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参考人(
今川幸雄君)
今川でございます。
本日は、ここにお呼びいただきまして
意見を申し述べることができましたことを大変光栄に存じております。私は、
宮内座長の下にこの変える会に参加させていただきまして、特に、いろいろございます
大臣の
改革の
提案の中でも、
人事制度の再
構築、それから誤った
エリート意識の
排除と
お客様志向というこの面について
意見を発表してまいりましたし、そういうことで、この点について、特に
人事制度の再
構築ということについてお話を申し上げたいと思います。
外務省、これ本当に昨年以来もう様々の不祥事が表に出まして、本当に
国民の
信頼を大きく損ね、そして俗に言うかなりもう権威が地に落ちたというところまで来てしまったのではないかと思いますが、その
外務省を再生するために何が使い得るかということを考えますと、あるものは、何といってもその中にいる非常に優秀な人の多い
職員の力であると思いますので、こういう
職員の力を何とかして再活性化して、そして
外務省を、非常に強い
外交を行うと同時に、
国民の皆様にサービスできる、領事事務等においてサービスできる機構にするということで、どうしても
人事を、大きく
やり方を見直さなければならないと思っております。
そういうことで、研修
制度から始まりまして、いろいろ
人事制度の問題について考えを述べさせていただきます。
具体的な細かいことに過ぎるじゃないかとおしかりを受けるかもしれませんが、
大臣の御方針がスピードと
透明性とともに具体性ということもございますし、やや具体的な細かいことも申し上げることをお許しいただきたいと思います。
外務省には研修
制度というのがございまして、それぞれのレベルで研修を受けるわけでございますが、特に重要なのは新しく入ってきた
人たちを研修する初任研修でございますけれ
ども、この感受性の鋭い若い事務官に対して行う初任研修において、もちろんこれから
日本の
外交を行うこの
外務省に入ったという誇りと申しますか、そういう気持ちは重要なのでございますけれ
ども、間違った
エリート意識というようなものを植え付けないようにその辺をしっかり教育しなければなりませんので、オリエンテーションは十分注意しなきゃならない。例えば、中小
企業の現場で一か月間働くというようなことも考えられていいのではないかとさえ思っております。
なお、入省後の二年目から始まる海外での、これはⅠ種又は専門職の
職員でございますが、大学での語学研修を受ける研修員に対しましては現在は
外交旅券を与えておりますが、やはり特権
意識を
排除するという
意味からは
外交旅券を与える必要はなく、公用旅券でいいのではないかと、こう思っております。
それから、中間管理職に対する
人事院研修その他の研修は、これは休暇帰国であるとかあるいは時間的余裕のあるときに中間研修をもっと
外務省の人に受けてもらうということ、あるいはボランティア
活動に参加してもらうということもやっていいのではないかと思います。
それから、
大使でございますけれ
ども、やはり発令前の一定期間、例えば六か月、
外務省研修所などにおきまして、これから行く任国の言葉、ベトナムであればベトナム語、タイならタイ語、アフガニスタンならアフガニスタンの言葉というものを覚えるということ、特訓を受けるということを考えていいのではないかと思っております。
次に、いわゆるキャリアとノンキャリアとか、
外務省の
階級的差別というようなことがよく言われますが、その中で一番高い地位にあるのがⅠ種
職員でございます。
このⅠ種の試験に合格したことでもう将来
大使になるまで身分が保障され安泰であるということになりますと、従来は全員ではなくてもほとんど大部分がそういうことであったわけですが、やはりそれでは大学卒業直後からのずっと研さん努力というものがなくなってしまうということが恐れられることがありますから、入省時の試験というのは
一つの目安と考えて、その後の昇進は専門職もあるいはⅠ種も皆
競争原理の上に立って行うということでなければならないんじゃないかと思っております。
そういうことで、Ⅰ種
職員につきましても、いわゆる昔の
外交官・領事官試験の合格者でございます、自動的な昇進はやめて、それから管理職や
大使等の在外公館長に不適格な者はそういうポストに就けないというしっかりした
競争原理等を持った
人事を行うべきではないかと、こう思っております。
それから、これも細かいことで恐縮でございますが、
外務省の省内には各課がございます。その各課には幾つかの班があるわけでございまして、課長がおりまして、課長の下に総括補佐に当たる首席事務官がおりまして、その下に通常は総務班長というのがいまして、総務班というのがございます。大体、この総務班長というのは非常にⅠ種の若い人なんですが、こういう
人たちが非常に経験の豊富な、年もいったほかの各地域、国などを担当している班長さんにどんどんトップダウンで命令を下していると、これはやはり本当に一生懸命下からずっとやってきた
人たちのやる気をなくしますので、そういう
制度は
改革して、できる限り総務班などというものはやめてしまうというぐらいのことを考えてもらいたいと思っております。
それから、研修でございますけれ
ども、今は大体在外研修は二年でございます。しかし、英語を勉強した人が英語の国へ行ってまた二年英語をやる。確かに上手になるでしょうけれ
どもそれだけでは駄目なので、少なくとも
外務省に
プロとして入る以上、二か国語、外国語の二か国語ができなくちゃいけない。したがって、研修を三年にしまして、英語とあるいはもう
一つはフランス語でありスペイン語であり、あるいはさらにタイ語、インドネシア語、カンボジア語、ラオス語であるというようなことで、少なくとも外国語二か国語ができるような人を養成すべきじゃないかと思っております。
それから、問題はでございますね、専門職
職員という大変な有能な
職員の集団がおります。これはいわゆるⅡ種の
職員でございますが、問題は、どうしても専門職
職員の
エネルギーを爆発させると申しますか、引き出すということは、これはもう
外務省の再生のために非常に重要だと思っております。
そこで、ちょっと言葉がおかしいかもしれませんが、
外務省の専門職の問題の複雑なのは、彼らの能力が、
外務省の専門職
職員の能力が非常に高いということなんでございます。
外務省のⅠ種の
職員と専門職
職員の能力の間には、
民間の総合職と事務職のような差はございません。ところが、
外務省ではこのⅠ種で入省した人だけを人格、識見の秀でた者として取り扱っておりますので、こういうことはあっては、今後は改善しなければならないと思います。そういうこともございますので、この専門職の
人たちを非常に励まして、大いにその活力を出すということは是非やらなければならないんでございます。そういうことが重要だと思っております。
能力主義による任用ということがどうしても必要なんでございますが、つまり適材適所でございます。専門職の人であっても
大使になれると、その
大使に今でも一三%ぐらいの人がなっているということでございますが、これは単にめどでございますが、初めのうちはどうしてもある
程度めどが必要かと思いますが、全
大使のポストの二〇%ぐらいは専門職の人に与えるという、そういうことをして、この二〇%などという数字を固定化する必要は全くございませんが、そういうことをやっていいのではないかと。例えば、トルコの専門家はトルコの
大使に、スウェーデンの専門家はスウェーデンの
大使にというような、全部が全部そうでなくても、ことが可能になる、実力競争の
社会にするということが大事じゃないかと思います。
それから、大学卒でない方で高卒のⅢ種の
職員という方が
外務省にはたくさんおりますが、この
人たちも本当に楽しく働けるようにするためには、
自分たちが本当に必要とされている分野において職能化をすると。例えば、秘書
業務を担当する人は秘書の
プロになる、それから会計を担当する人は会計の
プロになる、だれにも負けない
プロになるということでございますね。こういうことをもっとやっていかなきゃならないし、またⅢ種の
職員の
方々も中で非常にできる人はどんどん
外交・領事事務に抜てきしていくということが必要かと思っております。
次に、よく言われる、非常に重要なことでございますが、
外務省の外との
人事交流の拡大でございます。これは極めて重要なことでございますが、
大使のポストや一部の本省幹部に優秀な
外部の人材を思い切って入れるということをしないと、やはり
組織の力が停滞してしまうのではないかと思われます。
それで、特に
大使につきましては、現在百二十一
大使のポストがあると計算されておりますが、毎年Ⅰ種の
職員というのは、若いⅠ種の
職員は二十数名採用しておりますが、Ⅰ種の
職員だけでこのポストを全部埋めるというのは無理です。そして、先ほ
ども申しましたように専門職の
職員を二十数名仮に入れても、なおかつそれでも十分とは言えない。Ⅰ種の
職員の中の本当に優秀な人でその後を埋めることはできないと思いますが、そこで
外部の方、これは
外務省以外の
省庁の方及び
民間の方でございます、特に優秀な
民間の方に是非来ていただいて、相当数の人材を、他
省庁出身の方を含めた学者、財界人などを入れて、そういう方を採用すべきであると思います。
つまり、
外務省の省内にありましては、競争を勝ち抜いた者のみが
大使という重要な役職に就けるということ、これはⅠ種の人であってもそうであるということにすべきではないかと思っております。
その他、中間管理職と申しますか、あるいは中堅クラスの
職員にも、課長、課長補佐のところにも、あるいは少数であっても
外部から、銀行であるとか、商社であるとか、その他特殊法人であるとか、そういうところからも人を入れると、新しい血を入れると申しますか、そういうことは絶対に必要ではないかと、こう私は考えております。
あとは、在外公館、
大使館等でございますが、ここでよく問題にされることでございますが、館員の奥さん、奥様方ですね、夫人がどうかというと、御主人の
階級によって女の方の、御夫人の
階級も決まってしまうというようなことがよく言われますし、それは私はある
程度そういうことは否定しませんが、それはこの現代において非常におかしいことなので、こういうことは省の方針として廃止すべきではないかと、こう思っております。
取りあえず、今申し上げたのが私の個人的に述べておる
意見でございます。