが広報が弱いことの基本にあると思いますね。ですから、相当これは問題は実は大きいんだろうというふうに思っております。
  29. 今川幸雄

    参考人今川幸雄君) 本当に難しい御質問をいただいたわけでございますけれども、やはり大田先生のおっしゃいましたような沖縄の基地問題と、それから日本政府の対米、安保条約に基づく対米義務というものなどにつきましては、あるいはこういうことはほかにも、シイタケとネギの輸入制限と中国に対する一般的な経済外交の拡大ということ、そういうことでもいろいろあり得ると思うのでございますが、沖縄の問題が非常に難しくてほかの問題と同じにはできないということもよく分かるのでございますが、やはりこれは内閣が中心となって、外務省は本当に日本交渉する基本的態度というものを地方自治体の方々にお話しして、本当にフランクに、いろいろな資料も出し合い、いろいろな政策を議論して、国内でまとめて、少なくとも外に出るときは、つまりアメリカの合衆国政府に対し、あるいは中華人民共和国政府に対して言うときは、外務省は一本化した対外交渉の姿勢を取るということ、これ以外にはないと思います。  そうして、そういうことである地方自治体の方々が非常に御不満になるような場合は、これはやはり日本の国内において中央省庁とそれから地方自治体との間あるいは外務省と地方自治体の間で十分検討していただくという、大変抽象的なことになってしまいましたが、そういうことかと思っております。
  30. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 自由民主党の福島啓史郎でございます。  お三方にそれぞれ一問ずつ御質問したいと思います。  まず、宮内座長でございますけれども宮内さん、ビジネスマンとして、官の問題、特に今回のここは外務省の問題について私は、どういう点が一番問題なのか。私は、私も官にいた経験からいえば、評価とそれと裏腹の競争というのをどういうふうに今、官の世界、特に外務省世界で考えていくかということが大きなポイントじゃないかと思うんですが、これについていかがお考えかということが一つでございます。  それから、今川参考人にお聞きしたいわけでございますが、私は、問題は、外交戦略がなくなってきたんじゃないかということだと思います。要するに、冷戦までは、冷戦で、要するに西側に付いて軽武装でもって経済発展を図っていくということで、単純明快な外交戦略があったわけでございますが、冷戦後、また経済発展も遂げますと、それに代わる戦略を見付けていないということが大きな問題ではないかと。  それに代わるものとして、安保理の常任理事国になる、あるいは北方四島の返還を求める。それはもちろんそれぞれ重要な問題ではありますけれども日本国益を考えて、世界、グローバルにどういうことを戦略として打ち立てていくかということがやっぱり欠けていたんじゃないかと。  そういう意味で、特に安全保障の面、同盟関係を中心にしながら、日米同盟関係を中心にしながらこの安全保障を考えていく。また、特に経済問題としましては、飢餓の問題、あるいは貧困の問題、あるいは環境の問題というものも世界のリーダーシップとして取り組んでいくといったような外交戦略を打ち立て、それを統合していく、省内で統合していくことが重要じゃないかと思うわけでございます。その統合のところがないもんですから、結局、人事予算でやるということになるんじゃないかと思うんですが、その点、外務省におられた経験から見ていかがか、どういうふうに思われるかということでございます。  三番目に、船橋参考人にお聞きしたいわけでございますが、私も、外務省といいますのは省の業務として余り執行業務が少ないわけでございますね、領事なりあるいは情報収集等を除けば。そうしますと、日々政策決定をしていく、そういう省庁ではないかと思うわけでございまして、その意味では、政が責任を持って意思決定をしていかなければいけないと思うわけでございます。  そういう意味で、それは一つは、政が官にもう少し入っていくと、人数を、幹部職員も含めて政が官にもう少し入っていくということが一つと、もう一つは、先ほど木俣委員の質問にもありましたが、ポリティカルアポインティーを局長以上はしていくと。ただし、その場合は、そのポリティカルアポインティーの人を回転ドア方式でもって異動させていかなきゃいけないと思うんで、それは、ポリティカルアポインティーとリボルビングドア人事方式というのは表裏の関係でもってやっていかなきゃいけないと思うわけでございますが、この点について、これは、評価をする、最初は人材がいないということであれば、もちろん外務省の方で結構なんですけれども、それを一定期間、三年なら三年という期間でもって評価するという意味ではポリティカルアポインティーというのは有効だと思うわけでございますが、それぞれにつきまして御意見をお伺いしたいと思います。
  31. 宮内義彦

    参考人宮内義彦君) ビジネスをやっている目から官の人事制度というのを見ますと、誠に不思議なことが多うございます。したがいまして、これは、私、この外務省問題、外務省人事問題というのは、半分は日本の行政すべてに適用される問題点、あとの半分は恐らく外務省特有にできてきた問題、そんなことかと思うんですけれども。  例えば、身分制度がはっきりしている、あるいは、すべてがキャリアというのは大学を卒業してずっと行く人ばっかりで、途中採用というのはないと。誠に不思議な人事制度でございます。それから、女性の場合は、グラスシーリングと言うそうですけれども、グラスシーリングのように鉄の天井があってもう一つ上に上がれないと。  こういうようなことは民間では考えられないんですね。民間ではやはり、企業としましては、会社に役に立つ人間はどこにいるかということで目を皿にして見ているわけですね。よくできる人がおれば、学歴なんか全然関係ございませんし、男女も関係ないし、年齢も関係ないと。私は、国籍も関係ないというふうに思っております。できる人にやってもらおうということで一生懸命見ると。それは、会社の業績にプラスになるという一つの目的があって、そのためにだれが役に立つかというふうに見ているわけです。  外務省の場合は、そうしたら外務省の目的は何かと、この目的に沿うためにはだれが一番役に立っているかということがはっきりしないために、そういう階級制度とか身分制度の方が、身分制度とかそういう年次の方がいいということになったんだと思います。  私は、明示的に外務省の目的ということをはっきりすべきじゃないかと思います。例えば、外交においては、近隣諸国とは友好ということは非常に重要だと、しかし友好ばっかり言ったら国益を損なうと、国益をできるだけ主張すると、このバランスを持って総合的に国益にだれが一番役に立つかということを考えますと、年次も何も言っておられないと思います。外務省の人でなくたって、外から採ってきたくなると思うんですけれども、そう思わないということは、私は、評価すべき、何を基準にして評価すればいいかということを明示的に与えられていないということが一つの問題だと思います。それさえはっきりすれば、その目的に向かっていろんな評価制度ができるんではないかというふうに思います。  そういう意味で、これは行政どこにでもございますけれども、そういう目的さえはっきりすれば、それに向かっての競争というのはずっと起こってくるということです。  しかし、外務省は、次官という頂点に向かってずっと小さくなっていって、最後大使というふうに花開くと。これじゃ競争が出ないんですね。一番トップまで行けば駐米大使であると、そうでなければアフリカの大使であるとかいうんであれば、これはいい外交もできないし、本当の競争ということもないし、そういう意味では、制度というようなものでそういうものを作らないといけないということ、悪循環になってきているような感じがいたします。
  32. 今川幸雄

    参考人今川幸雄君) 先生御指摘のとおり、確かに外交戦略というものが冷戦の時代にはもう極めて明確に出し得たと思いますが、外務省は、もちろん冷戦後の時代におきましても様々な問題についてどうすることが最も国益に合致するかということで外交戦略の構築はやっておると思います。そして、このグローバリゼーションの時代におきまして、地球規模の諸問題、環境であるとか人間尊重であるとか人口問題、そして最近では特にテロ対策、国際犯罪の問題等々につきまして個別にいろいろ対策を考えていると思います。  そうしまして、これを統合した形で、現在の外交戦略とは何かということにつきまして、私ももう外務省を離れましてから六年余りたっておりまして、一市民の立場からいたしますと、外務省がこれを明示的に冷戦後の外交戦略というのはこれである、あるいは政府がでございますね、したがって国民のみんなのサポートを求めると、そういう形がまだ出ていないように思いますし、これから大いに議論してそういうことが行われて、国民のだれにも分かりやすく外交戦略、あるいは日本国益追求というものが何かということも出してよろしいんじゃないかと思っております。
  33. 船橋洋一

    参考人船橋洋一君) 政がもっと官に入っていけと、私は賛成です。実際、既に副大臣、政務官ということで始まっているわけですよね。ですから、まず現在始めたこの新しい仕組みとかやり方、これに魂を入れるというところからやるのが現実的だろうし、せっかくやったんですから。  ですから、外務省改革との関連でいえばやはり、どこの省でもそうですけれども、特に外務大臣に選ばせると、副大臣、政務官は、閣僚の人事のときに。それで、強力な政治の、ポリティカルのトップのチームをここで作ると。先ほど大田さんおっしゃったプレスセクレタリーのような、非常に大臣の政治的な意思、外交の大きい筋道、これを国民の理解を得るために、このプレスセクレタリーのような機能、これは副大臣とか政務官の中から選んでやるのが本来いいんじゃないかと私思いますね。  政務官は、それから、各省、大臣と同じフロアに陣取るんではなくて、局長とか審議官などの現場に入って、政策立案、企画のところで、職員一緒になって練り上げていくところに入るべきだと思いますね。そういうことによって政務官も鍛えられるし、また初めからポリティカルセンスというものも入れることもできるし、もっと工夫が必要だと思いますね。
  34. 海野徹

    ○海野徹君 民主党・新緑風会の海野徹であります。二問だけ御質問させていただきたいんですが。  宮内参考人にまずお聞きしたいんですが、内発的自己改革力が大切だというお話がありました。これは、もう外務省だけじゃなくて日本全体がそういう時期にあるんじゃないかなと私も思います。三百の意見が集まったとかいろいろヒアリングもやっているということなんですが、外務省の中に、そういうものを含めて内発的な自己改革力というかそのエネルギーがおありになるとお思いになりますか。それだけ一つお聞きしたいと思います。  それともう一つは、今川参考人にお聞きしたいのは、私、FTAの議論をずっとしているとき、やはり総合調整機能というのはどうも外務省にないと、調整機能すらないんじゃないかというようなぐらいに思っちゃうんですが、外務省から大使を歴任された中で、総合調整機能を発揮するためには、より高めていくためには今後どういう人材の育成があるべきなのか、そのことだけお伺いします。
  35. 宮内義彦

    参考人宮内義彦君) 外務省はたしか五千数百人の職員で、我々変える会に三百通というのは、非常に短期間にそういう思いが寄せられたというのは、これはかなりマグマがたまっているなと、しかも意欲があるなというのが私、個人的な受け取り方でございます。  それから、我々の委員の中で、外から変える会なんというのはおかしいじゃないかと、中から変わる会があるべきだということに対しまして、実はそういう組織ができて、いろいろ改革案を作っているということを聞いております。  したがいまして、かなりのエネルギーとして変えようという意欲が中から出てきているというふうに私は認識しております。
  36. 今川幸雄

    参考人今川幸雄君) かつては、外務省は確かに非常に個人的な動きもございましたし、それから各局の縦割り的なところもございましたが、ちょっと私、日時はっきりしませんが、約十年以上前から総合外交政策局というものができまして、こういうことをやらなきゃならないという意識外務省内に非常に高まりまして、それでやっておりますので、ここでは、これは以前に比べれば調整能力を発揮するようになったと思っております。これは在外公館にいて見ていてもそういう感じがいたします。  ただ、日本の機構においては往々に、こういうものができますと、ほかの局課で扱わない、あるいは扱うことのない落ち穂拾い的な仕事をどうしても背負い込まなきゃならないということがあり得るようにどうも思いますので、そういうことがないように、もう一番大事な、先ほど外交戦略の御質問がございましたが、そういうことで総合外交政策の調整をやるということはこの局に大いに期待されるところでございますが、やはりこれが本当に軌道に乗るようになるためにはまだ数年を要するのではないかという気もいたします。
  37. 海野徹

    ○海野徹君 ありがとうございました。
  38. 小泉親司

    ○小泉親司君 日本共産党の小泉でございます。お三人の参考人、大変御苦労さまです。大変貴重な御意見をお聞かせいただきまして、ありがとうございます。  私、一問だけお尋ねさせていただきます。  先ほど、宮内参考人が、今度の問題というのは単なる外務省ばかりじゃなくて、広く全省庁にかかわる問題だというふうにおっしゃいました。それからもう一つ外務省特有の問題があるとおっしゃいました。私、今度の、皆さん方が変える会にお就きになられたのは、いわゆる小泉内閣が発足しまして田中眞紀子外務大臣が出ましてからこの一年間の問題をどうするかと、言わば決算的にやるものだと私も理解をしておりますが、一つは大変長期的な問題と、それから非常に短期的な問題があると。  私、短期的な問題だけ一言お尋ねしたいんですが、いわゆる鈴木宗男事件、この問題について、私は日本外交をねじ曲げた事件だというふうに思います。一方では政治の側の問題が確かにある。しかし、そればかりじゃなくて、私は外務省の側にも非常に重大な問題があるんじゃないかというふうに思います。  その意味で、変える会の大変私はこの問題というのは主要な任務だというふうに思いますが、それではお三方の参考人はこの問題についてどういう現状の認識、つまりなぜこういう事件が起きてしまったのかということと、その変えるためにはどういう点が大変短期的には重要か、長期的には重要か、こういうふうな問題について、申し訳ございませんが、お一人ずつ。それで私の質問を終わらせていただきます。
  39. 宮内義彦

    参考人宮内義彦君) 実は、私どもはただいまの問題につきまして、言うならばマスコミ報道でしか存じ上げないということでございまして、それの、感想的に言いますと、やはりそこに何か根の深いものがあるのかも分からないと。  それで、委員の中の御意見を御紹介いたしますと、やはりそういう、日本人というのは何か問題が起こるとすぐに対策を考えると。私どもも、変える会も対策を考える会なんだけれども、欧米なんかを見ていると、そうでなく、なぜこの問題が起こったかという非常に深い調査と研究をして、時間を掛けてリポートを作って、そしてそれをじっくり勉強した後で対策を考えると、この差があるんじゃないかという意見がございまして、なるほどなと思っているわけでございます。そういう意味で、この根がどこにあるかということにつきまして、やはり恐らく十分なかなかつかめていないんだろうということでございます。  そういう意味では、そこのところがはっきり分かれば対策というのはもっとしっかり出るということは考えられるんだろうなというふうに思っておりますが、我々の与えられた仕事というのは、やはりいろいろ問題があるけれども、とにかく少しでも良くしようと、しかも実効性のあるものにしようという若干日本的な会でございますので、その辺はその役割を果たしたいということでやっているということでございます。
  40. 船橋洋一

    参考人船橋洋一君) これは相当奥深い問題でしょうから、まだまだ調査究明があるでしょうし、やらなきゃいけないと思いますけれども、今までのところで言いますと、政の問題はやはり相当大きいと思います。政治の方の問題。  ただ、あえて外務省のところだけに絞って言いますと、行革を恐れて鈴木さんに力添えを頼んでという貸し借り関係、それに付随する様々なそのようなやみ取引というところで、幹部が、その下の方に対するきちんとした規律も要求もしないし、自らもそういうことで範を示さないというトップマネジメントの問題がとっても大きかったと。  それからもう一つは、非常に一議員の不当な、例えば軍縮白書、これを聞いていなかったから差し止めるというようなことに対して、当時大臣は何していたのかと私は非常に疑問に思いましたけれども大臣のやはり自らの責務、これを全うするという意志、能力、これが非常に不足していたというところがあるんじゃないかと思いますね。
  41. 今川幸雄

    参考人今川幸雄君) この問題は非常に難しい問題でございますが、鈴木宗男議員外務省が頼り過ぎてしまったということは、予算の獲得とかその他の面において、非常に少ない、まれな、外務省の俗に言う族議員ということで少し大事にし過ぎ、また無理なことをおっしゃってもそれは聞かざるを得ない、それが省益であるという考えがあったと思います。こういうことについては本当に反省をしなければならないと思います。こういうことで政策を誤るということは、もう外務省が本当に国民に対して申し訳ないことをしたことになるわけでございます。  ただ、今月の初めでございましたでしょうか、川口大臣が、三十七人の人をこの問題等に関連して、厳重訓戒であるとか処罰をされたわけでございますが、これについていろいろ説明はされておりますが、しかしその実を眺めますと、この処罰された人は、昨年いろいろな機密費横領などということで処罰された個人の犯罪ではなく、政策の誤り、そして誤った政策を無理やりに押し通したということでおしかりを受けたと私は思うのでございますが、そういうことが余り従来はなかったと思いますが、こういうことで、外務省の規律を引き締めていけば、こういう問題も今後はかなり少なくなるのではないかと、そう感じております。
  42. 小泉親司

    ○小泉親司君 ありがとうございました。
  43. 広中和歌子

    広中和歌子君 先ほど、大使民間からとか適材適所とかいろいろなサジェスチョンがございましたけれども、どういうふうに人を選ぶかという、だれが選ぶかということが本当に問題なんではないかなと思うわけでございまして、大臣、政務官、そういう人たちに任せろとおっしゃいますけれども、少なくとも今のシステムというのは、大臣も、要するに一年間我慢していただく方にすぎないといったような、そういうことで、実際にトップダウンのシステムができ上がっていないということに非常に問題があるんではないかと思うんでございますが、改めまして宮内参考人にお伺いします。  それから、現在の外交というのがむしろ非常に専門性が必要となっているんではないか。つまり、サミットであるとか条約交渉であるとか、それは金融、経済、環境、人権、司法、防衛とか、そうなりますと、こんなことを言っては大変失礼なんですけれども、どちらかというとジェネラリストの集団であるところの外交官ではハンドルできないと、マネージできないというそういう問題があるんではないか。そういうときに、ですから人材登用というものはむしろチームとして、例えば財務省とか、それから経済の専門家であるとか、貿易の専門家であるとか、あるいは環境専門家、そういうふうに、やはりもっと新しい形が模索されるんではないかと。  先ほど、田村議員が外務省不要論というふうにおっしゃいましたけれども、それはどういう意味でおっしゃったか分かりませんけれども、ある意味では全く新しい抜本的な改革というのが必要なんではないかなと思うところでございます。  それから、最後に言わせていただくと、こういう変える会が作られたことは大変結構なんでございますけれども、これまでも何遍も作られたし、大使なんかもよそから、民間人からという、そういう意見を言った方は、次にはこういう変える会みたいな会ができたときの委員に招かれないということもございまして、そういうことで私は大変悲観的でございます。  以上です。
  44. 宮内義彦

    参考人宮内義彦君) 今、広中先生がおっしゃったようなことにならないようにしたいと思っておりますが、まず、だれが選ぶかということ、これ、正に政治の力というか、にもよると思います。そういう意味で、やはり外務大臣は最も外交に精通した責任者を選んでいただくと。そして、先ほど船橋さんがおっしゃったように、外務大臣自分の強力なチームということで副大臣と政務官をお選びになる、そういう形にすれば非常に強い政治チームができてくるのではないかと。今のところ、残念ながらそうはなっていないということでございますから、新しい制度につきまして政がどんどん入っていくということにつきましても、その編成の仕方はまだ多くの工夫があるような気がいたします。  それから、専門性の問題、おっしゃるとおりでございまして、それから、外交はいろんな人がやっていると。この間のシイタケと畳表と自動車の制限、これは農水省と経済産業省とどっちも省益をむき出しにやるということは、恐らく国益にはならなかった。そこへ私は、そういう専門家の意見を聞いて外務省は総合調整をして、国益のためにはこちらは辛抱してくださいよということで、そして外交の衝に当たるということであるべきではないかというふうに思います。NGOの問題なんかもそういうところは非常に多いと思います。  そういう意味で、私は、外交は多角的、多面的になったということを始めに申し上げましたけれども、なればなるほど外務省の持つ総合調整機能という最も大きな能力、これが問われてきておると。外務省の、そういう意味では仕事は減ったんではなく、非常に責任は重くなってきたんじゃないかという認識を持っております。  それから、この変える会が、実は私も別にいいリポートを外務省に出してまた次何かに呼んでもらおうという思いは全くございませんので、委員の皆さんもそういう思いは持っておりませんので、力の及ぶ限りの提言をさせていただきたいというふうに思っております。
  45. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。  各参考人の方に一問ずつ簡潔にお聞きしたいと思いますが、まず宮内座長の方に、私はODAの一元化、非常に重要だと思っております。  もっと具体的に言えば、国際援助庁とか国際協力庁みたいなものを作って、今は各省庁にまたがっているODA予算の執行、あるいは外務省の所管の予算を見ても、実施機関であるJICAと意思決定ができる外務省との重層構造になっておりまして、私はNGOのアドバイザーをやっておりまして、東チモールの現地で苦い経験があるわけですけれども、JICAに申しましても、JICAの現地の窓口は、我々には決定権はありません、私たちは実施するだけですと言うわけですね。外務省の現地の人はODA関係やっていないということで本省に伺いを立てなきゃいけないと。そうすると、来週から現地でやってほしいという、NGOがやろうとしているプロジェクトが、ニーズは現地であるんですよ。しかし、六か月待てとか三か月待てとか平気で外務省言ってくるわけですね。  これじゃ、今、機動性、スピードが大事なこの時代にあって、日本のODA、幾らお金の額があっても全然感謝されないという現実があって、私は、ここは思い切ってODA予算を一元的に、意思決定権も持ったあるいは実施もできる機関として改組すべきじゃないかと思っておりますが、これについてお聞きしたいと思います。  それから、今川参考人の方にお聞きしたいのは、私は、大使のことをずっとこの場でも言われておりますが、本省人事大使人事が連動しているのは法的根拠がないんですね。実際には、大使というのは特別職になって、天皇の認証事項で閣僚と同じ扱いを受けると、それは海外で日本を代表するからそういう特別な扱いを受けているわけですね。ところが、例えば、最近でいうと、現在の竹内事務次官はインドネシア大使として十か月しかやっておりません。それから、高野審議官は五か月しかシンガポール大使をやっていない。その前、レバノン大使だった甲斐さんも五か月しかやっていない。これは全部こっちから見れば本省で玉突き人事があったからしようがないよということになりますけれども、相手国から見たら非常に失礼な話で、しかも法律から見てもこれは全く根拠がないわけですね。ですから、これは大使に一回出たら一律原則三年以上いるとか決めないともう駄目なんじゃないかというふうに思います。これについて意見を伺いたい。  最後に、船橋参考人に、船橋ペーパー、大変興味深く読まさしていただきましたけれども、国会・政党事務本部というのを作ることを提唱されておりまして、これは政と官の問題で窓口を外務省側で一本化しようということだと思うんですが、ただ、国会議員が外務省にいろいろ問い合わせをする、接触するときは、かなり専門性の高い話で接触することもあるわけでして、そうすると、政党事務本部に事務局があったとしても、そこで専門性の高い話に対応できるのかどうか、ちょっと疑問が残るところがあるんですが、その点についてお伺いしたいと思います。
  46. 宮内義彦

    参考人宮内義彦君) ODAは川口さんの、大臣の諮問の中でも非常に重要な位置を占めております。そういうことで、ODAについては効率化透明化ということは一つの課題となっておりまして、金ばかりばらまいているじゃないかと、しかも効果については定かではないというふうな御批判、それに対して一元的な組織を作るべきだと、これは私は有力な改革案として存在すると思いますし、委員の中でもそういう議論をされております。それから、NGOとの関係につきましても、これまでのやり方では非常に不十分であると、今御指摘の点はすべて非常に大きな問題点というふうに認識して議論をさしていただいております。一気に一元化という形にいくのか、できるだけもっと効率的で納得のいくものにしていくにはどうしたらいいかということで、今の御意見参考に、重要な参考にして議論を進めていきたいと思っております。  ありがとうございます。
  47. 今川幸雄

    参考人今川幸雄君) これは、私は、もう先生のおっしゃるとおりでございまして、同じ考えでございますが、本省人事大使人事というのは、確かに法律的には特別職と一般職員と違いますけれども、今年は、昨年からと申しますでしょうか、外務省の幹部の人事が非常に特別な動きがございましたために、やむを得ず、これは私の感じでございますが、外務省は在外の大使で適任者を本省に持ってきて本省の幹部に据えたということだと思いますが、私、四十年間外務省におりましたが、こういうことは極めてまれな例でございました。  それで、やはりおっしゃいましたとおり、大使は少なくとも相手国には三年ないし四年いるということが良いのであって、相手国に対する礼儀ということも非常に重大なことだと思っております。
  48. 船橋洋一

    参考人船橋洋一君) ここは非常に政と官の仕切り、難しいところあるんですけれども、接触禁止とか、あるいはメモ化とか、私は非常に両方とも極論だと思いますし、非現実的だと思います。ですから、現実的に何ができるか、にもかかわらずもう少し整理したらどうしたらいいのかというそういう問題意識から、一括化ということで国会・政党事務本部、本部長が外務大臣、それからそこに事務局長を置いて、そこの事務局員を置くと。  ですから、確かに専門性が高いところについての問い合わせ、政策にかかわるところなどは直接やってもいいじゃないかというお考えあるかもしれませんけれども、政策、特に法案、予算、これにかかわるところ、これは当然議院内閣制ですから、お互いのインタラクションが当然必要。しかし、個別の執行案件及び人事管理に関するようなところということになりますと、これはやはり完全一括化というふうにやった方がいいんではないか。  しかし、この両方、多分またがるところもあると思うんです、中には。ですから、そういうことも含めてまずは一本化して、そこに専門家が必要なら専門家をすぐ呼ぶとか差し向けるとかいうようなことでまずやってみたらよろしいんではないかというふうに思います。
  49. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 民主党・新緑風会の榛葉でございます。  私は、松尾事件以降、外務省はずっと改革を実はやってきたんだというふうに私は思っているんです。ところが、ある大臣のときにそれが、機能が低下いたしまして、そのひずみがあのNGOの問題で爆発したというふうに私は解釈しているんですけれども、強いて言うなら昨年は制度改革に焦点を置いて改革しようとした、今年は、私は、意識改革をやろうというのが恐らく外務省の流れじゃないかというふうに思いますし、変える会に加えまして、今、省内から変わる会というような有志の方々で真剣になって議論を始めたということを私は大変評価をできますし、期待を実はしているところなんです。  そこで、船橋参考人にお伺いしたいんですけれども意識改革の代名詞のようにいつも言われるコスト意識の導入であるとか効率化の追求という言葉をよく言われるんですけれども、そもそもそういう意識を持つことができなかった、そういう教育をしてこなかったのが外務省でありまして、幾ら働いても給料が変わらないし、幾ら働かなくても給料が変わらない、いわゆる労働インセンティブが大変ないところが外務省でしたし、単年度予算の、予算執行の在り方一つ見てもそうでしょうし、フレックスタイムさえ導入することができていないというのがそういうところだというふうに思うんですけれども、このコスト意識をこのような省庁においてどのように植え付けることができるのかということを船橋参考人にお伺いしたいと思います。  そしてもう一点、今川先生にお伺いしたいんですけれども、私、以前、先生がカンボジア大使をされているときに現地をお伺いいたしまして、大変御丁寧に様々なことを教えていただきまして、本当に感謝をいたしております。  外務省というところは、私は今いわゆる密教のようなところだと思っているんです。というのは、安保という問題がある限りこれはやむを得ない性質だというふうに思うんです。それが今急に開かれた外務省を作れであるとか、透明性をどうするのであるとか、アカウンタビリティー、説明責任をどういうふうにするんだなんという、今までのそういった密教的要素を真っ向から否定する議論が正に今されなくてはならない、正に私はそこで外務省職員の皆様方がもうもがいているような状態だと思うんですけれども、この開かれた外務省とは一体何なのか、それをまたどういうふうに作っていくおつもりかということを少しお伺いしたいと思います。
  50. 船橋洋一

    参考人船橋洋一君) コスト意識をどういうふうに身に付けさせるか、なかなか難しいところはあると思います。報償費なんかも五十三億に削ったと、それで回っていると。そうすると、今までは何だったんだろうかと、全く必要なかったのをあんなにじゃ、がぶ飲みしていたのかということになります。今のがじゃ最適かどうかと、もっと絞ればまたやっちゃうかもしれない。  ですから、一義的に何が最適コストかというのはなかなか難しいと思うんですけれども、私、政策で優先順位をしっかり付けること、それからもう要らなくなった、今までの、貝殻のように引っ付けてきている案件、事業、様々物すごく多いと思うんですけれども、それをはっきりとサンセットさせる、要らないものは要らないということでもう捨てる、それで新しいところへ投資するというそこをやるのが一番の実はコストパフォーマンスではないかというふうに思いますね。それが非常に欠けていると思いますね。
  51. 今川幸雄

    参考人今川幸雄君) 先ほど、密教的というお話がございましたが、外務省の従来の秘密主義的なところ、それが今回は透明性、説明責任ということで開かれた外務省というものを目指していると。  確かにそういうことでございますが、外務省外交交渉を担当している役所といたしまして、やはり交渉案件あるいはその間における取引といいますかやり取り、こういうものは秘密を守らなければならないということはたくさんございます。これは外に出せません。  しかし、現実の、私が若いとき役所にいたときの経験からでも、余り、特にどうしてこんなものまで秘密にしなければいけないかというようなもの、ばんばんと秘密、秘無期限とか極秘無期限なんという判こを押していた。こういう体制は改め、本当にこういうものは秘密にしなきゃならないのかということを省員がみんな考え、そして秘密を保つということにすれば、それは幹部がそれをきちんと決定し、それを本当に漏らさないようにみんなで守るという、そういうことが透明性とか説明責任の最初段階で必要であり、そうすることによってかなり明るくなるんではないかと思っております。
  52. 矢野哲朗

    ○矢野哲朗君 時間が来たものでありますから、簡単に質問をさせていただきたいと思います。  自由民主党の矢野でございます。  宮内参考人に代表してひとつお考え方を開陳いただきたいのでありますけれども、今回、政と官の在り方について議論のスタートになったのはこの外務省の一件だったと思います。そして、今回の改革のまず第一に挙げられているのは不当な圧力の排除ということで、まずそれが第一項目に並んでいるわけでありますけれども、今回のケースを私なりに精査してみても、確かに問題点は多々あったかもしれないけれども、政治が外務省の停滞というものをより一層促進化させた、相当積極的な外交展開を裏支えしたということも相当私は、鈴木先生という名前が出ているからあえて私は無視しなくてもいいと思うんですけれども、鈴木先生の名前を挙げていろんな面で外交展開、より一層積極的なという意味合いで、あの方の貢献は相当あったと思うんです。  ですから、ただいたずらに不当な圧力の排除ということで政と官の在り方をまとめるということは非常に私は問題だ。過去において、例えば国会でもって中国の核実験反対決議をする、それでもって円借等々のセービングをした。最近の事例では、拉致問題について参考人を招致させていただき、なおかつ問題を改めて国内外に訴えたというような経緯もあります。  ですから、本来の在り方として、私は、官と政がより一層密着して、より一層協力体制をしいてやっていったら、この複雑多岐な外交展開についてもっともっと一つ一つの答えを出すことができるのではないか、しかもスピードアップするのではないかと、こういうふうに私は考えるところでありまして、ですからその辺での在り方を、ただ不当な圧力の排除、ですから官と政の情報交換の一元化、これは余りにも形式的過ぎるような感じがいたします。より一層お互いの力を発揮するためにどういうふうな考え方でどう整理されるのか、その辺のお考え方をちょっとお聞きしたいと思います。
  53. 宮内義彦

    参考人宮内義彦君) やはり国益の追求という意味では、日本国全体として動くというのは当然であり、その中に政治というものが極めて重要な要素であるということは、もうおっしゃるとおりでございます。  それで、にもかかわらずこの外務省問題というのが出てきたのはなぜだろうなということを考えますと、やはり政治というものは、外交でありましたら外交の基本的枠組みについて大いに御意見をおっしゃっていただき、また自分の政治の力でもって国の枠組み、外交の枠組みを作るというところには最大の貢献をしていただくということが必要であり、正に政治主導の外交というのはそういうことだと思います。  恐らく、この外務省問題というのは、そういうことでなく、戦略的なもの、政策的なことというよりも、外交そのものの具体的執行というところに政治が入ってくるということによって問題が起こったということではなかろうかと思います。  したがいまして、やはり役割分担といいますと、国益の立場から大きな枠組みを作ると、これは政治が行政に対して与えるものであって、行政はその枠組みの中で自分に与えられた職務を遂行する、そこについては政治は口を出さないというようなのが非常に大きな枠組みだろうと思います。そこのところを逆にしてしまいますと、非常に思い掛けないものが出てくる、妙な癒着というものが出てくるということになったのではなかろうかなというのが私の報道から見た理解でございます。  したがいまして、今後の外交の再構築につきましても、やはり政治が引き続き日本国益を考え、また邦人に対しより適切なサービスがどうあるべきかということについて、枠組みについて立案をしていただく、戦略を考えていただく、そして外務省はそれを、その戦略、枠組みの下で個別具体的に遂行していくと、こういうことを再構築していく時期だというふうに感じております。  お答えにならなかったかと思いますけれども、そこのところの役割分担というものを間違えると非常に妙なものが出てくる一つの例だったのかなと。そこのところを正すことによりまして、また新しい時代の外交というのは私は生まれてくるし、私どもの会はそれに少しでも貢献させていただきたいというふうに思っている次第でございます。
  54. 武見敬三

    委員長武見敬三君) 予定の時刻が参りましたので、参考人に対する質疑はこの程度にとどめます。  この際、一言御礼を申し上げます。  参考人方々には、長時間にわたり大変有益な御意見をお述べいただきまして誠にありがとうございました。参考人のますますの御活躍を祈念をいたしまして、委員会を代表し、厚く御礼を申し上げます。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五分散会