○小林憲司君 民主党・
無所属クラブの小林憲司です。
私は、民主党・
無所属クラブを代表して、ただいま
議題となりました
政策金融機関に対する検査の権限の委任のための
関係法律の
整備に関する
法律案について、
関係大臣に質問いたします。(
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小泉内閣が発足してほぼ一年が
経過しました。しかし、
国民の高い支持を得て登場した小泉内閣のこの一年間の業績は、種々の
経済指標を見る限り、支持率が一割にも満たなかった森内閣よりも悪いということを私は指摘せざるを得ません。私たちが現場に赴いたとき、目に入るのは職を求めてハローワークに並ぶ元サラリーマンの行列であり、耳に届くのは貸しはがしに苦しむ中小企業の悲痛な叫びです。
塩川財務大臣にお聞きしますが、大臣、あなたこそ、こうした現場をごらんになっているのでしょうか。もし、こうした現場をごらんになっているのであれば、小泉内閣の一員として、彼らをそういう
状況に追いやった責任を感じてしかるべきですが、いかがでしょうか。
塩川財務大臣は、三月危機など幻だともおっしゃいました。しかし、危機は去ったという認識こそ、幻想にすぎません。現実に、三月危機をしのいだのは、実体
経済が改善したからではなく、
政府が公的資金によるPKO、株価維持操作や空売り規制強化など、小手先のびほう策を総動員し、無理やり株価をつり上げたからではありませんか。
ペイオフ凍結が解除され、多くの預金者は、いつまた金融危機がやってくるかと、不安を抱きながら生活しています。三月危機が幻だとおっしゃるのなら、少なくとも当分の間は、金融
機関の破綻などあり得ないはずですが、
塩川財務大臣は太鼓判を押すことができますでしょうか。明確にお答え願います。(
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本
法律案により、
政策金融機関のリスク面に関する検査は金融庁が行うことになります。私たちも、金融行政の一元化という
観点から見て、改革の方向性には賛同できると考えています。
しかし、現実に民間金融
機関に対して行われている金融庁の検査は、かつて小泉総理御自身がお認めになったとおり、マーケットからは信用されておりません。現実に、昨年冬の
財務金融委員会でも厳しく追及されましたが、金融庁のトップである森金融庁長官が、銀行幹部だけを集めた内輪の会合で、検査の信頼性を失墜させるような発言をしているのです。
柳澤金融担当大臣にお尋ねしますが、金融庁は、
財務金融委員会の議論を踏まえ、検査の信頼性を取り戻す施策を何か講じたのでしょうか。
年が明けてから、経営危機に陥っている大企業に対する金融
支援策が続々と報道されました。一説によると、三月危機を乗り切るため、
政府がこれらを主導したということです。実際、ある大手マンションディベロッパーは、銀行に対し、当社は国の政策に協力するために、あえて債務免除を要請することにしましたと発言したという話も伝わっております。
しかし、本気で再建するのに必要な額の債権放棄を行えば、銀行の方が過少資本に陥ってしまうため、銀行の体力から逆算して債権放棄額を決めたといいます。そして、これを実行した企業については、債務者区分を要注意先以上に維持、つまり、特別検査に合格ということになるというのです。これが事実なら、特別検査もまた、マーケットの疑念を払拭するものにはなり得ません。
特別検査の結果はあす公表される予定のようですが、この場で公表されるおつもりはありませんか。また、今回の特別検査により、マーケットからの信頼は回復できるとお考えですか。柳澤金融担当大臣にお尋ねします。
我が国の間接金融市場を概観すると、千四百兆円の個人金融資産のうち、六百二十兆円が民間金融
機関を通じて、百七十兆円が
政策金融機関を通じて、企業や家計などに貸し出されています。民間金融
機関については、そのうち四十三兆円がリスク管理債権であり、要注意先以下の債務者に対する問題債権は総額百四十兆円にも上ります。
そこで、お尋ねしますが、
政策金融機関については、リスク管理債権は幾らで、要注意先以下の債務者に対する問題債権は幾らなのでしょうか。民間金融
機関と比較して、
政策金融機関の不良債権の実態はどうなっているのでしょうか。
塩川財務大臣の答弁を求めます。
財政投融資が改革され、二年目に入りました。終戦直後の資金不足の
時代においてはうまく機能した財政投融資は、
経済構造が成熟してくるにつれ、官の領域の肥大化という弊害ばかりが目立つようになりました。
今の
時代において官の領域はどこまで必要なのか、そこが財政投融資改革の議論のスタートになるべきでありました。しかし、入り口である郵便貯金や簡易保険、出口である特殊法人が形づくる政官複合体の強大な政治力により、財政投融資改革の議論は、財投
機関債や財投債の導入といった、単なるファイナンス論に矮小化されてしまったのです。その上、今年度予算においても、財政投融資計画二十六・七兆円のうち、財投
機関債の発行は二・七兆円にすぎません。
このような現状について
塩川財務大臣はどのようにお考えなのか、お尋ねいたします。
財政投融資の出口で重要な地位を占める特殊法人の改革について、
政府は、特殊法人等整理合理化計画を閣議決定いたしました。しかし、百六十三の特殊法人と認可法人のうち、独立行政法人に移行する法人が三十八もあり、改革が骨抜きになったとの批判も出ています。
この計画の中では、住宅金融公庫を除く
政策金融機関については、結論が先送りされ、
経済財政諮問
会議に議論がゆだねられることになりました。民間金融
機関が巨額の不良債権を抱えて本来の
役割を果たせない
状況では、やむを得ないことかもしれません。また、その間、中小企業などに対する資金供給の
円滑化のため、
政策金融機関に頑張ってもらうことが必要だとも考えます。
しかし、民間金融
機関の経営に問題がなければ、
政策金融機関は縮小の方向に向かうべきものではありませんか。今後の改革の方向性について、
塩川財務大臣の御見解をお聞かせください。
財政投融資の入り口で重要な地位を占め、小泉総理が長年にわたって民営化を主張してきた郵政について、今月中にも郵政公社化
法案が
提出されるようです。新聞報道によれば、小泉総理は、総務省に対し、郵政公社に国庫納付金を
義務づけることを明記するよう指示されたといいます。しかし、片山総務大臣は、国庫納付金など払える状態ではないと反発されているといいます。
塩川財務大臣と片山総務大臣はこの問題をどう決着させるおつもりなのか、お二人の御意見をお聞かせください。
昨年十二月、
政策金融機関のみならず、郵政公社についても、リスク管理の分野への金融庁検査の導入が閣議了解されました。これまで、郵貯・簡保資金は、財政投融資を通じて非効率な特殊法人などに自動的に流れ、潜在的な損失は巨大な金額に上ると言われています。こうした失敗を繰り返さないためにも、郵便貯金及び簡易保険について厳格な検査をすることが求められております。
郵便貯金及び簡易保険の検査を
実施するに当たって金融庁はどのような方針で臨むのか、柳澤金融担当大臣にお尋ねいたします。
中小企業は、相変わらず、民間金融
機関による厳しい貸し渋り、貸しはがしに苦しんでいます。九九年三月、大手銀行に七兆四千五百億円もの公的資金が投入されましたが、中小企業への貸し出しはその条件であったはずなのに、全くといっていいほど公約は果たされておりません。しかも、この責任は本来厳しく問われるべきなのに、いまだ、だれも責任をとっていません。
柳澤金融担当大臣にお尋ねいたしますが、三月末の各行の公約達成見込みはどうなっているのでしょうか。また、公約未達の銀行にはきっちりと責任をとらせるのでしょうか。明確にお答えをお願いいたします。
同じく貸し渋り対策として導入されました中小企業金融安定化特別保証について、最近、貸し倒れが急増していると言われております。この制度については、多くの中小企業が救われた一方で、ずさんな
審査で保証が乱発されたり、旧債振りかえに悪用した銀行もあったといいます。
特別保証を受けた企業の最近の倒産
状況、特別保証融資の最近の延滞、代位弁済
状況、そして、最終的な貸し倒れ損失の見込みについて、
平沼経済産業大臣の答弁を求めます。
最後に、鈴木宗男議員、加藤紘一前議員、辻元清美前議員など、
疑惑ばかりがクローズアップされる中、
国民生活は確実に悪化の一途をたどっております。政治家のスキャンダルが世の中をにぎわし、
国民の関心がそこにのみ集中するという今日の
状況は、大変危険な状態を生んでいるのではないでしょうか。ましてや、そのために改革がおくれるということなど、論外であります。
今、
我が国は、
国民一丸となって立ち向かわなければいけない大きな難局を迎えているのです。だれかを悪者にすることによって、その責任をすべて転嫁する風潮は何の根本的な
解決にもならないということを、
国民は既に気づいております。
総理は、先日、今一番政権が安定していると述べました。確かに、おっしゃるとおりかもしれませんが、
国民生活は全く安定しておりません。今の小泉総理には、内閣発足当時の、私こそがこの国のリーダーであるとの意気込みが全く感じられません。
かのドストエフスキーは言っております。あらゆる堕落の中で最も軽べつすべきものは他人の首にぶら下がることであると。この言葉をじっくりと総理お考えいただき、私の質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣塩川正十郎君
登壇〕