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2002-04-04 第154回国会 参議院 外交防衛委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年四月四日(木曜日)    午後一時四分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         武見 敬三君     理 事                 吉村剛太郎君                 木俣 佳丈君                 山口那津男君                 小泉 親司君     委 員                 泉  信也君                 河本 英典君                 福島啓史郎君                 舛添 要一君                 矢野 哲朗君                 山下 善彦君                 海野  徹君                 佐藤 道夫君                 齋藤  勁君                 広中和歌子君                 遠山 清彦君                 吉岡 吉典君                 田村 秀昭君                 大田 昌秀君    国務大臣        外務大臣     川口 順子君        国務大臣        (防衛庁長官)  中谷  元君    副大臣        防衛庁長官   萩山 教嚴君        外務大臣    杉浦 正健君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        山下 善彦君    事務局側        常任委員会専門        員        櫻川 明巧君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       村田 保史君        防衛庁防衛参事        官        西川 徹矢君        防衛庁防衛局長  守屋 武昌君        防衛施設庁長官  嶋口 武彦君        外務大臣官房長  北島 信一君        外務省アジア大        洋州局長     田中  均君        外務省北米局長  藤崎 一郎君        外務省経済協力        局長       西田 恒夫君        厚生労働省医薬        局食品保健部長  尾嵜 新平君        農林水産大臣官        房審議官     山野 昭二君        経済産業大臣官        房審議官     仁坂 吉伸君        海上保安庁長官  縄野 克彦君        環境省環境管理        局長       西尾 哲茂君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○外交防衛等に関する調査  (外務省改革及び人事に関する件)  (パレスチナ情勢に関する件)  (不審船引揚げ問題に関する件)  (日中経済関係に関する件)  (キューバ移送タリバーン兵等の処遇に関す  る件)  (有事法制に関する件)  (防衛庁情報保全体制に関する件)  (沖縄米軍基地に関する件) ○オゾン層を破壊する物質に関するモントリオー  ル議定書改正締約国の第九回会合において  採択されたもの)の受諾について承認を求める  の件(内閣提出) ○オゾン層を破壊する物質に関するモントリオー  ル議定書改正受諾について承認を求めるの  件(内閣提出) ○残留性有機汚染物質に関するストックホルム条  約の締結について承認を求めるの件(内閣提出  )     ─────────────
  2. 武見敬三

  3. 武見敬三

    委員長武見敬三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 武見敬三

    委員長武見敬三君) 外交防衛等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  この際、委員長から委員各位に申し上げておきたいことがございます。  質疑に当たりましては、審議を円滑に進めるためにも割当時間というものを厳格にお守りいただきたいと思います。議事進行に御協力をいただいて、着実に、かつ意義のある質疑を進めさせていただきたいと思いますので、御協力お願いを申し上げます。  それでは、質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 舛添要一

    舛添要一君 最初に、外務大臣にお伺い申し上げますけれども、四月の二日に、北方四島住民支援コンゴ民主共和国関係者等をめぐる諸問題に関する人事上の措置というのが発表されました。この措置によりまして、東郷和彦オランダ大使以下、様々な処分が下されましたけれども、この人事、こういう処分について明確なルールがあるのか。  つまり、私が心配しますのは、ムードに流されて人事をやる、マスコミが批判するから人事をやる、そういうことであってはならないんで、やっぱり明確なルールの下に行わないとよろしくないというように思いますので、例えば公電を漏えいしたということが問題であるならば、それは免官ということまで当たるのか、そういうことを含めて、今回の人事上の措置について、ルールの問題について御答弁願いたいと思います。
  6. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 委員おっしゃいますように、人事上の措置は公平、公正でなければいけないと私も考えております。もう当然のことだと思っております。当然のことというか、それが一番の基本だと思っております。したがいまして、それを基本としてというか、それをきちんと守って、頭に置いて今回の措置をしたということでございます。  たまたま公電の漏えいということを例示としておっしゃられたんだと思いますけれども、今回の措置は、その一か月前の三月四日に発表をいたしました北方四島住民支援に関する調査結果報告書在京コンゴー民主共和国臨時代理大使等を巡る諸問題に関する調査結果報告書、この二つを踏まえまして、ヒアリング等調査を更に行いまして人事上の措置として検討して発表したものです。
  7. 舛添要一

    舛添要一君 新聞紙面におきましても、東郷オランダ大使、これは、自分は間違ったことはやっていないということを述べているわけですけれども、だとすれば、この東郷大使の一件で構わないですけれども、彼を免官に値するだけの理由というのはどういうものであるのか、列挙していただきたいと思います。
  8. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 東郷オランダ大使につきましては、対ロ外交推進する省内体制混乱をもたらした結果、外務公務員信用を著しく失墜させたと言わざるを得ないということが理由でございます。具体的にもう少し申し上げますと、三つございますが、鈴木議員や特定の外務省職員役割を過度に重視したため、省内ロシア関係専門家を事実上分断し、彼らの士気を低下させたこと、その過程で同僚や部下に対して外務省幹部としてふさわしくない言動があったこと、さらに、対ロ外交推進に係る省内政策決定ライン混乱をもたらしたことということでございます。
  9. 舛添要一

    舛添要一君 続いて、分析第一課主任分析官であった佐藤優氏についてはどういう理由懲戒減給ということをなさいました。
  10. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 佐藤主任分析官につきましては、省内幹部の立場にはなかったわけですけれども、東郷大使と同様に省内体制混乱をもたらした責任は重いと考えまして、国家公務員法に基づく懲戒減給処分、給与二〇%分を一か月ですけれども、といたしました。それから、この佐藤の当時の所属部局責任者及び直属の上司の監督責任を問いまして、佐藤補佐主任分析官を務めていた期間の国際情報局長及び分析第一課長を注意処分といたしました。
  11. 舛添要一

    舛添要一君 理由はよく分かりましたけれども、例えばその省内体制混乱をもたらすということについてですけれども、外交政策について、例えば二島先行返還論がいいのか四島一括返還論がいいのか、これは政策の選択肢の問題であるわけですけれども、当然そういう政策議論をやればAとBという二つのグループで対立することはあり得ますね。正にそういう活発な議論があればあるほどそういうことは起こり得る。で、それをもって例えば省内混乱をもたらしたと言えるのかどうなのか。  ですから、個々の判断ができ得れば、混乱って何なのかと、こういうことまで詳しくというか定めておかないと非常に政治的なパニッシュメント、政治的な処罰になる危険性はそれでもなお私は伴うと思いますんで、是非どうかもう少し万人を納得できるようなルール作りというのを今後ともやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  12. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 委員がおっしゃいますように、私も政策に関する論議、これはとことん省内で活発にやることが望ましいと思っております。  そこの政策に関する省内論議で言った意見、あるいは結果として取られた意見と違う意見がそこで発言されたとしても、それについて処分の対象にするということはふさわしくないと考えておりますし、今回についてそういうことはやっておりません。  それで、ルールということでございますけれども、これは既にきちんとございまして、一つは、国家公務員法というのが当然にあるわけでございます。それから外務公務員法国家公務員法を準用している部分がございます。さらに、外務省職員譴責に関する規則というものがございまして、それでも決まっている部分がございます。  したがいまして、今回はそういったその法律あるいは外務省譴責に関する規則にのっとって処分をしたということでして、公正性ということには私は十分に気を使ったつもりでございまして、私自身かなりその点については時間を掛けて考えました。
  13. 舛添要一

    舛添要一君 例えば、今挙げられました国家公務員法外務公務員法などの諸規定の何条の何項に基づいてというようなことが明示できますか。
  14. 川口順子

    国務大臣川口順子君) ちょっとお待ちください。  東郷大使につきましては、外務公務員法の第八条の、ごめんなさい、東郷大使につきましては、外務公務員法の第四条によって準用された国公法の九十九条、これは信用失墜行為の禁止をしているわけでございますけれども、それによりまして処分をしたことと、それから、外務省職員譴責に関する規則第二条第六号、職務の内外を問わず、済みません、その第二条第六号というものに基づいて、該当するということで厳重訓戒処分にしたということでございまして、東郷大使の場合には、大使でして、特別公務員でございます。  それから、よろしいですか。
  15. 舛添要一

    舛添要一君 いや、分かりました。そういう明確な規定というのを是非、発表なさるときもそれをおっしゃってからおやりになった方が良かったかなという感想があったもんですから。
  16. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これにつきましては、発表したときには、それはたしか質問にお答えしてだったかもしれませんが、申し上げさせていただいております。
  17. 舛添要一

    舛添要一君 次に、外務省を変える会の審議状況についてでございますけれども、これは、変える会が独自におやりになっていることですが、今までの審議でどれぐらいな青写真というのが示されているか、お答えできる範囲でお願いします。
  18. 川口順子

    国務大臣川口順子君) どれぐらいの。
  19. 舛添要一

  20. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 変える会につきましては、既に三回の議論をしていただいております。いろいろな考えがそこで提示をされておりまして、まだ、そのうちのどこの何に収束をするという形の議論にはまだなっていませんけれども、二回目の議論では政と官の関係をいたしまして、これは私は出席をすることができなかったんですが、三回目の議論では人事について議論をいただいております。  それぞれのテーマについて、二人ないし三人の委員の方から、一番最初のペーパーの提示をしていただきまして、それについて議論をしていただいているということでございまして、それぞれの議論の内容につきましては、外務省ホームページで公開をさせていただいております。  幾つか、お時間をいただけるんでしたら御紹介をいたしますけれども、お時間がなければ、ホームページをごらんいただきたいということでございます。
  21. 舛添要一

    舛添要一君 時間が限られていますんで、次のテーマに行きたいと思います。  パレスチナ情勢についてですけれども、報道されているように、非常に懸念される状況であります。今、外務大臣としては、今後のこの情勢の展開の見通し、そしてこの我が日本政府としての対応について、簡潔にお述べいただきたいと思います。
  22. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 私も、パレスチナ過激派の相次ぐ自爆テロ等テロ、それに対する報復としてのイスラエル軍パレスチナ自治区侵攻、アラファト議長府の包囲といった暴力の悪循環が続いていることにつきましては、大変に憂慮をいたしておりまして、情勢は不透明だと言わざるを得ないと思います。  私として、この深刻な現状の打開に向けて、まず、先月の二十九日にアブ・アラ・パレスチナ立法評議会議長が、これは招きにより訪日をなさいましたので、その会談、そのアブ・アラ議長会談を持ちました。それから、三月三十一日にペレス・イスラエル外務大臣にお電話をさせていただきました。それからさらに、今月の一日の、四月の一日にパウエル国務長官電話をさせていただきました。  そういった、その三つ会談におきまして、我が国の考え方を伝えたわけでございます。イスラエルに対しては、即時撤退を含む自制、パレスチナに対しましては過激派の取締りといったことでございます。さらに、二日、一昨日でございますが、茂田イスラエル大使現地派遣をいたしまして、私からの書簡を託しました。  このような取組を通じまして、この悲劇的な状況が一日も早く終わるということを望んでおりまして、国際社会、ほかの国々と一緒にパレスチナイスラエル情勢に対して引き続き働き掛けていくということを考えておりますし、私自身も、私自身現地を訪問する可能性も含めまして、我が国の更なる対応を検討していきたいと考えております。
  23. 舛添要一

    舛添要一君 最終的には、アメリカ政府、特にブッシュ政権対応が非常に大きなかぎになるというふうに思っていますが、ブッシュ大統領パウエル国務長官との間でも少し見解の相違があるようにも見受けられますけれども、大臣パウエル国務長官会談なさったときに、具体的にアメリカとしてはどういう方向でこれを片付けようとしているのか、そこがちょっと国際社会が見えてこないものですから、大変懸念が深まっているんですけれども、大臣はどのような感触をその点についてお持ちになりましたか。
  24. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 米国がこの問題について大きなかぎを持っているということはおっしゃるとおりだと思いますし、私もパウエル国務長官との電話会談の際にその旨はお伝えをいたしております。  私が申し上げた幾つかのことに関しましてパウエル長官が述べたことは、まず、我々としても当事者イスラエルパレスチナと緊密な連絡を取っているけれども、アラファト議長が率いるパレスチナ側がまずテロ防止のための最大限の努力をしなければならない。他方、イスラエル側軍事行動も事態を難しくしているということが第一点です。二番目に、一刻も早く暴力を停止させて、和平について当事者が話し合わなければならないが、今後の見通しは楽観できない。三番目に、ジニ特使、この方、今、現地にいらっしゃいますが、の活動を評価していただいて感謝をすると、これは私が申し上げたことに対してですが。茂田大使が行くということもお伝えをしましたので、茂田大使が訪問するということについてはジニ特使にも伝えたいと、そういったことでございました。
  25. 舛添要一

    舛添要一君 日本パレスチナ自治区にも大変な援助をしておりますし、茂田さんがイスラエル大使をおやりになっているときも非常に日本の評価は高かったと思いますけれども、具体的にどういうアクションが日本として取れるのか、その点についてお聞かせ願いたいと思います。
  26. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これは非常に難しい問題だと思います。日本が独自で何かをやってということではなくて、これはあくまで、やることはやっているわけですが、茂田大使派遣のような幾つかのことはやっておりますけれども、問題の解決のためには、国際社会協力をして停戦をさせて次のステップに行くということだろうと思います。したがいまして、我が国としては他の国々と連携を取りながら働き掛けを行っていくということであると思います。  それで、そのために特使派遣をする、あるいは先ほど申しましたように、私自身現地を訪問する可能性も含めまして、我が国の更なる対応を検討したいと考えております。
  27. 舛添要一

    舛添要一君 ヨーロッパ諸国との協調、協力はいかがですか。
  28. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これも必要なことでございまして、私は、最近はヨーロッパの首脳、外務大臣とは電話で話をいたしておりませんけれども、近々する予定も入っておりますので、そういった点についても働き掛けていきたいと考えております。
  29. 舛添要一

    舛添要一君 今、大臣自ら現地に行かれるというお話もございましたけれども、大変残念ながら、ここのところずっとこの外務省改革という問題に力を取られて、ほとんど外務大臣が本当に外交、本来の仕事ができないという状況が続いていると思いますが、副大臣もおられますけれども、そのために副大臣が二人おられるんだと思いますが、今、その役割分担というのはどういうふうに、政務官も含めてですが、おやりになっているのか。  例えば、我々の委員会でどうしても外務大臣の御答弁をということではないと思いますので、副大臣が答弁なって、その間、全力を挙げて海外外交やっていただきたいという思いがあるんですけれども、現在の体制、そういうことが可能なのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  30. 杉浦正健

    ○副大臣杉浦正健君) 大変いい質問をしていただきました。大臣からまた御所見があるかと思いますが、私から実情を御説明して、むしろお願いをさせていただきたいと思って手を挙げさせていただいた次第でございます。  外務省内部の問題、外務省内部というか、外交外務省仕事については、大臣、二人の副大臣政務官大臣を頂点にしてきちっと仕事分担をしております。地域分担、業務の分担、それぞれしておりまして、一体になって活動をしておるということは申し上げられると思います。  ただ、問題は国会への対応でございまして、これは外務省とか内閣で決められる問題じゃございません。特に、外務大臣の場合、この一年近くお二人の大臣に仕えまして、国会対応が、大変国会開会中はボリュームが多い、量的、質的に多いと、それの対応で忙殺されているというのが実情でございます。  委員会は、予算委員会決算行政監察委員会、両院にございますが、これは各省大臣とも対応する、横並びでいいんですが、外務大臣は、衆議院三つ外交安保沖特と、参議院外交安保沖特と、五つ委員会に常時出席を求められております。他の大臣に比べて倍以上だと思います。その委員会対応毎日委員会があるわけです、国会開会中は。それで、副大臣大臣とともに陪席するということで分担をして委員会出席いたしております。  ですから、国会の方で、例えば外務大臣出席する委員会は、衆議院なら外交参議院外交防衛、この二委員会で、あとの委員会、例えば衆議院安保沖特は副大臣でいいと、つまり、安保沖特安保防衛庁長官主務大臣でおりますし、沖特担当大臣がおられますから、これは副大臣対応でいいということを衆議院の方でお決めいただければ、大臣はその間本来の外交ができるわけです。  参議院におかれましても、外交安保はこれは一つ委員会ですから、例えば沖特尾身大臣がおられますから副大臣で結構だというふうにお決めいただければ、我々が対応してできるということになるわけでございまして、この点はもう是非国会の方で、外務省外交重要性にかんがみ、特段の御配慮が願えると本当に有り難いと思います。これは私どもで決められる問題じゃございません。  先生御指摘のとおり、まだ大臣アメリカへも行っておられません。ロシアにも中国にも韓国にもASEAN諸国にも、マルチの会議はございますが、まだ足を運んでいただいておりません。アフガンは、今度の連休に行っていただけるように今、段取りしておりますが、イスラエルもそうでございますし、もうこれからの外交は、もちろん政府挙げての外交でございますが、やはり外務大臣にはできる限り足を運んでいただいて先方との話をしていただくというのが大事だと思います。是非参議院におかれましても、御配慮賜れば有り難いと、こう思っている次第でございます。
  31. 舛添要一

    舛添要一君 今、外務省含めて政と官との関係というのは非常に厳しく問い直さないといけないと思っていますが、私は、今おっしゃったように、官だけじゃなくて政の方、つまり国会改革も同時にやらないとこの問題は片付かないと思いますので、是非そういう方向外務大臣外交本来の仕事ができる体制を早く作っていただきたい。我々も努力をいたしますので、是非外務省の方でも、この一連の不祥事、そして新しい体制への変換、これは我々自民党の中でも改革のための委員会を作っておりますので、我々も協力をいたしますので、一日も早くそういう体制を作られることをお願いしたいと思いますので、外務大臣、最後に御所見お願いしたいと思います。
  32. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 何といいましても、今外務省がきちんとやらなければいけないのは外務省改革であると思います。これはきちんとやらなければいけませんが、それをやる意味というのは、正に外交において、外交の課題において、外務省がそれを推進することができる体制を作る、その行う外交について国民の皆様の信頼を持っていただくようにすることができるということだと思っております。私としましても、時間が許す限り改革にあるいは外交推進全力投球をしたいと思っておりますし、今まで二か月してきたつもりでおります。  私は環境大臣を一年七か月やらせていただきまして、その間、海外への出張、これはたまたま温暖化交渉等もございまして多かったのかもしれませんが、一年七か月で実は十一回海外出張をいたしております。外務大臣としては本来それよりもずっと多くのペースで行っていて当然だということでございますので、いろいろな仕事をやらなければいけないことは、国会対応はもちろんのこと、多いわけでございますが、全力投球をしたいと思っております。
  33. 舛添要一

    舛添要一君 続いて、防衛庁長官にお伺いしたいと思います。  南シナ海の不審船の問題ですけれども、これは政府として引き揚げるという方針、これはそういうふうに確認してよろしゅうございますか。
  34. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 私個人としては引き揚げる必要があるというふうに思っておりますが、政府として引き揚げるべく努力をされているというふうに思っておりますが、政府全体として判断をされる問題だというふうに思っております。
  35. 舛添要一

    舛添要一君 昨日でしたか、中国李鵬首相が来られて、これは中国排他的経済水域の中に入っちゃっているわけですが、これは外務大臣、場合によっては外務大臣ないしは防衛庁長官で構いませんが、我々が、我が国が引き揚げることについて一定の理解を示したということが報じられていますが、中国側の態度として非常に前向きになったというふうに判断してよろしゅうございましょうか。むしろ外務大臣でしょうか、これは。
  36. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 引揚げにつきましての、引揚げというか不審船につきましての李鵬委員長とのお話でございますけれども、昨日私は、全部で二十分ぐらいの時間でしたけれども、話させていただきまして、私の方から李鵬全人代委員長にこの話については持ち出させていただきました。  それで、これに関しまして私が申し上げたことは、発生時から中国に対しては密接に連絡を取ってきている、それで今後とも密接に連絡を取っていきたいということと、我が国としては、日本国民としてはこの不審船を引き揚げる、引き揚げるべきであると考える人が非常に多いということですけれども、日中間の政治問題、外交問題にすることなく理性的に話し合っていきたいということを私から申し上げました。  これに対して李鵬委員長からは、日本国民がこの不審船の問題にこれだけの関心を持っているということについては理解をしている、本件は本来それほど大きな問題ではなかった、今後とも適切に処理されるものと思う、日中関係の大局に影響するまで拡大することはないと考えるということで、国連海洋法条約の話をなさって、それに従って対処をしていくべきである、両国の外交部門の間で協議を行って受入れ可能な方法を見いだすべきである、自分個人としては本件については前向きな態度を持っていると、そういうお話がございました。
  37. 舛添要一

    舛添要一君 防衛庁長官にお伺いしますが、実際に引揚げということになったとき、まず第一に海上保安庁が中心になって引揚げをやるんでしょうが、その引揚げのオペレーションについて、防衛庁、海上自衛隊、いわゆる自衛隊としてどういう協力をやるつもりであるのか、その点をまずお答えください。
  38. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 委員御指摘のように、海上保安庁を主体として引揚げ作業が行われるというふうに思いますが、防衛庁といたしましては、引揚げに際しまして、海上保安庁からの協力要請があった場合には、例えば艦船、航空機による警戒監視、また潜水員の派遣、その他無人潜水装置等、資機材を保有しておりますので、防衛庁として必要な協力を行ってまいりたいというふうに思っております。
  39. 舛添要一

    舛添要一君 オペレーションとともに、今、警戒監視の話が出ましたけれども、具体的に、例えばどの程度の艦船を出すのか。それで、場合によっては妨害工作が入らないとも限らない。妨害工作について海上保安庁の持つ武力では、これは排除できないというときに当然海上自衛隊の力をかりないといけないんですけれども、そういうシミュレーションとか想定というのは具体的になさっているのか。例えばどういう護衛艦を出すのか、そこまでの詰めはおやりになっていますか。
  40. 中谷元

    国務大臣中谷元君) この点につきましては、実際に引揚げ作業が行われる状況等を見まして、その警備の在り方等につきましては海上保安庁と密接に事前に調整をして適切に行ってまいりたいというふうに思っています。
  41. 舛添要一

    舛添要一君 そういう質問をしましたのは、例の不審船追跡のときに海上自衛隊の艦船がすぐ近くにいなかった、仮に海上保安庁の船が撃沈されていたときにだれも後をバトンタッチするのがいなかったと、そういう状況ですから、今回はちゃんと期限を事前に決めてやるわけですからそういうことはないと思いますけれども、是非しっかりとバックアップ体制を取っていただきたいということをお願いしておきたいと思います。  続きまして、今国会で提出する予定の有事法制につきましてお伺いしたいと思います。  これ、私、毎回問題にしておりますけれども、今回出されましたこの法案、武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案、これは仮の名前ですが、について、これの一番最後の補則のところで、武力攻撃事態以外のもので、その国及び国民の安全に重大な影響を及ぼす事態にも緊急事態の対処ということがやられている、書かれているんですけれども、大規模テロそれから大規模災害、こういうことが当然含まれないといけないし、発生の蓋然性からいった場合に、外国軍隊による武力攻撃よりもはるかにテロや例えば震災のような災害の方が大きい、その可能性は大きいというふうに思います。こちら側についての規定が、これは必要な施策を講ずるとなっているだけで、いつ講じてくれるのかということがない。  そうしますと、様々な法律を変えて、かつて第一分類、第二分類、第三分類と言っていましたものを変えても、武力攻撃に対しては国民の生命と財産を守るけれども、大規模災害や大規模テロに対しては動かない、守れないということになりかねないし、災害対策基本法との整合性の問題もまだ十分詰めていないというふうに思いますので、是非これは閣僚として、政府一体となってやっていただかないといけないですし、これは公明党、保守党、連立のパートナーの皆さん方にも御協力いただいて、こういう点をちゃんとやるべきだと私は思いますが、なぜこういうあいまいな規定のままで武力攻撃の部分だけを先行させるのでしょうか。  もちろん、有事法制についての過去何十年にわたる議論の積み重ねが背景にあることは分かります。しかし、九月十一日のテロ以降は時代が大きく変わっている。そして、国民が、こういう時代にテロや災害ないし武力攻撃から国民の生命と財産を守る、そのため必要ならばある程度の不便は甘受すると、そういうコンセンサスができ上がっているときにこういう法律の出し方というのは私はうまくないというふうに考えますが、いかがでしょうか。
  42. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 舛添委員のおっしゃることにつきましては私も同感に思う、基本概念は同感に思っております。  今回の武力攻撃事態の法律の整備というのは、国家の最終段階というか相当な非常事態でありまして、そうなりますと、国民の権利等を含めて大きなところを決めておかなければならないという点で、非常に大きな部分での法律の整備が必要でありまして、そういう点で、今回整備する必要性というものは当然あるというふうに思います。  これに大規模テロが含まれるかどうかということについては、その規模によって武力攻撃事態と認定するかしないかというものがあると思いますが、武力攻撃事態に入らないそれ以前の段階においても整備すべき点がございます。現在は、治安出動とか海上警備行動とか災害対策において自衛隊の役割が入っているわけでございますが、今後とも国として自衛隊の役割をどう位置付けをしてどのように活用していくかという観点で、この武力攻撃に入る前の段階の法律の整備や運用の仕方を検討しなければならないと思いますが、今回の包括法の中にもそのことを検討するというふうに明記をされるように聞いておりますので、そういう中で、今後検討しなければならないというふうに思います。
  43. 舛添要一

    舛添要一君 検討するのは結構なんですけれども、例えば医療法の改正の問題がありますね。  野戦病院作りますね。そこで、敵が攻めてきて武力攻撃によって傷付いた日本国民をその野戦病院で治療、手当てを自衛隊の医務官がすることについては、今回の法律でこれはオーケーになりますね。  しかしながら、じゃ、テロ行為によって同じように我々の生命が脅かされた場合、それから阪神大震災のような大きな災害によって同様に我々の生命が脅かされた場合、この場合には今言った医療法の改正というのは適用できるのかできないのか。できなければこれは大変おかしなことになるわけで、日本国民の生命と財産を守るのが日本政府の立場でありながら、敵の武力攻撃のときだけは野戦病院で治療できるけれども、オウムのサリン事件のようなことが起こったり、もっと大規模な、炭疽菌ばらまかれたり大震災があったようなときには、野戦病院での、野戦病院という名前はおくとしても、要するに緊急で仮にこしらえた病院というのは今の医療法では病院と認めないわけですから、そこで治療行為は行えない。  しかし、それを改めないと、これはとてもじゃないけれども国民の納得のいくところではないというように思いますので、この件を含めて是非やっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  44. 中谷元

    国務大臣中谷元君) あらゆる段階において自衛隊の行う緊急医療活動等に関する検討は行わなければならないというふうに思っておりますが、現時点での状況といたしましては、緊急避難的に開所した救護所において、外傷治療や慢性疾患等への投薬等の医療行為を実施する場合に、これは災害派遣に基づく救護活動の一環として緊急時において正当になし得るものであるため、医療法の支障はなかったと。また、厚生労働省が救護所等の医療法上の位置付けを明確にした平成七年二月以降は、自衛隊が開設した救護所は診療所、地域の診療所として整備されたという点でございます。  こういった災害派遣がなされた場合、また大規模テロ等の対処等につきましても、改めまして検討をいたしたいというふうに思っております。
  45. 舛添要一

    舛添要一君 これで質問を終わります。ありがとうございました。
  46. 海野徹

    ○海野徹君 民主党・新緑風会の海野徹であります。  外務大臣最初に御質問させていただきますが、外務省の体質についていろいろ識者がコメントしております。後ほどいろんな側面を見てから、それに対する外務省対応をお聞きしながら、最終的に、外務省ってそうなのかなということで御質問をさせていただくわけなんですが、四月二日に三十七名の職員に対する処分が発表されました。  この処分に対して、いろんなところから北方領土外交やODA問題など外務省の失政には踏み込めていないんじゃないかと、あるいはなぜ鈴木氏の不正を許したのか説明が付かないと、あるいは今、舛添委員がおっしゃったように、ルールあるいはその処分が余り要するに明白になっていないんじゃないかというような話があります。  この間、私も外交防衛委員会に属して、当選させていただいてからもうずっとやっているんですが、非常に、毎年毎年いろんな事件が起きました。機密費の問題もそうだ、プール金の問題そうだ、沖縄サミットのときのハイヤー代そうだ、で、今度の北方委員会、こういう一連の不祥事を見ておりますと、やはりそこに、底流に流れる体質的な問題ってあるんじゃないかなと。外務省が省として持っている、要するに組織として持っている体質があるんではないかなと思うんですよね。  それが対外的な、要するに外交姿勢にも当然つながっていくわけなんですが、こういう不祥事が起きた原因をきちっと分析して、あるいは体質そのものを、要するに外的要因あるいは内的要因を含めて分析して初めて処方せんというのが出てくるわけなんですが、川口外務大臣自身としては、一連のこういうような不祥事を含めて、今まで就任されてからまだ日が浅いかもしれませんが、他省庁の要するに大臣やりながら、あるいはそういうところでいろんな協調作業もやってきていたでしょうから、そんなところで外務省の体質というのを要するにどのように分析されておりますか、御自身として。その辺、まず御質問させていただきたいと思います。
  47. 川口順子

    国務大臣川口順子君) まず、外務省が自ら、どういうことでこのような問題が起こったか、あるいはしかも続いて起こっているかということについて、きちんと理由を踏まえるといいますか、分析をするということは非常に重要なことだと私は思っております。  これをやる、だれがやるかということですけれども、これについては、外の人間がやって、こういうことでしょうということではなくて、中の職員が、特に幹部がそれをきちんとやって総括をし、反省すべきは反省をするということが、今、変える会その他で考えている改革案が実際に意味を持つものになっていくということのために非常に重要だと思いますので、そのことは私は幹部の人たちにはそう言っています。  それから既に、変える会に対して変わる会と称すべき中からの自発的なグループによるそういった問題の分析というのも始まっています。私は、それは非常にいいことだと思っておりまして、そういった動きが広がっていって、変える会の考えることとうまくそれが結合をして、それでいい改善策が実施に移されるということが大事だというふうに私は思っております。ということで、委員と問題意識は全く私は同じものを持っているつもりです。  その上で、私が何が問題だと考えるかという個人的な御意見をここで申し上げても全く個人の感想にしかすぎませんので、どれぐらい意味があるかというふうに思いますが、幾つかの要素があると私は思っておりまして、一つ外交という、その扱っている仕事の性格からくるものでございまして、これは、外交というのは基本的に個人が情報を取ると、あるいはそういうことから始まっているものですから、組織全体として情報を取るということではないわけですね。ほかの仕事に比べて個人的な役割が大きな仕事だと思います。もちろん、政策としてどういうふうにするかということは、ちゃんとその政策のラインで議論をして決定をしてやっていくということですけれども、ほかの省庁に比べますと、個人の役割がより大きいということが一つあると思います。しかも、ほかの省庁に比べますと、上意下達といいますか、上の方に情報が多く集まるといった色彩もあると思います。  そういったことが、全体として、日本の風土には珍しく、組織全体として決めて動くというコンセンサス方式を重視をするということよりは、むしろ個人の役割がより大きい、これが組織として物事、例えば特定の議員との圧力というのがあった場合に、組織として対応していくということが一つ薄いことにつながるんではないだろうかというのが一つです。  それからもう一つは、これはいろいろな意見が中にもありますし、外にもおありになると思いますが、やはり外交官というのが今まで非常に特殊な世界であって、試験も国家公務員試験ではなくて外交官試験であって、それから個人個人の外務省の職員が体験をしている世界というのも、基本的に日本ばっかりということじゃなくて、かなりの部分海外で過ごすことから、やっぱり物の考え方が少しずつ違っているということがあると思います。  それから、全体として今、政から、官から政へという意思決定のメカニズムが国内的に移ってきているといった問題も背景としてあると思います。個人個人の自覚というのが物事を、こういった問題の中で一番重要ですけれども、そのよって立つ個人のその考え方が、そういった経験がほかの組織とは違う、あるいは個人の役割が非常に大事だ、そういった、あるいは外交官試験という特殊な試験を通って、ほかの人はやることができない仕事を自分はやっている、そういった意識に混ざって問題を問題として考えなくなる。それが看過される、そういう風土につながっているかなという気がしますが、これは私個人の感想でございます。
  48. 海野徹

    ○海野徹君 ずばり一言で、要するに体質をということは、なかなか言えないと思いますし、今、外務大臣個人のということでのお話だったんですが、その中でも二つほど、個人の役割が大変大きいということと特殊性がある。特殊性ということで隠れみのになって、それで、ある意味じゃ安住してしまって、それが内向きだったり、お公家さん集団じゃないかというやゆされるようなことになっているのかなという思いもあるわけなんですが、ただ、個人というのは、やはり外交というのは国対国というよりも、個人対個人の信頼関係が国対国の信頼関係につながっていきますから、外交って基本的にそうだと思うんですよね。そうなると、要するに個人の能力開発というのは大変重要だと思うんです。  これはいろんな事象を要するに整理整とんして分析していくという、本質を見極める分析力が当然求められるでしょうし、一つ、何かが事件が起きたらそれを非常にイメージ豊かにして、それが要するに我が日本にどういう国益に問題をもたらすのか。あるいは、相手国に対してどういうようなことが起きてくるのか。そういう要するにイメージを膨らます想像力、これも非常に重要だなと。  そういうことの個人の想像力とか分析力については、ある意味では研修というんですかね、そういう養成システムというのはおありだったんですか。これは通告していないですから、あれだったんですが。
  49. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 個人の人間が様々な研修を受ける、訓練を受けるという場は、外務省の職員は、これはⅠ種で入ったか専門職として入ったかといったことで違いはありますけれども、割にあるのではないかと思います。  ただ、その訓練の方向が、一つは語学研修でもありますし、一つはそういった外国の外交官の人たちと交わるという場であったりということで、日本の国内で日本の国の国民が何を考えているか、あるいはNGOあるいはそういった支援団体の人たちがどういう仕事をしているかという、足が地に着いたところでの体験を持つという部分というのは少なかったのかなというのが私の印象でございまして、その点を改善をするために、今、研修、若い人の研修をまだ十分ではありませんけれども、例えばNGOの団体に行ってみる等の研修を始めています。  まだ日数が非常に少ないので、とても意識改革につながるほどまではいきませんけれども、第一歩としてそういったことも始めておりますし、私は民間企業で仕事をしてみるとか、青年海外協力隊に加わって一緒に仕事をする、地方自治体で仕事をする、もう少し日本の広い社会がどういうことをやっているのかということを体で体験できるようなそういう研修をやる必要があると考えておりますし、これは外務省でも既にそういう方向で動き出しているということでございます。
  50. 海野徹

    ○海野徹君 それでは、李鵬首相も来日されておりますし、日中関係について御質問させていただきたいと思うんですが、経済産業省の方にお聞かせ願いたいんですけれども、日中間の貿易構造、大変様変わりしたんじゃないかなと思います。  日本の対中赤字、この数年大変増大が目に付くわけなんですね。二〇〇一年の対中赤字、多分確定しているので、前年比二二%増の約三兆三千億円、これぐらい赤字になっているんじゃないかなと思うんですが、こうした赤字の額、年々増加している、それが要するに我が国の産業に対するいろんな意味で影響を与えているかと思うんです。その辺の影響、あるいはこれから対中投資も当然増えていくわけなんですが、その辺の要するに傾向、それと、我が国内に与える影響、中国というものをじゃ、要するに産業界として、経済産業省としてどう見ていくかということの御質問をさせていただきたいと思います。
  51. 仁坂吉伸

    政府参考人仁坂吉伸君) 御説明させていただきます。  今御質問にございましたように、日本との、日本とそれから中国の貿易は、輸出も輸入も大変伸びております。輸出の方は約一五%増の三兆七千六百億円ぐらい、それから、輸入の方はこれより多うございまして、一八%増ぐらいの七兆三千億円ぐらいでございます。これを考えますと、日本の方の入超でございます。  ただ、ちょっと東アジアの貿易関係を見てみますと、実は日本は香港に対してはかなりの出超、それから台湾に対してはやはりかなりの出超、韓国に対しても出超でございます。それで、中国の方もそれぞれの国と貿易関係がございまして、例えば韓国と中国では韓国の出超、台湾も香港に対しては出超でございます。したがって、東アジア全体で考えますと、我が国で例えば作りましたものが何らかの加工をされながら東アジア全体を回っているというような、こういう構造になろうかというふうに思っております。  それから、これは実は昨年の通商白書で分析したところでございますが、貿易の中身もだんだん変わってきております。この十年間ぐらいに、例えば機械類の貿易を考えますと、この東アジアの中で機械部品の占める割合というのは随分広がっているわけでございます。したがって、貿易関係も、日本が原料を輸入して、そして機械を輸出するというだけじゃなくて、部品をどんどんと作りながら、加工度を高めながら、こういう国々の間でぐるぐる回っているというような感じが出てきているのではないかというふうに考えております。  それから、投資につきましては、実は対中投資を、日本側からの直接投資としての対中投資を考えますと、九五年が今までのピークでございました。約四千三百億円ぐらいの投資がございました。その後どんどん減ってまいりまして、九九年が最近のボトムで、約八百億円余ぐらいまで下がってきましたが、二〇〇〇年それから二〇〇一年と増加をしております。二〇〇〇年は千九十九億円でございまして、二〇〇一年は上半期しかないんですが、九百十九億円ということでございます。  ただ、一言申し上げますと、二〇〇〇年の我が国の企業の対世界投資の中での中国の占める割合ですが、これは二%ぐらいでございます。したがって、金額的には中国ばかりというわけじゃないんですが、対中投資もかなり増えている。その中身でございますけれども、伝統的には繊維も多かったわけでございますが、一位は累積でいいますと電気機械でございます。それで、繊維が続きまして、一般機械やあるいは輸送機械がそれに次ぐと、こういう状態でございます。最近では、電気が半分ぐらいを占めておりまして、機械やあるいは輸送機械がそれに次ぐレベルでございます。  これの動機といいますか、どういう関係で投資をしているんだろうかということなんでございますが、もちろん低賃金あるいはコストが安いということを利用して中国で生産をするということを行っている企業が多うございます。大体、今までの投資の三分の二ぐらいが製造業投資でございますので、そういうことを考えているのではないかというふうに思われます。  ただ、最近では、中国の市場、これがWTOに入りましてかなり開放されてくる予定でございます。そのビジネスチャンスをにらんで中国市場向けの製品を作るというところもかなり増えているというふうに思われます。  それから、先ほど低賃金というようなことを申し上げましたが、考えてみますと、こういうものを利用しながら我が国企業がグローバルな市場において競争力を確保すると。国際競争力を維持強化して、それで世界の中で発展するというようなこともまた大事な視点かなというふうに思います。なぜならば、そういうふうに企業が発展することによって、我が国の雇用というのもまた何がしか出されてくるからであろうかと思います。  それから、先ほど相互補完と申し上げましたが、日本の例えば投資が増え、あるいは中国からの輸入が増える。これは逆の面でいえば、日本からの部品輸出も増えるというようなことにもなっておりますので、その分も考えなければいけないかというふうに思います。  したがいまして、確かにある一つの局面を取りますと、中国に対する投資やあるいは貿易によって雇用がその分だけマイナスになるという部分もあるかと思います。ただ、考えなきゃいけないのは、こういう全体の日本の国富ということを考えますと、例えば貿易や投資に対して一概にネガティブに考えるべきではないのではないかと、そんなふうに考えております。
  52. 海野徹

    ○海野徹君 いや、大分懇切丁寧にお話しいただいたものですからあれなんですが。  それで、経済産業省の方にまたお聞きしたいんですが、当然、WTOに加盟して、要するにこれだけの対中投資が増える、あるいは日本等、日本の製造業も向こうへ行って製造しているというような状態ですから、非常に訴訟ラッシュになっているという話が多いですよね。  それで、日本の企業に対するバッシングが非常に激しくなってきたということが多いんですが、その辺に対して要するに何らかの対応を経産省としてはしているんですか。それとも、ただ単なる情報を集めているだけなのか。あるいは、そのことについて外務省とどういうような連携を取っているのか。その点について、短くお話しいただきたいと思います。
  53. 仁坂吉伸

    政府参考人仁坂吉伸君) それでは、簡単に御説明を申し上げます。  今バッシングと言われましたんですけれども、二つあると思います。  一つは、制度的な問題が絡む話で、例えばWTOの約束を中国が守らないケースというのも頭の中では想定されるわけですが、こういうケースについては、これは政府責任として、我が国企業の利益を守るために政府が前面に出ていって関係各省と相談しながら中国と対峙していくということが大事だと思っております。  それからもう一つは、企業をめぐるトラブルというのがたくさんあると思います。この問題につきましては様々な要素があると思いますけれども、私どもとしては、今までは在外公館やあるいはジェトロやあるいは諸団体、企業、そういうところからの情報提供がございますと、その事実関係をよく調べて問題の所在をいろいろ勉強してまいりました。確かにいろいろあることは存じ上げております。  日中関係も、こういうふうに広範になりますと、いろんな問題、トラブルが出てまいると思います。中には、それは企業の問題というところもあるかと思いますけれども、仮に問題の所在により日本の企業が不当に不利益を被るということであれば、同じく外務省や在外公館と協力しながらこれに必要な手を打っていく、そういう必要があるかと存じ上げます。
  54. 海野徹

    ○海野徹君 外務省にお聞きしたいんですけれども、今の企業バッシング、訴訟ラッシュで非常に日本の進出企業が苦慮していると、これは非常に深刻な問題だということなんです。今、経産省の説明でも、やはり外務省と要するに連携してという話なんですが、これは具体的な例としてこういう例が最近あります。  これは中国に限ってではないんですが、ある東南アジアの非常に目覚ましい発展を遂げている国があるわけです。そこへ沖縄のメーカーがエンジンの部品を納めていた。それが急遽キャンセルになった。そのキャンセルになったのはなぜかと背景を探っていって、事実関係を探っていきましたら、これは降ってわいたような事件じゃないんですね。  昨年末からその国が部品の内製化をして、製品を外に輸出していくと。その内製化率を高めるために要するに海外からの部品の調達にかかわる税金を高めていこうと。それを公にしているわけです。公にしたんだけれども、それで国内で政府はそれを発表したんですが、国内の所管の省庁との調整がうまくまだいっていなくて、その実施については半年ほどずっと延ばしてきたわけなんですね。  その間に我が日本の企業もいろんなその政府に働き掛けをして、私たちの製品を早く納めてください、受け取ってくださいという努力をそういう個々の企業がしてきたんですが、これは在外公館の機能として、要するに日系企業あるいは日本人に対する、その国での活動をとにかく安定して行えるように在外公館としては一生懸命やっていると、私の前回の質問のときにそういうようなお話がありました。まあ当然だと思うんです。  これは、昨年の段階からこういう問題は既に、政府が発表した施策ですから分かっていた。分かっていたら、当然それに対して対応があってしかるべきかな、これは外務省なりの対応があってしかるべきかなと。それは、情報を与えて要するに準備しなさいよということになるのか、そういう具体的な問題は分かりませんが、それがあってしかるべきかなと思っていろいろその企業に聞きましたら、いや、外務省の方からは一切そういうのはありません、自分たちが現地でやっているうちに情報をつかんで、さあこれは困ったということでやり出したんですと。それで、現実に困っていますと、だからそこの今大使館へある意味じゃ要請に行ってまいりましたという話なんですね。そういうことが非常に多いんですよ。アメリカでも、いろいろ戦時補償ですか、あるいはまた要するに企業がいろいろやり出しているというような話がある。  こういうことに対して、外務省としては非常に、先ほどの個人の役割が大きいというだけに敏感に反応していただきたいと思うんですけれども、その辺の在外公館の要するに機能というのは、私がこの間質問をさせていただいて、これは一年ほどたつわけなんですが、その後、要するにその体制作りというのは進んでいるんでしょうか。
  55. 田中均

    政府参考人田中均君) ちょっとその個別具体的な例というよりは一般論でお答えするしかないんですけれども、幾つかお答えを申し上げたいんですけれども、一つは、在外公館の機能として、企業活動にかかわって明らかに相手国との関係でおかしいこと、そういうことについては、在外公館はきちんと事情を聴いて、相手国政府に申入れをするなりそういう措置を取るべきだというのが私たちの基本的なガイドラインということになっています。そういう意味のガイドラインというのはすべての在外公館にあまねく周知徹底をせしめているということでございます。  それからもう一つに、企業が企業情報としていろいろ活動をされて商売をしていかれるということもありますし、個別具体的な情報というのが果たして一般的な制度にかかわるものか否かということは在外公館でも見極める必要があるというふうに思います。  それからもう一つは、これはWTOのルールとかOECDのコードとかそういうこととの関係で明らかにおかしな事例、こういうものについては当然相手国政府に申入れをすべきことだと思いますし、今、委員が御指摘になった個別具体的な国というのは私もよく分かりませんけれども、今のようなお話であれば、仮に二国間で投資保護協定があればその投資保護協定に乗っかって正に二国間で問題処理をすべき問題であるかもしれません。  したがって、私どもとしては、特に最近、在外における企業活動について、客観的な意味でできるだけ御支援はするべきだというふうに考えております。
  56. 海野徹

    ○海野徹君 非常に限られた時間で、質問通告、かなりさせていただいたんですが、もう時間がありませんものですから、最後にやはり中国からの農産物の輸入の問題で質問させていただきたいんですが、残留農薬の問題、非常にこれ懸念しているところなんですね。  この基準が、私はある意味では、諸外国から、要するにこれを高くすると、基準値を高くするとそれは貿易障壁だというような形で非常に非難があるから、ある程度緩めているのかなという思いがあるわけなんですが、今、この中国の農産物の残留農薬に対する要するにチェックというんですか、現実どういうような対応をされているか、お話、お聞かせいただきたいと思います。簡単にお願いしたいんです。
  57. 尾嵜新平

    政府参考人尾嵜新平君) 中国野菜の残留農薬問題につきましては、昨年の十二月に、非常に中国国内での残留農薬の違反が、安全基準を超えたものが多いという報道がございました。それを受けまして、私ども、外務省を通じまして中国政府に確認をしたわけでございます。それで、この国内での基準を超えるものが多いというのは事実だというお返事をいただいております。  同時に、日本に輸出をされております野菜については厳重な管理をしているから大丈夫だという政府のお話でございましたが、私ども、そういった国内での状況も踏まえまして、検疫の中で輸入食品、特に中国の野菜についての検疫におけるモニタリングをやっておりますが、その検査率を届出の全件数を行うということで、一月から検査強化月間ということで対応してきているわけでございます。  それで、二月の十八日までその対応を延長しておりましたが、その結果を踏まえまして、違反が認められておる野菜につきましては、命令検査を掛ける、あるいはモニタリングを一〇〇%にするというふうなこと、あるいはその他の野菜につきましても通常よりは高いモニタリングの検査率ということで現在まで対応しております。  簡単に申し上げますが、三月三十一日までの検査の結果では四千四百九十六件中十件の違反がモニタリングでは出ておりまして、検査命令を掛けたものにつきましては七百八十六件中九件の違反が認められていると、そういう状況にあるということでございます。
  58. 海野徹

    ○海野徹君 大変、通告していて答弁をいただかない省庁の方々、大変申し訳ありません。  時間が来ましたから、これで終了させていただきたいと思います。
  59. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 よろしいですか。私からは、最初外務大臣にお尋ねいたします。  東郷大使の件と、こう言った方が分かりやすいと思います。今回、東郷オランダ大使、更迭されまして、そのことが新聞は東郷大使免官あるいは免職と大きい見出しで報道しておりまして、国民の相当多数の人たちはそれを見て、はあ、大使にもこんな悪いやつがいるのかと、よほど悪いことをしたんだなと、そういう感じを持たれた人も、持った人も多かったのではないかと思いますが。  先ほど、舛添議員の質問に対しましても簡単に答えられておりましたが、要すれば、欧州局長時代に鈴木宗男議員と意を通じて、政府の方針に反して二島返還に動いたり、いろんなロシア支援について数々の独断専行に走ったと、そういうことが更迭の理由だと、こう承ってよろしいですか。
  60. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 東郷大使の職を免ずる理由でございますけれども、処分理由は、対ロ外交推進する省内体制混乱をもたらした結果、外務公務員信用を著しく失墜させたということでございます。
  61. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 東郷大使大使を発令を受けたのは昨年五月のことであります。そして、大使というのは格別に重い地位です。認証官と言っておりまして、内閣が発令して天皇がこれを認証をする、よってもって認証官と言われておりまして、一般の省庁の事務次官は認証官じゃありませんから、普通の省庁にはそういう重い地位の者はだれもいないわけです。防衛庁にもたしか一人もいないと思います。統合幕僚長も認証官ではございません。それだけ重い地位でありまして、陛下が、陛下に対して、これは本当に人格、識見間違いのない人間ですから是非とも御認証をいただきたいといって、陛下がそれを了解して、そうですかと、そんな立派な方ですかといって認証をしていると。  本件の場合、東郷さんは戦争中の外務大臣東郷茂徳氏の孫ですから、陛下も多分覚えておられて、あのお孫さんですか、それならもう立派な方に間違いないと、こういって昨年五月、認証をされて、彼は大使としてオランダに赴任したと。ところが、それから一年もたたないうちに更迭、免官だ免職だということになりました。  だれだって、これ、一体何だろうかと。陛下が一番驚いたんじゃないでしょうか。何か任地で不始末をしたんですかと、セクハラでもしたんですかと。陛下がセクハラという言葉は知らないと思いますけれども。そういうことならばまだ分からぬわけでもないわけですけれども、めがね違いということもありますからね。  しかし、欧州局長時代のこれは問題を取り上げて、今更迭しているんですよ。一体、こんなことが許されますか。なぜそのときに、陛下にうそを言ったことになるでしょう、それならば。こんな立派な人間はないと、陛下もそうですかといって認証をしたら、それが一年もたたないうちに、あれはうそでしたと。何しろ欧州局長時代にさんざん悪いことをして、外務省の方針に反して国益を害した男ですから、首にしますと。辞めさせるときにも、またこれは認証を、陛下の認証が必要なんですね。陛下、これ何ですかと聞くでしょう。ああ、それじゃ、私にあなた方、うそを言ったんですかと、そんなことを言わせた犯人はだれですかと、陛下だってお怒りになると思いますよ。  一体、何でそんなことになったんですか。あなた、これ当然分かっていたでしょう。これは昨年五月に発令した件なんだと、辞めさせる理由はそれ以前のことなんだと、これをなぜ隠しておいた、そして認証官にしたんですかと、当然質問したでしょう。そうしたら、どういう回答が来ました。
  62. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今回の人事的な措置につきましては、これは、三月四日に発表いたしました北方四島住民支援に関する調査結果報告書及び在京コンゴー民主共和国臨時代理大使等を巡る諸問題に関する調査結果報告書を踏まえまして、ヒアリングを含めた調査を行いまして、これに関して人事上の措置を取ったものでございます。
  63. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 失礼ですけれども、私の話を聞いておられないんですか。こういうことは外務省の内部で東郷局長が鈴木宗男議員と結託していろんなことをやっているということはみんな知っていたことですからね。なぜそのときに、これを大使にしようかというときに、外務省はこんな立派な人はないとこう言って陛下に推薦したわけでしょう。そして今になって、三月で調べてみたら分かりました、そんなばかなことないわけです。みんな当時から知っていたわけで。そのときはそのときで鈴木議員の勢力を利用しようと思って東郷さんを大使にしたと。宗男議員も大変喜んだことでしょうね。ああ、そこまでやってくれるかと、外務省よ、ありがとう、ありがとうと。そしたら、その宗男氏の威勢が衰えてきたら途端に、あんな悪いやつはいません、それに結託したのはあの大使ですからといって免官してしまう。こんなこと、許されますか。まともな常識人のやることじゃないでしょう。  当然のこととして、なぜ、じゃ去年の五月、東郷さんを大使にしたんですかと、そういうことをあなた方知っていたでしょうと、そういう、鈴木宗男議員と一緒になっていろんなことをやっていた、外務省の方針にも反して我々外務省にも迷惑を掛けた、それをなぜ認証官という限りなく高い地位に就けたんですかと、それを今になってすぐ更迭しろと、そんなことが許されるわけないでしょうと、そういう質問をしなかったんですか。それを聞いているんですよ。
  64. 川口順子

    国務大臣川口順子君) したがいまして、先ほど御答弁をさせていただきましたように、今回の措置は三月四日に発表をした二つ調査報告書を踏まえましての人事上の措置であるということです。
  65. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 そんなことは、ですから、もうずっと前から外務省じゅうにもう公知の事実だったことですよ。それを宗男、鈴木議員が威張っているときはみんな黙っておって、あんな、東郷大使東郷局長、あんな立派な人はいないとこう言っておって、認証官にまで持ち上げて、そして宗男議員の勢力が衰えたと思ったら途端にあいつを辞めさせろと、こんなことが人間として許せますかということを私言っているんです。三月の何のかんのと言っているんじゃないんですよ。歴史の経過を眺めてごらんなさい、私の言っているとおりですから。そんなこと一切知らなかったと。三月に調べてみたら、なるほど東郷大使というのは鈴木議員と結託してさんざん悪いことをした、それがよく分かりましたと、初めて分かりましたと、そういうことをおっしゃるんですか。だから、陛下にはどうやって謝るんですか。大変重大な問題ですよ、これ。
  66. 武見敬三

  67. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 ちょっと、ちょっと、大臣の、この問題、大変重大な問題ですから、大臣、答えてくださいよ。
  68. 武見敬三

    委員長武見敬三君) 杉浦外務大臣。簡潔に答弁をしてください。
  69. 杉浦正健

    ○副大臣杉浦正健君) はい。北方四島支援問題については、園部参事を中心にして、この鈴木先生の問題が表面化してから調査した結果分かったことでございまして、それまで公知の事実であったということはございませんし、調査の結果判明した事実に基づいて大臣処分されたというふうに私ども思っております。
  70. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 鈴木議員が二島返還論を唱えたりしたなんということは、もうおたくの内部文書に皆残っているでしょう。そして、東郷局長もそれと一緒になっていろんなことを言ったり行動したりしたと。全部内部文書にも残っていることでしょう。ですから、それを今度の園部調査がその文書を見て、ああ、なるほどこれはけしからぬ、許し難いということで報告書をまとめたと。それだけのことでしょう。園部さんが初めて発見して、外務省の人たちも皆、ああそうか、そんなに悪かったのかと、こんなこと信じられますかということを私言っているんですよ。どうですか。
  71. 川口順子

    国務大臣川口順子君) はっきり申し上げておきたいんですけれども、北方領土の返還交渉についての我が国の立場というのは、一貫として四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結をするということでございまして、このような政府の立場が変更をされた二島先行返還論政府提示をしたということは全くないということでございます。  したがいまして、東郷大使の言動によって政府の立場が二島先行返還論に変更されたということはございませんで、したがいまして、このことは東郷大使に対します今般の人事上の措置と全く関係がないということでございます。
  72. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 ならば、東郷大使に対する更迭の理由は何なんですかということを最初に私聞いておるでしょう。政府の方針に反していろんなことをやったんだと。いろんな意見北方の二島返還、四島返還、いろんな考えがあって、それで自由に国民が、あるいは官僚が、あるいは政治家が議論するのはそれは構わないことなのでありまして、それを聞いておって国の方針というのが一つ徐々に徐々に形成されていくわけですからね。あなた二島返還論を唱えたでしょう、けしからぬと、そういうことはもう独裁国家ですから、何の理由にもならない。  東郷さんの、具体的に一体どんな国益に反する行為をしたんですか。それが分からないんですよ。彼は一切間違ったことはしていないとはっきり言明しておりますので、私も不思議だなと思ってさっきからくどいほど尋ねているんですけれども、なかなかはっきりとお答えにならない。今分かったって、絶対おかしいですよ。そんなことが、更迭するだけの不始末があったということが今分かりましたと。外部の者を入れて調べたら分かりました、内部の者は一切それまで知りませんでした。外務省って本当に役所なんですか。ちょっと言いたくないんですけれども、余りにも無責任過ぎるでしょう。いかがですか。
  73. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 冒頭申しましたように、東郷大使に対して今回の人事上の措置を取りました理由は、対ロ外交推進する省内体制混乱をもたらした結果、外務公務員信用を著しく失墜をさせたということでございます。
  74. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 余りもうくどいこと嫌になりますけれども、そんなことは、対ロ外交について混乱を招いた、日本の権威を失墜させたということは、そのときから分かっていたことでしょうと私言っているんですよ。みんな知らぬふりをしておって、鈴木宗男議員が怖いものですから知らぬふりをしておいて、彼の姿が見えなくなったら途端にそういうことを言い出して、対ロ外交混乱させた、どうだこうだと。  今混乱させているわけじゃないんですからね、二年も前に、三年も前に混乱させたと、こういうことですから、東郷さんを大使にするときにもう分かっていたことでしょうと。だれが考えてもそうでしょう。この三月に初めて分かりましたと、本心でそんなことを言っているのかと、こう言いたくなりますけれども、この問題、また尾を引いて後でやるかもしれませんけれども、これはこのぐらいにしておきます。  それから、今度は防衛庁長官に主としてお尋ねいたしますけれども、キューバにおけるアフガンの捕虜の取扱いの問題なんでして、新聞報道その他によれば、テレビにも出されておりましたけれども、数百名のアフガニスタンで捕虜になった者たちがキューバに送られてくる。皆、目隠しをされて後ろ手錠を掛けられて、一列で数珠つなぎになって引っ張り回されておる。そして、一人一人が小さな金網でできているおりに入れられている。こういう状況を見て、イギリス、フランス、ドイツ、EU諸国が皆、これはジュネーブ条約違反ではないかと、こういうことを言い出しました。私もそのとおりだと、こう思いましたら、アメリカが何と言ったかというと、これはほとんどが捕虜ではないと、テロリストだと。だから、ジュネーブ条約の適用はないと、こういうことを言っているんですね。  そうして、そうしてテロリストならば、これは御案内のとおり犯罪者ですからね、一般の裁判所が犯罪者として刑事訴追をする、日本でいえば刑法の何条に該当する、そして刑事訴訟法の規定に従って普通の裁判所に起訴をして裁判をしていくわけでありまして、有罪判決が確定するまでは無罪の推定を受けるから、後ろ手錠を掛けたりして引っ張り回すなんということは許されないことなんですよね。  ところが、アメリカはこれはテロリストだと。それじゃ、一般の裁判所に起訴するのかといったらそうじゃなくて、軍事特別法廷を作って、そこに訴追をしている。これは裁判官が全部軍人ですから大体結論は見え透いていると、法律家じゃありませんから。そういうふうにも思われるわけですが、死刑判決を下すときだけは全会一致だと。一般には、それじゃ、一体何というアメリカの国内法に基づいて裁いておるのかと。そんな国内法はないと思いますし、仮にあったにしてもアフガニスタンで捕まえた者に適用されるような法律ではないと思いますよ。  そもそもテロリストというのは、あなたも御承知でしょうけれども、政治的な目的を抱いて反対派のだれかを暗殺してやろうと思って一般市民を装って近づいていってナイフか何かでぐさりと刺してしまう、正しく殺人なんですね。今回のイスラエルでの、パレスチナでの自爆テロも、一般市民を装ってレストランなんかに入り込んで油断を、人のすきを見て爆発させて自爆すると、正しく犯罪なんですね、あれ。軍事法廷で裁くような問題じゃないんです。  こういうことについてアメリカの法律家が、何か知らないけれども、ほとんど発言しないのも私はおかしいと思っておりましてね。これ、なぜ防衛庁長官にお尋ねするかというと、自衛隊だってこれから有事立法を作ってどこか、アフガニスタンかどこかに侵攻していくこともあることなんで。それで、何か捕虜になると、これは捕虜ですよと言っても向こうは、いや、こんな者はテロリストだ、人の国へ入ってきてめったやたらに人殺しをしているテロリストだ、よってもって、これはこっちで勝手に裁くんだと言われたって弁解する余地がない。現にアメリカがそうやっているじゃないかと言われたときに弁解する余地がないんですよね。  いずれにしろ、捕虜か、それからテロリストか、その区別はありますけれども、裁きというものは、法の手続に従って厳正に、しかし適切に行われていくのが当然なことでありまして、相手がアフガニスタンのいい加減な連中だからどうでもいいやというのがアメリカの考えでしょうけれども、こういうことについて、防衛庁長官として国防省の方々に、本当にひざ詰め合わせて議論をして、こういうことが許されるんだろうか、あなた方どういうふうな考えでいるのかと、そういう議論をしたことがございますか。もしなければ、これから是非にもそれをやっていただきたい。  そして、アメリカにもやっぱり良心というのはあるわけですから、今のこの法律制度を作り上げたのはイギリスとアメリカですから、その人たちが一番よく知っていることでもあるんです。あなたの言うとおり、確かに我々は行き過ぎたことをしている、反省しているよ、いずれ機会を見て国内で話し合ってきちっとしたルールを確立したいと言ってくれるだろうと思いますので、いかがでしょうか。
  75. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 私も、アメリカによって抑留されているアルカイーダ、タリバンのメンバーの扱いにつきましては人道的な待遇が必要であるというふうに考えております。  アメリカの扱いにつきましては、タリバンの抑留者はジュネーブ条約の適用を受けるが同条約の捕虜には当たらず、またアルカイーダの抑留者には同条約が適用されないとの立場を明らかにいたしておると承知をいたしておりますが、タリバンは当時のアフガニスタン政府の政権であって、それの兵士であったと、しかしながら、階級章を付けていなかったり制服を着ていなかったり、国際的には軍人というふうにみなされないのでこの捕虜には当たらないのかなというふうに思いますし、アルカイーダの場合は、これはもう個人的な集団でありまして軍人ではないということでありますが、アメリカの見解は、これらの者を放置をしておけばアメリカ政府や国内においてまたテロを起こして国民を殺傷するという観点で拘束をしているのではというふうに思っておりますが、これは米政府が認めているように、このジュネーブ条約が適用されていないという観点で拘束をしておりまして、私としては、人道的にこれらの抑留者を取り扱う旨発言をいたしたいというふうに思います。
  76. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 私、言っていることは、私の独断じゃなくして、世界じゅうの法律家に聞いてごらんなさい、皆同じことを言うに違いないと思いますからね。是非ともそういうことで、あなたもアメリカにいろんなルートがあると思いますので、アメリカの法律家の意見を聞いてみる、あるいは国防総省の人たちと議論をしてみるということで、一歩でも二歩でも、やはり近代法治国家という精神を忘れずに進んでいくということで頑張ってもらいたいと思います。  外務大臣、今の件はいかがでしょうか。これは、外務省のマターでもあろうかと思いますので。
  77. 杉浦正健

    ○副大臣杉浦正健君) 今、防衛庁長官が申されたとおり、我が国としても抑留者が国際法を踏まえて人道的に取り扱われることが重要であると考えていまして、外務省としても米国政府に対して、本件に高い関心を有している旨伝えてまいっております。  個人的な意見を申し上げれば、あのテレビの映像を見ておりますと、事実関係、よく分からない点があるわけですけれども、先生御指摘のような点があるわけでして、私は弁護士でございますので、デュープロセスの本家であるアメリカのバーアソシエーションがなぜ物を言わないのか、正直言って不思議に思っているところでございます。
  78. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 最後のお言葉を重く受け止めさせてください。  それから、イスラエルとパキスタンの問題についてちょっと、これまた感覚を承ればと思います。防衛庁長官外務大臣であります。  イスラエルの問題が今大変に大きな騒ぎになっておりまして、もう戦争が始まるんじゃないか、現に始まっておるんだと、こういうこともあります。あるいは、歴史を私はあれこれ述べる必要は全くないと思いますけれども、ユダヤ人があの土地に住んでいたのはもう二千年以上も昔の話でして、ローマその他が入ってきて世界じゅうに追い払われて、そして諸外国に住んで頑張ってきたと。それを、シオニズムという運動があって、先祖の土地に帰ろうということで、第二次大戦が終わったときにイギリスが音頭を取ってあそこに国をつくって、ユダヤ人が世界各国から集まってイスラエルという国をつくったと。しかし、第一次、第二次、第三次の中東戦争で戦ってみたがアラブはイスラエルの敵ではないと。イスラエルの占領地がだんだん拡大していって、最後に、今でも押さえているところがヨルダン川の西岸とガザ地区、こういうわけですね。  あそこは、しかしパレスチナの側から見れば正しく先祖の土地なんですね。もう何十代、何百年ということでここで我々の先祖が暮らしてきたことだ、それを入ってきて占領して、さあ何だかんだと言う、一体何だという気になるのは当たり前のことで、日本の例で例えれば、例えば九州辺りに異民族が入ってきて、ここはおれたちが占領するということになり出したとすれば、日本のやっぱり若者たちも大変憤慨をして、一体何だ、あいつらは、すぐ追い出せと武力で対抗する、それができなければ我々も自爆テロをやろうということで、ああいうことをやる若者だって一杯この日本に出てくると思いますよ。特攻隊がそうでしたから、現に。いいか悪いかは別ですよ。いいか悪いかは別ですけれども、そういうことですから、パレスチナの人たちの気持ちが私、十二分に分かるわけです。それを、テロは犯罪だ、それにはもう軍事力をもって報復するしかないと、こういうのが今のシャロン首相の考え方なんですね。  アメリカが、クリントン大統領のときは、イスラエルパレスチナの間に入って、何とか打開の道を探そうということでラビン首相ともいろいろ話し合って、穏やかな穏健路線で行きましょう、アラファト議長も入れて話し合いましょうということになったんですけれども、パレスチナの中にはやっぱり穏健路線には反対という超過激派がいますから、それが自爆テロを繰り返したと。そこで、イスラエルの首相がシャロンに替わって、彼はもう右翼的な、大変な、これは力で征伐するに限るといって、自爆テロがあるとすぐ軍隊を派遣して一般民衆にまで大変な犠牲者を出していると。  これ、向こうサイドで立って考えたら、一体何なんだと。これは我々が命を投げ出して全員が彼らと戦うしかないという決意に変わるのは当然といえば当然だと私は思うんであります。  やっぱり、こういう時代ですから、アメリカの、これはイスラエルに対する影響力を持っているのはアメリカしかないわけですからね。アメリカブッシュ大統領が発言をして、そしてシャロン大統領と、シャロン首相と語り合って、穏健の中に話合いの中に一つの路線を敷いていくと、それしかないと思うんですけれども、どうもブッシュさんも戦争好きなものですから、やれやれというふうに暗にけしかけているというしか思えない。  これまた、第二次大戦で敗戦という大変つらい目を見て平和憲法を持っている日本の、日本国の本当に発言する問題ではないのかと。遠慮なく、そういうことはやめて、時間は掛かるにしてもお互いが話し合って徐々に徐々に平和な方向に進んでいく、そういうことを考えませんかと。問題を国連の場に持ち出すも良し、何をするにしても良し、日本がリーダーシップを握ってああいう問題に首を伸ばしていく、そういう時代がもう来つつあるのではないか、こういう感じもしておりますので、防衛庁長官、いかがでしょうか。これはやっぱり戦争だと、こういうふうな受け取り方ですからね。
  79. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 全く佐藤先生と同じ考え方をいたします。  私も四回ほどイスラエルに参りましたけれども、PKOや国際社会協力努力イスラエルの指導者、またアラファト議長などの相互信頼等によりまして良好な関係のときでありまして、オスロ合意が機能してパレスチナ自治政府ができるんじゃないかというふうに期待をいたしましたが、その均衡を破ったのは、やはりシャロン氏が丘の上のイスラムの聖地を訪れて挑発的な行動をしたときからこの和平プロセスが崩れた発端だというふうに思います。  現状におきましては、双方の大変暴力の悪環境が更に激化して情勢が不透明化しているということで強く憂慮をいたしておりまして、やはりお互いに譲るところがあれば譲ることによってこのイスラエルパレスチナの双方に対して平和な状態が訪れるように日本としても積極的に努力をしなければならないというふうに思っております。
  80. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 外務大臣
  81. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今、パレスチナイスラエルに起こっている状況というのは本当に悲劇的な状況で、この暴力の悪循環をできるだけ早く止めなければいけないと私は考えております。  これのため、我が国として、私としましては、先月の終わりからアブ・アラ・パレスチナ立法評議会議長とお会いをいたしましたし、ペレス・イスラエル外務大臣とも電話で、それからアメリカパウエル国務長官とも電話でお話をいたしまして、イスラエル即時撤退を含む最大の自制、それからパレスチナにつきましては過激派をコントロールすること、テロ行為をやめること等について話をいたしております。  さらに、四月の二日から前イスラエル大使である、我が国イスラエル大使である茂田大使現地派遣をいたしまして、私の手紙を持っていってもらっていますけれども、関係者と話合いをして日本の考え方を伝えてもらうということを行っています。  この先、私の直接にこの地域に行く可能性の検討も含めまして、我が国として何ができるかということについて引き続き検討をしていきたいと思っております。
  82. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 たしか私の記憶に間違いがなければ、アラファト議長はノーベル平和賞を受賞していたはずですね。それだけ立派な人間だということを世界じゅうの人たちが認めてノーベル平和賞を与えたというようなことですから、今何かにわかにシャロン首相は、あいつは戦争犯罪者だというようなことを言い出して、捕まえろとか追い出せとかいうことを言っておりますけれども、やっぱり今、外務大臣防衛庁長官もおっしゃられたように、そういう穏やかな平和的な話合いで進んでいくという方向で頑張ってもらえればと思います。  最後にこれをお願いして、私の質問を終わります。
  83. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 公明党の遠山清彦です。  まず、川口外務大臣、先日インターネットの外務省ホームページを見ましたら、私、以前に質問させていただきました外務省タウンミーティングを、早速第一回目を今度の日曜日、四月七日に、今手元にインターネットの募集案内がありますけれども、やられるということで、大変に迅速に行動を取られているということに対して、私も大変うれしく思いましたし、また、是非頑張っていただきたい。    〔委員長退席、理事吉村剛太郎君着席〕  今週初めに私、沖縄に行ってまいりましたけれども、沖縄でも外務大臣が沖縄で是非タウンミーティングをやりたいと言ったことが新聞でも報じられまして、大変に大きな期待を抱いておりますので、次にやってくれとは申し上げませんけれども、是非沖縄でも頑張っていただきたい。  そこで、このタウンミーティングで、第一回目のやつは、このプログラムによると外務省改革テーマということですけれども、大臣としてどのような意気込みで、また国民に一番何を訴えたいのか、簡潔に御答弁いただければと思います。
  84. 川口順子

    国務大臣川口順子君) タウンミーティング、今度のテーマ、おっしゃったように外務省改革でございまして、一つは、外務省改革をするために具体的に何をしようとしているのか、どういう考え方でそれを進めようとしているのかということについて国民の皆さんの御理解をいただき、あわせて、それについて国民の皆さんがどう考えるかという御意見を伺いたいという、最大それに正に尽きるわけでございまして、そのときに外務省幹部、これは全員といきたいんですが全員というわけにいきませんので、にもそこに出席をしてもらってその国民の声を生で聞いてもらおうと、それを外務省改革につなげていくということを考えたいと考えております。
  85. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 是非外務省幹部の方を同席させるということは、非常にやはり国民の生の声を外務省に対して聞くという意味で重要だと私も思いますので、是非成功させていただきたいと思います。  次に、ちょっと耳の痛い話かもしれませんけれども、また昨日の衆議院の方でも話題に出たと思いますけれども、朝日新聞等で報道されましたが、外務省の七十一の課とか室で公金を裏金としてプールしていた問題がありました。これが昨年十月、十一月に、この報道によれば、当時の外務省幹部がプール金実態調査の期間を意図的に短くするとともに事実の究明も断念をさせたと、また、裏金作りにかかわったと言われる個別職員の個人の責任の追及も断念する方向性を内々に打ち出していたとされているわけでありますけれども、これは事実でしょうか。
  86. 杉浦正健

    ○副大臣杉浦正健君) 調査期間を六年半に繰り上げざるを得なかったのは、保存されている外務省の帳簿が、原則五年なんですけれども、たまたま事件があったので処分しないで残しておいた期間を含めて六年半であったということにすぎません。プール金は、調査した限りでは全部表へ出ております。  調査でございますが、審議官を長とする十人ほどの若手、大体三十歳前後の優秀な人材を部屋に集めまして、そして公認会計士事務所の指導を得て実施いたしました。公認会計士の人たちはそういう調査に慣れておりまして、反面調査からやるべきだと、つまり、外務省が発注しているホテル、タクシー・ハイヤー会社、文房具の納入業者等々、四十たしか一社だったと記憶しておりますが、に参りまして、はっきりしておったのはホテルニューオータニにプール金があったという事実がはっきりしたので始めたわけですけれども、各社に率直に協力お願いしたと。うみを出したい、だから名前を出しませんから協力してほしいということを丁重にお願いをしまして、各社の全面協力を得てあのプール金の存在が全貌が明らかになったという経過でございます。  その出たお金を一定ランク以上の省員に負担をお願いしたものですから様々な意見がございまして、正直言って、何にも私はやっていないのに何で負担するんだというふうな御意見もございましたので、そういったような不協和音があってそんな記事になったかと推測されますが、調査そのものはきちっとやってうみは出し切ったと、こう思っている次第でございます。
  87. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 今の副大臣の御説明である程度私も分かったわけでありますけれども、ああいう報道がなされて、やはり国民がなかなか外務省に対して信頼をできない感情から抜け出せないというようなことも事実でありますので、何度か国会の場とかいろんな場で説明はされていると思いますけれども、やはり納得いただけるまでいろんな形で様々な疑惑について説明をしていただきたいというふうに思っております。  ところで、四月一日付けで、これも新聞で報道されておりますけれども、法務省の方から北田幹直さんという検事の方が外務省で新設されました監察査察官という立場で来られたと、これに伴って監察査察官室というものも新設されたというふうに聞いております。  私は、これは実は昨年に外務省が外部の有識者で作った外務省機能改革会議というものがあって、そこが四月、私、今手元に持っておりますけれども、四月の二十四日に提言を出しました。この提言の中で、この査察の在り方、監察の在り方について話し、いろんな提言があって、そしてそれを受けて昨年の六月に、副大臣よく覚えていると思いますが、外務省が発表した外務省改革要綱というものがありまして、これに基づいてこの監察査察制度を創設されたんだというふうに理解をしております。  ところで、この要綱の中には項目としてこういうのがあります。「監察査察官の下に、外部からも適任者をスタッフとして加え、監察・査察業務にも、公認会計士等外部の専門家に守秘義務をかけた上で、参加させる。」という項目があるわけでありますが、今日の読売の記事、北田さんのインタビューの記事によると、十数人の職員を法務省から率いて外務省に来ると、そういう意味じゃないんですかね、これは外務省の職員のことでしょうか、それはちょっと御答弁いただけるかと思いますが、いずれにしても、公認会計士等を外部からこの監察査察官の下に置くという報道はなされておりませんが、これは今回実行されないんでしょうか。
  88. 杉浦正健

    ○副大臣杉浦正健君) 実行いたします、いたしております。監察査察官制度を立ち上げたのは先生の御説明いただいたような経緯でございました。  そして、昨年、タクシー・ハイヤー代の汚職事件が起きまして、松尾事件の次に。で、綱紀粛正プロジェクトチームを作って検討した結果、早急に立ち上げなきゃいけない、監察査察官は機構要求して四月からだけれども、もっと早くチェックする機能を持った組織を立ち上げなきゃいけないということで、九月一日から園部元最高裁判事に参与を委嘱しまして監察室を立ち上げたわけでございます。監察室というのは本省の監察をする機能でございます、在外の査察室は既にございましたから、九月一日から立ち上げました。そして、四月一日付けで予算要求、制度要求も認められましたので、監察査察官を川口大臣が北田さんを任命した次第でございます。同時に、監察室と査察室をその下に置きまして二室置かれたと。大体十名規模の当面人員にはなっております。その中に、現在は一人ですが、昨年の十二月一日付けで公認会計士を短期任用で一名採用しております。引き続いて公認会計士に短期任用で来ていただくよう検討を進めておるところでございます。  それから、外部の査察につきましては、昨年九月から特別査察を開始したわけでございますが、それについては必ず外部から公認会計士あるいは弁護士等、最近は会社の監査役をやっているベテランですとか会計検査院のOBとかを委嘱しておりますけれども、必ず外部の者が入った特別査察を行うようにいたしております。仕組みとしてそういたしております。
  89. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 分かりました。  それで、私、個人的には、従来外務省が、松尾事件もありましたし、デンバー総領事の事件もありましたし、個人的には、従来外務省が在外の公館に対して行ってきた査察に不信感を私は持っております、率直に申し上げて。実際に、マスコミ等に告発記事というような形でも、例えば従来の査察、通常査察だろうが特別査察だろうが、事前に通告がその大使館にあって、結局、来る査察大使もある意味身内にちょっと甘い体質の査察をやっていたんではないかと。で、今回、北田検事が外から入ってきて監察査察官ということでそれなりの期待をしているわけでありますけれども。  やはり、本省もそうですが、在外公館の査察も今後抜き打ち査察をやるということを外務省の方、明示しているわけでありますけれども、しかし、この監察査察官の部屋には外務省の職員もいらっしゃると。この方々も以前いろんな在外公館にいた経験もあったりして様々な人脈があって、絶対漏れないということが保障されるのかどうか。    〔理事吉村剛太郎君退席、委員長着席〕  つまり、抜き打ち検査をやりますと言っているけれども、本当にこの抜き打ちの査察が抜き打ちでできるのかというところについて信頼感を得られなければ、私、これは制度を新しく作ったことは単なるアリバイ作りと受け取られてしまいますし、実際にまた問題が発生をすれば何だったのかということになると思うんですけれども、この点について、もしよろしければ外務大臣から──じゃ、副大臣でも結構です。
  90. 杉浦正健

    ○副大臣杉浦正健君) 抜き打ち査察は、昨年九月から今年三月までの間に何回か実施いたしております。これは私が決裁いたしまして、知っている者はわずかであります、在外公館課長始めですね。いろいろ情報がもたらされて、問題だということが分かったところへ派遣いたしまして調査をして、しかるべき措置を取っております。
  91. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 副大臣が決裁されてやられているということで、私、政治主導でこれやっぱりやった方がいいという問題だと思うのでいいんですが、これ、例えば北田さん、監察査察官も、機構上は外務大臣直属ではなくて官房長の下に置かれているということもこの読売の記事に今日書かれているんですね。ですから、何となくまだ官僚にやっぱりコントロールされる枠内でこの監察査察が行われるんであれば、今これだけ不祥事が続いて、申し訳ないですけれども率直に言って不信感ありますから、そこの部分で本当に大丈夫なのか。  それで、その抜き打ちのときは副大臣は向こうの在外公館に当然通知しないでやっているわけですね。
  92. 杉浦正健

    ○副大臣杉浦正健君) もちろん通知しておりませんし、これからもそうだと思います。  今御指摘の点ですが、監察査察官は局長待遇でございます。組織的には官房長の下へ入りますが、儀典官室も一応組織上は官房の中に入っておるんですが独立した存在でありますが、それと同様に独立した存在として機能する。これから大臣その他政務官とのかかわりは大臣の方でよく御相談してお決めいただくことになると思うんですけれども、チェックする部門でございますので、独立した形で本省の業務、会計、在外の業務、会計をチェックしていくという立場でございますので、官房長の指揮、命令の下にやるということではないことは当然のことだと思います。
  93. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 副大臣、ありがとうございました。今の御答弁、大変に安心をいたしましたので、是非独立性を持ってやっていただきたいと思います。  最後に、この監察に関して、これは昨年の機能改革会議の提言にあったんですが、要綱では若干落とされていたと私が思う部分がありまして、それは、一言でちょっと、言葉、表現悪いかもしれませんけれども、いわゆる内部告発の問題でございます。  提言には、昨年の四月の提言にはこういう文言がありました。監察査察部門に外務省員が直接意見を提起できる仕組みを作るべきだというものがございました。  これは、私、不正を実際に知った外務省の職員が、いわゆる報復人事幹部からの報復人事などを受けないような形でこういう不正を何らかの形で適正なチャンネルに通知する仕組みを作る必要があるのではないかと。北田さんも、何度も出して申し訳ありませんが、今日の新聞のインタビューでも、「不正発見の一つのアプローチになるかもしれない」ということで肯定的な意見を述べられているというふうに言われているわけでありますけれども、これについてはどのような御見解でしょうか。
  94. 杉浦正健

    ○副大臣杉浦正健君) 大臣にお考えがあればまた後ほど述べていただくとして、この査察官制度を立ち上げるときに、その点きちっとしなきゃいけないということを絶えず意識しながら議論しておりました。まだ結論が出ないままこのシステムは立ち上がったんですが、したがいまして、北田さん、監察査察官を中心にしまして、大臣を交えてそういう、どういうふうなシステムを組み込むのがいいのかということは、まず北田さんの最初仕事として検討されるべきことだと私は思っております。
  95. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 ありがとうございます。  それで、次ちょっと、次の質問外務大臣是非お願いしたいんですが、昨年のこの機能改革会議の提言の中で、私、読んでおりましたら、「全面的な事務合理化」という項目の下で、こういうことが書かれておりました。それは、外務省の職員の職場環境に大きな問題があるということでありまして、この会議の方々が外務省の職員にインタビューをしたら、場合によっては毎日午前三時とか四時まで仕事をすることがあると。ここに書いてある言葉そのまま言いますと、「労働基準法を無視したような仕事のあり方を職員にさせておいて当然だとする意識が幹部職員にあるとすればきわめて問題である。」と、「そもそも、このようなゆとりのない職場環境では、世界のどこにいっても通用する、人間として魅力的な外交官は育たないのではないか。」という指摘をこの会議はしております。  外務省ですから、これは二十四時間海外との連絡業務等で仕事をしなければいけないというのは私、分かるわけでありますけれども、外務大臣は民間におられたのでよく分かると思いますが、民間で二十四時間仕事をしなければいけない仕事をしている会社は、普通はシフト体制を引いて八時間交代にするとかということを合理的にやるのが当たり前であります。しかし、この提言にあるように、どうも外務省ではそれをやっていないと。  幾らお国のためといっても、こういう、ある意味人権を無視したような労働形態、あるいは職場環境というのが、また、これは私が言ったことじゃありませんけれども、ある人が、外務省の職員は本省にいるときは地獄のような生活をしていると、だから在外公館に行ったら天国のような生活ができるということで、不正に、腐敗の温床になるのがこの一つのシステムなんではないかという言葉も、これは真偽は分かりませんが、私、外務省の職員じゃありませんので、そういう指摘もあるわけですね。  ですから、まずこういった、ちょっとある意味ひどい職場環境というのがもしあれば、やっぱり改善をしていくべきではないかと思いますが、外務大臣の見解を伺いたいと思います。
  96. 川口順子

    国務大臣川口順子君) おっしゃるとおりで、改善をすべき課題だと考えております。  私は、環境省におりまして見ていまして、これは、環境省は、今はもう変わったかもしれませんが、霞が関で一番残業時間の多い官庁であるという不名誉な記録を一時期持ったことがありますけれども、更にその十年以上前、私がずっと国家公務員をしておりましたときも、三時、四時ということは不思議なことではないことでした。  そういったことは是非改めなければいけないと思いますし、今、外務省の中に、変える会と並んで中の人間の変わる会というのができつつございまして、そういった中でも、この仕事の過重であるということについては議論がなされていると思います。  これは、外務省が自ら改めるべき点というのももちろんあるわけでして、その事務の効率化ということは考えなければいけないと思います。同時に、この場では非常に申し上げにくいことでもございますけれども、私が得ましたある調査では、役人が残業が一番長くなる最大の理由というのは実は国会対応であるということでもございまして、官の改革と並んで国会の方でも是非この点についてはお考えをいただけると私としては非常に幸いに思っております。
  97. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 国会に関する御指摘はそのとおりかなと思うところもありますので、それはまたしかるべき場所で議論していかなければいけないと思いますが、是非外務省側でできることはやっていただきたいと思います。  続きまして、時間がなくなってまいりましたので、ちょっと防衛庁の方にお伺いをしたいと思います。  これは、防衛庁の方が法律改正の案を出しているんですが、衆議院の方で止まっているということで、ちょっと関連した質問になってしまいますけれども、現在、防衛庁情報保全体制の強化ということを打ち出していると理解をしておりまして、新年度から情報保全隊を新編されるということなんですけれども、以前は調査隊というものがあったというふうに聞いておりますけれども、この調査隊が元々、中央調査隊と各方面の調査隊とあったと思うんですが、元々行っていた任務の内容をお聞きしたいということと、なぜ今回この調査隊から保全隊に新編をしなければいけないのか。つまり、新編するということは以前の体制に何か問題があったんではないかと思うわけですが、その点も含めてお答えいただければと思います。
  98. 守屋武昌

    政府参考人守屋武昌君) 防衛庁としまして、今回の情報保全隊を新編するに至った経緯でございますが、平成十二年九月の秘密漏えい事件がございました。その再発防止策の一環としまして、情報保全機能を充実強化することとしておりまして、これは平成十三年度から十七年度までの中期防衛力整備計画において、情報能力について、秘密保全について万全を期すため、防衛庁・自衛隊全般にわたる体制の整備や関連する部隊の充実強化等のための各種施策を推進するといたしまして、平成十四年度におきまして、現行の調査隊を組織、任務両面から充実強化した情報保全隊を新編するとしているところでございます。  これまでのその調査隊との、任務面からどのように異なるかについての御質問でございますけれども、まず組織面からの機能強化につきましては、現在、陸上自衛隊及び海上自衛隊の調査隊においては、これまで中央、地方が別個の指揮系統の下でありましたものを、各自衛隊ごとに中央、地方を一つの指揮系統とした情報保全隊に統合することにより、状況の変化に迅速に対応するため、より機動的な運用が可能になるように措置しているところでございます。  それから、任務面につきましては、従前の調査隊の任務であった各自衛隊の部隊及び機関の保全のための必要な資料及び情報の収集、整理等の強化、明確化に加えまして、新たに、職員と各国の駐在武官との接触状況、交流状況や職員に対する不自然なアプローチの状況に係る情報の収集、整理を行うことと、それから陸海空自衛隊以外の施設等機関の長からの要請に基づきましてこれら施設等の機関等の組織保全業務の支援を行う、この点が従来の調査隊と違うところでございます。
  99. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 今の御説明の中で一点だけ確認したいんですが、これは、保全隊の新規任務として、日本に駐在している各国の駐在武官との接触状況に関する情報の収集、整理というお話ありましたけれども、これは、私の理解では、自衛隊員や防衛庁の職員が個別に、個別にですよ、個別に各国から来た駐在武官と接触することがあるということを前提に、その接触した際に何か秘密漏えいをしていないかどうかとかということについて管理をするということだと思うんですが、それは、そういうことは防衛庁としては認めていらっしゃるんですか。
  100. 守屋武昌

    政府参考人守屋武昌君) 今、御指摘がございました各国駐在武官との接触状況に係る、関する情報収集、整理ということは、現在、日本に各国の防衛駐在官が参っておりまして、私どもといろいろな接触を行っておるところでございます。これは、我が国防衛駐在官が任地に参りましても、その国の軍事組織と交流しているということで、相互主義でこれを行っているところでございます。  問題は、こういうふうな諸外国の情報機関の我が国における情報収集活動についてのやはり各種の資料及び情報を収集、分析しておくということが我が国としても必要だということと、それから平成十二年の秘密漏えい事件が起きまして、これを機に制度化することになりました所属職員と各国駐在武官との接触状況報告について、これをデータを整理、分析することによりまして、職員に対する不自然なアプローチの兆候を事前に察知しまして、その結果、諜報工作のおそれのある場合や部隊等の長から要請があった場合に職員と各国駐在官の接触状況について更に調査を行う、こういうふうにしたものでございます。
  101. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 もう時間がございませんので、外務省防衛庁に予定していた質問はまた次の機会にいたしますけれども、ともかく情報というもの、非常に今、昨年のテロ事件もありますし、また世界情勢がいろいろと、びっくりするようなほど動いておりますので、防衛庁、これまた外務省もそうでありますけれども、この情報収集・分析体制等の強化等は非常に重要だと思いますので、これについてはまた後日質問させていただいて、意見交換させていただきたいと思います。  以上でございます。
  102. 小泉親司

    ○小泉親司君 外務省処分問題について幾つ質問させていただきます。  今回の処分は、外務大臣の報告によりますと、二つ調査報告、結果報告書に基づいた処分だと言っておられます。川口外務大臣は記者会見で、宗男代議士との関係については問題ではなかったかという質問に対して、一連のそういうことの背景にそういうことがあったと訳の分からないことを言っておられる。その一方で、調査報告が問題とした点について処分しているということを述べられております。  そこで私お聞きしますが、東郷氏を今度は処分したわけですが、それでは、調査結果報告書のどの点について東郷氏は責任を問われたんですか。
  103. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 調査報告書の文章自体、ちょっと今、私手元にないんですけれども、ですから文言は必ずしも一〇〇%正確に引用できていないと思いますけれども、特定の議員との関係が社会の通念に照らして異例であったということを園部参与がお書きでいらっしゃるわけですけれども、それを踏まえまして、この二つ報告書に基づいてヒアリング調査を行って人事上の措置を取ったということでございます。
  104. 小泉親司

    ○小泉親司君 先ほど外務大臣は、二つ理由があるんだと。一つは、対ロ外交を進める省内体制混乱させた、外務公務員への信用を失墜させた、こういうふうに述べられております。どうも初めの調査結果報告書の中には、日本外交の問題については具体的には取り上げられておりません。つまり、宗男代議士との関係だけであります。  それじゃ、具体的にお聞きしますが、対ロ外交を進める省内体制混乱させたというのは、具体的にどういう混乱を引き起こしたから責任、問われたんですか。
  105. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 私が記者会見でも言いましたし、ここでもお話をしていますのは、対ロ外交推進する省内体制混乱をもたらした結果、外務公務員信用を著しく失墜させたということを言っているわけでして、したがって人事上の措置を行ったということですけれども、もう少し具体的にこれを申し上げますと……
  106. 小泉親司

    ○小泉親司君 いや、三つのことはいいですよ、さっき聞きましたから。
  107. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 具体的に言えばそういうことです。
  108. 小泉親司

    ○小泉親司君 私は、だからお聞きしているのは、あなたの外務省の議事録をしっかりと熟読をして質問しているので、省内体制混乱させた、対ロ外交において省内体制混乱させたと。先ほどその理由三つおっしゃいました。しかし、三つとも省内をどういうふうに混乱させたのか、具体的には全然分からない。  問題は、対ロ外交省内体制をどういうふうに混乱させたんですか。
  109. 川口順子

    国務大臣川口順子君) したがいまして、先ほど申しましたような三つの側面においてこれを混乱させたということです。
  110. 小泉親司

    ○小泉親司君 いや、先ほど言われた三つの問題というのは、何遍も言うようですが、対ロ外交とは関係ないでしょう。対ロ外交省内体制混乱させたとあなたはここで明確に言っているんですよ。対ロ外交の何を混乱させたんですか。
  111. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 先ほどお話をした三つというのは、対ロ外交に関連してお話をしたわけでございまして、一つ鈴木議員や特定の外務省職員役割を過度に重視したため、省内ロシア関係専門家を事実上分断し、彼らの士気を低下させたこと、これが一つです。それから二番目に、その過程で同僚や部下に対して外務省幹部としてふさわしくない言動があったこと。三番目に、対ロ外交推進に係る省内政策決定ライン混乱をもたらしたということでして、三つとも対ロ外交関係して言っているわけです。
  112. 小泉親司

    ○小泉親司君 東郷氏は、鈴木宗男氏が積極的に主張した、先ほどもお話がありましたが、二島先行返還論やいわゆる二元外交において大変積極的な役割を果たしていると。我が党の志位委員長が明らかにしました二〇〇一年三月五日のイルクーツクでの森・プーチン会談を前にした鈴木・ロシュコフ・ロシア次官との会談ででも東郷氏は同席している。ここでは鈴木氏が二島先行論を主張して、正に二元外交を行ったわけですが、この点について、同じ記者会見で川口外務大臣は、政府は二島返還を主張したことは一度もないと、先ほどもそう言っておられるんですが、それは答えになっていない、大変私は食い違った答弁に終始しているというふうに思いますが、このいわゆる二島返還論について、鈴木宗男氏が主張したこの点について東郷氏はこれに関与していることが明確だというふうに思いますが、この点は今回の処分では問われたんですか、問われなかったんですか。
  113. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 北方領土問題についての政府政策というのはずっと一貫をしてきているわけでして、それは四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するということです。二島先行返還論ということが言われていますけれども、これについて政府として二島先行返還論提示したことは一度もないわけです。  したがいまして、東郷大使の言動によって政府の立場が二島先行返還論に変更をした、変更をされたということはないわけで、このことと東郷大使に対する今回の人事上の措置は全く関係がないということです。
  114. 小泉親司

    ○小泉親司君 ということは、二島先行返還論については東郷氏は何にも責任は問われなかったということなんですね。
  115. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 政府として二島先行返還論を提案をしたことは全くないということです。
  116. 小泉親司

    ○小泉親司君 だから、私はそれがとんちんかんだと言っているんですよ。よろしいですか。あなたは、鈴木宗男氏と東郷氏の関係は非常に密接だということは認められていた。  それじゃ、角度を変えてお尋ねしますが、鈴木宗男氏というのは二島先行返還論は主張しておられなかったんですか。
  117. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 議員としての鈴木議員、一人の議員としての鈴木議員ロシアの、あるいは北方四島問題についてどういうことをお考えであったかということについては、私はコメントをするということは差し控えたいと思います。
  118. 小泉親司

    ○小泉親司君 いや、私はコメントを求めているんではなくて、事実として、鈴木宗男代議士は二島返還論をやったことは、私も何遍も根室だとかその他旧島民の方々といろいろとお話をしていますけれども、多くの方がこのことについてはもう確認済みの話で、これを、事実関係を否定されるというのは私は非常にこの問題について疑惑にふたをするもので、実際に鈴木宗男氏が主張したことは明白じゃないんですか。それに関連して、東郷氏がかかわらなかったと。  そうであれば、それじゃ対ロ外交のどういうところに東郷氏は触れたんですか。これ全く理解が、おかしいじゃないですか。ただ混乱をもたらした混乱をもたらしたって、それじゃあれですか、省内において東郷派と何々派という派閥があったということなんですか。そうじゃないじゃないですか。主張が違うんだから、そこが明確にされないとこの問題の解決というのはできないんじゃないですか。
  119. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 鈴木議員が議員として北方四島の返還問題についてどういうお立場でいらしたかということについては、私はよく承知をいたしておりません。
  120. 小泉親司

    ○小泉親司君 いや、それでは質問の答えになっておられない。  私は、あなたが対ロ外交を進める省内体制混乱させたというふうにおっしゃるから、それじゃ具体的に何なのか。これまで鈴木宗男氏と東郷氏が一体となって二島先行返還論を主張してきたことは、先ほども同僚委員が繰り返し質問していることです。じゃ、問題は、その点について処分が問われたのか、問われなかったのかと私はお聞きしているわけで、どっちなんですか。問われたんですか、問われなかったんですか。あなたがおっしゃっているのは、問われなかったと言っておられる。それじゃ、二島先行返還論がこれでは明確だということになったら、もう一度処分をやり直すということになりますよ。どっちなんですか、問われたんですか、問われないんですか。その点をはっきりさせてください。
  121. 川口順子

    国務大臣川口順子君) お答え繰り返しになりますけれども、政府として二島先行返還論提示したということは一度もなかったわけでございます。
  122. 小泉親司

    ○小泉親司君 そんなことを聞いているわけではないんですよ、私は。それはもうあなたがこれ、ここの中で何回も言っておられるから、そんなことまで私は批判しているのじゃなくて、あなたが処分されたんでしょう。処分された人が、それじゃ何で処分されたのかと聞いているわけですから、二島返還論の中に処分理由が入っているんですか入っていないんですかと聞いているわけですから、それをあなたが政府は四島返還で一貫していると一生懸命言われても、あなたが、処分した人が、じゃ何で処分したのかということになっちゃうじゃないですか。簡単にやってください。
  123. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これも繰り返しになりますけれども、今般の人事上の措置は、いわゆるこういった点についての言われていることとは、政府は一度もそういう提案をしたことがないわけですから、関係がないということです。
  124. 小泉親司

    ○小泉親司君 ということは、この二島返還論は全く問われなかったと、こういうことであれば、じゃ一体何が対ロ外交混乱させたのか、私は非常に不鮮明で、これ自体やっぱり私は、東郷氏を先にやはり、しっぽを切ったのか頭を切ったのか知りませんが、首を切ったのか知りませんが、事実上、先にそういう疑惑にふたをしてしまって、外務省として日本外交のあるべき方向というのをきちんとやはり今度の私は処分内容は総括していないと、ここにやはり非常に重大な問題があるというふうに思います。これ、幾ら繰り返していても、処分した本人がよく分かっておられないので、次に私、進ませていただきたいと思います。  有事法制の問題について、幾つかお尋ねします。  内閣官房は四月四日に、武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全確保に関する法律案(仮称)について発表された。この報告書の中に、武力攻撃事態ばかりじゃなくて、事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態を言うというふうに規定されております。  それじゃ、その事態というのはどういう事態なのか。例えば、周辺事態法などではその「目的」で、「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態」と明記していますが、このような事態というのは現在対象としているこの、事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態、こういう対象とする事態に入るんですか、入らないんですか。まずお尋ねしたいと思います。
  125. 村田保史

    政府参考人村田保史君) ただいま政府において準備しておりますこのいわゆる有事法制、外部からの武力攻撃事態に対処するための法律、これの準備作業をしているわけであります。  ここで最も重要なのが武力攻撃事態という概念でありまして、こうした事態が我が国に対して発生していると認識するかどうか、ここがこの法律の仕組みが動き出す出発点になるわけであります。正にこの武力攻撃事態が、今御指摘のとおり、我が国に対して武力攻撃がなされる場合、それからおそれのある場合、それから予測し得る場合、そうした事態全体を含めて武力攻撃事態と考えているわけですが、正にその武力攻撃事態が、どの事態がそれに該当するのかどうかということが決定的に重要な問題であり、それをいかに迅速に的確にやるかということが政府における非常に重要な判断責任の属するところであります。  御指摘のような、周辺事態において云々というお話ですが、正にそれは各個、個別のケース、発生している事態がそれ自体を、いろいろな国際情勢だとか様々な情報の収集、分析、客観的な事態の展開等々を総合的に判断、評価して、それが我が国に対する武力攻撃が予測される事態と評価できるかどうか、判断できるかどうか、その事態に対してきちんと国として様々な手だてを講じていくことが必要な事態と評価されるか、これによって決まるということで、これを一概に、この事態一般について、これがこの武力攻撃事態に該当するかどうかということを判断することは難しいと考えます。
  126. 小泉親司

    ○小泉親司君 あなた、そんないい加減なことしか言えないんですか。武力攻撃の重要な事態に国民の権利を侵害するときに、その武力攻撃というのは一概には言えないなんて、こんなことは私は通じないと思います。  私は、具体的に聞いているんだから。あなた方が作成した、事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態というのは、「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態」と、これは入るんですか、入らないんですか。防衛庁長官、どうですか。
  127. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 周辺事態というのは、外国等の状況等から発生をし、我が国の安全保障に重大な影響を与える事態ということで、それが努力によってそうならないかもしれませんし、なるかもしれない事態であります。  一方、今回言う事態は我が国有事の事態でありまして、この周辺事態法のケースがそれに含まれるかどうかということでありますけれども、そういう事態になることもあり得る、その場合に武力攻撃事態と認定することもあり得るというふうに考えております。
  128. 小泉親司

    ○小泉親司君 防衛庁長官、私は非常に、今の答弁についてもう少し具体的にお聞きしたいのは、いわゆる周辺事態法というのは、本来は周辺事態の話だったんですが、これは御承知のとおり、たしか自由党の修正が入りまして、当時の自由党の修正が入りまして、「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態」と、こういうことが入ったわけですね。及び周辺事態なんですよ。ということは、このそのまま放置すればという事態、おそれのある事態と、こういうことも入るということなんですね、要するに。
  129. 中谷元

    国務大臣中谷元君) そのまま放置すればそういうふうになり得る事態があるかもしれませんが、周辺事態法によって日本としての対処をするわけでありまして、そういうふうに努力によってならないケースもあれば、事態が拡大をして我が国の武力攻撃に至るような事態もあるというふうに思います。
  130. 小泉親司

    ○小泉親司君 ちょっと自信のなさそうな御答弁ですが。ということは、周辺事態が発動されている時点から現在政府が考えておられる有事法制というのは動き出すと、そういう仕組みを作るということだというふうに理解してよろしいんですね。
  131. 中谷元

    国務大臣中谷元君) すべてそういうふうになるとは限りません。我が国の対処や各国の努力によって我が国の侵攻事態になる事態が回避され得るケースも十分あり得るわけですから、当面そういうふうな事態に向けて努力をするようになるというふうに思います。
  132. 小泉親司

    ○小泉親司君 では、すべてではないが、一部はそういう有事立法の発動に入る場合があると、動き出す仕組みがなるというふうなことなんでしょう。そうじゃないと、あなたの答弁とは整合しないじゃないですか。
  133. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 我が国のそういう武力行使を受けないために努力を常日ごろからやっておかなければなりませんので、直ちに直結するという問題ではなくて、別個の概念でございます。あくまでも個別の観点から独立的に考えるのが正しいというふうに思います。
  134. 小泉親司

    ○小泉親司君 いや、直結しないがつながっておるとおっしゃっているわけだから。そうじゃないんですか、連動するというふうにおっしゃっているわけだから。
  135. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 周辺事態という概念と、今回の武力攻撃事態というのは異なる概念でございます。周辺事態というのは、周辺国等の紛争等に起因してそのまま放置すれば我が国の安全保障に重大な影響を及ぼす事態ということで、そういう事態が回避できるかどうか、その時点では努力次第によって回避ができるわけですから、そのような武力攻撃事態に至らないような努力をする事態というふうに思います。
  136. 小泉親司

    ○小泉親司君 次に、総理大臣の地方自治体への指示権及び代執行権についてお尋ねします。  この内閣官房の案について見ますと、総理大臣が地方自治体に対して指示権及び代執行権を行えるようになっている。なぜこの指示権、代執行権が必要なんですか。
  137. 村田保史

    政府参考人村田保史君) 現在作業中の法案でありまして、その内容について確定的にお答えすることはできないわけでありますが、お尋ねのような問題について、基本的な考え方を申し上げます。  我が国に対する武力攻撃といった極めて深刻な事態が発生した場合、これに対して国としてはその攻撃事態に対する排除などの場面において主体的な役割を担うことは当然の原則であります。他方で、地方公共団体にあっても、当該地域の住民の生命、身体あるいは財産を保護するという重要な役割を担っているわけであります。こうした、それぞれの使命あるいは役割を担う国と地方公共団体が相互に連携して万全の措置を講じ、国の安全を確保していくためにどうすればいいかということを総合的に検討している状況であります。
  138. 小泉親司

    ○小泉親司君 自衛隊法の百三条については今度改正されるとおっしゃっている。  百三条は、周知のように、戦闘地域では都道府県知事が防衛庁長官の要請に基づいて土地、家屋の強制収用、物資の保管命令、これを発することができる、戦闘地域外においては防衛庁長官が都道府県知事に要請して従事命令を発することができる、こうなっております。たしか一項では、防衛庁長官が独自にできることにもなっている。  ということは、こういう都道府県知事がやる部分については、もしもの場合については首相が指示権や代執行権を取るということもできると、こういうことになると思うんですが、防衛庁長官、その百三条についてどうですか。
  139. 中谷元

    国務大臣中谷元君) いろんな事態等があるわけでありますけれども、比較的落ち着いている段階におきましては都道府県知事が手続によって行うことが可能だと思いますが、事態が極めて緊迫をし、もう都道府県庁自体も機能できないような事態等もありますので、そういう事態につきましては防衛庁長官がその手続を行うというのが緊急の場合の処置ではないかというふうに思います。
  140. 小泉親司

    ○小泉親司君 いや、今は百三条を今は防衛庁長官は説明しただけです。私が言っているのは、首相の指示権、代執行権ということを明記すると、それは総理大臣の命令として直接、もうすぐに百三条の一項、二項が動くような仕組みになるんですかとお聞きしているんです。余り勉強されておられないようで。
  141. 中谷元

    国務大臣中谷元君) この点につきましては、国と地方という関係をどう整理するかということで、現在、内閣官房の方で検討されておりますので、内閣官房の方からお聞きいただきたいと思います。
  142. 小泉親司

    ○小泉親司君 いや、これは、百三条の関係というのは、よろしいですか、自衛隊法というのはそういう意味では、都道府県知事に重要な点を委任している部分は主にこの百三条が大変中心的な中身なんですよ。あとはほとんどあなたの命令で動くようになっておるでしょう。それに今度はいわゆる総理大臣の指揮、指示権、代執行権、こういうものを規定するということになったら、百三条も動くことになるんじゃないですか。その点は、その点一点だけ、細かくは、いろんな理念的なものは要りませんから、入るんですか、それは指示権の中に入るんですか、代執行権の中に入るんですか。そこだけお聞かせいただきたい。
  143. 村田保史

    政府参考人村田保史君) 現時点では明確にお答えすることはなかなか難しい状況であるということは最初に申し上げましたとおりです。  基本的な考え方として、そうした極めて深刻な事態が発生したときに、政府として、地方公共団体といかに協力、整合を図りながら対処し得るかということであります。  それで、今御指摘のような自衛隊法第百三条の規定によって動く場合は、それはそれでいくと。しかしながら、例えば、国における総合調整の機能がうまく果たされない場合、あるいは事態が非常に緊迫していて至急の対応が必要な場合、こういったときに、総理大臣の立場であるか別途の立場であるか、国の最高責任の立場において、自ら指揮、指示し、あるいは代執行するといったことも必要になる場合は、これは考えなければいけないと。しかし、その場合は、それぞれについては個別の法律の規定によってそうした権限を持たせるということでなければそれはできる話ではないということで、そうしたことについて今検討しているということであります。
  144. 小泉親司

    ○小泉親司君 基本的に総理大臣が百三条においても指示権、命令権を発する場合があるというふうにお認めになったというふうに私は理解をいたします。  そこでお聞きしますが、周辺事態法ではこの自治体の協力をめぐって非常に大きな問題になった。周辺事態は、御承知のとおり、自治体に対しては一般的協力義務しか課していないわけですね。これが今度はいわゆる指示権、命令権ということで、指示権、失礼、指示権、代執行権ということで総理大臣が直接乗り出せることになる。そうすると、その指示、代執行権については、指示権については、失礼、指示権については、自治体の長というのはそれを拒否する権利というのはあるんですか。
  145. 村田保史

    政府参考人村田保史君) 確定的なお答えは非常に現時点では申し上げにくいということをまず前提として申し上げます。  今検討しているその仕組み、国と地方公共団体の関係をどう処理し扱っていくかということについて、一つの考え方として、言ってみれば、法的拘束力を備えた形での指示権というものは考えられるということで検討しているということであります。
  146. 小泉親司

    ○小泉親司君 最後になりましたので、私、三月十五日に、日弁連で「「有事法制」法案の今国会上程に対する理事会決議」というのを見ておりますが、ここでもやはり、今はどうもお話を聞いても、国民に対して具体的な内容が全く明らかになっていないと、弁護士連合会のその決議では、国民が十分に議論する機会を保障し、その意見を踏まえた上で同法案の内容及び上程の適否を判断すべきであるから、今国会に同法案を上程することに反対するということを表明されておる。私も同様な意見で、この点については、私は憲法上、国民の権利を侵す点ではやはり重要な法案でありますので、拙速に国会に上程することには強く反対をいたしまして、私の質問をちょうど終わらせていただきます。
  147. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 防衛庁長官にお尋ねいたしますけれども、まず、今ごろ有事法制をどうのこうのということを議論しているということはどういうことを意味しているかというと、自分の国は自分で守るという決意が我が国には戦後なかったということと同意義なんであります。自分の国を自分で守るという決意があれば、有事のときの、異常事態のときの法制を整備するのは当たり前であって、今まで放置していたことは歴代の内閣の怠慢であるとしか言いようがない。  それで、それは前提条件なんですが、私は、個人の考え方ですけれども、自分の国は自分で、その周辺は少なくとも自分で守る、アメリカに守ってもらうんじゃないというふうに考えておりますので、そういう発想の下で質問をさせていただきますが、いつまでアメリカに守ってもらうのか。守ってもらえるということは、その国に対して何にも文句が言えないということを意味しているわけですよ。それで駄々っ子みたいに何かいろんなことをアメリカに言えとかなんとかと、いろいろ言っていますけれども、私は基本的にそんなことは言えた義理じゃないと。  私も、防衛庁におりましたときに、フランスからエンジンを買いたいと、戦闘機の。そのときにアメリカで調整をしたら、太平洋はフランスが守っているのかと、寝ぼけたこと言うなと、太平洋はアメリカが守っているんだと言われたら、一言も反論する根拠を持たないわけですね。そういうことで、私は、日本の周辺は日本で独力で守らなきゃいかぬという時代に二十一世紀は突入しているんじゃないかと。  そういうことで、その有事法制というのを考えたときに、防衛庁は、防衛庁・自衛隊は日本の国民は何かあったときには守ってくれるというふうにみんな思っているわけですよね。何かあったら自衛隊が出てきてやってくれるというふうに日本の国民の人は全部思っていると思うんですが、どういう事態を言うのかとかいろいろ質問する人はいるかもしれないけれども、異常事態というのは平時で考えられないことが起こるわけですから、そのときに防衛庁では全然できない話があるんですよ。  それはどういうことかというと、民間防衛庁みたいなのを作らないと対処できない。例えば、具体的に私申しますと、何か起きたときに住民の保護とか避難とか誘導とか、そういうことね。それから、有事における船舶とか、民間の船舶とか民間の航空機の航行の安全を確保すること、これは防衛庁できないですよね、もう全部防衛出動に専念していますからそういう余裕はないと。それから、電波の効果的な使用に関すること、そういうようなことを、具体的に申し上げましたけれども、そういうようなことを防衛庁はできないということを国民の皆さんにはっきり言っておいた方がいいんじゃないかと。  これは、何か起きたら必ず自衛隊・防衛庁と、何か起きれば必ず言われるんです。そのときに、こういうことは起こって、何かが起こってもできませんよ、ちゃんとほかの民間防衛庁みたいのができないとできませんよということを言っておく必要があるんじゃないかなと私は思いますんで、防衛庁長官にお尋ねして、できないことはできないとはっきり言っておいた方がいいんじゃないかと。そういうことを議論することが有事法制なんじゃないかと、私は思っているんですけれども。
  148. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 田村議員の貴重な経験談、特にアメリカの交渉のお話を聞かしていただきまして、改めて自分の国は自分で守るという気構えを持たなければならないというふうに思いました。  戦後の平和な時代の中で、自衛隊と日米安保の柱によりまして、先輩方の努力日本の平和が保ってこられたわけでありますけれども、これによって二つの間違った神話ができたというふうに思います。  一つは、自衛隊というのはスーパーマンでどんなことでもしてくれるんだという考え方と、もう一つは、日米安保によっていざというときアメリカは一〇〇%、どんなときでも守ってくれるんだということでありますが、これは、やはり田村議員のおっしゃった自分の国は自分で守るんだという国民一人一人の愛国心と、またアメリカに対しては、お互いにやるべきことはやっていくんだという、こういう信頼をかち取る努力なくしてできないのではないかというふうに思います。  そういう中で、自衛隊がスーパーマンでどんなことでもできるということに対して、やはり法律において国民の行動や関係省庁との関係、また国の中核の総理の権限、こういうことを定めていないとできない部分が確かにございます。しっかりとした外交を行う上においての前提は、やはり国の守り、国家の安全保障をきちんとするということが前提でございますので、今回提案をさしていただくように準備をいたしております関連法案によりまして、我が国防衛体制がしっかりとして自衛隊が機能できるように全力を挙げてまいりたいというふうに思っております。
  149. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 今お話しした最後の方なんですが、有事のときの住民の保護とか避難とか誘導とか、そういうのはどこがやるのか、どういう手を打たないとそういうことができないのかという具体的なことについてちょっとお尋ねをしたい。それで私の質問、終わります。
  150. 中谷元

    国務大臣中谷元君) この分野におきましては、これまで、研究分野の中ではいわゆる第三分類という分類の中で、その担当する部署が決まらない中に入っておりました。しかしながら、これらの避難、誘導、警報などの措置が必要でありまして、国全体として民間防衛体制を含めて確立する必要がございますし、また民間防衛努力は国民の強い防衛意思を表明するものであって、侵略の抑止につながって、極めて国の安全確保のためには重要な意義を有するわけでございます。  では、どこがやるのかという点につきましては、現在内閣官房の方で、総合的な武力攻撃事態への対応に関する法律の整備に当たって、国民の安全確保等の観点から必要となる措置を含めまして、今、関係省庁が協力して包括的に検討が進められているところでありまして、内閣官房の方でこれの責任の所在とまた内容等につきまして検討をしている段階でございます。
  151. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 防衛庁長官にお伺いします。  長官は、三月十九日の記者会見で、鈴木宗男氏との関係で沖縄の問題を調査中ということを述べられたわけですが、調査は完了したでしょうか。
  152. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 現在、当時の模様と、関係者等から意見を伺いまして、その結果がまとまりつつございます。
  153. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 いつごろ完成する、完了する予定でございますか。
  154. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 現在最終的な取りまとめを行っておりまして、しかるべき時期にお答えできるようにいたしたいというふうに思います。
  155. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 新聞報道によりますと、防衛庁の内部文書は、一九九九年度予算の概算要求の折、沖縄県内の米軍基地用地の賃貸料について本庁は鈴木宗男議員の指導で三・五%増を確保したという趣旨のことを明らかにしておりますが、鈴木氏の指導でというのはどういうことでございますか。
  156. 嶋口武彦

    政府参考人嶋口武彦君) その間の事情についても調べておるところでございますけれども、まだ結果は終わっておりませんから具体的に申し上げることはできません。近々まとめたいと今、大臣からお話しございましたので、しばらく御容赦をいただければと思います。
  157. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 いや、結果を聞いているんじゃなくて、指導でという言葉の意味を伺っているわけです。指導でというのはどういうことですか。
  158. 嶋口武彦

    政府参考人嶋口武彦君) 通常、ああいう文書の中で指導という言葉を使うのは余り例を見ないということでございますが、他方、私ども公務員と申しましょうか、いろんな形で、比較的軽々に、特に国会議員の先生方のお話になると指導という言葉はしばしば使うかと思いますので、そんなこんなを含めまして今調べておるということでございます。
  159. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 これは、もう防衛庁長官でもあるいは施設庁長官でも結構ですが、アメリカの国防総省は、地域社会が基地を三十年以上負担してきた場合には、その基地にまつわる環境浄化の問題とか雇用の問題とか地域社会の経済発展の問題について、責任を持って支援するという趣旨の法律ができていると伺っておりますが、我が国ではそういう法律を作るという、制度的にそういう面をお考えのことはありませんか。
  160. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 米軍でそのようなマニュアル、国家環境政策法というもので施策を取っていることは承知をいたしております。  我が国におきましても、沖縄の米軍基地関連におきましてこの返還跡地の利用促進、円滑化を図る中で、先般、四月一日に施行された沖縄振興特別措置法において、国、地方公共団体が密接な連携の下に駐留軍用地跡地の有効かつ適切な利用を促進するよう努めるとする基本原則が明らかにされ、さらに、大規模跡地及び特定跡地における計画的な開発整備を行うための計画策定給付金支給について規定をされたところでございます。  それで……
  161. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 はい、結構です。それで結構です。  そういう大まかなことではなくて、具体的に環境問題とか環境の浄化、汚染がある場合には浄化するとか、あるいは雇用の問題も支援して解決していくとか、あるいは地域経済の発展にも責任を持ってやっていくという、そういうもっと具体的な内容を持った制度的な保障というのはお考えじゃないでしょうか。
  162. 中谷元

    国務大臣中谷元君) この問題につきましては密接に県と市と連携して取り組んでまいりたいと考えておりまして、例えば昨年の十二月二十七日に、跡地対策準備協議会の中で、普天間飛行場の跡地利用促進の課題取りまとめの中で、原状回復措置関係、その中で、汚染に関する原状回復措置について、調査に関する事項、除去、処理及び処分に関する事項、また、不発弾に関する原状回復措置について、調査に関する事項、除去に関する事項等、地元の皆様方と環境問題等に十分配慮して実施をするという取決めを行っております。  このような観点から、県や市とも連携をし、環境面、雇用面に十分配慮してこの基地の問題について取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  163. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 外務大臣にお伺いします。  外務省改革のために大変御苦労なさっておられることに敬意を表しますが、外務省改革に関する変える会ができておりまして、既に三回か何回か開催されておりますが、そのときに、変える会の会員の方々から大臣が特に強い印象を受けられて、いい提言だと思われたことが何かございましたでしょうか。
  164. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 変える会につきましては、今まで三回会合を開いています。それで、そのたびごとに二人ないし三人の委員の方からまず最初にペーパーをいただいているわけでして、それに基づいて議論をということですので、具体的に今、議論を収束をして、これが提言だと、そういう段階には来ていないわけです。  その中で私が個人的にいい意見だと思いましたのは、幾つかありますけれども、例えば政と官の関係でいきますと、日本として、これはイギリス型という一つのお手本がありますけれども、それを取ることなく、官と政は政策についてきちんと、議論をちゃんとしていくべきであると、接触をその政策の論争であれば大いにすべきであるというような御意見がございました。それから、人事問題についてという中では、年功序列制をやめて、例えば若い人でも大使をやって、また、大使の後また本省に帰して仕事をしてもらうというような御意見。それから、入ってずっとその後ノーチェックで、入口の試験があって、それに通ればチェックがなくてずっと行くということではなくて、途中で試験をして、途中でチェックをする、関門を作っていくべきであるということ等、いろいろございます。
  165. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 はい、結構です。  去る四月一日に国連のアナン事務総長は、同氏が接触した世界じゅうの多くの指導者からパレスチナ問題について第三者の介入を求める強い声が上がっているという、そういう趣旨のことを言っておられるわけですが、国連のアナン総長から我が国に対して、外務省に対して、何かそのことについて御意見を求められたことはございますでしょうか。
  166. 川口順子

    国務大臣川口順子君) アナン事務総長が、第三者による監視の問題について、これが重要な問題となっている、世界の多くの指導者からこの問題を、この問題が自分に対して提起をされているということをおっしゃったということは承知をいたしていますけれども、これについては、まだ具体的に事務総長がだれかに働き掛けるという段階ではなくて、我が政府に対して事前に相談があったと、あるいは出してくださいというその話があったということはございません。
  167. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 先ほども別の方々から既にもう御質問が出たわけですが、イスラエルパレスチナ情勢については多くの国民が強い懸念を抱いています。外務大臣は、両国の平和共存をうたった一九九三年のオスロ合意についてどのような認識をお持ちですか。もうこれは役立たない、有効ではないとお考えですか。それとも、これを有効に使えると、まだその望みはあるとお考えですか。
  168. 川口順子

    国務大臣川口順子君) オスロ合意は、一九九三年に大変な努力の結果これができたわけでして、その結果、それを受けて、アラファト議長、ラビン首相、シモン外相がノーベル平和賞を受けているわけでございまして、これは残念ながら、その後それがその動きとなって、具体的な交渉となって結実をしていないわけですけれども、交渉自体は今停止をした状態にあるというふうに私は認識していますけれども、これは一つの大きな、今後のこの地域の平和と安定を考える上での大きな土台であると私は思っております。
  169. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 あと一問だけ外務大臣にお伺いします。  ドイツとNATO軍との間で締結されました地位協定と韓米地位協定、日米地位協定の基本的な違いについて、御存じでしたらお伺いしたいと思います。
  170. 藤崎一郎

    政府参考人藤崎一郎君) 地位協定、NATO地位協定、それからボンの補足協定、韓米協定とそれから日本の地位協定ということでございますが、協定につきまして、それぞれ各国の置かれております状況を反映して差異はございますが、基本は大きく異なるものではないというふうに承知しております。
  171. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 大分私は基本的に違うと思っておりますが、時間がございませんので次の機会にさせていただきますが、最後に、防衛庁長官にあと一問だけお願いします。  去る三月二十三日付けの沖縄の新聞は、クラスター爆弾が嘉手納基地に配備されているということを米軍が認めたというふうに報じておりますが、それは県の、県民を非常に不安に陥れておりますけれども、その対応をどうなさるおつもりですか。これが最後の質問でございます。
  172. 藤崎一郎

    政府参考人藤崎一郎君) 今の委員御指摘のクラスター爆弾の配備について報道があったということは、私どもも沖縄の報道は見ておりますので承知しておりますが、これにつきまして米軍は、運用上の理由により、どのような爆弾が、どのような兵器がどのような基地に保管されているかということについては一切コメントしないという方針であるという説明をしたというふうに承知しております。
  173. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 終わります。ありがとうございました。
  174. 武見敬三

    委員長武見敬三君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  175. 武見敬三

    委員長武見敬三君) オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書改正締約国の第九回会合において採択されたもの)の受諾について承認を求めるの件、オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書改正受諾について承認を求めるの件及び残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約の締結について承認を求めるの件、以上三件を一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。川口外務大臣
  176. 川口順子

    国務大臣川口順子君) ただいま議題となりましたオゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書改正締約国の第九回会合において採択されたもの)の受諾について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この改正は、平成九年九月にモントリオールで開催されたオゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書締約国の第九回会合において採択されたものであります。  この改正は、オゾン層を保護するための措置を強化するとの観点から、議定書の下で、非締約国との貿易の禁止の対象となる物質の範囲を拡大すること等を目的とするものであります。  我が国がこの改正受諾し、オゾン層の保護に関する国際的な取組に一層積極的に参加することは、環境保全の分野における国際協力推進するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この改正受諾について御承認を求める次第であります。  次に、オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書改正受諾について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この改正は、平成十一年十二月に北京で開催されたオゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書締約国の第十一回会合において採択されたものであります。  この改正は、オゾン層を保護するための措置を強化するとの観点から、議定書の下で、生産、消費等の規制の対象となる物質及び非締約国との貿易の禁止の対象となる物質の範囲を拡大すること等を目的とするものであります。  我が国がこの改正受諾し、オゾン層の保護に関する国際的な取組に一層積極的に参加することは、環境保全の分野における国際協力推進するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この改正受諾について御承認を求める次第であります。  次に、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この条約は、平成十三年五月にストックホルムで開催された外交会議において採択されたものであります。  この条約は、残留性有機汚染物質の製造及び使用の規制等について定め、これらの物質から人の健康及び環境を保護することを目的とするものであります。  我が国がこの条約を締結して早期発効に寄与することは、これらの物質の製造及び使用の規制等についての国際協力を一層推進するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。  以上三件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
  177. 武見敬三

    委員長武見敬三君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  三件に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時三分散会