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北側委員 それでは、
経済問題に入らせてもらいますが、やはり今の
経済の現状というのは、私も、地元なんかに帰りまして、本当に厳しいなというのを肌で痛感しておるんですけれ
ども、
経済問題では三つの大きな問題があるのかなと。
一つは、先ほど
麻生政調会長も議論されておられましたけれ
ども、デフレの問題です。特に
構造改革とデフレの問題、これをどう考えていくのかという問題が
一つ。それと
二つ目が、後で
お話をさせていただきますが、雇用の問題。本当に厳しい雇用情勢になっております。三番目に、やはり金融の問題です。金融システムの安定、これだけは断じて守らないといけないというふうに思っているわけでございます。
この三つが、やはりこれから当面の大きな
経済の
課題であるというふうに私は
認識をしておるんですけれ
ども、まず、この
構造改革とデフレという問題でちょっと議論をさせていただきたいと思っております。
ただ、
前提として、あくまで我々
政府・与党は、これは十三年度におきまして、十一月に一次
補正予算を成立させました。中小企業、また雇用対策を中心とする一次
補正予算でございます。これが
効果がようやく今ごろ出始めるころでございます。そして、先般、ついこの間、十三年度の二次
補正予算、これは
公共事業、施設整備を中心としての二次
補正予算が成立しました。
ですから、ともかく、この一次
補正予算と二次
補正予算について早期にきちんと
執行していくということがまず大
前提でございますし、さらに言わせてもらいますならば、今かかっております十四年度の
予算案を早期に成立させるということが大事なわけでございまして、それを踏まえた上で論議をさせていただきたいと思っているのです。
まず、デフレの現状の
認識なんですけれ
ども、きょうはテレビ中継もございますので、デフレの現状がどうなのかというようなことも少し
お話をさせていただきたい。私、
経済学の専門家じゃございませんので、間違っていたら、
竹中大臣、教えていただきたいと思いますが。
まず、一枚目のパネルでございますけれ
ども、これは、名目と実質のGDPの推移を書いてございます。赤い線が名目のGDP、青い線が実質のGDPでございます。
八〇年代、ごらんになってわかりますとおり、ずっと青の実質GDPよりも赤の名目GDPが相当高いんですね。この差がGDPデフレーターというふうに考えていいんですね。名目と実質の差がGDPデフレーターと言いまして、デフレもしくはインフレの
一つの数字なわけでございます。
この八〇年代というのは、要するにプラス、インフレ傾向がずっと続いているわけですね。九〇年代の初めまでそれが続くんですけれ
ども、九四年からこれが、九七年の消費税の引き上げのときを除きまして、ずっと今度は逆転するのです。そして、名目GDPの方が低い、実質GDPの方が高い、こういう
状況がずっと続いています。
要するに、GDPデフレーターでは、この九四年からずっとデフレ傾向が続いておって、どちらかというとここ最近はそれが広がっておるというのが、このデフレをあらわしている数字の
一つでございます。
それから、今のはGDPデフレーターの話でございますが、先般、二〇〇一年の消費者物価指数が出ましたけれ
ども、その数字は二年連続のマイナスになっております。これは生鮮食品を除く総合指数ですけれ
ども、二〇〇〇年を一〇〇としまして、二〇〇一年は九九・二で〇・八%下落。昨年はやはりマイナスで、二〇〇〇年は一九九九年に比べますと〇・四%下落。二年連続、消費者物価指数も〇・四、〇・八というふうにマイナス。
ちなみに、この二〇〇二年、ことしですけれ
ども、これは見通しですけれ
ども、ことしの見通しも消費者物価指数はマイナスの見通しでございます。恐らく三年連続消費者物価指数がマイナスになる、こういう
状況でございます。
今のは名目GDPと実質GDPの差のGDPデフレーターと、それから消費者物価指数を見たわけですが、もう
一つ、資産デフレ。これは言うまでもございませんけれ
ども、もうバブルが崩壊してからこの資産デフレの
状況というのは悲惨なものがございます。
例えば土地ですと、都市部におけるピークは九一年なんですが、その九一年に比べますと現在どうなっておるかといいますと、九一年をピークにしまして、九〇年三月の値を一〇〇としまして、今現在、商業地は、これは六大都市の商業地で、二〇〇一年九月段階で、この一〇〇あったものが一六・八。それから、住宅地で四二・二。全用途平均で三一・七。全用途平均でも三割強まで土地の評価が下がってしまっておる。株式の方も言わずもがなでございますけれ
ども、こういう資産デフレの
状況が続いておる。
こういう
状況の中で、特に私が強調したいのはこの図なんです。これは、デフレが進行していく中で実質金利が——これは私が勝手につくった表じゃなくて根拠のある表なんですけれ
ども、この青い線が名目金利です、赤い線が実質金利でございます。何と、日銀は、きょうも総裁いらっしゃっていますけれ
ども、日銀はどんどん金利を緩和して努力されているんですけれ
ども、名目金利はずっと下がっているんですが、実質金利は決して下がっていないんですね。九九年からむしろ上がっておる、こういう
状況にあるわけなんです。私は、これは非常に重い事実だと思うんですね。ここをしっかり押さえて
経済運営をしていかないといけないというふうに思っているのです。これは、実質金利の話ですね。
もう
一つは、実質
債務の話なんです。先ほ
どもちょっと
麻生会長おっしゃっていたんですかね。実質
債務というのは、こういう消費者物価なり卸売物価なりが下がっているときに、例えば百万円借金がございます。こういうデフレが引き続き続く中では、百万円の借金というのから仮に十万円一年間で返済したとしましょう。したとしても、仮に一〇%デフレになってしまいましたならば、これは十万円返済している
意味がほとんどないんですね。九十万の負担が事実上百万近くになってしまっていますから。ということで、こういう実質
債務が負担増になっている
状況ということもよく押さえないといけないということでございます。
こういう実質金利が高い、先ほどの図ですと三%を超えておるんですよ。こういう中で、例えば企業に設備投資せいというふうに言うても、実質金利を見ますから、実質金利が高いのに設備投資できない、なかなか前に進まない。住宅投資も同様です。住宅投資も、こういう実質金利が高いときには、お金を借りるわけですから、実質金利が高いときにはなかなか住宅投資も前に進まない。
さらに、実質
債務の問題でいいますと、名目の借金額が変わらなくてもデフレ下では実質の負担は重くなるわけですから、もともと企業もそれから家計も、あのバブルの
時代に相当な借金を負っている企業、家計がたくさんあるわけですね。企業、家計に過剰
債務を負っているところがたくさんあるわけです。この過剰
債務を、今一生懸命、企業も家計も汗を流して借金返済に努力している。借金返済に努力しているんだけれ
ども、一方で実質
債務の負担が重くなってしまっていますから、こういう
状況にあるわけですね、過剰
債務がなかなか減らないと。そういう中で、個人に消費しろ、企業に投資しろと言っても、なかなかそっちの方に向かない。専ら一生懸命返済の方へ回るというのが今の
状況ではないのかというふうに思うわけでございます。
竹中大臣、ちょっとここまでの
認識で何か間違っているところがあったらおっしゃってください。