○金田(英)
委員 金田英行でございます。
今いろいろと
委員会で、あすの議員立法、まさに国権の最高機関としての政治のメッセージとして、
BSE法案をつくるという段階に至っておりますが、取りまとめと申しますか、いろいろな政府・与党がやってきたことについて、反省の
意味も込めて、あるいはいろいろな
意味も込めて、
質問してみたいと
思います。
大臣、何か官邸の方で御用事があるようでございますので、時間になったらお帰りください。
それで、まさに昨年の九月十日に
BSEが発生したわけであります。
大臣が四月に就任されてから、ほんの四カ月後ということだろうと思うのでありますが……(発言する者あり)五カ月後ですか、その後今日まで、約九カ月にわたって
BSEのあらしが吹き荒れたわけでございます。大変な混乱でございました。——
大臣、いいです。じゃ、どうぞ。(
武部国務大臣「済みません」と呼ぶ)
大変な針のむしろという、九カ月もの間しっかりと耐え忍んで対策に当たられた
大臣のリーダーシップについて評価させていただきたいと
思いますし、その労苦を多としたいと思うわけでございます。
大臣に聞いていただこうと思っていたんですが、副
大臣、よろしくお願いします。また、副
大臣は、政府の、
農林水産省の
BSE対策
本部長として、大変御苦労さまでございます。
この九カ月、いろいろなことをやらせていただきました。まさに不眠不休の対策が矢継ぎ早に、
思いつくことは、やれることは何でもやろう、安全のためには何でもこの際、この危機に臨んでやらなきゃならないというふうに思った、本当に緊急な対策だったというふうに思うわけでございます。自殺する酪農家がどんどん出てきた、あるいは
倒産する焼肉店等々が出てきたというようなこと、この困難の時期をどうやって乗り切るかということで、政府、我々は与党として、大変な連日連夜の
会議会議の連続だったというふうに思っております。
ところが、今振り返って考えてみますと、随分と、当時としては必要な対策だったわけでありますが、一見むだだ、今冷静に考えてみたらむだだと思われる措置も緊急避難的に行ってきたということに気がつくわけでございます。
例えば、全頭
検査、
国民の皆さん方を安心させるために全頭
検査をしよう、屠殺、屠畜場に持っていった牛は全頭
検査だという形で
国民の不安を払拭しようとしたわけでありますが、このたび、イギリス、ドイツ、フランスに行ってきたわけでありまして、その中で、パリのOIE国際獣疫事務局のバラ事務
局長といろいろな議論もさせていただいてまいりました。
日本は全頭
検査だからどんなものだという形で言われましたところ、いや、それは、ドイツもフランスも二十四カ月齢以上しかやっていないよ、二十四カ月齢以下のものは政治的な配慮でやっているのであって、今までの
検査結果では、やってもいいけれども、決して、効果がないものだよというような
指摘もされました。
そんなことで、とにかく
国民の風評被害、狂牛病から
国民の皆さんの安心をかち取るためにいろいろとやってきた対策について、全頭
検査ということも、
国民の税金を一定程度、余り論理的でない対策も組まざるを得なかったんだろうと
思います。このことがまた
国民の
信頼をかち得る一助にもなっていったんだろうとは
思います。そういったこともあります。
また、プリオンの運び屋であります肉骨粉、一頭目が発生してから急遽とめさせていただきました。一定程度膨大な肉骨粉をとめたわけであります。ところが、肉骨粉全体をとめたものでありますから、牛の肉骨粉というのは、残念ながら肉骨粉と称されるものの二割にしかすぎないわけであります。ですから、鶏の肉骨粉だとか豚の肉骨粉等々についてはとめられたということで、肉骨粉として、肉骨粉の有用資源のリサイクルという面から、果たして今から考えてみて適当だったんだろうかという反省もあるわけであります。
ざっと、一見むだだと思われる、まさに安全には安全をという
意味で、いろいろな対策を組ませていただきました。十月十八日から全頭
検査が始まって、これから屠畜場から出る牛はみんな安全だよというふうに我々主張するということで、全頭
検査をしたことを高らかにうたい上げました。
確かに全頭
検査体制をわずかの期間でとるためには、全国の屠畜場の
検査員を横浜に集めて研修をして、ここに来ておられる
尾嵜部長も大変な苦労をして、大体それだけの
検査キットをそろえるのに生産が間に合わないとか、外国から外務省を通じていろいろな働きかけもしながら、一日一日を急いだという不眠不休の努力も政府部内でやっていただきました。
そんなことで全頭
検査になったわけでありますが、そのほかに、十八日から全頭
検査をやった、こういうことにしたわけでありますから、それ以前に生産されて市場に出回っている
牛肉、これは今までの知見でも、OIEの基準でも、異常プリオンは牛乳には行かないんだ、そしてまた肉には転移しないんだということで、肉は安全ですというふうに我々
国民の皆さんに主張してきたわけでありますが、全頭
検査との兼ね合いで、今までの
牛肉は流通をぴたりととめさせていただきました。そのこと自体論理的かと今言われると、今から考えてみると、とにかく肉の需給関係が大分緩んでいたわけであります。
そういったことで、とにかく需給関係の緩み、
牛肉は下がる、牛の値段はどんどん下がるというような
実態があったわけで、そういった緊急に市場を回復させる
意味も込めて、
牛肉の停止と、後日その
牛肉は焼却する、膨大な費用をかけて焼却するという措置もとらせていただきました。
冷静になって考えてみると、果たしてそれだけの税金を使うことが許されたんであろうかということもあるわけでありますが、どうしてもやはり、対策として、風評被害を阻止するためには必要な対策だったというふうに今冷静に考えておるわけであります。
それから、廃用牛の値段がどんどんどんどん下がってまいりました。廃用牛が一万円を切るというような値段で、農家所得を激減させて打撃を相当してしまいました。ですから、政府といろいろ相談の上、肉用牛については五万円、乳用牛については四万円を補償しなさいという措置を急遽講じさせていただきました。
そのことによって酪農家の所得の目減りというのは幾らか助かったわけでありますが、その対策を講じたことによって、廃用牛の値段が、どうせ四万円が補償されるんであればということで、二千円で買ったって二万円で買ったってあんたの手取りは四万円なんだからというようなことに相なりまして、廃用牛の市場原理、市場価格形成が損なわれてしまいました。
そういったことで、果たしてこれから、ああいった今まで必要でとってきた対策でありますが、それぞれの対策にはいろいろな問題点も含んでいるわけであります。
そういったことについても、今までやってきたことはやってきたこと、そして、その当時、この緊急事態、この危険事態を避けるために、何とかして
国民の皆さん方に安心し、
生産者の皆さん方に安心してもらおうと思ってした対策も、今から冷静に考えてみると、いわゆる過剰防衛でなかったのかとか、いろいろな反省点もあるわけで、後で歴史が評価していただけるんだろうと
思いますが、膨大な国の予算を使って対策を講じてまいりました。連日のようにいろいろやってきたわけであります。
そういったことで、あす、
委員長の御配慮、そして野党の皆さん方の協力によって、国会の意思として、政治的メッセージとして、
BSEの新しい
法律が衆議院を通過するわけでありますが、何か、正直言って、野党の皆さん方が二月二十二日に野党法案を出してきたときに、我々与党には法案をつくっている余裕なんかなかったというのが
実態であります。
とにかく対策対策で忙しくて、予算措置でみんな対策を講じていたわけですから、何をしなきゃならないかということで大変な忙しい目に遭っていて、
法律なんぞつくるよりはまず対策が先だというようなことで、大体一段落したものですから、与党の法案を、どうだ、つくろうじゃないかと。
これはやはり、予算措置ばかりじゃ
国民の皆さんが政府なり国会が何をしてくれているのかというのがなかなかわかってもらえないからということで、与党案を取りまとめて野党の皆さん方といろいろ相談させていただきました。本当に野党の皆さんも含め
委員長の御苦労には感謝いたします。
ただ、一番修正された
部分でございます死亡牛のことについては、与党内で大変な、いまだ十分納得していない
部分があることも事実であります。確かに七万六千頭の牛、民主党の
先生によると、鮫島
先生等によると、今までだって発生した七万六千頭だから、何らかの処理をされていたんでしょうと。ですから、それをただエライザ法で
検査するだけなんだからできるではないかというような御
指摘もあったわけでありますが、何しろ七万六千頭を焼却施設までそろえて処理できるような
体制というのはなかなか難しい。
今、大体一万頭ぐらいは焼却しているんですけれども、七万六千頭というと、その処理施設が七倍にもふやさなきゃならないとか、急遽そんなことを言われたってという形で、都道府県段階で実施不可能だというような
状況があります。
そういったことで、
農林水産省令をこれから定めるに当たって、
検査しなくてもいい場合を定める
農林水産省令については、
実行可能な、現実性のあるものにしなければならないなというふうに思っているのであります。
その点についての副
大臣のお考え、死亡牛について、
実行可能なものにしなければならないなと私は考えているわけでありますが。一応、原則としては十五年四月一日からやるのが原則なんだけれども、ただし書きで、省令で例外
規定を設けるわけでありますが、そのことについて、
実行不可能なものでも、現実、都道府県知事が大変な出費とそれから苦労、人員
体制ができるわけでありますが、その
農林水産省令、これから定める省令について、お考えがあれば。