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2002-05-28 第154回国会 衆議院 総務委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年五月二十八日(火曜日)     午後二時七分開議  出席委員    委員長 平林 鴻三君    理事 荒井 広幸君 理事 稲葉 大和君    理事 川崎 二郎君 理事 八代 英太君    理事 安住  淳君 理事 後藤  斎君    理事 桝屋 敬悟君 理事 黄川田 徹君       赤城 徳彦君    浅野 勝人君       伊藤信太郎君    大野 松茂君       河野 太郎君    左藤  章君       佐藤  勉君    新藤 義孝君       滝   実君    谷  洋一君       谷本 龍哉君    野中 広務君      吉田六左エ門君    吉野 正芳君       荒井  聰君    伊藤 忠治君       玄葉光一郎君    島   聡君       田並 胤明君    武正 公一君       中村 哲治君    松崎 公昭君       松沢 成文君    遠藤 和良君       山名 靖英君    石原健太郎君       春名 直章君    矢島 恒夫君       重野 安正君    横光 克彦君       三村 申吾君     …………………………………    総務大臣         片山虎之助君    総務大臣        若松 謙維君    総務大臣政務官      河野 太郎君    総務大臣政務官      滝   実君    総務大臣政務官      山内 俊夫君    財務大臣政務官      砂田 圭佑君    国土交通大臣政務官    高木 陽介君    政府参考人    (総務省自治財政局長)  林  省吾君    政府参考人    (総務省自治税務局長)  瀧野 欣彌君    政府参考人    (総務省総合通信基盤局長    )            鍋倉 真一君    政府参考人    (財務省大臣官房審議官) 石井 道遠君    政府参考人    (財務省主計局次長)   牧野 治郎君    政府参考人    (気象庁長官)      山本 孝二君    総務委員会専門員     大久保 晄君     ————————————— 五月二十三日  シベリア抑留者に対する未払い賃金支払いに関する請願小沢和秋紹介)(第三二二一号)  国家公務員残業改善に関する請願松沢成文紹介)(第三二八〇号)  同(島聡紹介)(第三三一九号)  同(横光克彦紹介)(第三三二〇号)  同(石原健太郎紹介)(第三三五三号)  同(春名直章紹介)(第三三五四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第九七号)      ————◇—————
  2. 平林鴻三

    平林委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治財政局長林省吾君、総務省自治税務局長瀧野欣彌君総務省総合通信基盤局長鍋倉真一君、財務省大臣官房審議官石井道遠君、財務省主計局次長牧野治郎君及び気象庁長官山本孝二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 平林鴻三

    平林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 平林鴻三

    平林委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。後藤斎君。
  5. 後藤斎

    後藤(斎)委員 民主党の後藤斎でございます。地方税法の一部を改正する法律案について、御質問を申し上げたいと思います。  本法案は、連結納税制度関係での法改正でございます。平成十一年から、政府税調を初め、いろいろな場で連結納税制度の問題が御議論をされてまいりました。昨年、平成十三年度の税制改正において、会社分割法制を創設する商法の改正を受けて、企業組織再編を進めていくために不可欠な税制面での対応ということの御議論がされました。そしてさらに、昨年九月には、連結納税制度について、国際的に遜色のない、二十一世紀の我が国法人税制としてふさわしい制度を構築すべく、平成十四年度予算の方針の中で所要の財政措置を講じた上で検討を進めるという議論一連流れであるということは承知しています。  大臣冒頭お尋ね申し上げます。今回、地方税法の中で連結納税制度を適用しないということにした一番大きな理由を、過去の経緯も含めて御説明を賜りたいと思います。
  6. 片山虎之助

    片山国務大臣 今回、国としては連結納税制度導入、こういうことになったわけでありますが、地方税につきましては、御承知のように、大変応益ということを中心に物を考えておりまして、受益負担、サービスと負担との関係がある程度密接でなければならない、こういうことでございますから、地方税にも仮に連結納税制度を入れるといたしますと、地域外法人事業活動の、どうあったかということが税収に反映されて、今言いました受益負担関係が定かでなくなってくる。  また、当該地域で活動する法人との結びつきが希薄になるのではなかろうか、そういういろいろな関係考えましたし、また、政府税調の方も、「地域における受益負担との関係等に配慮し、単体法人納税単位とすることが適当である。」こういう答申もいただきましたので、今回はこれを遮断して、単体法人地方税をかけさせていただく、こういうことにいたした次第であります。
  7. 後藤斎

    後藤(斎)委員 平成の税の大改正ということで、六月中にもいろいろなものが出てくる、その一環だというふうにも認識をしています。  大臣、その税の問題は後で触れさせていただきますが、一方で今、市町村合併が大変な勢いで進んでいる。ただ、西高東低と言われて、なかなか東日本はスピードが遅く、西日本の方が進んでいるというふうにも言われております。  ただ、十七年の三月三十一日という期限を見ますと、通常であれば、任意協法定協を含めて、最短でも二年くらいは必要だというふうにも言われております。定点で幾つか総務省確認はしていると思いますが、ある意味では、ことしどんな形で進むのかということが私は正念場だというふうに思っています。逆に言えば、総務省、いろいろな場で、締め切りがあるからこそ今合併が進み始めているんだという御指摘もあります。  ただ、現在では特例法の延長という問題はなかなか触れることは難しいかと思いますが、現在、千という、大臣がいろいろな場でお話しになられている自治体目標について、どの程度促進状況なのか、そしてあわせて、それをこれからどんな形で促進しようとしているのか、御所見をお伺いしたいと思います。
  8. 若松謙維

    若松大臣 後藤委員の御質問にお答えいたします。  合併進捗状況のお尋ねでございますが、平成十四年四月一日時点で、全国の約七割に当たります二千二百二十六の市町村におきまして市町村合併具体的に検討している状況でございます。このうち、六百六十八の市町村法定協議会または任意協議会を設置しているところでございます。前回調査時の平成十三年十二月末と比較した場合、法定協議会及び任意協議会設置市町村は約二倍に増加しております。  総務省としての具体的な取り組みでございますが、政府といたしましては、市町村合併につきまして、総務大臣本部長とし、すべての副大臣をメンバーとする市町村合併支援本部を昨年三月に設置いたしまして、八月に具体的な各省連携施策である市町村合併支援プランを取りまとめたところでございます。また、昨年三月に通知いたしました指針に基づきまして、四十六都道府県におきまして市町村合併支援本部が設置されておりまして、また、三十七県、百十四地域、五百四市町村におきまして合併重点支援地域が指定されております。  さらに、昨年八月から全国四十七都道府県におきまして、リレーシンポジウム市町村合併支援本部の主催で開催しておりまして、ことしも六月二十六日から開催していきたいと考えております。そして、本部員であります各府省の副大臣出席をしていただいて、各都道府県合併重点支援地域中心具体的な合併論議を行ったところでございます。  合併特例法期限を考慮いたしますと、ことしは市町村合併にとって正念場ということで、三月には新たな指針を通知させていただきまして、都道府県によります合併重点支援地域の指定の一層の拡充、さらに都道府県版支援プランの策定、拡充など、一層強力な取り組みを要請している次第でございます。  今後とも、一昨年十二月に閣議決定いたしました行政改革大綱の、いわゆる市町村合併後の自治体数を千にする、この目標をしっかりと踏まえて、市町村合併特例法期限である平成十七年三月までに十分な成果が上げられるよう、自主的な市町村合併を積極的に推進してまいる決意でございます。
  9. 後藤斎

    後藤(斎)委員 今副大臣が話された中で直接はお触れになっていなかったんですが、県域を越えた合併協というか研究組織も出るという話をお聞きをしています。  今回の地方税法改正の、これは基本的には県単位がベースになってくると思いますが、例えば県域を越えて市町村合併が進んだ場合、今回の地方税法の適用というのはどんな形になるんでしょうか。
  10. 瀧野欣彌

    瀧野政府参考人 合併とこの事業税関係ということでございますけれども、それぞれ事業所はいろいろな事務所、一つ法人として動いているわけでございまして、当然県域とは別でございます。  現在におきましても、それぞれの法人が活動している場合に、どのように県に帰属するかということにつきましては、分割基準というのを設定いたしまして各県に帰属させておりますので、その県域が動いた場合には、その県域の中にどの程度従業員数いるか等、数値を把握して分割するということになろうかと思います。
  11. 後藤斎

    後藤(斎)委員 総務大臣、先週、総務大臣試案ということで、「地方財政構造改革税源移譲について」という試案、拝見させて、勉強させていただきました。今までの大臣がいろいろこの委員会も含めて御発言なさっている集大成だというふうに思っていますが、その後、政府の中でも、財務大臣経済産業大臣からも、ちょっと違うんじゃないかというふうな御議論もあるというふうにもお聞きをしております。  大臣、まずこの片山試案経済財政諮問会議の中で議論を進めていったり、政府税調にもその意見を反映させていく、もちろんそのことが必要だと思いますけれども、どんな形で具体的にこれからその議論を反映させていく御努力をなされるのか、後で外形標準課税等政府の中で対立しているような点について御確認をさせていただきますが、冒頭試案についてのこれからの議論の進め方について教えていただきたいと思います。
  12. 片山虎之助

    片山国務大臣 今お話しのように、ちょうど一週間前の五月二十一日の経済財政諮問会議で、私の試案という形で、今までこの委員会でも何度もお話し申し上げておりますように、六対四の国税地方税比率一対一を目指す、こういう具体的な提案をさせていただきました。  所得税から住民税に三兆円動かす。それから、今消費税は四対一ですね、国が四で地方が一でありますが、その四対一を三対二にして、地方消費税比率を一%上げる、ここで二兆五千億。五兆五千億を、この際、税源移譲する。そのかわり、その分国収入が減りますから、国の方の支出も五兆五千億国庫支出金中心にこれを削減していく。国庫支出金の中で負担金の方を約半分にする、それから奨励的補助金の方を約七割カットする、三割にする、大まかに言うとそういう案でございまして、これを第一段階としまして、さらに第二段階では交付税見直しをやりまして、地方交付税から地方税に持ってくる、これが大体今の感じでいくと一兆五千億ぐらいですね。今国税が大体四十八兆、地方税が三十四兆ですから、実際、一対一にするためには七兆円動かすという考え方でございますけれども、第一段階では五・五兆円、こういう話をいたしたわけであります。  そのほか、いろいろなことを話しましたが、それじゃ具体的にどう進めるかのプログラムといいますか、スケジュール的なことが必要ではなかろうかという話がありましたり、あるいは、特に財務省からは、国も収入が少なくて、国債を三十兆前後毎回発行しているのでなかなかこの税源移譲はきついとか、それから、地方交付税も一緒に見直すべきではないか、一段階、二段階でなくて同時に、そういういろいろな意見が民間の委員を含めてございました。  今の地方交付税は、出口では約二十兆になっておりますが、入り口は十二兆ですからね。だから、それを工面してやっと八兆を埋めているので、そういう段階地方交付税見直しをやると大変地方に不安を与える。特に弱小の地方団体交付税依存なんですから、いいか悪いか別にしまして。  そこで、第一段階では交付税はさわらなくて、現在の交付税の額は確保するんだ、第二段階考えるんだ、こういうことを申し上げましたが、小泉総理も、どう進めるか、どうやるのかということが一番問題なんで、特に総務省財務省でよく検討したらどうか、こういうお話がございまして、今事務的には話し合いは始めておりますが、なかなか事は大変でございますので、道筋を明らかにして、とにかくこの問題に具体化の着手をしていきたい、こういうふうに考えております。  恐らくこれから六月の中下旬にはまとめるということでございますから、その間、そのまとめ方針の中にはぜひこれの道筋を明らかにしたい、そういう努力をいたしたい、こう思っておりますので、総務委員会先生方のぜひそういう意味での御理解と御支援を心からお願い申し上げます。
  13. 後藤斎

    後藤(斎)委員 大臣試案を出されて以降、マスコミの方や自治体でもその議論自分のところはどうなるんだろうということで、いろいろな試算を始めているという報道もされております。  ただ、大臣、その報道をいろいろ見ますと、きのうからいろいろな資料を集めているんですが、要するに、今の国と地方課税自主権みたいなものも含めて考えていくと、このまま支援を適用すると大きな自治体東京都など大都市は歳入増になり、北海道では一千億が減収するというふうな極端な議論が振れてしまうということも問題ではないかということも指摘をされています。  一方で、なかなか国庫支出金については、今大臣財務省との調整メーンだよという話をされておりましたが、国土交通、農水含めて、いろいろな国庫支出金、そこの関係省庁も、旧来の形で余り手放したくないということ。なかなか難しい中で、一カ月程度議論を進めていきたいというお話でしたが、後者の部分はちょっとともかくとしても、大きくこの片山試案が進められていく中で、歳入増となる地域はある程度まとまった、経済メーンの、基幹の部分があるところとそうではない地域、この格差がますます拡大してしまうんじゃないかという懸念に対してはどんな形で大臣考えでしょうか。
  14. 片山虎之助

    片山国務大臣 言われるとおりなんですね。税源移譲の泣きどころはそれなんです。税源を、例えば所得税や、消費税はそうでもないんですが、所得税なんかもらいましても、法人税でも、かえって格差が開くんですよ。東京都だとかあるいは大都市を持つ府県経済力のある府県はわっとふえまして、それ以外の地方は余りふえないんです。そこで、税源をもらって補助金を削りますと、地方は税がふえているのに補助金が減るんですよ。そういう意味で、収入そのもの格差が拡大するんです。  そこで、それをどうやってうまく調整するかが一番難しいところですが、我々は、やはり東京都が二千億とか一千何百億とかという試算になりますけれども、それは国庫負担金の方で調整せざるを得ないんじゃなかろうか、こういうふうに考えておりまして、今具体のシミュレーションをやりまして、個別に、税源移譲で各地方団体が全部よくなった、こういうふうなうまい工夫ができるかどうか一生懸命考えているところであります。  それから、各省庁自分のところの負担金補助金が減りますから、なかなか賛成はしないと私は考えておりますけれども、補助金負担金を削ることが地方自立性を強めるし、大体、一つ補助金で一課あるとかいう、うそか本当かわかりませんけれども、そういうことも巷間言われておりまして、そういうことを縮減していくことが同時に行政改革につながっていく、地方についての関与の縮小と自立性の強化になる、こういうふうに思っておりまして、そこはお金のやりとり、数字合わせだけではない、行政改革としての効果が出るんではなかろうか、私はこういうことも諮問会議で申し上げたところであります。
  15. 後藤斎

    後藤(斎)委員 今の点はよくわかります。  先ほど大臣冒頭お話をした、財務省との関係が、最終的には、最後の綱引きという言葉は適切かどうかわかりませんが、最後調整せざるを得ないところだと思います。それはまさに税の根幹、それをいじる、今までの対応してきたものと変えていく大きな転換をどうするかというところだと思うんですが。  大臣、この試案をおつくりになられたときに、国と地方関係、もちろん今まで、経済財政諮問会議小泉内閣スタートの当時から、国から地方へ、官から民へという大きな方針のもと対応してきた。それについて、財務省との調整大臣御自身では、最終的には絶対この試案を、近い形でおまとめになるんだという御意思はあるんでしょうか。それとも従来どおり、今までの流れでしようがないやというところで、私は、先ほどの市町村合併促進もそうだと思うんですが、それについてぜひ御決意と、財務省政府全体で、六月中下旬ということなんですが、六月中には必ずきちっとまとめるという御意思も含めて御確認をしたいと思います。
  16. 片山虎之助

    片山国務大臣 財務省の方は、国税をもろに、国税だけをということについてはやや抵抗があるように思います。  この際、地方交付税も合わせたということを財務省としては言っておりますが、いずれにせよ、財務大臣も、大変大きな問題で、財務省総務省がいろいろ議論する、そういう場が要るな、それを早急にやろうではないか、こういうことでございますから、これはぜひ我々としてもそうお願いいたしたい、こう思っておりますし、財務省は我々と同一歩調のところと、どうしても同一歩調にならないところがあるんですね。各省庁との関係では、やや総務省財務省同一歩調になるところがあるんですが、今度は国と地方のもろの、税財源取り合いということになりますと、取り合いというのは余り適当じゃございませんけれども、そこはなかなかお互いに考え方が違うところがございます。  いずれにせよ、この六月下旬ぐらいになるんでしょうか、中下旬、六月いっぱいぐらいになるんでしょうか、そういう取りまとめ段階ではできるだけ財務省とはよく話をしまして、とにかく今言いましたように道筋をつけていく、税源移譲道筋をつけていく、そういうことに全力を挙げたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  17. 後藤斎

    後藤(斎)委員 もう一つ、この片山試案の、財務省総務省という対立の構図はよくありませんが、要するに、その調整の問題と、もう一つ大きな課題として、ことしの一月に閣議決定をされております外形標準課税の問題、これも「平成十五年度税制改正を目途にその導入を図る。」ということで決められております。  私は、ことしの四月の決算行政委員会のときにも、平沼経済産業大臣にこの点について御確認をしましたが、やはり経済産業省としては外形標準課税については慎重論であるという御回答でございました。  これはもう、この数年間大きな議論をし、昨年、そういういろいろな経済界指摘、特に中小企業団体の方の指摘も含めて、外形標準課税、五つの懸念に関するお答えということで、総務省も各都道府県知事さんや市長さん等々も含めてパンフレットもつくりながら御説明しているのはよく承知をしておりますが、これも期限が、六月中には入れ込んだ形で、全体の税の中身で、体系の中で整理をされると思うんですが、外形標準課税についてはどんな形で、経済界というか経済産業省も含めて御議論なさるのか、その方向性について御確認をしたいと思います。
  18. 片山虎之助

    片山国務大臣 昨年の経済財政諮問会議骨太方針まとめるときに大変な議論になりまして、経済産業省等はちょっと困る、我々はぜひ導入だ、こういうことで意見が対立いたしたわけでありますが、最終的には、景気動向を見ながら中小企業にも配慮して導入をする、こういうことが骨太方針の中には書かれておりまして、これは閣議決定になっているんですね。ということは、一応政府意思としては導入方向は決まっている。  ただ、中小企業に対する配慮だとか景気動向をどう考えるか、これが残っているわけでありまして、現在、政府税調もそうでございますし、経済財政諮問会議でも、今度の税制改革一つの理念は広く薄く公平にだ、税の空洞化はできるだけとめよう、広く薄く公平に。今、法人税法人事業税は、御承知のように、七割は税を負担していないんですね。三割の法人しか負担していない。所得税住民税の方は、二〇%から二五%負担しておりませんけれども。だから、広く薄く、すべての国民や個人に少しでも負担してもらおうと、特に法人関係は。  しかも、法人事業税県税でございまして、都道府県税で、受益負担関係があるわけでありますから、赤字法人でも黒字法人でも受益は同じように受けている。赤字は一切持たない、黒字の三割が全部持っている。これは税の公平からいっても問題であると思いますし、大変不安定なんですね、法人事業税が。だから、増税でない、今の税収範囲で、税収中立で、今全部黒字が持っている一部を、例えば年四、五万円、それを赤字法人にも持ってもらう。広く薄く持ってもらう。  こういうことが我々の考えでございまして、事務的には経済産業省とも話は始めておりますし、経済団体とも一連のスケジュールで今いろいろな意見交換をやっております。できるだけその辺の御理解をいただいて、広く薄く、税の空洞化は避けるということで、来年度の税制改正では実現いたしたい、こういうふうに思っております。
  19. 後藤斎

    後藤(斎)委員 今、六月に向けて、政府税調の中では消費税の引き上げを明記すべきだという議論もあるようであります。私は、この際、二点についてこれから対応を詰めていかなければいけない問題があると思っています。  一点は、いわゆる地方債であります。地方債の仕組みも、いろいろな格付をしながら、それぞれの自治体財政能力やそれぞれのビジョンというか政策的な問題点を含めて、地方債財務ランクによっては格付をされる時代に突入しております。  そして一方で、これは本会議でも私の方からいわゆるコミュニティーボンド住民参加型ミニ市場公募債ということで、私は、できるだけ住民の方が直接参加をして、例えば借金をして自治体が病院をつくったり市民ホールをつくったりする際も、目に見える形での債券募集ということがこれからもっともっと必要になってくると思います。  平成十四年度では、いわゆるコミュニティーボンド発行見込み額は二百億円程度ということで、たしか地方財政計画を審議する際に枠取りがされていたと思います。その時点での大臣の御答弁の中では、群馬県でこれからスタートをしますということで、私の知り得ている範囲では、わずか二十八分で十億円のいわゆる地方公募債住民参加型の地方公募債が売り切れてしまったと。ただ、二百億にはまだまだというふうに思っています。  総務省は、二百五十人を超える総務省の職員の方が、自治体の副知事や部長さん、課長さん、いろいろな分野に出ております。私は、そういう方をもっときちっと、PRも含めて、まだ十二分に理解をされていない自治体もたくさんあると思います。これから、二百億ということじゃなくて、もっと地方債というものが公募型に変わっていく必要性をそれぞれの自治体理解をしていただき、そして住民参加の中で地方債の償還がされていくという方向対応していくべきだと思っているんですが、どんな形で今後総務省はそれを推進、促進していくのか、御見解をお伺いしたいと思います。
  20. 若松謙維

    若松大臣 いわゆる公募地方債についてのお尋ねでございますが、方向性としては後藤委員の御指摘のとおりでございまして、平成十四年度に地方債計画上見込んだ二百億円、これにつきましては、先ほどお話が出ました群馬県のいわゆる愛県債を筆頭に、平成十四年度におきましては全国で十六団体程度が発行を検討しているということで、これを合計しますと約二百八億円を今想定しているところでございます。  そういうことで、ぜひ、この住民参加型ミニ市場公募債を積極的に活用していただくためのアピールも、これからも総務省として引き続き努力をしてまいりたいと考えております。
  21. 後藤斎

    後藤(斎)委員 もう一点は、地方税引き上げ論というのもこれからいずれ出てくるんだと思いますけれども、地方税の滞納というのが、道府県税で六千百五十一億、市町村税で一兆七千二百九十八億、これは平成十二年度の数字でありますが、地方税合計で二兆三千四百四十九億円、これが地方税の滞納額の総額の数字であります。  一方で、なかなか、市町村だと顔が見え過ぎるということで、回収というか徴収ができ得ない。いろいろな御努力はされているというふうには承知しておりますが、やはり、ある意味では広域で対応していく県も鳥取や神奈川で出始めたというふうにもお聞きをしておりますが、それでもこの数年間二兆三千億前後で、地方税の滞納額は変わっておりません。  ここの巨額の滞納をどう解消していくのか。その先進的な事例のあり方も含めて、総務省、これを全くゼロにするというのは理想だと思いますが、それに近づける努力というのはどうしてもしていただかなければいけない事項だと思うんです。その点、どんな形でこれから進めていくのか、お考えをお伺いしたいと思います。
  22. 瀧野欣彌

    瀧野政府参考人 地方税の滞納についてのお尋ねでございます。  御指摘のように、平成十二年度決算におきましては、景気の低迷ということもございまして、滞納額が二兆三千億円という額に上っておりまして、滞納整理が地方税徴収におきまして大きな課題ということになっているというふうに我々も理解しておるところでございます。  こういった中で、ただいま御指摘がございましたけれども、いろいろな団体で先進的取り組みが行われてございます。茨城県や鳥取県におきましては、一部事務組合をつくりまして、徴収困難な事案につきまして県の職員の協力も得ながら滞納整理を実施する。あるいは、神奈川県におきましては、県税事務所と市町村の税務職員がそれぞれ併任職員となりまして、相互の滞納整理の促進とあわせまして徴収技術の向上に努めるというようなことで、今までとは違った取り組みがされてきております。  我々といたしましても、今後とも、各地方団体におきまして滞納整理に対する積極的な取り組みがなされますように、ただいま申し上げましたような先進的な事例も周知することなどによりまして、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  23. 後藤斎

    後藤(斎)委員 これで質問を終わりますが、ぜひ、局長、最後にお答えになったように、できるだけPRをして、滞納額が減っていくような御努力をできるだけしていただくようにお願いをして、質問を終わります。ありがとうございます。
  24. 平林鴻三

    平林委員長 次に、武正公一君。
  25. 武正公一

    武正委員 民主党・無所属クラブ、武正公一でございます。  地方税法改正について御質問をさせていただきます。  総務大臣におかれましては、片山試案というプランを先週発表され、地方への税財源の移譲、これが、当委員会においては、景気が上向いたら、経済が好転したらというようなことがよくまくら言葉に出てまいりましたので、今回の政府景気の上向きという、そんな発言がこの提出の一つのきっかけだったのか。あるいは、何度も委員会でやっておりますように、地方交付税改革あるいは特別会計の見直し、こういったところについてやはり早急に手を打たなければならないといったところで出されているのかということも、またきょうの質疑で明らかにできればと思っております。やはり景気をよくする、経済を活性化する、こういったことが、こうした行財政改革の大変大事な同時並行の側面ということで、まず冒頭、電波についてちょっと気になることがありますので、これを一点お伺いさせていただこうと思っております。  実は、五ギガヘルツ帯を無線LANにアメリカあるいは欧州などが大きく開放している中、日本が五・〇三から〇九の屋外利用六十メガヘルツのみということで、これはもっと開放すべきじゃないかといったことが言われております。  おまけに、来年六月に開会予定の世界無線通信会議において、五・一五から五・七五ギガヘルツ帯を無線LANで利用できるようにすることを諸外国が検討している中で、この帯域のうち、総務省はこの四月二十四日、暫定見解を公表し、五・四七から五・六五ギガヘルツを無線LANに割り当てるならば、既存のレーダー、無線標定業務を最優先と位置づけ、同業務の十分な保護をすべきというようなことを発表されております。  アメリカではFCCが五ギガヘルツ帯八百メガヘルツを開放するなど、国際的な整合性を尊重すべきで、既存業務を優先する見解を四月に総務省が出されたことは、過日、電波法の改正議論をして、総務大臣も、電波の経済的価値を認めるといった発言もあり、やっとこれから電波の利用状況を調べようというやさきにこういった見解が総務省から出されたことは、大変理解できないんですが、この点の御所見をお伺いいたします。
  26. 山内俊夫

    ○山内大臣政務官 委員指摘の点、確かにあろうと思うんですが、この電波割り当てについては今大変流動的な時期でございまして、少し経緯なども話しながら御理解をいただけたらと思うわけです。  無線LANを初めとする五ギガ帯の無線アクセスシステムについては、これは駅とか飛行場、空港、そういったホットスポットと呼ばれる屋外でのインターネット接続の手段として大変有望なものであると我々も認識をいたしております。  このため、総務省は三年前から気象レーダーなど既存業務との共用の可能性を検討してきておりまして、今般、四・九から五・〇ギガヘルツの百メガヘルツ幅とか、五・〇三から五・〇九一の六十一メガヘルツ帯、これは二〇〇七年まで暫定使用という形を考えておりますが、この無線アクセスシステムに割り当てをしております。その旨、今度電波監理審議会に諮問をしたところでございます。  そして、このような無線アクセスシステムに適している五ギガヘルツ帯の周波数の分配については、来年の六月から七月にかけて国際電気通信連合、ITUが主催をいたします国際電気通信連合世界無線通信会議、これは通称WRC二〇〇三と今度呼ばれておりますが、この主要議題として取り上げられております。このWRC二〇〇三の準備会合として来月開催されます世界無線通信会議の準備会合に向けまして、電波利用に関係の深い産業界とか国の機関などの意見を十分踏まえまして、我が国の暫定見解を取りまとめて、今パブリックコメントを行ったところでございます。  そして、具体的に申し上げますと、五千四百七十から五千七百二十五メガヘルツ帯は無線アクセスシステムに分配することが検討されておりまして、その帯域というのは、これは現在日本では、アメリカと同じく、船舶及び航空機、そういったレーダー等の重要な公共業務用の無線局が使用されておりまして、無線アクセスシステムが共用して使用できるよう、今アメリカ、欧州とともに提案をする予定でございます。  つまり、すみ分けをうまくやっていけばいけるのではないかなということでございます。  いずれにいたしましても、無線アクセスシステム周波数確保は、非常に大変な重要な課題でありますので、国際的な動向も踏まえながら、今後とも検討していきたいと考えております。
  27. 武正公一

    武正委員 四・九から五・〇は世界標準から外れているわけでございますし、屋外で利用できる帯域が極端に少ないといったことも指摘されております。  きょう国土交通省の政務官もお見えでございますので、今、この五・二五から三五の帯域を気象庁さんが利用されておりますので、雨量検知のレーダーが二十、主要空港での雨量レーダーが九と聞いておりますが、周波数変更に関してどのぐらいの費用が一レーダー当たり必要であるか、お伺いをしたいと思います。
  28. 高木陽介

    ○高木大臣政務官 ただいま、気象レーダーの周波数変更についてお尋ねがございましたけれども、まず、我が国の気象レーダーにつきましては五・三ギガヘルツ帯の周波数を割り当てられておりますけれども、気象レーダーは、台風や集中豪雨等の監視に不可欠な観測システム、雨等の影響を最小限にする必要があることから、この周波数帯が割り当てられたものであります。  その上で、仮にこの周波数帯から別の周波数帯に新たに割り当てられたとした場合、割り当て周波数帯にもよりますけれども、受信施設等の改修には、気象レーダーの場合は最大約二億円、空港気象レーダーの場合には最大約九億円が必要と見込まれておりますので、これをすべて変更いたしますと、総計約百二十一億円程度の経費が必要と考えられます。
  29. 武正公一

    武正委員 額はかなりいろいろなケースがあるやに伺っておりますので、ぜひ精査をよろしくお願いしたいと思います。総務大臣におかれましては、こうした形で電波の経済的価値を認めて、これから総務省乗り出していくというやさきでございますので、今の国交省さん、気象庁のレーダーの帯域、あるいはもっと広い帯域などを含めまして、再度御所見をお伺いしたいと思います。
  30. 片山虎之助

    片山国務大臣 我々の方も、今の五ギガヘルツ帯の無線アクセスシステムの重要性というのは十分わかっているつもりでございまして、そこで、先ほど山内政務官が言ったような一応の措置をいたしたわけでありますが、今後とも、どういうふうにやるか、気象庁とも、仮に動いてもらうとすれば、補償等含めていろいろな相談があるわけでありますし、また将来、世界の動向もどういうふうになるのか、この辺も含めて、ITUもありますし、前広にいろいろな検討をして、今委員が御指摘のようなことについての対応を十分図っていきたいと考えております。
  31. 武正公一

    武正委員 ぜひ前向きに、国際的な標準もしっかりと考えながら、そして制限しないような形で御対応をお願いしたいと思います。  さて、今般のこの地方税法改正でございますが、民主党といたしましては、法人税改正では、やはりこの連結付加税は問題が多いというふうに考えております。二%を二年間付加するといったことが言われておりますが、この増収、初年度七百三十億円は、歳出削減で埋めるべきと考えておりますし、また、今回、法人税改正地方税改正とセットになっているわけなんですが、特にこの法人税改正により、中小企業が利用しやすい仕組みになっているのか、財務省さんの御答弁をお願いいたします。
  32. 砂田圭佑

    ○砂田大臣政務官 お答えいたします。  連結納税制度はすべての企業を対象とする制度でありまして、その創設は、企業のより柔軟な組織再編を可能とするものであり、中小企業にとっても、組織再編や子会社の設立といった場面で十分に意義のあることと考えております。  また、連結納税制度の仕組みの中で、中小企業を親法人とする企業グループが連結納税制度を採用する場合の軽減税率を定めるなど、中小企業制度利用に配慮しているところであります。  以上でございます。
  33. 武正公一

    武正委員 中小企業が子会社をどんどんつくるというのは余り考えられないものですから、やはりこの法人税改正中小企業にとってどういうメリットがあるのか、これをぜひわかりやすく財務省としても御説明をお願いしたいと思います。  さて、総務省さんにお伺いしたいのは、今回は、国税法人税は連結納税、そして地方税法人事業税、同住民税は単体納税ということを維持する。異なる納税単位をとることになり、欠損金の繰越控除など、地方税において独自の対応が必要となる項目が幾つか生じることになりますが、事務負担が複雑にならないかどうか、この点、総務省、副大臣、お願いいたします。
  34. 若松謙維

    若松大臣 連結納税制度地方税についてのお尋ねでございますが、あくまでもいわゆる地域における受益負担、この関係をまず重視いたしまして従来どおり単体法人納税単位としたということで、基本的には事務手続は従来と変わらない、そういう内容でございます。  そして、この課税の仕組みにつきましては、納税者と課税庁双方の事務負担も十分考慮しておりまして、法人税におきまして各法人に配分されるいわゆる個別帰属額、これを課税標準とするなど、できる限り簡素な仕組みとなるように制度設計を行った次第でございます。  さらに、各連結子会社がそれぞれの所轄税務署に提出する個別帰属額等を記載した書類、いわゆる従来の書類でございますが、これを課税庁である地方団体が閲覧できるようにしたとか、また円滑な事務処理が行えるように配慮もいたした次第でございます。  今後も、そういった観点から、地方団体に対しましても制度の周知に努め、そして事務負担のないように万全を期してまいりたいと考えております。
  35. 武正公一

    武正委員 ぜひよろしくお願いいたします。  さて、外形標準課税については当委員会でもいろいろと議論が出ておりますが、東京都の銀行税につきましては、やはり私は、地方の独自課税といった点では大変一石を投じていると思っております。地方税法七十二条の十九ということで、過日敗訴ということで上告をされているわけなんですが、それによって地方自治体の独自の課税の芽を摘むということは、やはり本来の趣旨からすればあってはならないというふうに考えるわけなんですが、ただ、地方税法七十二条の十九がどのような場合に発動できるかということがなかなかわからないといったことが言われております。  この点についてお聞きをするとともに、また、判決は応能原則を支持しているんですけれども、税調の中間答申は応益原則、政府答弁も応益原則でございますが、この応能原則という判決、これが矛盾するのではないかといった点について、御感想を二点、よろしくお願いいたします。
  36. 若松謙維

    若松大臣 まず、前半の質問は私が答えさせていただきます。先ほどの地方税法第七十二条の十九に記載されております、いわゆる事業税についての「事業の情況に応じ、」という言葉でございますが、これはあくまでも外形基準を課税標準として用いることができる道を開いている、このように理解しております。  そこで、「事業の情況に応じ、」とは具体的にどういうことかということがございますが、先ほど言いましたように、あくまでも外形基準を課税標準としているということでありますので、所得を課税標準としているということは、二つ問題というか、いわゆる想定していないところがありまして、一つは、特定の事業者の事業税負担がその受益程度に比して相当に低いのがいつまでも続く、いわゆるほとんど課税額が出てこないような事態。二つ目としては、特定の業種の景気感応性が高い、いわゆる事業年度ごとによりましてその所得等が極端に変動する、こういったことで地方公共団体の安定的な行政サービスの提供に影響が生じる。  こういったことを考えますと、一定の業種の事業者の負担が、先ほど申し上げました二つの例をベースにした、所得を課税標準としたということであればやはりいろいろと問題があろう、そういうことで、この当該業種を対象として外形標準課税を行うことができる、このように考えている次第でございます。  後半は、大臣から答弁があります。
  37. 片山虎之助

    片山国務大臣 東京都の銀行税は、この地方税法の七十二条の十九がストレートにイメージした税じゃないんですね。外形標準課税というのは、同じことを何度も繰り返しますけれども、広く薄く公平になんですね。広く薄く公平になんです。ところが、東京都の銀行税は、そう言ったらいささか問題があるかもしれませんが、広くないんですね。大変狭いんです。限定的なんですね。極端な言い方をすれば、ややねらい撃ちなんですよ。そういう点から我々は閣議で閣議了解ということにしたんですが、大手銀行のみに課するこの税については合理的理由がやや乏しいんではないか、こういうことを政府としては閣議了解という形で発表しているわけですね。  ただ、今回の一審の判決を見まして、所得を課税標準にしているから応能だ、こういう言い方ですね。所得をなぜ課税標準にしているかというと、これは担税力ですよね。担税力というのは、支払う能力ですからね。だから、これは私は、地方税に対するやや誤解があるんではなかろうかと。我々は、あくまで応益だ、こういうふうに思っておりまして、応益ですけれども、現在の法人事業税は所得を課税標準にしていますよ。だから、応益に徹してはおりませんけれども、しかし、所得と位置づけているから応能であるという考え方、これはいささかどうかなと私は思っております。
  38. 武正公一

    武正委員 以前委員会の方で、私は、行政裁判というんでしょうか、これが司法裁判になかなかなじまないというようなお話もさせていただきましたので、この点もやはり今回の判決は一つ課題を投げかけているんではないかなと思います。  また、当初石原都知事がこの案を提起したときに、あらゆる自治体がそうでありますが、バブル期に膨れ上がった収入、特に法人関係諸税が激減した、これを何とか埋めなきゃいけないということでこの税を持ち出してこられましたが、私は、収入が減ったのなら、やはり支出をバブル期の前に戻すぐらいの思い切ったことをしなければ根本的な解決にはならないだろうというふうに思っております。  次は、またいよいよ片山試案についてのお話に移りますが、今回、片山試案では、地方交付税の原資は確保ということでございますが、この地方交付税の抜本的な改革をいろいろとやってはおられますが、もっと思い切った改革が必要ではないかなというのは、交付税景気動向の影響を受けやすい国税五税に連動しているのが問題であって、景気がよいと自治体支出をふやしてしまう、これが今回の銀行税の根っこにあるんじゃないかなというふうに考えるからであります。  まず、この片山試案について、先ほど同僚委員からも財務省さんのお考えはどうだろうということがございましたので、財務省政務官からこの片山試案についての率直な御意見をお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  39. 砂田圭佑

    ○砂田大臣政務官 お答えいたします。  地方の自立を促す、そういう意味では、国、地方を通じた効率的な政府を実現するということが大変必要なことでございます。国と地方関係の抜本的な改革を進める必要があることにつきましては、財務省としても異論のないところでございます。  そのためには、経済財政諮問会議に対する財務大臣提出資料にございますように、国と地方との、行政の徹底したスリム化や地方交付税のあり方の見直し地方税の充実確保等の総合的な改革と一体として取り組む必要があると認識をいたしております。  いずれにいたしましても、真に地方の財政的自立を目指す改革のためには、地方の財政運営のために必要な歳入を最終的に保障している地方交付税のあり方についても見直しが必要であると考えるところであります。  また、今後さらに経済財政諮問会議におかれまして議論が行われるものと考えておりますけれども、財務省としても、総合的な地方行政改革等の道筋具体化できるよう、総務省も含め関係方面と調整をしてまいりたいと考えておる次第でございます。  以上でございます。
  40. 武正公一

    武正委員 たしか報道では、塩川財務大臣からは、やはり国債償還の原資がなくなってしまうからとても今の段階では地方への移譲はできないんですよというようなことが漏れ伝わり、記事にもなっておるというふうに理解をしております。  さて、いろいろ地方自治体からも地方への財源移譲のプランが出ております。東京都は七・二兆円、島根県は八・〇兆円の移譲案。どこも、この移譲案だとうちの自治体はふえるのか減るのかということが、やはり中心の関心事のようでございますが、どうもそういった形ではなくて、もっと思い切った大胆な形での地方への税財源の移譲と、そしてセットの、今も財務省さんがお話しになられました交付税の抜本的な見直し、改革といったことが必要だろうということでございます。  PHPの研究所が、ちょうど大臣試案とほぼ同時期に加藤寛先生が座長で、やはり十八兆円地方への税財源の移譲は可能だよといったプランを発表されております。これは、二〇〇八年に地方交付税国庫支出金を廃止する、国と地方の債務は別の組織に移して、そして合併を、これはPHPの案ですと、たしか三百弱に、二百五十ぐらいへと合併を進めようという案でございますが、合併の成果が地方に還元する仕組みと。PHPでは、合併特例債、約七割の元利保証は問題ありというふうに言っておりますが、それとは別な形で合併の成果を地方に還元する仕組みにすれば、十九兆円の移譲は可能といったことも提案がございます。  さまざまな形で今地方への税財源の移譲が言われている中で、民主党では既に、地方交付税ではなくて一括交付金でと。そして、これはシャウプ勧告のときには地方財政平衡交付金といった形で動いていたのが、その後交付税制度に移ってしまったといったこともございます。  こういった意味からも、この地方交付税改革、大臣も今回の片山試案では幾つか地方交付税改革をうたっておりますが、もっともっと思い切った改革が必要だ、交付税特会の見直しも含めて課題だろうというふうに考えますが、この点について大臣の御所見をお伺いいたします。
  41. 片山虎之助

    片山国務大臣 言われるとおりなんですが、こういうことなんです。今の国税地方税という税制と地方交付税国庫支出金というのは、これは三位一体なんですね。その一つだけ取り出してそれですべて解決するということにはなかなかならないんですね。私は三次方程式だと言っているんですが、この三つをともに解決せにゃいかぬと思っておるんです。  そこで、交付税が大変難しいのは、今、国税五税にリンクしておりますけれども、地方にとりましては、これは国税の形を変えた地方税だ、地方固有の税源だ、既得権とは言いませんけれども、そういう考えがあるんですね。だから地方交付税の総額というのは、地方の取り分として位置づけてもらった上での議論をしなきゃいかぬ。  ただ、交付税制度も長い歴史の中でやや金属疲労みたいなところもありますから、例えば段階補正は見直すとか事業費補正は見直すとか、できるだけ国の関与の縮減をしてもらって簡素化するとか、あるいは我々は、留保率も来年度は見直していこう、こういうことで全体の効率化、合理化ということは同時に考えていかなければなりませんけれども、これだけ我が国の地方経済力格差がある、税収格差があるときに地方交付税をなくしますと、もう六、七割の地方団体は財政運営できません。だから、好むと好まざるとにかかわらず、財政調整だけじゃなくて財源保障を交付税でしているんですね。  私は、交付税についていろいろなことを言われる学者の方もおられますけれども、そこのところはぜひ考えていただきたい。ある意味では、弱小地方団体には地方交付税が命綱なんですね。これを財政調整だけやれなんといったら、みんな財政運営はできないですよ。だから我々は、できるだけ地方団体を大きく強く、財政基盤も強くしよう、こういうことも合併のねらいの一つにあるんです、それだけじゃありませんけれども。  だから、そういうことの中で、地方交付税制度も、これができてからもう約四十七、八年になりますから、五十年近くなりますから、ぜひ私は、この抜本的な見直しは、将来の地方分権、地方自治のためには避けて通れない、ただ、今はその時期ではない、もうちょっと時間が要る、こういうふうに考えております。
  42. 武正公一

    武正委員 先ほどのPHPもそうですけれども、この財源調整、特に地方自治体に対する財源調整、これは必要であるし、財源の補てんも必要である。これは東京案も含めて、いろいろな地方への税財源の移譲案はすべて認めているところだと思うんですね。ただ、交付税制度がやはり問題が多い、基準財政需要額の算定も不透明である、こういったことはもう当委員会でも何度も議論があるわけですので、片山試案のツーになるのかわかりませんが、この一カ月で、経済財政諮問会議で、財務省さんあるいはさまざまな省庁間での協議が進められると思いますので、たしか四名の議員さんがペーパーを出されておりますよね。その中でもやはり、交付税改革と地方税の充実はセットだよというような形で、牛尾議員を初め四名の方がペーパーを出されておりますので、ぜひこの交付税改革を同時に進めていただきたいということをお願いするわけでございます。  基準財政需要額の算定については、大綱を決定するための第三者機関が必要ではないか。これは、シャウプ勧告のときに地方財政委員会を設置して、実際に五〇年から五三年まで活躍したといったことも過去あるわけでございますので、思い切った、地方交付税改革のときに、大変算定が不透明と言われる大綱につきまして、第三者機関による算定、この点について再度大臣の御所見をお伺いして、質問を終わらせていただきます。
  43. 片山虎之助

    片山国務大臣 地方財政委員会というのは確かにありまして、あのころは地方財政平衡交付金と言われておったんですね。あのときは戦後間もなくでございまして、アメリカ式の行政委員会がいっぱいできたんですね。その中の一つで、内務省も解体されましたし、地方財政委員会というのができたんですが、アメリカは大統領制ですから、一元的に大統領に権力、権限が集中しているものですから、ああいう独立行政委員会をつくって権限を分けるんですね。日本は議院内閣制ですからね。  それから、地方交付税というのは不可分に国の政策、施策と結びついているんですね。地方にお金を与えるだけじゃないですよ。国のいろいろな施策の財政的裏打ちもするものですから、これは第三者機関では私はうまくいかないと思います。地方財政委員会時代にも地方財政担当の国務大臣はおったんですよ。だから、それは私は、今の地方交付税制度は算定を透明化して公平にしながら、やはり内閣の一員である総務大臣なら総務大臣が責任を持って算定する今のやり方の方がベターではないか、こういうふうに思っております。
  44. 武正公一

    武正委員 この第三者機関は、大臣とはいつもこうした議論を積み重ねておりますが、議院内閣制であっても、やはりどうしても与党と内閣、行政府、この癒着といったこともよく指摘をされるわけでございますし、また行政のさじかげん、これがいろいろなところで問題になるわけですので、準立法、準司法的なものは独立をさせようといったことでありますので、再度この点はお願いをして、質問とさせていただきます。どうもありがとうございました。
  45. 平林鴻三

    平林委員長 次に、黄川田徹君。
  46. 黄川田徹

    ○黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。  去る五月十七日、政府は、五月の月例経済報告で景気底入れ宣言を表明いたしました。内閣府が五月九日、三月の景気動向指数を発表し、景気の現状を示す一致指数が五六・三%と、一年三カ月ぶりに五〇%を超えたことなどを踏まえた表明と思いますけれども、設備投資の低迷や追加デフレ対策の必要性が強いなど、景気回復の実感はまだまだ抱ける状況ではないのではないでしょうか。六月下旬にカナダでのサミットを控える中、財政支出の追加や先行減税を牽制すべく、無理やり早目の底入れ宣言を行ったとしか考えられないわけであります。  また一方、去る四月二十六日でありますが、私の地元の東北最大手の総合建設会社が、民事再生法の適用を申請し経営破綻いたしました。それまでにも、大手製造業を中心に今まで地方に進出してきた工場、事業所が、産業の空洞化等によりましてリストラや生産合理化で次々に閉鎖されるなど、地方経済はますます深刻な状況に陥っております。政府の、景気が底入れし回復傾向に向かいつつあるなど、そういう認識でありますけれども、私は、これを認めるわけにはいかないわけであります。  さらに、五月十日の文部科学省の調査によりますと、今春卒業した高校生の三月末時点での就職内定率は八六・三%で、前年同期を二・九ポイントも下回り過去最低を記録するなど、雇用情勢も依然として回復の兆しが地方には特に見られないところであります。  そこで、質問であります。最初に、景気回復でありますけれども、これに関し、政府経済見通しと地方経済の実態とのずれ、乖離を感じるわけでありますけれども、大臣は、これをどのように認識しておりますでしょうか。そしてまた、大臣関係閣僚会議のメンバーとしてどのように主張されてきたのか、お尋ねいたしたいと思います。
  47. 片山虎之助

    片山国務大臣 今、黄川田委員指摘のように、五月の月例経済報告では、景気は依然厳しい状況にあるが底入れしている、こういう判断を示したことはもう言われるとおりでございまして、トータルで見ればやはり底入れかな、こういう感じでございますが、それじゃ、底入れしたからこれから上向くかどうか、これはなかなか難しいんですね。ずっと底入れのまま横ばいということもあります。我々はなだらかに上がっていくことを期待しておりますけれども、これは今後とも注意深く見守っていく必要があるのではないか、こう思っております。  また、地域経済動向によりましては、地域によって差がありますけれども、大変厳しい地域も確かにあるわけでありますが、下げどまりつつあるという地域もございまして、私は、この辺はばらつきがあるんじゃなかろうかと。  大変気になるのは、設備投資がよくありませんね。設備投資がよくないということは、やはり海外立地なんですね。国内経済というか国内の立地が空洞化しつつあるんですよ、私どもの方の地元のあれを見ましても。だから、これをどうやって国内で設備投資をしてもらう、立地をしてもらうということに持っていくかということが大変必要なんで、設備投資が帰ってきたときに、やはり比べてみると外国の方がいいよ、中国やその他の方がいいよ、こういうことなら、地域経済が活性化しませんね。  だから、どうやってそこで地域経済を活性化するかについて、いろいろ各省ともお考えでしょうが、私は、この前経済財政諮問会議では、電子自治体を今後やっていく、電子自治体をやっていくのに、できるだけ共同化して、それをアウトソーシングにして、そういう関連の企業地方に起こしたらどうだろうかと。それはかなりな需要になりますからね、いろいろな試算をやりましたけれども。  電子政府、電子自治体を二カ年でやる、こういうことでございますので、特に電子自治体につきましては、共同化してもらって、県で一つか二つか三つか、もうちょっと多くても共同でやってもらう。しかも、それはアウトソーシングで、できるだけ民間にやってもらう。民間でだめなところはもちろん行政側がやるんですけれども、それによって、そういう関連の業界を起こしていって地域経済活性化の一つのてこにしたらどうだろうか、こういうことをこの前も諮問会議で申し上げたわけであります。  あるいは、産学官の連携によるいろいろな技術開発、そういうことの先端的な技術を製品化する中小企業を起こしていくとか、今いろいろな議論がされておりますから、そういうことの中に私どもの総務省も積極的に参画して、地域経済の活性化のために努力してまいりたい、こう思っております。
  48. 黄川田徹

    ○黄川田委員 大臣のおっしゃるとおり、産学官の連携、地方でも一生懸命頑張っております。それから、電子政府等々、それらが地域に波及するようにということでありますけれども、いずれ、私は、現在の日本の最優先政治課題は経済の活性化であると思っております。経済の活性化がないと、どうも税財源の移譲にしても、いつも景気回復の後というような答弁でありますので、それを強く私は認識しております。  それではここで、本題の法人税における連結納税制度の創設に伴います地方法人課税の取り扱いについて伺います。  企業集団の一体的経営の傾向の強まり、あるいはまた企業組織の柔軟な再編成を可能にするために、商法等の見直しがこれまで進められておりまして、その中で、企業の環境の変化に対応する観点、あるいはまた国際競争力の維持向上に関する観点、そしてまた企業の経営形態に対する税制の中立性の観点から、我が国においても、連結納税制度導入する、こういうところになったわけであります。  しかしながら、この制度導入で、ようやく欧米企業と対等な立場で競争できるという環境が整ったわけでありますけれども、今回、付加税率二%を上乗せする仕組み、これは、税収の中立といいますか、それにこだわる例でありまして、目先の一時的税の減収があっても、将来の企業の発展によって大幅な税収増が期待される、こういうものでありまして、まさにまた、木を見て森を見ず、そういう感をぬぐえないものであります。  そこで、連結付加税の関係財務省関係でありましょうけれども、二年間の時限措置とされておりますけれども、二年後もなし崩し的に延長される、継続される心配がありますので、まず、片山大臣の所信をお尋ねいたします。
  49. 片山虎之助

    片山国務大臣 今、委員みずからお話しになりましたように、連結納税は法人税について行うものでございまして、私どもの所管じゃないんですね。私どもの方は、連結納税は遮断して単体の方でいこう、こういうことでございます。  ただ、税収その他を考えて、付加税の措置を二カ年間とるということを決めたと思います。これをその後どうするのか、ずっとやるのか、これはわかりませんが、二カ年の様子を見てお考えになることじゃないかと思いますし、付加税というからには、恒久的なということとはちょっと違うのかな、こういう感じがいたしますが、所管じゃございませんので、もうこれ以上の答弁は差し控えさせていただきます。
  50. 黄川田徹

    ○黄川田委員 いずれ、先ほど民主党さんからお話がありましたとおり、この付加税は、アクセルを踏みつつブレーキを踏んでいる、そういう感じがしておりまして、二年と言わず今年度からでも廃止すべきであるというふうに我が党も思っているわけであります。  さて、この連結納税制度でありますけれども、これは、企業グループをあたかも一つ法人であるかのようにとらえまして、法人税を課税するというような仕組みであります。一方、地方税は、法人住民税法人事業税法人二税については、いずれも単体法人納税単位とする、そういうことになっております。  そこで、連結納税を選択した法人に対する地方税の課税の仕組みでありますが、具体的にどのようになるのか、改めてお尋ねいたしたいと思います。
  51. 若松謙維

    若松大臣 連結納税制度地方税に関する制度でございますが、これは、あくまでも地域における受益負担関係に配慮した制度ということで、先ほど大臣も答弁いたしましたが、単体法人納税単位とするということで、いわゆる従来どおり、こういうことでございます。  そして、納税者と課税庁、双方の事務負担も十分に考慮に入れながら、できる限り簡素な仕組みになるように制度設計を行ってきたところでありまして、そのためにも、先ほどの国税のいわゆる連結制度とはある意味では遮断するような、そういった観点から、従来の単体法人納税単位とする制度を今でも維持して、それが活用できるようにしたところでございます。そういうことをぜひ御理解いただきたいと思います。
  52. 黄川田徹

    ○黄川田委員 いずれ、地方税は、法人税の連結決算の過程において連結グループ内の各法人に配分される個別帰属額、これを活用することになると思うわけでありますけれども、そうすると、法人税でこれら個別帰属額が的確に計算されなければ、地方税の公正な課税に支障が生じることにもなりかねないわけであります。連結納税は、親会社が連結グループ全体について申告納付する、こういうわけでありますけれども、この連結納税制度のもとで計算される個別帰属額が、地方税の課税のよりどころとなるわけであります。  そしてまた、副大臣お話しのとおり、そのために仕組みが複雑になるんだけれども混乱のないようにということでありますけれども、改めて、税額計算の仕組みについてどのような点が複雑になるのか、また、円滑な課税事務の執行のために、特に導入後現場での混乱を防ぐために講じた措置等があればお聞きしたいと思います。
  53. 瀧野欣彌

    瀧野政府参考人 今回の改正によりましてどのような課税事務になるのかという御質問でございます。  税額計算の仕組みにつきましては、例えば法人税におきましては、この連結制度のもとにおきましては、連結の中に持ち込める欠損金が制限されてくることになっております。そういったものが、地方税の場合には連結制度をとりませんので、制限がなくなるという意味では、欠損金の管理をきちんと地方税のレベルでしなきゃいけないという意味で複雑になる面があるというのが一つの例でございます。そういった、一つの例を今申し上げましたけれども、若干複雑になる面は否めないわけでございます。  しかしながら、御指摘もございましたように、課税標準を法人税の方で配分される額をとってきてできるだけ簡単にするとか、あるいは、各連結法人の子会社はそれぞれの税務署に対しまして個別帰属額等を記載した書類というものを提出することになっておるわけでございますけれども、そういったものを地方団体が課税庁として閲覧できるようにするとか、そういう手当てをいたして、全体として課税事務が円滑にいけるように手当てをしていきたいというふうに考えております。  いずれにいたしましても、新しい制度でございますので、地方団体にも十分周知してまいりたいというふうに考えております。
  54. 黄川田徹

    ○黄川田委員 次に、私、不案内でありますので、諸外国における状況について伺いたいと思います。  我が国の連結納税制度の創設に当たっては、既に連結納税制度を採用している諸外国の状況などを踏まえまして制度設計が進められてきたものと思っております。平成十二年七月に政府税制調査会が取りまとめた「わが国税制の現状と課題」、いわゆる中期答申においても、「アメリカにおいて導入されているような本格的な連結納税制度導入すべき」とされているように、本格的な連結納税制度を有するアメリカやフランスなどを参考にしたものと思っております。  そこで、地方税について連結納税はどのように行われているのか、そしてまた、これら諸外国における地方法人課税の状況について総務省にお尋ねいたしたいと思います。
  55. 若松謙維

    若松大臣 今の黄川田委員がお触れいただいたアメリカ並びにフランスのいわゆる本格的な連結納税制度ということでありますが、これはあくまでもいわゆる国税、連邦税という形での連結納税制度がございます。  ちょっと話は変わりますが、イギリスは、基本的に、あくまでもこの連結納税制度の目的は、やはり欠損の法人と利益の法人の相殺、それで欠損を利用するということが連結納税制度を利用する企業にとってのメリットがある、こういった観点から、イギリスなどでは、グループリリーフということで、連結しないけれども、欠損を持っている法人の損をある利益の法人と相殺できる、こんないろいろやり方があるわけでありますが、日本は、いずれにしても、アメリカ、フランス型のいわゆる本格的な連結納税制度を採用したということであります。  しかし、それでは地方税はどうなのかということでありますが、今申し上げましたように、イギリスのグループリリーフを採用しているところは、実際に、あそこは法人税国税のみでありまして、地方税はございません。  今言いましたアメリカ、フランスにつきましてでありますが、特にアメリカにつきましては、州によってかなりやり方がまちまちでありまして、全く連結納税を採用していない州、部分的に連結納税を認めている州等がございます。いろいろ混在しているのが現状でございます。  そして、フランスにおきましては、地方税連結納税制度はございません。そういうことで、フランスにおきましては、地方法人課税としては、いわゆる外形標準課税、職業税という言葉を使っておりますが、それが導入されておりまして、諸外国におきます地方法人課税の状況はかなりばらばら、そういう状況でございます。
  56. 黄川田徹

    ○黄川田委員 税の基本的な部分で異なりますから、それがそのまま地方税との関連ということはなかなかないということだと思います。  それでは、少し視点を変えまして、今、地方税においては、先ほども議論がありましたけれども、法人事業税への外形標準課税導入議論がクローズアップされております。議論のポイントは、税の負担の公平性の確保、七割の企業が税を払っていないであるとか、応益課税としての税の性格の明確化、あるいはまた地方分権を支える基幹税の安定化、経済の活性化、経済構造改革促進など、重要な意義を有するものと承知しております。  そこで、お尋ねいたしますけれども、今回の連結納税制度の創設に伴います地方法人課税に係る法改正に関しまして、今後予定されている法人事業税への外形標準課税導入は、いずれも地方行政サービスに対する応益課税の観点から方向性が合致しているものと考えますけれども、今回の法改正外形標準課税導入時にどのような影響を与えると想定されるのか、そしてまた、そのための対処をどのようにしていかなきゃならないのか、お聞きいたしたいと思います。
  57. 若松謙維

    若松大臣 今回の法改正外形標準課税導入時の影響でございますが、これも何度か申し上げさせていただきましたが、あくまでも今回の連結納税制度地方税には影響がない、こういうことでありまして、結果といたしまして、法人事業税への外形標準課税導入には特に影響は与えるものではございません。  外形標準課税につきましては、平成十五年度の税制改正にぜひ導入をしたいということで私どもも努力をしているところでありまして、現在、全国知事会や全国都道府県会議長会などと連携を図りながら、関係方面の理解が得られるように全力を尽くしているところでございます。
  58. 黄川田徹

    ○黄川田委員 外形標準課税につきましては、やはり景気がよくなることがあらゆる税の問題を考える上でどうも基本となるような感じがしまして、来年度から導入というような部分もいろいろあるようでありますので、この議論が活発になることを私も期待したいと思っております。  それでは次に、税制を語る際に重要な視点であります納税問題についてお尋ねいたしたいと思っております。  皆さん御案内のとおりでありますけれども、納税貯蓄組合という組織があります。一定の地域、職域等を単位といたしまして任意に組織された組合でありまして、組合員の納税資金の貯蓄のあっせん等に関する事務を行うことを目的とした組織であります。現在でも全国で三十万を超える組織があると聞いておりますけれども、社会経済情勢の変化もありまして、そしてまた、四、五年前ですか、地方公共団体の補助金支出について違憲判決が出るなどして、地方行政改革の動きもまた重なりまして、納税貯蓄組合に対する補助金が先細りになるなど、その数が減少傾向に転じていると耳にしております。  そこで、このような状況にあります納税貯蓄組合でありますけれども、この果たす役割について、改めて総務省の見解を求めておきたいと思います。
  59. 瀧野欣彌

    瀧野政府参考人 納税貯蓄組合についてのお尋ねでございます。  ただいま御指摘がございましたとおり、納税貯蓄組合は、昭和二十六年に納税貯蓄組合法ができておりますが、これに基づいてつくられておるものでございます。  その主な役割といたしましては、一つには、組合員の納税資金の貯蓄のあっせん、二つ目には、組合長が納期の都度組合員の税金を取りまとめて納税いたします取りまとめ納税、それから三つ目には、組合員の納付書などを一括して金融機関に送付いたします一括納税といったようなことを行ってきたわけでございますけれども、これも、ただいま御指摘がございましたけれども、最近の口座振替制度の進展とかプライバシーの問題がございまして次第に縮小傾向にあるという実態がございます。  そういう中で、最近はむしろ、納期内納付の推進などの納税思想の高揚とか税知識の普及、こういった方面にその活動の中心を移してきているという状況にございまして、税務行政に対します協力団体としての側面というものが強くなってきておるわけでございます。今後とも、課税庁といたしましては、そういった面での連携を図っていく必要があるというふうに考えておるところでございます。
  60. 黄川田徹

    ○黄川田委員 お話しのとおり、この納税貯蓄組合でありますけれども、四、五年前の裁判で、補助金の出し方といいますか、法による支出なのか、あるいはまた地方自治法の補助金が出せる部分を読んで出しているのかとさまざまありました。そしてまた、自治体の財政事情が厳しくなる中で、情報公開あるいは政策評価、補助金の適正化等々で支出額が個々の自治体で少なくなるという形の中で、少ない財政で大きな事業もなかなか、組合も仕事が大変になっている状況があると思います。  納税組合、過去にはそのとおり一定の役割を果たしまして、特に税の納付率の向上、これには大きな貢献をしておることと思っております。しかしながら、お話しのとおり、口座振替制度、それからプライバシーの問題ですか、そういう中で、その役割も変わってきておると思っております。  そしてまた、この納税組合でありますけれども、滞納対策としての存在意義もあるわけでありますけれども、組合の数の減少に伴いまして、自治体は滞納整理に重点的に取り組む必要性が高まってきておるわけであります。先ほど後藤委員からも質問がありまして、重複するところもありますけれども、改めて私からも質問したいと思います。  先日、日経新聞に、地方自治体地方税の滞納額の徴収に四苦八苦しているという記事が掲載されました。課税自主権の活用といっても限界があります。先般、大臣経済財政諮問会議税源の移譲案を提出されましたけれども、私は、大臣のこの意欲作に一定の評価をするわけでありますけれども、現実、すぐには国から地方への税源移譲もままならないという状況下でありまして、地方税の滞納額の累積が二兆三千億円にも達しているということであれば、自治体が、新たな課税よりも、課税した部分の滞納を減らそう、そういう努力が出てくるのは、これは当然のことと思っております。  そしてまた、地方の議会でも、高度成長の時代は歳出の議論、これが主体でありまして、なかなか、歳入というものは地方債とか交付税とかで来るものというふうなところがありまして、税の議論には真剣さが足りなかったのではないかとも私は思っております。そしてまた、こういう滞納に対する徴税努力は、地方公務員の意識改革にもつながるのではないかと思っております。  そこで、先ほども答弁していただきましたけれども、地方税の滞納額の推移といいますか、今二兆三千億円なんでありますけれども、これが縮小になっているのか、それとも年々ふえているのか、その点も改めてお聞きいたします。それから、具体的事例として先進的な滞納対策をお聞きしましたけれども、こういう厳しい中で、全国で滞納対策はどういうことをやっているのか、そういう調査みたいなものは自治体で把握しているんでしょうか、これらもあわせてお聞きいたしたいと思います。
  61. 瀧野欣彌

    瀧野政府参考人 地方税の滞納対策についてのお尋ねでございます。  先ほども御答弁申し上げましたけれども、平成十二年度、地方税の滞納額は二兆三千億円強というオーダーでございますが、これをずっとさかのぼって見てみますと、平成八年度におきまして二兆二千億強というような状況でございましたので、若干増加している傾向にあるということでございます。  こういった中で、地方団体それぞれ、滞納整理にいろいろな取り組みをしておるわけでございます。統一的な調査は私どもしておりませんけれども、御案内のとおり、一部事務組合方式でこれを共同でやるとか、あるいは、先ほど申し上げましたように、県と市町村がお互いに併任職員となって滞納整理に取りかかるというような先進的な事例が見えてございます。  また、全国の四十七都道府県なり十二政令指定都市の税務主管の部局長さんで構成いたします全国地方税務協議会というものがございますけれども、こういったところにおきましても、徴収の関係の研修に鋭意努力をいたしまして、毎年三百人程度の研修を行うというようなことで取り組みをしておるところでございます。  我々といたしましては、こういったような取り組みあるいは先進的な状況、こういったものを十分地方公共団体に周知いたしまして、適切に取り組んでいただくようにしてまいりたいというふうに考えております。
  62. 黄川田徹

    ○黄川田委員 お話しのとおり、国税の滞納額の方は減少傾向にあるようでありまして、それと対照的に、何か地方税の滞納が増加しているのではないかと思っております。特に、バブルがはじけた中での固定資産税等々の滞納等があるのかな、こう理解しております。  滞納というものは、どちらかといいますと、前の引きずりといいますか、過年度分が多いわけでありまして、新しい滞納者を出さないこと、現年度分の対応が最も大事だと思っております。地方税の徴収の現場、県あるいは市町村の税務担当課では、少ない人数で一生懸命やらなきゃいけないということでありますし、そしてまた、歳入の確保ということで、これに一生懸命汗をかかなきゃいけないということになっておりますので、今後とも総務省の御指導をよろしくお願いいたしまして、時間でありますので終わります。  ありがとうございます。
  63. 平林鴻三

    平林委員長 次に、春名直章君。
  64. 春名直章

    春名委員 日本共産党の春名直章です。  今回の法案は、法人税連結納税制度導入されることに伴って、その承認を受けた法人に課する法人事業税及び法人住民税について、これまでどおり単体法人納税単位とするための改正ということになっていると思います。連結納税の地方税への影響を遮断するという法案だと思います。  私どもは、大企業優遇でリストラ支援連結納税制度そのものに強く反対しております。したがって、その影響を遮断するものである本法案に反対する理由がないということを、まず最初に申し上げておきたいと思います。  その上で、きょうは、法人事業税への外形標準課税導入問題に絞って、この面についてのみ聞きます。来年、地方税改正の重要な議論になる可能性がありますので、その前段として、幾つか事実あるいは認識をお聞きしていきたいと思います。  まず、この議論の前提として確認したいことは、この間、法人事業税は、一二%から一一%、そして現在の九・六%にまで下げられてきました。国税法人税との合計で四〇%という水準に下がってきたわけです。安定的に法人事業税収が入るようにというのが外形標準課税導入の目的とお聞きしておりますが、税収落ち込みの原因は、景気の悪化だけではなくて、政府がやってきたこの税率引き下げという、政策的に実施してきたもの自身も大きな影響があると私は思います。  まず、この点はどう認識をされているのかをお尋ねしておきたいと思います。
  65. 若松謙維

    若松大臣 今、春名委員から、平成十年度、十一年度におきます法人事業税の基本税率の改正等を御紹介いただきました。  結局、御存じのように、今、企業だけではなくて、国も含んで、いわゆるグローバルコンペティションということで、大変競争環境が厳しくなっている、こういう状況で、いわゆる法人税率の引き下げも一つの大きなトレンドになっていると私は認識しております。  こういった状況を踏まえまして、我が国の企業が国際社会の中でも十分に競争力が発揮できるように行われたものと認識しておりまして、当然、そういった面での減収要素はあろうかと思います。  しかし、御存じのように、景気関係もありますので、日本の企業が頑張っていただいて、そして利益を上げるということでのいわゆる増収効果も期待できる、そのように考えております。
  66. 春名直章

    春名委員 国際的に法人税の水準が高過ぎるという議論はくみすることができなくて、そんなことはないという研究も随分たくさんありますので、そのことを議論するとまたたくさん時間がかかりますので、きょうはやりませんが、ただ、私は、これをもとに、前の税率に戻すというようなことも含めて検討すべきだということだけは主張しておきたいと思います。  次に、現在、資本金一千万円未満の企業数、それから欠損法人数、これはどれぐらいございますか。
  67. 瀧野欣彌

    瀧野政府参考人 平成十一年度の道府県の課税状況に関する調べというものがございますが、これによりますと、今回、外形標準課税の対象となります法人のうち、資本金一千万円未満の法人数は約百三十万社、そのうち欠損法人数は約九十七万社という状況でございます。
  68. 春名直章

    春名委員 昨年十一月にお出しになった総務省案は、旧自治省案を手直しする形で導入されているんですが、この総務省案でも、それから旧自治省案でも同様に、「小規模法人への配慮」という項目で、資本金一千万円未満の法人には、付加価値割額及び資本割の合計額にかえて、定額年四万八千円、簡易外形税額というふうにおっしゃるんですか、簡易外形税額、これを選択できるようにしたと言っておられます。  これは、逆に言えば、今まで赤字で税を払えなかった法人に、確実に四万八千円は法人事業税をいただきましょうという仕組みを導入するということだと思います。この欠損法人九十七万社で、どの程度の増税になるのか。自治体にとっては増収と言った方がいいのかもしれませんが。この点をお答えいただきたいと思います。
  69. 瀧野欣彌

    瀧野政府参考人 昨年発表いたしました総務省外形標準課税案は、大きな枠組みといたしまして、税収中立という中で制度を構築しておるわけでございます。  そういう大きな枠組みの中で、資本金一千万円未満の法人につきましては、ただいま御指摘がございましたが、付加価値割額なり資本割額にかえまして、簡易外形税額として年四万八千円という税額を選択できるという仕組みとしております。  したがいまして、相当数の法人はこの簡易外形税額というものを選択するというふうにも思われるわけでございますけれども、一方、単年度の欠損の大きい法人は付加価値割なり資本割によります税額を選択するということも考えられるわけでございまして、そういう選択制のもとにございますものですから、欠損法人全体で税負担状況がどれぐらいになるか、現段階ではなかなか把握できないという状況でございます。
  70. 春名直章

    春名委員 先ほど税収中立とおっしゃったので、もう一回お聞かせいただきたいんですが、これは基本的には増減税同額になる、そういう趣旨ですか。
  71. 瀧野欣彌

    瀧野政府参考人 全体の法人税収につきまして、税収が増減税同じ額になるということとともに、一億円以上の法人なり、あるいは一億円以下の法人、それぞれのグループにつきましても税収中立を目指して制度設計をしているということでございます。
  72. 春名直章

    春名委員 済みません。一億円以上のブロック、一億円以下のブロック、それぞれのブロックごとに増減税同額にする、そういう仕組みを導入しているんですか、これは。もう一回、確認
  73. 瀧野欣彌

    瀧野政府参考人 全体として税収中立であるとともに、大法人負担が中小法人の方に振りかえられるのではないかというような懸念が一部で示されていることもございまして、資本金で一応グループ分けをいたしまして、その中での中立を目指して税率設定等の仕組みをつくっていくということにしておるところでございます。
  74. 春名直章

    春名委員 そうしたら、もう一度、ちょっと突っ込んで聞きますが、先ほど、確実に増税になるのは九十七万社の欠損法人なんですね。つまり、選択制でどちらを選択したとしても、今は赤字で払えないわけですので、それが全部四万八千円、限度額を払うという仕組みになりますので、その部分は増税になるわけですね。それを大体、九十七万社すべてが四万八千円払うとなりますと、機械的にやったら恐らく四百七十億、六十億ぐらいということになる。  そして、増減税は全体として同額であるということになりますので、そうしますと、どの部分法人税が減額になるのか。どういう部類の部分がこの四百七十億円、減税の部分になってくるのか、その辺をちょっと教えていただきたいと思います。
  75. 瀧野欣彌

    瀧野政府参考人 それぞれのグループの中では、当然、赤字法人もあれば、黒字法人もあるわけでございますので、その従来赤字であった部分だけ取り出してどうだこうだということではなくて、全体として、大きな枠組みといたしまして、資本金で一応のめどを立てて、その中で税収中立ということを考えていきたいということでございます。  ただ、それぞれの税収というのは、そのときそのときで当然変動いたすものでございますので、ある程度の枠組みの中で考えていかざるを得ないということも事実でございます。
  76. 春名直章

    春名委員 妙によくわからないんですが、もう一回聞きます。  先ほど、一億円以下と一億円以上というブロックと言ったんですが、私は、一千万円以下と一千万円以上というブロックでちょっと考えてほしいんです。利益法人の三十三万社ですね。一千万円以下のうちの企業の中で、三十三万社がある。九十七万社は欠損法人で、これから増税になる。では、この一千万円以下の中での利益法人の三十三万社のうちで、現行よりも減税になるのは数的にはどの程度あって、それはどれほどの額になるのか。これ、わかればお答えください。
  77. 瀧野欣彌

    瀧野政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、一千万円以下の欠損法人が九十七万社ということでございますけれども、そういった中身につきまして、どういった課税選択をするか、まだわからないわけでございますし、実際、どういうふうな欠損状況であるかもわからないわけでございますので、中身については把握していないということでございます。
  78. 春名直章

    春名委員 それがよくわからないんですよね。  要するに、資本割と付加価値割のその部分が四万八千円より多かった場合は、四万八千円を全員選択すると思うんですよ。ということは、四万八千円が最低全部かかってくるということになるのと違うんですか、欠損法人でいえば。利益法人の場合は、それがうまくそういうふうに結びつくかどうかわかりませんけれども。  議論を聞いていて、少なくとも零細業者の方々には、全体としてはほとんど増税ということにならざるを得ないというものだろうと思います。そのことは、公平、中立にこの税金を導入して実施するという趣旨からいっても、払っていない方が間違っているという角度から導入されるわけなので、そうならざるを得ないということは、今の議論でもはっきりしたと思います。  さて、改革案のポイントなんですけれども、このポイントを見させていただいて、こう書いてあるんですよ。「本来、付加価値を基準とする旧自治省案が理論的に優れていると考えられる」と。皆さんがおつくりになった、付加価値を基準とする旧自治省案が理論的にすぐれているということを書いてある。が、手直しをするというふうになっているんですね。  すぐれていると考えているのなら、何で手直しをする必要があるのかがよくわからないんです。その点を御説明いただきたいと思います。
  79. 瀧野欣彌

    瀧野政府参考人 平成十二年度に発表されました旧自治省案は、事業活動価値という名前でございますけれども、一般的には講学上付加価値と言われておりますけれども、それぞれの法人がどういった規模で活動しているかということをとらえる指標として付加価値をとらえるのがよろしいということで、これを外形基準にしておったわけでございます。そういったことにつきましては、政府税調におきましても、課税ベースが広く安定的であるというような点もとらえまして、外形基準としてふさわしいのではないかということが指摘されておったものでございます。  しかしながら、こういったことにつきましては、その付加価値の七割程度が賃金、人件費であるというようなこともございまして、賃金課税ではないか等いろいろな意見が出てまいったわけでございます。そこで、我々といたしましては、そのことが直ちに我々としては賃金課税であるということを認めたということではございませんけれども、そういういろいろな御批判も踏まえまして、付加価値の割合を引き下げまして、一部資本等の金額を補完的に併用するという形に改めていきたいということを去年の総務省案でお示ししたものでございまして、理論的な問題と、実際にそれを制度化していくという場合に、理論的な問題は問題といたしまして、どういったものが現実の制度としてふさわしいかということを考えながら改革案を出してきているということでございます。
  80. 春名直章

    春名委員 賃金課税という批判は当たらない。そういう懸念があるので、その部分比率を下げる、それで見直しをやる。一方、担税力ということでいえば、そういう意見もあるので資本割を導入するということで、両方の批判をかわすというのですか、意見をかわすという趣旨かなと今思ったんですが、本当はこの旧自治省案が最もすばらしいんだと。  ですから、率直に聞きますが、賃金課税という批判は間違っているけれども、このまま突っ張っておれば制度そのものが導入できなくなってしまうから、賃金部分を減らして若干手直しをやった、まず導入することが大事だ、こういう認識でこの提案をされているということなんでしょうか。
  81. 瀧野欣彌

    瀧野政府参考人 外形課税を導入する場合の一つの問題といたしまして、地方公共団体のサービスに対します負担を求めるという中で、担税力との関係をどういうふうに考えていくかということは常にあるわけでございます。赤字法人の場合に、その納税資金をどこから持ってくるかということはやはり課題としてあろうかと思います。そういう中で、外形標準としては、付加価値が理論的にはすぐれているものの、ある程度担税力というものも加味する必要があるだろうということを我々も考えるところがございまして、そういった両方の考えの中から、外形的な基準とともに担税力の状況もある程度加味できるものとして資本等の金額というものが考えられるわけでございます。  政府税調におきましても、理論的な検討をする中で、外形課税を採用する場合には事業活動価値が非常に適しているけれども、資本等の金額というものも一つ考え方であるというふうに答申がされておるということもございまして、そういう状況を総合的に勘案いたしまして、この資本等の金額も、三分の一でございますけれども、加味をするという案にさせていただいておるところでございます。
  82. 春名直章

    春名委員 ちょっと戻りますが、賃金課税について少し聞いておきます。今度は付加価値額を二にし、資本割を一入れて、付加価値額の比率が下がりましたので、付加価値額の大多数が賃金、給与ということですので、全体の比率は低くなるという手直しをされているわけなんですけれども、依然この付加価値額の中の七割から八割は給与であり、賃金ですね。したがって、この案が出されたときに、経団連などの経済団体からも、そういう手直しはあるけれども本質的には賃金課税という角度は変わらないんじゃないかというような問題提起をされていますね。この点についてはどうお考えなんでしょうか。
  83. 瀧野欣彌

    瀧野政府参考人 御指摘のように、付加価値額の約七割ぐらいが人件費部分でございまして、当初の旧自治省案におきましては、外形基準を半分程度導入いたしますので、全体の課税標準の三割強が人件費部分ではないかという議論がございました。今回、付加価値の割合を三分の二にいたしまして資本等の基準を入れますと、全体として二割程度になるわけでございます。  しかしながら、もともとこの付加価値額といいますものは、給与のほかに、資金を貸した方への分配でございます純支払い利子、それから土地などを貸した者に対する分配でございます純支払い賃借料、この三要素に単年度損益を合算したものでございまして、例えば人件費の額を縮小いたしますと、その部分単年度損益の方に影響してくるという形で、それぞれが有機的な関連といいますか、一体のものとして存在しているわけでございまして、一つ部分のみをとって人件費に課税しているというような批判というものは当たらないというふうに基本的に考えておるわけでございます。  そういう基本的な考え方もございますけれども、見かけ上賃金部分が非常に大きいということもございますので、今回、資本等の金額を入れますと、全体の課税標準に対します賃金の部分の割合というのは二割前後にまで下がってくるわけでございまして、経済界等におきましては、それでもなおいろいろな意味で批判がございますけれども、我々といたしましては、もともとの付加価値額の考え方もあわせ御説明する中で、賃金課税というような批判についてはこの付加価値の制度の中では当たらないものだということについて御理解いただけるのではないかというふうに考えておるところでございます。
  84. 春名直章

    春名委員 それでは、ちょっと大臣、今の議論も聞いていただいた上で、少し御認識をお聞かせいただきたいんですが、総務省は、付加価値を基準とする旧自治省案が理論的にすぐれているというふうに認識をされている。しかし、なかなかいろいろ意見もあるのでということで今日のような案になっているわけですが、そうしますと、基本的には課税標準のすべてを外形標準にしてしまうということがベストじゃないかというふうにお考えになっているのか。そうお考えになっているのであれば、今回の案でも課税標準の半分に所得を残していますね、それはどういうふうに整合性があるのか、なぜそういう制度にしたのか。そのあたりを、これは骨格にかかわる考え方なので、大臣に御認識をお聞かせいただきたい。
  85. 片山虎之助

    片山国務大臣 この外形標準課税というのは、昔から、シャウプ税制からずっと、ある意味では常に地方税関係者が言い続けてきたことでございますが、同時に大変抵抗があるんですね。特にこの昨今の議論は、やはり付加価値は人件費という形をとる、そうなると、こんなに雇用不安が大変なときに人件費課税をやるのか、雇用不安をさらに助長するのか、こういう批判があるんですね。しかし、付加価値というのはそういうことですという説明をしましても、なかなかそこが御理解いただけないので、それじゃ併用にしましょう、所得も課税標準で残して、それから付加価値も入れましょう、こういうことでやってきましたら、それでもやはりという意見、反対があるんですよ。  そこで、それじゃほかに、付加価値的な、近いものは何かというので資本割というのを入れたわけでありまして、私は、外形標準としては、それは外形標準でやる方がすっきりするんです、例えば電気、ガスや何かみたいに。すっきりはしますけれども、しかし、税というのは皆さんに納得してもらわないと導入できないわけでありますから、そこで併用ということもあり得るな、こういうことで、人件費の比率は前よりは、三分の一ですね、トータルで、二対一にしますと。所得が二分の一で、人件費関係が三分の一で、資本関係は六分の一、こういうことになるんだろうと思いますけれども。  こういう形でやらせていただいて、また状況を見ながら、皆さんの御意見を聞きながら、なお検討していく、こういうことではないかと思いますし、去年の案は去年の案としてやむを得ないのではないか、こう考えておりまして、なお、この案を一つのたたき台にしながら、さらに改良や工夫を加えることができるかどうか、関係のところと今十分協議するように税務局長たちにはお願いしております。
  86. 春名直章

    春名委員 まあ、すっきりするんだというふうに率直に御発言されているんですけれども、そうすると、やはりこういうことになりますか。  例えば、一九六八年の税制調査会の答申で、課税標準を所得と付加価値とで併用して、経過措置の中で順次付加価値のウエートを高めていくという方向が検討されてきたというのを認識しております。そのときの、六八年の税調答申のときには、全体として、事業税税収導入の前と後では同じ程度にするということも前提だったんですね。  そうしますと、今回の案も税収中立ということになっていてこれも同じだということで、つまり今までのお二人のお話を聞いていきますと、まず導入をしておいて、見直し。いろいろ意見もあるのでそれを加味して納得できるものにしておいて、その後は、順次外形標準のウエートは基本的には引き上げていくということを目指したいという御認識なのかどうか、その辺をどう考えておられるか。
  87. 片山虎之助

    片山国務大臣 税は法定主義ですから、国会の御承認をいただかなきゃいけません。だから、もしこういう形での導入をお認めいただいたら、その後は税を導入した後にまたいろいろな御意見を聞きながら考えていく、こういうことでございまして、今、その案は順次高めるんだとかこういうふうに直しますということを、今ここで将来のあれまで申し上げる段階ではないと。  まず今の、我々が去年の案をもとに、来年度税制改正で、関係方面の御理解を得るような努力をしてどういう案をまとめるか、なお考えてまいりたいと思いますし、それから、それが仮に法定化された場合にその後どうするかも、状況を見ながら、御意見を承りながら、こういうことになると思います。
  88. 春名直章

    春名委員 私が言っているような方向を検討しないと、ちょっとおかしなことになるんですね、それは僕は逆説的に言っているんですけれども。  それは、例えば税率の算定として、八九年から九八年までの十年間の平均税額を根拠にして、基本的にはその間の事業税収入と同じだけの税額が納入されるように設定されているということになっているわけですね。しかし、この十年間は、皆さん御承知のとおり、東京や神奈川や大阪や愛知といった、これまで税収が比較的豊かであった大都市部の都府県赤字に転落するかどうかというのが大きな話題になっていた時期でもありますね。最も危機と言われた年の一つが九八年ですけれども、その年の法人事業税収入全国で四兆二千億円。仮に今回の総務省案が導入されても、税収は四兆円程度になると。  つまり、この制度導入されても都道府県財政の危機的状況は続くということになるわけです。地方財政の、都道府県財政を安定化させるというのが外形標準課税導入する最も大きな理由ではなかったかと思うんですが、この今の制度をそのまま維持しても、導入しても、危機的状況が続くということになれば、何のために導入するのかということになるんじゃないかという率直な意見を私は持つわけです。  それから、有名な学者さんの論文を幾つか読んでみますと、外形標準課税導入したら、大都市部の自治体の方が税収がむしろ減少して、地方圏の自治体の方が少しふえるかな、こういうシミュレーションの方が多いんですね。これは意外だったなと私も思って勉強してみたんですけれども。  そういうふうになりますと、私は、率直に、逆説的な質問で悪いんですけれども、要するに、一たん導入しておいて、その付加価値の部分だとかそういう部分をウエートを高めていくということをやらないと、意味がないと言ったらいいんですか、それをせいという意味じゃないんですよ、私は。そういう立場には立っていないんですけれども、皆さん方の認識からいったってそういう方向にすることが、必然というんですか、そうしなければならないというように思うんですけれども、その点はどうお考えなんでしょう。
  89. 片山虎之助

    片山国務大臣 我々は、地方税は応益課税だ、こう言っていますね、応益性に着目していると。そういう点からいうと、やはり外形標準のウエートが大きくなっていく方が税は安定しますね。それは、応益という観点からはそれが公平なんですよ。そういうふうに我々は考えておりますけれども、何度も言いますけれども、税というのは、やはり関係の人がある程度納得をいただいて、国会でお決めいただくんですから、そういう意味では御理解をいただかなきゃならぬということで我々はスタートいたしたい、こう思っておりますし、それから、都道府県別がどうなるかというのは、これは分割基準になりますね、大法人は。この辺の分割基準をどう考えるかということもこれからの一つの課題だ、こういうふうに思っております。
  90. 春名直章

    春名委員 今大臣最後に言われた点を局長の方にもう少し聞いておきたいと思うんですが、大都市部で税収が減るんじゃないかというシミュレーションがある。地方自治体税収はふえるということになるのかどうか。どういう姿を想定されているのか。  いただいた資料の中では、段階的な導入ということの欄の中で、平成二十年までかけて導入するとしているんですけれども、平成十八年までは経済回復の動きが続いて、十八年以降は平均実質成長率が三%程度という前提を置いておられる。もちろん、この三%は、税収のはね返りということは計算外だというふうに言っておられますけれども、しかし、そういう想定がされるとなると、現在の法人事業税の形態でも自治体への税収はかなりふえるということになるんじゃないかと思います。  要するに、この案を導入することによって大都市部はどうなる、地方部はどうなる、どういう見通しや展望を持って試算しておられるのか。概略でも結構ですから、説明願いたいと思います。
  91. 瀧野欣彌

    瀧野政府参考人 外形標準課税導入によりましてどういうふうに税収が帰属していくかというお尋ねでございますけれども、これは、それぞれの地域におきます企業の収益性がどういうふうな状況になっているか、あるいは欠損法人の分布なり態様がどういうことであるかというようなことで随分変わってくるのではないかと思います。  また、先ほど大臣も申し上げましたとおり、全国で展開している法人につきましては、全体の租税額をそれぞれの地方公共団体に分割して帰属させるという必要が生じるわけでございますけれども、この分割基準は業態によって、業種によって随分違うものが採用されております。例えば、軌道業でございますと軌道の延長であるとか、あるいは銀行業でありますと事務所の数とか従業員数とか、それぞれ地方公共団体のサービスとの関連で適切な分割基準が設定されておるわけでございまして、実際にそれぞれの団体ごとの税収の推計ということについては、それぞれの数値を正確に把握してやる必要があるわけでございますけれども、現在のところ、そういったものの把握はできていないところでございます。  いずれにいたしましても、この改革は、事業税収の安定化を図りまして、年度間によりまして税収が大きく変動することのないようにする、そのことによって地方公共団体もある程度中期的な見通しの中で財政運営ができるようになる、こういうことをねらっているわけでございまして、この改革によりまして税収を現在以上に確保し、財政危機を乗り越えるというような目的のものではないということでございます。
  92. 春名直章

    春名委員 時間が来ましたので、一言だけ言って終わります。  今のお話の中で、小さな企業、業者には確実に負担が広がるということがわかりました。それから、議論を通じて、小さく産んで大きく育てるというニュアンスも結構あるなというのもわかりました。税というのは、応益負担の話もありますが、基本的には応能原則でございますので、それが崩れていくということにもなりかねないと思います。今後とも、慎重な審議をやりたいと思います。  以上で終わります。
  93. 平林鴻三

    平林委員長 次に、重野安正君。
  94. 重野安正

    ○重野委員 私は、社会民主党・市民連合を代表しまして、議題となっております地方税法の一部を改正する法律案につきまして、基本的な問題を中心に幾つか質問をしたいと思います。  まず、改正法の内容に入る前に、経済財政諮問会議における地方税財政に関して質問をいたします。  同会議には、既に総務大臣試案並びに財務大臣の資料が提起され、両者とも、自治体税源を移譲する必要性においては一致しているように見受けられるわけでありますが、財務大臣の資料は、必ずしもそうではないように思います。実際には実質否定、あるいは問題先送りとも言える考え方が読み取れるわけでございます。  そこで聞きますが、一九九八年五月二十九日に、政府地方分権推進計画を閣議決定しました。その中で、国庫補助負担金の整理合理化の基本的考え方確認しております。これについて、財務省も当然、実行義務を負っていると私は考えるんですが、財務省考え方、この際、確認しておきたいと思います。     〔委員長退席、稲葉委員長代理着席〕
  95. 石井道遠

    石井政府参考人 お答え申し上げます。  今先生御指摘ございましたとおり、地方分権推進計画、平成十年に閣議決定をされております。その中で書かれておりますことは、「地方税の充実確保」という項目の中で、中長期的に、国と地方税源配分のあり方についても検討しながら、地方税の充実確保を図る。これらの検討とあわせて、地方税地方交付税等とのあり方についても検討を加える。このような考え方に立って地方税の充実確保を図っていく必要があるということが記述されております。  先般、塩川大臣の提出資料におきましても、国と地方税源配分の見直しそのものを困難だと申し上げておるわけではございませんで、受け皿整備ですとか、国と地方の役割分担の見直しなどを前提といたしまして、地方交付税制度の抜本的な改革と同時進行で総合的にこれを進めることが必要ではないかという趣旨を申し上げておるものでございまして、これまでの方針と、その点で違ったものではないのではないかというふうに考えております。
  96. 重野安正

    ○重野委員 総務大臣経済財政諮問会議における試案、この内容は、この閣議決定を踏まえた一つの重要な試案と私は受けとめます。  これに対し、財務大臣提出資料において、「国庫補助負担金見直し及び地方への義務付けの縮減に取り組むことが必要。」と言いながら、税源配分については、「地方交付税制度の抜本的な改革と同時進行で総合的に進めることが必要。」今述べられましたけれども、ここのところが、一体どういうことを言っておるのかという点について、私、ちょっと理解できない部分があるわけでございます。  建前では国庫補助負担金見直しと言いながら、他方では、地方交付税制度の抜本見直しとセットだと言う。これでは、先ほど指摘した閣議決定の内容を事実上ほごにするような、あるいはその内容を有名無実化する、そういう内容ではないかと私は受けとめるんですが、再度見解をお聞かせください。
  97. 石井道遠

    石井政府参考人 お答え申し上げます。  先ほど、地方分権推進計画との関係は申し上げましたが、先生も御承知のとおり、昨年六月に、その後同じく閣議決定されております、いわゆる骨太方針というものがございます。  その中で、「地方税の充実確保」という項目がございまして、触れておりますことは、「国庫補助負担金の整理合理化や地方交付税のあり方の見直しとともに、税源移譲を含め国と地方税源配分について根本から見直しそのあり方を検討する。」というような記述がなされておるところでございまして、先ほど申しましたが、私どもも、全体として、一体として、総合的な改革を進めることが必要ではないかという基本的な考え方をとっておるところでございます。     〔稲葉委員長代理退席、委員長着席〕
  98. 重野安正

    ○重野委員 話を進めます。  関連をしまして、中央の事務事業に対する自治体負担分を基準財政需要額に算入するということは、まさに地方交付税に課せられた役割であります。そうした財源保障機能が制度的に求められているからこそ、毎年、地方財政の財源不足額に対し、地方交付税は必要財源の借り入れを行い、あるいは自治体みずから、起債による財源補てんを余儀なくされているというのが実態であり、そのことについては財務省も百も承知していると思うんですね。  そうであれば、地方交付税は、中央、地方の財政関係の中でいわば出口ベースの問題である、そのことを十分承知しながら、入り口ベースの問題である税源配分問題とワンセット化するということは、これは冒頭に申し上げました閣議決定の意図とは若干違うんではないか、このように思わなければならない。  このワンセット化と財務省の国庫補助負担金に対する予算査定権をダブらせるならば、国庫補助負担金見直しは、もちろん税源配分も実態的にはだめだ、そういうふうに言っていることと同じと言われても仕方がないのではないか。こういう言い方が的外れなのか、財務省の見解をお聞かせください。
  99. 牧野治郎

    牧野政府参考人 お答えいたします。  まず、国庫補助負担金見直しに、財務省がどういう立場で取り組むかということでございます。  我々は、まず、国、地方を通じた歳出の整理合理化を進めていって、国、地方を通じて行政のスリム化を図っていくということが一番重要ではないかというように考えております。そういう意味で、国の補助負担金の整理が、直ちに、財源を地方に渡すという問題には結びつかないんではないかというように考えているところでございます。  それと、先ほど石井審議官の方から申し上げましたが、先生、地方分権計画の閣議決定を引かれるわけでございますが、その後、先ほども申し上げました骨太の方針というものがやはり閣議決定されまして、繰り返しになりますが、こういう「国庫補助負担金の整理合理化や地方交付税のあり方の見直しとともに、税源移譲を含め国と地方税源配分について根本から見直しそのあり方を検討する。」というように定められておりまして、我々は、この方針に従って進めてまいりたいというように考えております。
  100. 重野安正

    ○重野委員 それでは、重ねて聞きます。  経済財政諮問会議において、いわゆる地方交付税が随分論議の的になったというふうに聞いております。これは一体どういうふうに考えて、あるいはどういうふうに見ているのかということと、総理も税源配分が必要と明言しているわけでありまして、財務大臣も、こんな資料を出すことはやめて、分権化に不可欠な税源配分についての手法と具体的改革内容について、地方自治の所管省と具体議論に着手すべきである、こういうふうに思うんですが、この点について、財務省、見解をお聞かせください。
  101. 牧野治郎

    牧野政府参考人 先ほどの答弁とちょっと繰り返しになってしまうかもしれませんので、そこは恐縮なんでございますが、やはり国の補助金の整理合理化をやっていくということ、それから地方交付税のあり方の見直しをしていくということ、そして、税源移譲を含めて国と地方税源配分について根本から見直してそのあり方を検討するという閣議決定が昨年の六月にされておりまして、我々としましては、やはりその方針に従って、単に税源の移譲をどうするかという問題だけではなくて、今申し上げましたような三つの問題を、それぞれその関連を考えながら、どうやって地方が自立した活動ができるかということを考えていくべきではないかというように考えております。
  102. 重野安正

    ○重野委員 ちょっと確認しますけれども、一番最初に言いました地方分権推進計画閣議決定、この内容と、今あなた方が強調する内容というのは、そんなに対立をする内容なんですか。
  103. 石井道遠

    石井政府参考人 先生が今御指摘されました平成十年の地方分権推進計画、この基本的考え方と、先ほど来申し上げております骨太方針、あるいは塩川財務大臣が御提出申し上げました資料、基本的な考え方はそう大きな違いはないのではないかと思っておる次第でございます。  何度も申し上げて恐縮でございますけれども、地方分権推進計画、先生御指摘になられましたものの中でも、国と地方税源配分のあり方について検討しながら地方税の充実確保を図るという記述がございますが、それとあわせまして、これらの検討とあわせて、地方税地方交付税等のあり方についても検討を加える、このような考え方に立って地方税の充実確保を図っていくという趣旨が述べられておりますので、基本的には同じような趣旨が書いてあるのではないかというふうに理解をいたしております。
  104. 重野安正

    ○重野委員 今後その問題はまた議論をする場をつくっていきたいと思うんですが、次に、今具体的に出されていますこの改正案の内容について、話を進めていきたいと思います。  企業の国際競争力の維持強化、これが今回の法人税法改正の理由とされている。その背景には経済界の税負担軽減要求があることは明らかでありまして、そこでまず伺いますが、二〇〇〇年度時点での全法人、二百五十三万六千九百社と聞いておりますが、そのうち利益法人は約八十万社にすぎない。財務省は連結納税による減収見込み額を平年度約七千九百八十億円と試算しておりますが、この七千九百八十億円という試算の根拠はどういうところにあるのでしょうか、財務省説明をしていただきたいと思います。
  105. 石井道遠

    石井政府参考人 お答え申し上げます。  今先生御指摘になられましたとおり、連結納税制度導入に伴いまして、これは黒字会社と赤字会社の所得を合算して単一の納税単位として課税するものでございますので、制度上、必然的に減収が生ずるわけでございます。この税収減の算定でございます。  私どもは、平年度ベースで約八千億円、正確には七千九百八十億円と申しておりますけれども、その算定根拠は、昨年夏に上場会社及び店頭登録会社等に、これは四千七百六十五社に対しましてアンケート調査を行いました。三千百十一社から回答を得ておりますけれども、その得ました結果をもとに、黒字赤字を親子間で通算いたしますと納税額が減少する企業グループについては、そのすべてが連結納税を採用するであろうという一定の仮定を置いて機械的に計算いたしましたところ、七千九百八十億円の減収に平年度ベースではなるのではないかという結果を得たところでございます。
  106. 重野安正

    ○重野委員 非常に機械的で、申しわけないんですが、説得力に乏しいなというふうな感じがいたします。これでこの制度の価値判断のデータとするということについては、不十分ではないかと私は思うんです。  経済界は、連結納税による税負担の軽減は非常にいいんだ、しかし、付加税は困ると。私に言わせれば実に身勝手な態度ではないかというふうになるのですが、そういうふうな状況であるとすれば、本年度から連結納税を図る積極的理由は那辺にあるのかということ。百歩譲って、法施行は来年度からとして、ことしは連結納税を選択する企業グループの承認にとどめるという程度の歩みで進めることがいいのではないかと私なりに思いますが、いかがお考えでしょうか。
  107. 石井道遠

    石井政府参考人 お答え申し上げます。  そもそも、連結納税制度を今回お願いして導入させていただきたいと申し上げております趣旨は、企業グループを一体として課税することによりまして、より実態に応じた課税を実現するという目的が一つございます。それから、あわせまして、企業組織再編というものを促進しまして企業の国際競争力を高め、経済構造改革にも資するであろう、主要先進国でも既に導入されておる制度でもございますし、国際的な整合性の観点からもその早期の導入が必要であろうという趣旨からお願いをしておるものでございます。  先ほどの税収減に対応いたしまして、その補てん措置として、連結付加税等の一連の増収措置をあわせてお願いしておるところでございますけれども、この連結付加税は、税負担減少のメリットを享受する企業にも一部負担を求めて導入するという趣旨で決めたものでございます。もちろん、その導入によりまして、企業のこの制度の適用ということに影響が出ることは否定できないと思いますけれども、他方で、連結付加税を考慮に入れてもなおメリットを享受してこれに参加したい、適用したいという企業も相当数あるのではないかというふうに思っております。構造改革に資するという観点から、ぜひともお願いをいたしたいというふうに思っております。
  108. 重野安正

    ○重野委員 次に、総務大臣に今度は聞きますが、法人住民税の課税標準の問題について。  現行法人住民税は、法人税額を課税標準としております。今回、連結納税を選択した企業グループに対する法人住民税の課税標準は、調整前個別帰属法人税額あるいは個別帰属リース特別控除取り戻し税額等、非常にこの用語自体、租税理解を妨げるような用語なんですね。税収上は同等なものとはいえ、明らかに課税標準の変更である、これは間違いない事実だと思いますね。  地方税はあくまでも自治体の税体系の基本法であり、それが、たとえ税収に変動はないとしても、国税改正によって変更されるということは、私は、分権化と逆行するもので決して望ましいことではないんじゃないか、このように思うんですが、総務大臣の見解をお聞かせください。
  109. 片山虎之助

    片山国務大臣 今の地方税の体系が、ある程度国税のいろいろな考え方をそのまま持ってきているんですね。だから、全部別個につくり直すということもあるいはあるのかもしれませんが、いろいろな点から見るとその方がずっと効率的でわかりやすいということもありまして、今回は違うんですよ、だから変えてきているようなところがあるんですけれども。  今回は、国の方は連結でいく、我々は単体でいく、こういうことでございまして、そこで、国の方の改正によって地方税体系の方が影響を受けるのは、考え方も、税収は違いますけれども、おかしいではないかという御指摘はもっともなんですが、私は、今の仕組みからいうと、この点はやむを得ないんじゃなかろうか、こう思っておりまして、もっとそれは税源をきっちり分ければいいんですよ、本当に。そういうことがずっと将来の課題ではなかろうか、こういうふうに思っております。
  110. 重野安正

    ○重野委員 次に、地方交付税との関係について、総務大臣並びに財務省に聞きたいんですが、七千九百八十億円の減収見込みによる地方交付税への影響額は、二%の付加税によっても調整されることというふうになっておりますが、この付加税というのは今後ずっと続くわけじゃなくて、この付加税が廃止された後の影響額、これはどういうふうにしていくのか。これについて、総務大臣そして財務省、それぞれ意見を聞かせてください。
  111. 片山虎之助

    片山国務大臣 付加税は、税収が落ち込むものを防ぐために二年間やろう、こういうことでございますから、その面では、交付税が大きな影響を受けることはないと思いますね。  二年後どうするのかですね。それはそのときになってみなければというか、そのときのいろいろな状況法人税収の状況等も勘案しなければなりませんけれども、もし仮に付加税をやめた場合に法人税収が大きく落ち込んで、交付税が影響を受けるようなら、別途の補てん措置を講じてもらいます。それは、地方財政計画でぴしっとその年度の収支を計算して、交付税が足りないということなら何らかの補てん措置を講じてもらう、これはもう当然のことだと思っております。
  112. 牧野治郎

    牧野政府参考人 お答えいたします。  連結付加税につきましては、今も総務大臣から御答弁がございましたが、そのとおり、二年後において、制度の実施状況や財政状況を踏まえてそのあり方を見直すというようになされております。したがいまして、二年後どうなるかということは、その際の見直し内容によって異なってくると考えられますので、現時点でこうだということはちょっと申し上げられません。  ただ、地方財源の確保ということにつきましては、その時々の歳出の水準でございますとか税収動向、財政事情に応じまして所要の措置を講じていきたいというように考えております。
  113. 重野安正

    ○重野委員 大事なことは、法人税法の改正による地方交付税の影響問題である以上、これは仮にマイナスの影響が出るとすれば、法人税の世界できちっとそこら辺は遮断をしていく、そのことがやはり基本だと思いますね。それを確認したいと思うんですが、それはそういう確認でいいんですかね、大臣、それから財務省
  114. 片山虎之助

    片山国務大臣 先ほども言いましたように、法人税収がどういうことになるのか、二年後の動向考えて、そのときの判断ということになりますけれども、我々は、それによって地方財政の運営に影響が出るようなことは避けていく、こういうことでございます。それは、我々の立場ははっきりしております。
  115. 牧野治郎

    牧野政府参考人 お答えいたします。  法人税の減収は法人税でというお話でございますが、それはもうそのときの、二年後の見直しがどういう内容になるかということにすべてかかっておりますので、我々が申し上げられますことは、今総務大臣がおっしゃられましたが、地方の財源について、必要な財源についてはちゃんと確保を図るように努めてまいりたいということでございます。
  116. 重野安正

    ○重野委員 次に進みますが、今も指摘をしましたように、法人税法の改正によりまして、今後は法人課税は、従来の単体別納税と連結納税の二本立てとなるわけです。  これは、国税における大きな制度改正であり、国税制度改正の影響を地方財政に及ぼすことは許されないというのが私の一貫した主張でありまして、つまり、この制度改正による地方交付税の減収については、地方交付税制度に対する国の責任という財政調整制度の原則に沿って措置されるべきである。地方財政対策の一環として、この影響額をうやむやにすることは許されない。  くどいようですが、その点について、もう一度両省の見解を確認しておきたいと思います。
  117. 片山虎之助

    片山国務大臣 委員の言われるとおりでございまして、それによって地方財政に影響はさせない、こういうことでございます。
  118. 牧野治郎

    牧野政府参考人 お答えいたします。  今大臣からお答えがございましたが、その時々の全体の歳出でございますとか税収状況でございますとかいうことを勘案しながら、地方財政の運営に支障がないように、財源の確保に努めてまいりたいということでございます。
  119. 重野安正

    ○重野委員 以上で終わります。
  120. 平林鴻三

    平林委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。  次回は、来る三十日木曜日午前九時三十分理事会、午前九時四十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十八分散会