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達増委員 ことしの一月、実は、イタリアの
外務大臣も更迭されているそうであります。ルジェロ・イタリア
外務大臣でありますが、ルジェロ
外務大臣は、EUに積極的に参加しようという
考え方だったわけでありますが、マルティーノ国防
大臣やトレモンティ
経済財務大臣が、ユーロとかEUとか、そんなに積極的に参加するのはよくないと閣内で意見が対立しまして、ベルルスコーニ
総理大臣は、結局ルジェロ外相を更迭ということで決着を見たということであります。
外務大臣は当分の間、ベルルスコーニ首相が兼務するという、形の上ではどこかの国と同じようなパターンだったわけでありますけれども、やはり
外務大臣の更迭というのは、国際的な事件であります。そして、それにはほかの国々も、なぜ
外務大臣が辞職することになったのか注目するわけでありまして、いろいろ分析して、なるほど、こういう政策の対立でそうなったのか。
我が国の場合も、戦後、例えば鈴木善幸
総理大臣のときに、伊東正義
外務大臣が更迭されることになりました。日米関係について、同盟だとはっきり言った伊東
外務大臣、同盟ではないよと鈴木
総理大臣、対立いたしまして、結局
外務大臣がやめる羽目になった。これは、デタントから新
冷戦へと
国際社会の環境が大きく変わる中で起きた国際政治上の一事件として記憶にとどめられているわけであります。
翻って、今回の田中眞紀子
外務大臣の更迭というのは、
一体なぜやめることになったのか、やめなければならなかったのか、いまだになぞと言っていいでありましょう。政策の対立によるようではありません。
国会の混乱を収拾するためという理由でありますけれども、それでは国際的に、対外的に理解は得られないのだと思います。
実際、
国民的にも理解が得られておりませんで、世論調査等でも、不満は高い。いまだに、
一体なぜ田中
大臣はやめることになったのか、これはもうまさに
国民的な疑問でありまして、そういう意味で、この予算
委員会がその更迭のきっかけをつくったということもありますので、予算
委員会としても、これはなぞを究明しなければならない課題であります。
田中眞紀子
外務大臣更迭のきっかけになったのは、一月二十四日の衆議院予算
委員会での答弁であります。これは有名な答弁ですけれども、菅直人
委員の
質問に対して、鈴木宗男議員の関与、鈴木宗男さんといった名前があったということをはっきり言われたわけですねという菅直人
委員の
質問に対して、「その日も電話でもおっしゃっていましたし、また、けさの予算
委員会の前のときも具体的に名前をおっしゃって認めておられました。事務次官が言っておりました。」
局長や次官が田中
大臣に鈴木宗男という具体的な名前をはっきり言って伝えたと、田中
大臣がはっきり答弁したわけであります。
この田中
大臣の答弁に対し、重家
局長、野上次官は、そんなことはない、言っていないというふうに答弁をして、
大臣の答弁と事務方の答弁に食い違いがある、それがこの予算
委員会の混乱の本質でありました。
では、
外務大臣は虚偽の答弁をしたのかということでありますけれども、
外務大臣はその後も、同じく民主党の筒井
委員の
質問に対して、「うそを言っているのでしょうか。その点、確認します。」と筒井
委員が
質問したのに対して、「うそは申しておりません」「うそは何ら申しておりません。」というふうに田中
大臣ははっきり答弁をしたわけであります。
やはり同じく民主党の原口
委員の
質問に対しても、「私が先日の予算
委員会で申し上げていることに、何ら間違いはございません。」と田中
大臣ははっきり答え、原口
委員が念押しで、「鈴木宗男さんという名前を事務次官が言っていたということで
認識してよろしいですか。」と
質問したのに対して、田中
大臣が「結構でございます。」と答弁している。
田中
大臣は、
委員会答弁はもちろんですけれども、
委員会の外でも、記者に対して、あるいは周りの人に対して、私はうそを言っていない、私は間違っていないと、繰り返し発言しているわけであります。
ところが、事務方はそうではないという答弁をするものですから、これじゃ
委員会にならない、
政府側から答弁が、まさに二枚舌、二種類の違った答弁が出てくるのであれば
質問をするわけにはいきませんから、
委員会がとまってしまったわけでありますが、それを解決しようとして、
福田官房長官が「
政府として統一
見解が出せるように努力をしてみたいと思っております。」ということで、統一
見解を出すということで、ではそれを見て
委員会をその先やるかどうか決めましょうと
理事会で合意がなされていったというのが経緯であります。
その
政府見解によれば、「アフガン支援
国会議へのNGO参加決定にあたり、特定の議員の主張に従ったことはない。」という、そもそも田中
大臣が言わんとしていることを真っ向から否定する
見解があり、さらに、いわゆる言った言わない問題でありますが、
大臣の答弁が虚偽であったのかどうか、非常に重要な問題であります、それについては「引き続き関係者の申述等を聴取し、事実関係の確認に努める。」ということで、これでは全然疑問の解明になっていない、
委員会がとまった理由が解決されていない、
政府見解になっていないということで、これでは困ると野党が言っている間に、予算
委員会の方はいつの間にか採決がなされてしまったわけであります。
さすがに、そのまま本
会議も採決するわけにはいかないと思ったのでしょうか、
政府の方はさらに、「申述聴取結果」という紙をつくって出してきました。それは、「アフガン復興
会議へのNGOの参加に対する鈴木議員の介入の有無について野上次官から言及があったかどうか」、「
外務大臣と野上次官との会話で鈴木議員への言及があったかどうか」、そして「
大臣と野上次官とのやりとり以外に、二十四日朝の勉強会でNGOないしは鈴木議員への言及はあったかどうか」、この
委員会がとまった理由の、
大臣と事務方の答弁にそごのある三つのポイントについての「申述聴取結果」というのが出たわけでありますけれども、その結果は、はっきり書いていないところがみそなんですが、
大臣が言ったことが誤りであった、
大臣の答弁が虚偽であったというような趣旨のことが書いてあったわけです。
私は、田中眞紀子
外務大臣の虚言癖というものをいち早く
指摘した
国会議員でありますけれども、さすがの私も、今回、田中眞紀子
大臣がうそをついたとはやはりにわかに信じがたいわけです。あれほど予算
委員会の場で大見えを切って、繰り返し繰り返し答え、うそじゃない、本当だ、間違いではないと繰り返し答弁し、最後の方では、そのときのメモもありますという紙をちらつかせて答弁をしていた。
予算
委員会、
国会というものは、一億三千万の
日本国民に対して責任があるのはもちろんですけれども、今やこういう時代ですから、
世界に対しても責任があるし、そして人類の未来に対しても責任があると言っていいでしょう。そういう場であんなあからさまに大それたうそをつくというのは、やはりにわかに信じがたいわけであります。これはもう天をも恐れぬ所業といいますか、
国会開設以来百何年かの
歴史の中で一度もなかったことだと思いますよ。そういう意味では、御先祖様に申しわけないというか、必死でこういう議会制民主主義というものをつくり守ってきた先人の方々にも申しわけないような、百年に一度の珍事がこの予算
委員会で起きたのかなという疑問を持っているんですけれども、
官房長官に伺います。結局、田中
大臣は虚偽の答弁をされたんでしょうか。