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2002-03-19 第154回国会 衆議院 本会議 第14号
公式Web版
会議録情報
0
平成
十四年三月十九日(火曜日)
—————————————
平成
十四年三月十九日 午後一時 本
会議
—————————————
○本日の
会議
に付した案件 二階
俊博
君の故
議員岸本光造
君に対する
追悼演説
特殊土
じよう
地帯災害防除
及び
振興臨時措置法
の一部を改正する
法律案
(
農林水産委員長提出
)
土壌汚染対策法案
(
内閣提出
)の
趣旨説明
及び
質疑
午後一時三分
開議
綿貫民輔
1
○
議長
(
綿貫民輔
君) これより
会議
を開きます。
————◇—————
綿貫民輔
2
○
議長
(
綿貫民輔
君) 御
報告
することがあります。
議員岸本光造
君は、去る一月二十三日逝去されました。まことに
哀悼痛惜
の至りにたえません。
岸本光造
君に対する
弔詞
は、
議長
において去る十七日既に贈呈いたしております。これを朗読いたします。 〔
総員起立
〕
衆議院
は
議員従四位勲
三等
岸本光造
君の長逝を
哀悼
し つつしんで
弔詞
をささげます
—————————————
故
議員岸本光造
君に対する
追悼演説
綿貫民輔
3
○
議長
(
綿貫民輔
君) この際、弔意を表するため、二階
俊博
君から発言を求められております。これを許します。二階
俊博
君。 〔二階
俊博
君
登壇
〕
二階俊博
4
○二階
俊博
君 ただいま
議長
から御
報告
のありましたとおり、
従四位勲
三等
衆議院議員岸本光造
君は、今
国会召集
の直後に、
郷里和歌山
市の病院で逝去されました。 昨年末に体調を崩され、療養中でありましたが、私
たち
は、あなたの一日も早い御回復をお祈りするとともに、近いうちに必ず元気なお姿で以前と変わらぬ精力的な
政治活動
を再開されるものと、だれもが信じて疑わなかったのであります。 今年の一月六日のことでありました。
和歌山
県選出の
国会議員
の三時間にわたる
ラジオ討論会
に、病を押して東京から電話で参加された君は、今年の
政局展望
について、次のように語っておられました。「
小泉内閣
の
改革
を進めていくことについて、いろんな意見はありますが、
改革
をとことん進めていくことが
日本
の未来につながっていくのではないか。多少の痛みは伴いますが、
改革
は進めていかなければならない。」と、絞り出すような声で、強い決意を述べられました。 しかし、残念ながら、私
たち
にとって、これが君の声を聞かせていただく最後の
言葉
となってしまいました。 その後、しばらくして
郷里
に帰られた君は、容体、にわかに急変され、最愛の奥様を初め、御家族の皆様の懸命の看病にもかかわらず、去る一月二十三日、六十一歳という若さでその生涯を閉じ、不帰の客となられました。 君と私は、
昭和
五十年、ともに
和歌山県議会議員選挙
に初
当選
以来、当時の
若手議員
十二名をもって、
清新自民党県議団
を結成、互いに切磋琢磨しながら、「
県政界
に新風を」を合い
言葉
に、
ふるさと和歌山
県の
発展
に若い
情熱
を傾けたのも、つい先ごろのように懐かしく
思い
起こされるのであります。 さらにその後、ともに国政に参画の
機会
を得て、たとえ党派を異にしながらも、互いに声をかけ合いながら、同じ
目的
に向かって歩んでまいりました。 君の余りにも早過ぎる急逝の悲しい知らせに接し、まことに、惜しみても余りあり、痛恨のきわみであります。 私は、御列席の各位の御同意を得て、
議員一同
を代表し、謹んで
哀悼
の
言葉
を申し述べたいと存じます。(
拍手
) 君は、
昭和
十五年十一月、
有吉佐和子
さんの小説「紀ノ川」で有名な清流のほとりに、美しい
紀州富士
を仰ぐ、豊かな自然の景勝に恵まれた、
和歌山
県は那賀郡
粉河
町で、
ミカン農業
を営む
父健治
氏、
母濱子
さんの長男として生をうけられました。 君の過ごされた
少年期
は、申すまでもなく、戦中戦後の大変厳しい
時代
でありました。 温かい御両親の愛情に包まれ、家業である
ミカン農業
の作業を手伝いながら成長された君は、
県立粉河高校
を
卒業
の後、神奈川大学、さらに
法政大学大学院
へと進まれました。 君が
学生生活
を送られた
時代
は、六〇年
安保闘争
の真っただ中でありました。その激しい
時代
のうねりの中、多感な
岸本青年
は、
社会
の持つ不平等に対し、若者らしい純粋な
正義感
を燃やし続け、さまざまな角度から学び、悩み、思索を繰り返す青春の日々を過ごされたのであります。 特に同和問題に対しては、若いころから強い関心を持ち、
県議会
の当時からも、人一倍、熱意を持って取り組んでこられました。そのきっかけとなったのは、
高校時代
に、何事も隠すことなく語り合ってきた無二の親友が、ある日、「おまえにも死んでも言えないことが一つだけある」と、一人で悩み、苦しみ、ただただ涙を流すばかりの、その友人の姿を目の当たりにして、同和問題の存在を知らされたのであります。 それ以来、君は、「同じ
人間
でありながら、なぜ差別をしたり、されたりするのか、これは絶対に許せないことである」という熱い
思い
を抱くようになり、その
思い
が君の生涯を通して「人にやさしい
政治
」を訴え続けてこられた、
人間
・
岸本光造
君の原点がここにあったのであります。(
拍手
)
大学院
を
卒業
の後、
京都短期大学
で、
政治学
の教師として学究の道を歩まれました。その君が
政治家
としての道へ転身の
機会
を得られたのは、
和歌山
県設置百年の
記念論文
の募集に応募された際、君の
主張
の
和泉かつらぎ山系研究学園都市構想
が見事に選ばれ、
研究学園都市構想
という形で、後の県の
重要政策
にも取り上げられたことにあるのであります。 このことを知る
郷土
の皆さんの間から、君を
県議会
に送ろうという動きが澎湃として起こりました。当時の心境を、一身をなげうつ
覚悟
で
期待
にこたえることを決断したと、しばしば私
たち
に語ってくれました。 激戦の中を見事に初陣を飾られた君のその後の
活躍
は実に目覚ましく、
教育者
、
研究者
としての経験を生かして、
教育改革
や同和問題に、水を得た魚のごとく、積極的に取り組まれました。 また、
全国有数
の
ミカン生産県
である
和歌山
県の
農業振興
の先頭に立って、努力を傾けてこられたのであります。 とりわけ、
オレンジ自由化
の際は、みずから走り回って
全国
の
ミカン生産県
に呼びかけ、
全国みかん生産
府
県議会議員対策協議会
を結成し、推されてその
会長
として
ミカン農家
の生活安定のために尽くされた君の姿は、今でも
全国
の
ミカン生産者
の間で語り継がれているのであります。 君は、
県議会議員
を務めること五期にわたり、その間、
農林常任委員長
、
同和対策特別委員長
、
議会運営委員長
、
県議会
副
議長
、そして
平成
二年七月には
県議会議長
に就任されるなど、
和歌山県政
の
発展
のために大きな役割を果たされました。
県政界
の第一人者としての
活躍ぶり
は、やがて、
政治改革
を争点とした
平成
五年の第四十回総
選挙
において、君は、
自由民主党公認候補
として、当時の
和歌山
県第一区から勇躍立候補され、見事に初
当選
の栄冠に輝かれたのであります。(
拍手
)
国会議員
になられてからの君は、ライフワークとしての
人権
・同和問題の
改善
に、文字どおり熱い
情熱
を傾け、
全力投球
を続けてこられました。
法務委員会
においては、
理事
として、
人権擁護施策推進法
の
成立
に、また
逓信委員会
においては、
聴覚障害者
の知る権利のために、
字幕放送
の
発展
にも尽くされました。一昨年には、
議員立法
である
人権教育
及び
人権啓発
の
推進
に関する
法律
の立案に携わり、その
成立
のために奮闘されたのであります。 つい先日のことでありますが、
与党人権問題等
に関する
懇話会
の席に、いつもの
元気者
の君の姿が、もうどこにも見えないのであります。何とも言えない寂しさを覚えながら、私は、
先輩
や
同僚
のお許しを得て、「もしこの席に
岸本議員
がおられれば何を言われるのだろうかと先ほどから考えていました。せっかく
人権擁護法案
ができましたが、やはりここは、三年ぐらい経過したところで
見直し
を図るという
附帯決議
をつけてはどうか」と提案しましたところ、
出席者全員
の御賛同を得て、三年後
見直し
の方針が
与党
三党として決定されました。まさに、
岸本議員
のような、
人間愛
のほとばしるような
政治家
が、間違いなく私
たち
の心の中に生き続けていることを確認する瞬間でもありました。 さらに、君は、
我が国農業
の
発展向上
のために、専門的な知識を生かして大いに御
活躍
されました。
衆議院農林水産委員会
においては、
理事
を務め、
自由民主党
にあっては、
農林水産部会長
、
果樹農業振興議員連盟幹事長
などを務め、二十一世紀には
食料
が必ず不足する、
日本
の
食料
は国内で自給することが大切であるとの信念に基づき、昨年三月、
農産物緊急輸入制限
の
暫定措置発動
に力を注がれたことは、記憶に新しいところであります。 また、県にあっては、
和歌山
県
土地改良連合会会長
として、常に
農業者
の
立場
に立って、
関係者
の
期待
にこたえられたのであります。 第二次
橋本内閣
においては、
農林水産政務次官
として、
農林水産業
の
抜本的改革
に精力的に取り組まれ、新しい
農業基本法
の制定、米及び麦の新たな
政策大綱
の策定、
国有林野事業
の
改革
に代表されるように、将来に向けて、その確かな道筋を残されたのであります。 君の
農業
にかける熱い
思い
と力強いリーダーシップによって、
我が国農政
の歴史に輝かしいページを記すことができたのであります。 さらに、中国及び韓国との
漁業協定
の
早期締結
に尽力されるとともに、ローマにおける
国際連合農業機関総会
、そしてジュネーブで開催された
世界貿易機関閣僚会議
において、
日本政府代表
として出席し、堂々たる
演説
を行い、
我が国
の
主張
を
世界
にアピールすることができました。 このようにして、
岸本光造
君の八面六臂の御
活躍
は、本
院議員
に連続して
当選
されること三回、在職八年八カ月。私
たち
は、あなたが余りにも早く人生を駆け抜けられたことをうらむものであります。 志半ばで倒れられた君の無念を察するとき、いましばし君に存分の
活躍
の場をと思うのは、恐らく、彼を知るすべての
同僚
の
思い
であります。 君の気さくで、決して飾ることのない、
真実一路
のお人柄は、多くの人々に愛され、
先輩
からも後輩からも敬われてまいりました。そして、常に
郷土
を
思い
、国家を愛した君は、
政治
のテーマに対し、一途なまでの真摯な姿で、真正面から挑戦を続けてこられました。 君は、
政治家
たるものの
覚悟
について、こう語っておられます。「
政治
には、
国民生活
を豊かにする、平和で自由な
世界
を構築するという素晴らしい目標と理念がある。それゆえに、
政治
に関わる者の
責任
は極めて重いのである。重いという
言葉
では足りぬ。
責任
のとり方は生か死かといったものでなければなるまい。そうでなければ
国民
の信頼を得られようか。」 君の、みずからの
立場
や
利害損得
を考えず、常に
体ごと物事
に当たるという熱血かつ純粋な
性格
は、まさに、
政治家岸本光造
の真骨頂でありました。しかし、このような
性格
や、休むことを知らない
人間機関車
のような
活動
が、知らず知らずのうちにお体を損なうような結果を招いてしまったことは、
政治家
の宿命とはいえ、まことに返す返すも残念であります。 今、改めて、
岸本光造
君を失ったことは、
和歌山県民
はもとより、本院にとりましても、大いなる損失であります。
岸本
君、私どもは、もはやこの議場で、あの優しさにあふれた温顔に接することができなくなりました。しかし、君の歩んでこられた輝かしい足跡とその志は、私
たち同僚議員
の胸に深く刻まれているのであります。 ここに、謹んで
岸本光造
君の生前の御功績をたたえ、その人となりをしのび、心から御冥福をお祈りいたしまして、
追悼
の
言葉
といたします。(
拍手
)
————◇—————
馳浩
5
○
馳浩君
議案上程
に関する
緊急動議
を提出いたします。
農林水産委員長提出
、
特殊土
じよう
地帯災害防除
及び
振興臨時措置法
の一部を改正する
法律案
は、
委員会
の審査を省略してこれを上程し、その
審議
を進められることを望みます。
綿貫民輔
6
○
議長
(
綿貫民輔
君)
馳浩君
の
動議
に御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
綿貫民輔
7
○
議長
(
綿貫民輔
君) 御
異議
なしと認めます。
—————————————
特殊土
じよう
地帯災害防除
及び
振興臨時措置法
の一部を改正する
法律案
(
農林水産委員長提出
)
綿貫民輔
8
○
議長
(
綿貫民輔
君)
特殊土
じよう
地帯災害防除
及び
振興臨時措置法
の一部を改正する
法律案
を
議題
といたします。
委員長
の
趣旨弁明
を許します。
農林水産委員長鉢呂吉雄
君。
—————————————
特殊土
じよう
地帯災害防除
及び
振興臨時措置法
の一部を改正する
法律案
〔
本号末尾
に掲載〕
—————————————
〔
鉢呂吉雄
君
登壇
〕
鉢呂吉雄
9
○
鉢呂吉雄
君 ただいま
議題
となりました
特殊土
じよう
地帯災害防除
及び
振興臨時措置法
の一部を改正する
法律案
につきまして、提案の
趣旨
及び
内容
を御
説明
申し上げます。
本法
は、
特殊土壌地帯
の保全と
農業生産力
の
向上
を図ることを
目的
として、
昭和
二十七年四月、
議員立法
により五年間の
時限法
として制定され、以後、九度にわたり
期限延長
のための改正が行われました。 今日までの五十年間にわたる
特殊土壌地帯対策事業
の
実施
により、
災害防除
と
農業振興
の両面において
改善
がなされてきたところでありますが、その現状は必ずしも満足すべき
状態
にあるとは言えず、引き続き、これらの
事業
を
推進
していくことが必要であります。 こうした
観点
から、本年三月三十一日をもって期限切れとなる
現行法
の
有効期限
をさらに五年間延長しようとするものであります。
本案
は、本十九日
農林水産委員会
において、
全会一致
をもって
委員会提出
の
法律案
とすることに決したものであります。 なお、
特殊土壌地帯対策事業
について、
事業評価
を
実施
し、今後五年以内に本制度のあり方に検討を加え、抜本的な
見直し
を行うことを
内容
とする
特殊土壌地帯対策
に関する件を本
委員会
の
決議
として議決したことを申し添えます。 何とぞ、御
審議
の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。(
拍手
)
—————————————
綿貫民輔
10
○
議長
(
綿貫民輔
君) 採決いたします。
本案
を可決するに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
綿貫民輔
11
○
議長
(
綿貫民輔
君) 御
異議
なしと認めます。よって、
本案
は可決いたしました。
————◇—————
土壌汚染対策法案
(
内閣提出
)の
趣旨説明
綿貫民輔
12
○
議長
(
綿貫民輔
君) この際、
内閣提出
、
土壌汚染対策法案
について、
趣旨
の
説明
を求めます。
環境大臣大木浩
君。 〔
国務大臣大木浩
君
登壇
〕
大木浩
13
○
国務大臣
(
大木浩
君)
土壌汚染対策法案
につきまして、その
趣旨
を御
説明
申し上げます。
土壌
が
有害物質
により
汚染
されると、その
汚染
された
土壌
を直接摂取したり、
汚染
された
土壌
から
有害物質
が溶け出した
地下水
を飲用すること等により、人の健康に
影響
を及ぼすおそれがあります。 この
土壌汚染
につきましては、これまで明らかになることが多くありませんでしたが、近年、企業の
工場跡地等
の再開発や
事業者
による自主的な
汚染調査
の
実施等
に伴い、重金属、
揮発性有機化合物等
による
土壌汚染
が顕在化してきております。特に最近における
汚染事例
の
判明件数
の増加は著しく、ここ数年で新たに判明した
土壌汚染
の
事例数
は、高い水準で推移してきております。 これらの
有害物質
による
土壌汚染
は、放置すれば人の健康に
影響
が及ぶことが懸念されることから、これらの
土壌汚染
による人の健康への
影響
の懸念や
対策
の確立への
社会的要請
が強まっており、このような
状況
を踏まえ、
国民
の安全と安心を確保するため、こうした
土壌汚染
の
状況
の
把握
、
土壌汚染
による人の
健康被害
の
防止
に関する
措置等
の
土壌汚染対策
を
実施
することを
内容
とする本
法律案
を提出した次第であります。 次に、この
法律案
の主な
内容
につきまして御
説明
申し上げます。 第一に、この
法律
の
目的
は、
土壌
の
特定有害物質
による
汚染
の
状況
の
把握
に関する
措置
及びその
汚染
による人の健康に係る
被害
の
防止
に関する
措置
を定めること等により、
土壌汚染対策
の
実施
を図り、もって
国民
の健康を保護することとしております。 第二に、
土壌汚染
の
状況
を的確に
把握
するため、
有害物質
の製造、
使用
または
処理
をする
施設
であって、
使用
が廃止されたものに係る
工場
または
事業場
の敷地であった
土地
の
所有者等
は、その
土地
の
土壌汚染
の
状況
について、
環境大臣
が
指定
する者に
調査
させて、その結果を
都道府県知事
に
報告
すべきものとするとともに、
都道府県知事
は、
土壌汚染
により人の健康に係る
被害
が生ずるおそれがある
土地
があると認めるときは、その
土地
の
土壌汚染
の
状況
について、その
土地
の
所有者等
に対し、
環境大臣
が
指定
する者に
調査
させて、その結果を
報告
すべきことを命ずることができることとしております。 第三に、
土壌汚染
の
状況
の
調査
の結果、その
土地
の
土壌汚染
の
状態
が
一定
の
基準
に適合しない場合に、その
土壌汚染
の管理を適切に図るため、
都道府県知事
は、その
土地
の
区域
を
指定区域
として
指定
及び公示するとともに、
指定区域
の台帳を調製し、保管すべきこととしております。 第四に、
土壌汚染
による人の健康に係る
被害
の
防止
を図るための
措置
として、
都道府県知事
は、
指定区域
内の
土地
について、
土壌汚染
により人の健康に係る
被害
が生じ、または生ずるおそれがあると認めるときは、その
土地
の
所有者等
以外の者の
行為
によって
汚染
が生じたことが明らかであって
一定
の場合には、その
行為
をした者に対し、それ以外の場合には、その
土地
の
所有者等
に対し、
汚染
の
除去等
の
措置
を講ずべきことを命ずることができることとしております。あわせて、この命令を受けた
所有者等
は、その
汚染
が他の者の
行為
によるものであるときは、その
行為
をした者に対し、
汚染
の
除去等
の
措置
に要した
費用
を請求することができる旨を
規定
しております。また、
指定区域
内において
土地
の形質の
変更
をしようとする者に、その
施行方法等
を
都道府県知事
に届け出ることを義務づけるとともに、
都道府県知事
は、その届け出に係る
施行方法
が
一定
の
基準
に適合しないと認めるときは、その計画の
変更
を命ずることができることとしております。 第五に、
本法
に基づく
土壌汚染
の
状況
の
調査
を行う者として
環境大臣
が
指定
する
指定調査機関
について、その
指定手続
、
土壌汚染
の
状況調査
の
義務等
の
所要
の
規定
を設けることとしております。 第六に、
環境大臣
は、
指定区域
内の
土地
において
汚染
の
除去等
の
措置
を講ずる者に対して
助成
を行う
地方公共団体
に対する
助成金
の
交付等
の
業務
を適正かつ確実に行うことができると認められる者を、
指定支援法人
として
指定
することができるものとし、
指定支援法人
は、その
業務
に関する基金を設け、
政府
から
交付
を受けた
補助金
と
政府
以外の者からの
出捐金
をもってこれに充てることとしております。 このほか、
環境大臣
及び
都道府県知事
による
報告
及び検査、国の援助、
国民
の理解の増進、必要な
罰則等
に関し、
所要
の
規定
を設けることとしております。 以上が、
土壌汚染対策法案
の
趣旨
でございます。(
拍手
)
————◇—————
土壌汚染対策法案
(
内閣提出
)の
趣旨説明
に対する
質疑
綿貫民輔
14
○
議長
(
綿貫民輔
君) ただいまの
趣旨
の
説明
に対して
質疑
の通告があります。これを許します。
近藤昭一
君。 〔
近藤昭一
君
登壇
〕
近藤昭一
15
○
近藤昭一
君 私は、民主党・
無所属クラブ
を代表して、ただいま
議題
となりました
土壌汚染対策法案
について質問いたします。(
拍手
) いきなり質問に入って恐縮でございます。
法案名
は、なぜ、
土壌汚染対策法案
なのでしょうか。
汚染
された
土壌
に対して
対策
を施すことは必要なことではありますが、当然ながら、
土壌
を
汚染
しないよう予防することも重要であると考えます。この点、
法案
では、
土壌汚染行為
の
禁止規定
が設けられておりませんが、
汚染
されてから
対策
を施すよりも、
汚染
されないように予防することの方が重要であると考えます。 なぜ、
土壌汚染予防
、この当たり前のことが
法案
から抜けているのか、
環境大臣
にお尋ねいたします。(
拍手
) この
法案
には、
汚染土壌
の
拡散防止
の
観点
も不十分ではないかと思われます。すなわち、
法案
では、
水質汚濁防止法
の
有害物質使用特定施設
の廃止時には義務的に
土壌汚染状況
を
調査
することとされておりますが、その他の場合には、
健康被害
が生ずるおそれがあると認めるときにのみ、
都道府県知事
が
調査
を命ずることとされております。 例えば、
有害物質使用特定施設
を建てかえるような場合には、義務的な
調査
の
対象
とはされておりません。しかし、このような場合に、
汚染
された
土壌
が搬出されるおそれが大きく、
汚染
の
拡散
を招きかねません。
特定施設
が廃止される場合だけではなく、
特定施設
から
汚染
された
土壌
が搬出される
可能性
が高い場合には、
調査
を義務づけるべきであると考えますが、いかがでしょうか。 また、
特定施設
だけではなく、
土壌汚染
の蓋然性が高い
土地
として、
基地
、
廃棄物処分場
などが考えられます。 実際に、
横須賀基地北部
の
住宅建設工事区域
内では、
基礎工事
のため掘削した
土壌
から、
環境基準値
を超える総水銀と砒素が検出されています。また、
嘉手納弾薬庫地区
のうち一部返還された
土地
の
土壌
が
汚染
されていた場合のように、
在日米軍
からの返還後に
各種有害物質
が発見される
ケース
も、これからふえてくるものと考えられます。 なぜ、このような
汚染
のリスクの高い
土地
について、
義務的調査
の
対象
としていないのでしょうか。
環境大臣
にお尋ねいたします。
土壌汚染
により
健康被害
が生ずるおそれがあると認められる
土地
については、
都道府県知事
が
調査
を命ずることとなっております。何が
健康被害
が生ずるおそれがある
土地
に該当するかということについては、住民の不安を解消する
観点
から、なるべく広く考え、
調査
を進めるべきであると考えます。いかがでありましょうか。 また、このような
調査
を命ずるに至る過程では、行政、
市民
、
事業者
などから、さまざまな
情報
が寄せられることになると考えられます。特に、過去の
汚染
に対する
市民
の不安を解消するためにも、
市民
からの
情報
については、誠実に
対応
するべきと考えております。 そこで、
市民
からの
申し出
がある場合には、
調査
をするかどうか、きちんと
対応
し、理由もなく
申し出
が放置されることを避けるべきであると考えます。このような
市民
からの
申し出
について、
法案
ではどのような
対応
を予想しておられるのか、
環境大臣
にお伺いいたします。
調査義務
と
費用負担
についてお尋ねをいたします。 例えば、広大な
工場跡地
が分譲され、多数の
住宅
が建設され、
汚染調査
の
対象
となった場合を考えるとき、この仮定はまれな
ケース
ではないと
思い
ますが、
調査対象
となった
土地
の
所有者
は、
汚染
があると知らずに購入した場合がほとんどであり、
所有者
が
調査費用
を
負担
することになると、
不公平感
も強く、実際に
調査
を行わない場合も多いのではないかと思われます。このような、現在の
所有者
が
汚染原因者
ではないことが明らかな場合で、
調査費用
の
負担
を求めることが
公平性
を欠く場合には、
都道府県
の
費用
で
調査
を行うこととすべきであると考えます。 しかしながら、
法案
にはこのような
規定
は存在しておりません。このような
状況
を放置すれば、実際に住んでいる
人たち
の
健康被害
を拡大することになりかねません。
都道府県
がみずからの
費用負担
で行う
調査
について、これを積極的に行うべきであると考えますが、なぜ、これを
法律
に明記しなかったのか、また、このような
調査
についてどのような位置づけを行おうとしておられるのか、お伺いをいたします。(
拍手
)
法案
では、
土地
の
調査
については、
指定調査機関
が行うこととされておりますが、
指定調査機関
については、能力があるものについて幅広く
指定
をし、
調査内容
や
調査方法
、
調査
結果を広く公開して、
透明性
の高いシステムにすべきであると考えます。
指定調査機関
と
調査内容
・結果等の公表についてどのように考えておられるのか、
環境大臣
にお伺いいたします。
平成
十二年度
土壌汚染調査
・
対策事例
及び
対応状況
に関する
調査
結果の概要によれば、
土壌汚染
の
原因行為
の中に、
廃棄物
の
不法投棄
が含まれており、
処理基準違反
の
産業廃棄物
の
不法投棄
がなされた
ケース
を本
法案
で
処理
した場合、
土地所有者
みずから浄化し求償するか、
原因者
不明の場合には、基金から補助がなされるとしても、
土地所有者
に
負担
がかかることになるわけであります。 しかし、これは
土地所有者
に全く
責任
がない
ケース
であり、このような場合には、
廃棄物
処理
法に基づき、
土地所有者
の
負担
なく原状回復を行うべきであると考えますが、
環境大臣
の御所見をお伺いいたします。
汚染土壌
に対しては、
健康被害
の
防止
措置
がなされることになりますが、恒久
対策
としては、原位置分解や原位置抽出などの
処理
方法があり、
法案
では、その技術的
基準
については、環境省令で定めることとなっております。 しかし、このような
処理
を行う場合には、重金属類が大気中に放散される
可能性
もあり、周辺環境への
影響
を最小限に抑えるためにも、
処理
が適切に行われているかどうかをチェックすることが必要になります。 ところが、水銀などについては、大気への排出
基準
も大気の環境
基準
も全く定められてはおりません。これでは、何をもって適切な
処理
を行っているのかにつき、客観的に確認することはできないわけであります。
土壌
の
汚染
に係る環境
基準
が定められている物質で、大気への排出
基準
、大気の環境
基準
が定められていない物質、特に重金属類については、速やかに
基準
を定めるべきと考えますが、いかがでありましょうか。
環境大臣
の見解をお伺いいたします。 この
法案
における
健康被害
の
防止
措置
についてお尋ねをいたします。
汚染土壌
の浄化については、覆土などの簡単な方法から、掘削除去や原位置分解まで、さまざまな方法がありますが、中央環境
審議
会の答申においては、
汚染原因者
に求め得る
費用負担
の範囲として、リスク低減
措置
の
費用
までを求償し得ることとされております。この考え方により
法案
がつくられているとすれば、
汚染
された
土地
の
対策
としては、ほとんどの場合、覆土のみがなされることとなり、
汚染土壌
の除去や
汚染
物質の除去がなされることにはなりません。 そうなると、
汚染土壌
の
拡散
の危険性が高まることが懸念されるわけであります。特に、
住宅
地などについては、
汚染
物質の除去や
汚染土壌
の除去を
健康被害
の
防止
措置
の原則として位置づけるべきであると考えます。この点についての御見解を
環境大臣
に伺います。 さらに、
土壌汚染
により飲料用の
地下水
が
汚染
される場合が考えられますが、この
対策
として、安易に、
地下水
の飲料をとめ、河川水などに頼るという
措置
が考えられます。 しかし、
地下水
は有効な水資源であり、持続可能な利用を行うことが望まれます。また、安易に河川水に頼ることになれば、河川上流のダムの増設などということも考えられることから、ダム増設などの追加的
負担
と、
土壌
浄化による
地下水
飲料の継続とをきちんと比較考量する必要があると思われますが、
環境大臣
の御所見をお伺いいたします。(
拍手
) 最後に、先般、小泉首相直属の自民党国家戦略本部国家ビジョン策定
委員会
が、
与党
事前承認廃止、事務次官
会議
廃止、政と官の接触制限を
内容
とする政策決定システム
改革
案をまとめました。 政策決定を内閣で一元的に行うことを
目的
とするもので、これまで
与党
内での密室の議論で決まっていた政策プロセスを
改革
する一歩としては、理解することはできます。 しかしながら、民主的な政策決定の不可欠の前提となるものは、開かれた議論であると考えます。行政の独善によってのみ国家が運営されないためにも、少数の意見も尊重しながら、国会の場での開かれた議論に基づいて国家を運営していく仕組みをつくるべきだと
思い
ます。 また、
土地
が
汚染
されると、人々の健康を害します。きちんとした草木も育ちません。
土地
そのものをきれいにしていく必要があるわけであります。
政治
も、行政も、経済もまたしかりであります。きれいな
土壌
があって初めて、健全なものが育つ、
国民
の幸福な生活が存在するものだと
思い
ます。
土地
の浄化だけではなく、政官業の
土壌
浄化の必要性についてもお訴えをいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(
拍手
) 〔
国務大臣大木浩
君
登壇
〕
大木浩
16
○
国務大臣
(
大木浩
君) 近藤議員にお答え申し上げます。 この
法案
について十一の質問をいただいたと思っておりますので、順次お答え申し上げたいと
思い
ます。 まず第一に、
土壌汚染
の予防についてということを非常に強調されたわけであります。 御指摘のとおり、
土壌汚染
による
健康被害
の
防止
を図る上では、まず
土壌汚染
を生じさせないことが重要であります。 現在、
土壌汚染
の予防につきましては、既に、
水質汚濁防止法
におきまして、
有害物質
を含む水の地下浸透の規制等によりまして、
対策
が講じられておるというふうに理解をしております。 次に、
汚染土壌
が搬出される
可能性
がある場合の
調査
についてのお尋ねであります。 本
法案
は、
有害物質
を取り扱う
工場
等が廃止され、その
土地
が他の用途に用いられる場合や、
地下水
モニタリングによりまして
汚染
が懸念される場合などを
調査
の契機としてとらえ、
土壌汚染
により健康リスクを生ずる蓋然性の高い場合を確実に捕捉することとしております。 なお、
汚染
が認められた
土地
の
区域
については、
汚染土壌
の搬出を含め、
土地
の形質の
変更
の制限を行うこととしております。 また、本
法案
における
措置
に加えまして、処分のために搬出された
汚染土壌
につきまして、
廃棄物
として取り扱うことに関し、現在、
廃棄物
・リサイクル制度の一環として検討を行っているところでございます。 次に、米軍
基地
及び
廃棄物処分場
等について
調査
を義務づけるべきではないかとのお尋ねであります。
在日米軍
基地
の
土壌汚染
につきましては、日米合同
委員会
及び環境分科
委員会
の枠組みのもとで対処され、また、
基地
の返還に当たっては、必要に応じて
調査
の上、原状回復が行われることとされております。 また、
廃棄物処分場
については、
廃棄物
処理
法に基づきまして適正に管理され、必要な
措置
が講ぜられることが基本と考えております。
基地
及び
廃棄物処分場
は、これらの仕組みにより、適切に管理されるものと考えております。 次に、
調査
命令の
対象
となる
土地
を広くとらえるべきであるとのお尋ねであります。
調査
命令の
対象
となる
土地
は、
汚染
の
可能性
が高く、
汚染
があるとすれば
健康被害
のおそれがある
土地
であります。このような
土地
に該当するかどうかは、
地下水
のモニタリング
調査
等によりその
土地
の
汚染
が懸念される場合など、環境上の資料等に照らして、
都道府県知事
等が適切に判断することとしております。 次に、
調査
命令の発動に当たり、
市民
からの
土壌
調査
の
申し出
についてのお尋ねであります。 地域の
状況
をよく知る住民からの
調査
の
申し出
は、
汚染
の発見につながる
情報
の提供として、意義あるものと考えております。
申し出
があった場合には、
都道府県知事
等は、
調査
命令の要件に該当するかどうかを検討し、該当する場合には
調査
命令を行うことになると考えております。また、お尋ねがあれば、
調査
命令を行ったかどうかは、
都道府県
等によりお知らせすることとなります。 次に、
土地所有者
が
汚染原因者
でないことが明らかな場合は、
調査
を
都道府県
の
負担
で行うべきではないかとのお尋ねであります。 本
法案
においては、
土壌汚染
の
調査
は、
汚染
の有無や
汚染原因者
がだれかが判明していない段階で行うものであることから、
土地所有者
に
調査
を行わせることとしております。 ただ、このように、
土地所有者
に
土地
の管理の
責任
を負っていただくこととしてはおりますが、
調査
の方法をできるだけ簡易なものとすること等により、
土地所有者
に過度の
負担
とならないように配慮することとしたいと思っております。 次に、
指定調査機関
の
指定
及び
調査
結果の公表についてのお尋ねであります。
指定調査機関
の
指定
につきましては、
土壌汚染
の
調査
を行う技術的能力を有するものを幅広く
指定
することとしております。また、
調査
の結果、
汚染
が判明した場合には、その
汚染
状況
について台帳に記載の上、公衆の閲覧に供することとしております。 次に、
廃棄物
の
不法投棄
により生じた
土壌汚染
についてのお尋ねであります。
廃棄物
処理
法に基づく
処理
基準
に適合しない
不法投棄
が行われた場合において、生活環境保全上の支障が生じ、または生ずるおそれがある場合には、
不法投棄
の実行者及び関与者が、
廃棄物
処理
法に基づき、その支障の除去または発生の
防止
のために必要な
措置
の一環として、
不法投棄
により
汚染
された
土壌
についても
処理
することと定められております。 次に、
汚染
の
除去等
の
措置
によっては
有害物質
が大気中に放散される
可能性
があり、大気環境
基準
等が定められていない物質について速やかに
基準
を定めるべきであるとのお尋ねでありました。
汚染
の
除去等
の
措置
に当たって、周辺環境に悪
影響
を及ぼすことがあってはならないのは当然であります。環境省令で定める技術的
基準
においては、そのようなことがないように、適切な技術的手法と注意事項を詳細に定めることとしております。 なお、技術的
基準
を検討する過程で御指摘のような大気環境への懸念があるということになれば、大気
汚染
防止
法等において
所要
の
対応
をいたしたいと
思い
ます。 次に、
汚染
物質の除去や
汚染土壌
の除去を
健康被害
の
防止
措置
の原則として位置づけるべきであるとのお尋ねであります。
汚染
の除去、
拡散
の
防止
等の
措置
は、覆土、封じ込めから浄化まで、その
土地
の
汚染
の
状況
等に応じた適切な方法による必要があります。このため、技術的
基準
で詳細に定める方法によることとし、
健康被害
の
防止
には十分な
措置
が
実施
されるように配慮したいと
思い
ます。 最後の御質問は、
土壌汚染
により飲料用の
地下水
が
汚染
される場合の
対策
についてのお尋ねであります。
地下水
が環境資源として貴重であることは、お説のとおりであります。飲用されております
地下水
の
汚染
が判明した場合には、人の健康を保護する
観点
から、まず、安全な代替飲用水の確保等の緊急
対策
を講じた上で、
汚染
の程度や
地下水
の将来の利用を考慮しつつ、浄化等の
対策
の
推進
を図る必要があると考えております。 以上、十一問についてお答えをいたしました。(
拍手
)
綿貫民輔
17
○
議長
(
綿貫民輔
君) これにて
質疑
は終了いたしました。
————◇—————
綿貫民輔
18
○
議長
(
綿貫民輔
君) 本日は、これにて散会いたします。 午後一時四十九分散会
————◇—————
出席
国務大臣
農林水産大臣 武部 勤君
環境大臣
大木 浩君 出席副大臣 環境副大臣 山下 栄一君