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2002-04-18 第154回国会 参議院 外交防衛委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年四月十八日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  四月十六日     辞任         補欠選任      今泉  昭君     齋藤  勁君  四月十七日     辞任         補欠選任      西銘順志郎君     福島啓史郎君      舛添 要一君     大仁田 厚君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         武見 敬三君     理 事                 山本 一太君                 吉村剛太郎君                 木俣 佳丈君                 山口那津男君                 小泉 親司君     委 員                 泉  信也君                 大仁田 厚君                 矢野 哲朗君                 山下 善彦君                 海野  徹君                 佐藤 道夫君                 齋藤  勁君                 広中和歌子君                 遠山 清彦君                 吉岡 吉典君                 田村 秀昭君                 大田 昌秀君    国務大臣        国務大臣        (防衛庁長官)  中谷  元君    副大臣        防衛庁長官   萩山 教嚴君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        山下 善彦君    事務局側        常任委員会専門        員        櫻川 明巧君    政府参考人        警察庁長官官房        審議官      芦刈 勝治君        警察庁警備局長  漆間  巌君        法務省刑事局長  古田 佑紀君        法務省入国管理        局長       中尾  巧君        外務大臣官房審        議官       佐藤 重和君        外務大臣官房領        事移住部長    小野 正昭君        外務省アジア大        洋州局長     田中  均君        厚生労働省社会        ・援護局長    真野  章君    参考人                 横田  滋君                 横田早紀江君                 有本 明弘君                 有本嘉代子君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○外交防衛等に関する調査  (日本人拉致疑惑に関する件) ○政府参考人出席要求に関する件 ○防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 武見敬三

    委員長武見敬三君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十六日、今泉昭君が委員辞任され、その補欠として齋藤勁君が選任されました。  また、昨日、西銘順志郎君及び舛添要一君が委員辞任され、その補欠として福島啓史郎君及び大仁田厚君が選任されました。     ─────────────
  3. 武見敬三

    委員長武見敬三君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  外交防衛等に関する調査のうち、日本人拉致疑惑に関する件について、本日の委員会横田滋君、横田早紀江君、有本明弘君及び有本嘉代子君を参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 武見敬三

    委員長武見敬三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 武見敬三

    委員長武見敬三君) 外交防衛等に関する調査のうち、日本人拉致疑惑に関する件を議題といたします。  この際、参考人方々に対し、本委員会を代表して一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用のところ、また遠路、本委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。  最愛のお嬢様を拉致され、両参考人夫妻の御心痛は私どもも察するに余りあるものがございます。それだけに、報じられる拉致疑惑の数々を含め、これを一日でも、一刻でも早く解決すべきことは政治家に課せられた重い責任であると私どもは痛感をしているところであります。  このため、参議院におきましては、去る四月十二日、全会派一致して日本人拉致疑惑早期解決を求める決議を行い、政府に対し毅然たる態度拉致疑惑早期解決に取り組むよう要請したところでございますが、この問題に対する国民的関心が高まっている今日的状況の中で、本委員会といたしましても、立法府として問題の早期解決を図るためには、改めて実情をより的確に把握し、御家族のお気持ちに心耳を澄まし、率直な御意見を拝聴する必要があると各会派合意するに至った次第でございます。  本日は、極めて限られた時間ではございますが、以上の趣旨をお酌み取りいただき、御意見を述べていただければ幸いでございます。  それでは、まず、横田滋参考人及び横田早紀江参考人に御意見をお述べいただきます。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、横田滋参考人横田早紀江参考人、どうぞ。
  6. 横田滋

    参考人横田滋君) 昭和五十二年十一月十五日、新潟市で行方不明になりまして、平成九年の一月の下旬に北朝鮮工作員による拉致北朝鮮拉致工作員拉致をされ、ピョンヤンにいるというこの情報が入りました。この情報が入りましたときに私どもが一番迷いましたことは、実名を公表するかどうかということでございました。実名を出さなければ証言信憑性が問われますし、一方、名前を出すことによって、北朝鮮からそんなことはなかったということで殺されてしまうかもしれないというおそれがありましたんですが、やはり実名を公表した方が最終的には救出につながると思いまして、リスクを覚悟で公表いたしました。そうして、同年の二月三日の衆議院予算委員会西村眞悟代議士質問してくださったことで、世の中に知れ渡ることとなりました。  拉致されてから二十四年五か月になります。それから、国会で取り上げられてからでも、もう五年になります。そして、我々は救出のために外務省警察庁、それから法務省人権擁護局、日赤、アムネスティ等、それからそのほか日弁連等、あらゆるところに陳情いたしました。しかし、いまだに生死、所在等が全く分かっておりません。  二十四年五か月もの間、家族とも連絡も取れずに北朝鮮に拘束されているということは重大な人権侵害だと私たちは考えております。この間、外務省を始め、皆さん一生懸命に救出のために努力してくださっているということは分かりますが、ただ結果が出ていませんので、家族からしてみれば、やはり何もやっていないというようなふうに感じる面もございます。  我々家族は、救出のためにこれまで外務省等拉致の進展がないまま米の支援を行わないでほしいとか、それから政府拉致に対する対策本部を設置してほしいとか、それから新潟港に入っております万景峰号を止めるとか、そういった制裁を含めまして何らかの対応を取っていただきたいとか、それから不審船引揚げお願いしたいとかという、そういったことを数々のことをお願いしてまいりました。ところが、最近に至りまして、首相が食糧支援の凍結ということも表明してくださいましたし、それから安倍官房長官をキャップとするプロジェクトチームが結成されるとか、不審船の方も引揚げが決まる、そういったことで、随分状況が変わってきたということは我々は感じております。  それから、今日も資料をいただきましたんですが、衆参両院拉致早期解決を求める決議が満場一致で採択されたということとか、それから今までの拉致議連というのが余り最近は動きがなかったわけですが、今度新しく行動するための拉致議連というのが準備会が発足しまして、二十五日には結成されるというふうに、随分、何といいますか、拉致問題に対する政府の、政府とかそれから政党の取組というのが随分積極的になったということで感じておりまして、我々家族としましては、非常に頼りになると有り難く思っております。  こういった政府、それから政党国民世論の声がちょうど高まってきたのが、やはり絶好の解決機会と思っております。近く日朝赤十字会談も開催されるということを新聞等で読みましたんですが、もう今がチャンスだと思っております。  それから、各家族も非常に高齢化しておりまして、つい先日も小浜の地村さんの奥さんが亡くなりまして、葬儀にも参りましたんですが、いつまでもこのことが解決ができなければ、せっかく帰ってきても会えないというような状態が起きると思います。  是非、政治家の力によってこの問題を一日も早く解決してくださるよう、お願い申し上げます。
  7. 横田早紀江

    参考人横田早紀江君) 私は、横田めぐみの母でございます。  今日はこのように外交防衛委員会にお招きいただきましてありがとうございます。  本当に長い二十五年間でありました。最初の二十年間はどこに行ったかも分からないままで、私たちはあらゆることを反省し、あらゆることを懸念し、あらゆることを捜し、本当に気の狂うような毎日を過ごしてまいりました。  私たちは、国民が選んだ皆様方の善意を信じて、この方ならやってくださるだろうと信じて投票し、そして期待をして何度も何度も外務省や官邸にお願いに参りました。二百万近い署名を集めて、国民方々の支えの中にあって、子供たちを何とかして救出しなければと頑張ってまいりました。  けれども、どういうわけか北朝鮮に関してはなかなかスムーズな動きができない。向こうの国の独特の在り方もありましょうけれども、このような子供たちの大切な命が二十年もの間、向こうにとらわれたままになっている、そういうことが分かっていながら、どうしてこのように救出が遅れるのでしょうか。本当に私たち家族、また支援方々国民の多くの方はなぜだろうかという疑問を今大きく持っております。  私たちは、本当に子供たちを一生懸命育ててきました。ただ単純な庶民にすぎません。特別な何にもありません。ただ普通の父として母として、皆様方がお父様、お母様に育てていただかれたと同じ思いで、親から教わったことを私たちは、ひきょうなことをするんでない、欲に走るんでない、弱いものをいじめちゃいけない、本当に単純な人間としての当たり前のことだけを守ってくれる人に育ってくれればいいと、一生懸命育ててきました。子供たちは本当に明るく優しく、老人にも本当に愛を持って接してくれる子に育っておりました。私たちは本当に幸せでした。突然、新潟の雪の暗いあの町で学校の帰りに姿を消してしまいました。何があったのか分かりませんでした。  本当にいろいろなことで悩みました。一生懸命育ててきても、やっぱり私たち人間ですから何か間違いがあったのではないか、どこか落ち度があったのに違いない、取り返しのつかないことをしたのではないかと自分を責めました。もう死んだ方がいいのかなと思いました。何度も暗い日本海で暗い波の間に浮かんでいる赤いブイを見詰めて、ああ、めぐみのあの赤い学校のかばんが浮かんでいる、あれはそうじゃないかと、何度もそのところに立って泣きました。小さな弟が、お母さん、もうこんなところにいたら悲しいから帰ろうと、両方から一生懸命に腕を引っ張りました。  そのようないろいろな思いを本当に悲しみを胸の中に抑えて、それを表に出していけばもう倒れてしまうのです。病気になるのです。何とかして生きていくためには、この子の消息が分かるまでは、祈って祈って、神様お願いですからこの子のいるところを教えてくださいと祈り続けてまいりました。  そして、五年前に突然北朝鮮であることが分かりました。本当にびっくりしました。どうしてそんなところにいるのか、私たちには分かりませんでした。  けれども、今こうして運動の中でいろいろなことを学ばせていただきました。そして、北朝鮮という国、そして向こう国民方々日本にもたくさん住んでいらっしゃいます。その中で、いろいろなことが、中に北朝鮮の国の影が深く食い込んでいるんだなということを思わせられるようになりました。  本当に、私たち家族にはできません。どうか私たちが選んだ皆々様の、本当に父として母としてただそれだけの親心で、子供たちを救ってやってください。私たちはそれだけを本当に心からお願いいたします。  よろしくお願いします。
  8. 武見敬三

    委員長武見敬三君) ありがとうございました。  それでは、次に有本明弘参考人及び有本嘉代子参考人お願いをいたします。有本明弘参考人嘉代子参考人、どうぞ。
  9. 有本明弘

    参考人有本明弘君) 有本恵子の父親の有本明弘です。よろしくお願いします。  私は子供たち手紙を受け取って、今からざっと十四年前、一九八八年の九月に当時の自民党の幹事長さんのところへ手紙を持っていって、それから外務省警察庁と問題を報告して救済お願いしてきました。それから現在までいろんな苦労がありましたが、いろいろなところへ行って救済お願いしてまいりました。  それと同時に、私が疑念に思っている問題が一つありますので、これも付け加えて言っておきます。私が手紙を持ってまいりましたその少し前に参議院法務委員会で、三十六年三月、参議院法務委員会橋本議員国会質問した議事録があります。これはもう先ほど関係者の方にお見せして、皆さんに見ていただいてほしいと言ってお渡ししておきました。この今から十四、五年前には日本政府にはこういうような拉致されたような情報が入っております。そうして、当時の政府は立派な答弁もやっております。そういうような状況にありながら、この拉致の問題が十四年間も置き去りにされてきたというような現実があります。  そして、このたび、八尾恵さんの証言以降、百八十度的な国内世論高まりがありまして、この問題が国会皆様にも大きく取り上げられるようになりました。私はこれは大変いいことだと思って、自分ながらに喜んでおります。  そうして、この問題に関していま一つ気になっていることが一つあります。我が国のいろんな関心高まりに反して、この十四年間にわたった外務省態度が私にはちょっと解せないのであります。今ここで外務省改革が大きく叫ばれておりますが、この外務省改革の中にもこの北朝鮮外交というもの一つ加えていただいて、外務省が、この北朝鮮外交の、この十四年間にわたる北朝鮮外交を一応検証していただきたい、そんな思いが一杯であります。  だから、私は今、日本の国がこの問題に関して国全体で大きく取り組んでいただけるときに、外務省ももっとはっきりした姿勢を示していただいて、日本の国の外交の一番の、どう言ったらいいか、これは我が国外交の一番の頭脳集団だというふうに私は思っております。が、この十四年間、この頭脳集団は何の効果も現さない十四年間でありました。これから本委員会におきましては、ここを良く認識していただいて、しかるべき対応を取っていただきたいとお願いしておきます。  以上。
  10. 武見敬三

    委員長武見敬三君) 有本嘉代子参考人、どうぞ。
  11. 有本嘉代子

    参考人有本嘉代子君) 有本恵子母親有本嘉代子でございます。  今日は、皆様お招きにあずかりましてありがとうございました。  私ども娘がいなくなりましたのが一九八三年でございます。それから五年後に、北朝鮮にいるということがある方の手紙によって分かりました。それ以降は主人がいろいろと各方面に働き掛けたのですが、本当にもう今現在まで本当に動きがなかったように思います。このたび、八尾さんの証言によって、本当に百八十度転換したと思います。  この十九年間というものは、今、横田さんがおっしゃられたように、本当に母親としてつらい毎日でございました。私ども子供はたくさんいます。女の子が五人と男の子が一人いますが、やはりどの子も子供です、私の。だから、何人いても一緒です。とにかく、私たちが毎日毎日を、日を重ねるごとに自分の体の弱りを感じるんです、このごろ特に。だから、元気な間に、それがずっと頭にあるんです。元気な間に子供の顔が見たい、それで一杯なんです。  だから、もうこの際、皆さんが、政府の方もかなり様子が変わられたと思いますので、この機に皆様お力によって子供たち全員が無事に帰れるようにどうぞお力をおかしください。お願いいたします。
  12. 武見敬三

    委員長武見敬三君) ありがとうございました。  以上で参考人方々からの意見の聴取は終わりました。  この際、一言御礼を申し上げます。  参考人方々には、大変貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございます。委員会を代表し、厚く御礼を申し上げます。  速記を止めてください。    〔速記中止
  13. 武見敬三

    委員長武見敬三君) 速記を起こしてください。     ─────────────
  14. 武見敬三

    委員長武見敬三君) この際、政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  外交防衛等に関する調査のため、本日の委員会警察庁長官官房審議官芦刈勝治君、警察庁警備局長漆間巌君、法務省刑事局長古田佑紀君、法務省入国管理局長中尾巧君、外務大臣官房審議官佐藤重和君、外務大臣官房領事移住部長小野正昭君、外務省アジア大洋局長田中均君及び厚生労働省社会援護局長真野章君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 武見敬三

    委員長武見敬三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  16. 武見敬三

    委員長武見敬三君) これより質疑を行います。  本日は、理事会の合意により、できるだけ多くの委員質疑を行えるよう、あらかじめ質疑者を定めず、自由に質疑を行うことといたします。  質疑を希望される方は、挙手の上、委員長の指名を待って御発言をいただきたいと存じます。  また、多くの委員発言機会を得られますよう、委員の一回の発言時間は答弁を含めて五分程度でお願いをいたしたいと思います。  なお、自由質疑方式のために、政府参考人がこの場では答弁できない場合もあることを御理解願います。  それでは、質疑のある方は挙手お願いいたします。
  17. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 自由民主党の吉村でございますが、本日は、当委員会横田さん御夫妻そして有本さん御夫妻、お見えいただきました。  八件十一人の方々が現在北朝鮮拉致をされておるということでございまして、本日は、代表して二つの家族の方に来ていただいたわけでございますが、ただいまそれぞれお話をお聞きしまして、正に胸が詰まる思いがいたしました。我々、ともに子を持つ身でございまして、その最愛のお子さんが長い間行方が知れないということ、どんなに苦しみ、悲しみ、そしてそれぞれの、政府を含むつかさつかさ対応に対して本当にもどかしいお気持ちも持っておられるだろうと、このように思う次第でございます。  先ほどからお話ありましたように、我々も国民の負託を受けた国会議員でございまして、党派を超越して正に人道的な問題、また国家の主権を損なう問題に取り組んでいきたいと、こういう意味を含めて本日の委員会が持たれたわけでございます。  そういう折も折、日朝赤十字会談が近く開かれるであろうというニュースも飛び込んでまいりました。いったんは遮断されましたこのひもが何とかまた再開できるであろうという見通しというのは、いろいろと問題ある中で一つのほのかな光だなと、このように思う次第でございます。  さて、今日は形を変えた委員会形式でございます。冒頭、私が質問という立場に立ちまして、ちょっと復習という形にもなるかも分かりませんけれども、総括的な質問もまずさせていただきたいと、そしてそれぞれの各論についてはそれぞれの委員先生方からこれまたあろうかと、このように思う次第でございます。  それぞれお話がありました。これは八件十一人の方々全般というわけではございませんが、それぞれ、横田さん、有本さん、最初はどうなったんだろうかと、単なる行方不明なのかどうかと、国内での行方不明なのかどうかというようなお気持ちであっただろうと思いますが、最終的に北朝鮮に拘束をされておるということが分かったわけでございます。  この今日までの経緯の中で、まず外務省としては、これは大変北朝鮮という国、独特でございまして、国交もないし、表の折衝というのは大変難しいであろうと、これはもう十分理解はできるわけでございますが、さはされど、さはされど外務省として今日までまず表向きでどのような交渉経緯を取ってきたか御説明をいただきたいと思います。ちょっと前置きが長くなったものですから、簡単で結構ですからお願いいたします。
  18. 田中均

    政府参考人田中均君) 私も、今この後ろで四名の参考人お話を聞いておりまして、本当に心が痛みますし、私どもとして最大限の努力を引き続きしていきたいと、こういう意識を更に強く持った次第でございます。  お尋ねの、これまで一体どういう交渉をしてきたかということでございますけれども、この拉致疑惑ということが分かりました以降、これは基本的には日朝国交正常化交渉の中で日本側から提起をし、この問題の解明をすべきだということを言ってまいりまして、あるときには、北朝鮮拉致という言葉が出た途端に席を立って交渉を中断してしまうと、こういったこともございました。  この間、各政党代表団北朝鮮を訪れられまして、いろんな形で交渉再開、そういうことを働き掛けていただきまして、日朝国交正常化交渉の枠のみならず、日朝赤十字会談の中で北朝鮮側は、行方不明者調査ということであるならば調査をすると、こういう約束をしたわけでございます。それが、昨年の十二月になりまして、調査を一方的に停止をするということを発表いたしました。  私どもとしては、私どもがやっていることをすべてお話ができればあるいはある程度御理解が得られるのかもしれませんけれども、私どもの非常に強い気持ちというのは、これは一刻も早く結果を出さなければいけないということでございまして、その過程でやっていることがいろいろ外に喧伝をされると、その結果が作るということに非常に大きな支障になるというふうに思っているわけです。ですから、その点は是非御理解をいただきたいと、こういうふうに思うわけでございます。  ただ、そういう中で、私どもは今は一つの大きな機会であるというふうに考えています。それは、こういう問題というのは、正に大きな国際情勢の中で北朝鮮が考え方を変えていくということを慫慂していかなければいけないという問題でもございますし、この間、例えばこの委員会でも過去御議論がありました元日経新聞の記者である杉嶋さんの無条件の釈放ということも実現をいたしました。それから、赤十字会談再開をするということ、それから、いわゆる行方不明者というもの調査再開をしますということ、そういう具体的な動きというものが見られている。  私どもは、プロセスを作るあるいは会合をやるということが意味があることだとは思っていないわけであります。具体的な結果を出したいということで、今後とも、表面上それから水面下、双方の働き掛け、こういうものを中心に結果を出すように努めてまいりたいというのが私どもの非常に強い気持ちでございます。
  19. 武見敬三

    委員長武見敬三君) できる限り五分以内で質疑を執り行いたいと思いますので、質疑者及び答弁者ともにこの点について御配慮をいただきたいと思います。
  20. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 おはようございます。民主党・新緑風会の木俣佳丈でございます。  本日は、横田さんの、めぐみさんの御家族の方、そして有本さん、恵子さんの御家族の方、本当にありがとうございます。  八件十一人のこの拉致の疑惑について、本当に我々民主党としても精一杯の努力をしたいと心から思っておる次第でございます。鳩山代表からも、やはりこの問題、政府は十分な対応をしていないという言葉を今日も受けてまいりましたし、そして、北朝鮮というのは、弱く出れば向こうが強く出ると、こういう認識を我々も持ちながらこの問題に断固とした態度で立ち向かっていきたい、このように思うわけでございます。  短く三つの質問をしたいと思っております。  第一点は、今、同僚議員からもありましたけれども行方不明者という言葉がばっこしておりまして、今日のある新聞でも行方不明者調査、北京で行われると、こういうことが書いてありまして、行方不明者とは何だと。拉致で、拉致されて向こうに拘束をされておるということで政府は統一されておるのにかかわらず、こういった意見が出るというのは本当にけしからぬと私は思うんですが、これは外務省、そして警察庁の方にこのことを伺いたい。  もう一つは、今日、御答弁の中で、本当に娘さんのことを思うと、そしてまた思いますと、祈って祈って祈り続けて本当に死んでしまいたいという思いを赤裸々に述べられましたけれども、今日、先ほどお話があった有本さんの件、特にお手紙を私もここに持っております。これは、有本さんと、恵子さんと、拉致をされたと思われる石岡さんと松木さんが有本さんと一緒に拉致をされておるんではないかという証拠の手紙であります。石岡さんが御家族にあててポーランドから書かれたこの消印でありますけれども、この中に、この原文を読みますと、私たちはこうして北朝鮮にて長期滞在するようになりましたと、こういうことが書いてあるわけでございます。これを見てもやはり、そしてまたその後、その石岡さんと松木さんは、一九八〇年、スペインで失踪された後、よど号の妻二人とバルセロナで有本さんと一緒に記念写真を撮ったものもこれははっきりしておるわけでございまして、この二人をなぜ拉致をされたと認定されないのか、警察庁に、警備局長に伺いたいと私は思います。これは本当に早く認定をしていただかなければならない。  さらに、石岡さん、松木さんが、家族挙げて一九九一年一月に記者会見して救出を訴えるわけでありますけれども外務省から、日朝交渉の妨げになるから静かにしてほしいと、このように伝えたということを私も伺っておりますけれども、この衝撃で石岡さんの御家族等は実名を出すことを撤回されたんです。本日初めてこの国会でそのお名前を出すわけであります。そして、松木さんの御両親はその後他界されました。なぜこういったことを外務省が言うのか、全く私はおかしい、国家侵害、主権の侵害甚だしいと。それを外務省がなぜそれを止めるのかということを考えても本当に憤りを隠せない思いであります。  御答弁お願いします。
  21. 田中均

    政府参考人田中均君) なぜ拉致でなくて行方不明者かということでございますけれども、私どもは一貫して日朝国交正常化交渉におきましても、水面下ということもありますけれども、その中でも拉致の問題、拉致の容疑の問題ということで取り扱ってきているということであります。ただ、一九九九年十二月の日朝赤十字会談におきまして、その間いろいろ政党間の働き掛けというようなこともあったわけでございますが、そこで行方不明者調査というのはやるんだということが北朝鮮側から述べられたということでございます。  それで、ここは物事は考え方かもしれませんけれども、要するに一刻でも早くこれらの方々情報、所在、そういうものを確認しなければいけないということが私ども強く思っているところであります。私どもの基本的な建前というものを崩しているわけではありません。したがって、今、行方不明者調査ということで一刻も早くこれらの方々情報が開示されるのであれば、それは是非そうしてもらいたいというのが私たち気持ちでございます。  それから、二番目の点は警察庁の方からお答えがあると思いますけれども。  三番目の点でございますけれども、これも個々の場においてだれがどういう発言をしたかというのは、私自身、ここに資料がありませんし、お答えできるものではありませんが、ただ、外務省の人たちがこの拉致の問題を軽々しく扱ったということは絶対にないと私は思うわけです。というのは、問題を解決するためにどういう手法が一番いいかということで考えてきたはずなんですね。  ですから、そういう意味で、問題を解決するために、何とか問題を解決をしたいという気持ちの中で、どういう手法を取って解決をしていくのかというのは政府として責任があると思いますし、そういう意識があったんだろうと思います。
  22. 漆間巌

    政府参考人漆間巌君) 最初行方不明者という表現でございますが、これにつきましては、警察はそういう表現を使っておりませんで、一貫して、横田めぐみさんの事案も含めて、北朝鮮による拉致の疑いのある事案あるいは北朝鮮による拉致容疑事案と、こういう表現をしております。  それから、欧州において有本恵子さんと一緒、一緒というか、時期的にはちょっと違いますが、消息を絶たれた有本恵子さん以外の二人の男性につきまして、現在、これが本当に北朝鮮による拉致の疑いのある事案になるのかどうか、こういうことも含めまして、警視庁でも捜査本部を設けてしっかりと捜査を継続しているところであります。
  23. 武見敬三

    委員長武見敬三君) 第二点についてはいかがですか。
  24. 漆間巌

    政府参考人漆間巌君) したがって、そのように、今の段階でまだ、北朝鮮による拉致の疑いと、こう言うためには、つまり北朝鮮という国家意思が推定されるような状況の中で本人の意思に反して連れていかれたのか、この辺のところを解明する必要がありまして、まだ疑問点が残っている点がございますので、その点を今解明中だということでございます。
  25. 山口那津男

    山口那津男君 公明党の山口那津男です。質問は同僚委員に譲りまして、私は五つの点について意見を述べたいと思います。  まず一つは、国民の生命、身体を守るのは第一義の責務であるということであります。  先ほど参考人横田夫妻、そしてまた有本夫妻お話を聞くにつけ、全く落ち度のない一庶民が、このような長い間、苦しい悲しい思いをせざるを得ない、結果として解決を見ていないということは、国家の責務としてその責任を果たしていないと言わざるを得ないと思います。その意味で、これが一番に取り組むべき課題の一つであるということを強く認識しなければならないと思います。  また、その解決へ向けて、私は、アメリカ、そしてまた韓国との緊密な連携が必要であるとともに、中国とも協力を仰いでいくという必要があると思います。  この拉致疑惑、あるいは拉致問題と言われるもの日本だけの問題ではありません。韓国にももっとはるかに多くの数の疑惑というものが存在すると言われているわけであります。そういう同様の状況にあるもの、そしてまた、とりわけ関係の深いこの韓国、アメリカ、そして日本と、これが相協力してこの問題の解決に様々なチャンネルを通じて当たるということが重要だと思います。  さらに、先ほど来、ボアオ・フォーラム、これ海南島で朱鎔基首相と小泉首相がこの拉致問題についても言及をして、小泉首相の方から協力を求めると、こういう働き掛けもありました。この北朝鮮に対して別な意味で影響力を持つ中国に対してもそのような協力を求め、幅広い国際的な枠組みの中で解決を図るということが重要だと思います。  次に、また、北朝鮮側に対して言わば圧力一辺倒、又は集中的な包囲網ということだけが解決の道ではないということであります。  まず、この疑惑の対象となっている方々の身柄というもの北朝鮮側の支配下にあるわけでありますし、また、それに関する情報というものも不透明なところがある。こうした制約の中で解決を図っていかなければならないということでありまして、その意味で、圧力だけを掛ければいいということにはならない、そういう慎重な配慮というものもどこかで必要だと思うわけであります。  また、関係省庁というのは多岐にわたるわけでありますが、政府が一体として取り組むという姿勢で臨んでいただきたいということであります。  先ごろ、警視庁が有本さんの疑惑に関してヨーロッパに捜査員を派遣すると、こういうことが伝えられております。また、赤十字会談が今月末に行われるという報道もあるわけであります。こうした動きが多方面にわたって出てきたことは実に喜ばしいことだろうと思います。しかしまた、相手の国の状況を考えると、これも、窓口ばらばらで動いていては解決にはつながらないと思うわけであります。  特に、疑惑の解明については警察庁が中心に、そして問題の解決については外務省が中心に、この中心的な窓口が主体的にリードすると、こういう役割が必要だと思うわけであります。そして、厚生労働省は赤十字との関係もあるわけでありますし、さらにまた、在外被爆者の問題も北朝鮮には存在するわけでありまして、この点についても厚生労働省は関係があると思うわけであります。さらにまた、法務省も人の出入りがある以上、あるいは場合によっては経済産業省、物の動きがある以上、それら関係機関の一体的な取組、これを強調しておきたいと思います。  最後に、対話のチャンネル、これを最大限に生かしてもらいたいということであります。  先日、在外被爆者の問題について厚生労働大臣北朝鮮の保健大臣の会談が予定されながら、これがキャンセルされるという出来事がありました。これに対しては様々なことが言われておりますけれども、しかし、一応延期になったということでありまして、この問題が解決されたわけではありません。したがって、こういう話合いの場というものが広い意味で人道的な話合い、解決の糸口になり得るわけでありまして、ここで拉致問題、拉致疑惑の話合いのきっかけになり得るということも念頭に置きながら対話のチャンネル、これを確保していただきたいと思うわけであります。  以上、私の意見を五点申し上げまして終わります。
  26. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 日本共産党の吉岡です。御家族の話を聞いて、この問題の早期解決が非常に重要だということを私も痛感いたしました。  この問題について、私どもがどういう態度で取り組むかという立場ですが、これは、どうしたらこの問題を解決できるかということでお互いに知恵を出し合うことだと思っております。そしてまた、この解決外交交渉によらなければ解決できない問題だ、国内解決できないというところに解決のなかなか大変さもあると思っております。外交交渉でということになれば、外交交渉で我々が主張し得るどれだけの根拠があるかということもまた非常に重要な要素になると思います。  私は、そういう点で、これまで何年か前から警察庁の方に何回も説明を求めてきました。どれだけの証拠があって、国際的に、法律的にも争えるかどうかというようなことを含めてお伺いして、そして、その中で聞いたことは、この事件の解決のなかなか大変さがあるなと私感じました。  それは、先ほど説明もありましたけれども日本拉致容疑事案だという表現で警察白書でも述べられ、拉致の疑いのある事案というふうに言われていること、これがどういうわけかという点で、日本の捜査当局が直接入手した根拠というものがないということ、したがってまた被疑者も確定できないというような問題等、いろいろな事情から依然と、依然とというか、こういう拉致容疑事案ということになっているんだということで、私は、この種の問題、そう簡単に証拠を残らない、証拠を残すような形で行われる事件でないという困難さを含めると、これはなかなか解決に、本当にあらゆる知恵を絞って臨まなければならないということを考えてまいりました。  そういう点で、私ども警察庁に改めてお伺いしますけれども先ほど説明で、そのとおり変わっていないと思いますが、警察白書で書かれた日本拉致容疑事案という表現で述べられているようなこの状況の変化は、その後の、八件十一人になった今もないのか、この警察白書で出された当時よりは非常に大きな進展があって、交渉でも使える有力な材料があるということなのかどうなのかということをお伺いしたいと思います。  それで、私は結論的に一つ言っておきたい点は、我々は弱腰であってはならない、どんな場合でも、相手に遠慮したり言うべきことを言わないということではならないと思います。しかし、知恵を出して最も効果的な交渉方法を見出していかなくちゃいかぬということ、これは弱腰とは違ったものだというふうに考えているということを含めまして、警察庁から、さっきお伺いした点、お答え願います。
  27. 漆間巌

    政府参考人漆間巌君) これまでの七件十名につきまして、警察として何らの証拠も、独自の証拠を得ていないということはございませんで、例えば宇出津事件のケースについても、それなりに北朝鮮の関与をうかがわせる証拠を得ているわけであります。  さらに、今回追加いたしました有本恵子さんの事案につきましては、これはかなりのいろんな証拠を我々は得る可能性のある状況になりましたので、したがいまして、海外捜査も含めまして、我々として最大限やれることをすべてやって全容解明に努めたいというふうに思っております。
  28. 武見敬三

    委員長武見敬三君) 吉岡委員、追加、よろしゅうございますか。
  29. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 容疑事案という、この全体的評価は変わっていないのかどうなのか。
  30. 漆間巌

    政府参考人漆間巌君) 全体的にはその容疑事案という形でくくっていますけれども、これを事件化できる形にすれば事件と呼べるように持っていくということで、一部事件ができたものは宇出津事件とか、あるいはまあ韓国でございましたけれども辛光洙事件とか、そういう形にしておりまして、何とか容疑が取れるような形に持っていければというふうには思っております。
  31. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 自由党の田村でございます。  今日、横田さん、有本さんのお話を聞いていて、非常に私は日本の国というのは国家の体を成していないなと思った次第です。これは普通の事案じゃなくて主権の侵害なんですね。国家としての対応をきちっとしていないんではないかと私は思います。こういうことをするというのは、話合いとか何かそんな話で簡単には解決しない。大体、長過ぎますよね。二十余年、一九八三年以降、非常に長期なんですね。だから、こんなの、普通もう、本当に横田さんのお母さんがおっしゃっていたように、もう気が狂って死んでしまうみたいな感じになっちゃうんです。  だから、まず、なぜ期限を切らないのか。期限を切って、それまでにきちっとした対応をしない場合には、国家として重大な決意をするということを相手側に言ったらどうですか。期限を切らないでずるずるずるずる話合いで解決するなんてのはとんでもない話だと私は思いますよ。もう気が遠くなっちゃうじゃないですか。もう今までにだって解決していないのが、国家の体を成していないからだと思うんですよね。  その点、どういうふうに考えているのか。外務省と、それから警察、刑事局長さんにお伺いして、質問を終わります。なぜ期限を切らないのかというのを必ず答えてください。
  32. 田中均

    政府参考人田中均君) 期限を切ることが問題解決に圧倒的に資するという判断ができないからだと思います。  北朝鮮という国が日本国交がない国である、かつ、これはいわゆる三十六年の植民地支配以降、過去の清算ということも行われていない極めて不正常な関係にあるということは、私どもはそれはそれできちんと受け止めなければいけないことだろうと思います。その国家関係がない中で、確かに日本国民の生命、財産にかかわる問題だし、これはあらゆる手段を通じて解決をしなければいけないという点については、全くそうだと思います。  ですから、私たちはそういう手だてを尽くすということが先行すべきであるというふうに考えるわけです。
  33. 漆間巌

    政府参考人漆間巌君) 私どもとしては、その期限を切ることによって、八件十一名というふうに今、拉致容疑事案で認定している人から意見が聞ける、あるいは供述が取れると、こういうようなことができるのであれば、これはもう飛躍的に捜査は進展いたします。しかし、私どもとして、期限を切って何々せよというそういう立場にございませんので、捜査する側としては淡々と、もう今までできる最大限の方策を使って全容解明に努めるというのが捜査当局の方針でございます。
  34. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 外務省にお伺いします。  去る三月十五日の参議院予算委員会で、福本潤一委員から有本恵子さんの事案につきまして質問がありました。それに対して川口外務大臣は、有本さんの事案については北朝鮮に対してその安否について調査を申し入れた経緯があるとお答えしておりますが、その結果はどうなっているんでしょうか。その調査を申し入れたという答弁で終わっておりますけれども、その結果はどうなっておりますでしょうか。  それから、日朝赤十字会談でこの事案がいろいろと論議の的になっているようでございますけれども、赤十字というのは、日本の赤十字というのは外務省の意向を十分に代弁しているとお考えですか。  更にあと一点、今も問題になりましたんですが、我が政府関係者はこの件につきまして、拉致とか拉致問題とか拉致疑惑とか拉致事件とか、あるいは拉致容疑事案というようなそういった用語を使っておりまして、それに対して北朝鮮側は、行方不明者という言葉を、用語を使っておりますね。それで、この用語の使い方によってしばしば会話が中断してしまうと、対話が中断してしまうというようなことが起こっておりますけれども、一日も早くこの事件を解決するためには、何とか歩み寄って用語の統一を図って、それによって双方が動いていくということはできないでしょうか。  その三点をお伺いしたいと思います。
  35. 田中均

    政府参考人田中均君) 有本恵子さんの事案について北朝鮮側に事実照会をしたのは平成三年の一月でございます。その後、御案内のとおり、その他の事案について容疑が出てまいりまして、国交正常化交渉をやるたびに、その正に事案について照会を重ねてきたということでございます。  その結果、さっき申し上げましたけれども赤十字会談の中で、行方不明者調査ということでしっかりやりますという言質を北朝鮮側から得たということでございますが、その調査の結果はどうなっているということでございますけれども、その間、北朝鮮側は、調査の結果、そういう事案はなかったということを何回かの国交正常化交渉の中で言っております。そのたびに、そのはずはないということで要求をして、その行方不明者調査再開ということが今年になって北朝鮮側から確認をされたということでございます。  それから二番目に、赤十字について、外務省の意向を体するのかという御質問でございましたけれども、やはり赤十字は赤十字としての、人道的な問題について赤十字の考え方で物事を処理をしていくということを尊重すべきは当然のことであるというふうに思います。  ただ同時に、同時に、こういう問題ですから、政府も当然それに参画をしていなければいけないというふうに思っていますし、今回の赤十字会談におきましては外務省からも、外務省の私どもの局の幹部を一緒に派遣をするという考えでございます。  それから三番目に、用語を統一してはどうかというお話がございましたけれども、これはさっき、冒頭の御質問にもございましたけれども、私どもとしては、私どもの建前というか、私どもの、警察の捜査の結果、拉致容疑の事案であるということが正確な言葉だろうと思っておりますし、北朝鮮はそれに応じないと、拉致という言葉を聞いた途端に席を立っていくと。  私どもが何としてでも早くやらなきゃいけないのは、そういう方々の安否を確認をする、所在を確認をするということなので、北朝鮮側がその行方不明者調査ということを約束しているわけだから、この結果を早く出させるということをもって問題の解決の突破口にしたいというのが気持ちでございます。
  36. 漆間巌

    政府参考人漆間巌君) 用語を統一したらどうかということでございますが、私どもが捜査しておりますのは、北朝鮮の国家意思が推認される形で本人の意思に反して連れていかれた疑いがあるというものを捜査しているわけでありまして、単なる拉致というだけではなくて、北朝鮮の国家意思が推認されるという部分が私は非常に大事だと考えておりまして、そういう意味でも、私どもとしては、北朝鮮による拉致の疑いのある事案あるいは北朝鮮による拉致容疑事案、この言葉が適当であると考えておりまして、行方不明者という言葉になりますと、これは正に北朝鮮の国家意思が推認される言葉でもありませんし、行方不明者といったら日本国内でもまだたくさんの数がございますので、それは非常に不正確な言葉であろうというふうに思っております。
  37. 山本一太

    ○山本一太君 本日、この参議院外交防衛委員会、良識の府である参議院のこの委員会において、横田さん、有本さん御夫妻がここに来ていただいて拉致された御家族に対する思いを述べていただき、この問題に対する我々の決意というものを、この問題に取り組む我々の決意というものを促していただいたことにまず感謝を申し上げたいと思っております。  私が当選した六年前、たしかこの拉致問題は六件九人と言われていた覚えがございまして、先ほど横田さん御夫妻お話にもありましたが、ちょうど五年前、この新潟の事件が認定をされて七件十人になったと。その最初のきっかけになったのが、たしか五年前の参議院の決算委員会答弁であったように記憶をしておりまして、吉川議員のたしか質問に対して政府委員の方が、これは拉致の疑いがあるという話がきっかけで七件十人になったということを思い出しておりました。  さて、この問題は極めて難しい問題だと思います。問題の根本は、日本政府が、北朝鮮に対してこれに影響を与える、あるいは政府を動かすカードをほとんど持っていないということがやはり一番の問題ではないかと思います。その意味で、同僚の山口理事がおっしゃった大きな枠組みの中でこの問題に取り組んでいくというのは全くポイントを得た話であると思っておりますし、北朝鮮の問題についてはこれまでも日米韓の連携を持ってこのピョンヤン政府に当たってきたということは、これは御存じのとおりだと思います。  私は、特にポイントはアメリカだというふうに考えております。なぜなら、日朝交渉が少しでも進展を見せたとき、あるいは朝鮮半島の南北関係が進展を見せたときには、必ずその背景に米朝関係が進むという現象があったように思われまして、ある意味極端に言うと、北朝鮮日本政府でもなくあるいはソウルでもなく、やはりワシントンを見ているという状況があるのではないかというふうに思っております。  先般、ブッシュ大統領が悪の枢軸発言というのをいたしまして、かなりいろんな議論を呼びましたけれども北朝鮮とイランとイラクを悪の枢軸にブッシュ政権として位置付けるという意味発言を大統領がしました。  アメリカがテロ国家として認定している国というのは正にその三か国になるわけなんですけれども、私が一つ政府に対してお伺いしたい、あるいは提案したいことは、アメリカが北朝鮮をテロ国家として認定している理由、それは、今まではいろんなことがありましたが、例えば大韓航空の爆破事件とかあるいはラングーンでしたでしょうか、あの爆破テロの事件等々、こういったものは米朝交渉の過程で、あるいはいろんな状況の中で一つ一つ消えて、今アメリカ政府北朝鮮をテロ国家として認定している唯一の理由は、私の知る限りではよど号事件だけだというふうに思っております。  私は、是非外務当局、外務大臣政府に望みたいことは、アメリカ政府にこの北朝鮮をテロ支援国家として認定する理由の中にやはりこの拉致疑惑というものをしっかり入れてもらうと。逆に言うと、この拉致疑惑の問題をしっかりとピョンヤンが解決しない限り、アメリカ合衆国として北朝鮮がテロ国家であるというブランドを外すことはないと、こういう働き掛けをやるべきではないかというふうに考えておりまして、これはセカンドトラックではありますが、国会議員のレベルでは早速これはいろんな働き掛けをさせていただきたいと思っておりますけれども外務省としてそういう形でアメリカに対して働き掛けるお考えがあるのか、あるいはもう一つ、これに加えて、国際社会においてこの拉致の問題を認知させる方策について何かお考えがあるのか、この点についてお聞きしたいと思います。
  38. 田中均

    政府参考人田中均君) 今、委員御指摘のありましたとおり、この問題の解決あるいは日朝国交正常化といったようなことが朝鮮半島の大きな枠組みの中でしか解決をしないだろうという御指摘に私も全く同意見であります。  ただ、一つ、私は多少意見を異にいたしますのは、北朝鮮が常に米国との関係、米朝対話を動かすこと、これが最大の目的であるかといえば、それは必ずしもそうではないんだろうというふうに思います。今、北朝鮮は、ブッシュ大統領の悪の枢軸発言その他米国の強い態度の前に、必ずしもその米朝の間で対話を進めていくことというのが簡単ではないという意識を持っているんだろうと思います。  ですから、今の韓国の太陽政策それから日朝関係、先ほど来御議論がありましたけれども、やはり北朝鮮は相当追い詰められた立場にあるということも事実だろうと思いますし、そういう韓国、日本との関係で関係を打開していきたいという気持ちが働いても客観的には私はおかしくない状況なのではないかというふうに思うわけであります。ですから、そういう意味一つの問題解決のチャンスがあるのではないかということを申し上げた次第でございます。  それからもう一つ、アメリカは確かにテロ支援国家のリスト、これは国務省の報告によって毎年その内容は多少は変わってきているわけですが、八七年の大韓航空機事件以降、北朝鮮はテロに従事をしていないと。したがって、今残っているテロリスト国家の要件は、よど号のハイジャッカーをかくまっていると、それがテロ支援国家としての法的な意味での要件になっているということは、委員御指摘のとおりでございます。  私どもは、少なくともテロリスト国家、テロ支援国家からそれを解除するというのは、法的のみならず政治的な判断を米国がするわけで、したがって、この拉致問題、拉致疑惑問題があるときにそういう政治的な判断はしてほしくないということについては、私たちの意思を明確にしているということであろうかというふうに思います。  それから二番目に、国際的な認知を作る方策ということでございますけれども、これも問題を解決していくときの方法論の問題だと思いますが、実はこの経緯をたどってみますと、正常化交渉、二国間の枠の中でぎりぎりぎりぎりやってきて問題の解決に至らなかった。その間、日本食糧支援をしたりいろんな形での人道支援をしつつ問題の解決を図ろうとしてきた。ところが、政党調査団、政党代表団が、行ってもらって、それは何回も過去行っていただきました。そういう努力にもかかわらず物事が進んでこなかった。この一、二年の間、それなら国際的な圧力というものを形成しようということで、例えばARFの場であるとか、最近は小泉総理はそこは非常に強い問題意識を持っておられて、ブッシュ大統領との会談、金大中大統領との会談、それから朱鎔基総理との会談、そういうことでかなり時間を割いて問題提起をされ、日本の考え方というのを説明をしておられます。  そういうことから、これは私どもも、事務的にもそうでありますし、各国との関係でこういう問題というものをきちんと認知をしてもらいたいと。この間は、韓国の特使は現にそれをメッセージとして持って北朝鮮の金正日さんに問題提起を具体的に紙を読み上げる形でやったわけであります。ですから、そういう意味で、国際的な認知というものは非常に進んでいると思います。  だけれども、これまた元に戻りますが、国際的な圧力を加えるだけで問題が解決するかというと、それはそうではないんではないかというふうに思います。やっぱり直接対話によって問題が解決するということしか道はないんではないかというふうに私は思います。
  39. 山本一太

    ○山本一太君 委員長、ちょっと十秒で、二十秒で終わります。  今、田中局長が、一に掛かってこれは政治的な判断である、このアメリカのテロリスト支援国認定は政治的な判断であると、今、拉致疑惑があるというこの段階においては、そういう政治的な判断、すなわち北朝鮮をテロリスト支援国家から外すというような判断はしていただきたくないというお話があったんですが、ということは、日本政府としてこれまで実際に今そういう政治的判断をしてほしくないということをアメリカ政府に働き掛けてきたと、こういうことでしょうか。
  40. 田中均

    政府参考人田中均君) そうです。
  41. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 私からちょっとお尋ねいたします。  横田めぐみさんの事件が起きたのは昭和五十二年ですね。その翌年、五十三年にヨーロッパに在住しているレバノンの女性数名が行方不明になったという事件が起こりまして、レバノン政府はもう本当に驚いて、慎重にまた厳重に調査を進めた結果、これはもうあらゆる状況から見て北朝鮮拉致であるという断定をしまして、それからどうしたかと。レバノン政府北朝鮮と積極的に交渉をする。しかし、表のルートだけでは、もうそんなものは覚えていない、一切ないと言われたらそれきりですからね、表の道、裏の道、ありとあらゆる方策を通じて北朝鮮と折衝をして、何と何と一年半後にその拉致された女性たちを無事奪還することができたと。これは当時の新聞にも報道されて、私はっきり記憶しておりますよ。当たり前のことだったんです。本当に頑張って奪還してきたと。  情報通によると、裏で金も使ったんだと、一人幾らという計算で幾らぐらいの金を払うと。あの国は何か金に弱い国だという、これは私が言うんじゃないですよ、評論家が言っていましたけれども交渉の当事者に金を払うとスムーズにいくんだと。そういうことで、レバノン政府は金も使って国民の命を奪還、守るために頑張って、一年半掛けて、わずかな期間ですから、一年半なんというのは、そしてようやく成功したと。  その拉致されたという女性たちが帰国して言っていることは、北朝鮮の軍の情報機関、情報施設に拘禁されて厳重な監視の下でスパイ活動のスパイ訓練を受けた、大変厳しい訓練を受けていたと、そのうちに一年ぐらいたってようやく帰国されたと、こういうことでした。  これは大変重大な問題で、横田さんがいなくなる、日本でもあちこちで行方不明者が出る、一体これは何だろうかと。話とすれば北朝鮮拉致しているのではないかという話も出ていましたから、すぐにレバノン政府と連絡を取って、情勢をお伺いしたいと、調査員を派遣して向こうと折衝する、当たり前のことだろうと思うんです。もう、公式立って説明ができないと言ったらば、やっぱり裏のルートというのが外交には必ずあるわけですから、得意の機密費を使って向こうと折衝をして、裏の道をいろいろ説明されて、こういうことでようやく奪還することができましたと、本当に北朝鮮というのは悪いやつらですよというふうな話を聞く。  そうして、そのことを表立ってPRするかどうかは別として、いずれにしろ海外に行った場合に、あるいは日本の海岸を、日本の北側の海岸を独りで歩いているときなんかは、周辺に変なやつがいたらすぐ注意するようにと、こういう警告を政府として、つまり外務省として、警察として発すべきではなかったのかと。これだって当然常識といえば常識ですよ。ところが、行方不明だかどこだかよく分からない、一体どうしたんだろうかななんというようなことで何年ももう経過してしまって、その間に次から次と拉致されたと。  こういう人たち、やっぱり拉致されたことについての外務省警察庁の責任、最終的には国の責任というものは私は極めて大きいと思うんですよ。これは損害賠償訴訟を起こしたら多分勝ちますよ。まだ起こしていないんでしょうけれども、国を相手に、一億か十億か知りませんけれども、損害賠償訴訟を起こすわけですよ。長い間放置しておいた、レバノンがそういう経験をしている、それについて調査もしないでほうり投げておいたと。一番ねらわれるのは日本ですから、当然日本政府としても重要な必要な注意を国民に発するということは、やるべきことをやっていない。国家賠償責任があることは当たり前ですから、私は本当に不思議としか言いようがないんですよ。  それから、私、一回この問題をこの委員会で取り上げたことがあって、外務省にお尋ねしたんですけれども、レバノンは何か北朝鮮の代表通商部が置いてあるので公式ルートがあるからそれでやれたんでしょうなんて、人ごとみたいなことを言っていますよ。表から交渉したってこんなことは、相手が、はい、拉致しましたと、お返ししますなんというわけないんですから、裏からやっぱりいろんなルートをたどって努力を積み重ねていく。ですから、レバノン政府交渉して本当にノウハウを聞き出す、それを参考資料として警察なり外務省なりが奪還のために動いていく。当たり前のことだろうと思うんですけれども、そんなことはやっておりませんと平然として答えているんですよね。  今まで、この経過を踏まえて考えますと、やっぱりこれは外務省の責任が極めて重大であると思いますし、警察庁警察庁としてほとんど何もやっていなかったんじゃないかと。行方不明、行方不明といって、ようやく最近拉致されたということを認め出してきていると。なぜなんだろうかと。国民の命を守るための責任感というのが皆無としか言いようがない。  国民一人の命は地球よりも重いと言ったのは今の官房長官のお父さんの福田赳夫総理ですから、そういうことをあのせがれさんは受け継いでいないんじゃないかとしか思えない。やっぱり、これ、取り戻すためにはどんなことを、例えば裏で金が必要だといえば、その金だって国民は恐らく了承するでしょう。払うものは払いなさいよと、それぐらいは、一人一億掛かるならそれはそれで結構ですよと言うに違いないと、私はそう思うんですけれども。これ、そんな話があるところで出ましたら、さる有識者が金で国民を買い戻すとは何事だと怒っていましたけれども、怒る方がどうかしているわけなんであって。  それはそれとして、あらゆる手段を講じて被害者の奪還に努める、近代国家として当たり前のことだと、こう思いますので、どうかこの話も持ち帰って、省庁の幹部たちに話をしてやってくださいよ。まともな意見かどうか分からぬけれどもこういう意見が出ていましたよと、お耳に入れておいてくださいよと。そういうところから、私、この問題解決の一歩一歩が前進していくんじゃないかと、こういう気がしてしようがない。  どうも皆さん方の話を聞いていても、率直に言ってまともに解決する気があるのかないのかよく分からない。何か人ごとみたいな、形式論理みたいなことに終始しているんですよね。本当に親御さんの立場に立って、一体どうなんだろうかということを考えるのが役人として、公務員として当然のことではないのかと、こういう気がいたします。何か感想があれば、お伺いしましょう。
  42. 武見敬三

    委員長武見敬三君) 答弁を求めますか。
  43. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 だから、なければいいということです。
  44. 武見敬三

    委員長武見敬三君) それでは、次の質疑者に移ります。  それでは、たくさんいらっしゃいますが、時間が極めて限られておりますので、皆さん、五分以内を必ず守ってくださいね。
  45. 矢野哲朗

    ○矢野哲朗君 今日、先般の参議院の本会議の決議を受けて速やかにこの委員会でもってこういう運営をされたということに対しまして、委員長を始め与野党の理事の皆様に敬意を心から申し上げたい。  しからば、今後の問題でありますけれども、今日、横田さん、有本さん、この御夫妻の悲痛な訴えを改めて我々の胸に秘めて、継続的にこの問題を取り上げ、そして解決に一歩でもというふうなひとつリーダーシップを取っていただきたいなと。委員長を始め理事の先生方、私も一委員として積極的な協力、活動もさせていただきたいなと、こんなことを冒頭、感謝を含めつつ決意の一端を述べさせていただきたいと思います。  なおかつ、外務省先ほど結果が最優先だと、結果を出すぞというふうなことを、発言があったんでありますけれども、確かにいい結果を出したい、そして、いろいろ非難はあるかもしれないけれども、立場立場で精一杯の努力を尽くしてきたと。しかし、二十年余をたっても結論に至っていないという現実、これはやっぱり相当反省しなければいけないと思いますよ。  ですから、今日、この委員会で改めてこの問題を取り上げさせていただいた。いい結果を出すべく、今までを反省して、今までやっていないことをどんどんやりましょうよ。それで一日も早い結果を出すんだという思いで取り組んでくださいよ。そうじゃないと、何か思いがいろいろ、この思いの中での意見交換ではなくて、正に結果を出すんだ、その結果を出すため二十年という年月が適切であったかどうかということを判断してくださいよ。これはこの当事者のお二人の御家族思いを察すれば、とんでもない長い年月だったということは事実なんだ。  ですから、改めて行政担当の皆さんにも、今までのことを十分反省をして、結果を早急に出すんだという思いでひとつ取り組んでいただきたい。このことをお願いして、私の意見開陳とさせていただきます。
  46. 小泉親司

    ○小泉親司君 日本共産党の小泉でございます。  私は、やはり拉致疑惑解決する上で何といっても重要なのは、北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国との交渉のルートを開くということが非常に肝心なことだというふうに思います。  先ほども同僚委員からも紹介があったように、参議院での決議案も「我が国北朝鮮との国交正常化に向けた話し合いの中で、」、「毅然たる態度により拉致疑惑早期解決に取り組むべきである。」ということを言っておるわけですが、私も当委員会でこの日朝国交回復交渉問題について取り上げてまいりました。その当時の河野外務大臣答弁も、外交交渉の中身は話せないということで、実際には一体何が障害になっているのか全く明らかにしないと。実際に日朝国交回復交渉は依然暗礁に乗り上げたままで打開の見通しがないと。一体どこにその問題があるのか、その点ぐらいははっきりさせないと国民的に納得がいかないというふうに思うんです。  私も、ですから、この拉致疑惑解決のためには当委員会に対して、外務大臣がしっかり出て外務省のことをしっかりと方針を示すべきだということを一貫して要求してきましたが、一体外務省はこの日朝国交回復交渉の現段階をどういうふうに打開しようとしているのか、この点、具体的にまず外務省にお尋ねしたいと思います。
  47. 田中均

    政府参考人田中均君) 交渉、実は正常化交渉というのは、一年半になりましょうか、から中断されたままになっているわけです。それは、双方が準備ができたらやりましょうというのが最後の申合せということだったと思います。  何が一体障害になっているのかということでございますけれども、多分、私どもがまず最初にやらなければいけないのは、この拉致疑惑の問題。  これは多分、これは私が申し上げるんじゃなくて北朝鮮側の言い分だと思いますけれども、言い分なんですが、植民地時代も含めて過去の清算が済んでいないじゃないかと、そういうものとの比較でこの拉致の問題を北朝鮮は語ると。それは、例えば北朝鮮の放送を見てもそういうことであると思います。  ですから、それはそれで別途国交正常化交渉というのは進めていかなければいけないということだと思います。唯一残った国交がない国でございますから、いろんな安全の問題というのは、その国交がないことによって非常に日本は安全面で脅威を受けていると、だから一刻も早くそれは国交を開くことによって安全を担保しなきゃいけないというのは一つの非常に大きな国益だと思うんです。  だけれども、同時に、今の状況においてこの拉致の問題が解決しないで国交正常化交渉をとんとんと進められるかというと、それはそうではないんじゃないかというふうに思うわけであります。ですから、私は、今度正式な国交正常化交渉をやるときには、こういった問題についての解決のめどが付いている方向性を持ってやらないと物事は進んでいかないんじゃないかという意識を持っているわけです。  ですから、私どもがやっていることについて、その逐一明らかにできない。それは、その明らかにした途端に物事というのは崩れていくから明らかにできないわけで、先ほど佐藤先生は感想があるかということを言われましたけれども、レバノンのケースにしても確かに通商代表部があり一定のルートがあったわけであります。ですから、レバノンのケースと日本のケースがそのまま当てはまるとは思いません。  委員はこの委員会でも、例えば杉嶋氏の話をされました。それは、そういう問題というのは解決をすると。私どもはどういう形で解決をしたのかということについて申し上げません。条件があったかというと、条件はありません。ですから、そういう形で一つ一つ結果を作っていくのが私たちの仕事だというふうに思っています。
  48. 小泉親司

    ○小泉親司君 二つ、時間がありませんので二つまとめてお聞きしますが、一つは、報道によりますと、日本外務省の北東アジア課長と北朝鮮外務省日本課長を中心とした、これは新聞報道ですが、秘密接触が再開し、昨年、これは二〇〇〇年ですが、昨年から断続的に中国で行われているという、そういう接触が実際にあるんですか、どういう議論がされているんですか。  もう一つは、日朝間には拉致疑惑がある、日朝国交回復交渉がある。しかも、北朝鮮の側は過去の清算ということを強く要求していると。そうなってくると、一体、この問題の打開の見通しというのがどこにあるのか。私は非常にそこの点で、外務省は実際にこの過去の交渉問題、過去の清算の問題という問題をどういうふうに考えているのか、その辺の少し知恵が一体出ないものなのか、その点をちょっとお聞きをしたいと思います。
  49. 武見敬三

    委員長武見敬三君) 簡潔に答弁を願います。
  50. 田中均

    政府参考人田中均君) 個々のルート、だれがどこで何を話しているかということについてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。  国交正常化、過去の清算の問題、これは韓国ともそうですし、他の国ともそうですけれども、やらなければいけない問題だというふうに認識をしていますし、そこはいろんな論点があります。これは、それ自身が非常に難しい問題だと思いますけれども、これは粘り強く取り組んでいくよりしようがないと、こういうふうに考えております。
  51. 海野徹

    ○海野徹君 民主党・新緑風会の海野徹です。  先ほど北朝鮮の国家意思による拉致疑惑というような発言がありました。正に私もそういうふうに思います。それだけに、では、日本が国家の意思として、これは主権の侵害だ、あるいは国家テロだ、人権侵害だというそういう姿勢で交渉に当たる、また、そういう意識を持って省内全体が交渉当たるという姿勢というのは今までにあったんでしょうか。それを確認したいなと思います、外務省に。
  52. 田中均

    政府参考人田中均君) もちろんこの拉致疑惑拉致という問題が許されていいはずがない問題、国民の生命、財産の基本的な問題であるという取組方はしております。ただ、同時に、一刻も早くその所在を確認しなきゃいけないという意識もあることは事実です。
  53. 海野徹

    ○海野徹君 安否の確認が最優先という話がありましたね。結果を出すべき、結果を積み重ねていくことを我々は努力してきたという話もありました。しかし、余りにも時間が掛かり過ぎているんじゃないか。その間の発言が、たった十人のことで国交正常化が止まってしまっていいものかとかね、工作員の話だから必ずしもそれは信じられないんじゃないかとか、あるいは国会決議出そうとしたら、ちょっと北朝鮮を刺激しちゃまずいんじゃないかという、こういう発言が出てくるということはどういうことなんですか。  その辺が、本当に国家の意思として、あるいは外務省がそれを体現して交渉しているというふうにはどうも考えられないんですが、その辺、一点、どうなんですかね。
  54. 田中均

    政府参考人田中均君) 個々の発言、そういう発言があったかなかったかということは私どもも確かめましたし、私はないと思っていますけれども大臣答弁しておられるように、そういう雰囲気があったのではないかということ、私が思いますに、これはすぐれて、問題を解決していくために何がその時点その時点でベストなんだろうかという思いがあったんだろうと思うんですね。  その結果、委員御指摘のとおり、これまでこれだけ時間が掛かっているというのは、その判断というものが必ずしもベストではなかったのかもしれないということは私どもは十分反省をすべきだというふうに思いますし、これは政府が一体となってやってきたことでございます。外務省とかそういうことのみならず、それぞれの時の政権を構成しておられる政党代表団が行っていただいて、それは一体となってやってきたという経緯はあるわけで、ですから、そういう意味で結果が出せていないことについての反省というのは私どもは持つべきだと思っています。
  55. 海野徹

    ○海野徹君 結果が出ていない、出せていないところの反省ということですから、とにかく余りにも年月掛かり過ぎている話でありますから、もうこの辺りで結果を出さないといけないと。我々としても、こういう機会やはりとらえて、もうありとあらゆる方法で御努力していただいて結果を出すと。それで、しかも、それに対してもし同じような、その当時はベストだったけれども、いろいろ反省してみたら問題点があったねというようなことが二度と、同じような答弁がないように御努力をしていただきたいな、我々も協力させていただきたいということで、終わります。
  56. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 公明党の遠山清彦です。  今まで委員方々から、かなり日本という国としてこの問題どう対処していくのかという大枠のお話がありましたので、私の方からはちょっと具体的に幾つか質問したいと思いますが、まず、今まで様々な委員おっしゃったように、やはり裏の話、裏の道、表の道、あらゆるルートを使って国交のない国と、相手が国交のない北朝鮮ですので、交渉していかなきゃいけないということは言うまでもないわけですけれども、その具体的なじゃ切り口は何かと考えていったときに、特に表の話に私限定いたしますけれども、まず一つは、北朝鮮に現在でも九百人余りいると言われている在外被爆者の問題があると思います。  これは、昨年の三月に外務省から代表団北朝鮮に実際に行って、現地で調査をしたと。既に日本政府は、韓国の在外被爆者に対して四十億円余りの拠出を行っているわけでありまして、北朝鮮には大体九百人余りいるというふうに昨年も報道されているわけですけれども、まず外務省として、この在外被爆者、先ほど我が党の山口理事からも、坂口厚生労働大臣がシンガポールで今年の三月に向こうの金保健大臣と会おうとして会えなかったということがあるわけですけれども、こういった現状を踏まえて、今後この問題でどういうふうに北朝鮮交渉されようとしているのか、そこをまずお伺いしたいと思います。
  57. 田中均

    政府参考人田中均君) 在朝被爆者の問題は御指摘のとおりでございまして、私の横にいる佐藤審議官を含め、北朝鮮に被爆者のミッションとして行っていろんな事実関係の確認をしてきたということでございます。  それから、厚生労働省の方からお答えがあるかもしれませんけれども日本として正に在外におられる被爆者に対してきちんとした支援をしていかなければいけないということが方針でございます。したがって、国交がない北朝鮮との関係についても、正に日本としての人道上の観点から支援をしていくべきだというふうに思いますし、他方、国交がないということもありまして、果たしてどういう形の支援をするかということについては政府北朝鮮側政府とが相談をしなければいけない。ですから、そういう意味では坂口大臣の会談が可能であればそういうことの糸口が始まったのではないかというふうに思っていますし、これは今後、延期されたということなので、いつかの段階でそういう話合いを始めなければいけないというふうに思っています。  ただ、同時に、私ども人道問題というのはいろいろあると。最大の問題はこの拉致疑惑の問題ですし、それから例えば北朝鮮にいる日本人妻の里帰りの問題もそうですし、それから日本側から見れば、被爆者の問題というのは日本解決しなきゃいけない人道問題だというふうに思っていますし、ですから、そういうことというのはやはり筋道を立ててきちんと政府間で話をしていく必要があるというふうに考えていますし、ここは是非段取りを踏んでやっていきたいというふうに考えるわけでございます。
  58. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 次に、いわゆる北朝鮮側行方不明者、我々は拉致をされた方々の問題について、北朝鮮側の窓口になっている組織は北朝鮮赤十字社、朝鮮赤十字社と言うのかもしれませんけれども、そういうところなんですが、日本でも赤十字がありまして、これは通常政府から独立をしたいわゆるNGO的なことで、由緒のある伝統のあるNGOですけれども、活動している。ところが、どうもいろんな報道を読んでおりますと、朝鮮の赤十字社というのは必ずしも北朝鮮の現政権から独立性を保って人道問題扱っているようには見受けられないということがあるわけでありまして、その点について、日本政府はこの北朝鮮側の赤十字社という組織と北朝鮮政府の関係をどういうふうにとらえていらっしゃるのか、ちょっと見解があればお聞きしたいと思います。
  59. 田中均

    政府参考人田中均君) 情報がない北朝鮮のことですから私が確たることは申し上げられませんけれども、これまでの経緯等を見れば、政府というか北朝鮮の権力機構と一体のものがあるというふうに考えています。
  60. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 委員長
  61. 武見敬三

    委員長武見敬三君) 時間でございます。
  62. 泉信也

    ○泉信也君 今までのやり取りを聞かせていただいて、横田さん、有本さんの御両親は、来てよかったな、少し様子が変わるかな、そういうふうには恐らくお考えになれないだろうと私は思います。大変残念で申し訳ないと思います。それは、皆さん方がお答えになっておられますけれども、大声を出すこともない、机をたたくこともないけれども、熱意が感じられないんですよ、全く。そういうことを前提にしてちょっと二つだけお尋ねをいたします。  一つは、今まで期限も切れない、よかれと思っていろんなことをやってきましたと、こういうことを言われました。しかし、二十年以上もたっております。ここで国民は、いわゆる政府の無節操、無定見、弱腰をじりじりとした気持ちで嘆いておるわけですね。いわゆる強行策に出ることはできないのか。なぜできないか、何が変わればできるのか、何をちゅうちょしておられるか、このことについて外務省一つお尋ねします。  それから、法務省に代表してお答えをいただきたいと思いますが、いろいろな情報を持っておられると思います。法務省だけではなくて公安調査庁等も持っておられると思いますが、それらの情報を全部開示する、これは関係者の御了解をいただかなきゃならぬ点もあると思いますが、全部世界に開示して、これは行方不明者ではない、拉致そのものだということを天下に公表するということはどうしてもできないことでしょうか。  その二点だけお尋ねいたします。
  63. 田中均

    政府参考人田中均君) 私は十分熱意を持ってお答えしているつもりですし、実は一九八八年に拉致の問題が明らかになってきたわけですけれども、実は私はそのときの担当課長であった、金賢姫という女性と面会をして、この李恩恵という人の存在というのも聞きましたし、有本さんの御家族からは手紙も拝見をさせていただきました、当時。ですから、そういう意味で格段私はこの問題は何としてでも早く解決をしなければいけないという熱意は十分に持っているつもりであります。  それから、強行策についてお尋ねでございますけれども、果たして強行策というのを何を委員意味をしておられるのか必ずしもつまびらかにしないんですが、実は、例えば昨今の日本の毅然とした態度、朝銀の問題もそうですし、朝鮮総連との関係でも多分そうだと思いますし、不審船の問題もそうだと思うんですけれども、そういう毅然とした態度日本の法律に従って取っていることが、確かにおっしゃるとおり、この問題の解決を早めるために一つ機会を作っているのかもしれないというふうに私は思うわけです。  ですから、問題の解決のために強行策を取るということで、強行策自身が目的ということでは私はないんだろうと思います。問題を解決するということが目的なんだろうと思います。
  64. 古田佑紀

    政府参考人古田佑紀君) ただいまのお尋ね、非常に広い範囲にわたることでございまして、私の立場から申し上げられますことは、検察庁におきまして受理した事件についての問題ということになるわけでございますけれども、もちろんこういう問題についての重要性というのは重々認識しているわけでございまして、法令の許す限りでいろんな形で御協力を申し上げるということは当然だと考えているところでございます。
  65. 泉信也

    ○泉信也君 一つだけ。  外務省ね、法律に基づいてとおっしゃるけれども、米を何度も出す、あるいは金正男を護衛付きで帰す、あんなもの何で法律に基づいているんですか。そういうことに国民が怒っているんですよ。以上だけ申し上げます。
  66. 齋藤勁

    齋藤勁君 民主党・新緑風会の齋藤勁でございます。  一、二点、政府対応について伺いたいと思います。  一日も早い、私は、御両親の元に、横田めぐみさん、そして有本恵子さんが本当に御両親の元にということを願う一人でございますが、一つ国交回復という我が国のそれは大きな目標あると思うんですが、この間、この外交防衛委員会でも様々な角度から議論をしてきたと思うんですが、ヨーロッパ各国が、この北朝鮮と多くの国々が国交関係を樹立をしております。  外交関係のこの問題についてのチャンネルというのは、当然、韓国ともあるし中国ともあるし、あるいは我が国、アメリカともあると思うんです。そういう主要なチャンネルを使って北とのこの拉致問題についての解決に図るということもあると思うんですが、このヨーロッパ各国が非常に急速な勢いで北朝鮮国交を樹立している方を見るときに、我が国は当然ヨーロッパ各国に大使館もあり、そういった外交関係あるわけでありまして、そういった様々な私は外務省としてのチャンネルを使って北とのアプローチをするということが私はあってしかるべきであるし、やってきたんではなかろうかというふうに思いますが。  このことについて、もうこの間、同僚各位からやり取りがあったかどうか分かりませんが、今日の場ではなかったというふうに思いますので、改めてどのような、そういった様々な各国とこの解決に向けましての外交努力をしてきたか具体的に、とりわけヨーロッパ各国が、この拉致問題が、我が国がある中で国交関係を樹立してまいりましたので、そういった対応についてされてきたのかお尋ねしたいというふうに思います。
  67. 田中均

    政府参考人田中均君) 委員御指摘のとおり、特に二〇〇〇年、二〇〇一年に掛けまして欧州各国は北朝鮮国交を開いて、それで、大使館の実館があるところとそうでないところがありますけれども、最近は欧州との関係におきましても、今の拉致問題とか国交正常化の現状というものは常に大使館にインプットするようにしておりますし、欧州から例えば欧州の担当のアジア局長等が来ますと、必ず私はそういう意味で今の現状というもの説明の上、彼らが北朝鮮の中でそういういろんな情報の提供も含めたことをしてくれることを期待しているということでございます。  まだなかなか国交が開かれて浅いわけで、私どもとしてもできる限りの情報交換、協議をやっていきたいというふうに考えています。
  68. 齋藤勁

    齋藤勁君 とりわけ有本恵子さんにつきましては、ヨーロッパで拉致をされて、そして今、北にいるというのが大体大方の私どもの認識だと思うんですが、これはやっぱり強力に進めるべきだと思うんですね。そのことを私は求めたいと思います。  そして、もう一つは、先ほど北朝鮮の赤十字社との話も出てまいりましたけれども、それぞれのチャンネルの中でどのような国内で、北朝鮮国内で、私ども拉致、北の人たち行方不明者と、これは先ほど来のそれぞれの各位の主張については私も全く同じですけれども、どのような国内で努力をしているのかということについての検証というのはされているんでしょうか。調査をしてきたのかということを、北朝鮮内部がですね。
  69. 田中均

    政府参考人田中均君) 今までの交渉の中で具体的な形で、彼らは彼らなりにいろんな手法を使ってそれをしていますということではありますけれども、今回の赤十字会談においても正にそういうところから詰めていくということはあり得る考え方じゃないかなというふうには思います。
  70. 齋藤勁

    齋藤勁君 大丈夫ですか、時間いいんですか。
  71. 武見敬三

    委員長武見敬三君) 大丈夫です。
  72. 齋藤勁

    齋藤勁君 国交がない中で極めて話合いそのものというのは大変厳しいと思います。  私も一昨年、民主党の初の訪朝団、これは伊藤英成衆議院議員が団長になりまして、何人かのメンバーの中に私も行きまして、私どもの方は拉致という表現を使い、向こう側は行方不明者ということで大変、ある意味では若干の険悪な雰囲気になったやり取りもございました。今みたいな話をしてもそれ以上の具体的な話は出ないということで、大変不満足な思いで帰ってきた記憶があります。  しかし、これは限られた私たちの能力、努力だったのかなということもありますが、絶えずこの間のことを思いますと余りにも、率直に言ってだれもが言うように時間が掛かっていると。この時間が掛かっているということについてもいら立たしいばかりであるわけでありまして、私は、本当に政府が一体となって是非毅然たる態度を取りながら両国間、私どもと、そして確かに両国間に様々な国交正常化に向けての大きな課題はありますが、人権問題としてやはりこれはきちんと国家が真っ正面から取り組んでいくということで、是非格段の努力をお願いしたいと。  今日は有本さん、そして横田さんそれぞれの御両親いる中での参議院としての、私は、大変この我が委員会としての真剣な政府に対する私は今日の委員会だというふうに思います。一日も早い解決に向けて格段の努力をお願い申し上げたいと思います。
  73. 広中和歌子

    広中和歌子君 二つだけ短く質問させていただきます。  先ほど行方不明者という言葉が出ましたけれども日本国内行方不明者として警察に届けられる方の数というのはどのくらいあるかということ、それが一点です。  それから、かつて森さんが総理でいらしたころに、この拉致問題に絡んで、ヨーロッパのどこかで突然出てくることもあり得るといったような発言をなさったことがあるんですが、その発言の背後には何らかの捜査当局の確信みたいなものがあってそのような発言につながったのかどうか、それをお伺いいたします。
  74. 武見敬三

    委員長武見敬三君) 行方不明者の数についての質問でありますが、これは。
  75. 漆間巌

    政府参考人漆間巌君) 手元に、今行方不明者の数というのは持っておりませんが、私の記憶によれば、年間十万単位ぐらいで出る可能性はあると思います。それは、それでその後、見つかるということもありますし、いろいろありますので、基本的には、ただ、数字を持っておりませんので、細かいことについてもし必要があれば後ほど御説明をさせていただきます。
  76. 武見敬三

    委員長武見敬三君) 第二点についての答弁、これは森元総理の発言の背景という点に関してでありますけれども、これは漆間警備局長
  77. 漆間巌

    政府参考人漆間巌君) 私は、実はこの八件十一名という、我々としては北朝鮮による拉致の疑いのある事案、これについて実行行為者という者の供述が得られたというケースが実は三つあるわけであります。それは、一つは宇出津事件、もう一つは、これは韓国でありますけれども、辛光洙事件、今回は正に有本恵子さんの拉致容疑事案であります。  そういう意味でいきますと、確かに前二者につきましては捜査上のいろんな問題がございまして、正に公判廷でいろんなことを明らかにすると、日本国内で、そこまでは至りませんでしたけれども、今回の有本恵子さんの関係で八尾恵さんからいろんな形で供述を得られたということは、これは大変大きな要素になるというふうに考えておりまして、それをもって総理がどういうふうに判断されたかというのは別でございますけれども、私どもとしては、これは大変この実行行為者の供述を得られて、これから捜査を遂げていこうというのにとっては大変大きな材料を得たというふうに私どもは思っております。  それから先ほどの、いわゆる家出人とかいう形で捜索の受理をする場合はいろいろありますが、昭和五十年代でいきますと、大体ちょうどこの拉致のあったころですが、五十二年からは大体九万五千四百五十七件、五十三年が十万件台でずっと続きまして、五十八年が十一万件に上っております。最近は大体八万、九万前後というような状況になっております。
  78. 広中和歌子

    広中和歌子君 そのうち見つかった人たち、それから北朝鮮に絡んでいると考えられる人の、いわゆる行方不明者の推計みたいなのは分かりますか。
  79. 漆間巌

    政府参考人漆間巌君) この中からでございますか、この中からすべて、例えば最近で、平成十一年でいきますと九万件弱ございますけれども、所在確認件数が八万件弱というふうになっています。  ただ、この中にそういうものがあったかどうかというのはいろいろありますが、ただ、我々としては北朝鮮による拉致の疑いのある事案以外にも拉致の可能性のある事案というのはいろいろつかんでおるわけでございまして、そういう意味で、それが果たして本当に拉致の疑いのある事案までいくのかどうか、これも今懸命な捜査を遂げているところであります。
  80. 広中和歌子

    広中和歌子君 どうもありがとうございました。
  81. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 質疑を続行したいわけでありますけれども、今、警備局長お話しになった、例えば宇出津事件、この逮捕によって、これはたしか警察庁長官賞か何か、その方、いただいたんじゃないかと思うんですが、これは事実かどうか。  それを立件したいということで警察庁の方は頑張っていたと私は思うんですが、法務省の方が、検察当局がやはりこれは十分に、立件までいかないということで消極的だったというような話を聞いたんですけれども、これは事実かどうか。  それから、今お話にあった十一人以外の被害者の件なんでございますけれども先ほど、四月四日二十一時十七分ロイター発の電で、北朝鮮、四十人近くの日本人を拉致かと、情報当局筋ということで、警察庁の未公開リストに三十人かというようなものが全世界を駆け巡りました。この同筋が言うには、拉致された日本人のリストに加えられる可能性は非常に高いということまで、これは全世界を駆け巡っておるんですが、これは事実かどうか。特に、今日も拉致の御家族を救う会のサポートをしております現代コリア研究所では、拉致の被害者を七十人と推計、さらに石原都知事は、警察関係者の情報として百名程度と言及、こういったこともあるわけでございますが、このロイター発は、これ、うそか本当か。三つ、教えてください。
  82. 漆間巌

    政府参考人漆間巌君) 最初の宇出津事件の関係でありますが、長官賞を得たかどうかというのは、これは古い事案でございますので、今は記録残っておりませんので、長官賞が……
  83. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 調べてください。
  84. 漆間巌

    政府参考人漆間巌君) いや、記録が残っているかどうかが問題でございまして、長官賞を受けたということについては、私どもは受けたという事実を証明するものは持っておりません。  それで、実はこの事件は、確かに、その昔から見れば正に工作員工作員として持っていなきゃならない七つ道具も含めてすごいいろんな種類のものが発見されているわけでありまして、それで、実際は外国人登録法違反という、外登法違反で入った、これは起訴猶予になってしまったわけでありますが、その後、是非、これは正に国外の移送拐取という刑法の二百二十六条、これで立件できないかといろいろやってまいりましたけれども、捜査的ないろいろな問題点もございまして、これはなかなか立件にまで至らなかったと、こういうことであります。  それから、四十人とか、いろいろな拉致されたと思われるリストが警察にあるとかいろんな報道があるようでございますが、報道内容、いろいろ承知しておりますけれども先ほど申し上げましたように、私らがいろいろな区分けをしておりますけれども北朝鮮による拉致の疑いのある事案と言っているものは、北朝鮮の国家的意思が推認される形で本人の意思に反して北朝鮮に連れていかれると、こういう範疇に入るかどうかということを裏付けるものがあるかによって決めておりますので、したがって、その中に入らないものについても、当然、先ほど申し上げましたように、北朝鮮による拉致の可能性があるという事案だというのも我々も見ておりますから、それがどのくらいあるかということにつきましては、これはその全体的な予断を与える形になりますので、その件数について私の方は申し上げることはできません。
  85. 古田佑紀

    政府参考人古田佑紀君) ただいまお尋ねの宇出津事件につきましては、これは実は警察当局から出入国管理令違反幇助等の罪名で送致を受けております。したがいまして、これはもちろん立件されているわけでございます。  これにつきましては、本人の供述と、あと余の証拠があったわけでございますけれども、何分にも被害者の方というのがまだ、これがどこにおられるか、実際に出国をどういうふうにしてされたのか、あるいはそういうことが確認ができない状態でございまして、これは証拠の問題になるわけでございますけれども、自白に対する犯罪事実の補強証拠という点で、公判といいますか立証上問題があったわけでございます。  その後、この出入国管理令違反につきましては、検察庁におきまして国外移送目的の誘拐罪という嫌疑で更にずっと捜査を継続するということにしたわけでございますけれども先ほど申し上げましたような、自白に対する補強証拠等々が得られないという状態で、最終的には不起訴処分にせざるを得なかったという、そういうことでございます。
  86. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 大分話が違うじゃない、二人が。
  87. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 もう時間がございませんので、簡単に一件だけ御質問したいと思います。  先ほど、ちょっと泉委員からも触れられましたけれども、金総書記の息子ですか長男ですか、金正男氏が累次にわたり日本に出入国しておったじゃないかという報道もされておりまして、強行策、また表の交渉、裏の交渉、いろいろあると思うが、彼が不法入国をした時点で、ある意味ではもう早々に荷物を送り返すというような感じを我々は受けたわけなんですね。こういうときの一つ交渉のカードとしては使い得たカードではないかなという感じは私はするわけなんですよ。その辺の、どこの意思がどうなったのか分かりませんけれども、この辺、点についての経緯なり考えをひとつ聞きたい。  それから、八件十一人の拉致と思われる事犯、疑惑、これはそのほかにその数倍にわたる未遂事件というのがあるはずなんですね、未遂が。そういう情報は当局には入っていないんだろうか、情報として。これは分からない面は多分にあろうと思うけれども、未遂がこれの数倍あるんではないかという素人考えですけれども、その点、簡単に質問しましたが、簡単に答えていただきたいと思います。
  88. 漆間巌

    政府参考人漆間巌君) 最初の、金正男と思われる者の入国の問題でございますけれども、これは関係省庁でいろいろな協議が行われまして、警察庁としても警察庁の考え方は述べさせていただきました。結果的には政府として退去強制をするということで政府の決定がなされたということであります。  それからまた、これに関連しまして、それまでにもいろいろ入っていたんじゃないかとか、いろいろありますが、いずれにしても、警察としては必要な情報収集は行っておりますが、その内容についてここで申し上げることはできません。  それから、拉致の未遂というようなものが数倍にわたってあるんではないかということでありますが、今、我々として、はっきり拉致が未遂であった疑いがあると思われるのは一件二名でありまして、それ以外のものについてもいろんな話は、情報は得ておりますが、現段階でこれは拉致が未遂であったと言うほどの、言えるような形にはなっておりません。
  89. 武見敬三

    委員長武見敬三君) 予定の時刻が参りましたので、本日の質疑はこの程度にとどめます。  速記を止めてください。    〔速記中止
  90. 武見敬三

    委員長武見敬三君) 速記を起こしてください。     ─────────────
  91. 武見敬三

    委員長武見敬三君) 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。中谷防衛庁長官
  92. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) ただいま議題となりました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。  この法律案は、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部改正を内容としておりまして、防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画において定められた防衛力の合理化、効率化、コンパクト化を進めるとともに、必要な機能の充実等を図るとの観点から、陸上自衛隊の第四師団の改編等、陸上、海上、航空各自衛隊の情報保全隊の新編等並びに統合幕僚会議における防衛情報通信基盤管理運営室の新設等及び情報の収集・分析態勢の強化等に伴い、自衛官の定数及び即応予備自衛官の員数を変更するものであります。  以上が、この法律案の提案理由であります。  次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。  まず、防衛庁設置法の一部改正の内容について御説明いたします。  これは、陸上自衛隊の第四師団の改編等及び情報保全隊の新編等に伴い、陸上自衛隊の自衛官の定数を四百五十四人削減し、海上自衛隊及び航空自衛隊の自衛官の定数をそれぞれ十四人増加するとともに、統合幕僚会議事務局における防衛情報通信基盤管理運営室の新設等及び情報本部における情報の収集・分析態勢の強化等に伴い、統合幕僚会議の自衛官の定数を百三十五人増加させることを内容とするものであります。これにより、自衛官の定数は、計二百九十一人削減されることとなります。  次に、自衛隊法の一部改正の内容について、その概要を御説明いたします。  これは、陸上自衛隊の第四師団の改編に伴い、即応予備自衛官の員数を三人増加するものであります。  以上が、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  93. 武見敬三

    委員長武見敬三君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時六分散会