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佐藤道夫君 余りもうくどいこと嫌になりますけれども、そんなことは、
対ロ外交について
混乱を招いた、
日本の権威を失墜させたということは、そのときから分かっていたことでしょうと私言っているんですよ。みんな知らぬふりをしておって、鈴木宗男議員が怖いものですから知らぬふりをしておいて、彼の姿が見えなくなったら途端にそういうことを言い出して、
対ロ外交を
混乱させた、どうだこうだと。
今
混乱させているわけじゃないんですからね、二年も前に、三年も前に
混乱させたと、こういうことですから、
東郷さんを
大使にするときにもう分かっていたことでしょうと。だれが考えてもそうでしょう。この三月に初めて分かりましたと、本心でそんなことを言っているのかと、こう言いたくなりますけれども、この問題、また尾を引いて後でやるかもしれませんけれども、これはこのぐらいにしておきます。
それから、今度は
防衛庁長官に主としてお尋ねいたしますけれども、キューバにおけるアフガンの捕虜の取扱いの問題なんでして、新聞報道その他によれば、テレビにも出されておりましたけれども、数百名のアフガニスタンで捕虜になった者たちがキューバに送られてくる。皆、目隠しをされて後ろ手錠を掛けられて、一列で数珠つなぎになって引っ張り回されておる。そして、一人一人が小さな金網でできているおりに入れられている。こういう
状況を見て、イギリス、フランス、ドイツ、EU諸国が皆、これはジュネーブ条約違反ではないかと、こういうことを言い出しました。私もそのとおりだと、こう思いましたら、
アメリカが何と言ったかというと、これはほとんどが捕虜ではないと、
テロリストだと。だから、ジュネーブ条約の適用はないと、こういうことを言っているんですね。
そうして、そうして
テロリストならば、これは御案内のとおり犯罪者ですからね、一般の裁判所が犯罪者として刑事訴追をする、
日本でいえば刑法の何条に該当する、そして刑事訴訟法の
規定に従って普通の裁判所に起訴をして裁判をしていくわけでありまして、有罪判決が確定するまでは無罪の推定を受けるから、後ろ手錠を掛けたりして引っ張り回すなんということは許されないことなんですよね。
ところが、
アメリカはこれは
テロリストだと。それじゃ、一般の裁判所に起訴するのかといったらそうじゃなくて、軍事特別法廷を作って、そこに訴追をしている。これは裁判官が全部軍人ですから大体結論は見え透いていると、法律家じゃありませんから。そういうふうにも思われるわけですが、死刑判決を下すときだけは全会一致だと。一般には、それじゃ、一体何という
アメリカの国内法に基づいて裁いておるのかと。そんな国内法はないと思いますし、仮にあったにしてもアフガニスタンで捕まえた者に適用されるような法律ではないと思いますよ。
そもそも
テロリストというのは、あなたも御承知でしょうけれども、政治的な目的を抱いて反対派のだれかを暗殺してやろうと思って一般市民を装って近づいていってナイフか何かでぐさりと刺してしまう、正しく殺人なんですね。今回の
イスラエルでの、
パレスチナでの自爆
テロも、一般市民を装ってレストランなんかに入り込んで油断を、人のすきを見て爆発させて自爆すると、正しく犯罪なんですね、あれ。軍事法廷で裁くような問題じゃないんです。
こういうことについて
アメリカの法律家が、何か知らないけれども、ほとんど発言しないのも私はおかしいと思っておりましてね。これ、なぜ
防衛庁長官にお尋ねするかというと、自衛隊だってこれから有事立法を作ってどこか、アフガニスタンかどこかに侵攻していくこともあることなんで。それで、何か捕虜になると、これは捕虜ですよと言っても向こうは、いや、こんな者は
テロリストだ、人の国へ入ってきてめったやたらに人殺しをしている
テロリストだ、よってもって、これはこっちで勝手に裁くんだと言われたって弁解する余地がない。現に
アメリカがそうやっているじゃないかと言われたときに弁解する余地がないんですよね。
いずれにしろ、捕虜か、それから
テロリストか、その区別はありますけれども、裁きというものは、法の手続に従って厳正に、しかし適切に行われていくのが当然なことでありまして、相手がアフガニスタンのいい加減な連中だからどうでもいいやというのが
アメリカの考えでしょうけれども、こういうことについて、
防衛庁長官として国防省の方々に、本当にひざ詰め合わせて
議論をして、こういうことが許されるんだろうか、あなた方どういうふうな考えでいるのかと、そういう
議論をしたことがございますか。もしなければ、これから
是非にもそれをやっていただきたい。
そして、
アメリカにもやっぱり良心というのはあるわけですから、今のこの法律制度を作り上げたのはイギリスと
アメリカですから、その人たちが一番よく知っていることでもあるんです。あなたの言うとおり、確かに我々は行き過ぎたことをしている、反省しているよ、いずれ機会を見て国内で話し合ってきちっとした
ルールを確立したいと言ってくれるだろうと思いますので、いかがでしょうか。