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2002-10-10 第154回国会 参議院 外交防衛委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年十月十日(木曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員長異動  七月三十一日武見敬三委員長辞任につき、そ  の補欠として松村龍二君を議院において委員長  に選任した。     ─────────────    委員異動  七月三十一日     辞任         補欠選任      武見 敬三君     松村 龍二君  十月二日     辞任         補欠選任      吉村剛太郎君     太田 豊秋君  十月三日     辞任         補欠選任      太田 豊秋君     吉村剛太郎君  十月九日     辞任         補欠選任      福島啓史郎君     佐藤 昭郎君      山下 善彦君     日出 英輔君      齋藤  勁君     辻  泰弘君      広中和歌子君 ツルネン マルテイ君      田村 秀昭君     平野 貞夫君  十月十日     辞任         補欠選任      海野  徹君     鈴木  寛君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         松村 龍二君     理 事                 山本 一太君                 木俣 佳丈君                 山口那津男君                 小泉 親司君     委 員                 泉  信也君                 河本 英典君                 佐藤 昭郎君                 桜井  新君                 日出 英輔君                 舛添 要一君                 矢野 哲朗君                 吉村剛太郎君                 佐藤 道夫君                 鈴木  寛君             ツルネン マルテイ君                 辻  泰弘君                 遠山 清彦君                 吉岡 吉典君                 平野 貞夫君                 大田 昌秀君    国務大臣        外務大臣     川口 順子君        国務大臣        (防衛庁長官)  石破  茂君    内閣官房長官        内閣官房長官  安倍 晋三君    副大臣        防衛庁長官   赤城 徳彦君        外務大臣    茂木 敏充君        外務大臣    矢野 哲朗君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        小島 敏男君        防衛庁長官政務        官        佐藤 昭郎君        外務大臣政務官  新藤 義孝君        外務大臣政務官  土屋 品子君        外務大臣政務官  日出 英輔君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 信明君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       村田 保史君        内閣官房内閣審        議官       貞岡 義幸君        警察庁警備局長  奥村萬壽雄君        防衛庁防衛局長  守屋 武昌君        防衛庁運用局長  西川 徹矢君        法務省刑事局長  樋渡 利秋君        外務大臣官房参        事官       齋木 昭隆君        外務大臣官房参        事官       長嶺 安政君        外務省アジア大        洋州局長     田中  均君        海上保安庁長官  深谷 憲一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○外交防衛等に関する調査  (日朝関係に関する件)     ─────────────
  2. 松村龍二

    委員長松村龍二君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  議事に先立ちまして、この際、一言ごあいさつ申し上げます。  去る七月三十一日の本会議におきまして、外交防衛委員長に選任されました松村龍二でございます。  甚だ微力ではございますが、委員皆様方の御指導、御協力を賜りまして、本委員会の公正かつ円満な運営に努めてまいる所存でございますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)     ─────────────
  3. 松村龍二

    委員長松村龍二君) 委員異動について御報告いたします。  去る七月三十一日、武見敬三君が委員辞任され、その補欠として私、松村龍二が選任されました。  また、昨九日、福島啓史郎君、山下善彦君、田村秀昭君、広中和歌子君及び齋藤勁君委員辞任され、その補欠として佐藤昭郎君、日出英輔君、平野貞夫君、ツルネンマルテイ君及び辻泰弘君が選任されました。  また、本日、海野徹君が委員辞任され、その補欠として鈴木寛君が選任されました。     ─────────────
  4. 松村龍二

    委員長松村龍二君) この際、国務大臣、副大臣、副長官大臣政務官及び長官政務官から発言を求められておりますので、順次これを許します。川口外務大臣
  5. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今般、引き続き外務大臣拝命いたしました川口順子でございます。  松村委員長始め委員皆様方には何とぞよろしくお願い申し上げます。  我が国は現在様々な外交課題に直面をいたしております。その中で、特に最重要課題である北朝鮮との関係では、国交正常化交渉を再開し、拉致問題や工作船を含む安全保障上の問題に引き続き外務省の総力を挙げて取り組んでまいります。  また、イラク問題では、国際社会と協調しながら、大量破壊兵器の廃棄を含む関連の安保理の決議をイラクが履行するように努力を続けます。  私は、二月の外務大臣就任以来、外務省改革を最大の課題として取り組んでまいりました。国民皆様から外務省は変わったと評価していただけますよう、八月に発表した改革のための行動計画を着実に実施をするということを中心に、改革に引き続き取り組んでまいります。その上で、これまで蓄積してきた経験と国際的なネットワークを生かして、特に総合的な外交先見性のある外交創造性のある外交を重視しまして、力強く外交政策推進していく考えでおります。  松村委員長始め本委員会皆様の温かい御指導と御協力をいただけますよう心よりお願い申し上げます。よろしくお願いいたします。
  6. 松村龍二

  7. 石破茂

    国務大臣石破茂君) このたび防衛庁長官拝命をいたしました石破でございます。  就任に当たりまして、小泉内閣総理大臣より、国民信頼を回復するため、綱紀の粛正に努め、内局と制服とが一体となった組織運用に努めるように、さらには、陸海空三自衛隊統合運用有事法制への対応を含め、我が国安全保障体制を一層充実強化するように、このような御指示を賜りました。私は、全身全霊を挙げましてこのような課題に取り組んでまいる所存であります。  また、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つためには、防衛力の本質であります抑止力、これを最大限発揮する必要がございます。このため、自衛隊法制面運用面装備面につきまして整備を進め、日米安全保障体制を堅持する一方、国際社会における国際平和の取組につきましても積極的に寄与し、国民の御負託にこたえてまいりたいと存じます。私は、一分一秒が真剣勝負であるという思いの下に全力職務に邁進する所存であります。  委員長始め委員各位のますますの御指導、御鞭撻を賜りますよう心よりお願いを申し上げる次第であります。
  8. 松村龍二

  9. 茂木敏充

    ○副大臣茂木敏充君) このたび外務大臣就任をいたしました茂木敏充でございます。  現在の我が国外交重要課題が山積をいたしております。参議院矢野大臣共々、川口大臣を補佐し、外務省改革、そして力強い外交推進に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  松村委員長始め外交防衛委員会先生方の御指導、御協力心よりお願いを申し上げます。
  10. 松村龍二

  11. 矢野哲朗

    ○副大臣矢野哲朗君) このたび外務大臣拝命をいたしました矢野でございます。  我が国に課せられた外交問題が山積する大変な難局の中、外務大臣拝命し、身の引き締まる思いをいたしております。川口大臣が日ごろ主張されております総合的な外交先見性のある外交、創造的な外交を目指し、茂木大臣共々積極的な外交推進できるよう精一杯川口大臣を支えていきたいと思います。  松村委員長始め本委員会の各先生方、御指導、御協力を心からお願いを申し上げたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
  12. 松村龍二

  13. 赤城徳彦

    ○副長官赤城徳彦君) このたび防衛庁長官拝命いたしました赤城徳彦でございます。  防衛庁自衛隊の任務は年々多岐にわたり、国民の期待するところ極めて大でございます。とりわけ、テロ、不審船事案等緊急事態に対し法制面運用面の十分な対処体制を整備することが急務でございます。私としましては、石破長官を補佐し、全身全霊をもって防衛政策推進に取り組んでまいりたいと存じます。  松村委員長始め委員皆様のますますの御指導と御鞭撻をよろしくお願いを申し上げます。
  14. 松村龍二

  15. 新藤義孝

    大臣政務官新藤義孝君) このたび外務大臣政務官拝命いたしました新藤義孝でございます。  委員長始め委員皆様方にごあいさつをさせていただきたいと存じます。  かつてないほど我が国外交に対する期待、そしてまた展開が必要とされているところではないかなと、このように思う次第でございます。多様な問題を含めるこの国際社会の中において、私たちの国が安全と繁栄を実現していくために精一杯の仕事を務めさせていただきたいと、このように思っております。  川口大臣を先頭にして、茂木矢野大臣に御指導いただき、また同僚政務官とともに職務を全うしてまいりますので、どうぞ松村委員長、そして委員皆様方、よろしく御指導のほどをお願いを申し上げます。
  16. 松村龍二

  17. 土屋品子

    大臣政務官土屋品子君) このたび外務大臣政務官就任いたしました土屋品子でございます。  松村委員長始め委員皆様一言ごあいさつ申し上げます。  我が国を始めとする国際社会が様々な課題を抱えている今日において、私は、外務省が一丸となって国益のために邁進できるよう、川口大臣指導の下、外務大臣政務官としての職務全力で取り組んでいく考えでございます。  松村委員長始め本委員会皆様の温かい御指導と御協力をいただきますよう心よりお願い申し上げます。
  18. 松村龍二

  19. 日出英輔

    大臣政務官日出英輔君) このたび外務大臣政務官就任いたしました日出英輔でございます。  松村委員長始め本委員会皆様方、どうぞよろしくお願い申し上げます。  外務省に対する国民信頼を回復いたしまして国益のために力強い外交が展開できますよう、川口大臣の下で政務官として全力を尽くす所存でございます。  松村委員長始め本委員会委員皆様方にはどうぞ温かい御指導と御協力をいただきますようよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
  20. 松村龍二

  21. 小島敏男

    長官政務官小島敏男君) このたび防衛庁長官政務官を仰せ付かりました小島敏男でございます。  私は、防衛政策の一層の推進のために、石破長官を補佐しながら、ともかく一生懸命頑張っていく覚悟でございます。  松村委員長さんを始め委員皆様方の温かい御指導、御鞭撻お願い申し上げます。よろしくお願いいたします。
  22. 松村龍二

  23. 佐藤昭郎

    長官政務官佐藤昭郎君) ただいま、このたび防衛庁長官政務官拝命いたしました佐藤昭郎でございます。  松村委員長始め参議院外交防衛委員会委員皆様方のますますの御指導、御鞭撻、よろしくお願い申し上げます。
  24. 松村龍二

    委員長松村龍二君) どうもありがとうございます。     ─────────────
  25. 松村龍二

  26. 松村龍二

    委員長松村龍二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  27. 松村龍二

    委員長松村龍二君) 外交防衛等に関する調査のうち、日朝関係に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  28. 舛添要一

    舛添要一君 最初に、拉致問題についてお伺いしたいと思います。  昨日、拉致された御本人五人、十五日に一時帰国ということでございますけれども、少し距離を置いて見ますと、生存なさっているとされている方と死亡されたと言われている方、この家族の分断につながらないか。そして、十五日にこれ五人帰ってこられると大変なニュースになりますね。しかし、片一方で家族が人質に取られているわけですから、先般の寺越さんの例を見ても分かりますように、本人マインドコントロールを受けているのか、それから人質取られて本当のことを言えるかどうか分からない。  これは、二週間帰国されるということですけれども、二週間でそういうこと、縛りが取れるはずはないので、こういう小出し小出し北朝鮮側が出してくる、それは一つのカードだと思うんですけれども、こちら側としてはそういうことに対してある程度の警戒感、なし崩し的に譲歩してしまうということがないか、そのことを政府の方はしっかり確信を持っておられるかどうか、安倍官房長官
  29. 安倍晋三

    内閣官房長官安倍晋三君) まず、今回、十五日に五人の生存しておられる方々帰国について、家族を分断することにはならないかという御質問でございますが、まずこの五人の方々本人のみの十五日の帰国ということにつきましては、昨日家族会皆様のまず御了承をいただいたわけでございます。家族会からは横田御夫妻、そして増元さんと蓮池さんにお越しをいただきました。横田さん、増元さん、それぞれ北朝鮮の発表によると既に死亡しているとされる被害者家族、御両親、御家族方々でございますが、皆様家族全員帰国を求めるべきであるという主張をしてこられました。今回のこの十五日の帰国、それは大変すばらしい成果であるというお話でございました。  そしてまた、まだ家族が残っている、被害者の方の家族が残っているではないかという御指摘でございますが、そもそもは、御本人たちの意思もあって、家族に訪朝してもらいたいというのが当初の北朝鮮側の要望であったわけでございますが、しかしながら、家族皆様方のしっかりとした団結、そして私ども政府の決意、そしてまた田中局長が大変粘り強く交渉した結果、当初はこちらから向こうに行ってもらいたいということでなかなか固かったわけでございますが、今回、向こう側から取りあえず御本人たち帰国という成果を得たのではないかと、私はこのように考えております。  しかし、私ども要求はあくまでも家族も含めての全員帰国でございますから、その基本的な考え方は変えずにあくまでもその原則を守って北朝鮮側交渉をしていきたい、こう思っております。
  30. 舛添要一

    舛添要一君 アメリカ大統領特使ケリーさんがピョンヤンを訪問なさって、その直後のこういう決定だということで、何らかのアメリカ大統領特使の力があったのかどうなのか、その点。  もう一つ、その絡みで明確にしておきたいのは、これは田中外務省局長、いろんな報道がなされています。どれが正しいのか分からない。ある報道によると、ケリー特使官房長官ないし副官房長官に会見したい、それを意図的に田中局長が拒否をした、拉致問題については触れてもらいたくないんじゃないかと、そういう勘ぐりのような報道がありますから、これはあなたの名誉のためにも、どういう外交をやってこられたのか、そこのところを安倍官房長官田中局長、双方に明らかにしていただきたいと思います。
  31. 田中均

    政府参考人田中均君) ただいま御指摘の点でございますけれども、何点か申し上げたいと思います。  第一点は、ケリー特使が訪朝するに先立って日本に事前の協議のために参りました。実は、私は、先方要請もございまして、個人的な会談をしたいということで、彼らが着いた日に会談機会を持ちました。その中で、私は、米国対応の方針、そういうことを議論しつつ、日本についての拉致問題の重要性ということを時間を掛けて説明をいたしました。ただ、そのときはまだピョンヤン派遣をした調査団帰国していなかった、帰国はしていましたけれども東京には台風のために戻れなかったという状況の中で、ケリー国務次官補に対しては、調査団がまだ東京に戻っていないという事情を説明した上で、現段階でこの件についてお話を、調査団の件についてお話をすることはまだできないということを説明いたしました。  その後、翌日、正式な会合機会事務次官等との間で持たれまして、その際に、調査団報告も踏まえた形で北朝鮮に対して誠意ある対応をしてもらいたいということを米国から伝えていただきたいということを明示的に要請をいたしまして、ケリー国務次官補ピョンヤンにおいてその旨を明確に先方に伝えたということでございました。  したがって、米国に対して、報道されているように拉致の問題に深入りするななんということを申し上げたことはございませんし、政府としてきちんと米国に依頼をしているということでございます。  それから、具体的な会合等のアレンジメントについては、これは米国側関係の局と協議をして決めたものでございまして、私が官房長官とか安倍長官との会談を妨げたとか、そういったようなことは一切ございません。これは事実無根でございます。  以上でございます。
  32. 舛添要一

    舛添要一君 安倍官房長官、今の理解でよろしゅうございますか。
  33. 安倍晋三

    内閣官房長官安倍晋三君) 田中局長が申し上げたとおりだと思います。  一日の夜、田中局長がジム・ケリーと会った後、私も福田長官とともに一行と会いました。そして、そのときの段階では確かに、田中局長がおっしゃったようにまだ調査団帰国をしておりませんでしたので、調査団報告があり次第またもう一度連絡するということを申し上げまして、調査団の聞き取り調査を、私ども報告を聞き終わったのが午前三時でございました。午前三時に、本人はもう寝ておられましたので、代理の方に私の方からすぐの方がいいだろうということで連絡をいたしまして、まだ不十分なので協力をしてもらえるように要請してもらいたいということを申し上げたということでございます。
  34. 舛添要一

    舛添要一君 もう一点、先ほど質問いたしましたけれどもケリー特使ピョンヤンにおける外交、これが今回の五人の一時帰国に影響があったのかどうなのか。これは外務省でも内閣でも、お答えできる方、お願いします。
  35. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 家族帰国が可能になるについては様々な要素が働いたと思います。ケリーの訪朝……
  36. 舛添要一

  37. 川口順子

    国務大臣川口順子君) ごめんなさい、本人の。失礼しました。本人というつもりで申し上げましたが、ちょっと言い間違えまして、失礼しました。  様々な要素が働いたと思います。今、先生質問ケリーお話もあったと思いますけれども、何よりも家族、生存なさっている方の御家族の方が非常に強い御希望をお持ちで動かれたということでもございますし、それから北朝鮮側も、これは総理とのお話でも、それからこの間政府調査団が行きましたけれども、その際にも、生存されているとされる方については本人希望も含めてできるだけ早期に、家族も含めてできるだけ早期帰国できるように最大限努力をするということを言っておりまして、様々な御家族の御希望日本の働き掛け、そして国際的な情勢、いろいろなことがそういう方向に働いたと思います。
  38. 舛添要一

    舛添要一君 今回の五人の件以外に、そもそも調査報告書を私も全部読みましたけれども、にわかに信じ難い点がたくさんあります。  そして、今回帰ってこられる五人というのは、ある意味北朝鮮にとっては衛生無害ですね。例えば、田口八重子さん、これは李恩恵と言われている。それから横田めぐみさん、これは工作機関で教授をやったりしているわけですから、この人たちが生きて帰ってくるということになれば非常に北朝鮮のスパイも日本における大打撃を受けると。そういうことですから、北朝鮮もこれは非常によく考え外交をやっていると思いますから、是非そういうことを踏まえて、ある意味でだまされないようにやっていただきたいと思いますが。  今回話題になっている件を含めて百件近くが拉致されたんじゃないかという疑惑が起こってきている。最初警察庁の方に、現在、その後出てきた事例、その後各県警に問い合わせがあった事例を含めて、現在の捜査進展具合について簡単に御説明願いたいと思います。
  39. 奥村萬壽雄

    政府参考人奥村萬壽雄君) お答えをいたします。  この北朝鮮によります日本人拉致容疑事案につきまして、警察といたしましては、事案重大性にかんがみまして、これまで日本の国内外において鋭意捜査を行ってきたところでございます。  そうした捜査の結果を総合的に検討いたしました結果、今般、曽我ひとみさん、曽我ミヨシさん、それから石岡亨さん、松木薫さんの四名につきましても北朝鮮による拉致容疑事案と新たに判断したわけであります。これによりまして、北朝鮮による拉致容疑事案は現時点で十件十五名となったところであります。  それからまた、原敕晁さんを拉致いたしました辛光洙、それから有本恵子さんを拉致いたしましたよど号グループの犯人の一人であります魚本公博容疑者、この二人につきましては逮捕令状を取ったところでございます。  それからまた、先般派遣をされました拉致に関する事実調査チームによる現地調査結果につきましては、現在その内容を精査し、また分析をいたしまして所要裏付け捜査を行っているところでありますけれども、今回の北朝鮮による事実関係説明には非常に不十分な点あるいは疑わしい点がありますので、私ども警察といたしましては、今後とも内閣官房外務省等と十分に連携をいたしまして北朝鮮に対して更に詳細な説明を求めていきたいと思っております。  一方、拉致容疑事案であると判断をしております十件十五名以外の事案につきましても北朝鮮による拉致可能性を排除できない事案があると考えておりまして、現在それらにつきまして各府県警察所要捜査、また調査を進めておるところでございます。
  40. 舛添要一

    舛添要一君 今後の国交正常化交渉とこの拉致問題との絡みですけれども、二十九日、三十日にマレーシアにおいて二日間交渉をやるということですね。  ただ、心配すれば切りがないんで、最悪のシナリオというか悪い方を少し申し上げますと、日朝平壌宣言には拉致という言葉が一言も書かれておりません。したがいまして、紙を基にしてやったときにちゃんと北朝鮮側が今後とも誠意ある態度を続けていくのかどうなのか。それから、例えば今警察から話がありました辛光洙、これは口頭では金正日総書記は責任者の処罰をしたと言っていますけれども、じゃ、その辛光洙をどういうふうにして処罰して、今牢屋に入っているのか死刑になったのか何にも言えない。それについては調査報告書は、これは日朝の法的枠組みがないから正常化してからの話だと、こういうふうになっていますね。だから、鶏と卵みたいな側面があって、正常化を進める形で拉致問題を一歩一歩やっていくと、その態度は大変結構だと思いますけれども、どちらもアブハチ取らずになってしまうという危険性も一つあるので、平壌宣言拉致が入っていなかったことの埋め合わせ、拉致という言葉が入っていなかったこと、その弱みをちゃんと補強できるだけの外交体制、構築なさっているのか、そしてまた、その決意で臨むのか、これは政府外務省、是非お伺いしたいと思います。
  41. 川口順子

    国務大臣川口順子君) まず、正常化交渉の中で、拉致問題についてはこれは最優先の問題として取り上げていくということでございます。そして、拉致の問題だけではなく、この平壌宣言に盛られたすべてのこと、これについてきちんと真剣に議論をしていくということでございまして、仮にこの平壌宣言の精神と基本原則、これに北朝鮮側がこれを守らないということがあれば、その場合は正常化の過程が前に進んでいかないということになるわけでございまして、これは政府を全体を挙げてこの交渉に際してきちんとすべてのことを取り上げ、そして必要な措置を我が国も取りながら進めていくということでございますので、この交渉の過程については、その時々で、そういった状況についてもちろんお話をしていくわけですし、また御質問もいただけると思いますので、これについては、交渉をきちんと進めるということについては政府に御信頼をいただきたいと思っています。  それから、拉致の問題が入っていないということでございますけれども、これは……
  42. 舛添要一

    舛添要一君 拉致という言葉が入っていない。
  43. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 言葉が入っていない。言葉は入っておりませんけれども会談総理がいらっしゃいましたときには、この問題については厳しく総理から追及をしていただいておりまして、平壌宣言には「日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題」という形で、これも含め、そして工作船の話も含め、そこで取り扱っているわけでございます。
  44. 舛添要一

    舛添要一君 今、工作船の話が出ましたので、続きまして工作船、不審船の話をしたいと思いますけれども、国土交通省、これは船を揚げまして相当のレベルまで調査が今進んでいると思います。警察とも連携の上だと思いますが、例えばプリペイド携帯電話が出てきたと。そうすると、これはいつ、だれが買ってどこと通信をしたか、そういうことも分かりますから、日本側における北朝鮮協力者、支援体制も分かると思いますけれども、既に報道がされていますけれども、相当な重武装をやっている。今の海上保安庁の力ではとても簡単に撃墜、この前は本当に運が良くてミサイルが当たらなかったわけですけれども、非常に私は懸念をしておりますので、取りあえず現在までの調査結果の概要について、国土交通省、報告願います。
  45. 深谷憲一

    政府参考人深谷憲一君) お答え申し上げます。  委員指摘事案に関してでございますが、御案内のとおり、九月十一日に現地で引揚げを行いまして、去る十月六日に船体を陸揚げしたところでございます。これまで行ってまいりました一連の作業によりまして、船体そのもののほか、小型舟艇、水中スクーター、武器類等多数の証拠物を我々は回収をしているところでございます。  これらの証拠物につきましては、現在鋭意整理、分析、鑑定を進めてきておりますけれども、その中でも、工作船の船尾に観音開きの扉がある、その中で発見された小型舟艇、水中スクーター、こういったものが過去に北朝鮮のものと特定されたものと同様の特徴を持っている、あるいは北朝鮮国民が付けると言われております金日成バッジも発見されたり、あるいはたばこでございますとか菓子類、そういった北朝鮮製のものが多数発見された、こういうことから総合的に判断しまして北朝鮮工作船であったと特定したところでございますが、先般の日朝首脳会談におきまして、金国防委員長がこの事案についての北朝鮮の関与を認める趣旨の御発言をされておりますが、そのことが今申し上げましたような物証としても裏付けられたかなというふうに考えておるところでございますけれども。  海上保安庁といたしましては、国民の安全それから安心、これを確保するためにも、この事案の全容を解明していくということが極めて大事であろうというふうに認識をいたしておりまして、携帯電話などにつきましてもそのための重要な証拠物の一つというふうに認識しておりまして、引き続き関係方面の御協力もいただきながら徹底的な捜査をしてまいりたいというふうに考えております。
  46. 舛添要一

    舛添要一君 今後、警察協力して、日本におけるこういう北朝鮮工作船活動を支援するような組織についても壊滅的に根こそぎ逮捕する、そういう方針で臨むようにお願いしておきたいと思います。  不審船絡みの話でもう一つ。この日朝首脳会談を前にした九月四日、能登沖で不審船が出てきた、これは北朝鮮のフラッグを、旗を付けた形で出てきた。これについて、これまた内閣が意図的に発表を遅らせたりしたのではないかという一連の報道がなされていますけれども、現在、内閣の方でこの九月四日の能登沖の不審船についての調査をやっているということですが、まとまっているところで結構ですので、安倍官房長官、この事案について反省点、ないし言われているように、日朝首脳会談を成功させるために、不審船が出てきたんだけれどもマスコミに知らせるなと、そういう態度で臨まれたんですか。
  47. 安倍晋三

    内閣官房長官安倍晋三君) この不審船の引揚げ調査、あるいはその調査結果の公表が首脳会談のスケジュールまた首脳会談そのものに影響されたのではないかという御懸念でございますが、そういうことは一切ございません。総理も私に、この不審船につきましてはこの訪朝にかかわりなくしっかりとやるようにということで、しっかりと対処するようにという指示が具体的にございました。
  48. 舛添要一

    舛添要一君 先般引き揚げられました不審船についてもそうなんですけれども、どうも海上保安庁と自衛隊との協力体制というのが、はたから見ているとうまくいっていないような感じがする。あれは、ロケットを撃たれて海上保安庁の船が沈没しても、後ろに海上自衛隊の護衛艦の一隻も来ていない、こういうことではそれは薄ら寒い状況があるわけですけれども、その前の、P3Cで写真撮って、わざわざ、その場で伝送できないとか、いろんな不備がございました。  防衛庁長官、そういうことを含めて、これは海上保安庁との連携というのを今後どうするのか。法的な不備があれば我々がその法的な不備を埋めればいいわけですけれども、まずその協力体制、今後大丈夫ですか。
  49. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは三年前の能登半島沖の不審船事案のときから指摘をされている事項だと思います。そのときから本当に十分な連携が取れていたのか。あのとき初めて海上警備行動が発令をされましたが、結果として取り逃がすことになった。なぜ取り逃がしたのかということの反面、では追い付いていたとしたらどうなったんだということ。つまり、今回の、昨年の暮れの事案で明らかなように、自爆をするような人たち、そういう人たちが、仮に保安官であれ自衛官であれ、乗り移ったとしたときにどういう行動に出るのだろうかというような議論が当時ございました。  昨年、自衛隊法を改正いたしまして、海上保安庁法の改正に合わせる形で自衛隊法も改正をした、停船命令に従わない場合にどのようにするのかということであります。そういうような条文も作りました。あるいは、多衆集合、九十条第三項のところで武器使用の権限も強化をした次第であります。  先生指摘のように、情報の伝達というものに遅滞があってはならない、必ずすぐに伝えるようにということと、じゃ海上保安庁が出て、御指摘のように本当に船が沈んじゃってから自衛隊が出るということは私はあってはならないと思っているんです。他方、考えなきゃいけないことは、それでは何でも自衛隊が出ればいいのかということを考えてみた場合に、たとえそれが警察権の行使であったとしても、外形からは護衛艦が出てきたということになるわけで、そのことがどういうような意味を持つのか、そこの兼ね合いをどう考えるかということだと私は思っているんです。  今、海上警備行動というのがあります。法理的には、治安出動というものを海上自衛隊に下令することも法理上は可能であります。そうしますと、今ある条文の中で一体どこまでできるのかという法律的な側面、情報伝達も含めた運用的な側面、そして自衛隊のどのような部隊が出るべきなのか、どのような船が出るべきなのかという運用、装備の面、そういうものを合わせまして何が一番いいんだろうか、何が抑止力として、また事態の拡大を防ぐという意味で、そして無用な犠牲を出さないという意味で何が一番いいのかということにつきまして早急に結論を出しませんと、これは政府としての責任を果たしたことにはならないというふうに私は考えております。  党内におきまして、先生が御指摘されましたことも踏まえまして、きちんとした結論を出しますように、海上保安庁ともよく連携をしながら努力をしてまいりたいと存じます。
  50. 舛添要一

    舛添要一君 二十四、五年前の話ですが、この拉致の問題が集中して起こったのは。しかし、今、海に囲まれた我が日本で海岸を夜散歩していたら、いつさらわれるか分からない、こんな不安を持って生活するような国は国家の体をなしていないわけです。海上保安庁もそうですが、自衛隊、我々平気で散歩できるんですか、今。  それからもう一つ、情報があればですけれども日朝首脳会談以降、金正日総書記はもう工作船活動をやめると言った。やめていますか、動いていませんか、そういうことの情報はちゃんとありますか。これは防衛庁でも内閣でも。機密でお答えになれないならなれないで構わないですけれども
  51. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 現在のところ、そのような情報は承知をいたしておりません。
  52. 舛添要一

    舛添要一君 それにつけても、テロも含めて、こういう工作船も含めて、やっぱり有事のときにどうするかという体制がなっていないからこういうことになるんで、さきの通常国会で有事法制というのは日の目を見ませんでした。いろんな不備があります。私は、これはテロも含めて少し網を大きく広げる形で有事法制の整備をしないといけないというふうに思いますけれども、この臨時国会でちゃんとやる決意なんですか、安倍官房長官
  53. 安倍晋三

    内閣官房長官安倍晋三君) さきの国会におきまして、私どもが提出をいたしました武力攻撃事態対処法案につきましていろいろな御議論がございました。また、提出に当たりまして、我が党の部会におきましても委員からいろいろと御指摘がございました。その御指摘があったことはそのまま国会でも論点となったわけでございますが、私どもはそういう論点を踏まえながらこの法案をどうすべきか、そういう検討をいたしております。また、議員の皆様方におかれましても、どう修正すべきかということを今検討していただいているところでございます。  特に、今、石破長官からもお話がございました、いわゆる工作船、テロ、ゲリラへの対応が十分なのかということでございますが、二十四条におきましてこうしたことへの対処についても検討するということが書かれておりますが、しかしこれはもう喫緊の課題ではないか、中身はどうなのかということについてもっとはっきりと示すべきではないかという御指摘がございました。私どももその御指摘は極めて重要な御指摘であるという認識を持っております。  いずれにいたしましても、対話と抑止でございまして、抑止が十分であるかどうかということの上におきましてやはりこれは法整備をしなければいけないという決意の下、前国会で提出をしたわけでございます。残念ながら成立をしなかったわけでございますが、いろいろな論点等もう一度見直しまして、この国会におきまして、来るべき国会におきまして是非とも成立を図っていきたい、こう考えております。
  54. 舛添要一

    舛添要一君 今、対話と抑止ということをおっしゃいましたけれども、抑止の側面の安全保障の問題に移りたいと思います。  日朝平壌宣言では、核問題及びミサイル問題を含む安全保障上の諸問題に関し、関係諸国間の対話を促進し、問題解決を図ることの必要性を確認した。それから、ミサイル発射のモラトリアムを二〇〇三年以降も更に延長していくということが明記されておりますけれども、まず最初に、ミサイル問題、核問題、今後外務省としてはどういう対応をこの平壌宣言を実効あらせるためにやる決意なのか、それをお答え願いたいと思います。
  55. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 平壌宣言に書いてございますように、核、ミサイル等の、先ほどの工作船も含みますけれども安全保障問題は、これは一つの大きな問題グループとして認識をしているわけでして、これに対応するために安全保障協議を立ち上げるということです。  今度の二十九日、三十日に第十二回目の交渉が行われるわけでございますけれども、正常化交渉が行われるわけですけれども、その中で、今後どういうテーマをどういうふうに取り上げていくかということの話をし、あわせて、日朝安全保障協議、これをどのような形でやっていくかということの話もしたいと考えております。  当然ながら、この問題の議論に当たっては、今までもやってまいりましたけれども米国、韓国等と綿密に、緊密に連携を取りながら話を進めていく必要があると考えています。
  56. 舛添要一

    舛添要一君 先ほど拉致問題についてもお答えいただきましたけれども、この安全保障の問題についても、日本側として納得のいく回答が北朝鮮側から出ないならば正常化をすることはないということを断言できますか。
  57. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今後の正常化の交渉、これは安全保障問題も含みますけれども日朝平壌宣言の精神と基本原則にのっとって進めていくということでございまして、これに違反をするということがあれば正常化のこの過程というのは前に進んでいかないということになると思います。
  58. 舛添要一

    舛添要一君 核開発疑惑なんかの検証、これは主としてアメリカ及び国際機関に任せないといけない状況になっていますけれども、私、実は二十年以上前にフランスのランドサット衛星から撮った写真を解析して、北朝鮮どうも核開発やっているんじゃないかというようなことを、核兵器の開発を、そういうのはかなり二十年前の偵察写真でもはっきり分かる。  ところが、我が国が情報収集のためにまともな衛星持っていない。これもしかもどの省庁がやるのかもばらばらであると、今のところは内閣でしょうけれども。まあ偵察衛星という言葉を使うと嫌がる方がいるから情報収集衛星でもいいんですけれども、こんなものは持っていて専守防衛ですから情報をちゃんとやるべきなんですけれども、これ今後政府としてちゃんと進める気はあるんですか。
  59. 貞岡義幸

    政府参考人貞岡義幸君) 御説明します。  情報収集衛星につきましては、現在、平成十四年度冬期及び平成十五年度夏期の打ち上げに向け鋭意準備を進めているところであります。情報収集衛星は外交防衛等安全保障のために必要な情報の収集を主目的の一つとしておりますので、舛添先生指摘のような我が国安全保障にかかわる事項には十分に関心を持って打ち上げ後の情報収集衛星の運用を図ってまいりたいと考えております。
  60. 舛添要一

    舛添要一君 北朝鮮が核兵器を作っているらしい、ないしはサリンを作っているらしい、炭疽ガスをそこで何か作っているらしい、こういう情報を我々キャッチしたとしますね。空から見たい、それで偵察衛星、我がその情報収集衛星が持ってきました。正にこれは核兵器作っているぞというのは今の解析能力からするとかなり分かります。  こういう使用は平和目的ですか、そうじゃありませんか。
  61. 貞岡義幸

    政府参考人貞岡義幸君) 政府としましては、そういうのも我が国安全保障にかかわる情報収集の一環と考えており、平和利用というふうに考えております。
  62. 舛添要一

    舛添要一君 私がその問題を提起したのは、情報収集衛星は平和目的になっているんです。これ難癖付ければ今のだって、平和という言葉の解釈次第ですけれども、非常にあいまいになるんです。だから、こういう国会決議をちゃんと見直すかどうなのか。つまり、平和目的という言葉が入っているから防衛庁が入れないんですよ。防衛庁がちゃんとやれないような情報収集衛星でちゃんとできるんですか、これは。石破長官
  63. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 今、事務方から答弁がありましたように、この情報収集衛星によります情報の収集なるものは、これは、決して軍事目的というよりも、平和目的にかなうものだというふうに私は考えております。  むしろ、問題は、情報収集衛星で正しく撃ちそうだねということがたまたまその上空を周回しているときに撮れたといたしましょう、仮に撮れたといたしましょう。それだけでは全然駄目で、撃たれたミサイルが一体何時何分どこへ弾着するのということ、これが理解をできなければ、これは手の打ちようがないわけです、仮に将来BMDというものがあるにしても。  しかし、先生御高承のとおり、それは今、早期警戒衛星の静止衛星はアメリカからの情報をいただいてやっておる。それは日米同盟の信頼関係の下にやっておるわけであります。今そういう形で、BMDの配備の有無は別といたしまして、正否は別といたしまして、情報伝達の形はできている。  しかし、本当にそこで国会決議がどうなるのかということにつきましては、正しく国会で御議論をいただくべきものだと思いますが、私といたしましては、本当にそれが侵略的なものではなくて防衛的なものであったとした場合にどうなのだろうか。今、政府が、答弁申し上げましたように、平和目的ということであります。それは宇宙の平和利用というものをどう考えるかということでございますが、これはあくまで国会の御決議でございますので、国会での御議論、それに私どもはまたせていただくのが立場かと、そのように考えておる次第でございます。
  64. 舛添要一

    舛添要一君 是非、この平和利用という文言の国会決議をみんなで検討したいということを同僚の議員に御提案申し上げたいと思います。  さて、時間も大分迫りましたので、最後に少し広い視野からの国際情勢ということを考えてみたいと思いますけれども、今回の日朝首脳会談に至った背景、私は主たるものが二つあると思っています。一つは、ブッシュ大統領の悪の枢軸発言、力による政策、それからもう一つは、飢えて国民が食えないという北朝鮮の飢餓状況、そういうものを前提にしての首脳会談だったというように思いますけれども、それ以外に何か付け加えること、ないしはこういう要因があるんじゃないかというようなことを、田中局長、例えば、ないし外務大臣でも構いませんが、ありましたらお答え願いたいと思います。
  65. 田中均

    政府参考人田中均君) 委員が御指摘になった二つの点、米国のブッシュ政権が非常に強い態度を取って北朝鮮対応しているということは一つの要因であることは間違いないというふうに思います。  ただ、同時に、北朝鮮側も自国の経済事情ということもありましょうし、それから、周りの国、中国、ロシアにおける経済的な改革、発展というものを見て、やはり一定の経済改革を進める必要性、そういうものに対する認識が強くなっているということも事実だと思います。  ですから、これは今に始まったことではなくて、例えば南北の関係に見ましても、南北の共同宣言以降、幾つかの分野で、例えば最近も鉄道の連結という話が実現に向けて動き出しましたけれども、そういう形で、それからヨーロッパとの関係でも、外交関係を結んでいるということがございますし、北朝鮮自身が一定の対話路線を進めたいという意欲を持っているという状況もこれまたあるというふうに考えております。  私どもとしては、そういう北朝鮮が一面追い詰められた状況、その中で対話を求めるという状況を活用しながら、日本にとって日本の安全を担保できるような正常化を進めたい、そのための交渉をやりたいと、こういうことだろうというふうに考えます。
  66. 舛添要一

    舛添要一君 調査報告書政府調査報告書を見ても、拉致問題についてはどうもやっぱり金正日独裁体制の下ではまともな真実が出てこないのかなという感じがしますけれども、こういう独裁体制を民主化させる展望というのは、これは力でだけでやるわけにいかないでしょうけれども、こういう展望を現実に抱いて交渉なさっていますか、安倍長官
  67. 安倍晋三

    内閣官房長官安倍晋三君) 大切なことは、平壌宣言にのっとって私ども交渉を続けていく。その交渉を続けていく中で、北朝鮮側も世界の中で孤立をしているということの不利益また危険性を更に認識を深めていく。そしてまた、いろいろな情報が北朝鮮の中に入っていく。やはり情報が入っていくということが民主化への大きな私はてこになるんではないか。その情報が入っていくという可能性がより高まっていくということに私はこの正常化交渉を続けていくことがつながっていくんではないかと、このように考えております。
  68. 舛添要一

    舛添要一君 矢野大臣、新たに副大臣におなりになったところですけれども、今後是非、外務省、しっかり体制を組んでこの拉致問題を含めて解決していただきたいと思いますけれども、御決意のほどをお述べいただきたいと思います。
  69. 矢野哲朗

    ○副大臣矢野哲朗君) まだ就任させていただいて一週間強の私でありまして、ただ、今御指摘のとおり、強い外交の展開というふうな思いは私も一にするところでありますけれども、強い外交の展開というふうな具体的な行動を起こすに当たって、まず内から体制を整えるということも大変重要なことなんではないかなと。いろいろ昨年から外務省の体質について御指摘がありました。外務省としても、行動計画を立て、これに基づいてひとつ内なる整備をやっていこうというふうな思いでもあります。  この行動計画でありますけれども、期限を切ってその成果をというふうなことでありますから、十分に成果が上がるべく私も体制を整えてみたいなと。あわせて、並行的に積極的な外交展開を志してみたいなと、こんな思いであります。
  70. 舛添要一

    舛添要一君 ありがとうございました。時間が参りましたので終わります。
  71. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 おはようございます。民主党・新緑風会の木俣佳丈でございます。  まず、今日は日朝の問題について集中的に討議ということで、まず石破大臣就任おめでとうございます。そしてまた、副大臣政務官の皆さんにも御就任おめでとうございます。この次の国会というのは、恐らくは北朝鮮国会ということを名付けられる、又は安全保障国会ということになることは間違いないということで、せいぜい励んでいただきたいなと思っておるわけでございますが。  外交というと、私は三十年来外務大臣を務められたドイツのゲンシャーさんという方を思い出すわけなんですが、この方が言う言葉の中で、外交の基本というのは、相手に誤解を与えたり、そのために、それによって誤った判断が生じる余地を残さない明確な意思の伝達であると、こういう言葉を述べていらっしゃって、これは外交は言葉であるということを言われておると思うんですね。拉致問題の解決なくして日朝の国交正常化はない、これほど明確な意思の伝達というのはないと私は思っておりまして、そういう意味では小泉総理を評価しております。  ただ、一連の流れの中で、先ほども同僚議員からもお話がございましたけれども、例えば情報の伝達の方法が大分政府で混乱していたんではないかということを私は思わざるを得ない。  例えば、九月の十七日に、午後三時に拉致被害者の御家族方々、飯倉公館に行った。そして一時間待った。そこで、要は生死について本当にむごいことを伺った。そして、植竹副大臣官房長官から、こういう言葉だったらしいんですが、誠に申し上げにくいことですが、例えば横田さん、めぐみさんはお亡くなりになられましたと。そして、確認しましたと、こういう言葉を付け加えていらっしゃるわけです。ところが翌日、これは安倍長官拉致家族方々のところに飛んでいっていただいたと。ここで言われたことは、確認は取っていませんと、こういう言葉なんですよね。  ですから、政府が飯倉公館まで、私は呼び出すというより出向いていって申し上げるというのが当たり前で、と思うんですが、呼び出してまで確認しましたと明言をしたというのは間違いないと思うんですが、しかし内閣の柱である副長官が翌日会って、確認は取っていませんと。取ったか取らないかよく分からないという中で、家族方々が物すごく苦悩し、混乱したと。日本国じゅうと言っていいかと思いますが。  このことで、例えば私が伺ったのは、増元さんのお父さんなんかも今がんで病床におられて、この日もテレビを見ていらっしゃって、何とかという思いであったと。しかしながらということで、今は非常に悪化してしまったとか、そういうちょっと感情的な話かもしれませんけれども家族方々のことを思うと、これは副長官も同じ気持ちだと思うんです。同じ気持ちだと思うから私も答えていただきたいんですが、この辺り、非常に言葉の不明確さがあったということは思われますですよね、副長官
  72. 安倍晋三

    内閣官房長官安倍晋三君) 被害者の安否情報の御家族への伝達についてでございますが、首脳会談が行われましたピョンヤンで代表団の責任で作成をいたしました資料に基づきまして、ただいま委員が御指摘をされましたように、福田官房長官、植竹副大臣が飯倉公館で待機中の御家族に対しまして内容を伝達をしたわけでございますが、その際、御家族に伝達をいたしましたのは、あくまでも北朝鮮側から通報のあった内容であり、政府として関係者の安否を確認していたわけではないということを前提に説明を……
  73. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 それは違うでしょう。短くやってください、時間ないから。
  74. 安倍晋三

    内閣官房長官安倍晋三君) ということを前提に説明をされたということだと私は承知をしておりまして、ですから、私ども、次の日に御家族には確認をしているわけではないということを申し上げたわけでございますが、ただ飯倉公館での当日、御家族皆様方に誤解を与えたということであれば大変残念であり申し訳ないと、このように思っております。
  75. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 認めていただいたと思います。確認をしましたということを官房長官、副大臣が言われているんですよね。  それはそれとして、九月の二十七日に、小泉総理までが、北朝鮮というのは独裁国家だから確認はできないんだと、こういった旨の話をされておるんですが、こういう気持ちがおありなんでしょうか、総理は。ちょっと代弁してお答えください、副長官
  76. 安倍晋三

    内閣官房長官安倍晋三君) 決して総理は私、そんなことをおっしゃっていないというふうに思っております。総理も、特に死亡とされている方々については、私ども政府の責任としてそれを確認をしなければいけない、そしてまたその説明をする義務が北朝鮮側にあると、このように思っております。それは総理も全く同じであると思います。
  77. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 先ほど確認をしましたというのは、誤解を与えたという、いや、要するに、政府が過ちをしたということをお認めになったんですが、要するに、情報伝達を事務方で伝達をした方はだれの責任でどのような話でこの話になったんですか。こういう確認しましたということを言わせたのはだれですか。外務省ですか。
  78. 安倍晋三

    内閣官房長官安倍晋三君) その際、私どもは、福田長官あるいは植竹副大臣もあくまでも北朝鮮側の情報であるということを前提に御説明をされたというふうに私どもは承知をしております。この説明資料につきましては、代表団の責任によって作成をさせていただいたということでございます。
  79. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 そうすると、誤解を与えた、確認しましたという発言をさせた責任者は田中局長にあると、こういうことでよろしいですね。
  80. 安倍晋三

    内閣官房長官安倍晋三君) これはもうあくまでも代表団全体で作成をしたということでございます。
  81. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 いや、ですから、責任者はだれかと聞いておるわけですから、代表団の団長が責任を取るわけですよね、基本的には。
  82. 安倍晋三

    内閣官房長官安倍晋三君) その説明資料においては、これはあくまでも……
  83. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 資料の責任者はだれかと聞いているんですよ。
  84. 安倍晋三

    内閣官房長官安倍晋三君) 責任はあくまでも代表団であるということでございます。
  85. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 代表団の団長じゃないんですか。代表団で連座式でだから責任を取るということですか。そんなことあるわけないよ。
  86. 安倍晋三

    内閣官房長官安倍晋三君) 責任ということでございますが……
  87. 松村龍二

    委員長松村龍二君) ちょっと、委員長の……
  88. 安倍晋三

    内閣官房長官安倍晋三君) はい、委員長。代表団として作ったわけでございまして、その資料は、あくまでもこれは北朝鮮側説明であるということを、ちゃんとその資料の中にあるわけでございますから、そのラインにのっとって説明がなされたというふうに私どもは思っております。
  89. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 どんなものでも日本の、これは安倍長官なんかあうんの呼吸でお分かりなんですが、やっぱり、内閣の総責任者は内閣総理大臣防衛庁の最高責任者は大臣である石破さん、外務省のトップである川口さんは外務省の総責任者、責任がないような組織なんてないわけですよね、基本的に。だれが責任者かはっきりしていないような代表団というんだったら、団長とか事務局長とか付けなけりゃいいわけですよ、みんな一緒なんだから。そんなでたらめなことを僕は言われるとは思っていませんでした。それはいいや。  それで、次の質問なんですが、今度、うれしいことだと思います、五名の方が帰国をされるということなんですが、これで一件落着ではないですね、安倍長官に伺いたいのは。
  90. 安倍晋三

    内閣官房長官安倍晋三君) もちろん、私どもは落着したというふうには考えておりません、この拉致問題については。
  91. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 八名の方が亡くなられたと、不幸にもということで、一応、今、受け取っておりますけれども、私はそう信じておりません。  そして、今後も、今日も読売の一面ででも出ておりますように、まだ生存を当然しているという前提で、その物証が、死亡の物証、確認できるような物証が出るまではとにかく生存を前提にして交渉をしていくと、こういう思い内閣としてはしているということで確認取りたいんですが。
  92. 安倍晋三

    内閣官房長官安倍晋三君) 私も、十七日以来、御家族皆様と何度かお話をいたしております。そのときに、御家族皆様方から、特に北朝鮮側から死亡とされた被害者の御家族方々から、私どもの、日本政府として確認を取っていないわけであるから当然生存ということを前提に交渉に当たってもらいたいという要望がございました。私どもは、その要望は当然重く受け止めて、その考えの下に立って北朝鮮側に対して交渉をしているということでございます。
  93. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 確認したいのは、生存を前提にしているということでよろしゅうございますね。
  94. 安倍晋三

    内閣官房長官安倍晋三君) 私どもとしては、この御家族の気持ちを基本的に重要に受け止めて、そして、その上でそれを十分に念頭に置いて交渉に当たっていくということでございます。そして、そういうことにつきましては御家族皆様方も御了解をいただいております。
  95. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 次に、今度五名の方が帰国されますが、今回残念なことに、例えば、息子さんとか娘さんいらっしゃる方があると。また、曽我さんのように元の米兵と、アメリカ兵と結婚されて子供がいらっしゃるという方もありますが、次は是非家族そろって出国を当然日本人ですからしていただきたいと私は強く思いますが、いかがでしょうか、安倍長官
  96. 安倍晋三

    内閣官房長官安倍晋三君) 私どもは、先週の金曜日の専門幹事会におきまして、私が議長をしておりますが、そこで専門幹事会の決定として家族の、被害者及びその家族全員帰国を実現させるということを決定をしております。その方針には変わりがございません。
  97. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 是非、速やかなそういった手続を取っていただきたい。  この曽我さんも同様ですか。曽我さん、曽我ひとみさんの娘さん、お二人ですね。
  98. 安倍晋三

    内閣官房長官安倍晋三君) 曽我さんにつきましては、御主人が米国の元兵士であるという、この他の二つ、二カップルとは若干事情が異なりまして、また、お子さんたちもそのお二人のお子さんであるということでございまして、私ども、今回、曽我ひとみさんも十五日に帰国をされますから、そのときに御家族方々とどういうお話になるかということも伺った上で考えさせていただきたいと思っております。
  99. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 時間が短いものですから、防衛庁長官に伺いたいんですけれども。  以前、私も今入会しております拉致議連の会長でいらっしゃる。その中で、幾つか伺いたいことは、九月の二十日の読売新聞のインタビューで、北朝鮮について、「ああいう異常な体制の国家を相手に、そういうやり方は意味がなかった。」というような、ああいう異常な国家と言われております。  私も異常な国家だと、独裁国家であると思っておりまして、例えば、今回の拉致、そしてまた亡くなったかもしれない、いや殺されたかもしれない、そしてさらにはまだ数十名の方が拉致されたということはまず間違いなく本当であろう。韓国からは三百人を超えるような方々拉致されたのも恐らくは事実であろうということを思っております。そしてまた処刑された方もあるということを私は伺っておりますけれども。  そういう、要は誘拐、殺人の犯人がそうですと言ったがゆえに、それじゃ仲良くするための話合いのテーブルに着きましょうと。こういう国家で私、いいのかなということを思いますね。  そして、この拉致議連の決議にもありますように、この拉致問題の徹底的な解決が国交問題交渉の大前提であることを改めて宣言すると石破会長が九月の二十六日に宣言文を採択しておりますし、その後すぐに、十月四日、中川さんに会長が替わって、本問題が解決しなければ日朝交渉に入らないことと、この決議をしておるんですが、残念ながら、政府は十月の二十九日、三十日、もう再開をすると、このように答えられておるんですが、どのように思われますか。
  100. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 二十六日は閣僚ではなかったのでなぞといい加減なことを申し上げるつもりはないのですが、これいろんな考え方があるんだろうと思うんです。  委員が冒頭御指摘になりましたように、閣僚として異常とか正常とかそういうことを申し上げるべきだとは思いませんが、少なくとも我々の感覚とは相当に乖離がある国家だねというふうには思うのですね。
  101. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 異常だと言っているんだよ、新聞で。
  102. 石破茂

    国務大臣石破茂君) いやいや、私が今そう思っているんです、今の私の立場として申し上げれば。そのような議論をしても仕方がない。  どういうふうに考えるかということですが、要は、国交正常化交渉を再開するということと国交正常化をするということは別であると。正常化交渉の過程において拉致問題を解明し、あるいは核であるとかミサイルであるとか工作船であるとか、そういう議論を行うのでありますけれども、正常化、拉致問題の解決がなければ絶対に国交正常化はしないんだということをきちんと確認しておくということにおきまして、これは議連の趣旨と私は矛盾をするものではないだろうと。  要は、大事なのはどのように問題を解明するかということであり、併せて核でありミサイルであり工作船であり、そのような脅威を取り除くか、その場をどこに設けるかということなんだろうと思っています。目的のための手段をどのように取るかということにおいて、目的は一致しておると私は考えております。
  103. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 とにかく、大臣になられますと大体トーンダウンしちゃうんですよ。何でこうトーンダウンして平気でいられるか、私は分からない。  天下の公器に、ああいう異常な体制の国家を相手にと、こういうふうに、つい十日ぐらい前ですよ、言っていらっしゃる方があんな言い方をされるということは、私もちょっとこれは困ったなというような感じがしておりますけれども。  実際に、まあそれは分かります、正常化ということと正常化交渉に入るということは違うということは、これはもう意味も違いますが。これ拉致議連では、交渉にも入らないということを決議しておるんですよ。ですから、今言われたこととも全くそごがございますし、そしてさらには、先般、十日ぐらい前に委員会の中で、これは犯罪なんというのを通り越して国家主権の侵害であると石破委員が言われておるんですよ。ということは、国家主権の侵害ということは、そこで要は戦争が起きてもいいということですよね、簡単に言えば、二国間で。違いますか。  その中、次の段落で言われているのは、これ、政府家族と一体的にやってくださいと。政府家族と同じ気持ちでやってください。何度も何度も言われていますよね。  ということは、家族の気持ちは政府の気持ち、政府が要するに侵害されておるということは戦争を起こすということですよね、簡単に言えば。違いますか。ちょっとお答えください。
  104. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 私が国家主権の侵害というふうに申し上げましたのは、領土等々と並びまして、国民というのは国家主権を構成する重要な要素であって、それを拉致誘拐するということは当然のことながら国家主権の侵害になるという認識は私は今も全く変わっておりません。  しかし、先生が御指摘になりますように、それでは戦争になるかといえば、これはもう自衛権行使の要件に該当するかしないかということになるわけであります。自衛権行使の要件につきましては先生御案内のとおりでありますが、今の状況でそれでは戦争になるか、自衛権行使の要件を満たすかといえば、私はその答えは否であり、自衛権の行使の要件には当たらないというふうに考えておる次第でございます。
  105. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 自衛権の行使については、幅が広い又は概念として固まっていない私はものだというふうに解釈をしております。ですから、ただ、国家主権の侵害だと、こう言い切っていらっしゃるならば、それであれば、私は開戦をするべきじゃないかということをはっきり明言したらどうかと、防衛庁長官として、ということを私は思いますね。  さらには、この拉致の指示については、安明進さん以外でも結局国家ぐるみでやられていると。つまり、もっと言えば、金正日の指示がなければ海外渡航さえないと。金正日の直筆サインがなければどうにもならないのは石破大臣も御存じだと思うんですよ。ということは、ますます国交正常化交渉をする意味がどこにあるんだろうかということは閣内でよく川口大臣と話していただいて始めていただきたいと申し添えて、質問を終わります。
  106. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 私からお尋ねいたします。  大変申し訳ない、質問通告をしていなかったんですけれども石破長官のお顔を拝見しているうちにこれはとても黙っておけないということになりまして、あえて尋ねさせていただきたいと。  事は極めて基本的な憲法問題ですから、改めて勉強するまでもないことだと思います。  こういうことです。新聞報道によりますと、石破長官、かねがね集団自衛権の行使は憲法上容認さるべきだ、合憲だという考えを取っていたと。ところが、このたび入閣するについて、我が政府というのはもう歴代、集団自衛権の行使は憲法違反であって許されないという立場を取っているわけですから、その点どうなのかと、多分記者からでも質問されたんでしょうね。それで、その新聞報道によれば、私も入閣をするについては合憲論から違憲論に変わったと、こういうふうに報道されておりまして、私、これ見て大変驚いたわけです。この方は政治家なんだろうかという気すらしたくらいでありましてね。今の点、ちょっと分かりやすく説明してください。見解が変わったのか、変わったとすれば一体いつまで変わったのか、変えるのか、退官すればまた元に戻るのか、いろんな考えがあるでしょうけれども、いかがなんでしょうか。
  107. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 突然のお尋ねでございますが、閣僚の一員として現在の政府の見解に従うのは当然のことであります。
  108. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 事は憲法問題なんですよ。末端の法律の解釈でちょっと見解が違っているとかそういう問題ではありません。憲法の九条、一番国民の関心を浴びている、国民が関心を寄せている条項の解釈問題で、これは合憲だという方が、ちょっと変える、一体どうなったんですか。入閣している間だけ政府の見解に従う、何か文句があるのかと。政治家の良心というのはそんなものなんでしょうか。  もしどうしても入閣してくれと言われたら、自分は憲法九条についてはこういう考えを持っていると。小泉内閣、いや歴代内閣はこういう方針だと。矛盾することは明らかですから、合憲だ違憲だということ、それについて自分はもし国会で質問されたらこういうふうに答えるが首相よろしいんですねと、こういうふうに、そういうことならば入閣してもいいですよと。当然でしょう、それは、政治家である以上、いや、人間である以上。  今まで合憲だ合憲だという人が、違憲だという説をかねがねもう二十年、五十年も取っている内閣に入閣するについて、じゃ、取りあえず認めておきましょう、その政府の見解を認めておきましょうと。憲法問題というのは取りあえず右だ左だという問題でないんですよ、これは。お分かりでしょう、こんなことは。いかがでしょうか。
  109. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 繰り返しの答弁になって恐縮でございますが、内閣の一員として政府の見解に従うのは当然のことであると考えておる次第でございます。
  110. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 どうも答弁にお力が入っていないようですけれどもね。内閣の方針が自分の考えと全く違っておれば入閣を受けないのが当然でしょう。受けるについてはいろんな条件を付けて、自分が堂々と合憲論を、防衛庁長官ですから、九条の運営をつかさどる方ですから、自分は公式の場でもはっきりと合憲論を唱える、それでもよろしいなら入閣いたしますよということを条件にして内閣に入る、だれだってそうやりますよ。やらなかったのはあなたぐらいじゃないんですか。おかしいですよ。どうなんですか。もっとはっきり答えてください。
  111. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 力がなければ幾らでも大きな声で申し上げますが、大変言い方が悪かったらお許しをいただきたいと存じます。  例えば、昨年、テロ特措法というものがありました。じゃ、PKO法の改正というものがありました。その中で、私は議員立法でやったらどうなるだろうかということで法案を書いた人間であります。そのときに考えましたのは、それでは今の憲法解釈の範囲内で一体どこまでできるのだろうかということを考えて法案を書いてみました。結果として政府提出のものとほとんど同じになりました。要は、どういうような形で今の政府解釈というものがどのようにしたら変わるのか、それについてもいろんな御議論があるのだろうと思っております。  私として、政治家としてどうだ、人間としてどうだという御指摘ですが、今このときに国家のために何をやらねばならないのか、そして今の憲法の解釈の範囲内でどこまでやることがそれに近づくのかということも私は政治家の使命だろうと思っております。閣僚の一員として小泉内閣、歴代政府、その解釈に従い、その範囲内でどこまでできるのかということをきちんと検証するということも私は政治家として、あるいは人間としてやるべきことだろうと思っておりまして、人間としてどうか、政治家としてどうかというふうなお尋ねでございますから、私はそのように考えておると答弁をさしていただきます。
  112. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 憲法のこの条文が合憲か違憲かという極めて単純な質問なんですよね。  あなたは、これは合憲だとかねがね言っておられたが、今度は大臣になったら、いろいろおっしゃるけれども、基本的にはもう合憲で認めていくということでございましょう。じゃ、良心を売ったのかと。あっ失礼、違憲で、違憲論で通していくと、大臣の地位にある限りは。そんなこと許されないでしょう。いろんなことをやって、いろいろ解釈を考えていく、そんな議論の前に、九条は集団自衛権を認めているのかいないのか、それだけの問題ですからね。結論だけでも言ってください、どちらなんですか、あなたは。
  113. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは、政治家としてどうあるべきかということにつきまして先生と見解が違うのだろうと思います。
  114. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 それを聞いているのではなくて、九条は合憲なのか違憲なのか、学生に対する質問と同じですよ。司法試験の問題なんかでそういうことが出ることはありますよ。みんな一生懸命考えて書くんであって、そのときに政治的な立場からいえばこうだなんて言ったら零点で不合格間違いないですよ。合憲か違憲かということを尋ねられているんですから。どうですか。
  115. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 大変、御質問の趣旨に合わないお答えかもしれませんが、私は小泉内閣の一員として歴代の政府の解釈に閣僚として従うということでございます。
  116. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 これで打ち切りますけれども、いずれ、またこの委員会におきまして、この大変大切な問題で、国民も皆注目していると思いますよ。憲法といえばもう大体九条しか知らないような人たちが多いですからね。それについて考えがくるくる変わる、一体これは何なんだと、皆疑問を持っていると思いますので、どうかはっきり、いずれさせてください。自分は今までは合憲論だったが今度は違憲論に変えたと、大臣を辞めたらまた元に戻るんだと、それはそれでもいいんですよ。どうぞ考えていただきたいと思います。  そこで、拉致問題につきまして川口大臣安倍長官にお尋ねいたします。  今日は赤い服、今日も赤い服をどうも着ておられないようですけれども、どうか性根を入れてお答えいただければ有り難いと、こう思います。  そこで第一に、この前、調査団が帰ってきたときに小泉総理報告をしたのでしょう。小泉総理は、北朝鮮対応はそれなりに評価できるものであったと、誠意を尽くしてくれていたと、自分は十分評価すると、こういう談話を出したらしくて新聞に出ておりました。これに対して国民は一体何だろうかと、あんな報告を持ち帰って、北朝鮮対応が誠意を尽くした、評価あるものだと、そんなものを、そんなことがよく言えたものだというふうな感想を抱いた人が多かったと思います。現に自民党の中でも、いろんな部会の集まりでしょう、そういうことが有力議員がはっきりと言っていたという報道もなされておりました。  そこで、大臣と副長官にお尋ねいたします。この小泉さん、小泉首相の北朝鮮対応は十分評価できると、誠意を尽くしたものだと、この談話についてどういう感想をお持ちでしょうか。
  117. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今般、政府調査団が行きまして、拉致被害者の方に関する情報を調査をしてきたわけですけれども、そのときに北朝鮮側平壌宣言を誠実に履行すると言いまして、拉致問題について可能な限り十分な情報を提供するために最善を尽くす用意があるというふうに述べたわけでございます。実際に、日本政府の出した調査団による調査のために、北朝鮮北朝鮮なりに可能な、北朝鮮として可能な準備は行ったという印象を持っているわけでございまして、総理の御発言もこのような北朝鮮の姿勢に対しての印象を述べられたものではないかと思います。準備、北朝鮮なりのそういう姿勢であったということでございますけれども総理として、あるいは政府として、その調査の結果についてその御判断をなさったその表現ではないというふうに思います。  で、現在はこの調査団が持ち帰ってきました情報や資料、これを分析をして精査をしているところでございまして、真相の解明のために北朝鮮側に対しては現在も更なるデータを求めていますし、今後引き続きこれはきちんと求めていく所存でございます。
  118. 安倍晋三

    内閣官房長官安倍晋三君) 小泉総理の姿勢は一貫しておりまして、拉致問題の解決なくして正常化はない、この拉致問題の解決というのは、生存しておられる方々及びその家族方々全員帰国、そして死亡したとされている方々が本当にそうなのかと、私ども政府が納得し得る資料等々の提出、そのことがなければ拉致問題は解決をしないという立場でございます。そのことにつきましては、総理は一貫してその姿勢は変わらないわけでございます。  その中にあって私どもは、相手があることでございますから、交渉しながら、また小泉総理のお言葉というのは大変注目が高いわけでございまして、日本国民のみならず、これは北朝鮮側も注目をして聞いている。その中で、今後交渉をいかに進めていくか、有利に進めていくか、スムーズに進めていくかということも総合的に勘案された上での私は御発言だと思います。
  119. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 相手がある話ではありますけれども、何を言ってもいいということにはならないわけで、やっぱりお互い話し合うからには、事実を前提としてその範囲内でいろいろな説明をしていくと。  ところが、国民から言わせると、死んだと言われている、本当に死んだのかと、死亡時期があいまいではないのかとか、病名は一体何なんだと、お墓一つないではないかと、いろんな疑問が出ておる。こういうことについて国民から見れば、やっぱり隠している、信用は置けないと。これについて小泉さんは、評価できるんだと、誠意ある態度だと、こう言っているから自民党の有力者も怒って、とんでもないという発言をしているんだろうと思います。いずれにしろ、これから調査を進めていって分かることでもあろうかと思いますが、大いに考えていただきたい。  それで、一つだけ取り上げておきますけれども、首脳会談の席上に、金総書記は、例の犯人は、犯人といいますか責任者は処刑、処罰をしたということをはっきり言っております。拉致だと思いますけれども、この件にかかわる責任者は処罰をしたと。そして、その後の調査報告ですか何かによれば、二名、北朝鮮とすれば拉致問題で処罰をしたと。一人は死刑、いいですか、死刑なんですね、一人は十五年という長期刑に処したと、そしてそれは一九九八年に行ったと、こういうことになっているわけですけれどもね。一体、そのころ北朝鮮拉致の存在自体も認めていない。そんなときに、国のため、本当に命懸けで働いた工作員、拉致工作員を死刑にしたなんて信じられないことなんですよ。拉致ということをやったと、けしからぬということで、もし、もしですね、詐欺、強盗あるいは殺人を別件でやったとか、いわゆる機密費を横領してしまったとか、そういうことで処罰したと、それは本件と関係ないことですから、何も日本説明する必要は全くないわけで、日本政府説明しているということは、どう考えてみても、これ拉致をやったということで一九九八年に二名、一名は死刑ですね、処した、こんなこと一体信じられるんですか、信じたんですか、外務省あるいはまた外務大臣は。すぐその場で、これは北朝鮮さん、おかしくないですかと、今私が言っているとおり一九九八年に死刑にしてしまったなんてことは、だれが聞いたってそんなこと信じられませんよと。別にけんか腰でやる必要はないわけですから、穏やかに話し合えば、向こうだって何か説明、また考えてくるでしょう。その点についてどう考えますか。
  120. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今、佐藤委員がおっしゃられましたように、この拉致の問題につきまして、政府の事実調査チーム調査をしました結果、一九九八年にこの拉致事件の責任者二名が処罰されているということが向こうから分かったわけでございます。  この一九九八年当時、北朝鮮拉致事件が存在をしているということは公には認めていなかったということは、委員がおっしゃるとおりでございます。で、それを、したがいまして、それを公に認めることなく処罰をしたということにはなるわけでございます。金総書記自身は、一九九八年当時、拉致問題及びこの二人の責任者の処罰については知らなかったというふうに推察をされるわけですけれども、この点がどうであったかということについては今の時点では明らかではないということです。  この拉致の事件の真相については、現在引き続き解明をしていくということでございますので、正常化交渉の過程の中でこれは真相を解明をしていくということだと考えております。
  121. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 拉致にかかわったと思われる北朝鮮の工作員というのは、十人二十人じゃないわけですよ。五十名百名も大勢おるわけで、しかも国家目的に沿って、彼らは彼らなりに日本に潜入してきて適当な人物を見付けて拉致していったと。国家のために頑張ったわけです。それを、その国家目的を否定する前に、何か日本が将来うるさくなるかもしらぬ、だれか一人処刑でもしておけと、そんなことで一人死刑にしましたと、いかな北朝鮮がでたらめな国家であってもそんなむちゃくちゃはやらないでしょう。北朝鮮国民が怒りますよ、もしそんなことをしたとすれば。これは明らかにでたらめでしょう。私、法律家としてとても信じられないんですよ。  しかし、そういう説明をのみ込んで帰ってきたとすれば、やっぱりその問題を表に出して、どういう罪名で、どういう事実で、いつ、どこで裁判を開いてそして死刑にしたのか、本人はどんな弁解をしていたのか。おれは国家のために頑張ったんだと、死刑なんかになる覚えはないと、だれでもそう言うでしょう。そういう弁解をしていたのかどうなのか、その辺もとことん突っ込んで説明を求めてください。北朝鮮の工作員だからどうなってもいいじゃないかと、そんな問題じゃないんです。  やっぱり世界の人類の一人ですからね、彼の名誉ということもあるわけであって、そんなことを我々が、文明国と称する日本国がそんな説明をうのみにはとてもできないと思いますよ。副長官、いかがでしょうか、この問題については。
  122. 安倍晋三

    内閣官房長官安倍晋三君) 拉致問題の解決の中には、当然、その拉致そのものがどのように行われたのか、どういう人たちによって行われたのか、そしてその人たちはどのように処罰をされたのかということを私どもがしっかりと確認をするということも入っていると思います。
  123. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 今回の日朝の下交渉などを見ておりますと、どうも北朝鮮というのは相手の出方をうかがって少しずつ少しずつ出してくる。それはおかしいと、こう言うとまた別な話をしてくると。見ている国民とすれば、本当にこれはまじめに答えているのかとも言いたくなるわけですから、どうかそういうふうな国民の非難、起こらないように、誠心誠意向こうと話し合って、事実を、ありのままの事実をできる限り引き出して、そして国民の前に伝えると。それがまた政治家の、あるいはまた役人の、省庁の義務でもあるわけですから、どうか外務省は督励して、いい加減なことで手を打つようなことはしないということをはっきりさせてください。  それから、今度五人の拉致者が生還してくる、帰ってくるということになりましたが、私、もう少しこれも国交回復交渉一つの大きいテーマとして取り上げてもらいたい。日本人妻も含めて北朝鮮にいる日本人の自由往来を考えてほしいと。希望があれば、あっちに、日本に帰ってくる、こちらからも家族がいつでも面会に行って会ってくると。それは当たり前です、こういう開かれた国家、二十一世紀ですから。独り鉄のカーテンを張り巡らせているのは北朝鮮だけかというふうにも言いたくなるわけですけれども、もうそんな時代じゃないですよと。どうか、拉致された人たち、生存している人、あるいは日本人妻、この前十数名帰ってきましたけれどもね、ああいうふうに北朝鮮政府が一時帰っていいと言うから帰ってきましたと。そういう問題じゃなくて、自分の意思で生まれ故郷の日本に帰って親兄弟に会って話をしてくる。それから、親兄弟も必要があればいつでも訪ねていく。それはもうどこの国でも国際問題として明白なことでありまするから、独りそんなことを、いつまでもカーテンを張り巡らせてたって通用しませんよ、そんな時代じゃありませんよということも北朝鮮側に是非とも伝えていただきたい。  そして、いろんな交渉事がこれからあるわけですけれども、どうか役人に任せないで、役人なんていい加減ですから、私も役人をやっていましたからよく分かっているんですけれどもね、政治家が、副大臣政務官おられるわけですから、調査団派遣する場合には、どうか、団長でもいいし、顧問でもいいし、参与でもいいんですけれども、政治家である副大臣その他の方々が付き添っていって、政治家の観点から物事を見て、これは駄目だと、もう少し交渉してみなさいと言って現場での交渉に口を挟むことも私、大変大事なことだと思うんですよ。これからそういうことが本当に要求されてくると思います。  これについては副長官考えをお聞きいたしまして、質問を終わりにしたいと思います。
  124. 安倍晋三

    内閣官房長官安倍晋三君) この拉致問題については、特に閣僚会議の下に専門幹事会を作りまして、私が議長を務めております。このたび、調査団として向こうに出向きまして、齋木団長以下、皆さんとも極めて綿密な連絡を取りながら、一々私の指示を仰ぐという形になっております。また、今般の帰国についても、総理官房長官、また外務大臣、それぞれが適切な判断をした上で交渉をしているということでございます。
  125. 矢野哲朗

    ○副大臣矢野哲朗君) 私に対するエールを送っていただいたと聞かせていただきました。  決して役人の皆さんがいい加減と私は思っていないんでありますけれども、いざ私の、そういった意味での調査団の一員として必要があれば、御指摘のとおり、政治が表に立って事実関係を解明する、そのぐらいの思いで事に当たりたいと思います。
  126. 辻泰弘

    辻泰弘君 民主党・新緑風会、辻泰弘でございます。  限られた時間でございます。まず冒頭、田中アジア大洋州局長にお伺いしたいと思います。  九月十五日の全国紙の「ひと」の欄で、「いま、外交官として、本当に面白いと思っている」というふうに語っておられます。今もその心境に変化はございませんか。
  127. 田中均

    政府参考人田中均君) 私は、外務省の職員として外交というものに熱意を持っておりますし、それぞれが与えられた仕事を全力をもってこなしているというつもりでございます。ですから、私は自分の仕事に常に興味を持ちながらやっているということについては全く変わりはございません。
  128. 辻泰弘

    辻泰弘君 同報道に、「国交もなく、日本を敵視してきた国に、いきなりトップを訪問させる今回の荒業」に対して、元上司の方々が、「やり方に危うさはあるが、田中だからここまでできた」と、こういう指摘をされているのを拝見しております。一方にあるそのような評価を承知しつつ、その指摘にもある危うさに関して御質問したいと思います。  以下数点、田中局長にお伺いいたします。簡潔なコメントを賜れば幸いでございます。まず、首脳会談ピョンヤンでやること、そのことが拉致被害者の安否情報提供の条件だったのかどうか、まずお伺いしたいと思います。
  129. 田中均

    政府参考人田中均君) 御質問のような事実はございません。  これは外務大臣会合局長会合その他、赤十字会談もございますけれども、正に私どもが一貫して求めてきたのは、この拉致の問題についてきちんとした安否情報を全体として出すということであり、拉致を認めるということでございます。こういう交渉をずっと続けてきた結果、首脳会談を行うというのが適切であるという御判断を小泉総理大臣がされたということでございます。
  130. 辻泰弘

    辻泰弘君 そういたしますと、事前に安否情報は全くなかったということでございますね。
  131. 田中均

    政府参考人田中均君) 日本側の要求として一貫してきたのは、正にこの拉致の問題についてきちんとした調査をして、その調査結果に基づく安否情報を出すということを要求はしてまいりました。しかしながら、その内容については十七日まで承知をいたしておりません。
  132. 辻泰弘

    辻泰弘君 局長も当日初めて知られたということですね。
  133. 田中均

    政府参考人田中均君) 御指摘のとおりです。
  134. 辻泰弘

    辻泰弘君 私は、訪朝に当たられてやはり外交交渉の在り方としてあらゆるケースを想定しているということがあるべき姿だと思うんですが、申し上げにくいことですけれども、最悪のケースというものを想定しての対応ということは考えていらっしゃらなかったんでしょうか。
  135. 田中均

    政府参考人田中均君) 私どもがやってまいりました交渉というのは、これまで拉致の問題について、行方不明者の調査であるとかそういうことはございましたけれども、実態的には、過去、拉致問題を取り上げてから十年を超える間、何事も動いてこなかった、したがって、これを何とか打開しなければいけないということが交渉の基本的な目的であり、したがって、これは局長会合のときもそうでございますけれども、今ある日朝間の懸案、その最たるものが拉致問題でございますけれども、こういうものを包括的に解決をしていく交渉ということが可能かどうかということを見極める、そのために日朝の首脳会談をやるという形で総理が判断をされたということだと思います。
  136. 辻泰弘

    辻泰弘君 田中局長は、交渉が再開すれば比較的短期間にまとまると、このような発言をされているようでございますが、総理が訪朝された首脳会談後のこれまでの推移というもの、国内の反応というのは、当初の想定どおりだったでしょうか。
  137. 田中均

    政府参考人田中均君) 私が申し上げましたのは、日朝正常化交渉が九一年に始まって十年以上何の問題も解決できなかった、そういう状況に比べれば、交渉のための前提条件をきちんとした結果、従来に比べてより速いスピードで物事を解決することができるのではないかという見通しを述べたわけであります。  しかしながら、当然のことながら、拉致問題というのは徹底的に解明がされていかなければいけない、北朝鮮との関係で、核疑惑の問題であるとかミサイルの問題というのは解決されなければいけない、その結果として正常化、そういうことがあるということだと思います。  ですから、問題は早く遅くということではなくて、そういう諸懸案をきちんと解決する努力が大事だというふうに思っていますし、現在、政府の方針はそういうことだと思います。
  138. 辻泰弘

    辻泰弘君 外務大臣にお伺いいたします。  外務大臣は、この総理の訪朝、八月三十日の発表でございましたけれども、これをいつ知られたでしょうか。
  139. 川口順子

    国務大臣川口順子君) いつという日にちは覚えておりませんけれども、この総理の訪朝につながる事前の様々な過程におきまして、私は外務大臣就任以降、この過程については随時報告を受けております。
  140. 辻泰弘

    辻泰弘君 外務大臣就任以後、すぐぐらいからということでしょうか。
  141. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 様々な過程があったわけでございますけれども、様々な過程については報告を受けております。
  142. 辻泰弘

    辻泰弘君 八月に受けられたということではございませんか。
  143. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 就任以降ずっと受けております。
  144. 辻泰弘

    辻泰弘君 今回の一連の外交交渉を見ますときに、率直に申しまして官邸主導といいますか、局長と官邸主導の説明なき密室外交と、こういう指摘があるわけですが、こういう御指摘についてどうお考えでしょうか。
  145. 川口順子

    国務大臣川口順子君) まず、外務省の中において局長主導であったということではございませんで、これは外務省の中で局長の上に立つ者がしかるべくこれは報告を受け、指示をして進んできた話でございます。  それから、官邸主導ということにつきましては、これだけの重要な外交案件につきましては、これは正に官邸と御一緒にといいますか、政府が一体となってやっていく話でございますから、そういう形で動くべきだと思いますし、動いていると思います。
  146. 辻泰弘

    辻泰弘君 安倍官房長官にお伺いしたいと思います。  八月三十日に発表された首相の訪朝計画、これをいつお知りになったでしょうか。
  147. 安倍晋三

    内閣官房長官安倍晋三君) 総理訪朝発表前のしかるべきタイミングで連絡を受けました。
  148. 辻泰弘

    辻泰弘君 しかるべきというのを説明していただけませんか。
  149. 安倍晋三

    内閣官房長官安倍晋三君) それは発表の当日の朝でございます。
  150. 辻泰弘

    辻泰弘君 八月三十日の朝ということですね。
  151. 安倍晋三

    内閣官房長官安倍晋三君) はい。
  152. 辻泰弘

    辻泰弘君 もう一点確認させてください。安倍官房長官が死亡年月日記載の安否リストを知られたのは、北朝鮮から帰国された後だったというふうに理解してよろしいですか。
  153. 安倍晋三

    内閣官房長官安倍晋三君) 帰国後でございます。
  154. 辻泰弘

    辻泰弘君 安倍官房長官のインタビューに、宣言文の最終文書や死亡年月日を私が知らなかったのはたまたまだというふうな御指摘があるのでございます。今回のその歴史に残るであろう一大行事に同行されて、かかわられたほんの一握りの数少ない政府首脳の方に、事務方から極めて重要な情報が届かないまま帰国されて、その後に知られたというのは非常に理解できないことなんですが、この点を御説明いただけませんか。
  155. 安倍晋三

    内閣官房長官安倍晋三君) 当日は限られた時間の中で首脳会談、そしてまた平壌宣言の調印、そしてまた記者への発表ということが私ども限られた人数の中で処理をしていかなければいけないという中にあって、私は記者へのブリーフの準備がございまして、ずっと席を外しておりました。その中で、限られた時間の中でいろいろな作業をしなければならない、そういう中で起こったことだと思います。  ちなみに、安否リストにおきましては、私の秘書官にはこの安否リストの死亡日時が入ったものは渡されていたわけでございますが、しかし、それはお互いのそごがございまして私には渡らなかったということでございます。
  156. 辻泰弘

    辻泰弘君 ここで、ちょっとパネルをごらんいただきつつ御質問申し上げたいと思うんです。立たせていただきます。(図表掲示)  実は、九月の十八日に夕方のテレビで放映がございまして、こういう解説がなされて、それでこういうビデオが放映されたわけでございます。今朝の、今朝はというのは九月十八日でございますけれども、今朝の北朝鮮の新聞には片隅に小さく日本側からお土産が持ち込まれたと記されていたと、一方、昨晩、小泉総理帰国便から運び出されたマツタケと書かれた箱、しかもトラック二台を一杯にする量だった、日朝平壌宣言まで至った昨日の歴史的会談、しかし国民が本当に知りたいことがいつ明らかになるのかは不透明なままだと、こういうテレビでの放映がございました。  また、別の報道では、九月十七日午後十一時半ごろ、政府専用機が到着した羽田空港で、外務省職員ら約十人が同機から運び出された段ボール箱約三百個を空港ロビーに横付けされた二台のトラックに運んだ、段ボール箱にはハングルとマツタケの絵が印刷されていたという、こういう報道がございました。また、大量のお土産の中身をチェックしたいという日本側の意向が北朝鮮側に拒否をされて、中身のチェック、セキュリティーチェックもしないまま飛行機に積み込んだというふうなことも伝えられているわけでございます。  この件について、経緯、現状、安倍官房長官、御説明いただけますか。
  157. 安倍晋三

    内閣官房長官安倍晋三君) 私は、その件については一切承知をしておりません。
  158. 辻泰弘

    辻泰弘君 承知していないということは、この問題は拉致議連でも取り上げられて、外務省の齋木アジア大洋州局参事官が事実関係調査し結果を報告したいと回答されているわけですね。これはどう調査されているのでしょうか。それは外務省マターでやるということですか。
  159. 安倍晋三

    内閣官房長官安倍晋三君) 私自身は、全くこの今、委員の御指摘の件については、全く今の段階で知らないということです。
  160. 辻泰弘

    辻泰弘君 十月四日に、福田康夫官房長官は、記者会見で聞かれて、承知しないと述べておられるわけです。ですから、この四日の段階で官房副長官もそういう問題があるということは当然知っておられる。外務省の方は調査をして結果を報告したいと、こうおっしゃっているわけで、その問題の所在というものを、そういう指摘があるときに、官房長官ではありますけれども安倍さんではございませんが、当然どういうことであったのかというのは調べて当たり前だと思うわけでございますが、いかがですか。
  161. 安倍晋三

    内閣官房長官安倍晋三君) 私にはそういう指示がございませんから、私も全くそれを知らないということでございます。
  162. 辻泰弘

    辻泰弘君 しからば、こういう問題についてだれが責任者だったんでしょうか。
  163. 安倍晋三

    内閣官房長官安倍晋三君) その事実そのものがあったのかどうかということは、私も今申し上げましたとおり全く存じ上げないわけでございまして、そういう積込みを担当していた者がだれかということについては、今、私もつまびらかではございません。
  164. 辻泰弘

    辻泰弘君 この件については、別の報道でこういう指摘がございます。羽田からそのまま築地の、築地市場の冷蔵庫に運ばれ保管されていると、拉致事件への国民の怒りがすさまじく、とてもマツタケを配ることはできない、一方で、北朝鮮の手前、廃棄処分にすることもできない、結局マスコミに感づかれないようにこっそり隠し、ほとぼりの冷めるのを待って処分するしかないと、このようなコメントが出ているわけでございます。  これが事実としますと、保管料は当然国民の税金で賄うことになるわけでございまして、こういう問題は外務省内閣お得意の官房機密で対処するつもりなのかと、このように思ってしまうわけでございますが、そういう事実はないか、はっきりと調べて御説明をいただきたいと思うんですが、いかがですか。
  165. 安倍晋三

    内閣官房長官安倍晋三君) 私も、今日まで帰国以来、まず生存者の方々早期帰国を実現すべく最大限の努力をしておりまして、それに没頭してきたわけでございまして、そうしたことは一切私も承知をしておりません。  また、いずれにいたしましても、そうしたお土産のやり取りにつきましては、外交上それは間々あることでございます。これは一般論でございますが。その中身を公表することが外交儀礼上果たしていいのかということは議論があるところだと、このように思います。
  166. 辻泰弘

    辻泰弘君 この件を見ますときに、総理の訪朝全体を冷静に見詰めてしっかり仕切っていた人がいたのかどうかと、このことに思い当たるわけで、疑問に思わざるを得ないわけでございます。全体を仕切っていた人はだれなんでしょうか。
  167. 安倍晋三

    内閣官房長官安倍晋三君) それは、全体を仕切るというのはどういう意味でおっしゃっているんでしょうか。
  168. 辻泰弘

    辻泰弘君 事務的なことも含めて、やはり今度の交渉のこういうことというのは、やはり一つの大きな、受け取るかどうかということも大きいわけですね。話によれば、人形だとか焼き物を日本側はお渡しになったと聞くわけですが、これだけトラック二台の大仰なものを、ある意味ではマスゲームでどぎもを抜くような、それにつながるような対応だと思うんですが、それを受けるかどうかという判断はやっぱりあったと思うんですね。いかがですか。
  169. 安倍晋三

    内閣官房長官安倍晋三君) 私はその事実そのものを承知をしておりませんから、ですから、私も承知をしておりませんから、そのことをだれが判断したかということについてはお答えできません。
  170. 辻泰弘

    辻泰弘君 事前通告で、昨日、このことについてそういう答弁はないようにしてほしいというふうに言ってあったことで、やはり調べて、そしてまた、現に拉致議連で齋木さんが事実関係調査し結果を報告したいとおっしゃっているわけです。  それじゃ、外務省として、それはいかがですか、その調査をされているわけでしょうか。大臣
  171. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) 今の問題につきましては、外務省としても実際にそういうのを、ピョンヤン訪問に同行をした外務省関係者、また準備に当たった者、それからまた総理官邸で訪朝に同行された方々も含めていろいろと話を聞いて事実関係の聴取にこれ努めておりますけれども報道にありましたような先ほどの事実関係については、私どもとしてはまだ確認しておりません。
  172. 辻泰弘

    辻泰弘君 もう齋木さん、私要求していなくて来ていただいて恐縮ですけれども、もう既に四日から五日ぐらいたっているわけですね。その間、こういう簡単なことの事実調査というのは何があるんですか、そんなに時間が掛かることでしょうか。
  173. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) 報道されていることが本当に事実なのかどうかというのはやはり慎重にきちんと調べないといけないと思いますから、大勢の関係者、これはきっちり話を聞くということ、大事だと思っておりますので、今それをやっておるところでございます。
  174. 辻泰弘

    辻泰弘君 もちろん通告していたことでございますけれども、そうしたら、いつまでに明らかにしていただけますか。
  175. 安倍晋三

    内閣官房長官安倍晋三君) この問題につきましては、私は現段階では全く承知をしておりませんが、いずれにいたしましても、そうした先方からいただいたお土産の中身等々について、こちらからそれをどのようにしたか、どういうふうに処置をした、あるいはまたどういう中身であったかということを公にするかということについては、これは、当然私は議論があるところだろうと、こういうふうに思います。
  176. 辻泰弘

    辻泰弘君 齋木さんは議連で報告をするとおっしゃっているわけですけれども、それはそういう御予定でいいですか。
  177. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これについては、安倍長官お話もございましたし、外務省として官邸と御相談をしながら対応したいと思います。
  178. 辻泰弘

    辻泰弘君 私は、今回のこのこと、異常なまでの大量のお土産というのをノーチェックで言われるままに持ち帰ったんじゃないかと思われるわけですが、その主体性のなさといいますか、見通しの悪さというか、またそれに伴う事実を明らかにしようとしない秘密主義、また国民への誠意のなさ、事後の対処のお粗末さというものを本当に痛感するわけでございます。言うなれば、拉致問題に言及しない平壌宣言、また一方的な死亡通告、そしてこのマツタケと、いずれも相手のペースのままに、そのまま日本に持ち帰ったと。どうなるかと、そういうことの見通し、判断が十分なかったということが共通しているのではないかと、このように思うわけでございます。  これからの交渉の過程で主体的な外交姿勢、筋の通った毅然とした対応、ありのままの真実の国民への伝達、公開、このことを政府に求めて、私の質問を終わらせていただきます。
  179. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。  まず最初に、警察庁お話をお伺いしたいというふうに思いますが、よろしいですか。  九月十七日以降、北朝鮮当局が公式に拉致を実行してきたことを認めて以来、様々な報道がされてきているわけでございます。この報道の中で、いろんな新しい事実、元々あったのかもしれませんけれども国民としては、私も含めて知らなかったような事実がいろいろ出てきた。いろいろ出てくる中で、国民の中には、こんなに元々いろいろな事実や情報があったのに、なぜ日本警察北朝鮮が認めるまで本気で捜査をしてこなかったのかと思っている人もいることは事実でございます。  ましてや、曽我ひとみさんのケースの場合には日本人の請負業者がかかわっていたというようなことが示唆されていることもあり、やはり今までの捜査というのはちょっと甘かったんではないか。あるいは、日本の社会の中で、この拉致問題というのは捏造である、あるいは作り話であるといったような意見や風説を流す団体や個人がいたこともあるわけでありますけれども、これらの意見に引きずられた面もあったのではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  180. 奥村萬壽雄

    政府参考人奥村萬壽雄君) 警察といたしましては、この北朝鮮による日本人拉致容疑事案につきましては非常に重大であるという認識の下に、日本の国内外におきまして正に地面をはい、そして血のにじむような捜査を一生懸命行ってきたところであります。その結果、北朝鮮による拉致容疑事案は現時点で十件十五名と判断するに至ったところでありますし、また一部の被疑者につきましては逮捕令状を取りまして、今国際手配をしているところであります。  今、委員指摘のありましたような拉致が捏造だというような意見とか議論もありましたけれども警察といたしましては、日本国民北朝鮮という外国に連れていかれたという極めて重大な事案だと。この重大性にかんがみまして、警察といたしましてはできる限りの精一杯の捜査をしてきたところだというふうに考えております。
  181. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 今、警備局長から血のにじむような捜査をされてきたということで、それは一面事実であろうとは思うんですね。  ただ、例えばこれは九月二十四日付けの毎日新聞で報道されている話ですけれども、また有名な、今有名な話になっておりますが、一九八八年九月六日にポーランドの消印で石岡さんの手紙が御家族の元に届きました。その一か月後、この手紙にも有本さんの、有本恵子さんの家族にこれを渡すようにということがあったので有本さんの家族にもこの手紙が行って、この有本さんの家族がある衆議院議員の秘書の仲介で警察庁外務省に相談をしたけれども、記事によれば全く取り合ってもらえなかったと。なぜ取り合わなかったのか、御説明をそれぞれ外務省警察庁からいただければと思います。
  182. 松村龍二

    委員長松村龍二君) どちらを先。
  183. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 警察庁最初でいいです。
  184. 奥村萬壽雄

    政府参考人奥村萬壽雄君) ただいまの報道は承知しております。  事実関係を申し上げますと、これは昭和六十三年の秋でありますけれども有本恵子さんの御家族から有本恵子さんが北朝鮮におられるという趣旨の手紙が届いたという御相談を受けました。その時点で私ども警察といたしましては、関係者から事情聴取をする、あるいは海外の治安機関との情報交換等をやりまして、必要な捜査を開始をしております。それから、その後、御家族が私ども警察庁の方へ来られました。その際も、当時の担当者が事情を更に詳しく伺うというようなことをしておりまして、私どもといたしましては誠実に対応させていただいているところでありまして、取り合わなかったというふうなことはないというふうに承知をしております。
  185. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 有本さんの御家族からの御依頼につきましては、これは外務省としてお話を承ったということだったと私は承知をしております。  当時、国交が北朝鮮我が国との間にはございませんで、これを現実的に取り上げていく、働き掛けていくということにつきましては、現実的に制約があったわけでございます。その後、一九九一年になりまして一月に日朝の間の国交正常化交渉が開催をされたわけでございます。そのときに御家族からの御依頼を受けまして、本会談の際にこの問題を取り上げて北朝鮮側に対して調査を申し入れたということでございます。
  186. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 警察庁の方に一言だけ申し上げますけれども、今年の通常国会でも、ここに有本さんの御家族を始めとして、外交防衛委員会で御家族の方来ていただいていろいろと参考人質疑やりましたけれども、今、局長は明確に取り合わなかったという報道は間違っていると否定をされたわけでありますけれども、しかし、この九月十七日以来の御家族お話を聞いても、その前の、我々が参考人招致ここでしたのも前ですけれども、前の御家族の話を聞いても、誠実に対応されたというふうに御家族で思っている方はほとんどいらっしゃらないというのがあるというふうに私は思います。その場にいたわけじゃありませんからあれですけれども、少なくとも御家族の皆さんはなかなか取り合ってもらえなかったというふうな御認識でいるということを真摯に受け止めて、また今後の捜査に生かしていただきたいというふうに思っております。  そこで、次の質問に移らさせていただきますが、今、川口外務大臣が国交がないので、これは警察庁もそうですよ、国交がないので捜査するのは難しい、それはそのとおりだと思います。向こうでの捜査権は全くありませんから、これは大変に難しい、外務省にとっても警察庁にとっても難しいようなケースであったというふうに思うわけです。ただ、今後の捜査日本の国内での、つまり北朝鮮の中に今捜査員を派遣してあちこち事情聴取するとかというのは不可能でしょうから、現時点では。ただ、国内での調査を、これはもう既に調査捜査は着手されていると思いますけれども、徹底的にやっていただきたいと思うわけです。  その理由の一つは、この北朝鮮拉致の問題をいろいろと考えてみますに、やはり日本国内で拉致協力をした人物や団体がいたであろうということは、これはまだ推測の域を出ない部分もありますけれども、大体多くの人がいろんな報道等を読んだらそういうふうに思っているわけですね。  ですから、例えばあの不審船、舛添先生もおっしゃっていましたけれども、の中からプリペイド式の携帯電話が出てきたとか、日本製のゴムボートが出てきたとか、日本の中で物品を調達していた人がいたのではないか。あるいは、北朝鮮拉致をしようと対象者のリストを仮に作っていたとして、その相手の日本人の素行調査や事前の人物調査などという形で協力をしていた人間や団体が日本の国内に既に前からあったということはもう想定され得るわけでありまして、こういった日本サイドの、必ずしも日本人とは限らないかもしれませんけれども日本国内にいた人物あるいは団体による拉致協力の実態解明について警察当局として今後どう取り組んでいかれるのか、伺いたいと思います。
  187. 奥村萬壽雄

    政府参考人奥村萬壽雄君) ただいま委員指摘のような、日本人拉致事案について日本国内の協力者がいたんじゃないかという報道があることは私ども承知しておりますし、また今回の事実調査における北朝鮮側の回答の中で日本人の請負団体というふうなことも言われておりますけれども、現在これらの拉致容疑事案につきまして私ども捜査中でございまして、そういうケースがあったのかどうかということについてはお答えを差し控えたいと思いますけれども、いずれにしましても、これら拉致容疑事案の全容解明に向けまして私ども全力でこれに当たっていきたいというふうに考えております。
  188. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 是非、これは国内の捜査権のあるエリアでの話ですから全力でやっていただきたいというふうに思うわけでありますけれども。  次に、ちょっとこれ、最初警察庁さんに聞こうと思ったんですが、法務省さんに聞きたいことがございます。それは、今後警察の方で捜査しまして、仮にある特定の拉致案件について特定の個人や団体の関与が裏付けられた場合、これは当局として、政府としてどういうふうに対応していくのかということなんですね。  これは、この罪は、拉致の罪は、日本の刑法で言いますと二百二十六条の国外移送目的略取罪、あるいは幇助した場合は幇助罪に当たるわけでありますけれども、新聞ではこれは七年の時効が成立していると断定調の話が多いんですね。ところが、私、今回勉強してみましたら、必ずしも時効が成立したと言い切れない、時効が成立していないと考え得る余地があると思うんですね。  幾つかあると思うんですけれども、二つだけ主なものを申し上げたいと思いますが、一つは、これは誘拐とか拉致に関する判例でも出ておりますし、学説上もそうでありますけれども、難しい言葉で言えば、一定の法益侵害が継続している状態では犯罪事実が継続していると。つまり、これは継続犯だと。つまり、拉致された人がまだ日本に戻されていないわけですから、原状回復していない。つまり、犯罪行為自体が終わっていない。犯罪行為自体が終わっていなければ時効が起算されないんですね。時効自体がまだ発生していないということになるので、もう時効が成立しているから、これに関与した人、罪に問えませんよということは言えないのではないか。  それからもう一つは、刑事訴訟法の二百五十五条にありますけれども拉致の実行にかかわった人が国外にいる場合には、国外にいる期間はずっと時効停止しますね。そうすると、時効七年といっても、今後の捜査いかんによってはこれ、時効が成立してから罪を問えないということは、例えば日本国内で二十年前に拉致に関与した人がいたとしても時効じゃないんです。ということを考え得るのではないかと私は思いますが、法務省、どうでしょうか。
  189. 樋渡利秋

    政府参考人樋渡利秋君) 委員指摘のとおりに、公訴時効は一般論で申し上げますと犯罪行為が終わったときから進行することになっております。また、公訴時効は犯人が国外にいる期間は進行を停止することというふうにされておりますところ、かかる時効の停止は、犯人が複数である場合、それぞれについて別個に判断すべきものと解されております。すなわち、複数の者が事件に関与している場合には、各人の我が国への入出国状況いかんによりまして、共犯者の中でも各々の時効完成の有無が異なる場合が生じ得るところであります。  さらに、最初の御質問で略取・誘拐の罪の性質でございますが、これも委員指摘のように、それを継続犯と見るか状態犯と見るか。すなわち、委員指摘のように、まだ犯罪が終わっていないと見るのか、既に犯罪が既遂に達してあとは違法状態が続いているのかというところで犯罪行為が終了した、終わったときという起算点が異なるわけでございまして、そのいずれの時点を起算点とするかについては、この点をめぐりまして裁判例、学説が種々分かれている、そういう見解が分かれているところであります。  これにつきましては、個々の事案の内容に応じまして司法の場で判断されるべきことでありまして、法務当局として意見を申し上げる立場にはないということで御理解いただきたいと思います。
  190. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 今、つらつらと長い説明があって、結論的には法務省としてなかなかこれだというふうに言えないということで、ただ、私も判例とか調べましたら、例えば昭和五十三年の七月の大阪高裁の誘拐関係に対する判決で、被誘拐者に対する実力支配が続く間は犯罪行為が継続する継続犯であるという例えば文言があるわけでして、北朝鮮拉致をされた人たち北朝鮮の実力の支配に継続して置かれている場合には、これはなかなか犯罪行為が終わったというふうに言えないのではないかということもあります。  それから、学説上の争いがあることも私、認識しておりますけれども、通説では、大方の説では、ある犯罪が起こった後の結果が、行為が終わった時点というよりも、犯罪によって起こった結果が発生した時点から起算をすると。そうすると、この拉致なんかの場合には、拉致という行為が終わった時点を起算時点とするのか、拉致された人がその行為によってどういう結果に至ったのかというそこを見極めなければ、私は時効の起算点というのは軽々には決められないというふうに思っておりますので、政府の皆さんにもそれを御認識いただいて、またこれは最終的には司法の判断になると思いますけれども警察庁の方にも是非捜査で、関与した者、日本国内、国外を問わず徹底追及をしていくという姿勢を持っていただきたいというふうに思います。  続きまして、安倍長官にお伺いしたいと思いますが、今後、正常化交渉が始まっていくということで、私は、大切なことは、これはもう副長官よく御存じだと思うんですが、やはり拉致問題の解明というものが北朝鮮によって他の懸案で日本側の譲歩を引き出すカードに使われないようにしなければいけない。そういう意味では、これはちょっと表現が難しいんですけれども拉致問題と正常化交渉は不可分だと言えるんですが、他方、拉致問題のじゃ余り証拠もないような、だれが見ても作り話と思うような情報をもらう代わりに、経済協力とかほかの分野で日本側は譲歩しますよみたいな取引ということに使われてはいけないという意味では分けなきゃいけないと。正常化交渉のほかの案件がどう進むのであれ、拉致問題の解明というものは続けていかなきゃいけない、厳しくやっていかなきゃいけないというふうに思うんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  191. 安倍晋三

    内閣官房長官安倍晋三君) 今の御質問にお答えをする前に、先ほど法務省あるいは警察庁に対して御質問の件でございますが、私ども、実行犯等々の時効の問題、また再捜査の問題につきましては、専門幹事会におきましてもう一度すべての案件を洗うように、当事者と思われる者がいれば当然事情聴取等々をするようにという指示はいたしております。  ただいまの御質問でございますが、私どもといたしましては、この正常化交渉におきまして拉致問題の解決を最優先事項といたしました。これは閣僚会議においてそのように政府の方針を決めたわけでございますが、それにのっとりまして正常化交渉の中において拉致問題の全面的な解決を図っていきたいと、こう思います。  その中で、私どもが確信できないというか、私ども自体がそれが真実であるということが認定できない資料を出されるときにどう判断するかということでございますが、私どもはそれぞれの資料について私ども独自に認定をするということが極めて重要であると思います。それに対しての協力は当然求めていかなければいけないと、このように思っております。  そういう意味におきましては、原則をしっかりと据えて、安易な妥協はせずに交渉をしていくということを申し上げておきたいと、このように思います。
  192. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 続きまして、これは安倍長官でも外務省でもいいんですけれども、先ほど舛添委員からも指摘がありました、公式文書に、金正日総書記が小泉総理にこの拉致問題で謝罪をして再発防止を約束したと報道されておりますが、公式文書にはやはりそういったところまで踏み込んで載っていないと。まして、今、日本拉致問題の真相の解明というものを北朝鮮に強く要求をしている段階でありまして、私としては今後どういうふうに交渉が進展するか見守らなければいけないところもありますけれども、やはり日本政府北朝鮮政府が合意をした文書の中に、北朝鮮側拉致の問題について解明の努力をし続けるということを義務付けるような言葉を書いた文章を作る、あるいはこれは国交正常化、仮にするとしたら、そのときにどこまでこの拉致問題の解明が進んでいるかにもよると思うんですけれども、いずれにしましても、私は、あの日朝平壌宣言だけを根拠に拉致問題の解明をしていくことはちょっと難しいのではないか、つまり北朝鮮側努力を担保できないという意味では是非何らかの公式文書に、今後作る公式文書があればこの問題をしっかり書いていくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  193. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 北朝鮮による拉致問題への謝罪というのが公式文書にないということでございますけれども、まず、先ほどから申し上げていますように、この拉致の問題の解明、これは国交正常化交渉の中で最優先の事項としてやっていくということでございます。  そして、紙の中では、この平壌宣言の中では、これは「日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題」というふうに書いてありますし、ここで二度と遺憾な問題が、「このような遺憾な問題が今後再び生じることがないよう適切な措置をとる」というふうに書いているわけでございますし、口頭でも金正日総書記が小泉総理に対してそういうことが遺憾であると、おわびをするということをおっしゃっていて、二度と発生させないということも言っているわけでございます。  拉致の問題ということは、小泉総理が金正日総書記と会われてお話しになって、そこで初めて解明の入口に立つことができたということだと思います。今まではそれを言った途端に席を立って出ていってしまうというような状況であったわけで、この入口に立って、今後、正常化交渉の中でこれは強く相手に真相解明を求めていくということには変わりありませんし、北朝鮮側がこれに対して対応をきちんとしてくれるということについてはそれまでの金正日総書記の姿勢その他からも明らかだと思いますけれども、いずれにしてもこの平壌宣言の基本原則と精神にのっとって北朝鮮側対応しない場合にはこの交渉は前に進んでいかないということでございますから、これについてはきちんとやっていくということでございます。
  194. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 分かりました。  次に、安倍長官に再度お聞きしますけれども、誠に残念なことに、この拉致問題が、拉致被害についての報道が連日なされる中で、在日朝鮮人に対する暴行、暴行未遂、暴言、脅迫、無言電話などの嫌がらせが合計で三百件ほど発生しているという報道がございます。先日、神奈川県では女子小学生が日本人の男性に足をけられるという事件もあったわけですけれども、私、こういう人権感覚の疑われることは絶対あってはならないし、またこの拉致問題の解明するという立場からも百害あって一利なしの行動であるというふうに思いますが、安倍長官の御見解を伺いたいと思います。
  195. 安倍晋三

    内閣官房長官安倍晋三君) 私もそうした報道があったことを承知をしております。  この問題につきましては、法務大臣から人権擁護を所管する担当部局に対し人権擁護活動を強化するよう指示がなされたわけでございまして、当然こうしたことが決して起こらないよう私どもも努めていきたいと、このように思っております。
  196. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 是非よろしく対応方をお願いしたいと思います。  続きまして、石破防衛庁長官、御就任おめでとうございます。  お聞きしたいと思いますが、もう既に出ている質問なので、簡潔に私、申し上げたいと思いますが、長官よく御存じのとおり、北朝鮮はスカッドB、スカッドC、それからノドン1ですか、これは日本全域が射程に入るミサイルというふうに言われていますけれども、既に配備済みと。テポドンも実験している、していないという話がいろいろあるわけでありますけれども、やはりこの安保協議で、先ほども長官、どなたかの答弁で申し上げていましたけれども、おっしゃっていましたけれども、やはりこの核兵器、大量破壊兵器、それから生物化学兵器も含んでですね、またミサイルの問題、これらの具体的な項目について、いわゆる米朝合意を履行してくれといって任せるんではなくて、やはり日朝というこの軸の中でも、これはお隣の国で核兵器持たれたり、それを搭載して攻撃できるミサイル持たれているときに、黙って見ているということはあり得ないわけで、ですからこの具体的な案件についてやはり北朝鮮日本に対して脅威を与えないという担保を取るぐらい毅然とした態度で交渉していただきたいと思いますが、つまり具体的な案件について具体的な進捗がなければこれは正常化の合意もできないと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。
  197. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 委員の御見解に私は全く賛同をいたします。すなわち、御指摘になりましたように、米朝枠組み合意にお任せをというようなことであってはならないのであって、テポドンはそれはアラスカまで飛ぶのかもしれませんが、ノドンの脅威に実際に我が国は今もさらされておるわけだと思います。そしてまた、工作船我が国を対象としたものであります。  そして、ミサイルに生物化学兵器を載せれば、それはそのままノドンの脅威すなわち生物化学兵器の脅威になるわけですから、このことは当然我が国の脅威であるという認識の下に正常化交渉、そして何よりも安全保障協議の場で我が国の問題として、国際的約束の履行ということは我が国の問題なんだという認識の下にきちんと交渉をしてまいりたい、そして国民の安全を確保したい、それが政府の役割だと認識をいたしております。
  198. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 ありがとうございます。  最後の質問になるかと思いますけれども、再び安倍長官にお伺いをしたいと思います。実は日朝の首相協議ではほとんど話題にならなかった個別の案件で、しかし日朝間の中で特に日本側にとって深刻な問題として、これは今防衛庁長官が言及をしました工作船とも関係ありますけれども、麻薬の密輸問題が私はあるというふうに思っております。  専門家によりますと、九〇年代後半から北朝鮮製の麻薬、覚せい剤、薬物の密輸が、日本向けが増えているというふうに指摘されているんですけれども、実際それを裏付ける事件も数多く起こっております。私が簡単に重立ったやつだけ言うと、一九九七年四月十五日のチソン二号事件で、日本国内で初めて北朝鮮から密輸された覚せい剤五十八・六キロが押収される事件がございました。九八年の八月二十三日には東シナ海の公海上で日本の暴力団員が北朝鮮船籍の漁船から二百二・六キロ、末端価格で百億円以上の覚せい剤を、これは北朝鮮製と後で分かりましたけれども、受け取った事件が起こる。九九年にも幾つか事件があったんですが、特に十月三日には何と史上最高の五百六十五キロの覚せい剤が台湾漁船によって北朝鮮から密輸をされて日本に運ばれたものが押収をされたわけでございます。  このような大量な覚せい剤の薬物の密貿易、日本向けの密貿易をだれが一体やっているのかという点でありますけれども、実は今年七月に、だれがやっているかということについて非常に示唆をする事件が国外でございました、台湾と韓国でありますけれども。この二つの事件によって、もう時間がないので詳しく申し上げませんが、一つは台湾の方は、北朝鮮の海軍の船から麻薬を台湾の漁船が受け取ったというようなことが発覚したわけであります。つまり、国家が直接関与して薬物の密貿易をやっていたと。それから、韓国で書類送検された人の話によれば、民間の密売組織も北朝鮮にあるということが分かったわけでございます。  今、日本は第三次薬物乱用期でございまして、未成年者に対する薬物の浸透が非常に心配をされている時期なわけでございます。北朝鮮からこのように大量の、何百キロという、一遍で何百キロという覚せい剤が北朝鮮から来ているという、それで、しかも国家がかかわっているということが今年に入って分かってきたわけでありますから、是非、この日朝交渉の過程の中でも、北朝鮮が国家ぐるみで日本に麻薬を密輸をするようなことがないように、この点についても具体的に毅然とした態度で臨んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  199. 安倍晋三

    内閣官房長官安倍晋三君) 北朝鮮を仕出し地とする薬物の大量密輸事件が発生していることにつきましては、政府としても重大に受け止めております。八月に開催をされました日朝局長協議等の場においても取り上げてきたところでございます。  いずれにしろ、本問題については今後とも関係当局と緊密に連携をしつつ日朝国交正常化交渉等の場においてしかるべく取り上げていきたいと、このように考えております。また、北朝鮮側の誠実な対応を強く求めてまいりたいと思います。
  200. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 以上で終わります。
  201. 小泉親司

    小泉親司君 私は、日朝首脳会談に関連をいたしまして幾つか質問をさせていただきたいと思います。  我が党は、今回の首脳会談については、過去の植民地支配の清算を行ったこと、日本国民の生命、安全を守る上での再発防止策で合意したこと、こうした点を踏まえて大変重要な前進の一歩だというふうに考えております。  拉致事件は、これはいかなる理由があろうとも許すことができない犯罪でありまして、私たちはこれに対しては厳しい抗議を表明をいたしております。特に、北朝鮮政府に対して、拉致問題のすべてを明らかにすること、拉致犯罪を行った責任者を明らかにすること、被害者の皆さんがどのような取扱いを受けたのか、その真相の全面的な解明を要求したいと思います。  この日朝首脳会談で金正日国防委員長がこの拉致事件の事実を認めたというのは国際社会にとって大変大きな意義があるというふうにも思いますし、この前、調査団が行きまして、二日に発表された拉致問題に関する現地事実の調査結果は大変真相究明に向けた一歩だというふうにも考えております。また、生存されておられました五名の方が帰国されるということも大変喜ばしいことであるというふうに思います。  そこで、安倍官房長官にお尋ねをいたしますが、今後どのような点を中心にこの真相究明に向けた取組を進めるのか、まず初めにお尋ねをしたいと思います。
  202. 安倍晋三

    内閣官房長官安倍晋三君) まず、私どもといたしましては、十五日に帰国されるわけでございますから、生存者の方々、五名の方々帰国をされるわけでございますから、それを遺漏なきよう進めていきたいと、こう思っております。そしてさらには、御家族全員帰国早期に実現させなければいけない。そしてまた、それと同時に重要であるのは、死亡したとされる方々についてのこの安否情報が正しいものであるかどうか、私どもが確認するに足るものをしっかりと出していただくように更に求めていきたいと、こう思っております。そしてさらには、その関係者の処罰がどのように、だれを、いつ行ったのかということにつきましても先方に真実を求めていきたいと、このように思っております。
  203. 小泉親司

    小泉親司君 生存者の方々については、先ほども話しましたように帰国の手続が進んでいると。しかし、亡くなったとされておられる方、この点については家族方々からもいろんな要望や疑問や御意見が出されている。政府は、この正常化交渉の中でこうした疑問点をきちっと解明していくということが私は大事だというふうに思いますが、どのような方法でこの点について具体的な真相究明を図っていくというふうにお考えなんでしょうか。
  204. 安倍晋三

    内閣官房長官安倍晋三君) 私ども、先般、齋木参事官を団長とする調査団先方派遣をしたわけでございまして、そのときに持ち帰ってきたものがございまして、現在、そうしたものを分析をしているわけでございます。それを踏まえて更に私ども調査を進めていきたいと、このように思っております。  具体的にはというのは、それはやはり私どもが確認し得るに足る情報なり証拠物件等を出していただかなければいけないと、このように考えております。
  205. 小泉親司

    小泉親司君 今回、調査報告があった方々は首脳会談北朝鮮が発表した方々にとどまっておられますが、私たちはやはり拉致問題のすべてを明らかにするということが大変大事だというふうに思いますが、それ以外に拉致被害者がいるのかどうなのか。その点で、今後の交渉ではこういう点をどういうふうに進めていくというふうに考えておられるのか。この点も併せてお尋ねしたいと思います。
  206. 安倍晋三

    内閣官房長官安倍晋三君) 今回明らかになった方々以外にも、私の子供はもしかしたら拉致されたんではないかという方々からの調査依頼がたくさん来ているわけでございまして、そうしたものについて警察当局が精査又は捜査をいたしまして、そしてその後、こうした人たちについて心当たりがあるかどうか、北朝鮮側に場合によっては、精査した後ですね、先方に、北朝鮮側に問い合わせをしていきたいと、こう思っております。
  207. 小泉親司

    小泉親司君 政府は正常化交渉の中で拉致問題の真相究明を進めるということを明らかにしておられますが、二十九日から始められるいわゆる協議、正常化交渉の再開ということに、点ではどういう点をまず要求されるのか。その見通しをお尋ねしたいと思います。
  208. 川口順子

    国務大臣川口順子君) まず、正常化交渉に当たりましては拉致の問題が最優先の事項であるということを申し上げているのは、これはずっとそういうことで考えております。  そして、具体的に二十九日、三十日の交渉においては、まず、今後交渉をどのようなやり方で進めていくかということについての議論も必要でございますし、どういった問題について取り上げていくかと、今後の、といったような今後の会議の進め方を中心に議論がなされるというふうに考えます。そしてあわせて、日朝の安保協議ということをやることになっていますけれども、これのやり方、タイミング等々についても議論をしていかなければいけないと思っています。  いずれにいたしましても、日朝の懸案が様々、日朝間の懸案が様々あるわけでございまして、こういった問題を正常化ということをてこにしながら解決をしていく、そして、この安全保障問題、これは日本の持っている安全保障問題もありますけれども国際社会が懸念をしている安全保障問題もあるわけでございまして、こういったことに対してアメリカや韓国等と連携を綿密に取りながらこの地域の平和と安全に資するような形で話を進めていくと、そういうことになると思います。
  209. 小泉親司

    小泉親司君 外務大臣は、米朝首脳会談、米朝会談出席しましたケリー国務次官補と、会談後だと思いますが、会談されておられる。先ほど、事前のケリー長官局長の議論については既にこの委員会報告が今ありましたが、この外務大臣ケリー次官補との会談ではどういう点が議論されて、日本側としてはどういうことを言い、アメリカ側としてはどういうことを報告されたんですか。
  210. 川口順子

    国務大臣川口順子君) ケリー国務省次官補とは、私は会談をしたのは事前でございまして、事後につきましては、私だけではなくてほかの方と一緒に報告を聞いております。  事後の話について、どのような、ケリー次官補が北朝鮮と話をしたかということについての説明におきましては、これは、北朝鮮側に対して大量破壊兵器、ミサイルの開発や輸出、そして通常兵器の問題、また人権、人道を含む広い懸案について懸念を表明したということでございまして、同時に、北朝鮮アメリカとの対話のための包括的な協力を行うのであれば米朝関係の進展につながっていくであろうということを話をしたということでございます。また、拉致問題については、日本の要望を踏まえて、北朝鮮に対して、この問題について、解決について誠実に取り組むということが大事だということを話をしたということでございます。  ケリー次官補によれば、率直そして有益な会談であったということでございました。
  211. 小泉親司

    小泉親司君 我が党は、拉致事件を始めとしまして、ミサイルの問題、不審船の問題、核兵器の問題、こういった様々な日朝間にあります諸懸案は国交正常化交渉できちんと追及していく必要があるという立場を表明しておりますが、特に、アジアにおいてアメリカ、それから朝鮮半島の韓国と北朝鮮、中国、東南アジア、ロシア、こうした大変大きな国も含めた諸国、五つの国と諸国との間で平和的な関係を成熟させていく、安定させていくということが大変大事だというふうに考えておりますが、今回の日朝首脳会談成果を踏まえて、外務省としては、中国やロシアとの関係、北東アジア、東アジアということもありますが、今後の関係をどういうふうに発展させると考えておられるのか、この点、外務大臣にお尋ねいたします。
  212. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 北朝鮮の問題について、アメリカ、韓国とはずっと緊密な連携を持っておりますし、また中国、ロシアもこの総理の訪朝に至るまでの過程において北朝鮮側に対して働き掛けをしていただいたというふうに承知をしております。また、G8でも私はこの北朝鮮の問題については話をしておりまして、ほかのG8の国についても、この件については関心を持ってきているということでございます。  この北東アジアの平和と安定、これを保っていく、あるいはこれをよりよくしていくということのためには、近隣諸国とのかかわり合い、近隣諸国のかかわり合い、ロシア、中国のかかわり合いが非常に重要でして、ロシアも中国も引き続きこの問題については関心を持っていると思います。  それから、私は明日からロシアに参りますけれども、ロシアに行きましてイワノフ外務大臣ともそういった問題についての意見交換をしたいと考えています。
  213. 小泉親司

    小泉親司君 私たちは、この日朝首脳会談で合意された国交正常化交渉をできるだけ早く再開して、先ほども申し上げましたように、拉致事件の解決を始めとして、ミサイルの問題や不審船や両国にまたがる懸案事項をしっかりと解決していただきたいということ、そのために政府が十分な努力を果たすことを強く求めていきたいというふうに思います。  それで、次の問題に入らせていただきます。先ほど議論になりましたが、石破防衛庁長官の憲法観の問題について少しお尋ねをしたい。  石破防衛庁長官は、まず、徴兵制の問題について、衆議院の憲法調査会で、「徴兵制は憲法違反だと言ってはばからない人がいますが、そんな議論は世界じゅうどこにもないのだろうと私は思っています。」と発言されておられます。  日本国憲法は、私は、第九条で戦争放棄を高らかに宣言して戦力不保持を明確にしている、その点でやはり徴兵制ということは憲法上も明確に否定されているというふうに考えておりますが、石破長官がこのように言う理由、つまりどのような理由で世界じゅうそんな議論はないのかと、この点について、憲法上の根拠についてまずお尋ねしたいというふうに思います。
  214. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 衆議院の憲法調査会で今、委員が御指摘のような発言を私がしたことは事実であります。今この場で、長官としてこのことにつきまして一議員としての見解を申し述べることは、これは差し控えるべきというふうに思っております。  一般に徴兵制度とは何かということを言えば、国民をして兵役に服する義務を強制的に負わせる国民皆兵制度である、軍隊を常設し、これに要する兵員を毎年徴集し、一定期間訓練し、新陳交代させ、戦時編制の要員として備えるものをいう。これは、徴兵制の定義としてこのように定義付けるのは私は正しいだろうというふうに考えております。このような徴兵制度は、現行憲法の秩序の下では、社会の構成員が社会生活を営むについて、公共の福祉に照らし当然に負担すべきものとして社会的に認められるようなものではないのに、兵役と言われる役務の提供を義務として課されるという点にその本質があると。したがって、このような徴兵制度については、平時であると有事であるとを問わず、憲法十三条、十八条などの規定の趣旨から見て許容されるものではないというのが政府の見解であります。  先ほどの佐藤委員の御質問のお答えと重複して恐縮でございますが、小泉内閣内閣の一員としてこの政府の見解に従うというのが私の立場でございます。
  215. 小泉親司

    小泉親司君 いや、私はそういうことを聞いているんじゃなくて、あなたが「徴兵制は憲法違反だと言ってはばからない人がいますが、そんな議論は世界じゅうどこにもないのだろうと私は思っています。」と言っているので、それじゃ、それはどういう根拠であなたがおっしゃったんですかと。別に長官の話を聞いているのではなくて、どういうつもりで言っておられるんですかということをお尋ねしているんです。
  216. 石破茂

    国務大臣石破茂君) ここでは私は閣僚として答弁を申し上げておりますので、閣僚としてそのようなことには今お答えすべきだとは思っておりません。
  217. 小泉親司

    小泉親司君 あなたの今日の、私、今日、あなたのホームページを見てまいりました。あなたのホームページに何と書いてあるのか。徴兵制は採用しないという政策はあり得るが、憲法論と結び付けることには賛成しかねる、ましてや憲法改正でそれを明文で定めるなどというのはとても正気のさたとは思われないと。  あなたは長官になって、今日ですよ、私、今見てきて印刷しましたから。あなたは防衛庁長官としても、こういうホームページで国民に、内外に宣言されている。それなのに、今ここで来たら、国民には正気のさたとは思われないと言っておきながら、今度はそこに座ると、いや私は政府の見解だと。これはちょっと、いささか問題であると。  ですから、私は、これは、あなたはこのホームページを出されている理由、これは、なぜどういう理由からこういうふうに国民説明されておられるんですか。
  218. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは、ホームページの冒頭をよくごらんをいただきたいと思うのですけれども、そこには日付が付してあろうかと思います。つまり、それは六月、日付は正確には今記憶をいたしておりませんが、六月にある週刊誌に、私がそのような発言をしたということは極めて問題であるというような報道がなされました。今週の、週刊誌の名前は差し控えますが、このような週刊誌によればというふうに書いてございますので、それは防衛庁長官になってから書いたものだというふうな委員の御指摘であれば、それは当たらないものというふうに考えております。
  219. 小泉親司

    小泉親司君 あなたが閣僚になったから変わったんだとおっしゃるから私は今ホームページを言ったので、これは、六月の時点であれば当然あなたはこれを消すべきなんですよ。あるんだから、現実に。  今、国民防衛庁長官としての石破茂さんがどういう見解を持っておられるかというのを引いたら、徴兵制を憲法違反だと言ったら、これは正気のさたとは思われないと言っているということを私は証明していると思います。  先ほどあなたは、政府見解は憲法十三条と十八条を挙げておられるとおっしゃった。しかし、あなたはこの間でも、十八条の奴隷制の苦役だといって、これを、国を守ることが意に反した奴隷制な苦役だというような国は国家の名に値しないということまでこのホームページで言っておられるんです。  あなたは十八条と十三条というその根拠に対しても疑問を提示されている。それが今は変わったと。ということは、政府の憲法解釈はこれまでは間違っていたと言っておられるんですが、それは、いや正しかったんだというふうなことになったということなんですね。
  220. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 先ほど来の答弁の繰り返しで恐縮でございますが、政府の見解に閣僚として従うのは当然のことだというふうに申し上げておる次第でございます。
  221. 小泉親司

    小泉親司君 私、これは成り立たない議論だと思いますよ。  私は別に、あなたと今議論したら百八十度見解は違うが、少なくとも、この国会の場でどういう理由であなたがこういうことをおっしゃったのか、あなたの見解の理由を聞いているのに、それは閣僚になったから私は違うんだと言われても、それはちょっと、大変無責任なことだろうというふうに思います。  特に、あなたは同時に、この問題というのは憲法解釈の問題とは結び付かないんだと、国の政策判断の問題なんだと、こういうことを言いまして、徴兵制は合憲である、だから政策的に判断されればいいということになるんだと、こう言っておられる。これはお認めになるわけですね。
  222. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 繰り返して申し上げますが、政府の立場といたしましては、憲法第十三条、十八条、規定の趣旨から見て許容されるものではない、これが政府の立場であります。閣僚の一員として、政府の立場に従うことは当然であります。
  223. 小泉親司

    小泉親司君 これはちょっと、幾ら、それはあなたが政治家と大臣だと、これを分けておられても、これ、全然あなたが言っていることと違うじゃないですか。それはちょっと議論に成り立たないですよ。あなたはホームページで、外国の方に徴兵制を奴隷的、苦役に当たると言ったら、余りにも恥ずかしくて日本人をやめたくなるとも言っておられる。私は、日本人をやめる前に長官を辞めるべきだと思います。  もう一つ。私、時間がありませんので、憲法観のもう一つの集団的自衛権の問題についてお尋ねをいたします。  先ほども議論がありましたが、長官安全保障委員会の中で、集団的自衛権の解釈、これを打ち破っていくことが日米同盟、これを強化することであり、政治主導、そのことを国民の理解の下に確立することだというふうに述べておられます。  あなたの集団的自衛権の見解というのは、私が解釈するに、小泉総理や中谷前防衛庁長官の見解とも違うんです。つまり、お二人は、主に集団的自衛権の行使のために憲法改正を主張する、つまり正面突破なんだと。しかし、あなたは、私たちはこれ自体も重大だとは思いますが、あなたは明文改正をすべきだと思うということは確かに言われております。言われておりますが、それが大変政治的に困難なんだと、それをやっていると十年、二十年、三十年の先になるのでそれは待っていられないんだと、だから解釈改憲でいくべきなんだというふうなことを強調されているんです。  つまり、そうなりますと、解釈改憲でいけばいいんだということになると、それは集団的自衛権の行使は現在、解釈として合憲だということを言っておられるわけですが、一体この憲法上のどこから集団的自衛権は合憲だということが出てくるのか、その点をお尋ねします。
  224. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 先ほど来、佐藤委員質問にもお答えしたとおりでございますけれども、閣僚の一員として現在の政府の見解に従うべきは当然であります。  ただ、解釈改憲すべきだとかいうような言葉を、私は解釈改憲という言葉を使って申し上げたことはございません。そこのところは言葉の使い方をよく厳密にやっていかねば、議論が錯綜するだろうというふうには思っております。  いずれにいたしましても、政府の一員として、政府の立場、これは堅持してまいるのは当然のことであります。
  225. 小泉親司

    小泉親司君 あなたは、集団的自衛権を解釈改憲でいくということは言っていないと言っておられますが、私、ここに日本戦略研究フォーラム、二〇〇〇年四月五日にアルカディア市ケ谷の、昔の私学会館でシンポジウムをやっておられる。このシンポジウムのホームページが実はございまして、あなたが発言されているんです、この集団的自衛権行使について。  何と言っているかといいますと、つまり、それは解釈改憲でいくのが本当である。解釈改憲は危ないと言う人がいるけれども内閣総理大臣が、集団的自衛権の行使、それ自体は合憲ですと言って、しかし、使うか使わないかはそのときの政府の判断ですと言えばそれでいい。そのことを予算委員会で当時の総理大臣、これは小渕さんですが、に尋ねたところ、解釈改憲はいたしません、明文で改正をしなければいけませんと言った。むしろ、解釈改憲でいくべきであろうということを私はもっとクリアにすべきだと思っている、あなたはこう言っているんですよ。全然違うんです、話が、あなた。一政治家としても事実誤認なんです、これは。  ということは、あなたは、この集団的自衛権の行使は、それ自体は合憲なんだと。しかし、使うか使わないか、そのときの政府の判断でということを言えと、言わば閣僚に迫ったわけですね、自民党の閣僚に。だから、あなたに一緒に迫りますが、あなたがこういう質問をされたらこのように答えるんですか。内閣総理大臣がそう言えばいいんだというふうに答えるんですか、どうですか。なぜ答えないんですか。
  226. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 恐縮です。アルカディア市ケ谷で、これがいつのことか、済みません、私も記憶が定かではございません。そのように言ったとしたならば、私が先ほど先生に申し上げたことは、むしろ自分に向かって言うべきだったのかもしれません、解釈改憲とは何であり、明文改憲とは何であるかということをですね。あるいは憲法の変遷とか、いろんな議論がございましょう。  いずれにいたしましても、小泉内閣としては今の憲法の解釈というものを維持をすると。そしてまた、総理がおっしゃっておられるのは、研究してもよいのではないかというふうにおっしゃっておられるわけであります。これは研究してもよいのではないか。しかし、今、内閣としてはこの憲法九条に対する考え方というのを変えるつもりはないということであります。閣僚の一員として、それは総理のお立場、内閣の立場、これに従うのは、これはもう当たり前過ぎるほど当たり前のことでありまして、どのように答えるかと言われれば、私は総理と同じお答えをするのが当然のことであります。
  227. 小泉親司

    小泉親司君 私はいい加減なことで言っているのじゃありませんで、あなた自身が全部言っているんです、これは。改正には大変なエネルギーが要る。私も本来、明文で憲法改正すべきだと思う。しかし、これは、これを明文で改正するということは極めて困難で、時はそれを待ってくれないだろうと。十年、二十年、三十年後まで何もなければいい。何かが起こって、憲法の制約によって国が滅びると。滅びないまでも、国民がたくさん亡くなる。だから、解釈改憲でいくべきなんだとあなたはしゃべっているんですよ。解釈改憲だということは、あなた自身は、今の憲法の中で合憲だということをあなた認めているんじゃないですか。なぜそう言えないんですか。
  228. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 度々のお答えで恐縮ですが、お答えは先ほどと全く一緒であります。閣僚であります以上は、総理の御見解、内閣の見解に従わなければ、これはもうそれに従うことが当然というふうに認識をいたしております。
  229. 小泉親司

    小泉親司君 いや、私はこういうことを今なお内外に、徴兵制は合憲だ、集団的自衛権は合憲であり、解釈改憲でいくべきだということを主張されている防衛庁長官が閣内に入るというのは大変おかしな問題だということでありまして、これはもう今の内閣の方針とは全く相入れないということを最後に申し上げて、質問を終わります。
  230. 平野貞夫

    平野貞夫君 安倍長官最初お願いがあるんですが、私がこれから申し上げることを是非小泉総理に伝えていただきたいんですが、十月八日に小柴博士がノーベル賞を受賞して、総理のテレビコメントで、日本も捨てたもんじゃないという発言をされておりますが、これは総理として言う言葉じゃないんです。これは、外国人ならともかくですね、総理の言葉の重さというものを、昨日はちょっと変えられたようなんですけれども、ここは、一生懸命に今苦しい中で日本人頑張っていますからね、非常に青少年の教育にも悪いですよ。そういう話があったことを、ひとつ是非伝えておいてください。  ところで、日本を捨てようとしている、考えようによっては日本人を捨てるようになるかもしれないのが今度の日朝交渉の再開だと私は思うんですよ。  安倍長官、私は、九月十七日の日朝首脳会談は時期が早過ぎたと思っています。もちろん、いい意味で正常化することは私も反対はしませんが、全く北朝鮮のペース、拉致問題を北朝鮮は利用して小泉首相を引っ張り出したんじゃないですか。あと半年後とは言いませんけれども、あと数か月待っておれば日本のペースになったと思うんですよ、実態は、それから北朝鮮の諸事情から見ても。そして、拉致問題も核疑惑なんかの問題も、実態もっともっと分かったと思うんですよ。その結果、あんな早とちりで、早過ぎる交渉をやって、あんな不平等宣言ですよ。幕末の不平等条約と一緒ですよ、にならなかったと思うんですよ、もうちょっと慎重にやったら。かねてから、安倍長官は筋の通ったアジア外交論者ですよ。あなたは率直にこの交渉、どう思いますか。御見解を。
  231. 安倍晋三

    内閣官房長官安倍晋三君) 先般の九月十七日の日朝首脳会談があった結果として、今度十五日に五人の生存者が帰ってこられるということに結び付いたわけでございますし、またさらには、死亡とされた方々についても私ども調査をする、そして調査をすることが取りあえずは可能になったということでございます。まだまだ向こう側調査結果として出してきたことについて私どもは更にこれを調査していかなければいけない、満足しているわけでは決してないわけでございますが、そういう意味におきましては、総理の御判断というのは正しかったと私は思っております。
  232. 平野貞夫

    平野貞夫君 私、この九月十七日以降、複数の外務省のOBの方から呼び掛けられ、あるいはこちらからも御相談していろいろ意見交換をする機会があったんです。結構心配していますよ、この今のやり方は。ただ、安倍長官は非常に苦悩されているということはよく分かるんですよ。私の女房がテレビ見ていて、あの人は腹で考えていることと口で言っていることがどうも違うということを分かって一生懸命苦労していると、すっかり最近ファンになって、ちょっと私も困っておるんですけれども。  要するに、慌てて交渉を再開しようとする背景に私は非常に不自然なものを感じます。しかし、事態というのは、もうこれはっきり言って小泉総理の手でパンドラの箱が開いたわけですから、これから大混乱をなるべくしないように、そこのところは安倍長官、本当にしっかりやっていただかなければ、あなたの心情というのは私はある意味じゃ分かっていますので、お願いをしておきます。  そこで、政府参考人にお聞きいたしますが、向こう拉致と認めた五人の生存者の帰国の話がまとまっているということで、十五日には帰国するということのようなんですが、この五人の国籍なんですけれども、私は素人でよう分からないんですが、常識で考えれば未承認国ですから、日本人日本国籍を持っていると思うんですが、その辺、外務省の見解はどうでしょう。
  233. 田中均

    政府参考人田中均君) 先般、調査団が参りましたときに、北朝鮮側に対して拉致された方々の国籍について質問をしたわけでございますが、先方は、拉致されてきた日本人の戸籍については、共和国の戸籍に入籍したことがないので現段階で登録台帳や公民証もないという説明をしていたということでございます。これは、北朝鮮自身も日本人生存五名の方について日本人であるということを前提としているというふうに考えています。
  234. 平野貞夫

    平野貞夫君 そうしますと、日本に一時帰国の一時という言葉もこれは変な話ですわね。これは政治の事情ですからそのことは余り言いませんが、北朝鮮の旅券で日本に入国するという手続になるんですか、この五人が帰る場合に。
  235. 田中均

    政府参考人田中均君) そこのところは、国籍の場合に本人の意思ということもございますし、本人の自由意思に従うということもございますけれども、そこの国籍の関係というのはよく調査をしなければいけないと思っています。ですから、今回について、いずれにしても帰ってくるときには渡航証というようなことになろうかと思いますが、これも含めて現在検討を行っているところでございます。
  236. 平野貞夫

    平野貞夫君 帰ってくることを我々邪魔する必要はございませんので、余りそこのところでは理屈言いませんが、一時帰国というので二週間程度でまた北朝鮮に帰るということですね。そういう方向で話されているんでしょう、ちょっと確認しておきますが。
  237. 田中均

    政府参考人田中均君) 今回につきましては、生存者五名の方々の意向、それを踏まえて、取りあえずは一、二週間の日程で日本にお帰りになるということを前提にしております。
  238. 平野貞夫

    平野貞夫君 私、出国のときの手続というのも一つ相当議論になると思いますよ。日本人であるという、外国にいるその証明するのはパスポートでしょう、パスポートですね、ちょっと確認しますが。
  239. 田中均

    政府参考人田中均君) 当然パスポートも一つの手だてであるというふうに思います。
  240. 平野貞夫

    平野貞夫君 パスポートしかないじゃないですか。ですから、この五人がもし自身の意思で北朝鮮に帰るという場合に、日本人であるという、日本国籍があるといって政府が確認しているなら、是非外務大臣のパスポートを五人に出してくださいよ。それがせめてもの日本の意地じゃないですか。政府参考人どうですか。
  241. 田中均

    政府参考人田中均君) 正にそこの、国籍法上も本人の意思ということがあるわけですから、お帰りになるに当たっては、日本に入国するに当たっては、これは外国にある日本人も渡航証を出したから日本人でないということではございませんけれども帰国のための渡航証というのは発給できる仕組みになっています。  ただ、要するに、本人の御意思その他も確認をしなければいけないわけですが、日本から北朝鮮に戻るときに日本のパスポートを発給して行くということは当然考えられることだと思いますので、そこはきちんと詰めさせていただきたいというふうに思います。
  242. 平野貞夫

    平野貞夫君 確認します。それでは、今のところ外務省の方針としては、五人が北朝鮮に帰るときには日本人、国籍を持っているということを証明するパスポートを渡すという方向で検討していると、そう理解してよろしいですか。
  243. 田中均

    政府参考人田中均君) きちんとした国籍法上の詰めとか、そういうことを行いました上で考えさせていただきたいと当然思いますけれども、基本的には北朝鮮に帰るときにも日本のパスポートで行っていただくということを一つの方向性として検討をしていることは事実でございます。
  244. 平野貞夫

    平野貞夫君 是非、実現していただきたいと思います。  それから、問題の本質のことに入りたいと思いますが、外務大臣日本の過去の植民地支配、特に強制連行とそれから北朝鮮による拉致、この位置付け、違い、本質の違いみたいなことについて意見をひとつ。
  245. 川口順子

    国務大臣川口順子君) まず、朝鮮半島における我が国の過去の植民地支配に関する歴史認識というものは、これは九五年の内閣総理大臣の談話等にあるとおりでございまして、朝鮮の人々に多大な損害と苦痛を与えたという歴史の事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からのおわびをするということでございます。この点については、小泉総理日朝平壌宣言の中で痛切な反省と心からのおわびの気持ちを表明をしたということでございます。  他方、拉致問題というのは、これは国民の生命と安全にかかわる重大な問題であって、この問題を棚上げにして国交正常化はない、実現することはないということが政府の一貫した方針であるということでございます。政府としては、拉致問題の解明は国交正常化交渉の中で最優先課題として扱っていくということでございます。そして、ですから、それぞれ、拉致の問題についても、それから国交正常化の問題についてもそれぞれ対応が必要であると、そういう認識でございます。
  246. 平野貞夫

    平野貞夫君 大変成績が良くて頭の良かった人だけあって明快なうまい答弁しますが、私は強制連行と拉致の共通問題は人権だと思います。この点は僕らも認めます。  しかし、拉致問題の本質は、やはり国家主権の侵害と犯罪行為だということなんですよね。となると、これ正常化交渉の中で話の付く話じゃないんですよ、本質的に。ですから、何度も政府側が正常化交渉をしなきゃ拉致問題は解決しないというのは、私はこれは詭弁だと思うんですよ。  要するに、田中局長も何回もおっしゃっているとおり、経済協力とか核兵器の拡散なんかというもろもろの問題と包括的に解決するために拉致問題を正常化交渉でやるというんでしょう。ということは、拉致問題を政治的にうやむやにするということを言っていると同じことなんですよ。だから、そこのところは私は強く指摘して、そのままじゃ正常化交渉だってできませんよ、このままでは。それから、アメリカ協力をもっとぴしっと受けること。いろいろ言いたいことはありますが、十三分しかありませんので、これで終わります。
  247. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 私は、まず最初に、去る九月十八日の日朝首脳間会談を始め、その前後の日朝協議についての内閣官房や、外務省を始め政府関係者の御苦労に心から敬意を表したいと思います。  さて、質問に入りますが、北朝鮮は九八年の九月五日に憲法を修正し国家主席制を廃止して、国防委員長を国の政治、軍事、経済の力量の総体を指揮統率する国家最高職責者と規定したと報じられています。  そこで伺いますが、金日成体制と今日の金正日体制の基本的な違いについて御説明いただきたいと思います。
  248. 田中均

    政府参考人田中均君) 北朝鮮の政治体制につきましては、私どもいろんな情報の収集は行っておりますけれども、非常に不透明な部分が多いというのが実情だろうと思います。  ただ、体制というか、表面的な体制は変わってきてはいます。金正日総書記が国家として有しているタイトルというのは国防委員長ということでございます。そういう意味で、金正日総書記が北朝鮮の最高指導者であると、その下で実権を掌握しているという実態はあるんだろうというふうに思います。  九八年に修正された憲法では、金永南最高人民会議常任委員長が国家元首としての役割を担っているということでございますけれども、実質的には金正日総書記の指導の下にあるというふうに考えるのが常識だろうというふうに考えます。
  249. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 防衛庁長官一言お願いします。
  250. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 今、田中局長から御答弁申し上げたとおりでありますが、要は、総理が今回いらっしゃって国防委員長ということをおっしゃった。今までは総書記、総書記と言っていたのだが国防委員長ということになった。  結局、九四年七月に金日成が亡くなる。その後、九八年四月に最高人民会議が開催されて金正日労働総書記、新しく国家最高職責と位置付けられた。つまり、国防委員長というのは前からなっていたわけですが、ここの九八年九月に新しく国防委員会委員長は国家の最高職責であるというふうに新たな位置付けがなされ国防委員長に再任をされたということであって、そこに金日成体制と金正日体制の大きな違いがあるというふうに認識をいたしておるところであります。
  251. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 先ほども似たような質問がございましたけれども北朝鮮の今回の譲歩的な対応の背景にはいろいろな理由があると報道されておりますけれども、特に新経済政策ですね、去る七月一日から実施されました経済改革についてもうちょっと教えていただきたいと思います。外務省
  252. 田中均

    政府参考人田中均君) これもなかなかその実態が把握しにくい、果たしてこれが改革と言えるものかどうかということについては種々の議論があると思いますけれども、少なくともそのいわゆる農村価格と言っている部分、公定価格と言ってる部分を合わそうという試みがされていると。したがって、価格について大幅な値上がりをしている。それと同時に、賃金的なものについてもそれを引き上げるということをやっているということでございます。  ただ、問題は、その生産がどれだけ追い付くかということ。通常の状況であれば大変なインフレになるはずでございますが、果たしてどれだけ生産が追い付くかということが最大の問題であろうということだと思いますし、現在は一つは特区というような形で企業を誘致しようという動きも見られていると思います。ただ、これがどういう形で進展をしていくのかというのは相当不確かな部分があるというふうに考えています。
  253. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 せんだっての政府調査団対応した北朝鮮側の代表は北朝鮮外務省の馬哲洙アジア局長となっていますが、この局長北朝鮮政府部内でどういう格付といいますか、方ですか。  つまり、これから、今後、日本側の疑問点や要求などについて責任を持って回答し得る権限をお持ちの方なんですか。また、来る二十九日から始まる国交正常化政策の交渉相手は同じ方となされるんですか。
  254. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) 先般、私ども調査団で参りましたときに、向こう側の窓口で責任者の立場にありましたのは、おっしゃいましたとおり北朝鮮外務省の馬哲洙アジア局長という方でございます。  この局長北朝鮮の中でどういう格付なのかというのは必ずしも私どもとしても分かりませんけれども北朝鮮外務省のアジア政策の責任者であるということで、言わば私ども外務省のアジア大洋州局長の相方、カウンターパートという存在であるというふうに理解しております。  日朝の首脳会談に行われるに先立って局長協議もございましたけれども、そのときの先方の代表を務めておった人であります。
  255. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 これ、今後の交渉相手も、今回の国交正常化交渉の相手もこの方がなさるわけですか。
  256. 田中均

    政府参考人田中均君) それは、そうではございません。従来から日朝国交正常化交渉につきましては、日本側は国交正常化担当大使、先方も同じように朝日国交正常化担当大使というものがおりまして、その人物が交渉の担当者になるというふうに承知をしております。
  257. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 今回の政府調査報告書によりますと、拉致問題についての責任といいますか、それは特務機関の一部とありますが、特務機関とはどういうものですか。
  258. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) これにつきましては、私ども協議の場で何度も、一体どういう位置付けなのかについて先方の明快な回答を求めて質問いたしましたけれども、それについての明確な答えはございませんでした。
  259. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 今回の調査に当たられたのが、何といいますか、金正日さんの国防委員会といいますか、そこの方が調査したようですけれども、その国防委員会の知らないところで拉致事件が起こったと理解してよろしいんですか。外務省はいかがですか。
  260. 田中均

    政府参考人田中均君) もちろん、今後、真相究明、事実関係調査の過程でいろいろのことを精査していかなければいけないというふうに思いますけれども、少なくとも先方説明におきましては、国防委員会が特別の委員会を作って調査をしたということでございます。  ですから、当時、七〇年代から八〇年代に掛けて行われた拉致について、国防委員会が承知をしていたか否かということについての言及はございません。
  261. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 政府調査報告書によりますと、事件の責任者が死刑にされたとか言っておりますが、職権濫用を含む六件の容疑でというようなことが書かれておりますが、そうしますとこの中に拉致の問題が入ってくるわけですか。
  262. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) 正に、その点につきましては私どもの方から先方説明に対して何度も何度も問いただしました。  先方説明では、その責任者のチャン・ボンリム、それからもう一人はキム・ソンチョルという名前を言っておりましたけれども、この二人については処罰をいたしましたと、職権濫用とあと六件の罪ということで裁判を経て処罰いたしましたという説明でございましたけれども、それ以上の詳しい説明についてはこちらから何度聞いても説明はございませんでした。
  263. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 政府が持ち帰った調査書の北朝鮮よりの個別情報に関連してですが、先ほど田中局長は、拉致された人たちの国籍の問題について、日本のパスポートを持たせるという趣旨のお話をしておられたんですが、この個別情報によりますと、皆さん朝鮮名義が付いていますね。これは一体どういう経緯で、どういう形でこういうことになっているんですか。つまり、朝鮮名を付けているということは、国籍が移されているという可能性考えられませんか。
  264. 田中均

    政府参考人田中均君) そこの事実関係は確認をしていかなければいけないということだと思いますけれども、少なくともこの五人の生存している方々も朝鮮人としての生活をされていたということでございますし、そういう意味でいけば、朝鮮名を作って朝鮮名を名のっていたということは御本人の御説明にもあったわけでございます。
  265. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 これは五人だけじゃなくて、すべての人に朝鮮名が付いているんですが、その経緯はどうしてですか。そのいきさつはどうなっているんですか。
  266. 田中均

    政府参考人田中均君) 少なくとも北朝鮮の中で朝鮮の人としての生活をされてこられた、それに当たっては朝鮮名が必要であったということだと思いますし、朝鮮の方々は通常、夫婦別姓ということもございますので、いろんな、夫婦で違う名前が付いている場合もあるということであろうかと思います。
  267. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 そうしますと、国籍は変わっていないと理解してよろしいですか。
  268. 田中均

    政府参考人田中均君) 北朝鮮側がどういう理解をしているか、御本人がどういう理解をしているかということも含めて、今般お帰りになったときにきちんとお聞きをしないといけないというふうに思います。
  269. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 最後になりましたが、外務大臣、来る二十九日から国交正常化交渉が始まると報じられておりますけれども、御決意のほどをひとつお聞かせください。
  270. 川口順子

    国務大臣川口順子君) まず、この日朝国交正常化交渉の再開に当たっては、これは日朝平壌宣言をきちんと踏まえていくということでございます。  そして、日朝間の懸案はたくさんあるわけでございますけれども、その中でも拉致問題を最優先の事項として取り上げていくということでございます。そして、北朝鮮側日朝平壌宣言の精神と基本原則にのっとって誠実に交渉を進めるかどうかということを見極めながらこういった懸案問題を解決をし、そして安全保障問題、これは日朝間の問題も、工作船を含む日朝間の問題としても、それから国際社会の懸念の問題としてもあるわけでございますけれども安全保障協議を立ち上げて正常化交渉あるいは安全保障協議の場でそういった問題も議論をし、そして北東アジアの平和と安定に資するような形で国際社会と連携をしながら、特に米韓と連携をしながら、安全保障、この地域の平和と安定が増すような、に資するような形でこの問題を解決をしていくというか、議論を進めていくということでございます。  そうしたことをきちんと平壌宣言の精神と基本原則にのっとって日本としても進めていくということでございます。
  271. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 ありがとうございました。終わります。
  272. 松村龍二

    委員長松村龍二君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後零時十五分散会