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成川参考人 おはようございます。労働組合連合の
成川でございます。
私
ども労働組合としましても、
会社組織の
あり方につきまして内部でいろいろ議論をしております。これらの議論を踏まえて、今回の
改正についての私
どもの
考えを二点について申し述べさせていただきたいと思います。主に、
従業員あるいは消費者、こういう
ステークホルダーの
観点に立ちまして、
会社監査の
強化並びに
会社情報の開示の一層の促進につきまして
意見を申し述べさせていただきたいと思います。
まず、
会社監査につきましては、ぜひ
強化をしていただきたいということで
意見を申し述べたいと思います。
今回の
商法の
改正では、
委員会等設置会社の特例が提起されておりまして、
大会社においては、
定款において一定の要件を満たした場合には、
取締役の中から、過半数が
社外取締役で構成される指名
委員会、
監査委員会、報酬
委員会の三
委員会と、
業務執行を担当する
執行役を置くことができる、こうなっております。そして、
監査役は置かなくてよい、こういう形の新しい
制度がここで提案されてございます。
この
制度におきます
監査委員会の権限は、
取締役及び
執行役の
職務執行の
監査及び
会計監査人の任命及び解任の提案であり、その
組織は、
取締役三人以上で
組織し、過半数が
社外取締役であること、さらに加えて、当該
会社もしくは子
会社の
執行役もしくは使用人または当該子
会社の
取締役は
監査委員会の
メンバーになることはできない、こういう定めで提起されてございます。
この
考えの中で、ぜひ
監査委員会の権限の
強化が必要であるというふうに指摘させていただきたいと思います。我々労働組合としまして、この間の
会社のいろいろな不祥事、粉飾決算、あるいは安全性等の違反の事例が次々と発生しているということに大変心配をしているところでございます。
日本の
会社のいわゆる法令遵守、コンプライアンスがしっかり確立していないのではないかというふうに思っておりまして、ぜひこれらを早急に
解決する必要がある、こういうふうに思っております。そのためには、ぜひこの
監査の機能の
強化をしていただきたいということでございます。
今回の
委員会等設置会社の
監査委員会につきましては、
法案で、違反行為の
取締役会への報告、
取締役による違反行為に対する差しとめ請求権、さらに
会社及び子
会社の業務に対する
調査権を付与する、こういうことが書かれておりまして、これ自身は賛成でございます。
しかし、さらに加えまして、
監査の権限を強めるという趣旨からすれば、違法行為を行った
取締役あるいは
執行役に対しまして解任提案権をこの
監査委員会に持たせるということが必要であるというふうに思ってございます。これは、従来の
監査役会あるいは
監査役についても同じようなこういう解任提案権を持たせるべきだというふうに思っております。
二つ目には、
監査委員会の
組織メンバーについてでございます。先ほど
紹介しましたように、今回の
改正では、
株主主権を反映するという
考え方で、
社外監査役が半数以上、そして
執行役とその影響を受ける者を除外した
取締役をもって
監査委員会を構成する、こういう提案でございます。しかし、これによって
監査の機能が
強化され、
監査の
独立性が保障されるかどうかということについては、私
ども疑問を感じるところでございます。
業務執行役の影響を排除するということであれば、親
会社の
取締役あるいは
執行役等の除外も必要である、こういうふうに思ってございます。
さらに、
監査の公正性あるいは
独立性を保障するためには、単に
社外取締役による
株主主権を保障したとするのではなしに、ぜひ、
会社の重要な構成要員である
従業員の
監査に対する声の反映をしていただきたい、こう思っております。すなわち、
従業員が選出した
従業員代表、または
従業員が加盟した労働組合が選出した労働組合代表を
監査委員会の
メンバーにぜひ加えていただきたいという
検討をお願いしたいと思います。
これは、これまでの
取締役と
監査役によってのみ
会社の管理
機関を構成するというのではなしに、
従業員が選出した代表、または労働組合が選出した代表を別枠でこの
監査委員会あるいは
監査役の
メンバーにぜひ加えていただきまして、
監査の公正性、
独立性、そしてまたそのことによる効率性を高めていただきたいということでございます。すなわち、
監査役の一人につきましては、
会社の重要な構成員である
従業員が選出した
メンバーをぜひ別枠で加えていただきたいということでございます。
この
考えは、
会社法制につきましては、
株主が
会社を所有するという所有の理論によって
株主と
経営者のみで
会社の管理
機関を今まで構成してきているところでございますが、それのみでなしに、
会社の重要な構成員を参加させ、
株主、
経営者、
従業員の三者による管理の機構を構成する中で、
会社の公正性、効率性を
確保するという形にさらに
改善していただきたいということでございます。これは、従来の所有という概念を
中心とした
会社法制から
考えますと戸惑うかもしれませんが、世界を見れば、ドイツの
監査役会など、あるいはEUにおきます今の
会社の
あり方についての提案などを見ますと、
会社利害
関係者、いわゆる
ステークホルダーを
会社の管理
機関に参加させるという
考え方はあり得るということでございます。
したがいまして、ぜひ、これらの
従業員を
監査役あるいは
監査委員会の
メンバーに別枠で設けるということの御
検討をお願いしたいというふうに
考えてございます。これら
従業員選出代表の
監査の
職務能力については、これをさらに高めるという趣旨で支援の形をつくりまして、しっかり能力
育成を図れば
会社監査の質をより高めることもできる、こう
考えているところでございます。
二つ目の問題は、
会社情報のディスクロージャーにつきまして一層の
改善をお願いしたいということでございます。
現行の
商法二百八十二条の二項におきまして、
株主と債権者は、貸借対照表、損益
計算書、営業報告書など、
計算書類を閲覧できる、または謄本等の交付を受けられるという形になってございます。そして、昨年の秋の臨時
国会におきましては、これを電磁的記録での交付も行えるという形にしていただきました。しかし、これは
株主と債権者についての閲覧ができるということでございまして、残念ながら、
従業員は今閲覧できておりません。ぜひ、
従業員もこれらの
会計の書類を閲覧できるという形にしていただきたいということでございます。これらの
情報開示によりまして
従業員がよりよく
会社の
内容を知るということは、
株式会社の社会的責任、公正性を
確保する、あるいは効率性を
確保するという上で極めて重要であるというふうに思ってございます。
また、
情報開示につきましては、いわゆる貸借対照表等の
公告の
制度がございます。
大会社につきましては、証取法等におきまして損益
計算書も
公告する、こういう定めになっており、また、先ほど
紹介した昨年秋の臨時
国会におきまして、これらについても電磁的記録での
公告を受けることができる、こうなってございます。しかし、
大会社以外につきましては、貸借対照表のみの
公告であり、従来はなかなかこの
公告がされていないという現実もございます。ぜひ、これら
株式会社につきましては、貸借対照表のみならず損益
計算書も含めまして
公告をしていただく、特に電磁的な記録ということで、簡単に
公告、見ることができる形を整えていただきたい、こういうふうにお願いしたいと思います。
今回の
商法改正におきましては、連結
計算書類を作成し、これを承認を得た場合には
公告するという形の提案がされております。これらの
公告につきましても、電磁的記録により広く一般の人が見られるという形での
公告をお願いしたいというふうに思っております。
以上、二つの点につきまして
改善をお願い申し上げまして、私の
意見とさせていただきます。ありがとうございました。(
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