○森山国務
大臣 最初に、
商法等の一部を
改正する
法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
この
法律案は、最近の社会経済情勢の変化に伴い、株式
会社等の経営手段の多様化及び経営の合理化を図るため、
会社の機関
関係を中心に、
会社法制の全般にわたり、商法、有限
会社法及び株式
会社の監査等に関する商法の特例に関する
法律の一部を
改正しようとするものでありまして、その要点は、次のとおりであります。
第一に、
会社の機関
関係では、まず、大規模株式
会社につきまして、監督と執行を分離した
委員会等設置
会社の
制度の選択を可能とすることとしております。この
制度におきましては、取締役会の中に、メンバーの過半数を社外取締役とする指名
委員会、監査
委員会、
報酬委員会の三
委員会を設けて、取締役会の監督機能を
強化するとともに、
業務執行を担当する執行役を設け、取締役会が執行役に対して決議事項を大幅に委任することができるようにし、機動的な
業務決定を可能としております。
また、従来型の大規模株式
会社につきましても、機動的な
業務決定を可能とするため、社外取締役を選任している場合には、取締役会が、その中に取締役三人以上で組織する重要
財産委員会を設け、これに重要な
財産の処分や多額の借財等についての決定
権限を委任することができるようにすることとしております。
さらに、株主総会の手続につきまして、議決権を有するすべての株主の同意がある場合には、招集手続を省略することができるようにし、また、株式の譲渡につき取締役会の承認を要する
会社については、定款により、招集通知の発出から総会期日までの期間を一週間を限度として短縮することができるようにするなど、その簡素化、合理化を図ることとしております。
また、定款変更等の場合に必要となる株主総会の特別決議の定足数について、個人株主など議決権を行使しない株主が
増加している反面で、安定株主が減少している
状況にかんがみ、その下限を定款により議決権総数の三分の一まで緩和することを許容することとしております。
第二に、株式
関係では、まず、
一定の株主が議決権の比率にかかわらず
一定の数の取締役または監査役を確実に選解任することができるようにし、ジョイントベンチャーとして合弁
会社を設立することや、ベンチャーキャピタルによるベンチャー企業への投資を行いやすくする観点から、取締役または監査役の選解任を種類株主ごとに行うこととなる株式の発行を可能とすることとしております。
また、株券を喪失した株主が発行
会社に喪失登録をする
制度を創設し、喪失株券の再発行のための手続を
整備することとしております。この新たな手続は、
裁判所に公示催告手続の申し立てをすることを要しない簡便な手続で、かつ、名義書きかえ
制度との連携を図ることによって、喪失株券の善意取得者の正当な
利益も十分に確保されるものであります。
第三に、
会社の計算
関係では、まず、大規模
会社につきまして、株主への情報開示の
充実を図るため、連結計算書類の
作成と定時株主総会での株主への報告を要求することとしております。
また、会計基準の変更への迅速な対応を可能にし、商法会計と証券取引法会計との整合性を確保し続けるため、
財産の価額の評価方法等についての
規定を
法務省令で定めることとしております。
このほか、現物出資等の際の検査役調査にかわるものとして、
弁護士等の
専門家による
財産の価格の証明
制度を拡充することなどの措置も講ずることとしております。
続いて、
商法等の一部を
改正する
法律の施行に伴う
関係法律の
整備に関する
法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
この
法律案は、
商法等の一部を
改正する
法律の施行に伴い、非訟事件手続法ほか百一の
関係法律について、
規定の
整備を行うとともに、所要の経過措置を定めようとするものであります。
以上が、これら
法律案の趣旨でございます。
何とぞ、慎重に御
審議の上、速やかに可決くださいますようお願いいたします。