○村井
国務大臣 大変広範な問題につきまして御質問ございました。順次申し上げてまいりたいと存じます。
まず第一の不法滞在者等の来日
外国人による犯罪でございますが、過去十年間、
平成三年から十三年というところで比較してまいりますと、検挙件数で約二・七倍、検挙人員で二倍という増加ぶりでございまして、特に昨年の検挙人員は過去最多を記録しているということでございます。
特徴的には、凶悪化、組織化、それから
全国への拡散等の傾向も見られるなど、大変憂慮すべき
状況にございまして、我が国治安上の最重要課題だと思っているわけでございます。
不法滞在者でございますが、これは来日
外国人の刑法犯検挙人員の約二割、それから凶悪犯の検挙人員の五割近いものを占めておりまして、その存在が来日
外国人犯罪の温床となっているというのは
一つの現実だと
認識しております。
こういう問題に対しまして、昨年の七月でございますが、官房長官を本部長にいたしまして、私、副本部長をさせていただき、国際組織犯罪等対策
推進本部というものを
内閣に設置いたしまして、
政府全体として、不法入国でございますとか不法滞在対策、組織的な窃盗犯対策等につきまして強化を図っているところでございます。
それから、
警察のみならず、入国管理局、それから海上保安庁、税関等の
関係機関とも
連携を密にする、これも非常に重要な手法だと思っておりますし、それから
外国の捜査機関との
連携、これも非常に重要でございます。さような
意味で、この一月でございますが、私自身
中国へ参りまして、
中国の治安
責任者と協議をいたしまして、両国間の
協力を強めるというような体制を整えつつあるところでございます。
第二のお尋ねの、
警察官一万人を三年間で増員するということで、
平成十四年度は、とりあえず四千五百人の増員を
予算でお認めいただくということになったわけでございますが、これで検挙率がどれだけ上がるかという
お話でございます。
大変難しい御質問でございますが、確かに、十三年中の刑法犯認知件数に対します検挙件数というのを比較いたしますと一九・八%ということでございまして、過去最低の水準にまで落ちてしまった。非常に憂慮しているわけでございますが、ただ、この検挙率と申しますのは、実は、余罪を解明することができれば上げることができるわけであります。
そういう
意味で、そのほかいろいろな
要因があって、例えば、
一つ一つの事件が非常に手間がかかる。例えば、
外国人の犯罪でございますと通訳を介しなければならない、一件を解決するのに大変な時間がかかるというような問題がございまして、こういったところが検挙率の
低下に結びついていることは事実であろうかと存じます。
いずれにいたしましても、さまざまな手法を講じておりますけれども、
警察官の増員だけで何かができるとは私ども考えておりませんで、今後、さまざまな体制を整えるとともに、
警察官の訓練を十分いたしまして対応していくのが非常に重要な要素じゃないか、こんなふうに思っているところでございます。
検挙率を
向上させるためには、やはり
社会が非常に多様化し、価値観も多元化しているという
状況でございますから、この中で悪にきちんと対決する強固な意志を持つ
警察官を育てる、さらに、
専門的な技能を備えさせていく、あるいは最近の
科学技術ですとか通訳ですとかそういう能力をちゃんと備えさせなきゃいけませんし、また、先ほど申しましたような
関係機関との
協力も非常に重要だろうと思っております。
それからさらには、非常に大切な問題は、
社会全体として犯罪に対決する雰囲気というものもこれは大事でございまして、学校でございますとかあるいは職場でございますとか家庭、こういったところとの
連携も大事な点だと思っているところでございます。
四番目に、ワールドカップの問題でフーリガンのことをお尋ねでございました。
これにつきましては、特に、フーリガンを出させないように
関係国に御
協力をお願い申し上げるということを
努力しておりますし、また、入国管理局におきましてきちんと水際のチェックをするという体制も整えておりますが、同時に、それでも入ってきました場合には、スポッターと申しますフーリガン
専門の
警察官を
外国から招致いたしまして、これに
協力をしてもらうということで万全を期したい、こんなふうに考えているところでございます。
ただ、ついこの間も、デナムさんというイギリスの内務閣外
大臣が
日本を訪問されまして、そのとき私もお目にかかりましていろいろ
お話ししたんでございますが、熱心なサッカーファンとフーリガンとを混同してもらっては困るというような
お話もございまして、やはり私どもとしましては、このワールドカップが極東で行われる楽しいイベントになりますように、警戒は厳重にしながらも対応をきちっとしてまいる決意でございます。